各会計決算特別委員会第二分科会第五号

平成十六年十月二十五日(月曜日)
第十委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十名
委員長大木田 守君
副委員長遠藤  衛君
副委員長坂口こうじ君
野上じゅん子君
松原 忠義君
田代ひろし君
樺山たかし君
大西由紀子君
藤川 隆則君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
大学管理本部本部長村山 寛司君
管理部長三橋  昇君
参事紺野 秀之君
参事大崎徳三郎君
参事宮下  茂君
参事宝月 大輔君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
大学管理本部関係
・平成十五年度東京都一般会計決算(質疑)

○大木田委員長 ただいまから平成十五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、大学管理本部関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いをいたします。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都一般会計決算中、大学管理本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三橋管理部長 去る十月八日に当分科会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりいただき、目次をごらん願います。
 ご要求のございました資料はごらんの二点でございます。
 恐れ入りますが、一ページをお開き願います。
 まず、大学改革にかかわるこれまでの経過でございます。昨年八月に新大学の構想につきまして発表いたしましたが、それ以降の経過につきまして取りまとめたものでございます。
 左側に都の検討状況を、右側に都立大学を初めといたします大学改革をめぐる動きを一ページから三ページにかけまして記載してございます。
 四ページをお開き願います。
 都立の大学の研究費決算額の推移でございます。一般財源研究費と外部資金研究費とに分けまして、五年間の推移をお示ししてございます。
 簡単ではございますけれども、説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○田代委員 本日は、委員長、副委員長のご努力もあって、簡潔に終わる予定のようですので、私もなるべく短目に、二十分ではなくて、もっと短くしっかりとやっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 都立大学というのは、設置時における建学の理念というものが、都民の福祉向上に貢献するための学問の教育と研究を行う。あるいはもう一つ、総合大学の本旨を生かした教養教育の重視、こういうものを建学の理念としまして、昭和二十四年に、当時の旧制の都立高等学校あるいは都立工業専門学校、都立化学工業専門学校、都立理工専門学校、都立女子専門学校、都立機械工業専門学校の六校を母校として、私の隣の区ですけれども、目黒区の八雲、きれいなのんびりしたところなので、世田谷からもよく遊びに行ったわけですけれども、ここに人文学部と理学部と工学部が設置されたわけです。これは皆様よくご存じのとおりです。
 都立大学はその後、公立大学はいうに及ばず、全国の大学の中でも極めて高い評価を受けて、特に平成三年には、私の病院もございます多摩ニュータウン、今小児救急でいろいろ問題にはなっておりますけれども、多摩ニュータウンに大変きれいな、ある意味ではヨーロッパの町並みのような感じの、よくテレビのロケに使われるということらしいんですけれども、そういうすばらしいものができたわけです。
 これは形は大変すばらしいものができたんですが、どうも最初の建学の精神から日にちがたちまして、十年、十数年前から、社会情勢が大きく変化しているということもあったんですが、それ以上に、当初の建学の理念を離れていくような、みずから大学をしっかりと改革し、そのときそのときに合わせて大学教育がどうあるべきかということを模索しなくちゃならないんですけど、そういうことが見られないような状況が大変長く続き、文教委員会などでは何回も何回も取り上げられて問題になっていたわけです。
 およそ大学という教育研究の場にはふさわしくないような思想的な学生運動が大変広がっていたという話がありますし、また、一部の政党も関与した非合法で極端な活動も随分あったということが文教委員会の中で取り上げられております。そういうことも、後ほどお話ししますが、大きな根っこにあったんだと思うんですが、改革のときにいろいろトラブルが出てきたわけです。
 私自身が、平成九年に議員になってから、教育というものに関心を持って都立大学をずっと見せていただいていたわけですが、文教委員会などでお話を伺うにつけ、大変大きな危惧のようなものを持っておりました。
 そのときに、知事が平成十一年に就任されて、東京から日本を変える、教育改革もやるということだったものですから、当時民主党の土屋議員、それからうちの古賀議員などとともに、知事と一緒に都立大学を見せていただきました。知事もそのときに、都立大学を初めとする都のすべての大学改革の必要性というものを強く感じられて、都立大学を初めとする都立の四大学の改革に着手するということを、平成十二年の第二回定例会で知事が所信表明で述べられたわけです。
 その後、都の大学改革が本格的に始まったわけですが、とりわけ平成十五年八月には都立の新しい大学の構想が発表されて、従来の、今までの大学のあり方にとらわれない全く新しい大学を目指す。逆にいうと、これは大きな転換だと思うんですけど、都立大学がなくなって、新しい都立大学に生まれ変わる、クラッシュ・アンド・ビルドということが始まったわけです。
 しかし、このときには、先ほど申し上げましたように、十数年にわたって非常に非合法な活動が行われて、また政党がそれに関与したという話も出たわけですから、いわゆる職員団体の中の一部教員が、みずからの既得権を守るために、いわゆる主権在民ではなくて、主権公務員ということで、大きな闘いが始まったことは皆様よくご存じだと思うんですけれども、大変大きな問題になった。
 しかし、これは当然だれが見ても、文句をいう方は自分の既得権益を守るためだけ、いろんな理屈は、後からどんな理屈でもどんどんついてくる。言葉をきれいにすればどんな理屈でもつくわけですけれども、都民を中心に考えるということが行われない。反対は当然そのまま続くわけもないので、反対運動に屈することなく、大学管理本部においては、平成十七年度の開学に向けてこの改革の理念を貫くためさまざまな準備と努力を今までしてきたわけです。このことは私も大変高く評価したいと思っております。
 こういう新大学開学に向けての大学管理本部の努力というものが、本年九月における文科省の首都大学東京の認可ということで一つの形を見たわけですが、当然国においては、これはかなり以前から我々の医学部もその一番中心に置かれているわけですけれども、国公立大学の統廃合--大学の数が多いから悪いとは、私、単純には思わないんですね。幾らあってもいいと思います。ただ、ある時期は統合して整理して、また必要性があればそれぞれ分かれていく、そういう時代も長い歴史の中にあるかもしれませんが、現在の流れとしては、大学の独立行政法人化ということが一つの流れになっているわけでありまして、その中で都立大学の首都大学東京も、本分科会の対象となる平成十五年においては既に公立大学法人への移行が決定されたわけです。
 ぜひともこれから公立大学法人として、従来の公立大学にはない、自立的かつ弾力的な運営をしっかりと行って、今までに想像もしなかった新しい、都民にとって非常に期待の大きな大学を、また期待にこたえられるような首都大学東京をつくり上げていただきたいんですが、それに対して何点か要望させていただきたいと思います。
 まず、最近アジアの中の経済戦争の中でも非常に大きな問題になっている産学公の連携というものが、やはり我が国、非常に弱いところがあるものですから、ぜひともその手本として産学公の推進ということをしっかり重点に置いて進めていただきたい。これは知事の母校であります一橋も、四大学憲章ということで、昔でいう国立二期校ですけれども、四つの大学が平成十三年から一つのグループとして、講座の移行も踏まえて、総合大学構想のような、まだ全部一つにまとまったわけではないわけですけれども、そういう形ができつつある。その中で都立大学が取り残されないように、都民にも役に立つようなものをつくっていくというのは、もともとの建学の精神でありますから、産学公というものを積極的に進めていただきたい。
 当然そのときに、ただ学問をするだけ、経済発展に利するだけということではなくて、よく昔から象牙の塔、象牙の塔というんですけれども、自由な風がない、何か封建的な形の中で縦系列の学問を行うのではなくて、東京の一つの名所となるような--これは言葉を選ばなくちゃいけないんですけれども、あるときには、正しい認識さえ持っていれば、ある部分反権力の場であっても僕はいいと思うんですね。いわゆる自由闊達な、大きな東京の学園都市として、観光立国日本というのであれば、その目玉である東京に来たとき、都立大学、首都大学東京をどうしても見ていきたい。見ると、なかなかおもしろい。文化的な薫りもするし、非常に反骨の精神にも富んでいる。しかし、筋はしっかり通っているという一つの文化の発信基地のような形として発展していくような、そういう大学になっていただきたい。これが二点目として、都民にしっかり開かれた大学であってほしいということを申し上げたいと思います。
 三点目は、やはりこれは日本という国の中で非常に硬直的で問題になっている、学生さんと一般社会人との柔軟な交流というか、システムをしっかりつくっていただきたい。どういうことかというと、例えば一時的にいろいろな理由によって大学を離れても、またきちっと復学ができる、あるいは大学と大学でそれぞれ講座を交換する、あるいはそれを単位としてある部分は認めていくような、いわゆる単位バンクですね、その積極的な活用、推進というものは今からぜひとも実行していただきたい、その三点を申し上げたいと思います。
 最後の要望として、首都大学東京というのは、大都市における人間社会の理想像の追求というのを理念に挙げているわけですから、先ほども申し上げましたように、魅力あふれる大学、学問としても大変魅力があるけれども、しかし、キャンパス自体のハードも含め、そしてソフトも含めて観光立国日本の中心地となる東京の、さらに中心となる、大きな目玉になるような、そういうような風潮を、先ほど申し上げた三点のことを中心として進めていただきたいということを要望いたしまして、新大学の開学に向けて大学管理本部長の決意を伺って、終わりたいと思います。

○村山大学管理本部長 お答えいたします。
 都立の大学の半世紀余りにわたる歴史をさかのぼっていただいて、いろいろこれからの首都大学東京のあり方についてご指摘をいただきました。この半世紀余りの間で、都立の大学が生み出してきた成果は大きいわけですけれども、同時に、いろいろお話をいただいたような問題点、あるいはこれからに向けた課題、これもまた蓄積されてきたということもまた事実でございます。これからの大学間競争が非常に厳しくなる中にあっては、これらを克服して新しい大学としてちゃんと生まれ変わるということが非常に重要になっておりまして、その中におきましては、るる委員からご指摘をいただいたような産学公連携を含む教育研究の成果を東京に、あるいは日本にちゃんと還元をしていける大学、都民に役に立つ、しかも大学の内側に閉じこもるんじゃなくて、人的交流も含めて、社会に開かれた、いわばおもしろい大学というふうにしていくことが、これから私どもに課せられた使命だというふうに認識をしております。
 来年四月の開学を、そういう改革の新たなスタートというふうになるべく頑張っていきたいというふうに思っておりますので、引き続きご支援いただきたいと思います。

○藤川委員 僕は、そこに存在する価値はどこにあるかということをいつも考えるわけです。東京都議会が存在する価値はどこにあるのかなと考えるわけです。そうすると、それはやっぱり、都税を預かって、それを使うべきところに使ってないとか、使っちゃいけないところに使うとかいうことを常に見ているわけですよ。だから、そういう面では皆さんよりもお金という面については厳しいかもしれないですね。使っちゃいけないところに使った、使うべきところに使わないって、おかしいじゃないかというふうに分ける。だから、そういう見方をするわけです。
 都立大学の存在価値はどこにあるのかなということを考えた場合に、田代さん今いったことと同じことかなと思うけど、僕は、都立大学はヘーゲルやマルクスやハイデッカーやサミュエルソンの理論なんかを展開する必要ないと思うんです。そんなのは東京大学に任しゃいいし、私立にも早稲田や慶応みたいな優秀な大学があるし、いろんな優秀な大学があるから、そういうところに任しちゃう。
 都立大学はどうして成り立つかというと、東京都民の税金でもって成り立っているわけですから、そういうお金を十分に使うには、ちゃんとした使い方をするには、都立大学でなければならないような、東京都民のために存在する大学として考えればいいんじゃないかなと、僕はそう思うわけです。
 僕は、それが自分の極論じゃないかと思って、ここへ来る前にいろんな人に聞いたんです。僕はこういうふうに思っているんだけど、僕の極論かねといったら、そうじゃない、正論だという人が圧倒的に多かった。そのことを田代さんにも聞いたんですよ。それは老人がそういうふうに考えるから、そういうふうに考えちゃいけないといわれて、あ、そうかというふうに自信持ったわけです。
 だから、東京都立大学が存在するのは、東京都税という税金でもって賄っている大学だから、結局、東京都のためになるような大学でなければいけないわけですよ。僕はそう思うわけです。だから、そういう考えでもって、皆さんにいろいろとご努力願うわけですけれども、その点について、どういうふうに考えているか。どなたがお答えになるかわからないんですけど、僕はそういうふうに思っている。だから、意見が違えば、もう一回質問してみようかと思うんですけど、どういうふうに思っているか、お願いしたい。

○紺野参事 都立の新大学、首都大学東京が、委員ご指摘のとおり、ほかの大学と同じものである必要はなくて、例えば、東京大学が得意とする分野があれば、東京大学にどんどんやっていただく。首都大学東京は、まさに東京の地場の、都民の税金をいただいて運営している大学として独自の特色を持ってこれからつくっていく、運営していく必要がある、私どももかように考えております。
 具体的には、例えば、東京都が抱えているさまざまな課題がございます。大都市問題として、交通問題、住宅問題あるいは環境問題等々さまざまな課題を東京都政は抱えているわけですが、首都大学東京はこれら都政が直面する大都市の課題の解決に貢献できるような大学でなければならないというふうに考えておりまして、現在、新大学、首都大学東京の設立準備中ではありますが、既に東京都各局との連携を進めるべく準備をいたしているところでございます。

○藤川委員 今ご答弁願いました紺野さんは、僕の考えているのと同じことを考えているなというふうに思ったわけです。だから、質問じゃなくて、自分の意見だけ申し述べておきますけれども、やはり東京都が抱えているもろもろの問題があるわけですね。そのもろもろの問題は、東京大学や一橋大学でもってそういうことを取り組むかというと、取り組まないわけですよ。だから、それは都立大学で取り組んでもらって、都立大学が首都東京のためによくあれかしと思う形でもってやってくれれば、ためになるわけです。
 だから、そういう面でもって、世界に名だたる経済学者、哲学者の理論を展開する必要は全然ないわけですよ。僕はそう思うわけです。そういうことは暇だったら趣味としてやったらいいですけど、本来、都立大学が存在するのはそういうところにあると僕は思うわけです。だからそういう形でもって都立大学のあり方というものを皆さんもう一度よく考えてもらいたいと思います。
 終わります。以上です。
   〔委員長退席、遠藤副委員長着席〕

○吉田委員 じゃ、私も簡潔に質問させていただきます。
 最初に資料を出していただきました。決算特別委員会ですから、研究費の決算額の推移について、確認し、一言意見を述べさせていただきます。
 資料四ページ目で、平成十一年度、九九年度から昨年度までの研究費の決算額の推移を出していただきました。この研究費歳出決算総額を見ると、これは約二十億円ですか。それが十九億円ということで、総体としてはそれほど減ってないなという印象を受けますけれども、しかし、ここでちょっと確認しておきたいんですが、これは都が支出する一般財源研究費と、外部資金研究費を合計した金額となっていますが、この外部資金研究費というものは、都が支出する一般財源研究費と違って、初めから、使途あるいはその分野というものは限定されていて、大学側が自由に配分することが困難なのが実態ではないのかなと思うんですが、その状況はどうなっているんでしょうか。

○宮下参事 外部資金研究費のお尋ねでございますけれども、外部資金研究費、一くくりで外部資金研究費と取りまとめておりますが、種々のものがございまして、例えば、産学共同研究費あるいは受託研究費、それから寄附講座などもこの中に含まれております。それから、提案公募型研究費等々、種々のものがございまして、これは一定の目的のもとで、外部から研究費をいただいているわけでございまして、それに申請をして獲得したというものですから、その目的に沿って使われる研究費、このようなものでございます。

○吉田委員 これ自身は貴重だと思いますけれども、しかし、実態として見れば、大学側が自由に配分して使うことができるものは結局一般財源研究費ということになるわけですね。そうしたら、細かい数字は別にして大づかみに見れば、毎年一〇%前後確実に研究費が減らされていて、平成十一年度と昨年度を比較すると、ほぼ三割減、七割。約十六億円だったものが十一億円というふうに減らされています。もちろん、東京都財政全体のフレームの反映だという面がおありなんでしょうけれども、やはり、たとえ財政的な困難があったとしても、こうした研究費の分野というものはできる限り確保するということで努力をしていただきたいということをまず冒頭述べさせていただきます。
 それで、きょう特にこの機会にお聞きしたかったことは、もう既に文教委員会などでは議論されていることだと思うんですが、昨年度の最大のポイントは、今後の都立大学のあり方に関して、八月一日、突如というふうないい方が適切かどうかわかりませんが、私は突如だと思うんですけども、知事が記者会見で発表するということだったと思うんです。
 しかし、事前にお聞きしましたが、これに至る以前の過程においては、例えば、東京都大学改革大綱が既につくられ、そして大学改革大綱の具体化としてどのように進めるかということをテーマにして、新大学設立準備委員会が、今後の新大学のあり方について、かなり詳細なところまで検討を進めていたというふうに聞いておりますけれども、この新大学設立準備委員会の検討状況について、経過を簡単にご説明願いたいと思うんです。

○紺野参事 平成十三年十一月に大学改革大綱が発表されて以降、昨年八月までの検討の経過についてのお尋ねかと思いますが、平成十四年五月に、教育長をトップにいたしまして各大学の学長で構成する検討組織を設置いたしまして、そのもとに、大学管理本部職員と大学教員で構成するさまざまな検討組織や、課題別、学部別の作業組織、検討組織を設置して検討を行ってきたところです。そこの場では、キャンパス配置の問題、あるいは入試方法、教育課程、いわゆるカリキュラム等の設計を行っていたところでございます。
 なお、この時期に行ったさまざまな検討は、八月一日以降も、必要に応じまして新たな構想や検討体制の中でも生かされているところでございます。

○吉田委員 改めて、私のちょっと聞き方が簡略的だったかもしれませんが、もう一度確認したいのは、この準備委員会の目的は何であったのか、八月一日直前の到達点はどういう到達であったのかということをご答弁をお願いいたします。

○紺野参事 検討組織の具体的な姿といたしましては、まず東京都大学運営諮問会議というものを設けまして、これは岩手県立大学学長の西澤潤一先生に座長になっていただいておりますが、ここで大学についての基本的な大きなことを検討していただきました。このもとに新大学設立準備委員会というものを設けまして、さまざまな検討事項を検討してきたということでございます。
 なお、どの辺まで検討が進んでいたのかというお話かと思いますが、これにつきましては、十三年十一月、先ほど申し上げました大学改革大綱の具体化をする作業を進めていたということでございます。したがいまして、学部の構成であるとか、キャンパスの配置案でありますとか、あるいは教育課程の概要、入試方法の概要等についての検討を進めていたというところでございます。

○吉田委員 したがって、これは既に東京都大学改革大綱に基づく具体化として検討が進められ、かつ具体的には、私、目的といったんですけれども、都立の四大学を再編統合して設立する都立の新大学について必要な事項について準備、検討を進め、都立の大学における改革を推進するということが、この設置要綱の一に、多分これが目的に当たると思うんですが、書かれているわけですね。
 それはあくまでも、かなり、最終局面といえるかどうかわかりませんが、準備をしていた過程ですよ、まだ。結論が出る前に、突如として知事の記者会見で発表が行われた。極めて常識的に考えれば、きちんと都立大学改革大綱がつくられ、その具体化としての検討委員会も必要なメンバーによってつくられ、そしてまさに検討しているさなかに突如として知事の記者会見が行われて発表がされるというのは、行政の流れからすれば極めてイレギュラーだというふうに思うんですが、いかがですか。
 それと、この検討準備委員会は、現時点では、あるいは廃止をされたんですか。廃止はどういう形で手続としてはされたんでしょうか。

○紺野参事 平成十三年の大学改革大綱策定以降、社会状況、世の中の動きはさまざまな変化がございました。具体的には、例えば、平成十四年七月に工業等制限法が廃止されまして、区部、二十三区への大学の新増設について工業等制限法でかつて規制されておったんですが、この規制が撤廃されまして、区部へのキャンパスの設置等が可能になりました。また、学校教育法の改正、これによりまして学部等の構成の変更等が非常に簡素な手続でできるようになった。そのほか、都市再生特別措置法の制定、あるいは知的財産法の制定等、大学をめぐる法制度、環境に非常に大きな変化が生じてきたわけです。
 そうした中で、特に工業等制限法の廃止を受けまして、キャンパス配置については見直す必要が大きく出てまいりました。昨年七月以前の検討では、新しい都立の大学の教育研究のキャンパスは、現在都立大学がございます八王子市南大沢に基本的にすべて集中するという案で検討が進められておったわけですが、今申し上げました工業等制限法の廃止等を受けまして、そういったキャンパス配置のあり方について、むしろ都心部での展開も中長期的には視野に入れるような形でキャンパス配置の見直し、あるいは、学校教育法の改正を受けまして、昨年七月以前までは、簡単に申し上げますと、都立大学の現在の学部構成、人文学部、法学部、経済学部、理学部、工学部といった学部構成をほぼそのままなぞるといいますか、継承するような形の案であったわけですが、さまざまな環境変化等に合わせて学部構成等についても社会のニーズにこたえられるような形で見直す必要が出てきたといったことから、外部の専門委員の先生方にも入っていただいて、その時点でどういう構想にすべきかということを十分ご議論いただいた上で、昨年八月に知事が新しい構想を発表したというところでございます。

○吉田委員 次の話はまた聞きますけれども、発表に至る経過については。それ以前の問題として、この大学改革大綱に基づく新大学設立準備委員会の機能の事実上停止、廃止をされたわけですね、ある時期に。それは今までいろいろ説明されましたけれども、そのことをもってなぜこれを打ち切ることを決定したのかということは説明になっていないと思うんですよ。一体いつ、だれが、この準備委員会の廃止あるいは休止ですか、停止ですか、どういう手続で決めたんですか、もうこれで検討していても状況が変わったから打ちどめにするよというのは。どこでそれは検討されたんですか。

○紺野参事 七月以前の検討体制につきましては、八月に新しい構想を発表したこととあわせまして、従来の検討体制にかえまして新たな現在の検討体制をつくったものでございます。

○吉田委員 だから、それが一体だれによって、いつ、どのような協議を経て、その廃止をするということは決めたんですか。

○紺野参事 それは、設置者が行ったことでございます。

○吉田委員 知事ということですよね。

○紺野参事 設置者は知事でございます。

○吉田委員 結局、これだけ体制もとって要綱をつくって準備してきたことが、どういう協議と検討がされたかわかりませんが、今の話だと知事の一言で中止、打ち切りと。しかし、大学のあり方をめぐってはいろんな意見が--先ほどもありましたよ、それには私、この場では踏み込みませんけれども、しかし、それはやはり、たとえ設置者が知事であったとしても、その知事である設置者の意向に基づいてこうした検討をしておきながら、それがどこまで最終的な到達に至ったかということも何ら報告書もないまま事実上打ち切ってしまうというやり方というのは、これは大学のあり方の検討の仕方としても、また行政として行政が施策を検討するあり方としても、こういうことは私はやはり許されるべきものではないと思いますよ。
 そのこととあわせて、じゃ、知事は八月一日に発表いたしましたけれども、あれも全く知事の一方的なトップダウンの発表なんですか、それとも何らかの検討があったんですか。

○紺野参事 八月一日の構想、新しく昨年の八月に発表した構想の策定のプロセスといいますか、その途上のことかと思いますが、東京都大学運営諮問会議のもとに、外部の専門家によります専門委員会を設置いたしました。新大学の教育研究に関する検討会というものでございまして、岩手県立大学学長の西澤潤一先生を座長にいたしまして、メンバーの中には、前の都立大学の総長、あるいは前の科学技術大学の学長といった、都の大学の実情に詳しい委員にも入っていただきまして、その他、外部の委員も二名加えまして検討委員会をつくったところでございます。この検討委員会を五月から五回開催いたしまして、この検討委員会での議論を踏まえて八月の構想をまとめたということでございます。

○吉田委員 事前にお聞きした説明だと、この検討委員会は、東京都大学運営諮問会議の専門委員会であるというご説明でしたね。それは東京都大学運営諮問会議の要綱に基づくものだというふうに理解してよろしいんですか。

○紺野参事 そういうものでございます。

○吉田委員 そうすると、この専門委員会は、いつ、どういう手続で選ばれて発足をしたんですか。これはあくまでも座長が一方的に、私はこの人とこの人とこの人を集めてやりますよという形でやったんですか。それとも諮問会議で、こういうメンバーで専門委員会を立ち上げたいという手続は踏まれたんですか。それはどうですか。

○紺野参事 諮問会議に諮って専門委員会を設置したものでございます。

○吉田委員 それはいつ諮問会議で確認をされたのかということと、当然そこで出された専門委員会の結論というものは諮問会議にオーソライズを普通はされますね。そういう手続は、どのような手続がいつ行われたのかということをちょっとお答えください。

○紺野参事 諮問会議のメンバーには持ち回りで報告をいたしております。

○吉田委員 たとえ専門委員会で検討したといっても、五月から七月の二カ月間ですよね。かなり根本的で、かつ非常に総合的で、大学のあり方や具体的な運営ということからいえば大きな問題を専門委員会だけで検討して、あとは、じゃ、諮問会議も開かないで持ち回りをやったんですか。持ち回りで一体いつそれは確認されているんですか。

○紺野参事 八月に構想案を発表する前に持ち回って了解を得たものでございます。

○吉田委員 余りこういうことにこだわりたくはないんだけれども、きちんと日付をいってくださいよ。

○紺野参事 現在、何月何日、どの委員に回ったという記録は、手元にございません。

○吉田委員 私は別に、いつだれに回ったかということを聞いているわけじゃないんですよ。もし持ち回りがあったとしても、少なくとも大学諮問会議で決定したとすれば決定の日付があるわけでしょう。文書があって、いついつ付で諮問会議でこの旨決定しましたというものはないんですか、文書が今。日付が入った文書が。

○紺野参事 諮問委員会に報告したということでございます。持ち回りで報告したということでございます。

○吉田委員 そうすると、諮問委員会の委員に報告はしたけれども、そうすると諮問委員会としての確定じゃないということですか。

○紺野参事 諮問委員会の委員に持ち回りで報告して、了承を得たということでございます。

○吉田委員 了承を得たら了承を得たで、いついつ付でちゃんと諮問委員会でしましたといえばいいんですよ、初めからそういうことを。それが、まあそれは私も資料要求をしなかったけれども、一回文書を見たいものですよ、少なくとも、じゃ、了承を受けたという文書を。それだったら当然公文書になるでしょうから、東京都が受けた、日付ぐらい入っているでしょう。どういう手続でこの文書がつくられ、こういう文書としてまとめられましたと。それとも、そういう文書はないんですか、我々が見れるような。
 もう一つついでに、時間の関係もあるので聞きたいんだけれども、これはあくまでも第三者機関ですよね。第三者機関じゃないんですか。第三者機関の場合だったら普通、東京都の構想として発表するならば、第三者機関からの提案が、あるいは答申がありました、それを受けて東京都としては参考にしつつこういうものにしたいというふうに出すものなんですが、この諮問委員に諮った専門委員会の文書と知事発表の文書というのはどういう関係なんですか。全く同一なんですか。

○紺野参事 専門委員会は検討結果を諮問会議のメンバーに報告しまして了承を得ました。で、専門委員会の検討を踏まえて、設置者である知事が八月に新しい構想を発表したということでございます。

○吉田委員 ですから、専門委員会というのは第三者機関でしょう。第三者機関の文書がそのまま知事の発表文書になるんですか。行政だったら当然、それを踏まえつつ行政としての計画文書をつくるでしょう。あるいは、行政としての検討があるでしょう。それはなしなんですか。

○紺野参事 先ほどもお答えいたしましたが、専門委員会の検討を踏まえて、知事がそれを踏まえて、設置者として構想案をまとめたものでございます。

○吉田委員 設置者が少なくとも構想をまとめるからには、庁内としての検討ぐらいあるでしょう。第三者機関からのものがすぐ知事の構想になるんですか。

○紺野参事 知事の補助機関として大学管理本部がございます。大学管理本部が補助機関として知事を補佐して、知事が新しい構想をまとめて発表したものでございます。

○吉田委員 これ以上いいませんけれども、私はやはり、そもそも片方で準備委員会の検討がかなり詳細にわたって進められる、その中では、そこでもう打ち切ろうというような合意だとか、あるいは、もう一度状況が変化したから必要な部分を、先ほどいった例えば工業制限等の問題だとか、見直そうという検討も全くされないで、ただひたすら具体化の努力がされていた。その一方で、専門委員会による検討がわずか二カ月間。それも、極めて重大な問題でありながら、諮問会議に諮るのではなく、ただ個別の報告として了承を得るという手続がされた。しかも、たとえそれが出たからといって、当然、行政である皆さん方は皆さん方として、専門委員会の検討をもとにしたとしても、何らかの行政としての検討があって、しかるべき上で発表するということなら、まあ、あり得ることかもしれませんけれども、専門委員会の報告即知事提案という流れで進められてきたことは、行政のこうした問題についての検討準備の進め方においても非常にやはり納得できるものではありませんし、こうしたことは、たとえその大学がいかにすばらしいかということをいわれたとしても、手続上において私は重大な瑕疵があるということをいわざるを得ないですね。
 もう一つ、しかも、結局その専門委員会のメンバーというのは、少なくとも前学長や前総長の方はいらっしゃるかもしれませんが、現在の三大学一短大の関係者は参画しておりませんね。ちょっとそれを確認しておきたいんですが。

○紺野参事 先ほどの委員ご指摘の点ですが、行政として、専門委員会から出てきたものを何ら検討もせずにただそのまま出したといったようなことはございませんので、行政としてきちんと検討した上で、知事を補佐した上で、知事が検討結果をまとめて構想として発表したということでございます。
 なお、新大学の教育研究に関する検討会の委員についてのお尋ねですが、全部で五名、委員がおりました。座長は、先ほども申し上げましたが、岩手県立大学学長の西澤潤一先生です。そのほか四名の委員は、国際日本文化研究センター教授の川勝平太先生、慶應義塾大学先端生命科学研究所所長の冨田先生、大学評価・学位授与機構客員教授で前の都立大学総長の荻上紘一先生、東京電機大学教授、当時の肩書ですが、で、前の都立科学技術大学学長の原島文雄先生、この五名の方々です。
 そういう意味で、現大学の実情にも、荻上先生と原島先生はそれぞれ直前まで総長、学長をお務めになっておられましたから、十分、都立の大学の現状についてはご理解があるという方々でございます。
 そのほかに外部の委員にも加わっていただいた、こういう構成でございます。

○吉田委員 実情に詳しいということは、それは事実かもしれません。直前まで責任者を務められてきた。しかし、そのことをもって現実の、現大学の関係者の方々の意向を踏まえたものだということは、置きかえることはできないでしょう。

○紺野参事 現大学の教員の意向やいわゆる意見については、昨年七月までの検討過程の中で十分に踏まえてきたものでございます。先ほど紹介いたしました検討委員会の使命は、そういった現大学の教員の意見をくみ上げるということが主たるものではなくて、新たな社会状況の変化等に対応して、どのように構成案を見直していくか、これが主たる使命でございますので、先ほど申し上げたような委員の構成となったわけでございます。

○吉田委員 いろいろいわれましたけれども、私がいただいた資料でも、皆さん方の私に対する説明というのは、新構想発表に至る検討経過と内容というのはあくまでも専門委員会での検討経過であるというご説明を受けたわけですよ、私は。多少それは部分的には従来の検討結果も反映しているのかもしれませんが、中心的にはそこなんですよ。そしてそこの場には、現大学関係者は参画していなかった。そういうもとでつくられたものをベースにして今日の準備が進められているということは、当然、たとえ新大学の設立であったとしても、現実的には現在の大学を母体にし、そして教授陣を母体にしつつ発展していくわけですから、そうした大学関係者の意向というものが尊重されるということは当然のことだと思うんですね。それを十分反映されない形で一方的に知事が発表するということは、やはり、教育基本法が定めた、行政の不当な、教育に対する介入ということから見ても適切ではないんだということを私は改めて意見として申し述べて、この質疑を終わります。

○大西委員 一言だけ、要望として申し上げたいと思います。
 この新大学設立に向けては、この間、生活者ネットワークは一貫して、やはり開かれた体制での協議、そしてそれをしっかりと説明をして現場の混乱を防いでほしいということで質疑を重ねてきていたと思います。トップダウンで改革が行われまして、そしてやはりその結果、学生に不信感、不安感を与えた中でのこの新大学設立ということは非常に残念だなと思っております。
 九月、設置認可がおり、来年四月開校するわけですが、そうなれば、従来の四大学と、それから新しい大学が共存する形がしばらく続くわけですけれども、この間、予算も含めて、学びの保障という点で、しっかりと最後の都立大学の卒業生を送り出すまで、その対応をぜひよろしくお願いしたいということを要望しておきます。

○村山大学管理本部長 お答えいたします。
 現在の新大学の開設準備の状況でございますけれども、現在の四つの都立の大学の教員の皆さんの参画も広範に得まして、入試の準備であるとか、あるいはカリキュラムを初めとする教育の体制の準備であるとかということを、全体、大学一体となってやっております。その際には、もちろん新大学の体制づくりも先ほど来申し上げているような形でしっかりやっていくということはもとよりでございますけれども、現大学との関連性についても、教育面の保障がしっかりなされるようにしっかりやろうということでやっております。
 現在、私どもとしては、来年の四月、あるいはさらにその先を見据えて、首都大学東京が全体としていい大学になっていくように、教員あるいは我々も含めて一体となって頑張っているというのが実情でございますので、どうぞ皆さん方、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。

○遠藤副委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○遠藤副委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後一時五十五分散会

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