各会計決算特別委員会第二分科会速記録第三号

平成十五年十月十七日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時四分開議
 出席委員 十名
委員長前島信次郎君
副委員長山田 忠昭君
副委員長清水ひで子君
東村 邦浩君
河野百合恵君
山加 朱美君
酒井 大史君
樋口ゆうこ君
田島 和明君
比留間敏夫君

欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長幸田 昭一君
総務部長吉川 和夫君
生活福祉部長笠原  保君
高齢者部長福田  豊君
子ども家庭部長白石弥生子君
障害福祉部長有留 武司君
保険部長野村  寛君
参事並木 勝市君
参事清水 克則君
参事朝比奈照雄君
参事岩井 令雄君

本日の会議に付した事件
 平成十四年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  福祉局関係
   ・平成十四年度東京都一般会計決算(質疑)
   ・平成十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
   ・平成十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○前島委員長 ただいまから平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会をいたします。
 初めに、福祉局、長岡技監は公務の都合によりまして本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 本日は、福祉局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いを申し上げます。
 これより福祉局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十四年度東京都一般会計決算中、福祉局所管分、平成十四年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十四年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○吉川総務部長 過日の分科会で要求のございました資料につきまして、お手元の平成十四年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料により説明させていただきます。
 表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、全部で十九項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。福祉費の予算及び決算の推移としまして、平成五年度から十四年度までの福祉費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などについて記載してございます。
 二ページをお開き願います。福祉手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移といたしまして、平成十年度から十四年度までの予算現額、支出済額などを三ページにわたって記載してございます。
 四ページをお開き願います。「東京都福祉改革推進プラン」における主な事業プランの状況でございます。
 平成十二年度から十五年度までの各事業ごとの計画、予算、決算につきまして、四ページから七ページにわたって記載してございます。
 八ページをお開き願います。福祉改革推進事業の成果・実績といたしまして、事業の実施状況や主な取り組み事例などにつきまして記載してございます。
 九ページをごらん願います。高齢者いきいき事業の成果・実績としまして、事業の実施状況や主な取り組み事例などについて記載してございます。
 一〇ページをお開き願います。シルバーパスの区市町村別発行数といたしまして、平成十一年度から十四年度までの区市町村別の発行数、及び資料の右下になりますけれども、費用負担別の発行数を記載してございます。
 一一ページをごらん願います。特別養護老人ホームに対する補助の推移でございます。
 (1)に、平成十年度及び十一年度の施設運営費都加算・職員給与公私格差是正事業の決算額を、(2)に、平成十二年度から十四年度までの特別養護老人ホーム経営支援事業の決算額を記載してございます。
 一二ページをお開き願います。認可保育所に対する補助実績の推移といたしまして、平成十年度から十四年度までの補助実績などを記載してございます。
 一三ページをごらん願います。認可保育所整備費補助の予算及び決算の推移としまして、平成五年度から十四年度までの予算現額と決算額を記載してございます。
 一四ページをお開き願います。保育所入所待機児童数の推移といたしまして、平成十一年度から十五年度までの年齢別の待機児童数を記載してございます。
 一五ページをごらん願います。養育家庭委託児童数の推移として、平成十年度から十四年度までの委託児童数を記載してございます。
 一六ページをお開き願います。東京都女性相談センターの相談件数といたしまして、平成十一年度から十四年度までの内容別の相談件数を記載してございます。
 一七ページをごらん願います。東京都女性相談センターにおける一時保護実績及び婦人保護施設入所実績の推移でございます。
 (1)には、平成十二年度から十四年度までの東京都女性相談センターにおける内容別の一時保護実績を、また(2)には、平成十二年度から十四年度までの婦人保護施設の入所実績を記載してございます。
 一八ページをお開き願います。東京都女性相談センター職員定数及び婦人保護施設職員配置基準でございます。
 (1)には、東京都女性相談センターにおける職員定数を、(2)には、婦人保護施設におきます職員配置基準を、それぞれ職種などの区分別に記載してございます。
 一九ページをごらん願います。東京都における介護保険にかかわる事業の決算の推移といたしまして、平成十二年度から十四年度までの各事業別の歳出及び歳入決算額を記載してございます。
 二〇ページをお開き願います。要介護(要支援)認定者数といたしまして、平成十五年三月末の認定者数を、被保険者の区分別、要介護度別に記載してございます。
 二一ページをごらん願います。居宅介護(支援)・施設介護サービス受給者数でございます。
 (1)の居宅介護(支援)サービスにつきましては、被保険者の区分別、要介護度別に、また、(2)の施設介護サービスにつきましては、被保険者の区分別、施設種別ごとに平成十五年三月分の受給者数を記載してございます。
 二二ページをお開き願います。居宅介護サービス利用率といたしまして、平成十四年度におきますサービス種別ごとの利用率及びそれぞれの要介護度別の利用率を記載してございます。
 最後になりますが、二三ページをごらん願います。特別区における国民健康保険料率といたしまして、平成十四年度における被保険者一人当たりの保険料率及び一世帯当たりの賦課限度額を記載してございます。
 以上、要求のございました資料につきまして説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○前島委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本件に対します質疑を行います。
 発言を願います。

○山加委員 私は、平成十四年度の決算を審議するに当たりまして、平成十二年度の創設以来三年を経過いたしました介護保険制度について、その実施状況や今後の課題を中心にいたしまして何点か質問をさせていただきます。
 介護保険制度は、高齢者の介護を社会保険の仕組みにより国民全体で支え合うという、我が国の福祉の歴史の中でも画期的な制度として創設され、この平成十四年度をもって第一期三年間の事業運営を終えたところであります。
 過日ご説明のありました福祉局の一般会計決算説明書を見ますと、その一〇〇ページには介護保険費の決算状況が記載されております。これによりますと、介護保険費の支出済みの額は五百十五億八千八百万余りであり、これは福祉費全体のおよそ一割を占めているわけであります。そして支出の内訳を見ますと、中心になるのは介護保険給付費負担金、これは保険料と公費で賄われる介護保険給付のうちの、東京都が負担する一二・五%分ですが、これが約五百三億円余りに上ります。このほか、制度の円滑な運営のための、低所得者特別対策事業を初め、被保険者の権利救済機関であります介護保険審査会の運営、また、都独自の取り組みであります東京の介護保険を育む会の運営、そして制度のかなめに位置をいたします介護支援専門員を支援するためのケアサポート体制の構築など、いずれも重要な事業や施策に取り組まれていることがよくわかります。
 また、その隣、右側の一〇一ページにあります、平成十四年度には第二期としての介護保険事業支援計画を策定するための委員会が設置され、そこで検討された新しい計画のもとで、この四月から介護保険は第二期目の新たな段階を迎えたところであります。
 そこで、まずお尋ねをいたしますが、平成十四年度までの第一期三年間の実績を踏まえまして、介護保険制度の現状をどのように評価しているのか、ご見解を伺います。

○野村保険部長 介護保険制度は、平成十二年四月の制度創設以来、介護サービス利用者が増加し、在宅サービス、施設サービスとも、量的にも質的にも充実してきたところでございます。また、要介護認定制度や契約によるサービス利用などの新たな仕組みや、高齢者からの保険料徴収、サービス利用に伴う一割の利用者負担などに関する都民の理解も深まってきていると理解しております。
 これらのことを総合的に勘案いたしますと、制度の導入期といたしましては、おおむね順調に運営されているものであると認識しているところでございます。

○山加委員 おおむね順調であるというご答弁ですが、確かに全く新しい制度の創設であったわけでありますから、これが大きな混乱もなく無事に三年を経過できたということについては、現場の方々を初め関係者の努力には心からの敬意を表したいと思います。そしてまた、高く評価をさせていただきます。
 しかしながら、その一方で、介護保険については現場からもなお幾つかの課題が指摘されていると思います。それを福祉局としてどうとらえているかが大切と思いますが、そこで、東京都として第二期目を迎えた介護保険についてどのような課題があるとお考えになっているのか、お伺いをいたします。

○野村保険部長 東京都における課題でございますが、介護保険制度が真に高齢者の自立を支援する仕組みとして機能していくためには、介護予防やリハビリテーションの普及、在宅介護基盤の重点的な整備、利用者本位のケアマネジメントの実現、介護サービスの質の一層の向上などが課題であると認識しております。
 また、これからの介護保険のあり方といたしましては、高齢者の価値観の多様化など、時代状況の変化に的確に対応するとともに、東京の大都市特性に適応したものとしていくことも重要であると考えているところでございます。

○山加委員 ただいま指摘されたような課題を解決していくためには、都としての主体的な取り組みを進めることはもちろんのこと、制度そのものにかかわる問題については国に対しても積極的に改善に向けた提案をしていくことが重要であると考えます。介護保険制度は、法律の附則において、制度施行の五年後には全般的な見直しをすることがうたわれていたかと思います。そしてもう既に国の審議会などにおいては見直しに向けた検討が開始されていると伺っております。
 そこでお尋ねをいたしますが、以前から都としては、介護保険の見直しに当たって国に対して積極的に提案をしていくための検討を行うという方針を伺っておりますが、現在、これについてはどのような状況でしょうか。

○野村保険部長 介護保険制度の施行後五年の見直しに向けまして、都ではこれまで、東京の介護保険を育む会や、東京都介護支援専門員支援会議などでの議論や、保険者でございます区市町村との実務的な課題についての意見交換などを重ねてきておりまして、そうした成果を踏まえまして、制度の見直しに向けた東京都からの提案を今月中にも国に対して行うべく、現在局内で鋭意検討を進めているところでございます。

○山加委員 今のご答弁で、都としては検討を進めているという状況がよくわかりました。
 ところで、せっかく国へ提案していくのであれば、行政内部の検討にとどまらずに、介護サービスにかかわる事業者、医師会などの保険医療、福祉の専門家も含め、広く都民の意見を聞き、それを反映させた形で提案していってはいかがと考えますが、この点についてご見解を伺います。

○野村保険部長 制度見直しに向けた国への提案をまとめていく上で、ご提案のように広く都民や関係者の意見を反映させていくことは、提案を有益かつ実効あるものとするためには大変重要であると考えております。貴重なご提案と受けとめまして、今後、公表方法などを検討する中において、ご提案の趣旨を最大限生かせるよう工夫してまいります。

○山加委員 前向きなご答弁をいただけたと思います。東京都からの提案が広がりと重みを増すという意味でも、ぜひ関係者からの意見を聞く方策についてはご検討いただきたいと思います。
 最後になりますが、人が老いること、それは人生の条理であり、だれもが避けることはできません。すべての都民が安心して老後を迎えるためにも、介護保険制度をさらに充実していく上で、今回の国への制度改善の提案活動も含め、東京都が果たすべき役割は私は大変重要であると考えております。そこで最後に、介護保険の一層の充実に向けた局長の強い決意をお伺いして私の質問を終わります。

○幸田福祉局長 介護保険制度は、第一期三年間の制度導入期を経まして、この四月からの第二期目におきましては、高齢者の自立支援や在宅重視など、制度創設の意義や理念のより一層の具体化を図っていく必要があると認識しております。このため、すべての高齢者が介護を要する状態になっても、人としての尊厳を持って、できる限り地域の中で暮らし続けられる社会をつくることが重要でございます。この目標を実現するために、本年三月に改定いたしました介護保険事業支援計画及び高齢者保健福祉計画の着実な実施を図りますとともに、制度見直しに向けた積極的な提案発信を行うなど、介護保険制度が大都市東京の特性を踏まえた、真に利用者本位の仕組みとなるよう、また、都民の皆様の期待にこたえられるように引き続き全力で取り組んでまいります。

○樋口委員 東京都はTOKYO福祉改革STEP2において、ケアを必要とする子どものうち、当面二割から三割程度に関して家庭的な養護が行われるよう体制整備を目指しますと宣言し、全国に先駆けて、児童養護施設や乳児院など施設に偏っていた今までの社会的養護を見直し、施設偏重の児童養護政策の流れを変えてまいりました。さらに、都では本年度から、専門養育家庭制度を導入し、虐待を受けた子どもさんたちが家庭環境で育つことができるように取り組み始め、私も大変期待しているところでございます。
 養育家庭にどれくらいの子どもたちが委託されているんでしょうか。

○白石子ども家庭部長 養育家庭に委託される子どもの数でございますが、平成十四年度から、先ほど先生からもお話がありましたように、東京都では、家庭的養護を強く推進するということで、児童相談所が養育家庭に対する指導支援の中心となる仕組みに改めてまいりました。その結果、平成十三年度までは養育家庭に委託している児童数が年間約九人増と伸び悩んでいたわけでございますけれども、平成十四年度は、児童相談所が積極的にかかわったことによりまして、十三年度に比較いたしまして五十四人増と大幅に伸びました。その結果、委託児童数は二百七十八人となっております。

○樋口委員 五十四人もふえたということはとても大きな成果だと思います。福祉局の皆様方の取り組みとご苦労を評価させていただきたいと思います。
 里親認定制度に関する省令、また里親養育に関する最低基準の規定趣旨については、児童の発達においては乳幼児期の愛着関係の形成が極めて重要であり、できるだけ家庭的な環境で養育されることが必要であると書かれており、また、実際、私も子を持つ母としてそれを体感として見聞きしております。わかっております。
 一方、現実には、乳幼児が里親で養育されるよりも、乳児院で長期生活をするのが大半でございます。平成十二年度の厚生労働省の調べでは、東京都は、全国で二番目に高い、一四・七四%という子どもが乳児院で生活をしています。乳児院でお世話をする方々はみんな愛情を持って一生懸命子どもたちを育てていただいておりますが、人間として基本的な信頼関係を築くべき人生で最も大切な乳幼児期に、特定の大人と愛着関係を築くことなく集団生活をする児童が大変多いという現状があり、愛着形成ができないまま養育家庭に行き、そしてその家庭の中で、親も子も大変苦労されているという話をよく耳にいたします。乳幼児の家庭養育により一層力を入れていただきたいと思っております。
 乳児を希望する養育家庭が少ないことや、実の親が拒否をするなどという理由は確かに問題として数多くありますけれども、養育家庭の現状は年々刻々と変わり、登録時の委託希望年齢や、また受け入れ可能人数が更新されず、それを基礎として受け入れる体制が決まるということもあります。ぜひ、小まめな、綿密な再調査をされ、受け入れを拡大していただけたらと願います。
 委託前に子どもとの交流が何度もされて、受け入れ予定養育家庭の方は、児童養護施設や乳児院など何度も何度も通い、また、正式委託されるまでの数週間、宿泊交流がされます。その間の交通費、宿泊交流中の養育費、食費、その他いろいろな経費など、また、研修費などはすべて養育予定家庭の善意で賄われているという実態があります。正式に委託がされた後、子どもを委託した養育家庭にはどのくらいの生活費が支払われるのでしょうか。

○白石子ども家庭部長 ただいま、子どもを受託した養育家庭にどのくらいの生活費が支払われているのかというご質問でございますが、養育家庭には、里親手当や子どもの養育費、教育費などの内容で、国が定めました基準額に都がさらに加算額を加えたものが支給されております。実際に支払われる額は委託児童の年齢等によりまして異なるわけでございますが、例えば小学校三年生の場合を例に挙げますと、里親手当が五万円、子どもの養育にかかる経費が約六万円で、合計約十一万円が毎月支払われます。このほかに、学校給食費とか教科書、教材費などは必要な費用が請求に基づきまして支払われることになっております。また、児童が医療にかかった場合の本人負担分は東京都が支払うことになっておりまして、養育家庭の方には負担がないという状況になっております。

○樋口委員 実際、養育家庭では学童保育の費用は認められていませんよね。そしてまた、給食費は認められているけれども、給食がない学校でのお弁当の費用は認められていませんよね。
 そしてまた、学力のおくれているお子さんが以前の育っていた環境によってかなりいらっしゃると聞いています。それぞれの養育家庭では積極的にこの学力のおくれというものを親御さん、里親さんが教えたり、また学校の方にお願いをしておくれを取り戻すような形をとっているようでございますが、児童養護施設の養護児童学習指導加算のような手だてなど、今後において自立できる大人になるように子どもの学力を伸ばすような方策をぜひ考えていただきたいと思います。
 さて、平成十四年度の高校卒業者の大学や専門学校などへの進学率は、文部科学省の統計によりますと六二・九四%であり、就職率は一七・一%でございますけれども、景気低迷の中、即戦力となるような人材を求める企業側の意向があり、高卒の就職は極めて困難だという今の現実があります。公務員や民間企業の給与制度において、扶養手当は二十二歳まで行われております。その中で大学進学を希望している子どもたちに、大学進学で奨学金を受ける際に保証人が二人要ると聞いておりますが、どのように対応していらっしゃるんでしょうか。

○白石子ども家庭部長 奨学金については、日本育英会、東京都育英会から得る場合には二人の保証人が必要でございまして、保証人には養育家庭のいわゆる里父や里母、それから児童相談所長がなっているケースなどがあります。これらの者が身元保証人となった場合には、自立援助促進事業制度というものを利用いたしまして、身元保証に伴う事故の損害に対する補償を受けることができるようになっております。

○樋口委員 進学を志すお子さんたちが、養育家庭の状況によって不利益をこうむることがないようにぜひ考えていただきたいと思います。今の経済状況で、十八歳のお子さんがただでさえ自立することが環境的に非常に難しいわけですから、十八歳で突然社会に投げ出すようなことがないように、また、特に大学など学校に通うお子さんについては、措置を最大二十二歳ぐらいまでしていただけたらなんて考えております。
 現在は養育家庭の善意だけを基盤としております。つまりいいかえれば、養育家庭の犠牲の上にこの制度が成り立っている場合も多々見受けられます。十八歳で費用の支給は打ち切られますけれども、仮に二十歳、または二十二歳まで費用を支給するとしたら、一体どのくらい費用がかかるんでしょうか。

○白石子ども家庭部長 児童福祉法では児童というのが満十八歳に満たない者というふうにしておりますので、特別な事情がない場合には十八歳で措置解除というふうになります。
 なお、現在十八歳を超えて措置を延長している例といたしましては、定時制高校に在学して学業を継続している場合などがありまして、この場合には定時制高校を卒業するまでの期間措置を延長しております。
 十八歳を超えた場合に仮に支給するといたしまして、十八歳までの例にならいましてその額を試算いたしますと、委託児童一人当たり教育費等除きまして、年間約百三十五万円という数字になります。

○樋口委員 実際、養育家庭においては、十八歳を超えてもご自身の自宅を提供されたり、また、いつまでもいつまでもこの里親、里子の関係を維持されていらっしゃる善意の方々が多数いらっしゃいます。どうやったら自立支援を行っていくのか、実際問題の自立支援をどのように行っていくかということを考えていただいて、ぜひ検討課題にしていただきたいと思います。
 養育家庭の広報はどのようなことをなさっており、また、どのくらい今回費用がかかったんでしょうか。

○白石子ども家庭部長 家庭的養護を推進していくためには、養育家庭制度の周知、それから新しい養育家庭を開拓を行っていくことが重要であると考えております。十四年度はそのために特に広報に力を入れまして、例えば養育家庭制度を知っていますかというような呼びかけを行うポスターを一万九千枚、リーフレットを五万五千部作成いたしまして、区市町村、それから社会福祉協議会、子ども家庭支援センターなどに配布いたしました。また、電車とか駅構内での交通広告、「広報東京都」やホームページなどの媒体を利用いたしまして、あるいは関係機関に対する積極的な協力要請を行ってまいりました。さらに、養育家庭の行う養育を身近に知っていただきたいということで、都内十二カ所で養育家庭体験発表会を実施いたしまして、多くの方の参加を得たところでございます。これらを含めまして、平成十四年度における養育家庭関係の広報経費の決算額は約一千九百万円でございます。

○樋口委員 アメリカやオーストラリアでは行政が率先して里親制度を拡大するために大々的な広告宣伝を行っています。テレビや新聞などのメディアと連携したキャンペーンもこれからも行っていただきたいと思います。そのためにはまず周知をしなければなりません。周知をしなければこの制度は一向に進まないと思います。
 一方、里親、里子というような言葉--里を使っての多くの造語が最近ふえております。行政も積極的に使っている言葉もありますが、一方、里親をペットの飼い主だと誤解されている方も中にはいらっしゃいます。そしてまた、里木だとか里ごみ、また豊島区が使っておりました灰皿里親、そのような言葉もつくられてしまっております。人間以外のものに里親、里子という言葉は果たしていかがなものかと私は思っておりますし、また、養育家庭で育つお子さん方の心を考えますと、また、養育家庭で大切に我が子のようにかわいがっていただいているその里親さんの気持ちも考えますと、どうか物遣い、物扱いされるような言葉をできるならば排除していただきたい、排除する方向になっていただきたいと思います。
 里親家庭で育つ子どもたちの尊厳を守り、養育家庭制度が正しく理解されるためにも、ほかにも、官舎に住んでいる方は里親になることができないだとか、いろいろな制約がある中で、どうかしっかりと養育家庭制度が根づいていくようにしていただきたいと心から願います。
 続いて、次の質問に移らせていただきます。
 私は、障害を持った方が当たり前のこととして地域に暮らしていける環境を整備していくことがとても重要であると考えております。福祉局長は先日の事業説明の中で、平成十四年度は障害のある人が可能な限り地域で自立できる支援策を講じましたと述べられました。そこで、支援策の具体的な内容と成果について何点か確認をさせていただきたいと思います。
 施設に入所している知的障害者の方が地域で自立した生活に移行するためにはきめ細やかな訓練が必要です。都は入所施設におけるこうした自立に向けた訓練を支援するために、平成十四年度から地域生活移行支援事業を開始したとのことですが、その実績についてお伺いしたいと思います。

○有留障害福祉部長 都は、入所施設における利用者の自活訓練事業をさらに充実するため、平成十四年度より、障害者地域生活移行支援事業を都独自事業として開始し、施設に対し、施設外で自活訓練を実施するためのアパート等の借り上げ経費を補助することといたしました。平成十四年度は施設外訓練を実施した七施設に対し補助を行いまして、自活訓練に取り組んだ施設の実績は全体で二十一施設、八十人でございます。これは平成十三年度の実績が七施設、二十八人に対し大幅に拡大しております。
 また、知的障害者の地域移行の取り組み事例と対処方法を取りまとめた地域生活移行支援マニュアルを作成いたしまして、施設利用者や保護者、施設や区市町村職員などに幅広く配布いたしまして、知的障害者の地域生活移行の一層の普及拡大に努めております。

○樋口委員 親元や入所施設から自立して、地域で生活する知的障害者の方の居住の場として、グループホーム、いわゆる生活寮が大きな役割を果たすものだと考えますけれども、こうした生活寮で生活している方の生活状況、例えば就労状況や経済状況などを把握されていらっしゃるでしょうか。

○有留障害福祉部長 平成十四年六月現在、知的障害者生活寮利用者の九三%が就労しております。そのうち、企業等への一般就労が四八%、作業所などの福祉的就労が四五%でございます。
 また、経済状況についてでございますが、障害基礎年金を九三%が受給しておりまして、この年金収入、賃金、それから東京都の心身障害者福祉手当等を合わせた平均収入月額で申し上げますと、一般就労者で約十八万三千円、福祉的就労者で約十一万円でございます。

○樋口委員 今お話をお伺いしますと、現状、企業に就労したくても、一年間は採用されたけれども、次の年は就労できなかったというようなことも聞き合わせますと、結局は福祉就労に頼らざるを得ないのかななどと思っております。その賃金は、今お示しいただいた金額にしても一万円弱でありませんか。もちろん昼食費は補助が出ておりません。私が聞いている限りでは、福祉就労であった場合は、一カ月当たり千円、二千円だと聞いております。年金、福祉手当だけが頼りというような状況なのではないでしょうか。障害者が地域で自立して生活するためには、居住の場と日中の活動の場の両方を確保することがとても大切です。
 こうした観点から、福祉局は、心身障害者施設緊急整備三カ年計画などに基づき、居住の場である生活寮などのグループホームと日中の活動の場である通所施設などの整備を図ってきたとのことです。授産施設や地域の作業所などの福祉就労の場は、一般就労が困難な重度の障害者の日中活動の場として確かに必要なものです。しかし一方で、一般的な就労が可能な障害者に対しては、民間企業への就労開拓、就労継続のための支援などにより、一般就労による自立支援をしていくことが重要なのではないでしょうか。福祉局として、障害者の就労支援にどのような取り組みをし、どのような成果を上げていらっしゃるのか、お伺いさせていただきたいと思います。

○有留障害福祉部長 障害者の就労の機会の拡大を図るとともに、継続的に安定した就労が続けられるよう支援することは、障害者が地域で自立した生活を送る上で非常に重要な課題であると認識しております。福祉局におきましては、平成十二年度から区市町村障害者就労支援事業をモデル事業として実施しておりまして、障害者の就職活動や職場での問題解決、ジョブコーチの派遣などの就労面での支援と、健康管理や金銭管理などの日常生活面での支援をあわせて行っております。平成十四年度は十四区市で事業を実施しております。
 具体的中身を申し上げますと、職場開拓一千百七十六件、職業相談等一万三千六百一件、生活相談等六千五百四十三件などの実績がありまして、こうした努力の結果、二百四十二人が一般企業等へ就職しております。

○樋口委員 二百四十二人が一般企業等に就職していらっしゃるといっても、実際、一年ぐらいで切られてしまう場合がよくあります。ぜひその辺のことも調査をしていただいて、今後に役立てていただけたらと思います。
 障害者の地域での生活を確保していくためには、就労を確保し、ある程度安定した経済基盤を確立できるように支援するのが重要なポイントになると考えます。障害者の就労を支援するためには、ときとして生活面での支援も必要になってきます。就労対策は産業労働局の所轄だという発想を超えて、福祉局だからこそできるきめ細やかさと幅広さで、就労支援を含め、障害者の地域生活支援に取り組んでいくべきだと考えますが、所見をお伺いします。

○有留障害福祉部長 都は、希望する障害者が地域で自立した生活が送れるよう、今年度から、障害者地域生活支援緊急三カ年プランにより、知的障害者生活寮等の地域における居住の場、通所施設等の日中活動の場など地域生活を支えるサービス基盤、これらを短期間で集中的に整備するようその促進を図っているところでございます。
 就労支援につきましては、今年度から、区市町村障害者就労支援事業を本格実施といたしまして、現在は十九区市において事業が実施されております。今後ともこの就労支援事業の一層の普及に努めてまいりたいと存じます。

○樋口委員 施設から地域へさまざまなバリアを、今後、より取り除いていかなくてはなりません。その中で、東京都心身障害教育改善検討委員会が出した中間のまとめでは、寄宿舎の目的を通学困難に限定し、その必要性については改めて検討を進めていくとしています。障害者が今後自立するために、その前段階が大変重要だと思います。年齢の低い方々の寮としましては、寄宿舎としましては、八王子養護学校と青鳥養護学校がその部分を担っております。生活訓練の場の充実も含めて、地域移行にぜひ積極的に取り組んでいただきたいと申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○東村委員 それでは、平成十四年度の東京都一般会計決算、これについて何点かお伺いをしたいと思います。
 まず初めに、都立の福祉施設の職員住宅について何点か質問したいと思います。
 実は、私の地元にも都立の福祉施設がございます。そしてそこに職員住宅があるんですけれども、先日地域の住民の方と懇談している中でこういうご意見がありました。それは、中は開放されているのでいろいろな機会に行かれているわけですから現状をよくご存じなんですけれども、どうも職員住宅のあきが多い、今のこういうご時世で都営住宅のあきにもなかなか入れない中で、職員住宅のあきがこんなに多いのはいかがなものかというご意見がございました。私も早速この問題、大事な問題だなと思います。民間なんかはこのようにいろいろな社員の住宅があいているとか保養施設があいていれば、それを転用したり売却したり、いろいろな方法で考えていくわけなんですけれども、そこで平成十四年度末、いわゆる十五年三月三十一日現在の都立福祉施設の職員住宅の空き家、全部でどれくらい空き家があるのかということと、入居率についてまずお伺いします。

○吉川総務部長 私ども福祉局が管理をしております職員住宅の、先生おっしゃられました平成十五年三月三十一日現在の総戸数は千二十一戸でございまして、現在五百二十一戸入居しておりまして、結果、空き戸数については五百戸ということになっております。入居率ということでいえば、五一%という状況でございます。

○東村委員 私は入居率五一%というのは、これは少ないと思うんですね、はっきりいいまして。そこで、この月額使用料というのは恐らく医師や看護師の場合は減額をされるはずなんですけれども、この月額使用料を、例えば減額前の使用料をみんな適用されたと想定をして、その上でこの空き家戸数に月額使用料を掛けて、これは月額どれだけいわゆるお金が本来入ってくるのか、これについてお答えいただきたいと思います。

○吉川総務部長 先ほど申し上げました三月三十一日現在の空き戸数の五百戸をもとに、今先生おっしゃられた減額前の使用料の額で計算しますと、一月当たり千百十六万円、年間でいたしますと、一億三千四百万円程度になります。

○東村委員 確かにこれは年間一億三千万ですか、今年間一億三千万の収入を得るというのは結構大変なことなんですね。この問題はやはり考えていかなければいけない問題だろうと思うんです。ほうっておいていい問題では私はないと思うんですけれども、そこで、このあいている職員住宅を活用する工夫を局としてしているのか。工夫をしていれば、どのような工夫をしているのかについて伺いたいと思います。

○有留障害福祉部長 ご指摘の点につきまして、障害者施設の例でお答え申し上げます。
 都は、希望する障害者の地域での自立生活を支援するための施策を強力に推進しております。このため、知的障害者の入所施設におきましては、施設を利用している障害者の地域生活への移行に向けた自活訓練事業を実施しております。都立の知的障害者児施設七福祉園におきましては、平成十四年度末時点で空室となっている百十七戸の職員住宅を活用しまして、個室において調理や洗濯等の、地域での自立生活に向けた日常生活訓練を実施しております。

○東村委員 一部あいているところを使って、恐らくその目的に沿ったさまざまな活用をされていると思うんですね。確かにその施設の目的に沿った活用をするということは大事なことだと思うんですけれども、ただ、それで限界があると思うんです。だから、今これだけあいているし、地域の住民がもうみんな知っているわけですから、こういうご時世に東京都は何をやっているんだというご批判も浴びる可能性だってあると思うんですね。
 私は、確かに都の施設だから、いろいろな法律に縛られて、その縛られた法律の中で目的に沿った活用しかできない、その中で一生懸命努力をされている福祉局の努力も買いますし、多とします。その上で、やはりこれから地域の福祉資源を充実させていく必要があるんじゃないか、むしろ、こういう職員住宅を有効に活用していくことが多くの方から求められているんじゃないかと思います。
 その上で、都立の福祉施設が民間移譲されれば、もっともっと私、いわゆる有効な活用が図られていくんじゃないか。例えば宿舎の内部を改造することによって、地域の福祉関係のNPOの事務所や、さらに地域の障害者の方の交流センターとしての活用や、地域の住民の人が集まる会議室や集会所などの活用が、さまざまな方途が考えられるんじゃないかと思いますけれども、これについていかがでしょうか。

○清水参事 都立福祉施設の職員宿舎は、現在、行政財産であることから、使用用途も職員の宿舎という行政目的に限られております。今後、都立福祉施設の民間移譲によりまして民間の社会福祉法人の所有になりますと、民間法人の創意工夫によりまして、先生今ご指摘になりました用途を含めまして、地域に根差したさまざまな福祉資源あるいは福祉サービスを充実させる幅広い活用が可能になるものと考えております。

○東村委員 私は今職員住宅の例を一つ取り上げさせていただきました。これだけで民間移譲すべきだということをいっているわけじゃなくて、こういう職員住宅の例一つとっても、まだまだ都立でなければだめだという観点もないということもいいたいわけなんですね。
 ただ、懸念されるのは、やはり重度の知的障害者の方、特に医療ケアつきの障害者の方、今のケアされているサービスを確保してもらえるのかどうかという、ここを一番心配されていますので、これは厚生委員会でもずっと議論させていただきまして、我が党の提案によって、認定制度の活用をするということも述べていただきました。現に今民間でやっているところも、この重度の障害者を受け入れるところについては、きちっとしたサービス水準を東京都が保証してくれる、そういうこともおっしゃっていただきました。そこをぜひとも担保しながら、変えていかなきゃいけない部分、今の時代の流れに沿って変えていかなきゃいけない部分、都立だからこれでいいんだという発想ではなくて、多くの住民がきちっとした税金を払っているわけです、そしてやはりきちっと地域の人たちも見ているわけですから、そういう改革をぜひとも行っていただきたいと思います。
 次に、特別養護老人ホームの入所待機者の解消について何点かお伺いしたいと思います。
 平成十四年度に作成されました第二期東京都介護保険事業支援計画、これを見ますと、平成十四年十月の要介護認定者の数は約二十七万八千人、前年十月と比べて、人数でいうと約四万二千人、率で一八%の増加となっています。これが平成十九年度には要介護認定者が約四十万八千人になり、十四年十月と比べて四七%増加すると予測されています。
 このような中、介護基盤のより一層の整備充実が求められております。我が党の今回のマニフェストの中で、国と都と市の各議員が一体となって、このいわゆる特別養護老人ホームの入所待機者をゼロにする、こういうことを掲げさせていただいています。その中でいろいろなやり方が出てくるわけなんですけれども、基盤整備について、よく特別養護老人ホームなどの施設サービスはお金がかかるから、在宅サービスの基盤の整備にシフトすべきである、こういった意見がいろいろあるんですけれども、しかしながら、私は在宅で要介護高齢者を支えることがもう限界に達してきていると思っています。というのは、そういう声が圧倒的に多いし、現にこの特別養護老人ホームに入所するために、わざわざ東京都の区部のいわゆる東の方の地域から八王子までいらっしゃって、一日では回り切れないから、一週間かけて家族が毎日毎日回っているという現状を私は知っておりますし、いろいろな施設からそういう声も聞こえてきております。
 そこで、平成十四年度の決算説明書の一〇七ページ、これを見ますと、特別養護老人ホームの整備費補助は、予算二十六カ所に対して決算は十八カ所、執行率が七五・七%となっています。また、この特別養護老人ホームの設置促進特別助成、いわゆる土地助成というやつですね、これについては、予算十九カ所に対して決算は九カ所、執行率五八・三%なんです。そこで、予算に比べて何でこのように決算が低いのか、まずこの理由についてお伺いしたいと思います。

○福田高齢者部長 特別養護老人ホームの整備費補助に関する当初予算につきましては、社会福祉法人など事業者が事業計画書を提出した時点での事業計画数により計上いたしました。しかしながら、その後、計画者による資金計画のめどが立たなくなったり、あるいは周辺住民の同意が得られず当該計画を延期せざるを得なくなったりなどしまして、十四年度計画の取り下げを行った事業者が出てきております。
 このような理由とともに、もう一つは、工事着工のおくれにより予定の工事出来高が達成できなかったことも、予算執行率の低下に影響を与えております。

○東村委員 今、工事着工のおくれや資金計画のめどが立たなくなってこれだけ実際の予算執行率が悪い、こういう話がありました。そこで、平成十四年度の実績として、特別養護老人ホームの定員増として何人分の整備助成を行ったのか。また、十四年度末の特別養護老人ホームの入所定員数は幾つになったのか、これを区部と多摩地域、そして島しょ地域に分けて答えてもらいたいと思います。

○福田高齢者部長 平成十四年度の特養整備費補助の実績は、創設十八カ所のほか、増設五カ所でございます。定員ベースで見ますと、千六百九十三人の増床整備であります。そのうち、十四年度に完成する分といたしましては七百七十九人で、区部が五百九十九人、市部は百八十人、十五年度への継続分といたしましては九百十四人分で、区部が八百三十四人、市部が八十人でございます。平成十四年度末完成ベースでの特養定員数は三万六百四十四人で、内訳は、区部が一万四千十一人、多摩地域が一万六千三百十九人、島しょ地域が三百十四人でございます。

○東村委員 今、具体的に区部と多摩、それから十四年度完成分、そして十五年度継続分の数字を出していただきました。今の数字を聞きますと、地域偏在があるんだけれども、そういった身近な地域に入れない、これを何とかしたいという東京都の思いがかなりこの十四年度、十五年度の数字に出てきているな、頑張っているなということを思うわけなんです。
 かなり区部にも進んできて、これは私、そういう数字は出ないんじゃないかと思っていましたけれども、そういう数字が出てきているということは、福祉局、今相当力を入れてくれているなと、このように感じるんですけれども、ただ、二十三区と多摩の人口比は二対一なんですね。累計でいくとまだまだ、区部が一万四千十一床ですか、多摩が一万六千三百十九床で、圧倒的に多摩地域、特に私の住んでいる八王子から西多摩、青梅の地域にかけて多いわけなんですね。そこで、東京都はこのような特別養護老人ホームの地域的な偏在、これをどう是正していくのか。その是正に当たって、やはり二十三区は土地が高いわけです。八王子に来れば土地が安いわけですから、どうしても安い方に流れてくるという嫌いがあるんですけれども、それをそのままにしておくとやはり地域偏在というのはどんどんどんどん進んでくるわけなんですね。そこで、具体的に東京都はこの地域バランスを考慮したどのような整備助成を行っているのか、これについてお伺いしたいと思います。

○福田高齢者部長 東京都は、高齢者保健福祉計画に沿いまして、地域バランスに配慮しながら着実に特養の整備を進めております。具体的には、建設費補助につきまして国の補助基準単価に上乗せを行うとともに、都独自の用地取得費助成を行っております。それにつきまして、地域偏在の是正につきましては、地価が高く土地の取得が困難な東京の特性を勘案し、土地助成の補助率を、都の目標整備率を超えた地域については二分の一、目標整備率に達していない地域については四分の三とすることにより、不足地域への立地にインセンティブを与えております。すなわち区部等不足地域に対してはインセンティブが与えられておるものでございます。

○東村委員 今おっしゃってくれたように、確かに区部が土地が高い、どうしても多摩地域に流れていってしまう。それを歯どめをかけるために整備目標をきちっとそれぞれ設けて、整備目標を達成しているところは今の答弁でいきますと二分の一、ただ、達していない地域については四分の三という、これは非常に今おっしゃったようにインセンティブを与えてくれていることは大事なことであり、その話を聞いて私もある意味ほっとしているんですけれども、この介護保険制度になって、特別養護老人ホームの入所も措置から契約に変わったわけなんですね。制度的には利用者が自由に選択できるという、自由という言葉どおり非常に自由に選択できるといういいイメージがあるんですけれども、現実は入所を希望してもなかなか施設に入れない、これが実態でございます。そこで、東京都はこの特別養護老人ホームの入所を待っている方、いわゆる待機者という方々ですね、この方々の状況をどう把握しているのか、まずこれについてお伺いしたいと思います。

○福田高齢者部長 平成十三年度に行いました特別養護老人ホーム入所希望者等の実態調査によりますと、都内の特養入所希望者は二万五千四百九十五人でございます。ただし、一人平均二・六カ所の施設を申し込んでおります。また、その入所希望者の三割以上は要介護一及び要介護二の方でございます。
 既に介護保険施設に入所している人以外で一年以内に特養入所を希望している方は、全体の約三割、七千二百人と推計しております。

○東村委員 今、全体で二万五千四百九十五人ですか、そのうち、いわゆる緊急を要する、一年以内に特養に入らなければならないという人が七千二百人、この七千二百人が大事なわけなんですね。いつも待機、待機といっても、結局予約している人もいますから、何年か先のために常に予約して、それも何カ所も予約している人もいますから、一年以内にすぐに入らなきゃいけない、この七千二百人が大事なわけでありまして、これは二年前の時点で要介護高齢者の数が年間二割ふえているということを考えれば、現在ではもうちょっと大きい、多数の人数になっているんじゃないかと私は考えるわけなんですけれども、一方で、十五年度末の特養入所定員数は約三万六百人で、年間の定員増加数が千人に満たないという状況もあります。
 このようなことを考えながら、私はいわゆる予約的な入所申込者は別としても、特別養護老人ホームに、ここしかもう入所するところはないんだという、こういうような切実な問題を抱えている方、このような方ができるだけ、例えば緊急を要する方ですね、もうすぐにでも入れなければいけない、このような方がスムーズに入所できるために都はどのような手だてを講じているのか、これについて伺いたいと思います。

○福田高齢者部長 昨年八月、国の省令改正によりまして、入所の必要性の高い人が優先的に入所できる、いわゆる優先入所についての努力義務が施設に対して課されました。本年二月に、都内の特養施設と区市町村及び東京都が共同で優先入所に関するガイドラインを作成しております。現在、各区市町村におきまして、このガイドラインを踏まえた優先入所の仕組みづくりへの取り組みが進められております。真に入所を必要としている方が長期間待つことなしに入居できるよう、特別養護老人ホームが不足している地域を重点とした施設基盤整備だけではなく、優先入所の仕組みづくりなど、ソフト面の整備についても現在鋭意進めているところでございます。

○東村委員 今、区市町村で優先入所に関するガイドラインを東京都と共同で作成しているという話がありました。これ、大事なことだと思うんですよ。ところが、この今もらった資料の中で、申しわけないんですけれども、大体区市町村でこれがもう既に策定済みというのが、これは八月の時点ですけれども、二十五なんですね。検討中が二十七で、要するにこれすらまだ今検討中。恐らくこの十月にはほぼでき上がるだろうといわれているので、恐らく、この検討中というのがほとんどもうできると、盤石にはなってくるんじゃないかと思うんですけれども。
 ただ、私、一つだけこれはいわせていただきたいんですけれども、福祉局が事務事業の説明の中で、局長もおっしゃっていました、キーワードが選択、競い合い、地域だと。そして、これからの福祉は、利用者が自分に最も合ったサービスを的確に選択し、利用できるとともに、事業者が競い合いの中から質の高いサービスを提供する仕組みとすることが求められているんだ。これは非常によくわかりますし、これからはこれをやっていかなきゃいけないんだろうなというのはわかるんです。
 ただ、現実を考えると、供給する側が需要する側を下回っているわけなんですね。したがって、これは供給の方が多くて需要する方が少なければ、このような競い合いだとか選択ということはできるんですけれども、現実問題、実際に供給する側の方が需要、求めている側よりも少ないわけですから、そういう現状では競い合いだとか選択はできないんです。むしろ、先ほどもいいましたけれども、現実問題では--確かに利用者が自由に施設を選択できるようになりましたというのは理想であり、これはすばらしいことで、これを進めていかなきゃいけないんですけれども、現実はそうじゃない。私のところにいろいろな方から話がありますけれども、要するに入れればどこでもいいですから入れてくださいというのが現実なんです。そこに選択だとか競い合いだとかいうものは現実問題なかなかないわけなんですね。
 そこで、このような実際大事なことは、今の話の中で、ガイドラインをつくって、いわゆる緊急を要する人は優先的に入れてあげられるような仕組みづくりをしていますよといってくれているんですけれども、現にそういうところで、あなたは優先的に入れますよといってくれても、結局どこがすぐに入れるのか、どこに行けば自分が優先的に入れるのかというのは、選択をして、調べたりするのは本人なんですね。これは恐らく介護保険の趣旨でしょうし、仕方がないと思うんですけれども、ただ、現実問題、そこで何カ所も回って、どこがあいているかという情報がないがゆえに本当に苦労している人をたくさん私は知っております。
 そこで東京都に、これは介護保険の制度の趣旨から逸脱するかもしれないんですけれども、いわゆる入所希望者、この人たちに対して、施設入所待機の状況ですね、あとどれだけで入れるんだ、あとどれくらい待てばいいんだとか、そういう具体的な情報が提供されるような仕組みづくりをつくるべきだ、また、必要だと考えるんですけれども、この辺について見解を伺いたいと思います。

○福田高齢者部長 先ほど申しました優先入所の仕組みが有効に機能するためにも、特養入所に関する透明性と公平性が最大限確保されることが必要であると考えております。また、利用者の自己判断及び自己責任を基本としつつも、入所希望者の申し込みやその後のフォローについて、情報提供も含めた支援体制を構築することが必要と考えております。そのため、本年度より、在宅介護支援センター等の関係機関と特養などの施設が連携し、特別養護老人ホーム入所希望者を支援する特養入所希望者等安心介護システムの構築について、東京都が行っております高齢者いきいき事業の先駆的事業のメニューに加え、区市町村の取り組みを支援しているところでございます。

○東村委員 本年度から、特養希望者等安心介護システムの構築ですか、これについて先駆的事業のメニューに加えて区市町村の取り組みを支援しているといっているんですけれども、この辺について、もう少しこのシステムの具体的な内容について伺えればと思います。

○福田高齢者部長 特養入所希望者等安心介護システムは、特養など施設だけでなく、区市町村や在宅介護支援センター及びケアマネジャー、居宅介護支援事業者などが、サービス提供者と相互に連携し、特養入所希望者に対し幅広く支援を行っていくための地域ネットワークでございます。
 具体的には、まず、優先入所の基準づくりとその公平公正な運用、二番目に、在宅介護支援センターが地域の介護支援専門員と連携して行う入所希望者の状況把握、施設の申し込み状況などの情報提供、入所申し込みの代行など入所希望者と施設の橋渡し、また三番目には、そのほか入所希望者の在宅生活を継続するためのサービス調整などの支援を行うものでございます。これらを区市町村、施設等サービス関係者が、地域サポート委員会、これは仮称でございますけれども、こういった委員会を設け、このような連携のもとに円滑に行っていく仕組みを想定してございます。

○東村委員 今いってくれたこの特養希望者安心介護システム、これが本当にうまく区市町村で機能していけば、さっきいったいわゆる情報を一生懸命家族がぐるぐる足を棒にして入手していかなくても済むわけですね。そこで初めて選ぶということも出てくる可能性があるわけなんですね。まだ今のところ、需要が供給を上回っておりますけれども、これは本当はある程度供給が上回らないとこういうことはできないんでしょうけれども、それでも今のシステムをつくってくれる中で、選んで、どこへ行けばいいか、そうすればすぐにでも入れるのかとか、そういう情報が得られるわけなので、さっき都も支援するということをおっしゃっていますので、区市町村のレベルでは、私は申しわけないけれども、ここまでなかなかでき上がらないと思うんですね。というのは、現状はこのガイドラインをつくるのも今大変な状況で、さっきいったように検討中というところもあるわけですから、ここをぜひとも東京都は支援をしていただきたいと思います。
 その上で、私は先ほどもいいました特別養護老人ホーム、これが大前提なんですけれども、ただ、これが幾らこれからどんどん整備していっても、抜本的に入所待機者を解消するまでには相当の時間がかかるんじゃないかと思うんです。でも、これは早くやらなければいけない問題なので、施設の設置促進や優先入所、そして今の特養希望者安心介護システム、こういうシステムづくりも含めて、これだけでも一歩前進だと思いますけれども、よく福祉局はここまで踏み込んできてくれたなと思うんですね。そう思うんですけれども、ただ、これでもやはり限界があるんじゃないかと思います。
 そこで、私はこの大規模施設、いわゆる特養と在宅との中間的な住まい、今現在痴呆性高齢者のグループホームなどを行ってくださっています。そこに助成もやってくれています。けれども、さらに一歩進んで、新たな中間的な住まいの可能性も検討していくべきなんじゃないかと思いますけれども、局長の見解を伺いたいと思います。

○幸田福祉局長 特養の入所希望者が増大いたします中で、真に入所を必要とする要介護高齢者、これが入所できないという切実な問題というふうにまず第一義的には認識をしております。このため、先ほど部長からもご説明申し上げたところと重なりますけれども、都独自の用地取得費助成の活用によりまして、地域バランスにも配慮した施設整備を進めていることに加えて、優先入所に関するガイドラインを作成するなど、ハード、ソフト両面からの施策を進めているところでございます。
 また、痴呆性高齢者グループホームを大幅に増設いたしますとともに、今お話しの、自宅と施設の中間的な新しい住まい方、高齢者の住まいと介護のあり方につきましても検討を進めているところでございます。今後、特養に限ることなく、高齢者のさまざまなニーズに応じましたきめ細やかな住まいと介護の受け皿を用意することを含めまして、安心して高齢期を迎えることのできる環境づくりに取り組んでまいる所存でございます。

○東村委員 今、局長から、痴呆性高齢者グループホームだけでなくて、いわゆる高齢者の中間的な新たな住まいの可能性についてもこれからきちっと局として検討していきますという非常に前向きな答弁をいただきました。本当にこれは私は現場をいろいろ回っていて思うんですけれども、さまざまな理由から自宅で暮らしていくことが困難になっている要介護高齢者がふえてきています。しかも、それが切実な問題で、特に大規模な設置がなかなか困難な、大都市東京の特性を生かしていくことを考えたときに、先ほど局長がおっしゃってくださった、この新たな中間的な住まいのあり方、これについて今後検討していただいて、都が積極的に取り組んでいただきたい、こうご期待申し上げまして、質問を終わります。

○河野委員 私は、まず初めに介護保険事業について伺います。
 二〇〇〇年スタートの介護保険は、昨年二〇〇二年度で三年が過ぎ、ことし四月には保険料の改定があって、東京都内でもほとんどの自治体で一号被保険者の保険料が引き上げられました。介護保険は三年ごとに保険料見直しがあり、そのたびに保険料が値上げとなる仕組みとなっています。保険料のほかに、介護サービスを受ければ一割の利用料負担をしなくてはならないということで、お金の負担が重過ぎるという声は依然として根強くあります。そのために介護サービスの利用を控える状況も続いております。私は、被保険者と介護サービス利用者の負担軽減についてお尋ねをいたします。
 まず初めに、決算書に基づいてお伺いをいたします。
 一〇〇ページです。平成十四年度の決算では、介護給付費の都負担金の不用額は四十二億六千三百万、約四十三億円ということですが、この不用額が発生した理由を伺います。

○野村保険部長 十四年度の予算額につきましては、事業の執行計画に基づいて作成いたします。この前提となりますのが、平成十一年度の計画でございまして、それに基づいて作成いたしましたので、実績との乖離が生じたということでございます。

○河野委員 実績との乖離ということですが、なかなか見込みよりも利用が伸びないというのも現実ではないかと思います。昨年の決算委員会で我が党の大山とも子議員が、不用額について局の見解を伺っております。その中で、平成十三年度の不用額は約七十四億円であること、そして区市町村での不用額の発生も同じ額であると推定すると保険部長の答弁がございます。平成十四年度についても同じように四十三億円程度の不用額が区市町村にあって、これが介護保険特別会計に積み立てられているというふうに理解してよろしいのでしょうか。

○野村保険部長 不用額が発生しました場合につきましては、各区市町村の判断でございますけれども、基金の方に積み立てる場合、それから不用額として処理する場合等々いろいろあるかと存じます。

○河野委員 今のご答弁ですと、区市町村にも四十三億円程度のお金が残ったというふうに私は理解をさせていただきます。
 またさかのぼりまして、一昨年の決算委員会では、清水ひで子議員が、十二年度の不用額約三十億円でしたけれども、これだけの不用額が出るのは、介護サービスの利用を多く見込み過ぎて、結果的に保険料の算定そのものが高過ぎたのではないかという質問をしております。これもやはり保険部長の答弁で、ちょうどこの年度、平成十二年度は介護保険スタートの初年度であったために、初年度だけでは判断できないという旨の答弁をされています。
 介護保険制度がスタートして三年たった今、毎年度三十億、それから七十四億、四十三億と、こうした多額の不用額が発生していることについて、東京都は今どのような見解をお持ちか、お答えいただきたいと思います。

○野村保険部長 現在、多額な不用額が出ておりますが、今回の平成十五年度からにつきましては、第二期の新たな支援計画をつくっておりまして、その場合につきましては、新たな事業計画のもとに計画をつくっております。
 第一期につきましては、先ほどもお話ししましたとおり、実績がないという中で、かなり実績の見込みが非常に難しかったということがあろうかと思います。ただ、第二期につきましては、第一期の実績を踏まえまして今後精査をしていきたいと考えております。

○河野委員 先ほど述べましたように、ことしの四月に介護保険料の見直しがありました。東京の自治体では十四区市町村が保険料を据え置いているんですけれども、ほかのすべての自治体は、額の多少はあれ、一号被保険者の保険料は値上げという状態になっています。私も調べましたが、平均で月額約二百円を超えています、平均値上げ額ですね。最高では一カ月に六百円を超える値上げの自治体もあります。据え置きをした自治体は、先ほどお話にあったように、使い残したものを基金に回して、その分を使って保険料軽減対策を実施した、そういう自治体もあるわけですけれども、東京都が十四年度の不用額四十三億円をどのように活用していくのかということも、私たちは大変大事な問題だと考えています。
 東京都の介護保険事業支援計画によりますと、平成十四年度十月現在、都内の一号被保険者の数は約二百六万人です。ことし四月から保険料は平均一人当たり年間で約二千六百円値上げされておりますから、計算いたしますと、一号被保険者の保険料の負担増は年間五十四億円になることになります。冒頭に伺いました、区市町村の使い残した予算と都の不用額を合わせると八十六億円の財源が存在することになって、これを保険料の負担軽減対策の財源として活用する、こういうことをもし行っていれば、ことし四月からの値上げはしなくても済んだ、負担は重くしなくても済んだということを考えているんですけれども、この点では東京都は、保険料負担軽減対策、どのようなお考えをお持ちでしょうか。

○野村保険部長 東京都の場合の不用額、四十億円以上あるということでございますけれども、介護保険制度は、一割の利用者負担を除きまして、残りの半分を被保険者の保険料負担、それから半分を公費負担とされておりまして、その公費負担の内訳を申し上げますと、国が二分の一、それから都道府県、区市町村がそれぞれ四分の一とされておりまして、このように介護保険法によりまして都の負担割合が定められております。したがいまして、この定められた負担割合を超えまして公費を投入することは、高齢者の助け合いの仕組みとして、本来保険料で賄う分をほかに転嫁することになるほか、給付と負担の関係を不明確にするということになると思いまして、適当ではないというふうに考えております。

○河野委員 私は江戸川区に住んでおります。江戸川区で介護保険がスタートいたしまして、いわゆる苦情、相談の区民からの声が寄せられますね。その中で一番多い苦情の声は、区に寄せられているものは、保険料の負担についてなんです。介護認定が正確じゃなかったとか、あるいは利用料の負担が重いとか、一割負担は重いじゃないかとかということじゃなくて、保険料について本当に、平成十二年度は総苦情件数の半分ぐらいが、保険料が高いという苦情が来ています。恐らく東京全体でもこういう保険料についての負担感が、重いという声が強いのは全体としてあるんじゃないかと思いますが、六十五歳以上の高齢者の方は、たとえ寝たきりであっても年金天引きで保険料が徴収されるのですから、こういう声が出るのは本当に当然だというふうに感じます。
 区市町村では介護保険の特別会計がありまして、使い残した予算、これは基金に回すとかというお話もありましたけれども、そういう方法で積み立てて、今年度十四の自治体が行ったように、保険料の据え置きをするなど住民負担軽減などに活用できる、そういう方法をとることもできます。
 一方で東京都は、一般会計での介護保険給付金ということですから、単年度ごとで終わってしまう、終結してしまうという違いがあります。これだけ一号被保険者の方が経済的な負担が重いという声が上がっているのですから、私は、特に年金生活者の一号被保険者の方々の保険料軽減について、保険部長は比較的冷たいご答弁だったんですが、ぜひ真剣に検討していただくように、詳しく申し上げませんが、この場で求めておきたいと思います。
 もう一つお伺いしたいんですが、不用額四十三億円ですが、介護のために確保した予算は介護のために使う、この原則を貫くことも必要じゃないかと思っています。介護のために予算を確保するという都の努力の中で、今申し上げました保険料の負担軽減対策以外にも、例えば要介護の高齢者が出ないような介護予防策にそのお金を振り向けていくとか、そういう不用額の分をいわゆる基金なり積み立てなりという制度をつくって、そして介護予防などの、本当に高齢者の介護に生きる施策に振り向けていくことは考えられないかなということで、これは提案的にお伺いをするんですが、いかがでしょうか。

○並木参事 事業の予算につきましては、実施する場合であれ、廃止する場合であれ、提案した予算案の中でご審議、議決をいただいて定められるものでございます。そういった意味で、執行の段階で不用額が生じたことをもっていたずらに他の事業に転用するということはすべきでないというふうに考えてございます。
 なお、お話しの介護予防等につきましては、必要となる予算を計上いたしまして着実に事業を進めているところでございます。

○河野委員 いろいろ都のお立場もあるでしょうけれども、ぜひそういう声もあるということをお心にとめていただいて施策を展開していただきたいと思います。
 続いて、利用料の負担軽減策についてお伺いをいたします。
 東京都は、平成十四年一月から生計困難者に対する利用料負担軽減策を実施しています。初めに、この事業の予算現額、支出済額、不用額、そして執行率を、それぞれどうなっているのかをお答えいただきたいと思います。

○野村保険部長 生計困難者に対する利用者負担額軽減措置事業についてでございますが、予算現額は三億六千二百四十万二千円、支出済額が三千四百二十八万六千円、執行率は九・五%でございます。

○河野委員 かなりくくった形でお答えをいただいたと思うんですが、九・六%、一割に満たないということで、執行率自体を見ると本当に、これはなかなか利用されてない制度になっていると思うんですけれども、平成十四年度の利用対象者について、都が定めた要件はどのようなものであったのかをお答えください。

○野村保険部長 要件といたしましては、区市町村民税非課税でございまして、特に生計が困難な者であり--特に生計が困難な者というのは二つ要件がございまして、一つは、世帯の年間収入が一人当たり百二十万円以下、二つ目は、世帯の年間の預貯金額が一人当たり六十万円以下で、区市町村長が認めた者でございます。

○河野委員 それでは、平成十四年度一月からスタートさせるということで、東京都がこの制度のスタートに当たって見込んでいた利用者数はどのくらいだったのか。そして、現在実際に利用した--現在じゃないですね、この制度スタートの中で実際に利用した人の数は何人だったのか、この点もあわせてお答えをください。

○野村保険部長 済みません、先ほどちょっと不用額を申し忘れましたので、申し上げさせていただきます。不用額は三億二千八百十一万六千円でございます。
 それから、十四年度当初予算で対象者何人を見込んだかということでございますが、十四年度予算積算時の都における要介護、要支援高齢者の約一割強でございます二万一千七百三十人と見込んでおります。
 続きまして、この制度を利用した高齢者は何人かということでございますが、十五年三月末の確認書の交付人数は千六百五十九人でございます。

○河野委員 二万一千七百三十人の対象者に対して千六百五十九人が利用されているということですけれども、東京都はスタート当初から、介護サービスの種類を国よりも拡大するとか、いろいろ工夫をして、この制度が利用しやすいようにというご努力はされたというのは承知しています。そういう中でなぜ利用が低い状態にとどまっているのか、この点についてお答えください。

○野村保険部長 利用実績が少ない原因といたしましては、大きく分けて二つございまして、一つは、この制度が、利用者の収入、貯蓄の条件のみならず、区市町村と事業者がこの制度に参画いたしまして、三者の条件がそろって初めて軽減が受けられるという仕組みになっていることでございます。
 第二点目は、区市町村が独自の利用料軽減事業を含めた他の特別対策を既に実施しているというようなことが考えられております。

○河野委員 利用者と区市町村と事業者の三者が共同でということでその要件が定められているということなんですが、結局利用者にとっては、先ほどお答えいただきましたように、所得や資産、貯蓄ですね、そういうものに制限の金額が定められているということ。それからもう一つの問題は、私は、この制度を利用した場合に、介護保険サービスを提供する事業者が五%負担しなくてはならないということも一つ進まない原因になっているのかなと、ずっと経過を見て感じています。
 こうした、利用者が使いやすいように所得制限や資産の制限の緩和をするとか、事業者にも一定の配慮をするとか、そういう点では東京都のお考え、私は今必要であると考えるんですが、都はどのようにお考えでしょうか。

○野村保険部長 二つのお尋ねがございましたので、まず分けてお答えさせていただきます。
 まずは利用者の側から申しますと、資産要件等々の要件がございますが、本事業は、国の社会福祉法人等による利用者負担減免制度をもとにいたしまして、サービスの種類、サービス提供主体を拡大して実施しているものでございまして、対象者の収入、資産の要件については、国の通知に定められた要件に基づきまして都で具体的な金額を設定しております。国が下位から一割程度というふうな基準を示しておりますので、その範囲をもとに都で設定した基準でございまして、これについては妥当なものであろうかというふうに考えております。
 それからもう一点、事業者の負担でございますけれども、これも、本事業は、国の特別対策事業をもとにいたしまして、事業者の協力を前提として実施しているものでございまして、都として独自に事業者に対する負担軽減策を講じる考え方はございません。

○河野委員 私も都議会のいろいろな委員会の議事録も読ませていただきました。ちょうどことしの七月から、東京都は、利用者に対しての制度の見直しが必要と判断されたようで、制度の改正、手直しがされているようなんですが、これはどのような改正であったのか、あわせて、七月一日から改正された後の利用状況はどういうふうになっているのか、お答えをいただきたいと思います。

○野村保険部長 まず第一の見直しの内容でございますけれども、国が十五年度から対象者の範囲を従来の下位一〇%から一五%に拡大したのに伴いまして、都も対象者の拡大を図るため、収入を従来の百二十万円から百四十万円、貯蓄を従来の六十万円から百二十万円へと引き上げたところでございます。
 第二点の利用者の状況でございますけれども、引き上げました結果といたしまして、確認書の交付人数は、十五年三月末の千六百五十九人から、十五年八月末現在では二千百四十五人へと大幅に増加しております。

○河野委員 そういう東京都の努力もあって利用する方がふえたということは、非常に好ましい方向に向かっているとは思うんですが、それにしましても、ご答弁にありましたように、制度をつくるときに東京都が見込んだ利用者数二万一千七百三十人ということは、約二万二千人の方がお使いになると見込まれていた。これに対して現在、二千百四十五人ですか、こういうことですから、まだ一割にも満たない状況が続いていると思いますので、私は、この制度につきましても本当に、表題にありますように、生計困難者に対する利用料負担軽減ということがうたわれているので、それにふさわしい、まだまだお困りになっている方はたくさんいらっしゃるので、さらに改善の努力を進めていただきますように求めておきたいと思います。
 あわせて、要望ですが、区市町村が利用料の負担軽減対策についていろいろな形で、自治体ごとに差はありますが、独自の施策を実施しています。こういう自治体の努力に対しましても、東京都が区市町村を支援していくということもぜひご検討いただくように、この場でお願いをしておきたいと思います。
 以上で介護保険問題の事業についての質問は終わらせていただきます。
 次に、決算書八六ページの女性福祉費に関連して質問をいたします。
 平成十三年、二〇〇一年十月に、配偶者の暴力防止及び被害者保護に関する法律が施行されました。ちょうど平成十四年四月からは、この法律に基づきまして、被害者の一時保護や自立支援が本格的に開始された年ですので、配偶者の暴力、いわゆるドメスチックバイオレンス、DVの対策と女性保護施設の問題についてお伺いをいたします。
 DV法が施行になってから、福祉局女性センターに寄せられているDV被害者の相談は増加をしているとのことですけれども、相談件数や被害の内容、また被害者の年代別の比率など特徴的な相談の状況について伺っておきたいと思います。

○白石子ども家庭部長 女性相談センターにおきます、夫からの暴力についての相談でございますが、年々増加しておりまして、十四年度は約三千八百件で、前年の一・五七倍でございます。
 十四年度におきます特色といたしましては、年齢的には三十歳代の女性からの相談比率が最も多いこと。また、子どもを同伴して一時保護を求めるケースが増加しているというのが特色だと思われます。

○河野委員 この次の機会で結構ですけれども、そういう年代ごとの数字なども明らかにしていただければぜひお願いしたいと思います。
 DV法に基づきまして、東京都の女性相談センターでは被害者の緊急一時保護を行っています。現在、都立と民間委託の分を合わせて、緊急一時保護施設の入所定数はどのようになっているのか、また、入所が必要な人を受け入れる定数が確保されているのか、この点についてお伺いをいたします。
 それからもう一点、先ほどの女性センターに寄せられている相談の傾向は、三十歳代で子ども同伴の相談がふえている、割合が多いということなんですが、こちらの保護施設については、入所者の年代や特徴的なことについてどのようになっているのか、お伺いをしておきます。

○白石子ども家庭部長 一時保護所の人数枠でございますが、まず直営の一時保護所といたしましては、女性相談センター本所で三十名、立川出張所で十五名の定員枠を確保しております。また、平成十四年度から、一時保護委託ということで、四施設で、人数として、子どもの数も入れまして十七人の枠で確保しております。これらによりまして必要な保護枠は確保しているというふうに考えております。
 また、一時保護利用者の年齢でございますが、先ほどの相談と同じように、三十歳代が最も多い状況になっております。

○河野委員 今お答えでは、入所は、必要な人には対応できる定数を確保されているというお答えだったと思います。実際にはなかなかそれは難しいこともあります。
 私も地元江戸川で、DVの被害に遭った方の相談を受けることがありますが、つい最近も私が相談を受けた、この方は三十代の、小学生のお子さんを持ったお母さんなんですが、区にも相談に行ったけれども、なかなかすぐに避難をするための受け入れ施設ということで教えてもらえる場所がなかったと。やむなく、実家や友人に支えられて、離婚が成立するまで努力をしたという方の実例も私は存じております。
 インターネットで、資料が出ていますので、いろいろ調べてみたんですが、新宿区の実態調査の資料があります。この中で多いのは、DVの根絶に向けて必要な支援ということで調べた数が出ておりますが、被害者のための相談を充実させるというのが約四五%、男女ともにございます。そのほかに、被害者の避難場所、シェルターを充実させてほしいと答えた方は、女性の三四・二%、三割を超えた方がこういうふうに答えているんですね。それから、あわせて、多摩の市長会の厚生部会というんでしょうか、そこの要望書も見せていただきましたが、自治体でDV被害者の保護が必要と判断しても、なかなか受け入れてもらえる保護施設が不足しているのが実態で、増設してほしい、そういう要望が述べられております。
 私は、今部長が、ちゃんと対応できるだけの枠はあるとおっしゃっているんですが、現実的には難しい場合もかなりあるということを申し上げておきたいし、それから、都としてはそういう状況を正確に把握して、被害者の支援、自立を進めていく上で施策をつくり上げていっていただきたいなと。シェルターというんですか、保護施設の増設などについても考えていただきたいということを、これは要望にしておきます。
 次の質問なんですが、DV被害者は、長い期間にわたって配偶者の暴力、それから精神的な、言葉の暴力も含めていろいろな苦痛を受けてきた人が多いんです。当然心も体もともに衰弱をして、そして女性センターなどに相談に駆けつけて、一時保護所に入所してくるという方がいらっしゃいます。私たち自身も相談の中で感じるんですが、精神的に非常に不安定になっている女性が多いということが目立ちます。医療的なケアの必要、そういうものも感じる人が少なくないわけなんですけれども、東京都は、一時保護施設の入所者の健康状態について、どのようになっているのか、そういう実態調査などを行っているでしょうか。また、具体的に東京都が把握されている調査の実態などについて、あったら教えていただきたいですし、努力されている問題についてもお答えをいただきたいと思います。

○白石子ども家庭部長 配偶者からの暴力などにより一時保護所に保護された方につきましては、一時保護所に入所の際に、問診等により健康状態の把握を行っております。また、必要に応じまして、医師による医学判定や心理職による心理判定を実施しております。
 平成十四年度、女性相談センターに一時保護いたしました件数三百九十三件のうち、何らかの精神疾患が認められたものは百十一件で、約二八%でございます。また、配偶者等からの暴力による外傷が認められたものは六十三件でございました。

○河野委員 約三割の方が精神的に何らかの病をお持ちだということがわかりました。
 これはある施設の調査なんですが、やはり同じような傾向が出ています、都立以外の施設なんですけれども。私は、こういう状況の中で、東京都としても、入所者の、心身ともにどう健康を取り戻していただくかということについても対応していただかなくちゃいけないと思いますが、詳細な実態調査を行っていただくことをこの場でお願いしておきたいと思います。
 それから、現在行われている医療的なケアについてなんですが、こういうなかなか健康上厳しい方が入所されている状況のもとで、さらに充実策が求められていると思いますが、今東京都が行っているお医者さんや看護師さんなど職員の配置についてはどんな状態になっているかというので、都立の方は資料で出していただいておりますが、全体としてどういう傾向にあるのか。女性保護施設というんでしょうか、今東京都が民間に委託したものも含めてどういう状況にあるのか、お答えいただけますか。

○白石子ども家庭部長 まず、都立の女性相談センターの方では、まず本所で、常勤職員の医師一名、心理職二名、看護師一名、非常勤職員の精神科医二名を配置し、また立川出張所では、常勤心理職二名、非常勤の精神科医二名を配置、両方で十名の専門職員を配置しております。また、婦人保護施設、一時保護委託を行っております婦人保護施設でございますが、心理職が四施設で四名、精神科医が四施設で四名、いずれも非常勤でございます。

○河野委員 本当に心も傷ついて駆け込んでくるというDV被害者の特徴を考えますと、精神保健について、これまで以上の充実した対応が求められているんじゃないかと思っているんです。それで、専門性の高い人材を確保していくこととか、職員の方々もそれぞれご苦労されて、そういう被害者の方を本当にバックアップしていると思うんですが、保護施設に働いておられる職員の皆さんにも研修の充実というか、精神保健面での研修の充実が必要だと考えていますが、都の方としてはどういう対応を考えておられるのか、お答えください。

○白石子ども家庭部長 女性相談センターにおきまして、一般の職員に対しましては、精神、心理面も含めました、配偶者からの暴力被害者に対する支援についての職場研修を年二回実施しております。また、毎年、対応の困難なケースの相談事例集を作成いたしまして関係職員に配布いたしまして、資質の向上を図っているところでございます。

○河野委員 都の方のセンターというか、都の方の相談のところはそういう相談や、保護施設のところはそうだと思うんですが、民間施設についてもかなりご苦労がありますので、ぜひそこのところも視野に入れて東京都が支援していただくようにお願いをしておきます。
 それから、冒頭お答えがありました、子どもを同伴されて入所してくる方の比率も高いということです。どういう年齢層の子どもさんたちがどのくらいの数入所されてきているのか、調査の結果などありましたらお示しいただきたいし、それから、入所している子どもたちに対しての保育の対応についてはどのような方針をお持ちになっておられるのか、お伺いをしておきます。

○白石子ども家庭部長 平成十四年度の同伴児童数でございますが、委託を含めまして四百四十二人でございまして、一番多いのは一歳から五歳までのいわゆる幼児でございます。幼児が二百五十二人で、五七%でございます。女性相談センターの一時保護所の場合、特に子ども同伴の入所者が、先ほど申し上げましたように増加しておりまして、十五年度から非常勤の保育士を配置して、保育に対して対応しているところでございます。

○河野委員 東京都の方は、都立の方はそういう対応をされて、子どもさんがふえているということで、非常勤の保育士の配置ということで努力されていると思うんですが、婦人保護施設全体を考えると、やはりそこの施設の独自の努力に任せられているというのも現実だというふうに伺っております。
 そういう点で私は考えるんですが、施設の方も自前でお金を出して保育に当たる方を雇い入れなくてはならないという事態も、今、子ども同伴で緊急に駆け込んでこられる女性がふえている中で、そういう状態も起こっていると聞いておりますので、私は、これは子どもたちにとっても大変大事な問題でありますし、それから、女性の方が自立を目指していく上で、例えば緊急一時保護所へ来て、それから次の人生を切り開かなくちゃいけないわけですね、そこで。そうすると、弁護士さんに相談に行く。あるいは生活保護を申請して自活できるようにしていく。それからアパート、居場所を探さなくちゃいけない。そうすると、半日とか一日とか、そのこと一つ一つとっても優に時間がかかるわけで、幼い子どもさんを連れてそういう努力をしなくてはならないという立場に置かれている被害者の皆さんのことも考えて、ぜひ保育士の配置について各施設任せにならないような都のご努力を求めておきたいと思います。
 最後に、もう一つ質問いたします。
 DVの被害者の緊急一時保護の期間、二週間ということになっています。DV法ができる前からこういう二週間--女性保護施設、婦人保護施設というんでしょうか、そこの期間設定があるようなんですけれども、新しく法律が平成十三年の十月から施行になっておりますが、受け入れのあれは十四年四月からになっていて、こういう新しい法律ができた中で、やはりこれは見直していく必要があるんじゃないかというふうに感じています。
 実際に、さっきお話ししましたように、被害者の方は心身ともに衰弱して駆け込んでくるわけですから、本当に、逃れられてきたということで、施設に入った一週間とか十日間は、もう茫然自失じゃないんですけれども、非常に気持ちとしては何もする気にならないでただ過ごしていて、それから二週間の期限が来てしまうから早く何とかしなくちゃいけないということで、次の数日間で居場所づくりというか、アパートを探したりされるようなんです。そういう点で、二週間の一時保護の期間について、これでは短過ぎるといわれているんですが、東京都は今、この問題についてはどういう対応をされているのか、それから、今後の方向についてどのようにお考えか、お聞かせをください。

○白石子ども家庭部長 一時保護期間は原則二週間となっておりまして、女性相談センターでは、保護委託のケースも含めまして、この期間内に福祉事務所等と連携し、保護された方の自立等へ向けた就労支援とか住居の確保等の適切な支援を実施しております。利用者の状況によっては、これを超えた期間での対応を行うなど柔軟に対応しているところでございます。
 一時保護につきましては、あくまでも一時的な保護でございますので、長期化させることは適切ではないというふうに考えております。

○河野委員 長期化--長くいようと思って入所される方はそれほど多くはないというか、少ないと思うんです。私はやはり、しっかりと次の自分の人生を切り開いていく、そういう決意を持った女性たちに支援をしていく上でも、こういう一時保護の期間についても、それにふさわしい対策が必要だと考えています。
 DV法という新しい法律がつくられ、それによって女性の、これまで我慢していた女性たちが、自分の生きていく権利ということで、新たな自立の方向に踏み出そうという意欲の強まりの中で、それを支援していただく都の努力を求めておきたいと思っています。それについて、保護施設の増設であるとか医療や保育の対応、それから自立支援の対策の強化など、残されている課題はまだまだ多いと思います。東京都が区市町村と協力をしてさらに一層努力していただくとともに、国にも法改正に向けて改善のための意見を福祉局からも上げていただくように求めまして、私の質問を終わらせていただきます。
 以上です。

○前島委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩をいたします。
   午後三時一分休憩

   午後三時十三分開議

○前島委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○酒井委員 それでは私の方からは、児童虐待防止について質問をさせていただきたいと思います。
 児童虐待防止については、今だけの問題ではなく、昔から、学校における虐待であるとか、あと親による虐待等、いろんな報道等にぎわせているわけですけれども、いずれにしても、早期発見をしていく、早期発見、早期対応といったものが重要だと思っております。その意味で、先般ご説明の中にもございました、児童虐待防止区市町村ネットワーク事業といった東京都の平成十四年度の事業については、大変有効な施策であると考えております。その意味でこの事業について質問をさせていただくわけですが、まず初めに、この事業について、当初の目標に対する達成状況といったものはどのような程度だったのか、その状況をお知らせいただきたいと思います。

○白石子ども家庭部長 虐待防止区市町村ネットワーク事業は、平成十四年度から開始した事業でございまして、当初の目標は十六カ所でございました。この目標に対しまして、十区五市、計十五カ所で実施されまして、当初の目標はほぼ達成したと思っております。

○酒井委員 今ご答弁がありましたように、十六カ所の予定で十五カ所達成できたということで、数的な面についてはほぼ当初の事業目標を達成されたということで、大変すばらしいと思うわけですが、具体的にその事業の効果といったものが平成十四年度どの程度上がったのか。例えば、児童虐待の早期発見率というものがあるのかどうかわかりませんけれども、早期発見ということが向上したであるとか、また、事件に対する対処、事件を認知してから処理するまでの対処が前年に比べて迅速に行われるようになったとか、そういった具体的な数値でお答えをいただきたいと思います。

○白石子ども家庭部長 虐待防止区市町村ネットワーク事業の事業効果でございますが、この事業は、子ども家庭支援センターが中心となりまして関係機関の連携を強化するものでございまして、このネットワーク事業を実施いたしました区市町村におきましては、関係機関、団体等の効果的な連携が図られるようになりまして、子ども家庭支援センターでの虐待防止、それから早期発見の対応が強化されたというふうに思っております。
 例えば町田市におきましては、平成十四年度に町田市で、町田の子ども家庭支援センターで受理いたしました虐待相談件数のうち、約七割について、市独自で迅速な対応を行っているという状況がございます。

○酒井委員 今ご答弁いただきましたが、処理時間が早くなったとかなんとかというのは、ケース・バイ・ケース、個々のケースによって違いますので、なかなか統計的に数値化することは難しいと思うわけですけれども、将来的な課題としては、ぜひとも、新しい事業を導入したときにその効果をはかるためには、どの程度今までかかっていたのがこれだけ改善されましたというような、なるべく時間的、数値的なことでお示しをいただければなと思います。これはご要望です。
 その上で、今ご答弁の中で町田市を例に挙げて、虐待相談件数のうち七割については、市の方で迅速な対応を行えたということで、本来この事業が導入をされていなければ、今まですべて児童相談所の方で対応していたような形になると思うわけですが、このような形で、今は町田市の例だったわけですけれども、相談件数の七割までもが市で対応ができるようになってきたということで、当然この取り組みが強化された結果、児童相談所の対応といったものも、従来扱っていたものを役割分担ができたわけですから、質的な向上とか、本来的な業務に対応できる機能の能力といったものも向上が図られるようになったのではないかと思いますが、そのあたりの状況についても、わかる範囲内でお答えをいただければと思います。

○白石子ども家庭部長 委員のお話のとおり、住民に身近な区市町村がこの事業によりまして第一義的な相談機関となりまして取り組みが強化されたことによりまして、一方、東京都の児童相談所におきましては、より困難なケース、例えば強制介入とかあるいは緊急保護が必要といったような、より困難なケースを中心といたしまして、専門的、それから重点的な対応を図ることが可能となったという効果があらわれていると思っております。

○酒井委員 質問としては最後になりますけれども、十四年度の、今回このような新たな事業を導入した結果といったものがある程度あらわれていると思うわけですが、今後当然、今執行中の十五年度においても新たな継続的な事業を行っていると思うわけですけれども、この結果といったものを今後どのように生かしていくお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。

○白石子ども家庭部長 住民に身近な区市町村で虐待に主体的に取り組むと同時に、児童相談所でより専門的な取り組みができるようになった、こういう成果を踏まえまして、この事業が早期に全区市町村で実施されますように、積極的に区市町村を支援していきたいというふうに考えております。

○酒井委員 最後に、ご要望だけ申し上げたいと思います。
 今ご答弁いただいたように、全区市町村でこのネットワーク体制が構築されるように積極的に支援をしていくということですので、ぜひともその方向性をさらに推し進めていっていただきたいと思いますが、それとあわせて、先ほど、町田市の例ばかり挙がるわけですけれども、七割が市の方で対応ができるようになったということで、実際に対応を受けている方々が、区市町村で対応を受けている方が、今まで児童相談所で扱っていたものを市の方で対応するようになったと。その場で本当にその問題が解決までしっかりと至っているのかどうかということのチェックもしていただきたいと思いますし、それとあわせて、全体的に役割分担をすることによって、虐待を受けているそういった子どもたちの、早期に発見をし、対応するような強化を児童相談所等も含めてさらに機能アップをしていただきたいということをご要望申し上げて、今回の質問は終わりにさせていただきたいと思います。
 以上です。

○清水委員 二〇〇〇年以来の第一次財政再建推進プランによって、シルバーパスの有料化で、十一年度から約八万人余りの発行数が減っております。そして、老人医療費助成、マル福の削減で対象から外された人が十万人、老人福祉手当は大幅削減、支給人数が半減など、切り捨ては着実に進められてまいりました。
 いただいた資料から、福祉手当、医療費助成、シルバーパスなど経済的給付事業の見直しの影響は、乳幼児医療費と区部の財調を除くとすると、十一年から十四年の支出済み総額で、マイナス二百七十三億、対象人数でマイナス二十万人という大きな影響が出ていることがわかります。
 我が党は繰り返し、住民の命と健康、暮らしを守ることこそ地方自治体の第一の責務であり、その原点に立ち返って経済給付的事業の復活を求めてまいりました。今、一層深刻になる経済悪化と医療費、介護保険などの負担増と相まって、こうした東京都の経済的福祉施策の切り捨てによる都民の痛み、影響が今日さらに増しています。そういう中での本年度の決算の審議が行われているのです。
 その一方で、ことしの決算は全体としてどうなんでしょうか。この十年間で執行率は一番低い執行率になっています。十年間で最大の、昨年の倍以上の不用額を出しています。昨年の予算では、切り詰めた予算だったと思います。多額の不用額を出したことについて、繰り返し改善を求めてまいりましたが、依然として改善されませんでした。それどころか、五百九十八億というこれまでにない不用額をつくり、低い執行率となったわけです。
 そこでお伺いいたしますが、これまでにない低い執行率と多額の不用額が出たことについて、どのように認識しておられるのか伺います。

○並木参事 事業の展開に当たりましては、福祉局としては、議決された予算の方針に沿って効率的、効果的に施策を展開してございます。先ほども申し上げましたように、予算の執行の適切さや施策の推進状況につきましては、当初の目標と施策の成果との比較において判断されるべきものであり、執行率や不用額の多寡によって一概に論じられるべきものではないというふうに認識してございます。
 福祉局事業の全体として見れば、着実に目標を達成しているものと考えており、今後とも、限りある財源を最大限効果的に活用し、最少の経費で最大の効果が上がるよう、利用者本位の新しい福祉の実現に向けて努力してまいりたいというふうに考えてございます。

○清水委員 今回の決算で成果が上がっているというわけですけれども、八九%の執行率ですよね。これくらいで成果が上がっているといえるのでしょうか。そういう認識で福祉局はいるのでしょうか。予算を、まあ全部とはいわないけれども、使い切るという努力をする、不用額をできる限り少額に抑える、執行率を上げるということが必要ではないんでしょうか。この間、執行率を上げるためにどのような努力をしてきたのか伺います。

○並木参事 予算執行に当たりましては、事業の必要性を改めて精査し、不要不急な事業の執行を控えるとともに、経費節減に努め、真に必要な施策を予算の範囲で執行すべきものであり、都民の税金で賄われている予算を無理に使い切るものではないというふうに認識してございます。
 また、成立後の状況の変化等により、議決された予算について他の事業に予算を利用する場合には、関係局とも協議の上、適切に対応してございます。
 今後とも、福祉改革の実現に向けた施策の展開が図られるよう、必要な予算を確保するとともに、適切な事業執行に努めてまいる所存でございます。

○清水委員 一般論としてはそうだと思います。必要性を精査して、予算に決まっている問題でも内容でも、不要不急のものを抑えるということを否定するわけではありません。しかし、福祉にかかわる予算というのは自治体が最も重視すべきもので、一割も残していいと思っているのですか。一割も残して、それでいいと思って、おかしいと思いませんか。
 今後の問題としていえば、例えば、予定していた施設設備が不調となった場合などについても、そのまま予算を不用額としてしまっていいと考えているのですか。

○並木参事 施設整備の補助などにおきまして、当初予算に計上した後において計画変更等により事業が行われず、結果として不用額が生じるということはございます。しかし、福祉局としましては、議決された予算の方針に沿って事業を適切に実施してございまして、不用額の多寡によって施策等の是非が問われるものではないというふうに考えてございます。
 また、不用額の発生につきましては、予算に計上された事業を執行するための最大限の努力をやった結果として、年度末ぎりぎりまで行った結果として生じるものでございますので、そういったことで不用額が即むだなものであるというふうには考えてございません。

○清水委員 それでは、一〇五ページの3、複合施設の整備について、一五・八%の執行率、百十二億余りの不用額が出ているのですけれども、これについて、この不用額というのは、どういう理由で、いつ発生したのか、お伺いいたします。

○岩井参事 複合施設の整備関係でございますが、予算額が百三十四億二千万余り、それから決算額二十一億二千二百万余りの執行でございまして、ご指摘のように一五・八%の執行率でございます。これは平成十四年度に土地購入費として計上していたものでございますが、十三年度の執行対応により購入が完了したため、未執行になったものでございます。

○清水委員 それではちょっとよくわからないんです。どういうことなのか、そして、いつそれは発生したのか伺います。理由をもう少し詳しく説明してください。

○岩井参事 これは十三年度の末になりまして、用地会計から取得する経費でございまして、十三年度の予算の年度末の執行状況から、予算計上した折には十四年度で執行する予定でございましたが、十三年度末に前倒しで執行したもので、結果として十四年度予算が不用額として生じたものでございます。

○清水委員 それはいつ発生したのか、いつ決まったのか、それをお伺いしたいと思います。

○岩井参事 十三年度の末に土地の購入を前倒しで実施したものでございます。

○清水委員 十三年の決算にもこれは決算としてのっている--これ、そうですか。決算としてのっているものがそうですよね。どうでしょうか。

○並木参事 十三年度決算にのっているものでございます。

○清水委員 それはどういうふうに予算を手当てしたんでしょうか。十三年の決算でどういうふうに手当てしたんですか。

○並木参事 これにつきましては、十三年度末ぎりぎりに財務局の方から執行の承認を得て執行したものでございます。十四年度の厳しい財政状況にかんがみ、一般財源所要額の圧縮を図るため、十三年度に前倒し執行するようにという要請があり、これに基づき執行したものでございます。

○清水委員 流用によってこれは事業費を得たのでしょうか。流用ですよね。

○並木参事 同趣旨の事業の内容に基づきまして流用を図り、執行したものでございます。

○清水委員 許されている範囲で、項内流用ということでこれは決算にのっております。そうすると、十三年の末にこれが手当てをして、十三年決算で、あると。しかし、予算は、十四年予算というのは十一月か十二月ぐらいにもうつくっているから、ここに予算としてのったということであるわけなんですけれども、しかし、今が、今ごろの時期というのが十三年の決算の時期だったわけですよね。十月ぐらいが十三年の決算だったわけです。だから、十三年でこの予算を回したということは、十四年の最初から百億の不用額が出るということがわかっていたのだと思うんですよね。十三年の末でこれを決算でしたわけですから。だから、少なくともその後には、十二月、それから三月というところに補正予算を組む場所があるわけですよ。
 百億ものお金を不用に使う、全部で六百億余りなんだけれども、一つで百億というのは、福祉費の不用額の中では一番大きいと思うんですけれども、最初から百億の不用額が発生するのがわかっているのに、少なくとも最終補正で、新しい福祉のために使うようにしなかったのでしょうか。どうでしょうか、お聞かせください。

○並木参事 事業の執行に当たりましては、先ほども申し上げましたように、予算に計上された事業を執行するために最大限の努力を年度末ぎりぎりまでやってございます。そういった中におきまして、最終段階において不用というようなことになるわけですけれども、予算成立後の状況の変化等により、事業の内容や規模に大きな変更を要する場合に当たりましては、関係局とも協議の上で予算の補正を提案するということでございまして、今回はそういった段階ではないということで不用というふうになってございます。

○清水委員 十四年度の最終補正というのは約二十一億円余りです。減額もありますが、増額では、介護予防等拠点の基盤整備助成費、保育所の整備助成費、国保広域化等支援基金、国庫支出金返納金で、そのほとんどが国の十四年度補正予算に対応するものになっているわけです。二十一億というわずかな、一つ一つはそれは重要かもしれないんですけれども、ささやかな最終補正が組まれていたわけです。こういう場があったわけですよね。最終補正という場があったわけです。
 そこで、やはりまだ福祉の施策への要望というものは山ほどある。福祉を充実してほしい。先ほどからいろいろと要望が出ている。そういうものについての百億--せめて百億です、百億をそういう予算に回して、最終補正ということではする予定はなかったんでしょうか。

○並木参事 予算の執行に当たりましては、その時点その時点におきまして、そのときの状況等を判断し、対応してまいりますけれども、年度末ぎりぎりまで予算の執行等に努めた結果として、関係局とも協議の上、流用したということでございまして、そういった判断に基づいて出てきた不用額でございます。

○清水委員 十三年度に廃止したものの中に盲導犬の飼育費というのがありまして、これは昨年の委員会などでも厚生委員が触れていると思うんです。たった月六百七十円のえさ代を廃止したわけですよ。また、盲ろう者向け通訳、介助者養成事業もなくしております。盲ろう者は、視覚、聴覚に何らかの障害をあわせて持っている障害者で、これは福祉局の方がよくご存じだと思うんですけれども、困難を伴い、通訳や介助者を養成することが重要になっていた、非常に大事な福祉の予算だったわけです。毎年数十名の新しい通訳、介助者を養成していた講習会の予算で、全国の都道府県では充実をさせている。東京都がこの盲ろう、通訳、介助者の養成講座というものに対して先行的にやっていた。しかし、その東京都がやめてしまうのでは逆行しているんじゃないか、ぜひ事業化をということを関係者の皆さんは引き続いて要望しているわけです。こういう盲導犬の飼育費とか、本当にわずかな予算で大切な福祉の費用、こういうものを、財源がないからといいながら、百億も不用額を残している。せめてこのぐらいなら再開できるのではないですか。伺います。

○吉川総務部長 ただいま先生の方から事例がございました二事業、これは当然、個々の福祉施策については、時代の変化に即してその施策の内容なり水準を見直しているものですから、それは我々とすれば適正に見直しを続けているということでございます。
 その話と先ほどの百億の話というのは、都財政の全体からいえば大変厳しい状況下にあって、総合的な判断で、先ほど来申し上げているように、十三年度の中で執行が可能な状態であったので、ぎりぎりのところで執行したわけでございますので、ご理解いただきたいと思います。

○清水委員 財政がないといってすべての施策の見直しを行っているわけですよ。その一つ一つに、時代の変化だとか--じゃあ、盲導犬の飼育費をなくすことが何で時代の変化なのか、どういう変化なのかということでは、関係者の皆さんが、やっぱりそれは必要なんだ、わずかなお金なんだけれども必要なんだということを要望しているわけですよ。そういうことをいっているわけです。
 じゃあもう一つ、心身障害児の医療費助成の問題です。制度改正がありまして、我が党は反対しました。平均的に見ると、まあ、そんなに負担が多くないだろうといってこの制度改正の条例を通過させたわけですけれども、その後一年たって、例えば八王子の障害児で在宅酸素患者の方が、人工呼吸器の管理をしているわけです。毎月一回病院に行ってやっているわけですけれども、これが負担額が三千円だったわけです、それまでは。しかし、制度改正で、負担額最高限度一万二千円になったというわけですよ。委員会の審議だとか本会議の議事録なんかを見ますと、平均的な数字を出して、そう影響は大きくないといっているわけですけれども、こういう方もいるわけですよ。こういうことに対してどう認識し、対応するのか、伺います。

○野村保険部長 平成十四年十月の老人保健制度の改正に伴いまして、外来診療に係ります自己負担も高額医療費の対象となりまして、その自己限度額につきましては、高齢者の負担能力を踏まえまして、低所得者については八千円、一般の方については一万二千円、一定以上所得者については四万二百円に設定されておりまして、低所得者に対しても十分な配慮がなされているというふうに考えております。
 今ご案内の、ご指摘のケースにつきましては、一万二千円ということでございますので、ある程度以上の所得のある方であろうかと推察しておりまして、ご負担いただける範囲ではないかというふうに考えております。

○清水委員 このことについて議論をするつもりはないんですけれども、お金が大変だとか、お金がこのぐらいなら大丈夫だとかいう問題ではないんですよ、これは。障害者に対する東京都の姿勢ですよ、姿勢。そういうことをこの方たちはいっているわけですよ、こういう人たちは。
 現にこういう大変な実態があるわけですから、せめて一年間でも据え置くことができたのではないかと思うんですが、制度改正前の水準に戻すべきではないでしょうか。

○野村保険部長 平成十二年度の制度改正は、社会経済状況の変化や年金制度、医療保険制度の充実、さらにはまた介護保険制度が創設されたことなどを勘案するとともに、心身障害者医療費助成制度が心身障害者世帯への経済的な支援策であることなども勘案いたしまして、議会のご議決も踏まえた上実施したものでございます。このようなことから、本制度を平成十二年度の制度改正前の水準に戻すということは考えておりません。

○清水委員 二〇〇三年の決算も不用額が見込まれるのではないかと思うわけです。十二月議会があるのだから、まあ、数百億の不用額かどうかわかりませんけれども、生まれるのをそのままにしないで、充実のために踏み切っていただきたいと思うんです。
 毎年毎年の不用額をそのまま使い残すのではなくて、例えば聴覚障害者向けIT支援事業というものがあるわけです。国の方針があって、障害者のIT推進のための施策が行われていますけれども、聴覚障害者への効果的な施策が求められています。初期設定、インターネットの接続方法などは機種によってさまざまで、講習会だけではパソコンを使えるようにはなれないので、IT支援事業として、手話のできるパソコンボランティアの派遣が求められてきましたが、今回、厚生労働省で各地にIT支援センターを設置し、パソコンボランティアの派遣を行うことになったようです。予算化は二〇〇四年度以降ということになりそうですけれども、パソコンボランティアのスキルを持つ人材の確保、養成が必要で、二〇〇四年度から養成を始めたのでは実施は年度後半になってしまうわけです。パソコンボランティアの養成事業を二〇〇三年度補正予算等で行い、二〇〇四年度当初から派遣できるようにすることが求められています。
 そのほか、例えば板橋の老人医療センターは老朽化しているから、豊島病院に統合するというのですけれども、百億円あれば十分に改修できるものです。伊豆山老人ホームも、古いといって十四年度に廃止しましたが、不用額を使って補正予算を組んで改修すれば、廃止することはなかったのではないでしょうか。
 こういう必要な補正をして不用額を最小限に抑え、福祉の充実に努めるべきではないでしょうか。財政が苦しいといって徹底した切り詰め予算を組んで、ふたをあけてみたら六百億円余りも残る。それなら、余ったお金を活用して、予算では十分対応できなかった部分の手当てを思い切ってやるというのが、福祉を充実するというなら当然の姿勢ではないかと思います。ことしの福祉局の決算の内容は、今いったような内容、非常に問題があるというふうに感じます。
 続きまして、先ほども議論が行われましたので簡単にいたします、特別養護老人ホームの、ここには、執行率の問題や、それから不用の問題などが先ほど議論されました。入所希望者がふえ続けていて、建設促進の環境をつくることが求められているというふうに私は思うわけです。特養ホーム施設が十分達成していないことに対して、仕組みの改善が、例えば市長会などからも要望されております。先ほど、地域偏在をなくしていくために区部に厚くするということで、そういうことを進めてきているようですけれども、それはそれで必要なことです。また、市町村が希望してやっていくものだから、市町村が希望しなければできないんだというのも、そのとおりのことだと思います。
 しかし、そういう仕組みをつくって何年かたった今、それでも特養ホームの建設が進んでいないということの中から、この間、市長会は毎年要望を出しているわけです。建設用地取得費などにかかわる補助基本額が低いために、市町村が社会福祉法人に対して補助をしている実態があり、補助を行った場合は市町村に対して財政支援措置を講じてほしいというような要望を出したり、また、設置促進特別助成などの事業について、建てかえに伴う居住面積増加部分について補助対象としてほしいというような要望が出されてきていると思うのですけれども、どういうふうにお考えでしょうか。この間検討されてきたのでしょうか。

○福田高齢者部長 社会福祉法人に対する土地助成制度は、補助基本額十億円、補助率四分の三ということで、全国でも類を見ない手厚い補助制度になっております。市町村がそれに加えて補助をする場合がございますが、これにつきましては、市町村がそれぞれ地域の実情に応じて、さらに法人の負担を軽減する目的で、市町村として個別に独自に判断して支出したものであると考えております。
 続きまして、建てかえに伴う居住面積増加部分について補助すべきではないかというようなお話でございますが、このいわゆる土地助成、特別養護老人ホーム建設用地取得費補助事業の目的は、建設用地取得等に要する資金を特別助成することによりまして設置を促進し、利用者定員の増加を図ることを目的としております。したがいまして、増築して定員がふえる場合には補助の対象といたしますが、居住面積の増加だけでは補助の対象とはしていないところでございます。

○清水委員 もっと実態に合った対応をしていかなければ、全国から高い補助の水準をというのは、それはもう当然といったら、たくさん出していただいているのに悪いですけれども、それはもう必要なことだと思うんですよ、東京でふやすためには。そして実態に合わせて、例えば市長会などが要望しているのは、それを凝縮した形で要望を出しているわけですから、その要望が設置促進に、可能であるならばやはりそういうことも検討していただきたいということが一つあると思うんです。
 それから、経営に対する安定化というような問題が、施設者の方では、本当にこのまま特養施設を続けていってどうなるのだろうかというような不安が中にはあるのだというふうに思うわけです。先ほども議論がありましたけれども、措置の制度から介護保険に制度変更されましたが、介護保険の現状を検証すると、措置制度時代の低い基準を補完してきた東京都補助の事業の水準までももちろんのこと介護保険はカバーしていないわけですよ。その結果、この間制度変更がされて、失われていった収入は大きく、経営が大変な状況になっているというふうにも聞いているわけです。それは多くの施設はやっているといわれるかもしれないけれども、実際にそういう施設もあるわけです。
 例えば東京都の支援が十一年度の対比として十二分の一になった施設で、ここは利用率が十二年から十四年、九七%から九九%の利用率になっていて、利用定数は百人余りです。職員の配置も都内の施設の平均値というような施設なわけですけれども、こういうような施設で、このままサービスが、職員の意欲を失わせることなくサービスが維持できるのだろうかというような実態になっているわけですよ。例えば十五年度に職員に対してそれなりのものをしようとすると、二千数百万の赤字が出てしまう。そして、赤字が出ないでやっていくと、例えば賞与は年間一・一四カ月分になってしまうというような予想を立てて、それなりに施設が努力をしているわけです。二十年とか十九年とかまでにどうやっていくかということを予想を立てているわけですけれども、こういう特養の経営に対する不安というものがあることによって施設の設置の促進が抑制されるのではないかというような、一つの原因になっているのではないかというふうに思うわけです。施設の安定的な運営のために支援を充実させることが求められていると思うけれども、どうでしょうか。

○福田高齢者部長 平成十一年度から平成十二年度に介護保険導入ということがございました。この大きな変化にかんがみまして、東京都と、それから特養の経営者といいますか、あるいは施設長等の代表と綿密な会議、打ち合わせを行いまして、スムーズに新しい介護保険制度に移行できるよう、また今までのサービスを維持していけるよう、特別養護老人ホーム経営支援事業というものを組み立てたものでございます。
 この特別養護経営支援事業といいますのは、民設民営の特別養護老人ホームが、繰り返しになりますが、介護保険制度に円滑に移行するという目的と、それから利用者サービスの維持向上のための経営基盤を整備するという目的で、平成十二年度から経過的な支援として開始した事業でございます。
 現在に至るまで、平成十二年、十三年、十四年と経営支援事業が続いておりますが、それぞれの特別養護老人ホームは、自主的な経営努力あるいは経営改善とともに、特別養護老人ホーム経営支援事業を活用しながら健全な経営をするべく努力していると考えております。
 また、今後の特別養護老人ホーム経営支援事業のあり方につきましては、利用者サービスやあるいは経営の自立、安定化の観点を勘案するとともに、関係者の意見を十分聞き、また介護保険制度の動向を踏まえながら検討すべき課題であると考えております。

○清水委員 介護報酬の改定などがあって、それからまた施設に入所する介護度の違いによって、施設のやはりいろいろ違いがあると思うんですけれども、実際には、本当にやりくりの中でサービスを低下させないでやろうという気持ちの中で経営者の方は皆さんやっているわけですけれども、そういう実情というのもあるということを認識していただいて、介護保険の移行を見ながら検討して、ぜひ支援を充実していただけるようにお願いしたいと思います。
 次に、先ほども出ましたけれども、親の虐待によって子どもが命を落とすという痛ましい事件が後を絶っていないわけですが、虐待相談件数は、全国でも、それからここ東京でも、十年間で約二十倍にふえているわけです。二〇〇〇年に児童虐待防止法が制定され、児童虐待対策が急ピッチで進められているわけです。児童相談所は、各種の専門職がそれぞれの見立てを持ち帰って議論し、個々の子どもに合った最善の処遇を決定することになるわけです。児童相談所がかかわっていながら子どもが死亡してしまう事件も時には発生し、そのたびに児童相談所は批判の矢面に立たされ、本当に大変なことだと思います。質、量ともに十分な体制が整えられない限り、子どもの命や心を救うことはできないといわれているわけですけれども、児童福祉司の増員や機能の充実、一時保護受け入れ枠拡大のための施設整備を十四年度どう取り組んできたのか、お伺いいたします。

○白石子ども家庭部長 児童福祉司の増員についてでございますが、平成十四年度に二十二名の大幅増員を行ったところでございます。
 また、児童相談所の機能の充実強化でございますが、平成十四年度、児童福祉司のチーム制を導入したり、あるいは虐待対策班の設置などを行いまして、総合的に機能充実を図っております。
 また、一時保護所の受け入れ枠拡充でございますが、設備整備を行ったり、あるいは臨時職員を配置したりいたしまして、定員を超えた弾力的な受け入れを行うなど、適切な対応を図っているところでございます。

○清水委員 増員をしていただいたり、それなりに連携を強化していただいたりしているわけですけれども、市長会からは、児童福祉司の各市への定期的な派遣が廃止され、随時の相談となったことから、相談所と市の連携が希薄になることが懸念される、児童虐待への機敏かつ組織的な機動力を発揮するために、児童相談所の担当職員を増員するなど相談所機能の充実強化を図り、取り組みを強化されたいという要望は、これは十六年度予算に対する要望としても出ているわけで、先ほども、十四年度に二十二名の増員を行っていただきまして、それは徐々に充実しているというふうに思うんです。そしてまた、児童の虐待がそんなにふえないような社会の環境をつくらなければいけないというふうに思うわけですけれども、やはりこういう要望にも引き続きこたえていただけるように要望をしておきたいというふうに思います。
 最後の質問ですけれども、九一ページの盲導犬給付事業の十四年度の執行内容と実績はどうだったのか、お伺いいたします。

○有留障害福祉部長 盲導犬の給付事業は、視覚障害者の行動範囲を拡大し、その自立と社会参加を促進することを目的として、昭和四十四年に開始したものでございます。
 対象者は、所得制限などの要件を満たす十八歳以上の一級の視覚障害者でございます。
 事業の実施方法は、盲導犬の育成、訓練を団体に委託し、都が決定した対象者に無償で給付するものでございます。
 これまで、累計二百五十一頭の盲導犬を給付し、平成十四年度末現在、五十頭が都内で活動しております。平成十四年度は七頭の盲導犬を給付しております。

○清水委員 国会で身体障害者補助犬法というものが通過をしております。介助犬、補助犬、聴導犬への対応が始まるわけですけれども、マスコミなどでもこうした介助犬などのテレビドラマとかさまざまな報道がされて大変関心が高まっているわけで、盲導犬給付事業のような、同じような給付事業を開始すべきであるということを要望して、質問を終わります。

○前島委員長 発言がなければ、お諮りをいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○前島委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後四時二分散会

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