各会計決算特別委員会第四号

平成十五年十一月十九日(水曜日)
第十二委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 二十九名
委員長新藤 義彦君
副委員長串田 克巳君
副委員長和田 宗春君
副委員長前島信次郎君
理事吉原  修君
理事山田 忠昭君
理事清水ひで子君
理事藤井  一君
理事野田 和男君
理事河西のぶみ君
東村 邦浩君
河野百合恵君
長橋 桂一君
野上じゅん子君
山加 朱美君
酒井 大史君
三宅 茂樹君
こいそ 明君
新井美沙子君
樋口ゆうこ君
松村 友昭君
丸茂 勇夫君
田島 和明君
比留間敏夫君
大河原雅子君
中村 明彦君
立石 晴康君
清原錬太郎君
藤川 隆則君

欠席委員 二名

 出席説明員
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
福祉局長幸田 昭一君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
中央卸売市場長森澤 正範君
住宅局長高橋  功君
港湾局長成田  浩君
大学管理本部長山口 一久君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君
議会局管理部長稲熊 明孝君
警視庁総務部長佐藤 正夫君
東京消防庁次長関口 和重君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(意見開陳)
・平成十四年度東京都一般会計決算
・平成十四年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十四年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十四年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十四年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十四年度東京都と場会計決算
・平成十四年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十四年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十四年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十四年度東京都用地会計決算
・平成十四年度東京都公債費会計決算
・平成十四年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
・平成十四年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十四年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○新藤委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 岡田議会局長は、公務出張のため本日の委員会に出席できない旨、申し出がありました。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本決算につきましては、いずれも質疑を終了しております。
 これより意見の開陳を行います。
 順次、発言を願います。

○山加委員 私は、東京都議会自由民主党を代表いたしまして、平成十四年度の各会計決算について意見の開陳を行います。
 十四年度決算は、実質収支が五百二十四億円の赤字となり、五年連続の赤字で、赤字額は前年度の百億円に比べ、大幅に拡大いたしました。
 また、財政の弾力性を示す指標である経常収支比率は、前年の九二・四%から三年ぶりに上昇し、九六・九%に悪化しました。
 都財政の先行きは依然として厳しく、その再建はいまだ道半ばということが改めて明らかになりました。
 今後とも、先般発表されました第二次財政再建推進プランの柱に沿って、各施策並びに事業の背後にある中長期的課題や構造的な課題に取り組み、都民のニーズに柔軟かつ的確に対応できる、強固で弾力的な財政体質をつくり上げるよう、強く要望いたします。
 それでは、最初に知事本部関係について申し上げます。
 一、首都機能移転問題については、移転論議に終止符を打つため、国の動向を見きわめつつ、国が首都移転を撤回するよう、断固たる反対運動を展開されたい。
 二、アジア大都市ネットワーク21については、各都市との共同事業を推進し、その成果を二十一世紀のアジアの繁栄と発展につなげていくよう取り組まれたい。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、都政改革ビジョンⅠに掲げた改革に着実に取り組むとともに、都民の信託にこたえ、さらなる内部努力の徹底に努められたい。
 二、区市町村の振興については、行政水準の維持向上を図り、地域の均衡ある発展を促進するため、施策の一層の充実に努められたい。
 また、多摩・島しょ地域の振興については、都市基盤整備の推進や地域特性を生かした諸施策を強力に推進されたい。
 三、三宅島の災害復旧、復興については、被災住民に対する積極的な生活支援並びに復旧、復興のための財政支援を拡充されたい。
 四、都民の防災意識や防災行動力の一層の向上を図るなど、総合的な震災対策を推進するとともに、NBC災害等の重大事件、事故から都民の生命を守るため、危機管理体制の整備に努められたい。
 五、電子申請や電子調達などIT化を推進するに当たっては、都民の視点に立った電子都庁の実現に努められたい。
 次に、大学管理本部関係について申し上げます。
 一、都立の新しい大学の構想を踏まえ、新大学は、大都市の課題に対応する学部構成とし、経営的視点を導入するとともに、都民にとって意義ある大学とされたい。
 二、新大学においては、産学公の連携をより一層推進し、また、社会人など正規学生以外にも学習の機会を提供していくなど、大学の社会貢献を積極的に推進されたい。
 次に、財務局関係について申し上げます。
 一、十四年度決算及びこれまでの財政再建の取り組みを踏まえ、第二次財政再建推進プランの着実な実施を図り、財政構造改革に全力で取り組まれたい。
 二、厳しい経営環境が続く中小企業の受注機会を確保するため、共同企業体の活用などにより、中小企業の経営安定化への取り組みをさらに強化されたい。
 次に、主税局関係について申し上げます。
 一、国に対し、税源移譲を基本とした三位一体改革の早期実現及び都に不利益な財源調整措置の撤廃を強く求めるとともに、地方主権の時代にふさわしい税制のあり方について引き続き検討されたい。
 二、課税の適正化と滞納額圧縮のために、局を挙げての取り組みを継続するとともに、滞納整理に当たっては、納税者の実情に沿った適切な対応を進められたい。
 三、固定資産税、相続税について、地価の高い大都市の実情を踏まえ、その仕組みやあり方を抜本的に見直すよう、国に強く働きかけられたい。
 次に、生活文化局関係について申し上げます。
 一、青少年を取り巻く環境の変化に対応し、青少年の自立支援や社会性を育成するための施策の展開に努められたい。
 二、私学助成については、都議会における私立学校助成に関する決議を踏まえ、厳しい財政状況にあっても、各種助成制度の充実に努められたい。
 三、都民の文化創造環境の整備を図るとともに、東京の魅力と活力を高める文化施策を推進されたい。
 四、家庭内暴力に関する総合対策の推進を図り、男女平等参画社会の実現に向けた施策を一層推進されたい。
 次に、都市計画局関係について申し上げます。
 一、東京の新しい都市づくりビジョンに基づく政策誘導型都市づくりのさらなる展開を図られたい。
 特に、東京のしゃれた街並みづくり推進条例を活用し、民間の発意を生かしつつ、都市機能の高度化や都市環境の改善を図るなど、首都東京の再生を積極的に推進されたい。
 また、用途地域の見直しや都市計画区域マスタープラン策定については、地元区市町村と十分に協議し、地域ごとの課題への対応策とともに、長期的視点に基づく地域の将来像を明らかにされたい。
 二、東京圏全体の一体的な機能発揮を図るために、外環など三環状等の広域幹線道路ネットワークの形成及び鉄道等公共交通網の整備を積極的に推進されたい。
 また、羽田空港の再拡張、国際化については、引き続き国に対し早期事業化を求められたい。
 三、建築安全条例により創設した新たな防火規制について、建築物等の耐震性の強化や密集市街地の不燃化を重点的に推進し、災害に強い市街地の整備を積極的に推進されたい。
 四、首都圏の再生を図り、魅力ある都市づくりを推進するため、緑やオープンスペースを充実するとともに、良好な都市景観の形成を図るなど、豊かな都市環境の創出に努められたい。
 次に、環境局関係について申し上げます。
 一、環境に配慮した都市づくりの観点から、各局と連携し、ヒートアイランド対策や地球温暖化対策を一層推進されたい。
 また、東京の緑の回復と保全を図るため、屋上等の緑化や緑地の保全に努められたい。
 二、本年十月から開始されたディーゼル車規制の円滑な推進を図るために、事業者に対する細やかな指導と中小零細事業者への経済的支援の継続を進め、大気汚染の改善を促進されたい。
 三、ダイオキシン類などの有害化学物質対策や土壌汚染対策については、都民の健康の確保が図れるよう、環境基本計画に定めた諸施策を着実に進められたい。
 また、産業廃棄物の適切な処理に向け、総合的な取り組みを推進されたい。
 次に、福祉局関係について申し上げます。
 一、利用者本位の新しい福祉の実現に向け、包括補助制度を通じて区市町村の福祉改革への主体的な取り組みを促進するなど、実効ある改革の推進を強力に進められたい。
 二、高齢者が地域の中で安心して暮らし続けられるよう、痴呆性高齢者グループホームを初めとした多様な住まい方の整備に努めるとともに、介護予防や在宅サービスの普及促進など、施策の充実に努められたい。
 三、児童の健やかな育成に向け、子育て家庭に対する支援、相談体制の強化や養育家庭制度など家庭的養護の充実を図るとともに、きめ細やかな保育対策を推進されたい。
 四、支援費制度が適正に運営されるよう区市町村の支援に努めるとともに、障害者が地域で自立して生活できるよう、入所施設の地域生活支援機能強化を初め、生活寮や通所施設など、地域生活を支えるサービス基盤の拡充を図られたい。
 次に、健康局関係について申し上げます。
 一、町村が実施する小児初期救急医療事業に対し、地域の実情に応じた支援を推進するとともに、不足が懸念されている小児科医師の確保対策を講じるなど、小児医療水準の向上に努められたい。
 二、東京発医療改革の柱である患者中心の医療を一層推進し、保健医療全般にわたり患者中心、都民本位の施策展開に努められたい。
 三、感染者が都内に二十万から三十万人いるといわれているウイルス肝炎について、予防、早期発見から早期治療につなげるため、ウイルス肝炎総合対策を着実に推進されたい。
 四、都民の食品に対する不安、不信を解消するため、都民とのリスクコミュニケーションの充実を図るとともに、生産から消費までの一貫した食品安全確保対策の一層の強化を図られたい。
 次に、産業労働局関係について申し上げます。
 一、創業の支援や製品技術開発への支援、知的財産活用への支援など、意欲的、創造的な事業活動を支援するための環境の整備を積極的に推進し、活力ある産業の振興に努められたい。
 また、商店街事業への支援策の拡充、拡大を図られたい。
 二、各種融資制度の柔軟な活用や融資条件の緩和など、制度融資の充実を図るほか、資金調達手段の多様化を進め、中小企業の経営の安定に努められたい。
 三、経済効果の大きい観光産業の一層の充実に努められたい。
 四、都市農業への支援や農業生産基盤の整備強化を図るとともに、林業経営の安定、森林保全施策の充実、資源管理型漁業の推進などに努められたい。
 五、求人開拓を積極的に行い、雇用機会の確保に努めるとともに、求人需要の変化に対応した技術専門校の効率的、効果的な運営を推進し、離転職者に対する多様な職業訓練機会の拡充を促進されたい。
 次に、住宅局関係について申し上げます。
 一、民間住宅施策については、分譲マンションの建てかえ支援や都市の活力を支える形成期ファミリー世帯の居住支援など、総合的な対策を推進されたい。
 また、都市防災の見地からも、木造住宅密集地域の整備などを促進されたい。
 二、都営住宅制度の抜本的改革に積極的に取り組み、一層の効率的、公平な運営に努められたい。
 都営住宅の建てかえに当たっては、民間活力の活用を図るとともに、地域の活性化に寄与する視点に立って推進されたい。
 次に、建設局関係について申し上げます。
 一、都市の骨格を形成する基幹道路及び地域幹線道路や山間・島しょ地域の振興を図る道路の整備を促進されたい。
 特に環状第八号線や調布保谷線等の幹線道路網を重点に整備を図られたい。
 あわせて、多摩川原橋等の多摩川中流部橋梁の整備を推進されたい。
 二、道路と鉄道との連続立体交差事業については、関係区市と協議し、住民要望を踏まえながら事業の早期完成に努められたい。
 三、交差点すいすいプラン一〇〇及び歩行者や自転車がともに安全に通行できるような広い歩道の整備を促進されたい。
 四、都市型水害の解消を図るため、中小河川の護岸整備を推進するとともに、調節池の設置など、総合的な治水対策を推進されたい。
 また、スーパー堤防や隅田川のテラス整備を推進されたい。
 五、多摩ニュータウンにおいては、多摩自立都市圏の形成に向け、総合的な都市機能や自然と調和した良好な住まい環境を整えたまちづくりを推進されたい。
 次に、港湾局関係について申し上げます。
 一、東京港を国際貿易港としてさらに発展させるため、省庁間にまたがる行政手続の簡素化や規制緩和、港湾物流サービスのIT化などに努められたい。
 二、外貿コンテナふ頭の整備や東京港臨海道路等の整備に努め、港湾機能の充実を図られたい。
 三、密輸、密入国、テロ行為など、東京港の水際を脅かす危機に的確に対処するため、東京港の保安対策に積極的に取り組まれたい。
 四、島しょの港湾、漁港、空港の整備に積極的に取り組むとともに、離島航路、航空路補助の充実に努め、航路及び航空路の維持に万全を期されたい。
 次に、教育庁関係について申し上げます。
 一、児童生徒の健全な育成を図り、思いやりと規範意識を涵養する施策を積極的に推進されたい。
 また、基礎、基本的な学力の向上を図るとともに、一人一人の個性や能力を伸ばす教育に努められたい。
 二、都立高校の改革については、学校関係者や都民の理解を得て、新しいタイプの高校の設置など、都民に信頼される学校づくりのための施策を着実に推進されたい。
 三、教員の資質、能力の一層の向上を図るとともに、校長のリーダーシップに基づく学校経営を支援する施策を積極的に進められたい。
 次に、警視庁関係について申し上げます。
 一、組織犯罪対策、来日外国人犯罪対策等、複雑多様化する犯罪事象や空き交番対策に対処するため、必要な警察官の増員を図られたい。
 二、密入国者や不法滞在外国人に対処するため、関係機関と一層の連携を図り、取り締まり対策を強化するとともに、国際犯罪組織、暴力団の壊滅に向けた組織犯罪対策を推進されたい。
 三、地域住民が安心して住める犯罪のないまちづくりを推進するため、街頭活動を強化するとともに、地域警察活動を積極的に支援するため、情報発信やITを活用したシステムの導入等を図られたい。
 四、深刻化する少年犯罪を抑止し、子どもを犯罪から守るため、効果的な街頭補導活動を展開するとともに、各種対策に必要な資器材の整備を図られたい。
 五、交通事故を防止し、慢性的な交通渋滞を解消するとともに、排気ガス等による交通公害を抑止するため、総合的かつ集中的な交通安全対策を推進されたい。
 次に、東京消防庁関係について申し上げます。
 一、複雑多様化する災害に対し万全の体制で対応できるように、消防車両や装備資器材等を充実されたい。
 二、救急業務の高度化を図るため、救急救命士に対する教育訓練の充実を図るとともに、増大する救急需要に対応するため、救急隊や救急資器材の増強を図られたい。
 三、住宅火災を予防し、減少させるため、防火意識を高揚させるなど、都民の安全確保のために最善を尽くされたい。
 四、耐震性にすぐれた消防署所、防災員宿舎及び消防団本部等の整備を図るなど、活動拠点施設の充実強化を図られたい。
 最後に、新しい都民ニーズにこたえ、東京の活力を取り戻すためには、一日も早く都財政を再建しなければなりません。いずれにしても、第二次プランの計画期間であるこれからの三年間を、集中的に都政を構造改革する機会ととらえ、徹底した取り組みが必要であることは論をまちません。
 我が党は、都民のための政策を着実に実行し、東京の再生を実現する都政を確立するとともに、都民の安全と安心を確保するため、最大限の努力をしてまいることをお約束し、我が党を代表いたしましての意見開陳を終わります。

○河西委員 私は、都議会民主党を代表して、平成十四年度一般会計並びに特別区財政調整会計など十九特別会計の決算について意見を述べさせていただきます。
 平成十四年度予算は、東京が直面する危機に積極的に対応する予算と位置づけられて編成されました。
 この十四年度決算の収支状況は、一般会計及び特別会計を合計した形式収支で一千九百三十三億余円、実質収支で千七百二十億余円の黒字となっています。
 これを一般会計で見ると、形式収支で三百四十八億余円、実質収支で百四十九億余円の黒字となっていますが、発生主義の要素を加味した普通会計決算における実質収支は、公営企業会計への支出の一部を翌年度に繰り延べざるを得なかったことなどにより、昨年度より四百二十四億余円多い五百二十四億余円の赤字となり、都財政は平成十年度以降五年連続の赤字決算という状況が続いています。
 歳入は、都債を千百三十九億余円減としたため、予算比二千五百三十二億余円減となり、前年度比でも四千六百三十八億余円減となっています。
 一方、歳出も前年度比三千九百億余円減となり、執行率は前年度から〇・七ポイント低下し、九五・三%となっています。
 十二年度に、IT関連企業を中心とした企業収益の改善により大幅に増加した法人二税も、十三年度の横ばい状態から、十四年度は二千七百七十五億余円減となるなど、引き続き厳しい経済状況にあります。
 こうした中で、事業の進捗や後年度負担の問題などの制約があるとはいえ、都債が十分に活用されていないのは残念であります。経済動向を見据え、経済活動にかかるコストを軽減し、民間投資を誘導する事業にあっては、年度途中であっても柔軟に執行できるよう工夫すべきであります。
 また、体感治安の悪化に象徴される都民生活の不安を解消するための治安対策、雇用・就労・中小企業対策、福祉・環境対策などにも積極的に取り組んでいくことが求められており、予算の効率的、効果的執行がますます重要であります。
 今後とも、これらの点に留意して財政運営を図られるよう強く求めるものです。
 なお、十四年度決算においても、監査委員より、予算の効率的執行、物品管理、事務費繰入額算定、事務処理の適正化などについて指摘がされており、各局において、より適切な執行が図られるよう求めるものです。
 以上、総括的な意見を述べ、以下、各局別事項について意見を申し上げます。
 まず、知事本部関係について述べます。
 一、道州制の実現に向けて八都県市の連携を強めるとともに、共通する事項の統一条例化、広域連合制度の活用などを検討すること。
 一、騒音やまちづくりの障害など、基地問題の解決に努めるとともに、米軍基地の整理、縮小、返還及び横田空域の返還に積極的に取り組むこと。
 一、都民等が安全、安心して暮らせる東京を実現するため、八都県市、関係諸機関との緊密な連携のもと、治安対策に万全を期すこと。
 次に、総務局関係について述べます。
 一、各区市町村が自主的、主体的に広域連合の活用や区市町村合併を進め得る環境を整備すること。
 一、二十一世紀の多摩・島しょ地域の特性を生かした振興、発展のために、財政フレームや組織のあり方を含めて施策の総合的な実施を図ること。
 一、三宅島避難島民の生活支援対策を充実するとともに、帰島対策に万全を期すこと。
 次に、大学管理本部について述べます。
 一、大学改革の推進に当たっては、関係者とのコミュニケーションを深め、都民に成果を還元できる大学となるよう取り組むこと。
 次に、財務局関係について述べます。
 一、地方税財政制度の抜本的改革を通じて、自治体への税財源移譲を図るよう、国に強く働きかけること。
 一、業績評価制度を整備し、予算編成の分権化、簡素化を図るなど、予算編成手法のより一層の改善を図ること。
 一、入札、契約手続については、企業努力が報われる公正な制度を構築するとともに、労働者の賃金が適正に確保されるよう努めること。
 次に、主税局関係について述べます。
 一、税務事務の一層の情報化を進め、効率化と納税者サービスの向上を図ること。
 次に、生活文化局関係について述べます。
 一、青少年活動の推進を図るとともに、青少年指導者の養成、喫煙・薬物対策、健全な性的判断能力、メディアリテラシーの育成に努めること。
 一、消費生活相談において、より迅速な相談情報の集約や分析を行い、的確な相談対応や被害情報の提供を行うこと。
 次に、都市計画局関係について申し上げます。
 一、東京圏における交通ネットワークの向上のために、羽田空港の国際化など、空港機能の充実、空港アクセスの改善を図ること。
 また、外郭環状道路など三環状道路の整備を推進すること。
 一、踏切により発生する交通渋滞を解消するため、踏切の実態を調査し、それぞれの踏切に適した対策を実施すること。
 また、物流の効率化を図るための実態調査を行い、物流交通全体のネットワークのあり方を検討すること。
 一、街並み景観づくりなどの活動を行うまちづくり団体に対して支援するとともに、広くまちづくりに関する活動を行っているNPO等に対して積極的に支援すること。
 次に、環境局関係について述べます。
 一、自動車公害対策として、粒子状物質減少装置の装着補助やディーゼル車規制融資あっせんを引き続き実施するとともに、交通需要マネジメント施策を推進すること。
 一、地球温暖化対策として、零細な事業者の負担にも十分配慮して、実効性のある二酸化炭素の排出削減義務について検討すること。
 一、屋上緑化を推進するために、東京都の施設での積極的な取り組みを初め、既存の民間建築物への普及促進に努めること。
 次に、福祉局について述べます。
 一、子ども家庭支援センターの全区市町村設置とともに機能強化に取り組み、地域における虐待防止、早期発見のネットワークやきめ細かな子育て支援体制を構築すること。
 一、養育放棄、身体的、精神的暴力などにより侵害されている子どもの権利擁護を一層推進するため、子どもの権利条例を早急に制定すること。
 一、養育家庭数の拡充に引き続き努めるとともに、養育家庭の見守りなど、支援体制の強化を図ること。
 また、委託期間を最大で二十二歳までに延長するなど、制度を充実すること。
 一、障害者の地域生活移行支援を充実させるとともに、将来にわたり自立して生活することができるよう就労を確保し、安定した経済基盤が確立されるよう努めること。
 一、老人総合研究所、老人医療センターの統合民営化は白紙に戻し、所管がえを図ること。
 次に、健康局について述べます。
 一、精神障害者が地域で自立した生活ができるよう福祉的就労の充実を図るとともに、一般就労までの一貫した支援を行い、医療の確保や生活相談をあわせた社会復帰支援を行うこと。
 一、不足している小児科医師と小児救急医療確保のため、小児医療研修を初めとした東京都独自の対策を講じること。
 次に、産業労働局関係について述べます。
 一、個別的労働紛争調整委員会の拡充を初め、パートアドバイザーなどパート労働対策、夜間相談や出張相談等、労働相談の充実など、労使関係の相談、指導体制を強化すること。
 一、商店街にかかわる施策については、区市町村のまちづくり施策と連携したものになるよう積極的に取り組むとともに、事業の効果、効率を十分に検証すること。
 また、商店街の法人化に向けた支援策を充実すること。
 一、中小企業制度融資については、制度の創設、拡充を図るとともに、目標額を柔軟に引き上げるなどの措置を講じること。
 また、わかりやすく使いやすい制度融資とするために、メニューの簡素化や利率の見直しを行うこと。
 一、観光産業の振興を図るために、観光情報を発信する際に用いる外国語の数を拡大するなど、外国人がよりわかりやすく簡単に情報を入手できるよう工夫すること。
 また、島しょ地域の観光振興を図るために、インターネットを活用した特産物の販売や宿の予約などを支援すること。
 次に、中央卸売市場関係について述べます。
 一、食肉市場でと畜解体された牛肉について、生産履歴、トレーサビリティーやBSE検査結果等の情報を消費者に対し提供するシステムを開発、検証すること。
 また、最新の知識習得や技術の向上など、現場で働いている人たちへの研修などを通じて安全性の確保に努めること。
 次に、住宅局関係について述べます。
 一、民間住宅への支援として、中古住宅市場の活性化に向けた取り組みをさらに充実させること。
 また、分譲マンション居住支援として、東京都としての分譲マンション建てかえ支援モデルを構築すること。
 一、多摩の木材を活用した住宅供給の仕組みづくりについて積極的に取り組むこと。
 一、都営住宅の区市町村への移管を積極的に進めること。
 また、真に住宅に困窮する都民が都営住宅に公平、公正に入居できるよう、高額所得者対策を進めるとともに、期限つき入居の拡大や募集方法の改善を図ること。
 次に、建設局関係について述べます。
 一、区部環状、多摩南北方向などの幹線道路を重点的に整備するとともに、JR中央線、小田急線や京王線などの鉄道の連続立体交差化事業や踏切すいすい事業を推進すること。
 また、トラック物流のボトルネックとなっている橋梁の改修などを進めること。
 一、街路樹の樹勢回復を含む沿道緑化の推進を図るとともに、保水性歩道の整備を推進すること。
 また、交差点改良や架空線地中化など、交通安全対策を推進すること。
 一、都市公園の整備として、個性豊かな都立公園や防災公園の整備を推進すること。
 また、ドッグラン導入の成果を踏まえ、その拡大を図ること。
 次に、港湾局関係について述べます。
 一、東京港のサービスアップとコストダウンを進めるために、ITを活用した港湾物流システムを構築するとともに、二十四時間三百六十五日フルオープン化に向けて取り組むこと。
 一、東京湾の危機管理、モーダルシフトの促進に努めること。
 一、中央防波堤内側地区における海浜公園の整備促進のため、都民やNPO等との連携のあり方も含め、海の森づくり構想の事業手法の検討などに取り組むこと。
 一、八丈島空港の整備を進めるとともに、ジェットフォイルの就航率の改善に向けた防波堤、泊地等の整備を行うこと。
 また、小笠原への空路についても、環境に配慮しながら早急に確保すること。
 次に、出納長室関係について。
 一、公金の運用管理に万全を期すこと。
 次に、教育庁関係について述べます。
 一、教職員の資質の向上、意識改革を図るため、社会人講師を拡充するとともに、教職員の民間企業への長期社会体験研修、管理職等の研修を充実すること。
 一、都立盲・ろう・養護学校において、卒業後の進路拡大、職域拡大のため、教育内容の充実に向けて取り組むこと。
 一、心身に障害のある児童生徒の地域活動を促進するため、地域活動の担い手であるボランティア等の育成に努め、積極的な事業の展開を図ること。
 一、スクールカウンセラーの実施状況を検証し、より充実した相談が可能となるよう、そのあり方について検討すること。
 一、都立高校のクラブ活動費を充実すること。
 次に、選挙管理委員会事務局関係について述べます。
 一、電子投票に係る情報提供等の環境整備に努め、各区市町村における電子投票導入を促進すること。
 次に、地方労働委員会事務局関係について述べます。
 一、パート労働や派遣労働等の労働形態の多様化、外国人労働者の増加等の新たな事態に対応するため、事務局体制を充実すること。
 次に、警視庁関係について述べます。
 一、犯罪発生を抑止するためにも、二百カ所に及ぶ空き交番を早期に解消し、軽微な犯罪にも迅速、厳格な対応に努めるとともに、関係諸機関、NPO等との連携を充実すること。
 一、来日外国人、暴力団等組織犯罪対策を強力に推進するとともに、銃器、薬物対策の強化を図ること。
 一、犯罪被害者支援要員の拡充を初めとした犯罪被害者支援体制の一層の強化を図ること。
 次に、消防庁関係について述べます。
 一、救命効果を高めるため、救急車の増強や救急救命士の再教育を推進し、救急活動技術の向上を図ること。
 一、地下鉄、地下街等の災害予防対策を充実強化すること。
 一、防災ボランティアの育成と連携、協働のための体制を整備すること。
 以上、都議会民主党としての意見を述べさせていただき、平成十四年度一般会計並びに特別区財政調整会計など十九特別会計の決算を認定いたします。
 以上です。

○長橋委員 私は、都議会公明党を代表して、平成十四年度の各会計決算について意見の開陳を行います。
 平成十四年度の決算状況は、一般会計と十五の特別会計を合わせた普通会計決算では、形式収支で一千八百六十億円の黒字となったものの、これから翌年度に繰り越すべき財源を差し引いた実質収支は五百二十四億円の赤字であり、五年連続の赤字となり、なお厳しい財政状況は続いています。
 都は、これまでも財政再建推進プランに基づき、財政構造改革に全力を挙げて取り組んできたところですが、法人二税が大幅な減収となるなど、先行きは依然として厳しく、予断を許さない状況にあります。
 こうした状況を踏まえ、都は本年十月に第二次財政再建推進プランを策定し、さらに一歩踏み込んだ改革を進めることとしています。第二次財政再建推進プランの着実な実施を図ることにより、引き続きむだを排し、公会計制度改革も視野に入れた事業の効率的な執行に努めるとともに、真に都民の必要とする福祉、医療、教育などの生活直結分野は、限られた予算の中で最大限効果の発揮できる執行を要望するものであります。
 以下、各局別に申し上げます。
 初めに、知事本部関係について申し上げます。
 一、首都機能移転問題については、引き続き国会等の移転に関する政党間両院協議会での協議にゆだねられるなど、国はいまだ首都機能移転を断念していない。都としては、今後とも国会の動向を注視し、移転の白紙撤回に向け、機動的に反対活動を展開すること。
 一、アジア大都市ネットワーク21については、東京都及び参加都市の提案した共同事業を着実に実施し、アジア地域の繁栄と発展に寄与すること。
 一、米軍基地問題については、平穏な市民生活を守るため、騒音対策を初めとする各種の取り組みを強化すること。
 一、首都東京を再生し、都民サービスの充実を図るため、知事本部の総合調整機能を十分に発揮し、重要施策等の推進に積極的に取り組むこと。
 次に、総務局関係について申し上げます。
 一、スリムで柔軟な行政体質の確立を目指し、組織定数の見直しや一層の事務改善など、徹底した行政改革に努められたい。
 監理団体についても、団体の経営評価結果等を踏まえ、一層着実な改革を進めること。
 一、地方分権については、国に対し着実な実施を求めるとともに、地方財源の充実確保を働きかけられたい。
 また、市町村との役割分担の明確化に努めつつ、行政水準の維持向上を図るための適切な財源補完を行うこと。
 一、三宅島災害対策については、島民の方々の避難生活が長期化している実情を踏まえ、各分野にわたる施策の充実を図るとともに、復旧、復興対策に積極的に取り組むこと。
 一、防災対策については、自助、共助を基本としつつ、自治体、民間団体等との連携の強化にも十分配慮した上で施策の推進に努められたい。
 一、電子都庁の実現については、費用対効果に十分配慮しつつ、万全のセキュリティー対策を講じ、都民の利便性の向上に努められたい。
 次に、財務局関係について申し上げます。
 一、これまでの財政再建の取り組みを一層強め、第二次財政再建推進プランの着実な実施を図ることにより、財源不足を解消するとともに、財政構造改革を推進されたい。
 一、厳しい経営環境にある都内の中小企業に対し、都としても中小企業安定化のため、共同企業体の活用などを積極的に活用し、受注機会の拡大への取り組みをさらに強化されたい。
 一、土地、建物等の都有財産については、重要な資産であり、総合的観点から有効活用を図る必要がある。財産利活用総合計画に基づき、さらなる利活用の促進を図るとともに、未利用地については、売却することにより増収に努められたい。
 一、真の地方分権実現のため、懸案となっている税源移譲を初めとする地方税財政制度の抜本的な改革を国に対し強く要望されたい。
 次に、主税局関係について申し上げます。
 一、地方の財政需要に対応した安定的な税財源を確保するため、国と地方の税源割合を一対一とすべきであり、当面、税源移譲を基本とした三位一体改革の早期実現を国に対し強く働きかけられたい。
 一、大都市における膨大な財政需要に見合う自主財源の充実、確保に向けて、引き続き東京都税制調査会を活用して、さまざまな角度から検討されたい。
 一、固定資産税、相続税については、高地価によって生活者が過重な負担を強いられないよう、引き続き大都市地域の実情に見合った税負担のあり方について検討するとともに、国に強く働きかけられたい。
 次に、生活文化局関係について申し上げます。
 一、インターネットなどの媒体を活用し、都政情報を迅速に都民に提供するとともに、世論調査や都政モニターなど、調査、広聴を推進し、積極的な広報広聴活動を展開されたい。
 一、ボランティアやNPOなどの市民活動の積極的な支援に努めるとともに、家庭、学校、地域社会の協力を得ながら心の東京革命の充実を図られたい。
 一、私学助成については、私学教育の重要性を、都議会決議を重視し、助成水準の維持に努められたい。
 一、商品事故、取引被害を防止するとともに、表示の適正化など、消費者の適切な商品選択の確保策を講じ、消費者が自己責任に基づいて行動できる環境の整備に努められたい。
 次に、都市計画局関係について申し上げます。
 一、国際的な都市間競争や情報化の進展など、社会経済情勢の大きな変化に対応するため、東京の新しい都市づくりビジョンに基づく都市づくりを積極的に展開されたい。
 一、木造密集市街地の防災性の向上を図るため創設した新たな防火規制については、区市と連携し、地元住民の意向を十分に踏まえ、適切に運用されたい。
 また、先般改定した防災都市づくり推進計画、基本計画に基づく整備プログラムを早期に策定し、都市防災不燃化促進事業及び防災生活圏促進事業等の一層の重点化を図り、防災都市づくりを推進されたい。
 一、都市再生の推進に当たっては、土地区画整理事業及び市街地再開発事業等を積極的に活用し、住宅供給の促進や良好な都市景観の形成にも配慮し、潤いのある市街地の形成に努められたい。
 一、東京圏における広域的な公共交通のネットワークを強化するため、常磐新線及び日暮里・舎人線を早期に整備されたい。
 また、駅などの公共空間、公共交通機関におけるバリアフリー化の取り組みをさらに強化し、都民生活の利便性の向上に努められたい。
 一、東京を再生し、豊かな都市環境を創出するため、先般の都市計画審議会答申、東京らしい緑をつくる新戦略を踏まえ、規制緩和や民間活力を導入した新しい公園整備の仕組みの導入について検討し、東京の緑の保全と確保に積極的に取り組まれたい。
 次に、環境局関係について申し上げます。
 一、二酸化炭素排出の削減、エネルギーの有効活用など、地球温暖化対策への取り組みを一層強化するとともに、先進的なヒートアイランド対策を推進されたい。
 一、自動車公害対策については、零細事業者への適切な助成措置の継続などにより、ディーゼル車規制の円滑な推進を図り、大気汚染の改善に努められたい。
 また、ダイオキシン類など有害化学物質対策を着実に推進されたい。
 一、屋上緑化を初めとする緑化の推進、里山の保全や水辺環境、湧水の保全など、緑の東京計画を着実に推進されたい。
 一、産業廃棄物対策については、広域的な不法投棄防止対策に積極的に取り組むとともに、PCB無害化処理施設の整備を初めとするスーパーエコタウン事業の着実な推進を図られたい。
 次に、福祉局関係について申し上げます。
 一、利用者本位を徹底する開かれた福祉の実現をより確かなものにするため、時代の変化に的確に対応した新しい福祉改革を強力に進めるための施策展開に全力を傾注されたい。
 一、特別養護老人ホームの入所希望者が増大する中、真に入所を必要とする要介護高齢者の優先入所の仕組みが有効に機能するよう、都として積極的に支援されたい。
 一、高齢者が自立した日常生活を送り、安心して暮らし続けられるよう、痴呆性高齢者グループホームや自宅と施設の中間的な新しい住まいなどを充実するとともに、介護予防や在宅サービスの普及促進に向け、積極的に取り組まれたい。
 一、支援費制度導入後においても、障害者の自立支援と親亡き後の不安の解消を図るために、障害者地域自立生活支援センターの設置支援や知的障害者生活寮などの整備など、就労と社会参加の促進、在宅福祉を積極的に推進されたい。
 一、虐待対策を初め、子どもに対する相談、支援体制の強化や養育家庭など家庭的養護の充実を図るとともに、大都市特有の多様な保育ニーズに対応したきめ細やかな保育施策を実施し、仕事と子育ての両立のための支援を一層推進されたい。
 一、利用者自身の適切な選択による福祉サービスの利用の支援や多様な供給主体による競い合いを通じたサービスの質の向上を図るため、第三者によるサービス評価システムや福祉情報総合ネットワークなどの施策の展開を着実に進めるとともに、低所得者対策などセーフティーネットの構築に努められたい。
 一、障害者や高齢者が地域の中で生き生きと生活し、社会参加ができるよう、区市町村による福祉改革の主体的な取り組みへの支援強化やバリアフリー化の整備促進に努められたい。
 一、都立福祉施設の民間移譲に際しては、民間法人の創意工夫により、地域に根差したさまざまな福祉資源あるいは福祉サービスが幅広く活用されるように努められたい。
 次に、健康局関係について申し上げます。
 一、小児救急医療を実施する区市町村を強力に支援するとともに、二次、三次救急医療体制のさらなる整備に努められたい。
 一、周産期の高度な母子医療に二十四時間対応可能な周産期母子医療センターの整備を促進されたい。
 特に、区部に比較して周産期母子医療センターの数が少ない多摩地域については、病院経営本部との連携を図りながら体制を確保し、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを積極的に図られたい。
 一、近年患者数が増加しているアトピー性皮膚炎やぜんそく、花粉症などのアレルギー疾患に対して、発症のメカニズム及び治療法の研究をさらに進めるとともに、予防から治療に至る総合的な施策の展開を図られたい。
 一、多摩地域の保健所再編については、各市町村の実情を勘案しながら、保健所の機能強化や市町村への支援策強化を推進されたい。
 一、難病医療費等助成事業については、国が指定する対象疾病と都が指定をする対象疾病において、医療費等助成事業の一部に生じている格差をなくすよう、事業の充実を検討されたい。
 次に、産業労働局関係について申し上げます。
 一、失業率の改善も予断を許さない中で、勤労者の生活の安定を図るため、民間における職業紹介のノウハウなどを活用して、特に高齢者、女性、障害者に対する求人開拓を積極的に行い、雇用機会の確保に努めるとともに、産業構造の変化や求人需要に対応した技術専門校の効率的、効果的な事業展開を推進し、離転職者等に対する多様な職業訓練機会の拡大を図られたい。
 一、起業家等の創業活動を活性化するため、新製品、新技術の開発や知的財産活用への支援に取り組み、意欲的、創造的な事業活動を支援する環境の整備を積極的に図られたい。
 また、創業支援融資及び税制の優遇措置などの強化を図られたい。
 一、景気の動向等を踏まえ、中小企業の多様な資金需要に適切にこたえるため、各種融資制度の活用や融資条件の緩和など、制度融資の充実を図るほか、資金調達手段の多様化を進め、中小企業の経営の安定を図られたい。
 一、大きな経済効果が期待できる東京の観光産業の振興に取り組まれたい。
 一、農業の振興を図るため、都市農業への支援や農業生産基盤の整備強化を推進し、高齢化等により不足する農業の担い手の育成策を推進するなど、農業振興の充実を図られたい。
 また、島しょ地域の基盤である農業と水産業の振興、発展のための施策に積極的に取り組まれたい。
 次に、中央卸売市場について申し上げます。
 一、食の安全と安心を確保するために、と畜解体処理については衛生面に特段の配慮を行い、都民へ安全で安心な食肉の供給ができるよう努められたい。
 次に、住宅局関係について申し上げます。
 一、都営住宅の建てかえやスーパーリフォーム事業による良質なストック形成を着実に進めるとともに、適正かつ効率的な管理運営に努められたい。
 一、都民住宅については、社会経済動向の変化を踏まえつつ、的確な対応を図られたい。
 一、高齢者の居住を確保するため、高齢者向け優良賃貸住宅の供給を推進するとともに、既存都営住宅へのエレベーター設置や公共、民間住宅のバリアフリー化、子育てファミリー世帯に対する住宅対策の充実を図られたい。
 一、民間分譲マンションの適切な維持管理や円滑な建てかえを促進するため、区市町村とも連携し、相談体制の整備や支援体制の充実に努められたい。
 次に、建設局関係について申し上げます。
 一、都市の骨格を形成する幹線道路及び地域幹線道路や山間・島しょ地域の振興を図る道路の事業を推進するとともに、整備のおくれている多摩地域を重点的に促進されたい。
 一、鉄道の連続立体交差事業については、関係区市と協議し、住民要望を踏まえながら事業の促進を図られたい。
 一、中小河川の改修を重点的、効率的に推進するとともに、調節池の設置等、総合的な治水対策に努められたい。
 一、多摩ニュータウンにおいては、複合的な都市機能や自然と調和した良好な住環境を備えたまちづくりを推進されたい。
 一、三宅島の災害復旧事業に万全を期されたい。
 次に、港湾局関係について申し上げます。
 一、東京港は首都圏全体の住民生活を支える一大物流拠点であり、外貿コンテナ船の基幹航路のメーンポートとして、また国内海上輸送の拠点港湾として、ますます重要度を増しており、引き続き輸送革新に対応できるよう、外貿コンテナふ頭の整備や航路、泊地しゅんせつ、東京港臨海道路の整備など、港湾機能の充実を図られたい。
 一、東京港の国際競争力を強化するため、官民一体となってIT化の推進、規制緩和、諸手続の簡素化、迅速化、港湾利用料金の軽減等による港湾トータルコストの低減などを図り、効率的な港湾運営に努めるとともに、ポートセールス活動の一層の充実に取り組まれたい。
 一、東京港の防災性の向上を目指して、耐震強化岸壁の整備を初め、港湾施設用地等の液状化対策、水門、排水機場等の耐震性強化を進めるとともに、高潮対策としての防潮堤、内部護岸の着実な整備を推進されたい。
 また、新海面処分場の整備を着実に進める一方、その延命化に努められたい。
 さらに、密輸、密入国、テロ行為等、東京港の水際を脅かす危機に的確に対処するため、東京港の保安対策に積極的に取り組まれたい。
 一、東京港の埋立地については、都民のレクリエーションニーズに対応した施設の整備拡充を図るとともに、快適な水辺空間をつくるため、水質汚濁対策などに取り組み、都民に開かれた港づくりに努められたい。
 一、伊豆諸島及び小笠原諸島における産業振興、交通利便性の向上及び住民生活の安定のため、島しょ地域等の港湾や漁港、空港などの整備拡充を引き続き推進するとともに、被災した港湾施設等の一日も早い復旧に取り組まれたい。
 また、島しょにおける航路及び航空路の維持を図るため、離島航路、航空路補助の充実に努められたい。
 次に、大学管理本部関係について申し上げます。
 一、新大学の設立に際しては、都立の大学としての存在意義、目的を明確にし、都民の理解を得るとともに、社会に有為な人材を輩出できるよう努められたい。
 また、独立した行政法人として財政改革に積極的に取り組み、経営基盤の強化に努められたい。
 一、外部資金研究費の積極的な活用により、都立の大学としての特色化、重点化を図るなど、戦略的な研究活動を行い、最先端の研究成果を内外に発信されるよう努力されたい。
 一、大学研究と産業界を有機的に結びつけるため、コーディネーターを活用した新産業の創出や新技術の開発を支援するなど、産学公連携の充実強化に努められたい。
 次に、教育庁関係について申し上げます。
 一、教員の資質の向上のため、教員のライフステージに応じた研修や指導力不足教員に対する研修などを一層充実するとともに、人事考課制度を適切に運用し、活力ある教育現場を実現されたい。
 一、都立高校改革を成功させるためには、関係者の理解と協力を得ることが最大の前提条件である。これまでとは異なった創意工夫を凝らしながら、生徒等の多様なニーズにこたえた魅力ある都立高校の実現に努められたい。
 一、都立高校における修学旅行の所要経費や卒業アルバムの制作経費を初め、学校徴収金の適正化を図り、保護者負担が過重にならないよう努められたい。
 一、都立学校施設の開放については、より一層の推進を図るとともに、都民への情報提供に当たっては、さらなる利便性の向上に努められたい。
 一、全公立中学校に配置をしたスクールカウンセラーについては、配置により不登校が改善されてきている実態をかんがみ、今後も継続して実施をしていくことを強く求めるとともに、公立小学校からの相談や派遣要請などを受けやすくする体制づくりに努められたい。
 一、少人数指導をさらに充実させていくために、国に対して教職員の定数改善を要望するとともに、保護者等への普及啓発、周知に努められたい。
 一、大学生等を学校に派遣するティーチングアシスタント事業をさらに普及啓発していくために、区市町村教育委員会での取り組みを支援するとともに、学生の大学での単位認定を大学側に強く働きかけていただきたい。
 次に、警視庁関係について申し上げます。
 一、凶悪化、巧妙化する来日外国人犯罪対策や多発する犯罪を抑止するため、必要な警察官の増員を図られたい。
 一、来日外国人を中心とする国際犯罪組織や国内の暴力団に対する組織犯罪対策を強化するとともに、取り締まりに必要な装備資器材の整備を図られたい。
 一、都民が安心して暮らせる安全なまちづくりを推進するため、街頭・侵入犯罪及び少年犯罪などを抑止するための諸対策を推進されたい。
 一、地域住民の安全を守るため、拠点となる警察署や交番、駐在所庁舎の整備を進められたい。
 一、大震災等の災害発生時における被災者や負傷者等の救護活動を迅速に行うため、必要な装備資器材の整備を図られたい。
 一、交通の円滑化を図り、交通公害抑止対策を推進するとともに、交通安全施設の整備を進め、交通安全対策の充実を図られたい。
 最後に、消防庁関係について申し上げます。
 一、震災等の大規模災害発生時に活動拠点としての機能を十分発揮できるよう、消防庁舎及び防災員宿舎等の整備を促進するとともに、消防車両や装備資器材の充実に努めること。
 一、救急需要の増大に対応するため、救急車や救急資器材の増強を行い、救急業務の一層の充実を図ること。
 一、雑居ビル等の防火安全性を確保するため、防火に対する関係者の意識を向上させるとともに、査察体制の充実に努めること。
 以上。

○松村委員 二〇〇二年度、平成十四年度各会計決算について意見開陳を行います。
 二〇〇二年度は、最悪の不況とリストラのあらし、医療改悪など、小泉政権の改革の押しつけが日本経済、都民の暮らしと営業に深刻な打撃を与えました。
 加えて、社会保障など三兆円以上もの国民負担増と不良債権処理の加速などが相次いで計画され、実行が始まった年でもありました。
 こうした中、都政に求められるものは、自治体本来の原点に立ち返って、都民の暮らしと営業、福祉と健康を守るためにあらゆる手だてを尽くすことでした。石原都政の一期目の最後の年でしたが、第一次財政再建推進プランに基づく福祉や医療への切り下げが進められ、福祉手当、医療費助成、シルバーパスなどの経済給付事業の見直しによる影響は、総額二百七十三億円の減、対象人数も二十万人余りの減となり、都民生活に与える影響は重大でした。
 また、改革の名による母子保健院の統廃合や多摩地域の都立施設の統廃合も行われ、都民生活に大きな影響をもたらしました。
 さらに、我が党は、各局質疑の中で、都の難病医療費助成対象から慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームが外されたことが患者にとって命にかかわる施策の実態になっていることを具体的に明らかにし、復活を求めました。
 また、決算審査を通じて、都民要望を積極的に取り上げ、精神障害者の授産施設への補助の拡充が求められていること、リハビリテーション支援センターの整備、介護保険事業の被保険者と介護サービス利用者への負担軽減策、DV防止策、都営住宅の増設や制度の拡充、改善、中小企業の育成、振興策、BSE対策、三十人学級の実現、小中学校耐震診断、耐震補強、養護学校のスクールバス、学校給食、私学助成、多摩振興策などを具体的に提案しました。
 平成十四年度予算は、福祉や暮らしに冷たい予算である一方、都市再開発と幹線道路に偏った、都市再生に重点的に予算を配分する逆立ちぶりも際立っていました。予算編成で初めて取り入れられた重要施策では、その六割が幹線道路など知事が推し進める都市再生の予算でした。
 しかも、当初予算では投資的経費を抑制したとしながら、最終補正予算では投資的経費を七百九十三億円もふやしたばかりか、借金まで積み増して首都高速道路の整備に百四十九億円もつぎ込みました。
 その結果、平成十四年度の都債発行額は三千四百六十七億円で、前年度に比べて三百九十二億円、二・七%の増となりました。毎年三千五百億円の都債発行を続けるならば、三十年後に至っても七兆円近い借金がなくならないことを我が党の試算でいい続けてきましたが、全く事態は変わっていません。改めて大型開発事業に偏った都財政運営を転換し、税金の使い方を都民の暮らし、福祉中心に切りかえること、そのことによって、また都財政も再建できることを強く主張するものです。
 以上の立場から、平成十四年度東京都一般会計決算に反対し、また、特別区財政調整会計も、社会福祉や介護保険制度の改善などが急務の中、区側の要望にこたえたものになっていない理由によって、臨海副都心基盤整備事業会計は、既に破綻が明瞭になっており、見直しが必要であることから、都営住宅等事業会計は、本来、都営住宅は直営事業として行われるべきであり、独立会計となれば利用者負担を強いることにもつながることから、都市開発資金会計と公債費会計、市街地再開発事業会計は、いずれも大型開発事業を促進し、借金財政をさらに膨らませるものであるから、多摩ニュータウン事業会計は、都有地売却によるマンション紛争の多発などからして反対であり、以上の八決算に反対するものです。
 以下、項目ごとに意見を述べます。
 一、さらなる東京一極集中の環境破壊をもたらす大規模ビル開発と三環状道路計画など大型道路建設中心の都市再生を改め、都市としての成長をコントロールし、都民参加でだれもが安心して住み続けられる環境共生型のまちづくりを目指すこと。
 一、横田基地などすべての米軍施設の全面返還を日米両政府に強く申し入れること。横田基地の軍民共同使用計画は撤回すること。
 一、市町村調整・振興交付金の増額など、さらなる財政支援を行うこと。
 一、根拠法がなくなった同和事業のうち、同和問題相談員、諸集会参加費補助など、一般施策として事業を継続している同和事業を即時完全に終了すること。
 一、三宅島の避難島民に対する生活支援を初めとする災害対策を抜本的に充実させること。
 一、大型開発に偏った投資的経費を見直し、都債発行を三千億円程度に抑制し、都財政立て直しの道に踏み出すこと。
 一、都の官公需は、中小企業への発注をさらに拡大し、分離分割発注、地元優先を推進し、中小企業の受注機会を拡大すること。
 一、私学助成経常費補助の削減はやめ、経常費二分の一の補助を名実ともに堅持すること。幼稚園の経常費補助費二分の一補助を直ちに実現すること。私立幼稚園保護者負担軽減助成を充実すること。
 一、男女平等推進基本条例を実効あるものにするため、具体的施策を着実に進めること。また、DV被害者の裁判訴訟支援策の創設、被害根絶に向けた施策を充実すること。
 一、環境アセスメント条例を都民の住環境を守る立場で抜本的に改善すること。
 一、自動車公害対策に伴う融資制度やDPF装置などは、ユーザーの負担を抜本的に軽減し、柔軟に対応すること。PM、NOx両方を軽減できる装置の支援を強めること。
 一、市街地の緑と自然保護を図るとともに、保全緑地の公有化拡大と市町村への支援を強化すること。里山保全地域指定に踏み出すこと。
 一、福祉を市場原理にゆだねる改革ではなく、都として責任を持って福祉を総合的に拡充すること。そのため、福祉予算を増額すること。
 一、都立福祉施設の廃止、民間移譲計画を撤回し、都立福祉施設の継続、拡充を図ること。
 一、民間社会福祉施設サービス推進費補助を削減するのではなく、拡充すること。
 一、介護保険の保険料、利用料の減免制度を進め、充実させること。
 一、希望するすべての人が利用できるよう、特別養護老人ホームの整備目標を引き上げ、特別養護老人ホームの補助金をもとに戻し、整備促進を図ること。
 一、老人福祉手当、医療費助成など、廃止、縮小した福祉の経済的給付事業を復活すること。
 一、児童相談所を増設し、相談機能を充実させること。また、DV被害者の保護施設の増設と運営費補助を拡充すること。
 一、介助犬への補助を実施すること。
 一、多摩の保健所統廃合計画は撤回し、拡充すること。
 一、食品安全対策は、食品監視員の増員、検査機能のさらなる拡充を行うこと。
 一、地域リハビリテーション支援センターをふやし、助成を強化すること。
 一、大企業のリストラを抑制し、雇用確保を働きかけること。サービス残業は、通達の徹底と規制を強化すること。
 一、産業空洞化から都内中小企業を守り、ベンチャー企業特化でなく、産業を支える工業集積活性化事業の継続拡大や地域産業育成への支援を強化すること。
 一、融資は、国に新たな特別保証融資を求めるとともに、都の融資制度の拡充と知的財産活用など、個人補償にかわる制度の検討を行うこと。
 一、新・元気を出せ商店街事業などの一層の拡充と商業支援を希望するすべての商店街を対象に拡充すること。
 一、若年者の雇用促進と障害者の法定雇用率達成に努めるとともに、都みずからも雇用率引き上げに努めること。
 一、東京の農林水産業は、産業と環境や防災などの多面的機能を重視し、育成するための予算を確保すること。
 一、都営住宅の新規建設を再開すること。都営住宅や公社住宅の建てかえに当たっては、住民の意見を十分取り入れること。
 一、都営住宅の家賃減免制度は、もとに戻すこと。
 一、公園や生活道路の舗装、歩道整備など、生活密着型公共事業を重視し、財源を重点的に確保して推進すること。
 一、都市型水害の増大を踏まえ、国、区市町村、民間とも連携し、総合治水対策を抜本的に推進すること。
 一、多摩ニュータウンの未利用地は、民間にすべて売却するのではなく、緑地、防災、公園などに有効活用すること。売却に当たっては、周辺住民の生活環境に配慮すること。
 一、臨海副都心開発を凍結し、税金投入を中止するとともに、都民参加で見直すこと。
 一、都立四大学の統廃合は、都民、学生、教職員の意見を十分聞くこと。独立法人化は行わないこと。
 一、三十人以下学級に踏み出すこと。
 一、肢体不自由児学校の給食民間委託を中止すること。
 一、小中学校の耐震診断、耐震補強工事を促進するための都の財政支援を実施すること。
 一、フリースクールなどの実態調査を行い、支援を開始すること。
 一、子どもを中心とした学校運営の取り組みを行うこと。
 一、卒業式や入学式での日の丸、君が代押しつけをやめること。
 以上です。

○大河原委員 私は、都議会生活者ネットワークを代表して、本委員会に付託された平成十四年度の一般会計並びに特別会計決算について意見を申し上げます。
 平成十四年度一般会計歳入決算額は五兆八千四百六十三億円、歳出決算額は五兆八千百十五億円で、差し引き三百四十八億円となり、実質収支は百四十九億円の黒字でした。
 しかし、本年九月発表の普通会計決算を見ますと、実質収支は五百二十四億円の赤字で、都財政は五年連続の赤字決算となりました。
 なお、予算現額に対する収入済額の執行率は九五・八%となっています。
 当初予算は、都市再生の名のもとに開発型の投資的経費が重点予算化されています。都は、財政危機の中で都民への説明責任が大きく問われていますが、いまだ情報公開や情報提供は不十分といわざるを得ません。行政改革は常に考えていかなければなりませんが、ビジョンのない思いつきの改革であってはなりません。まず情報公開、情報提供を徹底させ、市民の視点に立った外部第三者機関による行政評価、事業評価、サービス評価を徹底して行うこと、その積み重ねの中から解決の道を探るべきであることを申し上げておきます。
 初めに、総括的な事項について述べます。
 一、事業執行に当たっては、政策形成過程の情報を公開し、複数代替案の検討を含め、市民参加のシステムを拡充すること。
 一、市民と行政のパートナーシップを促進していくために、地域の非営利の市民事業やコミュニティ事業との連携を積極的に進めること。
 一、市区町村や市民が主体的な地域ニーズに合った事業が展開できるよう、補助金の包括化、メニュー化を図ること。
 以下、各局について申し上げます。
 まず、知事本部関係についてです。
 一、都政への市民参加を拡大するため、住民投票条例、市民参加条例の制定に向け、検討を進めること。
 一、施策の透明性、客観性を高めるために、行政評価制度は第三者機関で行うシステムを確立すること。
 一、アジア大都市ネットワーク21は、知事の首長外交と都民の国際協力、市民外交のバランスをも考慮して進めること。
 一、CLAIRへの職員派遣は、引き続きアジア地域への派遣を検討すること。
 次に、総務局関係についてです。
 一、地方分権を積極的に推進し、自治立法を進めるため、政策法務室を設置するとともに職員の創造的な能力を育成すること。
 一、総合的な人権施策を積極的に推進し、とりわけ子どもの権利保障の確立に向けた取り組みを進めること。
 一、女性幹部職員の積極的登用を図ること。
 一、監理団体の改革については、都民サービスの質の向上と多様なニーズへの対応を図り、機能するバランスシートの活用と連結決算の導入などの手法を用いて改善すること。
 一、第三セクターの経営情報の公開をさらに進めること。
 次に、財務局関係についてです。
 一、公共事業など、行政目的に照らし、事前、事後を含めた施策評価及び業績評価を行い、情報を公開していくこと。
 一、導入されたバランスシートや連結決算については、対象範囲の拡大など、充実させていくこと。
 一、都の入札参加業者の格付に当たっては、障害者雇用率、ISO取得状況、男女平等推進状況、そしてNPO支援などの社会性を考慮すること。
 一、地方分権推進の立場から、東京都としても地方税財政制度の見直しを国に強く求めること。
 一、入札情報サービスシステムの適切な運用に努めるとともに、契約、入札の透明性を高めるため、落札率の公表を徹底して、都民が検索しやすい仕様に改善すること。
 一、決算の次年度予算への反映に向け、決算書の作成については、都民にわかりやすい決算資料に改善すること。
 一、建築標準仕様書、特記事項は随時改訂し、都が発注、認証する事業では、化学物質対策を徹底すること。
 次に、主税局関係についてです。
 一、地方自主財源の拡充を国に求め、課税自主権の行使として環境税導入を検討すること。
 一、NPOの事業にかかわる事業税について、国に見直しを求めること。
 次は、出納長室関係についてです。
 一、公金の適正管理に努めること。
 一、新銀行設立に関しては、十分なニーズ調査を行い、銀行設立を既定方針としないこと。
 次は、生活文化局関係についてです。
 一、食品安全確保の基本方針の理念に基づき、遺伝子組みかえ食品及び環境ホルモンなど、新しい状況に対応したリスクの未然防止の観点から関係施策を展開すること。
 一、総合的な食の安全確保に向けた条例には、消費者の権利を明記すること。
 一、男女平等社会の実現のため、間接差別の実態調査を行い、是正を図る取り組みを行うこと。
 一、東京都が設置するすべての審議会、協議会での女性委員の割合をふやし、構成目標を早期に達成すること。
 一、複雑化する消費者被害に対応するよう、消費者相談を拡充すること。
 次は、都市計画局関係についてです。
 一、都市計画関係の分権を進め、都市再生に当たっても地域のまちづくりを優先すること。
 一、総合設計制度が地域紛争を引き起こすことがないよう、事業者指導を行うこと。
 一、深刻化する建築紛争を防止するため、都独自の建築紛争対策を強化すること。
 一、節水型都市を目指し、国の過大な水源開発への参加を見直すこと。
 一、雨水貯留浸透施設など、助成事業を進めること。
 次は、環境局関係についてです。
 一、環境優先の原則を都政において展開すること。
 一、環境基本計画の目標値の点検、見直しは、市民、環境NGOと連携して進めること。
 一、総合環境アセスメント制度は、適用対象を拡大し、市民参加を進めること。
 一、保全地域の管理におけるNPOとの協働を推進すること。
 一、緑行政の総合化を進め、緑のネットワーク化を進めること。
 一、再生可能な自然エネルギーの導入に都独自の助成制度を設け、地域分散型エネルギーへの転換を積極的に進めること。
 一、発注者責任を位置づけた新たな産業廃棄物ルールの確立を検討すること。
 一、地下水、湧水を保全し、総合的な水循環を回復するため、水循環の推進に関する条例制定を検討すること。
 一、汚染井戸の周辺では、重点的な地下水調査を行って原因究明に努め、さらに、汚染の拡大を防ぐため、地下水を継続してくみ上げることをルール化すること。
 一、区市町村清掃事業年報の調査項目は、廃棄物会計の視点で充実すること。
 次は、福祉局関係についてです。
 一、仮称子どもの権利条例の制定を積極的に検討し、総合的な子どもの施策の推進と、子どもの権利を擁護する第三者機関の位置づけを明確にすること。
 一、児童虐待に対する緊急介入を迅速に進めるとともに、市民、NPOとの連携を進めること。
 また、虐待を繰り返す親に対する更生プログラムを実施すること。
 一、利用者の選択のため、保育園なども含め、すべての福祉施設について第三者機関によるサービス評価制度を義務づけ、都民がアクセスしやすい情報提供システムをつくり、質の確保に努めること。
 一、障害者の就労支援の拡充を図り、自立支援と社会参加を進めること。
 一、ひとり親の自立支援施策を関係局と連携して拡充すること。
 一、自主的に研修を行うことが困難な中小零細の訪問介護事業者に対し、コア人材養成講座など、引き続き支援を図ること。
 一、支援費制度利用者に対し、実態を把握するための満足度調査を行うこと。
 一、介護保険対象とならない高齢者の日常的な生活支援事業などを充実させ、高齢者の自立を支援し、介護予防に努めること。
 一、福祉のまちづくり地域支援事業は、さらに取り組みを継続し、市民参加によるバリアフリーの仕組みの構築を進めること。
 一、福祉の移動サービス等のNPOに対し、自動車税の減免制度を創設すること。
 一、グループホーム事業は、痴呆性高齢者や障害者のみに限定せず、ソーシャルミックスを実現する住まいとして進めること。
 次は、健康局関係についてです。
 一、遺伝子組みかえ食品、環境ホルモン、ダイオキシンなどに対応する生活実態に合った独自の調査、監視体制を整え、都民の健康を確保するためにも、情報提供、リスクコミュニケーションなどにより、未然防止の観点から効果的な施策展開を図ること。
 一、食品安全条例制定に当たっては、市民の権利を保障し、子どもガイドラインの視点を取り入れること。
 一、在宅ターミナルケアが可能となるよう、地域医療体制の整備、保健、医療、福祉のネットワーク化を進めること。
 一、医療機関のレベルアップや患者の権利保障に向け、医療機関が提供するサービス等の情報公開を進めること。
 一、難病在宅患者の支援と情報提供を市区町村と連携し、積極的に進めること。
 次に、産業労働局関係についてです。
 一、女性や高齢者の起業、創業支援策を強化し、パート労働者の権利を保障する新たな雇用ルールづくりを進めること。
 一、新しい働き方としてのワーカーズコレクティブの制度化を進めること。
 一、事業者に対し、ポジティブ・アクション・プログラムの周知と実践に努めること。
 一、農薬使用の実態調査を行うとともに、東京の特別栽培農産物の普及、生産拡大を進め、環境に配慮した都市農業を推進すること。
 次に、住宅局関係についてです。
 一、ユニバーサルデザインを取り入れたバリアフリー住宅、環境共生、省エネ住宅の建設を推進し、民間住宅への普及及び支援を図ること。
 一、住宅性能表示制度を普及させるとともに、都独自の評価項目の拡大を進めること。
 一、都営住宅跡地の再編整備は、市区町村や周辺住民との協議の上で進めること。
 一、都営住宅退去時の原状回復原則を見直すこと。
 一、都営住宅の改修、改築工事に当たっては、東京産の木材の利用を図ること。
 次に、建設局関係についてです。
 一、都市計画道路の整備に当たっては、東京圏の人口動向を踏まえた需要予測を立て、コストの公表とともに、つくらないことも含め、関係住民、自治体と協議すること。
 一、CO2削減に向けて自転車利用を進め、市区町村と連携して自転車道及び自転車歩行道の整備を進めてネットワーク化を図ること。
 一、市民緑地制度を積極的に進め、緑地の寄附に当たってかかる費用については、都の負担とすることをルール化すること。
 一、多摩ニュータウン事業の再整備においては、行政評価システムを運用し、環境保全に配慮し、自治体及び市民との協議を十分行うとともに、近隣自治体の住民にも周知と協議を行うこと。
 一、東京都発注の建設廃棄物など産業廃棄物については、減量、リサイクルを推進するとともに、最終処分地までのプロセスを把握すること。
 次に、港湾局関係についてです。
 一、中央防波堤内側、外側の利用については、森林公園としての整備を進めること。
 一、臨海開発に関連する第三セクターについては、一般財源の投入を行わず、都の責任は出資の範囲内として、都民に経営状況を公開すること。
 一、広域幹線道路など交通アクセスについて、整備量を減らし、見直しに当たっては都財政の危機的状況や他の都内道路整備との均衡を考え、将来世代への負担を残さないようにリスクを最小限に抑えること。
 一、公園づくりと維持管理は、NPOとの協働で行うこと。
 次に、都立大学管理本部関係についてです。
 一、都立の大学運営に当たっては、地域や社会人に積極的に開かれたものにしていくこと。
 一、大学改革に当たっては、学生、職員、広く都民の意見を聞き、進めること。
 一、新大学の構想に当たっては、ユニバーサルデザインやジェンダーバランスに基づく視点での取り組みを図ること。
 次に、選挙管理委員会事務局関係についてです。
 一、選挙事務の執行に当たっては、投票率の向上に向け、関係各機関と十分連携して取り組むこと。
 一、障害者への情報格差の是正に努め、投票所のバリアフリー化を進めること。
 最後に、教育庁関係についてです。
 一、子どもの権利条約の精神を十分に生かした教育行政を行うこと。
 一、教育の分権を進め、教育委員会の意思形成過程を含む情報公開の拡充を図ること。
 一、学校評議員制度、学校連絡協議会は、地域の独自性を生かした仕組みにし、教師、保護者、地域、とりわけ子どもの学校運営への参加を進めること。
 一、都立高校改革は、学ぶ人の権利を第一に考え、当該校の生徒、PTA、地域住民など関係者との合意を十分に図ること。
 一、学校や教職員の評価に子どもの意見を聞く仕組みをつくること。
 一、教育現場でのジェンダーフリーを実現すること。
 一、いじめ、不登校、スクールセクシュアルハラスメントの問題解決を図るとともに、子どもの権利擁護システム等、子ども施策関係機関との連動を進めること。
 一、都内公立学校で学ぶ外国人児童生徒の人権とアイデンティティーに配慮し、真の国際化を進めること。
 一、ユニバーサルデザインの取り組みや人的配置など、条件の整備を進め、教育でのインクルージョンを推進すること。
 以上で、都議会生活者ネットワークを代表しての意見開陳を終え、平成十四年度の一般及び特別会計決算を認定することを表明して、終わります。

○新藤委員長 以上で意見開陳を終わります。
 なお、本決算の認定に付す意見案文の作成につきましては、理事会にご一任願いたいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○新藤委員長 異議なしと認めます。そのように決定いたしました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
    午後二時三十一分散会

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