各会計決算特別委員会第三号

平成十五年十一月十二日(水曜日)
第十二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 二十九名
委員長新藤 義彦君
副委員長串田 克巳君
副委員長和田 宗春君
副委員長前島信次郎君
理事吉原  修君
理事山田 忠昭君
理事清水ひで子君
理事藤井  一君
理事野田 和男君
理事河西のぶみ君
東村 邦浩君
北城 貞治君
河野百合恵君
長橋 桂一君
小磯 善彦君
山加 朱美君
酒井 大史君
三宅 茂樹君
こいそ 明君
新井美沙子君
樋口ゆうこ君
松村 友昭君
丸茂 勇夫君
比留間敏夫君
大河原雅子君
中村 明彦君
立石 晴康君
清原錬太郎君
藤川 隆則君

欠席委員 二名

 出席説明員
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
東京都技監建設局長兼務小峰 良介君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長櫻井  巖君
主税局長川崎 裕康君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
福祉局長幸田 昭一君
健康局長平井 健一君
産業労働局長有手  勉君
中央卸売市場長森澤 正範君
住宅局長高橋  功君
港湾局長成田  浩君
大学管理本部長山口 一久君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
人事委員会事務局長高橋 和志君
地方労働委員会事務局長久保田経三君
監査事務局長松澤 敏夫君
収用委員会事務局長山内 隆夫君
議会局長岡田 重信君
警視庁総務部長佐藤 正夫君
消防総監白谷 祐二君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・平成十四年度東京都一般会計決算
・平成十四年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十四年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
・平成十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十四年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十四年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十四年度東京都と場会計決算
・平成十四年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十四年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十四年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十四年度東京都用地会計決算
・平成十四年度東京都公債費会計決算
・平成十四年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
・平成十四年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十四年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算

○新藤委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 また、去る十月八日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元に配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十四年度各会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十四年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十五年十月二十八日
  平成十四年度各会計決算特別委員会
  第一分科会委員長 串田 克巳
 平成十四年度各会計決算特別委員長
 新藤 義彦殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、九月二十六日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十四年度東京都一般会計決算中、知事本部、総務局、財務局、主税局、出納長室、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
・平成十四年度東京都特別区財政調整会計決算
・平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
・平成十四年度東京都地方消費税清算会計決算
・平成十四年度東京都用地会計決算
・平成十四年度東京都公債費会計決算
(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月八日(説明・資料要求)出納長室、財務局、主税局、知事本部、警視庁、東京消防庁
十月十日(説明・資料要求)総務局、人事委員会事務局、監査事務局、選挙管理委員会事務局、収用委員会事務局、議会局
十月十七日(質疑)出納長室、主税局、収用委員会事務局
十月二十日(質疑)警視庁、東京消防庁、財務局
十月二十二日(質疑)知事本部、選挙管理委員会事務局、議会局
十月二十四日(質疑)総務局、監査事務局、人事委員会事務局
2 本分科会における質疑の概要
(1)知事本部所管分
〔1〕米国における危機管理調査委託等について
〔2〕財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の概要及び活動内容について
〔3〕CLAIRへの分担金の財源及びその使途について
〔4〕CLAIR海外事務所への都職員の派遣状況と帰国後の活用事例について
〔5〕平成十四年五月に実施した首都移転反対活動の内容について
〔6〕首都移転についての国の動きに対する都の評価と今後の動向について
〔7〕完全な首都移転の白紙撤回に向けた都の取組について
〔8〕都における行政評価制度と他府県の行政評価について
〔9〕行政評価について一次評価と二次評価が異なる事業等について
〔10〕平成十三、十四年度行政評価ホームページへの意見等アクセス件数について
〔11〕外務課が所管する都市外交に関する基本的な考えと事業内容について
〔12〕平成十四年度重要施策における治安関係の事業内容について
〔13〕東京の治安回復に関する総合的な施策の推進について
〔14〕空き交番の発生問題とその解決策について
〔15〕アジア大都市ネットワーク21の設立と具体的な取組について
(2)総務局所管分
〔1〕電子都庁の推進について
〔2〕都における情報機器導入に係る契約方法等について
〔3〕電子申請の有効活用と都民の利便性について
〔4〕都民に対するIT講習会の周知と実施状況について
〔5〕多摩振興調整交付金及び多摩格差について
〔6〕監理団体の改革と都庁改革プランについて
(3)財務局所管分
〔1〕財産利活用総合計画の目的、内容、達成状況等について
〔2〕定期借地制度及び定期借家制度の適用実績について
〔3〕新たな財産利活用を目指した計画の策定について
〔4〕平成十四年度最終補正予算の内容と投資的経費について
〔5〕首都高速道路公団への出資金及び貸付金について
〔6〕国直轄事業負担金の見直しについて
〔7〕東京都建築工事標準仕様書と化学物質対策について
〔8〕公共施設の室内環境及び空気環境測定について
〔9〕契約時から竣工納品に至るまでの化学物質対策の徹底について
(4)主税局所管分
〔1〕小規模住宅用地にかかわる固定資産税、都市計画税の減免について
〔2〕七割評価に関する最高裁判決の概要と固定資産税の見直しについて
〔3〕課税、徴収両面にわたる都独自の取組について
〔4〕新築住宅に対する固定資産税、都市計画税の減免について
〔5〕都税徴収率の向上と滞納繰越額の圧縮に向けた取組について
〔6〕税源移譲の実現に向けた都のこれまでの取組と今後について
〔7〕銀行業に対する外形標準課税導入の高裁判決と均衡要件について
〔8〕宿泊税制度の概要及び同税の使途のPR等について
〔9〕宿泊税の平成十四年度決算と十五年度予算の概要について
(5)出納長室所管分
質疑なし
(6)選挙管理委員会事務局所管分
〔1〕全国の自治体における電子投票の実施状況について
〔2〕岐阜県可児市で実施された電子投票システムのトラブルについて
〔3〕電子投票の早期導入に向けた都選管の取組について
〔4〕区市町村に対する電子投票導入への都選管の働きかけについて
(7)人事委員会事務局所管分
〔1〕公平審査の係属案件の傾向及び処理期間について
〔2〕公正かつ迅速な公平審査の審理に向けた取組について
〔3〕都における管理職選考制度の概要と実施状況について
〔4〕人事委員会事務局における経費節減努力について
(8)監査事務局所管分
質疑なし
(9)収用委員会事務局所管分
〔1〕圏央道あきる野市内の土地収用にかかわる審理経過について
〔2〕指名委員制度による収用事件処理について
〔3〕土地収用法の改正内容及び審理のあり方の変更について
〔4〕圏央道八王子ジャンクション部分における収用事件の概要と経過について
〔5〕平成十四年度の収用事件取扱い件数と事業内容について
〔6〕収用委員会の広報について
(10)議会局所管分
質疑なし
(11)東京消防庁所管分
〔1〕二十三区の消防団の存在意義と活性化方策について
〔2〕消防団分団施設の整備改善について
〔3〕新宿区歌舞伎町雑居ビル火災後の類似雑居ビル火災の再発防止について
〔4〕小規模雑居ビルに対する特別査察と立入り検査の実施について
〔5〕消防法令及び火災予防条例の改正について
〔6〕高層建築物の防火安全対策の徹底について
〔7〕都内の特定及び準特定屋外タンクの現状について
〔8〕特定及び準特定屋外タンクの耐震基準と法令規制について
(12)警視庁所管分
〔1〕警視庁の空き交番の現状と警察官を配置するための予算概要等について


平成十四年度各会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十四年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十五年十月二十八日
             平成十四年度各会計決算特別委員会
             第二分科会委員長 前島信次郎
 平成十四年度各会計決算特別委員長
 新藤 義彦殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、九月二十六日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十四年度東京都一般会計決算中、大学管理本部、生活文化局、福祉局、健康局、教育庁所管分
・平成十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
・平成十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月八日(説明・資料要求)福祉局、健康局
十月十日(説明・資料要求)教育庁、大学管理本部、生活文化局
十月十七日(質疑)福祉局
十月二十日(質疑)健康局
十月二十二日(質疑)教育庁
十月二十四日(質疑)生活文化局、大学管理本部
2 本分科会における質疑の概要
(1)大学管理本部所管分
〔1〕新しい大学の構想について
〔2〕大学における人材育成について
〔3〕大学改革について
〔4〕人件費について
(2)生活文化局所管分
〔1〕青少年の健全育成対策について
〔2〕消費者被害防止及び悪質業者規制について
〔3〕ヘブンアーティスト事業について
〔4〕消費生活総合センターの一元化の現状について
〔5〕DV防止対策について
〔6〕男女平等参画施策について
〔7〕江戸開府四百年事業について
〔8〕東京ウイメンズプラザの利用について
〔9〕広報施策について
〔10〕私学助成について
(3)福祉局所管分
〔1〕介護保険について
〔2〕養育家庭制度について
〔3〕障害者地域生活移行支援事業について
〔4〕福祉局所管の職員住宅の使用状況について
〔5〕特別養護老人ホームについて
〔6〕DV対策と女性保護施設の現状について
〔7〕児童虐待対策について
〔8〕福祉費の不用額について
〔9〕心身障害児の医療費助成について
〔10〕児童相談所の充実強化について
〔11〕盲導犬給付事業について
(4)健康局所管分
〔1〕小児初期救急医療について
〔2〕ウイルス肝炎対策について
〔3〕輸入食品の安全対策について
〔4〕小児医療対策について
〔5〕在宅難病患者訪問看護事業について
〔6〕NICUの整備について
〔7〕精神障害者通所授産施設の運営費補助について
〔8〕神経難病医療ネットワーク事業について
〔9〕リハビリテーション医療について
〔10〕精神障害者施策について
〔11〕大気汚染保健対策について
〔12〕重度障害児の医療対策について
(5)教育庁所管分
〔1〕都立学校の施設整備について
〔2〕中高一貫教育の導入について
〔3〕スクールカウンセラーの配置について
〔4〕少人数指導について
〔5〕ティーチングアシスタント事業について
〔6〕学校施設の耐震化について
〔7〕養護学校のスクールバスについて
〔8〕養護学校の調理業務委託について
〔9〕心身障害教育について
〔10〕三十人学級について
〔11〕夜間の都立高校施設開放について
〔12〕フリースクールについて
〔13〕高尾自然科学博物館について


平成十四年度各会計決算特別委員会 第三分科会審査報告書

 第三分科会で行われた平成十四年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十五年十月二十八日
             平成十四年度各会計決算特別委員会
             第三分科会委員長 和田 宗春
 平成十四年度各会計決算特別委員長
 新藤 義彦殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1)本分科会は、九月二十六日に設置され、次の案件を審査した。
・平成十四年度東京都一般会計決算中、都市計画局、環境局、産業労働局、住宅局、建設局、港湾局、地方労働委員会事務局所管分
・平成十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
・平成十四年度東京都農業改良資金助成会計決算
・平成十四年度東京都林業改善資金助成会計決算
・平成十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
・平成十四年度東京都と場会計決算
・平成十四年度東京都都営住宅等事業会計決算
・平成十四年度東京都都営住宅等保証金会計決算
・平成十四年度東京都都市開発資金会計決算
・平成十四年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
・平成十四年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
・平成十四年度東京都市街地再開発事業会計決算
・平成十四年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算
(2)本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
十月八日(説明・資料要求)中央卸売市場、港湾局、産業労働局、建設局
十月十日(説明・資料要求)都市計画局、環境局、住宅局、地方労働委員会事務局
十月十七日(質疑)住宅局、建設局
十月二十日(質疑)都市計画局、港湾局
十月二十二日(質疑)中央卸売市場、産業労働局
十月二十四日(質疑)環境局、地方労働委員会事務局
2 本分科会における質疑の概要
(1)住宅局所管分
〔1〕都営住宅の建替事業について
〔2〕都営住宅の区市町村への移管について
〔3〕都営住宅の役割について
〔4〕都営住宅の駐車場について
〔5〕公共事業を行う際の都営住宅のあっせんについて
〔6〕都営住宅のエレベーター設置について
〔7〕都営住宅の原状回復義務について
〔8〕都営住宅の空き店舗のNPO等への貸出しについて
〔9〕都営住宅の不適正使用について
〔10〕都営住宅の再編整備について
〔11〕地域住宅対策費について
〔12〕都民住宅制度について
〔13〕住宅供給公社営繕工事関連制度について
〔14〕多摩産木材の使用について
(2)建設局所管分
〔1〕多摩ニュータウンの街路整備について
〔2〕坂浜平尾土地区画整理事業の見直しについて
〔3〕多摩ニュータウンのまちづくりについて
〔4〕多摩ニュータウン十九住区の土地利用について
〔5〕多摩地域における都市公園の整備について
〔6〕市民緑地制度について
〔7〕直轄事業負担金について
〔8〕動物園協会への管理委託業務について
〔9〕京浜急行連続立体交差化事業について
〔10〕小田急線連続立体交差化事業について
〔11〕鉄道会社に対する都の姿勢について
(3)都市計画局所管分
〔1〕多摩の「心」育成整備計画について
〔2〕多摩都市モノレールについて
〔3〕特定都市河川浸水被害対策法について
〔4〕バスロケーションシステムについて
〔5〕羽田空港再拡張計画について
〔6〕首都高速道路公団の貸付金等について
〔7〕総合設計制度について
〔8〕建築確認について
〔9〕大規模用地に係る都市計画上の配慮について
(4)港湾局所管分
〔1〕お台場海浜公園の海水浄化実験について
〔2〕港湾物流の円滑化について
〔3〕三宅島の復旧・復興への取組について
〔4〕高速船の就航率向上と島しょの港湾整備について
〔5〕海上公園事業のNPOとの連携等について
〔6〕公園整備におけるリサイクル等について
〔7〕東京港への外国船籍の入港について
〔8〕東京港の保安対策について
(5)中央卸売市場所管分
〔1〕BSE対策について
〔2〕施設整備及び業務改善について
〔3〕と場のカラス対策について
(6)産業労働局所管分
〔1〕信用保証制度について
〔2〕中小企業制度融資について
〔3〕中小企業の金融について
〔4〕商店街振興対策について
〔5〕商店街の法人化について
〔6〕商店街振興等の補助金について
〔7〕観光振興対策について
〔8〕観光情報の提供について
〔9〕シティーセールスについて
〔10〕多摩の観光振興について
〔11〕伊豆諸島の漁業支援について
〔12〕区市町村と連携した創業支援について
〔13〕三宅島「げんき農場」、三宅村「ゆめ農園」について
〔14〕ポジティブアクションプログラムについて
〔15〕労働相談について
(7)環境局所管分
〔1〕固有種の保護等と自然環境の保全について
〔2〕CNGスタンド、LPGスタンドの整備について
〔3〕卓上ボンベ・スプレー缶の収集・処理について
〔4〕清掃事業の自治体への支援について
〔5〕屋上緑化について
〔6〕廃棄物焼却施設のダイオキシン類対策について
〔7〕地球温暖化対策について
〔8〕ディーゼル車規制について
〔9〕大気汚染対策について
〔10〕高層建築物の環境アセスについて
〔11〕廃棄物の処理コストについて
〔12〕地下水の汚染調査について
(8)地方労働委員会事務局所管分
〔1〕中小企業の労使紛争について
〔2〕不当労働行為の審査について


○新藤委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご決定いただきました委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了時間五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるよう、お願いいたします。
 なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますよう、お願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 北城貞治委員の発言を許します。

○北城委員 まず、財政問題からお聞きをいたします。
 十四年度の決算を見ますると、実質収支は五百二十四億円の赤字で、五年連続の赤字となったわけであります。赤字額は、前年度の百億円に対しまして、大幅に拡大をしたわけであります。また、経常収支比率の関係でありますけれども、前年の九二・四%から九六・九%に悪化をしたわけであります。依然として東京都の財政は厳しく、その再建はまさに道半ばといったところであるという感を改めて強く持ったところであります。
 懸案の財政再建につきましては、先日発表されました第二次財政再建推進プランによりますと、十六年度予算から新たな取り組みに移るということになったわけでありますが、このプランの方向は総論において我が党の主張と合致し、評価をしたい、こんなふうに思っております。
 ただ、プランはあくまでもプランであり、それをどのように具体化をしていくかが問題であります。今後、説得力のある具体案を強く求めておきたい、こんなふうに思っております。
 さて、第一次の財政再建推進プランの取り組みでは、内部努力で千六百六十九億円、施策の見直しで二千四百二十九億円の巨額の財源が確保されたわけでありましたが、改めてお伺いをしますが、歳出の見直しも進んでいながら、十四年度決算が前年度より悪くなったことをどのように分析しているのでしょうか、お伺いをいたします。

○櫻井財務局長 前年度の十三年度は、都税収入が堅調であったことに加えまして、都立大学跡地などの売却によりまして、五百億円以上の臨時収入など、収支を黒字方向に導く特殊要因がありまして、赤字額が百億円にとどまったわけでございます。
 一方、十四年度でございますけれども、景気低迷を背景としまして、企業収益の悪化によりまして、当初予算での都税収入が、十三年度に比べまして三千六百億円も減少する厳しいスタートとなりました。決算額では、さらにそれを七百億円下回る結果となりました。
 このような中にありまして、都民サービスの維持向上を図るために、一定の歳出水準、こういうものを確保したわけでございまして、この結果、赤字幅が拡大したものでございます。
 なお、都財政は五年連続の赤字決算となりましたけれども、十一年度、十四年度と通じて見れば、赤字額は減少基調にございます。これは、財政再建の取り組みによりまして、十年度に生じました赤字を着実に解消してきている結果と考えております。

○北城委員 今、答弁がありましたように、税収が低迷をした。第一次プランの取り組みを進めても、なお財政再建が道半ばなのは極めて残念であります。法人二税に左右される不安定な税収構造を如実に露呈したのが今回の決算結果であり、ある意味では東京都の宿命であるということを強く思ったところであります。だからこそ、徹底したさらなる内部努力が必要なわけであります。
 一方、十七年度には一般外形標準課税が導入され、また今後、三位一体の改革の中で、税源移譲が具体的日程に上がってくるでありましょう。こうした中で、国の財政再建を優先する財務省が、三位一体の改革を国の財政健全化の手段とする動きもあることから、東京都としましても、しっかり対応し、東京が必要とする財源をきちんと確保することが重要だと考えます。
 そこでお伺いしますが、これまで東京都では三位一体の改革の動きにどのように対応してきたのでありましょうか。また、今後、国に対して、三位一体の改革を真に地方のためになるものとするよう主張していくべきと考えますが、所見をお伺いしたいと思います。

○前川知事本部長 本年六月に、国が三位一体改革に関する基本方針を示したわけでありますが、その中では、国庫補助負担金の削減と基幹税の移譲が明記されておりまして、改革に向けて一歩を踏み出した感はあるわけであります。
 しかしながら、これもご承知のとおり、税源移譲の内容とか、あるいは移譲税目が明らかでないなど、抽象的で具体性に乏しいものでありまして、また大都市特有の財政需要への言及もなく、不十分な内容といわざるを得ないと考えております。
 そこで、都はこれまでも、こうした観点から、八都県市の首脳会議などを通じまして意見表明を行いまして、国と地方の税源配分を改め、地方税財源の充実強化を図るよう、国に対して強く要求をしてまいりました。
 今後とも、速やかに税源移譲を実現すること、また移譲に当たっては、首都圏の再生や環境対策など膨大な財政需要に的確に対処するため、東京を初めとする大都市への税源配分に十分配慮すること、こういったことを国に対して強く要求していく考えでございます。

○北城委員 次に、公有財産の利活用についてお伺いしたいと思います。
 財政委員会におきまして再三指摘をしたところでありますけれども、南青山一丁目団地建てかえプロジェクトの例のように、東京都が保有する財産を東京都政が抱える問題の解決にどのように活用していくか、今まで以上に重要な視点となっていくと私は思っております。これまで財産の利活用をどのように図ってきたのか、改めてお伺いをします。

○櫻井財務局長 都は、平成十二年度に財産利活用総合計画を策定しまして、事務所などの空き床、未利用地などを把握しまして、それらの具体的な活用策を提示してきたところでございます。この結果、これまでに、各局が所管する未利用地の約一五%を転活用するとともに、一千四百億円以上の売却実績を上げてまいりました。
 お話のありました南青山一丁目団地建てかえプロジェクトでも、老朽化した都営住宅の建てかえに際しまして、民間の力を最大限に活用して、都営住宅と民間施設を一体的に整備していくこととしたものでございます。
 また、すぐれたアイデア、技術を持つベンチャー企業などに対しまして、都有地を活用した新たな貸し付けを行うなど、都政が抱える課題に対応するための多様な財産の利活用を進めてまいりました。

○北城委員 今後、事務事業の見直しがさらに進んでいきますと、東京都の保有する未利用財産もさらに増加をすることは明らかであります。しかし、この未利用資産を各局が囲ってしまったのでは全く意味がないわけであります。さきの第三回定例会の代表質問でも、我が党の大西幹事長が指摘をしたように、セクト主義の打破がポイントであると私は思っております。
 第二次財政再建推進プランにも出てまいりましたが、これまでの実績を踏まえつつ、今後、組織の垣根をまたぎ、より効果的な利活用を図っていく必要があると思いますが、どのような取り組みを行っていくのか、お伺いをしたいと思います。

○櫻井財務局長 ご指摘のとおり、今後、事務事業の見直しやサービスの提供方法などの改善に取り組む中で、未利用資産もさらに増加し、これまでの活用の形態も大きくさま変わりしていくものと考えております。このため、現在、新たな財産利活用を目指しました計画の策定に向け、鋭意検討を進めております。
 この計画では、施策の見直しや、それに伴う執行体制など、今後の都内部の動向等を踏まえまして、局や事業の壁を超えて、全庁的な視点から、財産活用の新たな仕組みについて考えてまいります。

○北城委員 次に指摘をしておきたいことは、財政再建を果たす上で大切な姿勢は、歳出削減一辺倒になるのではなくて、将来を見据えながら、東京の再生や東京の活性化を実現していくことに十分に配慮していくことであろうと私は思っております。すなわち、単年度の収支のみならず、中長期的な視点を持って財政再建を果たしていかなければならないわけであります。
 そこで、十四年度決算や、これまでの財政再建の取り組みの成果を引き継ぎつつ、中長期的な視点を持って財政再建に取り組んでいくことにつきまして、局長の決意を改めてお伺いをしたいと思います。

○櫻井財務局長 財政再建の目的は、新たな都民ニーズにこたえ、東京の活力を呼び戻す先進的な取り組みを進めていくために、強固で弾力的な財政体質を確立することにございます。したがって、ご指摘のとおり、単なる収支の均衡を目指して、歳出削減のみを進める取り組みであってはならない、このように考えております。
 このため、新たな財政需要に的確にこたえていくためには、内部努力を一層徹底するとともに、既存の施策の見直し、必要性の薄れた事業を廃止縮小して、財源を確保していくことが不可欠であり、都は厳しい施策の選択を迫られております。
 このように、都民サービスの維持向上を図る取り組みは、中長期的な課題や構造的な課題の解決とともに、普遍的に行っていく必要がありまして、第二次財政再建推進プランにもそうした視点を盛り込んだところでございます。
 今後、各局と連携協力しながら、財政運営に当たりますとともに、これまで以上に積極的に財政構造改革に努めてまいります。

○北城委員 ぜひそのような姿勢での対応を強くお願いをしておきたい、こんなふうに思っております。
 次に、銀行業等に対する外形標準課税に関しましてお伺いしたいと思います。
 銀行外形訴訟につきましては、第三回定例会で改正条例が承認をされ、去る十月八日に最高裁において訴訟上の和解が成立したわけでありますが、訴訟が提起されてから約三年、ようやく最終的な決着を見たわけであります。
 そこで、今回の改正では、銀行外形は税率が〇・九%に下がるとともに、地方税法の改正に伴い、課税期間が当初予定の五年から四年に短縮されたわけであります。この結果としまして、四年間でどのぐらいの税収が確保できるのか、あわせてまた、東京都は今回の決着をどのように評価されているのか、お伺いしたいと思います。

○川崎主税局長 改正後の銀行業等に対する外形標準課税により、四年間で約一千二百六十億円が確保できます。
 また、最高裁において訴訟上の和解が成立し、銀行外形が適法、有効な条例として認知されたことは、地方の課税自主権を確立する上で、大変大きな意義を有するものと考えております。

○北城委員 確かに、今ご答弁がありましたように、銀行外形は、課税自主権を確立する上で、国や他の自治体に大きなインパクトを与えたわけでありますけれども、それでも中央集権的な現行の地方税財政システムに風穴をあけたかどうかといいますと、甚だ疑問であります。残念ながら、到底そこまでは至っていないというのが実情ではないでしょうか。
 地方の自主財政基盤を確立するためには、国から地方への税源の移譲が不可欠と考えますが、東京都は、地方主権の時代にふさわしい地方税制を構築するため、今後、どのような取り組みを行っていくつもりなのか、所見をお伺いしたいと思います。

○川崎主税局長 地方主権を確立するためには、何よりも、自治体がみずからの責任と判断で自主的な行財政運営ができるよう、税源を国から地方へ移譲することが不可欠であります。また、都の条例を契機として、国の外形標準課税が導入されましたが、外形課税部分の割合が四分の一とされるなど、必ずしも自治体の総意を満たしたものとはなっておりません。
 今後とも、都議会のご協力をいただき、都税調を活用しながら、地方主権の時代にふさわしい地方税制のあり方について検討してまいります。

○北城委員 私ども自民党も、最大会派の責任において、一緒に努力をさせてもらいたいな、こんなふうに思っております。
 次に、監理団体改革についてであります。
 国、地方に限らず、いわゆる外郭団体は、一たん設立されますと、周辺環境の変化に応じて見直されることが少なく、お役所体質がそのまま持ち込まれる結果、経営が破綻し、多額の財政支援を受けざるを得なくなるといった例は珍しくないわけであります。そのような意味で、石原都政が監理団体改革にいち早く取り組んだことは、高く評価するものであります。
 しかしながら、最近の地方自治法改正により、従来、監理団体等のみに限られていた公共施設の管理運営が民間に開放されるほか、今後、公益法人制度改革が予定されるなど、都の監理団体を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。これらの変化を踏まえ、今後の監理団体改革のあり方につきまして、何点かお伺いしたいと思います。
 まず、監理団体改革実施計画は、今年度、計画の最終年度を迎えたわけでありますが、計画に掲げられた目標の現時点での達成状況についてお伺いをしたいと思います。

○赤星総務局長 お答え申し上げます。
 監理団体改革実施計画では、団体数、都財政の支出額及び職員数につきまして、数値目標を掲げまして見直しに取り組んでおります。
 団体数では、目標どおり、六十二団体を四十七団体としております。また、都の財政支出額につきましては、平成十一年度との対比でございますけれども、七百二十億円減の目標に対しまして、十四年度決算ベースで九百六十七億円を削減しております。また、職員数では、九百五十人削減の目標に対しまして、十五年八月一日現在、一千六百八十三人の減となっております。

○北城委員 今、数字が明らかになったわけでありまして、改革は着実に実施されてきているようであります。ただ、監理団体改革は、これで終了したと考えるべきではなくて、むしろ依然として厳しい東京都の財政を踏まえながら、なお一層の改革が必要であるということは論をまたないわけであります。
 冒頭申し上げましたように、公共施設の管理運営の民間開放や、公益法人制度改革の動きなど、監理団体を取り巻く環境が急速に変化をしている状況において、今後の監理団体は何を目指し、どのような改革を進めていくのか、お伺いをしたいと思います。

○赤星総務局長 監理団体改革は、都の行財政改革の大きな柱の一つでございまして、これまでも全力を挙げて取り組んでまいりましたけれども、今後も、都財政支出額や職員数の削減など、一層の経営効率化に取り組んでまいります。
 さらに、民間との競い合いの中で、監理団体みずからがこれまで以上に経営改革に取り組みますとともに、都といたしましても、利用料金制度の拡充や経営目標の達成度評価制度の強化など、努力した団体が報われる仕組みを構築し、自立的経営の確立を目指し、より高いレベルの改革を進めてまいります。

○北城委員 屋上屋を重ねるつもりはございませんけれども、大切な視点は、監理団体改革はこれで終了してはいけないという強い気持ちを持ってもらいたい、こんなふうにお願いをしておきますし、また実行してもらいたい。また、より高いレベルでの改革を強く求めておきたい、こんなふうに思っておりますので、さらなるご努力をお願いしたい、こんなふうに思っております。
 次に、職員定数についてお伺いしたいと思います。
 まず申し上げたいことは、血のにじむような努力で頑張っておられまする中小零細事業者の思いを考えたときに、単に補助金や投資的経費を削減するような安易な財政再建の手法は、断じて許されるわけがないわけであります。何よりもまず、東京都の職員みずからがその痛みを共有し、都みずからの内部努力を徹底的に行い、執行体制の抜本的な見直しを行うことが必要不可欠であると確信をいたします。
 そこでまず、未曾有の財政危機を招いた美濃部都政末期からこれまでの、東京都の職員定数削減の取り組みについてご説明をいただきたいと思います。また、他の道府県での取り組みについて、あわせてお伺いしたいと思います。

○赤星総務局長 都は、昭和五十四年度の第一次行政改革を始まりといたしまして、継続的に定数の削減に取り組んでまいりました。その結果、都全体の職員定数でございますが、昭和五十四年度の二十二万三百三十三人が、平成十五年度には十七万四千九百五十人となりまして、この間、四万五千三百八十三人、二〇・六%の削減が行われました。また、知事部局等に限ってみますと、事務移管も含めますが、五万八千百二十八人が三万二千八百二人となり、二万五千三百二十六人、四三・六%の削減となっております。
 この間の主要な道府県の知事部局の定数削減率は、平均で四%程度、最大で一二%程度となっております。

○北城委員 職員定数がふえ続けてきた美濃部都政時代から一転して、東京都がぜい肉をそぎ落とす努力を重ねてきたこと、また、他の道府県等々と比較しても積極的に進めてきたことは、一定の理解をさせてもらいました。
 これまでの定数削減の状況から判断をしますると、昭和五十四年度当初は比較的容易であった職員定数の見直しも、相当の困難性を伴う段階に入ってきていることは推測できるところでありますけれども、しかし、さらなる職員定数の削減を断行することこそが、東京都に課せられた責務であると私は確信をいたします。
 そこで、第一次財政再建推進プランでは、目標を上回る五千八百七十五人を削減するとともに、第二次プランではさらに四千人の削減目標を設定しておりますけれども、石原都政になってから、どのような手法や工夫により定数削減を行ってきたのか、お伺いしたいと思います。

○赤星総務局長 石原都政になってからの特徴的な取り組みでございますけれども、まず第一に、定数について聖域なき見直しを行いますとともに、財政計画と定数削減計画を統合いたしまして、財政再建推進プランの中に位置づけ、総合的に取り組むことといたしまして、明確な定数削減目標を設定したこと。第二に、間接部門でございます管理事務部門につきましては、組織再編にあわせまして事務部門のスリム化を図りますとともに、新たな工夫といたしまして、一〇%のマイナスシーリングの取り組みなどを行ったこと。第三に、事業部門につきましては、施策の見直しだけでなく、民間でできることは民間で行うという公民の役割分担を徹底し、民間事業者への委託化を着実に進めてきたことなどが掲げられます。

○北城委員 定数削減に当たりましては、さまざまな取り組みを行ってきたことは評価をしますが、重要なことは、都民サービスを低下させないという視点であります。今後は、例えば間接部門でありまする管理事務を可能な限り集中化することにより、一層の効率化を図るとか、アウトソーシングでも、従来のやり方だけではなくて、新たに制度化されました指定管理者制度などを活用し、さらなるアウトソーシングに取り組んでいくことなど、新たな発想でのさまざま手法を構築し、都民サービスの向上につながる形での積極的な取り組みを期待しておきたい、こんなふうに思っております。
 ただ、一言重ねてお願いをしたいことは、内部努力なくして財政再建はあり得ないと思っております。やはり、内部努力の最たるものは職員定数の削減であり、第二次財政再建推進プランで四千人の削減目標を掲げましたけれども、四千人というような目標にこだわらず、絶えず高い水準でのご努力をお願いしたい、こんなふうにお願いをしておきます。
 次に、平成十四年度に実施した知事本部の施策としまして、地方自治制度のあり方に関する調査研究に挙げられております中での、特に首都圏の広域連携の重要性についてお伺いをしたい、こんなふうに思います。
 首都圏の広域連携といたしましては、本年十月のディーゼル車の排ガス規制があります。これは一都三県が同時期に条例を制定したものであり、広域連携の画期的な例であります。今後も、このような広域的な視点に立って、首都圏レベルでの施策の展開が必要であると考えます。
 首都圏といいましても、地域特性などの利害関係が相反するものもありますし、そして都県を超えて発生する広域的な行政課題は、いずれも都市活動や住民生活にとって深刻な影響を及ぼすものであり、その影響が最も顕在化するのが首都東京であります。したがいまして、広域的課題に対しては、東京都が率先して取り組む必要があるということは論をまたないわけであります。
 そこで、八都県市首脳会議における広域的な施策に関する取り組みにおきまして、東京都はどのような役割を果たしてこられたのか、所見をお伺いしたいと思います。

○前川知事本部長 首都圏におきましては、交通、環境、防災、こういった単独の自治体では解決が困難であって、都県域を超えて広域的な対応を必要とするさまざまな課題が山積しているわけでございます。
 私ども八都県市では、こうした課題につきまして、力を合わせて取り組みまして、広域防災対策の連携あるいはお話のディーゼル車の規制など、大きな成果を上げてきたと考えております。
 こうした取り組みを進める中で、私ども東京都は、各県市に対しまして、率先してさまざまな提案を行い、また働きかけを行ってきた、そういうふうに考えております。

○北城委員 今ご答弁がありましたように、東京都は、八都県市首脳会議の場におきまして、これまでさまざまな提案をされてきたわけでありますが、そこにはさまざまな利害の対立もあり、残念ながら具体的な施策となってこなかったわけであります。先ほどの排ガス規制は、東京都の努力がようやく結実したものといえると思うわけであります。
 こうした中で、八都県市首脳会議のような合議体による自治体間連携をさらに一歩進め、地方自治法上の広域連合の制度を活用して、首都圏連合を創設するべきとの主張が神奈川県の知事から提唱されておりまして、新聞報道によりますと、明日、八都県市首脳会議の席上において、正式に提案をなさるというような報道がありました。
 もちろん、このような中長期を見据えた広域行政の仕組みについて議論をしていくことは大切でありますけれども、形にとらわれる余り、広域的な行政課題に対する取り組みがおろそかになったのでは本末転倒であると私は思っております。
 今最も必要なことは、問題を先送りすることが許されない今日、広域的な視点に立脚した行政運営につきまして、実効性のある体制づくりを構築することが必要不可欠であると考えます。すなわち、八都県市相互間での情報交換を密にするとともに、事務局による調整機能の強化を図るなどにより、連携をより一層緊密なものとして、環境、交通、災害、危機管理といった、今まさに差し迫っている課題に目を向け、真摯な対応を図ることこそが重要であると考えますが、所見をお伺いしたいと思います。

○前川知事本部長 ただいまお答えをいたしましたように、八都県市では、さまざまな広域的課題について、これまで現実に多様な共同の取り組みを行ってきたわけであります。
 これもお話にございましたが、私どもとしては、今重要なことは、目前に差し迫ったいろんな課題に対しまして、現実的な取り組みをこれまでの成果を踏まえて行うこと、これが重要であるというふうに考えております。
 本年八月には、治安対策の一環として、都の提唱により、千葉県、横浜市、川崎市等と連携協力して、東京湾保安対策協議会を設立し、密輸、密入国などを水際で阻止するための取り組みを開始いたしております。また、新型肺炎SARSの再流行に備えまして、千葉県等と連携して、患者発生時の広域的な対応のための合同訓練を実施するなどの取り組みも行っております。
 今後とも、都としましては、こうしたさまざまな広域的な課題の解決に向けまして、ご指摘もありましたが、八都県市相互間での情報交換を密にするなど、連携を一層強化して、具体的な成果を上げてまいりたい、こう考えております。

○北城委員 ぜひお願いしたいんであります。やはり、形ばかりが先行しますると、形ばかりの議論で終わってしまいまして、肝心な、問題を解決する議論が片隅に置かれてしまう、このことだけは絶対に避けなければならない、こんなふうに思っておりますので、東京都の主張すべき点はきっちりと主張してもらいたい、こんなことを要望して、私の質疑を終了させていただきたいと思います。

○新藤委員長 北城貞治委員の発言は終わりました。
 次に、山田忠昭理事の発言を許します。

○山田委員 それでは、私からは、福祉、健康を中心に、交通安全、教育問題についてお伺いをいたします。
 まず、福祉改革についてお伺いをいたします。
 福祉改革が目指します利用者本位の福祉を実現させるためには、地域という視点が今後ますます重要な位置づけになってくるものと考えております。
 平成十二年、東京都は、我が党の提唱を受け、区市町村が地域の実情に応じて主体的、自立的に福祉施策を展開していくべきとの観点から、福祉改革推進事業と高齢者いきいき事業の二つの包括補助制度を創設いたしました。
 これらの事業については、事業創設時、それぞれの所管局が福祉局と高齢者施策推進室とに分かれていたという経緯もありまして、二つの包括補助事業として現在に至っております。そのため、区市町村は、高齢分野とそれ以外の分野で、それぞれに補助申請を行わなければならないなど、事務が煩雑になっております。
 一方、両事業につきましては、補助の仕組みや対象など相違点もありますけれども、区市町村独自の取り組みを促すという目的は共通したものがございます。
 そこで、私は、この際、区市町村にとってより使いやすい補助制度とするため、これら二つの包括補助事業を大くくり化し、また、あわせて福祉改革の推進を支える基盤整備を進める中で、これまで以上にチャレンジ的、奨励的な取り組みを重視する制度へとシフトするよう、事業を再構築すべきと考えますが、所見をお伺いいたしたいと思います。

○幸田福祉局長 ご指摘のとおり、福祉改革推進事業と高齢者いきいき事業は、補助の仕組みや対象となる分野が異なっているものの、区市町村の主体的な福祉改革への取り組みを推進するという点で、事業目的が共通していることから、区市町村にとってより使いやすい事業となるよう、両事業を統合したいと考えております。
 この統合に合わせまして、これまで対象としていなかった高齢者分野の基盤整備経費への補助を新たに実施いたしますとともに、事業採択に当たりましては、先駆的な取り組みをこれまで以上に重視するなど、本事業が区市町村の福祉改革への取り組みの推進に資するよう、事業の再構築を図ってまいります。

○山田委員 さて、東京都は、平成十四年度に痴呆性高齢者グループホームなどの地域のケアつき住まいの整備促進を図るため、三年間のサンセット事業として、暮らしの福祉インフラ緊急整備事業を創設いたしました。
 本事業は、包括補助事業と手法は異なりますけれども、地域の実情に合った形で、それぞれの区市町村が工夫して、地域の福祉のインフラの整備を行う際の支援という観点で、共通する部分がございます。
 そこで、この暮らしの福祉インフラ緊急整備事業についても、新たな包括補助事業のメニューに組み入れるべきと考えますけれども、所見をお伺いいたしたいと思います。

○幸田福祉局長 暮らしの福祉インフラ緊急整備事業は、福祉改革の基本コンセプトの一つでございます、地域のケアつき住まいの整備促進を図るために創設した事業でございますが、地域における福祉基盤の整備を進めるという点で、包括補助事業と目的が共通しております。
 今後、お話のとおり、区市町村が地域の実情に応じて弾力的に暮らしの福祉インフラ緊急整備事業を活用できるよう、包括補助事業の中に取り入れることについて、鋭意検討してまいります。

○山田委員 よろしくお願いいたしたいと思います。
 住民に身近な区市町村が主体となって、きめ細かいサービスや、地域の実情に合った仕組みづくりも含めた福祉基盤の整備を図っていくことが、何より重要であります。こうした取り組みを区市町村が積極的に推し進めることによって、初めて地域の中で高齢者や障害者などだれもが安心して自立した生活を送ることが可能になるのではないかと思います。
 そこで、こうした地域での自立を支える福祉の実現のため、都としてどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○幸田福祉局長 都が現在進めております福祉改革が目指すものは、高齢者や障害者などだれもが、身近な地域の中で自立し、生き生きと暮らせる社会を築く、利用者本位の新しい福祉を実現することであります。そのためには、住民に身近な区市町村が主体的に、地域の実情に応じたサービスの充実や、そのための基盤整備を図っていくことが、極めて重要でございます。
 都としては、こうした区市町村の取り組みを、包括補助制度などを活用しながら強力に支援してまいります。

○山田委員 それでは次に、食品の安全確保対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 都は、危険、危害発生の未然防止の考え方を踏まえた、食品の安全、安心確保に向けた都独自の仕組みの構築を、平成十五年度の重点事業として、新たな対策に次々と着手するとともに、これからの総合的な食品安全行政の基本となる仮称食品安全基本条例の制定に向け、現在、精力的に準備を進めていると伺っております。
 さて、BSE問題を初めといたしまして、食品の偽装表示事件や、あるいは中国産冷凍ホウレンソウからの基準を超える残留農薬の検出など、平成十四年度までに食品の安全を揺るがす重大な事件が相次ぎました。東京都は各時点で適切な対応をとられたと思いますが、しかし問題なのは、これらの事件、事故によって、都民が食の安全に対し、かつてないほど不安あるいは不信を募らせております。その不安、不信を解消し、都民の期待にこたえるためには、従来の食品衛生法を中心とした枠組みだけでは限界があると思うものであります。
 そこで、一連の事件や事故を通じて、都として我が国の食品安全行政の課題をどのように認識されているのか、お伺いいたしたいと思います。

○平井健康局長 BSE問題は、イギリスやフランスなどでの発生状況について情報を得ていたにもかかわらず、国の省庁間の連携が不十分で、その情報を生かせなかったことに大きな要因があったと考えております。
 また、偽装表示事件は、事業者が、食品の供給者として、食の安全に大きな責務を担っているという認識を欠いていたことにより生じたものといえると思います。
 さらに、冷凍ホウレンソウの問題は、残留農薬基準が加工品である冷凍ホウレンソウには適用されていなかったために、対応がおくれたものでございます。
 事件、事故の要因となったこれらの諸点を十分に踏まえまして、食品の安全確保対策を急ぎ進めていくことが重要と考えております。

○山田委員 こうした課題に対し、国は、食品安全基本法の制定とか食品衛生法の改正など一連の法整備を行い、食品安全委員会を中心とする食の安全への新たな取り組みを開始しております。しかしなお、未然防止の仕組みや縦割り行政の是正は十分ではないと思っております。
 こうした中で、東京都は現在、今後の食品の安全確保対策の基本となる新しい条例を検討しているわけでありますが、国制度では対応できない部分も含めて、都民の不安、不信解消のため、食品安全行政をどのように進めようとしているのか、その考え方についてお伺いをいたしたいと思います。

○平井健康局長 食の安全に関する課題に的確に対応するため、第一に、事業者責任を安全確保の基礎とすること。第二に、国制度の補完の観点から、危害発生の未然防止に重点を置きまして、最新の科学的知見に基づく対策を進めること。第三といたしましては、都民、事業者、行政の相互理解と協力に基づき、それぞれが主体的に役割を担って安全を確保すること、この三点を基本理念といたしまして、都独自の食品安全行政を進めてまいります。

○山田委員 今ご説明がありました三つの基本理念、考え方でございますが、いずれも重要なことであると思います。特に、三番目にお話がございましたように、都民あるいは事業者、行政の相互理解と協力に基づいて、それぞれが主体的に役割を担っていくということのためには、やはり情報が共有され、共通の認識が醸成されることが不可欠ではないかと思います。
 先日、国が魚介類中の水銀に関する情報提供を行った際に、一時、特定の種類の魚の流通が減少したと聞いております。情報提供の仕方によっては、無用な混乱を来すことにもなります。
 いずれにいたしましても、リスクコミュニケーションという相互理解のプロセスが重要ですが、都としてこれにどのように取り組んでいくのか、見解をお伺いいたしたいと思います。

○平井健康局長 ご指摘のリスクコミュニケーションを進めるに当たりましては、できる限り多くの情報が正確かつわかりやすく提供され、都民、事業者、行政の間で相互に情報や意見の交換ができる仕組みをつくっていくことが必要でございます。このことによりまして、都民が食品の安全についてみずから判断し、食品を適切に選択することが可能となります。
 このため、都では、今年度、関係者が意見交換できる場として、食品安全ネットフォーラムの開設あるいは都民フォーラムを実施したところでございます。また、食品安全情報評価委員会では、安全性の評価を行うとともに、その情報提供の具体的な方法などについてもきめ細かい検討を行っているところでございます。
 今後ともリスクコミュニケーションの充実に努めてまいります。

○山田委員 食品の安全を確保して、都民の食品に対する信頼を取り戻すためには、現在、制度準備を進めております、いわゆる食品安全基本条例につきましては、今後、常任委員会とか定例会でも審査がなされていくことと思いますが、ぜひ全国自治体のお手本として、また我が国の食品安全行政をリードしていくような条例になるよう期待しておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと存じます。
 それでは次に、違法駐車対策スムーズ東京21についてお伺いをいたしたいと思います。
 都内の違法駐車は約十二万台にも上るとのことでございますが、私の住む西東京市でも、当たり前のように違法駐車がはんらんをいたしております。特に、違法駐車が交差点付近にありますと、事故の危険性が高まるばかりでなく、左折車あるいは直進車の進行を妨げ、交通渋滞を引き起こす要因にもなります。
 さらに、交通渋滞がもたらす人的あるいは経済的損失ははかり知れないものがございます。これは一つの試算としてよくいわれることでありますが、都内の道路での平均速度が、毎時十八キロメートルから、渋滞のない毎時三十キロメートルになると仮定しますと、年間約四兆九千億円もの経済効果をもたらす、このようにいわれております。また、車がゆっくり進んではとまるという、これを繰り返すことによるアイドリングが大気環境を悪化させるなど、まさに違法駐車は大きな都市問題の一つといっても過言ではないと思います。
 東京都がスムーズ東京21という違法駐車対策を実施している靖国通りなどでは、以前ほどの交通渋滞はなくなったというふうに聞いております。そこで、現段階で、これまでの取り組みによります事業効果について調査をされていらっしゃると思いますけれども、その効果、内容についてお伺いいたしたいと思います。

○三宅生活文化局長 スムーズ東京21は、十三、十四、十五年度で、四つの路線、三つのエリアで、関係各局とともに違法駐車対策を進めているものでございます。
 ご質問の靖国通りにおいて、対策前の平成十三年九月と対策後の平成十四年九月に、それぞれ平日でございますが、調査を実施いたしました。その結果を比較いたしますと、靖国通りの市ケ谷駅から浅草橋までの対策区間におきまして、整備が完了した交差点付近の違法駐車台数は約二割減少しております。また、同区間での交通量は約一割増加しているわけでございますが、それにもかかわらず、通過に要する時間が約二割短縮し、信号待ちで停車する回数も約三割減少するというような形で、交通の流れが円滑になったという効果も見られております。

○山田委員 ただいまのご答弁にありましたように、靖国通りの対策区間においては、顕著な効果が得られているということでございます。こうした効果をもたらした要因と今後の事業展開について、お伺いいたしたいと思います。

○三宅生活文化局長 スムーズ東京21では、交通の妨げになります交差点付近の違法駐車を排除するために、駐停車禁止区間を従来の五メートルから三十メートルに拡大し、赤く舗装して明らかにしております。また、駐車抑止のテレビシステムを整備いたしまして、所轄の警察署から違法駐車に対して音声で警告するということも行っております。
 あわせて、交通指導員の配置、駐車場を利用するような促進策、そういったものをあわせまして、ソフト、ハードの両面から対策を実施してまいりましたことが、効果に結びついていると考えております。
 今後の事業展開についてでございますが、今年度は、最終年度として、明治通りの各交差点の整備と、池袋におきますタクシープールでございますが、その対策に取り組み、パイロット事業としての仕上げを行う予定でございます。
 さらに、十五年度から、集中的な渋滞対策、スムーズ東京21の拡大作戦を並行してスタートしておりますが、この推進に当たっても、関係各局とともに、違法駐車対策として実施してきたこれまでの成果を生かしてまいりたいと考えております。

○山田委員 ぜひとも、この違法駐車対策については、積極的な取り組みを今後ともお願いいたしたいと思います。
 次に、大学の産学公連携についてお尋ねをいたしたいと思います。
 八月に発表されました都立の新しい大学の構想では、都立の大学の使命を明確にし、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築をキーワードに、教育、研究に取り組むといたしております。大学の社会的貢献の要請が高まる中で、これまで都立の大学では東京の産業の活性化に寄与する産学公連携にどのように取り組んできたのか、またどのような成果があったのか、まずお伺いいたしたいと思います。

○山口大学管理本部長 都立の大学での産学公連携の実績でございますけれども、昨年度は、企業からの受託研究四十四件、産学共同研究三十六件が行われました。企業等からの技術相談は六十二件受けております。また、大学の研究内容や研究成果を広く知ってもらうために、地元企業との交流会を開催したり、研究成果を掲載したホームページの開設や冊子の配布などを行ってきたところでございます。
 これらの取り組みの成果としまして、昨年度は、超音波診断装置に関する発明、大腸菌の加工技術など十五件の発明の届け出がございます。

○山田委員 今のお話をお聞きいたしますと、それなりに成果があった部分もありますけれども、都立の大学のこれまでの産学公連携が十分な成果があったかというと、そのように私は思えません。
 これからの大学にはさらなる社会貢献が求められております。新しい産業を創設するためにも、新しい大学では積極的に産学公連携を進め、東京の産業の活性化に貢献すべきと考えますが、今後の取り組みについてお伺いいたしたいと思います。

○山口大学管理本部長 今後の取り組みについてでございますけれども、新しい大学における研究成果を産業界で有効に活用するため、今年度、知的財産整備本部を設置いたしまして、特許権などの知的財産の管理方法の検討を始めました。今後は、TLOなどの技術移転機関を通じまして、研究成果を社会に還元する仕組みを構築してまいります。
 また、本年四月に産学公連携推進準備室を設置したところでございますが、平成十七年には産学公連携センターを開設する予定でございます。
 また、ものづくりの人材を育成するために、都立の高等専門学校との連携を図るとともに、城南地域に産業技術の大学院を設置することを検討してございます。
 新しい大学において、こうした取り組みを通しまして、産学公連携をさらに推進し、東京の産業の活性化に一層貢献してまいります。

○山田委員 新しい大学におきましては、ぜひ産学公連携をさらに推進されて、東京の産業の活性化により一層貢献していくよう、よろしくお願いいたしたいと思います。
 最後に、学校における国旗、国歌についてお伺いいたしたいと思います。
 平成十一年八月に国旗及び国歌に関する法律が制定され、これまで慣習として定着してきました日章旗と君が代が正式に国旗及び国歌と定められました。これにより、学校教育においては、国旗及び国歌に対する正しい理解が一層進むものと考えておりました。
 もとより、学校教育においては、この法律が制定される前から、学習指導要領に基づき、入学式や卒業式などにおいては、その意義を踏まえ、国旗を掲揚するとともに、国歌を斉唱するよう指導することになっていたと聞いております。しかしながら、いまだに国歌斉唱時に起立をしない教員がいたり、式の前などに内心の自由をもっと説明するよう求める教員がいるやに聞いております。
 国旗及び国歌に関する法律が制定され、既に五年もたっております。にもかかわらず、まだこういった状況にあることを、都教委はどのように受けとめ、対応していくつもりであるのか、教育長の見解をお伺いいたしたいと思います。

○横山教育長 学校におきます国旗及び国歌の指導といいますのは、児童生徒に国旗及び国歌に対する正しい認識を持たせまして、それらを尊重する態度を育てていく上で極めて重要でございます。そのため、本年七月に庁内に都立学校等卒業式・入学式対策本部を設置しまして、国旗を舞台壇上正面に掲揚することや、国歌斉唱時に教員が起立することなどを示した通達を、十月二十三日付で都立高等学校長及び都立盲・ろう・養護学校長に対し、行ったところでございます。
 今後とも、この対策本部を継続させまして、学習指導要領や通達に基づいて入学式、卒業式等を適正に実施するよう、各学校を指導してまいります。

○山田委員 今回、都立学校に対して、新たな通達を出したということでございますが、都立学校には、国旗及び国歌の指導について、校長の指示に従わないという教員が大勢いると聞いております。このことは、公務をつかさどる所属職員を監督するという校長の権限を侵すものであり、入学式及び卒業式の適正実施を阻むものだと考えております。
 入学式及び卒業式を通達に基づき適正に実施できるようにするため、都教委は校長をどのように支援していくつもりなのでしょうか、教育長の見解をお伺いいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。

○横山教育長 入学式や卒業式といいますのは、学校生活に有意義な変化や折り目をつけまして、新しい生活の展開への動機づけとなる大切な儀式的学校行事でございまして、校長の権限と責任のもとに適正に実施することが重要でございます。
 都教育委員会としましては、先ほど述べました通達に従って、各学校の入学式や卒業式が適正に実施されるよう、その取り組み状況について実態把握に努めますとともに、課題解決に向けて校長に助言しているところでございます。
 今後、すべての都立学校の卒業式等に教育庁職員を派遣したり、校長の適正な実施の指示に従わない教職員がいる場合には、厳正に対処するなど、全力で校長を支援してまいります。

○新藤委員長 山田忠昭理事の発言は終わりました。
 次に、和田宗春副委員長の発言を許します。

○和田委員 まず初めに、東京都と特別区間での財政調整についての課題、とりわけ都市計画交付金に関連をして質疑をしてまいりたいと思います。
 平成十二年の二月に、区長会の会長と都知事が都区協議会において合意をいたしております。それは、知事はその場面で、区長から発言があった五つの点については、都としても今後区側と協議すべき重要な課題としてしっかり確認するということで、十二年の二月十日に、区長会の会長の要望を受けて、都知事が発言をしているところです。
 その確認された五項目というのは、かいつまんで申し上げると、平成十七年度までに清掃事業関係の経費の区の財源配分の問題。二つ目は、小中学校の改築需要急増に対してどのように対応していくかという問題。三つ目は、配分割合がここで変わったわけですけれども、清掃事業については一定期間特例的な扱いをしてほしいというようなこと。それから四つ目は、都市計画交付金について、都区双方の都市計画事業の実施状況に見合った配分が行われるように検討する。最後は、清掃事業の特例的な対応が終了する平成十七年度の時点で配分割合の見直しを行うこと、これは当然としながらも、大きな制度改革や、どうしても対応できない事態が発生した場合には、配分割合の変更についても協議を行うというふうに、突っ込んだ形で、平成十二年二月十日に区長会と都知事の都区の合意がなされているわけです。
 それを受けて三年余が経過したわけでありますけれども、現在、この三月に都区で検討会を立ち上げて、具体的な分科会といいましょうか、そういう検討会などを設けて協議に入っているというふうに聞いておりますけれども、今はどの程度までこの協議が進んでいるんでしょうか。

○赤星総務局長 ご指摘の五項目の確認事項でございますけれども、五項目の確認事項に関します都区検討会というものを、先生ご指摘のように平成十五年三月に設置いたしまして、第一回の会議を開催いたしましたが、大都市事務検討会、清掃関連経費検討会、小中学校改築等検討会の三つの検討会を立ち上げて、検討を開始したところでございます。
 現在、三つの検討会において、それぞれの課題について論点の整理を行っております。

○和田委員 三つに大きく、五項目それぞれを検討会の中に当てはめる形で、三月から動いているということです。
 大都市事務の検討会というのは、十八年度に向けて、配分割合を整理しようということを前提にするわけですけれども、改正地方自治法の趣旨に沿った財源配分を行うべきだということを区の方も当然主張しておりますし、都の方も、それに対抗する形で、それにすぐには応じていないという状況です。
 それから、清掃関連経費につきましても、清掃事業の移管によって、財源が流動的でありますから、それらの推移を見ながら、これも検討する。
 小中学校の、ちょうど三十年代後半から建設されたものの改築あるいは新しく補修しなければならないという時期にたまたま入っておりますから、改築需要の急増が見えてくるということから、これも小中学校の改築等の検討会という形で立ち上げたということを聞いています。
 これら三つの検討会は、二十三区の特別区にとっては極めて大事なものであります。とりわけ、都市計画の交付金という問題は、この中でも特に財源絡みでありますから、大きな話題になるだろうと思っております。特に、今回出されました第二次財政再建推進プランの中でも、三十項目の中にきちっとそれが入っているわけでありますし、それから、都市計画交付金の位置づけ、性格というものが、ことしの六月に、「途半ばにある財政再建」というものの中で、このように位置づけられているんです。「東京都にとって」という主語を補足しますけれども、任意な補助金という形になっています。
 この任意な補助金というのは、東京都にとってはどう解釈してもいいという、そういう受けとめ方。したがって、主体性は東京都にあって、特別区の側の方は、少なくとも主体的にこのことについても触れられないというような状況の指摘が、「途半ば」の財政再建のレポートでは書いているんです。
 私どもは、区市町村に対する補助金というものの中で、都市計画交付金を含めた市町村振興・調整交付金は、一千八百二十七億円にもなるんですね。この金額が、あくまでも東京都の任意によって上下左右するというようなことであるとするならば、当然、本来は市町村税であるべきこの都市計画税が、東京都という特別な組織、行政装置があるがために、東京都の任意的な判断で、この一千八百二十七億というものが動かされてしまうという矛盾の中に特別区はあるわけですから、当然、特別区とすると、ほかの市町村と同じような方向でこの問題を解決したいというふうに、多分、間もなく始まるでありましょう具体的な検討会の中では指摘があると思うのです。
 これについて、都区双方の考え方、相違点というのは、具体的にどういうふうになっているんでしょうか。

○赤星総務局長 都区検討会では、都市計画交付金のあり方を検討課題とすることで双方の考え方は一致しております。
 一方、その論点についてでございますが、区側が都区双方の都市計画事業の実施状況に見合った都市計画税の配分をすべきとしているのに対しまして、都は、特別区におきます都市計画事業の円滑な促進をいかに図るかという観点から検討を行うべきとして、現在検討中でございます。

○和田委員 平成十四年度の都市計画交付金、正確には特別区都市計画交付金ですけれども、特別区を省略して都市計画交付金といいますけれども、これは百四十億円でした。これは十五年度に十億上乗せして百五十億円になっているんですけれども、しかしながら、都市計画税そのものは実に一千九百億円にも上るんですね。交付金はそのうちの百五十、ことし百五十、去年でしたら百四十億です。パーセンテージに直すと、実に一〇%を割る、七%そこそこ、行っても八%だという状況にあるわけです。しかしながら、その事業費を比べてみると、七対三とか八対二で特別区の側の方の仕事量が多い。財源的な問題では一〇〇のうち七か八しかない、しかし、仕事の上では八対二とか七対三にあるというこの矛盾が区長会の中では相当にくすぶっていることは当然だと思うんです。
 そこで、さきに今ご答弁になった、実施状況に見合った都市計画税の配分というふうにおっしゃったかと思うんですが、それについては、これからの検討の中で、特別区の主張に、実施状況に合ったという、そういう文言はきちっと確保されて守られていくんでしょうか。

○赤星総務局長 都市計画交付金のあり方を検討していくに当たりましては、幅広い観点から論議をしていくことが必要でございます。現在、都区双方の考える論点につきまして、さまざまな観点から都区検討会において議論を重ねているところでございます。そうした中で、今後、特別区と十分に協議を行いながら、より具体的な議論を深めていくことになると考えております。

○和田委員 都市計画交付金だけを中心的に私、取り上げましたけれども、ほかにまだ清掃事業に関する中継所の問題とか何かあって、まだまだ相当都区の間で意見調整しなきゃならない問題があると思います。しかし、十七年度いっぱい期間は保証されているわけですから、その時間の中で十二分に特別区のいい分をしんしゃくしていくべきだと思うんです。
 とりわけ、東京都は国に向かって、地方にすべてを任せろということを国に向かってはいうんですけれども、市区町村、とりわけ特別区に対してはなかなか頑固に、特別区のいうことを聞かずに、いわゆる任意でやるというような形で逃げてしまっているということがある。したがって、国に対する要求と同じように、特別区の側からある要求については柔軟に積極的に対処していくということで、みずからが行っている、東京都の国に対する要求姿勢と、特別区が東京都に要求してくる姿勢が符合してくるというふうに思うわけでありますので、これは特別区側のいい分にしっかりとこたえていくような、そういう姿勢をぜひ強く求めておきたいと思います。
 それから、最後になりますけれども、具体的な例で一つだけ申し上げておきますが、私ども北区においては、東京外国語大学ですとかあるいは自衛隊の赤羽駐屯地の跡地において、公園を中心にした施設を今検討しているようです。これも一事業当たり百億ぐらいの大きなスケールのものなんです。したがって、これは当然都市計画交付金の対象になって、それでなければまた今の特別区などではとてもこのような事業を推進することはできません。これについては具体的にどういう姿勢で、今私が申し上げた具体例でありますけれども、考えられていくのか、お答えいただきたいと思います。

○赤星総務局長 お尋ねの北区の政府機関の移転跡地についてでございますけれども、公園を整備する計画があることにつきましては承知しておりますが、その詳細については把握しておりません。
 ただ、都市計画交付金は、要綱で定めました一定の条件を満たす都市計画公園整備事業を交付対象としております。お尋ねの公園整備につきましても、交付要件を満たした場合には交付対象となります。

○和田委員 それでは、次に固定資産税と都市計画税の軽減措置に関連をしてお伺いいたします。
 東京都は最近、十四年度に小規模非住宅用地に対する固定資産税及び都市計画税の減免措置を創設して、今実施されています。都は、このほかに小規模住宅地だとか新築住宅に対する独自の税の軽減措置を講じています。平成十四年度におけるこれらの四つの軽減措置の適用件数、それから軽減額についてお答えいただきたいと思います。

○川崎主税局長 平成十四年度における三つの軽減措置の実績でありますが、まず、小規模非住宅用地の減免措置の適用件数は約十八万件、軽減額は約二百十億円であります。次に、小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置の件数は約百七十万件、軽減額は約二百七十億円になります。また、新築住宅の減免措置の件数は約十八万件、軽減額は約百五十億円になります。

○和田委員 小規模非住宅用地の減免、それから小規模住宅用地にかかわる減免、さらに新築住宅と、三つの今減税施策をやっているわけですけれども、合算をすると六百三十億円という金額になりますよね。
 それで、これだけの、六百三十億円という減税をしながら、これをもって何を東京都は、実施時期は違いますけれども、目的として、この三つの減税措置を都民の暮らしのために決定したんでしょうか。

○川崎主税局長 まず、新築住宅に対する軽減措置は、平成十二年に、景気対策の観点から、新築住宅の取得を税制面から支援するため創設したものであります。また、小規模住宅用地に対する軽減措置は、昭和六十三年度に、地価高騰に伴う税負担の緩和を図り、都民の定住を確保するために創設したものであります。そして、小規模非住宅用地に対する減免措置は、平成十四年度に、過重となっている商業地等の税負担を緩和するとともに、現下の厳しい経済状況下における中小企業への支援策として創設したものであります。

○和田委員 古くは六十三年の小規模住宅用地に対する軽減措置なども、このときは、今お答えいただいたとおり、地価が高騰して、税負担が極めて過重だということで、東京都が都民生活の安定という形でこれは手を打っている計画です。実は、この件数は百七十万件にも上っているんですね。百七十万という方々が、額にして二百七十億でありますけれども、この六十三年の地価高騰の際の税負担の緩和に救われて今日まで来ているということがあるわけです。
 したがって、これもその時代にかなった形での減税策だと思いますし、平成十二年については、新築住宅ですけれども、これも、停滞する、低迷する経済あるいは不況というようなことを打破するために、景気対策の一環として、これは同じく百五十億円で十八万件の家屋が建ってきているということになるわけです。
 小規模非住宅についても、十四年度に、商業地域の過重になった税負担を軽くしようということで、これもそのとき、あの時代、去年ですけれども、かなった形で行われてきているということから、考えてみれば、そのときそのときの時代にぴたっと当てはまって、東京都は不況対策なり景気対策としてこの種の減税策をやってきているという証左がここにあらわれてきていると思うんです。
 そこで、最近の十四年度の新築住宅の減免を特段に取り上げてお聞きしたいんですけれども、新築住宅の取得促進が十四年度から行われたわけですけれども、効果はどうなんだろうか、また、新築住宅減免を含め三つの軽減措置を東京都はどのようにご自分で評価し、今日まで続けてきたのかということについてお伺いいたします。

○川崎主税局長 新築住宅に対する減免措置の効果でありますが、区部の住宅着工戸数は、減免を開始した平成十二年に、前年と比べ、約一万五千戸、率にして一四%程度増加しております。それ以降も好調に推移しており、所得税におきます住宅ローン減税など他の施策と相まって効果を上げているものと考えております。
 また、三つの軽減措置の評価でありますが、その時々の社会経済状況の中で、ただいま申し上げた目的のために実施したものであり、相応の政策効果を上げているものと考えております。しかしながら、そのあり方につきましては、社会経済状況の変化等を踏まえた検討が必要であると考えております。

○和田委員 最後のお答えで、社会経済状況の変化を踏まえた検討が必要だということで、積極的に私ども評価しているトーンと少し違ったお答えが返ってきたかなと思っているんです。
 先般公にされた第二次財政再建推進プランの中では、先ほど触れた都市計画税の軽減措置を初めとして、これらの税軽減措置が、構造的な課題が内在している事業・制度ということの中で代表的な例として取り上げられています。そして、付表には三十項目を具体的に挙げていらっしゃるわけでありますけれども、この付表はどのような趣旨でプランの中に附属資料としてつけられたんでしょうか。

○櫻井財務局長 プランの付表の件についてでございますけれども、財政再建につきましては、これまでも、第一次の財政再建推進プラン、これを通じて全力を挙げて取り組んでまいりましたけれども、これからの財政構造改革は、これまで取り組んできました財政再建の取り組みの上にさらに一歩踏み込んだ改革となりまして、各局が現場からの発想により自主的、主体的に取り組んでいくことが重要となります。
 このため、第二次のプランでは、事業や施策に内在する中長期的な課題や構造的な課題に取り組むことが必要と考えまして、プラン期間中にとどまらず、中長期的な取り組みが必要なものも含めまして、今後各局が構造改革に向けた検討を行っていく際の素材といたしまして、財政再建の基本的な視点を踏まえまして、付表において問題提起をしたものでございます。

○和田委員 先ほど来申し上げましたとおり、百七十万という世帯の方々がこの制度創立以来ずっと恩恵をこうむってきているということです。今お聞きすると、その付表をつけた趣旨というのは、財政再建の基本的な視点を踏まえて各局が検討していく上での素材という形で、この三十項目の中に今申し上げたそれぞれの軽減措置が入っているという指摘でありました。
 毎年この時期になると、我々議員のところに、もちろん実名を挙げてですけれども、税務署関係のいろいろな団体と思われる方から、お願いという形でこういうはがきが飛び込んできます。そして、これはぜひとも小規模住宅用地に係る都市計画税の軽減措置を現行のまま十六年度も実行してほしい--一枚じゃありません。何十枚となく人によっては受け取る方もいると思うんです。それがおおむね百七十万の中の声なのかなとも思っているわけであります。
 そこで、経済がまだはっきり立ち直っていない、そういう中で東京都が今までとってこられた減税措置というものについて、都民が継続してほしいという強い要望がこれからますます上がってくるだろうと思うんです。さきに答弁いただいた、目的に照らして検証したり検討するという、そういう姿勢は十分理解できるのでありますけれども、何よりも今、現下の不況、経済状況を考えれば、平成十六年度も継続していくべきだというふうに私は考えるのでありますが、主税局長の答弁を求めたいと思います。

○川崎主税局長 三つの軽減措置の平成十六年度の取り扱いについてでございますが、社会経済状況の変化を踏まえるとともに、景気状況、そして都の税収状況、国の税制改正の動向等を勘案して今後検討してまいります。

○和田委員 確かに、俎上にのせることは私は結構だと思うんです。しかし、生身の実生活を続けていらっしゃる都民、具体的にいえば約百七十万という都民がいらっしゃるわけでありますけれども、そういう方々の減税措置というのは極めて定着し、そしてまたそれを見直す、いわゆるやめる、中止するというようなことになると、社会的、経済的な波及も、制度を導入したときとは逆に出てくるだろうというふうに思いますから、永久にといっているわけじゃありませんけれども、今この時期になぜ見直すのかという、その付表についての疑問を率直に私は申し上げます。
 今局長の方から、見直しますという断定でもないし、見直しませんという断定でもなかったと思うんですけれども、いわゆる慎重にこれから検討を進めていただきたいということを、これも申し上げておきたいと思うんです。
 次に、中小企業の支援策についてお伺いをいたします。
 とりわけ制度融資の件についてでありますけれども、東京都は幅広く数多くの中小企業を抱えているまちでありますから、それをメニューとして持っています。その制度融資そのものの平成十四年度における実績、それから、十四年度にあえて挙げれば挙げられる特徴、それと、みずから東京都が十四年度のこの制度融資についてどのような評価を下していらっしゃるのか、お伺いいたしたいと思います。

○有手産業労働局長 昨年度の制度融資は、融資目標額一兆五千億を大きく上回る一兆九千億円余りの実績を上げました。
 特徴といたしましては、まず、取引先倒産等に関連した融資である経営安定支援資金融資が、約二千四百七十四億円と前年度に比べまして三六・七%増加したことがまず挙げられます。
 また、昨年十月に中小企業の逼迫した資金繰りを改善するため創設いたしました借りかえ、つなぎ資金の伸びが好調であったことも特徴として挙げられます。借りかえは、目標額二百億円のところ約四百九億円の実績、つなぎは、目標額三百億円のところ約七百七十三億円の実績となっております。こうしたことから、中小企業の資金需要に十分対応できたものと認識しております。

○和田委員 私も調べてみて驚いたんですけれども、目標金額が、制度融資全体では一兆五千億だったのが一兆九千億という形で、予想外の実績が上がっています。
 それから、借りかえの実績なんですけれども、目標が二百億だったものが、これは倍を超して、今ご答弁いただいたとおりです。件数も二千六百二十ということで四百九億円。すばらしい実績が借りかえについてもあります。
 それから、つなぎの実績でありますけれども、これは倍以上ですね、三百億の目標を七百七十三億円ですから。件数も二万件を超すということで、着実にこれらの制度融資の実績が一つの評価に値するものだというふうに私は思うんです。
 こういう、その都度その都度打つ、小さな額かもしれませんけれども、中小企業対策のこれらの効果が、目に見えはしませんけれども、中小企業の大きな支えになって、今日まで中小企業を守る立場で、借りかえなりつなぎあるいは全体の制度融資が機能してきているというふうに思っています。
 でありますから、この借りかえにしてもつなぎにしても、結局預託金というものを必要としない、要するに、その需要にすべてこたえられるというふうに聞いておりますから、当然これは、これから継続していくにつれて、希望があれば、もちろん審査はいたしますけれども、その需要にこたえられるということになるわけでしょうから、こういうものももっとPRをしながら、借りやすい環境をよりつくって、借りかえ、つなぎ、それから総体としての制度融資全体の量、質を高めていくというふうにぜひ工夫をしていただきたいと思うんです。
 次は、それとは違ってちょっと残念な代位弁済のことについて触れておきたいと思うんです。
 この代位弁済につきましては、件数だけを申し上げると、平成十年が一万三千六百七十三件、平成十一年度が下がります、一万一千二百四十六件、十二年度がまた極端に上がって一万三千三百六十一件、十三年度は一万五千八百二十六件、そして、十四年度はさらに上がって一万七千四百九十六件ですか、このように、平成十一年では下がるんですが、十二、十三、十四とぐっとまた代位弁済の件数がふえてきているんです。もちろん額もふえてきているんですが、額は省略しますけれども。
 これは、今私が評価をした、制度融資全体の件数も額も伸びてきているのとどういうふうに、この代位弁済の件数が、十一年度の減少、十二、十三、十四とふえてきていることと関連があるのか、お気づきの点があったらぜひ教えていただきたいと思います。

○有手産業労働局長 代位弁済が平成十四年度に減少いたしました理由としては、平成十年十月から、国の中小企業金融安定化特別保証制度、いわゆる安定化が実施され、中小企業への資金供給が進んだためであると推察されます。
 この制度は、返済までの据え置き期間が最長一年でございまして、平成十一年度後半から返済が本格化しておりまして、その中には返済できずに代位弁済となる企業も出てございます。これが平成十二年度から代位弁済が上昇に転じた要因の一つであると考えられます。

○和田委員 確かに、いわれてみると、十年に国のそういう安定化の施策が導入されたということもありますから、これはそのように類推するのが正しいかと思うんです。
 しかし、私自身、これは要望しておきたいんですけれども、貸し出す側あるいはあっせんする側等もさることながら、借りる側の、借り手側の方の融資全体の印象といいましょうか要望といいましょうか、そういうのを常に把握して細かく対応していく必要があるだろうと思うんです。先ほどの借りかえにしてもつなぎにしても、金額とすると、目標額は二百億とか三百億でありますけれども、しかし、これだけしっかり倍以上の実績が上がるというのは、皆様方がつぼにはまったメニューを出したために、そこにすっと中小企業を中心にした東京都の企業が乗ってきたんだろうと思うんです。それには、常に中小企業の持っている要望なり需要というものを捕捉し把握して、そこに政策を打っていくという細かな配慮があれば、倍以上あるいは三倍に近い実績をこの事例のように残すことができるわけでありますから、額は小さくとも、細かく細かく、立場立場のそういう中小企業に融資のメニューを出していくという姿勢はこれからもぜひとり続けていただきたいというふうに思うんです。
 それから、今、こういう制度融資とは別に、新しい銀行が民間でもあるいは東京都でも考えられようとしています。このように、既存の制度の中で努力しているのとは違った角度から、今度新銀行がいろいろなところで出てくるという時代背景もわからないではありません。しかし、もともと置かれている、この制度の融資の持っている性質とか目標とか、そういうものと、新銀行の果たすべき役割というのは違うはずでありますから、そこのところはしっかり皆様方、今までの制度融資を守ってきたという、そういう姿勢は、新銀行が出ようと出まいと、きちっと今まで以上に力を発揮してほしいなというふうに思うんです。
 その意味でも、これからどのようにこの制度融資を、先ほど申し上げたつなぎ、借りかえもそうですけれども、細かなメニューを出して、ある意味では新銀行とはライバル関係になるかもしれませんけれども、それにどう対抗していくのかということも含めて、責任あるご答弁をいただきたいと思います。

○有手産業労働局長 お答えする前に、先ほど私の方で、代位弁済が減少した年次としまして平成十四年度と申したそうでございますけれども、十一年度から減少した理由ということで申し述べたつもりでございますので、ご訂正させていただきます。
 それでは、今のご質問にお答えいたします。
 現在、民間における無担保融資などの新しい動きはあるものの、制度融資は、信用力が弱い中小企業の資金調達手段として不可欠であると認識しております。今年度は融資目標額を過去最大の一兆七千五百億円として充実を図ったところでございます。また、事業再生融資やクイック型融資を制度化するとともに、今月から、年末年始特別対策といたしまして、制度融資利用強化キャンペーンを展開して、積極的な資金供給を促しているところでございます。
 今後も制度融資は東京都の金融対策のかなめであり、中小企業の資金需要にさらにこたえるため、充実強化を図ってまいりたいと考えております。

○和田委員 今の訂正をされた有手局長の数字を僕はもう一回確認したいんですが、平成十一年度に、平成十年度の一万三千六百七十三件が一万一千二百四十六件に一たん下がるんですね。それから、十二年度はまた一万三千三百六十一と上がって、それから、十三年度はもっと上がって一万五千八百二十六になって、十四年度はもっと上がって一万七千四百九十六になる、ですから、十一年度だけちょっと下がるという、そういうことでしょう。

○有手産業労働局長 そのようなご理解で結構でございます。

○和田委員 たびたび重なりますけれども、制度融資が今まで機能してきているわけでありますから、期待されているわけですから、それに自信を持ってしっかりと取り組んで、そのときそのときのメニューを発見して、それで中小企業の大きな助けにぜひなっていただきたいということ、これは強く要望しておきたいと思います。
 それから、最後に老人総合研究所と老人医療センターについて触れたいと思うんです。
 私は先日、板橋区に両方、隣り合わせてあるんですけれども、この老総研と医療センターを見てまいりました。もとよりここの、病院といっていいんでしょうね、専門病院が高齢者向けであるという一つの特色を持ってまいりました。そこでどのようなことをやっているかというと、国のリーディングプロジェクトである個人の遺伝子情報にかかわる医療の実現プロジェクト、オーダーメード医療などを実現してみたり、あるいは高齢者の包括的な医療を行うCGA、医療病棟などもあったりして、高齢者医療の先駆的な、モデル的な取り組みを全国的にもしてきているというのを見聞してまいりました。
 また、老人総合研究所は、老化したりする過程、あるいは老年病だとか高齢社会の諸課題を総合的に研究する機関として、世界的にも実績のある先端的な研究をしてきているというふうにわかりました。
 そこでお尋ねするんですが、この老総研と老人医療センターがどのような役割をこれまで果たしてきて、そして都はどのようにこの二つの施設を評価しているのかということについてお伺いいたします。

○幸田福祉局長 老人医療センターは、昭和四十七年の開設以来、日本最初の老人専門病院として、高齢者医療の先駆的、モデル的な役割を担うとともに、お話のように、チーム医療に基づいた全人的、包括的医療の実践やオーダーメード医療実現化プロジェクトへの参画など、高齢者医療の向上に寄与してきております。
 また、老人総合研究所は、同じく昭和四十七年に、老化、老年病及び高齢者問題に関する総合的な研究を行う目的で設置し、基礎科学分野での各種の発見や痴呆の効率的ケアと早期発見方法の開発に努めてまいりました。加えまして、老人医療センターとの緊密な連携のもとに、世界に誇れる膨大なデータが蓄積された国内唯一のブレインバンクの設置や介護予防プログラムの開発などにも取り組んでおり、広範な都民の高齢者医療及び福祉の向上に寄与していると存じます。

○和田委員 時代はまさに高齢化社会の真っただ中に今いるわけであります。それであるがゆえに、この老総研と老人医療センターはもっと東京都の中でも注目されるべきだし、また自己主張してもいい存在だと私は調査をしてわかりました。
 老人医療センターについてこれからお伺いするんですけれども、平成十三年度に作成された都立病院改革マスタープランでは、都立の豊島病院との統合民営化という形が一応プランとしては決定をされているんですね。しかし、一方で、今日になって板橋区が、豊島病院を区立病院にしたいということで一定の方向を示しているやに聞いています。現時点でははっきりした結論は出てないようですけれども、仮に豊島病院が板橋区立化された場合、統合民営化という当初のマスタープラン構想というのは白紙に戻さざるを得ないということになるだろうと思うんです。
 その場合、この医療センター、老人医療センターを--かつては養育院という時代がありました。あそこを訪れると、渋沢栄一さんのお座りになっている銅像があって、あの方は亡くなるまでこの養育院を保護し、そして、自分の理念としてあのセンターをしっかり守ってきたということが象徴されていますけれども、まさに高齢者医療の分野で重要な役割を果たしてきていたわけです。このことは、私は、東京都の重要な貴重な財産だというふうに思っていますので、これは継続して引き継いでいくべきだという覚悟をまた東京都で持っていただきたいと思うんです。
 さらに、今老人医療センターは福祉局がやっているんですけれども、実際は医療をやっています。医療となれば、病院経営本部とか、そういうところがしっかり受けとめなければいけないのに、福祉と医療、実際は医療をやっているんだけれども、福祉局が所管しているというようなことによってあいまいな形で今存在がされています。そこも一元化するということも含めて、改革案、それはマスタープランも含め、プロジェクトも含め、いろいろ案がありますけれども、今、当面できる改革にはすぐさま手を染めていくべきではないのかというふうに思うのでありますが、いかがでしょうか。

○幸田福祉局長 老人医療センターの改革につきましては、都立病院改革マスタープラン及び都立病院改革実行プログラムに基づきまして着実に進めてまいりたいと存じます。
 なお、板橋区における豊島病院の区立病院化に関する検討の動向にも留意しつつ、諸課題について引き続き検討を行ってまいります。

○和田委員 極めて紋切り型の答弁で不満であります。
 しかし、今板橋区も、区議会や区長さんの考えも煮詰まってきているように仄聞していますし、そしてまた、当初のマスタープランから切り離した形で、都立病院と、それから板橋区というような関係が出てくるわけでありますから。しかしながら、統合民営化という基本方針のプランから完全にこれは切り離して、原点に戻ってこれから医療センターと老総研そのものは考え直していくべきだということを強くここでは申し上げておきたいと思います。
 最後になりますけれども、老総研について伺いたいと思うんです。
 この老総研に行って私はびっくりしたんですけれども、高齢者のブレインバンク、脳みそバンクですね、亡くなった方の脳みそを提供していただいて、それをずっと保存してありました。それの結果、アルツハイマー病などの原因の究明にその脳の保存してある実態が貢献しているというようなことを聞いて、まだ余り知られてないけれども、脳そのものを提供してくださる方もいらっしゃるのかなと。腎臓バンクとかそういうのは聞いたことがあるんですけれども、脳バンクというのもあって、世界の大きな研究機関と連絡をとりながら進めているということでした。
 そういうふうに最先端な研究をしているかと思うと、ここにありますけれども、介護予防プランを考えるということの中で、地域型痴呆予防プログラム、痴呆予防教室、尿失禁予防プログラム、熊谷式低栄養予防プログラムというような形で、具体的に保健所が取り上げるようなことまでも含めやっています。とりわけ尿失禁は、女性の三分の一が実はそういう苦労をされているというようなことも聞きまして、こういうことを日の目を見せて東京都の研究機関が積極的に取り上げる、余り表に出ない問題ではあるんだけれども、最先端の研究をしていますよということを聞きまして、なるほど、脳バンクのような世界的なものから、こういう本当に生活に密着したものまで東京都の老総研ではやっていらっしゃるのかなというふうに私は驚いたわけですけれども、それをもっと知らせていくべきだろうと。確かに、板橋の限られたあそこの場所ですから、派手さはありません。しかし、何らかの形でこれをPR、それから、この施設を守っていくというような意欲を当局はぜひ持ってほしいというのでありますが、これについてはいかがお答えになるでしょうか。

○幸田福祉局長 老人総合研究所では、これまで老化、老年病等にかかわる研究成果について、延べ七十四回に及ぶ公開講座を初め、講演、出版等を通じまして広く都民に還元してまいりました。
 特に介護予防につきましては、今年度からその普及促進に精力的に取り組んでいるところでございます。例えば、区市町村の担当者等を対象といたしました介護予防の効果的な進め方に関する指導者養成研修会や都民向けの講演会を開催するなど、介護予防に関する情報提供と普及啓発に努めております。
 研究成果の都民への普及還元は極めて重要と考えておりまして、これらの取り組みを今後とも積極的に促進してまいります。

○新藤委員長 和田宗春副委員長の発言は終わりました。
 藤井一理事の発言を許します。

○藤井委員 初めに、痴呆性高齢者グループホームについて伺います。
 このグループホームは、家庭的な雰囲気の中で、お年寄りがお互いに協力し合いながら少人数で共同生活を行うという、こういったグループホームでございますが、痴呆性ですから治るということはございませんけれども、このグループホームに入ることによって痴呆の症状が緩和されるというような効果があるというふうにいわれております。今後の超高齢化社会という時代を迎えた今、このグループホームは、高齢者の住まいとして、今後とも重要なそういう役割が期待されているわけです。
 我が党はこれまで、このグループホームについては再三、東京都として早急に整備するよう訴えてまいりました。私も、この問題、平成七年からずっと取り上げてまいりましたけれども、最近の状況について何点かお伺いいたします。
 まず、痴呆性高齢者グループホームの整備状況について伺います。
 平成十四年度末におきます整備済みの痴呆性高齢者グループホームの箇所数及び定員数はどのような状況であるのか、また、これを全国の整備水準と比較すると、東京はどういう状況にあるのか、伺います。

○幸田福祉局長 平成十五年三月末現在の痴呆性高齢者グループホームは七十一カ所、定員九百三十四人でございます。また、高齢者人口に対する整備率は〇・〇四%であり、東京都は全国で最も低い整備率となっております。

○藤井委員 全国で最も低い整備率という厳しい状況ですけれども、こうした中、本年三月、東京都は第二期の東京都介護保険事業支援計画というのを発表いたしました。この中で、痴呆性高齢者グループホームを平成十九年度末までに四千三百人整備するという目標が定められておりますけれども、今後、このグループホームの設置を促進して、目標を確実に達成していくことが大変重要であるというふうに考えます。
 都はこれまでも、痴呆性高齢者グループホームの設置促進を図るために、民間事業者に対して整備費補助制度を創設するなど、こういった東京都独自の取り組みを行ってきたわけですけれども、都として新たに取り組む方策について伺います。

○幸田福祉局長 都は、痴呆性高齢者グループホームを大幅に増設させるために、平成十四年度から開始いたしました都独自の民間企業に対する整備費補助に加えまして、平成十五年度からは、都の重点事業として、社員寮等の所有者が建物を改修し、グループホーム事業者に賃貸する場合も整備費補助の対象といたしました。また、都有地活用による地域の福祉インフラ整備事業も創設いたしまして、より一層の設置促進を図っております。

○藤井委員 新たなまた取り組みをされるということの答弁でしたけれども、こうした取り組みを行ってきた結果、今年度におきます痴呆性高齢者グループホームの整備状況は、当初の計画と比較してどのような状況になっていますか。

○幸田福祉局長 本年三月に改定いたしました第二期東京都介護保険事業支援計画における平成十五年度の整備目標は定員千八百人でありまして、先ほどご答弁いたしました本年度当初の定員の約二倍に当たる規模となっております。この目標を達成すべく、都独自の補助制度の活用などにより設置促進を進めてまいりました結果、本年十一月一日現在の定員は千百五十三人となり、さらに、今後年度内に整備されるものを含めますと、整備目標千八百人はほぼ達成できる見込みでございます。

○藤井委員 ぜひこの目標達成のためにご努力をされるよう要望したいと思いますが、それでもまだ、全国的なそういう基準から見て、まだまだ東京都は整備率が低い状況にあることは変わりません。特に、東京のようなこういう大都市においては、地価が高いというような、そういった原因によります用地取得の困難、あるいは、グループホームの整備が進まない主な原因だと思いますけれども、こういった状況の中で、国の、特に全国画一のいわゆるグループホームを設置する際の規制の問題が大変大きいというふうに思います。
 私も、ことしの二月に行われました予算特別委員会で取り上げましたけれども、特に、東京都の中に工業地域がたくさんあります、私の地元にもあるわけですが、こういった工業地域では、現在、グループホームが単独では設置できません。すなわち、旧厚生省の一課長の通達によって、工業地域にはグループホームは建てちゃいけないというふうになっております。しかし、現状では、工業地域といってもさまざまでございまして、昔は工業がたくさんあったけれども、今は地方に移転して、そこの跡が住宅に宅地化されておりまして、まさにこういった、まさに住宅地とほとんど変わらないような工業地域がたくさんあるわけですけれども、しかし、その国の規制によって、業者がそこにグループホームをつくりたくても、だめだということで、大変こういった設置を阻んでいるわけでございます。
 そこで私は、この工業地域でもグループホームが設置できるように、都として積極的に国に働きかけるべきであるというふうに提案をさせていただきました。その際、福祉局長は、国や地元自治体と積極的に調整をしていきたいという答弁をされたわけですけれども、その後の状況はどうなっていますか。

○幸田福祉局長 藤井委員お話しのように、痴呆性高齢者グループホームの設置に関する国の全国一律的な規制に対しまして、工業地域であっても、地域の特性を踏まえ、設置できるようにすべきであると予算特別委員会での委員のご提案を踏まえまして、都はこれまで、国に対し再三にわたって規制の緩和を求めて折衝してまいりました。
 その結果、本年九月に国から、地域住民との交流など適切なケアが確保される場合には、工業地域においても設置を可能とする、こういう見解が示されまして、近々正式に通知があるものというふうに承知しております。

○藤井委員 東京都の前向きなご努力に対して敬意を表したいと思います。今後とも設置促進にご努力をされますよう要望したいと思います。
 次に、ものづくり振興、ものづくり人材育成について伺います。
 昨年の八月ですが、激減する製造業など、危機にあります東京のものづくりへの課題を克服するために、中小企業振興対策審議会が答申を行いました。その答申の内容は、三つの戦略を提案しておりますが、第一番目に、ものづくりの環境を整える、第二番目に、ものづくり企業の体力をつける、三番目に、ものづくりを支える人材を育てるというものでございます。
 これらの戦略を積極的かつ果敢に展開していくためには、組織横断的にものづくり産業の振興策を講じなくてはならないというふうに考えるわけでございますが、そこで、答申を受けまして、昨年九月に産業力強化会議が設置をされたというふうに聞いておりますが、現在の状況、また具体的な成果があればお示し願いたいと思います。

○有手産業労働局長 産業力強化会議におきましては、ものづくり企業が立地しやすい環境整備のための都市計画上の規制の見直しを初め、研究開発や起業の促進等による中小企業の競争力向上のための税制のあり方、企業の体力をつけるための知的財産活用、産学公連携など、課題ごとに具体的な検討事項を定めて検討を進めておるところでございます。
 会議設置後の主な成果といたしましては、東京都特別工業地区建築条例の廃止、知的財産活用本部の設置、国に提案いたしました中小企業技術基盤強化税制やエンジェル税制の改善等が税制改正に反映されたことなどが挙げられます。

○藤井委員 今お話がありました、ものづくり企業の体力をつける戦略の中では、特に知的財産の重要性というのが強調されております。企業の競争力を強化するためには、技術開発力を充実し、製品の付加価値を高めることが必要であるとともに、斬新なデザインあるいは個性あるブランドなど、無形の資産価値を高めて収益を高めていくことが重要であります。こういった企業活動のあらゆる側面に係る無形の価値を収益の源泉として保護、活用していくためには、知的財産で戦うことが大切であるわけでして、そのために、都としても、この知的財産に関する支援策を強化することが重要であるというふうに考えます。
 そこで、東京都知的財産活用本部が四月に設置をされたわけですが、これまで行ってきた知的財産に対する支援策についてお伺いをいたします。

○有手産業労働局長 本年四月に知的財産総合センターを設けまして、中小企業への相談事業等を開始いたしました。現時点で来所相談は千六百件で、そのうち、特許関係が約七割、商標関係が約一割程度となっております。
 また、外国特許の出願費用助成におきましては、四十七件の交付決定に対しまして約三倍の申請があるなど、中小企業の知的財産活用に対する支援について強いニーズを実感しているところでございます。
 さらに、八月に知的財産活用本部で中小企業の知的財産活用のための東京戦略をまとめ、支援施策の体系と方向性を示したところであります。
 今後とも、中小企業の知的財産活用への積極的な支援施策を進めてまいりたいと考えております。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、ものづくりを支える人材育成についてお伺いいたします。
 ものづくりは人づくりであるというふうにいわれますけれども、競争力ある東京のものづくり産業を築くためには、基盤となります技術や技能を伝承し、ものづくりを支える人材を育てることが極めて重要であります。
 しかし、これまで都内の製造業を支えてきました高度な熟練技術を持っている人たちがどんどん高齢化をしてやめていっておりますし、あるいは若者のものづくり離れがますます進んでおります。こういった中で、高度な技術やすぐれた技能を維持、継承することが困難になってきている、これが現状です。このまま放置しますと、都内の製造業のいわゆる基盤が崩壊をし、東京の産業にとって危機的な状況に陥ることが懸念をされているわけです。こうした状況の中で、都は、ものづくりを支える人材育成に積極的に取り組んでいくべきであるというふうに考えます。
 一例を挙げれば、産業労働局所管の技術専門校というのがありますが、この技術専門校の人的あるいは物的な資源を活用して、工業高校の高校生を対象としたこういういわゆる実践的な技能訓練、こういったものを提供するなど、いわゆる人材育成の観点から、産業労働局が教育現場を積極的に支援していく、こういったことが今後必要だというふうに考えます。
 そこで、ものづくり人材育成に関する教育庁との連携施策への取り組みについて伺います。

○有手産業労働局長 ものづくりを支える人材を育成していく上で、教育現場との連携施策を講ずることは、お話のとおり極めて有効な方策であります。
 このため、技術専門校におきまして、小中高校生を対象といたしました工作教室や実習講座の開催、高校生ものづくりコンテスト全国大会への支援を初め、都立工業高校における東京版デュアルシステム導入に向けての連携など、学校と手を携えたものづくり人材育成に努めておるところでございます。
 今後とも、産業力強化会議におきまして、ものづくり人材育成の効果的な仕組みづくりを検討するなど、教育庁との連携をさらに密にしながら、より一層ものづくりを支える人材の育成に努めてまいります。

○藤井委員 最後に、ものづくり産業の集積について伺います。
 ものづくり企業への支援は大変重要なことですが、しかし、このものづくりは単独企業では成り立ちません。いろいろな企業、いろいろな業種の連携というのが大変重要であります。
 産業労働局が行いました最近の調査結果を見ますと、特に城南、城東地域など、工業集積があるところほど業績不振が際立っておりまして、大きな転換期に直面しているわけです。
 また、今後この集積地域の機能を高め、下請発注型から脱皮を図る、あるいはまた取引空間の拡大を図るというような、そういう具体化を図っていくことが課題とされているわけですけれども、このように、ものづくりは中小企業単独の生産活動あるいは狭い範囲での取引では困難になってきている。
 一方、集積地域内の中小企業がまとまって共同受注を実施したり、あるいはまたグループによる商品づくりに取り組んでいる、そういった成功している事例があるわけです。こういった企業の新しい取り組みを育てていく新たな集積施策の構築が強く求められているというふうに考えます。
 先月九日に行われました東京都中小企業振興対策審議会において、東京都のものづくり産業の集積施策のあり方についてという諮問がなされたというふうに聞いておりますが、ものづくり企業の新しい取り組みを伸ばすことを目的にして、この中小企業振興対策審議会の新たな集積施策についての審議を進めるべきというふうに考えますが、局長の決意を伺いたいと思います。

○有手産業労働局長 近年、産業構造の変化や情報化の進展等によりまして、産業集積の内容が徐々に変化しつつあります。ソフトなものづくりの台頭や異業種の連携による新分野への展開など、新たな息吹も生じているところでございます。
 こうした新しい芽を育てるとともに、東京の産業の活性化を図るためには、多種多様な経営資源が存在している東京の優位性を最大限に生かすことが重要であると認識しております。
 これらの認識のもとに、産業集積の実態を十分に踏まえた、大都市東京にふさわしいものづくり産業の集積のための総合的な施策構築を目指しまして、中小企業振興対策審議会に諮問したところでございます。有効な答申が得られるように努力してまいります。

○藤井委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは次に、大井コンテナふ頭再整備事業についてお伺いいたします。
 平成十四年、東京港の外貿コンテナ取扱量は我が国で第一位であります。これで五年連続日本一の記録を達成したそうでございます。さらに、先ごろ発表されました、ことし上半期の実績でも、前年同期比で一〇%増ということでございます。
 こういった東京港の実績があるのも、外貿コンテナの取扱実績で東京港全体の六割のシェアを持っております大井コンテナふ頭で、大型船舶に対応する再整備事業が実施されてきたからであるというふうに考えます。財政は厳しいわけですけれども、非常に手狭な東京港で、貨物量が年々増加する状況の中で行われましたこの工事、いろいろと工夫が必要であったと考えますけれども、この再整備事業についてどのような工夫を凝らしたのか、また、その結果、生まれ変わった施設はどういうものか、お伺いしたいと思います。

○成田港湾局長 ご指摘の大井コンテナふ頭の再整備事業は、コンテナ船の大型化などに対応するために、既存ストックの有効活用を図り、使いやすい施設をより早く、より安く整備することをコンセプトに、ふ頭を稼働させつつ工事を実施したところが最大の特徴でございます。
 平成八年度から今年度までの八カ年度にわたりまして、総額七百四十億円を投じまして、八バースから連続七バースへの再編と桟橋の新設、新型のコンテナクレーンの導入など、ふ頭の再整備を実施いたしまして、水深マイナス十五メートル、一バース当たりの延長三百三十メートル以上という高規格コンテナターミナルの実現を見たところでございます。

○藤井委員 今答弁がありましたように、大変大きな改革、新しい施設に生まれ変わったということですけれども、要は、何も新しい施設をどんどんつくることがいいわけではありません。既存の施設を最大限に有効活用するということがこれからの時代では大事なことだろうというふうに思います。
 この再整備事業を実施したことによります具体的な成果についてお伺いします。

○成田港湾局長 再整備事業により高規格で大水深のバースが実現いたしまして、現在、国際海上コンテナ輸送に就航しております最大級の大型コンテナ船にも対応することが可能となりました。再整備前の平成七年と平成十四年の実績を比較いたしますと、六万トン以上の大型船の利用は、年間二十七隻が二百四隻へと七・六倍に増加しております。また、一バース当たりの年間取扱貨物量でございますが、十七万八千個から二十七万一千個へと一・五倍に増加し、我が国の中でもトップクラスの実績となっているところでございます。

○藤井委員 今の答弁で、成果があるということでございましたけれども、利用者であります船主、船会社ですね、荷主や船会社などに与える影響を最小限に抑えて、ふ頭を利用しながら抜本的な機能向上を図って、その効果は十分あったものというふうに評価したいと思います。
 しかし、取扱貨物量が増加している東京港の現状からすれば、主力ターミナルであります大井コンテナふ頭について、ターミナル面積の拡大を含む、さらに能力の向上が必要になってくるというふうに考えます。
 一方、この大井コンテナふ頭背後の道路ですけれども、私も行きましたけれども、このターミナルに入るためのコンテナ車両がたくさん待機しておりますし、そのために渋滞が大変頻繁に生じております。また、一般車両への影響もありますし、物流機能にも支障を来しているというふうに思われます。そのため、ふ頭背後の道路の交通対策を行うべきであると考えます。
 そこで、大井コンテナふ頭をさらに機能拡充するための取り組みについてお伺いをしたいと思います。

○成田港湾局長 港湾の心臓部ともいうべきふ頭機能の拡充のためには、大型船に対応した桟橋とともに、高いコンテナ収容能力を持つ広いターミナルや、荷主への定時配送を可能にする効率的なふ頭背後の交通の動線を三位一体で整備することが必要であると考えております。このため、背後の一部民間施設を含めましてコンテナターミナルを拡張する方向で、現在、関係事業者との調整を進めているところでございます。
 また、交通管理者などの関係機関の協力を得まして、大井コンテナターミナル周辺の交通動線を大幅に見直し、交通渋滞の抜本的な解消に取り組んでいきます。
 ただいま申し上げましたようなこれらの施策を通じまして、国際競争力のある高機能ふ頭の実現を図ってまいりたいと考えております。

○新藤委員長 藤井一理事の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時八分休憩

   午後三時二十八分開議

○新藤委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行します。
 吉原修理事の発言を許します。

○吉原委員 それでは、私の方から、中小企業やまちづくり等に関連して幾つかのお尋ねをいたします。
 まず、金融施策のかなめである債券市場について伺います。
 昨今、景気動向や、やや明るい材料が見えてきたように思いますが、しかしながら、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しいものがあります。
 都の債券市場は、石原知事が就任して以来、取り組みを進めてきたものでありますが、我が党は、これまで折に触れて議会でこの問題を取り上げ、さまざまな角度から力を尽くしてまいりました。
 すぐれた発想力や高い技術力を持ちながらも、担保が不足しているなどの理由によって十分な資金調達が図れない中小企業の資金調達の円滑化を図ることを目的とするこの債券発行は、平成十四年度で四回目を数えました。とりわけ昨年度は、当初からのCLOに加え、新たにCBOも実施されました。
 都は十一年度に第一回のCLOを発行して以来、今日まで毎年度実績を積み重ねてきたわけですが、昨年末、第一回のCLOが償還期限を迎えました。その結果がことし七月に発表され、三年間のデフォルト率が、金額ベースで六・三二%、件数ベースでも六・九〇%と公表されました。この数値について、都はどのように評価されているのでしょうか。
 また、その他の数値も含め、第一回CLOの最終的な結果をどのように見ているのか、伺います。

○有手産業労働局長 中小企業庁の調査によれば、一九九八年度に正常先であった中小企業のうち、二〇〇一年度までの三年間にデフォルトした企業の割合は八・八%でありまして、この数字と比較いたしますと、第一回CLOのデフォルト率は低いと思います。
 また、当初設定どおり、一%を超える利回りを確保するとともに、元本も満額償還となり、安全かつ有利な金融商品であることが実証されました。
 さらに、参加企業のうち十一社が株式上場、三十一社が上位スキームであるCBOへステップアップいたしました。
 こうしたことから、第一回CLOは成功したと認識しております。

○吉原委員 確かに、今ご答弁いただいたように、デフォルト率は決して高くないと思いますし、私は、行政主導としては国の初の試みでありますこのCLOは成功だったように思っています。また、デフォルトという、いってみればマイナス情報も含めて行政が積極的に情報を公開した、そのことにも意義を感じますし、また、注目もしたいと思います。
 市中の金融機関は、幾らディスクロージャーなどといっても、まず、この手の情報を投資家向けに公開していないのが現状であります。
 そこで、都は、今後、債券発行にどのように取り組むおつもりなのか、ご見解を伺います。

○有手産業労働局長 中小企業の資金調達手段として定着させるためには、中小企業にとってより利用しやすく、かつ、投資家の評価を得られるように、工夫を重ねながら、債券を継続的に発行することが重要でございます。
 今年度は、都民参加型CLO、地方銀行主導型CBOを実施し、債券市場の一層の拡大を図ろうとしているところでございます。今後とも積極的に取り組んでまいります。

○吉原委員 東京都の債券市場は、ほかの自治体にも広がりを見せております。昨年度は、福岡県、そして大阪府が実施をいたしました。今年度は大阪市がスタートをし始めて、千葉県や千葉市が共同で実施を発表しています。
 さらに、国や海外からも注目をされています。APECがシンポジウムに東京都を招聘したこと、ASEANも、東京都の債券市場を参考にしながら、独自の債券市場構想を検討中であることも聞いております。
 こうした流れを踏まえて、今後、東京発の先進的な金融施策を国内に、さらには海外に広く普及させることは極めて有益であると考えておりますが、いかがですか。
 とりわけ首都圏八都県市でのさまざまな分野における連携が深まる中、債券発行においても東京都のノウハウを首都圏でともに活用していくことが重要であると考えますが、あわせてご見解を伺います。

○有手産業労働局長 ご指摘のとおり、東京発の金融施策が評価されることは、債券市場の発展にとっても好ましいことでございます。国や、首都圏を初めといたします他の県市、さらには海外などからも問い合わせや講演の依頼などが相次いでおります。
 今年度のCBOにおきまして、複数の地方銀行の連携による債券発行が初めて実現することから、都道府県を超えて広域連携した債券発行にも展望が開けてまいります。今後とも、国内や海外からの要請に応じるとともに、首都圏の連携をも積極的に推進してまいりたいと考えております。

○吉原委員 ぜひよろしくお願いいたします。
 次に、商店街振興について伺います。
 たまたま衆議院選挙がございました。そんな関係もございましたので、私は参加をしておりませんけれども、先般の七日から九日まで都民広場で開催されました「史上最大 商店街まつり」では、都内の元気あふれる代表的な商店街が一堂に会して、その取り組みや魅力を余すことなくアピールして、大勢の都民の方々や視察団が来場してにぎわったとお聞きしております。
 しかし、現在、個人消費の低迷、大型店の出店、後継者不足などの要因によって、商店街を取り巻く環境は依然として大変厳しいものがありますし、都内商店街全体としては相変わらずの衰退傾向をたどっております。そして、いまだその歯どめはかかっておりません。
 こうした中、東京都では、我が党が提案した元気を出せ商店街事業を実施し、商店街が一致結束して取り組むべきイベント事業に対して支援をしてまいりました。
 今や核家族化が進み、地域コミュニティの崩壊や凶悪犯罪の増加など都民が安心して日常生活を送れる環境が、残念ながら失われつつあります。人と人とのつながりを取り戻して、生活に潤いや安らぎが感じられる、そして住民の顔が見える住みよい町をつくるためには、地域の人々の交流の場、あるいは生活の場として大きな役割を果たしているのが商店街であります。
 元気を出せ商店街事業を実施したことによって、商店街からは、地域消費者と商店街の関係が深まった、また、町に活気が出てきたなど大変高い評価をされてまいりました。商店街の再生に向けた第一歩になったと確信しております。
 そこで、まず伺いますが、元気を出せ商店街事業を含め、十四年度まで実施してきた商店街振興事業の意義について、改めてではありますけれども、都の見解を伺います。

○有手産業労働局長 商店街が地域経済やコミュニティの維持などに果たしている重要な役割にかんがみまして、都は、十四年度まで、元気を出せ商店街事業や活力ある商店街育成事業、空き店舗活用推進事業などの事業を実施し、商店街によるイベントや施設整備、IT化対応などさまざまな活性化事業を支援してまいりました。
 こうした事業を通じて、お話のように、商店街がみずから意欲的に考え、行動する取り組みを促進し、地域商業の振興に大きく貢献してきたものと考えております。

○吉原委員 都は、昨年度までこうした取り組みを踏まえ、今年度から新・元気を出せ商店街事業をスタートさせました。加えて、人づくり、店づくり、そして商店街づくりという、いってみれば三位一体の総合的な商店街振興施策の展開を始めたところであろうかと思います。
 そこで、伺いますが、商店街振興施策をより充実させ、発展させていく上での、その決意をお聞かせいただきたいと思います。

○有手産業労働局長 都は、商店街の振興を産業振興の重要な柱の一つと位置づけております。
 今月七日から三日間、都民広場で開催された「史上最大 商店街まつり」では、都内各地から元気な商店街が集まり、環境、情報、安心をテーマに、先進的な取り組みを紹介されておりました。都民の関心も高く、七万人を超える来場者を数えたところでございます。
 商店街を取り巻く環境が大変厳しい中にあっても、このようにみずから創意工夫して課題解決に取り組む商店街が数多くあることに、勇気づけられる思いがいたしました。今後とも区市町村と連携を図り、新たに再構築しました商店街振興施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。

○吉原委員 ぜひともよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、この十月一日から始まりましたディーゼル車規制について伺います。
 東京都は、ディーゼル車の排ガスから都民の生命と健康を守るため、都政の最重要課題としてディーゼル車対策に取り組んできました。その結果、十月一日の規制開始時点までに、規制対象車の八割が、PM減少装置の装着や新車への買いかえなどが進んできたと思います。
 そして、規制開始後一カ月の取り締まり状況を見ても、違反車両の割合は、都内登録車両で一%と非常に少なくなっているとお聞きしています。
 また、都条例では流入車規制が特徴ですが、全国からの流入車についても、違反車両の割合は約二・五%と、この規制によって成果があらわれているとお聞きいたしました。
 これは、一つには、八都県市が連携や、あるいは協力して、そして事業者の皆さんに対する規制内容の周知徹底やPM減少装置の装着補助など支援策を講じてきたことと同時に、何よりも、大変厳しい経営環境にあるにもかかわらず、事業者の皆さんに規制の必要性をご理解いただいてきたことが大きな要因であろうかと思います。
 こうした努力に対して、国は、自動車NOx・PM法を制定したものの、その適用を最大二年半延期しました。また、PM減少装置の装着補助の受け付けを、まだ始まって間もないにもかかわらず、六月早々に打ち切るなど、その姿勢を疑わざるを得ません。東京都としては、国に対し、さらに厳しく対応を要求すべきだと思います。
 ディーゼル車規制は、今始まったばかりで、これで幕を閉じるわけではありません。都の条例では、新車登録から七年間は規制の適用を猶予されるので、今後、猶予期間が経過するごとに、新たに規制対象となる車両が出てまいります。
 都は、今後とも厳しい経営環境にある中小零細企業のディーゼル車規制への対応を促進するため、PM減少装置の装着補助等の支援策について、国への要求も含め、必要な措置を講じていくべきと考えますが、ご見解を伺います。

○小池環境局長 今日の深刻な大気汚染の根本的な原因は、国の自動車排ガス規制の怠慢にございますが、それにもかかわらず、国は、自動車NOx・PM法の適用延期を適切であるというような見解を示して、全く危機感に欠けております。その上、条例や法の規制に積極的に対応しようとする事業者への支援策につきましても、極めて不十分でございます。
 そこで、都は国に対し、これまでも今後の自動車NOx・PM法による規制も視野に入れて、中小零細事業者が利用しやすい買いかえのための融資制度の創設や、税制上の優遇措置の拡充など、責任ある対応を行うよう求めてきたところでございますが、引き続きその実現に向け、強く要求してまいりたいと思います。
 また、都といたしましても、中小零細事業者が大変厳しい経営環境にあることは十分理解しておりますので、PM減少装置の装着補助等の支援策を含め、適切に対応してまいります。

○吉原委員 我が党が繰り返し主張してきましたように、ディーゼル車規制を円滑に実施していくためには、何よりも事業者の理解と協力が不可欠です。これからも国に対し、抜本的な対策を求めていくとともに、東京都としても、東京の大気汚染を一刻も早く改善するために、十六年度予算において事業者への積極的な支援を行うよう強く要望して、次の質問に移らせていただきます。
 都市再生について伺います。
 昨年度は、都市再生特別措置法や、東京のしゃれた街並みづくり推進条例が制定されるなど、都市再生の幕あけの年であったといえます。
 そこで、まず、都市再生特別措置法の関連についてですが、緊急整備地域が都内で七地域、約二千四ヘクタール指定されたのが昨年の七月であります。その後、この制度を有効に活用した民間からの提案が待たれていましたが、大崎地区において特別地区の都市計画の提案がなされました。これを受けて、都市計画の手続が現在進められておろうかと思います。
 この特別地区の都市計画が、東京の都市の再生を進める上で、従来の制度と異なり、どのような有効な役割を果たしていくのか、見解を伺います。

○勝田都市計画局長 都市再生特別地区でございますが、都市再生緊急整備地域内におきまして、原則として民間事業者の提案に基づき、従来の都市計画の枠組みを変えて、新たに用途や容積率、高さの制限等を定めるものでございます。
 このような規制緩和によりまして、民間による都市開発を積極的に誘導し、地区の特性に応じた良好な市街地を実現させようとするものでございます。

○吉原委員 一方では、従来から取り組んできた制度に、いわゆる都市開発諸制度があります。この制度は、容積率などの規制緩和により、良好な都市開発を誘導する幾つかの制度で、六本木ヒルズでも適用されるなど、それなりに実績を上げているものと思います。
 この都市開発諸制度の運用方針の見直しを六月に行ったところですが、そもそもこのような体系的な運用方針を持っている自治体は、全国的にもほとんどないと聞いております。この運用方針の政策的なねらいと今回の見直しのポイント、さらには多摩地域の都市の再生を進める観点から、どのような制度改定が行われているか、あわせてお伺いをいたします。

○勝田都市計画局長 都市開発諸制度の運用方針でございますが、総合設計や再開発等促進区を定める地区計画など、容積緩和をインセンティブとする本制度の運用に当たりまして、その基準を事前に明示することで、民間開発をよりよいものに効果的に導こうとするものでございます。
 今回の見直しでは、これらの諸制度を積極的に活用すべきエリアといたしまして、秋葉原、品川の新拠点を追加するとともに、都心やその周辺部などで、例えばオフィスの更新に合わせて、にぎわいある商業や文化、交流など、多様な機能をより積極的に導入できる仕組みといたしました。
 一方、多摩地域でも、八王子・立川・多摩の業務核都市基本構想に合わせまして、適用エリアを一部追加するなどの改正を行っております。

○吉原委員 ところで、業務核都市については、昨年、八王子・立川・多摩の基本構想が策定されたところでございますが、町田と青梅についてはまだ策定をされておりません。東京圏における環状メガロポリス構想の構築を推進する上で重要な拠点となるこれらの二つの地域においても、業務核都市基本構想の策定を急ぐべきと考えますが、町田、青梅についての現在の状況についてお尋ねいたします。

○勝田都市計画局長 町田につきましては、平成十一年三月の第五次首都圏基本計画におきまして、町田・相模原業務核都市として位置づけられております。
 その後、国、神奈川県及び町田、相模原の両市と調整をしながら調査を進めてまいりまして、今般、基本構想の素案を取りまとめました。現在、素案に対する意見を募集しておりまして、今後これらも踏まえて基本構想を作成し、今年度末を目途に主務大臣の同意を得て決定できるよう、鋭意取り組んでまいります。(発言する者あり)
 また、青梅につきましては、市において基礎調査に向けた準備段階でございまして、今後、国や市と調整しながら進めてまいります。

○吉原委員 まあ、いろいろご意見もありますが、ぜひ早いうちに基本構想が策定されるようにお願いをしたいと思います。
 一方、八王子・立川・多摩、基本構想の実現に向けてどのように進めていくか、そのことが最も重要ではないかと思います。業務核都市の整備を促進するための支援策として、現在どのようなメニューがあるのか、お尋ねをいたします。

○勝田都市計画局長 国や都は、業務施設集積地区における中核的民間施設に対しまして、事業者が第三セクターである場合などについて、税制上の優遇措置などの支援策を用意しております。
 具体的には、国の支援策といたしまして、法人税の特別償却や事業所税の軽減などのほか、資金確保の支援措置として無利子貸付制度などがございます。
 また、都の支援策といたしましては、不動産取得税の軽減措置などがあるほか、先ほど申し上げましたように、都市開発諸制度の適用エリアの一部追加を行っております。

○吉原委員 今ご答弁いただきましたけれども、国の支援策はさまざまな制約が多くて、全くといっていいほど十分ではないんではないかなと思っているわけであります。
 業務核都市の整備をより促進するために、都として、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。

○勝田都市計画局長 税制上の優遇措置につきましては、要件が厳しいなど、使いにくい面があることはご指摘のとおりでございます。このため、この夏にも、八都県市首脳会議といたしまして、国に対して、第三セクター要件の撤廃、中核的施設の対象の拡大など、制度改善の要望を行いました。
 今後とも、関係自治体と連携しながら、引き続き国に強く働きかけるなど、業務核都市の育成整備に努めてまいります。

○吉原委員 基本構想はできるけれども、なかなか実現に向けてということが最も難しいことでありますので、ぜひともいろいろな協議も踏まえて、地元とも相談をしていただきながら、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、都市計画の基本となる仕組みの一つであります用途地域についてですが、現在、区部、多摩地域合わせて約二万ヘクタールの区域にわたって用途地域等の見直しを進めています。この見直しによって、区部、多摩地域それぞれにおいて、民間の力を都市づくりにどのように有効に活用しようとしているのか、お伺いをいたします。

○勝田都市計画局長 現在まとめております東京都素案では、民間の活力を誘導し、目指すべき市街地像を実現するため、それぞれの地域の課題に対応した用途地域等の見直しを進めてまいります。
 具体的な見直し項目といたしましては、区部においては、国際ビジネスセンター形成のための都心部での容積率一三〇〇%の指定や、木造住宅密集地域等における新たな防火規制とあわせた建ぺい率の緩和などがございます。
 また、多摩地域におきましては、ゆとりある良好な住宅地の形成のための低層住宅地における建ぺい率、容積率の緩和とともに、沿道土地利用の増進を図るための用途地域の変更などがございます。

○吉原委員 次に、多摩南北道路の整備について伺います。
 都では、多摩アクションプランにも位置づけられておりますが、南北道路の主要五路線の整備を重点的に行っています。町田市から東村山に至る府中所沢鎌倉街道線については、この五路線の中心に位置しており、まさしく多摩の大動脈ともいうべき路線です。調布保谷線が全線事業化され、次に府中所沢鎌倉街道線の整備についても積極的に推進すべきと考えますが、現在の整備状況についてお伺いをいたします。

○小峰東京都技監 府中所沢鎌倉街道線は、神奈川県境から埼玉県境まで多摩の六市を結ぶ路線で、多摩地域の自立性の向上や都市間の連携を図る上で重要な幹線道路であり、整備を重点的に進めております。本路線の総延長は二十七キロで、平成十四年度末で十三キロ、四七%が完成しており、現在、八カ所、五・二キロの区間で事業中でございます。
 町田市内につきましては、綾部原トンネルなど五カ所、三キロで事業を実施しているところでございます。

○吉原委員 最近、新聞等で話題となっているJR中央線の踏切問題で明らかなように、鉄道が道路交通に支障となることが改めて思い知らされました。
 府中所沢鎌倉街道線全線を見ますと、JR中央線や西武線など多くの鉄道と交差しています。この路線の整備に当たっては、鉄道との立体交差が課題となると考えられますが、鉄道との交差箇所とその対応について伺います。

○小峰東京都技監 多摩の南北道路につきましては、渋滞解消や地域の一体化を図るため、道路と立体交差化することを基本として整備しております。
 府中所沢鎌倉街道線においても、小田急線を初めとする鉄道と十カ所で交差しており、そのうち六カ所については既に陸橋などにより立体化しております。
 残る四カ所についてでございますが、西武拝島線においては、鉄道を高架化することで、今年度、鉄道事業者との協議が調い、早期事業化に向け手続を進めております。
 また、他の交差箇所についても、構造の検討を行っており、速やかに地元市や鉄道事業者と協議を進めてまいります。

○新藤委員長 吉原修理事の発言は終わりました。
 清水ひで子理事の発言を許します。

○清水委員 二〇〇二年度各会計決算特別委員会の質疑を行わせていただきます。
 二〇〇二年度は、石原都政の一期目の締めくくりの年でした。この年、どういう都政運営が行われたのか。第一次財政再建推進プランに基づく福祉や医療への切り下げが進められ、福祉手当、医療費助成、シルバーパスなどの経済給付事業の見直しによる影響は、乳幼児医療費、区部財調を除くと、分科会でも指摘しましたが、総額マイナス二百七十三億円、対象人数マイナス二十万人余りとなりました。この中には、老人福祉手当、障害者福祉手当、老人医療費助成、障害者医療費助成、そして難病医療費の対象から慢性肝炎を除くなど、その影響は重大でした。
 さらには、改革の名による福祉医療を初めとする母子保健院などの都立施設の統廃合も行われ、採算性優先で、サービスの後退をもたらしており、都民の痛み、影響はいよいよ増してきています。
 その中で、見直しが行われた一つでありますがん検診センターについて、何点かお伺いいたします。
 まず、第一次財政再建推進プランや衛生局改革アクションプランでは、がん検診センターの見直しはどのような位置づけがされたのでしょうか。

○平井健康局長 平成十一年七月の財政再建推進プランでは、監理団体全般について、設立の目的趣旨と現状との検証を行い、団体の廃止・統合や、事業の存廃などを検討することとされました。
 また、平成十二年八月の衛生局改革アクションプランでは、区部における民間医療機関を中心とした検診体制の充実などから、東京都がん検診センターの役割を見直す必要が生じており、平成十四年度末までに二つのセンターを統合し、調査研究や人材養成機能などをあわせ持つ新たなセンターとして再編整備することといたしました。

○清水委員 それでは、二つのがんセンターがあった場合、平成十三年、十四年、検診実績の総数はそれぞれどのくらいだったでしょうか。

○平井健康局長 検診実績の総数でございますが、平成十三年度は十五万二千七百八十一人、平成十四年度は十万四千百七十九人となっております。

○清水委員 十四年度には、四万八千人、五万人ほど減少しているんですけれども、この減少した理由については、平成十四年度末の再編があるということで、東京都がん検診センターで検査実施区や一般受診者に対して、他の検診機関に移るようにというような情報提供を行うなど、事前調整を行ったために実績が減少したというふうに聞いております。
 それでは、その方たちが一体どうしたのだろうかという疑問があるわけですけれども、国の地域保健、老人保健事業報告によると、都のがん検診の受診率というのは、全国的にも非常に低い実態となっています。そういう中で、二カ所のがん検診センターを一カ所に再編したということは、大きな問題だったというふうに私は認識するわけです。
 それで、その再編最中から再編された後、一カ所になった多摩がん検診センターの患者の方から、いろいろと要望をいただいて、次のような手紙もいただいたわけです。
 この方は、多摩がん検診センターの乳腺科にかかっている方です。七年ほどこのがん検診センターにかかっておられるようですけれども、一年ごとの検診で、十月なのですが、皆さん二カ月ぐらいずつ待ってもらっています、あなたは十二月ですということをいわれた。それで、十二月にまた電話をした。しかし、まだいっぱいで、一月、二月と待っても確実とはいえないといわれた。いつも、これまでは一年ごとといっても、何か異常があったら、とにかくすぐに予約を入れてくるようにといわれていたわけですけれども、自分もしこりが大きくなったような気がするというので、その申し出をしたら、保健指導係に相談するようにというので、頼んでみたら、十二月にやっと入れてもらえたということのようです。当日行ってみたら、午後の指定だったけれども、午前の人が数人残っていて、自分たちは夕方だった。そして、ことしもまた十月に電話をしたら、全く同じような状況になっている。
 一カ所になった多摩がん検診センターではこういう状況になっているわけですけれども、こうした状態についてどのようにご認識をされるのか、お伺いいたします。

○平井健康局長 多摩がん検診センターの予約がとりにくいというご指摘でございますが、平成十五年度上半期における同センターの乳がん検診実績は、前年同期と比較してかなり増加しているところでございます。
 乳がん検診につきましては、このほどエックス線撮影の対象者拡大という国の方針が報道されたこともございまして、民間医療機関を含め、検診希望者が増加することも予想しております。このため、今後、予約方法の見直しなどを含め、多摩がん検診センターにおけるサービスの向上を指導してまいります。
 なお、ご指摘の受診率データでございますが、これは区市町村が実施する検診に限ったものでございまして、検診機関が多く存在する大都市では、個人的な受診や職場での検診機関も多くあり、そうした意味でご指摘のデータは東京の受診実態を必ずしも正確に反映したものではないというふうに認識しております。

○清水委員 そんなことはありませんよ。だって、どこも同じ条件で受診率を調べているわけですから、東京だけが特別ということにはなっていないわけです。
 多摩がんセンターが増加しているというのは、やっぱりこの方の実態にもあるように、区部の方が来ているというふうなことも聞いているということなわけです。
 都民サービスの低下を招かないようにする、予約のとり方を工夫するというわけだけれども、今ご説明がありましたように、エックス線撮影の導入という考え方とか、それからここは乳腺専門外来があるとかいうようなことで非常に期待されているし、役割というのも重要なわけです。それこそ縮小するようなことではなくて拡充することこそ求められていたわけです。
 私は、こういう都民の命にかかわる問題、やはり東京都が積極的に検診を進めるべきだということで、これはもとに戻すことが必要だということを申し上げておきたいと思います。
 二番目に、都立施設の統廃合が進められましたが、とりわけ三多摩の地域に大きな影響をもたらした労政事務所、そして経済事務所について伺います。
 三鷹の労政事務所と立川の労政事務所が統合されて、多摩の労政事務所がこれまでの三所から二所体制となったわけです。一方では、十四年度の労働相談件数は五万一千三十三件、十三年度の五万二千四百四十五件よりも減少しているわけです。それはいろいろな理由があるというわけですけれども、やはり現在の雇用状況などから見て、それこそ減るような問題ではなくて、ふえるというのが実態だというふうに思うわけです。
 自分たちも相談を受けていて、そう思うわけですけれども、これは多摩の労政事務所の統廃合が影響しているのではないでしょうか。一所の管轄が広過ぎるというふうにはいえないでしょうか。どのようにお考えでしょうか。

○有手産業労働局長 相談件数の増減につきましては、過去の相談件数の推移等から見ましても、その年々の社会経済状況などさまざまな要因が考えられます。
 ご指摘のありました三鷹労政事務所と立川労政事務所の統合に当たりましては、統合によるスケールメリットを生かしまして、夜間相談をこれまでの週一日から平日すべてに拡充したほか、新たに国分寺労政事務所におきましては、毎週土曜日に相談を実施するなど、相談体制の充実に努めているところでございます。今後とも相談需要に十分対応できるように機動的、弾力的に対応してまいります。

○清水委員 もう一つ聞いてしまいますけれども、経済事務所の統合の問題です。
 経済事務所が、西多摩の経済事務所と南多摩の経済事務所と北多摩の経済事務所があったわけですけれども、それが幾つか統廃合されて、いろんな仕組みが変わっていったわけです。これまでは、八王子の獣害被害などがあったときには、すぐにその写真を持っていったり、それからビデオを撮って実情を見てもらったりして、八王子に南多摩経済事務所がありましたから、行っていたわけです。
 今、農家の方に聞いても、立川があるからいいではないか、それでサービスを充実させてやっているんだということなわけですけれども、立川といっても、八王子の農家というのは八王子の駅に来るまでに大体一時間ぐらいかかるわけですよ。(「そんなにかからないよ」と呼ぶ者あり)そういう農家が出てきて、そういう中で遠い存在になってしまったわけなんですよ。
 砂利採取を初めとした商工行政や農林行政について、一カ所に集められることになったわけです。その面でも緊急時の意思決定などの対応もありますし、日ごろの指導もありますし、相談などの面からの影響が懸念をされているわけですよ。
 砂利の採取の指導というのは、青梅にあると思うんですけれども、もちろん八王子にも採石場がいっぱいありますし、そういうようなところで採石ダンプ公害への苦情、それから大雨があふれ、調整池から水があふれるというような問題、ダンプが道路に砂利を落としてしまうというようなことなど、町会などからも、それから地域のいろいろな団体などからも、住民の苦情などもあるようです。
 そういう中で、こうしたことに対応するためには、やはり適切な事務所の配置が必要だったんではないかと思うわけですけれども、どうでしょうか。

○有手産業労働局長 平成十四年度の組織改正においては、簡素効率的で都民にわかりやすい事業執行の観点から、農林部門につきましては、農業事務所及び林業事務所をそれぞれの産業の主要地域に設置し、団体指導等を適切に行っておりますし、生産者に対する個別のサービスにつきましては、改良普及センターなどを中心にきめ細かく対応しております。
 また、商工部門につきましては、事業協同組合の認可など行政権限に関する業務を本庁に集約する一方で、多摩中小企業振興センターを設置いたしまして、経営相談等に対応しているところでございます。
 お話がございました砂利採石業務につきましては、本庁との連絡を密に行いながら、現地事務所において、そういう要望があればすぐ出かけていくなど、円滑に業務を遂行しております。今後とも適切な事業運営に努めてまいります。

○清水委員 再編された部門や事務所がよりきめ細かな対応をするというのは当然だと思うわけですが、多摩でのきめ細かさというのは、どれだけ身近に施設があるかということにあるんだということを、当局としては感じていらっしゃるのかどうなのかということです。
 例えば、獣害被害の問題でも、写真を持っていって、こういう被害があったということを伝えるわけです。それで対策をとっていただきたいとか、いろいろお願いするわけですけれども、そこへさらに必要なのは、そういう方々が農業への意欲を失わないというような助言とか、やっぱりそういうことだって必要なわけです。
 そういうことが、遠くにあればできないし、労政事務所への相談という問題も、解雇や賃金問題、労働相談のいろいろな事例が出ていましたけれども、本当に大変な相談を抱えてくるわけですよ。それをやっぱり国分寺で十八市ですか、八王子で八市ですか、交通が便利になるからいいじゃないかとかいうことをいわれているわけですけれども、多摩は公共交通が区部のように張りめぐらされているわけではないわけですよね。ですから、やはりそういうことを配慮すべきなわけです。
 ちなみに、国の労働基準監督署というのは多摩地域では一体幾つあるのか。八王子、立川、青梅、三鷹、町田、府中、そして立川の出張所ということで、七カ所で国の労働基準監督署は、企業がふえたときにずっと広げたわけですけれども、それを縮小とか今やっていないわけですよ。
 そういうことから見て、東京都の労政事務所の廃止の方向というのは、労働の状況や農業の実態などを見ない、統廃合先にありきのやり方だったということを指摘をしておきたいというふうに思います。
 じゃ、切り捨ての一方で、どういうことが行われてきたのか、都市再生の面、まちづくりの面で伺います。
 十四年度は、先ほども他の委員が触れられていましたけれども、都市再生特別措置法の施行、そして規制緩和、東京都でも条例改正などが行われ、一連の都市再生の仕組みをつくった年でした。そして、その流れの上に民間活力ということで、オフィスを中心とした再開発プロジェクトを具体的に推し進めようとしているわけです。
 我が党は、この流れは東京に同時多発的な大規模開発、東京一極集中による環境破壊、そして二〇〇三年問題といわれるビル不況がもたらされるということを繰り返し指摘をしてまいりました。この間でも、さまざまな影響を受けている実態を調査をしてまいりました。
 少なからずオフィスビルの空き室率の上昇が起こっています。分科会で提出していただきました資料でも、例えば業務床面積は、都心五区で昨年までの過去十年間で二五%もふえているわけです。これに二〇〇三年の大量供給が加わりました。さらに、オフィスを中心とした新たな都市開発が行われようとしているわけです。しかも、将来的には東京の就業人口も減少に転ずるといわれています。
 こういう中で、改めて伺いますけれども、これ以上の供給が必要なのかということです。東京の再生の方向を生活者の視点に変えるべきではないかと思いますけれども、どうでしょうか。

○勝田都市計画局長 オフィスの需給状況につきましては、二〇〇三年は大規模なオフィスビルを中心に供給量が多かったのでございますが、二〇〇四年以降は供給量は平準化するものと予測されております。また、既存の小規模ビルの空室率の上昇も、現在のところ小幅にとどまっております。
 東京の活力と国際競争力の向上はもとより、老朽化したビルの耐震性強化などのためにも、オフィスビルの機能更新は必要でございます。
 都市開発に当たりましては、住宅、文化、商業など多様な機能の導入を図るとともに、緑やオープンスペースを確保することによりまして、良好な都市環境の創出に努めるなど、都市の再生の着実な推進を図ってまいります。

○清水委員 今、二〇〇七年、二〇一〇年問題が、不動産業界とか、それからビル業界とか、そういうところでは問題になっているわけです。ビル供給問題に詳しいといわれる元建設大臣の方がいっているようですけれども、都心のビルの供給過剰の影響は新たな不良債権の発生につながるのではないかというふうにいわれています。倒産による新たな不良債権が発生して、第二のバブルの崩壊になりかねないというふうにいわれています。土地の流動化で不良債権の処理を解消するというわけですけれども、このままでは全く逆効果といわざるを得ない。政府は--ここは政府を批判しているわけですけれども、政府は民間任せにせずに、ビル供給をみずから調査して対策を立てるべきだというふうに、この方は指摘をしています。
 そしてまた、ニッセイ基礎研究所の調査でも、二〇〇三年より深刻な局面が二〇一〇年問題だというふうに指摘をしています。ここでは、需要の減少が予想される以上、大規模で優良な再開発の増加というのは、事業格差や地域格差を拡大して、デッドストックを大量に発生させる可能性があることに留意し、都市政策を供給喚起型からストック調整型や需要誘導型に転換すべきであるというようなことをいわれていて、私はビル需給調査をすべきであるというふうに思うわけです。そして、その上で、やはり都市再生の方向をこのままさらに推し進めるのではなくて、方向を転換すべきであるというふうに指摘をしておきたいというふうに考えます。
 結局、こういうまちづくり、都市再生が進められていく結果、財政の立て直しといいながら、一体どうなっているのかということについて伺いたいと思います。
 まず、十四年度の予算における重要施策の六割が大型公共事業というようなことで、私たちは指摘してきたわけですけれども、その重要施策の決算の状況というのはどういうふうになっておられるでしょうか。

○前川知事本部長 お答えいたします。
 十四年度の重要施策の決算状況でありますが、予算額が--突然のお尋ねで、ちょっと今数字を見ておりますけれども、全部何もかも合わせた場合でありますが、三千九百四十八億に対しまして、決算額が三千四百二十六億ということで、執行率八六・八%となっております。

○清水委員 いただいた資料のうち、首都圏の都市基盤を整備するとか、それから活力と魅力ある市街地の形成とか、そういった都市基盤の整備の部分を合わせると、約五九%が都市再生になっているわけです。つまり予算の六割と決算の六割と同じと。
 それは執行が十分にされているといえばそうでしょうけれども、それでは、そういう状況の中で、第一次財政再建推進プランの目的は、財政の立て直しだったのではないかと思うわけですけれども、それは達成したのでしょうか、お伺いいたします。

○櫻井財務局長 都はこれまで、財政再建推進プランに基づきまして、さまざまな取り組みに全力で取り組みまして、財政再建団体への転落を回避し、財源を着実に確保するなど、成果を上げてまいりました。
 一方、歳入の根幹をなす都税収入は、ご存じのとおり、長引く景気低迷の影響を受けまして、特に十五年度におきましては、プランの見込みを大きく下回るとともに、国から地方への税源移譲、これも一向に進んでおらず、十五年度予算におきましては、二千五百億円もの臨時的な財源対策、これを余儀なくされたわけでございます。そういうことで、十四年度決算も五年連続で赤字決算となっております。
 このように財政再建はいまだ道半ばということでございまして、第二次財政再建推進プランを策定しまして、財政再建の達成に向け、今後、精力的に取り組んでまいります。

○清水委員 そういう状況だから、道半ばといわれますけれども、むしろ悪くなっているという状況だと思います。それは、やはり都市再生中心に借金をふやしてきたことにあるのではないかと思うわけですけれども、平成十四年度最終補正予算における起債額総計と、国直轄事業、首都高へ支払われる起債合計は幾らになっておりますか。

○櫻井財務局長 平成十四年度最終補正予算におきます起債総額、七百二十一億円でございます。その中で、国直轄事業負担金に充当している都債は二百六十五億円、首都高速道路公団に関係する都債は百四十九億円、合わせて四百十四億円となっております。

○清水委員 それでは、一般会計における起債依存度は、平成十四年度決算では、平成十三年度と比較してどうなっているのか、起債発行額は平成十四年度では平成十三年度決算に比べてふえているが、どの程度の率でふえているのか、お伺いいたします。

○櫻井財務局長 いわゆるNTT債を除きましたベースで申し上げますと、平成十四年度決算の起債依存度は五・九%と、平成十三年度決算の四・九%に比較しまして一ポイント上回っております。また、平成十四年度の都債発行額は三千四百六十七億円でございまして、平成十三年度の三千七十五億円と比較しまして、三百九十二億円、率にして一二・七%増加しております。

○清水委員 最終的に最終補正ではふえているわけですけれども、都債の発行を抑制したんだというふうなことをいわれてきましたけれども、結局十四年度は一二・七%増加したということになって、抑制したことにはならないのではないですか。

○櫻井財務局長 都はこれまでも、起債につきましては、社会資本整備における世代間の負担の公平あるいは将来の財政負担、こういうものに十分配慮しまして、抑制を基調とした上で、都市基盤の整備や都民生活に密接に関連する事業のために適切な活用を行ってきております。
 平成十四年度最終補正予算も、こうした観点に立ちまして、経済対策等のために都債を計上したところでございまして、こうした結果、先ほど申し上げましたように、十四年度最終補正後予算の起債依存度は七・三%ということになりますけれども、これは過去十年間程度と比較しても、また都道府県の中でも最も低い水準ということになっておりまして、起債抑制の基調は変わっていないと考えております。

○清水委員 都市再生による積み増しで、財政の立て直しになっていません。起債依存度は、今いわれましたように、七・三%で低いんだと、抑えているといわれていますけれども、それは否定をするものではありません。しかし、それぐらいの抑えでは間に合わないということを私たちはいっているわけです。
 毎年の累積が積み上がっていく。低いというけれども、さらに積み上がっていっているわけです。バブルのときより下がっているというようなことをいわれるかもしれませんけれども、バブルのときが私たちは異常過ぎたというふうに思います。
 国は、今後も首都高速道路や国直轄負担金の分担割合をふやそうという方向で、そういう方向に都も一緒に進んでいけば、抑制基調の継続というふうに今いわれましたけれども、三十年後に至っても、七兆円近くの借金が残ることになるわけです。
 他の県との比較ということをいわれましたけれども、他の道府県は起債を発行させても、それは、支払いというのは利子分ぐらいで済んで、しかも特別会計などの仕組みも違って、東京都が低いというのは当たり前のことであるわけです。都財政の立て直しといいながら、立て直しになっていません。都民に犠牲を押しつけようとしております。
 さらに第二次財政再建推進プランをつくって、都民と区市町村に犠牲を押しつけようとしておりますが、それは絶対に許されるものではありません。
 そういう方向で進められてきた結果、十四年度の決算というのは全国から見てどうだったかというと、総務省に提出された全国都道府県の決算の状況があるわけです。それによりますと、民生費と衛生費を二〇〇〇年度と比較すると、東京の伸び率というのは〇・四四で、平均が〇・七五で、四十七道府県中三十七番目。その一方、土木費を比較すると、数県がプラスとなっていますけれども、愛知県が一番大きいわけですけれども、東京は土木費の増では〇・八五で、全国で二番目です。土木費が伸びていることになるわけです。
 改めて東京都の予算の使い方が逆立ちしていることを私たちは指摘したいと思います。今回決算の審議を早めているということは、来年度予算に反映させるということだと思うんです。来年度予算が真に都民犠牲でない財政の立て直しに向かうように要求して、質問を終わります。

○新藤委員長 清水ひで子理事の発言は終わりました。
 小磯善彦委員の発言を許します。

○小磯(善)委員 まず初めに、医療問題についてお伺いをいたします。
 二次救急医療機関について、一昨年のこの決算委員会総括で質疑をしたわけでございますけれども、二次救急医療機関というのは固定通年制で、入院治療を必要とする重症救急患者の医療を担当する医療機関であると。わかりやすくいうと、救急患者の受け入れの依頼があった場合は必ず診療するということ、そして、急性疾患、外傷等に対する診断、救急処置及び必要な検査が二十四時間対応可能な病院、こういうことでありまして、入院が必要な方を二十四時間三百六十五日受け入れられる病院ということであります。これについて、東京都全体としては一生懸命施設を確保したということでありますけれども、地域的な偏在がある、そんなことで、一昨年の決算で質問をさせていただいたところであります。
 その地域的な偏在というところで、区中央部保健医療圏、ここは人口が約六十万のゾーンでありますけれども、その二次救急医療の施設が二十二カ所、病床数が五十六です。南多摩保健医療圏、ここは人口が百三十万人、施設は二十、また病床も五十一ということで、人口六十万の中央部よりも施設、病床数が少ないということであります。一床当たりの人口数では約二・三倍の開きである。
 また、同じ南多摩保健医療圏の中にあっても、例えば町田市などは四施設、十床しかこの二次救急医療がないということであります。一施設当たりの人口、東京平均では五万人、一床当たりの人口一万七千人でありますが、町田市は十万人、一床当たりの人口四万人ということで、現在の二倍の施設、二・四倍の病床数が必要である、こういうふうに思っているわけであります。
 そのような趣旨で前回ご質問をさせていただいたわけでありますけれども、その後、二次救急医療体制の整備について、東京都はどのように取り組んでこられたか、お伺いをしたいと思います。

○平井健康局長 町田市におきましては、内科系、外科系の休日・全夜間診療事業に参画している二次救急医療機関は、平成十四年度においても四施設にとどまってございます。
 しかし、平成十三年度から都が新たに開始いたしました小児科の休日・全夜間診療事業には、町田市民病院にも参画していただくなど、体制の充実強化を図っているところでございます。

○小磯(善)委員 確かに小児の休日・全夜間診療事業については推進されたわけでありますが、内科、外科については、一施設、一床もふえていないというのが現状でございます。
 東京都が町田市内の病院に働きかけるなど、二次救急医療機関の確保について積極的に取り組むべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○平井健康局長 休日・全夜間診療事業に参画している病院を二次保健医療圏別に見ますと、一部、地域的に偏在している面もございまして、ご指摘の町田市についても、依然として同様な状況にあると認識してございます。
 事業実績の動向や地域の医療機関の実情を勘案しながら、医師会の協力も求めながら、引き続き参画施設の確保に努めてまいります。

○小磯(善)委員 次に、喫緊の課題でございます小児救急医療についてでございますが、これも一昨年の決算特別委員会で、私は、初期、二次、三次の機能分担を明確にしながら、全体の水準を上げていかなければならないという観点から、区市町村が実施する小児初期救急医療事業に対しても、東京都がしっかりとバックアップするよう主張したところでございます。
 これを受け、東京都は平成十四年度から、区市町村が実施する小児初期救急平日夜間診療事業に対して補助を開始したことは評価をいたしますが、補助を行った区市町村は、平成十四年度末現在、葛飾、練馬、中野、杉並、品川、江東の六区と町田市の一市と聞いております。この実績を見ても、私が指摘したとおり、医療資源の偏在があると考えております。
 先般、東京都が多摩地域の小児医療体制検討会報告書として取りまとめたことは評価をいたしますが、都全体の小児救急医療水準を上げていくためには、このまま地域格差がさらに拡大することのないよう、多摩地域の小児初期救急体制整備の促進策が不可欠でございます。
 東京都は多摩地域の小児初期救急体制の整備促進策を積極的に講じていく必要があると考えますが、見解をお伺いします。

○平井健康局長 区市町村が担います小児初期救急につきましては、地域の小児科医師数などの医療資源を初めとしまして、二次救急医療機関との連携や交通アクセスなど、さまざまな条件を踏まえて整備していくことが必要であると考えております。
 今後、地域の実情に応じて施策展開を行うことができますように、実施主体である区市町村や地元医師会など、関係団体とも十分協議しながら、多様な支援策について検討してまいります。

○小磯(善)委員 続きまして、NICUの整備についてお伺いをいたします。
 本年九月に出されました多摩地域における小児医療体制検討会の報告にもあるとおり、多摩地域は区部に比べてNICUが少ない状況にあり、早急な整備が必要であると考えます。
 しかし、先般行われた本委員会の分科会での我が党の東村議員の質問でも明らかになったとおり、NICUを九床整備するには、モデル試算ということでありますが、初期経費が約二億二千五百万円、年間のランニングコストが約六億円かかるのに対し、医療収入は四億円程度となっており、非常に不採算性が高いということであります。にもかかわらず、東京都からの運営費の補助金はたった一千万円程度しかないということであります。
 さらに、新生児医療を専門とする小児科医や看護師などのスタッフの確保が困難なことなどから、多摩地域では周産期母子医療センターの整備がなかなか進んでおりません。
 こうした中、多摩地域においては、都立小児総合医療センター以外に、町田市が市民病院にNICUを整備する計画があるということでございますが、その概要について、まずお伺いをしたいと思います。

○平井健康局長 町田市では、町田市民病院に、NICU九床規模の周産期母子医療センターの整備を計画しております。この開設予定は平成十九年度であると聞いております。

○小磯(善)委員 今私申し上げましたように、NICUの運営というのは非常に不採算性が高い。にもかかわらず、それに対する都からの運営費の補助額はごくわずかでございます。町田市においても、周産期医療に積極的に取り組もうとしているところでありますが、一方で、不採算性については相当に憂慮しているということでございます。
 多摩地域において、新たに周産期医療に取り組む医療機関がほとんどない中、積極的に取り組もうとしている病院に対しては、都としてもNICUの整備、運営にかかわる補助金を増額するなど、積極的に支援を行うべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○平井健康局長 多摩地域は区部と比較してNICUの病床数が少なく、周産期母子医療センターの早急な整備が重要な課題であると認識しております。
 そのため、周産期医療に対応可能な多摩地域の医療機関に対しまして、周産期母子医療センターの整備を引き続き働きかけるとともに、その整備を促進するため、都として支援策の充実を図っていく必要があると考えております。
 今後とも、多摩地域の医療実態を踏まえまして、周産期医療体制の充実に努めてまいります。

○小磯(善)委員 ただいま支援策の充実を図っていくという答弁を得たわけでございますが、不採算性が高く、厳しい経営が予想される中にありながらも、周産期医療を積極的に行おうとする医療機関に対しては、ぜひ手厚い支援を行っていただきたい、こう思うわけでございます。
 また、平成十九年度に小児総合医療センターが開設し、町田市民病院が周産期センターを整備してもなお、多摩地域のNICUは区部に比べて少ない状況にあるわけであります。多摩地域における周産期医療体制の整備については、引き続き積極的に進めていくよう強く要望するものであります。
 続きまして、教育問題についてお伺いをいたします。
 まず、運動部活動の活性化ということでお伺いをいたします。
 部活動をやりたくても自分の希望するクラブがない、また、顧問の教員がいないために部活動ができないという声が、生徒、保護者から数多く寄せられております。
 教育庁はこのような部活動にかかわる問題の把握に努め、顧問にかかわる外部指導員の育成また研修、人材などに関する情報提供など、中学、高校の部活動の活性化に向けて取り組みを強化すべきである、私はこう思うわけでございます。
 ただ一つ、新学習指導要領、これでは、クラブ活動にかかわる内容が改訂されたと聞いておりますが、具体的な改訂点についてお伺いしたいと思います。

○横山教育長 ご指摘の新学習指導要領では、中学校及び高等学校におきまして、これまで教育課程上、授業として、特別活動の内容の一つとして行われていたクラブ活動が廃止をされました。
 この理由ですが、多くの学校で放課後の部活動の参加をもってこのクラブ活動の代替が行われてきた、こういう実態がございます。また、地域の青少年団体やスポーツ活動に参加をしまして、活動する生徒がふえつつある、こういう状況を踏まえまして、見直されたものでございます。

○小磯(善)委員 一見、聞くと、そのとおりかなと思うんですけれども、ただ、旧の学習指導要領の中では、特別活動の中に学級活動三十五時間、クラブ活動三十五時間と。このクラブ活動については、部活動に参加する生徒はクラブ活動に参加したと同じであるという位置づけで、クラブ活動ということで、予算もあり、授業の持ち時間にも入っていたということでございます。
 ところが、新学習指導要領の中ではクラブ活動がなくなったということで、実際は予算もないし、授業の持ち時間にも入らなくなった、そんなようなことで、部活動が年々、顧問の先生がいないということで、本当に野球部だとか、サッカー部だとか、バレー部だとか、柔道部だとか、当たり前のような部活動が学校によってはない、そういうのが実態でございます。
 そんなことで、ぜひとも東京都教育委員会として、運動部活動の実態把握のための調査を実施すべきである、こう考えるわけですが、見解を伺いたいと思います。

○横山教育長 都教育委員会としましては、これまでも運動部活動の実態を把握するために、各学校の設置部数あるいは外部指導員の導入、それから地域スポーツクラブとの連携状況等について調査をしてまいりました。
 ご指摘の点も踏まえまして、今後は、これらの調査に加えまして、新たにすべての公立中学校及び都立学校を対象としまして、部活動に加入している生徒の状況、こうした調査を行いまして、一層の実態把握に努めてまいります。

○小磯(善)委員 ぜひその実態把握をお願いしたい、こう思っております。
 都の教育委員会として、運動部のいわゆる活動活性化を目指すための組織を立ち上げて、具体的な方策を検討すべきである、そのように思うわけでございますが、見解をお伺いしたいと思います。

○横山教育長 運動部活動を活性化させるために、指導者に対する研修の実施や、あるいは外部指導員制度の拡充、運動部活動推進重点校の指定、さらには運動部活動連絡会などを行っているところでございますけれども、今後、ご指摘の点を踏まえまして、運動部活動連絡会を高等学校体育連盟や中学校体育連盟と一層連携を深めまして、合同部活動のあり方あるいは指導者の資質向上策などについて検討を進めてまいります。

○小磯(善)委員 今おっしゃいました連絡会については、二回目の連絡会で、まとめというところでは、諸課題の本質的問題を検討する必要がある、こんなようなまとめをされております。また、庁内関係部署にて検討する、そういったことで、この連絡会を踏まえて問題の所在がはっきりした、こういうふうにいえるんじゃないかな、こう思います。
 そういった意味で、いよいよこれから、じゃ、どうしようか、どうしていくかという本格的な検討が始まるというふうに思っておりますので、しっかりと拡充をしていただいて、組織を昇格して、検討をお願いしたい、こう思っております。
 次に、高等学校での部活動にかかわる予算が減額されていると聞いております。この十年間のピーク時の六五%ぐらいの予算であるというふうに思いますが、都財政が厳しい中ではありますけれども、東京都教育委員会として、部活動の活性化のために予算面での支援が必要であると考えますが、所見を伺います。

○横山教育長 これまでも、都立高校改革を進める中で、特色ある学校づくりの一環としまして、部活動振興のための予算措置を行って、学校を支援してまいりました。
 ただ、お話のように、厳しい財政状況ではございますが、今後ともその重要性にかんがみまして、部活動推進重点校の指定あるいは学校経営計画を踏まえた部活動予算を重点的に配分する、こういうことを通しまして、限られた予算をより効果的に配分することによりまして、都立高校の部活動の活性化が図られるように努めてまいります。

○小磯(善)委員 よろしくお願いいたします。
 次に、都市計画局、お願いをいたします。都市計画法第十一条に定めてあります一団地の住宅施設についてお伺いをいたします。
 多くの大規模な団地が昭和三十年代、四十年代に建設されており、最近、建てかえ、またリニューアルといった話をよく聞くわけでございますが、地域の実情に合わなくなっているのが現状でございます。
 例えば町田市の木曽、山崎団地では、小学校が五校あったわけでありますが、近年、統廃合により、現在では二校が残るのみでございます。町田市は都市計画の規制が残っているために、跡地の有効利用ができずに、困っております。
 そこで、お伺いいたしますが、団地の建てかえに伴う都市計画、一団地の住宅施設の計画見直しについて、東京都はどのような方針で行う考えなのか、お伺いします。

○勝田都市計画局長 都では、平成十三年十二月に、東京都における一団地の住宅施設の都市計画の見直し方針を定めております。
 この都市計画が指定されております区域については、建築物の老朽化や既存の公益的施設に対するニーズの変化などから、現在の都市計画が地区の実態と合わない場合も生じておりまして、都市計画の見直しが必要となっております。
 見直しに当たりましては、地元住民や事業者等のまちづくりへの参加と、段階的、部分的な建てかえなどに円滑に対応できるよう、積極的に地区計画を活用していくことを考えております。

○小磯(善)委員 一団地の住宅施設を廃止して、地区計画に移行していくとの考えでありますが、地区計画の策定には一定の時間が必要であります。少子化により廃校となっている教育施設が、都市計画の網がかかったまま活用できないで、放置された状況にあるわけであります。
 そこで、お伺いいたしますが、廃校となった教育施設の跡地利用など、土地利用の転換が速やかに行えるような都市計画上の対応をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○勝田都市計画局長 土地利用の転換に伴う都市計画上の対応につきましては、団地や地域の特性に適した制度を活用してまいります。
 例えば団地内の施設につきまして、類似の用途へ転換する場合などには、一団地の住宅施設の都市計画の変更で対応することが考えられます。また、用途や容積の変更を伴う大幅な土地利用転換を図る場合などでは、地区計画の活用が有効であると考えております。
 今後とも、個々の事例に即しまして、速やかな対応を行うため、都として、区市や団地事業者等との協議の場を設けるなど、積極的に取り組んでまいります。

○小磯(善)委員 ぜひとも積極的な取り組みをよろしくお願いいたします。
 それから、下水道について、最後、質問いたします。
 町田市は地形的に多摩丘陵の南側に位置するために、流域下水道事業によらず、市単独の公共下水道事業として、整備を進めております。そのため、下水道普及率は八一%と、多摩地域の普及率九四%に比べ、低い状況であります。
 鶴見川の源流部に位置する町田市域の下水道普及率の向上は、河川環境の保全、また水質改善にも資するものであり、重点的に整備を図るべきと考えておりますが、都はこうした下水道普及整備について今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。
 また、国土交通省が公表した平成十四年度全国一級河川の水質現況によりますと、鶴見川の水質はワーストワンということでございます。町田市内には鶴見川水系に二つの単独処理場があり、処理水を放流しているわけでありますが、鶴見川の水質を改善するためには、こうした処理場から放流される水質をさらに改善する高度処理施設の設置が必要でございます。
 しかし、その整備には多額の費用が必要であり、鶴見川また東京湾の水質改善の観点から、東京都が積極的に財政支援を行うべきと考えますが、見解をお伺いします。

○勝田都市計画局長 下水道未普及地域の整備につきましては、早期整備の観点から、地域特性や経済性を踏まえまして、浄化槽事業など、他の整備手法も含めて、最も効果的な汚水処理施設の整備を進めるよう、市町村と連携して取り組んできております。
 町田市につきましては、平成二十二年度までに汚水処理施設整備率一〇〇%を目指していると聞いておりまして、都はこうした市の方針を踏まえまして、整備地区の重点化や早期事業化を図るなど、連携して未普及地域の早期解消、あわせて鶴見川の水質改善に努めてまいります。
 また、高度処理施設のご質問でございますが、高度処理施設等の下水道施設整備については、これまでも市の要望を踏まえまして、必要な事業費を確保するなど、支援してまいりました。
 特に、単独処理場整備に関しましては、市負担の軽減を図るため、平成十一年度に市町村都市計画事業等に対する都費補助要綱を改定いたしまして、都費の負担割合を大幅に増加させたところでございまして、今後とも本制度の維持に努めてまいります。
 また、国に対しましては、あらゆる機会を通じまして、補助制度の拡充や補助率の拡大などを要望してまいります。

○新藤委員長 小磯善彦委員の発言は終わりました。
 新井美沙子委員の発言を許します。

○新井委員 それではまず、認証保育所についてお伺いをいたします。
 東京都は、待機児解消と多様化する保育ニーズに対応できる保育施設として、都独自の認証保育所を整備してきました。この十月現在で、既にA型、B型合わせて百七十九カ所が設置されておりまして、福祉計画STEP2で示された計画目標をはるかに上回っています。
 そこで、気になるのが保育の質の問題なんですけれども、認証保育所の量的整備は進みましたが、量の充足に加えて、質の確保をどのように行っているのか、また、どのように保育ニーズに対応してきているのか、お伺いをいたします。

○幸田福祉局長 認証保育所につきましては、児童の健康、衛生、安全等に関して、認可保育所と同等の基準を定めております。また、都独自の指導監督基準に基づきまして、運営状況の報告徴収や立入調査などを行い、適切な保育水準の確保に努めております。
 これらに加えまして、認証保育所には、大都市東京において必要とされながら、これまで認可保育所では十分こたえ切れていなかった、ゼロ歳児保育、十三時間開所の実施や利用者の選択に必要な情報の提供を義務づけております。
 さらに、事業者の創意工夫によりまして、保育の様子をインターネットで動画配信したり、英語教室を開催するなど、さまざまなサービスが提供されている保育所もございます。
 こうした取り組みを通じまして都民の保育ニーズに的確にこたえているからこそ、都民から受け入れられ、大幅に設置が進んだものであると確信しているところでございます。

○新井委員 都市型ニーズに合わせたとされるこの十三時間以上の長時間開所というのは、仕事と子育ての両立支援として、預ける側の親にとっては非常にメリットが大きいわけですけれども、保育所で過ごすゼロ歳児からの乳幼児にとっては、特に質の高さと心身の発達に配慮した環境というのが何より重要視されなければいけないというふうに思います。
 預ける側の利便性から、駅近くのA型の設置数がふえているわけなんですけれども、駅ビル等の空き室を改善したタイプなどでは、特に採光や換気、それから建材の安全性などの室内環境が心配されます。大阪では公立保育園でもシックハウス問題が起きておりますけれども、乳幼児の保育環境における化学物質対策の重要性がクローズアップされたと思います。
 そこで、シックハウスなど有害化学物質の被害について、子ども、特に乳幼児への影響は深刻です。認可施設はもちろん、都の認証する保育施設でそうした健康被害があってはならないはずで、認証した既存施設の化学物質対策についてお伺いをいたします。

○幸田福祉局長 いうまでもなく、子どもの生活の場でございます保育施設において、シックハウス症候群など有害化学物質を原因とする健康被害があってはならないと考えております。
 認証保育所においては、建築基準法の遵守を事業者に義務づけておりまして、特に換気や採光など、入所児童の保健衛生、危険防止に十分な注意を払うことといたしております。
 また、平成十五年七月施行の改正建築基準法において、新たにシックハウス対策についての規定が整備されたため、今後は、その内容や趣旨につきまして、認証保育所に対し情報提供を行うことはもとより、立入調査などのあらゆる機会をとらえまして、普及啓発に努めてまいります。

○新井委員 都が発注するPFI事業では、既に都施設同様の化学物質対策を講じているというふうに聞いています。例えば多摩で設計を行っているユースプラザですが、都が定める建築、電気設備、機械設備など、各種の工事標準仕様書によるものと同様な性能となるよう、発注に当たって、業務要求水準書というものを作成しまして、これを契約書類とするなどして、化学物質対策を講じています。
 そこで、既存の保育施設の化学物質対策はもちろん、今後、認証の際には、都独自の化学物質子どもガイドラインをマニュアルとして活用し、子どもの生活実態に合わせた室内空気の測定や施設管理者の研修を行うなど、未然防止の対策が必要であると思いますけれども、いかがでしょうか。

○幸田福祉局長 都はこれまでも、認証保育所を開設しようとする事業者から事前に相談を受ける区市町村に対しまして、化学物質の子どもガイドラインを配布し、化学物質対策の周知に努めてまいりました。
 今後は、都みずから、事業者が認証保育所の開設工事を実施する際にも、このガイドラインに沿って施設整備が行われるよう、指導を徹底してまいります。
 さらに、事業者団体が開催する研修会におきまして、シックハウス対策に関する項目をカリキュラムに取り入れるよう、積極的に働きかけてまいります。

○新井委員 当事者の子どもの最善の利益を損なうことのないよう、十分によろしくお願いいたします。
 次に、認証保育所の特徴の一つとして直接契約が挙げられますけれども、利用者が事業実施者やサービス内容に関する情報を入手し、選択できるということが非常に大切です。利用者への情報提供は今どのように行われているのでしょうか。

○幸田福祉局長 認証保育所につきましては、都の実施要綱などに基づきまして、事業者が施設の規模、構造や開所時間、定員などの基本的事項を掲示することに加えまして、保育所の運営方針や保育料の額、子どもたちの保育所における一日の過ごし方など、利用者にとって役立つ情報の提供を行っております。
 さらに、認証保育所の事業者自身が独自にホームページを開設し、事業内容などにつきまして情報を公開したり、地域によりましては、共同で利用者向けのパンフレットを作成しております。
 一方、都では、福祉情報総合ネットワークで事業者情報やサービス評価情報などを提供し、利用者みずからのサービス選択に資するための情報提供に努めております。

○新井委員 昨年、福祉サービス第三者評価制度が施行されまして、今年度で本格実施になっています。利用者が事業実施者やサービス内容に関する情報を入手して選択できること、そしてまた、保育の質を向上させるということがその柱だと思うわけですが、子どもの満足度やニーズを受けとめるというのは非常に困難で、当事者の意見の反映は得にくいという点では、痴呆性高齢者のグループホームと同様だと思います。今後、保育施設にも、グループホーム同様、第三者評価を義務づけるべきであると考えていますので、ぜひ前向きに、この点についてご検討いただきたいと思います。
 市区町村の子育て支援策やさまざまな機関との連携など、子育てネットワークにおいて、認証保育所を含めた保育施設はどのような役割を果たしているのでしょうか、お伺いいたします。

○幸田福祉局長 家庭や地域の養育力が低下する中で、保育所は保育の専門機関として、利用者のみならず、地域の子育て家庭に対する支援を行う役割が強く期待されていると考えます。
 保育所では、一時保育や育児相談の実施、子育てサークル活動への支援など、地域における子育てのネットワークの構築や子育て家庭の支援に向けたさまざまな取り組みが行われております。
 また、区市町村の児童虐待防止ネットワークなどにおきまして、日常的に乳幼児を保育している立場から、関係機関と連携して、子育ての問題を抱える家庭への支援を行っております。

○新井委員 いろいろな子育て支援策がネットワークとして機能しないといけないと思いますので、この点についてもよろしくお願いいたします。
 そして、ゼロ歳児保育、延長保育と並んでニーズが高いのが、病児・病後児保育です。例えば東京都の社会福祉協議会が実施しました十代で出産した母親の子育てと子育て支援に関する調査報告では、入園理由の第一はもちろん就労のためなんですけれども、利用して困ったこととして、子どもの病気のときの対応というのが四一・一%というふうになっています。その他さまざまな調査からも、病児・病後児保育の受け入れというのは望む声が非常に高いわけですけれども、実態としてはなかなか進んでいかないという状況なんですね。
 それで、病児・病後児保育の受け入れについて工夫が必要だと思うんですけれども、看護師や助産師、保健師など、専門性を持つ人員を活用した柔軟かつ多様な取り組みを含めて、病児・病後児の受け入れを充実させる取り組みが必要と思いますけれども、いかがでしょうか。

○幸田福祉局長 病児を含みます病後児保育サービスは、都市型保育サービスの一つであると認識しております。
 病後児保育には、専用の設備及び専任看護師などの配置が必要な実施施設型と、看護師、保育士などを当該児童宅に派遣して保育する派遣方式型の二つの形態がございます。平成十四年度の実績を見ますと、二十八カ所の保育所や診療所などで実施されており、そのすべてが実施施設型でございます。
 今後とも、事業の実施主体でございます区市町村と協力しながら、病後児保育事業の拡充に努めてまいります。

○新井委員 なかなか区市町村の腰が重いようですので、医師会との連携も含めまして、ぜひ積極的に進めていただきたいと思います。
 次に、福祉のまちづくりについてお伺いいたします。
 ことしの八月、東京都福祉のまちづくり推進協議会の最終報告が出されました。都は福祉のまちづくり条例を十三年に改正いたしまして、ほかの自治体に先んじてバリアフリー化を進め、市区町村と連携を図りながら、福祉のまちづくり地域支援事業の推進などの取り組みを行ってきたことは高く評価をさせていただきます。
 福祉改革の一環としてこれまで取り組んできたバリアフリー化緊急整備事業の実績について伺います。

○幸田福祉局長 バリアフリー化緊急整備事業を通じ、都内ほぼすべての自治体におきまして、都民、事業者、行政が一体となって地域のバリアフリー化を進める仕組みが構築されるとともに、歩道の段差解消、公園におけるだれもが利用しやすいトイレの設置、建築物の出入り口の整備など、住民に身近な公共施設などにおけるバリアフリー化が着実に進んでおります。
 また、公共交通機関におきましても、平成十四年度末現在で、都内六百八十六の鉄道駅の約六割に当たります三百八十三駅にエレベーターなどが整備され、ノンステップバスも、民間路線バスの約三割に当たる九百三十三両の導入が図られております。

○新井委員 この事業は非常に順調に進んでいると思いますけれども、福祉のまちづくり地域支援事業については、十四年度に予定した四十一地区に対しまして、五十地区、額として執行率八〇%ということで、市区町村担当者へのアンケートを見ると、非常に評価が高くなっております。
 十六年度事業終了ということなんですけれども、その後も継続を望む声が非常に多いようです。特に評価できるのが、この事業の中で、単にバリアフリーを進めていくということではなくて、まちづくりに住民が参加する仕組みづくりを推進していることだと思います。これまでの取り組み状況を見ますと、まだまだ庁内連絡会議だけの自治体が多いようで、今後は、住民のニーズを把握するためにも、開かれた協議会づくりを進める必要があると思います。
 本来、この事業の仕組みづくりの意図するところ、地域住民やNPOなどが参加した協議会づくりというものを促進していかなければならないと思うわけですけれども、利用者である住民の目線に合わせた連続性のある整備を進めないと、本当の福祉のまちづくりはできていかないと思います。
 そこで、区市町村などで、地域の住民が主体となってみずからの住みよいまちづくりを一層推進していくために、都は今後どのような取り組みを行っていかれますでしょうか。

○幸田福祉局長 だれもが住みなれた身近な地域の中で安心して暮らせるまちにしていくには、そこに住む人々みずからが事業者や行政と一体となってまちづくりを担っていくことが重要であると考えております。
 このため、都はこれまで、都民と事業者が協働してまちづくりに取り組む仕組みを構築するとともに、地域におきまして福祉のまちづくりに先駆的に取り組んだ事例の紹介や福祉のまちづくりに顕著な功績のあった個人や団体を顕彰するなど、その普及推進を図ってまいりました。
 都は今後とも、こうした取り組みを一層推進することによりまして、区市町村が住民や事業者などと一体となって進めるまちづくりを支援してまいります。

○新井委員 本当の意味での住民が参加した仕組みづくりというものができていくように、十六年度で事業終了ということにはなっているようですけれども、ぜひさらなる継続した事業の取り組みというものを強くお願いをしておきます。よろしくお願いいたします。
 それから、同じ緊急事業の中で、バリアフリー化緊急整備四事業の一つとして、民間タクシーの事業者がリフトつきタクシーを導入するための経費の一部の補助がありますけれども、平成十四年度末までには百六十八車両の整備にとどまっています。整備が伸び悩んでいるという理由は、ランニングコストがかかったり、あるいは社員教育等に労力がかかるというところのようですけれども、利用者にとっては非常に必要なサービスではないかと思いますので、これについては、補助の仕方を工夫するなどして、ぜひ継続をしてもらいたいと思います。
 介護保険制度の利用とともに、要介護高齢者の移動手段として、福祉の移動サービスのニーズが高まっておりまして、行政が実施する福祉タクシーなどはそのニーズには応じ切れていないのが現状です。
 一方で、そのニーズにこたえようと、柔軟な移動サービスを提供してきている地域密着型の市民グループやNPOがあるわけですけれども、ここに対しては助成がほとんどありません。非常に経営が厳しい。いいサービスを提供しようとすればするほど、経営が苦しくて、青息吐息というような状況を聞いています。
 例えば移動サービスでは、車だけではなく、歩行補助をつけたサービスとか、そういうものも提供していて、非常にニーズが高くて、実際に地区でやっている福祉の移動サービスと比較してみますと、こういったNPOへの依頼というのが集中しているという実態もあるわけなんですね。
 こういう実態を十分都の方でも認識しまして、ぜひ福祉の移動サービスの基盤整備を、質、量ともに充足させていくということの必要性があると思うんですけれども、今後の対応をお尋ねいたします。

○幸田福祉局長 福祉移送サービスについて、都はこれまで、リフトつきタクシー等の整備やリフトつき乗用車の運行等に対する支援、さらには福祉移送サービスを実施するNPO団体などへの助成など、さまざまな事業を通じまして、その基盤整備の充実に努めてまいりました。
 都としては、こうした福祉移送サービスが、高齢者や障害者などにとりまして、日常生活を円滑に送る上での移動手段の一つとして重要な役割を担っていると認識しております。
 今後、第四期福祉のまちづくり推進協議会の提言を踏まえ、多様な福祉移送サービスのあり方を検討してまいります。

○新井委員 多様な福祉移送サービスのあり方を検討ということで、これについては、十分ニーズに合った移送サービスのあり方というのを進めていっていただきたいと思うんですけれども、四年度から、NPOによる移動サービスというのが認められることになったようです、新聞を見ますと。今後大きく事業も展開していくと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
 そこで、今お伺いしますと、この移動サービスの中でも、三つの補助金がばらばらにありまして、補助がされているんだけれども、実際には先ほどお話ししたように、ニーズに合ったものにはなかなかなっていないというふうなことがあると思います。
 先ほど福祉局の方で、高齢者いきいき事業あるいは福祉改革推進事業、これまでの包括補助金が一つになりまして、充実されるというお話がありました。
 これについては、私たちもかねてから、市区町村が主体的に事業に取り組んでいけるようにという補助金のあり方として、包括補助金の拡充というのを主張してきましたので、非常に評価をしたいと思います。
 本来ならば、局の垣根を超えてといいたいところですけれども、まだまだそこまではいかないようですので、局の中で、すべての局でこういった包括補助金というものができていかなければいけないのではないかというふうに思います。
 そこで、補助金一般についての総論的な考え方ということで、財務局長にお伺いをしたいと思うんですけれども、補助金の包括化、メニュー化を進めることによって、市区町村あるいはそこに住む地域の住民が主体となって、実態に合ったサービスの提供やサービスの質の向上を図るということができると思うんですけれども、これについていかがお考えでしょうか。

○櫻井財務局長 現在都が行っております補助金の中には、金額が少額のものがございます。少額ですけれども、公金の支出ということでございまして、たとえ少額でありましても、その手続は適正に行わなければならない、こういうことになります。
 このため、同一行政分野に少額の補助金が多数設定されている場合には、都や事業者の事務手続、これが非常に煩雑になりまして、効率上問題が生じているケースもございます。
 したがって、少額の補助金につきましては、交付事務の効率化を進めるとともに、メニュー化、統合化についても検討するなど、より費用対効果にすぐれた補助制度へと再構築していく必要がある、そのように考えております。
 なお、個別の補助金の見直しにつきましては、時代変化への適合や役割分担の明確化などの観点から、各補助金ごとに、各局が自主的に、その必要性の検証も含めまして、精査していく必要があると考えております。

○新井委員 第二次財政再建推進プランの中にも少額補助金のことが触れられているわけなんですけれども、今局長がおっしゃったような合理化といいますか、むだを省いていくという意味でも、包括化というのは非常に大切ということがあるんですけれども、ともすると、この包括化が補助金のカットの一つの手法として使われてしまうのではないか、そういう懸念も感じておりますので、その辺のところは、包括補助化というのはあくまでも市区町村が主体となった、ニーズに応じたサービスが提供できるための手段であるということを確認しておきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○新藤委員長 新井美沙子委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了したいと思いますが、ご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○新藤委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十九日の午後零時四十五分から理事会を、また、午後一時から委員会を、本委員会室で開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時十四分散会

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