委員長 | 小磯 善彦君 |
副委員長 | 矢島 千秋君 |
副委員長 | 大沢 昇君 |
植木こうじ君 | |
田中たけし君 | |
伊藤 ゆう君 | |
松下 玲子君 | |
橘 正剛君 | |
串田 克巳君 | |
林田 武君 |
欠席委員 なし
出席説明員港湾局 | 局長 | 津島 隆一君 |
技監 | 樋口 和行君 | |
総務部長 | 斉藤 一美君 | |
団体調整担当部長 | 岡田 至君 | |
港湾経営部長 | 新田 洋平君 | |
参事 | 江津 定年君 | |
臨海開発部長 | 鈴木 雅久君 | |
開発調整担当部長 | 尾田 俊雄君 | |
参事 | 藤原 正久君 | |
港湾整備部長 | 田中 亨君 | |
計画調整担当部長 | 滝野 義和君 | |
離島港湾部長 | 萩原 豊吉君 | |
参事 | 宮崎 孝治君 | |
都市整備局 | 局長 | 梶山 修君 |
次長 | 村松 満君 | |
技監 | 小林 崇男君 | |
技監 | 依田 俊治君 | |
総務部長 | 安藤 明君 | |
都市づくり政策部長 | 福島 七郎君 | |
住宅政策推進部長 | 矢島 達郎君 | |
都市基盤部長 | 成田 隆一君 | |
市街地整備部長 | 石井 恒利君 | |
市街地建築部長 | 野本 孝三君 | |
都営住宅経営部長 | 小林 計代君 | |
住宅政策担当部長 | 水流潤太郎君 | |
航空政策担当部長 | 小山 隆君 | |
多摩ニュータウン事業担当部長 | 酒井 洋一君 | |
都市景観担当部長 | 安井 順一君 | |
再編整備推進担当部長 | 庄司 静夫君 | |
参事 | 北村 俊文君 | |
参事 | 飯尾 豊君 | |
参事 | 金子 敏夫君 | |
参事 | 中沢 弘行君 | |
参事 | 山室 善博君 | |
参事 | 山口 明君 | |
参事 | 渡辺 滋君 | |
参事 | 今井 光君 | |
参事 | 宇多田裕久君 |
本日の会議に付した事件
平成十六年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
港湾局関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)
都市整備局関係
・平成十六年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都都営住宅等事業会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都市街地再開発事業会計決算(質疑)
・平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算(質疑)
○小磯委員長 ただいまから平成十六年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、港湾局及び都市整備局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
これより港湾局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十六年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○斉藤総務部長 十月七日開催の当分科会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の平成十六年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらん願います。
ご要求のございました資料は、表紙をおめくりいただきまして、目次に記載のとおり、三項目でございます。
恐れ入りますが、一ページをお開き願います。1、東京港臨海道路Ⅱ期事業計画、事業費及び進捗状況でございます。
上の囲みに全体事業費を示しております。下段の表に、平成十四年度から十五年度までと十六年度につきまして、百万円単位の都負担金の予算額、決算額と進捗率を示してございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
二ページをお開き願います。2、新海面処分場の埋立実績と処分状況でございます。
平成九年度から十六年度までの埋立実績を、処分状況欄に記載のとおり、廃棄物と土砂の種別ごとに一万立方メートル単位でお示ししてございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
三ページをお開き願います。3、東京港における取扱貨物量の推移と国内主要港との比較でございます。
平成十二年から十六年までの五カ年につきまして、表側にお示ししてございますように、東京港と国内主要四港ごとの総取扱量を、外貿貨物と内貿貨物に分け、千トン単位でお示ししてございます。また、外貿貨物につきましては、外貿コンテナ取扱量を内数として記載してございます。詳細はごらん願いたいと存じます。
ご要求のございました資料のご説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小磯委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田中委員 さきにご説明をいただきました平成十六年度の一般会計決算を受けまして質疑をさせていただきます。
私は、一点に絞りましてお伺いをいたしますが、運河ルネッサンスの事業につきまして、お伺いをいたします。
私の地元品川区では、京浜運河を初め天王洲運河や勝島運河がございます。そして、これらの運河を活用いたしまして、にぎわいのあるまちづくりが現在進められており、このことは地元の振興のためにも大変重要であるというふうな思いから質問させていただきます。
かつてこの地域は倉庫街でございました。この地域を開発し、今はにぎわいを見せている特に天王洲アイルなどは、京浜運河あるいは天王洲運河に挟まれており、まさにこの運河の活用が今後のまちづくりの発展のかぎを握っているといっても過言ではないと我々は認識をしております。
こうした中、東京都では、運河ルネッサンス事業を平成十六年度から重点事業として位置づけまして、調査に取り組み、そして決算額は一千万円弱と、さきの報告書でも伺っております。
この調査に基づきまして、天王洲地区が最初の推進地区に指定されたことは、私自身も大変心強く受けとめておりますが、多額の経費をかけることなく、このように誘導する仕組みづくりということでのソフト面による施策によりまして運河の活用を図りまして、地域のにぎわいや魅力の創出を推進する運河ルネッサンスの事業は極めて意義ある事業であろうと受けとめておりますが、まず初めに、この運河ルネッサンスに取り組んだことにつきましての背景についてお伺いをいたします。
○田中港湾整備部長 運河ルネッサンスに取り組んだ背景でございますが、東京港の運河は、かつては、はしけなどの使用により産業振興の担い手として重要な役割を果たしておりました。
しかし、近年、運河の舟運利用が低下するとともに、周辺の土地利用も、工場や倉庫から事務所やマンションなどへと転換が進んできております。このように、ウオーターフロント開発の進む中、運河は、都市景観や環境を形成する重要な要素へと変貌してまいりました。
一方、千客万来の都市東京を目指して、水辺空間の活用は、東京都の観光施策として大きくクローズアップされてまいりました。
このような状況を踏まえ、運河をこれまでの物流空間からにぎわいを創出するまちづくり空間として、また貴重な観光資源としてとらえまして、水辺空間の魅力の向上と東京港のベイエリア地域の活性化を図るため、運河ルネッサンスへの取り組みを始めたものでございます。
○田中委員 今ご答弁いただきましたように、この地域の様相、役割が変化するとともに、舟運の活用が減って、いわゆる倉庫街からオフィス街、ビルあるいはマンションなどの建設が進められて、大きくこの街並みも変わってきております。このような時期に、東京都がさらにこの地域を、今もお話しいただいた、いわゆる都市型観光的な発想からこの地域をさらに発展させようという視点での運河ルネッサンス事業というのは、まさにタイムリーな事業ではないのかなと受けとめております。
もう少し具体的に、この運河ルネッサンス事業のこれまでの経過につきまして、事業の取り組みの経過につきまして、また、現状につきましてお聞かせをいただきます。
○田中港湾整備部長 これまでの経過と現状でございますが、港湾局では、運河ルネッサンスを平成十六年度の重点事業に位置づけまして、その実現を図るための仕組みづくりに取り組んでまいりました。
具体的には、地元の機運が高まっている天王洲や芝浦地区を対象といたしまして、地元の区や町会のほか、企業やNPO法人も参加する検討会を設置いたしまして、地域の個性を生かした運河の活用方策や規制緩和策について検討をしてまいりました。
その結果、本年三月、新たに運河ルネッサンスガイドラインとして要綱を定め、この要綱の中で、水域利用の熟度が高まっている地区を推進地区として指定し、水域占用の規制緩和などを行うこととしたものでございます。
また、この要綱に基づきまして、本年六月には、天王洲及び芝浦の二つの地区を初めて推進地区に指定し、運河のにぎわいづくりのためのイベント等の実施を支援してまいりました。
現在、晴海地区や豊洲地区におきまして、運河や水辺の活用方策について地元との協議を進めるなど、他の地区への展開を検討しているところでございます。
○田中委員 今お話しいただきましたように、天王洲地区あるいは芝浦地区を推進地区としていただきまして、天王洲におきましても既にさまざまな事業が行われております。
また、今後の展開として、豊洲あるいは晴海地区にもということでございますが、この推進地域でのさまざまな成果、それはプラスの面もマイナスの面もあるかもしれませんが、その面をしっかりと蓄積をしていただきまして、推進地区から他の運河地域に向けての、このルネッサンス事業が大きく大きく活用されるような、そんな方向に持っていっていただけたらなという強い思いがございます。
そして、同様に、品川の地域では勝島運河がございまして、その周辺に立会川の商店街が隣接しております。品川区においては、この運河を一つの観光資源と生かして、地元の商店街あるいは町会がその観光資源をしっかり生かしながら地域の活性化を進めていこうという、指定地域外にもこのような地区がございます。
既に具体的には、この立会川の商店街が品川花街道ということで、運河沿いの護岸にコスモスの花を植えて、もう既に今は満開だというふうに伺っておりますが、その花を見ながらまた水辺を親しんでいける空間にしていこう、それとともに、隣接する商店街の振興に役立てていこう、そんな形で、この運河というものを視野に入れながら地域の活性化を進めております。どうぞ、そのような形で、他地域へも推進を図れるようにご尽力をいただきたいと思います。
改めてお伺いしますが、運河ルネッサンス推進地区に指定された場合、水域占用の規制緩和があるということでございますが、他地域も含めて、こういった規制緩和がどのように生かされていくのか、具体的に地元にはどのようなメリットがあるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○田中港湾整備部長 運河ルネッサンスのメリットでございますが、推進地区に指定された場合には、これまで運河に設置できなかった水上レストランや民間による観光桟橋の設置が可能になるなど、規制緩和によりまして水域利用の幅が大きく広がります。
この結果、レストランなどの施設が水辺に立地することによりまして、運河の背後地も含め、地域全体のにぎわいや魅力を向上させることが可能となります。
また、占用期間につきましても、従来は一年としておりましたが、これを三年に延長しており、さらにその更新も可能としております。これによりまして、民間の将来にわたる事業展開が可能となるよう配慮いたしました。
こうしたさまざまなメリットを東京都のホームぺージに掲載し、積極的にPRを行いますとともに、こうした地区の地元のイベントを後援するなどの支援も行っているところでございます。
○田中委員 推進地区におきましてのこのような規制緩和に伴って、さまざまな事業を起こし、そしてまた、その成果を他地区でも反映させていこうという試みだと思います。
今後、東京都の運河全域に運河ルネッサンスの取り組みが広がり、東京の魅力がさらに高まることを大きく大きく期待をしておりますが、改めまして、今後、この運河ルネッサンスの事業をどのように展開していくのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○田中港湾整備部長 今後の取り組みの方向でございますが、先ほどご説明いたしました晴海地区や豊洲地区を含めまして、推進地区をさらに他の地区へ拡大して展開してまいりたい、このようにまず思っております。
また、それぞれの推進地区で行われますイベントの相互交流を促すような企画をしたり、あるいは子どもたちを対象とした環境学習の実施など、今後はより多くの都民が参加できるような工夫も行ってまいりたい、このように思っています。
このように、取り組み内容を充実いたしますとともに、推進地区のネットワーク化を進めまして、運河ルネッサンスを点から線、さらには面へと広げ、東京の水辺空間全体の活性化を図っていきたいと考えております。
○田中委員 ありがとうございました。ぜひこの事業をしっかり大きくお育ていただきまして、今お話しいただいた点から線、線から面へということでございますが、逆にまた、これは強い要望でございますが、特に都市型観光という視点での、このように資源を生かしていく大きなきっかけとなる事業だと思いますので、展開をいただくと同時に、特に商業振興あるいは観光振興というところにもつながるわけでございまして、このルネッサンス事業は港湾局の方々の所管ではございますが、ぜひ今後、産業労働局の方々を初めとした他局との連携をしっかり踏まえて、この事業がさらに大きく大きく育ち、そして地域の活性化につながるように期待をして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○橘委員 私からは、東京港周辺の防潮堤整備と運河の魅力づくりについてお伺いします。ただいまの田中委員の質問と重ならない角度から質問したいと思います。
近年、世界各地で発生した大規模な自然災害の教訓から、人的、物的な被害を少なくするためには、港湾やそこに通じる運河、河川の防潮堤や護岸の強化が極めて重要であるということがクローズアップされております。
東京都では、これまで伊勢湾台風級の台風にも耐え得るような、そしてまた安全であるように、総延長で七十キロメートル以上に及ぶ大規模な海岸保全事業をやってきたと聞いておりますし、また、港湾局関係の平成十六年度決算を見ましても、東京港全体で五十二億円余りの整備が行われておりまして、着実に整備が進められている状況がうかがえます。
また、その整備に当たりましては、ただ単につくればいいという形ではなくて、環境や景観にも配慮したさまざまな工夫がされているということも、決算を拝見してうかがえました。
以前、私は、東京港とその周辺の運河を船で回る機会がございまして、そのときの印象でございますが、その当時は、黒ずんだコンクリートむき出しの護岸が両脇にそそり立っておりまして、まるでかみそりがそそり立っているような、そんな印象も受けまして、殺風景で不気味な雰囲気があるなという、そんな印象を強く記憶しております。
ところが、近年は、運河周辺でも民間による住宅開発が進みまして、護岸整備を進める上で、防潮堤としての機能を十分果たすことは当然でありますけれども、観光スポット、都民の憩いの場として景観にも配慮した運河筋の整備という視点が私は大事であろうと思っております。
といいますのは、北海道の小樽市など、各地の港湾では運河や護岸にその地域の特色を生かした工夫を行っておりまして、これが有効に活用されて、大変な観光資源ともなっているからであります。東京港周辺におきましても、運河の魅力づくりというのは、必要かつ有意義な事業であろうと思います。
そこで、東京港における運河の魅力づくりについて、何点かお伺いいたしたいと思います。
まず、平成十六年度における運河沿いの護岸整備の実績について説明をお願いしたいと思います。
○田中港湾整備部長 港湾局では、高潮や津波などから都民の生命と財産を守るため、これまでも運河沿いの護岸整備を着実に進めてきております。
十六年度でございますが、約二十二億円の事業費を投じまして、護岸延長約二・六キロメートルの区間におきまして事業を実施いたしました。
具体的には、豊洲運河や芝浦運河などの護岸を整備いたしましたほか、既設の護岸の耐震強化対策も行っております。
○橘委員 ただいま説明がありましたけれども、この整備事業では、護岸の親水性や景観を高めるためにどんな工夫をしているか、その点についてご説明いただきたいと思います。
○田中港湾整備部長 親水性や景観を高めるための工夫でございますが、護岸を整備するに当たって、潤いのある水辺環境を創出する観点から、都民が水辺に親しめるよう階段を設けたり、あるいは緩傾斜型の護岸構造を採用しております。
また、護岸の上に植栽された遊歩道を整備するほか、周辺の道路から遊歩道へ接続する通路にスロープを設けるなど、子どもやお年寄りにも快適に利用できるよう、ユニバーサルデザインに配慮した設計も行っております。
○橘委員 東京の都市づくりの観点から見れば、今、答弁があったように、防潮護岸などに水辺の魅力を高める、そういった、いわば付加価値をつけることが重要であろうと思います。
そこで質問ですけれども、遊歩道の設置とか、水辺の魅力づくりに配慮した護岸整備のこれまでの事業の実績についてお伺いしたいと思います。
○田中港湾整備部長 護岸の整備に配慮したこれまでの実績でございますが、水辺に触れられるよう工夫した緩傾斜型の防潮堤は、京浜運河や臨海副都心を中心に約六キロメートルを整備してまいりました。
また、水辺の散歩ができるよう遊歩道を整備した護岸の延長は、約八キロメートルとなっております。さらに、都の整備した護岸の上に民間や地元区が遊歩道を整備した区間がございまして、これが約六キロございます。これらを合わせますと、遊歩道のある護岸延長は約十四キロとなっております。
このほかに、海上公園施設の一部といたしまして、緩傾斜型の護岸やいそ浜などを整備してきておりまして、その延長は約六キロとなっております。
このように水辺の魅力づくりに配慮し、整備してきた護岸には、緩傾斜型と遊歩道の両方を整備した区間もございますが、こうしたいろいろな対策をとった実延長は、合計で約二十二キロメートルとなっております。
○橘委員 今後もこうした事業の推進を期待しておりますけれども、これからの課題として取り組まなきゃならない、また考えていかなきゃならないということは、東京港周辺でも、民間による住宅開発が今後さらに活発に行われていくと思います。そしてまた、あわせて住民の数もまたふえていくということが想像されます。
それを踏まえますと、水辺の魅力づくりについては、民間の住宅開発業者の協力もこれからは非常に大事になってくる、そういう要素があるのかなという気がしてなりません。
つまり、河川とかその護岸、そして周辺の住宅地、つまり河川、護岸、住宅地、これが一体としてとらえられるような、そういった考え方で、かつまた、官民協働で防災能力、それから景観に配慮した観点が、これから非常に大事になってくるのではないかと私は考えております。
多分、これが東京都、また港湾局さんが考えていらっしゃる整備の方向性でもあろうかと思いますけれども、開発業者に対して、水辺の魅力を高めるために、これからは行政の側からも細かな要請をしていくことも必要であろうと思いますし、また、協力をお願いしていくことが大事かと思います。
この点について、東京都としては今までどのような取り組みをなさってきたのか、お伺いしたいと思います。
○田中港湾整備部長 民間の開発者への対応でございますが、運河に面してマンションなどの開発が行われる場合には、その開発者に対して、潤いのある空間づくりを促すため、水辺と調和した開発を進めるよう、協議や調整を行っております。
例えば、護岸上の遊歩道と開発地内の広場との連続性を確保するため、植栽や歩道の色合いの統一など、一体的な整備を進めてきております。また、開発地内に水辺へアクセスできる通路を確保するような要請も、会社に対して行っております。
さらに、こうした水辺の魅力をより高めるために必要な費用につきましても、開発者に負担していただくよう、要請してきているところでございます。
○橘委員 良好な景観を持つ魅力ある運河というのは、都民に潤いを与えるとともに、観光スポットとして多くの観光客を呼び寄せる、いわば大都市型観光資源にもなり得ると思います。
防潮堤としての機能を十分果たしながら、周辺の高層ビル群との調和など、ほかの港とは異なる東京港の特徴を生かした運河づくり、また景観づくり、これを私は期待したいと思います。
港を持つ海外のいろいろな--世界の有数な港がございます、また都市もございますけれども、そういったところに負けない、美しく魅力と活力にあふれた世界都市東京の創造を、東京港周辺から創造していただきたいということを要望として述べさせていただきまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
○植木委員 港湾局の所管であります伊豆諸島の、きょうは大島町の港湾施設、それから三宅島について、若干ですが質問いたします。
大島航路を運航している東海汽船、大型汽船から小型の高速船、ジェットフォイルに切りかえてきたわけで、十四年四月から就航してきたわけですね。その結果、大体六時間前後かかってきたのが二時間弱に運航時間が短くなったということで大変便利になって、島民の方からも、また観光者の方からも非常に喜ばれているのです。
大島の港の現状ですけれども、なかなか島は切り立っていて、島から海が深くなっていて、港湾自体が非常に荒波にさらされるという事態があると思うのです。特に台風や風雨が強いときなど、いろいろ努力されていると思うのですけれども、着岸できない、そういったケースがあった場合にはどんなふうにされているのか、まずお聞きしたいと思います。
○萩原離島港湾部長 大島におきましては、高速船は、波浪状況によりまして、元町港か岡田港のどちらかに着岸することとなっております。
台風などにより欠航する場合を除きまして、大島にはほぼ一〇〇%着岸をいたしております。
○植木委員 一〇〇%というのですけれども、まあ台風などは例外というけれども、台風のときは着岸しないわけですから、一〇〇%ではないのですけれども、いずれにしてもどちらかになってきている。
私どものところには、元町港の方々、特に観光産業をやっていらっしゃる方々から、元町港は特に海のうねりが非常に強い日が多いということで、着岸できない日が比較的多いという港になっているわけです。そういう意味で、今後、地元の観光産業などを重視する上で、ぜひ元町港の港に停泊できる、着岸できる回数がふえるような努力ができないのだろうか、こういう要望が来ているのですけれども、いかがでしょうか。
○萩原離島港湾部長 大島のような大離島におきましては、原則として、一つの島に二つの港を整備する方式をとっておりまして、波浪条件などによりましてどちらかの港に着岸できること、これを目標にいたしております。
ちなみに、平成十六年の元町、岡田両港の着岸率でございますが、ほぼ半数ということになってございます。
○植木委員 ほぼ半数というのですけれども、元町の方がどちらかというと、観光産業が集中して、メーンの島となっているというふうに聞いているのです。
そういう意味で地元の産業関係者、もちろん岡田港の方々、いろいろ意見あると思うのですけれども、そういった点について十分事情をお聞きして、そういった要望が受けとめられるような、そういう努力をしていただきたいというふうに思っています。これは今後のことですから、要望だけしておきます。
それから、大島の南に位置する波浮港の問題ですけれども、これも天然の港といわれていますけれども、やはり波浪条件が非常に厳しい港の一つであると。港口に防波堤をつくる計画だと聞いておりますけれども、どんな計画になってますでしょうか。
○萩原離島港湾部長 先生ご指摘のとおり、波浮港におきましては、波浪条件が極めて厳しい港湾でございます。このため、港内の岸壁や小型船の泊地の静穏性を向上させるため、波浮港の港口に防波堤を整備する計画がございます。
○植木委員 防波堤をつくるという計画で、実はこの防波堤について、地元からの要望がやはり出ているのですが、波浮港の南にある岸壁では特に波が荒い日が多い、船が着岸しにくい、ならい風といって、北または北東の風が吹くと水の被害が非常に大きい、水害になるというような状況だということで、防波堤をつくるに当たって、岸壁に確実に着岸できるように、設置位置だとか長さだとか、真に効果的な施設にするためのシミュレーションなどぜひやってほしい、こういう要望が出ているのですけれども、いかがでしょうか。
○萩原離島港湾部長 防波堤につきましては、シミュレーションによりまして波浪の解析を行った上、位置でありますとか大きさ、こういったものの計画を定めてございます。
現在、この計画に従いまして、本年度より整備を進めていくということになってございます。
○植木委員 シミュレーションを行ってそれを反映させたということですから、これは要望にこたえたことになるわけですけれども、いずれにいたしましても、かつて大噴火の後に、波浮港につくった桟橋が、やはりうねりが非常に高くて接岸できないというケースがあって、釣り人以外は余り近寄らないというようなお話も伺っていますけれども、せっかくシミュレーションをして計画したわけですから、十分地元の意見も聞いて、実現に努力していただきたいというふうに思っています。
それから三宅島の問題ですけれども、ご存じのように、三宅島もガスの発生等で避難をされていて、先般、避難指示が解除されたわけです。既に半年以上になるわけですけれども、実際には三宅島の空港は再開されていない。島民の方からも、それから観光関係者からも、生活の利便性や観光産業の育成のためにも、一刻も早く空港を再開してほしいという声が私どものところにも寄せられています。
私も、都議選が終わった直後に三宅に行こうと思ったら、ちょうど台風とぶつかって、現地に行けなかったのですけれども、やはり三宅島に空港ができれば、いろいろ時間をやりくりすれば、別の時間で、また短時間で行けるということですから、ぜひ再開について努力をしていただきたいと思っております。
特に、空港の北側では、高濃度地区などに指定されていますから、そういった噴火ガスへの配慮も必要だと思うのですけれども、これらの点についてどのようにお考えでしょうか。
○宮崎参事 三宅島空港の再開につきましては、三宅村安全確保対策専門家会議や国、航空会社などの関係機関と密接な連携のもと、火山ガスに対する空港利用者などの安全性の確保や安全マニュアルの作成等、航空機の安全運航体制の整備、また、空港ターミナルビルの復旧及び脱硫化など、空港の早期再開に必要な準備を進めてまいりたいと思っております。
○植木委員 既にそういうことで調整が始まっているというふうに考えてよろしいですか、それともこれからですか。ちょっとその点だけ。
○宮崎参事 ターミナルビルなど空港施設の現況調査がどうなっているのか、現況調査を今行っているところでございます。
○植木委員 現況調査を行って、そういう調整に入ると思うのですけれども、いずれにしても、三宅島の島民の皆さんは、かつて島民避難があって、今回もそういうことで避難があって、非常にたびたび苦労されているわけですので、できるだけ利便性を向上させるために努力をしてほしいし、島しょの港湾全体として、やはり生活の足そのものですから、ぜひ一層整備に努力をしていただきたいということを重ねてお願いして、終わりにしたいと思います。
○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
○小磯委員長 これより都市整備局関係に入ります。
初めに、理事者の欠席について申し上げます。
石井経営改革担当部長は、病気療養のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
決算の審査を行います。
平成十六年度東京都一般会計決算中、都市整備局所管分、平成十六年度東京都都営住宅等事業会計決算、平成十六年度東京都都営住宅等保証金会計決算、平成十六年度東京都都市開発資金会計決算、平成十六年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算、平成十六年度東京都市街地再開発事業会計決算及び平成十六年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○安藤総務部長 十月七日の当分科会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成十六年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をめくっていただき、目次をごらんください。
資料は、1の既設都営住宅のエレベーター設置状況及び未設置住宅の棟数から、7のマンション改良工事助成事業実施状況までの七件でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。1の既設都営住宅のエレベーター設置状況及び未設置住宅の棟数でございます。
まず、上段1の設置状況は、平成十七年三月末までに設置されたエレベーターについて、団地数と設置基数を、下段2の未設置住宅の棟数は、廊下型と階段室型の建物構造別に区分して記載したものでございます。
続いて、二ページをごらんください。2の西武新宿線(中野区内)における踏切対策の検討状況でございます。時期ごとに検討した経緯を記載してございます。
三ページをお開き願います。3の警察大学校等移転跡地土地利用転換計画案策定の経緯でございます。時期ごとに検討した経緯を記載してございます。
続いて、四ページをごらんください。4の首都高速道路に対する出資金、貸付金の推移でございます。
過去十年間の首都高速道路公団に対する出資金、貸付金の金額及び出資率、貸付率の推移をそれぞれ記載してございます。
五ページをお開き願います。五ぺージから六ぺージにかけまして、5の高さ百メートル以上の大規模ビルの建設状況を記載してございます。
平成十七年三月末までに建築確認済みの高さ百メートル以上のビルにつきまして、竣工またはその予定日が平成十四年度から十八年度のものを、名称、高さ及び延べ面積について年度別に記載してございます。
七ページをお開き願います。6の都営住宅、公社住宅、都民住宅等の建設実績でございます。
過去十年間の建設実績を新規、建てかえ別に記載してございます。
続いて八ページをごらんください。7のマンション改良工事助成事業実施状況でございます。
過去五年間の実施状況について、予算、申し込み及び実績別に件数、戸数及び利子補給対象金額を記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○小磯委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○林田委員 都市計画道路についてお伺いいたします。
道路をより便利に、より快適にしていくためには、都市計画道路と認定をしていただいて、用地を収得し、整備をしていただくことになるわけですが、現実、なかなか用地の収得ができないというのが実態だと思います。
そこで、都市計画道路と認定され手がつけられていない部分、区内は何%、三多摩では何%、西多摩では何%になるのか、まずお伺いいたします。
○成田都市基盤部長 都市計画道路の整備状況についてでございますけれども、都市計画道路のうち事業に着手していない、いわゆる未着手延長につきましては、平成十五年度末現在で、区部では三一%、多摩地域では三七%となってございます。また、西多摩地域におきましては二八%となってございます。
○林田委員 手がついてないものが、多摩地域全体では三割以上あるということでございますが、計画として一番古いのはいつごろ決定されたのか、伺います。
○成田都市基盤部長 東京の都市計画道路につきましては、区部では、東京都市計画という一つの都市計画区域として決定されておりますけれども、多摩地域につきましては、現在、十九の都市計画区域に分かれ、決定されてございます。
多摩地域の都市計画道路は、当初、こうした各都市計画区域を中心として決定されてございまして、昭和五年の八王子市における都市計画決定を皮切りに、順次決定されてきてございます。
その後、昭和三十六年から三十七年にかけまして、こうした道路網を、多摩地域全体として統一を図る目的で道路網の見直しを行っておりまして、これが現在の都市計画道路網の基本となってございます。
こうしたことから、一括して都市計画決定した最も古いものは、福生を初め七つの都市計画区域が、昭和三十六年十月に決定したものが一番古いものとなってございます。
○林田委員 最も古いもので、都市計画道路と認定されてからもう四十年もたっているというお話でございますけれども、計画があるのに、いろいろな関係で着手されてないというような状況があるわけです。
これらの計画線のかかった市民は、二階までしかもう家が建てられないということで、四十年も我慢しているという、そんな状況があるわけで、大変な状況もあるわけですけれども、都市計画道路の現在の整備状況について、三多摩地区全体と西多摩地区の状況について、それぞれお伺いしたいと思います。
○成田都市基盤部長 現在の整備状況でございますけれども、平成十五年末現在で、多摩全体の都市計画道路の完成率は五一%となってございます。また、西多摩地域に限定されますと、完成率は六七%となってございます。
○林田委員 都市整備局だけではなくて、都市計画決定が行われますと、建設局とかいろいろな関係で、なかなか用地買収とかで進まないわけでございますけれども、多摩地域全体では依然として半分近くが、また西多摩地域でも三分の一が完成していないわけであります。引き続き整備を推し進めていただきたいと思いますけれども、東京都としての今後の取り組みについてお伺いいたします。
○成田都市基盤部長 東京都では、これまでも多摩地域の都市計画道路を計画的かつ効率的に整備するための事業化計画を策定してまいりまして、整備の推進を図ってきたところでございます。
現在、新たな事業化計画を柱といたしまして、整備方針の策定を関係市町と共同で行ってございまして、この中で、今後十年間で優先的に整備すべき路線の選定を行うこととしてございます。
本年八月には、基本的な考え方を示した中間のまとめを公表したところでございまして、引き続き関係市町とともに整備方針の策定を進め、多摩地域の道路整備を推進してまいりたいと思います。
○林田委員 ぜひ、事業の継続性や道路ネットワークなども踏まえてお願いをしたいと思います。
次に、早急に進めていただきたい事業の中から一点、市民の声を代弁してお願いしたいことがございます。
実は、拝島駅周辺の整備でございます。私たち西多摩に住む者にとりまして、JR拝島駅が改修されることになり、大変に喜んでいるところであります。平成十五年、東京都が中心となって、国土交通省、JR、西武鉄道、そして昭島市、福生市で、鉄道駅における交通結節点機能改善連絡調整会拝島部会を設置していただき、平成十六年、国、JR、西武鉄道、昭島、福生市で基本協定を締結、総工費約五十六億円、南北幅十メートルの自由通路、橋上駅、総合的な駅の改修が決まり、この九月の十九日に、拝島駅自由通路、橋上駅舎新設工事安全祈願祭が行われました。いよいよ自由通路、橋上駅の工事が開始されるわけであります。平成二十年三月完成の予定であります。
地元にとりまして、長い間の念願がかないまして、こんなにうれしいことはないわけでありますけれども、拝島駅舎の改修がこうして進む中、問題は拝島駅前広場であります。いわゆる駅広であります。
現在の駅前広場は、結節点重要駅として最も不備な駅ではないのかなというのが実態であります。都市整備局では、拝島駅前広場周辺整備について早々に取り組んでいただいておりますが、今後の整備計画の見通しについてお伺いいたします。
○成田都市基盤部長 拝島駅は、先生がご指摘のとおり、JR青梅線、五日市線、それから八高線、西武拝島線の四線の交通結節点となってございます。
拝島駅前広場の整備につきましては、現在行われています駅舎の改良あるいは事業中の自由通路とあわせまして、一体的に駅周辺の整備を行っていく必要があると考えてございます。
現在、地元昭島市が中心となりまして、将来の乗降客増などに対応できるよう、その拡大に向けた案を作成し、地元説明会を開催している状況でございます。
これを踏まえまして、都といたしましても、都市計画変更を含めました拝島駅周辺整備の具体化に向けまして、技術的な指導など、市に必要な協力を行ってまいりたいと思います。
○林田委員 それでは、最後に、要望をさせていただきたいと思います。
東京都としても、今お話のとおり、拝島駅の改修とあわせて一体的な駅周辺の整備が必要である、具体化に向けて努力するというご答弁がありまして、ありがたく思っているところであります。
平成二十年三月に、すばらしい駅舎が誕生いたします。あと二年半後であります。しかし、駅広は狭く、利用者にとって極めて不便という状況が長く続くことがないように、全力で取り組んでいただきたいと思います。
強くご要望申し上げ、質問を終わりたいと思います。
○植木委員 総合治水対策について伺いたいというふうに、まず思います。
十六年度の決算書を見ますと、総合治水対策事業についての額が思ったより少ないので、これはどういうことかな、まあ事務費程度のことで、最近は総合治水対策についての検討会みたいなのがやられているのかやられていないのか、ちょっとわからないのですけれども、総合対策事業について、十六年度、あるいはそういう会合が最近いつごろやられたのか、教えていただきたいと思います。
○成田都市基盤部長 総合治水対策につきましては、庁内に、都市整備局を初め建設局、下水道局、関係局で構成しております総合治水対策の検討会がございまして、その中で、今年は三月に幹事会を開催してございます。
○植木委員 十六年度じゃなくて今年三月に開催したということですが、この総合治水事業で、特に最近といいましょうか、この十年前後、都市型水害という言葉が出てきているのですけれども、この概念というのでしょうか、どういうふうに都市型水害という言葉を考えておられるのか。わかるようでいて、じゃあどうしたらいいかなということを含めて考えますと、きちっとお聞きしておいた方がいいかなということを今思ったものですから、教えていただきたいというふうに思います。
○成田都市基盤部長 都市型水害でございますけれども、かつては、都市化が進んでいない状況の中では、大体台風に対応したような水害が主なものでございましたけれども、都市化の進展に伴いまして、土地の保水遊水機能が低下しまして、雨水流出量が増大することが認識されてございます。
都では、これに対処するため、現在、河川とか下水道の整備を進めておりますけれども、特に台風型ではなく、雷雨型のものが都市型水害の今、特徴となってございます。
○植木委員 かつてと大分変わってきたと。私のところは山手通りの近くなんですけれども、環七雲だとか環八雲だとか、そういうのが出て、局地的な雨も平成元年ころから何回か降ったりしているのですけれども、いずれにしても水が、河川も下水も、それから一般の市街地も、飲み込む量が減ってきている。だから、降り方も、それからその対応するいわゆる私たちの生活地盤も、それに対応できなくなってきている。だから、都市型水害、降り方だけの問題じゃないわけですよね。
そういう意味で、先ほど流出機能が低下されたというのを総称しておっしゃられたと思うのですけれども、私は雨水全体の浸透、もちろん河川局は河川局で、下水道は下水道で頑張るのですけれども、浸透能力をどう高めるかというのは、一つの大きな柱になるのではないかなというふうに思うのですが、ちなみに、雨水流出係数というのが総合治水の中で出されていると思うのですけれども、都内の雨水流出係数というのは現在どういう係数になっていて、経年的に見るとどういう数字になっているのか教えていただきたい。
○成田都市基盤部長 流出係数についてのお尋ねでございますけれども、今、都内ではおおむね〇・八という流出係数を使用してございます。
宅地化された場所、それから畑や田んぼとでは状況は違いますけれども、平均といたしまして〇・八という数字を使ってございます。
○植木委員 実はこの流出係数というのは、私もいろいろ聞いてみて思ったのですが、〇・八というのが、ずっと〇・八なんですよね。
私もたしか、平成元年のときも私の地域で水害があってお聞きしたときも、やはり〇・八だったのですよ。ずっと〇・八。じゃあ、雨水を飲み込む力が変わらなかったのか、単に雨の量が一〇〇ミリ以上の回数がふえただけなのか、その辺がちょっとよくわからないのですけれども、いろいろ総合治水を立てるときの指標として、五〇ミリに対応するというのはよくいわれているのですけれども、一体これがどこまで進んだのか。
河川なんかは、比較的目で見てわかるわけですけれども、何かそれぞれの目標値というのでしょうか、そういうのは総合治水を検討するときに立ててあるのでしょうか、ないのでしょうか。
○成田都市基盤部長 河川計画におきましても、その川が持つ流域面積に対して、先ほどご答弁申し上げました流出係数を掛けまして流出量というのを定めてございますので、それの基本となるのが、現在、五〇ミリ対応というふうなことでございますので、現在、その五〇ミリに対応できるような形で、河道整備あるいは雨水管路の整備、それから流域対策、このような対策を計画し、進めているところでございます。
○植木委員 治水事業としては今の説明でわかるのですが、じゃあそれを、どこまで雨水を都市の基盤として受けとめられるのかという目標が、やはりわからないのですね。目標がなくて、それぞれでやっているという感じがしてならないのですよね。
ですから、総合治水というからには、何らかの指標がもうちょっとあってもいいのではないかなというふうに、ずっと私、考えてきたことなんですけれども、改めて今回思ったのですが、そういう検討はするお考えはございますでしょうか。
○成田都市基盤部長 今、五〇ミリ対応というふうなことで申し上げましたけれども、私ども、将来的には一〇〇ミリ対応という考え方も持ってございまして、その分担につきましては、流域対策としまして、約一割の一〇ミリ分を流域対策で対応する、残りの九〇ミリを河道対策と雨水管路で対応する、このような構想を持ってございます。
○植木委員 流域対策として一〇ミリをカバーするというお話があったのですが、都市計画局が直接担当している部門というのはここになるのでしょうか。それとも、もちろん全体を見て調整をするというのが一番大きな仕事だと思うのですけれども、直接事業的には、そこのところというふうに考えてよろしいのでしょうか。
○成田都市基盤部長 総合治水対策事業としましては、河川につきましては建設局が担当してございますし、それから下水については下水道局が担当してございます。私ども都市整備局は流域対策を担当してございまして、また河川、下水、これらの総合調整を担当してございます。
○植木委員 じゃあ、お聞きしますけれども、都市計画局が流域対策をとっていると。かつて都市計画局は、雨水浸透ますの設置促進事業というのをやられてきたと思うのですけれども、これまでやってきた期間、実績、どのようにあらわれているのか、それからどのくらいの区市町村でやってきたのか、あわせてお願いしたいと思います。
○成田都市基盤部長 流域対策につきましては、これまで平成四年から十三年まで、都が区市に対し補助を行ってきてございます、各戸貯留浸透施設等助成事業というのを行ってございます。
この件数につきましては、平成四年から十三年までの間に約一万一千件の補助件数をあれしてございますし、これらにかかわる市町村は、区市合わせて二十五区市にわたります。
○植木委員 四年から十三年までやってきて、区市町村に援助をしてきたと。そうすると、十六年度の時点ではどういうふうになっていますでしょうか。都として、あるいは区市町村としてどんなふうになっているか、お示し願いたいと思います。
○成田都市基盤部長 十六年度に関しましては、東京都は十三年度で一定の成果を得たということで、助成事業を行っておりませんので、平成十六年現在、各戸における浸透施設等の設置に関しましては二十四市で実施してございまして、十六年度は約七百四十件の助成をされてございます。
○植木委員 私もちょっといろいろ調べてみたのですけれども、東京都は四年から十三年まで区市町村に援助をしてきたと。その時点でいきますと、大体平成六年度から、その後ずっと千数百件ずつ補助が行われてきていると。ところが、十六年度は都の補助がなくなって七百四十件、半分近くに減っているんですよね。
私、都が補助をやめたということで、区市で打ち切ったというところの都市整備担当にお話を聞いたのですけれども、二つの理由をいっておられたのですね。
一つは、都が補助を切って、財政力もないからそれにあわせて打ち切った、それから、これほどの、最近の一〇〇ミリ以上の雨量が続くような、そういう状態をそのときは予想していなかった、この二点の理由をいわれているのですね。
だからお金の問題は、確かに財政というのは、ふんだんにあるといっても、そうはいっても、どう使うかというのは非常に大事ですから、その区市の判断になるわけですけれども、東京都として打ち切ったことがそんな形であらわれてきているということと、私はそれと同時に、やはり一〇〇ミリ以上の雨量がずっと続くような、ずっとといっても毎回ということではありませんけれども、かつては百年に一度といわれていたのが、今はそんな状況はない、年に二回、三回ということもたびたびあるということになると、やはり新たな視点で考えていかなきゃならないのじゃないか。
つまり、東京都は打ち切ったけれども、これをどうするのだということを総合調整の中でやはり改めて検討する必要があるのじゃないか、一〇ミリに対応しているのかどうか、その責任を果たす必要があるのじゃないかというふうに思うのですけれども、いかがでしょうか。
○成田都市基盤部長 今、植木委員からは、東京都が助成を打ち切ったと、こういうふうなお話でございましたけれども、総合治水対策に関しましては、私ども都、区、市、それから地元というふうなことで役割分担をしてございまして、総合的な治水対策におきましては、先ほども申し上げましたように、河道の整備あるいは下水道の整備、それから流域の保水機能を確保するための、今ご質問の雨水流出抑制施設等の流域対策を行うということになってございます。
そのうち、雨水流出抑制施設の設置に関しまして、都の補助制度、これは区市が行う個人住宅への助成事業に対して都が補助してきたものでございまして、地域住民へ普及啓発するという、都が先導的に行うという役割は、都は果たしてきたというふうなことで、平成十三年に見直したものでございます。
現在は、個人住宅を対象としたものに関しましては、浸透施設等の設置助成につきましては、区市の事業として引き続き実施されているところでございます。
都市整備局といたしましては、広域行政の立場から、民間の大規模施設への貯留浸透施設の設置指導、あるいは公共施設での雨水流出抑制対策に一層努めていくよう、関係機関に要請してまいる所存でございます。
○植木委員 まさに僕は、総合調整の立場から、改めて考え直す必要があるのじゃないかと思っているのですよ。というのは、例えば、私は中野ですから、中野のこと以外にそんなに詳しく知っているわけじゃないんですけれども、中野は、神田川、妙正寺川、善福寺がちょこっとということなんですけれども、中野区の担当者に聞いたら、神田川の方の雨水浸透は一定やってきたと。妙正寺川については全く予想外だったという話もされているんですね。
最初に、総合治水や都市水害というのはどういうものかとか、浸透の問題いろいろお聞きしたのは、状況がずうっと変わってきていることに対して、私は、都市計画局というのは、機敏に対応するというのが一つの役割ですから、新たな視点で総合調整の立場でやる必要があるんじゃないかと。もちろん、十三年度までがだめだったということを私はいっているんじゃなくて、せっかく援助して、区市も一定軌道に乗ってきた、しかし実績は半分になったという状況と、それから、新しい都市型水害の今日の状況を見たら、やっぱり新しい視点で考える必要があるんじゃないかと。
これは私の独断偏向の考えなんですけれども、例えば、神田川流域総合治水計画を立てる、妙正寺川流域の総合治水計画を立てるというそれぞれ計画を立てているわけですから、のんべんだらりと、雨水浸透装置だとか抑制装置とかを建物につけなさいとかという指導をやるだけじゃなくて、それはそれとしてやっていきながらも、妙正寺川の両サイド五十メートルかあるいは百メートルか、その辺はわかりませんけれども、少なくとも五十メートルぐらいは、雨水浸透を短期間で一気にやろうじゃないかというような新しい発想で--かつてがどうだったからということを僕はくどくどいうつもりはないんだけれども、やっぱり実績ですからいわなきゃならないんですけれども、新しい発想で、川の流域五十メートルなら五十メートルに限って、ここは都として先行的に総合調整の立場からやるよ、このぐらいの思い切ったことが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○成田都市基盤部長 洪水対策につきましては、いろんな形の対策がこれまでもとられてきたわけでございますけれども、特に今、植木委員ご提案の、河川沿川五十メートルに限ってというふうなことでございますけれども、河川の流出は流域全体でございますので、私どもは、その沿川五十メートルということではなく、流域全体の治水対策としてとらえながら計画を立てているところでございます。
○植木委員 じゃ、全体としてやったらどうですか。私は一つの案として、のんべんだらりと全部やったら、それは東京都だって財政大変だから、少なくともそのぐらいやったらどうだという提案をしているんだけれども、全都的にやるというんなら、全都的に各戸貯留をもう一回やったらどうですか。いかがですか。
○成田都市基盤部長 今委員からご指摘の対策につきましては、都市型水害というようなことでございまして、これに関しましては、平成元年に総合治水の暫定計画というものを立ててございまして、このときの考え方は、先ほど申し上げましたけれども、台風型の水害対策から雷雨型の水害対策というようなことで、これは既に出ておりますように、短時間に降り、短時間にやむというふうな形態でございますので、これを、短時間に対応するため、ピークカットというふうな形態で、例えば神田川の環七地下調節池とか妙正寺の調節池群とか、そういうふうな形態で調節機能を確保しながら総合的に対応を考えているところでございます。
○植木委員 僕はほかの事業を否定しているわけじゃないんですよ。むしろ積極的にやってくれと、ほかの局にはいっているんですよ。だけれども、例えば河川事業だって、ご承知のように現在六割でしょう。それを、じゃ五年でどのくらいできるか。激甚指定ができたとしたって、せいぜい五百メートルとか、そんなものですよ。五百メートルいきゃいい方でしょう。下水道だって同じですよ。五年、十年かかるんです、そういう計画というのは。住民待っていられますか。
現に、私の家自身も水が出ているんです。これは妙正寺川があふれて、下水が飲み込めなくて私のところへ出ているんですよ、ひざのちょっと下ぐらいまで。それから、トイレから水があふれてきちゃっている。最初びっくりしましたよ。トイレから水がじわじわじわって出てくるんです。これ、どうするんですか。地下の作業場は全部水に埋もれちゃった。どうするんですか。怒っているんですよ、みんなね。
だから、私は、河川、下水、それから建設主導でやる、本当に早くやってほしいんだけれども、やっぱりそれは五年、十年かかって、せいぜい五百メートルなんですよ。その間、我慢しろということはいえないですよ。
私は、近所の地下室、ポンプを消防団に頼んで、やりましたよ。対応はみんな努力しているんです、一生懸命ね。消防庁とか消防団とか区役所とか、もちろん皆さんもやっている、建設事務所もやっている、みんなやっているんですけれども、防げていないんですよ、はっきりいって。
梶山局長は、都市計画局というのは、現場感覚を反映した、迅速で実効性ある都市整備に、より安全性や持続可能性を備えた二十一世紀にふさわしい東京づくりというのを、よくあいさつの中で、私、議事録なんかをいろいろ見たら出ているんですけれども、やっぱり従来型って考えると、復活しろなんていうのはなかなか困難だというのは僕もよくわかります。
だから、先行的な考え方、そういうものを僕は、都市計画局、それこそ取り入れてやったらいいんですよ。時限区切ってでもいいんだと。もちろん、区市町村にはずっと長い間やってもらうんだけれども、とても間尺に合わない状況は、やっぱり都市計画局がそれを一生懸命やるということで、迅速で実効性ある計画をぜひやってほしいと思うんですけれども、いかがですか。
○成田都市基盤部長 先ほど来申し上げておりますように、総合治水対策という形で、河川事業は、特に河道整備に関しましては、都市化の影響で、川の護岸すれすれまで家屋が建ってきているというようなことで、これらの河道整備に当たりましても用地買収の困難性等がございまして、総合治水対策全体をとりましても、長い時間と膨大な事業費がかかるというふうなことは委員もご承知だと思います。
私ども、そういうことから、都市型水害に対応するため、調節池あるいは環七地下河川のような貯留機能を確保するようにこれまでも努力してきておりますし、今後ともそういう形で努力してまいりたいと思います。
○植木委員 こればっかりやっているわけにいかないので、そろそろあれしますけれども、いずれにしても、ほかの河川事業なんかから比べたら、都で補助してきたのはわずかな金額でしょう。それは大事な事業ですけれども、総体からすればあれなんですよ。やっぱり大規模な開発なんかだったら、補正予算でも何でも組んでやるわけですから、住民の安全のために補正予算でも何でも組んでやったらいいと思うんですよね。
これ以上いっても、同じ答弁を繰り返させても悪いから、ぜひ局内で検討してほしい。特に局長、検討してほしいということを重ねていっておきます。
それから、住宅関係に入りますけれども、住宅に入る前に、広域避難場所を都市計画局がずっと指定をしてきていると思うんですけれども(「都市整備局」と呼ぶ者あり)あ、ごめんなさい、古いのでいっちゃった、都市整備局ですね。広域避難場所についての指針というのでしょうか、概要というのでしょうか、簡潔に柱を教えていただきたいと思うんです。
○石井市街地整備部長 避難場所の指定の考え方ということかと思いますけれども、避難場所は、地震時の大火から都民の生命を守るため、鎮火をするまで待つ場所でございまして、区部におきましては、都の条例に基づきまして東京都が指定しております。
避難場所は、原則、避難を想定している人口一人当たり一平方メートルの安全な空間を確保できること、また、避難場所内部に安全性を著しく損なうおそれのある施設が存在しないことの二つの条件を満たす場所について、公共用地だけでなく、大規模民有地も含めまして指定し、その確保に努めているところでございます。
○植木委員 避難場所でもう一点だけちょっとお聞きしたいのは、避難場所に指定された中には、建物が建っていたり、いろんなものが置いてあったりするわけですけれども、建物の敷地とか、あるいはほかの建造物とか、木でも、でかい木とか、そういう面積は一応外して計算するんですよね。その点確認だけ。
○石井市街地整備部長 避難場所の避難有効面積といいますけれども、そうした面積の算定に当たりましては、今お話しのように、避難場所内の建物、厳密にいいますと、建物の建築面積とか、あるいは池であるとか、それから駐車場等は--駐車場はとまっていることがありますので、半分ぐらい見ておりますけれども、そういったことで、今お話しの建物はすべて除外しております。池なども除外しております。がけなども除外しております。
○植木委員 その広域避難場所の概念は、後で中で出てくるので、具体的には都営住宅の問題について伺うのですが、既設の都営住宅について、耐震診断、耐震補強をやってこられたと思うんですけれども、どういう基準でやってきて、総棟数に対してどのくらいやってきたのか、その点をお示し願いたいと思うんです。
○宇多田参事 平成七年の阪神・淡路大震災を契機に、構造専門学家を加えた検討委員会を設置いたしまして、都営住宅の耐震診断、耐震改修に関する指針を策定いたしました。
この指針に基づきまして、阪神・淡路大震災で特に被害のあった、一階がピロティー等の住棟等を診断対象といたしまして、平成七年度から九年度にかけまして耐震診断を行いました。
診断の結果、改修の必要な住宅につきましては、平成八年度から十六年度にかけて耐震補強工事等を実施しまして、おおむね補強工事を完了しているわけでございますが、耐震診断をやった住棟は四百六十三棟でございます。
○植木委員 四百六十三棟やったと。
一つは、総棟数がどうなっているのかということと、残りの建物については、当時は一気に大量にやらなきゃいけないということで、目視も含めてやっていたというふうに私は聞いているんですけれども、それは、その後、科学的にきちっとやったのかどうか。つまり残りの部分ですね、やっていない部分。いかがですか。
○宇多田参事 まず、都営住宅の全住棟でございますが、約七千五百棟ございます。そのうち、診断の対象といたしましたのは、昭和三十五年から五十五年度までの約四千百棟でございます。
それから、診断対象としなかった住棟がございます。これは、住宅のみで構成されております住棟でございまして、いわゆる純住宅棟と称しておりますが、都営住宅の構造的特性とか、あるいは阪神・淡路大震災において、兵庫県や神戸市の公営住宅では建物が崩壊するような被害はなかった、こういったことから診断対象とはしてございません。
○植木委員 診断対象としていない建物が幾つかというのをお聞きしたんですけれども、幾つかということと、もう一つ、ついでにですけれども、昭和三十四年以前の住宅というのは耐震性が低いということを、たしか国の耐震法の中では、義務づけてはいないけれども、できるだけ診断しなさいよといっているはずだと思うんですけれども、その点はどうですか。
○宇多田参事 三十四年以前の建物につきましても、純住宅棟につきましては、耐震上、阪神・淡路大震災での被害が同様の建物は少なかった、あるいは都営住宅の構造的特性上から、同様に診断は必要ないという考え方でおります。また、三十四年以前につきましては、将来建てかえを推進していくということで対象から外しているものでございます。
それから、三十五年から五十五年度までで診断をしていなかった建物につきましては、四千百棟から四百六十三棟を引いた棟数ということでございます。
○植木委員 ちょっとこんがらがっちゃったんですけれども、つまり、三十五年から五十五年はやったと。五十五年以降に建てたのは、まあ新しい耐震基準で建てているから、多分必要ないんだろうと思うんですよ。問題は三十四年以前、これをやったのかどうかということを私は聞いているんですよね、つまり何戸だとか。
建てかえがあるからといったけれども、それは理由はそういうことなのかもしれないんですけれども、何戸なのかということをちゃんと教えていただきたいんです。
○宇多田参事 昭和三十四年以前に建設されました都営住宅でございますが、中層の住宅で百八十七棟でございます。
○植木委員 この診断をしなかったところで、避難所に指定されているところは幾つありますか。
○宇多田参事 避難場所に指定している建物で、昭和三十四年度以前に建設した住宅で施設等を並存した住棟が約十一棟ございます。--失礼しました。避難場所にある併設施設のある建物は二棟でございます。
○植木委員 二棟ですか。もっとあるんじゃないかな。後で正確にしてほしいと思うんですけれども、二棟ということはないと思う。だって、私のところにも、中野区内でも二棟ぐらいあるのかな。中野区内だけで終わりということはないと思うんだよね。
○小林都営住宅経営部長 三十四年以前に建設したもので避難場所にあるのは二棟と申しましたのは、先ほども、三十五年以降五十五年までで耐震診断したのは、ピロティー等のある棟のみでございます。ですから、それに該当するものとして、三十四年度以前にできたものは、避難場所にあるのは二棟だけである。二団地二棟であるということでございます。
○植木委員 おかしいと思うんですよね。私のところの鷺宮住宅というのは十六棟あるんですよ、一団地で。十六棟分とも目視で終わっているんですよ。だから、どうもわからない。後で詳しくまた教えていただきたいんですけれども、要するに……
〔小林都営住宅経営部長発言を求む〕
○小林都営住宅経営部長 委員おっしゃられているのは、いわゆる純住宅棟を含めてのお話をされているんだと思います。鷺宮にあるのは純住宅棟でございますから、純住宅棟につきましては、先ほどご答弁したように、都営住宅の構造特性ですとか阪神・淡路大震災の被害状況から見て、耐震診断は必要ないだろうというふうに判断しているものでございます。
○植木委員 最初から、必要ないだろうと除外されたものを聞いているんですよ。質問の趣旨が、私の質問が悪いのかわからないけれども(「事前の打ち合わせしていないのか」と呼ぶ者あり)したんだよ。まあいいや。
いずれにしても、もっとあるんですよ。三十四年以前の建物全部いっているんです、僕は。そんなピロティーがあるものなんて限定していっていないでしょう、質問は。だから、あなたたちの答えが悪いんだよ、はっきりいって。純住宅とか、そんな私は区別していないんだから。総棟数幾つで、三十四年以前は幾つで、そのうち避難所に指定されているのは幾つだと、こういっているんですから、あなた方の区分が、勝手に私の質問と違うことをいっているんですよ。
いずれにしても、もっとあるんです。問題は、避難所に指定されているところ、先ほど避難場所の規定の中で、安全でないものがあってはならないという趣旨のことを答えましたよね。要するに、避難所内部において、震災時に避難者の安全性を著しく損なうおそれのある施設が存在しないこととなっているのに、問題ないのか、何にも痛痒を感じないのかと。
だって、建てかえをするといったって、これ調べたのは平成九年でしょう。現在、十六年度超えて十七年になる。そんなに変わっていないですよ。中野区内にある避難場所に指定されている団地は、その間何にもいじっていないですよ。経過しているんです。
今後、じゃ、そのうちどれだけ建てかえが進むのかということもあるんですけれども、だから総数がはっきりしないと、その深刻さがわからないんですけれども、本当に深刻ですよ。都心直下が心配されているときに、そのままでいいのかということなんですよ。
今度、国の方では耐震法、また今、国会にかかっていますよね、新たに強化すると。耐震率の目標を引き上げているんですよ。九五%にしようという、目標を引き上げている。都市計画局は、耐震については一番オーソリティーのはずなのに、その足元でそういうものを残していいのかと聞いているんです。いかがですか。
○石井市街地整備部長 先ほど避難場所の考え方といいましょうか、指定の考え方のところで、二つの条件というお話を差し上げましたけれども、その一つが、今委員ご指摘の、避難場所内部に安全性を著しく損なうおそれのある施設が存在しないことというのがございます。
その内容でございますけれども、この施設は、例えば、大量の引火物の貯蔵であるとか、非常に発火性の高い薬品の貯蔵であるとか、そうしたものの施設が内部に存在しないこと、そういう意味合いでございますので、よろしくご理解をいただきたいと思います。
○植木委員 そうすると、耐震診断がやられていない、つまり安全かもわからない、安全でないかもわからないというものが存在してもいいということをおっしゃるんですか。
○石井市街地整備部長 この条例が決めているのは、そうしたものが避難場所の中にないということであって、都営住宅がどうだとか、地震時にどうだとかということではありません。
○植木委員 わかりました。条例はそういうことだというんですけれども、しかし、都民から見れば、そうはいかないですよ。住んでいる住宅の人から私どものところへ来るのは、うちのところ、耐震診断いつやったんだろうといわれるんですね。それでいいのかということなんですよ。
これ以上やっても同じ答弁しかないわけですから、数字だけは後できちっとしたものをもらいたい。後で、これはまた別途のところで追及もしたいと思っていますが、きょうのところは、そういう現状だけ、ぜひ厳しく認識していただいて、科学的な診断はさらに一歩進めるように、直下地震の新しい被害想定などが出てきた段階で、ぜひ再検討していただきたいということを重ねて強調します。
〔石井市街地整備部長発言を求む〕
○石井市街地整備部長 済みません、ちょっと補足でよろしゅうございますか。審議の参考になるために、補足でご説明したいと思います。
何年に建てた都営住宅が云々という話はちょっとおきまして、参考までにですけれども、四十六カ所の避難場所に都営住宅が存在しております、その年度は関係なくですね。それで、この避難場所すべてが都営住宅の敷地という箇所はありません。つまり、避難場所の方がずうっと広くて、その中に都営住宅が存在している、こういうことでございます。
四十六カ所の避難場所の合計面積、都営住宅がある避難場所ですけれども、その合計面積に占める都営住宅の敷地の割合というのは一割程度でございます。さらに、この避難場所となっている都営住宅敷地の一人当たりの避難有効面積は、この四十六カ所の避難場所の全体面積等から案分して計算いたしますと、平均で約四平方メートルとなっております。一人当たり約四平方メートルを上回っております。
したがいまして、条例でいいます一人当たり一平方メートル以上という避難場所の指定条件を十分に満たしており、安全性は確保されているというふうに考えております。
参考までに、以上でございます。
○植木委員 今、質問したんじゃないんだけれども、答えてくれたからあれですけれども、だからいいというふうになるのかということですよ、要するに。
いずれにしても、都心直下についてはこれからの問題ですけれども、被害予想と、どういう震度でどうだという計算が出てくる、それから耐震法についても改定がある、そういう段階ですから、ぜひそこのところは再検討する必要があると思う。
私は、避難場所にあるものは、幾ら広いから壊れてもいいなんということは絶対に理由にならないわけですから、少なくともやる。それから、三十四年以前で、建てかえが今後五年以内にはないという対象のところは全部やるというぐらいのことをやって、初めて都市整備局としての責任を果たせるというふうに思います。これは終わりにします。
〔宇多田参事発言を求む〕
○宇多田参事 今委員からお話がございましたが、私ども認識が異なる点がありますので、ちょっとお答えさせていただきますと、都営住宅の純住宅につきましては、民間のマンションに比べまして、平面や立面が整形でございますし、構造的にバランスのとれた建物でございます。また、耐震壁が短い間隔で配置されているとか、さらに先ほど申し上げましたように、阪神・淡路大震災でも、兵庫県や神戸市の公営住宅で建物が崩壊しているようなことはなかったということで、居住者の安全を損なうような被害を受けることはない、そのように考えております。
○植木委員 責任持ってくださいね。責任持ってくれればいいんですよ。そういういい方はちょっと乱暴でいけないけれども、私はちゃんとやってほしいという思いからいっているんです。だって、二戸一住宅というのは、後からくっつけたところがあるわけですよね。二戸一なんかは新しい建築基準に基づいてやったというふうにいい切っていいのかというのは、科学的には僕も専門家じゃないからわかりませんけれども、そういう例がいっぱいあるわけですから、少なくとも三十四年以前のものについてはもうちょっと促進するように、そして、避難場所については優先的にやるということを重ねてお願いして、終わりにします。
時間もなくなりましたから、もう一つやろうと思っていたんですが、幾つかまとめてご質問しますので、お答え願いたいと思っております。
十六年度には新潟中越地震で被害が出た。僕も驚いたんですけれども、新潟の中越地震の影響が都内にあった。六本木ヒルズのエレベーターのロープが、それによって切れた。僕は、エレベーター協会へ行ってこれを聞いてびっくりしまして、長周期振動というんだそうですけれども、それほどすごい、まだ未知の世界といいましょうか、どういう影響が出るかわからない。高層ビルがどんどんどんどんできている中での一つの事例ですけれども、特に都営住宅も、今建てかえが行われて高層化が進む、それからバリアフリー化が進む、そういう中でエレベーター設置を、きょうも資料としてお出しいただきましたように、年々計画的にお進めいただいている。もっと早くたくさんやってほしいと思いますけれども、お示しいただいた。
問題は、このエレベーターが千葉の北西部地震のときに、全都のことをいってももう時間もありませんので、都営住宅だけに絞って、どういう安全対策の設置状況、それから、どのぐらいそれが作動したのか、閉じ込められたのか、その中でどういうふうに解決、救出されたのか、あわせてお願いしたいと思います。
○宇多田参事 千葉県北西部地震によりまして、都営住宅のエレベーターにつきましては、地震時管制運転装置が作動しまして、千七百八台が最寄り階で停止いたしました。
そのほか四件につきまして、地震時管制運転装置が設置されておりましたが、ドアの異常等を検知して停止する緊急停止装置が優先して作動しまして、階の途中で停止、閉じ込められた者が発生いたしました。これらの閉じ込められた方につきましては、救出はレスキュー隊によって行われまして、その後、管理会社の技術者によりエレベーターの安全点検、復旧が行われたものでございます。
この事故は、地震時の対応に関しまして、私どもは、エレベーター管理会社に対しまして、救出あるいは復旧体制の整備に十分な対策をするよう既に指導したところでございます。
○植木委員 千七百八台のうち四台は途中でとまった、レスキュー隊が大体二時間近くかかったというふうにお聞きしていますけれども、いずれにしても、これから高層化、バリアフリー化の中で、どうしてもエレベーターというのは不可欠の問題になってきますから、これへの対応をどうするかというのは、エレベーターを管理されている会社との連携はもちろん大事です。
私、エレベーター協会に行ってお聞きしましたら、都内で約四万台で、とても常駐の技術者では対応できなかった、OBも動員してやったと。しかし、現場へ行ったら電話も通じないということで、全部の安全点検が終わったのは二十四時間以上かかったと。
それでもよく頑張ってやっていただいたと思うんですけれども、その後、国土交通省ともいろいろ対策を今練っているようですが、やはり公営住宅、都営住宅だけでなくて公社もあるわけです。いずれにしても、公的住宅の管理として、もちろんほかのエレベーターについても当然全都的な視野は必要ですけれども、きょうはそこまで触れる時間がありませんので、一つは、安全管理への対応について、エレベーター協会とも協力し合って何らかの対応策を今後の計画の中に、震災の対策の中に位置づけていく、そういう必要があるかと思うんです。要請できれば一番いいんですけれども、なかなかいろんな問題があると思うので、位置づけて、その辺を検討していただきたい。その点が一つ。
それから、もう一つは未設置ですね。これが何棟あって、これを今後どうしようとしているのか。その点だけお答えいただければと思います。
○宇多田参事 地震時のエレベーターの対策についてでございますが、現在、防災計画等の見直しの前提となる被害想定等を検討しているところでございますが、今後、都営住宅のエレベーターに対しましても、地域防災計画等を見直す等のことの中で適切に対応してまいりたいと思っております。
それから、地震時管制装置が未設置のエレベーターの対策でございますけれども、まだ設置されていないものが百四十七基ございます。これらにつきましては、従来からも車いす対応等の昇降機改造工事等の際に設置を行っているところでございますが、今後、同様な形で進めてまいりたいと考えております。
○植木委員 ぜひ都民の安全のためにご努力いただきたいということを申し述べて、終わりにします。
○田中委員 よろしくお願いいたします。私は、住宅問題につきまして、特に都営住宅に関しまして質問を行います。
今、さまざまマスコミ、新聞等でも、経済状況が上向いてきているというような報道もされております。この経済を構成する企業、家計、そして政府部門それぞれを見ている中で、とはいいながらも、家計部門、特に生活感からすると、まだまだそのような感覚は持てないのではないかと思っております。
そして、さきに発表いただきました、総務局で出しております「都民のくらしむき」、このような資料も見ると、暮らし向き、家計、都民の方々のそういった感覚というのは、まだまだ厳しい状況にあるのかなという数字がうかがえます。
中でも住宅費にかかわる部分というのは、約一割減少しているということで、負担感というものもまだまだ感じているし、また、やむなく住居費、住宅費を減らさなくてはいけないんだ、そんな厳しい状況が見てとれると受けとめております。
こうした中で、このような状況のもとで、東京都が限られた財源によりまして住宅の供給を行うに当たっては、さまざまな工夫が求められていると思います。東京都が都民に供給する住宅関連のサービスは、一層効率よく、そして、より公平公正に提供されるべきものであるというふうに受けとめておりますが、まず前段にお伺いいたしますが、東京都が設置している都営住宅の設置目的につきましてお聞かせをいただきたいと思います。
○小林都営住宅経営部長 都営住宅は、公営住宅法に基づき都が設置、管理している公営住宅でございまして、住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸することにより、都民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としておりますが、端的にいえば、住宅市場において、自力では最低居住水準の住宅を確保することが困難な都民のための住宅セーフティーネットでございます。
○田中委員 ありがとうございます。そのような目的のもとで今、都営住宅が存在するわけですけれども、一般的には、住宅というのは、その住宅を居住者が独占的、排他的に使用するものでありまして、まさに私的な財産であります。しかし、今、設置目的のところでお話しいただきましたように、都営住宅の果たす役割というものも一方でございまして、都営住宅の管理運営等々、法律の趣旨に基づいて、いわゆる公共のサービスとして提供されているものであります。
独占的に使用されるものを、公共のサービスに基づいて、特に住宅困窮者に対して提供するということは、基本的には、公平に、そして公正に、しっかりとした管理のもとで住宅の供給というものがなされないといけないのではないかというふうに強く考えております。
そのような原則を踏まえて考えまして、本来的に入居を認められる収入基準を大幅に超える高額所得者が入居を続けるということは、いわゆる法の精神に基づいて設置されている住宅困窮者の入居機会を狭めてしまっているのではないかなという懸念、危惧を感じております。
そのような中で、公平公正な使用という観点から、家賃の滞納ということも、また許してはいけないと思っております。
このような不適正な使用に対する対策を東京都はどのように講じているのか。また、ここ数年の高額所得者と滞納額の推移につきましてお聞かせをいただきたいと思います。
○小林都営住宅経営部長 高額所得者への明け渡し請求や家賃滞納整理は、都民共有の財産である都営住宅を適切に管理運営する上で最も重要な事項の一つであると考えております。
このため、高額所得者に対する明け渡し手続の期間短縮や、滞納者に対する法的措置の強化などの取り組みを行いまして、この五年間で、高額所得者の数は約三分の一に、滞納額は約半分に減少するなど、着実に成果を上げてきております。
今後とも、高額所得者、滞納者に対しましては厳正に対応してまいります。
○田中委員 ありがとうございます。五年間で高額所得者の入居が三分の一に減った、そして滞納者も二分の一、半分に減ったということでございますが、まだまだ、逆にいえば三分の一、高額所得者が残っており、また滞納者も半分はいらっしゃるということですから、引き続きましての強い対応をお願いしたいと思います。
また、公営住宅に入れる所得者層があって、全体の六割以上の方が今いった高額所得者層に入るわけですが、その中間にあります収入超過者も、本来ですと、この都営住宅には入れない方々だと思っておりますが、高額所得者までは所得はないものの、本来の収入基準を超える階層である収入超過者がまだまだ入居されております。
このような方々も、先ほどの高額所得者と同様に、このまま入居されておりますと、本来の法の趣旨に基づいて設置された都営住宅に対して、住宅困窮者の入居の機会を失うということにつながりかねませんので、改めて、この収入超過者に対する対応につきましてお聞かせをいただきたいと思います。
○水流住宅政策担当部長 収入超過者に対してでございますけれども、公営住宅法により、明け渡し努力義務が収入超過者には課されております。都においては、本人に対する通知などを通じて、その周知に努めているところでございます。
また、収入超過者からは、国が定めた算定式によって計算された割り増し賃料を徴収してございます。
さらに、先般、国の社会資本整備審議会の答申が出されたところでございますが、そこでは、収入超過者に適用される割り増し賃料が自主的な退去を促すような水準になっていないとの問題意識に基づきまして、収入超過者の退去を促進するための対策を進めていくべきとの指摘がなされたところでございます。
東京都住宅政策審議会におきましても、都営住宅のセーフティーネット機能強化の観点から、真に住宅に困窮する都民に対して的確に住宅を供給するための取り組みについて審議されているところでございます。
今後、審議結果を踏まえ、収入超過者の自主的な退去を促進するための対策について検討してまいります。
○田中委員 今、努力義務が課せられているということ、そして、今、審議会でも検討されているように、既に設置されている割り増し賃料を実態に合うような形で設定を行うんだということが審議されているというお話でございますので、この本来の設置目的にかなうような形で都営住宅が活用される、そういった趣旨に基づきまして、このような収入超過者に対しましても適切な対応をぜひとっていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
そして、先ほど冒頭にもありましたように、都営住宅というのは公共施設で、都民共有の財産でありますので、いかにして流通性を高めるといいますか、特定の入居者だけの独占的な使用ということではなくて、広く多くの都民の方、中でもここでいう、基づいて設置されている住宅困窮者が、ストックの状況からすると、すべての都民が入れているとは私は思っていないので、そうすると、その対象者でありながら入居が果たせていない方にも入居の機会をぜひ持っていただきたいな、そんな思いも含めまして次の質問を行いたいんですが、今、民間の住宅、特に不動産業の中で、定期借家、定期借地等のいわゆる期限つきの対応がどんどんなされてきておりますが、都営住宅におきましても、少しずつではありますが、この期限つきの住宅というのがふえているというふうに伺っております。
そのような観点で、やはり私は、ある一定の期限を設けて、広く多くの方々にこういった住宅を使っていただくような制度にしていくことが必要ではないかな、そんな思いをしておりますが、そのようなことから、この期限つき入居が大変な重要な施策であると私は思っておりますが、今後のことに関しましての取り組み、また東京都の所見をお伺いしたいと思います。
○小林都営住宅経営部長 期限つき入居制度は、都民共有の財産である都営住宅の利用機会の公平性の確保を図るとともに、地域の活性化にも寄与するものとして、平成十三年度に、全国に先駆けまして若年ファミリー世帯向けに導入いたしました。
現在、若年ファミリー向け期限つき入居制度は、都心及びその周辺区に限定して実施しておりますが、少子化の進行に対応いたしまして、対象地域を都内全域に拡大するとともに、新たに三人以上の子どものいる多子世帯に対しましても、都内全域で期限つき入居制度を実施するなど、制度を拡大していきたいと考えております。
○田中委員 都心中心から、今その対象範囲を広げていこうということでございますので、それはぜひ広げていただきながら、本質的な住宅困窮者が広く利用できるような都営住宅のあり方を目指してご尽力いただきたいと思います。
今、家族構成、三人以上のというお話もいただきました。それぞれの方々、入居されている方も含めて、家族構成というのは年とともに変化がされます。若く結婚した二人だけの家族構成から、子どもが生まれ、そしてそれぞれの子どもが大きく育ち、そうすると子どものための部屋が必要になったり、また、兄弟がふえればさらに部屋数が必要になったり、また一方、その子どもが成人し、そして独立していけば、残された老後のご夫妻は、それほど大きな部屋数、間取りは必要ないのではないかなというふうに思います。そのような視点で考えると、必要とされる住宅の間取り、あるいはスペースといったものも、それぞれのライフステージに応じて変化してくるのではないかなと思っております。
ややもしますと、特に公営住宅は、一たん入ると、入居できる期間はもうずっと、家族構成が変わろうと変わるまいとそのまま住み続けられるわけですが、本質的に本来的にいうと、さまざまなタイプの住宅があり、それぞれの住宅で住みかえが可能となれば、それぞれのライフステージに応じた、必要とされる住宅に今住みかえることによって、いわゆる限られた住宅ストックというものも有効に活用できるのではないかなというふうに強く感じております。
そんな意味も含めまして、公営住宅制度においても、いわゆる家族構成、ライフステージに応じた弾力的な住みかえが可能な制度を構築していくべきではないのかなというふうに私は思っております。
現実に、世帯構成と間取りがマッチしていない場面がたくさんあると私は思っておりますが、分譲住宅や民間賃貸住宅とは異なり、公平公正に供給されるべき公共サービスである都営住宅は、適切に世帯構成に応じた供給がなされるべきものと私は考えておりますが、この点につきましての東京都の今後の考え方、取り組みにつきましてお聞かせをいただきたいと思います。
○水流住宅政策担当部長 都営住宅におきましても、入居者の家族構成と、住宅の広さあるいは間取りをマッチさせることは、公平性の観点からも望ましいことと考えてございます。
先ほど申し上げました国の社会資本整備審議会の答申におきましても、家族構成に見合った間取りへの住みかえを促進するという観点から、住宅の規模と居住人数との関係による便益の違いを家賃に反映させる仕組みの構築を図るべきとの指摘がなされてございます。
この問題につきましては、東京都住宅政策審議会におきましても審議されているところでございまして、審議結果を踏まえまして、都営住宅において、家族構成に見合った間取りへの住みかえを促進する方策につきまして検討してまいります。
○田中委員 ありがとうございました。今の国の動向、そしてまた、東京都の住宅政策審議会でもさまざまな議論をされているということでございます。ぜひその結果、内容につきましても、私もしっかり見させていただきながら対応をとっていきたいなと。
また、いうまでもなく行政というのは、広く公共福祉の向上に向けて果たす役割があるわけで、特定の方だけに利益を提供するようなことがあってはならない、独占的に提供されるような場面があってはならないと私は思いますので、先ほどからの収入超過者や高額所得者に対する対応をしっかりとっていただき、本来的な法の趣旨に基づいた都営住宅が運営されるように、そしてまた、今後の新たな視点からの流通性を高めるようなさまざまな制度といったものをぜひ前向きにご検討いただきたい。強く要望して、質問を終わります。ありがとうございました。
○矢島委員 関東大震災を境に本格的に東京都の都市計画が始まったといわれております。主要駅前広場の整備、環状線と主要な放射状道路は既に戦前に計画されて、一部着工されたといわれておりますが、実際上は、そのまま戦後になりまして、大戦が挟まれておりますので、大幅員の戦後の街路の整備が構想されても、残念ながら実現に至りませんでした。経済の拡大、私権の尊重と公共の福祉の合間で、東京の都市計画が営々とその後事業化されてきたわけであります。
しかし、戦後の都市計画で忘れ去られてきましたのが、緑、そして、まちの風格、道路の風格であるといわれますけれども、まずその見識について伺います。
○成田都市基盤部長 東京の都市づくりを進めるためには、緑やまちの風格の確保に向けた都市基盤の整備が重要だと認識してございます。
東京におきます都市基盤の計画につきましては、古くは明治時代の市区改正条例に始まりまして、昭和十四年のいわゆる環状緑地帯構想等の理念も継承しながら計画されてきているわけでございます。
都市の骨格を形成する道路、鉄道、緑につきましては、それぞれの都市計画を定め、その計画に沿ってこれまで鋭意整備が進められてきたわけでございます。しかしながら、財政状況や都民との合意形成などにより、その整備に時間を要したことから、都市の潤いや憩いの場などが十分確保されたとはいえないところもございます。
こうした状況のもと、首都東京にふさわしい都市づくりを推進するためにも、今年六月に中間発表いたしましたみどりの新戦略ガイドラインでは、環境軸の形成を提案してございます。
その内容は、例えば、都市計画道路を軸といたしまして、道路内の緑と公園などの緑のネットワークや、地区計画の活用による沿道建物のスカイラインへの配慮など、良好な町並み景観の広がりを環境軸と位置づけまして、良質な緑の形成を誘導していくこととしてございます。
ご指摘の、緑はまちの風格を創出するため、この環境軸の形成の推進などが重要であると認識してございます。
○矢島委員 昨年の十二月に景観法が施行されました。東京都は、景観行政のあり方を現在検討していると聞いております。また、都市計画公園、緑地の整備の方針も、今ご説明ありましたように、平成十五年の提言を重点に作業が進められておるようであります。いよいよ都民の生活のあり方から東京のまちの将来を見直そうという余裕が出てきたと、私はそう思います。その意味で歓迎をしたい、このように思います。
東京の骨格を形成し、重要な都市空間である都市計画道路についてお伺いをいたします。
東京の都市計画道路は、平成四年の七千百三十億円をピークに、道路行政という意味ですが、二千五百億円ほどで現在安定しております。しかし、限られた財源の中では、区部千六十四キロ、多摩千四百二十二キロ、島しょ十キロの都市計画道路も、その完成率は五〇%にすぎません。事業化を選択しなければならないということになります。選択の中に事業化を進める道が出てくるということになります。
そこで、今回の見直しでは、これは区部の都市計画道路でありますけれども、定量的評価と地域課題をテーマに、昨年、今後十二年間の整備路線が選定されましたけれども、従来の方針に比べてどのような効果があったか、お伺いいたします。
○成田都市基盤部長 都市計画道路を計画的、効率的に整備するため、東京都はこれまで、区部における都市計画道路の事業化計画を三度策定してございます。
このうち、昭和五十六年の第一次の事業化計画では、路線の必要性と見直し、平成三年の第二次の計画では、路線の優先度と放射、環状道路の重点的整備、平成十六年の第三次の計画では、定量的な必要性の検証と優先路線の選定といった視点で策定してございます。
今回改定されました第三次の計画では、定量的な評価のための評価項目の設定に際しまして、パブリックコメントなどを通じて都民から寄せられました意見を踏まえるとともに、評価結果につきましても、請求に応じ公開するなど、合意形成に努めてまいりました。
この評価結果の公開は、全国で初めての取り組みをしたものであり、こうしたことから、路線選定の公平性や選定プロセスの透明性を確保する取り組みとして、都民から一定の評価が得られたものと考えてございます。
特に、優先整備路線に関連いたしました地域住民や、あるいは逆に、優先整備路線に選定されなかった路線の関係住民からも一定の理解を得ることができたと認識してございます。
○矢島委員 三次の見直しで定量的な評価を取り入れた、そしてその評価を公開する。関係住民の批判を仰いでいるということになりますが、今回の方式を評価したい、私はそのように思います。その点について、所管としてどのように評価をしているか。今お話がありましたが、実際上、所管の中でという意味でどのような評価をしているか。
また、多摩の都市計画道路も同様の評価になっていると聞いております。二十三区とおのずから事情が違ってくると思いますが、評価の違う部分も当然出てくるわけであります。
同様に、既に評価の終わっている二十三区の都市計画道路も、まちは生きているのでありますから、再評価、評価項目の洗い直しと公開が信頼性をさらに向上させると私は思います。この点についてどのようにお考えになっているか、あわせてお伺いいたします。
○成田都市基盤部長 先ほど、この策定方針についての私どもの認識を答弁させていただきましたけれども、今後さらに信頼性を向上させるためにどういうふうに考えているかということでございますけれども、区部におきましては、これまでの道路事業計画については、おおむね十年ごとに計画の見直しを行ってきてございます。
今回の第三次事業化計画につきましては、平成十六年から平成二十七年度を計画期間としてございまして、この計画に従いまして鋭意事業を推進してまいる所存でございます。この計画が実現いたしますと、放射、環状線の約八割が完成することとなります。
今後は、幹線と補助線のバランスがとれますように、路線の整備状況や都の財政状況あるいは社会経済状況の変化など、その時代の状況に対応した評価項目の設定を行い、より一層の情報公開に努めながら都民の信頼を向上させていきたいと考えてございます。
今後とも、実効性のある計画を策定すべく鋭意努力してまいりたいと思います。
○矢島委員 主要な放射線と環状線の整備が戦前の計画の基本でありましたので、ようやくその水準に至ってきたかなというような気がいたします。
次にお聞きをいたしますが、東京都は、平成十六年度より都市計画道路をてこにした地域整備を進めております。従来の道路だけを建設する整備とはかなり違う手法でありますけれども、誕生の背景、沿道整備ということになりますが、この点についてお伺いいたします。
○石井市街地整備部長 沿道一体整備の手法についてのお尋ねでございますが、この手法の誕生の背景には、木造住宅密集地域の整備が喫緊の課題であるにもかかわらず、避難路や延焼遮断帯となる、地域の安全にとって不可欠な都市計画道路の整備さえ、なかなか進んでいないという現実がございます。
その理由としましては、ご承知のように、木造住宅密集地域には大変小規模な老朽住宅が多く、都市計画道路の整備を単独で実施しようといたしますと、小規模で不整形な多くの残地が生じてきまして、合理的な土地利用に支障を来したり、権利者の生活再建が困難になるなど合意形成が進まないことが挙げられます。
こうした地域における沿道一帯整備事業は、道路整備に先立って、事業当初より沿道住民の参画を図りながら進める手法でございまして、沿道の建物の共同化や不燃化を促進する上で極めて有効な事業手法と考えております。
このような考え方に基づき、昨年三月に定めました防災都市づくり推進計画で重点整備地域と位置づけました東池袋及び鐘ケ淵の二地区におきまして、先行的にこの事業に取り組んでいるものでございます。
○矢島委員 今のご説明、まさに道路買収方式の都市計画道路の事業化の問題点を、そこここで随分、残った土地をどうするんだと泣いている現実の中で、その答えを一つ与えているような気もいたします。そういう意味からいきますと、これから先の手法の一つであるな、重要な手法の一つであると思います。
今ご説明のありました二地区のことでありますけれども、防災など地域整備は、種地がなければ現実に進みづらいことは想像にかたくありません。従来は、道路ができ、そして時間をかけてまちが変わってきた。沿道整備の手法は具体的であるだけに、今回の期待が大きいということになります。今、試金石といわれました、取り組まれている二地区の状況についてお伺いいたします。
○石井市街地整備部長 道路整備に合わせて沿道のまちづくりを推進していくためには、沿道の権利者の主体的な参画が何よりも大切でございまして、これに向けた地元区との連携が欠かせない、このように考えているところでございます。
このため、東池袋、鐘ケ淵地区の二地区ではこれまで、地域全体に対する地元説明会や個別の権利者に対応した相談会、あるいは住民の意向調査などを地元区とともに実施してきたところでありまして、同時に、地域主体の沿道まちづくり協議会におきまして、地区計画などのまちづくりのルールを検討してきております。
こうした取り組みと合わせまして、現在では、建物の共同化など、沿道のまちづくりの具体化に向けた話し合いが進められているところでございます。
また、都市計画道路の整備につきましては、これまでの成果を踏まえて、年内には事業化を図ってまいります。
一方、課題であります、道路整備に伴って生ずる残地の取り扱いにつきましては、土地の交換や残地を取り込んだ建物の共同化などに向けて、これまで私どもが培ってきましたさまざまなまちづくり手法を駆使しまして、この多く生ずる残地を種地として、むしろ事業推進の原動力といいますか、副委員長から今お話があった、てこになるように積極的に活用する。いわばこれまでの事業のマイナス材料をプラス材料にして転換していくことで、沿道宅地の有効活用を図り、木造住宅密集地域の整備、改善に取り組んでまいります。
今後、道路整備の優先度と合わせて、地域のまちづくりへの機運や地元区の協力体制なども考慮しながら、この二地区での取り組みをモデルに、他の重点整備地域にも展開してまいりたいと考えているところでございます。
○矢島委員 設計する人やら、あるいは工事をする人が自分の完成品を見せて、こんなに立派にできるんですよ、こういう使い勝手のいいものができるんですよということがあります。いわば、そういう意味からいきますとシンボルということになりますので、ぜひこの事業、住民サイドに立った、そしてまちづくりの上からもプラスになる、これから進めていかなければならない景観行政もそうでありますけれども、その意味でも総合的な答えが出るようなものにしていっていただきたい。そのノウハウを積み重ねていただきたい。このように思います。
ですから、骨格の中で、渋滞の中で道路をつくるのではない、今回のこういうような方法のまちづくりの中からの都市計画道路の施行でありますから、従来の道路の幅員の--幅員はもう決まっていることだから仕方ないとしても、その断面のあり方自身は、住民サイド、人を中心にしたまちづくりの中で考えていかなきゃいけない。従来のものを取り込んで、これだけの大きさしか歩道はできませんよ、緑もこれだけですということではなくて、あくまで人優先のまちの中でいい道路を、質の高い道路をつくっていっていただきたいと思いますので、見た目にも、そして実質にも人間のまちらしいものをつくり上げていただきたい、このように思います。
優先事業化のために評価がなされた区部の都市計画道路には、基本的に、先ほどから申し上げているように、自動車交通の円滑化、防災上の向上を基本とするものでありますだけに、その点を見ますと、全東京あるいはブロックから見た通過車両、また延焼遮断帯の性格でつくっていくということがいえないこともありません。だから、面的整備を目的とした沿道整備の、都市計画道路のこういう事業をするという余裕が生まれたことを私は喜びたい。実際、防災上の問題ですが、余裕とはいえないまでも、そういう部分に入ってこれたということを喜びたいと思います。
これまでの東京の都市計画実施が、経済の発展に押されて、モータリゼーションの大きな流れの中に取り込まれながらつくられてきたわけでありますけれども、この中で忘れ去られてきたのが、やはり一番最初に申し上げた道路の風格、まちの風格、緑、地域のシンボルとしての実現、これからはこの置き去られてきたものを実現できるのではないかと思います。
大いに期待するところでありますし、全体にかかわる問題ですから、局長の認識と決意をお聞かせいただきたいと思います。
○梶山都市整備局長 東京が今後も都市としての繁栄を続け、そこで暮らす人々が豊かで安定した生活ができるようにするためには、やはり東京の高コスト構造を是正し、国際競争力を高め、そして都市の活力の維持、増進を図ることが不可欠だと考えます。こうした考え方で道路整備は進めてきているわけでございます。
一方、成熟社会を迎え、先生ご指摘のような、緑、環境、文化、景観など地域の特性を取り入れた町並み、風格といった道路づくり、まちづくりにも目を向けていく時代になったと認識しております。
このため、都における道路づくりといたしましては、先ほど両部長が答弁したように、道路、沿道一体となった緑の空間の創出など、景観にすぐれた風格ある道路づくりを目指しているところでございます。
今後とも、関係する自治体、都民、企業などと連携し、東京の再生に積極的に取り組んでまいります。
○矢島委員 日本の経済も、水面下にありましたのが、全体ではないといわれていますけれども、ようやく少し様子がよくなってまいりました。これは外的要因というよりも、内的な経済の持続的な発展の姿があるという方もいらっしゃいます。
ですから、今のそういう背景の中で、都市計画行政もあるいは都庁のいろんな業務も進めていくわけでありますので、先ほど局長からお話がありましたように、質を大切にしながら、交通体系の上でも、ある程度先が見えてきたよというふうにも聞こえなくもありませんから、ですから、そういう意味からいきますと、さらに内容のあるものに進めていただきたい。
今の局長の決意をお聞きいたしまして、意を強くいたしました。今後ともご検討をよろしくお願いいたします。
終わります。
○小磯委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○小磯委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市整備局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時二十四分散会
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