各会計決算特別委員会第二分科会第三号

平成十六年十月二十日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長大木田 守君
副委員長遠藤  衛君
副委員長坂口こうじ君
野上じゅん子君
松原 忠義君
田代ひろし君
樺山たかし君
大西由紀子君
藤川 隆則君
吉田 信夫君

 欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長江連 成雄君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長山川信一郎君
参事松田 芳和君
学校経営指導担当部長齊藤 一男君
参事伊藤 一博君
人事企画担当部長井出 隆安君
参事沼沢 秀雄君

本日の会議に付した事件
平成十五年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
教育庁関係
・平成十五年度東京都一般会計決算(質疑)

○大木田委員長 ただいまから平成十五年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十五年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る十月八日の当分科会におきまして要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十五年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開きいただきたいと思います。ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は十一件でございます。
 それでは、一ページをお開きいただきたいと思います。1、教育庁所管事業の廃止・終了及び見直しについて(平成十五年度)でございます。
 平成十五年度に廃止または事業終了をいたしました三件の事業について、予算額とともにその内容をお示ししてございます。
 青年の家につきましては、青年の家再編整備方針に基づき廃止したところでございまして、また、この方針によりユース・プラザ、東京スポーツ文化館を平成十六年三月三十一日に開設したところでございます。
 また、高尾自然科学博物館につきましては、平成十七年四月以降に博物館機能の継続を前提として八王子市に移管することとなっております。
 二ページをお開きいただきたいと思います。2、平成十六年度において学級編制の弾力化を実施している道府県の状況でございます。
 三ぺージにかけまして見開きになってございますが、平成十六年度に四十人未満の少人数学級を実施している四十二の道府県の状況について、研究指定校での実施や一部の学年だけで実施している例なども含めまして、お示ししてございます。なお、この資料は、三ぺージ下段の注にございますように、文部科学省調査によるものでございます。
 四ページをお開きいただきたいと思います。3、幼稚園就園奨励費補助金交付実績(平成十五年度)でございます。
 幼稚園に就園する三歳児、四歳児、五歳児の保護者に就園奨励費を支給している区市町について、国庫補助金の交付実績を一覧にしてお示ししてございます。なお、欄外の注にございますように、補助率は、区にあっては補助対象経費の四分の一以内、市町にあっては三分の一以内でございます。
 五ページをごらんいただきたいと思います。4、東京都公立学校普通教室の冷房設備設置状況でございます。
 平成十六年五月一日現在の学校数、そのうち普通教室に冷房設備を設置している学校数を、小中高、盲・ろう・養護学校に分けてお示ししてございます。
 六ページをお開き願います。5、東京都公立学校施設の耐震診断及び改修状況でございます。
 (1)は、区市町村立の小学校、中学校及び養護学校の状況でございます。
 表の右から二番目の欄の耐震診断実施率は、昭和五十六年以前に建築された棟数のうち、耐震診断を実施した棟数の割合をお示ししたものでございます。また、表の一番右の欄の耐震化率は、A欄にお示ししております全棟数の中で、D欄の昭和五十六年以前に建築された棟のうち耐震性があるもの、もしくは補強済みの棟数、及びE欄の昭和五十七年以降建築の棟数の占める割合をお示ししたものでございます。
 (2)は、都立学校における状況につきまして、学校数を単位として同様にお示しをしてございます。
 七ページをごらんいただきたいと思います。6、都立学校における室内化学物質対策の実施状況でございます。
 (1)の基本方針の策定等でございますが、事項欄にございます基本方針の策定、都立世田谷泉高校への対策、室内化学物質対策方針改訂の三項目につきまして、対策の実施状況等をお示ししてございます。
 (2)、各施策等でございますが、室内化学物質対策として都教育委員会が実施してございます施設対策、環境衛生対策、生徒等への対策、情報の提供及び区市町村への支援の五つの項目につきまして、具体的な対応状況をお示ししてございます。
 八ページをお開き願いたいと思います。7、都立盲・ろう・養護学校施設整備費の推移でございます。
 施設整備費の予算額、決算額を、平成六年度から平成十五年度までの十年間につきましてお示ししてございます。
 九ページをごらんいただきたいと思います。8、出席簿における男女混合名簿の実施状況でございます。
 都内公立小学校から都立盲・ろう・養護学校まで学校種別ごとに、出席簿に男女混合名簿を使用している学校の割合を、平成十二、十四、十六年度の三カ年についてお示ししてございます。
 一〇ページをお開き願います。9、男女混合名簿に関連した主な混乱の事例についてでございます。
 都内の公立学校で男女混合名簿に関連しての混乱の事例を、事例1から事例6までお示ししてございます。
 一一ページをごらん願います。10、東京都教育委員会指定の男女平等教育推進校一覧(平成元年度~平成十六年度)でございます。
 平成元年度から平成十六年度までの十六年間におきまして、都教育委員会が指定した男女平等教育推進校の学校数、学校名等をお示ししてございます。
 一二ページをお開き願います。11、東京都教育委員会指定の男女平等教育推進校の主な研究概要(平成十五・十六年度指定)でございます。
 平成十五年度に指定をいたしました1、目黒区立みどりがおか幼稚園から4、都立久留米養護学校までの一園三校につきまして、研究の主題やねらいなどの研究概要をお示ししてございます。なお、注にございますが、平成十六年度指定の都立高等学校二校につきましては、現在、研究を推進しているところでございまして、研究主題のみをお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○松原委員 私の方は、二つ課題でやらせていただきたいと思います。
 一つは、心の東京ルールについて、人間形成というか、そういうことについて、二点目は、産業振興に関する人材育成、特に、都立高専の問題について、触れさせていただきたいと思います。
 七年前でしょうか、石原知事が心の東京革命ということを公約にスローガンで掲げてきて、それで平成十二年から東京都の方の施策として、心の東京革命、心の東京ルールというのをつくりました。
 最初に教育庁の方の決意を聞いていくわけですけれども、心の東京ルール、この七つのスローガン、私はいつも手帳に自分で挟んでいるのですよ、こうやって。それで、読んでみますと、毎日きちんとあいさつさせよう、他人の子どもでもしかろう、子どもに手伝いをさせよう、ねだる子どもに我慢をさせよう、先人や目上の人を敬う心を育てよう、体験の中で子どもをきたえよう、子どもにその日のことを話させよう、ということで、だれが見てもこれは反対できない、本当に人間として基本的な生き方、そういうものを説いていると思うのです。
 ただこれは、生文がやって、生文が一生懸命頑張っているのですけれども、その割になかなか伝わってこない。それで私も考えてみたらば、学校現場でどういうふうにしているのかなといったら、正直いって、余り今までなかったのじゃないかなという感じがするのですね。
 やはり心の東京ルールという、こういう基本的な、人間的な問題というのは、家庭と学校と地域、この三つが一緒になって初めて達成してくるという感じがするのです。そういう意味から、学校で、そういう現場で、心の東京ルールをスローガンにして子どもたちに私は教えていった方がいいと思うのですけれども、この辺について、最初なんですが、教育長にその決意というのですか、それをお聞きしたいと思うのです。

○横山教育長 ただいまお話にございましたように、子どもたちに、社会の中で生きていくために必要な心得でございます心の東京ルール、これを確実に身につけさせまして、親や大人が責任を持って正義感や倫理観、思いやりなどの心を育成しますことは、教育上の課題として極めて重要なことでございます。
 都教育委員会としましては、トライ&チャレンジふれあい月間における学校や地域での奉仕等の体験活動や、すべての小中学校での道徳授業、地区公開講座などの実施を通しまして心の教育の充実を図ってきたところでございますが、お話の心の東京ルールにつきましては、これも子どもたちが自分の意思で発想することが特に大事でございますので、今後、東京都子ども会連合会等と連携しまして、児童生徒が主体的に行動するための標語を作成しまして、都教委が発行します健全育成関係のリーフレット等に掲載するなど、心の東京革命の趣旨を徹底してまいりたいと考えております。

○松原委員 私ども子どものときを振り返ってみますというと、必ず教室の真ん前に努力とか忍耐とか愛情とか、そういうのが書いてあったのですよね。それを毎日見ていますから、自然に自分の心に入ってくるのだと思うのです。やはり教育というのはそういう部分で、こういうふうなスローガンが自然に目に入るような、触れていくようなことが大事だというふうに思います。
 そういうことで、大人から子どもにいっているこのルールじゃなくて、今、教育長から大変力強いご答弁をいただいているのですけれども、生徒さんからスローガン、標語、そういったものをつくっていただいて、それをみんなでやっていくような形で、ぜひこれからも努力していただきたいと思うのです。
 心の東京革命というのは、主にそういうことで家庭に対して発信したものですけれども、人間として心の教育、倫理観、道徳観、それから社会の動き、これは社会人として基礎的な知識、そういうふうなものを養っていくことが大切であろうというふうに思っておりますけれども、この辺の問題について、高校教育では実際にどういうふうに行われているのか、お尋ねいたしたいと思います。

○近藤指導部長 子どもたちに豊かな心を育て、広い視野を身につけさせるためには、体験的な活動などを通しまして社会とのかかわりを深めさせることが極めて重要でございます。
 現在、都立高等学校では、公民科や家庭科などの学習を通して、社会の動きについての認識を深めさせるとともに、ボランティア活動やインターンシップなどの奉仕体験、勤労体験を取り入れまして、社会とのかかわりを深める教育を推進してございます。
 今後、都教育委員会はこれらの活動を一層充実させるとともに、東京都教育ビジョンに基づきまして、すべての都立高校における奉仕体験活動の必修化を検討するなど、生徒が社会とのかかわりを一層深め、心豊かな人間の育成を図ってまいります。

○松原委員 近藤部長から大変力強い言葉があって、高校においても奉仕体験、特に今の子どもたちが非常に奉仕体験というものがないのですね、社会体験とか。そういった意味で、必修化を検討するということなものですから、ぜひともこの辺のことについて、人間として当たり前に生きていける、そういう力を養ってほしいなというふうに思います。
 人間教育は--私も思想教育というのはやはり公立では余りすべきではないというふうに思っています。しかし人間教育というのは、社会人としてのルールを覚えていくわけですから当然必要なものだなというふうに思っております。その中に、人格を形成して、あるいは社会的なものを訓練していく場所として、やはり専門家の方を入れていったらどうかなというふうに思います。
 二、三例でいえば、例えば去年、衆議院が解散になって、年金の問題がありました。年金の本質からずれちゃって、だれだれ議員さんが年金を払ってないというような話になっちゃっていてあれなんですが、年金というのは本当に高齢化社会、少子化の時代、だれでも共通して非常に大事な話だと思うのです。
 その年金の問題があれだけあって、例えば新聞でもラジオでもわかりやすい、NHKでも子どもの番組みたいなのがあって、私は難しいからそういうところをよく見ているのですが、かえってその方がわかりやすいのですね。
 そういうところがあって、例えば年金とかそういう問題については、社会保険労務士の人なんかは専門でいるわけです。そういう方々をうまく活用してもらうとか、あるいは、私は保護司をやっているのですけれども、青少年のセックスの乱れがどうにもならないのですよ。
 この間も新聞に出ていましたけれども、中学生でもセックス体験あるのが一割、高校生では四割、女子の方が多いという、こういう状況です。だから非常に商業主義に走ったセックスというのが多くて、責任を持つセックス教育というのは、避けて通れないと思うのです。
 今、竹花さんなんかが一生懸命やっていて、甲論乙駁でちょうちょうはっしとやっているわけですが、私は多少なり、ある程度その辺をしっかりと、健全な形でセックスというものを教えていかないと、いい人間は育ってこないと思うのです。変なふうになっちゃうと思うのです。それが余りにも商業主義ではんらんし過ぎているから、いろいろな問題が起きているのだというふうに思うのです。
 そこで、こういう問題については、例えばHIVの、エイズの患者なんか物すごくふえていて、今の八千くらいから、この五、六年で五万人くらいになっちゃうというのでしょう、このままほうっておくと。そういうふうなことであったり何かしますので、こういうものの専門家は、学校には学校医の先生もいらっしゃるし、産婦人科の先生もいらっしゃるわけですから、そういう先生方に、いい意味で、健全にそういうふうなものを教えてもらうのも一つだと思います。
 それから同時に、我々が保護司をやっていて一番多いのは覚せい剤。多いのですよ、窃盗と覚せい剤。覚せい剤も、物すごく安い値段で入ってきちゃうのですね。最近は、子どもさんだけじゃなくて、その親も三十代から四十代前後の人が多いものですから、お母さん方までそういうところがあるのです。
 薬物乱用防止で、一応東京都もいろいろな施策で、町場でやってくれているのですけれども、やはり学校現場でこういうことを教えていかなければいけませんし、実際、被害をこうむっているのは、高校生が非常に多いのです。
 ですから、そういった意味で、こういうことならばやはり薬剤師の先生を利用するとか、そういうふうな社会に出るために当然やって、教えておかなければならないことがいっぱいあると思うのです。そういう方々を活用していったらどうかというふうに私は思うのですけれども、現状的に、高校では今どのような状況なのか、お伺いいたしたいと思います。

○近藤指導部長 高校生がその道の専門家から指導を受けることにより、社会生活を営む上での基本的な知識や態度を身につけていくことは、生徒の人格を形成する上でも極めて意義のあることであると考えております。
 現在、都立高校では、教科の指導や学校行事におきまして、薬剤師や保健師の方々を講師として招くなど、民間の方々のお力を学校教育に取り入れておりますが、必ずしも十分ではない面がございます。
 今後とも、都教育委員会は、高校生が自己の判断力や倫理性を高めていくために、教科の指導や学校行事などにおきまして、お話の社会保険労務士などの年金問題の専門家や産婦人科、それから薬剤師の方々など、専門性の高い民間の方々のお力を学校教育に積極的に導入するよう、各学校を指導してまいりたいと思います。

○松原委員 ぜひそういった人を有効活用してやっていただきたいと思います。かなりボランティア的な意識が多くてやってくれると思いますので、ぜひとも積極的にこれからやっていっていただきたいなと思います。
 それから、高校だけじゃなくて、心の東京革命を進めていくのには、小中においても、そういうことが低年齢化してきていますから、必要だというふうに思います。
 つい最近も、ご承知のとおり、同じ小学校六年生同士が殺し合ったという、本当に痛ましいことがあるわけです。何か聞いてみたら、やはり親子の触れ合いも全くない、人との連携がない、そういう友達もない、ただインターネットだけでやっているということで、インターネットですから--人間が例えばいい合ったり何かして、そこに愛情とか人間の情というものが出てくるわけですが、そういうのがなかなかとりにくくなってきている時代で、現代のまさに一つの象徴的な犯罪かなというふうに思います。
 そういうときに、私は動物を愛する気持ちとか、動物を飼うことによってそういうふうな愛情とか優しさとか、いろんなものを学んでいくと思うのです。東京都の方で調べてもらいましたらば、実際、屋内屋外は別にして、特に屋外では学校の何と九五%が動物を飼っているのです。動物を飼っているのでも、圧倒的に多いのがウサギで七六%、ニワトリが五四%、こういう数字になりますが、こういうことを当番で決めて自分たちがえさをあげる、そして水をあげるとか、そういうことによって、いろんなものを私は小中学生も覚えていくと思うのです。特に小学生なんかでも、基礎教育の中で、やはり三つ子の魂百じゃありませんが、そういうときに覚えたというのは大体忘れません。
 私ども非行少年を預かっているときに、たばこを吸うなとかいってもだめなんで、たばこ拾いをさせたり、道路交通法で違反になった子は、スピードを出すなというよりも、道路交通標を掃除させるのですね。そうすると、そういうことが目覚めてくる、こういうこともありますので、逆説的にいえば、そういうふうなことだってあります。
 そういうことで、私は特に小学校においては獣医さん、獣医さんもいろいろなことでいろいろな協力をしてくれて、ああいう獣医さんというのは優しい人が多いですね、すごく。そういうことの中で、獣医師さんとか外部人材を活用していったらいいのかなというふうに思いますが、この辺、どういうふうに考えているのか、お伺いいたしたいと思います。

○近藤指導部長 小中学校では、教科指導や生活指導等さまざまな場面で学校以外の方々の協力を得ながら、教育活動を行っているところでございます。
 例えば道徳の授業では、医師や弁護士の方などの専門家として社会に貢献している方、また、豊かな人生経験を積まれた地域の方々をゲストティーチャーとして招きまして、教師とのチームティーチングを行うなどいたしまして、心の教育の充実を図っているところでございます。
 また、生活科や総合的な学習の時間には、お話にございました獣医師の方を招きまして、動物の飼育方法や命の大切さなどを学び、生命を尊重することの大切さなどについて学んでいるところでございます。
 今後とも、都教育委員会は区市町村教育委員会と連携いたしまして、学校が外部の方々と協力いたしまして児童生徒の心の教育を一層推進していくよう、努めてまいります。

○松原委員 ぜひ、高校だけというのじゃなくて、小中学校、区市町村の教育委員会と連携して、人間教育を、健全な子どもたちをそういった意味で育てていただけますように、連携をより強くしてやっていってほしいと要望しておきます。
 それから、東京高専の問題について触れていきたいと思います。
 東京の産業振興に関する人材育成についてお伺いいたしたいと思いますが、東京のものづくり産業というのは、一九八〇年、特にバブル崩壊後に顕著になっていますが、長期低迷傾向にあります。東京再生を図るには、何よりも次世代を担う、若いものづくり人材の育成が大変必要であります。とりわけ、これからのものづくりには、付加価値の高い製品開発や、それを生み出す産業科学技術が求められておりまして、より専門性の高い実践的技術者の育成が急務となっています。
 特に私どもの大田区は中小企業の町でして、町工場が、バブルがはじけてから十年くらいで九千あったのが六千になりました。一年間で三百ですから、一日一つの工場がつぶれていったという状況がありまして、その現場へ行ってみると、やはり大企業があって、ただ単なる下請というのはほとんどつぶれました。十人ぐらい以上は、まだ今独特のものでもっている、技術力とかそういうのを持っているところは残っているのですが、一人から三人くらいのところは、いまだに、この十年くらいで四割ぐらいがやめようという、そういうふうな統計が出ておりまして、国際競争力あるいは技術といったもので、私はこれからの時代は国際競争力をつけると同時に、ナンバーワンというのじゃなくて、そこの光った子どもの能力、要するにオンリーワンの子どもたちをいかにものづくりで育てていくかということが、一番大事かなというふうに思っております。
 そういう意味で、こうした人材育成を行う上で、東京都は産業界と連携を図るとともに、教育庁、大学管理、産業労働局などをまたがった一体的な取り組みを行っていく必要があると思います。えてして学校だけ、企業だけ、会社だけという、こういうふうな今までのものから、やはり産学公が連携するということが非常に大事だなというふうに思います。
 この点に関しましては、さきの第三回定例会において、我が党の三宅議員が一般質問において、都立高専二校をスクラップ・アンド・ビルドの観点から再編統合した上で、新たに専攻科を設置することにより、平成十八年度開設予定の産業技術大学院と連携を図っていくべきと主張したところであります。
 これに対しまして、教育長から、都立高専から産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育体系を構築することは極めて意義あるとの認識が示され、まさに私もそう思っておりましたので、よかったなというふうに思っているところでございます。
 そこでお尋ねするのですが、教育長からは都立高専と産業技術大学院との接続方法、 都立高専の所管の見直し等について検討するというご答弁をいただきましたけれども、具体的にはどういうふうにしていくのか、お伺いをいたしたいと思います。

○山際学務部長 まず、大学院との接続方法についてでございますが、都立高等専門学校の本科から産業技術大学院に至る一貫教育体制を構築するために、産業技術大学院の開学に合わせまして、高専に二年制の専攻科を設置いたしまして、大学院との接続を図ることを検討しておるところでございます。
 また、所管につきましては、こうした取り組みによりまして、都立高専はより一層高等教育機関としての性格が鮮明になることなどから、産業技術大学院の設置主体でございます、平成十七年四月設立予定の公立大学法人首都大学東京と一体的な運営を図る方向で、現在、検討をしているところでございます。

○松原委員 二十一世紀に輝くというのでしょうか、都立高専と航空高専、こういう総合案内をいただきました。
 私は、高専は高専なりに今まで大変大きな意味を果たしてきたというふうに思いますけれども、時代の要請ということもありますし、特に高専ですから短大の資格ですよね、現時点では。そういったことも含めて、時代的な要請と、これをグレードアップして、専門家のものづくりの人材を育てることは大変必要だというふうに思います。
 ただいま都立高専について、公立大学法人首都大学東京との一体的な運営を図る方向で検討しているとの答弁がありましたけれども、これは大変私は意義があることだというふうに思っております。一体的な運営をより効果的に進めていくためには、公立大学法人首都大学東京に移管していくことが望ましいと私も考えます。
 しかしながら、公立の高専が教育委員会から離れて独立法人化することは、現行法令上できないと聞いています。現行上の制約というと三つありまして、公立高専の所管は教育委員会、二点目は、中央独立行政法人は高専の設置及び管理を行えない、三点目は、公立大学法人は当分の間大学院以外の学校を持つことができない、こういうふうな制約があります。この点についてどのように考えているのか。
 現在、政府では、全国の至るところで構造改革特区を認定しておりまして、特区内では法令上の制限を緩和したさまざまな特例措置が実施されております。特に、特区構想の中で産業部門が多いかなと思ったらば、意外と学校関係のものが特区では多いそうでございますが、特に千代田区や世田谷区もその中の一つとしてやっております。都立高専の所管がえ、及び独立行政法人化についても、こうした構造改革特区の認定によって実現できないものかどうか、検討すべきと考えますけれども、この辺はいかが考えますか。

○山際学務部長 現行法令の制約については、今お話のとおりでございます。ご指摘の点を踏まえまして、今後早急に検討し、対応してまいります。

○松原委員 ぜひとも早急に検討をしていただきたいと思います。
 景気の方もようやく回復基調に入ってきて、法人二税も上がってきたようです。これは十四日ですか、日本の国際競争力が二十一位まで下がったのですが、ようやくベストテン入りで、ベストエイトに戻ってきたということです。これには、今まで企業とかいろんな各方面で血のにじむような改革はやってきたというふうに思います。日本人、ばかじゃありませんから、それなりに苦しめば、やはりそこでやっていくという、私は日本人のそういうふうな精神を期待していきたいというふうに思っておりますが、中小企業を初めとしまして、まだまだしかし現実的には厳しい面がたくさんあります。
 特に、構造改革についてはそのようなことをひしひしと感じていまして、東京のものづくりの発展のためには、まず人材育成が重要であります。そのための教育機関の充実、発展が求められています。そういうふうな物をこしらえる子どもというのを早くつくっていかなければいけないと思うのです。産業技術大学院の開学に合わせた都立高専の改革は、まさにそういうことで、私は絶好の機会というふうに思っております。
 都立高専から産業技術大学院に至る一貫したものづくり教育体系を構築することにより、今までにない先駆的な教育改革を行って、東京再生に向けた産学公の連携や開発力も備えた実践的技術者の育成など、都立高専は産業振興に向けたものづくり人材育成の中核的機能を担うべきと考えておりますけれども、この辺についてのお考え方をお聞きしたいと思います。

○山際学務部長 ご指摘のとおり、都立高等専門学校から産業技術大学院に至る一貫したものづくりの教育体系を構築することは、ものづくり人材育成の観点から極めて意義があることというふうに考えております。
 十五歳から九年間という、これまでにない新しいものづくり一貫教育による、企画力と開発力を兼ね備えたものづくり人材の育成は、東京の産業振興や大都市東京が抱える諸課題への、技術的側面からの解決にも寄与していくものと考えております。
 首都東京におけるものづくり教育の根幹をなす高等教育機関としての一層の発展が図られるよう、今後とも鋭意検討を進めてまいります。

○松原委員 今、日本の中で一番大事な中の一つが科学技術の振興だというふうに思うのです。科学技術が振興していくには、二十一世紀を担う子どもたち、青年たちが、やはり希望を持ってやっていく場づくりだと思うのです。
 それにはやはり高専を初め大学院、公立の首都大学というのは大変大事なものだというふうに思いますので、ぜひとも力を入れて頑張ってくださることを、またそのために努力していくことを要望して、質問を終わります。

○藤川委員 まず委員長に整理しておいていただきたいことは、私は大きな質問、二つあります。一つは三十人学級で、一つは開かれた高等学校の二つです。
 それで、私の考え方は、三十人学級には三十人学級の考え方を述べます。それから開かれた高等学校に関しては、その都度また意見を述べて終わりにしますが、三十人学級で自分の考えを述べるに当たって、そこで締めないでもらいたいと思います。
 三十人学級に関して質問させていただきたいのですが、このことの質問については、七百万人くらい子を持つ親がいるとすれば、七百万人の子どもの教育に関して、孫の教育に関しての意見を、親やおじいちゃんは持っていると思うのですよ。だから、そういう面で、個々の人の考え方が違うのが当たり前で、違うからこそ価値があるのであって、この質問をするに当たって、都議会民主党の代表として意見を述べるのか、藤川隆則個人として意見を述べるのかと聞いたのです。そして、坂口副委員長から、いや、藤川さん、個人として述べていいのじゃないかという許可をもらいましたので、私の意見は、会派の意見に縛られないでもって意見を述べます。けれども、一応会派の考え方と近いとも思いますが、そういうふうに、簡単に聞いていただければと思います。
 まず第一に、最初に少人数の学級に関する都教育庁の基本的な考え方はどこにあるのかということを、まずお考えをいただきたいと思います。

○山際学務部長 学級編制についてでございますが、都教育委員会といたしましては、生活集団としての学級には、児童生徒が集団生活の中で社会性を養う観点から一定規模が必要である一方、児童生徒の確かな学力を育成するためには、教科等の特性に応じた少人数指導やチームティーチングの必要があると考えており、これまで着実にその充実を図ってきたところでございます。
 お尋ねの学級編制については、現在、国では四十人というふうなことが標準になっております。私どもも四十人が妥当なものである、このように考えております。

○藤川委員 私自身は、四年三カ月、ニューヨークでサラリーマンとして生活したことがあるのです。
 そのときに、私の住んでいるところはJJビレッジというあだ名がありまして、一つのJはジューイッシュのJで、一つのJはジャパニーズのJなわけです。要するに、教育に熱心なやからが大勢その近所に住んでいるということでもって、その近所の保育園、幼稚園、小学校、中学校はうかつに父兄と対応できないという面があったわけですね。
 そういう面で、少人数の学級と少人数指導という面でもって、僕は四十年くらい前に学んだわけです。体得したわけです。それはどういうことかというと、子どもが、今三十七歳なんですが、PS六一、パブリックスクール六一という小学校に行ったわけですけれども、そのときに思ったことは、先生が二人つくわけです。メーンの先生とサブの先生がついて、学力のおくれた生徒をサブの先生が面倒を見るわけです。
 だから、漠然として少人数学級だとか少人数指導ということじゃないわけですよ。要するに具体的な目標を持っているわけです。それはどういうことかというと、うちの息子とライバルだったエイシンというユダヤ人の少年がいたのですが、その人はハーバード大学に一年短く入ったわけですね、一年スキップして。そうすると、PS六一という小学校は、具体的な目標を持っているわけですよ。要するにその小学校のOBに優秀な人材を育てる、そしてそのために三十人学級ぐらいだと思うのですが、それにメーンの先生一人とサブの先生を一人、一つのクラスに二人つけて、徹底的に絞るわけです。
 それだけじゃなくて、算数なら算数の時間に、使う教科書の色が違うわけです。もう五種類も六種類もあるわけです。例えば最初みんなでスタートしたときにブルーで始まったとすると、最後に使うのはアクアといって、黄色と金色をまぜたような色がありまして、あれを使うわけですよ。だから、だれがその表紙の本を使い出したか、そしてそれが何ぺージくらいいっているかということが、はっきりわかるわけですね。だから、ある面で徹底的に競争させているわけです。
 そのかわり、わからない連中はいつまでたったってブルーの表紙の算数の教科書を、とことん理解するまで指導されるわけですよ。だけど、できる子はもう五、六冊目のアクアの色の表紙のを使っているわけです。
 だから、そういう面で具体的な目標を持っているわけですが、少人数の指導及びチームティーチングという小中学校の比率は今どのくらいあるのかということを、お聞きしたいのです。

○江連人事部長 お尋ねの少人数指導及びチームティーチングの件でございますが、平成十五年度におきます少人数指導及びチームティーチングによる指導方法の工夫、改善を図るために教員を加配している学校は、小学校で九百八十七校で全体の七三・四%、中学校で五百六十一校、八六%でございます。

○藤川委員 ニューヨークのパブリックスクール六一に関しては、具体的な目標を持っているわけですね。
 そのときに僕は思ったのですけれども、日本という国が、戦後一つの教育制度をとったわけです。それは、アメリカの教育制度をまねて、アメリカの神髄を置き忘れて、その制度だけをとったわけですよ。アメリカの教育委員会制度というのは、フロリダの教育委員会制度というのは、ニューヨークのビッグシティーのと同じであるはずがないわけです。だから、ニューヨークはニューヨークの教育委員会の制度があり、フロリダはフロリダの教育委員会の制度に基づいた制度があると思うのです。
 ところが、日本は、北は北海道から南は沖縄までまるっきり同じ、どこを切っても同じような結果が出るわけですよ。おかしいと思うのですよね。沖縄の教育委員会制度というのは北海道と同じであるはずがないけれども、日本はみんな同じだと、そんなのはおかしいわけですよ。アメリカの方が、そういう面においては、ニューヨークのビッグシティーのような、ああいうところの教育委員会制度と、フロリダのような農産、畜産を主力にした教育委員会制度というのは、異なって当たり前なわけです。それが日本は同じだ、そこに問題があるわけですよ。
 三つ目の質問なんですが、都の教育委員会が推進している少人数指導のメリットについて、お伺いしたいと思うのです。

○近藤指導部長 平成十三年度から十五年度にかけて、東京都教育委員会が指定いたしました少人数学習集団による指導法の研究推進校の報告によりますと、次のような成果が挙げられております。
 習熟の程度や興味、関心の違いなど、個人差に応じた学習集団を編成して指導を行うことにより、一人一人にとってわかる授業が展開され、児童生徒が学習への理解を深めたり、友好を高めたりすることができること、また、複数の教員が協力して学習集団の編成や指導計画を立案、教材の作成等を行うことから、相互に研修し合う機会がふえ、指導力を高めることができた。
 さらには、学級や学年の枠を超えた指導体制が整えられることから、学習のおくれがちな児童生徒への指導や不登校などの問題を担任が一人で抱え込まず、組織的に対応できるようになること、などの成果が挙げられております。

○藤川委員 四つ目の質問として、少人数の指導の方が少人数学級よりもいいのだという調査結果が出ているみたいなんですが、そういうすぐれているという具体的な調査結果はあるのですか、ないのですか、ちょっとそのところをお知らせいただきたいと思います。

○近藤指導部長 都教育委員会が平成十四年十月に研究推進校の児童生徒を対象に行った調査によりますと、少人数指導を通して勉強がよくわかるようになったと答えた児童生徒の割合が、小学校国語や算数では八〇%、中学校国語、数学及び英語では七〇%から七五%という結果でございました。
 また、平成十六年六月に発表されました国立教育政策研究所の指導方法の工夫改善による教育効果に関する比較調査研究では、小学校四年の算数、六年の算数、中学校二年の数学及び英語において、学級規模や少人数指導等の比較調査の研究を行っております。
 それによりますと、学力の形成については、すべての学年、教科において、少人数指導が最も有効であるという結果が得られているところでございます。

○藤川委員 質問の五つ目で最後なんですが、今、小学校一年生のプロブレムと呼ばれている、小学校低学年における授業が、教室において成立していないという状況があると聞いているわけです。こうした生活指導などに関しては、少人数学級が有効であるとする考え方があるようですが、少人数指導は生活指導に関してどのようなメリットがあるか、お聞きしたいと思います。

○近藤指導部長 小学校の入門期や低学年におきましては、集団生活になじめず、授業が始まっても遊んでいたり、歩き回ったりする児童がおり、授業がなかなか成立しないという状況が見られることがございます。
 こうした状況を改善しようと、小学校の学級担任は一人で悩み苦しみ、日夜奮闘してございまして、都教育委員会といたしましても、こうした状況を一刻も早く改善し、それぞれの教員の持てる専門性を十分に発揮できるようにすることが急務の課題であると考えております。こうした授業が成立しがたい状況を改善するには、何よりも担任が一人で問題を抱え込まず、組織としての対応を図ることが有効であります。
 したがいまして、学級や学年の枠を超えて教員同士が共同体制を組み、組織的に対応できる指導体制であります少人数指導が、学習指導面だけではなく、生活指導面においても効果が期待できると考えております。

○藤川委員 では、大きな質問の一番だけ、僕の基本的な考え方を述べておきます。
 少人数でもって指導した指導の方が少人数学級よりもすぐれているということは、よくわかったわけです。
 アメリカに例をとると、要するに具体的な目標というのをはっきりと持っているわけですね。漠然と少人数指導をやってないわけです。少人数学級から少人数指導に移って、そのときに具体的な目標を持っているわけですよ。だから、東京都の教育委員会においても、相当具体的な目標を定めて持つ必要があると思うのです。だから、そういう面でもって十分に考えていただきたいと思うわけです。
 特に注意しなくちゃいけないことは、小一プロブレムという問題があるなしにですけれども、その問題を解決するのに、当人たちに、教室で勉強を先生が教えるときには歩き回っちゃいけないのだよということをいうよりも、お父さんやお母さんにそのことをいった方が早いのじゃないかという考え方もあるわけですね。僕もそうだと思うのですよ。
 結局、子どもたち、小学校一年や二年の小さな子どもたちに、団体教育の場を与えているわけだから、あなた方は静かに、人に迷惑がかからないような振る舞いをしなくちゃいけないということを教えても、わからないと思うのです。そういうことを、お父さんやお母さん方が理解していない場合が物すごく多いわけですよ。
 だから、僕の考え方では、これは個人の意見になっちゃうのですけれども、会派の意見じゃないのですけれども、要するにお父さんやお母さんを呼んで、おまえの子どもたちは小学校一年や二年で歩き回って、先生が授業をしようとしても授業ができないのだ、だから、そういうことはよくないことなんだということを教えないと、親がそういう考え方を持ってないと、子どもはそういう考えを持たないわけですね。だから、親を教える必要があるのじゃないかと思うわけです。僕の考え方はそういうことです。
 それから二問目に移ります。
 開かれた高等学校ということなんですが、石原さんは、高等学校を開かれた学校にしなくちゃいけないといっているわけですけれども、しからばどういう方法でもって開こうとしているのかということを、聞いていないわけですよ。それで、教育委員会としてはどういう形でもって開こうとしているのか、僕の質問の第一はそうなんですが、学校教育を充実させるためには、僕の個人的な意見では、先生に対して物すごく不信な点があるわけです。本当に先生たる資格のある先生が小学校においては何人いるか、中学校においては何人いるかということは、物すごく疑問だと思うわけです。
 私自身、家内と一緒に、初めて小学校の生徒になり中学校の生徒になるという、その学校に行くわけです。それは、父兄としての務めを別な面で果たすためです。それはつく先生のウイークポイントはどこであるかということを、よく探るために行くわけですね。だけど、その先生の悪いことは絶対いわないわけです、子どもの前では。よかったね、おまえはあの先生についてもらって、あの先生はスポーツは物すごく得意で、一緒になって夜遅くまで仕事をやってくれる、だからあんな先生についてすばらしいというけれども、それは大人の表面的な表現であって、裏では、あの先生は算数が弱いとか国語が弱いとかというのはわかるわけですよ。そうすると、そういうのをしっかり見て、算数の弱い先生、国語の弱い先生のメークアップを、子どものために家庭教師を頼んで徹底的にやるわけです。
 そういう面で質問に入るのですが、地域にすぐれた、すばらしい人材はたくさんいるわけですよ。私の町なんか、本当に算数のすぐれたお母さんとか、英語のすぐれたお父さんとか、たくさんいるわけですね。そういう人材を使うということは、さっき一問目のときにメーンの先生を補佐する面でもって、サブの先生が二人目の先生として助けるのだということをいいましたけれども、高等学校の場合はどういうふうになっているのですかね。

○近藤指導部長 高校生が、保護者も含めた地域のすぐれた人材と接することによりまして、豊かな人間性や社会性を身につけることは、生徒の人間形成上、極めて意義のあることであると考えております。
 現在、都立高校におきましては、学習指導、部活動、地域での体験活動などにおきまして、地域のすぐれた人材を活用し、みずから学び、みずから考える力などの、生きる力を身につける教育活動を進めているところでございます。
 今後は、保護者も含めた地域の方々の人材の活用を通しまして、生徒の個性や能力を伸長する教育活動を一層充実するよう、各学校を指導助言してまいります。

○藤川委員 これは私の経験、体得した具体的な話なんですが、第一問目の三十人学級、それから今質問している学校づくりについても同じことがいえるのですが、机の上で本を読んでこういう質問をつくっているのじゃないわけです。要するに自分の体験からいっているわけです。その体験として、この席上で一番僕は年をとっているのだろうと思うのですが、一人の老人として物を申しているわけです。
 それで、皆さんに聞いてもらいたいと思うのですが、都立高校の場合に、その学校の持っている能力というものを十分に地域の人に開いていないという学校がたくさんあると思うのです。私の町にある工業高校の場合は、一万坪の大きな敷地で、駅から歩いて七、八分のところにあるわけです。
 そうすると、一万坪なんというのは、皆さんの家なんというと、三十坪か三十五坪くらいのところを、大変なお金を払って住まいをしているわけですけれども、結局、その町に公園があり、その町に学校がありということは、そういうスペースを有効に使うことによって、たとえ三十坪、三十五坪ほどの小さなうちに住んでいたとしても、公園を活用し、学校を活用することができるわけですよ。
 そういう意味でもって学校というものを見ているわけですけれども、学校の開き方ということに関しては、地域にはすごい人が住んでいるわけです。東京都に多摩が移管されて、六、七年前ですが百周年のお祝いをしたことがありますね。そのとき、東京大学の社会学部の先生が、日本に二カ所、お金と文化がわかる地域があるというのです。一カ所は鎌倉とか逗子とか藤沢なんかという湘南の地域である。もう一カ所は多摩東南部、要するに武蔵野、三鷹、小金井とか、あの地域であるというわけです。
 その先生がどうしてそういうことをいったかというと、結局、その地域に相当の人材が住まいしているということが、先生は何かの調査でわかっているわけですよね。そうすると、僕なんかの考え方では、そういうお父さんお母さん方と、学校が自分の門戸を開くことによってやれば、自分の愛する子どもや孫たちに考え方や何かが還元されるから、すばらしいことだと思うけれども、僕自身PTAの会長を経験したのですけれども、先生方はそういうお父さんお母さん方をシャットアウトしようとするわけですよ。出そうとするわけです。だけど、もったいないなと思うわけですよね。
 僕なんかだったら、助平根性があり過ぎるのか、そういう人の考え方や物の見方、とらえ方、生き方を学ぶことによって何か得ようとするけれども、逆に、そういう人とつき合うのは嫌だと、門前払いを食わすわけですよ。
 そういう状態が起きているとしたら、東京都としたらどういう形で学校を開こうとしているのか、ちょっとそのところを聞かせていただきたいと思います。

○近藤指導部長 これからの学校は、学校運営や教育内容について、保護者や地域住民の意向を的確に把握し、反映するとともに、学校みずからが学校に関する情報を積極的に発信していくことが大切でございます。
 現在、都立高校におきましては、平成十三年度から学校運営連絡協議会の設置、また通年の授業公開の実施など、開かれた学校づくりを推進しているところでございます。
 ご指摘のような閉鎖的な学校はあってはならないことでございまして、今後も引き続き地域の方々の意向に十分耳を傾け、真に開かれた学校運営を行うよう、校長を指導してまいりたいと考えております。

○藤川委員 最後に、私の考え方を申し述べて一問、二問の大きな質問を終わりにしたいと思うのです。
 皆さんは西郷隆盛という人を知っていると思うのですが、若衆宿というのをつくって、薩摩の若い衆を教育しましたよね、西郷さん、薩摩は。それと同じように、やはり我々は、先ほどの松原委員の質問にあったように、日本の将来は教育にかかっているのだ、だから教育をしっかりしなくちゃいけないということがあるとすれば、東京都の教育庁の持っている仕事というのは、相当なものがあるわけですよ。そこに身を置いている皆さんであるから、ただ給料をもらい、ボーナスをもらい、退職金をもらって、はい、さようならという形だけでもって東京都を去るというのはもったいないわけで、皆さんには相当なものがあるわけですから、その頭脳は一二〇%使って、空っぽになるまで使い切る必要が、我々都民としてはあるわけですよね。
 そういう観点から立てば、皆さんが、人間個人の力というのは--僕はよくいうのですが、一〇〇%は神様しかいない、完全なのは。我々凡人は、八〇%か七五%くらいで、あの人はできがいいとか何とかいわれるが、七五%か八〇%の頭脳しかないというふうに、僕は考えているわけです。
 だから、そういうようなときに、地域にいる人材を有効利用を図るということは、大変に必要なことであろうと思いますので、ぜひそのことを一つの考え方として、皆さんの頭のどこかに入れてもらえばいいと思います。よろしくお願いします。
 終わります。

○野上委員 大きく四点について質問します。あとで意見表明を、一点について述べさせていただきたいと思います。
 最初に、自律経営推進予算についてお伺いいたします。
 都の教育委員会は、平成十五年度予算において、予算面での校長の裁量権限の拡大を図るために、自律経営推進予算制度を都として初めて導入いたしました。都立高校では予算額約四十五億六千百万のうち、約四十四億二千八百万円が執行されました。平成十四年度決算では九五%であった執行率も、平成十五年度には九七%に上昇しております。
 最初に、自律経営推進予算の導入の目的について、お伺いいたします。

○齊藤学校経営指導担当部長 都教育委員会は、平成十五年度から自律経営推進予算を導入いたしまして、校長のリーダーシップを予算面で支え、都立学校が特色ある教育活動を展開できるようにいたしております。

○野上委員 次に、自律経営推進予算を導入したことで、学校にどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。

○齊藤学校経営指導担当部長 自律経営推進予算の導入によりまして、校長先生は配付された予算総額の中で備品購入費、それから報償費など予算執行科目にとらわれませんで、校長先生の定める学校経営計画、これの実現に向けた教育活動に、柔軟に予算を配分することが可能となっております。
 また、経営努力によりまして節約いたしました予算を、他の執行科目の教育活動に充てるなど、配付された予算を効率的に執行することも可能となっております。

○野上委員 今までの学校の経営状態というのですか、一昔前までは学校の中で予算委員会を開いて、一部の組合が握っているというのですか、先生方は回り持ちで出張している、そういうようなことが行われていたようですけれども、この自律経営推進予算の導入によって、校長の経営ビジョンに沿った、より柔軟で効率的な予算執行が可能となったと、評価できます。
 特に、生徒たちの指導に効果がある取り組みとしてどのようなものがあるか、お伺いしたいと思います。

○齊藤学校経営指導担当部長 校長先生は、自律経営推進予算を、講演会、それから総合的な学習の時間における外部講師の謝礼、それから地元の商店や企業に働きかけまして生徒のインターンシップ体験を充実させる経費に充てるなど、学習指導、それから進路指導上の取り組みを拡充することが可能となっております。

○野上委員 大変自由に予算配分を、校長が自分の経営方針に基づいて執行できるというような制度で、大変いい制度だと思います。
 また、これとはちょっと別なんですけれども、重点学校支援の予算もありますけれども、学校経営正常化の意味でも、こういった自律経営推進予算をこれからも推進していっていただきたいと思います。
 次に、荒れている学校に対する支援について質問いたします。
 ある中学校の例なんですけれども、子どもたちは、今、先生方が体罰ができないという実態を知っております。ですから、先生が腹を立てるようなことを目の前で平気でいって、先生は悔しいけれども手が出せない。こぶしを握ってじっと我慢をしている。そういう先生に対して、生徒が、ばあかとかいって逃げていく。
 また、牛乳瓶が窓から落ちてくる。主事さんが一生懸命けがしないようにきれいに掃除したら、また上から牛乳瓶が落ちてくる。とうとうその学校の場合、紙パックの牛乳にした。ガラスもほとんど割られて強化ガラスにしてしまった、そういうようなことがあります。
 先生方は、休憩時間もなく、ずっと廊下に立って子どもの様子を見ているとか、あるいは給食時間になると、先生が給食のワゴンを占拠して、先生みずから配る。そうしないと、いつの間にか給食が食べられない子が出てしまう。先生方もだんだん疲れてきて、やってもやっても改善されず、病気になり、休職する先生が続出し、代替の先生もやめていく、そういう状態が続いてきたわけです。
 負のスパイラルというのですか、そういった現状で、地域も手をこまねいているだけではなく、子どもたちの監視というのですか、そのために教室に張りついたりはしたのですけれども、だんだんと疲れてきて、本当に大変な状況にあるということがありました。
 そこの区では、学校支援のために特別に二人、指導員を区の予算で雇って、その学校に張りつけたりしております。それから指導主事も定期的に派遣をして、何とか頑張ってもらうように助言したりしていますけれども、なかなか改善が図れない。不登校の子どもの数も増加してしまっている。教師も地域の人々も、悪いことに対する対応に忙殺されている。子どもたちも、こんな学校にいられないということで、転校する子もいる。
 荒れている学校の例は枚挙にいとまがないわけですけれども、こんなに長く荒れたというのは、余り私も知らないわけです。区市町村教育委員会に対して、人的サポートを含めた支援が、東京都としても重要であると思いますけれども、所見をお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 中学校におきます暴力行為の件数は、この間、年々減少傾向にあったわけでございますが、昨年度微増に転じておりまして、深刻な課題として受け取りまして、各学校においては家庭、地域との連携を図り、問題行動の予防や解決など、児童生徒の健全育成に取り組むことが重要であると認識しております。
 現在、東京都教育委員会では、区市町村教育委員会と連携を図りまして、指導主事の学校への派遣、スクールカウンセラーの全中学校への配置、ケアを必要とする生徒に対するアドバイザリースタッフの派遣などを通しまして、児童生徒一人一人の課題に応じた支援をしているところでございます。
 今後とも区市町村教育委員会と連携いたしまして、学校における生活指導の実態把握に努め、問題行動等の具体的な解決を図るサポートチームの編成、セーフティー教室の開催や警察等関係機関との連携など、健全育成の充実に向けた取り組みについて、具体的に支援を行ってまいりたいと考えております。
 また、教員人事につきましては、校長の学校経営を支援するため、区市町村教育委員会と連携しまして、必要な教員の配置をしていくよう努めたいと考えております。

○野上委員 最後のところは、とてもうれしいあれだと思います。教員人事において、校長の学校経営を支援するために区市町村教育委員会とも連携し、必要な教員を配置するよう努めていく。本当に困っているところには優秀な教員を配置していただいて、学校健全化に少しでも早く努力ができるようにしていただきたいということを、切に要望しておきます。
 続きまして、体験活動について質問いたします。
 心の東京革命の中にも、体験の重要性が述べられております。体験することによって生まれてくる感動が、子どもの人格をつくる源にもなると感じております。自然との触れ合い、人との触れ合い、動物などの生き物との触れ合い、社会との触れ合い、勤労奉仕、それからボランティア活動など、人間形成、人格形成の上で大切な要素を持っているものと思います。小学校と都立盲学校の児童が、三十年間交流を続けているという話も聞いております。
 都の教育委員会では、十一月にトライ&チャレンジふれあい月間を実施しております。どのような体験活動が行われているのか、その実施状況と成果について、お伺いいたします。

○近藤指導部長 都教育委員会では、学校、家庭、地域社会が一体となって子どもたちの健全育成を図る重点月間といたしまして、トライ&チャレンジふれあい月間を設定し、十一月をその月間として位置づけてございます。
 昨年度、この月間に実施された各学校の取り組みといたしましては、地域清掃が小学校が六百十九校、中学校が三百六十七校、高齢者との交流活動が小学校で五百十一校、中学校で百五十六校で行われております。
 なお、お話の盲・ろう・養護学校の交流活動については、小学校は五十九校、中学校は三十五校で行われております。その他、地域の伝統・文化を受け継ぐ活動、福祉体験活動など、さまざまな体験活動が都内のすべての学校で行われました。
 この月間の取り組みの成果に関する調査では、規範意識の醸成について、都内の小中学校の約九〇%が好ましい成果が見られたと回答しておりまして、また思いやりの心の育成につきましても、幼稚園、小中学校の九〇%以上が好ましい成果が見られたと回答してございます。さらに家庭等の連携の強化や、地域コミュニティの活性化についても、多くの学校が成果が見られたと回答しているところでございます。
 このトライ&チャレンジふれあい月間については、子どもたちが社会の一員としての自覚を高め、健全で豊かな心をはぐくむ取り組みとして、また学校、家庭、地域社会との信頼関係を深める取り組みとして、大きな成果があったものとして考えております。

○野上委員 トライ&チャレンジふれあい月間にかかわらず、一年間を通して、また、こういう体験活動を通して規範意識の醸成、思いやりの心の育成とかを図っていくよい機会になると思いますので、今後ともぜひ続けていっていただきたいと思います。
 その体験活動の一つにもなりますけれども、朝の読書時間の実施についてお伺いいたします。
 読書の喜びを知っている人と知らない人とでは、人生の深さ、大きさがまるきり違ってしまいます。一冊の良書への出会いは、偉大な教師にめぐり会ったと同じようなものです。読書は人間だけができる特権であり、いかなる動物も読書はできません。自分の人生は一回限りですけれども、読書によっては何千何万のほかの人生に触れることもできますし、また二千年前の賢者とも話ができるわけであります。
 そういった意味で、子どもたちにとって読書は極めて重要であり、読書活動の推進のためには、朝の読書時間の設定などが有効であると思いますけれども、小中学校において、朝の読書時間はどの程度実施されているのか、また、実施校での成果はどうなっているのかをお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 お話のように、読書活動は児童生徒に豊かな感性や表現力、創造力を身につかせる上で極めて重要でありまして、東京都教育委員会は、東京都子ども読書活動推進計画に基づきまして読書活動の推進に努めているところでございます。
 お話の朝の読書時間の設定は、平成十五年度の東京都教育委員会の調査でございますが、都内の公立小学校の約七九%、中学校の約五七%が実施してございます。実施校においては、児童生徒の読書への関心が高まったこと、落ちついた雰囲気で授業が迎えられることなどの成果が上がっておりまして、こうしたことは、読書週間の定着や学習活動の充実にもつながっていくものであると考えております。
 今後とも、東京都子ども読書活動推進計画を着実に実施していく中で、朝の読書活動など指導事例を各学校に紹介したり、司書教諭の研修で扱うなどいたしまして、児童生徒の読書活動の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。

○野上委員 荒れた学校においても、朝読を始めることによって教室内が大変落ちついたという例もたくさんございます。
 健康な体には食物の栄養が必要なように、健康な心には書物の栄養が必要です。食べ物でも、甘いお菓子や歯ごたえのない、やわらかい物ばかり食べたらだめ、病気になってしまいます。食わず嫌いや偏食も重ねてはいけない。それと同じように、書物も栄養のある良書を選ばなければいけないというふうに思います。
 初めは簡単な本からだんだんと高度な本に、良書へと変化するこういった読書指導については、特に力を入れて、今後もしっかりと続けていただきたいと思っております。
 最後に、都立大田ろう学校、石神井ろう学校の専攻科の募集停止について、一言意見表明をさせていただきます。
 今回の特別支援教育推進計画概要では、ろう学校の再編整理が計画されております。計画では、平成十一年の聴覚障害教育推進構想で発表されて以来、待望久しい中高一貫校のろう学校が設置されることになりました。これは大学への進学、それから、より高度の資格を取得したいという生徒や保護者の多様な進路希望にこたえることを目的としております。このことは、全国初の取り組みであり、聴覚障害教育改革への東京都の意欲を高く評価いたします。
 しかし、その一方では、高等部単独校として多くの卒業生を社会に送り出してきた都立大田ろう学校と石神井ろう学校が閉校されることになり、二校の専攻科は来年の四月から生徒募集を停止すると聞いております。専攻科は職業教育をより専門的に深め、卒業後の職業自立に向けた教育を行っており、就業年限二年間で情報、機械、印刷、家政などの職業教育を行い、聴覚障害者の社会参加、自立に寄与してきた歴史と実績を持っております。
 両校が閉校されることについては、聴覚障害教育推進構想にも挙げられておりましたが、実施時期こそ明らかにされていなかったために、関係者の間では周知徹底が図られていなくて、そのことについて聞いていない方もいらっしゃいました。他のろう学校の専攻科への進学も視野に入れた進路指導が必要だったと思いますけれども、自校の専攻科への進学しか考えていなかった生徒たちにとっては、七月十四日の発表から三月の実施までが余りにも急で、動揺しております。
 閉校されるときには、生徒数が約五名前後になることが見込まれており、青年期の適切な教育環境を確保するという点からは、都教育委員会としても大変厳しい決断を迫られているということは一定の理解ができますが、このような再編整備、特に学校を閉校したり募集停止をしたりするような場合は、関係者の声をよく聞いて進めることが必要と考えます。
 また、立川ろう学校、葛飾ろう学校の専攻科を希望する生徒については、その受け入れ体制について十分配慮していただきたいと思います。
 私からは、この点について強く要望して、終わります。
 以上でございます。

○大木田委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
   午後二時二十分休憩

   午後二時三十分開議

○大木田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○吉田委員 それでは私、二つのテーマで、この機会に質問させていただきます。
 一つは、資料も示していただきましたけれども、都立高校における冷房施設の整備について、二つ目に、昨年十月二十三日付で通達、実施指針が示されました日の丸・君が代の問題についてであります。資料について、多岐にわたって準備していただきまして、ありがとうございました。
 まず、都立高校における冷房施設の整備についてですけれども、都立学校の施設整備をめぐっては、ご承知のとおり、私たちさまざまな問題を取り上げてきましたが、多岐にわたって解決すべき課題があります。きょうはその中で都立高校の冷房設備整備の問題に絞って質問させていただきます。
 いうまでもないことですけれども、ヒートアイランド現象が深刻化し、学校への冷房施設整備の要望が高まっていますけれども、きょう本委員会に示していただいた資料で見ても、都立高校の普通教室への冷房施設の整備状況は、全体が二百一校に対して、普通教室で設置している学校数が五十六校、比率でいいますと二八%にとどまっています。
 事前にこの問題についての考え方をお聞かせいただきましたけれども、それでは、あくまでも幹線道路などに接して、密封せざるを得ないような立地条件の普通教室あるいは特別教室に限られるということで対応してきたのだということであります。昨年の本分科会でもこの問題が取り上げられたようでありますが、改めて、この問題について質問させていただきます。
 従来の経過があるかもしれませんが、しかし最近の夏季の授業形態、さらに、年々気温が上昇し、異常ともいえる猛暑が継続する今日のヒートアイランド現象のもとでは、そうした新たな状況にふさわしい教育条件の整備という観点からも、冷房施設整備に向けた、より積極的な検討というものが求められているのではないでしょうか。
 私も、改めて都立高校の現場に行って驚いたのですが、普通教室に冷房が全く設置されていないだけではなくて、まあ扇風機くらいついているのじゃないかと思ったのですけれども、扇風機についても、ある私が訪問した高校は一機たりとも設置されていない。
 それで、資料要求はしませんでしたけれども、数として把握されているかどうかわかりませんが、扇風機の設置状況というのはどのようになっているのか、概括的な状況でもいいのですが、まずご説明いただけますか。

○山際学務部長 ご案内のとおり、冷房設備については、都教育委員会として対応しているところでございます。
 お話の扇風機の設置につきましては、学校長が学校運営上、必要と判断した場合、校内予算で対応しているところでございまして、私どもが把握している中では、約三校において扇風機を設置している、このように聞いております。

○吉田委員 二百一校中の三校ですから、ほとんどが扇風機も設置されていないという事態なわけですね。
 しかし、先日も、都立工業高等学校PTA連合会の皆さんから来年度予算について要望を受ける機会がありました。来年度に向けてのことしの要望は、ただ一点なんです。その一点とは何かといえば、すべての都立工業高等学校の一般教室へ空調施設を整備してほしい。さまざまあるんだけれども、今日の状況からすれば、これが緊急、最大の課題であるから、一点に絞って要望したいということでありました。
 その理由として、この異常な猛暑という状況もありますけれども、お母さん方が指摘をしていたのは、従来と違って、一学期の期末試験、期末考査の後も引き続き授業が継続されている、多くの学校では。
 さらに、学校によって若干の違いがあるかもしれませんけれども、夏休み、すなわち夏季休暇中の補講、補習ということも実際に行われている。したがって、夏季の授業に生徒が集中してきちんと取り組めるためには、冷房設備、空調設備の整備というものが急務なんだということが訴えられました。
 それで、まず聞かせていただきたいんですが、かつては期末試験の後は事実上登校しないというふうなことも見られたかに聞いておりますけれども、期末試験後の授業や夏休みにおける補習、補講等による普通教室の使用状況の実態というのはどうなっているんでしょうか、状況をお願いいたします。

○近藤指導部長 平成十六年七月に実施いたしました一学期末試験終了後の授業の実施状況にかかわる調査では、全日制課程で全体の約半数に当たる学校で六時間以上の授業を実施してございます。
 また、夏季休業日中の普通教室における講習は、全日制課程で全体の八〇%に当たる学校で実施しているところでございます。

○吉田委員 今説明がされているような授業といいますか、普通教室の使用状況というものが、かつてと比べてみても行われているという現実があるわけですね。もちろん、夏季だけじゃなくて、ことしなどの場合を見れば、五月、六月からもう非常に暑くて、七月、八月の時期の猛暑というのは本当に表現できないほどの事態が続いているわけです。
 それで、やはり基本的考え方についてなんですけれども、昨年の分科会での質疑を読みますと、忍耐力を養うなどということも教育指導上の観点というお話もありますが、今の状況というのは、もう忍耐の、我慢できるようなレベルの状況じゃないと思いますし、やはり授業に集中できるような状況を整備するということは、さらに生徒の健康管理にもきちんと留意するということは、学校設置者としての基本的な責任ではないのかなというふうに思うんですが、こういう基本的な観点というのはどういうふうにお考えなんでしょうか。

○山際学務部長 設置者といたしまして、学校環境衛生の維持、改善に努めることは必要なことである、このように考えております。

○吉田委員 私も改めて、この問題、法的にはどのようになっているかということを不勉強ながら調べてみましたら、例えば、もともとは教育基本法という根本的な法律がありますけれども、健康とか、あるいは環境ということになれば、学校保健法ですか、その第三条で、学校環境衛生ということで、学校においては換気、採光、照明及び保温を適切に行い、清潔を保つ等環境衛生の維持に努め、必要に応じてその改善を図らなければならない。これは学校の設置者及び管理者に多分求められている責務だと思うんです。そうすればおのずと、照明などは適度な照明が定められているかと思うんですが、室温、気温についても一定の基準というものがあって、それが守られる努力はすべきだと思うんですが、これはどのようになっているんでしょうか。

○山際学務部長 文部科学省からの通知でございます学校環境衛生の基準で、温度につきましては、夏季では三十度C以下であることが望ましく、最も望ましい温度では、夏季では二十五度から二十八度であるというような記載がございます。

○吉田委員 それで、クーラーあるいは扇風機も皆無という中で、この七月、八月の時期というのは、望ましい、あるいは最も望ましいといわれている三十度以下ないしは二十五度から二十八度という条件が大方維持されているというご認識でしょうか、どうでしょうか。

○山際学務部長 気温については、年々変化があるわけでございますが、ことし、かなり暑かったということはご指摘のとおりでございまして、三十度Cを超えたような室温であったということはかなりあったのではないか。具体的な調査はしておりませんが、そういうように考えられるというふうに思います。

○吉田委員 私、PTAの皆さんから、ぜひ現場に行って調べてきてほしいということをいわれて、すぐその翌日、区内の工業高校でしたけれども、お邪魔をさせていただきました。たまたまそこにPTAのお母さん、会長さんもいらっしゃったんで、直接改めて話を聞くことができましたけれども、私の想像を超えるような事態であり、また要望としては切実であるということを痛感いたしました。
 例えば、工業高校の場合は、高校によって若干違いがあるかもしれませんが、特別教室での実習が、単に一時間というんじゃなくて、準備作業から、あるいは片づけ作業も含めますと、三時間続けて行われるというケースもあるんだそうですね。その三時間、普通教室を出て特別教室で授業が行われる間というのは、完全にその普通教室は、いろいろな意味合いもあって、施錠して密封状態にされているんだそうです。したがって、特別教室での実習授業を終えて、さあ、普通教室で英語だ、数学だとやるときには、三時間にわたって温室の高温状態の中で授業を始めなければならない。
 それで、たとえ努力したとしても、本当に集中力を持った授業ができるのか。到底授業ができるような状況じゃなくて、是非は別にしても、生徒全員が何らかの、昔だったら下敷きですけれども、今下敷きというのはないと思いますが、ノートやら本やら、あるいはわざわざこういううちわまで用意してあって、ばたばたする中で授業を継続せざるを得ないという状況だということをいわれて、改めてそういう事態の深刻さということを痛感いたしました。
 さらに、授業に集中できないだけではなくて、健康そのものという点で見ても、例えば鼻血を出して保健室に行かざるを得ないような生徒が、この夏、毎日いた。また、多い日は四人、五人に及ぶような事態もあった。ですから、授業以前の健康管理ということから見ても、このような状況をそのまま放置できないんではないかということを痛感いたしました。
 聞いてきたものですから、ついあれこれしゃべりますけれども、もう一つ、聞いてびっくりしたのが、お弁当の話です。そこの高校では、ごみを生まないということで、弁当持参を環境的観点から取り組んでいるものですから、生徒の半数がお弁当なんですね。約二百人を超える方々です。
 その方々が、だから生徒が、朝練習の、もうそれこそ七時ごろからお弁当を持ってきて、そして普通教室に置きっ放しにし、その間はさっきいったように三時間密封するような状況もある。したがって、十二時ごろになってお弁当をあけたときに、そのお弁当の衛生管理は果たして本当に大丈夫なのか。
 学校は、これはやはり深刻な問題だということで、クーラーのついている保健室に管理させようかということも検討したらしいんですよ。しかし、間違って別の生徒が別のお弁当を食べたトラブルなどが発生しかねないわけですね、二百個の弁当を管理するということになれば。それは無理だと。
 東京都にも相談したんだけれども、それぞれの学校で対応してくださいといわれたということで、普通教室に置きっ放しにするという事態が改善はされないんですけれども、そういう本当に衛生的にいっても大変な事態が生まれているんだということを、私自身、初めてそういう実態を知ったんですけれども、これは一例だと思うんですよね。学校、学校によってさまざまな例があると思うんですが、いずれにしても、健康管理あるいは正常な授業を行うという点で見れば、今日の異常気象のもとでクーラーあるいは扇風機もないという事態は大変深刻な事態だというふうに思うんですが、そういう実態についてはどのように認識あるいはお感じになっていらっしゃるんでしょうか。

○山際学務部長 先ほどもお話をさせていただきましたが、ことしのような猛暑については、特に今異常気象というお話が出ましたけれども、一つの課題であるというふうに考えております。
 いずれにしましても、設置者といたしましては、学校環境衛生の維持、改善に努めていきたい、このように考えております。

○吉田委員 クーラーの設置については、CO2の問題とか、いろいろ検討されているようですけれども、やはり集中して授業のできる体制を整備するということは、あるいはまた、生徒の健康、衛生管理というのは第一義的に検討されるべきだと思っているんですが、既に大阪では、昨年度ですか、全府立高校におけるクーラー設置が動き出す。あるいは、他県でも、具体的な、既に入れる方向での検討が始まっているというふうに聞いているんですが、実施及び準備状況を把握していたらご説明願いたいんですが。

○山際学務部長 他府県の冷房化の状況でございますが、お話の大阪府におきましては、受益者負担等も踏まえて、平成十六年からクーラーを導入したところでございます。
 また、他県の状況でございますが、福井県については、平成十八年までにクーラーを設置する。京都については、これについても十八年までに設置する。和歌山については、平成二十年までに設置する。さらに、鳥取については、平成十七年度までに設置する。現在のところ、大阪府以外に四県で設置する計画を持っております。

○吉田委員 そうした、全国でも新たな努力が開始されているわけですから、いずれにしても課題であるということは先ほどご答弁がありましたけれども、もちろんエアコンだけというわけじゃありません。総合的な対策、あるいは設置に伴うCO2対策等、総合的な検討もあるかと思います。
 しかし、やはり先ほどからいっているように、授業への集中度を高め、かつ健康管理という上から、より具体的な検討が求められていると思うんですが、改めてご答弁をお願いいたします。

○山際学務部長 快適な教育環境を整備することは重要であるというふうに認識しておりますが、一方で普通教室の冷房化につきましては、現在の厳しい財政状況、あるいは地球環境に対する影響など、総合的に考慮する必要がございまして、どのように対応していくか、現在検討しているところでございます。

○吉田委員 地球環境を考えることは当然のことですけれども、お母さんにいわれたんですよね。議員の皆さんは、冷房の整った部屋で背広とネクタイで生活していらっしゃるでしょう。私たちの生徒は、なぜクーラーも扇風機もないところで勉強しなきゃならないんですか。
 やはり子供たちのそういう条件整備というのは緊急課題ですし、またCO2、地球環境ということでいえば、この場でいうことでないかもしれませんけれども、巨大なビルなどが東京の地球温暖化、CO2発生の最大の原因になっているわけですから、そういうことを含めて、きちんとした対応を別の角度から行っていくべきであり、ぜひより踏み込んだ具体的な検討をしていただきたいということを述べまして、質問、次のテーマに移らせていただきます。
 次に、日の丸・君が代の問題について質問させていただきます。
 昨年十月二十三日に都立学校校長あてに通達、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施についてと、その実施指針が出されました。これは、これまでの東京の教育という点で見ても、あるいは今後についても、極めて重大な問題を投げかけているもの、この通達によって--従来、学校、教師、生徒、父母の皆さんの総意によって卒業式などがとり行われる努力がされてきたと思います。しかし、この通達と実施指針によって、いわば細部にわたって形式が決められ、事実上、上からそれが押しつけられるということになりましたし、さらに職務命令と、そしてそれに基づく処分という形が、教育の現場、とりわけ内心の自由にかかわる日の丸・君が代、起立斉唱に持ち込まれるという重大な事態が引き起こされております。
 さまざまな角度から、これはこれまでも議論がされてまいりましたけれども、起立しない、あるいは斉唱しない教職員への処分にとどまらず、子ども、生徒が君が代を歌わないということで、その担任の教師まで処分されかねないという事態が引き起こされております。
 これは、教育行政への不当な介入を禁じた教育基本法の観点からいっても、憲法や、あるいは子どもの権利条約からいっても、その根本が脅かされる事態が進行している。それだけに今、教師だけではなく、父母やあるいは学者、知識人の皆さん、さらに法曹界からも、こうした東京都教育委員会の対応について厳しい声が上がっていることはいうまでもありません。
 きょうは、さまざまな問題がありますけれども、その中で、生徒の、子どもたちの内心の自由の確保の問題を中心に質問させていただきます。
 まず、基本的な点から質問いたしますが、第二回定例会、我が党本会議質問においても、子どもたちが起立をして歌わなかった場合、その担任教師を処分するという手法まで新たに持ち出され、子どもたちの内心の自由を奪いかねないというような事態が起きています。
 まず、確認したいんですけれども、卒業式などの行事で、生徒が、学校での教師の指導があったとしても、自己の判断で起立斉唱を拒否するということは、良心の自由の原則から見ても当然認められるというのが当然のことだと思いますが、まずこの点についてご答弁をお願いいたします。

○近藤指導部長 学校における国旗・国歌に関する指導は、学習指導要領に基づき、児童生徒に国旗や国歌の意義を理解させ、それらを尊重する態度を育てるとともに、諸外国の国旗や国歌に対しても同様に尊重する態度を育てるために行っているものでございます。
 このことは、生徒の内心にまで立ち入って強制しようという趣旨のものではなく、あくまでも教育指導上の課題として指導を進めていくということを意味しているものでございます。

○吉田委員 私は、そういう指導を行ったとしても、生徒が自己の判断で起立斉唱しないということは、当然個人の意思として尊重、認められるべきだということですが、それ自身は間違いないですね。

○近藤指導部長 学校の教員は、教育公務員としての身分を有しているわけでございまして、学習指導要領に基づいて子どもたちに国旗・国歌の指導をすることは当然の責務であると考えております。したがいまして、それは内心の自由がどうとか、そういう形ではなくて、あくまでも学校の教員の職務として指導していくというものでございます。

○吉田委員 答弁になっていないんですよね。
 それで、これは文教委員会の質疑も私、読ませていただきましたけれども、部長自身、こういうふうにいっているんですよ。要するに、指導を積み重ねたとしても、生徒が起立しないということがあれば、それはやむを得ないことであると。当然のことですよね。承知しているでしょう、あなたの答弁ですよ。
 それで、改めて、じゃ、別な角度から確認しますが、いわゆる法制化の過程の国会での小渕首相の答弁の中で非常に有名な言葉がありますが、今回の法制化に当たり、義務づけを行うことは考えておりませんと。また、別な場の答弁では、子どもたちの良心の自由を制約しようというものではないと考えておりますと、有名な答弁がありますが、こういう首相の答弁は当然遵守するということでよろしいですね。

○近藤指導部長 法制化の論議については、さまざまございましたことは承知しております。
 私ども、学校教育におきましては、学習指導要領に基づいて、卒業式、入学式等における国旗・国歌の適正な実施を進めているところでございます。

○吉田委員 首相答弁を、これは政府見解ですよ。したがって、日の丸・君が代の対応に当たっては、これを遵守するというのは、あなた方の基本的な前提じゃないですか。

○近藤指導部長 首相の政府答弁と、それから私どもが今学習指導要領に基づいて卒業式、入学式を適正に実施するということの考えについては、何らそごはないと考えております。

○吉田委員 じゃ、政府答弁は遵守するということで理解していいですね。もう一度、その点だけ答えてください。

○近藤指導部長 首相の政府答弁を含めまして、国旗・国歌の法制化に当たって、さまざまな文部科学省等の答弁があったわけでございますが、それらについては当然遵守いたします。

○吉田委員 それで、これは当時の文教委員会等で、さまざまな形で国会で議論がされましたけれども、そこで確認したいんですけれども、生徒が自分の意思で起立斉唱しないということを行ったからといって、その生徒に対して心理的な強制あるいは不利益があってはならないと思うんですが、これは当然のことかもしれませんが、ちょっと確認しておきたいんですが。

○近藤指導部長 そのとおりでございます。

○吉田委員 これは、今簡潔明瞭なご答弁がありましたけれども、当時の政府委員の答弁の中でも、歌わなかったというようなことをもって何らかの不利益をこうむるようなことが学校内で行われたり、あるいは児童生徒に心理的な強制が働くような方法で、その後の指導等が行われるようなことはあってはならないというふうに明確に答えておりますし、同様の答弁というのはかなり繰り返されて行われているわけですね。
 ただ、問題は、そのようにたとえ生徒が起立せず、斉唱せずということがあったからといって、その後、不利益や心理的な強制をこうむることがあってはならない、それは、内心の自由を侵すからだというご答弁が政府委員答弁であるわけですけれども、しかし、これが第二回定例会で私たちもこだわった点なんですけれども、生徒が起立しなかった、歌わなかったということをもって、一律じゃないかもしれませんけれども、その担当の先生が注意処分、厳重注意等々ということになれば、当然それは、子どもたちに対して、先生の処分を回避するためには、歌わざるを得ないという心理的な強制にもなりかねない、そのことによって、生徒の良心の自由を侵害することに通ずるのではないかということを質問したんですが、改めて、そうすると、心理的な圧迫や強制はあってはならないということと明らかに矛盾することが今現実に起きたということになると思うんですが、いかがですか。

○近藤指導部長 繰り返しになりますが、教員は教育公務員としての身分を有してございまして、法令や学習指導要領に基づきまして、国旗・国歌等の指導も含めまして、児童生徒に適正に指導する責務があるわけでございます。そうした職責を果たさない教員に対して厳正に対処することは、当然のことであると考えております。
 しかし、このことは、国旗・国歌の指導の適正化を図るために行っているものでございまして、生徒の内心の自由に影響を与えるものではないと考えております。

○吉田委員 その適正な指導は、また別途議論したいと思うんですけれども、生徒が歌わないということをもって、その担任の先生に何らかの行為が行われるということは、その指導が、あるいはあなた方の処分なるものが適正か否かという問題は別にありますけれども、生徒に対して一定の心理的圧迫と心理的強制という事態を招くことは明らかでしょう。

○近藤指導部長 生徒が教師の立場を思い、立たざるを得ないという、そうした師弟愛については心動かされるものがございますが、しかしながら、教員は学習指導要領に基づいて国旗・国歌を適正に指導する責務があるわけでございます。したがいまして、生徒の内心の自由に影響を与えるものではないと考えております。

○吉田委員 あなた方が一方的に内心の自由は踏みにじらないといったって、生徒自身が、先生が処分されるんだったら立たざるを得ない、歌わざるを得ないという思いにさせられ、現実にそういう発言をしている場合もあるわけですよ。
 それは、あなた方は建前的には内心の自由を脅かすものではないといったとしても、政府答弁で、立たないことをもって心理的な強制や不利益があってはならないということをいっていながら、現実的にはそういう心理的な強制、圧迫を招く結果になることは、もう私は明らかだと思うんですよ。そのことは、結果的には、幾らいおうとも、良心の自由に対する侵害ということにつながらざるを得ないんですね。
 さらに重大なことは、単に生徒が起立しなかったことをもって、要するに不適正指導あるいは指導力不足ということで、注意あるいは厳重注意ということがされただけではなくて、さらにその後の事態として、周年行事に当たって、学校長に対して生徒への適正な指導を個別職務命令として求めるということが、九月ですか、校長連絡会によって行われたというふうに報道されているんですが、どのような内容を指示したのか。その結果、どのような職務命令が現実に出されているのか、その理由は何なのか、従来とそのことによって何が変わるのか、ご説明をお願いいたします。

○近藤指導部長 九月七日の校長連絡会におきまして、入学式、卒業式等の実施に当たっては、学習指導要領や通達に基づいて適正に実施するよう指導したところでございます。
 具体的には、全教職員に対して、個別的職務命令書を発すること。また、個別的職務命令書の中に、校長の権限で学習指導要領に基づき適正に生徒を指導することを加えるなど、全都立高校の校長に伝えたところでございます。
 これを受けまして、その後行われました周年行事等におきまして、このとおり各学校は実施しておるところでございます。

○吉田委員 ですから、そのことによって、どのような従前とは違う事態が発生するんですか。例えば、先ほどいったように、生徒が多数起立しなかった場合には、不適正な指導、あるいは指導力不足ということで、注意、厳重注意ということがされてきたわけですが、今度はそれが個別職務命令という形で教師に求められるということは、そうでなかった場合にはどのような事態になるんですか。

○近藤指導部長 学習指導要領に基づきまして教員が子どもたちに指導するということは、当然なことでございます。
 どうも済みません、質問を、申しわけありません、もう一度。

○吉田委員 ですから、今までは、生徒が起立しなかったことをもって皆さん方が対応することは、注意及び厳重注意でしょう。しかし、今度は、学習指導要領に基づく指導を学校長が先生個人に対して個別職務命令を出すわけでしょう。そのことによって、どういう変化が生まれるのか。
 例えば、では、端的に聞きますけれども、不適正な指導であったということを、だれが判断するか知りませんが、判断した場合には、注意、厳重注意じゃなくて、懲戒免職もあり得るということですね。

○近藤指導部長 失礼いたしました。
 教員が学習指導要領に基づいて指導することは当然のことでありまして、今回の個別的職務命令書の中に学習指導要領に基づいて指導するということについては、何ら問題はないことだと思っております。
 また、そのことによって、どういう変化が見られるのかということでございますが、この学習指導要領に基づいて指導することという一言を入れたことによって、より適正に卒業式、入学式等が実施できるものと考えております。ただ、しかしながら、その学習指導要領等に基づかないで、例えば国旗・国歌を、歌わなくていいとか、そうした不適切な指導等を行った場合においては、それに見合った形での責任は、当然問われることになると考えております。

○吉田委員 ですから、以前は注意、厳重注意、それ自身も重大な問題なんですけれども、今度は職務命令違反になるわけでしょう。そうすると、懲戒免職も含む処分の対象になるということですね。

○近藤指導部長 教員が学習指導要領に基づいて個別具体的に指導いたしまして、それでも不都合な状態が起こることも考えられます。しかしながら、そういう場合におきましても、その教員が、また校長がどのように指導していったのかということを具体的に調べまして、それに見合った形での指導等、また対応等を考えているということでございます。

○吉田委員 ぼやかしたいい方しないで、職務命令を出すということは、それに反すると判断すれば、職務命令違反ということになるわけでしょう。そのために職務命令、出すわけじゃないですか、あなた方は。

○近藤指導部長 明らかに非違行為があった場合については、当然処分の対象になると考えております。

○吉田委員 これは、既に第二回定例会で自民党議員がその旨を要望し、教育長が答弁しているんですよね。要するに、注意、厳重注意という軽微な処分を繰り返すのではなく、職務命令として、学習指導要領規定の遵守を出すべきだと考えますが、いかがでしょうか。これに対して、教育長は、校長の権限に基づいて、学習指導要領や通達に基づいて児童生徒を指導することを盛り込んだ職務命令を出し、厳正に対処するものと考えておりますという旨のご答弁をされているわけですよ。したがって、注意、厳重注意の段階から、職務命令が出たことによって、ある判断で、その教師の指導が不適正だという判断になれば、もうそれをもって懲戒処分にも道が開け得る。
 しかも、そういうやり方を、学習指導要領、学習指導要領というふうにいっておりますけれども、こんな手法を一つ一つの教育的な課題に、そのたびごとに職務命令を出したらどんなことになりますか。もう本当に、教育とは全く異質な、まさに強制と統制の世界というふうなことにならざるを得ないし、ましてや事柄が、内心の自由は確保されなきゃならない、そのことによって心理的な強制や圧迫があってはならないという、極めて憲法の良心の自由にかかわる重大な問題で、職務命令、すなわち処分という形で、より踏み込んだ強制を求めていくと。
 これは、もう学者の方からも、憲法十九条の思想及び良心の自由、さらに二十六条の教育を受ける権利、そして教育基本法一条、人格の形成、十条、教育の不当支配の禁止、さらに子どもの権利条約十二条など、多くの点で現行法に完全に違反する疑いがあることだ、教育の場にこうした手法を持ち込むことは認められないという声が上げられておりますが、私は当然だと思うんですよ。
 改めて聞きますけれども、このような教育的--たとえ学習指導要領であったとしても、課題について、その指導のために個別的な職務命令を今まで出してきたということはあるんですか、個別的な教育課題で、学習課題で。

○近藤指導部長 国旗・国歌につきまして、東京都教育委員会では出してございません。
 なお、今学校においては、組織的、計画的に授業を進めるということで、週案を提出していただいているわけでございますが、その週案を提出しなかったということで、校長が判断し、職務命令を出し、そして、その結果、改善されたという事例はございます。

○吉田委員 私、改めて、この問題、勉強し直してみて、一体皆さん方は、憲法十九条が定める、思想及び良心の自由は、これを侵してはならないという原則や、あるいはまた、先ほど述べた法制化の過程の中で、この法制化に当たり、義務づけを行うことは考えておらず、国民の生活に何ら影響や変化が生ずることはないんだという首相答弁というものは、学校の卒業式の場でどうやって保障されているんですか、保障しているんですか。保障はしていないんですか、結局。

○近藤指導部長 学校における教育指導におきましては、学習指導要領に基づいて適正に指導することが子どもの教育を保障することであると考えております。

○吉田委員 急に暗くなっちゃったな--もう教育は暗やみだよ。(「ショートしちゃったの」と呼ぶ者あり)どうしようか、続けようか。(「続けていいよ」と呼ぶ者あり)本当は冗談いえるような事態じゃないと思うんですけれどもね。先ほどから学習指導要領、指導要領といわれたけれども、その大前提としての憲法の諸原則、教育基本法、そして皆さん方は、学校の先生方も含めてですけれども、憲法九十九条に基づいて、この憲法を遵守し、擁護するという義務があり、しかも、そのことは職員になるときに誓約書まで押されてきたわけでしょう。今までの説明では、そんなこと全く無関係じゃありませんか、事実上。
 しかも、教育という場に、命令と処分によって特定の指導内容を押しつけていく。全く自由な雰囲気など、もうなくなってしまうじゃありませんか。そういう異常な事態に進もうとしているんだということを改めて痛感いたしました。
 また、そうしたことがあっては絶対ならないというふうに思います。教師だけではなく、父母の皆さん、さらに学者、文化人の方からも批判の声が上がっておりますし、少なくない新聞社も厳しい社説を東京都の対応について掲載しております。
 さらに、最近では、東京弁護士会からも、会長名で、東京都のこうしたやり方について厳しい意見が出されています。東京弁護士会は、東京都教育委員会の行動について、教職員及び児童生徒の思想、良心の自由を侵害し、教育を受ける権利を侵害するものとなることから、これを深く憂慮し、今後、同通達に基づく教職員に対する処分ないし厳重注意等の不利益扱いは行わないよう意見表明するものであるということを東京弁護士会会長名で出されております。
 私は、そうした良識ある都民と各界の方々の声に、本当に今こそ耳を傾けて、このような憲法や教育基本法を踏みにじるようなやり方を根本的に改めるべきだということを強く求めて、質疑を終わります。

○大木田委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○大木田委員長 速記を始めてください。
 引き続き質疑を続行いたします。

○大西委員 では、要求した資料に基づきまして、私は性教育、男女平等教育についてお聞きしたいと思います。
 十代の性感染症の増加がマスコミ等で報道されておりますが、福祉保健局がこの十月に出したブックレット「性感染症ってどんな病気?」、これは結構若い人たちに向けて出されていると聞いておりますが、これによりますと、性感染症などの患者報告数の推移は、平成十三年をピークに減少傾向にあるとあります。しかし、昔からすればふえたということはあるんですが、昔からといいましても、平成八年からの数字からすると、十三年をピークにして、今減少になっています。
 これを大きくとらえて、今これではいけない、いけないということで多分やっていらっしゃるんでしょうけれども、これまで何をやってきていたのかという思いが、このブックレットを見て思いました。
 そして、そういう中で、九月に都が青少年の性行動について考える委員会というものを設置し、その委員会では初回から、安易なセックスをさせない法制度が必須など、条例設置に触れる意見が出たということで、そういうマスコミ報道がセンセーショナルに飛び交っております。
 このことを見ても、いろいろな意見が出ているわけですけれども、子どもに正面から向き合うことをしないで、厳罰強化ということだけが先歩きしていけば、それこそ抜本的な解決に結びつかないわけですから、この委員会の行方についても非常に興味を持って見ているところです。
 性感染症や望まない妊娠への防止対策としては、禁止命令や厳罰主義より、学校教育の中での適切な教育こそが求められるということで、この性教育について、きょう質問するわけなんですけれども、性教育の取り組みの決算書を見てみますと、指導研修費としてしか読み取れないようなもので、たったの百二十四万五千円という数字が出ております。これで対応できるのかというような気持ちになります。
 主な、何をやってきたかということは、内訳として、教職員研修センターでの二回の研修の実施やパンフレットの発行に終わっております。そういう意味で、本当にこの感染症もふえて大変だという思いがあるんであれば、この予算執行で対応できるのかということが大きな疑問として浮かび、そして、今行われております青少年の性行動について考える委員会の行方、これは本当の意味で抜本的な解決を、果たしてここで行おうとしているのかどうかというような疑問がますますわいてくるわけなんです。
 そこで、お聞きしたいんですけれども、学校における性教育の年間指導計画の整備が十分とはいえない中で、実際に行われた性教育の実施状況と今後の改善について、まず伺いたいと思います。

○近藤指導部長 学校における性教育は、学習指導要領に基づき、保健体育、理科、道徳、特別活動等において実施しているところであり、指導に当たりましては、児童生徒の発達段階を踏まえた年間指導計画を作成し、組織的、計画的に実施することが大切でございます。
 平成十五年度に性教育に関する年間指導計画を作成している学校の割合は、小学校で七七%、中学校で六三%、高等学校で七七%、盲・ろう・養護学校で六七%でございます。
 都教育委員会は、各学校における年間指導計画を充実させるために、平成十五年度に「性教育の手引」小学校編及び中学校編を作成いたしまして、平成十六年には高等学校編及び盲・ろう・養護学校編を作成しているところでございまして、今後、これらの手引を活用し、学校における性教育が適正に実施されるよう、各学校に対して指導してまいります。

○大西委員 適正な性教育を実施するというお答えがあったわけですけれども、その一番の理念というものは何をもって、これはつくられているものなんでしょうか。

○近藤指導部長 たび重なってしまいますが、性教育につきましても、学習指導要領の趣旨に基づいて実施しているところでございます。

○大西委員 その学習指導要領に基づいて、つくるための理念的なものというのがあると思うんですけれども、それを教えてください。

○近藤指導部長 これは当然のことでありますが、教育基本法をベースにして進めてくるわけでございますが、それに基づいて学校教育法、そして学校教育法施行規則に基づきまして学習指導要領を定めている。その学習指導要領を定めるに当たりましては、中央教育審議会、または教育課程審議会等の経過を経て作成されているものでございます。

○大西委員 私、教育庁は初めての質問なんで、答弁がよく理解できないところがいっぱいあるんですけれども、性教育におきましても、受ける子どもたちや私たちが何か理解できるような、理念はこういうものだというようなことを一言でいえるような、そういうものがないんでしょうか。

○近藤指導部長 性教育を学校で進めていく上に当たっての基本的な考えといたしましては、三点ございます。
 一点は、今申し上げましたように、学習指導要領や児童生徒の発達段階に基づいて実施すること。
 それから、学校教育は、計画的、組織的に行わなければいけないことから、年間指導計画等を十分に吟味し、作成し、それに基づいて指導するということでございます。
 そして、三点目は、性教育等を行うに当たりましては、家庭の了解等も十分に得るということでございます。

○大西委員 今三つのことをお答えいただいたんですけれども、それは私から聞くと、あるものをちゃんと進めるための方法として三つのものがあります、そのあるものというもの、理念というものは何なのかということを先ほどからお聞きしているんです。
 私が答えていただきたかったのは、この性教育の指導資料、平成十五年に出ているんですけれども、その中の新たな性教育のプログラム開発のところだと思います。何よりも私は、この性教育の理念的なものというものは、リプロダクティブ・ヘルスとかリプロダクティブ・ライツ、この視点の性教育が何よりも充実されなければならないと思います。
 皆さんがやりたいのは、今の中学生の性的な乱れとか、それから望まれない妊娠、そして性感染症を防ぎたいわけですよね。そうすると、まさにここなんですよね。自我を確立させ、自己尊重の責任能力を育てる教育、望まない妊娠と性感染症を予防する教育、そして望まない妊娠と性感染症を完全に予防するための実際的な性教育を推進する。このことが基本になって性教育をしていただかなければ、学習指導要領が云々とかいわれても、本当にその中身は何なのかということを何度も何度もお聞きしなければいけないような事態になっていると思います。
 そういう意味で、最初から、ちょっとこういうふうにやりとりをするつもりはなかったんですが、一番大事なところをやはり押さえていただきたいなと。だれもが性教育は必要だと、今考えているわけですね。ところが、そのやり方が、方法がどうなのか。これを間違うと、それを受ける子どもたちが一番迷惑をこうむるということだと考えています。
 その中で、次に行きたいんですが、今の九月に行われています青少年の性行動について考える委員会、この中で教育長と、専門家として、一方である昔の衛生局、東京都福祉保健局、この中のそういう専門家とか、局内での、庁内での連携というものが、これからそういうものを学校等いろいろなところで行っていく上で、とても大切だと思うんですけれども、そういう連携はとられているんでしょうか。そして、この考える委員会にもそこから入っているんでしょうか。

○近藤指導部長 この学校における性教育につきましては、当然学校教育だけではできるものでございませんので、健康局だったでしょうか、福祉保健局等とも十分に連携して、今進めているところでございます。

○大西委員 考える委員会にも、そこから庁内で参加しているというようにとらえていいんですか。

○近藤指導部長 申しわけありません。その考える会の形につきましては、ちょっと存じ上げません。

○大西委員 いろいろなところでの、多分そういう検討会はあると思いますが、今一番みんなが注視しています、この考える会等にも、ぜひいろいろな視点を入れた中で検討していただきたいなということを思っております。
 次に、性暴力の被害について調査しました、女性のためのアジア平和国民基金によりますと、女子高校生の二十人に一人が性被害に遭い、そして加害者のほとんどが恋人や知人、友達など、身近な相手からの被害に遭っている実態が報告されております。
 親しい間柄で起きるこうした性暴力は、デートDVとかデートレイプと呼ばれまして、日本だけではなく、いろいろなところで問題となっているわけなんですけれども、やはり心身ともに生じる、こういうさまざまな問題に対応できる相談体制やサポート体制づくりの必要性がいわれておりますが、それについての対策はどういうふうに立てていらっしゃるんでしょう。

○近藤指導部長 性に関する暴力などを未然に防止するためには、学校教育において、男女が互いの人格を尊重し、望ましい人間関係を築けるよう、児童生徒の発達段階に応じた男女平等教育を充実させることが大切でございます。
 また、性に関する被害に遭った生徒に対しましては、学校は保護者や警視庁、専門の相談機関と連携を十分に図りながら、適切に対処することも大切でございます。
 都教育委員会では、今後とも相談機関などについての情報提供を行うとともに、性に関する被害に遭った児童生徒の心のケアを行うため、アドバイザリースタッフを派遣するなどいたしまして、各学校等を支援してまいりたいと考えております。

○大西委員 確かに、この決算書を見ますと、アドバイザリースタッフの派遣ということで、事業の実績として、十五年度、千三百五十七回という数字があるんですけれども、これはそういう被害があったから出ていったということなんでしょうか。それとも、もっと未然に予防するために、この要請があったというふうにとらえていいんでしょうか。

○近藤指導部長 アドバイザリースタッフ制度につきましては、平成十年に設置されたものでございまして、これは、子どもたちは不登校であるとか性の問題、さまざまな悩みを抱えているわけでございまして、そうした子どもたち、直接相談できない、また来所することができないという子どもたちに対して、スタッフが直接出向いて指導するという制度で、心のケアを行うという制度でございます。
 今お話のデートDVにつきましての派遣は、現段階ではございません。

○大西委員 ちょっとまだいろいろ聞きたいことも出てきましたけれども、とにかく現状としては、こういうデートDVとかデートレイプとか、そういう本当に今の若い子どもたちは、知らない人から襲われるということももちろんあるわけなんですが、それ以上にこういう問題をいっぱい抱えているという認識はおありでしょうか。

○近藤指導部長 それは、十分に認識してございます。

○大西委員 認識していらっしゃるということで、安心しましたけれども、これは教育をすることにより防止することが可能だと私は思っておりますので、ぜひ避けないで、そしてよく現状を見て、どう対策を立てればよいかということを本当に冷静に判断していただく中で、性教育に取り組んでいただきたいと思っております。
 何よりも被害を出さないということが一番ですし、そして特にこれは、教育によってそれが救われるという可能性を十分に秘めております。特に、今の日本においては、この性教育というものは、やはりタブー視の中で行われていたということで、なかなかその先生になる方も少ない。それで、受ける方としましては、受ける先生の印象によって非常に受け取りも違うという、何とも微妙な問題でもあるわけですし、だからこそ、しっかりと現実に目を開いていただいた中で冷静に進めていただきたいなということを改めて要望しておきます。
 その関連性から、次に、男女平等についてお聞きしたいんですけれども、男女平等参画のための東京都行動計画・チャンス&サポートに、男女平等といいますと混合名簿というのがすぐ出てくるわけなんですけれども、混合名簿の導入の推進が挙げられております。
 全校実施が進められてきたわけですけれども、実施率は小学校で八一・六%、中学校ではぐっと低くなりまして四二・九%、高校八三・九%、定時制が九五・八%と、しかし年々高く取り組まれております。
 八月二十六日の教育委員会では、混合名簿に対する配慮事項を都立学校長あてに通知し、その根拠とする学校現場での混乱の事例として数例あると聞きましたが、それらの事例は、その時々で、その時点で解決されるべき内容であり、今に至って、あえて混合名簿を理由に通知する根拠としては、極めて納得度が低く、教育委員会でのこの配慮事項を出されたということに対して、非常に何でという思いがあったんですけれども、その時点で、こういう混乱事例が起きてきたときにどういうふうに対応をなさったのか、お聞きしたいと思います。

○近藤指導部長 学校における混乱の事例につきましては、一部の小学校で身体計測や内科健診を男女混合名簿に基づいて男女混合で行ったり、また高学年の組み体操を男女混合で行ったりするなど、児童に対する配慮に欠けた指導の事例がございました。
 こうした問題に対しましては、学校や区市町村教育委員会と連携いたしまして、その都度改善に努めてきているところでございますが、依然として保護者からの苦情もございまして、根本的な解決には至っていないと認識してございます。したがいまして、こうした事態を繰り返すことがないよう、ジェンダーフリーにかかわる配慮事項についてという通知文を出したところでございますが、今後とも、望ましい男女共同参画社会の実現に向けまして、男女平等教育が適正に行われるよう各学校を指導してまいりたいと考えております。

○大西委員 問題は問題として、その場で、この問題で出てきた事例を、私たちだっておかしいと思いますので、それはそれで対処していただく。それとジェンダーフリーを規制するということは全く違った問題だと私は考えております。
 また、学校内で混合名簿と男女別名簿が統一されていない事例を混乱として挙げてありますが、混合名簿の全校実施を推進していく上では、早期の導入が一つの解決だと思われるわけなんですね。やっているところ、やっていないところがあるからこういう混乱も出てくるんだろうと思いますが、今回の教育委員会の決定は、誤解と混乱を生じさせるだけで、撤回がそういう意味で望ましいと考えております。
 そこで、決算で見る男女平等推進のための研修費なんですけれども、これは百五十五万四千円であり、執行率は七八・六%とやはり低いんですね。混合名簿の実施のみならず、男女平等教育は着実に推進されるべきであり、進めますというふうにおっしゃるわけなんですけれども、男女平等教育の今後の具体的な取り組みと予算要求に対する考えをお聞きしておきたいと思います。

○近藤指導部長 都教育委員会は、これまで男女平等教育推進校の設置、人権教育に関する実践的手引書である人権教育プログラムの作成、男女平等教育に関する教員研修の実施などを通しまして、男女平等教育を推進したところでございます。
 今後とも、これらの施策を通しまして、男女共同参画社会基本法や東京都男女平等参画基本条例に基づきまして、男女が互いの違いを認めつつ、個人として尊重される男女両性の本質的平等の理念を児童生徒に理解させ、その具体化を図るための教育が推進されるよう各学校を支援してまいります。

○大西委員 今回の混合名簿の混乱におきましても、男女平等教育推進校ではそういう混乱の事例も見られないと聞きました。やはり有効な取り組みをちゃんと進めていけば、そういう混乱も防げたということを、これは実証しているんじゃないかと思っておりますので、今後もぜひ推進校の取り組みの充実をお願いしておきたいと思っております。
 そこで、性教育や男女平等教育が実際に子どもたちに向けてどう行われているかが、なかなかこの決算書の中で明確に把握できないんですよね。人権教育は重要であるがゆえに、取り組みを総額としてとらえるだけではなく、それぞれにかけられた予算、決算を明確に示していただきたいと思うんですが、その辺は今後どういうふうに改善することがあるとか思っていらっしゃいますでしょうか。

○近藤指導部長 学校におけます人権教育の推進に当たりましては、さまざまな人権課題を取り扱うこととなっているわけでございます。
 平成十五年度の学校における人権教育関係事業費の予算額は四千五百六十万八千円、決算額は約三千九百六十四万円でございます。これらをおのおのの人権課題に分けて示すことは困難でございまして、男女平等教育についても、個別の予算額、決算額として示すことは困難でございます。

○大西委員 困難ですということなんですが、やはりこれからの少子化対策というものが、東京も含めて日本の大きな大きな政治課題になっておりますよね。その中の一つにこの男女平等というのが基本的にあるわけですから、そこにシフトするんであれば、そういう予算もしっかり私たちから見えるような取り組みをしていただきたいなということを要求したいと思います。
 男女平等推進校の取り組みのみならず、授業で男女平等に取り組む際に必要となるプログラムや教材が整備されていないんですが、それは何に基づいて進められているのか。プログラム化に早急に取り組むべきではないかということが、ちょっと前後しますが、最後にそのことでお聞きしたいと思います。

○近藤指導部長 各学校の教育課程は、法令や学習指導要領に基づきまして、学校や児童生徒の実態に応じて、校長の権限と責任により編成するものでございまして、男女平等教育を教育課程に位置づけて行う場合も、これは同様でございます。
 なお、東京都教育委員会は、人権教育プログラムに男女平等教育推進上の課題や、男女平等教育を進めるに当たっての配慮事項を掲載いたしまして、全教員に配布するなど、適正な男女平等教育が実施できるよう各学校を支援しているところでございます。

○大西委員 推進校での取り組みとか、それから、平成元年からこの事業が行われているわけですが、それだけに難しい取り組みだと思っておりますし、これも特効薬というものはなくて、徐々に徐々にそれを浸透させていかなければならない、それこそ教育ということだと思いますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、子どもの読書活動の推進について伺います。
 社会教育振興の分野で、子どもの読書活動の推進にかかわる執行率が三二・九%と極めて低かったわけです。これは聞きましたら、平成十三年に制定された子ども読書活動推進基本法に伴う市区町村への委託金が打ち切られたということが大きな要因だということがわかりました。
 推進に取り組む自治体にとって、このことは非常にダメージがあるわけなんですけれども、それだけに東京都独自の取り組みに一層の期待がかかると思います。東京都子ども読書活動推進計画の実効性の高い取り組みが求められるわけなんですが、進捗状況を教えてください。

○山川生涯学習スポーツ部長 東京都教育委員会は、平成十五年三月に策定いたしました東京都子ども読書活動推進計画に基づきまして、子ども読書推進シンポジウムを開催するとともに、子ども読書活動推進資料を十一万部作成いたしまして、区市町村立図書館や都内小学校一年生全員に配布するなど、子どもの読書活動の重要性について広く理解を求めるための普及啓発活動を進めているところでございます。
 さらに、都立図書館におきましても、児童青少年資料の充実や、子どもの本に関するホームページの運営を行うなど、子どもが読書活動に親しめる環境整備を行うことを通じて、家庭や地域における子どもの読書活動の推進に努めているところでございます。

○大西委員 都立学校の中でも、きめの細かい対応が求められます盲・ろう・養護学校等の子ども読書活動推進は重要課題だと考えるわけなんですけれども、現在その支援はどのように行っているんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 盲・ろう・養護学校での取り組みのご質問でございますが、都立図書館では、東京都子ども読書活動推進計画の取り組みの一つといたしまして、本年七月から都立学校支援サービスを開始いたしまして、盲・ろう・養護学校を含めた都立学校の求めに応じまして、学習に役立つブックリストを提供するとともに、学校図書館では回答が困難な質問の調査や、都立図書館司書の講師派遣等を行っているところでございます。
 さらに、平成十五年度から、点訳絵本や児童図書の録音テープの作成に着手するなど、視覚に障害のある子どもが楽しむことのできる図書資料の整備を進めており、引き続き盲・ろう・養護学校の子どもたちの読書活動を支援してまいります。
 なお、教職員研修センターが主催する司書教諭研修におきましては、都立図書館司書が図書館の運営に関する講義を行っており、今年度は盲・ろう・養護学校から約三十名が参加しております。

○大西委員 平成十五年度から、そういう盲・ろう・養護学校への芽出しができたということで、ぜひ頑張っていただきたいなと思っております。
 この東京都子ども読書活動推進計画を見てみますと、東京都の取り組みとして、東京都子ども読書活動推進会議の設置とか、それから子どもの読書に関する調査の実施等がこの計画の中にあるんですけれども、これも着実に実行されているというふうに受け取っていいんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 計画の概要に載っている部分につきましては、着実に一歩ずつ事業を実施しております。

○大西委員 この推進会議も設置されたというふうに受け取っていいんでしょうか。

○山川生涯学習スポーツ部長 設置されております。

○大西委員 ありがとうございます。ちょっと見ていて、気になりましたので、聞かせていただきました。
 子ども読書活動推進の一環として、自治体図書館に対する都立図書館の支援は重要ですが、そして自治体図書館が準備できない児童書の貸し出しにこたえることも都立図書館の役割なんですが、昨年来、新刊の本の貸出制限が設けられたことなどの事例からも、地域自治体のニーズにこたえられない状況が見受けられます。十分なバックアップ体制とは、それではいえないんじゃないかと思うんですが、ニーズにこたえる支援について、どのように考えていくのかを伺いたいと思います。
 それと、もう一つ、あわせて、この夏なんですけれども、国立子ども図書館の見学に行きました。非常に建物も、それから中身も充実されているわけなんですけれども、あそこにあるのがもったいない、ああいう図書館が地域にあると、本当に親子で楽しく参加できるのにと、ちょっと残念に思ったんですが、国のそういう、特に子ども図書館などとの連携等はどういうふうに考えていらっしゃるのか、そこもあわせて教えてください。

○山川生涯学習スポーツ部長 区市町村立の図書館への支援につきましては、都立図書館の基本的な役割でありますことから、子どもの読書活動の推進につきましても、都立図書館を都内公立図書館の子どもの読書活動の拠点といたしまして、子どもの読書活動にかかわる区市町村立図書館職員への新任研修や現任研修を実施するほか、区市町村立図書館が行う講演会の講師などを行うなど、区市町村立図書館の子どもの読書活動推進事業を支援しているところでございます。
 また、都立図書館は、区市町村立図書館との児童サービスに関する連絡会を開催するなどして、区市町村立図書館のニーズの把握に努めてきたところでございます。
 今後も区市町村の読書活動推進に関する取り組みを支援し、連携を深めることで、子ども読書活動の推進に努めてまいります。
 なお、国立の図書館との関係でございますが、ご案内のように、国立子ども図書館は、全国の児童図書館や学校図書館の活動を支援し、子どもの出版文化にかかわる専門家に対して、資料や情報の要求にこたえる児童書のナショナルセンターとしての役割を果たしております。
 私どもも、この国立の図書館との連携を今まで以上に深めながら、こうした子どもの読書活動の推進に当たっていきたいというふうに考えております。

○大西委員 よろしくお願いします。
 最後に、せっかくですから教育長にお聞きしたいんですが、十五年度の決算の状況を見まして、都の教育が子どもたちにとって本当によくなったなという感想をお持ちなのかどうか、十五年度予算全般からの感想を教えてください。

○横山教育長 ご案内のとおりの財政状況でございますので、私どもが考えている事業がすべて企画立案化される、こういう状況にはございませんが、私ども、子どもたちを主役にした教育行政を行っているわけでございまして、そういう意味では全力を挙げて教育行政を推進している、そのための予算も、現在の段階では、相当十分に配慮されていると考えております。

○大西委員 満足度としては……。

○横山教育長 今後の財政状況はございますが、百点に近いんではないかと考えています。

○大西委員 予算としての満足度ということで、その効果のほどはどういうふうに考えていらっしゃいますか。

○横山教育長 教育というのは、効果というのは予算を使ったからすぐ出るというものではございませんで、ただ、私は、学校教育、特に学校教育に限定すれば、学校の正常な運営というのを第一主眼に置いていますので、そういう意味では、かなり自律的な回復の兆しが見えてきたなという印象を持っております。

○大西委員 何度もありがとうございました。
 確かに、学校教育問題は本当に特効薬がないというところがつらいところだと思います。いろいろな視点からの教育というものにぜひ取り組んでいただきたいと思っております。何よりも子どもたちを中心に考えた教育庁であってほしいと思っております。
 以上です。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五十三分散会

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