各会計決算特別委員会第三分科会第六号

平成十六年十月二十七日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長田中  良君
副委員長三宅 茂樹君
副委員長古館 和憲君
東村 邦浩君
川井しげお君
大津 浩子君
鈴木あきまさ君
東ひろたか君
いなば真一君
藤田 愛子君

 欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長関谷 保夫君
総務部長島田 健一君
参事奥秋 彰一君
参事三枝 秀雄君
参事佐藤 仁貞君
商工部長市原  博君
商工施策担当部長塚田 祐次君
金融部長中井 敬三君
参事坂  崇司君
観光部長高松  巖君
参事保坂 俊明君
農林水産部長菊地 輝雄君
参事瀧川  清君
雇用就業部長安藤 立美君
就業調整担当部長関口 栄一君
新銀行設立本部本部長津島 隆一君
企画担当部長関  敏樹君
参事吉田 長生君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
産業労働局関係
・平成十五年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都農業改良資金助成会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都林業改善資金助成会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
新銀行設立本部関係
・平成十五年度東京都一般会計決算(質疑)

○田中委員長 ただいまから平成十五年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、産業労働局及び新銀行設立本部関係の決算に対する質疑を行います。
 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分、平成十五年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成十五年度東京都農業改良資金助成会計決算、平成十五年度東京都林業改善資金助成会計決算及び平成十五年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○島田総務部長 去る十月八日に当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料、二ページ目に目次がございます。要求のございました資料は、全部で十四項目でございます。
 それでは、三ページをお開きください。都内の区市町村別工場数の推移でございます。
 三ページには二十三区、四ページには市町村ごとの推移をお示ししてございます。
 平成十二年と平成十五年を比較いたしますと、三ページの右上総計欄にございますが、総数で六万二千から約五万へと減少しております。
 五ページは、工業集積地域活性化支援事業の内容とその実績でございます。
 平成十五年度は、一番下の合計欄にありますとおり、四千九百万余円の支援を行っております。
 六ページは、平成十五年度に支援を行いました八区市の主な実施事業の一覧でございます。
 七ページは、都内小売業商店数の推移でございます。
 昭和五十七年をピークに減少傾向にございます。
 八ページは、元気を出せ商店街事業の実績の推移でございます。
 平成十五年度は、一番下の注意書きにありますとおり、平成十四年度までの元気を出せ商店街事業外三事業を再構築し、新・元気を出せ商店街事業として、規模を拡大して実施いたしました。
 平成十五年度の欄にございますが、千七百七の商店街に対し、千九百六十件、十三億五千二百万余円を交付いたしております。
 九ページでございますが、小売店に占める大規模小売店舗の面積及び大型店の新設届け出件数、店舗面積、時間延長の状況でございます。
 (1)の平成十四年度における小売店に占める大規模小売店舗の面積は、一番下の合計欄にありますとおり、小売業売り場面積約一千七十万平方メートルのうち約四百八十三万平方メートルで、総売り場面積の四五%を占めております。
 一〇ページの(2)でございますが、平成十二年六月から平成十六年九月までの大型店の新設届け出件数、店舗面積及び時間延長の状況でございます。
 一番下の合計欄にありますとおり、約四年間で百三十二件の新設の届け出と五百六十二件の営業時間延長の届け出がありました。
 一一ページと一二ページは、平成六年度から平成十五年度までの十年間の中小企業制度融資の実績の推移でございます。
 一二ページの平成十五年度の融資実績でございますが、合計欄にありますとおり、約十六万五千件、一兆五千七百億余円となっております。なお、代位弁済の件数は、平成十四年度の一万七千件から約一万四千件へと、四年ぶりに減少に転じております。
 一三ページは、宿泊税の状況でございます。
 平成十五年度の宿泊税の収入状況は、(1)にありますとおり、十一億五千四百万円でございます。
 一四ページは、過去十年間の農林水産対策費の予算、決算の推移でございます。
 平成十五年度は、予算現額が百七十億八千万余円でございますが、三宅島で火山性ガスの発生が続き、工事の中断などにより、約三十四億円が翌年度に繰り越されております。
 一五ページは、都内遊休農地と耕作放棄地の面積及び分布についてでございます。
 耕作放棄地とは、過去一年間作付をせず、今後も耕作する意思のない土地を示すもので、表の総数欄にありますとおり、約二万八千アールの農地が耕作放棄地となっており、特に島しょ部において顕著になってございます。
 一六ページは、過去五年間の体験農園設置状況と補助額でございます。
 平成十五年度におきましては、練馬区と杉並区における百八十七区画の体験農園の整備に対し、約一千百七十万余円の補助金を支出してございます。
 一七ページは、過去三年間の若年者の雇用対策とその実績でございます。
 平成十五年度におきまして、(1)、職業ガイドセミナーを高校生や大学生を対象に三十回、(2)、若年者就業支援セミナーを、おおむね三十五歳以下の社会人を対象に三日間、(3)、若年者合同就職説明会を、新規学校卒業者等を対象に二日間実施しております。さらに、(4)、職業訓練におきましては、技術専門校において、約千二百名に対し職業訓練を実施いたしました。
 一八ページ、一九ページは、若年労働者の無業者、フリーター、派遣労働者の推移でございます。
 (1)、無業者数の推移では、平成十五年三月に都内の大学等を卒業した約三十八万人のうち、約五万人が進学や就職をしない無業者となっております。
 (2)、フリーター数の推移では、平成十三年の都の集計によると、都内には三十四万人のフリーターが存在しております。
 一九ページの(3)、派遣労働者数の推移では、その数は年々増加する傾向にあり、平成十四年度には、全国で二百十三万人が派遣労働者として雇用されております。
 二〇ページは、過去五年間の労政事務所における職員数、労働相談件数等の推移でございます。
 平成十五年度における労政事務所の全相談件数は、総計欄にありますとおり約五万件で、平成十一年度からほぼ横ばいで推移しております。
 なお、平成十六年度より、労政事務所は組織改編を行い、労働相談情報センターとして運営されております。
 二一ページは、東京都高年齢者就業相談所の箇所数、相談件数でございます。
 平成十五年度においては、都内九カ所の相談所において、一番下の合計欄にありますとおり、約八万件の就業相談を行いました。
 以上、大変雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○田中委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○いなば委員 私は、昨年の第三回定例会におきまして、いち早く、東京都の重点事業であります地域資源活用型産業活性化プロジェクトについて一般質問をしたところであります。
 それは、このプロジェクトが、地域にある資源を掘り起こして組み合わせ、活用して、地域の産業の活性化を図ろうという大変意義深い取り組みであったからであります。私は、地域を活性化するためには、その地域にある資源をうまく生かして、地域特性に応じた施策を展開することが必要だと考えておりました。
 昨年度、私の地元の板橋区は、お隣の北区と組んで、この取り組みに真っ先に手を挙げ、都と共同でプロジェクトを検討してきました。そして、医療、福祉分野では、事業所数、従業者数ともに都内最大の規模となるポテンシャルを生かして、将来的には、健康、福祉、医療関連産業の一大集積地となることを目指すということで、両区の頭文字をとった、北区、板橋区、KICCプロジェクト構想を本年三月に策定したところでもあります。
 今年度からは、地域が主体となってプロジェクトの推進に取り組んでいると聞いておりますけれども、全体としてどのように進めているのか、まず冒頭お伺いしたいと思います。

○三枝参事 KICCプロジェクトは、地域資源活用プロジェクト事業の第一弾であり、多方面のご協力のもと、構想を策定いたしました。策定した構想を推進するため、本年五月、板橋区と北区は、地域産業の活性化に熱意のある地元事業者を主体に、有識者及び研究機関等で構成するKICCプロジェクト推進委員会を立ち上げたところでございます。
 今後は、両区が共同の事務局となり、同委員会が策定した事業計画に基づき、個別プロジェクトの展開を図っていくこととしております。

○いなば委員 このKICCプロジェクト推進委員会を立ち上げられまして、それを支える事務局体制も整えられてきたと思います。
 この委員会は、プロジェクトの推進に当たりまして、具体的にはどのような役割を果たしていこうとしているのか、お尋ねしたいと思います。

○三枝参事 推進委員会は、KICCプロジェクトの目的を達成するために、事業計画を策定し、ワークショップなどの交流事業の実施や情報発信、事業推進にかかわる適切な助言などの実施により、プロジェクトの推進役を果たしていくこととなっております。

○いなば委員 このKICCプロジェクト構想には、仕組みづくりやものづくりなど、ソフト、ハードに着目したさまざまな個別プロジェクトが掲げられていますけれども、私はこのKICCプロジェクトの成果は、個別のプロジェクトの進展と申しましょうか、それもさることながら、健康、福祉関連施設、高度な技術力を持つ企業、長年にわたりました研究成果を保有する研究機関、そういうものが板橋区にはこんなにも集積しているのかという事実が広く伝えられまして、地域においても、それらの資源が幅広いネットワークを構築して、一体となって健康、福祉をキーワードとした地域の活性化に取り組もうとする機運が醸成されたことにあると考えています。
 今後も、地域が主体となってプロジェクトを推進していくことと思いますけれども、東京都として、このプロジェクトをどのように支援して地域産業の活性化につなげていこうとしているのかも、あわせてお伺いしたいと思います。

○三枝参事 東京都といたしまして、この地域資源活用プロジェクト事業は重要な施策と認識しております。KICCプロジェクトにつきましては、本事業の初めての取り組みでもあり、リーディングケースとなるよう、策定した構想の実現に向けて、可能な限りの支援をしてまいります。
 また、引き続き、この取り組みを他の地域に展開するなど、地域資源活用プロジェクト事業をさらに推進し、地域産業の活性化につなげてまいります。

○いなば委員 初めての試みですので、その試金石となりますように、ぜひ力強いご支援をお願いしたいと思います。
 続きまして、知的財産総合センターの設置と実績について伺いたいと思います。
 企業の競争力を強化していく上で、他社と差別化を図ることのできるような高い付加価値を持つ技術や製品の開発が極めて重要でありまして、知的財産制度の積極的な活用が今求められているところであると思います。
 そうした中で、東京都においては、重点事業の一つとして、東京の産業力強化のための戦略的支援策の中で知的財産活用への支援が掲げられていますけれども、それを受けて、平成十五年四月より、東京都知的財産活用本部の設置とともに、中小企業が知的財産に関して具体的な相談をする窓口として東京都知的財産総合センターが開設されました。
 大企業は、自社で知的財産部という形で組織や人材を持って、それにかかわるノウハウも保有しています。一方、中小企業の場合、せっかく独自のすばらしい技術を持っていても、特許等の知的財産を戦略的に活用するというところまでにはなかなか至っていない。また、知的財産の重要性についての認識が醸成されていない部分も多いのが実情であろうかと思っております。
 そこで伺いますけれども、昨年、東京都として、この中小企業の知的財産活用への支援策として、具体的にどのような取り組みを今日まで行ってきたのか、お答えをいただきたいと思います。

○塚田商工施策担当部長 平成十五年度には、東京都知的財産活用本部を設置いたしまして、中小企業の知的財産活用のための東京戦略をまとめ、施策の基本的な考え方や体系等を明らかにしたところでございます。
 事業の実施機関といたしましては、四月十八日に東京都知的財産総合センターを開設し、十五年度末までに二千八百件を超える来所によるご相談がございました。また、知的財産の普及啓発につきましては、シンポジウムを開催いたしましたほか、十四回に上る専門的なセミナーを開催いたしました。さらに、マニュアルや取り組み事例集の作成等にも取り組んできたところでございます。

○いなば委員 この問題に関しましても、私は昨年の第三回定例会で、中小企業における知的財産意識を定着させる普及啓発が極めて重要であって、単にシンポジウムを開催するといった、大勢の人を集めて話を聞くだけでは浸透に限界があるということで、よりきめ細かな普及啓発が必要ではないかと申し上げたところでもあります。
 今年度は、どのようにその普及啓発に取り組んできたのか、伺いたいと思います。

○塚田商工施策担当部長 平成十五年度は初年度でもございましたので、広く普及啓発を図ることに力を注ぎました。
 今年度は、ご指摘を踏まえまして、きめ細かな普及啓発を展開しております。例えばシンポジウムにつきましては、弁理士の活用方法など、テーマ別に分科会方式で開催をいたしました。
 また、特許の出願や技術動向の調査などに役立つ特許電子図書館の活用方法についての研修、いわゆるIPDL活用セミナーを積極的に実施しており、定員十名から二十名程度の小規模で、九月末までに二十三回実施をいたしたところでございます。

○いなば委員 中小企業が自社の知的財産を活用して競争していくためには、こうした地道な支援をおろそかにしてはならないと思います。引き続き、着実に取り組みを進めていただきたいと思います。
 また、知的財産総合センターは、中小企業の知的財産に関する駆け込み寺といってもいいような存在として頼りにされていると聞いております。さらに、他県や経済産業省、そして、国の知的財産戦略本部までもが視察に来ていて、具体的な相談状況や外国特許出願費用助成などの施策について尋ねられているとのことであります。
 経済のグローバル化が進む中で、海外への市場展開を進める中小企業においては、国内のみならず、海外も視野に入れた知財戦略に取り組む必要があります。しかしながら、外国での特許取得には非常に経費がかかるため、中小企業は国内でよい特許を取得できたとしても、資金的な事情から、外国特許取得まではなかなか手を出せない状況にあると聞いております。
 そうした意味で、東京都が実施している外国特許への出願費用助成は需要が多いわけですから、中小企業にとって心強い施策であると思いますけれども、昨年の外国の特許出願費用助成の実績と、今年度どのような工夫をしてきたのか、伺いたいと思います。

○塚田商工施策担当部長 外国特許出願費用助成につきましては、十五年度は百二十五件の応募に対しまして四十六件の助成を行いました。
 今年度は、こうした大きな要望にこたえますために、予算額をまず拡大いたしました。さらに、企業の出願の機会をふやすために、受け付けを年一回から年二回に拡大をいたしましたほか、実際の出願手続にかんがみ、年度を越えて複数年度にわたる助成が可能となるよう工夫をいたしたところでございます。

○いなば委員 この外国特許出願費用助成事業を通じて、世界に目を向けて意欲的に取り組もうとする中小企業をぜひとも応援していっていただきたいと思います。
 中小企業の支援の際に忘れてならない重要な視点は、一つはセーフティーネットであり、また一つは、第二、第三のソニーや本田になろうとする意欲ある中小企業を積極的に支援して、我が国経済を牽引し得るダイナモを創出していくことであると思います。
 我が国の経済を活性化、次のソニーや本田といった我が国を代表する企業群を創出するために、すぐれたものづくり産業を生み出す仕組み、すなわち中小企業の技術支援や販路開拓が重要であり、とりわけすぐれた技術は、知的財産という形での保護や活用の視点が必要不可欠であります。
 今後ともそうした視点を忘れることなく、さらに振興策を充実していただきたいと強く申し入れて、私の質問を終わりたいと思います。

○大津委員 千客万来の都市東京を目指しまして、幾つか質問をさせていただきます。
 日本から海外に行く観光客数の方が圧倒的に、来る旅行者より多いという現状ですけれども、そういう中で、最近マスコミでは、アジアの観光客が増加しているという話もありますが、実際、日本へ来る外国人旅行者数の現状について把握したいので伺います。

○高松観光部長 昨年でございますけれども、来日した外国人の旅行者数は、昨年、SARSとかイラク戦争がございまして、この影響を受けまして、一昨年よりも若干減少しております。これが五百二十一万人というふうな数字が出ております。
 しかしながら、今年度におきましては、今先生お話しになりましたように、回復基調にございまして、一月から八月まででございますけれども、中間ですけれども、四百十七万人程度、昨年に比べまして二四%の増となっているところでございます。
 アジアの観光客が確かにこの間ふえてございまして、この訪日外国人のうちのアジアの旅行客は全体の六割以上というふうに推定されております。また最近、特に経済活動が活発でありまして、アジアからの旅行者数は急増しているというふうに聞いております。
 ちなみに、昨年のデータでございますけれども、韓国からは百四十六万人、台湾からは七十九万人の方が日本を訪れているという現状でございます。

○大津委員 アジアの方々が急増しているということになりますと、例えば海外の旅行者をふやすためには、幾つかいろいろな方策があると思います。その一つとして、ビザの発給を緩和することも一つの方法として大切なことだとは思いますが、ビザの発給の現状というのはどのようになっているか、それに対して、都としては国に何か要望しているのか、それについて伺います。

○高松観光部長 お話のように、ビザにつきましては、いわば玄関、入り口のところの障壁でございますので、これは観光客をふやす、あるいは観光客がふえないというような、そういう旅行者の入り口のところでの大きな問題になっているというふうに考えております。
 ビザは相互免除取り決め国というのがございまして、これは現在、実は欧米を中心にいたしまして五十八カ国でございます。しかしながら、アジアでは、訪日外国人が多いと先ほど申しましたけれども、それにもかかわらず、そのほとんどの国が訪日する際にビザを必要としているという現状でございます。
 国は、韓国からの観光客に対しては、来年三月から開催されます愛知万博の期間中はビザを不要というふうな形にいたしました。
 また、中国に対しましては、本年九月一日から、修学旅行生に対しましてビザ免除になりました。さらに、団体観光につきましても、九月十五日から訪日ビザ発給対象地域を拡大しております。
 しかしながら、全体としては、まだまだアジアに対するビザ免除というのは行われていないというのが現状でございまして、都としても、これまでも国に対して、ビザの発給緩和措置を提案要求してきてございますけれども、引き続き一層の緩和を要求していく所存でございます。

○大津委員 引き続きそれをよろしくお願いします。
 それでは次に、東京にはたくさんの観光資源があります。そして、海外からの旅行者に関する、東京の観光情報の提供というテーマでお伺いいたします。
 例えば東京には、この間、民主党の方で、島しょ、島の視察に夏の期間に行ってまいりまして、そのとき、式根島の海などは本当にエメラルドグリーンで、底まで透けて、沖縄の海に負けないぐらいの海が、東京からわずかの時間で行けるということもいろいろとわかりました。
 そういった式根島や、あと多摩地区にも本当に大自然が生き残っていまして、そういった豊かな自然、そして、上野や浅草などには歴史や伝統が集積した、古きよきものを残した下町がたくさん--葛飾区にもあります。一方、六本木や渋谷、原宿などでは、海外でも有名なトレンドファッションやJポップといわれるコンサートなども盛んで、外国人や若者がたくさんいる、そういった地区もあります。
 そのように東京の中にはたくさんの観光資源が存在しているわけですけれども、それらを、旅行者をお迎えするに当たって、きめ細かな観光情報の提供や、また精神面でも温かなおもてなしといいますか、お客様を気持ちよく帰すという精神も大切になってまいります。
 そこで、局といたしまして、海外の旅行者に対する東京の観光情報の提供ではどんな取り組みを行っているのか、伺います。

○高松観光部長 都では、ご案内のように、都庁の第一庁舎あるいは羽田空港、京成上野駅、この三カ所に現在観光情報センターを設置いたしまして、そこでは、観光マップやガイドブックなどを配布するほか、外国語に長じた職員がおりまして、きめ細かな観光情報も提供させていただいております。
 また、ウェブサイト「東京の観光」というのをつくっておりまして、これは現在七言語、英語それから中国語、ハングル、スペイン語、イタリア語、ドイツ語等、七言語で、東京の魅力を海外に発信をしております。また、これに対しては、大変多くの外国語版へのアクセスもございます。
 引き続き、今年度は、都内を観光する旅行者がその観光情報を容易に手にすることができますように、区市町村あるいは宿泊施設等の協力を得まして、観光案内窓口を百カ所以上整備していき、どんなところでも外国人の方々が容易に東京の観光情報が入手できるような、そういう仕組みを今考えてございます。

○大津委員 それらの地道ないろいろな方法を用いながら、海外の旅行者を増加させていくということも必要な活動であります。
 ただ、例えば東京観光センターが、三カ所から今度百カ所にふえるという画期的なことがありましたように、そういった観光センターとか地道ないろんな方法以外に、もう少し大きなことで、例えばまちづくりプロジェクトのように、今のところ上野や臨海だけですけれども、それを東京都のいろいろな地域において拡大できるようにですとか、そういった地域が主体となった大きな観光まちづくりを抜本的に進めていくことも重要になってくると思います。
 東京都としましても、こうした取り組みをこれからも積極的に支援を行っていっていただきたい、大きな抜本的なものを行っていただきたいと思いますが、所見をお伺いいたします。

○保坂参事 観光まちづくりは、歴史、文化などの伝統を生かした、潤いのある美しい町並みの整備など、まち全体の魅力を高めることにより、住む人が訪れ、旅行者が何度でも訪れたくなるような、東京ならではのまちづくりの実現を目指すものでございます。そのためには、地域の住民が連携し、主体的な取り組みを行っていくことが重要であり、地域の中核として観光まちづくりを実践していく人材の育成が不可欠でございます。
 都では、こうした観光まちづくりの考え方を都内に広く普及する目的で、本年九月に観光まちづくりシンポジウムを開催したほか、十月より観光まちづくり東京プランナー塾を開講し、地域の中核として観光まちづくりを担う人材育成を行うなどの取り組みを行っております。観光まちづくり東京プランナー塾には、さまざまな地域から観光まちづくりに積極的に取り組もうとしている五十人を超える参加を得ております。
 今後、それぞれの地域における活動へのフォローを行っていくなど、観光まちづくりの取り組みへ向けた機運が都内各地で醸成され、地域が主体となった観光まちづくり事業が展開されるよう、各局とも連携をとりながら、引き続き適切な支援を行ってまいります。

○古館委員 それでは、私も何点かご質問します。
 最初に、昨年九月の経済・港湾委員会で我が党の丸茂委員が、水産業振興プラン中間のまとめについて、前のプランとの関係あるいは今回の本プランの位置づけについて質問しました。私も、総務委員会で島しょ関係などをやりながら関心を非常に高めてきておりまして、こうした中で、特に島しょの問題としての、食としての水産物の安全への対応なども踏まえた上で、水産業の育成が大変重要な課題である、このことも当時指摘をされておりました。
 その上で、その後、都は本年四月に水産業振興プラン(海編)を発表しましたけれども、これはどういうねらいを持っているのか、改めてお伺いしたいと思います。

○菊地農林水産部長 東京の水産業は、漁場環境の変化や乱獲による水産資源の減少と、輸入水産物の攻勢による魚価の低迷などを背景にいたしまして、漁業収益が激減し、漁業経営は大変な危機的状況にございます。
 今回のプランは、こうした東京の水産業が直面する危機の克服、低迷する水産業の振興のため、漁業資源の回復を図るとともに、漁業収益の拡大、漁業経営基盤の強化や食の安全・安心の確保など、新たな視点を加え策定したものでございます。

○古館委員 遅かったのか早かったのかというのは、私、余りこの辺の専門じゃないので、こういうことに力を入れて、かなり大きなプランとして確立をしつつあるということについては本当に歓迎したいし、これからも大いに努力をしてほしいと思っています。
 先ほど海の資源管理ということで、伊豆諸島周辺の漁場では、本当に地震とか噴火、それから、これをいただいたんですけれども、これは上の方が正常な海藻が茂っているという状況なんですけれども、下は丸坊主になって全く海藻がない。こういう海が伊豆諸島で今広がっているという状況があって、こういうことに対して、本当に担当局として全力を挙げていかなきゃいけないなと思っています。
 こういうふうに漁場が荒廃したり、しかも漁獲も長期的に減少している。話に聞くと、サメによる漁業被害というのも大変大きな被害を受けているということで、これも、この間も島の方に聞きましたら、漁業者の頭を悩ませている。
 これらに対して、どのような対応をこれまでされているのでしょうか。そして、これからしていくのでしょうか。

○菊地農林水産部長 東京の海における漁獲量の減少は、海水温や黒潮の変化、海藻が一斉に枯れる原因不明のいそ焼けといわれる現象などに大きく影響されており、また、サメなどによる漁業被害も増加しております。
 このため、都では、中長期的な視点から、漁場環境悪化の原因究明と漁場回復技術の開発に取り組むため、本年八月に、水産試験場を中心に、都立大、海洋大学等の協力を得ながら、産学公連携による東京都水産海洋研究推進プロジェクトチームを立ち上げ、活動を開始したところでございます。
 また、緊急の取り組みとして、このプロジェクトの中で、サメ対策への対応や三宅島の漁場回復、海藻の人工増殖などを進めていくところでございます。

○古館委員 例えばサザエとか、そういう場合でも、サザエが食べる海藻が海流でいなくなると、サザエ自体も一緒にいなくなっちゃうとか、本当にそういうことなんかも、どういうことでこういうふうに海流が流れるか、それから海藻がどうなのかとかというのは、それこそ今おっしゃいましたけれども、プロジェクトでそうした原因なども大いに究明をしながら同時に取り組んでいかなければならない。
 担当の方に聞いたら、これがうまくいったとして、どれぐらいの漁獲高になるんですかといったら、いや、現状維持が精いっぱいだと。だから、頑張ってやっても、本当に現状をどうするかというぐらいに、海の問題というのはすごく難しい問題なんだなということを、私も話を聞きながら感じたんです。
 それで、プランの策定は、低迷する水産業の振興を目的としている、このような答弁でございましたけれども、そのためには、流通だとか経営の面からも、さらに改善だとか拡充が必要だというふうに考えますけれども、この点についてはどのような対策をとろうとしているのでしょうか。

○菊地農林水産部長 東京の漁業経営の再生のためには、生産振興だけではなく、収益増のための販路拡大や漁業経営の改善が必要でございます。
 このため、東京都漁業協同組合連合会などが進めている東京水産物のブランド化や、本年九月に開始いたしましたIT販売などによる漁協経営基盤の強化、また生産拠点の集約化などの取り組みを支援しているところでございます。

○古館委員 例えば、この間、利島の方とお話しする機会があったんですけれども、あそこは今、伊勢エビがすごくとれるらしいんですね。ところが、伊勢エビというのは高いというのがはなからあるものだから、余り利島の人も伊勢エビに関心を示さないというか、初めから高いと。しかし、実際には伊勢エビがすごくとれるんだというような話がありまして、そんなものなんだと思っていましたけれども、今お話の中で、生産拠点の集約化ということが答弁にありましたので、生産拠点の集約化というのはどういう意味合いのことなのでしょうか。
 つまり、私なんか、どうしても集約化というと、ぴんときちゃう。リストラだとか、そういう形の集約化というふうに思っちゃうんですけれども、この点についてはどうなんですか。

○菊地農林水産部長 島によって事情は異なりますが、各島には規模の異なる複数の漁協があり、それぞれ貯氷、冷蔵、油の施設等が設置されてございます。最近の漁獲量や漁業者の減少に伴いまして、これら施設の運用コストなどが漁協経営を圧迫しております。このため、こうした施設のうち、拠点施設を漁業者の話し合いによって定め、集約化し、運用コストの削減を図るものでございます。
 なお、今後、漁獲量の増加がある場合には、こういうような施設を再度活用することも可能になります。

○古館委員 ぜひ漁業者の方と十分話し合いを進めながら、これら一つ一つが、それこそ漁業する者にとって喜びとなれるような、そういう方向で施策展開をしてほしい、このように思っております。
 このようなプランの実現のかぎを握っているのは、私は担い手の育成がとても重要だというように思っています。その一つは、子どもや孫たちにどう継承できるかということもあるんですけれども、都会の若者でも、島で漁師になりたい、このように希望を持つ人というのは多いはずだと思っています。
 こうした人を島に受け入れる、そのために、現在どのような工夫、あるいはそうした施策展開をしているのでしょうか。その点についてお伺いしたいと思います。

○菊地農林水産部長 漁業経営が非常に危機的な状況にある中では、新たな雇用確保というのは難しい課題でございますが、後継者育成のため、漁業協同組合と連携して、就業希望者の受け入れ先の掘り起こしや、就業希望者に対する現地の就業環境等の情報提供を行っています。
 また、国や町村と協力し、研修の実施、漁業者用住宅を確保するなど、後継者の確保、育成に取り組んでいるところでございます。

○古館委員 それでもなかなか、よしという部分というのは、いたとして--島って本当にきついですよね。私もこの間、船で三宅の調査に行ったけれども、夜なんか波が高くて、私はどうも漁師にはなれないなと思いながら実感したんですけれども、でも、これはやっぱりすごく大事なことだと思っているんです。
 考えてみますと、東京というよりも、逆に二百海里の問題でいうと、ここの伊豆諸島の海でとれる漁獲というのは、将来の日本の中でも極めて大きな比重を占めるんだというふうに、私なんかはすごく思い始めてきている。今こんなことをいって申しわけないんだけれども、そういう点でも本当に頑張ってほしいな、このように思っています。
 ここまで、主に私は伊豆諸島のことを尋ねてきたんですけれども、実は、昔から江戸前というふうに呼ばれる東京湾も、多くの都民にとって親しみがあります。私、きのう、羽田沖の空港拡張問題で質問したんですけれども、そのこともあるんですが、その東京湾でのさまざまな工事、これらによる河口域での内湾漁業への影響について調査検討が必要だというふうに、前のとき、丸茂さんも質問しているんですが、昨年九月に、この問題に対して農林水産部長が適宜適切に対応していくと答弁していますけれども、この問題、私は羽田の空港の拡張もあわせて非常に心配があります。
 具体的には、この適宜適切というのはどのように対応されているのでしょうか。

○菊地農林水産部長 東京湾における漁場環境につきましては、水産試験場が昭和四十年代後半から水質や魚などの生息調査を行ってきており、調査結果を、東京湾再生のため関係機関にも提供しているところでございます。
 また、水産資源の回復や水質浄化の試みとして、平成十四年、十五年の両年にわたり、港区と共同でアサリの放流試験を行ってまいりました。
 さらに、本年度からは、今回の東京都水産海洋研究推進プロジェクトチームの中で、魚の産卵場やえさ場となり、水質浄化機能を持つアマモの人工移植試験に取り組んでいます。

○古館委員 今のはとても大事なところなんですよ。あそこの海が荒れていくということになると、あそこは多摩川だとかいろんな川が流れていくわけで、そこが健全であれば、川にすむ魚だとか植物だとかというのも健全になっていく、そういう連鎖反応というのがあると思うんですね。
 ですから、そういう点では、江戸前と呼ばれている東京湾でのこうした漁業を含めた自然体系ということに対しても、私はぜひ経済局としても注視してもらいたいなと思っています。必要であれば、ちゃんと都市整備局に対して物をいうとか、そういうことが必要だというふうに思っていますので、その点をぜひ意見として述べておきたいと思います。
 それでは次に、先ほど質問がありまして、地域資源活用プロジェクトということでKICCプロジェクトということについて、私もご質問したいと思います。これが取り上げられるというのは、私、とてもいいことだと。これはもっともっと大事にしてほしいなと思いつつ、質問させてもらいたいと思っています。
 私は、都議会に送っていただいて、二度ほど都立産業技術研究所に視察に行きました。そういう中で、都立産業技術研究所がさまざまな形で研究されているという成果を実体験しました。
 同時に私は、板橋に都の老人総合研究所というところがあって、そこと老人医療センターがタイアップしながら、全国にも誇る、世界にも誇る医療水準があり、研究機関もあるということで、いつも誇りに思いながら、都議会でも取り上げてまいりました。
 都立の産業技術研究所、ここのノウハウを地域のものづくりに生かせないかということを、私は一般質問でも具体的に提案しました。それから、都の総合研究所の成果についても、これは老人医療センターと同時に、引き続き都として大事にしていく必要があるんだということも、何度も質問させていただいたところであります。
 それに対して、局が本当に--これは私、提案したんじゃないんです。局の皆さんの知恵だと思うんですけれども、その都立産業技術研究所と老人総合研究所をセットにして、しかも地域の傾向というのが、医療だとか保健、健康とかいう、薬を研究しているところもありましたり、あるいは健康機器を開発しているところもあったり、そういうところに着眼して、それを具体的にKICCプロジェクトということで育ててきたということは、これは私は皆さん方の知恵の結晶だと思っているところであります。
 その立場から幾つか質問したいと思っていますけれども、このKICCプロジェクト構想というものには、幾つか個別プロジェクトが掲げられておりますけれども、この個別プロジェクトを含めて、現在の進捗状況についてはいかがでしょうか。

○三枝参事 KICCプロジェクト構想には十の個別プロジェクトがあり、順次進行しております。
 例えば、仕組みづくりの一つである医療・福祉機器デザイン・イン・ネットワークを構築するプロジェクトでは、現在、参加企業のデータベース化を進めており、ホームページを立ち上げて情報を発信し、参加企業、プロジェクト提案を募集中でございます。
 また、ものづくりでは、寝たきりの人が排尿した際の自動処理に安否確認機能を加えた排泄処理等の機器の実用化を進め、製品が完成しつつあるところでございます。

○古館委員 今いわれましたけれども、実に十のプロジェクトを立ち上げて、まだ手についていないのが三つあるんですけれども、七つはそれぞれ何らかの形で動きつつある。
 例えば北・板橋のウェルネスネットという、先ほどちょっとご紹介があったんですけれども、これなんかは、ついこの間終わった板橋の区民まつりにも参加して会員さんを募集するとか、本当に頑張っているなという姿が、私たちが見ていてもよくわかるような状況に今なってきております。
 本当に私もうれしく思っているんですけれども、このように取り組みが進んでいるようですけれども、このように進展した要因というのは何でしょうか。

○三枝参事 その点につきましては、板橋区、北区に存在する豊富な健康、福祉、医療関連資源と高い技術力がプロジェクトのテーマとマッチしたこと、昨今の不況下において、地域産業の衰退を何とかしたいという地元の熱意があったことだと考えております。

○古館委員 ありがとうございます。
 それと同時に、私は、このKICCプロジェクトというのが立ち上がったときにも、担当課長さんに来ていただいて、いろいろ説明を受けました。そこの情熱というのはすごく、北、板橋の担当、特に板橋--私は板橋ですので、北区のことは余りよくわかりませんけれども、担当の課長さんはこのようにいっていました。都の担当の課長さん以下、三人で頑張っているんですけれども、その人たちがいなかったら、今のようにならなかったというふうにいっております。どうしてかというと、そういう人たちが知恵を一生懸命出してくれると。それに動かされて、板橋でも頑張ろうということでやってきた。
 その中で、何が東京都として大事なものがあったんですかと課長さんに聞いたら、つまり予算は一千万なんですね。一千万のあれで十のプロジェクトをやって、七つまで今何らかの形で手をつけてきているわけですね。それで、何がこういうふうになってきた要因ですかと聞いたら、板橋の担当課長は、一つは、東京都の皆さんの持っているノウハウだといっていましたね。
 つまり、板橋なら板橋ではとても育てられないようなノウハウというのがやっぱり東京にはある。そういうことをいろんな形で出してきてくれるというのが、板橋でこういうことを動かしてくれたという動機になっているということを一ついったんですね。
 もう一つは何かというと、縦割りじゃなくて、必要だったら、横のところにも協力を惜しまないで頑張ってくれていると、担当者が。どういうことかというと、例えば医療というと、福祉とか保健だとか、そういう部分のノウハウが必要なわけですね。そうすると、遺憾なくそういうところに行って、そういう知恵を出してもらう。このことは板橋でやろうと思ってもできないことなんですね。
 だから、そういう少ない予算規模の中でも、こういうことがなぜ発展していったかというと、やっぱりそこの努力と同時に、東京都の持っている全体の力なんだということを、私は、このKICCプロジェクトのかかわりをずっと注視しながら感じたところでございます。
 今年度の地域の資源を活用する手法というのが今どのように広がっているか、これもちょっとお聞かせいただきたいと思います。

○三枝参事 本年度も、この地域資源活用プロジェクト事業を東京都の重点事業として実施しております。
 現在、他の地域から提案を受けまして、検討委員会を立ち上げ、テーマの設定、資源調査など、プロジェクト構想の策定に向けた検討を行っているところでございます。

○古館委員 私は、これを本当に、今、板橋の担当課長がそのようにくしくもいわれましたけれども、予算の問題も当然ですけれども、ただ、そういうノウハウだとか、いろんな東京都の持っている知恵を出してくれると、元気出して、こういうこともやろう、ああいうこともやろうというふうに波及していく、ここのところがとても大事だと思っています。ただ、そのように今、拡充をしていこうということになっているわけで、改めてこの問題については体制の拡充を強く求めておきたいと思います。この点は、ぜひ局長さん、よろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、総務委員会で各監理団体の報告というのがあります。その中でちょっと気になった点がありますので、この点についてお尋ねをしたいと思います。
 それは、この局にかかわる監理団体でありまして、東京都が出資している法人の経営状況等説明書というのがありますが、これによると、株式会社東京ビッグサイト、この中で、債務超過の状態にある二つの会社に対する状況なんですが、貸倒引当金を特別損失として計上したとあります。
 結構、これは懸念があるということも書かれていまして、この債務超過の状態にある二社というのはどこのことでしょうか。

○佐藤参事 お尋ねの二社は、東京ファッションタウン株式会社と株式会社タイム二十四でございます。

○古館委員 タイム二十四とファッションタウンですね。この二社の債務超過額はそれぞれ幾らでしょうか。

○佐藤参事 平成十五年度末時点の債務超過額でございますが、東京ファッションタウン株式会社につきましては約百五億円、株式会社タイム二十四につきましては約百三十一億円となっております。

○古館委員 この問題では、総務局の総務委員会に配られたものでは、当社--当社というのはこのビッグサイトですね。当社債権のうち、債務超過の状態にある二社に対する差し入れ保証金及び敷金について、これを破綻懸念先に準ずる債権とみなし云々というふうに書かれていて、結局、ビッグサイト側も、この二社に対しては、やっぱり破綻懸念先に準ずる債権だというふうに見ているんですね。
 このような状況にある二社については、私は、やっぱりどこかできちんとけりをつけるという必要があるんじゃないかと思うんですが、この点はいかがでしょうか。

○佐藤参事 東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四は、平成十二年二月に関係金融機関とともに策定した経営改善策に基づき、経営改善が図られているところです。
 今後とも、一層の経営改善を図っていくことが必要であると考えております。

○古館委員 一層の経営改善といいますけれども、経営改善というのは少しずつマイナスが減っていくということなんですけれども、ほとんど変わっていないわけで、ずっと推移してきている。
 この問題については、確かに東京都だけが出資しているわけではなくて、東京都の出資というのは--タイム二十四も特殊会社ですが、これが三二・二一%ですか、持ち株が。東京都も一六・一〇ですか。あとはいろんな銀行だとか株式会社が入っているわけですね。だから、一様にそういうふうにはいかないと思いますけれども、どこかでこれはけじめをつけるべきだということだけ申し述べて、質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○藤田委員 私も何点か質問させていただきます。
 東京の企業ということでは、九五%あるいは九九%が中小企業であるというようにいわれておりますけれども、まさに産業労働局のメーンテーマである中小企業支援でございますが、景気が上向いているように聞いておりますけれども、中小企業の経営状況についてどのようになっているかをまずお伺いをいたします。

○塚田商工施策担当部長 十月十四日に内閣府が発表いたしました月例経済報告によりますと、景気は堅調に回復しているとしております。
 また、東京都が毎月調査をしております東京都中小企業の景況によりますと、都内中小企業の業況は、本年五月以降、横ばい、または停滞ぎみで推移し、八月、九月の二カ月連続して、わずかであるが減少いたしましたものの、対前年比では改善をしております。

○藤田委員 先般の九月の委員会でも、石油の状況やら戦争の状況やらいろいろあるので、実際には、すべて不良債権の処理が終わっていたり、リストラが終わっていたりというようなところでありますけれども、なかなか危険条件も多いのだというようなお話をさせていただいたわけであります。
 中小企業といっても、もちろんいろいろな規模がありまして、普通は、借りられるところはまず銀行からお金を借りたり、あるいは地域の信用金庫、信用組合から借りる。それから、東京都の制度融資を使うなどで資金調達をするわけであります。現在、都市銀行でも、要するに、お金は集まるけれども、それをどれだけ貸せるかということが問題になってきて、かなり今では、どうだろうか、借りてくれないかというような状況があるようであります。
 また、中小企業の融資の強化を銀行がいろいろ図ってきているという状況にもありますし、それから、この東京でも、みずほの銀行を承認したときには、中小企業に対しての融資をしっかりとするようにというような、そんな付帯決議もつけた記憶がありますが、現在では、貸し渋り、貸しはがしという状況についてはどのようになっておりますでしょうか。

○中井金融部長 中小企業の資金繰りの状況についてでございますが、本年四月に都が実施した事業資金の調達等に関する調査によれば、借り入れや返済に対する金融機関の姿勢について、厳しいとする中小企業の割合が一八・五%、緩やかとする中小企業の割合が三一・八%となっており、平成九年の調査開始以来、厳しいとする割合は最も低い数値を示しております。
 また、貸し渋り、貸しはがしの状況につきましても、平成十四年十月に金融庁が設置した貸し渋り・貸し剥がしホットラインの情報受け付け件数が、十四年十月から十五年三月までの半年間で六百二十八件であったものが、十五年度の同時期には二百七十三件へ大きく減少しております。
 これらのことから、中小企業の資金繰りは、全体的に見れば好転していると考えております。

○藤田委員 中小企業に対する制度融資は、ここ一、二年は大変いろいろなメニュー、借りかえの融資など、新たなメニューを設けて拡充を図っているわけであります。
 次から次へとパンフレットが出てくるような状況でございましたけれども、これらの利用実態についてはどんなふうになっておりますでしょうか。

○中井金融部長 制度融資における新たな融資メニューの実態でございます。
 平成十四年十月に、借りかえ融資とクイック融資を創設いたしました。これは、中小企業の月々の返済負担の軽減を図ることと、小口の資金ニーズにスピーディーに対応することにより、中小企業の資金繰りを改善することを目的としております。
 本年三月末までの融資実績は、借りかえ融資が約四千件で六百五十四億円、クイック融資が約二万六千件で九百八十八億円となっており、中小企業の資金ニーズに十分こたえる結果となっております。

○藤田委員 今まででありますと、この制度融資が常に、利率も含めて実際には一番安かったというわけでありますけれども、今、銀行も、先ほどお話ししたように、かなりいろいろなメニューで中小企業支援を打ち出しているわけであります。そして、もちろんそこの中小企業の実績にもよりましょうけれども、一%台でお金を貸すというような状況にもなっているというふうに聞いています。
 そういうことから考えますと、利率を含めて、常に制度は利用ニーズに合うように見直しをしていかなければいけない。先ほどお話がありましたように、借りかえやクイックというのは、おつくりになったときは、もうこれが最後の、どこにも負けないすばらしい制度だというふうに自慢をなさりながら説明をしていただきましたけれども、常に、こういう利用ニーズ、見直しをしていかなければいけないというふうに思っておりますけれども、いかがでしょうか。

○中井金融部長 制度融資については、これまでも経済、金融情勢の変化等を踏まえながら、利用者ニーズに合致した見直しを逐次行ってきており、今年度においても、融資メニューの統合や、借り入れ期間に応じた金利を導入するなど、利用者にとってより使いやすい制度に見直しを行ったところでございます。
 さらに、今回、年末を控えて資金需要の高まる中小企業を支援するため、経営支援融資の融資対象要件の緩和、クイック融資の融資限度額引き上げ、CLO参加企業に対するつなぎ融資の創設などの年末年始特別対策を実施することといたしました。
 今後も、利用者のニーズや中小企業金融の動向を踏まえて、必要な制度の見直しを適切に行ってまいります。

○藤田委員 これを産業労働局に聞く質問かどうかは迷ったのではありますけれども、こういうクイックだとか借りかえなんていうのをいろいろとなさっているときに、ちょうど新銀行の提案があって、今の銀行では、貸しはがし、貸し渋りを初めとして非常に問題があるんだ、だから新銀行をつくるんだというようなお話の中で始まったというふうに思っています。とにかく中小企業対策として銘打っているわけでありまして、いろいろなメニューがあればいいと思いますけれども、この制度融資で足りない部分、どういうふうにこれを補足していくかということで政策的につくられたものだというふうに思っています。
 この銀行は、どの部分--今お話がありましたように、かなり中小企業のニーズに合っている、資金の実績が大変上がっているんだ、十分こたえた結果となっているというふうにおっしゃいましたけれども、この新銀行はどのような部分を補完するものかというふうに聞いていらっしゃるかをお答えいただきたいと思います。

○中井金融部長 新銀行東京の役割については、既に公表されている新銀行マスタープランによれば、ポートフォリオ型融資を中心に、既存金融機関が十分提供できていない、比較的リスクの高い分野への資金供給を行うものと理解しております。
 一方、制度融資は、零細企業も含めた多くの中小企業が安価な信用保証料で保証を受けられる仕組みとしているため、対応可能な融資案件のリスクは、おのずと一定の範囲に限定されることになります。
 したがいまして、こうした制度融資と新銀行のそれぞれの機能が相補うことによって、中小企業の資金需要に、より幅広くこたえていくことが可能になると考えております。

○藤田委員 もちろんマスタープランではそういうふうに書いてあるわけでございますので、その範囲の中でやってくれるんだろうというふうには思うわけでありますけれども、今お話のあったようなリスクの高い分野への資金供給ということになりますと、実際に、もちろん制度融資と融資とは違うんだということなんですけれども、どのくらいのリスクを見込んでというようなことになりますと、目ききの話やら、あるいは一般の銀行でできる部分じゃないかしらというような思いもありまして、なかなかこの役割分担が難しいのかなというふうにも思っているところなわけです。
 制度融資は、この資料にも出していただきましたけれども、代位弁済、実際には十五年は大分減ってきている。これは、まさに少し景気が上向いているからというようなお話もありましたけれども、実際には中小企業というのは、こういういい方をしてどうかわかりませんが、ある意味では雇用支援というような一面も、この制度融資にはあるというふうに思っています。
 しかし、一般都民からすれば、極力、代位弁済が発生しないように努めるべきだというふうに私は思っているわけでありますけれども、ここのところではどんな状況になっているかをお伺いいたしたいと思います。

○中井金融部長 制度融資については、信用保証補助審査会による審査を年三回、外部の委員の方も交えて開かせていただいております。また、保証協会に対する都の検査を実務担当者が行い、個々の案件も含めて適正な運営が図れるよう、常にチェックをしてまいっております。
 その一方で、昨今の民間金融機関の取り組みを見ますと、スコアリングモデルを活用して企業の財務内容を客観的に把握する審査の普及などが行われ、また、従来の担保主義から脱却したさまざまな無担保ローンの登場など、中小企業への融資のあり方も変化の兆しが見られているところでございまして、こうした中では、企業の持つリスクを適正に評価することがますます重要となっております。
 先生もご指摘のとおり、そういった意味では、中小企業自身の方にも、経営の透明性を高め、リスク評価にたえられる体質改善が今後さらに必要になるかと考えております。
 今後とも、こうした点を踏まえながら、制度融資を含めた金融施策の改善を図ってまいりたいと思います。

○藤田委員 中小企業のいわゆる帳簿の管理とかといいますと、片方でやり直しができる制度でなければいけないということで、この方がこけたら家族も全部だめだ、もう一回チャンスが訪れることはないというような、そんな状況にまでなってしまうのが、よく中小企業の状況というふうにいわれるわけであります。
 そうしますと、例えば、それこそ光熱費から何から、全部それも一緒くたというような中で、なかなか帳簿もきちっとしたものがないというような状況もあるというふうにも聞きますので、その辺もぜひ、片方で事業をするに当たって、融資をするときに、きちっとした提案ができるような指導と同時に、やはりその財務内容といいますか、帳簿の内容というようなこともきちっと指導をしていただけるような、そういう状況になって初めて透明性というものが出てくるんだと思いますので、ぜひその辺をよろしくお願いをしたいというふうに思います。
 それから、もう十年ほど前になりますけれども、中小企業の起業支援というのにお金がついておりました。これは、のれん分けというものにしか融資をされませんでしたが、その中で、いわゆるスモールビジネスをやろうとしている女性たちが、そのときは多分、廃油の石けん工場をつくりたいというような、そんなことが最初だったかと思いますけれども、一千万円までの無担保融資を実現したということがありました。その後、コスモの問題が起きまして、信用組合を私たちは市民バンクとして育てたいという思いがありましたので、このときにも、いろいろ問題がありながらも、コスモの問題を了としたわけなんです。
 もちろん、小さなビジネスには、都市銀行は全く見向きをしないわけであります。しかし、今、地域にあっては、小さな公共サービス、結構いろんなところでNPOが担うような状況になっています。移送サービスもしかりですし、グループホームなんかも始めていますし、それから宅配の給食サービスも進めているというような状況になっています。
 ただ、そういっても--それぞれの市区町村で立ち上げ資金としてのNPOへの資金はあるんです。実は、それが終わってしまうと事業が本当に厳しくなって、全部ボランタリーでやるしかないような状況になって、なかなかそこがうまくいかない。いわゆるベンチャーなどと違って、追加融資というのはされないという状況にあります。
 法律の問題もあるかと思うんですけれども、今後、中小企業と同様に、NPOにも追加融資などできないか。できるようにしてほしいというふうにも、もちろん思うわけでありますけれども、これは国にぜひ働きかけをしていただきたいというふうに思っているわけですが、その辺についてどのようにお考えになりましょうか。
 そして、これからますます東京では、特にそういうNPOの大きな動きがあるわけでありますので、ぜひここについても支援ということをお願いをしたいと思っていますが、じゃ、ここで局長の話を伺いたいと思います。

○関谷産業労働局長 NPOに対する資金供給というお話でございますけれども、委員もご承知のとおり、現在の制度融資の体系の中では非常に難しい課題であるというふうに考えております。
 ただ、現在の新銀行のマスタープランでいきますと、新銀行も、基本的には現在は中小企業をお客様の対象とするということになっておりますので、委員のご希望のNPOということについては、現時点で明確な視野に入っていないことは事実でございます。
 ただ、一方で、NPOの活動もだんだん、NPO自体は利益を目的とした団体ではございませんけれども、いろいろな点で経済活動の中に組み込まれて、また一翼を担ってきているということは事実でございますので、今後、その可能性等も含めて十分検討させていただきたいと思っております。

○藤田委員 ぜひよろしくお願いをいたしたいと思います。
 勝手にNPOを立ち上げるわけではなくて、やはり地域の中で本当に必要だと思うニーズが生まれてきて、初めてそういうことをやろうというふうになるわけですから、それは資金繰りも何も全部考えてやるんですけれども、なかなか厳しい、そういう状況だということをご理解いただきたいと思います。
 それから、これは十五年の話ではないので、一つだけ要望だけさせていただきたいというふうに思っています。
 先般、いよいよしごとセンターができたということで、見学をさせていただきに行きました。一階、二階は高齢者、中高年というようなことで、これは当たり前の状況だったというふうに思います。もちろん、そこには民間のノウハウをということで、委託もしながら、実に対応がすばらしかったなんていうのがありました。
 問題は、三階の部分で、いわゆる若者フロアです。ここの中にも若者の雇用というようなことが書いてありましたし、それから、さきの定例会の中では、知事もようやくニートというような話もなさったわけでありますけれども、ジョブカフェというふうに看板があるんですけれども、何をやっているのかが全然見えないというような状況だというふうに私は思いました。
 このジョブカフェ、あるいはSOHOというようなところでは、実に横浜のヤングジョブスポットとか、あとはSOHOしずおかでしょうか、その中で実際には、みんなが何をここの場でやろうかというふうにいろいろ考えたけれども、結局、何か手を差し伸べるというのはどういうことかといったら、場づくりだけだったということがSOHOしずおかなどでもいわれていた。要するに、みんなが寄ってくれて、異業種の方々も、実際にやっている方も来てくれる、それによって経験を話してくれる。そして、こんなことがやりたいんだという人もみんな寄る。そういうようなことで情報の交換の場になると、それが広がっていく、そういうことで非常ににぎわいを見せているということがいわれていました。
 今、実際には始まったばかりということで、まだまだ新しいことはなかなか難しいかとも思いますけれども、ある意味で成功しているところをぜひ参考にして、そして若者が本当に寄って、その体験をしながら、いろんな人の話を聞きながら、自分の考えを述べながらということができる、そういう交差点のようなところをつくっていただきたいというふうに思います。
 それからもう一点は、私はこれはずっと教育庁にいっているのですけれども、中学校の時代に一日--実は都立高校、所管をしているので、都立高校では一日の職業実習というのがあるのです、教育庁で。ところが、一日だったら、絶対お客さんでしかなくて、何も得るところがない。坂さん、うなずいていらっしゃいましたが、坂さんはずっと教育庁にいらしたから、まさにご存じなんだと思いますけれども、私はせめて一週間やってほしい。あるいは、本来だったら二週間、地域の中でいいですから、先生方が労をとって、そこでぜひ参加をさせてください。
 それから、中学生だったら、地域の商店街でもいいです。商店街で売り子でも、そこのところをちゃんと任せれば、お母さんたちはそのところへ買い物へ行きます。スーパーマーケットへ行かないで、その個人のお店へ行くはずです。そんなことをいろいろ提案させていただいたんですが、なかなかそういうふうになりません。
 大変なのはよくわかります。そこをつなぐというのは大変ですし、それから、企業の側もそれを受け入れるというのは物すごく大変です。しかし、やはりいろいろなところで仕事を体験をしていくということがないと、今のように目標がなかなか持てない子どもたちにとって、職業というものについて、そこで糧を得る、生きていくということがなかなか実感できない。そんなふうに思いますので、ぜひこれは産業労働局の側からも、連携をして教育庁と一緒に、何とかこの仕事をちゃんと生きていく糧なんだということがわかるような、そんな施策も含めてお願いをしたいというふうに思います。
 以上で終わります。

○鈴木委員 石原知事は、観光というものを産業としてとらえて、非常に先駆的にさまざまな事業を展開していると思います。東京都でも、その石原知事の考えというものをさまざまな形にあらわしているわけですけれども、観光まちづくり、シティーセールス、観光資源の開発等々、ただいまも話がございましたけれども、積極的に世界各国から東京にお客様をお迎えしよう、こういうような施策を展開しているわけであります。
 先ほどの答弁の中にも、平成十五年度は五百二十一万人の海外のお客様が日本を訪れた。いろいろあったけれども、現時点では回復基調にある、こんなような話でございました。
 いろいろと産業施策としては、特に都市型観光資源の調査研究でカジノの研究というようなことで、紳士淑女、大人の娯楽ということで、東京の新しい観光資源を開発、創造していこうじゃないかということもやっております。また、観光産業の振興ということで、二十五億五千八百万円の予算を組みまして施策を行ってきたわけですが、先ほども、こういうような積極的に展開をしている施策の実施状況についてお話がございました。
 その辺の内容と、それから、これだけ知事も力を入れている施策ですが、執行率は七四・七%。もうちょっと頑張ってほしいなと、私、個人的にはそんなような思いもあるんですが、その辺のところ、実施状況等含めて、この執行率を見てどのように評価されているのか、まず伺いたいと思います。

○高松観光部長 東京都の観光産業施策の実施状況についてお答えを申し上げたいと思います。
 ご案内のように、東京都は、平成十三年十一月に東京都観光産業振興プランを策定いたしまして、東京を訪れる外国人旅行客を二百七十七万人から六百万人に倍増するという目標を掲げまして、国に先駆けまして、千客万来の世界都市東京を目指しまして、観光産業振興に積極的に取り組んでまいったところでございます。
 この観光産業振興施策は、このプランに基づきまして三つの施策体系で実施をさせていただいております。
 まず第一には、東京の魅力を世界に発信するということで、例えばウェブサイト「東京の観光」による情報発信であるとか、あるいは、現在行っておりますけれども、海外シティープロモーション、あるいはアジアに対してウエルカム・アジアキャンペーンなどの事業を実施させていただいております。
 第二に、観光資源の開発ということで、例えば多摩、島しょの自然と調和した観光振興、あるいは現在、一生懸命頑張っております観光まちづくりの事業、これらを実施させていただいております。
 また、第三には、受け入れ体制の整備ということで、観光ガイドブックやマップの作成、配布、あるいは観光案内標識の整備、先ほどの議論にもありましたけれども、観光情報センターの運営、あるいは観光ボランティアの活用などの事業を実施させていただいております。
 今、先生からご指摘がありましたように、平成十五年度の決算では二十五億五千八百万円に対しまして、決算額十九億一千二百万円、七四・七%の執行率でございました。この主な理由は二つあると考えております。
 ベースにありますのは、一つは、先ほど申しましたけれども、SARSとイラク戦争、そういうことで、観光等に外から来られる観光客が減少してきたというような状況を踏まえまして、私どもは、この事業の大きなところは業者に委託をして仕事をやっていただいている部分が相当多いわけでございますけれども、その委託契約など、厳しい業者間の競争で落札差金が相当出たということが一つあるというふうに分析をしております。
 もう一つは、宿泊業者さんにいろいろな補助事業をしていただいております。補助を出しまして、宿泊業者さんに仕事をしていただいている部分がございます。
 それは、例えばおもてなしの心を醸成するために、各観光ホテルあるいは観光旅館の組合さんにお願いをして仕事をしていただいている、あるいはそういう研修会とか、あるいはいろいろな配布物をつくるとか、そういう仕事もしていただいておりますけれども、これも事業が非常に縮小してくる段階で、効率的、効果的に仕事をしなければならぬということで、これは私どもと一緒にプランを練りまして、その辺のところは、実は大幅に削り出させていただいて、効率的、効果的に事業を執行するような仕組みで実施をさせていただいておりましたので、補助事業費が相当減額になったということが原因となっております。
 十六年度につきましては、もう少し執行率が上がりますように、積極的に前向きに事業ができるように、私どもも今、一生懸命頑張っております。よろしくお願いします。

○鈴木委員 補助事業を非常に効果的にできたということで、非常に効率的にいった部分が、執行率が若干下がっているというようなご説明でございましたけれども、非常に効果を上げている部分が、またほかの事業に新たに展開をしていけるように、さまざまな次の予算に結びつけることができるような意味でも、ぜひこれからの質問をしていきたいと思っているわけでございます。
 ただいまもお話がありましたように、海外の旅行者にとっては、私たちの住む東京というのは、どちらかというと世界でも最先端の都市であって、大都市とか工業都市とかというイメージが非常に強いんじゃないかと思うんですね。ですから、どうも東京を訪れたお客さんがそのまま古都京都や奈良に行ってしまうとか、東京の隣の鎌倉に行ってしまうとか、鎌倉に行くお客さんも東京のお客さんとして抱え込んでいくような部分というのもどんどん必要なことだと思います。
 こういったように、東京の魅力には、歴史、伝統、文化、あるいは東京都の指定伝統工芸品四十品目に代表されるような、さまざまなすばらしい東京ならではの産業があるわけでございまして、国際的なコンサートや演劇なども、東京でなければ見られないというものも多いわけです。今申し上げたような、裏通りの町並みに行くと、そういう工芸品も東京ならではの物がある。そして、我が大田区にも、世界に冠たるいろいろなものづくり、先進的なものづくりという局面もあるわけでございます。
 私は、こういう東京のものづくりというもの、中小企業のものづくりを、もっともっと観光資源としてこれから活用していくべきではないかというふうに考えているんですが、こうした幅広い東京の魅力を海外に積極的に伝えていくべきだ、こういうふうに考えております。この点、東京都はどのように考えているか、また施策を展開しているか、お伺いしたいと思います。

○高松観光部長 先生ご指摘のように、東京の魅力は、多くの人を引きつける観光スポットが、東京といういわば狭い場所にさまざまな形でたくさんあるということだというふうに考えてございます。さまざまな魅力を一度に味わえる都市、これが東京だろうというふうに思っております。
 都は、この多様な観光情報を幅広く世界の人々に伝えるために、先ほどちょっと申し上げましたように、「東京の観光」というウェブサイトを設けまして、ここでは、さまざまなイベント情報、あるいは東京の自然なども含めまして、幅広い観光情報を、日本語、英語、中国語、ハングル、ドイツ、イタリア、スペインなどという七言語で情報発信をしております。これには現在、国内外から月百万件を超えるアクセスがございまして、そのうち外国語版へのアクセス数は、何と全体の四割を占めているというような状況でございます。
 一方、こうした東京の多様な魅力を世界に今度は直接伝えるために、平成十四年度からシティーセールスを実施しておりまして、伝統、文化から最先端の観光スポットに至るまで、ここで世界の方々に直接お話をしている。今年度は、特にものづくり産業を魅力的な東京の観光資源というふうにとらえまして、ヨーロッパに現在ミッションを派遣しているところであります。
 今後も、このような多様な魅力を伝える努力をさせていただきたいと思いますし、このようなシティーセールスでも、現在、中小のホテルあるいは旅館業者からも、外国人の旅行者が急増したというような声も聞かれているような状況でございます。

○鈴木委員 現在、知事も、台湾側の招待を受けて、東京と台湾との観光振興策について、現地の県知事らと意見交換をする目的で台湾に行かれているという、まさにトップセールスを行っておりますし、また、副知事を先頭に、まさにこの東京のものづくりを海外に売り込みに行って、そして東京のすばらしい技術や製品をどんどん買ってもらうように、そういうようなセールスを展開しているというお話でございましたけれども、実際に今も、担当者は濱渦副知事だと思いますが、ミラノですか、行っていらっしゃるということですけれども、その辺のシティーセールスの成果、もうちょっと具体的にお伺いをしておきたいと思うんです。

○高松観光部長 シティーセールスの成果でございますけれども、現在、旅行業者が求めております一番リアルタイムな東京情報を、このシティーセールスでは提供してきております。
 ちなみに、これは今年度までになりますが、百十四本の東京向けの旅行商品が販売されるようになっております。昨年までが六十七本ですから、相当な数がふえてきているというふうに認識をしております。
 先ほど申しましたように、このミッションに参加をしております業者からも、非常にたくさんの外国の観光客からも問い合わせが殺到しているという話も聞いております。

○鈴木委員 ぜひそのような成果を大いに上げていただきたいというふうに思いますが、ウェブサイトの「東京の観光」で、これまで日本語、英語、中国語、ハングルの四言語で情報発信をしていた。それで、ことしはイタリア語、ドイツ語、スペイン語、三言語を加えて七言語実施するという。
 これは単純に考えて、フランス語というのは、何でそこに加えないのですか。どうなんですか、その辺は。

○高松観光部長 フランス語の日本での使用率というのを考えますと、実は比較的少のうございまして、例えばスペイン語とかイタリア語というのは--イタリアは今回、私ども、ミラノにシティーセールスに行っておりますので、これによって多分、相当ふえるだろうということで、先手を打ってと申しますか、これをやっております。
 そういう意味では、言語をふやしていけばふやすだけ、多くの方々に情報を伝えることができるので、今後ともその検討はしていきたいと思いますけれども、今のところは、どこが一番使えるのかということを一応基準にいたしまして、このような言語設定をさせていただいております。

○鈴木委員 世界各国のお客様を、やっぱり東京としては受け入れていくべきでしょうし、実績に基づいて、こういうようなウェブサイトでの情報発信をしているんだと思いますけれども、やはり先進諸国の一角であるフランスの言葉というのも、今後ぜひ加えていただけるようにお願いをしておきたいと思います。
 今までのいろいろとお話を伺ってきました中で、海外に向けた東京の魅力の発信についてはよくわかりました。こういった魅力に引かれて東京を訪れた外国人旅行客が都内を快適に観光するには、さまざまな情報が必要となります。先ほども話がございましたとおり、このため、観光情報センターにおける対応が重要な役割を担うと思っております。
 都は現在、三カ所の情報センターを設置していますが、その成果についてお伺いをしたいと思います。

○高松観光部長 観光情報センターの成果についてお答えいたします。
 観光情報センター、先ほど三つ挙げさせていただきましたけれども、この三カ所で月七万人を超える利用者がございます。そして、十五年度は、一年間で八十六万人の利用者がございました。このうち、外国人の利用者は二十一万人となっております。現在、日報が私のところへずっと届いておりますけれども、十六年度につきましても、さらにそれが増加をしているという状況にございます。
 また、情報センターでは、先ほど申しましたが、七言語で作成された東京都の地図やガイドブックを配布するほか、個々の旅行者のニーズに合った都内のイベントや宿泊情報など、きめ細かな情報提供をさせていただいておりまして、これが口コミで、新しいまた利用者を生むというような状況にもなっているというふうに考えております。
 また、観光情報センターでは、観光ボランティアによる都庁案内ツアーなども実施しておりまして、これも外国人旅行者に好評でございます。

○鈴木委員 私も、質問をするので、都庁の第一庁舎、よく前は通りますが、意外と通り過ぎていたことが多いんですけれども、実際に中に入ってみて、いろいろお嬢さんに伺ってみたり、自分でもいじってみたんですけれども、ちょっと庁内を歩いたりするには非常に便利なんですけれども、どうも実際に都内の観光名所を訪ねて歩くには--そこにいろいろ観光ボランティアの方もいると思うんですよ。例えば都庁には、一日何万人という大勢のお客さんも見えると思うんですけれども、一緒にそういう観光ボランティアも紹介できるようにしたらいいんじゃないかと思うんですけれども、こういうことというのはなかなか難しいんでしょうか。

○高松観光部長 観光ボランティアの活用につきましては、現在、十六年度の事業対応で考えさせていただいている部分がございます。
 それは、都庁に来た外国人のお客様を、ある地域を指定いたしまして、その地域に観光ボランティアを派遣して、外を回って、ボランティアですから、非常に詳しい外国語による案内はできないかもしれませんけれども、その地域の特色などを外国人の方々に肌で感じてもらえるような、そういうボランティアの活用を現在考えております。

○鈴木委員 観光情報センターの利用者が多いことは、海外旅行者にとって効果的に展開している結果だと思いますし、PRがよくなされている結果だとも思います。
 海外の都市を訪れると、どのような小さなまちでも、至るところに案内所が整備されています。そこで、地元の商店街や観光事業者などの協力を得るなどにより、旅行者が都内各地の観光情報を多くの場所で簡単に手に入れられる仕組みが必要だということは私も考えておりますし、先ほどの答弁によると、今年度中には、区市町村、宿泊施設や交通事業者、公園等の協力を得て、都内の観光情報を提供する観光案内窓口を百カ所以上、百三十カ所ぐらい整備をしていくということも伺っております。
 この観光案内窓口は、区市町村等の既存の窓口を活用して実施するもので、これにより、きめ細かな東京の観光案内機能を充実していくんだということが、先ほどの答弁でもわかったんですけれども、私とすれば、例えば回遊式の日本庭園を見たいとか、あるいは日本ならではの、お茶室でお抹茶をぜひこの機会だからいただいてみたいななんていうふうにも思うわけなんですが、やっぱりこういうきめ細かな東京の観光案内の機能を充実していく、こういうことが非常に大事だと思うんですが、この辺について、具体的に部長の考えがあったらぜひお伺いしたいと思います。

○高松観光部長 今お話しのように、これから百カ所以上の観光窓口をそれぞれの地域で開設していくとなりますと、それぞれの地域の特色ある部分を、外国から来た方を中心にご案内するということが大切なのではないかと考えてございます。
 例えば地域のイベント、これはなかなか、三つの今ございます既存の窓口では把握し得ない、それぞれの地域のおもしろいイベントというのがございます。こういう各種イベントを、それぞれの地域を把握しているからこそご案内できるような、そういうイベントであるとか、また、隠れた名所旧跡、あるいは観光には必ず食がつきものでございますけれども、地元の方々がよく知っている、外に余り知られていないと申しますか、そういうお店、おいしいお店なども外国の方々にご案内するというようなことも、そういう窓口ではできるのではないかというふうに思っております。
 また、逆に広域的なお話になれば、今あります都庁等の情報センターをキーステーションにいたしまして、そこへの問い合わせをしていただきながら、そういうサービスもあわせてさせていただきたいというふうに考えてございます。

○鈴木委員 ぜひ今お話にあったような機能を充実して、海外からのお客さんに対して丁寧な案内ができるようにしていけば、これは成果を上げていけるんだろうなというふうに思っております。
 東京にはさまざまな魅力がありますが、観光の視点から、こうした東京の魅力が十分に生かされているとはいえないんじゃないか。海外から多くの旅行者を迎えて、東京の地域経済を活力あるものとしていくためには、地域が主体となって観光の視点に立ったまちづくりを行っていくことが重要であると私も考えております。
 都でも、昨年度より、こうした観光まちづくりを推進するためにモデル事業というものを展開しておりますが、その成果について伺いたいと思います。

○保坂参事 都では、地域が主体となって推進する観光まちづくりの考え方を都内に広く普及する目的で、昨年度、東京都観光まちづくり基本指針を策定するとともに、上野地区、臨海地区をモデル地区として定め、地元商店街、観光事業者、地元区など関係者から成る観光まちづくり検討会を立ち上げ、基本構想を策定いたしました。
 上野地区につきましては、本年四月、地域のさまざまな関係者が参加する上野地区観光まちづくり推進会議が立ち上がり、具体的な事業を展開しております。
 上野地区では、歴史や文化的にすぐれた観光資源が集積しているという地域特性をさらに生かすために、観光案内標識の設置など回遊性を高めるための取り組みが進められているほか、オープンカフェや野外映画祭の開催など、多様な事業が展開されております。

○鈴木委員 先ほども触れたんですけれども、東京都には指定伝統工芸品が四十品目ある。台東区には東京銀器、銀の器というんですか、そういうような器や、江戸すだれ、台東区とか、それから東京三味線、中央区とか、江戸ガラス、墨田区とか、いろいろこういうようなものがあって、こういうものを観光まちづくりともっともっと連携を持たせて、観光資源ととらえて、観光まちづくりにもっともっと生かしていただきたいな、こんなふうにも要望をしておきたいというふうに思います。(「答弁を求めたらいいよ」と呼ぶ者あり)よく考えて、もう一回聞きますから。
 議会でも、名誉都民で伝統的ガラス工芸の風鈴づくりの篠原儀治氏、名誉都民に今回、私ども議会としても賛同しましたし、私もMXテレビの「東京モノモース」というのに出していただきまして、江戸すだれ職人の田中義弘さん、若者よ、職人を目指せなんていうすごい迫力のある方でしたけれども、こういった、実際にいい、すばらしい方がいらっしゃるわけで、こういう人たちがまさに観光資源なんじゃないかな、ぜひこういう方々と連携をますますとって、こういう地域ととって、大いに生かしていただきたいというふうに思っているんです。
 私、そんな中で、実はいろいろと疑問に感じていることが出てきたんですが、観光まちづくりモデル地域でのさまざまな事業展開は評価できるんですけれども、このような取り組みを都内に広めていくことが重要なわけですね。地域が主体的に観光まちづくりを進めていくに当たって、許認可の問題や複雑に絡み合った行政手続など、結構障害になっているケースがあるんですよ。
 例えば、私の地元の大田区の池上というところに池上本門寺というのがあるんですが、そこで朝市というのを始めたんですね。月に一遍ずつやっているんですが。実は、九月に始めましたら、そのときに参加をされましたお店が、十月の朝市になるとやめてしまったところが出てきたんですね。要するに参加できない。
 それは何でかなということになると、食品衛生法で定めている営業許可が必要で、例えば本門寺名物あんパンなんというのがあるんですけれども、このお店が出店をして、一緒に調理パンを出すと、この調理パンはだめよとか、驚いたのは、漬物を出している、名物のがあるんですけれども、不思議なんですけれどもキムチはだめよとか、結構、大田区にも韓国の方ですとか中国の方とかいまして、なぜかこれがだめだと。私も実際に担当部局に聞いてみたんですが、保健所と一品一品よく相談をして、出店をする方が何を出すか、一品一品きめ細かく相談をしてもらわなきゃ困りますよ、こういうことなんですね。
 例えば、輪島の朝市なんというのは、本当に何でもありますよね。半分、何か生ものみたいな、ごそっと置いてあって、そのまま取り分けて売っているとか、輪島の朝市でできて、本門寺の朝市、門前町というんですかね、そこに--これは商店街連合会が、要するに一致団結してやっているんですよね。観光まちづくりの視点からやっていこうと。ところが、いろいろなこういう、これは食品に関してですけれども、規制というんですか、障害になっている部分があるわけなんです。
 観光まちづくりを推進するに当たって、今は一つの食品を例にした問題の点なんですけれども、こういった問題点についても十分留意しながら、総合的に取り組みを行っていくことが今後重要だと思うんですが、その辺いかがでしょうか。

○保坂参事 観光まちづくりを進めるに当たりまして、先生がおっしゃいましたように、例えばイベントなどを実施するときには、施設管理者の許可が必要とか、また、飲食物の提供については保健所の許可が必要とか、いろいろな、さまざまな法規制がございます。こうした複雑な行政手続が観光まちづくりを進める上での障害となる場合もあることについては十分認識いたしております。
 また、街並みの整備や案内機能の充実などにつきましては、複数の行政分野が連携した施策展開を行うことで、より魅力的な観光まちづくりが可能になることと考えております。
 都といたしましては、各局が実施する関連施策が効果的に連携し、諸課題を解決するよう努め、地域において観光まちづくりが展開されるよう支援を行ってまいります。

○鈴木委員 ぜひ庁内の連携も大いにとっていただいて、観光まちづくりを推進していく上での障害をなるべくなくしてもらえるように、観光部長、ぜひリーダーシップをとっていただきたい、このようにお願いをしておきたいというふうに思います。
 最後になりましたけれども、海外の旅行者を迎える意味で玄関となります空港は、旅行者の第一印象を決める重要な施設だと思います。大田区には羽田空港がありまして、羽田空港では、本年十二月に第二ターミナルビルがオープンするほか、四番目の滑走路が二〇〇九年に完成し、国際便を含めて、発着枠が一層拡大することが想定されております。
 大田区でも、羽田空港の整備を契機とした観光振興の機運の高まりが見られます。例えば、来月、十一月三日には、大田区の観光協会が中心となって、新ターミナル見学会、バスを仕立ててこんなことも行われる予定となっております。
 一方、都内のさまざまな地域でも観光振興の機運が高まってきておりまして、今後大きなうねりとなってムーブメントを起こす可能性があるともいえると思います。
 都は、先駆的に多くの旅行者を迎える仕組みをつくって、特に観光まちづくりでいろいろな区が頑張っておりますし、また、いろいろと伺いますと、観光のそれぞれ指針というんですか、プランも策定をしているというところですから、各市町村と連携を今後強化するほか、都としても積極的な支援を行うことが必要だと考えております。ぜひ局長のその辺のお考え、決意をお伺いしたいと思います。

○関谷産業労働局長 今お話がございました、羽田空港第二ターミナルもオープンしますし、また、近い将来に四番目の滑走路もできるということで、東京の経済、日本の経済にとって、関東地区、東京に、空の玄関がまた拡充していくということは、経済活力の発展にとっても大きな契機になるんだろうと思っておりますし、また、観光という視点から見ても大きなチャンスだというふうに認識しております。
 委員ご指摘のとおり、そうしたことを契機にして、大田区等ではさまざまな動きが現在も見られるし、これからも出てくるんだろうと思いますし、また、そのほかにも、都内各地域で観光振興に向けた新たな機運が高まってきているんだろうと思います。
 こうした地域が主体となった取り組みをいかに推し進めていくかということが、今まで申し上げてきた観光まちづくりを推進していくということの大きなテーマでございますので、東京都といたしましても、観光まちづくりの取り組みを含めて、さらにそういうものが広がりを持っていきますように積極的に支援し、また都としても汗をかいていきたいというふうに思っております。
 また、観光というのは、特に東京のような多様な魅力を発揮している大都市にとっては、いわば大都市としての総合力をいかに発揮するかということにつながるわけでございますので、狭い意味での観光施策だけで観光が発展していくというふうには必ずしも思ってございません。
 そういう点では、再々ご指摘もいただきましたように、都庁内部においても関係各局が連携をいたしまして、施設整備ですとか規制緩和など、ハード、ソフト両面から幅広く施策を展開していく必要があるというふうに認識しておりまして、このたび庁内にもそういう会議体を設けて、積極的にその会議体を運用しつつ、都の観光施策をより一層進めていきたいというふうに考えております。

○鈴木委員 今局長の答弁を伺いまして、この決算を踏まえて、来年度ますます、石原東京都知事が常々おっしゃっているような千客万来の世界都市東京を目指して、大いに観光産業振興に積極的に取り組んでいただきたいと思います。目標の六百万人にぜひ届きますように、ことしでクリアできますように、決算状況を見ながら、また質問をぜひ次の機会にさせていただきたいと思います。
 以上で終わります。

○田中委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時五十八分休憩

   午後三時十三分開議

○田中委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○川井委員 実はちょっと迷いましたけれども、質問をすることにしました。
 私は、区議会をやらせていただいて、そして都政に出てきた中で、区の職員と都の職員の違い、こんなことをこの七年間感じてきた一人であります。東京都の方というのはどうなんだろうかと。
 区の方々、私、中野区ですけれども、中野区の職員関係者がいたらおわびをしなきゃいけないんですけれども、何か物事を投げかけると、できない理由を探してくる、だめな理由を探してくる、こんな思いを何度かしてまいりました。
 そんな中で、東京都の方というのは大変努力をしてくれるなと。どうしてもだめなときは代替案、これでどうでしょうか、あるいは新たな提案というのをしてくる。またもう一つは、スピードが違うな、こういう思いをしてきました。
 今回、そういう思いをしていた私の思いを、全くそうではない人もいるんだな、あるいはそうでもない場所があるんだな、こういう思いをさせられたわけでありますけれども、今、最後の、鈴木委員の質問に、局長が東京都も汗をかいてと、こういう一フレーズがあって、また少し安心をした思いがしております。
 まず最初にお聞きをしたいのは、局長、冒頭で申しわけないんですけれども、商店街の位置づけをどのように考えているか、まずお答えいただきたいと思います。

○関谷産業労働局長 商店街の位置づけというお話ですけれども、商店街は、地域において、当然、都民の消費生活、消費活動のあるかなめの部分を担っている、そういう意味での生活の基盤の一翼を担っている地域ですし、また、当然、商店街という性格上、人が集う場所でございますので、地域のにぎわいですとか活力を維持していく上で重要な役割を担っていると思います。そういう点では、生活とか経済活動の面での大きな役割を担っている。
 また、最近では、環境問題への取り組みですとか、もっと広い意味でのまちづくりへの取り組みだとか、さまざまな形でまちづくりに貢献されている活動をされているんだと思っております。
 そういう点で、東京都も、意欲ある取り組みを行っている商店街に対しては、この間、さまざまな形での支援を東京都として行ってきているところでございます。

○川井委員 そこで、ちょっとお伺いしたいんです。
 非常に商店街の位置づけ、立場というものを大きくとらえていただいていて、答弁としてはありがたいと思います。
 産業労働局の十五年度の予算総額と商店街に対する予算、教えていただけませんか。

○田中委員長 速やかにご答弁願います。

○川井委員 いや、わからなければ結構ですよ。

○市原商工部長 十五年度の一般会計におきます商工会費用でございますけれども--一般会計におきまして三千百三十八億六千百万円でございます。予算でございまして、商店の活性化におきましては二十六億五千七十三万六千円でございます。

○島田総務部長 産業労働局の十五年度の予算現額でございますが、三千百七十二億でございます。

○川井委員 これは、事前の議論の中で、この数字は聞きますよという話をしておいたんだけれども、随分時間がかかって、だんだんに質問する時間がなくなってしまうなというふうな気がしていますけれども、私は、全体の予算からすると、商店街、商工費、非常に少ないなという思いがしております。
 そこで、ちょっとお伺いしたいんですが、東京都に幾つの商店街があって、その商店街の構成員がどのぐらいおって、全体で商店経営者の構成員というのがどのぐらいおられて、そこで雇用されている従業員の方々、どのぐらいおられるのか。
 また、要するに商店を経営されている方々、家族、そして雇用している方々の家族、いわゆる商店を経営されている方々の中で、職を得て、そこで食っている都民の方々はどのぐらいいらっしゃるのかということをどこまでつかんでいらっしゃるのか教えてほしいんです。

○塚田商工施策担当部長 まず、都内の商店街の数でございますが、約二千八百ございます。なお、その中で実際に営業されている、こちらは店舗の数になりますが、約十四万店舗でございます。
 そして、従業員の数でございますが、実は、まことに申しわけございません、これにつきましては商業統計のいわゆる小売業という範囲でお答えさせていただきますが、小売業で五人未満の方が約十八万人いらっしゃいます。したがいまして、実際にそのご家族も含めますと、最近、特殊出生率、大変減っておりますが、その倍は下らないだろうというふうに見ておるところでございます。

○川井委員 一つには、かなりの方々が商店経営あるいはそれに関係したところに属しておられるんだなということがつぶさにわかる数字を示していただいたな、こう思っております。
 もう一つ、まちの構成というものを考えたときに、商店街がないまちというのが想像できるんだろうか、こう思うときがあるんですけれども、まちの構成を考えたときに、商店街というものはどういうふうに判断していらっしゃいますか。

○市原商工部長 まちの構成におきまして、商店街の位置づけみたいなものですけれども、確かに、先ほど局長からもお答えさせていただいたように、地域経済を支えておりまして、地域コミュニティの維持発展に重要な役割を果たしております。生活の場であり、それから地域の経済、雇用の場でもある。そういう意味では、非常に重要な場所という位置づけを商店街は持っているように思います。

○川井委員 実は私は、まちという中での商店街の構成というのは大変大きな部分を占めるんだろうと。商店街がないまちというのは、私には実は想像ができないわけであります。
 そのまちを考えたときに、例えば橋が必要なときに橋はかけるんです。隧道が必要なら隧道は切るんです。学校が必要なら学校は建てる。橋一本かけるのに数十億、あるいはトンネル、隧道一つ掘るのに、環八の井荻のトンネルは、たしか二百五十億程度だったと思います。一本切るだけで二百五十億かかります。
 先ほど、二千八百の商店街、そして十四万を超える店舗数、それぞれの東京じゅうのまちを構成する形をつくっている、その商店街の役割、位置づけというのは、先ほど局長がいったとおり、単なる消費場所だけでなくて、経済にも防災にも治安にも、あらゆる面で役立っている、こういうふうにされている中で、先ほど話がありました、本当に意欲ある商店街には手助けをすると。
 意欲があっても、その力がない商店街も多くあるわけであります。それでは、意欲があって力がないところは切り捨てですか。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業におきましては、商店街の多種多様な取り組みを支援するものでございまして、平成十五年度におきましては、都内商店街の約半数以上がご活用いただいております。
 こうした商店街の取り組みを広く普及していくとともに、専門家を派遣いたしましてアドバイスを行うことなどによりまして、現在、自主的な取り組みが困難な商店街におきましても、みずからの努力で新たな取り組みが可能となるよう支援をしているところでございます。

○川井委員 どうも質問の意図がわかっていないようで、意欲がある、あるいは努力する商店街、これはやっていますよということなんだろうと思っております。
 私がいっているのは、その思いがあっても、その力がない。要するに、三分の一なら三分の一の、みずから出さなければならない予算が組めない商店街も多くあるわけであります。昨今は、商店街に建てた街路灯、この光熱費というか電気代が払えないで商店街を解散しなければならない、こういう商店街さえ出てきている。商店会費の半分あるいは三分の二がその街路灯の費用として出ていってしまう、もう解散しよう、そして親睦会をつくろうじゃないか、こういうところが実は出てきております。
 さあ、そういうところへ私も話を聞きに行きますと、お話しいただくのは、コンビニだとかあるいはドラッグストアのチェーン店、こういういろいろな本部を持つチェーン店関係あるいはスーパー、こういうところが商店会に入会してくれない、あるいは商店会費も払ってくれない、その人たちが協力してくれれば商店会を解散しなくても済むんだがと、こういう話も聞くわけであります。
 そこで、確かに、世田谷区あるいは台東、港、杉並、こういうところでは、単独に条例をつくったり、あるいはその方向に向かっていることも承知をしております。東京都が、東京都商工会議所、こういうところを使って、そういう関係団体にも呼びかけて協議会をつくった、これも知っております。
 しかしながら、東京都自身としては、この厳しい経済情勢の中で、今にも解散する寸前のような商店街に何ができるんだろうか。東京都で条例ぐらいできないんですか。条例ができないなら、要綱か何かできないんですか。要綱がだめならば、申し合わせだとか通達だとか、何らかの形があるんじゃないんでしょうか。一切、これに対して聞く耳を持たないのはなぜですか。

○市原商工部長 商店会への加入や地域活動への協力につきましては、当事者の自由な意思にゆだねられるべき事項でございまして、強制すべき事項ではないのではないかと考えております。
 都といたしましては、関係者が自主的、主体的に協力関係を構築していくことが非常に重要だ、そう考えておりまして、商業まちづくり協議会の発足に当たりましては、チェーン店の団体本部等に参加を呼びかけました。また、本年の六月には、まちづくり協議会におきまして発表されました共同宣言の取りまとめに対して、積極的に協力いたしました。
 そういう形で、今後とも、関係者の皆様の取り組みが一層進展するように、東京都といたしましても働きかけていきたいと考えております。

○川井委員 商店会を形成する中で、例えば街路灯をつくるというようなことの相談、例えば振興組合であれば、理事会を開いて、何たびか努力の会合を開き、そして会員全体の理解をいただきながら、なおかつ自分のところの予算を拠出しながら、そして街路灯を建てていく。一たん建てれば、その街路灯は、その後からそこへ店舗を開設する方々はその光を享受するわけであります。これはカラー舗装であっても同じであります。
 あるいは、昔にさかのぼって考えるならば、用途地域の指定のときに近隣商業をかち取るとき、百メートル以上の連檐する商店街でなければ近隣商業もとれない。しかし、それだけの商店街が東京都の中にどれぐらいあるんだろうかといったときに、ほとんどないところが多い。しかし、その中で陳情を繰り返し、理解をしていただくための努力をして、何とか近隣商業をかち取ってきた、そういう努力も、実は初めて商店街というものがつくってきた歴史の中にある。
 そういうすべての、そこにお客様が集まる商圏の努力、集客力、そういうものすべてを利用し、計算し出店してくる店が、しかも商店会費も払わない。しかし、商店街がやるお祭りあるいは朝市、イベント、こういうときには一緒になって店の前に物を出して売っている。こういうところに何もできないんですか。そういう話をしたら、協議会を設けて、それには指導的な立場で参加をしております、申し合わせをこの六月だか何かに出しましたと。
 ちょっと待ってください。コンビニが最初にこの東京のまちにできたのは何年前なんですか。おおよそ三十年ほど前だろうと思います。それから十年、二十年、三十年たっている。その間ずっと商店街の方々は、組合員、構成員になってください、会費払ってください、共益費を払ってくださいと。ずっと払わないできたんですよ。それがなぜ今になって、あなた方、わずか協議会をつくったぐらいで、それが期待できるんですか。三十年間も二十年間も、個々の商店街の役員さんたちが、忙しい中、三人、四人集ってお願いに行って頭を下げて、そのたびに本部に伝えておきますと。コンビニのお兄ちゃんたちはほとんどアルバイトじゃないですか。
 まして、今回、あなた方が出した文章の中で、二十四時間やっているコンビニはまちの灯台と。ふざけるな。商店街が長年培ってきた、そしてまちに与えてきた大きな光、そして、何か一朝有事あれば、やはり商店街の方々が飛んでいくのであります。コンビニのお兄さんが飛んできて助けてくれたなんて聞いたことがありません。
 二十四時間やっているコンビニはまちの灯台、どこから出てきた発想ですか、これは。

○市原商工部長 夜間に安全に買い物をしていただくためには、商店街の街路灯は非常に重要でございまして、都としても、その設置に対しては支援をしてきたところでございます。
 また一方では、コンビニでも安心・安全のまちづくりに協力いたしまして、最近ではセーフティーステーション活動に取り組んでいるところがあると私どもも聞いております。
 私どもも、そういうところを受けまして、それぞれがまちの灯台としてまちに貢献していくことを期待しておりますし、そういうことが表現されたものと考えております。

○川井委員 灯台という意味をもう少ししっかり考えていただきたい。
 それと、夜遅く帰途につく女性の方や、あるいはまだ年端がそこまでいってない子どもたち、塾帰りの子どもたち、どういうところを通るかというと、やっぱり遠回りしても商店街を通るんですよ。それはやっぱり街路灯なんですよ。それと、遅くまでやっている商店のおじちゃん、おばちゃん、この顔を見ながら帰る、こういうことなんだろうと思うんです。こういうことには文章の中で一切触れずに、コンビニがまちの灯台だ、これは私はどうしても理解に苦しむわけであります。
 もう私が通告している時間、そろそろ来ておりますので、まとめていきたいと思いますけれども、私個人的には、東京都が、東商あたりに任せているんではなくて、みずから場所を設けて汗をかいて、その火の粉もかぶらなきゃだめだろう、こう思うんですよ。これは、うまくいったってまずくいったって、いや、東京都はお手伝いしただけですで終わっちゃうじゃないですか。
 それと、相手は本部を持つ、東京とはいわず全国的にチェーン展開している店なんですよ。それが、いや、その問題は市町村、区でやっていただければと。市町村、区がそれぞれ違う条例をつくっていった、違う対応をしていった、こんなものは本部がきちっと対応するわけないじゃないですか。
 相手も広域的な中で商売しているんだから、広域行政である東京都が一つの考え方をぴしっと出さなければ、せめて、ペナルティーがとれないならば、それに従わない場合は名前が公表できる、このぐらいのことをやる、それは条例であろうが何であろうといいと思うんです。それぐらいの努力ができないでどうするんですか。一切やる気がないんだけれども、局長、どうなんですか、そこら辺。全くやる気ないんだ。

○関谷産業労働局長 委員から種々厳しいご指摘をいただきましたけれども、先ほど来、担当部長から申し上げておりますように、基本的にこの問題は、地域における協働というもの、地域におけるいろいろな参画、そのことが実現されるということは基本的に望ましいことだというふうに私どもも思っております。
 ただ、そのことは、基本的には地域の自主的な取り組みとして実現されるべきものだというふうに認識していたことが、結果的には、委員から見れば、長い間放置していたではないかというようなご指摘にもつながっているのかもしれませんが、この間、さまざまな働きをする中で、商業まちづくり協議会というものを立ち上げて、六月には、その中で共同宣言という形が持たれております。また、十一月には、この商業まちづくり協議会の第四回目が開かれる予定になっておりますけれども、ここの中でも、さらに拡充し、かつこの協議会を継続していくということで、私どもとしても強く後押しをしていきたいと思っております。
 また、なかなか進まないではないかというお話ですけれども、現実には、この共同宣言がなされてから、団体によっては、その総会で地域社会の活性化に寄与するというスローガンを採択した団体ですとか、さらには、加盟各店を調べて、商店会に加入していないところに加入を勧めている本部等も出てきております。
 いろいろな点で、委員から見ればまだまだスピード不足ということかもしれませんけれども、そういう点での側面的な支援を通じて、所期の目的を達成できるように最大限努力していきたいと思っております。

○川井委員 本部からそういう通達が出ているようでありますけれども、実は、もとから酒屋さんをやっていたところがコンビニになったとか、もとから何々屋さん、お米屋さんをやっていたところがコンビニになったとか、そういうところは、実は今までどおり会費は払っていただいているのであります。会費払ってないのは本部直系のところです。おかしいじゃないですか。
 その中で、地域に協力するように、これは私もわかりますけれども、会費を払うようにとか組合員になるようにとか、そういう部分というのは、私は触れてないんだろう、こう思っているのであります。
 また、その協議会の場でも、そういう具体的な方向づけというのはされてないようであります。いわゆる金銭についての問題というのは、文章として取りまとめてないでしょう。地域に協力するようにという、大きな文章でまとめてあるように私は理解しておるんですけれども、いずれにしましても、自主的な話し合いの中でと、こういうご答弁しかいただけないことは大変残念であります。東京都は、この部分については汗かかないから、おまえら、自分らで勝手にやっていけ、こういう姿勢だと思います。
 こういうやりとりをどこかに残しておきたいという思いで、あえて今回質問をさせていただきました。またどこか機会を改めてこの議論を、あるいは続きを、そして、これからあなた方のやり方で、五年たとうが十年たとうが恐らくは全く変わらない、あるいは商店街がばたばた解散をしていく、そして、そのときにその責任さえも感じないあなた方の顔を再びどこかで見たい、またその質疑をしたい、こう思っております。
 以上です。

○田中委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○田中委員長 これより新銀行設立本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都一般会計決算中、新銀行設立本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○津島新銀行設立本部長 先般の分科会において要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をお開き願います。要求資料一覧に書いてございますとおり、資料第1号、新銀行の創設について外五点をお配りしてございます。
 まず、資料第1号、新銀行の創設については、平成十五年五月に新銀行構想を公表いたしました資料でございます。
 次に、資料第2号、新銀行基本スキームは、平成十五年十一月に発表いたしました新銀行のスキームでございます。
 次に、資料第3、新銀行マスタープラン及び資料第4、新銀行マスタープラン主要事項は、本年二月に発表いたしました新銀行東京の業務運営の指針となるものでございます。
 次に、資料第5号、新銀行東京の定時株主総会については、本年六月に委員会等設置会社への移行及びシンボルマークの決定等を発表いたしました資料でございます。
 最後に、資料第6号、新銀行東京の移転については、本年八月に新銀行東京の大手町への移転を発表いたしました資料でございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。

○田中委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○東村委員 それでは最初に、多くの人が質問をしてきたかもしれないんですが、今回は、平成十五年度、八億六千九百八十三万四千円の調査研究委託費が支出をされておりますので、決算審議ゆえに、あえてお聞きをしたいと思います。
 新銀行創設の調査研究等を財団法人東京税務協会に委託したのはなぜか、まずこれについてお伺いしたいと思います。

○関企画担当部長 この調査研究は、新銀行の創設を含め、地方経済の再生及び地方税財源の涵養につながる有効な施策の調査研究を行うもので、経済、金融を中心とした幅広いデータの収集や商品モデルの開発など、各種の専門部門から成る機動性を備えた総合的なプロジェクトを編成して行う必要があったため、外部の機関に委託したものでございます。
 委託先の選定に当たりましては、地方税財政制度に関する調査研究、各団体からの地方税財政制度の運営等に関する業務の受託等を事業内容とする財団法人東京税務協会が、そうした準備体制を備える団体として適当であったところから委託することとしたものでございます。

○東村委員 私は、これは職業柄かもしれないんですけれども、財団法人東京税務協会に委託をしたというのがどうも理解できないんですね。というのは、東京税務協会の設立の趣旨は、「円滑な税務行政運営のためには、各地方団体及びその職員が相互に広く連絡共同して、地方税制度の研究、情報交換、職員講習会の開催、納税思想の普及に努める」、こういうことがあるんですね。
 それで、事業計画と事業の遂行状況を見させてもらったところの十一番目に、東京都による新銀行の創設に向けた調査研究の受託、括弧して寄附行為、これは株式会社でいうと定款ですね、この寄附行為の第四条第七号に基づいてやったと書いてあるんです。
 私は、この寄附行為の第四条第七号を見てみました。そうすると、こう書いてあります。「各団体からの地方税財政制度の運営等に関する業務の受託」と書いてあるんですけれども、先ほどかなり、ごめんなさい、きついいい方だったら許してもらいたいんですけれども、こじつけみたいな形で、税財政制度に絡めてここに委託をしたというように私は聞こえたんですけれども、最後にやはり、適当であるという言葉をいわれたんです。
 私はむしろ、受け入れてもらえるところがここしかなかったのではないか、このように感じるんですけれども、この辺についてはいかがでしょうか。

○関企画担当部長 私どもとしては、新銀行の創設など、地方経済の再生につながる調査研究ということで、経済、金融などさまざまな分野を総合的にかつ機動的、そして柔軟に実施できる部門として東京税務協会を選定したということでございまして、その職務内容からいっても妥当だというふうに考えております。

○東村委員 これ、このままいくと平行線になると思うんですけれども、恐らくここしかなかったんだろうなと私は考えているわけでございます。
 その上で、なぜさらにこの話をするかというと、経費の内訳を見ると、各種事業委託費とあるんですよ。財団法人東京税務協会に委託するのが妥当だといいながら、もらったお金を、さらにその先のところに業務委託されている。こういう実態を見て、私がこの会計監査人だったら、さらに突っ込んでいくだろうなと思うんですけれども、なかなかこの先は私どもはいけないんですけれども、別な研究機関に、いろんな機関に委託研究をされています。
 このことについて、財政委員会で我が党の桜井議員が質問しておりまして、大体は答えていただいているんですけれども、具体的にどのような機関に幾らで委託をしたかということは、やっぱり明らかにされていないんですね。これについて、もし答えていただけるのであれば答えていただきたい、このように思います。

○関企画担当部長 調査研究は、税務協会において総合的に実施したわけでございますけれども、そのうちの調査研究事業費として約五億七千万円でございます。
 その内訳でございますけれども、銀行業務の構築に要した費用は約三億九千万円。これについては、金融業務に関する専門的なノウハウがあり、豊富な実績を持つコンサルタント事務所、会計事務所等へ委託したものでございます。
 それから、中小企業の資金需要等のマーケティングを調査する必要がございますので、この調査に要した費用は約一億四千万円でございまして、これはそうした調査専門会社等に委託したものでございます。
 さらに、銀行システムでございますけれども、これの基本構想、基本設計の作成委託として約四千万円。これは銀行システムの開発に実績のあるシステム会社に委託したものでございまして、これらの調査研究を総合的に検討し、現在、新銀行において報告を受け、開業準備を進めているというところでございます。

○東村委員 金融、経済に関してはコンサルタント会社または会計事務所、マーケティングは専門会社、システムはシステムの会社に、それぞれ各金額をいっていただきました。
 これは私の個人的な見解になるのかもしれないんですけれども、新銀行設立本部をつくって、そこで、いわゆるアドバイザリーか何かのコンサルタントを雇って、そこから直接、いわゆる会計事務所だとかコンサルタント会社、またはマーケティングだとかシステムの方に発注してもよかったんじゃないか。わざわざ苦肉の策で東京税務協会を探さなくてもよかったんじゃないかというのは、個人的な見解で持っております。
 ただ、都の側からすると、それでは機動的に動けなかったという今お話があったんですけれども、どうも、こういった間に一つ入れて見えなくすることによって、次のところに出すというやり方をすると、ある意味で変に誤解を生んだり、うがった見方をされやすいんじゃないかと私は思っているわけなんですね。
 現に私は、何かあるんじゃないかということを何となく感じたわけなんですけれども、そういった意味で、この調査研究委託費が適正に使われているかどうかということを、きちっと第三者的にチェックする機関も必要なんじゃないかと思いますし、現に、やったのかということを問いただしたいわけなんですけれども、いかがでしょうか。

○関企画担当部長 本調査研究の委託契約は、平成十五年度に出納長室で行ったものでございまして、契約に当たりましては、地方自治法に基づく契約の競争性、公正性、確実性を確保して適切に行うとともに、その履行内容については、出納長室で検査を行ったものでございます。
 また、本年七月には、平成十五年度の決算審査における東京都監査委員の審査を受けており、監査結果については、本年九月に適正である旨の審査意見書が出されておりまして、そうした意味で適正なチェックは行われていると考えております。

○東村委員 監査委員による監査も実施されたと。監査委員は我々の仲間から出ているわけですから、一生懸命やっていただいたということで信頼をしたいと思います。
 その上で、この東京税務協会、他に調査研究委託して、さまざまなスキームから、いわゆるマスタープランまでつくってくれました。特に、平成十五年の十一月には新銀行基本スキーム、それから、十六年二月にはマスタープランを発表されて、東京都の業務運営の指針となるものを発表していただきました。
 その中で、発表のあった段階で、私もこの資料をちょうだいしまして、中小企業と一番接点があるのはどの団体かと思ったときに、多くの団体があるんでしょうけれども、税理士会というのが中小企業をよく面倒見ているところなので、私は地元が八王子ですから、八王子の税理士のグループと何回か、このマスタープランをもとに勉強会をやってきました。
 その中で非常に関心を持たれていたのが、一つはシンジケート型融資、それからもう一つは中小企業の再生ファンド。この二つについて、これが本当にマスタープランに書かれているとおりやっていただけるならば--先ほど銀行の金融の話も産業労働局で出ていましたけれども、都銀というのは、大手銀行というのは、貸すときはどんどんどんどん貸してくれるけれども、はがすのも早いという。その分、やはり信金等の地域金融機関は、最後まで一生懸命、踏ん張れるだけ踏ん張ってくれる。こういったことがあったので、東京都がやってくれているシンジケート型融資が地域金融機関を巻き込んでやってくれるならば、非常に期待するところが大きいという話がありました。
 そこで、信金などの地域金融機関は、手続上どのような役割を果たすのか、また、新銀行の支店の役割を果たしてくれるのか、この辺について伺いたいと思います。

○吉田参事 シンジケート型融資は、信用金庫などの地域金融機関と新銀行がリスクを分散しながら、中小企業に対して協調して融資を行うものでございまして、地域金融機関が新銀行の窓口業務機能の一端を担うものでございます。
 具体的には、融資案件は、アライアンス先でございますところの地域金融機関で受け付け、審査をし、判断した上で新銀行に持ち込まれます。新銀行といたしましても審査を行い、地域金融機関と協議の上、融資の可否を決定するわけでございます。
 融資実行後は、地域金融機関が顧客の期中管理を一元的に行いまして、新銀行に顧客の経営情報などの報告を定期的に行うことを基本としておりますけれども、詳細につきましては、現在協議を進めているところでございます。

○東村委員 今、窓口機能の一端を担うとおっしゃってくださいました。これは非常に大事なことなんですね。あくまでもアライアンス先なんでしょうけれども、窓口機能の一端を担う。ここがやっていただくと、地域の中小企業にとって、信金等の地域金融機関が本当の窓口機能として、そこで情報を新銀行に上げて、協調して足りない分の融資を新銀行でやってもらうという、このシンジケート型融資が本当にうまくいけば、私はこれは新銀行の目玉になるだろうなと。もともとこれは、アメリカなんかから出発した制度なんですけれども、非常にこれは大事な点だなと思っています。
 また、いろんな意味で、融資実行後は一元的に期中管理を地域金融機関がやって、情報を新銀行に出すという、これもやはり信金を地域の銀行としてしっかり認めてくれた上で、大事なところを新銀行東京は確保してくれているなと思っています。
 ただ、このマスタープランにも書いてあったんですけれども、与信限度超過企業、これは絶対に大手都銀は貸しません。それから債務超過企業、利益は出ているんだけれども、債務超過になっているという企業もなかなか貸してくれないわけでございます。
 こういったところにあえて協調融資を行うというわけですから、相当のリスクがあると思いますし、それを覚悟の上だと思っているんですけれども、それでは、どのようにしてこのリスクをカバーしていくのか、これについて伺いたいと思います。

○吉田参事 基本的には、リスクに応じた貸出利率を、地域金融機関と新銀行が協議の上決定し、融資実行後は、地域金融機関と新銀行がそれぞれの融資割合に応じたリスクを負うこととなります。
 詳細につきましては、現在、いろいろ協議を進めているところでございます。

○東村委員 なかなか詳しいところはまだ述べてもらえないんですけれども、いずれ所管の部局でこういう問題も詰まっていくでしょうし、恐らくリスクは、高い金利を取ることによってカバーして、万が一、貸し倒れが生じた場合、利益で償却していくんだろうなと、このように私は考えているんですけれども、ぜひとも、先ほどもいいましたけれども、シンジケート型の融資を成功させれば、地元の税理士さんなんかも、本当に非常にこれは助かるということをいっていますので、頑張ってもらいたいと思います。
 先ほど答弁の中で、信金などは確かに窓口機能をやるけれども、あくまでもアライアンス先であるというご答弁がありました。ただ、十月十五日の定例記者会見で石原知事が、大株主の東京の地下鉄あるいはトヨタの販売店その他、加盟し、やがて出資するだろう企業の営業所がそのまま、すべてとはいわないけれども、支店の役割を果たす、こういう記者会見をされました。
 これを受けて、マスコミはその先をいっちゃいまして、企業の営業所が支店という見出しで新聞を書いたわけなんですけれども、これを見た都民の人たちは結構、じゃあ近くに支店ができるのかという、こういった勘違いをした人もいるんですけれども、知事の最後の発言を読んでいると、要するに、新銀行というのは、やはり多く支店を出すんじゃなくて、あくまでも本店一元管理でやる。ただ、さっきいったように、窓口機能を持たせたり、さまざまな機能を持たせていくんだと。これが一種の支店だろうという話も最後にされていましたけれども、今いったトヨタの販売店とか東京の地下鉄、これがどうやって支店の役割を果たしていくのか、なかなか私には理解ができなかったんです。
 ATMだけだったら、私は、これは支店の役目だとはいえないと思うんですけれども、これについてどのように新銀行設立本部は考えているのか、伺いたいと思います。

○吉田参事 新銀行は、お話のように、少ない店舗を前提として業務を組み立てておりまして、融資については、信用金庫などの金融機関や提携企業、また東京都商工会議所連合会、東京都商工会連合会などの公的団体が、新銀行に対し融資案件の紹介、取り次ぎなどを行うことから、こうした企業、団体が新銀行の営業拠点としての役割を果たすという意味を込めた発言であると理解しております。

○東村委員 詳しいことはいってもらえなかったんですけれども、そういう意味を込めた発言。ただ、知事は、知っているからこそ、ああいった発言をされたんじゃないかなと思うんですね。恐らく、今後、これは所管の部局で審議をされるんだろうと。
 特に私は、中小企業の再生ファンドもお聞きしたかったんですけれども、これはまだまだ煮詰まっていないということなので、答弁は協議中という答弁で終わると思いましたので、あえて今回はやりませんでした。今後また次回以降に、この問題は細かく詰めていきたいと思うのです。
 というのは、やるぞやるぞ、形ですばらしいものだぞといっても、具体的に詰めていかなければ、現場が本当に使いやすいものでなければ、また中小企業が本当の意味で救われるものでなければ、普通の銀行と同じようなことを結果的にやるような仕組みづくりでは、本当の意味での中小企業を助ける新銀行東京にはならないと思っていますので、今後も、この問題については厳しく監視をしながら、情報交換等やりとりをさせていただいて、意見があればどんどん、意見をいう機会もあれば、意見をいってまいりたいと思います。
 以上です。

○古館委員 平成十五年度の決算ですので、いろいろ考えたんですけれども、これから新銀行が稼働するということであります。既に、新銀行について考えられる諸問題につきましては、問題点とか懸念される事柄、我が党として議会のたびごとに取り上げてまいりました。そういうこともありましたが、この十五年度にどうしてもはっきりさせておかなければならない問題一点に絞って質問させていただきたいと思います。
 その問題というのは、やはり新銀行について石原知事の発言であります。その後の対応についても触れないわけにはまいりません。
 昨年の六月八日のテレビ番組で、魚屋さん、八百屋さん、そんなところには貸さないよと。これは何でこう聞くかというと、これが実は、新銀行に当たっての石原知事としての言葉なんですね。商店街はつぶれつつあるんだからと。
 先ほど川井さんも、この商店街について質問されておりましたけれども、問題は、都民が願っているのは、魚屋さん、八百屋さん、こういうところに貸してもらいたい。これが本来の新銀行に対する期待であるはずであります。
 そこで、知事の、地域の八百屋さんや魚屋さんには貸さないよ、商店街はつぶれつつあるんだからという発言についてですけれども、問題は、何度撤回を求めても、知事が撤回をしていないということです。これは、今後の新銀行のありように、私は影響を与えないはずはないというふうに思います。
 知事のこの発言について、この考えに今でも変わりはないのでしょうか。いかがですか。

○吉田参事 十五年二定の本会議で、秋田議員の質問に対して知事から答弁しましたほか、委員会等で何度もご説明しているとおりでございますが、新銀行は、厳しい状況にある中小企業を積極的に支援するため、業種を問わず融資の対象としております。
 中小企業に生きた資金を供給することが、この銀行の第一の目的でございますが、当然ながら、融資に当たりましては、銀行として個別企業のリスクに応じた判断を行ってまいります。

○古館委員 具体的に聞きます。
 知事は、この問題について撤回をしていませんよね。いかがですか。

○吉田参事 撤回云々というよりも、きちんと真意を公の場で説明しているというふうに理解しております。

○古館委員 そういう点で、十五年度の問題でいうと、今いったことに象徴されるんですね。
 それで、商店街の皆さんは、地域経済の担い手として、やはり先ほど川井さんがおっしゃっていましたけれども、みずから活性化に力を尽くすとともにと。これは一緒なんですよ、どなたも考えることは。町会の運営だとかお祭りとか、防犯とか消防だとか、地域社会の柱としてその役割を担って頑張っているんです。このコンビニの問題だとかというのは、我が党が一般質問でも取り上げた問題でもありますからね。
 そういう点でいえば、そもそも、魚屋さんとか八百屋さんという地域商店街の中核店舗なんですね、これは。生鮮三品をなくして、商店街も体をなさないというのは常識のところであります。商店街の衰退は、これらの生鮮食料品の商店がなくなる、ここから始まってきているというのは、過去の東京の調査でも明らかであります。都は、この調査をもとに、空き店舗支援事業を開始したのではありませんか。
 知事の商店街はつぶれつつあるんだからという発言は、商店街が地域経済に果たしている役割をそれこそ否定するものであって、商店街の皆さんの努力に水をかけるものにほかなりません。知事のこのような非常識な発言は撤回を求めるということを、何度も我々はいってまいりました。
 都は、新銀行の目的について、技術力や将来性などにすぐれた中小企業を支援することを掲げていますけれども、このような考え方でいけば、新銀行から融資を受けられるのは、成長産業とか優良企業など一部の企業にしかなりません。銀行による貸し渋り、貸しはがしを是正するというのであれば、むしろ、お魚屋さんや八百屋さんを初め、城南地域などの製造業とか、城北も含め、さらに建設業など、不況業種についても平等に支援することが私は強く求められていると思っています。
 改めていうまでもありませんけれども、中小企業支援には東京都の制度融資があるわけです。それを改善して使うのが本筋ではないでしょうか。一千億円も税金を投入しているんですから、それの方がよっぽど効率的だというふうに我々は確信しています。
 都が担保主義を是正するというのであれば、既にある無担保無保証人融資制度を拡充して、新規創業や新製品開発などにも適用できるように改善することこそ必要だと思っています。中堅企業も使える新たな無担保無保証人融資制度、これこそ、今こそ、一千億円というお金があるんだったら創設すべきだというふうに思っています。
 多重債務の解決のために、新たな借りかえ一本化融資制度の創設とか、信用保証料の引き下げなど、業者の要望にこたえる、この改善を直ちに行うこと、これが本筋だということを求めて、この質問を終わります。
 以上です。

○藤田委員 先ほど税務協会の委託の問題、質問が既に出ておりますので、その中でちょっと疑問に思ったことをさらにお尋ねいたしたいと思います。
 八億七千万円について、税務協会への委託料であります。都職員二十三名分と民間からの派遣職員の人件費、システム開発費というふうに聞いておりますけれども、内訳は先ほどお話がありました。そして、人件費は一億八千万円、都からの派遣職員分というふうになっているわけです。
 この都からの派遣職員分なんですが、ではということで、出納長室の歳出のところを見ましたところ、実際には、職員費というのは不用額が六十一万三千七百三十円で、執行率九九・九%ということで、実は出納長の方々も、あのころはダブルで名刺もお持ちで、そういう状況の中で、どちらですかといったら、派遣されていますというような状況がありました。
 この派遣職員分、一億八千万円がもしこの中から出ているのだとすれば、出納長室の方で減額になっていなくてはいけないのだと思いますけれども、その辺についてはどんなふうになっておりますでしょうか。

○関企画担当部長 昨年度、税務協会に派遣した都の職員分は、先生がおっしゃったように一億八千万円でございます。ですから、そこに都費で支出している出納長室の支出分というのは、一切重複はございません。

○藤田委員 済みません。もう一度聞きます。
 税務協会へ八億七千万円分、委託料として出しました。そして、その中の一億八千万円分は職員費だというふうにおっしゃいました。しかし、出納長室で職員費は削られていないわけですね。
 じゃ、もうちょっと細かく聞けば、十五年度のいつから都の職員の派遣が始まりましたか。--もう一回ちゃんといいます。十五年度の予算の初めから、この派遣職員分は出ているんですか。

○関企画担当部長 税務協会への職員の派遣は、十五年の六月十六日でございます。それ以降の人件費につきましては、税務協会の委託料の中で支払っているわけでございまして、それが一億八千万円ということでございます。

○藤田委員 ということは、少なくとも四月、五月の分については出納長室で払ってあるわけですから、そこの分で、それ以降の分については不用額になるわけじゃないんですか、出納長室の歳出としては。

○関企画担当部長 この税務協会への委託と同時に、いってみれば職員の派遣が行われまして、これは、各局から出納長室へ異動した職員がそのまま派遣をされたということでございまして、出納長室の委託料で支払っているわけでございますから、人件費上の不用額の発生の余地がないということでございます。

○藤田委員 そうすると(「あらかじめ当初予算がそういうことになっているわけ」と呼ぶ者あり)当初予算では……(「四月、五月しか見てなかったんでしょう。そうじゃないの」と呼ぶ者あり)

○田中委員長 ちょっとそこ……

○関企画担当部長 新銀行のプロジェクトというのは、六月十六日に税務協会への委託をもって発足したわけでございますから、その人件費分というのは、当初からこの委託料にすべて算入されているということでございます。
 それ以前の部分については、出納長室の人件費算定というのはございますけれども、新銀行プロジェクトとしての予算じゃございませんので、これは当然ながら、委託料八億七千万円のうちの都派遣分一億八千万円ですべて処理しております。
 なお、新銀行のプロジェクトの発足と同時に、理事、部長、課長一名が都費分として措置されております。

○藤田委員 それは、そこの八億七千万円で委託されたんだから、その分は六月からので、それはそれでオーケーなんです。でも、出納長室の歳出の中には、そういうふうには書かれていないというところがおかしいなというふうにいったわけです。そこをぜひ、戻られましたら、出納長室分をよく見ていただきたいというふうに思います。何にも、不用額というのは六十一万三千円しかないということですから、その部分がどうなっているかというのが私は疑問でございます。
 それから、初めに、委託料五億というので質疑が財政委員会の中でなされました。それで、委託料に不足が生じたために、予備費を補てんということで、これは議会で補正予算を出したんですが、それが二億八千万円です。足すと七億八千万円ということなんですが、この委託料、八億七千万円になっていますけれども、そこの残り一億五千万円はどのような計算でなっていますでしょうか。

○関企画担当部長 出納長室の決算にかかわることでございますけれども、当初の予算から委員会等でご説明してございますけれども、さらに内容を深める必要があれば延長等を行うということから、当初五億の支出につきましては、八億ということで行っております。このような調査研究は、変更を、そもそもご報告してきたところでございます。
 予備費との差額については、出納長室の予算において執行したということでございます。

○藤田委員 ちょっと数が合わなかったので、その点を確認したかったんですけれども、また改めて、その細かい計算はお知らせいただければというふうに思います。
 それから、システム開発でございますけれども、初めの、いろいろ委託しているときの話の中では、Suicaやイトーヨーカ堂などをネットワークしたものというふうにしてシステム開発をしていますというようなことがいわれておりました。
 このシステム開発の費用というものについては、どこが支払った形になっておりますでしょうか。

○関企画担当部長 システムにつきましては、十五年度は、安全性の高い勘定など銀行業務を担う基幹系と、柔軟に顧客サービスを提供するチャネル系との結合を内容とするシステムの基本構想の策定、及び新銀行の業務内容を反映する基本設計などの準備作業を行ったところでございまして、現在、それらを踏まえてシステム開発を進めているところでございます。
 なお、チャネル、ICカードの出入りの関係の部分でございますけれども、チャネル部門につきましては、JR東日本やJAL、三越などと連携し、さまざまな生活シーンで利用できるICカードを発行することにしておりますけれども、それに係るシステム開発の費用につきましては、当然ながら、銀行業務に関する部分は新銀行、提携サービスに関する部分については、それぞれの提携先が負担することとしております。

○藤田委員 税務協会の委託期間は十五年度末までというふうに聞いておりますけれども、今お話がありましたシステムについて、基本設計などについては十五年度まででやっていると。
 現在、それを踏まえてシステムを開発中というふうにおっしゃいましたけれども、システム開発中という、これは今どこで行われていますでしょうか。組織的にどういうふうに移っていったのかをお知らせいただきたいと思います。

○関企画担当部長 これはシステムの方でございますけれども、本年四月に、銀行法上の銀行として株式会社新銀行東京が発足いたしまして、開業準備の主体は新銀行に移っております。
 現在のシステム開発についても、すべて新銀行において負担しておるところでございます。

○藤田委員 今お話があったように、四月一日に株式会社新銀行東京が正式に発足したわけでありますけれども、株式会社になったわけでありますので、費用はそこで調達すべきというふうに思っています。
 新銀行の立ち上げ準備金はどういうふうになっているか、いつ決定された予算で、どの局で支出されたかを伺いたいと思います。

○関企画担当部長 新銀行の準備経費は、十六年第一回定例会でご審議、可決いただいた、新銀行への出資金一千億円の中に含まれているものでございまして、本年四月に出納長室が執行しているところでございます。

○藤田委員 実際には、もちろん株式会社新銀行東京なわけですけれども、それから皆さん方の準備室という、この組織の関係なんですけれども、人件費、それから新銀行の事務所費--人件費、取締役は決まっているわけでありますし、今、職員も多分公募しているという状況だそうですから、その辺はどんなふうに予算が支払われているのかをお示しください。

○関企画担当部長 新銀行の人件費並びに新銀行の事務所経費など、新銀行に関する経費は、先ほどもご説明したとおり、都の出資を受けた新銀行がすべて負担しております。
 なお、新銀行設立本部については、都の予算で実施しているところでございます。

○藤田委員 それはいいんですけれども、仕事の内容というのは、設立準備本部のところでは、実際に今何をやっているかということを……。

○関企画担当部長 新銀行設立本部は、新銀行マスタープランをもとに、新銀行の新しいビジネスモデルの構築等に向けた調整、助言を行うほか、金融庁を初めとする関係諸機関との調整、資本充実における必要な協力など、新銀行東京の開業準備に対する総合的な支援を行うということでございます。

○藤田委員 専門家がやらないでというふうな思いは少々ございます。というのは、株式会社でまさに銀行をやろうという人たちが、そこのところは担うのかなというふうに私は思っておりましたので、準備室との関係が少々わからなかったというわけでございます。
 それで、先般、Suicaとの連携、それから店舗、五店舗が発表されたわけでありますけれども、銀行の概要、職員数、それから、大変問題になっておりました信組、信金との連携、出資金の収集状況はどのようになっているかを伺います。

○吉田参事 現在の準備状況のご説明でございます。
 新銀行東京におきます九月三十日現在の行員の状況でございますが、全体で約八十名程度となっております。
 信用金庫との提携につきまして、本年五月、新銀行東京は、東京都信用金庫協会と包括提携契約を締結いたしました。これをもとに、現在、個別信用金庫と具体的な協議を行っているところでございます。
 また、出資につきましては、現在、提携先企業などさまざまな企業に対して要請を行っております。
 開業準備は順調に進捗しております。

○藤田委員 今、行員数八十名とおっしゃいましたけれども、実際には、開業時、行員二百三十名というお話でございましたけれども、いかがでございますか。

○吉田参事 恐れ入ります。行員は、九月三十日現在、全体で約百八十名でございます。失礼いたしました。

○藤田委員 出資についてでございますけれども、今、要請というような状況がありましたけれども、これは都が一千億、他の企業で約一千億、二千億というのが当初でございました。
 その後は一千五百億ほどというような話がありましたけれども、ただいまのお答えは、まだ要請という段階でございましたけれども、実際にはどんな状況になっていますでしょうか。

○吉田参事 これは、具体的な企業名等、相手があることでございますので、相手方の出資戦略等いろいろございます関係で、現時点ではちょっと申し上げられないわけでございます。
 見通しといたしましては、十分な展望を持っております。

○藤田委員 相手方を求めたわけではございませんので、できればお答えをいただきたかったわけでありますが、来年四月以降の開業ということでありますけれども、現在の経済状況、先ほども産労の質疑の中でお話をさせていただきましたけれども、ようやく、どの銀行も不良債権を処理できる状況にまでなってきて、全体的には業績は上向いているという状況だそうです。
 ただ、一番末端の中小企業、零細企業は、なかなかそうはいかないような状況もあるわけでありますけれども、中小企業向けの融資の銀行として--私は実は、経済は非常に大きな動きがあるから、退路をつくっておくことも必要だというようなことを委員会でも申し述べさせていただきましたけれども、実際には、中小企業向けの融資の銀行としてということを銘打っているわけでありまして、この現在での必要性というものについてお聞きするということは、まさにこれは決意ということでございますけれども、どんなふうな状況になっていますでしょうか。

○関企画担当部長 中小企業を取り巻く状況ということでございますけれども、日銀統計によりますと、国内銀行の中小企業向け融資残高は、平成十三年三月から十六年三月までの三年間で、二〇・四%の大幅減少となっております。また、直近におきましても、平成十六年六月末の貸出残高は、前期十六年三月と比べて三・五%の減少と、依然として減少が続いており、中小企業を取り巻く環境は厳しいと認識しております。
 また、中小企業が産業構造の中核を担っている我が国においては、構造変化や厳しい競争への対応など、今後も中小企業の資金需要は、増加することはあっても減少することはないと考えております。
 これらのことから、中小企業に対して十分な資金供給を行い、地域経済の活性化を目的とする新銀行東京の必要性は不変であると考えております。

○藤田委員 私たちが議論できるのは、皆さん方、準備本部があるからで、まるきり株式会社だけになってしまえば、なかなか議論はできないわけでありますけれども、本当に戦略的にということで、今までもずっと、どちらかといいますと、オブラートに包んだような状況しかお答えもいただけませんでした。
 そうこうすることが、やっぱり不信を生んでいるというところもありますので、ぜひ発表できるところは速やかに積極的に発表していただきたいというふうに思いますし、知事の発表だけじゃなくて、もう少し丁寧に、細かなところまでお知らせをいただけるとありがたいというふうに思っております。
 以上で質問を終わります。

○田中委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○田中委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で新銀行設立本部関係を終わります。
 以上をもちまして、第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後四時二十八分散会

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