各会計決算特別委員会速記録第二分科会第五号

平成十七年十月二十六日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長酒井 大史君
副委員長村松みえ子君
副委員長吉原  修君
松葉多美子君
早坂 義弘君
村上 英子君
山口 文江君
山口  拓君
谷村 孝彦君
くまき美奈子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長中村 正彦君
次長比留間英人君
理事近藤 精一君
総務部長志賀 敏和君
学務部長齊藤 一男君
人事部長松田 芳和君
福利厚生部長橋本 直紀君
指導部長井出 隆安君
生涯学習スポーツ部長山川信一郎君
参事三田村みどり君
参事新井 清博君
参事沼沢 秀雄君
参事伊藤 一博君
参事川澄 俊文君
国体準備・事業推進担当部長関口 修一君
参事直原  裕君

本日の会議に付した事件
平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  教育庁関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)

○酒井委員長 ただいまから平成十六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○志賀総務部長 去る十月七日の当分科会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の平成十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十四件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。平成十六年度における都立高等学校の修学旅行費の状況と参加生徒数、不参加生徒数等でございます。
 (1)の修学旅行費の状況は、平成十六年度における修学旅行にかかった経費を、交通費や宿泊費等の旅行経費、写真代や資料等の関連経費に分けてお示ししてございます。
 (2)の参加生徒数・不参加生徒数等は、修学旅行の実施校数、参加生徒数、不参加生徒数をお示ししてございます。
 なお、一番右の欄の経済的理由による不参加生徒数欄は、不参加生徒数のうち経済的理由により不参加だった生徒の人数をお示ししてございます。
 二ページをお開き願います。都立学校施設開放事業の実績でございます。
 都民に対して施設開放を行っている都立学校数及びその延べ回数について、過去三カ年にわたりお示ししてございます。
 三ページをごらん願います。都立高等学校授業料の納入方法でございます。
 都立高等学校の授業料の納入方法につきましては、納付書による方法と口座振替による方法がございます。平成十七年度から、分割の回数を原則年二回、必要に応じて年十回とすることができるとしたところですが、その状況について、在校生と平成十七年度入学生に分けてお示ししてございます。
 四ページをお開き願います。区市町村立小中学校の建築時期、耐震診断、耐震化の状況でございます。
 (1)の建築時期の状況は、区市町村立小中学校校舎の建築時期を、昭和四十五年以前、昭和四十六年以降五十五年以前、昭和五十六年以降に分け、各区分の建物の面積の計をお示ししてございます。
 (2)の耐震診断、耐震化の状況は、耐震診断や耐震補強の実施棟数及びその率について、それぞれ小学校と中学校に分けてお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。東京都公立学校普通教室の冷房設備設置状況でございます。
 平成十七年五月一日現在で、普通教室に冷房設備を設置している学校数を、校種別にお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。都立盲・ろう・養護学校施設整備費の推移でございます。
 盲・ろう・養護学校に係る校舎改築等の施設整備費の予算額、決算額について過去十カ年にわたりお示ししてございます。
 七ページをごらん願います。教育庁所管事業の廃止、終了及び見直しについてでございます。
 教育庁の所管事業のうち、平成十六年度をもって廃止、終了及び見直しを行ったものについて、予算額とその内容をお示ししてございます。
 八ページをお開き願います。平成十六年度公立中学校給食実施状況でございます。
 平成十六年度における中学校の給食の実施状況について、二十三区、多摩地区及び島しょ地区に分けてお示ししてございます。
 九ページをごらん願います。東京都公立学校の教員採用者数の推移でございます。
 校種別の教員採用者数について、過去四カ年にわたりお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。都内公立学校教員の未充足状況でございます。
 過去五年のうちで教員の未充足が発生した平成十三年度と平成十六年度について、その状況を校種別にお示ししてございます。
 一一ページをごらん願います。学校施設の耐震診断及び耐震化の状況でございます。
 (1)は区市町村立学校について、(2)は都立学校について、それぞれ耐震診断の実施率及び耐震化率を、過去三カ年にわたりお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。都立高等学校における図書館図書購入経費でございます。
 都立高等学校の図書購入経費について、全体経費、学校数及び一校当たりの経費を過去五カ年にわたりお示ししてございます。
 一三ページをごらん願います。都立高等学校中退者数の推移でございます。
 過去五カ年にわたる中途退学者の人数とその率について、全日制、定時制の課程ごとにお示ししてございます。
 一四ページをお開き願います。不登校の児童生徒数及び割合の推移でございます。
 年間三十日以上の欠席をした児童生徒の人数とその割合について、過去五カ年にわたり、小学校、中学校の校種別にお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。ご審議のほどよろしくお願い申し上げます。

○酒井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○くまき委員 今月の二十三日で、多くの犠牲を出した新潟中越地震から一年がたちました。私たちはこの教訓を生かし、今後の災害時における被害をより少なくする努力をしていかなければならないと思います。ここ東京におきましても、大規模な直下型地震が近年中に起こる確率が非常に高く、いつ起きても不思議はないというふうにいわれております。災害時には想定できない事態が引き起こされることが予想されます。
 ことしの七月二十三日に首都圏を襲った震度五強の地震では、ほとんどの鉄道がストップするなどの長時間にわたる交通麻痺や、エレベーターに閉じ込められた人が多数出るなどの大きな混乱が起こりました。ちなみに、足立区では震度五強を記録いたしました。震度五強でこれらの混乱が起こったわけですから、マグニチュード七クラスの大地震の際にはどれほどの被害があるのかは、予想がつきかねます。
 そこで、地震を初めとする災害時の対応について、改めて確認をさせていただきたいと思います。災害が起こった際には、高齢者や障害者などの安全確保が重要かつ難しい問題ですが、そうした方々への配慮がきちんとなされているかについては見過ごされがちなポイントであり、平常時から特段の注意を持って行政の担当する部局ごとにしっかりと対応をとっていく必要があると思います。
 本日は、こうした観点から、都立盲・ろう・養護学校の災害時の対応について質問をさせていただきます。
 まず、児童生徒の学習、生活の場である学校の安全の確保はいうまでもないことでございますが、障害のある児童生徒については特に配慮が必要だと考えます。こうした点から、都立盲・ろう・養護学校の施設について耐震性の強化は重要であると思います。都教育委員会は、これまで都立盲・ろう・養護学校施設の耐震性を図るために、どのような計画を立て、これまでにどのように進捗しているのかを伺います。

○齊藤学務部長 都立学校の耐震補強計画につきましては、平成七年一月の阪神・淡路大震災を受けまして、平成八年度から計画的に実施してきております。さらに、平成十四年度に行いました耐震診断調査の結果、補強が必要な学校につきまして、第二次耐震補強計画を策定いたしております。
 都立盲・ろう・養護学校につきましては、大規模改修、改築を予定している学校を除きまして、平成十六年度までに耐震補強工事を終了しております。

○くまき委員 都立盲・ろう・養護学校の施設について、おおむね耐震性の確保が進んでいる状況はわかりました。次の質問に移らせていただきます。
 実際に地震等の災害が起きたときには、どのように避難するかが重要であり、これについては日ごろからの教職員、児童生徒を含めた、いざというときの行動についての共通認識が不可欠になってまいります。このような緊急時の共通認識を図るためには、日ごろの避難訓練が大切であると思いますが、都立盲・ろう・養護学校の避難訓練は、障害の状態に応じてどのように行っているのかをお伺いいたします。

○井出指導部長 盲・ろう・養護学校においては、児童生徒が安全かつ迅速に避難ができるように、日ごろより障害の状態に応じた訓練の方法を工夫し、訓練を行っております。例えば、盲学校では、生徒が集団から離れないようにするために、前の生徒の肩につかまって避難をしたり、ろう学校では、生徒が光による警報合図に従って避難することができるように訓練を行っております。また、養護学校では、歩行の不安定な生徒を教員が背負ったり車いすに乗せたりして避難するなどの訓練を行っております。

○くまき委員 実際に避難するに当たりまして、学校内の避難経路においても、棚が倒れてきたり、物が落ちてきたりしたときに、健常者にとっては何でもないことでも障害のある子どもにとっては大きなバリアになりかねません。都立盲・ろう・養護学校の場合、災害が発生した際に、設備等が避難を妨げないように特に注意する必要があると思いますが、どのような対応を行っているのかをお伺いいたします。

○齊藤学務部長 都立盲・ろう・養護学校では、障害の程度によりまして児童生徒が車いす等を使用するため、廊下やホール等を広くとってございます。また、特別教室などに戸棚、重ね書庫等を設置する際には、床や壁等にしっかり固定させております。
 あわせまして、都立学校におきましては、都教育委員会が作成する学校防災マニュアルの学校施設設備等の点検リストによりまして、日ごろから学校施設設備の安全点検を行い、災害時の備品の転倒や照明器具等の落下等を未然に防ぐことによりまして、支障なく児童生徒の避難ができるよう対応しております。

○くまき委員 災害発生の際に児童生徒が無事避難でき、安全が確保されたとしても、その後の対応が重要であります。また、災害が発生する前に注意情報等がなされる可能性もあります。都立盲・ろう・養護学校において、災害時あるいは災害注意情報が出た場合の下校等の態勢については、どのようになさっているのでしょうか、お聞かせください。

○齊藤学務部長 災害時の都立盲・ろう・養護学校の下校の際の態勢につきましては、学校防災マニュアルを踏まえまして対応することといたしております。具体的には、災害情報等災害に関する情報が出された場合、スクールバス運行について、その情報により各学校の実情に応じて判断し、実際に災害が発生した場合には、安全を確認の上、小中学部生及びスクールバス利用の児童生徒につきましては、保護者に直接引き渡すことになっております。
 また、スクールバスの運行中の災害発生の場合でございますけれども、バスを停止させ、道路状況、災害状況等によりまして学校に戻るか否かを臨機応変に対応し、学校に戻ることが困難と判断した場合には、学校に連絡するとともに、最寄りの学校等安全な場所へ避難することといたしております。

○くまき委員 下校等の態勢をいろいろと決めていたとしても、実際に対応ができなければ意味がありません。保護者も含め、十分な準備をしていくことが必要であると思いますが、都立盲・ろう・養護学校において、実際にどのような引き取り等の訓練が行われているのかをお伺いいたします。

○井出指導部長 盲・ろう・養護学校におきましては、児童生徒の障害の状態に応じまして、保護者がスクールバスを使わずに連れて帰る引き取り訓練や、教員が生徒に付き添って集団で帰宅させる下校訓練を実施しております。

○くまき委員 仮に災害がそれほど大きくなければ、すぐに保護者が引き取れますが、大災害が発生した場合には、児童生徒の通学範囲が広く、また、児童生徒の障害の状況に照らしても、なかなか保護者が迎えに来られないことも想定されるのではないかと思います。災害が生じ、児童生徒をすぐに迎えに来られないような場合に備え、都立盲・ろう・養護学校ではどのような対策をとっていらっしゃるのか、お伺いいたします。

○齊藤学務部長 保護者が迎えに来られず、引き取りができないような場合でございますけれども、安全が確認され、保護者による引き取りが可能になるまでの間は、学校で保護することといたしております。
 このような状況に備えまして、各盲・ろう・養護学校ごとに、非常災害用備蓄品の配備を行いまして、具体的には、被災後、本格的な行政による支援が開始されるまでのものといたしまして、毛布、調理器具に加え、児童生徒及び教職員の三日分の食料を備蓄しております。特に、肢体不自由養護学校におきましては、中期食、これは柔らかな形態の食料でございますけれども、これと経管栄養食も配備してございます。

○くまき委員 このような災害が生じたときには、都立盲・ろう・養護学校の教職員はもちろん児童生徒の避難や支援に当たらなければならないと考えますが、障害のある児童生徒の状況も考えると、それで本当に十分な対応ができるのか、心配になります。できることならば、地域のボランティアの方々にお手伝いをいただけるような体制をつくることが望ましいと考えますが、現状では都立盲・ろう・養護学校と地域との関係はまちまちで、そこまでは至っていないというふうに聞いております。
 都立盲・ろう・養護学校におきまして、災害発生の場合も想定し、地域との連携をさらに強めていかなければならないと考えますが、いかがでしょうか。

○齊藤学務部長 地域との連携を図っていく上で、開かれた学校づくりが何よりも重要であり、授業公開、それから学校行事等の機会を通じまして、日ごろから都立盲・ろう・養護学校に対する地域の理解を深めていく努力が必要であるというふうに考えております。
 また、学校運営に地域の代表者など学校外の関係者等の意見を反映させるために、各都立学校に設置されております学校運営連絡協議会などを活用いたしまして、地域との一層の連携を図っていくことも重要であるというふうに考えております。

○くまき委員 一般の公立小中学校であれば、周辺の子どもたちが通っていることもあり、地域の方々との関係づくりも自然にできています。しかしながら、都立盲・ろう・養護学校の場合は、通学範囲も広く、地域コミュニティとの関係づくりも非常に難しい面があると思われます。
 特に災害時には、地域の小中学校はその地域の避難所という性格も持つようになるため、近隣の住民の多くはそちらへの対応を優先させることになってしまいます。現在の教職員で一応の対応ができていると想定はされているものの、いざ災害というときには何が起こるかわかりません。一人でも多くの支援をいただけるよう、日ごろから地域住民の方々との交流を深め、そうした関係づくりの中から、いざというときもお手伝いいただけるボランティアを確保していくことが重要であるというふうに考えます。
 また、地域の方々だけでなく、災害時を想定し、消防、警察、医療等の機関ともあらかじめ連携体制をとっておく必要があると思います。これもペーパーによる協定を結ぶだけでなく、避難訓練に参加していただく等、実際に機能する体制づくりに取り組んでいただきたいと考えます。
 以上、今回ご指摘をしましたさまざまな観点について、各都立盲・ろう・養護学校に改めて適切な対応を確認していただくとともに、東京都教育委員会としても強力にサポートしていただくことを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。

○松葉委員 現在、下の都政ギャラリーで開催中でございますけれども、都立高校美術科の生徒さんによります不正軽油撲滅PRポスターコンクール、作品展を拝見させていただきました。東京都教育委員会が後援とのことでございます。美術科コースに学ぶ各校の作品は、豊かな感性と鋭い視点で、大変に感心をいたしました。多彩な人材を育てる都立高校の幅の広さをかいま見る思いでございました。
 都教育委員会は、都立高校改革に取り組み、多様な生徒の希望にこたえるさまざまなタイプの高校を設置してきました。特に、全国に先駆け、小中学校で不登校の経験のある生徒や高校の中途退学者を受け入れるチャレンジスクールの設置を行っていることを高く評価しております。
 私も、チャレンジスクールを見学させていただきました。自分の生活スタイルに合った時間帯を選び、自分の興味、関心に合わせて科目を選択し、時間帯をつくるなど、生徒の皆さんが生き生きと授業を受け、また、授業に参加している姿に大変に感動いたしました。ある生徒さんは、小中学校、ほとんど学校に行けなかったそうでございます。チャレンジスクールに入学をして、元気に、毎日通っているということでございました。私も、楽しそうにお友達と語り合って笑っているそのお子さんの姿に、胸がいっぱいになりました。お母様も大変に感謝されていると伺いました。
 私も二児の母ですので、どれほどかお母様もご心配され、悩まれていらっしゃったかと思うと、このようなチャレンジスクールという新たな高校の設置に取り組んでこられた都教育委員会の皆様、また、ご尽力してくださっている教職員の皆様に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
 これからチャレンジをしていこうとする、そういう気持ちさえあれば大丈夫ですよ、そういう温かいメッセージがこもっているチャレンジスクールであると受けとめました。今後の教育を考える上でも、非常に示唆に富んだ高校であると期待をしております。
 そこで、幾つか質問させていただきます。
 設置当初からチャレンジスクールは人気が高く、倍率が高いようでございます。十六年度も、二・七五倍と高倍率でございました。この倍率の中で、各学校は不登校の経験のある生徒を選抜して受け入れると思いますけれども、どの程度の割合で受け入れているのか、伺います。

○新井参事 まず、チャレンジスクールの入試倍率でございますが、かなり緩和されてきております。今後、チャレンジクラスの併設校、これを含めまして二校開設することによりまして、より平準化されてくるものと考えてございます。
 入学選抜に当たりましては、学力検査は行わずに、調査書の提出を求めないことにしておりまして、不登校経験のある生徒が受検しやすいように配慮しているところでございます。
 生徒の実態についてでございますが、生徒への配慮から、必ずしも明確な調査ではございませんけれども、入学する生徒のうちおおむね六割ないし七割は不登校経験を持つという結果を得ておりまして、チャレンジスクールの設置目的に沿った生徒の受け入れが実現できているものと認識してございます。
 今後とも、各学校に対しまして趣旨の徹底を図ってまいります。

○松葉委員 今のご答弁で、入試の方法の工夫をなさっていることや、また、おおむね六割から七割の不登校等の生徒の受け入れが行われているという状況を伺いまして、チャレンジスクールの設置目的に沿った努力をされていると思います。
 しかし、倍率も平準化してきたとはいえ、他の定時制高校に比べて倍率の高い実態は変わらないと思います。ホームページを見ますと、平成十六年度における中学三年生の不登校の生徒数は二千九百三十人となっております。平成十七年度チャレンジスクール募集枠は六百三十人ですので、この不登校の生徒数を見ると、チャレンジスクールの受け入れ枠が少ないと思いますが、いかがでしょうか。

○新井参事 不登校の経験のある生徒につきましても、さまざまなタイプがございまして、都といたしましては、チャレンジスクールの整備を進めることはもとより、多様で弾力的な教育課程の編成で学習できる新しいタイプの昼夜間定時制高校を四校設置するなど、平成十九年度までに昼夜間定時制独立校を十一校整備することとしてございます。
 一方、従来からの全日制に併置する形での夜間定時制高校も、四十四校残すという形でございます。それから、通信制課程では、インターネットを利用したスクーリングを可能にいたしますプラネットスクール、これを設置するなど、不登校の経験のある生徒など多様化する生徒を受け入れる体制を整備しているところでございます。

○松葉委員 新しいタイプの昼夜間高校など、重層的な選択肢があることがわかりました。不登校の経験のある生徒さん皆さんがチャレンジスクールにという考え方だけではなく、より幅広い選択肢があることも大事だと思います。ただし、高倍率のチャレンジスクールを第一志望にした場合、一次試験を不合格になった生徒さんの進路が心配でございます。不合格になった生徒さんの受け入れ体制が整っているのか、伺います。

○新井参事 新たなタイプの昼夜間定時制高校、これにつきましては、後期二次の日程で六〇%の募集枠を設けてございます。このほか、夜間定時制課程の二次募集も合わせていきますと、十分な受け入れ体制を整備しているということでございます。

○松葉委員 都教育委員会として、不登校経験のある生徒や中途退学者に対してきめ細かく受け入れ体制を整備していこうと努力されていることが、よくわかりました。ただし、生徒さんの状況やニーズは刻々と変化していると思います。チャレンジスクールを含めて、各改革校における取り組みの成果について、都教育委員会として今後確認していく必要があると思いますが、どうでしょうか。

○新井参事 都立高校改革推進計画に基づきます新たなタイプの学校の設置につきましては、平成二十三年度に最終的な完成年度を迎える予定でございます。現在、改革は道半ばということでございますけれども、チャレンジスクールを初めといたしました都立高校改革全般につきまして、現段階での成果をきっちりと把握しておくことは非常に重要であるというふうに認識しております。これに基づきまして庁内に検討委員会を設け、今後検証を進める予定でございます。

○松葉委員 今ご答弁ございました、検討委員会を設けて検証を進めていくという、そのことは非常に大事だと思います。検証の上で改革を進めていくというあり方も含めまして、二十一世紀の教育改革をリードする都教育委員会の取り組みを高く評価するものです。今後も生徒さん一人一人のための都立高校改革が推進されることを期待して、質問を終わります。

○村松委員 私も三人の子どもを育て、小学校、中学校のPTAの活動などに参加してまいりました。その中で、生徒と教師の信頼関係、そして、学校と保護者、地域の信頼関係が教育環境や教育効果を高める上で非常に大切だということを実感したところです。学校が果たす役割は、いじめや登校拒否、児童虐待など複雑な社会環境の中で生じるさまざまな問題を見ると、一層重要になってきております。今、こうした生徒が通う学校が、生徒の心をつかんだ教育ができる、そういう条件になっているんだろうか、こういう観点からちょっと見たいと思います。
 平成十六年度の中学校教員の一週間の授業持ち時間数は、今どうなっているでしょうか。

○松田人事部長 一週間の持ち時数につきましては、基準といたしまして二十二時間から二十四時間ということで運用しております。

○村松委員 一週間の中学校の先生方の授業持ち時間数は二十二時間から二十四時間と。それは、だれが決めるんですか。

○松田人事部長 先ほどご答弁しました時数につきましては、標準的な時数でございます。具体的な時数につきましては、各学校長が教育課程上の状況を考慮しながら決定をいたします。

○村松委員 私、平成十六年度の東京都への公立中学校校長会からの要望書、これを見させていただきました。この重点要望事項に、各中学校が生徒、保護者や都民の期待にこたえられる教育活動を展開するために、下記の条件整備が求められています。これは切実な要望であり、公立中学校の発展には不可欠なものであります。教員の持ち時数についての項目の中で、現在の授業持ち時数では、教科部会や分掌部会等を持つことが非常に困難である。また、六時間授業日の増加や、部活動、生徒指導等で放課後に打ち合わせ等の会議を持つことも難しい。講師との打ち合わせ等さまざまな会議に要する時間確保がますます重要となっている。教育内容を充実させるために、各教員の持ち時数の上限を十八時間から二十時間にすること、こういうふうにあります。
 毎日現場で生徒と接する先生方の姿を見ている校長先生が重点要望に取り上げておられるんですから、都としても何らかの検討をされたんだろうと思います。
 先ほどのご答弁ですと、標準の持ち時間数、そういうふうにいっておりました。それを決めるのは校長だというふうにいっているんですが、校長先生は、一定の人数の中でそうせざるを得ないんですよね。要は、これは人数、職員の、教員の数にも私は関連してきているというふうに思うんです。
 私は、最新の要望書も見せていただきました。ここでも、教員の持ち時間の上限を都立学校と同じに十八時間とすることとして、現在の授業持ち時数である二十二時間から二十四時間では、研究に使用できる時間の確保が困難だけではなくて、授業時間など情報共有のための教科部会や分掌部会等を持つことが非常に困難である。さらに、部活動指導や生徒指導等で放課後に打ち合わせ等の会議を設定することも難しい。こういって、さらに教育内容を充実させ、基礎・基本の学力と豊かな心をすべての生徒に獲得させるために、一週間の授業持ち時数の上限を都立学校同様に十八時間とする必要がある、このように東京都の中学校校長会の重点要望で連続して出されているんですね。
 東京都の教育委員会は、教員の持ち時間を十八時間にしてほしいという中学校校長会のこの要望を、どのように受けとめているんでしょうか。

○松田人事部長 東京都中学校校長会から、委員ご指摘のような趣旨の要望が私どもの方に参っていることについては、お話しのとおりでございます。
 私どもといたしましては、これら校務分掌等にかかわる会議や打ち合わせなどにつきましては、会議時間の持ち方や打ち合わせ方法の工夫など、事務の効率化や学校全体での組織的な取り組みなどにより対応が可能であると考えております。
 現行の持ち時数につきましては、勤務標準法上の教員数算定の基礎としている時数に基づいておりまして、持ち時数の軽減については考えてございません。

○村松委員 随分冷たい答弁をしているんですが、本当に学校の実態がまるでわかっていない、私はこうはっきりといい切りたいと思います。
 この校長先生方の要望は、もっとゆとりを持って授業の準備や打ち合わせをしたい、そういう先生方の思いが手にとるようにわかるから、こういうふうな要望が出ているというふうに思うんですね。
 それでは、教員の勤務時間、これは基本的に何時から何時までになっているんでしょうか。

○松田人事部長 教員の勤務時間は、服務監督権者である校長が定めることになっております。一般的には、八時十五分から午後五時までとなっている例が多うございます。

○村松委員 一般的には八時十五分から五時までだ、そういうふうにご答弁されました。しかし、現実の問題として、その時間に本当に帰る人がいるんだろうか。それは何人かいるかもしれませんが、でも、圧倒的多数の職員は、五時に帰れるということはないんですよね。朝八時十五分から仕事が始まる、朝会が始まるんですが、皆さん、八時ごろにはもう来ているんですよね。
 そういう実態もあるんですけれども、規定では、朝八時十五分の朝会から、本来は四時までが勤務時間で、四時から四時四十五分までが休憩時間になっている。お昼は給食指導で生徒と一緒にいるんで休息できないということ、そういう状況ですから休憩を四時から四時四十五分、こういう時間に入れているんですよね。
 しかし、現実には、休み時間だからといって職員室に行ってお茶を飲むこともほとんどできない。授業が終わって、部活動の指導に当たったり、研修のレポートを書いたり、市教委からの報告書の作成とか行事の準備など、やることがたくさんあって、そして、そのほかにも、地域によっては、変質者が出るから、そういうことで順番で自転車で地域を回らなければならない、これが今の実態なんですね。
 そこで、お伺いしますが、先生方が、どのくらいの人たちが学校の中で五時以降仕事をしているのか、そういうことをつかんだことはありますか。

○松田人事部長 教育職員の勤務の正確な把握は困難でございますが、学校や職員によりまして、さまざまな実態があると認識をしております。

○村松委員 さまざまな実態というふうに答弁されていますが、五時以降、いろんな仕事をしているということは認識していると。だけど、どのくらいの人たちが、五時以降、六時まで何人、七時まで何人、八時まで何人、九時まで何人、そういうことを全くつかんでないということですよね。
 それから、人によっては、仕事を家に持ち帰ってする人。ほとんどの人が、土曜日、日曜日まで出勤しているというんです。その辺は、どういうふうな認識をお持ちでしょうか。

○松田人事部長 先ほどもご答弁いたしましたけれども、勤務の正確な把握については困難でございます。学校職員によりまして、さまざまな形の実態があろうかと考えております。

○村松委員 実態の把握が困難だというんですが、その困難な理由というのは何なんでしょう。

○松田人事部長 教員の勤務につきましては、自発性あるいは創造性に基づく勤務に期待する面が多うございます。したがいまして、一般行政職員のような勤務時間の管理を行うことは必ずしも適切ではないというふうに私ども考えております。そういったことを考慮いたしますと、お話しのような勤務実態の把握ということは困難であろうかと考えております。
 なお、いわゆる超過勤務につきましては、給特法、義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置に関する法律及び条例によりまして、超過勤務につきましては、臨時または緊急にやむを得ない場合等に限定をされております。
 また、先ほど申し上げましたような教員の勤務実態をかんがみまして、包括的にそれらを評価しまして、いわゆる教職調整額が給料月額の百分の四、支給をされております。

○村松委員 教員の勤務実態、労働条件というのは一般の労働者と違う、そのくらい私も知っているつもりです。だけど、今の学校の先生たちの状況がどれほどの状況にあるのか。朝、子どもたちに接して、子どもたちが帰って、それからさらに仕事を続けなければならない。これは、私、相当精神的な過密な状態だと思うんですよ。私も三十一年間現場で仕事をしていましたけど、相手が機械ですから、本当にそんなに悩むようなことはありませんでした。いい仕事をできるかできないか、そういう悩みはありましたけど。
 やっぱり人を教育するという中で、本当に先生たちのこの思いというのは、今の状況、やることがいっぱいあり過ぎる。それも本当にやらなければならない、子どもたちに対してきちっと向き合って、子どもたちの今の状況をよく知って、その子に合った教育を、そういうふうな思いが本当にあるんですよ。
 それから、本当に子どもたちにわかる教育をしたいと思って、準備もうんとしたい、そういう時間もなかなかない、こういう悩み、一番大事な仕事ができないという悩みを持っているんですよ。そういう悩みをきちっとつかんで、今の教育条件を本当に変えていかなければいけないんじゃないかなということを、私は十分それを思うんです。
 先生方の長時間、過密、そういう中で、東京都の教育委員会としては、私が先ほどいった、仕事が終わってから六時、七時、八時、多い人は九時まで、朝八時から九時まで仕事をしなければならない。人によっては家へ帰ってまで仕事を持っていく。土日も出勤する。こういう実態をきちっと調査する必要があると私は思うんですよ。
 先ほどの条例がどうとか、いろいろいっているんですが、そうじゃなくて、実態調査をすべきだというふうに思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

○松田人事部長 教員の勤務につきましては、自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が多いことを考えますと、お話しのような実態の把握は困難だと考えております。

○村松委員 東京都の教育委員会は、教育庁がそういうふうな形で非常に無責任な答弁をしているんですが、じゃ、ほかのところで、ほかの県でやっている、そのことは、やっているところがあるかどうか、それはつかんでいますか。

○松田人事部長 承知しておりません。
   〔発言する者あり〕

○酒井委員長 ご静粛に願います。

○村松委員 実態調査をしているところがあるかないか、つかんでいないと。本当に無責任な話だなというふうに思うんですよ。もう既に教員の実態調査に踏み出している県があるんですよ。北海道、青森、群馬、長野、静岡、京都、大阪、島根、愛媛、香川、高知、佐賀、長崎、ここで実施しているんです。
 満足に休憩もとらずに、本来なら授業研究や事務作業、あるいは打ち合わせなどに使うべき空き時数もほとんどなく、朝八時から夜七時、八時、九時まで学校で何らかの仕事をしている学校の先生たちのこの実態をもっと直視してほしい、私はこう思います。
 教員の持ち時間数、あるいは授業持ち時間数の削減をぜひ重視して、そして私は、やっぱりこれの解決のためには人をふやす、そのこと以外にないというふうに思うんです。
 そのことを強く求めて、次の質問に移ります。
 私は、教育条件の地域間格差、このことについて伺いたいと思います。
 ヒートアイランド現象でことしも暑い日が続きました。昨年度は日中の気温が三十度を超えるいわゆる真夏日が七十日と、これまでにない暑さでした。狭い空間に四十人近い子どもがひしめく教室の中での温度は三十五度を超え、四十度になることもある中で、学校の夏休み前後の冷房化も不可欠になっております。
 東京都として、生徒が学ぶ学校の冷房化の必要性をどのように認識しているんでしょうか。まず、その認識をお伺いします。

○齊藤学務部長 生徒の学習環境を整備することは、教育委員会の重要な責務であるというふうに考えております。冷房化の状況について、区市町村小中学校の施設整備につきましては、その設置者である区市町村が適切に対応すべきものというふうに考えておりまして、学校施設の冷房化につきましても、区市町村において、地域の実情、それから環境等を踏まえまして、適切に対応していくべきものというふうに認識しております。

○村松委員 学校教育の教育環境をよくしていくことは大事なことだと。だけど、それは区市町村がやるべきだ、そういう答弁なんですが、そこで、一つ伺いたいんですが、平成十六年度の二十三区と多摩地域の小中学校の冷房化の状況、わかっていたら示してください。

○齊藤学務部長 十七年五月一日現在の状況でございますけれども、小中学校合わせまして、区立では千二百六十六校のうち五百九十八校、市町村立では七百七校のうち百一校、全都では、都立の中学校一校ございますので、これを合わせまして千九百七十四校のうち七百校が導入されてございます。

○村松委員 資料でいただきました。小学校が、二十三区が三百九十校、多摩が七十校、これは本当に大きな違いだと思うんですね。二十三区の方が設置率が高い。それから中学校でも、区立の方で二百八校、二十三区では冷房が設置されておりますが、市町村は三十一校ですよね。こういう状況を、私はいつも多摩格差とか地域間格差だというふうに思っているんですが、このことに関して、二十三区と三多摩の方で格差があると私は思うんですけれども、その辺についてはいかがでしょうか。

○齊藤学務部長 私どもとしては、設置者である区市町村ごとに、地域の実情、それから環境等を踏まえまして、適切に対応されるものというふうに考えております。

○村松委員 地域の環境とかというんですが、地域の環境は二十三区も三多摩もそんなに変わらないんですよね。
 気象庁で、私、資料をとったんです。八王子の昨年度の三十度を超えた日数、これが六十八日あるんですね。日中の最高気温が二十五度以上、これが百二十八日あるんですよ、八王子は。それから府中でも、日中の最高気温三十度以上が、いわゆる真夏日ですが、七十一日。それから二十五度以上、百三十一日。青梅の方でも、日中の最高気温が三十度以上が六十一日、二十五度以上が百二十四日なんですね。二十三区の方も多いといえば多いんですが、二十三区の方もやっぱり入れていいんですが、多摩地域も必要なんですよ。なぜ多摩地域の方が冷房化が進まないのか。私は、その問題を真剣に考えていただきたいと思うんですね。
 私がいつもいうように、やっぱり二十三区と三多摩の財源の違いだ。そういう中で、子どもたちが学ぶ学校にも格差がある、そういう学校の教育条件整備の中にも格差があるというふうに思うんです。
 私は、これは町田市の堺中学校から市の教育委員会に提出されている要望書を見て、ちょっと胸が痛んだんです。ここには、冷房がない音楽室で吹奏楽部の練習をしていたら、近隣から苦情が寄せられた。校長先生も大変気にされて、町田市の方に、苦情文には窓を全開にしてあるとありますが、実態は、顧問は子どもたちに冷却剤などを持参させて、これは括弧してあるんですが、先日暑さで気分が悪くなる子どももおりましたので、熱中症に備えた上で、窓を閉めさせて練習させておりますと。顧問も子どもたちも校長先生に迷惑をかけた、暑くてつらいと思うけれども、窓はこれからも閉めておくこと。周りの人には礼儀正しく親切にして、あの子たちのためならばと思ってもらえるようにすること、このことを伝えたというふうにいうんですね。ご迷惑をかけて済みませんと。音楽室のクーラー室を切にお願いする次第です。こういう要望書だったんです。
 私、それを見て、あっ、これは大変だな、すぐ行って実態を調べなければと思っていたんですが、きょう、そのことを町田の方に問い合わせてみました。そうしましたら、昨年十一月ころ、この学校だけ優先的に冷房が設置されたということですが、私は、多摩地域では、多摩地域の学校で冷房をつけたくても二十三区のように本当に財政力がない、そういうために生徒につらい思いをさせてはいけない、このことを特に思うんですよ。
 冷房を設置したいという要望があるところは、東京都が助成金を出して助成してでも、応援して、本当に今の学校の教育条件の整備をしていただきたい。
 このことを求めて、次、スクールカウンセラーについて何点か質問いたします。
 今、子どもたちも保護者も教師も複雑な社会環境の中でさまざまな問題を抱えております。友達関係のちょっとしたトラブルや家庭のこと、不登校の生徒を抱える親、さまざまな生徒とのかかわりで悩む教師と、全体が心を満たされずに、いろいろな不安を抱えて生活をしております。そんな中で、スクールカウンセラーの果たす役割が非常に重要になってきております。
 そこで、伺いますが、平成十六年度の公立小中、都立高校のスクールカウンセラーの配置状況はどうなっているでしょうか。

○井出指導部長 都教育委員会では平成十五年度からスクールカウンセラーを、すべての公立中学校に配置をしております。また、現在、都立高等学校におきましても、五十校に配置をしております。

○村松委員 スクールカウンセラーが配置をされて、いろんなところでいろんな効果が上がってきていると思うんですね。その成果についてはどういう認識を持たれているんでしょうか。

○井出指導部長 スクールカウンセラーが配置されている学校からは、いじめや不登校等の問題の改善が図られているという事例の報告を受けております。また、各学校のスクールカウンセラーが教員に助言をすることによりまして、教員の教育相談に関する意識や技能が向上し、学校の教育相談体制も充実してきているところであるというふうに認識をしております。
 平成十六年度の不登校生徒数やいじめの発生件数が、前年度よりもさらに減少していることも、このスクールカウンセラー配置の成果と考えております。

○村松委員 スクールカウンセラーを配置して、学校の中でのいじめや不登校が減ってきている。そういう中で安定しつつあるというところだと思うんですね。
 東京都の場合は中学校を重点的に配置をして、すべての中学校に、そして都立高校は五十校に配置している。その中での成果の認識は私も共通するものですけれども、東京におけるスクールカウンセラーの勤務状態、週及び年間勤務時間、また雇用形態、給与等の処遇はどうなっているんでしょう。

○井出指導部長 スクールカウンセラーは、一校につき年間三十五週、週一日八時間、年間で二百八十時間の勤務となっております。また、身分につきましては、地方公務員法に規定する特別職の非常勤職員でございます。報酬は一時間当たり五千五百円となっております。

○村松委員 スクールカウンセラーの仕事というのは、だれでもできるものじゃないんですよね。どういう職業なのかということで、私もちょっと調べてみました。
 スクールカウンセラーという職業は、非常に専門的な職業だと。カウンセラーの資格の中の一つに臨床心理士という資格がある。この資格は、日本臨床心理士資格認定協会が認定しており、全国に六千人の有資格者がいます。この資格は、専門的なカリキュラムを整えた大学院修士課程を修了し、修了後一年以上の現場経験、病院、相談所などの臨床経験を得て受験資格が与えられる。その上に筆記、面接などの試験を受けて合格すれば、臨床心理士の資格が与えられる。さらに、資格取得後も五年ごとに資格の更新がある。こういう人が東京都のスクールカウンセラーに配置されているというふうに思うんです。
 先ほどお話がありました非常勤職員で、週三十五時間、一日八時間ということですよね。こういう非常勤職員をもっときちっとした対応をすべきじゃないか、きちんとした位置づけにすべきだなというふうに思うんです。
 都立高校の全校配置、今は五十校というふうにいっておるんですが、これの全校配置、今の五十校からさらに配置校をふやす、その必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○井出指導部長 スクールカウンセラーは、中途退学率が高い学校、問題行動等が多く発生する学校や、心理的なケアを必要とする生徒らが多く在籍する学校など、必要性の高い都立高校に重点的に配置をしていく予定でございます。

○村松委員 都立高校の全校にぜひ設置していただきたい。このことを要望しておきます。
 最後に、学校図書館の司書教諭の問題について伺います。
 東京都は、子どもの読書活動に関する法律に基づいて、二〇〇三年、平成十五年三月、子どもの読書活動推進計画を策定、また、学校図書館法の改正で、同年四月からは十二学級以上の学校に司書教諭の配置が義務づけられました。
 二〇〇四年度は、平成十六年度はその二年目の年に当たります。いうまでもなく、読書は子どもにとって心を豊かにし、情操をはぐくむものですし、広い知識を得て物事を深く考える。さらには、自分自身との対話を深めるという営みでもあります。読書は人生の指針ともなる出会いを与えてくれることもまれではありません。こうした子どもの読書環境の充実のために、行政の皆さんはもちろん、図書館などの関係者や市民ボランティアの皆さんなど多くの方々が努力をされていますし、その中で学校図書館の果たす役割は大変大きいと思います。
 そこで、まず、伺いますが、子どもの読書活動において学校図書館の役割はどんなふうに位置づけられているんでしょうか。

○井出指導部長 学校図書館は、図書などの資料を収集、整理、保存し、児童生徒の学習活動や読書活動を支える役割を担っております。

○村松委員 例えば、学校図書館法が改正されたときの都道府県あての通知があるんですが、平成九年六月十一日付では、「学校図書館は学校教育に欠くことのできないものであり、児童生徒の自発的、主体的な学習活動を支援し、教育課程の展開に寄与する学習情報センターとしての機能とともに、児童生徒の自由な読書活動や読書指導の場として、さらには創造力を培い学習に対する興味・関心等を呼び起こし豊かな心を育む読書センターとしての機能を果たし、学校教育の改革を進めるための中核的な役割を担うことが期待されている。」とあり、「学校図書館の果たす役割はますます重要になってきている。」としています。大変重要な役割が期待されているわけです。
 一般に図書館が成立し、機能するためには、図書館の司書、図書館の資料、図書館施設という三要素、どれが欠けていてもいけないわけですが、学校図書館を充実させる上で、図書資料の整備・充実とともに、それを十分に活用し、子どもの興味や関心に応じて、こんな本もあるよと提案したり、調べ学習に必要な本を活用できるようにしてあげるためには司書教諭の存在が大変重要だと思います。
 学校図書館、学校での子どもの読書活動において司書教諭はどんな役割を果たしているんでしょうか。

○井出指導部長 司書教諭は、図書の閲覧、貸し出しなどの専門的職務を担当するとともに、児童生徒に対する読書指導などを行っております。

○村松委員 貸し出しや読書指導ということですけれども、例えば都の子どもの読書活動推進計画では、司書教諭は学校図書館資料の選択、収集、提供や子どもの読書活動に関する指導を行うなど、学校図書館の運営、利用について中心的な役割を担うものである。司書教諭は図書の選択や収集から始まって幅広く専門性を発揮し、学校図書館の中心的役割を担うことになっております。
 都内小中学校への司書教諭の配置状況、これはどうなっているでしょうか。

○松田人事部長 学校図書館法によりまして、司書教諭が必置とされております十二学級以上の小中学校の設置状況は、平成十六年度におきまして、小学校は九八・六%、中学校は九七%でございます。

○村松委員 司書教諭が配置をされていると。しかし、これは校務分掌ですよね。専任じゃないですよね。都内の学校図書館に専任の職員、あるいは専任の司書教諭を置いているところ、これがあるかどうか、東京都ではつかんでいるでしょうか。

○松田人事部長 都内の公立学校におきましては、専任の司書教諭は配置しておりません。

○村松委員 都内では司書教諭は配置していないと。だけど、都内の学校の図書館に行けば、何らかの人がいますよね。それは知っていますよね。
 私の住む日野市は、それこそ全都に先駆けて専門の職員、その中には司書もいれば、それから司書でない人もいました。こういう人が学校図書館に一人いて、子どもたちの休み時間、それから昼休み、放課後、ここで一人の人がずっと子どもたちに対応してきた。この中で本当に子どもたちが本を読む機会が出てきて、それから本当に本の魅力を感じてきて、その学校の専任の職員が読み聞かせをしたり、それからその子に応じて、次はこの本を読もうね、今度はどうねと、そういう仕事もできた。それから先生たちが、次の授業でこれを使いたいから、こういう授業にしたいから資料をお願いできないか、そういうふうにいえばちゃんと整備できていたんですよね。そういうところが今も、やっているところもあるんです。
 東京都として、そういう学校図書館をもっと充実させたい、そういう思いというのはないんでしょうか。

○井出指導部長 子どもの読書活動を充実したものにするために、さまざまな教育的な営みが考えられますけれども、それは学校図書にかかわる司書教諭のみによって行われるものではなくて、学級担任、あるいはそれにかかわるさまざまな教職員の協力によって組織的に行われるべきものであるというふうに考えております。

○村松委員 今のご答弁だと、今のままで何とかやってくれ、そんなに重視していませんというふうに私はとれるんです。
 学校図書館法というのはずっと前に、戦後すぐにできたんですよね。その中で学校図書館に人を配置しなければならない、司書を配置しなければならない、そういうのが決まっていたんですよ。そのくらい図書というのは大きな位置づけ、意義があったというふうに思うんですね。それが今までずるずる来ていて、ようやくすべての学校に司書教諭を配置しろと、それも校務分掌だというふうにいっているんですが、私はこれが本当におくれているというふうに思うんですね。
 さっき答弁の中で、小学校九八・六%、中学校九七%というふうになっているんですが、何で一〇〇%ではないんでしょうか。

○松田人事部長 一〇〇%を私ども目指して配置等の工夫をしておりますけれども、例えば突然の、予定していた教員が急な事情で異動が当初の予定どおりいかなかったとか、あるいは年度の途中で何らかの事情でその学校を離れざるを得なくなったとか、そういったような事柄でございます。

○村松委員 本来なら法律で平成十五年度から義務づけられているんですよね。十六年度には十二学級以上のほとんどの学校で配置しなければならないと。そういう意味では東京都の教育委員会の方でも十分自覚はしていると思うんですが、問題は、この配置が専任なり司書教諭としての仕事を果たすのにふさわしい時間を保障されての配置ではなくて、いわゆる充て職というさまざまな学校の仕事の分担の一つとして校長先生が任命するという配置にとどまっていることです。
 本を選んで購入することから、子どもたちへの指導までかなり専門的で、本気でやろうと思ったら、時間のかかる仕事であり、また、小学校では時間には何の保障もない。中学校の場合にはその充て職、学校図書の専任職員の場合には一定の授業時間数を減らすということがあるんですが、小学校の場合には何の保障もないということですよね。
 そもそも超多忙な現状の中で、なかなか子どもたちにしてやりたいと思うだけの十分な図書館活動に取り組むことが困難なんです。私の地元の日野市でも、先ほどご紹介いたしました、そういう本の貸し出しなどをやって、本当に大きな成果が得られているんですが、全都的にももう少しこの辺を重視する必要があると思うんです。
 私は、東京都の教育委員会が、今の区市町村の学校の図書館に人が配置されていることによってどういうふうな成果が得られているのか、実際に学校の現場に行って見たことがあるのかどうか、そのことをぜひ聞きたいと思うんです。どうでしょうか。

○井出指導部長 都教育委員会として、区市町村立小中学校に出向いて、調査したことはございません。

○村松委員 そういう姿勢がやっぱり問題なんですね。
 今、都内で本当にすばらしい図書館活動をしているところもあるんですよ。区市町村独自に学校司書のような人を配置しているところは、図書館が生き生きして、どんどん子どもたちが図書館を利用するようになっている。市民活動として子どもの読書環境の充実のために活動している方に伺ったら、五区と十五市一町で独自の図書館指導員などを配置して成果を上げているというお話も伺いました。
 それから、昨日、全国的にどういう動きかなというふうに聞きましたら、やっぱり山形県と岡山、長野、そういうところでかなりいい学校図書館の職員配置をしておりました。特別やっぱり重きを置いて専任を置く、あるいは専任に準ずるような位置づけをして、学校図書館を位置づけているということが、私は全国の様子を聞きながら思ったところです。
 学校図書館法の改正時の国会の附帯決議でも、司書教諭の担当時間数の軽減や司書教諭の専任化の検討が盛り込まれているわけです。ぜひ都としても専任化の方向で検討していっていただきたいと思います。
 また、兼任の場合でも、持ち時数をふさわしく軽減して、図書館活動に取り組めるよう条件を整えていただくことを要望します。
 さらに、十二学級未満の学校には司書教諭は配置されていないわけですけれども、これは小学校、中学校でそれぞれ何校、全体の何割くらいになるんでしょうか。

○齊藤学務部長 十六年度末の調査の結果でございますけれども、十二学級未満の小中学校は七百八十五校でございまして、全体に占めるその割合は三九・四%となっております。

○村松委員 小学校で約三割、中学校で六割、半分以上の学校に配置されないわけなんですね。中学校で各学年四学級、四学級、三学級で十一学級ですから、普通の規模の学校です。ここに配置されずに放置されているというのは結構深刻だと思います。
 都独自でも十二学級未満の学校には司書教諭の配置を促進していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○松田人事部長 十二学級未満の学校につきましても、有資格の教諭をもちまして司書教諭に充てることは、学校長の判断により可能でございまして、現実に何割かの学校については配置をされております。

○村松委員 学校長の判断によって可能だというふうに答弁されましたけれども、十二学級以上の学校に比べれば、先生の数が少ない、事務的に仕事量とか役割分担、あるいは先生の負担、それが大きくなっているんですよね。その上に学校の司書教諭を命じるということになれば、本当に先生の負担がふえるんじゃないだろうかというふうに私は思うんですよ。きちんと人を配置することが重要だと。法的な義務はなくても、考えていくべきだと思います。
 また、十二学級未満校でも、校長先生が司書教諭を充てることは可能ということですから、法的義務はなくても司書教諭を充てて、読書活動に取り組んでいこうという学校があれば、都として積極的に支援をしていただきたいと思うんです。それは、先生方一人に量をふやすんではなくて、人をぜひ配置してほしい、そういう意味で支援していただきたいというふうに思います。
 最後に、都立学校の図書購入費ですけれども、学校図書の購入は各学校で行うということで、決算でしか出てこない数字ですので、都立高校、都立障害児学校の図書購入費は、二〇〇四年度と十年前と比較してどうなっているんでしょうか。

○齊藤学務部長 お尋ねは十年前と昨年度の比較でございますけれども、大変申しわけございませんが、データが最新の年度が平成九年度からでございますので、九年度との比較で説明させていただきます。
 高等学校の図書館における図書購入費でございますけれども、平成九年度の図書購入経費は、決算ベースで、管理運営予算の五・四九%、四億九千百七十五万二千円でございまして、学校数が二百十四校ございますので、一校当たり二百二十九万八千円。それから平成十六年度の図書購入経費でございますけれども、決算ベースでございまして、管理運営予算の五・五三%に当たりまして、二億二千九百八十八万六千円、現在の学校数が二百一校でございますので、一校当たり百十四万四千円でございます。
 なお、都立盲・ろう・養護学校の決算額における図書購入費の支出状況につきましては、教育庁の調査におきまして、図書購入費としての独自の調査項目を設けておりませんので、管理運営予算の一般需用費、備品購入費の中に含まれた形で学校から提出されているため、現在、把握できてございません。

○村松委員 済みません、もう一回数字を伺いたいんですが、平成十六年度の都立高校の決算、この数字だけ、ちょっと示してください。

○齊藤学務部長 平成十六年度の決算ベースで二億二千九百八十八万六千円でございます。

○村松委員 平成十六年度が二億円ちょっと、それから私の調べたところでは、平成六年度、今から十年前が五億三千四百五十万ですから、相当減っているという、そこの数字なんですね。
 図書館の三要素ということで、司書、図書資料、図書館施設という話もしましたけれども、図書館資料の購入費が十年前の半額以下では、せっかく図書の推進計画をつくっても、一番大切な点が心もとない状況です。
 都立高校、都立障害児学校が図書購入費を増額できるよう、予算をふやすよう求めますが、いかがでしょうか。

○齊藤学務部長 都立学校につきましては、現在、学校長の裁量権限を拡大するために導入しました自律経営推進予算、これによりまして、各学校の経営目標、それから学校の特色に応じまして、学校長の裁量によりまして、図書購入費を決める仕組みとなってございます。
 図書活動に力を入れている学校におきましては、学校長の自主的判断で図書購入費を増額できるシステムとなっているところでございます。

○村松委員 学校長の自主的判断によるというわけですが、都立学校全体として図書購入費が大幅に減っているわけですから、そもそも予算が少なく、校長が図書を購入したくてもそこまで回らないというのが明らかではないでしょうか。
 推進計画でも、読書活動の推進に当たって、児童生徒が使用する図書資料の整備・充実は最も重要であるとしているわけです。蔵書の充実に努めるとしているわけですから、増額を強く求めて、私の質問を終わります。

○山口(文)委員 私の方から、特別支援教育について伺います。
 国は、今後の特別支援教育のあり方において、今までの障害の種別や程度に応じた特別な場で指導を行う特殊教育から、LD、ADHD、そして高機能自閉症等を含む障害のある児童生徒一人一人の教育ニーズに応じて適切な教育的支援を行う特別支援教育への転換を図るという基本的な方向を打ち出しています。
 都も、社会のノーマライゼーションの進展や、こうした国の動向を踏まえ、これまでの成果をもとに特別支援教育の展望を明らかにし、二〇〇四年十一月には東京都特別支援教育推進計画を策定しました。
 既に東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告を踏まえ、今年度の東京都の特別支援教育の展開に向けて、二〇〇四年度から区市町村の小中学校において特別支援教育モデル事業の実施を決定し、特別支援教育体制モデル事業は、北区、八王子市、調布市、あきる野市の四区市で、副籍モデル事業を八王子市とあきる野市の二市で行い、二つのモデル事業の決算額が一千九百七十四万七千余円となっています。
 そこで、初めに、二〇〇四年度、特別支援教育体制モデル事業の具体的な取り組みについて伺います。

○伊藤参事 平成十六年度の特別支援教育体制モデル事業実施四区市の全小中学校における校内委員会の設置や、特別支援教育コーディネーターの指名といった校内体制の整備を行いました。また、通級学級の担当教員による巡回指導や臨床心理士等の専門家による巡回相談など、各区市の実情に応じた取り組みを行いました。
 さらに、実施区市すべてにおいて小中学校の教員に対する研修、保護者に対する説明会を実施するとともに、リーフレットの作成や広報誌への掲載など、モデル区市がそれぞれ工夫をしながら特別支援教育に対する理解・啓発に取り組んだところでございます。

○山口(文)委員 では、この特別支援教育体制モデル事業の実施により見えてきた主な課題について伺います。

○伊藤参事 校内委員会の設置や特別支援教育コーディネーター指名にとどまらず、それぞれの機能の充実を図ることが必要であること、また、個々の児童生徒に合った多様な支援のあり方を用意するような試行も進めていく必要があることが挙げられております。
 また、各区市ともさまざまな工夫を凝らした理解・啓発に取り組んでおりますが、小中学校の通常の学級の教員や保護者の関心が低いことから、今後、教員や保護者に対し、より身近なこととして関心が持てるような具体的かつ効果的な理解・啓発の内容、方法についての検討の必要性などが主な課題として挙げられてございます。

○山口(文)委員 次に、副籍モデル事業の具体的な取り組みについて伺います。

○伊藤参事 平成十六年度の副籍モデル事業は、八王子市とあきる野市の教育委員会が、事業の実施に当たりまして、教員、保護者に対し、事業の趣旨及び進め方の説明を行うとともに、副籍を希望する児童生徒の地域指定校の決定を行い、その上で児童生徒の障害の程度や状況に応じ、学校・学級便りの送付や、学校行事への参加などの交流活動を実施したところでございます。

○山口(文)委員 では、その副籍モデル事業実施によって見えてきた主な課題について伺います。

○伊藤参事 保護者に副籍の意義について十分理解を得ることが重要でございまして、都立盲・ろう・養護学校、区市教育委員会及び小中学校が十分理解した上で、副籍の意義などをわかりやすく説明していく必要があることが挙げられます。
 また、盲・ろう・養護学校に在籍する児童生徒にとって盲・ろう・養護学校における教育が中心であることや、副籍の趣旨を踏まえつつ、学級便りの交換等を初め、さまざまな交流形態についての検討の必要性などが主な課題として挙げられてございます。

○山口(文)委員 モデル事業は一応三年間ということで、今年度もこの特別支援教育体制モデル、そしてまた副籍モデル事業の二つを継続して実施していますが、課題を受けて今後はどのように進めていくのか伺います。

○伊藤参事 平成十七年度の特別支援教育体制モデル事業につきましては、引き続き四区市において実施し、副籍モデル事業については二市から四区市に拡大して実施してございます。
 今年度の各モデル事業は、十六年度の実施に伴う成果や保護者の理解・啓発を含めた課題、さらに国の動向などを踏まえながら、より充実した内容となるよう、関係区市と連携し、実施してまいります。
 また、昨年度から実施している保護者代表も含めた特別支援教育体制・副籍モデル事業評価委員会を引き続き開催し、モデル事業についての意見聴取などを行ってまいります。

○山口(文)委員 分離教育が中心で進められてきた障害児童生徒への教育ということで、このモデル地域になった自治体でも、なかなか理解や啓発が進んでいかないという実態がここでも明らかになったと思います。
 ほかの自治体では、もっともっと具体的な、どのようなモデル事業が行われているかというような状況もわからないという中で、このモデル事業をまたさらに多様な形へと進めていただいて、この理解啓発が進められることを要望しておきます。
 次に、障害のある児童生徒の就労支援について伺います。
 特別支援教育推進計画の中で、障害のある児童生徒等の一人一人の能力を最大限に伸長するため、乳幼児期から学校卒業後までのライフステージを見通した多様な教育を展開して、社会的自立を図ることができる力や地域の一員として生きていける力を培うという計画の基本理念が示されています。子どもの障害のあるなしにかかわらず、自分が肯定できる将来的な自立を支援することは、教育の基本だと思います。今後、盲・ろう・養護学校の生徒が就労して、社会的、経済的に自立できることを実現するために、どのように取り組んでいかれるのか、伺います。

○伊藤参事 障害のある生徒に対する就労支援は、将来の社会的自立を図る上で極めて重要でございます。都教育委員会といたしましては、東京都特別支援教育推進計画を策定し、生徒全員の企業就労を目指す職業学科を置く、知的障害が軽い生徒を対象とした養護学校高等部や、大学進学や資格取得を目指す中高一貫型ろう学校など、新たなタイプの学校設置を計画してございます。
 また、新たなタイプの学校の教育課程を新たに開発、実践するとともに、インターンシップの活用充実など、将来の職業的自立に向けた専門的な教育の充実を図ってまいります。

○山口(文)委員 これは教育現場だけではなくて、福祉、それからまた産業労働局など、実際には受け入れ態勢をきちっとつくっていかなければならないと思いますので、ぜひ東京都としては全庁的に局間連携を深めて進めていただきたいということを要望しておきます。
 次に、学校における読書活動の推進について三点ほど伺いたいと思います。
 平成十五年に東京都子ども読書活動推進計画が策定されました。計画の中で、学校図書館の充実がうたわれ、障害のある子どもの読書に対する学校図書館整備が挙げられています。また、ことし七月に制定された文字・活字文化振興法でも、学校図書館資料の充実及び情報化の推進等の物的条件の整備等への必要な施策を講じるものとされ、盲・ろう・養護学校の読書環境の整備が挙げられました。
 今回、養護学校の読書等の取り組み状況を知ろうと、決算額における図書購入の支出状況を確認したところ、教育庁で把握している一般需用費、備品購入費の中に含まれているということで、図書館購入費の実態を知ることができませんでした。教育庁は、計画の具体的な推進のためにも、図書購入費等の把握に努める必要がありますが、考えを伺います。

○齊藤学務部長 都立盲・ろう・養護学校の決算額における図書購入費の支出状況についてですけれども、教育庁の調査におきまして、図書購入費としての項目は従来設けておりませんで、自律経営推進予算の一般需用費、備品購入費の中に含まれた形で学校から提出させていたため、把握できなかったものでございます。
 平成十七年度以降の決算額における図書購入費の支出状況につきましては、図書環境の整備の実態を把握する観点からも、今後把握できるようにしてまいります。

○山口(文)委員 子どもたちにとって、想像力をはぐくみ、生きることの楽しさが伝わる本との出会いは重要であり、盲・ろう・養護学校における読書活動の充実は重要課題の一つであると考えますが、取り組みの現状について伺います。

○井出指導部長 学校において読書活動を推進していくことは、子ども一人一人が読書の楽しさを体験し、生涯にわたる読書の習慣を養う上で重要でございます。このため盲学校では、活字を拡大した図書や点字図書のほか、録音図書などを使用したり、ろう学校では、写真や図などを豊富に取り入れた図書を活用したり、また、養護学校では学級での読み聞かせを行ったりするなど、子どもの障害の状態や生活経験等に配慮して、さまざまな取り組みを実施しているところでございます。

○山口(文)委員 障害のある子どもたちにとっても、こうした文字の文化に触れる機会、そしてまたそれぞれ障害のありようによっては、本当に丁寧に対応していかなくてはいけない問題だと思いますが、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 また、都立高校の図書購入費の推移を資料として挙げてもらいましたが、この五年間を見ても年々減少しています。先ほども村松副委員長の方からの報告でも、十年前に比べると半額になっているというような実態が明らかになっていますが、実はこの五年間は、読書をめぐる国の動きが近年になく活発となり、子ども読書や文字・活字に関する新たな法律二つが超党派により提案、制定され、学校図書の緊急整備のための交付金事業が取り組まれました。
 東京都では、互いに関連ある法律にかんがみ、今月三十日に、都立図書館の主催によりフォーラムが開かれると聞いております。一日だけのイベントに終わらせることなく、子どもが一日の大半を過ごす学校での図書活動の充実に努めていただくことが望まれます。
 市区町村の小中学校とは違い、都立高校には専門の学校司書が配置されていますが、調べ学習や自立に向けた多様な選択肢が情報提供できる資料の充実があってこその学校図書館の整備と考えます。子ども読書活動推進計画を進める上で、都立高校の理解と連携が欠かせませんが、計画を策定された教育庁の今後の資料購入費の充実に向けた考えを伺います。

○齊藤学務部長 子ども読書活動推進計画におきましては、学校における読書活動を推進するための学校図書館の充実について述べられておりまして、都立高校におきましても、図書館の充実が必要であるというふうに考えております。
 自律経営推進予算の導入等もございまして、都立高校では、学校長の裁量によりまして図書の購入額が定められることとなっておりますけれども、教育委員会といたしましては、文字・活字文化振興法の制定など、図書活動の一層の充実が求められている状況を踏まえまして、学校長との連携を図りながら都立高校における図書館の充実に努めてまいります。

○山口(文)委員 今、文字離れというのは、これは子どもたちばかりではなく、一般的にいわれていることですが、文化の上で大変重要な役割を果たすこうした読書活動については、東京都立高校としても率先して取り組んでいただきたいということを要望しておきます。
 では、最後のテーマなんですが、不登校の子どもたちとフリースクールという、今新しい教育の市民の活動が活発になっておりますので、その点について何点か伺いたいと思います。
 要求資料のうち、年間三十日以上学校を休んでいるとされる不登校の子どもたちの数の推移については、やや減少の傾向がうかがえますが、小学校と中学校では、出現率に差が大変大きく出ています。この格差の理由をどのようにとらえているのか、伺います。

○井出指導部長 不登校の出現率が小学校に比べて中学校が高いのは、学習環境の変化や進学、進路の問題、思春期特有の心の不安定等によるものと考えます。

○山口(文)委員 国が定めた教育機関以外に学ぶ場、例えばフリースクールといわれる学びと成長の場を得た子どもたちがいます。就学義務上の籍にはならないフリースクールですが、一九九二年から、学校長の裁量により公的制度の学校の出席日数にカウントができるようになりました。また、通学定期券適用が一九九三年から始まりました。このように大きな教育上の課題として、不登校の子どもたちへの対応が国を挙げて取り組まれてきました。
 しかしながら、こういった通学定期券の適用などは義務教育期間に限定され、義務教育期間を修了後、高等学校に相当するフリースクール等に通学する子どもたちには、定期券適用や映画館、美術館等の学割が適用されない状況にあります。片や、私立高校に通う子どもには公立学校同様の補助が出ています。子どもへの最善の利益という観点から見て、こういった現状を都としてどのように考えているのか、伺います。

○井出指導部長 お話のようなことにつきましては、国と関係機関が協議し、決定すべきものと考えております。

○山口(文)委員 今、そういった中でも国の方も大分動きに弾みがついてきています。たしか、ことしの五月だったと思うんですけれども、文科省の声かけで、全国二十の青少年育成にかかわるこういったNPOの団体の懇談会が実施されています。現場の声を遠慮なく聞かせてほしいということで、下村政務官などはこの場で、学校だけでは日本の子どもを救えない、学校外の涙ぐましい努力を国も応援する時代が来ていると。国の方でも、方向性がかなり大きく変わってきているかと思います。東京都としても、ぜひこうした新しい代替教育についての認識を持って、今後の対応について十分に議論を進めていただきたいと思っています。
 最後の質問になります。
 不登校の対策を講じる予算は、国レベルで年間八十億円以上、東京都でも適応指導教室、スクールカウンセラーの配置など経費をかけてきました。しかし、どの対策も学校復帰を目的としていて、子どもの気持ちに沿ったものではないことに気づき始めていると思います。
 不登校という生き方も子どもの権利の一つといえ、不登校を理由に不利益をこうむることなく、学校以外の生き方、成長の仕方も認められる多様な教育システムの価値観の変革が必要と思われます。学校という場だけが学びの場であるという考え方を葬る発想が必要であり、公的学校への出席日数の換算だけではなく、内実の整備が求められているのではないでしょうか。
 先ほどいいました文部科学省でも、ことし五月から、子ども支援やフリースクール等を運営する二十を超すNPO団体を招き、数回の懇談会を開いています。その席上で、学校だけでは子どもは救えない、NPOなどさまざまな活動を国としても支援する必要がある、多様な教育を実現したいと下村政務官は述べたということを聞かされました。
 東京都にも、フリースクール等に対し内実をどうとらえるかなど認識を新たにしていただきたいと思います。そのために、フリースクール等に対する実態の把握、また視察や懇談会をぜひ行っていただきたいと思いますが、考えを伺います。

○井出指導部長 都教育委員会は、これまでも学校不適応対策のために、不登校児童生徒が通う民間施設の視察を行ってまいりました。今後とも必要に応じ視察等を行ってまいります。

○山口(文)委員 こういったフリースクールで、子どもたちがなぜ非常に元気になってまた再び活動を始めているかというと、やはり子どもたちがかなり運営などにも積極的にかかわるということ、それから何よりも子どもたちのいうことをきちっと受容する受け場があるということがあると思います。
 やはり現場でフリースクールをやっている先生たちがおっしゃるには、とにかく子どもの声を直接しっかりと聞いてください、そしてまたそれにかかわった保護者の人たちの苦しみというか悩みというものもしっかり受けとめていただければ、そこから新しい施策も展開されるのではないかということもいわれていますので、ぜひ実態を見ていただいて、そしてまた子どもたちともぜひ懇談会などを実践していただきたいと思います。
 東京都教育ビジョンでも、不登校が課題であることが指摘されています。次世代育成支援の取り組みからも、学校を選ばなかった子どもたちに対して、東京都は支援を惜しんではいけないはずです。フリースクール等の経営の安定化と親への負担軽減も考えていかなければならない課題ですが、何よりも主体、当事者である彼らの参加しやすい居場所、交流場所、そして芸術、文化、スポーツ、料理などに取り組める場所が必要ではないでしょうか。
 例えば、川崎市の子ども夢パークや、韓国のソウル市などでも取り組みが進んでいますハジャセンターのような、公的な学校とは異なる子どもの学びの場ともいうべき新たな視点を持つ取り組みが必要だと考えております。
 子ども権利条約が批准されて十年たちますけれども、なかなか日本はこの子どもの権利というものがきちっと取り組まれていないという、子どもの人権委員会などの勧告も再三受けておりますので、ぜひ東京都としても率先して、またこうした新しい子どもたちの学びの保障というものにもきちんと取り組んでいただきたいと思います。

○酒井委員長 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時四十六分休憩

   午後三時開議

○酒井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○山口(拓)委員 種々伺ってまいりたいと思っておるんですが、まずは、障害をお持ちの方々の就労支援に関する今後の東京都の施策の展開や考え方についてお伺いをしていきたいと思っております。
 平成十四年の十二月に、障害者基本計画に基づいて、厚生労働省も施設等から地域生活への移行ということを明確に打ち出しをいたしました。これは、非常に大きな柱の一つになるものが就労の支援となるわけでありまして、こういった一つ一つをどのように体系的に取り組んでいくかということが、当該自治体でもあります東京都にも大きく求められてくると思います。多様な雇用や就業機会の確保と能力の開発の促進というものは、欠くことができない一つの大きな課題となってくると思うんですが、その中でも、特に東京都立の盲学校に視点を当てて質問をさせていただきたいと思っております。
 これまで盲学校の生徒の皆さんの就労先というものが、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師というものがほとんどであると伺っているわけなんですが、最近、こうした職場に晴眼者の進出等も非常にふえてきている。また、盲学校の卒業生の就労が、こういった状況もあって、大変厳しい状況にあると伺っております。
 そこでまず、平成十六年度の都立盲学校高等部専攻科の卒業生の皆さんの就労状況についてお伺いをしたいと思います。

○伊藤参事 都立盲学校の高等部専攻科は、文京盲学校と八王子盲学校の二校に設置してございますが、平成十六年度の卒業生合計二十名のうち、就業者は十一名でございます。就業先の内訳は、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等の職場に就職が十名、一般事務の職場に一名でございます。

○山口(拓)委員 盲学校高等部専攻科を卒業された生徒さんが、現在でもあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等になる方々が多いようでありますが、これは専攻科の生徒について伺ったからだと思います。専攻科に行かれない生徒さんの中には、こうした職業以外のさまざまな就労先を希望したり選択をしたいと考えられている生徒さんも多いのではないでしょうか。
 そこでお伺いをいたしますが、平成十六年度の高等部本科の卒業生の進路先の実態をお伺いしたいと思います。

○伊藤参事 高等部本科のある都立盲学校も、文京盲学校、八王子盲学校の二校でございますが、平成十六年度高等部本科の卒業生合計二十二名の進路先は、専攻科への進学者が八名、大学が二名、専修学校が三名、社会福祉施設への入所が八名、その他が一名でございます。

○山口(拓)委員 改めてここでこの比較、お伺いをさせていただきたいんですが、盲学校高等部本科と高等部専攻科の生徒さんでは、それぞれどのような方が在籍をされているのか、お伺いをします。

○井出指導部長 盲学校高等部本科には、盲学校中等部を卒業した全盲または弱視の生徒と中学校を卒業した弱視の生徒が在籍をしております。また、盲学校高等部専攻科には、本科を卒業して進学してきた生徒に加えまして、社会人となってから弱視や中途失明となり入学してきた生徒が在籍をしております。

○山口(拓)委員 さまざまな状況があるということがこれでよくわかるわけなんですが、特に専攻科の生徒の大半の方々が中途視覚障害者であるという実態は否めないわけでございまして、こういった方々、生徒さん本人が保護者であったり家庭を持っていらっしゃるという厳しい状況もあるわけです。社会復帰を目指して、三療師の資格に向けて頑張られている方が非常に多いということなんだとは思いますが、本科の方の生徒さんでは、全盲であったり弱視であったりするなど視覚障害のある生徒であるということなんですが、こうした生徒さん一人一人の社会参加と自立に向けた進路指導というのは、現在どのようになっているんでしょうか。

○井出指導部長 盲学校高等部本科では、生徒一人一人の見え方の状態や学力、進路希望等を踏まえまして個別指導計画を作成し、進学、就職に応じたきめ細かな進路指導を行っております。例えば、進学希望の生徒に対しましては教科の補修を行ったり、就職希望の生徒に対しましては、盲人用パソコンを使った文書作成や表計算などの指導を行ったりしております。また、通学、通勤に備えて、実際の場面を想定し歩行指導等を行っております。

○山口(拓)委員 現在も一人一人に対してきめ細やかな進路指導を行われているということでありますが、先ほどお伺いをいたしました盲学校の生徒の就労状況というのは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師がほとんどであります。視覚障害があっても、子どもたちの中で可能性を最大限に伸ばしていく必要が私はあると思います。現在のように情報機器が進歩している中で、職業教育についても、今までの内容だけではなくて、今こそ新たな分野への模索をしていくべきではないでしょうか。
 都の教育委員会では、昨年の十一月に東京都特別支援教育推進計画が策定をされ、その中でも、盲学校における職業教育の充実について触れられておりますが、今後新たにどのような取り組みをしていくのか、いま一度お伺いいたします。

○伊藤参事 今後、都立盲学校の全生徒につきまして、福祉機関や労働機関とも連携協力した個別の教育支援計画を作成してまいります。また、あんま、はり、きゅう以外の職域の就労に関する需要や可能性などの調査分析を行いながら、盲学校に在籍する生徒に対し職業的自立を支援するための教育内容、方法のあり方などについて検討をしてまいります。

○山口(拓)委員 東京都特別支援教育推進計画の中では、特別な支援を必要とする児童生徒一人一人のニーズに応じて適切な教育的支援をしっかりと行っていく、また、乳幼児期から卒業まで一貫した支援をしていくということが明確に述べられて、これはもう保護者の方々、またご本人たちも大変ご期待をされていることだと思います。
 こういったニーズにしっかりとこたえていくためには、その実習先や就労先の確保ももちろん大事でしょう。その定着をしていくための指導というものも非常に重要になってくると思います。また、勤め先、NPO法人等関係機関との連携というものも非常に重要になってくる。さまざまな面、多角的にこういった就労のための支援というものをしっかりと充実させていかなければ、これは現実のものとして実現をしていくものではありません。
 当然に、視覚の障害、聴覚の障害だけではなくて、知的障害を併合してしまっている、さまざまな状況に応じてさまざまなケース、国が簡単にいうように、福祉的就労から一般就労に簡単に移行するというわけに現場はいかないとは思います。しかし、そういった希望される方に関しては、今これだけコンピューターや機器が発達をして、さまざまな皆さんに本当にチャンスがある、こういった時代だからこそ、あらゆる可能性を模索できるような学校教育、就労支援というものを展開していただきたいと強く要望をさせていただきたいと思います。
 それでは、今度は質問を小中学校の教員人事、また校長先生のお話に移らせていただきたいと思います。
 現在、地方分権の流れの中で、基礎的自治体への権限移譲が進展をしているところでありますが、教員の人事権は、いまだに都が有しているというのが現状です。国の中央教育審議会では、教員の人事権について、できるだけ基礎的自治体に移譲する方向で見直すことを検討するというふうに示しています。
 小中学校では、区市町村に設置義務が課され、義務教育の直接の実施主体として責任を負っているところでありますが、市区町村に教員の人事権が移譲されていない現状において、校長がリーダーシップを発揮し、特色ある学校づくりを推進していくためには、都の教育委員会の人的支援というものは、これはもう不可欠であります。
 そこで、まずお伺いをしたいんですが、都の教育委員会は、教育人事において現行制度上、校長の意見等を反映させるためにどのような教員人事を行っているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○松田人事部長 平成十五年の九月に都教育委員会は、校長の学校経営を人事面から支援するために、教員の異動要綱を改正いたしまして、教員の異動は、校長の学校経営方針を踏まえた人事構想に基づき実施することといたしました。
 具体的には、平成十五年度以前は、必ず異動対象となります必異動年限が、小中学校で十年、都立学校では十二年でございましたけれども、全校種とも六年に短縮をいたしまして、さらに現任校三年目からは、本人の意向にかかわらず、校長の具申により異動の対象とすることといたしました。また、六年目以降の勤務や三年未満の異動につきましても、校長の具申に基づきまして都教育委員会が必要と判断すれば可能とするなど、柔軟な人事を行うことで校長の学校経営を人事面で支援することとしております。

○山口(拓)委員 言葉は悪いかもしれませんが、非常に偏っていた現状といいましょうか、十六年までこういった部分が改正をされなかったということは、非常に私は遺憾だと思います。希望と承諾というものが当然前提にあるこういった教育現場の人事というものですが、こういったことから脱却をするのが非常に遅過ぎたのではないかなというふうな感が否めません。
 また、教員の皆さんが異なる地区に異動した場合、前任校での実績や能力に関する適切な情報提供がなければ、異動先の学校での校内人事が適切に行えないばかりか、人事の有効活用も望むことは当然できません。個々の教員に関するきめ細やかな情報提供こそが、ひいては適材適所の人事につながると考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○松田人事部長 都教育委員会は、前任校の校長に、当該教員の勤務実績や成果、活用すべき能力、異動先の校長に対して申し送るべき事項等を記載いたしました異動申告書の提出を義務づけるとともに、あわせて教職歴や研究研修歴など、教員本人が作成した自己申告書を異動先の校長に送付することとしております。昨年は、区市町村教育委員会等からの要望を踏まえまして、校長の申し送り事項に関して、異動者の資質、能力等がより明確になるよう必要な見直しも行いました。
 今後とも異動申告書等の一層の充実を図りまして、よりきめ細かな情報提供に努めてまいります。

○山口(拓)委員 今はプラスの面から質問させていただきましたが、これはマイナスの面で考えると非常に恐ろしいことになります。例えば、前の学校で先生がどういった問題を抱えていたのか、こういったことが申し送りにならない。そうなっていくと、うわさばかりが飛んでしまったりだとか、非常に先生も誤解をされることになりかねない。こういったことがこれまであったのかなというふうに思いますし、異動先の校長に対して申し送るべき事項等というのが、非常に私はくせ者だと思います。これまでが余りにもざっくりし過ぎていて、明確に、詳細にこういった申し送りがされていなかったんではないかなというのが、これで浮き彫りになったんだと私は思います。
 こういったことが明確にされなかったこと自体が不思議なわけであって、これからは、今お話にもありましたように明確になるように、執拗に、しっかりと見直しをしていただくように、改めて強く要望させていただきたいと思います。
 さて、公募制人事について伺いたいと思います。
 都立高校では、特色ある学校づくりを推進するために、公募制の人事を実施していると伺っておりますが、どのような制度か、お伺いをさせていただきたいと思います。

○松田人事部長 平成十四年度から、都立高校におきまして公募制人事を導入しております。学校の特色等に応じて教員が応募をいたしまして、校長が面接、選抜の上、受け入れを決定することとしております。現在、進学指導重点校、中高一貫教育校、重点支援校など九十三校の都立高校において実施をしております。

○山口(拓)委員 都立高校で今こういった新しい公募制人事というものが採用されているというお話を伺ったわけなんですが、義務教育改革を推進する中で、地域住民や保護者が学校運営に参画することができる地域運営学校、コミュニティスクール制度などが創設をされるなど、小中学校においても特色ある学校づくりが進んで行われているところであります。小中学校においても、公募による人事をこのように積極的に導入していくべきだと考えますが、都の見解をお伺いいたします。

○松田人事部長 小中学校の教員人事につきましては、義務教育の水準の維持向上を図りまして、地域間の格差や学校間の格差を生じさせないように、全都的な見地から教員人事を行うことが重要と考えております。そのため、小中学校におきまして公募制人事を導入する場合には、事前に区市町村の教育委員会と合意形成を図るなど、慎重な検討や対応が必要と考えております。
 本年の一月に、お話のコミュニティスクールあるいは区立中高一貫教育校及び自立支援施設内に設置されました小中学校に配置する教員につきまして、公募によりまして人事を行うこと及びその手続について、区市町村の教育長会に提案をいたしまして、了承を得られましたので、平成十八年度の定期異動から導入をすることといたしました。

○山口(拓)委員 教員人事については理解をいたしますが、特色ある学校づくりを行っていくためには、校長人事についても、同じように区市町村教育委員会の意向等を踏まえて適材適所の人事を行う必要があると考えますが、都はどのようにお考えになられているでしょうか。

○松田人事部長 都教育委員会は、昨年から小中学校の校長人事につきまして、区市町村の教育委員会が作成する人事構想に基づいて実施することといたしました。都教育委員会は、提出された人事構想に関しまして、全区市町村の教育委員会の教育長から詳細なヒアリングを行いまして意向を把握するとともに、地区訪問等を通じて把握した情報を踏まえまして、各地区の実情に応じたきめ細かな人事を行うこととしております。今後とも各地区への訪問やヒアリング等の充実を図りまして、区市町村教育委員会の意向を踏まえた校長の人事を行ってまいります。

○山口(拓)委員 なぜこういった質問をさせていただいたかと申しますと、先ほどお話がありましたように、十六年度から校長先生も含めた異動の対象の見直しがされたということでありましたが、世田谷区のとある中学校--とある中学校と隠す必要もないんですが、玉川中学校という中学校で、教科教室型という校舎を新しく建築をいたしましたが、残念ながら校長先生のご意向で、その教科教室型の授業というものが長きにわたって運営をされずに、建物はあるけれども新しい制度が導入をされずに、その建物が生かされなかった。地域の方も強く要望し、教員の皆さんも強く要望したけれども、校長先生のご意向ということで、いつまでたってもそれが活用されなかった。
 校長先生がかわった瞬間に、建物を見て、これを生かさない手はないということで大きく転換をして、その中学校は今非常に生き生きとして、新しい中学校として生まれ変わっていると。この現状を目の当たりにした中で、先生や校長先生の適材適所というものは、非常に大きな、その学校にとっての命運を分けるなというふうに感じたところから質問させていただきました。
 それでは、最後になりますが、教員の人事権の移譲について、国の中教審の審議経過報告では、市区町村に移譲する方向で見直すことを検討することが適当であるとしています。都の教育委員会は、教員の人事権の移譲についてどのように受けとめられているのか、見解をお伺いしたいと思います。

○松田人事部長 教職員の人事権の移譲につきましては、教職員の適正配置と人事交流を図るための広域人事の必要性、さらには人材育成や給与負担のあり方など、解決すべき課題が大きいと認識をしております。都教育委員会といたしましては、教職員の人事権の移譲につきまして、国の動向を注視しながら、都と区市町村がともに検討を進めていく必要があると考えております。
 現行制度下におきましても、学校や地域の実情に応じた教職員配置を行うため、区市町村の意向を可能な限り尊重をし、きめ細かな人事異動の実現に努めてまいります。

○山口(拓)委員 当然、任命権の移譲や財源の問題など課題となっている部分はたくさんあるわけでありますし、義務教育にばらつきが出てはいけない、歴史的な背景を見れば当然に大きな山であることはわかりますが、国の動向というものが当然これには大きく影響すると思います。しかし、東京都もこの新しい教育というものにしっかり目を向けていただいて、こういったところに力を注いでいただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

○谷村委員 お願いをいたしました資料につきまして、平成十六年度における都立高等学校の修学旅行費の状況と参加生徒数及び不参加生徒数、また都立学校施設開放事業の実績、そして都立高等学校授業料の納入方法とご用意いただきまして、ありがとうございました。
 都立高等学校授業料の納入方法につきましては、また後でかえてお尋ねをさせていただきたいと思いますが、初めに、作成をしていただきました資料の修学旅行の状況と参加生徒数、不参加生徒数、これに関連してお尋ねをさせていただきたいと思います。
 都の教育委員会では、平成十一年度に、国内の修学旅行の保護者負担、税別で八万五千円以下に抑えるようにという通知を出しております。これは、平成十三年度の各会計決算特別委員会第二分科会で質疑をさせていただきました。
 実際に、十一年度末で十二年度実施ですので、十三年度の段階でこの通知を守っていない学校が、平成十二年度では百三十八校、平成十三年度でも五十一校が通知違反をしているということが明らかになった。すなわち、八万五千円プラス税別以上の保護者負担を求めていたということが明らかになったわけでございます。
 この平成十三年当時の修学旅行の不参加者数の中で、経済的理由で参加できない生徒さんが何人いらっしゃるかというのを確認させていただきましたところ、四百十九人もいらっしゃったと。都内に四百十九人、経済的理由といえば何となく優しく聞こえますけれども、修学旅行費が高くて、その負担ができないということで修学旅行に参加できない方が都内に四百十九人もいらっしゃった。
 その修学旅行のあり方について、これは時代によって、状況によって、また学校によって、さまざまな取り組みがなされているかとは思いますけれども、いわゆる高校時代の修学旅行というのは、その生徒さんにとっては一生に一度の思い出として残るわけでございまして、大変重要な都立高校の行事になるわけでございます。そうした一生に一度の思い出に残る修学旅行に、保護者負担といいますか、経費が高過ぎて修学旅行に参加できない生徒さんがこれだけいたということにつきましては、もう大変に私も残念な思いになったわけでございます。
 それで、その後平成十四年度の第四回都議会定例会で、この八万五千円プラス税別でも高いのではないかと。民間で今価格破壊が起こって、最近ではもう五万、六万で韓国には行って帰ってこられますよというぐらいの時代に、高校生の修学旅行で、三泊四日の国内で、そのときは十万前後とっていたわけですけれども、これが八万五千円といっても高いのではないかという指摘をさせていただきました。
 その結果として、平成十五年度からの契約をする修学旅行については、七万六千円プラス税ということで引き下げをしていただいて、約一割強引き下げをしていただいたわけでございます。
 この三年、平成十三年度の各会計決算特別委員会から三年たったわけですけれども、実施をしていただいて、十五年度中は、契約状況もそれ以前にあったのもあったでしょうから、十六年度からの修学旅行を実施されたものについては、この通知がしっかり守られていると思いますけれども、平成十六年度の都立高校の修学旅行の実施状況及びその成果について、どのように都教育委員会として評価されているのか、お尋ねをいたします。

○齊藤学務部長 委員ご指摘のとおり、保護者負担の軽減を図る観点から、平成十二年度に修学旅行の上限額を定めまして、平成十四年度各会計決算特別委員会の質疑を受けまして、さらに平成十五年度から上限額の見直しを図りまして、保護者負担のより一層の軽減を図ってきたところでございます。
 平成十六年度における修学旅行の実施状況でございますけれども、全日制が百八十二校、定時制で八十七校が実施しておりまして、しおりや写真代等の関連経費を含めまして、全日制では平均で七万七千八百八十一円、定時制で七万一千四百円となってございます。
 経済的な理由による不参加生徒でございますけれども、全日制では全生徒数に対して〇・四二%、百八十三名、定時制では五・四五%で百七十三名となっておりまして、修学旅行経費の上限額を定めた成果があらわれてきていると私どもとしては考えております。

○谷村委員 先ほど申し上げましたけれども、この通知が、東京都教育委員会からの上限額、今七万六千円プラス税というものについて、きちんと守られているかどうか、一点ご確認をさせていただきます、全校で。

○齊藤学務部長 修学旅行を実施しております学校につきましては、上限額の範囲内にすべておさまってございます。

○谷村委員 ありがとうございます。
 八万五千円、それが七万六千円に下がったと。この七万六千円プラス税という上限額が適正かどうかということについては、また今後議論をさせていただきたいと思いますけれども、保護者の側からしてみますと、八万五千円から七万六千円に引き下げていただいた、私ども申し上げた趣旨はご理解いただいて、引き下げをしていただいたわけですけれども、都立高校の年間授業料の七割強の金額を出して、この学校行事、修学旅行を行う負担をしているということについては、保護者の側からしてみれば、まだまだ高いという実感があるのではないかと思います。また、特に現在の一般的な民間会社での旅行経費を考えますと、高校生の三泊四日の旅行で七万六千円というのはちょっと高いのではないかと。
 片や、教育現場で修学旅行を担当されている教師の方からのお声を伺うと、七万六千円プラス税じゃどこにも行けないよみたいなこともあって、三年間で一割強負担が下がったので、余りにも急激だったということもあったかとは思いますけれども、なぜ修学旅行の保護者負担が下がらないのか。七万六千円じゃなくても、引き下げて、各学校が目的とする修学旅行というのは実現できないはずはないわけでして、東京都の都立高校の修学旅行の経費だけで四十億円に上る一大産業になるわけであります。この修学旅行経費を保護者の目から見て引き下げていくということにつきましては、私ども今後取り組んでいきたいと思いますし、ぜひこの保護者負担のあり方について、教育庁としても検討を引き続きお願いをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは次に、都立学校の施設開放につきまして、これも平成十三年度各会計決算特別委員会の第二分科会で取り上げさせていただきました。今回は、それ以降の都立学校施設開放事業の実績を資料で出していただきました。
 これによりますと、一校当たりの平均開放回数が、高校と盲・ろう・養護学校の合計で、平成十四年が六十・一回、平成十五年で七十三・七回、平成十六年で七十六・九回と。都立高校の施設開放の数が、開放回数はふえているようでありますけれども、この開放の対象となる施設というのは、グラウンド、体育館、テニスコート、プールなどのいずれかを開放しているという前提になるわけですけれども、都立学校が二百六十校もある中で、この数字を都教委としてどう評価されているのか、お伺いをいたします。

○山川生涯学習スポーツ部長 学校施設開放につきましては、体育施設で平成十年度から全校での開始が実施されたところでございます。また、ここ三年間の期間で見ましても、一校当たりの平均利用回数やグラウンド、体育館など運動施設の開放学校数が増加傾向にあることなどから、一定の評価をしているところでございます。
 しかし一方、平成十六年度の開放施設の実績を詳細に見ますと、工事で開放ができない学校を除いた二百四十一校のうち、グラウンドが百五十三校、テニスコートが百三十九校、体育館が九十校という施設開放の状況にあり、あわせて一校当たりの平均開放回数につきましても、今ご指摘のように年間七十七回であることから、さらに開放事業を一層充実する必要があると認識をしているところでございます。

○谷村委員 年間七十七回、それでも大変地道な努力をされての数字になるかと思います。年間にしますと週に一・四、五回開放している計算になるかと思いますけれども、都教委として、この施設開放のイメージというのは、どのくらいの数を持っておられるのか、これはお尋ねはしませんけれども。
 その開放が進まない理由として、各学校の学校教育上のさまざまな取り組みもあるかと思います。
 学校教育上、都立学校の施設はここまでは開放できるけれども、それ以上はできないというのも各学校によってそれぞれあるかと思いますので、学校教育上の視点というものは大事ですし、その上に立って開放していくという、それは地道な努力をされているんだろうと思いますけれども、学校づくりに対する学校の意識あるいは姿勢にも、この施設開放というのは大きな課題があるのではないかと思うわけであります。
 そこで、学校施設開放を学校経営計画に明示して、明確に位置づけをして、施設開放をした学校については明確に評価をされるという形をとっていかないことには、学校側の意識変革とか、あるいは主体性を持って施設開放に取り組んでいただくというのは、なかなか難しいのではないかと思うんですが、この点について見解をお尋ねいたします。

○山川生涯学習スポーツ部長 学校の施設開放にありましては、今ご指摘のように、原則として学校教育に支障のない範囲内においてということでございますが、これまで都教委といたしましては、施設の改修時などに開放に適した設計にするなど、学校施設開放を促進する取り組みを進めてきております。さらに、機械警備や施設管理上などの制約により開放回数が進まない状況もございますが、今後はさらにこれらの制約等についても、開放の視点から積極的に改善に取り組み、全校での施設開放の充実を目指してまいりたいというふうに考えております。
 そのためには、学校としても、開かれた学校づくりの視点から積極的な取り組みが必要でございます。委員ご指摘のとおり、学校での学校経営計画の策定に当たりましては、施設開放、地域交流などについても計画するよう校長連絡会等で働きかけをさせていただきまして、教職員の意識高揚のための努力をしてまいります。

○谷村委員 ぜひともお願いいたします。
 そうやってみると、今の開放状況がもうマックスなのかもしれませんし、できるかのようなイメージで進めているけれども、実際学校の個別の事情を見ると、なかなかもうこれ以上は無理だということもあるかもしれません。
 ただ、一つの学校経営評価に位置づけをして、地域に開かれた学校であるということが、日常的な学校のあり方としても大変評価されるべきことでありまして、そういう視点に立って自主的に、主体的に学校施設が開放されるように、ぜひともお取り組みをお願いしたいと思います。
 次に、学力テストについてお尋ねをさせていただきます。
 昨年十二月に二つの国際機関、これはPISA、OECDの教育部門の学習到達度調査、それからTIMSS、IEA、国際教育到達度評価学会の国際数学・理科教育調査などにより、世界の児童生徒の学力に関する調査結果が公表され、現在国内では、児童生徒の学力低下に関するさまざまな議論が活発に展開をされております。国では現在、学習指導要領の全体の見直しや全国的な学力調査の実施等について検討を進めております。
 都では、全国に先駆けて平成十五年度より学力調査を実施し、今年度の調査では、中学二年生では三回目、小学校五年生では二回目となるわけであります。国際化の進む社会で、たくましく生きていくためには、子どもたちの学力を向上させることが多くの都民の願いでもあります。そのためには、何よりも子どもの学力の実態を的確に把握し、その結果を踏まえて教師が授業の仕方を改善していくということが必要であります。
 そこで、東京都教育委員会が行っておりますこの学力調査についてお尋ねをいたします。
 まず、児童の学力向上を図るための調査の実施目的について、改めてお尋ねをいたします。

○井出指導部長 都教育委員会は、学力を単なる知識の量だけではなく、みずから学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などの資質、能力までも含めたものとしてとらえております。学力調査は、このような学力の実態を明らかにし、それぞれの教師が授業の改善を図ることによって児童生徒の学力の向上を目指すことを目的として実施しているものでございます。

○谷村委員 都教委では、この調査を実施した後に、東京都全体の各教科における平均正答率と定着状況を公表しておりますけれども、この調査結果をわざわざ区市町村ごとに公表しておられる理由について、お尋ねをいたします。

○井出指導部長 都教育委員会は、東京都全体の学力水準の維持向上に努めるとともに、東京都における児童生徒の学力の実態を都民に説明する責任があることから、学力調査の結果を区市町村に公表しております。

○谷村委員 都全体の学力向上と都民に対する説明責任という都教委の姿勢について、よく理解できますし、評価をいたしております。
 ただ、公表しただけでは、調査のやりっ放しでは、その目的を達成することはできない、当然のことですけれども、児童や生徒に対する教育は、学校だけではなく、家庭はもちろんのこと、地域社会の方たちにも大きく支えられているわけでございまして、こうした区市町村ごとの結果の発表を見て、地域の方々も喜んだり悲しんだり、時には驚いたりもされているわけでございます。
 これは私の地元の、ある子ども向けのおもちゃやお菓子を売っていらっしゃる方ですね、商店会の会長も務めておられますけれども、このお店は、土日や夏休みなんかでは、お店の周りが子どもたちの居場所みたいにもなって、今回の結果を見て、大変にがっかりというか、順位が高くなかったわけですね、残念に思っていらっしゃって、市の教育委員会にもっともっと頑張ってもらわないと困ると大変に憂えていらっしゃったわけでございます。子どもたちの物の買い方、あるいはそのときのあいさつの仕方のやりとりだけで、その学校の状況とか児童生徒の成長方がわかるとおっしゃるわけですね。こういう地域の方にも教育は支えられているわけでございます。
 この調査結果を踏まえまして、都教委として区市町村教育委員会にどういう支援をされるのか。上位のところもあれば、そうでないところもあるわけでして、それがもう公然となっているわけでございますので、この支援についてお尋ねをいたします。

○井出指導部長 都教育委員会では、区市町村教育委員会に対しまして調査結果についての説明会を開催し、教科ごとの結果の分析と指導の要点を示しております。また、調査結果をもとに、全小中学校で授業改善推進プランを作成し、授業改善を図るよう指導助言をしております。
 さらに、授業改善の手引となる指導資料を全教員に配布するとともに、研究推進校において授業公開や研究協議を実施するなど、各学校の取り組みを支援しているところでございます。

○谷村委員 区市町村教育委員会でも、こうした調査の結果に基づいて、あるいは参考にしながら、学力向上を図るための独自の取り組みも始めているわけでございまして、どこがどうこういうこともできませんので、私の地元三市ありますが、例えば東村山市では、各学校の授業改善推進プランに基づく授業改善の様子を市の教育委員会のホームページで市民に紹介するということにしているようでして、また東大和市では、小学校一年生から六年生まで算数の小学校実態調査、中学校一年生から三年生までは数学基礎学力確認テストを市独自で実施をしているようであります。平成十三年度から行っております。また武蔵村山市では、市内の全小学校に対して、都教育委員会の指導主事の方の訪問を要請したりしております。こういう区市町村教育委員会に対して、都教委としてどういうふうに支援をしていただけるのか、また、されるのか、お尋ねをいたします。

○井出指導部長 お話のように、例えば基礎的な知識の定着を図るために、小学校において漢字検定を実施したり、基本的な生活習慣の確立を図るために家庭に対して啓発資料を配布するなど、区市町村独自の取り組みを実施していることはよく理解をしております。
 都教育委員会では、こうした取り組みを支援するために、指導主事を直接学校に派遣しまして、授業改善への指導助言を行ってまいります。今後とも、区市町村教育委員会との連携のもと、それぞれの課題に応じた支援に努めてまいります。

○谷村委員 指導主事を直接学校に派遣して、授業改善の指導助言を行っていただく。大変にありがたい都教委からの支援だと思いますけれども、先ほど申し上げました武蔵村山市のように、市内にある学校すべてに都教委から指導主事を派遣してほしいという要望があるわけですけれども、こういう要望に対しても都教委としてはおこたえいただけるのかどうか、確認をさせていただきたいと思います。

○井出指導部長 都教育委員会では、区市町村教育委員会から指導主事の訪問要請等がございましたら、日程を調整の上、可能な限りそれにこたえてまいります。お尋ねの市教育委員会からは既に要請を受けておりますので、今年度中に全小学校へ指導主事を派遣する予定でございます。

○谷村委員 大変力強いお言葉ありがとうございます。ぜひ今年度中に派遣を全校にお願いしたいと思います。
 区市町村教育委員会では、調査の結果を真摯に受けとめ、さまざまな取り組みを行っております。また、多くの学校でも児童生徒の学力向上のためのプランづくりや校内における研修の活性化などに取り組んでおります。
 都教育委員会は、東京都全体の学力の維持向上を図ることが責務であり、これらの頑張っている区市町村や学校と一層緊密に連携をしていただいて、これからも全力で支援をしていただきたいと思います。本調査を継続実施していただいて、調査結果を公表することにより、現場の教員、先生方の授業の一層の向上につながり、都民の学校に対する信頼が高まることを期待したいと思います。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○酒井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後三時四十四分散会

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