各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成十五年十月二十二日(水曜日)
第十一委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 九名
副委員長野田 和男君
副委員長河西のぶみ君
北城 貞治君
長橋 桂一君
野上じゅん子君
松村 友昭君
大河原雅子君
立石 晴康君
藤川 隆則君

欠席委員 一名

 出席説明員
知事本部本部長前川 燿男君
儀典長伊藤  誠君
次長只腰 憲久君
企画調整部長高橋 道晴君
秘書部長松田 二郎君
政策部長三枝 修一君
政策担当部長河島  均君
参事野口 宏幸君
参事新行内孝男君
参事岩井 壯三君
首都調査担当部長関口 栄一君
自治制度改革推進担当部長平田  章君
国際共同事業担当部長斉藤 一美君
治安対策担当部長久保  大君
参事高嶋  明君
議会局局長岡田 重信君
管理部長稲熊 明孝君
議事部長谷村  隆君
参事花田貢市郎君
選挙管理委員会事務局局長押切 重洋君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  知事本部関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  議会局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  選挙管理委員会事務局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○野田副委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 串田委員長から、所用のため、本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。
 委員会条例第十条第一項の規定により、私が委員長の職務を代行させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○野田副委員長 本日は、知事本部、議会局及び選挙管理委員会事務局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより知事本部関係に入ります。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 野澤国政広域連携担当部長は、公務出張のため、本日の委員会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 それでは、決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、知事本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋企画調整部長 去る十月八日の当分科会におきまして要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元に、平成十四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をお配りしてございます。
 表紙をおめくりください。まず、資料第1号の平成十四年度重要施策の決算状況についてでございます。
 表の左側の網かけの欄に、一番上の、環境を改善し、都民の生命の危機を回避するを初めとしまして、六つの政策課題と、そのおのおのの内訳として、自動車公害や有害化学物質から都民を守るを初めとする二十二の重要施策につきまして、平成十四年度の予算額、決算額、差引額及び執行率を掲載してございます。
 最下段の合計欄をごらんください。平成十四年度予算は三千九百四十八億余円、決算額は三千四百二十五億余円、執行率は八六・八%となっております。
 一枚おめくりください。次に、資料第2号の東京構想二〇〇〇、三カ年推進プランの決算状況についてであります。
 表の左側の欄に一番上の、職住近接の推進を初めとする二十三の事業を記載し、それぞれにつきまして、平成十四年度の予算額、決算額、差引額及び執行率を掲載してございます。
 最下段の合計欄をごらんください。全事業合計の平成十四年度予算額は三千八百八十九億余円、決算額は三千三百十三億余円、執行率は八五・二%となっております。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○野田副委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○立石委員 平成十四年度決算説明書の一三ページ、米国における危機管理調査委託等について質問いたします。
 最近、ビンラディンは生きているのか死んでいるのかわかりませんが、報道によれば、非常に物騒な、日本も含む--日本も含むということは東京も含むわけでありますし、ご承知のとおりの拉致問題、大変な事件が起きているわけでございます。この間、臨海の不審船もたまたま機会があって視察しましたが、こんな物騒なもので日本海に出没しておるのかと。過日、敦賀に行ってタクシーに乗ったとき、女性のドライバーが、我々は、日没後には浜に寄るなと親からしょっちゅういわれていた。そんな話を聞くたびに、本当に危険な、厳しい状況になってきたんだなということを改めて感じました。
 ここで、米国における危機管理調査の委託をされましたこと、目的は当然わかるわけでありますが、改めて目的と結果、どうなったか、一点だけ質問させていただきます。

○高橋企画調整部長 十四年度に実施いたしました米国における危機管理調査でございますが、大都市の危機管理体制をつくるためには、七都県市など、首都圏全体の体制を確立、強化していく必要がございます。このための調査でございます。
 この調査におきましては、アメリカ大都市圏におきます危機管理の広域協力体制、九・一一事件における危機管理の教訓、アメリカの危機管理における官民の協力体制などにつきまして、さまざまな角度から情報収集を行い、七都県市の危機管理体制の強化に向けた取り組みを進めるための基礎資料といたしました。
 その後、この調査結果を踏まえまして、平成十四年十一月の七都県市首脳会議において七都県市広域防災危機管理対策会議を設置することに合意いたしまして、首都圏における防災危機管理上の課題について共同での取り組みを始めることにいたしました。
 なお、共同の事務局は、十四年、去年の十二月に東京都に設置いたしまして、現在は、総務局の危機管理監のもとで、統括的に運営されております。

○立石委員 わかりました。
 次に、都市外交の推進という、一五ページについてご質問いたします。
 いわゆるCLAIR、財団法人自治体国際化協会分担金、四億一千万円、このことについて質問させていただきます。
 我々、都議会等で海外に出たときに、大変お世話になった経験があります。シンガポールに、調査団を都議会でつくりまして、私も参加させていただきましたが、その際にも、CLAIRの皆さんが大変熱心に資料の提供やら、いろいろとアドバイスいただいて、大変勉強になったということで、感謝をいたしております。大変興味を持っておりますし、今まさに時代は不況とはいえ世界第二位の経済大国であります我が国、そしてまた、東京のリーディングシティーとしての大変な役割を思うときに、CLAIRの分担金、四億一千万は大変な価値あるものだと私は評価しながら、幾つか質問したいと思うんですが、まず初めに、財源、原資、団体の活動の内容、改めてお伺いさせていただきたいと思います。

○松田秘書部長 財団法人自治体国際化協会、通称CLAIRでございます。この分担金は、年末ジャンボ宝くじの一部として売られております国際交流推進宝くじ、百億円でございます。このうち、都の売上実績に相当する分の収益金が都に収入として入ってまいります。これと同額を、CLAIRに分担金として支出する仕組みとなっております。これが十四年度決算で四億一千万となっているわけでございます。
 また、CLAIRは、国際化の推進を目的とする地方自治体の共同組織として昭和六十三年に設立されました財団法人でございまして、全国知事会の会長がCLAIRの会長となっております。東京に本部を置きまして、ニューヨークなど、世界の主要都市に海外事務所を持っております。
 活動内容でございますが、地方自治体の国際交流、海外活動、情報収集、調査活動に対する支援などでございます。このほか、JETプログラム、これは語学指導を行う外国青年の招致事業でございますが、こういった事業、さらに地域の国際化を担う人材育成のための研修事業なども行っております。

○立石委員 年末の例のジャンボ宝くじ、買ったことないんですけど、あれがそういう有効なものに利用されているということで、大変価値あるものだと思っております。
 自治体が連携してということでありますけれども、四十七の都道府県のほかにも、市も入るんですか。ちょっとよくわからないので。

○松田秘書部長 CLAIRにつきましては、四十七都道府県のほかに十三の政令指定都市が、それぞれ支部ということで入っております。

○立石委員 そうしますと、四十七と十三の政令指定都市の皆さんが、市長さんなり、知事さんなり、役所の皆さんが、あるいは議会の皆さんが、調査研究に、あるいは情報収集に海外に、その都市に出るときに限って情報収集することができる、そういうことですか。

○松田秘書部長 CLAIRでは、それぞれの地方公共団体が海外に出張して調査する以外にも、日常的に海外の情報を収集して、各参加団体に提供しております。また、国内の各地方公共団体の事業についても海外の方に広く広報している、こういうこともやっております。

○立石委員 そうすると、三千余の地方自治体が、いろいろな意味で情報をそこから収集することができるわけですね。非常にありがたいことだと思いますし、二十一世紀はいうまでもなく都市の時代だと。もはや人の殺し合いをして、二十世紀が戦争と俗にいう国家の時代にかわって、二十一世紀はいよいよ都市の時代だとよくいわれるわけでありますけれども、さらに充実されるべきだと私は思っておりますけれども、CLAIRは、一体世界じゅうの各都市にあるんでしょうか。どこに事務所があるのか、どの辺をカバーして収集する能力があるのか、ちょっと教えてください。

○松田秘書部長 CLAIRには、ニューヨーク、ロンドン、パリ、シンガポール、ソウル、シドニー、北京の七カ所に海外事務所がございます。そこを基点にいたしまして、さまざまな活動を展開しております。

○立石委員 七カ所ということで、意外に名前よりも小さいなという気もするんですけれども、もう少し有効に--私、たまたまニューヨークの東京事務所を最後に閉めるときに、つまり、その後に例の大事件が起きたわけでありますけれども、東京事務所を閉めるのはもったいないと思いながら、しかし、知事のご方針で、結果においてよかったなと判断しているわけでありますけれども、さはさりながら、先ほど申しましたように、都市間競争、都市間外交というか、そういうような時代にいよいよ二十一世紀がなったときに、お互いに長短を比較しながら学ぶ。若い、新しい、新興の都市に学ぶものも山のようにある。同時に、古い、完成した先進諸都市に山のように学ぶものもある。そういう意味においても、これからさらに、七つだけじゃ少ないなというのが私の実感なんですが、都として、知事本部として、ご担当としてご感想を。

○松田秘書部長 海外事務所につきましては、その効果からいって、できるだけ多いということは確かに価値がございます。しかしながら、CLAIRの組織運営などの動向もございますので、その辺を見きわめつつ、対処してまいりたいと思います。

○立石委員 部長の非常に形式的なご答弁で、はい、わかりましたという気持ちと同時に、希望もあって、これから宝くじをじゃんじゃん売って、財源をつくって--非常に大事なことだと思います。私は、結構海外に出る機会があって、私のところは中央区でございますので、名橋日本橋の上の高速道路が非常にうっとうしい。鉄とコンクリートでできている。やがて耐用年数が来る。同じもので復旧したら、それはあほだと。言葉は悪いですが、それはもう本当にナンセンスだという気持ちがいたしました。
 そこで、ニューヨークのCLAIRの事務所に聞いて、ボストンのローガン空港から七キロ、市心に至るハイウエーを撤去いたしまして、地下化して、二〇〇四年ですから、来年でき上がるはずですが、大変なお金がかかっていますが、いろいろな資料をもらいました。大変役に立ちました。
 それから、知事がよくいうシンガポールの港湾、あるいはERP、シンガポールではエレクトリック・ロード・プライシングといっていますけれども、これも視察団で行ったときに大変勉強になった。よくよく聞いて調べてみると、ほとんど日本の製品がよく使われているんですね。都市の大きさは比較になりませんけれども……。そういう意味で、たくさん学ぶべきものがある。いろいろな国にですね。そういう意味でどんどんこれからも充実していってほしいなと。
 同時に、東京都の方が何人ぐらいCLAIRに出向して、勉強されているというか、情報収集されておりますか。また、その募集の方法、都庁の中でどんなようにされておるのか、当該年度の状況を少し教えていただけたらありがたいと思います。

○松田秘書部長 東京都からCLAIRの事務所には、ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの三つの事務所に職員を派遣しております。このほかに東京に本部がございますが、そこの本部に三人派遣しております。
 これらの職員につきましては、二年から三年という派遣期間、研修期間になっております。ちょうど交代の時期になりますと、庁内に公募という形で声をかけて、応募された中から何人か面接して決めて、派遣する、こういう手続になっております。

○立石委員 人材育成ということはすごく大事だと思います。そういう意味で、広く--もちろん都庁の中におっても、大きな人材は育っていくわけでありますけれども、また、視点を変えて、東京という都市を離れて、外から東京を見るということの意味は非常に大きいと思います。そういう意味においても、職員の皆さんがかなり積極的に、もし応募しておられるとすれば、四億一千万、分担金というのか、負担金というのか、払っているわけですから、積極的に東京都も発言すべきだと思いますが、この点はどうですか。

○松田秘書部長 東京都も、私どもの秘書部の外務課が協会のCLAIRの支部になっております。私も理事という肩書がございますので、理事会などでさまざまな要望を出しているところでございます。

○立石委員 帰国後、職員の皆さんがどんなお仕事で--まあこれは有形無形で何の効果があって、どうのということではないかと思いますが、もちろん非常に多くの見識をさらに深められたというふうに私は理解しておりますけれども、三カ所で三人程度ですね、結局、海外に出られます方は。昭和六十三年から始まったとすれば、かなり大勢の方がいろいろな方面で勉強されておられると思いますけれども、そんなに遠い先じゃなくて、当該年度の皆さんはどんなお仕事についておられるか、ちょっと教えていただきたいと思います。
 具体的に、先ほどちょっと申しました、ボストンでハイウエーの地下化をした。これは高架式のものを地下化した。しかも、フラットな部分--ボストンは、ご承知のとおり、アメリカ史の始まりですから、大変歴史的建造物の多いところです。それを地下化したわけです。しかも、そこの平面をグリーンにしたんですね。しているんです。交通渋滞を解消させようということですから。日本の首都高の日本橋の上を走る、あの部分とは多分、十二、三年の差だったと思います。十二、三年、アメリカの方が古いんです。そういうようなことを考えても、大変役に立つ。
 シンガポールにいらっしゃった方、ニューヨークにいらっしゃった方、ロンドンにいらっしゃった方は、今どんなお仕事についておられるのか。名前はいいですけど、僕が納得するかどうか、ちょっと聞かせてください。

○松田秘書部長 CLAIRの事務所から最近戻っております職員につきましては、ロンドンの事務所次長につきましては産業労働局の観光部に戻っております。また、シンガポールの職員につきましても同じく産業労働局観光部の方に戻っております。そのほか、ニューヨークの事務所から戻った者は知事本部の私の秘書部の方に配属されておりまして、それぞれ経験を生かしながら仕事を進めております。特に観光関係では、東京のシティーセールスという新しい業務などについて、その経験を生かしております。

○立石委員 そういう結果を聞いて、非常に時宜を得た人事だと思いますし、いろいろなことを勉強されることが広い意味で役に立つわけです。
 私は、何をいいたいのかというと、最近、都庁の中で、職員が非常に一生懸命やっているという評価をしながらも、輝いていない人がいる。それは、やっぱり世の中どんどんバーチャルの世界になっていくに従って、人間の顔が見えてこない。私は、十四年度の決算を見て、これだけ四億一千万もお金を使っていらっしゃる。いい意味で、有効活用して、職員の皆さんの活性化に努めてほしいなという気がします。優秀な、難しい試験を受けて、入ってくるわけです。そういう人たちが、リアル、バーチャル、その世界での意気込みがないですね。議員のサイドは四年に一回首になるわけですから。笑いごとじゃなく、それはもう本当に大変な……。優秀な皆さんが活性化しないというのはもったいない。そういう意味で、応援団の一人として。
 昔の古い橋梁なんかを見たら、見事に書いてある。東京都土木技師、田中豊設計。関東大震災で落橋したある橋の、ちゃんと銘板に書いてある。若い技師、福田武雄。覚えやすいですね。そういうふうにちゃんと名前が書いてある。それは、別に名前で個人崇拝主義なんていうことじゃなくて、これは責任の所在がはっきりしている。しかも、すばらしい、芸術的な土木工作物だ。僕は、そういう意味で、いろいろな意味で優秀な皆さんが、みんな一生懸命やっていらっしゃるのはわかるけれども、同時に、すばらしい人材がたくさんおるんですから、いろいろな形でCLAIRの方も生かしてほしいなと思います。
 しかもシティーセールスということで、東京はよくいわれる、今やまさに世界大移動の時代だ。七億の人が世界じゅうを動き回っている。一番はフランス、七千万。二番はスペインだったか、ドイツだったか、イタリアだったか忘れましたが、五千万。我が国は、知事がよくいうように、せいぜい五百万でしょう。これを何とかしようという時代ですから、さらに一層CLAIRを利用されて、経費的にも宝くじを財源とされているわけですから、より有効に果たしてほしいな、そんなふうに思って、この質問を終わります。
 次に、首都移転問題について何点か聞かせていただきたいと思います。
 去年五月に移転候補地の絞り込みということで、首都移転の反対派としては大変な時期を迎えたわけでありますけれども、皆さんの、そしてまた、我々議会の、あるいは都民の皆さんの常識的反対運動で先送りになったということでありまして、都として、具体的にどういうふうにこの予算で動かれたか、改めてお聞きしたいと思います。

○関口首都調査担当部長 具体的にどのような活動を行ったかというお尋ねでございますが、都は、国会で移転先候補地を絞り込む期限として、昨年五月を迎えたわけですが、やはり大きな山場であると認識いたしまして、一つは国会への働きかけをする、二つ目は都議会、あるいは他県市の方々と連携した取り組みを行う、三つ目は一般世論の喚起に努める、こういう三点にターゲットを絞りまして、これ努めました。
 一点目の国会への働きかけでございますが、これは全国会議員の方々に、首都移転反対のPRのビデオ、タイトルは「首都移転に、ハッキリNO!!」と銘打っておりますけれども、これを配布いたしまして、都の主張をアピールいたしました。
 二点目の都議会、他県市と都の連携した取り組みでございますが、四月には区市町村連絡会を、五月には、都議会の皆様方などと共催によって、首都移転断固反対総決起集会を開催いたしました。また、さらに、七都県市でございますけれども、首都機能--これは国家の中枢機能でございますが、そのバックアップ方策について調査報告を共同して取りまとめまして公表いたしました。
 最後に、都民と一般世論の喚起につきましては、バナー広告、あるいはチラシの都内全戸配布などを実施いたしました。
 この十四年度の通常国会では候補地の絞り込みができない。結果として、これら都の取り組みに効果があったと考えております。

○立石委員 長くなりそうなので、短くいいますが、非常に効果があったと、私も率直に思います。ラッピングバス一つを見ても、改めて、なぜ今首都移転なんだ。総理公邸も一ミリ、何かすごいお金をかけて動かしているような、しかも、この大不況で、鉄とコンクリートが、知事じゃありませんけれども、ほかの国の何倍も使っているというようなことから考えて、そんなむだなことをする必要は全くないわけですね。
 しかし、さはさりながら、なぜ今首都移転という問題が、金丸さんから始まって十数年たっているわけだけども、起こったかということを考えたときに、奇しくも江戸開府四百年。見事な表題は、今、我々は江戸の未来に生きている、こういうことですね。江戸の未来に生きている。我々は今、四百年後の人たちに向かって、平成の未来に生きているという表題を掲げるだけの、果たして首都の顔になっているだろうか。なっているわけがない。さすれば、功罪というか、この移転問題が起きると同時に、我々は改めて、この東京を首都東京として恥ずかしくないまちをつくる自覚の原点に立つべきだと思います。
 当該年度における予算総額が一億五千余万円である。平成十五年度は八千万。金額の多寡じゃありませんね。むだなお金を使う必要はありません。しかし、このことこそ、金を使わずに、大事な金を使わずに、この東京の首都としての風格をどうつくっていくか。これは大事な契機だと思います。覚悟のほどをご答弁いただきたい。

○関口首都調査担当部長 これからの首都を支える覚悟ということで、なかなか重いご質問でございますが、私ども、この首都移転問題、いろいろ取り組んでまいりまして、地方の声とか、いろいろなものも国会議員の先生方を通じて伺うこともございます。ただ、日本が国際社会において地位を高めていく上では、首都である東京が、政治あるいは経済の中枢といった集積のメリットを生かしながら、魅力と活力を高めていくことが必要であろうと考えております。
 先生の今、江戸開府四百年のお話もございましたけど、その江戸の遺産とか、あるいは明治以降の近代化の遺産とか、そういうものがございます。さはさりながら、いろいろな経済の発展の中で、課題も抱え、急ぎ働きといいますか、急いでやる仕事もございます。
 そういう意味で、ある意味で不足していたインフラとか、環境を整えるといったことが必要だろうと考えます。例えば、首都にふさわしい町並みの整備とか、国際空港の整備とか、あるいは交通渋滞とか沿道環境の改善を図るために首都圏の三環状道路を整備するとか、あるいは防災、あるいは危機管理につながる八都県市の広域的な連携、ディーゼル車排気ガス規制、あるいは観光事業の展開と、これはハード、ソフトを含めまして、官民挙げまして取り組みを進めていく。こういう取り組みをさらに進めていく必要があると考えております。
 こういう取り組みが、ひいては先生のお話のこれからの東京が担っていく覚悟と申しますか、それにつながるものになりまして、首都にふさわしい顔を持った東京になっていくものと。そのことが、ひいては首都移転問題に事実上終止符を打つものにつながると考えております。

○立石委員 最後に、今、部長から覚悟を聞かせてもらって、まさにその自覚が大事だと。我々が経済至上主義の、市場経済主義の考え方で行け行けどんどんのまちをつくってきた、一つの警鐘の乱打が十年ぐらい前から起こってきたのかなと自分でも自戒しながら、改めて世界に誇るべきキャピタルとして、首都として、東京を再生していかなきゃならぬだろうと。これこそまさに今はやりの偉大な都市物語だというふうに私の意見を申し述べて、終わらせていただきます。

○藤川委員 私の考え方は、へ理屈かもしれないですけれども、多分、賢明な皆さんは理解していただけるんだろうと思うわけです。絶対的に自分で自信を持っているのは、答える方たち、皆さんのサイドは六十前ぐらい。定年前ですからね。こちらのサイドはどうかというと、私より年上の人はほとんどいないだろうから、この席上で、部屋の中で、一番年上だろうと思うわけです。それならば、どういうことを年寄りたちは考えているかということを代表して述べますから、耳をかっぽじってよく聞いてもらいたい。だから、知事本部長、前川さんはいかに優秀であろうとも、僕はあなたよりも数年年上だから、絶対に追い越すことはできないわけだから、そういう面でもって、耳をかすだけの価値があるんじゃないかと思うわけです。
 僕のまちには小金井公園という、平地で一番大きな公園があるわけですけど、夏、御飯を食べる前に、食欲がなくてしようがないと。自転車で三十分ぐらい、緑の下を走り回るわけです。そのときに、東京都庁の--これは立石さんと考え方が同じなんですけど、小金井公園を昭和の初めにつくるときには、多分、公園の近所は麦畑と雑木林と麦わら屋根の農家が数軒散見されるような状態に、今日の都民のために公園をつくろうと考えたやつがいるわけですね。だから、すごいことを考えてくれた。そのために、私は、食欲のなくなった夕方を、小金井公園を一回りして、食欲を取り戻すことができるわけです。
 ですから、その当時は公園だったかもしれないけど、今は何が必要かというと、やっぱり治安じゃないかと僕は思うわけですね。治安が大切だと。だから、将来をにらんだ場合に、東京の治安をどのくらい取り戻すかということが必要であるというふうに考えたわけです。
 それで、何を質問していいかわからない。ですから、強引に質問することを考えなくちゃいけないというので、皆さんに相談しましたら、九番目に治安対策の推進ということがありますので、本当に東京の将来をにらんだ頭脳が皆さんのところに集まっているわけですからね。だから、このことを申し述べるということは価値があることではないかと思って、九番目にあるんですが、皆さんに将来を考えていただくことは治安であるということを、そういうふうに思いましたから、治安に関して質問したいと思います。
 そして、私自身、ニューヨークに仕事で四年三カ月ばかりいたんですが、そのときに、ベトナム帰りの兵隊さんであったという経験の持ち主が、麻薬を注射しながら生きている。だから、物すごく治安が悪化した、一番悪い状態のときに住んでいたわけです。ですから、そういうときに生きていましたから、治安というものがどのぐらいそのまちにとって大切であるかというのを身にしみて経験しているわけです。
 それで、東京都は、十四年度の重要施策の中でもって治安ということを取り上げているわけですが、この件に関して、どのようなものがピックアップされているかということをまず質問したいと思います。

○野口参事 治安関係の事業についてでございますが、以前から治安関係の重要性については認識しておりまして、平成十四年度の重要施策では二つの事業を実施いたしました。一つは、犯罪の増加に伴う被留置者の急増に対応するため、二カ所の留置場で収容人員の増加を図りました。もう一つは、ストーカーやピッキング犯罪等に対しまして、新たに警察車両を配備して、機動力を向上するなどの対策を行いました。

○藤川委員 私自身、自分以外の生命の大切さということを知るようになったのは、恥ずかしいことですが、孫の存在を身近に見てからそう感じたわけです。四歳になる孫娘と一歳になる孫娘がいるんですけど、彼女たちが僕の周りでふらふらするたびに、自分で感じますことは、幼児が虐待されたり、刺し殺されたりすると、本当に手が震えるような状態になるわけです。震えるんですよ。そうすると、皆さんご存じだと思いますけど、「孫」という歌謡曲がありますね。あの感じは、僕は、自分の子どもを育てているときになかったけど、孫を見る場合にそういうことをまじめに考えるようになったわけです。だから、東京都の将来を考えた場合に、そして、安心して子どもを育てることができるかできないかということは、親にとって非常に関心があることだと思うわけですよ。
 そうすると、知事本部はこれから何をしようとしているのかということを、皆さんにお聞きしたいと思うわけです。

○久保治安対策担当部長 先ほど藤川委員の方から小金井公園の例をお引きいただきまして、いわば先見の明といいますか、先を見通して施策をせよ、こういう貴重なご示唆をいただいたというふうに理解しております。
 私どもも、悪い悪いといっております東京の治安も、今ならまだ十分に回復できるというふうに考えているものでございます。私ども、緊急治安対策本部におきましては、現在、東京の治安を回復するために、急増する外国人の組織犯罪対策、子どもを犯罪に巻き込まないための対策、犯罪に強いまちづくりという三本の柱を中心にいたしまして、関係する部局や機関などが行う事業、役割を調整し、支援しながら、施策を進めているところでございます。
 治安対策を進めるためには、もとより警察力の強化も重要でございますけれども、これらとあわせて、都として総合的な施策の実施に努めていきたいというふうに考えておりまして、十五年度から一層の力を尽くしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

○藤川委員 私が皆さんに対して理解していただきたいなと思うことは、私の家の真ん前に交番があるんです。三十五年ぐらい前に、交番という言葉が、ニューヨークの治安を回復するための一つの大切なターミノロジーとして世界語になったわけですね。
 そういう時代で、その交番はどうなのかというと、昼間も夜も警官がだれもいないわけですよ。そういう状態が起きてしまって、それで、石原さんは、何かというと、安心して住めるまちづくりを目指しているんだというけど、近所の人たちからいわれるわけです。藤川さん、あそこの交番に昼間に行っても夜に行っても、警察官がだれもいない。そんな交番でもって、本当に東京の治安を維持することができるのか、本当にこれよりよくなることが約束できるのかということをいわれるわけです。
 警視庁のときにも同じようなことを質問させていただいたんですが、東京の将来をにらむ皆さんとしてはどういうふうにお考えか、お答えいただきたいと思います。

○久保治安対策担当部長 大変重要なご指摘でございます。警察官の不足によります、いわゆる空き交番の発生問題につきましては、先ほども少し触れさせていただきましたが、警察力の強化にかかわる課題として早急に解決されるべきものと考えております。また、このことは、私どもが取り組む、さきに述べました施策の三本柱の一つでございます犯罪に強いまちづくり、まちの治安に対する住民の方々の不安を解消するという面からも大変重要な課題であると認識しているところでございます。
 東京都といたしましても、警察力の強化のためには、国に対し、さきに緊急提案要求として警察官の増員等を求めましたほか、関東知事会などにおきましても同様の要望を繰り返し行っているところでございます。
 警視庁におきましても、当面の対策といたしまして、ハイテク交番の整備であるとか、警視庁退職者の活用等々、さまざまな解決策を検討していると聞いておりますけれども、東京の治安の回復のために、今後とも東京都、警視庁が一丸となって取り組んでまいりまして、一日も早く住民の皆様方のご不安を解消したい、かように考えているところでございます。

○藤川委員 最後に意見だけ申し上げたいと思います。
 前川本部長は、記憶にあるかもしれませんけれども、戦争直後にラジオをスイッチオンしますと、FAR、ファー・イースト・トウキョウという言葉が非常に流れたと思います。それを直訳しますと、はるか極東の彼方にある東京という意味ですよね。僕は、それを実感したことがあるんです。
 というのは、息子がイエールの大学院でMBAをとって、それでシティに行ったときに--息子がどんな生活をしているかって、ロンドンに行ったときに、息子の部屋に世界地図がかかっていたわけです。その地図はロンドンを中心にしていますから、東京がどの辺にあるかというと、その地図の右側の一番端の方に、上の方にわずかにあるわけです。
 僕の経験では、日本の首都が東京だ、東京というまちがあるなんていうのは、一〇%ぐらい世界の人たちは知っているんですかね。ロンドンから東京まで来るのに十六時間かかるという、そんな遠いところにお金を使って、治安が思わしくないところにわざわざ来るということは絶対にあり得ないわけです。だから、石原さんがいうように、世界に冠たる国際都市東京といえども、千客万来のまちをつくるんだといっても、そんなところに来るはずがないです。お金はかかるし、遠いし、来たら殺されるかもしれないわけですからね。
 だから、そういう面でもって、いかに大切な治安、夜中に歩いたって安心できるような、そういうまちをつくるかということは、東京都にとって大切な一つの課題なわけです。それを皆さん、まじめに今考えてもらいたいと思うんですよ。
 そのとき、さっき孫の話をしましたけど、孫が夜歩けないようなまちをつくってもしようがないわけです。僕はそのときにいませんからね。皆さんが、僕の年齢に達していると思うんですけど。だから、そういうまちづくりを、東京都をつくるんだということ。
 先ほど立石さんがいいましたけど、確かに隅田川にかかる橋にしても何にしても、設計した人、建てた人の名前が出ていますね。あれと同じですよ。だけど、小金井公園をだれがつくって、だれがああいうふうにしたかというのはわからないわけですね。それと同時に、多分、東京をすばらしい治安のまちとしてくださったということについては、だれが中心になったと書くわけにいかないし、知るよしもないと思うんですけど、東京の将来ということを考えた場合に、治安ということについては、本当に皆さん考えてもらわないとまずいときに来ていると、そういうふうに思いますから、よろしくお願いします。

○野上委員 平成十四年度東京都の一般会計決算の審査に当たって、一五ページにございます首都移転反対活動の展開について質問いたします。
 首都移転問題については、平成二年の衆参両院による国会等の移転に関する決議以来、平成四年の国会等の移転に関する法律が制定されたほか、両院による国会等の移転に関する特別委員会の調査や国会等移転調査会、国会等移転審議会の審議など、ずっと長年にわたって議論が重ねられてきたという経緯がございます。
 こうした国の動きに対しては、都は一貫して首都移転に反対してきました。昨年は特に大きな盛り上がりを見せました。それは衆議院の国会等の移転に関する特別委員会が、昨年五月をめどに、三カ所の移転先候補地を一カ所に絞り込もうとしていたからであります。都は、この時期に向けてラッピングバスの走行、バナー広告の実施など、積極的な移転反対活動を展開してまいりました。
 その中でも一番大きな盛り上がりを見せたのは、東京国際フォーラムホールCで行われた首都移転断固反対総決起集会でございました。これには都議会議員も一人当たり十名連れて結集するということで、ホールCは千五百名収容されるところですけれども、会場が満杯になるという形で行われたことはまだ記憶に新しいところであります。
 そこで、その後の首都移転の動向に大きな影響を与えたと考えられる集会の様子について確認したいと思います。この集会にはどれだけの人が集まって、また、知事本部としてどれだけの費用を負担したのでしょうか。

○関口首都調査担当部長 総決起集会についてのお尋ねでございますが、昨年五月二十一日に開催いたしました都議会、東京都、首都移転に断固反対する会による首都移転断固反対総決起集会には、当初予定の千五百名を大幅に上回る三千五百名の方々のご参加をいただきまして、首都移転に断固反対する緊急アピールを採択いたしました。
 都議会との共催でございますが、私ども知事本部といたしまして、首都移転に断固反対する会を通じまして、集会の周知、参加を呼びかけるために、ポスターの作成やチラシの都内全戸配布など、約三千万円の支出をいたしました。都議会の皆様を初め、多くの都民の方々の参加が得られまして、マスコミでも大きく取り上げられ、総決起集会として成功したのではないかと考えております。

○野上委員 ちょうどこういったポスターの大きなのを、私も事務所の前に張ったりいたしまして、周知徹底をしたところなんですけれども、また、鉢巻きとかをつくっていただいたりして、首都移転断固反対と赤い字で書いたのを、皆さんで鉢巻きをして、集会に参加した記憶が新しいと思います。
 次に、同じく一五ページの決算書を見ますと、こうした反対活動とは別に、調査委託費ということで、七百八十九万八千三百四十五円の調査委託を実施しております。移転先候補地との比較考量調査ということですけれども、移転に関する決定には東京都との比較考量が求められていることから、こうした調査は重要と思いますけれども、その調査の切り口といいますか、趣旨についてお答え願えればと思います。

○関口首都調査担当部長 委託調査についてでございますけれども、この調査では、比較考量が移転推進側の観点から実施されることがないように、首都移転による国政運営上の影響、あるいは費用など、比較考量に当たって考慮されるべき内容と手法について検討しております。
 これまでの調査によって、首都移転に意義や正当性が認められずに、これは都民のため、国民のため、日本のためにならないことが実証されております。その成果については、特別委員会の委員等への働きかけに活用いたしましたほか、適宜、パンフレット等作成に使用しております。今後とも、国の主張に対する反論等に活用していきたいと考えております。

○野上委員 地道な調査を行ってこられたことがよくわかります。
 国は、私たち都議会と東京都、都民の連携した活動など、移転反対の声を無視することができないで、昨年予定しておりました栃木、岐阜、三重の三カ所の移転先候補地の絞り込みを行うことができませんでした。その後、衆議院の国会等移転に関する特別委員会は、移転規模、形態や新たな移転手法などのコンセプトの見直しを行うなどの動きがありましたけれども、ことし五月に提出された中間報告でも移転先候補地の絞り込みを行うことができない状態でした。両院の密接な連携のもとに検討する必要性を訴えるものにまだとどまっております。また、参議院の国会等の移転に関する特別委員会も六月に同様な取りまとめを行ったことから、国会移転に関する政党間両院協議会が設置されたところです。
 ようやく十四年に及ぶ議論がとまったようにも思えますけれども、こうした国会の動きについて、都はどう評価しているのでしょうか。また、今後の動向についてどう考えているのか、所見をお伺いいたします。

○関口首都調査担当部長 国会の動き並びに今後の動向についてどう考えているかというお尋ねでございます。
 移転先の候補地を選定するために設置されておりました国会等移転特別委員会は、昨年五月に予定していた三カ所の移転先候補地の一本化ができませんでした。その後も特別委員会で審議が継続されました。本年五月に提出されました中間報告において、またしても移転先の候補地を絞り込むことができずに、移転の是非を含めて、政党間の両院協議にゆだねたということは、首都移転問題そのものの破綻をみずから示したものといえます。
 政党間両院協議会が今後どのような協議をしていくか、現段階では明らかになっておりませんが、その動向を注視し、首都移転問題の終結という結論が出されるまで、私ども、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

○野上委員 首都移転問題はだんだんと収束に向かいつつあるというのが、私たちも考えておりますように、一般的な認識であろうかと思います。しかし、依然として国会等移転法が存在しておりますし、政党間両院協議機関で協議が継続されております以上、最終的な結論が出されたわけではありません。移転先候補地も共同でアピールを発表するなど、依然として誘致活動を緩めておりません。
 現在は、確かに大々的な反対運動を行う状況ではありませんが、今年度、十五年度予算も八千万円に減額されておりますけれども、今後も油断することなく首都移転反対に向けた対応をとるべきだと考えております。
 そこで、最後に、首都移転問題の決着に向けての当局の取り組みを伺いたいと思います。

○関口首都調査担当部長 決着に向けての当局の取り組みということでございますが、首都移転問題は、バブル時代の負の遺産である。社会経済状況が大きく変化した今日、国民の大半にとって、既に忘れられている問題といっていいかと思います。さはさりながら、国会では細々と議論が続けられております。
 今求められておりますのは、国民にさらなる負担を強いる首都移転ではなくて、日本の頭脳であり、また、心臓である東京から、我が国の危機的な状況を打ち破り、日本再生の活路を切り開くことでございます。我が国の将来に禍根を残すことのないように、一刻も早く移転論議に終止符を打ち、白紙に戻すべきであると考えております。
 都といたしましては、今後とも、都議会の皆様や都民の皆様とともに、首都移転の白紙撤回に向けて、国会の動静を見定め、適時適切に対応してまいります。

○野上委員 最後に、この首都移転にかかる費用というのが、都の試算でも二十兆一千億円、国の試算でも十二兆三千億円、このうち十兆六千億が国民の税金によるものであるということで、こういった不況時にこうした首都移転の経費、むだなことをするわけではないわけであります。首都移転反対の部局には、都の職員の方が三人と再任用の方一人で、結局、四名で担当されていることを伺っております。少ない人数でご心労も多いかと思われますけれども、国の動きをよく見据えて、完全な首都移転の白紙撤回に向けて対応していかれることを切に要望して終わりたいと思います。

○松村委員 行政評価制度について伺います。
 二〇〇三年、平成十五年度の行政評価結果はまだ出ていませんけれども、既に本格実施されてから三年になります。初めに、都としてこの行政評価制度をどのように評価しているか、これまでのところの総括といいますか、そういう点をまずお聞きしたいと思います。

○新行内参事 都としての行政評価についての総括というお尋ねでございます。
 行政評価制度は、成果重視のより効率的な行政の展開、また、都民の皆様方に都の施策に係る的確な情報を提供していくことなどを目的としまして、平成十一年、十二年の試行を経て、平成十三年から本格実施されたものでございます。この間、さまざまな改善をしながら三年目を迎え、行政がみずから事業の検証、見直しを行う制度として定着が図られたものと考えております。
 また、それぞれの年度の評価を踏まえまして、具体的な事業の見直しを行うなど、一定の成果を上げているものと考えております。

○松村委員 みずからの仕事をチェックして、それをきちっと公平とか、公正とか、真に都民に役立っているものかとか、そういう客観的な指標でみずからをチェックして、絶えず改善していくということは必要なことだろうというふうに思うんです。しかし、行政評価は既に三年を迎えるわけですけれども、果たしてそういうふうになっているのか。この間、総務委員会で我が党の委員からも指摘したとおり、都民の目線に立っていない。それから、事業局と同格というような評価のいろいろな基準がどうなのかという論議の中でも、知事本部や総務局が事業局の上に立って、いわば評定を下すというような手法が色濃いわけです。これは自治体のあり方からしてもおかしいといわざるを得ないというふうに私は痛感しております。だからこそ、私も幾つか検証してみれば、結局、都民の目線とは大きくかけ離れたものとならざるを得ないという点があると思います。
 そこで、具体的に幾つか指摘したいと思うんですけれども、行政評価結果の平成十四年度で、ナンバー25に、事務事業名、地域における日常生活の支援(介護予防・生活支援事業)がありますけれども、第一次の事業局の福祉局は積極的推進と、そういう総合評価を下しているわけですけれども、知事本部の第二次評価は見直しとなっています。なぜでしょうか。

○新行内参事 ナンバー25、地域における日常生活支援(介護予防・生活支援事業)についてのお尋ねでございますが、第一次評価では、高齢者が地域で自立し、生きがいを持って安心して暮らし続けていくために、都として積極的に本事業を推進していくとして、積極的推進としたのに対しまして、第二次評価では、本事業の必要性はあると評価した上で、事業効果の検証がなされていない点につきまして、より効果的に事業を展開していくためには、実績の分析を行うとともに、保健、医療分野とも連携しながら、効果測定の手法を研究、開発していく必要があるとして、見直しの評価をしたものでございます。

○松村委員 これまでの総務委員会での質疑があったところ、私はここでは、知事本部はよくわかっているので、繰り返しませんけれども、例えば今の知事本部の第二次評価において、都においては利用者数等の事業実績の集計が行われていないというのをまず挙げてありますけれども、第二次評価を知事本部が下すには、これは事業局といろいろ検討したり、すり合わせたり、問題点をつかんで、その上で、事業局も理解してもらいながら、第二次評価を行っていると。決して知事本部の一方的な評価じゃないということも繰り返し答弁されていることを読みましたけれども、だったら、なぜこういう書き方をするのか。書き方をするのかというよりも、利用者数等の事業実績の集計が行われていない。さっさと集計したらいいというふうに思うんですね。また、集計できない面があるんだったら、それをどういうふうにするかということでやればいいことであって、果たしてこれを見て、都民が理解できるか、納得できるかということを一つは感じます。
 もう一つは、保健医療分野とも連携しながら、効果測定の手法を研究、開発していく必要があるということを挙げて、不十分だから見直しという。事業局は積極的推進なのに、知事本部の評価は見直しですね。
 私、そこで、保健や医療分野とも連携しながら、そういう介護予防、そういう研究開発をしていく必要があるというので、これは東京都の老人総合研究所が出しております介護予防緊急対策室の提言なんですけれども、こういうものを東京都の機関が出しているわけですね。
 ここで、私もすばらしいものだなと思ったのは、ちょっと長くなりますけれども、引用させていただきますと、介護予防の緊急対策室が出した、どういう目的かというと、介護保険も施行からはや三年が経過し、昨年度は介護保険の見直しがなされました。その中で、介護認定者の増加、特に要支援、要介護一、二の急激な増加が明らかになり、これらの方々が介護を必要としないように予防する介護予防の普及が緊急の課題として挙げられました。介護予防の大切さはわかっているのだけれど、具体的なノウハウがという声も聞かれます。東京都老人総合研究所介護予防緊急対策室では、科学的根拠に基づく介護予防のさまざまな手法をご紹介していきたいと考えております。都民を中心に据えた介護予防をキーワードとしたまちづくりが地域に根づくように、老人総合研究所三十年の蓄積を最大限に活用し、介護予防計画者、事業者、専門職、都民の多層的なレベルに対する支援を計画しております。要介護率が低下するよう、各区市町村の実情に沿った介護予防展開のお役に立てればと考えておりますということで、具体的に、各区市町村がどういう形で、事業が必要だとわかっていながら展開できないかという点でも、例えばお達者検診みたいなことをやれば、地域にどのぐらいの介護予防を必要とされる方のニーズも把握できるし、さらにその実情に合わせて、こういう具体的な、例えばリハビリとか、今までも幾つかメニューが、既に介護保険が出されて、東京都の支援を受けて、各区市町村がやっている実施状況もありますね。だから、これはさらに必要性で展開できると。私は、事業局は確信しているからこそ、大事だから、積極的推進という評価を下していたと思うんですよ。
 それを、知事本部の査定では、何か水をかけるような、そういう研究、開発の手法がされてないんだとか、実績の実数が把握されてないんだから見直しだというようなのは、いかに今日の東京都の施策の重要性、区市町村から求められているそういうものに対して、もっと積極的に展開しなければ、都民はそういうものとして今受けとめておりますし、しかも、東京都の一つの医療機関が、そういうすばらしいというか、方向性を出して、三十年のノウハウや研究手法があるんだと。こうやれば、寝たきりにならない、要介護にならないということを力説して、さあ、いらっしゃい、一緒にやりましょうということだろうというふうに思うんですけれども、私は、こういう評価の判定を下すということは、どこか行政評価のやり方が、都民のそういう目線とか、都民が都政に求めているものとは違った方向になりはしないかというふうに思うんですけれども、その点ではどうでしょうか。

○新行内参事 ご指摘の地域における日常生活支援(介護予防・生活支援事業)につきましては、先ほども私が説明しましたとおり、私どもといたしましても、積極的に推進することはともかくといたしまして、その必要性ということについては認めておるところでございます。そういう意味で、ただし、この評価に書いてございますように、事業効果の検証が必要であるというような意味での見直しという点を私どもの評価としては掲げておるところでございます。その点、ご理解いただきたいと思います。

○松村委員 いや、理解できませんね。だから、なぜかというと、効率性とかいろいろなとらえ方があると思うんですね。幾つかほかの事業では、区市町村が主体的にやるからということで、それは東京都の事業から手を引くというか、身軽になるというようなご答弁の中身も、ほかの事業の質問に対してありましたけれども、必要性は非常に高いと。積極的に推進していくノウハウや研究もあるということは、知事本部というか、皆さん方が査定したり、評価するところに非常に無理があるんじゃないかと。皆さん方は、もちろん、プロですし、いろいろな評価手法を用いながら熱心にやっていることはわかります。しかし、その事業を一番知っているのは所管局であり、どういう必要性や求めるニーズがあるか、都民が知っているし、また、逆に、今の事業局よりも、さっきいった老人研究所ですか、そういうところの意見を聞くとか、横断的に意見を聞くとか、さまざまな角度から検証しなければならないところが、私は欠落しているんじゃないかというふうに思うんです。
 これは所管局じゃないから、中身に入って具体的にやりとりする場ではないと思いますけれども、結局、知事本部が見直しというふうな判定を下すと、どういうことになってくるかという点で、例えば、この事業が介護保険が導入されて、平成十二年度、十三年度、十四年度と来まして、この中には歳出額、予算額も書いておりますけれども、十二年度が四十億、平成十三年度が四十四億、平成十四年度が五十八億八千。
 じゃ、こういう二次評価が出て、私は気になって、平成十五年度のこの事業の予算を調べてみました。福祉局の予算では、十四年度は予算額が六十七億。この六十七億と皆様方の行政評価に載っている五十八億は違うので、所管局にもいろいろ聞いて、どういう数字かといったら、いろいろな事業が入っているので、五十八億というこの数字は正しいんだけど、こちらの同じ事業名を挙げている福祉局の予算はいろいろなものがさらに入っているので、それをきちっと精査、差し引くんだということでした。それで、その額は出ていないんですけれども、いずれにしても、六十七億から、十五年度は六十三億といって、減っているんですね。つまり、差し引けば、恐らく五十八億よりも、予算の上では減額になっているということは間違いないと思うんですけれども、所管局では、そういう行政評価をやられる前は、導入されてから四十億、四十四億、五十八億と積極的に頑張って予算化している。ところが、こういう行政評価が出された途端に予算は減るということは、明らかに行政評価が下している判定というのは極めて重要だと。結局、ブレーキをかけるものにならざるを得ないということを、まずナンバー25では指摘しておきたいというふうに思います。
 ですから、これは、そういうことを見れば、いろいろな課題があったって、やりとりですり合わせで指摘しながら、なぜ思い切って積極的推進と書かないんですか。書いていいじゃないですか。そういうことだけだったら。私は、見直しなどというのは、今後よく検討していただきたいということをこの点では述べたいと思います。
 もう一つは、ナンバー33に、地方卸売市場助成事業があります。第一次評価では着実実施なのが、第二次評価では抜本的見直しとなっております。この理由は何でしょうか。

○新行内参事 ナンバー33、地方卸売市場助成事業につきましては、第一次評価では、多摩地区での地方卸売市場の果たす役割は極めて重要であり、生産者、消費者への信頼性の高い良好な市場をつくる上で、本補助事業は必要不可欠であるとして着実実施としたのに対しまして、第二次評価におきましては、今後の市場のあり方を検討し、明確にした上で、補助対象の重点化など、事業の再構築が必要であるとして、抜本的見直し(一部廃止)の評価としたものでございます。

○松村委員 私の地元、練馬区に地方卸売市場があるんですね。私もその市場にはよく行きますし、区内の八百屋さんや、いろいろな交流があるので、どういう役割を果たしているか、いつも見ながら、練馬区も非常に重要な市場だという位置づけをしておりますので、この評価は大変だと。ここにも抜本的見直し(一部廃止)ということなんですけれども、練馬の、私がよく知っている市場からいいますと、もともと中央卸売市場だったんですね。その淀橋の分場として、老朽化して、杉並も手狭だし、いろいろな地域的な条件があるからというので、従来から議会にもかけて、その再建というか、改築というか、杉並と練馬を一緒にして、練馬に用地買収まで行って、それで淀橋の中央卸売市場の分場としてやろうということが、その後の東京都の財政状況で、突如といいますか、長年検討をかけてやってきたものが、もう中央卸売市場じゃなくて、地方卸売市場と。たまたま新宿青果などが、引き受け手があったので、そこの市場は非常に大事だということで、もちろん閉鎖できないし、地方卸売市場になって、ようやくことし晴れてオープンしているんですね。
 私は、練馬の場合には、六十八万の区民で、住宅地域です。何もそこの練馬の地方卸売市場だけでなくて、板橋とか杉並もそうですけれども、相当広範囲な地域を抱えている。町の青果店やそういう人たちは、都心部の新宿まで車で行く、または築地とか、そういうことをいったら、ますます交通が大変ですし、日常ですから、練馬の市場の役割というのは非常に大きいんです。決してなくならないと思います。前川本部長は練馬にお住まいだというふうに伺っておりますから、そこら辺のところはよくご存じかもしれませんけれども、決してその位置づけは、今後とも変わらないんですね。まして、私は、多摩の方もそうだと思います。なかなか中央卸売市場が展開できない。それを地方卸売市場が支えていると。
 そういうのが、ただ取引高とかいうことだけで、効率性が悪いということで見れるでしょうか。一番、事業局は知っているんですね。今、八百屋さんにしたって、取引高が一体どうなのかという点での検証が必要だなんていうようなことですけれども、この不況の中で、消費者だって買い控えているから、練馬区一頑張って売り上げがあるという八百屋さんが、大泉に--私は大泉というところに今いるんですけれども、しょっちゅう、私の通勤の途中ですから、社長と話すけれども、今、物すごく売り上げが減って、菜っ葉の葉っぱまで大事に持っていくとか、ちょっとでも安い、夕方全部売り切っちゃおうというのをやるときに、そこに来るお客さんがいるとか、そういうことで消費者も相当節約しているというときに、ただ、取引高がどうかとか、それで効率が合っているかとかいうことの判定で、抜本的見直しだ、あたかも地方卸売市場の役割は終わったみたいな形、ちょっと乱暴にいいましたけど、そこまで--そういうような見方でやっていいのかどうかということなんですよ。
 恐らく抜本的見直し(一部廃止)などという判定が下されたら、この先どうなってくるのか。私は、るる申し上げましたけれども、非常に懸念するところであります。ですから、私は、こういう行政評価が本当に都民の目線に合った第二次評価になっているのかどうかということについては、重大な問題であるということを強く指摘したいと思います。
 そこで、既に二〇〇一年、二〇〇二年、平成十三年度、平成十四年度の行政評価結果が出ておりますけれども、廃止、抜本的見直し、また、見直しとされた事業は現在どうなっているんでしょうか。

○新行内参事 十三年度評価の第二次評価におきましては、廃止とした事業が三事業、抜本的見直しとした事業が八事業ございました。廃止としました三事業のうち、東京都生涯学習センターにつきましては平成十三年度末に、東京都環境学習センターにつきましては本年九月にそれぞれ廃止されておりまして、東京都青少年センターにつきましても平成十五年度末に廃止の予定となってございます。
 抜本的見直しといたしました八事業のうち、東京都都民の森の運営など四事業につきましては、平成十四年度末までにそれぞれ見直しを完了してございますけれども、残りの四事業につきましては現在も見直し作業を継続しておるところでございます。
 十四年度評価の第二次評価におきましては、廃止となった一事業、抜本的見直しとした事業が六事業ございますが、それぞれ現在見直しの作業を進めているところでございます。

○松村委員 ご答弁があったとおり、既に十三年度で廃止とされた三事業はほぼ廃止になったと結論を出していると。十四年度では一つだけ廃止とされた優良建築物も、まだ今、事業は継続して、検討中ということですけれども、それも、聞くところによりますと、新規は受け付けないで、今までやっていたものがまだあるからということでの継続やにも伺っておりますけれども、それで本当にいいんでしょうか。
 行政評価には、第二次評価も検証評価して、都民に公表ですね。都民からの意見、さらに、施策、事務事業の見直しということですけれども、この都民に公表、都民からの意見という制度上の機能は、これまでどのように発揮されてきたのか。この間、都民から寄せられた意見は何件か。また、事業を受ける対象者へ周知し、意見交換会を行うとか、区市町村への意見照会などをやられたのでしょうか。

○新行内参事 今後のフォローアップ、あるいは区市町村への意見照会というお尋ねでございますが、まず、評価実施後フォローアップという形で、その見直し結果がどのように推移しているかということにつきましてはまとめて都民に公表しておるところでございます。
 また、見直しに当たって、区市町村の意見を照会しているかということでございますけれども、それぞれの事業を所管する各局におきまして、都民の皆様方や関係する区市町村の意見も検討材料として用いながら、事業の見直しを行っておるというところでございます。

○松村委員 今、答弁がなかったように思うんですけれども、この間都民から寄せられた意見というのは何件あって、それがどういう形で、ここでいいますと、施策のいろいろな見直しに反映させるというふうに制度上なっているんですけれども、それがどうなっているのか、お答えいただきたいと思います。

○新行内参事 失礼いたしました。十三年度の結果公表、すなわち十三年十一月でございますが、それから現在まで、十九件の意見がホームページのアンケートを通じて寄せられてございます。それぞれの意見につきましては、所管の局に送付いたしまして、先ほど申しましたように、事業局での事業の見直しの参考にするとともに、私どもにおきましても、その制度の改善等に役立てているところでございます。

○松村委員 今まで評価したのは何事業ですか。十五年が四十、十四年度が四十、これが四十八事業ですね。恐らく百二十とか、百五十ぐらいですけれども、それで、今の意見が十九件。しかも、区市町村とか、そういう関係の、かかわりのあるものは事業局がやっているんでしょうとか、いただいたものを事業局に返しているということと、この制度で、公表して都民からの意見でさらに見直すという点での、知事本部というか、それで本当にいいのか。全く形式上のものでしかないとしかいえないというふうに思います。
 見直すとしても、きちんと都民、区市町村の意見を聞き、例えばそれを経て第三次評価といえるものを行い、その上で、さらに施策、事業の見直しという手順を踏むとか、最低限それをやってしかるべきだというふうに思うんですけれども、どうなんですか。例えば事業局はこういう考え方だけれども、こういうむだやいろいろな点があるから、知事本部としてはこういう評価を下したと。都民はどうなんでしょうかと。または、関係団体や利用者や区市町村はどうなんでしょうかと。寄せられた意見をもとに、では、最終的にこういう判定になるとか。私は、少なくとも行政評価の制度という仕組みを見れば、都民はそういうことを最低限期待しているというふうに思うんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○新行内参事 都民から寄せられた意見の反映というご質問でございますが、そういった都民からいただきましたご意見につきましては、先ほども申し述べましたように、各局の方で的確に対応し、それぞれの見直しの際の検討材料とされておるところでございます。
 直接私どもの方にいただく意見について今後どうするかというご質問でございますが、私どもの方といたしましても、先ほど申し述べましたとおり、それを参考にして事務事業の、この評価制度の改善につなげるというふうな努力をしておるところでございまして、さらにその後の都民の意見を踏まえた上で、さらに評価するというような形での第三次の評価というような制度は現在は考えておらないところでございます。

○松村委員 他府県の行政評価というのは、どういうふうに研究というか、承知しておられるんでしょうか。

○新行内参事 他府県の行政評価というご質問でございますが、それぞれの他府県、同じように行政評価というふうな表現をとっておりますけれども、その手法、あるいは対象、それぞれいろいろでございまして、これが行政評価だというような形というものはないと私どもは思っております。それぞれの都道府県の実情に応じて制度を構築しているというような状況でございます。

○松村委員 私も、それほど全国的な制度を知っているわけじゃございませんけれども、ことし一月、長野県に行き、話を聞いてまいりましたけれども、長野県では財政改革推進プログラムの中で、約千七百に及ぶすべての事務事業について事業評価シートを作成し、県の果たすべき役割や事業の必要性を客観的に評価しましたという話を聞きました。ここで長野県でのすべての事務事業の行政評価を行っている視点が、あくまでも県民本位にやっていると。つまり、見直しの視点が、徹底的に県民の立場で、長野の知事はどこでも行って車座集会をやりますね。出前知事室といって、わざわざ県庁に来てくれないんだというので、私が出かけるんだというので、あちこちの市町村に行って、そこを知事室として、行政の長やいろいろな関係者と対話する。もちろん、県へのホットライン、インターネットも含めて、そういう声を聞く。徹底して県民の意見を集約して、それを踏まえて、先ほどいいましたような事業評価シートをつくって見直しをやっている。
 ですから、東京都でこれまで、いろいろ福祉とか、医療分野で切り捨てられたものも、そうなってないんですね。必要な事業だと。県民が必要だというふうになればやるし、さらに新規の事業も同時にやっているということで、私はその点においては見習うべきものが多いというふうに感じました。
 また、もう一つ、鳥取県、ここでは行政評価を一切やらないとこれまで片山知事はいっておりまして、そのかわりに予算の編成過程を県民に公開し、広く県民の論議を巻き起こして評価していくということですね。これまた予算に向けて、徹底的に県民の意見で、どういう施策がいいのか、これは廃止するのかということをやっているということです。
 ところが、東京の知事本部の行政評価は、総務委員会で既に我が党委員からも指摘しているところでありますけれども、行政の評価を客観的にやるというのではなく、コストとスピードでの評価という政策評価という物差しで、要するに石原知事の路線のために役に立つのか、役に立たないのかということがすべての評価の物差しになっているということをいわざるを得ないと思います。その結果、都市再生などはどんどん評価して進める。一方、区市町村が主体となる事業とか、効率が悪いとか、そういう点で都民施策は切り捨てるというような方向が、この三年間、まだ十五年度は出ておりませんけれども、見ても、そういうふうにいえるんじゃないかと。
 これまで都と都民が積み上げてきたものを切り捨てるような手法のこの行政評価は、私は認めがたいということを最後に意見として申し上げて終わります。

○大河原委員 きょうの委員会の冒頭に、立石委員からCLAIRのことが質疑されました。私も、決算書を見ていて、四億円を超える分担金というのは一体どういうものかというふうに思っていたわけなんですけれども、宝くじのところの関連で出てくるものですから、東京都が実際に懐の痛むお金ではないということがありますけれども、立石委員と同様、私も、ぜひ有効活用をしてほしいということは申し上げておきたいと思います。
 ところで、東京都におけるCLAIRの窓口は外務課ということになっていますけれども、そもそも外務課が所管している都市外交を行うに当たって、基本的な考え方はどのようなものなのか。以前、それは生活文化局で所管されていたわけですから、知事本部への組織改正を経てどのように変化してきたのか、あわせて伺いたいと思います。

○松田秘書部長 従来の都市外交でございますが、主として友好、親善を図り、相互理解を進めることを目的として姉妹友好都市などとの間で人的交流や国際会議の開催などを行ってまいりました。現在では、単なる親善交流や意見交換を超えて、より具体的、実際的な問題解決型の都市外交へ重点を移してきております。
 なお、十三年度の組織改正において、当時の生活文化局国際部の業務のうち、知事のトップマネジメントを補佐する業務を中心に、知事本部秘書部に移管いたしまして、地域の国際化事業については、引き続き生活文化局で行うこととなっております。

○大河原委員 トップマネジメントの補佐業務ということになってきたということなんですが、私なんかは、十年前につくられた東京都国際政策推進大綱と、この国際政策推進計画といいますか、プランというか、そういったもののイメージが強くて、知事本部がトップマネジメントのサポートということになったことで、ちょっと見えにくくなったんじゃないかなというような思いを持っています。
 それで、今、お答えいただいたようなことなんですけど、都市外交の考え方に基づいて、現在、外務課ではどのような業務を行っているんでしょうか。

○松田秘書部長 外務課では、現在、首都の知事としての外交、それと、都を訪問されます外国の要人の方々の接遇でございます。これは十四年度で五十七件行っております。また、都内に百三十三ございます大使館、さらにその他の外国の諸機関などとの連絡調整、それからニューヨーク、北京など十一の姉妹友好都市などとの国際交流、国際協力、また、海外広報などを行っているところでございます。

○大河原委員 以前までというか、去年九月の時点の国際化に関する各局の取り組み状況というものも、以前は生活文化局がまとめ、十四年度は三月と九月にこういう取りまとめのものが出ていて、それは知事本部がやっていらっしゃるということなんですけれど、国際化に関する各局の取り組み状況をどうしてこういうふうにまとめて発表しているかというと、それは東京都国際政策推進プランの施策を中心に、都の国際化に関する事業を取りまとめ、総合調整というか、総合的かつ計画的に推進していきたい、そういう意図があって、このような取りまとめが行われていたというふうに認識しています。
 ところで、ちょっと細かいんですが、私、けさ気がついたので、十四年度の三月分が東京都のホームページに出ています。そこには、今申し上げましたように、東京都国際政策推進プランの施策を中心にした都の国際化に関するというような記述があるんですけど、直前にいただいた、十四年度九月にまとめられたものの頭のところに書いてあるところには、推進プランというような記述はなくて、今組織改編から生文と知事本部がやるもの、トップマネジメントと都民の地域の国際化というところで違ってきたというふうにおっしゃっているんですけれど、それでは、国際政策推進会議というのがあったと思うんですが、それはどうなったんでしょうか。こちらから申し上げると、十二年度までやっていて、十三、十四年度は開かれていないんですね。現在、それはあるんですか、ないんですか。

○松田秘書部長 知事本部に外務課が移管されてからは、開催しておりません。

○大河原委員 開かれていないのはわかるんですが、その会議自体はもう廃止しましたという理解なんでしょうか。

○松田秘書部長 現在休止している状態でございます。

○大河原委員 こういう取り組み状況をまとめるに当たって、そのまとめ方ですね。私は目次を比べてみたんですが、国際政策推進大綱の目標になっていた四つ、それから課題になっているものも一緒に出ているんですが、二十一世紀を展望した都市東京の目標ということで、第一目標が世界の平和と繁栄に貢献する東京、目標の二は魅力と活力にあふれた親しみやすい東京、目標の三は外国人に開かれた地域社会、目標の四は地球市民としての意識、こういうものが目標に掲げられていて、各局がそれぞれ取り組んでいる、そういった事業がここにまとめられて報告されてきたということだと思うんです。
 ただ、そこで、それを総合的、計画的に推進していくという都の意思はあったわけなんですが、伺いますところ、今、国際政策推進会議も休止しているというところでは、各局がそれぞれやっている国際化は各局にお任せする。そして、知事本部がトップマネジメントの補佐というところで、これまでの姉妹都市の外交ももちろん入っていますけれども、私は範囲がかなり狭くなったんじゃないかなというふうに感じますが、このような感想についてどのようにお考えでしょうか。

○松田秘書部長 現在、外務課では、先ほど議論がございましたCLAIRの七つの海外事務所、あるいは十一の姉妹友好都市などとの交流、情報交換を通して、各局に得た情報を電子掲示板などを通して提供して、各局の国際化関連の事業が円滑に、また効率的に進むように支援しているところでございます。

○大河原委員 それでは、そのような流れの中で、アジア大都市ネットワーク21を立ち上げたわけですけれども、これはどのような考えに基づき、具体的な取り組みとしてはどのようなことをなさっているんでしょうか。

○斉藤国際共同事業担当部長 まず、アジア大都市ネットワーク21の設立の考え方についてでございます。アジアの大都市が新たな技術の開発、そして環境対策、さらに産業振興などの共通の課題につきまして取り組んでいくと。その場合に、いわゆる異なった政治的な立場を超えまして、共同して事業を推進し、その成果をアジア全体の地域の繁栄につなげていく。そういった目的でございまして、一昨年十月に十二都市から成ります新たな国際ネットワークとして設立したものであります。
 続きまして、具体的な取り組みについてでございます。現在、十七の事業につきまして、参加都市と共同で、事業の着実な推進を図っているところであります。
 一例でございますけれども、共同事業の一つでございます危機管理につきまして、本年九月、アジアの八都市から二十四名の方々、幹事都市であります東京は、都の関係機関、警視庁、消防庁、防衛庁、営団地下鉄から二十三名の実務担当者が参加いたしまして、第一回のアジア危機管理会議を東京で開催したところであります。会議では、唯一東京が経験しました地下鉄サリン事件を題材にいたしまして、大都市におけますNBCテロ対策、そして今般、アジア各地で猛威を振るいましたSARSの影響などにつきまして、各都市の対策等の議論をし、具体的、実践的な情報交換、意見交換を行ったところでございます。
 この共同会議によりまして、アジアの各都市が危機管理に関しますノウハウを蓄積いたします。そして、人材育成を行いまして、それぞれの都市における危機管理能力の向上を図っていく、そういうことが期待されるところであります。

○大河原委員 ここから先は、私、意見をいわせていただくということになると思うんですが、今、アジア大都市ネットワークが立ち上げられたというところには、東京が持っている国際化を進めるところの理念はそれぞれの事業に生かされていくと思うんです。知事の発意とかリーダーシップによる自治体外交を私も否定するものではなくて、むしろ評価していきたいと思いますけれども、反面、発信力のある首長の思いつきの外交であったり、気まぐれなものであっては困ると思いますし、首長がかわって、組織がかわっても、究極には首長の外交も都民のためにあるというところは押さえておかなければなりません。
 それで、知事のトップマネジメントについても、地域の国際化を意識していただくということが必要でして、その醸成の上に知事のトップマネジメントも理解されるでしょうし、賛同されるというふうに思うんですが、自治体の長としても、地域の国際化を推進する意識なしには首長外交も成り立たないというふうに申し上げておきたいと思います。
 ところが、実際には、今、各局に分散されて進められている国際化政策というのは、取りまとめるということがなければ、なかなか全体を見渡すということができません。首長外交と都民外交、都民の国際化協力といったことをバランスよく進めていくということが必要になってくると思うんですが、先ほど申し上げた十年前の目標というのは、いまだそれが目標たり得るのかというところで再検討も必要かと思いますし、実際、十年前と今とITが全然違いますから、今、例えばイラク攻撃があれば、世界じゅうの市民が瞬時にホワイトハウスに電子署名を届ける、そういう時代ですから、自治体の動向に頼らなくても、もちろん、都民は自主的な、そういう海外との接触を深めるということになっていると思うんです。
 ただ、特に若い世代が世界と出会うという場を提供していく。今、アジア大都市ネットワークの話などを伺いますと、これまでの形式的な親善外交から、きちんと実利のあるものに変えていくというような発想も見受けられるんですけど、自治体が行うそういった外交のベースになるものというのは、私は理念を持った非営利のものだろうというふうに思うんです。
 それで、大綱に以前示されていた、二十一世紀の共生社会をつくる。アジア大都市ネットワークに特に申し上げておきたいのは、これはアジアとの共生ということがベースで、どうしても都市間競争といってしまうと、競争が前面に出てきてしまう。しかも、それがどこかの利益につながるようなことでは、それが本当に掲げていた理念と一致していくのか。それはどこかでチェックしなきゃいけないことになると思うんです。ですから、形だけの国際交流から内実あるものに、国際協力に変わってきている。その流れは評価していきたいと思うんですが、ぜひともその点、心していただきたいというふうに思います。
 それで、先ほどの危機管理ネットワークも、次々に新たなテーマが生まれてきますし、そのテーマごとに世界の各都市とネットワーキングする、一致協力して課題解決を図るということも、今当然行われるべきことで、それは姉妹都市交流に縛られないものだというふうに私も思っています。そこで、東京都の積み上げてきたこれまでの評価、これはもちろん、これまでの歴代の知事もそうでしょうし、それとともにあった各部局の皆さんが頑張った成果だと思いますし、さらにいえば、東京都が外出しをして、国際交流財団などもあったわけですから、そこから都民とともに、地域の国際化を広げていった。そういったことが、まず、大きな評価となって返ってきたと思います。
 これは知事本部に申し上げることと同時に、生活文化局にも今後申し上げたいと思いますが、国際交流財団の役割を、今度は都庁内に引き戻して、国際交流委員会が立ち上げられておりますけれども、ここも財政面では助成金にかなり大きく頼る部分になってくると思うんです。ですから、CLAIRの分担金といい、こうした事業といい、その財源は限られたものですけれども、実は、予算の多寡をいうのは余りよくないと思いますが、そこにかける意気込みというのは、予算にもあらわれてくると思いますし、また、知事本部のトップマネジメントと都民の国際交流、国際協力、こうした都民外交とがバランスよく今後行われていくように、ぜひともお願いしたいと思います。
 何か局長がもしご感想というか、そういうトップマネジメントを補佐することと、また、地域の国際化を意識することと、ご感想があれば伺いたいと思いますが、例えば、私は、きのうホームページを見ましたら、不法就労者の規制を強化する。今、治安問題からそこに関心が集まっておりますし、当然やらなければならないことは、以前から強化ということは、規制は行われなければならないこととしてあったと思いますが、そのときに、同時に、不法就労している方たちの人権問題というものを忘れないようにということが以前からあったと思います。そういうバランス感覚だと思うんですが、いかがでしょうか。

○前川知事本部長 グローバリゼーションがとうとうと進む中で、広い意味での各国の交流、都市間外交といいますか、交流というのは必然的な流れであろうと思っております。ただ、その中で、今お話がありましたが、例えば、これまでどちらかといえば、マスコミを初めとしてややセンチメンタルなところがあった。例えば市民外交といったり、都市間交流といえば、それだけですべてが正義であって、極端にいえばですよ、すべてが解決するような風潮が一部になかったわけではないと私どもは考えております。
 そういう中で、これも今お話に挙げられましたが、例えば拉致の問題とか、あるいは不法入国の問題とか、これはまさにある意味では交流なんですね。しかし、それをそのまま認めていいかというと、そういうことは毛頭ないのであって、そういう面では、国家対国家、あるいは場合によっては都市対都市の市民レベルを超えたつき合いというか、対応が必要だろうと思っております。そういう両面をにらみながら、その状況に合わせてきちんとバランスをとっていく、それが不可欠であろうというふうに考えております。

○大河原委員 局長のおっしゃることも、私、十分わかります。外に東京があらわれるときというのは、そうした首長のスマートなというか、強力なリーダーシップもそうですけど、そういう東京を代表するといわれるところで評価も受けるんだと思います。今、北朝鮮問題にも触れられましたけれども、アジア大都市ネットワークをつくり、アジアに目を向けた都政というものが今後どのような発展を見せるのか、その視点が再確認されなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。
 ソウル特別市の市議会と東京都議会、連携していこうということも確認されておりますけど、先日、ソウルを訪問させていただいた折に板門店に参りました。北と南の韓国の問題というのは、私たちが東京から考えるのとは本当に違うんだなということも実は実感してきました。板門店で北側を眺めるとき、いろいろな諸注意を受けるんです。ポケットに手を入れないこととか、向こうを指ささないこととか、いろいろいわれますけど、私たちは、平和ぼけとはいいませんけど、そんなことまでというふうに思っているんですが、翌日に銃撃戦があったと聞けば、そういう緊張したところに韓国の方たちが暮らしているということを考えなくちゃいけない。
 アジア大都市ネットワーク、情報収集をするに当たっても、アジアの情報はなかなか収集が難しいと思うんです。何か連携をしていく、やりとりについても時間の感覚も違うでしょうし、一つの企画を組み立てる、そういう習慣もかなり違うようにお見受けいたしましたけれども、例えばCLAIRの派遣先はソウルの事務所に派遣を検討するとか、もう少し引き寄せた変更もあるのかなというふうに感想を持ちましたので、そのこともつけ加えさせていただいて、質問を終わります。

○河西委員 それでは、私は、行政評価の実績についてお尋ねさせていただきたいと思います。先ほども他の委員から質疑がございましたが、重複部分を避けながらと思っております。
 十三年度から本格的な導入といいますか、制度の採用がありました。私の方から申し上げますが、行政評価は、政策評価と事務事業評価があって、十三年度の政策評価の評価対象の設定は、道路交通の円滑化を図る、もう一つは、緑の保全、創出などにより、都市のヒートアイランド現象を緩和する、十四年度は産業政策、具体的には企業等の経営革新や起業、創業を促す場を構築するということになっております。事務事業評価につきましては、十三年度は、都民利用施設の運営、監視指導に関する事務事業など五十二事務事業。十四年度の実績は、補助、助成に関する事務事業など四十八事務事業。十五年度、今年度は、補助、助成に関する事務事業と普及啓発、人材育成などの都民サービス事業など、四十事務事業となっております。
 このような本年を入れて三カ年度の実績を踏まえて、冒頭にお尋ねしたいのは、昨年我が会派の山下太郎議員から、行政評価の最後の段階になりますが、評価結果の公表と活用のところで工夫が必要だということで指摘させていただいて、具体的には、まずアクセス数と意見がどれだけあったのか、それから意見はどのように反映されたのかということで、指摘をさせていただいて、改善方を要望したというふうに思います。
 まず、十三年度に本格実施されてからの行政評価ホームページへのアクセス件数、それと、都民から寄せられた意見の件数、十三年度評価結果公表後、十四年度の評価結果公表後、それぞれ教えていただきたいと思います。件数については先ほど十九件とございましたけれど、アクセス数もあわせて年度別にお願いします。

○新行内参事 ホームページへのアクセス件数、あるいは都民から寄せられた意見の件数についてのご質問でございますが、平成十三年度の評価結果公表後から十四年度評価結果公表までの約一年間の行政評価ホームページへのアクセス件数は三万九百七十三件で、その間に寄せられました都民からのご意見は十五件でございました。
 また、十四年度評価結果公表から十五年九月、これが最近の集計でございますが、約十カ月間では、ホームページへのアクセス件数は二万七千五百八十七件、寄せられましたご意見は四件でございました。

○河西委員 この評価結果に対する都民の意見は、実際にはどのように都の施策の中に反映されたのか、ご答弁願いたいと思います。

○新行内参事 都民から寄せられましたご意見につきましては、知事本部内で参考にさせていただきますほか、事業実施局への送付を行いまして、事務事業の見直しに係る一つの検討材料としております。また、あわせまして、行政評価ホームページ上で、すべてのご意見の趣旨を公表しまして、都民の皆様に都政についてのご論議の材料としてご活用いただくことにしてございます。

○河西委員 ありがとうございました。
 特にいただいたご意見の内容がどういうものであったのか、都民がどういう関心を持って意見を申し述べてきているかということを、再度ホームページに返すということで、それは昨年、山下議員がご要望させていただいたものを受けて改善されたんだろうというふうに思います。
 それでは、先ほど私、十三年度、十四年度、十五年度の政策評価の対象について読み上げました。というか、列記いたしました。この評価対象事業の選定なんですけれども、政策評価、事務事業評価、それぞれ選定の考え方なり、基準というものを改めてお聞きしておきたいと思います。

○新行内参事 まず政策評価につきましては、都政の重要課題の中から検証が必要と思われるものを選定いたしております。十四年度の選定に当たりましては、都内の経済状況が悪化している状況に基づき、産業政策を評価実施対象といたしました。
 事務事業評価につきましては、都の事務事業のうち、緊急性及び必要性に応じて、政策評価に関する事務事業と特定のテーマに関する事務事業を選定しております。十四年度につきましては、地方分権や行財政改革が喫緊の課題となっている状況を踏まえて、特定テーマとして補助、助成に関する事業を選定し、政策評価関連の事務事業とともに評価を行ったところでございます。
 また、十五年度におきましても、引き続きまして、補助、助成に関する事務事業、あるいは普及啓発、人材育成などの都民サービスに関連した事業を選定しておるところでございます。

○河西委員 政策評価は都政の重要課題の中から検証の必要な政策等を選定するということですが、具体的には、さらに東京都の都政の政策指標を初めとして、政策達成に関連するさまざまなデータを用いて、特に新たな方向へ動き出した後に検証が必要な政策、方向性の転換や見直しが求められている政策から、その年度、年度で、緊急性、必要性に応じて選択している、こういうことだろうというふうに思います。
 そこで、先ほど評価の結果をどう活用しているのか、見直しにどのようにつながっているかということにつきましては、質疑、やりとりがありました。また、見直し事項、それから、その後のフォローアップについての資料もいただいておりますので、これは割愛させていただいて、次に行きたいと思うのですけれども、十五年度は政策評価で評価対象が選定されておりません。都の行政評価制度の現状と課題にも関連があるんじゃないかと私は思うんですが、どうして十五年度は政策評価の対象が選定されなかったのかについて理由をお聞かせいただきたいと思います。

○新行内参事 都政の構造改革には、成果主義への転換と事業の不断の見直しが必要でございまして、実際に事業を行っている各局が、みずから事務事業等を検証していくことが不可欠でございます。今後とも行政みずからの改革を推進し、また、都政に係る議論の材料を広く提供していくため、行政評価制度の改善を重ねてまいりたいと思います。
 なお、副委員長ご指摘のとおり、現在、都におきましては、都政の各分野で政策と内部改革の両面から構造改革を推進することが求められており、政策全般における見直しが必要になっております。このため、従来から行ってまいりました政策評価につきましては、今年度は実施しないとしたところでございます。

○河西委員 ちょっと抽象的で、どうして十五年度に政策評価対象を選定しなかったのかということについては、今の抽象的なご答弁でわかりにくいんですね。その理由として、都政の構造改革の推進を図るために、政策全般の見直しが必要である。だから、今年度は政策評価を実施しないということだったんですけれども、逆に政策決定に行政評価の評価結果がどのように位置づけられているのかということになろうかと思うんですね。もう少し具体的に今のご答弁をお聞かせいただけませんでしょうか。

○新行内参事 具体的にということでございますので、重ねて答弁させていただきます。
 まず、例として十三年度、十四年度を説明させていただきますと、十三年度の政策評価結果につきましては、平成十四年度の重要施策に反映するということで、例えば、道路交通の円滑化の評価結果は、十四年度重要施策の中のボトルネック箇所の解消、あるいはヒートアイランド対策の評価結果は、同じくヒートアイランド対策の展開にそれぞれ反映しているところでございます。
 十四年度の政策評価につきましては、産業政策という多岐にわたる内容でありましたことから、十五年度事業を検討する際の素材としての活用を行った、このように考えておるところでございます。
 先ほどの私の説明が抽象的でわかりにくいというご指摘でございましたけれど、まさに都政全体が構造改革を進めるという中で、個々の施策を見直すということではなくて、施策全般についての見直しが必要であろうという観点から、今年度、平成十五年度の政策評価の選定はしなかったということでございます。

○河西委員 ことしの夏に三副知事の名前で依命通達が出て、それで、都政の構造改革の視点と方向というのが出され、その具体的な中身としては、第二次の財政再建推進プランをつくること、新しい都庁改革アクションプランをつくるということ、来年度、十六年度の重点施策を絞り込んでいくというか、決めていくということを通して、構造改革を進めるんだということで、態度表明があったかと思います。そういう時期であると、行政評価の目的、趣旨を生かしながら、政策評価をどうしてできないのかなというところがちょっと理解できないんですね。行政評価というのは、日常的な事務事業の点検と業績評価を出し、それが政策変更、見直しにつながっていくという、そういう作業だというふうに思うんですけれども、そこら辺、後でまた最後に、行政評価制度の現状と見直しというのは今必要ないのかどうかということで、関連してお尋ねさせていただきたいと思います。
 その前に一点だけお伺いしておきたいのは、冒頭に申し上げました東京都が行っている行政評価のシステムそのものの理解と評価結果を十分に理解していただくということで、都民への周知、PRというのは、非常に大事だというふうに思うんです。都が採用します、あるいは決定します施策なり事業が、きちんとした見直し、廃止をもし提案したとしても、この行政評価、事務事業評価の中で、きちんとその理由づけが、データもあわせて情報提供されるということは、施策を容易に推進させることができる、これにつながっていくだろうというふうに思いますので、PRといいますか、行政評価制度そのものを知ってもらう、あるいは評価結果をしっかりとPRして、都民から積極的なアクセスなり、ご意見をいただくということが必要ではないかと思います。
 これまでにホームページのアクセス件数等をお聞きしたんですけれども、私どもに行政評価の結果の冊子を配布していただいています。これは情報ルームなどでも販売しているということなんですけれども、一般都民にはまだ宣伝もきいておりませんし、どういう視点でどういう見直しをして、こういう結果になったというような、膨大な数十事業ですから、しかも、全部の事業まで拡大すると大変なことになると思いますが、でも、基本はそこだろうというふうに思いますので、PR等について、ぜひ改善をしていただきたいと思うのですけれども、この点についていかがでしょうか。

○新行内参事 行政評価のPRにつきましては、これまでも「広報東京都」やホームページへの掲載、その評価結果の冊子の図書館への配布、あるいは副委員長ご指摘の都民情報ルームでの販売、そういったことを通しまして、都民への周知を図ってきたところでございます。
 今後とも、テレビ、ラジオなどの都政広報番組の活用や、あるいはわかりやすいビジュアルなパンフレットの作成などといった、そういったPR手段の多様化と公表方法の改善を検討してまいりたい、このように思っております。

○河西委員 ぜひ工夫して、行政運営が、あるいは事務事業の執行が公正に行われているということの証明にもなりますので、ぜひそこのところは工夫しながら充実させていただきたいと思うんです。
 私の理解力が不足しているからかどうかなんですけれども、先ほど申し上げた都全体の政策決定に行政評価制度、あるいは評価結果がどのように位置づけられているかということで、重ねてのご質問になりますが、お尋ねしたいと思うんです。
 今、東京都政も、国が求められているのと同じように、構造改革が必要だという認識は多くの方がしていると思います。ことしの夏、先ほど申し上げました七月二十四日でしょうか、都政の構造改革の視点と方向について、三副知事名で依命通達が出されました。第二次財政改革再建推進プランが既に出されておりますし、今後、来年度の重点事業が定められ、また、いつごろになりますか、近々に新しい都庁改革アクションプランが策定される、そして発表されるだろうというふうに思います。こういった流れの中に、行政評価の実績、あるいは評価結果が生かされなければいけないと思うんですね。そのためにも、行政評価システムの改善や、その前段の作業になるんでしょうか、局内で行われています自己検証システムの充実なども必要ではないかと私は考えております。
 行政評価制度の改善の視点として私が思っていますことを一、二申し上げたいというふうに思うんですけれども、一つは、局評価の第一次評価結果と知事本部評価の第二次評価の結果が異なるものが多いというのは、この報告を見るとわかるんですね。先ほどもこれについてのやりとりがございましたが、私は、知事本部で現場の評価を無視してばさばさ切るのはおかしいとか、そういうことではなくて、逆に、どうして違ってくるのかということ、この違いをどういうふうに埋めていくのかということが必要だろうというふうに思っております。
 それで、規則がいっていますように、評価結果が異なる場合は第二次評価を採用するということになっていますから、十三年度、十四年度の事務事業評価の結果報告書、あるいは見直しのフォローアップの報告書を拝見していえることは、事業を持っている各局が、今、予算獲得で頑張ろうということで、そういう姿勢がどうしても出るわけで、それと、予算の査定権を行使する財政当局との関係が対抗的になっているということだろうと思うんですね。事業局は予算の編成権がないわけですので、本来ならば、東京都全体の財政状況をしっかりと分析して、認識していれば、事業局であろうとも、見直し、縮小、廃止すべき事業が明らかになってくるでしょうし、逆に、都民ニーズにこたえて拡充していかなきゃいけない事業もはっきりとわかってくると思うんですが、今、予算の査定権、編成権もないですし、査定で切られるということになりますと、第一次評価、局評価というのは、現行水準の維持とか、充実、拡充ということにどうしてもなってしまう。そういう関係があるということが、第一次評価、第二次評価の結果がかなり違ってきているということにつながっているだろうというふうに思うんです。
 この評価が一致するということは、逆に、全庁の職員が現状認識を共有して、改善の道筋も共通認識を持っているということになるわけですから、現状はそこまでは行っていない。都政の、別の見方からすれば、やっぱり縦割りという批判も的を射ているということをいわざるを得ないというふうに思うんです。
 こういった問題意識からいいますと、職員の意識改革はどうしても必要ですし、やるということが前提ですけれども、もう少しボトムアップの政策決定の要素を入れるべきではないかなという印象を持ちます。今度の東京都の構造改革の視点と方向の中でも、現場感覚を生かしてということで指摘がされているんですけれども、私は現場感覚を生かした政策決定というのは必要だろうというふうに思っています。そういうことからいいますと、本格導入三年目になっております行政評価の制度そのものの、私は充実の方向での見直しというつもりで申し上げますが、見直しが必要だろうというふうに思っています。これは以前から議論があったところだと思いますけれども、東京都が行っている施策なり事業を、東京都の内部で評価するということについての、都民からすれば、不満といいますか、あるのは事実でございまして、その意味からも、外部評価のシステムについて本格的に検討をすべきだろうというふうに思っています。
 これらの、私が一方的に問題意識を申し上げて、外部評価等、あるいは制度の見直しなど申し上げましたけれども、今後の行政評価制度のあり方について都の決意も含めて、最後に本部長のご見解をお伺いして、質問を終わりたいと思うんですが、よろしくお願いします。

○前川知事本部長 先ほど来、議論をお聞きしておりまして、考えておりましたが、そもそも評価というのは本当に難しいわけでありまして、いわゆる広い意味での政策評価等になれば、当然ながら、事業評価もそうですが、価値判断なり、方向の選択という要素が不可欠である。それを離れて、何か科学的な、一般的な評価のシステムができれば、物事が科学的、合理的に進むというのは、一種の幻想であろうというふうに私どもは考えております。
 ただ、最終的には、都民の評価であり、ひいては都議会の評価である。それをしっかり押さえながら、我々行政がやることは、そのための判断の材料として、できるだけ合理的、客観的な評価をしていくことであろうと思うわけであります。その場合、今お話がありましたが、問題によって、そういう行政的な評価にたえるものとたえないものもあるわけであります。また、一次評価と二次評価につきましても両面ありまして、私、常日ごろ申しているわけでありますが、我々がデスクの上で文字面を見て評価するというのは間違いであって、現場の感覚を踏まえなくちゃいけない。ただ、同時に、局というのは、どうしても保守的になりがちである。自分の事業を守るところもありますし、それからまた、現実の利害関係の中でいろいろな、また裂きに遭ったりとかしているわけでありますから、そういうのを超えた全体の利益をいわば透徹した目で見ていくといいますか、そういう姿勢を持つようにしようじゃないか。そうでなければ、知事本部の存在意義もないし、財務局の存在意義もないと私どもは考えております。
 こういう視点に立って、できるだけ今お話があった行政評価の充実に努めるとともに、知事のご指示で外部評価もやっておりますけれども、こういったことの導入についてもさらに工夫していきたい、こう考えています。

○野田副委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野田副委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本部関係を終わります。

○野田副委員長 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○野田副委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野田副委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○野田副委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○河西委員 時間も予定より過ぎているようですので、淡々と何点かについてお聞かせいただきたいと思います。
 選挙は、議会制民主主義、あるいは民主主義の根本、原点だろうというふうに思います。さきの国会でも公選法が改正されまして、マニフェストの配布なども可能になったということでございますが、そこで、電子投票の導入、あるいは導入に向けた取り組みについてお尋ねしたいと思います。
 平成十四年六月に、岡山県新見市で我が国初の電子投票が行われました。一年半近くが経過しております。私どもも民主党の議員で、投票日、開票を含めて、現地でその模様を見てきたわけですけれども、この電子投票は、開票時間を大幅に短縮することができ、選挙結果を有権者に迅速に知らせることができるなど、大きなメリットがあるというふうに思います。したがって、電子投票というのは、情報化社会にふさわしい選挙のシステムであるというふうに認識しています。
 そこで、お伺いしたいと思いますが、全国の自治体における電子投票の実施状況はどのようになっているのか、ご報告ください。

○押切選挙管理委員会事務局長 ただいま委員のお話にありましたように、我が国で初めて電子投票が行われましたのは、昨年六月二十三日の岡山県新見市の市長選挙及び市議会議員選挙でございました。
 新見市に続きまして、本年に入り、二月二日執行の広島市長選挙におきまして、行政区の一つであります安芸区におきまして電子投票が実施されております。
 次いで、いずれも議会議員選挙でございますけれども、四月二十七日、宮城県白石市、七月六日、福井県鯖江市、七月二十日、岐阜県可児市、そして、八月三日、福島県大玉村におきましてそれぞれ実施され、現在までに電子投票を実施した団体は合計六団体となっております。
 各団体での電子投票の状況はおおむね順調に行われましたところでございますが、岐阜県可児市におきましては、電子投票システムが一時停止するというトラブルが発生したと聞いております。

○河西委員 岐阜県の可児市で実施された電子投票が一時停止ということですが、どのようなトラブルが発生したのか。電子投票は、事務の迅速化、効率化のメリットがある反面、適切な対策を欠いたまま導入すると、データの消失とかシステムの停止とか、重大な事故にもつながりかねないと思います。電子投票システムにおける信頼性、安全性は十分に確保されているのか、あわせてお答えいただきたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 まず、可児市におきますトラブルについてでございますが、可児市の選挙管理委員会によりますと、投票を記録する装置の一部が過熱し、保護機能が働き、投票システムが一時停止したとされております。
 なお、投票されたデータ、すなわち投票記録につきましては問題なく保護されているということでございました。
 次に、電子投票システムにおける信頼性、安全性の確保についてでございますが、いわゆる電子投票特例法では、二重投票の防止や投票の秘密の確保など、電子投票機が具備すべき条件などを定められております。これを担保するものといたしまして、国は技術基準を示し、これを指針としてシステムの開発が行われてきております。具体的には、二重投票防止のための投票カードの使用、予備としての記録媒体の複写の義務化、停電時のための予備電源の確保など、ハード、ソフト両面にわたる各種措置がとられて実施されてきております。

○河西委員 東京都の状況について、次に移りたいんですが、東京都の選挙管理委員会は、平成十四年三月に電子投票制度検討研究会の報告書を発表いたしました。電子投票に対する都の取り組み方針を示したということでございます。その中で、電子投票導入の効果として、選挙結果の迅速な公表が可能となる、投票者の意思が正確に反映される、障害を持つ人にとって投票しやすくなる、投票率の向上が期待されるなどをメリットとして挙げていらっしゃいます。
 この報告書を受けて、平成十四年度には電子投票の早期導入に向けてどのような取り組みを行ったのか、お答えいただきたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 平成十四年度の都選管としての取り組みでございますけれども、まず、国に対しましては、お話の東京都の研究会報告書につきまして説明を行いますとともに、不在者投票への導入など提言の内容を伝えてまいりました。
 また、区市町村に対しましては、電子投票システムの内容を周知するとともに、電子投票をめぐる動向を把握し、その情報の共有化を図ってまいりました。
 さらには、電子投票の模擬体験を実施し、選挙関係者にも広く興味を持っていただく機会を設けたところでございます。
 また、電子投票の導入には多額の経費を必要とすることから、このことが導入するに当たっての大きな課題となっております。都内の区市町村の平均的な投票所の数、四十カ所、配置する投票機の数、合計二百四十台をもとに試算いたしますと、システムの導入経費というのは、一団体約一億六千万と想定されています。これらの経費につきましては、法律上は導入する自治体の負担とされております。
 都選管といたしましては、国の補助制度を踏まえまして、区市町村における電子投票の円滑な導入を支援するために補助金交付要綱を定めまして、パイロット事業として先駆的に電子投票を実施する団体に対し、導入経費の四分の一を補助する制度を平成十四年度に創設しまして、四千万円の予算措置を行っております。
 なお、別途国におきまして導入経費の二分の一を補助する制度がございますので、導入する団体の負担額はおおむね四分の一に軽減されることになります。

○河西委員 東京都では、パイロット事業として補助金の交付要綱を定めていますけれども、十四年度には都内の区市町村で電子投票を実施した団体はないと。この結果、財政支援のための予算も、四千万ですか、不用額として、昨年、ことしと残ってしまっているということだろうと思います。
 具体的に、市区町村にどのような働きかけを行ったのか、今後、導入を考えている団体は東京ではないのかどうか、この辺の話をお聞きしたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 区市町村への働きかけについてでございますが、まず、先駆的に電子投票を実施した新見市のような団体の実施状況を調査し、その結果につきまして、区市町村に対し情報提供を行ってまいりました。また、区市町村と共同で設置しております選挙事務運営協議会におきまして、新見市での実施結果を踏まえた電子投票の現状分析等を行い、その結果を取りまとめ、参考に供したところでございます。
 次に、今後の導入に向けての都内区市町村の動向でございますが、電子投票実施団体への実地調査や電子投票の模擬体験を実施するなど、調査研究や具体的な検討を進めている区市町村もあると聞いております。ただ、現時点では、電子投票の導入を表明している団体はございません。

○河西委員 電子投票の導入を検討している団体はあるけれども、導入はなかなか進んでいないということです。それはなぜなのかということなのですけれども、私も、デモンストレーションをやっているところに行って、実際に模擬投票をやったりしておりますが、銀行の預金の出し入れ、送金等々で機械になれている人はそんなに難しい話でもないんですが、ハードの面、情報管理の面等々で課題があるということは理解しているところです。
 情報化社会にふさわしく多くのメリットがあるけれども、積極的な導入が東京ではまだないということですが、導入が進まない課題というのはどういうふうにお考えになっていらっしゃるんでしょうか。

○押切選挙管理委員会事務局長 区市町村におきまして電子投票の導入を図る上での課題でございますが、まず、現時点では、先ほど申しましたように、電子投票の導入には多額の経費を必要とすることが挙げられます。都選管といたしましては、当面、パイロット事業として、導入経費に対する補助制度を設けて継続し、先駆的な導入を期待してまいりたいというふうに考えています。
 次の課題としまして、国政選挙への導入のめどが立っていないことが挙げられます。国政選挙と地方選挙に統一的に電子投票を導入されることによりまして、投開票に当たる地方自治体の選挙事務の効率化や選挙事務従事者の負担軽減、さらには導入する団体の財政負担の軽減が本格的に図られるものと考えております。
 三点目といたしましては、有権者の間に定着しております現行の自書式投票を電子投票に変更するに際しましては、何といっても、有権者の方々の理解を得ることが重要であると考えております。
 なお、これまで不在者投票につきまして電子投票が認められてこなかったことから、その分の開票が手作業となりまして、全体としての開票時間の短縮効果が減殺されるという問題がございましたが、本年六月の公職選挙法の改正によりまして、電子投票の実施が可能となり、制度的な課題の一つは解決を見たところでございます。

○河西委員 課題が幾つかあると。国政選挙に適用しないという法律ですから、ここのところで改正がないと、なかなか地方選挙だけで導入しようという踏ん切りがつかないのかなと思います。
 開票時間につきましても、新見市に行ったときもそうですが、当日、投票所での電子投票の結果はあっという間に出るんですけれど、不在者投票の開票に従来と同じぐらいの時間がかかって、総体としては結構かかったということです。これもことしの十二月から執行される選挙については不在者投票についても可能になる法改正ができましたので、一歩前進かなというふうに思っています。
 最後になりますけれど、いろいろご努力されているのはわかりました。何といっても選挙の執行というのは、公正で正確な結果をきちんと出すということと、投票率を上げることにプラスかマイナスかというのが私は一番大きいというふうに思っています。今、若者たちの投票率が低いというのは、各種選挙をやってもそうなんですけれども、行く行くは投票所に行かなければ電子投票ができないという状態から、そうではないITの活用ということで、投票の方法もそんな近いうちに変わるとは思いませんけれども、改善されて、新しい選挙の方法が編み出されるというふうに思います。
 当面、補助要綱もつくっている東京都ですので、もう少し工夫しながら、区市町村と連携をとっていけば、検討しているところは、もしかしたら近いうちに実施に踏み切るのかなという感触を持っていますが、早期導入に向けて、最後にどのような対応をされていくのかだけ聞いて、質問を終わりたいと思います。

○押切選挙管理委員会事務局長 今後の対応についてでございますが、まず、区市町村に対しましては、パイロット事業としての財政支援を引き続き措置するよう努力してまいりたいと思っております。
 あわせまして、区市町村と共同し、電子投票の導入のための費用の低減方策を含め、導入に向けての具体的、実務的な検討を深めてまいりたいと考えています。
 今後、いずれかの区市町村におきまして、導入の意思を明らかにされた場合には、都選管として円滑に導入が図られるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
 また、国に対しましては、国政選挙への導入、さらに、自治体が円滑に導入するための環境整備を図るよう、引き続き国に要望してまいりたいと考えています。
 また、有権者への電子投票への理解を深めるために、さまざまな機会をとらえまして、電子投票の意義やメリットについて周知を図ってまいりたいと考えております。

○野田副委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○野田副委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時四十六分散会

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