各会計決算特別委員会第二分科会速記録第六号

平成十五年十月二十四日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十名
委員長前島信次郎君
副委員長山田 忠昭君
副委員長清水ひで子君
東村 邦浩君
河野百合恵君
山加 朱美君
酒井 大史君
樋口ゆうこ君
田島 和明君
比留間敏夫君

欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長三宅 広人君
総務部長嶋津 隆文君
広報広聴部長島田幸太郎君
都政情報担当部長二ノ宮 博君
文化振興部長荒川  満君
都民協働部長高島 茂樹君
交通安全対策担当部長脇  憲一君
私学部長中澤 正明君
消費生活部長高田 茂穗君
参事田村 初恵君
参事奥秋 彰一君
参事八木沼今朝蔵君
大学管理本部本部長山口 一久君
管理部長飯塚 宏子君
参事大村 雅一君
参事宮下  茂君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  生活文化局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  大学管理本部関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○前島委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、生活文化局及び大学管理本部関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いを申し上げます。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○嶋津総務部長 去る十月十日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元配布の平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料、生活文化局をごらんいただきたいと思います。
 資料は、目次にございますように六件でございます。科目別予算、決算の推移から、私立学校経常費補助の予算、決算の推移ということでございます。
 まずは、一ページ目をお開きいただければと思います。科目別予算、決算の推移でございます。生活文化局が所管する支出科目につきまして、平成十年度から十四年度までの過去五年間の予算及び決算額の推移並びに一般会計に占める割合、不用額、執行率の状況を記載してございます。
 二ページをお開きいただければと思います。東京都消費生活総合センターの相談件数の推移と特徴でございます。これも、平成十年度から十四年度までの消費生活総合センターの相談件数の推移及び対前年度で顕著に増加した相談事項につきまして記載してございます。
 三ページをお開きいただければと思います。東京ウィメンズプラザの利用状況でございます。平成十二年度から十四年度までの過去三年間につきまして、来館者数及び施設貸出利用件数、相談事業相談数など、表の区分ごとに利用状況を記載してございます。
 恐れ入ります、四ページをお願いいたします。東京ウィメンズプラザ及び東京都女性相談センターにおける配偶者暴力に関する相談件数、一時保護件数の推移でございます。平成十二年度から十四年度までの東京ウィメンズプラザと東京都女性相談センターの相談件数並びに一時保護件数の推移を記載してございます。
 なお、注意書きにございますように、この二つの施設は、平成十四年度から、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法でございますけれども、それに基づきます配偶者暴力相談支援センターとしての業務を開始してございます。ご参考までに。
 五ページをお願いいたします。東京都育英資金一般貸付の予算、決算及び規模の推移でございます。平成十年度から十四年度までの過去五年間につきまして、予算現額及び決算額の推移並びに貸付人数の規模につきまして、表の区分ごとに記載してございます。
 六ページをお願いいたします。私立学校経常費補助の予算、決算の推移でございます。平成十年度から十四年度までの過去五年間につきまして、これも、予算現額、決算額の推移を学種の区分ごとに記載をしてございます。
 以上、簡単でございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 それでは、大きく分けて二点につきまして生活文化局に質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、青少年の健全育成対策についてお伺いいたしたいと思います。
 外国人犯罪の増加と少年事件の多発に見られるように、東京の治安の悪化は極めて憂慮すべき状況であります。我が党は、さきの第三回定例会代表質問におきまして、犯罪に強いまちづくり、来日外国人の組織犯罪への対策、少年問題対策などについて質問をいたしました。また、東京都議会自由民主党緊急治安対策本部を設置いたしまして、執行機関と連携を図りながら、課題解決に向けて取り組んでいるところであります。
 さて、私は、東京の治安を回復していくには、とりわけ少年非行、少年犯罪をいかに防止していくかが重要であると考えております。長崎や沖縄の中学生によります殺人という衝撃的な事件がございました。私たちはこうした特異な事件にばかり目が向いてしまいがちでございますけれども、警視庁の資料によりますれば、平成十四年度中、都民の体感治安を悪化させております街頭犯罪に占める少年の割合は、実に五割以上を占めております。中でも、路上強盗、ひったくりは約六割、自動販売機荒らしでは約七割、オートバイ盗にあっては九割以上を占めているなど、少年犯罪の現状は非常に深刻な状況であります。
 今日ある青少年問題は大人社会の反映であるといっても過言ではありません。心身ともに耐性を欠き、自分をコントロールできない今の子どもたちを育ててきた責任は、私たち親や大人にあると思います。東京の、日本の将来を担っていく青少年をいかに健全に育てていくかは、私たち親や大人の責務でございます。
 これまで東京都は、次代を担う青少年に対して、親と大人が責任を持って、正義感や倫理観、思いやりの心をはぐくみ、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく取り組みといたしまして、心の東京革命を推進してまいりました。
 そこで、お伺いいたしますけれども、まず、平成十四年度事業の中での主な内容や成果についてお伺いいたしたいと思います。

○八木沼参事 十四年度の実績でございますけれども、十三年度に引き続きまして、子育てに困っている人の相談相手になる心の東京革命アドバイザーの養成を実施したほか、新規事業といたしまして、子育て講座、心の東京塾、出前講演会などを開催しました。
 心の東京塾は、親の教育力を高め、自信を持って子どもに接することができるよう、妊娠時、乳幼児期、思春期という子どもの年代層に応じまして開催するもので、十三区十市で八十九回開催し、千三百六十五名の参加がございました。
 また、出前講演会は、地域で青少年の健全育成活動に携わる地区委員の方々などを対象にして、参加者とディスカッションを主眼に開催するもので、六区二市で八回開催し、四百八十九名の方々が参加されました。

○山田委員 ただいま答弁にございました心の東京塾についてお伺いいたしたいと思います。
 子育て講座として開催をいたしているということでありますけれども、子育て支援の事業はさまざまな事業が行われております。心の東京革命の事業として実施するねらいはどこにあるのか、お伺いいたします。

○八木沼参事 心の東京塾のねらいですが、近年では、核家族化により、親から子へ子育ての知恵が伝承されず、親自身が子どものしつけや教育に関して自信と力を失い、子どもに対して社会の基本的ルールがうまく伝えられていないなど、親の教育力が低下しております。心の東京塾は、直接子どもに対して支援するものではなく、親を対象にして、親の教育力を高め、親が自信を持って子どもに接することができるよう、親として必要な心得を身につけてもらうために開催するものです。
 開催に当たりましては、子どもの年代に応じて親が抱える悩みなどに違いがあることから、子どもの年代層を妊娠時、乳幼児期、思春期の三つに分けまして、少人数でのグループワークを中心に子育ての具体的な方法などについて話し合いを行い、事業を進めております。

○山田委員 かつては、家庭や地域社会の中で自然に親になる心構えとか子育てのコツを伝えてきたものであります。しかし、今日、核家族化や、あるいは都市化の進展によりまして、人間関係が希薄になるなど、家庭や地域の教育力が低下しております。子どものしつけに無関心であったり、学校や他人任せにする無責任な親、児童虐待や育児放棄に走る親などの出現など、家庭における子育ての危機的な状況が発生をいたしております。
 私の地元、西東京市では、日ごろより青少年の健全育成に携わっております青少年育成会などの地域の活動が活発に行われております。ただ、東京都全体となるとまだその盛り上がりが欠けているところであると思っておりますが、こうした地域の活動を補完していくためにも区市町村や関係団体と連携をした取り組みが必要だと思いますけれども、この点についてどのように認識しているか、お伺いいたします。

○八木沼参事 家庭、学校、地域における取り組みをサポートするには、まず第一に区市町村が担う役割が重要であり、都は、区市町村がそれぞれの地域の特性に応じてさまざまな取り組みができるよう協力しております。既に区市町村においては、おやじの会による子どもの育成活動や、子どもたちが親元から離れて共同生活のルールを学ぶ合宿通学の活動など、地域の推進モデル事業として実施しております。
 また、心の東京革命を社会全体の運動として効果的に進めるためには、心の東京革命推進協議会、青少年育成協会や民間団体との具体的な事業における連携が必要であります。
 例えば、心の東京革命の実践プログラムの例といたしまして、多くの都民が参加する大江戸舞祭りがございます。これは、地域の子どもたちと大人が「東京ラプソディ」の曲に乗って踊ることで世代間交流や親子のきずなを深めるダンスでございますが、これまで、この実施主体である大江戸ダンスNPO法人との共催や関係団体の活動への支援などを行ってまいりました。
 都といたしましては、今後とも、区市町村や関係団体と積極的に連携、協力して地域の活動を盛り上げてまいりたいと考えております。

○山田委員 次に、今月の三日に、子どもを犯罪に巻き込まないための方策を提言する会より、少年犯罪の抑止や子どもが被害に遭わないための緊急提言がありました。提言では、我が子を犯罪の加害者や被害者にしないように心を砕き、あるいは非行の兆しを見つけてこれと真剣に取り組むことをしない父親が多いことや、子どもに有害な情報のはんらんは、少なくとも子どもたちをそれから遠ざけようと大人が真剣に努力していると子どもたちが思えるような状況にはないなどのことから、全体として、子どもの社会の規範を失わせ、罪を犯すことについての恐れを持たせることに失敗している原因となっているということを断じております。
 私は、我々親や大人が、子どもたちを取り巻く状況に対して今こそ真剣に立ち向かっていかなければならないと思います。今後、この提言を踏まえ、心の東京革命を一層充実していく必要があると思いますが、具体的な対策についてお伺いいたします。

○八木沼参事 提言を踏まえた対策についてですが、心の東京革命を一層充実強化して取り組んでまいりたいと考えております。
 今年度は、普及啓発活動といたしまして、非行など子どもたちの問題行動が顕著になる夏休み明けをとらえて、一週間にわたり、新宿、渋谷、立川の駅頭など都内七カ所におきまして、都民に非行防止を訴える緊急の街頭キャンペーンを実施いたしました。今後は、七月の非行防止に取り組む全国強調月間や、十一月の全国青少年健全育成強調月間を中心に、区市町村や民間の関係団体と連携した街頭キャンペーンを積極的に展開してまいります。
 また、心の東京革命の事業の推進に当たって、新たに非行防止や環境浄化などをテーマとして取り上げて取り組んでまいります。

○山田委員 現代社会は夜型社会ということが進む中で、青少年の深夜外出とか深夜徘回問題が生じており、青少年に悪影響を及ぼす有害な情報や盛り場における危険な環境に満ちあふれております。そして、盛り場での非行行為を行ったり、犯罪に巻き込まれたりする危険性が高まっております。
 提言では、青少年健全育成条例等の法令により規制はあるが、実効には乏しいとしておりますけれども、今後、提言を踏まえ、どのように対応をしていくのか、見解を伺いまして、私の質問を終わります。

○高島都民協働部長 お答え申し上げます。
 ただいまお話ございました提言する会の方から、多種多様な青少年の健全育成方策についてのご提言をいただいております。その中で、今、山田副委員長からご指摘ございました青少年健全育成条例の改正等々を内容とする提言もございます。
 そういう観点から、これは、山田副委員長にも委員としてご参画いただいておりますが、青少年問題協議会、知事の諮問機関でございますが、これを来週の二十八日に開催いたしまして、その総会の場で知事の方から青少年健全育成条例の改正について諮問させていただきたいと思っております。
 その審議会におきまして、山田副委員長を初め都議会議員の先生方、そのほか有識者の方からいろいろご意見を賜りますとともに、最終的には、審議会におきまして青少年問題協議会の答申をいただきまして、その結果も踏まえつつ、できるだけ速やかに適切に対応してまいりたい、かように考えております。
 以上でございます。

○山田委員 青少年の健全育成対策については質問を終わりたいと思いますが、次に、消費生活関連施策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 科学技術の進展や国際化の恩恵をこうむり、私たちの消費生活は、一昔前に比べますと大変豊かなものとなりました。反面、消費者がみずからの経験や知識をもとにして、商品の安全性を見分けたり、必要なものを合理的に選択するということはなかなか困難な時代になってきたと思います。
 こうした中、現在我が国では、規制緩和を中心に経済構造改革が推進されております。従前は、行政が企業に対し事前規制を行うことにより消費者を保護するという施策がとられておりましたけれども、公正で明確な市場ルールを整備し、事後監視の機能を強化するという方向への転換が進んでおります。
 これからの行政に求められておりますのは、市場ルールを乱すような悪質な事業行為を行う企業に対してより一層厳正に対処するということであると考えます。また、事後監視型の社会におきましては、消費者みずからも積極的に情報を収集し、合理的に判断して行動するという、自己責任に基づいた行動が求められております。企業もまた、市場におけるルールを遵守し、消費者にとって必要な情報を積極的に提供するなど、自覚を持った行動が必要となってきていると思います。
 経済社会の変容は消費者を取り巻く社会環境に大きく影響しております。消費者契約法などの消費者のための新たな民事ルールも整備されました。今後は、消費者取引の適正化など、法の実効性を高める観点での取り組みが重要となっております。
 そこで、お尋ねいたしますけれども、消費生活行政は、こうした背景を受けまして、平成十三年度から十四年度にかけまして、施策全般の見直し、転換を図ったと理解いたしておりますけれども、最初にその基本的な考え方をお伺いいたします。

○高田消費生活部長 ただいまお話がございました経済社会の変容のもとでは、現状を見てみますと、消費者と事業者の間にある情報力や交渉力についての格差がさらに拡大している状況にございます。このため行政は、消費者が安心して自己責任原則に沿って行動できるよう、格差を埋めるための環境を整える必要がございます。この視点に立ちまして、平成十三年度から十四年度にかけまして施策の見直しを行い、組織再建を実施したわけでございます。
 まず第一に、市場ルールを乱し、悪質な取引行為を行う事業者に対しましては、規制手法を転換いたしまして、厳正な行政措置を発動するという考え方のもとに、本庁取引規制部門の体制を強化いたしました。また、消費者被害の悪質化、複雑化に対応するため、都の相談窓口を飯田橋の消費生活総合センターに一元化するとともに、相談員の専門グループ制を導入いたしました。これによりまして、同一事業者による広域的な被害につきましても、区市町村と密接に連携し、区市町村では対応が困難な案件の統一交渉、統一処理を進めるなど、専門グループ制を活用しながら取り組みを充実させてございます。

○山田委員 消費者被害は社会状況を鋭敏に反映しているものと考えます。そもそも消費者運動は、昭和三十年から四十年代のにせ牛缶事件や粉末ジュースの虚偽表示から始まっていると聞いておりますが、昨年の牛肉に端を発しました偽装表示事件にもつながっているものであります。また、豊田商事事件とか原野商法など、常に時代を映した新たな悪質商法が生まれてまいりました。
 消費者被害は年々増加し続けていると聞いておりますが、国際化やIT化の進展でその内容も変化しているのではないかと思います。昨今の消費者被害の特徴、実態をお伺いいたしたいと思います。

○高田消費生活部長 区市町村を含む東京都全域で行政が受け付けました相談件数は、平成十四年度は十一万件を超えまして、消費者トラブルは年々増加を続けております。また、寄せられた相談内容を見ますと、物からサービスに関するものへ、商品の品質、機能から契約や販売方法に関するものにシフトしてございます。契約形態も複雑、巧妙化しておりまして、従前からのマルチ商法、訪問販売などに加えまして、最近では、特徴として、インターネットに関する相談が急増しているということでございます。
 平成十四年度は、利用した覚えのない出会い系サイトからの請求があったなど、不当請求に関する相談が急増しておりまして、中でも、事業者名、住所が特定できず、連絡先も携帯電話のみなどの、事業者の実態が把握しにくい悪質なものがふえてございます。このため都は、消費者に対し緊急被害情報を発信するとともに、区市町村の被害情報を集約し、利用された口座情報を各銀行、信用金庫などに情報提供を行うなど、対応を依頼したところでございます。

○山田委員 そうした現状がある中では、行政はより一層、悪質な事業者による違反行為や不当な行為を抑止したり、監視や取り締まりを強力に展開していく必要があると考えます。
 都は、平成十三年度から取引指導課に特別機動調査班を設置し、悪質事業者に対して規制の取り組みを強化したと聞いております。その成果についてはどうなっているのか、お尋ねいたします。

○高田消費生活部長 今お話がございましたように、都は平成十三年度から体制を強化いたしました。平成十四年度には専任の課長職を設置するなど、さらに組織強化を図ってございます。そうしたことのもとに、全国に先駆けて、都民に悪質事業者名を情報提供するとともに、昨年七月に消費生活条例を改正するなど、精力的な取り組みを進めております。
 こうした取り組みの結果ですけれども、十三年度には三件、十四年度には九件の行政処分を行ってございます。それとともに、事業者名を含む情報提供を行いまして、広く都民に注意喚起を図ったところでございます。今年度も既に八件の行政処分及び事業者名公表を行っております。
 こうした都の取り組みは、マスコミ報道やホームページなどを通じまして広く周知されておりまして、全国から問い合わせが寄せられるなど、消費者被害の未然防止に果たす役割は大きく、また、相談現場における事業者交渉、あっせんにも効果を発揮しております。

○山田委員 国も、消費者取引を規制する個別業法を改正し、規制を強化しております。都は、法律による事業者指導はもちろんのこと、都独自の消費生活条例の規定を生かしていくべきであると考えます。今後どのように悪質事業者指導を展開していくのか、お尋ねをいたします。

○高田消費生活部長 消費生活条例は、法律では規制の対象とならない違反行為についてもきめ細かく禁止規定を設けてございます。例えば、個別業法であります特定商取引法では、訪問販売については知事に権限が与えられておりますけれども、電話を使った勧誘販売でありますとか通信を使った販売、これなどには権限がないという実態がございます。今年度は、こうした販売方法をとっている事業者に対して条例を適用して、二件の勧告を行い、事業者名を公表いたしました。
 今後とも、法律はもとより、改正した条例を積極的に活用し、効果的な事業者指導を実施してまいりたいと思います。

○山田委員 そのような消費者被害というのは東京都内だけで発生しているわけではございません。都内では、指導を受け、事業行為をやめたといたしましても、他県で、あるいは関東全圏で違反行為を続けている可能性がございます。広域であってもどのように指導の実効性を確保していくのかが重要であると思いますが、その方策についてお伺いをいたします。

○高田消費生活部長 広域的な営業活動を行っている事業者につきましては、国と定期的に意見交換を行い、役割分担を明確にしつつ効果的な取り締まりを行ってございます。加えまして、首都圏を中心に違反行為を繰り返す事業者につきましては、千葉、埼玉、神奈川の隣接三県と広域的に連携をとりながら合同で事業者指導を行うことについて新たに調整を開始したところでございます。

○山田委員 ただいまご質問申し上げましたように、昨年の雪印食品の偽装表示事件のように制度を悪用いたしました悪質な事業行為、または、迷惑メールや不当請求など新たな手口を用いた消費者被害の発生など、消費者の信頼を裏切る行為が後を絶たないのが現状であります。
 今後とも、都民の被害実態を的確に把握して、被害の未然防止あるいは拡大防止の観点に立ちまして、消費者にとって必要な情報を積極的に提供するとともに、総力を挙げて悪質事業者に取り組んでいただきたいと思います。
 以上、要望を申し上げて、私の質問を終わります。

○酒井委員 私の方からも、大きく分けて二点の質問をさせていただきたいと思います。
 一点目は、今質疑がなされました消費生活相談についてですが、今るるございましたので、前置きは抜きにして質問だけに限らせていただきます。
 平成十四年度から多摩の消費生活センターの相談機能が飯田橋の消費生活総合センターに一元化をされておりますけれども、平成十四年度において都が受け付けた消費生活相談は三万五百五十八件ということでございますけれども、このうち多摩在住都民の比率といったものはどの程度か、前年度に比較して変化をしているのかどうか等についてお答えをいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 都が受け付けました多摩在住都民の方々からの相談件数でございますけれども、平成十三年度が九千四百四十三件でございましたが、十四年度は七千十二件となってございます。受け付け件数全体に占める割合も三〇%から二三%に減少しております。

○酒井委員 今ご答弁では、平成十三年度から十四年度の比較に関し、三〇%から二三%に減少しているということで、表面的に見ますと、一元化されたためになかなか多摩の住民が相談をしづらくなっているのかなという見方もあるわけですけれども、実際のところ、多摩在住の都民の比率が減少した理由についてどのように見ておられるのか、お答えをいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 お尋ねの理由といたしましては、多摩地域各市における相談窓口の充実などによりまして、多摩在住都民からの消費生活相談が住民に身近な存在である市の相談窓口に移行した結果というふうに考えております。多摩地域全域で市が受け付けた相談件数は、平成十三年度は二万八十七件でございましたが、十四年度は二万五千三百三十二件へと、二六%増加しておりますので、こうしたことからも申し上げたことが裏づけられるのかなというふうに考えております。

○酒井委員 今ご答弁をお伺いして、一つ安心、一つ不安という面があるわけですけれども、一点としては、東京都の消費生活センターの機能が一元化をされたことによる不利益といったものは多摩の住民にとっては余り見受けられない、より身近な市で相談が受けられるようになったということで、その点についてはよかったなと思うわけですが、全体としては、消費生活相談自体は、多摩の住民、市との合算をすると三千件近くふえているということで、その住民にとっては、やはりこの生活相談の必要性といったものはますます増しているのだなという印象を受けました。
 そこで、東京都の相談機能といったものを飯田橋の消費生活総合センターに一元化をしたことによって、具体的にどのような成果があったのかについてお答えをいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 都は、相談機能の一元化に当たりましては、複雑かつ広域的に発生する案件を迅速、的確に処理するため、消費生活相談員を金融、保険、通信などの八つの専門分野別にグループ編成し、解決困難な案件を専門グループへ移行するなど、相談対応をシステム化いたしました。
 この結果でございますが、同一事業者による広域的被害の把握などが迅速化されまして、緊急被害情報の発信が速やかに行われるようになりました。また、専門分野別グループによる問題把握、処理方針の検討などによりまして、高度専門的な案件処理に取り組む体制が整ったところでございます。

○酒井委員 今ご答弁がありましたように、かなり機能的に向上されているということで、その点については評価ができると思います。
 そこで、先ほどの質問に若干戻ってしまうわけですけれども、多摩地域については、各市町村の相談窓口の方に移行しているということで、これが約五千件、平成十三年度に比べてふえているということですけれども、実際、区市町村等にとっては解決がなかなか難しい相談といったものもふえているのではないかと思われます。都として、こういった区市町村への支援といったものについては具体的にどのように行っているのか、お答えをいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 区市町村が受け付けました解決困難な案件につきましては、ただいまご答弁申し上げました専門分野別グループが、都が受け付けました相談とともに事例を突き合わせまして分析し、その結果を、相談実務メモと称してございますけれども、それを全区市町村相談窓口に随時発信しております。
 この専門グループによる検討結果を反映した相談実務メモですけれども、これには相談処理の方針についても示しておりまして、平成十四年度は九十五件行ってございます。また、区市町村の案件を含めまして、都の消費生活総合センターが被害を広域的に発生させている事業者との交渉を行い、都内全域での統一処理を進めております。

○酒井委員 今、区市町村の支援についてのお答えをいただき、実務メモといったものも、平成十四年度の実績、九十五件出されているということですので、ぜひとも区市町村に対して、消費生活相談といったものが多摩地域の都民にとっても有効に機能するように、今後もこの事業を積極的に進めていっていただきたいと思います。
 最後の質問になりますけれども、今年度もこの相談件数が増加をしているという中で、先ほどもございましたけれども、不当請求等の悪質な事業行為による被害も次々と発生をいたしております。
 今後、より迅速な相談情報の集約であるとか分析、そして、的確な相談対応や被害情報の提供といったものにつなげていく必要があると考えますけれども、この平成十四年度の状況を踏まえて、東京都は今後どのような事業展開を行っていくつもりなのか、お答えをいただきたいと思います。

○高田消費生活部長 都は本年四月より、新たな取り組みといたしまして、相談情報を即時に入力していく直接入力システムというものの運用を開始いたしました。区市町村に対しましても、昨年より説明会を開催し、その意向を伺いながら、都が独自に開発した入力システムのソフトウエアを無料で提供することとしてございます。
 このソフトウエア導入によりまして、これまで行っておりました紙ベースでの情報処理が不要となるなど、相談情報の迅速なデータベース化を図ることが可能となります。このデータベースを都及び区市町村が共有化することによりまして、都域全体の被害情報や事業者情報を迅速に把握することができるというふうになるわけでございます。
 都は、今後とも、区市町村における導入に向け技術的アドバイスを行うほか、区市町村からのソフトウエア改善要望を受けまして、このシステムの一層の改善に努めてまいりたいと思います。

○酒井委員 今ご答弁をいただきましたので、ぜひとも、今年度以降においても積極的にこの事業、区市町村との連携も進めていっていただきたいと思います。
 それとあわせて、先ほど不当請求という話も出ましたけれども、近年、悪質な業者による不当請求ではなくて、業者自体は別に不当請求をしているつもりはないわけですけれども、例えば偽造カードの問題、消費者側からすると、何のいわれもない、使っていないものの請求が来る。しかし、事業者からすれば使っているんだから払ってくださいという請求が来たり、また、きのうの新聞報道等では、コピー電話機ですか、携帯電話の電話番号が盗まれている。本人は使っていないのにパケット通信代が請求をされるというようなことで、これも、事業者はそんなことはないといっているんだけれども、携帯を持っている人間からすると、使ってもいないものが請求をされる。これはもう犯罪行為ですから、最終的には警察が対応することですけれども、一時的には消費生活センターの方にも相談が来る可能性もございますので、そういった新たな事案等にも対応できるように今後対策を講じていっていただきたいと思います。これはご要望にとどめます。
 次に二点目、ヘブンアーチストについて何点かお伺いをしたいと思います。
 初めに、確認の意味で、このヘブンアーチストについての事業目的といったものについてお答えをいただきたいと思います。

○荒川文化振興部長 ヘブンアーチスト事業は、大道芸人に東京都がライセンスを発行しまして、これまで活動を認めていませんでした公園ですとか道路などの公共空間を、規制緩和いたしまして、大道芸の活動場所として開放することで東京の町そのものを劇場にするものでございまして、多くの都民や観光客に芸を楽しんでもらうものでございます。そして、こうした規制緩和を通じまして、東京の文化振興、ひいては観光振興、地域振興に寄与することを目的としております。

○酒井委員 このヘブンアーチストについては、たしか平成十四年度から導入をされた事業であると思うんですが、決算資料の中に、平成十四年度については二百十組の最終合格者であったというような記載があったわけですけれども、この二百十組の合格者に対して申込者は何件だったのか等、概要についてお答えをいただきたいと思います。

○荒川文化振興部長 ヘブンアーチストの選定手続といたしましては、申込者に対する審査会というのを設けておりまして、十四年度におきましては、審査会を八月と一月の二回実施しております。この二回合わせまして申込者数は八百五十二組でございます。
 審査会の審査員といたしまして、小沢昭一さんを委員長に九名の外部専門家にお願いしておりまして、まず、第一次審査をビデオなどで行いまして、その一次審査の合格者を都庁前の都民広場に集めまして、一般公開で実際の演技を見て二次審査を実施いたしました。それで、十四年度中の合格者が二百十組ということでございます。
 なお、十五年度も九月に公開の二次審査を行いまして、現在では二百四十六組となっております。

○酒井委員 今のご答弁のように、大体四分の一ぐらいの方が合格をされているという計算になると思うんですけれども、このヘブンアーチストの審査はどのような基準のもとに行われているのか、お答えをいただきたいと思います。

○荒川文化振興部長 実際の審査は、審査員が審査するわけでございますけれども、その際、演じている芸が公共空間で行うにふさわしいかどうか、つまり、公序良俗に反していないか、あるいは騒音や危険性がないか、あるいは営業行為に結びつかないかといったようなことから審査の基準が一つございます。それからまた、その芸が、芸術性ですとかあるいは娯楽性などから見て、東京の新しい文化発信にふさわしいレベルのものかどうかということが二点目でございます。それから三点目に、公開の審査をやっておりますので、その場に来ている観客の反応がいいかということも三点目の審査基準になっておりまして、こういったようなことが主な審査基準になっております。
 実際に審査に当たった審査員からも、幅広い年齢層の人がわざわざ足をとめて楽しんでくれる、あるいは、些少でも投げ銭を入れてくれる、あるいは、世界に通用するものがある、こういったようなコメントをいただいております。

○酒井委員 基準についてはわかりました。
 このヘブンアーチストの活動場所として、私の地元でもございます立川でも、多摩都市モノレールの駅、南北の駅があるんですけれども、そこが指定をされているわけですけれども、平成十四年度において開放された指定場所の状況についてお伺いをしたいと思います。また、あわせて、この指定場所についてはどのような基準で指定をしているのか、お答えをいただきたいと思います。

○荒川文化振興部長 ヘブンアーチストの活動場所といたしましては、この事業を始めたのが昨年、十四年の九月でございまして、その時点では、都立公園あるいは地下鉄の駅などの公共施設を二十カ所指定いたしました。その後、公共施設だけでなく民間施設にも拡大いたしまして、十四年度末には公共、民間含めまして五十カ所の指定を行っておりまして、さらに今年度になりまして、現在五十五カ所というふうになっております。
 指定に当たりましては、一つは、多くの都民や買い物客あるいは観光客が訪れる場所であること、それから二番目に、しかも、演技をしていても、観客の安全性が確保される、あるいは一般の交通の妨げにもならないということが二点目でございます。そして三点目に、その場所の管理者が雑踏整理など現場管理面で協力体制を組んでくれるというふうなことを基準としております。

○酒井委員 というお答えですが、実際、私、先ほど例に出しました多摩都市モノレールの駅等についても使用されているわけです。人の通行という面では、人が集まるところでなければいけないんだけれども、しかし、事故が起こっちゃいけないという、何か矛盾するような面も秘めているということはわかるわけですけれども、やはりより多くの方々に見てもらえる場所にする必要があると思うんです。
 例えば、何度も地元の話になってしまって申しわけないんですけれども、多摩都市モノレールよりはJRの駅の方が人の通行量が多いとか、そういった点で、今後、東京都内全域、特に、指定場所を見ますと、二十三区内は多いわけですけれども、多摩地域については余り多くないということで、余り多摩地域は人が集まるところがないのかなという思いもあるわけです。今後アーチストといったものを育てていくために、具体的に活動場所といったものを広げていく必要があると考えているわけですけれども、その点についてはどのようにお考えになられているのか、お伺いしたいということと、先ほど、二百四十六組というアーチストの数だったということですけれども、最終的に何人ぐらい認定をしていく考えなのか、その目標についてお伺いをしたいと思います。

○荒川文化振興部長 先に人数の方でございますけれども、これまでもアーチストの選定に当たりましては特段合格者数の枠というものは設けてございませんで、今後もそういうことは設けないで、先ほど申し上げました審査基準に照らしまして、一定の芸の水準があり、しかも公共空間で活動するにふさわしい芸であればそれを認定して、ヘブンアーチストの層を厚くしていきたいというふうに考えております。
 それから、活動場所につきましてですが、これも先ほど申し上げた基準に照らしまして、人が集まらないような場所につきましてはやはり見直しをする必要があるのかなと思いますし、同時に、多くの人が集まるような公共施設ですとか民間施設を掘り起こしまして、ヘブンアーチストの人気スポットをつくっていきたいというふうに思っております。
 特に民間施設につきましては、アーチストの日常管理業務を民間施設に任せるというふうなことも最近行っておりまして、そういった形で活動場所を広げていきたいと思っております。
 それから、お話のございました、都心に比べて活動場所の少ない多摩地域につきましても、公共、民間あわせまして、可能な限り活動場所を発掘しまして、全都的な展開を図っていきたいというふうに思っております。

○酒井委員 それでは、最後にご要望だけ申し上げたいと思いますが、今、多摩地域についても活動場所を広げていっていただけるような旨のご答弁があったので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。
 多摩地域でわっとイメージをすると、新宿から行くと、吉祥寺であるとか立川、八王子といったようなビッグステーション等についてはかなり乗降客が多いということで、人が集まるところです。ぜひとも、今の段階では、都営地下鉄であったり、都が出資をしているような交通機関の場所が許可対象になっているのが多いと思われるわけですけれども、ぜひ、JRさんであるとか、また、なかなか交通管理者の警察との調整等が難しいと思うわけですが、例えば、立川にしても、八王子にしても、駅前のデッキがある、こういったところでも、いろいろと関係機関と協議をしていただいて利用ができるようにぜひとも取り組んでいただきたいと思います。
 立川等でも、今、夜、若い方がギターを弾いたりクラシックの演奏をしたりということで、他の市からも見物人が来るような状況にあるにもかかわらず、そのような場所でやっていると警察から排除されてしまうということで、やる方も、聞きに来ている方も残念な思いをしているということもございますので、やはりヘブンアーチストの事業だけではなく、東京都全体として、夢を持って未来に向けて芸術活動等に取り組んでいる、若者だけではないんですけれども、そういった方の夢をつなぐような施策展開をぜひとも今後とも続けていっていただきたいということをご要望して、質問を終わりにいたしたいと思います。

○東村委員 それでは、私の方から、何度も今、消費生活に関する質問が続いておりますので、内容が重複しないということと、角度をつけて具体的にお話を聞きたいと思います。
 私は、今一番問題になっているのは高齢者の問題だと思うんです。特に最近、高齢者をねらった悪質被害が非常に多くなってきています。手をかえ品をかえ、事業者は特に、人がよい、そして、ある程度の年代になって比較的お金も蓄えている、そういうお年寄りを徹底して今ねらっています。そこで、一人一人の被害を確実に救済していくことと、それとともに未然防止をするということが何よりも大事なんじゃないか、このように思うわけです。
 そこで、今回、消費者の被害の防止、それから悪質事業者の規制について伺いたいと思います。
 まず、解決が非常に難しい案件がだんだん多くなってきていると思うんですけれども、この消費生活総合センターで受け付ける相談において、事業者がセンターのあっせんに応じない、こういう場合も多々出てくると思うんです。そういう場合に、弁護士などの専門家が相談に関与することも必要になってくるんじゃないか、このように思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○高田消費生活部長 消費者から寄せられております相談を見ますと、年々多種多様になってございますし、内容も、お話にございましたように大変巧妙、複雑、高度化してきているということがございます。このため都は、金融、商品先物取引など、高度専門的な判断を必要とする相談案件について助言を得るため、弁護士七名を消費生活相談アドバイザーとして委託してございます。相談員や職員では解決困難な案件につきまして、専門的な助言を受け、事業者交渉やあっせん解決に役立てております。

○東村委員 今、専門家、七名の弁護士なんかをアドバイザーとして委嘱をしている、こういう話がありました。
 そこで、先ほど話も出ましたけれども、都民にとってやはり一番身近なのは区市町村の窓口なんです。弁護士などの専門家が相談に関与するといったこのような制度を、区市町村に対して具体的に支援を行う必要があるんじゃないかと思いますし、現に行っているんだったら、それについても答えてもらいたいと思います。

○高田消費生活部長 都の区市町村に対する支援といたしましては、現状では、区市町村の相談員や職員が、ただいまご答弁申し上げました都が委嘱しておりますアドバイザーとしての弁護士から、月一回の地域会議の場で助言を得る、それから、緊急電話対応といたしまして、アドバイザーのもとに直接電話をしていただいて助言を得るということをしてございます。平成十四年度は百二十八件実績がございました。

○東村委員 先ほどもいいましたけれども、これは恐らく、一つ一つの手口をふさいでいくと、さらにその裏をかいてくる、これが世の常でございまして、そうなると、これは本当に専門的な力をかりなきゃいけない、弁護士等の力をいただかなきゃいけない場面が多々あると思います。この辺の体制強化をさらにお願いしたいということを要望しまして、実は、消費生活条例で、紛争処理のために、知事の附属機関として被害救済委員会、これを設置する旨を規定しているんですけれども、この被害救済委員会の設置目的、その構成及び平成十四年度の運営実績について伺いたいと思います。

○高田消費生活部長 お話がございました消費者被害救済委員会は、都民の消費生活に著しく影響を及ぼす紛争につきまして、あっせん、調停を行うことにより紛争解決を図るということを目的にしております。その構成は、委員会の公正な運営を図るということのために、学識経験者、消費者、事業者の三者としてございます。
 この委員会の運営につきましては、迅速な対応を図るため、消費生活条例や委員会運営要綱等の改正を行いまして、昨年の七月から、総会中心の運営から部会中心の運営に、少人数の部会による機動的な運営を図るという改善を行ったところでございます。これによりまして、従来は年間一ないし二件程度の付託しかできなかったものが、平成十四年度は五件と、付託が大幅に増加してございます。このうち三件は既にあっせん解決が済んでおりまして、ただいま二件、継続審議中でございます。

○東村委員 今いろいろな都の体制、消費生活総合センターの体制、それから今度実際に、被害救済委員会に付託された、そういういろいろな体制で、かなり都としては重厚に、そしてきちっと整備されて、生活文化局が所管をしながらやっていただいているんです。私は非常にいい体制になってきたなと思っているんですけれども、ただ、こういう相談を窓口や被害救済委員会で申し立てて、付託をして解決される例はいいんですけれども、実際、相談窓口に申し出ない人もたくさんいるわけなんですね。
 そこで、悪質な事業者を許さない、被害の広がる前に事業者を規制、指導していくということが何よりも重要だと思います。区市町村の窓口に申し出た案件も含めて、都が実施している事業者への指導の手続、仕組みについて伺いたいと思います。

○高田消費生活部長 不適正な取引を行う事業者に対しましては、部の取引指導課の方で対応しているわけでございますけれども、対応といたしましては、消費生活総合センター及び区市町村の消費生活センター等からの通知などに基づきまして、事業者に対する是正指導を行っているわけでございます。特に、不適正取引行為を繰り返している、あるいは、おどしや詐欺まがいの悪質な行為が見られるなどが判明した場合には、行政処分等を視野に入れた特別調査というものを実施しております。
 お話がございました、その手続、仕組みについてですけれども、この特別調査におきましては、複数の被害を受けた消費者からの事情聴取とともに、事業者への立入調査等を行いまして、法律や条例に違反する事実を確定した後、その違反事実を事業者に示して、弁明の機会を付与し、行政処分をするという形でございます。その際、都民への注意喚起やほかの事業者への警鐘の意味も込めまして、原則として事業者氏名を公表し、消費者被害の未然拡大防止に役立てているということでございます。

○東村委員 先ほどから繰り返しますけれども、悪質事業者が非常に巧妙になってきている、その分、恐らくタイムリーに解決をしたいというのが都の考え方なんでしょうけれども、中には、年度をまたいでやるくらいのいろいろな巧妙な手口が今あると思うんですね。信販会社を間に入れて、そういう直接被害を間接的な被害に変えてしまうような、非常に巧妙な手口がどんどん今ふえてきています。
 こういった巧妙な手口に対しても都は積極的に取り組んでいるという話を聞いているんですけれども、十四年度から本年度にかけて、そういった巧妙な手口に対する指導実績を、具体例を挙げてひとつお示し願いたいと思います。

○高田消費生活部長 お話がございましたようなことにつきましては、平成十四年度の事業実績として、特別調査あるいは業種ごとの集中的調査、指導など、百九十七業者の実績を持っているわけですけれども、特に巧妙な手口として、本年九月に処分等を行った事例についてご紹介をさせていただきます。
 この事例では、親会社が商品の企画立案のみを行う、実際の販売行為は関連会社に業務委託を行うという方法がとられておりました。法律的には、直接販売行為を行ったこの会社が責任を負うということになりまして、法人格が別である親会社の方に追及をするということが難しいとされております。つまり親会社は、トカゲのしっぽ切りではございませんが、そういうふうな形で逃げおおせてしまうということにもなりかねないわけでございます。
 そこで都は、この親会社と子会社の関係につきまして、実態がどうなっているかということを調べてまいりました。そうしましたところ、親会社が、例えば顧客名簿の一元的管理を行っているとか、子会社に対して営業方法等について指導、指示を行っているとか、それから、子会社が獲得した顧客についてのクーリングオフへの対応を親会社の方で一元的に行っているとか、子会社のトップが親会社の役員へ就任しているとかの実態がつかめましたので、両者は極めて深い関係にあるということを明らかにした後、この親会社と、子会社が四つありましたけれども、それをあわせて一斉に処分を行ったということがございます。
 今後とも、お話にございますように、ますます巧妙化していく不適正取引行為に対しましては、事業者を断固排除していくという強い姿勢で取り組んでまいります。

○東村委員 今、かなり複雑な、また巧妙な例についても、東京都は、本当にこれは糸を手繰るように解明をして、救済をしてくださっているわけです。解決をしてくださっているわけなんです。私は、かなり体制もすばらしいし、取り組んでいる職員の皆さんも本当によくやってくださっているなと思っております。
 そこで、最初にもいいましたけれども、高齢者の方、ひっかかった後、こうやってきちっとした体制があるのも大事なんですけれども、何といってもやはり事前に未然防止をしなければならない。その未然防止をするために、さまざまな普及啓発の施策展開が必要だと思っているわけです。
 そこで、まず十四年度の高齢者向けの施策の内容、成果について伺いたいと思います。

○高田消費生活部長 消費者被害を未然に防止するため、都は、新聞、雑誌による広告の実施や啓発用リーフレットの作成、配布など、さまざまな普及啓発を実施してございますけれども、その内容によりまして対象を絞って働きかける、そういう工夫も加えてございます。
 平成十四年度の高齢者向け施策におきましては、啓発用リーフレット「悪質商法はおことわり」というものですが、これを十五万部作成し、区市町村の消費生活センター等の相談窓口を初め、シルバーピアなどの高齢者関連施設に配布しております。また、高齢者向けのビデオをこれまで作成してございますけれども、そういったものを区市町村を通じて利用していただいております。さらに、センター広報誌「東京くらしねっと」や、ホームページ「東京の消費生活」におきまして、高齢者被害の相談事例などを紹介し、被害の未然防止に役立てております。

○東村委員 今、さまざまな形で普及啓発をしているという話がありました。例えば、今お話のあった「悪質商法はおことわり」、私もこれはちょうだいしました。昨日、高齢者の方に、これを知っていますかといったら、聞いた人、一人も知りませんでした。実際、高齢者関連施設というのは、確かにシルバーピア等、こういうところはむしろねらわないんですね。いかにもお金を持っていそうな、人のよさそうな、入りやすそうな、そういうところにむしろ積極的に、こういう悪質商法というのは入り込んでいくわけなんです。
 そういった意味で、私は、今一生懸命都も努力をしてくださっていると思うんですけれども、第十七次東京都消費生活対策審議会答申というのがございます。この中でも福祉施策との連携ということがうたわれているんですね。こう書いているんです。
 社会的弱者を対象にした悪質商法による深刻な被害を未然に防止するためには、福祉行政との連携が有効である。また、最近では、福祉基礎構造改革の推進に伴って、福祉サービスの利用が措置制度に基づくものから消費者契約関係に移行することにより、福祉のサービスをめぐる消費者問題も起きてきつつある。だから、こうしたことから、地域の実態に基づいて、都、区市町村で行われているさまざまな福祉施策と連携し、実効性ある未然防止策を検討する必要がある、こういうことが出ております。
 これは、多くの人に渡したら、ああ、こういうことがあるのか、初めてこういうことを知った、いいものがあるんだねといって、コピーして下さいよ、そういうことまでいわれました。私はコピーしてさしあげたんですけれども、こういうことをどんどんどんどん、未然防止のために、福祉の施策と一緒になって高齢者の人に知らせていくことが、今一番徹底できる方法でもあり、これから東京都が取り組んでいかなきゃいけないことだと思うんですね。どんなにいいものをつくったとしても、それが手元に行かなければ、これは本当に意味がないわけでございまして、知らないっていわれたらそこまでで、これ以上何もいえないわけですから、ぜひともこの辺のことをどうか工夫して、確実に都のお知らせが、注意喚起されて、高齢者の方に届くような、この仕組みづくりをお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○高田消費生活部長 まず、せっかくのパンフレットでございますので、一人でも多くの方が見て、参考にしていただけるように、さらにその配布の仕方等、工夫をしてまいりたいと思います。
 それから、十七次の消費生活対策審議会の答申についていろいろご紹介いただきましたが、私どもも、区市町村の福祉的な施策と連携していくことは非常に有効であろうというふうに考えてございます。このため、高齢者が被害に遭わないように、高齢者本人に対する啓発、これはもとよりですけれども、高齢者の生活の周りには、民生委員でありますとかホームヘルパーなど、さまざまな立場の人がかかわってございますので、そうした方々に高齢者被害の実態をお知らせして、実際に生活上何か問題が起きていないかどうかを見ていただくというふうなことも考えていく必要があろうかと思っております。
 また、仮に被害があったとしても、すぐに通報できるような体制の整備、これもある意味では考えていく必要があるかと思っておりまして、今後、区市町村を含めて検討を行ってまいりたいというふうに思います。

○東村委員 今おっしゃってくださったように、被害を受けた後の体制づくり、これも当然大事なことなんですけれども、未然防止というのが非常に大事になってくると思うんです。これは、これからどんどんどんどん巧妙になってきますから、少しでも、今までこういう事例があった、こういうときには気をつけなさいよということがきちっと高齢者の方に徹底されるよう、今いったように福祉施策と連動させていくことが大事だと思いますので、これからの大きな検討課題として取り組んでもらいたいということを切に要望しまして、私の質問を終わります。

○河野委員 平成十四年度は、配偶者による暴力防止法によって、配偶者暴力相談支援センターがウィメンズプラザに設置され、本格的に被害者救済が始まった年度です。決算の審議に当たりまして、初めに、ドメスチックバイオレンス、DV防止対策について質問をいたします。
 私は第二回定例会でDV対策の文書質問をいたしましたが、その中でも取り上げたことですが、ウィメンズプラザに設置された配偶者暴力相談支援センターの電話がなかなかつながらないという意見が出ています。配偶者の暴力に苦しみ、悩んでいる被害者が救済を求めて電話をしたときに、すぐに対応できることが大事で、改善が急がれる問題だと思います。東京都は、電話台数を増設するなど、努力されたということも伺っておりますが、まだ十分ではないことを感じています。さらなる改善策を求めるものですが、いかがでしょうか。

○田村参事 電話相談についてのお尋ねですけれども、東京ウィメンズプラザにおいては、平成十四年度から相談体制を拡充するとともに、女性相談センターとの連携により、配偶者暴力相談支援センターとしての機能整備を行っております。また、DVに関する相談は、東京都だけではなく、区市町村の女性センターや福祉事務所等でも実施しております。このため、区市町村の相談員等に対する研修を実施しているところであります。区市町村や関係機関とも連携した相談体制の強化に努めてまいります。
 なお、相談者の中で緊急性の高いなどの方につきましては、必要に応じて連絡方法等の確保に配慮しております。

○河野委員 電話をかける人は、心の中のいろいろな逡巡を乗り越えて、勇気を出してかけるわけです。ですから、ウィメンズプラザにおいてもぜひ一層の改善策を講じていただけるようにお願いをいたします。
 次に、DV被害者が相談、救済を寄せるところはさまざまあります。東京都は現在、DV被害の実態把握のための調査を行っているとのことですが、具体的にはどのように取り組まれているでしょうか。また、その調査の結果をどのように都民に知らせ、今後のDV防止策に反映させるおつもりでしょうか。

○田村参事 この調査は、DVに関する被害の実態、支援の現状と問題点を総合的に把握、分析し、今後の対策のあり方を検討するため、一つには、配偶者暴力相談支援センターにおける電話及び面接相談の実態調査、二つ目には、被害者に対する面接調査、三つ目には、支援関係機関に対するアンケート及びヒアリング調査、四つ目には、区市町村施策調査を今年度実施しております。
 調査結果につきましては、本年度内を目途に取りまとめ、発表する予定でおります。

○河野委員 そういう今ご答弁いただいた関係機関の中に、いろいろと民間シェルターの方々も、DV相談、駆け込んでいくところがあるわけで、そういうところにも調査の働きかけをされているようですが、その民間シェルターのところはなかなか財政的にも運営が厳しいものがあると伺っておりますので、これは福祉局とも関連する問題ですが、ぜひ東京都が全庁的な支援を進めていただくことを、改めてこの場で要望しておきたいと思います。
 DVの加害者になるのは圧倒的に男性です。近年、加害男性へのケアの必要性についての論議が高まっております。私は、まず、加害者になる男性を生み出さない社会環境づくりが重要と考えています。生活文化局が全都民を対象に、加害者を出さないような意識啓発の取り組みを強めていっていただきたいと考えます。また、不幸にして加害者といわれる状況になってしまった男性に対しての心のケアなどについても、対策の充実が求められておりますが、見解をお聞かせください。

○田村参事 加害者対策についてのお尋ねですけれども、配偶者暴力の防止には加害者対策が不可欠であると認識しております。このためウィメンズプラザでは、男性のための悩み相談を実施し、DV加害者への相談対応を行っております。また、現在、加害者を対象とした啓発パンフレットを作成中でございます。
 今後の加害者対策のあり方につきましては、男女平等参画審議会でご審議いただいており、その結果を踏まえて検討してまいります。

○河野委員 DVの被害を根絶していく上では、区市町村と連携した取り組みも必要になってきていると思うんですが、配偶者暴力支援センターが中心になって、区市町村と連携した取り組みを今後一層強める必要があると考えておりますが、この問題でもご答弁お願いできますか。

○田村参事 ウィメンズプラザにおきましては、DV被害者支援関係機関連絡会を設置し、区市町村を初め警察、弁護士会、民間シェルターなど関係機関との連携の促進を図っております。また、区市町村等の相談員、職務関係者に対する研修等を実施するとともに、平成十四年度には配偶者暴力相談支援マニュアルを作成し、区市町村など関係機関に配布してございます。

○河野委員 次に、裁判訴訟の支援についてお伺いをいたします。
 DV被害者が離婚や慰謝料の請求のために裁判を起こす場合に、いろいろな困難があります。主には経済的なことです。DV被害者は緊急に、着のみ着のままで避難してくる人がほとんどですから、当然経済的にも困窮しております。弁護士に相談したり裁判を起こすことになると、まとまったお金を用意しなくてはなりません。
 現在、民事法律扶助法で、経済的に困っている人のために法律扶助協会が弁護士費用を一時立てかえて、分割で返済するという制度があります。扶助協会も実際、財政状態は苦しいようで、場合によっては、年度末などは、代理援助、扶助の決定をしてもらえないということもあると聞いています。
 DV被害者の相談を受けている女性弁護士さんからお聞きしたお話なんですが、裁判を起こすことを決めても、扶助協会の制度を使えない人に対しては弁護士さんが自腹を切って支援する、こういう例も少なくないそうです。裁判の場合、印紙代を払いますが、その裁判ごとに印紙代の金額が違うにしても、通常は何万円もの印紙代がかかるそうで、お金のない人に対して訴訟救助という制度が法律扶助協会にはあるそうなんですが、この印紙代を免除してもらえる訴訟救助は、居所証明、裁判を起こす人がどこに住んでいるかというのを明らかにしないと、裁判所に書類を提出することができないというネックがあります。そのことが義務づけられているために、加害者の配偶者である夫に居どころを知られたくないというDV被害の人がなかなか裁判に踏み切ることができないという問題も今起こっております。
 こうした人たちに東京都が印紙代や、あるいは裁判費用の貸付制度を設けることを、被害者を支援している弁護士さんや民間のNPOの人たちが求めております。数年前に東京都は、男女平等実現に関する訴訟支援制度を実施していたことがありますが、DV法施行後の被害者救済の具体的な施策として、今実施していただくことを求めるものですが、いかがでしょうか。

○田村参事 都が平成十一年度施行した男女平等に関する訴訟支援制度は、平成十二年度、民事法律扶助法が制定され施行されたことから、国の民事法律扶助制度に引き継がれ、都の施行の趣旨は生かされたものというふうに考えております。

○河野委員 ここは、私は、少し認識を東京都が深めていただきたいというふうに思います。
 法律扶助協会からパンフレットをいただきました。法律扶助協会は、国からの補助金が、民事法律扶助法ができたときから少しずつ増額しているんだけれども、運営していく上では大変だということがいわれています。それはなぜならば、今大変な不況で、多重債務を抱え、そして自己破産などを申請する方が本当に急増しているというのがここ数年間の状況で、その方々も資力がないわけですから、裁判のための支援をしなくてはならないということで、このパンフレットにも書いてあるんですが、小さく書いてあるんですけど、いろいろ扶助が使える人たちに対して基準があるんですが、基準に該当していても、予算の都合によりお断りすることもありますって、このパンフレットというか、リーフレットにも書いてあるんです。
 それで、扶助協会は今、霞が関に東京の支部があるほかに、八王子、多摩の立川ですね、多摩、池袋、上野などおよそ六カ所にセンターがあるそうですけれども、本当に今切実な財政難を抱えているというのが現状で、そういうときこそ、DV法も施行されて新しい段階に入った中で、東京都の支援をぜひ行ってほしいというのは、本当に切実な皆さんの声になっております。民事法律扶助制度に移行したから何とかなっているというご認識ではなくて、ぜひ検討していただくように求めるものなんですけれども、再度ご答弁を、この問題はお願いしたいと思います。

○田村参事 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、都が施行いたしました男女平等に関する訴訟支援制度というのは、国の民事法律扶助制度に引き継がれて、趣旨が生かされているというふうに考えております。

○河野委員 では、DVで苦しんでおられる被害者の方々の実態も今調査中ということですので、ぜひ掌握していただいて、もう少し、この問題についてはご検討を深めていただけるように要望しておきます。
 DV法で多くの人たちが励ましを受けて、自立への道を歩み出しているわけですから、東京都もこうした課題を視野に入れて、本当に施策をさらに充実させていただくよう、ご努力を求めておきます。
 議員立法として成立したDV法は、来年が見直しの年に当たります。国会でも見直しの作業が進められておりますが、東京都も国に要望を出していると承っております。どのような改善要望を東京都は国に上げておられるでしょうか。

○田村参事 配偶者暴力防止法の見直しに当たっては、平成十五年五月、埼玉県、神奈川県と共同で、加害者対策の具体化、区市町村の役割の明確化、保護命令制度の対象の拡大などについて国に対し提案要求を行っております。今後も、国の動向に対応し、引き続き必要な働きかけを行ってまいります。

○河野委員 それも大事な問題だと思うんですが、私は、この場で、都に重ねて、その問題とあわせて要望をしておきたいと思います。
 私たちが考えるDV法の改正に当たって大事な問題、一つは、加害者の対象を配偶者だけに限定しないで、離婚した元配偶者などを対象にすることも考えること。二つは、住民基本台帳の四情報の原則公開について、DV被害者は例外とする。これは、加害者に住所を知られないという配慮が必要だと思うので、この問題は大事だと思います。それから三つ目は、被害者の保護、自立支援のために力を尽くしている婦人相談員や、民間を含めたシェルター職員の身分を保障し、職員、配置基準を整えて増員をするとともに、専門職としての研修も制度化をするという問題です。また、民間施設への財政支援を国に対しても求めていただくことも大事な問題なので、幅広い視点で国へ都が働きかけていただくようにお願いをしておきます。
 それでは、次の質問に移ります。
 ことし八月、国連は日本政府に対し、ドメスチックバイオレンスを含む女性に対する暴力の問題を、人権侵害として、取り組みを強化するように求めております。実現のためには、家族における男女平等の徹底や、いまだに封建的家族制度の考え方を残している民法の改正などが必要であり、また、女性の経済的、精神的自立、女性が働き続けられる条件整備、特に男女間の賃金格差の是正などが求められます。児童虐待や性の商品化といった社会的荒廃の克服に取り組むことも大切です。そのためには、東京都が男女平等参画基本条例に基づいて取り組んでいる諸施策の位置づけを高めて、さらに豊かにさせることが大切だと思います。
 そこで、お尋ねをいたします。内閣府の男女共同参画局のホームページがありまして、都道府県の男女平等施策の実施状況が発表されています。東京都と各府県、政令市を比較すると、東京都はまだまだ取り組みがおくれていると感じざるを得ない発表結果となっております。
 例えば、一般予算の総額に占める男女共同参画女性関係予算は全国最下位、比率ですからね、〇・〇〇一%という数字です。それから、女性財団、男女平等推進基金が廃止をされ、民間団体とのネットワークもまだ構成されていないなど、他の道府県に比べておくれをとっているって私は感じるんですが、これまで東京都は先進的な取り組みをしてきたという評価も一方ではあったんですが、今の到達はどうなんだろうって、こういう数字を見て考えてしまうんです。都は、こうした到達状況についてどのようなご見解をお持ちでしょうか。

○田村参事 国の方の、地方公共団体における男女共同参画社会の形成または女性に関する施策の推進状況調査ということだろうと思いますけれども、あの調査につきましては、自治体ごとに項目の理解が違っておりましたりして、必ずしも実態をあらわしたものになっていないと思っております。先生がおっしゃいました東京都の予算ですけれども、あれは本庁の予算だけ載せてございますので、全体の予算ということにはなっていない。ですから、私どもとしては、東京都は東京都の実態に合った男女平等施策を推進しているというふうに考えております。

○河野委員 もしそうであるならば、これを見る人は、同一の理解というか、同じ質問項目に答えた都道府県の調査結果だというふうに受けとめるわけですから、国の発表に不正確なところがあれば、やはり是正を求めていただくことも必要かなというふうに感じておりますし、私は、ウィメンズプラザの皆さんを初めとして関係の方々が東京都でも努力されていることは存じ上げております。しかし、一方でまだまだ努力の余地が残されていることも感じていることを申し上げておきたいと思います。
 東京都男女平等参画基本条例について、もう一点質問をいたします。
 第七条に、都民等の申し出ということがありまして、「都民及び事業者は、男女平等参画を阻害すると認められること又は男女平等参画に必要と認められることがあるときは、知事に申し出ることができる。知事は、前項の申出を受けたときは、男女平等参画に資するよう適切に対応するものとする。」という条文があるんですが、この第七条で都民が申し出たときに、本当に平等の実現に向けて効力を発揮していくという上では、知事に申し出て、知事が適切に対応するということだけではなくて、第三者の機関、よくオンブズマンといわれますが、そういう第三者機関を設置して、そういう問題を判断し、適切な対応をしていくことが必要ではないかということが、この条例の制定時にも論議があったと聞いています。私は、条例が施行されて数年たった今、やはりその必要性を感じるものなんですけれども、ご見解はいかがでしょうか。

○田村参事 都民からの申し出、苦情等に関する第三者機関の設置のことでございますけれども、都民からの申し出、苦情等に関しましては、男女平等参画室やウィメンズプラザを初め労政事務所など、都の各機関、相談窓口が、それぞれの専門分野に応じて相談を受け、対応しております。
 第三者機関の設置につきましては、さまざまな検討課題があると認識しており、今後とも、関係機関の連携、協力体制の確保により適切な対応に努めてまいりたいと存じます。

○河野委員 職場や家庭、地域で、まださまざまな男女間の格差が残されている中で、例えば職場の平等でいえば、昨年の秋に、芝信用金庫の方々が最高裁判所で勝訴をかち取られました。これは、労働運動史上も、女性運動史上も画期的な問題だということで、大きくマスコミで取り上げられましたけれども、あの取り組みもやはり十数年の歳月がかかっているわけですね。いろいろな社会全体の男女間格差をなくしていく上で、やはり適切に、迅速に対応していくということでは、こういう第三者機関の設置、東京都も条例に基づいて行っていくことが必要ではないかと感じておりますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
 次の質問ですが、男女平等施策を推進するには、企画、調査、啓発の事業が重要になっております。都民だれもができるだけ多くの情報に触れられるようにすることが大切です。都民への啓発活動について、東京都独自で努力してきたこと、また、今後の努力方向についてお考えをお聞かせください。

○田村参事 東京都といたしましては、できるだけわかりやすい広報等に努めておりますし、それからまた、インターネット等による情報提供にも積極的に取り組んでおります。ウィメンズプラザそれから本庁の方で、さまざまな啓発雑誌を今、ウィメンズプラザではプラザニュース、それから東京都の本庁では、その時々の啓発雑誌を出しております。
 以上でございます。

○河野委員 私、東京都が啓発のためにやっておられた事業で、一つだけ残念だなと思うのがあるんです。それは、私がとても役立たせていただいたものなんですが、区市町村の男女平等推進施策一覧という資料を、東京都生活文化局が都内全区市町村、島しょまで含めてアンケートをとられて、そして一つの冊子にして、資料もつけて、各自治体あるいは都民の閲覧に供せるような努力をされておりました。私もそれは大変参考になって、本当に頑張って、こういう男女平等推進施策に取り組んでいこうって考えたことがあるんですが、今、そういう資料も提供されなくなっています。
 インターネットでは一定のそういう調査の結果は出ているんですけれども、かつてのように、すべて調査されたことが都民のところに届いているという状況も、ちょっとそこから後退しておりますので、ぜひ予算も確保していただきながら、必要な啓発的な資料、そして、必要というよりも、できるだけ多くの情報が都民の手元に届けられるように、研究調査した結果の資料などの普及についてぜひご努力をいただきたいということを、この場でお願いをしておきます。
 最後に、意見を申し上げます。
 平成十四年度は、東京都の女性財団が廃止され、また、女性財団の活動を支えてきた男女平等推進基金が廃止されました。女性財団は、創立以来、男女平等参画の社会実現を目指して、すぐれた研究調査活動を続けていました。そして、研究の成果を出版事業などで広く都民に届けていくという、貴重な創意ある活動を行っていました。女性財団を存続してほしいとの声は切実で強いものだったにもかかわらず、東京都は、ウィメンズプラザでの直営事業のみを残して、財団の廃止を強行し、あわせて男女平等推進基金も廃止をしてしまいました。
 今日、DVやセクハラ問題にとどまらず、職場、地域、家庭における男女の平等の実現を願って、世論と運動が高まり、行政の施策も豊かに柔軟に展開されることが要求されています。にもかかわらず、多数の関係者、都民世論に耳を傾けることなく廃止を強行したことは、時代の要請にこたえた都政運営とはいえなく、また民主的な都政運営ともいえません。平成十四年度決算審議に当たり、この問題は厳しく指摘をしておきます。
 生活文化局としては、今後一層、都民の幅広い要望を受けとめて、その実現のために力を尽くしていただくことを申し上げまして、質問を終わります。

○山加委員 私は、江戸開府四百年事業について何点か伺います。
 ことしは徳川家康が江戸に幕府を置いてから四百年ということで、江戸開府四百年の事業が都内各地で行われているわけですが、私の地元の商店街でも、江戸開府四百年のロゴマークの入ったあの赤い旗をよく見かけますし、また、その旗がイベントを大変華やかにしてもくれております。新聞や雑誌、テレビでも江戸開府四百年の特集が組まれ、この事業のことが伝えられております。新聞記事によれば、例えば、若者たちが昔の地図と現代の地図を見比べながら町を歩いたり、江戸の文化を特集した美術館や博物館の入場者も大変ふえていると伺っております。
 そこで、現在、江戸開府四百年を記念して行われている事業にはどんなものがあり、また、どのくらいの数になっているのでしょうか。

○奥秋参事 江戸開府四百年事業は、ことし一月から始まり、当初目標としておりました四百事業が、現在では九百五十事業を超える規模となっております。
 主なものといたしましては、一月に江戸東京博物館で開催いたしました大江戸八百八町展、三月には、都庁展望室で開催いたしました江戸東京展望パノラマ展、名橋日本橋創架四百年記念パレード、五月には、歌舞伎四百年記念、市川團十郎、尾上菊五郎主演の團菊祭五月大歌舞伎、七月には、江戸花火の再現もございました、隅田川花火大会などがございます。また、来る十一月七日からは、都庁の都民広場で史上最大商店街まつりが行われます。

○山加委員 当初四百事業の目標が九百五十事業を超える規模ということは、それだけ都民のニーズに触れたということと思うんですが、私は、このような事業は、今までのやり方で進めたときは、都や区市町村の実施する事業が大半で、民間の実施する事業は少ないのではないかと思います。しかし一方では、九百五十を超える事業となり、民間の協力なしではできないものとも思っております。
 そこで、この江戸開府四百年事業では行政と民間の割合がどのくらいになっているのか、伺います。

○奥秋参事 全事業のうち民間が実施するものは六百六十事業余りとなっておりまして、全体の約七割を占め、行政の実施する事業の二倍を超える結果となっております。また、民間が実施する事業の中には、先ほどご説明いたしましたイベント以外にも、特色のあるものが含まれております。
 例えば、江戸文化を味わう定期観光バスのコース新設など観光にかかわるものから、江戸開府四百年事業ロゴマーク入りのお菓子、お酒、お弁当、お土産品、先生から先ほどございました古地図、それから江戸を特集した雑誌など、江戸開府四百年にちなみました商品の開発、販売がございます。幅広い分野での取り組みが以上のようになされているところでございます。

○山加委員 今の答弁をお伺いいたしまして、今回の事業は、私はイベントが中心と考えていたのですけれども、イベント以外でもいろいろな参加の仕方があるということがよくわかりました。まさに民間の方々が知恵を出し合った結果、このような多彩な事業の実施ができ、さまざまな場面で都民の事業への参加もまた可能になったものと思います。
 今回の事業は百年に一回の大きな事業であります。民間の活力を活用した結果、九百五十を超える事業が実施されているということは大変すばらしいことと思います。都は本事業を実施するに当たり、民間の力を引き出すための何か新しい仕組みを考えたのでしょうか。

○奥秋参事 従来は、行政がみずからイベントを実施するなど、行政主導のイベントが多数ございました。しかし、今回の江戸開府四百年事業は、一年間の長期イベントとなるため、行政主導ではなく、民間の活力、ノウハウを活用し、事業参加者みずからが事業を推進していくという方法をとりました。そのため、東京都と東京商工会議所を中心に、江戸開府四百年事業推進協議会を創設いたしまして、広く地域、企業、民間団体、行政の事業への参加を求めることとし、都は、民間の柔軟な発想を生かした事業の実施を側面から支援する役割を担う仕組みといたしました。
 また、事業実施の際には、推進協議会が作成した四百年事業ロゴマークの無料使用を認め、数多い事業が一体感を保てるようにするとともに、事業への参加を広くPRできるようにするなど、民間にとって事業参加への意欲がわくような仕組みとしたところでございます。
 今回の事業推進協議会方式による新たな取り組みは、ぜひとも実を結ばせ、今後の事業実施の一つの参考になればと考えているところでございます。

○山加委員 ことし、江戸開府四百年という言葉は、関係者各位皆さんの努力により、都内各地で耳にするものとなりました。私は、もしこの事業を東京都だけで行っていたのでは、このような広がりを持つ事業にはならなかったのではないかと考えます。そして、今説明のあった、地域、企業、民間団体と行政が連携をして実施する仕組みをつくった効果があらわれたものと思っております。
 まだ事業の途中ですから、最終的な評価はできませんけれども、行政だけで行うのではなく、民間にも広く門戸を開き、お互いの得意とする分野のノウハウの提供、民間活力の活用を通して長期のイベントを盛り上げていくという今回の方式は、一つの大変すばらしい試みといってもよいと思います。また、九百五十を超える事業により多くの都民が楽しむ機会ができたということは、東京を元気にするためにも、私は大きく貢献をしているとも思っております。
 これからも、都がかかわる長期のイベントはいろいろあると思いますが、民間の柔軟な発想に基づき、まさに官と民の垣根を超えた協力の仕組みをつくり、限られた予算でより効率的な事業の実施ができるように、引き続き取り組むことを要望いたします。
 そして次に、文化人知事のもとで、都民は文化面でのさまざまな取り組みに大きな期待を寄せております。十四年度は、ヘブンアーチスト事業やアジア舞台芸術祭など新たな事業が行われました。特に、知事ご自身が名づけ親のヘブンアーチスト事業については、昨年の夏、都民広場で公開オーディションが行われ、多くのメディアが取り上げることなどにより、まさに大変な注目を浴び、最近は、合格してライセンスを持ったアーチストが都内の各地で活躍し、町のにぎわいに一役買ってくれております。商店街などのお祭りやイベントにもよくヘブンアーチストが呼ばれているのを見かけるようになりました。
 そこで伺いますが、この制度によってどのような効果が見込まれるのか、お伺いいたします。

○荒川文化振興部長 この制度が始動しましてから一年ちょっとたちましたけれども、現在、二百四十六組のヘブンアーチストが、東京都が指定しました五十五カ所の活動場所で日常的に活動しております。そして、こうした日常活動とは別に、銀座、新宿、秋葉原などの歩行者天国で、東京都主催のヘブンアーチストイベントを行いまして、そこにも参加してもらっております。さらには、地域の商店街などにおいてもヘブンアーチストを招いた行事が行われております。
 このような活動を通じまして、町に人々の笑いとにぎわいを取り戻せた。それから、特に商店街では、集まった観光客による消費増加が期待できる。それから、東京の新しい文化として全国や世界に向けて発信できること。そして、大道芸人自身が町中で堂々と自分の芸を磨けるようになりまして、新たな大道芸人の育成にもつながっている。こういった地域活性化の起爆剤、あるいは観光振興、文化振興といった効果が見込まれるというふうに考えております。

○山加委員 一定水準の芸を見せてもらうためにライセンスを与えることは、大変すばらしいことと思います。また、地域の商店街、そして福祉施設などから、ライセンスを取ったアーチストをぜひ呼びたいという話を、私の地元からもよく聞きます。都民が身近な地域で大道芸を楽しめるように、地域のイベントにもヘブンアーチストが積極的に参加をしてもらえるようなことはできないのでしょうか。

○荒川文化振興部長 私どもも、指定された場所での活動だけではなくて、商店街のイベントですとか地域のお祭りにヘブンアーチストが積極的に参加することは、地域の活性化のためにも大事だというふうに考えております。そのため、東京都のホームページに、ヘブンアーチストの連絡先や活動場所を掲載しております。それから、都庁に来ていただければ、特に二十六階の私どもの生活文化局の文化振興部ですけれども、そこに来ていただければ、アーチストのプロフィールですとか、イベント開催時のそのアーチストが参加したビデオが閲覧できるようになっております。それから、実際にその主催者に対しましては、ヘブンアーチストを地域の行事に呼ぶに当たっての留意すべき事項、例えば、演ずる場合にスペースが必要であるとか、あるいは更衣室が必要であるとか、そういったような説明をしまして、便宜を図っているところでございます。
 今後も、ヘブンアーチストが地域のイベントに積極的に参加してもらえるよう、できる限りの支援を行ってまいりたいと思います。

○山加委員 この制度は地域の活性化にも役立つ有意義な事業なので、どんどん進めてほしいと思います。また、支援をし、活性化すればするほど、都民のニーズもふえていくと思いますし、すばらしいことだと思います。
 しかし、それに伴いまして、あってはならないことですし、また、ないとは私も思っておりますけれども、東京都からヘブンアーチストという公のお墨つきをもらったことにより、例えば、そのアーチスト本人もしくはそのプロダクション等が、出演料が急に高くなってしまうとか、商店街によっても、予算のあるところはいいですけれども、小さなところはほとんど予算がなくて、この有名になったアーチストに来てもらえないかとお声をかけたときに、出演料が何十万、何百万といわれて、とてもとても呼ぶことができないとか、芸のお墨つきが出演料のお墨つきにならないように、私は祈っております。
 今月は、ヘブンアーチスト月間と呼べるほど毎週イベントが開かれているわけですけれども、今後このヘブンアーチスト事業をどのように展開していくのか、伺いたいと思います。

○荒川文化振興部長 今のご質問に答える前に、ご意見が出ましたので、ちょっとコメントさせてください。
 ヘブンアーチストの制度自体は、とにかく多くの都民に気軽に芸を楽しんでもらうということを趣旨として制度を発足したものでございまして、決して出演料をはね上げるようなことをねらっているものではございません。
 実際、出演料自体は、ヘブンアーチストと呼んでいる主催者との間で決めることでございまして、そこに行政がコントロールするために介入することはなかなか難しいことではございますけれども、ただ、すばらしい芸には、それなりの投げ銭や出演料を払っていただくのがやはり経済原則じゃないかというふうに思います。一方、芸の水準が大して高くないのに高い出演料をもらっている。先ほど、何十万、何百万とおっしゃいましたけれども、そこまではいかないと思うんですけれども、いずれにしても、そういうふうな芸人というのはいずれ廃れるんだろうというふうに思っております。出演料に関しましては、ご指摘のような事態があるかどうか、私どもとしてもよくフォローしていきたいというふうに考えております。
 それから、今後のヘブンアーチスト事業をどのように展開していくかということでございますけれども、まず、ヘブンアーチストを選ぶ審査会につきましては、今後とも定期的に実施しまして、新人アーチストにチャンスを与えていきたいと思います。ただ、その際には、単に数をふやすということではなくて、芸の質ですとかレベルといったようなことを重視していきたいというふうに思います。
 それから、活動場所につきましても、人が集まらないような場所は見直す一方、民間施設を含め、人々の集まる場所を発掘して、場所の拡大に努めていきたいというふうに思っております。それから、道路を使った歩行者天国などのイベントも開催していきたいと思っております。
 それから、都内での事業はもちろん、多摩地域も含めて広げていきたいというふうに思っておりますけれども、それだけではなくて全国拡大も考えておりまして、例えば今月十八日には、東京・大阪文化交流事業としまして、ヘブンアーチストを大阪の難波に派遣いたしまして、大阪府民から大変好評を得たところでございます。また、最近は、福岡市の方からも来てほしいという要請が来ております。
 このように、今後、全国各地に向けて、東京の名物ともいえるヘブンアーチストをPRしまして、東京だけではなくて日本全体が元気になるような一助になりたい、そのような事業展開をしていきたいというふうに思っております。

○山加委員 ぜひこの制度を大いに発展させて、東京の魅力向上につなげてほしいと思いますし、また、ヘブンアーチスト事業のねらいは、国際都市東京から世界に通じる日本の芸人を育てることと思います。今後、アーチストにもさらに芸を磨いていただいて、質を高めていただいて、そしてまた、いつまでも、より都民にとって親しみのある芸人であってほしいなとも思います。どうか東京の町を明るくしてもらいたい、そう切に願います。
 質問を終わります。

○樋口委員 私からは、女性施策と広報施策についてご質問させていただきたいと思います。
 十四年度に廃止になりました男女平等推進基金については、民主党は、基金を廃止することで女性施策が後退することがないよう条件をつけました。女性財団が廃止され、寂しくはなりましたけれども、女性施策推進の中心となるのは、かつての女性財団の本部があり、現在は直営施設ともなっておりますウィメンズプラザであります。
 ここは、四千六百平方メートルの床面積に年間六億八千七百万円もの賃借料を払っている、大変立派な施設であります。少々高いように私などは思ってしまいますけれども、せっかく都心の一等地に施設があるんですから、女性のために有効活用していただきたいと思いますが、実態を見ますと、とても有効活用しているとは思えない状況に見えます。私も以前、貸していただこうと思って門をたたきましたが、実際、日にちはたくさんあいておりましたけれども、使用料が高くて、結局ほかの施設にさせていただいた経緯がございます。
 初めに、資料の表に出ておりますが、施設利用状況をどのようにごらんになっていらっしゃるんでしょうか。

○田村参事 ウィメンズプラザの利用状況でございますが、ウィメンズプラザの最近三年間の利用状況の推移を見ますと、入館者数、講座、研修事業の受講者数、いずれも増加しております。特に相談件数につきましては、平成十四年度、配偶者暴力防止法に基づく配偶者暴力相談支援センター業務を開始したことから、大幅に増加となっております。
 また、貸出施設の利用状況は、平成十四年度、ホール、視聴覚室、会議室などを合わせて全体で六六%の利用率でございますが、ホールの利用率向上を初め、一層の利用促進の努力が必要と考えております。

○樋口委員 利用向上のためにどのような努力を払っていらっしゃるんでしょうか。特に力を入れているところも含めて、十四年度に財団が廃止されまして、その後の女性施策をする中心となっているのはウィメンズプラザなんですから、そのあたりをお教えください。

○田村参事 利用率向上のため、私どもといたしましては、施設や図書資料の貸し出しについて、インターネットによる予約システムを平成十四年度から導入し、利便性の向上に努めております。また、経営者団体や専修学校などの教育機関を初め、男女平等参画を進める会参加団体などへのPR活動を行い、利用促進に努めているところでございます。

○樋口委員 もう一段の努力をしていただきたいと思います。と申しましても、東京芸術劇場、リハーサル室というのを予約しなくちゃなりません。いきなりなんですが、東京芸術劇場なんかですと、リハーサル室を予約するために、何と二日前、または前日、徹夜で並ぶというような光景がしばしばあります。そういった状況、透明性だとか公明性だとか、そういったことのために並ぶということも確かに必要なのかもしれませんけれども、このインターネットを使った施設や図書の使用予約システム、要するにインターネットを使用した予約システムを導入されたということは大きく評価できるのではないかなと思います。今後、東京芸術劇場については、またいずれかの機会に質問させていただきたいと思います。
 さて、女性が気楽に使える場となるために、このウィメンズプラザ、どのようなことをされていらっしゃるんでしょうか。

○田村参事 ウィメンズプラザには、都民の方が自由に利用いただける交流コーナーを設けております。また、さまざまな都民の皆様の活動を紹介するため、チラシやポスター等の掲示も受け付けております。さらに、利用時間につきましても、夜間・休日の開館により利用者の便宜を図っているところでございます。
 今後も、女性はもとより、性別、年齢を問わず、多くの都民の方に幅広くご利用いただけるよう、事業の企画や実施方法、広報等について工夫してまいります。

○樋口委員 財団の廃止に伴って、理事会、そして評議会はなくなってしまいました。それに伴い、ウィメンズプラザの運営について広く一般の都民の方々の声を聞く、そのような場を拡充されたんでしょうか。

○田村参事 ウィメンズプラザでは、利用団体連絡会を定期的に開催し、施設利用などに当たってご意見やご要望を伺っております。また、講座受講者及び施設利用者へのアンケートを実施し、利用者、都民の皆様の声を施設運営に生かすよう努力しております。さらに、都民、事業者と都が連携協力していく場として設けた東京都男女平等参画を進める会を活用して、さまざまな参加団体からの意見吸収を図り、ウィメンズプラザの今後の運営に反映させてまいります。

○樋口委員 ウィメンズプラザの利用率が低いというのは、ひとえにPR不足ということもあるのではないかと私は思います。
 そもそも都庁は、民間企業に比べてPRやプレゼンテーションに大変弱い、そう考えております。といっても、どんと予算をつけられるわけではありませんから、今の状況で、そこの中で考えていただかなくてはなりませんけれども、ウィメンズプラザの問題は、女性施策の面だけを取り上げても解決できない部分がたくさんあります。
 既にいろいろな議員からもお話がありますので、今回は広報についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 まず、一般的な問題からお伺いをさせていただきたいと思います。
 広報媒体は、紙によるものだとか電波を使ったものだとか、いろいろとありますけれども、十四年度決算、それにおいては、東京の広報として何に幾らぐらい使って、どのくらいの効果を上げているのか。少し詳しく、例えば「広報東京都」、毎月一日にお出しになられていらっしゃいますけれども、その部数とか、年間の決算額は幾ら幾らだとか、教えていただきたいと思うんですけれども。

○島田広報広聴部長 広報広聴部所管の平成十四年度広報事業の主な内容でございます。
 まず、タブロイド版の新聞、今先生ご指摘ございました「広報東京都」がございます。これは、毎月一回、四百六十万部発行しておりますけれども、決算額は六億三千六百万余円でございます。
 次に、テレビ、ラジオによる広報ですが、テレビではV局、U局合わせて八番組を提供しておりまして、決算額は二十三億三千万余円でございます。ラジオでは合計五番組による広報を実施しておりまして、決算額は二億七千万余円でございます。
 さらに、インターネットを活用した広報といたしまして東京都ホームページを運用しておりまして、決算額は四千三百万余円となっております。
 私どもとしましては、こうしたさまざまな媒体を通じまして、ぜひ都民の皆様に都の施策などを効果的、効率的に周知してまいりたい、こういうふうに考えております。

○樋口委員 「広報東京都」、テレビ、ラジオ、そして都政情報提供システム、ホームページ等、いろいろな広報の手段があるということがわかりましたけれども、役所の広報というのは、何かかた苦しい、そういったイメージがある。同じ予算でも、私たち都民によりわかりやすい、より便利なものをぜひつくっていただきたいと思います。
 そして、東京都の場合、その時々、重要な施策を集中的に重点的に広報する、そういったシステムはあるんでしょうか。

○島田広報広聴部長 広報広聴部では、都政全般に関します施策や課題につきまして、今申し上げましたようなさまざまな媒体を使いまして広報活動を行っているところでございます。
 その中で、とりわけ重要な施策、課題につきましては、関係いたします各局と連携を図りながら、「広報東京都」を初めといたしまして、テレビ、ラジオあるいはホームページなどの媒体を集中的かつ一時的に多様に、内容につきまして独占的、集中的に広報するなどしまして、効果的、効率的にそういったものを組み合わせまして、重点的な広報を行うよう努めているところでございます。

○樋口委員 ぜひとも多様なチャンネルを使ってやっていっていただきたいと思います。
 私も、インターネットの方で、特に環境局のディーゼル車の問題について、都民が、自分の車が果たしてディーゼル車規制のときに一体何をつけたらいいのか、車種を変えたらいいのかどうなのか、それが自分でも検索ができるようなシステムをつくるべきだということを環境局の委員会で発言し、そしてそれを実現化することができ--つまり、より有効な、より使いやすい、そういったものを試作していただきたいと思います。
 とにかく多様なチャンネルを使って、例えば女性施策でいえば、緊急の課題であるDVなどの防止キャンペーンを行っていただきたいと思いますし、あるいはウィメンズプラザの利用率の拡大などに取り組んでいただきたいと思います。このような点について力強いご答弁をぜひお願いして、私の質問を終わらせていただきます。

○田村参事 東京ウィメンズプラザでは、今後も、都における男女平等施策を推進するセンターとして、配偶者暴力の防止と被害者の支援、雇用の場での参画促進など重要課題に適切に対応し、事業展開を図ってまいります。
 広報につきましても、広報部門との連携協力を図り、さらに多くの都民の方々に利用していただけるよう、より一層努力してまいります。

○島田広報広聴部長 広報広聴部におきましても、ウィメンズプラザと協調いたしまして、男女雇用平等推進月間などの折には、「広報東京都」を初めといたしまして、テレビ、ラジオなどさまざまな媒体を活用した広報を実施してまいります。

○清水委員 私学助成について伺います。
 経済状況の悪化が続く中、各家庭では子どもたちの教育にかかわる費用にもさまざまな影響が出てきております。親の雇用状況が変化した家庭、特に私学に子どもを通わせている場合は本当に大変になってしまう例を幾つも伺っております。しかし、そういう中でも、何とか子どもにだけはと、子どもだけは私学に行った場合にも最後まで通わせ続けたいと必死に頑張っている親がほとんどです。しかし、やむなく退学をする例も生まれております。
 そこでお伺いいたしますが、私立高校の退学者の状況について、経済的理由による退学者数はどうなっているのか、また、過去五年間の推移はどのような状況でしょうか、お伺いいたしたいと思います。

○中澤私学部長 平成十年度から十四年度までの私立高校の退学者のうち、経済的理由によるものは各年度とも三%から四%程度となっておりまして、人数は百から百三十人台を推移しているところでございます。

○清水委員 そう大きな変化はないというふうな資料の状況になっておりますけれども、しかし、今私ご報告しましたように、各家庭の状況というのは本当に大変ですし、また私学の側も、滞納してもできるだけやめさせないで、後払いなどを認めている場合もあるというふうに聞いているわけです。
 そういう中で、では私立高校の授業料の値上げというのはどうなっているんでしょうか。

○中澤私学部長 平成十四年度の授業料で見ますと、二百三十四校のうち、値上げをいたしました学校は五十九校で、約二五%でございます。百七十四校は据え置きでございまして、一校が値下げをしております。
 なお、授業料の平均は、平成十三年度に比べまして四千三百三十二円の増ということになっております。

○清水委員 こういう時期だから、できるだけ私学は値上げをしたくない、値上げをしないで済ませたいというふうに思っているわけですけれども、そういう中でも二五%程度が値上げをしたということで、これについても大変な状況だったというふうに思います。
 それでは、育英資金の公立と私立高校の応募状況と採用状況の推移についてお伺いいたします。

○中澤私学部長 平成十年度から十三年度までは、公立、私立ともに五十から百名程度で推移をしております。平成十四年度からは、いわゆる成績要件等の三つの要件の緩和をいたしまして、貸付要件を緩和いたしましたことから、公私ともに百六十から百七十名台に増加をしておりまして、平成十三年度の対比では、約二倍の採用数ということになっております。

○清水委員 貸付要件を緩和していただいたということは、親にとっても大変ありがたかったと思います。そういう中では、枠を拡大すればそれだけ希望する方がふえるということで、やはりそれも今の経済状況なのかなというふうに感じるわけです。
 こういうように、今幾つかご報告いただいたんですけれども、私学に通う生徒や保護者を取り巻く状況というのが非常に変化している中で、学校側にとっても、私学の補助、経常費補助も年々大きく引き下げられているわけです。第一次の財政再建推進プランでは、十四年度までにどのくらい削減されているのか、各学種ごとにその削減額をお伺いいたします。

○中澤私学部長 第一次財政再建推進プランの見直しによる影響額についてですけれども、平成十二年度から十四年度までの三カ年で、高等学校が十九億九千万円、中学校が一億九千万円、小学校が六百万円、幼稚園が六億三千五百万円、合計で二十八億二千百万円となっております。これらは、兼務職員と本務教職員の給与算定を同等にしてきたこれまでの方法を、より実態に合わせた補助のあり方に見直したものなどでございまして、その激変緩和のための経過措置も設けられておるところでございます。

○清水委員 私学もぎりぎりでやっている状況で、先日も、それぞれの委員も参加されたかと思うんですけれども、私学の助成、私学予算の拡充のための決起集会などが各地域で開かれていたと思いますけれども、私たち、そこでは座って親の要求を聞くわけですけれども、次々と厳しい現状が訴えられました。
 こういう経済状況などの厳しい現状を見れば、経常費補助のこれ以上の切り下げは許されないと思います。拡充こそすべきだと考えますが、見解を伺います。

○中澤私学部長 経常費補助は、基本的に公立学校の決算値を基礎とする標準的運営費方式により実施をしておりますけれども、ご指摘の財政再建推進プランは、本事業がより実態に即した補助となるように見直しが行われたものでございます。今後とも、この標準的運営費方式を堅持しながら適切に対処をしてまいります。

○清水委員 それでは、私立高等学校都内生就学促進補助の事業の内容と実績をお伺いいたします。

○中澤私学部長 私立高等学校の都内生就学につきましては、少子化の進展による生徒数の減少により定員充足率が下がる一方で、公私連絡協議会で定めた都内公立中学校卒業生の受け入れ計画達成率も、公立が一〇〇%を超え、私立が八五%程度にとどまるなど、アンバランスな状況にございます。
 このために、私立高等学校への都内生就学をさらに促進するための取り組みを強化し、生徒募集のための広報費等を新たに別枠で補助対象とし、都内生の受け入れ数に応じた補助を平成十四年度から実施することとしたものでございます。
 平成十四年度の実績は、執行額で五億七千九百万円、対象人数では二万三千五百七十六人となっております。

○清水委員 今お話がありました都内の公立中学校卒業生の受け入れ計画達成率というのも、今まで、この十年ぐらいほとんど達成していないわけですね。そして、どうしても、こういういろいろな状況の中で、私学の方がもう少し、経済的な理由で行きたくても行けないという生徒が多くて、これがアンバランスな状況になっているわけです。
 この事業の実施で少しでも前進させてほしいと思っているのですけれども、私立学校は独自の建学精神や教育理念によって都の内外から広く生徒を募集しているので、希望する人はまだいると思うわけです。私立学校に行きたくても行けない人がいるということは、やはりその理由というのは経済的な理由であるわけです。公私間の保護者負担の格差こそが本当に計画進学率を達成するためにも問題の本質だというふうに思うわけですけれども、この格差をさらに縮めていかなければならないと思うわけです。
 その意味で、この都内生就学促進補助事業をさらに拡充していくべきだと考えますが、どうでしょうか。

○中澤私学部長 都内生就学補助は、私学で支出される生徒一人当たりの広報経費が積算の基礎となっておりまして、相応の規模を確保していると考えております。本事業によってさらに効果が上げられるよう、私学団体と協力しながら働きかけを行ってまいります。

○清水委員 それではもう一つだけ。
 ことしから措置された安全対策促進事業費補助の内容についてお伺いいたします。

○中澤私学部長 安全対策促進事業費補助は、幼稚園から高等学校まで、児童生徒が一日の大半を過ごす場である学校の防犯、それから防災対策を集中的に実施するために、十五年度、十六年度の二カ年の時限措置として補助を行うものでございます。
 補助対象は、防犯対策では防犯カメラの設置と門やフェンスの整備について、防災対策では校舎、園舎の耐震診断や耐震補強工事、災害備蓄倉庫の設置等などとなっております。

○清水委員 これは、こういう補助ができて、それぞれの学校というのは非常に助かったというふうに思うわけですけれども、防犯カメラの設置などをこの補助を受けてやった場合にも、ずっとその維持費というか管理費というのが続くわけです。そういう意味では、安全対策促進事業費補助については、二カ年で終了という予定になっているようですけれども、先ほどの私学助成大会でも継続してほしいという要望が強く出されました。整備後のフォローについて都としても何らかの対応を考えていただきたいと思うのですけれども、どうでしょうか。

○中澤私学部長 私立学校の校舎等の耐震補強工事等については、従来から国の補助事業として実施をされてきたところでございます。今回、都は、私立学校の安全管理対策を早期かつ集中的に実施するために、二カ年に限定して、国の補助事業に上乗せをして補助をする、行うこととしたところでございます。
 現在、第一年度目の着手の段階でありますので、当面この二年間で集中的、効果的に実施ができるよう努力してまいります。

○清水委員 私学助成について何点か伺ってまいりましたけれども、毎年、公立中学卒業生で千人以上が進学が決まらない、どこにも行く場所がないという子どもが出てきているわけです。経済的な理由で行けないという理由もあるでしょうし、成績などの理由もあるでしょうけれども、私学にもっと通わせることができるような可能性を広げるためにも、ぜひ私学助成のさらなる充実を求める意見を述べて、質問を終わります。

○前島委員長 以上で質疑は終了をいたしたいと思います。これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、十分間休憩をいたします。
   午後三時十九分休憩

   午後三時三十三分開議

○前島委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、大学管理本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯塚管理部長 去る十月十日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げます。
 お手元にお配りしてございます、大学管理本部と記載されております封筒の中の平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんくださいませ。
 表紙をお開き願います。ご要求のございました資料は、都立大学人文学部の学科決定状況、学生数及び教員数外七点でございます。
 一ページをお開き願います。都立大学人文学部では、二年次から所属する学科、専攻を一年次の終わりに決定しておりますが、その決定状況を、学生数、教員数とともに、学科、専攻別にお示ししております。
 二ページをお開き願います。こちらは、都立の四大学について、本年三月の卒業者の進路状況をお示ししたものでございます。
 三ページをごらんください。こちらは、都立大学人文学部につきまして、本年三月の卒業者の進路状況を学科、専攻別にお示ししております。
 四ページをお開きくださいませ。都立の四大学における奨学金受給者数を、日本育英会からのものとそれ以外とに分けて、その推移をお示ししたものでございます。
 五ページをお開き願います。都立の大学の研究費歳出決算額を、一般財源研究費と外部資金研究費とに分けて、五年間の推移をお示ししたものでございます。
 六ページをお開きくださいませ。都立四大学の研究奨励費による研究の例を、各大学別に、主な研究テーマと研究成果等を一覧にしてお示ししたものでございます。
 七ページをごらん願います。平成十四年度における産学共同研究費などの外部資金及び科学研究費補助金について、教員一人当たりの金額を学部別にお示ししてございます。
 八ページをお開きくださいませ。こちらは、四大学の収入と支出を比較し、さらに、収入に占める人件費や支出の割合をお示ししたものでございます。
 また、九ページには、都立大学につきまして、部門別に収入と支出を比較したものを載せてございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどをお願いいたします。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言願います。

○山田委員 それでは、質問をさせていただきたいと思います。
 かねてより知事は、都立高校改革とあわせて、教育の終着点であります大学の抜本的な改革を推進し、東京から教育を変えていくとしており、今般、都立の新しい大学の構想を発表いたしました。
 第三回定例会でも、この新しい大学では、才能や可能性を秘めた若者の個性、独創性をはぐくみ、東京再生、日本再生のダイナモとなり得る人材を育成していきたいとの意欲が示されました。こうした知事の考え方を受け、この構想の中にはこれまでにない新しい視点が盛り込まれておりますけれども、この構想の背後にある現在の都立の大学の問題点を明らかにした上で、十四年度の大学教育の具体的な問題について掘り下げてご質問したいと思います。
 そこで、まず、どういった問題認識に基づきまして今回の構想をまとめられたのか、この構想策定に至った都立の大学全般に対する問題認識についてお伺いをいたします。

○大村参事 都立大学を初めといたします現在の都立の大学では、東京都が設置する大学としての意義が必ずしも明確ではございませんでした。また、平成十三年に策定いたしました東京都大学改革大綱につきましても、この点では十分明確ではなかったところがございました。
 今回の構想では、この点を見直しまして、大学の使命の明確化を図り、大都市における人間社会の理想像の追求をその使命といたしました。この使命に基づきまして、大都市の課題に対応する教育研究の目標を定めまして、人文や法学といった縦割りの従来の学問にとらわれることなく学部構成を見直しまして、都市教養部、都市環境部などの四学部といたしました。
 現在の都立の大学の具体的な教育研究の問題点としては、従来の学問体系の縦割りの学部構成のもとで、えてして教える側の論理優先の教育が中心でございました。加えまして、経営的な視点も希薄でございましたが、時代の変化に対応できる柔軟な組織となっていないことや、教授会による硬直的な意思決定手続なども問題点として挙げられてきてございます。今回の構想では、こうした点の見直しを図るとともに、その具体的な過程での個々の問題点の解決を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

○山田委員 従来十分でなかった大学の使命を明確化したいとのことでございますが、この大学の使命を受け、人材育成の目標をはっきりさせて大学教育に取り組んでいくことも重要であると思います。東京で活躍をして東京の発展に寄与する人材を育成していくことは、まさに都立の大学の使命であると思います。
 こうした人材育成の目標が大学にあれば、当然、その目標どおり人材育成が行われているか、体制が行われているかどうか、大学として大いに関心があることであります。しかし、そうした観点が、視点が現在の都立の大学にあるかといいますと、私は甚だ疑問を感じております。
 人材育成に対する関心の低さがうかがえる例といたしまして、特にこの傾向が顕著な都立大学の人文学部についてちょっと見てみたいと思いますが、先ほど資料をいただきました。人文学部の各学科、専攻別に学生の進路状況、これは三ページに載っておりますが、これを見ていきますと、卒業者数が百五十九人でありますが、そのうち、就職者、進学者、家事手伝い・無職とありますが、その他が百八人、卒業者百五十九人に対して百八人、六七・九%の学生が進路が把握をされていないという数値が示されております。また、就職者数についても、今申し上げましたように、百五十九人のうち二十八人しか就職が決定をしてない、その他、進学者が十六人、あるいは家事手伝いですか、あるいは無職等が七人ということになっておりますけれども、余りにも就職者数が少ないという数値でもあります。
 特に、幾つかの学科あるいは専攻を見てみますと、その他八〇%以上という数字も出ておりますし、その他のうち八〇%あるいは九〇%を超える学科もございます。進路を把握していないということになるわけでありますが、また、教員一人当たりの卒業者数を見ましても、こちらの資料を見てみますと、一ページですね、百五十人の学年の定員に対して教員数は百三十八名ということですから、教員一人当たりの卒業者、ほぼ一名程度であるわけであります。こうした状況というのは、ちょっと私は異常だというように感じるわけでありますが、東京都はどのようにこの点をとらえているのかをお聞かせいただきたいと思います。

○大村参事 ご指摘のとおり、教員一人当たりの卒業生が一人ぐらいという一対一の関係にある状況でございますけれども、卒業生に対する進路の把握率が極めて低いというふうなことは非常に問題であると考えてございます。
 これは、都立大学の人文学部では、人材育成に対する明確な目標がなく、学生の進路に対する関心が低いとともに、教員一人当たりの卒業生が少ないにもかかわらず、学生と教員の関係が希薄であったというふうに考えられます。これは、専ら教員の関心がみずからの研究活動にありまして、学生の教育よりも研究を優先するという傾向があったのではないかと考えてございます。
 こういった傾向は、これからの社会にとってまことに遺憾でございますので、新大学ではこれの是正を図りまして、社会に必要な人材を育て、送り出したいというふうに考えてございます。

○山田委員 大学の設置目標というんですか、あるいは使命というのは、人材育成ということも大変大事だと思いますし、そういう点からいたしましても、新しい大学については、ぜひこういうことがないように取り組んでいただきたいと思います。
 次に、学生ニーズに都立の大学がどこまで対応できているかについて見ていきたいと思いますが、都立大学の人文学部では、学年が二年次に進級をする際に所属する学科、専攻が決定をされるということであります。資料に、一ページにもそれが示してありますけれども、心理学や社会学科の幾つかの学科、専攻では希望者が定員を上回るというところもございますけれども、逆に文学科では定員を下回っております。こうした状況を見てみますと、学科、専攻の学生定員は学生のニーズを反映していないのではないかと思いますが、その点について。
 それと、こうした傾向は毎年のことなのか、また、こういうことが毎年行われているのか、需要とのギャップに対して、学生定員の見直しなどを大学としてこれまで行ってきたのか、その点についてお尋ねします。

○大村参事 ご指摘のように、この表を見ますと、心理学とかあるいは社会学などでは、学生定員に対しまして多い希望者がございます。一方で文学関係では少なく、この表ではわかりませんけれども、昼間のA類では、ある文学専攻では一人も第一希望者がいなかったというところもございます。
 こういった、人文学部の特定の学科、専攻での希望者数と学生定員との差が上下において大きく生じているというのは従来からございました。ただ、従来は、希望の多い学科、専攻で比較的柔軟に多目の学生を受け入れてきたところがございますが、学生定員に対して超過して受け入れる学生数を抑制すべきであるという文部省の指摘がございまして、希望者数と受け入れ数に大きな差が生じてきてございます。
 平成三年度の南大沢移転に際しまして、大学全体の入学定員を増加させたところはございますが、需給ギャップを解消するような学生定員の見直しは行ってきてございません。

○山田委員 多くの大学では、学生による授業評価を行うなどして学生ニーズの把握に努めて、そして大学のあり方の検討を進めているわけであります。また、厳しい就職環境から、卒業後の進路についても学生の関心は高いわけでありますが、今回の資料から拝見しますと、人文学部についてはいささか問題があるかなと思いました。
 こうした学生の立場に立った大学教育が行われていなければ、今後激化する大学間の競争に勝ち残っていけないわけであります。こうした点を踏まえ、新しい大学の検討をぜひ求めまして、次の質問に移りたいと思います。
 さて、今回の構想は新たな方向性が打ち出されたわけでありましたが、十四年度中に大学改革大綱に基づき行った検討はどういうものであったのか、また、十四年度の検討が構想によって修正されるものがあるのか、あるいは構想に生かされるものがあるのか、この点についてお伺いいたします。

○大村参事 十四年度は、東京都の教育長をトップといたします、各大学の学長で構成する検討組織を設置いたしまして、そのもとに主に各都立の大学の大学教員を中心とした検討組織を設置しまして、キャンパス配置や入試方法、教育課程などの詳細設計を行ってまいりました。
 十四年度の検討のうちで、今回発表した構想で大きく変更した部分としては、キャンパス配置がございます。十四年度の検討では、都立大学のある南大沢キャンパスに教育研究の拠点、科学技術大学のある日野には社会貢献の拠点、保健科学大学のある荒川キャンパスには保健医療に関する教育拠点をするということで、十三年に発表いたしました大学改革大綱とも違った内容の検討を進めてはまいりました。
 一方、今回八月に発表いたしました構想では、昨年、工業等制限法が廃止されましたので、それに伴いまして区部への学部等の設置に関する規制が撤廃されましたために、東京全体をキャンパスとするという考え方に立ちまして、キャンパス配置の見直しを行ってまいりました。
 具体的には、社会貢献の拠点でございました日野のキャンパスに大都市の課題に対応した学部を設置いたしますとともに、都心方向に、産業活性化に貢献する分野については、区部の試験研究機関との連携強化や既存施設の活用も図りながら、都心キャンパスも配置していくことを検討するということにしたものでございます。
 現在、この構想の具体化を図るために、教育課程や入試方法の検討などを進めているところでございますが、十四年度中に検討した個々のものの中には、今回の検討の中にそれぞれ反映されるものもございます。ペーパーテストでははかれない能力や個性を持つ学生を受け入れるための多様な入試のもの、その他につきましては、今後の詳細設計の中でも生かされていくというふうに考えてございます。

○山田委員 私も、一たん進めた検討であっても、考慮すべき状況変化等があれば大胆に見直す、あるいは生かすべき点については生かすという姿勢が大切であるということだと思います。そのためにも、新たな体制で検討することも重要でありますけれども、具体的にはどういう形で新たな検討体制をつくり構想をまとめられたのか、お尋ねいたします。
 また、新大学は、法人化、先ほど説明がありましたけれども、予定をされております。経営的な視点も入れて、先ほど例に出したような、教員一人当たりの学生数が少ないにもかかわらず十分な教育が行われていない学部等については見直しを行い、その資源を戦略的な分野にシフトしていくことも重要であると思いますが、この点についてもあわせてお伺いいたします。

○大村参事 今回の構想策定では、大学改革大綱の策定の際、都立の大学のあり方について外部の有識者の意見をいただくために設置いたしました東京都大学運営諮問会議のもとに、外部の専門家による専門委員会を設置いたしまして、大学改革大綱以降の社会状況の変化などを受けた検討をお願いいたしまして、その検討結果を踏まえましてこの構想を取りまとめたところでございます。今後の具体的な作業の中では、経営的な視点を導入し、教員定数の見直しを行ってまいりたいと思います。先生ご指摘のように、教員一人当たりの学生数の是正であるとか、新しい分野への教員配置などもこの中で検討してまいりたいと存じます。
 また、法人化後につきましては、目標に対する達成度を評価するシステムを導入し、授業評価など学生からの評価も参考にしながら、業績主義の徹底を図るとともに、都民の負託にこたえるべく、学部等の構成につきましては、一度決めたから変えないということではなく、定期的に見直していくシステムをとってまいりたいと存じます。

○山田委員 新聞報道では、この構想に対して都立大学の一部の中で反対があるようであります。都立大学は創立以来五十年余の歴史がありますので、このような変革を経験したことがない方については、変化を好まないという人もいるかと思いますが、その点では一定の抵抗感があったとしても、むしろこういう点について打破をして、改革に向けて取り組んでいただきたいと思うわけであります。ぜひ改革の本旨を貫き、都民にとって有意義なる大学づくりを貫徹すべきだと思いますが、最後に本部長の決意をお伺いし、質問を終わりたいと思います。

○山口大学管理本部長 副委員長もご承知のように、大学は、神学や哲学から始まりまして、法学や工学など、その時代の求める、新しい社会の求めに応じて発展してきたわけでございます。今、二十一世紀が都市の世紀といわれておりまして、まさに今回の新しい大学は、大都市における人間社会の理想像の追求を大学の使命として設計してございまして、東京という大都市に先鋭的にあらわれるさまざまな課題に対して教育研究を行うとともに、次代の東京を切り開く人材を育成していこうというものでございます。
 先ほどのお話にありましたように、残念ながら、この大学の理念に、新しい大学の理念に都立大学の一部が反対意見を表明しているのは非常に残念でございますが、都立大学以外のほかの大学の多くの教員たちは賛意を表してございます。
 また、独立行政法人に移行しましても、運営費の大半は税でありますから、経営の視点を導入しまして、五十年の研究業績のみに依存することなく、大都市の大学として意義を持つ新しい大学に生まれ変わるために、心ある多くの教員と一緒に大学改革を進めてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いします。

○樋口委員 都立大学改革についてご質問を何点かさせていただきます。
 マスコミ等には、連日連夜、この都立大学改革について報道がありまして、私の方にも多数の方々から、大学関係者であったり、あるときはマスコミであったり、メールやらお手紙やら、またファクスなり、いろいろとご意見をいただいております。また、質問などもございます。ただ、その内容において、大体が、この大学構想について、その構想や教員配置案をトップダウンで示す手法に批判をしたような内容でございます。
 本日も、既に皆様方、目を通していらっしゃるかとは思いますが、都立大学の総長までが、トップダウンな手法に対して非常に批判的な、また、トップダウンの手法に抗議しているというような内容がけさの朝刊にも書かれておりました。
 大体からして、このような記事が出るということには大変いささか問題がありまして、当面する方々が納得できるような説明をしていただかなくてはならないのではないかな、そういったコミュニケーションが何よりもこの大学改革をするために必要なことなのではないかと私は思います。
 大学は、教育体系の中では最高学府という位置に位置づけられておりますところであり、高等教育機関としては社会からは相当な評価を受けてきた機関であります。一方、象牙の塔とやゆされるように、社会の一般的な活動から遊離し、学問のための学問に力を入れている状況も頻発してきております。
 石原知事が進めている大学改革は、ただいま申し上げた大学が持ち合わせている二つの性格、そのうち後者、すなわち象牙の塔としての側面を打ち破ること、それが一つの主眼となっているんだと思います。
 そこでお伺いいたしますけれども、十四年度におきます大学改革の検討状況はどういうものだったんでしょうか。また、この検討に対して、今回の構想ではどういった切り口で新しいコンセプトを打ち出したんでしょうか。時系列的にまたお教えください。

○大村参事 十四年度におきます検討につきましては、平成十三年度の大学改革大綱に示された内容を具体化しようということで、教員中心の検討が行われてまいりました。そこでは、人文、法律、経済といったような縦割りの学部構成に基づいて、学部の構成、大学院の専攻など、新大学の基本的な構想を取りまとめてまいりました。
 また、キャンパス配置などにつきましては、大学改革大綱では、三キャンパスの中で学部なども構成するということになりましたが、どちらかといいますと南大沢中心のキャンパス配置などの検討が行われまして、さらに、具体的な基礎、教養教育などの教育内容や入学者の選抜方法、大学の社会貢献としての産学公連携の仕組みなど詳細設計を行ってきたところでございます。
 これらの検討の基本となる使命とかそういったものについては、ここでは特に検討されてきたわけではございませんが、それが不明確なところがございました。今回、八月の構想では、新しい大学の使命を大都市における人間社会の理想像の追求ということで明確化いたしまして、都市環境の向上など具体的な教育研究の目標を設定し、学部構成も、これまでの縦割りの学問体系にとらわれない、大都市の課題に対応した学部に編成いたしまして、都市教養学部、都市環境学部など四つの学部を設置するということにいたしたものでございます。
 これらの構想を策定するに当たりましては、大学の運営諮問会議のもとに専門委員会を置きまして、ことしに入りまして、そういった専門委員の先生たちを中心に、また、その中には都立大学の元の総長先生や都立科学技術大学の学長先生も入って検討をされた内容でこれを取りまとめてきたものでございます。
 なお、今回の構想の中の売りの一つとしては単位バンクという制度がございまして、自分の大学に限らず、他大学で取得した単位や青年海外協力隊、一定の経験を単位として認定いたしまして、学生一人一人に応じたカリキュラムに基づき、弾力的な修学年数の設計を可能にするという、学生の選択と評価による新たな制度という単位バンク制度を新たに導入することともいたしました。

○樋口委員 今回の構想の取り組みの中では、総長も手がけておりました単位バンク制度というのを導入するということでございますけれども、具体的にはどのような特色があって、また、この制度は従来の検討内容とどのように違っているのか、その辺をお教えください。

○大村参事 これまで大学のカリキュラムといいますと、学部や学科ごとに一定のカリキュラムを各大学側から提示する、そしてそれを学ばせようというのが中心でございました。これを、学生が自分のキャリア形成に必要な授業科目を選んでいって自由に学べる仕組みに転換させようというものが今回の単位バンクの特色でございます。
 これについては、外部有識者を含めましたカリキュラム評価委員会を設置しまして、履修しようとする他大学の授業も含めました、あるいは国際経験が単位として認定するに値するかどうかの評価を行いまして、さらに、取った後、同じく外部有識者を含めました学位認定委員会を設置しまして、社会が求める必要な能力を学生が身につけているかどうかを客観的に評価することによりまして、それなりの能力を身につけて卒業生を送り出すことができる、そういう意味で卒業生の社会的評価が高まることが期待できるというふうに考えてございます。
 なお、これらの具体的な内容につきましては、現在、外部の専門家、大学の教員などで検討しているところでございます。

○樋口委員 単位バンク制度によって、ほかの大学の授業科目、それが深く学べるということはとてもすばらしいことだと思います。一方、楽勝科目だとかお手当科目だとか、そんなようなものがもしもあって、それを取るようなことになってはいけないかななんて思うので、その辺のところが、単位認定、カリキュラム評価委員会が認定するものなんだと思うんです。
 ただ、そこの中で、社会が求める必要な能力を学生が身につけているかどうかを客観的に見るとしておりますけれども、評価委員にとって、また客観的に見て、その時点においては魅力のない、または、その学生にとって大して関係がないのではないか、そのようなものだと思っていても、後々それが高く評価される、そしてまた必要になるような講座であるかもわからない、科目であるかもしれないということも踏まえてぜひ検討していただきたいと思います。
 そしてまた、学生にとってこの科目がなぜ必要なのか、自分のやりたいことに対してここがどうしても必要だというような意見をいえるような場があったらいいなと私なんかは考えてしまいますが、ぜひその辺のことも考慮していただきたいと思います。
 単位バンクのような、学生が主体的に学ぶために柔軟な制度を導入していくということは、今後の大学教育にとって大変重要なことであると思います。しかし、このような新しい制度を生かしていくためには、どんなにたくさんの改革メニューをちりばめようとも、教員の自覚の問題が一番重大だと思います。大学改革の中で教員の意識改革を図っていくことが大切であると思います。そしてまた大変難しい課題だと思いますけれども、この問題について、また、このように新聞記事に報道されているような問題もたくさんありますけれども、どのように取り組んでいらっしゃるのか、お話しください。

○宮下参事 おっしゃるように、教員の意識改革を図っていくということは非常に難しい問題であると同時に、これから新しい大学が社会的使命を果たしていくためには大変重要だというふうに思っております。
 どう取り組んでいくかということでございますが、まず、現教員には、今回の都立の新しい大学の構想に賛同した上で新大学に参加していただきたいと思っているところでございます。現在、構想の具体化を図るための作業に教員にも参加してもらっておりますが、こうした作業を通じて、新大学に対する理解、さらには意識改革を促進し、教育研究の向上に寄与しようという意欲を持っていただきたいと思っているところでございます。
 また、新しい大学には任期制と年俸制を導入することとしておりますが、こうした制度によって、教育研究に緊張感を持って取り組んでいただくとともに、人材の交流を促進いたしまして、新大学の使命を実現できる教員集団を形成していきたい、このように考えております。

○樋口委員 もちろん、都立大学の運営というのは私たち都民の税金で賄われております。社会的に役立つものでなければならないと私も思っております。先ほどの私の話にもちょっと重複してしまいますけれども、目立たなくても、地味であっても、なかなか進まない研究であっても、即社会に役立つものでなくても、すばらしい研究の発見あるいは発明の基礎となるようなものであることもあります。すべて数字で改革をするのではなく、さまざまな多面性において検討していっていただけたらなと思います。
 現在、多くの大学と企業とで行われております産学公連携は、都立大学において積極的に進め、その成果を社会に還元すべきであると思っております。都立大学ではどのくらいの件数の産学公連携が行われているのかということをお伺いしたいと思います。

○宮下参事 平成十四年度の産学共同研究、これは、都立の大学の教員と、それから民間企業等が共同して行う研究でございますが、これが三十六件。それから、企業などから委託を受けて行いました受託研究が四十四件ございました。このほかに、大学の教員が企業などからの技術相談に応じた件数は六十二件でございました。
 十四年度は、まだ産学公連携、初めの段階ということでございますので、今後は、共同研究施設等も備えた産学公連携センターの開設に向け準備を進めまして、さらなる産学公連携を推進していく所存でございます。

○樋口委員 産学公連携、まことに結構なことだと思います。ただ、連携に取り組むだけで満足をするのではなく、その結果として都民サービスの向上につなげられることが最も重要なことだと思います。いろいろと大変なこと、困難なこと、また、さまざまなこれからの課題というものがありますし、また、このような記事、先ほどいいましたような記事が出るほど、いろいろな意味でこれから話し合いを持っていかなくてはならないかとは思いますが、ぜひこれはしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そして、本当の意味での大学改革をぜひ推進していただけたらと願いまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

○東村委員 先ほどから都立大学、大学管理本部ですから都立大学しかありませんので、この話題しかないわけなんでしょうけれども、いろいろな話がある中で、私は、一つ前から思っていたことをちょっと冒頭いわせていただきたいんですけれども、日本の大学というのはどうも学生中心の大学じゃない、先生方中心の、先生方がいろいろな反対運動をされるときに、学生のために反対されるのであれば私は構わないと思うんですけれども、自分の保身のためにいろいろな反対をされる。
 日本の大学というのは、特に文科系の大学を見ていたら、博士号がなかなか出ないんですね。だから、優秀な人材が海外へ行って博士号を取得する。要するに、教授が、院生なんか特に、自分たちの研究室の人間を、いい方は悪いですけれども、道具みたいにして使っているわけですよ。それで、自分の研究だけを進めていて、授業をやらない。
 さっき山田委員が話されていて、私、この実態を見ていて、今の現状で、一学部、一つの学科に、一人の学生当たりに一人の先生がいた、であるならば、何でこんな六七%の行き先のない人たちの面倒を見てあげないのかといいたいわけですよ、本当に。今、いろいろな意見をいうのであれば、その前に学生のためにきちっとやってあげるのが本当の教育者じゃないかと思うんですけれども、それが日本の大学には欠けている。
 その中で、国もようやく最近そういうことに気づき始めて、大学改革ということに本気になりました。その一つの要因は少子高齢化だ。子どもが減っていく、今度は供給する側じゃなくて需要側がどんどん選択する側になってくるから、中途半端な大学があったら大学は取り残されるよ、いち早くそれに気づいたのが私学なんです。今、だから私学は必死です、生き残りをかけて。毎週のように全国の高校を回っています。本当に営業というくらい啓蒙活動もやっているわけなんです。
 ようやく国立も、このままじゃ国立もだめだ、あぐらをかいていてはだめだ、学生のために変革をしなきゃいけないんだ、もっともっと博士号も出していかなきゃいけないんだ、そういう本気になった改革をやろうとしました。その中で独立行政法人というのが起こってきたわけでございます。平成十五年七月に、これは地方の方も、いわゆる公立大学も独立行政法人によって改革ができるという道筋ができました。
 どうも経営的な視点でしか物を考えられませんけれども、独立行政法人になるということは、いろいろな意味で柔軟性ある改革ができて、私はまさに学生のための改革ができるのがこの独立行政法人じゃないかと思っているわけでございます。そういった意味で、この日本の古い体質を変える意味でも、これからはこの大学改革というのは避けて通れない。
 ただ、都立大学に関して一つ大きなネックになっているのは、東京都民の税金で賄われている。国立の場合は日本国民の税金ですから、どこの大学へ行っても、それはみんな構わないよというかもしれない。私立は私立で補助金をもらっているけれども、私学の建学精神に基づいて経営努力をしている。ただ、都立の大学とか県立の大学になると、そこの一部の地域の、いわゆる地方の税金で賄わなければならないという、一つの、足かせといってはおかしいんですけれども、そういう制約があるという、ここが大きな特色なんだろうと思っているわけでございます。
 そこで、私は、都立大学もいよいよそういうところに変えていかなきゃいけないということで、平成十四年度の決算書をもとに皆さんに資料をつくっていただきました。八ページでございます。ここで、都立大学、科学技術大学、保健科学大学、短期大学、四大学のいわゆる収支状況というのをつくってもらいました。数字だけで判断するなという話があったんですけれども、ただ、数字はうそをつきませんから。
 事実として、人件費がございます。収入全体に占める人件費の割合というのを出してもらいました。私はこれを見て本当に驚いたんですけれども、普通、私学じゃこういうことはあり得ません。絶対起こり得ないことなんです。科学技術大学は一五六%ですけれども、短期大学に至っては二七九%、下手したら三倍です。入ってくるお金の三倍を、大学の一切の運営じゃありません、人件費だけにかけている、こういう現状があるわけでございます。
 そこで、私は、このいわゆる科学技術大学一五六%ですか、それ以外は二〇〇%を超えている、こんなにも人件費の比率が大きくなってきた原因は、先ほど委員の方からも、都立大の人文学部の例をとって示していただきましたけれども、改めて、どうしてこのような状況が生じてきたのか、これについてお伺いしたいと思います。

○宮下参事 公立大学といたしまして、授業料を低く抑えているために自己収入が低くなっていること、これが一つ。それから、私立大学に比べまして教員が手厚く配置されていること、これが二つ目の理由だと思います。三つ目に、年功的な賃金体系であるということが原因であるというふうに思っております。

○東村委員 学生にとっては、授業料が低いということはいいことですよね。私立大学に比べて教員が手厚く配置されている、これは学生にとってもいいことなんですけれども、年功的な賃金体系、ここが非常に私は大きな、日本の先生方の、教員の先生方の社会の中においてネックになっているんじゃないかと。
 独立行政法人になるに当たって、今度新たに、独立行政法人になると運営費交付金という形で東京都からの支出金が行われるようになるんですけれども、これは税金が使われるということに関しては変わらないわけなんですけれども、独立行政法人になると、今支出している金額と比べてどれくらいの金額になるのか。検討中でなかなか難しいかもしれませんけれども、もし答えられるんでしたら、答えられる範囲で答えてもらいたいと思います。

○宮下参事 新大学の収支の算定、それから運営費交付金の算定方法などにつきましては、先生おっしゃるとおり、今事務的に財務局等とも調整しなければいけないということもございまして、どのような割合になるかということは、現時点でお答えすることはできないわけですけれども、この運営費交付金につきましては、毎年度予算に計上して議会の議決を得なけれなりませんので、その際に議会でご審議をいただくということになりますので、その際はよろしくお願いしたいと思います。

○東村委員 なかなか答えられないということなんですけれども、独立行政法人になって、運営費交付金が今まで支出していた金額よりも抑えられるようにならなければ、ある意味で経営的な改革がなされたとはいえないと思いますので、その辺のことをいろいろな機会を通じてまたお話をしていきたいと思います。
 そこで、皆さんも見られたと思うんですが、きょうの読売新聞の一面です。私、朝見てびっくりしましたけれども、横浜市立大学、ここが二〇〇五年度から、独立行政法人化に合わせて、教授の、いわゆる教員の任期制、年俸制を導入するということが一面に出ていました。これを横浜市は--私は東京が先に出るのかなと楽しみにしていたんですけれども、横浜市がこれは先に出てきたわけですけれども、ある意味で、大学の今高いといわれている、二五〇%から三〇〇%にまで及ぶような人件費、この抑制方法を、これは具体的にまだ決定はしていないでしょうけれども、どのような形で都はやっていこうと考えているのか、これについて伺いたいと思います。

○宮下参事 東京都も、知事が申しておりますが、新しい大学につきましては任期制、年俸制という新しい人事給与制度を導入するということを表明しておりますので、現在、その具体的な設計を検討中でございます。それとあわせまして、新大学におきましては目標となる定数を設定して人員を抑制していきたい。それらをあわせまして、中長期的には人件費を抑制いたしまして、他大学とも競争できる経営体質にしてまいりたい、このように考えております。

○東村委員 今、年俸制、任期制という話がありました。これは人件費の抑制効果だけじゃなくて、ある意味で、優秀な教員を採用したり、また、教員自身の、もっとこうやっていこう、これだけのものを私はやりますよという意欲を引き出すことにもなるんですね。海外ではこれは当たり前になってきているんですけれども、それだけのものが引き出せるわけですから、ぜひとも、この人件費の抑制とともに、この辺のことは検討してもらいたいと思います。
 その上で、最初、冒頭もいいました、大学というのは学生のためにあるんだけれども、東京都の場合は、これは都民の税金を使っているというところが大きなポイントになっているんだと。
 私の地元八王子、都立大学があります。八王子の地元の市民の話題にも、この都立大学というのは私たちの税金でできているんだよねという話をよくいわれます。どのくらい今お金がかかっているんですかとよく聞かれるんです。そういう中で、私は、きちっと、都民も、税金をこれだけ使っているけれども、でもこれだけのものを都立大学がやってくれるんだというのであれば納得をしてくれると思うんです。新しい大学であっても、都民の税金を使っているけれども、これだけのものを目指していきますよということをきちっと示していけば、恐らく東京都民は納得してくれると思います。
 そこで、たとえ独立行政法人になっても、また、東京都から支出されるお金が運営費交付金という名称に変わっても、税金が使われるということは変わらないわけですから、新しい大学が都民にとってどんな意義があるのかということについて、大学管理本部長に見解を伺いたいと思います。

○山口大学管理本部長 まさしく都民の税金で運営されますので、その意義の深い大学にしていかなきゃならないというふうに思っております。
 先ほどお話ししましたように、大学の使命を大都市における人間社会の理想像の追求ということで明確にいたしまして、具体的には、都市環境の向上、それからダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築、それから活力ある長寿社会の実現ということで、三つの具体的なテーマを設定いたしました。
 また、新しい大学では、アジアの都市に共通する人口の稠密性、それに起因する都市問題に取り組むなど、大都市の大学としての現実に立脚した教育研究を行っていきたいと思っております。
 また、先ほどお話がありました単位バンク制度ですが、これは、首都圏に約二百ある大学を、それぞれその集積のメリットを生かしてやりたいと思っていまして、できれば、どこの大学を出たかではなくて、何を身につけたかを大切にしていきたいというふうに思っております。
 こうしたさまざまな取り組みをとりまして、東京全体をキャンパスとする現場重視の教育などによりまして、個性や独創性にあふれた、大都市のさまざまな場で活躍できる有為な人材がこの大学から出ていくことがまず大事だと思っております。
 先ほどお話がありました経営の観点につきましても、理事長を今度置くことによりまして、経営の視点を導入して効率的な経営体質にしてまいりたいと思っております。

○東村委員 今本部長の方から説明がありましたけれども、この三つのコンセプトですか、三つの今おっしゃったコンセプトに基づいて具体的にどのような学部を設置していくのか、これについて伺いたいと思います。

○大村参事 学部でございますが、名称はまだいずれも仮称ではございますが、都市環境の向上のコンセプトを追求する学部といたしまして都市環境学部、ダイナミックな産業構造を持つ高度な知的社会の構築を目指す学部といたしましてシステムデザイン学部、活力ある長寿社会の実現に対応した学部といたしまして保健福祉学部を設置いたします。この三つの学部に合わせまして、ベースとなる人間教育を行います都市教養学部、これを合わせた四つの学部を新大学に設置いたしまして、これまでの学問の縦割りにとらわれない、大都市東京が求める人材育成を行ってまいります。

○東村委員 大変失礼なことかもしれないんですけれども、今おっしゃってくださった、日野にシステムデザイン学部ですか、いわゆる科学技術大学ですよね。荒川に保健福祉学部、保健福祉大学ですよね。南大沢に都市環境学部、今の工学部や法学部等があるところ、こういう学部を最後設置していくという話がありました。
 どうも私は、この三つのコンセプトを聞いていて--皆さんの苦しい立場というのは非常によくわかるわけなんです。今ある資源を有効活用しなきゃいけないという、その有効活用しなきゃいけないということがまず第一義的にあるんだろうと。いろいろな教職員の問題や、ふえている学生の問題等もあるので、現在ある学部、また大学の存在を無視してなかなかつくれないんだろうなというのは本当によくわかるんですけれども、どうも何か逆算をしていって、うがった見方をするわけなんですけれども、この学部がこういう方向性ありきで逆算をしてこの大きな三つのコンセプトをつくってきたんじゃないかなと思ったりもするんです。
 ただ、それは私は、現実問題として平成十七年度にこれをやっていく上では、なかなか簡単に新たなという視点からは難しいんだろうなと思いますので、そこは皆さんのご苦労があると思いますけれども、その上で都民からのニーズということを考えさせていただくと、今東京都で何が一番不足していて、今何が一番問題になっているかといいますと、小児医療の問題なんです。小児医療という部分で、小児医療がいろいろな地域、多摩を含むいろいろな地域に展開していけない最大の原因は、小児科医がいないということなんですね。
 そういった意味で、私は、大都市東京特有のこういった問題、あともう一ついえば、東京都のいろいろな、特に今教員の問題があるわけです。質の高い教員が欲しいという、こういった問題もあるわけなんです。こういった優秀な人材を輩出するといった角度からも、私は、これからの大学、今すぐにとはいいません、平成十七年度からとはいいませんけれども、そういった都民ニーズをしっかりと踏まえた--東京都の都民の税金でつくっていく大学です、東京都の都民に還元していってあげられるような人材を輩出しなきゃいけないと思いますので、そういう質の高い教員の養成や、小児医療の担い手を育成するための検討もしていく必要があるんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大村参事 先生のご趣旨につきましては十分わかるところでございますが、現時点では、医大とか教員養成系の大学につきまして国の抑制方針がございます。そういう意味から、学部の新設ができないこととなっているところでございます。
 なお、教職課程につきましては、通常の今ある学部の中でどのような課程を設置すべきか、現在検討を進めているところでございます。
 また、医療福祉関係につきましては、仮称ではございますが、保健福祉学部を設けて、医療や福祉関係をトータルで考えるような学部をつくっていきたいと考えてございます。
 ご理解いただければと思います。

○東村委員 私はすぐやれということをいっているわけじゃなくて、これは一つの例として今いったわけであって、これからある程度独立行政法人として軌道に乗ってきたら、都民ニーズにこたえる、そういった人材輩出も考えていってもらいたいなということをいっているわけでございます。
 その上で、第一回定例会において私は、新しい大学においては、学力だけでなくて、特に都立高校なんかの高校時代に打ち込んだ分野--私は一芸入試というのは賛成しているわけじゃないんです。何でも一芸あればそれをとるという、そういうやり方は反対でありまして、今度できる新しい大学のそれぞれの学部に合ったような、そういう技術を、また能力を高校時代に磨いてきた人たち、例えばロボットコンテストでいました、優勝したような都立高校、三位になったような都立高校、またシステム情報の分野で、シスアドのいわゆる上級の資格を取ってきたようなメンバー、このようなメンバーは、新しい学部に入ってきても、そこで本当に専門性を生かして伸びていくことができるわけなんですね。そういった、高校時代にそういう能力を使って、またそういう力をつけてきたメンバーを、学力試験だけでなくてしっかり評価する入試制度を、いわゆる人材発掘型入試をやるべきだという話をしたら、AO入試という形でこの人材発掘型の入試をやっていきますというご答弁をいただきました。
 そこで、現段階において--第一回定例会ですから随分時がたちました、現段階において具体的な内容及び検討状況についてお伺いしたいと思います。

○大村参事 人材発掘型の入試につきましては、筆記試験でははかれない能力や個性に着目いたしまして、プレゼンテーションを含む面接とか課題論文の作成など、実施方法の検討を現在進めているところでございます。
 詳細につきましては、年内の早い時期に発表できるよう現在準備中でございまして、新大学の概要、これを近日中に発表させていただきますが、その中で明らかにさせていただければと思います。よろしくお願いします。

○東村委員 最後に、さっきに戻りますけれども、大学の価値というのは学生で決まると思います。ただ学力試験だけで通ってきた人じゃなくて、意欲ある人が大学をつくるということが何よりも大事だと思いますので、こういった人材型、いわゆる人材を発掘するという作業もこれから積極的に、待っているんじゃなくて、大学側の方から積極的に人材を発掘するという働きかけをやっていただいて、本当にすばらしい新しい大学をつくっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

○清水委員 私からも大学改革についてお伺いいたします。
 十三年の十一月に発表された大学改革大綱は、石原知事の署名入りで、日本の大学が社会に対して閉鎖的であり、教育研究のあり方が問われている今日、大胆な改革を早急に行う必要がある、それで再構築するんだ、都立としての特色を十分に発揮し、都民の皆さんの期待にこたえていくことを確信していますということで、石原知事が署名をしてこの大綱を出されたわけです。この大綱は十二年から審議をされてきてまとめられたんですけれども、それでは、この大綱をまとめるまでに何回ぐらい、どういうメンバーで行われてきたのか、お伺いしたいと思います。

○大村参事 大綱を発表する前に、東京都として、平成十三年二月に東京都大学改革基本方針を策定いたしました。その後、東京都大学運営諮問会議というものを、学識経験者や企業経営者、その他専門家の方を入れて設置いたしまして、平成十三年七月二日から五回にわたってこの諮問会議で検討していただいて、この大学改革大綱の取りまとめを行ってきたところでございます。

○清水委員 それはもちろん大学管理本部が事務局になっていたわけですよね。

○大村参事 平成十三年の七月に大学管理本部が設置されまして、そこで大学管理本部の方で事務局を務めさせていただいております。

○清水委員 それでは、この大綱が発表されて以来、十四年度には具体的な準備がされていたようですけれども、これはどういう仕組みで、どんな方が入って、何回ぐらい行われてきたのか、お伺いしたいと思います。

○大村参事 平成十四年の五月に都立新大学設立準備委員会というのを設けまして、これは東京都教育長をトップに各大学の学長などが入った委員会でございますが、そのもとに教員の方を入れた委員会、部会などを設置してこれを検討してまいりました。

○清水委員 これにも大学管理本部は事務局として入っているわけですね。

○大村参事 この準備委員会の事務局は大学管理本部でございます。

○清水委員 先ほどから、きょういただいた資料に沿って、人文学部の進路状況などの話題が問題にされておりましたけれども、この大学改革大綱の議論の中で、それからこの間の具体的な準備の中で、人文学部の進路状況というのがどのように議論されてきていたのでしょうか。

○大村参事 十四年度の準備状況の中では、このような進路状況その他については細かく検討されてきてはございませんでした。

○清水委員 それでは、改革大綱の中では、これをまとめるに当たっていろいろ皆さん意見をいうわけですけれども、専門家の方とか、そういう方からとか、また管理本部から、そういうご認識で問題を提起されてきたのかどうか、お伺いしたいと思います。

○大村参事 基本方針及び改革大綱をまとめる中で、一般論として、社会に役立つ人材育成をしていこうというふうなことでやってまいりました。それをどうしていくということは、まだ十四年度の段階では具体的な部分が出てきていないところでございます。

○清水委員 今のお話を聞きますと、人文学部の進路が決まってないことが、教員と学生とが希薄であるとかそういうようなことが、今まで二年間かけてきて全くいわれて--全くとはいいませんけれども、そういうことが焦点として問題にされていない中で、どうして今になって、今日になってそういうことがいえるというのか。
 今現在の認識として、大学管理本部の認識として、人文学部の進路状況というのはどういうふうに認識されているんですか。

○大村参事 いろいろ大学改革を検討する中で、学生の教育というのが一番大事でございます。それは、教育をするだけではなく、その後社会にどう出していくかというのが重要になってきている中で、学生の就職の問題、進路の状況というのは、非常に社会の関心も高く、これは重要な問題でございます。
 そういうふうな中で、今回改めていろいろ調べますと、どうも進路が把握されていない、結果としてどのような就職をされているかとか、そういうふうなことはあるかと思いますけれども、実際として、先生方の中に学生の進路に対する希薄な状況というのが明らかになったところでございますので、これについては新しい大学の構想の中では改めていく、そういう設計をしたいというふうに考えてございます。

○清水委員 私も、このままの状態でいいとか、そういうことをいっているわけではないんです。しかし、資料の中で、では他の大学がどうなのかということをいただいていませんから、これを、都立大学だけがそうなのかということは比較はできないわけですよ。いろいろと問題があるでしょう。人文学部の行く先がどうなのか、受け入れ先がどうなのかというようなこともある中で、そういう結論を下すということは、それで、今までの中で議論をされてない中で、そういう結論を下して方向性を見出していくというのは、結論先にありきで方向をつくっているように私は思えてなりません。
 それでは伺いますけれども、十四年に具体的な準備がされてきておりますけれども、どういう内容の準備がされてきたのか。先ほど、会議の回数とか、それにかかわってきた方のメンバーはご報告いただいたんですけれども、どういう内容がどこまで進んでいたのか、お伺いしたいと思います。

○大村参事 先ほど、十四年五月に設けました新大学設立準備委員会につきましては四回開催してございます。また、そのもとの企画調整委員会というのがございますが、これについては十三回開催しておりまして、その他の委員会、部会は随時開催をされてきてございます。
 また、この構想の具体化を図る段階でいろいろな検討をしてきたものについては、教養課程で広く学ぶためのシステムであるとか、専門課程における個々の授業の内容、学力試験でははかれない能力や個性に着目して学生を受け入れる多様な入試、キャンパス間ネットワークなどについての検討を進めて、十四年度については検討を進めてきたところでございます。

○清水委員 文部省に提出をする書類の作成準備というのは進んでいたのでしょうか。

○大村参事 文部省に提出する書類自体は今作成を準備しているところでございまして、十四年度については、それの前にもっとベースになるようなものについてをつくっていたところでございます。その部分については、一部今年度の新しい検討の中でも生かされる部分もございますし、見直しを図っている部分もございます。
 いずれにしましても、文部省に提出する書類そのものは十四年度にはつくってございません。

○清水委員 それでは、十三年度から十四年度、そういう段階を経て審議をされてきて、準備をされてきて、そういう作業が進んでいたにもかかわらず、今回の別の提案となったわけです。既存大学四大学の廃止、新大学設立となった理由をお伺いいたします。

○大村参事 この間、工業等制限法の廃止あるいは学校教育法の改正など、社会のいろいろな動向がありまして、都立の大学をめぐる状況も大きく変わってまいりました。それらを踏まえた検討をもう一回する必要があるということで、十三年二月の改革の基本方針、また改革大綱の精神に戻ってもう一回どうだろうというふうな検討を今回することになったものでございまして、まるっきり今までの大綱やなんかと違う検討をしているということではございません。時代に合わせた変更を今回行ったものでございます。

○清水委員 私は、とんでもないむちゃくちゃなやり方だというふうに思います。そういう理由で、二年間積み上げてきたものを乱暴なやり方でほごにしていいのかという問題です。今ご説明がありました、幾つかの理由はいわれましたけれども、それは大学の中身に関する本質的な問題ではないというふうに思うわけです。
 例えば、今いわれました工業制限法の廃止とか、それから、新大学の構想の中では知的財産基本法の制定などに対応するというものなんですけれども、これらの状況の変化というのは、確かに法律としては十四年、十五年に決まったものだと思いますけれども、突然出されてきたものではなくて、それまでもいろいろなところで予想されてきたものではないんですか。

○大村参事 当然、工業等制限法などは、その前から東京都を中心に廃止をお願いしていた中で出てまいったものでございます。
 この間、キャンパス配置につきましては、大綱では、日野のキャンパスあるいは荒川のキャンパスとあわせまして南大沢のキャンパス、いずれも学部、研究科も通していろいろ設置をしようという形で大綱の中では書かれております。
 ところが、十四年の検討の中では、むしろ南大沢に集中するという検討が先生たちの検討の中で進んできているところでございます。工業等制限法の廃止に伴いまして、一般の大学ではどんどん都心キャンパスを展開するという時代が進んでいる中で、実際にはそれと逆行する検討がされてきたのではないかというふうに思われる部分もございますので、今回改めて見まして、都心方向のキャンパス展開も含めまして見直させていただいたところでございます。

○清水委員 人ごとみたいにいわれていますけれども、改革大綱をつくるのも、準備段階も管理本部が入っていたんじゃないですか。それをどうしてそう人ごとみたいにいうんですか。自分たちの責任じゃないですか、それは。工業制限法ができるとか知的財産基本法ができるとか、そういう問題だって提起していかなきゃいけないじゃないですか。
 それで、知的財産基本法なんかも、できたばかりですけれども、今までだってかねてからいわれてきているものなわけですよ。地方独立法人法もかなり前からいわれてきたもので、法律の制定や規制緩和というものは突然出てきたものではないわけです。そういうことを管理本部の責任としてこの間いってこなかったんですか。そして、そういうふうに方向として、議論としてなってこなかったんですか。

○大村参事 工業等制限法も、当然、東京都が要望して廃止をしていただいた部分でございますから、これについては、都の意思としては、工場だけではなくて、大学も含めた都心展開が今後できるということは当然わかっていたところでございます。そういうのもあわせまして今回改めて見直したものでございまして、時期的に遅かったかどうかというふうなご指摘はあろうかと思いますけれども、改めましていろいろな見直しを行って、東京全体をキャンパスとする新しい大学のコンセプトを出してきたところでございます。
 また、知的財産基本法では、知的財産を活用して産業の競争力を強化するということが、特に最近産業の空洞化などが激しくなってきてございますので、そういう部分が重要になってきてございます。そういうことで、改めましてそういうふうなものを踏まえた検討が必要になってきているというふうに考えてございます。

○清水委員 私は、今までの管理本部のかかわり方のことを今いったわけなんです。
 それで、では、新しい新大学の構想に対して、大綱にかかわってきた大学の関係者が入っておりません。それはなぜか。私はどうしてもそれは理解できない。どうしてそういうやり方になったのか、お伺いしたいと思います。

○大村参事 今回の新構想をつくるに当たりましては、大学運営諮問会議のもとに専門委員会を設けまして、学識経験者の方たちに検討していただきました。その中には、都立大学の総長を務められた方や都立の科学技術大学の学長を務めた先生も含めまして、これらの取りまとめに当たっては検討をいただいたものでございまして、これらはベースになるコンセプトの部分でございますから、個々の先生が参加するという、いわばそういう大きな専門的な部分、運営諮問会議の段階で見ていただき、そしてこれを発表したところでございます。
 そして、現在準備体制に入りまして、これにつきましては、関係する先生全部に、参加してカリキュラムをつくってくださいということで今お願いをしまして、それに参加する同意を出してくださいということで同意書提出をお願いしていますが、残念ながら、ちょっとご協力いただいていない先生もございますけれども、これからは、平たい言葉でいえば、先生方全員参加で新しい大学のカリキュラムなどの設計に入っていくという形でございます。

○清水委員 先ほども他の委員が、きょうの朝日新聞の記事を示していわれていましたけれども、今ご説明があったやり方、今総長までが批判の声明を出すというようなことの中で、なぜそういうことが起こるのか。週刊誌でも、自治を原則としてきた大学の改革で、どうしてここまで高圧的な進め方ができるのかというふうに書かれているわけですよ。
 それで、先ほど新聞の記事を紹介されました。やはり異常なやり方だと思うんですよ。改革をするというのは、今までの四大学の学生や教職員や代表者なども、皆さんそういう方向でほぼ、いろいろ意見はあるでしょうけれども、まとまって、大体そういう方向で進んできた、それがことしの七月まで進んできて、それで八月一日の突然の新しい大学と発表、そういう突然のやり方に対して、まず関係者から声が上がっているわけですよ。大学という、民主主義を最も大切にしなければならないそういう場所でこういうようなことが行われて、新聞報道、週刊誌の恥ずべき報道にもなっているわけで、一連の手続というのは、設置者権限を大きく逸脱し、大学関係者内外から厳しい批判が寄せられております。そして、異例にも都立大学の総長まで都のやり方を厳しく批判する声明も出しております。
 また、前回の文教委員会でも、議会の側からも、再三説明するといっていた、おかしいではないかというような声も出されておりました。
 それでは、予定されている新大学は、新しくつくるといっても、現行四大学の教員組織や施設設備をもとに他の大学を設置するものだというふうに思うわけです。ゼロから出発するわけではないと思うわけですが、きちんと大学関係者の意見、教授会、評議員会などの意見は聞いているのかどうか、お伺いします。

○大村参事 今回の新しい大学につきましては、これは今までの四つの大学を廃止して新しい大学をつくるという、これは大学行政上の考え方でございまして、今四つの大学の設置条例がございますが、これについては廃止をするということで、都議会のご議決をいずれいただくというふうに考えてございます。そして新しい大学を設置するという考え方でやってございます。
 これにつきましては、新しい大学でございますので、普通の私立大学ですと、建学者、創立者がいて、その建学の精神があるところでございますが、公立大学でございますので、特定、個人の設立者がいるわけではございませんが、今回、新しい大学のコンセプト、構想を取りまとめましたので、それを一つ一つのコンセプトにいたしまして、そのもとで専門家の方を中心に検討していただく内容をもとに現在設計をしているところでございます。そういう中で、さらに個々の教員の方を含めた全員体制で詳細設計に諮っていただくというふうなことを考えてございますので、問題なく進んでいるというふうに考えてございます。

○清水委員 評議会の意見というのはきちんと聞いているんでしょうか。

○大村参事 新しい大学をつくるところでございますので、個々の評議会の意見というのを聞いているわけではございません。
 なお、都立の大学は四つございますけれども、ほかの大学の、評議会はなくて教授会というのがございますけれども、個々の教授会では賛意を示していただいています。そういうふうな意味では、個々のご意見は聞いているわけではございませんが、非常に賛意を示していただいている教授会もございますし、そういう意味では問題なくやっているというふうに考えてございます。

○清水委員 ほかの大学というのは--都立大学の評議会のことだと思うんですけれども、それでは、都立大学の評議会はどういうふうになっているんですか。

○大村参事 八月一日の構想を発表いたしましたときに、四つの大学の総長先生、学長先生に集まっていただきまして、それぞれの大学でこの構想を説明してくださいというふうなことをいたしました。それに基づきまして各大学でご説明をいただいているというふうなことでございますので、それに対してそれぞれいろいろなご意見があろうかと思いますけれども、この構想は、設置者としてこれで進めよう、それをもとに、では具体的にはどうしようというのは皆さんに参加していただこうということで今進んでいるところでございます。

○清水委員 評議会というのを非常にあいまいにしているというふうに私は思います。評議会というのは、学校教育法五十九条に基づいた教授会、また評議会ということで、法令に基づいているわけですけれども、その五条一項、六条一項、九条一項には、学長及び教員の転任、降任、免職、懲戒の審査ということで、今回の場合、新しい大学をつくるといっても、今までの大学の教員などが入ってきたりやめたりとかいうことになるわけで、それはやはりここにかかわってくることではないんですか。それがどうして評議会が賛同をしなくて進められるというんですか。

○大村参事 都立大学そのものをマイナーチェンジしたりする、学部構成の変更などについては都立大学の評議会事項であるということは間違いございませんが、今回、四つの大学を廃止して新しい大学をつくるということでございます。法文の関係条文などを読みますと、大学の廃止は教授会及び評議会の審議事項として明文化されてございませんし、また、審議事項として定められている運営に関する事項にも該当しないというふうに考えてございまして、廃止は設置者の権限で、廃止条例については都議会のご議決をいただく議決事項というふうに考えてございます。

○清水委員 明記されていなくても、重要事項を審議するというのが評議会であるわけですよ。これ以上の重要な事項ってないじゃないですか。
 それで、今設置者権限といわれましたけれども、確かにそのとおりです。しかし、社会的に実績を有している大学を一方的に廃止する権限が設置者に与えられているものではないというふうに私は思うわけです。
 それではお伺いいたします。別のことをお伺いいたしますが、この大学改革大綱の中では、基礎教育、教養教育についてはどういう議論がされてきたのでしょうか。

○大村参事 大綱の中では、基礎教育、教養教育について重視をしていこうというふうな中で書かれてございます。今回の新しい大学でも、都市教養という部分で、現代都市の中で生きていくのに必要な基礎教育、教養教育については非常に重視をしていこうというふうに考えてございます。

○清水委員 七月の準備の中では、今いわれたように、教養教育とか外国語教育に力を入れるカリキュラムが準備されたと聞いております。そのために、いろいろ多いとかいわれておりますけれども、教員配置なども検討されていたというふうに聞いております。
 しかし、今回の構想では、教養教育の中心を担うのが人文系の教員だというふうに思うわけです。そこがきちんと配置されずに、教養教育、基礎教育がどうなるのかという意見が出ております。
 また、外国語を必修から外し、外国語教員は定数外というようなことになっているわけですけれども、この大綱の中でも外国語の教育を一層重視するというようなことがうたわれておりますけれども、どのようにお考えでしょうか。

○大村参事 この新しい都市教養は、人文関係だけではなくて、いろいろな学部の先生方からいろいろな科目を提供していただこうというふうに考えてございます。
 それから、語学につきましては、これは卒業するのに必要な要件であるというふうには考えてございます。ただ、これはスキルでございますので、帰国子女であるとか留学生であるとか、既に語学能力を持っている方もたくさんいるわけでございまして、これを必修にするということについては、これはとらないというふうに考えてございます。
 また、そういうスキルでございますので、必ずしも大学の教員が直接教えるだけでなく、既に幾つかの大学では、語学の外部のベルリッツとか、そういった機関に委託をしてそういう語学研修などを行うというふうなことも進んでおります。そういう意味では、語学教育、重視をしますけれども、それが定数にすぐ結びつくというものではございません。
 なお、語学教員も含めた定数については現在検討中でございます。

○清水委員 都立大の総長のこの声明の中には、基礎教育、教養教育について、充実の問題について厳しくいわれているわけですよ。特に語学教育及び情報教育、基礎ゼミ、課題プログラムなどに関して、自分たちは準備段階で何回もの審議を経て検討を深めてきた実績があるというようなことで指摘をしているわけですよ。
 ですから、今都市教養とかいわれましたけれども、これは、教養教育を重視した学部教育の構築ということで、これまでの改革の大綱の中でも非常に重視して取り上げられているところなわけです。ですから、これを、そういう議論の積み重ねを抜きに新しい基礎教育、情報教育、外国語教育というようなことが一体どういうふうになっていくのかということが批判をされているわけです。
 これまでにも、経済界などからも、また国際的な潮流の中でも、大学教育をめぐって、十分な教養教育ということがいわれてきたわけです。外国語、外国文化についても十分な教育が求められてきているというふうにいわれているわけです。そういう中で、人文学系の教員を削減するということが先にあって、そしてその後からこういう問題が出されてくるということに私は非常に異議を覚えますし、それは削減するかとかそういう問題ではなくて、教職員の問題ではなくて--だって、今までだってずっと、そういう教育を重視するんだということで教員はどうするかということで議論されてきたわけですから、先ほどからいわれている問題として、学生に対してどういう教育をするかということを先行して新大学というのは議論されていく必要があるのではというふうに思うわけです。
 次に、大学院生というのはどうなるのか。新大学構想では大学院構想が位置づけられていませんけれども、大きな不安を与えておりますが、どのようにお考えになっているんでしょうか。

○大村参事 新構想は、まさに先生おっしゃる教養教育を重視しようということでつくられておりまして、ですから都市教養学部というふうなことになってございます。従来の検討の中では、縦割りの細かい学部、学科、専攻というふうな形で分かれて、細かい部分で学ぶことになっていますが、現代のいろいろな問題については学際的に起きています。そういう意味では、新しい学部の中ではなるべく幅広く学べるような仕組みにしている、そういうふうなところが今回の新しい特徴となる教養教育だというふうに考えてございます。
 それに向けてまさに教養が重視される、語学も含めまして、語学は能力でございますから、これはまさに必要な能力をどうやって身につけるかということでございますので、これはもうできている人については、その単位を別の勉強に充てる方がいいであろう。また、語学を効率的に勉強するには、むしろそういう外部の外国の方なんかがいる専門学校や何かからの委託も含めたあらゆるいろいろな手段を考えなければいけない。まず教員定数ありきではなくて、学生教育をどうするかということで今回設計を進めさせていただいてございます。
 そういうふうな意味で、まず学部教育を今充実させようということでの設計に入ってございまして、大学院については、現在、その次の問題というふうなことで検討をしているところでございます。
 なお、現在いる学部生、大学院生については、現在のカリキュラムは全部保障するということでございますので、現在いらっしゃる学部生、大学院生の方については、卒業するまでちゃんとカリキュラムを保障ということで、ご心配に及ばないというふうに考えてございます。

○清水委員 新しい教養を、基礎教育をつくるというお考えが示されましたけれども、しかし、先ほど私読み上げましたけれども、今までのこの充実するんだという改革大綱の中でも、その準備の中で何回も議論を重ねてきた、そういう経過があるわけですよ。それを今回の新大学の中では、それこそ四大学の学長さんを入れないで、そのほかの方が新しくつくってそういう考えを示した、それに対して、これでは本当に基礎教育、教養教育ができるだろうかというふうな疑問を持つのは当然だというふうに思うわけですね。
 それで、今大学院生の問題をお答えいただきましたけれども、都立大や科学技術大学に在籍する学生たちは、大学院に進学する生徒が、先ほどの資料で非常に多いわけです、学部によっては。新しい大学を構想するには、学部や大学院どうするかという検討を一緒に進めるべきだというふうに思うわけです。確かに、現在在籍中のということはお答えいただいているわけですけれども、大学院の構成について協議もきちんと同時にする必要があると思いますが、どうでしょうか。

○大村参事 大学は、まず学部でどういう教育をするかというのを決めるのが先でございます。そういう意味で、その上にどういう大学院を乗っけるかというのは現在引き続き検討しているところでございます。これについてはそれぞれ現在検討しているところでございますので、検討ができ次第、発表させていただきたいと存じます。
 なお、先ほど人文学部の就職率、全国の状況が不明であるという中でのご議論ができないということでございましたが、先日、文教委員会の資料で、全国の資料ということでございまして、(清水委員「聞いてないですよ、私は」と呼ぶ)全国の就職率は人文学系は五三%、未把握率が--ほとんど九割以上の把握をしてございまして、都立大の人文学部とはちょっと違う状況でございます。

○清水委員 十七年度開校といっているが、どういうテンポで、段取りで進めていくご計画なのか。

○大村参事 十七年度に大学を開校するということになりますと、十六年四月、来年の四月に文部科学省に正式に設置の認可申請をする予定でございます。
 その事前段階といたしまして、一つは、この秋、今大至急検討しているところでございますけれども、どういう大学になってどういう入試があるかというふうなことを、受験生の方とか進路指導の先生や保護者の方にわかるような形のものを今早急に取りまとめているところでございます。
 また、文部科学省に申請するための事前申請のいろいろな書類、中身などについて、今各大学の先生たち、全員参加をお願いして進めているところでございます。ここにきて、一部の分野ではちょっといまだに成果が上がってこない分野もございますけれども、これらについては、そういうことで、各大学の教員の皆さんの参加を得て早急に進めているところでございます。

○清水委員 いずれにしても、私は、この間のやり方というのは、マスコミなどに書かれているように、トップダウンのやり方で、積み上げてきたものをなし崩しにして、学問、研究の府である大学の改革に非常にふさわしくないやり方だというふうに思うわけです。だから、総長の声明で、いうまでもなく、新大学の設立に反対なのではない、重要なことは、大学及びその構成員と都管理本部の間で自由濶達に議論が行われ、合意形成への丁寧な努力が重ねられることであると考える、そうしてこそ豊かな英知を結集することが可能であり、時代と社会の要請にこたえる新大学ができると思うというふうにいっているわけですけれども、ここに書かれているように、そういうやり方をすることこそ、今の新しい大学をつくっていく、都立の大学をつくっていく、そういう方向が求められているというふうに思うわけです。
 そういう意味では、新大学のトップダウンで行われた構想を撤回し、再検討を求めて、質問を終わります。

○前島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、分科会委員長において取りまとめの上、委員会委員長に提出しますので、よろしくご了承のほどをお願いいたします。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後五時三分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る