各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成十五年十月二十四日(金曜日)
第十一委員会室
   午後一時開議
 出席委員 十名
委員長串田 克巳君
副委員長野田 和男君
副委員長河西のぶみ君
北城 貞治君
長橋 桂一君
野上じゅん子君
松村 友昭君
大河原雅子君
立石 晴康君
藤川 隆則君

欠席委員 なし

 出席説明員
総務局局長赤星 經昭君
危機管理監中村 正彦君
理事馬場 正明君
総務部長大橋 久夫君
行政改革推進室長石渡 秀雄君
IT推進室情報企画担当部長木谷 正道君
IT推進室電子都庁推進担当部長永田  元君
人事部長大原 正行君
主席監察員小島 郁夫君
行政部長村山 寛司君
多摩島しょ振興担当部長高橋 敏夫君
参事渋井 信和君
総合防災部長金子正一郎君
情報統括担当部長八木 憲彦君
勤労部長大塚 孝一君
法務部長中村 次良君
特命担当部長川村 栄一君
統計部長古河 誠二君
人権部長和田 正幸君
監査事務局局長松澤 敏夫君
参事北村 晴史君
人事委員会事務局局長高橋 和志君
任用公平部長松田 曉史君
試験室長星川 敏充君
参事矢島 達郎君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  総務局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都特別区財政調整会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)
  監査事務局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  人事委員会事務局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○串田委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、総務局、監査事務局及び人事委員会事務局の関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより総務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、平成十四年度東京都特別区財政調整会計決算及び平成十四年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○大橋総務部長 十月十日の当分科会におきまして要求のございました資料につきまして、説明させていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます平成十四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 市町村振興交付金・調整交付金の推移でございます。
 振興交付金は公共施設の整備等に要する経費に対しまして、調整交付金は各種施策に要する経常的経費に対しまして、財源補完する制度でございます。
 それぞれの交付要綱で定めております事業区分別、配分項目別の交付金の推移を、平成十年度から平成十四年度までの五カ年について掲げてございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わります。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○串田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○立石委員 平成十四年度決算説明書三五ページ、情報通信技術の推進、講習会を実施する、何回、どういう方が何人ぐらい、概況を教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 情報通信技術の推進でIT講習会に関するご質問でありますけれども、東京都と区市町村において、トータルで申し上げますけれども、募集人数は、平成十四年度において二万八千八百三十六人でございます。そのうち、応募者数は六万三千三十九、実際に受講した数が二万五千二百二十一ということになっております。

○立石委員 三倍近いよね、木谷さん、三倍近いでしょう。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 応募倍率ですけれども、二・二倍でございます。

○立石委員 イットといった総理大臣がいたような話が話題になったことを思い出しながら、アイティーというんでしょう。--大げさなことをいうわけじゃありませんけれども、カラーの色、皮膚の色によって差別したら大変なことになるわけだよね。これは男女の差においてもそうですね。年齢においてもそうだね。そういうことから考えた場合に、今や情報化時代の人権、人権ともいえるべき、わからない方にわかってもらうということは大変大切なことだと思うんですね。
 それで、皆さんの関心が強くて、二倍という以上に潜在的にもっと、別に学校で習ったわけでも義務教育で習ったわけでもない世代の人はいっぱいいらっしゃると思うんですね。そういう意味でも、当局の電子都庁をつくる意気込みとして、この当該年度ではこういう状況でありましたけれども、十三、十四、十五ということのようですが、まず、そういう方々にどうやってやっていこうとしているのか、この点をちょっと質問したいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 ご指摘のとおり、非常に速いIT化の進展がありまして、民間においても行政においても大変急激な変化が進行しております。そうした中で、今ご質問いただきましたIT講習会も含めて、国民のITの底上げ、これも急速に進展してきておりますけれども、しかし、現実にはいろんな条件の違いによってなかなかIT化に対応できない方々もまだまだ多くございます。そこのところをやはり行政としても底上げをしていくということは、情報化社会の利便性を多くの方々に享受していただく上でも非常に重要であるというふうに考えております。

○立石委員 大変積極的かつご理解のある東京都の姿勢に評価しながら、個人的にいうと、私もできないなりにそれなりに一生懸命やってみると、これは便利だ、こんな便利なものはない。電話はうるさくて会議中に中断させられたりしますが、メールだと自分の好きな時間に開けばいいし、また返事すればいいことだし、大変便利なものです。わかればわかるほど、これはすごいなと思いながら、例えば失礼かもしれませんが、青戸病院のああいう事件が起きたり、刑事の勘、あるいはいろんな地域でいろんな大きな爆発とか事故がありますね。そういうことに対して、ITはすごいけれども、何か旧来の職人的勘--この間私も銀行へ行ったら、見事に一万円を十万円と間違えて印字されて、正確に間違えるもんだなと思ったんです。
 メリットがわかればわかるほど、大切なことがわかればわかるほど、デメリット、そういった点を、電子都庁大賛成でどんどんやった方がいいという意味からも聞いているんですが、どうでしょうかね。そういう点に対するデメリット的是正方法を、当局としてどんなふうにお考えになっておられるか、わかれば教えてください。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 電子都庁を進めていく上に当たってのメリット、デメリットというお話でございますけれども、先ほど委員からもお話がございましたように、電子都庁を進めていく上ではメリットもたくさんございます。しかし、先ほど来もお話がございましたように、デメリットというんでしょうか、推進していく上で大きな課題もやっぱり幾つかあるのかなというふうに思っております。
 その一つに、やはり先ほどのIT講習会でもお話がございましたように、まず、パソコンをできる人たち、そういう人たちがふえていかないと、幾ら便利になったといっても利用はなかなかできないのかなというふうにも思います。また、今、インターネットで非常にいろんな情報が検索ができたり、あるいは都庁の中でも電子申請というような形で電子的な申し込みもできたりするような機能もございますけれども、そのインターネットをまず利用できなければ、そんな便利なものがあっても利用できないというような状況があるのかなというふうにも思います。
 そういったところを今後、課題として認識をしながら、なるべく多くの人たちが電子都庁の便利さというんでしょうか、そういったものをご理解、ご利用いただけるように進めていくことが必要かというふうに考えております。

○立石委員 決算額、支出済額、情報化施策として八十四億四千七百万、こういう数字が出ていて、私もいわゆるホスト・コンピューターというのか、それを現場でこの目で見ないと何かとても信じられない感じなので、ちょっとご迷惑ですけれども、忙しい中、急に行って急に見せてもらいました。立派に、大変セキュリティーに富んだ、一生懸命職員の皆さんはやっておられるということを少し理解しつつ、質問するわけであります。
 八十四億七千万、十三、十四、十五年度ということで大きなお金を使われるわけでありますけれども、入札の方法、メーカー、調達の仕方、もちろん入札でおやりになるのでしょうけれども、そういった点を改めて質問させていただきたいと思います。
 具体的なメーカー名も、別に変な裏のことを何か云々とか、そういう意味じゃありません。ああ、なるほどねという感じで聞かせていただきたいのです。いろんな会社があります。特に、いろんなベンチャービジネスといわれるソフトの会社は山のようにあるんですね。そういう方々がよく、これはいいですよといって我々のところに提案というか、情報というのかな、教えてくれるんですね。それはいいねと、わからないなりにあるわけです。いろんな人がいろんな機械を持ってやられるだろうと思いますし、例の有名なビル・ゲイツのマイクロソフトに対して何か、どこかの学生がリナックスというんですか、ああいう無料のものをつくり出したとかという話も、よくわからないなりに聞いているんですが、そこら辺を考えたときに、実際これだけの巨額な、巨額なのか、安い金なのか知りませんけれども、どういうように使われたか、そういう意味でご質問します。
 同時に、近所の印刷屋さんに行って聞いてみると、やれ、ハードだソフトだ、日進月歩だ、とてもかなわない、こんなにあっという間に古くなってしまって、これは困ったことだなんていって、中小零細企業の印刷屋の、あるいはコンピューター屋のおやじが--おやじというのはちょっといい方がまずいので、寅さん的にいえばおやじだね、中小企業のおやじがよくいうんで、そういう意味でちょっと聞かせてほしい、そういう趣旨でございます。ご答弁願います。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 まず最初の契約の方法でございますけれども、一般競争入札もしくは指名競争入札で行われるというのが従前の契約の方法でございました。最近では総合評価方式と申しまして、価格のみならず、技術力でございますとか、あるいは企画の提案の内容でございますとか、そういったものも評価の対象といたしまして、総合評価方式を実施しているところでございます。
 二点目の、それでは都庁の中でどんな業者が入っているのかというお話でございますけれども、都庁にもいろんなさまざまな業者が入っておりますが、上位の五社ということに限らせていただければ、まず非常に多いのが日立製作所でございます。二番目は日本電子計算機株式会社でございます。三番目が日本アイ・ビー・エム、四番目が株式会社でございますけれども、五番目が東日本電信電話株式会社というような状況になってございます。

○立石委員 ありがとうございました。
 次に、都庁ポータルサイトのお役立ち情報というのがありまして、電子申請、申請様式、入札情報、施設予約、こういう項目が出ておりました。電子申請、俗にいえば行政書士さんが代行したり、代書的に出願をして能率が上がっていたようなお仕事もありますでしょうし、公共嘱託司法書士の皆様がやっていたようなお仕事もあるかと思います。
 ここら辺との兼ね合いは、大変便利で、先ほど申しましたように、三百六十五日二十四時間都庁はいつもあいている、こういうことでありますから、こんな便利なことはありませんし、すばらしいな、一日も早く電子都庁の完成を望むような気持ちでいっぱいなんですが、同時に、先ほど申しましたように、年齢とか男女とかカラーとか、そういうことでハンディキャップがあると同じように、これがわからない人にとっては本当にこんなに悔しい思いを、これは差別だと、差別そのものだと、一日休んで都庁へ行って、あげくの果てに、あっちだこっちだといわれて終わりというのと、そういうことから考えたら、これは差別といったらいい過ぎかもしれませんが、そういう感覚なきにしもあらず。よって、そういう専門家に電話をすれば、コンビニでも郵便局でも宅配屋さんでも何でも身近なところ、三百か四百も歩けば行けるようなところで、親切にこうやってやるんですよと教えていただいて、このせっかくの電子都庁を有効活用できるような仕組みが望ましいのではないか。
 そういう点について、この当該年度において皆さんはどんな工夫をされたのか、何もしていないのか、そこら辺はもしわかりましたらというか、その点をご質問いたしたいと思います。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 先ほど来からお話がありましたように、電子都庁の利便性というんでしょうか、そういったことを幅広くいろんな人に享受をしていただくということは、非常に重要な課題かというふうに考えております。ただ、まだ現実には至ってはおりませんけれども、確かに先生おっしゃるように、実際には使えない方がまだいらっしゃいます。そういった意味で、使えない方には先ほどのIT講習会を開催いたしまして、初心者向けというんでしょうか、初心者の方から丁寧にご案内を申し上げたり、あるいは自宅で使っている場合にちょっとわからないなといったときに、ITセンター、サポートセンターというふうないい方をしておりますけれども、そういったところへ電話ででも気軽に操作の仕方を教えたりすることができるような仕組みをつくってございます。
 先生おっしゃったような、じゃ、どこからでもというようなお話でございますけれども、確かに郵便局でありますとか、コンビニでありますとか、そういったところから電子申請ができるようになるというのは非常に望ましいことだというふうに思っております。ただ、実際にはまだそこまで至っておりませんで、これからの構想になろうかなというふうに考えてございます。

○立石委員 最後に、極論過ぎることを自分も思っていると思いながらも、本当に便利なものだということを最近ちょくちょく感じるがゆえに、平成十四年度から使われた皆さんの大変な税金を投入して立派な機械がどんどん入っておるようでございますし、ぜひこれを有効に活用してほしいな、そういう希望を申し上げながら、最後の質問として、しからば理想という言葉はおかしいけど、このままやって電子都庁が完成した暁には、満員電車に揺られることなく、お住まいで、ホームオフィスにして出勤なし、都庁なし、会議室は必要でしょうけれども、そういうような形に至るのだろうかというふうにも思えるし、そこまでいくことは、先ほど申しましたように、正確に間違えるという意味もあるし、勘を失うということもあるし、そこら辺は行き過ぎだと。
 さすれば、スポーツ施設などの申し込みは便利ですね。仕事が終わってから、あいた時間に野球場、テニス場を申し込む。これは去年、当該年度で七〇%ぐらいと記憶していますけれども、あと一〇%とか二〇%ぐらいのものもある。その辺を改めて、電子都庁を目指す皆様が、平成十四年度を顧みて、このぐらいがちょうどいいところだというようなパーセントね、スポーツ・文化施設、会場ごとに、これらは多くなれば多くなるほど僕はいいと思いますが、そこら辺はどの程度を皆様は考えておられるか、最後に質問して、終わりたいと思います。

○永田IT推進室電子都庁推進担当部長 電子申請のどの程度までの利用がいけばいいのかというお話でございますけれども、ご存じのとおり、電子申請をしていく内容によっても、あるいは対象者の方々によっても、さまざまな差異があるかなというふうに私どもも存じ上げております。そうした中で、一概に先生のおっしゃるように、何%までいったらいいかというふうにいわれましても、なかなか難しい問題かというふうに思いますけれども、ただ、利用ができる環境になった人にはぜひ利用していただきたいというふうに思っておりますし、また、そうできない方、なかなか利用するには至らない方には、なるべくできやすい環境に持っていってあげることも必要かなというふうに思っております。
 また、これは電子都庁を進めていく私どもがいうべきことではないかもしれませんけれども、人間系を大事にした、そういった仕組みというものも、今後そういったものもあわせて検討していく必要があるのかなというふうに考えております。

○長橋委員 今、立石先生もIT講習、電子都庁についてご質問をされましたけれども、私もなるべくダブらないようにIT講習、いよいよ進んできておりますし、これについてご質問を何点かさせていただければと思います。
 木谷部長もいわれたとおり、ITの革命といいますか、ITの推進が世界じゅうで進んできている中で、最近はブロードバンド、大容量で今度は画像とか映像、こういった伝達も進んできている。私も一応インターネットぐらいといういい方はおかしいんですけれども、できるわけですけれども、ほとんどついていけないという状態にあるわけです。それに伴ってインターネットの利用者の拡大がどんどんふえてきている。そういう中にあって、IT講習というのは大きな役割を果たしたんではないかなと思うわけで、こういう質問をさせていただくわけです。
 IT革命とともにITが進んだということは、都民の生活、暮らし、また経済活動、これも大きく変わってきているわけでございます。そういう中で都庁が電子都庁推進計画、こういったところが都民の暮らしや社会の激変、経済情勢の変化の中にあって非常に大事なことであると思いますし、こういったところから電子都庁推進計画が成り立っていくものだと思うわけでございます。
 今いわれたとおり、いつでもどこでも二十四時間インターネットが活用できるし、今、電子申請の話も出ましたけれども、さまざまなサービスやそういったものが受けられる。今までの郵便ポストに行ったり、窓口に行ったりということをしなくても済むようなことがどんどんふえてきている、こういうことでございます。
 その一番の基盤をなすには、インターネットができなければしようがない。そういった意味で、この情報通信技術の推進、このIT講習というのが行われた。どうやってスイッチを入れるかというところから始まった初期講習でございますけれども、これを特例交付金やいろいろな基金で行ってきたわけです。まず初期のあれですけれども、簡単にしますが、この予算と支出額がかなり乖離しているんですけれども、平成十三年度の繰越分も含めて執行率が低い、これについてまずお尋ねをしたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 ご指摘の三五ページの(3)と(4)に情報通信技術、二つございまして、まず上の方ですけれども、これは平成十四年度分でありますが、緊急地域雇用創出基金により東京都が実施したものでありまして、この不用額は入札による契約差金でございます。その下の平成十三年度繰越分と書いてあるものですが、これは情報通信技術講習推進特例交付金により区市町村が実施したものでございまして、不用額は契約の差金及び区市町村が事業化できなかった分ということでございます。

○長橋委員 都の分と区市町村の分、こういうわけですけれども、立石先生もご質問されましたが、十三年度から始まっているということでございますので、IT技術の早期普及、これは日本として、こういう情報通信立国でやっていくということは大事だと思うんですけれども、資料をいただきましたら、インターネットの人口普及率というのがございまして、これは現在、平成十五年で、先進国だと思いますけれども、第十位である。一位はアイスランドという国ですね。それから電子政府化というのがありまして、これが二十二カ国中、日本は十七位から十五位に上がった。一位はカナダですけれども、日本は活用期というところに入っていて、成熟期にはまだ至っていない。カナダとかシンガポールというところは一位、二位なんですけれども、そういった電子政府、いわゆる国民の方が使いやすさであるとか、サービスが非常に成熟しているというところからくると、まだまだこれからいろんな意味でどんどん進めていかなければいけないと思うわけでございます。
 また、いただいた資料で、これは古いんですけれども、郵政省が通信に関する現状報告というのがあって、これは平成十年度で、それを見ると、各都道府県別のどれだけ進んでいるかというのがあるんです。これは古いので、その後大きくTAIMSとかあれしているんですけれども、平成十年度だと、東京は庁内OA化が四十七都道府県のうち最下位であった。こんなことで聞いて、平成十年というと五年前ですけれども、そのときには東京は一番おくれていたなと始めて知ったわけです。
 そういった意味で、このIT講習、これは非常に大事だと思うんですけれども、平成十四年度、昨年まで行われた実施状況、応募状況、そして当初目標はどうだったのかということを含めて、それが実施されて都内の成人人口にとってはどれぐらいの割合をやったのか、そういうのを、例えば区市町村はどれぐらいであったか、東京都はどうだったか、当然区市町村の方が多いと思いますけれども、そこら辺をちょっと教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 一点だけちょっと補足させていただきますと、平成十二年度にもちょこっとやってございますので、一応十二、十三、十四というふうに経過をしてきたというふうに考えております。
 特例交付金と基金ということで行いましたので、それで分けてご説明をさせていただきますが、平成十四年度までに都区市町村が特例交付金で実施したIT講習では、二十歳以上の都民約四十五万人を募集いたしまして、応募倍率が約一・六倍でした。これが非常に大きいものでございます。それから緊急雇用基金により東京都が実施したIT講習では、約一万人を募集し、応募倍率は二・四倍でございました。合計いたしまして、実績で考えますと、全体で三十九万人が受講いたしまして、これは当初の目標である四十万人をほぼ達成した、九八%という状況でございます。これは、ご質問にありました都内の成人人口の比較では、約四%に該当いたします。
 これは、都民のIT基礎技能の向上に貢献することができたというふうに考えております。

○長橋委員 都内成人人口の約四%、高齢者の方、私の近くの方も会社をリタイアして講習に通っているんだということをお伺いして、非常に楽しみにしながらできるし、インターネットができるようになって大変喜んでおられました。
 ちょっとその前に、区市町村が四十五万人募集して、東京都は一万人募集した、合わせて四十六万人。目標は四十万人ですからいいんですけれども、受講者は合わせると四十万人だった。四十六万人募集したけれども、実際に受講したのは四十万人だった、こういうことで六万人の差があるわけです。テキスト代千円で無料でということで気軽にできるわけで、倍率も東京都は二・四倍とかということですけれども、募集したのに受講しなかったというのが六万人もあるというのは、どういう理由があるのかなというのをちょっと教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 確かに全体では応募倍率が非常に高いんですけれども、東京都の全域で実施してございますので、ある地域では非常に高かったけれども、あるところでは募集枠に足りなかったというところも現実にございます。
 それから、当選はしたんだけれども、やっぱり当日いろんな事情で休んでしまったという都民もございますので、結果としては応募の人数よりも実績の方がやや下回ったということになっています。

○長橋委員 地域によっては、場所も恐らく大体便がいいところで、区市町村なんかは中心地でやったんだと思いますし、東京都のところも聞きましたら、大きなところでやっていますから、せっかくの募集枠がありながら受けられなかったということは、もっと工夫のしがいがあったんではないかな、こういうふうに思うわけです。
 立石先生もいわれていましたけれども、やはりインターネットができる、ITができるということとできないという人の差がいろんな形で出てきたら大変なことになる、こういうふうに思うわけですね。ところが、インターネットの利用者数が、ちょっと資料を見せてもらったんですけれども、驚いたのは、今は携帯電話でもインターネットができる、メールができるということですけれども、二〇〇〇年のときには利用者数が、携帯電話が二〇〇〇年二月だと、三万人だった。それが二〇〇三年、ことしの二月現在では七百三十五万人、何百倍になっている。また、恐らく初めは携帯電話でやっていたのが、最近は、じゃ、自宅にパソコンも買おうとかいうので、そこからふえてきたという人もいるでしょうし、それから自宅のパソコンから利用したのも、二〇〇〇年だと八百二十一万人が、二〇〇三年では二千百九十六万人、三倍近くまでふえてきているというので、本当に急激なIT人口の増加があるわけです。
 そういうことで、これが逆に求人や、それから雇用条件とか就職活動とかというところで、さまざまなデジタルデバイドという問題が起きてくるんではないかな、こういうふうに思うわけでございます。やはり障害者や、それから高齢者の方はなかなか取っつきにくいということもあったりしますし、特に視聴覚障害の方は普通のパソコンでは使えないわけで、そういった方々に対してきちっと環境を整えてやっていくことが大事だと思うんですけれども、そういった障害者の方、また高齢者の方、こういった方々に対してどういう配慮をしたのか、またどういう環境を整えたのか、ちょっと教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 ご指摘のとおり、いわゆるデジタルデバイドの問題は非常に重要でありまして、今回のIT講習会の中でもかなりその点に配慮した講習が行われております。まず、視聴覚の障害者に対してですけれども、都立の盲・ろう学校や、あるいは区市の施設など三十カ所以上使いまして、障害に配慮したIT講習を実施いたしました。それから高齢者に対してですけれども、二十カ所以上でやはり実施をしております。
 なお、東京都が実施をしました一般向けのIT講習会ですが、アンケート調査によりますと、六十代以上の方が三六%を占めております。そうした意味では、高齢者の方々が今回の講習会に積極的にご参加いただいて、有意義であったというふうに考えております。

○長橋委員 障害者の方、高齢者の方、こういう方々がもっと身近にインターネット、ITを使えるような、そういった環境をさらに整えていただきたいなと思うわけです。
 あわせて、今度はお母さん方、特に若いお母さん方は最近はインターネットを活用している方が多いわけですけれども、ただ、全部が全部じゃないと思いますし、特に小さなお子さんを抱えていると、こういったIT講習を受けたいといっても、子どもをどうするんだとなるわけでございまして、さまざまな講習でも保育とかいうこともやっていますけれども、IT講習についても、こういった働くお母さんの方のためにはどういうふうな配慮をしたのか。
 もちろん、それから昼間働いていて、自分の職場で若い人はできるけれども、ちょっと世代的に五十代、六十代、わかりませんけれども、東京都の職員はそんなことはないと思うんですが、自分もひそかに講習を受けたい、話してもなかなか通じないというようなことをよく聞くわけです。そういった昼間働きながら夜受講したい、こういった方も配慮されたと思うんですけれども、どのようにやったのか、教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 まず、小さなお子さんを抱えたお母様ですけれども、IT講習希望者に対しては保育つきのコースを設置いたしました。それから、昼間勤めている勤労者に対してですけれども、土日の二日間で集中して受講できる講座や、夜間だけ連続して受講できる講座も実施いたしました。

○長橋委員 さまざまな配慮をされてやったということでございます。それに対して今度は、そういったIT講習をやりますよというような、まず周知が必要だと思うんですね。やはり興味ある方、恐らく抽せんとか、中には早い者勝ちで応募ということが条件だったと思うんですけれども、そういったなじみのない方とか、そういった方々にどういうふうに周知をしたのか、そこら辺ちょっと教えていただきたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 都民への周知方法ですけれども、二カ月ごとに「広報東京都」に掲載いたしまして、募集をいたしました。それから、都庁の中の総合案内センター、区市町村の窓口、東京都の都税事務所等のいろんな施設にもポスターを掲示いたしまして、またリーフレットをそこで配布いたしました。それから、東京都のホームページからも応募できるようにいたしました。

○長橋委員 ITの初歩といいますか、インターネットの初歩ということであると思いますけれども、学んだらやはりそれを活用したくなる。特に行政のサービスであるとか、さっきいったいろんなさまざまな申請、いろんな施設の利用なんかもこういうことでできることになるわけですけれども、そういう中で、従来どうしても、私なんかも一応できるんですけれども、そういう詳しい方に話を聞いていくと、新たな発見がたくさんあるわけで、こんなこともできるのかと。ところが、日常的にそういったところを勉強しようと思っても、どうしてもなかなかできなくて、あきらめてしまっているところもあるわけなんです。
 私なんかは平均ぐらいだと思うんですけれども、平均ということは、どうやったらインターネットにつなぐのか、どうやったら東京都につなぐのかというところも、東京都の中から総務局のホームページをどうやって開くのかということ、総務局から開いていくとまたいろんな情報があるんですけれども、どうやって開いてみるのかということが、私なんかも見つけたいのになかなか見つからなかったりする場合もあるわけですね。そういったことで考えると、高齢者の方とか、全く初歩の方が使いやすいということが、都民の視点から考えると大事だと思うんですね。
 ハードの部分もあるわけですけれども、今いったソフトの部分で、一つはサービスの向上というか、実感として都民の皆さんとか事業者の方が、こういうことでよかった、得をしたといいますか、というように感じることが大事だと思います。
 例えば、ここに書いてあるんですけれども、電子申請で都営住宅に入居したいときだとか、各種助成を受けたい、こういったことも電子申請でできるようになるということで、サービスの向上ということを考えると、どういうふうに考えているのか。
 それからもう一つはわかりやすさ、やはりホームページの中でわかりやすさとか、易しさというのが、使いやすさですね、これが大事であると思います。どうしても行政の仕事というのは、話せば簡単なことも意外と複雑になっていたり、それからいろんな施設を借りるに当たっても、いろんな条件があったり、手続が複雑であったりするわけでありますので、そういったことも使い勝手のよさといいますか、わかりやすさというのも大事だと思うんですね。
 それからもう一つは、さまざまな申請に当たってやっぱりセキュリティーの問題が大事になってくると思います。個人情報の保護の観点も必要ですし、また、すべてこれに頼ると、ウイルスの侵入とかということも東京都でも過去あったと思うんですけれども、そういったセキュリティーの問題、こういったところはきちっとしていないと、都民が受け入れていくに当たって、また成熟といいますか、電子都庁を目指すに当たって、そういったところが課題ではないかなと思うんですけれども、そこら辺についてはどうお考えでしょうか。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 三点のご指摘がありました。サービスの向上をどうするか、それからわかりやすさ、使いやすさ、最後にセキュリティー、本当にこういうことだと思うんですね、今のIT社会の問題がここにあると思います。
 やっぱり何といっても電子申請、私もやったことがありますけれども、便利でございまして、私の身近な者が東京都の職員の採用試験で、東京都のホームページから申請をすることができた。これは多分、東京だけではないかと思いますが、五分間でできたというんですね。ほかのところは行かなくちゃいけないとかいうことがありまして、大変に東京都の方式は便利だったということを実際に使った人間からいわれました。そのほかのいろんなスポーツ施設の予約等においても、やっぱり自宅から行えることは大変便利でありまして、こういうことがこれからどんどん進んでいくと思いますし、進んでいった方がいいと思っております。
 ただ、その中で、先ほどもご指摘があった、しかし、使いにくい方々がいる。例えば、パソコンを持っていない方々がいる、あるいは障害を持っていて、あるホームページは、例えば視覚障害、色が識別できない方からすれば見にくいとか、いろんな問題も付随して出てまいりまして、便利になればなるほど使えない方々の問題、これを一層配慮しなければいけないというふうに考えています。
 最後にセキュリティーの問題です。これも非常にやっかいな問題でありまして、東京都も先般侵入されました。もうイタチごっこみたいな感じで、これからも続いていくことになると思うんです。したがって、問題があるからといういい方もあるんですけれども、例えば電話を考えましても、やはり電話が便利になると、災害でとまったときにどうしようかという問題がある、それから電話を盗聴されてしまう、常にそういう問題が付随いたします。しかし、電話がない方がいいというふうにはもう考えられないわけでありまして、そういう意味ではこのIT、情報通信技術というものも、だれにでも使えるように配慮していくこと、それからセキュリティーについては、万全を尽くしてやはりセキュリティーを確保していくこと、この二つをしっかり考えながら、なおかつ都民にとって利便性をさらに高めていくために前に進めていく、こういう覚悟でやっていきたいと思っております。

○長橋委員 最後に、今いったやはり都民の視点というのが大事だと思います。さっき使いやすさとか、便利ということで、これをもらったんですけれども、健康局で「東京都こども医療ガイド」というホームページの箇所なんですけれども、これを見ると、いざというときに会話タイプというのがあるんです。会話をインターネットでしながら、会話というんですかね、クリックしながらですかね、病気やけがの対処の仕方とか、病気の基礎知識とか、それから子育てのアドバイスも、内容がお医者さんとか保健士などで作成をされているということで、こういうことがわかっていれば、子育てとか--私なんかも子どもが小さいときに経験があるわけですけれども、子どもはどこが痛いとか、どこがぐあい悪いというのがわからないわけで、そういったときに夜中ですと、核家族化になってくると、どこに聞いていいのかということがあったりすると、これを見れば非常に参考になった場合もあったんではないかな、こういったことは非常に便利な一つだなと、こういうふうに思います。
 この間、第三回定例会で、建設局で聞いたんですけれども、異常気象で雨が非常に降ってきている。そういう中にあって、降雨情報とか水位についてもインターネットで都民に提供している。こういったことはあるわけですけれども、そういったことを含めてどんどん都民の視点ということで広がってくれば、より目が行政に向いてくるんではないかな、こういうふうに思うわけです。
 どれだけ都民が電子自治体、東京都行政のサービスを享受できるかどうか、こういうことでこのIT講習が始まったんだと思うんですけれども、さっきいったとおり、区市町村が平成十二年度から、昨年で終了して、東京都も緊急雇用創出基金で来年度まで入っているということで、いわゆる初歩技術ということから始まって、IT技術の底上げということを考えると、そのステップアップをまた考えていかなければいけないと思いますし、ステップアップをしていくに当たって社会的な効果はどういうふうに変わってくるのか。また、今後の都の方向性としてさらにIT技術の推進、講習も含めて進めていくべきと考えますけれども、最後にその質問をして、終わりたいと思います。

○木谷IT推進室情報企画担当部長 社会的な効果ということでございますけれども、この講習によって都民の基礎的なIT技術を高めることができて、障害者や高齢者も含めて多くの方々が社会の情報化の恩恵を享受する上で大きく貢献できたと考えております。
 今後ですけれども、緊急地域雇用創出基金を活用しながら、事業の実施を考えていきたいと思っております。

○松村委員 多摩振興について伺います。
 東京都民の三人に一人は多摩都民といわれましたけれども、現在、多摩の人口はどうなっているのか、まずお伺いさせていただきます。

○村山行政部長 現在、多摩地域の人口でございますが、十二年の国勢調査で申し上げますと、三百九十万一千七百七十三人ということになります。

○松村委員 そして、今、区部は何人か、ちょっと聞くのを忘れましたので、よろしくお願いします。

○村山行政部長 同じ十二年の国調では、特別区の場合には八百十三万四千六百八十八人ということになります。

○松村委員 それでは、二〇一五年までの人口想定はどうなっているでしょうか。

○村山行政部長 十二年十二月に東京都が策定いたしました東京構想二〇〇〇では、二〇一五年までの東京都の人口想定を行っておりまして、区部の人口は二〇一〇年ごろにピークで、以後減少に転じまして、二〇一五年には八百十四万人程度、多摩地域の人口も同じく二〇一〇年ごろピークに達しまして、以後減少に転じまして、二〇一五年には四百三万人程度というような想定を行っております。

○松村委員 今、答弁がありましたように、十年後には現在の区部八百十三万人が八百十四万人、大体一万人ぐらいの増加に対して、多摩が三百九十三万人から四百三万人というと、十万人ぐらいですか、やはりかつての一九七〇年代の後半から急激に区部の人口が減り、逆に多摩が急激に増加する。それがずっと続いてきて、二〇〇〇年ごろからほぼ両方とも横ばい、しかし、多摩は純増していくということで、かつては三人に一人が多摩都民といわれたのが、これでいきますと、二人に一人ぐらいの時代に入ってくるんではないか。
 多摩在住の、そして大多数が区部に職場を持っている点からも、区部のベッドタウンとしての役割を担っている地域ともいえます。その点からも、同じ都民としてさまざまな居住環境面における格差の是正は、都政の重要な課題と思います。
 これまでも都政として取り組んできたというふうに思いますけれども、いわゆる多摩格差、区部との格差の是正の取り組みの現状といいますか、どのように認識されているでしょうか。

○村山行政部長 道路や下水道というようなインフラ面でのこれまでいわれてきましたいわゆる多摩格差につきましては、従来、これまでいろいろ都と市町村それぞれ協力をいたしまして、積極的に向上に努めてきた結果、現在ではかなりの部分で解消してきているというふうに認識しております。

○松村委員 確かに革新都政時代には、多摩格差是正のための八課題というものを設定して、積極的に支援を行ってきましたし、その後も多摩市町村、また多摩住民のさまざまな要求運動によっても、格差の是正は進んできたというふうに思いますが、依然として課題は残されているというふうに思います。
 今、部長の方からは、道路や下水、そういうインフラについては相当部分という話もありましたけれども、毎年多摩の市長会からも、東京都への予算編成に対する要望事項も私どもいただいておりますけれども、この十六年度、来年度に向けての要望も、やっぱりイの一番に、その多摩振興、多摩格差是正に向けての施策の推進要綱が出されております。
 ちょっと読ませていただきますと、多摩地域と区部との行政格差が解消しつつあるとはいえ、都市基盤整備は依然として不十分であり、福祉保健医療や教育、文化面においても新たなニーズが生じているなど、今なお多くの課題が残されているというふうにしております。
 そこで、今、部長の方からは、道路や下水というような例示がありましたけれども、私どもも絶えず、どういう点が区部と多摩におけるさまざまな面での、同じ東京都民の中でのやはり格差ということで、いろんな手法で検討させていただいておりますけれども、例えば、区部を一〇〇とした場合、多摩がその半分以下、五〇以下という中で、特に医療関係なんかは多いんですけれども、ケアハウスは二四、NICUの病床が三八、周産期医療センター、これも三五とか、小児医療機関が三四とか、児童館二七、鉄道やモノレールが四一とか、やっぱり多岐にわたるさまざまな面での格差が区部に比べて半分以下と。できる限り私は、直近の施設などとか利用率などを各所管からとりまして、出した数字が今いったようなことにもあらわれているというふうに思うんです。引き続き、やはり私も、今、部長が道路とか下水、インフラを挙げましたけれども、例えば歩道の整備などにおいても、年々差はなくなってきたといっても、まだ八割、区部を一〇〇としたら八〇ちょっとぐらいというような面があるわけですね。格差是正は、引き続き最重要な課題ではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○村山行政部長 区部と多摩の格差ということで、るるお話を伺ったわけでございますけれども、やっぱり地域には地域の特性というものがありまして、その地域がどういう機能を果たしていくのか、あるいは、そこに住まわれている方々がどういうニーズをお持ちなのかというのは、総合的に判断して求められる行政水準、それぞれ分野ごとに、その地域ではどういうふうにしていくのかということを考えていく必要があるんじゃないかというふうに思っております。
 ですから、そういう意味では、すべてのものについて、区部を一〇〇として、多摩地域のそれぞれの地域が幾つなんだというような観点での比較というものをすることだけが、行政水準というものを考えていく際の唯一の指標であるかどうかというようなところは、一つ問題意識としてあり得るかなというふうに思っておりまして、そういう意味でも、これから多摩のそれぞれの地域をどういうふうに発展させていこうか、充実させていこうかということを、市町村も含め、私どもも含め、それぞれ長期的、戦略的に考える中で、その辺の今後の目標というのを考えていく、実現していくというのが、我々の課題であるというふうに認識しております。

○松村委員 確かにそれぞれの自治体が、やはり何を優先して自分たちの市、町で取り組んでいくかということは、それはそれで非常に重要だというふうに思いますけれども、しかし、少なくともいろんな医療機関、例えばNICUの病床とか、社会教育施設だとか、そういう点での、やっぱり幾つかの基本的な指標があると思うんですね。ぜひ、そういう点では、行政部としても、それぞれの所管局だけではなく、分析していただきたいというふうに思います。しかも、私は、指摘したい点が、新たな格差がこの二十三区との間で生まれている点であります。
 ご承知のとおり、石原都政になってからも、都市再生ということに力を入れる一方で、多摩地域の都立病院、それから保健所の統廃合計画や、経済事務所や労政事務所とか勤労会館などの統廃合を既に強行するというか、そういう方針が出されてきておりますし、事実もうなくなった労政事務所とか経済事務所があります。
 また、乳幼児医療費助成も、二十三区では、三区を除いて就学前までのすべての子どもの医療を無料というふうになっておりますけれども、多摩の多くの地域では、いまだに所得制限が残され、助成が受けられない子どもも残されています。また、多摩モノレールへのシルバーパスの適用なども実施されておりません。
 さらに、私は今幾つか、私どもでいろんな指標をとってみて検討している中で、例えば、そういう中で、数年前に比べてやはりだんだん埋まってきている面も、先ほどいいました歩道の整備とか幾つかあるわけですけれども、そういう格差が逆に広がっているというのは、例えば、鉄道モノレールの指標を見ると、たしか今現在と三年前を比べると、四四が四一になっている。児童館の場合は、三七が二七、それから都立の社会教育施設、明らかにこれは廃止とか、そういうのが行われましたから、三年前の五九が五〇とか、それから小児医療機関などもやはり減っているという、ソフト面においても乳幼児医療費などの、やっぱり自治体の財政状況が多分大きな影響ですけれども、多摩都民と東京都民に比べてのそういう格差というか、あって、しかもそれが都のいろいろな施策の中で逆に後退している部分を、私は指摘せざるを得ないというふうに思います。
 そこで、多摩格差の原因の一つに、財政力の格差をどうしても指摘しないわけにはいきません。そこで、法人住民税と固定資産税の区部と多摩の、今状況はどういうふうになっているか、お答えいただきたいと思います。

○村山行政部長 お答えを申し上げる前に、今、委員ご指摘いただいた問題でございますけれども、都政、いろいろ変化の中で、事務を移譲するとか、あるいは庁舎の配置についていろいろ変えていくとかということは当然あるわけでございまして、その場合には、従来から、あるいはこれからも市町村と十分協議を行って、合意を得た上で、この間、実施をしてきておりますものでございまして、一方的にやっているものではございません。
 それから乳幼児医療等の問題については、それぞれ自治体で、それぞれのお考えの中でやっていく中で、すべての施策は、これからの時代、それぞれの市長さんなり町長さんなり、あるいは議会の皆さん方のお考えの中で、各団体ごとに施策の差異といいましょうか、特色の出し方というのは、それぞれ違ってくるのもまたしかるべくでございまして、その点をもって格差というには、必ずしも当たらないというふうに考えてございます。
 その上で、ただいまお話しいただいた税の問題でございますけれども、この税収でもって多摩と区部との違いというものを考えるというのも、なかなか実は難しい問題でございまして、特別区と市町村の場合には財政制度が違いまして、ご存じのとおり特別区には財調制度があると。それから市町村の場合には、一般の市町村と同じように地方交付税の適用があるという形になってございまして、しかも、なかなか地域特性も異なることから、特別区の場合には確かに法人税収、後から申し上げますように、法人住民税の額は多いんですけれども、今のような仕組みですと、その半分は東京都に行ってしまうということもありますし、また同時に、昼間人口が非常に大きいとか、そういうまた需要の面もございまして、やはり財政力の問題というのは、収入、需要、両面から総合的に考えないと、なかなかどうだというふうにはいえないものだというふうに思います。
 その前提の上に立って、では収入はどうかということでございますけれども、平成十四年度の決算見込みで申し上げますと、都内二十六市の平均の法人住民税というのは、一人当たりで申し上げますと約一万円でございます。固定資産税は約七万一千円ということになります。
 これに対しまして、特別区では、これは徴収ベースでございますけれども、法人住民税は約五万円、固定資産税は約十二万四千円ということになってございます。
 ただ、これ、税金なんですけれども、先ほど申し上げたような財調あるいは地方交付税というふうな、一般財源ベースでの調整が入りますので、地方税と地方交付税、それから特別区の場合には地方税と財調交付金というので足しますと、二十六市の方は約十八万一千円、特別区の方は十八万七千円ということで、ほぼ同様の水準になりまして、そういう意味では、収入面だけ見ても全体としての調整システムの中では、ほぼ同程度のレベルに調整されているのかなというのが、現在の状況でございます。

○松村委員 私、きのうの総務委員会の委員会質疑も傍聴させていただきましたけれども、その点のご答弁は、よく知っているというか、きのうも我が党の委員が質問したことに対して、全く答えていないですね。今みたいな答弁をされたんですけれども、再度質問したいのは、法人住民税の多摩、島しょ分も含めた、その額です。それは幾らなのか。十二年度、十三年、直近で今、決算いつ出ていますか。十四年度で出ていますか。--では十四年度で、法人住民税の多摩、島しょ分を合わせた合計は幾らなのか。それから二十三区、区部の法人住民税の合計は幾らなのか。
 同じく固定資産税も、それぞれ多摩、島しょと、それから区部ではどうなのかという、その額をいっていただけばいいんですよ、私の質問は。

○村山行政部長 市町村部、島しょ部も全部含めてでございますけれども、法人住民税三百八十九億五千八百五十一万七千円でございます。固定資産税は、二千七百六十二億七千九百八十二万六千円でございます。
 それから区部につきましては、今申し上げましたように区部の方については都税でございますので、その点については、区の財政状況の中にはございませんので、ちょっとお待ちください。--都税の徴収ベースで申し上げますと、法人分の方が四千百六十二億九千六百五十万円ということになりまして、固定資産税の方は一兆四百一億六千四百七十八万九千円でございます。

○松村委員 今のご答弁を聞いても、法人住民税、約十倍、かつては九・六六倍という数字を私の方でつかんでいたんですけれども、今新たな決算状況が出てきて、それを見ますと十倍以上の開きがありますよね。つまり、多摩の方は、島しょも含めて十分の一以下。それから固定資産税も、三・九九倍というのが私の数字でしたけれども、今のお答えをいただくと、さらに大体四倍ぐらいと。明らかに財政力の差があることは、歴然なんですよ。
 今、行政部長は、いや、東京都の方には財調があるというふうにいわれますけれども、もともと、その税の配分において、例えば、それが本当は市町村民分ですけれども、調整三税は一たん東京都が徴収しますけれども、しかし東京都の事業見合いで、あとは区の配分というか、どういう仕事をやるかということで、ご案内のとおり調整はされますけれども、配分されているということを考えてみた場合は、税の体系が違うから一概にいえないということでもないわけです。明らかに、例えば、今の中の全体の市税とか区税も含めた割合というのは、この法人税、固定資産税の占める割合が、非常にやはり大きい割合があるわけですよね。それは住民税とか、そういうものが一方においてありますけれども、しかし、同時に、今いった法人の場合の住民税とか、それから固定資産税は割と安定していて、最近はいろいろ下がっておりますけれども、やっぱり重要な財源、しかも二十三区の場合には、やはりそれが一たん都として徴収されるけれども、全部それが二十三区におりて、東京都がやるべき仕事の分の五十数%は、もちろん東京都としての税源、財源として使っておりますけれども、そういう意味では大きいんですよね。法人住民税や固定資産税というのが、自治体としての財源、税源としては。
 それが、だから今、どうしてそういうふうに差ができるかといったら、やはり多摩都民も東京都にいろいろ区部に働いて、本社や機能がいっぱいありますから、やっぱりどうしても今の税制の中では、東京都とか二十三区に集中してしまうと。
 ところが、やはり多摩の場合には、かつて業務核都市などということで盛んにそういう産業構造の転換ということを、多心型都市づくりということでやりましたけれども、現在、物の見事に失敗してというか、そういうところへの本社機能だとか、そういうところも進んでいないわけですよ。だからますます私は、そういう意味では差が開いてきて、今いったような数字十倍を、こういうような格差がついてしまっているということは、これは事実、厳然たる、数字が示している事実だというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。

○村山行政部長 グロスの税収の比率で、多いから豊かだというようなご議論かということになるのかなと思いますけれども、そのベースのところでは、やっぱり地域特性もございますし、日本の中における機能の、あるいは東京の中における機能の違いもございますし、また、企業が市場に集積している場合には、法人の大きなところの、ほとんど四分の一は二十三区内にあるわけですから、そこでのまた需要というのもあるわけでございまして、そういう意味で、先ほど申し上げましたように、やはり収入と需要、全体、総体を合わせて財政力がそれぞれどうなっているのかというふうにご議論いただく方が、実態により近づきやすいのかなというふうに思っております。

○松村委員 昼間人口とか、いろいろなそういう差もあるから、そういうのをトータルで見なきゃいけないということは、それは都心は都心区でそういう要望が強いので、私も否定するどころか、確かにそうだと思うんですよ。
 しかし、だって同じ居住するというか、すなわち子育てして生活する、そういう場合には、そこの例えば医療にかかる場合の同じ都民としての受ける便益といいますか、どうなのか。保育所だとか学校の教育施設だとか、先ほどの下水とか、そういう道路とか歩道だとか、さまざまな面があるというふうに思うんですけれども、しかし、いずれにしてもそれをトータルを考えてみても、やはり歴然たるまだ格差があるわけですよ。
 ですから、かつて革新都政のときには、やはり八つの指標を発揮させて特別な力を入れてきたということも、実際、東京都政がやってきた事実だというふうに私は思いますし、依然として、先ほどの医療や教育や、また歩道とか交通機関だとか、そういう指標をとってみれば、区部に比べてのやはり立ちおくれというのがあるということは、私はこれは繰り返しいわなければならないというふうに思います。もうそれで大丈夫なのだというようなことを、行政部は、ぜひそういう認識に立たれないようにしていただきたい。
 そこで、私は格差解消への財政支援として、市町村調整交付金や市町村振興交付金が大きな役割を果たしてきたというふうに思いますけれども、この間の推移をお答えいただきたいのと、それと十四年度の執行率はどうなっているんでしょうか。

○村山行政部長 私どもは、別にもう多摩は大丈夫で、これ以上頑張らなくてもいいというふうに、いささかも申し上げているわけではございませんで、これからの多摩の発展というのは、やっぱりそれぞれの地域の特性と、住民の方々のニーズを踏まえて、ちゃんと自主的に頑張っていこうと、東京都もそれを応援しますという意味で申し上げているわけでございますので、誤解をいただかないようにしていただきたいと。
 その上で、調整交付金でございますけれども、五年間でよろしいですか、過去五年間。十年度が百三十三億で、十一年度が百三十億、十二年度百三十億で、十三年度百四十億、十四年度百六十億で、それぞれ執行率は一〇〇%でございます。

○松村委員 大分頑張っていただいているんですけれども、しかし、一番伸びたときよりも、やはり明らかに、明らかにというよりも、残念ながらその数字は減っているような気がして、毎年やはり議会側からも、これに対しては復活財源などを求めるなど努力させていただいておりますし、引き続きそういう点では、重要な役割を果たすんじゃないかというふうに思いますけれども、執行率が今一〇〇%という話も聞きましたけれども、多摩市町村側からの要望も含めて、これまで振興基金も含めて、調整交付金や振興交付金が果たしてきた役割、また今後の役割をどのように所管局としては考えているんでしょうか。

○村山行政部長 この調整交付金の、振興交付金の導入でございますけれども、市町村間のさまざまな行政水準の均衡等に要する経費を補完いたしまして、市町村の行財政運営の健全性と効率性に資すると。自主性、自立性のもとで、それぞれ頑張っていただいている市町村を支援するということでやっているわけでございまして、今後ともそういう考え方でやっていきたいと考えております。

○松村委員 意見だけ最後に申し上げますけれども、多摩振興、多摩格差の解消のために、市町村調整交付金、市町村振興交付金、それから区市町村振興基金を大幅に増額し、市町村財政基盤の確立の強化を図ることを強く要望し、質問を終わります。

○大河原委員 私からは、監理団体の改革について伺っていきたいと思います。
 十四年度の監理団体経営目標の達成度評価が、九月に発表されております。団体の経営責任と、都の指導監督責任を明確にするという目的で、十三年度から団体ごとの経営目標の設定が行われ、達成度の評価が行われてきております。十一年度には六十四団体でしたけれども、十三年度は五十八団体、十四年度には五十四団体、そして本年度には四十七団体というふうに、整理、減少されてきております。
 監理団体の改革実施計画が十二年から十五年ということで、これに基づき、その設立の趣旨にさかのぼって抜本的な改革が行われたということですけれども、この間の見直し、どのような見直しが行われてきたのか、視点や評価について、また、どのような団体が整理されたのか、この点についてまず伺います。

○石渡行政改革推進室長 都は、これまで、監理団体改革により団体そのものの必要性や活用のメリットを検証し、社会経済状況の変化によって必要性の薄れたものや事業を統合することで、より効率的に都民サービスを向上できるものにつきましては、団体の統廃合を行ってまいりました。
 十一年度以降、東京鉄道立体整備株式会社など廃止による三団体、財団法人東京都保健医療公社と財団法人東京都健康推進財団など統合により五団体、財団法人東京都防災建築まちづくりセンターなど指定解除により九団体、合計十七団体を削減しております。

○大河原委員 東京都女性財団のことなどは、私はいまだに疑問を持っているわけですけれども、そうした十四年度までの改革をどのように評価、分析しておられるのか、この点はどうでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 監理団体につきましては、事業の効率化や独自の人事給与制度導入など、団体ごとの経営改善事項は着実に実施されており、改革は確実に進んでいると考えております。
 例えば、都財政支出につきましては、平成十一年度対比で七百二十億円の削減目標に対し、十五年度予算で九百五十七億円の削減、職員数につきましては、九百五十人の削減目標に対し千四百四十四人を削減するなど、目標を上回る成果を上げております。

○大河原委員 削減の目標に対して、金額の面でも、職員の数も、着実に減らしてきたというふうにお答えいただいておりますけれども、この年度で実施の計画、終わります。締めくくりの年度に当たるわけですけれども、このような評価分析をした上で、新たな都庁改革プランに、これをどのように生かしていくのか、この点についてはいかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 監理団体改革につきましては、なお人事財政面において、都への依存度が高いなど自律的経営という点では、経営改善を図るべき課題は、依然残されていると考えております。
 今後、策定する新たな都庁改革アクションプランにおきまして、改めて団体の存在意義を検証、活用のあり方の見直しを行うとともに、各団体が持つ経営資源を有効に活用しながら、さらなる自律的経営を目指してまいります。

○大河原委員 設立趣旨としては、東京都による直営よりも民間の活用を図った方が効率的に運営できる、あるいは弾力的に運営できる、そういった事業を監理団体が実施してきたというはずなんですけれども、依然として、財政的にも人的な面でも、都への依存度が多い団体があるということですよね。
 特別監理団体、一般監理団体、協議団体という形で、区分があったわけなんでね、それは本当に設立の趣旨からくるものなので、一概にこの部分、責められないんじゃないか。新しい見直しの中では、その区分がなくなっているところということでは、かなりこの中の整理、考え方も難しいものがあるというふうに思うんです。
 ただ、社会全体の経済成長当時に比べて、むしろ民間の工夫、創意の活用、都民ニーズの多様化とともに、それに応じたサービスの供給主体の競争、こういったものももちろん出てくると思いますし、行政として実施する事業のあり方そのものが、見直しを求められているということだと思います。
 そういうふうに考えていくと、今は整理して数を減らしていくという方向にあると思うんですけど、むしろ新たな監理団体への事業の移譲など、行政のスリム化をこの事業移譲によって、新たな監理団体をつくるということも、実は考えられるんじゃないかと思うんですが、今回の監理団体の改革というのは、減らすばかりではないというふうに思いますけど、その点はどうでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 これまでも、都の事業を実施する上で、都が直接実施するよりも効率的、効果的な事業実施や、都民サービスの向上が可能な場合に監理団体を活用してきました。今後も、都政の一層の効率化に向け、監理団体を活用するメリットが大きい場合には活用してまいります。

○大河原委員 監理団体の改革は減らすばかりではないというふうに、今、理解させていただきました。
 そこで、さきに発表されました第二次財政再建推進プランによる内部努力目標、これは一千億というふうに書かれております。そして、そのうちの監理団体への財政支出の見直しに、二百億円という目標が掲げられました。間もなく新たな都庁改革アクションプランの発表があるわけですけれども、この二百億円という額は、この目標額の具体的な根拠というのは、どのようになっているんでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 東京都第二次財政再建推進プランの監理団体改革の目標額につきましては、社会経済状況に応じて各団体の存在意義を検証するとともに、事務事業や執行体制の見直しなど経営改善への取り組みを促進することによりまして、都からの財政支出を削減していきます。
 具体的には、今後策定する新たな都庁改革アクションプランにおいて施策を定めてまいります。

○大河原委員 新たな都庁改革アクションプランにおいて施策を策定するということで、具体的なご答弁は、恐らく胸のうちにはあるんでしょうが、ここではオープンにならないということなんですね。やはり目標の具体的な金額だけ上がっていて、今度はどこがどのようになるんだろうかって、すごく疑心暗鬼になってしまうような部分もあるんですけれども、お答えでは、アクションプランを待たねばならないということなので、お待ちすることにいたします。
 そして、監理団体の改革については、都民サービスの質の向上、そして多様なニーズにこたえると、このことがまず担保されていなければなりません。自律的な経営に向けて、バランスシート、そしてまた連結決算の導入など、このような手法をしっかりと取り入れて改善されるべきだというふうに考えます。
 こうした財政面での検討がされない限り、都民にとって本当に必要な監理団体の事業と、そうでないものという精査は、できないのではないかというふうに思います。財政再建の旗印のもとに、削減目標のために、単に赤字団体を切り捨てるという単純な考え方ではなく、目標達成の数字的な帳じり合わせに終始しないようにしなければいけないというふうに考えますが、この点はいかがでしょうか。

○石渡行政改革推進室長 先ほどの質問の中で、監理団体活用ということですけれども、行政改革室としては、新たに今、設立、ふやすという考え方はございません。そこだけは、誤解されないようにお願いします。
 ただいまのご質問につきましては、監理団体改革は都民サービスの向上の視点から、団体の存在意義を検証し、活用のあり方を見直すものであり、各団体が自律的経営を目指した経営改革に取り組むことにより、都からの財政支出を削減するものであります。
 なお、監理団体においては、株式会社については商法、公益法人については公益法人会計基準に基づきバランスシート等を作成、公表し、経営改善に十分に活用しておりますが、機能するバランスシートにおける提言等も参考にし、改革を進めてまいります。

○大河原委員 監理団体の改革には、ぜひとも透明性、それから説明責任も果たす、そういったことを十分に確保していただきたいというふうに思います。
 今、追加のご答弁で、監理団体、新たなものをふやすということはないということでしたけれども、この改革が、とにかく削減目標を掲げ、それに向けて整理するだけの、減らすだけのものではないということは確保されていると思いますので、今の段階で直ちにふやすというふうに私も思いませんけれども、その点では、都民ニーズが高まってくるもの、あるいは東京都が新たに行わなければならないと判断したもの、そういうところの道はふさいでいないというふうに思います。
 都の職員の、ちょっと余りいい言葉じゃありませんけど、天下り先として、やっぱり監理団体というのは見られてきましたし、実際、OBの方々の経験がそこで生かされるという場面だと思うんですが、この点がいろいろ改善されてきて、例えば人事、役職の、人事の面などでも、こういった天下り批判につながらないような、そうした人事面の、組織面での改革も必要だというふうに思います。
 今回の改革の中でも、実は目標達成をした場合、役員報酬に五%上乗せをすると。五%の報酬がつくということで、これが現場の職員の方々の実際のインセンティブになるのかというと、私は、やはりトップにこういったものがつくことは、そんなにインセンティブにならないんじゃないか。むしろ、これは達成できなかったときは、もちろんカットなわけですけれども、この監理団体の方々の給与の体系なども変えていく方法、新たなものにしていくということがありますけれども、このトップにつける五%報酬というのは、私はなかなか納得がいかないものだなと。むしろ職員の方々に還元されるような改革が行われて、初めて監理団体としての勢いがついてくるんじゃないかというふうに意見をつけさせていただきまして、質問を終わります。

○串田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。

○串田委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○串田委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○野上委員 それでは、人事委員会についてご質問いたします。
 人事委員会の職務としては、給与勧告、それから人事委員会の開催を初めとして、採用試験や昇任選考の実施、それから職員の公平審査、情報開示の手続など大変多岐にわたっております。こうした人事委員会の事業を進めていく上では、効果的、また効率的な執行をしていかなければならないと思います。その観点から、何点かお伺いしたいと思います。
 最初に、公平審査についてでございますけれども、この七ページの決算説明書に書かれておりますが、措置要求事案係属件数が十二件、不服申し立て事案係属件数が六十五件と、多くの案件が表示してございますけれども、公平審査は、人事委員会の大変重要な役割であると思いますけれども、ここ最近どういった係属案件があって、またその処理期間にどれぐらいの日数を要するのかについてお伺いしたいと思います。

○矢島参事 公平審査の近年の傾向についてのお尋ねでございますけれども、措置要求、不服申し立てとも、係属件数につきましては、毎年おおむね同程度で推移してございます。
 内容といたしましては、指導力不足教員の決定に関する事案あるいは職場内禁煙、あるいは、いわゆるセクハラに関する事案が見られることが最近の特徴ではないかというふうに考えてございます。
 また、申し立てから判定裁決までの処理期間についてでございますけれども、案件の内容によってさまざまとなっておりますけれども、措置要求ではおおむね六月程度、不服申し立ての場合で平均九月程度となってございますが、証人を呼んで口頭審理を行うような事案などにおいては、二年を超えるケースもあるというのが実情でございます。

○野上委員 内容によっては六カ月あるいは九カ月、また年を越してしまうようなケースもあるというご説明でしたけれども、公平審査は公正であるとともに迅速な審理が求められると思うのですが、多数の案件を抱える人事委員会としては、どのように取り組んでいらっしゃるんでしょうか。

○矢島参事 公平審査は職員の権利救済のために設けられている制度でございまして、請求人の主張について、十分な審査を行う必要があるわけですが、同時に、迅速な審理が非常に重要な要素となっていると考えております。
 このため、不服申し立ての審査に当たりましては、請求人と処分者、双方のさまざまな主張を事前に書面でやりとりをし、争点をあらかじめ整理をした上で口頭審理を行うなど、計画的あるいは効率的な審理を行っているところでございます。
 今後とも、一層の審理の迅速化に向けて努力をしてまいります。

○野上委員 次に、昇任選考についてお伺いしたいと思います。
 これは六ページにございますけれども、人事委員会は、ことし一万百九十人の採用試験の申し込みがありました。それから昇任選考に関しましては、七千三百九十二人の方が昇任選考等を受験しているわけであります。国のキャリア制度は、採用の入り口で、その人のコースというのが決まっておりますけれども、都の採用制度、昇任制度というのは、高卒であれ、短大卒であれ、大学卒であれ、学歴によらず管理職選考により管理職を登用していらっしゃるわけです。私は、この東京都の開かれた制度はすばらしいものだと思っております。本人の鋭意努力によって幾らでも昇進がしていけるという、こういった管理職の登用を行ってきたことを、高く評価している者の一人であります。
 そこで、都における管理職選考制度の概要と実施状況についてお伺いいたしたいと思います。

○星川試験室長 都の管理職選考は、学歴、年功や性別にとらわれず、能力主義に徹し、公平、平等に幹部職員の内部選抜を行うことを目的とする制度でございます。
 現行の制度では、職員の職層により、若手の主任級職員を対象とした種別A、中堅の係長職員を対象とした種別B、ベテランの課長補佐級職員を対象とした種別Cの三種類で実施しており、キャリアのステージに応じて、意欲と能力のある職員に、広く幹部登用の道を開いております。
 平成十四年度は、A、B、C合わせて千六百六十七人が受験し、百三十四人が合格しており、倍率は平均して十二倍程度でございました。

○野上委員 十二倍という大変難しい試験をくぐり抜けてこられているということがよくわかりました。
 地方分権の推進や都民意識の変化など、都政を取り巻く諸情勢が変化し、行政の役割に大きな変容をもたらしております。平成十八年度より複式簿記の導入も始まるようでございますけれども、このような中で、都の管理職が果たさなければならない役割は一層大きくなっており、求められる資質も、より幅広く高度なものになってきております。
 そこで、都の管理職選考実施に対し、重視している事項や、今後の改善への取り組みについてお伺いしたいと思います。

○星川試験室長 管理職選考では、困難な課題に正面から立ち向かい、具体的な成果を上げる実践的能力の高い人材を選抜することが必要であり、勤務評定を重視しつつ、人物重視の観点から、面接試験の改善等に努めております。
 また、平成十六年度の選考においては、経営感覚の重視など今日的な課題を的確に解決する知識の検証を行うため、新たに行政評価、行政改革等の知識、事業経営や財務諸表等の知識を問う試験を導入するなど、改善に努めてまいります。

○野上委員 ありがとうございます。
 人事委員会は、ただいま伺った公平審査や試験のほか、職員の給与勧告、労働基準監督機関としての事業など、人事行政にかかわる重要な事業を実施しておりますけれども、一方、都は、厳しい財政状況の中にあり、より一層の効率的な事業執行が求められています。人事委員会では、どのような経費削減に努めているのか、お伺いしたいと思います。
 例えば、七ページにございますけれども、不用額説明の中の1、経費節減という、金額的には非常に少ないんですけれども、いろいろ努力をされて六百二十八万六千円余りを節減をしているという、表の中にも出ておりますけれども、もう少し具体的にお聞きしたいと思います。

○松田任用公平部長 事業規模全体が大変小さい中ではございますけれども、古い電算処理システムのダウンサイジング、委託処理にかえて職員のパソコンによるデータ処理の拡大、ITを活用した各種印刷物の作成などをいたしまして、経費の削減を図り、適正な事業執行に努めております。
 人事委員会の事業は、職員採用試験において実施する種別や採用予定人数など、任命権者側の動向によりまして事業規模が左右され、これに伴って経費が変動する面もございますが、今後とも、不断の業務改善により効率的な運営に努めてまいります。

○野上委員 最後に、こういった効率的な事業の執行には、きめ細かな工夫が大切であると思います。また、人事委員会という立場で、中立、公平であるという、いろいろな方々を選別していく能力というのは、ここにゆだねられているんじゃないかなというふうに思っております。
 今後とも、最少の経費で最大の効果が上げられるように、これからも人事委員会として努力をしていただければと思っております。
 終わります。

○串田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、分科会委員長において取りまとめた上、委員会委員長に提出いたしますので、ご了承願います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時五十二分散会

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