各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成十八年十月十八日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長相川  博君
副委員長高橋かずみ君
副委員長清水ひで子君
遠藤  守君
原田 恭子君
神林  茂君
伊藤まさき君
吉倉 正美君
増子 博樹君
吉野 利明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
病院経営本部本部長大塚 孝一君
経営企画部長及川 繁巳君
サービス推進部長鈴木  茂君
参事岸上  隆君
福祉保健局局長山内 隆夫君
次長吉川 和夫君
技監梶山 純一君
理事片岡 貞行君
総務部長杉村 栄一君
指導監査室長梶原 秀起君
医療政策部長細川えみ子君
保健政策部長清宮眞知子君
生活福祉部長永田  元君
高齢社会対策部長狩野 信夫君
少子社会対策部長都留 佳苗君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長八木 憲彦君
企画担当部長松井多美雄君
医療改革推進担当部長高橋  誠君
連絡調整担当部長松浦 和利君
参事桜山 豊夫君
参事宮垣豊美子君
参事佐藤 恭信君
参事金丸 陽子君
参事奥澤 康司君
参事住友眞佐美君

本日の会議に付した事件
 平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
 病院経営本部関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
 福祉保健局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○相川委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日から三日間にわたり、本分科会所管局の決算に対します局別の質疑を行っていただきます。
 質疑につきましては、平成十七年度の決算の審査から逸脱しないように行っていただきたいと思いますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、病院経営本部及び福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより病院経営本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、病院経営本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○及川経営企画部長 去る十月六日の各会計決算特別委員会第二分科会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十七年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 資料は、目次にございますように、1、公社病院における経営指標の推移及び2、公社病院における医師・歯科医師及び看護職員の定数及び現員の推移の二点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと存じます。1、公社病院における経営指標の推移でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの過去五年間における経営指標につきまして、病院ごとに記載してございます。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。2、公社病院における医師・歯科医師及び看護職員の定数及び現員の推移でございます。
 平成十三年度から平成十七年度までの過去五年間におけるそれぞれの定数、現員及び欠過員の人数につきまして、病院ごとに記載してございます。
 表の下、注1にございますとおり、各年度とも四月一日現在の定数と現員を記載してございますが、平成十七年度につきましては、平成十八年三月三十一日現在の人員を年度末欄に表記してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。

○相川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 私から、決算説明書六ページの地域病院の運営についてお尋ねいたします。
 本日は、ことし四月に東京都保健医療公社の所管が福祉保健局から病院経営本部に移管されてから、病院経営本部にとって初めての各会計決算特別委員会となります。また、決算審査の対象となる十七年度の公社の事業運営は福祉保健局所管時のものとなっているため、何かと答えづらい面もあるかと思いますが、答弁方よろしくお願いいたします。
 これまで、都から保健医療公社へは、平成十六年四月の都立大久保病院を皮切りに、平成十七年度に多摩老人医療センター、本年度は荏原病院が移管されました。これらの都立病院の公社への移管に当たっては、当然のことながら、その利用者である都民への医療サービスの低下があってはならないと思います。私は、こうした観点から、十七年四月に公社に移管されました多摩老人医療センター、現在の多摩北部医療センターの運営について何点かお伺いさせていただきます。
 初めに、これまでいろいろな場で何度か説明されていることとは思いますが、多摩老人医療センターを公社に移管した理由、あるいはねらいはどのようなところにあったのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 公社に移管をしました考え方でございますが、多摩老人医療センターが立地する地域は、急性期医療を行っている医療機関が少ないという現状がございます。このため、同センターは高齢者に限らず一般患者を受け入れ、地域の医療機関等との連携のもとに、紹介、返送、逆紹介制度によりまして、継続性のある一貫した医療を提供していくことが医療資源の有効活用につながり、ひいては地域全体の医療サービスの向上を図ることが可能となるというような考え方からでございます。

○高橋委員 では、そうした目的で移管された多摩老人医療センターの医療機能はどのように変わったのか、具体的にお答えください。

○及川経営企画部長 多摩老人医療センターは、公社への移管を契機といたしまして、新たに小児科を設置し、これまでの老人専門病院から、地域に不足するさまざまな医療ニーズにきめ細かく対応する総合病院として、医療機能を充実させました。また、地域医療連携を確実に進めまして、本年五月には地域医療支援病院として承認をされたところでございます。さらに、これまでの高齢者医療に加えまして、地域のニーズの高い小児二次救急医療事業や、前立腺がんの放射線小線源療法などに取り組んでおります。
 こうした機能の変化を踏まえまして、病院名称も多摩北部医療センターといたしまして、北多摩北部医療圏では数少ない総合病院として、地域住民の方に必要な医療を提供しているということでございます。

○高橋委員 公社移管によって、これまでの老人専門病院から総合病院として医療機能を充実させ、都民への医療サービスの向上を図ったことは大いに評価できます。これからも、地域の医療ニーズに的確にこたえていただきたいと思います。
 ところで、今答弁のあった小児科でありますが、これは、都立清瀬小児病院が府中にできる小児総合医療センターに再編統合されることに伴う対応として新設されたものと理解しております。
 そこでお伺いいたしますが、新設された小児科の診療実績はどのようになっているのか、具体的にお答えください。

○及川経営企画部長 多摩北部医療センターの小児科は、平成十七年四月に発足いたしまして、同年六月には小児科病床十三床を開設いたしますとともに、東京都から北多摩北部二次保健医療圏の小児二次救急医療施設として指定を受けております。
 平成十七年度の診療実績は、外来延べ患者数五千二百九十六人、一日当たりにしますと十八・〇人、入院の延べ患者数は一千三百十二人、一日当たり四・三人となってございます。

○高橋委員 聞くところによりますと、多摩北部医療センターの小児科は、常勤医二名、非常勤医三名のほか、都立清瀬小児病院からの応援を受けているとのことでありますが、これからの都立清瀬小児病院の再編統合を考えますと、多摩北部医療センターの小児科の機能をさらに充実させる必要があると思います。そのためには、医師の確保に一層努めなければならないと考えます。
 そこで、多摩北部医療センターにおける今後の小児科医師確保の見込みはどのようになっているのか、お伺いいたします。

○及川経営企画部長 小児科医の不足の問題でございますけれども、現在、全国的に小児科医の不足といった影響はございますけれども、必要な医師の確保のために、病院、公社を挙げて、関係大学の医局等に積極的に働きかけるなど、医師確保に向けて全力で取り組んでいるといった状況でございます。

○高橋委員 清瀬小児病院の小児総合医療センターへの再編統合は平成二十一年度末ということで、それまでにはまだ三年半ほど時間がありますが、多摩北部医療センターとしては、ぜひ早期に医師を確保し、清瀬小児病院に頼らない体制をつくっていただきたいと思います。
 ところで、多摩北部医療センターでは、病院としての小児二次救急医療対応のほか、都内でも先駆的な取り組みとして、地元の行政や医師会と連携した小児の初期救急診療を行っていると聞いておりますが、その経緯や体制及び実績についてお伺いいたします。

○及川経営企画部長 多摩北部医療センターにおける平日の小児初期救急診療事業でございますけれども、これは、北多摩北部の小平市、東村山市、西東京市、清瀬市、東久留米市の五市の医師会が地元市に体制構築を働きかけたといったものでございまして、小平市を除く北多摩四市の事業として、平成十七年六月から実施しているものでございます。
 事業の方法は、北多摩四市からの受託で、北多摩五市医師会の小児科医、これは登録医として二十一人いらっしゃいますが、その医師が輪番で、多摩北部医療センターを活用しまして、火曜日と金曜日の週二日、午後七時半から十時半まで、小児の初期救急診療に当たるといったものでございます。
 平成十七年度の患者取扱実績でございますが、開設日一日当たり約二・四人という実績となってございます。

○高橋委員 初期医療の確保に責任を持つ地元市と医師会が、地域の中核的病院としての役割を有する多摩北部医療センターと連携して、全国的に危機が叫ばれている小児の救急医療体制を構築するということは、大変結構な取り組みでありますが、実施回数が週二日では不十分だと私は考えます。
 そこで、この平日小児初期救急診療事業の拡充の見込みはどのようになっているのか、また、多摩北部医療センターはどのように取り組んでいくのか、お伺いします。

○及川経営企画部長 平日の小児初期救急診療事業につきましては、平成十七年六月の事業開始当時から、週五日の実施を目指すといったこととしております。現在、地元市とそれぞれの医師会等で構成する協議会が、都内の救急医療体制整備を所管いたします福祉保健局及び病院経営本部を交えまして、事業充実に向けた協議を進めているといったところでございます。
 多摩北部医療センターといたしましては、みずからの小児科医師の確保に努めますとともに、地域が行う初期救急診療事業に積極的に協力をいたしまして、地域の小児医療の充実に努めてまいります。

○高橋委員 答弁をお聞きして、移管後の多摩北部医療センターが、みずから行う小児の二次救急医療に加え、各市が取り組むべき小児初期救急診療事業に協力するなど、地域の小児医療を充実させるために積極的に取り組んでいることがわかりました。
 私は、全国的な小児科医不足という問題もありますが、東京都及び保健医療公社で連携し、最大限の努力で小児科医師を確保することが都政の重要な役割であると考えます。
 あわせて、これからも多摩北部医療センターが地域の小児医療体制の一層の充実に尽力されることを期待して、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○伊藤委員 私の方からは、保健医療公社病院の未収金及び不納欠損についてお伺いしたいと思います。
 まず、公社病院では、平成十七年度末まででどれぐらい個人分未収金としてあるのか、また、平成十七年度中にどれぐらい不納欠損として計上されたのか、額とその件数をお示しください。

○鈴木サービス推進部長 十七年度の個人分の未収金でございます。公社の四病院全体で、件数が千四百九十件、金額は約一億七千万円でございます。入院、外来の診療収益に占める割合は約〇・九%、また、十七年度中の不納欠損額でございますが、百九件、約三百六十万円となっております。

○伊藤委員 未収金が約一億七千万円。単純に四病院で割り返しますと、額として一病院四千二百万円、そして件数としては約三百七十件。毎日のように未収金が発生してしまっているという現状だろうと思います。
 それでは、その次に、その中身についてお伺いいたしたいと思います。未収金が発生するのはどのようなケースがあるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。また、一件当たりの最大額をお示しください。

○鈴木サービス推進部長 個人未収金の発生の主な理由でございますが、一つは、救急で病院を受診した際に所持金がなかったということがございます。あるいは、経済的事情に基づく、支払いができなくなってしまった。あるいは、転居して居場所がわからなくなってしまった、こういう事例が多くございます。
 次に、そうした未収金の一件当たりの最大の額でございますが、約百十六万円というケースがありまして、これは保険がなくて、皮膚の膿瘍ということで十三日間入院された患者さんの事例でございます。

○伊藤委員 経済的な理由でどうしても払えないという方も中にはいらっしゃるかと思いますけれども、ぜひとも払える方には厳しくやっていただく必要があるのかな、中には、先ほどご答弁のように百万円を超える大変大きな額の例もあるということでございますので。
 それでは、このような個人分の未収金発生に対しまして、情報管理のあり方、催促の方法、手段、どのような対策をとっておられたのか、お示しいただきたいと思います。また、不納欠損として計上する際の考え方についてもあわせてお答えください。

○鈴木サービス推進部長 公社の病院では、個人未収金の管理要綱というものがございます。それに基づきまして、未収金の整理簿あるいは債権管理票の作成、納入告知書や督促状の発送、それから居所不明者の調査、こういった一連の未収金の発生予防あるいは回収対策というものを行っております。さらに、悪質な未納者の方には、病院職員が直接その患者さんのお宅の方にお伺いいたしまして、ぜひお支払いいただきたいという働きかけをしております。そういった個人未収金の回収には努めていると。
 また、不納欠損の考え方でございますが、転居や死亡などによりまして請求先がもう不明となった、こういう方のうち、債権の消滅時効、民法では三年なんですが、それに該当するものにつきましては、病院長が個別の状況を見て不納欠損処分の決定を行う、こういう手続になっております。

○伊藤委員 大変額も多いわけですし、件数も多いわけでありますし、毎日のように滞納が出てきているわけでありますから、電話での催告をふやすだとか、いろいろと改善の方法はあるのかなというふうに思います。今後の未収金対策として、経営本部としてどのようにお考えになっているのか伺いたいと思います。
 それとあわせて、発生防止策の強化も必要なのではないかなというふうに思います。例えば、クレジット払いの拡充など払いやすい環境づくりや、お医者様から直接催促をしていただくということも考えられるでしょうし、また、民間でも今行われておりますけれども、預かり金制度などの導入も考えてみてはどうかというふうに思います。
 また、未収金の回収促進策として、大変高いノウハウを持っている主税局とのタイアップをして、ノウハウの知識を公社病院にも導入するべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○鈴木サービス推進部長 現在、公社では未収金の対策としまして、内容証明郵便によって再三催告をしてもなかなかお支払いいただけないという悪質、多額な未納者の方、この方に対して、先ほど申しましたように個別に訪問するほか、理事長が民事訴訟法に基づき支払い督促の申し立てを行っていこうというふうに考えていると聞いております。
 それから、ただいまご提案がございましたクレジット払いにつきましては、現在導入済みで、大久保病院と荏原病院で導入しておりますが、こちらの利用実績が伸びていることから、全公社病院ヘの拡大を本部としては指導していきたいというふうに考えております。
 また、預かり金でございますが、患者さんから診療の求めがあった場合には、医師は正当な事由がなければ断ってはいけないというのが医師法の十九条にございます。こういった問題もございますので、適用に向けてそういう問題点をどうクリアしていこうかというようなことを現在検討しているというふうには聞いております。
 また、主税局での債権回収ノウハウの活用につきましては、組織が財団法人ということでちょっと違いますので、直接的には活用できないんですが、その分、我々経営本部の方でノウハウを公社にお伝えしていって、今後、未収金対策をぜひ一層適正にやるようにということを指導していきたい、このように考えてございます。

○伊藤委員 医療サービスを受けて、支払い能力があるにもかかわらず支払わないということは、本当に大きな問題だと思いますし、絶対に許されないことだと思います。一部では、公立病院だから払わなくてもいいんだなどとうそぶく方もいらっしゃるということもお聞きしております。公社病院以外、都立病院全体で十五億円もの未収金があるということも聞いております。このような状況は、都民の理解が得られないのじゃないかというふうに思いますので、悪質な未納者に対しましては毅然とした態度で確実に回収できるように要望いたしまして、私の質問を終わります。

○清水委員 私からも、十七年度に公社移管された多摩北部医療センターについて伺います。
 まず、多摩北部医療センターの医師の欠員状況は十七年度末でどうなっているのか、また、その欠員の理由は何なのか、教えていただきたいと思います。

○鈴木サービス推進部長 多摩北部医療センターの医師の欠員状況でございますが、十七年度末では五名の欠員というふうになってございます。この五名の欠員のうち、皮膚科、産婦人科各一、それから耳鼻咽喉科の二名、合わせて四名は、非常勤医師で対応してきております。そういったことから、現在その四名については欠員とは考えていない状況ではあります。

○清水委員 最初のところで五名と、非常勤で対応しているからということでしたけれども、その後どうなっているのか。先日、多摩北部医療センターにお伺いしまして、いろいろご案内いただきながら、院長先生も交えてお話を聞いてきましたけれども、現在の医師の欠員は九人にふえておりました。中でも大きな問題になっているのは、神経内科の問題です。神経内科医師の十六年度以降の採用、退職などの出入りはどうなっているのか、お伺いいたします。

○鈴木サービス推進部長 多摩北部医療センターの神経内科医師の出入りでございます。平成十六年度には、神経内科では採用が五名、それから退職が五名ということでございます。それから、十七年度は採用が四名、退職が五名という状況でございます。

○清水委員 神経内科は、脳梗塞とか脳出血、パーキンソン病など、多摩老人医療センターから移管した多摩北部医療センターの中でも重要な診療科になっています。その重要な診療科の医師が毎年入れかわり、次々退職し採用されるという、入れかわっている状況があります。その後、本年度はさらに四人が退職し、かわりの医師が一人しか採用できずに、神経内科だけでも三人もの欠員となり、患者数の減少など大きな問題となっているというふうに考えます。
 次に、欠員に関連して、多摩北部医療センターの婦人科外来はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○鈴木サービス推進部長 多摩北部医療センターの婦人科外来、十七年度末はどのようにということでございますが、この婦人科の外来につきましては、この病院は老人病院ですから、公社に移管する前から高齢者の患者の比率が高かったものですから、婦人科の対象となる疾患の患者さんがいないということがございまして、外来診療は行っていません。

○清水委員 今ご説明がありましたが、高齢者の患者の比率が高いとか、婦人科特有の患者がいないとかというような理由ですけれども、ちなみに十三年度、都立時代の婦人科の外来患者というのは四千七百人もの方がいたわけですよ。脳神経科よりも多い外来患者を受け付けておりました。
 また、十五年度の年報を見ますと、常勤二名で診療を行い、初診例が二百九十名程度、その延長として乳腺超音波診断百三十例、入院は悪性腫瘍ほかなどというふうになっています。
 さらに、骨粗鬆症外来を九年間行って、その臨床データから高齢女性の骨粗鬆症治療に対し興味深いデータが得られ、雑誌や講演会などで発表したというふうに報告をされています。
 高齢女性医学の取り組みが定着していたわけです。ですから、必要があるから、公社移管の際も婦人科を存続させたのではないですか。ところが、公社移管後、婦人科はいなくなって、外来診療を停止したというのが今の事態です。
 また、麻酔科も見ますと、本年度は外来を実施しておりません。十六年度は常勤医三名と非常勤医。手術時の麻酔というのはもちろんのことだと思いますけれども、ペインクリニック外来というのを実施したというふうに記載されています。十六年度、千九百人を受け入れ、一日二十名の治療を実施している。これはよく聞く病気ですけれども、帯状疱疹、帯状疱疹後の神経痛などを実施していたというふうに書かれています。それが、麻酔科医師の病気休職で、かわりの医師の配置ができないまま、ことしの七月中旬以降休診になっているというふうに考えるわけです。
 そういうふうに、婦人科だとか麻酔科だとか外来が、本当にこれまでも重要なところがやめたり、休診になっている。
 ちなみに、公社移管のときの公社化検討委員会の報告書というのがありますよね。その中には、今ご紹介したようなペインクリニック外来というものに対しては、患者の病態がイメージしやすいなど、地域の医療機関から紹介が行いやすく、患者からも支持を得ている、したがって基本的には現在の専門外来を継続していくこととするというふうに、ここには書いてあるわけですよね。それで、こういう状態になっております。
 それでは、センターの常勤医師と非常勤医師は、先ほども非常勤医師のお話がありましたけれども、十七年度末でそれぞれ何人ですか。また、非常勤医師だけの診療科は幾つあるのか、お伺いします。

○鈴木サービス推進部長 十七年度末で、当直の診療を除く通常の診療に当たっている常勤の医師でございますが、五十七人でございます。それから、非常勤医師は、常勤医師に換算して八・八人でございます。
 また、非常勤医師だけの診療科でございますが、全診療科二十一科のうち、精神科、それから皮膚科、婦人科、耳鼻咽喉科の四つの診療科でございます。

○清水委員 五十七人に対して非常勤医師八・八人というと、少ないように見えますけれども、これは全部計算してあれしたわけじゃないですけれども、非常勤医師を全部計算してみますと、三十一人が非常勤の医師になっております。常勤の医師に比しても非常勤の医師というのは非常に多いというふうに思います。
 医師の確保については、当時、都立病院改革会議でも委員の方からこういう意見も出ていたわけです。都立病院という名前だから人も来る。医師のことですよね。大学からも人を出してくれる。だけど、都立ではなくなって、民営化だとか公設民営だとか、いわゆる公社化というと、何かその辺は考えないと、名前が変わるだけで大分違うと思います。大学だって、公的なところはとっておきたい。事実としてだけど、民か何かわからないようなところはいいかげんでいいやとはいわないが、やはり違うと思いますというようなことが、一人の方から、これは議事録ですけれども、こういうことをいわれている方もいますし、委員長代理の方が、医療界における都立病院というもののステータスはありますね、こういう議論がされていたわけです。
 ですから、医療事情とか臨床医研修制度とかいろいろあるかもしれませんけれども、こういうことも今の医師の確保の問題では大きな問題になっているのではないかというふうに考えるわけです。
 それでは、経営状況はどうなっているのか、それをどのように認識しているのか、お伺いいたします。

○鈴木サービス推進部長 北部医療センターの経営状況でございますが、十七年度の診療収益は、入院、外来を含めて約五十億円です。平成十六年度に比べまして二億四千五百万円の増収になっております。今後とも経営の効率化に努めていきたいというふうに考えてございます。

○清水委員 公社化になったばかりですから、前のことと比べるわけにはいかないと思うんですね。赤字だとか、黒字だとかということは比べるわけにはいかないんですけれども、今ご答弁にあったように、どのように認識をしておられるのかということに対しても、増収だよというふうにいわれて、何ら問題ないようなご答弁ですけれども、先ほどご紹介があったような医師の欠員などにより、ことし四月から八月までの状況は極めて深刻になっています。決算だからということで、十八年度のご答弁はいただけないんですけれども、先ほど、もろもろ医師の退職とか採用とか、そういうことをお聞きしてきたんですけれども、やはり、どの先生にかかろうかという患者さんの気持ちというのは、どこの病院でもあるわけですけれども、そういう入れかわりによって、本当に患者さんが大きく変動しているというふうに伺うわけです。
 それで、ことしの八月二十三日は、院長の名前で、収支悪化に伴う費用の削減についてという通達が、文書が出されています。当センターの収入は、本年度の目標及び昨年度の実績を大きく下回っています。そのため、本年度の病院経営における赤字額は六億円にも上ると推定され、九月の給与支払い時には金融機関から借り入れを起こさなければならないと想定されます。このままでは、継続的、安定的に現行の医療サービスを提供すること自体困難になるというふうに書かれて、いろいろ節約しなさいとか、そういうようなことが書いてある。給与の支払いにも事欠くようなことが想定されるというふうにいわれているわけです。
 先ほども私は指摘しましたが、国の診療報酬削減とか、それから研修医制度の影響など、医療環境というのも大変厳しいものがあることは、これまでも繰り返しご答弁いただいておりますし、私たちも指摘してきています。だからこそ、経営効率最優先という姿勢でなくて、患者サービスを充実させることを最優先し、公社に対する、根本的には都の支援が強く求められているのではないかということで、ここでは公社病院に対する都の支援を強化することを強く求めておきたいと思います。
 それでは次に、東村山老人ホーム、東村山ナーシングホーム利用者のための診療所と多摩北部医療センターとの連携はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○鈴木サービス推進部長 同じキャンパスの中にあります東村山老人ホームと東村山のナーシングホーム、そこの診療機能とセンターとの連携ということですが、多摩北部の医療センターは、東村山老人ホームとは医療等に関する協定、それから東村山ナーシングホームの方とは協力病院に関する協定という名前の協定をそれぞれ締結してございます。その内容ですが、夜間、休日等で、それぞれの施設のお医者さん等がいらっしゃらないときには、こちらの多摩北部医療センターでその患者さんを診察するといった、こういうお互いの連携協力を結んで適切な医療を提供している、こういう状況でございます。

○清水委員 都立のときは、老人ホームやナーシングホームの医師として位置づけられていたわけですが、公社になってからは、施設に診療所が整備されたということで、そちらでかかるんですよということを施設の入所者にはお伝えし、そのようにされていると思うんです。今も、連携ということではご説明いただいたんですけれども、しかし、施設の利用者からすると、最初からお話しされているように、医師のいろいろ大変な実情はあると思うんですけれども、診療所で紹介状を書いていただければ、多摩北部医療センターにもかかれるし、それから、もちろん救急車で行く場合には、隣ですけれども入ることができるということ、通常の医療の関係、それはあると思うんですけれども、施設の利用者の中には、紹介状をもらったとしても、また救急車だったとしても、かかりにくいような現状があるというようなことも聞いているんです。そのようなことがないようにするべきだと思いますけれども、どうですか。

○鈴木サービス推進部長 多摩北部医療センターになかなか救急でもかかれないということなんですが、この多摩北部医療センターにつきましては、地域医療支援病院という病院でございまして、医療連携を推進するため、お話しのように、かかりつけ医からの紹介予約制というのを原則にはしております。ただ、救急患者の受け入れということにつきましては、同じく地域医療支援病院の機能の一つでもございまして、ですから、例えば夜間とか、その担当の診療科の医師がいないといったような特別の事情がない限り、地域の救急の患者さんを診察するのをお断りするようなことはないかと存じております。

○清水委員 これからもそういうことが起きないようにしていただきたいというふうに思います。
 それでは、多摩北部医療センターの利用者負担を検討しているという話を聞いていますけれども、どのような内容か、お伺いいたします。

○鈴木サービス推進部長 多摩北部医療センターで現在は無料で運営しております駐車場につきまして、病院の利用者以外の方の不正使用の防止、あるいはバス等を使ってお見えになる方との負担の不公平感、こういった問題がございまして、あるいはまた、ほかの公社病院はすべて駐車場は有料という状況がございます。そういったことから、多摩北部医療センターの駐車場についても有料化の実施を検討しているというふうには聞いてございます。

○清水委員 いつから有料化を行うんですか。幾らにするんですか。

○鈴木サービス推進部長 現在、公社の方で検討中ということでございますので、その内容についてはちょっと把握してございません。

○清水委員 公社にお伺いしたときも、そのようにお答えをされていたんですけれども、しかし、実際に駐車場の整備、有料化の実施ということで、実施は十一月一日からということになっているわけです。この文書がだれにあててあるのかわからないけれども、これは多摩北部医療センターで出している文書です。それで、外来患者から一回百円とか、お見舞いその他は入庫から一時間ごとに百円、実施時期は十一月一日と書いてあって、この連絡文書には、十月中に患者、家族に周知徹底すると書いてありますけれども、議会でも、今、いつからやるというようなこともいわれないし、これは決算だから十八年度のことは事務事業にしてくれとかいう話もありましたけれども、しかし、事務事業は十一月一日前にあるんですか。
 こういうことは、都立の時代であれば条例改正なども必要な事項だろうし、都議会に説明もしないまま実施していくというようなこと、また公社の評議員会にもかかっていないと。公社の今年度の予算にも、事業計画も見ましたけれども、それにも書いていないわけですよ。
 そもそも患者負担、都民負担に転嫁するのは私は間違いだと思うんですよね。ほかの公社病院がやっているからといって、こういうことをやっているから、本当に患者サービスが後退していく。医師や看護師の確保を初め、医療体制を拡充し、患者サービスを充実することで患者と地域の信頼を高めて、それが本当の経営改善の道ではないかというふうに思うわけです。
 最後に、多摩南部地域病院の問題をお聞きします。
 小児科の入院と夜間救急が休止して、しばらく経過しています。当初は、昨年の議事録を見ますと、当時のことですけれども、三カ月後に入院は再開できるようしたいということでしたけれども、小児科医を公募しても応募がないままだというようなご答弁になっているわけですけれども、十七年度の現状についてお伺いしたいと思います。

○鈴木サービス推進部長 多摩南部地域病院の小児科でございますが、医師不足のため、十七年一月から入院診療は休止してございます。夜間につきましては、外来、救急を実施しておりまして、夜間に救急で受診され、診断の結果入院が必要となった場合には、医療連携に基づきましてほかの病院に紹介させていただくという具体的な対応をとっております。
 また、一般の小児科外来でございますが、こちらにつきましては、都立病院から一名のドクターの派遣を受けまして診療を継続しております。
 このほか、非常勤医師の対応ですが、神経だとか腎臓、心臓といった専門外来というものを実施してございます。
 現在、全国的な小児科医不足の影響がありますが、必要な医師の確保に努めて、病院、公社を挙げて関係大学等の医局に積極的に働きかけているところでございます。

○清水委員 早急な改善を求めておきます。
 ことし七月の行財政改革実行プログラムでは、公社病院について、経営効率を向上し、事実上民営化が可能な状態にする方向が示されましたが、全く逆行です。公的病院としての役割を強化することこそ必要だと思います。そして、大久保病院、多摩北部医療センター、荏原病院は都立に戻すこと、都立豊島病院の公社移管はやめることを求めて、質問を終わります。

○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で病院経営本部関係を終わります。

○相川委員長 これより福祉保健局関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 牛島事業調整担当部長は、公務出張のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成十七年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十七年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○杉村総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成十七年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料は、目次にございますように、全部で十一項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。福祉保健費の予算及び決算の推移といたしまして、平成八年度から十七年度までの福祉保健費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。福祉保健局予算決算額の推移といたしまして、平成十二年度から十六年までは旧福祉局と旧健康局の予算現額、決算額、三ページに参りまして、平成十七年度は福祉保健局の予算現額、決算額を記載してございます。
 四ページをお開き願います。各種手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移といたしまして、平成十三年度から十七年度までの予算現額、支出済額、対象者数を五ページにかけて記載してございます。
 六ページをお開き願います。認知症高齢者グループホーム緊急整備三か年事業の実績といたしまして、平成十六年度から十八年度までの計画規模及び区部、市町村部ごとの事業実績などについて記載してございます。
 七ページをごらん願います。シルバーパス発行状況の推移といたしまして、平成十二年度から十七年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びパスの発行割合を記載してございます。
 八ページをお開き願います。児童相談所における児童虐待相談受理件数及び従事職員の推移といたしまして、平成十三年度から十七年度までの相談受理件数及び職種等別の従事職員数を記載してございます。
 九ページをごらん願います。先駆型子ども家庭支援センターの状況でございます。(1)には、事業の概要といたしまして、事業内容を従来型と比較して記載し、また(2)では、その実施状況についてお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。養育家庭制度の実績といたしまして、平成十三年度から十七年度までの登録家庭数、委託家庭数及び委託児童数について記載してございます。
 一一ページをごらん願います。病後児保育事業の実績といたしまして、平成十三年度から十七年度までの実施区市町村数、施設数及び定員について記載してございます。
 一二ページをお開き願います。障害者地域生活支援緊急三か年プランの実績といたしまして、施設種別などに区分し、平成十五年度から十七年度までの予算、決算の金額、規模について記載してございます。
 最後になりますが、一三ページをごらん願います。区市町村障害者就労支援事業の実績といたしまして、平成十三年度から十七年度までの実施区市町村数、登録者数及び就職者数について記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○相川委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 私から、決算説明書一〇九ページの少子化対策、子育て支援についてお尋ねいたします。
 我が国は、昨年初めて、総人口が減少に転じていく人口減少社会を迎え、合計特殊出生率も一・二五と過去最低を更新し、中でも東京は〇・九八と一を割り込み、全国最下位の状況が続いておりますことはご案内のとおりであります。
 子どもを産む、産まないはもとより個人の問題でありますが、子どもを産み育てたいという人たちが安心して子育てし、子どもたちを健やかに育てることができる環境を整えることは、社会全体で取り組まなければならない重要な課題であると思います。
 少子化に関する話題が新聞報道で頻繁に取り上げられ、また、安倍新政権も少子化対策、子育て支援を重点施策としており、内閣の総力を挙げて取り組むとしております。東京都においても、これまで以上に積極的に取り組んでいく必要があると思います。
 そこでまずお伺いいたしますが、このような状況に対し都はこれまでどのような取り組みを行ってきているのか、子育て支援に関する都の主な施策とこれまでの実績をご紹介願いたいと思います。

○都留少子社会対策部長 子育て支援に関する都の主な施策と実績でございますが、都は、平成十三年度に都独自の認証保育所制度を創設し、普及促進に努めてまいりました。その結果、平成十八年九月現在では、施設数三百三十九カ所、定員一万百九人に達しております。
 また、さまざまな事情で親と一緒に暮らすことのできない子どもたちが家庭的な雰囲気の中ではぐくまれ、自立できるよう、養育家庭、グループホームによる少人数での家庭的養護を拡充してきております。平成十八年八月現在、養育家庭への委託児童数は三百四十八人、グループホームは六十九カ所設置されております。なお、養育家庭は現在、愛称をほっとファミリーといたしまして普及に努めております。
 また、児童福祉司を平成十三年度の百六名から十八年度には百五十九名と大幅に増員するなど、児童相談所の機能強化を図ってきました。
 このほか、周産期医療対策を強化し、新生児集中治療室、NICUと申しますが、それにつきましても都全体で百九十五床整備してまいりました。
 このように、都として次世代育成に向けたさまざまな取り組みを着実に進めてきております。

○高橋委員 私は、少子化の背景の一つには、子育てに対する負担感の増大があると考えます。総合的な少子化対策を進める上で、命のとうとさを次の世代に伝え、はぐくんでいくことや、家族や地域とのかかわり、助け合いなどの大切さが都民に理解されることが非常に重要だと考えております。
 しかし一方で、東京は、小学校就学前の子どものいる家庭の約九割は核家族であるのが現実であります。父親の長時間労働や、祖父母が住んでいる場所が遠いなどの理由から、家族、親類の支援が受けられない家庭も多いと思います。また、地域とのつき合いも希薄化している中では、子育ても孤立しがちになり、このことが、子育てを楽しいことではなく大変なことと思わせる大きな要因と考えられます。
 例えば、平成十三年度のこども未来財団の調査によると、子育ての負担感が大きいと答えた母親は、共働きの母親の場合が二九・一%であるのに対し、在宅で子育てをしている母親の方の場合は四五・三%と、在宅の母親の方が子育ての負担感を感じる割合が高いとの結果が出ており、このことを裏づけております。
 このような状況に対応するため、すべての子育て家庭の不安を解消し、子育ての負担感を軽減することが求められていますが、特に在宅の子育て家庭に対する支援として、都はどのような取り組みを行っているのか、お伺いします。

○都留少子社会対策部長 都はこれまで、子育てに悩む親に対して、身近な区市町村において総合的な相談、支援の拠点となる子ども家庭支援センターの整備を進めてきました。また、この子ども家庭支援センターを初め、保育所、児童館なども活用し、在宅で子育てをしている孤立しがちな親などが交流できる子育てひろば、親の病気や育児疲れなどの際に利用できるショートステイや一時保育、産前産後の家事や育児が困難な家庭などに対してヘルパーを派遣する育児支援ヘルパー事業など、さまざまな在宅サービスの拡充を図ってきております。

○高橋委員 子ども家庭支援センターを子育て支援の拠点として整備してきた都の取り組みは高く評価できるものであります。だれにも子育てのことを相談できずに、一人で悩むということのないよう、ぜひ積極的な取り組みをお願いいたします。
 あわせて、現在、都は、これまでの子ども家庭支援センターの機能に加え、虐待防止の機能も備えた先駆型子ども家庭支援センターの設置について、区市町村に強力に働きかけていると伺っておりますが、現在の設置状況と今後の予定はどうなっているのか、お伺いします。

○都留少子社会対策部長 先駆型子ども家庭支援センターは、お話しのように、従来の子ども家庭支援センターに児童虐待の未然防止や地域の見守りの機能を加え、児童虐待への対応力を強化したセンターでございます。現在、子ども家庭支援センターは五十四の自治体に設置されておりまして、そのうち半数の二十八の自治体が先駆型子ども家庭支援センターとして実施しております。
 都といたしましては、平成十九年度までに四十九のすべての区と市での先駆型子ども家庭支援センターの設置を目指しており、この目標の達成に向け、現在、関係区市に強力に働きかけております。

○高橋委員 先駆型子ども家庭支援センターの設置促進に当たっては、区市町村の窓口で相談に従事する職員が、身近な地域で、さまざまな子育て家庭からの相談に対し、関係機関とも連携しながら適切に対応できる力量を一層高めていくことも一つの大きなかぎになると考えます。
 また、先ごろ報道されていたところによりますと、世田谷区では、子育てステーションとして、駅ビルに遊びや相談、保育などのサービスを集中させた多機能型の子育て支援施設をオープンしたということでありますが、このように、すべての子育て家庭を支援するためには、子育て支援の中核的な役割を担う区市町村が、みずからの創意工夫で、地域のニーズに敏感に対応し、積極的に取り組むことが重要であります。
 そこで、今後都は、このような区市町村の取り組みをソフト面からもハード面からも積極的に支援していくべきと考えますが、ご見解をお伺いします。

○都留少子社会対策部長 お話しのように、住民に身近な区市町村が、地域のニーズに即して創意工夫を凝らした子育て支援策を実施することは重要であると考えております。その取り組みを支援するため、都では、区市町村の子ども家庭支援センターなどの職員に対して、相談援助技術に関する研修や、非行相談など専門分野に関する研修を実施し、職員の相談対応能力向上が図れるよう支援しております。
 また、都の各児童相談所におきましても、今年度新たに地域支援のチームを設置し、児童相談所の児童福祉司が区市町村の子ども家庭支援センターの職員と一緒に家庭訪問を実施することなどによりまして、子ども家庭支援センターが子どもや家庭に関するさまざまな相談に的確に対応できるよう、きめ細かな支援に努めております。
 また、ハード面の支援といたしましては、区市町村の創意工夫による子育て支援の基盤整備を促進するため、今年度新たに予算規模三十億円の子育て支援基盤整備包括補助事業を創設いたしました。
 今後とも、これらの取り組みを強力に進め、地域における子育て支援体制の充実が図られるよう支援してまいります。

○高橋委員 ぜひよろしくお願いします。
 それでは最後に、都として次世代育成支援のため今後どのような取り組みをされていくのか、局長の決意をお伺いいたします。

○山内福祉保健局長 子どもたちが健やかに成長するための環境整備は、お話しのとおり、広く都民や企業、さらには民間団体も含めた社会全体で取り組むべき課題というふうに考えております。少子化が進む中、行政にとっても最も重要な政策課題であると重く受けとめております。
 こうした認識のもとに、関係各局と連携しまして、昨年四月に次世代育成支援東京都行動計画を策定いたしまして、地域の相談支援体制の充実、また、小児・母子医療体制の充実といった福祉保健施策にとどまらず、教育改革や子どもを有害な情報、環境から守る取り組みの推進など、全庁挙げた取り組みを進めております。
 今後とも、次代を担う子どもたちがたくましく成長し、自立できる社会を築くため、民間の力や多様な社会資源の有効活用を図りながら、区市町村との密接な連携のもと、次世代育成支援の取り組みを多角的、総合的に展開してまいります。

○高橋委員 今の答弁から、次世代育成支援に向けた都の意気込みを感じました。ぜひ今後とも都の子育て支援策を一層強化していただくよう要望し、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○増子委員 私からは、まず生活保護費について伺いたいと思います。
 会計検査院によりますと、生活保護受給者の中には、本来、公的年金だとか、あるいは医療費の給付を受けられるのに受けていないという事例が結構多くあって、全体の中の四%部分だけを調査しただけでも、五億円ぐらい、そういう過大給付に当たるものがあるというようなことがあって、これは十七年度に恐らく調査をしたんだと思うんですが、これを聞きましたら、まだ国会に報告されていないので、この中身そのものはまだオーソライズされていないということですが、こういったことが報道されますと、やっぱり都民の間にも生活保護費に対して、適正な給付が行われているのかということが大変大きな問題になってくるのかなというふうに思っています。そのためにも、適正な給付のためにきちんと指導していくということが必要だと思っております。
 その中の一つに、就労の支援ということがあると思います。福祉事務所が就労に向けた指導援助を行っていれば、働く能力のある生活保護受給者の大方の方が就労することができるのではないかと思いますけれども、現実にはなかなか就労に結びついていない事例があるというふうに思います。その原因についてどのようなことだと思っているのか、また、福祉事務所に対してはどのような指導を行っているのかについてお聞かせいただきたいと思います。

○永田生活福祉部長 就労に結びつかない場合の原因でございますけれども、労働市場の求める労働能力とのギャップ、職場適応や生活習慣上の問題など、被保護者の抱えるさまざまな問題が考えられます。
 これらの問題に対応していくためには、専門性を備えた相談援助体制を福祉事務所内に整備する必要があると考えております。このため、福祉事務所に対しまして、稼働年齢層を対象に、その特性に応じた適切な就労援助を行うよう指導するとともに、就労指導員の設置を働きかけているところでございます。

○増子委員 今ご答弁にありましたように、被保護者そのものが、さまざまな要因でなかなか就労しにくいということもあるのがよくわかります。一方、福祉事務所の職員の就労に対する知識というか、その専門性ということも一つの大きな課題だということだと思います。
 都がちょうど平成十六年にまとめた生活保護制度改善に向けた提言の中で、福祉事務所の機能強化ということをうたっていると思います。今後、国からいろんな動きがあると思いますが、国の動きをまつまでもなく、都として早急な対応が必要だというふうに思っていますけれども、今後の対応についてどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。

○永田生活福祉部長 福祉事務所の機能強化を図るために、就労支援員、退院支援員等の専門的人材を標準配置とするよう国に対して要求しておりまして、その結果、就労支援員につきましては、今年度中に都内四十七の区市に配置される予定となってございます。また、特に都といたしましては、福祉事務所における自立支援機能を強化するとともに、地域の社会資源を活用いたしまして、組織的に生活保護業務を行うことができますよう、福祉事務所職員等の経験やノウハウについて意見交換をいたしまして、福祉事務所の資質向上と機能強化を図る自立支援ネット会議の開催。それから、被保護者自立促進事業の実施によりまして福祉事務所の取り組みを支援する。三点目に、福祉事務所職員に対する研修の実施などの取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、福祉事務所の機能を一層強化するよう努めてまいります。

○増子委員 その対策については、早急にぜひお願いしたいと思います。
 一方、窓口での対応のことも今結構大きな問題になっていまして、最近の報道でも、国あるいは自治体の財政難ということが背景にあって、いわゆる水際作戦といっているんだそうですが、報道関係者がいっているんだと思いますが、窓口の対応について、窓口規制的なことがあるのではないかということが実は報道されています。例えば、扶養義務者に援助してもらいなさいというような指導をしたり、あるいは借金があるということを理由に、借金があると申請を受け付けませんよみたいなことがあるのではないかと。新聞では、あるというようなことが書いてありますけれども、本来そういった規定やルールにないような理由で申請をなかなか受け付けないということは、これはこれで問題だと思うので、これについて、平成十七年度中、そういった適正運用を指導したといったような事例が都内にあるのかどうか、伺いたいと思います。

○永田生活福祉部長 都内におきまして、借金があることのみを理由に申請を拒否するといったような事例は聞いてございませんが、指導検査において相談面接の状況を確認するとともに、申請の意思がある者につきましては適切に受理するように指導をしております。
 なお、保護申請時に借金を負っている場合についてでございますが、現在の収入が生活保護基準を上回っているときには、生活保護の対象とはなりません。この場合には、必要に応じて住民を対象とした法律相談窓口などを紹介しております。

○増子委員 そういった、今いったようなケースの中で、何度も申請を断られたという人が、相談に乗った弁護士が一緒に行くと、一転して受け付けられたというケースもあるというふうに報道されていて、本来そんなことはあってはならないことだし、都内にはないと信じておりますけれども、そういった点について、都が福祉事務所に対してどのように指導しておられるのか、伺いたいと思います。

○永田生活福祉部長 申請時の適切な対応は、保護開始時の収入調査等と並びまして、生活保護の適切な実施において重要な事項であるというふうに考えてございます。引き続き指導検査の重点事項といたしまして指導に努めるとともに、所長会等の各種会議を通しまして徹底を図ってまいります。

○増子委員 都内においてはそのようなことはあり得ないということで、ぜひ適切な指導をしていただければと思います。
 この生活保護の問題は、本当に今や大変大きな問題だと思っています。全国で百万世帯を超えるともいわれておりますけれども、私なんかは個人的にはナショナルミニマムだと思うので、少なくとも財源は国が責任を持つものだと思いますけれども、現金給付と現物給付の問題だとか、あるいは年金や最低賃金との関係だとか、有期制の問題など、これからもさまざまな問題が起きると思うので、引き続き、そのときそのときの事態に応じて、国に対しても提言し、また、福祉事務所に対しては適切な指導を行っていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。
 続いて健康推進費、健康づくり対策について伺いたいと思います。
 このことを質問しようと思っていましたら、ちょうどというか、きのう、厚生労働省が健康日本21の中間評価の実績値を発表しました。それによると、二十代から六十代の肥満男性の割合が四・七ポイント悪化して二九ポイントになったと。本来一五ポイントが目標だったのが、減らすどころか逆に二倍になっちゃったというようなことがあって、私も余りこの数値には貢献していないかなと個人的には思っておるんですが、これはまさしく昨年度調査したことだと思うんですが、都内においてどのような状況であったのかについて、まず伺いたいと思います。

○清宮保健政策部長 東京都は、都民の健康な長寿を実現するために、平成十三年度に、十年間にわたります健康増進計画としての東京都健康推進プラン21を策定しているところです。このプランには百六十一の個別目標を定めておりまして、策定から五年経過しました平成十七年度には中間評価を実施いたしました。その評価によりますと、成人男性の肥満者の割合は、平成十二年度二四・八%でしたが、平成十六年度には二八・五%と増加しております。特に、五十歳代の男性では三割以上が肥満となっているところです。
 また、運動面では、ふだん運動やスポーツをする人の割合が、やはり男性におきまして平成十二年度五〇・〇から十六年度は四二・五%と減少しています。四十歳以上の男女の方の老人保健法上の基本健康診査の結果では、糖尿病と判定された方の割合も、平成十一年度一五・〇から平成十五年度一九・二%に増加しているところでございます。個別目標のうち、約四分の一の項目が計画策定時より悪化した結果となっているところでございます。

○増子委員 今お話があったように、都内も、全国よりは幾らかいいのかな、ほぼ近いような数値が出ているということで、今後ますますこの問題というのは大変大きな課題かなというふうに思っています。
 その生活習慣を改善するためにも、健診にあわせて、その結果の具体的な数値をちゃんと示して、危機感、臨場感があるうちに指導して、継続して生活習慣の改善を指導するのが効果的だというふうに思うんですけれども、こうした健康支援について都がどのように取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○清宮保健政策部長 都では、生活習慣病予防を推進するため、区市町村が実施する基本健康診査、健康教育、健康相談などの保健事業が適切に行われるよう、人材育成や区市町村に対する助言、指導を行っているところでございます。
 また、東京都独自の取り組みといたしまして、生活習慣改善指導推進事業を実施いたしておりまして、基本健康診査の結果、糖尿病、高血圧などで要指導と判定された方に対して、区市町村が個別に継続して行う保健指導の充実を図っているところでございます。
 さらに、平成十七年度から糖尿病予防の強化を図るため、糖尿病予防自己管理支援モデル事業を実施し、その発症の可能性の高い方を対象に、自主的なグループワーク等による生活習慣改善の取り組みを推進しています。

○増子委員 今お話のあった生活習慣改善指導推進事業についてなんですけれども、ちょっと具体的に、区市町村における実施状況とその成果についてもお聞かせいただきたいと思います。

○清宮保健政策部長 生活習慣改善指導推進事業は、平成十二年度から区市町村を実施主体に、基本健康診査の結果、要指導と判定された方に対しまして、身近な医療機関で一定期間内に生活習慣の改善目標を定め、保健指導と検査を行い、生活習慣の改善を図っていく事業でございます。
 平成十七年度は、十七の区市町村で延べ千九百九名に対して保健指導を実施いたしました。事業の評価のため実施いたしました追跡調査におきましては、指導を受けた方の約四割が自分の健康状態の感じがよい方向へ改善するなど、主観的健康感に改善が見られ、また、食生活、運動習慣などの生活習慣の変化や血圧値などにおいても成果が出ているところでございます。

○増子委員 成果が上がっているということで、それは結構なことだと思いますが、この千九百九人、数字だけ見るとそう大きいというふうにも思いませんけれども、各区市町村もさまざまな形でやっておられるということでしょうから、そこは評価させていただきたいと思いますが、この生活習慣改善推進事業のような取り組みがさらに広がるように、区市町村に対してぜひ支援を行っていってもらいたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○清宮保健政策部長 効果的に生活習慣の改善を図り、病気を予防するためには、健診結果を活用し、個人の特性に合った個別指導を行う生活習慣改善推進事業のような取り組みは重要であると考えているところです。都では、本事業が広く活用されるよう、管理栄養士や健康運動指導士などの専門職による、より実践的な指導を行うなど、指導内容の質の向上や検査の充実を図るなど、事業の改善を行っています。
 今後とも、このような個人の特性に合わせた生活習慣改善のための保健指導が推進されますよう、区市町村や関係機関に対して働きかけてまいります。

○増子委員 医療制度改革の関連法案が成立して、そして平成二十年度から区市町村が国民健康保険の保険者として、健診あるいは特定保健指導を行うということにもなっています。実施率なども高い目標を掲げてやることになっていくというふうに聞いているわけですが、現実には対象者が飛躍的にふえまして、もうこのことを区市町村が実施するには、人的にも大変なものがあると思っています。そういう意味では、都の十分な支援がこの事業に対しても必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○清宮保健政策部長 お話にございましたように、平成二十年度から特定健診等実施計画の策定や、特定健診、特定保健指導の実施が保険者に義務づけられることになります。特定保健指導が保険者において適切に行われるよう、国は現在、標準的な指針となる保健指導プログラムを策定しています。その中で、都道府県の役割としましては、実施体制の整備及び質の確保を図ることが示されています。
 都としましては、平成二十年度から保険者が特定保健指導を効率的に実施できるよう、区市町村とともに、健診と医療費データを一元的に管理、分析するシステムの開発を検討しています。さらに、実施体制等の整備を図るため、保険者協議会等関係機関と連携を図り、東京都健康推進プラン21の評価推進戦略会議において、人材育成や保健指導の質の確保の方策などについて検討を進めているところでございます。

○増子委員 都の役割である実施体制の整備と質の確保について、ぜひ全力でお願いいたしたいというふうにお願いしておきたいと思います。
 都も、今お話がありましたように、かなりの努力をしながらこの健康づくりというのをやっているんですけれども、これはどこまでいっても、対象者本人が心の底から危機感を感じないと、なかなか積極的に改善という方向に進まない。少し進んでもまた戻っちゃうというようなことがあって、そういう意味では、なかなかこの目標数値を達成するのは簡単ではないのかなというふうに私も感じています。
 そういう意味では、本当にこのままいくと生命の危機といっていいかわかりませんが、大変だよということをきちんと伝えることが一番大事だというふうに思っているんですね。例えば、たばこなんかでいうと、欧米だと、たばこに、変な話ですけれども、たばこで亡くなった方の写真を載せたりというようなことまでしているようなところもあって、それがいいかどうかは別ですよ、それがいいかは別ですが、そのぐらい実際には大変なことなんですよというのがきちんと対象の方に伝わるような指導の方法というのをぜひお考えいただいて、都民の健康づくりに力を尽くしていただければと思います。
 以上で私の質問を終わります。

○遠藤委員 私の方からは、平成十七年版の局の事業概要に基づいて、終末期医療について何点かお伺いしたいと思います。
 この事業概要の中で、終末期医療、すなわちターミナルケアの支援の目的について、このように書かれております。「治癒を目的とした医療が有効でなくなった、がん等の末期患者とその家族を対象に身体的、精神的、社会的側面などからサポートして、人生の残された時間を人間として充実した生活が送れるようにターミナル・ケアの充実に努めている。」と、こうした目的をうたって、その後に事業内容として三点ほど書かれております。本日は、この中でも特に人材育成の観点からお伺いしたいと思います。
 厚生労働省は、去る九月十五日、終末期における診療の開始や変更、また中止等を国を挙げて議論するために、終末期医療に関するガイドライン、たたき台でございますけれども、これを公表いたしました。厚生省に直接連絡して中身をいろいろ確認したところ、年内にも有識者による検討会を立ち上げて、来春をめどに何らかの一定の結論を出すと、このようにいっておりました。終末期医療に対する社会的コンセンサスが得られるように、国民的な議論を喚起するという課題は、これから亡くなる方も、人口構成から非常に多くなってくるということで、ますます重要になってくるかと思います。
 ところで、平成十六年の七月になりますけれども、国は、一般国民や医師、看護師など医療従事者に対して意識調査を行いました。この中では、とりわけこの終末期医療に関する医療従事者の研修ですとか教育、この重要性を指摘されております。がん治療に携わりながら、終末期医療をきちんと理解している医者が少ない、こうした指摘もある中で、終末期医療の知識や技術を備えた医療従事者の人材の育成が急務と考えます。
 そこで、まず第一点目にお伺いしますが、今触れたとおり、平成十七年の局の事業概要の七七ページに、東京都において、ターミナルケアに携わる人材の育成のために講習会を行ったり、また派遣研修を実施している、こういう事業があるようですが、十七年度のこの事業の概要または実績はどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

○細川医療政策部長 人材育成研修の件でございますが、平成六年度から、病院や診療所の医師や看護師を対象としたターミナルケア従事者研修、また在宅ターミナルケア従事者研修を実施しております。平成十七年度においては、半日の座学講座を研修いたしまして、それぞれ百五十二名、また百四十二名が参加しているところでございます。
 そのほかに、ターミナルケアの専門病棟である緩和ケア病棟というのがございますが、そちらにおいて、一カ月間、医師や看護師の実務研修を行う緩和ケア派遣研修を実施しておりまして、平成十七年度は、医師一名、看護師二名が参加しているところでございます。さらに、平成八年度からボランティア育成研修というものも開始いたしまして、昨年度は、生と死を考えるというようなテーマのもとに、二百十名参加しているところでございます。

○遠藤委員 今答弁がありましたとおり、この事業は大きく二つに分かれていて、いわゆる講座と現場研修、こうなっているようですけれども、この講習会についても半日の座学ということで、話にあったとおり、生と死を考えるというようなテーマや、また、一般病院でもできる緩和ケア、疼痛緩和とスピリチュアルケア、こうしたどちらかというと哲学的なこととかも含めて座学での公開講座を行っている。その一方で、実際の現場体験として、緩和病棟で体験学習をするというようなものが片やある。片や座学、片や本当に現場でぎりぎりの非常に専門的、また実践的な研修を行っているということで、例えば両者の間に中間的な、その間を埋めるような研修をする、そしてまた、医療従事者のレベルアップ等を促す工夫が必要ではないかと思いますが、見解を伺います。

○細川医療政策部長 委員おっしゃいますように、今後の終末期医療の充実を図っていく上では、医療従事者の人材育成が非常に重要だと考えております。特に、将来、がんの終末期ケアを実践する上で中核となるべき人材については、疼痛の管理、痛み以外の症状マネジメント、精神的ケアの三分野について、十分な知識、技術の習得をしていただきたいというふうに考えております。このため、これら三分野を中心としまして、現在、地域がん診療連携拠点病院となっております癌研究会有明病院と武蔵野赤十字病院において、座学中心のこれまでのような研修よりさらにステップアップした実践的な研修を、ことしの十二月以降順次実施する予定にしております。

○遠藤委員 ありがとうございます。この中間的な研修、現場研修をことし十二月から二つの病院で新規に行う、こういう答弁だと思います。
 ところで、読売新聞にことしの夏、「延命 最期の選択」という連載がございました。この連載は、明確なルールがない中、延命治療をめぐり揺れている医療現場の深刻な実情、とりわけ患者や、また家族の苦悩を詳細に報じて、読者から多数の反響が寄せられました。私も大変関心を持って読みました。人工呼吸器の取り外しなど、延命治療を講ずるのか、または講じないのか。どこまで行い、どこでやめるのか。終末期を迎えた患者や、また家族の生命の行方、または尊厳を左右する、極めてデリケート、難しい問題であります。
 東京は、病院で亡くなる方がもちろん全国一でございます。平成十三年二月に「都立病院における末期医療の在り方について」という報告書が取りまとめられているものの、現状では、その対応は各病院に個別にゆだねられているというのが都立病院における実態のようでございます。
 冒頭でも申し上げたとおり、国は、公表した終末期医療に関するガイドラインに基づいて、年内中に有識者の検討会を立ち上げて、来春をめどに結論を出す、こうした国の大きな流れがあります。
 そこで最後になりますが、都としても、こうした国の議論に積極的に参加していくことができるように、関係者との議論の場を設けるべきと考えますが、所見をお伺いします。

○細川医療政策部長 終末期医療のあり方、とりわけ延命措置や尊厳死に関しては、個人の価値観の相違等により大きく見解が分かれ、社会的コンセンサスを得るのが極めて難しい問題であり、慎重な議論が必要であると考えます。東京都としましても、国の有識者による検討会の推移を見ながら、東京都医師会を初めとした関係者のご意見も伺い、必要とされる意見を国に伝えていきたいというふうに思います。

○遠藤委員 部長から、国に対して必要な意見を伝えていくと、こういう明確な答弁がありました。ぜひ東京都、またその関係者の意見をどしどし国の方にぶつけていっていただきたいと思います。
 病院では、人の死というものは日常の風景の一つにすぎないという指摘もあります。いわばワン・オブ・ゼムでございますけれども、私も実はこの八月に父を亡くしまして、家族にとって、この身内の死というものはオンリーワン、たった一つ、たった一回であるわけでございますので、こうした国民的な議論の機運が高まっておりますので、ぜひとも東京発の、この終末期医療に対する考え方を発信していただきたいことを重ねて要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○相川委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後二時五十一分開議

○相川委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○清水委員 まず、福祉保健費の十七年度決算の全体について申し上げます。
 提出いただきました資料の最初のページには、福祉保健費の予算及び決算の推移を提出いただいております。これを見ればわかるように、十七年度の福祉保健費の決算額は、十一年度に比べて四百五億円のマイナスになっています。一般会計に占める割合は、予算現額では一一・〇%だったのが、決算では一〇・五%にとどまっています。十六年度決算額に比べ、十七年度は三百五十七億円の増額ですけれども、審査意見書でも触れられているように、国民健康保険の財政調整交付金の創設など、国が地方に負担を押しつけた制度改定に伴う義務的な負担増が決算額で約四百七十八億円です。予算のときも、これを除けば福祉保健費は実質減だということを申し述べましたが、我が党だけでなく、民主党も指摘しましたけれども、決算でも同様です。実際に、二百近くある事業費の決算額を前年度と比較してみますと、半数以上の事業は削減または据え置きになっています。私は、来年度の福祉保健費の増額を改めて求めておきたいと思います。
 そこで、具体的な問題に入らせていただきます。
 まず、八六ページに記載されております都加算援護費についてです。
 都は、低所得者への援護などとして生活保護の都加算援護を実施し、見舞金の支給と被保護学童生徒に対する健全育成及び自立援助事業を実施してまいりました。そのうち見舞金制度は、生活保護世帯に、激励と日ごろの自立に向けた努力をねぎらうということを目的に独自に行われてきたもので、夏、冬一回当たり、一人世帯三千八百五十円、二人世帯で四千八百五十円など、世帯に応じて支給をされてまいりました。現在、都民の暮らしの困難さは増すばかりで、繰り返しこの問題は指摘してまいりましたが、この中で見舞金は大変助かっていたところです。生活保護世帯にとって大変心強いものとなっていたわけです。
 ところが、十七年度から、自立促進という名目で廃止になりました。決算状況を見ると、都援護経費の執行率が六四%となっておりますが、この執行率の低い理由は何なのか、お伺いいたします。

○永田生活福祉部長 この都援護経費の執行率でございますけれども、不用額のうち主なものは被保護者自立促進事業で、執行率は一七・五%となっております。この被保護者自立促進事業は、平成十七年度から新たに開始した事業でございまして、従来、使途を定めず、一律に現金を給付しておりました見舞金支給事業を廃止いたしまして、被保護世帯の自立への取り組みを促すための事業に再構築したものでございます。
 被保護者自立促進事業の執行率が低い理由でございますが、事業再構築の区市への説明が平成十六年度の末となりまして、担当職員への周知、システム改修、要綱制定など、事業開始に向けた準備に時間がかかり、十七年度下半期からの開始となった区市が大半であったことなどが考えられます。
 なお、平成十八年度におきます第一回の補助金交付決定額は四億七千四百九十万余円で、予算額に対する割合は四七・八%となっております。

○清水委員 後でも申し述べますけれども、まず、この間、国が生活保護の老齢者加算を削減、廃止してまいりましたけれども、これが高齢者にとってどのような影響があったか、生活保護世帯にどのような影響があったか、お伺いしたいと思います。

○永田生活福祉部長 老齢加算とは、七十歳以上の高齢者等の消費支出が他の年齢層に比べて多くなるとの考えから、生活保護費の金額を加算する制度でございました。国は、現在の消費支出額全体で見た場合に、七十歳以上の高齢者等について老齢加算に相当するだけの特別な需要があるとは認められないとしまして、段階的な経過措置を設けて廃止したものでございます。
 直近の全国一斉調査によりますと、平成十七年七月でございますけれども、老齢加算の受給件数は都内合計で四万二千四百二件となっております。また、老齢加算の基準額につきましては、七十歳以上の一級地の例でございますけれども、平成十五年度には一万七千九百三十円、十六年度には九千六百七十円、十七年度に三千七百六十円となりまして、十八年度に廃止をされたものでございます。

○清水委員 見舞金をいう前に、この老齢加算の廃止だけでも、十五年には一万八千円近くあったものが廃止をされてきたということで、これについても非常に大きな影響が寄せられております。
 さらに、老齢加算を受けて、重なって受けておられないかもしれませんけれども、生活保護を受けておられる方は、母子加算、そして多人数世帯の減額が強行されているわけです。それで、東京都の見舞金廃止ということで、先ほど、その理由はるる述べられましたけれども、都が行った見舞金廃止は、こういうものと重なって、本当に大きな影響が出て、冷たい削減だというふうに、受けていた方は述べられております。
 ある高齢者の方は、この三年間で一二%以上も削減され、そのために魚の一切れを二日分の食事として長もちさせているとか、恥ずかしいけれど冠婚葬祭もままならないために、それらの申し出には単純に出席することをやめたとか、電気代を節約するために午後八時には電気を消すというようなこともしております。
 そして、老齢加算の廃止に際して、都内数十人の方が不服審査請求を出されたというふうに聞いています。こんなことはしたくなかったのかもしれませんけれども、余りにも影響が大きいために黙っていられなかったのではないかというふうに思います。その口頭陳述が行われたと聞きます。みずから話すこともできない病気の人だとか、この廃止に精神的なショックを受けた方が、つえをつきながらやっと歩いて述べたとか、車いすの方などがその傷ついた心を分かち合って怒りの意見を述べたというふうに聞いています。食事を削って公共料金を支払っているという、また、病院にかかったときに、治療費は生活保護から出るんですけれども、医療扶助が出るんですけれども、有料になった薬をもらわなければならないこともあるので、毎月三千円は残しておいたんだという方も、もうできなくなるというような話も私は直接聞いています。
 そういう中で審査請求をしたところに、どの職員かわかりませんけれども、職員が訪ねてきて何といったかというと、この審査請求に対して、つつましく暮らしてくださいといったというんですよね。これ以上どうやってつつましく暮らせばいいのかというふうに、怒りを訴えていたわけです。私は、この老齢加算の廃止から見舞金の廃止に至る、この間の廃止というのは、本当に、これまでも所得の低い方が大変な影響があったというふうに指摘せざるを得ません。
 先ほどご答弁がありましたように、被保護者自立促進事業の執行率は、十七年度は一七・五%であったというふうに伺っております。そして、その理由もいわれました。この問題で、区市の担当者から伺ってきたんですけれども、都は、四月から実施をするということについて、区市の担当者からは、システムの変更なので四月からは無理じゃないかという声も出されたというふうに聞いています。区市の実情も本当に考慮せずに行われたというふうに思いますし、この廃止自体は、受けておられる方にはかなり影響があったということで、区市とのやりとりというのはどうだったのか、お伺いしたいと思います。

○永田生活福祉部長 見舞金の支給事業を廃止いたしまして被保護者自立促進事業に再構築することにつきましては、区や市と協議の上、平成十七年一月に合意をいたしました。平成十七年度からの事業実施に向けまして、区や市の部長会、課長会での説明や事業担当者説明会などを行いまして、そこでのご意見も踏まえ、区市の実情に応じて実施できる補助メニューを追加するなど、現場の声もできるだけ反映するように努めてまいりました。

○清水委員 実際には、四月からは稼働しなかった、七月、九月になってしまったというふうにいわれて、これがこんなふうに低くなっているのだと思いますが、それともう一つ、自立促進だということで、被保護者へのきめ細かなニーズにこたえるということでこの事業が成り立つわけですけれども、これまで受けていた一人一人の要求とさまざまな条件がうまく合わないとこれが成功しないというようなことで、区市の担当者からは、区市自身の体制も重要ですけれども、十分に保護者への対応ができるような状況ではないので、この事業の対象範囲の拡大についてもっと考えてほしいということがいわれています。専門的な職員ばかりでなく、専門職員は国の方の費用がつくようですけれども、非常勤職員、臨時職員についても自立促進の観点から補助対象とすることについて、これまで都とのやりとりの中でも要望が出されていると思いますけれども、その点についてどのように考えますか。

○永田生活福祉部長 就労支援員や健康管理支援員など専門的職員の配置につきましては、先ほどお話にございましたように、国のセーフティーネット支援対策費等事業費補助金で対応してございます。都の被保護者自立促進事業は、被保護者の自立を促進することを目的に、国庫補助事業ではカバーし切れない部分や区市の独自の取り組みに対しまして補助を行っているものでございます。
 都といたしましては、区や市が国庫補助事業や被保護者自立促進事業を活用して被保護者の自立を支援していくよう積極的に働きかけております。

○清水委員 次に、一三三ページに掲載されております心身障害者施設費、心身障害者生活実習所の運営、生活実習所について伺います。
 十七年度に生活実習所など障害者施設の民間移譲を決定し、ことし四月から事業が開始されております。私は、これまでも、福祉作業所、授産所、生活実習所などが地元の八王子市にありますので、七、八年前に、行財政改革特別委員会の場でも取り上げた経過もあります。その中で、施設の職員の方、所長さんの方から出された言葉が非常に印象に残っていたわけですけれども、都の施設というのは、先駆的、専門的、広域的な役割を果たすものなんだということをいわれて、この言葉というのは、そのときからずうっと、私は、東京都が果たす役割というのはそういうものなんだなということを認識してきたものです。都立でこそ安定した利用者サービス、運営ができることなんだなということを強調して、この民間移譲に対しては異議を申してまいりましたけれども、移譲された施設について、この間の十七年度の経過についてお伺いをしたいと思います。
 まず、ホームページなどで公募概要がありますけれども、審査結果の経営実績、基盤については、財政状態は良好で、長期的に安定した施設運営が可能であるというふうに書かれています。この間、実際に幾つかの施設に伺ってまいりましたけれども、どちらも収支赤字が予想されるというふうに聞きました。その理由というのは、ご承知のように、旧支援費単価をベースとした支援費収入と都の上乗せ補助を基本に収支計画を提出するなど、障害者自立支援法を前提としない状況の中で進んできたことが原因となっていると訴えています。
 障害者自立支援法の施行により、報酬単価が月額単価から日額単価となったために、重度の障害者、超重度の障害者は特に体調不良のために休むことも多く、影響を受けているといいます。この報酬が下がらないように無理して出てきているというような話も聞きました。障害者自立支援法では三年間の激変緩和措置もされているところですけれども、都から移譲された施設は新しい施設ということで、四月開所だということで、新施設扱いのために該当しないということで、それが直接影響をしており、またさらに、重度知的障害者が大半を占めるこの施設では、自傷とか他害とかパニックなど情緒面の安定の支援という複雑さからくる手厚い支援を必要としているけれども、実態に合っていない部分があるというふうなこともいわれております。
 そこで、何点かお聞きいたしますけれども、生活実習所の役割について改めてお伺いしたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 都立生活実習所は、東京都心身障害者生活実習所条例により、障害の程度の重い心身障害者に対して、その心身の発達を促進し、社会生活能力を開発するために必要な訓練を行うことにより、その日々の生活の充実及び社会的自立の助長を図ることを目的として設置されております。

○清水委員 今いわれたことは、都立であっても、民間に移譲されても、それを役割ということでされるというふうに思うわけですけれども、民間移譲に当たって、保護者や事業所に対して、運営に対して、今いわれたようなサービスが継続できるような、十分な補助をするという説明がされた経過があるようですけれども、先ほど述べたような実態の中で、伺った施設では、これからバザーをやるとかいうようなことで維持費や運営費などを捻出するというふうに聞きました。
 親御さんの中には、保育園なら若いお母さんたち、お父さんたちが、それから学童などでは、バザーをするということはあるかもしれませんけれども、自分は多少無理できるけれども、最重度障害者を抱えて、高齢の方もいる中で、大変な思いをしている中でバザーをするというのは本当に大変なんだというふうな話も聞いています。
 生活実習所については、先ほどご説明がありましたように、障害の重い人が利用しているという状況の中で、利用者支援についてどのように確保するのか、お伺いしたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 東京都は、通所施設に対しても、民間社会福祉施設サービス推進費補助により、重度障害者については加算を行い、サービス水準の向上に努めているところでございます。都立生活実習所につきましては、障害程度の重い人を対象としていることから、知的障害者通所更生施設と比べて、看護師を増配置し、支援職員についても手厚い配置をしてまいりました。生活実習所の利用者支援体制を継続するため、サービス推進費補助を行うとともに、移譲時には、東京都と移譲先法人との間で、現在と同等のサービス水準を確保するための職員体制とすることを条件とした協定を締結しております。

○清水委員 ぜひそれが実態と合ったものになるように継続をしていただきたいと思いますし、協定を十分守っていただきたいと思うわけです。
 次に、建物の維持管理についての引き継ぎはどのようになっていたのか、事業者や保護者が説明を受けていたことと、詳しくは述べませんけれども異なっていたということで、これは都の役割か、法人のやるべきことかなどの問題で意思疎通が十分でなかったのではないかというようなことがあったともお伺いしております。どのようなことを引き継ぎが行われたのか、お伺いしたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 都立障害者施設の民間移譲に係る建物の維持管理の引き継ぎにつきましては、移譲時に東京都と移譲先法人との間で建物等無償貸付契約書及び施設使用等基本協定書等を締結しております。この協定書等の内容は、建物の躯体に係る工事、修繕については東京都が行い、軽微な修繕は法人が行うことになっております。
 なお、こうした判断ができない場合には、東京都と法人との間でその都度協議してまいります。

○清水委員 判断ができないというところがいろいろな問題があったようなので、きちんと納得のいくような引き継ぎというか、これからも支援をしていただきたいと思います。
 この問題の最後ですけれども、民間に移譲されて、各市がそれぞれ支援を行うというような動きがあるようです。例えば、調布市が市在住利用者に対して送迎加算として一回五百円余の補助をするというようなこととか、それぞれの市が民間移譲された施設に独自に支援を行うという動きがあるようです。これまでも法人と市との信頼関係の中で、また民間の努力として、運営費を初めさまざまな補助を要求した結果、施設に対し、施設所在市及び利用者在住市が補助を検討することについて都としてどのように考えるか、お伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 市が地域の実情に基づきまして移譲先法人に補助を行うことは、それぞれの市の独自の判断であると考えております。

○清水委員 そういうお答えをいただければ、法人としても、もちろん都にもあれしますけれども、市などに働きかけというのも非常に強くやられるというふうに私は思っております。
 次に、病後児保育についてお伺いいたします。
 これも資料として提出をしていただいております。少子化の問題が先ほどからも出されていますけれども、保育所に望むサービスについて、内閣府の二〇〇四年の調査では、待機児の解消が六二%、延長保育をしてほしいというのが五一%、一時保育が四八%、それに続いて病児保育、風邪などの病気の子どもを預けるという保育サービスですが、病児保育というのは四四%に及んでいます。国の調査ですよね。
 病気のときぐらいは仕事を休んで子どもを見たいというのは親として当然の願いではありますが、福祉保健局の職員の皆さんも非常に女性の方が多くなりまして、もう子育ては終了されたかもしれませんけれども、本当に子どもが小さいときは苦労をしたと思います。私自身の問題でもありますので、今これがこういう形で国などの制度になってきていることを振り返ると、二十数年前なんですけれども、振り返ると本当に--この質問をしようと思ったときには、自分のことを振り返って涙が出てくるような、苦労というか、子どもに大変な思いをさせたなという気持ちでこれを取り上げたわけです。
 働く親の病児保育に対するニーズというのは非常に高いものがあり、保育だけでなく、医療の立場からの育児支援として、条件整備と拡充が望まれるわけです。先ほどの資料を見ますと、平成十七年度には定員が二百三十一人、区部と多摩で二百三十一人ということで、ちなみに八王子市内を見ますと、二カ所で定員八人なんですよね。二カ所で定員八人ということで、まだまだこれは十分ではないんじゃないかと思いますが、区市は病後児保育制度の意義をどう考え、事業の促進を図ってきたのか、十七年度の決算を踏まえてお答えいただきたいと思います。

○都留少子社会対策部長 各区市町村におきましては、これまでも保護者の子育てと就労の両立支援のための重要な施策の一つとして、病後児保育制度の促進に努めております。また、次世代育成支援対策推進法に基づき、病後児保育を市町村行動計画の計画事業に位置づけ、事業の着実な実施に努めております。
 このような取り組みの結果、平成十八年四月一日現在で、四十の区市において派遣方式を含めて六十三カ所で事業が実施されております。これを五年前の十三年度末と比較いたしますと、実施区市では二・五倍、実施箇所数では三倍以上に増加いたしております。

○清水委員 ふえているということは大変いいことですが、都として、ニーズをどのように把握をされてきたのか、お伺いしたいと思います。

○都留少子社会対策部長 都はこれまでも、東京都社会福祉基礎調査などにより、病後児保育を含めた保育ニーズの適切な把握に努めてまいりました。また、平成十七年四月に策定いたしました東京都保育計画は、各区市町村からのヒアリングにより地域のニーズを把握し、反映させております。
 病後児保育の具体的なニーズにつきましては、実施主体である区市町村がみずからの責任と判断により地域の実情を把握すべきものと考えております。

○清水委員 私は、今回、福祉保健局への質問が可能になったので、これまで余り振り返らなかった病後児保育をどこで行っているのかなということをホームページで開いたところ、お恥ずかしい話なんですけれども、八王子でやっているということを認識したわけです。定員が四人ですから、ふだん余り耳にすることがなかったかもしれません。
 その一つである、からまつ病後児保育室にお伺いいたしました。定員四人ですけれども、委託料が国からですか、六百数十万来ているということで、ただ、これでは看護師、保育士の人件費にしかならないよというような訴えもありました。しかも、病気のときであって、薬を飲ませなきゃいけないというようなことで、通常より手厚い保育をしなければならないし、施設の責任者の方は、これは経験のある看護師や保育士を配置しなければだめなんだというふうに話しておられました。
 また、これは区市によって違いがあるのかもしれませんけれども、手続も複雑だし、八王子の場合は、余り便利なところにありませんから、不便なところにあるものですから、定員を充足していないと。定員を充足すれば採算があるんだけれども、今はそうならないと。しかし、これは非常に大事な施設だから、これからも継続して頑張っているというようなことでありました。
 それぞれ区市ではふやしているかと思いますけれども、今の実情としては、委託料が七百万程度ということで、これを本当に整備していくためには、やはり都としての独自の支援策も講じるべきだというふうに思うわけです。
 そして、私は八月に、出生率の高い福井県に伺いまして、少子化の問題を、さまざまな取り組みを学んでまいりました。その中で、県として病児保育に--病児保育ですね。病後児保育というのは、回復期の子どもを受け入れる。病児保育というのは、朝起きてみたら、子どもが七度五分ぐらい熱があって、風邪のようだなと思ったときに、そのまま休めるという人はなかなかいないと思うんですよ。夫も、妻も、必ずきょう休めることはない。そういう思いを自分はずうっとしてきたんですけれども、そういう場合に、回復期ではないんだけれども--九度ぐらいあったら預けないと思うんですよ。しかし、七度五分、ちょっと迷うけれども預けなければ仕事の整理もできないということで、病児保育ですよね。病児保育というのは、ご説明がありましたけれども、診療所や医院に併設していれば病児保育ということで、病児期の子どもも預けられるということで、福井県では、そういう病児保育に取り組んでいる愛育病院というのを見学してきました。
 ここの定員は十人で、保育士は六人、二名の非常勤看護師ということで、県では九市に一カ所の病児保育室を計画し、現在八カ所まで進んでいるということで、独自の制度を持って増設していくという取り組みも行われる中で、一つの取り組みとして出生率が福井県では伸びているというようなことで、都として独自の支援策を講じるべきだというふうに考えますが、いかがですか。

○都留少子社会対策部長 都では、平成十七年四月に策定いたしました東京都保育計画において、平成二十一年度までにすべての区市で病後児保育を実施するという目標を掲げております。この目標に向けて、平成十七年度には、事業運営のノウハウを示した東京都病後児保育事業マニュアルを策定し、各区市町村や事業者に周知を図りました。
 今年度からは、病児・病後児保育の実施の有無を子育て推進交付金の加算項目の一つとするほか、子育て支援基盤整備包括補助の採択を優先的に行うなど、さまざまな事業促進策を講じ、実施主体である区市町村に強力に働きかけております。

○清水委員 積極的に病児・病後児保育を、都の手厚い支援も行いながら進めていただきたいということを要望して、質問を終わります。

○原田委員 まず、障害者施策についてお伺いします。
 障害者とともに地域で働き生活していこうと、さまざまな試みが展開されています。特に、自立支援法の制定を受けて、その流れは加速していると思います。特に、就労の問題は、今まで作業所や授産施設など福祉的労働が主な働き先で、とても就労と呼べる状況ではありませんでした。今回の福祉サービスを受ける場合の原則一割負担の問題は、よくも悪くも一般就労への道を切り開かざるを得ない状況をつくったと考えます。障害者に手厚い福祉サービスを供給することは福祉国家として当然の義務でありますが、そのことを前提として、障害者がさまざまな能力を伸ばしていくこと、それも望まれるわけです。
 特に、働くということは社会参加の大きな一歩となり、ユニバーサル社会の構築につながると考えています。しかし、受け皿が未整備なまま自立支援法の施行というような現状で、問題点は大変山積しています。
 東京都は、自立支援法成立に先立って独自の就労支援をスタートさせました。そこで、区市町村就労支援事業の概要及び平成十七年度の事業実績について、まずはお伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 都では、身体、知的及び精神障害者の就労機会の拡大を目指し、平成十五年度から、身近な地域で就労面と生活面の支援を行う区市町村障害者就労支援事業を実施してきております。平成十七年度は、二十八の区市において同事業を実施し、七百人を超える障害者の一般企業への就労を実現することができました。

○原田委員 平成十五年からスタートさせたということで、年々就労支援センターの設置は広がって、その結果、就労件数というのは着実にふえているということがいえると思いますが、就労後のケアも大変大事なテーマになってくると思います。
 そこで、就労相談から職域開拓、職場定着支援に至るまで就労支援に重要な役割を担う就労支援コーディネーターに対する研修を実施していると聞いておりますが、その研修実績をお伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 都では、区市町村の障害者就労支援センター等を初めとする地域の就労支援機関の職員の資質向上を図るため、心身障害者福祉センターにおいて研修を実施しております。平成十七年度における実施状況は、福祉的就労から一般的就労への移行などをテーマとした研修会を三回開催し、合わせて約三百四十人の方の参加をいただきました。

○原田委員 今後、市区町村の就労の拡充が望まれると思いますが、ご所見を伺います。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者が企業等での就労に積極的に挑戦し、経済的な自立を目指すことは、障害者の地域での自立した生活を実現する上で極めて重要でございます。このため、都が本年一月に策定いたしました障害者地域生活支援就労促進三カ年プランでは、区市町村障害者就労支援事業をすべての区市で実施することとしており、今後とも、希望する障害者が一般就労へ移行することができるよう、積極的に支援してまいります。

○原田委員 障害者の就労支援の現場というのを見ますと、日常生活全般も含め、きめ細かな対応を迫られているわけです。また、多くの電話、来訪による相談、面談なども受けていて、これに加えて職場の開拓、就職希望者とのマッチングや労働状況を観察、指導していくなど、コーディネーターの役割は大変忙しく、煩雑になっているのが現状ではないでしょうか。
 まず、都は、全区市町村に窓口の設置を優先していくというご答弁でしたが、この方向を否定するものではございませんが、この障害者支援の窓口のスタッフの充実ということが大変重要になってくるのかなと思っております。特に、この部署で、私の地域では結構若いスタッフが頑張っているわけなんですけれども、使命感に燃えて、最初は大変精力的に動いてくれるわけなんですけれども、切りのないという言葉を使ったらなんですが、際限のない労働の中で体を壊していって、やめざるを得ないというようなことも出てきたりしています。そのような状況を見るにつけ、福祉の現場こそ身分保障された正規職員というのが求められているのではないかと考えるわけです。この点も含めて今後の就労支援ということをぜひ検討していただきたいと思っております。
 次に、精神障害者の施策についてちょっとお伺いします。
 厚生労働省が、全国で七万人、東京都で五千人と試算した、受け入れ体制が整えば退院可能な精神病院入院患者、いわゆる社会的入院患者の解消に向けて、東京都では平成十六年度から二年間にわたり精神障害者退院促進支援モデル事業を実施したと聞いております。
 そこで、その事業の目的と実績をお伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 精神障害者退院促進支援モデル事業は、精神科病院に入院している精神障害者のうち、症状が安定しており、受け入れ条件が整えば退院可能である者の退院を促進するとともに、安定した地域生活の実現を図ることを目的としております。平成十七年度は、都内二カ所の区市で事業を実施し、この区市とその近辺にある十一の精神科病院の協力をいただきまして、対象者として五十六名の患者を選び出し、継続的な支援を行い、そのうち二十三名が退院することができたというものでございます。

○原田委員 モデル事業で退院できた方が二十三名ということで、これが多いのか少ないかという評価は分かれるところでございますけれども、二十三人の方のそれぞれの入院期間と、その二十三人の方それぞれの退院後のお住まいということでいうとどんな状況でしょうか、お伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 モデル事業により退院した二十三人の平均入院期間は七・五年でございまして、このうち三十年以上の長期入院患者が二名いらっしゃいました。また、退院後の住まいでございますが、精神障害者のグループホームが最も多く、八人、アパート等でのひとり暮らしが四人、生活訓練施設が三人となっております。

○原田委員 二十三人のこの中で、今いろいろな住まいの状況をお伺いしましたけれども、特に、この中で家族のもとに帰れた方は二人ということも聞いております。長く入院している方で三十年ですか、今おっしゃったようですが、三十年も入院していた方が地域に戻るということは、大変な勇気が要るとともに、ストレスも実は抱えていらっしゃるんじゃないかと思っております。
 そこで、モデル事業の成果を踏まえ、退院された方の地域でのサポート体制はどうなっているか、お伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 退院した精神障害者が地域で安心して生活を送るためには、地域において継続的な医療の確保、相談支援体制を確保することが重要でございます。このため、区市町村を初めとする関係機関と連携しながら、精神科医療と相談支援体制の確保、グループホームや区市町村障害者就労支援事業の充実等、地域サービスの基盤整備に努めているところでございます。

○原田委員 入院中心から地域生活中心へという精神障害者施策、これは変革を迫られているわけで、退院された患者の地域生活を支えるさまざまな保健医療サービスが基盤となって確保されれば、それは大変望ましい地域社会というか、地域で一緒に暮らす態勢ができるのだと思いますけれども、まず、受け入れる市民の方々の啓発というか、精神障害に対する理解がなかなかされていない。ちょっと気味悪がって近づかなかったり、また、一つ変な事件というか、いろんな事件が起こると、その方が精神病院に通院している方だというような報道もなされたりして、大変肩身の狭い思いをするのが現実ではないでしょうか。その中で、やっぱりもう少し精神障害にかかわる理解を広げていくための啓発事業が必要だと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 そしてまた、いわゆる社会的入院の患者を退院させる、そういう事実関係をつくるということだけでなく、退院後、地域で安心して生活を営むことができて、そして病気を再発させることのないよう地域の関係者が見守っていく体制を整備できるよう、区市町村をしっかりと東京都は支援することを強く要望したいと思います。特に、精神障害の分野は長年東京都が担ってきたわけでございますから、この蓄積をぜひ人材派遣や交流なども視野に入れた形で丁寧に市区町村に伝えていただきたいと考えております。よろしくお願いします。
 それでは、都外の知的障害者入所更生施設についてお伺いします。
 知的障害者入所更生施設というのは、東京都内にも随分設置されていますが、都外にも随分設置されているということで、その実態をちょっとお伺いしたいと思いまして、質問をするものです。平成十七年度、サービス推進費補助実績をまずお伺いしたいと思います。

○吉岡障害者施策推進部長 平成十七年度のサービス推進費補助の実績についてお答えを申し上げたいと存じますが、福祉施設利用者の福祉の向上を図ることを目的として都が施設運営に要する費用として補助している民間社会福祉施設サービス推進費の平成十七年度の補助実績でございますけれども、都内の知的障害者入所更生施設につきましては約三十五億七千三百万円、都外の同施設につきましては約二十九億九千万円でございます。

○原田委員 本当に半分ぐらいの人たちが都外の施設に入っているということなんですけれども、それぞれの定員規模、数字として施設数と定員規模をお伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 知的障害者入所更生施設の平成十七年度末の定員規模と施設数でございますけれども、都内施設が四十八施設で三千十八名、都外施設は四十一施設で三千二百五十五名でございます。

○原田委員 定員規模は都外の施設の方が多くなっているようです。このように都民が利用する都外の施設が多くなったのはどんな経緯によるものか、お話しください。

○吉岡障害者施策推進部長 都外施設が多くなったのはどのような経緯によるものであるかというお尋ねでございますけれども、障害者施設での生活を希望する入所待機者が都内で増加する中で、東京では、地価が高く、近隣住民の理解がなかなか得にくいなどの事情がございまして、都内での施設設置が困難な状況がございました。
 他方、地域振興や地元住民の雇用の場の創設といった面から福祉施設を誘致する地方の動きがあり、都外における施設の建設を進めることとなったものでございます。

○原田委員 一時期、都外に建てられたという経緯がお話しされましたけれども、この施設のあり方について変化があったように思いますが、それについてお話しください。

○吉岡障害者施策推進部長 知的障害者入所更生施設の整備につきましては、都外を中心に進めてきた時期もございましたが、住みなれた地域で生活し続けたいという本人や家族の意向が高まり、平成九年度以降は都外での施設整備は取りやめております。近年は、都内の特に施設未設置区市での設置促進に努めておりまして、平成十七年度末では都外施設四十一施設に対して都内施設四十八施設と、都内の方が都外を上回るようになってきております。
 都外施設の利用者意向調査では、都内での生活を希望する利用者がいる一方、今のまま、都外の施設やその周辺のグループホームで生活を続けたいという利用者が過半数を占めている状況でもございます。都外施設の今後のあり方につきましては、こうした利用者や家族の多様な意向、施設設置者や所在地の県の方針などを総合的に勘案して対応していくことが必要であると考えております。

○原田委員 都外の方にいらした方は、そのうち都内に移れるだろうというような思いの方も多かったようです。長く暮らす過程において、この地域で暮らしてもいいのかなと思う方も生まれたことも事実のようでございますけれども、今、都内の設置状況を見ても、都外から戻りたいとお思いの方がなかなか入れないような状況もあると思います。聞くところによると、待機者も千人ぐらいいらっしゃるということなんですけれども、これからいろんな意味で施設から地域へという流れはございますけれども、やっぱりどうしても施設利用せざるを得ないという方もいらっしゃることは事実でございます。それぞれの利用者の立場に立った対応を、設置されている都道府県の福祉の状況もさることながら、都内での福祉サービスの情報をお伝えしながら、都外にいらした方への対応というのをきめ細かにしていただきたいと考えております。
 それで、ここにかかわる最後なんですけれども、都外施設における利用者の処遇の状況の把握、いわゆる知的障害者がきちっと人権を守られて暮らしているかどうか、そのような点検、そのような現状の把握はどのようにやっていらっしゃるのか、お伺いします。

○吉岡障害者施策推進部長 都外施設の利用者処遇の状況把握についてでございますが、都といたしましては、各施設において適切な利用者支援が確保されるよう、日常の運営指導に努めるとともに、施設所在地の県が実施する立入検査や指導の結果などから施設状況を把握し、地元の県とも連携しながら必要な対応を行っております。また、施設利用者の保護者会とも意見交換を行い、状況把握に努めています。さらには、より客観的な評価を踏まえた事業運営内容の改善に取り組むよう、福祉サービス第三者評価の受審を促進するための補助なども行っております。

○原田委員 施設との関係をぜひつくっていただきたいと思いますが、施設そのものが、第三者の目から見ても、とても公正で公平な施設運営が行われているかどうかというところで、第三者評価の受審を進めているというお言葉でしたけれども、受審率というのは都外施設で三割というような状況だと聞いております。都内でも六割ということですから、まだまだ低い実態だと思います。今後、全施設に受審するよう働きかけが必要ではないかと思っております。
 やむを得ず地域を離れて遠くの施設に預けなければならなかった親御さんの心配というのは、若いころは交通機関を利用したりしてすぐに会いに行けるというような状況もあるようですが、年とともに体力も、年金暮らしになると費用もままならないというようなことも利用者の親御さんから聞いております。社会福祉施設の指導監督は基本的にその施設のある都道府県というふうになっておりますけれども、東京の利用者が大半の施設に関しては、東京都はもっと主体的に施設の状況を把握して利用者の人権を守る、そのような立場で仕組みをつくっていくべきではないかと考えております。このあたりのご検討をよろしくお願いします。
 次に、ターミナルケアについてお伺いしたいと思います。
 都民の死亡原因の一位はがんであるといわれています。がんは、現代医学では根本的な治療が難しく、転移が進むと身体のさまざまな部位に痛みが出てきて、患者さんは苦しい思いをする。そして一方で、適切に苦痛をとるための処置が行われれば、多くの患者さんは、できるだけ自分らしい暮らしを続けることができるというようなことがいわれております。がんの痛みをとり、患者さんの生を支えるためには、モルヒネなどの薬剤の適切な投与や患者さんの精神的な苦痛を含めたケアを行うことが必要であり、このための専門施設として緩和ケア病棟が設置されています。
 しかし、最近では、医療技術の進歩、介護保険による生活支援の充実などが進んできており、より自分らしい最期を迎えるために、できるだけ在宅でという思いのある患者さんも多いのも事実でございます。患者さんの期待にこたえることも可能になってきていると思ってはおりますが、まだまだ在宅ターミナルケアを実施するということではハードルが高いようです。そこで、在宅ターミナルケアを推進する観点から質問したいと思います。
 まず初めに、都内の緩和ケア病棟について、東京都は平成五年度から緩和ケア病棟の整備を実施する事業を推進してきておるようでございますけれども、緩和ケア病棟の整備状況はどのようになっているのか、そのうち都の補助によるものはどのくらいか、お伺いします。

○細川医療政策部長 緩和ケア病棟の整備につきましては、現行の保健医療計画において三百床整備することを目標とし、平成十七年度末現在、都内の緩和ケア病棟は十七施設、三百三十一床となっております。このうち、都の補助による整備は七施設、百一床でございます。

○原田委員 病棟の整備に関しては予定どおりというか、進んできているというふうな印象を受けるわけですけれども、それでもまだまだ、終末医療ということになりますと、病院の場合も、個室を選びたいとか、また、いろんなきれいな付加価値をつけて、ターミナルケアの病棟は大変高いというような情報を持っている方もいらっしゃいます。それはそれで、どんな病院があるかという情報も含めて、東京都は緩和ケア病棟に関しての情報をお持ちでしたら、ぜひそれも市民に知らせるということも考えていただきたいと思います。
 特に、在宅で最期を迎えたいという人にとっては、情報をどこでとったらいいかということでは大変難しい。どこに頼んだらいいかということは、言葉が違うかもしれませんが、どこでそういうことを実施しているのかということがわからないというようなことも聞いております。そのような在宅で最後を暮らしたいというニーズが高まっている中で、現在、在宅ターミナルに関して東京都が行っている情報提供というのはどのようになっているのでしょうか、お聞かせください。

○細川医療政策部長 東京都では、医療機関案内サービス「ひまわり」を通じて、都民や医療機関に対し訪問診療によって疼痛管理や在宅ターミナルケアに対応できる診療所の情報を提供しているところでございます。また、診療所の医療従事者やボランティアに対する研修会を通じ、在宅ターミナルケアに関する基礎的な知識や、地域におけるさまざまなケアの実践例などの情報提供に努めているところでございます。

○原田委員 医療機関案内サービス「ひまわり」というのは、いわゆるホームページで発信しているということですか。私はホームページだということを聞いていますけれども、ホームページだけの情報では、一般の方がすべてアクセスしやすいというような状況ではない。このことを聞いて、とりあえず--違っていたら後でお答えください、ホームページへのアクセスが下手だったりして、どこに書いてあるのか、難しいといわれました。そのような情報発信ではまだまだ不十分ではないかと私は思うわけです。
 研修は、医療機関が中心でやっているというボランティアの方も、多分医療機関に付随するボランティアの方が参加していらっしゃることが多いのではないかと思います。本当に一般の人が情報をとりやすいチラシなどを医療機関に置いてもらうとか、そういう一般的な広報等も考えていただいて、一般の人の目につくPRにぜひ取り組んでいただきたい、このように思うわけです。
 それで、できるだけ自宅で暮らしたいという患者さんの希望にこたえるためには、病院と診療所、看護ステーションなど医療従事者だけではなく、介護やボランティアなど、生活を支援する人たち、さまざまな立場の関係者の連携が大変重要であると考えています。こうした現行の人材をつないで、患者本人や家族の希望をかなえながら社会的にどう支えていくかというイメージが都民の方に描けることが、安心して在宅ターミナルケアを選択できる大変重要な要素だと考えております。
 本年六月に成立したがん対策基本法においても、地域におけるがん診療の拠点病院が情報提供や相談等の機能を強化することとされているようです。このような動きを踏まえ、東京都において今後の情報提供についてどのように取り組んでいこうとしているのか、ご所見をお伺いします。

○細川医療政策部長 先ほどの「ひまわり」による情報提供のことですが、基本的にはホームページで提供させていただいておりますが、昼間の時間帯には電話でご相談を受け付けることも可能な限りやっております。
 また、次のご質問のがん対策基本法等を受けての東京都の対応でございますが、平成十八年二月に厚生労働省から出されましたがん診療連携拠点病院の整備に関する指針というのがございますが、そちらにおきまして相談支援センターの機能というものが新たにこの病院に付加されました。また、平成二十年三月末までにそういった相談支援センターの体制整備を図ることとされているところでございます。この相談支援センターでは、地域の患者、家族及び医療機関等からの相談に対応する体制を整備することとしております。
 都といたしましても、今後、地域がん診療連携拠点病院の機能の強化を図り、在宅ターミナルケアに関する情報提供を含む相談支援の充実に努めてまいる所存でございます。

○原田委員 相談支援センターというのは、基本的にはがん患者への対応ということで準備されているということですが、がん患者のターミナルケアだとしても、この仕組みがはっきり地域に定着すれば、がん以外の方々への対応も可能になるというふうに考えますので、相談支援センターを軸にした地域のターミナルケアのネットワークづくり、また、いろんな方の実証例を共有するような場所をつくって、都民の方も、その研修とか、その実態を知りながら、地域でのみとりというのがこんな形で動くんだなというようなことを知って、そしてまた、その仕組みを育てていくような地域づくりができたらいいなと考えております。今後の展開に期待するものです。
 最後ですが、児童会館についてお伺いします。
 児童の健全育成事業にかかわる東京都児童会館の運営と今後の対応についてお伺いします。
 近年、子どもが巻き込まれる事件が相次ぐ中、子どもが安全に過ごせる居場所が求められています。子どもが健やかに過ごすための地域の居場所として、東京都では以前から児童館の整備が進められてきました。これからも、休日や放課後に子どもたちがさまざまな体験や交流を通じて創造性や社会性をはぐくむことができる場所が必要とされています。
 さて、東京都は、区市町村に児童館が十分整備されていなかった昭和三十年代に、大型児童館の先駆けとして東京都児童会館を開設しました。そこで、まずお伺いしますが、東京都児童会館はどのような目的で開設されたのでしょうか。

○都留少子社会対策部長 東京都児童会館の開設目的でございますが、お話しのとおり、東京都児童会館は東京オリンピックが開催された昭和三十九年に、都の大型児童館として、児童に健全な遊びを提供し、健康を増進し、豊かな情操をはぐくむため、また、区市町村における児童館の設置促進を目的に開設されたものでございます。

○原田委員 東京都児童会館は、開設以来四十二年ということで、東京の児童健全育成事業に随分貢献をしてきたということは知るところでございますけれども、本年一月、子ども家庭総合センター--仮称ですけれども--基本構想において、東京の児童館健全育成事業の象徴というべき東京都の児童会館が子ども家庭総合センターへ必要な機能を整理し移転するということが発表されています。
 そこで、なぜ児童会館の機能移転ということになったのか、その理由をお伺いします。

○都留少子社会対策部長 東京都児童会館が機能移転することになった理由についてでございますが、同会館が開設された当時、区や市の児童館は十八館にすぎませんでした。現在では六百二十二館にまで達しておりまして、区市町村の児童館の設置を促進するという開設当初の役割を十分に果たし、児童の健全育成に貢献してきたと考えております。
 一方で、東京都児童会館は建築後四十年余りが経過し、建物の老朽化が進んでおります。
 このため、都といたしましては、区市町村との役割分担の視点から、新たな遊びの開発などに関する情報発信や指導員の人材の育成など、センター的な機能に重点化を図り、区市町村の児童館の支援を強化していくため、子ども家庭総合センター--仮称でございますが--に機能移転を図ることといたしました。

○原田委員 今、児童館が全都的に普及してきた、それと会館の老朽化というような大きな二点のお話がございました。先ほどもいいましたけれども、子どもを取り巻く状況が大変、育ちづらい、子ども自身が自分の力で思い切って遊べる状況がなかなか見つからない中、機能移転するということは大変残念なことだというふうな立場で質問しているわけです。
 築四十年というので、私も多摩ニュータウンのアパートに住んでいるんですけれども、コンクリート住宅は一般的にそろそろ建てかえの時期ではないかというようなこともいわれていますが、実はコンクリート住宅の耐久年数は、専門家の方にいわせますと、百年や二百年はもつんです、メンテナンスがちゃんとしていればもちます、水回りを少しかえればもちますというような話もございます。いろんな意味で、開発者が、もう寿命ですよ、建てかえた方がいいですよといわれても、物を大切に使い回ししていくというような文化を私たち日本でもぜひ定着させたいということもあって、私はまだまだ使える状況ではないかと考えているわけです。
 少子化が進行している今日、核家族が多数となって、以前のように家庭で、地域で子どもたちがさまざまな年代の大人や子どもと当たり前のように接する機会は少なくなりました。しかし、子どもたちを健やかに育てることができる環境として、年齢が異なる子どもたちが一緒に遊ぶことができる場はとても大切です。さらに、指導員に温かく見守られながら遊ぶこともできる場やボランティアとの触れ合いを通じた交流もできる場はとても大切にしたいと考えております。児童会館は、そのような交流ができる貴重な場の一つである、都心の中の、砂漠の中のオアシスというような貴重な場であると思っております。
 そこで、東京都児童会館の最近の五年間の利用状況とそれについての都の認識をお伺いします。

○都留少子社会対策部長 東京都児童会館の利用状況についてでございますが、平成十三年度は約六十万人、平成十七年度は約八十万人となっておりますが、他県からの利用者が約四分の一を占めております。また、多くの方に利用していただいている理由といたしましては、利用料が無料であること、それぞれのフロアごとに創意工夫を凝らした取り組みを行ってきたことなどが評価されたものと受けとめております。
 今後、住民に身近な区市町村で子どもの健全育成の取り組みが一層進むよう、東京都児童会館で培ったノウハウや実績を積極的に還元してまいります。

○原田委員 東京都の児童会館の規模でいうと、各区市町村で設置されている児童会館の何倍もの広さがあるわけです。現在でも、児童会館は大変多くの都民に利用され、親しまれているということが、今のご答弁の中でもわかりました。
 児童会館は渋谷駅から徒歩十分足らずの便利な場所にございます。児童会館移転後の跡地利用についてはまだ未定と伺っておりますけれども、立地条件がよい跡地の活用については、ちょっと提案させていただきますが、東京には子育て支援を行っているNPOが多数ございます。例えば、こうしたNPOの活動の場として、あるいはNPOと連携して子育て支援の充実を図っていったらいかがでしょうか。
 今、手元に、平成十六年九月、児童会館の利用者実態調査という調査表が出ております。これを見ますと、他市の方が多いとはいいますけれども、渋谷区や周辺六区--港区、新宿区、目黒区、中野区、杉並区というような、いわゆる市街化された地域の中の利用者も大変多いわけです。子どもの遊び場の確保ということでいうと、市街化、特に二十三区内の遊び場確保は大変困難ではないかという状況の中で、親御さんたちが子供連れで来ていらっしゃる。そして、多くの方が三時間から五時間、長い間遊んでいらっしゃる。そういうことを考えますと、子どもの遊び場がいかに少ないかということを物語っているのではないかと考えております。
 こうした地の利がよい中で子育て支援の施設を設ければ、母親が買い物や用事を済ませるために渋谷に出てきたついでに気軽に利用することができたり、子育ての悩みを抱えている人からちょっと気分転換したい人まで、都内全域から幅広い方々の利用が期待できます。また、この場所は、場所柄ですけれども、外国人の家族連れの方もよく見えるところでございます。東京都児童会館移転後の跡地につきましては、ぜひ新たな子育ての支援の拠点として有効に活用することを強く要望し、質問を終わらせていただきます。

○伊藤委員 今までるる質疑が行われておりましたけれども、この平成十七年度決算は、平成十六年八月の福祉保健局の統合を受けて初めての福祉費と健康費を統合したものとなっておりますけれども、平成十七年度におきます局統合の成果はどのように認識をされておりますでしょうか。

○松井企画担当部長 少子高齢社会に対応し、健康に対する都民の不安を取り除くため、平成十六年八月、福祉保健局が発足いたしました。局統合二年目に当たる平成十七年度は、統合の具体的な成果が上がるよう、老人健康診査とあわせた介護予防健診の実施、地域での認知症高齢者サポート医の養成、児童虐待の早期発見、防止に向けた児童相談所と保健所の連携強化など、福祉と保健医療分野の施策の一体化、総合化を図りました。また、新興感染症対策に係る局を挙げた体制の整備など、都民の安心・安全を確保するため、危機管理対応の強化にも努めました。
 さらに、平成十八年度には、児童虐待防止に向けた医療機関との連携、知的障害者グループホームとともに精神障害者のグループホームについても新たな三カ年プランに位置づけるなど、福祉、保健、医療施策の一体的、総合的展開に取り組んでおります。

○伊藤委員 大変力強くご答弁をいただいたわけでありますけれども、同じ都庁といえども、局が違えば、仕事のやり方だとか、また人事の問題だとか、いろいろとご苦労があるんじゃないかなというふうに思いますけれども、そうした問題を一つ一つ解決をしていただきながら、都民の福祉向上に努めていただきたいと思います。
 続きまして、先ほど病院経営本部のところでも取り上げましたけれども、分担金及び負担金の不納欠損等についてご質問したいと思います。
 きのうの日経新聞にこんな記事が出ておりました。地方税、回収不能二六%増、二〇〇四年度二千二百六十一億円、九九年度比となっております。これから国から地方への本格的な税源移譲を控えて、自治体の徴税体制の強化が心配だというふうに指摘をされております。これから取り上げます分担金は、税金ではございませんけれども、非常に重要な問題だというふうに思っておりますし、現在やっていただいている債権の回収方法ではまだまだ不十分なのではないかという観点から、以下質問したいと思います。
 東京都監査委員によります平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算審査意見書を見ますと、福祉保健局の審査に関しまして、分担金及び負担金において不納欠損額が六千百十三万円余とあり、うち児童福祉施設の措置入所負担金が最も多くて、二千七百七十五万円余だと報告をされております。
 まず、この児童福祉施設の措置入所負担金とはどのようなものなのか、お尋ねいたします。

○都留少子社会対策部長 お尋ねの児童福祉施設の措置入所負担金についてでございますけれども、児童を児童養護施設などに措置した場合は、国や地方公共団体が生活に必要な費用を措置費として支払うことになっております。この措置費を支払った場合は、保護者の負担能力に応じて、全額または一部を徴収できることとなっておりまして、これが措置費入所負担金でございます。都は、この負担金の徴収事務を東京都児童相談センターで一括して行っております。

○伊藤委員 所得に応じて負担金額が算出をされているということですけれども、具体的にはどのような仕組みになっておるでしょうか。

○都留少子社会対策部長 措置入所負担金の仕組みについてでございますが、措置入所負担金は、施設の種別によって異なり、保護者世帯の所得税額などにより負担額を設定しております。東京都の場合、例えば児童養護施設の徴収基準月額は、ゼロ円から最高額は二十五万三千円まで段階的に設定しております。

○伊藤委員 児童福祉施設を利用されている家庭にはさまざまな事情があり、負担金を期日までに納入していただくことが難しい場合もあると思いますけれども、応分の負担はしていただかなければいけないというふうに思います。
 先ほどのご答弁にもありましたとおり、ゼロ円から二十五万円、所得のある方に対しては十八段階という大変きめ細かな設定がなされておりますので、普通に考えれば支払っていただけるものというふうに思いますけれども、それにもかかわらず、このような滞納状況になるのは一体なぜなんでしょうか。過去三年で実際に不納欠損処理をした対象者は何人いて、その額が幾らになるでしょうか。

○都留少子社会対策部長 措置入所負担金の滞納の原因でございますが、措置入所負担金は、未納となっている方につきましては督促を行い、さらにその納付期限を過ぎても未納の場合は催告を行っておりますが、生活困窮や行方不明などさまざまな理由から納入していただけない状況が発生し、滞納となっております。また、虐待のケースなどでは、保護者の意に反して施設に措置したような場合、費用負担自体について理解が得られないことも多うございます。
 平成十五年度から十七年度までの過去三年の不納欠損処理の状況につきましては、保護者の数及び金額が、十五年度は三百八十七人、三千三十三万円余り、十六年度は三百七十一人、三千四百三十一万円余り、十七年度は三百三十七人、二千七百七十五万円余りでございます。本来、支払い能力があるにもかかわらず納付をしないということは、措置費が公費で賄われていることや負担の公平性の観点から問題であると考えております。

○伊藤委員 今のご説明を聞きまして、児童相談所が滞納整理をしているにもかかわらず、保護者の生活困窮や行方不明、虐待等によりなかなか支払っていただけない状況にあるということはわかりました。中には、お子さんが退所した後も納入していただけないというケースもあると聞きます。回収の困難さがうかがわれます。
 一度でも滞納が起きてしまいますと、それ以降はなかなか支払いにくいという状況もあるのではないかというふうに思いますけれども、現在の滞納整理はどのような体制で行われておりますか。

○都留少子社会対策部長 滞納整理の体制についてでございますが、都では、東京都児童相談センターに滞納整理を専門に担当する嘱託員を一名配置し、納期を過ぎたものについてはまず文書で督促を行っております。それでも納入していただけない場合は、保護者への戸別訪問や電話による支払い勧奨を行うなど、納入に向けた取り組みに努めております。

○伊藤委員 費用徴収の仕組みをお伺いいたしましたけれども、この審査意見書によりますと、収入未済は二億八千万円ありますし、不納欠損処理をした人数も、先ほど答弁がございましたけれども、平成十七年度で三百三十七名、過去にさかのぼってみましても、時には四百名近い方、額にすると平均で約三千万近くが毎年不納欠損されているということからしても、今の体制では不十分ではないかというふうに思います。催促や督促業務を一層強化していくためには、現状の執行体制や滞納整理のやり方では実効が上がらないということが、大変残念ながらデータとしても出てしまっております。
 これから、例えば、各地の相談センターでも回収業務をしていただいたり、また、回収業務だけでなくて、施設を出た後、そのお子さんがどのような生活状況にあるのかというアフターサービスとでも申しましょうか、後のフォローをしながら家庭訪問などをしていただくといった工夫の余地がまだまだあると思いますけれども、いかがでしょうか。

○都留少子社会対策部長 滞納整理につきましては、これまでも円滑に支払っていただけますよう努めてまいりましたが、ご指摘のとおり、執行体制や滞納整理の方法に工夫の余地があると考えております。このため、平成十七年度からは、支払い能力があるにもかかわらず払っていただけない方に対しましては、主税局の都債権特別回収班の協力を得て、債権の差し押さえも含む回収を実施いたしております。
 今後、督促に応じない方などに対します効果的な督促方法の検討を行いますとともに、滞納者の管理が適切に行える仕組みづくりを進めてまいります。

○伊藤委員 未納、滞納が発生する状況や滞納整理業務の実情をお聞きいたしました。債権回収の困難な状況は理解しましたけれども、分担金及び負担金の収入未済は全部で約七億円もあります。都民の負担を公平にするためにも、今後とも強力に滞納整理を進めていただきたいと思います。
 また、今回は児童福祉施設の入所負担金のみを取り上げましたけれども、先ほどもいいましたように、まだまだ福祉保健局の所管の分野でも多額の未納、滞納がありますので、先ほどの統合の成果ではございませんけれども、全局を挙げて努力をしていただきたいと強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○相川委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○相川委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二十五分散会

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