各会計決算特別委員会速記録第三号

平成十七年十一月七日(月曜日)
第十二委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 三十一名
委員長古賀 俊昭君
副委員長服部ゆくお君
副委員長小磯 善彦君
副委員長酒井 大史君
理事村松みえ子君
理事矢島 千秋君
理事吉原  修君
理事長橋 桂一君
理事大沢  昇君
理事大津 浩子君
伊藤 興一君
田中たけし君
伊藤 ゆう君
原田  大君
松葉多美子君
早坂 義弘君
高木 けい君
崎山 知尚君
村上 英子君
山口 文江君
山口  拓君
松下 玲子君
橘  正剛君
谷村 孝彦君
串田 克巳君
くまき美奈子君
植木こうじ君
林田  武君
近藤やよい君
いのつめまさみ君
松村 友昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
出納長幸田 昭一君
教育長中村 正彦君
知事本局長山口 一久君
総務局長高橋  功君
財務局長谷川 健次君
主税局長菅原 秀夫君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長大橋 久夫君
福祉保健局長平井 健一君
産業労働局長成田  浩君
建設局長岩永  勉君
港湾局長津島 隆一君
青少年・治安対策本部長舟本  馨君
中央卸売市場長森澤 正範君
選挙管理委員会事務局長渡辺日佐夫君
人事委員会事務局長佐藤  広君
労働委員会事務局長押元  洋君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君
議会局長西野 和雄君
警視庁総務部長東川  一君
消防総監関口 和重君

本日の会議に付した事件
平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・平成十六年度東京都一般会計決算
・平成十六年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十六年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十六年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十六年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十六年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十六年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十六年度東京都と場会計決算
・平成十六年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十六年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十六年度東京都用地会計決算
・平成十六年度東京都公債費会計決算
・平成十六年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十六年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○古賀委員長 ただいまから平成十六年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、委員の辞任及び選任について申し上げます。
 議長から、十月二十五日付をもって、松村友昭委員の辞任を許可し、新たに渡辺康信委員を選任した旨の通知がありました。
 委員会実施要領により、渡辺康信委員を第一分科会の委員に指名いたしました。
 また、議長から、十月二十七日付をもって、渡辺康信委員の辞任を許可し、新たに松村友昭委員を選任した旨の通知がありました。
 なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。

○古賀委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 また、去る十月七日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十六年度各会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十六年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十七年十月二十七日
平成十六年度各会計決算特別委員会
第一分科会委員長 服部ゆくお
 平成十六年度各会計決算特別委員長
 古賀 俊昭殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十八日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十六年度東京都一般会計決算中、知事本局、青少年・治安対策本部、総務局、財務局、主税局、出納長室、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
・平成十六年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十六年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十六年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十六年度東京都用地会計決算
・平成十六年度東京都公債費会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月七日(説明聴取・資料要求)出納長室、財務局、主税局、収用委員会事務局、議会局、総務局
十月十二日(説明聴取・資料要求)警視庁、東京消防庁、知事本局、青少年・治安対策本部、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局
十月十九日(質疑)出納長室、選挙管理委員会事務局、主税局
十月二十一日(質疑)知事本局、収用委員会事務局、人事委員会事務局
十月二十四日(質疑)議会局、監査事務局、財務局
十月二十六日(質疑)警視庁、東京消防庁、青少年・治安対策本部、総務局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 知事本局所管分
〔1〕行政評価制度の意義と評価結果の活用について
〔2〕自治体が策定する行政計画の策定の意義及び役割について
〔3〕東京構想二〇〇〇に基づく都政運営について
〔4〕オリンピック招致の都政の中の位置付けについて
(2) 青少年・治安対策本部所管分
〔1〕治安対策推進の現状と取組について
〔2〕渋滞対策の取組と事業の成果について
〔3〕指定図書包装などの実施状況について
〔4〕青少年の健全育成のための取組について
〔5〕青少年リスタートプレイスの利用状況と他機関との連携について
(3) 総務局所管分
〔1〕帰宅困難者対策の取組状況と方向性について
〔2〕地域の防災訓練における住民、行政間の連携について
〔3〕市町村に対する財政支援について
〔4〕防災対策における局の位置づけについて
(4) 財務局所管分
〔1〕第二次都有財産利活用総合計画の考え方と達成状況について
〔2〕荒川区旭電化跡地の都の今後の対応について
〔3〕第二次財政再建推進プランの達成状況と課題について
〔4〕「都財政が直面する課題」の対策について
〔5〕少子高齢化を踏まえた今後の財政運営のあり方について
〔6〕中小企業の受注機会の確保のための方策について
〔7〕公営企業への支払繰延べについて
〔8〕十六年度決算の不用額について
〔9〕第二次財政再建推進プランの都税の収入見込み額について
(5) 主税局所管分
〔1〕自動車税等の未収金の回収について
〔2〕使用料等滞納金回収の引き受ける効果について
〔3〕使用料などの滞納金の回収及び発生抑制について
〔4〕新築住宅に係る固定資産税・都市計画税の減免措置について
〔5〕税制面から見た住宅の耐震化促進策の検討課題について
〔6〕個人都民税の徴収率向上に向けた取組と区市町村への支援について
〔7〕第二次財政再建推進プランの収入見通しについて
〔8〕幼稚園類似施設への固定資産税の減免について
(6) 出納長室所管分
〔1〕新たな公会計制度の活用・導入について
〔2〕外部監査を導入することによる財務諸表の精度の確保について
(7) 選挙管理委員会事務局所管分
〔1〕公職選挙における大規模災害発生時の対策について
〔2〕危機管理対応マニュアルの見直しについて
(8) 人事委員会事務局所管分
質疑なし
(9) 監査事務局所管分
質疑なし
(10) 収用委員会事務局所管分
質疑なし
(11) 議会局所管分
質疑なし
(12) 東京消防庁所管分
〔1〕ハイパーレスキュー隊の増設計画について
〔2〕地震計の設置状況とデータの区市町村との共有について
〔3〕東京消防庁の活動支援システム等の現状と活用について
〔4〕救急車の転院搬送時における医師の同乗について
〔5〕救急車の出動体制の現状と強化について
(13) 警視庁所管分
質疑なし


平成十六年度各会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十六年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十七年十月二十七日
平成十六年度各会計決算特別委員会
第二分科会委員長 酒井 大史
 平成十六年度各会計決算特別委員長
 古賀 俊昭殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十八日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十六年度東京都一般会計決算中、生活文化局、福祉保健局、教育庁所管分
・平成十六年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十六年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月七日(説明聴取・資料要求)教育庁
十月十二日(説明聴取・資料要求)福祉保健局、生活文化局
十月十九日(質疑)生活文化局
十月二十一日(質疑)福祉保健局
十月二十六日(質疑)教育庁
2 本分科会における質疑の概要
(1) 生活文化局所管分
〔1〕私学助成の充実と助成費の不用額発生について
〔2〕私立学校の防犯・防災対策について
〔3〕音楽鑑賞教室事業について
〔4〕雇用の分野における男女平等参画について
〔5〕東京ウィメンズプラザの図書・資料について
〔6〕都におけるNPO法の運用方針について
(2) 福祉保健局所管分
〔1〕局を統合したメリットについて
〔2〕周産期医療体制について
〔3〕少子化対策・子育て支援策について
〔4〕介護保険報酬の不正請求とその防止策について
〔5〕福祉改革の五年間で廃止した局事業及び事業所について
〔6〕福祉改革の五年間で削減した給付事業の増額・拡充について
〔7〕盲ろう者通訳・介助者の養成・派遣事業について
〔8〕シルバーパスの適用範囲の拡大について
〔9〕保健所の統廃合について
〔10〕休日・夜間の小児救急医療について
〔11〕児童虐待対策について
〔12〕障害者の就労支援について
(3) 教育庁所管分
〔1〕盲・ろう・養護学校の災害時の対策について
〔2〕盲学校に在籍する生徒の就労支援について
〔3〕公立小中学校における教員人事について
〔4〕チャレンジスクールにおける不登校生徒等の受け入れについて
〔5〕都立高校の修学旅行経費について
〔6〕都立学校施設開放事業について
〔7〕小中学校の学力向上調査について
〔8〕公立中学校教員の勤務時間の実態及び持ち時数の軽減について
〔9〕区市町村立小中学校の冷房化について
〔10〕スクールカウンセラー配置の現状について
〔11〕子ども読書活動の推進について
ア 公立学校図書館への司書教諭の配置について
イ 盲・ろう・養護学校における読書活動について
ウ 都立高校等における図書購入費の増額について
〔12〕特別支援教育体制モデル事業及び副籍モデル事業について
〔13〕東京都特別支援教育推進計画における盲・ろう・養護学校生徒の就労支援について
〔14〕不登校出現率及びフリースクールに通う子どもたちへの対応について


平成十六年度各会計決算特別委員会 第三分科会審査報告書

 第三分科会で行われた平成十六年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十七年十月二十七日
平成十六年度各会計決算特別委員会
第三分科会委員長 小磯 善彦
 平成十六年度各会計決算特別委員長
 古賀 俊昭殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十八日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十六年度東京都一般会計決算中、都市整備局、環境局、産業労働局、建設局、港湾局、労働委員会事務局所管分
・平成十六年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十六年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十六年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十六年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十六年度東京都と場会計決算
・平成十六年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十六年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十六年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十六年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月七日(説明聴取・資料要求)中央卸売市場、港湾局、産業労働局、都市整備局
十月十二日(説明聴取・資料要求)労働委員会事務局、環境局、建設局
十月十九日(質疑)港湾局、都市整備局
十月二十一日(質疑)産業労働局
十月二十四日(質疑)中央卸売市場、建設局
十月二十六日(質疑)労働委員会事務局、環境局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 都市整備局所管分
〔1〕都市計画道路の整備と沿道一帯整備事業について
〔2〕総合治水対策の充実について
〔3〕都営住宅の入居制度及び耐震診断について
〔4〕地震時におけるエレベーターの作動状況について
〔5〕避難場所の指定の考え方について
〔6〕多摩の道路整備の促進について
〔7〕拝島駅前広場周辺の整備について
(2) 環境局所管分
〔1〕廃棄物の再資源化について
〔2〕酸素を活用した環境対策について
〔3〕外来種生物法の内容と外来種対策について
〔4〕環境学習への取組について
〔5〕地下水の保全対策について
〔6〕小笠原の自然保護への取組について
〔7〕「緑の東京計画」の策定について
〔8〕地球温暖化対策の取組について
〔9〕自動車公害対策について
〔10〕ヒートアイランド対策について
〔11〕ダイオキシン類土壌汚染対策について
〔12〕環境局の決算の推移について
〔13〕横田基地のボイラーの天然ガス化について
(3) 産業労働局所管分
〔1〕雇用・就業対策について
〔2〕しごとセンターの役割と意義について
〔3〕観光産業の振興について
〔4〕都市農業の振興と課題について
〔5〕商店街振興について
〔6〕制度融資の現状と三宅島特別融資について
〔7〕ベンチャー投資法人の投資状況と創業支援について
〔8〕新銀行東京の運営状況と実績について
〔9〕シカ食害対策について
(4) 中央卸売市場所管分
〔1〕BSE対策におけるピッシングについて
(5) 建設局所管分
〔1〕中央環状線及び環状六号線の環境対策並び整備について
〔2〕中小河川の整備と水害対策について
〔3〕区部霊園の公園化について
〔4〕電線類地中化事業について
〔5〕大島間伏地区の海岸整備とウミガメの保護について
(6) 港湾局所管分
〔1〕運河ルネッサンス事業の拡大について
〔2〕東京港周辺の防潮堤整備について
〔3〕船が安全確実に着岸できるための大島の港湾施設整備について
〔4〕三宅島空港の再開について
(7) 労働委員会事務局所管分
質疑なし


○古賀委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただきました委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守りください。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますよう、お願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 服部ゆくお副委員長の発言を許します。

○服部委員 平成十六年度の各決全局質疑に当たり、財政、そして災害、また危機管理など、何点か伺います。
 まず、財政問題ですが、平成十六年度決算の実質収支は二百七十六億円の赤字であり、七年連続の赤字となりました。しかし、赤字額は前年度の四百四十九億円から大幅に縮小して、また、財政の弾力性を示す経常収支率も九七・九%から九二・六%へと改善されました。石原都政が船出をした平成十一年当時ですが、都財政はまさに倒産寸前の状況にあったわけです。その後、二次にわたる財政再建推進プランの作成と真摯な取り組みの結果、ここに来て、ようやく先行きに明るい兆しが見えてきたのではないかと思います。
 そこでまず、十六年度は第二次財政再建推進プランのスタートの年でありましたが、この決算が改善した要因についてどのように分析をしているのか、伺います。

○谷川財務局長 ご指摘にありましたとおり、十六年度決算は、前年度と比較いたしまして、実質収支の赤字額は大幅に縮小し、また、経常収支比率も改善させることができました。
 その要因といたしまして、景気の回復を受けた都税収入の伸びが追い風となったことは事実でございますが、事業の執行に当たりましても、内部努力の徹底や事業執行方法の工夫、また地道な徴税努力など、より効率的、効果的な予算執行に取り組んだ結果としてその成果を上げたものだと考えております。

○服部委員 十七年度予算までの二カ年で、二次プランで目標とした財源がどの程度確保されたかを見ますと、都の内部努力あるいは施策の見直し、歳入確保など、都として対応可能なことは七五%近くが達成をされています。しかし、国からの税源移譲分などとして見込んでいた千百億円については、確保額として全く見込まれていない状況にあります。十八年度予算が第二次プランの総仕上げだとすれば、大変憂慮すべきことだと考えます。
 そこで、改めて、地方税財政制度の改善として二次プランで掲げた千百億円の財源確保の見通しについて、見解を伺います。

○谷川財務局長 現在進められている三位一体改革はいよいよ最終段階を迎えますが、これまでのところ、本質的な議論に踏み込まないまま、単なる数字合わせに終始し、その上、地方への負担の押しつけが行われるなど、地方の自主性の拡大という本来の趣旨からほど遠い内容で決着が図られようとしております。
 現に、先週四日には、厚生労働省から、生活保護費について、国の負担分の都道府県への転嫁と住宅扶助等の一般財源化という、地方にとってまた新たな負担となる提案が行われたところでございます。
 さらに問題なのは、国がこのところ、都税収入が堅調に推移している状況をとらえまして、東京ひとり勝ち論を再燃させ、三位一体改革に名をかりて、都に対し、法人住民税の分割基準の見直し、地方特例交付金の廃止など、さらなる不合理な財源調整措置を強行するのではないかと懸念されることでございます。
 これらの不合理な財源調整措置が強行された場合、都財政が深刻な影響を受けるのは確実でございまして、仮にそうなれば、お尋ねの、二次プランで目標とした地方税財政制度の改善による財源確保額一千百億円は成果を上げられないばかりか、逆にマイナスとなるおそれが強いと考えております。
 都は既に、知事を先頭に、こうした不合理な措置に断固反対する主張を明確にしておりますが、根拠もなく流布された東京ひとり勝ち論などが障害となりまして、都を取り巻く環境は大変厳しい状況であるといわざるを得ません。
 都は今後とも、真の分権改革の実現に向けて、都議会のご協力をいただきながら全力で取り組んでまいります。

○服部委員 二次プランで目標とした財源の確保額は三千七百億円であり、そのうちの千百億円について進捗が見込めていない、そういうことはまことに遺憾である、そのようにいわざるを得ません。
 三位一体改革の中で、ただいまの局長の答弁の中にありましたように、特に東京ひとり勝ち論、これは俗耳に入りやすく、東京をねらい撃ちにする、全く不合理な財源調整措置が繰り返されているのが現状であります。今後とも、あるべき税源移譲に向けた努力を最大限に継続されることを要望するとともに、我が党も全力を挙げて支援をしてまいります。
 少子高齢化あるいは人口減少社会の中で、首都としての膨大な財政需要に的確にこたえつつ、安定的な行政サービスを提供していかなければなりません。
 そこで、これまでの成果を引き継ぎつつ、中長期的な視点を持ちながら、今後の財政運営に当たって、局長としての取り組みについて最後に伺います。

○谷川財務局長 財政再建に向けた取り組みは着実に成果を上げつつあります。実質収支は七年連続の赤字であり、経常収支比率も九〇%を超えた厳しい水準にあるなど、まだまだ安心できる状態にはございません。まずは、これまでの取り組みをむだにしないためにも、二次プランで掲げた目標達成に向け努力を継続してまいります。
 しかし、財政再建の真の目的は、単に収支を均衡させることだけではありません。少子高齢化の進展により、長期的には都税収入の大幅な増加が望めない中にあっても、新たな都民ニーズに的確にこたえるため、強固で弾力的な財政基盤をつくり上げることこそが財政再建の真の目的でございます。
 今後も、長期的な収支の動向といったものも視野に入れながら、強固で弾力的な財政基盤を確立するために、ご指摘のように、長期的な視点に立って財政構造改革を推進してまいります。

○服部委員 次に、都にとって非常に重要な問題であります法人事業税の分割基準について伺います。
 法人二税は、十六年度都税決算見込み額に占める割合が四割を超える、都やあるいは特別区にとって貴重な財源であります。このうち法人事業税については、これまで主なものだけでも、昭和三十七年度、四十五年度及び平成元年度の計三回、不合理な分割基準の見直しが行われ、その影響額は、十六年度決算見込み額で五百五十億円余りの減収となっています。平成十七年度税制改正では、さらに都に不利益な分割基準の見直しが行われ、その影響額は六百億円程度ともいわれています。
 このように、これまでの数次にわたる見直しによる減収の合計額を上回るほどの大きな見直し理由が今回あったのか、所見を伺います。

○菅原主税局長 法人事業税の分割基準は、課税権の帰属にかかわる問題でございまして、見直すには合理的な理由が必要でございます。
 国は、見直しの背景といたしまして、全国税収に占める都のシェアが二・二ポイント増加したことを挙げておりますけれども、本来含めてはならない、都内でのみ活動し、分割基準の適用がない法人を除きますと、〇・九ポイント増でほぼ横ばいでございまして、実態の把握方法に疑問がございます。
 また、国は、IT化の進展等によりまして、企業は効率化のため従業員数を減らし、事業所数を重視する方向にあるとしておりますけれども、従業者数は減ってはおりませんで、むしろ、税収増となっている業種におきましては、付加価値額の増加に比例いたしまして従業員数もふえております。さらに、近年のインターネット取引などの普及によりまして、事務所数はむしろ減少する方向にございます。
 国が挙げる見直し理由には、いずれも合理的な理由がないと考えております。

○服部委員 法人事業税の分割基準は、今答弁にもありましたように、課税権の帰属にかかわる問題であります。税の理屈を無視して財源調整のために見直すことは、決して許されることではありません。
 さらに、最近、法人住民税の分割基準までも見直す動きがあると聞き及んでいます。法人住民税でも、同じように、税の理屈を無視して安易に基準を見直すことは断じて許されません。
 このたび、国の不合理な動きは国益をも損なう結果となることを訴え、断固たる行動力をと、石原都知事名で、自民党東京都連所属国会議員に対しても決起を促したわけでありますけれども、不合理な財源調整の手段として、これ以上、地方法人課税の分割基準を見直さないように、都は国に対し断固とした対応をとる必要があると考えますが、所見を伺います。

○菅原主税局長 今回の法人事業税の分割基準見直しの真のねらいは、分割基準の見直しに名をかりました、三位一体改革による税源移譲に伴う財源調整措置であることは明らかでございます。
 また、法人住民税は、地域の構成員に広く負担を求める性格の税でございまして、今、分割基準を見直さなければならない理由は全くございません。
 都といたしましては、法人事業税、法人住民税の分割基準が不合理な財源調整措置として用いられることのないよう、都議会並びに都選出国会議員の皆様方のご協力をいただき、関係局との連携や都税制調査会の活用をも図りながら、理由なき国の動きを断固阻止する覚悟でございます。

○服部委員 次に、三宅島の復興及び安全確保対策について伺います。
 今も三宅村の村民の方々、大変なご苦労、またご努力をされておられるわけですけれども、現在、二千五百二十二名の方々が居住をされております。今後、三宅島に残された課題にはどのようなものがあるのか、まずお伺いいたします。

○高橋総務局長 本年二月の帰島以降、九カ月が経過しまして、村民は帰島後の生活を着実に歩み始めております。既に、港湾や道路、砂防ダムなどのインフラの整備はほぼ完了しております。
 今後は、火山ガスの高濃度地区が引き続き存在している中で、観光や産業の振興と、村民生活の一層の安定を図っていくことが課題として挙げられます。具体的には、三宅島空港の早期再開や特別養護老人ホームの復旧、整備が求められております。
 都は今後とも、国、三宅村とも十分連携しながら、このような課題の解消に向けまして全力で取り組んでまいります。

○服部委員 次に、来年度以降の三宅村の普通交付税、これは国勢調査によって、人口、世帯数などをもとに算出されますけれども、ことしはちょうど国勢調査が実施された年でもあります。
 現在の帰島状況から推測すると、十八年度以降の三宅村の普通交付税が大幅に減少して、村の行政運営に深刻な影響を与えるのではないか、こう懸念をされます。平成十三年度から十七年度まで特例措置が講じられてきたと聞いておりますけれども、都としても、三宅村の交付税について、何らかの措置を国に要望していく必要があると考えますが、所見を伺います。

○高橋総務局長 全島避難からこれまで、三宅村の普通交付税の算定におきましては、平成七年国勢調査の人口等を基礎とした特例措置が講じられ、おおむね発災前の普通交付税額が確保されてまいりました。しかし、ご指摘のとおり、今回の国勢調査では、発災以前と比較しまして、人口が大きく減少することが見込まれますため、来年度以降の普通交付税額に影響があると予想されております。
 このため、都といたしましては、三宅村の財政運営に大きな支障が生じないよう、普通交付税額の減少を緩和する措置と、復旧、復興のための特別交付税による特段の支援につきまして、国へ強く提案要求してまいります。

○服部委員 三宅村の村民の方々が生活を安定して営んでいくためには、火山ガスによる健康に対する影響を最小限に抑えて、行政と村民の方々が協働して安全確保対策を講じ続けていく必要があります。三宅村の安全確保対策について、今後都はどのようにかかわっていくのか、所見を伺います。

○高橋総務局長 火山ガスに対する安全を確保するには、まず、村民みずからがガスの危険性を正しく理解し、三宅村が定める対策を遵守するなど、適切に行動することが重要であると考えております。
 村の安全確保策は、帰島前に国、東京都、村が共同で検討した結果を踏まえたものでございますが、火山活動の状況に応じまして適宜見直しを行い、より実効性を高めていく必要がございます。
 このため、都は、水準測量の結果や、三宅島火山活動検討委員会におきます専門家の意見などを踏まえまして、村と連携して安全確保策の充実を図りますとともに、避難誘導に当たる消防団員の訓練を行うなど、ガスが発生した場合の対応能力の向上につきましても、引き続き支援してまいります。

○服部委員 意見だけ申し上げますが、三宅島空港の早期再開についてですけれども、第三回定例会の所信表明で、知事も検討を指示された。また、我が党の代表質問に対しても、港湾局長から、必要な準備を早急に進める旨の答弁もございました。
 高濃度地域における制約など、安全確保の面で解決すべき課題は多いと思いますけれども、三宅島の復興のためには一日も早い空港再開が望まれることを改めて意見として表明し、早期再開に向けた関係機関の一層の取り組みを要望して、次の質問に移ります。
 AEDに入りますが、AED、自動体外式除細動器ですが、きょうここに、許可をいただいて、現物といいますか、持たせていただきましたけれども、要するに、AEDは、このぐらいの機械なんですね。(実物を示す)生命に危険のある不整脈が発生した場合、使用する人、我々に医学的な知識がなくても、機械が自動的に判断して、電気ショックを与えて心臓を正常なリズムに戻す装置であります。--こういうメッセージがどんどん機械的に送られて、我々でもできる。ですから、厚生労働省が昨年七月でしたか、医療従事者でない方でも使えるように、できるようになりました。
 日本における心疾患における死亡者数は、年間で約十六万人といわれておりますし、このうち、病院外での突発的な心肺停止の発生件数は二、三万件と推定をされています。
 そこで、今年度の重点事業として、都立の施設や区市町村舎へのAEDの設置を進めておりますけれども、現在の設置状況を伺います。

○関口消防総監 平成十七年度の東京都重点事業といたしまして、江戸東京博物館、上野動物園など、都の公共施設や区市町村の百五の施設に百七台、また、消防署、消防出張所などに二百九十一台、計三百九十八台のAEDを配置いたしました。

○服部委員 緊急時に必要という機械の性質上、突発的な事故が起きたときに、すぐ手が届くところにある、それが私はやっぱり重要だと思うんですね。
 それで、AEDの導入期に当たる現段階ですけれども、どの程度の配置が望ましいのか、まず伺います。

○関口消防総監 本年三月の東京消防庁救急業務懇話会の答申におきましては、心肺機能が停止した傷病者の発生頻度が高い空港や老人福祉施設、また、利用者が多い駅舎、学校、官公庁などの公共施設、さらには、多くの人が集まるイベント会場などへの設置が望ましいとされております。

○服部委員 これはおとといの東京新聞でしたか、JR東海が、これは全国で初めてのようですが、東京駅を初め四駅に配置をしたという記事もございました。
 これは、発症から五分以内に使うと大変救命率が高いといわれておりまして、アメリカでは三百メートルに一台設置されている都市もある、そのようにも聞いております。消防庁からのこういった設置の働きかけが大変私は重要だと思います。
 同時に、AEDがその目的に沿って有効に活用されるよう、多くの都民にAEDの使用に関する知識あるいは適正な技術を伝えるために、普及啓発や講習会を積極的に行うべきではないかと思いますが、お答えください。

○関口消防総監 多くの都民にAEDの使用に関する適正な知識や技術を普及し、AEDが有効活用されるために、本年七月に、東京消防庁、東京都福祉保健局、東京都医師会、日本赤十字社東京都支部など二十一機関による東京都応急手当普及推進協議会が設置され、各区市町村、医療機関、学校、事業所等がそれぞれの役割分担に基づき、AEDに関する講習を、東京都の昼間人口の約二〇%に当たる二百二十四万人に対して実施することを目標に掲げました。
 東京消防庁では、現在、職員の九六%に当たる一万七千三百二十四人が指導員としての資格を取得しており、関係機関との連携のもとに、積極的にAEDの普及啓発や救命講習の推進を図ってまいります。

○服部委員 このたび、福祉保健局でも呼応して、本庁に勤務する職員千百名、全職員ですか、今年度中にもAEDの使用方法の研修を行う、このようなことも発表されましたね。都議会でも、やっぱり我々もこういった講習を受けることは大変必要だと思いますよ。これは、いつかまた機会を改めてお願いいたしますけれども、都議会全員が講習を受ける。我々、一番現場に出ているんですから。
 それで、救急救命というのは、救急車や救急隊に頼るだけでなくて、バイスタンダーですか、一般の人の力をかりる、こういったことが私は非常に必要だと思います。そのためには、AEDはもとよりのことですけれども、この際、例えば心肺蘇生とか包帯法だとか止血法だとか、そういった救命講習を積極的に推進することが重要だと私は思います。
 東京消防庁も限られた職員の中で大変でしょうけれども、ぜひこの重要な任に取り組んでいただきたい、このことを要望しておきます。
 最後になりますが、危機管理対策について伺います。
 都は、平成十五年の四月、災害対策部を総合防災部に改めて危機管理体制を強化しました。この間、国に先駆け、NBCテロ訓練や鳥インフルエンザ対策などに取り組んできました。無辜な市民をねらった卑劣な、そして新たな脅威、サイバーテロなどもありますけれども、こういった脅威も迫っておりますが、これまで以上に危機管理体制を強化する必要があります。
 そこで、総合防災部発足後、これまでの成果、そして今後の取り組みについて伺います。

○高橋総務局長 自然災害を初めといたします多様な危機に対処するためには、平素からの取り組みが重要でございます。このため都は、お話にもありましたように、これまでの防災訓練に加えまして、図上訓練や、天然痘、サリンを想定したテロ対策のための訓練を実施いたしますとともに、八都県市相互応援協定を、自然災害のみならず、あらゆる危機に対応する観点から見直すなど、災害対応能力の向上や各防災機関との連携強化を図ってまいりました。
 今後は、切迫性が指摘されております首都直下地震の被害想定の見直しと地域防災計画の抜本的な修正、さらに、国民保護計画や新型インフルエンザ対策行動計画の策定と、これに基づく訓練などに取り組みまして、危機管理体制の一層の強化に努めてまいります。

○服部委員 危機管理で最も重要なのは、危機発生時にいかに迅速に対応できる体制を確立するかであります。いわゆる初動態勢。この初動態勢は、都や区市町村などの行政機関はもちろんですけれども、民間事業者も含めたものでなければならないと思います。
 危機発生時に、行政と民間事業者が連携して初動態勢を確保するため、今後都はどのように取り組んでいくのか伺って、最後の質問とさせていただきます。

○高橋総務局長 災害発生時には、行政はもちろんのこと、民間事業者も迅速に初動態勢を確保しまして、各防災機関の連携を図ることが重要でございます。
 これまで民間事業者は、都の地域防災計画などを基準に防災計画や初動対応マニュアルを作成いたしますとともに、訓練を実施しまして、その強化に努めてまいりました。しかし、千葉県北西部地震におきまして、従来の計画やマニュアルでは十分に対応し切れないこともまた明らかとなりました。
 今後、都は、各事業者がこれを教訓としまして、参集基準や初動態勢の検証を行うよう働きかけてまいります。
 また、鉄道事業者とは、運行停止時の駅前滞留者対策を強化するため、情報伝達体制を充実するとともに、トラック協会や建設業協会などとは、物資輸送や道路障害物除去に係る実践的な初動対応訓練を実施するなど、民間事業者と連携した初動態勢の強化に努めてまいります。

○服部委員 どうもありがとうございました。

○古賀委員長 服部ゆくお副委員長の発言は終わりました。
 酒井大史副委員長の発言を許します。

○酒井委員 まず、財政構造改革について伺います。
 平成十六年度決算は経常収支比率も改善され、また、現在取り組み中の第二次財政再建推進プランも着実に進捗するなど、財政再建は順調に進んでいるようであります。しかし、国においては、新たな行革指針で、公務員の純減を中心とした、自治体にさらなる行財政改革を求めており、東京都においても、生産年齢人口の減少から人口そのものの減少へと移っていくことは不可避であります。
 当面の税収増という追い風で、第二次財政再建プラン自体がなし崩し的に終了しないためにも、東京都においては確実にこのプランの目標を達成すべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○谷川財務局長 第二次財政再建推進プランにつきましては、これまでの取り組みにより、十七年度予算では財源不足を解消するなど、目標の達成に向けて着実に歩みを進めてございます。しかし、もう一方の目標であります経常収支比率の改善につきましては、九〇%以下に引き下げるという目標には達しておらず、一層の取り組みが必要であります。
 そのためにも、今までの取り組みの手綱を決して緩めることなく、内部努力や施策の見直しなど、プランに掲げた具体的方策に対してしっかりと取り組み、第二次財政再建推進プランの目標達成に全力を挙げていく所存でございます。

○酒井委員 目標達成の際、法人事業税に続き法人住民税にも分割基準を導入し、東京都から税源を奪う国の動きには強く反対するのはもちろんでありますけれども、これまでの東京都の先駆的な取り組みや提言を踏まえ、抜本的な地方税財政制度改革の提言も積極的に行っていくべきと考えます。
 東京都が銀行業等へ外形標準課税を導入したことにより、不十分とはいえ、法人事業税の外形標準課税が実現しました。また、東京都は、基幹税である所得税、消費税を自治体へ移譲することも提言してきており、これらは今現実の課題となってきています。
 今後は地方交付税の見直しが焦点になりますが、東京都が手をこまねいていると、新たに東京都から税源を奪い、さらに税制をゆがめることにもなりかねません。税財源移譲、交付税原資の国、地方税間の入れかえや、外形標準課税の拡大による自治体の財源保障や偏在性の是正などを進め、地方交付税制度を、政策誘導や財源保障制度ではなく、本来の財政調整制度に立ち返らせることが必要です。
 全国的視野に立った地方税財政制度に関する公平公正な提言を今後も積極的に行っていくべきと考えますが、所見をお伺いいたします。

○菅原主税局長 東京都税制調査会は、平成十二年度に、国庫支出金、地方交付税の抜本的見直しとあわせまして、国税から地方税への税源移譲を中心とした地方税財政制度改革につきまして、財政調整制度のあり方も含めて先駆的な答申を行ったところでございます。
 都もこれを受けまして、さまざまな機会をとらえまして税源移譲などを国に提案要求してまいりましたけれども、現在、三位一体改革に伴う、所得税から住民税への三兆円規模の税源移譲がようやく実現しようとしております。
 今後とも、地方消費税の充実など、地方分権の時代にふさわしい今後の地方税財政制度のあり方につきまして、都税制調査会なども活用しながら引き続き検討してまいります。

○酒井委員 人口減少、少子高齢社会という、かつて経験したことのない社会を迎えるのが明らかな現在、右肩上がりの時代の発想に基づく財政運営から脱却をしなければなりません。
 例えばオリンピックについても、一九六〇年代の高度成長期に行った東京オリンピックと、これからの低成長、マイナス成長期にあるオリンピックとでは、投資のあり方は根本的に異なるはずであります。かつてのような成長の夢を描くのではなく、落ち着きの中で将来の活力を培っていくべきであります。
 また、ベビーブーマーが育っていく時代ではなく、出生率が著しく低下し、今後の人口減少が明らかな時代では、この少子化傾向に歯どめをかけることが極めて重要になってきます。
 本年七月に発表された「都財政が直面する課題」でも述べられていますが、社会構造の大きな変化を踏まえ、十年先、二十年先という長期的視点から財政運営のあり方を真剣に検討すべきと考えますが、所見を伺います。

○谷川財務局長 「都財政が直面する課題」でお示しいたしましたとおり、人口減少社会や少子高齢社会の本格化による社会構造の大きな変化は、経済活動の停滞や国際競争力の低下など、社会全体に対し大きなマイナスの影響を与えることが懸念されております。これは東京においても例外ではありません。
 とりわけ財政面における影響は深刻であります。都財政は今後、高齢化に伴う社会福祉関係費や大規模施設の維持更新経費など、財政需要の増加が懸念される一方、その財源を負担する世代が減少するという二重に厳しい時代を迎えることとなります。
 このように、社会構造が大きく変化し、長期的には都税収入の大幅な伸びが期待できない中にあって、都民の負託にこたえ、安定的に行政サービスを提供していくためには、状況の変化に的確に対応できる、強固で柔軟な財政体質を確立することが不可欠でありまして、これまで以上に長期的視点に立った財政運営を行っていくことが重要であると認識しております。
 財務局は、今後とも、時代状況の変化を踏まえた財政運営のあり方について検討を続けてまいります。

○酒井委員 次に、救命救急体制の整備について伺います。
 近年、新聞等でも報道されているように、だれが見ても軽微な状況で救急出動を求める利用者がふえ、消防庁としても対応に苦慮されていることと思います。
 真に救急車を必要とする重篤な傷病者へ少しでも早く救急車を派遣できるよう、消防庁においてもさまざまな対策を考えていることと思いますが、現実に平成十六年においては、救急車が出場してから現場までと、現場から病院までの到着時間が五年前と比較してどのようになっているのか、状況をまずお伺いいたします。

○関口消防総監 平成十六年の救急隊の出場から現場到着までの平均時間は六分十八秒であり、平成十一年の五分二十四秒と比較いたしますと、五十四秒伸びております。
 また、同じく、平成十六年の現場出発から医療機関到着までの平均時間は八分五十四秒であり、平成十一年の八分三十秒と比較いたしますと、二十四秒伸びております。

○酒井委員 五年前と比較をして、通算一分以上、到着時間が伸びていることがわかりました。
 消防庁としても、可能な限り、救急車の増車を初めとした体制整備や、軽微な状況の方が安易に救急出動を求めないようなシステムづくりをしていただきたいと思いますが、このような状況にあって、まず取り組むべき課題は、現場において救命救急措置が行えるような体制整備であると思います。
 一般のご家庭や路上等では限界もあると思いますが、人の多く集まる公共施設や公共交通機関等では、特に救命救急措置の体制整備に向けた準備が必要であり、現実に対応が可能であると考えます。救命救急措置を一分でも早く行うことが、その方の生存に大きくかかわることからも、その体制整備は重要であると考えます。
 先ほど服部副委員長の質問にもありましたけれども、この救命救急措置を施す機器の一つとして、自動体外式除細動器、いわゆるAEDがあります。平成十六年七月一日、厚生労働省医政局長の通知により、従来、医師、看護師、救急救命士のみに使用が認められていたAEDが一般市民でも使用が認められ、心筋梗塞などの心疾患に対応できるようになりました。
 そこで、都庁を初めとした公共施設等へのAEDの設置が求められるわけですけれども、繰り返しになりますが、東京消防庁では、公共施設、区市町村を含め、今まで具体的にどのような施設にAEDを何台整備したのか、お伺いいたします。

○関口消防総監 平成十七年度の東京都重点事業といたしまして、動物園、児童会館、障害者総合スポーツセンターなど公共施設や区市町村百五の施設に百七台、また、消防署、消防出張所などに二百九十一台、計三百九十八台のAEDを配置いたしました。

○酒井委員 ただいまのご答弁によりますと、動物園、児童会館、障害者総合スポーツセンターなど百五の施設に設置をしたとのことですけれども、AEDの使用については、先ほど服部委員の方からもご紹介があったように、比較的わかりやすく使用方法が機械に記載をされているものの、突然の事態に対応するためには、日ごろの訓練や実際の使用体験が大きくかかわってくるものと思います。
 ご答弁の例示にはありませんでしたが、この都庁舎においても、第一、第二庁舎、議会棟にそれぞれ一台ずつ設置をされ、そこにいる警備員さんなどは、これを使えるような訓練を受けていると聞きました。
 そこで、さきに挙げられたような、多くの都民が訪れる公共施設で働く都職員のAED講習受講状況並びに今後の受講への取り組みについて、当該各局を代表して、今回最も多く設置されている福祉保健局の取り組みについて伺います。

○平井福祉保健局長 福祉保健局では、児童会館や障害者総合スポーツセンター、保健所など、都民の利用が多い施設を中心にAEDを二十六台設置しておりまして、これらの施設の職員については、ことし六月に、AEDの使用方法を含めた応急手当てに関する講習を実施したところでございます。
 また、その他の施設においても、職員を独自に講習会に参加させるなど、使用方法等の習得に努めております。
 さらに、都民の安全・安心を担う我が福祉保健局といたしまして、職員が救急事故現場に居合わせた場合などに速やかにAEDを使用して救命活動を行うことができるよう、今年度中に本庁に勤務する職員すべてにAED講習会を実施することとし、先日、第一回を既に開催したところでございます。

○酒井委員 ただいま都職員の受講状況について伺いましたが、東京消防庁における現在までのAEDの受講者数はどのくらいなのか、また、公共施設等における都職員の受講に対応できる体制は整っているのか、お伺いいたします。

○関口消防総監 AEDの項目を加えました救命講習を本年一月二十一日から開始しており、十月三十一日現在、既に十二万六千九百六十八人の都民等が受講しております。
 東京消防庁では、AED講習用の資器材を整備するなど、都職員を含め、都民のあらゆる要請にこたえられるよう講習体制を整えております。

○酒井委員 東京消防庁における受講体制の整備が整っていることはわかりました。
 私も先月、普通救命救急の講習を受けてまいりましたので、万が一ここでだれかが倒れても使えると思いますが、このAEDについては、心停止から除細動までの時間が一分経過するごとに、七から一〇%ずつ生存率が低下をするという統計もあります。東京消防庁においては、都職員だけではなく、区市町村施設における職員や多くの都民がAEDを効果的に使用できるよう、取り組みを進めていただくよう要望をいたします。
 また、本日、当委員会に出席をされている各局の局長さんにおかれましても、それぞれが所管をする施設において、現場の職員が万が一のときAEDを活用できるよう、講習を勧めていただきますようお願いをして、次の質問に移ります。
 次に、自殺者対策について伺います。
 この問題については、さきの第三回定例会一般質問でも総体的に質問いたしましたが、本日は、都としての自殺者対策について若干具体的に質問させていただきます。
 繰り返しになりますが、警察庁生活安全局の資料によると、平成十六年中における自殺者の総数は三万二千三百二十五人と、数字を置きかえると、二十分に一人の割合でみずから命を絶っている方がいる状況にあります。
 自殺の原因については、すべてを把握することはできませんが、遺書ありの自殺者のうち、健康問題が約三九%、経済、生活問題が約三三%、家庭問題が約一〇%、勤務問題が六%となっています。
 また、年代別自殺者数においては、六十歳以上の方が年齢区分としてはトップになっているものの、四十代から五十代という子育て真っ最中、働き盛りの世代の方が、平成十六年中で一万二千八百七十四人と全体の約四割を占めています。
 このことからも、働き盛りの方々の経済的な問題が自殺の大きな要因になっていることがうかがわれます。これ以上自殺者をふやさないため、首都東京において、自殺予防に向けた取り組みを強化していくことは急務の課題であります。
 このような状況の中、都においては、平成十五年度、十六年度の二カ年において、一保健所の取り組みとはいえ、西多摩地区におけるうつ病対策自殺防止プロジェクトを実施したことは時宜を得た取り組みであり、高く評価するものであります。
 そこで、まず伺います。都が実施をした西多摩地区におけるうつ病対策自殺防止プロジェクトについて、その地区で本プロジェクトを行うこととなった経緯について伺います。

○平井福祉保健局長 我が国の自殺死亡者数は、平成十年に三万人を超えて以来、ほぼ横ばいで推移しておりまして、国も効果的な予防対策が緊急の課題であるとしております。
 自殺者は、うつ病など精神疾患を有する割合が高いことから、うつ病対策を含む心の健康づくりが重要でございまして、また、働き盛りの中高年男性の自殺者が増加していることから、職場での健康づくりを担う職域保健での取り組みが重要となっております。
 西多摩保健所では、こうした状況を踏まえ、うつ病対策を地域における重点課題の一つとして位置づけまして、国の地域産業保健センターの協力を得ながら、従来接点の少なかった職域保健との連携によるプロジェクトを実施したものでございます。

○酒井委員 次に、本プロジェクトにおいては、民間事業者や地域産業保健センターとの連携を図りながら取り組みを行ったということですが、具体的にはどのような規模で事業を行い、それによってどういった効果が得られたのか、伺います。
 また、都における本プロジェクトの評価と事業成果の活用についてお伺いいたします。

○平井福祉保健局長 このプロジェクトでは、西多摩地域の約百の企業に対しまして、心の健康づくり対策等に関する実態調査を実施いたしました。この結果、小規模な事業所では、うつ病に対する正しい理解を得るための機会が少なく、心の健康づくりへの取り組みが十分ではないことなどが明らかになりました。
 このため、企業等へのうつ病予防リーフレットの配布、事業主、従業員に対する健康教育、健康管理担当者向け研修会の実施などの普及啓発活動を行いましたところ、調査に協力した企業や研修参加者から保健所への相談が増加するとともに、企業みずからが研修を実施するなど、心の健康づくりに対する意識が非常に高まりました。
 また、こうした取り組みを報告書として取りまとめ、都内の各保健所、市町村、参加企業等へ広く情報提供を行ったところでございます。
 このプロジェクトは、地域保健と職域保健とが連携した心の健康づくり対策のモデルとなるものでございまして、今後、その成果も踏まえまして、健康づくり施策に生かしてまいります。

○酒井委員 次に、都としては、本プロジェクト以外にも、平成十六年度において自殺予防に向けてのさまざまな取り組みを行っていることと思いますが、自殺予防に向けた取り組みとしては、その直接的な要因となるうつ病対策のみならず、うつ病になる手前での対策も必要であると思います。
 そこで、例えば精神保健福祉センター等において、自殺予防に向けて、うつ対策や心の健康づくりはどのような取り組みをされているのか、お伺いいたします。

○平井福祉保健局長 うつ病対策や心の健康づくりに関しましては、保健所において、精神保健福祉に関するさまざまな相談に応じております。
 また、精神保健福祉センターでは、より複雑な相談に対応するとともに、区市町村や医療機関などの職員を対象といたしまして、専門的な見地から、うつ病や自殺予防に関する研修、対応が困難な事例への助言などを行っております。
 加えて、うつ病に関する正しい知識の普及啓発を図るため、リーフレットの作成、配布や、自殺予防のホームページを開設しているところでございます。

○酒井委員 福祉保健局としての取り組みについてはわかりました。
 次に、初めに紹介したとおり、自殺者の多くが働き盛りの四十代、五十代であったり、自殺原因の多くを経済問題や勤務問題が占めている状況からも、労働問題への対応も自殺防止に大きくかかわってくるものと思います。
 そこで伺います。都は平成十六年度に、従来のハローワークでは対応し切れなかった、きめの細かい就業支援のため、しごとセンターを開設しました。ここでは、高齢者、中高年、若年者と、それぞれの年代に応じた取り組みを行っていますが、特に働き盛りの中高年の方々への対応が重要と考えます。しごとセンターにおける中高年の方々への成果はどうだったのか、また今後の対応についてもお伺いいたします。

○成田産業労働局長 自殺の要因といたしましては、心の健康や経済、生活問題など、さまざまな背景が指摘されておりまして、雇用就業対策も含め総合的な取り組みが必要であると認識しております。
 このため、しごとセンターにおきましては、働き盛りでありながらも、失業や仕事に関するさまざまな不安を抱えて訪れる中高年の方々に対しまして、幅広く相談に応じているところでございます。
 また、早期就職を促進するために、民間就職支援会社の専任のカウンセラーが、就職に至るまでのきめ細かな支援を継続的に行っております。
 昨年七月の開設以来、中高年の利用者は延べ三万人を超え、新規利用者約九千人のうち、三人に二人の約五千八百人が就職するなど、成果を上げております。
 今後とも、積極的に就業支援に取り組んでまいります。

○酒井委員 次に、都においては、労働相談情報センターにおいても、労働問題に関連したメンタルヘルスの相談を行っているそうですが、この労働相談情報センターでは具体的にどのような取り組みを行っているのか、また関係機関とどう連携をしているのか、お伺いいたします。

○成田産業労働局長 都内六カ所にございます労働相談情報センターでは、労働問題に関しまして広く相談を受けておりまして、突然の失業や、職場でのさまざまな人間関係などの問題に直面している相談者の悩みにこたえるなど、精神的負担の解消や心の健康づくりに寄与する効果も果たしてきたと認識しております。
 平成十六年度の相談件数は約四万五千件でございましたが、このうち、直接メンタルヘルスと関連した相談は千七百六十五件でございました。また、専門的な対応が必要なものにつきましては、本人の希望によりまして、臨床心理士などによる心の健康相談を実施しており、十六年度は百七十四件でございました。さらに、相談者が深刻な病状にあると推測されるような場合には、保健所、病院等、関係機関との連携を図っているところでございます。

○酒井委員 今後とも、労働問題、就業問題から起因するうつ病や自殺の防止に向けて、産業労働局と福祉保健局が連携しながら取り組みを進めていただきたいと思いますが、日ごろ社内での取り組みが不十分な中小企業で悩んでいる労働者を救うためにも、労働相談などの都の取り組みを積極的にアピールしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○成田産業労働局長 労働相談情報センターでは、さきに申し上げました労働相談に加えまして、職場における心の健康をテーマとしたセミナー等を実施し、労働者の不安の解消に努めているところでございます。
 これらの事業は、職場内のトラブルを未然に防止し、労働者が安心して働ける環境をつくる上で重要でありまして、パンフレットやホームページによる日常的なPRに加え、街頭労働相談やパート労働月間、さらには年末の特別相談会などの機会を通じて周知を図っているところでございます。今後とも積極的に周知に努めてまいりたいと思います。

○酒井委員 本日の質問は、中高年世代への対策が中心となってしまいましたが、最後に、平成十六年度のさまざまな施策の成果を踏まえ、都として、あらゆる世代の自殺防止に向けて、今後、市区町村との連携など、どのように取り組みを行っていくのか、お伺いいたします。

○平井福祉保健局長 自殺の背景には、就業問題のほか、多額の負債あるいは孤独や病など、社会的、経済的なさまざまな要因がございます。自殺を予防するためには、したがいまして、社会全体で幅広い取り組みが必要であるというふうに考えております。
 都では、福祉保健局や産業労働局における相談体制の整備を初め、保健医療従事者への研修、正しい知識の普及啓発など、都民の心の健康づくりに取り組んでいるところでございます。今後とも、関係局、関係機関と連携し、総合的な取り組みを推進してまいります。

○酒井委員 最後に、電子都庁について伺います。
 東京都はここ数年、文書管理システム、電子入札、そして電子申請と順次都庁の電子化を行い、特に電子入札並びに電子申請については、都民の利便性向上に役立っていることと思います。これら電子都庁の取り組みは、摂南大学経営情報学部島田研究室の二〇〇五年度電子自治体進展度上位ランキングにおいても、都道府県別で前年度の第三位からトップになるなど、手前みそではなく、客観的に評価をされています。
 そこで、今回は、電子都庁の取り組みの中で総務局が所管をする電子申請について、何点か質問させていただきます。この電子申請については、現在、都内区市町村との共同運営を行う中、順次対象手続の拡大を図っていますが、今回は都の取り組みに限定して質問いたします。
 まず、平成十六年度において電子化された象徴的な手続と、都の全体計画の中での電子申請の達成状況を伺います。また、利用実態について、書面申請と電子申請の割合についてお伺いいたします。

○高橋総務局長 都は、職員採用試験など、都独自に百七十三の申請手続を電子化してまいりました。さらに平成十七年一月からは、都と区市町村が共同で運営する電子申請を開始しまして、各種講座の申し込み受け付けなど、新たに百四十一手続を電子化いたしました。その結果、平成十七年三月末で、都においての電子化が可能と考えられる手続約九百四十のうち、三百十四を電子化することができました。都全体の電子申請件数は約二十四万件となっております。
 電子申請の割合につきましては、書面による申請割合が高いものもございますけれども、施設予約申し込みのように五割を超える手続もふえてきつつある状況にございます。

○酒井委員 この電子申請をさらに多くの都民の方に利用していただくためには、利便性の確保や安全性の向上も欠かせないものと思います。ことし四月より個人情報保護法が施行され、一部過剰に反応し過ぎな点もあると思いますが、都民の個人情報に関する意識が向上していることもあり、この電子申請についても、セキュリティー管理が大きな課題であると思います。特に電子申請における個人情報の漏えい防止についてどのような対策を講じているのか、お伺いいたします。

○高橋総務局長 電子申請では、個人情報を厳重に保護するために、セキュリティーポリシーを定めまして、技術面、設備面等さまざまな点から徹底したセキュリティー管理を実施しております。例えば、技術面ではデータの暗号化やファイアウオールの設置など、設備面ではコンピューター室への入退室管理や二十四時間のカメラ監視など、運用面ではマニュアル整備と研修などを実施しまして、あらゆる脅威に対して個人情報の漏えい防止に努めております。

○酒井委員 次に、今後、電子申請で行える手続が充実をしていく中で、行政書士や司法書士等専門家による代理申請の件数もふえていくものと想定されます。その際、申請者本人の電子証明書のみならず、代理人の電子証明書も必要になってきます。代理人によっては、その職域の中で既に発行されている電子証明書を活用している状況もあります。
 そこで、都の電子申請では、どのような種類の電子証明書を使うことができるのでしょうか。この点については、行政書士や司法書士等が独自の電子証明書を使えるようにすべきと考えますが、所見をお伺いするのと同時に、あわせて、最後に、今後利用者の意見等も踏まえながら、電子申請の利便性向上に向けた今後の取り組みについてもお伺いをし、質問を終わりにしたいと思います。

○高橋総務局長 二点お答えをいたします。
 まず、都独自に電子化をしました申請手続は、本人によるものに限定してきました。これに対しまして共同運営では、本人ばかりでなく、代理人にも対応しまして、利用者の利便性を高めることとしております。この代理申請におきましては、本人、代理人それぞれの電子証明書が必要でございます。この証明書は、知事が行う公的個人認証に基づくものと、電子認証登記所が行う商業登記に基づくものとがございます。
 お話の行政書士や司法書士等の使用する民間認証局が発行する電子証明書への対応につきましては、システム連携基準の策定や、システム改修の規模とその影響などを見定める必要がございますので、今後の検討課題と認識をしております。
 それから、利便性の向上等に向けた今後の取り組みでございますが、これまでの電子申請は、申請件数の多いものから順次実施してまいりました。今後、より一層きめ細かい対応が求められていると考えております。これまで寄せられました利用者の意見はもとより、ネット上でアンケートを実施するなど、いまだ電子申請を利用されていない都民の声にも耳を傾けまして、手続の電子化に反映させていく予定でございます。
 今後とも、利用者の利便性の向上を図りますとともに、個人情報保護及びセキュリティー確保に万全を期しながら、都民がわかりやすく、安心して利用できる電子申請サービスの普及拡大に努めてまいります。

○古賀委員長 酒井大史副委員長の発言は終わりました。
 小磯善彦副委員長の発言を許します。

○小磯委員 十六年度各会計決算に当たりまして、教育問題、それから都市整備問題、そして行政改革と、大きな三つの項目について質問をさせていただきます。
 初めに、教育問題でございます。
 私、自分自身の議員生活、この四年と少しの間でございますが、一般質問、また決算等いろいろな場で、いわゆる教育問題について、部活動の活性化ということを何回も取り上げてまいりました。中学校、そして高校と、皆さん方も、局の人たちも、また我々議員も、自分がさまざまな部活動に参加をして、中学校、高校の思い出があると思っております。
 そういう中で私は、実は多くのお母様方から、中学校に入っても自分の子どもがやりたい部活動がない、何とかしてもらいたい、こういう声を大変多く聞きました。そういうことで、私はこの部活動の活性化、これについてしっかりと自分自身、東京都に対して対策を訴えていきたい、こんな思いでございます。
 そういう中で、実は一昨年の決算の総括で、運動部活動の実態調査、これを東京都教育委員会でしっかりやってもらいたい、中学校、高校すべての学校にそういう実態調査をしてもらいたい、それと同時にまた、そういう実態調査をもとに検討委員会を立ち上げて、何が問題なのか、それに対してどうやっていけばいいのか、そういったことをしっかりと考えていただきたい、こんな質問をさせていただいたわけでございます。
 そうした私の質問もありまして、そういう中で都の教育委員会が昨年、部活動の実態調査を行いました。そしてまた、部活動の検討委員会を設置されたわけでございまして、大変そのことについては評価をしているところでございます。
 そこで、まず、昨年度行いました実態調査の概要についてお伺いをしたいと思います。

○中村教育長 お話のございました部活動の実態調査につきましては、平成十六年度に、すべての公立中学校及び都立の高等学校を対象に、部活動への生徒の参加状況、加入状況ですね、それから外部指導者の導入状況等を把握するために実施したものでございます。
 本調査結果によりまして、中学校、高等学校全日制課程とも、約八割の生徒が部活動に加入していること、約三割の運動部に外部指導者が導入されていることが明らかになりました。

○小磯委員 私が把握しているところでは、例えば野球部であるとかサッカー部であるとかバレーボール部であるとか、当然我々の時代にはあった、あってしかるべき部がなかなか、実際行ってみるとないというような声も聞いているわけでございます。例えば、私が知っている生徒さんでは、中学校で剣道をやったんですけれども、この生徒さんは、中学校で剣道をやろうと思って中学校に入学したんじゃなく、入学してから部活動の紹介で剣道と出会って、じゃ剣道ならやってみようかということで剣道をやって、中学校で剣道二段を取ったということでございました。
 この子にとってみると、中学校に剣道という部活動があったからこそ、そういう出会いがあったからこそ、その部活動をやって、それを通じて自分が成長していったということでございますので、私は、こういう出会いというのが大変大事なんじゃないかな、いろんな部活動があるといろんな出会いのチャンスがある、それだけ多くの生徒がいろんな可能性が生まれてくるというふうに思っているわけでございます。ですから、まず中学校、高校にいろんな部活動があること自体が私は大変大事なんじゃないかなと、こういうふうに考えているところでございます。
 部活動は生徒の学校生活に大きな意味があり、生徒に人気のあるこれらの部活動がないということは、入学する生徒や保護者の期待にこたえ切れてないということではないかなというふうに思っているわけでございます。そこで、今のは一つの例でございますけれども、部活動に関して、これ以外にもさまざまな課題があると思っております。部活動基本問題検討委員会を発足させ、検討を重ねてきて、どのような課題が明らかになったのかをお伺いしたいと思います。

○中村教育長 都教育委員会は、平成十六年十月に、校長会、部活動の関係団体、地域関係者及び庁内関係者で構成します部活動基本問題検討委員会を設置しまして、部活動にかかわります基本的な問題を検討してまいりました。
 この検討委員会では、部活動にかかわる課題として、学校の教育活動における部活動の位置づけがあいまいであること、顧問や外部指導者の確保が困難であること、部活動指導にかかわる教員の勤務についての見直しが必要であること、学校と地域との連携が不十分であることなどが明らかになりました。
 特に、中学校におきましては、教員の異動によりまして指導者が不在となり、部活動の継続が困難になること、高等学校におきましては、より高度な技能を求める生徒の期待にこたえられる指導者の確保が困難であること、活動場所や予算が不足していることなどが大きな課題であるというふうに指摘されております。

○小磯委員 今、この設置をされた検討委員会で明らかになった課題についてご答弁をいただいたわけでございますが、それらの課題はすべてやはり部活動の位置づけが大変あいまいになってきたことが原因であるというふうに私は思っております。この検討委員会の報告書等でもあるわけでありますが、学習指導要領でクラブ活動というものが特別活動で位置づけをされておりました。部活動をクラブ活動と代替措置ができていたわけでありますが、平成十年、クラブ活動の位置づけがなくなったということによって部活動の位置づけもなくなってしまったということをこれで知ることができるわけでございます。
 都の教育委員会は、部活動を学校の教育活動としてどのように位置づけていくのか、大変大事な問題でございます、これについてお伺いをしたいと思います。そしてまた、都教育委員会として区市町村の教育委員会に、中学校における部活動の位置づけを明確にするよう働きかけていくべきであると考えますが、見解をお伺いしたいと思います。

○中村教育長 部活動は、生徒の個性や豊かな人間関係づくりなどを進めていく上でも極めて重要な教育活動でございます。このため、都教育委員会は、今回明らかになりました基本的な課題及び個別具体的な課題を検討する組織を設置いたしまして、関係する規則等への反映についても協議してまいります。あわせて、各学校が部活動を学校経営計画に明確に位置づけ、活性化に取り組むことができるよう指導してまいります。
 また、お話のように、中学校においても、部活動を学校経営方針に明確に位置づけるよう、区市町村教育委員会と連携を図ってまいります。

○小磯委員 ただいま教育長からは、個別具体的な課題を検討する組織の設置、また、関係する規則等への反映についての協議というご答弁がありました。そしてまた、学校経営計画に明確に位置づけていくということで、部活動の位置づけについては、教育長としてしっかりと検討いただいて、それを期待したいというふうに思っております。
 それから、部活動の位置づけが明確になった上で、今度は、実際問題そういう部活動を活性化するためには、部活動の顧問の先生、そしてまた外部指導者、こうした方々の資質の向上、これを図っていかなければなりません。運動部活動における外部指導者の登録制度などを一層活用する必要があると考えておりますけれども、いかがでしょうか。

○中村教育長 都教育委員会では、これまでも教員や外部指導者を対象に、運動部活動指導者講習会の実施や、青少年を育てる課外活動支援事業におきまして、資格等を有する外部指導者の学校派遣など、顧問や外部指導者の資質向上を図ってまいりました。今後は、部活動顧問ハンドブックや外部指導者指導の手引などを作成いたしまして、顧問や外部指導者の資質向上を図るとともに、スポーツリーダーバンクの登録者情報を地域別に編成しまして、各学校が活用しやすいように改善するなど、部活動支援を一層推進してまいります。

○小磯委員 外部指導者のいわゆる人材バンクの情報、これを地域別にしっかりと把握しておくというのは大変大事なことであろうというふうに思っております。また、そういう手引でありますとかハンドブック等を通して指導者の養成というのをしていただきたいというふうに思っております。
 個別具体のいわゆる顧問の悩みとか校長先生の悩みというところでは、自分の専門的指導力の不足でありますとか、また、校長先生にしてみますと、そういう指導者の負担の過重といったものが悩みとなっておりますので、こういったものの解消に頑張っていただきたいというふうに思っております。
 そして、いわゆる学校の先生におきましては、一生懸命部活動をする先生もおられれば、自分が帰宅部の先生もおられるわけでございます。そういう中で、熱心な顧問の先生を評価するシステム、そしてまた処遇などについてもしっかりと考えていく必要があろうかと思いますが、いかがでございましょうか。

○中村教育長 教員の人事考課制度は、その職務全般を評価の対象にしておりまして、部活動指導については、これまでも積極的に評価を行ってきたところでございます。今後、部活動を学校経営計画に明確に位置づけていくことを検討しておりまして、教員の部活動指導につきましても、より積極的な評価を行い、評価結果を適切に処遇へ反映させるなど、顧問教員の一層の士気高揚を図ってまいります。

○小磯委員 教員の採用段階から部活にかかわる能力を把握するとともに、部活動が廃部、また休部といった事態を極力回避するために、部活動顧問の教員人事について特別の配慮をすべきであるというふうに思っております。
 この中学校では大変、例えば剣道が優秀であった。ところが、その剣道の顧問の先生が転勤になってしまった。一挙にその中学校では剣道部が衰退といいますか、していったという話をよく伺うわけでございまして、そういったことで、そういう人事異動についても、部活動の活性化という面もしっかりと考えていただきたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。

○中村教育長 委員ご指摘のとおり、学校の小規模化に伴いまして教員の数が減っているところでお話のような事態が生じていることは承知しております。
 採用時から教員の部活動指導能力を把握することは重要なことであるというふうに認識しておりまして、今後、採用予定者の部活動指導能力をより的確に把握できるよう工夫し、区市町村教育委員会等に情報提供を行ってまいります。
 また、人事異動に当たりまして、部活動指導担当教員の人事に関する区市町村教育委員会の意向等を明確に把握しまして、各地区の人事構想を踏まえました、きめ細やかな人事を通しまして学校の部活動を支援してまいります。

○小磯委員 恐らく、部活動の指導能力のある先生というのは、また授業でも本当に頑張っておられる先生だと思います。また、顧問の先生が転勤して部が廃部になるこの事態は生徒にとって大変マイナスでございますので、ここの部分については、さらに具体的にご検討、頑張っていただきたいと思っております。
 また、部活動で頑張っておるけれども、経費等がかかるので全国大会に行けないとか、あるいはやむなく生徒さんが退部するという話も耳にしております。部活動を続けるための財源確保が重要であると考えておりますが、どのようになっておるのか、お伺いをしたいと思います。

○中村教育長 通常の部活動に要します経費は、保護者負担が原則となっておりますが、都教育委員会といたしましては、都立学校生徒の全国大会等への経費につきましては、一部負担してございます。また、部活動の振興を図るための指導者謝礼や施設の使用料、各種大会への参加費及び生徒が共同で使用する主な物品購入費等の経費につきましては、予算化しているところでございます。
 今後、部活動振興の予算に関しまして、担当部署を一元化するなど、庁内の執行体制の効率化を図るとともに、指導者の謝礼等の予算確保につきまして引き続き努力してまいります。

○小磯委員 今回まとめられたこの報告書、わずか四十五ページのものでございますけれども、大変情熱を持って作成されたものであると感じております。実はこの報告書を心待ちにしていた学校も多く、そしてまた、区市町村教育委員会においては、同様の委員会を設置して、この報告書を待って検討に生かすというところもあるというふうに伺っております。都知事の目指した心の東京革命の一端をこの報告書がしっかりと担っていくと思いますし、一番大事な中学生という時間を部活動という一面からしっかり支えていくことは、大変価値のあることであり、ある一点から集中的に教育革命をしていくということにもなるのではないかと期待をしておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
 続きまして、都市整備ということで、特定都市河川浸水被害対策法について質問をさせていただきます。
 近年、自然環境の変化、都市化の進展に伴う土地利用の高度化に伴い、短時間に大量の雨水が流出する、いわゆる都市型水害が頻発するようになってまいりました。こうしたことへの対応から、特定都市河川浸水被害対策法が制定され、本年四月には鶴見川が特定都市河川に指定をされました。
 この法律制定の背景の一つには、私の地元での話でございますが、宅地開発の際に雨水流出の抑制を目的に設けられた調整池が、その後埋め立てられて、宅地として転売される事態が発生したことがございます。また、町田の玉川学園の通称興人団地では、団地造成の際につくられた調整池を守るための住民運動が現在も続いており、今回の法律に既存の調整池を保全する仕組みが盛り込まれるきっかけになったと理解をしております。
 そこで、特定都市河川浸水被害対策法の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○梶山都市整備局長 特定都市河川浸水被害対策法は、都市部を流れる河川を対象に、浸水被害の防止を目的として、平成十五年六月に制定されました。
 この法律では、浸水被害防止のため、流域の市街化率が五割以上で、これまで著しい浸水被害が発生し、かつ河道などの整備が困難な河川を特定都市河川として指定するものでございます。指定されました河川では、流域水害対策計画の策定、開発行為などにおける雨水貯留浸透施設の設置、さらには既存の調整池の保全などによりまして浸水被害対策を総合的に推進するものでございます。

○小磯委員 本法におきましては、新設の調整池の改変等に際して知事の許可が必要、また、違反行為に罰則規定が設けられるなど、規制が格段に強化をされておりますが、問題は、既存の調整池でございます。この法律の目玉は、既存の調整池を保全する仕組みであると考えておりますが、そこで、特定都市河川浸水被害対策法における既存の調整池の保全の仕組みについてお伺いをしたいと思います。

○梶山都市整備局長 法律が制定される以前は、開発に伴って設置されました民間所有の調整池が改変されましても、規制する仕組みはございませんでした。この法律では、これらを規制する仕組みとして、既存の調整池を保全調整池として指定する制度を導入したものでございます。
 指定に当たっては、市町村の意見を聴取し、指定後は公示し、また、標識を設置することになっております。
 さらに、改変に際しましては、事前の届け出が義務づけられておりまして、それに対し、知事が必要な助言、勧告を行えることとなっております。このことによりまして、調整池の改変に対して一定の抑制効果が発揮されるものと考えます。

○小磯委員 鶴見川流域における調整池の設置状況と、今後それらをどのように保全していくのかをお伺いしたいと思います。

○梶山都市整備局長 お尋ねの鶴見川流域は、東京都と神奈川県にまたがっておりまして、国と流域都県市で構成いたします協議会を昭和五十六年に設置し、総合的な治水対策の一環として貯留浸透施設の設置を推進してまいりました。その結果、流域面積の約二割を占める都内では、開発等に伴う調整池を二百二十三カ所設置してまいりました。その内訳は、都と市が九十八カ所、民間が百二十五カ所でございます。民間所有のうち、保全調整池の対象となるのは百十七カ所でございますが、町田市へ移管予定であります十一カ所を除く百六カ所が対象となります。
 今後は、既存調整池を保全していくため、流域自治体と連携し、保全調整池の指定の考え方を取りまとめ、早急に保全調整池の指定に向け取り組んでまいります。

○小磯委員 今なお改変の危機にさらされている調整池があり、その早急な保全対策は大変重要であると考えます。そこで、保全調整池を指定するに当たっての考え方をお伺いしたいと思います。

○梶山都市整備局長 保全調整池の指定に当たっての考え方でございますが、法律では、百立方メートル以上の調整池を指定することができることとなっております。都といたしましては、百立方メートル以上の貯留規模を有する民間所有の調整池百六カ所すべてを指定する予定でございます。その指定に当たりましては、貯留施設の規模や集水面積などを勘案しながら、調整池の所有者や管理者及び関係者の理解と協力を得て順次指定してまいります。

○小磯委員 この鶴見川におきます保全調整池というものについては、早急な保全対策が重要であると思っておりまして、保全調整池の指定は年度内に開始をすべきである、こう考えますが、いかがでございましょうか。

○梶山都市整備局長 総合的な治水対策の一環といたしまして、開発等の際に雨水の流出抑制を目的に設けられました調整池は、浸水被害の軽減を図る上で適切に保全していくことが必要であると考えております。このため、保全調整池を早期に指定し、あわせて流域自治体と流域住民が協力し、改変に対する監視を強め、より実効性を高めていくことが重要であると考えております。
 都といたしましては、調整池の所有者や管理者及び関係者の理解と協力を得て、保全調整池の指定が年度内に開始できるよう取り組んでまいります。

○小磯委員 ぜひとも早急に保全調整池に指定していただきたい旨強く要望して、次の質問に移りたいと思います。
 東京都内の病院の地震対策についてお伺いをいたします。
 十六年度末に厚生労働省研究班と四病院団体協議会が、全国的に病院に対して地震に対するアンケート調査を行っております。東京都内では六百六十ある病院の中で、四百九十二の病院、すなわち約七五%から回答を集めるという大変大きな調査をしております。調査項目として、大きく分けて、建物の耐震の状況、ライフラインの確保、ソフト対策など、事細かに調査をしております。
 病院という、地震災害のときに最も都民が必要とし、また、都民が駆け込む施設であり、都民の命綱のようなところであり、地震のときにここが機能停止したときに、都民の救命率も格段に下がってしまうという最重要施設であります。よって、この課題解決は急務であると同時に、重ね重ね我々議会人が訴えていくべきことであり、行政も真剣に取り組むべき課題であるといえます。
 この調査を都としてどうとらえ、率直にどのような感想をお持ちか、お伺いをしたいと思います。

○平井福祉保健局長 災害発生時に病院の機能を維持し、重症患者等への適切な医療を確保することは重要な課題でございまして、このため、都は、都内で六十三カ所指定している災害拠点病院を中心に、災害時の医療体制整備を図ってきております。
 この調査は、全国の病院に対して、国が民間団体と合同で、地震対策の状況について幅広い観点から調査し、病院の防災能力を把握するために実施したものでございまして、都における災害医療対策の参考となる貴重な調査と考えております。今後、本調査結果を踏まえた国における施策の動向などを注視しつつ、都としての対応のあり方について検討してまいります。

○小磯委員 この調査は、耐震化のみならず、防災マニュアルの策定、施設管理マニュアルの策定、災害医療を行う場所の策定、災害時の連携、応援体制の策定など、ソフト面の整備について調査をしております。例えば施設管理マニュアルの策定とは、水、電気、水道などについて、非常電源への切りかえや水の確保などさまざまな対応が必要となる、これらのための施設管理マニュアルの策定は、三五・八%と低いわけであります。また、ライフライン停止を想定した防災訓練、二七・八%と低くなっております。これらの対策は比較的費用負担の少ない部分だと思いますので、こういうものこそ東京都がいち早く取り組むべきでありますが、いかがでございましょうか。

○平井福祉保健局長 災害発生時に医療機能と患者の安全確保を図るためには、各医療機関において、日ごろから発災時を想定した備えをしておくことが大切であります。このため、都では、従来から病院での防災訓練の実施を推奨してまいりましたが、阪神・淡路大震災を契機といたしまして、平成八年度には、病院における防災訓練マニュアル及び病院の施設・設備自己点検チェックリストを作成、配布したところでございます。
 また、平成十年度からは、毎年、都内すべての病院と救急診療所に対し防災訓練を実施するよう要請するなど、医療機関の防災意識の向上を図っているところでございます。今後とも災害医療対策の充実に努めてまいります。

○小磯委員 私が特に注目したいのは、医薬品の備蓄計画を三〇・九%の病院が行っていない。食料、飲料水の備蓄より数値が低いのでございます。また、受水槽の容量が半日分とか、一日分とか、わからないとかの回答が圧倒的に多かったこと、自家発電機の稼働可能時間が、十二時間未満が六四・八%と多かったことが実に心配であります。道路の寸断、また、よそからの燃料の補充とか医薬品の補充とかできない場合も想定されるわけでございます。実際、東京で巨大地震が起きて、ライフラインの復旧がおくれた場合、この実態では病院としての機能が停止してしまいます。
 こうした実態が明らかになった以上、福祉保健局として、都内の病院の災害対策を促すためどのように取り組むのかをお伺いしたいと思います。

○平井福祉保健局長 都指定の災害拠点病院に対しましては、災害時応急用の医薬品や医療資器材を配備しているほか、ライフライン機能を確保するため、ポータブル発電機や組み立て水槽などの資器材も整備するよう指導しております。
 また、都内すべての病院に対しまして、自己点検チェックリストに基づき、医薬品等の備蓄計画を策定するよう呼びかけてまいりました。しかし、この調査結果におきましては、三割の病院が計画を策定していないとのことでございまして、今後、改めて周知徹底を図るなど、病院における災害対策の充実を促してまいります。

○小磯委員 最後の質問でございますが、十五年の予算特別委員会で私は、東京都職員の通勤手当について質問させていただきました。当時、一カ月定期の額を支給していたため、これを六カ月定期の額の支給に改めるべきである、こういう質問をさせていただいて、その削減効果が約二十八億円と、当時の総務局長からのご答弁でございました。実際、十六年四月から六カ月定期の支給に見直しを行ったわけでございますが、今回のいわゆる十六年度決算に当たって、実際にはどれだけの削減となったのか、お伺いをしたいと思います。

○高橋総務局長 職員の通勤手当支給額は、知事部局のほか、公営企業、警察、消防などを含めた全職員分で、平成十五年度が三百五億円であるのに対しまして、定期券の六カ月化を実施しました十六年度が二百六十八億円となっております。総額三十七億円減少しております。
 削減の効果の額でございますが、このうち職員定数の削減による支給額減少分を控除した三十四億円と推計され、実施前の試算二十八億円と比べまして六億円上回っております。これは、試算時に見込んでおりましたよりも六カ月化による定期券割引率の実績が大きかったためと考えております。

○小磯委員 人事委員会におきましても、実は通勤手当を公民給与比較から外すという極めて前向きな対応をしていただいております。ちょっと質問できなくて申しわけございません。
 そういうことで、公務員の人件費、公務員給与について厳しい目が注がれる中、都民の目から見てわかりやすい給与の仕組みをつくっていくことが何よりも大切なことであり、今後とも適切な対応をとっていただくよう要望して、終わります。

○古賀委員長 小磯善彦副委員長の発言は終わりました。
 村上英子委員の発言を許します。

○村上委員 初めに、福祉保健局についてお伺いをいたします。
 まず、小児救急について伺います。
 子どもは、夜間に急に発熱したり腹痛を起こしたりすることが多いものです。たとえそれが軽症であっても、親としては当然心配ですし、急に重症化する可能性もあります。家庭や地域に育児の経験者が少なくなり、子育てのアドバイスをしてくれる人が周りにいない状況の中で、こうした親の不安に対応する仕組みづくりが求められています。
 しかし、その一方で、子ども数の減少に伴う小児科医師の減少や、身近な地域で子どもを診てきた医師の高齢化など、小児救急医療の不足が問題となっております。
 私は、分科会において、安心・安全な出産の確保という視点から、周産期医療体制について質問を行ってまいりました。出産後においても、子どもの健康を守るため、現在の限られた医療資源を効果的、効率的に活用し、急病時に症状に応じた適切な医療を受けられる体制を整備することが必要と考えます。
 そこで、都の小児の救急医療体制確保の基本的な考え方についてお伺いいたします。

○平井福祉保健局長 小児救急医療体制の確保につきましては、急病の子どもが地域で症状に応じた適切な医療を受けることができますように、入院を必要としない軽症患者に対応する初期救急は区市町村、入院を必要とする中等症や重症の患者に対応する二次救急は東京都という役割分担のもとに、体系的な整備を進めております。
 あわせて、育児経験の少ない親がふえていることなどから、インターネットで子どもの病気の基礎知識、病気やけがの対処の仕方につきまして、東京都こども医療ガイドなどを通じて情報提供を行い、保護者の不安解消に努めているところでございます。

○村上委員 小児救急に関して総合的に取り組まれていることはわかりました。しかしながら、現在の小児救急医療体制が必ずしも充足されているとは考えられません。私のところには、例えば、お子さんが骨折していたにもかかわらず診療してもらえなかった、症状が重いのに軽症の方の診療が終わるまで待たされたなど、親御さんからさまざまな声が届いております。ぐあいの悪いお子さんを抱え、重い病気なのではないかとの不安から、入院ができるような二次救急医療機関に駆け込んでしまう気持ちは理解できるところです。しかし、二次救急医療機関に症状の軽い患者さんが集中してしまい、本当に診療が必要な患者さんが、結果として長く待たされるようなことになっているのではないでしょうか。
 二次救急医療機関が、入院が必要な患者さんを治療するという本来の役割を果たし、体系的に整備した小児の救急医療体制を有効に機能させるためには、夜間に、身近な地域で、ちょっと体調を崩した子どもを診てくれる急患センターなどの初期救急が必要だと思います。すべての区市町村で、三百六十五日、夜間の初期救急の体制が整備されるよう、都も支援していくことが重要であると考えます。
 小児初期救急医療事業の取り組みの実績と今後の都の方針についてお伺いをいたします。

○平井福祉保健局長 小児の初期救急医療体制の整備に当たりましては、身近な地域において、都民にわかりやすく、利用しやすい仕組みとすることが大切でございます。このため、都は、平成十四年度から、区市町村が夜間急患センターなどの決まった施設で行う小児の初期救急体制の整備を支援いたしまして、十六年度からは、複数の区市町村が共同で実施する場合も補助対象に加えたところでございます。
 現在、二十三の区市で事業が実施されておりますが、今後すべての区市町村において、地域の実情に応じた小児初期救急医療体制の整備が進められますよう、積極的に取り組んでまいります。

○村上委員 次に、高齢者対策についてお伺いをいたします。
 現在、都民のおよそ五人に一人が高齢者ですが、十年後の二〇一五年には団塊の世代が六十五歳以上となり、都民の四人に一人が高齢者になると予測されています。現在、都内には六十五歳以上の高齢者の方がおよそ二百二十万人いらっしゃいますが、そのうちの一六%、およそ三十六万人が要介護認定を受けています。また、要介護高齢者の六割を超える方が何らかの認知症の症状を有しているというデータも示されております。
 今後、要介護高齢者の増加が確実に見込まれる中で、認知症高齢者への対応は最重要課題です。認知症は、何も特別な病気ではなく、高齢になれば、体が衰えるのと同時に、だれもが発症する可能性の高い病気です。しかしながら、現在ではいまだに有効な治療方法も確立されておらず、また、効果的なケアの手法も十分には普及していないのが現状です。
 こうした中で、スタッフとともに少人数で共同生活を送ることにより、家庭的な雰囲気の中で必要なケアを受けることができるグループホームは、認知症の高齢者を支える重要なサービスの一つであり、認知症の進行の抑制や症状の緩和にも効果が高いことが実証されてまいりました。自宅では昼と夜が逆転し、問題行動が目立ったおばあちゃんが、グループホームに入居してしばらくすると、すっかり落ちついて、他の入居者と仲よく役割を分担しながら、とても穏やかに共同生活を送るようになったというお話を伺っております。
 私は、このような認知症高齢者グループホームを都内にもっともっとふやしていくこと、さらには、地域ごとの高齢者人口も踏まえ、区部と多摩地域との地域的な隔たりがないように整備していくことが必要と考えます。都はこれまでにも、民間企業に対する独自の補助制度の創設など、グループホームの整備を進めてきましたが、この取り組みを一層促進するため、昨年度から認知症高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業を開始しています。
 そこで、まず、この緊急整備三カ年事業について、都の基本的な考え方と取り組み状況についてお伺いをいたします。

○平井福祉保健局長 平成十六年度から実施しております認知症高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業は、高齢者が認知症になっても地域で安心して暮らし続けることができますように、地域バランスに配慮しながらグループホームの整備促進を図るものでございます。
 こうした趣旨に基づきまして、高齢者人口に対する整備率の低い区市町村につきましては、補助率を引き上げるなどの支援を行うことにより、地域偏在の解消を図るとともに、平成十八年度までに四千人分の整備を目指しているところでございます。
 本年十月現在、二千七百二十八人分まで整備が進んできておりまして、今後とも、区市町村と連携しながら、目標達成に向けて取り組んでまいります。

○村上委員 グループホームの総量をふやしながら、地域による隔たりも緩和していこうという三カ年事業の基本的な考え方は承知しました。引き続き計画の達成に向け、なお一層の努力をお願いしておきます。
 さて、先ほどもお話ししたとおり、今後高齢化がさらに進行する中で、認知症高齢者もさらに増加していくことが予想されます。来年度末までの三カ年事業にとどまらず、ふえ続ける認知症高齢者を地域で支えるためのサービス基盤の整備が急務です。認知症になっても高齢者が安心して生活できるよう、グループホームの整備を一層充実する必要があると考えますが、都の見解を伺います。

○平井福祉保健局長 お話のとおり、高齢化の進展に伴いまして、都内の認知症高齢者は今後さらに増加していくことが見込まれております。グループホームのさらなる整備促進が非常に重要な課題と考えております。そのため、都は、本年度から、土地所有者等が建物を新築してグループホーム運営事業者に賃貸する場合にその整備費を補助する、オーナー創設型補助を開始いたしました。また、国の施設整備費補助金の交付金化に伴う単価の引き下げに対しまして、従来の補助水準を維持するため、都独自の加算措置を講じているところでもございます。
 今後は、本年度から区市町村がグループホームの整備主体に位置づけられたことも踏まえまして、都としての効果的な支援のあり方について検討してまいります。

○村上委員 これからも創意工夫を凝らしながら整備促進に努めていただきたいと思います。
 さて、今般の介護保険法の改正により、「痴呆」という用語が「認知症」に改められるなど、認知症に関する都民の関心は高まりつつありますが、残念ながら、認知症に対する正しい知識や理解が都民の間に十分浸透しているとはまだまだいいがたい状況です。
 都は現在、高齢者の自立と尊厳を支える社会の実現に向け、東京都高齢者保健福祉計画を策定中と伺っております。その中で、グループホームを初め、小規模多機能型居宅介護などの認知症ケアのための新たなサービスの基盤整備を進めるなど、認知症高齢者とその家族が、地域の人々の理解と協力を得ながら、住みなれた地域の中で安心して生活できるよう、総合的な認知症対策に取り組まれるよう要望いたします。
 次に、映像文化の振興についてお伺いをいたします。
 先日、東京国際映画祭が渋谷を中心に盛大に行われ、その様子はテレビや新聞などで大きく報じられました。十八回目を迎えた東京国際映画祭は、アジアで最大規模の映画祭であり、東京の秋の一大イベントとして定着しております。ことしは昨年をはるかに上回る六十五の国と地域から五百八十六作品の参加があり、観客数は約二十七万人に及んだと聞いています。私も、開催地である渋谷区民としてその動向に大きな関心を持っており、カンヌやベネチアの映画祭のような世界的な文化イベントに発展することを期待しております。
 映画などの映像は、総合芸術として東京の文化を発信する上で極めて効果的なものです。都は、東京国際映画祭を初めとする映像に関する施策をさらに充実すべきと考えますが、まず、これまでの取り組みの状況についてお伺いをいたします。

○山内生活文化局長 東京都は、映像文化の発展、国際文化交流の推進などを目的にいたしまして、東京国際映画祭に対して昭和六十年の第一回から支援を行っております。コンペティション部門を共催しまして、グランプリ作品には都知事賞を授与しております。
 平成十三年度からは、アニメビジネスの総合見本市である東京国際アニメフェアを実施いたしまして、また、平成十六年度には、アジアの新しい才能の発表、発掘の場として、ショートショートフィルムフェスティバルアジアを新たに開催しております。またさらに、都内におけるロケーション活動を支援するため、平成十三年度から、撮影に関する相談窓口であります東京ロケーションボックスを開設しております。

○村上委員 映画祭などを通じた発信とあわせ、撮影などの制作の支援も重要です。東京都が石原知事の発案で東京ロケーションボックスを設置し、国内外の映画やテレビドラマなどの撮影を支援していることは非常に意義のあることと考えます。この東京ロケーションボックスの相談実績はどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。

○山内生活文化局長 東京ロケーションボックスの平成十六年度の相談件数でございますが、三千八百八十四件でございまして、崔洋一監督、ビートたけし主演の映画「血と骨」では、都有地での撮影の便宜を図るなどの協力を行っております。
 相談件数は年々増加しておりまして、開設から十六年度末までの合計は一万二千九百七十三件、撮影許可の件数も七百八十二件となっております。
 また、昨年六月には、窓口を第一庁舎の二十六階から都民情報ルームのある三階に移しまして、利便性の向上を図ったところでございます。

○村上委員 東京を世界にPRするためには、映画を初めとする映像の活用が有効です。「冬のソナタ」などの韓国ドラマが人気となって、日本にいわゆる韓流ブームが起こり、韓国への旅行者が増加したように、映像の持つ影響力ははかり知れないものがあります。東京を撮影した作品が世界的にヒットすることにより、東京の魅力が世界に広まり、さらに海外からの観光客の増加にもつながるといった一石二鳥の効果も期待できます。
 東京ロケーションボックスは、海外からの撮影の誘致に力を入れ、その充実を図るべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○山内生活文化局長 東京ロケーションボックスでございますが、海外からの撮影を誘致するため、国際フィルムコミッショナーズ協会などに加盟しまして、海外でのPRにも努めております。その結果、平成十六年度の海外からの相談件数は、前年度の百十七件から百六十一件にふえまして、今回の東京国際映画祭のクロージング作品となりました日韓合作映画「力道山」などの撮影支援が実現いたしました。
 また、昨年度から、映像制作に関するノウハウを持ち、英語での対応が可能な民間事業者に業務の一部を委託いたしまして、体制の強化を図っております。東京の魅力を高め、さらに海外に発信するため、今後も、映画制作への支援を初めとする映像文化の振興に取り組んでまいります。

○村上委員 映画を中心とする映像文化は、文化振興の面だけでなく、観光振興や産業振興という面からも大変魅力的な分野といえます。シティーセールスとあわせて海外でのPRを行うなど、観光施策との連携をさらに強め、世界を視野に入れた施策の充実に努めていただくよう要望いたします。
 次に、教育問題についてお伺いいたします。
 国づくりは人づくりからといわれるように、優秀な人材を育成するための教育改革の推進と充実は、我が国の発展にとって不可欠のものです。昨年四月に都教育委員会が策定した東京都教育ビジョンでは、教育が戦後の我が国の飛躍的な発展を支える大きな原動力となってきたと述べております。また、二十一世紀の東京、ひいては日本の創造的発展を支える人間の育成の視点に立って、これからの教育のあり方を明らかにしていくことも示されています。
 学校教育の充実には、直接の担い手である教員の資質向上に負うところが極めて大きいと考えます。変化の激しいこれからの時代にあって、子どもたちの生きる力を育成するためには、魅力あるすぐれた教員を確保することが重要です。また、我が国が今後とも創造的な発展を続けるためには、日本の将来を託すことができる改革型リーダーとしての資質を持つ人材を育成することも大切です。
 そこで、都教育委員会が昨年度から新たに取り組まれた事業の中から、特に人材育成の観点で進められた東京教師養成塾と東京未来塾の事業について質問いたします。
 まず、東京教師養成塾について伺います。
 東京教師養成塾は、これまで大学などがその役割を担ってきた教員養成について、都教育委員会が、教員を養成している大学や区市町村教育委員会と連携し、高い志と実践的な指導力を持った教員を養成するため実施している、全国に先駆けた事業と聞いております。現在は、昨年入塾した第一期生が三月に養成塾を修了し、四月から各学校で教壇に立ち、教員として教育実践に取り組んでいるわけです。
 そこで、教師養成塾の取り組みとその評価についてどのように認識しているのか、また、その結果を踏まえ、今後どのように取り組んでいくのかについてお伺いをいたします。

○中村教育長 東京教師養成塾では、一年間にわたります特別教育実習や体験活動等の講座を通しまして、児童理解を深め、実践的な指導力や柔軟な対応力を身につけさせるとともに、教員としての高い志を持った人材の育成に努めてまいりました。
 この四月から教壇に立っております第一期生につきましては、年間を見通した取り組みができること、児童の実態に応じた適切な対応ができることなど、学校から肯定的な評価を得ているところでございます。
 今後とも講座内容等の一層の充実を図るとともに、大学、区市町村教育委員会及び教育実習校との連携を深めることによりまして、質の高い教員の育成を目指してまいります。さらに、教員を志望する大学生等に講座の一部を公開いたしまして、養成塾生とともに学ぶ場を設けるなど、高い志を持った、より多くの教員を養成する機会を提供してまいります。

○村上委員 次に、東京未来塾についてお伺いをいたします。
 東京未来塾は、都教育委員会が首都大学東京及び都内の高等学校と連携し、高校生を対象として、日本の将来を担う改革型リーダーとしての資質を持つ人材の育成を目指す、全国に先駆けた新たな取り組みと伺っております。先ほどの教師養成塾と同様に、昨年度の第一期生五十名が、昨年四月からことしの三月にかけてさまざまな講座や活動に取り組んできたことと思います。
 そこで、東京未来塾の成果をどのように認識しているのか、また、今後どのように進めていくのかについてお伺いをし、私の質問を終わります。

○中村教育長 東京未来塾では、課題解決学習や体験学習等の講座を通しまして、課題解決能力や幅広い教養、社会貢献の志などを持った人材の育成に努めてまいりました。現在、第一期生が首都大学東京等に進学いたしまして、東京未来塾で学んだことをもとに、専門的な課題に意欲的に取り組んでおります。
 都教育委員会は、今後とも講座内容の一層の充実を図るとともに、首都大学東京や高等学校等との連携を強め、二十一世紀の東京の創造的発展を担い得る若い人材の育成に努めてまいります。

○古賀委員長 村上英子委員の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後二時五十五分休憩

   午後三時十二分開議

○古賀委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 伊藤ゆう委員の発言を許します。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、質疑をさせていただきたいと思います。
 まず、都立高校のパソコン問題で、十億円のむだ遣いがあったという監査の指摘を受けて、報道にも載りましたパソコン教室問題について質疑をさせていただきたいというふうに思います。
 若干説明をさせていただけば、むだとされたのは百九十二校で契約をされているパソコンのリースの問題でございまして、六年に一回リース契約が更新をされて、新しいパソコンを六年に一度導入する、これはパソコンの日進月歩の時代ですから当然かなというふうに思いますけれども、同時に机やいすなど什器も一緒に一新をされていた、これはどう考えてもむだじゃないか、買い取っていれば、それが十年--二十年使えるかわかりませんが、使えたのではないか、それを切り離して契約をすれば、十億八千百万円のむだの節約ができたのではないかということが指摘をされていたわけでございます。
 なお、学校の入札事務に関しては、基本的に入札の事務そのものは各学校にゆだねられているということでありますから、担当者は、百九十二校分で、百九十二人の入札の担当者がいらっしゃったんだろうというふうに思います。しかしながら、残念ながら、この監査の指摘を受けるまでこうした問題が表に出てくることはなく、監査の指摘を受けて初めて取り組みがなされるんだろうというふうに思うんですけれども、百九十二人も各学校に担当者がいたにもかかわらず、担当者からのそうした、机やいすの契約に関しては切り離して、買い取ったらいいんじゃないかというような、そんな意見はなかったのか、伺いたいと思います。

○中村教育長 これまで、パソコン教室につきましては、リースまたは買い取りによって整備を行ってきております。整備に当たりましては、経済性の面、生徒利用の利便性の面等から検討を行ってきておりまして、学校の担当者の声を含めて、現場の意見は参考にしてきております。
 ご指摘の机やいすにつきましても、リースとの比較において、買い取りにより、より経済性を高めるべきだという意見もあったというふうに聞いております。

○伊藤(ゆ)委員 今、意見があったというのは、すなわち、私の質問は指摘はあったかということで、一緒だと思います。意見はあった、あったにもかかわらず改善することができなかったということだと思うんですけれども、意見があったということは、どなたかが発言をされて、どなたかがそれを受けとめたんだ、残念ながらそれが採用されることはなかったんだと思いますけれども、これは一体どなたに対してそういう意見があったんでしょうか、お答えください。

○中村教育長 予算要求時、契約時期等に適宜学校の担当者の意見等を聞く中で、机、いす等の買い取り方法についての議論はありました。契約変更手続上の問題等から、従来の方式を踏襲し、今回の指摘を受けることとなったわけでございます。
 今後は、指摘された事項について、リース契約満了時に机、いすの買い取りを行う等、必要な是正措置をとってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 今ご答弁あったんですけれども、だれが最終的にそれを判断し--すなわち、意見はあった、しかしながら、その意見が反映されることなく、結局は机、いすがそのままリース契約に終わってむだが生じたということでありますから、最終的にどなたかが決断をされているんだろうというふうに思いますし、また、そうでなければ、指摘をする側もだれにいっていいのかわからないということになるんだろうというふうに思うんです。
 改めてお伺いしますが、これは、どなたに対してこういう指摘があって、最終的に、いや、それは今のままでいいんだというような決定をされたのか、あるいは、今後こういう担当者の方が何か問題点を発見したときにどなたに申し上げればいいのか、お尋ねします。

○中村教育長 個々の事案につきましては、学校の契約担当あるいは関係する教員、教頭--今は副校長と申しますけれども--と学校長、これがそれぞれ話し合いをし、制度面でおかしければ、教育庁本庁にこういうふうにしてほしいというふうな意見として上がってくる、そういうシステムになってございます。

○伊藤(ゆ)委員 判然としないですね。結局、どなたが受けとめられたのかというお答えには今なってないように私は思うんですけれども、いずれにせよ、こうした個々の方々、担当者の方々が気づいたことをどなたにいったらいいのかがわからないというような仕組み自体が、あるいは体質自体が少しあるんじゃないかな。それがなかなか、担当者の方は気づいているけれども、契約そのものにはね返ってこないということがあるのではないかというふうに思います。ですから、そのシステム、仕組み自体を少しずつ変えていくことが--当然担当者の方が一番、これはむだだな、むだじゃないなということがわかるんだろうと思いますから、とりわけて巨大都庁でありますので、担当者の方々の声が反映できる仕組みづくりというものが必要なのではないかというふうに思うんです。
 そこで、ある意味では、個人それぞれが、おもしろい税金の節約を考えついた、今回でいえば入札事務の担当者が、机やいすを切り離して契約しようじゃないか、そうすればこんなにお金が浮くじゃないかというような提案というものがこの都庁の中で起こりやすい環境があるといいんだろうというふうに思うんです。税金の節約アイデアを募り、優秀なアイデアを表彰するような、いわゆるメリットシステムの導入で職員意識の改革が図れないかというふうに思うんですけれども、いかがでしょうか。

○山内生活文化局長 職員は常日ごろから自己啓発や仕事の改善に努めることが求められております。これらを一層促進する目的で、東京都では毎年、職員提案制度を実施しております。この職員提案制度は、都民サービスを向上させる業務の改善等について職員から具体的な提案を募り、独創性、経費節減、事務のスピードアップなどの観点から審査を行いまして、優秀提案に対し、知事が表彰するとともに、賞金を授与するものでございます。
 平成十六年度には一千五百十七件の提案がありまして、最優秀賞一件を含む四十六件を表彰いたしまして、その内容について広く都庁内外に周知いたしまして、職員の意識改革に役立てているところでございます。

○伊藤(ゆ)委員 そうですね。「職員提案に応募しよう」という題名でこの制度があるということを伺いました。
 提案できる内容なんですけれども、四項目になっています。都民サービスを向上させるとか事務などの改善に関するもの等々あるわけですけれども、明確にその中に予算執行の節約というようにうたった文言はないかというふうに思うんですが、こういう予算執行の税金のむだ遣いをなくしましょう、そのおもしろいアイデアがあったらぜひ寄せてくださいということもこの中に盛ると、より具体的に、ああ、なるほど、僕の考えで税金を少しでも節約できるんじゃないかというようなことにつながるんじゃないかなと思うんですけれども、そういうお考えはないか、お答えください。

○山内生活文化局長 職員が提案する際には、業務改善の内容のみならず、経費の節減効果についても具体的な金額を提案書に示すように求めております。また、募集に際しては、各局において職員提案制度の推進担当者を選任いたしまして、きめ細かく参加の呼びかけを行っておりまして、毎年多数のすぐれた提案が寄せられております。
 今後、募集通知に、先生のお話のありました経費節減等、そういったものにつながる提案を求めることについて明記するなど、さらに一層職員提案制度の充実を図ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひそうした制度を活用して、担当者からの提案が上がりやすい環境をつくっていただき、またそれを受けとめていただかなければいけませんので、最終的な判断、どなたがなされるか、物によって違うと思いますけれども、ぜひ受けとめていただき、税金の節約を少しでもしていただければと思います。
 学校の入札事務に少し話を戻したいと思うんですけれども、先ほどもお話しさせていただいたように、学校の入札は各学校で行っているということになっています。ですから、六年に一度、各学校は入札をかけて、どこの会社からパソコンを入れるかということを、リース会社になると思いますが、リース会社に入札をかけるというふうになっています。そういう意味では、東京都教育委員会のある意味では手を離れて、各学校でおやりになられているということになるんだというふうに思います。
 ちなみに、都立高校改革推進計画の中にも学校の自律性というのがうたわれている、その一環だと思うんですが、自律性をお願いするというか促していくことは大事だというふうに思うんですけれども、一方で、入札の公平性、公正性が本当に担保されているのかどうかということ、これは東京都教育委員会として把握をされ、所管をされている事項になるんだというふうに思うんです。それぞれの学校で入札経過調書などをとって、東京都教育委員会で把握をしているとは思いますけれども、その中で当然落札契約金額などは入っていると思いますが、落札率も把握をされていましたでしょうか、どうですか。

○中村教育長 契約締結者であります各学校長は落札率を把握しておりますが、教育庁本庁の所管部署では落札率は把握してございません。

○伊藤(ゆ)委員 落札率を把握していないと今お答えがありました。これは大きなポイントだというふうに思います。落札率というのは、談合が行われているかどうかをはかる一つの指標であることはいうまでもないと思います。しかしながら、入札経過調書を学校から東京都教育委員会はとっているにもかかわらず、予定価格だけをその中には記載する項目がない、すなわち、落札率を逆算することができないという仕組みになっています。なぜ落札率を把握していないんでしょうか。

○中村教育長 契約額及び入札経過につきましては各学校から所管部署に報告することとしておりますが、予定価格につきましては報告させていないため、把握できない状況でございます。

○伊藤(ゆ)委員 それもちょっとお答えになってないと思うんですけれども、私が聞いているのは、なぜ把握をしていないのか、その何か動機があるのかということをお尋ねしたわけでございます。
 いずれにせよ、今後ぜひ把握をしていただき、公正公平な入札が本当に各学校で行われているかどうかということを把握される必要性があると思うんですけれども、いかがでしょうか。

○中村教育長 現在報告がない予定価格につきましても、本庁の所管部署として把握するよう努めてまいります。

○伊藤(ゆ)委員 ぜひ把握をしていただきたいと思います。
 ちなみに、平成十六年度の契約、各学校の件数、すなわち何校がリース会社と契約したか、それから、そのリース会社と学校が契約をしたときに当然落札率が出てくると思うんですが、平成十六年度分は、各学校に聞いていただければ、恐らく教育委員会としても把握できたと思うんですけれども、その実績を教えてください。

○中村教育長 平成十六年度は八件ございます。予定価格を公表していないために落札率は申し上げられる状況ではございませんけれども、本庁から各学校に配付しました予算額と実際の契約額の比較をいたしますと、およそ九七%となっております。

○伊藤(ゆ)委員 九七%ですよ、九七%。八件あって九七%ということは、極めて一〇〇%に近いんだというふうに思いますよ。恐らく九九・何%というものも何校もあるんだと思います。
 以前、朝日新聞が談合疑惑度ランキングというのを発表して、この中で市民オンブズマンがこういうことをいっています。談合を防ぐには一般競争入札しかないわけですけれども、九五%を超えるようなこうした高い落札された割合を談合疑惑度とするというふうにいっています。極めて談合の疑いの強い結果が出ているにもかかわらず、今まで落札率が把握をされてきたこともなかったというのはいかがなものかというふうに思うわけでありますし、また、安かろう悪かろうという議論が必ずこの落札率の話に出てくるわけですけれども、しかし、これはパソコンの問題ですから、工事であれば手抜き工事が出てくるかもしれませんが、パソコンリースを契約して、安く契約したからといってマウスが足りないとかディスプレーが割れているというようなことはないわけでありまして、そういう意味では安く購入することが何よりも納税者の税金節約に資するというふうに思うわけでございます。
 そこで、確認をしたいと思いますが、平成十六年度ベースで確認をしますが、八校の予定価格はすべて一緒でしょうか。

○中村教育長 各学校のパソコンソフト等を除きまして、ハード面では各学校の整備内容に大きな差がなく、予算配付額も類似のものとなっております。

○伊藤(ゆ)委員 すなわち、各学校とも同じようなパソコンを導入し、同じスペック、すなわちソフトを入れているということになるわけですけれども、ここに入札経過調書がございます。これは予定価格が入ってないわけですから、落札率はわかりません。わかりませんが、各学校とも同じ内容のものだということを今ご答弁いただいたわけですから、それを前提にすればおもしろい事実が出てまいります。
 これは平成十六年三月二日ですけれども、ある会社が百十万三千円で落札をいたしました。これは駒場高校の例でございます。全く同じ会社が、三月八日、すなわち一週間後に、どういうわけか五百四十八万五千七百円で応札している。当然とれなかった。あるいはまた、違う--三月十日には四百六十一万一千二百円で応札している。みんな同じ会社です。落札してとれた会社が、なぜか一週間後には百万円以上も高い金額で応札している。何ででしょうか。とりたければ、とれた落札金額で入れてくるのが当然だと思うんです。ところが、百万円以上も、同じスペック、同じパソコンなのにもかかわらず、金額が高くなっているんです。おかしいじゃないですか。どう考えても、私はこれはおかしいと思います。
 さらにおかしいことが幾つも出てまいりました。例えば、予定価格がわからなくても幾つかわかることがあります。この五年間で落札をした、すなわち契約にたどり着いた会社の一覧表を五年分とりました。日本教育情報機器という会社--これは見ればわかりますが、名前も出します--が十八件、一方で富士ITソリューションという会社が十八件、二つとも十八件ずつ、あとはほとんど一、二件です。七件、八件というところもありますが、あとはほとんど同じ、一、二件の落札の状況です。
 さらにいえば、平成十六年度の契約分の中に、八件しかないと今ご答弁がありましたが、そのうちの竹早高校と松が谷高校は全く同じ金額で契約されています。四百七十八万一千七百円、同様に四百七十八万一千七百円、全く同じ金額です。違う会社ですよ、違う会社。違う会社が下の百円のところまで一緒になっている。同様のことが平成十六年にもう一例あります。さらに、平成十五年には三件、同じ落札金額、契約金額があります。五百十三万九千七百五十円、全部違う会社にもかかわらず、同じ契約金額になっているわけです。五十円の単位です、五百万円を超える物件が、入札で。どう考えても不自然なことが余りにも多いこのパソコンをめぐる問題、にもかかわらず、再三になりますが、落札率を把握されていなかったという実態があるわけです。
 そこで、この極めて高い落札率の状況をどういうふうにお考えになられるか、ご答弁ください。

○中村教育長 高等学校のパソコン教室につきましては、パソコンソフト等を除いて、ハード面では各学校の整備内容に大きな差はなく、契約額も類似の金額になってございます。平成十八年度に開校する学校支援センターで契約を今後行うなど、契約方法の必要な改善を行ってまいります。

○伊藤(ゆ)委員 それはそうなんです。パソコンですから、当然幾らが幾らぐらいのものかということはわかりやすいわけですが、先ほど私申し上げたように、これも出ていますから具体名を出しますが、日本データコムという会社です、先ほどのお話は。ここが、四百十万円で入れたのに、直後では五百万円もしている。これは今のお話からしても、どう考えても矛盾のある話だというふうに思います。
 そこで、お願い申し上げたいんですけれども、平成十六年度を含め、過去五年間の予定価格の一覧表、すなわち、すべての落札率を出した一覧表をいただきたいんですけれども、いかがでしょうか。

○中村教育長 現行制度では予定価格については公表しておりません。

○伊藤(ゆ)委員 では、公表できない理由と根拠をお示しください。

○中村教育長 入札の公正性を保つために、現段階では、事前に公表している二百五十万円を超える工事契約を除き、予定価格は公表してございません。

○伊藤(ゆ)委員 おかしいんですね。事前に予定価格を公表しないのは、私、ある意味では許される、当然の部分があると思いますけれども、事後に公表するのは当然なんじゃないですか。
 ましてや、ここに私がいただいたのは、これは地方公共団体契約事務ハンドブック、これは恐らくほとんどの契約担当者が持っていらっしゃる一つの教科書みたいなものだと思います。この中に予定価格の非公開の法律的規制というのがあって、予定価格は、簡単にいえば、事前には公表しないこともあっていいと書いてあります。ただし、なお、契約の締結までの間における予定価格の公表については以上のとおりであるが、契約の締結後については、不正な入札の抑止力となることや積算の妥当性の向上に資することから、予定価格の事後公表を行うよう指導がなされている、かつ、これは建設省、当時のでしょうけれども、内規として定められているというふうに書いてあります。おかしいじゃないですか。出すのが当然だと思いますし、出さない根拠は、では具体的にそれは文書としてあるんでしょうか。

○谷川財務局長 予定価格の公開、非公開については法令上の規定はございません。原則非公開という形で今各自治体は運用されてございます。というのは、工事契約につきましては、二百五十万を超えるものについては先生ご指摘のとおり公表してございますけれども、物品購入や業務委託に対しては、事後公表に当たっても、今後の予定価格が類推されると、それと同じような物品購入が続く場合に類推が可能だという判断から、現在では公表してないという事情が一般的にはございます。

○伊藤(ゆ)委員 類推されるといわれていますけれども、もう類推されているんですよ、類推。これは平成十六年の久留米西高校ですけれども、五社が入札に応じていますけれども、一番安い金額で入れたところと一番高い金額で入れたところは、六万円しか価格が違わないですよ、五百万円ぐらいの物件で。ということは、既に類推をされているのであって、類推を既にされているものを、本当に適正に入札がなされたかどうかを把握するために事後に公表することは当然だと思うんですけれども、もう一度ご答弁ください。

○谷川財務局長 予定価格の公表につきましては、談合を助長するおそれがあること、協定価格に利用されるおそれがあること、三番目として、予定価格の事前公表は競争入札参加者の真剣な見積もり努力を喪失させる可能性があること、四番目として、事後公表であっても、当該契約以降に行われる同種契約の予定価格が推定されるおそれがあるというような観点から公表しないというふうな解釈も一方ではございます。

○伊藤(ゆ)委員 既に今お示しをしたように類推をされているんですから、逆にいえば、本当にそれが談合がなかったのかどうか、落札率をある意味では把握することの方が談合の防止につながるんじゃないですか。むしろ、それをクローズにする、結果的には全部類推されているということは、これを改めてチェックすることもできないじゃないですか。おかしいじゃないですか。もう一度お願いします。

○谷川財務局長 現在類推されているというのは、リース関係の一業者のことで、さまざま入札経過調書の中でお話しいただきましたけれども、物品購入契約、業務委託契約というのはそれ以外にもたくさんの分野がございます。そういう中でどういう方針に基づくかといった場合には、先ほど私がお答えしたとおりでございます。ただし、それを発表したからといって、もし談合が発生している場合に、それが防止・抑止力になるかどうかというのも、また疑問が現在ではあると私は思っております。

○伊藤(ゆ)委員 実際に本当に談合があったのかどうかを外部の人間が把握あるいは調査していくために、当然落札率というのは一つの指標になる、これは当たり前のことだと思いますし、今、このリースの問題以外の問題もあるから、あわせてそういう非公表をしているんだというふうにいわれましたけれども、そうすると、こういうものが包括をされてしまう以上は、例えばこういう、これは個別の案件ですけれども、個別の案件も仕方ないんだ、これも含めて今いったような非公表の対象にせざるを得ないんだ、そういうふうになるんですか。では、例えばむしろこれだけ切り離して公表するとかできないんですか、九七%も既にわかっているにもかかわらず。それも全部内包しちゃうんですか。

○谷川財務局長 談合があるかないかという場合に、公表したら談合が防げる、落札率が防げるというさまざまな問題はございますけれども、現在、契約制度自体が非常に--かつては造園の問題、あるいは最近では鉄鋼橋梁の問題、さまざまな談合問題がありますけれども、その中でどういう方法がいいかというのは、現在、全自治体あるいは国もあわせて検討している時期かとは思います。ただ、我々は今示されている方法の中で契約を十全にやっていきたい、このように思っているわけでございます。

○伊藤(ゆ)委員 示せないといわれるんですけれども、先ほども申し上げましたとおり、示せない根拠がはっきりとあるんだと思います。私が持っている根拠は、示すべきだと書いてあります。示せない根拠を示してください。根拠が文書としてないにもかかわらず、委員会で、これは入札の公正性が担保されているかどうか把握するために必要だとお願いをしている文書を出せないというのはおかしいんじゃないですか。文書としての根拠はないんですか。

○谷川財務局長 法令上は先ほどお答えしたように根拠はございません。ただし、原則予定価格を発表するか落札率を出すかというのは、規則の中で、基準の中で決めていくというふうな制度になってございます。その基準の中で、私どもは原則、多くの自治体がとっている方法を今用いている、こういうことでございます。

○伊藤(ゆ)委員 時間がないですからあれですけれども、いずれにせよ、では出さないということですね。ずっと出さない。例えば九七%という高い落札率があろうと何だろうと出さないんだ、そういうことですか。これはちょっとおかしいと思いますよ。これはぜひ出していただくように今後お願いをいたしたいというふうに思いますけれども、どう考えても、私はこれを出さないのはおかしいと思います。せめて、少なくてもこの物件に関しては、限定的にでもいいですから、お出しになられたらどうですか。ほかのものは、今おっしゃられたようにそれぞれの事情があるのかもしれません。少なくとも今問題になっているのはこの件なんですから。規定がないということは、逆にいったら出せるということですね、この問題だけは。にもかかわらず、これも出さないというのはおかしいじゃないですか。そういうことを許していたら、議員の、これは出してほしいと思うことを、例えば役所の側の都合によって、公的な根拠がない、文書にもなってない、にもかかわらずこれは出さないということがまかり通るということですよ。そんなこと許していいんですか。

○谷川財務局長 東京都契約事務規則の第十二条でございますけれども、契約担当者等は一般競争入札により契約を締結するとき云々とありまして、「ただし、財務局長が別に定める契約においては、当該入札執行前にその予定価格を公表することができる。」と、限定的に解除をしていると私どもは解釈しております。

○伊藤(ゆ)委員 残念ながら次に移ります。防災対策について。
 昨年の三月三十一日に東京都火災予防条例が改正されました。その主な内容は、新築または改築の住宅への火災警報器設置の義務化、設置の基準に対する規制等であります。
 そこで、改正火災予防条例施行後の住宅用火災警報器の設置実績について伺います。

○関口消防総監 火災予防条例が平成十六年十月一日に施行されたことから、住宅用火災警報器の設置が義務となった新築または改築された住宅における設置状況を見ますと、本年四月から九月の合計で一万三千百四十六戸に設置されております。また、条例により設置が努力義務とされた既存住宅につきましては、約三千戸を対象に消防職員が普及状況を調査した結果、本年六月には一五・九%となっており、昨年同時期より四・六ポイント増加しております。

○伊藤(ゆ)委員 それでは、既存の住宅への火災警報器の普及に向けた今後の取り組みについてはいかがでしょうか。

○関口消防総監 既存住宅につきましては、火災予防条例により、都民は住宅用火災警報器の設置に努めなければならないとされていることから、火災予防運動や防災訓練などあらゆる機会を通じて、その重要性について一層周知いたしますとともに、町会等地域を挙げた取り組みや、区市町村等関係機関と連携した設置促進を積極的に図っているところであります。
 一方、平成十六年六月二日の消防法の改正により、既存住宅に対し、住宅用火災警報器の設置が法律上の義務とされ、適用時期につきましては、地域の実情に応じて条例で定めることとされたことから、適用時期について検討しております。

○伊藤(ゆ)委員 平成十六年度における防火対象物点検報告制度に該当する対象物件数について教えてください。

○関口消防総監 平成十六年十二月末現在、一万二千九百四十九棟であります。

○伊藤(ゆ)委員 法改正によってマル適マークの制度が廃止となって新しい制度に移行しているわけですけれども、建物の防火管理者以外の人たちには余り知られてないように思います。新制度がその目的に向け有効に機能するためには、社会的に広く制度の存在やその内容について理解を得ていくことが重要ではないでしょうか。新制度の普及に向けた今後の取り組みについてお伺いしまして、終わります。

○関口消防総監 防火対象物定期点検報告制度につきましては、平成十五年十月一日に法律が施行されましたことから、説明会の開催、出向指導等の実施、リーフレットの配布及び当庁ホームページによる広報等を通じまして同制度の普及に努めてまいりました。
 今後も、立入検査の機会を通じまして関係者に対し徹底を図りますとともに、さまざまな広報手段を活用して都民への普及に努めてまいります。

○古賀委員長 伊藤ゆう委員の発言は終わりました。
 串田克巳委員の発言を許します。

○串田委員 それでは、産業・雇用問題、地球温暖化対策、基盤整備などについて伺います。
 まず、創業期にある中小企業やベンチャー企業に対する金融支援について伺います。
 現在、都内中小企業は世界的な競争にさらされています。この競争に打ち勝ち、東京の産業活力をより一層強化していくためには、先進的な技術や斬新な事業ビジョンを持つ中小・ベンチャー企業の創業を支援し、次世代を担う競争力ある企業を育成して、新規産業を創出していく必要があります。特に、創業期にある中小・ベンチャー企業は、当然ながら物的担保が乏しく、民間金融機関から融資を受けることが困難であるなど、資金調達能力が弱いため、適切な金融支援が求められます。
 都は、平成十六年度、金融事業費として二千億円余を支出していますが、これらの企業の創業支援とその育成のため、具体的にどのような金融支援を実施したのか、伺います。

○成田産業労働局長 平成十六年度における中小・ベンチャー企業の創業支援と育成への取り組みについてでございますが、まず投資面では、都が二つのベンチャー投資法人を設立し、創業間もないベンチャー企業を中心に投資を進めるとともに、財務戦略の立案指導などの手厚い経営支援によりまして、その成長の促進に努めております。この投資実績は、昨年十二月から本年九月末までの約十カ月間で六十三件、三十一億円でございます。
 また融資面では、創業支援融資と、新技術の開発・事業化資金等を支援するチャレンジ融資がありまして、平成十六年度は前年度を大幅に上回る千三百八件、百十八億円の融資実績となってございます。

○串田委員 ベンチャー投資法人については、本委員会の分科会において、創業後五年未満の企業に対する投資が件数、金額とも七割以上を占めていると実績が示されました。創業期の支援に重点を置き、都が投入した資金が有効に活用されていることを評価します。
 このベンチャー投資法人や制度融資を初めとして、今後とも創業期にある中小・ベンチャー企業に対する金融支援を強化し、東京の産業に新たな力を呼び込んでいくべきと考えますが、所見を伺います。

○成田産業労働局長 現在の世界的な競争の中で、東京の産業活力を維持し発展させるためには、すぐれた技術力や事業戦略を持つ中小・ベンチャー企業の創業を促し、その育成を図ることが重要でございます。制度融資におきましても、創業支援融資に加え、本年十一月一日から、ベンチャー技術大賞を受賞した企業等をチャレンジ融資の対象に追加いたし、さらなる技術開発や事業化のための金融支援強化を図ったところでございます。
 今後とも、ベンチャー投資法人による積極的な支援にあわせ、都の制度融資の一層の活用などにより、中小企業のニーズに応じた適時適切な金融支援を実施し、東京の産業力の強化に努めてまいります。

○串田委員 景気刺激の新しい波を起こし、我が国経済を本格的な景気回復の流れに乗せていくためにも、ぜひ創業期にある中小・ベンチャー企業に対する積極的な金融支援を進めていただきたいと思います。
 次に、昨年開設された東京しごとセンターについて伺います。
 しごとセンターは、東京の失業の大きな要因である雇用のミスマッチを解消し、仕事に関する都民の不安を取り除くため設置されました。我が党も、東京の雇用問題に都みずからが主体的に取り組むという石原知事の強い意思に賛同し、積極的に支援するとともに、都の雇用就業対策の拠点としてのしごとセンターの役割に注目し、期待をしていたところです。
 しごとセンターは、昨年七月の開設以降、これまでに延べ約九万人の利用者がカウンセリングや就業相談、就職支援セミナーなどのサービスを利用されているとのことであり、きめ細かな支援を受けて、既に九千人を超える方が就職をされています。
 都は、平成十六年度、しごとセンター事業として十四億円余を支出していますが、しごとセンターの事業のこれまでの成果について都としてどのように受けとめているのか、見解を伺います。

○成田産業労働局長 しごとセンターは、民間の就職支援会社が持つ求人開拓などのノウハウの積極的な活用や、相談から就職までの一貫したサービスをワンストップ、すなわち一カ所で提供するという先駆的な取り組みにより、都民の就業を支援してまいりました。開設以来、多くの都民の皆さんにご利用いただき、改めてしごとセンターに対する期待の大きさを実感しております。
 就職実績について見ますと、中高年の就職率はセンター登録者の約六五%であり、大きな成果が上がったものと考えております。一方、若年者、高年齢者の就職支援についてはなお一層の取り組みが必要であると認識してございます。

○串田委員 本年十月の月例経済報告によると、景気は緩やかに回復し、雇用情勢は厳しさが残るものの、改善に広がりが見られるとのことですが、一方で、人口減少社会の到来が現実のものとなる中、団塊の世代の引退を背景として、労働力の不足や技術、技能の継承が大きな問題になっています。加えて、フリーター、ニートと呼ばれる若者の増加も、今や社会的問題として対応が急がれる喫緊の課題となっています。
 そこで、こうした雇用就業環境の変化に対応したしごとセンターの事業の今後の展開について所見を伺います。

○成田産業労働局長 雇用就業環境の変化に対応しつつ、東京の産業を支える人材を確保していくためには、一人でも多くの都民の方が意欲を持って働く社会を実現することが必要であると認識しております。しごとセンターにおきましては、これまでも、業界とタイアップした高年齢者向けの就職支援講習や若年者向けの街角カウンセリングなど、就業支援を行ってまいりました。
 今後とも、しごとセンターを中心といたしまして、フリーターやニートなどと呼ばれる若者に対する就業支援や、団塊の世代が能力を発揮する機会の拡大など、事業の充実強化を図り、雇用就業環境の変化に的確に対応してまいります。

○串田委員 人口減少社会においても東京の活力を高めていくためには、東京の産業を支える人材を確保し育成するとともに、仕事に対する都民の不安を払拭することが欠かせません。さらに一層の努力を要望して、しごとセンターに関する質問を終わります。
 次に、首都東京におけるヒートアイランドに対する取り組みについてお尋ねします。
 ことし九月四日の杉並区などにおける集中豪雨は甚大な被害をもたらしましたが、このような集中豪雨はヒートアイランド現象が一因ともいわれております。また、昨年七月に都内で三十九・五度という東京での観測史上最高気温を記録したことは記憶に新しいところかと思います。
 ヒートアイランド現象は熱中症や不眠症など都民の健康被害をもたらしており、ことしの夏もその被害が報告されています。少し調べてみたのですが、昨年は都内において熱帯夜の日数は四十一日にも上りました。ところが、三十年前にはその半分以下の十九日しかありませんでした。真夏日の日数もふえ、東京は年々暑くなっており、夏は一日暑く、寝苦しい夜、眠れない夜がふえ続けています。このままヒートアイランド現象を放置すれば、都民が安心して東京に住み続けることは難しくなります。
 そこで伺いますが、ヒートアイランド現象についてどのような認識を持ち、対応しているのか伺います。

○大橋環境局長 ヒートアイランド現象は、人口や業務機能が高度に集中した大都市特有の問題でありまして、都市活動の活発化による建物や自動車などからの排熱の増加、緑地の減少、道路舗装面積の増加などが原因であると考えております。
 その対策といたしましては、熱を出さない、緑をふやすという視点から、人工排熱の抑制や屋上緑化など個々の建築物での対策を進めるとともに、風の道や緑の軸の形成など、環境に配慮した都市づくりが不可欠であります。このため、庁内に東京都ヒートアイランド対策推進会議を設置いたしまして、総合的に対策を進めているところでございます。

○串田委員 首都東京の経済活動と都民生活を両立させながら持続可能な社会を構築していくためには、ヒートアイランド対策は避けて通れない喫緊の課題であるといえます。
 このような背景から、都は、平成十五年度以降、ヒートアイランド対策を重点事業に取り上げ、屋上緑化のほか、十六年度には、丸の内など都内四つのモデル地区で保水性舗装、再生水散水等の対策を実施しました。これらの取り組みはいずれも先導的な事業であり、ヒートアイランド対策を進めていく上では有用な事業であると思いますが、個々の事業主体の点レベルの取り組みにとどまっているのではないでしょうか。ヒートアイランド対策をより効果的に実施するためには、都だけではなく、国や区、民間企業と連携をとりながら一体的な取り組みを進めていくことが不可欠であると考えますが、所見を伺います。

○大橋環境局長 ヒートアイランド対策には、ただいま委員がご指摘のように、都と国、区、企業等とが一体となって取り組むことが大切であります。このため、本年四月にヒートアイランド対策推進エリアを設定するとともに、都、国、推進エリア内の七区から構成されるヒートアイランド対策推進エリア協議会を設置し、連携を図りながら集中的に取り組んでいるところでございます。今年度から三年間、国の交付金を活用し、都と七つの区が協働して、屋上緑化や反射率の高い屋上塗装に対する補助事業を実施してまいります。
 今後とも、まちづくりを担う各主体と連携したヒートアイランド対策の一層の充実に向け取り組んでまいります。

○串田委員 次に、基盤整備について何点か伺います。
 まず、秋葉原地区の整備効果について伺います。
 いうまでもなく、日本の再生は東京の再生なくしてはあり得ないことです。東京の都市再生は一歩一歩着実に成果を上げています。現在、都には七つの都市再生緊急整備地域が指定されていますが、最も元気な地区の一つに秋葉原地区が挙げられています。この地区では、つくばエクスプレスが開業するなど、駅周辺の変貌ぶりとにぎわいには目をみはるものがあります。
 そこで、秋葉原駅周辺のまちづくりの目的と事業手法はどのようなものなのか、また、これまでにどれだけの費用を投入してきたのかを伺います。

○梶山都市整備局長 秋葉原地区では、神田市場跡地などの大規模未利用地を中心に、秋葉原らしさを生かした世界的なIT拠点の形成を目指し、区画整理事業による基盤整備を行うとともに、地区計画制度を活用した土地利用の誘導を図りながらまちづくりを進めております。
 当地区では、交通結節点としての機能強化、及び鉄道により分断されていたまちの一体性の確保を図るため、都市計画道路や交通広場などの公共施設を面的に整備してまいりました。これらに要した事業費は十六年度末で約二百三十六億円でございます。

○串田委員 確かに、都が進めてきた区画整理により、これまでになかった駅前広場などがきれいに整備され、まちに一体感が生まれています。この整備に刺激され、地区内では民間による建築活動が盛んに行われ、まちに活気があふれるなど、まちづくり効果がよくあらわれてきています。この地区の事業が東京の都市再生に果たした役割をどのように考えているのか、伺います。

○梶山都市整備局長 秋葉原の区画整理地区内では、ITセンターの一つでございますダイビルを初め、業務、商業、居住などの機能を持つ多くの建物が建設されております。これらの民間による投資の総額は約千三百億円にも上ると見込まれております。これは、これまでに要した公共事業費の五倍以上に相当するものでございます。
 また、九月にオープンいたしました大型家電販売店では、一カ月間の来店者が三百五十万人を超え、周辺の電気街にも回遊していると伝えられるなど、多くの人々が秋葉原を訪れております。加えて、来春、UDXビルが完成し、本格的にITセンターが稼働することによりまして、さらに多くの来訪者でにぎわうまちとして生まれ変わると期待されております。
 このように、秋葉原地区における区画整理事業は、周辺のまちの活性化に大きく寄与し、東京の新しい魅力づくりの原動力となってございます。今後とも、東京の都市再生に向け、まちづくりを積極的に推進してまいります。

○串田委員 秋葉原地区では、公共事業を契機に千三百億円もの民間投資がなされ、今のまちづくりににぎわいをつくり出しています。改めて区画整理事業の効果が大きいことを認識しました。今後も、第二、第三の秋葉原となるような、地区の特色を生かした魅力あるまちづくりを積極的に進められることを期待し、次の質問に移ります。
 交通渋滞の解消に向けた道路整備の取り組みについて伺います。
 都内の道路整備のおくれによる慢性的な交通渋滞は、都民の日常生活や企業活動に時間的、経済的損失を与えるばかりでなく、排出ガスの増加など環境悪化の原因ともなっており、渋滞対策は喫緊の課題となっています。財源確保が厳しい背景のもと、道路整備においても事業効果の早期発現に向けた取り組みがますます求められております。
 都はこれまで、通過交通の分散や多摩地域の渋滞緩和に有効な区部環状道路や多摩南北道路などを重点的に整備し、骨格幹線道路ネットワークの早期完成を目指していくとしております。
 これまで我が党は、都市基盤の整備なしでは首都東京の都市再生は実現しないとの基本認識のもとに、骨格幹線道路の整備促進を繰り返し主張するとともに、道路整備に必要な財源の確保に取り組むなどさまざまな活動を行い、事業の推進を要望してまいりました。
 そこで、平成十六年度の骨格幹線道路の整備内容について伺います。

○岩永建設局長 骨格幹線道路ネットワークの整備は、都内の渋滞を解消し、交通の利便性を大幅に向上させるとともに、大気環境も改善し、首都東京の再生に大きく寄与するものと考えております。
 平成十六年度におきましては、環状第八号線、調布保谷線など五十六線九十八ヵ所で事業を実施し、圏央道アクセス道路である新滝山街道戸吹トンネルや、多摩南北道路である鎌倉街道綾部原トンネルなどを開通させました。このことによりまして、例えば戸吹トンネルでは、圏央道あきる野インターチェンジへのアクセスが向上するなど、着実に効果を上げております。
 また、新たな事業化に向け、放射第五号線の杉並区間や、府中所沢線の国分寺区間などで測量調査などを実施いたしました。

○串田委員 活力ある東京の再生を図る上でも、引き続き骨格幹線道路整備を積極的に進めていくべきことは論をまちません。ついては、今後、骨格幹線道路整備をどのように進めていくのか、伺います。

○岩永建設局長 都はこれまでも、交通渋滞を解消し、環境の改善や防災性、安全性を向上させるため、区部環状、多摩南北道路など、骨格幹線道路整備を推進してまいりました。今後は、中央環状品川線の整備を行うとともに、環状第六号線や放射第五号線などを重点的に整備し、また多摩地域では、調布保谷線などの南北道路や新滝山街道などの早期完成を目指してまいります。
 今後とも、道路特定財源の確保に努めるとともに、都民の理解と協力を得ながら、全力を挙げて事業を推進してまいります。

○串田委員 次に、連続立体交差事業について伺います。
 最近、踏切に関連した痛ましい事故等が大きく報道され、心を痛めているところであります。都内においては、いまだ多くの踏切が残されており、交通渋滞を初めとしたさまざまな問題を発生させております。
 これらの踏切対策の一つで、鉄道を高架化または地下化することで踏切を除去する抜本的な取り組みが連続立体交差事業であります。これまで我が党は、渋滞解消だけではなく、沿線のまちづくりにも大きな効果がある連続立体交差事業の促進を強く求めてまいりました。
 そこで、平成十六年度の事業内容と現在の進捗状況について伺います。

○岩永建設局長 連続立体交差事業は、多数の踏切を同時に除却することによりまして、交通渋滞の解消や分断されていた地域の一体化に寄与するなど、大変重要な事業でございます。
 現在、JR中央線や京浜急行線など七路線九カ所で事業を実施しております。平成十六年度におきましては、中央線の三鷹-国分寺間で仮線への切りかえを完了し、引き続き高架橋工事を進めております。また南武線では、昨年、矢野口駅付近で下り線を高架化し、本年十月には上り線の高架化切りかえを行い、八カ所の踏切を除却いたしました。都は、この南武線の八カ所を含め、これまでに約二百八十カ所の踏切を除却いたしました。

○串田委員 交通渋滞の解消を図るため、道路特定財源が使われているこの事業は、多額の費用と長い期間を要しますが、都民の期待も大きい事業でもあり、このため、一日も早い完成が望まれています。
 そこで、今後の整備予定と早期完成に向けた決意を伺います。

○岩永建設局長 現在事業中の路線のうち、JR中央線では、三鷹-国分寺間を二十年秋に、西国分寺-立川間を二十二年春に立体化し、小金井街道など十八カ所の踏切を除却する予定でございます。また南武線では、引き続き稲城長沼-南多摩付近の第二期工事に着手するほか、東急目黒線や京浜急行線などの事業箇所につきましても着実に事業を進めてまいります。
 今後とも、工期短縮、コスト縮減、国費などの確保に努めるとともに、地元区市や鉄道事業者などと連携を図りながら、事業効果の早期発現を目指してまいります。

○串田委員 先ごろ、アメリカのニューオーリンズ州を襲ったハリケーン・カトリーナによる高潮で、市の八割が水没するという甚大な被害がもたらされたことは記憶に新しいところです。東京でも、二十三区のほぼ二割を占めるいわゆるゼロメートル地帯に約百六十万人の都民が生活しており、高潮から都民を守る防潮堤や水門などの海岸保全施設の重要性が改めて認識されました。
 平成十六年度の決算を見ると、港湾局では、こうした海岸保全施設に約五十二億円をかけて整備を行っていますが、首都東京の中枢機能を確実に維持していくためにも、高潮対策に万全を期すことは極めて重要です。
 そこで、これまでの海岸保全施設の整備状況と課題についてお伺いします。

○津島港湾局長 東京港では、伊勢湾台風級の台風を想定し、風向きや地形的特性などを配慮して、四・六メートルから八メートルの高さの防潮堤を整備してきており、その総延長は約四十三キロメートルに及んでおります。あわせて、十九カ所の水門や四カ所の排水ポンプ場などの整備も行ってきたところであります。高潮に対する安全性は確保されていると考えております。
 しかしながら、ゼロメートル地帯の海岸保全施設の多くは整備後四十年以上経過しており、また地盤の液状化のおそれのある箇所もあることから、さらなる安全性向上のためには、経年劣化の著しい施設の改修や液状化対策などの耐震対策が急務となっております。

○串田委員 老朽化対策や耐震対策といった課題があるようですが、仮に防潮堤が決壊すれば甚大な被害となることは、先般のハリケーン・カトリーナの例でも明白です。国では、これを契機に今後の高潮対策について検討委員会を立ち上げ、早々検討に入ったと聞いています。都はこれまでも着実に整備を進めているようですが、高潮対策は都民の生命や財産に直結する事業であり、さらなる決意を持って積極的に取り組むべきと考えますが、今後の海岸保全施設整備にどのように取り組んでいくのかお伺いし、質問を終わります。

○津島港湾局長 都では、海岸保全施設の整備を重点事業として位置づけるなど、これまでも鋭意高潮対策に取り組んでまいりました。ご指摘のとおり、これらの事業は都民の生命、財産にかかわる重要な施策であり、厳しい財政状況下ではありますが、その緊急性にかんがみ、着実に推進していく必要がございます。
 このため、今後十年間程度の具体的な目標を定めた事業実施計画の検討を開始し始めたところでございます。
 また、このたび設置されました国の高潮対策検討会にも都として参加していくこととし、今後、この機会をとらえ、国に対して高潮対策事業にかかわる予算を一層拡充するよう積極的に働きかけを行ってまいります。

○古賀委員長 串田克巳委員の発言は終わりました。
 松村友昭委員の発言を許します。

○松村委員 二〇〇四年度、平成十六年度は、長期にわたる景気低迷に加え、小泉政権の年金、医療の改悪、所得税増税など七兆円を超す国民負担が押しつけられるもとで、都民の暮らしと営業を守る予算が求められていました。ところが石原都政の予算は、第二次財政再建推進プラン、第二次都庁改革アクションプランの二つのプランの具体化を進め、民間社会福祉施設サービス推進費補助を初め福祉や教育などの都民施策一千二百億円もの削減を行い、さらに村山大和保健所など五カ所の都保健所の廃止や新宿労政事務所などの都立施設も廃止する予算でした。その一方、住宅局の廃止を初め、公共事業の分野で歩道整備や公園、中小河川などの生活密着型の事業が後退させられました。また、都市再生の名で丸の内再整備、豊洲、晴海などの臨海副都心の再開発が優先され、幹線道路予算は前年度よりさらにふやし九百四十二億円に達するなど、投資的経費は引き続き一兆円規模で高どまりしている逆立ちぶりが目立った予算でした。
 さらに、最終補正予算で二千八百三十八億円の税収増が見込まれることが明らかになりましたが、この逆立ちを正すどころか、都民施策には使わず大型開発予算をさらに積み増しすることまでやりました。
 そこで、決算において、その執行がどうなって何が明らかになったかを、各分科会質疑を踏まえて総括的に伺います。
 そこで、まず都民福祉についてです。
 平成十六年度は福祉改革ステップ2の最終年度でしたが、石原都政のもとで、福祉改革と称して福祉切り捨てが進められ、この間、廃止された都立施設、事業所は四十三カ所、民間移譲四カ所、さらに、マル福やシルバーパスなどの九項目の経済的給付事業は平成十一年度対比で三百十九億円の減となっていることが分科会質疑で明らかになりました。
 この結果、平成十六年度決算では、一般会計に占める福祉費は十一年度の八・四%から七・九%へと、石原都政のもとでも最悪のところまで落ち込みました。
 改めて伺いますが、高齢福祉費、子ども家庭福祉費、心身障害者福祉費、施設整備費の決算額の推移が分科会資料として出されていますが、この資料によると、平成十六年度決算額はそれぞれ十二年度対比でどうなっているでしょうか、お答えください。

○平井福祉保健局長 福祉費の決算額についてのお尋ねでございますが、平成十六年度決算を十二年度決算額と比べた場合、高齢福祉費では約百三億円の減、子ども家庭福祉費では約百八十二億円の減、心身障害者福祉費では約六十八億円の減、施設整備費では約百三十二億円の減でございます。
 なお、福祉費について、例えば子ども家庭福祉費では、平成十二年度から十六年度までの間に児童扶養手当や公立保育所運営費の区市町村移管などがございまして、さまざまな制度改正が行われているところでございます。予算額や決算額を比較するための前提となる条件は大きく変化していることを申し添えさせていただきます。

○松村委員 福祉費は決算額も構成比も大きく落ち込んでおり、今答弁があったように、高齢者福祉、子ども家庭、障害者福祉、そして施設整備のいずれの分野も減額となっています。局長からは、答弁を求めてないことまでいろいろ発言がありましたけれども、分科会質疑でもそのような発言がありましたので、私は改めて反論しておきたいというふうに思います。
 これは分科会質疑でもありましたけれども、認知症高齢者や知的障害者のグループホーム、子ども家庭支援センターなどは決算額がふえているというふうにこのときも表明しましたけれども、認知症高齢者グループホームは、十六年度実績で全国平均では高齢者十万人に対して三百二十七人の定員数が整備されているんですね。ところが東京は、わずか八十四人分にすぎません。整備率は全都道府県で最下位です。大きな立ちおくれをしているのが実態です。また、障害者施設緊急整備も計画どおり進んでおりません。障害者の地域自立生活支援センターは、充実すると約束しておきながら、国庫補助の一般財源化に合わせて十六年度に都の運営費補助を打ち切り、六十五カ所の整備目標が、現在三十九カ所にとどまっています。子ども家庭支援センターも同じです。十六年度六十二カ所の目標に対し、到達が五十一カ所です。
 こういう大きなおくれがありながら、今、局長は、国の制度の変更に伴い、児童扶養手当事務の区市移管や、公立保育所の運営費の一般財源化により決算額が大幅に減少したといいましたけれども、減っているのは子ども家庭だけでなく、高齢者も、子ども家庭も、障害者も、施設整備も、今ご答弁いただいたように大幅に、いずれの分野でも減額になっているんです。それでは、そういう国の制度が変更したから前提となる条件が違うなどといいますけれども、ほかの府県では、やはり同じようにどこも減らしているのかということなんでしょうか。
 私、調べてみましたけれども、福祉や民生費の構成比は、この首都圏で、埼玉県が十一年度七・七%から十六年度九・一%にも伸びています。神奈川県も、七・八%から十六年度には九・四%に伸ばしています。構成比では、この埼玉、神奈川に東京都は完全に逆転されています。千葉県、これも五・九%から六・三%へと伸ばしているんです。福祉を守るという自治体としての姿勢が問われていることを私は申し上げたいというふうに思います。
 さて、重要なことは、こうした福祉費の減額、後退が都民生活にどれほど重大な悪影響をもたらしているかということです。経済給付事業の廃止や切り下げで十二年度から十六年度までに二十四万人の高齢者や障害者、母子父子家庭が影響を受け、五年間の影響額、これは総計すれば一千百八十四億五千三万円にも及ぶ負担増となっているのです。
 また、シルバーパス、とりわけ二万五百十円の負担が重く、全面有料化前の十一年度は七十歳以上の高齢者の七割以上がシルバーパスを利用していたのに、十六年度、この決算では五三・八%まで低下しているんです。
 また、十六年度は、私立保育園などに対する民間社会福祉施設サービス推進費の削減、改悪が行われ、大きな問題となりました。ある私立保育園では、十六年度五百万円、さらに今年度一千万円も削減され、ベテラン保育士が三名退職ということになったそうであります。保育の質の確保に大きな支障を招いています。
 こういう都民の痛み、苦しみに思いを寄せて福祉の拡充を進めることを、私は強く求めるものです。
 このように福祉予算は、当初予算で減らす、補正予算には計上しない、その上、予算執行においてもさまざまな制約を加え、予算を使い残した不用額は平成十六年度も三百四十一億円、三百四十一億三千二百万円となっていることは、都民にとって重大な問題といわなければなりません。
 こうした福祉予算など都民施策の切り捨てのために最大の口実として使われたのが、赤字だ、都税収入の落ち込みで巨額の財源不足が生じるということでした。そして、二次にわたってつくられたのが財政再建推進プランでした。
 そこで、伺います。第二次財政再建推進プランでは、三カ年の期間中、一兆一千三百億円もの巨額の赤字だ、財源不足だとしていましたが、第二次再建推進プラン期間中の都税収入は来年度も本年度並みとすると合計どのぐらいと見込まれますか。ご答弁いただきたいと思います。

○谷川財務局長 第二次財政再建推進プランの平成十六年度の都税収入見込み額は三兆七千九百億円、平成十六年度の都税収入決算額は四兆二千五百二十九億円であります。その差額は四千六百二十九億円であります。今後の税収を見込むことは難しく、現段階でプラン三カ年の増収額を議論することには余り意味があるとは思っておりませんけれども、本決算を前提として機械的に計算するならば、四千六百二十九億円の三倍、一兆三千八百八十七億円となります。

○松村委員 今後の都財政の見込みについては議論することが意味がないなどという局長答弁ですけれども、現にこの第二次財政再建推進プランというのは、十四年度決算が出て、その数字をもとに第二次財政再建推進プランは三カ年計画を見込んでつくられたのではありませんか。ですから、今の時点で既に十六年度決算が出たんです。しかも、これは既に来年度、十八年度予算編成に向けて副知事の依命通達、今までのマイナスシーリングをゼロシーリングにする、十八年度も十七年度予算並みということをほぼ皆さん方は認めているというか、そういうことではないでしょうか。
 そして今、仮にといいましたけれども、それは出ていますから仮にではないんです。既にどのぐらいこの第二次財政再建推進プランとの乖離が生まれているか調べました。こちらです。(パネルを示す)はっきりしております。これがプランよりも膨れ上がった都税収入の既に見込み額で、その合計は期間中のプランよりも一兆三千八百四十五億円、こういう巨額なものになっているではありませんか。分科会質疑のときには盛んに、いや、そういう都の税収は好転しているけれども、経常収支比率がまだ目標の八〇%どころか九二%台だ、また隠れ借金もあるとか、いろんなことをいいました。しかし、私そこで、これも図を見ていただければ、今、一般経常収支比率、何がそれを圧迫しているかといえば、既にこの人件費、扶助費、この扶助費というのはほぼ、対比を見ればほとんど変わらないんです。公債費、これがやはり経常収支比率を悪くしているというか、押し上げている要因であるということがここからもはっきりいたします。
 しかし、この経常収支比率の中の公債費というのが、皆さんどのぐらいか--これは私調べてみましたけれども、二一%と過去最高になっているんですね。これは革新都政とよく比較したり財政で論議しますけれども、これをはるかに--そのときには一六%ぐらいですから、二一%になっている。私は、過去最高の公債費負担になっていると。しかもこれは、過去の借金返しが今そうなっていて、石原都政は余り責任がないなどというのはもはやいえない事態となってきているんです。この公債費を膨らましているのは、石原都政の大型開発などにつぎ込んだ、そういう借金が増し積みされているということも私は指摘しておかなければならないというふうに思います。
 それからもう一つ、その隠れ借金、これについても一言いいますけれども、この隠れ借金もうのみにするわけにはいきません。第一に、市街地再開発事業の欠損金も多摩ニュータウンの欠損金も減債基金積立金の不足も、もとはといえば、都の財政の身の丈を超えた大型開発のツケではありませんか。その清算のツケを都民に押しつけることは私は間違いだと思います。
 それから、他会計からの借り入れについても、埋立会計について、これについていえば、もともとこれは都民の財産なんです。一般会計が大変なときにはこれを使うのは当然のことです。
 実際、他の自治体、例えば私も調べてみましたけれども、神戸市では、ポートアイランドなどの埋め立てで生まれた剰余金を一般会計に毎年納付金として納入しています。したがって、隠れ借金というべき性格のものではありません。しかも、埋立会計に返還しても、既にもう赤字の臨海開発の穴埋めに使われているだけではありませんか。減債基金の積立金が五千百九十九億円も不足しているといいますが、もともと利息が実際の金利より高く設定されているなど、過大なものであります。
 さらに、積み立て不足が重大だというのであれば、都市再生や大型幹線道路に大盤振る舞いするのはやめて償還資金などに優先的に充てるというのは当然ではないんでしょうか。それをせずに隠れ借金だといって都民施策にしわ寄せするのは、私は許されないというふうに思います。
 そこで、今問われていることは、この税収増を都民のためにどう使うかであります。
 そこで、シルバーパスは、利用者が有料化前の七割から五割台まで後退してしまったことは本当に重大です。元気高齢者を応援する施策がこれでいいのでしょうか。
 しかも、今後、国の税制改正の影響で七万七千人の方が、千円の負担から二万五百十円の大きな負担となってしまい、ますます利用者が激減することは必至であるといわざるを得ないというふうに思います。
 これまで、税制改正に伴うシルバーパスへの影響を認め、慎重に対処してまいりますと答弁していますが、どう対処するのでしょうか。

○平井福祉保健局長 シルバーパスにつきましてですが、先般の第三回定例会の本会議におきましてご答弁申し上げたとおりでございます。
 税制改正の影響がシルバーパスの利用者負担に生じますのは平成十八年でございますので、税制改正の趣旨なども慎重に踏まえて対処してまいります。

○松村委員 慎重に踏まえ、対処していくということですから、早くやはり、十八年度といったら予算、局要求がもう出るんじゃないですか。この場できちっと明らかにしていただきたいと思いますけれども、よろしくお願いします。
 そして、所得に応じた三千円パスや五千円パスを導入することが重要になっています。多くの高齢者のこの切実な要望をどう受けとめていますか。

○平井福祉保健局長 シルバーパス事業は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題がありましたことから、平成十二年度に見直しを行ったものでございます。
 現在、多くの高齢者がパスの発行を受けまして社会参加と生きがいの活動に活用されております。パス本来の目的に十分沿っているものと考えております。

○松村委員 本当に重い負担で、二万五百十円、これはやはり所得などに応じて負担を軽くするのが本来のシルバーパスという、この精神ではないか、強くこの実現方も要望しておきます。
 次に、学校改修問題です。
 これまで我が党は、学校の耐震補強等、老朽校舎の改修について取り上げ、都として支援を行うことを求めてきました。それは、学校施設の問題は、これからの日本を担う子どもたちに安全で快適な教育環境をどう保障していくのか、こういう重要な問題だからです。さきの第三回定例会では、村松決算委員が取り上げましたが、改めて、なぜ東京都の支援が求められているかを理解していただくために、実態を示す写真を用意しましたので、ちょっと見てください。
 これは、余りにも雨漏りがひどくて、バケツ六つも並べている、こういうある中学校です。こういう状況を、本当に私たちが見なければならないというふうに思います。それから、こちらですね。これを見てください。天井から雨漏りをして、こちら側の、黒板なんです、黒板、余り雨が降ると天井から雨漏りがして黒板が使えない。この黒板にひさしをつけてほしいという、こういう訴えが--本当に笑い事じゃないんです、生徒から寄せられている。村松委員も、現場で本当にこういう大変な実態、これをぜひ写真に撮っていってくれと子どもたちからいわれて撮ったものであります。
 教育長に伺いますが、こうした事態を放置してよいと思いますか。

○中村教育長 お話の区市町村立小中学校の耐震補強あるいは改築等につきましては、設置者であります区市町村が、学校施設の老朽化の状況に応じまして国の助成制度を活用して対応しているところでありまして、都として独自の補助を行うことは困難であります。
 都教育委員会としては、区市町村が公立小中学校の改築、改修が促進できる財源を確保できますよう引き続き国に対して要望してまいります。

○松村委員 我が党はもちろん市町村議会で繰り返し取り上げ、改善を求めてきています。しかし、現実には、多摩の市町村の場合、税収が二十三区と比べて三分の二の水準であることなどから、改善は遅々として進んでいないのが現状です。
 そこで、総務局長にも伺いますが、十六年度の東京都に対する重点要望で多摩市長会はどのような要望を出していますか。そして、これにこたえることが必要だというふうに思いますが、どうでしょうか。

○高橋総務局長 東京都の予算編成に対します平成十六年度の市町村要望におきましては、公立小中学校の改築事業に対する国庫補助の充実に加え、都独自の補助制度の創設が要望されております。
 公立小中学校の施設整備は、設置者である市町村の責任において行われるものでございまして、その所要経費につきましては、国の補助制度や地方債制度、また地方交付税において措置されております。市町村におきましては、施設の老朽化の状況等に応じまして国の補助金等を活用していると承知しております。
 総務局では、これらの義務教育施設を含めまして、道路や公園など施設整備全般にわたる市町村の要望につきまして、厳しい都財政の状況や各市町村の実情を踏まえ、適切に対応しているところでございます。

○松村委員 国の補助を受けてやっているということは、市町村が実施するという実情は私も重々承知しているんです。しかし問題は、国の二分の一補助では市町村の厳しい財政状況では何ともしがたいから、繰り返しこういう要望を出しているんです。市町村負担分に地方交付税が充当されているといっても、改善が進まないのは、一つは、不交付団体といっても決して裕福ではないわけですね。同時に、交付を受けているといっても超過負担や利払いなど重い負担になっている。こういう実態をきちっとつかまなければなりません。
 ですから、なぜ東京都が支援しなければならないのか。私は、東京の子どもにも行き届いた教育環境で勉強できるようにすることが広域行政としての当然の仕事だというふうに思いますし、シビルミニマム実現の一つであると考えます。
 それから、多摩地域は首都である東京のベッドタウンとして四百万人近い都民が住み、さまざまな行政需要を抱えているんです。人口急増期にも、ふえました。地方と比べて学校数も生徒数も全然違うんです。比較にはなりません。全国の一律補助では間に合わないわけであります。二十三区が都区財調で需要算定の合意の方向と聞いています。当然なことだと思いますけれども、多摩の市町村は、先ほどもいいましたけれども特別区と比べても厳しい財政状況に置かれているんです。そういうことから、都が学校改修、耐震補強の支援に踏み出すことを重ねて要望するものです。
 最後に、震災対策はもとより、頻発する都市災害などで消防団が果たす役割は一層重要性を増し、消防団の強化が求められております。そこで、消防団分団本部の整備の進捗状況はどうなっているのかを伺います。
 また、あわせて、もっと早期に整備が完了できる計画を私は持つべきだというふうに思いますけれども、この二点についてあわせてお答えいただきたいと思います。

○関口消防総監 特別区消防団の分団本部数は四百三十九であります。このうち、分団本部の機能を有する施設につきましては、平成十六年度末現在、二百四十七棟であります。また、平成十七年度は、単独で整備するもの十九棟、職員待機宿舎等との合築により整備するもの二棟、計二十一棟を整備いたします。
 分団本部施設の中には老朽化しているものや狭隘となっているものもあるため、その整備は重要な課題であると認識しております。このため、引き続き、構造、老朽度、狭隘度等を勘案いたしまして、順次計画的に整備してまいります。
〔松村委員「都民生活の実態は本当に厳しい……」と呼ぶ〕
〔「終わったんだよ」と呼び、その他発言する者あり〕

○古賀委員長 松村委員、締めてください。

○松村委員 はい、締めます。済みません。ありがとうございます。
 都民生活の実態は厳しく、本当にみんな困っています。このときに都財政は好転しています。むだな大型開発に使うのではなく、都民要望にこたえる予算の使い方に改めるべきです。今こそ都民生活を守るという自治体本来の立場に立ち返ることを強く求め、質問を終わります。

○古賀委員長 松村友昭委員の発言は終わりました。
 谷村孝彦委員の発言を許します。

○谷村委員 質問に入る前に、先ほどの民主党委員に対する谷川財務局長のご答弁ですが、ノー原稿でありますけれども、大変よく理解できました。引き続き、談合防止、談合抑止あるいは財政の適正執行に一層努めていただきたいと思います。応援しておりますので、頑張っていただきたいと思います。
 都立高校の授業料納入方法につきまして、一点質問をさせていただきます。
 昨年、十六年度に都教委では、都立高校の授業料の納入方法について変更をいたしました。その変更については、保護者への通知を十六年度中には終えて、実施は十七年度からということでございますけれども、ことしの五月末ごろに、都立高校にお子さんを通わせておられる保護者の方たちから、このことについて私に問い合わせがありました。問い合わせというより苦情ですね。メール、あるいは直接会ってお話もお伺いをしてまいりました。きょうは、そうした保護者の方たちのお声をお届けするつもりで質問させていただきます。
 これまで都立高校の授業料が年十回払いだったものが、ことしから突然二回払いに変更になりました。そこで、どういう背景があって十六年度にこの都立高校授業料の納入方法、支払い回数の変更の決定をされたのか、お伺いをいたします。

○中村教育長 昭和四十五年に導入しました授業料徴収電算システムは、都庁の中でも最も古いシステムになってしまったことから、都民サービスの向上、内部事務の効率化及びコストの縮減などの視点から、第二次都庁改革アクションプランにおきまして電算システムの再構築を行うこととされたものでございます。

○谷村委員 それまで年十回払いだったものを、今、景気も上向きになりつつあるとはいうもののまだまだ大変に厳しい経済状況であります。そういう中で、いきなり原則年二回払いに決定をした。これは保護者にとっては、十回払いでよかったものが二回払いにしなさいよとなったことは大きな負担になるわけでございまして、なぜ納入回数を原則二回払いにしたのか。わかりやすくお尋ねいたしますと、三回払い、学期ごとの支払いではだめだったのか、なぜ二回なのか、その根拠を教えていただきたいと思います。

○中村教育長 授業料徴収電算システムの再構築に当たりましては、システム運用委託経費の縮減等の観点から、納入方法を原則二回払いとしたところでございます。
 なお、既に都立高等専門学校におきましては二回払いとしていることも参考にさせていただきました。

○谷村委員 システム運用委託経費の縮減等の理由ということなんですけれども、そこから二回払いにしたと。保護者負担が、二回払いよりは三回払いの方がある程度緩やかなわけでございまして、三回払いではだめだったのか、こうお尋ねしたわけでございますけれども、担当者の方に確認をいたしますと、システム運用委託経費の縮減、十回払いなのを減らすというのはコスト縮減になるわけですが、二回払いのときの縮減額と三回払いだったら縮減額はどうだったのかということ、どれだけ金額が違うかということを余り細かく検討されていない嫌いがありました。この点は、一点指摘をさせていただきたいと思います。
 五月に教育庁の担当者に確認をいたしました、どうして二回払いになったんでしょうと。このコスト縮減の話と、もう一つは私立高校、私学が大半が二回払いになっているという説明でした。しかし、うちの息子は私立の中学校に通っておりまして、帰って聞きましたら、むしろ私学、私立高校の方が逆に保護者負担への配慮がされているようなんですね。家庭状況によってきちんと支払い回数が選べるようになっているわけであります。
 そこで、私立高校の授業料納入回数というのは十六年度どうなっていますでしょうか、わかれば教えてください。

○山内生活文化局長 済みません、平成十七年度の、最新の私学部調査でよろしいでしょうか。--平成十七年度の私学部調査では、全日制、定時制の私立高等学校、全体で総数が二百三十八校ございます。このうち支払い方法の多い順に申し上げますと、一番多いのが年三回払いで六十九校、約二九%、次に多いのが毎月払いで六十二校、約二六%、続いて四回払いが四十六校、約一九%、二回払いが四十一校、約一七%、その他が二十校、約八%となっております。

○谷村委員 コスト意識の高い私立高校でも、保護者負担の軽減に配慮がきちんとされているわけであります。それを都立高校はいきなり十回払いから原則二回というふうに変更されたわけなんですが、教育庁では平成十三年の夏に都立高校に関する都民意識調査、これは平成八年の実施以来二回目になるものですけれども、これを実施されて、その年の十月に結果を発表されております。そこでは、都立高校の印象について、十七項目にわたって肯定的印象か否定的印象か、プラスイメージかマイナスイメージかという調査結果がまとめられておりまして、都民の意識がわかりやすく浮き彫りにされております。
 例えば、都立高校では生活指導が徹底しているかという項目では、肯定的な印象は八%、否定的な印象、生活指導が徹底していないという印象の方が五八・四%とか、都立高校ではいじめや非行が少ないかという項目では、いじめや非行は少ないですねという肯定的な印象は一一・六%、むしろいじめや非行が多いのではないかという否定的印象が五〇・七%、過半数を超えているわけであります。
 そこで、十七項目の中で、授業料は安いかという、これは都民の一般意識調査ですと、肯定的な印象は八一・六%、否定的印象が三・二%。十七項目あるうち、都民のイメージというものが明確に八割を超えて出されているイメージというのは、授業料が安いというのが圧倒的な都民の印象であります。また、都民の皆さんの期待というのは都立高校の授業料の安さにあるわけでして、これは進学の際にも、都立高校を選ぶ大きな基準にもなっているわけであります。事実、私立高校と比べますと三分の一あるいは四分の一、時には五分の一の授業料の安さに都立高校はなるわけでして、保護者負担の軽さ、そこに私は都立高校の大きな使命もあると思っているわけであります。
 都立高校の授業料納入方法の変更について、保護者の方から私に寄せられたお声で共通している点として、三つあります。一つは、保護者への説明が不十分だ、一片の通知が送られただけだ、PTAに集まって授業料の回数を変更したという説明もなかった。二つ目に、年度初めの時期に支払いというのは家計は重なりまして、固定資産税や自動車税も大体四月、五月、塾へ通っていればそこでも負担が発生する。この時期、二回払いの一回目は五月に来るわけですので、非常に負担が重い。そして三つ目には、子どもが二人都立高校生の場合、年二回払いとなると十一万何がしが来る。あるいは一人が大学生だったり、一人が私学に行っていると、この二回払いにいきなりなるということは非常にきつい、こういうお声が大体共通している点でございます。
 こうした負担を強いる保護者に対してどういう説明が十六年度なされたのか、お伺いいたします。

○中村教育長 納入方法の変更に当たりましては、平成十六年の十一月に、保護者の皆様へと題した東京都教育委員会からの通知文をすべての保護者に配布し、周知を図りました。
 なお、同通知文におきまして従来の十回払いによる納入も可能であることを明記し、あわせて保護者への通知を図ったところでございます。保護者の一定の負担となる納入方法変更の周知方法としては十分でない点もあったんだなというふうに思っております。

○谷村委員 今、ご答弁いただきました。
 そこで、原則二回払いですけれども、十回払いもいいですよということなんですが、実際に保護者に配られた資料ですと、授業料の納入回数は原則二回ですが、年二回の納入によりがたい場合は十回払いとすることも可能です。年二回の納入によりがたい場合はというのは、年二回払いできない人は、できない場合は十回払いを選択してもいいですよ、こういう説明になっているんです。そういう方はどうするかというと、詳細は学校の事務室にお問い合わせくださいと。授業料十回払い申請書というのがあるわけですけれども、これはあて先が東京都立どこどこ学校長殿と。授業料の納入については、原則二回払いとなっているところですが、十回払いを申請します、こういうふうになっているわけであります。原則二回払いのところを、二回での納入によりがたい場合に十回払いでいいということになっているわけですけれども、実際に、この例外規定の十回払いの選択をした生徒さんの数は何人いらっしゃったんでしょうか。

○中村教育長 十月十一日現在でございますけれども、十回払いを選択している生徒は一万五千二百四名で、全都立高校生徒に占める率は一一・一〇%でございます。

○谷村委員 実際に一万五千人以上の生徒さん、その家族、保護者が年十回払いを、二回払いではできないので選択をしているわけであります。また、実際に二回払いをされた、八八%でしょうか、二回払いをされた方の中にも随分と苦労されている方も多くいらっしゃったと伺っております。二回で払えない方は事務室に問い合わせてください、こうなるわけですね。うちは二回払いは無理なのでと問い合わせますと、どうしても無理ですか、理由は何ですか、こうなるわけです。子どもが二人いるのでとか、父親が失業したので、父親の給料が下がったので、もとから低いのでという場合もあるかもしれませんけれども、経済的負担にたえられない、だから二回払いができない、安いといわれる都立高校の授業料でさえ原則の二回納入ができない。あの子の家庭は貧しいんだとか、経済的に苦しい家なんだみたいなことを生徒が学校やクラスの中で気にしたり、あるいは恥ずかしい思いをするようなことは断じて避けなければならないと思うわけであります。
 平成十六年度に決定をし、十七年度から変更したこの都立高校の授業料納入回数については明確に改善をしていただきたいと思いますが、見解を伺います。

○中村教育長 十回払いを選択できるのは、特段の事情により二回での納入によりがたい場合など、これまで通知文の中で表記しておりました部分を削除いたします。とともに、学校の事務室に問い合わせることなく十回払いを選択できるようにするなど、保護者が抵抗感なく十回払いを選択できるよう手続上の改善を図ってまいります。
 また、十回払いを希望する保護者や生徒が特別視されることのないよう、納入通知書の交付に当たりましては、封書で対応する等の対策を講じるとともに、学校に対して十分な教育的配慮を行うよう指導を徹底してまいります。

○谷村委員 明快なご答弁ありがとうございます。
 今、保護者が抵抗感なく十回払いを選択できるように改善を図るということですので、事実上二回払いと十回払いが自由に選択できるように改善していただくというふうに理解いたします。
 私は、これまでも、都立高校の修学旅行費の軽減につきましても委員会や本会議で取り上げてまいりました。都立高校の保護者負担の軽減については、私自身も今後も取り組んでいくことを決意を表明させていただき、そして、都教委においても、保護者負担が過剰にならないよう絶えず細心の注意を払っていただくようお願いをいたしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○古賀委員長 谷村孝彦委員の発言は終わりました。
 山口文江委員の発言を許します。

○山口(文)委員 東京都は、厳しい財政状態を打破するために、第二次財政再建推進プラン及び第二次都庁改革アクションプランを策定し、複数年度にわたり財政再建を図る計画を進めてきました。その中で、歳入確保の方策の一つとして未利用地の有効活用、売却が示されました。平成十六年度の都有地の売却実績は教育庁を初めとして六十六件、総額百八十六億九千二百万円となっています。その中に都立高校の跡地などの売却も含まれています。
 そこで、まとまった面積があり、地域にかかわりの深い都立学校の跡地などの活用の検討はどのような手順で行われているのか、伺います。

○谷川財務局長 所管局で不用となりました財産は、財務局がまず各局に、他の目的で活用していくかどうかの照会を行いまして、各局の活用予定がなければ、地元区市町村への取得照会を行います。そして、区市町村においても取得意向がない場合には、区市町村以外の第三者に対して売却等の処分を行うこととしております。

○山口(文)委員 手順の二つ目として、地元自治体に取得意向の確認をするに当たっては、当該自治体はもとより、市境など広範囲にまたがる自治体を含め、対等かつ丁寧な協議の場を持つことが必要だと思いますが、都の見解を伺います。

○谷川財務局長 先ほども活用の手順について申し上げたところでございますけれども、市境を超えた広域な土地につきましても、それぞれの地元自治体へ取得意向を確認して、適切に現在も対応しておるところでございます。
 今後とも、都有地の利活用につきましては、都民ニーズを踏まえ、効果的、効率的な財産活用の視点から取り組んでまいりたいと考えております。

○山口(文)委員 当該自治体だけではなく隣接する自治体に影響が及ぶ場合が多くあることから、隣接する自治体を含めた協議を丁寧に行っていただきたいことと、区市にとって都はまだまだ敷居が高く、対等に物がいえないという実態を耳にしています。今後は、丁寧な協議の場をきちんと設定することを要望しておきます。
 平成十三年に都立大跡地が売却され、大手ディベロッパーによって十九階建てのマンションが建設されるに至りました。その開発に際しては、当時の都市・環境委員会に対し、都と世田谷区が検討して、基本的な考え方に沿った指導をしてほしいとの請願と、周辺に合わせた用途地域に変更してほしいという陳情があり、生活者ネットとしては趣旨に沿った採択がなされることを要望しました。その後、紛争調整も行われましたが、残念ながら、今なお住民による訴訟が続いていると聞きます。
 一方、都立大跡地と同じ世田谷区にあった、旧明正高校の跡地については、平成十六年度の売却前に世田谷区が、都市整備方針の考え方を基本に都市計画決定した防災街区整備地区計画において広域避難場所地区に位置づけ、建築物等の用途制限を課したという例もあると聞いています。
 学校跡地が売却された後の環境が激変することを地域が心配することは当然です。都有地の売却に当たっては、都の役割として従来の環境を維持できるような条件や制限を付すことができないことは至極残念なことです。自治体、地域の状況にも配慮し、住民の合意が図れるよう地域の考え方を尊重し、問題を発生させない進行を心していただきたいと思います。
 一方で、一定程度まとまった用地は地域のまちづくりの問題解決に有用なものもあり、こうした用地については都が率先してまちづくりにも生かしていくことも必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

○梶山都市整備局長 お答えいたします。
 都では、多様な行政課題に対応しつつ、地域の活力や魅力を高めるため、みずから積極的にかかわりながら都有地を活用したまちづくりを推進してございます。
 例えば、南青山一丁目地区では、都心居住の推進、少子高齢化対策など、また東村山市本町地区では、良質で低廉な戸建て住宅の供給などを目的とし、まちづくりプロジェクトを実施しております。
 今後とも、関係局や地元区市とも連携し、必要に応じて地区計画等の活用も図りながら、このような取り組みを推進してまいります。

○山口(文)委員 十四年度に策定された都立高校改革第二次実施計画が進むにつれ、今後も高校跡地の売却が数多く出てくることが予想されます。売却により公共用地から民間に土地が移り、当然、土地利用の転換ということが想定されるわけですから、地域のまちづくりとの調整を図っていくことが大変重要であると考えます。売却できればよいということではなく、防災の拠点づくり、緑のまちづくり、ノーマライゼーションのまちづくりなどを進めるために、地元住民はもとより、区市や関係局が連携し、都有地を有効に活用していただくことを強く要望します。
 都有地の有効活用の一環として、十五年度から知的障害者の地域生活を推進するための施策が進められてきました。また、同年に重点事業として障害者地域生活支援緊急三カ年プランによる知的障害者グループホーム設置が進められてきています。施設から在宅へと福祉の方向のかじが切られ、高齢者や障害者が地域で安心して暮らし続けるための住まい方としてグループホームに大きな期待が寄せられていますが、十五年、十六年度合わせて都有地活用による知的障害者グループホームの実績と全体の整備状況について伺います。

○平井福祉保健局長 障害者が地域で自立した生活を送るために、グループホームは大変重要な役割を担っております。このため、都は平成十五年度から、区市町村との密接な連携のもと、都有地を社会福祉法人などに低廉な価格で貸し付けるとともに、障害者地域生活支援緊急三カ年プランに基づく特別助成を行い、知的障害者グループホームの整備を重点的に進めてまいりました。平成十六年度までに公募した都有地活用の実績は四件でございます。
 また、知的障害者グループホーム全体では、平成十五年度は二百八十二人、十六年度は二百七十三人分を整備いたしまして、平成十六年度末の定員は約千七百人となっております。

○山口(文)委員 今年度が最終年度になるかと思いますが、ぜひ計画を達成していただきたいとともに、今後もこうした施策に力を注いでいただきたいと思います。
 長い間、障害のある人たちが持ち続けてきた、普通の暮らしがしたいという思いが、少しずつではありますが実現し始めています。障害者自立支援法が制定され、自立した普通の暮らしには当然働くということが含まれ、障害者の就労において、福祉的就労から一般就労のための施策が進められています。教育庁に盲・ろう・養護学校卒業生の就職状況を伺ったところ、約六〇%が授産施設や作業所における福祉的就労であり、一般就労については約二〇%、ことしの卒業生は約三〇%までいったということですが、まだまだ現実は厳しい状況だということです。毎年二万五千人から三万人の障害者の新規採用があるにもかかわらず、雇用率は長年、福祉的就労、一般就労合わせても横ばい状態が続いています。一たん就職しても離職や解雇などが多いということだと思いますが、職場に定着するためには、技能や技術を身につけることも重要なことだと考えます。
 そこで、東京障害者職業能力開発校についてですが、卒業生の就職率は非常に高いと聞いています。障害者を対象とした国立、都営の訓練校は都内に一校しかないとのことで、入学を希望しながら合格しなかった人が多くいるのではないかと思いますが、十六年度の状況はどのようになっているのでしょうか。また、そういう人への対応はどのようにされているのか、伺います。

○成田産業労働局長 東京障害者職業能力開発校は、身体障害者及び知的障害者を対象とする職業訓練を実施しておりまして、平成十六年度の入校選考の状況は、個々の科目によって違いがございますが、全受験者三百五十五名に対しまして合格者が二百八名、不合格者は百四十七名となっております。
 こうした不合格者に対しましては、東京しごと財団内の心身障害者職能開発センターでの職業訓練や、昨年度から五百人規模の定員で開始いたしました障害者委託訓練を紹介しているところでございます。
 この委託訓練では、同センターがコーディネーター役を担い、委託先の開拓を初め、訓練希望者と委託先のマッチングを行うなど、訓練機会の提供に努めているところでございます。

○山口(文)委員 では、心身障害者職能開発センターの十六年度の取り組み及び実績について伺います。

○成田産業労働局長 心身障害者職能開発センターは、東京障害者職業能力開発校との役割分担のもと、重度身体障害者及び軽中度知的障害者を対象としまして、随時の入所及び修了方式により、個々人の能力や特性に応じたきめ細かな職業訓練、職業相談、就職後の追跡指導等を実施しております。
 平成十六年度の実績でありますが、修了者五十五名のうち就職者はその六割の三十三名でございました。

○山口(文)委員 職場に定着するためには、職場体験や人的なサポートなど、実地に即した仕組みが欠かせません。職場で障害者をサポートするジョブコーチの役割が重要だと考えますが、国の事業であるジョブコーチ事業の現状が都内で約二十人というのでは、障害のある人のニーズを満たすことはできません。区市の障害者就労支援センターにおいてもジョブコーチを求める声も多く、就労支援コーディネーターができる範囲で対応していると聞いています。能力開発センターが今後、こうした人材養成を行い、ジョブコーチを増員しながらコーディネート機能をさらに高めることが必要と考えますので、要望しておきます。
 また、指導する健常者、指導される障害者という運営形態ではなく、対等な関係で協力して働くという共同事業所、あるいは社会的事業所といわれる新しい運営形態に取り組んでいる人たちもふえてきました。古くからこうした活動を展開してきた滋賀県では、その運動の広がりによって、事業型共同作業所制度をつくり出しています。福祉工場、授産施設、作業所等の見直しが行われると聞いていますが、今後とも積極的に新しい労働形態に取り組んでいただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

○古賀委員長 山口文江委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○古賀委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十八日の午後零時四十五分から理事会を、また、午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時六分散会

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