各会計決算特別委員会速記録第二分科会第四号

平成十七年十月二十一日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長酒井 大史君
副委員長村松みえ子君
副委員長吉原  修君
松葉多美子君
早坂 義弘君
村上 英子君
山口 文江君
山口  拓君
谷村 孝彦君
くまき美奈子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
福祉保健局局長平井 健一君
次長吉川 和夫君
技監梶山 純一君
理事梶原 康二君
総務部長片岡 貞行君
指導監査室長菅原 眞廣君
医療政策部長丸山 浩一君
保健政策部長杉村 栄一君
生活福祉部長朝比奈照雄君
高齢社会対策部長長谷川 登君
少子社会対策部長都留 佳苗君
障害者施策推進部長吉岡 則重君
健康安全室長八木 憲彦君
企画担当部長野口 宏幸君
連絡調整担当部長狩野 信夫君
参事松井多美雄君
参事高橋  誠君
参事桜山 豊夫君
参事宮垣豊美子君
参事佐藤 恭信君
参事牛島 和美君
参事浅井  葵君
参事大黒  寛君

本日の会議に付した事件
平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  福祉保健局関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○酒井委員長 ただいまから平成十六年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより福祉保健局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成十六年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十六年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○片岡総務部長 過日の分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元の平成十六年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、ご説明申し上げます。
 資料につきましては、目次にございますように、全部で十五項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。
 福祉費の予算及び決算の推移といたしまして、平成七年度から十六年度までの福祉費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
 二ページをお開き願います。
 福祉保健局予算、決算額の推移といたしまして、旧福祉局分と旧健康局分に分けまして、平成十二年度から十六年度までの予算現額、決算額を記載してございます。
 三ページをごらん願います。
 福祉保健局決算における不用額上位の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの不用額上位の五事業名及びその不用額を記載してございます。
 四ページをお開き願います。
 各種手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの予算現額、支出済額、対象者数を四ページ及び五ページに記載してございます。
 六ページをお開き願います。
 東京都福祉改革推進プランにおける主な事業プランの状況といたしまして、平成十二年度から十七年度までの各事業ごとの計画及び予算、決算の金額、規模を六ページから九ページにわたって記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。
 介護保険施設、認知症高齢者グループホームの定員数及び高齢者人口に対する割合といたしまして、都道府県別の六十五歳以上の高齢者人口、施設ごとの入所定員数及び高齢者人口に対する割合を記載してございます。
 一一ページをごらん願います。
 介護保険給付費都負担金の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの予算現額及び決算額を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。
 居宅介護サービス利用率の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの居宅サービス利用者に対する各サービスごとの利用者の割合を記載してございます。
 一三ページをごらん願います。
 生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減措置事業の実施状況といたしまして、事業実施区市町村と、平成十七年三月末現在の確認証交付人数及び同月分の利用者負担額軽減実績などを記載してございます。
 一四ページをお開き願います。
 シルバーパスの発行状況の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの費用別発行実績数、七十歳以上人口及びパスの発行割合を記載してございます。
 一五ページをごらん願います。
 認知症高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業の実績といたしまして、平成十六年度から十八年度までの計画規模及び区部、市町村部ごとの十六年度実績などについて記載してございます。
 一六ページをお開き願います。
 児童相談所における児童虐待相談件数及び従事職員の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの相談受理件数及び職種等別の従事職員数を記載してございます。
 一七ページをごらん願います。
 先駆型子ども家庭支援センターの状況でございます。(1)には、センターの概要といたしまして、事業内容を従来型と比較して記載し、また、(2)では、その実施状況についてお示ししてございます。
 一八ページをお開き願います。
 養育家庭制度における実績の推移といたしまして、平成十二年度から十六年度までの登録家庭数、委託家庭数及び委託児童数について記載してございます。
 最後になりますが、一九ページをごらん願います。
 区市町村障害者就労支援事業の実績といたしまして、平成十二年度から十六年度までの実施区市町村数、登録者数及び就職者数について記載してございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のありました資料につきましてご説明申し上げました。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○酒井委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○村上委員 東京都において、平成元年以来、出生数は毎年十万人前後で推移しており、また、合計特殊出生率は平成十五年、一・〇を割り込み、全国に先駆けて少子高齢化社会を迎えております。
 また、十六年度の決算概要を拝見いたしますと、小児・母子医療対策として、出産前後の母体、胎児や新生児に対する高度医療を行う周産期母子医療センターの整備を進めるとともに、不妊治療の経済的負担の軽減を図るため、治療に要する費用の一部を補助したとあります。少子化対策として、安全で安心できるお産の確保、これは重要項目の一つであると考えます。そういった意味で、東京都の周産期医療対策はますます重要になってきております。
 東京都では平成九年から周産期医療対策事業を開始し、周産期母子医療センターの整備を進めているとのことでございますが、現在の整備状況及び周産期母子医療センターでの出産の状況についてお伺いいたします。

○佐藤参事 周産期母子医療センターの整備についてお尋ねでございますが、都は、安心して子どもを産み、育てる環境を構築するため、リスクの高い妊産婦、新生児に対し高度な医療を提供できる周産期母子医療センターの整備を行っております。現在、都内で、総合周産期母子医療センター九カ所、地域周産期母子医療センター十二カ所を整備しております。
 出産の状況でございますが、東京都の周産期母子医療センターにおける分娩取扱数は増加傾向にあり、平成十年度はおよそ一万五千件、平成十六年度はおよそ一万八千件でございます。

○村上委員 東京都の周産期母子医療センターにおける分娩取扱数は、今のご答弁では増加傾向にあるということでございますが、周産期医療施設等整備補助は年々削減をされており、十四年度予算額が一億八千六百八十二万四千円に対し、決算額が一億八千三百三十四万円、執行率が九八・一%であったと。それが十六年度の予算額を見ますと、一億四千五百八十五万四千円に対し、決算額が三千四百八十六万六千円、執行率が二三・九%であったということで、これは大変大きく後退をしているというような実態がうかがえます。
 先日、実は私、助産師会の皆さんから、周産期母子医療センターへの搬送依頼が断られた事例があるというようなことをお伺いいたしました。この件について、東京都の周産期母子医療センターでは緊急搬送の受け入れを断るような場合があるのかどうか、この辺の実態についてお伺いいたします。

○佐藤参事 緊急搬送の受け入れについてでございますが、東京都の周産期母子医療センターでは、一般病院や産科診療所、助産所等の医療関係者の依頼だけではなく、自宅からの通報等、いずれの場合も緊急搬送に対応しております。しかしながら、施設によりましては、産科病床及びNICU病床の空床状況等によりまして、緊急搬送の受け入れができない場合がございますが、その場合は、総合周産期母子医療センターが他の施設と調整し、また、最終的には当該の総合周産期母子医療センターが責任を持って受け入れております。

○村上委員 お産というものは、私も二人の子どもを出産しましたけれども、順調と思われるケースであっても、急変し、緊急に高度な医療を必要とする場合が少なくありません。
 また、今のご答弁の中に、ベッドの空き状況などにより受け入れが困難な場合があり、最終的には総合周産期母子医療センターが責任を持つというようなことでございますが、センター間の情報システム及び東京都の周産期医療の緊急搬送体制についてお伺いをいたします。

○佐藤参事 東京都の周産期医療の緊急搬送体制でございますが、都内二十一カ所の周産期母子医療センターと、多摩地域周産期医療連携強化病院十三病院等の医療機関及び東京消防庁を結んだ情報ネットワークを構築しております。それぞれの端末で、産科病床及びNICU病床の空床情報等の診療能力情報が閲覧でき、搬送の調整に活用しております。
 搬送は、東京消防庁の救急車による母体搬送が主として行われております。周産期医療における緊急搬送につきましては、現在、母体搬送が最も安全とされており、東京都では母体搬送を中心とした体制の整備を推進しているところでございます。

○村上委員 ここまで伺ってきたところ、東京都の周産期医療体制はおおむね整備されているように思えますが、さきに質問をしたとおり、搬送をめぐる困難な事例があることも事実であります。何件か私の方もその事例を伺いました。これは周産期母子医療センターと助産所との十分な連携が図れていないことが大きな原因の一つであろうかと考えます。
 昨今、妊産婦の出産前後のアメニティーの充実など、ニーズが多様化し、助産所や産科診療所ではこれらのニーズに応じたサービスを提供するなど、一定の役割を担っていると思われます。産科診療所、助産所が果たす役割を考えれば、これらの施設と周産期母子医療センターとの連携強化が不可欠であると考えますが、今後の東京都の周産期医療体制の充実について、都の医療施策を統括するお立場であります福祉保健局技監のご所見を伺いたいと思います。

○梶山技監 今後の都の周産期医療体制の充実についてのお尋ねでございますが、都民の方々の安全で安心な妊娠や出産を確保するためには、リスクが高い妊産婦の方への対応も含め、包括的な周産期医療体制を整備する必要があると考えております。
 このため、都はこれまでも、周産期医療体制の整備に関しましては、まず総合的な診療基盤を持ち、高度な三次医療を提供する周産期母子医療センターや、一般的な医療を提供し、多くのお産を取り扱う病院、そして妊産婦にとって身近で地域に根差した産科診療所や、アメニティーの充実など妊産婦の多様なニーズにこたえている助産所など、妊娠や出産に携わる施設がそれぞれの役割を十分に発揮しながら相互に連携が図られるよう、施策の充実に努めてまいりました。
 今後は、ただいまご指摘いただきました趣旨も踏まえ、日本助産師会東京都支部などにも、都の周産期医療を協議する場である東京都周産期医療協議会に参画していただけるよう働きかけてまいりたいと考えており、周産期母子医療センターや病院、そして診療所や助産所などの関係機関の連携をこれまで以上に強化し、都の周産期医療体制のより一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

○村上委員 今、技監から大変力強いご決意を伺い、私も大変心強く思いました。
 今、少子化対策として、身近な産科診療所、助産所の果たす役割は今後ますます大きくなるものと考えます。東京都周産期医療協議会への助産師会の参加を含め、連携強化を図られることが最も必要なことと考えます。産科診療所や助産所の現状を把握するためにも、先ほど申し上げましたように、困難な状況があるというような事例をいただいている以上、現状を把握するためにも、ぜひ聞き取り調査を行いながら、今後、搬送をめぐるトラブルが起きないように、しっかりとした監督、指導を行っていただくようにお願いをさせていただいて、私の質問を終わります。

○山口(拓)委員 私は、少子化対策、また子育て支援施策についてお伺いしてまいりたいと思います。
 一九九〇年、平成二年の我が国の合計特殊出生率、いわゆる一・五七ショックというものを境として、少子化対策が国を挙げての政策課題となってから、早いもので十五年が経過しようとしています。その後も出生率の低下には歯どめがかかっておりませんが、その中でも東京都はとりわけ低い出生率の状況にあります。平成十六年は前年よりも若干持ち直しをしたものの、それでも一・〇一という全国最低の数値となっています。
 もとより少子化対策は、出生率の低下をいかにとめるかだけの単純な問題ではございません。我が国の将来の社会経済システムに重要な影響を及ぼすものとして、これまでさまざまな議論が真剣かつ熱心にされてきたところであります。
 子育て支援策については、この間、国では、一九九二年、平成四年にエンゼルプラン、昨年度末には子ども・子育て応援プランが策定をされ、これに基づいた保育サービスの量的拡大、児童手当制度の改正、小児救急医療の推進などの施策が実施されているのを初め、顕著化した児童虐待への対応なども行われてきているところであります。
 しかしながら、実感として、いまだに私たちの社会は、子どもを産み、育てやすい社会となっていないように感じてなりません。子どもたちを産み、育てることが当たり前と感じ、子どもたちの声が響く社会こそ豊かなものだと多くの人が思っているんですが、残念ながら現実はそのようになっていません。依然として子育てに対するさまざまな負担感が存在しているため、多くの若い人たち、私たちの世代が子どもを産み、育てることをためらっているんだと私は感じています。
 こうした状況にあって、東京都が少子化対策、特に子育て支援に取り組むに当たっては、大都市の特性や実態を踏まえた施策をしっかりと構築していくことが必要だと思いますが、まずは基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○都留少子社会対策部長 少子化の進展は、未婚率の上昇、晩婚化、初産年齢の上昇などによりますが、東京におきましても、核家族化の進行、多様な勤務形態、長時間通勤などを背景に、子育て支援に関する多様なニーズがございます。
 一方、東京には、サービス産業を中心とする多くの企業や、特色のある活動を展開している多くのNPOなどの民間団体の存在、広い意味での経済力、情報の集積など、大都市の強みがございます。
 大都市東京の特性に起因するニーズを的確に把握するとともに、東京が有する社会資源を組み合わせ、それを最大限に生かした施策を進行することが必要です。こうした考えに立ち、今後とも、子どもを産み、育てたいと望む方々が安心して出産や子育てができる環境を整備するなど、すべての子どもと家庭を対象とした取り組みを積極的に推進してまいります。

○山口(拓)委員 ただいま部長からご説明があったように、大変にこういった社会背景というものが大きく影響していることはいうまでもありませんし、もちろんこういった結婚だとか出産は、一人一人の価値観や人生に深くかかわるものであって、当然、産めや育てろやというような、社会的に強制をするべきでないということはいうまでもありません。しかしながら、いかなる時代、社会状況にあったとしても、次代を担う子どもたちの育ちというものをしっかり考えていくことは、親を初め、私たち大人に課せられた責務だと私は考えます。
 平成十五年に制定をされた次世代育成支援対策推進法によって、各自治体に地域行動計画の策定が義務づけられました。東京都も本年四月、次世代育成支援東京都行動計画を発表されました。計画策定に当たって三つの理念を掲げるとともに、五つの目標と十の重点的取り組みを明らかにすることによって、全庁的に取り組むという意欲が、確かにこれを見ると感じられます。
 ところで、子育て支援事業は、そのほとんどが身近な自治体である市区町村が実施主体となっておりますが、都はこうした市区町村の取り組みを側面から支援をする役割に今まさに変わりつつあるんだと私は思います。子育て支援に係る施策の都全体としての予算の執行状況は、さきにもご説明いただいたとおりなんですが、都の計画で、すべての子どもと家庭を対象とした支援施策の一層の充実を図るとされている中で、市区町村によっては実際の取り組み状況に温度差が出ているのではないかという懸念が出ていることも事実です。
 そこでお尋ねをしたいんですが、都の計画における整備目標はどのような考えに基づくものか。保育サービス、子ども家庭支援サービスなど、具体的に例を挙げてお示しいただきたいと思います。

○都留少子社会対策部長 次世代育成支援東京都行動計画の策定に当たりましては、主要な子育て支援サービスについて区市町村の実施の意向を聞きながら、都内に整備すべきサービスについて検討し、誘導的な視点も加えて整備目標を設定いたしました。
 具体的な例を挙げますと、子ども家庭支援センターについては、平成十八年度末までに全区市町村に設置、延長保育は平成二十一年度までに都内全認可保育所で実施、学童クラブは平成二十一年度までに一千四百十七カ所の設置などでございます。
 こうした目標値を達成することにより、都として望ましい水準の確保が可能と考えております。

○山口(拓)委員 今ご説明を伺ったとおりなんですが、東京都、市区町村さまざま見てみますと、非常に子育てに力を入れていらっしゃる自治体もたくさんあります。これが子育て支援策または少子化の問題を解決するような方策かというと、残念ながら人口の移動を生んでいるようにしか私には感じられないときがあります。それは、どこかの自治体で子育て施策が充実をしていると、そちらに若い世代が人口移動してしまう。どこの区はいいらしい、どこの市がいいらしい、そんな話をよく耳にするわけなんでありますが、こういった包括的な立場、今お話をいただいたような水準をしっかりと保つことによって、全体の底上げがされていく、どこに住んでいても安心して子育てができて、皆さんが望んでいらっしゃるサービスをしっかりと提供され、受けることができる、こういった思いというものは、必ず少子化の問題や次世代育成にも、ひいてはつながってくると思います。こういった一つ一つ、東京が包括的な立場をとる、市区町村は現場に近い、子育てのための施策を充実させる、国はもっと大きな柱を見据えた施策をしっかり、法整備から含めてつくっていく、このそれぞれの役割分担というものが私は非常に重要になってくると思います。東京がとらなければいけないという立場をしっかりと進めていただきたいと思うんですが、それぞれの実情に応じた市区町村の取り組みについてはしっかりと尊重していただいて、都として望ましいサービスの内容、水準維持に、先ほどもお話をしたように、今後とも努力をしていただきたいと改めて要望させていただきたいと思います。
 次に、認証保育の整備状況についてお伺いさせていただきたいと思います。
 大都市の多様な保育ニーズに柔軟に対応していくために、都独自の基準によって創設をされた認証保育所は、平成十三年度の創設以来、飛躍的にふえてきています。本日の委員会資料の八ページに記載されているところでありますが、駅前設置を基本とするA型は、当初の計画の平成十六年度までに五十カ所をはるかに上回る百八十四カ所が設置されていることが示されています。短期間でここまで設置が進んだ理由について、都としてどのようにまずとらえられているのか、お伺いしたいと思います。

○都留少子社会対策部長 認証保育所の設置が計画を上回って進んでいるのは、ゼロ歳児保育の実施、十三時間以上開所など、大都市の保育ニーズに柔軟に対応する保育内容であること、利用者と認証保育所との直接契約、保育に欠ける要件をなくすなど、利用しやすい形態としたこと、事業者の創意工夫による運営を可能とし、民間企業、NPOなど、多様な事業者の参入を促したこと、保育の実施主体である区市町村が意欲的に取り組んだことなどが相まって設置が進んだものと考えております。
 裏返して申せば、全国一律で均一化した現在の認可保育所の仕組みが、こうした大都市の切実な保育ニーズにこたえ切れていないことが改めて浮き彫りになったといえると考えております。

○山口(拓)委員 全く同感でございます。本当にこういった一つ一つをしっかりと認めて、改めていくということが、今まさに時代に合った施策の展開という点で非常に重要になってくると思います。これまで硬直した仕組みを利用者本位にしっかりと変えていくことこそが、福祉改革の理念であるべきでありますし、これがまさに今求められていることだといえると思います。
 最後になりますが、保育所制度の改革に向けた都の取り組みについてお伺いして、最後の質問とさせていただきたいと思います。

○都留少子社会対策部長 これまでお答えしましたように、現行の認可保育所の仕組みは均一化し、多様化する保育ニーズにこたえ切れておりません。このため、国に対し、都が創設した認証保育所を制度的に認めること、認可保育所の保育に欠ける要件を見直すこと、直接契約することも可能になるような制度とすることなど、保育所制度の抜本的改革を都の最重点項目として提案要求しております。
 今後とも、こうした取り組みを一層推進してまいります。

○谷村委員 平成十六年度福祉保健局所管分の決算審議に当たりまして、今月、十月は乳がん月間ということで、過日の厚生委員会におきまして、我が党の松葉委員がピンクリボン運動を取り上げさせていただいたところでございますけれども、その松葉委員からピンクリボンのピンバッジをいただきましたので、きょうはそれをつけて--村上先生もありがとうございます、乳がん普及啓発に取り組む決意を込めて、きょうは挑ませていただきます。といっても、きょうは決算審議でございますので、それについて質疑するわけではございません。
 平成十六年度の福祉保健局の決算審議をするに当たって、どうしても避けて通ることができないのは、昨年の八月に当時の福祉局と健康局が統合されて、現在の福祉保健局に至っているわけでございますが、この統合の目的は、少子高齢社会に的確に対応するとともに、健康に対する都民の不安を払拭するためというふうに伺っております。統合から一年が経過をしたわけでございますけれども、具体的な統合のメリットについてご説明いただきたいと思います。
 まず初めに、事業運営の効率性の観点から見て、この局統合はどういう成果が上がったのか、お伺いいたします。

○片岡総務部長 統合の効果につきまして、まず組織面の効果を申し上げますと、統合前は、旧福祉局六部二十五課、旧健康局五部二十二課、合計十一部四十七課の本庁体制でございました。統合によりまして、七部二室四十五課体制となり、組織のスリム化が図られております。これは主に庶務、人事、予算、企画等、両局の共通する業務の統合によるものでございまして、これによりまして、管理部門の人員及びコストの削減を行うとともに、業務の効率化に努めておるところでございます。
 また、都民が必要といたしますサービスをより利用しやすくなるように、子ども家庭部門と母子保健部門を少子社会対策部に、障害福祉部門と精神保健部門を障害者施策推進部に統合するなど、わかりやすい組織づくりも実施したところでございます。
 さらに、従来二局間で行っておりました施策の調整や意思決定につきましても当然迅速化されまして、都民ニーズや時宜にかないました、より適切な対応が可能となってきております。

○谷村委員 局統合がなされて一年経過をいたしました。今ご説明にもありましたけれども、管理部門の統合などにより人件費も削減されたという面では、財政面からの大きなメリットもあったかというふうに思います。また、今ご説明ありましたけれども、子ども家庭部門と母子保健部門を統合して少子社会対策部に、障害福祉部門と精神保健部門を統合して障害者施策推進部。長年の懸案であったかと思いますので、そうした福祉局と当時の健康局が一つの局になったという、このことだけをもっても、大変、サービスを受ける都民の立場から見ても大きな成果が上がったのではないかというふうに思っております。
 そこで、今度は福祉保健局という新たな組織になったということで、具体的に施策効果ではどういう面で、また都民サービスの向上ではどのように結びついて、また、政策面から見てはどういう統合の効果が上がったのか、これについてお尋ねをいたします。

○片岡総務部長 局統合によりまして、福祉と保健医療の両分野にまたがります事項についての連携、調整、意思決定が迅速化いたしまして、より効率的、効果的な施策展開が可能となっております。
 具体的には、福祉保健局といたしまして初めて重点事業等を策定いたしました今年度、老人保健法に基づく基本健康診査と、介護予防健診「おたっしゃ21」をあわせて実施いたしまして、健康づくりや疾病予防の観点を取り入れた介護予防の推進を図っております。
 また、児童相談所や保健所などの連携の強化、母子健康事業における要支援家庭の把握による児童虐待の早期発見と未然防止などの取り組みも、旧両局で分かれてやっておりましたことを、一体として一つの局で取り組みを進めておるところでございます。
 また、現在国会で審議中の障害者自立支援法案でございますが、知的、身体、精神の種別を超えて、サービスを一元的に提供する仕組みを創設するものでございますが、障害の種別にかかわらず、すべての障害者を支援することを目指した福祉保健局の組織体系、これはこの法の理念を先取りしたものでございまして、新法施行に当たりましても、統一的な施策を迅速、柔軟に対応していくことが可能と考えております。

○谷村委員 局統合の効果、また成果については、お尋ねをすると、語るに尽きないぐらいのお答えをいただけるんだろうと、さらにあるんだろうと思いますけれども、最後にご指摘ありました、現在国会で審議中の障害者自立支援法案、ここで知的、身体、精神を一元化して一体的なサービスができるように取り組んでいくという、こういう法の理念を先取りした今回の福祉局と健康局の局統合、福祉保健局の誕生ということで、高く評価をいたしたいと思います。
 過日の厚生委員会での事務事業質疑でも私ども取り上げさせていただきました難病対策一つをとりましても、従前は、医療費助成は健康局、障害者認定は福祉局というふうに、局そのものが分かれていたわけでございまして、こういった局統合、新しい局が誕生したことによって、調整や連携、今ご説明ありましたけれども、確実に進んでいくんだろうというふうに強く期待をいたしたいと思います。
 このほかにも、福祉保健局マターでいきますと、公社病院を所管する福祉保健局と都立病院を所管する病院経営本部、これは衛生局時代にまでさかのぼってさまざま改編が続いているわけでございますが、都立病院改革というのがまた一段落つけば、一体的に病院事業や医療政策なども取り組むということも課題になってくるんだろうと思います。
 私ども公明党も、過日の第三回都議会定例会の代表質問におきまして、都政の、また都民の皆様からいただいた税金のむだ遣いをなくすため、事業仕分けというものをしっかりやっていくことが大事だ、局と局をまたぐもの、ということをご指摘させていただきました。また、国でもその取り組みが今進んでいるところでございますけれども、今回の福祉保健局の誕生、局の統合というのは、その先駆けに取り組まれている一つでございますので、ぜひこれからもどんどん局統合の効果、成果というものを上げていただくように、よろしくお願いをいたしたいと思います。
 それでは、もう一点、介護報酬の不正請求問題につきまして取り上げさせていただきたいと思います。
 平成十二年四月にスタートいたしました介護保険制度ですが、今日では、医療保険あるいは年金制度と並び、社会保障制度の三本柱として定着をしているわけでございます。今回、介護保険法が改正をされました。これは人にいわせれば、改革といってもおかしくないくらいの大きな、また適切な法の改正だというふうにいわれていますけれども、日本共産党さんなんかは改悪なんておっしゃっています。法そのものを否定しておきながら、変えるとなると改悪で、変えない方がいいみたいな、わけのわからないことをいつもおっしゃるわけですが、介護予防十カ年戦略、これは我が党が先駆けて取り上げさせていただきました。この内容も大幅に取り入れられました。介護を要する高齢者だけでなく、高齢者の介護予防を支援する介護予防、あるいは訪問介護サービスの給付などにつきましても、活用できる制度に改められたところでございます。これから超高齢社会を迎えるに当たりまして、日本において、高齢者が安心して生き生きと暮らせる社会の実現のためには、介護、医療、年金などの社会保障制度のあり方が今後ますます重要性を増してきているわけでございます。
 私ども都議会公明党では、この社会保障対策プロジェクトを立ち上げまして、年金、医療、そして介護の各制度が、より国民や都民の皆様に信頼される安定したものになるよう、そのあり方等検討しているところでございます。
 しかし、一方で、現在の介護保険制度の運用というもの、その実態を見てみますと、残念なことに、介護サービス事業者による介護報酬の不正請求が、これは東京都に限らず、全国的に見られるところとなっておりまして、先日、福祉保健局が初めて発表した指導検査報告書を見ましても、介護サービス事業者による不正請求について記述がしてあり、一部の新聞報道でも大きく取り上げられております。
 そこで、より信頼と安心を得られる介護保険制度としていくために、また、持続可能な社会保障制度の一角を担う介護保険制度としていくために、不正防止の観点からきょうはお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず初めに、平成十六年度におきまして、介護サービス事業者等に不正あるいはミスによる介護報酬の返還を求めた東京都における件数及びその金額は幾らぐらいに上っているのか、また、全国ベースで見ると、その件数、金額というのはどのぐらいになるのか、お尋ねいたします。

○菅原指導監査室長 東京都の平成十六年度の指導監査による介護報酬の返還請求は百二十一件、金額にいたしまして二億二千三百万余円でございます。
 全国の状況でございますが、最新のものといたしまして、本年三月に発表された平成十五年度の結果報告がございます。それによりますと、全国の介護報酬の返還請求件数は二千九百八十六件、返還請求総額は六十二億四千四百六十四万余円でございます。
 ちなみに、平成十五年度の東京都の返還請求は百九十七件、二億五千百万余円となっております。

○谷村委員 今お答えいただいた金額でも大変に驚きでございます。これから各区市町村で介護保険料の見直しが行われるわけでございます。ほとんど上がっていくわけでございますけれども、その負担をしていく保険者あるいは都民の皆様からしてみれば、これだけの金額が出ている不正請求、あるいはミスも含まれている金額ですけれども、大変許しがたい数字なわけでございます。また、これは、今ご指摘いただいた金額は氷山の一角であるという指摘もあるわけでございます。こうした不正あるいはミスなどによる不正請求というものは断固なくしていかなければならないと思うわけでございますが、この不正請求、どういう形態、種類があったのかということについてお尋ねをいたします。

○菅原指導監査室長 不正請求の主な内容は、実際のサービス提供時間より多く介護報酬を請求する水増し請求や、実際には介護サービスを行っていないにもかかわらず介護報酬を請求する架空請求などがございます。ほかに、介護サービス事業者の指定を受けるに当たりまして、あたかも指定基準を満たすかのように虚偽の書類を作成して指定を受け、サービスを提供したとして介護報酬を請求した例がございました。

○谷村委員 今お話しいただいたような不正が後を絶たないというふうにもいわれておりますけれども、都は介護事業者等に対してどういう指導検査を行っているのか、お尋ねいたします。

○菅原指導監査室長 介護サービス事業者の指導検査につきましては、運営所管課が日ごろ行っております運営指導とは別に、介護保険法等に定められている人員や設備等の基準に適合しているか否か、また介護報酬が適正に請求されているかなどについて指導検査をしております。
 指導検査の形態といたしましては、講習形式によります集団指導や、書面に基づく指導検査、及び事業所を訪問して行う実地検査がございます。
 また、介護サービスの取り扱いや介護報酬の請求等に関しまして重大な不正または著しい不当が疑われる場合は、監査を実施することになります。
 なお、指導検査に当たりましては、保険者であります区市町村や、介護報酬の審査、支払い機関である東京都国民健康保険団体連合会など、関係機関とも連携して実施しております。

○谷村委員 指導検査につきましては、年間の実施計画を立てて実施をしているというふうにも伺っておりますが、一番多いのは、訪問介護の状況が結局よくわからないで、先ほどのような時間を水増ししたりとか、やってもいないのにやったというふうになることが多いというふうに伺っておりますけれども、指導検査をしっかり厳しく厳格に続けていただきたいと思いますが、事業者の職員が正義感に燃えて不正請求について告発した場合、これが一番明るみに出てくるケースが多いというふうに伺っておりますけれども、そういう告発、いわゆる内部告発が行われた場合、東京都としてどういう対応をされているんでしょうか。

○菅原指導監査室長 介護サービス事業者にかかわる不正等につきまして、事業所の職員からの告発あるいは都民からの通報等があった場合は、保険者や国保連合会からの情報を収集するなど、総合的に判断いたしまして、指導検査を早期に行うこととしております。特に都は特別機動班を設置しておりまして、悪質な事業者の排除に向けて迅速に監査を行っております。

○谷村委員 この事業者の指定というのは東京都の責任でしっかり行われているわけでございまして、こういう不正を行う事業者に対して、これは不正が明らかになった場合、特に悪質な事業者に対してはしっかり排除していく、厳しい姿勢でもって取り組んでいただきたいと思いますけれども、不正請求等により事業者指定の取り消しに至った例というのはどういう例があるのか、確認をさせていただきたいと思います。

○菅原指導監査室長 事業者指定の取り消し処分に至るものは、経営者が不正であることを知りながら、長期間にわたって組織的に行っていたものなどでございます。
 具体的な不正の例でございますが、提供したサービスが調理や洗濯など、いわゆる生活援助であるにもかかわらず、排せつ介助や入浴介助など介護報酬の高い身体介護のサービスを提供したとして、繰り返し過大に介護報酬を請求したものや、保険給付の対象とならない墓参り同行等の外出介助をもって不正に介護報酬を請求したものなどでございます。

○谷村委員 悪質な事業者に対しては、不正は断固許さないという強い決意を持って東京都としても取り組んでいただきたいと思います。
 介護報酬の不正請求というのは、介護保険制度そのものを脅かすものでございまして、断固許されない。一件も見逃さないという強い姿勢で取り組んでいただきたいと思うんですが、不正請求が明らかになった場合に、支払われた介護報酬の返還というのはどうなっているのか、平成十六年度では金額でどのぐらい返還請求があったのか、お尋ねをいたします。

○菅原指導監査室長 不正請求額の返還は、都が実施いたしました監査で確定した不正請求額に基づきまして、保険者である区市町村が、不正請求額に加算金を加えて返還を求めることになります。平成十六年度は、指定取り消し処分を受けた事業者に対し行った返還請求額は、先ほどお答えいたしました自主返還分二億二千三百万余円のうち、七千五百六十三万余円でございました。

○谷村委員 大変な生活の中で介護保険の保険料を払っておられる方々からしてみれば、こういう金額が請求された、また不正が行われているということ自体、本当に許されない話だと思います。今後、こうした不正請求というものをなくしていくために、介護保険制度の健全な運用を普及させていくための不正防止のための東京都としての指導検査をどう強化をしていかれるのか、どう取り組まれていくのか、これを最後にお尋ねをしたいと思います。

○菅原指導監査室長 委員ご指摘のように、介護保険制度の健全な運用を図っていくためには、増大する介護サービス事業者に対する適正な指導検査が重要でございます。このため、今後、より効率的、効果的な指導検査を展開していくため、これまで以上に保険者や国保連と連携を強化してまいります。
 また、参考となります介護サービス事業者の取り組み状況を公表するなど、よりよいサービスを提供する事業者の育成に努めるとともに、悪質な事業者には徹底した監査を行うなど、めり張りのある指導検査を行ってまいります。

○谷村委員 ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 介護保険制度の運用の面では、指定取り消しに至らないまでも、厳しい指導が必要な事業者がまだまだ数多く存在するとも伺っております。繰り返しになりますけれども、介護保険制度はこれからの高齢社会を支える重要な社会保障制度の一つであり、その信頼と安定の確保のためにも、ぜひとも東京都が全国の先頭に立って、その適正化対策を実施していただきたいと思います。
 私ども都議会公明党も、この介護保険制度の不正請求問題につきまして、本日のこの質問を皮切りに、これからも全力を挙げて取り組んでいく決意であることをさらに申し上げさせていただきまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○村松委員 平成十六年度の決算の質問に入る前に、先ほど、公明党の谷村議員の方から、介護保険法を日本共産党があたかも否定したかのような発言がありました。私は、本委員会で、日本共産党が介護保険を否定する発言がこれまであったかどうか、そのことを最初に伺いたいと思います。

○酒井委員長 局に聞いているの。答えられますか。

○吉川次長 私は、平成十二年の七月に、当時の介護保険室長という第二代の室長に就任しておりまして、その後、平成十三年四月に保険部長でございますので、過去の記憶をたどると、今は記憶力が大変悪くなっておりますから、全部をつまびらかに覚えておりませんが、共産党さんからは、平成十二年度当時、大変問題指摘があったのは、介護保険法というのは共同連帯というのが基本理念で設けられた法でありますけれども、その共同連帯というのを一番体現するのは、ある種保険料もしくは利用者負担という、被保険者の皆さんのご負担、それから国民のご負担でお年寄りの介護を担おうというふうな設計思想だったわけですけれども、共産党さんからは、当時の保険料の減免の問題、それから利用者の負担の減免の問題等々について大変批判も受けましたし、制度設計自体について配慮が足らないというふうなご批判を受けたような記憶が強く残っております。

○村松委員 私たちは、私も当時、平成十二年は都議会議員でした。私自身が本会議場で、この資料の一三ページにあります、生活困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減措置、これを提案した方なんですよ。一番先に都議会の中でこれを提案し、その後質疑がされて、その次の年の予算特別委員会の中で、石原知事が、介護保険が始まっても、人間がつくるものだから、それには限度があるということで、ようやく東京都がこれを、軽減措置を認める、こういう経過があるんです。介護保険の問題については、利用者の立場に立って、やはりよりよい介護、そういう立場で私たちはこの間取り上げてまいりました。ですから、公明党さんのいうように、最初から介護保険を否定する、そんなことは一度もありません。
 それから、十月一日から改悪された介護保険法、これは特別養護老人ホームに入っている方々の入所料と給食料が上がるなどの問題があって、私たちは改悪といっているわけです。
 その問題を一言指摘いたしまして、十六年度の決算の質問に入ります。
 東京都は石原都政のもとで、平成十二年度から福祉改革推進プラン、十四年度から福祉改革ステップ2を推進してきました。平成十六年度は、この福祉改革ステップ2の事業計画が終了した年に当たります。したがって、今回の決算は、これらの福祉改革の五年間がどうであったのかということが大きなテーマではないかと思います。
 作成していただいた資料から、福祉の予算及び決算の推移、最初のページにあるわけですけれども、これを見ますと、福祉改革プランが始まる前の平成十一年度と十六年度を比較いたしますと、福祉費の決算額は、五千三百八十七億八千二百万円が四千七百四十五億五百万円まで減っているんです。六百四十二億七千七百万円の減額となっております。一般会計に占める割合も、八・四%から、ついに八%を割り込んで、七・九%まで下がっております。健康費も、額、構成比とも後退しております。
 そこで伺いますが、平成十二年度から十六年度までに廃止された事業の数と事業費の総額はどうなっているでしょうか。

○野口企画担当部長 廃止事業数と、その事業費総額ということでございますが、廃止事業と申しましても、大小さまざまな事業がございまして、その中には、もともと単年度で終了する事業、それから一定期間を区切って実施している事業、それから新たな事業の実施に伴って廃止する事業、また別の事業と統合する事業などがございまして、どのような事業を廃止事業とするかを一概に決めることは困難でございます。
 そういう前提のもとで、あえて申し上げさせていただきますが、十二年度から十六年度までに終了したり運営を終えた事業につきましては、主なものを申し上げれば十八事業、七十三億円となります。ただ、一方で、新規に開始する事業もたくさんございます。そうした中で、全体を取り上げるのではなく、廃止する事業のみを取り上げて事業数や金額を議論することは、余り意味がないのではないかというふうに考えております。
 ちなみに、十二年度から十六年度に実施した主な新規事業について申し上げますと、三十九事業、約二百七十一億円となっております。

○村松委員 聞かれたことだけ答弁していただきたいんですが、実際問題、福祉局の予算がこれだけ減っているというのは明らかじゃないですか。高齢者いきいき事業のように、他の事業と統合されたものも一部含まれていると思いますけれども、高等保育学院の運営とか養育家庭センター、点訳・朗読奉仕員指導者等養成事業、老人福祉手当などが廃止されているわけです。
 それでは、次に、十二年度から十六年度までに廃止または民間移譲された都立施設、事業所の数はどうでしょうか。

○野口企画担当部長 廃止または民間移譲した都立施設、事業所数ということでございます。社会状況の変化や都民ニーズに的確に対応するためには、行政施策の不断の見直しが不可欠でございまして、施設、事業所につきましても、時代の変化に応じて、その役割やあり方を見直すことが必要であります。
 こうした基本的な考え方に基づきまして、第一に、業務の効率的、効果的な運営のために基幹事業所に機能を集約すべきもの、それから、第二に、地域の実情に応じたサービスを提供するため、身近な自治体である区市町村に業務を移管すべきもの、第三に、民間におけるサービスの充実や必要性等を踏まえまして、都が直接提供するサービスを見直すべきもの等々の視点から施設や事業所のあり方について検証を行いました結果、平成十二年度から十六年度までに四十三カ所を廃止、四カ所を民間移譲いたしております。

○村松委員 先ほどの廃止事業に含まれているものも一部にあると思いますけれども、伊豆山の老人ホーム、八王子、武蔵野、府中の高齢者授産施設、公衆衛生、豊島、大塚の看護専門学校、三鷹武蔵野、狛江府中、多摩東村山、秋川、村山大和の多摩の保健所五カ所と、それから病弱児童の成東児童保健院など、次々に廃止されてきております。
 もう一点、いわゆる経済的給付事業について平成十二年度に見直しがされましたけれども、重度心身障害者手当、心身障害者福祉手当、児童育成手当、老人福祉手当、心身障害者医療費助成、ひとり親家庭医療費助成、老人医療費助成いわゆるマル福、シルバーパスの支出総額、十一年度と十六年度、そしてその差額が幾らか、お示しください。

○野口企画担当部長 今挙げていただきました八項目につきましては、いずれも予算が減額になったものの事項でございますが、十一年度、十六年度決算の合計額を申しますと、平成十一年度決算額は九百九十八億二千百万円、それから十六年度決算額は六百七十八億二千四百万円、差額は三百十九億九千七百万円の減でございます。

○村松委員 それだけ現金給付が下がったということは、これはきちんとした事実なんですよね。これは経済的給付事業ですから、高齢者や障害者、ひとり親家庭にとって大変大きな負担になっております。
 しかも、今お答えいただいたのは十一年度と十六年度の差額ですから、この五年間の累計ということを考えれば、もっと大きな影響額になります。
 今まで見てきたほかには、私立の保育園などのサービス推進費補助、特別養護老人ホームの運営費補助、国民健康保険に対する区市町村や国保組合への補助を初め、削減された事業がたくさんあります。
 提出していただいた資料の福祉局予算、決算額の推移を見ると、すべての分野が決算額で減額となっています。
 この五年間に、六十五歳以上の高齢者人口は百七十六万人から二百十二万人にふえて、介護保険制度も始まったもとで、高齢者福祉が減っております。身体障害者手帳、知的障害者の愛の手帳の交付を受けている障害者は四十万人から四十五万七千人にふえているのに、心身障害者福祉費が減っております。
 少子化が一層深刻になり、次世代の育成支援、子育て支援がますます大事になっているときに、子ども家庭福祉費も減っております。生活保護を受けている人が十二万人から十八万人に大幅にふえて、都民生活が厳しさを増した中で、生活福祉費なども減っております。特別養護老人ホームの待機者、入所希望者が急増して四万人を超えて、老人福祉施設の整備率は全国最低、障害者施設の緊急整備も求められる中で、施設整備費は大幅に後退しております。もうこれ以上福祉費や健康費を減らす理由はありませんし、減らしてはならない。増額、拡充こそ必要です。
 また、予算を使い残した、いわゆる不用額も三百四十一億円と依然として高い水準にあります。積極的に補正予算を組んで、福祉の充実のためにきちんと使っていくことを申し上げておきます。
 そこで、具体的な問題について伺いますが、まず、目も耳も不自由な盲ろう者の通訳・介助者派遣事業の問題です。これは、福祉改革推進プランとステップ2で拡充事業に位置づけられてきましたが、当事者の皆さんは大変切実な問題を訴えております。
 その一つが、通訳・介助者の養成事業が十三年度に廃止されたことです。盲ろう者通訳・介助者養成事業を廃止した理由はどういうことなんでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 盲ろう者通訳・介助者養成事業についてご説明いたします。
 この事業は、東京都が平成八年度に国に先駆けて盲ろう者通訳・介助者派遣事業、養成事業を開始したものでございますけれども、国は、東京都におくれますこと五年でございますけれども、平成十三年度からこの事業を取り上げまして、その時点では、東京都はこの事業の再構築を行いました。
 その再構築を行う際に、東京都は、平成十三年度以降は盲ろう者通訳の派遣事業を拡大していこうと、養成事業につきましては団体に自主事業で取り組んでもらおうと、そういう役割分担、考え方を整理いたしました。そういう考え方に基づいて、現在、団体が養成事業、私どもが派遣事業を行っている、そういった事情でございます。

○村松委員 いわゆる役割分担だと、そういうふうにおっしゃりたいわけでしょうが、そうはいっても、団体の方は、NPO法人東京盲ろう者友の会ですけれども、納得していないんですね。毎年、都に提出されている予算要望書で、通訳・介助者養成講習を都が実施するように、そのことを要望しているわけです。
 先日も、みずから盲ろう者である理事長さんほか役員の方々のお話をお聞きしましたが、通訳・介助者の養成があって派遣ができる、養成と派遣事業は車の両輪だと。聴覚障害者の手話通訳養成も、中途失聴者の要約筆記者養成も都の予算がきちんと出ているのに、なぜ盲ろう者の通訳・介助者養成は都ができないのか、このように訴えております。
 他県の状況を見ても、派遣事業を実施しているところは、どこも養成講習会を県が実施しております。神奈川、千葉、埼玉、群馬、栃木を初め二十九県、政令市の七市が養成講習会を実施しております。こういう状況は東京都はご存じなんでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 盲ろう者通訳の派遣事業と養成事業の他県の実施状況についてのお尋ねでございますけれども、両方の事業をあわせて行っている県も多うございますが、一方で派遣事業のみを行っておりますのが、一つの県と四指定都市ございます。

○村松委員 先ほど私も紹介しましたが、派遣事業をやっている、それから養成講習会も行っているわけですね。
 養成講習は、役割分担で会が自主事業でやりなさいという都のいい分は、本当に成り立たないと思うんですよ。なぜなら、毎年五十人の養成講習を開くのに百万円もかかるんですね。皆さんは、百万円は東京都の予算からすれば大したことないというふうに思うかもしれませんけれども、この盲ろう者の皆さん、盲ろう者友の会の皆さんにとっては、百万円というのは本当に大きな額なんですね。
 その点で、百万円、これを講習をなぜできないのか、東京都がなぜそれを出そうとできないのか、そのことを私、もう一回聞きたいと思うんですが、どうでしょう。

○吉岡障害者施策推進部長 東京盲ろう者友の会に対しまして、私どもは派遣事業を委託しておりますけれども、それ以外に事務局の運営経費も年間七百万円ほど助成させていただいております。またさらに、団体が行う自主事業につきましては、東京都心身障害者福祉センターの専門職員を講師として派遣するなど、実質的にその自主事業を助成している、そういう事情でございます。

○村松委員 歴史的に東京都が他県から比べて先んじてやっていると、そのことについては私は評価しているんです。しかし、それがいまだに、今十分かどうか、そういう問題を私いっているんです。
 百万円というのが、先ほどいいましたけれども、本当に盲ろう者、本当に目と耳の不自由な人たちが日常的に生活するのにどれほど大変なのか。一人一人の対応が違うんですよね。手文字を書く人もいれば、いろいろな形で、指を押さえてやる人もいれば、そういう一人一人に合った通訳者が必要だということで、そういう人たちを養成することは、手話通訳とまた違った意味での困難さがあるんですよ。それをもっと応援して、東京都がやることが大事じゃないかというふうに思うんです。
 私は、ぜひ東京都としても、これを復活させていただきたいと、そのことを求めておきます。
 もう一つ切実な問題としては、通訳・介助者の派遣時間の問題です。十六年度以来、年間二万三千六百六十時間で頭打ちになっているわけです。ところが、この一年間に利用者は八人から九人ふえているんです。十六年度の利用者が六十六人ですから、一人当たり一日わずか一時間弱にすぎません。
 このまま年間派遣時間が据え置かれたら、一人当たりの利用時間がどんどん減ってしまいます。目も耳も不自由な盲ろう者は、通訳と介助者がいないと出歩くことができません。人とコミュニケーションをとることもできません。見えない、聞こえない世界の中で暮らしている盲ろう者にとって、通訳・介助者の派遣事業は生きる支えになっているんです。
 盲ろう者の皆さんは、せめて一人当たり一日四時間の派遣事業が必要だと訴えています。これは、ぜいたくな要望なんでしょうか。盲ろう者通訳・介助者派遣事業について、一人当たりの平均利用時間を充実できるように派遣時間数をふやしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 盲ろう通訳者の派遣時間に関するお尋ねでございますけれども、東京都は平成十三年から本事業の派遣時間数を順次拡大してきておりまして、平成十六年度には年間二万三千六百六十時間の派遣を行っております。これは、平成十二年度の九千六百八十六時間に比べ約二・四倍となっております。また、一人当たりの平均派遣時間数は約三百六十時間に達しておりまして、これは全国的に見てもトップクラスの水準となっております。

○村松委員 現在の派遣時間の確保では、一人当たりの派遣時間、これは利用者がふえれば、要は会に登録する人がふえればふえるほどどんどん減っていく、これが実態なんですよね。それで東京都はいいということなんですか。そのことをもう一度答弁してください。

○吉岡障害者施策推進部長 私どもは、必要な派遣時間数は十分に確保しておるというふうに考えてございます。

○村松委員 山形県や神奈川県、兵庫県、福岡県、長崎の五県、それから横浜市、川崎市、神戸、北九州の四つの政令市は、年間派遣時間の制限なしで実施しているんです。大阪府は、一人当たり一日三・二時間の派遣時間を確保しているんです。国に先駆けて盲ろう者通訳・介助者派遣事業を実施した東京都が派遣時間の拡大を進めていただくことを私は強く要望しておきます。
 次に、シルバーパスの問題です。
 提出いただいた資料の発行状況の推移にありますけれども、十二年度の全面有料化以来十六年度まで、七十歳以上人口に占めるパスの利用者の割合は五三・八%まで後退しております。以前は七割ぐらいの人が利用していたんです。東京都は高齢者の社会参加に必要だといっているわけですから、もっと使えるように改善を進めるべきです。
 私が住んでいる日野の市民から、一度に二万五百十円払うのは大変だから、半分ずつ買えるようにしてほしい、こういう要望がありました。これに対して、東京都福祉保健局の高齢社会対策部在宅支援課長がこういっているんですね。今後の見直しの際の参考にさせていただきたいと思います、お寄せいただいた貴重なご意見を参考に、シルバーパスをよりよい制度とするよう、本事業を実施している東京バス協会ともども努力している所存、このように返事を出しているんですね。ご本人のもとに届いているわけですが、十六年八月、昨年八月のことです。ぜひ、こうした都民との約束を真摯に実行されるよう強く求めます。
 多摩都市モノレールのシルバーパスの適用も、沿線住民の切実な要望です。シルバーパスを多摩都市モノレールに適用した場合の必要経費の見込みを示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 シルバーパスは、都営交通と路線バスを対象とするものでありまして、多摩都市モノレールへの適用については考えておりません。そのため、必要経費について検討したものはなく、お示しできるものはございません。

○村松委員 十六年度のシルバーパスの決算額は百二十四億円です。十一年度に比べたら二十八億五千七百万円減っております。しかし、この福祉保健局の予算、決算に出てくる数字は、都バスと民営バスだけしかありません。このほかに、区部にしか路線がない都営地下鉄と都電に対し、財務局から交通局にシルバーパスの補てんが支出されているんです。幾ら出ているかご存じですか。
 私は調べてみました。地下鉄が三十億二千二百万円、都電が三億四千六百万円、合わせて三十三億六千八百万円、これがそのほかに出されているんです。しかも、大江戸線が開通してから、十一年度に比べてほぼ倍になっているんです。私は、本当にこれは三多摩格差だというふうに思うんですよ。十一年度が、地下鉄と都電、合わせて十八億七千八百万円です。
 私は、これが、都営地下鉄とか都電に出しているお金が多いというふうにいっているわけじゃないんですね。せめて多摩住民が使う多摩都市モノレールには出す気がないのか、そのことを私はいいたいんです。余りにも不公平なんだ、そのことをいいたいと思います。
 多摩モノレールは一路線しかないんですから、びっくりするほど経費がかかるものではありません。私たち、毎年、予算要求あるいは議会の中で出しているんですよ。私たちは、五千九百万円あればできるって出しているんですね。都電の乗降客は一日当たり五万五千人、多摩都市モノレールは十万人なんです。シルバーパス所管局の福祉保健局として、多摩都市モノレール所管の都市整備局、そして財務局とぜひ検討を進めていただくよう強く求めておきます。(発言する者あり)
 次に、保健所統廃合について伺います。(発言する者あり)谷村さんね、モノレールにシルバーパスを求める請願の紹介議員になっているんです。
   〔発言する者あり〕

○酒井委員長 副委員長 、ちゃんと質問してください。
   〔発言する者あり〕

○酒井委員長 ご静粛に願います。

○村松委員 先ほどの廃止施設のところで触れましたが、十六年度に多摩地域の保健所が十二カ所から七カ所に減らされ、大きな問題になっております。精神障害者と家族の皆さんから、以前はよく訪問してくれたが、最近は、保健師に電話をしても不在のことが多くて、すぐに対応してもらえない、保健所が当てにできなくなったなどの声がたくさん寄せられています。難病団体の皆さんは、患者団体の要請、援助を以前はよくやってくれたのに、最近は少なくなったと訴えております。
 統廃合の結果、多摩府中保健所は、六市で山梨県の総人口八十九万人を上回る九十四万人を担当しております。西多摩の保健所は、二十三区とほぼ同じ面積を担当エリアにしております。保健師を初めとした保健所の専門職員の定数は、平成十六年度までの五年間に百人以上削減され、統廃合で広域化した中での監視業務や訪問指導は非効率この上ない、サービスは低下せざるを得ない、そういう声が現場から上がってきております。
 多摩地域の保健所は、きめ細かいサービスや敏速な対応ができるよう、保健師などの人材をふやすことや、多摩府中と西多摩に設置された分室の機能強化などを進める必要があると考えますが、どうでしょうか。

○杉村保健政策部長 多摩地域の都保健所は、広域的、専門的、技術的拠点として、新興感染症や食中毒などの健康危機に対応するとともに、住民に身近な保健サービスの実施主体でございます市町村に対し幅広い支援を行っております。
 今後とも、保健所機能の強化に向けて、職員の資質向上に取り組むなど、市町村との密接な連携のもとに地域の保健医療施策を推進してまいります。
 なお、先ほど、保健師等が減っているというご指摘ございましたけれども、これは住民に身近な保健サービスを市町村に移譲した、いわば市町村と適切な役割分担をした結果でございまして、市町村保健師は大幅にふえている状況はございます。

○村松委員 それは、都民の立場に立ってない物の見方なんですよ、上から、都庁から見ていっているだけの話で。だって、本当に精神障害の皆さん、あるいは難病の皆さんが東京都の保健所に電話しても、保健師さん、つながらないと。それから、例えば日野から多摩の永山の保健所へ行く場合だって、精神障害の方、物すごく不安を持っているんですよ。そういうこともわからないままの答弁だといわざるを得ないと私は思います。
 それから、職員の資質向上は大事な問題ですけれども、対象人口、面積に対してマンパワーが絶対的に不足しているわけです。市町村の支援について、精神障害者の対応など、市町村は経験ある人材が少なく、大きな課題があります。
 それに加えて、保健所に求められる役割と機能は、小さくなるどころか、広がる一方なんですね。保健所に求められる役割、機能は今後も広がる方向にあると思いますが、どういう認識を持っているでしょうか。

○杉村保健政策部長 多摩地域の都保健所につきましては、地方分権の進展や新たな健康危機管理事例への対応など、地域保健を取り巻く環境の変化を踏まえ、二次保健医療圏における総合的な保健医療施策の拠点として、平成十六年四月に再編整備したところでございます。
 今後の保健所の役割、機能につきましては、現在、国において健康危機管理機能の強化等について検討が行われており、そうした動向を踏まえながら適切に対応すべきものと認識いたしております。

○村松委員 鳥インフルエンザとか、あるいはSARS、西ナイル熱、ノロウイルスなど、感染症への対応はますます大事になっております。新型インフルエンザの大流行も警鐘が鳴らされております。川崎市では、最近ふえている二十四時間オープンの漫画喫茶での結核の集団感染が発見されております。
 介護予防、高齢者虐待、児童虐待、アスベストによる健康被害の相談と健診など、新たな役割が次々に広がってきております。孤独死や自殺予防も重要な課題になっております。
 厚生労働省は、平成十五年七月、ALS患者などの難病患者の在宅療養の支援について通知を出して、保健所における難病患者に対する保健医療、福祉等の種々のサービスの総合調整機能を充実強化することを求めております。
 こうした状況の中で、国は保健所の危機管理機能の強化等を検討しているのです。そうした動向を踏まえながら、適切に対処すべきものとの答弁がありました。ぜひ求められる保健所の役割、機能に照らして再検討を行い、拡充の方向で適切に対処することを求めておきます。
 最後になりますけれども、小児救急医療の問題です。
 平成十六年十月十五日付の日野市の広報なんですが、ここに日野市の広報があるんですけれども、ここでは、市立病院小児科が大変ですという市長と病院長連名の危機宣言が一面に掲載されているんですね。
 私たち日野市民は、このことに大変驚きました。昨年十二月ころは、これまでは一般外来や午後の特殊外来、夜間初期救急に加えて、昨年の十月から東京都の小児休日・全夜間診療事業を輪番体制で実施した矢先のことでもあって、訪問の先々で日野市立病院の小児科を心配する声で持ち切りでした。
 小児医療が危機に陥った理由というのは、研修医制度の実施によって、都内の大学病院から派遣されていた担当医師が十二月をもって引き上げるという通告があったためなんです。小児科の存続さえ危ぶまれる事態になっておりましたが、医師の確保などに努力して、常勤の医師三名を含めた六名の小児科医を確保して、夜間小児救急を週に一度、火曜日に行うことができるようになりました。また、水曜日、金曜日は、医師会にお願いして、準夜間で十一時まで初期救急に対応しております。
 しかし、依然として、人口十七万人の日野市が小児休日・全夜間診療の病院が一カ所もない。すなわち、二十四時間三百六十五日の小児救急に対応できる病院が一カ所もない空白地域です。この状況を打開する必要があると思うんですけれども、どうお考えでしょうか。

○丸山医療政策部長 都としては、休日・全夜間診療事業は二次保健医療圏を単位として体制整備を図ることとしております。なお、日野市を含む南多摩保健医療圏におきましては、六カ所の医療機関が休日・全夜間診療事業を実施しております。

○村松委員 第二次医療圏の中で六カ所あるからというご答弁でしたけれども、これは全く市のその実情を知らない答弁じゃないかなというふうに思うんですよ。例えば、日野市から町田の病院あるいは稲城の病院、それから比較的近いところが東海大の病院なんですけれども、それもやはり高幡の方からは遠い。そういう、地図を見れば真っ平らですから、山もなければ交通網というのもないわけですけれども、本当に実態のわからない答弁じゃないかなって私はいわざるを得ないんです。
   〔発言する者あり〕

○酒井委員長 ご静粛に願います。

○村松委員 そういう中で、病院そのものが少ない日野市では、市立病院で小児休日・全夜間診療事業を実施できるようにするしか打開策はないというわけですけれども、それはやはり東京都がもうちょっと応援してほしい、そのことを私は要望したいと思うんですが、やり方の問題として、日野市に近い東海大学の病院と、東海大学八王子病院と、日野市立病院との複数での実施を認めるなど、あらゆる工夫と努力を求めるものですが、どうでしょうか。

○丸山医療政策部長 先ほど先生のお話にありましたように、日野市立病院も十六年十月から三カ月間、まさに東海大学八王子病院と統合して一緒にやった時期がございます。先ほどの事情によりまして、日野市がある意味ではできなくなったというような事情ですけれども、本来、休日・夜間診療事業は、住民の方々にとってわかりやすいよう、毎日同じ医療機関で実施することを原則としております。しかし、小児科専門医の確保が難しいこともあり、地域の医療機関の実情も踏まえ、既に複数医療機関による輪番制も可能にするなど、柔軟な運用を行っております。

○村松委員 これまでも答弁があったように、私も日野市が八王子の医療センターと、それから東海大と、それから日野市の市立病院で輪番でやっていたということは承知しているんですが、またほかの方法も考えられるんじゃないかということも含めて、私はお願いしたんですよ。いろいろな輪番制の問題もあるでしょうけど、ほかの方法も一緒に考えてほしいと。私はそのことを前向きに対応していただきたい。
 これまでも日野の市立病院の小児救急医療の問題では東京都の方にお世話になりましたということで、日野市の担当者もいっておりましたけれども、ただ、ああ、そうですかというわけにはいかないんで、やはり日野市民の子どもたちの命を守るということが、私たちがやらなければならない、そういう仕事だと思うわけで、今のままでいいというふうに思わないで、ぜひ前向きに進めていただきたい、このことをお願いしておきます。
 それから、もう一つ、多摩市にある東京都保健医療公社の多摩南部地域病院も、平成十六年度、具体的には十七年の一月から、小児科の医師がやはり大学病院に呼び戻されて、小児科の入院対応を停止する事態になりました。当初は、四月までに入院を再開できるようにしたいとのことでしたが、小児科医を公募しても応募がないまま、いまだに事態が打開されておりません。いつまでに、どうやって入院ができるようになるのか、具体的に示していただきたいと思います。

○高橋参事 多摩南部地域病院におきましては、十六年四月の臨床研修医制度の導入の中で、全国的な小児科医師の不足の影響もあり、十七年一月以降、大学医局からの派遣が困難となっておりまして、小児科の入院診療が休止しております。
 現在、保健医療公社が全力を挙げ医師確保に努力しており、局としても支援しているところでございます。

○村松委員 ぜひ、ここの場所でも、日野市と同様に、この問題での努力、それを継続していただきたい、そのことをお願いして、私の質問を終わります。

○野口企画担当部長 済みません。先ほど決算の関係で、村松副委員長の方から、十二年度に比べ十六年度はすべての分野で決算額が減っていると、だから福祉のレベルは下がっているというふうなお話がございました。
 東京都では、利用者本位の新しい福祉を実現するために、平成十二年度以来、経済給付的事業など見直すべき事業を見直した上で、都民ニーズに適切にこたえるため、必要な施策に財源を集中的に投入しております。経済給付的事業の見直しによりまして、確かに医療費助成や手当などの決算額は減となっておりますが、例えば高齢者福祉や障害者福祉分野では、認知症高齢者や知的障害者のためのグループホームの整備や障害者の就労支援事業などの推進、子ども家庭分野では、認証保育所の整備推進、地域での子育てを支援する子ども家庭支援センターの設置促進、それから地域の実情に応じました基盤整備を支援する福祉改革推進事業、福祉サービス選択の仕組みづくりとしての第三者サービス評価システムの創設など、まさに都民ニーズに適切にこたえるための必要な事業の決算額は増となっております。
 また、この間、国の制度変更に伴います、児童扶養手当事務の区市移管や公立保育所運営費の一般財源化によりまして、三百億円以上の財源が都から区市町村に移管され、決算額は大幅に減少いたしております。さらに、福祉施策におけます国の制度は、介護保険制度や支援費制度など社会福祉の根幹をなします制度が改正されるなど、比較の前提となります諸条件が大きく変化しております。
 こうした状況におきまして、いわゆる中身を分析せずに、決算の数字のみで、いろいろ減少しているということのみをもって、福祉のレベルがどうこうというのは正確ではないというふうに考えます。

○村松委員 示していただいた、この資料、これが歴然としているんじゃないですか。そちらがつくったんじゃないんですか。こういう問題と、それから、いろいろいいわけをおっしゃいました。だけど、都民の目から見たら、高齢者の皆さんが、東京都のやっていることは本当に下がっていますよって、だれも思っているんじゃないですか。
   〔発言する者あり〕

○酒井委員長 静粛に願います。

○村松委員 シルバーパスが、ゼロだったのが千円、それが二万五百十円になっているし、寝たきりの高齢者の老人福祉手当はなくなっているし、高齢者の医療費、ゼロだったんじゃないんですか。それが今、一割負担になっているじゃないですか。
 それから、都政の歴史の中で、保育所を区市町村に移管したこともありました。保健所を二十三区に移管したこともありました。
   〔発言する者あり〕

○酒井委員長 副委員長 、質問ですか。

○村松委員 いろいろなことがあったけれども、その中でも福祉費や健康費は額をふやして、構成比率を高める努力を続けて積み上げてきたんです。そういう姿勢に立つのが、福祉保健局として当然のことだと私は思います。

○酒井委員長 副委員長 、意見の開陳ですか、今のは。

○村松委員 はい。反論です。

○酒井委員長 今の件について、ありますか。

○吉川次長 先ほど企画担当部長から数字的なお話はさせていただきましたが、いずれにしましても、福祉改革というのは、都民の皆さんからお預かりした税源を一円たりともむだにしないようにして、できるだけ時代にかなった、また必要な施策に重点投資しているわけです。その点をぜひ総合的な観点でご理解いただきたいということを申し上げたい。
 それから、機会をいただきましたので、もう一点だけ。
 先ほど、介護保険の社会福祉法人の軽減制度について、先生、我が党の提案で成立したといいますが、正確にいいますと、それは違います。当時の予算委員会で、あの制度は、国制度で根幹がありまして、そこについて、当時の自由民主党と公明党から、こういう改革をして、ぜひ横出し、上乗せをして充実しなさいというご提案があって、当局もその提案を受けとめて実施したものですから、ぜひ誤解のないようにお願いいたします。

○酒井委員長 この際、議事の都合により十分間休憩いたします。
   午後二時三十九分休憩

   午後二時五十分開議

○酒井委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○山口(文)委員 昨年度決算にも児童虐待について取り上げさせていただきましたので、今年度も触れさせていただきたいと思います。
 東京都の児童相談所の虐待相談件数が、資料によりますと、一九九九年に千九百四十件、年々増加して、二〇〇四年度には三千十九件と、約一・五倍に達しています。二〇〇〇年、児童虐待防止法が成立し、昨年十月一日から警察も相談窓口の一つとして、虐待に関する相談や通報を積極的に受け付け、関係機関と連携して児童虐待の防止に努めるよう、法の一部の改正で、こういった施行がされています。
 法の整備とともに、社会の認知が高まり、潜在していたものが表面化してきたことも増加の一因かと思いますが、児童虐待による事件が後を絶たない現実は、ますます深刻な社会問題になっていることを示しています。
 二〇〇四年度、虐待事件の検挙状況は、身体的虐待が百七十六件、性的虐待が三十九件、ネグレクトが十四件、総数が二百二十九件と、その前年の百五十七件を大きく上回っています。同じ二〇〇四年度でも、死亡事件も、殺人が十九件、傷害致死が二十二件、ネグレクトが五件、さらにもうちょっと、何というんですか、傷害致死でも非常に異常な状態でというものも含めますと、総数が四十九件ということで、これも、その前年の四十一件から見ると増加をしています。
 こうした背景を東京都はどのようにとらえているのか、伺いたいと思います。

○都留少子社会対策部長 東京都の児童相談所における児童虐待の相談受理件数は、平成十六年度の状況で見ますと、児童虐待防止法が施行された平成十二年との比較では、お話のとおり一・五倍、十年前の平成六年度と比較した場合では、約十四倍となっております。
 この要因としては、都市化に伴う核家族化の進行に伴い、特に母親への育児負担が過重になっていること、また、近隣関係の希薄化などを背景として、家庭や地域の子育て力が低下し、その結果、周囲からの親の孤立や子育て不安を引き起こし、児童虐待へとつながっていることが考えられます。また、児童虐待への関心や意識が高まってきたことも大きな要因として考えられます。さらに、近隣住民の気づきや発見が虐待の顕在化につながっており、発見者に通告義務などを課した児童虐待防止法の施行が、これをさらに推し進めているものと考えております。
 児童虐待防止法が施行されました平成十二年度以降の状況を詳しく見ますと、対前年度増加率で、平成十二年度、四八%、十三年度、三一%の増加となっており、十四年度には一たん一八%減少しているものの、その後は再び増加し、十五年度は一二%、十六年度は二四%の増加となっております。
 この間、全国では一貫して増加傾向ですが、都において平成十四年度に減少に転じているのは、都独自の取り組みである子ども家庭支援センターの設置が進み、区市町村における相談体制が整ってきた結果であると分析しております。平成十五年度以降に再び増加に転じたのは、平成十六年一月に起きた大阪府岸和田市の中学校三年男児の虐待事件や、同じく十六年九月に起きた栃木県小山市の幼い兄弟の虐待死事件が大きく報道され、児童虐待通告に対する社会の認識が一層高まったことが影響していると考えられます。
 一方、ここ三年間の虐待相談の処理件数を見ますと、虐待ではなかったものも全体の約四分の一程度を占めております。このことは、児童虐待に対する都民の意識の高まりが反映されたものと考えております。

○山口(文)委員 非常に背景としては、さまざまな社会的な問題があるかと思いますが、ご指摘のように、家庭の問題といっても、私どもはやはり日本の中で、戦後、人権教育がきちんとできてこなかったんではないかというふうに思っています。特に、子どもの人権ということもなかなか認められないような状況の中で、こうした人権教育がきちんと行われなかった、そのことが一番の根底にあるのではないかというふうに私たちは考えておりますので、引き続き子どもの権利条例などの制定も東京都に提案していきますが、もう一つ、親になるプログラムというのが、地域でも幾つかの自治体で実践しているかと思います。
 今の時代、初めて自分の子どもを持って、赤ちゃんを初めて抱いたというような若いご夫婦もたくさんいらっしゃると思うんですけれども、高校生ぐらいのときから、実際にボランティアの方にお願いして、赤ちゃんと接する時間を、きちっとしたプログラムを組んで提供しているというようなことも、学校教育の中でも取り組んでいけたらいいのかなというふうに考えています。
 こうした背景をもとにしまして、区市町村において、虐待に対応する先駆型子ども家庭支援センターの設置の状況を見てみますと、昨年度、八区市という状況のようですが、二〇〇七年度までに全四十九区市に設置するということですが、現状と今後の計画について伺います。

○都留少子社会対策部長 都はこれまでも、地域における児童虐待防止の取り組みを一層推進するため、区市町村における総合的な相談支援の拠点としての役割に加え、家庭における児童虐待防止のための機能も付加した先駆型子ども家庭支援センターの設置を促進してまいりました。その結果、本年十月一日現在、二十の区市に設置されております。
 本年四月に策定した次世代育成支援東京都行動計画では、お話のように、平成十九年度までにすべての区市での設置を目指しており、都では、この目標達成に向け、区市に対して今後とも強力に働きかけてまいります。

○山口(文)委員 児童相談所における児童虐待に関する相談が激増する中で、当然、一時期、親と引き離さなければならない子どもの受け皿、一時保護所の確保が必要かと思いますが、現状について伺います。

○都留少子社会対策部長 現在、児童相談所に付設した一時保護所が五カ所あり、定員総数は百二十八名でございます。平均入所率は、平成十六年度の実績で九八・〇%、十七年度の九月末では九八・二%となっております。このような状態に対応するため、現在、練馬区石神井台に受け入れ枠四十人の規模の一時保護所を建設中でございます。

○山口(文)委員 大変どこも満杯状況ということで、厳しい状況だと思いますが、昨年六月から、都は必要に応じてNPOなどと連携して一時保護委託をしていると聞いています。委託状況がどうなっているのか伺います。

○都留少子社会対策部長 虐待の防止や、虐待を受けた子どもたちへの支援をさらに強化していくためには、相談、支援を実施しているNPOなどの民間団体との連携協力が有意義であると考えております。
 都は、平成十六年六月から、施設での集団生活になじめない子どもの保護をNPO法人に委託する取り組みを始めております。十六年度は九人、延べ百二十三日、十七年度では九月末現在で七人、延べ三百十六日、委託しております。
 なお、一時保護委託の際には、所定の委託経費をお支払いいたしております。

○山口(文)委員 こうした委託経費も、国の制度によるものかと思いますが、大変低いということで、東京都としても今後国にも働きかけていただきたいし、また、こうした先行的に行ってきたNPOなどとの連携も今後も強めていただきたいと思います。
 それから、虐待を受けた子どもでも、その後の家庭環境が改善されるなどの状況があれば、当然子どもが家庭に帰れるよう、児童相談所としても支援していくべきと考えます。二年前から、児童相談所には家庭復帰支援員が配置されていると聞いています。どのような取り組みを行っているのでしょうか。

○都留少子社会対策部長 子どもを虐待した親から分離した場合でも、可能な限り家族として再び一緒に暮らせるように取り組んでいくことが重要でございます。しかしながら、現実では、一たん分離した親子を再び家庭で暮らせるようにするためにはさまざまな困難が伴います。このため、都は、平成十五年度に全国に先駆けて、すべての児童相談所に家庭復帰支援員を配置しております。児童福祉司とともに、児童虐待などによりまして施設に入所した子どもを早期に家庭に復帰させるため、親と子の双方に対し、継続的かつ専門的なケアを実施しています。
 具体的には、子どもに家庭に復帰するかどうかの意思確認をいたします。保護者に対しては、養育能力を向上させるための指導や就労支援、子どもの受け入れに向けた家庭環境の改善指導などを実施いたします。また、家庭復帰後の民生、児童委員や子ども家庭支援センターによる見守り、支援の体制を整えるとともに、家庭復帰支援員みずからも家庭訪問を行うなど、きめ細かな支援を行っております。

○山口(文)委員 当然、児童相談所ではこうした虐待だけに対応しているわけではないので、こういう虐待がさらに増加する中では、児童福祉司、児童心理司、児童虐待対応協力員、家庭復帰支援員などが対応に当たっているということで、極めて多忙になっているというふうに聞いております。児童虐待について十分な対応をするために、都はどのように取り組んでいるのか、伺います。

○都留少子社会対策部長 都は児童虐待に迅速かつ機動的に対応するため、平成十四年度から平成十七年度の間に児童福祉司を百六人から百四十九人へ四十三人の大幅増員を行いました。加えて、これまで専門的な知識、技術を持つ人材を活用するため、虐待の相談に対する児童虐待対応協力員、児童福祉司と連携して児童の家庭復帰を支援する家庭復帰支援員、養育家庭を支援する養育家庭専門員、これらを各児童相談所に非常勤職員として配置するとともに、五カ所の一時保護所に非常勤の心理職員を配置するなど、スタッフの充実に努めております。
 また、平成十五年度には児童相談所情報管理システムを導入し、相談業務の事務の効率化も図ってきております。

○山口(文)委員 これは昨年にもちょっと要望させていただいたかと思いますが、一人当たりのこうした指導員の人たちの受け持つ子どもの数というのは、やはり日本の場合非常に多くて、欧米などに比べれば数段過重な労働になっているのではないかというふうに思っております。東京都としても、年々少しずつ努力をされてきているということですけれども、ぜひ今後ともしっかりとやっていただきたいと思います。
 それから、現状では、養護を必要とする子どもの約八〇%が施設で生活し、そのうちの約五〇%が虐待を受けた子どもといわれています。特にこの虐待を受けた子どもたちの対応については、ああいう大きな施設で大人数の中で生活するよりも、より家庭に近い生活環境である養育家庭、ちょうど昨年度でいいますと登録が三百五十五、委託家庭数が二百二十四となっていますが、こういうより望ましいといわれております養育家庭、あるいはまた東京都専門養育家庭も積極的にふやしていくべきではないかと思いますが、どのように取り組まれているのか、伺います。

○都留少子社会対策部長 都は、虐待を受けるなどの社会的養護の必要な子どもが家庭的な環境のもとで温かい愛情に包まれながら育つよう、里親制度の中で都が積極的に推進している養育家庭制度を、児童養護施設のグループホームとあわせ家庭的養護の拡充として、次世代育成支援東京都行動計画の重点的取り組みの一つに位置づけております。
 計画では、この家庭的養護の割合を平成十九年度までに社会的養護全体の三割にまで高める目標を設定しております。お話しのように、養育家庭や専門養育家庭については、担い手となる家庭をふやしていくことが重要でありますことから、東京都独自に十月と十一月の二カ月間を里親月間と位置づけ、開拓の強化を図っております。
 具体的な取り組みとしましては、啓発ポスターを区市町村の窓口や飲食店、理容院、美容院などへ掲示するとともに、月刊誌の五誌への募集広告の掲載、養育家庭自身による子育て体験発表会の実施など、集中的に啓発活動を展開しております。
 また、子どもを安心して受託できるよう、各児童相談所に専任の職員である養育家庭専門員を配置するとともに、担当の児童福祉司を指定しまして、これらの職員を中心に、定期的な家庭訪問や児童相談所との交流の促進も図っております。今後とも目標達成に向け、啓発活動の一層の充実を図るなど、積極的に取り組んでまいります。

○山口(文)委員 養育家庭の推移を見ると、登録も実績も微増というふうになっていますが、やはり虐待など、心にも大きなダメージを受けた子どもへの対応はかなりの専門性が求められます。研修及びレスパイトなど、フォロー体制についてどのように行っているのでしょうか。

○都留少子社会対策部長 虐待を受け、心に深い傷を負う子どもが多くなっている今日、養育家庭の養育力の向上も重要な課題となっております。このため、平成十七年度から、新規登録時や子どもを受託した後の研修を、NPO法人、東京養育家庭の会に委託して実施しております。その際、養育家庭の里親さんが受講しやすいよう子どもの保育を確保することや、休日に研修を実施するなど、きめ細かな配慮も行っております。また、平成十五年度から、養育家庭が一時的な休息をとれるよう、レスパイトケア事業を実施するなど、フォロー体制の充実に努めております。

○山口(文)委員 済みません、ちょっとレスパイトケアについて具体的にご説明していただけたらと思うんですけれども。

○都留少子社会対策部長 レスパイトケア事業の概要についてご説明いたします。
 この事業の目的でございますけれども、里親さんに対して一時的な休息をとれるよう援助し、養育の負担の軽減をすることを目的としております。
 レスパイトを利用する場合ですけれども、一時的な休息のほかに、冠婚葬祭、疾病など、社会的な事由あるいは養育家庭や養子縁組の里親の方が一時的に委託児童を養育できない場合に利用していただけます。
 子どもの受け入れ先でございますけれども、委託児童は乳児院ですとか児童養護施設、その他の養育家庭に一時的に預かっていただくようになっております。また、顔見知りの養育家庭などで預かっていただくこともできます。これらのご相談はあらかじめ児童相談所にご相談いただくことになっております。
 利用日数は一家庭当たり年間七日を限度ということになっております。利用料は無料ですけれども、受け入れ先には所定の金額が支払われるようになっております。

○山口(文)委員 ありがとうございます。ちょっとそれを具体的に伺ったのは、やっぱり支援体制というのが非常に重要で、実は私もイギリスなどで行われている、これは障害を持つお子さんの家庭をフォローする第二の家庭というような形で、日本語でいえば代替家族というんでしょうかね、そういった人たちが、年間の例えばクリスマスの時期だとか、日本でいったらお正月の時期などに何日間か一緒にということで、親御さんの生活を少しフォローするという仕組みがあると聞いていますので、私はこの養育家庭の方たちにも、もう一つのフォローするような、例えば実数を見ますと、登録されている家庭でも委託がなかなか受けられない家庭なんかと、日ごろも多少の行き来などをしながら、そうした人たちがまた、そういったことで年間七日間だけというのでなく、ちょっと預けられたというか、もう一つのおばさんのところに遊びに行くというような感じで子どもが利用できるというような仕組みができるとまたいいかと思いますし、フレンドホームというようなこともかつて東京都ではやっていられるというので、そういったことももう少し柔軟に広く活用して、こうした家庭的な養護というものが広がるようにしていただけたらと思っています。
 それからもう一つ、研修ということも非常に重要だとは思いますけれども、やはりこの虐待というような、本当にいろいろな経験をした子どもたちを受け入れるのにはやっぱりこういった専門的な、医療、保健といった連携をしながらフォローする体制が今後は求められるのではないかというふうに考えています。
 また、家庭的な存在としては、グループホームも一つあるかと思います。都はこれも積極的に推進していると思いますが、現状を伺います。

○都留少子社会対策部長 児童養護施設のグループホームにつきましては、先ほどもお話ししましたように、次世代育成支援東京都行動計画の重点的取り組みの一つに位置づけ、積極的に推進しております。平成十六年度末に四十一カ所であったものを十七年度は十五カ所ふやし、五十六カ所とする予定でございます。

○山口(文)委員 また、もう一点、虐待をしてしまった親へのフォロー、親の更生について都はどのように考えているのか、伺います。

○都留少子社会対策部長 児童相談所は、子どもを虐待した親から分離する措置をとる場合がございますけれども、可能な限り家族として再び一緒になって暮らせるよう、家族再統合に向けて取り組んでいくことが重要でございます。家族再統合の取り組みは、虐待によって子どもが受けた心の傷へのケアとともに、虐待したことを認識せず、意に反した分離による怒りや被害感、喪失感を持つ親に向き合い、家族機能の回復に向けた支援をしなければならず、多大な時間と労力を費やさなければなりません。
 都のすべての児童相談所では、平成十三年度から、児童虐待を行った保護者に対して精神科医の助言を得てカウンセリング等の計画を立て、効果的な家族再統合に向けたケアを行う児童虐待カウンセリング強化事業を実施しております。また、平成十四年度から、親子分離をした子どもと保護者を対象に、児童相談センターにおきまして家族再統合に向けたグループ療法を実施しております。

○山口(文)委員 根本的な解決には、やはり親御さんにもきちんとした更生のプログラムなどがつくられて、ある意味では法的にもこれを受けなければならないぐらいの法の位置づけがなければ難しいのかなと思いますけれども、今後ともぜひ努力をしていただきたいと思います。
 こうした虐待ですけれども、何といっても、起きてしまうよりも、未然に防ぐというのが重要かと思います。こうした未然防止の観点から、子育てを孤立させない地域での子育て支援が求められています。今年度新たに実施されている要支援家庭の早期発見、予防事業なども有効なシステムとして期待していますが、既に二年前から都が取り組まれている産後支援ヘルパー事業が拡充されつつあるとせんだっての事務事業質疑でも伺っております。この事業をさらに地域に広げていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○都留少子社会対策部長 平成十六年度までは、産後支援ヘルパー事業を子ども家庭在宅サービス事業の一つとして実施してまいりました。平成十七年度からは、支援対象を、これまで出産後に限られていたものを、出産前からの支援が必要な家庭まで拡大した育児支援ヘルパー事業として事業の充実を図りました。この事業は先駆型子ども家庭支援センターの必須事業と位置づけており、今後センターの設置促進とともに本事業の実施拡大について積極的に区市町村に働きかけてまいります。

○山口(文)委員 ありがとうございました。
 では次に、障害者の就労支援について何点か伺いたいと思います。
 二〇〇二年から実施されている障害者地域生活支援緊急三カ年施設整備が本年度をもって終了となりますが、二〇〇四年度までにグループホーム、通所施設、ショートステイなど、地域への生活が進められています。本年の三カ年終了時にほぼ計画が達成されるというようなことも聞いています。施設や病院生活から地域での生活へと福祉政策が転換したことは、ノーマライゼーション社会へと前進させるものとして評価をするものです。
 さらに、国においては、身体、知的、精神の三障害を一本化し、サービスを一体で進める方向を打ち出しています。間もなく障害者自立支援法の法案が可決されるともいわれている中で、利用料金の定率負担が生じることが争点になっているかと思います。こうした経済的な問題には、自立を含め、働く場の確保が重要な課題となります。
 東京都では、平成十二年度から区市町村障害者就労支援事業を三年間のモデル事業を経て十五年度から本格実施されています。事業の現状はどのようになっているのか、伺います。

○吉岡障害者施策推進部長 区市町村障害者就労支援事業でございますけれども、この事業は、障害者の身近な区市町村において就労面と生活面の支援を一体的に行うことにより、障害者の一般就労を促進していくものでございます。事業開始時の平成十二年度は、実施地区は一区のみ、就職者は一年間で六人でございましたが、平成十六年度は二十四区市まで拡大し、本事業による企業への就職者は五百七十二人となり、毎年前年を上回る実績を上げてございます。

○山口(文)委員 障害者自身の働きたいという意欲と現場の支援職員などの努力により、就職者数も少しずつ実績を上げていますが、景気の変動をもろに受ける障害者の雇用は大変厳しいものもあるかと思います。努力して就職した障害者が継続して安定した就労ができるように、障害者就労支援センターはどのような取り組みあるいはまた支援を行っているのでしょうか。

○吉岡障害者施策推進部長 一般就労した後も障害者が安心して働き続けるために、定着支援はとても重要なことであると考えてございます。障害者就労支援センターでは、就労支援コーディネーターが障害者の能力や適性に応じた職場開拓や職場実習支援などを行うとともに、継続的な職場訪問や助言を実施しております。また、生活支援コーディネーターは、日常生活や社会生活上必要な生活支援を担い、企業の雇用管理では対応し切れない生活面での支援を行うことにより、障害者が継続して働き続けられるような支援を行っております。
 また、障害者就労支援センターにおきましては、区市ごとに設置されておりますけれども、地域別のネットワーク化を図り、それぞれのブロック会議などの開催を通しまして、区市町村を越えた広域的な支援に取り組んでいるところでございます。

○山口(文)委員 次世代育成支援東京都行動計画にも、障害を持つ子どもたちへの民間活力との連携による就労支援が盛り込まれています。現状、養護学校卒業生のうちの一般就労する知的障害者は全体の三割弱にすぎず、約六割の人は通所授産施設や小規模作業所などの福祉的就労の場を利用しているということです。養護学校卒業生の一般就労を促進するためにも、養護学校と地域の障害者就労支援センターの連携が必要と考えますが、どう取り組まれているのか、伺います。

○吉岡障害者施策推進部長 障害者の就労の機会を拡大していくためには、障害者就労支援センターが地域のさまざまな機関と情報交換や支援方法の共有化を図ることが重要となっております。そのため、地域の実情に応じ、養護学校を初めハローワーク、地域の福祉施設、商工団体などとの連絡協議会を設置するとともに、養護学校在学中から職場開拓や企業実習などについても障害者就労支援センターと養護学校の進路担当職員が連携し、取り組んでおります。

○山口(文)委員 先日発表された東京都障害者施策推進協議会からの中間の提言では、障害者が当たり前に働ける社会の実現が今後の東京都の障害者施策の目標として掲げられています。障害者雇用促進法の改正により、十八年四月からは精神障害者も新たに雇用率の算定対象となります。また、障害者の就労に対する期待が非常に高まっている中で、就労支援センターの支援を希望する方もますます増加していくと思われますが、今後、この事業にどう取り組んでいくのか、伺います。

○吉岡障害者施策推進部長 区市町村障害者就労支援事業を現在都内の未実施の区市においても取り組んでいただけるよう、今までの実践例と成果を示しながら積極的に働きかけまして、都内の全区市に拡充してまいりたいと考えております。
 また、通所授産施設や小規模作業所を利用している障害者が、福祉施設においてでなく、企業内で一般就労に近い働き方をする施設外授産の活用による就職促進事業や企業内通所授産事業など、新たに開始した事業とも連携をいたしまして、働きたいという障害者のニーズに積極的にこたえてまいります。

○山口(文)委員 この区市町村の障害者就労支援事業というのは、東京都も精神障害者も含めた支援ということで、一歩先んじた事例として大変評価をしたいと思います。
 あと事業所もですね、障害者を雇用する雇用率も一定程度、あれは規模が五十六人以上のといったそういう規模がありますけれども、中小企業などでもたくさん障害者の方を雇っていらっしゃる方もいますし、それから、私、先日お目にかかった方は、養護学校の先生をされていて、今、練馬区でケーキの店を一人でやっておられます。それは、自分がお菓子をつくるのが好きで職業をかえたということもあるんですけれども、養護学校で教えていて、学生を、生徒を送り出した後、なかなか社会の中で働く場がないということで、自分がそういうお店を持ったら、一緒に仕事ができる、そういう場ができるんじゃないかと思って、雇用を一緒に、自分の教え子を雇いまして一緒に仕事をしてきたんですけど、やっぱり一人で手づくりの小さなケーキ屋さんですので、なかなか自立ができるほどの給料を払い切ることができなくて、結局、彼女の先のことを思えば、一般就労に、もうちょっときちっとした就労につなげなければいけないということで、実はお店をやめて、ほかの職場を探したというような例もありますので、こういった本当に中小企業ですとか、それから、小さな個人の経営者というようなところでも、そういう意識のある方もいると思います。ぜひ産業労働局と連携をしながら、今後も障害者の就労支援、今後ますます重要になるかと思いますので、取り組んでいただきたいと思います。
 終わります。

○吉原委員 それでは若干質問させていただきたいと思いますけれども、これまでにも厚生委員会の方でもさまざまな質疑があったというふうなお話もお聞きしておりますし、この場でも多岐にわたってさまざまな質疑がなされたわけでありますけれども、私は、とにかく行政の制度上ですね、運用するに当たって、やっぱりそれを運用する側にとっての不公平感があったらこれはいかぬなというふうに思っているわけでございまして、そんな意味でいうと、シルバーパスの事業について、その一つであろうと私は思っているわけでございまして、何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 もう当然ではございますけれども、このシルバーパス事業、高齢者の皆さんの社会参加を促す、そしてまた福祉の向上をそれに伴ってふやしていく、こういうことが目的とされているわけでありますけれども、十六年度も七十歳以上の皆さんは都内には百四十三万人強おられるようであります。それに加えて、千円パスを利用される方あるいは二万五百十円パスを利用される方、合わせて七十二万五千強いらっしゃるということでございますので、都内の対象者の約半分の皆さんがこれを利用していただいている、こういうことになるわけでございまして、そんなことを考えると、やっぱり東京も都県境というのが当然のことながらあるわけでございまして、そういうそれぞれの都県境に隣接する地域に住んでいる、このパスを利用していただいている方々がたくさんいらっしゃるんだろうと思います。
 私の住んでいる町田市であっても、ご案内のとおりでございますけれども、七〇%も八〇%にも及ぶぐらいの神奈川県と隣接をしているわけでございまして、当然のことながら利用をしていただいている方々がたくさんいらっしゃるわけであります。そんなことを考えると、その不公平感というものがもしあるとすれば、早急に正していただきたいなと、こういう思いをしているわけでございまして、それに当たって、ちょっと確認の意味で大変恐縮でございますけれども、町田を走るバス路線ですね、幾つあって、神奈川県側に走るバス路線が何線あるのか、お尋ねいたします。

○長谷川高齢社会対策部長 町田市内を走行するバス路線はおよそ百六十路線ありまして、そのうち、起点または終点の一方が町田市内、もう一方が神奈川県にある路線がおよそ六十路線でございます。

○吉原委員 ご案内のとおり、例えばの話でありますけれども、当然のことながら都県境のところは町田だけではないわけでありますけれども、町田の場合も今お話しいただいたとおりでございまして、かなりの路線が神奈川と相互運行をしていただいている、こういう状況にあるわけであります。そんなことを考えると、やっぱり町田の市民の皆さんは最寄りの駅が他県に位置している。そのために利用者が必要上、そこをどうしても利用せざるを得ない状況があるんだろうと思います。そのことがあるのかないのかお尋ねするとともに、全都における対象となる路線数、そしてまた二十三区と三多摩の場合は地理的条件が大分違っているわけでございまして、そのことも含めて、それぞれどのぐらいの路線数があるのか、お尋ねいたします。

○長谷川高齢社会対策部長 まず第一のご質問でございますけれども、先ほどお話ししましたように六十路線あるということで、かなりの部分があるということでございます。都内全域でございますと、百六十路線が都県境といったらいいんでしょうか、百六十路線ございまして、そのうち約百路線が多摩地域に路線としてございます。大体六割程度が三多摩地域にあるということになります。

○吉原委員 六割程度そういう状況にあるということでございますけれども、やっぱり多摩地域と、先ほど申し上げたように、二十三区の利用者の皆さん、その利用価値というのが、全くといっては失礼かもしれませんけれども、大きな差があるんだろうと思います。いろんな状況の中、今までお話しいただいた中にも、やっぱりいかにそういうところの地域の皆さんが不公平感--今お話だと、多分町田から神奈川に行く場合に、どうしても先ほど申し上げたように乗らなければならない。その必要があって利用しなければならない場合に、神奈川県分にまたがった分については別個に払わなければならないわけでございまして、そんなことを考えれば、やっぱりその地域によって不便な状況に置かれている。このことは皆さんにもご理解をいただけるんだろうと思います。そういうことについて、行政の皆さんとしては、私自身は大変な不公平感というものがそこにある、そういうふうに思っているわけでありますけれども、そのことについてはいかがでしょうか。

○長谷川高齢社会対策部長 シルバーパス事業は、高齢者の社会参加の促進を目的といたしまして、都の区域内の路線バスと都営交通を利用できるものとしているところでございます。また、地域によりましてバス路線の整備状況や都営交通の有無などさまざまな事情が異なっているということを承知しております。町田市内には他県とまたがる、先ほど申しました六十路線、バス路線が多くございまして、お話しのように他県内の走行部分についてシルバーパスを利用できないという状況がございますことは承知しております。

○吉原委員 シルバーパスを利用できない、その地域があるということは承知をしている、こういうお話をいただいたわけでございますけれども、まあ何といいましょうかね、制度を運用するに当たっては、先ほど冒頭にも申し上げたように、不公平感のない形で運用していただくことがやっぱり大前提になるんだろうと思います。そんなことを考えれば、私たちの町田市においても神奈川と接している部分がたくさんあるし、そこに乗り入れている部分がたくさんあるわけでございますので、ぜひそういった不公平感というものを是正してもらいたい。こういうふうに思っているわけであります。強くそのことを要望させていただきたいと思いますけれども、そのことについて見解だけ伺っておきます。

○長谷川高齢社会対策部長 ただいま副委員長からのご要望につきましては、課題の具体例として受けとめさせていただきたいと思います。

○酒井委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○酒井委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉保健局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時三十四分散会

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