各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

平成十五年十月二十二日(水曜日)
第九委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長和田 宗春君
副委員長吉原  修君
副委員長藤井  一君
小磯 善彦君
三宅 茂樹君
こいそ 明君
新井美沙子君
丸茂 勇夫君
中村 明彦君
清原錬太郎君

欠席委員 なし

 出席説明員
中央卸売市場市場長森澤 正範君
管理部長石川 俊一君
事業部長高津 満好君
調整担当部長岸  信子君
新市場建設担当部長井戸 秀寿君
参事上田 良治君
参事松村  進君
産業労働局局長有手  勉君
総務部長島田 健一君
参事佐藤 仁貞君
産業政策部長乾  敏一君
産業力強化担当部長志賀 敏和君
産業政策調整担当部長野口  孝君
参事塚田 祐次君
商工部長市原  博君
商工施策担当部長泉本 和秀君
金融担当部長鹿島 博之君
観光部長渡辺  勉君
参事小宮 三夫君
農林水産部長菊地 輝雄君
参事馬場 安男君
労働部長高橋  勝君
雇用就業推進担当部長安藤 立美君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  中央卸売市場関係
  ・平成十四年度東京都と場会計決算(質疑)
  産業労働局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都農業改良資金助成会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都林業改善資金助成会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)

○和田委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、中央卸売市場及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都と場関係決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○石川管理部長 去る十月八日の当分科会でご要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます平成十四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。BSE対策における施設整備及び業務改善計画の実施状況についてでございます。施設整備など項目別に実施内容を記載してございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。と畜頭数の推移、過去十年分についてでございます。平成五年度から平成十四年度までの大動物及び小動物のと畜頭数を記載してございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のございました資料につきましてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○和田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○こいそ(明)委員 この資料をいただきましたが、BSE対策関係、また、と場の機能、最終的な処理形態といいますか、流れについて、お聞きしたいと思います。
 一昨年九月にBSE牛が国内で初めて発生して以来、食の安全、安心に対する世論の関心の高まりは大変なものがあったと思います。このような中で、生鮮食料品の流通をまさに預かる中央卸売市場において、都民の関心、期待は高まってきたというところだと思います。
 しかし、事この十月六日ですか、茨城県のと場において新型のBSEが発生したと、このような報道を我々もお聞きしたわけでありますけれども、消費者の方々は新たな不安を覚える一方、一時期のような混乱は余りないようにも感ずるわけでございますけれども、私は八頭目のBSE牛の発生に対して、市場のとった対策と、都民が食している肉を生産しているという立場の機能などについて、まずお聞きをしたいと思います。
 具体的に、十月六日に今申し上げた新型のBSE牛が発生しましたが、この牛は、と場は茨城でありましたけれども、どこで生まれ、いわゆる飼育されたものなのか、また新型のBSEといわれておりますけれども、従来のBSE牛とどこが異なっているのか、このあたりをお願いします。

○岸調整担当部長 初めに、国が十月十日公表いたしました資料によりますと、この牛は栃木県塩谷町で出生し、同県大田原市及び福島県葛尾村で飼育されました。
 次に、今回の例がこれまでの七頭と異なる点でございますが、一つは、これまでは月例六十四カ月以上でほぼ同じ時期に生まれたホルスタイン種、つまり乳牛の雌でございましたが、今回は同じく乳牛でございますが、去勢つまり雄で、月齢は二十三カ月と若い牛でございました。
 二点目といたしましては、BSEが発生し、えさとして肉骨粉の給与が禁止された後に生まれた牛でございました。
 三点目といたしまして、BSE牛から検出された異常プリオンというたんぱくのタイプが従来の七例と異なっている新しいものでございました。

○こいそ(明)委員 今回の新型のBSE感染牛の発生から、いわゆる都中央卸売市場--まだと場でありましょうけれども、卸売市場といたしましては、どのような対応策を講じてこられたのかというところをお伺いします。

○岸調整担当部長 十月の六日の夕方、我が国で八頭目のBSEの感染が疑われる牛が発生したとの報道を受けまして、即刻、市場長をトップといたします中央卸売市場局内対策会議を開催いたしまして、情報の収集及び今後の対応を協議いたしました。
 同日午後八時過ぎに国のBSEの検査にかかわる専門家会議がBSE感染と判断いたしまして、次のような方針を決定いたしました。すなわち、翌日と畜予定で今回のBSE感染牛の飼育地でございます栃木県大田原市、福島県葛尾村から入荷している牛があれば、翌日のと畜解体は見送ることといたしました。なお、葛尾村からの入荷はございませんでした。
 次に、翌日七日以降は大田原市及び葛尾村で飼育される牛のと畜につきましては、従前同様に、当該県の家畜保健衛生所の非疑似患畜証明書、つまり、疑似患畜ではないという証明書が提出されるまでと畜しない措置をとりました。
 この措置は、十月の十七日、栃木県及び福島県から、この疑似患畜の調査が終了して、もう移動制限は解除したという連絡があったことから、この措置は解除しております。

○こいそ(明)委員 この新型BSE牛の発生によって、牛の集荷、と畜作業、それから価格面などに影響が出たのではないかと思うところがあるわけでありますが、そのあたりはどうでしょうか。
 それと、続きますけれども、新型BSE牛の発生に対して中央卸売市場が、先ほどからご答弁をいただいておりますけれども、これに対する対策は適切なものだと、ご答弁を聞きながら、そのように感じさせていただきました。しかし、また今後もどのような事態が発生するか、また、危機管理の観点からも迅速にこれからも対応するように、この要望であります。
 次に、と場の機能について若干質問したいと思います。と畜によってと場からどのようなものが生産されてきているのか。これはいわゆる過程でありますけれども。また、廃棄物としてどのようなものが発生をしているのか。この点をお願いしたいと思います。

○岸調整担当部長 初めに、十月六日の発生以降も牛は予定どおり集荷されております。と畜解体作業も特に変更することなく衛生的に処理しております。また、価格につきましても、七日以降も値崩れすることなく順調に推移しております。
 次に、と畜解体過程から生産されているものといたしましては、主に枝肉、内蔵肉、脂、原皮などでございます。これらは市場ルートに乗りまして、枝肉は仲卸業者、売買参加者に引き取られまして、内臓肉、油脂、原皮等は関係業者にそれぞれ引き取られております。
 次に廃棄物でございますが、と場から出る廃棄物といたしましては、主に牛の頭部--これは舌やほおの部分を除きますが、それや、脊髄などの特定部位を含む廃棄肉や血液等がございます。

○こいそ(明)委員 それと、と場から発生する主な廃棄物は、いわゆるどのようなルートをもって最終的に処分をされているのかということが一点。続いて、と場から発生した廃棄物の最終的な処分はどのように確認をされているのか。この点、お願いします。

○岸調整担当部長 初めに、牛の特定部位は、産業廃棄物といたしまして、場外ですべて焼却処分されております。検査で廃棄となった肉も化製業者により場外の化製場において処理されまして、油脂を抽出し、それ以外は焼却処分としております。それから、血液は汚水とともに場内の水処理センターで処理し、最終的には汚泥となったものを産業廃棄物として場外で焼却処分しております。
 次に、と場から発生した廃棄物の最終的な処分でございますが、これは廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づきまして、産業廃棄物の処理を委託するものは搬出の都度、処理業者に産業廃棄物管理票というものを手渡しまして、それに従って運搬処分が適正に行われるようにしなくてはならなくなっております。食肉市場といたしましても、法に定める手続に従い、適正に処理しているところでございます。

○こいそ(明)委員 そこでちょっとお伺いしたいんですが、最終的な処分ルートというんですかね、この中で確認をしているということはわかりましたが、例えば東京、いわゆる多摩地域の瑞穂で、場外の化製場がありますね。ここで、これは他の局でありましたけれども、住民から非常に強い苦情要望が寄せられてきていると。これはにおい等だと思いますけどね。これに対して、最終ルートの場所、処理確認はされていると思いますけど、それら苦情等々に対してどのような指導をしてきたか、その点お伺いしたいと思います。

○岸調整担当部長 化製工場でのにおいの対策についてでございますが、昨年の十月に、特定部位のうち、従前は目や脳についてのみ焼却すればよかったのが、この十月以降は頭部全体を焼却処分しなくてはいけないことになりまして、それに対応するための施設を、今委員おっしゃった瑞穂で新しい施設をつくったというふうに聞いております。この際、環境局など関係局の指導を受けて整備したと聞いておりまして、今現在は近隣からのにおいの苦情は出ていないと--出ているとは聞いておりません。失礼いたしました。

○こいそ(明)委員 それだったら結構なことだと思うんですけどね、やはり私もほかのルートからちょっと聞きましたら、当然においはまだ出ているというようなことも聞いておりますし、いずれにいたしましても、このようにと場から発生して、なおかつ、一定のルートをきちんきちんと過程を確認しながら、最終的な、いわゆる化製場に運搬され処理されているということがありますから、それらのやはり部分も範疇ではないのかなと。ぜひそれなりのしっかりとした指導、監督を行っていただきたいと思います。
 これら今お聞きしてまいりましたが、と畜解体というのは大変難しい作業を行っているわけでありますけれども、肉等の生産という視点から見ると、この作業については十分に衛生的な作業が確保されることが求められることはいうまでもありませんけれども、これまでも中央卸売市場は、と畜の衛生対策に努力をしてこられたということ、先ほどのご答弁も含めて理解します。が、平たくいえば、現状に満足することなく、今後もなお一層、衛生面の向上を図り、また、先ほど申し上げたような最終的な処理状況の中で、周辺住民に余り迷惑がかからないような形の指導をしていただきたいなというふうに強く求めるものであります。
 これらるる質問させていただきましたけれども、最後に市場長の、私も今質問してまいりましたが、これからのことに対してのお考えをお伺いいたしまして、終わらせていただきます。

○森澤中央卸売市場長 食肉はもとより青果物、水産物などの生鮮食料品を衛生的に安全な状態で消費者のもとへ届けることは、流通に携わる者にとって最も重要な使命の一つであると考えております。食肉の衛生確保につきましては、従前より、と畜場法及び同法の施行規則に基づきまして、芝浦食肉衛生検査所が一頭一頭厳しい検査を実施してまいりました。それに加え、平成八年に発生しましたO157、平成十三年に発生しましたBSEに対しては、芝浦屠場の施設整備改善、作業手順の見直しを行いまして、法に定められた基準はもとよりのこと、都独自の対応も含めた衛生対策を講じたことにより、それまでと比較して数段高い衛生水準を確保できたものと考えております。
 中央卸売市場といたしましては、今後とも、と場における衛生水準の向上に努め、さらには、今回のような新型のBSEの発生という予期せざる事態が起きましても、危機管理の観点から、迅速かつ的確に対処し、委員指摘の廃棄物処理も含め、都民の期待にこたえられるよう、安全で安心な肉の生産に一層の努力をしてまいる所存でございます。

○中村委員 BSE対策につきまして、こいそ委員と多少似たようなところがありますが、検査体制、そしてまた、そこに従事している人たちの食の安全体制、そういうものについてちょっとお尋ねをさせていただきます。
 先ほどお話しありましたように、この十月六日に栃木県でBSEとする牛が発見されたわけであります。ここ二年間、平成十三年から既にもう肉骨粉の輸入、それから製造、出荷、そういうものは禁止されているわけでございまして、この栃木県で発見されましたBSEとする牛が、肉骨粉が原因ということとはいい切れてないというような話が報道されておりました。そしてまた、けさの新聞で、国立感染症研究所が、脳のプリオンたんぱくの遺伝子を調べた結果正常だった、そしてまた感染牛の飼料には肉骨粉も含まれていなかったという報道がされていたわけですね。じゃあ、何が原因なんだというのが非常に不安になってくる。かえって不安を助長するような記事が出てきたというのは、非常に心配であるなと。そういう中で、東京都では安全対策、非常にきめ細かい、高度な安全対策をとっているわけでございまして、今まで、この二年間、BSEがほかのところで発生していても東京都では一頭もそういう事例が出ていなかった。そしてまた、そういうものの入荷等も検査体制の中で確立されているんではないかなというように思っております。
 そうした中で、もう少し具体的に検査体制、東京都のと場の検査体制についてどうなっているのか、詳しくお知らせいただければと思います。所管が違うのかな……。

○岸調整担当部長 検査体制全般ということではなくて、日本では平成十三年の十月にスクリーニング検査体制が整えられておりまして、牛の年齢にかかわりなくと畜するすべての牛を対象に検査を実施しておりまして、今回のような場合にもすべて対応可能な検査体制が確立されているというところでご答弁でよろしいでしょうか。

○中村委員 そういうことで、牛、そういったいろんな全部の検査体制ですね、いろんなところから来るのもあります、そういうものの検査体制というものを、どんな状況でも対応できるというシステムになっているということですね。
 そういう安全対策、非常にやっているわけですけれども、ほかの県、例えば今、きょうの話の中では大田原市ですか、そこの牛が、発生した場合、芝浦屠場、これに対しての安全確認体制がどういうふうになっているのか、それもひとつお願いいたします。

○岸調整担当部長 他県でBSEが発生した場合の我が東京都における対策でございますが、ことしの五月に作成しました東京都中央卸売市場における危機管理マニュアルなどに基づき、情報を収集し、対応いたします。
 具体的には、まず食肉市場に現地対策本部を設置して情報収集に当たった後、患畜、つまりBSEに感染した牛の出生地ですとか飼育地、出荷地を確認して、当該の地域からの入荷状況を確認いたします。当該地域からの入荷状況が確認されましたら、直ちに中央卸売市場では市場長を長とする局内対策会議を開催いたしまして、対応方針を決定いたします。この際、健康局等の関係機関と緊密な情報交換を行います。当該地域からの牛の入荷が確認された場合は、そこの地域の家畜保健衛生所の発行する非疑似患畜証明書により安全が確認するまで当分の間と畜を見送ります。次に、翌日以降の当該地域からの出荷につきましても同様に対応いたします。この旨を卸売会社に通知し、また関係の道府県にも協力を要請するところでございます。

○中村委員 非疑似患畜証明書というのが、見たことないんですけど、そういうような証明書で安全確認をしていくわけでございますね。一千二百万人の東京都民の食生活、そしてまた関東近県の食の安全というものに十分な注意を払っていただきたい。
 そうした中で、解体処理、特に解体処理に従事している方々、これは非常に高度な技術が要請されると思うんですよね。そういう人たち--この前も、せんだっても私、委員会の中で卸売市場の芝浦と場、視察に行ってまいりました。その人たちの非常に熱意ある真剣な作業状態、そういうのを見て、非常にすばらしい人たちが従事してくれてるなというふうに私は感じたわけです。そうした中で、まだこういう新型の、新型といいますか、新しくBSEが発見された。そういうのも一般都民としては不安なわけですけれども、その中で従事している人たち、職員の人たち、それの安全意識、もっともっと高めていかなければいけないんではないかなと思うんですよね。そうしたところではどういうふうに対応されているのか、それをお尋ねいたします。

○岸調整担当部長 安全な食肉を生産するには、委員ご指摘のとおり、解体処理に従事している職員の意識を向上させるということは、欠かせない重要なことと考えております。
 食肉市場におきましては、芝浦食肉衛生検査所が毎日一頭ごとに枝肉の安全性を確認する検査を行っておりますが、これとは別途に、同検査所と食肉市場とが連携して枝肉の衛生検査を定期的に行っております。その検査結果などを解体処理に従事している職員に報告いたしまして、より衛生的な食肉を生産するための作業場の問題点ですとか改善方法について現場で検討しております。
 さらには、食肉衛生検査所の検査員などにより、と場における衛生問題についての研修も実施しているところでございます。今後とも食の安全に対する職員の意識の向上に努めてまいりたいと思います。

○中村委員 やはりそこで従事している人たちの意識というもの、非常に大切だと思います。ただ、そうした中でだれでもができるというような職場ではないと思うんですよね。私、見にいったときも、骨髄のところの中にありますね、ちょっと名前は失念いたしましたけど、そういうところにさわらないように電気のこぎりみたいなので切っていく。数ミリも違わない作業をやっているわけですね。そういった技術、また専門的な知識、こういったものが非常に必要なわけでございまして、その人たち、次にその人たちが交代できるような人、または、その人たちの労働条件はかなりきついものがありますけれども、新しくそういうのに従事される方々、当然出てくるわけですけれども、そういった中で、新しい技術だとかそういうのを継承していくようなものというのはどういうふうに今後も対応していくのか。今も対応していますし、また今後もどういうふうに対応していくのか、その辺をちょっとお尋ねいたします。

○岸調整担当部長 より安全な食肉を生産するために、国の基準では義務づけられておりませんが、特定部位の一つである、委員ご指摘の脊髄を覆っている硬膜を除去するなど、常にBSEに関する新しい知識や技術の向上に努めておるところでございますが、こうしたと畜解体作業の技術につきましては、熟練者である技能長なり技能主任などがいわゆるOJT、これは職場研修というふうに訳すことが多うございますが、OJTの手法によりまして、日常的に具体的に指導しているところでございます。

○中村委員 本当に世界に誇れるといってもいいぐらいな芝浦屠場だと思います。そういうのを大事にして、これからもいろいろ検査をしていただきたい、安全を保っていただきたいと思っているわけでございますけれども、いろんな新しいタイプの病気が出てきたりなんかしますと、非常に不安な部分もありますし、そういうものを全部除去して、安全で安心な食肉を都民に供給できるようにとお願いするわけでございますけれども、最後に市場長、先ほどもこいそ委員の質問にも同じようなことがありますけれども、再度、決意をお願い申し上げます。

○森澤中央卸売市場長 中央卸売市場では、安全な食肉を都民に供給するために、芝浦食肉衛生検査所による全頭を対象とする検査体制のほか、と畜場における衛生的な水準を高めるため、施設設備の改善、作業手順の見直し、解体業務に携わる職員の衛生教育、技術の向上などを図ってまいりました。今後とも、新型のBSEなど不測の事態が発生した場合においても、常に安全な食肉供給が図れるよう、日ごろから衛生対策はもとより最新の知識習得や技術の向上など、品質管理や安全性の確保に努めてまいります。

○藤井委員 私は、食肉市場におけますBSE対策を初めとした食の安全対策、これについて何点かお伺いいたします。
 今も議論がありましたが、このBSE問題、私たちの食の安全あるいは安心に極めて大きな影響を与える問題であります。BSEが発生後、東京都ではさまざまな施策を適切にとられた結果、都民に対して安全で安心な食肉が供給される体制がとられてきたことに対して敬意を表したいというふうに考えるわけでございます。
 そこで、これまでのBSE対策としてとられてきた施策、それから今後さらに都民の食の安全、安心のためにどのような取り組みをされるのかについてお伺いいたします。
 まず第一番目に、芝浦屠場におけます牛肉のと畜頭数は、資料の二ページを見ますと、BSEが発生をいたしました平成十三年度は約七万三千頭。それから、十四年度が七万九千頭というふうになっておりますけれども、BSEが発生をいたしました十二年度の段階では約八万五千頭ということですから、やはり十三年度だいぶ下がって、十四年度は少し盛り返してきたというふうな結果であります。十三年度はやはりBSEの問題が都民の心配を、心をかき立てた結果、下がったんではないかというふうに、BSEの影響かというふうに思いますけれども、そういう影響があるかどうか。それから、価格面ではBSEの影響はどんな状況だったのか、お伺いをいたします。

○岸調整担当部長 まず、と畜頭数の減少の理由についてでございますが、BSEは十三年の九月に発生いたしまして、その後、検査体制の整備や施設整備を行うなどのために、と畜頭数が減少したものでございます。これは消費者が牛肉を買うのを嫌って売れなかったというわけではなくて、施設整備のために減少したものでございます。
 そして十四年度におきましても、BSEの対策のほか、衛生対策を行うための施設整備工事のために一ラインのと畜ラインを休止するというようなことがございまして減少いたしました。現在では、ほぼBSE発生前の水準に回復してきております。
 次に、価格面での動きでございますが、BSE発生直前のA4のランク、つまり上の部でございますが、一キログラム当たり千七百四十七円でございましたが、この水準に回復いたしましたのは一年後の十四年九月から十月ごろでございました。最近ではBSE発生以前を上回っております。また、その他のランクにつきましても、同様の傾向でございます。

○藤井委員 次に、BSEが発生してから約二年たったわけですけれども、これまでに東京都が実施をいたしました施設あるいは設備の面での衛生対策はどのような対策をとられてきたのか、お伺いいたします。特に十四年度の対策をご説明いただきたいと思います。

○岸調整担当部長 初めに施設設備面でございますが、BSEの発生した十三年度は、BSE検査終了時までに内蔵や頭等を保管しておく冷蔵庫を設置いたしました。また、特定部位である脊髄を除去する装置をと畜のラインに設置いたしました。十四年度には、BSE対策をさらに進めるため、背割りをした後に、枝肉に付着したくずを除去するスチームバキューム及び脊髄を覆っている硬膜の除去装置を設置いたしました。
 また、現在におきましては、頭部ですが、舌やほおの部分を除いた頭部、脊髄などの特定部位は全量焼却処分しておるところでございます。

○藤井委員 次に、BSE対策として作業する面でどのような対応をとられたのかお伺いしたいと思います。
 私は昨年たしか経済・港湾委員会で芝浦のと場を視察させていただいたときに、初めてだったものですから、大変感動したのを覚えています。たくさんの牛をまず入れて、流れ作業で、殺した後そのままクレーンでつって、次の作業では皮をはぎ、次は内蔵をとり、そして最後は真っ二つにしてということで、流れ作業で最後は肉となって出てくるという全作業を見させていただきましたが、従事されている方たちが一生懸命、また非常に手際よく作業をしておりましたし、また、そのときは健康局からの職員が派遣をされておりまして、特にBSEの対策として検査をされていたということを目の当たりにさせていただいたわけですけれども、そういった意味で、作業面での対応についてお伺いしたいと思います。

○岸調整担当部長 作業面におけるBSE対策といたしましては、BSE発生の直後から、脳や目、脊髄などの特定部位を除去しております。また背割り機につきましては、一頭ごとに洗浄し、消毒しております。また、施設の清掃、と畜用具等の消毒を徹底して行っております。また十四年度には、背割りくずの除去や硬膜の除去作業を新たに追加いたしました。

○藤井委員 これまで中央卸売市場はBSE対策として、施設とか設備面及び作業面で一生懸命取り組んでこられたということがわかりましたけれども、今後ともさまざまな状況の変化、推移に対して迅速かつ的確にBSE対策を講じていかれるように望みたいというふうに考えます。
 次に、牛の個体管理に関することについてお伺いします。
 ご存じのとおり、国では牛一頭ごとに十けたの固有の番号が記載をされております耳の標示板を装着いたしまして、その牛の生年月日とか移動記録とか、そういった情報を記録、管理する牛の個体識別システムというのが昨年十月から稼働をしております。さらに、牛肉トレーサビリティーシステムを昨年の十月から稼働をしているというふうに聞いておりますけれども、この牛肉トレーサビリティー法ですね、その法律をことしの六月公布されまして、さまざまな取り組みを進めているというふうに聞いておりますが、この牛肉トレーサビリティーシステムの概要について伺いたいと思います。

○高津事業部長 牛肉トレーサビリティーシステムは、牛の飼育履歴などを一頭ごとの個体識別番号により一元管理するとともに、生産から流通消費の各段階においてその番号を正確に伝達するものであります。お話しの牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法、いわゆる牛肉トレーサビリティー法によりまして、本年十二月一日からと畜場段階まで、さらに、と畜場から小売段階までの個体識別番号の伝達が来年十二月一日から義務づけられます。これにより、消費者は購入した牛肉の個体識別番号を照会することによりまして、その牛の品種や生年月日などの飼育情報や、と畜年月日などを確認することができるようになります。
 なお、農林水産省では、今後、消費者の信頼を高めるため、小売店等への立入検査の際にサンプルを採取し、と畜段階で収集されたサンプルとDNA鑑定で照合することにより同一性を確認することを予定しております。

○藤井委員 消費者はこういった牛の品種とか生年月日とか、どういうような飼育をされたかということがわかれば、大変安心がされるというふうに思うんですね。そこで、じゃ今度は、東京都の食肉市場におけるトレーサビリティーに対する取り組みについてお伺いいたします。

○高津事業部長 都においては、牛肉トレーサビリティー法が成立する以前から、業界と一体となって牛肉の安全性に対する消費者の信頼を確保するための取り組みを行ってきております。
 まず、BSEの全頭検査を開始した平成十三年十月から、BSEを含むと畜検査に合格していることを示す牛肉安全確認証を発行しております。平成十四年九月には、業界と牛肉トレーサビリティー協議会を設置し、講習会の実施等により関係業者にトレーサビリティーに関する情報提供や意識啓発を図っております。
 また、牛の個体識別システムが稼働した平成十四年十月からは卸売業者から買い受け人への売り渡し票の様式を改め、個体識別番号が正確に伝達されるようにしております。さらに、本年五月には競り場の電光掲示板を改良し、個体識別番号を表示しております。

○藤井委員 今ご答弁ありましたように、いろいろと東京都としても対応しているということだと思いますが、国におきましては牛肉トレーサビリティー法とか、あるいはことしの五月に食品安全基本法が制定をされたわけでございます。ご承知のとおり、このBSE問題が起きたときに、いわゆる不安、消費者が不安を訴え、なおかつ牛肉が売れなかったことに対して救済を求める農家とかあるいは食肉業者、こういった方たちが大変ご苦労されたわけでございまして、我が党はその際、与党の一角としてこれらの皆さんの声をしっかり受けまして、早急に、いわゆる食品行政を、業界団体を優先とした食品行政から消費者重視あるいは生活者優先の食品行政に改めろということで、国におきまして、食品安全基本法の制定を進めてまいりました。
 そういった意味で、食の憲法といわれます食品安全基本法ができたことによって、大きく食品の安全性というものが高まっていくということを確信するわけですが、東京都におきましても、この食品安全基本条例というのが今検討されているというふうに聞いております。
 そこで、東京都の食肉市場として、食肉市場の大変重要な仕事をしております市場長に最後にお伺いいたしますけれども、今後、東京都の食肉の供給におきまして安心、安全の確保をどのように図っていくのか、そういったことに対する決意とお考えをお伺いいたします。

○森澤中央卸売市場長 一昨年のBSE発生以来、都は独自に出荷者に対して出荷牛育成履歴申告書や肉骨粉非使用証明書の提出を義務づけるなど、BSE感染の疑いのある牛が芝浦屠場に入荷されないよう努めてまいりました。また、必要な施設や設備の整備、作業方法の改善にも積極的に取り組んでまいったつもりでございます。
 また、いわゆる牛肉トレーサビリティー法が本年六月に成立し、先ほど担当部長からご説明申しましたように、来年十二月一日からは牛の飼育地やと畜情報等の生産流通履歴情報が消費者は入手できるようになります。トレーサビリティーの仕組みは、万が一事故が発生した場合には、行政措置を素早く、かつ的確に行うための手がかりとして重要な役割を果たすものと考えております。
 中央卸売市場といたしましては、市場関係者と連携しながら、これらの情報が的確に伝わるよう努めてまいります。今後とも食肉の安全を脅かすような事態が発生した際には、危機管理の視点から、安全、安心の確保に万全を期してまいる所存でございます。

○藤井委員 最後に、先ほどいいましたように、生活者優先の食品行政あるいはまた消費者重視の農政に転換をするよう、また、そのためのご努力を要望いたしまして、私の質問を終わります。

○丸茂委員 まず、と場の施設整備に関してお伺いしたいと思います。
 先ほどから議論になっているとおり、BSE対策など衛生管理という点では、施設整備も大変重要な課題であります。その施設整備の十四年度決算を見ますと、執行率は七〇・一%。その内容を見ますと、衛生改善で不用額として二億一千八百万円、執行率でいいますと六九・一%となると思いますが、その具体的な中身、この際聞いておきたいと思います。

○石川管理部長 平成十三年九月に国内初のBSE牛の発生に伴いまして、とりあえず緊急に措置すべき施設等につきましては、十三年度予算の中で措置したところでございます。また、BSE対策として引き続き必要となります施設整備につきましては、BSEが予期せぬ未経験の事件でもあり、整備すべき施設内容が不透明だったということもございましたけれども、ちょうど発生が十四年度予算要求の時期でもございましたことから、どのような場合でも対応できるようにと考えまして予算計上したところでございます。
 十四年度におきまして実施しました施設整備工事は、大動物等の解体処理室改修、特注機械設備工事など四十件でございまして、執行額は四億九千九百六十四万六千円でございます。結果的に予算額七億一千七百九十万七千円に対しまして、不用額で二億一千八百二十六万一千円となったものでございます。

○丸茂委員 今、BSE対策に万全を期すために、施設整備のために予算化もしたと。私も資料要求しまして、BSE対策に対する施設整備及び業務改善計画、この実施状況についても示していただいたんですが、このBSE対策については、すべて対応としては完了したのか、その点お伺いをしておきたいと思います。

○岸調整担当部長 施設整備、業務改善につきましては、現在必要とされているものは完了しております。なお、今後も職員の衛生に関する意識向上に努めるほか、BSEに関しまして、新たな展開、状況の変化等がございましたら、迅速かつ的確に対応していきたいと思います。

○丸茂委員 ぜひそうお願いしたいと思います。BSE発生のときに、と畜解体の方法として背割りが適切かどうか、こういうことが議論になりました。私も聞いた記憶があるんですけれども。現状は、背割り機の一頭ごとの洗浄、消毒ということを平成十三年九月から実施しているという実施状況も示されております。この背割り問題はこれで十分なのかどうか、お伺いをしておきます。

○岸調整担当部長 芝浦屠場におきましては、委員ご指摘のとおり、一頭処理ごとに背割り機の洗浄、消毒をしておりますほかに、十四年度には、国の基準では義務づけのない背割りくずをスチームバキュームで吸引いたしまして、さらに脊髄を覆っている硬膜も除去する装置をつけ、その作業もしております。現時点では十分であると考えております。

○丸茂委員 そうですか。それで、先ほどから議論されている、先日、十月六日発生した非定型型のBSEが発生しましたけれども、これまでのBSE検査対象と比べて、生後では二十三カ月ということで、従来よりも非常に早い時期に発生している等々、いろいろ新聞報道もされましたし、先ほども答弁をいただきました。今後、感染ルートの解明なども大変急務となっているとも報道されております。東京都は、全頭検査を行っており、問題はないかと思いますけれども、今後を含めて対策がどうなのか、重ねてお聞きしたいと思います。

○岸調整担当部長 今回の茨城県におけるBSEの発見は、現在、芝浦屠場でも行われているのと同じスクリーニング検査で発見された事例でございます。この検査は、と畜牛のすべてについて実施しているものでございまして、今回のような新型のBSEに対してもこれまでの業務改善の徹底及び施設整備で対応できるものと考えております。

○丸茂委員 ちょっと角度が変わるんですけれども、と場周辺は、最近、新幹線の新駅も利用開始になりました。それから、品川駅東口もニューシティーとして観光スポットとして、先日マスコミでも取り上げられていました。私、と場を訪れたときも、カラスが大変飛び回っていると。カラスはいろんなところにおりて、また市場にも舞い戻る。そういう点ではカラス対策が一つの課題だというふうに考えたんですけれども、と場の衛生上とイメージからも、対策はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○岸調整担当部長 食肉市場におけるカラス対策は大変大きな問題だと思っております。カラス対策は全庁的な取り組みの一環といたしまして、平成十三年、十四年につきましては九月から三月まで、そして今年度は八月からトラップを仕掛けまして捕獲しております。ことしの九月までの累計で約四百羽捕獲しておるところでございます。
 今年度は品川駅が新たに開発される、間近に迫ったということもございまして、市場独自の取り組みを加えております。これは、市場内のカラスの生息数の実態調査を実施いたしまして、まず、えさ断ちや捕獲等のカラス対策の効果を探る。その上で今後の対策を検討するための基礎資料としようとしたものでございます。その上で、今年の六月、七月には市場独自の対策として捕獲も加えております。
 この調査では、六月と八月の二日間ずつ調査を行っておりますが、わかりましたことは、と場内のカラスはと場の中に巣をつくっているのではなくて、場外から飛来してきております。その数は時間によりかなりふえたり減ったりしておりまして、六月、二日間の延べの数は五千二百八十四羽でございました。八月におきましては、同じ二日間でございますが、千二百七十二羽と、約四分の一に減少いたしました。この差でございますが、市場独自に実施しましたえさ断ちの対策や捕獲対策の効果が大きく貢献していると思われます。今後ともカラスの生態に見合った効果的なカラス対策を実施してまいりたいと思います。

○丸茂委員 さまざまな対策をとっていただいていると。私ども都民の立場にしますと、BSE対策も、それからかつて--いずれにしてもO157問題など、食品の安全問題というのは間違いが許されない、大変重要な課題だというふうに思っております。新鮮かつ高品質な食肉提供とあわせて安全で安定した供給が求められるというふうに思います。万全を尽くして対応するよう求めて、質問を終わります。
 以上です。

○和田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑を終了いたします。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○和田委員長 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分及び平成十四年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算、平成十四年度東京都農業改良資金助成会計決算、平成十四年度東京都林業改善資金助成会計決算及び平成十四年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○島田総務部長 十月八日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料一ページと二ページに目次がございます。全部で二十四項目ございます。
 三ページをお開きください。都内小売業の倒産件数の推移でございます。件数、負債額とも増加傾向が見られております。
 四ページをお願いいたします。創業支援施設の入居・施設整備実績でございます。十四年度の実績は、1、都の第三セクビルを活用した二施設、五十七企業、2、空き庁舎を活用した三施設、五十八企業、3、区市町村と連携した創業支援施設では、大田、足立、杉並の三区に対する支援を行っております。
 五ページでございます。工業集積地域活性化支援事業の内容とその実績でございます。平成十四年度は八千五百万余円の支援を行ってございます。
 六ページをお願いいたします。都内の区市町村別工場数の推移でございます。六ページには二十三区、七ページには市町村ごとの推移についてお示ししてございます。
 八ページをお願いいたします。都内小売業商店数の推移をお示ししてございます。昭和五十七年をピークに減少傾向にございます。
 九ページをお開きください。商店街の解散数と新設数の推移をお示ししてございます。
 一〇ページをお願いいたします。元気を出せ商店街事業の実績の推移でございます。十四年度実績は七百九十件、六億四千八百万余円となっております。
 一一ページでございます。商店街振興関係補助金一覧でございます。十四年度実績は商店街振興事業では、四事業で九億余円でございます。
 一二ページから一三ページにかけまして、中小企業制度融資の実績の推移が十年間にわたりまして記載してございます。十四年度の実績は一兆九千億余円。代位弁済では一千二百五十七億円となっております。
 一四ページをお願いいたします。国及び都の借りかえ融資等の利用実績でございます。都と国合計いたしまして、五千二百九十一件、八百五十七億円でございます。
 一五ページをお願いいたします。保証協会債権回収株式会社への求償権委託・回収状況でございます。十四年度実績では下段の合計にございますように、委託求償権は二千九百五十億円、そのうち回収分は九十三億四百万余円となっております。
 一六ページをお願いいたします。訪都外国人数の推移でございますが、平成十四年の実績は二百九十六万人となっております。
 一七ページをお願いいたします。東京観光情報センター利用者数一覧でございます。十四年度半年間の利用者数は三カ所合計約三十万六千人、うち外国人利用者は約八万六千人となっております。
 一八ページです。観光情報センター設置場所の選定理由でございます。2にございますように、国内外の旅行者が東京を訪れる際の交通の結節点として、羽田空港と京成上野駅に、都内の観光情報を統括する場所として都庁に設置してございます。
 一九ページです。多摩地域の観光振興策とその実績を過去十年間にわたりお示ししてございます。
 二〇ページをお願いいたします。多摩産農畜産物の主な育成策を表にしてございます。
 二一ページをお開きください。都内農地面積の推移でございますが、十四年度では八千五百五十ヘクタールとなっております。
 二二ページでございます。庁内木材使用実績でございます。十四年度は五千三百十八立方メートルの使用実績がございました。
 二三ページでございます。伊豆諸島での火山・地震災害対策事業がお示ししてございます。十四年度実績は農業関連一千五百万円、水産業関連で五億七千九百万余円でございます。
 二四ページでございます。大島及び八丈島における漁業支援事業でございます。十四年度実績は大島で一億五千二百万余円、八丈島で四千六百万余円でございます。
 二五ページでございます。地域雇用就業施策の概要でございます。表に掲げました各種事業を実施いたしました。
 二六ページでございます。三宅島げんき農場・三宅村ゆめ農園の運営状況でございます。2、事業実績にございますように、平成十四年度では、げんき農場、事業費一億二千六百万余円、雇用者数百人、ゆめ農園では、事業費七千七百万余円、雇用者数五十三人となっております。
 二七ページでございます。中小企業助っ人千人事業の概要でございます。十四年度の五カ月間の実績は、ページの中ほどの表にございますように、百十八人の派遣が成立しております。
 二八ページでございます。平成十四年度技術専門校別応募・入校・修了者数、就職率でございます。修了者数は六千百五十三人、昼間訓練の就職率は七三%となってございます。
 二九ページでございます。委託訓練全体では、修了者数九千八百三十五人となっております。
 以上、大変雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○和田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○三宅委員 まず、中小企業金融についてお伺いをいたします。
 初めに、昨日、読売新聞の夕刊にこんなような衝撃的な記事が出ました。一つは一面のトップ、そしてまた、ほかのページにも出ていたわけでありますが、その記事の内容が、産業労働局の所管に大きくかかわる記事の内容でございます。
 信用保証、貸し倒れ急増、穴埋め税金二兆円。また、さらに十九面ですね、詐欺も続発、税金を食う、そして、信用保証制度をめぐり、融資の金をだまし取る詐欺事件が相次いでおり、不正が判明すれば保証協会に中小企業総合事業団からの保険金はおりないが、各協会には、国や自治体から毎年、焦げつきをカバーする交付金などが出ており、詐欺による損失も結果的には税金で穴埋めされると、こう書かれているわけであります。
 そこで、これは決算特別委員会でございますから、昨年度の決算を見ますと、中小企業金融の信用補完等として百三十八億円余が支出されております。その大半が信用保証協会の保証債務履行補助、すなわち、この新聞記事の表現を借りるならば、貸し倒れの穴埋めに使われているわけであります。
 私も信用保証補助審査会の委員をしております。この審査会に出席をいたしておりますが、この記事のような実態は報告をされておりませんし、保証協会が適正に代位弁済をしているということで承認をしているところでございます。
 また、東京都が補助を行うに際して、厳正な審査を行っていると私は認識をいたしております。しかし、このような新聞記事がもう既に昨日、東京都民の多くの方の目に触れてしまっているわけでありますね。これに対して、タイムリーといえば余りにもタイムリー過ぎてしまうんですが、一つ一つ、誤解があるなら誤解だと、きちっと産業労働局、東京都としての見解をお聞きしておかなければならないと思うわけであります。
 特に、活字に出ている詐欺も続発しているのかですね。続発というんだから。例えば、十四年度も含めて、今現在まで、続発というのは二十件も三十件も出ているのが続発というんじゃないかと思うんですけどね、そんなような実態なのか。また、実態のない会社に融資と、こう、でっかい活字なものですから、そんなような例があるのかないのか、その辺のところもちょっと触れながら、答弁を求めます。

○鹿島金融担当部長 信用保証に関する不正が判明した場合、中小企業総合事業団からの保険金は支出されません。また、保証債務履行補助交付要綱では、東京都は補助の対象を中小企業総合事業団の保険金の補てんがあるものに限定しております。
 さらに、東京都は補助金の支出に際しまして、信用保証補助審査会で審査を行っておりまして、詐欺による損失の場合は補助金として認めておりません。したがいまして、新聞記事にあるような事実はございません。
 今後も、中小企業資金調達の円滑化を図る観点から、信用保証協会の保証債務履行補助を適正に行ってまいります。

○三宅委員 新聞記事にあるような事実はないとご答弁をされましたが、この新聞屋さんに何か抗議みたいなことはしましたか。

○鹿島金融担当部長 信用保証協会にこの件を問い合わせさせましたところ、事実関係と違うということで新聞社に対して抗議をしております。また、局といたしましても抗議をしております。

○三宅委員 実に今これだけいろいろ中小企業金融について厳しい状況にある中で、この字面だけ見ると、東京都の信用保証制度も含めて、この制度融資自体が大変に何か疑惑の中にあるような、不正というんでしょうか、があるような、こんな印象を大きく受けますしね。二、三の人が、けしからぬと。まるで制度融資自体が日本の経済に対しての悪であるかのようなことを私自身にもいってきておる事実があるわけでありますから、危機管理というんでしょうかね、もう少しこういうような記事が出たときの対応が素早く、的確に要所要所に、今、金融担当部長さんがこういった事実はないと明言されましたから、そういうことは早目に手を打たれたら、より一層この制度融資に対する信頼が高まるんではないかなと、ご助言をいたしておきます。
 続きまして、今申し上げましたように大変重要な中小企業振興といいましょうかね、支援に対して役割を担ってきましたのが、申し上げた制度融資であります。十四年度の決算を見ますと、この制度融資にかかわる支出額は二千二百二十九億円。これは金融機関への預託金、いいかえれば、いずれ戻ってくる東京都の預金であります。この預金が、どうでしょうかね、たくさん大手銀行を支援しているんじゃないかという声もございますが、昨年度、十四年度の実績を見ますと、一兆五千億円の融資目標額に対しまして、一兆九千億円を超える実績を上げているわけであります。これは単純に計算すると預託金の約八・七倍であるというわけでありますから、この制度融資の仕組み、預託金を入れて融資を実行していこうという仕組みは、我が党が力を注いで今まで築き上げてきたものでございますが、金融機関による貸し渋り、貸しはがしが問題となっているさなかに、十四年度の制度融資は十分にその役割を果たしたという評価を私はいたします。
 そこで、まず昨年度の制度融資がこのように大きな実績を上げることができたその理由は何なのか、お尋ねをいたします。

○鹿島金融担当部長 昨年の制度融資が融資目標額を大きく上回る実績を上げた理由については、取引先への決済や企業支払いなど資金繰りを改善するための資金需要が高かったことと、昨年十月に創設いたしました借りかえ、つなぎ資金の伸びが好調であったことが挙げられます。ちなみに、借りかえは目標額二百億円のところ約四百九億円の実績、つなぎは目標額三百億円のところ約七百七十三億円の実績を上げているところでございます。

○三宅委員 今の答弁にもありますように、借りかえとつなぎ、この二つがとりわけ好評だということであります。いずれも昨年の第三回定例会におきまして我が党の主張を踏まえて昨年の十月に実施されたものですが、制度創設以来、順調に実績を積み重ね、今年度からはこれが制度融資の正規メニューとして制度化されたところであります。また、本年二月には都の借りかえ制度に追随する形で国の借りかえ制度も創設されました。中小企業の返済負担を軽減する借りかえ、小口の資金需要に迅速に対応するつなぎ、さらには、安定化特別融資の借りかえも可能なお国の制度、これらがそろったことにより、中小企業の資金需要にこたえる仕組みは充実したのかなと、こういいたいところであります。
 今年度、都は制度融資の融資目標額を昨年度より二千五百億円増額し、過去最大の一兆七千五百億円とするなど、中小企業金融対策に積極的な姿勢を打ち出しておられます。これから年末に向けた当面の資金需要にこたえるためにも、こうした制度のPRを強化し、中小企業への積極的な資金供給を促すことが大事だと考えますが、見解を伺います。

○鹿島金融担当部長 ご指摘のとおり、借りかえ、つなぎは昨年十月に年末対策として実施したものでございますが、本年四月より制度融資の正規のメニューとして制度化しておりまして、年末だけではなく年間を通じてご利用できるようになりました。当面の資金需要にこたえるためには、こうした借りかえ、つなぎを初めとする東京都の制度融資、さらには国の借りかえ制度も含め、融資制度のPRを強化することが重要でございます。現在、準備を進めているところですが、今後できるだけ速やかに制度の利用促進に向けた取り組みを展開し、年末に向けた資金需要に積極的にこたえてまいります。

○三宅委員 制度融資はまさしく中小企業の金融対策のかなめであります。今後、中小企業の資金需要にさらにこたえるべく制度の充実、強化が求められていると考えております。
 さきの第三回定例会の代表質問におきまして、我が党の大西幹事長から申し上げたとおり、制度融資は中小企業にとって力強い味方である一方、これまで幾度にもわたり改正が行われてきたためでしょうか、制度が複雑となっております。中小企業からは、メニューがたくさんあり、どれを申し込めばよいのかわからない、手続が煩雑だといった声も耳にいたします。
 金融機関にとりましても、中小企業の資金需要に即したきめ細かいプレゼンテーションとかセールスがしにくいというような面が考慮されます。制度融資がますますその役割を果たすために、都はこうした行為に真摯にこたえ、より利用しやすい制度となるよう改善に向けて取り組んでいただきたいと考えます。
 先般の代表質問でも前向きな答弁をいただいてはおりますが、改めて局長の決意をお聞かせいただきたいと思います。そして、この新聞記事、なかなか痛いところをついているところもございますからね。審査機能の問題ですとか、これはどうもお国の会計検査院さんがこんなような記事の出元のような話も聞いておりますけれども、いずれにしても、どこからどう突っ込まれようが、万全な、東京都ならではの制度融資の構築にお努めいただきたいと思います。では、ご決意をお伺いします。

○有手産業労働局長 ご指摘のとおり、制度融資は東京都の金融対策のかなめでございます。今お話しございましたが、今後とも中小企業の資金需要にさらにこたえるために充実、強化を図っていく所存でございます。
 具体的には、制度を利用する中小企業にとってわかりやすく使いやすい、そういう制度にする必要がございます。また、金融機関にとりましても、これを使っていただく中小企業の方にPRしやすい、融資しやすい、そういった制度に改めていく必要があると考えております。この二点を中心に今後、改善に向けて積極的に取り組んでいきます。
 また、今、新聞記事のお話がございましたけれども、この件につきましては、先ほど部長が答弁したとおりで、事実に反しているわけでございます。信用保証協会から新聞社に対して強く抗議するとともに、私どもも強く抗議をして、制度融資に対して都民の方が誤解がないようにしなくちゃいけないという対応をとったところでございますけれども、今後とも制度融資の充実に向けまして、一層努力してまいります。

○三宅委員 次に、商店街の振興対策について質問をいたします。
 商店街活性化、このことについてはとにかく商店街自身が自主的に取り組んでいくことが必要であるという時代背景になっております。この意欲的な取り組みを都が支援をしていこう、これが商店街振興の一番重要な課題であると考えます。平成十年度に単年度事業としてスタートいたしました元気を出せ商店街事業。この事業を我が党は強力に後押しをしてきたところでございますけれども、平成十四年度までに実績に応じた予算が確保されてきたようであります。要求資料にも載っておりました。
 まず、元気を出せ商店街事業というのが平成十四年度で終了いたしておりますが、この利用実績と決算について伺います。

○市原商工部長 十四年度におきまして元気を出せ商店街事業を利用しました商店街は、九百四十九商店街となっております。また、決算額は約六億四千九百万円でございまして、当初予算額に対する執行率につきましては九二・七%となっております。

○三宅委員 数字をお示しいただきました。事業創設以来、多数の商店街に利用実績があるこの事業の成果、都としてどうとらえているのか。ちょっときめ細かくご答弁いただきたいと思います。

○市原商工部長 元気を出せ商店街事業は、平成十年度から延べ四千五百の商店街に利用されております。商店街と地域が一体となって展開するさまざまなイベントを支援してまいりました。この事業は、売り上げの拡大といった経済的効果のみならず、商店街のイメージアップ、地域コミュニティの維持など、多面的な効果を生み出してまいりました。また、十三年度実施いたしました東京都商店街振興組合連合会の調査におきましては、事業を実施した商店街から、地域消費者と商店街の関係が深まった。実施後、町に活気が出た、商店街の知名度が上がったなどの回答を得ておるところでございます。

○三宅委員 私ども自民党は、この元気を出せ商店街事業を生み出す目的は、今、大変犯罪が厳しい状況になっている、これを予見していたわけですね。地域社会の崩壊というものが非常に顕著になりつつ兆しがあった。平成九年、七年、八年あたり。とにかくどこの町だといえば、その商店街が、そこがその町だという東京都の長い歴史の中のあり方において、その商店街自体が、シャッターがおりていってしまう、人が歩いていない、さびれた状況になる。そのことを大変な危機感を持ってとらえたわけであります。
 ただ、この商店街というのが、産業労働局が所管をしておりますので、従来からありました商店街振興という事業に着目をしたわけであります。目的は、あくまで私どもはこの地域社会を何とか守ろう、そういった意向からの取り組みでありました。
 実際的に今、商店街振興組合連合会の調査も、地域社会とのコミュニケーションが非常によくなってきた。また若手が地域社会のイベントに参加するようになった。商店街の構成員じゃない方たちも多く参加をしているようであります。そういったことから、元気を出せ商店街事業を何としても、いろんな社会的角度から守り続けていかないとという新たな決意を強く覚えるところであります。
 また、この十四年度の商店街振興策を見ますと、他の事業、活力ある商店街育成事業ほか空き店舗活用推進事業がありますけれども、そういったイベント支援のほかにも、IT化やハード施設の整備なんかあります。これを平成十四年度利用実績とあわせて、どういった事業をどう支援するのかをお伺いいたします。

○市原商工部長 活力ある商店街育成事業は、法人格のある商店街等が行いますカラー舗装、街路灯設置等のハード事業及びポイントカード作成、ホームぺージ開設等のソフト事業を支援するものでございます。
 平成十四年度の利用実績につきましては、三十六商店街が利用されております。戸越銀座銀六商店街振興組合が実施いたしました商店街ブランドの開発及びコミュニティ施設の整備事業などに対しまして助成を行っております。
 また、商店街活性化推進事業は、法人格を持たない未組織商店街等が行うハード・ソフト事業に対しまして、中小企業振興基金の運用益を活用いたしまして、中小企業振興公社を通じて支援するものでございます。十四年度は三十八商店街が利用し、武蔵野市商店街連合会が設置いたしました商店街と市民が交流するためのコミュニティスタジオなどに対しまして助成を行っております。

○三宅委員 この十四年度の決算を見ますと、非常に商店街の振興事業が、同じ事業なのに補助対象者が異なっていたり、事業の実施主体や財源がまちまちになっていることが大変に明らかであります。そこで、都は、十五年度から新・元気を出せ商店街事業として再構築をされております。いま一度、この新・元気を出せ商店街事業では、十四年度の事業のどこをどう改善したのかをお伺いいたします。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業は、お話しのような十四年度までの縦割りで複雑な振興施策をハード、ソフト、イベント事業を一体のものといたしまして再構築し、区市町村と連携いたしまして、意欲ある商店街の多種多様な取り組みを支援するものでございます。
 主な改善点といたしましては、イベント事業につきまして、年一回を年二回までとし、ハード及びソフトの商店街活性化事業については、補助対象者にNPO及び社会福祉法人を加えました。また、補助金の支出手続を改善いたしまして、商店街が補助金を受けるまでの期間の短縮を図っております。

○三宅委員 新・元気を出せ商店街事業、商店街にわかりやすく、さらに区市町村にも参画をしてもらおうと全く新しい試みでスタートしているところでございますが、地元の商店街や区市町村からは、新しい要綱がわかりにくい、添付書類がふえたなど、ぶつぶつと声が聞こえてきます。
 私は、石原慎太郎知事がよく、商店街はだめだね、もっとしっかり勉強せいという再三にわたるご答弁をいただいておりますけれども、それも一理あるところはあるなと思います。この補助金の申請に必要な書類を期日までにきちっとそろえて手続を行うというのは、このビジネス社会では当たり前のことでありますから、この当たり前のことを当たり前にできるような商店街になってもらわなければ、日本の産業から置いていかれてしまうだろう、そんな思いがございます。
 しかし、東京都としては、商店街がそういったきちんとした事務の事業もできるように、また計画も立てられるように、そしてそれを計画した事業を効果的に実施できるように指導する義務があると、こういうふうに思っております。その具体的な作業がもう目の前に迫っているわけでありますから、十六年度予算編成の中におきましても、きめ細かく一つ一つの要綱、現場での使われ方を想定しながら要綱を詰めていただきたいし、またこの事業の周知にさらに努めていただきたいなと、こんなふうにも思っているところでございます。一たん決めたものだから、これは絶対に譲らないとかいう姿勢ではなくて、現場の声をよく聞いて、改めるべき点はきちっと改める。ただ、だらしがないこと、してはいけないことを許すというようなことじゃないですよ。それはよく説明をしてきちっと守っていただくという毅然としたルール、姿勢を保ちながらも、これはいけないと改めるべきところは的確に改めていただきたいと思います。
 あわせて、あと二つ事業が単年度でスタートいたしております。輝けと進め、細かくは申し上げません。これらも一緒に勘案をしながら、東京都が日本国の見本となるような商店街事業振興施策を取り組んでいただきたいと思います。
 以上、いろいろ申し上げましたが、全般的な商店街の振興施策、新たな取り組みについてのご見解をお聞かせください。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業などの新しい事業が効果的に活用されるためには、商店街が事業の仕組み等を理解し、自主的、主体的に取り組むことが不可欠でございます。都といたしましては、区市町村と連携し、新しい事業の周知を図ってまいります。今後とも区市町村と十分な意見交換を行うとともに、商店街やその利用者の方々の意見を把握し、新・元気を出せ商店街事業等の商店街振興施策の一層の充実に努めてまいります。

○三宅委員 商工部長の決意表明のような感じの答弁をいただきましたけれども、第二次財政再建プランが発表されたばかりであります。見直しの重点項目の要綱を見ますと、新・元気を出せ商店街事業は、大変に注目を浴びる事業になってしまうのかな、いるのかなという強い懸念を覚えているところでございます。どうしても残さなきゃいけない、東京の地域社会のために必要な地域商店街を守るための新・元気を出せ商店街事業であると私は強い強い信念を抱いております。ここで局長の決意というところですが、局長の決意はもう少し事態が進んだところで次の機会にゆだねまして、私の質問を終わります。

○中村委員 商店街の振興施策についてお尋ねをいたします。
 今、この資料を見ました。都内小売業の倒産件数の推移という中で、三千七百件以上に及ぶ小売店、商店が倒産している。ただ、これも負債額一千万以上という金額なんですね。もっと少なくても、少ない金額で倒産しているところも数え切れなくあると思います。そうすると、この三千七百件どころではないという現状があるんではないかなと思います。そういうのがなぜ倒産するのか。確かに長引く不景気、そしてまた近所に大型店ができた、その影響をもろにかぶっている。または、最近よく聞くのは、後継者がいない。自分の子どもたちが自分の商売を継いでくれない。そうした中で、自分も高齢化だから店を畳んでしまおうというような話をよく聞くわけであります。
 そうした中で、商店が閉鎖してしまう。倒産も含めても閉鎖してしまうとなると、商店街というものの形成が成り立たなくなっていくわけですね。そういう商店街が最近見られてきたわけでございまして、商店街をどうやって活性化していくのかなということを考えておりますと、資料の中にも出ておりました、法人格を持った商店街、また、法人格を持たない任意団体の商店街、こういう中で法人格を持った団体も、また任意団体も、年々減少傾向にあるというふうにいわざるを得ないわけでございまして、特に、任意団体の方の商店街、これ、百十一団体が解散をしている。そしてまた、法人格持ったほうは一応、現在五百四十八団体ですね、平成十年度から比べますと二十団体の減少と、若干の減少でとどまっているというようなことを資料から見受けられるわけでございまして、そうしたものを見ていますと、任意団体よりかも法人格を持った団体の方が生き残っていく可能性というのはあるんではないかなと思います。この任意団体も、全部で千三百件以上の任意団体の商店街があるわけですけれども、これをもっと法人化させていくべきではないかというふうに考えるわけですけれども、その中で、法人化に当たっての何か効果、メリットというものはどういうところにあるんでしょうか。そこら辺をお願いいたします。

○市原商工部長 商店街を法人化する効果につきましては、しっかりとした事業計画と予算を持つことによりまして、商店街みずからの計画的、効果的な振興事業の展開が促進されるとともに、経営基盤が強化されまして信用が増すため、各種の助成や融資を受けやすくなることなどが期待できます。
 具体的には法人商店街を対象とする国庫補助事業が受けられるようになることや、都の融資制度におきまして、商店街の運転資金や、組合向けの転貸資金の融資の対象となるなどでございます。

○中村委員 そういったメリットがあるわけでございますけれども、都内では商店街約二千八百件ほどあるというようにも聞いております。そうした中で法人格を持っているのが、先ほどからお話ししているように、この資料にあるとおり、五百団体強ということでありますが、なぜ任意団体から法人化できないのかな、またはしないのかな。その辺のところは状況をつかんでいるのかどうか、ちょっとお知らせいただければと思います。

○市原商工部長 都内の商店街の法人化が進まない理由といたしましては、法人格のない商店街は、商店数が平均して四十程度と比較的に小規模なため、法人化して、専従の事務局職員を置くだけの規模にない商店街が多いことが挙げられます。
 また、さらに商店主が高齢化され、後継者も育たず、役員のなり手がないこと。さらに、商店街にとりまして、法人化に関する諸手続が煩瑣であること、こんなことが考えられます。

○中村委員 規模が小さいと、なかなか事務職員だとか置くのも経費の捻出というのは大変だと思います。でも、その中でもやはりそういった融資制度、国庫補助金だとかそういうのも、何かメリットがあるというようにいっておるわけですけれども、そうした中で、もう少し東京都としては法人化に対して支援策をとっていけるんではないかなと思うわけでございますので、今後どのような支援策を考えておられるのか、お知らせください。

○市原商工部長 都はこれまでも商店街の組織化推進のために、商店街からの個別の相談に応じるとともに、東京都商店街振興組合連合会が行います組織化への事業に対しまして支援を行っております。
 平成十五年度に再構築されました新・元気を出せ商店街事業では、組織化に向けた研修会や新規設立のための経費等につきまして、新たに補助対象としたところでございます。今後とも商店街の法人化の支援に努めてまいりたいと考えております。

○中村委員 今まで、平成十四年度まで東京都では元気を出せ商店街事業において法人団体または任意団体、いろんなイベントを支援してまいりました。しかし、そのイベントというものは一過性のものというのが結構あるんですね。イベントをやることによってリピーターをふやしていかなければならない、また、来てもらわなきゃならないというのがあります。今度の十一月の上旬に都庁の都民広場でも商店街のイベントをやるわけですね。各いろんな商店街がブースを出して、商店街というのはどういうものなんだよというものをお知らせする、そういったイベントをやるわけですけれども、都民広場ではなくて、私が思うのには、もっと交通の便利なというか、人が回遊できるようなところでやられたらいいかなと思います。これは一つの私の考えでありまして、そういうものも今後考えていっていただけたらいいかなと思うわけでございまして、そういう人たちに知らしめて、商店街にまた来てもらうというのが一番大事ではないかなと思います。
 そうした中で、倒産件数かなりふえております。そういったものを解消するためにも、個々の商店会、いろいろな商店街、または商店、これらの活性化をしていかなければならないというふうに思っているわけです。私の住んでいる台東区でも地域格差がありまして、人の多くにぎわうところ、そしてまた過疎的なところというのは、その格差が非常に激しくなってきているわけですね、最近。そういったところの中で、非常にお客さんが少なくなってきている商店街でも、そこの人たちは何とかしなければならないという懸命な気持ちを持っている。そういうような中で元気を出せ商店街事業だとかいろんなこともやっております。そしてまた、自分の息子が外へ勤めに出てても、仕事が終わってから自分の店に戻ってきて、お父さんと一緒になって、どういうふうにしていったらいいかというアイデアを出せとか、いろんな話もしているというふうに伺っております。
 そうした中でイベント、こういったイベントもいろいろやっているわけでございますけれども、この中でやはり人材育成、またそういった経営者、若手経営者というものの問題は非常に大きいんではないかなと思いますので、商店街全体、人と、その商店街のやる気というもので活性化していく。そういうようなものも東京都で支援していくというのも大事な施策だろうと思います。
 今までの経緯を踏まえまして、平成十五年度、これまでの東京都の商店街振興施策、いろいろ統合し、また再構築してきたわけでございますけれども、新しい商店街振興施策の中で、今後この点につきましてどういうふうに取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○市原商工部長 平成十五年度に再構築いたしました商店街振興施策では、ハード、ソフト、イベント事業を一体として実施いたします新・元気を出せ商店街事業に加えまして、新たに個店の先進的な取り組みを支援するため、輝け店舗支援事業、次代を担う人材を育成する進め若手商人育成事業を実施しております。都といたしましては、これらの事業が相互に補完し合い、それぞれが高い事業効果を上げて商店街が活性化していくよう、商店街振興施策の推進に努めてまいります。

○中村委員 本当に商店及び商店街というのは、地元の人たちの憩いの場でもありますし、生活の基盤でもあるといっても過言ではないと思います。広域型商店街、それからまた近隣型商店街、いろいろ形態がありますけれども、ぜひとも東京都としては商店街、また商店を活性化して景気の回復、そういうところにつなげていっていただきたいというふうに念願するわけでございまして、次の質問に移らさせていただきます。
 次は、私の得意な分野の観光についてお尋ねをいたします。観光振興、平成十三年に東京都観光産業振興プランというものを策定いたしまして、五年間で外国からの外来者、東京都に来るお客様を六百万人に達成させるという目標を掲げました。その中で、宿泊税、いわゆるホテル税を導入して、その資金を観光振興策に投じようという考え方を進めているわけでございますけれども、最近では副知事を初めとしてヨーロッパにシティーセールスにも行かれたといっております。今までなかったことでありまして、東京都が必死になって東京の観光を売り込みに行っているなというのは非常に評価するわけでございます。
 ただ、そうした中でも、こちらに来てもらった外国のお客様、なかなか一人では歩けない。特に外国からのお客様というのは、バックパッカーというんですか、ツーリスト、団体ではなくて、家族または友人とで少人数で旅をするという傾向が多いわけでございまして、日本またはいろんな諸外国の人たちが、今でもたまにお台場の方に行くと見かけるのは、東南アジアのパッケージツアーの人たちが旅行会社の旗を見ながら一緒になってずっと歩いているというようなことがあるわけですけれども、外国、特にヨーロッパ、アメリカ圏の人たちというのはほとんどそういう傾向はなくて、家族連れまたは友人、少人数で旅行をしてくるという傾向でございます。そうしますと、一番困るのが言葉の障害でございます。
 日本に来られて、日本語しか書いていない。最近、英語表記、または観光案内板が、台東区では四十四カ所設置をいたしました。そういった中で、英語、中国語、韓国語、そういったものが併記されて、少しはわかりやすくなってきたわけでございますけれども、そういった中で、やはり受け入れ体制というのは一番大事ではないかなと思っております。そういう案内標識ももちろんそうですけれども、今、東京都内に観光案内所--やはり我々も外国へ行きますと、駅だとかにクエスチョンマークのついた案内表示板が出ております。そこへ行って、日本語のパンフレットはないかとか、そういうものも尋ねたりいたします。そういうところで、あ、この国はわかりやすい国だなというと、また行っても安心だよ、人にも勧めることができるよということになってきて、多くの方が安心して行ける町というふうになってくるわけでございまして、その受け入れ体制として我が東京でも観光案内所、観光情報センターというものをつくっているわけでございます。
 そうした中で、観光案内の施設も少しきめ細かく整備できたらなと思うわけですけれども、その辺のところはいかがお考えでしょうか、お尋ねを申し上げます。

○渡辺観光部長 先生いわれた、きめ細かなということだと思いますけど、観光案内機能は、国内外からの旅行者に対しまして、宿泊施設の案内、観光案内、イベントの情報提供など、おもてなしの心を伝える重要な役割を担っていると思っております。これまでも地域におきましては、区市町村の窓口や観光協会等におきまして、主に地元の観光情報を提供しているわけでございますけれども、外国人旅行者の対応につきましてはまだ不十分だと思っております。
 今後、ご提案の趣旨を踏まえまして、きめ細かな観光機能のあり方につきまして検討してまいります。

○中村委員 観光案内所、本当にいろいろスタッフもやっておりますし、いろいろ熱意を持ってやっていることは十分うかがわれます。そうした中で、先ほども話をしましたように、駅構内の案内だとか、東京都でやっている、またそういう中での案内標識が外国語併記も出てくるようになりました。もっともっと外国語の表記を設置するべきであるかなというふうに思っているわけでございますけれども、今設置されている、東京都でやっている観光案内標識は、中央区と台東区というふうに聞いております。そこら辺、確かに銀座、それから多くの方が浅草の観音様を見に来るというのは十分承知しておりますし、一番最初にやるところとしては、非常に効果のあるところではないかなと思われますが、これももう少し範囲を広げていったらどうなのかなというふうにも思いますが、また、もう一工夫というものをしたらどうかなと思うんですけども、その辺のところはどうお考えでしょうか。

○渡辺観光部長 外国人旅行者がガイドなしで一人で都内を観光するためには、外国語や絵文字による案内表記が重要だというふうに認識しております。先生からのご質問にもございましたが、観光案内標識を昨年度から設置しだしてございます。日本語、英語、ハングル、中国の四カ国語で、プラス絵文字を加えまして、観光案内標識を外国人旅行者の多い地域を対象に順次設置しておるところでございます。
 先生恐らく観光案内表記につきましておっしゃっておりましたけれども、駅、公共施設、こういうところで標識でやっとたどり着きましても、表記がそこに、行った場所にないと、たどり着いても、また中でも混乱してしまう。こういうことでございますので、区市町村や交通事業者などの協力を得ながら、外国語による案内表記の普及、拡大に努めてまいります。

○中村委員 ぜひそれはお願いしたいわけでございまして、私ちょっと観光案内所、行きました。日本語と外国語のパンフレット、これがどれだけあるのかなと思って見てまいりました。確かにこういった、先ほどの観光案内標識のある浅草、上野、こういうのは英語表記たくさんありますね。また、地図も確かに英語のマップあります。ただ、これ見たことありますか。とても小さな字なんです。恐らくわかんないんじゃないかなと。(「わかんないな」と呼ぶ者あり)ねえ。こんな小さな字で書かれていると。外国の方はどれだけ目がよろしいのかわかりませんが、もう少し大きな字で、太い文字だとか、その辺もひとつ工夫があるのではないかなというふうに思いますし、また、私が一番、ちょっと不満に思ったのは、今、江戸開府四百年という事業をやっております。これが、このパンフレットです。そのパンフレットの中を見ましたら、全部日本語なんです。で、表紙だけが「EVENT CALENDAR」です。(笑声)これが英語なんです。中身は全部日本語。こういうのを見て、ひょっと見て写真を見ます。これ、面白そうだな--でも写真を見て、どこにあるのか、全くわからないんです。これは江戸開府四百年事業推進協議会というものが発行しているわけですけれども、こういうものも東京都が関与しているんですから、少なくても英語表記が必要ではないかな。
 また、この観光情報センター。これは、私の手元には日本語版しかないんですけれども、これも英語版があるんでしょうか。
 また、一つの例ですけれども、八丈島の町政要覧というのがあります。これはすばらしい。日本語の下に全部英語が書いてあるんです。なぜ東京都内で八丈支庁がこれだけ熱心に英語で書いてるのに、我が都内のところのキャンペーン公式ガイドブック、これには英語が少ないのかなというのも疑問点があります。そこら辺のところもひとつ、今後、工夫、研究、検討の課題としてとらえていっていただきたいなと思っております。
 そうした中で、あとは都の方の行政もそういうふうに考えながら、また外国人の方が来たときに、ああ、歩きやすいな、このお店に入ってみたいな、このミュージアム入ってみたいなといったときに、そういう表記、表示の仕方ですね、そういったものも大事ではないかなと思うわけでございまして、それに対する取り組み方、そういうものの所見はいかがでございましょうか。

○渡辺観光部長 今、先生の方から四百年のパンフでございますとか、観光情報センターのパンフレットでございますとか、いろいろとございました。おっしゃるとおり、なるべく外国人の目に触れるものにつきましては、言葉の問題があるわけでございますので、温かく迎えるために表記をすると、そういう心構えでやってまいりますので、その点ご容赦願いたいと思っております。
 それから、先生おっしゃっているレストランとかの問題がございました。最終的に、たどり着くところが、やはり観光施設やレストランと、こういうふうに相なるわけでございまして、実は都は、レストランや旅館、それからタクシーなど、事業者を対象としまして、外国人旅行者を接遇する際の一般的な注意事項、それからタクシーなどでは指をさせば簡単に会話ができるシート、レストランにおいてはメニューの外国語併記とか、こういうものを、対外国人旅行者用の接客事例集を今作成したところでございます。
 今後、この事例集を用いまして、事業者向けの研修を実施するなど普及、啓発を図り、外国人旅行者を温かく迎える体制の整備に努めたいと思っております。

○中村委員 ぜひそういう積極的な姿勢を持って取り組んでいただきたいなというふうに思っております。やはり皆様方もそうでしょうけど、外国に行ったとき一番困るのが言葉の問題。トイレに行くのにも、どうやって行ったらいいんだろう、言葉でいって片言の英語でしゃべる、しかし現地の人は早口のようにしゃべられると何をいっているのかわからないというのがあります。そのときに、何かこうわかりやすい英語、または日本語が書かれていたら、どんなに安心するかというのがあります。我々が行くばっかりではなくて、来られた方にもそういうような安心感が持てる、ぜひそういう観光施策をしていただきたいなと思っているわけでございます。
 続きまして、今度は伊豆諸島。私、せんだって我が都議会民主党会派で八丈島、御蔵島というところへ行ってまいりました。東京都内の島であります。ちょっと見では、伊豆諸島というと何か静岡県なのかなというふうに錯覚をする方もおられるかもしれませんけど、非常に伊豆諸島、東京都心部にはないリゾート的なもの、または歴史、そういうものが散在しているわけでございます。
 特に、八丈島におきましては、羽田空港から飛行機で四十五分で着けちゃうんです。それこそ熱海に行くのとほとんど変わらない。そのくらいで行ける。しかし、八丈島に行きましたところ、余り多くの方が来られないと。ホテル、宿泊施設も十分整っております。観光施設、それから熱帯植物林、そういったものもたくさんありまして、すべての要件が整っているというように思うわけでございます。また、多少、東京より南の方にありますので、温度も高く、マリンスポーツ、そういったものも楽しめるようなすばらしい島であるなと。東京都でも八丈支庁というのがありまして、そこにも東京都の職員の方が大勢行っていらっしゃるわけでございまして、そういうのが大島の、伊豆大島ですね、大島のところのパンフレット等は、大島椿祭りというと結構大々的に宣伝しているわけですね。八丈島の宣伝というのは、私、都内の観光案内所に行ったときに、ほとんどなかったです。
 このパンフレット、私持っておりますけれども、これはすべて竹芝の桟橋のとこしかないんです。なんでもっと東京都の観光案内所、置かないのかな。都庁の観光案内所、行かれた方ありますか。(「ありません。場所わかんないもん」と呼ぶ者あり)ああ、そうですか。そこにないんですよ。東京都の島ですよ。そこにないんですよね。そういうのももうちょっと、観光を産業にしようとしているならば、やるべきではないかというふうに、これはお訴えをさせていただきます。
 その中でも、東京の島、これをもっと観光資源として売り出すべきではないかなというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○渡辺観光部長 大島のパンフレットが観光情報センターにないと……。(中村委員「八丈島」と呼ぶ)八丈でございますか。八丈は、私、昨日ですね、実は別件で行きまして、四種類ございました。(中村委員「あ、ありましたか、これ」と呼ぶ)先生のものはなかったかもしれませんので、まことに--早速調べさせていただきまして、配置ができるようにさせていただきます。失礼いたしました。
 都は八丈を含みまして伊豆諸島、小笠原諸島、これは外洋に囲まれまして温泉や自然、歴史などさまざまな観光資源に恵まれた貴重な観光地であると認識しております。ご指摘のとおり、いろいろと噴火後間もなくから火山噴火の影響で落ち込みました観光客の回復を図るべく島々と手を携えて観光復興事業に取り組んできたわけでございますけれども、今後ともこれらの島々の魅力を、外国人観光客を含めまして広くアピールするため、インターネットを活用して今まで以上にきめ細かな観光情報を提供したり、宿泊施設における接遇向上を初めとする受け入れ体制の充実を図るなど、観光振興に努めてまいります。

○中村委員 積極的にどんどん取り組んでいただきたい。これはもう熱望いたしておるわけでございまして、そういった中で、外国からのお客様の受け入れ体制、これでしっかりつくっていただけるのかなと、今の答弁を聞いて多少の安心をいたしますし、またそうした中で観光案内所、いただきました資料を見ますと、今、訪都の外来者の方が二百九十万人、平成十二年のときに二百七十七万人でしたよね。平成十四年には二百九十六万人というふうに約二十万人ほどふえているわけでございます。これはたぶんワールドカップサッカーの影響もあったんではないかなというふうに思われるわけですけれども、いずれにいたしましても、人数がふえているということは非常にありがたいなと思うわけでございまして、なるべく早く六百万人の目標に到達していただきたいなと思うわけでございまして、だんだんと外来のお客様が見えてきたときに、果たしてこの三カ所の観光案内所だけでいいのかなという気は、私、非常に懸念をいたしているわけでございます。
 特に羽田空港を見ますと、ほかのところに比べてどうなのかなと。特に外国人のインフォメーションの問い合わせがちょっと少ないのかなというふうにも感じられます。そこには多くの方が、特に今は日本の飛行機が来ているわけで、今、都知事もいっているように、羽田も国際化を目指すというならば、それも当然必要なんでございましょうけれども、今度新たに品川のところに新幹線もできます。または東京駅という重要な拠点もあります。そういったものも含めて、今後さらに観光案内所というものをふやしていったらどうなのか。または、多摩地区には、新宿がありますけれども、都庁がありますけれども、そういったところにも考える余地があるんではないかなと。これはあくまでも今すぐやれということではなくて、外国人のお客様が多く見え始めてきた、そのときの対応として考えていかなければならないなと思うわけでございますけれども、そういうのも合わせまして、これからの観光を産業にしようという取り組みについてお考えをお聞かせいただきまして、質問を終わります。

○渡辺観光部長 東京都は、資料にもありますように、内外の結節点に観光情報センターを置かせていただいております。確かに先生おっしゃるように、今後、国際化が進んだり、六百万人に向かって私ども一生懸命やっているわけでございまして、そうした状況を勘案しながら、配置場所等はやはり適切なものにしていかなきゃならないと、こういうふうに思っております。
 あえて場所をいいますといろいろとございますので、申しわけございませんけれども、六百万人のときはまたいろいろあるのかもしれませんと、そういうことでご容赦を……。

○中村委員 今後の研究課題として真剣に取り組んで、多くのお客様が、東京都に来てよかった、また来たいというふうな政策で頑張っていただきたいと思います。
 これで終わります。

○和田委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時六分休憩

   午後三時十六分開議

○和田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言願います。

○藤井委員 私は、三点についてお伺いしたいと思います。
 最初は、いわゆる伊豆諸島における水産業対策、二点目は三宅島支援策、三点目は、いわゆる創業支援施策の三点についてお伺いしたいと思います。
 まず、平成十二年六月に起こりました三宅島の雄山の噴火以来、約三年がたちました。この三宅島の噴火並びに地震によりまして、伊豆諸島のそれぞれの島はいろいろな影響を受けているわけですけれども、特に漁業についてでございます。大変大きな被害を受けたということで、私も、大島や八丈、また、昨年、ことしにかけて小笠原にも行ってまいりました。そういった意味で、地元の関係者からいろんなお話を伺う機会もありましたものですから、それについていろいろと要望もさせていただいたところでございます。
 そこで、東京都では、こういった噴火によりますさまざまな被害に対しまして、例えば壊れた漁協の冷蔵庫の修復であるとか、あるいはまた荷さばき施設の復旧作業、さらには魚礁などの漁場整備、また、トコブシとかアワビとかサザエ、こういった漁業資源を放流するなどのいろんな支援策を行ってきたところでございますが、そういったことにもよりまして、漁業施設とか漁場が回復をしつつあるという現状でございます。
 ところで、噴火やあるいは地震の災害の影響が少なかった大島や八丈、小笠原、こういったところでも、最近はいわゆる漁獲量が激減というか、減ってきているというふうにいわれておりますけれども、まず最初に、平成十四年におきます漁獲量はどうだったのか、お伺いいたします。

○馬場参事 漁獲量でございますが、大島におきましては、ここ数年、六百から七百トンで推移しておりましたが、平成十四年には大幅に落ち込みまして、三百九十七トンでございました。八丈島では、年により差がございますが、ここ数年、少ない年で一千三百トン、多い年で二千二百トン程度となっており、平成十四年は一千三百七十二トンと低い水準でございました。小笠原島では、平成十年以降、四百トン台の漁獲量で推移しており、平成十四年には四百三十一トンとなっております。

○藤井委員 ご承知のとおり、伊豆諸島は、小笠原を含みます非常に大きな海域といいますか、全国でも、そこでとれる漁獲量というのは、大変量も、また漁場としてもすばらしい漁場であるというふうにいわれているわけですけれども、この漁業資源、最近は非常に減少傾向というふうになっているわけです。
 その原因はいろいろあると思いますけれども、海流とか水温などの変化によりまして漁獲量が減っているんじゃないかとか、さまざまいわれております。また、現場の、各島の漁業関係者に聞きますと、大変そういったいい漁場であるがために、他の県から船が来て、違法に操業して魚を持っていってしまうという現状もあります。
 そういった意味で、大島、八丈、先ほども中村委員の方から八丈の現状もありましたけれども、いわゆる観光と同時に、地元におきます基幹産業といいますか、島の発展のためになくてはならないこういった漁業が厳しい状況にあるわけでございます。
 そこで、大島、八丈島において漁獲量が減少した原因、これはどういうものがあるか、お伺いしたいと思います。

○馬場参事 原因でございますが、まず、大島の主な漁獲物はサザエなどの貝類でございます。サザエの漁獲は、近年高い水準で安定しておりましたが、平成十四年は大幅に落ち込んでおります。その原因の一つといたしまして、えさとなる海藻の減少が考えられます。
 次に、八丈島でございますが、黒潮に乗って回遊するカツオが非常に大きなウエートを占めております。平成十四年は、カツオの水揚げが集中する春先に黒潮の変動が大きく、八丈島に良好な漁場が形成されなかったということが主な原因と考えております。

○藤井委員 今ご答弁ありましたように、いろいろそういった原因によって、大変島しょの漁業は水揚げが落ち込んできているわけでございます。そういった意味では、漁業の不振というのは、それぞれの島では、島全体の活力の低下、並びに島の人たちは生活に対する大きな不安を抱いているというのが現状であります。
 そこで、こういった島の状況に対して、都としては今までどのような支援を行ってきたのか、伺いたいと思います。

○菊地農林水産部長 これまでの漁業支援でございますが、まず、大島、八丈島などの漁獲量減少の原因を把握することが重要でありますので、水産試験場では、魚介類の資源や生息環境の調査を実施しております。この調査を踏まえまして、魚介類の産卵場や生息場所を確保するため、大島、八丈島などに魚礁を設置してきております。
 また、大島の東京都栽培漁業センターで、アワビ、トコブシ、サザエの種苗を生産し、大島や八丈島などでの放流を支援しています。
 さらに、トビウオやキンメダイなどにつきまして、漁獲できる量や漁法を制限するなど資源管理に努めています。

○藤井委員 今ご答弁ありましたように、それぞれの島に魚礁を設置してきたり、あるいはトコブシ、サザエなんかの稚魚を放流するというか、そういった施策をやってきたわけですけれども、やはり島によってそれぞれ違います。
 先ほどありましたように、大島は大島の魚のとり方、いわゆる定着している魚をとるやり方とか、あるいは八丈の場合は、回遊している魚をとるやり方とか、それぞれ島によって特徴がありますけれども、やはり今までのような海にいる魚をとるだけでは、こういった海流の影響とか海藻の減少なんかによって漁獲量が大きく変わってくるという現状があるわけですから、ただとるだけの漁業では、これからは発展性はないというふうに私は考えるわけでございます。
 そういった意味では、今後はやはり、大事な、貴重な水産資源であります魚とか貝類等をつくり育てる、そういう漁業に変えていかなければならないというふうに考えるわけでございますが、そういったことについて東京都としてはどのように取り組むのか、お考えを伺いたいと思います。

○菊地農林水産部長 ご指摘のとおり、つくり育てる漁業の推進には、それぞれの島に適した効果的な方法で実施することが必要であると考えています。このため、都では、島の特性を踏まえた漁場の整備や貝類の種苗生産、放流を実施しているところでございます。
 また、ハタ類など定着性のある魚類につきましても、その技術開発に取り組んでおりまして、今後とも、地元町村や漁協と連携し、つくり育てる漁業の着実な推進を図ってまいります。

○藤井委員 ぜひ今後、そういったつくり育てる漁業への強力な支援策を強く要望しておきたいと思います。
 次に、三宅島の復興対策としてのげんき農場について、何点かお伺いしたいと思います。
 三宅島につきましては、いまだに帰島のめどが立っておりません。島民の方たちは、厳しいこういった避難生活を長い間にわたって強いられておりまして、そのご苦労というのは、私たちにははかり知れないものがあると思います。また、長期化している避難民の、島民の皆さんのいろいろな問題があるわけですが、その中の一つとして、やはり雇用の確保ということが大事な施策になると思います。
 そこで、私どもの党が提案をさせていただきました、いわゆる三宅島のげんき農場、八王子市にありますけれども、こういったげんき農場におきまして、島民の方たちが集まって、そこで復帰した後のいろいろな種を、苗をつくる、こういった施策は島民の方たちに大変好評でありまして、また、島民の方たちのコミュニケーションの場ともなり、お互いに励まし合いながら復帰を目指しているという、そういった、私はこれは生きた政策であるというふうに思いますけれども、さらに続けて江東区につくりましたゆめ農園、これも同じように花き類等を生産しているわけでございます。
 そこで、まずそれぞれの、平成十四年度におきますげんき農場とゆめ農園の事業内容、それから事業実施状況についてお伺いしたいと思います。

○菊地農林水産部長 三宅島げんき農場及び三宅村が実施しています三宅村ゆめ農園につきましては、国の緊急地域雇用創出特別基金事業を活用いたしまして、それぞれ特産、農産物の種苗確保や、花き、観葉植物や島内緑化用の苗木などの生産を行っております。
 資料にもございますが、この事業での平成十四年度の島民の雇用状況は、げんき農場が百名、ゆめ農園が五十三名となっておりまして、経費はそれぞれ約一億三千万円と約八千万円になっています。

○藤井委員 それでは、それぞれの農場あるいは農園では、具体的にどんな作物をどのぐらいつくっているのか、伺います。

○菊地農林水産部長 平成十四年度の実績になりますが、三宅島げんき農場では、サトイモ四千四百キログラム、ウコン六百キログラム、アシタバの種子八十リットルなどの種苗のほか、それぞれの農作物を収穫いたしました。
 また、三宅村ゆめ農園におきましては、サルビア、パンジー等の切り花、鉢花及び観葉植物が約十三万株、ヤブツバキ、ガクアジサイ等の緑化苗木が約一万株生産されています。

○藤井委員 ただいまご答弁でありましたげんき農場では、三宅島特産の農産物の種苗を確保するという話がございましたけれども、例えば来年、三宅島の人たちが帰島できる、戻れるという状況になった場合、その際、十分な量が確保されているのでしょうか。

○菊地農林水産部長 種苗につきましては、毎年新しいものに更新しながら確保に努める必要がございます。
 平成十四年度の収穫量では、帰島時に必要とされる主要品目の種苗の量をおおむね確保していると考えます。また、本年度につきましても、作付量や生育状況から見まして、昨年と同程度の収穫が見込まれています。

○藤井委員 今、種苗の確保についてはおおむね確保しているということでございまして、大変いいことだと思います。また、そういった支援をされてきた当局に敬意を表したいと思いますけれども、それ以外に、三宅島の帰島後、農業復興準備のためにどういう事業展開を図っているのか、お聞きしたいと思います。
 これは三宅村が主体になっているわけでございますので、所管局であります産業労働局でわかる範囲でご説明いただきたいと思います。

○菊地農林水産部長 三宅村では、帰島後の農業の復興を円滑に行うため、三宅村ゆめ農園で、溶岩でできた鉢などの特産品の開発を行っております。また、その販路開拓や花き類の販売、流通等の調査も実施しています。
 都といたしましても、引き続きこうした三宅村の産業復興準備の取り組みを支援してまいります。

○藤井委員 三宅島げんき農場、それから三宅村のゆめ農園、この二つは、農業技術の向上とか、それから島民の意欲を維持する、そういう効果もありますし、また先ほど申し上げましたように、島民の方にとっては、やはりお互いにコミュニケーションを確保する場であり、またそういう交流を通して、お互いの、元気になっていこうという、そういう大変大事な役目を担っているのがこの農場だと思います。
 我が党としても、この事業、ぜひとも継続していくべきだというふうに考えるわけですが、お聞きしますと、これは来年の三月で国の補助がなくなるということでございますけれども、三宅島の人たちにとってみれば、今までやってきたこういったげんき農場等がなくなれば、大変大きな精神的な支えがなくなるということを懸念するわけでございますので、ぜひとも帰島まで継続できるよう要望したいと考えております。
 次に、創業支援施設についてお伺いしたいと思います。
 資料でも要求いたしましたけれども、東京都は、この資料によりますと、資金力はないけれども、すぐれた技術力を持っている優秀な企業者を育てるために、臨海部にありますタイム二十四ビルとか、あるいは東京ファッションタウンビルとか、「ベンチャー・SUMIDA」ほかの二つのベンチャー施設などを開設いたしまして、創業の場を提供してきたわけでございます。
 しかし、東京都の施設だけでは不十分でありまして、私も昨年の予算委員会でこの問題を取り上げまして、こういう意欲のあるベンチャー企業に対して、さらに場所を提供したらどうだという提案もさせていただきました。その中で、それぞれの区あるいは市町村と連携をして、創業の場を広く広げていくことが重要であるというふうに考えるわけでございます。
 そこで、東京都の区市町村と連携をした創業支援施設について伺いたいと思います。
 東京都は、平成十四年度から、区市町村に対して創業支援施設の整備のための補助事業を開始したわけでございますが、平成十四年度におきます区市町村の創業支援施設の整備に対して、都はどういう補助をやってきたか、この実績について伺います。

○泉本商工施策担当部長 平成十四年度は、大田区、足立区、杉並区の三区に対して、創業支援施設整備の補助事業を実施いたしました。
 その概要でございますが、大田区では、新たなオンリーワン企業の育成、先端的技術産業の立地促進、ニュービジネスの創出などのために、旧大田区立羽田旭小学校を改修いたしまして創業支援施設を整備いたしました。事務室や軽易な加工機械類を使用できる部屋、計二十六室のほかに、商談室や会議室を整備する事業、これらに対しまして、都は一億円を補助いたしました。
 また、足立区では、オフィス十三室のほか商談交流室や研修室など、杉並区では、SOHO施設九室などを整備いたしまして、合計三区に約二億一千万円の補助を行っております。

○藤井委員 私の地元大田区では、今ご答弁ありましたように、小学校が統廃合されて、いわゆる残されたといいますか、廃校になった小学校の施設を使ってこういう創業支援施設を活用したということで、私は、大変画期的であり、また、今後ともぜひこういったものを進めるべきだと思います。
 足立でも杉並でも、それぞれ区の空き施設を利用して補助をされたというふうにありましたけれども、こういった空き施設を活用して創業支援施設を整備するメリットは、どういうメリットがあるでしょうか。

○泉本商工施策担当部長 区市町村では、少子化の影響や事業の見直しによる施設の統廃合がふえておりまして、これらをいかに有効活用するかが課題となっております。
 空き施設を創業支援施設として整備し、利用するメリットは、空き施設の有効利用とともに、ベンチャー企業の育成を通じた産業の活性化に大いに役立つことがございます。特に空き校舎を活用する場合は、利用者のための駐車場やオフィスの数を十分確保できること、また、改修費用も比較的少なくて済むということがメリットとしてございます。

○藤井委員 今ありましたように、学校なんかは教室がいっぱいあるわけですから、その教室が一つの工場になっちゃう。また、運動場が広いですから、そこが広い駐車場ということで、企業者にとっては大変使い勝手がいいというふうに私も地元の企業から聞いております。
 そういった意味では、今後こういったメリットを生かして積極的に支援をしていくことを特に望みたいと思いますが、そこで、大田区の創業支援施設ではどういう企業が入居しているのか、ご説明いただきたいと思います。

○泉本商工施策担当部長 施設の入居の内訳でございますが、自社製品や自社技術により、特定の分野でオンリーワンを目指して創業した研究開発型企業が十九社、既存事業の経営革新のため、新分野に進出した企業が十社、異業種交流グループが一つ、そして、地元企業との共同研究や交流を目指す大学などが三団体入居してございます。

○藤井委員 それでは、この支援施設の入居者の特徴というか、どういう特徴があるか、お伺いいたします。

○泉本商工施策担当部長 入居企業の特徴でございますが、自社では工場を持たずに、外注による生産の研究開発型企業、いわゆるファブレス企業が多いことでございます。
 とりわけこの施設には、東京工業大学やものつくり大学などが入居しておりまして、これらの大学では、その研究成果と地元企業のすぐれた製造技術との融合など、積極的な産学公連携が行われております。

○藤井委員 これからは、やっぱり産学公連携というのは大変重要だと思います。大田区にも既に、区が中心にそろえました工場アパート等が三カ所ございますけれども、今回の東京都が整備した創業支援施設のように、支援施設の中に、そういう大学とか、あるいは研究ができる、こういった連携ができるというのは、一つはやはり大事な点だと思います。そういう意味では、こういう連携ができるような支援をまた積極的に行うように要望したいと思います。
 次に、今ありました大田、足立、杉並のそれぞれの創業支援施設、今、十四年度から稼働しているわけですけれども、今後こういった支援事業の取り組みの考え方についてお伺いいたします。

○泉本商工施策担当部長 区市町村と連携した創業支援は、平成十四年度において都の重点事業と位置づけられ、平成十六年度までの三カ年計画として実施しているものでございます。地域産業の活性化と雇用の促進を図る上でも大変効果的であり、有意義なものと考えてございます。
 平成十七年度以降の取り組みについてですが、本事業の実施状況や入居企業の成長を検証するとともに、区市町村の動向などを踏まえて検討してまいりたいと考えております。

○藤井委員 お聞きしましたところ、最初に設立する際には東京都が補助を出すということですけれども、それ以後は、基本的には自主努力は当然ですけれども、やはりこういった技術とか研究のためのいろいろな側面からの支援が必要だと思いますので、ぜひとも東京都は、つくったらそれで終わりではなくて、今後それらの施設に対する技術的な支援、側面からの支援をすべきだというふうに考えますので、ご検討よろしくお願いしたいと思います。
 最後に、こういった創業支援施策、大変重要でございますけれども、いろいろと新たな産業を育てていく産業労働局として、今後とも、ものづくりを支援すること、あるいはものづくり人材の育成、そしてまた東京の産業振興を図っていく上で、産業労働局の役割は大変重要だというふうに考えます。
 ことしの一般質問で、私も知的所有権の問題を取り上げまして、中小企業のそういう特許の支援をすべきだというふうに提案をさせていただきました。その際、産業労働局は、特許を取るための手続としての、いわゆる翻訳料であるとか手数料等の支援を行うという事業を早速実施したわけでございまして、こういった機敏な対応というのが大変重要だというふうに考えますけれども、最後に、こういうものづくり並びに東京の産業振興にかける局長のご決意を伺いたいと思います。

○有手産業労働局長 今、日本のものづくり産業は、国際競争激化の中で大変苦しいところですけれども、新しい産業創出を目指して懸命に努力しております。
 東京には、情報や産業、さらには人的資源の集積によりまして、経済面でも雇用面においても高いポテンシャルがございます。こうした東京の優位性を最大限に生かしまして、国際的な視点を踏まえた新しいものづくり産業を育成していくことが、東京の経済を活性化させ、ひいては日本経済再生の牽引役になると考えているところでございます。
 また、産業構造の変化に対応いたしまして、高度な能力を持つ人材を育成し、成長産業に効果的に供給することによりまして、東京がその力を一層発揮することができると確信しております。
 今後とも、ものづくり産業への技術、経営面の支援、それから人材育成の面の支援、この両面の支援によりまして、大都市東京にふさわしい産業の振興に積極的に取り組んでまいります。

○丸茂委員 決算の機会に、中小企業と金融問題を中心に何点かお伺いをしたいと思っております。
 先日、中小企業振興対策審議会が開かれましたけれども、その場でも、厳しい経済情勢や国際競争のもとで頑張っている中小企業のお話もありました。すぐれた技術力を持つ中小企業にあっても、新しいことにチャレンジするにも個人保証が必要で、失敗すれば後がない、事業計画に基づく融資制度が必要だとの趣旨もありました。また、都の新銀行に対する期待の声や、中小企業は黒字であっても金が回らない、中小企業の担保は頭脳で、そこに都市銀行は投資しない、それは問題だというお話もありました。
 私も、中小企業にとって資金繰りは大事な課題だとも述べましたけれども、その中小企業が今、金融問題をめぐって、不良債権の処理や貸し渋り、貸しはがしに遭って、すぐれた技術を持つ中小企業であっても倒産、廃業に追い込まれる、こういう現実が依然として続いております。
 そこでまず、最近、金融機関の不良債権を担保する観点から金融再生法が改正されたと聞いておりますが、どのように改正されたのか、承知している範囲でお伺いをしたいと思います。

○鹿島金融担当部長 平成十四年の金融再生法の改正によりまして、整理回収機構が買い取ることのできる債権の範囲が拡大されました。その内容を見ますと、それまで除外されておりました一千万未満の債権、再生手続や会社更生法等、法的手続中の債権などが新たに買い取り対象とされております。

○丸茂委員 改正は、銀行が不良債権を整理回収機構、RCCに送りやすくする、銀行にとって使い勝手がよくなる、さらには、今ご説明があったとおり、債権額一千万未満であっても、これまで貸出金など原則不良債権として売り渡しができなかった、そういう債権にまで規定の範囲が拡大された。こうした結果、零細な中小企業にまで大きく影響を与える状況にあります。
 こういう債権回収が大きく拡大されるという流れの中から強引な債権回収がやられ、競売という最後の手段で、倒産、廃業に追い込まれるだけでなく、自宅も工場も手放さざるを得ない、そういう事態も生まれております。
 さきの本会議中にも、本会議終了後の遅い時間に中小企業の方が数人見えまして、銀行は、バブルの時代に、借りてくれ借りてくれと、いろいろ融資を迫られて借りたけれども、現在の経済情勢が悪い中で、融資の返済が滞ったのは不良債権だと今になって扱われること自体が不満だというお話もありました。また、その中の一人には、あすにも競売にかけられるという陳情なども受けました。
 都の相談窓口にもこうした中小企業の声が寄せられていると考えますが、また、相談窓口ではどう対応しているのか、この際、お伺いをしておきたいと思います。

○鹿島金融担当部長 都に寄せられる相談等の内容は、融資を受けるためのものが大半でございまして、金融機関の不良債権処理に関するものはまれでございます。
 相談があった場合は、制度融資の経営安定支援資金融資を紹介するなどの対応を行っております。

○丸茂委員 前にもこの議論はしたことがあるんですが、まれだというのは、そういう特別の窓口が設けられない、相談があった場合でも、国のホットラインがあるから、それを紹介するという答弁があったわけですけれども、私に陳情してきた方々も、たしか産業労働局にも実情を訴えに寄ったというふうに思うんですね。
 そういう一つ一つの事例を聞きますと、やっぱりこれはほっておけないし、身近な東京都が真剣に、それらの方々の実情をしっかりと踏まえて対応することが必要だと。そういう点では、引き続き特別相談の窓口等を設けるよう、これは前にも議論しましたので、強く求めておきたいというふうに思います。
 それでは、整理回収機構、RCC送りになった中小企業に対し、都は金融対策上どういう対応をしているのか。セーフティーネット保証制度がありますけれども、相談や利用状況はどうなっているのか、お伺いをいたします。

○鹿島金融担当部長 都は、中小企業信用保険法の改正を踏まえまして、整理回収機構に債権が譲渡された中小企業のうち、再生可能性があると認められた企業について、昨年十二月から制度融資を利用できるようにいたしました。この制度の本年九月末までの実績は、三件、約三千九百万円となっております。

○丸茂委員 三件程度ということで、なかなかこの利用ができる状況にないのかなということを率直に感じました。
 次に、貸し渋り、貸しはがしに対する対応という観点から、都として金融機関や保証協会に対してどのような働きかけを行っているのか、この点についても改めてお伺いをしておきたいと思います。

○鹿島金融担当部長 本年二月には、国の借りかえ制度が創設されたことに伴い、その積極的な活用を文書で金融機関に依頼いたしました。また、三月には、新制度を迎えるに当たり、制度融資の活用による積極的な資金供給を文書で依頼するとともに、金融機関を集めた協議会の場で、局長みずからが要請しております。

○丸茂委員 いろいろ要請はしているというお答えをいただいたんですが、私自身体験したことを踏まえて感じていることなんですが、本来、中小企業の支援機構であるべき信用保証協会が、きめ細かな対応が必要であるにもかかわらず、十分な対応がないまま代位弁済処理に走ったり、担保物件を競売にかけるという相談が寄せられております。
 資料でも、保証協会債権回収関連の資料も出されておりますが、私自身、特に最近相談に乗ったケースで、銀行の貸しはがしに遭って、企業存続が危ぶまれる、こういう相談も受けました。保証協会に中小企業の実態をよく聞いてもらうことによって存続の方向を見出しましたけれども、そのケースを具体的にこの場で紹介しながら、お伺いをしたいと思います。
 それは大田区のA企業の場合ですけれども、地元大田区の保証協会支所と相談して、返済計画に基づいて対応していたにもかかわらず、借入先であります東京三菱銀行が、形は督促状を送るという手段をとりながら、強引に保証つき債権を保証協会に送り、事故案件として代位弁済処理がされました。その結果、もう一つの借入先であります三井住友銀行が、うちも東京三菱と同じく債権を保証協会に送りたいと。こういう事態を迎えて相談を受けたものです。
 よくお話を聞いて調べますと、東京三菱の場合は、融資のうち、プロパー融資の三千五百万円は、ちゃっかりと定期預金の三千五百万円で平成十三年の三月に決済しております。そうしておきながら、保証つき融資など返済を行ってきた他の債権が約定どおり返済がされないとして、ことしに入って四月、五月と二回にわたり督促状を送りつけ、六月には、東京ダイヤモンド債権回収株式会社へ業務委託したと、こういうお知らせを出しております。七月には配達証明で請求書が送られ、それが保証協会にも送られ、八月には保証協会から通知書が出されておりまして、結局は代位弁済処理される、こういう事態のものでした。
 また、三井住友の場合、これも同じようにプロパー融資に限って、九千八百万円の融資があったんですが、そのうち六千三百万円を、これまた定期預金の六千三百万円を引き揚げて、残りの三千五百万円の弁済と、保証協会分八千九百五十万円を代位弁済で処理しようとしていた、こういう事態がわかりました。保証協会からは、この企業が持っている土地で約二億円の評価だそうですけれども、この際これを処分したらどうかと、そういう土地処分が迫られていた状況にあったわけです。
 今回の件で、保証協会の整理部では、中小企業の方と直接お会いして、私もお話を聞いて、具体的なそういう事例を冷静に書き出して、企業の状況がどこにあるのか、なぜこういう事態に陥ったのか、よく整理をして話し合うようにお話をしたところですけれども、保証協会の方では、金融機関から、一億円に近い貯蓄があったということは全く知らなかったということなんですね。そういう返済に、まずプロパー融資が充てられて、そして保証つきの融資を含めて代位弁済の手続に入っているという状況でした。
 相談の結果、何とか再生の道が開かれましたので、私は、一定のめどが出たなということでほっと一安心しているんですけれども、こういうケースを見ますと、代位弁済に入る前に、中小企業の話をよく聞いて対応することが極めて大事だということを示していると思います。
 このケースとは違いますけれども、この五月の国会で取り上げられた例ですけれども、東京都信用保証協会のある支店が、中小企業が債務の返済で計画をつくって話し合っているさなかに、保証協会側が競売通知を送りつけて、担当者が、サラ金から借りてでも返してもらうと。こういった脅迫まがいの取り立て行為があったこと、こういうことも国会で取り上げられまして、担当大臣は、そういうことがないように指導はしますという答弁なんですが、厳しいそういう一つ一つの例を聞きますと、私は見逃しにできない重要な問題だというふうに思います。
 そこで、一つには、債権者である中小企業の実情をよく聞いて、貸しはがしや貸し渋りがなかったのか、それから、その企業の先行き、見通しはどうなのか、さまざまな形で柔軟な対応、きめ細かな対応が求められると考えます。安易な代位弁済は許されないということだと考えますが、都としてきちんと指導すべきと考えますがどうか、お伺いをいたします。

○鹿島金融担当部長 保証協会が代位弁済を行うに当たりましては、借り手である中小企業者につきまして、一つとして民事再生手続の申し立てがあったとか、二つとして破産の申し立て、三つに銀行取引停止、四つに利息の支払いの三カ月の遅延、こういうような現象が生じた場合に、事前に金融機関と協議を行うことになっています。
 このような事故が発生した場合に、保証協会は、それ以降六十日の間は、金融機関において債務者の実態を十分に把握し、固有の債権と同様の回収努力を行った上で代位弁済請求を行うように要求しております。したがいまして、協会は安易に代位弁済を行うものではないというふうに認識しております。

○丸茂委員 私も、東京信用保証協会のホームページの基本理念等、いろいろ改めて読ませていただきますと、今のような答弁と同じことが書かれているんですが、現実の場では今紹介したような具体的な例があるわけですから、私は、そういう意味で踏み込んで--この企業は、企業名を公表してもいいとまでいっていただいたんですが、今後の企業の取引関係だとかいろいろありますので、企業名は出しませんけれども、やはり私は、一つ一つの具体的な事例を東京都自身もよくつかんでいただいて、中小企業の立場--私ども、いろいろな相談の中では、負債、債権が大き過ぎてどうにもならないケースというのは、確かに聞けばありますけれども、多くの中小企業が、何とか分割返済、あるいは今実施している借りかえ融資だとかいろいろな制度を利用すれば、その力で再生できるケースが多いなということをつくづく感じております。そういうことを、実態を一つ一つきめ細かく対応するよう重ねて求めておきたいと思います。
 それで今、金融の問題でお話ししたんですが、このA企業は大変な技術を持っているんですよね。プラスチック加工の技術を持つ企業で、取引先は、松下、凸版、HOYA--今、横文字になっておりますけれども、保谷硝子、それからYKKなど、名の通った企業が取引先になっております。その仕事をこなした企業です。しかし、現在の不況下と、仕事が海外に流出する産業空洞化の影響のもとで必死に頑張ってきた企業です。その厳しい経済環境のもとでも、最近売り上げが順調に伸び始めている。さらに、新しい開発製品の受注が飛び込んできている状況にあります。
 一例を申し上げますと、松下の場合、実はこの企業が製品化していた品物が中国に生産が移されまして、その仕事がなくなっていたところなんですが、結局は、電池のケースが中心なんですけれども、その液体漏れで物にならなかったと。やっぱりこの中小企業の技術を持たないと、そういう液体漏れを防止して製品として商品化できないという事態を迎えて、結局はその仕事がまた舞い戻ってきた、こういうことが一つあります。
 また、HOYAが独自開発した新素材、炭化シリコンウエハーというものですけれども、その素材を使った半導体を開発、そして製造を始めたことによって、その仕事が持ち込まれてきたことなどです。HOYAは、この開発、製造が、消費電力を低減できる次世代の電気自動車などの需要が見込まれると、半導体大手に先んじて事業化して、収益の柱に育てる事業として位置づけているものであります。
 A企業としては、こうした状況の中で、経営改善計画で生産部門は大幅に縮小しますけれども、関連下請企業をしっかり持っており、A企業の技術力とこれまでの取引の実績を生かして再生を図っております。
 私は、この企業以外にも、同じように、工場は閉鎖しましたけれども、低温溶接ではその企業しかなかなかその技術は持っていないという中で、やっぱりここも関連下請企業と手を結んで、技術を守りながら関連会社と生き抜いている、こういう例なども承知をしております。
 私は、こうした技術力を持ちながらも、不良債権処理や貸し渋り、貸しはがしによって中小企業が倒産、廃業に追い込まれる例、こういうものをよく目にいたします。都として支援すべきと考えますがどうか、お伺いをいたします。

○鹿島金融担当部長 技術力のある企業への金融支援でございますけれども、都は、平成十二年度から、中小企業の技術力を積極的に評価する審査手法を取り入れました技術・事業革新等支援資金融資を実施しております。この制度におきましては、従来の信用保証協会の保証審査に加えまして、新たに中小企業の技術力等を評価し、総合的な保証審査を行っております。今後とも適切に対処してまいりたいと思います。

○丸茂委員 さまざまな形で対応をお願いしたいと思うんですが、特に貸し渋り、貸しはがし、その中で、保証協会もなかなか保証がつかないというケースも多々あるわけで、その点、ぜひ具体的な支援を求めておきたいというふうに思いますし、また、こうした融資だけではなくて、東京都の中小企業支援という点では、技術力を持った中小企業が集積すれば、そうした中小企業を支援する工業集積地域活性化支援事業など、これまで取り組んできたわけで、第二期のスタートを初めとして、そうした具体的な対応も求めておきたいと思います。
 次に、東京都自身が、知事が、新銀行を創設して中小企業を応援していこうと。その新銀行は、技術力や将来性に重点を置いた審査によって融資を行うと説明を受けておりますが、新銀行は、どうしてかわからないんですが、出納長室が所管して、さっぱり私ども見えてこないわけですけれども、中小企業のための金融ということでは産業労働局が一番実情も中身もわかっているわけで、さらに幅広い中小企業ともかかわりも大きいところですので、そこがかかわって当然だと考えますけれども、産業労働局、この新銀行にどうかかわっているのか、お伺いをいたします。

○鹿島金融担当部長 新銀行については、審査方法等も含めまして、出納長室で現在検討中でございます。産業労働局としては、中小企業の技術や経営に関する現況等について、出納長室に情報提供を行っております。

○丸茂委員 情報提供を行っているというような、言葉は格好がいいんですけれども、必要なことだけ産業労働局からいろんな意見を聞くという程度で、新銀行が本当に都内中小企業のためにどう役立つ金融機関になるのかというところは全く見えてこないで、知事の、小さい力のないところにはお金は貸さない、そういうところで本当にがっかりしたというお話も聞いているわけで、だれのための新銀行かといいたいところなんです。
 すぐれた技術力や独創性を持った将来性のある企業には、既に産業労働局としては、CLOとかCBOとか、新たな仕組みをつくって対応しております。やっぱり今一番必要なのは、不良債権処理や貸し渋り、貸しはがしによって苦しんで、何とか力をつけていこうとする中小企業を救済し、支援する。そういう上で、中小企業を所管する産業労働局が、そういった中小企業に対して支援をする。そのために、中小企業を守るために力をかす金融機関になるのか。積極的に物をいうべきだと考えますけれども、その点いかがでしょうか。

○鹿島金融担当部長 産業労働局は、中小企業対策を所管する局といたしまして、不良債権処理や貸し渋り、貸しはがしに対しては、制度融資の改善や国への要望などによりまして適切に対応しております。
 また、出納長室に対しましては、中小企業の現況について情報提供を行うなど、適切に対応してまいります。

○丸茂委員 まあ、その範囲でのご答弁だと思うんですが、やはり私は、今、中小企業のために都はいかに力を発揮すべきか、そういう点では、そこに視点を置いた取り組みが必要であり、新銀行であれば、そういう中小企業にこそ支援をする、そういう機関であるべきだと思います。
 民間でも新たな銀行創設、金利が幾らか、具体的に見えてくるわけですが、そういうものが全く見えない中で、密室だというような批判も出るぐらい、私は問題だというふうに思います。
 こうした中で、厳しい経済環境、そして国際競争のもとで、こうした不良債権や貸し渋り、貸しはがしに苦しむ中小企業を救済し、そして支援する上でも、本会議でも提案しましたが、貸し渋り、貸しはがし被害を救済するための融資枠の設定だとか、多重債務の中小企業を救済する借りかえ制度、無担保無保証人融資の大幅引き上げ、起業、創業融資の抜本拡充など、今後さらに中小企業の命綱となっている制度融資の拡充を図るべきだと考えますが、その点について、改めてどうかお伺いをいたします。

○鹿島金融担当部長 中小企業の資金調達の円滑化を図るため、制度融資の役割は重要でございます。今年度は融資目標額を過去最大の一兆七千五百億円とし、積極的に推進しております。今後も適切に対応してまいります。

○丸茂委員 私はやっぱり、中小企業と金融、金融は、まさに中小企業の頭脳を本当に生かす血液の役割を果たす、大事な役割を果たしているというふうに思います。
 そういう点で、二十一世紀、東京の活性化のためにも、中小企業の育成、振興というのは大事な課題だと思いますので、一層の取り組みを求めて質問を終わります。

○新井委員 二問お伺いいたします。
 まず一問目ですけれども、補助金についてということで、これは基本的には、できる限り補助金は廃止をして、地方の自主財源にということが待たれているわけですけれども、なかなかすぐに実現はしそうもないというところで、補助金が廃止をされまして自主財源になるまでの間、少なくともできるだけ使い勝手のいい補助金になるようにというような視点でご質問させていただきたいと思います。
 まず第一点なんですけれども、中小企業関係の国庫補助金についてですけれども、これまで国の方もいろいろな制度の見直しを重ねてきているとは思うわけなんですけれども、現在の国庫補助金について、さらに使い勝手のいいようにということで改善すべき点がたくさんあるかと思うんですけれども、それは東京都の方ではどんなふうに把握なさっていらっしゃるでしょうか、お伺いいたします。

○泉本商工施策担当部長 都といたしましては、対象となる中小企業者の利便性を考慮し、国庫補助金に係る事務手続に要する処理期間をできるだけ短くするなど、国に対し積極的に働きかけているところでございます。

○新井委員 今、手続に要する処理時間を短くということがいわれましたけれども、それ以外に、例えば条件がいろいろとあり過ぎる。いわば、ひもつきとか縦割りとかということですね。それとか、あと、事業がすべて終了してから補助金の支給ということですので、例えば二分の一を事前に、あとは全部終了してから二分の一をまた補助を支給するとか、そんなふうにしてもらえないかというふうな声も私の方には届いています。それは聞きますと、もっともな声だというふうに思いますので、今後とも、受ける方が受けやすい補助金のあり方ということについて、ぜひ国の方に働きかけを積極的にしていっていただきたいということをお願いしておきます。
 それから、東京都の方から区市町村に対する補助金を出したり、あるいは区市町村を経由して商店街などに出したりとかという、そういう補助金があるわけですけれども、そういう区市町村からの意見や要望、こういう補助金にしてもらいたいという要望が当然あるわけですけれども、そういったものについて、どんなふうに聞いてその制度の改善をしているのか、伺いたいと思います。

○泉本商工施策担当部長 区市町村に対する補助事業については、事業説明会を開催して事業の趣旨を直接説明するほか、区市町村も交えて、例えば商店主との意見交換会を行うなど、区市町村の実情や地域の情報を収集する場を設けてございます。
 また、事務担当者ごとに区市町村の担当者と密接な意見交換会などを行うことによりまして、区市町村からの意見や要望を事業に反映できるよう努めております。

○新井委員 いろいろ努力をされているようですけれども、補助金もいろいろ新しいタイプのものが出たりしてまいりますので、ぜひニーズに合った補助金にしていただきたいということで、結果むだになってしまったりとか、執行率が本当に低くなってしまったとか、そういったことが起きないように、ぜひ改善の努力を継続していただきたいというふうに思います。
 個別にお伺いしますけれども、十四年度からスタートしました、先ほどもご質問がありましたけれども、区市町村と連携した創業支援施設に対する支援、いわゆるBI補助金なんですけれども、これについては、区市町村が廃校になった小学校や空き庁舎などを大々的に活用して、高度な技術、産業集積地域などの一定の条件を満たす場合に、国が五千万、都が五千万で合計一億までの補助をするというものなんですけれども、区市の負担がなくてできるということで非常に好評で、先ほど来お話がありましたけれども、三つの区でこれを活用して、非常に評判がいい、評価が高いということは聞いているわけなんです。
 ところが、その三つの区とも非常に人口の規模が大きくて、中心部ということなんですが、市部の方、人口規模が非常に小さい市部などですと、非常にBI補助金については規模が大き過ぎて、ちょっと使いにくいと。例えば小学校全体を改造するというようなところではなくて、一部を改造したり、あるいは空き店舗を数店舗活用してみたりとか、そういうようなもう少し規模の小さい集積地域というのに対しても、何とかこれを活用できるようにしてもらえないかというふうな声を聞いているわけなんです。
 あるいは、地元の商店街でNPOなどが活用してこれを使うというような、小規模な創業の場というところでは、これは対象にならないわけなんですね。
 そういうことも含めて、ぜひ改善をしていただきたいというふうなことで、国に意見をいっていただきたいというふうに思うわけなんですけれども、いかがでしょうか。

○泉本商工施策担当部長 国の創業支援のための補助金、いわゆるBI補助金で整備する創業支援施設は、将来の地域経済の担い手である中小ベンチャー企業を効果的、効率的に育成するためのものでございます。中小企業に該当しないNPOや、単発で点在する空き店舗を活用する事業は、この補助対象にはなってございません。
 都としても、お話の点については、改善の要求は現在予定はございません。

○新井委員 改善要求する予定はないということで、つれないご答弁なわけなんですけれども、ぜひ多摩地域の、人口規模の少ないところ、こういうところにおいても、こういった事業は非常に大切ということがありまして、今後はそういう地域の声を聞いて、ぜひ前向きに進めていただきたいということでお願いをしておきます。
 それでは、都の単独の補助事業なんですけれども、これも先ほど来、出ていますが、平成十四年度にあった商店街の振興関係の四事業、十五年に統合されまして、新・元気を出せ商店街事業というふうになりましたけれども、今年度、統合された理由をお伺いいたします。

○市原商工部長 十四年度までの商店街振興施策は、元気を出せ商店街事業、活力ある商店街育成事業、商店街活性化推進事業、空き店舗活用推進事業などに分かれておりまして、縦割りで複雑な制度となっておりました。
 そこで、このうちの四事業につきまして、新・元気を出せ商店街事業に統合いたしまして、商店街にとりまして、わかりやすく、選択の幅が広い、使いやすい施策に改めるとともに、区市町村との密接な連携によりまして、意欲ある商店街の多種多様な取り組みを支援できるようにしたものでございます。

○新井委員 補助金の使い勝手というところで、縦割り、ひもつきの使いにくさというものが指摘されている中で、かねてから包括補助金の必要性ということを訴えてきましたので、これについては非常に評価をするところなんですけれども、今回、統合した結果、地域の商店街、市区町村からはどんなふうにいわれているのでしょうか。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業は、商店街にとりまして使いやすい制度に改善しました結果、申請件数が昨年度に比べまして大幅に増加するとともに、NPOと協働して行う、空き店舗を活用した子育て支援事業や、高齢者向け交流事業の施設の設置など、意欲的で新しい取り組みが数多く実施されるなど、商店街や区市町村から好評を得ているものと考えております。

○新井委員 まだ包括されたばかりなので、これからどんどんいろんな声が上がってくるかと思いますけれども、私も非常に評判が高いというふうに思っています。今後も、ここでとどまらずに、さらに枠を広げた包括補助金、局全体の包括というふうなことも含めて、ぜひ広げていっていただきたいというふうにお願いをします。
 それで、この新・元気を出せ商店街、非常に評価をさせていただくわけなんですけれども、この補助の制度は、地元の商店街が三分の一、区市町村が三分の一、東京都が三分の一という区分負担になっておりまして、市区町村に予算措置がなければ、都に申請ができないという状況になっているわけです。東京都も非常に厳しい状況であるということは重々承知しているわけですが、区市の財政というのも非常に厳しいというところがございまして、非常にいいアイデアとか企画が地元の商店街あるいはNPO等から出てきても、市に予算がなければ、それが申請されないでつぶれてしまうというようなことがあるわけなんですね。私もそういう実例を見ています。
 出てきたときに、相談に区市に行ったときに、これはもう、うちにはお金がないから申請ができませんというふうに返されるということではなく、区市が非常にいいと思ったときには、いわゆる基礎自治体のお墨つきがつけば、東京都がこれは非常にいい事業だというふうに思えば、商店街の活性化のために、区市町村の負担なしで補助金が出せるというような制度に何とかならないものかというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。

○市原商工部長 新・元気を出せ商店街事業は、都と区市町村が連携をいたしまして、商店街の自主的、自立的な取り組みを支援するものでございます。都、区市町村双方の限られた財源を有効に活用し、合わせて三分の二を商店街に補助することによりまして、商店街に対する安定的な支援策を実現したものでございます。
 一方、補助対象経費につきましては、百万円以下のイベントについて、都の単独で三分の二補助といたしまして、区市町村の財政力に左右されないよう、きめ細かく配慮した制度としております。

○新井委員 都と区市と商店街とが自立的にということの制度というご説明なわけですけれども、実際に、いろいろこの元気を出せ商店街事業で補助をずっと続けてこられた結果としてでも、まだまだ都内の商店街は、いわゆるシャッター通りというものがふえ続けていまして、このままでは、かつてのにぎわいのある、地元、地域のコミュニティという場としての商店街というものの復興はなかなか難しいという現実があると思うんですね。
 それは皆さん、もう十分ご承知で、何とかしようということで一生懸命なさっているわけなんですけれども、先ほどBI補助金のところでもいいましたけれども、これもだめだということだったんですが、地元の商店街でNPOなどが空き店舗を活用して、コミュニティビジネスとか、SOHOとか、コミュニティレストランとか、そういうのをやろうということも、なかなか対象にならない。
 これは、一つ私が実際に見た例なんですけれども、商店街の空き店舗を地域の力で何とかあけて、コミュニティの醸成を図りながら商店街の活性化、地域の活性化を図ろうというようなNPOからの提案がありまして、地元の商店街とNPOと大学が地域に呼びかけまして、何とか、この地域に必要な機能は何なんだろうかというワークショップを繰り返しながら、一気にお店をあけようというような試みがありました。
 私も一番最初のワークショップに参加させていただいたんですけれども、非常に皆さん、地域の方が熱心にお集まりになりまして、この地域を何とかしたいという思いで、自分はこういうことができる、この地域に必要なのはこういう機能だということで、かなり積極的な、活発な意見交換があったわけなんです。こういうことこそ、この新・元気を出せ商店街に非常にマッチした事業だなというふうに私は思ったんですけれども、残念ながら、当該市がもう予算が枠がないということで、申請ができないで終わっちゃったということなんですね。すごく残念だなというふうに思います。
 私がたまたま自分の見える範囲で、一つこういうことを体験したわけですけれども、見えない分野で東京全体で見れば、こういった地域の活性化と商店街の活性化とコミュニティの醸成というふうにつながるような非常にいい事業が、結構表に出ないでつぶれてしまっているということが、東京全体で見るとかなりあるんじゃないかというふうに思うわけなんです。
 こういうところの芽を何とかつぶさないようにしてもらいたいという思いがあって、今ずっとご質問させていただいているわけなんですけれども、国の方では、十四年度から、空き店舗活用のコミュニティ施設設置事業に対して補助制度を創設しているわけなんですけれども、国と都で補助をすれば区市町村の財源負担がないということで、これは区市町村にとっては非常にありがたい、うれしい、活用したいものだと思うんですが、やはりいろいろ、NPO法人格を取っていなければいけないとか、対象事業が限定されているとか、そういう意味で使いづらい制度ということがあるようなんです。
 東京都で具体的なこういう補助事業を単独でできないということであるならば、こういった制度をより使いやすいものにということで、国に対して制度改善をしていってもらいたいと思うんですけれども、これについてはいかがでしょうか。

○市原商工部長 国が平成十四年度に創設いたしましたコミュニティ施設活用商店街活性化事業では、商店街振興組合のほか社会福祉法人やNPO法人等が、商店街の空き店舗を活用して、保育サービスや高齢者の交流施設等のコミュニティ施設を設置し、運営する場合、その改装費や家賃等の助成を行います。
 この事業における助成対象者には法人格が必要でございます。また、補助対象事業が限定されております。創設されたばかりの制度でございまして、当面、国の動向等を見守ってまいりたいと考えております。

○新井委員 創設されたばかりということで、余り周知もされていないのかなというふうな気もいたします。これも制度自体はとてもいい制度ですので、ぜひ、特に担当の方に、しっかりこういうものがあるということを周知していただくと同時に、東京都の場合には、NPO法人格を取らなくても、協働の対象ということでNPOをとらえているわけですから、そういうふうなことが国でも行われるようにというような改善とか、あるいは事業対象をもう少し枠を広げる、包括補助金に取り組まれているわけですので、そういう努力をぜひしていただきたいというふうにお願いをしておきます。
 それで、次の質問に移らせていただきます。
 平成十二年の四月に東京都男女平等参画基本条例が策定されまして、この中で男女平等参画の促進が挙げられているわけなんですけれども、東京都のこの条例の特徴としては、「事業者は、雇用の分野において、男女平等参画を促進する責務を有する。」というふうに書かれておりまして、これが東京の条例の大きな特徴で、働く女性が非常に多い東京ならではということで喜んでいるところなんですけれども、十五年の二月に、この条例に基づきまして、ポジティブ・アクション実践プログラムというものが出ました。これは、事業者に対して、職場でのポジティブアクションが実践可能となるような計画作成を支援するという内容になっておりまして、雇用差別を是正して、女性の能力の発揮ということが、結局は社員と企業の活力につながるんだという考え方で作成されていて、大変評価をしているところです。
 その上で、この冊子を何とか広げていっていただけないかという視点で質問させていただくわけなんですけれども、均等待遇の確保あるいは両立支援制度ということが明確にあらわれていまして、東京都の労働環境に対する姿勢というものが本当にあらわれていていいなというふうに思うわけですけれども、このポジティブアクションの意義あるいは実践事例、アドバイスなどを盛り込んで、計画を作成しやすい事業者への指導ということになっているわけなんですけれども、どのように実際には普及をさせていこうとしていらっしゃるのか伺います。

○高橋労働部長 お話のありましたポジティブ・アクション・プログラムでございますけれども、これは、職場における男女間格差を是正しまして、女性が能力を発揮しやすい職場をつくるため、各企業の積極的な取り組みを推進することを目的に作成したものであります。
 都におきましては、労政事務所におけるセミナーとかポジティブ・アクション・リーダー育成研修等におきまして、このプログラムをテキストとして活用するほか、労働相談等のさまざまな機会を通じまして、各企業に対し、普及啓発に努めてまいります。また、労使団体と意見交換を行うなど、各団体にも、本プログラムを活用して普及啓発に当たるよう積極的に働きかけてまいります。

○新井委員 一生懸命、普及啓発をしていただいているということなんですけれども、実際に事業者側が計画作成にどんなふうに取り組んでいるのかといった進捗状況とか波及効果は把握していらっしゃるのでしょうか。また、今後それをどのように生かしていらっしゃるつもりでしょうか、伺います。

○高橋労働部長 各企業の取り組み状況や効果等につきましては、まず男女雇用平等の推進に関する各種調査を行いまして、労使との意見交換の中で把握しながら、そして優良企業の事例を広く紹介するなど、今後の雇用差別是正等の取り組みに生かしてまいりたいと考えております。

○新井委員 実際に調査をなさるということですので、実態をまずよく把握して、このプログラムが実践されるようにということでお願いをしておきます。
 このプログラムの中に、育児両立支援奨励金など、たくさんの支援金制度というものが実際に示されているわけなんですけれども、この制度の活用実績、実は余りよくないということを聞いているわけなんです。こういう制度が有効に活用されるために、東京都としてはどのような対策をとられるのか、伺いたいと思います。

○高橋労働部長 お話の国における各種支援制度につきましては、これまでも啓発資料等により普及を図ってまいりました。今後も、国と連携しながら一層のPRに努めるとともに、利用しやすい制度となるよう、利用者の要望等を国に伝えてまいりたい、そのように考えております。

○新井委員 周知が足りないんじゃないかとか、手続がちょっと面倒なんじゃないかとか、いろいろちらほらと耳に入ってまいります。本当に、せっかくの制度ですのに、利用実態が低いということはとても残念ですので、積極的にPRをしたり、あるいは使い勝手を直すように国に伝えていただけるということですので、ぜひよろしくお願いいたします。
 このポジティブアクションの取り組みというのも非常に評価させていただいているんですけれども、現実状況では、有期雇用の増加あるいは若年層の失業率の高さということで、社会の労働環境というのは非常に悪化をしている、厳しい状況にあるということがいえると思います。
 平成十四年の東京都の労働相談の状況というのが七月に取りまとめられておりますけれども、これを見ますと、労働相談の総計は五万件を超しておりまして、パート労働相談が四年連続で四千件を超しています。非常にふえているということなんですね。
 パートの相談の中でも、女性からの相談が七割、相談内容はだんだん深刻になってきていて、解雇あるいは労働契約に関するものが多くなっているというふうに思うんですけれども、こういった相談の中で受けた労使間のトラブルについて、その内容、結果はどういう傾向にあるのでしょうか。特徴をお伺いしたいと思います。

○高橋労働部長 平成十四年度における都の労政事務所に寄せられました労働相談は、五万一千三十三件ございました。
 その相談の内容は、厳しい雇用情勢を反映しまして、解雇一三・五%、賃金不払い一〇・八%など、深刻な内容が多くなっているほか、パート、派遣社員、契約社員等、雇用形態の多様化に伴い、複雑多様化してございます。
 このうち、パートにつきましては、委員ご指摘のように、最初の約束と違っていた、いわゆる労働契約に関する相談件数の割合が高いという特徴がございます。

○新井委員 相談内容が本当に複雑多様化しているということで、一件の相談も非常に時間がかかったり、労政事務所では、人手が少ない中、本当にご苦労なさっていらっしゃるというふうに思いますけれども、ぜひこれについては頑張っていただきたいと思います。
 それで、相談を受けて、相談だけでは当然問題の解決に至らないということがあるわけなんですけれども、こうした問題の解決に向けては、都は今後どのように取り組まれていくのでしょうか。

○高橋労働部長 労働相談につきましては、都は、昨年度から新たに土曜日、夜間の相談窓口を設けたほか、各労政事務所に弁護士を中心とした民間相談員や外国人に対する相談員を配置すると同時に、パートアドバイザー管内の中小企業を巡回させるなどの取り組みを実施してまいりました。
 さらに、労働相談だけでは解決できない場合には、労使双方からの要請に応じまして、紛争解決のあっせんも行ってきております。平成十四年度のあっせん件数は千百七十五件ありました。このうち、全体の七割に当たる七百九十件が、労使双方の合意によって解決に至っております。
 今後とも、都におけるこうした制度を効果的に運用しながら、労働相談やあっせんの一層の充実を図ってまいります。

○新井委員 あっせんで七割が解決しているということで、ぜひ今後とも丁寧に頑張ってやっていただきたいと思います。
 でも、裁判になる場合もございまして、労働訴訟費用の貸し付けというのがあるんですけれども、条件がなかなかこういった相談内容にマッチしたものに今なっていないということで、これについても非常に申し込みが少ないといいますか、せっかくあるんですけれども、余り活用されていないということがあるようですので、こういった部分の改善についてもぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 最後に、完全失業率がずっと五%を超えるという厳しい状況なんですけれども、こういう労働問題への取り組み、都はどんなふうに今後の展望を考えていらっしゃるか、お伺いをしたいと思います。

○有手産業労働局長 我が国の経済は、一部で改善の兆しが見られるものの、雇用情勢を見ますと、本年八月の全国の完全失業率は五・一%と、依然高い水準に推移しております。産業、雇用両面にわたりまして新たな対応が求められております。
 こうした中で、本年七月、東京都雇用・就業対策審議会が、東京を再生させる雇用・就業施策について知事に答申いたしました。答申では、雇用のミスマッチの解消を図り、東京の雇用・就業状況を改善させる施策といたしまして、円滑な労働力の移動の実現、新時代を担う若者の就業の推進、女性、高齢者、障害者、外国人に対する施策、産業を支える人材の育成、多様な働き方の推進を求めております。
 私ども、この審議会に諮問する際に、産業や雇用環境にとどまらず、都民のライフスタイル、職業観、企業経営理念、社会のグローバル化など、あらゆる面で既成の価値観や制度が大きく変化している中で、雇用・就業施策も新時代にふさわしいものでなくてはならないという基本的な立場に立って諮問いたしました。そういう立場を踏まえまして、今回の答申を受けて、効果的な施策が早期に実施できるように努めてまいります。

○こいそ(明)委員 それでは、私も観光の振興施策について、一、二お伺いしたいと思います。また、後ほど、時間の関係もありますけれども、農業政策の関係も若干聞かせていただくかもしれませんけれども、よろしくお願いしたいと思います。
 東京は、いうまでもございませんけれども、厳しい財政状況の中にあり、観光振興の面では、千客万来の世界都市というようなキャッチフレーズの中で、予算を見ると約二十六億円もの巨額な予算が組まれているわけであります。しかし、果たして、宿泊税という貴重な財源を生かすような、効果的ないわゆる観光戦略がどのように打ち立てられているのか。
 これは、何点か私もわからないところがございましてお聞きするわけでありますけれども、特に都は、海外への宣伝活動に、これは後ほど触れますけれども、この二十六億円の観光費の中のかなりの部分をといいますか、いろいろそれぞれの観光施策を見る中でも、これは大変大きな比重を置いている部分があると思うんですね。
 いわゆる海外宣伝活動をしているようでありますけれども、まず、外国人旅行者が東京を訪問、訪れた際の、先ほどもお話がありましたけれども、受け入れ体制をしっかりと整備していくことはいうまでもありませんけれども、この状況を見るときに、私はやはり、まず足元もしっかりと固めることが優先事項ではないのかなという感じもいたします。
 こうした観点から、初めに、東京観光情報センターについても、私も質問したいと思います。
 先ほどやりとりがございましたけれども、東京観光センターは三カ所あるという中で、一カ所が観光センターの本部ですね。その三つの中の一カ所が本部機能でありますけれども、都庁第一庁舎の一階にあるということですね。これ、はっきりいって、我々が不勉強なのかもしれないけれども、そこの場所さえも実は知りませんでした。
 また、例えば羽田空港にももう一カ所ありますね。三カ所のうちのもう一カ所が羽田空港にある。羽田空港には、やはりそこも、我々は海外から来たわけじゃないから、ある程度わかるので、そういうことかなと思うんだけれども、そういう機能がしっかりとあるというサインがわからない。
 こういうような状況から踏まえて、観光センターへ多くの旅行者に来てもらいたい。要するに情報提供を受けたいということですね。ところが、果たしてこの東京、今のお話ですけれども、例えば海外から来る場合、複雑きわまりない東京を例えば初めて訪問する旅行者にとって、こういうインフォメーションというのは大変重要だということはいうまでもないですね。そこが、やはり観光センターが観光情報のまさに宝庫とならざるを得ない。また、大変頼りになる存在である、また機能を有するべきだ、こういうふうに思うわけでありますけれども、観光情報センターの機能的な面を含めて、これからわかりやすく案内をしていくべきと考えますが、そのご所見をお伺いしたいと思います。

○渡辺観光部長 観光情報センター、先生おっしゃいましたように、三カ所設置してございます。
 都庁本部、場所がわからないということがございましたけれども、第一庁舎の一階に置いてございます。サイン等につきましては、私も調べてございますけれども、一階の案内板とかエレベーターのところには表示してございます。ただ、確かに、若干サインとしては弱い部分がございます。
 それから、羽田でございますけれども、ビッグバード館の一階に、九時から午後十時までの間営業してございます。ここにつきましても、一応、私どもが設置しましたウエルカムボードというのがございます。そこで表記をしたり、羽田空港で発行しているパンフレットには表示しております。
 そういう状況でございますけれども、引き続き案内につきましては充実してまいりたい、こういうふうに思っております。

○こいそ(明)委員 やはり観光情報センターそのものの存在がわからない。例えば、我々、都庁に当然にしてこのような形で来ていますけれども、それでもやはり、今のようなお話を聞かないと、ああ、なるほどな、そこにあったのか、エレベーターのここにそういう表示があったのかと、今さらながらに思うんですね。
 例えば都庁の玄関に我々いると、恐らく京王プラザに泊まっているのか、周辺のホテルに泊まっているのか、それからまたバスで来ているのかわかりませんけれども、いろんな方々が入ってきますよ。そういうときに、そういうサインというか、表示はないですね。情報センターへ行くまでのここの経過だって、いわゆる導入もやはりわからない。ですから、そこらあたりが、初歩的なところが--いわゆる三カ所つくったんだと。いろんな機能的なことをご説明いただくけれども、実際的に、そこに必要な情報を得たい、東京って何て親切なんだ、わかりやすいんだというところの情報提供する場所までたどり着けないというのは、そもそも私はおかしいと思うんですよ。
 ですから、これはしっかりとその面で--東京全体で三カ所しかないからしようがないんだということではないと私は思うんですね。このあたり、しっかりやっていただきたい。これは全体の東京のサイン計画そのものも、先ほど中村委員も質問されておりましたけれども、私も全く、サインもしっかりと整備しておく必要性が当然あるというふうに思います。
 また、羽田空港内ですけれども、これはもう私いうまでもありませんけれども、いろんなインフォメーションセンターがありますよね。ですから、そういうところとタイアップするか、もしくは何カ所かに点在しているインフォメーション、一カ所じゃないですね、あれ。私の知る限りでも一カ所じゃないと思う。各階にもありますよね。いろいろありますよ。
 ですから、そういうところと委託の契約を結ぶなり、または少し共同でお手伝いいただくとか、こういうような工夫も、一カ所あるんだよというところだけじゃなくて、そういういろいろ点在しているところ、いろんな人がうろうろするじゃないですか、わからないから聞きたくて。そういうとき、やっぱり目の前、近くのところへ当然行きますから、そこにこういう表示がばっと張ってあったり何かすれば、これはほっとしますよね。そういうことを踏まえてご検討いただけませんか。

○渡辺観光部長 まず都庁の方でございますけれども、サイン表示等ございます。先生、都庁本部は、一年間でそれでも五十四万人、開設後一年間ですけれども、利用してございまして、大変多くの観光客に喜ばれておるわけでございますけれども、ただ、サインにつきましては、より多くの利用を促す、これは大変いいことでございますので、早速、関係各局と検討いたしまして、より適切な案内ができるように対応してまいります。
 羽田につきましては、インフォメーションセンターとの連携は、現在でも機能的にはしている、あるんですけれども、より一層連携して、利用が促進できるようにしてまいります。
 以上でございます。

○こいそ(明)委員 そうですね、いろんな工夫をぜひしていただいて、まさに千客万来の東京ということの中で、そういう情報提供、インフォメーション機能が充実しているんだということをぜひ示していただきたいというふうに思います。
 また、東京都はこれまで、第三回にわたってシティーセールスを実施してきましたね。それぞれ一回、二回、三回実施したわけでありますけれども、その中でどこの国を、どこの都市を訪問されてきたのか。また、とりあえず、期間はどのくらいだったのか。後、詳しくまたお聞きしますけれども、シティーセールスの具体的な内容についてお願いします。

○渡辺観光部長 まず、シティーセールスは、ミッションの派遣、海外広告キャンペーン、海外旅行業者の招聘、そういうようなことを通じまして、東京向けの旅行商品をつくらせる、開発させて売っていただく、こういうような促す活動でございます。そのシティーセールス、十四年度から開始をいたしまして、現在まで三回行っております。
 まず、どういう国を選定したかということがございますので、そのことから申し上げます。
 まず、選定に当たりまして、その国から外国への旅行者数が多いこと、かつ、多いんだけれども日本を訪れる旅行者数が少ない、それから人口が一定程度ある、親日である、それから裕福である、それから、日系人が多いという要素もあるを選定基準に、東京への旅行客の増加が見込めるアメリカ合衆国、イギリス、ドイツを選定いたしました。
 それで、対象は米国、英国、ドイツということですけれども、行った都市は、ロサンゼルス、サンフランシスコ、これがアメリカでございます。ロンドン、ベルリン、この四都市をシティーセールス、二回に分けて実施いたしました。
 その内容でございますけれども、まず第一回でございます。ロンドンとベルリンに行っております。時期でございますけれども、十四年十月二十九日から十一月八日でございます。それから、第二回でございます。平成十五年三月八日から三月十六日、行き先はロサンゼルスとサンフランシスコでございます。平成十四年度は以上でございます。
 ここで、十五年度の第三回でございます。平成十五年九月六日から九月十四日、ロンドンとミュンヘン。イギリスのロンドンにつきましては二回目、ドイツにつきましては、ベルリンからミュンヘンに移して実施しております。
 以上でございます。

○こいそ(明)委員 三回にわたって、国ではドイツ、イギリス、アメリカということで、ベルリン、ロンドン、サンフランシスコ、それからロサンゼルス、ミュンヘンということでありますけれども、これは、例えばこの国々に行かれて、具体的にどのようなシティーセールスを行っているんですか。もう少し具体的な内容を教えてください。

○渡辺観光部長 具体的な話をするときに、やはり日程が一番わかりやすいと思いますので、しばらくお聞きください。
 まず、わかりやすく、ロサンゼルスとサンフランシスコを例に引かせていただきます。第二回でございます。
 十五年三月八日でございます。成田を出発いたしまして、翌三月九日はセミナーの準備をいたしておりました。
 三月十日、ここでロサンゼルスの市長を表敬いたしましたり、ロサンゼルスの日本領事館等に表敬訪問をしたり、旅行関連団体への訪問等をいたしております。
 四日目の三月十一日でございます。ロサンゼルスにおきまして、商談会、セミナーとレセプションを実施しております。商談会と申しますのは、同行した民間の業者さん方と、お呼びいたしました現地の旅行業者のいわゆる商談会でございます。それから、セミナーと申しますのは、私ども東京都が、現地の参加者の業者の方々、メディアの方々に、プロモーションビデオなりパワーポイントを使いまして、東京の満載する魅力を訴え、東京への興味、観光都市東京への興味を引かせるような活動でございます。それから、レセプションにつきましては、いわゆる人を集めて、そういう時間に集めてございますので、レセプションというのは、まことに申しわけございませんけれども、通例でございまして、その中で、商談会で話し切れなかった業者同士がそでつなぎをする、このような行動をとるために場をつくりまして、レセプションをさせていただいております。
 それから、翌五日目は移動日でございまして、移動及び準備をいたしました。
 六日目の三月十三日--少々長くて申しわけありません。サンフランシスコに移りまして、同じパターンの商談会及びセミナー、レセプションを実施いたしまして、三月十六日に成田に帰着いたしました。
 以上でございます。

○こいそ(明)委員 実際、予算額から見ると、平成十四年度は五億一千四百万、十五年度は四億八千五百万と。これは先ほどの二十六億円の中から、さまざまな施策がありますけれども、これだけの予算をシティーセールスに予算計上されているわけでありますから、それだけの効果というのは、我々も都民もやはり期待をせざるを得ないですね。
 その中で、例えば今お話があったロサンゼルス、それからサンフランシスコ、それから、全部はいただけませんでしたけれども、ロンドンとベルリン、これは第一回でしょうか。それを見ると、大変申しわけないけれども、一、二ちょっとお聞きしたいと思いますけれども、これは確かに、さまざまな方々との交流ということも当然でありましょうけれども、この移動の中で実際行ったのは、例えば、これはどこでしょう、ロンドン、ベルリンでいけば、十月二十九日にロンドン着だったですね。
 ところが、十月三十一日、実際的にセミナーを行ったのは午後、十五時でしょう。それとあと、プレゼンテーションはやられていますよね。それから、商談会、これは一時間ぐらいだ。それからレセプション、それから歌舞伎。この内訳を見ても、要するに--それと、ちょっと続けますけれども、これが十月三十一日、三日目。
 それから、翌十一月、四日目、十時から十五時が商談会。これだけの時間。翌日はほとんど午後から移動日。それから、十一月三日は何もなし。それから、さらには商談会だとかレセプションもありません、七日目も。
 そして、次のベルリンで、セミナー、商談会が十六時。午後からですか、これは。十時からやっているのかな。いずれにしても、これは八日。
 それから、九日に至っても、先ほどのロンドンと同じで、十時から十五時、以下ですよね。
 この中でどれだけ予算を使ったんですか。

○渡辺観光部長 先ほどご説明いたしたロサンゼルス、サンフランシスコ、大体同じようなパターンでございますので、こちらの方でご説明をさせていただきますと、総額六千百十一万円、アメリカの方でかかってございます。二都市でございます。
 その内訳でございますけれども、セミナー、商談会の経費といたしまして、会場の借り上げ、それから商談会のブース設定などの会場設営、それから装飾関係、それからポスター、パンフレット類のセールスキットといわれている部分の作成等、こういうものが二千七百九十九万三千円かかってございます。それから、レセプションの経費に、これは全部二都市分でございますけれども、五百万。それから、プロモーションビデオの制作費に四百七十二万五千円……

○こいそ(明)委員 いいです、そのあたりで。
 私、先ほど申し上げたように、十月二十九日から十一月八日まで、その間に具体的なセミナーだとか商談会は数えるほどだな。時間的に直したらどのくらいになるのかな、これ。実効的効果を上げるためというお話で、いわゆる歌舞伎を、一団を連れていく。これは是非はあるでしょう。しかし、少なくとも--あとは、先ほどのサンフランシスコを見たってほとんど同様ですよね。
 その中で、せっかくこれだけの行程で、じゃ、人員はどのくらい行ったのかというと、第一回目が幹部職員三名の一般職員が三名、それから幹部職員が三名の一般職員が二名だと。
 ちょっとこれ、先ほどから、今るるその内訳は聞きましたので、現地対応が、会場借り上げが、申しわけないけれども、わずかこれだけの時間帯と日数で二千七百九十九万三千円、レセプション経費が五百万、これは二都市でありますけれども。あとは労務費でしょう、八百七十六万七千円。管理運営経費三百六十五万三千円という中で、そうですよね、現地に行けばこれだけのスタッフがいるわけだよね。それで、幹部職員が三名、一般職員二名が米国である。
 三回目の欧州については、今度は幹部職員が四名にふえているね。さらに一般職員は同じ。これはどういうことでふえてきているんですか。

○渡辺観光部長 過去二回のシティーセールスの結果、メディアがかなり興味を持ってきておりまして、メディア対策のために、幹部でございますけれども、一人要員をつける、こういうようなことをしてございます。
 以上でございます。

○こいそ(明)委員 少なくともそういうさまざまな対応というのは、幹部職員がこれだけ三名なり四名なり、一般職員も含めて、実際、現地でさまざまなスタッフと合流するわけでしょう。こういう中で、例えばブースをつくりましたよと。案内しました、CD売っていますよと。売るかどうか、渡すか知らないけれども。
 先ほどいった日にちと時間帯の中で、幹部職員が四名も、少なくとも六名の職員派遣が妥当であるか否かというのは、どういうところで検証しますか。

○渡辺観光部長 三回の人数でございますけれども、一回目が六名、総計でございます。それから、二回目が五名でございました。三回目の東京都職員は六名でございました。
 先生、六と。アメリカの第二回目に一人減ってございますけれども、人数的には実は変わってございませんで、そういうようなことと……(こいそ(明)委員「そうじゃないよ。今までの実績の中でわかる……まあ、いいよ」と呼ぶ)
 以上でございます。

○こいそ(明)委員 実際、一回目、二回目やってみて、現地わかるでしょう。だって、幾ら都市が違ったといったって、アメリカなんて同じ国だ。そういう中で、どれだけメディア対応だ、歌舞音曲とまでいいませんよ、そうやって一団連れていって、結局、要するにどの程度の人数配分だとか、現地にどの程度いて--これだけの予算を投入しているんだから、現地に対してだって。そうでしょう。だから、実際的にやるのは、現地のいわゆる委託なんだか会社だかよくわからないけれども、そういうところが実際やるんでしょう、これは。
 なおかつ、先ほど読み上げていただいた日程表を見たって、実際に必要なプロモーションビデオ上映、プレゼンテーション、これが一時間だな。それから、商談会だってわずか一時間だ。レセプション、どのくらいやったかわからないけれども。
 それから、その中で、先ほどからいって申しわけないけれども、六千何百万という一定の予算を、いわゆる一回において、各あれはちょっと違うけれども、余りにも投資対経費というかな、いわゆる投資した割--それからもう一つは、いや、これはマスコミ対応だ、マスコミがどんどん来るから今度はまたふやさなければいけない、またこれだとこうだと。
 ところが、これ、見てみなさいよ。皆さんが一番よくわかると思うよ、この三回目の状況を見れば、推移を見れば。
 今、東京都というのはそんなにあれですか、予算というのは--二回目は、先ほどいった、人数が減りましたね。三回目、ほとんど同じようなやり方でやっている。もととする二十六億円といういわゆる宿泊税、観光行政をしっかりやっていかなければいけないというのはわかるけれども、しかし少なくとも、現在の東京都の予算組みの中において、観光行政やシティーセールスだけは聖域なの、これ。どうなんですか、局長。

○有手産業労働局長 今、シティーセールスについてのご質問がございました。私どもは、この二十六億のお金を、もちろんシティーセールスだけに使っているわけじゃなくて、いろんな事業の中で、例えば施策としましては、国にとにかく、観光立国につきまして、外国と比べましても全く不十分だと。世界の国の三八%は観光収入が第一位なんですね。それから、五位以内に入っているのは八三%もあるという中で、日本は完全におくれております。
 そういうことで、このシティーセールスを行うことによって、日本に対して外国人がいっている、遠い、高い、わからない国、おもしろくない国、こういったことをまず払拭しなくてはいけないというようなことから、初めての経験でございましたので、ご批判はあろうかと思いますけれども、実施しました。
 今後、こういった経緯を踏まえて、この観光セールスの意義は踏まえながらも、経費の節減、その他効果的な対応につきましては、今こいそ委員からいろいろなご指摘がありましたし、先ほど中村委員からもご指摘がありました。そういった点を踏まえて効果的に運営してまいります。

○こいそ(明)委員 私ははっきりいって、この期間で--実際先ほど、もう繰り返していいませんけれども、それで実効、効果、いわゆる媒体を利用するという話もありましたね。いろいろ雑誌関係もそうでしょう。それはそれとしながらも、やはり実効、効果を上げていくんだったら、局長どうですか、この日程表。局長だからもうわかっているでしょう。過去三回のこの日程表、これで十分だと思いますか。これで効果が上がったと思いますか。
 そして、後ほど部長、投資対効果という話の中で、やっぱり決算だから、そういうところを我々は見ますよ。そういう中でどれだけの効果が上がってきたんですか。二十八件、商品開発出たというけれども、どうなんですか。

○渡辺観光部長 シティーセールスを行いまして、対象である海外の旅行会社、エージェントでございますけれども、現時点で、東京向けの魅力的で斬新な旅行商品を二十八本、先生おっしゃいましたように開発してございます。一部販売をしているところでございます。今後も、意欲的に商品開発が進められていることから、将来大きな成果が得られると思っております。
 シティーセールスで現地に赴きまして、現地の業者と意見交換をする中で、私どもが思っていた以上に、外国人旅行者は一人で歩けるルートに固執している、そういうことで、気がつかなかったこと、セールス上の間違いもございました。そういうものを次の回のセールスで直ちに反映させるなど工夫をしております。
 また、現地の業者から、ビザなどの制度上の障害の是正を強く求められ、これにつきましては、国へ制度改正の要望、提言をいたしております。
 以上でございます。

○こいそ(明)委員 いずれにしても、いわゆる効果が上がるという形で当然訪問をされている。これは当たり前の話で、しかし、一回、二回、三回と、それぞれほぼ同じ行程だな、これ。行程の中で、もっとふやす必要性があったんじゃないかなと、どなたかいわなかったのかね。これを見て、これだけの限られた期間で、何回も行けばいいんだという話もあるだろうけれども、これだけの期間で商談が成立するか否か。
 業者の方々も大変多く参加しているようでありますけれども、しかし実際、私は、東京都の観光行政をしっかりとやっていく中において、もう少し工夫といいますか、実施していくのであるならば、これは実効、効果がもっと上がるような努力を--短い時間で切り上げちゃう。これ、通したって、これじゃ指摘を受けますよ、はっきりいって。これだけの予算を割いて、これだけの都の職員が行って、歌舞伎を見せた。それは結構な話だけれども、毎回毎回やったってしようがないよ、その国に行って。親日国家、親日国家というけれども、イギリスなんか、そんな親日国家なのかね、よくわからないけれども。
 いずれにしても、私はやはりもっと一つ一つを精査すべきだと思いますよ。
 これは、先ほどの各予算の内訳表もいただきました。それからまた行程表もいただいた。今あるけれども、この資料をいただきましたので、よく理解もさせてもらったところもあるけれども、しかし、少なくとも投資対効果、例えば訪問した後に、どれだけの向こうからの引きがあったんですか、東京を訪問したいと。ゲートウエーという東京の存在もあるだろうけれども、どうだったんですか、これ。

○渡辺観光部長 既に、先ほど二十八本といいますけれども、具体的には、英国のインサイドジャパンツアーズ社が、個人旅行者向けの旅行商品により、五十名を東京に送客したという報告が入っています。また、英国のレールチョイス社というのがございまして、この会社は、JR東日本の割引券でありますレールパスを、毎月、現地で五十から六十枚販売している、こういう実績も報告されてございます。それから、ドイツのウインドローズ社が、東京五日間ツアーという商品を三件発売した、こういうことを聞いております。
 また、この二十八本とは別でございますけれども、現地に事務所がございます日本航空、JALでございますけれども、航空機とホテルのパッケージ旅行で百名程度を販売したと聞いております。それから、JTBが、東京を含む格安パッケージの販売で二百名程度を販売したと、こういう報告も入っております。
 今後も、内外で商品開発が進められておりますので、大勢の外国人の方が将来は来る、こういうふうに思っております。

○こいそ(明)委員 いずれにしても、海外から、千客万来の都市ということで東京に来ていただく。六百万人が目標だったですかね。そういう六百万人に来ていただこうという姿勢の中で、いろんな手だてを講じていく。これはよくわかります。
 しかし少なくとも、それはそれとしても、いわゆる観光政策の予算配分の中のかなりの部分を占めているシティーセールスについては、これは私は、今、日本航空が、現地の支店が二百枚、二百人分ですか、売ったという話もあるけれども、しかし、これだけ行ったから--それはわかりませんよ。結果というのはわからない。だけれども、いずれにしても、もう少し少ない人数で、最少経費で効果が上がる方法というものは検討すべきじゃないかと思いますよ、少なくとも。
 このような形で毎回毎回、年に二回、シティーセールスだ、東京を売り込んでくるんだ、大いに呼び込んでくるんだと、こういうお話だろうけれども、しかし、申しわけないけれども、これだけではとてもとても難しい。じゃ、もっと予算をふやせばいいのかと。これは都民感情からいったって許しませんよ、こんなことは。我々だって、そんな野方図に、これがどんどんどんどん膨張していくことはないと思うけれども、それはやっぱり賛同する立場じゃないと思いますよ。
 限られた財源、限られた中で実効的効果が、短いからできないんだよ、短いから効果が上がらないんだよということではないと私は思いますよ。いかにして効果を上げていくか、いかにしてどうするか。
 さっきの足元の、いわゆるいろんなインフォメーション的な部分もそうでありましょうし、また、来てもらったときにどういう対応が今東京はできるのかということも、いわゆる両方とも踏まえて観光行政をしていくべきだと私は思っています。そこでシティーセールスは終わりますけれども、ひとつよろしくそのあたりをご検討いただきたいと思います。
 それで、先ほどのお話でも、東京の魅力を売り込んでいくんだという話もありますし、また、東京というのは、いうまでもありませんけれども、先ほどの島しょ部、各島々のあの美しい風景、気候、それが織りなして、すばらしいですよね。
 これは本当にいうまでもない、そういう豊かな海や自然を保有している各島しょ部でありますけれども、それともう一つは、東京の中でも多摩地域、これはよく代名詞で奥多摩の山の話、山間部、それから檜原、奥多摩、高尾山の話をするけれども、多摩の観光というのはそんなものだけなのかね、これ。そうじゃないでしょう。パンフレットを見たって、余り東京都版は載っていないけれども、そのあたり、多摩振興についてはどうなんですか、観光について。

○渡辺観光部長 先生おっしゃいますように、ジブリですとか、新しい観光の要素、それから、来年度は新撰組がテレビ放映されます。その結果、日野と調布では、深大寺と万願寺を使いましてイベント展開をする、こういうことも私ども聞いております。
 そのほか、確かに西多摩の秋川とか多摩川の渓谷、奥多摩湖など、自然豊かな西多摩地域もあるわけですけれども、やはり歴史を考えますと、分倍河原でございますとか、国分寺とか、玉川上水も含めまして、ふくそうするような観光スポットが多摩には多うございます。
 これらにつきましては、特に顕著な例は新撰組でございますけれども、最近、これをきっかけに観光振興を推し進めようと、こういう自治体があらわれてございます。また、これらの地域には、既にアミューズメント施設も入っております。
 私ども東京都は、昨年度、こうした観光資源を幾つか観光ルートにまとめまして、ホームページで紹介をいたしております。また、今年度は、地元の協力も得まして、日野、立川、八王子、各市にわかりやすい観光案内標識を整備する予定でございます。
 今後とも、新たな観光振興の動きにも十分目を配りまして、西多摩地域のみならず、多摩地域全域を観光地ととらえまして、各自治体が観光資源の掘り起こしや新たな観光スポットの開発など主体的に取り組むに当たりまして、広域的観光振興の観点から支援を行ってまいります。

○こいそ(明)委員 何かここで看板をつくって置くという話を聞きましたけれども、具体的に、今お話しのように、いわゆる長い歴史の中でも大変由緒ある史跡や、武蔵野のさまざまな原風景や、それに基づくいろんな寺社仏閣を初め、今のお話にあるように、昨今では三鷹のジブリの宮崎駿さんのところだとか、それからまた、私どもの方ではサンリオピューロランドとか、これ、海外からかなり来ていますよ。それだけじゃないね。
 それだけじゃ全くないわけであって、こういう観光資源が潜在的にまた事実としてある中で、これを掘り起こしたり、これを一つの東京の観光の資源として、大いにPRも含めて取り組んでいく必要性があると思うんですが、そのあたりいかがですか。

○渡辺観光部長 先生おっしゃるとおりでございまして、確かに多摩地域について、割合弱い部分がございます。(こいそ(明)委員「何もやってないよ。弱いどころか、何もないよ」と呼ぶ)
 私、先ほどご答弁申し上げましたように、東京都としましては、地元の盛り上がりがやはりまず第一でございまして、大変入れ込んできている市が出てきております。多摩全域にそれが及びますことは、私ども、大変ありがたいこと、結構なことだと思っておりますので、今後ともぜひ先生方のお力をひとつお願いいたします。

○こいそ(明)委員 それでは、もう時間ですから。
 先ほどからるる申し上げた観光政策、観光行政の施策でありますけれども、シティーセールスの成果を踏まえつつ、また今申し上げたような島しょ部、それから多摩を含めたトータルした東京の魅力、これをいかにして磨きをかけていくかといいますか、いろいろPRをしていくかといいますか、そういうことの観光行政をこれからどのように進めていくのか、局長の思い、また決意があれば決意をお願いします。

○有手産業労働局長 大変貴重な時間を割いて観光についてご審議いただきまして、ありがとうございました。
 今、観光につきましては、先ほども冒頭申しましたけれども、二〇一六年には二百兆を超える規模の観光の需要が世界に発生する、こういう中で、我が国は後順位に甘んじているわけでございます。これを何としても上位の方に持ってこないと、二十一世紀の国内の内需、外需含めまして日本が元気にならないということで、私どもとしましては、まず、いろんな関係者に協力要請をしなくてはいけない。東京都のシティーセールスに使ったお金が出ましたけれども、宿泊税だけではとても限界があります。
 そういうことで、まずは国に対しまして、観光立国を働きかけました。私も、内閣の審議会の会長をやっている木村尚三郎先生に会って、成田に着いてからの交通のアクセスが非常に悪いから、番号制を振って、もっと地下鉄なり交通の乗り継ぎをよくするべきだという提言をしました。先生は、五月二十一日の閣議でこれを取り上げてくれまして、こういった動きになっています。そういうことで、国の方の体制がかなり強くなって、東京都と連携するという成果があります。
 それからもう一つは、民間の企業に対しても働きかけないと、何も動きません。そこで、東商に頼みまして、東京商工会議所では、シティーセールス委員会、ビジター受け入れ委員会、コンベンション委員会、こういったようなことをやりまして、具体的に東商が中心になって、今月、東京観光財団というのを立ち上げてくれました。これによりまして、私どもとパートナーシップをとりながら、民間を含めた、区市町村を含めた力強い後押しができ上がる、こういう働きもやっております。
 それから、先ほど区市町村の話が出ましたけれども、区市町村も、都議会のいろいろな審議も含めましてかなり盛り上がってきました。競争になってきました。大変いいことだと思っております。これも歓迎いたします。
 それから、インターネットのウェブサイトにつきましては、先ほど中村先生からお話がありましたように、外国からは個別にインターネットでアクセスして予約するのが大はやりでございますので、ウェブサイトに一日一万件以上のアクセスがあるということで、これもかなり成果を上げています。
 それからもう一つは、今、段階的に、先生がおっしゃられたように、いろんなことをやらなくてはなりません。まず一つは、受け入れる都市基盤、観光の都市基盤を整備しなくてはいけない。案内がわかりづらいとか、そういうこと、それから、受け入れの体制をきちっとやらなくてはいけないということで、いわゆるウエルカムキャンペーン、もてなす、このサービスをやる、それからインフォメーションをやる。
 こういった基軸、三本を中心にしまして各方面に働きかけて、私どもいただいた二十六億という予算が数倍、数十倍にはね返って、将来の日本の観光産業の礎になるというような心意気で、こいそ先生のハッパをどんと受けて対応します。

○こいそ(明)委員 その勢いでやっていただきたいと思うけれども、検討するところ及び検証するところはしっかりやってくださいよ。
 それともう一点は、これはもう、ここで意見で終わりますけれども、前に、ニューヨークだとか各都市、パリもそうだったでしょうかね、あれは。直接的に置いたかどうかわかりませんけれども、要するに、いろんな機関の事務所に常駐者がいた。それを全部引き揚げてきた、閉鎖して。これは観光だけじゃない。いろんな貿易関係を含めてやってきた経過があるけれども、今全くありませんよね。
 それが果たしてこれからどうだということはなかなか難しいかもしらぬけれども、少なくとも、今いわれていた国々や都市、こういうところに、公式な職員ということはなかなか難しいかもしらぬけれども、連絡ができる、それから、常に各機関や、いわゆる航空会社や現地旅行社や、またはマスコミ関係とも対応できるという人を私はふやしていく必要性があるんじゃないかと。
 毎回毎回行って、それはわからないことないけれども、これから将来的に考えたときに、局長、何十億もこうやって膨らませるんだという決意はわかるけれども、そういうところをぜひご検討いただきたいということで、終わります。

○和田委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○和田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時十九分散会

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