委員長 | 大木田 守君 |
副委員長 | 遠藤 衛君 |
副委員長 | 坂口こうじ君 |
野上じゅん子君 | |
松原 忠義君 | |
田代ひろし君 | |
樺山たかし君 | |
大西由紀子君 | |
藤川 隆則君 | |
吉田 信夫君 |
欠席委員 なし
出席説明員福祉保健局 | 局長 | 幸田 昭一君 |
次長 | 帆刈 祥弘君 | |
技監 | 梶山 純一君 | |
総務部長 | 吉川 和夫君 | |
指導監査室長 | 岩井 令雄君 | |
医療政策部長 | 菅原 眞廣君 | |
保健政策部長 | 丸山 浩一君 | |
生活福祉部長 | 笠原 保君 | |
高齢社会対策部長 | 野村 寛君 | |
少子社会対策部長 | 朝比奈照雄君 | |
障害者施策推進部長 | 吉岡 則重君 | |
健康安全室長 | 中井 昌利君 | |
企画担当部長 | 野口 宏幸君 | |
感染症・環境安全担当部長 | 小松 博久君 | |
参事 | 杉村 栄一君 | |
参事 | 桜山 豊夫君 | |
参事 | 大村 信夫君 | |
参事 | 狩野 信夫君 | |
参事 | 長谷川 登君 | |
参事 | 清水 克則君 | |
参事 | 浅井 葵君 | |
参事 | 佐藤 恭信君 |
本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
福祉保健局関係
・平成十五年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
・平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)
○大木田委員長 ただいまから平成十五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、福祉保健局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いをいたします。
これより福祉保健局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十五年度東京都一般会計決算中、福祉保健局所管分、平成十五年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十五年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○吉川総務部長 過日の分科会でご要求のございました資料につきまして、お手元の平成十五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料にまとめてございますので、説明をさせていただきます。
資料は、目次にございますように、全部で十五項目となっております。
それでは、順を追って説明させていただきます。
まず、一ページをお開き願います。
東京都における福祉改革の取り組みとして、福祉改革の目的、これまでの取り組み、区市町村及び都の役割、福祉行政を取り巻く状況について記載してございます。
二ページをお開き願います。
国民医療費の推移といたしまして、(1)には、平成五年度から十四年度までの国民医療費、国民一人当たり医療費及び老人医療費を記載してございます。
三ページの(2)には、平成五年度、八年度及び十一年度におけます都道府県別の医療費などを記載してございます。
四ページをお開き願います。
福祉保健局予算、決算額の推移といたしまして、旧福祉局につきましては、平成十一年度から十五年度までの各項別の予算現額、決算額を、旧健康局につきましては、平成十一年度から十五年度までの予算現額、決算額を記載してございます。
五ページをごらん願います。
福祉保健局決算における不用額上位の推移といたしまして、平成十一年度から十五年度までの不用額上位五位までの事業名及び不用額を記載してございます。
六ページをお開き願います。
福祉手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移といたしまして、平成十一年度から十五年度までの予算現額、支出済額などを七ページにわたって記載してございます。
八ページをお開き願います。
東京都福祉改革推進プランにおける主な事業プランの状況でございます。平成十二年度から十六年度までの各事業ごとの計画、予算、決算として、その金額、規模を、八ページから一一ページにわたって記載してございます。
一二ページをお開き願います。
B型、C型ウイルス肝炎入院医療費助成制度認定状況として、平成十六年三月三十一日現在の認定患者数を記載してございます。
一三ページをごらん願います。
慢性肝炎等の医療費助成に係る低所得者等に対する経過措置の認定状況として、平成十六年三月三十一日現在の認定患者数を記載してございます。
一四ページをお開き願います。
介護保険施設、痴呆性高齢者グループホームの定員数及び高齢者人口に対する割合でございます。
一四ページには、介護保険施設について、都道府県別の六十五歳以上の高齢者人口、施設種別ごとの入所定員数及び高齢者人口に対する割合を記載してございます。
一五ページには、痴呆性高齢者グループホームについて、都内の高齢者人口、定員数及び高齢者人口に対する割合を記載してございます。
一六ページをお開き願います。
シルバーパスの発行状況の推移といたしまして、平成十一年度から十五年度までの七十歳以上人口、発行実績数及び七十歳以上人口に対する割合を記載してございます。
一七ページをごらん願います。
介護保険給付費都負担金の推移として、平成十二年度から十五年度までの予算現額及び決算額を記載してございます。
一八ページをお開き願います。
居宅介護サービス利用率の推移といたしまして、平成十二年度から十五年度までの居宅サービス利用者に対する各サービスごとの利用者の割合を記載してございます。
一九ページをごらん願います。
生計困難者に対する介護保険サービス利用者負担額軽減措置事業の実施状況といたしまして、事業実施区市町村と、平成十六年三月末現在の確認証交付人数及び平成十六年三月分の利用者負担額軽減実績を記載してございます。
二〇ページをお開き願います。
都内被保護人員及び世帯数の推移として、平成十一年度から十五年度までの被保護人員、被保護世帯数及び高齢者世帯など、世帯数の内訳を記載してございます。
最後でございますが、二一ページをごらん願います。
児童相談所における児童虐待相談件数及び従事職員の推移といたしまして、平成十一年度から十五年度までの相談受理件数及び職種別の従事職員数を記載してございます。
以上、ご要求のございました資料につきまして説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○大木田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○田代委員 世の中でよくいわれていますように、少子化が大変進んでいる。また、核家族化が進んでいるなんてよくいわれるんですけど、こういうことの結果、育児あるいは子どもの病気について、おじいちゃん、おばあちゃん、あるいはお父さん、お母さんから、基本的な知識がお嫁さんやだんなさんに伝承しづらい、こういうことが反面あるわけですね。核家族というのは、いい面、悪い面があって、これは当然前からいわれていることなんですが。それと同時に、最近は新しい形のインフルエンザや、また、今まで経験したことのないような感染症、こういうような、二十一世紀になって人類が初めて対面するような病気もふえてきたわけです。
特に新しい病気の中には、診察時間の間に同じ待合室で待たれてしまうと、我々医師としても、大変困る、責任問題が出てくるような感染症も当然あるわけでして、そういうときに、お母さん、お父さんたちが、どうしたらいいんだろう、知識が、今までの経験がある人が身近にいて、相談ができるなんていうのであればいいんですが、なかなか東京はそういうわけにいかない。そういうときに、すぐ救急医療機関に駆け込む。夜中にいらっしゃるのは大変だと思うんですね。あるいは昼間からずっと悩んでいらして、仕事も手につかない、夜になって思い余って行くなんていうことがよくあるわけです。
こういうときに、できたら、ITの技術がここまで進化しているわけですから、何かそういうものを使って、ある程度安心できるような、とりあえずとまではいかなくても、とりあえずに近いような形のものができるように、医療機関に行くまでに患者さんが覚えていくような、あるいは自分でとりあえずしていけるような方法があれば、少しいいんじゃないかなということを以前から申し上げていたわけですけれども、やはり一般の方々から見ると、医者というのは少し敷居が高いわけで、最初からどこへ行っていいのかわからない、うちの子どもの病気は何科にかかったらいいのか、どういう専門の先生のところに行った方がいいのか、これもわからないことが多いわけですけれども、ある程度パソコンを使って、クリックしていくことによって、自分の今心配しているお子さんの病気の内容のある程度把握ができれば、またその後の対応が随分よくなるんじゃないだろうか。
ただし、インターネット、パソコンを使って、すぐ診断がついて、薬も決まって、医者に行かなくてよくなるという時代には、今のところ到底ならないですし、将来も一人一人の、特にオーダーメード、テーラーメードという医療というものが今からいわれている時代に、パソコンですべて終わってしまうということはないとは思うんです。ただ、そういうものを通して、イエス、ノーだけである程度答えてくれて、すぐ医者に行かなくちゃいけない、あるいは少し経過を見てもいい、あるいは、考えるとすれば、何科と何科、こういうところに行った方がいいんじゃないかなんていう答えが出てきた方が、やはりお母さん、お父さんにとっては、いわゆる安心の子育ての一助になるような気がするんですね。
これは自民党も私も以前から大変強く、ITを使ってある種のトリアージ--何せ患者さんたちに情報をしっかり届けてくださいということをずっとお願いしていたわけですけれども、ついにこれにこたえていただいて、昨年十月に東京都子ども医療ガイド、これ、なかなかいいネーミングですね、わけのわからない横文字ばっかりが並んでいたらどうしようかと思ったんですけど、このぐらいの、ガイドぐらいはしようがないので、こういうネーミングで、育児経験の少ない保護者を支援するために、発熱やせきなどの症状があった場合の対処法などに関する情報をインターネットによって提供しようという、この動きが始まったわけです。
この医療ガイドの中身は、福祉保健局、当時の健康局ですね、それから病院経営本部、都立病院の医師が内容を練り上げて、今までいろんな患者さん方からいただいた要望、悩みを集めて、答えを出していこうということで練り上げてつくったわけですけれども、その結果、大変専門性が高いんですけれども、医療情報というのをわかりやすい形で、だれにでもわかりやすい言葉で、平易な手渡し方ができるような内容がしっかりできていると思うんです。
まだまだ当然、先ほど申し上げましたように新しい感染症もあるわけですから、これからの医療を見据えて、あるいはお父さん、お母さん方のもっと幅広い要望を受けて、改善していく余地はたくさんあると思いますけれども、逆に我々医療機関の中でも、これを使って大変ありがたかった、わかりやすかったという感謝の声もあるわけですから、こういうものがどんどん世の中に波及していって、医療というものは質も大切ですけれども、質を高めるためには、やはりむだというものを排していかなくちゃならない。特に、保護者の方々の時間的なむだを省くために大きな力になればいいと思うんです。
しかし、利用実績というのを見てみますと、この半年で、大体一日当たり三百件--これは、比べるのは全然別ですよ、比べるのは全然別なので、何の意味もないことですけど、ナショナルセンターのがんセンターは一日五万八千件なんかですよね。片や三百件。だからどうだっていうんじゃないですよ。三百件でも十分だと思います。実はこういう相談がなきゃないほど、世の中はありがたいわけですから。ただ、本当にこの三百件という数が十分であるのか。千二百万都民の中で三百件というのは、PRがしっかりされていて、そして都民の皆さん方が知っていて、東京都子ども医療ガイドについて、その存在を広く都民に周知されているのであればいいんですけれども、まだまだできたばっかりですから、そこがもう一つかなというところがあるので、まず、これまでにどのようなPRをこのガイドについて行ってきたのか、教えていただきたいと思います。
○菅原医療政策部長 従前より、常々先生からご指摘いただきましたように、ITを利用いたしました都民への医療ガイドにつきましては、非常に有用であり、また、都民にとっても利便性が高いものであるということから、東京都といたしましても、そのシステム化に取り組んでまいりました。また、システム作成後の都民周知につきましても、ご指摘のように、重要であると考えてまいりました。
そこで、東京都子ども医療ガイドの開設に際しましては、「広報東京都」でお知らせしたのを初め、ポスターやPR用のカードを区市町村の保健、保育担当や児童館、医療機関等に送付いたしまして、施設内での掲示や配布を依頼しているところでございます。
また、福祉保健局ホームページや、インターネットによる都の医療機関案内サービス「ひまわり」のトップページから、このガイドに接続できるようにしておるところでございます。
○田代委員 さまざまな取り組みを積極的に行われていると思うんですけれども、例えば母子健康手帳の交付時に、これにくっつけて医療ガイドのPRカードを配布するなんていう工夫がいいと思うんですが、このような方式の周知というのは、今どの程度行われているんでしょうか。
○菅原医療政策部長 ただいま先生ご指摘のように、出産予定の都民に交付されます母子健康手帳とあわせてPRカードを配布する方法は、この医療ガイドの存在をお知らせする上で確実な周知方法と考えております。現在、都内の六十二区市町村中、港区、八王子市を初め二十三区市町村におきまして、母子健康手帳交付時に医療ガイドのPRカードを配布しております。
今後とも、より多くの区市町村に同様の配布を依頼するなど、多くの都民に確実に周知できるよう、PRに努めてまいります。
○田代委員 大変私事であれなんですけど、うちの世田谷区はいかがなんでしょうか。
○菅原医療政策部長 残念ながら世田谷区の方では、まだPRカードを入れておりません。
○田代委員 大変恥ずかしいことで、じゃ私も、地元の方でこれをしっかりと母子手帳にあわせてPRをするようにお願いしていきたいと思うんですけれども、現在、都内で子どもを育てている、あるいはこれから子どもを育てようとする都民を漏れなくカバーしていくためには、ポスターやパンフレットを作成し送付するだけではなくて、さらに都民の目に触れやすいようにする工夫が必要なんだろうと思います。局の方も、PRにさまざまな方法で大変努力をなさっていらっしゃるようですけど、さらなる取り組みを進めていただいて、漏れのないようにしていただきたい。
ところで、IT化が急速に進展した今日にあっても、やはりインターネットで情報を得ることがなかなか得意じゃない、これは年齢的にも、デジタルデバイドが今大変問題になっていますけれども、まだまだハードの面でも、だれでもかれでもすぐさわれるというところまでは進化してないわけですから、やはりおばあちゃんが、おじいちゃんがお孫さんを預かって、何日か預かったんだけど、途中で何か変化してしまった、どうしたらいいんだろうなんていうときに、すぐ、じゃインターネットというのもなかなか難しいところがある。
じゃ、そのたびに救急車というと--救急車有料化というのは個人的には非常に反対なのであって、有料化じゃなくて運営できればいい。ただ、どうしても運営できないときの有料化は、これはまた討議しなくちゃならぬことだと思いますけれども、やはりむだ遣いのない、先ほど申し上げましたように、医療というのは、ありとあらゆる面でむだ遣いを排していかないと質が高まっていかないわけですから、むだ遣いを排していくために、救急車の出動要請--全部がむだだといっているわけじゃないんですけど、中には、無理にお呼びにならなくてもよかった、行ったらよくなってしまった、あるいは救急車から一番最初に駆け出してきたのはそのお子さんだったなんていう話がよくあるわけですから、そういうときのために、インターネットが使えないようなおじいちゃま、おばあちゃまにも、電話を使うとか、なるべく簡便な方法で、どなたでも利用できるような、そういう提供が考えられるべきだと思うんですけど、何かございますでしょうか。
○菅原医療政策部長 都民が情報を得る手段は非常に多様化しております。医療ガイドも、さまざまな手法により提供する必要があるというふうに考えております。現在、このガイドは、インターネットだけではなく、いつでも使える携帯電話からも接続できるようにしております。
今後とも、ガイドの内容や使いやすさも含めまして、より多くの都民が医療ガイドのサービスを受けられるよう、検討してまいります。
○田代委員 携帯電話はありがたいんですけど、やはりおじいちゃま、おばあちゃま、なかなか携帯電話も難しいということがあるので、一般の電話などさまざまな方法、その他の方法でもやれるように、適切な情報がさらに都民に提供できるようにご努力をお願いして、この質問は終わります。
次に、さきの第三回定例会においても多摩老人医療センターの公社移管について質問したわけですけれども、高齢社会へ向けて、高齢者医療というのはますます重要になっていくわけですけど、このセンターは、今まで高齢者専門病院として培ってきたノウハウを一般医療の中で普及、拡大を図って、今まで以上にこの地域で頼りにされる病院となって頑張っていただきたいんですが、まずそこで、一つ局長にお伺いしたいんですけど、都立病院改革マスタープランというのがあって、板橋の方の病院、きょう、ちょっとお伺いするんですが、板橋の老人医療センターの問題が今いろいろ論議されているわけですが、このマスタープランの意義、どういう方向性であるか。一番つくられた大もとであるので、今、都立病院経営本部はともかくとして、福祉保健局長としてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○幸田福祉保健局長 都立病院改革につきましては、平成十三年の七月、報告がまとめられたわけでございます。これは都民に対します患者サービスの向上を図るために、都立病院の基本的役割を踏まえまして、再編整備の考え方、あるいはまたスケジュール、あるいはまた改革推進体制、あるいはまた財政ルール等を明確にするなど、都立病院改革推進の道筋を定めたものというふうに理解をしております。
これは、いわば都立病院改革の実行プログラム、これは十五年に示されたわけでございますけれども、都のいわゆる基本的な方向を都民の皆様に明らかにしたものということで受けとめてございます。また、局といたしましても、この方針に沿って改革を進めていく、この基本的スタンスはいささかも変わってございません。
○田代委員 今お答えいただいたとおりに、都立病院というものが今までの役目を踏まえて、さらに都民に役に立つ都立病院をつくっていく、その基本的な計画ということですよね。大変高い理想で、しかも、都民が実行していただきたい一番要望の強い政策プランの一つだと思うんですけれども、先ほど申し上げましたように、もう一つの板橋にある老人医療センター、これが都立病院との関連でいろいろ今話題に上がっているわけですけれども、この板橋の老人医療センターというのは、昭和四十七年に、国がいろいろいっている中で東京都が先鞭をつけて、これから高齢化が始まるということに対して、先駆的に取り組みをやっていかなくちゃならない、まさしく新しい老人医療の時代が来るんだということで、大変活発に、しかも、ある意味ではモデル的に国に先行して始めた事業であります。
それが、せんだってもお答えいただきましたけど、高齢化というものが、もう高齢化というより高齢社会になってしまったわけですから、一般医療として、区別をしないでしっかりやっていこうという時代が来たわけですけど、当初は養育院の附属病院として、また、老人総合研究所でありますとか養護老人ホームあるいは特別養護老人ホームと連携しながら、総合的なサービスを高齢者の方々に提供する、そういう中で医療的な部分をしっかり担ってきたわけです。これは国の対策に比べても大変秀でていることは、特筆に値することだと思うんですね。
それで、今度はいよいよ医療センターがいろいろな形で変化していくという中で、一番大きなことは、老人医療センターというものが、今から変わっていく大もとがどう変わっていくかの中で、今高齢化社会が来たということを申し上げたんですけど、高齢化社会の中で一般的に行われている高齢者に対する医療のガイドラインがまだはっきりしていないところがたくさんあるんですね。そのガイドラインがはっきりしていないところを、こういう公的な病院が一つの方向性、よくEBMというんですけれども、本当になされている処置、あるいは行われているサービスというものが適正であるかどうか。医者の主観あるいは主体性というのが入るのは、当然入っても構わない。先ほど申し上げましたようにオーダーメード、テーラーメードの時代ですから、全部画一じゃなくちゃいけないというわけじゃないんですけれども、今問題になっております研修医の制度一つとっても、やはりEBMというものが確立されていないと、ガイドラインがしっかりしていないと、治療に対して、ともすると後で事故に結びつくようなこともあり得る。
ところが、そのEBMは非常に悪者扱いされていまして、何でそんな悪者扱いされたかというと、もともとは、ご存じのとおり、アメリカの医療の欠点の大きなものの一つになっている、マネジドケアのもとになっているものがEBMであるということで、日本では毛嫌いされているわけですけど、日本は全然別の健康保険制度を持っているわけですから、そこを恐れていては医療の前進が見られないわけですから、それを超えていくために一つ施策を見せていく。見せていく場所はどこでやっているかというと、これは私立の、例えば私自身が経営している医療法人あるいは大学病院なので、私的なところですべて不採算部門も入れながら正しいEBMをつくっていくというのは、かなり時間がかかるわけですね。
そうなると、こういう公的な病院がクリニカルパスも含めて一つの指針をつくっていく。東京都のクリニカルパスと地方のクリニカルパスは、申し上げて適当か不適当かちょっと難しいところがありますけれども、やはり地方になると、入院期間が大変長くなってしまう。これは、病院があくことによって不採算がふえてしまって--国立病院がそういうことなので非常に我々も困っているわけですけれども、入院期間を短縮するもとになるデータをとるところがもともと長く出てきてしまうなんていうマイナスは、東京都は東京都のまた新しい独自のルールを出していけばいいのでありまして、逆に高齢者の医療に対しての入院期間の短縮というのは、非常に難しいところがあるんですね。急性期は急性期、そしてリハビリをやらなくちゃいけないとき、慢性期、療養型病床群に移るところのどこのポイントを押さえていかなくちゃいけないか、これもよくわからないところがある。
こういうものは、やはり東京都が手本を示して、今からの高齢者医療というものは、こういう形が東京都が考える基本ですよと、もとですよと。そのもとを一般の方々が、一般の医療機関あるいは大学病院がそれを手本として、その中に自分の自主的なテーラーメード、オーダーメードを入れていく、これが大変必要だと思うんですね。
そのためには、この研究所なんかも将来、PFIであるとか、あるいは民間に移行するとか、産学官の力にプラスするような形の新しい形態の模索をしていただくことが、これからのマスタープランとあわせての民営化になっていく。
今、板橋のことは時間もありませんから申し上げませんけれども、いろいろ話が出ていて、気持ちと現実の財政との問題がうまくかみ合ってないこともあるかもしれませんけど、やはり都民が求めているものは、経済優先よりも健康施策をまずしっかり出していただきたいと。その中で、むだなものがあれば省いていく。どうしても足りないものがあれば、それに対して負担をすることに対して、意味がわかっているものの負担に対しては、都民は反対しないわけですから、ぜひとも、都立病院が今まで持ってきた、あるいは医療センターが今まで持ってきた、旧健康局が培ってきた、そのノウハウをしっかりと民間の医療機関に示せるようなものにして移管、移行を行っていただきたいことを強く要望して、質疑を終わります。
○野上委員 私の方からは、児童虐待について質問いたします。
児童虐待が後を絶たないわけです。栃木県の小山市で、幼い兄弟が父親の友人に殺された事件以降、全国各地で相次いで虐待のニュースが報道されております。先日も、子どもに食事を与えない、ネグレクトというんですかね、発見されたときにはわずか十五キロぐらいの体重であったという痛ましい事件が報道されておりましたが、こういった、飽食の日本の中で、餓死してしまうような、信じられないような事件も報道されております。本当に悲しいことだと思います。かなり前に、私は天童荒太という人の「永遠の仔」という本を読みまして、虐待を受けた子どもたちが負う心の傷の深さに、胸がつかれるような思いがしたことを思い出しました。
ことしの十月一日に改正児童虐待防止法が施行されますけれども、その改正法で、児童虐待は子どもへの著しい人格侵害だと明記されております。子どもの心身の成長や人格の形成に悪影響を与える児童虐待の防止に向けて、学校、家庭、児童相談所など関係機関が一体となって、さらに取り組みを強化していく必要があると思います。
今、臨時国会でも審議中の児童虐待法の改正案では、児童相談における区市町村の役割が明確化される予定ですけれども、それに先行して都は、平成七年度から、子ども家庭支援センターを配置し、区市町村における子どもと家庭の相談窓口の設置促進に努めてきたことを仄聞しておりますが、このことは非常に評価すべきものだと思っております。
さらに都では、平成十五年度に、児童相談所と連携して児童虐待防止などの機能を担う先駆型子ども家庭支援センターを創設いたしましたけれども、その設置の効果について最初に伺いたいと思います。
○朝比奈少子社会対策部長 児童虐待への対応は、児童相談所だけではなく、区市町村など関係機関との連携が不可欠であります。ご指摘の区市町村が設置をいたします先駆型子ども家庭支援センターでは、児童相談所と虐待防止への協力への対応に向けまして協定を結びまして、乳幼児健診を受診していない家庭や、子育て支援が特に必要な家庭に対する訪問支援を行う虐待防止支援訪問事業等、施設対処などで、子どもが家庭復帰した後の支援を行います見守りサポート事業を実施しているところでございます。
これらの事業の実施によりまして、児童虐待の未然防止と家庭復帰後の子どもと保護者のアフターケアに効果を上げているものと考えております。
○野上委員 今の答弁の中に家庭復帰という言葉がありましたけれども、児童虐待で親子を分離したとしても、家庭環境の改善を図り、早期に家庭に復帰できるよう支援することが重要であると考えます。家族の再統合ということは、保護者が果たして養育能力があるのかとか、また虐待を繰り返すのではないかという懸念もあるし、なかなか難しいものがあると思いますけれども、この家庭復帰のための取り組みについてお伺いしたいと思います。
○朝比奈少子社会対策部長 平成十五年度から、全国に先駆けまして、すべての児童相談所に家庭復帰支援員を設置し、児童虐待などにより施設に入所した子どもを早期に家庭復帰させるための継続的かつ専門的な取り組みを行っているところでございます。この家庭復帰支援員は、子どもに家庭復帰させるか否かの意思を確認したり、あるいは保護者に対して養育能力を向上させるための指導や就労支援など、子どもの受け入れに向けた家庭環境の改善に努めているものでございます。
また、地域の児童委員と協力をいたしまして、子ども家庭支援センターによる見守り支援の体制を整えるとともに、みずからも家庭訪問を行い、子どもの家庭復帰に努めているところでございます。
○野上委員 虐待を受けた子どもの緊急避難先として児童相談所の一時保護所がありますけれども、一時保護所からは原則として、これは学校に通えないために、教員免許を持っている教師から学習を受ける機会を与え、学校に復帰したときに勉強に困らないように、年齢と能力に応じた教育を受けさせるべきであると我が党は主張してまいりました。都では、平成十六年度から児童相談所の一時保護所に学習指導員を配置していただいたということで、これは大変に評価するものであります。
また、一時保護所におけるもう一つの問題として、虐待を受けた子どもと非行などによって保護されている子どもが一緒に生活をしております。そのような状態は、虐待を受けた子どもにとっては大きな不安とか心理的負担になっているということがあります。この前ちょっと視察をさせていただいたところでは、非行で入った子どもが虐待で入った子どもをさらにいじめてしまうと、そういうようなケースがあるために、本当にいっときも目を離せないような状態だというような話をお聞きいたしました。また、東京都の児相でも、精神科医の先生を設置して、子どもの心のケアを図っているということもお聞きをしております。
そういったいろいろな生活状況で一時保護所に入ってきた子どもたちがいるわけで、子ども同士のさらなる虐待というんですか、いじめというんですか、そういった状況を避けるために、養護施設とか養育家庭さんにおける一時保護委託の活用を図るべきと、これも我が党は主張してきましたけれども、この一時保護委託の実績についてお伺いしたいと思います。
○朝比奈少子社会対策部長 委員ご指摘のとおり、虐待を受けた子どもたちには、それまでに受けた心の傷をいやし、心身ともに安心して生活できる場所が特に必要であります。
そのため、児童相談所では、これまでも、虐待を受けた子どもに配慮をし、一時保護所で心理的ケアを行うほか、子どもの状況を踏まえながら、児童養護施設や養育家庭などへの一時保護委託を実施しているところでございます。
平成十五年度の一時保護委託の実績でございますが、前年度比で約一・三倍となっております。
○野上委員 虐待を受けた子どもたちが、一時保護委託として養育家庭に一時委託されるとの話をお伺いいたしましたけれども、養育家庭は、家庭の中で特定の人との人間関係を前提に子育てを行うために、軽度であれば、子どもの心の傷をいやすのに大変有効であると考えております。その一方で、そのような子どもを預かる養育家庭さんの負担は大きいものがあると思うんですね。
そこで、養育家庭さんへの支援は大変に重要であると思いますけれども、所見をお伺いいたします。
○朝比奈少子社会対策部長 養育家庭制度は、親と一緒に暮らせない子どもたちを、家庭的な環境のもと、温かい愛情と正しい理解を持った里親が養育をする制度で、子どもの情緒的な安定や健やかな成長に寄与する、極めて有意義な制度でございます。平成十五年度からは、養育家庭の負担を軽減するため、一時的に子どもを預け、休息できるレスパイトケアを実施するなど、その支援に努めているところでございます。
さらに、今年度から、養育家庭が安心して子どもを養育できるよう、すべての児童相談所に養育家庭訪問員を配置し、児童福祉司と一緒になって定期的に養育家庭を訪問したり、交流会を実施するなど、きめ細かなケアができる見守り支援体制を整備、強化をしているところでございます。
○野上委員 こうした手厚い養育家庭への支援があると、養育家庭を希望する家庭もさらにふえてくるのではないかと思います。虐待を受けた子どもにとって、親以上に--親が愛情をかけなかったわけで、本当に深い温かい愛情でもって子どもを再育児することによって、そういう心の傷をいやしていけるという、すごく効果があると思うんです。そういったケアがないと、また虐待の連鎖が起こりかねないような気がいたしますので、ぜひこういった細かな見守り支援体制を、さらに強化、整備していただきたいと思っております。
最後に、栃木県小山市のような幼い子どもたちの命が奪われる悲劇を繰り返さないために、児童虐待の早期発見、早期対応に向けて、社会全体で取り組んでいく必要があると思います。さらに、虐待で心に傷を負った子どもを一人としてもつくらないために、児童虐待を未然に防ぐ施策が重要と考えますが、都として、今後、児童虐待の発生防止に向けいかに取り組んでいくのかをお伺いして、私の質問を終わります。
○朝比奈少子社会対策部長 児童虐待は、その後の子どもの発達障害や、情緒面や行動面の問題を引き起こすものであるといわれております。虐待の発生を未然に防止することは極めて重要であります。
都では、虐待防止訪問支援事業を実施する先駆型子ども家庭支援センターが設置、拡充されるよう区市町村を支援していくとともに、局統合を踏まえまして、育児不安を抱える家庭を早期に発見するなど、母子保健業務と一体的に支援する取り組みをさらに強化していきたいと考えております。
○坂口委員 それでは、いただきました資料に基づきまして質問をさせていただきます。
二〇〇〇年に地方分権一括法が成立をいたしまして、国から地方への機関委任事務が自治事務となってくる、そのようなこととまさに軌を一にして、介護保険の導入ですとか福祉改革が進められようとしております。私は、大変大きな転換期であり、大きな方向としては間違っていないのではないかと思うわけでございますが、過渡期特有のいろんな問題が惹起されているのも事実でございます。
その最たるものは、仕事は来るんだけれども、その仕事に見合っただけの税財源、もうちょっというと、人、物、金、ノウハウ等がきちんと地方に委譲されてきていない、または地方がきちんとそれを摂取することができないという、そんな状況だと思うんですね。そんなような大きな流れを念頭に置きながら、東京都が進めてまいりました福祉改革、それから、これからの展望についてお聞きしたい、そんなふうに思います。
まず、東京都の福祉改革でございますけれども、平成十二年十二月、この年は、今申し上げました日本の大転換でございます、自治の大転換であります地方分権一括法が成立をし、施行された年であるわけでございますが、福祉改革の推進プランが出されました。そして、ご承知のとおり、十四年二月にはTOKYO福祉改革ステップ2が策定されまして、キーワードとして、選択、地域、競い合い、このようなものが前面に打ち出されてまいりました。大都市の特性を踏まえた都独自の取り組みを進めてきている、そのように申し上げてよろしいのではないかと思います。大きな方向としては、私は評価をしているものでございます。
この改革の目的といいますのは、整理をしてみますと、高齢者であっても障害者であっても、だれもが自分に必要なサービスをみずから選択することができる。そして、可能な限り地域でそれを享受することができる。その上に立って、尊厳を持って生活を続けていくことが当たり前の社会を実現すること、こういうことであろうかと思うんですね。これは、先ほど申し上げました日本が明治以来取り組んでまいりました各種の改革、また、戦後五十年以上続けてまいりました行政主導の措置制度というものを見直して、これを転換させていくという意味で大変大きな意味合いを持っているのではないか、そのように考えております。
他方、私どもの生活も、いわゆる少子高齢化、家庭機能の変化などによりまして、大分変わってきております。福祉サービスに対する、量の問題もあるわけでございますけれども、質の問題をもやはり考えていかなければならない、そういう時代であろうかと思います。特に都市におきましては、核家族化というようなこと、または女性の社会進出というようなこともございまして、介護の問題も首都特有の状況をつくり出しているということであろうかと思います。
こういう問題を解決していくためには、総合的な対策が必要であることはいうまでもないわけでございますが、現在でも十二ぐらいのいろんな福祉サービス提供主体が、昨年の統計でも八千八百ぐらいですかね、誕生しているという状況がございます。まさに競い合いの新しい市場が形成されているということになろうかと思いますが、市場原理にすべてゆだねて事がうまくいくということではないわけでございまして、この資料にも出していただきましたように、新たな形での区市町村や都の役割というものが当然必要になってくるのではないか、そのように考えているところでございます。
そこで、まず最初の質問でございますけれども、都がこれまで進めてきた福祉改革の取り組みと成果について、福祉保健局ではどのような評価をしておられるのか、お聞きをしたいと思います。
○野口企画担当部長 都の福祉改革の取り組みとその成果でございますが、都はこれまで、利用者本位の福祉を実現するために、民間企業やNPOなど多様な事業主体の参入を促しながら福祉サービスの提供基盤の整備を進めるとともに、利用者が安心してサービスを選択し、利用できるための利用者支援の仕組みづくりを進めてまいりました。
具体的には、十三時間開所、ゼロ歳児保育など大都市の保育ニーズにこたえる認証保育所制度の創設、民間企業に対する痴呆性高齢者グループホームや知的障害者グループホーム整備費補助の創設、都独自の福祉サービス第三者評価システムの実施、区市町村が地域の実情に応じた事業に主体的に取り組むことを支援する包括補助制度の創設など、国に先駆けた都独自のさまざまな取り組みを進めております。
こうした取り組みにより、例えば認証保育所は制度創設以来三年で、平成十六年十月一日現在でございますが、二百三十二カ所、痴呆性高齢者グループホームは、平成十二年度末の定員百三十七人から、平成十六年九月には定員千八百二十一人分が整備されるなど、基盤整備が進むとともに、平成十五年度から本格実施いたしました福祉サービス第三者評価におきましては、現在、百二十一の評価機関が活躍しております。こういったことなど、利用者支援の仕組みづくりも着実に進んでいるというふうに認識をいたしております。
○坂口委員 東京都は、ご承知のとおり、東京都社会福祉審議会意見具申、ここに盛り込まれておりますような内容、つまり利用者本位の福祉の実現に向けてというものに今取り組もうとしているわけでございますけれども、先ほども若干触れましたけれども、サービス主体は大変な勢いでふえている。かつて私どもが認識をしておりました社会福祉法人にとどまらず、各種のNPO、または生協、さらには、一番多いのはやはり民間の企業によるサービスですね、極めて多様です。また、サービスの内容も、この資料には十一、二種類ということで、大変多様化してきているということであろうかと思います。多様化し、多元化するということは、一面では大変いいことだと思うわけでございますけれども、課題もいろいろあるのではないか、そんなふうに私は考えております。
東京都は、利用者本位の新しい福祉を目指して独自の取り組みをしているということは、今の説明でもわかったわけでございますけれども、他方におきまして、介護保険制度だけではなく、年金の問題、また医療保険などなどを含めまして、福祉行政を取り巻く状況というのは大きく変わってきております。
こうした中で、今後一層改革を進めていくためには、いろんな課題があるのではないかと思うわけでございますが、今日において、東京都として取り組まなければならない主要な課題についてどのような認識をお持ちか、お聞きをしたいと思います。
○野口企画担当部長 福祉改革を進めていく際の課題でございますが、日本は、世界にも例を見ない急速な高齢化と、平成十五年の全国の合計特殊出生率は一・二九と、戦後最低を記録した少子化の進行がございます。また、平成十八年度をピークといたしまして日本の総人口は減少に転じると予想されておる中で、高度成長期につくられました現在の社会保障制度は大きな転換期にございます。
そうした状況を踏まえまして、国においては、福祉施策を初め国民生活の安定を支える社会保障制度を維持し、持続可能なものとするために、昨年七月、次世代育成支援対策推進法の制定、障害者の自立と社会参加の一層の促進を図るため、本年五月の障害者基本法の改正、本年六月の年金制度改革関連法の成立など、法整備が進められますとともに、今後も、平成十八年度に向けた介護保険制度の見直し、平成二十年の医療保険制度改革に向けた検討など、社会保障制度全般にわたるさまざまな検討や取り組みが行われております。
また、いわゆる三位一体の改革や規制改革、構造改革特区の取り組みなど、地方自治制度のあり方や国と地方の関係、公と民間の関係などにつきましても検討が行われております。
こうした中で、利用者本位の福祉を実現していくためには、国の動向を初め社会経済環境の変化や都民の意識、ニーズの変化に的確に対応しながら、福祉改革の取り組みをさらに推し進めていくことが必要だというふうに認識しております。
○坂口委員 東京都の課題についての認識は、私は是とするものであるわけでございますが、しかし他方におきまして、今出されましたいわゆる三位一体の改革、三定でも大きな課題になったわけでございますが、それによる大変な問題が惹起されている、ひずみが露呈している、これは都の幹部も頭を悩めているところでございます。
具体的にいいますと、三位一体の改革というのは、本来、先ほどいいました自治事務に相当する、または国民が必要としているサービスを実現するために、税財源、人、物、金、そして情報などを地方に移管して初めてその実が上がるということであろうかと思います。東京都的にいいますと、基幹税目、所得税と住民税の割合を六九対三一から五〇対五〇にする。消費税も、五%のもの、四%が今永田町、霞が関に行っているわけでございますが、これを二・五対二・五にする。
先般の一般質問で財務当局に質問をしましたところ、これがきちんとできると、ひところは一兆数百億円という数字、平成十二年の値ではそうだったんですが、先般の試算ですと〇・八兆円、つまり八千億円の税金が東京都に移管されてくると。これは赤ちゃんからお年寄りまで含めますと、大体五万円から六万円、六万円ぐらいになるわけですね、一千二百万人で割り返してくると。大変な額でございます。私の例えば西東京市、十八万の人口で計算しましても、単純計算でございますけれども、仮に五万円だとしますと九十億円ということになるわけですね。こういうものが伴って初めて分権改革、自立改革の目的が達成できるということであろうかと思います。ところが、もう知事が既に批判しておられますように、三位一体の改革といいますのは、本当の意味での骨太の改革ではないという状況にございます。
そこで、例えば十六年度、決算ですから余り十六年度の内容に詳しく入るつもりはないんですが、過渡期における大変大きな問題が惹起されておりますのであえて触れるわけでございますけれども、保健衛生施設や社会福祉施設の施設整備、またホームヘルプサービスなどの国庫補助金など、私のところに相談があったものだけでも、一月になって一方的に国庫補助の協議基準や基準単価が見直されたと、そのことのために、途中まで協議をしていたわけですが、もう来ていただかなくて結構ですというような状況が発生をしております。
私が相談を受けましたのは、東京都の事業に協力をするということで移転の決議をしましたあるデイサービスセンター、そしてまた、ある協力者の支援を得て法人化を間近に控えました精神障害者の通所施設ですね、これが大変な影響を受けている。
少し具体的にいいますと、一億五千万円の補助金を予定していたわけでございますが、一億円しか来ない。五千万円は自己調達してくださいと。結果として財団から借入できることになったわけでございますが、これはあくまでも借入でございますから、後で返済の義務が出てまいります。それは当然人件費やサービスの内容にしわ寄せが来るということになりますね。
また別の法人は、ある場所に通所施設やグループホームができると大変喜んでおりました。しかし、ふたをあけてみると、東京都の協議が五月ぐらいですかね、もう来なくていいですといわれまして、結局その内実を確かめてみますと、昨年二十数カ所の法人化ができたにもかかわらず、ことしはたった二カ所。それも、東京都は予算を計上していたわけでございますけれども、国の方の予算がつかない。関係者に聞きますと、もうない袖は振れません、私どもが恨まれても結構です、そういうような答えが返ってくるというような状況が出ているわけですね。
これは大変な事態であるわけでございまして、本質論でいいますと、三位一体の改革そのものを大幅に見直す。本来の地方分権はいかにあるべきかということを真剣に我々が論議をして、東京都が要望、提案しているような内容を実現していく努力をしなければならない。これは政治の責任といってもよろしいのではないかと思います。しかし、他面振り返って、じゃ東京都として何かできることがあるのかないのかといいますと、私は、できることがあるように思うんですね。先ほどいいました施設整備に関しても、ホームヘルプサービスの充実に関しましても、あるように思うんです。
そこで、どうしたらいいかという議論に入る前に伺いたいと思いますが、都はこれまで、今申し上げましたような問題にどのように対応してきたのか、また、今後どのように対応しようとしているのか、確認を含めてお聞きをしておきたいと思います。
○野口企画担当部長 今お話ございましたように、平成十六年度の保健衛生施設、社会福祉施設等の施設整備費につきましては、ことし一月になりまして、国が突然、国庫補助に係る協議基準や補助基準単価の変更をいたしました。この段階では、既に資金計画など十六年度の事業者の施設整備計画の内容はほぼ確定していたことから、都におきましては、施設整備の実態を考慮しない協議基準等の大幅な変更は、福祉基盤の整備に支障を生じ、今後の福祉行政に重大な影響を及ぼすものとして、国から示された段階で、即座に協議基準等の変更の撤回を強く求めたところでございます。
また、六月の国の施策及び予算に対する提案要求におきましても、地域の実情に応じた必要な基盤整備が進められるよう、国庫補助基準を見直すとともに財源の確保を行うよう、国に対して提案要求をいたしました。
ご指摘のとおり、今回の国庫補助金の補助基準の見直しは、三位一体改革といいながら、単なる補助金の削減にすぎないと認識しております。三位一体改革につきましては、六月に、都として地方分権を推進する立場から、地方財政制度の見直しを含めました地方分権改革に関する東京都の基本的見解をあらわし、国に提案を行っておりまして、今後とも、この考え方を踏まえながら、国に対しまして必要な働きかけを行ってまいります。
○坂口委員 私の知る限りでも、幸田局長を初めとしまして大変な努力をしてきているということは、十分承知しております。国に対しても必要な働きかけを行っていくということであるわけでございますけれども、その努力は私どももしていかなければならない、そのように心得ているわけでございますが、しからば、東京都として何かできることがあるのかないのかということにもなってくるわけでございます。
例えば特別養護老人ホーム、今まで十二、三カ所の施設整備をしてきた。用地補助ですとか、または建設費の補助を出していたわけですね。後に、執行残がどうなっているかというような資料もどなたかが質問されるかと思うんですが、お金は、当面充当できる部分がないわけではないわけですね。もうちょっといいますと、ことしの三月の議会、予算議会におきまして、都議会で承認されました予算が、例えば特別養護老人ホームにしろ、デイサービスセンターにしろ、また障害者の通所事業にしろ、またホームヘルプ事業にしろ、計上されている部分があるわけですね。ですから、常識的にいうならば、都の単独であっても、例えば都単でやることによって国からにらまれるという部分もあるかもしれませんが、用地費補助などというのは、都が他県に先駆けて、都市の特殊事情、地価が高いというようなことにかんがみて、都独自でそれを設けたわけですね。
その結果、今日の施設整備ができているわけでございますから、激変緩和ということも含めて、私は補正予算の措置などをしていくことが、地域で血のにじむような努力をしてサービスを提供している社会福祉法人やその他の団体のお気持ちにこたえていくことにつながっていくのではないか、そんなふうに考える次第でございます。この点につきましては、決算の内容からちょっと外れますので要望にとどめておきますけれども、ぜひ真剣な検討をお願いしたい、そのように思います。
そこで、最後になりますけれども、いわずもがな、これからの持続可能な福祉社会をつくっていく、これは大変やりがいのある仕事だと私は客観的に思っております。日本でできるモデルは、これはアジアの一つのモデルになっていくのではないか。場合によりましては、世界のモデルになるかもしれない。それはどうしてかといいますと、WHOのいろんな評価におきましても、例えば医療の量と質、または医療が平等に得られるかどうかというようなことを基準にしているようですが、世界で一番だという折り紙がつけられております。
また、ご承知のとおり、女性八十四・何歳、男性は七十八歳、平均でも八十歳というような、ある意味では世界最長寿国を実現しているわけでございまして、そこで、それぞれの個人がどのように生き抜いていくのか、また、一人一人が輝くような社会をつくっていくのか、また、それを支える、先ほど申し上げましたような各種の社会保障制度をきちんとつくっていくということは、ある意味ではチャレンジテーマでございまして、大変やりがいのある仕事ではないか、そんなふうに私は考えているところでございます。
しかし、やはり健康で生き生きと生活ができる、そのような社会をつくっていくということも大変重要であるわけでございまして、そのことが現在、ここに資料を出していただきましたけれども、例えば三十一兆円になんなんとしております国民医療費ですね、これを削減することにもつながっていく。また、介護保険の見直しということも出されているわけでございまして、今は一割負担でございますが、これでそのままもつとはだれも恐らく考えていないと思います。六・数兆円という額に上っているわけでございますけれども、健康でいかに長生きができるか。そして、一人一人が自己実現をしながら、お互いに社会を支えていく担い手となり得るかということが大変重要なのではないか、そんなふうに考えます。
そこで、私、先般、厚生労働省の課長さんからブリーフィングを受けておりまして、一つここにヒントがあるのかなと思ったのは、老人医療費ですね。高齢者の医療費でございまして、今回は平成十四年度のものを出していただきましたけれども、私が今手元に持っておりますのは平成十三年度の老人医療費でございまして、一番老人医療費がかかっているのは北海道でございまして、年間九十二万九千円ですから、約九十三万円ということになりますね。最低が長野県でございまして六十万二千円。平均で七十五万六千円ですから、約七十六万円ということですね。
私も長野県の出身でございますので、自分の思い当たる部分について申し上げますと、やっぱり水がきれいで空気もきれいで、いろんな生活改善運動などが進んでいて、歴史的に見ますと、佐久総合病院のいろんな地域での取り組みですとか、今、諏訪中央病院が注目されておりますけれども、そこでの取り組みですとか、そんなものが功を奏してきているのかなと思うんですけれども、これは一つの研究モデルといいますか、テーマになるのではないか。よくPPKといわれますが、ぴんぴんころりというような言葉であらわされますけど、どこにその要因があるのか、大変参考になるのではないか。
それだけではなくて、九十二万円と六十万円を単純に比較しますと、三十万円の違いがあるわけですね。三十万円というのは大変大きな額でございまして、赤ちゃんからお年寄りまで入れた国民の医療費の平均にほぼ匹敵する額でございます。一事が万事でありませんが、仮に二割、国民医療費が軽減できるような社会が実現できたと仮定いたしますと、三十一兆円の二割ですから六兆円ということになるわけでございまして、これはほぼ介護保険の給付額に相当するということになってまいりますね。
そんなことを含めまして、これから、ある意味では金メダルを手にしようとしている日本であり、東京都であろうかと思うわけでございますが、老人総合研究所、また医学研究機構などを持っている東京都であるわけでございますから、このような取り組みを参考にしながら、生涯を通じた健康づくり、そのための福祉ですとか保健、または医療の施策というものを、局もちょうど統合されたわけでございますから、垣根を越えて積極的に取り組んでいく、長寿社会を支える施策に積極的に取り組むべきだと、そのように考えるわけでございますが、局長の所見と決意をお伺いしたいと思います。
○幸田福祉保健局長 健康づくりは個人の自覚と実践、これが基本でございます。健康づくりに取り組もうとする都民の機運を高め、実践につなげていくためには、行政を含めまして、社会全体で個人の取り組みを支援していくことが必要かと認識をしております。
こうした観点から、都は、健康な長寿を実現するために、糖尿病などの生活習慣病の予防、骨折や転倒などによる寝たきり予防、高齢者の介護予防など、都民の生活の質を高める健康づくりに努めているところでございます。一例でございますけれども、高齢者の介護予防につきましては、老人総合研究所が長年にわたる研究調査を踏まえまして開発をした、介護予防健診「おたっしゃ21」などを活用いたしまして、全国に先駆け、区市町村に対する人材の育成、あるいはまた実地指導などを行っているところでございます。
ご案内のとおり、今年度、これまでに開発、実施をしたメニューを総合的に展開するということで、千代田区と稲城市、この二つの自治体を介護予防推進モデル地区に指定をいたしまして、重点的な支援を行っているところでございます。
また、この九月から一カ月間、都民の運動習慣の定着を目指そうということで、民間のフィットネスクラブを中心とした業界団体と協力をいたしまして、パンフレットの開発あるいは配布、都内百二十施設の無料体験を実施したところでございます。
副委員長もご案内かと存じますが、現在の介護保険法の第四条にこういう規定がございます。これは国民の努力及び義務ということで、「国民は、自ら要介護状態となることを予防するため、加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、要介護状態となった場合においても、進んでリハビリテーションその他の適切な保健医療サービス及び福祉サービスを利用することにより、その有する能力の維持向上に努める」私は、今お話にもございましたように、局が統合されまして、福祉、保健、医療と、この領域を今担当しているわけでございます。こういう観点から、生涯を通じました健康づくりを進めていくためには、早い段階からの身体機能の維持向上、あるいはまた、それぞれのステージに切れ目なく対応していくことが重要だと考えてございます。
そういうことで、この統合を契機に、関係機関、民間とも協力をいたしまして、福祉、保健、医療の一体的、総合的な施策を推し進め、母子保健から生活習慣病予防、高齢者の介護予防にわたるまで、いわば揺りかごから墓場まで、生涯を通じました一貫した健康づくり、これを具体的かつ積極的に推進していきたいと考えてございます。
○吉田委員 それでは、私からも、昨年度の決算を中心にいたしまして質問をさせていただきます。
質問に先立ちまして、詳細にわたって要望した資料を準備していただきましたことにお礼を申し上げます。
資料四ページでも紹介していただきましたけれども、私どもは、福祉局の予算が大幅に削減をされ、後退をしているという事実を、この間、指摘をしてまいりました。しかし、今度示していただいた資料によっても、予算の後退だけではなく、例えば昨年度の決算で見れば、旧福祉局分で見れば、予算現額と決算額、そして結果的に生まれた不用額が五百億円と。この不用額、執行残の金額も、他局から見ても際立ったものだということを改めて注目せざるを得ません。
同時に、私、この資料を見させていただいて、昨年度の単年度の不用額の増大あるいは執行残ということだけではなくて、また予算の後退だけではなく、決算額そのものが年々後退、減少していると。福祉局の決算額を見れば、資料にあるとおり、平成十一年、一九九九年度、五千三百九十億円の決算額が、昨年度は四千七百五十九億円余と、金額にすれば六百三十億円、率にすれば二二%というふうに計算をすることができます。一体どの分野がどのように後退をし、結果的に決算額が後退したのかということを見たいと思って、項目別にも資料を用意していただきました。
そうしますと、例えば高齢福祉費を見ても、あるいは心身障害者福祉費を見ても、大幅にそれぞれ減額をしているということとなっております。こうした高齢福祉費あるいは心身障害者福祉費の決算額の後退、減額というものは、主にどのような理由からこのような事態になっているのか、簡潔でよろしいですから、ご説明をお願いいたします。
○野口企画担当部長 高齢福祉費と心身障害者福祉費のお尋ねにお答えいたします。
まず、高齢福祉費の決算額についてでございますが、要求資料の四ページにもございます数字に基づいてのご説明でございます。平成十五年度決算と平成十一年度決算を比較いたしますと、老人医療費助成や老人福祉手当などで決算額が減となっている一方、介護保険給付費負担金などの増がありまして、差し引きで三十九億円の減となっております。これは、平成十二年度に、介護保険制度の導入や老人福祉手当の見直しがあるなど、施策体系そのものが大きく変化し、比較の前提となる制度そのものが異なるといった状況が生じたからでございます。
それから、心身障害者福祉費の決算額についてでございますが、これも十五年度決算と十一年度決算を比較いたしますと、知的障害者グループホーム整備などが増となっておりますが、心身障害者児医療費助成などで減となっておりまして、差し引きで百三十三億円の減となっております。
また、包括補助であります福祉改革推進事業や障害者の通所施設整備など障害者福祉に要する経費は、福祉管理費や施設整備費などの他の費目にも含まれておりまして、この決算額は四十四億円の増となっております。これにつきましても、平成十二年度に介護保険の導入、平成十五年度に支援費制度の導入などがございまして、決算額を比較する前提となる制度そのものが大きく異なっているという状況がございます。
○吉田委員 今説明がありましたけれども、例えば高齢者福祉費で見れば、措置制度から介護保険制度によって、東京都の負担は、負担割合そのものが増となったわけですね。にもかかわらず、決算総額が減となっている。それだけいわば高齢者に対するさまざまな手当や医療費助成などのサービス面での大幅な後退が行われたということが改めて浮き彫りになると思いますし、私、参考までに、この決算年度の時期の六十五歳以上の人口の推移を調べてみたんですが、もちろんふえているわけですね。六十五歳以上の人口は、私の計算では一七%ふえているわけです。
したがって、対象人口の増加による自然増だけで、もし施策の見直しを行わなければ、本来ならば、国の予算だってそうですけれども、それだけの自然増があってしかるべきにもかかわらず、また介護保険の負担増があったにもかかわらず、高齢で見れば、約四十億円近い減と。それだけ、逆に高齢者の方々にすれば、新たな負担がふえているか、サービスが低下をしているか。後でも述べますが、それがマル福あるいはシルバーパスなどに対して現実の問題として影響を及ぼしているということを、後ほど改めて指摘をしておきたいと思います。
心身障害者福祉費でいえば、医療費助成制度の見直しが主な理由だというご説明ですけれども、総額で百三十三億円の減となったと。逆にいえば、それだけの、単純にいうことはできないかもしれませんが、当事者の方々に対する負担増となってはね返ってきているというふうに私は見なければならないと思いますし、この点でも、対象人員がどうなっているかということを、私、調べてみましたが、身体そして知的障害のそれぞれの手帳の発行数を見ると、この決算年度の推移と同じ時期で比べると、約三万人、手帳を受けている方がふえているわけですね。にもかかわらず、障害者福祉分野でいえば、若干の入り繰りはあるかもしれませんが、百三十三億円もの減ということの重大性というのは、さまざまな考えはあるかもしれませんが、私は改めてこの決算審議を通じて見ておく必要があると思うんです。
さらに、私が重大な問題だというふうに思ったのは、第三回定例会でも指摘をいたしましたが、四ページの資料の項別の内訳の一番最後に、施設整備費という項目があります。
高齢者や障害者の経済給付の見直しに当たって、いわば直接的なサービスの提供は民間などにゆだねる。しかし、基盤整備、施設整備などの条件整備はもっと力を入れてやるんだというようなご発言が繰り返されたように私は記憶をしています。
しかし、その施設整備で見ても、表にあるとおり、一九九九年度、平成十一年度、五百五億円が、決算で見ると、何と三百六億円ですね。昨年度の予算現額と比べてみても、これは百億からのマイナスなんですね。昨年度の決算で見ても、予算からも落ち込んでいる。
この経過を見ても、大幅に、約二百億円、率にすれば四割も施設整備は落ち込んでいる。もちろん努力をしていないというふうに単純に決めつけることは不適切だと思います。当事者がどれだけそういう施設整備に意欲があるかということももちろんあるでしょうけれども、結果的に、なぜこれほど現実の決算が、重視をするといったこの施設整備で減となっているのか。この点、どのように実態を認識していらっしゃるのでしょうか、ご説明をお願いいたします。
○野口企画担当部長 施設整備費についてのお尋ねでございますが、施設整備費は高齢者施設、障害者施設など各分野の施設整備を含む費目でございます。平成十五年度決算と平成十一年度決算の比較では、今お話ございましたように、百九十八億円の減となっております。
ただ、この減の主な要因は、高齢者施設の整備費の減でございます。内訳で申しますと、高齢者施設の減が二百四十一億円というふうになっております。これは、平成十二年度の介護保険制度の導入を前に、十一年度に特別養護老人ホームや介護老人保健施設などの整備が集中したためであります。また、近年の建設コストの下落で、都の整備費補助単価がその下落を反映して減となっていることも一因としてございます。
○吉田委員 コストということをいわれたんですけれども、現実に施設数そのものが後退をしているんじゃないんですか、九九年度決算と昨年度決算を見たときに。それは何か数字はありますか。出ませんか。
○野村高齢社会対策部長 十一年度と十五年度を比較いたしますと、十一年度は、規模で継続が三十一、新規が十九、合計五十の整備でございました。十五年度は、継続が十、新規が十二で、二十二の整備でございました。これは先ほども申し上げましたとおり、平成十二年度の介護保険制度の導入に当たり、十一年度に特別養護老人ホーム等々の整備がかなり集中をしたという事情でございます。
○吉田委員 もちろん介護保険制度がスタートするに当たって、皆さん方も、また事業者の方々も、それに間に合うようにということで、かなり頑張って施設整備を行ったという特殊的な要因があったことは事実です。しかし、問題は、その時点でも、施設整備というものは何かもう一定のゴールに達したというものじゃなくて、まだまだおくれていた。
問題は、それ以降も引き続き、例えば先ほど指摘したように、今年度の決算を見ても、予算現額と決算額の乖離は非常に大きいわけですね。それはもちろん、先ほど坂口副委員長からお話があった、東京都だけではなくて、国の側の補助を認めないという事態の反映もあるかと思いますが、やはり現実的に、個々の特殊要因はあったとしても、おくれている東京の施設整備の決算額が年々後退しているということを、私は改めて直視をしなければならないと思うんです。
それで、資料一四ページについてちょっと確かめたいんですけれども、結論的には、障害者分野ももちろん十分だとは決していえませんけれども、高齢者分野、介護保険分野の施設整備もおくれているというのが現状だと思うんですね。
表の見方でまず確認したいんですが、この9の資料を見ますと、いわば特養ホーム、介護老人福祉施設、老健施設、介護老人保健施設、そして介護療養型医療施設の三つの定数をそれぞれ合計して、高齢者人口比でどれだけの比率かということが--合計欄がありますね。そうすると、この三つの施設の定員規模をすべて足したときに、東京は、高齢者人口比二・四%というのは、私の見間違いでなければ、全国最下位という事態が冷厳にこの数字から読み取れるわけですが、そう理解してよろしいんですね。また、この事態をどのように認識されていらっしゃるのでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 ただいま委員ご指摘の資料でございますけれども、これは、介護老人福祉施設、介護老人保健施設それから介護療養型医療施設を合計してございますけれども、個々に、それぞれの施設ごとに、対象者それから目的が違いますので、これを単純に合計いたしまして、二・四という数字をもって全国最下位と、単純に数字を見ればそういうふうになりますけれども、そういうことは当たらないかと思います。
ちなみに、介護老人福祉施設につきましては、これは平均が全国は一・五、それに対して一・四ということで、平均にほぼいっております。確かに介護老人保健施設につきましては、一・一に対して〇・六ということで、全国の中で一番低いということは事実でございます。
○吉田委員 もちろん特養ホームだけじゃなくて、後で触れますが、グループホームその他、多機能の小規模施設など、さまざまな努力を私たちは求めていくことが必要だと思うんです。
ただ、特養ホームにしても老健にしても、全国の状況から見れば、もちろんさまざまな大都市特有の困難さがあることは無視することはできませんけれども、非常におくれており、解決すべき課題だと私は思うんですよ。
とりわけ東京の場合には、私の見た記憶では、独居老人、いわば高齢者世帯の中でひとり暮らしの高齢者という世帯が全国で第二位という資料を見たことがあります。また、あわせて、高齢者のみ、ご夫婦とも高齢者だけで暮らしているという世帯も相当数ありまして、独居高齢者あるいは高齢者のみ世帯が高齢者世帯の多分半分近いんじゃないかという世帯の状況から見ても、また東京の住宅事情ということから見ても、こうした施設整備というものは、東京という実情から見ても、困難ではあるけれども、同時に必要性があるんだというふうに私は考えているんです。
特養ホームで見ますと、以前、皆さん方が調査をして、全体でたしか二万人余の待機者がいるということが判定されて、それで、どういうふうにこの問題を解消するかということで、ガイドラインを設けて、緊急性の高い人から入所するような指導が行われましたけれども、それでも私たちがちまたで聞く悩み、要望の一番は、特養に入れない、いつになったら入れるかわからない、何とかならないかという要望が多数であることは明白だと思うんですが、この特養の整備問題というのは、改めてきちんと状況を把握して、取り組んでいくべきだと思うんですが、どのように準備がされているんでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 今委員お話がありました平成十三年度の待機者の問題でございますけれども、私どもが行いました平成十三年度の調査によりますと、都内の特別養護老人ホームの入所希望者数は約二万五千五百人でございますが、そのうち、介護保健施設に入所している方以外で一年以内に入所を希望する方は全体の約三割で、七千二百人と推計しているところでございます。
こうした状況を受けまして、都ではこれまでも、特別養護老人ホームの整備につきまして、都独自の用地費助成を行うとともに、国制度に上乗せした施設整備費助成を行ってきました。これらの施策によりまして、平成十五年度末の整備実績は三万一千百八十五人でございまして、第二期介護保健事業支援計画における十五年度整備目標である三万一千五百人に対し、その達成率は九九%と、おおむね計画どおりに推移しているところでございます。
なお、入所待機者の状態をどういうふうに把握するかということでございますけれども、来年度に行います第三期の介護保健事業支援計画の改定に向けまして、特別養護老人ホームの入所希望者実態調査を実施する予定でございまして、既に区市町村へ協力依頼を行うなど、準備を進めているところでございます。
○吉田委員 ぜひそうした実態調査に基づいて、積極的な推進方を改めてお願いしたいと思います。
そこで、グループホームの整備状況なんですけれども、資料では全国比較を求めたんですが、残念ながら厚生労働省の資料にないということで、こうした数が一五ページに示されました。
しかし、私の承知している範囲では、厚生労働省は各都道府県別のグループホームの定員数を把握しているというふうに承知をしているんですが、そういう数字は承知していらっしゃらないんですか。また、グループホームの全国レベルの整備状況というのはどのように認識していらっしゃるんでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 国の方で全国レベルで把握しておる数字は痴呆性グループホームの箇所数だと理解しておりまして、私どもも国の方から正式に入所定員について状況を聞いている状況ではございません。
○吉田委員 私の方の承知している話をちょっと紹介させていただきますが、きのう、厚生労働省の大臣官房統計情報部の方からファクスで資料をいただきまして、これは痴呆対応型共同生活介護の事業所及び定員数、都道府県、指定都市、中核都市の資料であります。これは、だから、事業所数だけではなくて、各都道府県別の定員数を示した資料です。いつの調査時点かといいますと、昨年の十月一日時点ということとなっております。
もちろんこれ以降東京都としてはかなり進められておりますけれども、一々細かい数はいいませんけれども、この十月一日時点の全国の都道府県の状況を見ても、実数で見ても、また先ほど紹介があった高齢者人口比の比率で見ても、多分東京は相当おくれているという現状であるということは、この資料からも、私、読み取ることができます。
そういう意味では、グループホームについてもさらに努力が求められていると思いますし、ここでちょっと確認をしておきたいことは、決算書を見ますと、グループホームに関して、当初予算規模と支出済額を比べると、福祉法人は二十五となっていたものが七、医療法人が八だったものが三、都単独は六十五だったものが三十八ということで、現実的には必ずしも当初希望どおりにいっていない。かなりの乖離が生まれていますけれども、これはどのような原因からなんでしょうか。また、そういう問題をどのように今後改善方をされようとしているんでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 委員が今ご指摘になりました点は、我々は当初予算に最大限、マックスで見積もります。というのは、我々も痴呆性グループホームの整備は非常に重要な事項だと認識をしていますので、最大限見積もります。それに対して、当初は協議を上げてきますので、当然我々も予算計上いたしますが、土地の状況、資金状況等々でいろいろ途中で落ちていくというケースは多々あります。
それともう一つは、各年度の完成率がありまして、それが当初予算と違うということがございまして、そこら辺が合わさって、非常に執行率が低い状況となっておりますけれども、いずれにしましても、我々は、ご案内のとおり、痴呆性高齢者グループホーム緊急整備三カ年事業を創設いたしまして、高齢者人口に対する整備率が〇・一八%未満の区市町村を重点的な整備地域というふうに指定いたしまして、指定地域における民間企業への補助率の引き上げとか、区市町村が独自に行う整備補助への支援に取り組んでおります。
また、平成十六年四月には、局内にグループホーム設置促進事業本部を立ち上げまして、都民の理解促進に向けた普及啓発のほか、運営事業者や土地建物の所有者等に対する働きかけを行っているところでございまして、その結果、現在の整備状況についてでございますけれども、第二期介護保健事業支援計画における平成十五年度整備計画数千八百人に対し、平成十六年四月一日現在の指定数は千六百二十人でございまして、整備目標達成率は九〇%でございます。
なお、平成十六年十月一日現在の指定数は千八百六十六人と、大幅な増加を見ているところでございます。
○吉田委員 ぜひそうした努力を進めていただきたいと思うんですが、決算にかかわってトータルで触れておかざるを得ないことがあるんですが、私たちは、東京の福祉予算の大幅な減額、後退ということの重大性を指摘してまいりましたが、今回改めて、決算額が六百三十億円も後退をしている、九九年度と比べたときに。果たして他の政令都市を抱えた県の場合、どうなのかということに関心と疑問がわいたものですから、私、政令都市を持つ府県で、かつ福祉局あるいは福祉費、民生費というふうに明確に区分けができる宮城、埼玉、千葉、神奈川、京都、兵庫、広島県について、決算額を調べさせていただきました。
そうしますと--そこだけですよ、まだ。もっと全部調べればよかったんですけれども、少なくともその範囲で見ても、民生費、福祉費の決算額が、九九年度と昨年度、〇三年度でマイナスというふうになっている府県はありませんでした。大体一一〇%前後ということで、増額している。その中で、東京が、率でいえば一二%程度後退をしているというのは、極めて際立った事態だと思うんです。
私はやはり執行残のないようにということと同時に、これだけ高齢者の増加あるいは少子化対策の緊急性その他から見れば、福祉予算額というものが時代の趨勢にふさわしく拡充されるべきだというふうに思うんですけれども、この点はどなたがお答えになるかわかりませんが、いかがでしょうか。また、そういう他県との比較についてご意見があれば、どうぞ。
○野口企画担当部長 まず、他県との比較につきましては、ちょっとデータを持っておりませんので、控えさせていただきます。
結局福祉切り捨てではないかというお尋ねでございますが、福祉施策におきます国の制度は、先ほどもご説明いたしましたとおり、介護保険制度の導入や支援費制度の導入など、この間さまざまな制度改正が行われてきておりまして、前提となる諸条件が大きく変化してきております。
都は、そうした中、利用者本位の新しい福祉を実現するために、平成十二年度以来、経済給付的事業の見直しなど、見直すべき事業は見直しを進めつつ、都民ニーズに的確にこたえるために必要な施策に財源を集中的に投入し、福祉改革を着実に進めてきております。その福祉改革への取り組みにつきましては、既に都民のご理解を得ているというふうに確信しておりまして、福祉切り捨てとの批判は当たらないというふうに考えております。
○吉田委員 福祉切り捨てという、いつ私がいったことかわかりませんけれども、我々がかねていっているから、わざわざそこまで意識をされているんでしょうけれども、現実に、見直しその他はもちろんあるでしょうけれども、見直しをしたといっても、そのために重視をするといった施設整備の方も、全国から見ても、予算の実際の推移から見ても、大幅に後退している。やはり今の時代に合わせて東京都が役割を果たすという点では、福祉予算の執行というものはもっと拡充する努力をすべきではないですかと、私は福祉局を応援する立場で発言したつもりなんですけれども、これ以上議論はいたしませんけれども、必要な分野に必要な施策、必要な施設が整備できるように、大いに予算額の確保、拡充というために、対国との関係もありますが、努力をすべきだということを指摘して、以下、若干具体的な問題について、残された時間で質疑をしておきたいと思います。
その一つが、シルバーパスの問題です。見直しの一環で、ご承知のとおり、シルバーパスの無料制度の廃止と有料化と。経過措置がとられましたけれども、結果的には、ちょうどこの決算年度の昨年から、住民税非課税の方は千円、住民税課税の方は二万五百十円という負担が求められるということになりました。
それで、問題は、資料の一六ページで見て明確なんですけれども、結果的に、高齢者人口は増大しているにもかかわらず、シルバーパスの場合は七十歳以上ですけれども、発行実績を見ると、九九年度と比べたら、実数で大幅減。二〇〇〇年度、平成十二年度と比べても、わずかだけれども、減と。一体七十歳以上のどれだけの方がシルバーパスを利用するようになったのかといえば、かつては七割を超えていた。今、それが五割ちょっと。もしこういう傾向が進めば、五割を切りかねないという事態になっているわけですけれども、見直しを当初提案するときに、こういう事態というものはもともと想定したものなんでしょうか。いかがですか。
○野村高齢社会対策部長 当時こういうふうなことを予測したかどうかといわれると、私も大変困るんですが、これはあくまでも一つが見込みの仕方と、それから、十一年から十二年に方式が変わっておりますので、十一年のときには、いろいろな意味で全部送付をするという時代でした。それが十二年からは、申請をして、窓口で自分で交付を受けるということになっておりますので、そうした意味では、本当にシルバーパスを必要とされる方は申請にお見えになるんだと思っておりまして、そういう意味では、この率が単純に上がった下がったということを、よしあしを議論するのは、若干筋が違うかと思っております。
○吉田委員 私の記憶が正しければ、有料化の見直しの直前に交付対象の見直しは既に行われたんですよ。すなわち従前は、寝たきりの方などについても一律的に配っているという面があって、それは意見があって、あくまでもそうでない人を前提にするという見直しをして、その次に、連続して有料化に切りかえたのではないのかなというふうに思っております。
したがって、もう既に、ここに書かれている数字の中では、そうした本来身体的に受け取ることができない方にまで配られていたというふうな状況は除去された上で、かつ、今もいいましたように、二〇〇〇年度、平成十二年度と比べてみても、毎年毎年七十歳以上に占める交付割合が低下している。私は、シルバーパスは引きこもりを防止する、ひとり暮らしの方々が家にこもることなく、積極的に買い物その他外出を促進することによって、いわば今大きなテーマである介護予防に役立つという点では、必要な方あるいはそういう条件が整った方々の多くが積極的にシルバーパスという制度を利用する、また利用されるように行政としては支援し、努力をするということが求められていて、七十歳以上人口比、だんだん後退していってもしようがないということであってはならないと思うんですが、いかがですか。
○野村高齢社会対策部長 私どもも、この数字が単純に落ちていって、そのままでいいというふうには思っておりません。ただ、基本的には、先ほどもお話ししたとおり、現在のシルバーパスの制度は、希望される本人が窓口に来て申請をして、購入されるという仕組みになっております以上、なおかつ、お聞きするところによりますと、例えば非常にバスの多い地域、使用頻度の多い地域の方、そうでない地域の方、いろいろ事情はおありのようです。そうした意味で、ご本人がご本人の状況を判断して、購入するかどうかということを決める制度になったというふうに理解しておりまして、そうした意味では、この率だけで云々するというのは若干違うと思っております。
ただ、それはそれとしまして、私どももできる限り多くの方にご利用いただきたいというふうに思っておりますので、広報に非常に力を入れております。これまでも事業の実施主体でございます東京バス協会というバス事業者を初めといたしまして、東京都においても、年に数回、大量のポスターを掲示したり、チラシを配布したりしております。また、各世帯に配布される「広報東京都」や区市町村の広報に掲載したり、高齢者にかかわりの深い民生委員の方々を通じましてお知らせしているところでございまして、今後とも、区市町村とも連携を深めて、対象者への周知に一層努力をしてまいります。
○吉田委員 個々の問題はあるかと思いますが、あえていわせていただきますけれども、この見直しを議論したときの予算特別委員会には、全面有料化をしたとしても、利用者の後退は起こらない、逆にふえますよということで、予算特別委員会に示された数字としては、平成十五年、昨年度決算と同じ時期になりますが、九十七万人がシルバーパスを利用するであろう、負担がふえても何ら問題ないんですということを公式の資料として出されているんですね。
しかし、結果的にこれだけ交付実績が後退していることは、個々の問題があったにせよ、その大きな原因がやっぱり負担額の増加と、しかも、先ほどいったように、経過措置がなくなったわけですから、千円ないし二万五百十円ということのやはり影響が私は大きいということをしっかりと見ざるを得ないと思うんです。
それで、第三回定例会のときにも質問させていただきましたけれども、バス協会の方にも問い合わせいたしましたら、そうした声が寄せられているというんですね。収入がちょっとふえただけで一気に住民税課税ということになって、千円の人が二万五百十円になる。かつては経過措置があったわけだけれども、千円と二万五百十円というんじゃなくて、せめてその中間値的な負担区分というものも、他の制度から見たって、検討対象じゃないかというのは、ある面非常に理にかなった要望だと思うんですが、改めてそういうことは検討対象にはなり得ないものでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 収入に応じた段階的な負担区分を設けろというお話でございますけれども、二万五百十円をご負担いただいている方は区市町村住民税課税者の方でございまして、ちなみに年金収入で申し上げますと、年間二百六十六万以上の方でございます。十分二万五百十円はご負担いただける範囲だというふうに考えております。
○吉田委員 バス協会にそういう相談、意見が寄せられているということは承知していらっしゃると思うんですが、そういう実際の声が上がっているんですね。
しかも、なぜこの問題を、私、質問させていただくかといえば、これももうご承知かもしれませんが、税制度の改定によって、老年者控除あるいは公的年金控除というものが段階的に廃止をされる。そうすると、収入が変わってないのに、突然それだけで一気に住民税課税者になる。あるいは金額的には若干収入がマイナスになった方であったとしても、二つの控除がなくなることによって、一気に住民税課税対象になる。そうすると、それが当然シルバーパスの負担にも響く。それだけじゃなくて、国保や介護保険その他もろもろ響くわけですが、こうした影響ということがどのぐらいになるのか、あるいはこういう問題についてどう対応すべきかということは、私は少なくとも検討課題だと思うんですが、いかがですか。
○野村高齢社会対策部長 今委員お話しの税控除の関係の問題につきましては、我々も認識をしておりまして、これはシルバーパスだけにかかわらず、すべてに波及するものでございますので、ある意味ではきちんとした検討をしていきたいと思っております。
○吉田委員 これも出された要望で、局も承知をしていることなんですけれども、一度に二万五百十円を払うのは大変だ。半額で半年パスという発行ができないものか。なぜなら、例えば年度途中から半年分のパスを請求すれば、半年パスというのは出すわけですね、半額で、四月から九月分という形では。あるいは転居したときには、払い戻しという制度がたしかあったんじゃないかなと思うんですが、そういう変則的な措置が部分的制度としてあるわけだから、ぜひ半年パスという制度も検討してもらえないかという要望が福祉局に寄せられていたと思うんですけれども、これはどうですか。
○野村高齢社会対策部長 半年パスの問題についてでございますけれども、現在の制度は、利用者の利便を図るために、バスの営業所などの常設窓口、大体十六年度は百七十六カ所でございますけれども、そのほかに区民ホールとか出張所などの臨時窓口、約四百四十五カ所を開設いたしまして、一斉更新をしております。
というのは、毎年九月に一斉更新をすることによりまして、そうした非常に多くの場所で、皆さん方が近くで更新をできるという利便を考えておりまして、そうした意味で、一年で一斉更新を、近くのところで更新をする、この現行制度の利点は十分定着していると考えております。
また、ちなみに、十月更新ですので、四月以降にパスの交付を受ける方、この方につきましては、半年以下しか利用期間はございませんので、現在も半年であります一万二百五十五円ですか、で交付をしているところでございます。
○吉田委員 そういう要望を福祉局に出された方に対して、福祉局の担当者の方から手紙で、ご意見につきましては貴重なものと考えております、即時にというわけにはまいりませんので、今後の見直しの際の参考にさせていただきたいと思いますというふうに、文書をもって回答がされているんですが、これは公式文書というふうに理解してよろしいですね。
○野村高齢社会対策部長 今委員お話しの文書につきましては、これは都民の声というのが寄せられておりまして、それに対する回答ということでございますので、これを公式文書というかどうかは非常に微妙なところだと思っております。
ちなみに回答を、今のところを読ませていただきますと、前の方にもありますけれども、貴重なものと考えておりますけれども、シルバーパスの制度は東京都シルバーパス条例や東京都シルバーパス条例施行規則により実施していることから、制度の変更、見直し等につきましては、種々の理由により即時に変更というわけにはまいりませんのでと、そう断った上で、今後の見直しの際の参考にさせていただきたいと思います、そういうふうな回答をいたしました。
○吉田委員 公式文書とかなんかは、いわないから、だけれども、一つの都としての回答ということは事実だと思うので、ぜひ今後検討していただきたいということを述べておきます。
次に、介護保険の利用料、保険料負担にかかわる問題について、ちょっとだけ質問をさせていただきます。
先ほどの見直しの一環で、老人福祉手当が五万円余支給されていたものが完全に廃止をされる。その一方で、介護保険は収入の大小にかかわらず一割負担、応益負担という原則で進められておりますから、これが低所得者の方々に対しては非常に重大な影響、場合によっては、必要なサービスであったとしても、それを抑制せざるを得ないというふうな事態が生まれていることはいうまでもありません。
私も、杉並区内で介護をしている方々の事例、五十例調査をしてまいりましたけれども、本当に保険料と同時に利用料負担が重いという声は出されております。例えば訪問入浴、週一回で利用料負担が千二百円。本当は週二回やりたいけれども、そうすると、最終的に月の負担が今一万円弱のものが二万円程度に上がってしまう。それができないんだという声も現実に寄せられました。
都としても、そうしたさまざまな状況を反映して、全国で初めて、国制度を土台とした利用料の軽減措置というものを始めました。これは何度も質問していますから、簡潔にやりますけれども、資料の一九ページに出されていますが、一体この都の制度、事業主体は区市町村ですけれども、どの程度の方々がこれを利用しているのか。
まず、あなたは負担軽減措置を利用することができますよという確認証を受けた方が二千五百六十一人、実際にそれを使って利用料軽減を受けた方が千八百九十七人、極めて低い事態がずっと続いています。国はこの制度については、対象者の約一五%をカバーするという建前がたしかあったと思うんですけれども、この現状をどのようにとらえていらっしゃるのか。あるいは、この問題について、必要な改善、手直しをしていくことが求められているし、区市町村からもそういう声が寄せられていると思うんですが、いかがでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 委員ご案内の本制度は、平成十四年一月から開始したところでございます。確かに実績は低いところがございますけれども、平成十四年三月末に比べまして、平成十六年三月末では、実施区市町村数が二十四区市町村から三十八区市町村に、届け出事業所数は千二百三十事業所から千八百七十五事業所に、確認証交付人数は八百四十六人から今お話しの二千五百六十一人に、それぞれ伸びているところでございまして、今後ともさらに、私どもといたしましても、区市町村を初め介護サービス提供事業者等に制度について理解を求めながら、事業の普及に努めてまいります。
○吉田委員 先ほどいいましたけれども、国はこの制度については、対象人口は、何を分母とするか、ちょっと私も定かじゃない面があるんですけれども、たしか一五%程度が対象になるという想定ですけれども、この実数から見れば、はるかにそれに及ばないという状況に今あることは明白ですし、実は私たち、この問題だけじゃありませんが、利用料軽減の問題、そして具体的には都のこの制度について、区市町村の担当者がどのような意見、要望を持っているのかということを調査いたしました。
お聞き及びかもしれませんが、その結果、二十三区でいえば、十三区が事業者負担の軽減と所得、資産要件の緩和をしてほしいという声を上げておりますし、また、二区の担当者は、現行制度では余り役に立たないと。二十六市の中では、十四市が事業者負担の軽減あるいは所得要件の緩和などを訴え、二市が現行制度では余り役に立たない、そういう声を上げているわけですね。
こうした直接的な事業者は区市町村なわけです。ぜひそこの方々の声というものを今からでも受けとめて、改善方を努力していただきたいというふうに思うんですけれども、いずれにしても、国が介護保険の見直しを進めようとしておりますけれども、こうした利用料軽減の問題について、都としてどのように今後臨んでいくのか、現時点では基本的なお考えになるかもしれませんけれども、お答え願います。
○野村高齢社会対策部長 現在の現行制度は介護保険制度の枠外で運営をされております。そうした意味で、国も枠外でつくる。私どもも、国の制度にサービスを四サービスから九サービスにふやす。事業者も社会福祉法人と区市町村だけのものを全事業者に拡大するというふうなことでやっておりますけれども、基本的には、介護保険制度の中できちんとした低所得者対策を見直しして、位置づけをするということが基本であろうかと思っておりまして、先般の四月に行いました介護保険制度の見直しに対する東京都の提案の中におきましても、低所得者対策の一層の充実、確立を要望しているところでございます。
○吉田委員 私も読ませていただきましたけれども、利用料軽減のところで、経済的理由によってサービスを受けることが妨げられることがないよう、低所得者への配慮が必要であるという要望を出しております。それはもちろん国だけじゃなくて、区市町村を支援するという点では当然東京都としての責務、そういう問題として、今後もさらに拡充の努力をしていただきたいということを要望しておきます。
予定していた時間が若干押しておりますけれども、あと二点、旧健康局にかかわって、大変時間が短くて恐縮でございますが--慢性肝炎対策と女性外来に関連して、一言二言質問させていただきたい。
従来、難病対象として、慢性肝炎、肝硬変・ヘパトームは、医療費助成、無料、その後、たしか定額負担ということがとられてきましたが、それが改められて、最も多かった外来医療費助成は廃止をされる。他方、入院医療費助成のみになるということとなってしまいました。
私はこの問題を質疑をした予算特別委員会の中でも明らかにいたしましたが、そもそも慢性肝炎などに対する医療費助成の実績を見れば、助成件数の九七%が通院、外来である。また、医療費助成の実績を見れば、八割が通院、外来である。そこを打ち切るということは、当事者の方々あるいは医療活動に重大な影響を及ぼすものではないかということを主張させていただきました。
改めて確認しておきたいんですけれども、慢性肝炎の場合には、確かに入院で一定期間集中的な治療を行うこと自身も必要でしょう。しかし、一般的な医学の通説の場合は、日本人の場合にはインターフェロンなどを投与しても、かなりの部分が効かない。すなわちウイルスは絶滅し得ない。残りの方々は結局通院、外来を継続するということによってのみ医療を続けざるを得ないという状況だと私は承知しているんですが、いかがでしょうか。
○佐藤参事 C型肝炎につきましては、インターフェロンによりましてC型肝炎ウイルスが排除されるのは約三〇%、リバビリンとの併用療法の場合で約四〇%といわれております。
しかしながら、インターフェロン療法でウイルスを排除できなかった場合でも、肝炎の進行をおくらせ、肝がんの発生を抑制、遅延させる効果を示すこともございます。
○吉田委員 ですから、今述べられたように、六割の方は、一つの通説としてウイルスを完全に除去することはできない、減らすことはあったとしても。したがって、その方々は文字どおり生涯にわたって通院、外来医療を続けない限り、生命を保持することはできない。したがって、私たちはやはり外来医療に対する支援策をとるべきだということをいい続けてきたわけですが、改めて医療費の実績で推計したときに、一人当たりの自己負担額というのはどの程度というふうに推計できるんでしょうか。
○丸山保健政策部長 医療費の件でございますけれども、平成十五年度の医療費助成額は約四億一千二百万、平成十六年三月三十一日現在の患者さんは三千四百二十五人、単純に計算しますと、患者さん一人当たりの助成額は年間約十二万、月に直しますと一万程度ということになります。
○吉田委員 したがって、これは平均的な数字ですから、いろんなでこぼこがあるので、単純にいうことは不適正かもしれませんけれども、平均の数で見ても、一人当たり一万円、そして、それにプラスアルファの負担というものが、これがほかの場合と違うんですけれども、生涯にわたってかかるわけですね。例えば一年間頑張って治療すれば、翌年からはもう医療費の負担は軽減するよということじゃあり得ないわけですよ。そういうものであり、かつC型肝炎などの場合は、多くの場合、戦後直後のさまざまな不衛生な医療行政の責任、あるいは薬害という明確な医療行政の責任が問われる中で発生していることから見れば、外来医療費助成という課題は引き続き重要課題だ。
ちなみに、三年間の経過措置があるわけですけれども、聞いたところ、さらにその継続をということで、先日厚生委員会に、請願ですか、陳情ですか、出されたと聞きました。事前にお聞きしたら、経過措置は経過措置なんだ、三年で終わりなんだということであったとしても、財政的にそんなに莫大な負担がかかるわけではありませんし、かつ低所得者という極めて限定的な方々に対する支援制度なわけですから、三年たったらその方々の症状がよくなったり、暮らしが楽になったりするわけじゃ決してないことだと思うんですね。そういう点で、ぜひそうした対策の継続ということを改めてこの機会に要望しておきます。これは要望にしておきます。
最後に、女性外来の問題、議会でもこの間、皆さん方が積極的に取り上げられて、都立病院を中心に前進があったんですが、私、最近見た記事の中で、長野県が女性医師のネットワークづくりを支援して、そして、その女性医師のネットワークが長野県民に対してさまざまな広報活動、講演会活動をするときに、その広報活動の費用を一定助成する。さらに、どういう女性医師がいらっしゃるのかということをリストにして発表するということで、公的な病院だけではなくて、民間の地域医療機関の中でも比較的気軽に女性医師に相談に行けるという仕組みをつくっているという記事を読みまして、なるほどなというふうに痛感いたしました。
こちらの局にかかわる点でいえば、一つは、公的な医療機関という点では公社病院、こうしたところでの女性外来という問題をどのように対応されているのか。
二つ目に、今私が述べたように、都民の方が女性医師に相談しに行きたいというときに、何かそれが検索できるような仕組みとアクセス、これがどうなっているのか。さらに、そういう自主的なネットワークの活動などについても、適切な形で支援するというようなことも検討課題ではないのかなと思うんですが、お答えをお願いいたします。
○菅原医療政策部長 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都立病院等におきます女性専門外来でございますが、我が部におきます保健医療公社では、大久保病院におきまして、本年七月から週二回、女性医師によります予約制での女性専門外来を開設しておるところでございます。
また、女性医師に関する情報提供の現状でございますが、現在都では、医療機関案内サービス「ひまわり」におきまして、女性常勤医師が配置されている医療機関の情報を提供しております。
また、委員ご指摘の女性医師のネットワークについての援助等の問題でございますが、都内におきましても、現在、各種のグループによります自主的なネットワークづくりが行われております。都といたしましては、このネットワークづくりの動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。
○吉田委員 最後に、障害者分野で一ついい忘れた点があるんですが、いわゆる東京都障害者計画、ノーマライゼーション推進東京プランが来年度で一応事業年度としては終わる。これは障害者基本法に基づいて定められている法定計画だと思いますし、当然今からその準備が求められていると思うんですね。そのための基礎的な実態状況の調査だとか、あるいは、これも法に定められていることかと思いますが、関係団体、当事者等の参画を得て、改定準備を進めていくということが求められていると思うんですが、この点どのように検討されているのか、お答えをお願いいたします。
○吉岡障害者施策推進部長 ノーマライゼーション推進東京プランについてでございますけれども、これは障害者基本法に基づく都道府県障害者計画として、平成九年度から平成十七年度までを計画期間といたしまして策定したものでございます。障害者基本法によりまして、都道府県障害者計画の策定に当たりましては、地方障害者施策推進協議会の意見を聞くことが義務づけられております。現在のこの計画の策定に当たりましても、東京都障害者施策推進協議会に障害当事者や障害者団体の代表者に加わっていただきまして、ご審議をいただきました。
平成十八年度からの新しい計画の策定に当たりましても、引き続き障害当事者等のご意見を伺いながら、その策定に努めてまいりたいと考えてございます。
○大木田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
午後三時十一分休憩
午後三時二十三分開議
○大木田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
質疑を再開いたします。
発言を願います。
○大西委員 私の要求した資料は二〇、二一ページなんですが、まずは虐待防止についてお尋ねしたいと思います。
二〇〇〇年の児童虐待防止法の制定以降、虐待が認知され、通告や相談件数が増加しています。都内十一カ所の児童相談所では、虐待に関する十五年度の受理件数は二千四百八十一件となっています。
しかしながら、虐待を含め、児童相談所で受けた件数の総数は三万件あるわけです。そこで、それに対応する児童福祉司、心理指導員等、対応に当たる職員の配置数、人数なんですが、これで対応できるのだろうかというふうに思ったので、この資料を要求しました。二一ページがそうなんですが、この数字、確かに着実に十一年度から十五年度、ふえてはいますけれども、こんなにたくさんの相談に対応できているのかということが気になります。
ちなみに、よく東京と比較されるアメリカのニューヨーク、これは、一人が対応するのが、虐待だけなんですけれども、十二件といわれております。イギリスやカナダでも一人当たり二十件、二十二件、この件数です。日本では虐待だけであっても三けた、一人の人が百件ぐらいを平均担当しているということですので、まだまだ人数が足りないんだなということを、この要求資料の中でも感じます。
そしてまた、一時保護所が五カ所しかないということや、それから児童養護施設も満杯の状況であるということで、法ができて、そういう虐待の問題がクローズアップされたのに、その対応がまだまだ追いついていないんじゃないかということを思うんですけれども、福祉司及び施設の不足はそういう意味では深刻だなと。十分な対応を可能とする今後の取り組みについて伺いたいと思います。
○朝比奈少子社会対策部長 児童福祉司につきましては、児童虐待に迅速かつ機動的に対応するため、平成十四年度に百六人から百二十八名に大幅増員を行い、本年度はさらに十名増員をし、定数百三十八名としたところでございます。
児童虐待に対しましては、これらの児童福祉司に加えまして、心理職が四十六名、さらに困難なケースに的確かつ効率的に取り組むためのチーム制を導入するほか、十二年度には児童虐待対応協力員として十一名を、また十五年度には家庭復帰支援員として十一名を全児童相談所に置き、児童相談所の体制強化を図っているところでございます。
また、子どもの状況に応じ、家庭的環境のもとで育てる養育家庭制度や児童養護施設におけるグループホームの拡充にも努めているところでございます。
○大西委員 現実に対応するために頑張っていらっしゃる様子が今の答弁でわかるんですが、この辺が数的にもちゃんと充実していかなければ、厚い対策は立てられないと思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
二月に厚生労働省が報告した、児童虐待防止法施行以降二年半の虐待死の件数は百二十五件、そのうちの百二十七人が死亡しております。この数字は、実に七・四日に一人の子どもが虐待で死亡していることになります。また、子どもを道連れにした無理心中、そういうものを含めれば、三日に一人の子どもが死んでいるといわれている、そういう数字もあるわけなんですけれども、戦争もしていないのに、こういう数の子どもが死んでいくというのはとても問題だなと、改めて思いました。
そのうち約二割の事件に児童相談所がかかわりを持っております。そして、他の関係機関も含めるならば、こういう死亡に至っている子どもたちも含めるなら、七割のケースに既にそういうかかわりがあるわけなんですけれども、それでも結果的に虐待死を防げないという現実があるわけです。
児童福祉司に関していえば、例えば社会福祉士の資格を持つ専門職を配置している自治体は少ないといわれております。技量の問われる職種なんですが、異動のある行政職を充てた場合、研修が不十分であり、専門性の低さが際立つことになるんじゃないかなと思います。対応マニュアルの整備やノウハウも不十分なことを、虐待死の報道からも、事件があるたびに感じるわけなんですが、事件が起こる前に、福祉司等の専門性の確保を図るべきだと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○朝比奈少子社会対策部長 複雑化、困難化する虐待、非行などに対処するために、児童福祉司が高い専門性を有すべきことは当然のことでございます。都の児童福祉司は全員が児童福祉法で定める資格要件を満たしております。具体的には、法の要件とされております社会福祉士もしくは二年以上児童福祉事業に従事をする、あるいは大学等で心理学、教育学等を履修するといったような専門性を要求しているところでございます。
また、能力と意欲のある人材の登用を図るため、平成十四年度には庁内公募制の導入や児童福祉司の専門性を確保するための体系的な研修を実施するなど、総合的に組織体制の充実を図っております。
さらに、今年度において、有益な経験を持っている民間人の児童福祉司への登用や非常勤弁護士の全児童相談所への配置などの取り組みを行い、一層体制の強化を図って、専門性を高めているところでございます。
○大西委員 児童相談所、そして警察、学校、行政の連携がこの問題には不可欠なんですけれども、区市町村が行う児童虐待防止ネットワークの設置が、全国的に取り組みが振るわず、四割程度と聞いております。
都内の状況はどのようになっているのか、また、東京都の役割はどのようになっているのか、あわせてお聞きいたします。
○朝比奈少子社会対策部長 児童虐待防止区市町村ネットワーク事業についてでございますが、これは区市町村が設置をする子ども家庭支援センターが中心となりまして、児童相談所や民生委員、保健所、学校、医療機関、警察などの連携を強化するというものでございます。
このネットワーク事業の実施により、関係機関、団体等の効果的な連携が図られ、虐待の防止、早期発見の対応が強化されるものと考えております。
都では、区市町村に対しまして、このネットワークの設置を積極的に働きかけるとともに、連携が円滑に行われますよう、児童相談所が助言、指導を行っているところでございます。
○大西委員 不幸にして虐待に遭ったケアというものは非常に重要だということで、頑張っていただきたいんですが、それまでに、虐待の未然防止が極めて重要であります。
家庭において、周産期から子育てを孤立させない取り組みがそのためには必要といわれておりますが、今後の具体的な未然防止の視点での取り組みをお聞かせください。
○朝比奈少子社会対策部長 児童虐待は、その後の子どもの発達障害や情緒面や行動面の問題を引き起こすこともあるといわれており、虐待の発生を未然に防止することが極めて重要であります。
先駆型子ども家庭支援センターでは、保健所等の関係機関と連携をし、養育不安などを抱える家族や乳幼児健診を受診していない家庭など、子どもの健全な成長に懸念がある家庭への支援を行うなど、虐待防止支援訪問事業を実施しているところでございます。
今後は、この支援センターの一層の設置、拡充を図るとともに、子育て広場や一時保育などの在宅サービスの充実を図るほか、保健所と子ども家庭支援センターが連携をして、育児不安を抱える家庭を早期に発見し、支援していく取り組みを強化していきたいと考えております。
○大西委員 他県のことなんですが、子育てメートとして子育て経験者を三千名配置し、未就学児童のいる家庭を訪問し、相談に乗るなど、気軽な子育ての相手となることで、結果的に虐待の未然防止につながる支援事業を実施しているとも聞いております。
また、虐待防止地域サポーターの育成と地域ネットワークをつくり、行うこともありますが、こうした事例をぜひ参考にし、具体的な検討を東京都でも進めていっていただきたいと思います。一部そういうところを支援しているということも聞いておりますので、ぜひそういう重層的なサポート体制をとっていただきたいと思います。
それから、虐待の再発防止のこと、先ほども野上委員、聞いていらっしゃいましたけれども、虐待をしてしまった保護者への対策と、親子分離した場合でも再び一緒に生活を可能にする家族再統合のための支援が最終的な目標だと思っております。その支援対策について、教えてください。
○朝比奈少子社会対策部長 お尋ねの家族の再統合は、子どもの健やかな成長を図るという観点から、極めて重要であると考えております。
平成十四年度から、親子分離した子どもと保護者を対象に、児童相談センターにおいて、家族再統合に向けましたグループ療法を実施しております。
また、平成十五年度に、全国に先駆けて、すべての児童相談所に家庭復帰支援員を配置いたしました。この支援員は、児童福祉司とともに、児童虐待などにより施設に入所した子どもを早期に家庭復帰させるため、親と子の双方に対し、継続的かつ専門的なケアを行い、家族統合に努めているところでございます。
○大西委員 虐待に関しては、早期発見、未然防止がやはり重要です。私ども生活者ネットワークはニュージーランドに調査に行ったんですけれども、取り組みが定着しているのはミッドワイフシステム、これは、すなわち助産師がミッドワイフというんですけれども、助産師、助産婦さんが産前産後を通じ家庭訪問をきめ細かに行い、産後一カ月からは看護師にバトンタッチして、また支援を続けるというようなシステムです。これが本当に有効であると聞いております。お答えにあった支援の取り組み強化という部分にその視点が取り入れられて、一日も早くシステムができていくことを期待しておきたいと思います。
次に、高齢者介護予防についてお聞きいたします。
来年度には介護保険制度の見直しが予定され、厚生労働省社会保障審議会介護保険部会が七月に出した意見書の中では、大きな柱として、制度全体を予防重視型システムに転換するとしています。高齢化率が一層進展する中で、介護予防は重要性が増しているわけですが、決算書に見る介護予防・地域支え合い事業と、介護予防開発普及事業の中で、都は区市町村の介護予防の取り組みについてどのような支援を行っているんでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 都では、区市町村におきます介護予防の普及を図るため、平成十五年度から介護予防開発普及事業を実施しております。
この中では、区市町村を対象として、介護予防を担う人材を養成するための研修やさまざまな介護予防事業の実地指導などを行う技術支援、住民を対象にした講演会の開催やパンフレットの作成などの普及啓発を行っております。
また、介護予防・地域支え合い事業では、区市町村が地域で実施する転倒骨折予防教室や筋力向上トレーニングなどの事業について、補助を行っているところでございます。
○大西委員 地域のニーズは増加しているのですが、介護予防・地域支え合い事業の執行率が、この決算書を見てみますと、非常に低くなっているんですけれども、その理由はなぜでしょうか。
○野村高齢社会対策部長 介護予防・地域支え合い事業の執行率が低いのは、メニューの一つでございます、閉じこもりがちな高齢者などが集まり、体操や趣味活動などを行う生きがい活動支援通所事業の人件費相当分が国によって一般財源化され、補助対象外となったことが大きな理由でございます。
しかしながら、この生きがい活動支援通所事業を除きます介護予防・地域支え合い事業全体の事業費は、平成十四年度と比べ、四・二%増加しております。
○大西委員 この執行率が低い理由は、生きがい活動支援事業の人件費相当分が国から来たことによって低くなっているのであるということなんですけれども、それだけでしょうか。それとも、こちらがメニューとして出したものと地域が欲しいというメニューがなかなか一致していない、ミスマッチが起こっているんじゃないかなと、これを見たとき思ったんですけれども、今の説明だと、ほとんどがそれだということで、人件費だけでオーケーだというんですけれども、その私の疑問に対して。
○野村高齢社会対策部長 区市町村の取り組みの進捗状況について申し上げますと、転倒骨折予防教室を実施している区市町村は、平成十四年度の二十九自治体から、平成十五年度は四十自治体に増加し、また平成十五年度から新たに筋力向上トレーニングがメニューに加わりまして、九自治体が実施するなど、区市町村における取り組みは着実に進んでいるところでございます。
○大西委員 だから、この執行率が低いのは、先ほどおっしゃった人件費という部分で、ほとんどそれが理由なので、ミスマッチはないというふうにとらえていいんですか。
○野村高齢社会対策部長 執行残がかなり、このメニュー化の部分と、それからあと事業執行上でも若干出ておりまして、その部分では、今先生お話しのとおり、いろんな意味で、今後、区市町村とメニューのすり合わせをしていかなければいけないというふうに思っております。
○大西委員 そういう意味では、市区町村がどういうメニューを欲しがっているのかという調査を含めるようなものも必要だと思いますし、それから、必要とされるメニューを適切に提供するために、対象者を適切に把握する仕組みも必要だと思うんですが、その辺はいかがでしょう。
○野村高齢社会対策部長 ご指摘のとおり、効果的な介護予防プログラムを実施するためには、対象者を的確に把握することが極めて重要でございます。そのためには、老人総合研究所が開発いたしました介護予防健診「おたっしゃ21」によりまして、介護予防の対象者を的確にとらえることが極めて有効な手段であると考えております。
今後とも、従事者研修での講義や研修、都民向けのパンフレットの作成等を通じまして、区市町村における「おたっしゃ21」による健診を推進してまいります。
○大西委員 本当に介護予防を含めて着実に進めていらっしゃるように受け取るんですけれども、これまでの取り組みを踏まえて、今後の介護予防をどのように推進していくのか、さらにお聞きしたいと思います。
○野村高齢社会対策部長 都は、区市町村におきます介護予防の取り組みを推進するため、平成十五年度から介護予防開発普及事業を開始いたしまして、人材養成や技術支援等を行ってきているところでございます。
本年度は、これに加えて、新たに介護予防推進モデル地区重点支援事業を開始いたしました。この事業は、対象者の把握から個別プログラム実施、評価までを総合的に行います介護予防システムの効果を自治体規模で検証していくものでございまして、現在、千代田区と稲城市をモデル地区に指定して、重点的に支援しているところでございます。
現在、介護保険制度の見直しが行われ、その中で、介護予防の充実が検討されておりまして、都としては、この動きを踏まえつつ、介護予防の一層の推進に努めてまいります。
○大西委員 地域福祉という視点から見ると、今着実に高齢者それから子どもの施策、障害者の施策というふうに支援対策がとられていると思うんですけれども、地域から、高齢者、障害者、子ども施策を、総合的に、やってほしいというようないろいろなメニューがあると思うんですね。そういう視点も大事にしながら、ミスマッチがないように、ぜひ取り組んでいただきたいなと思います。
最後に、介護保険制度、先日も施設での身体拘束の問題が出ておりましたけれども、施設における身体拘束が原則禁止されているわけですけれども、施設ごとの取り組み状況には格差があると聞いております。身体拘束ゼロ運動に関してどのような取り組みをされてきたのか、そしてさらに、今後の取り組みの課題が何かをお聞きして、質問を終わりたいと思います。
○野村高齢社会対策部長 都では、身体拘束廃止を各施設で推進し、介護サービスの質を確保、向上するために、平成十三年度から身体拘束ゼロ運動を展開しております。この身体拘束ゼロ運動は、身体拘束廃止推進研修、相談窓口の設置、身体拘束廃止推進会議など、幅広い取り組みを行っておりまして、平成十五年度までに研修受講施設は二百十九カ所に及んでおります。
さらに、実践事例集の作成や身体拘束廃止推進ポスターの配布など、身体拘束廃止に向けた取り組みを推進しておりますが、身体拘束廃止に向けた対応は施設ごとに差もあることから、引き続き研修等を実施しまして、各施設等の取り組みを推進してまいります。
○藤川委員 私、十分ぐらい自分の意見を述べますから、質問しろといわれるかもしれませんけれども、答えが二十秒ぐらいで終わっちゃいますから、十分ぐらいで終わると思いますから、よろしくお願いします。
私自身、さっき吉田さんとも話したんですけれども、東京都の財政にとって何が大変かということを考えて今まで行動してきたわけです。
そのときに、五年ぐらい前ですか、吉田さんと同じく、介護保険制度を導入するというので、これは大変なことだ、こういうふうに思いましたから、どんなことを皆さん考えているかということでもって、いろんな人の意見を熱心に聞いていたわけですよ。
そうしたら、やっぱりこういうところに問題があるんだなということがわかって、自分自身、町の人たちからそういうところに問題があるということを認識しながら生きてきたわけです。だから、そういう面で、介護保険に関しては、五年か六年ぐらい前、あれはいつごろからみんな騒ぎ出したですかね。(「六年前でしょう」と呼ぶ者あり)そのくらいから興味を持ち始めたわけです。
それで、質問したいんですけれども、いろいろな問題がこの介護保険制度にはあると思うわけですね。そのときに、一体どうすればいいんだというふうに考えるわけです。吉田さんが質問された半分ぐらいは、僕自身も具体的に質問を受けているわけです。それプラスアルファ、吉田さんが質問されなかったことも質問を受けているということが多々あるわけです。それは聞き取りに来られた課長さんたちには説明しておきましたけれども、どなたが私の質問に対して答えられるのか知らないですけれども、要するに、皆さんの局じゃなくて、ほかの局の人から聞いたことなんですけれども、一体東京都の皆さんのいうことを国の中央で聞いてくれるのかというと、聞くというんですね。
というのは、現場を皆さんは持っているか、さもなければ持っている間に立っているから、それが強みだというわけですよ。だから、現場を持っていると。だけれども、法律をつくっている人たちというのは現場を持っていなくて、ただ頭の中でもって皆さんのいうことを聞いて、ああ、こういうことで新たに介護保険制度を導入しなくちゃいけないなと思って、法律をつくるわけです。
そして、皆さんはその法律に基づいて、条例をつくったり、いろんなことをするわけですけれども、さあ、そういうことでもって、法律を実際につくる人たちというのは現場を持っていないわけですから、間接的にそういうことを知っているにすぎないわけですよ。だけれども、皆さん方は現場を持っているか、さもなければ持っている人たちとの中間にありますから、まさしく区市町村の担当の人たちというのは現場そのものですから、常に問題と接触しているわけです。そういう立場で、東京都としたらどういうふうに考えているかということを、僕、聞きたいと思うんです。
○野村高齢社会対策部長 介護保険制度の見直しに当たりましては、また運用も含めましてですけれども、お話のとおり、現場の実態を踏まえた視点というのが極めて重要だと考えております。
このため、都は平成十三年度から、東京の介護保険を育む会を設置いたしまして、一般公募の都民の方、区市町村の代表の方、事業者の代表の方、その方たちの参画を得まして、東京の介護保険の運営の現状と課題について、るる検討してまいりました。
また、制度見直しに当たりましては、この育む会の検討や、今先生のお話にありましたように、現場を預かっております、で保険者でございます区市町村を初めとし、都民、それから関係者、これは施設の関係者も含めましてですけれども、関係者の意見を踏まえまして、本年四月に、介護保険の制度の見直しに向けた東京都からの提案を国に出しました。
この提案につきましては、私どもも提案をいたしまして、るる説明しまして、現在、私どもが発信した制度見直しを国がかなりの部分取り入れておりまして、基本的には私どもの入れた区市町村の意見が生かされてきているというふうに理解をしております。
今後とも、区市町村とも十分連携をとりながら、先生今お話しのとおり、現場の実態を踏まえて、介護保険制度の運営に努めていきたいと思っております。
○藤川委員 意見だけ申し述べておきます。
野口さんあたりが答えてくれるのかなと思って期待していたんですけれども、よく現場の人たちのいうことに耳を傾けてもらいたいと思うんですね。現場の人たちは、区市町村の職員だけじゃなくて、要するにそういう施設を持っている人たちは、本当にすさまじい努力と苦労をしているわけですよ。そういうことをわかっているわけですね。だから、これはどうなんだ、あれはどうなんだということをやると、一時間あっても、二時間あっても足りませんから、こういう抽象的な問題にしておりますけれども、うちに来てくれる課長さんたちには話しているわけですよ、具体的な問題としてこういう問題があると。
そういうことをいってありますから、十分に野村さんあたりが耳を傾けて、東京都の意見として国に申し述べてもらいたいと思います。よろしくお願いします。では、終わります。
○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○大木田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で福祉保健局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時五十一分散会
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