委員長 | 和田 宗春君 |
副委員長 | 吉原 修君 |
副委員長 | 藤井 一君 |
小磯 善彦君 | |
三宅 茂樹君 | |
こいそ 明君 | |
新井美沙子君 | |
丸茂 勇夫君 | |
中村 明彦君 | |
清原錬太郎君 |
欠席委員 なし
出席説明員都市計画局 | 局長 | 勝田 三良君 |
次長 | 藤井 浩二君 | |
技監 | 梶山 修君 | |
総務部長 | 村松 満君 | |
都市づくり政策部長 | 森下 尚治君 | |
都市づくり調整担当部長 | 南雲 栄一君 | |
参事 | 金子 敏夫君 | |
都市基盤部長 | 山崎 俊一君 | |
外かく環状道路担当部長 | 道家 孝行君 | |
参事 | 宮川 昭君 | |
都市防災部長 | 成田 隆一君 | |
市街地建築部長 | 野本 孝三君 | |
港湾局 | 局長 | 成田 浩君 |
技監 | 高野 一男君 | |
総務部長 | 浅倉 義信君 | |
参事 | 岡田 至君 | |
港湾経営部長 | 片岡 貞行君 | |
参事 | 新田 洋平君 | |
臨海開発部長 | 高松 巖君 | |
開発調整担当部長 | 萩原 豊吉君 | |
営業担当部長 | 金子 優君 | |
港湾整備部長 | 樋口 和行君 | |
計画調整担当部長 | 松井 創君 | |
参事 | 安藤 哲士君 | |
離島港湾部長 | 原田 龍次君 | |
参事 | 松本 義憲君 |
本日の会議に付した事件
平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
都市計画局関係
・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
・平成十四年度東京都都市開発資金会計決算(質疑)
港湾局関係
・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
○和田委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
本日は、都市計画局及び港湾局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
これより都市計画局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十四年度東京都一般会計決算中、都市計画局所管分及び平成十四年度東京都都市開発資金会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○村松総務部長 十月十日の当分科会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元に配布しております当局の平成十四年度各会計決算特別委員会第三分科会資料の表紙をめくっていただきまして、目次をごらんいただきたいと存じます。
資料は、1の多摩都市モノレールの導入空間状況から、10の第五回地震に関する地域危険度測定調査結果までの十種でございます。
それでは、まず一ページをお開き願います。1の多摩都市モノレールの導入空間状況でございます。
多摩都市モノレールのルート及び区間ごとに分けまして、計画延長、二十二メートル以上の道路幅員の有無を記載してございます。
二ページをごらんいただきたいと存じます。2のバスロケーションシステムの導入状況及び支援でございます。
平成十三年、十四年度別に、システムを導入しております事業者、導入地域、事業規模をそれぞれ記載してございます。
三ページをごらんください。3の首都高速道路公団に対する出資金等の推移でございます。
過去十年間の首都高速道路公団に対する出資金、貸付金及び出資率、貸付率の推移をそれぞれ記載してございます。
四ページをごらんいただきたいと存じます。4の都が扱っております建築確認申請件数と建築紛争処理状況でございます。
過去五年間の建築確認申請件数、建築紛争件数、処理状況、建築紛争調停委員会開催回数を記載してございます。
五ページをごらんください。五ページから八ページにかけまして、5の都心五区における主な面整備事業等の一覧を記載してございます。
五ページは、地区計画等の一覧でございます。地区計画と再開発等促進区を定める地区計画について、区ごとに地区名と面積を記載してございます。
六ページは、特定街区の一覧でございます。区別にそれぞれ街区名と面積を記載してございます。
七ページをごらんください。市街地再開発事業の一覧でございます。区別にそれぞれ地区名、施行者及び面積を記載してございます。
八ページをごらんください。土地区画整理事業の一覧でございます。区別にそれぞれ地区名、施行者及び面積を記載してございます。
次に、九ページでございます。6の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積の推移でございます。
過去十年間の都心三区、都心五区、二十三区の業務床面積を記載してございます。
次に、一〇ページをごらんください。7の生産緑地地区の追加指定状況でございます。
過去十年間におきます区部、市部ごとに、都市計画変更後の地区数及び面積、追加となった地区数及び面積、削除された地区数及び面積を記載してございます。
次に、一一ページをごらんいただきたいと存じます。8の総合治水対策における雨水流出抑制施設の整備状況でございます。
第一欄は平成五年度までの公共施設、民間施設等の整備状況の累計を、以下は年度ごとの件数を記載してございます。
次に、一二ページをごらんください。9の核都市の育成・整備計画の進捗状況でございます。
五つの核都市ごとの整備計画、規模、進捗状況を記載してございます。
最後に、一三ページをごらんいただきたいと存じます。10の第五回地震に関する地域危険度測定調査結果でございます。
総合危険度と部門別危険度ごとに、それぞれ三から五の危険度ランク地域に分け、ランク別面積が大きい区名を順に記載するとともに、ランク別合計面積を記載してございます。
以上で資料説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○和田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○こいそ(明)委員 それでは、まず一点お聞きしたいと思います。
多摩の心しんでありますけれども、平成十年四月に、多摩の心しん育成・整備計画が策定をされたわけでありますけれども、自立型、自立都市圏の形成を促進していくためにも、業務、商業等々の都市的サービス機能、または各種産業集積、育成するための広域的な拠点づくりを進めるんだ、こういう方向が示されたわけであります。その後、平成十二年十二月の東京構想二〇〇〇の中で、多摩の心しんは名称的に核都市と、こう変わったわけでありますけれども、相互の連携、交流をさらに促進させることによって、東京圏全体のバランスのとれた地域構造を実現できるものだ、こういうふうに思っているところであります。とりわけ多摩ニュータウンについては、その立ち上げ時期から今に至るまで、東京都が事業者として、また広域行政体として主体的に整備育成を進めてきたわけでありますけれども、平成十四年十二月には新たに多摩市を追加した業務核都市の基本構想を策定するなど、業務系機能の育成整備の方針を打ち出しています。
しかし、にもかかわらず、実際の育成整備の現状の状況を見ると、この計画が果たしてどうなのか、不十分といわざるを得ないわけであります。多摩の重要な拠点である核都市として、その一つである多摩ニュータウンを見たときに、東京都はこのまちをどのようなまちに、また多機能都市として育成整備をしていこうとしているのか、このまちをどのようなまちにしていきたいのか、それがよく見えませんので、そのあたりからまずお聞きしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 核都市のまちづくりの基本となります、今先生おっしゃいました平成十年の多摩の心しん育成・整備計画におきましては、すぐれた都市環境を生かし、人々が集う複合拠点というものを将来像に据えまして、日本を代表する多機能型のニュータウンとして、高次な生活サービスの充実、教育文化環境の向上、新たな産業の創造等にかかわる諸機能の一層の拡充と雇用機会の創出拡大を図っていくことなどを育成整備の目標として掲げてございます。
○こいそ(明)委員 当然、都市環境に配慮しつつ、人々が集う複合的な拠点、多機能のまちづくりを展開していくんだ、こういうことだと思うんですけれども、しかし、都はこれら計画、方針を策定してきたわけでありますけれども、実現させていく中では、具体的な今までの経緯、経過を見た中で、多摩の心しんからですね、現状は未利用地が非常に点在をしている。駅の至近のところにも、例えば多摩センターという駅の、特に都有地を中心としての未利用地が現在もかなりの面積がそのままの状態になっている。
それと、これは南側は住・都公団--基盤整備公団、ここの部分、それから全体で四市にまたがる全体的な状況を見てみても、例えば、私もこれは常任委員会でもいわせていただきましたけれども、そのいわゆる指定した若葉台駅の北側状況なんか見ましても、かなりといいますか、圧倒的に民間マンション開発が物すごい勢いで、これだけ需要があるのかというぐらい、きょうもやっていますよね。毎日毎日のように建設していますよ。こういう状況の中で、複合拠点、多機能都市のまちづくりを目指していくんだということでありますけれども、全体的な、多摩ニュータウン区域全体的に見た中においても、このまま推移していくと、今申し上げたようにマンション業者が先行的に買って、そこはもうマンションが建つ。そして一方、既設の建物を見ていくと、老朽化、少子高齢化現象が加速度的にそういう比率が高くなってきているということ。少なくとも業務・商業機能の誘導策、それからしっかりしたインフラが整備をされてきたわけでありますから、このまちをもう一段このような、先ほどご答弁いただきましたような、そのような都市像というか、将来像といいますか、こういうことに近づけていくということを具体的に進めていくべきじゃないかと思いますが、そのあたりいかがでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 これまでの取り組みでございますけれども、都市計画の面からは、新住宅市街地開発法に基づきます土地利用計画等に沿った機能誘導を進めておりますほか、地区計画におきまして、業務・商業系の誘導を図る地区での住居系用途の建築について制限を定めております。一方、公団を含む事業者の立場からは、商業施設等の公募に当たりまして、住宅の併設は不可とするなど、募集要項及び建設指針による誘導を行っているところでございます。
今後もこれらの制度を組み合わせながら、適切な機能誘導を進めていきたいと考えております。
○こいそ(明)委員 ぜひそういう方向で進めていただきたい、こういうことを強く要望するところでありますけれども、先ほどからるる申し上げておりますように、各それぞれの駅ですね、南大沢駅もそうでありますし、それぞれの駅の状況を見ると、そこで顕著に思うのは、例えば南大沢駅周辺の開発状況を見ますと、これは東京都が主導的に、主体的にまちを形成してきたような感がするんです。
せんだっても初めて監理団体が会社更生法の適用を受けて、今物すごいぜい肉というんですかね、いろいろな負いを、債務を軽減できたので、大変今健全的な監理団体になったというふうに我々も認識をするわけなんですけれども、あの状況を見たときに、例えば都立大学がある、それから、いろいろなさまざま民間施設が来る、ショッピングゾーンがあるとか、公共公益的施設も整備されているとか、これはかなり東京都は力を入れた。一面ちょっと目を転じると、先ほど申し上げた、唐木田駅はちょっと置いておいても、多摩センター駅ですね、この周辺状況は歴然として全くもって手つかずの状態がとりあえず北側にはあるわけですね。南側の状況はどうかというと、公団も十五年間の用地の貸与ということで、いろいろなレジャー施設を誘致いたしましたけれども、これはこれでありますけれども、かなりその地域地域、駅周辺の、それも施行する施行主体者によって整備がかなり差がついてきたんだなという感じも実はするんですね。
このあたり、私は先ほどのお話の中で、広域的な行政体である東京都が、東京都はその責任のもとで、それぞれ業務核都市というのは、これは国でありましょうけれども、核都市として指定した。多摩の心しんというものを策定して、それから実施段階に移る中でも、これは東京都がやるというどうしても主体を持ってなきゃいけない。これは私は実態を見ると、少なくとも人がにぎわう、複合、多機能的な都市がなかなか--南大沢では少しは芽生えつつ展開がなされているかに見えます。これは皆さんのご努力だと思いますね。だけれども、他の地域もやはりそのように、全く手つかず。ちょっと先ほど申し上げたリザーブ用地というか、未利用地を見ると、ぱっとあれを見ると、もうマンションの計画が看板が立って、それで係争状態が次から次に起きているという現象、そんなことばかりが起きているようなことも我々一方的に聞くわけなんですけれども、こういうことを含めて、さらなる誘致が当然、この間建設局でもいわせていただきましたけれども、ただ単に土地を売るだけじゃなくて、いろいろな手法で、まちづくりの展開というのは手法が講じられてくるんじゃないか、こういうことをいわせていただきましたが、都として今申し上げた状況をどのように把握をされているのかというところもお聞かせいただきたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 多摩ニュータウンにつきましては、多摩地域における広域的な拠点といたしまして、都としても計画的、重点的に育成整備を促進してきたわけでございます。しかしながら、今こいそ委員おっしゃいますように、社会経済状況の変化、長期化する不況の中で企業の投資意欲にも陰りが見えまして、この地域に限らず、当初想定した業務・商業系の立地が思うように進んでいないなど、いまだ不十分な点が多々あると認識しております。都も厳しい財政状況にございますけれども、今後とも市や公団等とともに協力しながら、さらなる工夫を講じていきたいと考えております。
○こいそ(明)委員 そこで、その育成整備に向けた課題は当然多いわけでありますけれども、これもこの間建設の関係の決算の質疑の中で聞かせていただきましたけれども、国が都市再生プロジェクトの中で多摩ニュータウンをモデル地区に、いわゆる再生事業として指定したという話も聞くわけなんですね、モデルとして。いや、この真偽はまたいろいろあるでしょうけれども、調査を行うというんでしょうかね、実際は。しかし、そうして国が全国的な、大阪の千里ニュータウンもそうでありましょうし、全国的な中でのこのように再構築をしていかなきゃいけないところ、また、どのようにしたら育成整備が進められていくのかという、国もやはり都市再生本部を中心にそのような動きがあるように聞くんですが、都市計画局という立場からこれらの動きについて、または東京都がこれらの動きに対して--東京都はそのようなことをどのように把握をされているか、その状況把握をどのように努められてるか、そのあたりどうでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 今、調査の話がございましたが、国におきましては、都市再生プロジェクトの推進の一環といたしまして、居住者ニーズの変化に対応したニュータウンの再活性化方策検討調査なるものを実施すると聞いております。対象は全国のニュータウンでございますが、多摩ニュータウンもその対象に含まれるものと思われます。
○こいそ(明)委員 そうすると、まだ具体的に、国の調査はどのような内容になるのかということのようでありますけれども、かねがね指摘をさせていただいておりますように、多摩ニュータウンで最も必要なのは、住宅都市から、先ほどから申し上げているような、多機能の都市へと脱皮をするんだ、していく、業務などの複合機能をまさに誘致する必要性がある。そのような内容は、国の今の動きの中で、国の調査ですね、調査の中ではこういうようなことはどのように織り込まれようとしているのか、そのあたりどうでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 国の調査の内容でございますが、詳しい内容はまだ定かではございませんけれども、国の調査では、居住者ニーズの変化に対応したニュータウンの再活性化方針を取りまとめるということで、いわゆるニュータウンのオールドタウン問題、住宅の建てかえですとか公共施設の活用等の課題が中心となりまして、業務など複合機能の誘導につきましては主要なテーマにはならないものと見込まれます。
○こいそ(明)委員 この新住事業も一定の段階を迎えつつあるようでありますけれども、これまで計画整備を進めてきた当事者といいますか、責任者として、土地を売却、土地を売って、要するに収束段階の中で撤退だということのように非常に聞こえてならないところもあるわけでありますけれども、しかし、業務・商業機能のさらなる誘致に向けて、ここでぜひ都市計画局が中心となって、今までの計画も、また業務核都市のいわゆる素案というんでしょうか、この事前調査を含めた、これも東京都の都市計画局がやってきたわけでありますから、ぜひリーダーシップをここで発揮していただきたい。そして東京都として、業務等々の複合機能の促進という観点から地域活性化に向けた施策を東京都として独自に進めていくべきではないのかと考えるわけでありますけれども、このあたりはどうでしょうか。
○南雲都市づくり調整担当部長 多摩ニュータウンにおきましては、すぐれた都市環境を生かした複合拠点の形成を図っていくために、今こいそ委員おっしゃいましたように、業務系等複合機能の充実が重要であることは十分認識しております。このため、今後、関係機関とも連携しながら、多摩ニュータウン地域の活性化方策について調査検討を行ってまいりたいと考えております。
○こいそ(明)委員 多摩ニュータウンの調査及び検討を進めていくんだというお話がありました。大変結構なことであります。今のお話の調査ですね、具体的にどのような内容を考えておられるのか、このあたりをお願いしたいと思います。
○南雲都市づくり調整担当部長 現在、多摩ニュータウン地域の活性化を目的とした調査を行うということで、詳細につきましては現在検討中でございますが、その一部内容といたしましては、産業界の動向を把握しながら企業を洗い出した上で、アンケート調査を行いまして、多摩ニュータウンへの立地に当たり何が支障となっているのか、また、どのような条件が整備されれば立地が可能になるのかなど、企業側の意向を十分把握した上で、それに対応した具体的促進策を提言できればと考えております。また、特定地域をモデル地区として設定いたしまして、具体的な検討を行うことも考えております。
○こいそ(明)委員 先ほどの国の多摩ニュータウンに対する調査より、私はもう一歩進んで、具体性が東京都の今お話の中であるように思いました。いずれにいたしましても、実効的効果が上がるように、促進が具体的になされるような形でぜひ調査検討を、大変時期、当を得ていると思いますので、ぜひよろしくお願いいたしまして、取り組みを強く強く要望して終わらせていただきます。
本当は局長答弁が欲しかったけれども、いいでしょう。--局長、じゃ、よろしくお願いします。
○勝田都市計画局長 多摩ニュータウンの議論でございますが、昭和三十年代の中ごろからもう既に四十年という長い期間、ニュータウンづくりが進められてまいりました。私は多摩ニュータウンは世界に誇れるニュータウンだというふうに本当に思っております。もちろん不十分な面も多々残っておりますけれども、この間、地権者の方々あるいは関係の方々の努力によりまして、こうしたまちができてきたことでございますが、やはり時代時代の経済状況の変化、こういったものがございまして、今大変厳しい条件下にあるというふうに考えております。したがいまして、今回の調査に当たりましては、中長期的な視点も踏まえましてまちづくりのあり方を考えていくことが大事でございまして、都独自にその成果を上げて有効に活用して、引き続き多摩ニュータウンの育成整備を進めていきたいというふうに考えております。
○小磯(善)委員 それでは、三つの課題について質問させていただきます。
最初に、都市水害のことでございます。
国交省は都市水害の防止に的を絞った特定都市河川浸水被害対策法というのをことしの六月に制定をいたしました。これは特に都市部で浸水被害が頻発しているということで、浸水被害の発生するおそれのある河川を指定して、想定水害水域を公表し、自治体には避難経路、また避難場所の整備や浸水対策を義務づけるというものでございます。ヒートアイランド現象で本当に大変な雨が降ったりとか集中豪雨、それからまた宅地開発が進んで、水が地中にしみ込みにくくなったりとか、そしてまた、私のいます町田市でもあったわけでございますけれども、いわゆる宅地開発の際に流出緩和を目的に設けられた調整池ですね、その調整池が埋め立てられてしまうおそれがある。そういったことで今回の法律の中には、保全調整池、そのような位置づけをすることになったわけでございます。町田の調整池を守るために、その運動が一つ今回のこの都市水害防止法の中に保全調整池という位置づけができたというふうに私は思っているわけでございます。
そこで、その点について何点かお尋ねをしたいと思います。
まず、東京都はどのような河川を特定都市河川に指定して、どのような区域を特定都市河川流域として指定する予定か、お伺いをしたいと思います。
○山崎都市基盤部長 特定都市河川浸水対策法の趣旨につきまして、現在、小磯委員の方からご説明いただきましたけれども、この法は、都市部を流れる河川にございまして著しい浸水被害が発生する、またはそのおそれのある、そういうところについて河道、いわゆる河川整備でございますけれども、河道だとか洪水調整ダムの整備だけでは洪水、浸水被害の防止が図れない、こういうような区間の中から特定都市河川を選んで指定する、こういうことになってございます。
また、この特定都市河川流域というものにつきましても、市町村長及び下水道管理者の意見を聞いた上で指定する、こういうような仕組みになってございます。
本年六月に公布され、現在政令等について検討されているということでございまして、具体的にはそれらの内容を見た上で今後検討していくことになるというふうに考えております。
○小磯(善)委員 この特定都市水害防止法の概要というのが国土交通省から出ているんですけれども、その中には、神田川、鶴見川等の全国三十から四十河川を想定、こういうふうな書きぶりがしてありますので、当然、東京では神田川、鶴見川が入ると思うんですが、いかがでございましょうか。
○山崎都市基盤部長 神田川、鶴見川、境川につきましては、これまでも総合治水対策に関する協議会、これは当局、建設局、下水、それから五十三区市町村で構成されておりますそういう協議会でございますけれども、そういうところで流域別の整備計画を策定しまして対策を講じてきたところでございます。
ただ、大変申しわけないんですけれども、入るか入らないかということを今の段階で予断をもって申し上げることについてはご容赦願いたいと思います。
○小磯(善)委員 わかりました。
それで、ここに流域水害対策の計画、これがいつごろ策定の予定かということ、それからまた、河川管理者による雨水貯留浸透施設の整備というのがどのような施設なのか、ちょっとまとめてお伺いします。
○山崎都市基盤部長 流域水害対策計画でございますけれども、これは当該河川の河川管理者、それから都道府県及び市町村の長並びに当該流域河川に係る下水道管理者が共同して定めるということになってございます。先ほど申しましたように、特定都市河川及び特定都市河川流域が指定され次第早急に策定していく、こういうことになろうかと思います。
それから、雨水貯留浸透施設はどのようなものかということでございますけれども、現在三大都市圏の都道府県及び政令市の意見を聞きながら、国がガイドラインを作成中でございます。雨水貯留施設というのは河川管理者が河川から離れた場所に設置する雨水貯留浸透施設でございますけれども、そういう中でその内容が明らかになってくるというふうに考えてございます。
○小磯(善)委員 いわゆる一千平米以上の土地の浸透阻害行為に対しての対策量、これはどの程度を考えておられるのか伺いたいと思います。
○山崎都市基盤部長 大変恐縮でございますが、先ほど申しましたように、国がガイドラインの内容を検討中でございまして、今の段階で私どもの方から具体的な対策量ということをちょっと明示できない段階でございます。恐縮でございます。
○小磯(善)委員 神田川、鶴見川、境川流域で現在行われているいわゆる流域対策の現状、ではこれをお示しください。
○山崎都市基盤部長 先ほども申しましたような協議会で、昭和五十五年から五十六年にかけまして流域別の整備計画をつくっておりまして、現在これに基づいて対策を講じているところでございますが、ヘクタール当たり六百トンという内容をもって、公共施設あるいは大規模民間施設において対策を講じているところでございます。
○小磯(善)委員 要するに既にある調整池については六百トン、一ヘクタール当たりの容量で開発指導しているということであれば、今後の浸透阻害行為に対しての対策量も当然やはり六百トンでなければいけないと、私はこう思います。そうしないと容量不足にもなるし、既設調整池とのバランスを著しく欠くことになる。弊害が生ずる可能性があります。そんなことで現在、国と三大都市圏の都道府県、それから政令市とともにガイドラインの内容について作業中であるということであれば、もう既にこの三つの流域で対策は六百トンであるということをしっかりと東京都から意見をいって、その線になるように私はすべきである、こう思いますが、いかがでございましょうか。
○山崎都市基盤部長 これまで六百トンということで対策を講じてきたわけでございますから、そういうものは十分踏まえながら、ガイドラインの内容等照らしながら検討してまいりたいと考えております。
○小磯(善)委員 ぜひその線で頑張っていただきたいというふうに思います。
また、東京都が既存の防災調整池について保全調整池として指定することになっておりますけれども、これが恐らく、予定は立たないということでございましょうが、いつごろ予定しているのか。いわゆる川を指定するのは、来年度あたりではもう川が指定できるのか、その辺も含めてちょっとお伺いします。
○山崎都市基盤部長 防災調節池で浸水の防止を図るために、それが存置あるいはずっと守っていく、そういう必要があるときにつきましては、当該防災調節池を保全調節池というふうに指定することができるような法の仕組みでございます。そのことによりまして、調節池としての機能阻害が起こるような行為については届け出義務等が発生するということで、保全されることになるだろうということになっております。
再々申し上げていまして恐縮でございますけれども、特定河川流域の指定後、関係市町村の意見を聞きながら随時指定していく、そのようなことになるだろうと思っています。
それから、特定河川の指定の時期についてのお問い合わせでございますけれども、政令の指定状況等々見ながら検討させてもらいたいと思います。
○小磯(善)委員 ことし六月にできたばかりの法律ということで、本当に予定、予定のご答弁ということはもう重々承知の上で質問をさせていただきましたけれども、特定都市河川浸水被害対策法というのは大変大事な法律である。それを政令を定めていく、その過程において、やはり東京都の果たす役割というのは極めて大きいと私は思っております。そしてまた、この保全調整池ということの考え方、いわゆる宅地開発をして調整池をつくった。でも、その調整池がどこの調整池なのか。その調整池自体がどんどんどんどん転売されて、全然責任のないところで埋め立てられたり、そこの部分を開発されたりしたら、何のための調整池かわからない。だから、保全調整池としてきちっと位置づけていくということがこの法律にせっかく盛り込まれたわけでございますから、これについては本当に東京都の都市計画局の積極的なかかわりといいますか、ご意見をしっかりといっていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、次に多摩都市モノレールの整備計画でございます。
今後の多摩地域の発展のためにも計画路線の着実な整備が必要であろうと思います。運輸政策審議会答申で示された上北台-箱根ヶ崎間、多摩センター-町田間、多摩センター-八王子間については、いずれも整備に向けて早期に導入空間の確保を行うべきであると考えておりますが、現在の導入空間の確保状況についてお伺いしたいと思います。
○山崎都市基盤部長 多摩都市モノレールにつきましては、現在多摩センターから上北台間で運行されておりまして、南北交通の充実など、地域の活性化に大きく寄与しているというふうに考えてございます。
一般に都市モノレールを導入するためには二十二メートル以上の道路幅員が必要となってまいりますけれども、二十二メートルの道路幅員を有する割合につきましては、小磯委員の方からご紹介いただきました三ルート全体で約三十七キロあるわけでございますけれども、四六%に相当します十六・九キロがそれ以上の幅員を有している、こういうことになろうかと思います。
○小磯(善)委員 モノレールについては、私も自分が都市・環境委員会に所属していたとき、または本会議等についても、何回も質問をさせていただいているところでございます。南北間の公共交通機関の手段の確保というのは、大変三多摩にとっては大事なことであるというのがございます。それから、都としても多摩構想、または東京構想などで多摩都市モノレールの重要性ということをうたっているわけでございます。ですから本当に、いろいろ都の財政も厳しいわけでございますけれども、多摩都市モノレールの構想を着実に実現をしていかれたいというふうに思っております。そしてその多摩都市モノレールを延ばしていくためには、導入空間の確保をしっかりとお願いしたいと思っております。
また、次期整備路線として上北台から箱根ヶ崎が予定をされて、多摩センターから町田というのは導入空間を確保すべき路線ということになっておりますけれども、私は利用客数も大変大事なポイントであろうと思っております。町田ルートというのは小山田桜台、また山崎団地、木曽団地などマンモス団地を通る構想になっておりまして、そういった意味では利用客の飛躍的な拡大が期待されるというふうに思っております。また、町田市の駅前の再開発事業など努力もあって、導入空間の整備が今回、ことし整ったわけでございます。そういった意味でぜひとも多摩都市モノレールの早期整備ということについては、私もしっかりと執念を持って取り組んでまいりますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
それから、続いてバスロケーションシステムについてお伺いをしたいと思います。
資料要求しましたこのバスロケーションシステムでございますけれども、平成十四年度の東急バスに対するバスロケーションシステムの導入にかかわる補助の内訳がどうなっているのかお伺いをしたいと思います。
○山崎崎市基盤部長 平成十四年度の東急バスに対する補助でございますけれども、バスロケーションシステムにつきましては、インターネットや携帯電話を活用した方式が東急の方式でございまして、渋谷を起点とする地域の十四路線を運行する百五十九台のバスの車載機及びモニター用パーソナルコンピューターの購入費に対しまして、四分の一の補助を東京都は行っております。
○小磯(善)委員 ことしの二月の予算特別委員会で、バスロケーションシステムの一層の普及拡大を図るべきである、こういう質問に対して、局長から前向きな答弁をいただいているわけでございますが、平成十三年度と比較すると補助額が減となっているのはなぜなのかお伺いしたいと思います。
○山崎都市基盤部長 バスロケーションシステムの導入は、基本的にはバスの事業者の判断によりまして、その年度その年度申請されるというような状況になっていますものですから、毎年度の補助額に増減が生ずることが出てまいります。東京都としましては、予算の範囲内でシステム導入に向けた支援を積極的に行ってまいりたいと考えております。
○小磯(善)委員 例えば多摩の場合は、今、鉄道というのがなかなかないわけですよね。そうすると市内で使う交通手段としてはやはりバスになるわけであります。そういった意味で、バスの利便性を高めていくということは大変多摩の交通手段の確保という中では大事な位置を占めていると思います。そういった意味で予算特別委員会でも質問させてもらったんですけれども、なかなか、実際私なんかがバス事業者の方にお会いして、例えばバスロケーションについて東京都から何かいろいろな広報とかありましたかと聞きますと、いいえ、もう全然そんなのはありませんよという回答が返ってきたり実際するんですね。だから、そういった意味では、普及拡大という意味で、具体的にそういう地域のバス事業者についてはしっかりと広報していただきたいなというふうに思うわけでございます。
バスロケーションシステムというのはバスの走行位置、また停留所までの到着予測などを、バス停留所の表示板や携帯電話などを通じてバス利用者に運行情報を提供することによって、バスを待つ際のいらいらを解消すること、また、目的地までの渋滞の状況を知ることができるなど、バスがどんどん便利になり、また、生活の足としての役割が増すことになるわけでございます。また、最近はバスロケーションシステムというのはそういうバスの利便性を高めるだけでなく、文字放送などの機能を取りつけることによって、地域の情報を発信することも可能となるわけであります。だから、ある意味では、携帯電話でバス停留所にあと何分ぐらいでバスが着くのかというのがわかるということは、高齢者や障害者の方にとってはバリアフリーの意味もあるわけであります。そういった意味で、ぜひともこれはしっかりとお願いしたいと思っておりまして、局長から再度、その普及拡大に向けての決意表明をお伺いしたいと思います。
○勝田都市計画局長 バスロケーションシステムでございますが、小磯委員からお話ありましたとおり、地域交通の円滑化に資するとともに、バス利用者の利便性の向上が図られ、利用者のニーズに合ったさまざまなサービスを提供することが可能となれば、都民により親しまれる公共交通機関としてバスの利用が高まると考えています。都といたしましては、今後ともバスロケーションシステムの普及拡大に向け積極的に対応してまいりたいと思います。
○丸茂委員 それでは最初に、最近動きが目立っております羽田空港再拡張計画に関してお伺いしたいと思います。
まず、羽田空港再拡張事業に関する協議会ができておりますが、構成員はどうなっているのかお伺いいたします。
○宮川参事 羽田空港再拡張事業に関する協議会の構成員でございますが、国土交通大臣及び東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県の知事及び政令指定都市でございますさいたま市、千葉市、横浜市、川崎市の市長でございます。
○丸茂委員 それでは、これまで三回にわたる協議会が開かれていると思うんですが、その協議会の議題となったもの、内容はどういうものなのかお伺いをいたします。
○宮川参事 協議会におきますこれまでの協議の中身でございますけれども、羽田空港の再拡張の意義、飛行ルート、騒音問題、再拡張による経済波及効果、再拡張後の国際化のあり方等でございまして、これらについて国土交通省から説明があり、協議が行われてございます。
○丸茂委員 今、協議の中身に、飛行ルートや騒音問題について協議もされたと。特にルートや騒音問題でいいますと、一番影響が大きいのは、空港のある地元大田区なわけですが、大田区との関係は一体どうなっているんですか。
○宮川参事 大田区との関係でございますが、大田区は協議会の構成員とはなっておりませんので、協議会の資料及び議論の状況につきまして、協議会が終わりました後、速やかに私ども東京都から大田区の方に説明をしてきてございます。
今後とも、同様に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○丸茂委員 大田区はこの協議会に入っていないんですね。率直に本音のところを聞きましたら、協議会に入ると必ず地元負担問題が出てくるだろうし、いろいろな地元の関係からいえば、協議会に逆に入れないというようなお話も聞きました。
それでは、都議会の関係はどうなっているのか。所管の都市・環境委員会、委員もいるわけですけれども、なかなか説明もないというふうに聞いているんですけれども、所管委員会の委員にはどうなのでしょうか。
○宮川参事 協議会におきます議論等についてでございますけれども、知事みずからが協議会に出席されておられるということで、本会議におきます施政方針、所信表明の中で知事自身が述べてきてございます。
また、お尋ねの所管の都市・環境委員会への対応でございますけれども、協議会がある程度の回数開催される、そういうふうに私ども想定しておりましたので、その都度報告をするということではなくて、ある程度状況がまとまった段階で報告したいというふうに考えてございまして、今後、協議の進捗に応じまして、節目ごとに報告してまいりたいというふうに考えてございます。
○丸茂委員 所管委員会には、知事自身が施政方針等で説明しているし、まとまったところで説明もしたいという答弁があったんですけれども、具体的にそれだけ--知事も参加して、また各県市もトップが参加していると。そこで、議題等はおおよそはマスコミ報道等でもわかるんですが、そこで配られた資料だとかそういうものについては、私は、今後やはり所管委員には必要なものは持って説明をするということは大事なことですから、強く求めておきたいと思います。
そこで次に、国は、知事も施政方針で述べられたと思うんですが、来年度の概算要求を行ったといっております。その概算要求はどのようなものなのか、把握しているところでお聞かせいただきたいと思います。
○宮川参事 国土交通省では、本年八月に行いました平成十六年度予算の概算要求におきまして、羽田空港の再拡張事業費として百七億円を要求してございます。その内容でございますが、再拡張事業の着工に向けた新滑走路等の契約発注手続及び環境影響評価手続等に要する費用でございます。
○丸茂委員 契約発注に向けたものとか、環境アセスは今後のいろいろな影響という点では理解できるんですが、私は非常に不満に思っております。そういうことを前提としながらも、現状の空港で対応はどうなのか、あるいは成田とのすみ分けを含めて、今後の旅客の需要状況だとかさまざまな検討があるかと思うんですが、そこで、再拡張計画は、現在ある新しい新B滑走路と平行なんですよね、方向性で。
それから、国際線というので、前は三千メートル級といっていたんですが、現在あるB滑走路二千五百メートルと全く同じ滑走路の長さということなので、それであるならば、B滑走路の活用という問題が当然出てくるかと思うんですが、この新B滑走路は、耐震強化を含めて特別な工事をしたと記憶しているんですが、その点、新Aあるいは新C滑走路と比べて、工事費も含めてどの程度だったのか、わかるところでお答えいただきたいと思います。
○宮川参事 お話の新B滑走路でございますけれども、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、その整備の中で耐震化が図られてきてございます。
しかし、その工事費等につきましては、国の直轄事業でございまして、都としては承知しておりません。
○丸茂委員 耐震補強工事がされた。かなり重量のある航空機でも、着陸して安全なようにできている。だから、東京都が自衛隊と合同で災害訓練、九月一日の共同訓練のときも、C130はB滑走路、新Bを使う予定だったんですが、風向きの関係で、結局は新Aを使わざるを得なかったという問題があったんですけれども、そういうB滑走路というのは、どちらかというと横風対応の滑走路です。
そこで、新B滑走路の利用実績はどうなっているのか、把握しているところでお尋ねいたします。
○宮川参事 新B滑走路は主に南風時の着陸用に使用されてございまして、平成十三年の実績で申しますと、この新B滑走路への年間の着陸回数は約一万六千百回、離陸回数は約一千四百回となってございまして、合計の離着陸回数は約一万七千五百回というふうになってございます。
○丸茂委員 今ご答弁あったように、ほとんど着陸で、離陸は約千四百回という答弁がありました。これは滑走路の方向からしますと、大変住宅地との影響がありまして、騒音問題が当然起こるわけで、そういう点で着陸中心に利用されているんだというふうに思いますが、その今後の利用勝手がどうなるのかという心配を率直にしております。
というのは、これまで大田区住民を初めとして、この新たな新展開された沖合展開の飛行ルートは、従来ですと東京モノレールの内側、市街地側は飛行しない、そういう形の約束のもとで沖合展開事業がされたんですが、新しく移ってみると、増便の要求があって、新A滑走路を使って早朝便に限って左旋回を認めるというと、従来の約束を越えて、今まで航空機騒音の被害のなかった地域にまで新たな騒音が広がったという経過があります。
再拡張計画を見ますと、大分川崎寄りに計画がされておりますけれども、川崎市民への新たな騒音被害が生じるのではないかという疑問も生まれますし、あるいは先ほどいったように、現在のB滑走路の使い勝手によって、また使い方が変わるかもしれない、そういう心配があります。そういう点で、いずれにしても、大田区と大田区住民への説明責任はきちんと果たしていただくよう要望しておきたいと思います。
最後に、この問題では、やはり地方負担問題なんですよね。
平成十五年の第一回定例会の施政方針では、地方負担に反対と早期着工を強く申し入れたという知事の施政方針表明がありました。第二回定例会では、国がみずからの負担と責任においてと、国負担を求めましたけれども、さきの第三回定例会の表明では、大変気になったんですが、国は新しい事業スキームを公表し、来年度概算要求に盛り込んだ新しい内容が含まれた提案であり、検討に値するものである、事業費負担や飛行ルートなど依然未解決の課題が残されていると趣旨が表明されました。
我が党の吉田代表質問で、事業費は九千億になるんじゃないか、そのうち一千億円が東京都の負担になるのではないかという指摘に対して、知事は、羽田空港の再拡張や外かく道路の事業着手に向けた動きがある、国家的プロジェクトとして実施される事業についても、その必要性に応じ、都が応分の負担をするのは当たり前とも答弁されております。
この地方負担について、これまでは強く負担は撤回させるという都議会での知事の表明に対して、三定はちょっと方針転換したのかな、そんな感じを私受けとめたんですけれども、その方針転換についてはどうなのでしょうか。
○宮川参事 知事の発言の変化についてのお尋ねでございますが、昨年、国土交通省は、羽田空港の再拡張に関しまして、十分な説明もなく、一方的に事業費の負担を地方自治体に求めてきました。都を初め、負担を求められた自治体はこれに反対をしまして、ことし一月に設置されました協議会の場で、昨年の国土交通省の申し入れを一たん白紙に戻させたところでございます。
その後、先ほど来ご説明してございます協議会での協議が続けられてきておりますけれども、国土交通省は、この八月に羽田空港再拡張事業スキームというものを公表いたしまして、関係自治体に協力を要請してまいりました。
その内容は、昨年度のいわば一方的な負担押しつけから、協力を要請するというスタンスに変わってきておりまして、また、その方法も、無利子貸付等を基本とするということでございまして、昨年と大きく変わった内容となってございます。そういったことから、検討に値する事業スキームというふうに考えているものでございます。
また、吉田議員に対します知事の答弁についてでございますが、羽田空港の再拡張が、将来にわたって東京の活力を維持するために不可欠な事業であり、投資効果も高く、東京にとっても最も優先度の高い事業である、こういう認識から過日の答弁となったものというふうに考えてございます。
○丸茂委員 私は、この地方負担の問題は前にも取り上げたことがあるんですが、それは、関西新空港の場合に大阪府が大変な負担を求められまして、財政難の中でいろいろ議論になったところなんですね。ですから、今後東京における再拡張については大変注目を私はしていたところで、知事が一切負担を撤回させたという点で注目していたんですが、今答弁があったとおり、微妙な変化が出ております。
実際に今、幾らというのはないんですけれども、一千億の負担が来れば、今東京都が第二次財政再建推進プラン、第二次を検討している中で、私は、都民の身近な施策にとっても大変重要な影響を与えるというふうに思っております。
結局、成田のすみ分けだとか、実際これから国内空港の整備状況、そして旅客の動向--もちろん私ども、国際化という点でアジア諸国との交流を深めるという点では、東京にとっても、産業や経済にとっても大変大事だというふうに思っていますが、大変な事業費がかかりますし、もっと細かくいえば、環境問題でも、一つは、新たな航空機騒音がどういう影響を与えるのか。それから先ほどもいいました、北風時に現在左旋回している早朝便の被害、こういうものが新たに拡大するのではないか。あるいはアクセス交通機関の深夜、早朝の騒音、振動被害、それから東京港の港湾機能、多摩川の河口の機能や浅場などでの海の水生物に対する障害。
それともう一つ、安全問題でいいますと、非常に朝夕ラッシュでありまして、航空機は何よりも安全が大変大事だということで、この再拡張計画で安全問題はどうなるのか。それにかかわる横田エリア等空域問題。これは検討がこれからされていくと思いますけれども、航空機のニアミス事故だとかいろいろなニュースを見ますと、大変危惧をしているところであります。
それから、こうした新たな滑走路等ができて利用客がふえれば、当然周辺のアクセス道路の交通量もふえる。あの羽田空港周辺の大田区住民の中には、ぜんそく等、大変公害患者もおりまして、大気の汚染状況も悪いところなんですね。そういう課題もあります。
そういう点でさまざまな課題があるわけで、やはり現状の財政状況、大規模なプロジェクトという点で、私は慎重な検討が求められるんじゃないかというふうに指摘をして、これは今後の動きもありますので、見守っていきたいと思っています。
それで、特に地元大田区からは、そういうものは話がいくんだけれども、羽田の沖合展開後の跡地問題では、東京都と大田区含めて、あるいは当時の運輸省と三者協定を結んでいまして、跡地については東京都が責任持って確保すると。その約束が余り見えてこない、そういう不満も聞いております。
そういう点では、跡地取得問題については、私も区議会当時から、あの騒音問題を含めていろいろかかわってきた関係から、大田区のそういう要望にもこたえるように、東京都として一段の努力を求めて、この質問を終わりたいと思います。
次に、決算ですので、私どもかねがね、いろいろ取り上げてきた首都高速道路公団出資金等に関してお伺いをいたします。
まず、事業として進めております首都高速中央環状新宿線の進捗状況はどうなっているのかお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 中央環状新宿線の進捗状況でございますけれども、中央環状新宿線は、都心部の交通渋滞の解消あるいは環境改善に資する極めて重要な路線でございまして、平成十八年度の完成に向けて工事が進められております。延長約十キロのうち、平成十四年度末現在、事業費ベースで五二%の工事進捗になってございます。
○丸茂委員 今事業費ベースで五二%という数字が示されたんですが、このキロ当たりの工事費、工事着手時と現在とでは変化があるかと思いますが、どういう状況にあるのかお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 現在の用地費と工事費を含めますキロ当たりの単価でございますけれども、約一千億円となってございます。この単価につきましては、平成十二年の八月に公団が基本計画の変更を行っておりまして、開削工法から非開削、いわゆるシールド工法への変更、あるいは用地費の単価の見直し、こういうことを行った結果、一千億という単価になったものでございます。
この基本計画変更以前の単価につきましては、約九百億円でございます。
○丸茂委員 キロ当たり約一千億というんですから、莫大な費用のかかる工事をしているという状況がわかったんですけれども、環境対策あるいは住宅対策のためだと。
その住宅対策ですけれども、地域に密着した地域幹線道路等、住民の理解や合意が得られれば促進の形で、いろいろ私ども相談に乗っているケースがあるんですけれども、たまたま私の地元大田区の、東邦医大通りと通称いうんですが、補助二七号線、どのくらい費用がかかっているのかと建設局で調べてもらいましたら、六百九十メートルの範囲で、用地費と今おっしゃった工事費を含めると八十五億円程度だったと。これはキロで換算しますと、キロ百二十億、そういう工事費でした。
結局、この首都高速道路公団の場合は、環境対策のために地下シールドにするだとか、費用が大変増嵩する状況にあるわけですよね。
そして都民から見ますと、高速道路ができても、じゃ、またその関連する周辺道路の渋滞は解消するのか。新たな道路ができれば、また車がふえて、新たな渋滞もふえる。そして結局、車の大量通行を確保するために、また環境対策に費用がかかる。こういう道路計画に大変疑問を持っております。
そこで、この工事を預かる首都高速道路公団、これについても、私、全く初めてですので、どういう組織構成になっているのか、この際、お伺いをしておきます。
○山崎都市基盤部長 組織構成でございますけれども、役員は八人、常勤職員千三百六人、合計一千三百十四人から成る組織でございます。
○丸茂委員 千人を超える組織なわけですね。役員は八名だということなんですけれども、常勤、非常勤を含めて、構成役職はどうなっているのかお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 役員はすべて常勤でございます。理事長が一人、副理事長一人、理事五人、監事一人の計八人でございます。
○丸茂委員 その役員である理事長、副理事長、理事等の月額報酬と退職金はどうなっているのか。
特に退職の場合は、例えば理事が二年で退職した場合の金額でいえばどうなるのか、退職金の計算方式も含めてお尋ねいたします。
○山崎都市基盤部長 月額報酬でございます。理事長が百二十四万一千余、副理事長が百六万七千、理事が九十二万二千、監事が八十三万四千でございます。
また、退職金の算出方法でございますけれども、退職時の本俸の月額に在職月数を掛けまして、それに百分の二十八を掛けたものでございます。理事におきまして仮に計算してみますと、在職二年で約六百十九万程度でございます。
○丸茂委員 理事で月額報酬が九十二万二千円、退職すれば二年で六百十九万。理事長をちなみにぱっと見ますと、年間報酬ですと千五百万円近い報酬になりますし、退職金、もう二年勤めると八百三十万円程度になる。本当にこれは、都民に聞かせたら驚く数字だというふうに思うんですよね。
ところで、役員に都の職員、都の関係者はいるのかいないのか、いかがでしょうか。
○山崎都市基盤部長 役員八名のうち、都の関係者は副理事長と理事各一名でございます。いずれもOBの方でございます。
○丸茂委員 都の幹部職員も、退職後天下りしている、こういうことだというふうに思うんですね。今、国の道路公団でも、ちょっと次元が違うんですけれども、いろいろ取りざたされております。国においても東京都においても、厳しい財政状況を踏まえると、首都道路公団についても、都として根本的見直し、こういうものを求める必要があるんじゃないか。
もちろん、事業局ですから、なかなかあるかと思いますが、逆にいえば、事業局だからこそ改めるべきものは改めていく。そして、何よりも都民の目線で、都民のためにどうあるべきかという立場が私は大変大事だというふうに思うんですよね。
それでは、この首都高速道路公団に、都は、平成十四年度の決算書を見ますと、出資金を百十億円余出しております。この出資金は総額幾らになるのか。また、同じく無利子貸付金は二百八十億円余になっておりますけれども、総額幾らになるのかお尋ねいたします。
○山崎都市基盤部長 平成十四年度末におきます東京都の出資総額は一千八百二十二億円、また、貸付総額は二千八百十七億円でございます。
○丸茂委員 出資金千八百億余、貸付金二千八百億ですから、四千六百億円を超える大変な額になります。
そのうち、貸付金の貸付条件、資料にも出ているんですが、改めてどうなっているのかお伺いをいたします。
○山崎都市基盤部長 貸付条件でございますが、貸付期間が二十年、五年据え置きの十五年均等年賦償還でございます。
○丸茂委員 無利子で五年間は据え置き、十五年均等ですけれども、トータルすれば二十年で返還する、こういう無利子融資資金でありまして、これは都内の中小企業の皆さんが聞いたら、これもまた、規模が違いますから一律に比較はできませんけれども、私は大変なものだというふうに感じます。
この首都高速道路公団貸付金の財源、これは当然都民にもかかわってくるわけで、何を充てているのかお伺いいたします。
○山崎都市基盤部長 貸付金の主な財源でございますけれども、平成十四年度で申しますと、都債が百九十二億円、残りは一般財源で八十八億円程度でございます。
○丸茂委員 それでは、国の貸付金の財源は何を充てているのでしょうか。
○山崎都市基盤部長 国は、いわゆるNTT資金でございます。
○丸茂委員 国はNTT資金で賄っている。東京都は起債、そして一般財源。結局、都民の税金で、やりくりの中から充てている。大変不公平だと思うんですが、いかがでしょうか。
○山崎都市基盤部長 高速道路整備によります便益は、都民も享受しているわけでございます。現在の納税者と将来の納税者との負担の均衡を図る観点から都債も充てている、こういう状況でございます。
○丸茂委員 国との比較ですから、答えにはなっていないかと思うんですが、それでは、貸付金の支出根拠はどうなっているのでしょうか。
○山崎都市基盤部長 国におきましては、道路整備特別措置法が根拠法令でございます。
東京都では、渋滞対策特定都市高速道路整備事業貸付金貸付要綱を定めまして、これに基づきまして、渋滞解消効果の大きく、緊急に整備するべき路線に貸し付けを行っております。
○丸茂委員 この貸付金要領でしたか、要綱だったかな、要領だと思うんですが、第十二条で、特別の繰り上げ償還というのがあるんですね。すなわち、知事は貸し付けの必要がなくなったと認めるときは、いつでも別に定めるところにより、公団に対して繰り上げ償還を求めることができるとなっております。
状況がいろいろ変化している中で、貸付金の返還は求められないのでしょうか。
○山崎都市基盤部長 失礼いたしました。要領が正解でございます。
貸付金の返還を求められないかということでございますけれども、中央環状線は、先ほど申しましたように、都市再生にも資する重要な路線でございます。このため、現時点では、貸付金の貸し付けが必要ない、そういうようなことが認められる状況ではないというふうに考えております。
○丸茂委員 先ほどいったように、国はNTT資金で賄っている。平成十一年八月に総務庁が出した、高速道路に関する行政監察結果に基づく勧告というのが出されているんですね。それは、都市高速道路を中心にしてという、都市高速道路を中心に勧告が出されております。
この勧告の内容を見ますと、国及び地方公共団体は、建設コストの引き下げ、料金負担の軽減等により都市高速道路の整備に資するため、一定率に相当する額を出資しているが、その出資率は各年度の予算措置によって定められることになっており、固定的なものではないと。これが非常に問題な点なんですけれども、さらに、特殊法人等については、財投機関債の発行を自由化し、自力での資金調達に努めるものとする閣議決定を行っているとも指摘をしております。
そういう意味で、これまでこの出資比率あるいは負担が、国の一方的な形で引き上げられてくる。資料でも出していただきましたけれども、こういう国の動きに対して、やっぱり東京都が、この都財政の大変厳しい中では、私はこれを全部すべてとはいかないにしても、都財政をこれ以上圧迫させないという点では、本当に抜本的に見直すべきだという意見を申し上げて質問を終わりたいと思います。
○新井委員 それでは、三点質問させていただきます。
まず第一点目は、総合設計制度についてなんですけれども、この制度の目的と、過去三年間どんなふうな許可件数でいるかということについて、実態について教えていただきたいと思います。
○野本市街地建築部長 制度の目的と実態でございますけれども、総合設計制度は、建築敷地の大規模化などによりまして、土地の有効かつ合理的な利用を促進するとともに、公共的な空地を確保することにより市街地環境の整備、改善を図る、こういうことを目的として創設されております。
制度の運用に当たりましては、その趣旨に従いまして、市街地環境の整備、改善を図るほか、公共施設機能の補完、あるいは市街地の防災強化、福祉のまちづくりの推進、都市景観の創造、緑化の推進、こういった基本目標に沿って指導しております。
なお、総合設計による許可の件数でございますけれども、平成十二年度は二十二件、平成十三年度は二十三件、平成十四年度は二十七件となっておりまして、昭和五十一年の制度創設から平成十四年度末までの累計は五百六件となっております。
○新井委員 総体の目的としては、土地の有効、合理的な利用促進と、公共空地の確保による市街地環境の改善を図るということですよね。そういう市街地環境の改善を図るということを目的にして東京都が許可をしているわけなんですけれども、その中で、過去三年間で、それでもいろいろ建築紛争といわれるものが起こっているようなんですけれども、紛争といっても、例えば議会への請願陳情とか不服審査の申し出とか、そういうものがあったものについて、どの程度把握をしていらっしゃるのかということと、一つ実例でご説明いただければというふうに思います。
○野本市街地建築部長 総合設計に絡む建築紛争でございますけれども、議会に請願陳情がなされたもの、あるいはあっせん、調停に持ち込まれたもの、あるいは建築審査会に不服審査請求が出されたもの、こういったものについてですけれども、平成十二年度から十四年度までの三年間について見ますと、各年度とも三件となっております。
事例ということなんですけれども、一つの事例といたしましては、昨年請願のありました高輪一丁目の計画について申しますと、地元住民から、建物の高さを低くしてほしいとか、あるいは地域の活性化、路上駐車等についての要望がございました。
東京都といたしましては、事業者に対し指導しまして、例えば、北側の住棟の階数については十階から九階に下げるように、あるいは低層部に日常生活の利便を図る小売店舗を設置すること、あるいは地域住民が利用できる駐車場を整備しなさいと、こういった地域に貢献する対策について指導し、実現しております。こうしたことによりまして、地域の町会と事業者との合意も成立した経緯がございます。
○新井委員 件数に比べて、年間二十数件の中で三件ということですので、そんなに多くはないなと思うんですけれども、その中で審査請求まで行った件数というのはわかりますでしょうか。どのくらいまで行ったのか。
○野本市街地建築部長 審査請求の件数でございますけれども、平成十二年度は一件、十三年度はゼロ、十四年度は二件となっております。
○新井委員 大体、請願陳情などが出たり、調停したりしているうちに、事業者を指導して改善されているというのがほとんどの事例で、それでも最終的に、過去三年間で三件、不服審査の請求まで至ったというような状況かと思います。
それでは、この総合設計制度なんですけれども、唯一行政が許可ということでかかわることができる制度ということで、許可に至るまでの計画の進められ方についてご説明をお願いします。
○野本市街地建築部長 許可に至るまでの計画の進め方についてでございますけれども、都や該当区市における都市計画あるいは上位計画との整合がとれているかどうか、それから公開空地のとり方、環境への影響などを総合的に検討しておりまして、規模に応じまして、庁内関係部署及び地元区市とで構成します大規模建築計画連絡協議会を開催しております。都市基盤への影響や、特定街区、再開発等促進区など他の開発手法の可能性もこの協議会の中で検討しているということでございます。
その後、東京都及び地元区市の関係各課への協議を行いまして、地元住民への説明会を実施し、そうした経過を踏まえて計画内容へ反映するよう指導しております。
許可申請後でございますけれども、計画内容の精査を実施するとともに、建物規模に応じて公聴会を開催しまして、地元住民の意見を聞き、その結果により事業者を指導してございます。
○新井委員 規模の大きいものについては、連絡協議会をつくられたりとか、あるいは一定規模以上は公聴会を開かれたりとかということになっているわけなんですけれども、その一定規模に至らないところについては、それでも総合設計ですから規模は大きいわけなんですけれども、地元住民への説明会で終わっているようなところがございますよね。
結構あると思うんですけれども、そういう地元住民への説明会というところの行われ方なんですが、まだこれは許可されていない部分で、世田谷で出ている事例で二件ほど私どもの方に上がってきているのがあるんですけれども、いわゆる総会屋さんのような、それを専門にするような方が事業者の説明会を仕切られていて、住民がまだいろいろ質問をしたりとかしている途中で、もうどんどん打ち切られていってしまうと。
それは見事な手さばきというような感じらしいんですけれども、二子玉川の富士観会館跡地とか、あるいは用賀一丁目、ここなんかは、環境審査会ですか、環境審議会が総合設計等をして許可しないでほしいというような意見書も出されているようですけれども、こういったところの説明会のありようというのは、出られた方の感想によりますと、もう少し丁寧にやってもらわないと、あっという間に終わってしまって、不十分だから、次もう一回やってもらいたいといっても全然応じてもらえないということで、かなり近隣の方々、不満があるようです。
そういう意味で、公聴会ということになりますと、東京都がこれは主催をするわけで、一定程度の配慮というものがなされているというふうに思うわけなんですけれども、説明会の持ち方ということで、もう少し丁寧に住民の方たちへの対応をするように、東京都の方で指導というものができないものでしょうか。
○野本市街地建築部長 説明会について、もっと丁寧に説明するようにできないかということでございますけれども、各報告を受けまして、十分な報告でないということがございますれば、できるだけ詳しく説明するように、あるいは住民の方から、説明の際に、代理者ですか、そういった方が説明して当事者が出ないということであれば、そういったときには当事者が出るようにと、こんな指導もしてございます。
○新井委員 ぜひ一度、こういった事業者側が取り仕切る説明会といったものに、そっと見に行っていただきまして、東京都の職員ということではなく、どんな実態で行われているのか少し見ていただいた上で、さらに丁寧な指導というものをしていただきたいということをお願いしておきます。
それから、この総合設計の中の特徴であります公開空地の確保ということなんですけれども、この公開空地のあり方ということについてどんなふうに考えていらっしゃるのか、お聞かせください。
○野本市街地建築部長 総合設計制度においては、公開空地のとり方ということが大変重要な要素だと認識しておりまして、その公開空地の位置であるとか形状、あるいは道路等との関係での高さ、そういったものにつきまして、周辺住民の皆様方の利便性であるとか、あるいは周辺環境に与える影響、こういったことを考慮し、指導してございます。
なお、東京都は管理者に対しまして、こういった公開空地が完成後も維持保全が適切に行われるようにということで、毎年その状況を報告することを義務づけております。
○新井委員 この公開空地も、私も少し見てきたりしたんですけれども、公開空地というぐらいですから、地域の中に開かれた、だれでもが自由に使える緑とか空間とかということになると思うんですけれども、実際には、そこのつくられた建物の中の敷地なのかなと思ってしまうようなところとか、ちょっと段差があり過ぎて、公開空地と呼ぶには自由に入りにくい雰囲気があったりとか、ここは公開空地ですよということで看板が立てられているということで、義務づけられているようですけれども、もともと公開空地というのは、看板があって、ここは公開空地ですよというふうにいわれなくても、自然に公開空地として自由に行き来できるような雰囲気がないと、公開空地としての役目というのは果たしていないんだろうというふうに思うんですね。
だから、そういう意味で、事前に改善するようにご指導もしていらっしゃるようですけれども、実際にでき上がっている公開空地を見てみますと、例えば森ビルのフォレストタワーなど、あれは一方だと同じ平面から入っていくようになっているようなんですけれども、反対の出口の方になりますと、階段からずっとかなり高いところまで上っていかないとだめで、こちらは、その階段側から見ると、当然フォレストタワーの敷地のように見えていたりするわけなんですね。
そこはかなり広い部分なんですけれども、完全にそこの庭ですよみたいな感じに見えてしまったりということもあるので、実際に管理者の方から東京都の方に報告義務があるようですけれども、東京都の方でも、こういったでき上がった公開空地を見ていただいて、でき上がったものを変えろというのはなかなか難しいところはあるかと思いますけれども、知らないうちに何か閉ざされるようなことがあってもいけませんので、少し定期的に見ていただいて、指導をぜひしていただきたいということをお願いしておきますので、よろしくお願いいたします。
それから、この総合設計、一番最初の目的で伺いましたけれども、市街地環境の改善ということで、当然、その考え方、目的を考えますと、周辺からは喜ばれるものでなければいけないというふうに思うわけなんですけれども、それでもやはり請願陳情が出たり、最終的には審査請求なども出たりというふうな状況が、数は少ないとはいえ、あるのが現状なんですけれども、このことについて、周辺の環境と調和した建築のあり方ということで、実際に景観などを見て、周辺環境と調和しないというような実態もあるように思います。
今のフォレストタワーなんかも、地元は物すごい反対運動があった中でつくられたということで聞いていますけれども、建築審査会が同意する前に、そういう周辺の環境と合わないものが建ってしまうということがないように指導、改善ができないものでしょうか。
○野本市街地建築部長 周辺環境との調和でございます。総合設計制度におきましては、日影規制のない区域においても、日照被害についての一定の配慮をしてございます。そのほか、将来交通量の予測調査をしまして、周辺の交差点、歩道への影響がどうか、こういったこともチェックしますし、それからビル風あるいは電波障害、こういった影響もチェックし、必要な対策があればそういったことを指導してございます。また、景観につきましては、完成予想図を提出させまして、色彩であるとか形状、こういったものについて協議をしてございます。さらに、公聴会を開催し、住民の意見を聞いた上で建築審査会に付議し、許可ということになります。
このように、建築審査会に付議する前に、周辺環境への影響について十分検討しておりまして、指導もしているということでございます。
それから、先ほど公開空地、フォレストタワーの場合は大分段差があるということなんですけれども、当然に公開空地は、周辺の住民の方が利用してこそ公開空地ということがございますので、囲まれた場所であるとか、あるいは奥まって行きにくい場所、こういった場所は、場合によっては公開空地として指定しないとか、あるいは容積緩和の際の低減、要するに一が低減とすれば、それを〇・五であるとか〇・二というふうに評価を低くするというのでしょうか、そんなことでの公開空地の評価の仕方をしてございます。
○新井委員 不服審査に至る件数というのは本当に少ないので、この総合設計の制度、役割はきちんと果たしているというふうには思うわけなんですけれども、大規模なのでとても目立ってしまうということがあると思うんです。そういう意味では、唯一、許可制度というところで行政が大いに関与できるところでありますので、周辺環境、街並みとかも含めてこれを守っていくということで、東京都の方にはぜひ頑張っていただきたいと思います。
十四年度の総合設計制度の許可一覧をいただいたんですけれども、この中では、準工とか商業地域、あと住居地域というのがほとんどで、いわゆる住宅街というのはなかなかこれまではないようですけれども、国がどんどん規制緩和の方向へ進んでいまして、先ほど申し上げた世田谷の場合には本当に住宅地の中の出来事ということもあって、今後こういうケースがふえていくんじゃないかと思うんです。ですから、ぜひここは東京都に踏ん張っていただいて、頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それから、二番で、建築確認の諸問題について伺わせていただきたいと思います。
まず、先ほどいったように、国が規制緩和、規制緩和と進んでいる中で、各区市が何とか街並みを守ろうとかということで独自に条例をどんどんつくってきています。例えば、江東区などは、この間新聞に載りましたけれども、マンションのファミリー層の制限条例とか、渋谷区などは、ワンルームマンションの最低面積をある程度抑えていくというものとか、府中は土地取引の事前届け出制度だとか、あと、今横浜で進行中ですけれども、地下室型マンションの規制条例、こういったものをつくっていて、こういった条例の取り扱い方といいますか、例えば高さ制限などで、用途地域の方で七区四市が出しているようなものは、当然これは守れられるというふうに考えるわけですけれども、そういった区市独自の条例との関係について伺いたいと思います。
二十三区とか多摩の八市で建築主事を持っているところは、自分のところでつくっている条例ですから、当然一〇〇%守るということで建築確認をおろすわけですけれども、建築主事を置かない市と、それから、一万平米を超える物件というのは東京都の方が建築確認をおろしているわけなんですけれども、こういった関係区市が独自につくった条例というものは、建築確認をおろす際にどんなふうに扱われるのか教えてください。
○野本市街地建築部長 条例あるいは要綱等の都における扱いでございますけれども、建築基準法とその関係法令に基づく条例であれば、建築確認の際に審査すべき法令でありますので、当然ながらその中身について審査するということになっております。例えば、特別用途地区に関する条例、あるいは地区計画による建築条例などはこういった関係条例ということになります。
東京都では、関係法令でない、今後段で先生おっしゃいました区市が独自に定めている条例などについても遵守するようにということで申請者に対して指導しております。また、要綱につきましては、区や市とよく協議するようにということでの指導もしてございます。
○新井委員 直接の関係法令でない独自条例についても遵守指導ということで安心をしたわけなんですけれども、東京都の場合には、条例にまで至らない要綱についても区市との協議を指導なさっているということです。
それでは、今、民間が確認検査、確認審査することができるようになっているんですけれども、そちらの民間の方は、今と同じようなことを伺いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
○野本市街地建築部長 民間確認検査機関の取り扱いでございます。
建築基準法関係の条例であれば、民間の指定確認検査機関においても東京都と同様に審査の対象ということでございます。関係法令でない条例につきましては、区市の条例を遵守するようにということで、東京都から指定確認検査機関に対して指導してございます。要綱につきましては、区市から指定確認検査機関に対し、確認の際、配慮するようにということでの要請をしているということでございます。
なお、住民から都に対して建築紛争等に係る陳情書が提出された場合は、その要旨を指定確認検査機関に送りまして、住民がこういった意向を持っているということを伝えると同時に、配慮してくださいということで要請をしてございます。
○新井委員 関係法令でない独自条例でも、各区市でつくれば、とりあえずそれは遵守されるように指導を民間の場合でもしている。要綱の場合には、配慮の要請というところで非常に弱い。だから、基本的には、区市で街並みを守るためには条例をつくらないとなかなか難しいということですよね。
今、去年、ことしとずっと法律が変わりまして規制緩和が進められているわけなんですけれども、都として、街並みとか景観とかというのをどんなふうに守っていったらいいというふうにお考えでしょうか。
○野本市街地建築部長 都として街並みや景観を守るためにどういったことをできるか、するべきかということなんですけれども、都としては、地域特性を考慮しまして、例えば地区計画制度などを活用しまして、建物の高さについて制限をしたり、あるいは壁面の位置などを誘導していく、こんな必要があろうかと考えております。
また、新しくできました街並みデザイナーを活用した街並み景観づくり制度、こんなものも今導入に向けて着々と準備をしております。良好な街並み景観を形成していくのに役立てていきたいと考えております。
○新井委員 都の方では、いわゆるしゃれた街並みづくり条例でしたか、ちょっと忘れましたが、しゃれ街条例などをつくっていらっしゃるということなんですけれども、国の方がともかくそれ行けどんどんという形で規制緩和をしている中で、なかなか自治体が景観を守っていくのは難しいというふうなところがあると思うんですけれども、都が独自に努力をするということと、できれば、これ以上規制緩和をしないように国へも意見を上げていただいたりとか、あるいは、区市と協力して、ともかく街並みを守るために精いっぱい努力をしてもらいたいというふうなことを思っておりますので、ぜひ、街並みを守るために今ある制度を十分活用すると同時に新たなことを考える、国にもいっていくんだ、できる限りのことをやっていただきたいということをお願いしておきます。
それから、建築紛争対策なんですけれども、建築紛争、これは総合設計と違ってたくさん起こっているわけなんですが、その歯どめとして、行政が直接関与しない民間確認検査機関、この確認の際にも、住民との事前協議を義務づけたりとか指導したりとかというふうなことで、何とか紛争防止ということができないものか、お伺いします。
○野本市街地建築部長 民間確認検査機関がかかわる建築紛争の案件でございますけれども、建築確認申請が民間の指定確認検査機関に出された場合、事業者と住民との協議につきましては、都に出された場合と同様に、紛争予防条例によりまして、近隣住民に建築計画の周知を図るため、建築確認申請の三十日前に標識を設置するということを義務づけております。また、住民からの申し出によりまして、説明会の開催も事業者に義務づけているということでございます。
このように、民間の指定確認検査機関による建築確認の場合にも、建築紛争が起きた場合には、東京都においてあっせん、調停により問題解決を進めるというのは同じでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
○新井委員 ただ、現実的にはあちこちで紛争が起こっているということがございまして、東京都の方の話を聞きますと、頑張ってくれているのかなというふうに思うわけなんですけれども、例えば建築確認にかかる平均日数などを見ましても、民間よりも東京都の方が丁寧にやる分長いわけですよね、許可がおりるまでに。平均で、十三年度で四十八・三日、十四年度で四十四・二日ですか、民間の方は三週間程度ということで、何か特急便とかというのもあって、事業者から依頼があった場合にはともかくスムーズに、速やかに建築確認をおろすというようなことも行われているようです。そうしますと、当然、東京都でやるよりも、民間でやった方が簡単だから民間にお願いしようよということになるかと思うんですけれども、現実に、十一年度からずっと見てきますと、民間に建築確認申請する数がどんどんふえているというふうな状況があるわけです。
私は、例えば緊急整備地域などは、ある程度やむを得ないというか、都心のところである程度容積をおまけしてやってもらうという部分もやむを得ないかなという、それでも限度がありますけれども、気がするわけなんですが、今回におきましたらば、どっちかというと、都市再生特措法よりも、建築基準法が改正になりまして、斜線規制がなくなったりという全体に影響を及ぼすような、こういう緩和、こちらの方が非常に怖いというふうに思うわけなんです。
斜線規制がなくなったことで、これからは、細い道路にも、天空率で、ちょっと緑地をとって高い建物を建てるということが可能になってしまったので、あっちでもこっちでもひょいと高いビルが建って、建ったときにまた紛争が起こるということが今後本当に想定されてくるんだろうというふうに思います。都が一生懸命頑張っても、そういう意味で民間の方でおりてしまえば、法律にのっとっておりてしまえばそれまでということで、法に違反しないからということでどんどん進められていくことが現状なんです。
そういう意味では、東京都が何らかの強い措置をとらないといけないというふうに思うわけなんです。新しい開発に関しての手続、ルールといったものを東京都が決めていくとか、あるいは、紛争予防条例、これを改正して、今、予告看板は三十日ですけれども、それを六十日にして早目にお知らせするとか、あるいは公聴会を民間の場合でも義務づけていくとか、こういった何らかの手段を打たないと、東京のまちはこれからめちゃめちゃになってしまうんじゃないか、そういうおそれを私自身抱いています。
この間、都知事が、ちょっと私にはこの場では難しいような表現を使われて、東京にはもう都市計画はないも同然だというふうなことをちょっと人ごとのようにおっしゃっていたようですけれども、本当にそれについては私も、今後のことも含めて懸念をいたします。ぜひ都市計画局の方に頑張っていただいて、こういう心配が現実のものにならないように、新しい制度づくりまで含めてぜひやっていただきたいというふうに思うんですけれども、局長、いかがでしょうか。
○勝田都市計画局長 建築確認も時代の変化に応じまして、今議論がありました民間確認検査機関が存在するというようなことで、大変多様化しております。それに従いましていろいろ問題が拡大しておりますけれども、基本的に、住民の方々と建築主との間の建築紛争を防止することは重要な課題であると認識しております。これまでも、住民の方々、また建築主、事業者、双方の意向を十分伺って協議、調整を進めてきておりますけれども、一方、都市再生の速やかな推進を図っていく必要もございますことから、今ご提案ございました点につきましては、今後の研究課題とさせていただきたいと考えます。
○新井委員 研究をしている間にどんどん実態が進んでしまうということがありますので、ぜひ早くお考えいただきたいというふうに思います。
それでは、三問目です。大規模用地にかかわる都市計画上の配慮ということでお伺いをしたいと思いますけれども、例えば東京都が売却する大規模な用地について、都市計画上どのような配慮をなさっているんでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 東京都が売却します大規模な用地についてということでございますけれども、このような用地の利用につきましては、現行の都市計画の枠内で事業者が計画を立てていくということが基本でございますけれども、土地の規模であるとか、あるいは地元自治体などの意向によりまして、ケース・バイ・ケースで判断しまして、必要な措置を講ずる場合もございます。例えば、売却予定地の周辺地域においても開発計画があり、その地域を含めたまちづくりの考え方を明らかにするため、あらかじめ地区計画を策定した場合などがございます。
○新井委員 それでは、具体的に、都立大跡地の場合はどんな配慮がなされたんでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 都立大跡地では、その利用方針につきまして、売却に先立ちまして、財務局と都市計画局及び世田谷区で検討を行ってございます。そういった検討経過を踏まえまして、平成十三年三月の土地売買契約締結に際しましては、財務局が跡地利用の基本的な考え方というものを作成しまして、これを開発事業者に提示してございます。
○新井委員 それで土地が売られているわけなんですけれども、そこの都立大跡地につきましては、現在も開発者と紛争、裁判が起こっているということなんですけれども、東京都が大きな土地を売却した結果、周辺住民とそういうふうな裁判が起こってしまっているという現状をどんなふうに認識をされているんでしょうか。
○森下都市づくり政策部長 開発事業者につきましては、契約時に示した基本的な考え方に従いまして、また、関係法令などの手続を経た上で現在マンションの建築工事を行っているところであると認識してございます。
現在、開発事業者側と住民が係争中であるという状況につきましては、承知しているところでございます。
○新井委員 承知しているということは当然なんですけれども、結局、東京都の土地ということで、これは財務の方で、売買ということですので、こちらで申し上げてもあれかもしれませんけれども、私は、少なくとも、あれだけ大きい土地を売却するというような場合には、周辺は非常に閑静な住宅地ということもありますので、用途地域の変更などの措置をして、それから売却をするというようなことが必要だったのではないかというふうに思うんです。あるいは、用途地域の変更の中でも、広いところですから、周辺の部分と真ん中の部分といいますか、中央の部分とを分けていくとか、若干の用途地域上の措置というものを講じていなかったために、今回このような係争が起こっているんだというふうに思うわけです。
そういう意味では、財務局との協議の上ということもございますけれども、今後、こういった大きな土地、都立大のような大きな土地があと出るかどうかはあれですけれども、都営住宅の跡地などもこれから財務の方に渡って売却されるというふうなこともあるようですけれども、そういう点には十分配慮をして行っていただきたい。東京都はただ土地を高く売ればいい、そういうところではないわけですから、その辺については強くお願いをしておいて、終わります。
○和田委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で都市計画局関係を終わります。
この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
午後二時五十四分休憩
午後三時二分開議
○和田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
これより港湾局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十四年度東京都一般会計決算中、港湾局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○浅倉総務部長 十月八日開催の当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の平成十四年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
ご要求のありました資料は、表紙の次のページの目次にありますように八項目でございます。
まず、一ページをお開き願います。1の東京港における取扱貨物量の推移と国内主要港との比較でございます。
各港別に外貿及び内貿貨物に分けまして、平成十年から十四年までの五年間の推移を取りまとめたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
次に、二ページをお開き願います。2の新海面処分場における廃棄物などの埋立処分計画及び処分実績でございます。
平成十年度から二十三年度までの処分計画と平成十年度から十四年度までの処分実績を、廃棄物と土砂の種類別にお示ししたものでございます。
平成十四年度からの計画量につきましては、ことしの一月に改定しました廃棄物等の埋立処分計画に従っております。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
次に、三ページをお開き願います。3の東京港臨海道路事業(第一工区)の年度別建設事業の予算及び決算の推移でございます。
予算額、決算額及び財源内訳を平成元年度から十四年度まで記載してございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
次に、四ページをお開き願います。4の城南島海浜公園利用者数実績でございます。
城南島海浜公園にあるキャンプ場及びオートキャンプ場の二つの有料施設について、平成十年度から十四年度の五年間における利用者数を記載してございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
次に、五ページをお開き願います。5の島しょ等港湾整備費における翌年度繰越額及び不用額の推移でございます。
平成十年度から十四年度までの各年度別に、上から予算現額、支出済額、翌年度繰越額及び不用額に分けてお示ししたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
次に、六ページをお開き願います。6の高速船、いわゆるジェットホイルの就航状況でございます。
平成十四年十月から十五年九月までの一年間の高速船の就航状況につきまして、島しょ別、月別にお示ししたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
次に、七ページをお開き願います。7の北朝鮮、中国及びパナマ船籍船舶の東京港入港状況及び主要貨物でございます。
各船籍船舶別に入港隻数と総トン数、また、輸出及び輸入別に主要貨物を取りまとめたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
最後に、八ページをお開き願います。8の三宅島に対する復興支援一覧でございます。
火山噴火が起きた平成十二年度以降、現在までの三宅島における港湾局の復興支援内容につきまして年度別にお示ししたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
以上をもちまして、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。
よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。
○和田委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清原委員 私は、平成十三年三月の予算特別委員会で、お台場海浜公園の海水浄化について、具体的な手法を示して提案を行いました。都は平成十四年度の重要施策の一つとして、環境局、港湾局、下水道局の三局が連携して、お台場海浜公園で海水の浄化実験をするということになりました。それは、下水道局の有明処理場で浄化した海水をお台場海浜公園に放流するということでございましたが、このことは私としては高く評価いたします。
平成十五年の第一回定例会においても海域浄化実験に関連して質問しましたけれども、知事からは、海上公園は人々が安心して水や自然と触れ合えるようにするものであって、その充実は、臨海地域の魅力の向上にも寄与するものであるとともに、新たな観光資源を育成することにもつながるという答弁をいただきました。
私、ここで何点かお伺いいたしますけれども、初めに、この実験に関して平成十四年度はどのような取り組みを行うことになったのか、お伺いいたします。
○安藤参事 平成十四年度の取り組みでございますが、環境局が海域浄化にかかわる文献調査を、港湾局はお台場海浜公園の現況調査、下水道局が海水の浄化や消毒にかかわる調査を行いました。また、実験の共同実施者としての民間事業者を選定いたしまして、実験に係る協定を締結いたしました。
なお、港湾局で実施いたしました現況調査について若干ご説明いたしますと、お台場海浜公園の水質、特にふん便性大腸菌群数の変化に着目した調査では、降雨後の値の上昇から平常時の水質に回復するまで数日間を要することが観察されるなど、浄化対策水域の特徴を把握することができました。
また、お台場海浜公園には、アユの稚魚やマハゼ、サッパなど十九種類の魚類、それとバカガイ、イガイ、ゴカイ類などの海底にすむ生物が三十七種類いることなどが確認されました。
○清原委員 平成十四年度は、事前調査を実施して、民間と共同実験に向けた準備を進め、本年七月には海域浄化実験が開始されました。実験区域は子どもたちの水遊びの場として開放され、たくさんの子どもたちが水遊びを楽しむことができてとてもうれしかったという報告を受けました。私が予算特別委員会で質問してから、わずか二年余りで実験に着手してくれた素早さには敬意を表したいと思います。
次に、ことしの実験の結果、水質はどのように変わったかなど、その成果についてお伺いいたします。
○安藤参事 本年の実験は七月十八日から今月末までの予定で継続中でありまして、その結果の総括は今後の取りまとめを待つところでございます。
八月末までの夏休み期間中のデータによりますと、ふん便性大腸菌群数が環境省の水浴場の水質判定基準を超える日が実験区域外で四十五日間のうち六日間ありました。これに対しまして実験区域内では二日間と、水質浄化の効果が出ております。
一方、CODにつきましては、赤潮の影響により実験区域内でも高い数値を示すデータがあるなど、水質浄化の課題も明らかになってきております。
今後、さらにより高い目標に向けまして、実験に創意工夫を加えてまいりたいと存じます。
○清原委員 ことしの実験はおおむね順調に進んでいるようですけれども、今回の実験への都民の期待は非常に大きなものがあると思います。今後もよい結果が出るような実験を進めてもらいたいと思います。
私は、お台場海浜公園という海辺の人気スポットを、子どもたちが安心して水遊びができる場とするだけではなく、ビーチバレーや砂の彫刻コンテストなどを初めとして、スポーツや芸術のイベントの開催など、水辺や砂浜を使った都民が楽しめる場として活用していくことが大切である、こう申してまいりました。
今回の実験では、浄化実験区域を水遊びの場として開放したこともその一つであると思いますが、こうしたにぎわいの創出についてどのように取り組んできたのか、また、その成果はどうであったのかをお伺いいたします。
○高松臨海開発部長 お台場を初めといたします臨海副都心がにぎわいを見せ、多くの方々に愛されることは、発展途上のこの地域にとりまして大変大切なことであるというふうに考えております。
そこで、平成十四年度には、このお台場海浜公園を初めとした地域では、トライアスロン大会あるいはボート競技大会など、地元や進出企業と連携しながらさまざまなイベントを取り入れ、にぎわいのある活気に満ちた場となるように取り組んできたところでございます。また、十五年度はそれらに加えまして、ビーチバレー国際大会や、あるいは、お台場冒険王という陸海を巻き込んだ大きなイベントも行われたところでございます。
こうした取り組みの結果、お台場海浜公園では平成十四年度に約百六十万人の来園者がございました。今年度は、八月末まででございますけれども、約百三十万人の来訪者に達しているという数字を残しております。また、平成十四年度、十五年度の夏休み期間だけを比較いたしますと、ことしは六十四万五千人という来園者で、昨年の二倍に近い増加があり、大変なにぎわいを見せております。
今後も、民間の方々や、あるいは進出の企業の方々とともにさまざまな工夫を凝らしながら、地元住民や、あるいは多くの都民の方々に親しんでもらえるようなにぎわいの創出に努めてまいります。
○清原委員 取り組みの成果が出て大変うれしく思います。都民にとって最も近い海、お台場海浜公園の海辺を子どもも大人も楽しめる魅力ある観光スポットとすることは、臨海副都心全体の活性化にもつながると思います。
そこで、今後のお台場海浜公園のあり方について、実験の予定を含めてお伺いいたします。
○高松臨海開発部長 まず、海域浄化実験の今後の予定でございますが、本年度の実験によりまして得られたデータや結果に基づきまして、今後、実験設備や、あるいは実験区域の仕切りなどに改善を行いまして、気象による影響や水生生物への影響、さらに砂浜の、海辺の状況などを調べながら、平成十七年度までこの放流実験を継続していく予定でございます。
また、この地域の今後のあり方についてでございますけれども、お台場海浜公園は都心に近く、都民にとって身近で貴重な水辺空間でございます。この特徴を生かし、いそ釣り、砂浜での水遊び、あるいは季節の花々やイルミネーションなど、四季折々に楽しめる公園となるよう環境整備を進めていく所存でございます。さらに、ビーチバレーなどのスポーツイベントや砂浜を活用した芸術イベントなど、関係団体の協力を得まして開催し、一層の利用の促進を図ってまいります。
今後とも、より安心して快適に利用できるお台場海浜公園を目指してまいります。
○清原委員 お台場海浜公園を安心して快適に利用できるよう積極的な取り組みを行っていることがよくわかりました。私が平成十五年の第一回定例会で質問した際、知事も答えられているように、できることならば、できるだけもっと大きな海水浴場が実現できれば、なおすばらしいことと思います。
今回の実験においては、下水処理場で浄化した海水を放流するものでありまして、それも一つの方法であると思いますが、私が以前から提案してきたような、海域、つまり水遊びする部分とそうでない部分、これの境の壁の一部といいますか、数カ所にフィルターを設置して、海水が自由に出入りできる、こういう境界壁を石積みの間に築いて、潮の干満という自然エネルギーを利用して内部の海水を浄化するという手法も私はあるのではないかなと思います。これもぜひ考慮して実験していただければありがたい、こう思います。
お台場海浜公園は、屋形船やボートセーリングなどの利用もあるので全域の利用は無理としても、最新のさまざまな技術を組み合わせることによって、もっと広い海域の利用が可能となるのではないかと思います。そこで、海水浄化や砂浜を遠浅にするなどの技術的検討はもちろん、生態系との調和や地元住民の意向の反映など、いろいろな課題を精力的に解決し、一日も早く、子どもも大人も安心して泳いだり水遊びのできるお台場海浜公園となるよう期待して、私の質問を終わります。
○小磯(善)委員 東京臨海部における港湾物流の円滑化への取り組み、それから三宅島について質問をいたします。
我が党はかねてから、首都圏四千万人の経済を支える東京港の国際競争力の強化に当たり、港湾サービスの向上を初めとしてさまざまな提案をしてきたところでございます。国際競争力の一層の強化に当たっては、港湾物流の時間短縮が必要であり、そのために臨海道路第一期工事を進めてきたところでございます。この開通により、大井と青海間の大幅な時間短縮が図られ、移動がスムーズになったほか、レインボーブリッジの交通量が一日当たり約一万台近くも減少するなど、東京港内の物流の円滑化が進むことになったということであります。
しかし、東京港臨海道路の効果は、平成十四年度に着手した第二期事業部分の完成により完全に発揮されるものでございます。試算によると、この区間の整備効果は、年間約三百億円を超えるとのことであります。そこで、引き続き進められている臨海道路第二期事業の現在の取り組み状況についてお伺いしたいと思います。
○樋口港湾整備部長 臨海道路第二期事業の取り組み状況でございますが、都といたしましては、港湾物流の効率化とともに、都心部への交通集中を緩和するために、国に対して早期整備を重点課題として要請してきたところでございます。
その結果、国は平成十四年度に本事業を直轄事業として実施することを決定いたしました。現在、平成二十二年度の完成を目途に、国が調査、設計作業などを鋭意進めておりまして、今年度は第三航路をまたぎます橋梁部の工事に必要な仮設桟橋の設置などに着手することになってございます。
○小磯(善)委員 現在、大変都財政が厳しいわけでございますが、こうした大規模な事業というのは多額な経費が必要となってまいります。資料によれば、第一期工事では、都は国庫補助金を除くと約一千三百七十億円と多額の経費を支出したわけでございますが、臨海道路第二期事業の総事業費はどれぐらいなのか、また、そのうち都が負担すべき経費はどのくらいなのか、お伺いをしたいと思います。
○樋口港湾整備部長 臨海道路第二期事業の事業費などでございますが、試算では、総事業費約千四百十億円と見込んでおります。東京港は特定重要港湾でございますので、港湾法により港湾管理者である都の負担というものがございますが、臨港交通施設に関しては三分の一というふうになってございます。したがいまして、都の負担額は四百七十億円を見込んでおります。第一期事業に比較しますと、都の負担は大幅に削減したところでございます。
○小磯(善)委員 極めて大きな効果を生み出す本事業に国費を相当大幅に投入するということは、東京港の国際競争力向上のためにも大きな成果であると思っております。しかし、都の負担がそれでも約四百七十億円見込まれるということであり、厳しい財政状況の折、最新の技術、工法の検討に努めるなど、一層のコスト縮減を図り、事業を推進していただきたいと思います。
また、臨海道路第二期事業を着実に推進するには、国に任せ切りにせず、都の積極的な取り組みが必要であると考えます。臨海道路第二期事業において都は具体的にどのような取り組みを実施しているのか、お伺いしたいと思います。
○樋口港湾整備部長 臨海道路第二期事業における都の取り組みでございますが、都は、整備促進を図る観点から十五年三月に国と協定を締結しまして、総延長の六五%に当たります陸上部分の約三キロメートルについて受託をして、都みずからが施行することといたしました。今年度は、中央防波堤外側その一地区とその二地区を結びます南北水路横断橋に関する地質調査及び詳細設計、工事用車両のための仮設道路工事などを行うことにしております。
また、ご指摘の一層のコスト縮減でございますが、都といたしましても技術提案などを積極的に行ってまいります。
引き続き、第二期事業が円滑に推進されるよう、国と連携をとりながら鋭意取り組んでまいりたいと思います。
○小磯(善)委員 第二期工事の推進が行われることによって東京港周辺の交通の円滑化が期待できるわけでございますけれども、この臨海道路から国道三五七号線に接続する道路というのは、現在は四車線、そういうことで、現状のままでは平成二十二年度の開通時に交通渋滞になることが想定されるのではないかなと思っております。そういった意味で、臨海道路から国道三五七号線に接続する道路整備の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○樋口港湾整備部長 臨海道路から国道三五七号線に接続する道路、これは若洲から新木場に至るものでございますが、東京港臨海道路の効果を十分に発揮するためには、ご指摘のとおり、この道路の整備を臨海道路二期事業とあわせて行うということが非常に重要になってまいります。
そこで、国に対しまして、来年度からこの道路の整備に向けました地質調査、測量を実施するための予算要求を行っているところでございます。今後とも引き続き国に働きかけてまいりたいと思います。
また、道路線形あるいは国道三五七号線との取りつけ部の構造などにつきまして並行して検討してまいりまして、関係機関と協議を進めるなど、積極的に事業推進に取り組んでまいりたいと考えております。
○小磯(善)委員 臨海道路第二期事業は、物流の動脈に位置づけられる環状七号線と連結することによって、首都圏の環状道路の一翼を形成するものであり、国際物流機能の強化あるいは道路交通の円滑化ばかりでなく、東京港に隣接する川崎、千葉などの湾岸地域との連携の強化、ひいては首都圏の交通ネットワークの形成などに大きく寄与するメリットがあることは明らかであり、国と連携して早期に完成させる必要があると思います。
臨海道路二期事業、新木場若洲線の道路整備を初め、今後の東京臨海部における港湾物流の円滑化への取り組みに向けた局長の決意をお伺いしたいと思います。
○成田港湾局長 ご指摘のように、首都圏四千万人の生活と産業を支えます東京港の国際競争力の強化は喫緊の課題でございまして、そのために港湾物流の円滑化は欠かせないと認識しているところでございます。
既に開通しました臨海トンネルとあわせまして、今回の臨海道路二期事業及び新木場若洲線の道路整備や、東京湾岸の城南地域と江東地区を東西に結びつけ、神奈川から千葉に至る一連の地域の連携を強化するものでございまして、港湾物流の円滑化に極めて重要な役割を果たすと考えております。
東京から日本の再生をも視野に置き、これらの道路整備を初め、港湾物流の円滑化に積極的に取り組んでまいる所存でございます。
○小磯(善)委員 続いて、三宅島の復興に対する港湾局の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
三宅島の噴火の最中といいますか、私も視察にも行ったことがあるわけでありますが、大変な被害でございました。そしてまた、今、げんき農場ですか、ああいったこともことしの年度末まではやれるということで、そういう中で一日も早い帰島が期待されるわけでありますけれども、先般、東京都それから内閣府、それから三宅村の担当者から成る帰島プログラム準備検討会が設置されて、今その対策と課題を検討して、本年度中に最終報告を取りまとめると伺っております。
このように、現在、帰島に向けた具体的な検討が進んで、島民の帰島に対する期待も日増しに高まっているものと思いますが、帰島に当たっては、本土との交通アクセスの確保及び漁業などの産業の再建が何よりも大切と考えます。
そこで、まず、これまでの港湾や空港などの基盤施設整備の状況についてお伺いしたいと思います。
○原田離島港湾部長 港湾、空港などの交通基盤の整備状況でございますけれども、定期船が接岸する三池港及び阿古漁港については既に復旧が完了しております。さらに、三池港では、岸壁の延長を本年八月に完成したところでございます。三池港の補完港となる伊ケ谷漁港でも、平成十六年度完成を目指して岸壁延伸工事を鋭意進めているところでございます。
空港につきましては、施設の点検補修等を行っており、夜間も含め、常時緊急ヘリが使用できる状態を確保しております。
○小磯(善)委員 交通基盤施設については必要な機能をおおむね確保しているようでございますが、今後は、帰島を視野に入れた交通アクセスの確保に向け、より一層積極的に取り組んでいく必要があると考えます。島民の帰島を視野に入れた交通アクセスの確保についての取り組みをお伺いしたいと思います。
○原田離島港湾部長 港湾につきましては、これまで必要な施設整備を着実に進めてきたところでございます。島民の帰島を視野に入れた今後の取り組みにつきましては、局内に三宅島災害復旧事業等検討委員会を設け、護岸のかさ上げや船客待合所の補修など、今後の復旧に向けた体制を整えております。
空港につきましては、関係機関が多岐にわたることから、都、国、航空会社などから成る三宅島空港災害復旧対策検討会を別途設置しまして、ハード、ソフト両面で航空路線の再開に向け、一体的な取り組みを行っているところでございます。
今後とも、帰島を視野に入れ、状況の変化に対応していきたいと考えております。
○小磯(善)委員 交通基盤施設のみならず、帰島後速やかに生活を再建するためには漁業等の産業振興を図る必要があると考えます。そこで、漁業にとって欠かせない漁港整備の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
○原田離島港湾部長 三宅島の漁業でございますけれども、三宅島漁業の拠点でございます阿古漁港につきましては、操業に不可欠な燃料油とか漁具等の運搬船が早期に所定の泊地に停泊できるよう、平成十三年度より泊地しゅんせつを実施しております。
坪田漁港など他の漁港につきましても、島民が帰島後直ちに操業可能な状態にして、漁業の振興を図るよう復旧、復興準備を進めていきます。
○小磯(善)委員 速やかな復旧、復興に向け体制を整えられておるようでございますけれども、状況の変化に迅速に対応していただきたいと思います。
最後に、復旧、復興に向けた港湾局長の決意をお伺いして、終わりにしたいと思います。
○成田港湾局長 港湾局といたしましては、ただいま部長がるる申し上げましたように、平成十二年七月の三宅島噴火災害の発生以来、港湾施設等の復旧に積極的に取り組んできたところでございますし、また、先日、三宅島の島民の方たちとお会いする機会がありました。そのとき、島民の方から、帰島に対する、あるいは復興に対する熱き思いをお話ししながら感じたところでございます。
そういうことで、島民の皆さんの帰島に向けた今後の取り組みに当たりましては、港湾、空港という最も重要な交通アクセスの確保であるとか、あるいは島の重要な産業である漁業の振興など、港湾局の果たす役割は極めて重要なものと認識しているところでございます。帰島が円滑に実施できるよう、三宅島の復旧、復興に万全の体制で港湾局として取り組んでまいりたいと考えております。
○丸茂委員 島しょの港湾整備に関して絞ってお伺いをいたします。
新たな島しょの交通手段となりました高速船、ジェットホイルの就航状況、これを資料で出していただきましたけれども、平成十五年一月の利島の就航率は六・三%。利島の場合は平均しても五一・六%と極めて低い状況にあります。その他の島を見ても、大島を除いては大変厳しい数字になっておりますけれども、まず最初に、利島などの就航率が低い、その島に対する原因、その点についてお伺いいたします。
○原田離島港湾部長 高速船、ジェットホイルは、在来の大型貨客船に比べて小型で軽いため、波浪と風の影響を受けやすいという構造でございます。港の中の波の穏やかさを静穏性といっておりますけれども、静穏性の確保が難しい小離島では、高速船の構造から就航率が低くなっております。特に昨年十月以降は、気象条件が例年より厳しかったことが就航率低下の大きな原因と考えております。
○丸茂委員 それでは、就航率向上に向けて、島しょから、あるいは町村から具体的な要望が出ているかと思いますが、どんなものなのかお伺いいたします。
○原田離島港湾部長 利島村を初め、高速船が就航している町村から、安全な接岸を確保できる静穏性にすぐれた港を早期に整備してほしい旨の要望が出されております。
○丸茂委員 私も乗船したんですが、特に接岸、離岸のときに大変なんです。したがって、港湾整備が大変重要になるわけですけれども、就航率を向上させるため、港湾整備の計画と事業内容についてお伺いいたします。
○原田離島港湾部長 離島の港湾整備につきましては、国の社会資本整備重点計画、それと、東京都の東京都離島振興計画に基づき進めているところでございます。事業内容としましては、静穏な泊地を確保するため、防波堤の整備、泊地のしゅんせつなどでございます。
○丸茂委員 そういう計画で進めるということなんですが、就航率向上のために、どのくらいの期間で対応が可能なのか、その点をお伺いをしておきます。
○原田離島港湾部長 港によって整備内容が異なりますので、必要期間も異なってきます。最終的にはおおむね十年程度は必要になると考えております。これまでも、十四年、十五年度には、防舷材の設置、泊地のしゅんせつ等を実施しております。
今後とも、就航率を向上させるため、引き続き段階的に事業を実施してきます。
○丸茂委員 おおむね十年、いろいろな取り組みをされているということなんですが、毎日毎日の交通手段でありますし、また都の足でもあるわけで、そういう点で、どうやって足を確保するかという点ではいろいろな検討が必要だと思います。
この高速船の就航に伴って在来線の運航計画が変更されました。その内容はどうなっているのか、また、変更した運航計画は必要に応じて島の対応でどう改善されているのか、この際お伺いをいたします。
○原田離島港湾部長 高速船就航に伴い、在来線は基本的には金曜日、土曜日、日曜日のみの運航となりました。なお、年末年始やゴールデンウイーク、ツバキ祭り開催期間中並びに夏季の繁忙期については、従来どおり毎日の運航となってございます。
特に就航率の低い利島におきましては、昨年十月から、下田-神津島間の定期船を利島まで航路を延ばしております。さらに、大島との間で臨時貨客船を就航するなどの改善措置を講じております。
○丸茂委員 そういう手段を含めながら、就航率向上の目標をどのように設定しているのか。なかなか難しいかとは思いますが、お伺いをいたします。
○原田離島港湾部長 就航率向上の目標でございますけれども、観光振興など島しょの活性化のためには就航率の向上が非常に重要であると認識しております。これまでも、地元の町村とか運航事業者と緊密に調整を行いながら、就航率向上のための施策を講じてきたところでございます。今後も引き続き、着実に就航率の向上に努めてまいります。
○丸茂委員 私がこの問題をなぜ取り上げたかといいますと、島しょにお伺いして、いろいろ要望を寄せられる中で、この高速船の就航問題、大変島民の強い要望になっております。そういう点で、今後の一層の取り組みを求めて、質問を終わります。
○新井委員 平成十四年の二月に、今後の海上公園のあり方についてということで海上公園審議会の方から答申が出されまして、中では、規制優先から利用優先へ、環境の保全から自然の再生へ、行政が提供する公園から都民と協働で育てる公園へ、民間活動の制限から民間活動との連携へ、公園の管理から公園の経営ということで、取り組みの方針が出されました。とてもいい答申を出していただいたなというふうに、うれしく思っております。
この答申に沿って、十五年二月に、海上公園の今後の方針ということで、新たな海上公園への取り組みというのを発表されておりますけれども、この中での、平成十四年度で新規に取り組まれた事業の取り組み状況についてお伺いをしたいと思います。
○高松臨海開発部長 平成十五年二月の新たな海上公園への取り組みでは、時代の要請を的確にとらえ、自然の再生、都民と協働で育てる公園への転換など、海上公園ならではの五つの転換を図ることを目標として掲げております。
この取り組みを踏まえまして事業を実施してまいりましたが、十四年度の新規事業の主なものといたしましては、葛西海浜公園におきまして、スポーツカイトのできる海風の広場を設置いたしました。さらに、大井ふ頭中央海浜公園ではドッグランを開設いたしまして、犬のしつけ教室を開催しております。
また、本年度は、辰巳の森海浜公園におきまして、財団法人日本ラグビーフットボール協会との連携によりましてラグビー練習場の整備を進めまして、十一月に開設の運びとなったものでございます。
○新井委員 いろいろな都民の方に非常に喜ばれるような事業に取り組まれているわけなんですけれども、その中でNPOと連携をしているものというのはあるのでしょうか。こちらの答申の中では、さまざまな分野でNPOとの協働というのが幅広くうたわれているわけなんですけれども、いかがでしょうか。
○高松臨海開発部長 NPOとの連携についてでございますけれども、いわゆるNPO法に基づきます法人格を有する者、それから、民間の非営利組織としてのいわゆるNPOの両方を含めまして、ここでNPOと呼んでおりますけれども、まず、十四年度の犬のしつけ教室では、犬の総合教育社会化推進機構、これはいわゆる法人格を有しますNPOでございますけれども、これと協定を結びまして開催をしております。
また、スポーツカイト体験会を実施しておりますけれども、これは、全日本スポーツカイト協会東京支部、いわゆる民間の非営利組織としてのNPOでございますけれども、これと連携をいたしまして事業を開催し、好評を得ているところでございます。
○新井委員 法人格を持つ持たないにかかわらず、非営利のNPOとぜひ積極的に連携をしていっていただきたいと思うわけですけれども、今までいろいろお話しいただいたものとか、あるいは、十五年度にまた新たに取り組まれている事業もございますよね。こういった事業を見ていますと、まさに事業一つ一つが、すべてNPOが運営すれば、より市民のニーズに合ったものになるのではないかというふうな感じを持つわけなんですけれども、今後、一つ一つの事業をNPOと協働してやっていくということを積極的に進めていくべきだというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○高松臨海開発部長 先ほど申しましたように、新たな海上公園への取り組みの非常に重要な要素の一つといたしまして、都民と共同で育てる公園への転換というのを進めてまいっているところでございます。その中でNPOの果たす役割は大きいものというふうに理解をしております。
今後とも、釣り教室あるいはツアーガイドなど公園の活用に当たりましては、NPOなど民間セクターと幅広い連携を図って、これらを活用し進めていきたいというふうに思っております。
○新井委員 中央防波堤内側の埋立地などはいかがですか。
○高松臨海開発部長 中央防波堤埋立地につきましては、現在、仮称でございますけれども、海の森の計画をつくりまして、これからこの整備を進めようとしているところでございます。
これにつきましては、具体的には、都内の公園等で剪定をいたしました枝葉などを細かく粉砕して微生物でリサイクルをするなど、さまざまな方法を持ちながら民間との協力をして事業を進めていくというふうに考えております。
○新井委員 今は事業ごとにNPOとの連携というのをお伺いしたんですけれども、公園ごとの管理運営というものがこの中で打ち出されておりまして、いろいろな特徴を持った公園等もあると思うんですけれども、そういった公園そのものをNPOが受託をして管理をしているというような例はあるんでしょうか。
○高松臨海開発部長 海上公園は、現在四十二公園ございます。公の施設でありますこの海上公園の管理につきましては、ご案内のように、地方自治法及び都の条例、海上公園条例でございますけれども、これに基づきまして、三十六公園につきましては財団法人東京港埠頭公社に、六公園につきましては株式会社東京テレポートセンターに管理委託をしているところでございます。
NPOとの連携といたしましては、典型的な例としては東京港野鳥公園がございます。この公園では、野鳥観察会など専門的な知識を要する部分、この部分につきましては、NPOであります財団法人日本野鳥の会と連携をして運営しているところでございます。
○新井委員 まだ野鳥公園だけということですけれども、指定管理者制度なども法の改正でできましたので、直接NPOと事業委託をすることができるということも可能になりましたので、特徴を持った維持管理、運営ということで、公園事業を含めて、ぜひ公園の管理そのものをNPOに委託をしていくということも含めて進めていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
それから、水質浄化についてお伺いする予定だったんですけれども、先ほど清原委員の方から非常に詳細な質疑がございましたので、これについては割愛をさせていただきます。
今後の整備に当たりまして、こちらの答申の中でもございますけれども、資源のリサイクルあるいは学習の場づくりということで、自然エネルギーを活用しようとか、さまざまなことがうたわれておりますけれども、こういった分野でどのように整備に取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。
○高松臨海開発部長 近年、資源の有効活用とか、あるいは総合学習の時間の導入などによりまして、都民の資源リサイクルあるいは環境学習への関心が非常に高まっているところでございます。
海上公園の整備におきましても、資源のリサイクルや環境学習への取り組みを現在進めているところでございます。例えば、現在実施をしております大井ふ頭中央海浜公園や、先ほどちょっと申しました東京港野鳥公園などでは、既に剪定のウッドチップなどをリサイクルして使用する、あるいは環境学習の場としては自然観察会など、そうした環境学習の場の充実に努めているところでございます。
それから、先ほどちょっと申し上げましたけれども、これから整備を検討しようとしております中央防波堤内側海の森の整備に当たりましては、先ほど申しましたような緑のリサイクル、ウッドチップからさらに堆肥をつくる、そういうリサイクルというものを進めようというふうなことで検討を進めているところでございます。
○新井委員 非常にリサイクル、地域の資源の循環ということでよいプランが出されているかと思うんですけれども、私、以前、ドイツのフライブルクを見てまいりまして、世界一の環境都市というふうにいわれているんですけれども、廃棄物の処理で、生ごみと、それから、今おっしゃった枝の剪定チップ、それをすき込んでいきまして山にしていくんです。私たちが見に行ったときには大体三分の一くらい山になっているところなんですけれども、とてもごみの処分場とは思えないような景観で、両わきから植樹していきますので、周りは森のように見えるんです。それをどんどん積み重ねていって、最後には広い広場の中に丘陵ができるというふうな感じのごみ処理で、そこは生ごみも使っていますので、メタンガスの発生で隣にありますニュータウンの電力を賄うということをやっておりまして、非常におもしろい試みだなというふうに思ったんです。
ここで同じようなことをなさろうとしているので、ぜひこういったフライブルクの実例なども参考になさいまして、よりよいものにしていっていただきたいということをお願いして、終わります。
○こいそ(明)委員 それでは、一点質問させていただきたいと思います。
昨今、首都治安につきまして大変深刻な状況ということが、いろいろなところから我々の方にも情報として上がってきますけれども、その中で、せんだって大変ショッキングな、南シナ海で銃撃戦の結果、自爆したんでしょうか、沈没した北朝鮮の武装工作船、これが、中国に多額の金を支払って引き揚げが実現したわけでありますけれども、これは今晴海に展示していますよね。晴海だったかな。船の科学館か。青海ですね。私も見に行きましたけれども、大変衝撃的な事実というものをまざまざと突きつけられたといいますか、いろいろな思いを持ったわけであります。
それとともに、ここでまた、昨年、日朝首脳会談で明らかになった、我が日本人の同胞が百人以上というふうにいわれる中で、まだまだ行方不明、青春を奪われて、家族の関係を引き裂かれて、また人生を狂わされて、またとうとい生命を落とした、これも思うところ、大変つらい、痛恨のきわみなんですけれども、少なくとも非人道的な国家テロ犯罪だということは当然だというふうに思います。
その中で、これは新潟港でありますけれども、「万景峰号」、これが、せんだってアメリカの上院だったでしょうか、公聴会で、この「万景峰号」を使っていわゆるスパイ工作の指示を与えたり、また、日本に向けられている三けたともいわれるような、これは韓国にも当然そうなんでしょうけれども、そのミサイルの部品のかなりの部分が、この「万景峰号」だけじゃないでしょうけれども、「万景峰号」から北朝鮮に運ばれたということ。
また、それだけではなくて、東京港において、当然、「万景峰号」は寄港はしないと思いますけれども、日本海、新潟港でありますけれども、その中で、この北朝鮮の船籍が、資料でいただいておりますけれども、北朝鮮から日本に来るという船が少なくなくあるわけでありますけれども、その中で、向こう側からどうも薬物の密輸、それからにせドル等々、または、こちら側から、先ほどの武器転用可能物品が積み出しをされている。
また、この数年の話でありますけれども、東京港から人道的支援ということで米が北朝鮮に送られた。これは、いろいろなマスコミを通じながらも、それから、海外のNPOからの話を全体的に、総括的に見ても、飢餓に苦しむ子どもたちや一般の人々にはどうも食糧が配給されていないのではないのか。首脳周辺及び軍関係の方にこれらの物資が回っているのではないかというようなことをいわれますけれども、そういうことで、私たちの東京の、東京港もこれらのいろいろな関連する部分があるのではないのか、こういうことから質問をするわけでありますけれども、ちょっと前段が長くなって申しわけないんですけれども、さて、この資料をいただく中で、例えば平成十四年に北朝鮮の船が一隻東京港に入港しておりますが、この船籍は何という船で、どこに向かって出港したのかということからお願いしたいと思います。
○片岡港湾経営部長 ご質問の北朝鮮の船は、船名を「ポン・ス号」と申しまして、平成十四年二月に東京港に入港いたしました。金属くず四千トンを積み込みまして、中国の南通、これは河口の上海から揚子江を上りまして約百キロほどの港でございますが、そちらに向けて出港をいたしました。
○こいそ(明)委員 東京港に入港し、また、日本には過去五回、東京港では一回でありますけれども、過去五回寄港しているこの「ポン・ス号」は、百二十五キロのヘロイン、末端価格百六十七億円を、四月、積み荷としてオーストラリアに入港して、ここで捜査当局によって摘発し、拿捕された。この船の所有は朝鮮労働党作戦本部の直轄会社の所有であり、つかまった乗組員三十名の中に朝鮮労働党の幹部が入っていたわけでありますけれども、これが逮捕された。
同船が東京港に入港した際、どのような対応をされたのか、このあたりもお願いします。
○片岡港湾経営部長 この「ポン・ス号」に対しましては、東京港の各取り締まり機関が監視体制をとりまして、接岸中に、東京税関を初め入国管理局、海上保安部、警視庁が合同で立入検査を行っております。
○こいそ(明)委員 そのとおりだとは思いますが、その中で、大変申しわけないんですが、これは新聞報道でありますけれども、この船が日本でつくられた、また、この貨物船が麻薬密輸に使われたということを政府も重視した。日本に寄港した際、貨物の輸出入に不審な点はなかったかということで、その解明を急いでいるんだというようなことがあったわけでありますけれども、これは平成十五年七月十三日報道でありますけれども、その後の解明点というのは明らかになってきたんでしょうか。
○片岡港湾経営部長 捜査情報ということで、すべてを明らかにしていただくわけにはまいりませんが、私ども問い合わせて、現時点で問題があったということについては情報を得ておりません。
○こいそ(明)委員 今後、東京港の保安対策の強化充実ということで、密輸、後ほど触れますけれども、密入国対策、東京湾保安対策協議会の設置を行っていますね。これらのことを通じながら、今回国際問題に発展をし、かなりこの船は、この船だけじゃないんですけれども、国際的にやはりマークされた船であったという事実。それから、今から四、五年前でしょうか、ちょっとアバウトで申しわけないんですけれども、覚せい剤、ヘロインがいろいろなルートから日本に向けてかなり密輸されていた、こういうことがいろいろなところで指摘をされ始めてきたと思うんです。
そういう中で、やはり水際で、なかなか難しい対応でありましょうけれども、少なくとも東京港の管理者である港湾局が、より一層、これらの協議会を通じながら、このような事態が、後ほど触れますけれども、密入国もそうですが、ぜひ対応をしっかりとしていただきたい。これは要望であります。
それに続きまして、北朝鮮船籍以外にも、先ほどちょっといいましたけれども、パナマ船籍、べリーズ船籍の船などが北朝鮮から入港している場合があるようでありますが、この入港状況はどうでありましょうか。
○片岡港湾経営部長 北朝鮮船籍の船以外にも、北朝鮮を経由いたしまして、平成十二年で二隻、平成十三年で一隻、平成十四年で一隻の船が東京港に入港しております。その貨物は、輸入では石炭、輸出では金属くずでございます。
○こいそ(明)委員 北朝鮮船籍の船だけではなくて北朝鮮を経由した船についても、これは、先ほどのオーストラリアの事例ではありませんけれども、にせドルの方がかなり、覚せい剤もそうでありましょうけれども、各国とも厳正な体制をとっているようでありますから、厳正なチェックを行っていく必要性があるんじゃないかというふうに思います。
我が国の日本全体で、これら北朝鮮船籍が寄港したのが年間何と一千四百隻だというふうにもいわれておりますけれども、東京港には年間、今お話がございましたけれども、過去さかのぼりまして、いろいろ年によって違いますが、年間数隻程度の入港であるようであります。しかし、たとえ一隻であろうとも、これら疑いを持つというんですか、現実的に摘発されているところがあるわけでありますから、北朝鮮からの船籍に対しては、とりわけ船に対して、これからも徹底した監視と検査体制をしく必要性がありますし、ぜひそのような体制を強化していただきたい、これを要望させていただきます。
また、密輸に限らず、都民の安全で安心な生活を確保していく上で、これはよく新聞にも出ましたし、いろいろいわれておりますけれども、今、不法滞在者が全国で二十四万というふうにいわれています。若干数字はあれかもしれないけれども、そのあたりは間違いないということの中で、昨年、晴海ふ頭に着岸した貨物船で五十数名が密入国した。銀座において検挙されたこの事件も衝撃的に、また記憶に新しいところであります。
そこでお伺いいたしますけれども、東京港における、昨年、平成十四年における密入国の状況はどうであったのか、このあたりをお願いします。
○片岡港湾経営部長 先生お話しの昨年十二月の晴海ふ頭での密入国事件につきましては、受け入れグループが五十二名もの中国人密入国者を搬送している途中で銀座で一斉に検挙した大がかりなものでございましたが、この事件を含めまして、平成十四年の密入国の状況につきましては、発生件数で五件、六十六名の密入国者を検挙いたしております。
密入国の形態につきましては、船の中の隠し部屋などの潜伏が二件、コンテナ内での潜伏が三件でございます。
○こいそ(明)委員 これも資料をいただきまして、隠し部屋とコンテナ内においての潜伏とそれぞれあるようでございますし、また船籍も、中国、ボリビア、ホンジュラスとかそれぞれあるようでありますけれども、タイもありますけれども、少なくともここで注目しなきゃいけないのは、隠し部屋、これは、昨年、十四年でも、これは資料をいただきましたけれども、船ぐるみ、または一部の船員が、船の中の部屋や船倉というんでしょうか、いわゆる空きスペースにかくまうわけです、不法滞在者を。この件数がここに出ておりますけれども、また、コンテナ潜伏というのは、これはどういうあれかわかりませんが、船が組織的にこのような隠し部屋をつくったりということと性格は若干違うかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、あらゆる形でこのように不法入国者が船に潜んでいて、それが東京港に船とともに当然でありますけれども入港してくる。そして、やみ夜に乗じるか、さまざまなことで上陸をする、こういうことだと思うんです。
ですから、いずれにしても、先ほどからの話もありますが、密輸また密入国はもとより、テロへの、ちょっと余談になりますけれども、昨日、衝撃的だったですね。ビン・ラディンがどうも、テロに対する報復というのか何というのかわからぬけれども、その対象国家が日本になったということが載りましたことは衝撃的ですけれども、テロへの対策を含めて、都民が今最も関心が強いのは治安ではないのか。これだけじゃないと思うけれども、大変強い関心を持っています。
治安に関しては、一義的には取り締まり機関の役割であることは当然でありますけれども、港湾管理者として、首都の、海のまさに玄関口としての港湾を管理している立場から、より積極的な対応が望まれるところであります。
このような観点から、都民の安全を守るために港湾における保安対策の充実強化が当然求められる。四面環海で、日本のいろいろなところから入り込める。または、海にさまざまな物流を我が国も依存をしている部分もあるでしょうけれども、こういうようなことを含めながら、東京港はすなわち首都の、海の玄関口であるし、また、もって首都圏だけじゃない、かなりの及ぼす影響が当然あるわけでありますから、これらの強化が求められるわけでありまして、最後に、港湾における保安対策、今までるる申し上げた保安対策について、今後、港湾局、都はどのような取り組みを進めていくのか、港湾局長の見解を伺って、終わらせていただきと思います。
○成田港湾局長 港湾におきます保安対策の取り組みについてでございますが、本年八月に都が呼びかけまして、東京湾の各港湾管理者、都県警察、さらには税関や入国管理局など、国の関係機関がそれぞれの垣根を超えまして、東京湾の保安対策協議会を設立したところでございます。
この協議会におきましては、現在、密輸、密入国の事件が発生した場合の連絡体制の整備やあるいは情報の共有化など、相互の協力関係を強化するなどの効果的な保安対策を鋭意検討しているところでございます。
東京湾の水際におきますこのような保安対策の取り組みに呼応してと申しますか、先日、十月十七日に発表されました首都東京における不法滞在外国人対策の強化に関する共同宣言におきましても、首都圏における不法入国防止のため、東京湾の保安対策協議会との連携強化を図ることがうたわれているところでございます。
今後、東京港はもとより、東京湾の文字どおり水際での犯罪を防ぐため、我が国での初めてのこの新たな取り組みをさらに進めまして、都民を初めとしまして、首都圏四千万人の安全で安心な生活を確保するべく全力を挙げて取り組んでまいります。
○和田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○和田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で港湾局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後四時七分散会
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