各会計決算特別委員会速記録第一分科会第三号

平成十七年十月十九日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十名
委員長服部ゆくお君
副委員長長橋 桂一君
副委員長大津 浩子君
伊藤 興一君
原田  大君
高木 けい君
崎山 知尚君
近藤やよい君
いのつめまさみ君
松村 友昭君

 欠席委員 なし

 出席説明員
出納長室出納長幸田 昭一君
副出納長島田幸太郎君
副出納長牛山 幸彦君
参事細野 友希君
選挙管理委員会事務局局長渡辺日佐夫君
主税局局長菅原 秀夫君
総務部長三橋  昇君
税制部長川村 栄一君
税制調査担当部長宮下  茂君
参事橋本 隆之君
課税部長松田 曉史君
資産税部長安田 準一君
徴収部長吉田 裕計君
特別滞納整理担当部長齊藤 吉民君

本日の会議に付した事件
平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  出納長室関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)
  選挙管理委員会事務局関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)
主税局関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都地方消費税清算会計決算(質疑)

○服部委員長 ただいまから平成十六年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、出納長室、選挙管理委員会事務局及び主税局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより出納長室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都一般会計決算中、出納長室所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○近藤委員 平成十八年度から導入されます公会計制度について何点かお尋ねしたいと思います。
 せんだって東京都会計基準というものが発表されまして、十八年度からの複式簿記の本格導入に向けて着々と準備をされていることはよくわかるのですけれども、今回いただきました決算説明書の八ページの中に、平成十六年度の財務会計システム再構築ということで、九億三百万余が支出されております。この財務会計システムの再構築に係る費用というのが、この複式簿記の導入に向けての準備に係る単年度の経費というふうに考えておりますけれども、平成十五年度から始まったこれに係るシステムの再構築の経費ですけれども、来年度、実際の導入までの、つまりシステム全体の導入に当たってはどの程度の予算を考えていらっしゃるのでしょうか。まず伺います。

○島田副出納長 新たなシステムの構築経費の推移でございますけれども、十五年度の決算で一億四千四百万余円でございます。それから、十六年度の決算で、今先生おっしゃいましたように九億三百万余円でございます。十七年度、現年度は、予算額でございますが十一億八百万余円、総計いたしまして二十一億五千六百万余円というふうに考えております。

○近藤委員 公会計制度、複式簿記の導入というのは、早い時期から知事も至るところでその導入についてお話しされてきましたので、システムの構築、いろいろ難しい点もあるかと思いますけれども、また一般の企業会計にはない、例えば道路をどのように評価するか、橋をどのように評価して財務諸表に載せてくるのかといった、いわゆる一般会計にはない、会計基準にはないさまざまな取り決めが出てくると思いますので、試行錯誤の中でそれを進められているかと思います。
 この複式簿記が入ることによって、今までわからなかったいろいろな数字が、東京都の財政に係る数字が見えてくるということはいわれておりますけれども、例えばまず一点だけ伺いたいのは、土地について一つ例にとって伺いたいと思います。
 ことしの一定の予算特別委員会の中でこの件についてご質問をしたときに、財務の担当の理事者が、たとえ石原知事であっても、いわゆる公営企業会計も含めた東京都の資産について、どこの局がどれだけ土地を有しているかということを総体として理解している人はまずいないのじゃないか。ただ、この複式簿記が入ってくると、そういったことも含めて東京都が持っている財産の資産について一目瞭然に明らかにすることができるのだというふうにおっしゃっておられましたけれども、今財務の方には、財務局が所有している普通財産としての土地のデータ、TBSというのでしょうか、システムで管理していらっしゃるということでございますけれども、実際に十八年度からこの複式簿記の会計が入りますと、今までわからなかったどういうことが、具体的に土地についていえばわかるようになるのでしょうか。どういう情報を提供することができるようになるのでしょうか。

○細野参事 新たな公会計制度におきましては、土地バンクシステム、今先生がおっしゃったTBSですが、ここから財産に関する情報を取り込んで財務諸表を作成していくことになります。これまでの面積などの規模に加えまして、資産の総額も明らかにしてまいります。例えば、先ほど道路という話もございましたが、従来は資産価値が明らかでなかったそういう道路などにつきましても、その価格を貸借対照表に計上してまいります。個別の資産の数量、価格等につきましては、その所管局が土地バンクシステムなどによって管理をする、こういうことになっております。

○近藤委員 今、土地のことを伺いましたのは、その予算特別委員会の質疑のときに、ある局がその地域で所有している土地を売却した。そのすぐ横でほかの局が、自分たちの事業に利用するための土地を民間から購入した。最初からお互い東京都の中で融通し合えばよかったにもかかわらず、隣の局が持っている土地の所有について、東京都の中、都庁の中でもコンセンサスがなくて、認識がなくて、わざわざ民間から土地を購入したというような事例があったと聞いておりますので、今土地のことを申し上げたのですけれども、そういう意味でも、全体的にそれぞれの局がどういう場所にどれだけの土地を所有しているかというようなことが、今回の十八年度からの複式簿記会計の中で明らかになれば、今申し上げたような、とても民間にはお話しできないようなお粗末な事例というのもこれから起こらないだろうというふうに思って、今回の導入には大きく期待をしているわけです。
 ただ、予算特別委員会の中で公明党さんの質疑がございまして、この複式簿記を導入するに当たってどこまで連結をしていくのかという連結の範囲について質疑がございました。そのときに、公営企業会計については言及がなかった、はっきりとしたお答えがなかったように記憶しているのですけれども、公営企業会計については連結の対象とされるおつもりがあるのでしょうか。それについてちょっと伺いたいと思います。

○細野参事 東京都全体の財務状況やサービス提供能力を把握して、また公表していくためには、公営企業会計との連結財務諸表の作成が重要かと考えております。その連結財務諸表を作成する場合の、しかし課題というのもいろいろございまして、特にいろいろな科目のすり合わせとか調整、そういったこともあります。つまり、公営企業独自のそういう会計処理をやっているところもございます。ですので、単純に連結となかなかいかないということがございまして、その辺による手法の調査研究も進めていく必要があるかと思っております。

○近藤委員 システムができ上がってしまうと、またすり合わせをするのに、システムを変えたりするのにお金がかかると思うのです。今おっしゃったように、科目が違ったり事業の特殊性があるということで、全く一から十まで同じにするということは難しいのかもわかりませんけれども、もし将来的に連結をするという可能性を探りながら、今おっしゃったように重要性を考えていらっしゃるのでしたら、システムを構築している今の間に、将来的に連結できるような形のシステムを可能性として探っていかないと、また変えるのにお金がかかってしまうということですので、この前ちょっと伺ったところによりますと、当面は手計算で連結していくというようなお話をちょっと伺いました。この時代に、電卓を打って手計算で企業同士の会計を連結していくということはもう通りませんので、今システムを構築しているわけですから、将来の連結も視野に入れた融通のきくシステムの構築というようなことを、ぜひこれは要望としてお話をしておきたいと思います。
 それともう一つ、今まで全く簿記というものになじんでいない方が、これから日常の会計すべてを複式簿記で一方で仕訳をしていくということですから、これはある程度人材の養成というか、簿記知識を各局の担当の方にも持っていただかなきゃいけないわけですけれども、そういった人材の養成といったことについては、この決算の中のどの辺に数字として出てきているのでしょうか。それとも、それはやっていらっしゃるけれども、数字上はあらわれていないというようなことになるのでしょうか。

○細野参事 今お話のありました新たな公会計制度の導入に当たりましては、現在の官庁会計に加えて行うということでございます。その際、官庁会計になれ親しんできた職員が円滑に会計処理を実施することが極めて重要と考えております。
 そこで、まず経理担当の職員や管理職を対象とした研修を実施するとともに、各局の経理部門に対して個別に説明会を実施しております。また、開発を進めている財務会計システムにおいては、職員が官庁会計の処理を行えば、ほぼ自動的に複式簿記の処理が実施されるというような工夫もしております。このことによって、職員のミスも最小限にすることができると考えております。さらに、すべての職員を対象といたしまして、理解を深めるためのテキストを庁内のネットワークを通じて職員の端末に掲示するなど、今後さらに詳細な解説書を示してまいります。
 そのための経費ということでございますが、これは今年度から、十七年度からの中にそういった経費が盛り込まれております。
 以上でございます。

○近藤委員 一般の企業会計では、作成した財務諸表を公認会計士等が監査して、財務諸表の精度ですとか将来に向かっての費用のプランを立てていくわけですけれども、実際に東京都が導入された財務諸表について、監査の方法というのはどのようにお考えでしょうか。

○細野参事 新たに導入する公会計制度の財務諸表についても、その数値の精度を確保することが重要であると認識しております。そのため、外部の監査人による監査という手法も含めまして、いかにして財務諸表の正確さを確保するかについて、専門家の意見も参考にしつつ、鋭意調査研究してまいります。

○近藤委員 初めて行政に財務諸表が入るということで、簿記の例えば三級、二級程度の知識をもって東京都の財務諸表を監査したり読みこなしたりということは、まず実際上不可能だというふうに思います。今外部の監査も視野に入れてというふうにお話がありましたけれども、ある程度状況が落ちつくまでは、きちっとしたプロの、外部の監査も入れることは必要なことだというふうに思いますので、今は視野に入れてというふうにお話しでしたけれども、十八年度導入に向けて、きちっとした監査制度といったものを立ち上げていただかないと、つくるのにお金がかかって、担当の方も苦労ばかり多くなって何の役にも立たない、仕事ばかりふえてしまったということになりかねませんので、つくった後の監査の方法についても、東京都全体のコンセンサスを探りながら、導入までに確実な方法を確立していただきたいな。これもお話をしておきたいと思います。
 それと、先ほどの人材の養成については、実際に研修に利用されましたマニュアルを私も見せていただいて、久しぶりに簿記三級の仕訳をやってみたのですけれども、毎日の手続をする実際の担当の方でしたらあのレベルでいいのかなというふうに思いますけれども、今申し上げたように、つくった後、各局部別ですとか事業別におつくりになるというお話が書いてございましたので、実際にそれをつくった後、それぞれの局が自分たちの事業をどのように検証していくかということについては、監査の場合と同様に、簿記三級、二級程度ではとても実際の事業に役立てていくというレベルには至らないというふうに思います。この事業の活用という面を考えたときには、実際に毎日仕訳に当たられる会計担当の方の指導とは別に、もう少し高レベルの人材を育成するということを今からやっておかなければならないというふうに思いますけれども、それについての計画、予定について伺いたいと思います。

○細野参事 日々の仕訳とは別に財務諸表の分析をしていくということにつきましては、確かに先生がおっしゃるとおり、高度の専門的な知識が必要であると考えております。このため、財務諸表の分析をしていくに当たりましては、公認会計士等の外部の専門家によります会計基準委員会、これは仮称でございますが、こういうものを立ち上げまして、東京都会計基準の見直し、あるいは先ほどお話のありました連結の手法の検討とかにあわせまして、財務諸表の分析手法、こういったことを含めて検討していくということを今予定しております。

○近藤委員 質問に当たっていろいろと前もって資料をいただいていたときに、つくるまでの最終的な責任は出納にあるけれども、つくった後、それをどのように分析して都庁全体として利用していくのか、活用していくのかということについては財務の仕事ではないかというようなお話も出ました。今はこちらに伺っているから、自分たちの仕事はつくることだけで、あとは財務だよというお話になるかと思うのですけれども、財務に聞いたら、おれたちは使うだけじゃなくて出納にもこういう責任があるんだよということにもなりかねないと思いますので、実際にこれからの、役割分担というとおかしいですけれども、つくるのは出納だということでしたけれども、今申し上げたような人材の育成や事業に対しての活用の仕方等について、これから財務と、実際にもう既に詰めていらっしゃるところもあるかもしれませんけれども、その辺の各局といいますか、今は財務しかわかりませんけれども、仕事の役割、財務諸表に係る各局のかかわり合い方についてのコンセンサスがどうなっているのか、それについて伺いたいと思います。

○細野参事 先ほどお話ししましたとおり、財務諸表をつくりまして、それをどういうふうに分析するかというところがまず第一点ございます。また、それを分析した後、実際に各事業、各局の事業も含めまして、どのようにそれを活用していくか、こういう側面がまたあると思います。これは微妙にオーバーラップするのですが、私ども出納長室といたしましては、先ほどの会計基準委員会、これを活用いたしまして、そういった分析手法を中心に考えております。
 それから、財務局を中心にというところは、活用ということになるのですが、これは特に予算面、決算を受けて予算に反映させる、そういう意味での予算の活用という面では財務局が中心になります。ただ、もちろん財務諸表の活用の仕方というのは、それにとどまらずいろいろな、例えば行政評価とかいろいろな活用が考えられます。したがいまして、財務を中心に各局が連携して検討していく、あるいは活用していく、このようなことで考えております。

○近藤委員 決算なので、個々のことについてはこれ以上深く今回は突っ込みませんけれども、幾つか課題があるなということを感じます。
 要望にとどめておきたいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、連結を前提とした異なる会計、例えば外郭団体も含めた、それぞれの表の企業も含めて、ある程度会計基準をそろえて勘定科目等も統一していくという仕事は、今のうちにある程度見越していかなければならないというふうに思いますので、システムについては外部委託されていると思いますし、そのシステムの内容についても専門家のご指導をいただいているとは思いますけれども、今のうちに連結を大前提としたそれぞれの会計の、異なるような会計手法が行われないかというような精査をしながら、手計算しなくても連結ができる基本だけはこのシステムの構築の間にしていただきたいなということ。
 それと、実際各局の会計の担当の方に聞いてみますと、先ほど申し上げたように、いわれたとおりにやっているけれども、実際にこれがどういう形にまとまっていくのか、どういうふうに仕事に生かせるのか。仕事がふえただけで、こんなの役に立たないような気がするというようなお話も伺いますけれども、実際これは、これからそれぞれ人材を育てていって、数字の物語っていることがどういうことなのか、この数字のこういうことが東京都のこういう事情と連動しているのだというようなことで、これからの予算の構築ですとか事業を再構築していくときに、数字でお互いにやりとりできるようなところまで財務諸表を利活用していかないと、お金はかかった、手間がかかるけれども何の役にも立たないで、何年間かしたらつくらなくなっちゃったということがないようにするためにも、この準備期間の人材の育成に対してのプランですとか、今申し上げたような、異なる会計をなるべくそろえて、統一した会計基準のもとで東京都全体が運用していくというような目に見えない努力をしていくことが大事だと思いますので、ぜひ、やってよかったというように都民の方にも評価していただけるようなシステムの構築に向けて、これからもご努力いただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。

○服部委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○服部委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○長橋委員 選挙管理委員会の質疑でございます。最近、地震、災害が頻発をしておるわけでございまして、そういったことで我が党は、震災対策、災害対策、さまざまな角度から東京都に提案並びに要望等をしてまいりました。そこで、選挙管理委員会として、選挙を執行する機関として、また投票所を管理する、そういった意味で、それが選挙と重なったらどうなるのか。こういったことについて、それがそれぞれ東京都民の代表、そういうことを選ぶわけですから、それが災害と重なった場合にどうなるかということについてお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず、いわゆる台風、地震、こういったものが大規模で都内全域に広くわたった場合に、公職選挙法、これではどういう規定をしているのか。後でもお話ししますが、投票所が閉鎖されるような事態になったり、投票所というのはほとんどが避難場所にもなっているわけでありますので、そういった場合に公職選挙法でどうなっているのか、まずお伺いをいたします。

○渡辺選挙管理委員会事務局長 台風や地震等によりまして、先生の方のご質問にございましたように、都内全般にわたり広範囲に災害が発生して投票ができないというような場合に公職選挙法ではどのように定めているのかというお尋ねでございますけれども、公職選挙法におきましては、地震、火災、水害等の天災によりまして投票所を開設することができないときに、投票日を延期する、これを繰り延べと申しておりますけれども、繰り延べ投票をするという規定がございます。
 また、投票を始めた後に交通が遮断して、これも地震その他の天災事変等によるものでございますが、選挙人が、有権者が投票所に行くことができない、あるいは投票をすることができないということになった場合には、投票をし直すということで、再投票という制度がございます。
 この両方の制度とも、選挙期日が公示または告示された以降に災害が生じた場合の規定でございます。なお、選挙期日の公示前、告示前に災害が生じた場合には、公職選挙法には規定はございません。

○長橋委員 今のお話、私も事前の打ち合わせで、公示前については一切規定がない、こういうことを聞きました。いわゆる一投票所が火災に遭ったとかということであれば、対応は私も目に浮かぶわけでありますが、大規模な災害が起きたときに、それが公示前、阪神・淡路大震災のような事態になった場合に全く規定がない、こういうことでございます。そういったことで、これはおかしいな、こういうふうに思ったわけであります。
 そこで、ちょっと聞いていなかったのですけれども、規定の問題とそういった場合の予算は、ちょっと今あったのですけれども、予算措置についてはどのようなことになっているのか。わかる範囲で結構ですから、ちょっと教えていただければと思います。

○渡辺選挙管理委員会事務局長 想定していないような事態が起こりまして投票をする、あるいは選挙をするということになりますと、当然費用がかかるわけでございますが、今回の衆議院議員選挙は、想定をしていなかったといいますか、予算措置はされておりませんでしたので、補正予算を措置いたしまして、その補正予算につきましては、議会にかける暇がございませんので、知事の専決処分で補正予算を作成いたしまして、後ほど、先般の議会でございますが、専決処分をご報告してご承認をいただいた、こういう手続をとっております。

○長橋委員 基本的には想定しているということで、東京都は過去にそんなに事例がないと思いますので、ただやはり、予算措置というよりも体制をつくっていくということが大事だろうと思います。
 そういった中で、先般衆議院選挙が終わりました。都議会議員選挙が終わった後、我々はほっとする暇もなく衆議院選挙があったわけでありまして、その中でも、台風十四号が衆議院選のときにはございました。特に九州で大変な被害を受けて、我々もテレビ、マスコミ等で見たわけですけれども、これは向こうの地元の新聞なんかで見ると、台風の影響で一部の自治体では、道路が寸断されたり、そしてまた避難所が投票所に指定されるケースが多いので投票に支障が出た、こういうことでございます。また、投票所に行くのに、九州の場合には過疎地等もあるでしょうけれども、そういったことで分断をされてしまったので、住民の方が分担をして、リレー方式という方式で足の悪い高齢者の方に便宜を図ってやったとかいうことがございます。
 それからまた、期日前投票、こういったことができなくなったり、その時間を早めたり、こういうことで非常に被害があったわけでありますし、投票にも大変な支障を来した。恐らく、投票に行きたかったけれども、まずは自分の身を守る、家族を守ることを含めて、そういったことで投票できなかった方もいらっしゃる。これは別に、決して選挙管理委員会の責任じゃないわけですけれども、災害はいつあってもおかしくない、こういう中にあって、こういう被害が出ました。
 そういうことで、今回の場合には投票期日を変更とかいうことはしなかったわけですけれども、十年前の阪神・淡路大震災、これは私も終わった後に見に行きましたが、選挙どころではもちろんございませんし、そういったときに、阪神・淡路のときには特例法が定められてやった、こういうふうに聞いております。こういったことが、都内ではこういった事例があるのかどうか、ちょっとお伺いをいたします。

○渡辺選挙管理委員会事務局長 九州の方で台風が接近いたしまして、一部の投票区でございますけれども、投票の期日を繰り上げるということが新聞報道では出ております。沖縄県選挙管理委員会は、先島諸島、沖縄四区におきまして、衆議院選を与那国島の全投票区、有権者は千二百八十人でございますが、十日に繰り上げる決定をしたというような新聞報道もございました。
 これは、やはり公職選挙法に繰り上げ投票の規定がございまして、投票当日に開票所に投票箱を送る。送って、最終的に一斉に開票するということが不可能な場合には、投票日を繰り上げることができるという規定がございます。前回の総選挙では、九月十一日が投票日で、即日開票ということでございましたので、その前日または前々日なり、適切な日に繰り上げ投票をするという規定がございましたので、この規定を適用して沖縄の場合は繰り上げ投票を実施したというぐあいになったものだと思います。
 それから、阪神・淡路の大震災でございますけれども、これに伴いまして特例法が制定されました。平成七年四月の統一地方選挙告示前の一月に、ご案内のとおり大震災が発生いたしました。そこで、三月に臨時の特例法が公布されまして、選挙期日を同年の六月十一日と。当然任期が、四月の統一選挙ですから延びてしまいますので、その前日の六月十日まで任期を長及び議員について延長するという法律が制定され施行されて、これに基づいて兵庫県の県議会議員選挙その他の選挙が行われたところでございます。
 東京都内ではどうだということになりますと、災害等によってこのような形の措置をとった例はございません。ただし、小笠原の母島投票区につきましては、これは父島の開票所まで投票箱を持っていかなきゃいけませんので、当日ですと海象・気象条件で運べないということがございますので、前日に繰り上げ投票しているというような形で毎回実施をしているところでございます。

○長橋委員 今お話を聞きまして、災害では東京都はないけれども、交通の利便性が悪いということで、小笠原で繰り上げ投票をしている。選挙を早目に行って投票箱が間に合うようにする。ですから、繰り上げはあるけれども、繰り下げということは規定がない。阪神・淡路大震災のときには特例法を設けて、任期も含めて繰り下げた、こういうことになるかと思います。
 まさに今までも、阪神・淡路大震災のときにこういった特例法を急遽つくったわけでありますが、今後そういったことを想定した場合に、これはきちっと整備をしていかなきゃいけない。最初にお尋ねしたときに、告示前に大規模な災害、地震等が起きた場合には公選法では規定がない、こういうふうなことでございます。例えば知事選で、東京に首都直下型地震が起きて、大災害が起きる。それが知事選の前に起きた場合に、リーダー不在で災害対策をしなきゃいけない。この東京で起きた場合には、知事の決断、またそういった態勢をつくるに当たって最も重要な人が不在になってしまう、こういうことが起こりかねないわけで、これは現実的にあってはならないのですけれども、想定をしておかなければならないと思います。
 そういった意味で、例えば知事選で都内でこういった災害があると、どういう対策を講じられるのか、お尋ねします。

○渡辺選挙管理委員会事務局長 都内におきまして大震災が告示前に発生したというような形になりまして、その被害の程度が大きくて任期満了までにはとても選挙ができる見通しがないというような場合でございますけれども、現在のところ法律上の規定がございませんで、選挙期日や長の任期については対応ができないということになりますので、これにつきましては特別に法律で定める必要がある。
 この規定を、阪神・淡路の場合は急遽臨時特例法で、阪神・淡路のためだけに法律をつくったわけですけれども、もう少し一般的なこういう事態に対応できるような、首都圏も含めて日本全国いつ地震があるかわからないような状況でございますので、そのような一般的な定めをする必要があるのではないかというぐあいに選挙管理委員会としても考えてございます。
 そこで、東京都の選挙管理委員会といたしましては、委員長以下四名の委員がございます。小倉委員長、河合委員長職務代理、長橋委員、近本委員、この四名が全員そろって、十月五日でございますけれども、直接総務大臣に法整備を行うべきであるという要望を行いました。早急に、公職選挙法等の改正の機会があるときにぜひこの問題を取り上げていただきたいということをお願いしてまいりました。今後とも、選挙管理委員会としては、制度が整備されますよう取り組みを進めていきたいと考えております。

○長橋委員 総務大臣に法改正の整備、改正をすべきである、こういう要請をしたということでございまして、東京だけでなくて、ほかのところでも同じ意識はあると思いますし、さらに強く要望をしていただきたいと思っております。
 そこで、最後に、打ち合わせのときに見せていただいたのですが、選管にも危機管理対応マニュアルというのがある。ほんの数ページですので、見させていただきました。この中に、いわゆる危機管理対応マニュアルですから、想定されない事態が起きたときにどうするのかというマニュアルがここにございます。指針として、まずは都民の生命、身体等の安全第一を確保する、そして首都機能を守る、こういう中であるのですが、もちろん選挙管理委員会としても、対策本部というのですか、これを事務局長を本部長として設置する。大規模になったときには、東京都の災害対策本部とも連携をとる。こういうことで、態勢については書かれているわけでありますが、そこの最後に、選挙期間中の災害への対処というのがあります。
 ここにも書いてありますが、災害の時期が公示、告示予定日前までの場合にはどうかというと、国に要請を行っていきます、こう書いてある。今のご答弁と同じなんですが、次に、災害の時期が選挙の告示から選挙期日までの場合はどうなのかというと、わずか四行しか書いていないのですけれども、全職員は速やかに局本部に連絡をとり、以後の指示を受けるとともに本部に参集すること、これしか書いていないわけであります。また、災害の時期が選挙期日と重なった場合はどうなるか。これは単なる、以前もそうですけれども、繰り延べ投票するとか再投票するとかいうことだけでございまして、これでは、総務省に要望した、国の改正を待つまでもなく、これはいつ起きるかわからないわけで、このマニュアルはもう一度見直す必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。
 ぜひともこの危機管理対応マニュアル、東京都にも危機管理監ができて、全庁を挙げて進めているわけであります。いざ選挙と重なった場合に、都民の代表を選ぶ大事なときにこういう災害があったときに、どうやってスムーズに、またどういう対応をするのか、この見直しについてぜひ進めていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○渡辺選挙管理委員会事務局長 東京都の選挙管理委員会としては、先生がお示しされました危機管理対応マニュアルというのをつくってございます。中身は非常に大綱的な定めでございまして、詳細について定めているわけではございませんが、これを基本として対応していこうということでございます。
 先生ご指摘のように、実際に災害が起こったときに具体的な対応をとっていくという形の中では、いろんな場合も想定されますし、より詳細な検討をしていく必要があろうかと思います。特に、投票所と開票所を管理しておりますのは区市町村の選挙管理委員会でございます。こういうところと十分相談をして、より実効性のある対処手順書みたいなものをつくる必要があるのかなということは前々から考えてございました。
 そこで、東京都と区市町村の選挙管理委員会で選挙事務運営協議会というのをつくっております。この中で詳しく、東京都選挙管理委員会の危機管理マニュアルを一つのたたき台にしながら、さらに実効性のあるものを検討していこうということで、まだ検討は始めておりませんが、検討していこうという話は既にしているところでございますので、できるだけ早く、かつ内容があるものをつくっていきたいというぐあいに思っております。
 それから、国への要請の件ですが、東京都の選挙管理委員会として要請をしたのですが、あわせて、都道府県の選挙管理委員会連合会というのが全国でございます。その連合会の方にもこの件について国に対して働きかけをするように我々も要請をしているところでございますので、連合会、全国一丸となって制度の整備についても取り組みを進めていきたいというぐあいに考えております。

○長橋委員 今のご答弁、大変ご丁寧にありがとうございました。東京都も、震災被害の見直し、これを進めるという答弁がございましたし、全力で取り組んでいくということでございます。ぜひ選挙管理委員会も、今いった区市町村との運営協議会において呼びかけて、早急に進めていただきたいことをお願いしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○服部委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○服部委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十六年度東京都一般会計決算中、主税局所管分、平成十六年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件は、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布しております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三橋総務部長 先般の分科会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十六年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の一ページをお開きいただきたいと存じます。
 要求資料第1号、都税の当初予算額と決算額の推移につきましてご説明申し上げます。
 この表は、都税総額と主要税目の法人二税及び固定資産税、都市計画税の当初予算額と決算額につきまして、平成七年度から十六年度までの十年間の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、税制改正に伴う都税収入への影響額につきましてご説明申し上げます。
 この表は、平成十五年度から十七年度までの個人住民税に係る税制改正の内容と都税収入への影響額をお示ししたものでございます。
 要求のございました資料の説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○服部委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○大津委員 それでは、歳入につきまして、特に収入未済額、いわゆる未収金というのがございますが、未収金についてお伺いをいたします。
 平成十六年度では、東京都一般会計歳入歳出決算書によりますと、千三百十五億円の収入未済額、つまり未収金がございました。まずは、これらの未収金におきましての徴税努力についてお伺いをいたします。
 この歳入歳出決算書によりますと、六兆二千億円の調定額のうち、四兆四千億円が都税でありました。およそ七割を占めています。歳入の根幹であります都税の徴収について、どのように取り組んでいるのか、特に滞納をどのように処理しているのか、質問をいたします。
 具体的には、今から十年ほど前の平成六年度末には二千五百億円近くあった滞納でございますが、この平成十六年度にはピーク時の四分の一以下にまで圧縮してきております。この十年間で四分の一以下の圧縮というのは、この間の経済状況をかんがみますと、画期的であります。
 その中で特に興味深い点は、自動車税でございました。この自動車税への力の入れ方としまして、ことしの五月、東京都の新規採用職員が街頭で自動車税の納税キャンペーンを行っていました。都の職員の人たちにも、さまざまな局の職員にも、徴収する税の重みを体験させるという取り組みだったと思います。自動車税に関しましては、例えばこういった納税キャンペーンのほかにどのような取り組みをされたのか、ご回答をお願いいたします。

○吉田徴収部長 主税局では、平成十二年度から自動車税の徴収率向上に取り組んでまいりました。
 具体的には、平成十二年度から自動車税の滞納整理を専門に行う組織を設置いたしまして、大量の滞納者についてきめ細やかな催告や納税交渉を行った上で、それでもなお納付のない場合には、インターネットによる自動車の公売などの厳しい対応を行ってまいりました。その一方で、街頭やイベント会場等で納期内納税キャンペーンを展開し、また、平成十六年度からは全国に先駆けてコンビニエンスストアでの納税を可能とするなど、滞納とならない仕組みづくりにも力を入れてまいりました。
 これらの取り組みによりまして、平成十一年度には九二・六%であった自動車税の徴収率が、平成十六年度には九六・七%に向上し、全国順位も、平成十一年度の四十五位から、平成十六年度は八位にまで向上をいたしました。

○大津委員 税金の徴収という点では、厳しい滞納整理を行うということでもありますから、滞納者とのさまざまなあつれきも大変多いかと存じます。中には、財産が本当に何もない、納税したくてもできない方もいると存じます。このような納税者から徴税する、これに対してはどのように対応されているのか、お答えをお願いいたします。

○吉田徴収部長 地方税法には、滞納者が督促を受け、その督促状を発した日から起算して十日を経過した日までに完納しない場合には滞納者の財産を差し押さえなければならない、こう定められております。
 しかし、主税局におきましては、催告書の送付、納税者への電話や訪問による納税交渉など、きめ細かな滞納整理に努めております。また、納税者の方の個別事情等により、滞納処分や換価などの強制徴収を行うことが適当ではないという場合につきましては、徴収の猶予や換価の猶予など、徴収緩和措置を講ずることとしております。

○大津委員 厳しく取り立てるということだけではなく、どうしても払えそうもない滞納者の事情をその都度聞きながらの徴収ということで、このような丁寧な対応をこれからもお願いいたします。
 それでは次に、使用料などの滞納金回収についてお伺いをいたします。
 使用料といいますと、わかりやすい例を出しますと、例えば都立病院の医療費、東京都育英資金、港湾施設使用料、また都の貸付金、そして日々の水道・下水道料金、これらをまとめまして使用料でございますけれども、使用料の滞納金回収についてお伺いをいたします。
 同じく平成十六年度の東京都一般会計歳入歳出決算書によりますと、都税以外にもおよそ二百億円の未収金がございました。また、一般会計以外にも未収金がございます。主税局では、昨年度から使用料など滞納金回収の取り組みを開始し、ほかの局の債権回収にも乗り出したわけでございますが、効果があればこういった取り組みをもっと拡大し、活用すべきだと考えております。
 そこで伺いたいのですが、使用料など滞納金、先ほど申し上げた水道料金も含め、都立病院の医療費、さまざまな使用料などの滞納金回収の実績をお伺いいたします。

○齊藤特別滞納整理担当部長 回収実績のお尋ねでございますが、平成十六年度は、使用料等滞納金回収トライアルとして、六局の九債権を引き受けました。その結果、地方税と同様に滞納処分のできるいわゆる公債権につきましては、人員ベースで六四・八%の処理を、一方、裁判所の関与が必要ないわゆる私債権につきましては、二十件の支払い督促の申し立てを行いました。平成十七年度は、使用料等滞納金回収の本格実施を開始いたしまして、九月には新たに警視庁の債権でございます違法駐車措置料を引き受けたところでございますが、現在の引受債権は、警視庁を含む十三局二十六債権となっております。

○大津委員 それまでは余り、動きが鈍かったところもあり、そういった点で、主税局で引き受けるとかなり進展することができたという、その点につきましてお答えをお願いします。

○齊藤特別滞納整理担当部長 理由はいろいろ考えられますけれども、主税局内に通称都債権回収班と呼ぶセンター組織を設置していること、そして、仕事を進めていく上でしっかりと目標による管理を徹底していること、さらには、日ごろ都税の徴収で培ったノウハウを存分に活用して積極的な回収を行っていることなどが考えられるかと思います。

○大津委員 それでは、先ほど自動車税の対策で、コンビニでの支払いで納税ができるように仕組みを変えたという答えもございました。例えば会社員などの方々は、朝から晩まで働いて、職務時間中をちょっと抜け出さないと、なかなか郵便局や銀行へ払いに行く時間もないのが現実でもございます。そういった工夫につきまして、コンビニで支払いができるようになったというのは非常に評価できる点であります。最後の徴収する出口の段階の工夫もございますが、その前の段階としまして、私は各局の債権についても、税金を徴収する入り口のシステムづくりの部分でもさまざまな工夫があるとよいかと考えています。
 その例としまして、例えば都営住宅でもあります。これについては、我が会派の土屋議員が平成十五年の第一回定例会の建設・住宅委員会で質問もいたしておりますが、民間であれば賃貸借契約は二年ごとに更新するのが一般的です。しかし、都営住宅の入居者に関しましては、ちょっと私も取り寄せてみましたけれども、入居時に請書をとって連帯保証人に印鑑を押してもらいますが、その後は定期的にチェックするわけではございません。これを民間賃貸住宅と同様に、例えば二年置きに契約更新を行って、保証人制度を実効性のあるものに考え直すとか、さまざまな工夫もこれからは必要かと考えております。ほかには、都立病院の支払いでいえば、クレジットカードの支払いを拡大するなど、滞納を発生させないための、徴収の入り口部分での工夫も考えるべきと思っております。
 そこで、主税局が各局の債権回収を引き受ける際に、単に回収することだけを引き受ける、そういった役目ではなくて、滞納を発生させない工夫についてもきちんと各局に働きかけるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○齊藤特別滞納整理担当部長 滞納を発生させない工夫についてでございますけれども、昨年度のトライアルの中で、滞納の原因あるいは回収方法等を分析いたしまして、各局に主税局のノウハウを提供しているところでございます。今年度はさらに、本格実施の一連の取り組みの中で把握いたしました課題とその解決策等についても、各局等と連携して研究し、先生ご指摘のように新たな滞納を発生させない仕組みづくり、いわゆる予防的視点からの事務改善について提言していきたい、このように考えております。

○大津委員 ぜひ都庁においては、特に横の連携といいますか、各局への働きかけや連携、これをもっと強くしていただきたいと思っておりますので、しっかりとご提言の方もお願いしたいと存じます。
 主税局の最近取り組んでまいりました徴税努力については評価できるものでありますが、今後ともまた継続発展をしていただきたいとお願いいたします。また、使用料など滞納金回収についてもさらなる推進をお願いしてまいります。
 それでは最後に、都税及び使用料等滞納金の未収金回収につきまして、都庁勤務の半分を徴収部で勤務をされてまいりました菅原局長の決意をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○菅原主税局長 地方分権の確立に向けました税源移譲の実効性を確保するためにも、従来にも増しまして徴税努力が求められております。今後とも、きめ細かな納税者対応を心がけながら、さらに新たな取り組みにも努力いたしまして、税負担の公平性を確保するとともに、納税秩序を維持し、税務行政に対する信頼を確保してまいりたい、このように考えております。
 また、使用料等滞納金の回収につきましても、各局あるいは警視庁との連携のもとで、主税局のノウハウを存分に活用いたしまして、歳入確保に努めるとともに、都財政の再建と住民負担の公平性とを図ってまいりたいと存じます。

○長橋委員 それでは私の方からも、決算委員会に当たりまして、主税局に何点かお伺いをしたいと思います。
 まず初めに、都財政が、都税収入が上がってきているとはいえ、依然として厳しい状況にあるのは同じ認識でありますし、そういう中で、都単独で固定資産税また都市計画税、こういったことについて工夫をしておられる。都として徴収率をアップしていくとともに、やはり都民のための税金でございますから、そういったことを考慮しながら軽減をしていく、または増収を図っていく、こういうことがあろうかと思います。
 私も、財政委員会のときにちょうど宿泊税のことがありました。宿泊税が観光振興を目的に導入をされて、これは思った以上にそんなに税収が上がっていないような気もいたしますけれども、ぜひ東京の観光振興に役立てていただきたい。そういう中ですけれども、ホテルも対抗策をとっているようで、パック料金とか、またどんどんとホテルが進出して、ホテル料金自体が一流ホテルといわれたところも下がってきているということで、当初私が、宿泊税のときには十五億ぐらいの見込みだったと思うのですけれども、今はそこまで行っていないというようなお話も聞きます。
 また、あわせて、増収につながるものと、それから都民のために減収になるけれども続けている、こういう税がありまして、今現在三つ減免を、単年度措置ですけれども、やっておられる。一つが、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置、これは昭和六十三年から、都民の定住確保を目的に創設して、一年置きに延長してきている。それから、今度は小規模非住宅用地に係る固定資産税、都市計画税の減免、これも、特に極めて厳しい経済状況の中で、中小企業支援として平成十四年度に創設をされて、単年度ですけれども、継続してやってきている。これも大変要望は高いわけでございます。
 それから、これは東京都としては景気対策ということで導入したのが、新築住宅に係る固定資産税、都市計画税の減免でございます。これは、新築住宅の取得を税制面から支援して、よって景気対策、そして良質な住宅ストックの形成に資するという税でございます。また、十七年度からは、住宅用地だけじゃなくて、今度は商業地等の負担水準の引き下げ、こういったことで、東京都としてはきめ細かく対応しているということはうかがえるわけでございます。
 そういったことで、特にいわゆる軽減措置、これについて、私の方からは新築住宅の減免、この新築住宅の減免については、この決算委員会でもたびたび取り上げているというふうに聞いておりますし、ただ、これが景気波及効果、これを目的に導入をしたということでございます。そういったことで、これについてお伺いしてまいりたいと思います。
 まずは、新築住宅減免の平成十六年度の実績についてお伺いをいたします。

○川村税制部長 新築住宅減免の実績についてでございますが、平成十六年度の減免件数は約二十八万件でございまして、その影響額は約二百十八億円でございます。

○長橋委員 平成十二年度から継続してやっているということです。三年間ということでございますので、十六年度は二十八万件、二百十八億円が減収になる、こういうことであると思いますが、そういった中で、それでは、平成十二年度、新築住宅減免導入して以降、新築住宅の建設、これはどのような状況になっているのか、お伺いをいたします。

○川村税制部長 区部における新築住宅着工戸数でございますが、本制度導入前の平成十一年には約十万四千戸でございました。直近の平成十六年には約十三万九千戸となっておりまして、約三万五千戸ふえてございます。

○長橋委員 さまざまな要因があると思いますから、この新築住宅の減免だけで今お話あった三万五千戸ふえた、こういうことではなかろうかと思いますけれども、もちろん、私の地域もマンションが、都心回帰という中で工場跡地にマンションがどんどんと新設をされている、それ以外にまた、住宅ローンの面では低金利が続いている、また所得税のローン減税が継続をされている、そういったことがさまざま重なって住宅着工戸数というのは増加につながっているということでありますけれども、特にマンションがどんどんとふえているということは認識をしているわけです。
 ただし、私も地域の方からまたさまざまな要請を受けるわけですけれども、ぜひこの固定資産税の減免、これも大きな役割を果たしているから、ぜひとも継続してもらいたい、こういう声は多々あるわけでございます。
 ところで、着工戸数がどれだけふえてきているとかというお話は過去にもあったわけで、毎年ふえているということでありますが、景気波及効果がどれだけあるのかということでございます。景気対策を目的に導入したわけでありまして、この新築住宅、特に中小企業の方々にとって、また住宅関連産業、大変すそ野が広いわけでございます。ほかの産業にも影響するということが考えられますが、この景気波及効果、どれぐらいあるというふうに考えているのか、お答え願います。

○川村税制部長 住宅の新築の経済効果についてでございますが、国の産業連関分析によりますと、住宅建設は、製造業やサービス産業など他部門への経済波及効果がありまして、さらには住宅への入居に伴う消費支出があるなど、住宅の直接投資額の二倍以上の経済波及効果があるとされております。

○長橋委員 直接投資額の二倍以上、二倍は間違いなくある、こういうご答弁。この波及効果というのは、どう測定するかというのはなかなか難しいんですけれども、今ご答弁がありましたとおり、少なくてもという意味だと思いますが、ある。
 例えば、今ご答弁いただいた平成十六年度の着工戸数、二十三区ですけれども、これだけで三万五千戸ふえた、こういうわけでございます。どこをとるかというのも難しいんですけれども、建築費を一戸二千五百万というふうにした場合には、二千五百万掛ける三万五千、そして二倍の投資効果があるということですから、計算をすると一兆八千億円にも上るわけであります。二千五百万では少ない、三千万だとすれば、二兆円を超える波及効果があるということがわかるわけでありまして、そういう中でこの新築住宅の減免、これは大変大きな経済波及効果、なかんずく中小企業への波及効果、これは大きな意味がある、ぜひとも継続をしていただきたい。
 景気が上向いてきているなんということがいわれておりますが、なくなってしまうんじゃないかという不安も私のところに届いておりますし、まだまだ中小企業の皆さん方、また庶民の皆さん方には、こういった景気が上向いているというのは実感としてないわけでございますので、ぜひともこの新築住宅の減免、ぜひとも継続をしていただきたい、お願いをしたいと思いますが、ぜひ継続をすべきであると考えます。ご答弁お願いします。

○川村税制部長 新築住宅に対する減免措置は、先ほど来お話がございますように、新築住宅の取得を税制面から支援し、もって景気対策、良質な住宅ストック形成に資することを目的として、平成十二年度に三年度間の時限措置として創設されたものでございます。
 この措置の継続に当たりましては、これまで、住宅建設の景気に与える影響等を考慮いたしまして、一年ごとに延長してきたところでございます。来年度の取り扱いにつきましては、景気動向、都の財政状況、国の税制改正の動向、さらにはご指摘の経済効果等を勘案し、検討してまいります。

○長橋委員 そこで、これは引き続き継続をしていくということで、前向きのご答弁であったというふうに認識をしておりますが、あわせて、これは二十三区限定でありますので、多摩の市町村にも配慮してもらいたい。これも、この決算委員会、我が党でも、我が党の委員だった者も要請しておりますが、これについてはなかなかいいお答えが返ってきてない、それは課税権の問題もあるかと思いますけれども。
 そこで、最後に関連して--最後といいますか、この固定資産税に関しましてお伺いをいたしますが、住宅に関連して、新築とあわせて、震災対策に備えて耐震改修を進めるべきだ、震災対策の最大のものは、倒れない建物をつくる、生命、財産を守る、なかんずく生命を守るためには、震災が来ても一撃で倒れない建物をつくる、この耐震改修を進めるべきである、このように我が党は昨年からしつこいぐらいに知事にも、また関係各局に迫ってまいりました。
 その結果、本年の第二回定例会では、東京都が、住宅の耐震診断及び耐震改修に対し、税制、そして財政両面から支援を強く求める、この決議を全党で一致して提出しました。また、さきの第三回定例会におきまして、具体的に、今までも税の優遇制度を設けるべきだ、こういうふうに訴えてきましたが、第三回定例会ではこの新築減免に言及をいたしまして、ぜひとも耐震改修にもこの新築減免を行うべきだ、このように質問させていただきました。
 それに対しまして、初めての具体的な質問でございました、主税局長からは前向きなご答弁をいただいたと私は思っておりますが、種々検討すべき課題があるが、今後、ご指摘の中小企業への波及効果も含めて、関係局と連携を図りながら、国の税制改正の動向を見きわめつつ引き続き検討していくと。やらないとはいわなくて、検討していく、こういうご答弁でございました。
 ところが、さまざまな課題はあるのは承知でございます。そういった課題がどういうものがあるのか、お伺いをいたします。

○川村税制部長 税制上の住宅の耐震化促進策を検討するに当たっての課題でございますが、第一に、施策の選択と効果の問題がございます。住宅の耐震化促進策は、補助金ないし助成金による支援が中心になるものと考えますが、この支援策と税負担の軽減策との効果の比較考量、あるいは、昭和五十六年以前建築の木造住宅一戸当たり平均税額が約一万九千円でございまして、これを減免するとした場合の誘因効果の有無を検討する必要がございます。
 第二に、税負担の公平性の問題がございます。例えば、家屋の壁面に筋交いを入れる耐震補強では、固定資産税の評価額がふえず、税負担増となりませんので、この場合には従前からご負担をいただいております税額を減免することになりまして、仮にこれを減免するといたしました場合には、耐震改修を行わない既存住宅は引き続き全額税負担をしていただくこととの均衡あるいは公平を欠くのではないかという懸念がございます。
 第三に、課税技術上の問題でございます。耐震改修を行う場合には、耐震基準に適合した工事がなされたかどうかの確認をする必要がございます。それとともに、いわゆるリフォームによる増改築分は減免対象とならないことから、耐震改修分とリフォーム分とを明確に区分できるかどうかという問題などがございます。

○長橋委員 ご答弁としては、課題がいっぱいあります、こういうことで、公平性の確保も難しいし、また、耐震改修を促進する誘因効果もあるのかないのかということもいわれておりましたし、また、リフォームと耐震改修、私も、リフォームと耐震改修はどう違うのかというのは難しい判断だな、こういうふうに思うわけでありますが、ただし、我が党は、この耐震改修を進めていくに当たって、さまざまなその研究をしている方々からも、この税の優遇措置、これは設けるべきだ、こういうのが大勢でありますし、また、本年一月に行った耐震フォーラムというのがございました。その結果、アンケートをとる、耐震は必要だ、我が家を耐震改修しなきゃいけない、こういう認識は皆さん、大変多くの方がお持ちでありますが、いかんせん、その費用が非常にかかる、ぜひこれに助成制度を設けてもらいたい、これが大変多くの方のアンケートのご意見でもございましたし、そういった中で、頻発する地震に対して、それを逆手にとって、悪質リフォーム業者、こういったものも今横行して、私のところにも実際に相談を受けた方がおりました。そういったこともございます。ぜひ耐震改修を速やかに進めていく、そのためには、税制面の優遇措置、これはぜひとも菅原主税局長の時代にぜひ頑張っていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 今、耐震化促進の検討委員会、都市整備局が中心でありますが、主税局も入っているということでございます。具体的に固定資産税についても議論があったやにも聞いております。ぜひ前向きに検討していただきたいことをお願い申し上げます。
 続いて、個人都民税の徴収率の向上。今、大津委員からも徴収率の向上についてお話がございました。東京都は、徴収に対して全国の模範となるような成果を上げているわけでありまして、平成十六年度の決算におきましても、予算を上回る実績となって、都税徴収率が九六・八%と過去最高になった、こういうことでございまして、一〇〇%に近づけていく、大変なアップをしてきているわけですけれども、これからが大変であろうかと思います。
 それに対して個人都民税、これと比べますと、九六・八%、都税全体としては上がってきているわけですけれども、個人都民税については九一・三%、これも決して低い数字じゃない、見方はあると思いますが、これも前年度よりも力を入れてきているんだと思います、一・二ポイント上昇した。これは、区市町村において歳入確保を図る上で大きな意味があるわけでありますが、ただ、九一・三%というのは、一割弱がまだ未回収である、こういうことでございます。自治体がみずから自主財源を図る、これは自治体として一番大きな課題であるかと思います。そこで、この個人都民税の徴収率向上に向けた取り組みについてお伺いをいたします。
 まず初めに、昨年度設置をされました個人都民税対策室の平成十六年度の結果について、実績を踏まえて説明をお願いします。

○齊藤特別滞納整理担当部長 個人都民税対策室の取り組みを大別いたしますと、区市町村から都に徴収引き受けして滞納事案を処理するいわゆる直接支援と、都職員の派遣業務を中心といたします間接支援を行っております。
 まず、直接支援でございますけれども、四十三の区市町村から三百五十事案、滞納金額にいたしまして三十二億円の引き受けを行い、そのうち、三百三十六事案、三十億円を処理して区市町村に返却いたしました。
 一方、間接支援でございますけれども、全国で初めての取り組みとして、都職員の派遣業務を中心に、区市町村の徴収率向上に向けたさまざまな支援を実施してまいりました。派遣内容は、四班体制で二カ月間、区市に職員を派遣するもので、八区四市の十二団体となっております。
 これらの直接、間接支援によりまして、ただいま先生がご指摘のように、個人都民税の徴収率につきましては、対前年比で一・二ポイントアップの九一・三%と大きく伸びたところでございます。

○長橋委員 そこで、今手元に、先月発表になった、今度は特別徴収義務者に対する滞納整理、これに初のトライアルを実施するというものがあります。これを読みますと、今回新たにトライアルとして、特別徴収義務者の高額・不納滞納者事案のみを対象に区市から徴収を引き受け、取り組む、こういうことでございます。
 特別徴収義務者、いわゆる会社が従業員や社員のかわりに徴収する、本来一〇〇%じゃなきゃおかしいのがそうではない、こういうことで、恐らくそれを会社としては、厳しい場合もあるでしょう、流用している--流用といいますか、それで補っているということも考えられるわけでありますが、なぜこういったことが起きてしまっているのか。一たん会社が受けたら、それがそのまま区市町村に行かないのかどうかということを含めて。
 それから、あともう一点は、高額の事案だけということになっていますけれども、のみということ、それは全部やったら大変になるということかもしれませんけれども、高額のみとしたのはなぜか。
 この二つ、お伺いをいたします。

○齊藤特別滞納整理担当部長 先生もご承知のとおり、今もいただきましたとおり、特別徴収というのは、特別徴収義務者であるいわゆる会社が、従業員あるいは社員の給料から毎月住民税を天引きして、従業員や社員の住んでいるそれぞれの自治体に納付するということになっておるわけでございます。いわゆる預かり金的な要素のものでございます。それにもかかわらず、中には事業の運転資金に回している会社もあるやに聞いております。そこで、これらの実態を踏まえまして、何とかしようと今回の取り組みに着手したわけでございます。
 今回の徴収引き受け実績につきましては、とりあえずトライアルということで、まず五百万円以上の高額滞納案件をやってみようということで、五区一市、六団体から七件、金額にして五千二百万円を東京都に引き受けたところでございます。これらについてトライアルとして滞納整理に着手していくということで、これまでの普通徴収の滞納事案だけでなくて、特別徴収の滞納事案についても、いわゆる税の公平性を確保する観点から、今後積極的に処理していきたい、このように考えております。

○長橋委員 トライアルということでございますから、まずは取り組んでみる、その結果をもって来年度にさらに進めていくということであろうかと思います。直接支援、そして間接支援、東京都が、直接だけでなくて間接、人も派遣してやっていくということですから、これによって、東京都だけではなくて各区市町村の徴収技能といいますか、徴収率がアップすることも、その専門家といいますか、そういったことが向上していくということを期待するわけでございますが、トライアルということでございます。さらに進めてほしいわけですが、来年度以降の取り組みについてお伺いをいたします。

○齊藤特別滞納整理担当部長 トライアルとしての今回の特別徴収の滞納事案の処理結果を踏まえまして、来年度は、この成果を生かしながら、さらにこれまで以上に滞納事案を徴収引き受けしていこう、このように考えております。こうすることによりまして、個人住民税全体の徴収率を上げることはもちろんですけれども、ひいては我々の個人都民税の徴収率の向上につながるのではないか、このように考えております。
 これまで同様、今後とも、税の公平性を確保する観点から、特別徴収についても各区市町村を支援してまいる覚悟でございます。

○長橋委員 以上、お伺いをしてまいりました。ぜひ徴収率のアップに向けて菅原局長の決意を伺いたいわけでありますが、あわせて、先ほど話しました新築減免、震災対策、これについても決意を一緒に述べていただければありがたいと思うんですが、局長、いかがでしょうか。

○菅原主税局長 長橋副委員長のお話のとおり、住民サービスを行うに当たりまして、自主財源の確保を図るということは、いずれの自治体にとりましても最重要の課題でございます。このため、平成十四年七月から、区市町村から高額、困難な滞納事案を都がお引き受けいたしまして処理しているところであります。
 また、さらに昨年度からは、都の職員を区市町村の方に派遣するなど、全国に先駆けた取り組みによりまして、区市町村からも高い評価をちょうだいしているところでございます。
 今後とも、本格的な地方分権の確立に向けた国から地方への税源移譲を見据えまして、各区市町村の徴収部門へのさまざまな支援を継続していくことで、より一層の徴収体制の強化をサポートしてまいります。
 また、耐震につきましても、本会議で答弁申し上げましたように、検討してまいりたいというふうに存じます。

○松村委員 初めに、二〇〇四年度、平成十六年度の国の税制改定と都民、都税への影響について伺います。
 まだ景気回復の実感を都民はつかめないどころか、国や都による社会保障や福祉の切り捨てなどにより、ますます危機的な状態に置かれているといわなければならないというふうに思います。ところが、二〇〇四年度、平成十六年度は、前年度に引き続き、庶民増税がいよいよ本格的に始まった年でもあります。
 そこで、まず、都民に対してどういう増税が行われたのか、いわば押しつけられたのか、その影響、対象者、増税額について伺います。

○川村税制部長 平成十六年度の税制改正におきます個人住民税の都税収入への影響額でございますが、公的年金等控除の縮減と老年者控除の廃止によりまして、平年度ベースで八十五億円の増を見込んでございます。
 また、この改正により影響を受ける都内の人員数でございますが、平成十五年度の課税状況に基づいて試算をいたしますと、約五十二万人でございます。また、これに新たに課税になると推計される八万人を加えますと、計六十万人になるものと推計してございます。

○松村委員 要求資料を出していただきました。第2号で、今部長さんの答弁がありました平成十六年度の公的年金、老年者控除の廃止、これが八十五億円で六十万人。既に十五年度、前年度にも配偶者特別控除の上乗せ分が廃止になりましたよね。これが六十六億円で、私、財政委員会でも質疑しましたけれども、この対象人数が百十八万人という答弁がありました。ですから、これがかぶさって十五、十六ということになりますと、都民個人税合わせて百五十億円近く、しかも、その影響人数というのは百七十万人を超えるわけであります。これは都税分ですから、これ以外に区市町村税が入りますよね。これはどのぐらいかといって、そのときの質疑、私、改めて読み直したんですけれども、二百九十億円。ですから、都民全体には、都税と区市町村税で、今国の一連の増税ということで始まってきた、既に平成十六年分だけとってみても四百四十億円という本当に大変なもの。しかも、資料の中にもあります、平成十七年度、定率減税が既に廃止に--半減ですね。それから、次に定率減税は、既に税制調査会、国でも、政府税調でも廃止ということがほぼ既定事実ですから、半減でもこの資料にあるとおり百六十四億円、これが全部廃止になればその倍ですから、やはり大変な都民に増税--逆に都政にとっては、それだけの今影響額というか、税収増になるということが明らかだというふうに思うんです。
 そこで、一方、恒久減税だというふうにうたいながらも、都民というんですかね、庶民にとってはこれが廃止、増税と。では、同じく、それと同時に行われたいわゆる企業減税、法人都民税や法人事業税、二〇〇四年、平成十六年度は都税にどのぐらいの影響を与えているんでしょうか。引き続きこの減税は手をつけないということですから、都税にはどのぐらいの影響になっているんでしょうか。

○川村税制部長 平成十一年度の恒久的減税におきます法人住民税、法人事業税に係る平成十六年度への影響額でございますが、約二千十六億円でございます。

○松村委員 それで、平成十六年度ということで、さらに研究開発費や設備投資がこれに乗りますよね。合わせるとどうなるんでしょうか。

○川村税制部長 平成十五年度の税制改正におきます十六年度への影響額でございますが、六百五十五億円の減でございまして、先ほどの二千十六億円と合わせますと、計二千六百七十一億円の減と見込んでございます。

○松村委員 東京に本社がある大企業、この多くはそういう大企業などの減税分が、件数では少なくても占めているんじゃないかというふうに思いますし、それが、こういう減税だけは続けて、都税だけでも二千六百七十一億円も、結局都税がこういう政府のやり方によって続いている。
 今いった二つを比べてみても、本当に大企業などに対しては大盤振る舞いの減税を続け、庶民に対しては増税を押しつける、こういう実態が鮮明になってきたというふうにいわざるを得ません。
 そこで、こういうときだからこそ、増税から都民生活を守るのが都政の役割だというふうに思います。しかし、この間の石原都政のもとで行われているのが、都民の福祉や暮らし切り捨ての財政再建推進プランであります。財政再建推進プランは、専ら税収不足を強調することによって都民施策を切り捨てるものであります。
 そこで、二〇〇四年度、平成十六年度の都税収入決算額、これも要求資料の1でこの決算額が出ております。四兆二千五百二十八億円となっていますけれども、では、十六年度財政再建推進プランにおける見通し額を幾らとしていたのでしょうか。

○川村税制部長 第二次財政再建推進プランの計画期間のうちの平成十六年度の都税収入の見通し額でございますが、三兆七千九百億円となってございます。

○松村委員 そして、これがずっと十七、十八年度と続くということで、第二次財政再建推進プランの計画期間、十六から十八までを各年度三兆七千九百億円としているんですよね。しかし、実際、始まった初年度の十六年度、これが既に四千六百二十八億円ですよね。実際の第二次財政再建推進プランで見込んだ、試算しておいた数字と大変な乖離があるわけですよね、見込み違いというかですね。
 そこで、第二次財政再建推進プランにおける都税収入の見通し額をどのように置いて試算したのか、お伺いします。

○川村税制部長 第二次財政再建推進プランにおきます平成十六年度以降の都税収入でございますが、平成十五年度予算の税収をベースにいたしまして、国の税制改正の影響を初め、その時点で明らかになっております影響額を織り込んで試算されたものと理解しております。
 具体的には、平成十五年度の税制改正における研究開発費、設備投資減税等により、法人二税が平年度ベースで七百億円の減でございまして、それに加えまして、銀行外形の税率が三%から〇・九%へ引き下げられたことに伴いまして、七百億円の減などを織り込んだものとなってございます。
 なお、法人二税等の税収の伸びはゼロとして試算されてございます。

○松村委員 結局、十六年度から十八年度まで、実際の税収は都税が三兆七千九百億円、そしてこの二次プランを、そういう収入を見込んで、十六年度には四千百億円、十七年度には三千五百億円、十八年度には三千七百億円、巨額の財源不足が生まれるということを強調して、第二次財政再建推進プランの初年度においては、一千二百億円もの福祉、暮らし関係の予算をマイナスシーリングをかけて削りに削ってきたというのがこの間の実態ですけれども、結局、そのベースになっている都税収入、大きな見込み違いといいますか、余りにも私は乖離にびっくりしたわけです。
 このところを改めて見てみますと、十四年度決算の三兆九千六百三十六億円をベースに、その後の税制改正の影響や銀行税の減などの一千五百九十五億円を差し引いて、今いいました三兆八千四十一億円というベースをつくって、そこからいろいろな税制改正の、今いった、十五年度ですか、一千五百九十五億円、これを差し引いて、結局、次年度の平年度ベース化した百五十億円をさらに引いてということで三兆七千九百億円を出したということがよくわかるんですけれども、これは計画を立てる前提となる試算としては余りにも乖離があり、計画そのものの信頼性が失われても仕方がないというふうに私はいわざるを得ないというふうに一方においては思うんです。何かその点においての、直接都税を扱って、いろいろな見込みとかその後のこうした国の動向とかよく分析しながら、都税収入の推移をはかっている主税局としての、この余りにも乖離があり、見込み違いということを改めてどのように見ておられるのか、お伺いします。

○川村税制部長 第二次財政再建推進プラン策定時における平成十六年度の税収見通し額は、ただいま申し上げましたように、法人二税等の税収の伸びをゼロとして試算し、三兆七千九百億円とされているところでございます。
 一方、私どもが見込みました平成十六年度の当初予算額は、十五年度の都税収入の状況あるいは政府、民間経済研究機関等の経済予測等を参考に主税局で見積もったところでございますが、その後、アメリカを初めとする世界経済の回復を背景に、輸出、生産が大幅に増加するなど景気は堅調に回復を続けまして、十六年度の名目成長率は当初の見込みを大幅に上回りまして、政府予測を〇・三ポイント上回っており、民間予測を〇・九%上回る結果となってございます。
 また、平成十六年度の三月期の上場企業の経常利益を見てみますと、平成十五年六月時点では七・八%増と予測されておりましたけれども、決算では二八・七%増と大幅な増益になりまして、過去最高の増収増益を更新したところでございます。
 こうした極めて堅調な企業収益と景気の回復を反映いたしまして、法人二税が大幅に増収となって、税収見積もり額に乖離が生じたものと理解してございます。

○松村委員 結局、主税局としての今までの長いスパンで都税の動向を見れば、特に景気の影響がある法人二税などを中心に上がったり伸びたり、ずっとこういう傾向が続いている。ですから、例えば十四年度決算ベースで、しかも大きな税制改正の影響を受けた、しかも銀行税も裁判で敗訴し、年度当初から大幅な七百億円ものマイナスをせざるを得ない、そういう事態をベースとして、しかも三年、四年の長期計画を立てているところにどだい--今実際、結果としての数字がこれだけ違い、本当に計画そのものが信頼性を失うものになるんじゃないかというふうに、私はそういう強い問題を持って指摘しなければならないというふうに思うんです。
 そこで、ではちょっと伺うんですけれども、平成十七年度の財政再建推進プランの試算額、三兆七千九百億円は当初予算とも既に相当乖離しているわけですから、平成十六年度の決算が既に出ているんですから、これをベースに、今述べられました平成十六年度の税制改正の影響、それからまた、今後これに外形が入るとか消費税の簡易課税の導入、また免税点が引き下げられるということで消費税が増税傾向になるとか、いろいろな要素を加味して、十六年度決算ベースで十七年度、十八年度、今いった税制のプラス要因なども含めて、どのように都税収入を見込めるんでしょうか、推定できるんでしょうか。

○川村税制部長 平成十六年度の決算額をベースに、十七年度と十八年度の税収見通しについて試算できるかどうかということでございますが、今後の各税目の税制改正がどうなるか、あるいは経済動向が個別税目に及ぼす影響等、不確実要素がかなりございますので、試算することは困難であると考えてございます。
 そこで、既に確定しております税制改正の影響額について申し上げますと、平成十六年度税制改正の影響額は、平年度ベースではございますが、九十六億円の減でございます。それから、平成十七年度税制改正の影響額は、十七年度初年度ベースで三億円の減でございます。それから、十八年度以後の平年度ベースでは百六十七億円の増と試算してございます。

○松村委員 いや、ですから、それを皆さん方が試算した、そしてそれを財務に渡した、同じでいいんですよ。当時は、十四年度決算、これをベースとして、十五年度の税制改正の影響を入れて、そして実績、法人二税の伸び率をゼロとして、その数字が生きてというか、財務当局は使ってこのプランの収支見通しを立てたんですよ。それで先ほどいった巨額の財源不足が生まれるとしたわけなんですけれども、逆に今、大幅にこれは乖離しているんだから、十六年度の決算が出ているんだから、前は十四年度決算をベースとして、そのときの税制改正の動向を、明らかになっているものを入れて試算したというんだから、今いった数字を、十六年度をベースとして、十七年度三億円マイナスですか、それから十八年度が百六十七億プラスというならば、どういう数字になるのかということを--この三兆七千九百億円というのは、まだ財政再建推進プラン、来年も生きているんですよ、十八年度までですから。ですから、この数字を今の時点に立って主税局として推定というか、どういう数字がいえるのかということが私の質問なんです。この三兆七千九百億円に対して、実際どういう数字なのか。

○川村税制部長 先ほども申し上げましたように、あくまでも十七年度、十八年度というのは個別税目のベースになる数字が異なりますので、これを正確に計算することは困難であると考えてございます。

○松村委員 今、税制改正による影響というのは、十六年度が九十六億円減、十七年度が三億、それから十八年度が百六十七億プラスというんだから、それを--私だってできますよ、これ。土台が、十六年度が三兆九千四百五十五億円だから、それにこれを足せばいいんじゃないですか。足せばいいというか、十七年度は三億がまだマイナスだから、ということになるんじゃないの。それで、十八年度が百六十七だから、三兆九千四百五十五億円に百六十七を足すということが--私、手持ちでいいといって、この乖離の表を皆さんにつくってもらったんですよね。どういう試算で三兆七千九百億円をずっと、財政再建推進プランの、この表に載っているんですけれども、収入の都税にしているのかという数字があるんですよ。だから、それをあくまでも聞いたベースが十四年度決算、これをもとに税制改正の影響を見込んで向こう十八年まで出したというんだから、余りにも今、十六年度--十五年度もそうです。十六年度決算も乖離があるから、改めてこのプランがどういうことだといえるかという--このプランそのものは、私、財務局で質疑したいと思うんです、十六年度決算で。ただ、主税としてはどういう数字になるんですかということを--だって、これは皆さん方が出した数字で、出した数字がひとり歩きじゃないけれども、財務局だって、自分たちがつくった数字といいませんよ。主税から、その後の都税の収入見通し、税制改正の影響なんかを受けていただいた数字をもとに収入を明らかにしているんだというのが財務局のいい分だということはわかっているんですよ、聞かなくても。だから、今は主税局だから、十六年度決算が出たんですから、その見通しについて私はお聞きしたいというんですけれども。

○川村税制部長 仮に平成十八年度の税収額を見積もるといたしますと、平成十八年度の税制改正がどうなるか、例えば、先ほど申しましたような投資減税が延長されるかどうかという問題もございますし、それから、ベースとなるそもそもの十六年度、十七年度、十八年度の法人二税の税収が明らかになりませんので、正確に見積もることは困難かと存じます。

○松村委員 私は、先ほど出していただいたものをベースに、では私なりに考えます。それ以上、今は正確にはいえないというのはそのとおりだと思うんですね。もっともっとこれはふえる要因があるんですよ。確かに分割基準で、盛んにマイナス要素で、分割基準で六百億円ぐらいもこれから東京都の取り分が減っちゃうんだというけれども、ほかのいろいろな要素を入れると、ほとんどそれは逆に増税の方が、皆さん方から出した資料をもとに今まで財政委員会でやったのでも、多いんですよ。明らかに今いった数字、しかもそれは十六年度決算をベースにしてというから、ゼロにしても大変大きな財政再建二次プランとの乖離があるということをここでは指摘しておきたいと思います。
 いずれにしても、第二次財政再建推進プランは収入面からいっても破綻したといってもいいと思います。財源不足を口実に都民施策切り捨てのやり方は今こそ転換すべきだという意見をここでは申し上げるにとどめたいと思います。
 次に、もう一点だけ、固定資産税の軽減策について私の方からも伺いたいと思います。
 まず、平成十六年度、主税局が固定資産税の減免をやっている主な事業はどういうものでしょうか。まずお答えいただきたいと思います。

○安田資産税部長 十六年度の減免対象ということのお尋ねですが、地方税法では、天災その他特別の事情がある場合において、市町村の定めるところにより、固定資産税を減免することができるとされております。現在、町会事務所、遊び場、公衆浴場、認証保育所など、約三十の事業を対象に減免措置を講じているところでございます。

○松村委員 先ほどの質疑にもありました新築住宅、また小規模住宅用地などに対する減免もありますけれども、私、これは要望だけにとどめますけれども、それが一年ごとの時限措置といいますか、私ども繰り返し主張しているのは、ほかの減免というか、固定資産税のとおり、安定的に図るべきじゃないか、少なくとも長期的にそういう措置をとることが、どれだけ都民の心理的なというか、本当に安定して東京に住まい続け、お仕事できるような状況にとってもはかり知れないと思うので、これは要望だけにしますけれども、先ほどの三つの時限措置の一年ごとの--私たち、毎年議会で決議を上げるとか、たくさんの陳情や請願を受けてやるということの繰り返しになっておりますから、ぜひ、また来年度もということじゃなくて、長期の継続をこの点では要望したいというふうに思うんです。
 それで、きょうは私は、類似幼稚園の固定資産税の軽減についてに絞って伺いたいと思うんですけれども、幼稚園や保育所に対する減免措置を行っていますよね。この中にもあります。これはどういう理由で行っているんでしょうか。

○安田資産税部長 幼稚園や保育所に係ります固定資産税は、基本的には地方税法の規定によりまして非課税とされているところでございます。ただし、この適用を受けるものは、設置者が学校法人、社会福祉法人及び民法第三十四条に定めます公益法人でございまして、かつ所管局の認可を受けたものに限定されております。そのため、これら以外の個人の方などが設置した幼稚園あるいは保育所で、設置基準を満たし、所管局の認可を受けたものにつきましては、非課税の幼稚園等との均衡上、減免を行っておるところでございます。

○松村委員 類似幼稚園といわれるものは、少子化対策にとっても現在大切な役割を担っているというふうに思います。子どもの教育を受ける権利にとっても、また、親が自分の子どもにとってふさわしい教育の場として類似幼稚園を選んでいる実態を踏まえれば、固定資産税の減免が適用になってしかるべきだと思いますけれども、これまでなぜ減免の対象にならなかったのか合点がいかないというか、というふうに思うんですけれども、今のお答えではどうもちょっとはっきりしないわけですね。
 公益法人で所管局の認可を受けたものに限定されているということよりも、一体この類似幼稚園について、ではどういう所管局の認可というか、たしか幼稚園の学校設置基準には該当しないというか、施設基準がそれ以下だというふうに、それは確かですね、さすがに事実ですけれども、それだけではこの減免対象にならないということがどうも理屈に合わないというか、わからないんですけれども、これまで検討したというか、どうして類似幼稚園はそれに該当しないんでしょうか。

○安田資産税部長 幼稚園の類似施設というものは、昭和四十年代のいわゆる第二次ベビーブームのころ、入園を希望する幼児の方に対して、一方で認可幼稚園の絶対数が大変不足している、そういった状況により発生したものというふうに考えております。
 今、松村委員のご指摘のとおり、いずれも設置基準に達していないということで認可も受けていないということでございますので、減免措置を講じていないということでございます。

○松村委員 同じような役割といいますか、今、この類似幼稚園も含めた幼稚園、保育園、幼保一体化とか、いろいろな延長保育を引き受けているとか、そういう意味での一体化のあれもありますけれども、そういうのを見てみると、同じような役割を担っている認証保育は固定資産税は非課税扱いとなっていますよね。非課税です。認証保育は、逆に法的根拠という点では無認可保育園以下なんですね。それでも要綱を東京都がつくって減免措置をとっているのが実態ですよね。それに比べ、既存の類似幼稚園は、歴史的にも、しかも親のニーズに合った保育をしていることからも、認証保育園制度との整合性からいっても、私は検討対象になるというか、援助してしかるべきだというふうに思うんですよ。
 だって、認証保育といったって、国の児童福祉法からいえば無認可保育園以下なんですよ。以下というか、それは東京都がそういう考え方というか、知事もそうですけれども、とっている。それで、類似幼稚園というのはもう五十年間続いて、当時は東京都の施策としても多くの園児を受け入れざるを得なかった、だから今でも、例えば私立幼稚園の園児保護者負担軽減策をとっていますよね。全く同じに出されているわけですよね。東京都も、この類似幼稚園については一定の認可というか出しているわけですから、基準を持っているわけでしょう。その基準を一つの規定に当てはめれば適用されるというか、それは国の学校法人の幼稚園の施設基準だとか、そういうのは満たさないかもしれませんけれども、認証保育だって、東京都が、これは合うというか、そういうふうに、そういう考え方のもとで非課税にしているんですから、なぜこの同じような、しかも歴史的な経過があって五十年も続いて、同じような役割を果たして福祉や教育的な観点からやっている類似幼稚園に適用されないかというのは、どうしてもわからない。わからないというか、認証保育園制度との整合性からいっても援助すべきではないんでしょうか。

○安田資産税部長 認証保育所との比較の上でのお尋ねだということと思いますが、認証保育所につきましては、児童福祉の増進に資するために、東京都がその設置を税制面から支援するということで、減免要綱に基づきまして、知事から認証保育所の設置の認証を受けたものに対しまして減免措置を講じているところでございます。
 一方で幼稚園類似施設は、先ほど来お話し申し上げましたように、幼稚園の設置基準に達していない、そのために認可を受けていないというものでございます。認可を受けていないそういった施設を減免するということは、一方で、設置基準を満たしたそういった幼稚園との間に逆の意味の不均衡が生じる、そういったことから減免措置を現在講じていないものでございます。

○松村委員 ちょっと認証保育を例に出したんですけれども、認証保育も保育園の設置基準に足りてないというか、完全に合致してないですよね。それでも認証保育というのは、一つの制度としてというか、認めて、今非課税扱いでしょう。幼稚園の基準に類似幼稚園というのは合ってない、でも、現に生活文化局では私立幼稚園保護者負担軽減を、例えば、類似幼稚園といわれて、東京都幼児教育協議会ですか、に加盟されている二十四の園、施設の園児に対しては出されているわけですよね。だから、認可の幼稚園の設置基準に照らしては基準以下だけれども、現にそういう東京都の幼児教育というか、担う役割があるということで生活文化局が出しているわけですから、当然私は主税局としての対応はしかるべきだと思うんです。
 先ほどちょっと、所管局で認可を受けたものに限定されているという答弁があったんですけれども、では、これは何らかの形で生活文化局がそういう判断を示してないから主税局としてはそういう対応がとれない、そういう所管局の、今類似幼稚園を調べていましたら生活文化局ですよね、ということなんでしょうか。もう少し問題の所在を--だって、主税局が認可基準とかそういうのを決めるんですか。そうじゃないですよね。例えば今いった認証保育は、普通の無認可保育園よりも法的根拠が逆にないんですよ。それでも、今必要があるから、都政の課題として、しかも税の減免までやって応援している。私は、今日の少子社会の中で類似幼稚園が必死に役割を担ってやっているというのは本当に涙ぐましいと思うし、今官から民へなんて盛んにいっている中で、そういうわずかな税制支援でもっと私は応援してやっていいというふうに思うんですよ。
 大体、聞きましたら、この類似幼稚園で今一生懸命頑張っている方で、一番多くて固定資産税が年間二百万円だそうです、かかっているのは。あとはみんなそれ以下の基準だから、しかも固定資産税、ほかはみんな、教会でやっているとか借地しているとか都からの借地とかいろいろありますから、二十四園あるうち、固定資産税で今本当に大変だ、助けてほしいといっているのは十園ぐらいだというんですよ。大体千二百人ぐらいの園児さんがいて、そのうちの十園で、しかも最高で二百万円だというから、十園全部にやったとしたって二千万円以下ですよね。そこで必死で頑張って支えていられる。
 しかもそれは、全然判断がなくて延ばすんじゃなくて、もう五十年来やってきて、東京都もその役割を認めて、ほかの私立幼稚園に通う方と同じように保護者負担軽減をやっているという、しっかりとした基準を持ってやっていらっしゃるんですよね。だから私は、これは生文局の判断というよりも、主税局の判断でこれにつけ加えればいいので、できるんだというふうに思うんですけれども、あくまでもそうじゃないんだ、所管局、生活文化局のそういう一つの基準をはっきりさせてくれということに問題の所在があるのかどうか、ちょっとその点、くどいようになりますけれども、ご答弁いただきたいというふうに思います。

○安田資産税部長 先ほどの認証保育所、それから、今お話のございます幼稚園の類似施設、これらは、委員のお話のように、主税局として、そういった所管局の判断を差しおいて、私どもがそれの実態的なものをつかむわけにはなかなかまいらない。したがいまして、まずは所管局のそういった認可の有無というのが私どもの判断基準の大きな一つになるということはご理解いただきたいと思いますけれども、もう一方で、児童福祉あるいは教育行政、そういったものが、主税局としてというよりも東京都としての施策の中での一貫性ということで、税制面の支援、あるいは、これはこういった教育行政に限るものではございませんけれども、減免制度もそういった都政の大きな政策の中の一環で私ども判断させていただいているというふうにご理解いただきたいと思います。

○松村委員 要望というか、憲法と教育基本法を持ち出すまでもないんですよね。すべての国民は教育上差別されないということと、それからまた地方自治法第二百三十二条の二においても、普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄附または補助することができるという、そういう法のもとにおける平等ですか、既存の類似園もそういうことに基づいて保護者負担軽減を二十年以上にわたって出しているわけですよね。
 関係者は、類似幼稚園は、ともすると学校法人になれない幼稚園として価値の低いものとして認識されているが、公的補助がなくても高い教育内容を生み出しているという点ではむしろ時代の先駆けである、むしろ財政に負担をかけない類似園の価値を積極的に認め、少額の補助で多様な教育の実践に道を開くべきではないでしょうか、東京都の独自の価値基準の中で、ぜひ類似幼稚園のそういう価値を見直してほしいという切々たる要望も私たち訴えられております。これは各会派に対しても要望を出されているというふうにやっていますし、一時、東京都が財政の中でこの補助金も打ち切ろうというときには、本当に議会挙げてこれを趣旨採択、これは固定資産税じゃなくて、保護者に対する、園児に対する補助金のあれを継続すべきだという議会としての意向も明らかにしているんですよね。そういう中で、今施設側も非常に税の負担が重くなっているし、何とかしてほしいというような声を上げてきている点に対して、前向きにというか、検討していただきたいというふうに思うんです。
 私、余り局長には答弁を求めませんけれども、長年財務局をやっていましたけれども、この際主税局長に、ぜひこの声にこたえていただくように検討願えませんかということを求めたいんですけれども、いかがでしょう。

○菅原主税局長 資産税部長がるるお話しいたしましたけれども、いろいろと検討しなければいけない、あるいは研究しなければいけない課題等もございますので、それを踏まえた上でということになろうかと思います。

○松村委員 では、重ねて要望いたしまして、終わります。

○服部委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○服部委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十一分散会

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