各会計決算特別委員会第三分科会速記録第三号

平成十八年十月十八日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長東村 邦浩君
副委員長佐藤 広典君
副委員長樺山たかし君
宇田川聡史君
尾崎 大介君
たぞえ民夫君
上野 和彦君
野島 善司君
石毛しげる君
こいそ 明君

 欠席委員 なし

 出席説明員
港湾局局長津島 隆一君
技監樋口 和行君
総務部長斉藤 一美君
監理団体改革担当部長岡田  至君
港湾経営部長江津 定年君
港湾経営改革担当部長小林 敏雄君
臨海開発部長鈴木 雅久君
開発調整担当部長余湖由紀夫君
参事藤原 正久君
港湾整備部長尾田 俊雄君
計画調整担当部長山本  浩君
離島港湾部長飯尾  豊君
参事室星  健君
都市整備局局長柿堺  至君
次長南雲 栄一君
技監福島 七郎君
技監只腰 憲久君
総務部長安藤  明君
都市づくり政策部長野本 孝三君
住宅政策推進部長矢島 達郎君
都市基盤部長石井 恒利君
市街地整備部長宮村 光雄君
市街地建築部長金子 敏夫君
都営住宅経営部長小林 計代君
企画・技術担当部長村尾 公一君
開発プロジェクト推進担当部長戸田 敬里君
住宅政策担当部長水流潤太郎君
区市町村調整担当部長中沢 弘行君
民間住宅施策推進担当部長山室 善博君
多摩ニュータウン事業担当部長今井  光君
都市景観担当部長安井 順一君
経営改革担当部長小宮 三夫君
参事並木 勝市君
参事笠井 謙一君
参事山口  明君
参事座間  充君
参事小澤  弘君
参事清水 文夫君
参事宇多田裕久君

本日の会議に付した事件
平成十七年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
都市整備局関係
・平成十七年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都市街地再開発事業会計決算(質疑)
・平成十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)

○東村委員長 ただいまから平成十七年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別質疑を行っていただきます。
 質疑につきましては、平成十七年度の決算の審査から逸脱しないよう、また、重複する議論は行わないよう、ご協力のほどよろしくお願いいたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、港湾局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより港湾局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○斉藤総務部長 十月六日開催の当分科会でご要求のございました資料をご説明申し上げます。
 お手元の平成十七年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
 ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載の九項目でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、晴海客船ターミナルの収支状況でございます。
 平成十三年度から十七年度までの五カ年における収入と支出を千円単位でお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。晴海ふ頭客船寄港数の推移でございます。
 平成十三年から十七年までの五カ年における寄港客船数を、外航と内航に分けましてお示ししてございます。
 恐れ入ります、三ページをお開き願います。3、世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量(平成十七年)でございます。
 平成十七年における世界主要港と国内主要港のコンテナ貨物取扱量を千個単位でお示ししてございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 四ページをお開き願います。4、貸付金の推移(東京港埠頭公社コンテナふ頭事業)でございます。
 平成十五年度から十七年度までの三カ年における財団法人東京港埠頭公社に対します貸付金を、東京都と国に分け、百万円単位でお示ししてございます。
 五ページをお開き願います。5、東京港臨海道路二期事業計画、事業費及び進捗状況でございます。
 上の囲みに全体事業費をお示ししております。下段の表に、平成十四年度から十六年度までと十七年度につきまして、百万円単位の都負担金の予算額、決算額と進捗率をお示ししてございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 六ページをお開き願います。調布飛行場の現況でございます。
 1に、調布飛行場設置の経緯と施設概要をお示ししてございます。
 2の運営状況といたしまして、項目欄の離島航空便、航空機使用事業、個人使用について、その内容と主な機種等を記載してございます。
 3の周辺環境対策といたしまして、防音工事助成等を実施してございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 七ページをお開き願います。7、調布飛行場の就航率でございます。
 平成十三年度から十七年度までの五カ年の調布飛行場と大島、新島、神津島それぞれの空港間における往復路線の就航率をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。8、島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
 平成十三年度から十七年度までの五カ年の予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額につきまして、百万円単位で記載してございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 九ページをお開き願います。9、三宅島に対する主な復興支援(港湾局関係)一覧でございます。
 三宅島雄山噴火の平成十二年度から十七年度までに港湾局が実施いたしました主な整備工事等をお示ししてございます。
 詳細はごらん願いたいと存じます。
 以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、一点、調布飛行場の関係について、一、二、質疑させていただきたいと思います。
 港湾局という実質上の仕事の範疇の中で、東京港港湾物流、主なことがやはり我々もすぐ思い浮かびますし、理解できるところでありますけれども、その中で、離島交通の確保に、現状として非常に重要な施設として多摩地域に調布飛行場があるわけでありますけれども、私も先日ご案内いただきまして、調布飛行場のさまざまな施設、そしてまた、いろいろなお話を聞かせていただきました。
 規模的には極めてコンパクトといいましょうか、小規模な飛行場という感がいたしますけれども、周辺はそれぞれ重要な施設が立地しておりますし、住宅地も相当数、密集的に張りついてきている状況も、よくわかりました。調布の駅から、おおむね五分なのか十分以内なのか、いずれにいたしましても、非常に至近の、交通利便性が大変高い、有利な立地の場所だなというふうに思うわけでありますけれども、そのような中で、住宅地も今申し上げたような状況の中に、この飛行場がある。
 騒音問題など、いろいろな問題も指摘されている中、それから、当初のいわゆる地元との協議、これはどうなんでしょうか、立場、立場でいろいろあると思いますけれども、地元三市とのそれぞれ協定ですかね、話し合いがされた。
 しかし、さりとて、なかなか根本的な解決策及びこの飛行場の活用が進んでいないのではないか、こういうことも聞くわけなのでありますけれども、そこでまず、調布飛行場の成り立ち、そして位置づけについてお伺いしたいと思います。

○室星参事 初めに、調布飛行場の成り立ち、位置づけでございますが、調布飛行場は、昭和十六年に開設された後、戦後、昭和二十年九月に米軍に接収されました。
 その後、国の管理を経て、平成四年七月に都は国から管理を引き継ぎ、平成十年十二月に、航空法第三十八条第一項に基づき、国の許可を得、平成十三年三月に、主に離島、大島、新島、神津島でございますが、離島と本土を結ぶ機能を持たせた飛行場として開港し、現在に至っております。

○こいそ委員 離島と東京、本土とを結ぶ重要な航空のまさに拠点である、そのとおりだというふうに思います。
 また、現地視察を通しながら、いろいろお聞きしたところもあるわけでありますけれども、離島航空便以外にも航空機が、これは企業関係なんでしょうかね、三十六機、個人で二十六機ということで、実際上、離島航空便に使っているドルニエとアイランダー、これは入れても五機だと。圧倒的に企業関係、個人所有の飛行機が駐機されている、いわゆる使用しているという状況が、よくそこで把握できたわけであります。また、ここのところは、一時期、それぞれ社会的な問題となった、あのヒューザーの小嶋社長の自家用飛行機も駐機され、利用されたというようなことも聞いておったわけであります。
 そういうような中で、調布飛行場は離島航空便以外に、今申し上げましたけれども、実際的にどのような活用のされ方をされ、いろいろ検討されているのかも含めまして、また、飛行場の離発着に占める全体割合、このあたりもお願いしたいと思います。

○室星参事 離島航空便以外では、測量、航空写真などの各事業者が使用する航空機や、自家用として使用する航空機などがございます。離発着に占める割合は、二つの利用目的を合わせまして六割強となっております。

○こいそ委員 実際、六割強でありますから、離島航空便以外にこれだけの離発着がある、使用されている、こういう実態が明らかになっているわけでありますけれども、その調布飛行場を利用している航空機の大半が、今お話もありましたけれども、離島航空以外の飛行機ということになり、地元の住民の方々も、離島航空便については、私も一定的にお話を聞かせていただきましたけれども、これは相当理解があるというふうに感じました。そして、そういうような状況でありますけれども、個人機等が上空を飛んで騒音を周辺に与えているという状況については、なかなか納得でき得ない、こういうことも反面、指摘をされているところがあるんですね。
 いずれにいたしましても、地域の住民の理解を最大限得る、これは地元三市等との協議や調整や対応ですね、こちらから見れば。そういうものをしっかりやっていく必要性があろうかと思いますけれども、せっかく公共公益的なこの施設が、何かやはり機能的なものも含めて、中途半端といういい方もちょっとおかしいかもしれないけれども、ならないような形で、しっかりとした、やはり本来的な役割を果たせるような機能をここで構築していくべきじゃないかと思うんですが、そのあたり、どうでしょうか。

○室星参事 調布飛行場につきましては、地域の皆さんのご理解を得ながら、離島航空便を初めとする航空機の使用を行っているわけでございますが、それ以外にも、防災等に対して活用できるような施設として住民のご理解を得てまいりたいというふうに考えてございます。

○こいそ委員 周辺住民に対する対応と、より理解をいただくというご努力を相当数されていると思いますけれども、あえてここでお聞きしたいと思います。どのようなことをされているか、実績も含めて教えてください。

○室星参事 都が国から管理を引き継ぎましてからのことでございますが、平成八年から、地域住民や多摩の人たち、島しょの人たちとの交流、それから、調布飛行場への理解を深めることを目的に、毎年、地元自治会や商工会などの協力を得まして、調布飛行場まつりを開催いたしまして、ことしは二万人を超える方々の参加をいただいたところでございます。
 さらに、地元小中学校の社会科見学や職業体験の受け入れなども行っております。
 地域の住民の方々とは、適宜懇談会を行っているところでございます。

○こいそ委員 局としてはいろいろなご努力をされているんだなということが理解できるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、飛行場の今後の活用と、さっきから申し上げておりますように、地元三市及び周辺住民からの理解、これは当然必要なところだと思うんですね。
 しかし、その中で、これはお答えいただけると思いますけれども、先ほどいいました機数が、企業関係では三十六機、個人で二十六機、離島関係で五機ということのようでありますけれども、このような機の駐機料、それから離発着に当たっての使用料、これをちょっと教えていただきたいと思います。
 それとともに、有視界飛行方式、そして計器飛行方式ということの中で、これもよく資料もいただいているんですけれども、やはり、より地域の安全性だとか、確かにこれは理解いただいて、計器飛行に移った場合は飛行回数がふえちゃうんじゃないか、このようなとらえ方もされるかと思いますけれども、実際上の安全性だとか、要するに、まさに有視界飛行ですから、自分の目で見て、さまざまな障害物というのを捕捉していくということでありますけれども、計器飛行の場合は、これはかなり高度な機種を積んでいることによって、安全性というのはより確保されるんじゃないか、こういうことを思うんですね。
 そういうことを含めて、このような計器飛行にするにも、何回もいって申しわけないんだけれども、地元の皆さんのより理解、そして、まだもう一段、地域に対する貢献というか、一定的なご理解いただくだけの役割を果たせるようなこともあるのではないのかなと思うんですが、そのあたりどうでしょうか。

○室星参事 まず、着陸料でございますが、これは一回千円でございます。それから、停留料につきましては、六時間以上で八百十円でございます。
 それから、計器飛行につきましては、現在、三市等と協議を進めているところでございます。
 なお、調布飛行場の活用につきましても、三市等と協議を進め、特に、調布飛行場の施設が三市の間で利用することができないかということを含めまして検討をしているところでございます。

○こいそ委員 これはちょっと意見で申し述べたいと思いますけれども、今のお話で、これは条例ですね。いわゆる離発着の使用料が千円、それから、駐機料が六時間以上で八百十円ですから、以下だったらゼロ、こういうことだと思うんですね。これは条例でうたわれているし、全国的な飛行場の平均的なところかと思いますけれども、しかし、いろんなもろもろ考えた中で、例えば地元対応、対策をするにしても、それからまた円滑な飛行場の運営というのかな、飛行活動を確保するという意味においても、私はこれは、もう一方的なあれで結構なんですけれども、この使用料と駐機料というのは、今の時代に、こういう特殊というか、特別な分野なのかなという感じもするんだけれども、しかし、それにつけても、東京都の所有であり、運営している、まさに公共公益的な公共施設ですよね。ですから、そういう観点に立って見たときに、これはやっぱり検討に値する時期にあるのかと。
 とりわけ、企業活動で使っているという前提があるわけであって、これは三十六機ですね。それで、個人所有ということで自家用機、これは二十六機ですね。私はやっぱり、この使用についての今申し上げたところについては、これは少し検討に値してもよろしいのかなと。これは意見です。意見で申し上げたいと思います。
 それと、例えば、当然飛行場ですから、一朝事が起きたときに、緊急車両、すなわち、飛行機ですから化学消火をしなきゃいけないということでしょうけれども、この中で、消防の実質的な管理だとか、一朝事に当たっての実質的な、どのような危機管理の対応的なものがあるのか。
 それから、もう一度いわせていただければ、飛行機ですから、上空を飛びますよね。高度何百メートルか何千メートルかわからないけれども。当然離発着もするということになってくれば、空港外も--そんなことが起きたらとんでもない話だけれども、仮に不測の事態が生じることだってないわけじゃない。また、地元でも一番懸念しているのは安全・安心対策、これがあると思うんですよ。
 こういうあたりから、私はもう少し、この観点からも東京消防庁あたりと、もう少しより具体的な連携と役割を担ってもらうといいましょうか、そういうことを考える余地はないのかどうなのか、そのあたりお願いします。

○室星参事 初めに、飛行場に設置をされております消防自動車でございますが、これは航空機の離発着時の災害に対応する必要から配備しているものでございまして、航空法四十七条の規定により定められているものでございます。
 なお、調布飛行場におきましては、消防自動車や消防車庫などの設備を東京都が整備いたしまして、実際の消防業務につきましては、資格を厳しく限定いたしまして、民間業者に委託をしているところでございます。
 また、委員からご指摘がございました、防災という観点から消防機能の拡大ということでございますが、地域の住民に対する安心という観点から、さらに調布飛行場を認知してもらうという点では、一つの貴重なご提案かと考えます。
 地元市は、消防業務を東京消防庁に委託をしているということもございますので、地元市や東京消防庁などと今後話し合う必要があるかというふうに考えております。

○こいそ委員 そのあたりはぜひ具体的な検討をしていただきたいなと、これも要望であります。
 最後に、調布飛行場は、平成十三年に、いわゆる都営コミューター空港として開港してから五年が経過してきたわけでありますけれども、しかし、これまで申し上げてきたように、この飛行場は、多摩というか、東京と島しょ部をしっかりと結んでいく、まさに必要な、空の、いわゆる空路というか、これは重要な、まさに一つの交通的な機能を有しているものだという認識なんですね。
 東京全体の中で、この空港に対して、港湾局として、東京都として、どのような位置づけ、先ほどるるご答弁いただいていますけれども、今後、ここの空港がどうあるべきか。要するに、先ほどいった、非常に交通的に有利な場所に立地をしていますね。これからますますいろんな面で重要性は増してくると思うんですよ。
 そういう思いの中から、今、港湾局として、東京都として、この空港をどのようにしていきたいのか。地元との協議は当然でありますけれども、そのあたりを港湾局長にぜひご答弁いただきたいと思います。

○津島港湾局長 先生おっしゃるとおり、この調布飛行場は、滑走路が八百メートル、小型機専用でございます。いわば東京という都市を見た場合に、羽田にはご承知のとおり国際空港がある。多摩にあるこの八百メートルの調布飛行場というのは、小型機ではありますけれども、いろんな意味で、東京の位置づけの中で、先生おっしゃるように、非常に貴重な財産だというふうに思っております。
 それで、この飛行場の位置づけ、役割でございますけれども、三つあるというふうに考えております。
 第一は、先ほど先生もおっしゃいましたとおり、これは島しょとの生活航路として、島しょの生活、さらには産業なり観光を支える、あるいは島しょで急病人が発生したとか、いろんな場合に緊急フォローするという意味での島しょ航路、これが第一でございます。
 第二は、例えば航空写真だとか測量とかといった、いわゆる東京のまちづくりとか、あるいは、一たん災害が起きたときにフォローする空港という公的な色彩を持たせた空港でございます。
 三番目に、そういった部分のある部分の余力といいますか、その間隙の部分を、それぞれの個人なり企業、こういった皆様方に開放して利用していただくということでございまして、まず島の生活空路を守るという意味では、今、全力で、もう少し就航率を上げて、きちんと島の生活なり産業を支える定期空路として、より高めていきたい、こう考えております。
 先生おっしゃるように、実際、六割が一般の個人その他でございますけれども、島の発着回数がふえていきますと、全体的に今、三市とは、トータルで二万三千回の上限をもって離発着を覚書、協定でやっていますので、ある程度縮減はされるんですけれども、しかし、やはりその運営に当たっては、開かれた空港として、公平に、新陳代謝がきちんとなされるような管理運営をしてまいりたいというふうに思っております。
 それで、この空港に対する地元三市の考え方というのは、やはり大きく二つに分かれていまして、これを積極的にいろいろ活用していこうという機運もあると同時に、やはり騒音なり、あるいは飛行場がそばにあるということで、非常に危険が間近に迫っているんじゃないかなという考え方も、正直いってございます。
 したがって、私どもは、そういう地元の声というものを十分尊重して、現在、協定と覚書をもって進めているわけでございますけれども、先生おっしゃるように、できる限りこの空港が地元に還元されるメリットを高めて、多摩地域の経済とか産業にも資するようないろんなインセンティブを提案しながら、この空港をより身近なものと感じていただいて、できるだけ活用していくべきだというふうに考えております。
 今後の、これから私どもがこの空港を育てる方向性としては、一つは、やはり多摩地域の発展に尽くしたいと。ひいては、東京のいろいろ経済、産業にも尽くす空港に育てていきたい。それに当たりまして、地元区と緊密に連携をとりながら、インセンティブも考えながら進めていきたい、こう考えておりますので、ぜひご理解を賜りたいと思います。

○石毛委員 二点ほど、大きく分けてございますが、今ご質問されたこいそ委員とダブる場面がございまして、若干ご了承ください。
 まず、調布飛行場の件でありますが、先般、私も調布飛行場まつりに行ってまいりました。多くの方々が来ておられて、出店なんかもたくさん出ておりまして、天気もよかったこともあって大変なにぎわいで、私もいろいろ楽しませていただきました。
 そこで、もう既に質問された部分もございますので、私からは、資料をいただきました調布の就航の部分で、ここ数年、就航率を見ますと八〇%に達していない年がございますが、就航先が島しょ空港ということもあり、単純に比較はできませんが、飛行場の就航率は一般的に九五%以上といわれております。島しょ、島民にとって、船舶と同様、重要な交通手段でありながら、その日にならないと就航するかわからない、極めて不安定な状況といわざるを得ません。ここで一般の都民の方が利用したくても、なかなか利用しづらいという飛行場となっております。
 一方、これまでの実績を見ますと、就航率八〇%という中でも、年間四万人を超える方々に利用されている。飛行場の路線がある新島、神津島においては、高速ジェット船でも三、四時間かかる。そういう意味では、何とか改善の余地がないものかと思うわけであります。
 そこで、このように低い就航率の原因、幾つかあると思うんですが、その辺をお聞かせください。

○室星参事 低い就航率の原因でございますが、調布飛行場側、島の飛行場側のそれぞれにございます。
 特に影響の大きい要素といたしましては、飛行方式として有視界飛行方式を採用していることと考えております。これは、調布飛行場が国から移管され、正式飛行場化されるに当たって、都と地元三市との間で交わされた覚書によるものでございます。
 調布飛行場の使用制限として、航空機の離発着について、一つは地上視程、飛行場での視界距離のことでございますが、これが五千メートル以上あること、二つ目は、雲高、地上から雲までの高さでございます、これが地表より三百メートル以上あることという良好な気象状態としていることによるものでございます。

○石毛委員 わかりました。幾つかの問題点がありそうでありますけれども、私は以前、海外でちょっと空を飛んでいた場面もございまして、大変興味を持っていたわけでありますけれども、これは要望にかえさせていただきますが、離島で暮らす人々、常に天候を気にしながら生活するということ、あるいは年間四万人を超す観光客あるいは利用客、こういったことを考えますと、また、先ほども答弁の中に、災害時の重要な輸送機関などとお答えがあったわけですが、マイナス面も地元の部分ではあるかと思いますが、プラスの面が大変大きいというふうに私も思いますし、宝の持ちぐされにならないように、重要な交通機関の飛行場として、さらに充実していただきたい。このことをお願い申し上げて、先ほど局長も、多摩の発展、ひいては東京の発展というご発言にあったように、今後も充実していただきたいということをお願いしまして、これは終わりにさせていただきます。
 もう一点、客船ターミナルについてお伺いいたします。
 平成十七年度の一般会計決算のうち、港湾施設運営費についてお伺いします。
 この中に客船ターミナル運営の項目がございますが、施設に係る維持費、管理経費等の決算が計上されております。この中で、資料要求した客船ターミナルに関してでありますが、このターミナルは、東京開港五十周年に当たる平成十三年に、総工費約九十億円をかけて、文字どおり海の玄関として整備されました。当初は、平成三年、客船入港数も三百隻を超えると。年々下がってまいりまして、平成十三年には百二隻、十七年に至っては二十二隻、こういう状況に現在あります。
 晴海ふ頭自体は、目の前にレインボーブリッジ。よくデートスポットなんていうことで、週刊誌あるいは本などにも出ていて、大変脚光を浴びた場面もあると思いますが、きれいな夜の景色、そして銀座や築地にも近いというところにあるわけでありますが、どうしてこうやって客船の入港数がぐっと減っているのか、その辺をちょっとお伺いしたいと思います。

○江津港湾経営部長 客船寄港数は、晴海客船ターミナルの建設当初は需要予測を上回っておりましたが、ご指摘のとおり、減少の傾向が続いております。
 その理由といたしましては、晴海ふ頭では、公共交通機関が都バスと海上バスしかなく、最寄りの地下鉄駅がやや離れた勝どき駅と交通の便が悪いこと、それから、横浜港では、平成十四年に大さん橋国際客船ターミナルの改修が行われ、平成十六年にはみなとみらい線の開通により、大幅にアクセスが向上したこと、また、晴海・豊洲地区が再開発途上であり、交通アクセスの向上した横浜港に比べ、近隣の観光資源が劣ること、こういったことから、東京港への客船数が減少したものと考えております。

○石毛委員 わかりました。横浜港と比べて、交通の利便性で劣るということは少しわかったわけでありますが、しかし、先ほど述べたように、銀座や築地、こういったところ、あるいは伝統文化を有する江戸の面影が残る浅草、あるいは近未来の臨海都市なども近いわけでありまして、外国人観光客にとっては魅力のある場所であろうというふうに思います。
 また、首都圏には四千万人に上る人々が暮らしておりまして、多くの都民を初めとするさまざまな方々がゆっくりとクルーズ、こういった魅力ももっとPRをすれば、晴海に客船が帰ってくるのではないだろうか、このように思うわけですが、客船の誘致を目指して今後どのような取り組みをされるのか、お伺いいたします。

○江津港湾経営部長 これまでも外貿ミッションの際に、外航客船本社を訪問してトップセールスを行ってまいりました。また、客船入港時にはシャトルバスの運行など、利用者ニーズに対応した施策の実施による客船誘致に向けた取り組みを行ってきたところでございます。
 こうした取り組みに加えまして、本年三月に、東京都、それから財団法人東京港埠頭公社、社団法人東京都港湾振興協会の三者によりまして、東京港クルーズ客船プロジェクトチームを立ち上げ、船舶運航者や販売代理店を訪問して情報の提供、収集、意見交換などを行い、東京港の利用を呼びかけております。
 さらに今年度は、通常の乗船料金よりも低廉な価格設定の都民クルーズ事業を本格的に開始し、計五回、実施をすることとしております。
 今後も、島しょへのクルーズ、東京湾大華火祭などの東京港で行われるイベントに合わせたクルーズの誘致を企画するなど、引き続き関係者と一丸となって積極的に誘致活動を展開してまいります。

○石毛委員 わかりました。東京港は、平成十年より八年連続で、コンテナ貨物取扱量においては日本一ということになっております。文字どおり日本有数の国際貿易港となったということは、率直に評価に値するのではないかと思います。
 そうはいっても、港の華である客船の優美な姿が見られないというのは大変残念だし、もったいないというふうに思うわけです。客船がふえることにより、都民にとって東京港が身近に感じる、こういう契機にもなると思うんですね。
 大分前なんですが、百周年だったか、五十周年だったか、「エスメラルダ」というチリの船が寄港したときに、私、寄らせていただて、中も見せてもらって大変感銘を受けて、船長さんからワインのボトルを一本いただいて、それも「エスメラルダ」というラベルのついたもので、私としては宝のように持っているわけなんですけれども、やはりそういう部分で、間近に見られて感激を得ると、身近になるというふうに思いますし、そういう意味では、今後ますます客船が来るように、粘り強く頑張っていただきたいと思います。
 関連いたしまして、勝鬨橋というのが近くにございます。ちょうどあそこから見えるところですね。あかずの橋となって四十年近くになります。その優雅な姿も知る人もいないわけでありますけれども、跳開というんでしょうか、再跳開に関して数億円かかるというような話もあるわけですが、それは一年目と数年目と、ちょっと予算は違うと思いますが、それに見合うような文化や、あるいは観光産業にも寄与するというふうに思います。
 課題はありますが、都民の夢に向けて、再開橋というんでしょうか、これは要望で終わりますけれども、そういったところにも、今後できましたらというふうに、関連をいたしまして、要望にかえさせていただきます。
 終わります。

○上野委員 私からは、海岸保全施設の整備について、六点ほどお伺いいたします。
 ここ数年、たび重なる台風の上陸などによりまして、全国各地で激甚な水害や高潮災害が発生しております。また、都民の大きな不安であります首都直下地震の切迫性も高まっておるところでございます。
 こうした状況を踏まえまして、我が公明党はこれまでも、高潮や津波を防御する防潮堤や水門などの海岸保全施設につきましては、その重要性と整備推進の必要性を訴えてきたところでございます。東京都におきましても、これまで海岸保全施設の整備に、十七年度では重点事業として取り組むなど、その積極的な推進について、私は高く評価しているところでございます。
 そこで、十七年度決算説明書の海岸保全施設建設費を見てみますと、約六十六億円の予算現額に対しまして、約十五億円の不用額が出ております。事業は着実に進められているものと思いますけれども、確認の意味で、なぜ不用額が発生したのか、その主な理由についてお伺いします。

○尾田港湾整備部長 不用額発生の主な理由としましては、三点ございます。
 一つ目は、晴海地区で実施しました防潮堤設置につきまして、工法検討によりコスト縮減を図ったこと、二つ目は、低入札などによる大幅な落札差金が生じたこと、三つ目は、都予算で当初予定しておりました国庫補助に決定減があったことなどから、一部護岸の整備を打ち切ったということがございます。
 以上のことから、不用額として約十五億円を計上しておりますが、十八年に再度計上して実施します、打ち切った内部護岸を除きまして、着実に事業は実施しております。

○上野委員 ご答弁で安心しました。不用額の発生の理由というのが未執行によるものではない、ほぼ予定どおり進捗しているということで安心したところでございますけれども、また、設計の工夫によりましてコスト縮減を図ったことについては、私は評価したいと思います。
 ところで、今、低入札による落札差金が増加したとの答弁がありましたが、私自身、以前、技術の仕事に携わっていた経験からも、低入札による工事というのは、ややもするとずさんな工事施工になりやすいということで、非常に私も不安があります。
 そこで、この十七年度に施工された低入札の工事では、品質はしっかりと確保されたのかお伺いします。

○尾田港湾整備部長 低入札工事であるがために、品質の低下を招いたり、安全管理がおろそかになることがあってはなりません。このため、東京都では、低入札があった場合は落札決定を保留し、低入札価格調査制度に基づきまして、履行能力、経営状況、信用状態などの調査を行った上で、低入札価格審査委員会の審査を経て、最終的に落札者を決定しております。
 現場におきましては、請負者が施工計画に基づいた施工能力を有しているか、また、請負関係が下請契約書に基づき適正であるかなど、現場の品質、安全確保にかかわる請負者の施工体制について厳しく確認し、指導を行っております。
 また、材料搬入時や工事の最盛期には、担当監督員と主任監督員が必ずペアで現場立ち会いを行うなど、通常工事以上に品質管理、安全管理に重点を置き、監督体制の強化を図ってきました。
 また、局事業の厳正な執行と公共工事の品質を確保するために設置しました港湾局工事執行点検委員会におきまして、関係書類をチェックするとともに現場の実査などを行うなど、現場事務所のみならず、局として施工状況の確認及び指導を行ってきました。その結果、所定の品質を確保しております。

○上野委員 十七年度の工事には問題がなかったようでありますが、近年、低入札がふえてきております。安かろう悪かろうでは困りますので、今後とも、低入札の工事につきましては特に注意を払っていただいて、品質の確保にこれからも努めていただきたいと思います。
 本題に戻りますが、これまで整備を進めてきたことにより、既に高潮に対する安全性は確保されていると思いますが、具体的に防潮堤、水門、排水機場などの海岸保全施設がどの程度でき上がっているのか、高潮に対する安全性は確保されているのか、あわせてお伺いいたします。

○尾田港湾整備部長 多摩川河口から荒川に至る東京港の臨海部は、南西部に開口部を持つ比較的水深の浅い東京湾の最奥部に位置するため、高潮の影響を受けやすい地形になってございます。このため、東京市の時代、昭和九年から高潮対策に努めてきました。昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に、同規模の台風を想定し、本格的に海岸保全施設の整備に着手しております。
 これまで、高潮を最前線で防ぐ外郭防潮堤約三十三キロメートルと水門十九カ所、排水機場四カ所が完成しており、高潮に対する安全性は確保されております。

○上野委員 一応施設は完成し、高潮に対する安全性が確保されているといいますけれども、こうした防潮堤などの施設というのが、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機に整備されたということでございますので、その多くは老朽化していると考えられます。
 したがいまして、こうした施設の老朽化対策を図るとともに、耐震性を強化することが重要でございます。このことは、既に我が党の藤井一議員が、昨年の予算特別委員会で指摘しているところでございます。これに対して東京都は、経年劣化の著しい護岸の改修を進めるとともに、液状化防止などの耐震性の強化もあわせて実施しているとの答弁がございました。
 そこで、具体的に、老朽化対策や耐震対策についてはどの程度完了しているのかお伺いいたします。

○尾田港湾整備部長 東京都では、昭和三十五年から本格的に海岸保全施設を整備してきており、四十年以上経過している施設は、外郭防潮堤の二三%、水門の三六%、排水機場の五〇%に上ります。
 このため、東京都では、こうした施設を中心に、鋼管矢板の防食や水門、門扉の交換といった老朽化対策を随時進めております。また、液状化対策など耐震対策は昭和五十五年から進めてきており、現在は、平成七年の阪神・淡路の大震災を契機に見直された最新の基準により、鋭意整備を進めております。
 この結果、外郭防潮堤につきましては、現在完成している約三十三キロメートルの九四%に当たる約三十一キロメートルについて耐震性が確保されております。また、水門につきましては、十九カ所のうち四カ所が対策を完了しております。なお、四カ所ある排水機場につきましては、今後耐震対策を進めていく予定でございます。

○上野委員 老朽化対策や耐震対策が必要な施設がまだ残っているようでございますが、真っ先に危険にさらされるのは、区部の二〇%にも及ぶゼロメートル地帯であります。この地域はいち早く整備が進められました。そのため、施設の老朽化が進み、地震に対する強度も不足しているのではないか、このように思います。私は、この地域の対策は特に大切であると考えております。
 そこで、全体のうちゼロメートル地帯の施設の老朽化、耐震対策の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

○尾田港湾整備部長 ゼロメートル地帯につきましては、ご指摘のとおり、高潮に対する危険度が高いことから、過去五年間を見ますと、海岸保全施設建設事業の七割以上の事業費を重点的に配分し、整備を実施してきております。特にゼロメートル地帯の水門につきましては、地盤が軟弱なため、耐震対策に多大な経費と時間を要しますが、この地域内の五水門のうち三水門の対策を既に完了しているところであります。
 現在、曙水門において対策工事を実施中であり、残り一水門を実施すれば、ゼロメートル地帯のすべての水門の耐震対策は完了し、地震に対して、より盤石なものとなります。

○上野委員 ご答弁を伺いまして、ゼロメートル地帯を重点的に整備しているということを確認することができましたが、引き続きしっかりと、この耐震対策などの整備を進めていってもらいたいことを強く要望いたします。
 さて、最後になりますが、都としては、今後どのような海岸保全施設の整備を進めていくつもりなのか、お伺いいたします。

○津島港湾局長 海岸保全施設の整備についてでございますけれども、東京都はこれまで、この整備を重点事業として位置づけまして、鋭意高潮対策に取り組んできたところでございまして、現在の高潮に対する安全性というのは、それなりに十分だというふうに考えてはおります。
 しかし、やはり整備後四十年以上経過している施設や耐震対策の未了箇所もまだございますので、高潮に対する安全性をより盤石なものとするためには、早急な対策が必要であると認識しております。
 具体的には、先生おっしゃる、特にゼロメートル地帯における水門、外郭防潮堤の耐震対策をまず最優先に実施いたします。あわせて、この外郭防潮堤の内側のいわゆる運河筋の護岸につきましても、地震による倒壊等を防止するための補強等を積極的に行ってまいります。
 それから、そういったハード面ばかりではなくて、やはり危機管理体制、これをしっかり強化することが必要で、水門の遠隔監視や制御システムの再構築を今計画しているところでございます。
 こういったさまざまな対策を盛り込みまして、これは本年の三月の予算特別委員会でも触れさせていただきましたけれども、こういった対策を入れ込んだ向こう十年間程度の緊急整備計画、これを現在策定に取りかかっておりまして、早期整備に向けて重点的な取り組みを進めてまいります。
 また、国に対しては、予算の重点配分などを積極的に働きかけを行ってまいります。

○上野委員 力強い局長のご答弁をいただき、ありがとうございました。
 海岸保全施設の整備には、多くの費用と時間を要すると聞いております。都民の大事な生命、財産を守り、東京の首都機能を確実に維持するためには極めて重要な事業であります。一日も早い完成を望むものでございます。
 十七年度の海岸保全施設建設費は約六十六億円であり、事業の重要性を考えますと、今後はもっと事業費を確保する必要があると思います。この事業は、主に国の補助金を得て整備が進められております。したがって、国に対して、国家的見地から予算の重点配分がなされるよう要請していくことが重要、肝要であります。
 私も、この事業の推進には積極的に支援をしていきたい、このように強く感じております。この事業を着実に進めることで、より高い安全性を確保し、都民が真に安心して暮らせる東京が実現することを切に願いまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○たぞえ委員 平成十二年七月の三宅島雄山の噴火から六年が経過しました。今日、村民の方々は本土から島に戻り、新たな村の振興に力を尽くして、今、生活再建を進めているところであります。
 東京都も、この復旧に大きな力を尽くされたと思いますが、十七年度はどのような事業に力を入れたのか、その結果、島はどう復旧したのか、まずこの点を伺いたいと思います。

○飯尾離島港湾部長 三宅島の復旧事業でございますけれども、平成十六年度までに、漁港、港湾の基本的な機能の回復を図ってまいりました。これを受けまして、十七年度でございますけれども、三池港や坪田漁港におきまして、防波堤を越えてくるような波を越波と申しますが、その越波対策ですとか、伊ヶ谷漁港の駐車場、いわば港をより安全に使いやすくするための整備を進めてきたものでございます。
 これらの整備の結果でございますけれども、平成十七年度におきます東海汽船の定期貨客船、大型船でございますが、これの就航率が九三・二%になるなど、漁港、港湾の機能につきましては、おおむね被災前の機能を回復してきたというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 災害復旧は大変欠かせないものでありますが、災害事業として、大久保漁港のかさ上げ、湯の浜漁港の道路復旧、また、伊ヶ谷漁港のしゅんせつについて、合わせて六千六百三十万円の予算が計上されたのが十七年度の都の予算でありました。
 しかし、その大もととなる歳入で見てみますと、国から港湾災害復旧費の収入額は三億八千六百万円も減って、収入率は六〇%台に落ち込んだのがこの十七年度の特徴です。そのため、決算書の六九ページでも記載されていますように、漁港災害では、支出済額はゼロという決算でありました。
 予算段階で見積もった国からの収入が年度の途中で減ってしまう、このことは、復旧に当たっている東京都はどういう影響を受けたのか、こうした事態をどう見ているか。

○飯尾離島港湾部長 ご質問の平成十七年の三漁港の災害復旧でございますけれども、これにつきましては、都として補助採択を要求いたしましたけれども、国に採択が認められなかったということから、事業できなくなったというものでございます。
 なお、これらの事業のうち、非常に緊急性を有します道路の復旧ですとか、泊地のしゅんせつなどにつきましては、当該平成十七年度に、都におきまして実施をしてございまして、現在、これらの港湾において利用上の影響はないというふうに考えております。

○たぞえ委員 その三つの漁港のうちの、例えば伊ヶ谷漁港ですけれども、港の中に埋まった土石流を取り除かなくては、船舶の停留や漁業資源の回復もできない、こういう都の思いから予算が計上されたわけです。
 しかし、国に災害査定で申請しても、国が認めない。そのため、予算で三千百平方メートルの海底から引き揚げる事業が実質的にできなかった。ですから、予算執行率はゼロになるわけです。これは、直接生活にかかわる公共事業、特に災害復興という大変大事な公共事業から国が手を引いた。その点では、厳しく事態を、国が対応してこなかったという問題は、大変重大な問題だと思います。
 都として、このような国の措置について、この予算要求を実現するためにどう働きかけてきたのか、今回のこの国の措置について、どのように都としては考えられているんでしょうか。

○飯尾離島港湾部長 今回、伊ヶ谷漁港の災害復旧でございますけれども、この災害復旧につきまして、例えば国に対します予算要求等でも、十分な財政措置を求めてきているわけでございます。特に三漁港の災害復旧につきましては、先ほど申し上げましたとおり、補助採択をいたしましたけれども、これにつきましては、国の採択基準等によりまして災害の査定を受けることになってございまして、その結果、国の判断として採択されなかったというふうに受けとめてございます。
 ご指摘の伊ヶ谷漁港の泊地しゅんせつでございますけれども、これにつきましては、平成十二年度に土砂が流入をいたしまして、港湾が埋まったわけでございますけれども、その後、波浪の影響によりまして、これらの土砂につきまして港外に流出いたしてございます。災害の査定時におきましては、災害の影響の把握が困難で採択されなかったというふうに考えてございます。また、この災害査定時におきましては、既にそれらの土砂が流出いたしましたことから、実質的な港の利用に大きな支障を来してはいなかったというふうに考えてございます。

○たぞえ委員 国は盛んに、島民が本土に疎開をしている間に、海に土石流が流れ込んだ証明がない、事実を確認するすべがない、波がさらっていったから、きれいに元に戻っている、こういって国は災害復旧の予算措置をしなかったということでありますが、しかし、火山による影響は完全にとまったわけではないし、また、そういう事態を予測して必要な対策をとっておくことは、国や地方自治体としての最低の責務だと思います。
 決算書で見てみますと、三千百平方メートルの直接部分以外の七百九十平方メートルについては、都が単独事業で三百十一万円の予算を組んでしゅんせつ工事を行ったという結果になっています。結果的に、予算編成の段階で計画した大規模な災害復旧が後回しに、国がつけなかったということで先送りになる。本当に国の責任は重大だと思います。
 この湯の浜、大久保、伊ヶ谷の三つの港は第一種漁港で、利用範囲が地元漁業を主とするもので、生活再建にとっては大変欠かせないものです。私も三宅に行ったときに、カジキマグロを一匹、漁師さんが釣り上げると、大体数百万、これで結構な生活の資金になる。しかし、数カ月もとれないときもあると。だから、この身近な港が漁港としての役割をしっかり果たせるかどうかというのは、まさに死活問題だというふうに語られていました。
 この土石流が流入して荒れた漁業の整備を一刻も早く実施することとあわせて、さらなる災害に対応するための護岸整備、これを国との連携で、また都の単独事業としても強力に進める必要があると思いますが、この点での都の考え方を伺いたいと思います。

○飯尾離島港湾部長 三宅島の事業につきまして、流入した土砂の処理を含めまして、本年度中に災害の復旧につきましては完了するようにするというふうに考えてございます。
 今後は、本来の目的でございます定期船の就航率の向上ですとか、港内静穏度を向上させまして漁港を使いやすくする、こういうような事業に移っていくわけでございますが、これらの事業につきましては、基本的に補助対象事業でございますので、国に引き続き十分な財源確保を求めていきます。
 一方で、突発的な施設の補修等、国の補助対象になじまないような事業、こういうようなものもまた生じてまいりますので、こういうようなものにつきましては都の単独事業として実施をしていく、こういう考え方でございます。

○たぞえ委員 三宅村から地盤が全体的に沈下して大きな波が乗り越えてくる三池港の船客待合室と防波堤の抜本的整備、また、伊ヶ谷漁港の避難港としての整備促進などが来年度予算で要望がされております。
 私は、都はこの要望に積極的にこたえて、生活再建に頑張る島民の皆さんに大きな激励を与えていただきたいと思うし、また、こうした災害によって家を失い、田畑を失った人々が、この島でずっと生活できるように、また営業ができるように、そういう支えをぜひされるべきであると思いますけれども、都としてはどのように積極的にこれに関与していくのか、最後に伺いたいと思います。

○飯尾離島港湾部長 平成十九年度東京都予算編成に対します要望事項、島しょの各町村から出される要望事項でございますけれども、この中で、三宅村からは、三池港、阿古漁港の整備促進、先ほど申し上げました漁港の静穏度の向上、あるいは就航率の向上に向けた整備を進めてほしいというようなこと、あるいは伊ヶ谷漁港は、ここは避難港を今整備をしているところでございまして、これの整備の促進、それから、三池と阿古にございます船客待合所の整備促進の要望を受けているところでございます。
 このうち三池港、阿古漁港、それから伊ヶ谷漁港等の整備につきましては、施設の計画等がございますので、これに基づきまして着実に整備を進めていきたいというふうに考えております。
 それから、船客待合所でございますけれども、これにつきましては、所要の調査を行いまして、必要な補修、改修をしていきたいというふうに考えております。

○野島委員 東京港の保安対策ということで何点かお伺いをしたいと思います。
 ことしの七月五日の北朝鮮の弾道ミサイル、あるいは十月九日に核実験を行った、こんな発表がありまして、我が国のみならず、東アジアの不安定要素が一層高まったなと。これに対して既に国連決議もなされまして、国際社会挙げて北朝鮮のそういうふうな行為を阻止していく、こういうふうな流れになっているわけであります。
 一方、我が国の政府としては、十月十三日に北朝鮮船籍の入港禁止措置等を閣議決定しております。東京港においても、今日までも密輸、密入国、こういったふうなことの阻止など、保安対策には取り組んできたわけでありますが、現下の情勢を考えるときに、よりそういったことが重要になってきているのではないかな、こんなふうに思っているところであります。
 そこで最初に、東京における保安対策について、確認の意味も含めて何点かお伺いをしていきたいと思います。
 まず、十七年度の決算でも、今申し上げましたように、さまざまな取り組みをされておると思いますし、保安対策も執行されていると思います。
 実は私、十六年から十七年に経済・港湾委員会に籍を置いておりまして、そこで、SOLAS条約に対応してこういうふうな保安対策をやっていくんですよという説明を受けた記憶をしているんです。私も平和ぼけをしておりますから、SOLAS条約というのは何だいという、この程度の認識しかなかったわけでありますけれども、なるほど、そういう時代背景もあるのかなと。
 テロリストあるいは密輸、こういったふうなことで世界を震撼させる、あるいは世界を混乱させる、これについてやっていくという時代なんだな、こんな感を強くしたわけでありますが、SOLAS条約についての対応はどうであったのか、その取り組みについてお伺いをさせていただく次第でございます。

○江津港湾経営部長 平成十七年度決算では、国際航海船舶と国際港湾施設、これの代表的なものは外貿コンテナふ頭等でございますけれども、これらの保安対策強化を目的とした改正SOLAS条約に対応する経費を支出しております。
 同条約は、今お話ございましたけれども、平成十六年七月に発効いたしまして、国内においては、同時に国際船舶港湾保安法が施行されました。
 都は、条約の発効に合わせまして、平成十六年度に国際港湾施設の保安規定を作成するとともに、フェンス、ゲートや監視カメラ、照明設備の整備を完了いたしました。
 平成十七年度につきましては、四月から指令センターを新設するとともに、専任監視員を配置し、二十四時間の常駐監視体制を構築いたしました。
 また、平成十六年一月、テロを初めとする国際組織犯罪を水際で阻止するため、東京港の関係行政機関や民間事業者で構成される東京港保安委員会を設置いたしました。この委員会の取り組みとして、平成十七年度は、大井ふ頭における東京港テロ対策合同訓練や関係者への講習会を実施しております。

○野島委員 今お答えいただいたわけでありますが、改正SOLAS条約に基づいての保安対策が、施設整備面、あるいはそれをどう運用していくか、こんなことで取り組まれているということについては、よくわかりました。
 一方、申し上げましたように、危機感というのか、住民の安全に対する脅威、こんなふうなものが、正直なところ増してきているという状況だと思うんです。今、いろいろな取り組みがなされておるというふうに伺っておりますが、港湾局というのは、要するに、施設設置者で施設管理者なんですよね。
 東京港といいますと、湾でいくと、千葉県という行政体もあるし、神奈川県という行政体もある。あと、悪いやつをとっ捕まえたりするのは海上保安庁もあったり、上陸すれば警察権能と。それから、入ってはいけないものを持ってきたときに、それはだめですよというのは税関というか通関ですよね。そんなさまざまな機関があったり、当然行政はそれぞれ役割を持って、権能を持っているわけですから、それが総合的に一体化をしていかないと、私はなかなか効果が発揮できないのかなというふうに思っているんですね。
 そんなところで、どんなふうなことで連携協力体制、こういったものを構築されておるのか、こんなことについてお伺いしておきたいと思います。

○江津港湾経営部長 平成十五年八月、東京湾における密輸、密入国事件等を水際で阻止するため、都は、東京湾の隣接する港湾の各管理者、各都県警察及び国の関係機関に呼びかけて東京湾保安対策協議会を設立し、連携協力して、密輸、密入国等の犯罪に強い港づくりに取り組んでおります。
 この協議会の取り組みとして、密輸、密入国等の組織犯罪を想定した水際危機管理対策合同保安訓練を毎年実施しており、一昨年度は東京港の晴海ふ頭、昨年は横浜港、そして本年度は第三回目ということで、七月に千葉港において実施をいたしました。
 今後も、首都圏の治安を脅かす密輸、密入国等の犯罪を未然に防止し、これに適切に対処するため、本協議会を通じて情報の共有化と連携体制の強化を図ってまいります。

○野島委員 ありがとうございました。ぜひそういうことで、いろんな機関がありますし、いろんな権能を持っているわけですから、今、答弁ありましたように、そういったふうなところが情報を共有化すると同時に、情報の精度を高めていく、こういうことで取り組んでいただきたいと思っておりますし、いろんな訓練とかそういうことで、本番は訓練のごとく、訓練は本番のごとくとよくいいますけれども、そういう取り組みをしていただくことがより有効になろうかな、こんなふうに思っております。
 そういうことで実績を上げつつ、そういった危機に対処していただきたいと思うのでありますし、そのことが都民に安心・安全を与えるもの、こんなふうに思っております。
 一方、僕らも経験があるんですね。航空機の爆破とか、いろいろありまして、出入国のときの、以前に比べてのチェックの厳しさ。何でこんなに並ばなきゃいけないの、何で入国するのに、待たせておいて、いったってなかなか、僕は外国語ができないから余計そうなんだけど、物すごく時間がかかるんですよね。
 そういうことを考えますと、あるいはまた、このごろテレビで、北朝鮮船籍が来るのが大体小樽から、境港なんて、よく映っていますよね。あの辺に来て、いろいろテレビカメラが追っておりました。荷役業者さんが、やはり国際世論あるいは国民感情も考えると、私たちは、もう北朝鮮船籍の荷揚げ、荷積み、こういうのはやらないんだという、そういう仕事の問題も出てきますよね。あるいはマツタケの話題もあったような気がいたしております。
 そういうことで、さまざま私たちの国民生活にも影響を落としてくると同時に、さっきの我々の体だって長蛇の列になっちゃうわけですよ。規制を強化していますと、当然のことながら、私は流通面で、今までスムーズにすうっと行けたのが、こういうことになってくれば、いろんな意味でチェックしていかなきゃいけない。
 北朝鮮の船は来ないけれども、品物がどこかの船で入ってくることがあるわけですよね。いろんな手続はあるでしょうけど。そうすると、そういうもののチェックということになってくれば、今までにも増して、そういったふうな流通の効率性を阻害する要因というのは出てきているんじゃないかなと思うんですね。二律背反しているとはいいませんけれども、いろんな問題がこれからも生じてくるというふうに思っております。
 今後の東京港の保安対策についての課題、どんなふうなものがあるのか。今、人間の話をしましたけれども、ひとつ物を中心にお話をいただければありがたいと思います。

○江津港湾経営部長 港湾の本来的な役割は、スムーズな輸出入の実現など、質の高い物流サービスを的確に提供することにございます。しかしながら、幾ら取扱貨物量が多く、効率のよい港といっても、安全性を差しおいては、真に世界に誇れる港湾とはいえないと考えております。
 先ほど先生からお話がございましたけれども、安全・安心の確保のために、国際港湾施設へ出入りする車両や人、貨物のチェックなどの保安対策を強化することによって、コンテナ車両等の通過時間や費用の増大などが発生し、効率面や経済面において円滑な物流の阻害となるなどの課題がございます。
 このため、都といたしましては、施設内への出入り管理を迅速化するための方策の検討や、貨物検査時間の短縮に向けたX線検査施設設置への支援などの取り組みを行っているところでございます。
 あわせまして、保安対策に係るランニングコストや、今後予想される施設の更新費用の負担についても、国の支援が得られるよう要望を行っているところでございます。

○野島委員 そこで、冒頭申し上げましたように、密輸とか密入国、これは当然水際で対処していかなきゃいけないということでお取り組みいただいたわけでありますが、今回は特に北朝鮮船籍という特定の国の船をと。
 その背景は、ただ日本にマツタケを運ばなくなったとか、日本から何か品物が出なくなった以上に、やっぱり紛争に発展する、あるいは戦時態勢とはいわないまでも、さまざまな不安要素が背景にあるわけですね。そこでは、より国の関係機関と連携していく、こういったことが必要であります。
 そういう意味では、都は、具体的に北朝鮮から、恐らくこちらが来ちゃだめよというのに、突破して船をつけてくることは、戦時態勢になればあるかもしれないけれども、そんなことを考えますと、シミュレーション的にちょっと教えてほしいんですよ、具体的に。どういうふうな流れの中で、どうやっていくということをちょっと教えていただきたいと思います。

○江津港湾経営部長 今回の北朝鮮に対する制裁措置は、すべての北朝鮮船籍の入港禁止、北朝鮮からのすべての品目の輸入禁止及び北朝鮮籍を有する者の入国禁止という三点でございます。
 このうち船舶の入港禁止措置に対する対応でございますが、一般に船舶が東京港に入港する場合には、入港の二日前までに、東京都港湾局及び東京海上保安部に入港届を提出することになっております。この段階で、北朝鮮船籍から入港届が提出された場合は、海上保安部と情報確認の上、都としてこれを受理しないこととする。接岸する岸壁の使用も許可しないので、船舶そのものの入港ができなくなり、あわせて貨物も人も国内への流入は阻止されるということになります。
 しかし、貨物や人が他の国の船舶を利用して運ばれてくることも想定されるところでございますが、その場合には、一義的に税関や入国管理局が、それぞれ法令に基づいて対応することとなります。都としては、船舶代理店等を通してこれに関する情報を事前に得た場合には、即時に関係機関に情報提供を行うとともに、東京港の関係事業者に周知を図ってまいります。
 なお、今回の国の閣議決定に基づく制裁措置については、既に東京港の港湾関係事業者に通知を行い、遺漏のないよう周知を徹底したところでございます。
 今後とも、海上保安部や関係機関等と連携を密にして、適切な対応を行ってまいります。

○野島委員 わかりました。さっきもいったように、そういう措置がとられているのに、入港させろとか、そういうことというのは、通常一般的には余り考えられないと思うんですね。ただ、答弁の中でありましたように、他の国の船を利用してという部分というのはあり得るというふうに僕は思うんです。そういう確率の方が、むしろ高いと。直接に来るよりもね。したがって、関係機関とのぜひ情報の、さっき申し上げた精度を高めていって、連携をしつつ対処していただきたい、こんなふうに思っております。
 最後に、今るるお話をお伺いいたしましたが、この保安対策、SOLAS条約の話もございました。その取り組みにつきまして港湾局長の決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。お願いします。

○津島港湾局長 首都圏の一大物流拠点東京港におきまして、保安対策による安全確保、それと質の高い物流サービスの提供、この二つを両立させていくということは非常に重要な課題であるというふうに認識しております。
 港湾における保安対策に万全を期すことは、首都圏、ひいては我が国の安全の確保とともに、国際海上輸送システム全体の信頼確保、さらには東京港の振興にもつながるものというふうに考えております。
 都はこれまで、東京湾の中で都が主宰者となりまして、他港に呼びかけまして、先ほど部長が説明しました東京湾保安対策協議会、これを立ち上げまして保安合同訓練などを実施いたしまして、保安体制の取り組みの中でも積極的にリードして進めてまいりました。これからも、こうした母体を活用しながら、他港や関係機関と緊密に連携を図りまして、実のある港湾対策を実施していきたいと考えております。
 また、北朝鮮に対する制裁措置については、とりわけ港湾管理者として、万事遺漏なきよう、万全を期してまいりたいと思います。

○東村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時二十四分休憩

   午後二時四十一分開議

○東村委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより都市整備局関係に入ります。
 初めに、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員について、局長から紹介があります。

○柿堺都市整備局長 過日の委員会を欠席させていただきました幹部職員をご紹介いたします。
 連絡調整担当参事の並木勝市でございます。
 なお、航空政策担当理事の河島均は、公務のため、本日、委員会を欠席させていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○東村委員長 決算の審査を行います。
 平成十七年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成十七年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成十七年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成十七年度東京都都市開発資金会計決算、平成十七年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算、平成十七年度東京都市街地再開発事業会計決算及び平成十七年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○安藤総務部長 十月六日の当分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております、当局の平成十七年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をおめくりいただき、目次をごらんください。
 資料は、1の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積から、6の既設都営住宅のエレベーター設置状況までの六件でございます。
 それではまず、一ページをお開き願います。1の財務局に引き継ぎを行った都営住宅用地の件数と面積でございます。
 過去五年間につきまして、件数及び面積を記載してございます。
 続いて、二ページをごらんください。2の都営住宅建てかえによる型別供給実績でございます。
 過去三年間につきまして、型別の供給内訳を記載してございます。
 次に、三ページをお開き願います。3の首都高速道路に対する出資金の推移でございます。
 過去五年間の首都高速道路の整備に対する出資金の金額及び出資率の推移を記載してございます。
 続いて、四ページをごらんください。4の多摩ニュータウンの施行三者の未利用地の状況でございます。
 平成十八年三月末現在の、東京都、都市再生機構及び東京都住宅供給公社の未利用地面積をそれぞれ記載してございます。
 次に、五ページをお開き願います。5の核都市多摩ニュータウンの整備状況でございます。
 過去三年間の年度末現在におけるプロジェクトごとの利用面積及び対象面積当たりの利用率を記載してございます。
 続いて、六ページをごらんください。6の既設都営住宅のエレベーター設置状況でございます。
 過去五年間に設置されたエレベーターについて、団地数及び設置基数を記載してございます。
 以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東村委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ委員 それでは、まず既設の都営住宅のエレベーター設置状況、これは資料もいただきましたが、もう少し詳しくお願いしたいと思います。
 まず、このエレベーターの中でも、廊下型と階段型、平成十二年、世田谷区の船橋で試行的に始まった階段型のエレベーター設置でありますけれども、この導入の前後といたしまして、私ども、当時の委員会でもやりとりをさせていただいたということの中で聞かせていただきたいと思いますけれども、特に階段型エレベーターのこれまでの設置実績と、都内全体及び多摩ニュータウン内、これにつきましてお願いしたいと思います。

○宇多田参事 都営住宅の階段室型エレベーターの設置につきましては、平成十二年度及び十四年度に試行的に実施いたしまして、平成十五年度より本格的な実施をしてまいりました。
 平成十七年度までに、スーパーリフォーム事業による設置も含めまして、都全体での階段室型エレベーターの設置実績は八十六基でございます。
 なお、多摩ニュータウンにおきましては、設置実績はございません。

○こいそ委員 八十六基が設置されたということであります。いずれにいたしましても、都営住宅内において、地域によっては高齢化率が非常に高い。とりわけ、ここであえていわせていただければ、多摩ニュータウン内の住区ですね。当初に建設をされてきた、整備されてきた住区は、建物もかなり老朽化に向かっておりますけれども、少なくとも四階、五階にお住まいの方々も、やはりかなりしんどくなっているという話を常々聞いておるところなんですね。
 そういう中で、いわゆる階段型エレベーター設置というのは、八十六基設置はされましたけれども、四市にまたがる多摩ニュータウン内で一基も設置されていない。設置実績の中で今お話がありましたが、これはどのような理由なのでしょうか。

○宇多田参事 既設都営住宅のエレベーターの設置に関しましては、団地の整備のあり方を踏まえまして、法的、技術的に可能であり、また、自治会の要望や居住者の同意等の要件をクリアしたものにつきまして実施しているところでございます。
 今回、多摩ニュータウンの団地でございますが、そうした自治会の要望等を踏まえて、まだ実施されていないということでございます。

○こいそ委員 これは、いろんな要望の聴取の状況というのはそれぞれ違うと思いますけれども、少なくとも三十有余年たった団地ですね、今限定しておりますけれども、多摩ニュータウン内という中で、入居されて三十有余年という中で、三十代で入った方々だって、当然にしてもう六十代ですね、あとはいいませんけれども。やっぱり高齢化率が非常に高いところが現実にあると思うんですね。
 こういう中で、一番ということはないけれども、かなり高い水準というのは、安全・安心もそうだけれども、このような日常の中においての、やはりしんどさを、何とかバリアを解消してもらいたいということというのは、当然にして日常的に出ている要望じゃないかと私は思うんですよ。それが、何か要望がないようなお話かどうかは別ですけれども、なぜそうなのか。
 法的に、技術的に設置可能な住棟については実施するんだ、こういうことをいわれておりますよね。よって、スーパーリフォーム、建てかえ--建てかえはちょっと該当しないかもしれないけれども、いずれにしても、スーパーリフォームほか、周辺状況によって、このような階段型エレベーターが設置でき得る、でき得ないということはあろうかと思うんですが、そのあたりの実態的な把握というのは、地元市も含め、そして維持管理に当たっている住宅供給公社、このあたりとどのような話し合いをされているのか、聞かせてください。

○宇多田参事 多摩ニュータウンの中の団地につきまして、ご指摘のとおり、階段室型住棟等が多いわけでございます。
 これらの住棟につきましては、現在、私どもとしまして、現地を確認等はしているところでございますが、十分な形での調査はまだされていないというところでございます。

○こいそ委員 いずれにしても、これから来るべき高齢化の時代の中、とりわけ、このような喫緊のバリアを少し解決していくということ、やはり住む方々にとって、決して私は過大な要望ではないと思うんですね。
 やはり設置者であり、事実上の、実質上の管理者である、現在は都市整備局でありますけれども、そのような実態をしっかりと把握する。公社だって日常的に管理業務を行っているし、自治会等々と当然接触していなければ、実態なんかわかるわけないですよね。
 ですから、こういうことを踏まえて、平成十二年に、試行的ではあったかもしれないけれども、スタートした階段型エレベーター設置というのは、これは都民の多くが、いわゆる都営住宅居住者だけじゃないかもしれないけれども、とりわけ都の責任を持って対応するところの部分として、私はやはり、都営住宅内における階段型エレベーターの積極的なる設置というのは当然だと思うんですけれども、どうでしょうか。

○宇多田参事 多摩ニュータウンには、プレハブ工法の住棟を含め、多様な形式の住棟がございまして、また形式も起伏に富みますし、敷地状況等もさまざまでございます。また、建設後三十年以上たつ住棟では、急速な高齢化の進行が予想されているところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、都営住宅の状況を十分把握することは、今後のエレベーターの設置や団地のあり方を考える上で大切だと考えております。
 地元市とも情報交換の上、団地状況を調査しまして、エレベーターの設置の可能性とか課題の把握に努めてまいります。
 また、エレベーターの設置につきましては、自治会の要望等も踏まえまして、技術的に可能であり、入居者の同意等を含め、設置要件が整ったところにつきまして、費用対効果、予算等を勘案しまして着実に進めてまいります。

○こいそ委員 ぜひ実態的なものの把握に努めていただく。いわゆる調査を地元市等と--当然、自治会、公社、それぞれあろうかと思いますけれども、ぜひ可能なところ、やっぱりどうしてもできないというところは、それはあると思うんですね、技術的にも法的にも。こういうことをいっているわけじゃなくて、可能性が高いところ、そして、やはり地元自治会もかなりの方々、かなりというか大多数の方々が要望している、そういうような団地があろうかと思いますので、ぜひひとつ、そういうところをよく実態把握に努めていただいて、促進方、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次の二点目といたしまして、核都市の多摩ニュータウンの整備についてお聞きをさせていただきたいと思います。
 まず最初に、都においては、多摩の心しん育成・整備計画が策定をされて、その後に核都市に指定が、名称変更された。国においては業務核都市に指定されている、こういうことだと思うんですけれども、この中で、いわゆる核都市、とりわけ拠点施設、駅周辺も含めて当然でありますけれども、多摩ニュータウンの都の整備への取り組み、経過、整備状況、今後の取り組みをお願いしたいと思います。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 核都市多摩ニュータウンにつきましては、首都圏における広域的な中心性を有し、環状メガロポリス構造の中において、連携、交流のかなめとなる拠点の一つとなっております。
 多摩ニュータウンにおいては、平成十七年度をもちまして、四十年の長きにわたった新住宅市街地開発事業が終了いたしましたが、この間、東京都は、核都市におけるまちづくりの基本となります多摩の心しん育成・整備計画を平成十年四月に策定し、多摩ニュータウンの拠点形成に向け、多摩都市モノレールや多摩川架橋を初めとする広域交通基盤整備や面的整備事業などの促進に努めてまいりました。
 さらに、平成十四年十一月には、八王子・立川・多摩業務核都市基本構想を策定し、多摩ニュータウンにおいて業務施設集積地区等を位置づけたところでございます。
 現在、多摩ニュータウンにおける核都市整備エリアのプロジェクト対象面積当たりの利用率は、先ほどの資料のご説明にもありましたとおり、全体として六割強進んでいる状況となっております。
 今後につきましては、民間の創意、活力を生かしながら、都市開発諸制度や地区計画の活用、さらには産業施策との連携など、さまざまな工夫を重ねてまいりまして、核都市としての整備がより充実いたしますよう、まちづくりを継続して進めてまいりたいと思います。

○こいそ委員 今ご答弁にありましたように、首都圏における、環状メガロポリス構想の中で、連携、交通のかなめとなる拠点の一つであると明確に位置づけがされました。そして、そのうちの、今お話にありましたように、八王子・立川・多摩業務核都市基本構想が策定されて、多摩ニュータウンにおいての業務施設集積地区として位置づけがされたということであります。その中心的な機能を本来担うべきところが多摩センター駅だったと思います。
 この多摩センター駅の南北について、まさに一体的に調和のとれた多機能的なまちづくりを推進していく必要性が当然あろうかと思うんですが、このあたりはどうなんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 核都市多摩ニュータウンの中における、とりわけ多摩センター地区の育成整備につきましては、これまでも重要な課題として取り組んでまいりました。
 ご指摘の、多摩センター駅と、これを挟んで立地する、都市機構及び東京都がそれぞれ造成、販売してまいりました南側及び北側の宅地につきましては、おのおのの導入機能を有機的に結合できるよう、連続性を持ち一体化を図ることは、多摩センター地区の担う機能の充実にとって不可欠と認識しておるところでございます。
 しかしながら、北側台地につきましては、地形的に、駅からアクセスする際に大きな高低差があることにより、南北一体化を妨げる状況にあります。このため、これまでも都や地元多摩市において、駅からのアクセス向上策の検討がなされてまいりました。
 現在、地元市により、歩行者用デッキの整備に向けて、設置ルートや幅員、事業手法等の検討を行っているところであり、東京都といたしましても、市の取り組みに対し適切に支援してまいりたいと思います。

○こいそ委員 まさに南北の一体的な調和のとれた整備を進めていくんだと。当然でありますけれども、連続的に一体化をすることによって、本来的なセンター機能を充実させていくんだ、こういうことですね。これは当初からそういうお話だったと思います。
 その中で、今、少し、歩行者用ペデストリアンデッキでありますけれども、これは市が整備するということなんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 ご指摘いただきましたように、市が整備するというふうに、私どもと役割分担をして決めておるところでございます。

○こいそ委員 それは、いつ、どういう席上で、そういう話が出たんでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 ペデストリアンデッキの必要性につきましては、都も市も必要だというふうに認識しておりまして、いかにして整備するかということにつきましては、平成十年ごろから鋭意検討してきたところでございます。
 その際に、平成十年のころに、一応そういう役割をそれぞれが持つ--それぞれといいましょうか、市としてデッキを整備するという方向が出ておるところでございます。

○こいそ委員 大変申しわけないんですが、私はこれは、事実の確認は、今のお話ではでき得ないですね。というのは、平成九年、私は当時の委員会が、都市計画局だったでしょうかね、所管の委員会に所属しておりまして、自来、委員会所属の経緯の中で、この問題を取り上げさせてもらったことがございます。
 その中で、今お話しのように、多摩センターの位置づけが業務核都市、前は多摩の心しん育成・整備ですよね。その後、国の業務核都市。すなわち、多摩センターの南側は、当時の住宅・都市整備公団、今は都市機構ですよね。それで、北側の方は、区画整理も当然あるけれども、高低差はありますけれども、都有地が展開をしている、こういう中。これはまさに、広域的な観点でここをやはり育成整備しなきゃいけないんだ、こういうことを東京都はいわれたんではないですか。
 その中の、連続一体的な整備を図っていくにはペデストリアンデッキが必要なんだ、こういうことの中で、東京都は調査と設計料を計上して、いわゆる事業化に向けて進めてきたと思うんですが、その後はどうでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 こいそ委員のいわれるところは、確かに私どももお金を出してやってきたところは事実でございますけれども、新住事業全体の事業の終了に伴い、市と協議した結果、市の方が整備するということになったところでございます。

○こいそ委員 それは全く私は聞いていません、その話は。地元市もそれは知らないはずです。例えば、このペデストリアンデッキのお話は、これはそれぞれ、直線的にモノレールの橋台を使ってという案もあれば、もう少し回遊性を持たそうという案もあれば、この案を書いてきたのは、今まで東京都ですよ。地元の方でも当然支出すべきだという話は、たしかあったんですよ。
 ところが、それは整理している最中だと思うので、あのペデストリアンデッキを地元市が全部負担するんだ、やるんだというのは、ちょっと違うんじゃないですかね。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 繰り返しになりますけれども、事業終了時において市と協議して、市の方が整備するということになりましたけれども、その際に、補助金ですとか、一定の国費を導入して整備をするというふうな方向でやっておるところでございます。

○こいそ委員 まあ、いいでしょう。きょうはこの話を、これだけでという話じゃありませんのでね。
 だけれども、一番重要なところは、要するに、大前提とするものがやはりあるわけじゃないですか、先ほどからご答弁いただいているように。いわゆる国でも業務核都市、それから環状メガロポリス構想に基づく全体首都圏の中での位置づけもある。それから業務核都市としての位置づけも明確にある。広域性ですよね、はっきりいって。これを何で一市で負担させなきゃいけないんですか。
 もう終了したから、これは地元でやれ、あとは東京都は相談だけは乗るよというふうに聞こえてならないですね、はっきりいいまして。
 私は、きょう現在に至るまで、地元市がこれを全部負担するということは聞いたことはありません。そんな話は全くないですね、これ。申しわけないけども。よく調査してください、この件につきまして。私もやります。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 確かにデッキの必要性のもとは、委員ご指摘のとおりでございますので、デッキを整備するということについては長年検討してきたところでございます。ご指摘の部分につきましては、再度、その辺のいきさつをご説明できるような形で取り組みたいと思います。
 そこのところで一つだけお伝えしておきたいと思っておりますけれども、市が来年度の予算の中で、この調査を行うというふうな予算計上をしているというふうに私ども聞いておりますので、それは整備を前提だというふうに私ども聞いておりますので、そのようなこともあるということでございます。

○こいそ委員 まあ、いいでしょう。この問題はここまでで結構なんですけどね--いや、結構じゃないんだけど、時間があれですから。
 要は、鉄道利用者にも、それから、南北なんだから、これは当然機構も、それから鉄道事業者だって、東京都だってそうじゃないですか。
 だって、今まで東京都が予算計上して設計まで起こしてきたわけでしょう。それをどうするんですか。もう終わりだよ、もう市で全部やれと。どうも動きとしては、予算計上されているそうだと。そんな話聞いたことないね、私は。はっきりいって。まあ、いいですよ。これは、きょうのところは、とりあえずここまでにさせていただいて、その続き行きます。
 東京都は、地元市及び都市機構と、土地利用についてどのような連携と、特に業務系のゾーン設定や変更を行ってきたのか、これをお願いします。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 都はこれまで、新住宅市街地開発法に基づく土地利用計画や地区計画等に沿った機能誘導を図ってきたところでございます。
 都及び都市機構は、土地利用に当たり、これらの計画に基づき、当該街区にふさわしい用途及び規模を勘案し、それぞれ多摩市との確認書に基づく事前協議を行いながら土地利用を進めているところでございます。また、土地利用計画の変更についても、同様に地元多摩市と事前協議等の手続を行い、適切な土地利用を進めてまいりました。
 今後、都は、広域行政体として、多摩ニュータウンの将来像の実現に向け、業務機能誘導策の検討を進めるとともに、市及び都市機構に対し、事業用地の適切な利用を促してまいります。

○こいそ委員 実際、先ほども出ましたけれども、例えば多摩ニュータウンエリア、この地区の中で、北は都有地が数多く展開していますよね、ありますね。南はいわゆる都市機構、URですね。当然、土地を販売する、利用する、それからゾーンのさまざまな設定をする、これはやはりそれぞれに協議があると思うんですね。
 とりわけ、私、ちょっと聞きたいのは、多摩センター西側の、今は公社でありますけれども、多摩南部地域病院がある。隣には都立の精神系の施設がある。そのちょうど南側のゾーンは、我々が知る限りにおいては、これは広域的な意味合いの中で、福祉・医療系ゾーンに指定された。とりわけ、今、長期慢性の療養型の病院ができた。それから、老健ができている。それから、もっと西へ行けば、島田療育園という日本で初めての重度の施設があり、さまざまに福祉・医療系が整備されつつあるんですね。
 しかし、かなりの部分については、まだ整備がなされていない、こういう状況があるわけでありますけれども、ここはどうもマンション、住宅用地として、まず利用計画を変えて、もう売買が成立してしまった、こういうことを地元で聞いたわけですね。これについては、そういう変更報告というのはどこでなされているんでしょうかね。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 都市機構は、多摩市中沢地区の都市機構所有の医療施設用地四・六ヘクタールのうち二・三ヘクタールを住宅系用途とすることについて、平成十四年に多摩市と協議を開始し、多摩市は将来の病床数を勘案して、平成十五年に了承したところでございます。
 平成十六年に、都市機構は、新住宅市街地開発法の施行計画変更を国に対して行いまして、平成十八年に住宅事業者に売却したというところで、現在、多摩市が地区計画の手続を行っているところでございます。

○こいそ委員 平成十四年に協議がなされたと。これはいわゆる機構と多摩市との間ですね。しかし、これは、南多摩全体の南多摩のニュータウンを考える協議会、さらには南多摩医療圏、さまざまな中において、少なくともここのゾーンというのは広域性があるわけですよね。そういう中で、四・六のところを二・三ヘクタール売却ですかね。全部売却はされないからというか、住居用は二・三だと。
 しかし、この利用計画そのものも、広域行政体として、業務核都市として指定した東京都としては、これは当然知るべきであるし、この変更に対して、まさに広域的な観点に立って東京都が判断すべきだったんじゃないですか、これは。どうでしょうか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 先ほど申し上げましたけれども、国に新住宅市街地開発法の施行計画を変更したということがございますので、私どもとすれば、確かに、広域的な観点から業務系、商業系というようなことについて大いにお願いをしてきているところでございますけれども、そういう変更の中で行われたという経緯がございます。

○こいそ委員 これは人事異動等々があって、それぞれ前後のことはあるでしょうけれども、引き継ぎも当然あると思いますので、だから、いつ東京都が、その変更というものを知り得たか。それに対して東京都はどういう対応をしたか。これは要するにURの土地だよ、これは地元市がオーケーしたよ、いいじゃないかと。だって、そんな簡単なものじゃないでしょう。これはどういうことなんですか。

○戸田開発プロジェクト推進担当部長 先ほどと繰り返すようなことになりますけれども、いわれましたように、私どもも、それがすべてよしというところではございませんけれども、国にお出しする施行計画の変更を了承されているというようなこともございまして、このようになっていったというふうに思っておるところでございます。
 今後ともそういうことのないように、例えば残りの土地につきましては、今後、福祉保健局が平成十九年度に保健医療計画を改定するということでございますので、そういう中で医療圏ごとのベッド数が位置づけられるということであれば、当初のとおりの形でいけるかなというようなことも考えておりますものですから、このときは、十四年、十五年にかけての件につきましてはそういうことでしたけれども、今後はそういうことについては十分な目を配っていきたいと思っております。

○こいそ委員 これも、この後いいですけど、少なくともちょっといわせていただければ、平成十四年、十五年、国に施行変更の計画書が出された、だから、それはもうしようがないじゃないかと。何かちょっとそういう、申しわけないですけどね。そうじゃないんじゃないかと思うんですね。
 じゃ、東京都の役割と東京都の関与というのは、どこでどうなされてきているのか。東京都のどういうプレゼンスがここにあるのか。要するに、機構が自分のところの所有地だ、地元で話し合った、変更したと。土地利用の変更なんて、そんな簡単なものじゃないと思いますよ。その中で、それはもう国に出されちゃったんだと。はっきりいって、これを東京都が知ったのは、その後ですよね。
 まあ、いいでしょう。いずれにしても、何をいいたいかというと、この位置づけですね。これは東京西南部、これもあんまり聞かれませんけれども、三千三百のいわゆる東京圏という中における位置づけを明確に打ち出したわけでしょう。そこの中に、国も含めて、それぞれに指定をかけてきたわけじゃないですか。それにしては、東京都の関与姿勢というのは、遠慮をしているのか。
 例えば、多摩センターの北側だけを自分のところのエリアだよ、多摩センターの駅舎から南の方は、要するに機構だから国だ、それに任せればいいんだということじゃ私はないんじゃないかと思うんですけれども、このあたりは、技監、お願いしますよ。

○福島技監 先ほど来の議論におきまして、多摩ニュータウンの当時の事業の立場である東京都と、それから、計画を推進、また管理をしていく、そういう立場の東京都がございまして、いいわけになるように聞こえて恐縮でございますが、確かに今考えますと、そこのところを総合的に判断していた機能が東京都にきちっとあったのだろうか、このようなことを今考えますと、若干反省すべき点があったのではないか、このように考えてございます。
 今、個々に挙げられたご質問の件に関しましてはご答弁申し上げたとおりでございますが、私ども、その部分にも触れました、その事業が終わったとはいいましても、計画を管理していく立場というものは東京都にあるわけでございますので、平成十六年度にも、この業務機能の誘導方策を検討していくために庁内に検討会を置いたわけでありますし、また、そういった反省も踏まえまして、ことしの八月にも、土地利用の連絡会議を関係者においてつくらせていただきましたので、今後はそういうことが生じませんように努めてまいりますので、よろしくご理解をいただきたいと思います。

○こいそ委員 今、技監からご答弁をいただきまして、いずれにしても、庁内検討会と多摩ニュータウン土地利用情報連絡会ですね、これは期待しています。
 そして、これは庁内の、開発プロジェクトの担当部長が非常に中心的に取りまとめてやっていただいて、それもすごく、我々としても、地元としては感謝している。それで、我々としても評価をさせていただいているところなんですね。ですから、こういう庁内及びその連携ですよね、こういうところを、土地利用情報連絡会が設立されたわけでありますから、ぜひ有効な土地活用が図れるように、また一層のご努力をお願いしたいなというふうに要望させていただきたいと思います。
 続きまして、これは都の関係もそうだと思うんですけれども、大変頑張っておられる担当の方々にはちょっと申しわけないんですけれども、今、多摩ニュータウン、とりわけ都有地の土地販売が極めて、まちづくりという観点よりか、土地をともかく売るんだ、土地をともかく売らなければ、俗にいうところの隠れ借金だとか負の遺産だとか、何かよくわけがわからないんだけれども、そんなようなことがまことしやかにいわれているわけなんだけれども、そんなに恥ずかしい事業をしたのか。私はすばらしい事業だと思いますよ、これははっきりいって。
 そういう中で少し残念なのが、宅地販売が余りにも前面的に出過ぎているのではないか、目立ち過ぎているのではないかと思えてならないんですね。
 とりわけ道路整備、鉄道整備、インフラがしっかりと整備をされてきましたね、されているんですよ。そうなってくれば、いろんな立地的な面から考えても非常に有利、有効な土地であることは間違いないんだ、これははっきりいって。よって、私は、そこに誘致する企業、そしてまた、さまざまな有効的に土地を活用してくれる、それから、そのまちにさまざまに活性化をもたらしてくれる、まさに多機能的な、導火線に火をつけるようなごとく、表現は悪いけれども、こういうような街並み整備を、都市整備局としてはやっぱりしっかりと腰を据えてやっていただきたいなというふうに思うんですね。
 何か土地販売ばかりが、申しわけないけれども、それなりにいろんなことをいわれているから、頑張ってやらざるを得ないということはわかるんだけれども、局として、このあたりどうでしょうか。

○今井多摩ニュータウン事業担当部長 多摩ニュータウンにおきましては、今、先生おっしゃいましたように、道路、鉄道などの都市基盤が非常に高水準に整備されておりまして、また、緑豊かな職住近接のまちづくりが進められてきたところでございます。東京都は、こうした資産を生かしまして、宅地販売を通じてまちづくりに寄与する、こういう観点から都有地の販売を進めているつもりでございます。
 とりわけ、今おっしゃいました業務用地につきましては、地元市と十分協議、調整をいたしまして、当該地元市の産業振興でありますとか、地域の活性化に寄与する事業者の誘致に努めているところでございます。その成果の一例といたしまして、昨年、多摩センター駅北側の都有地につきまして、有力なソフトウエア企業に宅地を販売したという例も挙げられるかと思います。
 今後とも、地元市、関係者と連携を密にいたしまして、業務系の諸施設の適切な導入を図ってまいります。

○こいそ委員 それでは、るるご質問させていただきまして、取り方によっては大変失礼な質問もあったかと思いますけれども、それははっきりいって、ご担当の部長や課長の皆さんの努力というのは、我々はよくわかっています。その上でこのような質問をさせていただいているわけでありまして、恐縮をしますけれども、ぜひひとつ、今までのようなお話を、具体的な形で、これからも、よりお願いしたいと思います。
 最後に、局長の方から所見なりお考えを聞かせていただきまして、終わらせていただきたいと思います。

○柿堺都市整備局長 多摩ニュータウンにつきましては、昭和三十八年の新住法の施行以来、四十年の長きにわたってまちづくりを営々として進めてきたわけでございます。当初は住宅の大量供給というのが主な目的でございましたけれども、ご質問にもございましたように、昭和六十一年の新住法の改正を契機に、住機能だけでなくて、多様な機能を立地するということに変更してきたわけでございます。このように、それぞれの時代の要請を踏まえるとともに、核都市の位置づけによりまして、業務・商業、文化施設の充実など、多様な機能を備えた先導的なまちづくりが進められているというふうに認識をしております。
 しかしながら、四十年に及ぶ事業期間の中では、初期に入居した地区や、現在でもまちづくりが進められている地区など、開発時期あるいは地区により、それぞれ抱えている問題も異なっているのも事実でございます。このようなさまざまな状況にあるわけでございますけれども、地権者の方々あるいは関係者の方々の努力によって、ご質問にもございましたように、道路、公園などの都市基盤が充実し、世界に誇れるニュータウンに育ってきているんだろうというふうに思っております。
 都といたしましては、整備された都市基盤や豊かな自然を生かしまして、複合的な都市機能が調和した活気あふれるまちの形成に向けて、社会経済情勢の変化を見きわめながら、土地利用計画に沿った未利用地の活用を適切に図っていくということが重要だというふうに考えております。
 今後とも、地元市や関係機関と連携しまして、複合的な都市機能を備え、あるいは地域に貢献できるまちづくりに取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○石毛委員 質問させていただきます。地下街における浸水対策についてお伺いいたします。
 最近、都内では、時間五〇ミリを超える豪雨が夏季に集中しているように思われますが、昨年で例を申し上げますと、八月十五日一二四ミリ、また、九月四日には一一二ミリと、一〇〇ミリを超す場面もかなり出てきているわけであります。このことは、治水対策の必要性は従前に増して高くなっているというふうに思われるわけです。
 そこで、都の進めている治水対策の基本的な考え方、その辺をちょっと、進捗状況を含めてどうなっているのかお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 現在、都は、都民の生命、財産を守る観点から、総合治水対策として、流域一様に時間五〇ミリ相当の雨が降った場合を想定いたしまして、河川と下水道それぞれの整備を進め、あわせまして、面的に雨水の流出を抑制するための施策として浸透ますの設置などを進めております。
 その進捗状況でございますが、平成十八年三月末現在、一時間五〇ミリの雨量に対する護岸の整備と環七地下調節池などの整備を合わせました河川の治水安全度達成率、こういった指標があるわけでございますが、これで示しますと七三%でございます。
 また、下水道の管渠と調整池の整備などによる雨水対策の進捗率は五一%となってございます。
 さらに、雨水ますなどの貯留浸透施設は、都内合計でございますが、四百九十万立方メートル、この量は、二十五メートルプールに換算いたしますと、約一万六千倍の分に相当する施設が既に設置済みでございます。
 これらの治水施設により、局所的かつ短時間に降った、時間一〇〇ミリを超える昨年九月四日の豪雨、あるいはお話にありましたような豪雨におきましても、五〇ミリ整備が完了した地域におきましては浸水被害が少ないなど、確実にその効果が発揮されております。
 このため、今後とも、河川や下水道の五〇ミリ整備を着実に進めることが大切である、このように考えております。

○石毛委員 わかりました。
 浸水に脆弱な地下空間というのでしょうか、特に不特定多数の方々が集まる地下街における浸水対策が重要であろうというふうに思います。
 先日も報道ステーションで、渋谷の地下街のシミュレーションをちょっとやっていたわけですが、アナウンサーというんでしょうか、女性の方が、水が流れているところに一生懸命上へ上ろうと思っても全然上がれない状況。若い方の状況でありますので、年とった方あるいは障害者はまず無理だろう。ただ、あの中で、出口を違うところを探せば大丈夫だという話がちょっと出ておりました。
 しかしながら、出口がどこにあるのか、例えば三番出口あるいは五番出口なんていうところを、そこまで歩いていかなければいけないとか、その辺の誘導の部分だとか、いろいろあると思うんですが、そういったことを含めて、渋谷を初めとする大きな地下街を抱えるターミナル駅周辺の、集中豪雨が降った場合、甚大な被害が出るというふうに思われるわけですが、例えば渋谷、新宿あるいは東京、池袋、こういった主要なターミナル地下街における浸水被害の実績と対策、これについてお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 浸水被害の実績というのでしょうか、状況と対策ということのお尋ねでございます。
 初めに被害の状況でございますが、渋谷、新宿、東京、池袋の主要四ターミナルの地下街におきましては、大分前になりますけれども、昭和五十六年七月二十二日に新宿サブナードで、時間最大七五ミリの雨によりまして約三十センチの浸水被害、また、平成十一年八月二十九日に渋谷地下街におきまして、時間最大九九ミリの雨によりまして約二十センチの浸水被害の二件が発生しております。
 地下街における浸水被害への対策につきましては、都や区市町村が浸水予想区域図というものやハザードマップを作成いたしまして、その危険性を積極的に周知するとともに、各施設の管理者が、地下街周辺の浸水予想や浸水実態などを踏まえまして、止水板や排水ポンプなどの設置を進めております。
 以上でございます。

○石毛委員 ある程度状況はつかめたところでありますが、最近は集中豪雨、地球温暖化もあるんでしょうけれども、本当に多く、日本だけではなく、日本の中でも例えば九州だとか、近いところではありましたし、世界じゅうでそういった状況が続いております。
 今後もこの状況は増加していくだろうというふうに考えられるわけでありますが、そういう意味では、被害が少なくて済むとは限らないわけであります。大規模な浸水被害を未然に防止する、その手だてを打って対策を行っていく必要があると思います。先ほど止水板の話なんかも出ていたわけですが、これはすぐに持ってきて設置するとか、結構大変だろうなと。
 先般のテレビでの状況では、ちょうどハチ公のところでしょうか、水が非常に集まりやすくなっていて、かなりの、状況では下に浸水していくということが出ていたわけであります。あのシミュレーションでいえば、そういったこともあり得るわけでありますので、ほかのところもそういったところが、雨量の状況によっても違うとは思いますが、今後そういったところが都市における問題点、弱点というところになろうかと思います。
 こういうものを今後、都民の安全や生命を守るために、地下街における浸水対策を一層確立していくことが必要だと思いますので、その点ちょっとお伺いいたします。

○石井都市基盤部長 私も先日、そのテレビ朝日の報道ステーションの番組というのを見させていただきましたけれども、先ほど来、委員からお話がありますように、近年、夏の時期に時間五〇ミリを超える集中豪雨が、局所的ではありますけれども発生しておりまして、地下街における浸水対策など、まちづくりの面からも、浸水被害を最小化する対策はその重要性を増しつつあると認識しております。
 このため、本年五月でございますけれども、学識経験者などから成ります豪雨対策検討委員会、こういうものを立ち上げまして、豪雨対策のあり方について、地下街における浸水対策を含め検討を進めているところでございます。
 今後、本委員会からの答申を踏まえまして、都として豪雨対策に関する基本方針を策定し、総合的な治水対策を積極的に推進することによりまして、委員おっしゃるような都民が安全に安心して暮らせる東京を実現してまいりたい、このように存じております。

○石毛委員 わかりました。
 今、豪雨対策検討委員会を立ち上げているわけですね。その中で基本方針、答申を出すということでございますので--災害はいつ来るか、また待ってもくれません。こうした地下街における浸水対策は、私は今、十分であるというふうにはいえないんじゃないかと思います。ぜひ都民の命と財産を守るために、早急にこの対策を立ち上げて進めていただきたい、そのようにお願い申し上げまして、終わりにさせていただきます。

○上野委員 私からは、まず、十七年度の重点事業として都が積極的に取り組んでこられました木造住宅密集地域の整備について、四点ほどお伺いいたします。
 初めに、一般会計決算説明書五四ページを見ますと、木造住宅密集地域整備促進事業の中で緊急木造住宅、この事業は、たしか平成十六年に事業の効率化を図るために統合されたと記憶しておりますが、予算現額に対する執行率が一三・一%と非常に低くなっております。大事な事業でもありますので、この低くなった理由を事業の概要を含めてお伺いいたします。

○座間参事 ご指摘の事業の概要と執行率についてでございます。
 決算説明書の五四ページの中段に、緊急木造住宅六地区と表記された事業がございます。これは緊急木造住宅密集地域防災対策事業でございまして、平成七年の阪神・淡路大震災を契機として、平成九年度に都が単独で創設した補助事業でございます。
 また、その上段の木造住宅密集六十六地区と表記された事業につきましては、国費を導入して木密地域の整備を実施している、いわゆる木密事業でございます。
 ご指摘の都単独の補助事業は、この木密事業を実施している地区のうち、延焼の危険性が高く、市街地大火のおそれがある地区について事業を実施するものでございまして、これまで主に細街路整備やまちづくり活動への支援などを行ってきております。
 このうち細街路整備につきましては、国におきましても、都の要望を受けまして、平成十六年度、木密地域の効果的、効率的な整備を推進するため、木密事業の補助申請手続を簡略化し、国費を容易に導入できることとしたものでございます。このことから、平成十七年度におきましては、都単独の補助事業を予定していた多くの地区におきまして、国費対応の木密事業による細街路整備を実施することとなりまして、結果として都単独の補助事業の執行率が低くなったものでございます。
 なお、国費対応の木密事業と都単独の補助事業を合わせた事業の執行率は八七・五%でございます。

○上野委員 当初予定していた整備内容はほぼ実施しているということが確認できまして、安心いたしました。
 先ほど答弁にありました木密事業についてでございますが、これまでの整備内容と地区数、実績についてお伺いいたします。

○座間参事 木密事業の整備内容と実績についてでございます。
 都は、木密地域における消防、救急活動を確保するための生活道路の拡幅整備や、建築物の不燃化促進に向け、事業者である区と連携し、国費対応の木密事業を進めてまいりました。
 平成十七年度末までに、事業完了地区を含めまして、六十八地区、約二千八百ヘクタールを対象に事業を展開しておりまして、約十二ヘクタールの道路、公園を整備するとともに、約七千戸の不燃化建てかえ、三百六十戸の従前居住者用のコミュニティ住宅建設などを行っております。

○上野委員 お聞きしました事業の実績によりますと、道路、公園の整備や不燃化建てかえなど、着実に整備を進めていることがわかります。
 ただ、現場を見ていきますと、その整備効果というのがなかなか目に見えてこない、このように思います。その理由は幾つか考えられると思いますけれども、木密地域の特性であります敷地境界がはっきりしていないとか、あるいは権利関係がふくそうしているとか、また、敷地が狭い上に道路に接していない建物が多い、こういったことなどから、結局は個別建てかえにとどまっている。つまり、面的に広がる整備効果が薄いからではないかと思います。
 こうした課題を克服していくための施策というのが必要であると思いますけれども、所見をお伺いします。

○座間参事 木密地域の整備についてでございます。
 東京都は、防災都市づくり推進計画に基づきまして、整備すべき地域の重点化と、街路事業や木密事業など、さまざまな事業の重層化によりまして木密地域の整備を進めてきております。
 木密地域の整備を効果的に推進するためには、個別建てかえや共同化を一層促進するほか、一定の街区単位で取り組むことが有効でございます。中でも平成十五年度に創設されました防災街区整備事業は、面的な広がりをもって老朽建築物を除却し、防災性能を備えた建築物及び道路、公園などの公共施設の一体的な整備が可能な手法でございまして、現在、都内でも、この新しい手法により、事業化に向けて積極的に取り組んでいる地区もございます。
 今後とも、この事業を効果的な整備手法として活用し、従来の木密事業とともに木密地域の整備を推進してまいります。

○上野委員 話は変わりますけれども、けさも地震がありました。首都直下地震への不安から、都民が安心して暮らせる東京構築への要望というのが一段と高まっております。こういった都民の生命、財産、暮らしの安全を守るためにも、木密地域の改善を早期に進めることが必要であると考えます。
 そのためには今後どのように取り組んでいくのか、ご決意もあわせてお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 首都直下地震の切迫性が指摘され、また、都の被害想定におきましても、木密地域を中心に甚大な被害が想定されていることなどから、一刻も早く木密地域の防災性を向上させることが重要であると認識しております。
 都といたしましては、防災都市づくり推進計画に定める重点整備地域ごとに、地域特性に応じた整備プログラムを策定いたしまして進行管理を行うなど、目標達成に向けた各種施策の着実な推進に努めてまいります。
 また、今後とも、東池袋地区や鐘ケ淵地区で進めております沿道一体整備事業を初め、防災街区整備事業などの効果的な事業手法を積極的に活用し、整備のスピードアップを図るなど、区と連携いたしまして、防災都市づくりを積極的に推進してまいります。

○上野委員 次ですけれども、同じく十七年度の重点事業であります、情報新技術を活用したまちづくりについて、三点ほどお伺いいたします。
 まず、ICタグなどのIT技術を活用した実証実験についてでございます。
 私は、第一回定例会の一般質問の中でも、ユビキタスネット社会の実現を目指すという観点から、子どもの安全確保についても、最先端のICタグなどのIT技術を活用した実証実験に積極的に取り組むべきである、このように主張いたしました。いつでも、どこでも、だれもが必要な情報を自由にやりとりできるというこのユビキタスネット社会の実現は、情報革命であると同時に、私はまちづくり革命であると思っております。
 八月三十日には、東京が二〇一六年オリンピック招致の国内候補都市として選定されました。オリンピックが開催されれば、国内だけではありません、世界各地から多くの人が訪れます。それに備えて、東京を訪問する人々に対して、わかりやすく、そして移動しやすい都市とすることが急務であると思います。
 以上のような視点から、平成十七年度の重点事業であるICタグなどを活用した実証実験、すなわち東京ユビキタス計画の取り組みは大変に重要であると思っております。
 また、主要な事業であり、所期の目的が達成されたのかどうか、その進捗に注目しているところでございます。
 そこで、この事業の昨年度の成果についてお伺いいたします。

○村尾企画・技術担当部長 昨年度のICタグ等を活用した実証実験の成果についてのお尋ねですが、上野動物園において、ユビキタス技術を活用し、動物の生態や特徴、成長記録などを音声つき画像で紹介し、体験者の方々から好評を得ました。また、上野公園内の隠れた名所をめぐるコース案内などを行いまして、参加者の方々から、今後の活用について期待が寄せられております。ユビキタス技術の観光面における有効性、将来性が確認されたことと考えております。
 さらに、秋葉原におきましてユビキタス技術の紹介、展示を行い、一カ月半の間に六千名近くのお客様が訪れました。
 こうしたことで、広く国内外に情報発信を行うことができたと考えております。

○上野委員 上野の実験波及効果として、他の自治体や民間企業での取り組みも進められたと、このように聞いております。また、上野動物園では、ことしの十月から本格運用が始まったと伺っております。
 技術の実用化に向けまして、昨年度の成果を踏まえ、この時期を逃さず、一歩でも二歩でも前進させていくということが必要であると思います。
 そこで、今年度も実証実験の予算が計上されていると聞いておりますが、どのような取り組みを行うのかお伺いいたします。

○村尾企画・技術担当部長 今年度の取り組みについてでございますが、昨年度の上野の実験は大きな成果が得られたわけですが、あくまでも東京都の施設内という、比較的実験を実施しやすい条件のもとで行われたものでございます。
 今年度は、市街地であります銀座で実験を行うこととしております。この地区は、多種多様な電波がふくそうし、干渉し合い、地下街から道路、建物に至る垂直的な移動や、お店やまちの種々多様な情報提供が求められる繁華街でありますことから、実際の町中で手軽に使える技術としていくための新たな知見が得られるものと考えております。

○上野委員 社会に新しい技術を根づかせるには、初期の段階で官が主体的な役割を果たし、また、専門的な知見を有する坂村教授を初めとします研究機関と連携していく、これが重要であります。さらには、何と申しましても、社会への普及の原動力となるのは民間であります。いわば官学民の三位一体の力の結集こそが大事であると考えております。
 そこで、この技術を実用化レベルまでつなげるためには、民間の参画意欲を促すことが重要であります。すなわち、多くの人が使いたくなるようなシステムの構築を目指すべきでありますが、銀座地区の実証実験にどのように取り組んでいるのか、見解をお伺いいたします。

○村尾企画・技術担当部長 技術の普及に向けた銀座実験でのシステムの構築についてのお尋ねですが、これまでの官と学の連携に加え、民間の方々の積極的な参画を誘導できるような新たな取り組みを進める予定でございます。
 具体的には、ハード面の環境整備を進めまして、手軽に情報が取得できる装置なども導入するとともに、ソフト面でも、地元の方々との連携によりまして、地域に根差したきめ細かな情報をリアルタイムに提供したいと考えております。
 これにより、多くの方々が使いたくなるようなユビキタス技術の普及に積極的に取り組んでまいります。

○上野委員 二〇一六年オリンピック招致というのは、今や都政における最重要課題の一つでございます。今後、海外との激しい招致合戦があります。三年後に控えた開催都市選考レースに勝ち残るには、日本の有する最先端技術にさらに磨きをかけまして、海外にアピールしていくことが不可欠であります。そのためにも、東京ユビキタス計画銀座実証実験をぜひとも成功させていただくよう要望するとともに、私も大いに支援してまいりたいと思っております。
 次に、最後の質問に移りますが、江戸川区内における区画整理事業について、四点ほどお伺いいたします。
 まず初めに、瑞江駅南部地区、平成十六年度に事業が完了したものと記憶しておりますが、この地区の平成十七年度決算の状況を見ますと、二千五百万円の予算に対して約四四%の執行率となっております。まず、その理由についてお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 瑞江駅南部地区は、平成十五年度中に移転工事が完了したことから、十六年度末に換地処分を行ったところでございます。
 平成十七年度の業務は、換地処分後に行う建物等の登記嘱託委託、事業の経過を整理した事業史の作成などであり、必要な業務はすべて完了いたしましたが、登記嘱託の件数が予想より少なかったことや、コスト縮減に努めたことなどから、執行率が四四%となったものでございます。

○上野委員 業務そのものは、予定どおりすべて完了したということで安心いたしましたけれども、またコスト縮減にも努められた、これに対しては私も評価したいと思います。
 次に、瑞江駅周辺ですけれども、西瑞江地区、瑞江駅南部地区、この二地区の事業が完了し、現在、瑞江駅西部地区が事業中であります。また、篠崎駅周辺でも、篠崎駅東部地区で事業が進められていますが、この両地区の事業の現状についてお伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 都営新宿線瑞江駅及び篠崎駅の開設に伴いまして、両駅周辺で区画整理事業による駅周辺のまちづくりを進めてきており、ご質問の両地区の事業はその一環でございます。
 瑞江駅西部地区は、平成十四年度より移転工事に着手しており、地区中央の補助二八八号線沿い北側から移転工事を進めまして、昨年度からは移転の範囲を南側に広げて事業に取り組んでおります。
 また、篠崎駅東部地区は、平成十三年度より移転工事に着手しており、既に事業完了済みの駅に近い篠崎第一地区からまちが連檐するように移転及び工事を進めているところでございます。

○上野委員 先日、区画整理促進議員連盟の総会に参加いたしました。そこで、東京都より、臨時交付金の運用改善による新たな国費の導入を図ることについてお聞きいたしましたが、この両地区でそれがどれぐらい導入されるのか、お伺いいたします。

○宮村市街地整備部長 東京都の財政状況が厳しい中で事業を推進していくため、新たな財源の確保に向け国に働きかけてまいりました結果、今年度より、臨時交付金の運用改善による新たな国費の導入が図られることとなりました。
 導入されることとなります国費は、両地区総額で、事業費の約一割に当たる六十三億円を見込んでおります。

○上野委員 私も、この地域にいろんな形で入っていきます。地元に入りますと、この区画整理へのさまざまな要望を受けるわけでございますが、その中で最も多いのが、早く事業が完成できること、それを望む声が一番多い、こういう状況でございます。
 そこで、両地区の事業の完成見込みと都の取り組み姿勢をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○宮村市街地整備部長 現在の事業計画で定めた施行期間は、瑞江駅西部地区が平成二十五年度、篠崎駅東部地区が平成二十九年度までとなっております。
 両地区とも、移転工事を本格的に行える状況になってからは、毎年、事業費の増額に努めてきております。平成十七年度決算額で見ますと、前年度に比べ、瑞江駅西部地区では七四%増、篠崎駅東部地区では三七%増となっております。
 両地区の事業につきましては、地元から早期完成の要望があることは十分認識しておりまして、計画期間内の完成に向け、今後とも国費の確保に努めるなど、より一層の事業促進が図られるよう、全力を挙げて取り組んでまいります。

○たぞえ委員 初めに、高速道路について伺います。
 十七年度の首都高速道路への出資金の予算現額と支出済額、執行率をまず示していただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 平成十七年度の首都高速道路事業への東京都の出資金の予算現額は百三十六億五千五百万円でありまして、支出済額は百三十三億五千二百万円でございます。執行率は九八%となっております。
 以上でございます。

○たぞえ委員 この五年間で見てみますと、首都高への出資金、合わせて五百四十二億八千九百万円にも及んでいます。
 首都高速中央環状品川線計画の事業については、局は、十七年度どのようなかかわりを持ったのでしょうか。

○石井都市基盤部長 品川線につきましては、首都高速中央環状線の最後の区間として、平成十六年十一月に都市計画の決定を行っておりまして、平成十七年度につきましては、都が品川線の一部について九月に事業認可を取得し、事業に着手いたしました。

○たぞえ委員 既に新宿線、品川線のパンフレットが出されておりまして、それを読みますと、新宿線の延長十一キロ、品川線は九・四キロ、道路区分はどちらも第二種第二級の自動車専用道路、車線数往復四車線、設計速度時速六十キロ、こういうふうに、どちらも全く同じです。違うのは路線名だけです。この二つの道路は、高速道路として一体のものなんですか。

○石井都市基盤部長 中央環状線は、起点を湾岸線の大井ジャンクション、終点を葛西ジャンクションとし、都心から約八キロ圏を一周する全長四十七キロメートルの路線でございます。
 中央環状新宿線と品川線は、中央環状線の西側及び南側の部分を形成しており、既に供用済みでございます東側及び北側部分の二十六キロメートルとあわせて一体となりまして、首都圏三環状道路の一つとして、首都高速都心環状線に集中する交通の分散あるいは渋滞解消、所要時間の短縮、環境改善などの整備効果を発揮する路線でございます。

○たぞえ委員 それでは、新宿線と品川線の事業者はそれぞれどこですか。

○石井都市基盤部長 新宿線の事業者は首都高速道路株式会社でございまして、品川線の事業者は東京都及び首都高速道路でございます。

○たぞえ委員 首都高速道路であるのに、なぜ品川線は東京都が負うんですか。

○石井都市基盤部長 品川線は、首都圏の人や物の流れを円滑にし、都市再生を図る上で大変重要な路線でございます。そして、その整備効果は極めて高く、一日も早い整備が必要である、このように考えているところでございます。
 しかしながら、首都高速道路公団民営化後の新会社が事業を着手するのは、早くとも平成十八年度以降であったことから、これを待っていたのでは、平成十六年十一月の、先ほど申し上げましたけれども、都市計画決定から一年以上何もしない空白期間というものが生じるという問題が浮上いたしました。
 また、品川線は地下方式を採用し、事業費が大幅に増加することとなりましたことから、すべてを有料道路事業で整備いたしますと、事業費を料金収入で賄う部分が多くなりまして、その結果、利用者の負担が大きくなるという問題がございました。
 こうしたことから、品川線につきましては、既に圏央道などで実施されている街路事業と有料道路事業との合併施行を導入し、整備することとしたものでございます。

○たぞえ委員 十七年度は首都高に百三十三億円の出資がされる一方で、事業のスピードアップのために、東京都が首都高と一体となって行う。一方、都民には財政が厳しいんだ、厳しいんだといって、首都高にお金は入れながら、みずからの腹も切っていく。
 こういうやり方で、一体なぜそんなに急がなければいけないのか。オリンピックという一つのゴールというところに、どうしても考えざるを得ないわけです。空白があってはならないと。
 しかし、人口減少や車の推移を見ても、私は、さほど急ぐべきものでないものに手を加えたという点では、都政の中の転換かなというふうに思うわけです。
 そういう財政的に請け負った事例、東京都内にはほかにあるのでしょうか。

○石井都市基盤部長 都内でそういう事例があるかというお尋ねでございますが、品川線のように自治体が高速道路の事業者となっている事例は、東京都内ではございません。
 なお、ご参考まででございますけれども、全国で見ますと、阪神高速道路において二つの事例がございますし、自治体ということではなく、国と高速道路会社という事例からですと、先ほど申し上げましたような圏央道の例がございます。

○たぞえ委員 首都高に出資だ、貸し出しだといって相当なお金をつぎ込む一方で、今度は街路事業だといって高速道路事業に東京都が手を出す。税金の二重負担だと思います。
 さて、道路公団は民営化されましたが、有料道路事業の民営化以前と以後の仕組みについて説明いただきたいと思います。

○石井都市基盤部長 民営化前後の仕組みの違いというお尋ねでございますが、その後の首都高の取り組みもあわせてちょっとご説明申し上げたいと思います。
 旧首都高速道路公団を含みます道路関係四公団は、都議会など、各道路管理者の同意を得まして、本年四月に本格的に、ご承知のとおりでございますが、民営化がスタートしております。
 その際の民営化のポイントについてご説明申し上げますと、第一点目は、有利子債務を民営化後四十五年間で確実に償還することが明確になったこと。このために、二点目でございますが、高速道路の債務と返済を担う独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構と、高速道路の建設や管理、料金徴収を行う民間会社が設立されたという二点にあるといえようかと思います。
 この民営化によりまして、真に必要な道路を、会社の自主性を尊重しつつ、早期にできるだけ少ない国民負担のもとで建設していく、また、民間ノウハウの発揮により、多様で弾力的な料金設定や多様なサービスを提供することが可能となるとされております。
 例えば、これまでにも、ETCを活用した、夜間やオフピークあるいは休日などでの料金の割り引き実施や、パーキングエリアへのコンビニ設置など、利用者サービスの向上が図られている、このように感じているところでございます。

○たぞえ委員 そこで、外環について伺いますけれども、外環は、なぜことし二月の国幹会議に予定路線として検討されなかったのでしょうか。

○山口参事 外環は、国土開発幹線自動車道建設法第三条の規定に基づき、国において建設すべき予定路線として既に定められております。
 ご質問の本年二月の国幹会議でございますが、正確には国土開発幹線自動車道建設会議では、既に整備計画路線となっている九千三百四十二キロにつきまして、民営化された高速道路株式会社と日本高速道路保有・債務返済機構との間で協定を締結するために、会社による整備区間、改めて指定することを主な目的でされたものでございます。

○たぞえ委員 なぜ国幹会議で外環が検討されなかったのか、もう一回お答えください。

○山口参事 ただいまお答えいたしましたけれども、外環につきましては、既に予定路線として定められてございます。ことしの二月の国幹会議は、既に整備計画路線となっている九千三百四十二キロにつきまして、会社と債務返済機構との間の協定を締結するために検討するということを目的にされたものでございます。

○たぞえ委員 この会議に予定路線入っていないんですよ、外環は。かつて都市計画決定したが、凍結をされ、その後、この国幹会議では一度も路線としては出てこないものなんです。だから、この二月の国幹会議では、新聞報道もされているように、外かく環状線という名称すら出てこないのです。だから決定もされていない、そういう状態です。
 今、外環は都市計画の手続が行われていますが、次に開かれる国幹会議で予定路線にならない場合、事業主体は東京都になって、中央環状品川線と同じ街路事業になりかねないことになると思いますが、どうでしょうか。

○山口参事 委員のご質問は、外環が予定路線になっていないのではないか、今回の国幹会議で審議されなかったのではないかという趣旨のご質問かと思いますが、今お答えしたように、外環につきましては、既に法に定める予定路線として定められているわけでございます。今お答えしたように、二月の国幹会議につきましては、さらに格上げされた整備計画路線九千三百四十二キロの中の配分について検討されたものでございます。
 今申し上げたように、この対象といいますのは、既に外環は予定路線になっているというところでございますので、ご理解いただきたいと思います。

○たぞえ委員 予定路線になっているとおっしゃるなら、なぜいまだこの事業主体が決定されないのですか。
 私、今、聞きましたように、次の国幹会議で予定路線に入らなかった場合、どうなるんですか。

○山口参事 国幹会議につきましては、必要に応じて適宜開催されるものとされております。次回の開催につきましては、現段階では未定であると聞いております。
 都としては、国に対し、早く整備計画を定めて、一日も早く事業に着手できるよう働きかけていきたいというふうに考えております。
 なお、ご質問の、建設主体はどこかということにつきましては、今後定める基本計画等で国等で定めていくということでございますので、現在、建設主体等については未定であるということでございます。

○たぞえ委員 十七年度の都市基盤調査費が都市整備局によって計上されていますが、外環にかかわるまちづくりに関する調査費として予算現額千四百四十九万円が計上されました。調査の内容はどのようなものですか。

○山口参事 外環に関した調査についてお答えいたします。
 外環につきましては、これまでさまざまな情報提供を行い、都民などから幅広く意見を聞きながら検討を進めてまいりました。また同時に、外環のインターチェンジやジャンクション周辺のまちづくりに向けた検討、地上部街路の検討なども行ってきたところでございます。
 平成十七年度の調査は、これまでの調査結果等を踏まえまして、外環の整備が都市内交通に与える影響を把握し、外環周辺道路網のあり方の検討を目的として行ったものでございます。
 調査の内容は、交通混雑の緩和や地域のまちづくりへの支援、バス交通の利便性の向上などの視点から、外環周辺の道路整備の必要性や期待できる効果などについて検討を行ったものでございます。

○たぞえ委員 それでは、なぜこのような調査を行ったのですか。

○山口参事 外環は、先ほど申し上げましたように、国土開発幹線自動車道であり、国の責任で整備すべき路線ということになっております。現在、国土交通省が事業予定者となっております。
 外環の整備に伴いまして、地域の交通の変化やまちづくりにつきまして現状を把握し、周辺道路整備の検討を行うことは、地元自治体として当然であると考えております。
 したがいまして、都としましては、外環整備に合わせて必要となる周辺道路整備やまちづくりについて検討を進め、国や沿線区市との適切な役割分担などにより、最大の効果があらわれるよう努めてまいります。

○たぞえ委員 この報告書を読みますと、外環については、カラーでバラ色に描かれていますよ。しかし、負の効果についてはなぜ検討しないのですか、東京都は。

○山口参事 現在、外環につきましては、ことしの六月に都市計画変更案並びに環境影響評価準備書を公告縦覧いたしました。あわせて、環境影響評価の前提となる将来交通の資料につきましても、同時に公表しているところでございます。公表した将来交通量は、予測年次を外環の供用が見込まれる平成三十二年とし、現在事業中の都市計画道路などの完成を見込んで予測したものでございます。
 これによりますと、平成三十二年には外環本線の供用や周辺道路の整備が一定程度進むことから、交通の分散が図られ、外環のインターチェンジを設置しても、周辺の交通は現状とほとんど変わらない、こういうような予測をしているところでございます。
 また同時に、インターチェンジ周辺の環境につきましても、準備書で明らかにしたとおり、大気質だとか騒音、振動など、いずれの項目につきましても、評価の指標である環境基準などを下回っており、環境への影響が少ないと予測しているところでございます。
 今回行った調査は、今申し上げたような調査の方にも反映しているということで、私ども、効果だけではなく、外環整備が周辺にどういうような影響を与えるのかということにつきましても、環境影響評価書として公表しているところでございます。

○たぞえ委員 十八年三月ですよ、これが発行されたのは。十七年度予算を使って。都市計画やアセスはその後ですよ。十八年四月以降、つい最近、六月です。もしアセスや都市計画が出るための一つの材料だとしたら、今、答弁があったような効果とか、さまざまな影響とか、ここで検討されなければいけなかったんじゃないですか。ないです、一つも。
 この年度でいえば、沿線住民と、外環の必要性についてPI協議会で積極的な議論が行われていました。同時に、沿線各地で意見を聞く会、こういうものも開催されて、各区や市議会にも東京都が出向いて報告をして議論が行われてきた、そういう時期だったんです。
 その内容といえば、各地で皆さんがおっしゃっていたのは、そもそも地下化なんだ、地上部はそのままだ、こういうふうに自治体や住民に語ってきたんです。主体は地下なんだと。だから、多くの皆さんが、それならば環境に影響はないだろう、土地も今までどおり住んでいいんですねと、こういうふうに地元はいっていたのが、突然、地上部も高速道路の一体化で行われる。だまされたというふうに皆さんおっしゃっていますよ、PI協議会も。
 外環は通過交通対策だと、これまでも東京都はいっていましたが、そういうことであれば、地下の本体だけで足りるんです。なぜ上部道路が必要なんですか、改めて伺います。

○山口参事 外環の地上部街路につきましては二種類ございまして、現在、都市計画変更をしようとしておりますのは、東八道路から南側の附属街路というところでございます。これは、機能上、地先の方の出入りのための道路という位置づけになっておりますので、外環が地下化されることによって、その機能を廃止するという形になっております。
 東八道路から北側につきましては、外環本線のほかに、外環ノ二という都市計画道路がございます。これは、外環を収容する空間のみならず、東京の幹線道路のネットワークを形成し、交通の円滑化を図るとともに、地域の利便性の向上や沿線のまちづくりに寄与する道路と考えているところでございます。
 東京都は、この地上部の街路につきまして、緑豊かな道路として整備するなど、検討の方向性を示した資料を作成し、住民の方にも説明をしているところでございます。さらに、ことしの二月に公表いたしました多摩地域における都市計画道路の整備方針においても、検討する路線として位置づけをし、広く意見を聞きながら進めているところでございます。
 外環ノ二、いわゆる地上部道路につきましては、今後とも、沿線の住民の方や自治体の意見を聞きながら検討していきたいと考えているところでございます。
 なお、今回、都市計画変更の内容につきましては、外環本線を地下化するという内容でございまして、地上部街路につきましては変更の対象といたしておりません。

○たぞえ委員 必要性があるということですが、この報告書の中では、外環の上部道路の必要性の根拠として、木造密集市街地の環境改善ということが、今ちょうど開いているページに出てきます。これは、この外環周辺地域だけに限らず、東京じゅうの問題なんです。道路をつくらなければできないということではないのです。木造密集問題は、都が最優先に、外環だろうが何だろうが、やらなければいけない事業なんです。
 この外環の上部道路の調査のために、わざわざ木造密集市街地の環境改善ということが検討のワンテーマに入るということ自身に、じゃ、なぜ外環周辺の木造密集を先行して改善を図ってこなかったのか。この外環ができるまで、結局、この地域は、それまで木造密集を置き去りにされるのかということも逆にいえてしまうわけです。
 こういうことを書き込まなければ上部道路の理由づけがされないというふうに、東京都は千代田コンサルタントの会社に委託をされたのですか。

○山口参事 都市計画道路の検討に当たりましては、その効果ということをいろいろ検討するわけでございます。ご指摘の外環ノ二ということだけではなく、すべての都市計画道路の検討に当たっては、そういう整備の効果を検討するというステップを踏んでいるわけでございます。
 具体的に検討する課題としまして、活力ということで、都市計画道路の整備により、多様な交通需要に対してどういうような形で東京の発展が支えられていくのか、こういうような視点、それから今、委員からもありましたように、安全性ということで、道路整備により遮断効果、いわゆる道路が延焼遮断としてどういう効果を発揮されていくのか、こういうような視点、さらには暮らし、道路整備によって、歩道など安全な歩行空間が形成される、こういうような視点、あるいは環境という形で、電線類の地中化だとか、街路樹の整備で新しい都市景観が改善される、こういうようなさまざまな視点をもって道路の整備の効果を検討するわけでございまして、外環だけで検討している、外環ノ二だけでやっているということではございません。

○たぞえ委員 外環は十年以上先の完成年度を目指しているわけですが、私、東京湾北部直下型地震とか多摩直下型地震とかいわれている中で、やっぱりそういう震災対策だとか、まちづくりだとかを先行的にやるのが地方自治体の仕事だと思うんです。外環工事と一体となってやるんじゃ、やっぱり手おくれだと思います。
 例えばこの中に、地域、まちづくりの支援ということを報告書で書いていますが、この四十メートルという巨大な幅の道路ができれば、まちの中に大きな川ができるようなもので、まちが分断されます。住民は、数百メートルごとにしかその道路を渡れないわけですよ。しかも、学校の通学が遠回りになる。老人のための施設に通えない。これは調布保谷線のあの道路幅を見たら、試され済みなんです。しかも、静かなまちに住んでいる人々に立ち退いてもらうということになれば、そこに、結局、活性化という名前で起こるのは、道路横に進出してくる大型店や大規模なマンションの業者ばかりなんですよ。
 私のところの世田谷の世田谷通りという小さな都道でありますが、わずか二十メートル幅で、両側は十階建てのビルが建ち並んで、私の事務所なんか携帯電話使えませんよ、電波が届かないというので。そういうことが東京じゅうあちこちで起こっている。こうした外環が誘致した新しい開発で、人々の暮らしにさまざまな影響が起こる前に、都民の暮らし改善に力を尽くすべきではないかと思います。
 報告書では、世田谷以南についてどういうふうに記載をしているのでしょうか。

○山口参事 外環が東京の首都圏における環状道路のネットワークを構築するわけでございまして、道路交通の円滑化を図る意味からも、外環の世田谷以南、いわゆる東名以南の整備の必要性は高い、こういうような形で検討をしております。

○たぞえ委員 おっしゃるとおりですね。東名以南の整備の必要性は高い、こういうふうに書いていますが、じゃ、どうするということは全然この中には出てこないわけです。結局、外環が世田谷の東名高速のところで、一応、今のところ計画がとまる。じゃ、その車はどこに行くかといったら、首都高ですよ。都心部や神奈川県郊外の東名高速に流れていく。それ以外は世田谷区内に流れ込むだけなんです。
 だから、外環計画を推進している世田谷の区長は、先日の前合わせのアセスに対する意見書の中で、外環の整備で東名、中央高速の交通量の増加が予想されるため、騒音対策を強化するべきであると。私も区長をよく知っているけれども、最も旗振って推進している区長ですら、こういわざるを得ない。ジャンクション周辺の地域交通を担う主要な道路の将来交通量の予測調査を行うべきだと。ここまでいわざるを得ないんですね、区長が。その声、全部五十四項目ですよ、厳しい意見が。
 だから、今度のこの報告書は、都民の前にはあらわれてこない。しかも、さまざまな議会にも出てこなかった。私、こうやって掲げているのを見たのは、実はきのうが初めてですよ、十七年度予算でつくられたものです。都市整備委員をやっていましたが、初めて見た。
 そんな都民の前に明らかにできないような上部道路について検討されて、そしてPIで住民に、議会では、いや、地下だけです、地上はいろいろパターンがあるけれども検討中であります、道路にするわけじゃありませんと。みんな安心したと思っていたら、実は地上があった。そういう点では、やり方としてどうなんでしょうかね、こういうやり方は。ぜひこういうやり方を改めていただきたいと思います。
 さて、時間がありませんので、次に区画整理について伺います。
 都の区画整理事業は、都心部では秋葉原、汐留の二地区、臨海部では豊洲、有明北、晴海の三地区、周辺区部では五地区の合計十地区で事業が行われていますが、石原都知事になってからは、臨海部や都市再生地域に予算配分が大変大きくなったために、戸建てや木造住宅が密集している江戸川区や足立区、北区、事業がおくれていることに、都民からさまざまな意見、批判があります。
 東京都は、江戸川区瑞江西の事業のおくれは、この事業計画に対する住民からの意見書が七百九十通も出て、合意形成がおくれたから事業が停滞した、このようにいっています。しかし、意見書はほとんど出ていない篠崎東でも事業が立ちおくれているのです。予算がつかず、事業が進まないために、住民から強い都への不信があって、先ほども質疑がありましたが、我が党の会派を初め、都議会の各会派が集まって区画整理事業促進議員連盟が立ち上がって、東京都に事業の推進を働きかけています。
 まず、瑞江西、篠崎東両地区の施行済みの面積と、この全体の面積の割合などの事業の進捗状況を示していただきたいと思います。

○宮村市街地整備部長 土地区画整理事業では、施行計画に基づきまして、順次、仮換地指定を行いながら移転工事を進めております。したがいまして、お尋ねの施行済み面積を仮換地指定済み面積ととらえますと、瑞江駅西部地区は四・二ヘクタールで全体の約二〇%、篠崎駅東部地区は四・一ヘクタールで全体の三一%でございます。

○たぞえ委員 それでは、瑞江西の場合、移転をしなければならない棟数は全体で何棟あり、移転を終わった棟数は何棟で、割合はどのぐらいなのでしょうか。

○宮村市街地整備部長 瑞江駅西部地区の移転が必要な棟数は、全体で千二十四棟、そのうち移転済みは百四十五棟であり、全体に対する割合は約一四%でございます。

○たぞえ委員 十七年度の両地区の予算と決算の推移はどのようになっているでしょうか。

○宮村市街地整備部長 ご質問の瑞江駅西部地区の平成十七年度の予算現額は、当該年度分と前年度からの繰越分を合わせまして約二十六億円、これに対する決算額は約二十三億円でございます。
 また、同様に、篠崎駅東部地区の予算現額は約二十四億円、決算額は約二十一億円でございます。

○たぞえ委員 瑞江西は、ことしから地区の南側の移転などに着手するというふうに聞いていますが、この南側の地域は、敷地面積が狭く、戸建て住宅が立て込んでいて、道路は狭く、曲がりくねっています。地区内では最も複雑な街並みです。一括した工事でないと、移転がなかなかスムーズに進まないという地域の特性があります。そのために、スムーズな移転を保証する予算の確保が必要だと思いますが、いかがでしょうか。

○宮村市街地整備部長 ご質問の瑞江駅西部地区の南部の地域につきましては、確かに比較的都市基盤が少なく、家が建て詰まっているという状況がございます。
 ただ、この江戸川区内の事業につきましては、基本的には、ある程度まとまったブロックを一括して移転して、工事をして戻るという仕組みでございますので、特段、南側ということではございませんが、着実な事業を進めるために、予算確保についてはこれまでやっておりますけれども、今後も努力してまいりたいと存じます。

○たぞえ委員 瑞江西の完成年度、当初は平成十六年とこれまで説明されていましたが、その後事業がおくれて、二十六年度に延びました。これらの手続は約二年かかります。平成二十四年までに清算金の交付と徴収、換地処分が終わらないと、二十六年、東京都がいっている完成には至りません。篠崎東では、さらに平成三十年の完成予定でありますから、全体が十二年も先ということになるわけです。
 先ほどの決算でもいわれていましたが、十八年度の予算は、瑞江西が二十九億円、篠崎東が二十三億円で、このままでは、完成年度までに事業が終了するのかどうか大変疑問だという声が出ています。住民に示されている完成二十六年度は、今、守れる、できると、都はどのように考えていますか。

○宮村市街地整備部長 ご質問でありました事業計画で定めた施行期間は、瑞江駅西部地区は平成二十五年度、篠崎駅東部地区は平成二十九年度までというふうに先ほどもご答弁したとおりでございます。この計画期間内の完成に向けまして、今後とも事業促進が図れるように積極的に取り組んでまいります。

○たぞえ委員 この事業は都施行でありますから、東京都みずからが積極的に予算づけをして、そしてこの周辺五地区ですね、完成年度を目指して、ぜひ重点化した予算配置も検討していただきたいというふうに思います。
 最後に、住宅問題で簡単に伺います。
 都市整備局が都営住宅を廃止して、財務局に引き継いだ用地があるわけですが、十三年度以降十七年度までの五年間について、各年度ごとの件数と用地面積を伺いたいと思います。

○小林都営住宅経営部長 財務局に引き継いだ都営住宅用地につきましては、お手元の資料一ページに示してございますが、平成十三年度二十二件、三万八千平方メートル、平成十四年度十四件、四万平方メートル、平成十五年度十五件、二万平方メートル、平成十六年度十件、二万平方メートル、平成十七年度八件、七千平方メートルでございます。

○たぞえ委員 今、全体の面積でいわれましたが、具体的な実例として、十七年度では、足立区の千住橋戸アパート、二棟三十二戸、江東区平野町住宅、五棟十戸、十六年度では、西東京市の保谷民生住宅、五十五棟百三戸、調布市深大町住宅三十七棟などが廃止になっているわけです。都営住宅の機能がとまりました。
 都市整備委員会でも議論されていますが、応募者が今、大変多いという中で、都営住宅が、機能がなくなる、土地もなくなる、もちろん家もなくなる、こういうことが果たしていいのだろうか。
 もし、廃止をして財務局に引き継いだ土地が、引き続き都営住宅として建てかえ等で戸数が確保されれば、都民にとっては、あの殺到しているような応募という状況に、大きな支援の手を差し伸べることができるんじゃないでしょうか。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅の建設につきましては、東京におきましても、中長期的には人口、世帯数が減少していくことが見込まれることなどから、今後は、約二十六万戸あるストックの有効活用に重点を置くこととしてございます。
 このため、現在、新規建設を中止し、総戸数を抑制しつつ、土地の効果的な利用を図りながら建てかえ事業を行っております。
 財務局に引き継いだ用地に都営住宅を建設することは、建てかえ戸数がふえることになりまして、新規建設と同様、総戸数の増加につながることから建設を取りやめたものでございます。

○たぞえ委員 今の答弁で、新規建設と同様、総戸数の増加につながるから建設を取りやめたと。建てませんと、もう建てかえもしませんということですよね。新築はやらない、建てかえも、廃止した都営住宅ではもうやらない。
 こうなりますと、やっぱり今の、例えばきのうのマスコミ報道でも書かれていますように、派遣労働者ですね、産業労働局が発表した数ですが、東京で八十五万七千人ですよ、常勤者じゃない人たちが。パートやアルバイトも東京じゅうにあふれている。そういう人たちが高い住宅に住めないために、どこかないだろうかと。やっと見つけたら、そこは居住水準がレベルより低くて、狭い、おふろもない、トイレも共同、四畳半一つで懸命に暮らしているという若者たちも今たくさんいらっしゃるわけです。
 東京都は、一DKの建てかえによって戸数をふやしていますが、そうした若者たちが入れるような、そういう住宅供給をぜひ進めていくべきであるということを再度申し上げて、質問を終わります。

○宇田川委員 私からも土地区画整理事業についてのお尋ねなんですが、お二人がご質疑されましたので、重ならないように努めてまいりたいと思います。
 区画整理というのは、健全なる街並みの形成といったことはもちろんですけれども、先ほど来お話がありますとおり、防災上の見地などからも大変に意義のある事業であると私も思っております。木密地域の解消であるとか、火災における延焼の遮断、また緊急自動車の通行の確保といった部分、そして街並みにおける景観形成であるとか、また一方で、土地の利用価値を高めるといった部分においても、さまざまな意味合いを含んだ事業だと認識しております。こうした意味合いの事業は、土地区画整理事業だけにはとどまらないと思います。市街地再開発事業であるとか防災拠点としての再開発、また、都市計画道路整備なども、同様の観点に基づいた一環の事業であるわけでございます。
 土地区画整理法において、その第一条で、健全な市街地の造成を図り、公共の福祉の増進に資することを目的とするとうたわれております。
 そこで、まず、土地区画整理事業の意義、必要性などについてどのようにお考えなのか、見解を伺いたいと思います。

○宮村市街地整備部長 土地区画整理事業は、地権者からの公平な土地の負担により、道路、公園などの都市基盤施設と宅地とを一体的、面的に整備する総合的なまちづくり手法でございます。
 また、用地買収方式の道路事業などとは異なり、地域に住み続けられるまちづくりを行うものでございます。東京都を初め、区市、組合による多くの施行実績がございます。
 この事業の実施に当たりましては、地権者の合意形成が不可欠でございますが、ご指摘のとおり、幹線道路整備による交通の円滑化に加え、防災性の向上、居住環境の改善、地域の活性化など、大きな効果が期待できるものであり、道路や公園などが不足している地域などのまちづくりを進める上で非常に効果的な整備手法の一つでございます。

○宇田川委員 それでは、次に、現在進行中の区画整理事業なんですが、特に周辺区での事業について少し具体的にお尋ねをさせていただきます。
 足立区の花畑ですとか、先ほど来出ています江戸川区の瑞江など、五カ所において事業が行われているわけですが、その全体で約百八十ヘクタールの施行面積、約二千億円の総事業費をかけた事業だと伺っております。規模としてはかなり大きなものであると思います。
 各自治体、この地域の場合は区ということになるんですけれども、区施行の区画整理事業というのもそれぞれ実施されておりまして、都並びに区が、お互いに、ある意味連携をとりながら事業を行うというのは、総合的なまちづくりといった観点からもぜひ必要であると考えております。
 そこでお伺いをさせていただきますが、都としてその五カ所を選定した理由、事業実施に至った主だった理由ということについてお聞かせをいただきたいと思います。

○宮村市街地整備部長 公共性が高く、民間では実施が困難な地区につきまして、区部では、都と区で役割分担をしながら区画整理事業を実施しております。東京都は、広域的かつ重要な公共施設の整備に伴う地区や、首都東京の活性化に資する地区などについて事業を実施しているところでございます。
 ご質問の周辺区五地区のうち、例えば江戸川区内の二地区は、都営新宿線の整備を契機に、駅周辺の無秩序な市街化の防止と総合的な都市基盤整備を目的に計画されたものでございます。
 また、足立区内の二地区も、新しい鉄道の導入空間の確保や、都道など広域的交通施設の整備を主な目的に都が事業を進めているところでございます。

○宇田川委員 より公共性が高い重要な地区である、そういうご答弁をいただいたんですが、先ほど来お話があったんですが、私も瑞江駅西部地区と篠崎駅東部地区について個別に伺おうと思ったんですが、もう先ほどご答弁がございましたので、一部割愛を……
   〔発言する者あり〕

○東村委員長 ご静粛に。

○宇田川委員 上野委員に対するご答弁がありましたので、一部割愛をして、続けてやらせていただきます。
 先ほどのご答弁にありましたとおり、事業完成時期がそれぞれ平成二十五年度と平成二十九年度の予定だということで、まだまだ時間はかかるようでございます。もちろん相当の時間を要する事業である、相手があることですから、時間を要するということは重々承知しておるんですが、より早期に完了をしていただきたい、それを願ってやまないところです。
 事業途中の段階であっても、都市計画道路事業などとリンクをさせながら、地域住民の人たちに少しでも多くの利益と申しますか、効果が享受できるよう、工夫をしつつ進めていくべきでありまして、それによって住民の皆さんの理解も深く得られるものと考えますが、いかがでございましょうか。

○宮村市街地整備部長 ご質問の点ですが、篠崎駅東部地区では、地元の強い要望を踏まえまして、地域のオープンスペースとなる公園を事業の初期段階で完成させ、現在、多くの方々に利用していただいております。
 また、瑞江駅西部地区では、区内の幹線道路となる補助二八〇号線や江戸川区街第一三号線を先行して整備し、区が進めております街路事業との連携を図るとともに、地区外との連続性を確保できるように事業を進めております。
 今後とも、施行計画を工夫するなど、区画整理事業の効果が早期にあらわれるように事業を進めてまいります。

○宇田川委員 おっしゃるように、着実に歩を進めていただいて完了していただくようにお願いをしたいと思います。
 最後に、都のご支援、ご協力といった部分での要望というか、お願いをしておきたいと思います。
 現在、江戸川区内では、一之江駅の西側で約二十二ヘクタール、瑞江駅の北部で約二十一ヘクタール、篠崎駅の西側で約十五ヘクタール、三カ所で五十八ヘクタール強の面積、二千名を超える権利者がかかわる事業を区施行で実施しております。うち二カ所、篠崎と瑞江は、先ほど来話が出ているように、都施行の事業に隣接するような形で実施されておりまして、これによって、都営新宿線の各駅周辺は、おかげさまで大変にすばらしい街並みに変化しつつあります。近隣住民の方も大変な協力をいただいて、感謝をしたいと思いますし、住民の皆さんにも大変に喜んでいただいておりまして、その付近にいる方は、うちの方もぜひやってほしいという意見が多々あります。
 土地区画整理事業に限らずですが、私ども江戸川区の中では、旧江戸川の水防という観点から、スーパー堤防の建設が計画されておりまして、それに伴った再開発を行ったり、駅前のいわゆる古い商店街などは市街地再開発事業の必要性がある地区だと、まだまだ多くの地域において、新たなる市街地形成というのが求められているところだと思います。
 もちろん、他区においても、事業展開というのは実際に進められていると思いますし、今申し上げたように事業を必要としている地域、これは相当な数があると思います。自治体ごとの都市整備計画はさまざまでございますし、地区の個別要因も多々あるでしょうし、もちろん事業費、予算といった部分もありますし、一元的に都だけで解決するべきことではない、そういう思いはあります。しかし、最初にお伺いしました意義、必要性というものをしっかりととらえて考えてみれば、当然に進めなければならないということも思っております。
 この東京全体としての街並み形成、もちろんオリンピックに向けての街並み形成ということも含まれると思うんですが、それを考えるならば、東京都がリーダーシップを発揮して、各自治体への誘導など、事業進行に対する協力体制を整えていただきたい、このことはもちろんでありまして、加えて、補助金といった部分で支援をしていただく、これもぜひに実行していただきますよう要望させていただいて、次の質問に移らせていただきます。
 次なんですが、区部周辺部環状公共交通、いわゆるメトロセブン、エイトライナーですが、その件についてお伺いをいたします。
 長年にわたって取り組みを続けておりまして、種々の状況変化もあったわけでありますが、残念ながら、状況は遅々として進んでいないという印象でございます。
 これに対する必要については、既に議論の余地はないものと考えておるんですが、ことし、議連として新システムの視察を行ったりしてもおりますけれども、この区部周辺部環状公共交通の意義といいますか、位置づけについて、また近年の、ここ数年で構いませんので、取り組み状況、経過などについて、改めて確認という意味も含めてお尋ねをさせていただきます。

○石井都市基盤部長 初めに、位置づけでございますが、区部周辺部環状公共交通は、平成十二年一月の運輸政策審議会答申第十八号で、今後整備について検討すべき路線、いわゆるB路線として位置づけられております。
 次に、近年の取り組みの経過についてでございますが、平成十二年八月に都と関係九区で、これは江戸川区も含まれておりますが、都区連絡会を設置し、以降、区部周辺部環状公共交通に関する諸課題の検討調査を実施してきております。
 その結果でございますが、地下鉄方式の整備につきましては、巨額の資金調達や採算性の確保といった多くの解決すべき課題が明らかになってございます。その後、地下鉄だけでなく、LRTなど地上系交通システムの整備についても検討調査を行いました。これにつきましても、導入空間や事業採算性など多くの課題がある、このようにされております。

○宇田川委員 お話のとおり、大変多くの課題をいまだに抱えているということです。今年度も、その課題の解決、問題解消といったことのためだと思うんですが、検討調査が行われておりまして、当然にその経費についても予算計上をされました。
 関係九区との協議も引き続き行われていることと思いますが、都区間における平成十七年度の検討概要、検討結果についてお伺いをいたします。

○石井都市基盤部長 平成十七年度の検討内容でございますが、平成十七年度は、これまでの調査結果も踏まえ、システムの整備効果や物理的制約及び事業の採算性などの観点から、地下鉄及び地上系交通システムの比較評価を実施いたしました。
 このうち、事業の採算性につきましては、地下鉄、地上系、いずれのシステムも大変厳しく、安定需要の確保、建設費の縮減等が強く求められる結果となっております。

○宇田川委員 先ほども申し上げたんですが、需要というか、必要性という点では極めて高いものがあると思っているんです。
 再び地元の話で大変恐縮なんですが、江戸川区においては、その必要性を非常に重く受けとめまして、環状七号線を主たる路線としてシャトルバスを走行させるための調査を実施いたしました。各バス会社などとも協議を重ねまして、交通事情実態調査などの住民の方からのアンケート結果なども踏まえつつ、今年度内には、一時間に少なくとも三、四本だと思うんですが、シャトルバスを試験的に導入することとなりました。その実証結果に有効性が認められれば、もちろん事業としての採算性といった検証も必要ではありますけれども、実行に移すべく着々と進めているところです。
 こうしたこともお含みいただいた上で、今後の区部周辺部環状公共交通に対する東京都としての取り組みについてご所見をお伺いしたいと思います。

○石井都市基盤部長 今後の取り組みについて、江戸川区の都の取り組み状況も含めて所見をとのお尋ねと承りましたけれども、本路線の検討に際しましては、地域によって大きく異なる需要や、その特性を勘案し、適切なシステムを選択することが大変重要でございます。その上で、適用する事業制度、採算性などを十分精査し、開業後における運営面も含めまして、事業が成立し得る条件等を関係区とともに検討していくことが必要と考えております。
 また、江戸川区の取り組みにつきましては、区内南北交通改善に向けた短期的な取り組みと認識しておりますが、需要や事業採算性など、事業成立条件の検討という面からも注目しているところでございます。

○宇田川委員 ぜひに建設的な意義ある検討を続けてしていただきたいと思います。
 先ほど江戸川の話をしましたけど、これはもちろん、私が今さら申し上げるまでもなく、それぞれの関係区の方においても大変大きな必要性を感じているわけです。
 日暮里・舎人線が平成二十年三月開業に向けて着々と工事が進められております。これよりは、延長距離なども比較にならないぐらいの大事業でありますし、簡単でないことはわかっております。だからこそ、足踏み状態から抜け出ることができないわけです。だからといって、このまま議論が立ち消えになってしまって、しょせん夢物語だったなと、こういうことでは私どもも大変困るわけです。
 早期に実現をしてほしいと、そこまではいえないことなのかもしれないですけれども、事業実現に向けた検討を一段ずつ着実にステップアップしていただきたいこと、今までよりもっと加速感のある推進というか、促進をしっかりと行っていただきたい、そのことをお願いさせていただきます。
 以上です。

○尾崎委員 私は、都営住宅の管理について何点かお伺いをさせていただきます。
 決算説明書を見ますと、都営住宅等の管理には、住宅管理費として、平成十七年に約三百五十億円を超える金額が支出をされております。安全管理の視点から見ますと、昨今では非常に物騒な事件が多発をしておりまして、こうした世情においてこれだけの金額が支出をされていることから見ても、多数の住民が暮らす場所である都営住宅は、都民の居住面でのセーフティーネットとして、より一層機能の強化が求められていると考えております。
 一方、住民の日常生活の場であることから、快適な生活の場としての良好なコミュニティ形成への配慮が必要と考えているんですが、そこでまず、都営住宅に住む住民同士の良好なコミュニティ形成に向け、都は管理運営方法も含め、どのような取り組みを行っているのかお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 都営住宅における良好なコミュニティの形成につきましては、自治会など居住者による自主的な活動が重要な役割を担っていると考えております。
 このため、団地には、集会所や公園など居住者の交流の場となる施設を設置するとともに、団地の維持管理などを通じまして、日ごろから自治会等と連携を密にするなどの取り組みを行っております。

○尾崎委員 これは都営住宅に限ったことではないんですけれども、一般的に、近隣関係においてさまざまなトラブルが起こることが多々あると思います。都営住宅の近隣居住者同士のトラブルは、昨年一年間でどのくらい発生をしているのか。また、その把握方法をお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 近隣居住者間のトラブルにつきましては、居住者や自治会などから東京都住宅供給公社の十七カ所の窓口センターなどに寄せられた相談により把握しておりまして、その件数は、平成十七年度で約二百四十件でございます。

○尾崎委員 こうした近隣関係に関するトラブルについては、通常どのように対応しているのかお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 近隣居住者間のトラブルにはさまざまなものがございますが、一般的には、相談を受けますと、事実を確認するため、現地で状況を調査の上、相談者、原因者や関係する近隣居住者から事情をお聞きいたします。その上で、原因者への指導、双方の話し合いの場の設定や自治会等への仲裁の依頼など、状況に応じた対応を行っております。

○尾崎委員 これはちょっと、私が先日聞いた話なんですけれども、私のところの調布市内の都営住宅の近隣居住者間で、ある世帯の居住者が、別の世帯の居住者から一方的に暴力を振るわれたというケースがあったわけです。この人は住んでいて、上の人が、奥さんがいない間に不法侵入をして、子どもに暴力を振るって殴ったというケースだったんですけれども、暴力を振るった方は、精神的にも非常に不安定なところがあるように思われるんですが、これは明らかに犯罪行為でありまして、これは警察に頼る方法しかないのかもしれないと思っております。
 ただ、このような場合に、暴力を受けた方は、いつ何どき、また同じようなことがあるかもしれない、そこには住み続けたくない、すぐにでも引っ越しをしたいと、そう考えるのが妥当であると思います。
 そこでお伺いをいたしますが、近隣との対人関係でのトラブルによって、都営住宅入居者が住居変更を行うことは認められるのかどうか、お伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 住宅変更は、世帯人員の増加により住宅が狭くなった場合や、高齢などにより階段の昇降が困難になった場合など、建物の構造上、当該住宅に住み続けることが困難な場合に、他の住宅への変更を認めるものでございます。
 近隣居住者間のトラブルにつきましては、トラブルの自主的な解決が望ましいことから、原則として住宅変更は認めておりません。
 暴力行為につきましては、基本的には警察が解決するべき問題と考えますが、このような場合、特別な事情であると判断する場合には、例外的に住宅変更を認めることもございます。

○尾崎委員 確かに、すべての対人関係のトラブルに一々対応していたら、その際の住居変更を認めていたら、これは許容範囲を超えてしまって対応し切れないのは私も理解をしております。ただ、今、私がいったようなケースは暴力行為を伴うものですから、緊急避難の必要性は極めて高いと考えます。
 今後、似たようなケースは起こり得るはずでありますし、そこで、緊急避難的な住宅変更について、具体的な取り扱いの手順などについてお伺いするのと、また、ことし三月の第一回定例会で、都営住宅の入居要件として、DV被害者の受け入れを認めるような条例改正が行われたわけであります。今のような時代では、犯罪被害者保護に対する社会的理解も進みつつありますから、このような流れからも、優先的な入居を犯罪被害者にも拡大すべきと考えるが、あわせて見解をお伺いいたします。

○小林都営住宅経営部長 近隣居住者間の暴力行為を伴うトラブルによる住宅変更につきましては、暴力行為が行われたという事実を被害届などで確認の上、被害状況や本人の意向を踏まえまして、空き家の発生状況を勘案しながら個別に対応しております。
 また、犯罪被害者の都営住宅への優先入居につきましては、東京都住宅政策審議会の答申を踏まえ、現在、犯罪被害者の認定方法などにつきまして検討しているところでございます。

○尾崎委員 ぜひお願いしたいんですけれども、先ほども申し上げましたとおり、被害者の方は、暴力を受けた時点から、すぐにでも引っ越したいと考えるのは普通であります。都市整備局が配布している住宅変更のしおりには、原則として、隣人関係のトラブルを要因とした緊急避難は認められないとうたっているんですが、この暴力行為のあった場合というのは、明らかに単なるトラブルの領域を逸脱していると考えております。こうしたことを十分考慮していただき、先ほど答弁のあった、ケース・バイ・ケースでいろんな対応があるでしょうが、緊急避難の措置をとる際には迅速かつ柔軟な対応をしていただきたいということを要望し、次の質問に移らせていただきます。
 現在、私のところの調布市で、深大寺の上ノ原地区の明治大学グラウンド跡地というのがあるんですが、ここで民間事業者による大規模なマンション開発が行われております。この開発区域の周辺道路の整備について、何点かお伺いいたします。
 この上ノ原地区は、都市計画道路の整備が、調布市内の他の地域と比べても非常におくれておりまして、この地区都市基盤は非常に十分とはいいがたい状況にあるわけです。また、開発区域周辺には三つの小中学校が点在をしておりまして、周辺道路は生徒の通学路になっております。このため、地域の住民より、今回の開発に伴い、周辺道路の歩道整備など安全対策が求められている状況であります。
 一方で、開発予定地の東側を通る予定の都市計画道路調布三・四・一八号線は、本年四月に公表された多摩地域における都市計画道路の整備方針において、今後十年間に東京都により優先的に整備すべき路線として位置づけられたところであるんですけれども、事業着手には少し時間を要するように聞いております。
 こうした状況において、今回の開発区域の東側にある都営住宅柴崎二丁目アパートの敷地内には、都市計画道路調布三・四・一八号線の計画予定地が空き地の状態で確保されておりまして、その用地の管理は、平成十七年度の東京都都営住宅等事業会計決算の東京都住宅供給公社委託の中で実施をしていると聞いております。
 そこで、この都営住宅の柴崎二丁目アパート内の都市計画道路予定地の道路としての暫定利用の可能性について見解をお伺いいたします。

○清水参事 都営柴崎二丁目アパートの建てかえに当たりましては、敷地の西側に都市計画道路の予定地を確保いたしまして、現在、その用地は更地として管理してございます。
 この都市計画道路予定地部分の道路としての暫定利用につきましては、今後、地元市などと調整をしていきます。

○尾崎委員 ぜひ早急に調整をしていただいて、実現をしていただきたいと思います。
 このアパートの敷地の北側の調布市の道路の拡幅整備についても、グラウンド跡地の開発が進んでおりますから、歩行者の歩車道分離というんですか、この安全確保などのため、近隣住民からも非常に早期整備の要望が上がっているわけであります。
 この市道の整備の実現に向けた対応について見解をお伺いいたします。

○清水参事 都営住宅の建てかえに当たりまして、敷地の西側と同様、北側にも市道拡幅のための用地を確保いたしまして、現在、その用地は、仮設の通学路として、市に対して暫定的に使用許可をしております。
 この市道の拡幅整備につきましては、引き続き、市と調整していきます。

○尾崎委員 調布市は、交通不便地域の解消を目的に、今、東京都も調布保谷線とか、南北路線の渋滞解消などいろいろやってもらっているんですが、この上ノ原地区から坂を南下したところを通る佐須街道というのがあるんですけれども、これと都市計画道路調布三・四・一八号線の計画線が交差をする場所に折り返し場を暫定的に設けまして、調布駅と結ぶコミュニティバスの運行を十月から開始いたしております。今後も、この道路の整備にあわせて、北側の上ノ原地区へのバス路線の延伸を計画していると聞いております。
 そこで、地域住民の交通利便性の向上のためにも、優先整備路線であるこの都市計画道路調布三・四・一八号線の早期整備を強く要望いたしまして、私の一連の質問を終わります。

○野島委員 戸建ての中古住宅の履歴、こんなことについて伺ってみたいと思います。
 私たちの生活等に衣食住というふうにあるわけですが、衣はこっちに置いておきまして、私らが食べる野菜とか食肉も、トレーサビリティーとかいって、生産、加工、流通、それぞれどんなルートを通ってきているのか、こんなことで消費者への説明責任を果たすと。消費者の方は、それらの情報を取捨選択しながら安心・安全な食生活を営む、こういうふうな形になっていると思うんですね。
 住の部分が実は、私は常々思うんですが、これは価格としては相当高い。ローンを組んで一生背負っていかなければいけない、そういう高額な商品でもあります。それから、場合によっては、一生に一度の買い物になるかもしれない。加えて、買いかえなんかの場合、住みかえていくということになりますと、買った商品を、住んでいて、今度はまた売り主という立場になるわけですね。にもかかわらず、いわば商品、市場で流通させる場合は商品ですから、そういう場合の情報が極めて不十分ではないか、私はこんな感想を持っているんですね。
 特に中古住宅の場合、買う場合と、新築を買って住んでいて売る場合、いろいろ出てくると思うんですけれども、どうもその辺の売買の場合に履歴がはっきりしないというふうなことで、いわば物件情報が不十分だ、こんなことからトラブルが結構多いようであります。
 売り買いする場合に何をやるかというと、最後に現況有姿のままと書くんですね。要するに、現在あるがままの姿ですよということなんですが、瑕疵担保責任の問題が出てくるケースがありますね。あるいは、最近地震が心配なので、建築確認はこう取って、検査済み証もあるけど、実は長いことで家族構成が変わったから、間取りを変えた。そのときに、ああ、そういえば、あのときに柱を抜いちゃったとか、だけど、それは補強でちゃんと上に鉄骨を入れたから心配ないとか、そういう部分というのは余り関係ないですよ、住んでいると。
 そんなことで瑕疵担保責任の問題もありますし、不動産の流通業者、いわゆる仲介あっせんした方は--法定の重要事項説明というのは、これはそんなトラブルにならないのです。よっぽどじゃなきゃ、都市計画の用途地域の間違いなんかやる人はいないですよ。何が問題になるかというと、そういう瑕疵担保さえも、それはわからないという部分はあるんだけど、いざトラブルになったら、そのことで説明責任を仲介業者として問われるということは結構多発しているんですね。
 これらのトラブルを回避していくというよりも、いわば住宅の戸数が世帯数を上回ってきているわけですね。そういう意味では、いろいろ有効なストックをどういうふうに活用していくかということが、私はこれからの大きな課題になってくると思うんですね。そういう意味では、そういう制度の中で、都民が安心して住宅を商品として売ったり買ったりできる状態に、常に意識をしながらやっていかなければならないだろうというふうに思っているんですね。そういうふうな住宅市場を整備していく必要がある。
 そういう意味では、物件、いわゆる当該商品ですから、その情報の質と量、もちろん法定の部分もあります。それ以外に飛び出してというか、それ以上に大切な情報もあると思うんですよ。そういったふうなものの質、量を高めていく必要があるだろう。私は、その一つとして住宅履歴情報、こんなことを提供できるような仕組みをつくっていく必要があるのではないか、そんな思いを持っているんです。
 そんな思いから、過去、一般質問で二回にわたって、マンションの場合と戸建て住宅の場合を取り上げてご質問を申し上げた経緯がございます。その質問の内容について、ここでオウム返しをしてもしようがありませんので、答弁側で既に一般質問の私の発言も把握していただいているというふうに推測を申し上げまして、端的にお伺いをしたいと思います。
 平成十七年度の重点事業の一つとして、東京の住まい向上作戦、こういったふうなものがうたわれました。そこで、安心して取引できる戸建て中古住宅市場の形成促進、こんなことも位置づけられてあります。
 なおかつ、ことしの第二回定例会、我が党の中古住宅の流通促進に向けた取り組みへの質問に対しまして、都は、関係業界団体等による東京都中古住宅流通促進連絡会を設け検討を進める、こういうふうな答弁を拝聴したところでございます。
 そこで、まず、この東京都中古住宅流通促進連絡会、現在どんなふうな活動をなされているのか、こんなところをお伺いしておきたいと思います。

○山室民間住宅施策推進担当部長 東京都中古住宅流通促進連絡会は、都が、不動産流通関係四団体のほか住宅検査機関、住宅リフォーム業団体、金融機関などに呼びかけ、平成十七年度に準備会を立ち上げ、ことし五月に設立したものでございます。
 この連絡会は、都と不動産関連団体などが、住宅ストック活用の時代を迎え、中古住宅の流通を促進していくことは重要であるという共通認識に立ちまして、これまで、準備会を含め五回開催しております。
 この中で、中古住宅の流通を促進していくためには、中古住宅の品質や性能などに係る情報の不足から来る消費者の不安を解消することが重要であることから、そうした情報を整備し、提供する方策などについて意見交換を行っているところでございます。

○野島委員 その連絡会で、都民が利用しやすいようなガイドブックを検討する、こういうふうにしておるようでありますが、そのガイドブックの作成、どんなプロセスで進めておられるのかお伺いいたします。

○山室民間住宅施策推進担当部長 ガイドブックの作成状況でございますが、ガイドブックは、中古住宅の流通促進に向け、売り主及び買い主であります都民が取引する際の手引きとなり、また、売買の媒介者となる不動産流通業者などにとっても活用できるものとして作成する予定でございます。
 現在、連絡会におきまして、不動産流通団体などの意見や都民から寄せられました相談などを踏まえ、売買時において売り主及び買い主がそれぞれ確認すべき事項や確認することが望ましい事項などを整理しまして検討しているところでございます。

○野島委員 いろんな実態とか何とかを踏まえながら適切なものをしていただけるものと思っていますが、そういう中にこういう住宅の履歴--いわば買うときに、建築確認ありますかと、大体皆さん、関心あるんですね。検査済み証ありますかというと、正直いって、検査済み証じゃなくて、登記で終わらせちゃうところもありますから、そういったいろんな一連の流れがあります。
 それから、中古の場合に、さっきいったように、正直なところわからないんですよ。
 だから、そういう意味では、この住宅履歴を簡易にというのかな、住宅というのは部材の集積でできているわけですから、そうすると、あれはいろんな業者がかかわっていますね。それだけに業のすそ野が広いといわれているわけで、非常に難しい部分はあると思うんですね。
 だけど私は、これからいろんなトラブルの防止であるとか--やっぱり商品ですから、自分にとっては。住んでいるときは文字どおり住まいとしてやっていたって、それは最後、活用するときのことを考えていきませんと、売却とか、そのときにばたばたしてもしようがないので、ぜひそういう中に住宅履歴を位置づけることが重要だというふうに考えているんですが、どういうふうに考えていらっしゃるのかお伺いをしておきたいと思います。

○山室民間住宅施策推進担当部長 ガイドブックにおきます住宅履歴の位置づけについてお答えいたします。
 都民が安心して住宅を売買するためには、売り主から買い主に対し、住宅の状態やこれまでの修繕など、必要な情報が住宅履歴として提供されることが望ましいわけですが、先生ご指摘のとおり、実際にはほとんど行われていない状況にあります。
 したがいまして、このガイドブックでは、住宅の状態を把握するための住宅検査の実施を推奨するとともに、この結果などを住宅の履歴書として整理し、情報提供していくことの重要性を具体的に示していきたいというふうに考えております。

○野島委員 これからそういう取り組みをしていただくので、見守っていきたいと思っておりますが、申し上げましたように、いわば自分の持っている商品がどういうことで商品になってきた、自分がその商品を取得したときに、また商品として市場に出さなければいけない、そのときに、どういう加工をしたというのをやっておきませんと、トラブルのもとになっちゃうと思うんですよ。だけど、それは非常に面倒くさいですね。そんなことを考えている人はそんなにいないはずなんですよ、そういうふうにしておいた方がいいなと。
 住宅履歴をつくって、常日ごろからそういうふうにやっておくと、いざとなったときに--うそをつくとはいわないけれども、本当のことをいわないで何とかしちゃおうと、これは人間の心理というのがあるんだよね、正直なところ。常日ごろからそういうことをやっておけば、今度買った人が、ああ、あれはいつの段階でこういう手入れをしたから、そうすると今度、私が取得したときに何年先にまたやらなければいけないと、そういう先のランニングコストも計算していくということになれば、私は極めて有効性もあるし、市場における住宅の商品としての価値--それは高い安いじゃないですよ。確かな情報がしっかりと確認できるという意味での、なおかつ、それがいろんな項目にわたり質的にもしっかり--良、否じゃないですよ。悪いものは悪いものでしようがないです。悪いものは悪いものとして、悪いから安いですよということで価格形成がされるわけだから。ぜひそんなことを意識しながら、なかなか困難な課題も多いと思いますが、積極的な取り組みをお願いして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○東村委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東村委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市整備局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時二十五分散会

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