各会計決算特別委員会第三号

平成十六年十一月五日(金曜日)
第十二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 三十一名
委員長宮崎  章君
副委員長山加 朱美君
副委員長大木田 守君
副委員長田中  良君
理事三宅 茂樹君
理事古館 和憲君
理事森田 安孝君
理事遠藤  衛君
理事串田 克巳君
理事坂口こうじ君
東村 邦浩君
野上じゅん子君
松原 忠義君
田代ひろし君
川井しげお君
大津 浩子君
松村 友昭君
石川 芳昭君
鈴木あきまさ君
樺山たかし君
大西由紀子君
東ひろたか君
星野 篤功君
いなば真一君
小山 敏雄君
藤川 隆則君
桜井  武君
藤田 愛子君
尾崎 正一君
富田 俊正君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
出納長櫻井  巖君
教育長横山 洋吉君
知事本局前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長松澤 敏夫君
主税局長山口 一久君
生活文化局長山内 隆夫君
都市整備局長梶山  修君
環境局長平井 健一君
福祉保健局長幸田 昭一君
産業労働局長関谷 保夫君
建設局長岩永  勉君
港湾局長成田  浩君
大学管理本部長村山 寛司君
中央卸売市場長森澤 正範君
新銀行設立本部長津島 隆一君
選挙管理委員会事務局長高橋 和志君
人事委員会事務局長佐藤  広君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長高橋 道晴君
収用委員会事務局長嶋津 隆文君
議会局長大橋 久夫君
警視庁総務部長加地 正人君
消防総監白谷 祐二君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・平成十五年度東京都一般会計決算
・平成十五年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十五年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十五年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十五年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十五年度東京都と場会計決算
・平成十五年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十五年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十五年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十五年度東京都用地会計決算
・平成十五年度東京都公債費会計決算
・平成十五年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
・平成十五年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十五年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○宮崎委員長 ただいまから平成十五年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 また、去る十月八日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元に配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十五年度各会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十五年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十六年十月二十九日
平成十五年度各会計決算特別委員会
第一分科会委員長 山加 朱美
 平成十五年度各会計決算特別委員長
 宮崎 章殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十九日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十五年度東京都一般会計決算中、知事本局、総務局、財務局、主税局、出納長室、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
・平成十五年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十五年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十五年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十五年度東京都用地会計決算
・平成十五年度東京都公債費会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月八日(説明聴取・資料要求)出納長室、財務局、主税局、収用委員会事務局、議会局、総務局
十月十三日(説明聴取・資料要求)警視庁、東京消防庁、知事本局、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局
十月二十日(質疑)出納長室、議会局、知事本局
十月二十二日(質疑)警視庁、東京消防庁、財務局
十月二十五日(質疑)監査事務局、収用委員会事務局、主税局
十月二十七日(質疑)選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、総務局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 知事本局所管分
〔1〕横田基地の整理・縮小・返還への取組と米軍の再編について
〔2〕横田基地軍民共用化に関する周辺自治体の反応と都の対応について
〔3〕自衛隊航空総隊司令部の横田移駐について
〔4〕「骨太の方針二〇〇三」に基づく改革への都の対応について
〔5〕三位一体改革の初年度の改革と全体像について
(2) 総務局所管分
〔1〕市町村の財政状況の認識について
〔2〕市町村振興交付金・調整交付金の拡充について
〔3〕都出先事業所の地域町会への参加・協力について
〔4〕都の情報セキュリティについて
〔5〕個人情報保護に対する職員の意識啓発について
〔6〕災害発生時における他道府県との相互支援協定について
〔7〕新潟県中越地震への都の支援について
〔8〕首都直下型地震の被害想定と周知の状況について
〔9〕市町村振興交付金・調整交付金の決算状況と今後の役割について
〔10〕特別区都市計画交付金の決算状況と特別区の反応について
〔11〕多摩格差について
(3) 財務局所管分
〔1〕第一次財政再建推進プランの達成状況について
〔2〕今後の財政健全化の課題について
〔3〕都債発行残高と起債依存度及び今後の都債活用について
〔4〕入札制度での最低制限価格の設定の趣旨について
〔5〕予定価格公表開始以降のくじ引による契約について
〔6〕他会計への支払繰延べについて
〔7〕最終補正について
〔8〕財源不足について
〔9〕不用額について
〔10〕繰越金の会計処理について
(4) 主税局所管分
〔1〕自動車保有関係手続のワンストップサービスの軽自動車への導入について
〔2〕都税徴収強化の取組について
〔3〕不能欠損額の処理状況について
(5) 出納長室所管分
〔1〕新銀行東京の設立準備に要した額と予算の手当方法について
〔2〕設立準備のために派遣した職員の人件費の支出方法について
(6) 選挙管理委員会事務局所管分
〔1〕電子投票の導入状況及び今後の見通しについて
(7) 人事委員会事務局所管分
質疑なし
(8) 監査事務局所管分
質疑なし
(9) 収用委員会事務局所管分
質疑なし
(10) 議会局所管分
質疑なし
(11) 東京消防庁所管分
〔1〕住民が利活用できる救助資機材の整備・配置状況について
〔2〕大地震発生時の被害予測について
〔3〕直下型地震の被害軽減のための都民への防災指導について
(12) 警視庁所管分
質疑なし


平成十五年度各会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十五年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十六年十月二十九日
平成十五年度各会計決算特別委員会
第二分科会委員長 大木田 守
 平成十五年度各会計決算特別委員長
 宮崎 章殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十九日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十五年度東京都一般会計決算中、大学管理本部、生活文化局、福祉保健局、教育庁所管分
・平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月八日(説明聴取・資料要求)大学管理本部、教育庁、生活文化局
十月十三日(説明聴取・資料要求)福祉保健局
十月二十日(質疑)教育庁
十月二十二日(質疑)福祉保健局
十月二十五日(質疑)大学管理本部
十月二十七日(質疑)生活文化局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 大学管理本部所管分
〔1〕新大学構想について
〔2〕一般財源研究費の確保について
(2) 生活文化局所管分
〔1〕子どもたちの文化体験について
〔2〕育英資金事業について
〔3〕放置自転車対策について
〔4〕東京ウィメンズプラザの利用状況について
〔5〕女性管理職の登用状況について
〔6〕文化振興への取組について
〔7〕私学助成の拡充について
〔8〕私立幼稚園への補助、保護者負担軽減について
〔9〕消費生活相談について
〔10〕男女平等参画推進のための施策について
(3) 福祉保健局所管分
〔1〕子ども医療ガイドについて
〔2〕板橋老人医療センターの民営化について
〔3〕児童虐待防止対策について
〔4〕福祉改革について
〔5〕福祉費の推移について
〔6〕シルバーパスについて
〔7〕介護保険の見直しについて
〔8〕ウィルス肝炎対策について
〔9〕女性専用外来の取組について
〔10〕介護予防への取組について
(4) 教育庁所管分
〔1〕都立高専改革について
〔2〕心の教育の推進について
〔3〕都立学校の自立経営推進予算について
〔4〕荒廃校に対する都教委の支援策について
〔5〕三十人学級について
〔6〕都立高校における開かれた学校づくりについて
〔7〕都立高校への冷房設備設置について
〔8〕卒業式などにおける国旗・国歌について
〔9〕学校教育における性教育について
〔10〕男女平等教育の具体的取組について
〔11〕子どもの読書活動の推進について


平成十五年度各会計決算特別委員会 第三分科会審査報告書

 第三分科会で行われた平成十五年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十六年十月二十九日
平成十五年度各会計決算特別委員会
第三分科会委員長 田中 良
 平成十五年度各会計決算特別委員長
 宮崎 章殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十九日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十五年度東京都一般会計決算中、都市整備局、環境局、産業労働局、新銀行設立本部、建設局、港湾局、地方労働委員会事務局所管分
・平成十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十五年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十五年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十五年度東京都と場会計決算
・平成十五年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十五年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十五年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十五年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
・平成十五年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十五年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十五年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月八日(説明聴取・資料要求)産業労働局、中央卸売市場、新銀行設立本部、都市整備局
十月十三日(説明聴取・資料要求)環境局、建設局、港湾局、地方労働委員会事務局
十月二十日(質疑)環境局、港湾局
十月二十二日(質疑)中央卸売市場、建設局
十月二十五日(質疑)地方労働委員会事務局、都市整備局
十月二十七日(質疑)産業労働局、新銀行設立本部
2 本分科会における質疑の概要
(1) 都市整備局所管分
〔1〕踏切対策基本方針について
〔2〕都市づくりにおける災害対策について
〔3〕建築紛争防止条例に基づく紛争の調整について
〔4〕都民住宅の公社借り上げについて
〔5〕都営住宅の建て替えについて
〔6〕都市計画の方針転換について
〔7〕首都高速道路公団に対する貸付金について
〔8〕羽田空港再拡張について
〔9〕外環道構想とPI協議会について
〔10〕外環道に関する地域からの要望について
(2) 環境局所管分
〔1〕屋上緑化の具体的取組について
〔2〕屋敷林の保護について
〔3〕保水性舗装の実施状況と成果について
〔4〕大田区大森南のダイオキシン類土壌汚染対策について
〔5〕ゴミの最終処分場の延命化について
〔6〕廃プラスチックの資源回収について
〔7〕大規模事業所のCO2削減の義務化について
〔8〕TDMやモーダルシフト等の対策について
〔9〕地下水保全対策について
〔10〕スーパーエコタウン事業について
(3) 産業労働局所管分
〔1〕チェーン店の出店と商店会との関係について
〔2〕「観光まちづくり」施策の展開について
〔3〕ビザ発給の緩和について
〔4〕東京の観光情報の提供について
〔5〕中小企業の知的財産活用への支援策について
〔6〕外国特許出願費用助成の実績と取組について
〔7〕KICCプロジェクトへの支援について
〔8〕島しょの資源開発と水産業振興プランについて
〔9〕監理団体の貸倒引当金について
〔10〕中小企業に対する制度融資について
〔11〕若者の就業支援について
(4) 中央卸売市場所管分
〔1〕BSE対策について
(5) 新銀行設立本部所管分
〔1〕新銀行創設に関する調査研究の委託先について
〔2〕調査研究委託料について
〔3〕地域金融機関の役割と新銀行との連携について
〔4〕新銀行の概要と出資金の状況について
〔5〕新銀行の融資先に関する知事発言について
(6) 建設局所管分
〔1〕河川占用料について
〔2〕野川の整備について
〔3〕道路整備の実施状況と実績について
〔4〕城北中央公園の防災上の位置付けと整備について
〔5〕環状六号線の整備について
〔6〕「交差点すいすいプラン一〇〇」について
〔7〕直轄事業負担金について
〔8〕環状八号線の整備について
〔9〕放射五号線と玉川上水の保全について
〔10〕江東内部河川の整備状況について
〔11〕青山霊園再生事業について
〔12〕神田川再生構想について
(7) 港湾局所管分
〔1〕東京港の高潮対策について
〔2〕水門や防波堤などの老朽化対策について
〔3〕災害復旧費の歳入歳出について
(8) 地方労働委員会事務局所管分
〔1〕係属事件の経緯と概要について


○宮崎委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただきました委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われるよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守りをお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しては、質問の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されるよう、お願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 田代ひろし委員の発言を許します。

○田代委員 それでは、まず福祉保健施策について伺います。
 まず、児童虐待防止対策についてでございますけれども、栃木県小山市の事件はまだ我々も記憶に新しく、最近大変繰り返されております児童虐待の悲劇を防止するためにも、親が子育てに悩む初期の段階で、十分な助言を受けたり、指導ができるように体制を整えることが必要である、それが児童虐待の予防の大きな一つの方針だと思うんですが、今現在、臨時国会において、子どもと家庭に関する相談については、基本的に、できる限り身近な区市町村を主体としつつ、都道府県は専門性の高い困難な事例、難しい事例に役割を重点化する方向と聞いております。
 一方、都においては、児童福祉法の改正に先行して、これまで、子どもと家庭の身近な相談機関として、区市町村における子ども家庭支援センターの設置を促進しておりますけれども、こうした全国に例を見ない都独自の取り組みは大変大きく評価されるものだと思います。さらに、平成十五年度からは、その機能を充実させた先駆型子ども家庭支援センターを創設いたしました。
 そこで、まず、この先駆型子ども家庭支援センターの果たしている機能について伺います。

○幸田福祉保健局長 先駆型子ども家庭支援センターは、子どもと家庭に関する総合相談など、区市町村における子育て支援のネットワークの拠点としての役割に加えまして、児童相談所と連携して、家庭における児童虐待の防止のための役割を担っております。
 具体的には、乳幼児健診を受診していない家庭など、子育て支援が特に必要な家庭に対する訪問支援や、虐待等により一時保護や施設などに措置された子どもが家庭に戻った後の見守り支援などを行っており、児童虐待の未然防止などに効果が上がっていると認識しております。

○田代委員 今のご答弁を伺いまして、先駆型子ども家庭支援センター、この仕事は児童虐待防止対策として極めて有効な取り組みであるとの思いをさらに強くしたわけですが、また、今後はこうした児童虐待防止の役割を区市町村が積極的に果たしていくべきと考えております。
 そこで、従来の子ども家庭支援センターはすべて先駆型に転換していくべきだと考えますが、ご所見を伺います。

○幸田福祉保健局長 児童虐待に迅速に対応していくためには、発生予防から早期発見、早期対応、そして家族再統合に至るまで、児童相談所と区市町村を含む関係機関が一体となって取り組む必要があると認識しております。
 こうした観点から設置されております先駆型子ども家庭支援センターが、多くの区市町村において設置されることは極めて有意義であり、都としては、ご提案の趣旨を踏まえまして、区市町村に対し積極的に働きかけてまいります。

○田代委員 続いて、BSE対策についてお伺いいたします。
 まず初めに、国内で初めてBSEが確認されて以来、東京都はどのような対策を講じてきたのか、伺います。

○幸田福祉保健局長 都では、平成十三年九月、国内で初めてBSEが確認された直後から、国に先駆けまして、すべての牛の解体処理に当たり、特定危険部位の除去を開始いたしました。さらに、全国一斉でのBSEの全頭検査の開始に当たっては、解体処理を行った当日中に検査結果を出すこと、検査結果が判明するまで牛肉などを厳重に保管管理すること、関係局と緊密に連携協力して安全対策を実施することなど、五つの原則を東京ルールとして独自に定め、全庁的な危機管理体制のもとに、BSE対策に万全を期してまいりました。

○田代委員 東京都が、我が国初のBSEが確認されて以来、東京ルールですか、関係局の連携のもとにBSE対策を積極的に推進してきたということは大変高く評価されることだと思うんですけれども、十月十五日には、国はBSE対策の見直し案について食品安全委員会に諮問いたしました。その内容は、脳、脊髄などの特定危険部位の除去は引き続き全頭を対象に実施すること、現在の検査法によって発見するには困難であるとされている二十カ月齢以下の牛をBSE検査の対象から除去するなどであります。
 一方、東京都は、十月二十一日に全頭検査継続の方針を発表いたしました。国の見直し案については、現在、食品安全委員会で審議中であり、どのような答申が出されるのか見守る必要はありますが、国が科学的見地からBSE検査の見直しを行っているこの時期に、全頭検査継続を表明したことについて、都民にわかりやすく説明する必要があると思います。
 そこで、都はどのような考えで全頭検査継続の方針を打ち出したのか、見解を伺います。

○幸田福祉保健局長 国は、科学的な見地から安全が確保できるとして、BSE検査の対象を二十一カ月齢以上の牛とする見直し案をまとめ、食品安全委員会に諮問いたしました。しかし、この案に対しましては、安全・安心の観点からまださまざまな意見があり、現時点では国民のコンセンサスが得られているとはいえない状況にあると考えます。
 東京は我が国最大の消費地であり、食肉流通の大きな拠点でもあることから、都民、事業者の不安を払拭するために、都は全頭検査を引き続き実施する方針を決定したものでございます。

○田代委員 今お話にありましたように、食品の安全確保に関する対応というのは、本来、科学的見地に基づいた施策を推進していくべきであるわけですけれども、しかし、お話にもありましたように、十分なコンセンサスが得られていない現状においては、消費者、事業者の安心を確保するための施策は行政として必要でありまして、都がBSEの全頭検査を継続すると表明したことについては妥当であると評価することができると思います。
 国がBSE対策について見直しを行うに当たっては、リスクコミュニケーションを今後も徹底して行い、消費者、事業者の理解を得るための努力をしていくよう、都としても引き続き国に対して働きかけていただきたいと思います。
 最後に、冬場をこれから迎えまして、SARSや鳥インフルエンザなどの新しい形の感染症の問題が再燃する心配もありますので、都民の健康を守るために、今後とも万全の対策を講じていただきたいと思います。
 続いて、災害医療について伺います。
 これは私ごとなんですが、今回の新潟県中越地震に際し、現地に入り、情報や道路の遮断などにより、医薬品や生活物資が、被災現場、特に山間部に行き渡らない、そして、ライフラインの機能不全という状況の中で、三日間、医療救護活動を行ってきました。
 こういうささいな経験ではありますが、なかなか我々医師としても見ることのない現場をもとにして、今度はこの災害が東京都で起きたらどうなんだ、我々のふるさと東京で起きたらどうなんだということで、都においても、都市部はもちろん、大変東京都は広いので、島しょや山間部の、多摩地域を含めた都内全域のいろいろな、地域地域によって全く内容が違うと思うんですけれども、多様な災害発生状況に応じた災害医療体制の確保にさらに万全を期していただきたい。
 阪神・淡路の教訓をもとにしっかり行っていることはよく存じておりますが、さらにそれを進めていただきたい。特に、平成十五年度の総合防災訓練においては、全国では多分初めてだと思いますけれども、知事の英断により、自衛隊を含めた関係機関との連携のもと、NBC災害訓練を行うなど、多様な事態を想定した訓練を実施しております。
 今回の新潟県の中越地震に際しましても、都は、全国に先駆けて編成した災害医療派遣チーム、東京DMATをいち早く現地に派遣し、引き続き医療救護班や保健師なども派遣するなど、積極的に対応していると聞いております。
 災害時の医療救護活動を行うに当たっては、状況に応じた関係機関との密接な連携が何よりも重要であると考えますが、都における災害医療への取り組みについて伺いたいと思います。

○幸田福祉保健局長 お話のとおり、災害時の医療救護活動を行うに当たりましては、区市町村、警察、消防など行政機関や、医師会を初めとした民間団体との緊密な連携のもとに、一体的に取り組むことが重要であります。
 このため、都は、災害に備え、関係機関が迅速かつ適切な医療救護活動を行うためのマニュアルを整備しております。また、災害発生時には、現場の医療機関の被害状況や活動状況などの情報を収集するとともに、区市町村長からの派遣要請や被災状況に応じまして、医療救護班等を編成し、災害現場に派遣することとしております。
 今後とも、関係機関と緊密な連携を図りながら、実践的な訓練を積み重ね、災害時における医療救護活動体制の確保に万全を期してまいります。

○田代委員 災害時の医療救護活動に参加したいという、コメディカルを含む医師、看護師あるいはボランティアの人たち、大変多いんですね、今。私のところにも、たまたま私が校長をしておりました看護学校の卒業生で、阪神・淡路の地震のときに向こうで子ども時代を過ごして、東京に来て看護婦になっている、どうしても行きたいんだけれども、どうやって行ったらいいかわからない、そういう要望が随分届いているんですが、大規模地震のときには、行政が行う医療活動以外に、多様な災害状況に対応したボランティア活動というものを効率よく使っていかなくてはならない。阪神・淡路のときは大都市でしたが、今度は農山村地域、しかも過疎化しているというところですから、全く状況が違うわけで、そこで、物はあっても現場に到達しないという、前回の阪神・淡路とは全く逆の状況が出ているわけでありますね。これはやっぱりボランティア活動の人たちにうまく働いていただかなくてはならない。
 今後は、今回の新潟県中越地震を教訓として、ボランティアが円滑に活動できるようなネットワークの仕組みづくりをつくることが大きな課題であると考えています。国もこのための体制整備を検討していると聞いておりますが、今後都としての取り組みを期待して、災害医療に関する質問を終わります。
 次に、交通渋滞解消のための違法駐車対策、スムーズ東京21について伺います。
 違法駐車が、交通事故のみならず渋滞の原因となり、快適な都民生活や効率的な都市活動の妨げになることはご承知のとおりです。特に交差点付近の違法駐車は、左折車や直進車の進行を妨げ、交通渋滞の大きな原因となります。
 そこで、東京都は、警視庁と連携してスムーズ東京21を平成十三年度から十五年度まで実施してきたところでございますが、まず、この三カ年での取り組み並びに事業効果はどのようになっているのかをお伺いいたします。

○山内生活文化局長 まず、取り組み実績についてでございますが、靖国通り、明治通りなどの四つの幹線道路及び新宿、渋谷、池袋の繁華街地域における四十六交差点で、交通の円滑化を阻害する交差点付近の違法駐車を排除するために、駐停車禁止区間を法定の五メートルから原則三十メートルに拡大して、これを赤系の舗装で明示いたしました。また、違法駐車車両に所轄警察署から音声で警告する駐車抑止テレビシステムを整備したほか、指導啓発を行う交通指導員を配置するとともに、取り締まりを強化いたしました。あわせて、荷さばきスペースの確保、タクシープールの整備、駐車場への誘導案内などを実施いたしました。
 次に、事業効果についてでございますが、まず、対策を講じる前と講じた後で比較すると、靖国通りでは、市ヶ谷駅前から浅草橋までの通過に要する時間が約三割減少するなど、交通の円滑化が図られました。次に、明治通りの池袋駅東口付近におきましてタクシープールを整備したことによって、以前は最大で四十台ほどあった客待ちタクシーの路上駐車が解消いたしました。また、渋谷エリアでの沿道商店会へのアンケートでも、約四割の方が違法駐車の減少を実感していただいている結果となっております。

○田代委員 スムーズ東京21を今お話しのように実施したところでは、交通渋滞が解消されて大変改善されたことがある、これはよくわかるんですけれども、しかしながら、これは今のお話のように限られた路線や地域での効果にとどまっておりまして、交通渋滞は都内各地域どこにでもある共通の問題だと思うんですね。ほかの地域にも拡大していくことが大変重要だと思うんですが、今後どのように取り組んでいかれるのか、教えていただきたいと思います。

○山内生活文化局長 ご指摘のような観点から、平成十五年度から十九年度までの予定で、スムーズ東京21拡大作戦を実施しております。本事業では、対策箇所を国道を含めて大幅に拡大するとともに、右折レーンの延伸、左折レーンの設置などの道路施設等の改善や、カーナビゲーションによる駐車場案内誘導の本格展開など、新たな対策メニューを加えて集中的な渋滞対策を実施していくこととしております。
 今後とも、関係各局、警視庁、国土交通省などと緊密に連携しながら、事業の積極的な推進を図ってまいります。

○田代委員 都民生活に多大な経済的損害を与えて、排気ガスの原因ともなっている交通渋滞を解消するということは、大都市東京の再生に必ず必要なことであります。このため、今後とも関係機関と緊密に連携して、スムーズ東京21拡大作戦を着実に推進していただくことを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 平和祈念館についてですけれども、現在建設が凍結されておりますが、その後、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑が完成し、また、東京空襲犠牲者名簿の整備が進んでいるわけですが、この際、凍結ではなく、建設中止ということに踏み切るべきと考えますが、いかがでしょうか。

○山内生活文化局長 東京都平和祈念館(仮称)についてでございますが、平成十一年第一回定例都議会におきまして、平和祈念館の建設に当たっては、都の厳しい財政状況と従来の経過を十分踏まえ、展示内容のうち、いまだ議論の不十分な事実については、今後さらに検討を加え、都議会の合意を得た上で実施すること、また、東京空襲犠牲者追悼碑の早期建立に取り組むこと、また、東京空襲犠牲者名簿の収集・作成を平成十一年度の早期に開始することとの付帯決議が付されております。
 また、平成十一年七月に策定されました財政再建推進プランにおきまして、大規模施設の新規建設は行わないと決定されております。
 これらの経緯を踏まえまして、東京都では、平成十三年三月に、東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑を建立するとともに、東京空襲犠牲者名簿の収集を進めているところでございます。
 東京都平和祈念館(仮称)に関しましては、都議会の付帯決議の重みを十分認識しまして、今後とも慎重に対応してまいります。

○田代委員 続いて、エステティックサービスについて伺いたいと思いますけれども、店舗数が全国で約一万店もあるといわれているエステティックサービスについては、消費者トラブルが依然減ってまいりません。契約上のトラブル以外に、お客さんの体への危害、相談も大変多いと聞いております。
 このような中で、法の規制がないエステティックサービスに関する安全対策について、消費者行政の立場から、都はどのような具体的取り組みを行っているのか、伺います。

○山内生活文化局長 東京都は、昨年十一月から、消費者、事業者、学識経験者などで構成する安全問題協議会におきまして、エステティックサロン用レーザー脱毛機の安全性をテーマとして検討を行い、本年八月に業界への要望及び消費者への注意喚起を行ったところでございます。
 この中で、特にエステティックサロンにおける脱毛施術の危険性が高いことから、業界の統一基準によるエステティシャンの教育や資格制度を設けること、業界で進めているサロン認定制度について、公平な第三者機関により認定を行うとともに、認定制度の実効性を高めるための方策を講ずることなどを要望しております。
 また、エステティックサロンにおける危害防止の観点から、エステティシャンへの国家資格制度などの導入を含め、適切なルールを設けることの必要性については認識しておりまして、ご質問の趣旨を踏まえて、今後、関係局と調整、連携の上、適切な対応について検討してまいります。

○田代委員 続いて、教育問題について伺います。
 障害を持っていらっしゃるお子さんたちが、親御さんが亡き後も一人の人間として生きていく力を身につける環境づくりをしていく必要があるわけですけれども、障害のある児童生徒一人一人の能力を最大限に伸ばして、学校卒業後、社会の担い手となる可能性を拡大していくためには、将来の社会参画と自立に向けた後期中等教育の充実が必要であると考えますが、東京都特別支援教育推進計画の中ではどのように推進していこうと考えているのか、見解を伺いたいと思います。

○横山教育長 ご指摘のとおり、今後、特別支援教育を推進するに当たりましては、障害のある生徒の将来の社会参加と自立のための後期中等教育は重要であると認識いたしております。
 そこで、今後策定予定の東京都特別支援教育推進計画におきましては、知的障害が軽い生徒を対象とした高等部における職業教育の充実や資格取得に向けた進学への対応、ろう学校における中高一貫型教育の実施など、障害のある生徒の社会参加と自立に向けた後期中等教育の施策の充実に努めてまいります。

○田代委員 知的障害の軽い生徒を対象とした高等部や中高一貫型のろう学校など、障害のある子どもの将来の職業自立に向けた施策を早急に実現していくべきと考えております。
 特別支援教育を推進するに当たり、これまでの学校の閉鎖性を打破し、より開かれた学校として、教育の質の向上を図っていく上でも、東京都心身障害教育改善検討委員会最終報告や教育モニターの結果も踏まえ、積極的に民間の活力の導入をしていくべきと考えておりますが、いかがでしょうか。

○横山教育長 都教育委員会としましては、東京都心身障害教育改善検討委員会の最終報告及び教育モニターを初め都民の意見を踏まえまして、近日中に東京都特別支援教育推進計画を策定していく予定でございますが、ご指摘の特別支援教育への民間活力の導入につきましては、盲・ろう・養護学校の活性化や、児童生徒及び保護者による学校選択の幅の拡大を図るために、多様な主体による学校運営について検討してまいります。また、民間企業及びNPOと連携しました就労支援の仕組みなどにつきまして検討し、教育の質の向上を図ってまいります。

○田代委員 次に、教科書採択について伺います。
 ことしの都立白鴎高等学校附属中学校の教科書採択については、外部から大きな圧力があったにもかかわらず、都教育委員会の権限と責任において適正に採択が行われたことを高く評価するものであります。
 ところで、来年度は全国の中学校で使用する教科書の採択がえの年に当たりますけれども、三年前の中学校用教科書の採択がえの際には、人間の鎖と称して暴力行為が行われ、また、教育委員に脅迫の手段としてかみそりの刃が送りつけられるなど、不当な圧力によって公正かつ適正な採択に支障を与えかねない事態が生じました。これは、区市町村の教育委員会の教育委員の中には、少数かもしれませんが、そのような圧力に簡単に屈してしまうという人物がいることにも原因があるとは思いますが、来年度の教科書採択に向けて、このような不当な圧力に対抗するため、東京都のすべての採択地区の採択日を同一にするなど、教科書採択の正常化に取り組んでいくべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○横山教育長 教科書採択は、採択権者でございます教育委員会の権限と責任におきまして公正かつ適正に行われるべきものでございまして、外部からの不当な圧力などによりまして採択に影響があってはならないものでございます。
 お話のように、前回の中学校用教科書の採択がえに当たりましては、教育委員に対して、深夜の無言電話があったり、あるいはかみそりの刃が送られたり、あるいは庁舎を包囲し教育委員の行動を制限するなど、教育委員の権限を脅かし、教育委員に身の危険を感じさせる状況があったことは事実でございます。
 ご提案の採択日を同一にすることにつきましては、公正かつ適正な教科書採択のため有効な対策の一つと考えますが、都教育委員会としましては、今後とも、外部からの不当な圧力に対しましては、区市町村教育委員会と連携を図りながら厳正に対処しまして、混乱を来さないように具体的な方策を検討してまいります。

○田代委員 最後に、養護学校の卒業式について伺います。
 卒業式は学習指導要領に基づき実施される儀式的な行事であり、障害のある児童生徒も、障害のない児童生徒と同様に、晴れがましい姿を多くの人に見てもらい、希望と自信に満ちたその中で、卒業証書を舞台壇上で授与することが大切であると考えております。
 しかしながら、肢体不自由養護学校の卒業式においては、介助によって壇上に上がっても自力で車いすを動かすスペースがない場合、特例として壇上に上がらないで卒業証書を授与するなど、個別に配慮して実施することはあり得ると考えますが、所見を伺います。
 また、ことしの春に行われた肢体不自由養護学校の卒業式においては、舞台が狭く、壇上での卒業証書の授与が難しいという状況の学校の校長が、さまざまな困難を乗り越えて立派に成長した児童のあるいは生徒の姿をすべての出席者の方々に見ていただきたいと考えまして、舞台の拡張工事を行い、壇上での卒業証書の授与を実現させたと聞いております。このような工夫により、この春行われた肢体不自由養護学校の卒業式においては、すべての児童生徒に対して壇上での卒業証書の授与が行われたと聞いております。
 確かに、安易に特例を認めますと、壇上での卒業証書の授与が行われなくなってしまう可能性がありますので、このことに十分留意して、都教育委員会は校長への指導を行うべきであると考えますが、所見を伺います。

○横山教育長 各学校は、校長の権限と責任によりまして、学習指導要領に基づき、卒業式を適正に実施しなければならないことは当然のことでございます。
 児童生徒は、やがて学校を巣立ち、社会生活をしていく中で、国旗を掲揚し、国歌を斉唱する場面に出会うことが多々ございます。そのために必要となる態度やマナーについての学習の場を用意することは公教育の果たすべき役割であると考えております。
 このような教育を通して、児童生徒は規律やルールを守ることの大切さと責任ある自由を学び、国際社会の一員として活躍していくことができるものでございまして、今後とも、卒業式、入学式等における国旗・国歌の指導の一層の徹底を図ってまいります。
 なお、肢体不自由養護学校の卒業式におきましては、介助によって壇上に上がっても自力で車いすを動かすスペースがないなどのやむを得ない場合において、特例として壇上に上がらないで卒業証書を授与するなど、個別に配慮して実施することは当然あり得ることでございます。
 そこで、こうした肢体不自由養護学校の卒業式における特例の考え方についてでございますが、壇上で卒業証書を授与しないことが認められるのは、物理的なスペースの問題より、都教育委員会の指導のもとに校長が特例として判断した、あくまでも限定的なものでございます。その場合、壇上での卒業証書の授与ができない児童生徒につきましては、式典の参列者に対して、やむを得ない状況であることを事前に説明し、理解を求めていく必要があると考えております。
 今後とも、安易な理由で特例の基準をあいまいにしたりおろそかにしたりするなど、壇上での卒業証書授与を実施しないということがないよう、校長の指導を徹底してまいります。

○田代委員 校長は状況によって難しい判断をしなくてはならないということがあると思いますが、そのためには、それだけの資質や能力を有する校長が必要だと考えますが、それについて所見を伺いたいと思います。

○横山教育長 校長には、その職責の重さを自覚して、先見性を持って学校経営を推進しますとともに、学習指導要領の趣旨を深く理解し、教育課程を適正に編成、実施するなど、適切な判断ができる高い資質、能力が不可欠でございます。
 お話のように、校長は状況に応じて難しい判断をしなくてはならないときもございますが、都教育委員会としましては、校長が適切な判断を下し、適正な卒業式の実施ができるよう支援をするなど、万全を期してまいります。
 また、都教育委員会としましては、こうしたすぐれた校長を登用するため、教育庁次長を委員長とし、関係の四部長で構成します任用審査会で厳格に審査した上で任用を行っているところでございます。

○田代委員 今、教科書の採択の問題で、ある英語の教科書の中に、英語ということで、全く間違えた歴史的な認識のことを書いて通っていたという、東京都の関連の学校にも随分採用されて、その会社の名前はここであえて裁判中ですから申し上げませんけれども、手をかえ品をかえ、歴史教科書以外のところで完全に間違っている認識のものを使っていくというのが大変はやっているわけでありますから、教育庁の方もしっかりと教科書の内容をチェックするという努力を続けていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○宮崎委員長 田代ひろし委員の発言は終わりました。
 引き続き、三宅茂樹理事の発言を許します。

○三宅委員 まず、商店街振興について伺います。
 近年、都内各地の商店街では、経営の近代化や基盤施設の整備はもとより、地域の住民や団体と連携して福祉や環境、防犯などの課題に積極的に取り組み、コミュニティ再生の中心的役割を担っていこうという動きが着実に広がってきています。
 都は、こうした商店街の多様な取り組みを広範に支援するため、平成十五年度より、これまでの商店街振興施策を再構築して、新・元気を出せ商店街事業をスタートしました。これにより、それまで単年度事業だった元気を出せ商店街事業も継続事業として組み込まれ、メニューごとに縦割りだった商店街振興施策が統合され、商店街にとってわかりやすく使いやすい制度が誕生いたしました。
 そこで、まず伺いますが、新・元気を出せ商店街事業の初年度に当たる平成十五年度の決算と実績について、単年度事業から継続事業に切りかわったことでどのような点が改善されたのかという点も含めてお答えください。

○関谷産業労働局長 新・元気を出せ商店街事業は、予算額十五億円に対しまして、決算額は約十三億五千万円となっております。
 事業件数といたしましては、イベント千六百八十四件、活性化事業で二百七十六件でございまして、都内の商店街約二千八百のうち、半数以上の商店街が本事業を活用していることになります。取り組み内容を見ますと、住民交流施設の設置や高齢者の生活援助システムの導入、安全・安心のまちづくりをテーマにしたイベント等、地域に貢献する事業が数多く見られるところでございます。
 また、商店街施策を再構築いたしまして、委員ご指摘のとおり、事業として継続したことに伴いまして、事務手続についても申請時期の早期化を図ったところでございます。あわせて、区市町村の検査終了後、直ちに商店街に補助金を交付することとし、申請から交付までの期間を大幅に短縮できる仕組みに改善したところでございます。

○三宅委員 申請は予算額いっぱいであったと聞いておりますが、決算額は約十三億五千万円とやや下がっておりますのは、継続事業となって、ご担当が初年度ということでえらく張り切って、審査が厳しかったのではないかと思いますが、いかがですか。

○関谷産業労働局長 審査の結果、結果的に若干予算額を下回った結果がございますけれども、適正な審査ということで、特段厳しくということではないというふうに考えてございます。

○三宅委員 審査にたえ得る事業計画を立てるよう指導することも産業労働局さんの重要な仕事ではありますが、手続、補助の要件などについてそごや誤解がないように、しっかりとやってください。
 さて、都は、十五年度、十四の商店街からの申請に対し、総額四千二百万円の補助を行って防犯カメラの設置を支援いたしました。この安全・安心まちづくりへの商店街の取り組みが大きな反響を呼び、今年度の都の防犯対策の柱へと発展したのであります。
 今や商店街は、行政のパートナーとしてまちづくりの中核を担う存在となっております。今後は、行政課題にマッチし、地域振興やまちづくりへの寄与度の高い事業については、特に強力な支援のスキームをつくっていくことも必要と考えます。
 今後とも、各局のさまざまな施策と幅広くリンクさせながら、商店街振興施策をより積極的に展開していくべきと考えますが、都の所見を伺います。

○関谷産業労働局長 商店街は、地域コミュニティの核といたしまして、地域の活性化やまちづくりなどにおいて重要な役割を果たしており、観光振興を初め、防犯、防災、福祉、環境などの分野で、行政と連携したさまざまな取り組みを行っているところでございます。
 今後とも、東京都が進める施策の目的に沿った商店街の取り組みを積極的に支援するなど、各局とも十分連携を図りながら、商店街が地域においてさらに重要な役割を果たせるよう、商店街振興施策を充実強化してまいりたいと考えております。

○三宅委員 次に、新銀行についてお尋ねいたします。
 都は、昨年度、新銀行の設立に当たり、その具体的な調査研究を財団法人東京税務協会に委託しました。この調査研究委託は、期間については平成十五年六月から同年十二月までであったものを本年三月まで延長し、費用については予備費を措置するなどして、最終的に約八億七千万円となりました。
 そこで、どのような経過でそうした措置が必要となり、また、この調査研究の内容はどのように充実したのか、お答えください。

○津島新銀行設立本部長 都が東京税務協会へ委託した調査研究委託についてでございますが、当初、平成十五年十二月までの調査期間におきまして、一つは、中小企業資金需要調査など、中小企業を総合的に支援する新しい銀行の融資の基本的な調査研究と、二つ目は、ITを活用した決済システムなど、新銀行の基本的なスキームの検討に必要な調査を行い、新銀行基本スキームを作成いたしました。
 その後、この基本スキームをもとに、都議会や都民などの多方面からのご意見、ご提案を踏まえまして、中小企業に対するより効果的な融資を行うため、調査期間を延長し、融資に対する保証など地域金融機関との連携や、金融商品あるいは金融先の紹介などに係るさまざまな企業との連携などについてより詳細で具体的な検討を行い、その結果を本年二月に発表いたしました新銀行マスタープランとして取りまとめたものでございます。
 こうした幅広い調査研究によりまして、中小企業の円滑な資金供給を行うための新たな銀行の全体スキームや各種ビジネスモデルを具体化し、それらを踏まえまして、現在、新銀行において開業準備作業が進められているものでございます。

○三宅委員 今のご説明では、新銀行が具体的なビジネスモデルを構築する上で、この調査研究は不可欠なものだということであります。だとすれば、新銀行の業務に資するものについては、当然銀行側に費用負担を求めることになるのではないでしょうか。都民の貴重な税金であり、システムなど財産として新銀行に引き継ぐものが相当あると思いますが、その負担割合はどのようになるのか、お答えください。

○津島新銀行設立本部長 調査研究費用の負担についてでございますが、調査研究費用のうち、新銀行の設計など新銀行に帰属する資産を初めといたしまして、各種ノウハウの構築のために費やされた経費につきましては、新銀行東京に対し応分の負担を求めることとしております。
 現在、都と新銀行とのそれぞれの負担額について、法律面、会計面から専門家の意見をいただき、具体的な算定作業に入っているところでございまして、今後、金額が確定した上で、十六年度予算の歳入として処理することとなります。
 具体的な負担割合等につきましては、現時点で詳細には申し上げられませんが、調査研究の内容を踏まえますれば、銀行側の負担が過半を超えるものと考えております。

○三宅委員 次に、ディーゼル車規制についてお尋ねをいたします。
 平成十五年度の決算を見ますと、買いかえ融資あっせんに係る経費の執行額は十六億円にとどまりますが、一方で粒子状物質減少装置への補助は当初予算を超える規模を受け付け、執行額は七十三億円となっております。融資、補助を合わせると総額で約九十億円に上り、これらの支援策の対象となった車両は、十五年度だけでも約五万台に達したと聞いております。これは、実効ある規制を行うためにも必要であると我が党が主張してきた支援策の充実が事業者の努力を後押ししたものと考えております。
 このように大きな成果を上げたディーゼル車規制ではありますが、取り締まり結果からは、規制開始当初から現在まで、都外からの流入車の違反率が都内車両に比べて高いことがわかっております。規制にきちんと対応した利用者がばかを見ないよう、規制の公平性を確保するためには、今後実効ある流入車対策が必要であると考えますが、見解を伺います。

○平井環境局長 ディーゼル車規制のために行いました路上や物流拠点での取り締まり結果でございますが、都内登録車両の違反率が一・六%であるのに対しまして、都外登録車両は四・三%でございまして、流入車への対策が重要と考えております。
 このため、流入車の多い主要幹線道路での取り締まりを重点的に行うとともに、製造業、建設業など全国の荷主団体に対し、改めて規制適合車使用の徹底を働きかけます。また、隣接する埼玉、千葉、神奈川県の三県との間で共同で取り締まりを実施するなど、一層の連携強化を図ってまいります。
 今後とも、こうした取り組みにより、規制に協力いただいた事業者の方々が不公平感を抱くようなことがないよう、流入車への取り締まりを徹底してまいります。

○三宅委員 ディーゼル車規制への取り組みの経験を生かして、国に対して、NOx・PM法に対応する事業者への優遇税制や融資制度の一層の拡充及び制度の周知徹底など、中小事業者の負担軽減への配慮を積極的に求めていくべきと考えますが、見解を伺います。

○平井環境局長 都はこれまでも、自動車NOx・PM法の規制に対応しようといたします中小事業者が利用しやすい融資制度や税制上の優遇措置につきまして、国の責任ある対策を求めてまいりました。今後、事業者の法規制への対応が本格化してくることを踏まえまして、国に対し、融資あっせん制度の充実や新車取得時の税負担の軽減を強く求めてまいります。
 あわせて、これらの制度について事業者への周知徹底を図るよう国に働きかけますとともに、都といたしましても、法規制の内容や国の支援制度の周知、事業者個々の状況に応じた助言など、きめ細かい対応、相談に応じてまいります。

○三宅委員 次に、東京港の国際競争力強化に向けた物流ボトルネックの解消について伺います。
 平成十五年度の決算を見ますと、港湾局では、青海公共コンテナふ頭の岸壁工事に約八億円、東京港のコンテナ船の主要航路である第一航路の増深などに約十四億円の工事を実施しております。港湾施設の機能充実が着実に図られていることがわかります。
 こうした予算の執行が行われておりますが、まだまだ物流経路全体について、コストの低減やリードタイム短縮の観点から、さらに改善していくことが必要であります。
 そこで、東京港で、民間の物流改革の動きに対応して、臨海部における物流拠点機能の強化にどう取り組もうとしているのか、所見を伺います。

○成田港湾局長 近年、民間企業では、物流拠点集約化や物流施設の自動化、システム化等、物流改革の取り組みを加速しているところでありますが、こうした民間の動きに対応しまして、都は物流用地等の供給を行っており、その結果、成長著しいIT関連企業などの首都圏配送拠点の立地が着実に進みつつあります。また、世界規模で事業展開している大手の物流施設専門の不動産・開発会社も、東京臨海部を最大の戦略拠点として高機能物流施設への投資に力を入れているところでございます。
 今後、民間の物流改革動向を踏まえ、大井・青海地区の物流拠点集積地域の一層の機能強化を図るとともに、中央防波堤外側埋立地等におきまして新たな物流拠点を形成することとしておりまして、今後、改訂港湾計画の中で具体像を明らかにしてまいります。

○三宅委員 ところで、港湾から出た大型貨物自動車が都内で渋滞にはまり、なかなか動けないようでは、港湾地域の物流効率化の取り組みも絵にかいたもちになりかねません。行政としては、東京港と生産地や消費地を結ぶ輸送経路上のボトルネックを解消し、民間における輸送時間、輸送コストの低減を後押ししていくことが重要であります。
 そこで、これまで東京港ではこうしたボトルネックの解消にどのように取り組んできたのか、伺います。

○成田港湾局長 民間企業における貨物輸送の低廉性、迅速性、安定性確保の要請にこたえていくためには、円滑で効率的な物流ネットワークの構築が不可欠であると認識しております。
 このため、港湾物流の基幹道路となる東京港臨海道路の整備を推進しております。既に第一期工事は平成十四年四月に開通し、現在、平成二十二年度の全線供用に向け、二期事業を進めております。
 また、車の高さや重量により大型貨物車の通行が制限されておりました首都高速道路や主要幹線道路などにおいて規制緩和を働きかけてきた結果、本年三月から、首都高速中央環状線や青梅街道などで大型貨物車の高さや重量の制限緩和を実現させることができたところでございます。

○三宅委員 さて、首都圏で消費されるカラーテレビやビデオなどの家電製品や食料品などの大半は東京港を経由して輸入されております。一方、北関東の工場など周辺県からは、先端的な電子部品や工業部品が東京港から輸出されるなど、東京港は今や首都圏の経済活動に不可欠な存在となっております。
 東京港が真に首都圏四千万人の生活と産業を支えていくためには、都県境を越えた広域的な港湾物流のボトルネック解消が必要であるため、国や周辺県を巻き込んだ取り組みが必要と考えますが、所見を伺います。

○成田港湾局長 東京港は首都圏物流の起点、すなわちゲートウエーとなっておりまして、港湾物流の広域的なボトルネック解消には、ご指摘のように、都がイニシアチブをとり、国や周辺県に働きかけることが重要であると認識しております。
 現在、東京港に搬出入されております貨物の通行経路上のボトルネック箇所について調査を行い、対策を検討しているところでございます。既に、東京湾沿いの各県をつなぐ湾岸道路と、東京港からの物流の出発点である東京港臨海道路との接続方法については、国とともに交通の円滑化に向けた検討を開始したところでございます。
 今後、港湾管理者といたしまして、庁内各局と連携し、国道など港湾物流の機軸となる幹線道路の改良を国や周辺県に働きかけてまいります。

○三宅委員 次に、都市再生について伺います。
 平成十五年度において、羽田空港の再拡張、環状二号線や山手通りなどの幹線道路の整備、そのほか、例えば首都高中央環状線に対する出資金などとして約二百七十億円が支出されるなど、東京の骨格づくりに対して着実な予算執行がなされております。
 一方、こうした基盤整備とあわせ、最近、六本木や汐留など、大規模な開発により東京のまちが大きく変わりつつあります。まちに魅力や活力をもたらす都市の再開発は今後も推進していく必要があると考えますが、民間による都市開発への投資を積極的に促すため、二年前に都市再生特別措置法が制定されました。都内では、この法律に基づき、二千四百ヘクタールにわたる都市再生緊急整備地域が指定されていますが、これまでの実績について伺います。

○梶山都市整備局長 平成十四年七月の地域指定以来、これまで法に基づく特例を活用したプロジェクトは、既存の都市計画にとらわれず用途や容積率などを定める都市再生特別地区として、大崎駅西口の一地区が都市計画決定されております。また、金融支援などにより開発誘導を図る民間都市再生事業として、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトなど五事業が認定されております。

○三宅委員 法に基づく制度を活用したプロジェクト以外にも、都市再生緊急整備地域では、その開発ポテンシャルを生かし、六本木ヒルズなど新しいまちが次々に生まれています。環境等に対する負荷を懸念する声もありますが、私は、このような開発の積み重ねがまちに活気や魅力を与え、東京という都市を支えていく源泉になっていると考えております。
 都も平成十五年度において、例えば市街地再開発事業への助成金として約十六億円を執行していますが、このような民間によるプロジェクトは、東京の都市再生にとってどのような効果があると認識しているのか、伺います。

○梶山都市整備局長 現在進められている都市開発の多くは、民間の知恵と工夫が凝らされた複合開発型のプロジェクトでございます。これらのプロジェクトの実施により、多数の来訪者でにぎわう活気と魅力にあふれたまちが形成されます。また、オフィスビルの機能更新が進むことにより、すぐれた就業環境を持ち、防災上も安全な国際的水準のビジネス環境が整備されます。さらに、周辺環境に配慮した緑やオープンスペースの創出、良質な住宅の供給などが図られ、都市環境の改善や都心居住の推進につながってまいります。
 このように、優良な民間プロジェクトは、多様な機能の集積による都市の拠点性、安全性や快適性を高めるものであり、東京の都市再生にとって重要な役割を果たすと考えております。

○三宅委員 国内総生産の伸びが上向きに転じるなど、景気回復の兆しが明らかになってきております。しかし、回復の足取りを確固たるものにするために、何といっても我が国経済の牽引役たる首都東京を元気にする都市再生の取り組みを強力に進めていかなければなりません。優良な民間プロジェクトがその一翼を担うものと思いますが、都として今後、どのように都市再生に取り組んでいくのか、見解を伺います。

○梶山都市整備局長 首都東京を元気にしていくためには、経済活動などにおける高コスト構造を是正し、国際競争力を高めていくことが必要であります。そのためには、おくれている環状道路や空港などの交通インフラ整備を進めていくことが不可欠であります。また同時に、民間による開発プロジェクトを推進し、拠点整備を進めていくことが、都心の魅力や活力を高めていく上で重要であります。
 今後とも、都は、インフラ整備と拠点整備をあわせて実施することにより、首都東京のポテンシャルを引き出す都市再生を積極的に進めてまいります。このことが、都民生活の安定につながるものと考えております。

○三宅委員 さて、さきの第三回定例会において、道路特定財源の地方譲与税化に反対し、特定財源として堅持することに関する意見書を賛成多数で可決し、国に提出したところですが、道路特定財源を地方譲与税化することなく、都市再生、地方再生に資する道路整備は、国が引き続き責任を持って重点的に補助することが重要と考えます。
 そこで、道路特定財源を活用した地下鉄十三号線の整備について伺います。
 地下鉄十三号線は、池袋と渋谷を結ぶ路線で、並行する山手線や埼京線の混雑を緩和するとともに、鉄道ネットワークの充実による利用者の利便性の向上と、沿線のまちづくりに寄与する重要な路線であると認識しております。この地下鉄十三号線を、道路特定財源の使途拡大により、平成十五年度から街路事業として整備を進め、決算額を見ると百五十億円を超える事業を執行しております。
 そこで、まず、地下鉄十三号線の整備に道路特定財源を投入する意義と効果について伺います。

○岩永建設局長 地下鉄十三号線の整備につきましては、道路特定財源の使途拡大によりまして、お話のように、平成十五年度から街路事業として進めております。今回、地下鉄十三号線の整備に、安定した財源である道路特定財源を投入したことによりまして、着実な事業の推進が図られます。
 こうした地下鉄十三号線の整備は、自動車交通から公共交通への利用転換を促し、道路の交通渋滞の緩和や環境改善につながるなど、東京の都市機能を早期に高める上で有効であると考えております。

○三宅委員 現在、地下鉄十三号線については、明治通りという非常に交通量が多い道路内で、厳しい条件のもとに大規模な工事を進めているようですが、その事業概要と平成十五年度の工事内容について伺い、そして最後に、沿線地域からも非常に期待を寄せられている地下鉄十三号線の平成十九年度の開業に向けた今後の取り組みと決意を伺い、私の質疑を終わります。

○岩永建設局長 まず、事業概要と工事内容につきましてでございますが、本事業は、池袋から渋谷に至る区間のうち、明治通りの地下に建設する延長七・九キロのトンネル及び六つの駅舎のインフラ部を整備するものでございます。事業期間は平成十五年度から十九年度、全体事業費は九百四十億円を予定しております。
 十五年度の工事内容は、駅舎部の開削工事とシールド掘削機の製作であり、百五十六億円を執行いたしました。
 この地下鉄十三号線につきましては、現在、六つの駅すべてとシールドトンネル工事に着手するなど、全区間において事業を進めております。今後とも、国費等の財源確保を図りながら、東京地下鉄株式会社と連携し、地元の理解と協力を得まして、十九年度開業に向け、事業を着実に推進してまいります。

○宮崎委員長 三宅茂樹理事の発言は終わりました。
 続きまして、田中良副委員長の発言を許します。

○田中委員 ある学者の人口推計によりますと、昭和二十五年、一九五〇年の人口は、我が国、八千二百八十万人、それに対して平成十二年、二〇〇〇年の人口は一億二千五百五十万人ということだそうであります。そして二〇三〇年の人口は一億七百九十万人、二〇五〇年の人口ということになりますと、八千四百八十万人、こういう推計をある学者がしているということです。
 すなわち、二十世紀の後半の五十年で四千万人がふえて、二十一世紀の前半の五十年で逆に四千万人人口が減少する、こういうことになっている。しかも、ただ単に人口が減るということだけではなくて、団塊の世代というものが、大体これから三年、四年後、退職年齢に達します。そして、それからまた五年ぐらいたちますと、高齢世代になる。さらにその三十年後には、第二次ベビーブーム世代が高齢世代になるということで、年齢構成の高齢化が急速に進んでいき、十五歳から六十四歳の生産年齢人口が急激に減少していく、こういうことになるそうでありますが、これらの点を踏まえて、東京について検証していきたいというふうに思います。
 総務局では、人口統計だけではなくて、就業者数や男女年齢別人口の将来予測を行っていますけれども、東京における生産年齢人口、高齢者の人口、それからさらには就業者数がどう変化すると予想しているかということでありますが、聞いているとちょっと時間がないんで、総務局の予測によりますと、生産年齢人口というのは、二〇〇五年、平成十七年、八百七十七万人、これが、平成三十二年、二〇二〇年ですが、八百十九万人、六・六%減少する。生産年齢人口の比率は、二〇〇〇年を基軸にしますと、これは七二%、それが二十年後、六五・二%というふうに生産年齢人口の比率は低下をする。
 六十五歳以上の人口というのは、二〇〇〇年が百九十一万人、これが二十年後にはおよそ一・六倍、三百二万人、さらには、七十五歳以上の人口は、二〇〇〇年で七十五万人、これが、二〇二〇年、二十年後にはおよそ二倍、百五十七万人、こういうふうに推移していくと。
 就業者数は、二〇〇〇年が八百五十一万人で、これが十年後は八百四十八万人、三万人の減少だということで伺っておりますが、こういう生産年齢人口あるいは就業者の減少というものが東京経済にどういうふうに影響を及ぼしていくかということをお尋ねしたいと思います。

○関谷産業労働局長 人口の減少と高齢化に伴います生産年齢人口、就業者数の減少が経済成長に及ぼす影響についてでございますが、平成十五年版経済財政白書におきましては、他の条件が一定である限り、潜在的に達成し得る経済成長率は低下するとしております。東京の経済にとっても重大な影響がある課題と認識しているところでございます。
 しかしながら一方で、女性や高齢者を中心とする労働力率の向上や、新技術の開発による生産性の向上等により、経済成長へのマイナスの影響を相殺することも可能であるともしているところでございます。
 こうしたことから、都といたしましては、人口減少下においても東京の経済活力が低下しないよう、意欲ある労働者が働くことができる環境の整備や技術開発の支援などに引き続き取り組んでいく必要があると認識しております。

○田中委員 今ご答弁をいただいたんですけれども、経済財政白書では、成長率は低下して、東京の経済にも大きな影響が出てくるだろう、こういうご答弁でした。
 一方で、女性、高齢者を中心とする労働力率の向上とか、新技術の開発での生産性の向上とか、そういうことで経済成長のマイナスの影響というものを何とか相殺できるのではないかという説もあるというご答弁だったんですけれども、実際に本当にそうなのかどうかということでありますが、例えば諸外国に比べて、現在、女性の就業率というのがどうなのか、あるいは高齢者はどうなんだということを見てみますと、また、それを見て、その後、今後の将来ということを考えていくと、必ずしも、ここで今ご答弁があった経済財政白書をベースにした認識で、マイナスのトレンドというものが相殺されるというような甘い見通しは、私はちょっと、いかなるものかというふうに思っております。
 そういう意味では、将来的な傾向としては、人口のこれからの推移というものは、我が国、東京の経済の成長に極めて大きなマイナス要因になってくるということだと思いますが、こういう状況が都財政にどういう影響を及ぼすかということについてお尋ねしたいと思います。

○松澤財務局長 今後、我が国は、ただいま副委員長のお話のとおり、生産年齢人口が減少する中で高齢者が増加すると予測されておりまして、このことが、財政分野に対しまして不確実な面もございますが、総じてマイナスの影響を与えることが懸念されるところでございます。
 こうした事態を、今後の都財政において見ますと、まず、歳出面では、高齢者福祉の対象となる世代の増加に伴いまして、福祉関係の財政需要が膨らむことなどから大幅な増加要因になることが見込まれるわけでございます。
 それからまた一方で、歳入面では、生産年齢人口の減少は、当然ながら行政サービスの財源を負担する世代の減少につながるわけでございまして、直接的には所得税や住民税といった税収に影響を与えると考えられるところでございます。また、今後の人口減少が経済全体の活力低下につながる場合には、法人関係も含め、税収全体にも大きく影響を与えることになりかねないと思われます。
 こうした少子高齢化社会を迎える中で、今後の都財政の運営に当たりましては、歳出増と歳入減の両面から、二重の意味で厳しい対応を迫られる時代が遠からず訪れることが現実のものとして予測されるわけでございまして、今後とも、限られた財源をより効率的に活用するための工夫を凝らしつつ、新しい時代の変化に合わせた施策の見直しを思い切って行うなど、これまで以上に財政構造改革に取り組んでいくことが必要である、このように考えております。

○田中委員 これまで述べてきたような人口の年齢構成の変化それから生産年齢人口、就業者数の減少からGDPの低下へとつながっていく傾向は、企業の資金需要の低下を招くだけでなく、毎年の利払い額が確定している銀行借り入れから成功報酬を基本とする株式による資金調達へと資金調達自身がシフトしていく、つまり間接金融から直接金融、こういうことになっていくだろうというふうに私は思います。
 この高齢化の進展というものは、これから高齢者の貯蓄の取り崩し、それから年金も不安定でありますし、そういうこともあるでしょう。それから、現役世代の負担増によって貯蓄もまた縮小していくということもまたあるだろうと思います。すなわち、需給の両面から銀行業のパイというものが小さくなっていくというふうにいえるのではないか。
 そういった点で、これからの金融機関のあり方については、人口のこれからの推移というものがどのように関連していくのか、その見解を伺います。

○津島新銀行設立本部長 内閣府の経済財政諮問会議が発表いたしました、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針によりますと、経済のグローバル化が進む中で、日本経済を支える成長の源泉は、労働力人口だけではなく、技術革新や、市場や競争を通じた効率性の高い部門や社会的ニーズの高い成長部門への資本等の移動により生み出されるものであるとされております。
 すなわち、今後の日本経済の成長のためには、こういった労働人口が減少する時代であればこそ成長部門などへの円滑な資本移動が必要でございまして、実体経済におきましては、適切な金融仲介機能を支える銀行の存在が不可欠であると考えております。

○田中委員 今、私は中長期的には銀行業のパイというものが小さくなっていくだろうというふうに見ていると申し上げましたけれども、そういう中で、来年からこの新銀行東京、これが立ち上がっていくということです。
 この間数年間、客観的な情勢というものが相当変わってきたというふうに私は認識をしております。既存の金融機関もさまざまな金融の商品というものを開発していったり、いろんな銀行の統合というものが進んでいったり、また、一番大きな要素としては、景気が回復の基調へ入ってきたというような状況があります。
 こういった客観情勢の変化というものが、新しい銀行をつくるといっていた当時のこの新しい銀行の主体的条件というものに、どういうふうに影響があると見ているかということについてお尋ねします。

○津島新銀行設立本部長 景気は、好調な米国経済や内需が拡大する中国向け輸出等に支えられる形で一部回復している面はございますが、大手製造業が中心でございまして、中小企業については依然厳しい状況が続いていると認識しております。
 資金供給を見ますと、日銀統計による直近の銀行全体の貸出残高は、平成十六年六月末の大企業向け融資は、前期比〇・八%の減少と下げとどまっておりますが、中小企業向け融資は前月比三・五%の減少となるなど、中小企業に必ずしも十分な資金供給が行われている状況とはいいがたいと見ております。中長期的に見ても、全企業の九九%を占める中小企業の優秀な技術力や、経済環境の変化への適応力に支えられている我が国の産業構造のもとで経済のグローバル化が進む中、構造変化や厳しい競争への対応など、中小企業の資金需要は今後も増大すると考えております。
 これらのことから、中小企業に対し、十分な資金供給を行い、地域経済の活性化を目的とする新銀行の必要性は変わらないと考えておるところでございます。

○田中委員 十七年の四月以降に開業するというふうにご説明をいただいているわけですが、いまだに開業の日時というものは明確に示されていないと思いますが、その明確に示されていない理由は何ですか。

○津島新銀行設立本部長 銀行設立に関しましては、ちょうど四月一日に予定しておりますペイオフの実施、こういったものも含めまして、資金需要それから資金移動、こういったものを全体的に動向を見まして、実施していくという考え方によるものでございます。

○田中委員 ペイオフの実施以降の状況を見てからというお話ですが、なぜそのペイオフの状況を見なければこの新銀行の開業日時が決まらないのか、その辺をかみ砕いてご説明いただけますか。

○津島新銀行設立本部長 現在の資金の状況を概観いたしますと、比較的、ペイオフに向かって、都銀それから地銀、信金も含めまして、さまざまな対策を講じております。既に数年前から時期は明示しておりますので、それぞれの対策については各機関ごとにいろんな形で行っているというふうに認識しております。
 ただ、まだまだ未確定な部分がございますので、そういった部分をもう少しにらみまして、年明け過ぎにはある程度の方向性を見出していきたいというふうに考えております。

○田中委員 ペイオフ解禁になって、預金が、新しい東京の銀行を開設していたら、そっちの方に集まってきちゃうんじゃないか、つまり、既存の銀行にかなりマイナスの負荷をかけるんじゃないかということが見守る最大の理由というふうにいわれているんですが、いかがですか。

○津島新銀行設立本部長 新銀行の大きな業務の柱は、これまで地域の中小企業を支えてきた地域金融機関、信用金庫を代表する地域金融機関と密接な連携を持って地域経済を支えていくというスタンスでございますので、そういった部分が非常に重要になるかと思っております。

○田中委員 ということですね。つまり、銀行をつくるということは、確かに利益を追求するだけにならないようにつくろうということをスローガンとしては掲げているけれども、これは明らかに民業なんですよね。民業に東京都がかなり直接的な形で参入をしていくということは、今のやりとりの中でもこれは明らかなわけであります。
 さて、繰り返しになりますけれども、中長期的に銀行業のパイが小さくなっていかざるを得ないというふうに私はいっていますけれども、そうした中で、税金から資本を調達した新銀行が営業エリアを伸ばしていくということは、結果として、他銀行を、極端にいえば廃業ということに追い込んでいくということも懸念されているわけであります。
 当初の新銀行の設立目的は、それはそれとして理解はしておりますけれども、今後、銀行業の改革というものが業界全体で進んでいき、新銀行の設立の目的というものがある程度、一定果たされた段階では、これからつくろうというときになんですけれども、この銀行というものを例えば将来売却をするとか、あるいは東京都が撤退をするとか、そういうことも考慮しなけりゃならない段階に至ることも私はあり得ると思いますけれども、いかがですか。

○津島新銀行設立本部長 新銀行は、地域に根差した新たなトランザクション・バンクとして、地域経済活性化と地域金融の円滑化を図ることを目的として創設されたものでございます。したがいまして、地域の実情に詳しい信用金庫などの地域金融機関と密接な連携を図ることで、中小企業融資に対する相互補完の体制を構築し、中小企業への総合的な支援を行っていくこととしておりまして、本年五月に東京都信用金庫協会との間で包括提携契約を締結し、現在、個別信用金庫との協調融資それから保証について具体的な協議に入っているものでございまして、まず民業圧迫には当たらないというふうに考えております。
 また、新銀行は、中小企業に対する支援を中心とする銀行として、地域金融機関との連携によりこの役割を果たすということが将来的にも期待されておりまして、これまで都議会で何度もご説明したとおり、撤退することは考えておりません。

○田中委員 新銀行東京の取締役とか執行役についてですけれども、平成十六年六月の定時株主総会での議決を経て、取締役や執行役などの新役員人事を決定したと。現在、取締役は社外取締役を含め七名、執行役は代表執行役を含め七名の体制だと。代表執行役は取締役を兼任している、こういうふうに説明を聞いておりますが、この具体的な、こういう方々を選任するに当たっての理念、考え方というものをお聞かせください。

○津島新銀行設立本部長 取締役につきましては、株主の意見を反映させるため、都の関係者を選任したほか、経営全般に高い識見を有する人材を、経済界、弁護士、公認会計士、学識経験者など、幅広い分野からバランスを考えた上で選任いたしました。
 執行役につきましては、経営者としての経験や実績、金融に対する専門的能力等を有していることはもちろん、何よりも新銀行の理念の実現に意欲を持つ人を選任したものでございます。

○田中委員 この体制の中では、社外取締役というのもいらっしゃるわけですね。その社外取締役のある方の出身母体は多摩都市モノレール株式会社、これは東京都の外郭団体でありますけれども、この経営状態というのはどうなっていますか。

○梶山都市整備局長 鉄道・軌道事業は、初期投資額が大きいという特性から、多額の減価償却費を計上せざるを得ないことなど、構造的に開業後一定期間は赤字となります。
 平成十五年度決算は、償却前の経常損益では単年度黒字となっておりますが、累積では約二百十億円の損失となり、約四億円の債務超過となりました。
 なお、経営の安定化に向け、十六年八月に運賃改定を行い、収支の改善を図っております。

○田中委員 いろんな事情がおありとは思いますけれども、いずれにしてもこの会社は債務超過の企業だというお話ですが、債務超過の企業の社長を、これは一生懸命本業で何とか立て直してもらうことに専念してもらわなきゃならないと私は思いますけれども、債務超過企業の社長が新しくこれからお金を貸す銀行の社外役員になるというのは、ちょっとどういう理由かというふうに思うのですが、これはどういう理念でこうされたのか、お尋ねします。

○津島新銀行設立本部長 都の関係者の人選に当たりましては、マスタープランに反映された都の政策目的に基づき、経営の大枠を監視するという観点から、都の政策全般に対する理解、あるいは都民感覚にすぐれた人材ということで選任させていただいたものでございます。

○田中委員 今、都民感覚にすぐれた人材を選任というふうにおっしゃいましたけれども、都民感覚からしますと、ちょっと語弊があるかもしれないけれども、ダイエーの社長がUFJ銀行の役員になるみたいな、そういう印象をやっぱりぬぐえないと思うんですね。どうも私は、都民感覚ではちょっとよくわからないなというふうに思いますが、次に進みたいと思います。
 次に、平成十五年度の重点事業について、その進捗状況について伺いたいと思いますが、東京都は、都政の構造改革を推進するための戦術として実施すべき事業を重点事業として選定して、改革の事業に取り組まれてきました。しかし、この重点事業の取りまとめ以降、国の三位一体改革の具体化などがあって、事業は大きな影響を今受けているということであります。
 十五年から十七年を実施期間とする障害者地域生活支援緊急三カ年プランは、地域居住の場と日中活動の場の拡充、施設を必要とする人のための入所施設の整備を行い、緊急に入所待機者を解消することを目指しているということですが、この事業は、重点事業の中でも、特に、国の補助基準が十六年の一月に突然変更されたということによって大きな影響が出ていると聞いておりますので、何点か伺いたいと思います。
 この障害者地域生活支援緊急三カ年プランの十五年度における進捗状況はどのようになっているのか。

○幸田福祉保健局長 障害者地域生活支援緊急三カ年プランの初年度であります平成十五年度の実績は、地域居住の場であるグループホームにつきましては、二百六十二人分増の計画に対し二百九十一人分、ショートステイについては、四十人分増の計画に対し六十三人分を整備いたしました。また、通所授産施設やデイサービスセンターなど、日中活動の場については、計画数五百五十五人分に対し四百四十五人分、地域生活支援型の入所施設については、計画数二百三十八人分のところ百二十人分の整備を行いました。

○田中委員 国庫補助基準が計画当初と変わったということによって、このプラン全体でどのような影響を受けるかと見ているのか、それから、重点事業として位置づけられているこの三カ年プランの計画を達成するために、国庫補助の影響を受けた事業について、福祉保健局として今後どのように取り組んでいくつもりなのか、お尋ねします。

○幸田福祉保健局長 平成十六年度の国庫補助協議に当たりまして、国は、入所施設については、新設など定員増を伴う整備を原則として対象としないこと、また、通所施設については、授産施設やデイサービスセンターなどを中心に採択を行うことといたしました。そのため、都が協議した十八施設、六百六十五人分の整備のうち、採択は七施設、二百四十三人分にとどまり、三カ年プランの進捗にも影響が出ており、極めて問題があると認識しております。
 現在、国においては、いわゆる三位一体の改革に伴う補助金の見直しの検討を進めているところであり、現時点で今後の影響を申し上げることは困難であります。
 続いて、来年度以降の国庫補助事業の取り扱いでございますが、現時点では不透明でありますが、福祉保健局としては、障害者地域生活支援緊急三カ年プランを着実に推進するため、国に対して施設整備費の補助協議を申請した計画がすべて採択されるよう、粘り強く要求してまいります。
 特に、入所施設については、定員増を伴う整備は原則として認められておりませんが、地域偏在等、都の実情を踏まえた地域生活支援型の施設整備の必要性を訴えてまいります。

○田中委員 今ご答弁がありましたけれども、粘り強く要望していくという決意も伺いましたが、しかし、現実にはかなり厳しい状況にあるということ、これはもう否定できないわけであります。
 これは、緊急三カ年プランということでうたって始めた重点事業でありますから、緊急三カ年が、三カ年を終わってみたら、達成度がこれは半分だ、あるいは半分ちょっとだという話では、これは重みが問われるというふうに思いますが、こういう重点事業を所管する知事本局、事業をピックアップして選定するということだけでなくて、実際に選定した以降の実施状況についてもきちっと目配りを行っていただいて、事業目的が達成されるように最大限の努力をやはりしていただきたいなというふうに思うわけですが、いかがでしょう。

○前川知事本局長 障害を持つ方々が地域で自立して生活できるようにしていく、そのために生活と活動の場を整備することは不可欠でありまして、今ご指摘の障害者地域生活支援緊急三カ年プランを重点事業として位置づけたのも、そういう理由でございます。
 しかるに、国の事情によりまして、一方的に補助金が削減される事態が生じていることはまことに遺憾であると考えております。この状況をこのまま放置しておくことはできないわけでありますが、現在、いわゆる自治制度の変革がなかなか進まない中で、国の補助金の削減を現時点ですべて都が肩がわりすることも、これはまた困難でございます。
 私どもとしては、事業所管局と連携をしながら、今、先ほど答弁がありました国への働きかけを強めることも含めまして、プランの目標の達成に向け、最大限努力してまいりたい、こう考えております。

○田中委員 平成十二年、今から四年前ですが、障害者手当それから医療費助成の見直しということが行われましたけれども、そのときに私たちも、現金給付を中心とした施策を転換して、基盤整備を進めていって、障害者の生活の質を高めるべきだということも主張しましたし、この見直しにもそういった意味で協力をしてきた立場であります。こうしたその当時の流れがこの緊急三カ年という計画でありますが、現に待機者、待っている人が千人ほどいらっしゃるということであるようであります。
 この十五年度決算で、障害福祉費の不用額がおよそ六十億円、施設整備費の不用額は百十億円、執行率七三%、緊急ということで施策の必要性を認めてこの予算を議決してきたわけですが、これだけ積み残すということは、私どもの立場からしても非常に納得がいかないというふうに思うわけであります。十六年度は、さらに国の補助金カット、この影響が加わっていって、このままでは間違いなく三カ年での目標達成は不可能だろうというふうにいわざるを得ないというふうに思います。
 重点事業ということに位置づけた、その必要性、緊急性、これを考えますと、あと一年間実施期間は残ってはおりますけれども、国が悪い悪いといって、この状態を見過ごしていくというわけにはいかないだろうというふうに思いますが、そういった意味で、ぜひ、必要な事業について国が補助金をつけないような場合でも、これを何とかやる方向で知恵を出していただいて、取り組んでいただきたいということを意見として申し上げておきたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 平成十五年度重点事業に、多様な危機に対応する危機管理体制の構築ということで一億円が計上されておりましたけれども、この執行状況はどうなっておりますか。

○赤星総務局長 平成十五年度の重点事業といたしまして、危機管理監や総合防災部の設置などによりまして組織体制を強化いたしますとともに、被害予測システムの整備、さらにNBC災害などの危機に対応した図上訓練の実施や、NBC災害マニュアルを作成いたしました。
 予算化されました一億円につきましては、委託する予定でございました図上訓練やマニュアルの作成のほぼすべてを職員みずからが創意工夫したことによりまして、七千六百万円の決算となっております。

○田中委員 このたびの新潟県の中越地震では、東京消防庁のハイパーレスキュー隊の活躍が全国的にも注目をされたわけでありますけれども、このハイパーレスキュー隊の結成経緯と、日常どんな訓練を行っているのか、また、どのような事態に対応できるのか、これを伺います。
 もう一つ続けて、さらに、この地震では全国各地からレスキュー隊が救援に駆けつけましたけれども、こういった東京消防庁のハイパーレスキュー隊のような部隊というものは、ほかの自治体にあるのかどうなのか。
 それからもう一つ、東京において将来、万一震災が発生した場合、その被害を考えますと、東京消防庁のハイパーレスキュー隊だけでは、恐らくいろんな場所であちこち被害があると思いますが、これだけでは対応し切れないんじゃないかというふうに危惧するわけであります。全国のレスキュー隊にこういったノウハウを伝えて、全国のレスキュー機能を高い水準で強化していくという必要があると思いますが、どのようにお考えか、消防庁の見解を求めます。

○白谷消防総監 三点のご質問にお答えいたします。
 東京消防庁の消防救助機動部隊、通称ハイパーレスキュー隊は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、ビルの座屈や倒壊などの大規模救助事象に対処するため、平成八年に二部隊百二十六名、さらに、平成十四年には、地下鉄サリン事件及び東海村ウラン加工施設における臨界事故を契機といたしまして、NBC災害に対応する一部隊四十六名を編成し、現在、三つの部隊に百七十二名の隊員を配置しております。
 大規模救助事象に対処するハイパーレスキュー隊には、先進的な人命探査装置や救助用資機材を配備するとともに、倒壊建物からの救助を行うブルドーザー及びクレーン車などの特殊車両を配置しております。
 これらの部隊は、平常時には直近火災等に対応するとともに、瓦れきからの救出訓練、ヘリコプターによる部隊投入訓練などを実施し、東京直下型地震を初めとする大規模災害に備えております。
 二問目の各自治体におけるハイパーレスキュー隊の有無についてでございますけれども、人命探査装置やクレーン車、ブルドーザーなどを整備している自治体はありますが、東京消防庁のハイパーレスキュー隊と同様の部隊は、他の自治体にはありません。
 三つ目のものでございますけれども、東京に震災など、大規模災害が発生した場合には、都知事の要請に基づきまして、緊急消防援助隊として他府県のレスキュー隊が東京に集結することになっております。現在、総務省消防庁の要請によりまして、全国のレスキュー隊員の指導者を対象に実施されている消防大学校の救助研修や、緊急消防援助講習会における救助技術指導を初め、各消防本部の依頼に基づき、研修生を受け入れて部隊の有するノウハウを提供しているところであります。
 さらには、毎年行われる緊急消防援助隊合同訓練への参加などを通じまして、今後とも引き続き全国消防のレスキュー機能を強化するよう、東京消防庁の救助のノウハウを伝えてまいります。

○田中委員 次に移ります。東京の林業の再生と活性化について伺います。
 先般公表されたシカ被害実態調査によりますと、シカの食害による森林被害が急速に広がり、奥多摩町逆川上流で山腹崩壊が発生するなど、シカ被害対策への緊急の取り組みが求められております。
 一方、多摩の森林荒廃のもう一つの大きな原因として、東京の林業の低迷が挙げられます。林業は、保育、伐採、活用、植林という循環によって、これまで森林を適切に管理する役割を果たしてきた、しかしながら、安価な輸入材との競争により国産材の価格は下落し、林業が低迷する中で、多摩産材の素材生産量は、昭和四十三年度の十四万五千立方メートルをピークに、平成三年度には二万九千、現在では一万五千まで落ち込んでおり、木材の持続的生産による森林の育成が困難になっております。
 森林に手が入らなくなったということが、シカ害を増大させることにもつながっている。木材生産量が激減した林業を再生することは極めて困難な課題ではありますが、森を守り育てていくためには、長期的視野に立った林業の再生とともに、森の守り手を確保するための知恵とさまざまな仕組みづくりが求められていると思いますが、ご所見をお尋ねをします。
 それから続いて、森を守るためには、林業の再生と同時に、森の多様な資源を活用した新たな産業を振興することが重要であるということですが--答えを先にいったらなんですが、十五年度にはどういう取り組みをしたのか、それから、十五年度には、多摩産材の利用拡大に努めるとともに森づくり推進プランを検討してきたということですが、この多摩産材の利用拡大について伺いたい。
 林業の低迷が、輸入材、代替資材による国産材の圧迫に起因する以上、大局的な観点からの国産材の利用推進が不可欠であります。重要課題であり、多摩産材の利用促進に対する取り組みの現状と今後の方向はどうか。多摩産材の利用拡大は、東京の林業再生の第一歩であります。民間住宅への普及等、多摩産材の民間需要拡大への取り組みが大変重要であり、より一層都民への普及に力を入れる必要があります。
 また、森の資源を生かした新たな産業については、森に関与する担い手を幅広く確保する意味でも重要であります。プランに基づく現在の取り組み状況、これらについて伺います。
 お答えを聞いてからと思いましたが、時間の関係で先に私の意見を述べさせてもらいますが、多摩の森林は都民生活にとって大変重要な役割を果たしております。従来からの林業は、その営みを通じて極めて自然に木の循環を守り、都民生活と自然環境に大きな貢献をしてまいりました。長期的には林業を再生し、人間の英知による木の循環を取り戻すことが重要であります。
 一方、今日的な状況の中では、森を守り育てることを森林関係者にのみ依存することはできません。多くの都民の理解のもとに、都民とともに森を守る仕組みが不可欠であり、都民への理解を求める努力や将来に向けての山の守り手を確保する努力を求め、期待をしたいと思いますが、ご答弁、全部まとめてお願いいたします。

○関谷産業労働局長 おおむね四点ほどのご質問にお答えさせていただきたいと思います。
 林業の意義並びに林業をめぐる現状につきましては、副委員長がただいまご指摘になったとおりでございます。
 こうした困難な状況の中で森林を守るためには、ご指摘のように、多摩産材の積極的な活用による林業再生に向けての長期的な取り組みが必要でございますが、それとともに、森林の持ついやしや健康増進機能、四季折々の豊かな景観、キノコ、山菜等の林産物など、多様な資源を生かした新たな産業の振興と、それに伴う人材の確保が重要であると考えておるところでございます。
 そうしたことで、十五年度におきましては、林業振興等の取り組みといたしまして、造林、間伐の補助などの森づくりの推進や、林道等、林業生産基盤などの整備に係る事業のほか、担い手対策や木材の需要拡大に向けた普及、PR活動などの事業を実施したところでございます。
 また、農林漁業振興対策審議会の答申を受けまして、ご指摘のございました、森づくり推進プランの検討を進めてまいりました。それで、森の健全な育成及び木材の安定供給の面からの豊かな森づくりや、森が持つさまざまな機能を生かした森林産業の創出の視点に立ちまして、十六年四月にこの推進プランを策定したところでございます。
 次に、多摩産材の利用拡大を図るということでございますが、まず、都の事業につきましては、平成十年度から、関係部局で構成する木材利用推進連絡会により各部門での利用を推進し、加えて、昨年度策定されました、東京都建設リサイクル推進計画により、多摩産材の優先的利用を推進しております。
 また、区市町村に対しましても、小中学校などの木質化の働きかけを進めているところでございます。
 また、民間需要に関しましては、大工、工務店、木材生産者などで構成する東京の木・いえづくり協議会などとの協力のもと、民間住宅建築への需要拡大を図っているところでございます。
 次に、森づくり推進プランにおきましては、新たな林業の展望を開くため、木材の安定供給や木の新用途の開拓などの取り組みを進めるとともに、森を守る多様な人材の参加を得て、森林資源を生かした新しい産業を発展させていくこととしております。
 このため、まず、多摩の森林地域にあるさまざまな資源などの調査を進めるとともに、地元関係者や企業などの交流によるネットワークづくりを進め、多摩の森林資源を生かした新たな産業を生み出す取り組みを始めております。また、広く森と木に関する、都民の森林を守るため、多摩の森林地域の市町村等と協力して、ITを活用した総合的な情報提供の仕組みを構築しているところでございまして、こうしたことを進めまして、林業の再生と活性化に積極的に努めてまいります。

○宮崎委員長 田中良副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩をいたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時七分開議

○宮崎委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 東村邦浩委員の発言を許します。

○東村委員 それでは、少子化対策について何点か伺いたいと思います。
 いわゆる少子化問題は、社会保障制度だけではなく、国の労働・経済力をも左右してくる大事な問題でございます。これからの日本の国の重要な政策課題の一つであるということについては、多くの人が論をまたないと思っております。
 平成十五年の合計特殊出生率は一・二九と、過去最低となりました。少子化が一層進行しております。日本において少子化がここまで進展した第一の原因は、人口構成のアンバランスが長い間放置され、効果的な対策が講じられなかったことにあると私は考えております。少子化は、ある程度社会が豊かになり、高齢化が進んでいる先進国では必然でもありますが、そのことを漫然と受け入れるのではなくて、それに歯どめをかける努力をすべきであります。
 ようやく国は、平成十五年七月に、少子化社会対策基本法と次世代育成支援対策推進法を成立させ、平成十六年六月には、少子化社会対策基本法に基づく、少子化に対処するための施策指針として少子化社会対策大綱を策定するなど、少子化対策を大きく進めようと、重い腰を上げました。しかし、一向に問題解決の糸口が見えてこないというのが、多くの国民、そして都民の偽らざる実感ではないでしょうか。
 東京においては事態はさらに深刻です。都内の児童数--十八歳未満は、平成十五年一月一日現在、約百七十四万人と減少を続け、構成比も、都民全体の約一四・五%まで落ち込みました。平成十五年の合計特殊出生率は、とうとう一を割り込んでしまいました。こうした状況において、都は、平成十六年八月、福祉保健局発足に合わせて、少子社会対策部を設置いたしました。このことについては、都の少子化問題に関する並々ならぬ意気込みを感じるわけでございますが、どのような取り組みをしようとしているのか、まず福祉保健局長に伺いたいと思います。

○幸田福祉保健局長 少子化の急速な進展は、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題であり、子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備を図ることは、社会全体の課題であります。こうした考え方のもとに、都におきましては、地域で安心して子育てができるよう、組織を超えて横断的、総合的に少子化対策に取り組んでおります。
 福祉局と健康局を統合し、少子社会対策部を設置したのもその一環でありまして、今後、妊娠、出産から子育てまで、すべての子育て家庭を視野に入れ、子どもの発達段階に応じた福祉、保健、医療施策を総合的、一体的に推進してまいります。

○東村委員 今、幸田局長から、福祉保健局の発足により少子社会対策部を創設した意義について力強いご答弁をいただきまして、福祉、保健、医療の連携のとれた施策展開を大いに期待するものであります。
 しかし、具体的に何がどういうふうに変わるのかについては、都民の方々も具体的なイメージをまだ持てないのではないでしょうか。私はかねがね、小児医療の充実が必要であることを主張し、特に多摩地域の小児医療体制が区部に比べおくれている実態を指摘し、その充実をお願いしてきました。その小児医療と、それと関係の深い福祉や保健の分野でいうと、例えば保健所なども含め、どういう連携が可能となり、都民から見て、何がどのように便利になるのでしょうか。
 子育て支援策としては、小児医療の充実も重要な課題の一つであります。福祉保健局として、小児医療の分野では、福祉、保健、医療の連携をどのように進めていくのか、これについて伺いたいと思います。

○幸田福祉保健局長 少子化対策を進める上で、小児医療の充実は重要課題の一つであり、これまで、三百六十五日二十四時間の安全・安心を目指し、小児救急医療体制の確保や子ども医療ガイドの開発など、小児医療基盤の整備に努めてまいりました。一方、福祉分野では、区市町村における子ども家庭支援センターの設置促進や児童相談所における専門相談など、子育て家庭への支援を行っております。
 今後、例えば区市町村におけます乳幼児健診や保健所、医療機関などにおいて早期に発見された、支援の必要な家庭に関する情報を、子ども家庭支援センターを核とした虐待防止ネットワークに円滑につなげる体制を構築するなど、区市町村とともに、福祉、保健、医療の連携の充実に一層努めてまいります。

○東村委員 次に、都は、大都市住民のニーズに即した新たな保育所、つまり認証保育所を設置いたしました。十三時間以上の開所を義務づけるなど、都独自の基準により認証する保育所なんですが、平成十三年四月に制度を創設して以来、わずか三年半で二百三十六カ所が開所し、特に駅前に設置することを基本としたA型、これは急速に伸びております。これは、認証保育所が、従来認可保育所で応じ切れていなかった都民ニーズを新たに吸い上げるとともに、十分な保育サービスが提供できなかった保育室等のサービス水準を競い合いの中で大きく引き上げた結果ではないか。また、働く女性を中心に、子育てと仕事を両立させる有力な支援機能を発揮しているのじゃないか、このように思うわけでございます。
 ところで、一方では、認証保育所の設置数が平成十六年十一月現在で二百三十六カ所となり、六千九百人を超える定員をカバーできる状況ができても、依然として待機児童数はそれほど減らないという状況があります。
 そこで、都が先進的取り組みとして推進する認証保育所の設置は、子育て支援策の重要な柱の一つであると考えますが、その観点から、認証保育所を創設してどれだけの効果があったのか、また、認証保育所の設置が進んでいるのに待機児童数がそれほど変化しないのはなぜなのか、これについて伺いたいと思います。

○幸田福祉保健局長 認証保育所制度の創設は、これまで認可保育所が的確に対応することができなかったゼロ歳児保育や開所時間の延長など、大都市特有の保育ニーズに柔軟かつ的確にこたえるとともに、民間企業を初めとした多様な事業者を参入させることによりまして事業者の創意工夫を促し、質の高い保育サービスを提供することを目的としております。
 認証保育所は、制度創設三年余りで、お話のとおり、二百三十六カ所、定員は六千九百五十人と、都民の広範な支持を得て設置が進んでおり、東京の保育サービス総体のレベルアップが図られてきたと認識しております。
 この間、待機児童はほぼ横ばいとなっておりますが、ベビーホテルや保育室の利用者は減少しており、認証保育所の利用者の多くは、よりよい保育環境を求めて認証保育所に移行した家庭、あるいは、仕事を持っていても勤務時間や勤務地等から認可保育所では対応が困難な家庭であると考えられております。
 今後、待機児の抜本的な解消のためには、保育の実施主体である区市町村が、受け入れ枠の拡大、定員の弾力化など、実情に即した対策を講じるとともに、認可保育所自身が、ゼロ歳児保育や開所時間の延長など、サービスの充実に取り組んでいただく必要があると考えております。

○東村委員 認証保育所によって、つまりベビーホテルや保育室の利用者が減少し、よりよい保育環境を求めていっている、こういう話がありました。さらに、待機児童を解消していくためには、区市町村が、受け入れ枠の拡大、定員の弾力化、これらのことをやはり対策を講じなければならないという話があったんですが、私は、多くの保育園関係者と話をしたときに感じたところなんですが、待機児童を減らすためにどんどんどんどん保育枠を拡大すれば、恐らく、今必死になって手元で育てているお子さんが、今度は保育所にまた預けられる、こういった現象がふえていって、待機児童がふえていくんじゃないか。さらに、この問題については、保育園の園長さんなんかも現実にそうであるということをおっしゃられている方もたくさんいらっしゃいます。
 そこで、私はやはり、これから福祉保健局が少子化問題にどう対応していくかということが非常に難しくなってきているでしょうし、真剣に考えていかなきゃいけない問題だと思っております。平成十六年十月に、内閣府の政府広報室が、少子化対策に関する特別世論調査結果を公表しました。全体の約七七%の人が、低い出生率が続くことで我が国の将来に危機感を感じる、こう答えております。
 先進諸国における合計特殊出生率の推移を見ると、長期的なトレンドとしては出生率の低下が続いておりますが、その中で最近十年くらいの傾向を見ますと、フランスは、一九九三年の一・六五を底に出生率が上昇に転じており、二〇〇〇年には一・八九まで回復をしております。また、そのほかにもスウェーデンやアメリカなど、上昇傾向に転じている国が見られます。注目すべきは、児童手当の問題なんですが、フランスは、第二子より二十歳まで所得制限がございません。さらにスウェーデンは、第一子より原則十六歳未満まで所得制限がない、こういった実績がございます。
 こうした政策を見ると、日本においても少子化に対する歯どめ策というのは成り立ち得るのではないかと私は考えるわけでございます。当然国柄が違いますし、もともと長い時間の中での変化であり、すぐに答えが出せるものではありませんが、日本なりの解決の方向に向けて検討する価値は十分にあります。国も、平成十六年四月より、所得制限はあるものの、小学校三年生まで児童手当の支給を拡大いたしました。今後のさらなる対象年齢の拡大を望むものであります。
 少子化対策は、日々生活する都民の声に素直に耳を傾けることが何よりも私は大切なのではないかと思うわけであります。少子化問題に対応していくために、都民の意見を聞きながら子育て支援に対するニーズを十分に調査して取り組むとともに、海外の少子化問題に対する取り組みに学ぶことも必要と考えますが、福祉保健局長の見解を伺いたいと思います。

○幸田福祉保健局長 ご指摘のとおり、少子化問題に対応していくためには、東京の現状を踏まえ、子育て支援に対する都民のニーズを十分に把握した上で、次代を担う子どもの育成支援策を推進していく必要がございます。
 都はこれまでも、各種の都民生活に関する調査や都政モニターなどの意見を広く聞き、施策に反映させてまいりました。また、家庭的な養育環境の中で子どもが生活をするグループホーム制度は、海外の施策などを踏まえ、都独自に制度化したものでございます。
 今後とも、国内外の事例も参考にしながら、都民ニーズに即した施策の充実に力を尽くしてまいります。

○東村委員 ところで、児童手当とともに大事な大きな柱の一つとして、育児休業、この問題がございます。やはり少子化の問題、何よりも大事なのは、子育て支援の観点からは、育児休業がとれるようにしていくことが何よりも肝要だと考えます。国はこの問題も厚生労働省が所管をしているんですが、育児休業となると、この問題は、都の場合、産業労働局になります。
 そこで、産業労働局長に、現在の育児休業の取得率について、東京都及び全国の状況を伺いたいと思います。

○関谷産業労働局長 平成十五年度に東京都が実施いたしました、企業における両立支援の実態に関する調査によりますと、育児休業取得率は、女性が八六・七%、男性が〇・二四%となっております。また、国におきましては、平成十五年度女性雇用管理基本調査によりますと、全国ベースでは、女性が七三・一%、男性が〇・四四%となっております。
   〔発言する者あり〕

○東村委員 今、向こう側の委員の方から、男性よという声がありました。まさに今の答えのとおり、女性が、東京都の場合八六・七%、男性が〇・二四%。もとより日本と欧米では文化も違うと思いますが、比較的欧米では育児休業をとりやすい環境にあるわけでございます。
 そこで、産業労働局として、平成十五年度における育児休業取得促進に向けた具体的な施策の内容と今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○関谷産業労働局長 都では、育児休業を取得しやすい職場環境の整備に向けまして、平成十五年度には、各種普及啓発資料の作成、配布に加え、事業主や従業員を対象とした労働セミナーを十四回実施いたしまして、延べ千百七十四人が受講したところでございます。また、事業主団体や事業所を訪問し、育児休業を含めた雇用管理の改善、向上に関する助言、指導や普及啓発を行うとともに、都内六カ所にございます労働相談情報センターにおいても、労使双方からの相談に応じているところでございます。
 今後も引き続き育児休業の取得促進に努めてまいります。

○東村委員 産業労働局がやっていることは、どちらかというと広報活動であり、相談活動に限定をされているわけなんですけれども、私はやはり、企業側にとって育児休業をとらせるメリットがないとなかなかこれは進まないんだろうなと思っているわけでございます。
 そこで、私は、育児休業の取得を促進するために、企業に対してインセンティブを与えること、つまり減税ということを考えることが非常に有効なんじゃないかと考えるわけでございます。
 そこで、提案をしたいんですけれども、今、都の税制の中で事業所税というのがございます。余り知られてないんですけれども、この事業所税、企業の規模が大きくなればなるほど事業所税の負担というのは結構大きいわけでございまして、従業員の給与総額が課税標準となっております。しかし、年齢六十歳以上の高齢者や障害者の給与については、その雇用を促進するという観点から、課税標準から除外をするという特例措置が講じられているんです。私は、そこで、育児休業中の従業員に給与を支払っている企業、これはなかなか少ないという先ほどの現状があったんですけれども、事業所税について、高齢者の雇用を促進する観点と同様に、いわゆる育児休業をとらせている企業の育児休業中の方の給与、これについても同様の措置が講じられれば、企業にとって、育児休業をとらせるという取得促進につながるのではないか、このように思うわけでございます。
 そこで、育児休業中の従業員の給与を事業所税の課税標準から除外するよう、法改正をぜひとも国に都から求めてもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

○山口主税局長 少子化対策の一環として、企業における育児休業取得を促進していくことは重要であると考えております。そのためのインセンティブの一つとして、委員ご提案の、事業所税の課税標準である給与総額から育児休業中の従業員の給与を除外するよう国に求めることにつきましては、少子化対策を積極的に推進するという視点に立ちまして、関係局と連携を図りながら今後検討してまいります。

○東村委員 ぜひともこれは国にいってもらいたいんですね。というのは、国会議員の人で、この事業所税について、ぴんとこない人が結構いますので、これはむしろ所管する都から上げてもらって国を動かしていただきたい、このように考えるわけでございます。
 最後に、少子化の問題で質問したい点がございます。
 我が党は、第三回定例会の代表質問で、石原知事にこの少子化問題についてぶつけました。そのときに石原知事も、少子化は、日本や東京の将来に重大な影響を与える問題だという認識を示されております。少子化問題は、個人の人生観にも深く関係するものでありますが、行政においても幅広く関連する課題でもあります。都庁でも事業が各局に関係してまいります。今私が質問しただけでも、福祉保健局や産業労働局、さらに減税といった話になると主税局からも答弁をいただかなければならない。こうした複合的な課題に対して各局がばらばらに対応したのでは、効果というのは生まれないんじゃないか。確かに、福祉保健局に少子社会対策部をつくっていただきました。しかしながら、一番大事なのは、局横断的なプロジェクトチームの設置など総合的な取り組みが必要だと考えております。
 前川局長も、福祉局長の時代に、子育て支援にかなりの力を入れられておりました。特に養育家庭制度の充実、子どもは絶対的な愛が必要なんだということで、この養育家庭制度をかなり積極的に進めてこられました。少子化問題に対して、庁内の連携を強化し、全庁的な視点から総合的に取り組むべきだと考えます。全庁的な調整を行う立場から、知事本局長の見解を伺いたいと思います。

○前川知事本局長 いわゆる少子化が、今後の東京、ひいては日本の将来を左右する重大な問題であることは十分認識をいたしておりまして、都としても早くから問題意識を持ってまいりました。
 ただ、この問題にどう対応いたしますかは、委員もよくご承知のとおり、大変難しいわけでございます。国においてもさまざまな提言や取り組みがなされているものの、なかなか実効性のある施策が見られないのが実情でございます。
 もちろん、難しいからといって、都として手をこまねいていいわけではありませんし、現にこまねいてきたわけではなくて、福祉を初め、医療、労働、住宅などさまざまな取り組みを実施してまいりました。現在も、福祉保健局が中心となって、次世代育成支援のための行動計画の全庁的な取りまとめを行っております。
 私ども知事本局としても、ご指摘のとおり、都民の声に耳を傾けながら、少子化問題に対して都全体として実効性の高い総合的な取り組みが行えるよう、引き続き努力をしてまいりたいと考えております。

○東村委員 ぜひとも前川局長が調整的な役割を果たしていただいて、福祉という分野はもう、かなり精通されているわけですから、この少子化問題、全庁的なレベルでぜひとも取り組んでもらいたいと思います。
 次に、多摩格差の一つといわれております首都高速道路の中央高速八王子インターまでの延伸について、多摩の議員として何点か質問させていただきたいと思います。
 多摩格差というのは、昔から三つありました。電話番号の〇三化、中央線の連続立体交差化、そしてこの中央高速八王子インターまでの首都高の延伸の問題、この三つがあったんです。その中で、〇三化は、〇三は無理だけれども、〇四化、また、〇四五とか〇四二で統一するとか、今いろんな方向で検討も進められておりますし、中央線の連続立体交差も、ご存じのとおり今進められております。残された中で手がつけられていないのは、ここだけでございます。
 多摩在住の都民が高速道路を利用して都内に来るには、中央高速道路料金を払い、改めて高井戸で首都高速道路料金を払うという、いわゆる二重料金が徴収されております。これから質問する都市整備局長も、毎日毎日この二重料金を払って都庁にいらっしゃっていると思うんですが、この問題に関しては、我が党を初め府中や国分寺の市議会、さらに多摩の自治体から、幾度となく、首都高速道路を八王子インターまで延伸してほしいと要望してきておりました。本年第三回定例議会においても、多摩の二十二市が、中央道の料金撤廃や八王子までの延伸について要望しております。
 そこで、なぜこの問題がこれほどまでに時間を要しているのか、その原因についてまず伺いたいと思います。

○梶山都市整備局長 現行の首都高速道路は、東京区部を中心としたいわゆる都市内高速道路として、首都高速道路公団によって逐次整備がなされてきております。一方、首都高四号線と接続する中央自動車道は、都市間高速道路として、日本道路公団によって高井戸から八王子インター間が整備されてきております。このように、現行制度上では、首都高と中央道とでは、路線の性格、設置主体、管理主体が異なることから、それぞれ路線ごとに料金が設定され、運営されてきております。
 ご提案の件につきましては、制度上困難でございます。

○東村委員 今、制度上困難という話がありました。これは今までの議論の中でです。これから分割民営化という大きな流れが出てきております。私も、本会議、予特を通じて再三指摘をしてまいりました。都は、都としても関係機関にあらゆる機会をとらえて地域の実情を伝えていくという回答をしております。非常に木で鼻をくくったような答弁がありましたけれども、このような回答をしているわけです。
 そこで、関係機関へ要望するだけでなく、都としても独自の取り組みを行うべきであると私は考えるんですが、見解を伺いたいと思います。

○梶山都市整備局長 都は、これまでも機会あるごとに、首都高速道路公団や日本道路公団に要望するなど、地元の意向を伝えてまいりました。また、平成十五年十二月には、首都圏の高速道路を一体的に整備、管理する、仮称でございますが、首都圏高速道路構想を公表し、国及び関係自治体にその構想の必要性を訴えてまいりました。この構想が実現いたしますと、首都圏の利用者にとってよりよい料金体系になるものと考えております。

○東村委員 首都圏高速道路構想については、私もその必要性は十分に理解しております。本年第一回定例会においても私も質問しておりますが、その後その構想というものはどのような状況になっていて、今後どのように取り組んでいくのか、これについて伺いたいと思います。

○梶山都市整備局長 本年六月に成立いたしました道路関係四公団民営化関係法において、首都圏高速道路構想は実現に至りませんでした。しかし、民営化法では、民営化後も必要な見直しを行うことを規定しておりまして、今後の見直しに向け、本構想が実現するよう、引き続き国や関係自治体に働きかけてまいります。
〔「さっきと違うじゃないか」と呼ぶ者あり〕

○東村委員 さっきと違うという話がありましたけれども、さっきは過去の制度上の問題でございまして、これから民営化に向けて大きな流れがあるんですけれども、何よりも大事なことは、私は、図っていくというよりも、関係県市との連絡協議会ぐらい立ち上げないと、この問題は進まないんじゃないかと思うわけでございます。ただ、今のところ、そこまでいってないということなんですけれども。
 そこで、本年六月に成立した道路関係四公団民営化関係法によると、現在の首都高速道路公団はどのようになるのか、これについて伺いたいと思います。

○梶山都市整備局長 首都高速道路公団は、平成十七年十月以降に首都高速道路株式会社に移行することとなっております。また、公団が保有する道路資産及び承継債務は、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構に引き継がれる予定となっております。
 なお、機構は、その道路資産を株式会社に貸し付け、その貸付料をもって債務を返済することとなってございます。

○東村委員 都はこれまで、高速道路の整備促進を図るため、出資金のほかに無利子貸付を行ってきました。民営化では、道路資産を独立行政法人の機構が保有し、借金も保有し、そして株式会社にその道路を貸し付けることによって債務を返済する、こういうことになっております。
 そこで、これはもう民営化になるわけですから、機構が保有する道路資産の無利子貸付に相当する部分を有利子として機構に負担させることによって、その財源で首都高を八王子まで延伸する、こういった方法が考えられないのか、これについて伺いたいと思います。
 現在、累計の無利子貸付は約三千五十六億九千八百万円、これに、現在財投から借り入れているわけですから、平成十六年度の予算の率で申しわけないんですけれども、二・八五%掛ければ結構な利息が入ってくるわけなんです。この利息で八王子までの分をある程度延伸するということを、私は、それくらいのことを都も考えてもいいんじゃないかと思うんですね。というのは、中部の会社が東京都の中に堂々と入ってきて、永福まで使われて、おまけに料金は全部持っていかれる。おまけに、税法を見たら、償却資産税は非課税とするとまで書いてあるんです。ここまでやられていて、東京都として手をこまねいている必要があるのかということを私はいいたいわけですが、いかがでしょうか。

○梶山都市整備局長 平成元年度から無利子貸付を実施しておりますが、その目的は、建設利息、すなわち建設コストの削減による料金引き上げの抑制及び早期整備促進による渋滞解消でございます。お話のように、有利子にした場合、機構の債務返済計画にも多大な影響を与えることとなるため、料金の値上げにつながることとなります。このことから、有利子とすることにより利息分を首都高の延伸の財源に充てることは困難でございます。

○東村委員 それでは、機構は、首都高速道路公団以外にも日本道路公団などの債務も承継して返済する、このようになっているんです。そこで、機構が四十五年以内に承継した債務を一括して返済するのならば、機構自体は独立行政法人で一つですから、その全体の中でやりくりしても構わないんじゃないかと私は思うんですね。そうすることによって今いったことができるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○梶山都市整備局長 大変教科書的なご答弁になりますけれども、機構が承継する債務は、株式会社ごとに経理を区分し、それぞれ勘定を設けて整理することと法に規定されており、全体の中でやりくりすることはできない仕組みとなってございます。

○東村委員 これ以上質問してもなかなかいい答弁が返ってこないんですけれども、私、一つだけ、大変失礼ですけれども、要請としていっておきたいんですが、独立行政法人というのは非常にやりやすい法人で、補助金はいっぱいもらうけれども、裁量権はかなりあるわけなんですね。そのような中で恐らく、今は区分経理しているといっていますけれども、ある程度の段階で独立行政法人が、私は、中はもうごちゃごちゃになるだろうと、今までの道路公団のやり方を見ていたら。そういったときには、独立行政法人という一つのものがある。そして、それぞれの、日本道路公団、首都高速、阪神高速道路公団がある。資産と借金は一つの機構が持っているわけです、独立行政法人が。持って、そして資産を持っているところから道路を使用料を払って借りる。お金を払う。新会社というのは簡単な会社で、サービスエリアとパーキングエリアを借方に、資産に持っていて、そして出資金と借金を貸方、負債に持っているわけです。また、負債と資本の部に持っているわけです。こういった簡単な会社なんです。
 単純に普通の人が冷静に考えれば、永福で切らなくても、八王子で切っても、もらう機構は、どの公団からお金をもらっても全然問題ないわけなんです。したがって、どこで切ったって全然問題ないんです。これは明らかに、私は恐らく国の道路族が、まあ地方の道路建設をしたいがために、いわゆる中部のこの会社のところでこういう区分経理をさせて、そしてその中だけできちっとドル箱路線--私は国土交通省に行って調べてきました。中央高速の高井戸間は、大体年間で二百三十五億五千七百万円あるんです。大変ドル箱路線なんです。ここを手放す手はない、これを放すと新規道路が建設できないということで、恐らく道路族たちがうまくやって、議員さんなんかも、私は東京の議員にもっとしっかり頑張ってもらいたかったと思うんですけれども、議員さんなんかもまんまとその話に乗せられて、単純に冷静に考えれば、新会社というのは本当にSAとPAしか持ってないわけですよ。出資金と借入金しか持ってないんです。そういうところが使用料を借りてやるんだったら、どこで切ったって同じだということなんです。もらうところは一つですから。こういったところをもっともっと都からつついていただいて、工夫をして、ぜひとも私は八王子までを延伸していただきたいということを要望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 ご承知のとおり、先般の新潟中越地震では、建物、道路被害だけでなく、土砂崩れ、液状化など、地域により異なっているが、大きな被害が発生しました。被災された方々に対して心からお見舞い申し上げます。
 島を抱える都においても、大島、三宅島の火山噴火災害に加えて、津波災害が心配です。北海道奥尻町では、平成五年七月に発生した北海道南西沖地震とその直後に発生した大津波に襲われ、壊滅的ともいえる被害を受けました。都では、平成十四年四月、新島村、神津島村、三宅村が東海地震の対策強化地域の指定を受け、昨年十二月には、八丈町、小笠原村が東南海・南海地震の対策推進地域に指定されています。これらを踏まえた対策をどのように進めているのか、伺いたいと思います。
 また、津波災害が発生すると想定されている島では、対策として訓練が重要になりますが、これまでどのように取り組んでいるのか、伺いたいと思います。

○赤星総務局長 二点の質問にお答え申し上げます。
 まず、島民の生命、財産の安全確保のために、津波対策を強化することは極めて重要でございます。東京都は、東海地震及び東南海・南海地震の地域指定に伴いまして、地域防災計画を見直し、平成十六年六月に、伊豆諸島の浸水予測図を作成いたしますとともに、小笠原諸島につきましても、今年度中に作成する予定となっております。今後も、島しょ町村の津波災害への取り組みに対し、積極的に助言、支援してまいります。
 次に、これまでも津波災害が予想されます島しょ町村と合同の防災訓練を実施してまいりましたけれども、今年度は神津島村で、津波とがけ崩れによる災害を想定いたしまして、十一月二日に実施いたしました。また、島しょ町村でも独自に防災訓練を実施しております。今後とも引き続き、島しょ町村の防災能力の向上を図るため、合同訓練を実施いたしますとともに、各町村での独自訓練を積極的に支援してまいります。

○東村委員 訓練は観光客をもにらんでいると思いますが、観光を産業とする島しょ町村にとって、観光客の安全確保は何をおいても重要でございます。島民のみならず、観光客にもわかりやすく避難路を案内するなど、避難誘導施設等の整備が必要と考えますが、島によっては、避難路が確保されていない、宿泊施設でも案内していないなどの問題があります。こうしたことは、島のみならず、都も取り組むことが重要ですが、見解を伺いたいと思います。

○赤星総務局長 津波対策につきましては、まず何よりも島民みずからがその重要性を認識することが大切でございます。また、観光客の安全確保対策は、まず島しょ町村が取り組むべきものでございますけれども、都といたしましても、観光案内所や宿泊施設等へのハザードマップの設置、観光客に対します啓発、海水浴場や釣り場におけます避難路の確保などにつきまして、島しょ町村と連携して積極的に取り組んでまいります。

○東村委員 三宅村は、来年二月に避難指示の解除を行う方針を発表しております。避難指示が解除されて、島民の皆様が待ちに待った帰島が実現するのはまことに喜ばしいことでございます。島のインフラ整備も着々と進んでおり、特に泥流などの被害から島民の命と財産を守る砂防ダムなどの整備も順調に進み、夏から秋にかけて押し寄せた台風による豪雨でも、泥流被害は全く発生しなかったと聞いています。
 しかし、今回の三宅島災害が四年以上もの長期にわたる全島避難という極めて異例の事態となった原因は、火山ガスです。その放出は当分継続すると考えられており、火山ガス対策を抜きにした島民の帰島は考えられません。火山ガスに関する安全対策は、基本的には村が実施すべきものですが、火山ガスとの共生という状況の中での生活を余儀なくされる島民のことを考えると、都の支援や協力が不可欠です。
 そこで伺います。村はどのような火山ガス安全対策を考えているのでしょうか。また、それに対する都の支援の状況はどうなっているのか、伺いたいと思います。

○赤星総務局長 火山ガスに対します安全対策でございますけれども、まず島民みずからがガスの危険性について正しく理解し、適切に対応することが必要でございます。村は、帰島までに高濃度地区等を指定いたしまして、危険地域を明確にいたしました上で、ガス濃度の監視、観測や情報伝達、避難体制などを整備いたしますとともに、島民へのリスクコミュニケーションの実施、ガスマスクの配布などを行うことにしております。
 これら安全確保対策は、国、都、村が共同で検討いたしました三宅島帰島プログラム準備検討会の最終報告を踏まえたものでございまして、東京都は、今後も島民の安全を確保するため、引き続き必要な支援をしてまいります。

○東村委員 火山ガスに対する安全対策が十分に考えられていることはわかりましたが、多くの島民が、帰島に当たってハードルと考えていることはほかにもあります。それは、四年にもわたる避難生活の間に、生活の基盤である住宅が深刻な被害を受けていることです。長期間にわたって住宅を放置せざるを得なかったことにより、帰島に当たって、居住環境を回復するために島民の皆さんが苦労するとすれば、これは三宅島災害の特有の事情であると考えます。
 こうした背景を考慮し、我が党が第三回定例会の代表質問の中でも問いただした、都独自の新たな支援制度がぜひとも必要であると考えます。来年二月の避難指示の解除に向けて、島民の生活再建を後押しするための新たな生活支援制度を実施すべきです。現在、検討はどのように進んでいるのか伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○幸田福祉保健局長 村民の生活再建は、自助努力を基本に、国の被災者生活再建支援制度を初めとする既存の制度を活用しながら進められるべきものと考えております。しかしながら、今回の三宅島噴火災害は、お話のように、村民が四年以上の長期にわたって避難生活を余儀なくされている、過去に例のない災害でありまして、村民生活の基盤となる住宅も甚大な被害をこうむっているという状況にございます。
 現在、関係局と緊密に連携をとりながら、村民の本格的な帰島時期を視野に入れ、国制度との整合性を図りつつ、具体的な支援策の検討を進めております。

○宮崎委員長 東村邦浩委員の発言は終わりました。
 引き続き、串田克巳理事の発言を許します。

○串田委員 それでは、財政問題、災害対策、行政改革等について幾つか質問いたします。
 まず財政問題から伺います。
 都財政は、バブル経済崩壊以降、そのあおりをもろに受け、都税収入が急激に落ち込み、それに伴い、未曾有の危機的な状況に陥りました。特に石原知事が就任した平成十一年度は、前年度に記録した一千六十八億円の赤字を抱え、財政再建団体に転落するのではないかというまさに危機的状態でありました。
 このような状況の中、石原知事は、財政再建推進プランを策定し、知事みずからが先頭に立って財政の健全化に努めてまいりました。すべての施策を洗い直し、不要不急の事業は取りやめるなど施策の見直しを行ったり、税の徴収率を引き上げるなど歳入の確保に取り組み、さらには職員定数の削減、そして職員だけではなく、我々議員も給与カットを行うなど、この間、知事を先頭に、まさに都民、都議会を挙げて全力で財政再建に努めてきたといっても過言ではありません。この問題の取り組みにより、実質収支や経常収支比率についても改善が見られ、さらに財政再建団体に転落することを回避することができました。
 その一方で、いまだに赤字決算が続くなど、都財政は依然として厳しい状況が続いているのは紛れもない事実です。とりわけ深刻な状況にあるのは、基金残高が底をつきかけているという点であると思います。
 そこで、確認いたしますが、十五年度末の基金残高はどの程度であるのか、そして、過去都が最も多く基金を蓄えていたときにはどの程度あったのか、伺います。

○松澤財務局長 活用可能な基金の残高についてでございますが、平成十五年度末においては、財政調整基金及び社会資本等整備基金を合わせまして千四百三十六億円となっております。一方、残高が最も多かったのは平成元年度末でございまして、その額は一兆五百九十億円にも達しておりました。
 ちなみに、十五年度末残高は、元年度末と比較いたしますと、その間の税収の大幅な低下に伴いまして取り崩しを行ってきたため、現在、七分の一にも満たない規模にまで落ち込んでいる、こういう状況でございます。

○串田委員 今の局長の答弁を聞いて、現在都が蓄えている基金の額は非常に少ないのではないかというのが率直な感想です。特に都は、地方交付税の不交付団体であり、他の府県とは異なり、税収が変動したからといっても、その不足額が補てんされることはまずあり得ません。基金をうまく活用することによって、税収が不安定に増減した場合にも安定して行政サービスを提供することが、また、緊急的な需要に対しても柔軟に対応することが可能となるのであり、都にとっては、他の自治体以上に基金は重要な存在です。
 そこで、都の財政規模ではどのくらいの基金を確保すべきであるのか、また、基金残高の回復に対してどのように考えているのか、伺います。

○松澤財務局長 基金残高の適正規模につきましては、その自治体の財政規模だけでなく、その時々の財政状況や景気動向、また今後の行政需要の見込みなどによって左右されるものであるため、一概にどのくらいの額が必要かと申し上げることは大変難しい面がございます。しかしながら、都税収入は景気変動の影響を受けやすく、年度比較で見ても、直近では、十四年度の都税収入は十三年度に比べまして約四千二百億円ほど減収となっていること、あるいは、近年の赤字限度額がおおむね三千億円前後であること、また、平成元年度に有しておりました一兆五百九十億円もの活用可能な基金があったことが、バブル崩壊後の都財政を何とか支えてきたということなどの点を考慮いたしますと、現在の状況が非常に心もとないものであることは間違いないわけでございます。
 したがいまして、景気の先行きが不透明な中、将来にわたり都民サービスを安定的に供給していくためには、目減りした貯金を取り戻していく取り組みが不可欠でございまして、基金残高の回復は、都財政にとって最優先で取り組むべき課題の一つである、このように認識しております。

○串田委員 基金残高の問題と並んで、今後、財政運営に重い足かせとなることが懸念されるのが、巨額な隠れ借金の存在です。隠れ借金については、我が党はこれまでも取り上げてきました。隠れ借金が、都税収入が不安定な状況に陥る中、不足する財源を確保するために臨時的なやりくりを行い、その結果として生じてしまったことは理解しています。行政サービスを滞りなく遂行するためにはやむを得ない措置であったと思います。しかし、この隠れ借金をいつまでも放置しておくことはできません。財政の健全化を本当の意味で達成したといえるのは、このような隠れ借金をきちんと解消することができたときであります。一刻も早い解消が望まれます。
 そこで、この隠れ借金を今後どのように解消していこうと考えているか、伺います。

○松澤財務局長 隠れ借金は、将来的に一般会計が負担せざるを得ない負債ですが、現行の単式簿記・現金主義会計では明示されないものとなっております。その内訳を申し上げますと、将来の都債の償還に充てるために蓄えておくべき減債基金積立金の不足額が約五千九百億円、中央卸売市場会計などの他会計からの借入金が二千六百億円、下水道事業会計などの公営企業会計への支出金の支払い繰り延べが約四百五十億円、市街地再開発事業の欠損金などが約二千億円で、合計では約一兆一千億円に上っております。
 これらは、財政状況が厳しい中にあって、都民サービスを確保するため、やむを得ない財源対策などの結果として生じたものではございますが、今後の財政運営を考慮すれば、ご指摘のとおり速やかに解消しなければならない、このように考えております。景気が回復し、仮に税収の増加が見込めるような場合には、その機会を逃さず、可能な限り隠れ借金の解消を図ることが財政運営上極めて重要であると考えております。

○串田委員 都財政において最優先で取り組まなければならないのは、新たな行政需要にも的確に対応できるように、強固で弾力的な都財政を確立することであることは、いうまでもありません。そのためにも、隠れ借金の解消は重要な課題です。しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 来年度予算の編成も、年末に向けてこれからが佳境になると思います。そこで、十五年度決算の状況を踏まえ、十七年度予算をどのように編成していくのか、その基本的な考えを伺います。

○松澤財務局長 都はこれまで、財政再建推進プランに基づきまして、財政再建に向け、着実に取り組みを続けてきたことによりまして、財政再建団体への転落を回避するとともに、十五年度決算におきましては、プラン開始前に比べまして、経常収支比率や実質収支なども改善することができたところでございます。
 しかしながら、都財政が依然として厳しい状況にあることに変わりはないわけでございまして、引き続き財政再建に積極的に取り組む一方で、委員のご指摘のように、基金残高の回復、隠れ借金の解消など、将来に向けて安定的にサービスを提供できる、いわゆる基礎体力を蓄えておくことも重要な課題となっているわけでございます。また一方で、東京には、ご案内のとおり国際競争力の向上や治安の回復、中小企業対策など喫緊の課題が山積しておりまして、それらの課題に対して重点的、効率的に財源を配分しながら着実に取り組むことが求められているところでございます。
 したがいまして、来年度の予算編成に当たりましては、一つには、首都東京の再生と都民サービスのさらなる充実を目指すこと、また二つには、それと同時に、第二次財政再建推進プランの取り組みを強力に推進する中で、都財政の基礎体力の回復に努めながら、財政再建の足取りを確かなものにすることという、こうした二つの点を大きな目標としまして、十七年度予算編成にこれから具体的に取り組んでまいりたいと考えております。

○串田委員 次に、徴税努力について伺います。
 国の進める三位一体改革では、十八年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲が俎上に上がっております。今後、自主財源である地方税をいかに確保するかがより一層重要な課題となってまいります。
 そうした中、都においては、十五年度決算で過去最高の徴収率を達成いたしました。また、未納となって翌年度に繰り越される滞納額についても、ピーク時の四分の一まで大幅に圧縮するなど、目覚ましい成果を上げております。全国地方税の平均徴収率が、この数年は九四%台から九三%台と低迷している中で、都の十五年度の徴収率は、前年度からさらに〇・六ポイント向上した九六・一%となっています。
 そこでまず、都は、徴収率向上に向けて、これまでどのような取り組みを行ってきたのか、伺います。

○山口主税局長 歳入の七割を占める都税収入の確保は、都の財政基盤の根幹をなすものでありまして、都税の調定額がおよそ四兆円とすれば、その一%は約四百億円に相当するわけですから、都税徴収率が一%向上することの都財政への影響は極めて大きく、重要であります。
 そのため、私どもは、歳入の所管局としての使命を果たすべく、局を挙げて徴収率向上に努めてまいりました。具体的には、迅速、正確な課税を行うとともに、納税者の担税力を的確に把握した上で積極的な滞納整理を実行し、滞納繰越額を圧縮してまいりました。さらに、不正軽油撲滅作戦の実施、個人都民税徴収率向上に向けた区市町村への支援強化、全国会議「徴収サミット」開催による各自治体との連携促進、自動車税のコンビニ収納開始、インターネット公売の実施など、全国に先駆けた新たな方策に積極的に取り組んでまいりました。

○串田委員 現在、都庁を挙げて第二次財政再建推進プランの達成に向け努力しているところであると聞いていますが、そうした中で、唯一の歳入所管局である主税局は今後どのような取り組みを進めていくのか、お伺いします。

○山口主税局長 これまでの着実な徴税努力によりまして、過去最高の九六・一%を達成するなど、都税全体の徴収率は向上しております。しかし、その中で区市町村が課税、徴収しています個人都民税の徴収率は、依然九〇%台にとどまっております。そのため、区市町村から困難事案を都が引き継いで処理する直接徴収や、都職員を区市町村へ派遣し、都の徴税ノウハウを活用した支援によりまして徴収率の向上を図っているところでございます。この取り組みにより、都税全体の徴収率をさらに向上させ、第二次財政再建推進プランに掲げられた目標を着実に達成したいと考えております。

○串田委員 次に、災害対策について伺います。
 まず、この十月二十三日に発生した新潟県中越地震により被災した市町村の皆様に対して、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。
 この間、都が国に先駆けて地元へさまざまな緊急支援を行っていることは、高く評価いたします。しかし、被災地への道路の寸断や物資搬送の人手不足、県や市町村の受け入れ体制等の影響も考えられますが、被災地域の正確な情報がとれず、現場への支援物資配給に混乱の状況が見え隠れするなど、行政の対応のおくれが問題となっています。
 この原因の一つは、災害時における情報連絡体制の不備が考えられます。特に今回の場合、県と被災市町村との連携がうまくいっているようには見えません。首都圏で発生した場合にも同様に、災害時の応急対策を迅速、的確に行うためには、情報の共有化及び広域連携の強化が不可欠であり、首都圏の各自治体が連携して対応する必要があります。
 そこで、まず、八都県市での危機管理対策強化に向けた、これまでの取り組みについて伺います。

○赤星総務局長 平成十四年十一月の七都県市首脳会議におきまして、首都機能を担います七都県市が連携して危機管理体制の強化を図ることを合意いたしました。十二月には、都に常設事務局を置きます広域防災・危機管理対策会議を設置いたしました。
 これまで、首都圏の防災、危機管理に関しますさまざまな課題について検討いたしまして、現在、八都県市それぞれ単独では対応が困難な大規模災害の発生に備えまして、広域的な連携を行うための防災プランを取りまとめているところでございます。

○串田委員 また、八都県市が連携を図るためには、八都県市相互の情報連絡体制の充実が重要です。現在、連絡体制はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○赤星総務局長 現在、八都県市共通の情報連絡手段といたしましては、地域衛星通信ネットワークと、NTT回線を使用いたしました災害時優先電話がございます。このうち、地域衛星通信ネットワークは、使用できる回線数も少なく、緊急時に八都県市が相互に映像情報を伝達することができません。
 都といたしましては、広域的な情報連絡体制の充実を図るため、IPデータ伝送及び映像情報の伝達ができます防災情報通信網の整備を強く国に働きかけているところでございます。

○串田委員 災害時に個々に連絡をとり合っていては、被災状況の把握や迅速な対策は困難です。正確な情報が早く一斉に関係者に伝わり、連携して対策を迅速に行うことが求められます。新潟県中越地震を見ても、災害はいつ起きるかわかりません。国の整備を待っているだけでは対応できません。このため、八都県市の首脳や関係者が同時に協議できる手段がすぐにでも必要と考えますが、所見を伺います。

○赤星総務局長 災害時におきましては、八都県市が災害情報を共有し、迅速に対応することが重要でございます。現在の情報連絡手段では、音声やファクシミリも一斉にやりとりができないことから、八都県市の関係者すべてが同時に協議できる新たな手段が必要であると認識しております。このため、ITを活用いたしましたテレビ会議システムも有効であると考えまして、八都県市での導入につきまして早急に検討してまいります。

○串田委員 次に、三宅島帰島対策について伺います。
 去る九月に、東京都は、来年二月の避難指示解除に向けて、村民が無事、円滑に帰島し、少しでも早く安定した生活ができるよう、十六年度中に実施すべき緊急支援事業を発表しました。これは、我が党が、九月一日に行われた緊急要望の内容を反映して、居住地の確保や学校の復旧、山林の保全、漁業施設の復旧など広範囲にわたって生活に密着した公共施設の復旧、整備に取り組むものであり、高く評価いたします。これらの公共施設は、帰島の時期や方針が定まらないと着手を決めることができなかったものであり、これらの施設を中心に来年二月の村民の帰島に向けて緊急に取り組んでいくことは十分理解できます。
 砂防ダムや都道のインフラ整備については、噴火後発生した泥流により至るところで寸断されていた都道について、泥流対策として砂防ダムを整備しながら復旧を着実に進めるなど、都は当初から災害復旧の最重要課題として取り組んできました。砂防ダムは、泥流から島民の生命と財産を守る重要な施設であり、都道は、物資の輸送にとどまらず、緊急時には島民の避難路としての大切な役割を果たします。帰島後の島民の安全を確保する基礎となる砂防ダムの整備状況や都道の復旧状況はどうなのか、伺います。

○岩永建設局長 三宅島火山災害では、平成十二年の発災直後から、泥流対策と都道の通行確保に全力を挙げて取り組んでまいりました。
 砂防ダムにつきましては、帰島の始まる来年二月までに、計画した五十一基のうち、泥流による住宅被害の著しい地区などで三十六基を完成させ、島民の安全を確保いたします。引き続き、残る十五基を十七年度までに完成させます。
 都道につきましては、立根など大規模に被災した十六カ所の復旧を十五年度にすべて完了させ、集落相互の確実なアクセスを確保いたしました。現在、街路灯やガードレールなど、交通安全を確保する施設の復旧を進めております。
 今後とも、島民の安全と生活の基盤となる砂防施設や道路施設の整備を着実に推進してまいります。

○串田委員 ハード面の事業については、緊急支援事業による取り組みを大いに評価するものですが、さきの第三回定例会で我が党が代表質問の中で提案した、三宅村民に対する都独自の新たな支援制度の創設について、関係局と緊密な連携を図り、適切に対応していきたいとの答弁をいただきました。来年二月に避難指示が解除されれば、島民の帰島も始まるわけであり、早急に新たな支援体制を検討し、実施できるようにすべきであると思いますが、検討の状況はどうなっているのか、お伺いいたします。

○幸田福祉保健局長 村民の生活再建は、自助努力を基本に、国の被災者生活再建支援制度を初めといたします既存の制度を活用しながら進められるべきものと考えております。
 しかしながら、お話にもございましたように、今回の三宅島噴火災害は、村民が四年以上の長期にわたって避難生活を余儀なくされている、過去に例のない災害でございまして、村民生活の基盤となる住宅も甚大な被害をこうむっているという状況にございます。現在、関係局と緊密に連携をとりながら、国制度との整合性を図り、村民の本格的な帰島時期を視野に入れまして、具体的な支援策の検討を進めております。

○串田委員 最後に、行政改革の成果について何点か伺います。
 平成十二年度から平成十五年度を計画期間とする第一次都庁改革アクションプランは、建設コストの縮減検討委員会を中心とした建設コストの縮減の具体的な取り組み、行政評価制度の本格実施、監理団体改革としての経営評価制度や役員業績評価制度の見直しなど、大きな成果を上げています。その実績を踏まえ、都はさらなる行政改革を進めるために、昨年十一月に第二次都庁改革アクションプランを策定いたしました。
 そこで伺いますが、計画期間は平成十五年度から十八年度となっていますが、十五年度末の段階における成果はどのような状況になっているのでしょうか。

○赤星総務局長 第二次都庁改革アクションプランで示しております総施策数二百八十九のうち、平成十五年度末までに実施する予定の施策は四十九でございましたけれども、前倒ししたものも含め、五十六施策を実施いたしました。
 実施いたしました施策の一例をご紹介申し上げますと、都債制度の改革といたしまして、都債の発行条件の決定につきまして、国に委任しております現行方式から、独自に発行条件を決定する方式に移行したこと、保有財産の利活用推進といたしまして、都有財産の効果的、効率的な運用につきまして新たな基本的考え方と今後の取り組みを示します第二次財産利活用総合計画を策定いたしましたこと、民間委託の拡大といたしまして、宅地建物取引業者の免許や宅地建物取引主任者の登録申請に係ります受け付け業務を新たに民間に委託したことなどが挙げられます。

○串田委員 前倒しのものを含め五十六施策を実施したとのことですが、まだ二百三十三の施策が残っています。その中には、複式簿記・発生主義会計の導入や都税の電子申告・納税、監理団体の統廃合など大きな実施施策があります。アクションプランの各施策の実施については今後も着実に取り組んでいかなければなりませんが、着実に取り組むためにどのような進行管理を行っているのか、伺います。

○赤星総務局長 都庁改革を着実に実施していくため、全庁的な観点から、第二次都庁改革アクションプランの実施施策全般につきまして、副知事を委員長といたします行政改革推進委員会で進行管理をしておりまして、その結果につきましては、議会に報告いたしますとともに、都民に対しましても公表しているところでございます。
 現在も、十六年度の取り組み状況の中間調査を行っておりまして、各施策の進捗状況を確認いたしますとともに、おくれているものにつきましては、その原因を究明し、事業の推進を働きかけるなど、着実な進行管理を図っているところでございます。
 今後も、簡素で効率的な都政を目指しまして、行政改革を不断に進めていくためにも、アクションプランに掲げられた施策の実現に全力で取り組んでまいります。

○串田委員 簡素で効率的な都政を実現するためには、職員の意欲、能力を最大限に引き出すとともに、行政コストの縮減という観点から職員定数の削減も重要であると考えます。第二次都庁改革アクションプランの実施施策の一つである職員定数削減の取り組み状況について伺います。

○赤星総務局長 東京都では、昭和五十四年度に始まります第一次行政改革以来、継続的に定数の削減努力を続けてまいりました。平成十一年の石原知事就任以来、平成十二年度から十六年度までの五年間では、一万五千三百十三人、八・一%の定数を削減いたしました。現在、平成十六年度から十八年度までの三年間で四千人の定数削減を行うという目標を掲げておりますが、これを達成するため、民間委託の拡大、簡素で効率的な執行体制の整備、施策の徹底した見直しなどを進めておりまして、初年度となります平成十六年度の当初定数におきましては、目標の三六・一%に当たります千四百四十四人の削減を行ったところでございます。
 今後も、目標の達成に向け、着実に定数削減を行ってまいります。

○串田委員 三年間で四千人の削減目標に対して、初年度で既に千四百人余りの削減ということで、定数削減の取り組みを評価いたします。今後も目標達成に向けて努力を続けていただきたいと思います。職員定数の削減も含め、引き続きアクションプランへの取り組みを推進し、行政改革に徹底して取り組むべきことを申し上げ、私の質疑を終わります。

○宮崎委員長 串田克巳理事の発言は終わりました。
 古館和憲理事の発言を許します。

○古館委員 それでは、質問をさせていただきます。
 決算審査の十五年度は、第一次財政再建推進プランの最終年度の年でございます。十一年六月に「危機に直面した東京の財政」、いわゆる第一次財政再建推進プランの策定に向けてが発表されました。そこでは政治行政システムの制度疲労が強調されて、これまでの制度や施策を聖域なく見直す、その財政構造改革に向けた取り組みを進める中で財政再建団体への転落を回避する、そして巨額の財源不足の解消、これらが都財政を再建していく目標だということがいわれておりました。
 そこでお尋ねしますけれども、この五年間で財政再建はできたのでしょうか、まず伺いたいと思います。

○松澤財務局長 財政再建につきましては、今委員の方からお話がありましたように、十一年に作成しました財政再建推進プランに基づきまして全力で取り組んできた結果、財政再建団体への転落を回避するとともに、財源を着実に確保し、成果をそれなりに上げてきたところでございます。
 しかし、その一方で、歳入の根幹をなす都税収入は、十五年度においてプランの見込み額を大きく下回ったことに加えまして、国から地方への税源移譲については残念ながら一向に進まなかったことなどのため、プランの最終年度である十五年度予算でも、なお二千五百億円もの財源対策を余儀なくされる状況となったわけでございます。
 このように、都財政は瀕死の状態を脱出することはできたものの、十五年度においても六年連続で赤字決算となり、また隠れ借金を抱え、基金残高も底をつくなど、依然として財政再建は途半ばの状況にある、このように考えております。

○古館委員 いつも途半ばという言葉が出てきて、それで財政の財源不足を解消するということで今答弁求めたら、また途半ばだ、こういうことなんですね。税収の問題についてはまた後ほど質問させていただきますけれども、今のご答弁で、結局都財政は再建できなかった。この事実は都民にとりまして極めて深刻であります。この石原都政の五年間に、地方自治体が第一の課題として取り組むべき福祉が大きく後退しました。医療費助成など経済給付的事業の切り下げや廃止で二百八十七億円の予算が削減され、延べ百万人を超える高齢者や障害者に負担増をもたらしました。補助金の削減では、サービス推進費の補助削減だけでも五百三十億円さらにこの五年間で削減され、また、対象になる廃止される都立施設は百を超えました。第二次財政再建推進プランにおきましても、同様の削減がこれからやられようとしています。
 そこでお尋ねしますけれども、この五年間は都民には痛みだけが押しつけられた、それでも財政再建できなかった、これはどうしてでしょう。

○松澤財務局長 都が進めております財政再建は、決して今お話のあったような都民施策の切り捨てを意図したものではございません。強固で弾力的な財政基盤を確立し、将来の都民ニーズの変化にこたえて、東京に活力を呼び戻す新たな施策の財源を安定的に生み出すための、将来を見通した積極的な取り組みでございます。したがいまして、この間も、職員定数の削減あるいは施策の再構築など、見直すべきものは徹底的に見直しをしながら、同時に、都財政が厳しい中にあっても、都が直面する緊急課題には的確に対応しまして、例えば福祉の再構築、ディーゼル車規制などの環境対策、都市再生、そして中小企業対策など、都民生活を安定的に支える施策には財源を集中的に投入してきたところでございます。したがいまして、途半ばといえ、財政再建を進め、着実に成果を上げながら、一方で都民福祉の向上に取り組んできたということでございますので、その意味ではお話のようなご指摘は当たらない、このように考えます。

○古館委員 今もお話にありました中で、都市再生ということがいわれましたけれども、今までの予算で最も偏重してきたのがこのいわゆる投資型経費と呼ばれているものです。
 第一次財政再建推進プランは、十五年まで巨額の財源不足を解消するとしておりましたけれども、今いったようにそれは達成できなかった。しかし、我々はそのチャンスはあったというふうに思っています。その最大のキーポイントは何かといいますと、先ほどのやりとりでも明らかなように、税収であります。税収の予測を超えた増加が明らかにこの期間にありました。第一次プランは、初年度、十二年度が税収見通しが四千億近く計画を上回る増収でありました。それで、十三年度の場合は、当初と最終補正を合わせまして、増収はとにかく八千四百億円はありました。その後三年間がそれぞれ若干のマイナスになりましたけれども、四年間の通算でも七千億円を超える税収増があった。どうですか、このことはお認めになりますか。

○松澤財務局長 今お話にありました一次プランの中の都税収入の決算ベースでの合計は、プランの税収見込み額と比較しまして、形式的には、今お話のあったように七千百七十四億円の増となっております。しかしながら、この中には銀行の外形課税や徴税努力といった、第一次プランに基づく財源確保の取り組みが含まれておりまして、単純に形式的に増収と考えるのは適切でない、このように思っております。
 プランの取り組みによる財源確保額及び都税収入がふえれば当然増となります税連動経費といいますか、税連動の交付金の影響額を除いたベース、すなわち税の、一般的にいいますと自然増減ベースで比較しますと、プランの四年間の収支見通し合計の十二兆三千六百億円に対しまして、実績は十一兆八千九百五十億円でございまして、実質的には四千六百五十億円のマイナス、こういう状況になっているわけでございます。

○古館委員 先ほどいろいろな都合のいい、銀行課税は差っ引きましょうとか、でも、そういうのも東京都の施策の中に入っているわけですよね。ですから、そういうことも含めて、何かそちらの答弁聞いていると、都合のいいものは外すとか、都合のいいものは引き出しから出してくるとか、そういうことでは違うというように思いますね。
 今述べた税収増に加えて、さらに深刻だったのは聖域のない見直しで、これが都民の中に厳しく進められていきました。すなわち、都民生活に密着した各種の施策が、当初予算だけではなくて、予算執行の段階でも切り込まれてきた。これは今回の決算審査でも明らかだと思います。例えば高齢福祉費だとか子ども家庭福祉費、心身障害者福祉費、福祉管理費、生活福祉費、保険費、施設整備費の五つの区分ですね。このすべてが決算額でも、五年前との比較で六百三十億円も削られております。
 しかも、重大なことは、知事が力を入れると公約をしていた、旧福祉局にかかわる施設整備費ですね。これが十四年度予算現額が五百五十二億円に対して、実績が三百億円と、何と二百五十億円も減額されています。十五年度の予算現額五百二十六億円に対して、実績が三百六億円と、実に二百億以上の不用額を出しております。
 こうした中で、都民の痛みに加えて、寝たきり手当の打ち切りを初めとする施策の廃止、縮小が行われてきました。寝たきり手当を打ち切られた家庭では、月五万円の収入で介護と医療費で二万五千円、これからの生活が物すごく不安だ、こういうことが訴えられましたし、少しの税金を納めていて、シルバーパスが二万五百十円なんてとても買えない、医療費が高過ぎて薬も間引きしている、特養ホームに入りたいが全くめどが立たないなど、深刻で切実な声が東京じゅう渦巻いている、これが今の実態であります。
 第二分科会で、吉田委員の質問で明らかにいたしましたけれども、福祉関連施設の建設実績でも、十一年度と十五年度の比較ではどうか。施設建設で、十一年度は継続が三十一ですね。新規が十九。合計で五十の施設の整備がやられていた。ところが、十五年度は継続が十、新規が十二で、合計二十二ですから、半分以下です。これは局答弁でも明らかであります。さらに、老人保健施設につきましても、全国の中で一番低いのは事実だ、このことを福祉保健局はお認めになりました。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、石原都政になってとりわけ強く打ち出されてきた主張が、現物給付など直接のサービスの提供は民間などにゆだねるが、基盤整備、施設整備などの条件整備はもっと力を入れてやるとのことでありました。しかし、ご主張のようには進んでいないのではありませんか、いかがでしょう。

○幸田福祉保健局長 お話の介護保険サービスは、いずれも保険者でございます区市町村の事業計画と調整の上、都が策定した支援計画に基づき整備を進めています。グループホームや老人保健施設の整備状況は、平成十六年四月一日現在、グループホームの定員数千六百二十人で、平成十五年度の計画比で九〇%、老人保健施設は一万二千三百三十八人、九八・七%となっております。また、デイサービスやショートステイについても、平成十五年度に供給されたサービスの実績を計画と対比すると、それぞれ八六・六%、一〇〇・三%となっており、これらのことから、計画に沿って着実に整備されていると認識をしております。

○古館委員 これは決算というのは、非常に数字というのは明確なんですね。先ほどもご答弁の中でもありましたけれども、施設の整備実績というのも半分以下に落ちている。これは計画の中だというんですけれども、その計画自体が非常に少ないということを指摘せざるを得ません。実際に充実するといっていた施設整備では、私どもの調査でも、人口当たりで見ますと、デイサービスが四十七都道府県のうちで四十七位で、ショートステイが四十六位、グループホームが四十六位、老人保健施設が、これはご答弁でもお認めになったように四十七位なんですね。デイサービスやショートステイもそんなに進んでいるとは考えにくいんです。したがって、この現状を放置していいわけは絶対ないと思います。今後どのように対処されるか、その見解をお聞きしたいと思います。

○幸田福祉保健局長 地価が高いなどの東京の特性がある中で、都はさまざまな施策を展開をし、施設整備の促進に努めているところでございます。具体的には、老人保健施設への都独自の補助として、一床当たり四百万円の整備費補助を行うとともに、グループホームにつきましては、国庫補助の対象でございます社会福祉法人などに加えまして、民間企業を補助対象とするなど、設置促進策に努めているところでございます。こうした取り組みによりまして、これらのサービスの過去三年間の定員数などの伸び率は全国平均を上回っております。
 なお、在宅介護サービスの中核をなしますホームヘルプサービスは、全国一の水準を維持していると思っております。
 いずれにいたしましても、施設整備については計画に基づいて進めていくことが肝要であろうかというふうに認識をしております。

○古館委員 東京の特徴は、先ほど局長、地価が高いといわれましたけれども、そういう状況があるからこそ、施設建設というのが求められていると思うんですね。しかも、ひとり暮らしの高齢者が全国でも一位、二位というふうに高いのが東京の特徴であります。しかも、東京の住宅事情というのは、都営住宅にも入れないし、それぞれの住宅そのものにもなかなかバリアフリーなどがまだ進んでいないということもあって、さらにこの福祉施設などの整備というのは求められています。こうした中で、福祉保健関連施設の建設計画そのものを私は思い切って引き上げる、このことを強く求めておきたいと思います。
 都民に痛みを求める一方で、石原知事就任以来、戦略的課題として位置づけて、強力に推進してきたのが都市再生であります。その一つが、幹線道路や首都高速道路建設への都財政の投入です。この主要幹線道路づくりと都財政について、少し立ち入ってお尋ねをしたいと思います。
 (資料を示す)実はこれなんですけれども、これは福祉予算と国直轄事業費負担金等--等というのは、これは先ほど質問に出ていましたけれども、首都高速道路公団への財政支出であります。これの比較でございます。この右肩に上がっているのが、いわゆる国直轄事業等なんですね。これ一に対して、これが一・三近くまで上がっていて、で、この右下がりのものが実は福祉保健費なんですね。この出発点が一九九九年で、それでこれが二〇〇三年で、いわゆる〇・九ポイント以下に落っこっているというのがこの私どもの--もちろん金額の問題でなくて、これは伸び率の問題でいっていますから、ただ、それは傾向がよくわかるというように思います。(発言する者あり)いや、大体そういうような流れで今都政が動いていますから。こうした投資的経費への集中した財政投入は、実は財政が立ち直っていかない最大の問題なんですね。
 そこで、きょうは、国の道路づくりと、その維持管理にまで、都が長年にわたって積極的に財政支援を初めとする、ここまでやるかという問題があるので、少しただして見解を問いたいと思っています。
 そこでお伺いしますけれども、滝山街道というのは国道なのか、それとも都道ですか、どちらでしょうか。

○岩永建設局長 滝山街道は、八王子市から山梨県甲府に至る一般国道四一一号の一部でありまして、延長約十三キロの国道でございます。

○古館委員 当たり前だというんですけれども、都民はかなり都道だと思っている人も多いんですよね。それで、今お答えで国道だというふうにお答えがありました。
 それで、ここに東京都の建設局の事業概要というのがありまして、これをちょっとめくってみましたら、一五四ページですけれども、資料編で一般国道というのがありまして、この中に指定区間外というのが目に入ってきたんですね。指定区間というものと指定区間外というのが一般国道にはあると。まず、この指定区間外、およそ八路線がこの中にあると書かれています。七十六キロメートルの延長ですね。これはどういう性格のものをいうんでしょうか。

○岩永建設局長 一般国道は、道路法の規定によりまして、指定区間国道と指定区間外国道の二種類に区分されております。指定区間国道は、一般国道のうち、政治、経済、文化上特に重要な都市を結ぶ道路など、政令で指定された区間でありまして、国が管理する道路でございます。指定区間外国道とは、それ以外の区間でございまして、都道府県などが管理する国道でございます。

○古館委員 つまり一般国道には変わりないんですよね。答弁が今、都道府県が管理する、こういういい方をしたんですよね。ちょっとこれはおいておきますけれども、この指定区間外という国道で今進めている事業では、どういう路線がありますか。わかりやすく、ちょっと通称名でお答えいただきたいと思います。

○岩永建設局長 現在事業を行っている路線は、国道一二二号、国道一三一号、国道四一一号の三路線でございます。
 その通称名は、一つの路線でありましても通過する地域によって異なる場合がありまして、三路線の主たる通称名は、国道一二二号は北本通り、国道一三一号は産業道路、国道四一一号は滝山街道と青梅街道になっております。

○古館委員 この国道の指定区間外の建設費と維持管理費の負担は、国がしているのでしょうか、都がしているのでしょうか。そして、その負担割合はどうなっているでしょうか。

○岩永建設局長 道路法の規定では、新設または改築に要する費用のうち、都が施行する場合は、都の負担は二分の一となっております。路面の維持や街路灯の電気代などの維持管理費は、同法に基づきまして、道路管理者である都が負担しております。

○古館委員 これは道路管理者というのはそういうふうにやらされているんですよね。それは今ご答弁ありましたが、道路法の第五十条の国道の管理に要する費用という中で、国道の維持、修繕その他管理に要する費用は、指定区間外--今質問したのは指定区間外、この国道に係るもの、これは法律で国道に係るものといっているんですね、これは都道府県の負担とすると。つまり、国道でありながら、全く国は維持管理だとか修繕のお金は出さないで、これは全部東京都が負担をしている、こういうことなんですね。つまり、国道でありながら、負担するのは建設費は国は半分だけで、国道であるにもかかわらず、維持管理費用はすべて東京都が面倒見る。維持管理費については後でやりますけれども、道路が一たんできると、その道路が廃止されない限りは都が永久に維持管理費用を全額払い続けるんですよね。こういうことが本当にあっていいのかということなんです。
 総延長はおよそ七十六キロメートルとなっておりまして、これにかかった現在までの建設事業費はおよそどのくらいになりますか。

○岩永建設局長 事業中三路線の平成十一年度から平成十五年度までの五カ年の新設または改築に要した費用は、百十二億円でございます。

○古館委員 つまり五カ年で百十二億円ですよね。ずっと昔からこの国道というのはあるんですよね。そのたびごとに、五カ年だけでこれだけのお金を負担している。しかも、維持管理費用は全部東京都が負担する。五カ年であります。
 そこでちょっと具体的に聞きますけれども、十一年から十五年までの国道の指定区間外の整備費の推移、これでいいますと、先ほどいいましたように百十五億円でしたね。それで、問題なのは維持管理費についてであります。都民は国道という認識よりも、都の道路という認識の方が強いのはなぜかというと、いつも車が走って道路を直しているのは東京都の車だからですね。国道なんだけれども、維持管理費は全部都が負担することになっているから、何となく、国道なんだけれども東京都の都道のように思ってしまう。国が維持管理費を払うのは私は当たり前だというふうに思いますけれども、おかしいと思いませんか。(発言する者あり)いや、これは大事なことだから、東京都でもやってもらいたいですよ。

○岩永建設局長 お話しの指定区間外国道の維持管理費は、道路法の規定によりまして、道路の管理に関する費用は当該道路の道路管理者が負担することになっておりまして、道路管理者である都が負担しております。

○古館委員 私どもは今、国の直轄事業の負担金だっておかしいという声を上げていますよね。(発言する者あり)そうです。今、全国知事会だってそういう声は上げているんです。東京都だって、百歩譲って、維持管理の費用というのは、これは東京都が負担するのはおかしいということまでいっているわけですから、我々としてはこういう問題に対して、やはりおかしいんじゃないの、なぜ維持管理費用を国道でありながら東京都が一〇〇%も負担しなきゃいけないのか。私は、都から国を変えるんだということでは、はっきり、法で決まっていますからといわれたのでは、うたい文句が泣くんだというふうに思うんですね。
 維持管理費は供用を開始してから延々と都だけが負担している。この負担額がはっきりとわかるようにしないと、国に対して、維持管理の費用負担を強く求めていく上でもできないというふうに思うんですね。私は何度もこれを質問するためにちょっと聞いたんですけれども、維持管理費用は出せないというんです。わからないというんですね。だけれども、国の直轄事業に対する管理費用は幾らですかというのは、これはわかるんです。なぜかといったら、十分の五・五が国が払って、十分の四・五分は東京都が維持管理費用を負担している。だから、これはきっちりと維持管理費用というのが出るんだけれども、はなから国に対して何か物を申そうという気がないから、維持管理費用についての全貌がわからないんですね。私は、この維持管理費用の全貌をつかむのは当然だと考えています。今後の重要課題として引き続き取り上げていきますので、作業に取りかかることを強く求めておきたいと思います。
 さらにもう一つ、一般国道指定区間というのはどういう性格の道路で、通称道路名やわかりやすい路線名を一、二紹介してほしいと思います。

○岩永建設局長 指定区間国道は、先ほどもご説明しましたとおり、一般国道のうち、政治、経済、文化上特に重要な都市を結ぶ道路でございまして、政令で指定された国道でございます。東京都内の指定区間の国道の例といたしましては、国道四号である日光街道や国道二〇号である甲州街道がそれに当たります。

○古館委員 この負担割合はどうなっているでしょうか。

○岩永建設局長 指定区間における地方の負担割合でございますけれども、道路法におきまして、いわゆる国直轄事業負担金といたしまして、新設、改築が三分の一、維持管理が十分の四・五と定められております。平成十五年度に都が負担した金額は、新設、改築が二百九十六億円、維持管理費が四十九億円でございます。

○古館委員 これがさっき私が見せた、実は国の直轄事業の道路なんですよ。ですから、今考えれば、国の直轄事業、国の一級国道といわれているこれも、東京都が三分の一負担し、維持管理費用も十分の四・五負担をし、今度は、二級国道といっているらしいんですけれども、そのさっきいった区間外の道路については、折半で道路はつくるけれども、後の維持管理は全部東京都が見る、こういうふうな仕掛けになっているわけですね。この直轄事業、ちょっと十年間で計算すると、二千七百九億円に達しています、国の直轄事業が。この五年間でも、千六百五十五億円もの国直轄事業負担金を支出しているんですね。それで、福祉を削ったというのは六百六十一億円ですから、本当にこれがいかに巨額であるかということがわかるかと思います。
 この直轄事業に対する都の姿勢は、国が行う事業であるから、整備費の負担はするけれども、維持費は都が負担をという、何かよくわからないような態度で終始しているんですけれども、全国知事会というのは非常に明快なんですね。全国知事会はどういうふうにこの国直轄事業についていっているかといいますと、国直轄事業が全国的視野のもとに国家的政策として実施されながら、地方公共団体に対して個別に財政負担を課する国直轄事業負担金は極めて不合理であるため、これを廃止すべきである、また、本来管理主体が負担すべき維持管理費について、直轄負担金として地方公共団体に財政負担させることは極めて不合理であり、早急にこれを廃止するべきである、実はこれが、全国知事会がずっと前から出しているんです。この意向はいまだに変わっておりません。私はこの間電話して聞いたんですね、全国知事会に。こういう方針は今でも変わっていませんかといったら、変わっていません、なぜかといったら、一方的にこれだけ払いなさいといってくる、こんな無慈悲な話というのはないんだということをいわれておりました。
 そこでお聞きしますけれども、これら国直轄事業である国道、指定区間にしても、指定区間外にしても、国道という役割を担っているものでありまして、都として整備費にしても維持管理費にしても、その負担などは合理性もないものであると考えています。したがって、廃止を求めるべきだし、負担するべきではないと考えますが、いかがでしょうか。

○岩永建設局長 東京の都市基盤施設の整備状況はいまだ不十分でありまして、東京を魅力と活力のある都市に再生し、産業の活性化や国際競争力の向上を図るためには、都市基盤の整備は極めて重要でございます。国道の整備につきましては、指定区間の内外を問わず、東京の道路ネットワークを形成し、都民生活や都市活動を支える上で重要かつ緊急性の高い事業でございまして、今後とも国と連携し、積極的に事業を進めてまいります。
 また、維持管理費につきましては、本来管理者が負担すべきものでございます。したがって、指定区間におきましては、管理者たる国が全額負担すべきものでございまして、引き続き国に対し維持管理費の地方負担の廃止を強く求めてまいります。

○古館委員 今そこまでご答弁になったんですから、私は全部、建設費も本来負担すべきじゃないと思っていますけれども、百歩譲って、維持管理費について、国直轄事業については今いわれました。さっきの指定区間外のことについてはいかがですか。全額東京都が負担するというのは私はどこにも理がないと思いますけれども、その点いかがですか。

○岩永建設局長 先ほども申し上げましたけれども、維持管理費につきましては、本来管理者が負担すべきものでございまして、都が負担している、指定区間におきましては、現在は直轄負担金で都が支払っておりますけれども、これは不合理であるということで是正を求めて、これまでも国に対して要請してまいりましたので、今後その維持管理費の地方負担の廃止を引き続き強く求めていく、こういう考えでございます。

○古館委員 ガードがかた過ぎてちょっとあれなんですけれども、管理者といっても、一般国道だと認めていて、それで管理者というふうに東京都がいう--これは法的なものというのはわかりますけれども、これはやはり是正をさせるという態度が必要だと思います。
 このほかに、首都高速道路公団への無利子貸付が、十年間で、先ほどもお話がありましたが、ちょっと私ども考え方が違うんですが、千九百六十二億円です。この五年間では一千六十一億円。そして公団への出資金は、この十年間で千百七十四億円、この五年間でも五百四億円に達しています。この五年間で、道路での国直轄事業に千六百五十五億円、首都高の出資金で五百四億円、首都高の無利子貸付で千六十一億円、合計で石原都政五年間でこれらを合わせますと、何と三千二百十七億円にもなります。今年度までに福祉、医療で削った、先ほどもいいましたが、六百六十一億円の四・九倍、およそ五倍ものお金を支出しております。
 石原都政が進める都市再生は、環境破壊だけではなくて、財政破壊の大きな要因であって、こうした国直轄事業への負担金や首都高への膨大なお金の支出こそ大胆なメスを入れることが求められていると思います。今こそ都政が、住民福祉の増進という自治体本来の原点に立ち返り、都民の暮らしと営業、福祉と健康を守るためにあらゆる手だてを講ずることを強く求めて、質問を終わります。

○宮崎委員長 古館和憲理事の発言は終わりました。
 引き続き大西由紀子委員の発言を許します。

○大西委員 個別の事案に入る前に、決算説明のあり方について申し上げたいと思います。
 施策の見直しには、決算の詳細な分析と、それを通じて事務事業の的確な評価が不可欠です。従来の行政の分野においては、国、地方を問わず、予算が重視される一方で、決算は軽んじられるという傾向があります。今後はこれを改め、決算分析の結果を次の予算に生かしていくという一貫した取り組み姿勢を構築していく必要があるのではないでしょうか。
 現在、出納長室及び各局から提出されている決算説明資料には、本来必要な情報が不足しているケースが多々あります。特に予算説明資料との整合が十分でないので、事業ごとに予算と決算とを対比させ、その動きを追おうとしても、なかなかうまくいきません。個別には分科会で議論しましたので、本日は全体に係る問題点を出納長にお伺いします。
 まず、事業の財源についてですが、事業執行の妥当性を評価する場合、その事業がどういう財源で行われたのか、税金なのか、借金なのか、あるいは国庫負担金があるのかないのかは重要な判断要素となります。予算説明書には、局別、財源別の一覧表が付され、財源内訳が示されています。これに対して、現在の決算説明資料では、歳入と歳出が別々に整理され、ある歳出にどういう財源が充当されたかという点の説明が全くありません。
 次に、不用額についてですが、不用額が発生した理由はいろいろ考えられますが、例えば事業執行は一〇〇%達成しつつ、落札差金や経費の節減などで残額を生じた場合と、事業自体の執行率が低かった場合とでは、評価や分析の視点が全く異なります。こういうことこそ私たちが本当に知りたい点なのですが、現在の資料には説明がなされていません。せめて特異的な事業については十分な説明が必要と考えるんですが、いかがでしょうか。

○櫻井出納長 現行の決算についてですけれども、制度としまして、歳入歳出予算について行うこととなっております。そのため、いわゆる法定決算の形式に従いまして、歳入と歳出、それぞれの予算科目に従って決算を調製する、そういうものでございます。そこで、決算説明資料におきましても、予算科目別に執行の状況を説明することを主眼としております。
 お話の歳出の不用額等につきましても、これまで、各局別に作成する決算説明書におきまして、予算科目に従って、契約の落札差金あるいは国庫補助金の増減などのように、差が生じた理由を区分して表示し、また、参考としまして事業執行の概要についても支出内訳を記載するなどして、工夫をさまざま凝らしてきております。
 今後とも、都議会や都民に対してより一層わかりやすい決算説明が行えるよう努力してまいります。

○大西委員 このほか、組織が統合あるいは新設された場合の説明など特に感じるのですが、両局の決算書を突き合わせても明快になりませんでした。私たちは現在の決算説明書には改善すべき余地がいろいろあると思っております。今後、公会計改革も実施される中で、決算についての改善に向けどのように取り組まれるのか、再度出納長にお伺いします。

○櫻井出納長 平成十八年度から全国に先駆けて実施する公会計制度改革は、官庁会計に複式簿記・発生主義を導入し、都における会計処理を根本から改めるものであり、決算資料につきましても、都議会や都民に対してよりわかりやすいものになるよう改善をしていく方針であります。これによりまして、ご指摘の事業の充当財源や不用額の説明につきましても、これまで以上にわかりやすくする方策を検討するとともに、財務諸表から得られる情報を、各局の主体的な事務事業の見直しや行政評価、予算編成等にも活用していくことで、マネジメントの強化を図っていく考えでございます。
 出納長としましては、公会計制度改革を通じまして、都政の構造改革と、これを担う都職員の経営感覚やコスト意識の醸成などにも重点的に取り組みまして、都の財務状況、財政運営に関する都民への説明責任を全うすることに全力を挙げて取り組んでまいります。

○大西委員 公会計改革は平成十八年度からとされていますけれども、十六年からの決算審議についても最善の努力を要望しておきたいと思います。
 次に、住民監査請求について伺います。
 地方自治法第二百四十二条により、都民が監査委員に対し、都の財務に関する行為について監査を求め、必要な措置を講じるよう求める制度ですが、制度の目的は、都民の請求と、これに基づく監査により、東京都の財政面の適正な運営確保と都民全体の利益を守ることとなっています。
 平成十五年度における住民監査請求に基づく監査の実施状況は、請求の受け付け件数が四十九件ありました。監査を実施したものの結果の決定は、請求のあった日から六十日以内に行うことになっています。決定は監査委員全員で協議し、意見を一致させる合議の形をとっていますが、その過程には委員のさまざまな意見があると思います。理由がないとして棄却したものには監査委員の意見等、議事録等を公開していません。局側の説明では文書不存在ということです。しかし、税を使って委員を選任し、議論をしているのです。情報公開は必然と考えます。都民の請求に対してどのようなプロセスで決定されたのか、情報を公開すべきだと考えますが、見解を伺います。

○高橋監査事務局長 住民監査請求にかかわる決定は委員の合議により行っております。具体的には、請求人からの監査請求書に加えて、事務局でまとめた参考資料をもとに監査委員が合議を行い、その上で委員全員が合意した結論と、それに至る理由をまとめております。これら監査の請求書、参考資料、委員の合意の結論とその理由はすべて情報開示の対象としております。また、陳述を行った場合には、その記録も開示の対象としております。
 なお、審議中の委員の発言は、合意に向けた意思形成の途上のものであり、制約のない自由な発言を保障するためにも、各委員の個別の発言を公開することは適切でないと考えております。

○大西委員 他県では情報公開の対象としているところもあります。開かれた都政運営のためにも、今後の検討を要望しておきたいと思います。
 次に、防災対策について伺います。
 新潟県中越地震に際し、いまだ余震が続き、寒さも増している中、避難生活は大変厳しい状況です。被災された方々にはまずもって心からお見舞い申し上げたいと思います。
 また、東京都からも多くの職員が支援に出向いていますが、被災地でのご努力に敬意を表します。
 さて、来年は阪神・淡路大震災から十年ということで、各地でイベントが準備されています。しかし、イベントよりも、東京がもう一度十分に地震の備えをすべきときだと考えております。東京都は地域防災計画をつくり、震災対策事業計画を作成し、ハザードマップ、震災復興マニュアルもつくってきました。市区町村とも連携しながらこの計画は進められるというわけですが、計画というだけで、せっぱ詰まったところがいま一歩足りないのではないかと、東京に暮らす私としては実感しています。
 平成十四年に策定された東京都震災対策事業計画は、従来の予防対策重視の東京都震災予防計画にかえて、東京都震災対策条例に基づき発表されたものです。この計画の目的は、都が実施すべき震災対策の全体像を明らかにし、各施策について具体的な目標と方向づけを行うことを目的としています。
 そこで伺いますが、まず第一に、東京都震災対策事業計画は、地震に強い都市づくりや住民による防災活動の仕組みづくり、危機に強い体制、そして首都圏の防災ネットワークづくりや震災復興体制づくりなど、事業数百七十一事業あります。この平成十五年度までの、十四年、十五年の二カ年ですが、執行額についてまず伺います。

○赤星総務局長 平成十五年度までの二カ年におきます執行額でございますけれども、まず、地震に強い都市づくりといたしまして、これは全体約でございますが、九千五百十五億三千百万円。次に、住民による防災活動の仕組みづくりでございますが、十八億千五百万円。危機に強い体制づくり六百三億四千八百万円、首都圏の防災ネットワークづくり九百万円、震災復興体制づくり七百万円で、二カ年の合計で約一兆百三十七億一千万円となっております。

○大西委員 二カ年で一兆ということで、額は大きいんですが、東京都震災対策事業計画を取りまとめるのは総務局の総合防災部となっています。東京都震災対策事業計画の総合的な事業計画の進捗状況をチェックすることにより、地域防災計画にそのことが反映され、都民の安全確保の向上につながるわけですが、いろいろなヒアリングの中で、それぞれの各局が独自に進めているということで、いま一つ総務局が全体的なものを統括している役割という機能が見えなかったわけですが、その辺の見解を。

○赤星総務局長 東京都震災対策事業計画の所管局でございます私ども総務局は、計画の策定に当たりまして、東京都地域防災計画や新たな防災課題等を踏まえまして、各局等に策定方針を示しまして調整を行っております。また、計画事業の進捗状況は予防対策や応急対策などに影響することから、毎年度各局等に報告を求めまして、その推進に努めております。さらに、状況に応じまして、東京都地域防災計画の見直しにも反映しております。今後とも、各局防災機関と連携を図りながら、都民の生命、財産の安全確保に努めてまいります。
 なお、私ども新潟県の地震におきましても、各局と調整を図りながら仕事を進めております。姿は見えないのは残念でございますけれども、私どもは各局と十分連携を図りながら仕事をしておりますので、ご理解をお願いしたいと思います。

○大西委員 総務局は地震が、被害が発生してから、その動きというものは非常に評価しているんですが、私が求めるのは、その前にいかに未然に防止、被害を少なくするかというところですが、その辺の取りまとめをもう少しリーダーシップを持ってやってもらいたいなという思いがあります。そういう意味では、本当に総合的な統括をすべき総務局の役割、ここが問われているんだと思います。
 さて、都有施設の耐震化、道路、橋梁、都営住宅等に関しての安全対策については、各局が順次優先順位をつけながら対策を行っているということがヒアリングによってわかりました。震災時には、身近な小中学校、教育現場として本来子どもたちが集まる小中学校の使用、そしてそのほかにも、こういう被害が起こりますと一時避難所となることが想定され、やはりここでは耐震化が重要となります。しかし、小中学校の全棟数のうち、耐震化診断率は八割程度、昭和五十六年以前の建築棟数が六千十三棟ある中で、耐震性があるかもしくは補強済み棟数は三千七十五棟ということで、小中学校の耐震化率が六割にすぎません。そういう意味では、こういう事態になったときに小中学校の大切さ等を考えた場合に、ぜひこの小中学校の六割というものをもっともっと進めるべきだと思うんですが、その辺はいかがでしょう。

○横山教育長 都立学校につきましては、耐震診断調査の結果、補強が必要な学校につきまして、平成十五年度に耐震補強計画を策定しまして、改築や大規模改修とあわせて実施する場合を除き、盲・ろう・養護学校については平成十六年度までに、高等学校については平成十八年度までに完了するよう、計画を着実に実施しているところでございます。
 また、公立の小中学校におきましては、設置者でございます区市町村が国の助成制度を活用して対応しているところでございますが、学校の震災対策がより一層促進されますよう、国に対して助成制度の拡充を強く都としても働きかけてまいります。

○大西委員 ぜひお願いしたいです。耐震診断については平成十七年度までに行うという国の指導があるわけなんですが、肝心の実際の補強工事、これについてはいつまでに完了しろというような義務づけもない点があり、非常に不安に思っております。今後、国への働きかけをよろしくお願いしたいと思います。
 そして、都内には昭和五十六年以前に建築された建物も多くあります。建築物の確認申請はチェックされますが、特に不特定多数の人が利用する病院やデパートなどを初めとする民間建築物の耐震化について、民間任せではなく、やはり状況を都として把握する必要があると考えるんですが、その辺はいかがでしょう。

○梶山都市整備局長 お話しの病院、百貨店など、不特定多数の人が利用いたします建築物につきましては、耐震改修促進法に基づき耐震診断を行い、必要に応じて改修に努めることとされております。こうした施設につきましては、平成七年十二月の法施行後、増築や防災査察など、さまざまな機会を通して、建築主に耐震化への取り組みを強く働きかけております。現在までに都内で四百十一棟が法に基づく認定を受け、改修を進めております。
 また、本年九月には、これらの施設管理者に耐震改修を促すため、東京都耐震改修促進連絡会を設置したところでございます。今後、メンバーである医師会、百貨店協会の代表の方々などを通しまして、各施設の耐震診断、改修の状況を把握するとともに、建築物の所有者や管理者に対して改修を一層促進するよう積極的に働きかけてまいります。

○大西委員 新潟中越地震では新幹線の脱線が大きな問題となりました。鉄道事業については国が所管していますが、鉄道施設の耐震対策の実施状況と、今後の都の取り組みについて伺います。

○梶山都市整備局長 鉄道施設の耐震対策は、阪神・淡路大震災での被害状況を踏まえ、既存の高架橋や開削トンネルなどについては、平成七年八月の旧運輸省通達に基づき、震度七程度の地震に対応できるよう、鉄道事業者が計画的に補強工事を実施しております。このうち、都営及び東京メトロの地下鉄につきましては、補強工事を完了しております。また、平成十年十二月には、鉄道構造物等設計基準が定められ、その後新設された鉄道施設につきましては、この基準に基づきまして、震度七程度の地震に対応できるよう設計しているところでございます。
 今後とも、都としては、国や鉄道事業者など関係機関との連携を図り、鉄道施設の安全性確保に努めてまいります。

○大西委員 国は補強工事を鉄道事業者に計画的に実施するよう通達を出しているんですが、進捗状況はよいとはいえない状況です。東京では住宅密集地域を鉄道が走りますし、脱線後の衝突等を考えれば、本当に震災等に対しての安全対策を都としてしっかり把握し、そしてそれを民間にちゃんと指導をやっていくということも必要ですので、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、時間がなくなりましたので、避難場所の指定についても、いろいろ聞きました。百七十カ所の避難場所があります。そして、でも帰宅不可能の人も含めるならば、まだまだ一人当たり一平方メートル未満の箇所も含まれたり、それから三キロメートル以上の遠距離避難が必要だったりということで、非常に十分とはいえません。ぜひこの辺も、都有地の活用や民間地の活用で適宜な避難場所をお願いしていきたいと思っております。
 そして、これまでの被害想定は平成三年と九年につくられました。その後、この数年で大規模な開発による都市構造の変化があります。そこに対応できるかどうか検証する必要があるんですが、その辺はいかがでしょう。

○赤星総務局長 平成九年に公表いたしました、東京における直下地震の被害想定に関する調査は、中央防災会議におきます南関東地域における直下地震の切迫性の指摘及び阪神・淡路大震災の教訓を踏まえて作成いたしたものでございます。前回の検討からほぼ十年が経過いたしましたが、現在、国は中央防災会議のもとに、首都直下地震対策専門調査会を設置いたしまして、直下地震に関する被害想定を検討しておりまして、年内には結果を公表する予定となっております。都といたしましては、この被害想定や、これまでの震災対策の成果を踏まえますとともに、今回の新潟県中越地震によります被害状況をも調査し、今後新たな被害想定の必要性について検討してまいります。

○大西委員 新潟地震クラスが東京を襲えば、被害は死者七千百五十九人、全半壊の建物十四万二千五百二十八棟といわれています。東京のまちづくりは、耐震化が進んだとはいえ、巨大ビルが次々に建設され、非常に不安を覚えるのは私一人ではないはずです。関東大震災のときは火災で、阪神・淡路大震災では家屋倒壊で、そして今回の新潟中越地震では土砂災害やエコノミークラス症候群で人命が失われました。地震災害によってどういう形で被害が起きるかは過去の経験からだけでは予想がつかず、さまざまな可能性を視野に入れて、安全・安心対策を進めることが重要だと思います。
 その点で気になるのが、近年増加している超高層のマンションやオフィスビルです。アメリカで先年発生したテロ事件では、国際貿易センタービルが火災による鉄筋の強度低下によって倒壊したような事例を踏まえると、地震時の不安は本当に尽きません。周知のように東京でも人口や就業者の伸びは鈍ったり減少しており、土地の高層利用の必要性は薄れているという時代認識を持って、安全・安心を中心に据えたまちづくりを進めるべきだと考えます。まさに都市再生は都市の高層化によってなされるのではなく、都民が安心感を持って暮らせるまちづくりをすることによるのではないでしょうか。都においても行き過ぎた高層化にゴーサインを与えてきたことを猛反省し、都市政策を転換することを求めて、質問を終わります。

○宮崎委員長 大西由紀子委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定をいたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りをいたします。
 平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十九日、午後零時四十五分から理事会を、また、午後一時から委員会を、本委員会室で開会をいたしますので、よろしくお願いをいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十三分散会

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