各会計決算特別委員会第二分科会速記録第五号

平成十五年十月二十二日(水曜日)
第十委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十名
委員長前島信次郎君
副委員長山田 忠昭君
副委員長清水ひで子君
東村 邦浩君
河野百合恵君
山加 朱美君
酒井 大史君
樋口ゆうこ君
田島 和明君
比留間敏夫君

欠席委員 なし

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鮎澤 光治君
理事斎藤 尚也君
総務部長比留間英人君
学務部長山際 成一君
人事部長臼井  勇君
福利厚生部長幡本  裕君
指導部長近藤 精一君
生涯学習スポーツ部長鈴木 雅久君
教育政策担当部長石川  武君
都立高校改革推進担当部長山川信一郎君
参事齊藤 一男君
参事井出 隆安君
参事瀧川  清君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  教育庁関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)

○前島委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いを申し上げます。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、教育庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求をいたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○比留間総務部長 去る十月十日の当分科会におきましてご要求のございました資料についてご説明を申し上げます。
 お手元の平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。
 ごらんいただきますように、今回要求のございました資料は八件でございます。
 それでは、一ページをお開きいただきたいと思います。1、教育庁が所管する歳出予算決算状況及び一般会計に占める教育費の割合でございます。
 見開きになってございますけれども、(1)、歳出予算決算状況は、教育費における予算、決算、不用額及び執行率を、教育費計とあわせまして、教育管理費、小中学校費などの予算科目ごとに、平成五年度から十四年度までの十年間を記載してございます。
 また、下段の表、(2)、一般会計に占める教育費の割合では、各年度ごとの教育費の占める割合をお示ししてございます。
 次に、三ページをごらんいただきたいと思います。2、教育庁所管事業の廃止、終了及び見直しについてでございます。
 平成十二年度から平成十四年度までの三カ年において、廃止、終了及び見直しをいたしました事業について、予算とともにその内容をお示ししてございます。
 五ページをごらん願います。3、平成十四年度決算区分別執行状況でございます。
 平成十四年度教育庁所管予算のうち、執行率が八〇%以下の事業につきまして、予算現額に対する支出済額、不用額、執行率、主な理由及び平成十五年度予算額をお示ししてございます。
 七ページをごらんいただきたいと思います。都立学校卒業者の進路状況でございます。
 まず、(1)、都立高校全日制及び定時制でございますが、平成十年度から十四年度までの五年間の卒業者計とその進路状況をお示ししてございます。
 なお、進路状況につきましては、進学者から死亡・不詳まで、五つの区分に分けてございます。
 また、平成十四年度につきましては、全日制及び定時制の別にお示しをしてございます。
 次の八ページの(2)、都立盲・ろう・養護学校でございますが、都立盲・ろう・養護学校高等部卒業者につきまして、同様に過去五年間の進路状況を、盲、ろう、肢体不自由、知的障害の学校種別に分けてお示しをしてございます。
 九ページをごらん願います。5、公立小中学校施設の耐震診断と改修の実績状況でございます。
 都内の公立小中学校施設につきまして、校舎、体育館別の全棟数に対する耐震診断の実施状況をお示ししてございます。
 なお、実施率につきましては、この表の一番下の欄にお示ししてございます。
 一〇ページをごらん願います。6、都立盲・ろう・養護学校施設整備費の推移でございます。
 施設整備費の予算、決算額を、平成五年度から十四年度までの十年間についてお示しをしてございます。
 一一ページをごらんいただきたいと思います。7、都立盲・ろう・養護学校調理業務委託費学校別一覧でございます。
 平成十二年度から平成十四年度までの学校別の契約金額をお示ししてございます。
 なお、欄外の注にございますように、契約は三年契約が原則でございます。
 一二ページをごらん願います。8、いじめ、不登校、中途退学の推移でございます。
 (1)、いじめ発生件数の推移では、平成五年度から十四年度までのいじめの発生件数を、小中高等学校に分けてお示しをしてございます。
 中段の(2)、不登校児童生徒、年間三十日以上の欠席でございますが、この数の推移では、平成十年度から十四年度の人数を小中学校別にお示しをしてございます。
 下段の(3)、都立高等学校中途退学者の推移では、同様に平成十年度から十四年度までの人数を、全日制、定時制の別にお示しをしてございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いをいたします。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○山田委員 教育庁の皆様には、日ごろ、教育行政の諸課題につきまして積極的に事業を展開し、都民の期待にこたえるべく日夜努力をされていることに対し、感謝を申し上げたいと存じます。
 それでは、平成十四年度の決算につきましてご質問をさせていただきたいと思います。
 決算概要や主要施策の成果にも記載をされております都立学校の施設整備について質問をいたしますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。
 先が見えない時代といわれる今、時代の変化に主体的に対応し、日本の未来を担う人間を育成する教育がますます重要となっております。児童生徒の安全で快適な教育環境の確保が大変重要な課題であると思います。そのため、東京都においても、都立学校の施設整備は極めて重要な事業であり、何よりも優先すべき課題であると考えます。
 そこでお尋ねいたしますが、都立学校における改築や大規模改修等の施設整備について、どのような考えで進めているのか、お伺いをいたします。

○山際学務部長 高等学校における施設整備につきましては、都立高校改革推進計画に基づく整備のほか、校舎の老朽化への対応や災害時の安全性の確保などを目的といたしまして、計画的に改築や大規模改修を実施しているところでございます。
 また、盲・ろう・養護学校の施設整備につきましても、老朽化への対応や災害時の安全性の確保など、各学校の実情を総合的に判断して、計画的に実施をしているところでございます。
 なお、平成十四年度では、改築を行っているのは、高等学校十一校、盲・ろう・養護学校三校であり、また、大規模改修を行っているのは、高等学校三校、盲・ろう・養護学校一校でございます。

○山田委員 校舎の老朽化や災害時の安全性に対応した施設整備を行っているということでございますが、安全教育環境の確保という点からも、学校の耐震対策も非常に重要であると思います。特にことしは、宮城沖地震とか十勝沖地震とか、大きな地震が発生をいたしております。防災対策として、都立学校の耐震診断調査及び耐震補強工事の進捗状況はどうなっているのか、お尋ねいたします。

○山際学務部長 都立高校二百六十七校のうち、耐震診断の必要のない、いわゆる新耐震基準によりまして昭和五十七年以降に建築されました学校が、九十八校ございます。
 したがいまして、耐震診断調査の対象は百六十九校でございます。これらの学校につきましては、三宅高校を除きまして平成十四年度までに耐震診断調査を終了しておりまして、三宅高校につきましても、今年度、耐震補強調査の実施を予定しているところでございます。
 また、耐震補強工事につきましては、改築や大規模改修をあわせて実施するものを除きまして、盲・ろう・養護学校は平成十六年度までに、高校につきましては十八年度までを目標に、工事を完了させるよう努力をしているところでございます。

○山田委員 震災対策が計画的に進められているということにつきましては、今、説明でよくわかりましたが、地震はいつ起こるかわかりません。予算の関係もあるとは思いますけれども、耐震工事を一日も早く実施するようにお願いいたしたいと思います。
 次に、学校におきます快適な教育環境の確保の観点からお尋ねをいたしたいと思います。
 都市部では、ヒートアイランド現象がますます深刻になってきております。ことしも、冷夏とはいいましても、八月の後半から九月にかけて猛暑となりました。私も、養護学校の保護者の方から訴えがありまして、養護学校に出向き、その実情をお聞きしてまいりました。特に一昨年は猛暑のため、余りにも教室の温度が高くなったことから、気分を悪くする生徒が続出したということでありました。生徒の中には、それが理由で学校を休むという児童もいたとのことでございました。
 障害のある子どもたちが生活をする盲・ろう・養護学校では、児童生徒の障害の状況に対応した適切な教育環境を確保する観点からも、学校の冷房化が必要であると考えますが、先ほど資料の説明にもありましたけれども、これまでの冷房化の取り組みと現在の整備状況についてお答えを願いたいと思います。

○山際学務部長 盲・ろう・養護学校の普通教室の冷房化につきましては、肢体不自由養護学校では、平成八年度までに実施済みでございます。
 また、肢体不自由養護学校を除く盲・ろう・養護学校の普通教室の冷房化につきましても、平成十四年度から平成十八年度を目標に計画的に推進しているところでございまして、平成十四年度につきましては、知的障害養護学校八校の普通教室の冷房化を図ったところでございます。
 今後とも、盲・ろう・養護学校の普通教室の冷房化については、計画的に整備を進めてまいります。

○山田委員 今、ご説明で、盲・ろう・養護学校は、平成十八年度までに普通教室の冷房化が完了するということがわかりました。既に年度計画により事業は進められているようでありますけれども、厳しい財政状況とは思いますが、人道的な見地からも、ぜひとも予算をやりくりして、計画を前倒ししてでも私は早急に整備を進めていただきたいと思いますが、これは意見、私の要望とさせていただきたいと思います。
 次に、都立高校の冷房化についてもあわせてお伺いをいたします。
 平成十三年の十月に出されました都立高校における都民意識調査の調査項目の中で、これからの都立高校にはどんな施設や設備が必要だと思いますかとの設問に対し、食堂が三七・一%で最も多く、次に、冷房が三一・五%で、次に、少人数授業のための小教室が二〇・一%、講堂が四・九%、温水プールが四・一%という調査結果が出されておりました。
 知人の都立高校に通う生徒からも、夏の教室は余りにも暑く、蒸しぶろのようで勉強に集中できないという声を聞きます。あるいは、体調を崩して保健室で休む生徒も多いということでありまして、ぜひ冷房を設置してほしいということで訴えがございました。
 快適な教育環境を確保する観点からも、高等学校においても冷房化の施設整備が必要であると私は考えますけれども、高等学校の冷房化について、当局はどう考えているのか、当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
 また、これまでも一部整備が行われているとも聞いておりますので、その取り組み、整備状況についても、あわせてお聞かせ願いたいと思います。

○山際学務部長 高等学校の冷房化につきましては、快適な教育環境を求める一方で、現在の厳しい財政状況、忍耐力を養うなど教育指導上の観点、あるいは地球環境に対する影響などを総合的に考慮する必要がございまして、どのように対応していくか、今後検討してまいります。
 また、高等学校の冷房化の整備状況につきましては、図書室、保健室、音楽室、パソコン室など、特に必要のある特別教室につきまして、すべての学校に整備を行うとともに、航空機や高速道路など周辺の交通騒音の著しい学校につきましては、普通教室の冷房化も行っているところでございます。
 平成十五年四月一日現在、高等学校及び高等専門学校二百十校中五十七校で、普通教室の冷房化の整備を実施しているところでございます。

○山田委員 ただいまのご説明によりますと、既に高等学校及び高等専門学校合わせて二百十校中五十七校で普通教室の冷房化がされているとのことであります。
 高校の冷房化については、ことしの九月十三日の新聞報道の中で、大阪府の教育委員会が、すべての府立高校百四十八校、約三千の普通教室に、来年度中に約百九十二億円の費用をかけて一斉にクーラーを設置するとの報道記事がございました。そして、府の厳しい財政状況を踏まえて、空調代を生徒一人年五千四百円徴収するという、受益者負担の手法を取り入れて実施するというものであります。
 都立高校の冷房化については、先ほども申し上げましたけれども、都立高校における都民意識調査にも示されておりますように、多くの都民、生徒が望んでいることであります。財政事情が厳しい折でありますけれども、ぜひとも前向きに検討していただき、快適な教育環境の確保に努めてもらいたいと思います。
 以上、要望を申し上げて、私の質問を終わります。

○樋口委員 改めていうまでもなく、教育、すなわち人材の育成というのは、子どもたちに対します私たち大人の責務であります。そして、社会にとっても、最も基本的で大切な仕事だと思います。東京都において、その中心的な役割を果たしていらっしゃるのが教育庁であり、皆様の取り組みに対して、心より敬意を表させていただきます。
 しかし、いじめ、学力低下、学級崩壊、教員の指導不足、少年少女の非行、犯罪問題など、課題は山積しており、東京に限らない問題ですけれども、今の教育は病んでいるといわざるを得ません。これは、多くの方々が同じ思いなのではないでしょうか。教育改革は待ったなしの課題だと思います。教育庁においていろいろな取り組みをなさっていらっしゃいますが、きょうは、都立高校改革について何点か質問をさせていただきます。
 現在進めております都立高校改革推進計画、それにはさまざまなメニューがありますけれども、平成十四年度に大きく動き出したものとして、十四年の四月ですか、検討委員会最終報告を取りまとめた中高一貫教育があります。
 そこでまず、なぜ都立高校改革の一つとして中高一貫教育の導入が必要だったのかと考えましたけれども、その経緯なり、また意義なりをお伺いさせていただきます。

○山川都立高校改革推進担当部長 中高一貫教育校の経緯なり意義について伺うということでございますが、平成九年、中央教育審議会の答申を受け学校教育法が改正され、平成十一年四月より、中高一貫教育校を選択的に導入することが可能となりました。
 こうした状況を受け、東京都教育委員会では、平成十一年四月の中高一貫教育検討委員会報告書を踏まえ、平成十一年十月に策定をいたしました都立高校改革推進計画第二次実施計画におきまして、中等教育学校をパイロットスクールとして設置することといたしました。
 その後、平成十三年に都立高校に関する都民意識調査を実施し、中高一貫教育校の必要性について都民の半数を超える支持があり、公立中高一貫教育校に対する都民の期待の大きさが明らかになりました。
 こうした都民の強いニーズを踏まえ、公立学校においても中等教育を複線化していくことが必要であるとの考えから、中高一貫教育校の整備に関する検討委員会の検討を経て、平成十四年十月に、都立高校改革推進計画・新たな実施計画で、平成十七年度から平成二十二年度まで、合計で十校の中等教育学校及び併設型中高一貫教育校を設置することといたしたものでございます。

○樋口委員 教育を考えるに当たっては、さまざまな取り組みが必要だと私も思います。その一つとして、東京都が中高一貫教育に乗り出すということに対しては、否定はいたしておりません。でも、東京都というのは、中学校の教育を行うのは初めてだったのではないでしょうか。ですからこそ慎重な対応が必要だと思います。こうした問題意識を持って質問をさせていただきたいと思います。
 資料を拝見させていただきますと、教育庁では、私の地元、私の住んでいる中野、すぐそばに富士高校があるんですけれども、そこを含めて十校の中高一貫校の設置を予定していらっしゃるようです。どうして十校なんでしょうか。学校の数を十校とした理由、そしてまた、都立大附属、白鴎、富士など、そういった学校を選ばれた、その理由をお教えください。

○山川都立高校改革推進担当部長 なぜ十校なのかということでございますが、都立の中等教育学校及び併設型中高一貫教育校の設置数につきましては、保護者や生徒の身近なところに整備をするという視点から、通学時間や地域バランス等を考慮いたしまして、当面、合計で十校の整備を行うことといたしたものでございます。
 また、都立中高一貫教育校は、各分野におけるリーダーになるべき人材を育成するとの整備方針に照らしまして、古くから各界に人材を輩出し、また、地域に信頼されている伝統校を中心に選択したものでございます。

○樋口委員 通学時間というふうに考えるならば、かなり真ん中あたりに集中しておりますので、おおむね旧学区内に一校整備するような形になったんだとは思います。そしてまた、いろいろとお答えいただきましたけれども、都立大附属にしても白鴎にしても富士にしても、第二の進学指導重点校となっているような感じがいたします。
 そして、この分野では、これまで、私学が長い歴史の中で培ってきたものがあると思います。中高一貫教育を都立で設置するのは多様な選択の機会を提供するためとのことであり、この点については理解できないことはありませんが、既に多数の私学が存在している現状であり、新たに都が民間で行っている市場に参入しているかのように見えてしまいます。
 今、行政の大きな流れは、民間でできることは民間に任せましょうということであります。そして、それが行政改革だと思っております。その中で、なぜ、あえて私学と競合するような中高一貫教育に乗り出すのか、お伺いをさせていただきたいと思います。

○山川都立高校改革推進担当部長 先ほど申し述べさせていただきましたように、都立高校に関する都民意識調査におきまして、都民の公立中高一貫教育校に対する大きな期待が明らかになったところであります。東京都教育委員会といたしましては、経済的な理由以外でも、積極的に公立の中高一貫教育校を選択する子どもや保護者が多くいると考えております。
 このため、中等教育の一層の多様化を促進し、生徒や保護者の学校選択幅を拡大する観点から、公立学校においても中等教育を複線化し、従来の中学校、高等学校に加えて、中高一貫教育校を設置することが必要であると考えたところでございます。

○樋口委員 中高一貫教育校を設置する理由として、経済的な理由以外にもいろいろな理由があるということを今教えていただきました。
 それでは、私学の中高一貫校と違う点は、どのようなことが挙げられるのでしょうか。少子化が進んでいく中、授業料の公私間の格差が一対七、私学が七とすると公立は一だというほど開いている中で、私立学校とのすみ分けはできるのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 私立学校につきましては、建学の精神や学校の理念、教育方針に基づいて、進学重視指導からスポーツ重視など、特色ある教育が行われているところでございますが、公立学校で中高一貫教育を受けたいという子どもや保護者の希望には、現状ではこたえることができません。
 したがいまして、都立中高一貫校では、そうした都民のニーズにこたえ、教養教育を継続的に行い、使命感、倫理観、社会貢献の心や日本人としてのアイデンティティーを身につけ、さまざまな場面、分野でリーダーとしての信頼を得られるような人間を育成していくことをねらいに、中高一貫校を設置しようとするものでございます。

○樋口委員 私としては、ただいまの二つの質問のお答えに一〇〇%賛成することはできないんですけれども、ここで、別の観点から質問を行いたいと思います。
 中高一貫校の最初の開校は白鴎高校でして、平成十七年度からと聞いております。東京都が中学を開校する最初のケースであり、近隣の区立中学にも影響があるのではないか、影響が出ることは間違いないだろうと思われます。地元との調整はできているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 地元との調整という点でございますが、新たな実施計画につきましては、地元の教育委員会に十分説明をいたしまして、十分なる理解を得てきているところでございます。
 また、台東地区中高一貫六年制学校の基本計画検討委員会では、地元の教育委員会の教育長、小学校の校長、中学校の校長の参加を得て、意見をいただいているところでございます。
 さらに、中間のまとめの段階でも、同窓会やPTA及び地元教育委員会、小学校、中学校を対象に意見を聴取しているところでございまして、その中で地元の意見を反映するように努力をしているところでございます。

○樋口委員 地元との調整、いろいろな試みによって、うまくいっているとのことであります。今後、残り九校を開校するときも、この姿勢を堅持していただきたいと思いますが、その点はお約束していただけますでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 今後設置する九校につきましても、ただいまご説明申し上げましたように、地元の教育委員会の教育長、小中学校の校長に参加をしていただきながら、基本計画をまとめてまいる所存でございます。

○樋口委員 それでは、よろしくお願い申し上げます。
 あと、地元以外にもう一つ深く関係する相手としまして、私学団体だと思うんですけれども、こちらとはどのような協議を行っているのでしょうか。

○山川都立高校改革推進担当部長 東京都教育委員会と私学協会で構成されます公私連絡協議会の専門委員会におきまして、中高一貫教育校について、情報提供及び意見交換を行ってきているところでございます。
 また、私学協会から、今回の台東地区中高一貫六年制学校基本計画検討委員会中間のまとめについて意見を聞く機会を持ち、東京都教育委員会の考え方について説明を行ったところでございます。

○樋口委員 この東京というのは、私学の数が非常に多く、また、そこでたくさんの方々が勉強していらっしゃるという状況であります。これはほかの地域とは違いますし、各ほかの地方とも違いますので、私立と公立が共存できて初めて、都民に対して、質量の両面で十分な教育の機会を提供できることになるんだと思います。教育委員会では、都立高校の運営だけではなく、私立学校との役割分担など、より広い視点で東京の教育を考えていただきたいと思います。
 この点について、あるいはより高い次元での教育論でも結構なので、横山教育長のお考えを最後にお伺いさせていただきたいと思います。

○横山教育長 ただいま、学校教育におけます都立と私立学校との関係について、るる議論がございましたけれども、今、先生ご指摘になったように、都内には、私立の小学校が五十一校、中学校が百七十九校、全日制高校に至っては、都立を超える二百三十六校が設置をされております。こうした実態から見ましても、都民ニーズにこたえるべく、都立と私立がともに手を携えて、東京における公教育を担っている、こういう認識をいたしております。
 私立高校におきましては、それぞれの建学の精神あるいは教育理念に基づく教育が行われておりますし、都立高校におきましても、それぞれが教育方針に基づく学校経営計画を明らかにしまして、さまざまな教育課題に対応した教育を行っております。
 そうした中で教育の質を高めていくためには、例えば教員の相互交流、あるいは授業改善へ向けた事例研究など、よい意味での競争のもとで、公私が切磋琢磨していくことが必要でしょうし、今盛んに国策として行われております教育特区における多様な学校の形態にしましても、このような考え方のもとに位置づけられるものと考えております。
 いずれにいたしましても、都教委としては、今後とも、都民の多様な高等学校教育への期待にこたえられるように、私学と連携、協力しつつ、東京都の高校教育の発展、充実に努めてまいります。

○樋口委員 どうもありがとうございます。
 いろいろと述べていただきまして、とてもうれしく思っております。今年度策定されることになっています教育ビジョンの中にも、そういったことを書き込んでいっていただきたいと思います。東京都教育委員会には、私学団体と緊密に話し合いを持ちながら、東京全体の教育のあり方を重ねて考えていただきたいと思います。大変期待しておりますので、これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
 以上で質問を終わります。

○東村委員 それでは、私の方からは、スクールカウンセラーと少人数指導について何点かお伺いします。
 私も、小学校、中学校、高等学校と多くの立派な先生方にご指導いただきまして、本当に教育の重要性というのは、非常に身にしみて感じてきたつもりでございます。昔、小学校なんかの場合でも、結構厳しく指導されていたなと。平気で廊下に立たされたし、たまには張り手もいただいたなと。張り手をする先生方も、よくわかっているわけですね。どこまでやればけがをしないとか、そういうことも本当によくわかっていたし、何よりも私がうれしかったのは、しかられた後のケアを先生方が本当によくやっていたなと。特に私なんかは、よくしかられましたから、その分、先生方のご自宅に呼んでいただいて、いろんなケアをしていただきました。
 また、中学のときには、私は奈良の中学でしたから、東京の高校を受けに来るときに、わざわざ中学の担任の先生が東京の高校まで出かけてきて、その高校の入試問題まで買って、一生懸命届けてくれた。そういう思い出もありまして、本当にいろんな意味で、私にとって教師というのは、教える師であったというのを実感しているわけなんですけれども、今、なかなかこういう--これは、教師だけの問題では私はないと思います。家庭の環境もありますし、それを取り巻くマスメディアの環境なんかもあったりして、子どもたちの心の変化、それに対応する先生方の対応の仕方、これも非常に難しくなってきているんだろうなと思います。
 その上で、教員だけではどうしても対応できないさまざまな問題があるということで、我が党は、国におきましても都におきましても、従来からずっと、スクールカウンセラーをしっかりと各校に配置していくことが大事なんだということを提案させていただいてきたわけでございます。
 そこで、国もようやく平成十三年度から、五カ年の国庫補助事業として、全国の中学校にスクールカウンセラーの配置を全国的に始めました。そこで、東京都として、国のこの五カ年の国庫補助事業を受けて、現状どこまで進んでいるのか、これについてお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 ただいまお話がございましたように、国におきましては平成十三年度から、五カ年の国庫補助事業といたしまして、全国の中学校にスクールカウンセラーの配置を進めているところでございます。
 東京都では、公立中学校に平成十三年度三百校、平成十四年度に四百五十校と、順次スクールカウンセラーの配置を拡充いたしまして、本年度、全国の都道府県に先駆けまして、全公立中学校六百五十校にスクールカウンセラーを配置したところでございます。
 また、都立高等学校三十校にもスクールカウンセラーを配置してございます。
 なお、配置された各学校では、スクールカウンセラーが、不登校やいじめ等の解消に向けて積極的に取り組んでいるところでございます。

○東村委員 国は、五カ年という年限を限ってやっているわけですけれども、東京都は、本年度ですから平成十五年度ですね、三カ年で、全国に先駆けて六百五十校にスクールカウンセラーを配置したというのは、私は、これは東京都教育委員会の非常に積極的な姿勢だと思っておりますし、大変にこれは評価をすべき部分であると思います。
 その上で、スクールカウンセラーの問題で、臨床心理士がつくわけでしょうけれども、ただ臨床心理士の資格があるだけでスクールカウンセラーをやっても、成功するとは限らないと思うわけなんですね。いろんな意見を聞いていると、三年間やってきたけれども、どうもなかなか--全部がそうじゃないでしょうけれども、すべてにわたって、スクールカウンセラーを配置したからうまくいったというわけにはいかないという部分もあるという声も聞いています。
 この質の問題ということなんですけれども、スクールカウンセラーを配置するに当たって、都としては、どのような考え方で臨床心理士を配置しようと、また、配置してきたのか、これについてお伺いしたいと思います。

○近藤指導部長 スクールカウンセラーを学校に採用する場合におきましては、私ども東京都教育委員会で個別に面接をいたしまして採用することにしております。
 また、継続することにつきましては、これまでの実績等、すなわち学校等でどのような相談活動を行ってきたかということを踏まえまして、継続等させているところでございます。

○東村委員 非常に大事な点だと思うんですね。その方のやってきた--資格を取っただけで、ぽっとスクールカウンセラーができるというわけじゃありませんから、ぜひともその辺の実績をよく見ながら、人物をよく見ていただいて、そこが私、恐らく最後のとりでになるんじゃないかと思っているわけです。不登校やいじめの問題は、ここが最後のとりでになるわけですから、ここをしっかりと、すばらしい人物を面接して配置してもらいたいと思います。
 その上で、このスクールカウンセラーを配置されてきて、十三年度、十四年度、そして十五年度、早いところでは三年たっているところもあると思います。このスクールカウンセラーの成果について、どのように東京都は認識をしているのか、評価をしているのか、これについて伺いたいと思います。

○近藤指導部長 スクールカウンセラーが配置されております学校からは、いじめや不登校等の問題が減少しているという報告をいただいているところでございます。平成十三年度には、小中学校合わせまして不登校児童生徒が一万人を割りまして、平成十四年度にはさらに減少いたしまして、全国の小中学校の不登校出現率の平均値を下回ったところでございます。
 また、各学校のスクールカウンセラーが校内研修会で教員を助言するなどいたしまして、教員の教育相談に関する意識や技能が向上し、学校の教育相談体制の充実が図られていたということでございます。

○東村委員 今おっしゃったように、確かに先ほど提出された委員会要求資料の中でも、中学校の不登校児童生徒が、平成十二年度は七千八百二十人、それが、平成十三年度に七千七百一人、平成十四年度には七千三百三十二人、十三年度から十四年度にかけては三百六十九名も減った。これは非常に大きな成果だと思うんです。今おっしゃったように、教員の助言や教員の教育相談なんかにも活用されているという話を聞きました。
 そこで、せっかくスクールカウンセラーを配置して、ここまで成果を上げてきたわけですから、これを手を抜いてしまうと、また逆戻りするというのは、往々にして起きるんじゃないかと私は思うわけです。
 そこで、せっかく成果として上げたさまざまな対応、これこそ、まさに生きた教育なんです。この実例集を、さまざまな機会に教員だけではなくて保護者の皆様なんかにも活用していただけるような実例集を、ぜひとも都として作成していく必要があるのじゃないかと私は思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 スクールカウンセラーの配置校からは、年間の相談件数の増加、さらには、不登校が改善されたなどの事例の報告を受けているところでございます。
 都教育委員会では、公立中学校にことしから全校配置となったことから、スクールカウンセラーによって不登校の問題が改善したそうした事例集を作成する予定でございます。
 なお、この作成いたしました事例集につきましては、各学校に配布いたしまして、スクールカウンセラーの活用等に役立てるとともに、不登校やいじめ等の問題の一層の解決を図ってまいりたいと考えております。

○東村委員 今、作成をして、活用していくというご答弁をいただきました。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 その上で、先ほど要求資料の中で、小学校も、不登校児童生徒、平成十二年度、十三年度、十四年度、減少はしているんですけれども、ただ、やっぱり小学校の場合、減少幅が少ないんですね。十三年度から十四年度にかけて百九十一人と、中学校に比べて少ないわけなんです。相対的に中学校の数が多かったというのもあるわけなんですが、東京都は、全中学校にスクールカウンセラーを配置していただきました。これは、私はぜひとも小学校にも配置をしていってもらいたいと思うんですけれども、その前に、まずスクールカウンセラーは、一校当たり配置でどれくらいの予算がかかっているのか、概略で結構ですから教えていただきたいと思います。

○近藤指導部長 詳しい資料、今持っておりませんが、一人当たり、年間十六万余ということでございます。

○東村委員 私は百万ぐらいかかっているのかと思っていましたけれども、十六万ぐらいで済むのであれば、私は、全小学校にもスクールカウンセラーを配置していただきたいと強く思うんです。それだけの費用で済むのであればね。私は百万ぐらいかかるんじゃないかと思っていましたけれども、それぐらいの費用で済むのであれば、ぜひとも全小学校にスクールカウンセラーを配置していただきたいと思うんですけど、いかがですか。

○近藤指導部長 先ほどの答弁をちょっと訂正させていただきますが、一校当たり百六十万ということでございますので、訂正させていただきます。
 なお、ただいまのご質問でございますが、小学校にもスクールカウンセラーの配置を進めるべきだということでございます。現在、中学校に配置されましたスクールカウンセラーが、近隣の小学校の子どもや保護者からの相談を受けたり、また、小学校の校内研修会等で教員への指導助言を行い、小学校教員の教育相談に関する技能も高めているところでございます。
 今後とも、スクールカウンセラーの効果的な活用につきまして各学校に周知徹底いたしまして、小学校からの相談や派遣要請などを受けやすくする体制づくりに努めてまいりたいと考えております。

○東村委員 今、百六十万という話が訂正でありました。確かに今、小学校からの要請にも中学校で受けているという話がありました。学区制が廃止になって、学区で割ることはできないんでしょうけれども、近接しているところが、近いところがあればいいんですけれども、離れているところもあると思うんですね。二十三区と多摩地域じゃ全然違いますから、どうかそういう地域の実情もよく考えていただいて、まずできるところからで結構なんですが、小学校への配置もお願いしていきたい。これを強く求めまして、次の質問に移りたいと思います。
 続きまして、少人数指導について何点かお伺いします。
 今、現場のお母さん方からよくいわれるのは、早く三十人学級にしてくれ、三十人学級にしてくれという話があります。私は、四十人学級を三十人学級にするということの本当の意味での効果というのはあるのかどうかということを、全く信じないわけじゃないんですけれども、若干疑問視をするわけなんです。四十人を三十人にしたから、本当にきめ細かい指導ができるのかという、ここが非常に大きな問題で、三十人にするということは先生の数をふやさなきゃいけないということですから、先生の数をふやすということは、それだけ莫大な予算がかかるわけなんですね。
 ただ、今こういったさまざまな厳しい財政の現状の中で、本当に三十人学級にすることが効果があるのかどうか、また、そのような中でも、きめ細かい少人数指導というのはできないものなのかどうかということについて、何点か伺いたいと思います。
 そこで、最初に、直近で結構なんですけど、もし直近でデータが厳しければ、平成十四年度末でも結構なんですが、都内の小中学校の学級数と在籍者数、一学級の平均の人数は実態としてどのようになっているのか、これについて答えてもらいたいと思います。

○山際学務部長 平成十五年五月一日現在の数字でございますが、公立小学校につきましては、一万七千三百八十四学級、児童数が五十三万二千九百七十四人、一学級平均は三十・七人でございます。
 また、公立中学校につきましては、六千五百十四学級、生徒数が二十一万九千九百七十五人、一学級平均三十三・八人でございます。

○東村委員 今、一学級平均が三十三・八人。実態として三十人まではいっていませんけれども、平均的に三十三・八人ということは、それ以下もあるしそれ以上もあるということなんでしょうけれども、以下もあるし以上もあるということは、恐らく二十人学級だってあるんでしょう。そういう三十人学級が実態として行われているところもあるということなんですけれども、四十人学級というのは一つのきちっとした法定でしょうけれども、実態として三十三・八人、中には二十人学級もできた。この三十人学級、二十人学級が実態として起きて、子どもたちにとって大きな変化があったのかどうか、これについて答えてもらいたいと思います。

○山際学務部長 委員ご指摘のとおり、学校におきましては、三十人学級あるいは二十人学級という実態があることは事実でございますが、その影響、それによりまして学習効果が上がったとか、あるいは担任との関係について深まったというような客観的なデータはございません。

○東村委員 今、学習効果が深まったという客観的なデータはないという話がありました。そこで、改めて三十人学級に対する東京都教育委員会の考え方について伺いたいと思います。

○山際学務部長 東京都教育委員会は、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要であるというふうに考えております。
 一方、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細やかな指導を行っていくには、学級と異なる少人数の学習集団を編成していくことがより効果的であるというふうに考えております。
 このため、学級編制基準につきましては、国の基準も踏まえて四十人として、教科等の特性に応じて多様な学習集団を編成して、少人数の授業を実施するなど、指導の充実に努めているところでございます。

○東村委員 今、三十人学級に対する考え方について聞いたんですけれども、少しでも減れば、その分、単純計算でいくと、一人当たりの子どもたちを見ていく時間というのがふえるというのは、これは、人数が減れば減るほど、単純計算でいくと思います。
 ただ、今最後に、教科等の特性に応じて多様な学習指導、学習集団を編成して、きめ細やかな指導を行っていくというような話がありました。このような教科等の特性に応じた学習集団、恐らく習熟度なんでしょう、この習熟度に応じたこういう少人数指導というのは、いつから、また、どのような形で行っているのか、これについて答えてもらいたいと思います。

○近藤指導部長 少人数指導は、平成十三年度から、基礎学力の向上ときめ細やかな指導の実現を目指して実施しているところでございます。教科別で見ますと、小学校では主に国語や算数、理科、中学校では国語、数学、理科、外国語などの、習熟の程度の差があらわれやすい教科で実施しております。
 また、指導形態といたしましては、児童生徒の習熟の程度や興味、関心に応じまして、学級の枠を超えた学習集団を編成し、指導を行うなどがございます。

○東村委員 今、小学校では国語、算数、理科、中学では国語、数学、理科、外国語、この習熟度に応じていわゆる学習集団を形成し、それぞれのクラスに分けて教えていると、少人数の指導を行っているという話がありました。
 実は、私の娘が今小学校五年生です。一学期の通知表というのをこの前見てびっくりしたんですけど--成績じゃありませんけどね、私らの時代というのは、算数といったら、算数のところに4とか5としか書かれてなかったんですね。今、通知表でよくできているなというのは、例えば算数にすると、一つは、小数と整数の仕組みがわかるという項目があります。次に、小数の掛け算と割り算を理解する。それから、いろいろな四角形の性質を理解する。最後に、和や差を概数で求める。それぞれの単元ごとに、算数の中でも、さらにその学ぶ単元ごとに、大変よい、よい、もう少し努力が必要、努力が必要と分けているんですね。
 私は、この通知表をもらったときに、非常に今よくやっているなと思ったんです。昔は、ただ一律に、算数だったら4だとか5だとしか出てこなかったです。それが、きめ細かく出てくる。私は、まさに今いった習熟度というのは、大事なことなんだろうと思うんです。これは、子どもによっても、先生の教え方によっても変わってくると思うんですね。ちょこっとアドバイスをすれば、理解しなかったことが理解できることだってあるわけですし、子どもたちだけの責任じゃないと思いますし、先生のやり方、先生の教え方にもよると思うんです。先生だって、どこの子どもたちをターゲットに教えていくかによって、やっぱり授業の進め方というのは変わってくるわけなんですね。
 そこで、私は、今おっしゃった習熟度というのは非常に大事なんだろうと思うんですけれども、平成十四年度まで少人数指導を実施している小中学校の学校数と、全体の比率について教えてもらいたいと思います。

○臼井人事部長 少人数指導を実施しております都内の公立小中学校の状況でございますが、平成十四年度におきましては、小学校千三百五十四校の二四・二%に当たります三百二十八校で、中学校六百五十三校の三四・五%に当たります二百二十五校で実施をしております。
 なお、平成十四年度におきまして、チームティーチングを含めた指導方法の工夫改善を図るため教員を加配しております学校は、小学校では、六〇・三%に当たります八百十七校で、中学校では、八三・二%に当たります五百四十三校でございます。
 また、これまでの教員定数の改善数でございますが、現在進めております第七次改善におきましては、少人数指導担当教員として、平成十四年度までに小学校で四百七十八人、中学校で二百九十人の定数を改善し、平成五年度から十二年度までの第六次改善におきますチームティーチング担当教員を合わせますと、小学校で八百四十三人、中学校で七百十九人の定数を改善したところでございます。

○東村委員 今、かなりの小学校、六〇・三%ですか、中学校八三・二%。うちの娘は、まだ習熟度のそういう少人数指導を受けていませんで、娘に率直に、どうだという話をしました。非常にやってもらいたいと。子どもの立場としても、自分が少しでもわかる範囲で、そういう習熟度に応じてやってもらいたいという話をしていました。
 片や、いろんなご父兄にお話を聞いたら、こういう答えがありました。差別につながるんじゃないかと、これは、完全に子どもを能力によって差別していくことになるんじゃないかと、こういう大人の考えなんですけど、子どもは意外にドライで、自分が少しでも理解できるんだったら、そうやって進行度合いに応じて、習熟度に応じて授業を受けていきたいと、こういう声を子どもはいっていました。
 そこで、いろんな声が上がっているんですけれども、現場の声を踏まえた少人数指導のメリット、デメリットについて答えてもらいたいと思います。

○近藤指導部長 東京都教育委員会では、少人数学習指導法の研究推進校を指定してございます。この研究推進校からの調査によりますと、次のようなメリットが寄せられております。一つは、教員が、今まで以上に個に応じたきめ細やかな指導が行えるようになったこと。二つには、多くの児童生徒が、勉強がよくわかるようになり、意欲的に学習に取り組むようになったこと。三つには、保護者が学校の指導に対して一層信頼を寄せるようになったことなどでございます。
 デメリットといたしましては、少人数の学習集団になることで、児童生徒の多様な考えに触れる機会が少なくなる点が寄せられているところでございます。

○東村委員 これは、私の周りの父兄もそうなんですが、恐らく三十人学級ということしか知らないんだと思うんですね、いろんな機会を通じて。よく学校の先生からもらってくるチラシみたいなやつには、三十人学級を進める署名をしてくださいというチラシを、よく先生方がランドセルに入れて持たせて帰しているという、そういうことでしか情報を知らないわけですから、なかなか少人数指導がどういう実態なのか--聞いたら、すぐ差別につながるという声しか返ってこないわけですから、私は、ぜひともこれを多くの方に知ってもらう機会を、東京都はこういうのをやりました、やりましたから頑張っていますじゃなくて、もっともっとこういう形でやっていますということを広く周知させていくことが必要なんじゃないか、このように思うわけなんですけれども、これについてはいかがですか。

○近藤指導部長 広く周知をしていくということでございますが、研究推進校等におきまして、この成果をリーフレット等に作成をして、各学校等に配っているわけでございますが、こうしたものを通しまして、さらに保護者等に普及啓発、また、周知をしてまいりたいと考えております。

○東村委員 できれば、こういうのをもっとどんどんみんなに見てもらう機会、公開授業の場を設ける必要があるんじゃないかと思いますけど、これについてはいかがですか。

○近藤指導部長 通常、東京都教育委員会で研究指定した場合におきましては、その成果を地域の皆さん方、また、保護者の皆様方に発表する機会を設けているのが通例でございます。こうしたことを、今後積極的に進めてまいりたいと考えているところでございます。

○東村委員 まさに百聞は一見にしかずで、私は、この話をずっとやりとりして聞いていて、非常によくやっていると思うんです。ここまでよくやっていても、相変わらずまだ現場では、三十人学級といわれ続けているわけですから、こういった成果を、今いったように公開の場で見せていくと、地域の人に。もっともっと広く都民に周知していく方法をこれから考えられた方が、よりよく--この、やっている少人数指導、いわゆる習熟度別の問題についても、やっぱり見てもらった方がいいと思うんですね。これをぜひとも実施してもらいたい、まず、そうお願いをします。
 もう一つ、先ほど、小学校で六〇・三%、中学校で八三・二%という話がありました。これをもっともっとふやしていきたい、ふやしてほしい。現に私の子どもなんかも、そういう機会があればありがたいという声も子どもの側からは出ているわけですけれども、この少人数指導の問題について、国の義務教育の国庫負担制度との関係で、どのような形で発展させ、さらに継続していくのか、これについてお伺いしたいと思います。

○臼井人事部長 少人数指導の充実についてのお尋ねでございますが、少人数指導の充実につきましては、平成十三年度から十七年度までの五カ年にわたります国の教職員定数改善計画を踏まえまして、教職員人件費の約二分の一を国から国庫負担を受けまして計画的に実施しているものでございますが、引き続き平成十七年度までの計画終了まで、その充実に努めてまいります。
 また、教職員の定数改善につきましては、引き続き国に要望をしてまいりたいと思っております。

○東村委員 一つは、少人数指導も、やっぱり国の、今後どういう方向でやっていくのか。今、二分の一負担もどうなるかわからないという話題も出ておりますから、これは、国があって都もどれだけ進められるかという問題があるわけなんです。
 そこで、私は少人数指導だけではなくて、さらに小さい単位で、また、子どもたちをケアしていく体制の一つとして、我が党も代表質問等でご質問させていただきましたティーチングアシスタント。これは、東京都はモデル事業で今やってくれているんですけれども、このティーチングアシスタントについて、どのようなメリットとデメリットがあるのか、これについて答えてもらいたいと思います。

○近藤指導部長 ティーチングアシスタントモデル事業は、大学生等を学校に派遣いたしまして、個に応じた指導の充実、教員を目指す人材の育成を目的とした事業でございます。平成十四年度から二年間にわたりまして、都内十地域、三十校を指定いたしまして、モデル事業として取り組んでいるところでございます。
 このメリットといたしましては、学習内容の理解に時間を要する児童生徒などへの個別指導が今まで以上にできるようになったこと、また、ティーチングアシスタントを経験した学生が、教員を希望する気持ちをより強く持つようになったことなどが挙げられております。
 また、デメリットといたしましては、学生の指導や授業の打ち合わせのために時間が必要になることなどが挙げられておりますが、しかし、これらは各学校の実践を積み上げていく中で解決していける課題であると考えております。

○東村委員 教職を目指す大学生というのは、非常に意欲があるんですね。将来、自分が教師になって子どもたちを育てていきたいという、いわば一番の意欲がある時期だと思うんです。それが、だんだんいろんな環境に巻き込まれて、その意欲を失っていく人もあるでしょうけれども、この時期というのは非常に意欲がある時期で、こういう意欲のある人たちがどんどん現場に入っていけば、子どもたちも、年代が近いわけなんですね。年代が近いというのは、お兄ちゃん、お姉ちゃんという形で話もできるし、また、いろんな質問も気軽にできるということで、このティーチングアシスタントというのは、非常に私は大事な制度だと思っております。
 そこで、いろんな国の問題もあって、少人数指導のための加配教員がふやせないという、先ほどもいいました現状、この現状を考えたときに、私は、このティーチングアシスタントをもっともっとふやしてはどうか。また、都として、今後どんどん積極的にこれを拡充していく必要があるんじゃないか、このように思いますけれども、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 今年度東京都教育委員会が実施しておりますティーチングアシスタントモデル事業のほかに、十三区二十一市が、大学生を活用した独自の事業を展開しているところでございます。
 都教育委員会といたしましては、今後二年間のティーチングアシスタントモデル事業の成果を普及啓発するなどいたしまして、区市町村教育委員会での取り組みの充実を一層支援してまいりたいと考えております。

○東村委員 今、十三区二十一市でこの事業を展開しているという話がありました。これからは区市町村の事業として、いろんな意味で支援をしていくという話があったんですけれども、私ども八王子なんかは二十一の大学がありますから、いろんな意味で独自にティーチングアシスタントに似たような制度で積極的にできるんですけれども、私の同僚の都議会議員に聞いたら、うちの区は大学がないんだと、大学がないから、こういう制度はなかなかできないんだという話がありました。
 そこで、教育実習という制度があるかもしれないんですけれども、私は、このティーチングアシスタントというのを大学の単位認定にすれば、もっともっと学生がこのティーチングアシスタントを希望して、またふえていくんじゃないか、拡充していくんじゃないか、このように思うわけでございます。
 そこで、東京都教育委員会として、これは大学の問題になるのかもしれないんですけれども、大学側に積極的に単位認定を認めるように働きかけていくべきなんじゃないか、こう思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○近藤指導部長 東京都教育委員会では、平成八年度から、教員養成にかかわるさまざまな課題や連携のあり方につきまして、教員養成系の大学と協議を進めてきているところでございます。このティーチングアシスタントモデル事業につきましても、この協議課題として取り上げ、実現に至ったものでございます。
 お話の大学での単位認定につきましては、今後こうした場を通しまして、大学側に働きかけてまいりたいと考えております。

○東村委員 ぜひとも、このティーチングアシスタントの現場でのいろんな成果、これを大学側に伝えていただいて、教員の育成塾なんかも大学と協議しながらやろうとされていますけれども、その中でも結構ですし、しっかりと単位認定をして、積極的にティーチングアシスタント--額を聞いたら、私びっくりしました。都が各市に補助している額が幾らですかと聞いたときに、二十万だといいました。これくらいの額で、各市が一生懸命このティーチングアシスタントを活用して、いろんな意味で子どもたちのケアができるのであれば、私は、もっともっとこの制度を積極的に広げていってほしいと思いますし、そのためにも、今いった単位認定の話を大学側にも働きかけていただきたいと思います。
 大学側は今非常に柔軟になってきていますし、特に私学はその辺のことを積極的に考えようとしていますから、ぜひとも東京都教育委員会として取り組んでいっていただきたい、このようにお願いいたしまして、質問を終わります。

○河野委員 初めに、学校の耐震化についてお伺いをいたします。
 私は、さきの第三回定例会本会議で、学校の耐震化を一日も早く進めるように質問をいたしました。平成十四年度の教育庁の決算審議に当たって重ねて質問をさせていただきます。
 先ほど都立学校の耐震化については質問がありました。盲・ろう・養護学校については、来年度で補強工事が完了するということで、めどがついたという状況になっているとわかりました。高校とか高専については、平成十八年度までに完了を目指すということなんですが、数えますと、十五、十六、十七、十八年度と四年間かかるわけです。できるだけ早い時期に完了させるということを私たち望んでいるんですけれども、先ほど努力の方向はご答弁がありましたが、計画を早めることについては、今お考えはお持ちでしょうか。この点だけお伺いしておきます。

○山際学務部長 先ほどご答弁させていただきましたが、高等学校については、十八年度までを目標に工事を完了させる、そういう努力をするということで、適切に対応していきたい、かように考えております。

○河野委員 十八年度、目標年度ですが、少しでも早く安全な学校施設づくりということで、ぜひご努力をいただきたいと思います。
 次に、公立の小中学校の問題ですが、小中学校費に関連して伺います。
 都内の小中学校の耐震診断率、そして耐震補強工事の状況については、資料をお出しいただきました。ことし四月一日現在で診断率完了七九・一%、そして今後改修が必要な棟数は千二百十九あり、耐震診断未実施の棟数が千七百六、合わせると、二千九百二十五、四八・一%が残されていて、これは重大なおくれであると私は考えます。
 私は、七月に、一日三回も震度六の地震に襲われたあの宮城県に行き、大地震のすさまじさをまさに目の当たりに見てまいりました。震度六を超える地震が起こると、突然の縦揺れで、実際にその場にいる人は何をすることもできないという状態に陥ってしまうそうです。一般質問でお話をいたしましたけれども、河南町という町の北村小学校では、パイプ机の足も折れてしまい、たまたまその朝学校に来ていた校長先生は、軍手をしていたにもかかわらず、窓ガラスが割れて飛び散ってきて、その破片でけがをしてしまったということもお話をされておりました。子どもたちがいたら、本当に命にかかわる事態になったとお話をされておりました。私たちが訪れたとき、子どもたちはプレハブの校舎で勉強せざるを得ない状況でしたし、校庭には地割れが起きて、体育の授業にも支障を来すという実態がありました。
 宮城県北部連続地震は、これまで知られていなかった旭山撓曲という地層の変動で起こった地震で、専門家も想定をしていなかった地震だったそうです。今、東京もたくさんの活断層が走っていて、いつ大きな地震が起きるか、これはだれもわからないという状態、だからこそ対策が急がれていると思います。
 そこで、お伺いをいたしますが、あの八年前の阪神・淡路大震災の教訓から、学校の耐震補強をすることが極めて大事だと指摘されてきたのに、肝心の公立小中学校の耐震化が、東京では現在のような到達にとどまっている、その原因は何であるかということについて、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

○山際学務部長 都内の各区市町村のいろんな事情があろうかというふうに思いますが、一つの大きな要因としては財政的な問題もあろうかと思います。

○河野委員 私はけさ、きょうの質問に当たって少し資料を見てみたんです。東京都教育委員会が主要事務事業の概要というパンフレットを出しております。これは平成十四年版なんですが、一〇四ページに書かれていることがあるんです。阪神・淡路大震災で、改めて学校施設の耐震性の強化が課題になっていると書いてあります。こちらには、学校の耐震化の進捗状況が学校の数で書かれているんですね。その到達が紹介されています。それによりますと、平成十三年四月現在で診断の結果、補強が必要な学校は五百一校、診断未実施五百九十三校とあり、合計千九十四校、五四%がまだ残されているとなっています。これは十四年版ですから、十五年版はどうかなと思って見てみたんですが、残念ながら、十五年版の教育委員会の事務事業概要には、そうした学校がどうであるかという到達の数字が書かれていないという状況がわかりました。
 ですから、私たちは、学校の数でいえば、実態を十三年の四月現在でしか知ることはできないという状態になっています。平成十四年版には、校舎の耐震対策は、いまだ十分な進展が見られないこと、児童生徒と都民の安全を確保するために、耐震性確保の着実な推進が必要と書かれています。平成十四年度では、そういうふうに事務事業概要で書かれて、耐震化の重要性を記載していたのに、今はそれも数字としての到達は都民に示されなくなっている。東京都がこうした姿勢のままでは、この問題は極めて重要な課題なのに、公立小中学校の耐震化が本当に進んでいくというふうに私は感じられないんです。
 今、お答えをいただきましたように、ネックになっている問題の一つに、財政の問題がある、区市町村が厳しいというお話がありましたが、今こそ、東京都が財政支援を行って、公立小中学校の耐震化を急ぐために努力していただくことが必要だと考えますが、その点はいかがでしょうか。

○山際学務部長 公立小中学校の耐震対策につきましては、設置者でございます区市町村が対応すべきものでございまして、新たな財政的支援につきましては、財政上の理由からも困難でございます。
 都といたしまして、区市町村が国の助成制度を十分に活用し、学校施設の耐震化を適切に推進できるよう、今後も指導助言していくとともに、耐震化に関する講習会等の支援を引き続き実施をしてまいります。
 また、学校の震災対策の促進を図るため、国に対して助成制度の拡充を働きかけてまいります。

○河野委員 ぜひ国に対しては、働きかけを行っていただきたいと思います。頑張っていただけるようにお願いします。
 その区市町村の問題で、主要な進まない原因が財源の問題だということなんですけれども、私は、本会議の質問の後、また幾つかの自治体にお伺いをしてみました。静岡県では既に県が耐震診断に補助をしていますし、また、屋内体育館の改修費については、国が三分の一を補助するということに上乗せ、県が六分の一の補助を行うという制度を設けております。宮城県では、七月の地震で耐震補強した学校と、まだ済んでいない学校の被害差がはっきりとしたというこの教訓から、ことし九月の定例本会議で、学校の耐震診断に県が補助をしていくという方針を明らかにしたということで、直ちに今年度補正予算を組んで対応することになったと伺いました。
 静岡や宮城で、なぜ学校耐震の補助を県として行うことになったか、直接伺ってみたんですが、学校はたくさんの子どもたちが学び、生活する場で、命を預かっているという特別の施設であること、そして同時に、屋内体育館は災害時には被災者の避難場所になる、このことから、子どもたちと住民の命と安全を守るために耐震化を急ぐ必要がある、この判断から実施に踏み切ったということでした。
 東京都としても、この姿勢に学んでいく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○山際学務部長 先ほどご答弁申し上げたとおり、小中学校の耐震対策につきましては、設置者である区市町村が対応すべきものでございまして、新たな財政的支援については、財政的な理由からも困難でございます。

○河野委員 もう少し角度を変えてお伺いいたします。
 東京都では、生活文化局が、今年度、来年度の二年間で、私立学校の耐震工事に助成を実施しておりますね。私は一般質問でいいましたが、江戸川では現在まだ公立の小中学校二十校で耐震化が残されていて、そこに七千六百人の子どもたちが通学しています。都内では、江戸川よりも耐震化がおくれている自治体があるでしょうから、一体どのくらいの子どもの数がまだ耐震化未実施の学校で学んでいるのかということを考えると、大変心配になります。
 耐震未実施の校舎は棟数で数を集計することになっているそうで、東京都としての集計した数を今学校数で示していただけないのが残念なんですが、それにしても、同じ東京で学ぶ子どもたちの命が、公立、私立を問わずしっかりと守られるというのが東京都に求められていると私は思います。
 もう一度、公立小学校、中学校の耐震化の速度、これを一日でも早めるために、そういうすべての子どもたちを視野に入れた対策の強化、東京都の財政支援を初めとした努力を求めるものですが、お答えをお願いします。

○山際学務部長 改めてご答弁申し上げますが、公立小中学校の耐震対策につきましては、設置者である市町村が対応すべきものというふうに考えております。

○河野委員 そういう硬直したお考えから少し柔軟に、いろいろな角度から施策の対応を検討していく、研究していくというふうにご努力をお願いしたいと思います。事は本当に大切な子どもの命、安全がかかっている問題でありますし、私たちは引き続きこの問題は要望を続けていくというつもりでおります。東京都も国への働きかけ、ご努力されるということですが、そういうご努力と同時に、都が積極的に対応していただくことを強く求めまして、この問題についての質問を終わります。
 続きまして、養護学校のスクールバスと学校給食についてお尋ねをいたします。
 養護学校の子どもたちの通学を保障するスクールバスは、長年にわたって乗車時間が長過ぎるということから、改善の要望が続いています。ことし五月に出されました、これからの東京都の心身障害教育のあり方について、中間まとめによりますと、盲・ろう・養護学校児童生徒のスクールバス乗車時間状況というのが出ています。表になっているんですが、九十一分以上、いわゆる一時間半以上ですね、乗車している児童生徒がいるということが明らかになっておりますが、最も長く乗車している子どもの時間は一体どれくらいなのでしょうか。
 そして、障害を持った子どもたちが、このように長時間バスに乗車して通学していることについて、今どのようなお考えをお持ちでしょうか。

○山際学務部長 最長の乗車時間についてでございますが、平成十五年度につきましては、一時間四十五分という時間でございます。スクールバスの乗車時間に関しましては、盲・ろう・養護学校の児童生徒の体力面、あるいは保護者負担の軽減の観点から、都教育委員会としても、改善すべき課題と認識をしているところでございます。現在も、運行コースの見直しや、バスの車種の変更、複数校の共同利用などによりまして、長時間乗車の解消を図っているところでございまして、今後とも引き続き努力をしてまいります。

○河野委員 努力もされてきたんですが、本当に長く要望されている問題です。しかし、乗車時間はなかなか短縮されません。出されました中間まとめでも、障害を持つ子どもの数はふえ続けていて、特に知的養護学校に入学する子どもたちがふえているということが明らかになっております。このままでは改善の見通し、示されていないと私は感じられます。教育庁は、子どもたちのために、この障害児が通うスクールバス乗車時間、一体どれくらいが適切であるとご判断をされておりますか。

○山際学務部長 先ほどお話がございました東京都心身障害教育改善検討委員会の中でも、通学負担の軽減につきましては、課題の一つというふうになっておりまして、スクールバスの乗車時間は、地域差があるものの、おおむね六十分程度が望ましいというような意見もございました。今後この委員会の最終報告も踏まえまして、スクールバスの長時間乗車の解消を図ってまいります。

○河野委員 ぜひ六十分以内で--六十分でも私は長いというふうに感じますけれども、ご努力をいただきたいと思います。先ほどご答弁で、車種の変更なども含めてということで、これは大型バスだけじゃなくて、中型、小型のバスも含めて、コースも編成をいろいろと工夫して考えられて、より負担の少ない方向で努力をされるということで、そういうふうに受けとめてよろしいわけですよね。

○山際学務部長 お話のように、大型を中型にする、あるいは中型を小型にする、そういうことでございます。

○河野委員 私の住んでいる江戸川には、江戸川養護、小岩養護、そして、白鷺養護と、三つの都立の養護学校があります。偶然私の知人が、スクールバスの乗務員として最近まで介助の仕事をしながら乗車をしていました。その方の話では、車いすやストレッチャーで通学する子どもたちを安全に送迎することに生きがいを感じたというお話をされておりました。しかし、その反面、大変苦労もあったとおっしゃっておりました。子どもたち、障害をお持ちですから、乗ったバスの中で唾液をふき取ってあげなくてはいけないから、いつもティッシュペーパーを抱えて乗車をしているとか、それから、いつ失禁が起きるかわからないから、そのための苦労もしたし、そういう失禁への対応の介助の苦労というんですか、そういうのもスクールバスの中で味わって、障害者が学校に行くことを保障していくということは大切な仕事なんだって感じたということでした。その方は、長時間にわたって障害を持つ人がバスに乗っていなくてもいいように、一日も早くバスを増車したり、コースの改善を行うようなことで、負担の軽減に努めてほしい、これは現場の声として本当に率直におっしゃっておりましたので、六十分以内という目安目標はありますが、少しでも子どもたちの通学の負担が軽減されるように、ぜひご努力をよろしくお願いいたします。
 次に、給食の民間委託について伺います。
 東京都は平成八年から、盲・ろう・養護学校の給食の民間委託を進めています。平成十四年度は杉並ろう学校、水元養護学校の給食が民間委託されて、肢体不自由校以外の盲・ろう・知的障害児学校の給食の民間委託が全校で実施された、そういう年度になっています。そして、今年度から、墨東養護など三校の肢体不自由校で民間委託が始まっています。民間委託が始まって既に七年目に入っておりますが、東京都教育庁はこれまでの状況についてどのような認識をお持ちですか。そして、肢体不自由校への導入を始めたことについてのご見解をお聞かせいただきたいと思います。

○山際学務部長 盲・ろう・養護学校の給食につきましては、児童生徒の発達段階に応じたきめ細かな給食の提供や、別調理での給食の提供、寄宿舎での食事時間を生活実態に合わせるなど、給食等の一層の充実を図るとともに、財政の効率化を目的として、民間委託化を推進し、導入してきたところでございます。
 平成十四年度までの委託校につきましては、発達段階、摂食機能、アレルギーの状況に応じた給食の提供、寄宿舎の食事時間の改善などとともに、四〇%程度の財政の縮減効果が出るなどの成果が上がっておりまして、本年度から実施をいたします肢体不自由養護学校についても、そうした効果が上がるものというふうに考えております。

○河野委員 平成十四年度の数字で見ますと、肢体不自由校の子どもたちは、小学部、中学部、高等部合計の平均値で、六九%が最重度、重度の障害を持っているというふうになっています。また、重複障害を持っている子どもたちは八八・九%、もう九割近い子どもさんが重複障害をお持ちです。肢体不自由校の子どもたちは、医療的な面からも本当に慎重な対応が求められる子どもたちです。食事をすること自体が大変な状態の子どもが多く、これまでも栄養士さん、調理員、教職員が、命を守り抜くという立場から努力を重ねてきたと思います。
 教育委員会は、こうした肢体不自由校への民間給食の導入に当たってこのことを考慮したのでしょうか。そして、今年度民間委託になった肢体不自由校の現状はどうだったのか、これまでの成果、生かされるというふうなご答弁もありましたが、現実にどういうご判断をされているのか、今の時点でのお考えをお聞かせてください。

○山際学務部長 肢体不自由養護学校におきましては、これまでの盲・ろう・養護学校における調理業務委託の成果を踏まえまして、児童生徒の障害に応じたきめ細かな給食の提供、教員による教室での給食の再調理をなくす等といった衛生管理の徹底、児童生徒の摂食指導の時間の確保など、給食の質的向上とあわせて学校給食の効率的な運営を図るために、十五年度は三校、民間委託を導入したところでございます。
 現状につきましては、委託の実施によりまして、児童生徒の障害の状況に応じたきめ細かな給食の提供ができるとともに、教員の摂食指導の時間が、直営で実施していたときに比べまして三十分程度多くなるなど、給食の改善、充実が図られたというふうに考えております。
 一方、保護者の方からは、形態食は子どもに合っている、給食がおいしくなったというようなご意見もいただいているところでございます。

○河野委員 そういう都のお考えなんですが、私たちはこれまでもいってまいりましたけれども、これまでの盲・ろう・養護学校での給食の民間委託では、決して今ご答弁になったようなすぐれた面だけではないという現実もあると思います。盲・ろう・養護学校の給食をよくする会という団体がありまして、この会のアンケートを見ますと、いろいろな問題点が指摘されています。平成八年から始まった民託化の中で、平成十六年までの六年間どうだったかということで、実際に学校現場でのアンケートもとっています。その中では、衛生面で問題があるというふうに答えた学校は、例えば十校中六校あるとか、給食の配食がおくれてしまったというところは七校ある、あるいは調理員がふなれであるとか、民間会社のために、調理員の入れかわりが激しくて、なれたと思ったら、すぐやめられてしまうなど、詳しくは申し上げませんけれども、本当に多くの問題点が指摘されています。
 そして、今年度三校の肢体不自由校で民託が導入されましたが、これについても、私たちはいろんな意見を聞いています。調理がふなれで、栄養士さんが書いた指示書どおりになかなかできない。そして、指示書に書かれている荒切り、面取り、こういう言葉そのものがなかなか理解できなくて、調理方法そのものが本当に指導をきちんとしないと難しい。野菜の皮むき器などもふなれで、ある食材が、皮をいっぱいむいてしまうために量が少なくなってしまう。そして、子どもたちの食卓に届くときには、以前と違う量の食事しかそこには並べられない。そして、今、保護者からも、形態食、大変好評であるというご答弁もありましたが、実際に学校の現場では、そういう量が減ってしまった食事を食べて、子どもたちが早い時間におなかがすいてしまう、そういう声が上がっているのも現実にはあることなんです。
 これは私が現場の方から聞いたお話ですから、本当に実態なんです。今、すぐれた面、進んだ面、お話がありましたけれども、教育庁はこうした現場で起きている実態について、詳細な問題ご存じでしょうか。

○山際学務部長 給食調理に当たりまして、献立の内容、あるいは食材の搬入時間、施設設備の変更、あるいは職員の異動などによりまして、調理時間のおくれ、あるいは衛生管理の不徹底、あるいは調理技術などに問題が生じる場面がある、これは委託を問わず、こういう問題はあるというところでございます。私ども、委託の実施に当たりましては、このような給食調理に関する問題の解決には、栄養士と業務責任者、調理員とのコミュニケーションの確保や適切な指示書の提示など、校長を中心に学校全体として取り組む体制が必要である、このように考えております。
 都教育委員会といたしましても、こうした体制づくりができるよう、学校や業者に対して指導助言を行っているところでございます。

○河野委員 もう一点伺っておきます。
 養護学校での給食というのは、本当に専門性が求められる仕事だと思います。栄養士さんの指示書どおりに調理されなくてはならない。障害の状況に見合った食事になるように、そして決められた時間に配食されるように、こういうことが守られなくてはならないわけですが、こういうことを守っていく上で、今起こっているのは、栄養士さんが、ふなれな調理員さんに対してきちんと指示をしないと、なかなか指示書どおりの給食ができないという状況が生まれているんですね。栄養士さんは公の人で、業者は民間の人、民間の雇っている調理員さんに栄養士さんが調理室に入って指導するという事態、これは問題があるのではないかと私は考えるんです。学校給食の法律とか、さまざまな法や条例に照らしてこの問題はどうなんでしょうか。

○山際学務部長 委託業者に対する指示につきましては、基本的には文書によるものとなっておるところでございますが、仕様書の履行のために即時的対応が必要とされる事項につきましては、口頭で指導あるいはアドバイスすることができることとされておるところでございます。
 今回の調理業務委託に当たりましても、栄養士が調理室内で調理内容を確認して、必要な場合には業務責任者等を通して指導が可能であり、学校栄養士もその点について認識をしているところでございます。

○河野委員 業務の責任者に指示、そして原則は文書だけれども、即時的には口頭でもできるというお答えですが、現実には本当に細かく調理員さんに指導されている学校もあるわけです。私は、もう本当に法にすれすれのところで、今学校給食が養護学校で民間委託されているんじゃないかと心配でたまらないんですが、そういう問題も起こっているということをぜひご認識いただきたいと思います。肢体不自由校の給食の民間委託については、本当に問題が多過ぎると思います。
 教育委員会は、平成十七年度で、都立十四校の肢体不自由校すべてに給食の民間委託を導入するという計画ですが、再検討した方がふさわしい問題だと私は思います。嚥下障害など、食事をとることが困難な子どもたちの食事づくり、これは命にかかわる重要性を持っています。そして、これまで携わってきた職員は、この仕事の専門性、責任の重みを感じて、それぞれがたくさんの工夫をされ、経験豊かに蓄積されてきております。そういう中で、これまで積み重ねてきたこの貴重な蓄積、経験を今後につなげていくために、まだ民間に給食業務を委託されていない学校については、引き続いてよりよい給食の提供が行われるように、モデル校などを指定して、経験の蓄積、広く多くの人たちに活用されるような工夫も必要なんじゃないかと考えるんですが、栄養士さんや調理員さんが協力し合える取り組みを進める上でも大事な問題ですから、このモデル校を実施するという問題について、ぜひご検討いただきたいんですが、お考え、お聞かせください。

○山際学務部長 児童生徒の障害に応じた給食の提供につきましては、栄養職員が中心となって実施されてきたところでございますが、肢体不自由養護学校におきましても、民間委託を実施することにより、給食の一層の充実が可能となるなど、さらなる改善が図られているところでございます。
 都教育委員会といたしまして、肢体不自由養護学校の給食の一層の改善、充実に向けまして、今後委託業者の理解と協力を得ながら検討を進めていくこととしておりまして、直営の調理員による研究モデル校を残す考えはございません。

○河野委員 極めてはっきりとしたお答えでありました。しかし、私は、やはり検討していただかなくてはならない大事な問題だと思いますので、この点は、今ご答弁いただきましたけれども、納得がいかないし、ぜひ引き続いての東京都自身の研究と努力を求めておきたいと思います。
 もう一点です。江戸川区にある肢体不自由校の江戸川養護学校、ここは来年度から民間委託になる予定の学校だということですが、この民託の導入に当たって、学校の関係者、そして保護者の人たち、こういう方々への合意形成はどのように進められておりますか。

○山際学務部長 調理業務委託の実施に当たりまして、学校長や、あるいは保護者との意見交換会を開きまして、要望等の把握に努めているところでございます。保護者からは、業者に対する技術指導や、障害児への理解についての要望があり、私どもとしまして、形態食に関する研修会、あるいは衛生管理講習会、受託業者連絡会などを通じて業者を指導しているところでございます。
 今後とも保護者や学校との連絡を密接に行い、委託業務に対する理解が得られるように努めてまいります。

○河野委員 私が聞き及びます範囲では、保護者--PTAの役員の方々はご存じだったんですけど、まだお一人お一人の子どもさんが通学されている保護者の方々までは、そういう給食の民間委託が来年度から始まるという問題について、ご存じない方もいらっしゃるということも聞いております。すべての関係者の方々の納得に基づいて東京都が事業を進められるように求めておきます。
 今年度から肢体不自由校で三校導入された学校給食の民託問題、問題はたくさんあります。民間委託先にありきというやり方ではなくて、障害を持つ子どもたちの命と健康を守る立場で、肢体不自由校への給食の民間委託は、改めて再検討をし、取りやめることを私は行うべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。

○前島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後二時四十七分休憩

   午後三時一分開議

○前島委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○山加委員 三点ほど伺わせていただきます。
 東京都教育委員会においては、これからの都における心身障害教育のあり方について、検討委員会が設置、検討され、本年五月、これまでの審議をまとめた中間まとめが発表され、意見募集が行われたわけです。この中間まとめでは、今後は学習障害、LD、注意欠陥多動性障害、ADHD、高機能自閉症も含めた障害のある子どもへの教育的対応を図るとともに、障害がある子ども一人一人のニーズに応じて、身近な地域で教育を行うことを目指した特別支援教育への転換について検討されています。
 これに関連して、私のところにも、小中学校の固定の心身障害学級に在籍しているお子さんの保護者の方から、今後、固定の心身障害学級はどうなっていくのか心配だ、基本的な考えをぜひ聞いていただきたいというお手紙を多数いただきました。
 そこで、まず、今回の中間まとめで検討されている今後の都における心身障害教育のあり方についての基本的な考え方について改めてお尋ねをいたします。

○山際学務部長 特別支援教育の基本的な考え方につきましては、社会のノーマライゼーションの進展を踏まえまして、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が、学習や生活する時間を共有することが大切であること、また、これまでの障害の程度等に応じて、特別な場で行う教育から、今後は障害のある児童生徒一人一人のニーズに応じて、適切な教育的支援を行うことが必要だというものでございます。
 こうした考え方に基づきまして、改善検討委員会では、小中学校におきましては、障害のある児童生徒も通常の学級に在籍し、特別支援教室でその教育的ニーズに応じて必要な教育を受けることができる柔軟な体制に移行するよう提言しているところでございます。

○山加委員 お話のノーマライゼーションの理念、障害のある人も障害のない人も同じように社会参加し、自立してともに生きる共生社会を実現していくことは大変重要なことであり、世界の流れでもあります。そのためには、私も人生の半ばで中途障害を持った一人として、機会あるたびに、繰り返し、心のバリアフリーの視点に立って、社会の意識を変えていくことがまさに必要であることを発信してまいりました。
 心障教育の改善を進めるに当たっては、そうした理念への理解を図りつつ、一方で、現在の固定の心身障害学級に在籍しているお子さんの保護者の方々の不安にもきちんと対応していくことが必要と考えますが、このことについてはどのように検討されているのか、伺います。

○山際学務部長 改善検討委員会におきましては、これまでの心身障害学級での成果を継承できるよう、週の相当時数の指導を行う拠点的な設置形態なども含めた特別支援教室の設置のあり方について検討しているところでございます。
 また、保護者の懸念や不安を払拭するために、今後モデル事業について検討いたしまして、その中で固定学級的な機能の継承も含めた特別支援教室のあり方や、指導方法などについて検証してまいります。

○山加委員 最後に、私は、障害者の施策に関連して、本年六月の第二回定例会での一般質問におきまして、障害者のスポーツ環境について石原知事にお尋ねをいたしました。ノーマライゼーションの真の実現に向けて、現在検討されている学校教育での取り組みも重要ですが、さらに、社会体育の面におきまして、障害者のスポーツ活動においても、今後は、今までのように障害者だけで行うのではなくて、あらゆる障害者が生涯にわたり身近な地域において健常者とともにスポーツを行えるような方向について考えていくべきと思います。そしてまた、それが大切と思います。所見を伺います。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会では、学校五日制の実施に伴いまして、障害のある児童生徒が健常者とともにスポーツに参加する機会を提供するため、区市町村が行います水泳教室等を、盲・ろう・養護学校児童生徒等に係る地域活動促進事業として、これまで支援してまいりました。
 また、高齢者も障害者も、子どもから大人まですべての都民が参加し、ともにスポーツを楽しむことのできる仕組みとして、地域スポーツクラブの設立、育成の支援を行っておりまして、クラブの中には障害のある方がボランティアと一緒にスポーツに親しむ活動を行っているものがございます。
 なお、平成二十五年に東京で開催されます六十八回国民体育大会の準備に向けて、現在有識者による東京国体懇話会を設置しておりまして、障害者スポーツ団体の代表の方にも参加をしていただいているところでございます。
 今後とも、地域スポーツクラブの設立、育成支援を行うなど、だれもが、いつでも、どこでも、またいつまでもスポーツを楽しむことができる環境づくりに努めてまいります。

○清水委員 決算年度であります二〇〇二年度においても、我が党は、一人一人の子どもに行き届いた教育をするために、少人数学級を実施することは都民の強い要求であり、東京都が三十人学級に踏み出すべきだと繰り返し要求してまいりました。
 二〇〇一年度から、都道府県の判断と財政負担によって、自治体独自に少人数学級を編制することが可能になり、多くの県で踏み出しています。少人数学級を実施した自治体では、どこでも、子どもたちや先生、保護者から歓迎され、確実な変化が生まれています。
 小学校三年生まで三十人規模学級を開始して一年たった山形県では、どのような効果があったかという調査をいたしました。取りまとめている最中だとしながらも、はっきりとしたデータもあらわれていると聞きます。欠席平均日数が非常に少なくなっていると聞きます。これは子どもたちが喜んで学校に来ていることのあらわれではないかといわれています。計算などの小テストの達成率が上がったという報告も挙げています。保健室の利用者が少なくなったともいわれています。因果関係があるのかどうか、もう少し時間をかけて検討してみる必要があるけれども、仮説として取りまとめていくことが検証への手がかりだといわれております。
 県教育次長は、学力が向上する以前の問題として、子どもたちが心弾ませて学校に行くようになったということが非常に大きいと、山形新聞で語ったことを、大月書店発行の今月の教育運動誌「クレスコ」に掲載をしています。
 さて、そこでお伺いいたしますけれども、少人数学級への他県の取り組みがさらに広がっていると思いますが、県ではどのくらい実施するようになったんでしょうか。お伺いいたします。

○山際学務部長 文部科学省の調査によりますと、少人数学級を何らかの形で実施している県は、平成十五年度、三十道府県でございます。

○清水委員 全国の少人数学級の広がり、それからまた、報告されている教育効果、その効果ということから考えても、都としても四十人以下、三十人学級、何らかの形で進めるべきではないかと思いますが、まずお考えをお伺いいたします。

○山際学務部長 東京都教育委員会は、児童生徒が社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要であるというふうに考えております。一方、基礎学力などの向上に配慮し、きめ細やかな指導を行っていくには、学級とは異なる少人数の学習集団を編成していくことがより効果的であるというふうに考えております。
 このため、学級編制基準につきましては、国の標準も踏まえて四十人として、教科等の特性に応じて、多様な学習集団を編成して、少人数授業を実施するなど、指導の充実に努めてまいります。

○清水委員 先ほども議論をされておりましたけれども、教科別の少人数指導については、中学校や小学校高学年では効果があるかもしれないのですけれども、低学年では、特定の科目だけその都度少人数授業にするやり方は、各県でも最初は導入してきたと思うんですね。しかし、クラスが解体される、一日に何回も教室を移動するなどの弊害があって、そんなことより少人数学級が一番いいというのが関係者の声で、やってみたけれども、少人数学級がいいといって、低学年では向かず、少人数を導入した、そういう県もあると聞いております。
 都として、まずは低学年への少人数学級の導入を図るべきだと考えますが、都の見解を伺います。

○山際学務部長 適正な一学級の人数につきましては、さまざまな意見がございまして、現在のところ、児童生徒にとって望ましい学級規模については明確となってはいない状況でございます。国の標準法で定める標準が四十人であることなどを勘案すれば、現行の学級編制基準は、児童生徒の生活集団としては妥当なものであるというふうに考えております。

○清水委員 私の経験から、私、低学年、一年生を、二十年も前になるんですけれども、二回受け持ったことがあるわけです。最初のときはまだ四十人学級になっていないから、四十五人、一年生で四十五人、目いっぱい。そして、二回目のときは三十二人程度の学級を持って、私はその二回の一年生を受け持った一年間、その学級が持ち上がって二年生、二年間の中で、そのとき、少人数、少なくとも三十五人以下が子どもにとっても、教師にとっても非常にいいということを実感しました。
 例えば、一年生のときは、子どもたちというのは、先生にいろいろ聞いてほしいわけです。それで、私はそのとき、一行でも二行でも書いてきてといって、先生あのねという作文を子どもたちに書いてきてもらう、そういう実践をしました。そうしたところ、子どもは、たどたどしい字ですけれども、うちのお父さんがこんなことをしていたよ、うちの赤ちゃんがこんなことをしていたよとか、起こった出来事を喜んで書いてくるわけです。それを朝持ってきたら、その日に花丸を書いてあげて、そして一言、子どもが書いたよりも教員が書く方が長いかもしれない、そういう一言を全員に書いてあげるということをやってきました。
 一年生の授業というのは、初めは二時間とか、一時間とか、十時ぐらいで帰ってしまうときもある。多くても四時間。そういう中でその授業時間の合間を見計らって、そこに書き込みなんかをするわけです。きょうは持って来れなかったんですけれども、想像していただければいいんですけれども、四十冊のノートを重ねたのと、三十二冊分、それは教師の仕事量として私はいっているのではなくて、子どもたち一人一人に書く言葉、それはやはり、先ほど議論がありましたけれども、一人一人にどれだけ書けるのかということでは、三十二人のときの方が十分書けたし、四十五人の子どものときは毎日返すということはできなかったわけです。
 そして、一人一人の子どもが授業がわかっているかどうかということを確認する上でも、前の方で授業したら、後ろの方で子どもがどういう文字を書いているだろうか、どういうふうに黒板のことを写しているだろうかということを回ってみるわけです。そうすると、子どもたちの間違っているところや、まだ理解してないというところがわかるわけなんですけれども、それが四十五人のときと三十二人のときでは、机の間を回ってまわる、そういう中でも四十五人のときには非常に多いことを感じました。
 それから、私は、絵本を子どもたちに読んであげてたんです。絵本というのは、文字を読むということもあるんですけれども、低学年の子どもは絵を見るわけです。毎日かわるがわるたくさんの絵本を子どもたちに読んであげていたんですけれども、机に座らせてではなくて、前の方に寄って、この絵が見えるようにやっているんです。しかし、四十五人のときは、この絵をみんなが見ることもできないし、このぐらいの小さな声で話したのでは、幾ら本当に静かにしていても、聞くことはできない。どなり声で絵本を読まなければいけないというようなこともありました。
 そういうようなことから、やはり人数の上でも、実際には非常に多くの子どもたちに、そういうことを一人一人体験させてあげるということでは、多いときには不十分なことがあったと思います。
 そして、私は経験してみて、低学年の授業には、一日を通して担任の系統的な指導がどうしても必要で、それは、一定の規模といわれましたけれども、四十人というのは余りにも多いということで、やはり先ほど保護者の方からいろいろな意見がある、それは当然だと思うんです。そして、各県が、やはりそれは体験から、教員であれば、皆さん一人一人、三十人と四十人で、どっちがいいか、子どもたちにとってどっちがいいかということを考えた場合に、子どものためにはやはり三十人というのが一番適切だというふうにだれも考えるわけです。
 そういう中で、山形県でも実施した結果、先生が僕の話を最後までよく聞いてくれる。話がわかるまで丁寧に教えてくれる。友達がふえた。クラスメートの名前全部いえる。みんなと遊べるようになった。友達の話をしっかり聞けるようになった。友達のことを思いやることもできるようになった。授業に集中できて、発言の回数がぐんとふえて、毎日の学習が楽しくなった等、山形県ではサンサンプランといっているようなんですけれども、この少人数学級で学級生活を送った子どもたちの七五%が、楽しくなったというふうに答えているというふうな結果を受けているわけです。
 山形県の知事は、三十人学級実施を発表するときに、橋の一本、二本我慢しても実施するということで山形県では導入をされたというふうに聞いております。
 それでは、各県がどんどんとこの三十人規模の学級を取り入れていって、東京都が最後の県になっても考えないのでしょうか。お伺いいたします。

○山際学務部長 学級編制につきましては、地域によってさまざまな考え方があり、工夫がある。そういうことについては承知しているところでございますし、また副委員長お話しのように、さまざまな経験に基づくご意見があるということは承知しているところでございます。
 しかしながら、学級編制と学習効果の関係につきましては、前にご答弁申し上げましたが、定説的な見解が固まっているということではございません。私どもは、社会性を養うための教育効果の観点から、生活集団としての学級には一定の規模が必要であり、現在の国の定める四十人は妥当であるというふうに考えております。

○清水委員 文部科学省が、国際比較の一覧ということで、これは日ごろ目にしていられると思いますし、繰り返し例を挙げてきていると思うんですけれども、教育指標の国際比較というのを挙げているわけです。イギリスでは上限人数三十人、フランスでは三十五人、ドイツでは標準二十四人、二十八人、ロシア連邦では二十五人、アメリカでは三十二人、二十八人、二十五人、二十九人、三十一人ということで、定説が定まってないといわれますけれども、効果があるということは、もう国際的にもいわれていることであって、東京都が最後の県になって、導入しないというようなことでなくて、早急に三十人学級を導入するように強く求めておきたいと思います。
 続いて、学校開放についてです。十四年度の都立学校で、学校開放、体育施設の開放、そして夜間のグラウンドなどの開放の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年度の実績でございますが、改修工事等により施設開放を休止している学校十八校を除く二百四十九校で体育施設の開放を実施しております。
 具体的な開放の状況でございますが、グラウンドが百四十三校、テニスコートが百三十校、体育館が八十一校、格技場が十七校でございます。そのうち夜間開放の状況は、グラウンドが四校、テニスコートが四校、体育館が五十五校、格技場等が八校となっております。

○清水委員 全部が開放しているわけではないようです。確かに、一校一校理由がありまして、部活動などに使用している場合、セキュリティーの面で不可能だということは理解できます。しかし、夜間開放が余りにも少ないのではないかというふうに思うわけです。定時制がある高校ではもちろん夜間照明があると思いますけれども、もっと、今地域でのスポーツをやられる方もふえてきておりますし、新しい運動場を新たにつくる、運動施設を新たにつくるということができない中で、都立高校へのグラウンドの夜間開放ということは非常に強い要求があるわけです。夜間照明を増設して地域への開放を行うべきだというふうに思いますが、どうでしょうか。

○山際学務部長 夜間照明につきましては、定時制課程の教育活動上の必要性により設置をしているところでございまして、定時制課程を置いていない学校におきましては、原則として夜間照明を整備していく考えはございません。

○清水委員 今もお話ししましたけれども、スポーツ人口というのはふえているわけで、また、青少年の中には、皆がスポーツクラブに入っているわけではなくて、高校時代、野球やサッカー、それぞれ大活躍していた卒業生が、大学に行っても、就職しても、高校時代の部活動に参加していた卒業生などが集まって、自主的にグループをつくって練習したり、競技会などにも参加している、そういうのをたくさん見ています。そういう場が青少年のためには本当に必要で、民間施設の中には、テニス場など、余り多くはないけれども、あるわけですが、サッカーとか野球など、学校のグラウンドでなければできないような競技を持っている人たちからは、学校開放と夜間照明の要求を私も強く受けているわけです。そういう開放を行うべきであるということを要望しておきたいと思います。
 そこで、現在行っている中で、開放日をふやすためにどのようなことをしているのでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都立学校施設開放事業では、学校教育活動に支障のない範囲で既存の施設を広く都民に開放しております。部活動が盛んな場合等、開放日の日数をふやすことは難しい状況もございますが、都立学校の体育施設を開放することは都民のスポーツ活動の振興に資するとともに、地域社会に開かれた学校づくりを促進するために有効なことと考え、これまでも体育施設開放に努めてまいりました。
 今後とも、各学校に対しては、学校の年間教育計画、行事予定に支障がない限り、できるだけ多くの開放日を設けるよう指導するとともに、学校の開放事業計画時に詳細な聞き取りを行うなど、開放状況を的確に把握し、学校の体育施設開放の推進に努めてまいります。

○清水委員 利用者にわかりやすい情報提供というものも大事になってきていると思うんですけれども、それはどのように行っていくのでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 現在、都教育委員会のホームページに各学校の開放の状況を掲載して、情報提供を行っております。平成十五年度からは、開放日、時間、施設名、可能な運動種目、空き状況など、より詳しい情報を掲載し、また、施設使用申込書などを利用者がホームページから印刷できるようにするなど、都民の方々に利用しやすいように改善を図っているところでございます。

○清水委員 一層利用者が利用しやすいような仕組みにしていただきたいというふうに思います。
 次に、先ほども議論がありましたけれども、不登校児童生徒の推移が資料で示されました。先ほどの都のさまざまな施策によって、少しずつそれは減ってきている、いい方向だというふうにそれは思うわけですけれども、しかし、現実に九千人以上の小中学生の不登校児がいるという問題は深刻に受けとめなければいけないというふうに思います。全国でも、十年間で二倍になって、引きこもりの青年というのも数十万人以上というふうな推計もあります。こうした子どもを抱えた、本人の苦しみ、家族の悩みは深刻だというふうに思います。
 そういう中で、学校のさまざまな取り組みというのも期待されるわけですけれども、教育の現状に問題を持って、子どものために行動するさまざまな人々の取り組みも行われていると思います。そういう中に、フリースクールとか、フリースペースなど、民間でボランティアで取り組んでいる人たちがおります。教育委員会として、こうした民間フリースクールの実態などを把握をされているのでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 都教育委員会としましては、平成十年度に、都内の不登校児童生徒の居場所活動を行っている民間施設のうち、調査に協力を得られました四十八施設を対象として、これらの施設の活動内容や運営方法などを調査し、民間フリースクール等実態調査報告書としてまとめたところでございます。

○清水委員 かなり厚い報告書がその当時出されたということですけれども、その後これについてはどういう対応がされてきたのかということもないし、また新たに、五年たって実態を調査するという予定もないということです。
 例えば、江戸川区のあるフリースクールの実態を私は伺ったわけです。二十八年継続し、三十五人余りの登録者がいるようです。週一、二回来る子も入れて、通ってくるのは二十人ぐらいで、ここは授業料を取っておられるところですけれども、授業料としての収入は二十五万円ほどで、月の経費が七十万ほどかかって、廃品回収、フリーマーケット、募金などで補てんをしているようですけれども、月二十五万円は不足するということです。
 子どもの中には、一日話しただけで、あるいは二時間話しただけで学校に戻れる子もいると聞きます。相談は二十四時間受けていて、一週間で睡眠六時間というときもあったといわれるぐらい努力をされているわけです、ほうっておけませんから。特に夜中の電話が多く、最近はメールやファクスでそういう相談も送られてくるといわれます。学校に行っている子も、行けないときだけ来る子もおり、親に内緒で来る子もいて、生活保護の家庭、母子家庭の子どももいて、こういう子どもからはお金は取れないといわれていて、本当に毎月の資金繰りも大変な状況でやっておられるようです。
 八王子市内にも、これは本当にボランティアでやられているんですけれども、もう五年ほど前につくられたところです。江戸川のように本格的ではないのですけれども、不登校の子の居場所、フリースペース「ゆう」というものが活動しているわけです。親の例会を月一回やったり、そして励まして、会報を発行したり、週一回三時間ぐらい子どもの日として、これはご協力でビルの一室を借りてやっておられるようです。子どもが自由に来て、おしゃべりをしたり、遊んだりする中で、だんだん元気になって、中には、生き生きと自分の道を歩み出した子、高校から学校に通えるようになった子、通信教育を始めた子、パン屋で立派に働いた子など、それぞれ一定の効果もあらわれているといわれます。また、運動施設を借りて、初めてラケットを持ったり、ボールを打ったりして、その日を楽しみに待っていて、私もその子と一緒にテニスをやったことがあります。
 こんな施設、またこんな取り組みが大小あります。各学校への取り組みも確かに充実しなければいけないと思います。しかし、こういう子の原因というのはさまざまで、受けとめる場所というのを数多く持つことが非常に重要だということでは、こういう民間で、元教員の方だったり、教育に関心のある方がこういう活動に参加されているわけですけれども、実態に即して支援が求められていると私は思うわけです。
 国立教育研究所が、十一月から十二月に実態調査を行ったところ、全国にはフリースクールが約九百カ所余りあって、三百十一カ所が調査に応じたようです。財政状況が苦しいと訴える施設が六割を超えて、後ろ盾のない施設が多い。フリースクールに限ると、九割以上が苦しくて、そのほとんどが、行政への要望の上位に、活動に必要な経費の支援を挙げたといわれます。困っていることと自由に記載する欄には、毎月赤字であるというようなことも書かれていて、関係者の熱意と献身によって運営されていっているといってもよいと思うんです。
 全国の、学校に通えない児童、十三万人、そして東京では約一万人弱がそういう中にいるわけです。教育委員会がこの間行ってきた適応指導教室、またさまざまな設置など、改善策が打ち出されていますけれども、最大の受け皿、本当にきめ細かな取り組みをしている民間施設への支援が考慮されてもよいのではないかと思うわけです。これは要望をしておきたいというふうに思います。
 最後に、高尾自然科学博物館について伺います。
 決算年度、十四年度の入館者はどうなっているでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十四年度の高尾自然科学博物館の入館者数でございますが、総数で十二万二千二百十二名でございます。

○清水委員 これは一昨年と比べるとどうでしょうか。わかりますか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 平成十三年度の入館者でございますが、総数で十一万七千八百八十七名、それに対しまして、十四年度は、先ほど申しました十二万二千二百十二名でございます。若干微増傾向ということでございます。

○清水委員 この間いろいろな議論がありましたけれども、ご説明がありましたように、高尾自然科学博物館の入館者は十二万二千二百十二人となって、三年連続で十万人を上回りました。そして、三年連続で前年度を上回る結果となっております。全国的に見て、博物館の入館者が、数が低迷する中で、都民のさまざまなニーズにこたえる取り組みをして、学習の手伝いをしていただいていると思います。
 四十年を超える施設で老朽化が進んでいるということで、市への移管ということがこの間検討されてきているわけです。確かに老朽化は進んでいると思いますけれども、博物館の価値はソフトにある、蓄積した標本資料と、学芸員という専門家集団で評価されるものだということで、この館の職員の皆さんには頑張っていただいているわけです。特に、十四年度の取り組みを見ますと、学校支援事業の推進に取り組んだといわれているわけです。子どもたちが、総合学習とか、さまざまな取り組みを通して、とても多くのものを学んだというふうに聞いておりますが、この高尾自然科学博物館について、八王子市との協議は現在どのようになっているのでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 東京都と八王子市との間で協議を行っております高尾自然科学博物館問題検討協議会につきましては、これまで十一回の協議会を開催いたしまして、現在は移管を視野に入れた館のあり方について協議を進めているところでございます。

○清水委員 子どもの教育に果たしてきた意義についてどのように認識されておられますか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 高尾自然科学博物館は自然史系の博物館として高尾の地域性や専門性を生かした事業を行っておりまして、動植物に関する自然観察会や自然調査活動等、多彩な教育普及事業を通して、子どもたちが学習を深める機会を提供してきたところでございます。
 なお、先ほどの入館者数総数に占める児童生徒の団体利用でございますが、四千四百六十九名、総入館者の三・六六%に当たります。

○清水委員 新聞報道を見ますと、環境省が始めたことですけれども、不登校や引きこもりの子どもたちに自然体験を通して心の回復を促す環境教育のモデル事業に乗り出すことになったというふうに書いてありました。これは自然との触れ合いが不登校などの子どもたちの心を開く効果が高いことに注目し、NPOに委託して、効果的な活動内容や募集方法などを調査することにしたというふうに書いてあります。やはり高尾山をバックフィールドに持っているこの自然科学博物館が子どもたちの教育に果たす役割というのは、八王子の子どもだけではなくて、これからもっとここを利用して、不登校の子どもたちの、例えば場所、フィールドに利用して、回復に努めていくということもできるわけです。こういう世の中の動きというものがあるのですから、自然をフィールドにした高尾科学博物館の役割というのは、都内全域の子どもを対象にして、むしろ事業を拡大すべきだと思うわけですが、その施設を、東京都としては八王子市に移管をするということは考え直していただきたいと思いますけれども、どうでしょうか。

○鈴木生涯学習スポーツ部長 地域特性の強い小規模な博物館であり、都として今後も所有し続ける意義は薄く、廃止が適当ということが平成十二年度の事務事業評価でなされました。また、都庁改革アクションプランで基本的に見直していくということで考えてございます。そうした状況を踏まえまして、博物館所在地である八王子市と、館のあり方、移管の可能性等の検討を行っているということで、現在協議中でございます。
 なお、このような形で協議を行っている背景といたしましては、昭和四十一年に当該博物館自体が八王子市から東京都に無償譲渡されたという経緯もございまして、そうした点を踏まえての対応でございます。

○清水委員 子どもがこの館を利用して感想文を書いているんですね。これを見ますと、ここは行くだけではなくて、手紙を書いて、学芸員の方から返事をもらったり、さまざまな取り組みで、博物館に行って虫が好きになりました、こんなきれいな博物館と思っていませんでした、また行きたいですとか、モモンガやタヌキやキツネの毛にさわれてよかった、鳥が嫌いだったのに好きになりましたとか、学芸員の先生みたいになって、虫や動物を調べたいです、高尾山にフィールドワークに行きたいです、すごく楽しかったですということで、これは、子どもたちの作文をそのままではなくて、記録として書き直していただいた感想文なんです。
 今、八王子市との関係についてもいわれましたけれども、この間ずっと東京都としてやってきているわけです。しかも、私は、役割が薄れているというよりも、むしろ、これからますます重要になってきている施設だというふうに思うわけです、子どもの心の成長のためにも。そういう意味で高尾自然科学博物館の移管というのは、見直して、東京都としての整備を充実していただくように要求して、質問を終わります。

○前島委員長 ほかに発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもちまして終了したいと思いますが、これにご異義ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異義なしと認め、本件に対する質疑は終了をいたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会をいたします。
   午後三時四十七分散会

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