各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成十五年十月二十日(月曜日)
第十一委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十名
委員長串田 克巳君
副委員長野田 和男君
副委員長河西のぶみ君
北城 貞治君
長橋 桂一君
野上じゅん子君
松村 友昭君
大河原雅子君
立石 晴康君
藤川 隆則君

欠席委員 なし

 出席説明員
警視庁警視総監石川 重明君
総務部長佐藤 正夫君
警務部長岩橋  修君
交通部長渡辺  晃君
警備部長池田 克彦君
地域部長伊藤 信義君
公安部長伊藤 茂男君
刑事部長縄田  修君
生活安全部長友渕 宗治君
組織犯罪対策部長宮本 和夫君
総務部企画課長鹿倉 則彰君
総務部会計課長石田 唱司君
東京消防庁消防総監白谷 祐二君
次長予防部長事務取扱関口 和重君
総務部長水崎 保男君
人事部長佐竹 哲男君
警防部長尾崎 研哉君
防災部長小林 輝幸君
救急部長鈴木 正弘君
指導広報部長浅野 幸雄君
装備部長本山 良介君
総務部企画課長佐藤 直記君
総務部経理課長野原 英司君
財務局局長櫻井  巖君
経理部長佐藤  広君
契約調整担当部長小山 利夫君
主計部長熊野 順祥君
財産運用部長小野田 有君
調整担当部長江連 成雄君
参事三津山喜久雄君
建築保全部長福島 七郎君
コスト・調整担当部長松村 光庸君
参事齊間 孝一君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  警視庁関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  東京消防庁関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  財務局関係
  ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都用地会計決算(質疑)
  ・平成十四年度東京都公債費会計決算(質疑)

○串田委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、警視庁、東京消防庁及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○藤川委員 こんなことを警視庁の皆さんに質問するのは大変失礼かと思うんですが、私自身じゃなくて、私の周りに住んでいる人たちが、私の家に文句をいってくるわけです。私の家の真ん前が交番なものですから、その交番に警官の人が、姿が見えないというわけですね。どうしてくれるんだということで私いわれますものですから、そうか、それじゃ一言いっておかなくちゃまずいと思って皆さんに申し上げるんですが、このことについて真摯なお答えをいただきたいと思うわけです。
 石原さんが三百八万票という票をとって当選されたわけですけれども、あのときに、僕の記憶に間違いがなければ、要するに、東京の治安を何とかしなくちゃいけないということを力説したわけですね。それがやはり東京都民の関心を呼び起こして、結果として三百八万という大変な票を獲得されたと思うわけです。
 私自身、四年三カ月ばかりニューヨークにいたことがあるんですが、そのときに、ベトナム戦争の最中で、麻薬とかモルヒネを打って戦争をしていたわけですね。その人たちがニューヨークに帰ってきて、とんでもないことをやるわけです。ですから、ポケットに百ドルぐらい持たなくちゃいけないときに、ホールドアップされたら、二十五ドルをすぐ出すと助けてくれるというんで、七十五ドルはこっちのところにしまっておいて、どうしても百ドル持って歩かなくちゃいけないときには、そういう形で生活していたわけです。ですから、それほどニューヨークの治安というのは悪かったわけです。ところが最近、物すごくよくなってきたわけですね。
 そして、地下鉄で時々通っていたわけですけれども、ラッシュアワーのとき以外に地下鉄を使うなというわけですよ。だから、行きも帰りも、ラッシュアワーを外したら、特別に、ハイヤー、タクシーで帰ってくるか、直行のバスで帰ってこざるを得ないという状況にあったわけです。
 そのバスもハーレムの近所を通るわけです。バスをとめられて、ホールドアップされて、バスに乗っていた人が全部身ぐるみをはがされたということを聞いたわけです。自分でその目に遭ったわけじゃないですけれども、あのバスもついにとめられて、ホールドアップされて、中に乗っている人がみんな持っているものをとられたという状況があったわけです。
 ところが、私、一年半ぐらいか、会派で行ったときに、ハーレムの観光ができるような状態になったわけですね。ハーレムに行く、チャーチでゴスペルを聞くために、一時間ぐらい早いからといって、近所の安いコーヒー屋に入って、コーヒーを飲みながら朝飯のかわりにドーナツを食って時間をつぶして、それで教会に入ったわけです。そうすると、見ていて気がついたことですが、ハーレムに観光バスがたくさん着いて、僕なんかがいた三十五年か四十年ぐらい前には、ハーレムなんて行けなかった状態のところへ、行けるような状態になったわけです。
 どうしてハーレムがそういう状態になったかというと、ニューヨークの前の市長さんが、ニューヨークの治安ということで、世界に冠たる日本の治安を取り締まるポイントというのは交番にあるということで、交番というのは国際語になったわけですね。交番というターミノロジーができたわけですけれども、その交番--私の家の真ん前に交番があるわけですけれども、その交番が、ほとんど夜は警官の姿を見ることができないし、昼間でもめったにいないという状態が起こっているわけです。それで、近所の方々が来て、物騒でしようがない、どうにかしてくれということを私のところにねじ込んでくるわけです。
 そういうところで、前の警官の方に聞いたわけです。一体どうなっているのかといったら、世界の要人が来るから、どうしても東京警視庁がその警備に当たらなくちゃいけない。そうすると、私の住んでいるまちの交番なんかは警官の方は徴集されていくから、どうしてもあいちゃうというわけです。
 それで質問したいと思うわけですが、現在、警視庁の空き交番というのはどのくらい数があるんだということが一つ、それから空き交番にしないためにはどのくらいの人数をプラスしなければいけないのかということが一つ、そしてそのためにはどのくらいお金が必要なのかということ、この三点についてまず質問したいと思うんですが、よろしくお願いします。

○伊藤地域部長 現在、警視庁の管内には九百三十九カ所の交番がございます。このうちの約八割が常時警察官を配置して運用いたしております。
 ただいまご質問の、いわゆる空き交番につきましては、必ずしも統一した定義というのはございませんけれども、警視庁では、勤務員の配置のない交番あるいは勤務員が不在がちになる交番というものを、合わせて約二百カ所ございますけれども、これが空き交番に相当するのではないかというように考えております。
 それから、その空き交番にどれだけの警察官を配置したらいいのかというお話でございますが、これも、交番の配置条件等々によって必ずしも一概には申し上げられませんけれども、仮に試算をいたしますと、昼間帯だけ警察官を配置して交番を開所するということであれば約八百名、それから、二十四時間警察官を配置して交番を開所するということでは約千六百から千八百名必要であろうというふうに考えております。
 これらの人員に対する予算でございますけれども、仮に初任給で試算をいたしますと、例えば、八百人の場合では四十一億円ぐらいだろうと思いますが、千八百人の場合には九十二億円ぐらいに相当するのではないかというふうに考えております。

○藤川委員 意見だけ申し上げたいと思うんですが、私の家の近所に東京学芸大学という大学があるんです。そこに、国に帰ったらいろいろと要職につくであろうという学生が五百人ぐらいいるわけです。優秀な学生なんですね。その人たち、雑煮とかお節料理というのは、パンフレットで見たことはあるけれども、実際に食したことがないというので、私の家では老夫婦が二人だけですから、お正月のお雑煮とかお節料理を一緒に食べようよというので呼んであげたり、お茶とか、お祭りがあるときには、皆さんを呼んであげるわけです。
 そのときに、その学生さんたちがどういうことを申しますかというと、藤川さん、お雑煮とはこんなにおいしいものですか、お節料理というのはこんなに味わいの深いものですかということをいってくれるわけです。
 そのときに、僕、質問したんですよ。皆さんが日本に来られて日本で一番印象深いのは何ですかといったら、女の子たちがいうには、夜の夜中に自転車で自分のうちに学校から一生懸命勉強して帰るにしても何にしても、全然襲われる心配というのはないというわけですね。だから、日本の警備というのは非常にすばらしいものがあるという、これを異口同音に留学生たちが申すわけですけれども、すばらしいものがあるというわけです。
 その治安がだんだん落ちてきているわけですよ、残念ながら。そして、皆さんご存じのように、検挙率にしても余り調子がよくなくなっているのが現状ですけれども、それは何に起因するかというと、やはり警察官の絶対数が足りないのじゃないかなと僕は思うわけです。
 前の交番の警察官に聞いてみますと、東京は日本の首都だ、世界の要人が来ると。ブッシュさんはきのう帰ったんですか。そうすると、そういう人たちを警護しなくちゃいけないから、東京警視庁が中心になって警護するわけです。そうすると、どうしても東京警視庁の警護する警察官の数というのは絶対数が不足しますから、どうしても交番にしわ寄せが来るというわけです。だから交番に人がいない。
 だから、四十一億必要だ、九十二億必要だということを、今、伊藤地域部長さんおっしゃいましたけれども、もしそうであるとするならば、東京というのは、世界に冠たる国際都市東京で、観光立国の日本の拠点であるし、千客万来の都市にしたいと石原さんいっているわけですけれども、事実そうしなきゃいけないと思うわけです。そうすることによって、この不景気の世の中を打開することができるとすれば、やはり東京の警視庁の皆さん方のなすべき仕事というのは大変なものがある、僕はそういうふうに思うわけです。
 ですから、ぜひ皆さん方に、東京都に対して、これだけお金を出せと強く主張してもらいたいと思うんですよ。そうすることによって東京が栄えるわけですからね。だから、そういう面で、東京警視庁が本当にどの程度この件について真面目に取り組んでくれるかということを証明することになりますから、ぜひお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○串田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○串田委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○北城委員 二十三区の消防団の活性化策につきまして何点かお伺いをさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 阪神・淡路大震災が発生してから八年経過をするわけでありますけれども、たしか阪神・淡路大震災のときに救助されました八割の方々が、家族あるいは近隣の方々に救助されたというような検証もあるわけでございます。そのような数字というのは、自助あるいは共助というものがいかに大切であるかということを的確に示された数字なのかな、こんなふうに思うわけであります。ある意味では、その地域にあります連帯意識というものが、最終的にはそれぞれの死命を制するといっても私は過言ではない、こんなふうに思うわけであります。
 そうしますると、そのかなめとなりますのは、私はやはり消防団ではないか、こんなふうに思っておる一人であります。そして、これは東京都立大学の中林一樹教授は、消防団がないと仮定をしますと、東京二十三区で直下型の地震が発生した場合、地震で発生した火災の四割が消しとめられないままになるおそれがあると指摘をされているわけであります。科学的に検証されているわけであります。
 そしてまた同時に、阪神・淡路大震災のときにも消防団が助け出したのは、西宮市だけで二百五十人、神戸市では八百人以上といわれておりまして、地道に訓練をしてきた消防団の初動がなければ、どれだけ被害が拡大をしていたのかということも検証されているわけであります。
 そこで、改めまして、消防団の存在意義につきましてご見解をお伺いしたい、こんなふうに思います。

○小林防災部長 消防団は、地元の消防署とともに、地域に最も密着した防災機関として、平常時における災害対応を初め、各種の警戒や地域住民に対する防火防災思想の普及啓発など、多岐にわたる活動を展開し、都民から厚い信頼を得ております。
 特に、震災等の大規模な災害発生時において、地域の実情に精通し、発災後即時に対応できる消防団は、極めて重要な存在であり、阪神・淡路大震災においても実証されたとおりであります。
 このように、消防団は地域防災の担い手として必要不可欠な存在であるというふうに認識しております。

○北城委員 消防団の組織というのは分団組織があるわけであります。その分団組織がきめ細かに組織をされているような関係の中で、恐らく、その家庭にはだれとだれが住んでいて、どのような状況になっているかということは、消防団員の方々がそれぞれ把握をされているんじゃないか、こんなふうに思うわけであります。ある意味では、消防署に把握でき得ないような情報も消防団の方々がお持ちである、そのようなことがいえるのじゃないか、こんなふうに思うわけであります。
 そう考えますると、やはり消防団の充実ということが必要不可欠の課題じゃないか、こんなふうに思いますので、消防団の団員数の推移、あわせて年令別の推移及び充足率、男女の構成率の推移について、お教えをいただきたい。

○小林防災部長 消防団員数等の推移について、過去十年間を見ますと、団員数につきましては、特別区消防団の定員一万六千人に対し約一万四千三百人前後、充足率につきましては九〇%前後で推移しており、平成十五年四月一日現在では、現員一万四千二百八十人、充足率は八九・三%となっております。また、年令別の推移につきましては、十年前の平均年齢四十七・四歳から四十八・六歳と、若干ではありますが上昇傾向にあります。一方、男女の構成比率につきましては、十年前の比率が、男性九三・四%、女性六・六%であったのに対し、男性八八・五%、女性一一・五%と、女性の割合が増加しております。

○北城委員 消防団の存在意義を考えますると、充足率を限りなく一〇〇%に近づけていく、これが一つの課題なのかなと思うわけであります。東京消防庁としましても、それなりの支援をする責務があるのかな、こんなふうに思うわけであります。
 恐らく、そのような視点に立ち返って、我が党の中屋文孝議員は、平成十四年の第一回定例会におきまして、こんな質問をされておりました。それは、消防団の活性化策として、消防団活動に関連した各種資格が取得できる制度を導入すべきであるということを指摘されまして、当時の杉村消防総監より前向きなご答弁をいただいたわけでありますけれども、それ以降の進捗状況につきましてお伺いをしたいと思います。

○小林防災部長 本年九月末現在までにおける消防団員の各種資格取得の推進状況につきましては、平成八年度から可搬ポンプ等整備資格者の養成を開始し、六百八十八名が、平成九年度から応急手当普及員の養成を開始し、千三百十七名が、平成十四年度から応急手当指導員の養成を開始し、十九名が、それぞれ資格を取得しております。
 また、本年度から新たに、水災等の出水時における消防団の災害活動力の充実強化を図るため、二級小型船舶操縦士(五トン限定)の養成を開始いたしました。今回は、一級河川に接する消防団を優先的に実施し、二十四名の消防団員が国家資格を取得いたしました。来年度以降も引き続き養成を行ってまいります。
 今後も、消防団の災害活動力の向上と消防団の活性化を図るため、消防団活動に関連した資格取得の充実に努めてまいります。

○北城委員 新たな資格取得のためのご努力も大変評価をさせてもらいたい、こんなふうに思っております。
 各種資格が取得できるような制度が拡大をしてきますると、当然、消防団員の方々のやる気、また技能向上というものもかなり格段に向上されるのじゃないかと思いますし、また同時に、特に若い青年層の消防団の入団に対しましても大きな効果があるのかなと思いますので、ぜひ今後とも、考えられる資格取得に関しまして前向きなご努力をお願いしたい、こんなふうに思っているところでございます。
 そこで、消防団分団の施設、また装備の関係につきまして、若干お尋ねをさせてもらいたいと思うわけでありますけれども、正直に申し上げまして、現実の問題、やはり一つは、活動資機材を収納するスペースが十分でない、そして二つ目が、先ほどご答弁にありましたように、女性の団員がふえているにもかかわらず、トイレが併設をされているところが少ない、そして三つ目には、満足な待機スペースがないというのが実情だと私は思うのであります。
 そこで、我が党の高橋かずみ議員は、平成十四年の第三回定例会におきまして、消防団が地域社会の要請にこたえていけるようにするためには、施設、装備等の充実はもとより、消防団・団員相互の情報交換を可能にするための環境整備を図ることが重要であると指摘をされたわけでありますけれども、これらの改善につきまして、どのように支援をしていくおつもりなのか、ご見解をお伺いしたい。

○小林防災部長 ご指摘のように、消防団の分団施設の中には、狭隘なものや、トイレ及び待機スペースなど、十分な機能を有していないものがあります。このことから、平成十四年度につきましては、分団施設の改築十七棟、トイレの設置九棟を含む改修及び修繕三十九棟、また分団の待機スペースを確保するため、二十四の消防署所の会議室を分団施設として整備いたしました。
 本年度につきましては、署所合築一棟を含む改築十九棟、トイレの設置十七棟を含む改修及び修繕四十三棟、二十の消防署所の会議室を分団施設として整備する予定であります。
 今後の整備につきましては、老朽、狭隘度等を考慮し、トイレ等を備えた施設として順次改築していくとともに、消防署所等を初め、他局及び区の施設との合築など、関係機関の協力を得ながら整備を推進してまいります。

○北城委員 ご答弁があったわけでありますけれども、正直、東京消防庁の限られた予算の中ではやはり限界があるのかなと思わざるを得ないわけであります。すべての分団等々整備をしていくためには、今のペースですと、かなりの時間を費やしてしまう、これもまた仕方のないことなのかなと思うわけであります。
 ただ、やはり消防団の存在意義を考えますると、関係機関に働きかけをしていきながら、協力を得て、そのような施設の改善を図っていくことも一つの大切な視点なのかな、こんなふうに思っております。
 例えば、私の住んでいるところ、荒川区であります。たしか荒川区におきましては、荒川区の施設を、約四十平米でありますけれども、提供いたしまして、分団の防災資機材の整備であるとか、そしてまた待機所の整備であるとか、そんな提供をさせてもらったところであります。恐らく二十三区の区長さん方も、消防団の支援に関しましては大変前向きな姿勢をお持ちなのかなと、私はこんなふうに思っております。
 ですから、大切なことは、東京消防庁が所管の消防署と連絡をし合いながら、より具体的に、二十三区の区長さんを初め関係機関に要請をする、このような姿勢というものが大切なのかなと思っておりますので、ぜひ今後ともそのようなご努力をお願いしたい、こんなふうに思っております。よろしくお願い申し上げます。
 そこで、ある消防団員の方のお話なんですけれども、こんなお話をされておりました。みんな、仕事や家族と過ごす時間を削っている、奉仕の精神がなければやってはいられないと。これが、私は消防団員の方々の率直なお気持ちなのかなと思います。本当に頭の下がる思いであります。
 そして、冒頭申し上げましたように、自助、共助、公助、この三者がうまくかみ合いながら向上していくことによりまして防災力が高まっていくということは、論をまたないわけでありますし、また、ある意味では、自助がなければ共助もありませんし、また共助がなければ公助の効果もない。やはりそのかなめは消防団なんですよね。
 ですから、そのような意味におきまして、消防団員の方々の激励も込めまして、消防団に対します所感を消防総監よりお伺いをいたしまして、私の質問を終わらせてもらいたい、こんなふうに思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○白谷消防総監 消防団に対する所感についてのご質問でございますけれども、消防団は、地域に密着した防災機関として、昼夜を問わず献身的に活躍されております。とりわけ、生業を持つ傍ら地域防災のためご尽力され貢献されている消防団員の方々の崇高な使命感に対しまして、心から敬意と感謝を表する次第でございます。
 消防団員は、地域の防災リーダーとして都民から高く評価されるとともに、平常時はもとより、震災時における救出救護、火災の拡大防止など、その役割は極めて重要であり、都民の安全確保に向け、大いに期待されているところでございます。
 東京消防庁といたしましては、厳しい財政状況でありますが、先生の先ほどのご提言の内容も含めまして、積極的に消防団の施設、装備の充実、処遇改善に努めてまいる所存でございます。

○長橋委員 私は、歌舞伎町雑居ビル火災、その後の状況についてお伺いをしたいと思います。
 この火災も放火の疑いがある、このように承っているわけでございますけれども、私の地元、池袋でございますけれども、ことし春先だったですけれども、放火と思われる火災が、周囲百メートル以内に相次いで起こりました。偶然、私の知人が早期に発見をして大事には至らなかったわけでございますけれども、放火による火災、これが全国的にも火災原因の第一位である。特に東京においては、昭和五十二年以来一貫して、放火または放火の疑い、これが第一位、火災全体の四割を占めている。大変憂慮すべき事態であると思います。
 東京消防庁では、町会や自治会、また関係行政機関等と協力して、放火されない環境づくり、こういったものを推進しているわけでございますけれども、放火に対しては厳しく、またより厳重に、撲滅ができるように、都民の生活の安全、生命を脅かすこの放火に対しては、ぜひさらにご尽力をいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 さて、この歌舞伎町雑居ビルについてでございますけれども、この火災、四十四名もの人命が失われた、大変な大惨事でございました。このビルは、地下二階、地上五階建て、延べ面積も約五百平方メートルということで、比較的小規模なビル、こういうことでございます。こういったビルは、私の地元の池袋周辺でも数多くあるわけでございまして、改めて雑居ビルの火災の恐ろしさ、これを痛感したわけでございます。
 この歌舞伎町の雑居ビル火災を踏まえて、東京消防庁では直ちに、小規模雑居ビルの緊急特別査察を実施して、同じような火災の再発防止を図られた、こういうふうに承っておりますけれども、緊急査察以外に、東京消防庁ではどのような取り組みを行ったのか、まずお伺いをいたします。

○関口次長 新宿区歌舞伎町雑居ビル火災後の類似火災の再発防止に向けた取り組みについてでありますが、緊急特別査察を実施したほか、第一に、都内全域において、階段・廊下クリーンキャンペーンを実施し、階段や通路などの避難施設に物品を置かないよう、都民に対し普及啓発いたしました。
 第二に、有識者から成る小規模雑居ビルの火災安全対策検討委員会を設置し、その結果に基づき、総務省消防庁に対して、消防法令の改正を要望いたしました。
 第三に、火災予防条例を改正し、階段、廊下などの避難施設を有効に管理するため、火災の予防または避難に支障となる物件を置く行為などを禁止することといたしました。
 第四に、警視庁、都市計画局など関係行政機関と一体となった、雑居ビルに関する東京都安全対策連絡協議会を設置するとともに、各市及び各区においても、関係行政機関との間に連絡協議会を設置し、合同の立入検査を実施いたしました。
 第五に、防火対象物の規模などにかかわりなく、火災危険の高い対象物から重点的に立入検査を行うとともに、違反指摘事項の是正状況について確認を徹底し、警告不履行に対しては再警告を行わず、直ちに命令に移行するなど、違反処理を強力に推進いたしました。

○長橋委員 緊急特別査察、こういうことを行って、それ以外にも今いった消防法令の改正などを行った、こういう要望をした、また厳重に、違反処理を強力に推進したというようなことでございますけれども、立入検査の実施件数が、ちょっと資料を見せていただきましたけれども、平成十三年度は六万件近くこの実施件数があったんですけれども、平成十四年度が、雑居ビル火災もあって非常に減少しているというふうになっているんです。これはなぜか教えていただきたいと思います。

○関口次長 平成十四年の査察は、新宿区歌舞伎町雑居ビル火災直後の緊急特別査察における違反事項を含めて、これまでの立入検査で指摘した違反事項の早期是正を最優先とし、改修指導や是正状況の確認及び警告、命令等の違反処理の徹底を重点方針としたことから、立入検査の実施件数については減少したものであります。

○長橋委員 火災危険度の高いところから重点的に行って、違反処理を行った、こういうことであると思いますけれども、火災安全対策につきまして、有識者から成る小規模雑居ビルの火災安全対策等検討委員会、これを設置して、その結果、総務省、消防庁に法令改正を要望した、こういうことでございますけれども、その結果、消防法令はどのように改正されたのか、まずお聞かせください。

○関口次長 国に対して消防法令の改正を要望した結果、改正された主な内容としては、第一に、火災予防措置命令及び使用停止命令等の発動要件が明確化されたこと及び命令を行った場合に公示しなければならないこととされたこと、第二に、消防吏員が火災の予防に危険と認める物件もしくは消火、避難等に支障になると認める物件の除去命令等を行うことができるなどの権限が強化されたこと、第三に、廊下、階段などの避難上必要な施設等について、避難の支障になる物件が放置及び存置されないように管理しなければならないとされたこと、第四に、措置命令等の違反に対する罰則が強化されたこと、第五に、自動火災報知設備等の設置対象の範囲が拡大されたこと、第六に、性風俗関連特殊営業を営む店舗等の用途が見直しされたこと、以上の六項目であります。
 その他、これらに関連して、立入検査の時間制限の廃止及び専門的知識を有する者による防火対象物の定期点検報告制度の導入等についても、あわせて改正されました。

○長橋委員 今、るるお話をいただいたんですけれども、消防法令の大改正というパンフを見させていただきましたけれども、違反是正の強化と罰金最高一億円、こういうことで大変罰金が強化されたと思うんですけれども、この中身を見ますと、今お話聞いてよくわからなかったんですけれども、これを見るとわかりやすく書いてあって、立入検査が二十四時間可能になったとか、命令権限が、今度は署長だけではなくて、出向いた消防吏員にもできるというふうに拡大されたとか、それから、違反命令を受けた建物は、建物の入口に公示が行われてしまう、そういった意味では非常に大きな改正だった、こういうふうに思うわけでございます。
 そこで、あわせて東京都の火災予防条例も改正をされたということでありますし、これらの一連の法令改正等を踏まえて立入検査を実施しているわけであると思いますけれども、法令改正から約一年が経過して、立入検査で指摘した違反是正のこういった状況についてはどのようになったのか、お聞かせください。

○関口次長 当庁では、昨年十月二十五日に改正消防法が施行されて以来、本年四月末までの六カ月間に、延べ二万七千二百三十四棟の立入検査を実施し、総違反指摘件数は六万一千九百七十八件であり、本年六月末までに約七〇%の違反が是正されております。
 今後は、是正されていない約三〇%の違反について、早期是正を指導し、違反が是正されない場合は、速やかに警告、命令等の違反処理を行い、厳正な対応を図ってまいります。

○長橋委員 違反指摘件数が六万一千九百余件と、六万二千件近くあるわけで、これだけの指摘違反件数があったということは、逆に、まだまだ防火意識の低い建物関係者がいるということであると思いますし、今後とも、都民生活の安全、安心を守るためには、特にビル関係者、また、私の地元の池袋は雑居ビルが多いわけでございまして、だれが持ち主なのかということも、非常に権利関係が難しくなっているところもあると思いますけれども、ぜひ、こういったところの防火意識を高めるよう、さらにお願いをしたいと思います。
 最後に、歌舞伎町のことではないんですけれども、私の地元池袋は、サンシャインがありますし、周辺には超高層マンションといいますか、そういうのもどんどん建ってきているわけでございまして、高層建築物、これは、はしご車は大体十階ぐらいまでしか届かないということを考えると、それ以上は私なんか住みたいというふうには思わないんですけれども、さらには、丸の内や六本木でも高層ビルが相次いでオープンしているわけでございます。
 また、二〇〇三年問題と呼ばれるように、再開発事業による大きなビルの完成が今後も続くわけでありますので、この高層ビルに対しては基準も厳しくなっているんだと思いますけれども、このような高層建築物、事務所ビルだけでなくて、住宅としてもどんどんふえてきている、こういう状況でございますので、この高層建築物の防火安全対策、これがどのようになっているのかをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○関口次長 高層建築物は、一般の建築物に比べ、避難や消防活動等の困難性が高いことから、消防法及び建築基準法により、火災を早期に発見するための自動火災報知設備、火災の初期の消火に有効なスプリンクラー設備、延焼の拡大を防止する防火区画、安全な避難のための特別避難階段を設置するなど、基準が強化されております。
 さらに、消防隊の活動に有効な非常用エレベーターや連結送水管などの設置、防災センターにおける防災設備の集中管理などにより、防火安全対策の一層の強化が図られています。また、消防ヘリコプターによる屋上からの消防活動を容易にするため、緊急離発着場等の設置を指導しております。
 今後とも、高層建築物の防火安全対策の徹底を図るため、建築計画段階での指導や消防同意の審査及び竣工時における消防検査などを、適正かつ積極的に推進してまいります。

○大河原委員 私からは、屋外タンクについて伺いたいと思います。
 九月二十六日、十勝沖地震がありまして、苫小牧市内の石油コンビナートの原油貯蔵タンクが出火しまして、その二日後には、別のナフサ貯蔵タンクも火災を起こしたということで、映像で流れてくるものを見まして、非常に不安にかられた都民も多いんじゃないかと思います。そして、十月の二日、朝日新聞にも、消防庁の全国調査でも、全国に一万三千二百九基ですか、五百キロリットル以上の屋外タンク、六四%が耐震性に不安があるという記事が出まして、都内にも同様のタンクがあるんじゃないかと、さらに危険と隣り合わせの私たちの生活環境というものに目が向いたのではないかと思います。
 そこでまず、都内の特定屋外タンク、また準特定の屋外タンクの現状について伺いたいと思います。数及びそれらが設置されている場所、まずお聞かせ願いたいと思います。

○関口次長 都内には、現在、一千キロリットル以上の特定屋外タンクは二十八基、また、五百キロリットル以上一千キロリットル未満の準特定屋外タンクは二十基あります。設置されている主な地域は、品川区、江東区、足立区、八王子市などであります。

○大河原委員 設置されている場所も、海側ばかりでなく内陸部にあるということで、私など知らなかったものですから、ちょっとびっくりもいたしました。
 これは、それぞれ特定及び準特定屋外タンクの耐震基準というものは一体どのようになっているんでしょうか。また、基準別にそれぞれタンクは幾つずつあるんでしょうか。

○関口次長 特定屋外タンクの耐震基準と基準別のタンク数でありますが、耐震基準としては三種類あります。
 一つは新法基準であり、昭和五十二年の消防法令の改正により定められたもので、大規模地震時に地盤が液状化せず、タンク本体も変形しない安全レベルをいい、この基準に適合するタンクは都内に十五基あります。
 二つ目は新基準であり、平成六年の危険物の規制に関する政令附則の改正により定められたもので、大規模地震時にタンク本体が変形しても破断はしない安全レベルをいい、この基準に適合するタンクは都内に三基あります。
 三つ目は旧基準であり、昭和五十二年の消防法令改正前の基準で、地震動による慣性力等が屋外タンクの側板または支柱の限られた点に集中しないようにタンクを堅固な基礎及び地盤の上に固定するものであり、大規模地震時における地盤の液状化やタンク本体の破断についての安全性が確認されていないレベルをいいます。この基準により設置されたタンクは都内に十基あります。
 次に、準特定屋外タンクの耐震基準と、基準別のタンク数でありますが、耐震基準としては、平成十一年の危険物の規制に関する政令の改正により定められた大規模地震時に地盤が液状化せず、タンク本体も変形しない安全レベルである現行基準と、それ以前の旧基準の二種類があります。都内には、現行基準に適合するタンクは一基、旧基準により設置されたタンクは十九基あります。

○大河原委員 言葉で聞くとなかなかわかりにくいんですが、私は手元に資料をいただきまして、三つ基準があって、新法、新基準、旧基準ということですね。そして、今ご説明いただきましたように、安全性が確認されていないレベルのもの、特定タンクということでは、千キロリットル以上のもので十基、それから、五百キロリットルから一千キロリットルまでのもので、旧基準、安全性が確認されないものが十九基ということだと思いますが、決算書の四二ページに、歳出の項目には特定屋外タンク貯蔵審査の残というふうにありまして、これはちょっと不思議に思っていたんですが、これは、タンクを新設する、新しくつくるときに審査をする、その委託で、十四年度に新しいタンクをつくったということがないので、こういうふうに数字としてはなっているというご説明がありました。
 そうすると、日常的にどういう検査体制があるのかということが問題になってくると思うんですけれども、特定及び準特定屋外タンクの通常の安全確認の体制、これは一体どのようになっているんでしょうか。
 それと、この十勝沖の地震がありまして、緊急の立入調査も先週行われておりますけれども、これについても、どのような位置づけの調査なのか、それについてもお聞かせいただきたいと思います。

○関口次長 特定及び準特定屋外タンクの所有者、管理者または占有者は、法令に基づき、危険物保安監督者を選任するとともに、予防規程を定めて、定期点検や保安のための巡視、日常点検、検査などを行うこととされております。
 当庁では、これらの施設に対し、計画的に立入検査を実施し、位置、構造、設備の維持管理の状況及び予防規程に定める事項の遵守状況などを確認しております。
 今回の緊急立入検査は、九月二十六日に発生いたしました十勝沖地震による特定屋外タンクの火災を踏まえて、震災時における屋外タンクの安全を確保するために行ったもので、予防規程の遵守状況、消火設備の維持管理状況、泡消火剤や土のうなどの備蓄状況等を重点項目として実施したものであります。
 緊急立入検査の結果につきましては、十二事業所、四十八基の屋外タンクについて実施し、このうち、八事業所で十二件の消防法令違反があり、その主な内容は、自衛消防技術認定資格者の不足及びタンクのさびどめ塗装の剥離であります。

○大河原委員 先日の緊急立入調査の中身もちょっと触れていただいたんですが、前倒しに直ちに対応をとられたことは評価をしたいと思います。そしてまた、詳しい調査結果が出ましたら、都民にもわかりやすく広報をいただきたいと思います。
 ところで、先ほど、大地震時における地盤の液状化やタンク本体の破断については安全性が確認されていないレベルといわれる準特定屋外タンク二十基というふうに伺いました。旧基準のこれらのタンクには、どのような指導を行っていらっしゃるのでしょうか。

○関口次長 準特定屋外タンクのうち、旧基準のタンクにつきましては、平成三十二年三月末日までに現行基準に適合するように改修しなければならないとされておりますが、当庁では、震災時における被害の軽減を図るため、今後とも、あらゆる機会をとらえて、できる限り早期に改修するよう指導してまいります。

○大河原委員 私は、今回、この屋外タンクのことでいろいろご説明をいただいて、何がびっくりしたといって、経過措置として期限が定められていますが、その耐震基準をクリアできるようにする経過基準がかなり先の方だということですね。今の旧基準のタンクについては平成三十二年の三月までというところで、本当にびっくりしました。
 タンクを持っていらっしゃる企業がどういう形でこれから対応をとられるか、経済状況も、なかなかあすにもということにはならないかもしれませんが、極力早期に改修するように、ぜひご指導いただきたいというふうに思います。
 今までは、屋外タンクの五百キロリットル以上のタンクについて伺ってきましたけれども、それでは、もっと私たちの身近にあると思われます屋外タンクで五百キロ未満のタンクについては、どのような規制が設けられているんでしょうか。特に、本当に地域の防災を考えるといたしますと、家庭用のもの、あるいは小さな事業所用のもの、こうしたものも視野に入ってくるかと思いますが、この点はいかがでしょうか。

○関口次長 五百キロリットル未満の屋外タンクにつきましては、保安距離や保有空地、タンクの耐震構造、防油堤や消火設備などのほか、危険物保安監督者の選任、予防規程の作成や定期点検の実施などが消防法令により義務づけされております。
 また、家庭用ホームタンクなどの小規模な屋外タンクにつきましても、保有空地やタンクの構造、防油堤などについて、火災予防条例により基準の遵守が義務づけられております。

○大河原委員 消防法令によって義務づけがあるもの、それからまた火災予防条例によって基準が出ているものというふうにご説明をいただきましたが、なかなか地域のそういうタンク類がどこにあるかというのは、目につくところとつかないところと--屋外に出ているものはかなり少なくなってきているとは思いますけれども、やはり家庭用のものなど、消防庁が一つ一つを指導するという立場にはないとは思いますけれども、地域でつくる防災計画、地域では危険箇所マップなども住民参加でつくっておりますので、こうした地域の防災計画づくりに、ぜひ地域消防署のご尽力、ご指導もいただきたいというふうにお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○串田委員長 ほかに質問がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○串田委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成十四年度東京都用地会計決算及び平成十四年度東京都公債費会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 先日の分科会におきまして要求をいただきました資料についてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元配布の平成十四年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 最初に表紙をおめくりいただきまして、目次でございます。今回要求をいただきました資料は四件でございます。
 一枚おめくりをいただきまして、要求資料第1号、中小企業受注実績(十年間)でございます。
 これは、工事関係と物品関係の中小企業受注実績の過去十年間分を集計したものでございます。一番下の平成十四年度で見ますと、工事関係の中小企業比率は、件数にして八六・三%、金額で四六・四%となっております。また、物品関係の同比率は、件数にして八六・二%、金額で五六・〇%となっております。
 恐れ入りますが、二ページをお開きください。要求資料第2号、平成十四年度中小企業受注実績(局別)でございます。
 表にございますように、工事関係と物品関係の受注実績につきまして、それぞれ各局別に発注件数と金額をお示ししてございます。区分といたしましては、全企業と中小企業に分けてお示ししたものでございます。
 三ページをお開き願います。要求資料第3号、一般会計当初予算額と最終補正予算額の推移でございます。
 平成五年度から十四年度までの一般会計の当初予算額及び最終補正予算額と、十五年度の当初予算額をお示ししております。
 なお、右側の欄は、前年度の最終補正予算額と当年度当初予算額の合計額を記載したものでございます。
 最後になりますが、四ページをお開き願います。要求資料第4号、都債償還額及び減債基金残高の推移(一般会計)でございます。
 平成九年度から十四年度までは決算ベース、十五年度は予算ベースとなっております。
 平成十六年度以降十八年度までは推計値でございまして、表の下(注)の1にもございますように、十六年度の起債額を約四千二百億円、十七年度以降を三千五百億円とした場合で、減債基金へは所要の額全額を積み立てるものとして試算したものでございます。
 説明は以上でございます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○串田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含め、これより本件に対する質疑を行います。
 発言をお願いします。

○長橋委員 私の方からは、平成十二年度に発表されました財産利活用総合計画、これについてお伺いをしたいと思っております。
 第二次財政再建推進プラン、これにも示されていますとおり、これから毎年、三千億から四千億、財源不足が見込まれるという、都財政にとってもかつてない厳しい時期に入るわけでございます。内部努力を徹底するとともに、都の施策の見直しなど、構造改革を推進していく取り組みがさらに必要であると思います。
 こうした財政再建を進める上で、定数削減などの行政改革、これをより一層進めるのはもちろんでありますけれども、これまでにも増して財産の有効活用を図ることが重要でありますし、先日発表されました都庁改革アクションプラン中間まとめにおきましても、保有資産の総合的な利活用を挙げているわけであります。
 財産管理というのは、民間企業においては、バブル崩壊で、近年、企業を取り巻く社会経済情勢が厳しさを増す、そういう中でこの財産管理も戦略的な意義が高まってきておりますし、今の財政難の中で、行政においてもこのことは大変重要であると思うわけであります。
 東京都は平成十二年度に、この財政構造改革を財政面から推進するために、建物や土地を中心とした財産の利活用に関する総合的な計画として、この財産利活用総合計画を作成したところでありますけれども、そこでまず、この財産利活用総合計画、どういう目的と、そしてどのような内容であったか、お伺いをいたします。

○小野田財産運用部長 平成十二年度に策定いたしました財産利活用総合計画におきましては、従来の財産を単に適正に維持管理、保有していくという、いわば受け身の考え方を修正いたしまして、財産は行政を経営していくための資源である、こうとらえまして、それらを積極的に活用を図ることに重点を移行いたしました。
 この計画では、各局が所管しております行政財産に対しまして、あらかじめ資産アセスメントを行いまして、活用状況などを評価いたしました。その結果に基づき、施設の見直し、あるいは活用策を提言いたしました。また、各局が所管する未利用地など、利用計画のない財産につきまして、積極的に売却を図ることといたしました。
 さらに、財産の管理運用のアウトソーシングを拡大するなど、民間活力の一層の導入を図りまして、計画を円滑に実現することといたしました。

○長橋委員 今お答えがありましたこの計画におきまして、具体的な方策の提言や売却目標の設定、さらには財産の管理運用のアウトソーシング、この拡大を挙げているわけでありますけれども、計画が未達成であれば、幾ら利活用についていいことが書かれてあっても意味がないわけでありますので、換言すれば、この計画が本当に適切であったかどうかというふうにもいえるわけであります。
 そこで、平成十二年から三年間を経た現在、十四年の末においての、この計画の達成状況についてお伺いをいたします。

○小野田財産運用部長 ただいま申し上げました資産アセスメントにより、事務所等の空き床や未利用地などを把握いたしまして、その活用策を提示いたしました。この結果、これまでの三年間で、各局が所管しております未利用地の約一五%を転活用することができました。
 さらに、利用する見込みのない財産につきましては、積極的に売却を進めまして、計画の売却目標でございました一千億円を大幅に上回る一千四百億円以上の実績を上げることができたわけでございます。

○長橋委員 三年間で目標の一千億、それを上回る一千四百億円以上、こういう売却実績を上げたということでございますけれども、税収が著しく減少する中で、その財源を確保したという点では大きな貢献があったと思うわけであります。
 しかし、計画というのは、この目標が達成されて初めて意味があるわけでありますけれども、これ以外にも、計画にのっているけれども達成できなかった、また残された課題というのはどういうものがあったのか、お伺いいたします。

○小野田財産運用部長 達成できなかった、残された課題でございますが、計画に沿いまして、都はこれまでも未利用財産の売却を進めてまいりました。しかしながら、近年の社会経済情勢の変化などがございまして、買い手がつかなかった土地、あるいは売却が困難な物件もございまして、現在も未利用地として残存しているものがございます。
 今後は、これらの土地についても、なぜ売却が円滑に進まなかったのかなど、要因を分析いたしまして、対応策を講じていく必要があると考えております。

○長橋委員 未利用地の売却をかなり進めたわけですけれども、まだ残っていると。残っているところは、非常に活用も難しいところが残ってきているんではないかと思うわけですけれども、日本経済も今、株価が一万円台を回復してきているわけですけれども、円高も進行しているということで、先行きはまだ不透明な状況にあるわけで、十月の政府の月例経済報告でも、景気は引き続き一部に穏やかな持ち直しの動きが見られるものの、環境は厳しさを増していると。こういうふうに、依然として都財政を取り巻く環境は厳しいわけであります。従来にも増して、さらにこの財産の有効活用が求められると思います。
 この本計画の期間が、原則として平成十三年度から十五年度までの三年間となっているわけでありますけれども、答弁にありましたように、残された課題が厳然として存在する一方で、計画は十五年度までということでありますけれども、今後、財産の一層の利活用を推進していくには、どのような方法でこの財産の利活用、運用、対応していくのか、お伺いいたします。

○小野田財産運用部長 これまでの財産利活用総合計画の残された課題を解決いたしたいと考えております。そうした課題を解決するとともに、昨今の行財政を取り巻く状況変化に適宜適切に対応していくためには、新たな視点に立ちました財産の有効活用が必要でございます。こうしたことから、現在、新たな計画の策定に向けまして、検討作業中でございます。

○長橋委員 新たな視点に立った財産の有効活用を、現在、計画をし新たに打ち出すということでありますけれども、東京の地価が平成三年のピークに比べて、現在その三分の一になっている。このような状況の中で、企業も不動産もできるだけ所有をしたくない、オフバランスの傾向が見られるんじゃないかと思うんですね。
 財務上の対策から、自社ビルを所有するんではなくて、ほかから賃貸するようになってきているとも聞いているわけであります。
 また、事業サイクルの変化に柔軟に対応していくためにも、事業用地も賃貸で対応したいと、そういうニーズも高まっているんではないかと思います。アクションプランの中間まとめにも、不用となる土地などを有効活用して事業着手するまで、一時民間に貸し付けることなどを推進すると、こういうふうにもあるわけでございます。
 そこで、この貸し付けにつきまして、定期借地制度や定期借家制度、こういった制度があるわけですけれども、こういう制度を適用した実績はどれぐらいあるのか、お伺いいたします。

○小野田財産運用部長 定期借地制度の適用事例でございますが、平成十二年九月に、江東区新砂の東京都江東高齢者医療センターの職員用住宅と、十三年六月には、港区南青山の南青山一丁目団地建てかえプロジェクトの二件に適用いたしました。
 また、定期建物賃貸借制度、いわゆる定期借家制度でございますが、これにつきましては、平成十二年九月に、新宿区河田町の旧小笠原邸の貸し付けと、平成十二年十月の旧都庁舎跡地の宝塚一〇〇〇days劇場、この二つの事例が、これまでにございます。

○長橋委員 今お話がありました、売却ではなくて、定期借地で二件、定期借家で二件と、こういった実績があるわけですけれども、今の時代の流れでは、まだまだ多くないようにも思いますし、四件では少ない、こういうふうに思うわけであります。
 この売却の促進だけではなくて、こういったさまざまな工夫をして、財産の有効活用をしていく、定期借地や定期借家制度を最大限活用した貸し付けも積極的に進めるべきではないかと思うわけであります。
 この自治法の改正によって、公の施設の管理委託の相手が緩和をされた。より民間の力も活用できるようになってきているわけでありますので、このように民間の有する、すぐれたノウハウを活用する道が開かれてきているわけでありますので、財政難の中、都民に良質の公共サービスを少ない財源で提供するためには、PFIなどの民間活力を積極的に活用した施設の整備や管理を進めていくべきではないかと、こういうふうに思います。
 新たに計画を策定するに当たって、前回の計画内容をそのまま延長するのではなくて、先ほどの課題や今日的な状況を踏まえて、内容を考える必要があると思いますけれども、今度、策定をされるこの新たな計画、何を目指すのか、またこの計画の特徴について、お伺いをいたします。

○小野田財産運用部長 現在検討中の新たな計画におきましては、これまでの枠にとらわれない積極的な財産運用を図っていきたいと考えております。
 そこでは、単純な財産の売却だけではなくて、売却困難な財産や、あるいは事業着手までに一定の期間が見込まれる財産についても貸し付けを行うなど、これまで以上に多様な活用策をいろいろと検討する必要があると考えております。
 また、それらの実施に当たっては、ただいまお話がございましたとおり、民間活力の一層の利用も考えていきたいと存じております。
 さらに、今日、社会的に大きな課題となっております著作権や特許権などの知的財産の積極的な活用などについても進めていきたいと考えております。

○長橋委員 最後に、ただいまの答弁から、財産の活用についてはさらに民間活力の利用、また新たに知的財産の積極的な活用、こういったものをうたっておるわけでございますので、いろいろハードルはあるかと思いますけれども、この前回の計画が売却中心であったのにかえて、今度は大きく民間活力を導入しながら、活用しながら、そして知的財産も含めて、今まで残っていた課題を克服していただきたい、こう思うわけでございます。
 とはいっても、依然として都財政を取り巻く状況は厳しいわけでございますので、さらなる財政再建を進めていく上で、都有財産、これはイコール都民の財産でございます。一層の利活用を図ることが大変重要であると思いますけれども、最後に財務局長の決意をお伺いいたします。

○櫻井財務局長 ご指摘のとおり、都税収入が大変伸び悩む中で、都財政の状況は大変厳しくなっております。その中で、都の保有している財産の有効活用、こういうものが都民ニーズに対応した施策の展開を進める上でも、重要な柱の一つというふうに考えております。
 このため、第二次の財政再建推進プランを、財産利活用の面から支えるものとしまして、新たな財産利活用を目指しました計画の策定に向け、現在、鋭意検討しているところでございます。
 この計画では、施策の見直しや職員配置、執行体制の動向と、今後の都内部の動向、そういうものもよく踏まえまして、局や事業の壁を超えまして、全庁的な視点から、また都民の目線、あるいは今、先生からお話のありました民間の動向と経営の機動性や、あるいはPFIの活用等々、そういう意味で新しい動きも出てきております。そういう民間経営の発想も取り込みまして、財産の新たな仕組み、手法を含めた利活用、こういうものの取り組みを今後、計画としてぜひともまとめ上げ、取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○松村委員 要求資料第3号、一般会計当初予算額と最終補正予算額の推移を提出していただきましたが、この資料にもありますとおり、二〇〇二年、平成十四年度に最終補正予算が一千七十二億ですけれども、最初に、この最終補正がどういう中身だったのか、内容だったのかを、ご説明いただきたいと思います。

○熊野主計部長 平成十四年度の最終補正予算でございますが、この補正予算は、国の経済対策に呼応いたしまして、都市再生などに対して積極的に取り組むということ、それとあわせまして、都税の減収への対応あるいは財政調整基金の残高確保、さらにはディーゼル車対策の前倒し実施などについて、予算上必要な措置を講じたものでございます。
 その中で、柱となります経済対策につきましては、年度初めのいわゆる端境期、四月、五月でございますが、こういった時期における事業量を確保する、あるいは平準化を図るということとともに、国の経済対策を受けまして、国庫支出金等の財源を確保しつつ、真に急がれる社会資本の整備に呼応するために行っているものでございます。
 例として幾つか申し上げますと、道路、街路整備費三百七十五億円、三宅島等の災害復旧事業五十六億円、都営住宅等の整備二十九億円、そのほか雇用対策五十八億円等でございます。

○松村委員 この二〇〇二年、平成十四年度は赤字決算ともなり、都税収入もマイナスになると。非常に厳しい財政状況にあって、一千七十二億円のこの補正予算というのは、今説明がありましたけれども、私、そういう--補正予算を組むなとはいいません、今いったいろいろな整備とか、緊急、どうしてもやむを得ないものがありますけれども、今のご説明の経済対策として、都市再生を積極的にやるという、しかもそれが最終の補正予算で年度末ぎりぎり、赤字決算だという状況の中で、こういう予算をやることが本当に財政運営でいいのかどうかということを、私は、都民からも厳しく問われるんじゃないかというふうに思います。
 そこで、もう少し具体的に、それでは今の補正予算の投資的な経費という仕切りでいきますと、幾らなのか。
 また、当初の予算額、投資的経費の予算額、合計した数字などをお示しいただきたいと思います。

○熊野主計部長 十四年度当初予算におけます投資的経費が、六千二百三十六億円でございます。最終補正におけます投資的経費が七百九十三億円でございますので、合計で七千二十九億円となっております。

○松村委員 七百九十三億と。ですから、今の補正の一千七十二億の相当額が、こういう投資的経費に回っているということでございます。
 本来、当初予算のときには、投資的経費がこの間、石原知事の第一次プランで、削減するんだ、抑えるんだということにもかかわらず、なぜこういう形で経済対策だということで、ふえ続けるのか。
 ちなみに、平成十三年度の補正予算の投資的経費がどういう金額だったのかも、お示しいただきたいと思います。

○熊野主計部長 平成十三年度の最終補正予算におけます投資的経費は、八百四十五億円を計上いたしております。当初予算、投資的経費七千百四十七億円でございますので、合計七千九百九十二億円となっております。

○松村委員 平成十三年度も、最終補正予算で八百四十五億円もの投資的経費の予算を最終で計上しているわけなんですね。これも今、当初予算での金額もあわせてお答えがありましたけれども、このときにも当初予算では、前年度に比べていつも百十三億円、この十三年度ですか、削減としながら、八百四十五億円ですか、そしてまた十四年度も、先ほどの数字に見られるような投資額六千二百三十六億円、これも前年に比べて抑えているんだという当初予算のときの説明というか、そういう数字がありながら、結局また最終の補正予算で七百九十三億円と。
 全然減らないというか、まさに高どまりといいますか、経常経費で福祉予算とか都民施策が問題だということで、このプラン中、十四年、そして十五年と、厳しく切り込みながら、一方においてこういう投資は抑えているんだ、投資的経費も削減したなどといっていながら、いつも最終補正予算で大盤振る舞い。しかも最終補正予算のほとんどだっていう八割、九割がそういう投資的経費、今いみじくも経済対策なんだと、そしてまたその中で、都市再生を積極的に進めるんだというようなことでありますけれども、もしそれが、たとえベターというか--いつもいいますよね、社会資本整備を図れば渋滞解消だとか、そういう経済効果があって、今の不況対策になるんだということの説明もありましたけれども、だったら、当初予算できちっと計上して、しっかりと議会でも論議する、都民の意見もいただくということがありながらも、最終補正予算で、こういう多額の都民のいわば税金というか、つぎ込んでいく。
 結局、年度内に執行できるような体制にないですよね。だから金額だけは上乗せするという、一つの財政運営の悪しきといいますか、こういういわばテクニック的なやり方は、絶対都民は納得しないだろうと指摘せざるを得ないというふうに思います。
 それからもう一つは、今の平成十四年度の最終補正予算、このうち、例えば道路、街路整備三百七十五億円とか、首都高速道路整備二百七十八億円、環二地区市街地再開発事業九十一億円、河川、公園整備百五十億円という、このようなものがあるわけですけれども、この額は、結局は投資的経費の中に、今含まれていないんじゃないでしょうか。どうも金額を合計すると、合わないんですよね。
 いわゆるこれが経常経費という仕分けをして、実際には首都高速道路をつくるために東京都が負担せざるを得ないというか、負担する、例の貸付金や出資金、こういうものが、やはり今のお答えにあった数字の別枠になっているんじゃないでしょうか。ですからそれを、そういう経常経費の中に含まれている投資的な経費も含めれば、今いったような形で補正予算の大半を占めると。
 ちなみに、緊急雇用対策、この平成十四年度も非常に厳しい雇用状況で、やはり東京都政にも積極的な緊急の雇用対策とか、そういうものを求められていたと思うんですけれども、それはわずかに基金の積み立て、それから緊急地域雇用創出特別交付金事業への上乗せ、合わせても五十八億円なんですよね、一千七十二億円のうち。
 こういうことがいえると思いますけれども、今私が指摘をいたしました経常的な経費といわれている、投資的な経常経費、具体的には、首都高速道路公団への出資金や貸付金、この十四年度の補正予算では幾らでしたか。

○熊野主計部長 首都高速道路の整備ということで、二百七十八億円を計上しております。

○松村委員 赤字決算、都税収入が減収している中で、無利子貸し付けも含めた、しかも二百七十八億円、こういう巨額な、本当に何億、何十億というのは、大変貴重な財源ですよね。二百七十八億円も貸し付け出資で行う、私は本当にびっくりせざるを得ませんけれども、この間の、そうした首都高などへの出資金や貸付金、平成十二年度からこの十四年度決算までの出資、貸し付けのそれぞれの金額を示していただきたいと思います。

○熊野主計部長 まず、首都高速道路公団への出資金でございますが、十二年度百十三億円、十三年度百八億円、十四年度百十一億円。それから貸付金でございますが、十二年度二百四億円、十三年度二百六十一億円、十四年度二百八十億円となっております。いずれも決算額でございます。

○松村委員 十二年度の合計が三百十七億円ですよね。十三年度が三百六十九億円とふえて、そしてこの十四年度決算では、最終補正予算も入れますと三百九十一億円という、これは、やはりシーリングなどいろいろな各施策にはかけるとか、やはり公共投資を、もう聖域じゃない、ふやすといいながらも、これは聖域扱いどころか、本当にふえ続けているということが、この数字一つとっても、私はいえるんじゃないかというふうに思います。
 それではもう一つの、私たちがいつも例に挙げて批判する国直轄事業負担金、これについても伺わなければいけないんですけれども、この平成十四年度補正予算の中での、いわゆる国直轄事業負担金とは、どのぐらいの額が最終補正予算であるんですか。

○熊野主計部長 先ほど首都高への補正予算額二百七十八億円と申しましたが、失礼しました、百四十九億円で、それと合わせまして国直轄が百二十九億円、合わせまして二百七十八億円でございます。

○松村委員 ちょっと意味がよくわからない。もう一回あれしますと、十四年度の首都高への出資金は幾ら、貸付金は幾らなんですか。

○熊野主計部長 補正予算額で申し上げますと、最終補正予算--予算額でございますか、決算額でよろしゅうございますか。

○松村委員 十二年度から十四年度までの決算額を……。

○熊野主計部長 国直轄事業負担金の決算額……

○松村委員 国じゃなくて--今は首都高じゃなくて、答弁し直したのはどうなんですか。もう首都高の数字はいいんでしたら、それで進んで、今、国直轄事業について私は次に質問、移っているんですけれども。

○熊野主計部長 申しわけございません。整理しますと、先ほど十四年度の最終補正予算で、首都高に対する予算額はというふうにお尋ねになったときに、二百七十八億円と申し上げましたが、それは国直轄と合わせて二百七十八億円でございまして、首都高だけで申し上げますと百四十九億円、それから国直轄が百二十九億円、合わせまして二百七十八億円が十四年度の最終補正予算額の数字でございます。
 それから首都高に対する決算額は、先ほどご答弁したとおりです。
 それからあわせまして、国直轄事業負担金の決算額を申し上げますと、十二年度五百五億円、それから十三年度五百四十七億円、それから十四年度四百七十六億円でございます。

○松村委員 この平成十四年度の補正予算の中での、国直轄事業負担金の内訳を示していただけますか。

○熊野主計部長 後ほど確認して……。

○松村委員 その点も、ちょっと事前に数字を聞くことで準備していただかなかったので、私の方からいいますと、国直轄事業の補正は、先ほどの二百六十五億円なんですよね、この十四年度補正予算では。それの内訳として、私は実は、その補正予算が出た当該委員だったので、私の方で議事録を持っているので、そのときの主計部長の答弁は、国直轄事業の二百六十五億円の内訳として、道路の整備が百二十八億円、それから河川の整備で三十七億円、有明の丘防災公園の整備で百億円というご答弁をいただきました。
 私も、この国直轄というのは本当に従来から問題があるというふうに思うんですけれども、一方的に国がこういう最終補正まで、ぎりぎりに都に求めてくると。もう東京都は抵抗しようがないというか、だからこそ当初予算なんかでは拒否するぐらいのことで臨まなければ、国のいいなりでどうしようもないということを、いつもいっているわけです。しかもこの道路などは、さっき都市再生ということで、案の定、圏央道などなんですよね、この求めてきている中身を、国はなかなか詳細を当初からいいませんから。
 もう一つびっくりしたのが、今いった有明の丘防災公園の整備で百億円、これつけているんですね。私、この点でも、都市計画審議会の委員をやっているわけですけれども、広域防災広場で都市計画決定したのが、つい先日の、この十月の都市計画審議会、しかもそれに合わせて、ここを防災公園にするという地区計画もそのときに決定して、それでいろいろな道路の振りかえをやったりして決めて、初めて始まるんですよね。
 これが、なぜこの十四年度の最終補正予算に百億も計上しなければならないのか。非常に疑問というか、問題があるというふうに思いますけれども、百歩譲っても、国がそういう--国直轄事業で、これもなぜか国直轄事業というふうにのってくるんですね。都有地を国に買ってもらうというんでは、大変結構かもしれません、防災広場でね。
 ところが、このうちの、都市計画審議会の前に、よく私がただしましたら、国と東京都で用地買収費がほぼすべてで、折半だというんですね。だから東京都は五百億円、みずからの都有地を買うために五百億円出す。しかも国の五百億円のうち、その三分の一が管理者負担ということで、この管理者は東京都だということで、五百億円のさらに三分の一が東京都の財政負担と。
 この百億円がなぜ出てきたかといったら、国がこの平成十四年度、有明の丘の緊急整備ということで三百億円出したから、管理者負担の百億円を計上するやに聞いたんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。

○熊野主計部長 十四年度の最終補正予算案で計上しました百億円の国直轄事業負担金、有明の丘関係でございますが、これは、私ども、かねてより防災時におけます首都圏の住民の安全を積極的に確保する観点から、国に対して、国の責任で広域的な防災拠点を整備するべきだということで、提案要求を行ってまいりました。
 今回、これに対しまして国がこたえて、首都圏広域防災拠点整備協議会による整備地域の決定を得まして、十四年度の最終補正、国の最終補正予算案に用地取得費三百億円を国直轄事業として計上したものでございます。
 実際の執行に当たりましては、委員ご指摘のように、いろいろ手続があることは承知しておりますけれども、都といたしましても、国の予算計上を、首都圏住民の安全確保に向けた国の積極的な姿勢を示すものだというふうに評価いたしまして、国予算との整合を図って、都も国と歩調を合わせて防災拠点の整備に取り組むという姿勢を明らかにするために最終補正予算で対応したものでございまして、ちなみに、この百億円につきましては、繰越明許の議決をいただいておりますので、何ら問題はないと思っております。

○松村委員 私は、財政法上というか、何ら問題があるというような指摘じゃなくて、そういう財政運営というか、だって、これだけ赤字決算だ、都税収が落ち込んで大変だというときに、巨額な補正予算も組む、しかもその中身が、まだ事業決定というか、そういう手順も踏んでいないものが百億円--都民の目から見ればですよ、百億円の予算計上して、それは執行保留になっているというような最終補正予算の組み方でいいのかどうか。少なくとも、そういうものをきちっとチェックし、ただしていくのが、これ以上、事業局じゃありませんからいいませんけれども、逆に財務局の立場からいえば、そういうのをやっぱりしっかりチェックして、ただすべきことじゃないかと。
 先ほどの首都高の貸付金、出資金も、知事すらが何だということで、その意味は、さらにこの負担割合を一方的に国が引き上げるから、結局それと連動して都も引き上げ、財政負担せざるを得ないというような、そういうことに対して、なぜもっと財務局がですね、都民施策の方には厳しく、ばさばさ切り捨て、見直し、シーリングということでやりながら、一方、都市再生などという、こういう絡みについては、全く物がいえないというか、聖域扱いにしているということは、私は断じてただしていただきたいことだということを、強く指摘したいというふうに思いますよ。
 また、この有明の、私たちも都市計画決定は賛成しました。広域防災広場、そういうことから。しかし私は、財政の問題を考えたら絶対許せないというふうに思うんですよ。これは都有地ですよ。当初、都が丸々臨海へ現物出資したものを、一般財源で、一般会計から買い戻すなどということが考えられましたけれども、議会もみんな、そういう意見では反対しましたよ。そういう中で、今度は国が川崎とか首都圏の広域防災だというんで、国の事業としてやると。そこまでは私たち反対じゃなくて、大いにやってもらおうと。
 しかし、今いいましたように、まだ確定はしていないということは聞いておりますけれども、今までのままでいったら、国直轄の公園事業というのは、今みたいな財政で、都がそれ以上、都が負担せざるを得ない財政の額というのは巨額でありますから、ぜひこれは要望しますけれども、国でやるならば、やっぱり国の財政支出を、用地費必要な一千億だというんだったら、きちっと確保すべきだと。そういうことで、知事を先頭に、こんな理不尽なことはありませんから、それこそ国を変えるというんだったら、積極的にそういう面でやっていただきたいというふうに思います。
 そこでもう一つ、この十四年度の補正予算に関して、この財源です。都債がどのぐらい、この十四年度補正予算で財源としてあてがわれるんでしょうか。

○熊野主計部長 十四年度の最終補正予算におけます起債の充当額は、七百二十一億円でございます。

○松村委員 補正の一千七十二億、そしてその財源内訳を見れば、国庫が三百三十三億円ですけれども、都債が七百二十一億円ですよね。もうほとんど、使える一般財源の、それは赤字決算ですから、ない。借金で、しかも都市再生、都市整備だといって、今いった圏央道とか有明防災広場だとか、街路、道路、それから環状二号の市街地開発というような、中身ですね、ここに私は、補正予算というだけではなくて、今、東京都の予算全体の問題点があるんではないかというふうに思います。
 それで、要求資料の今のもう一つ、第四号ですか、資料をいただきました。都債の償還額の、十八年度までの推計も含めたものですけれども、私は、今の都財政を再建する、立て直すというならば、こういう巨額な、しかも都市再生だとか大型開発事業、私たちが批判しているそういう方向へ、本当に都の今の身の丈を超えた、私は都債を起こして、それがどんどん後年度に繰り越されて、やはりそのための利払いも含めた償還額が、今の東京都の本当に硬直した問題だというふうに、従来から指摘してまいりました。
 これは決算ですけれども、財政委員会でこの点を私が論議いたしましたら、主計部長は、大体家計に例えれば、住宅ローンなどは五倍だと。今の六兆円規模の都の予算から比べて、五倍ぐらいは当たり前だといわんばかりの三十兆円ですか、そういう大変驚くような発言を聞いて、きょうはそれを論議しようとは思いませんけれども--いや仮定だといっても、石原知事は、私の時代以前の借金でそれが今償還期限に来て、おれも苦しんでいるんだというけれども、今のような形での石原知事になっても、しかも財政再建だということで、都民は我慢を、痛みをといいながらも、一方におけるやはり大型公共事業を中心としたそれを改めないで、毎年このような多額な三千億円、四千億円を超えるような都債を発行して、その償還がピークを超えても、十八年の推計を見れば、まだ五千億円ですよね。
 ずっと高どまりとなって、都の財政に重くのしかかるし、私たちの推計では、このままいっても今のようなやり方でいけば、三十年後も今の七兆円規模の借金は、残らないということを、この間、指摘してまいりましたけれども、やはり都財政を再建するんだというならば、そういう私たちが従来から指摘している逆立ち財政をただすべきだと。そして、やはり自治体というのは、本来、都民の生活や暮らしを本当に応援することこそが、自治体の責務だということを強く申し上げて、私の質疑を終わらせていただきます。

○大河原委員 私からは、東京都建築工事標準仕様書と、化学物質対策について伺いたいと思います。
 新築や増改築した施設で、化学物質の室内空気の測定値が指針値を超えたり、また子どもが体調不良を訴えたりする事例が、続々と発生しました。東京都では、十四年度に、東京都建築工事標準仕様書の改訂を行っておりますけれども、この中で、特に化学物質対策にかかわる点について、お尋ねしていきたいと思います。
 標準仕様書は、都内の公共建築にかかわる事業者にとって、遵守すべき技術的マニュアルというふうに聞いております。市区町村には参考として送付されているということですが、その他一般の事業者向けには、どのような方法で普及されているのか。十四年度版でいえば、その値段と発行部数、活用状況など、まず伺いたいと思います。

○福島建築保全部長 普及方法と活用状況についてでございますが、都が発注する工事の請負事業者に対する標準仕様書の普及に関しましては、工事発注部局におきまして、請負者みずからが閲覧できるようにしているとともに、東京都弘済会を通じまして販売を行うなどして普及に努めているところでございます。この価格につきましては、税込みで四百九十五円というふうになってございます。
 平成十四年度版の標準仕様書の発行部数は、先ほどの東京都弘済会が既に二千部を発行済みでございまして、近々増刷の予定と聞いてございます。したがいまして、一定の活用がなされているというふうに考えております。

○大河原委員 これが現物なんですけれども、このボリュームで四百九十五円というのは、ほかの東京都から出ている資料に比べれば、かなり安価で、これは本当に東京都が普及させたいんだという思いが伝わってくるような気がするんですけれども、ただいまご報告がありましたように、これは財団法人の東京都弘済会で印刷をして、発行をしているということになっておりまして、ほかの資料とはちょっと別の扱いだと、あそこの第一庁舎の情報センターにないということなんですね。ちょっと驚きました。
 あそこへ、これを買いたいというふうにいうと、下の場所にある弘済会を紹介してくれるということなんですが、ちょっと細かいことですが、ぜひともこれは情報センターで取り扱えるようにご検討いただけないかというふうに思います。二千部刷られて、この値段ですから、弘済会の方で大きな利益になるというような性質のものではないと思いますので、どこで印刷をするか、あるいは、とにかく情報センターに置いて、もっと人目のつくところに置いていただきたいというふうに、お願いをいたします。
 次に、特にこの中で新たに追加したところ、あるいは改訂された事項については、実際に使用する事業者がわかるように、留意するように、何らかのマーキングの工夫ですとか、さらに進めて説明会などを行う必要があるんじゃないかと思うんですが、各局の発注事業に際しては、担当者及び事業者への周知、これをどのように行われているのでしょうか。

○福島建築保全部長 標準仕様書の項目が追加や改訂などされた場合におきましては、関係者が改正内容などをできるだけ理解しやすいように、ただいまお話をいただいたような工夫に努めているというところでございますが、財務局から各局工事担当者に、その都度、内容の説明を行っているところでございます。
 また、改正など変更した内容につきましては、財務局のホームページなどに掲載をいたしまして、施工業者や設計事務所などに、広く周知に努めているところでございます。

○大河原委員 ぜひともわかりやすい、そして迅速な変更点の周知ということをお願いしたいと思います。
 次に、建築基準法で使用が禁止されているのは、ホルムアルデヒドと、これは禁止という形でクロルピリホスという物質が挙げられました。最近、実際に起こった健康被害では、実は物質としては、トルエンが原因物質になっているという事例があります。この標準仕様書には、材料選定の際の化学物質の硼酸が最も少ないものを選ぶなどという記載もありますけれども、都内で発生したシックハウス、これらはどのような問題から、なぜ起こったのかと認識されているでしょうか。

○福島建築保全部長 近年、建築物の整備に当たりましては、騒音対策や冷暖房効果を高めるなどの理由によりまして、室内を高気密化する傾向が一層顕著でございます。
 一方で、建物整備にはさまざまな材料が用いられまして、化学物質の硼酸は、建材や内装材だけにとどまらず、机などの家具や什器などの、建物の完成後備えつける調度品からも確認をされております。
 こうした事態に対応するためには、これまで以上に室内の換気が重要になるわけでございますが、この対策が必ずしも十分でなかったことや、建材の使用の制限に限っていいますと、順次、拡大を伴って行われてきておりますけれども、私たちの身の回りには、五万種を超える化学物質が流通しているといわれておりまして、シックハウスは症状が多様で、その発生の仕組みなど、いまだ未解明な部分も多くございまして、こうした要因が複雑に絡み合って発生しているものと考えてございます。

○大河原委員 私たちの生活は、もう既に化学物質なしには成り立たないものになっているわけなんですけれども、今、子どもたちの中にアレルギーが非常に多いことも含めて、たとえシックスクール、シックハウスといった化学物質過敏症を発症しないまでも、徐々にその影響を受けて、将来的にもそういう危険性をたくさん持った子どもたちが育っているんだということを、ぜひご認識をいただきたいというふうに思います。
 そしてまた、こういう標準仕様書ができて、中に規定されていることがあっても、やはり工事の工程の中で、どうしてもその使用を急ぐという傾向があることは否めませんので、そうしたヒューマンエラーのようなものも、ぜひ今後のこの標準仕様書、またその先の検査などにも生かしていけたらと思います。
 ここで位置づけられているのは、引き渡し時の測定ですけれども、実際には、ご説明があったように、もう既に中に什器を入れる、備品を入れた上で、もう一回測定をするということが、どうしても必要になってくると思いますが、それは、この仕様書の中では難しいということなので、別の方法で、今、子どもガイドラインもつくろうとしていますが、そうしたことも含めて、今後の課題かというふうに思います。
 材料などの化学物質のチェックに関しては、特記事項に追加するなど改善が必要と思いますが、この点どうでしょうか。

○福島建築保全部長 都は、これまで建築工事などの特記仕様書におきまして、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレンの三物質を規制対応としてきたところでございます。
 また、本年七月からは、この三物質に加えまして、アセトアルデヒド、エチルベンゼン、スチレンなど三物質を加えまして、計六種類の化学物質につきまして使用制限を行うなどの強化の方向で、対応を実施してきております。
 また、こうした物質につきましては、工事施工前に都の監督員が製品安全データシートなどによりまして、化学物質の硼酸の少ない材料などを選定する確認を、直接いたしておるところでございます。

○大河原委員 ちょっと先ほど触れましたが、引き渡し時の測定などですね、特記仕様書には、竣工後、建物の引き渡し前に室内空気環境の測定を行うことになっております。実際の現場で、具体的にどのような確認方法をとっているのか、東京都の担当者、施設管理責任者の立ち会いはあるのかどうか、また、測定を行う第三者機関の要件など、これらはどのようでしょうか。

○福島建築保全部長 室内空気環境の測定につきましては、本年七月から、健康局に登録をされております建築物空気環境測定業の中から選定することといたしまして、本体工事の直接の請負者ではない第三者に測定を行わせるようにしているとともに、その結果のすべてを、都の監督員が確認をしているところでございます。

○大河原委員 リストに載っている事業者を選ぶということで、第三者制を確保しているということだと思います。
 ところで都立学校では、既に既存施設、もう既に建てられたものについても、順次、室内空気環境の調査を行っております。私は、学校を見てまいりましたけれども、デザインというか、その設計も昔の学校とは違って、窓から窓へ風が通るような、廊下から窓へ通るようなデザイン、設計になっていなくて、本当に気密性が高くなっているというものを実感してきましたけれども、この都庁舎も、窓はあるけれども、窓はあかない。いわゆる強制換気でこの室内の空気、浄化を行っているわけですけれども、実はもうこうした本庁舎など、こうしたところの公共施設の室内環境についても、調査の必要があるのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○福島建築保全部長 都立学校では、その多くが、窓のあけ閉めなどによります自然換気を主体としておりますことから、教育庁では、建物竣工後十年以内の施設につきましても、室内環境の調査を行っていると聞いてございます。
 一方、都庁舎は、今お話がございましたように、機械など設備機器によりまして強制換気を行っていることに加えまして、また建築物における衛生的環境の確保に関する法律に基づき、浮遊粉じんや二酸化炭素濃度等の空気環境測定を随時行ってございます。したがいまして、現時点では、調査を実施する考えはございませんが、今後、大規模改修等の際は検討してまいりますとともに、他の公共施設につきましても、そのような対応をとってまいります。

○大河原委員 今のところ、調査の予定もないようですけれども、実は九月の初めに、盛岡地裁が出している判決がありまして、これは盛岡市内の社員寮で寮母さんをしていた方が、寮の調理室で殺虫剤がまかれて、それによる被害を受けられまして裁判を起こしたものなんですけれども、ビル管法、ビル衛生管理というところで決められている防虫、駆除ですか、こうしたことも、この都庁舎の中でも行われているわけです。
 私は、以前の決算の審査のときに、あれは建設局だったと思いますが、環境ホルモンを含む農薬あるいは殺虫剤などを使わないようにということで、働きかけをいたしまして、建設局の所管の公園ですとか、墓地ですとか、街路樹とか、そういうところでは使わないと。その影響で、また都庁舎で使われている防虫、駆除に使える薬剤も変わったというふうに聞いているんですが、薬剤は変えても、実はここの空気は、はかっていないと思うんですね。ですから、今後このビル衛生管理に関することからも、また今まで質問してきましたシックハウス、この化学物質というところの観点からも、ぜひ一度はかってみたらどうかというふうに、再度要請をしておきます。
 さて、ことしの春の予算特別委員会でも、答弁で述べられたとおりに、民間の創意工夫を活用して、公共施設の整備を行う、いわゆるPFIにおいても、室内空気汚染対策が重要であり、今後、PFIの導入に当たって、標準仕様書の関連事項を遵守させるということが必要だと思います。PFI事業として注目を浴びております、昨年でいえばユース・プラザの建築契約に当たって、東京都は事業の発注責任者として化学物質対策を講じる、こういうふうに対応なさったんでしょうか。この点、いかがでしょう。

○福島建築保全部長 ご指摘のユース・プラザは、現在区部で工事中のほか、多摩部では設計を行っている最中でございます。
 これらの工事では、東京都が定めます建築あるいは電気設備、機械設備など、各種の工事標準仕様書によるものと同様の性能となりますよう、発注に当たりまして、標準仕様書にかわる業務要求水準書を作成いたしまして、これを契約書類とするなどいたしまして、化学物質対策を講じてきているところでございます。

○大河原委員 今後、民間活力に期待したPFI事業というのは、ますますふえると予想されます。新たに契約される事業についても、何らかの技術水準を確保するよう、契約内容をチェックする必要があるというふうに思いますが、この点はいかがでしょうか。

○福島建築保全部長 PFI事業におきまして建設された建物でございましても、基本的には都の施設であることにかわりはございません。したがいまして、都が直接建設する建物と同様の対応をしてまいります。

○大河原委員 PFIまでは、本当に東京都のこの標準仕様書がそのまま生かされるというふうに、理解をいたします。
 そこで、東京都の先駆的な取り組みである化学物質子どもガイドライン室内空気編、ここでは、成長過程にある子どもたちを化学物質による健康被害から守るために、さまざまな提案がされております。結び、最後の部分に、より安全な室内環境を目指すために、使わない、持ち込まない、追い出す、取りかえる、なくす、こういうことを子どもたちへの五つの約束として、記載されているわけです。化学物質対策は、季節や時間帯、また什器、備品の設置状況など、こうした子どもたちの生活実態に合わせた総合的な配慮がされなければいけないと思います。
 そして、さらに重要なことは、公共施設の維持管理においても、また現場で実際に作業を行う事業者に対しても、化学物質関連情報の提供、いわゆるリスクコミュニケーションを図り、その理解能力ですね、化学物質リテラシー、これを育てることだというふうに思っています。
 東京都は、化学物質子どもガイドラインを、学校、幼稚園などの教育機関、そして認証保育を含む保育施設、児童館など子どもの関連施設、PFI事業などにおいて活用を図るべきだというふうに考えます。東京都の教育庁では、現在、室内化学物質対策検討委員会が設置され、そしてその中で、具体的な対策が検討されています。ただし、これは九月に最終報告が出ると聞いておりましたけれども、これが十一月にずれ込んでいるというふうに聞きました。
 こうした庁内の化学物質対策について、財務局としてのご見解はどのようでしょうか。

○福島建築保全部長 先ほども若干、答弁のところで触れさせていただきましたが、化学物質は、私たちに豊かで快適な生活の恩恵を与える一方で、環境汚染や健康への影響などの原因となることも指摘をされているところでございます。
 したがいまして、化学物質対策は、できる限り正確な知識を身につけるとともに、物質を減らしていくこと、また使用に配慮すること、実態の把握方法など、さまざまな取り組みを行っていく必要があると認識してございます。
 現在、教育庁が設置をしました室内化学物質対策検討委員会は、こうした取り組みの一環でございまして、今後の議論を踏まえながら、施設整備に対して必要に応じて対応していく考えでございます。

○大河原委員 施設の管理をするということは、財務局だけの仕事でなくて、各局がやることですけれども、局間の連携をさらに進めて、東京都が発注する事業、認証する事業など、都民が利用する公共施設においては、こうした化学物質対策が徹底されるように期待をいたします。
 そして、そのためにも、実際の契約時、そして材料を選ぶとき、また建築工事の期間中、竣工から納品に至るまで、東京都としての調査点検、また助言や指導が行える技術的専門家もメンバーとして、例えば、シックハウス対策チームのようなものを、財務局が設置するということも必要ではないかと思うんですが、こうしたアイデアはいかがでしょうか。

○福島建築保全部長 都が発注いたします工事につきましては、現時点で考え得る化学物質対策を、可能な限り講じてきていると考えてございますが、他の公共施設整備、また維持管理につきましては、財務局が立ち上げました施設整備に関係する各局や区市の代表も参加いたします東京都建築協議会などの場を通じまして、一層連携を密にし、より効率的なシックハウス対策が講じられるように、今後とも取り組んでまいります。

○大河原委員 それぞれにご丁寧なご答弁をいただきました。
 検討されております化学物質対策の最終の報告書が出ましたらば、ぜひともそれをしっかりと受けとめて、特記事項の改訂、そしてその後、またこの建築標準仕様書の改訂などにも結びつけていただきたいと思います。
 また、既存のこの本庁舎の空気測定、これもそんなに大がかりなものでない、一般的に行われているような簡易検査でも結構です。ぜひ一度、お試しいただきたいというふうに思います。
 質問を終わります。

○串田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○串田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十一分散会

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