各会計決算特別委員会速記録第四号

平成十四年十一月六日(水曜日)
第十二委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 三十一名
委員長桜井  武君
副委員長野村 有信君
副委員長大木田 守君
副委員長坂口こうじ君
理事中西 一善君
理事真木  茂君
理事松原 忠義君
理事森田 安孝君
理事大山とも子君
理事古賀 俊昭君
谷村 孝彦君
秋田 一郎君
矢島 千秋君
執印真智子君
山下 太郎君
長橋 桂一君
ともとし春久君
小美濃安弘君
臼井  孝君
服部ゆくお君
花輪ともふみ君
かち佳代子君
小松 恭子君
中嶋 義雄君
倉林 辰雄君
福島 寿一君
古館 和憲君
三原 將嗣君
真鍋よしゆき君
小林 正則君
矢部  一君

欠席委員 なし

 出席説明員
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
知事本部長前川 燿男君
総務局長赤星 經昭君
財務局長田原 和道君
主税局長安間 謙臣君
生活文化局長三宅 広人君
都市計画局長勝田 三良君
環境局長小池 正臣君
福祉局長川崎 裕康君
健康局長長尾 至浩君
産業労働局長有手  勉君
中央卸売市場長碇山 幸夫君
住宅局長橋本  勲君
建設局長小峰 良介君
港湾局長高橋 信行君
大学管理本部長鎌形 満征君
地方労働委員会事務局長立花 壯介君
収用委員会事務局長平井 健一君
議会局長岡田 重信君
人事委員会事務局長高橋  功君
監査事務局長藤堂 義弘君
選挙管理委員会事務局長押切 重洋君
警視庁総務部長岩橋  修君
消防総監杉村 哲也君

本日の会議に付した事件
 平成十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・一般会計決算
・特別区財政調整会計決算
・地方消費税清算会計決算
・小笠原諸島生活再建資金会計決算
・母子福祉貸付資金会計決算
・心身障害者扶養年金会計決算
・中小企業設備導入等資金会計決算
・農業改良資金助成会計決算
・林業改善資金助成会計決算
・沿岸漁業改善資金助成会計決算
・と場会計決算
・都営住宅等保証金会計決算
・都市開発資金会計決算
・用地会計決算
・公債費会計決算
・新住宅市街地開発事業会計決算
・多摩ニュータウン事業会計決算
・市街地再開発事業会計決算
・臨海都市基盤整備事業会計決算

○桜井委員長 ただいまから平成十三年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 初めに、先般の人事異動に伴い監査事務局長に交代がありましたので、ご紹介いたします。
 監査事務局長に就任いたしました藤堂義弘君です。
   〔理事者あいさつ〕

○桜井委員長 紹介は終わりました。

○桜井委員長 これより決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 また、去る十月四日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元配布のとおり報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十三年度各会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十三年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十四年十月二十九日
      平成十三年度各会計決算特別委員会
        第一分科会委員長 野村 有信
 平成十三年度各会計決算特別委員長
 桜井 武殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十六日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成十三年度東京都一般会計決算中、知事本部、総務局、財務局、主税局、出納長室、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、東京消防庁、警視庁所管分
  ・平成十三年度東京都特別区財政調整会計決算
  ・平成十三年度東京都地方消費税清算会計決算
  ・平成十三年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
  ・平成十三年度東京都用地会計決算
  ・平成十三年度東京都公債費会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
   十月四日(説明・資料要求)出納長室、財務局、主税局、収用委員会事務局、議会局
   十月八日(説明・資料要求)警視庁、東京消防庁、知事本部、総務局、人事委員会事務局、監査事務局、選挙管理委員会事務局
   十月十六日(質疑)    出納長室、財務局、主税局
   十月十八日(質疑)    警視庁、東京消防庁、議会局
   十月二十一日(質疑)   知事本部、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局
   十月二十五日(質疑)   総務局、収用委員会事務局、監査事務局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 知事本部所管分
   〔1〕首都移転の白紙撤回に向けた今後の取組について
   〔2〕アジア大都市ネットワークについて
   〔3〕東京構想二〇〇〇における三か年推進プランについて
   〔4〕平成十四年度の重要施策と都市再生について
(2) 総務局所管分
   〔1〕電子都庁推進計画について
   〔2〕外部監査制度について
   〔3〕情報管理システム事務決算について
   〔4〕三宅島の現状と住民の一時帰島を含めた生活支援策について
   〔5〕多摩格差について
   〔6〕市町村に対する事務処理特例交付金について
   〔7〕市町村振興基金の繰上げ償還について
   〔8〕職員給与削減と給与条例主義について
   〔9〕災害時の初期対応策について
(3) 財務局所管分
   〔1〕財政再建推進プランの目標と達成状況について
   〔2〕法人二税と歳入の確保について
   〔3〕未利用都有地の有効活用と売却に関する基本的な考え方について
   〔4〕契約制度改革と電子入札システムの今後の展開予定について
   〔5〕国直轄事業負担金の見直しについて
   〔6〕首都高速道路公団への貸付けについて
   〔7〕都債発行と起債依存度について
   〔8〕経常収支比率の改善について
   〔9〕財政再建と都市再生について
(4) 主税局所管分
   〔1〕固定資産税・都市計画税の減免措置について
   〔2〕税務情報総合オンラインシステムについて
   〔3〕不正軽油撲滅作戦の推進について
   〔4〕法人二税に係る税制改正の都財政への影響について
   〔5〕法人事業税の超過税率の引上げについて
   〔6〕銀行業に対する外形標準課税による増収と控訴審に向けた取組について
(5) 出納長室所管分
   〔1〕指定金融機関における輪番制の検討について
   〔2〕都の公金管理に対する基本的な考え方について
   〔3〕低金利下における資金運用について
(6) 選挙管理委員会事務局所管分
   〔1〕政治団体届出数と収支報告書未提出団体に対する対応について
(7) 人事委員会事務局所管分
  質疑なし
(8) 監査事務局所管分
   〔1〕包括外部監査結果に対する措置状況について
   〔2〕監査委員制度と外部監査制度による監査機能の充実
(9) 収用委員会事務局所管分
  質疑なし
(10) 議会局所管分
  質疑なし
(11) 東京消防庁所管分
   〔1〕平成十三年九月発生した新宿区歌舞伎町雑居ビル火災について
   〔2〕化学物質等を使用したNBC災害と発生時の対応について
   〔3〕小規模雑居ビルに対する特別査察と今後の取組について
(12) 警視庁所管分
  質疑なし


平成十三年度各会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十三年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十四年十月二十九日
      平成十三年度各会計決算特別委員会
        第二分科会委員長 坂口こうじ
 平成十三年度各会計決算特別委員長
 桜井 武殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十六日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成十三年度東京都一般会計決算中、大学管理本部、生活文化局、福祉局、健康局、教育庁所管分
  ・平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
  ・平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
   十月四日(説明・資料要求)福祉局、健康局
   十月八日(説明・資料要求)教育庁、生活文化局、大学管理本部
   十月十六日(質疑)    教育庁
   十月十八日(質疑)    福祉局
   十月二十一日(質疑)   健康局
   十月二十五日(質疑)   生活文化局、大学管理本部
2 本分科会における質疑の概要
(1) 大学管理本部所管分
   〔1〕都立大学の改革について
   〔2〕研究費について
   〔3〕「21世紀COEプログラム」について
   〔4〕都立短期大学の将来について
   〔5〕都立保健科学大学の将来について
   〔6〕産学公連携センターについて
(2) 生活文化局所管分
   〔1〕旅券窓口業務の民間委託について
   〔2〕旧小笠原邸の保存・活用について
   〔3〕私立幼稚園等の保護者負担軽減と預かり保育について
   〔4〕心の東京革命について
   〔5〕私学における中高一貫教育及び幼稚園の預かり保育について
   〔6〕広聴事業について
   〔7〕私立学校経常費補助について
   〔8〕危害防止対策事業について
   〔9〕文化行政一元化後の取組について
(3) 福祉局所管分
   〔1〕山谷対策について
   〔2〕ホームレス対策について
   〔3〕筑波愛児園事件について
   〔4〕障害者福祉について
   〔5〕福祉サービスの充実のための区市町村の取組について
   〔6〕福祉改革推進プランと緊急整備三か年計画の分野別事業費の推移について
   〔7〕日本点字図書館委託事業や盲ろう通訳派遣事業など障害者施策について
   〔8〕福祉のまちづくりについて
   〔9〕シルバーパスの周知方法等について
   〔10〕介護保険について
   〔11〕子どもの権利擁護委員会の活動について
   〔12〕児童虐待対策について
(4) 健康局所管分
   〔1〕「患者中心の医療」について
   〔2〕歯科保健医療対策について
   〔3〕在宅難病患者居宅生活支援事業について
   〔4〕小児救急医療について
   〔5〕周産期医療対策事業について
   〔6〕病院の開設等許可に係る病床の管理について
   〔7〕多摩地域の保健所サービスの再構築について
   〔8〕精神障害者施策について
   〔9〕食の安全に係る予算について
   〔10〕都内の医療公社病院について
   〔11〕在宅難病患者居宅生活支援事業の活用について
   〔12〕アレルギー性疾患対策の取組について
   〔13〕健康づくり施策の新しい展開について
(5) 教育庁所管分
   〔1〕町田市の教研集会における服務の取扱いについて
   〔2〕国立市立第五小学校の事務職員の事件について
   〔3〕あるべき教師像、あるべき教育の姿について
   〔4〕心の東京革命について
   〔5〕体育施設の開放について
   〔6〕教員の継続研修について
   〔7〕都立高校の修学旅行の本人負担について
   〔8〕養護学校の整備について
   〔9〕障害児学校の調理業務委託について
   〔10〕コース制高校の設置・廃止について
   〔11〕小石川工業高校の統廃合について
   〔12〕学校給食用牛乳供給事業「牧場・ふれあい支援事業」について
   〔13〕養護学校のスクールバスについて
   〔14〕子どもの権利擁護委員会との連携について
   〔15〕高校卒業生への都教育委員会の挨拶文の表現について
   〔16〕民間人任用など学校における管理職について


平成十三年度各会計決算特別委員会 第三分科会審査報告書

 第三分科会で行われた平成十三年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十四年十月二十九日
      平成十三年度各会計決算特別委員会
        第三分科会委員長 大木田 守
 平成十三年度各会計決算特別委員長
 桜井 武殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十六日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成十三年度東京都一般会計決算中、都市計画局、環境局、産業労働局、住宅局、建設局、港湾局、地方労働委員会事務局所管分
  ・平成十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算
  ・平成十三年度東京都農業改良資金助成会計決算
  ・平成十三年度東京都林業改善資金助成会計決算
  ・平成十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
  ・平成十三年度東京都と場会計決算
  ・平成十三年度東京都都営住宅等保証金会計決算
  ・平成十三年度東京都都市開発資金会計決算
  ・平成十三年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
  ・平成十三年度東京都多摩ニュータウン事業会計決算
  ・平成十三年度東京都市街地再開発事業会計決算
  ・平成十三年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
   十月四日(説明・資料要求)都市計画局、環境局、住宅局、建設局
   十月八日(説明・資料要求)中央卸売市場、産業労働局、港湾局、地方労働委員会事務局
   十月十六日(質疑)    都市計画局、環境局
   十月十八日(質疑)    住宅局、建設局
   十月二十一日(質疑)   産業労働局、中央卸売市場
   十月二十五日(質疑)   港湾局、地方労働委員会事務局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 都市計画局所管分
   〔1〕用途地域の見直しについて
   〔2〕屋外広告物について
   〔3〕建設発生土の再利用促進事業について
   〔4〕防災都市づくり事業について
   〔5〕駅周辺整備事業について
   〔6〕都市づくりビジョンについて
   〔7〕総合治水対策について
   〔8〕首都高速道路公団について
   〔9〕京急蒲田駅総合改善事業について
   〔10〕古い街並みの景観保全について
   〔11〕都市基盤整備公団の区画整理事業撤退後について
   〔12〕生産緑地について
   〔13〕多摩都市モノレールについて
   〔14〕建築行政について
(2) 環境局所管分
   〔1〕ダイオキシン類土壌汚染対策について
   〔2〕地球温暖化対策について
   〔3〕風力発電施設の活用について
   〔4〕容器包装リサイクルについて
   〔5〕保全地域について
   〔6〕産業廃棄物について
   〔7〕多摩の森林再生事業について
   〔8〕屋上緑化について
   〔9〕燃料電池について
   〔10〕ダイオキシン類について
   〔11〕ディーゼル車対策について
   〔12〕ヒートアイランド対策について
   〔13〕花粉症対策について
   〔14〕航空機騒音問題について
   〔15〕自然環境費について
(3) 産業労働局所管分
   〔1〕残留農薬について
   〔2〕高齢者・障害者就業支援対策事業について
   〔3〕観光振興対策について
   〔4〕地域商業の活性化対策について
   〔5〕元気を出せ商店街事業について
   〔6〕緊急地域雇用創出特別基金事業について
   〔7〕雇用創出について
   〔8〕若年者就業対策について
   〔9〕創業支援について
   〔10〕職場でのメンタルヘルスについて
   〔11〕工業集積地域活性化事業について
   〔12〕労働セミナーについて
   〔13〕花粉症対策について
   〔14〕都市農業について
   〔15〕林業振興について
   〔16〕信用保証協会について
(4) 中央卸売市場所管分
   〔1〕BSE対策について
(5) 住宅局所管分
   〔1〕都営住宅の家賃滞納整理について
   〔2〕都営住宅における高額所得者について
   〔3〕東村山本町団地の建替事業について
   〔4〕都営住宅における高齢化について
   〔5〕住宅供給公社の住宅供給事業について
   〔6〕マンション施策について
   〔7〕住宅供給公社の長期保有地について
   〔8〕都営住宅の新規建設について
   〔9〕都営住宅を活用した障害者に対するグループホーム事業について
   〔10〕都営住宅のエレベーター設置について
   〔11〕民間住宅建設資金融資あっせん事業の損失補償について
   〔12〕武蔵野団地の建替事業について
   〔13〕都営住宅の駐車場について
   〔14〕住宅マスタープランについて
(6) 建設局所管分
   〔1〕多摩地域の道路整備について
   〔2〕歩道の整備について
   〔3〕みちづくり・まちづくりパートナー事業について
   〔4〕中小河川整備について
   〔5〕公園整備について
   〔6〕管理工区について
   〔7〕区部霊園について
   〔8〕多摩ニュータウンにおける住宅建設対策費補助制度について
   〔9〕直轄事業負担金について
   〔10〕JR中央線連続立体交差化事業について
   〔11〕交差点すいすいプラン一〇〇について
   〔12〕道路掘削の規制緩和について
   〔13〕京浜急行連続立体交差化事業について
(7) 港湾局所管分
   〔1〕中央防波堤内側埋立地の森づくりについて
   〔2〕港湾のIT化の取組について
   〔3〕調布飛行場について
   〔4〕小笠原空港について
   〔5〕東京港の国際競争力強化について
   〔6〕三宅島の災害復旧について
   〔7〕東京港における空コンテナの取扱いについて
   〔8〕東京港整備に伴う問題について
   〔9〕城南島地域の駐車場整備について
   〔10〕臨海関係第三セクターについて
(8) 地方労働委員会事務局所管分
   〔1〕取扱事件の処理等について


○桜井委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承いただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願いします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせいたします。質疑時間はお守り願います。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁されるようお願いいたします。
 なお、発言の際には必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いいたします。
 これより順次発言を許します。
 中西一善理事の発言を許します。

○中西委員 平成十三年度各会計決算特別委員会に当たり、トップバッターとして大変な重責、そして、大変なこの重要な場において質問させていただくことを大変光栄に感じながら、質問に入りたいと思います。
 まず最初に、平成十三年度は、財政再建推進プランの計画が終了した年度でありまして、財政構造改革を本格的な軌道に乗せる上で大変重要な年であります。都においても、職員定数の削減を初め厳しい内部努力に取り組むとともに、すべての施策について聖域なく見直しに取り組むなど、財政再建に向けて全力で取り組んできたところではありますが、十三年度決算は、赤字幅が縮小したとはいえ、四年連続の実質収支赤字となりました。また、財政の弾力性を示す指標である経常収支比率は二年連続で改善し、九二・四%と、プラン目標の九〇%にどうやら近づきましたが、今日の都税収入の低迷を考えれば、その先行きは楽観できないところであります。
 今後とも、プランの柱に沿って財政構造改革をさらに進め、財政再建に向けた道のりを確かなものとして、将来にわたって、新たな、都民に柔軟かつ的確に対応できる、強固で弾力的な財政体質をつくり上げるよう要望し、質問に入らせていただきます。
 まず、財政再建の今後について伺います。
 十三年度予算において、プランの達成状況は六八・二%と発表されておりました。十四年度予算では、これが八〇・六%と着実に前進しているわけでありますが、このことを決算からも確認したいと思います。
 そこで、平成十年度に一千六十八億に達した実質収支の赤字は、その後どのように推移しているのか、伺います。

○田原財務局長 今、中西委員お話しのとおり、東京都は平成十年度決算におきまして、昭和五十五年度以来十八年ぶりに実質収支一千六十八億円の赤字となりました。その後の決算でございますけれども、十一年度八百八十一億円、十二年度六百七十八億円、十三年度は百十一億円の赤字というように推移いたしまして、赤字額は着実に縮小してきております。

○中西委員 この実質収支の改善についてどのように分析されているのか、伺います。

○田原財務局長 十年度決算におきまして実質収支に大幅な赤字が生じて以来、都は、財政再建団体への転落を回避するとともに、危機的な都財政の状況を改善するため、平成十一年七月に財政再建推進プランを策定いたしまして、これに基づいて、全力を挙げて財政再建に取り組んでまいりました。
 まず歳出につきましては、内部努力、施策の見直しを徹底するなどによりまして、厳しく歳出の抑制をしてまいりました。また、歳入につきましては、徴税努力、未利用財産の売却など、その確保に取り組んできたところでございます。さらに、十二年度及び十三年度には、都税収入の一時的な増収が見られたほか、十三年度から新たに銀行業等に対する外形標準課税を収入いたしました。こうしたことが、実質収支が改善してきた要因であると考えております。

○中西委員 財政構造改革の成果と税収の伸びということでありますが、過去十年間の平均的な水準から見ても、十二年度、十三年度の都税収入は、これは巷間いわれておりますが、ITを中心にした法人二税の伸びも大きく、実質収支の改善は、財政構造改革の努力とともに、税収の伸びという大変大きな好材料に支えられたところが大きいと私は思います。
 この税収の伸びに関連して、十三年度は、十二年度に引き続き財政調整基金の積み立てが行われました。地方交付税の不交付団体である都にとって、財政調整基金の重要性はいうまでもありません。平成九年度のように基金が底をつくような事態は絶対に繰り返すべきではありませんが、十三年度における財政調整基金の年度末の残高について伺います。

○田原財務局長 十三年度末におけます財政調整基金の残高は一千八百九十一億円でございます。

○中西委員 残高の約一千九百億円は、都の財政規模の六兆円に対して三%にしかすぎません。一方、都税収入は十四年度から一転して減収に向かって、十二、十三年度に積み足した財政調整基金も、十四年度予算では六百億円の取り崩しを予定しておるようでございます。まさしく財源の年度間調整という基金の機能を発揮しているわけでありますが、十四年度のみならず、十五年度においても税収が低迷するとほぼ見込まれている中で、基金を使い切ってしまうわけには絶対いかないわけであります。
 税収の低迷が一時的なものでないとすれば、財政調整基金は、今後ともある程度の残高を保持していくことが絶対に重要であると思いますが、いかがでございましょうか。

○田原財務局長 都財政は、法人二税を中心とした都税収入に大きく依存する不安定な構造になっております。社会経済情勢の変化に的確に対応し、都民サービスを安定的に提供していくためには、財政調整基金のような年度間の財源調整の役割を果たす基金は極めて重要でございます。
 お話のように、十四年度予算におきましても、税収の大幅な落ち込みに対応いたしまして六百億円を取り崩す予定としております。これによりまして、十四年度末の財政調整基金の残高は、都税の予算額に対しますとわずか三・二%になりまして、一千三百億円となる見込みでございます。

○中西委員 十三年度の財政運営では、財政再建の取り組みによって、実質収支の改善や財政調整基金の強化など財政構造改革は前進しましたが、しかし、これに寄与した税収増はもう過ぎ去ってしまって、今後、十五年度にかけてもより厳しい状況が見込まれているわけです。
 先ごろ明らかになった十四年度上半期の都税収入の落ち込みは、最近の株価、社会経済状況の動向、また、アメリカ経済なんかも非常に厳しい状況を見ますと、今後とも都税収入は大変厳しい状態になっていくということが十分予想されるわけです。
 また、私も質問させていただきましたが、さきの分科会の質疑における財務局の答弁で明らかになりましたが、銀行業等に対する外形標準課税ですか、これで一千億円の税収を見込んでおるわけでありますが、その収入を差し引いた場合、財政再建推進プランの達成率は、分科会でも出ましたが、何と十三年度で五二・三%、十四年度で六四・七%にとどまってしまうということなんですね。これは非常に厳しいことですよ。
 このほかにも、プランにおける税財政制度の改善の実現には、例えば税財源移譲問題、これは国においての立法措置が絶対に必要なため、東京都がひとり頑張ってもいかんともしがたいことであり、国の改革も待たれるところであります。
 無論、こうしたことも全力で皆さんには取り組んでいただきたいところでありますけど、何よりもまず、内部努力であるとか施策の見直しなど、みずからなすべきことに対して十全な取り組みを行うべきではないかと考えます。
 こうした中、去る十月二十四日には十五年度予算の要求状況が発表されましたが、この要求額をもとに試算した財源不足額は三千六百億、こういう巨額のものであります。こうした厳しい状況の中で、これから十五年度予算編成を行うわけでありますが、税収の低迷の長期化も視野に入れれば、これまで以上に内部努力や施策の見直しを徹底しなければなりません。
 十三年度までの成果を引き継ぎ、どのようなプランの達成を目指していくのか、局長の決意を伺いたいと思います。

○田原財務局長 財政再建推進プランに基づく取り組みは、これまで着実に成果を上げてまいったと考えております。その一方で、都税収入がプランの見込みを大きく下回る状況になっていることから、十五年度予算につきましては、各局からの予算要求ベースで三千六百億円を超える財源不足となる状況にございます。
 十五年度予算は、こうした厳しい財政状況の中での編成となりますけれども、ご指摘のように、都税収入については、ここしばらくは低迷を覚悟しなければならないと考えておることから、歳入の伸びが期待できない中にありまして、何よりもまず、全体として歳出総額を厳しく抑制していかなければならないと考えております。
 したがって、十五年度予算編成に当たりましては、内部努力や施策の見直しなどの取り組みをさらに徹底し、プランの目標達成に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。

○中西委員 ありがとうございました。
 次に、行政評価制度について伺います。
 困難な財政状況下にあって、都政の重要な課題にきちんと対応していかなければならないことはいうまでもありませんが、そのため、真に必要な施策へシフトし、限られた財源を有効に活用するための安定した行財政制度を確立していく必要性があると思います。
 私は、こうした取り組みを推進する一つの手法として、早くから行政評価システムに注目してまいりました。数年前にも、私の一般質問、本会議の場において、当時の青島都知事に、行政評価制度の都政への導入の必要性を強く訴えたんですが、全く理解していなかったわけであります。その後、石原都政になり、初めて行政評価制度が導入されたことは、改めて本当に高く評価しておるところであります。
 都では、この行政評価制度を、十一年度からの試行を経て、十三年度より本格実施しておりますが、これまでの取り組みの成果はどのようになっていますか。

○前川知事本部長 行政評価制度につきましては、ただいまお話がありましたが、平成十年の第二回定例会におきまして中西理事から、三重県等の事例を引きながら、導入の必要性について質問をいただいております。
 都では、その後、平成十一年度から制度を導入し、行政評価について、成果重視の都政への転換、事務事業の不断の見直しにつなげる行政運営の手法の一つとして位置づけ、それぞれの事務事業が十分な成果、効果を上げているか、実施方法は適切か、費用対効果は妥当か、そういった視点から評価を行ってまいりました。
 これにより、時代のニーズにそぐわなくなった事業の廃止や、各種の都民利用施設の運営方法の抜本的見直しなど、その評価結果を行政運営に反映させてきております。

○中西委員 個々の事務事業の評価結果については、事業の着実な見直しにつながっているんでしょうが、個別の事務事業だけでなく、例えば住宅政策、教育行政、環境問題など、東京が直面する緊急かつ重要な課題についても、幅広い視点から、政策転換につながるようなツールとして行政評価制度を適用、運用していく必要性があると思います。
 そこで、これからの都政運営において、より実効性のあるシステムとして、この行政評価制度をどのように展開していくのか、伺います。

○前川知事本部長 今お話がありましたように、行政評価制度は、都政の運営の中で、種々の事務事業や施策を有効性あるいは効率性等の観点からチェックをして、真に都民が求める施策の実現につなげていく、そういう意味で、そういう上で有意義な手法であると考えております。ただ、一口に評価と申しましても、これはもう理事十分ご承知のとおり、こうした、どちらかといえば技術的な観点からの評価だけではなくて、立場や考え方によってさまざまな観点からの評価があり得るわけであります。
 こうした点も踏まえながら、都の行政評価制度が、議会や都民の方々が議論を深めていくための適切な判断材料となるよう、さらに充実し、活用していきたいと考えております。

○中西委員 いずれにしても、行政評価制度はまだ新しい制度でありますので、運用の仕方によって一層有効な手法になるとも考えられます。今後とも、行財政運営の有効な一つのツールとなるように、また着実に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、行政改革に関連して何点か伺います。
 まず、都の特殊法人ともいえる東京都監理団体についてでありますが、都は、我が党、都議会自由民主党の主張を受け、昭和五十四年度から、第一次行政改革以来、団体の見直しに取り組んできましたが、特に石原知事が就任した平成十一年度以降は、監理団体の改革を都政の重要課題の一つとして位置づけ、危機突破のための行政改革の一環として積極的に対処してきたところであります。そこで、改めて、監理団体の定義と団体の活用の考え方、何なのか、現在の団体数を含めてお答えいただけますか。

○赤星総務局長 東京都監理団体指導監督要綱で定めます東京都監理団体でございますが、都が出資等を行っている団体及び継続的な財政支出、人的支援等を行っている団体でございまして、全庁的に指導監督を行う必要があるもので、現在五十四団体ございます。
 都はこれまで、民間資金、人材、経営ノウハウなどを活用することで、都が直接事業を実施するよりも、効率的、弾力的な事業執行やサービス提供が可能と見込まれる場合に、監理団体を設立し、活用してまいりました。

○中西委員 監理団体の活用の考え方はわかりましたが、社会経済状況の変化であるとか、都の大変厳しい財政状況などによって、団体には、より効率的な、自律的な経営が求められておることはいうまでもありません。
 そうした意味で、民間人をトップにいただいている団体数。これは大変すばらしいことだと思いますよ。また、トップに据えることにより、どういう効果が出ているのか、ご答弁をお願いします。

○赤星総務局長 平成十四年十月一日現在でございますが、トップに民間の方を登用している監理団体は、財団法人東京都歴史文化財団など六団体ございます。
 監理団体のトップに民間の方を登用することによりまして、民間で培われました経験やノウハウを生かした、弾力的、効率的な経営が行われております。今後も、団体が必要とする能力、経験を有する人材が登用されるよう、必要な支援をしてまいります。

○中西委員 我が党の主張を盛り込んで策定した監理団体改革実施計画の中でも、数値目標として掲げた都からの派遣職員数と都財政支出の削減は、現在どんな状況になっているんですか。

○赤星総務局長 監理団体に派遣しております都職員数及び都からの財政支出につきましては、平成十二年十一月に策定いたしました監理団体改革実施計画に基づきまして、計画的に削減を進めております。
 都の派遣職員数につきましては、平成十一年度対比で十五年度までに九百四十人削減する計画でございますが、十四年八月一日現在、九百五十二人の削減となっております。
 また、都からの財政支出につきましては、平成十一年度予算の二千七百四十一億円を十五年度までに七百二十億円削減することにしておりますが、平成十四年度予算では二千二十二億円でございまして、七百十九億円の削減となっております。

○中西委員 監理団体改革は順調に進んでいるようでありますが、何と五十四団体で二千億。この二千億という額は、例えば二十三区の一つの区の一年間の支出と変わらないわけであります。大変巨額でありますから、今後とも決して手綱を緩めることなく改革を進めていくことを、ぜひとも認識していただきたいと思います。
 一方、都は長年、監理団体改革に取り組んできたわけでありますが、現在、国においても小泉内閣で、石原知事のご子息である石原伸晃行革大臣のもとで、特殊法人改革への取り組みを始めております。国の特殊法人改革と比較して、都の監理団体改革の特色は何であり、また今後どのように取り組もうとしているのか、伺います。

○赤星総務局長 国におきましては、現在、百六十三の特殊法人及び認可法人を対象に、事業や組織形態の見直しを中心といたしまして特殊法人改革を行っております。
 都におきましては、今回の監理団体改革におきまして、団体の設立趣旨にまでさかのぼってその存在意義を問い直し、社会経済状況の変化などにより必要性が薄れた団体については、統廃合等を進めてまいります。さらに、団体みずからが改革意識、創意工夫を持って、人事・給与制度の見直しや外部委託の導入など、積極的に経営改善に取り組んでおり、都といたしましても、団体みずからが設定いたしました経営目標の達成度評価などを活用しつつ、必要な支援を行っております。
 今後も、団体の自主性を尊重しつつ、現状に甘んずることなく、新たな社会経済状況の変化を十分踏まえまして、団体改革のあり方を不断に見直してまいります。

○中西委員 次に、職員の定数削減について伺います。
 都は、知事部局を初め十七万人の職員を擁し、総額十二兆円の財政力を持ち、ほぼ国家的な規模の団体であることから、効率的、効果的な執行体制を確立し、都政改革を推進するために、組織や職員定数の見直しが不可欠であると考えます。
 都がこれまで実施してきた職員定数削減の取り組みについて、国との比較も含め伺います。

○赤星総務局長 大分さかのぼって恐縮でございますが、東京都は、昭和五十四年度に始まります第一次行政改革から現行の財政再建推進プランまで、効率的な執行体制を確立するため、継続して職員定数削減に取り組んでおります。昭和五十五年度から平成十四年度までの二十三年間で約二〇%、約四万四千人の削減を実施しております。
 一方、同期間におきます国の削減状況を見ますと、約一〇%、九万二千人の削減となっており、都は、国を大きく上回る削減を実施しております。

○中西委員 財政再建推進プランでは、平成十二年度から十五年度までの四年間で五千人の職員定数削減を計画しておりますが、平成十四年度までの三年間の計画の進捗状況はどうなっていますか。

○赤星総務局長 計画策定段階では想定しておりませんでした、国の施策に伴います警察官や教員の大幅な増員、これが九百三十人ございましたが、職員定数の徹底した見直しによりまして、平成十四年度までの三年間でこれらをのみ込みまして、既に、削減目標の九七%に当たります四千八百三十四人を削減いたしました。

○中西委員 平成十五年度は財政再建推進プランの最終年度でありますが、平成十四年度までに四千八百三十四人の削減をしているということは、削減目標まであと百七十人にすぎないわけであります。都財政が置かれているこの厳しい状況を踏まえつつ、民間の経済状況を考えれば、当然のこととして、削減目標の五千人にこだわることなく職員定数の見直しをぜひとも実施していくことは、私、もう当たり前のことであると思います。
 平成十五年度に向けての取り組みと、平成十六年度以降の考え方についてあわせて伺います。

○赤星総務局長 ご指摘のとおり、五千人の定数削減目標までに残りは約百七十人でございますが、平成十五年度の職員定数につきましても、国の施策に伴います教員などの大幅な増員が予定されておりまして、目標達成は決して楽観できない状況でございます。
 しかしながら、現下の厳しい経済環境と都財政の置かれました状況を踏まえますと、今後も徹底した内部努力が必要でありまして、その大きな柱として、職員定数の見直しを行うことは重要でございます。
 平成十五年度に向けましては、財政再建推進プランの五千人削減目標を確実に達成いたしますとともに、これにとどまることなく、職員定数の見直しを積極的に実施していく必要があると考えております。
 また、平成十六年度以降につきましても、引き続き計画的に取り組んでまいります。

○中西委員 ところで、都は電子都庁推進計画を策定し、平成十三年度からの三年間で都庁のIT化を進めるとしておりますが、そもそも民間であれば、IT化によって人員とコストをどれだけ抑えられるかが大前提で、どれだけ抑えられるからIT化を進めるということなんですね。つまり、費用に見合う効果を上げることがとりわけ重要であって、これは当たり前のことであると私は思うのであります。IT化に多額の費用をかける以上、それに見合う都民サービスの向上や業務の効率化など、効果が当然見込まれると思いますが、見解はいかがですか。

○赤星総務局長 電子都庁推進計画の効果でございますが、都民の方々が自宅や職場からいつでも行政手続を行うことができるなど、都民の利便性が向上すること、また、文書事務や契約事務の電子化などによりまして、都政の事務効率が向上することが挙げられます。
 既に、体育施設予約などの電子申請や電子調達システムの一部が稼働しておりますが、効果が本格的にあらわれるのは、主要なシステムが稼働する平成十五年度以降となります。
 今後とも、費用対効果に十分配慮しながら、都民サービスの一層の向上が図られるよう、電子都庁推進計画を着実に推進してまいります。

○中西委員 今の答弁で、都民サービスの向上だとか、都庁内部の職員の皆さんが便利になることは、よくよくわかりますよ。しかし民間であれば、こんな予想なんていうのは初めに立てて、予想が立たなければ導入しないわけですから、ぜひともそういうところをよく考えてほしいと思います。
 具体的に、経費はどれくらい安くなるんですか。

○赤星総務局長 電子都庁推進計画の策定時点におきましては、文書の電子化などによりますペーパーレスの効果といたしまして、印刷費、文書保管経費など、合わせまして年間約十八億円の経費削減効果を見込んでおります。このほか、大規模システムの見直しによりますランニングコストの削減や、電子調達システムの導入によりまして競争性が向上いたしますれば、落札価格の低下などの効果が期待できます。
 今後とも、IT化の効果が十分発揮されますよう、都民の目線に立った電子都庁の実現に努めてまいります。

○中西委員 そこが問題なんですよ。IT化というのはあくまでも手段にしかすぎなくて、目的じゃないわけですから、ぜひとも今後ともよく検証して、そこを取り組んでいただきたいと思います。
 次に、給与削減措置について伺います。
 平成十二年度と十三年度、そして現在実施している本年八月からの給与削減措置により、具体的にどれくらいの財政効果があったんでしょうか。

○赤星総務局長 給与削減措置による財政効果でございますが、平成十二年度並びに十三年度につきましては、月例給の削減及び期末手当の削減合わせまして、各年度六百九十八億円。現在実施中の給与削減措置は、平成十四年八月から平成十五年七月までの一年間、月例給の削減により三百七十億円。これらを単純に合計いたしますと一千七百六十六億円となります。

○中西委員 合計一千八百億円にも届く額ということで、これは臨時的な措置でありますけれども、財政再建に大変大きく貢献するものであります。都の職員の皆さんにも、大変厳しい都財政の状況を十分に認識した上で、このプランに積極的に協力していただきました。まさに国に先駆け、全国の自治体にも先駆けた給与削減措置により、財政再建に貢献したわけであります。私は、この取り組みは都政の歴史に残るものであり、大変高く評価すべきものであると思います。
 しかしながら、その一方で、中小零細企業の皆さんからは、あすの資金繰りにも事欠くというような声を本当に聞くわけであります。大企業でもリストラは進み、失業率五・四%と最悪の水準になりまして、毎月一千五百件を超える企業が倒産をしておるところであります。まさに都民は日々の生活にも事欠いて、生きているのが精いっぱいというような状態が続いている方も大変多くおるわけであります。
 今年度の人事委員会勧告は、給料を一・六%ですか、引き下げるマイナス勧告とのことであります。職員の皆さんにも大変とは思いますが、都民の実情を見れば、この勧告だけを実施すれば足りるというものではありません。さらに一層の努力、財政再建に向けた協力を求めたいと思います。
 また、理事者側においては、現在、職員給与について労使交渉中で大変であると思いますが、社会経済状況、都財政のこの現状をよくよく踏まえて、都民の理解、納得が得られるような、都民の代弁者である議会が、うん、これならば納得できると思えるような、納得できるような結果をぜひとも見せていただきたい、このように強く要望します。
 最後に、外形標準課税に関連して伺います。
 この訴訟については、昨日、東京高裁で結審となりました。この訴訟では、事業税の性格、事業の状況の解釈、課税標準である業務粗利益、所得課税との税負担の均衡などが争点となっておりますが、事業税の性格についていえば、銀行側が応能課税、東京都側は応益課税を主張し、完全に真っ向から対立しておるわけであります。
 かつてシャウプ勧告では、都道府県の施策に必要な経費を事業主が負担することを当然のこととして、応益税としての事業税の存続を勧告しているわけであります。その中で、課税標準として自主独立の加算型付加価値を採用し、国税の所得連動型の賦課徴収に依存しないことを提言していたわけであります。すなわち、所得課税に連動することを、これは否定しているわけでありますよ。この提言は、私の調べたところによりますと、国会でかつて、三たび取り上げられたのでありますが、結局これは実現しなかったわけでありまして、シャウプ勧告の精神は現行事業税に--しかし、これはDNAとでもいうんですか、脈々と引き継がれ、事業税の性格は応益課税とし、地方税法に、外形標準課税を行い得る七十二条の十九の規定にも存置されておるところであります。
 まず、事業税の性格を確認しておきたいと思います。シャウプ勧告からも当然明らかなように、事業税は応益税であり、応能税ではないと私も考えますし、また定説でもそうであると思いますが、どのようにお考えですか。

○安間主税局長 理事ご指摘のように、昭和二十四年のシャウプ勧告は、事業税は、行政サービスの必要経費を分担する応益的性格の税であるとしております。
 また、現行の事業税が創設されました昭和二十九年の国会質疑におけます自治庁次長答弁、数次にわたります政府税制調査会答申、さらに内閣法制局見解などでも、事業税の本来の性格は応益課税であるとしております。

○中西委員 この基本的なことがなかなか理解されていないわけであります。本年三月の東京地裁判決もそうでありました。東京地裁判決で条例が違法とされた理由を改めて伺います。

○安間主税局長 地方税法第七十二条の十九は、「事業の情況」に応じて外形標準課税を行うことができるとしております。地裁判決は、事業税は応能課税との誤った前提に立って、この事業の収益構造あるいは法律上の特別の制度の存在など極めて限定的に解釈することによりまして、課税自主権に基づく外形標準課税導入の道を狭め、銀行業等については「事業の情況」に当たらず、都の条例は違法としたものでございます。

○中西委員 法人事業税が応益的な性格を有する税であることは、これは常識ですよ。定説でもあります。一審判決が誤っていることは、これは明らかなわけでありますが、この判決の不当な点は、地方税法の解釈を誤ったことだけではなくて、二十一世紀の当たり前の流れであります地方分権の柱である課税自主権の確立を完全に無視していることであり、さらに、誤った説明や不十分な検討などが都議会の判断を誤らせたなどと、まさに我々都議会を愚弄している点に対しては、この公式な場において、大変な憤りすら覚えることを、私も発言したいと思います。
 当時、私も財政委員会におりましたが、財政委員会とか予算特別委員会、本会議でも審議を重ね、また、水面下でもかなり活発な議論を行い、それぞれの議員は相当研究をしました。さらに、全銀協会長を初め三名の参考人の意見を聴取した上で、圧倒的多数で可決したのが、銀行業等に対する外形標準課税であります。しかし、第一審判決では、都議会が専門的な知識に欠け、審議能力に欠けているかのような認識を示しております。到底容認するわけにいきません。都議会軽視、いや、これは無視といえる判断であると私は思います。一審判決は、都民の代表である都議会を侮辱するものであり、また、議会制民主主義への重大な挑戦であると私は思います。この場をかりて、断固遺憾の意を表明しておきたいと思います。
 我が党は、知事の地方主権の存亡をかけた闘いを、断固、都のため国のためにも支持し、そういう意味で、私どもは不退転の決意で知事を支援するものであることは、改めて申し上げるまでもないわけであります。虚心坦懐、冷静に地方税法をひもとき、立法の趣旨に思いをいたせば、この外形標準課税は適法、妥当な措置であることは明らかであります。
 このことは、我が党の奥野代議士を初め地方税法の所管官庁であった自治省の歴代の税務局長経験者が、異口同音に都の外形標準課税は適法であるとしていることからも、これは完全に明らかであります。これを違法としているのは、地方税法の専門外の他の省庁の官僚であるとか、また、自分の言動にはほとんど政治的なというか社会的な責任を負わない無責任な学者であるとか、特にマスコミとか、そういう方がいっているわけであります。
 高裁では、地裁と恐らく異なった冷静な判断をいただけるものと、私は良識を期待しております。聞くところによると、来年の一月三十日に判決がいい渡されるということでありますが、この判決は、多くの都民、都議会初め多くの都民が、そして全国、全日本の自治体関係者がかたずをのんで見守っているわけですよ、この地方分権、地方主権の確立ということについてですね。ですから、ぜひとも頑張っていただきたいと思います。
 最後に、外形標準課税の意義と裁判の見通しについて改めて、その中に強い決意を込めていただいて、また、この地方主権と課税自主権の確立ということに対しての思いも込めていただいて、できれば自分の言葉で、文章を読むのではなくて、最後にその決意。課税自主権というものをどう考えているのか。これは、かつての大塚局長さんが頑張られたんですから、その意思を継いで、ぜひともすばらしい答弁を自分の言葉で。現在もいらっしゃいますけれども……。(笑声)ぜひとも自分の言葉で、熱意というものを我々都議会に示してください、理事者側として。最後にご答弁をお願いします。

○安間主税局長 大変力強いご支援をいただきまして、ありがとうございます。
 銀行業等に対する外形標準課税は、行政サービスを享受してバブル期以上の業務粗利益を上げながら応分の税負担をしていない銀行業等に対し、負担の公平を図るため、理事ご指摘のように、課税自主権を行使して導入したものでございます。最終的には裁判所の判断でございますが、ご指摘のとおり、地方税法の企画立案に当たられた奥野代議士を初め、所管官庁である自治省の歴代税務局長や学識経験者から、都の条例は適法であるとの意見書をいただいております。都の主張に沿った正当な結果が得られるものと確信しております。

○桜井委員長 中西一善理事の発言は終わりました。
 松原忠義理事の発言を許します。

○松原委員 それでは、私の方からは、都市再生及びディーゼル車対策についてお伺いをしていきたいと思います。
 まず、都市再生について伺います。
 東京は、いうまでもなく、これまで我が国の首都として、政治、経済、文化等多くの分野にその活動拠点を提供するとともに、日本経済の牽引役としての重責を担ってきました。しかし、その一方で、慢性的な渋滞や、緑やオープンスペースの不足など、多くの課題に直面しています。こうした課題を打開するためには、都市の再生を図り、その魅力と国際競争力を高めていくことが必要であると考えます。
 もとより我が党は、首都東京を、これからの新しい時代にふさわしい豊かで快適な都市として、また、経済活力に満ちあふれた世界都市としてよみがえらせることが、我が国の再生に大きく貢献すると、再三再四訴えてきたところでございます。
 いうまでもなく東京は、首都として、急速に進む国際化、情報化の中で、世界的な都市間競争に対応しながらも、低迷する我が国の経済を牽引し、さらに、都民のための生活環境の改善や福祉の向上などを図るため、元気で魅力的なまちづくりをダイナミックに行っていかなければならないと思います。
 我が都議会自民党といたしましても、この都市再生に大きく期待をし、その推進を強く望んでいるところでございます。都市再生の目的は、私は、二つ大きくあると思います。一つは、重厚長大型の産業をIT化に変えて、そして経済の構造改革を進めていくこと。そして二番目は、やはり不良債権処理。これは今大変問題になっていますが、不良債権処理、どういうことかというと、土地の流動化を促進して資産のデフレ対策、都市再生はこれにもなるというふうに私は認識をしております。
 そこで石原知事は、首都圏を再生させることが日本再生への早道であるとして、平成十三年の四月に、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトを国に対し提案しました。国は、これに呼応するように都市再生特別措置法を創設し、緊急経済対策の一環として都市再生プロジェクトを進めております。今日までに四次になりますが、まさに東京から国を動かしたという意味で大きな成果であると評価をいたしております。
 そこで伺いますが、こうした一連の国の取り組みには、どのような都の考え方が反映された結果と考えているのか、お伺いいたします。

○前川知事本部長 知事が昨年提言いたしました首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクト、ここには、我が国が抱えるさまざまな危機の本質が先鋭的に首都圏にあらわれているといういわば危機意識と、首都圏への緊急投資によって首都圏の再生を図っていく、今お話がありましたが、それによって、日本全体の改革、再生につなげる、また景気浮揚にもつなげる、そういった都の考え方が込められているわけであります。
 こうした考えが国に真摯に受けとめられ、緊急経済対策の一環として、平成十三年五月に、小泉総理を本部長とする都市再生本部が設置をされた。また、同年六月には第一次の都市再生プロジェクトが本部決定されたのを初め、四次にわたるプロジェクトが決定され、さらに都市再生特別措置法の施行、同法に基づく緊急整備地域の指定という具体的な一連の政策につながったものと考えております。

○松原委員 そして効果を考えますと、これまで地方重視で行われていた国の投資を、都市部で集中的、戦略的に行い、民間の持つ資金、ノウハウなどを活用することにより、東京にさらなる国際競争力を持たせ、首都の機能を高めていくことは極めて重要であります。都市計画局が昨年度に策定した都市づくりビジョンでは、副題が都市再生への確かな道筋とされております。都市をめぐる大きな構造変化が進む中、都市づくりビジョンは、従来の政策からどのようなギアチェンジを行い、新たな時代に対応しているのか、お伺いいたします。

○勝田都市計画局長 都市再生は、二十一世紀の我が国の活力の源泉であります都市につきまして、その魅力と国際競争力を高めることを目的としております。都市づくりビジョンは、このような目的を実現するため、センター・コアにおける国際的ビジネスセンター機能の強化、質の高い都市空間の形成、都心居住の推進などをも目指すものでございます。こうしたあるべき姿の市街地を公共と民間の連携のもとでつくり上げていく、政策誘導型の都市づくりへの転換が必要と考えております。

○松原委員 今お答えがありましたとおり、私は、これからの都市づくりというのは、公共と民間の連携、これが非常に大事なものだというふうに認識をしております。現在、国が構造改革の一環として進めようとしている都市再生と、都市づくりビジョンや昨年二月発表のベイエリア21との考え方の整合は、保たれているとは思いますが、特にセンター・コアや臨海部の開発などとの関係はどうなっているのか。さらに、まちづくりを進める上から都市再生をどのように活用していくのか、お伺いいたします。

○勝田都市計画局長 国と都が進める都市再生におきましては、センター・コアや臨海地域に重点を置き、例えば国際的な中枢業務機能の確保や水辺環境を生かしたアミューズメント、文化、商業などの機能を導入した都市に再生することを目指しており、都市づくりビジョンやベイエリア21の考え方と整合するものでございます。
 都市づくりの推進に当たっては、都市再生特別措置法に位置づけられた金融支援措置、都市計画特例などの新たな制度を積極的に活用いたしまして、民間開発の適切な誘導を図ってまいります。

○松原委員 次に、ことしの七月ですが、国は東京都の申し入れに基づいて、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じて緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として、都内の七地域を都市再生緊急整備地域に指定いたしました。この指定された緊急整備地域で東京都が実施している拠点開発のうち、汐留地区はまちづくりが進み、高層建築物が大分建ち上がり、去る十一月一日には、まち開きが行われました。そして、四年後の平成十八年度の工事完成を目指して、鋭意事業が進められているということでございます。
 このように汐留地区などのまちづくりを進めるためには、民間に存在する資金やノウハウなど民間の力を引き出し、それを都市に振り向け、新たな需要を生み出しつつ、経済再生の実現を図ることが大切であります。
 そこで、汐留地区は、これまでに、民間の力を活用するためどのような工夫を図ってきたのか、伺います。
 さらに、今度は、でき上がったまちの管理も大切なことと考えますが、建設局ではどのような取り組みを行っているか、伺いたいと思います。

○小峰建設局長 汐留地区の開発に当たりましては、都心にふさわしい土地の高度有効利用を図るとともに、建物を連絡する歩行者デッキや地下広場など公的空間の整備を行うなど、民間の力を活用してまいりました。また、今後は、民間の非営利法人が地下歩行者道などを管理する方式を新たに導入し、民間と公の一体となった、まちの管理を実現してまいります。
 このように、まちづくりの計画から管理まで民間との連携を図ることにより、民間のノウハウを生かした、にぎわいと活力のあるまちを形成してまいります。

○松原委員 汐留地区に関連しまして、汐留地区に隣接して行われている東京都施行の環状第二号線市街地再開発事業についてお伺いいたします。
 新橋から虎ノ門までの環状二号線は、通称マッカーサー道路といわれており、都市計画決定以来実に五十六年を経て、先日、再開発の事業計画決定を行ったということであります。
 そこで、今後本格化するこの事業において、民間の活力やノウハウをどのように取り入れようとしているのか、お伺いいたします。

○小峰建設局長 環状第二号線は、都心部の交通渋滞の緩和を図るとともに、沿道の開発を誘発する、都市再生の基軸となる路線であります。早期に整備していく必要がございます。そのため、汐留の代替地の活用や民間との連携などにより、再開発事業の採算性の向上やスピードアップを図ってまいります。
 民間との連携につきましては、新たに事業協力者制度を導入し、再開発ビルの計画や権利者の生活再建など、民間の持つノウハウを事業の推進に活用してまいります。既に事業協力者との協議会を設立し、具体的な検討を行っているところでございます。
 また、都にかわりまして民間事業者が再開発ビルを建設する特定建築者制度を積極的に活用するなど、民間の知識と資金を生かし、事業を推進してまいります。

○松原委員 今お答えがあったように、新橋-虎ノ門間の環状第二号線再開発事業では、事業協力者を導入するなど、民間との連携をとったまちづくりを進めているということでございます。環状第二号線は、臨海部と都心部との連携を図る上で重要な路線であり、都市再生の実現のためにも、早期整備を図っていただきたいと思います。
 次に、この環状第二号線、新橋-虎ノ門地区の延伸部に当たる臨海部でも、さまざまな開発が進められております。特に豊洲地区の区画整理事業は、地区内に都民の台所である築地市場の移転計画が示されるなど、重要な整備と考えます。
 そこで、都市を再生する見地から、その意義についてどのように考えているのか、お伺いいたします。

○小峰建設局長 豊洲地区は、都市再生緊急整備地域の一つである東京臨海地域の中に位置づけられております。当地区の区画整理事業は、臨海部の未利用地を、業務、商業、居住、市場などの各機能がバランスよく配置された複合市街地として整備していくものでございます。
 また、本事業は、環状第二号線や晴海通りの延伸部などの広域幹線道路を整備し、都心と臨海部との連携を強化するものであります。都市再生を推進する上で極めて重要であると認識しております。

○松原委員 また、都内では依然として慢性的な交通渋滞が発生しております。円滑な社会経済活動を阻害し、都民に多大な経済損失を与えております。このため、東京の再生を進める上では、区画整理事業などによる拠点開発に加えて、都市の骨格を形成する幹線道路の整備が重要であると考えております。
 そこで、都市再生緊急整備地域に指定された新宿駅周辺地域において現在事業を進めている放射第六号線の整備の意義と今後の見通しについて、お伺いいたします。

○小峰建設局長 放射第六号線は、都市の骨格を形成し、都市活動や都民生活を支える重要な幹線道路でございます。特に都市再生緊急整備地域である新宿駅周辺においては、靖国通り、青梅街道のバイパスとして交通渋滞の解消を図るとともに、業務、商業、文化等の集積した魅力ある拠点の形成に寄与するものでございます。現在、小滝橋通りから淀橋付近までの一キロについて、街路事業と市街地再開発事業により整備を進めております。今後も、平成十七年度末の完成を目指し、引き続き事業の推進に努めてまいります。

○松原委員 十七年度末の完成ということですが、しっかりと取り組みをしていってほしいと思います。
 ところで、都市再生を図っていく上で民間の活力を積極的に導入していくことは重要な要素ですが、今、住宅局で進めている南青山一丁目団地建替プロジェクトは、民間活力を活用し、都営住宅団地の建てかえに際し、都営住宅と民間施設等を一体的に整備するという、全国で初めての事業手法がとられました。
 この事業は、昨年、国の都市再生プロジェクトにも選定されており、先ごろ事業者等と基本協定を締結し、事業がスタートしたとのことであります。民間事業者の活用により、すぐれた事業内容となったと聞いておりますが、この事業を実施した現場体験に基づいて、今後こうした取り組みが多数実施され、都市再生につながることを期待しております。
 そこで、民間事業者の活用という面から二点、本事業を推進する上での課題は何だったのか、また、課題を解決するための具体的な取り組みはどうだったのかについてお伺いいたします。

○橋本住宅局長 ただいまお話がございました南青山一丁目団地建替プロジェクトは、民間事業者を活用いたしまして、都営住宅と民間施設等を一体的に整備するものであり、事業を推進する上で特に留意いたしましたのは、スピード、採算性、事業リスクの三点でございます。
 これらの課題に対応する取り組みといたしましては、まず、迅速に事業を推進できるよう、事業区域や事業手法等の枠組みを設定したこと。また、総合設計制度によります容積率を最大限に活用し、都心部の超一等地にふさわしい高度利用を図ったこと。さらに、事業の各段階におけるリスクを明示いたしまして、都と民間とのリスク分担を明らかにしたことなどでございます。
 こうした取り組みによりまして、民間事業者の創意工夫が十分に発揮され、都市再生のリーディングプロジェクトにふさわしい事業内容になったと考えております。今後とも、本プロジェクトの現場体験を生かしまして、新たな事業に積極的に取り組んでまいります。

○松原委員 ちょっと視点を変えさせていただきますが、都市再生を進めていく中で大きな柱の一つが、羽田空港の再拡張、国際化であります。国はこの六月、羽田空港を再拡張し、二〇〇〇年代後半、すなわち二〇一〇年までに国際定期便の就航を図ることを閣議決定し、八月末には、国土交通省が、来年度の再拡張事業着手に向けた概算要求を行いました。
 他方、再拡張の方法については、国の工法評価選定会議が三候補の絞り込みをせず、入札により具体的な工法を決定するという報道がなされましたが、この事実関係についてお伺いいたします。

○勝田都市計画局長 ご質問の報道でございますが、先月二十三日に開催された第六回工法評価選定会議についてなされたものでございまして、この会議では報告書案が審議され、了承されております。
 報告書では、桟橋方式など三工法とも致命的な問題点はなく、また、工費、工期についても大きな差は認められないので、適切な設計を行うことにより、いずれの工法も建設が可能であると結論づけられております。また、工費、工期の確実性を担保するため、設計と施工を一体的に発注する契約方式が提案されており、国は今後、同会議の結果を踏まえ、入札方式により具体的な工法を選定する予定と聞いております。

○松原委員 また、羽田空港を再拡張して生じる跡地は、都市再生を象徴的に形成していく貴重な種地の一つであります。この跡地には空港を支える機能を集約させる必要があり、また、外国からのお客さんにとっては、羽田が我が国の玄関口になります。また、地元にとっては、地域の活性化や防災機能の向上のためになくてはならない土地であります。この貴重な土地を国がそのまま民間に切り売りしてしまうようなことになれば、極めて大きな損失であります。
 そこで、都は、土地を取得するなどイニシアチブを持って土地利用を進めるべきであると考えますが、見解をお尋ねいたします。

○勝田都市計画局長 知事はかねてより、空港は、国家の玄関口として、その国の文明を表象する施設であると発言しております。羽田空港の再拡張、国際化へ向けた取り組みが急速に進む中、空港に隣接いたします、今お話がありましたこのような移転跡地は、東京、ひいては首都圏の発展にとってますます重要な空間となっていると認識しております。
 都としては、この移転跡地の利用につきまして、国や地元区などとも協力しながら、主体的に取り組んでまいります。

○松原委員 羽田空港は、本当に私が思いますのに、ベイエリアから来て最後の、日本を再生させる一番大きな種地だと思います。これは、やっぱり国が乱開発したり何かしたらたまったものじゃない。我々としては、長い長い歴史があって、空港問題に取り組んできました。ぜひ東京都が主体的に中心となって、地元区と話をしながら進めていただきたい、こう思います。
 国をリードするさまざまな取り組みがありますが、我が国が直面するさまざまな危機を克服し日本の再生を図るためには、東京の役割は一層重要になってきています。世界的な都市間競争に勝ち抜き、首都圏を再生し、ひいては日本の再生を図るためには、東京の都市機能を一層強化し、世界じゅうから人を引きつける魅力のある都市づくりを進めていかなければなりません。
 東京が引き続き世界をリードする都市となるためには、都市再生を各局横断的に、かつ総合的に推進していく必要があると考えますが、知事本部長の決意をお伺いいたしたいと思います。

○前川知事本部長 今お話がございましたが、東京の都市機能を強化し、その再生を図っていく、そのためには、一方では、優良な民間活力による具体的プロジェクトの誘導等を通じまして、首都東京に集積する都市機能の高度化を図る、また他方では、安心、安全で質の高い生活環境を実現する、この両面が必要でございます。そのためには、都市基盤整備を初めとして、産業、環境、福祉、文化などさまざまな分野を横断的に統合し、直面する行政課題に取り組むとともに、首都圏という広域的な観点から課題をとらえて解決していくことが求められております。
 私どもが現在策定している事業施策は、そのための中長期的な視点に立った取り組みの方向を示すものであり、今後、都全体としてこれまで以上に戦略的に施策を推進することにより、首都東京の再生を目指して努力をしてまいる考えでございます。

○松原委員 続いて、今話題になっておりますディーゼル車対策について伺います。
 環境確保条例に基づくディーゼル車規制の開始が、来年十月からですから、十一カ月後に迫ってきました。ここに来て毎日のように、事業者の方々のさまざまな声が私のところにも寄せられております。中でも、粒子状物質減少装置の装着や資金の手当てについては大変切実なものがあります。
 我が党は先日、DPFメーカー、トラック事業者、バス事業者を招き、また、担当局である環境局にも来ていただいて、DPF装置問題についての勉強会を開催いたしました。この会の中では、装置のふぐあい、装着が難しい車両、供給体制、取りつけ体制への不安、資金面での支援策など多くの意見が出されました。これに対して、DPFメーカーから個々に説明がありましたが、大変白熱した議論の中で、粒子状物質減少装置の供給体制や資金面での支援策などについての課題も浮き彫りになったところであります。
 そこで、粒子状物質減少装置と支援策を中心に何問か質問いたしたいと思います。
 まず初めに、今年度の酸化触媒とDPFを合わせた粒子状物質減少装置の普及実績はどのくらいになっているのか、お伺いいたします。

○小池環境局長 今年度の粒子状物質減少装置の普及実績は、民間と都有車を合わせまして十月末現在で酸化触媒が三千百五台、DPFが千十二台、合計四千百十七台となっております。

○松原委員 今の答弁ですと、粒子状物質減少装置の普及実績が四千百十七台ということですが、今年度の予算を見ますと、装置の装着補助台数は九千一台となっております。今年度も七カ月が過ぎた現在、この数ではやや少ないと思いますが、普及が立ちおくれている理由は何なのか、また、予算の目標を達成する見込みがあるのか、お伺いいたします。

○小池環境局長 これまで普及がおくれぎみだった要因といたしましては、現在使っている車がいつまで使えるかを定める自動車NOx・PM法の施行規則の制定が大幅におくれたこと、また、粒子状物質減少装置の多くが必要といたします低硫黄軽油の供給がこれまで限定されていたことなどが挙げられます。
 しかしながら、本年八月からは、法による使用可能最終日が車検証に印字され、事業者に注意が喚起されるようになり、また九月からは、都内の百五十二カ所のガソリンスタンドにおきまして低硫黄軽油の供給が開始され、装置の使用条件の整備が進んでまいりました。
 こうしたことから、秋以降、補助申請が飛躍的に増加しており、八月は三百七十八件だったものが九月には六百九件、さらに十月では千八百三件となっております。
 今後、都といたしましては、規制内容を周知徹底し、事業者の方々に規制への早期対応を強力に働きかけてまいります。こうした取り組みによりまして、予算の目標は達成できると考えております。

○松原委員 秋以降、申請が急増しているということなので、ぜひこの勢いがさらに加速されるよう、事業者の方への働きかけを強めていただきたいと思います。
 さて、都は、来年十月の時点で規制対象となるディーゼル車を二十万二千台と推計しています。この台数は、条例制定時の推計値よりぐっとふえた値になっていますが、それはなぜなのか。また、二十万二千台のうち、買いかえではなく粒子状物質減少装置の装着で対応すると思われる台数はどのぐらいになるのか、伺います。

○小池環境局長 規制の対象台数が条例制定時の推計値九万台より大幅に増加いたしましたのは、国が自動車NOx・PM法の適用開始時期を最大で二年半おくらせたことが原因でありまして、結果的に二十万二千台に膨らみました。
 条例規制に対応するためには、最新規制に適合するディーゼル車などへの買いかえか、あるいはまた粒子状物質減少装置の装着が必要となります。どちらを選択するかは事業者の判断によりますが、条例規制の開始以降、自動車NOx・PM法により使用できる期間などを考慮いたしますと、粒子状物質減少装置を装着する可能性のある車は最大で約六万六千台になると想定しております。

○松原委員 今の答弁によりますと、酸化触媒やDPFで対応する可能性のある台数が最大約六万六千台だということですが、来年十月の規制開始までにすべてに対応できるのか、過日の勉強会のやりとりからも、私は大変心配しているところでございます。
 そこで伺いますが、酸化触媒、DPFの供給体制の現状、取りつけ体制の現状はどうなっているのか、また、今後約六万六千台の車に対応できるのか、答弁をお願いいたします。

○小池環境局長 平成六年規制車以降の車につきましては、酸化触媒の装着で規制に対応でき、その生産体制は現在、月産二万台に達しております。また、取りつけにつきましても、自動車メーカー系列の整備工場が行っておりまして、生産、装着体制とも確立されてございます。
 一方、国が自動車NOx・PM法の規制適用時期を延期したため、本来ならば条例規制と同時に買いかえ対象となるはずでありました元年規制車も、粒子状物質減少率の高いDPFの装着により継続使用が可能となり、DPFの需要が急増する、こういう結果になりました。このような経緯によりまして、DPFの生産体制は立ち上がりが遅くなりましたけれども、現在は月産二千四百台程度まで拡大してきております。装置メーカーは、今後さらに需要に応じて増産体制を整えるとともに、取りつけにつきましても、指定整備工場を拡大し対応するとしております。都といたしましては、今後、装置需要の増加に確実に対応できるよう、装置メーカーに対し、生産及び取りつけ体制の確立を強く働きかけてまいります。

○松原委員 酸化触媒については、供給体制などほぼ整っているという説明なので一安心しましたけれども、一方、DPFの方は、国が自動車NOx・PM法の適用開始を、今の答弁のようにおくらせたことにより、新たに対応が必要となったということで、体制の整備も酸化触媒に比べおくれているようです。規制開始がすぐそこまで来ていることを考えますと、早急に体制を整備し、事業者の不安を払拭するよう強く要望いたします。
 次に、規制実施に向けた支援策について伺います。
 規制に対応するため、事業者としては、粒子状物質減少装置を装着するか、または最新規制適合車への買いかえを行わなければなりません。大手の事業者にとりましては資金の面でできるかもしれませんが、規制対応ができない、景気が大変長期低迷している中で必死に頑張っている零細事業者にとっては、規制に対応したくても資金がない、このままでは廃業するしかないという声があるほどで、大変厳しいものがあります。
 粒子状物質減少装置のうち、酸化触媒は価格も安いので対応が可能だと思いますが、問題はDPFであります。先日の勉強会の中でも出しましたが、DPF価格の見積もりをとると、超大型車では百四十万円を超え、都の四十万円という補助限度額では、二分の一以上の自己負担を強いられるとのことでした。当初の補助の考え方である二分の一程度の事業者負担とするためには、現在の四十万円という補助限度額を引き上げるべきだと考えますが、見解を伺います。

○小池環境局長 都は、平成十三年度から、DPFの標準的な価格をもとにいたしまして四十万円の限度額を設定し、補助を行ってまいっております。平成十四年度からは、都の制度に加え、国も大型トラックにつきましては、その一部に、装置装着に要する費用の四分の一の補助を開始してございます。また、既に補助を受けて先行装着した事業者との公平性を保つことも必要でありまして、これらを総合的に勘案して、平成十五年度の予算要求におきましては、補助金の限度額の引き上げを想定しておりません。
 なお、事業者の装置装着が促進されるよう、都は現在、国に対して、補助予算額の増額や補助要件の緩和、補助率の引き上げについて強く要求しているところでございます。

○松原委員 今のところ限度額を見直す考えはないということですが、この点についてはさらに検討されるよう要望いたします。
 先ほどのご答弁にもありましたが、国が自動車NOx・PM法の適用を延期したため、都の条例に対応するため事業者が何とかDPFを装着したとしても、古い車の場合は、NOx・PM法の規制で二、三年後には車検が通らなくなり、買いかえなければならなくなるということであります。そうであるならば、いっそDPF装置より最新規制適合車など低公害な新車への買いかえを促進する方がよいのではないかと考えます。
 しかし、新車へ買いかえといっても、零細事業者の方の中には、運営資金で目いっぱい借りており、信用保証協会から保証が得られないため融資が受けられない人が少なくないというのが実情であります。そこで、零細事業者の方々への支援策として、現行の融資制度の返済期間五年をもっと長くすべきであります。そしてさらに、別枠で特別に融資する制度を設けるべきと考えますが、見解を伺います。

○小池環境局長 現行の融資あっせん制度の返済期間についてでございますけれども、この返済期間を延長いたしますと、毎月の返済額は減少いたしますが、一方で返済総額や信用保証料が増加するという形になります。このように、期間の延長にはメリット、デメリットがございますが、中小企業者の方から返済期間延長の要望があることは十分承知しております。
 このため、来年度は、現行の融資制度に加え、低利で、かつ返済期間が十年の国民生活金融公庫等の活用に対しましても助成することといたしまして、中小企業者の資金手当ての選択肢をふやしていくということを考えております。
 さらに、小規模零細事業者などに対しましては、特別な措置の必要性についても十分認識しておりまして、その内容については、現在、関係局と調整しながら、鋭意検討中でございます。

○松原委員 新たな融資措置についても検討中ということなので、できるだけ早く内容を固めていただきたいと思います。
 さて、零細事業者への買いかえ支援策としては、この融資あっせん制度のほか、最新規制適合車などの購入に対する補助制度を設け、補助金の予算化を図るべきだと思いますが、見解を伺います。

○小池環境局長 零細事業者に対する買いかえ支援策といたしましては、購入資金の全額を手当てすることが重要であり、その一部を補助しても、残りの資金手当てが必要となります。このため、都は、買いかえにつきましては、購入資金の融資あっせん制度を設けておりまして、利子補給や信用保証料の補助を行い、事業者の負担軽減に努めているところでございます。
 都といたしましては、融資あっせん制度の活用を事業者へ働きかけますとともに、利用しやすい制度となるよう、さまざまな検討を行ってまいります。

○松原委員 ところで、事業者が買いかえやPM減少装置の装着を図るのは車検時が多いと聞いております。少しでも事業者の負担を和らげるためにも、またDPFの供給や取りつけ時期を分散させるためにも、条例の適用時期を、来年十月一日ではなく、十月一日以降に迎える車検時期にすべきという意見もありますが、見解を伺います。

○小池環境局長 規制の適用時期を平成十五年十月一日以降の車検時期といたしますと、最大で一年、規制が猶予される車が出てまいります。東京の大気汚染は深刻でありまして、都民の生命と健康を守るためには一刻の猶予もならない状況にあるため、事業者への周知を徹底し、予定どおり来年十月からディーゼル車規制を実施してまいります。

○松原委員 あくまでも十月一日ということなんですが、理想と現実の関係の中で、関係者は大変苦慮しております。ぜひとも万全の策を講じてもらいたいことを要望しておきます。
 そして、最後に、去る十月二十九日には、東京大気汚染公害訴訟の判決がありました。判決は、国の排出ガス規制責任を追及することなく、道路の設置管理者責任のみを取り上げており、問題の本質を見誤った遺憾な内容であると断じざるを得ません。また、より効率的な排ガス低減技術を持ちながら、国内向けには、規制の甘さに乗じたエンジンの車を出荷し続けた、売ってきた、販売してきた自動車メーカーにも、東京の大気汚染を改善するため、もっと大きな責任が求められるべきだと考えます。
 こうした問題を抱えながらも、都が控訴しない方針であることは、大気汚染対策が一刻の猶予もならない段階に至っていることを考え、問題を早期に解決させるための大局的判断に立った措置であると評価しております。
 我が都議会自民党は、知事の判断を基本的に尊重しながら、今後何らかの対応が必要となる場合には迅速な処置を講じる所存でございます。都は、この判決を受けて、今後ディーゼル車規制にどう取り組むのか、その決意をお伺いいたします。

○小池環境局長 東京大気汚染公害訴訟の判決は、国の排出ガス規制の責任がないといたしましたが、大気汚染の根本的な原因は、ただいまご指摘もありましたように、国の自動車排出ガス規制の怠慢にあると考えております。
 都は国に対し、自動車NOx・PM法の規制開始時期を当初予定どおり実施することなど、自動車排出ガス対策の強化を強く要求しております。また、都はさまざまな方法で、平成十五年十月からのディーゼル車規制の周知徹底に努めますとともに、零細事業者への支援措置の充実を図り、事業者の理解と協力を得て、規制への対応が円滑に進むよう、全力で取り組んでまいりたいと思います。

○松原委員 ディーゼル車対策について質問してまいりましたが、来年十月のディーゼル車規制に向けて、DPFの供給や支援策など解決すべき課題があり、厳しい状況であると思いますが、早急に課題を克服し、万全な対策をとられるよう、全庁を挙げて取り組むことを要望して、質問を終わります。

○桜井委員長 松原忠義理事の発言は終わりました。
 大木田守副委員長の発言を許します。

○大木田委員 私も質問をいたします。
 まず、平成十三年度、二〇〇一年は、二十一世紀に入って最初の年でありました。二十世紀の負の遺産、そしてまた二十一世紀の新しい創造的な展開、こういう中で、東京にはその現象が先鋭的にあらわれておりまして、十三年度決算を分析いたしますと、随所にそういうことが出ているわけであります。そうした視点に立ちまして、これから、質疑通告に従いまして質問をしてまいりたいと思います。
 初めに、秋葉原のIT拠点と新東京タワーについてでありますけれども、二〇〇三年にアナログからデジタル化の準備試験放送が開始されます。これが東京タワーで行われますけれども、東京タワーの限界が、今、三百三十三メートルの限界があるわけですね。したがって、それについて新東京タワー構想というのがずっと浮上しております。現在、在京六社、NHK、日本テレビ放送網、東京放送、フジテレビジョン、全国朝日放送、テレビ東京、この六社で新超高層タワー構想の検討をしておりますけれども、簡単にこの経過をまず伺います。

○有手産業労働局長 副委員長ご質問の新東京タワーについての経緯でございますが、平成十三年の五月三十一日付で、日本放送協会会長と社団法人日本民間放送連盟会長の連名で、東京都あてに、都心における超高層タワーの必要性に関する要望書が提出されてございます。その内容は、放送デジタル化に合わせて都心に六百メートルクラスの新しいタワーが必要であるとして、その建設を求めたものでございます。

○大木田委員 それは十三年度にそういう要望が出たんで、その前に、新宿タワー構想とか、この在京六社がデジタル準備試験放送開始に当たっていろいろと要望をしてきたわけです。その結果、いわゆる横田空域と羽田空域の関係で、例えば新宿タワー等は難しいというような形で、秋葉原構想が、神田市場の跡地ですけれども、そこに浮上して、今、有手局長がいった在京六社からの要望が知事あてに出たという経過があるわけですね。
 それじゃ、地元の千代田区の商店街等は千代田区長に、十三年度どういう要望を出しましたでしょうか。

○有手産業労働局長 平成十三年六月付で、秋葉原再開発協議会や秋葉原電気街振興会など地元関係七団体が連名で、千代田区長あてに、秋葉原タワー(仮称)誘致の要望書が出されたと伺っております。その内容は、ITセンターにタワーを併設するプランであれば、新しい秋葉原を象徴するシンボルとなり、大きな経済効果が期待されることなどから、強くその実現を求めたものであると伺っております。

○大木田委員 平成十三年度にそういう二つの要望が出ておりまして、東京都として、いわゆる秋葉原のIT拠点のところに併設して新東京タワーをつくろうということで、真剣に検討されたわけですけれども、東海大教授の唐津先生の発言等があって、それを取りやめて、現在の秋葉原IT拠点になったわけですけれども、唐津先生の発言の要旨をいってください。

○有手産業労働局長 平成十三年五月十八日付で、秋葉原タワーの建設について見解が示されておりまして、一つは、タワーの直下におきましては相当な電波障害、バズーンというそうで、虫の羽音のようなブーンという音だそうですが、こういった音が生じまして、ITセンターの電子機器に障害が出る懸念があること、これが一点でございます。第二点としまして、当時の秋葉原地区の開発構想にタワー構想が含まれておりませんで、これを新しく取り込むとなると、秋葉原の整備が大幅にずれ込むことなどから、都といたしましては、建設に協力することは困難であると決定した次第でございます。

○大木田委員 そういう経過がありまして、秋葉原の新東京タワー構想というのがなくなったということでありまして、最近では、じゃあ秋葉原から上野へというような話もあるようであります。空域的には上野も可能であるということでありますけれども、さまざまな諸条件がありまして、これについてはこれ以上触れませんけれども……。
 要するに、二〇一一年からデジタルの本格放送を開始するときに、現在の東京タワーでどこまでできるか、やっぱり新東京タワーの六百メートルクラスが必要ではないかという、これが強くあるわけであります。それとともに、その背景には、ビルの高層化がどんどん進んでおりまして、いわゆる電波障害、複合障害が今起きております。特に六本木ヒルズの問題でいろいろと話題になりましたけれども、六本木ヒルズとしては真剣にこの問題に取り組んで、クリアできると私も伺っておりますが、六本木ヒルズの電波障害はどうなっていますでしょう。

○小池環境局長 六本木六丁目地区再開発事業におきましては、平成十一年二月に着工いたしたものでございますが、建設された高層建築物、事務所棟高さ約二百三十八メートルにより、予測範囲を超える地域で、遮へいによる電波障害が発生いたしました。環境アセスメントでは、影響の及ぶ範囲を計画地から約九キロメートルと想定しておりましたが、実際には、約三十五キロメートル離れた昭島市の住民からも苦情の申し出がありました。このため事業者は、本年二月から、障害の発生するすべての地域で共聴アンテナ方式、CATV方式、個別アンテナ方式による対策工事を進め、十月末現在、対策工事対象件数約一万三千五百件のうち約一万二千九百件の工事が完了しており、年内の完了を目指して現在推進中でございます。

○大木田委員 六本木ヒルズの場合は、三百名の人員を擁して、相当なお金を投入して、この電波障害に対応したから、これは解決できるんですけれども、ビルの高層化がこれから進んでまいりますと、特にテレビ局でも後発の、いわゆる東京タワーの二百五十メートル以下に設置した、日本テレビであるとかテレビ朝日であるとか東京放送であるとか、そういうところの障害がふえてくるというようなこともあります。しかも周辺のマンションの高層化も進んでいるということで、ビルの複合的な高層化の中で複合的な電波障害が発生するということで、これをクリアするためには、新東京タワーいわゆる六百メートル構想を実現する。
 それに対して、光ファイバーでこれを代用できるのではないかというような研究も進んでおります。ただ、光ファイバーでどこまでそれが可能かどうか。全線が引けなくても、東京電力の電柱の中において周辺まで持ってくれば飛ばすこともできるというようなこともいわれております。新東京タワー構想というのは今後の大きな課題になりますけれども、現在、東京都内で設置の可能なところは、空域から見ても、上野も含めてですが、足立区と北区と板橋区のこのエリアであれば可能になるというような現象です。いわゆる光ファイバーの関係と新東京タワー、技術的にこれから進歩するんでしょうけれども、現在の状況について参考までに伺っておきます。--どなたの答弁ですか。だれもいないね。まだそこまで検討がいっているのかどうかわかりませんので、時間だけが経過するとあれですから……。
 そういうような状況なんですよね。したがって、これから新東京タワーのこの動きがいろいろと話題になって--服部先生も上野で頑張っているようでございますので、余り上野のことは触れないようにしておりますけれども、さっきいった、そういう構想の中であれば可能であるということで、まずこの問題について触れました。
 次に、都の第三セクターの問題について触れます。十三年度決算における、いわゆる株式会社、第三セクターの赤字、それから長期借入金が幾らになっているか、まず伺います。

○赤星総務局長 平成十三年度の決算でございますが、二十一社中十社が当期利益で赤字を計上しております。また、金融機関からの長期借入金につきましては、十四社で合計約八千億円の残額がございます。

○大木田委員 まず、八千億円なんですよね。それで、私は平成六年のときに、いわゆる臨海関係三社でどのくらいあるかということも質問しながら、そのときに、東京都としては各局長が--第三セクターは担保がないわけです。したがって、協力依頼書を局長が出して、東京都は局長依頼書、銀行側はそれを念書といっておりますが、それが百三十一通発行された。これは、予算委員会のやりとりの中で、当時の局長から答弁をしたわけですけれども、いわゆるこの念書、政府の今回のデフレ対策のときもそうなんですけれども、いわゆる不良債権処理という段階で、第三セクターの念書というのは一体どう扱うべきかということが、今、大きな焦点になってきているわけです。これを銀行が引き当てをしないとどうなるのかという、この問題。とりあえず、五百五十億の第三セクターの不良債権を処理しようというような動きもあります。
 こういう中で、例えば臨海についていえば、十三年度で幾らの借り入れがあるか、参考までに伺います。

○高橋港湾局長 ビル事業を行っております、株式会社東京テレポートセンターを初めとするいわゆる臨海三セク三社は、合計額で三千六百五十一億円となっております。また、地域冷暖房事業を行っている東京臨海熱供給株式会社は百九十二億円の残額となっており、臨海地域の交通を担っております株式会社ゆりかもめは三百五十七億円の借入金残額があります。これら五社の借入金残額を合計いたしますと、四千二百億円となっております。

○大木田委員 それで、四千二百億円の銀行からの借り入れがあるわけですけれども、いわゆる建物ができれば、それは担保にできますけれども、今、いわゆる念書の問題と担保の設定条件、土地は担保にできないんでしょうけれども、その状況はどうなっていますでしょうか。

○高橋港湾局長 念書の問題につきましては、私ども毎年、筆頭株主として協力依頼を行っております。
 それから、担保の問題でございますが、今、先生からお話もございましたように、基本的に、土地の賃借権について担保権を設定することは、東京都からの土地の賃貸に当たって禁止をしておるものでございます。したがいまして、建物等についての担保権の設定状況が問題になるわけですが、その会社の業務内容によって異なっておりまして、株式会社東京テレポートセンター外二社のいわゆる臨海三セクにつきましては、建物等について抵当権が設定されております。また、東京臨海熱供給株式会社につきましては、プラント等について工場財団を構成し、その上に抵当権が設定されております。また、株式会社ゆりかもめにつきましては、鉄道施設等について鉄道及び軌道財団を構成し、その上に抵当権を設定しているというような状況でございます。

○大木田委員 それでは、ファッションタウン等、産業労働局の関係は、その状況はどうなっていますでしょうか。

○有手産業労働局長 東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四の借入金残高の合計は、平成十三年度末は一千三百三十五億円でございます。
 また、担保につきましては、港湾局と同様、土地賃借権には担保はなく、建物に抵当権を設定しているところでございます。

○大木田委員 先ほどちょっと触れましたけれども、第三セクターに対しては、担保が極めて希薄なために、いわゆる八千億のうち--今、銀行がどう不良債権として査定しているかについてはわかりませんけれども、この対応というのが、今の要するにデフレ対策の中で大きな焦点になってきていると。この対応について引当金が積めるかどうかということも、銀行の存在そのものに、今これがかかわってきているわけであります。
 そういう中で、なぜ念書の問題がこれほど揺らいできたかということ。十三年度のときに大きな問題になったのが、株式会社多摩ニュータウン開発センターが破産をして、民事再生に入ったわけです。このときに、株式会社多摩ニュータウン開発センターから出ていたいわゆる念書の問題がいろいろと話題になりましたが、この存在はどうなりましたでしょうか。

○小峰建設局長 副委員長ご指摘の金融機関に対しての文書についてでございますが、都が、開発センターの筆頭株主として会社の経営に対する支援を要請したものでありますが、いずれも平成十二年度までのものでございます。その後、開発センターにつきましては、平成十三年十一月に、金融機関など債権者の同意を得て、民事再生法に基づく再生計画が認可、決定されており、現在は、この計画に基づき再建に努めているところでございます。

○大木田委員 建設局長だとちょっと答弁が難しいようでありますので--多摩ニュータウン開発センターが民事再生になって、都側からいえば、いわゆる協力依頼書、銀行からいえば念書、この存在がいろいろと検討されて、状況が変わってきているんです。その文書の内容も変わってきておりますけれども、例えばファッションタウンでは、この協力依頼書をどういう形で出すようにいたしましたか。参考までに伺います。

○有手産業労働局長 会社設立時及びビルの建設時におきましては、出資並びに融資に関し金融機関に協力を依頼するものと、こういう趣旨で出してございます。その後は、会社の経営改善について、都も関係者も協力して実施していく、こういう趣旨で、そういう内容の文書を出しております。

○大木田委員 例えば、浪越局長が産業労働局長のときに出したのが、東京ファッションタウン株式会社及び株式会社タイム二十四の経営についてということで、当初、私が一番最初に指摘した念書から内容はずいぶん変わっているんですけれども、こういう形でこれを出しているわけであります。
 それで、この関連でちょっと伺っておきますけれども、例えば東京ファッションタウンは、あれだけの借入金がありますが、社長一人、社員ゼロ。株式会社タイム二十四、社長一人、社員ゼロ。これは本来、第三セクターの性格を有しているのかどうかという問題があるわけですよね。いわゆる第一セクターから第五セクターの中において、なぜ第三セクターということをいったかということを踏まえても、この問題を社長一人のところで--これが第三セクターとしてどうなのかと私思いますけれども、どうでしょうか。先ほども第三セクターの性格について何か質疑があったようですけど、どうでしょうか。

○赤星総務局長 ただいま副委員長ご指摘の各社につきましては、経営安定化策の一環といたしまして、その事業全体を他の監理団体に全面委託し、実質的な事業統合を行うことによりまして、人件費、管理費の削減など徹底した経営合理化を図ったものでございます。その結果、常勤は代表取締役社長と常勤監査役のみという変則的な組織となっておりますが、ビル等の資産は各社が所有し、金融機関に対する負債も各社が負っておりまして、いずれも法的には独立した会社となっております。

○大木田委員 いずれにしても、こういういろんな事情があってそうなっていることであるわけですけれども、経済がここまでぎりぎりになってきまして、いわゆるこの十年間の景気対策、経済対策を、金融面、財政面、あるいは税制面からいろいろやってきましたけれども、私が見る限り、本当に小手先、小出し、先送りが日本全体の中でありますけれども、これが第三セクター等に象徴的にあらわれているわけであります。
 したがって私は、これから銀行税の問題にも入りますけれども、こうした点を踏まえて、第三セクターの問題についてはさらに力を入れて取り組んでほしいということを要望しておきますが、今まで監理団体に入っていたところで、十三年度四月一日になくなった監理団体が一つあります。突然の質問ですけれども、東京食肉市場株式会社、これを監理団体から解除しておりますが、どうしてか。それから、BSE対策についてちょっと伺っておきます。

○碇山中央卸売市場長 監理団体であります当局所管の食肉市場株式会社でございますが、食肉市場の円滑な流通を図るということと、ご案内のとおり、私ども市場におきましては、開設者という立場と、それから、業界がそこに入りまして一緒になって流通事業をやっておるという状況がございます。そのような状況の中で、監理団体から外した方がより効果的な事業運営ができるだろうということで外した経緯でございます。
 それから、後段の方のBSE対策でございますが、ご案内のとおり、食肉市場株式会社は食肉市場におきます卸売会社でございます。そのような意味で、卸売会社として、私ども開設者と一緒になりまして、BSE対策におきます危機管理という観点から事業を進めておるわけでございます。

○大木田委員 次に、金融再編と都財政に関連して伺います。だんだん時間が経過して、質疑通告が数多くありますので、簡潔にいきますので、よろしくお願いします。
 まず、金融再編の中で、公金の管理のこれまでの対応と今後の対応、あわせて簡潔に答弁願います。

○大塚出納長 都におきましては、ペイオフ解禁により、自治体の公金も金融市場の荒波にさらされるという、環境がさま変わりすることを前提に、公金を管理する上でのさまざまなリスクにどう対応するかということについて検討を重ねてまいりました。
 本年一月、安全性及び流動性を確保した上で効率的な資金管理を行っていくという、都の公金管理に当たっての基本的方針と具体的な対応策を取りまとめ、三月、学識経験者や金融分野の専門家で構成する東京都公金管理委員会を設置し、出納長室の組織においては、四月に公金管理課を新設して、体制の充実を図ったところであります。ペイオフ解禁後の金融情勢を見きわめ、その後八月には、中期的な資金見通しをもとに、具体的な資金配分基準を東京都におけるポートフォリオとしてまとめ、実際に各金融機関等を含めて資金配分を行っているところであります。
 今後でありますけれども、今申し上げましたポートフォリオ、これは、安全性を最重要視するという都の公金管理の基本原則に立った上で、金利変動などのリスクを最小限としつつ、効率的な運用を目指すものであります。債券へのシフトあるいはラダー型ポートフォリオの採用等、いろいろとその手法については考えているわけでありますけれども、特に、先ほど来出ております銀行、金融機関を含めた預金につきましては、その健全性の評価に当たり、財務体力の強弱を厳格に評価をする。そうした観点から、自己資本につきましては、公的資金、税効果会計相当分及び不良債権の三要素を勘案して、資本の質を重視した判断を加えております。
 この中で税効果会計相当分につきましては、やはり資本としての質は弱いというふうに見まして、一定程度、自己資本から控除をし、控除後の質の高い自己資本により、不良債権がどれだけカバーされているかを評価しておりまして、マーケットの見方あるいは今回の国の見直しの方向と軌を一にしており、また、先取りした対応を行っているところであります。
 今後とも、大きく変化する環境の中にありましても、その環境を超えて、都独自のスタンスで、公金を一円たりとも毀損してはならないということで職責を全うしてまいります。

○大木田委員 東京都は、銀行の株も所有をしているわけであります。これ、いろいろとやりとりしていると長くなりますので、私の方で申し上げますが、それがどうかということでちょっと伺いますけれども、株主訴訟を銀行にしようと思えばできるわけでありますけれども、例えば、バブルの絶頂期に、東京都が持っている銀行の株を、そのときに換算にいたしますと二百三十五億を超えております。現在の時点で、きょうとはいいませんけれども、八千円、九千円前後の時点で、どのくらいの株価か。いわゆる三億五千で戦後買った株ですけれども、今の時点でどのくらいかということを伺っておきます。

○大塚出納長 大木田副委員長からお話がありましたように、昭和二十三年の十月にさかのぼるわけでありまして、金融機関再建整備法、戦後ご破算の、一から発足をした富士銀行外六行、それを対象に、戦時災害復旧資金、これをもって、その株式を購入したことに始まるわけでありますけれども、十月末日時点の株価で計算をいたしますと、約三十億円ということになります。

○大木田委員 二百三十五億円の株が三十億円ですから、今、銀行の株が九分の一になっているということは、いかに銀行の経営が厳しい状況にあるか、この一つを見てもわかるわけであります。
 次に、いわゆる銀行再編の中で、銀行は五%以上の株を持ってはいけないと。いわゆる第三セクターでもそうなんですけれども、今、私が調べたところによりますと、竹芝開発、ゆりかもめ、多摩ニュータウン開発センター、東京熱供給、東京都地下鉄建設、東京都下水道サービスで、銀行株が五%。これは、銀行が合併をして再編をしたためになっておりますけれども、五年間のうちにこれを解消すればいいということになっておりますが、これ、解消できますでしょうか。

○田原財務局長 ただいまご指摘の五%ルールにつきましてでありますが、金融機関が所有しております株式をいかに処分するかという問題であります。基本的には金融機関がみずから解決していくべきだろうと考えておりますけれども、一方で都も、当該三セクの出資や経営状況に十分配慮していかなければならないと考えております。
 都としましても、グループ内の株式の分散保有を促すなど、五%ルールによる規制を受けることのないよう、該当する金融機関に対しまして適切な対応を促してまいりたいと思っております。

○大木田委員 次に、都債に関連して伺います。
 私は、十三年度の予算のときに、いわゆる多様な都債を発行しなさいということで、十年物、五年物、いわゆる三年物も出しなさいということで提案しましたけれども、三年物は、非常に自治省、総務省の方の厳しい指導でなかなかできないと。私はそのときに、いわゆる外債についても--政府保証枠で二百億、毎年、昭和五十七年から外債を発行していたわけです、ロンドンに行ってですね。それで、ずっと二十年以上発行していて、これについては、石原知事も積極的に、いわゆる国の格付、ムーディーズとかスタンダード・アンド・プアーズとか、国の国債があれしているけど、東京都のこれを証明するんだということで、知事とのやりとりの中で、知事は非常に前向きで、私は、二百億と無保証債も含めて千億ぐらい出したらどうかという提案をいたしました。ところが、十三年度結果を見ますと、あれだけ外債については意欲的に取り組むという知事が、五十七年以来初めて外債はゼロ。それからですね、私が提案したのをパクったかどうかは知りませんけれども、十四年になって、いわゆる東京再生都債という形で三%を出した。これはまあ出していいと思いますけど。したがって、そういうやりとりの中で、できないという方が先に出て、やるといった方が、十四年度外債はまだやっておりませんから、やるかどうかわかりませんけれども、どうして外債を発行しなかったのか、伺います。

○田原財務局長 外債の発行につきましては、平成十二年度までは、地下鉄建設など三事業につきまして、国の政府保証を得ながら発行してきたところであります。これらの対象事業が終息することに伴いまして、今後、外債を発行するためには、政府保証によることなく、格付機関からの格付を取得することが前提になっております。
 この格付取得につきましては、十三年度は日本国債の格付が下がり続けるなど、海外の投資家は日本の状況を非常に厳しく見ていたことから、都債につきましても有利な格付を取得することが困難な環境にありました。また、米国におきます、ご承知のとおりの同時多発テロの発生などで、米国債券市場が低迷するなど、外債発行に伴う環境が悪かったことから、十三年度は国内債を中心とした資金調達を行ったものでございます。

○大木田委員 東京は世界都市東京という形で、いわゆる千客万来の都市ということを考えて、うたっているわけでありますから、多少のリスクはあるかもしれませんけれども、国際市場の中において東京の存在を示すという意味においても、幅広い多様な都債を対応するという意味において、取り組むべきであるということを申し上げておきます。
 それから次に、宝くじについて伺いますけれども、知事は大変にカジノに力を入れておりまして、カジノといえば石原知事というようなイメージでありますけれども、例えば発表されたカジノの構想では、経済効果で二千二百四十六億円、税効果では二百二十一億円なんです。現在、宝くじは、平成十二年度で六百七十五億、十三年度は宝くじ過去最高の七百七十億、百億円もふえたわけです。したがって、収入でカジノの三・五倍あるわけですね。
 私はかつて知事とも、宝くじを一千億にするための議論をやりました。その意味においては、現在ある既存の宝くじを一千億にするために力をもっと入れるべきであると、こう思いますけれども、どうでしょうか。

○田原財務局長 宝くじの売り上げ状況を見ますと、数字選択式宝くじが伸びておるものの、ジャンボ宝くじの方の既存宝くじにつきましては、近年少々伸び悩んでいる状況にございます。このため、今、宝くじの主力商品でありますドリーム、サマー、それから年末のジャンボ宝くじ等々につきまして、テレビCMやポスターなど広報宣伝に力を入れているところでございます。
 また、宝くじは、当せん賞金の金額の大きさとともに、当せん本数の方も大きな魅力の一つであることから、十三年より、ジャンボ宝くじにつきましては、一等賞金二億円にあわせて二等賞金も一億円といたしまして、当せん本数をふやすなど、賞金体系の工夫をしております。
 今後も、売り場の整備のための工夫を促進するとともに、ファンのニーズに対応しました商品開発を行って、全体の売り上げ増大に努めてまいりたいと思っております。

○大木田委員 それで、先ほど出納長に公金の活用について伺いましたけれども、宝くじも、かつては一勧、今はみずほになっておりますけれども、私は、東京のいわゆる信用金庫、都信協、それから信用組合等も含めて、東京都が発行する宝くじについては、そこがいわゆる受託銀行として受けて、そうして東京都のさらにきめ細かい販売網にすることによって、一千億円に近づくことができると。私は、公金運用に、いろいろと委員会や検討会をずっと出納長室がやった経過もよく知っておりますけれども、そういう立場で、東京都発売の宝くじは東京都の関係の金融機関で受託できる、現にやろうと思えばできるんですけれども、もう少しそれを前向きにリードして、政策誘導型時代になっているわけですから、そういうことを検討したらどうかと提案いたしますけれども、どうでしょう。

○田原財務局長 宝くじを受託することについてでございますけれども、受託する金融機関等については、当せん金付証票法によりまして、あらかじめ公募の手続を経て決めることになっております。このため三カ月ごとに東京都公報に公告し、広く募集を行い、取扱機関を定めているところでございます。副委員長ご承知のとおりでございます。
 ただ、受託に際しましては、多数の要員の確保が必要である、それからノウハウが必要である等々から、すべての金融機関が受託できるというものではありませんけれども、仮に信用金庫から受託についての申し出があれば、その段階で、受託能力等の検証を行い、判断することになると思います。それから、地元としまして、信用金庫等が受託できるかどうか、東京都の方からも積極的に図ってみたいと思っております。

○大木田委員 ぜひ、いろいろと前向きに検討していただきたいと思います。
 それからもう一つ、平成十四年度が七百七十億を超えるかどうかというのは、十一月二十六日から発売されます、宝くじ全体の売り上げの四分の一を占めている年末ジャンボにかかっているわけです。それで、全国自治宝くじ協議会会長である石原知事に、十一月二十六日発売当日、どこか都内某所で、ぜひポケットマネーで買ってもらいたいと、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

○田原財務局長 年末ジャンボについて、ご質問の知事の売り場訪問、それからポケットマネーで買ったらどうかと、こういうご提案でございますけれども、PR効果としては大変なものがあると思っております。ご提案の趣旨を知事に伝えさせていただきます。

○大木田委員 ぜひよろしくお願いいたします。そうしますと、カジノの石原知事から宝くじの石原知事になりますので、カジノだけじゃないということもはっきりします。
 次に、銀行税の問題について伺います。
 先ほど中西理事からもいろいろと質疑がありましたので、いろいろとやりとりは避けたいと思いますけれども、ただ私、きのうの東京都の主張の骨子というのの内容を見ましたけれども、東京都の外形標準課税は地方税法適合であり憲法に適合するというふうに見ました。まあ、二審判決がどうなるかということは全く、裁判ですから今のところわからないわけでありますが、もう少し都として、さらにもう一歩力を入れるべきではないかと。いずれにしても来年一月三十日に判決が出た場合、恐らく最高裁まで行くと思うんですね。したがって私は、さらに体制を強化すべきであるとこう思いますけれども、どうでしょうか。

○安間主税局長 副委員長ご指摘のように、口頭弁論は昨日終結いたしまして、判決のいい渡しは来年一月三十日と予定されております。二審の段階では体制を強化しまして、勝訴に向けて全力の取り組みをしてまいりました。今後の対応につきましては、ご提言の趣旨を踏まえながら十分検討してまいりたいと思います。

○大木田委員 ぜひ強化をしていただきたいと思います。
 ところでですね、この銀行税を導入するべきかどうかということで、いろいろと議会で予算委員会で審議したときに、東大の神野先生、宮城大学の糸瀬先生、それから銀行協会から一人来たわけです。そのときに糸瀬先生、お亡くなりになりましたけれども、税効果会計、銀行のことを、いろいろな提案をしていることがありましたけれども、どんなことをいっておりましたでしょうか。

○安間主税局長 都議会の参考人意見聴取におけます糸瀬教授の税効果会計についての発言内容でございますけれども、要約して申し上げます。
 銀行は、融資先企業の破綻に備え、有税で引当金を積み立てております。将来、銀行が不良債権を最終処理しますと、その時点で支払うべき税金が減らされる、それが税効果会計で、この将来戻ってくるであろう税金を繰り延べ税金資産として計上しております。しかし、これは絵にかいたもちにすぎない。繰り延べ税金資産は、将来にわたり銀行が収益を計上し、税を払う状態にならなければ戻ってこないものであり、戻ってくるかどうかは大いに疑問であると、こういう発言をされております。

○大木田委員 要するに、今話題になっている税効果会計について、いろいろとこれから国の方もなっていくと思いますが、当時こういうことをいっているんですよ。そこで、金融監督庁は取り戻せる範囲を向こう五年間の利益の範囲内としているが、その範囲を大幅に超えて計上している銀行が多いという、この実態を指摘しているんです。私もその指摘だけしておきます。
 次に、都市計画道路の関係で伺いますけれども、時間が少なくなってまいりましたので、まず私が申し上げます。
 私は平成十三年度のときに、都市計画道路をですよ--今の場合は、今のこの経済対策なんかを見ると、いわゆる金融緩和をいっぱいします。それで銀行の株式も買います。あるいは、銀行の持っている国債も買いますといっておりますけれども、おふろの上だけで、日本銀行と銀行のキャッチボールだけで、要するに、日本経済全体の中で庶民のところのお金が動かないんです。十八兆という金融緩和を出しても、上だけ、おふろの熱いところだけで、かきまぜてないわけです。そこで私が--戦後、今まで、都市計画道路が五十数%、二、三%ですよ、平成十三年度で。したがって、一括して今の時点で買ったら、残りを買って対応したら幾らになるかということで、私の試算で八兆円をちょっと超えたんです。都市計画局に試算をしてもらいましたら、二十三区で八兆四千億、多摩で四兆円なんです。それで、今の蛇の生殺しになっているようなところ、都市計画の道路のところを全部買えば、売った人はそこへお金が入るし、家を建てかえたり、移動したり、三十兆の経済効果が出るんです。私はこれを、都市計画局にも何回も提案しているんです。これ、東京都全体もそうなんです。そうして全体のお金を庶民の中に動かすようにしない限り、今の経済政策では、ただ今までのつながりだけなんです。
 したがって、そういう対応を--国の方はどうしても地元のことはわからないものですから、机上の、いわゆる一階から三階が抜けて四階以上の話ばっかりやっているんです。一階から三階を持つ、こういう地方の立場から、都市計画道路整備法をつくって、年間二兆円で五年間でこれを全部対応して、それでお金が庶民のところへ入れば、最終的には銀行に上がっていくかもしれませんけれども、大きく経済効果が出るということを、木内局長のときに提案いたしましたけれども、その後どういう検討をされてきたか、伺います。

○勝田都市計画局長 都市計画道路の整備状況につきましては、今、副委員長お話しのとおり、東京都全体では五三%の完成、こういう状況でございまして、なお、ラフな試算では十二兆円程度が必要であろうというふうに考えられております。
 今ご指摘ございましたとおり、経済効果、こういう側面もあるわけでございまして、一方で都市再生というのを進めておりますが、都市計画道路にかかわるこうした観点も必要かというふうに考えております。
 副委員長ご提案の十兆円プロジェクトにつきましては、昨年ご提案いただきましたが、都市計画道路を一気に整備するためのご提案と受けとめております。さまざま私どもの方も努力はしておりますが、都の返済能力等の体力の問題もございますし、実現性といった観点から、いろいろ実務に当たっているところでございます。
 都市計画道路の整備促進に当たりましては、地元の理解や協力などさまざまな課題がございますけれども、中でも、今ご指摘の財源の確保が最も重要であると認識しておりまして、東京への道路特定財源の配分の拡大や無利子貸付制度の創設、こういったものを国に強く要請をしてまいりました。その結果、本年度から、都市計画道路の用地取得についての低利子貸付制度の導入や都市再生プロジェクト事業推進費など、都市再生に向けた新たな制度等の創設がなされてまいりました。
 今後とも、都市計画道路の早期整備を実現するため、あらゆる機会をとらえ、財源の確保に努めてまいります。

○大木田委員 積極的にこういう新しい展開を、提案があったことはよく検討してもらって、都の方でも、今日は全局長がおりますので、ぜひお願いをしたいと思います。
 次に横田基地の問題について伺いますが、私は、横田基地の返還あるいは横田空域の解消、この問題について石原知事に何回か提案をしておりますけれども、十三年度として、これについてはどういう動きがあったでしょうか。

○前川知事本部長 横田問題につきましては、今お話もありましたが、これまで、返還までの対策として、民間航空利用の実現を図ることを国に強く求めてまいりました。また、横田空域の返還につきましても、都は国に断固とした交渉を強く求めるとともに、全国知事会などとも連携をして国への働きかけを行ってまいりました。特に平成十三年度におきましては、こうした動きを進めるとともに、特に、九月に横田飛行場を使用して防災訓練を実施いたしました。
 また、昨年は知事ご自身も訪米されて、米国の政府要人等と会談を行う予定でございましたけれども、若干これが中断いたしましたので、それを引き続き、ことし訪米されて、横田問題への理解を求められた次第でございます。
 こういった取り組みを、特に平成十三年もそうですが、従来から、また今年度も引き続き継続して取り組んでおります。

○大木田委員 私は、知事が八都県市においても、またアメリカに行ってこの問題を直接取り上げたことについては、高くこれを評価しております。
 知事は平成十三年度、海外に二回行ってるんですね。エクアドル共和国ガラパゴス諸島、これで使った費用が約一千六百万円。アメリカ合衆国、これは途中で帰ってきましたけれども、二千百六十一万円。それで、この内容は触れませんけれども、青島さんが世界都市博覧会を中止して、おわび行脚というのに行ったんです。そのときに、ジュネーブ、パリ、ニューヨークと行ったんですけれども、特にホテル、フランスのパリで、ホテル・ド・クリヨンに、一泊二十万円のところへ泊まったんです。知事は、知事の歳費からは四万二百円が出るんですけれどもね。しかも、泊まったのが平成七年七月八日、土曜日、九日、日曜日、十日、月曜日。青島さんご夫妻で泊まりました。まあ、このお金の問題についてはその後、八十万円を超えるお金を東京都に返してもらっておりますけれども、この話を具体的に詰めますと時間がなくなりますので……。当時、世界都市博覧会を中止しといて、その世界都市博覧会の予算を全部使って、おわび行脚に行って……(笑声)全部使ったんですよ。それで、あれをやれば経済効果がすごく出たわけですけれども、そういう実態で、これはまあ石原知事と違いますけれども、海外旅行に関連しておりますので、関連として、この問題は提起しておきます。監査事務局長に聞いてもいいんですが、新しくなったばっかりでありますので、今回は伺いません。
 横田基地の問題については、私は昭和四十六年から四十七年まで沖縄にいたのですが、太田知事が、二期八年のときに七回アメリカへ行ったんです。沖縄では、いわゆる基地返還二〇一五アクション・プログラムというのをつくっておりまして、普天間を含めて、で、国が対応できないということで、毎年、太田知事はアメリカに行って交渉をしておりました。少しずつではありましたけれども、動いてきたという意味においては、そういう積極的な対応が必要だと思います。
 ただ、石原知事が今回行った中で、一言だけ私は申し上げておくのは、昨年の九月のことで、その対応ができなかったからといって、ことし、議会を招集しといて、提案責任者が六日から十一日までいなくなる。しかも議会としては、昭和十八年に都議会を開設して六十年という重要な式典、しかも採決のときに提案者がいないというような--しかも、昨年の九月十一日から一年間あったわけです。議会日程も早く決まっているわけですから、何でこの間に対応を、議会の日程を外すということができなかったのかと。これは議会軽視。日ごろは、議会を議会をということを、発言はしておりますけれども、車の両輪というならば、もっと議会を尊重すべきであると。これは知事に直接やりたかったんですけど、いないものですから、知事本部長、ひとつ代理でお願いします。

○前川知事本部長 代理ではございませんが……。
 先月の知事の訪米というのは、もうご存じのとおり、横田基地の問題について、本来であったら国が当事者である、しかしながら、その交渉の当事者の国が全く動かない、そういう中で、現況を打開するために、知事が自身で直接、交渉に臨んだわけであります。
 先ほど申し上げましたとおり、本来ですと、昨年予定しておりましたが、同時多発テロの発生によって中断を余儀なくされ、懸案となっておりました。既に知事からも本会議でご説明申し上げましたが、本来であれば当然、都議会の日程を優先すべきでありますが、相手方との事前折衝の末、異例の対応ではございますが、議会開会中の出張となった次第でございます。どうぞ何とぞご理解いただきたいと存じます。

○大木田委員 時間も少なくなってまいりましたので、最後に、地元の問題について何点か伺います。
 まず、十条駅の立体化と十条周辺のまちづくり、これはなかなか進んでいないんです。したがって、これは十三年度の状況はどうか、これからどう進めていくかということが第一点。
 それから補助八三号線については、地元からも強い要請がありまして、早く道路を拡幅して木造密集地域を解消してほしい、こういう強い要望があります。この補助八三号線についての対応。
 それから、外語大学が移転完了しました。地元としては、東京外語大学の跡地、約四万平米を超える跡地に、中間報告として、地元としてのいろんなプランをつくっております。あそこに特養をつくったり、それから一部住宅をつくったり、公園をつくったり、いろいろ対応しております。これはぜひ、地元の要望を聞いて対応していただきたい、こう思います。
 地元の三点について、まとめて質問をいたしまして、終わります。

○小峰建設局長 鉄道の立体交差化は、その事業効果を高めるため、まちづくりと一体的に進めることが重要でございます。このため、十条駅付近につきましては、地元区、JR東日本と、まちづくりについて意見交換を行ってまいりました。今後とも、まちづくりの進捗や都財政の状況など種々の課題を踏まえながら、立体交差化について総合的に検討してまいります。
 補助八三号線についてでございますが、北区飛鳥山公園付近の明治通りから環状七号線を横断いたしまして赤羽方面に至ります、区内を南北に連絡する延長約二千六百メートルの地域幹線道路でございます。明治通りから区役所前を通り、中十条の南橋交差点までの区間でございますが、九百四十メートルございまして、これが既に完成してございます。残る南橋交差点から赤羽西までの区間でございますが、一千六百六十メートルは現道幅員約七メートルとなっておりまして、現時点では都市計画道路としては未整備な状況にございます。
 また、この補助八三号線は、地域の防災性の向上を図る観点から、緊急時の避難路や延焼遮断帯として拡幅整備の期待が強い路線でございます。現在、地元区がその整備について意向調査や住民との話し合いを行っております。都といたしましては、こうした状況を踏まえ、整備手法など、地元区と連携を図りながら検討してまいります。

○勝田都市計画局長 東京外国語大学移転跡地についてでございますが、去る十月二十四日に北区が跡地利用計画の中間のまとめを、お話しのとおり公表したところでございます。北区では今後、住民等の意見、要望を踏まえまして、具体的な取りまとめを進めていくということにしております。
 都といたしましては、これまでも関係者から成る連絡協議会に参画をいたしまして、跡地利用計画策定についての協議を行ってまいりましたが、引き続き、今後とも地元の意向を尊重しつつ、跡地利用計画が財務省の処分方針に反映されるように対応していきたいと考えております。

○大木田委員 以上で終わります。

○桜井委員長 大木田守副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、三時四十分まで休憩します。
   午後三時二十二分休憩

   午後三時四十三分開議

○桜井委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 花輪ともふみ委員の発言を許します。

○花輪委員 それでは、私の方からは、監理団体のことについてお尋ねをしていきたいというふうに思います。
 きょうも、中西理事初め多くの方から、監理団体、第三セクターの問題については質問があったようでございますが、数字も随分細かいことを出していただきましたので、再度質問は控えさせていただきますが、とにかく、十二年度からやられている改革、数字を見させていただくと、目標を定めて、その目標を達成されている。非常に頑張っていらっしゃるな。特に監理団体というのは、皆さんにとっても、先輩方がたくさん天下りとか再就職で行っていらっしゃるところです。そういうところの数を減らしたり職員の数を減らしたりするというのは、本当におつらいこと、厳しいこと、そういう中で頑張っていらっしゃることは、本当に評価をしたいなというふうに思っております。
 今のはとりあえず評価をさせていただいて、個別、具体の話に行かせていただきたいと思うんですが、監理団体の中に住宅供給公社がございます。これは非常に大きな監理団体の一つだというふうに思います。この住宅供給公社の改革について、ことしの五月ですか、「機能するバランスシート」という、これは中地さんという方がリーダーになってまとめてくださったんですが、都の住宅政策とバランスシートの役割ということでいろいろと提案、提言をしていただいています。都の財政的な支援に頼らずに独立採算を徹底しましょうとか、また企業会計方式を入れていきましょうとか、コストダウンをしましょう、そして住宅供給公社については特に、もうそろそろ、住宅供給公社法の根本にまでさかのぼって、その存在そのものを議論していったらいいんじゃないかとか、また民間でできるような仕事を数多くやっているのではないか、そんなことも指摘をされているわけです。
 まずお伺いしますけれども、この「機能するバランスシート」、住宅供給公社に対していろいろと提言をしております。そのあたりについて、住宅局ではなくして、住宅局にはもうさんざん私、建設・住宅委員会で聞いておりますので、総務局の方からご答弁をいただければと思います。

○赤星総務局長 「機能するバランスシート」の提言でございますが、都に依存しない、自律的な経営を目指すものでございまして、東京都住宅供給公社改革の一つの参考になるものと考えております。例えば、都の支援に頼らずに独立採算を徹底することなどは、公社経営の自律に不可欠なものでございまして、早急な対応が必要と考えております。
 今後とも、公社の自律的経営に向けまして改革に努めるよう、住宅局と連携をとりつつ、経営改善を目指してまいります。

○花輪委員 この住宅供給公社なんですが、その存在が果たして今、どのぐらいの意義があるものなのかなということを少し議論させていただきたいと思うんですね。供給公社というのは、大正時代にできて--その前身ですね。今の形になったのは、私が生まれた昭和四十一年というふうに聞いております。当時は、人の数がどんどん、どんどんふえていく、そういう中で、一つの家に、一つのアパートに何世帯も住んでいる、そういう住宅に非常に困った時期だったというふうに聞いております。ですから、公社ができたばかりのころは、一年間に五千戸とか六千戸、一生懸命つくられた時代があった。それが一つ、日本の、そしてまた東京都の住宅のリーダーとして、さまざまないい住宅環境のあり方とか、そういうものを提供してこられたのかな、そういうふうに考えております。
 だけれども、時代が変わってしまって、今は世帯の数よりも住宅の数の方が多くなっている時代ですね。それに、当時はなかなか育っていなかった民間のディベロッパー、不動産屋さんとか住宅メーカー、そういうところがどんどん育ってきて、いいものをつくれるようになってきました。そういう中で、公社の意義も、できた当初から比べるとだんだんと薄れてきているのかなと。
 今、公社の仕事を聞きますと、三本の柱があるというふうにいいます。一本は建設事業、住宅を建てるという事業ですね。もう一本は、今つくって貸している、そういう住宅を賃貸する事業、貸す事業ですね。建てる事業と貸す事業。そしてもう一つの事業は、今二十六万戸あるといわれている都営住宅、この都営住宅を管理する、そういう事業、この三本柱だというふうに聞いております。
 しかし、まず第一本目に挙げた建設事業、これはもう余りつくらないよということで、どうも平成十六年とか十七年にはやめてしまう、終わってしまう、そんなようなお話をお伺いしております。
 そしてもう一本の柱、都営住宅の管理、これも、今までは都営住宅の管理というのは、供給公社がやることが一番効率的で、ノウハウもあるからいいんだ。それに、東京都の財産、行政財産は、地方自治法の二百四十四条で、これは五〇%以上出資をしている、そういう団体でなきゃできないんだよということで、今まで都営住宅の管理は、まさに公社が丸受けをしてやっていたわけですね。
 ところが、聞きますと、来年、平成十五年度には国の方でそろそろ、規制緩和の一環として、そういう行政財産も民間ができるような、そういう方向にやっていこうというような、そんなお話になっているというふうに聞きます。それをこの前、住宅局の方に尋ねましたら、そういう法律改正があれば、そのときは民間に委託をすることも含めて検討するというような話をいっておりました。そうすると、三本の柱のうち二本がなくなりつつあるわけです。あと残されたのは一本だけです。
 それに、ほかの住宅供給公社の情報を見てみますと、今、全国に五十七の住宅供給公社がありますけれども、これは都道府県にもあるし、政令指定都市にもありますね。ですから、五十七あるというふうに聞いています。そのうちの二十一が、もうそろそろ廃止をする、そういう検討を始めているという、そんな情報も新聞記事なんかで見ますし、国土交通省においては、住宅供給公社--今、地方住宅供給公社法では、住宅供給公社をやめられるという規定がないんですね。廃止をしたり清算をするという規定がないから、そういうやめられるような法律改正も進めるということで、どうも東京都も含めた各地の住宅供給公社さんにヒアリングに入ったり、勉強会を始めたりということをされているようだと聞いております。
 このように、三本の柱のうちの二本がなくなり、また、ほかの都道府県の住宅供給公社もそろそろ廃止とか民営化、そういうものを考えていこうかなというふうにしている昨今、東京都としては、どうでしょうか、公社の存在の意義とかそういうものも含めて、廃止とか民営化、そういうものを考えていく、そんなお気持ちはあるのでしょうか。これは住宅局にいつも聞いていますので、きょうは、総務局長、お願いいたします。

○赤星総務局長 ご指名でございますので、お答えさせていただきますが、委員ご指摘のように、国におきまして、地方住宅供給公社法や地方自治法の改正に取り組んでいると聞いております。
 これからの公社のあり方につきましては、法改正の動向を見ながら、その効率的運営など、住宅局とともに今後検討してまいります。

○花輪委員 今まで住宅局に聞くと、いつも、検討は将来の課題だと。検討を始めるよといったことがなかったんですが、今、総務局の方で、公社を管理される立場の総務局の方で、住宅局と今後検討していくということですから、ぜひ検討していただいて、住宅供給公社が必要なのかどうか、必要であれば残せばいいし、その社会的な使命とか、またほかに与える影響とか、そういうことを考えてじっくり検討していただきたい、そんなふうに思っております。(発言する者あり)私は、それは当然、民間とか廃止をした方がいいと思っています。
 それで、私、これからちょっとお伺いするんですけれども、監理団体、これは、きょうもずっとほかの方が、お金の面とか数字の面とか、そういうことでいろいろとお尋ねをしておりました。確かに監理団体、財政的な意味、東京都に負担をかけないとか、そういう意味ですね、そういうことからのさまざまな改革というものは必要かなと思うんですね。だけれども、もう一点必要なことは、本当に行政でやるべき仕事なのか、また行政の監理団体、税金とかそういうものが入ったり人が入ったりしている、そういう団体でやるべき仕事なのか、またそうでないのか。要は、例えば昔は行政でやらなければいけない、今の住宅供給公社の話でも、昔は、民間の不動産屋が育っていないから、行政がやらなければいけないということで皆さん頑張って、そのかわり、民間が育っていない部分を担ってきたんですね。ところが、民間が育てば、民間ができるようになれば手を引かなければいけないということになってくると思うんです。
 そういうような形で、要は行政というのは、行政の補完という立場から、採算がとれるとれない、そういう仕事に取り組むとか、また赤字であるからとか、そういうことで考えるのではなくて、例えば赤字であったとしても行政がやらなければいけない仕事、民間にはやってもらえない仕事はどんどんと行政がやればいいと思うんです。
 しかし、今の監理団体の改革の流れというのは、赤字か黒字か、財政に負担をかけているか、かけていないかというところが非常に議論になっていると思うんです。ですから、例えば、がばがばもうかっている団体であったとしても、それはもし民間でやることができるのであれば、私は、それは民間に任せていくべきだな、そんなふうに思うんですが、総務局長はどういうふうにお考えになるでしょうか。

○赤星総務局長 東京都が進めております監理団体改革でございますけれども、各団体の設立趣旨にまでさかのぼりましてその存在意義を問い直し、社会経済状況の変化などによりまして必要性が薄れた団体については、統廃合を進めてまいります。
 一方、民間活動が活発化、成熟してきた今日、行政や公的団体にかわりまして、民間でも対応できる分野が広がっていることも事実でございます。
 監理団体改革を進めるに当たりましては、こうした状況も踏まえまして、団体が行うべき仕事と民間に任せるべき仕事の精査、選別に取り組んでまいります。

○花輪委員 とにかく、民間ができる仕事にはなるべく手を出さない。例えば今、不動産ばかりではなくて、駐車場事業に手を出したり、あとは自動車整備業に手を出したり、監理団体がやっている仕事を見ていくと、いろんなことをやっているわけですね。ですから、そういうところをぜひ、民間ができるところから手を引いていく、民業圧迫はやめていただく、そんなことをお願いさせていただきたいと思います。
 それで、監理団体の職員のことについてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、先ほど答弁の中にもあったんですけれども、職員の数、監理団体の数、最初は九千五百五十二人ですか、いたんだけれども、それを一生懸命減らそうということで、八千六百人にこれを減らすという目標を立てて、ことしの八月一日現在、八千六百人の目標のところ、八千三百七十八人という、目標を大きくオーバーをして達成をされているというふうに聞いております。
 その中で、新規の採用の部分を見させていただくと、平成十三年度、監理団体とか、監理団体になる公益法人、株式会社、その中で、新規に全部で百九十二人採用している、そんなような数字をいただいております。百九十二人、新規を採用しているわけですが、そのうちの百三十人が、東京都のOBの方が再就職で行かれているということなんですね。
 私は、東京都の職員の方が再就職をするということは別にいけないことじゃないし、それは必要なことだというふうにも思っております。しかし、今、この社会の状況の中で、非常に失業率が高くなって、普通の会社を卒業した人たちがなかなか再就職ができない、また中高年の再就職がない、リストラに遭った人たちが再就職がない、そういうふうにいわれている時代です。そういうときに、東京都を卒業したからといって、再就職が優遇されているというかな、監理団体の中にそのポストというか、いすがあるというのは、どうも私は、公平、公正というところからいうと若干問題があるのかなと。一つのポストがあるとすれば、そこにやはり知識と経験がある方々が、それは東京都の職員だということではなくして、本当に力があるという、そういう判断のもと、またそういう審査のもと、そういう基準のもとで座ればいいと思うんです。ただ、今は残念ながらそうではなくして、どうも、東京都の職員だったからということで、そのいすが自然に用意をされているのかな、そんなふうに考えるわけです。
 ぜひ、雇用対策という意味からいうと、また監理団体の改革、これは第二の役所とか、そういうふうにいわれないためにも、広く人材を集めて、そして能力のある人材であれば、そのいすにちゃんと、役所出身であろうとそうでなかろうと公平に座れるようにしていくべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○赤星総務局長 お答え申し上げます。
 職員の採用につきましては、各団体がその必要性を判断すべきものと考えますが、団体事業をより一層簡素、効率的に執行していくためには、契約社員や常勤嘱託などの多様な人材を積極的に活用していく必要がございます。このため、これまでも順次、都の派遣職員を削減し、固有職員の割合をふやしてまいりました。
 今後とも、能力のある人材の確保、育成に当たっては、多様な方策を用いるよう支援してまいります。

○花輪委員 今、質問させていただいたのは、東京都を卒業した管理職の方ではなくして、一般職員の方が再就職をするということを質問させていただきました。そうしましたら、契約社員や常勤嘱託などの多様な人材を積極的に活用していく必要があると考えており、順次、都の派遣職員を削減し、固有職員の割合をふやしていきたいというご答弁をいただきました。
 続きまして、一般職員ではなくして、幹部職員の再就職についてお尋ねをしたいと思います。
 十三年度も、調べさせていただきましたらば、卒業している方が二百五人のうち、いわゆる監理団体、公益団体、民間企業、そういうところに天下りという形で行っている方が七九%、約八割いらっしゃるわけです。これまでも何度かお尋ねしたことがあるんですが、この天下り、八割もやっているというと、どうも余り規制がないんじゃないかなという、そんな感じがするんですが、いかがでしょうか。

○赤星総務局長 職員が退職後に再就職することは、在職中に培いました知識や能力を活用し、社会的に貢献するものでございまして、意義のあることと考えております。
 東京都では、監理団体から役員の推薦依頼を受けた場合、適材適所の観点から、意欲と能力のある者を推薦しており、民間企業については、求めに応じて退職者の情報提供を行っております。
 その際に、都は独自の取扱基準を設けておりまして、局長級職員につきましては、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連した民間企業への就職を原則として禁止いたしますとともに、その他の幹部職員につきましても、民間企業での営業活動に一定の規制を設けております。

○花輪委員 今、幹部職員の方の天下りについてお尋ねをしたわけですが、まず、行為規制があるということでした。局長級職員については、退職後二年間は、退職前五年間に担当した職務に関連した民間企業への就職を原則として禁止する、そんなことが今いわれていたわけですが、じゃ、これが実態としてどうなっているのか。確かに、退職後二年間はというんですが、二年間というのは、大体局長さんは監理団体に行くんですね、民間企業に行くわけではないわけです。
 ちょっと一件調べさせてもらいましたらば、都市計画局長をやった方が、ある電車の第三セクターに行って、その後、電車をめちゃくちゃつくっているような、またそういうルートを計画するような、そういう製造メーカーに行かれて、その後大手ディベロッパーに行かれたという、そんな話を聞いたことがあります。きょうはこれをやっていくと時間がなくなっちゃうので、質問はしませんけれども、要は、行為規制があっても、なかなかこれは、抜けられてしまう行為規制であるんですね。だから、皆さんが一生懸命こういうことを決めても、心ないそういう方は、ついついそういうところに行ってしまう。
 ですから、私は、今の行為規制そのものは余り意味がない。そこが、例えば民間企業に行けば、その民間企業と第三セクターとか、また役所ですね、そういうところで緊張関係が崩れていくわけです。もしこれが民間企業対民間企業であれば、この緊張関係が崩れて会社に負担がかかってつぶれてしまえば、それは民間企業の勝手なわけです。だけれども、役所の場合、これは税金ですから、もしこういうことが起きれば、残念ながら、私たち、そしてまた都民が負担を受けなければいけないわけです。ですから、行為規制はちゃんとやっていかなければいけない。そういうことも含めて皆さん、行為規制をつくっているんだろうけれども、行為規制そのものが余り機能していないんじゃないかなというふうに私は思っております。これは質問はいたしません。
 監理団体の役員のことで、ことしの八月一日現在、百十九人、監理団体には役員がいるわけですが、八十二人が都のOBの方なんですね。これもまた私は、全然多いと思うんですよ。監理団体の役員に都のOBが多いということ、これを皆さんはどう考えていらっしゃるのかをお尋ねいたします。

○赤星総務局長 監理団体は、ご承知のように、都と密接に関連する事業を行っておりまして、都退職者が在職中に得た知識や経験を還元し、団体の経営に寄与することは、一定の意義を有していると考えております。このことから、都では、団体から依頼を受けた場合、団体が都政に果たす役割にかんがみまして、在職中におきます職務経験や勤務実績等を考慮し、適材適所の観点から、意欲と能力のある者を推薦しております。

○花輪委員 局長、さっきの一般職員のときには、随分積極的な答弁がありましたよね。順次、都の派遣職員を削減し、固有職員の割合をふやしていくという、そんな積極的な、一般職員のときはありました。ところが、天下りの問題になるとどうも歯切れが悪くなってしまうんですね。減らすという言葉、そういうものが一切出てこないんですよ。
 私、思うんですけれども、改革するということは、まず責任のあるところから改革というのは進めていかなきゃいけないと思うんですよ。一般職員の改革、数を減らしていく、削減していく、ここはどんどん、どんどん答弁が出てくるのに、監理団体のいわゆる役員、そういうところに都の職員の方が、OBが多いんじゃないかということになると、これに対しては、適材適所とか、意欲と能力のある者を推薦している、そういうような話になってしまって、ごまかされてしまうわけですが、私は、これでは弱い者いじめになっちゃうんじゃないかと思うんですよ。一般職員のときは、どんどん引き揚げる。しかし、幹部職員のときには、どんどんとやっていく。これは減らすといわない。百十九人中八十二人ですよ。非常に多い数字だと私は思いますよ。いかがでしょうか。

○赤星総務局長 先ほど申し上げましたけれども、選任につきましては団体の判断によることになりますけれども、監理団体から求めがありましたので、業務内容を十分に考慮して、経営感覚を持った適任者を推薦しているところでございます。
 一つは、まだ監理団体で十分な職員が育っていないということもございます。それが育ってきた段階ではそういうことも十分あろうかと思います。また、役員の選任に当たりましては、監理団体の自主性、自律性が尊重されるべきでございまして、OBの一方的な押しつけは行っておりません。都はあくまでも監理団体の求めに応じまして適任者を推薦しておりまして、最終的な決定は、監理団体みずからが行っております。

○花輪委員 監理団体みずからが判断しているというような話でしたが、本当にそうなんでしょうか、非常に疑問に思うところでございます。
 私は、天下りそのものがすべていけないというふうには思いません。一つの、例えば理事長のポストがあったとしたらば、東京都の能力のある方が、OBとしてそこに天下るのもいいでしょう、能力があればですよ。そしてまた、プロパーで、プロパーの方々が能力があれば、そのポストに座るのもいいでしょう。しかし、その理事長ポストは必ず東京都の天下りさんじゃなきゃいけないとか、そういうことではおかしいと思うんですね。
 この前、私は、ある監理団体の、僕たちと同い年ぐらいの方と食事をする機会があったんですが、そういう方々もいっていました。自分たちは、幾ら頑張ってもこの団体のトップにはなれない、それって寂しいことなんだなといっていました。それはまさに労働意欲とか頑張る意欲というものを失わせてしまうわけですよ。
 ですから、ぜひ、天下りがすべていけないとは僕はいいませんよ。ですから、ポストが一つあったとしたらば、それは能力がある人が座るという、それで、もし局長さんで能力がある人があればそれでもいいし、また団体の中に優秀な人材がいれば、そういう人が座ってもいいし、そういうような形で公平性、公正性を保つような、そういう人材配置にするべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○赤星総務局長 先ほど来申し上げておりますけれども、監理団体でだんだん人が育っていることも事実でございますが、監理団体で人が育っていくのと同時に、監理団体の性質上、経験や能力を持った方をぜひ欲しい、東京都から欲しいという場合には、東京都からもこれからも推薦してまいりますし、民間で最近ふえておりますけれども、先ほど来、中西理事にお答え申し上げましたけれども、六名の民間企業からの、トップを入れかえたということもございますし、多様な方法を用いて監理団体の活性化に努めてまいります。

○花輪委員 お尋ねします。東京都住宅供給公社の理事長がずっとこの二年間ぐらい空席だったということですが、なぜですか。

○赤星総務局長 東京都住宅供給公社の理事長職でございますけれども、平成十二年八月までは、都の副知事が非常勤の理事長としてついておりました。しかし、平成十二年十一月に監理団体改革実施計画を定めまして、経営責任の明確化を図るために、副知事の充て職を廃止することといたしました。理事長、副理事長につきましては、合わせて一名体制としたものでございます。その時点では適任者がいなかったために、暫定的に空席にしたものでございます。

○花輪委員 これは住宅局にも実は聞いたんですよ。そうしたらば、副理事長は、公社のトップとして的確にリーダーシップを発揮し、公社の円滑な業務運営に努めてきたところでございます、といっています。トップとしての責任をしっかりと果たしてきたと住宅局の人は答弁しました。それで、何で理事長にしなかったんだといったらば、住宅局の方は、大変申し上げにくいんですが、局としては、ちょっと答弁をしかねるといって、頭を下げました。それはどこの責任だといいましたらば、住宅局の人は、都職員などの人事異動、評価などに関しては、総務局が所管をしているというふうにいいました。
 これは私、思うんですけれども、まさに社会の不条理ですよね。副理事長が、副理事長としての仕事をちゃんとして、トップとしての仕事をちゃんと果たしているんですよ。にもかかわらず、理事長になれない。なぜかというと、自分が東京都を卒業したときのいわゆるランクがあるんでしょうかね、そのランクが、理事長になるだけのランクではなかったから理事長になれない。これで社会の公平性、公正性が保てるでしょうか。住宅局の方もいっています。これは総務局の問題だというふうにいっております。先ほどから、各団体の自主性、自律性というような話がありました。これは全然、自主性、自律性が整っているというふうには私は思いません。逆に、頑張る意欲がなくなる仕組みになっているんじゃないかな、そんなふうに思います。
 もう時間がないから答弁は求めません。ただ、皆さん、ぜひこの頑張る意欲、そういうものをしっかり持てるような、そういう人員配置、そういう監理団体、そういうものにしていただきたいな、そんなふうに思います。
 以上です。

○桜井委員長 花輪ともふみ委員の発言は終わりました。
 服部ゆくお委員の発言を許します。

○服部委員 都議会自民党、中西理事、松原理事に引き続き、総括質疑の締めくくりとして質問をさせていただきます。
 福祉改革を中心に、精神障害者の社会復帰対策、また教育問題についてお伺いをいたします。
 まず、福祉改革についてなんですが、例のシルバーパスですね。この点について、これは私の方で、せんだっての質疑を通して調べてみたんですが、シルバーパスの前身である、要するに美濃部都政時代、敬老乗車証、これが創設をされて、当時、昭和五十年度には、七十歳以上の高齢者人口が約四十二万人、敬老乗車証の交付枚数は、ほとんどですね、四十万枚、決算額は十七億円でした。平成十三年度、今回の決算では、七十歳以上の高齢者人口が、当時に比べて約三倍になるんですね、百二十五万人、シルバーパスの交付枚数が約七十三万五千枚、決算額は百二十八億円であります。仮に平成十三年度、全員が無料であった敬老乗車証と同様な交付をしたと仮定しますと、利用率、回数、運賃等を勘案して試算をいたしますと、約二百四億七千万円かかるんですね。
 確かに、高齢化が急速に進展していく中で、こうしたばらまき福祉、これを続けていたならば、都財政は破綻していたはずです。こうしたばらまき福祉を反省し、真に必要な方にシルバーパスを交付することにしたもので、低所得の高齢者の方にも、事務費相当分、年間千円、月に直せば八十三円、これを負担してもらっています。これは決して、よくいわれるような高齢者いじめということではなくて、逆に、コミュニティバスだとか、あるいは高齢者の移送サービス、こういったものに高齢者の社会参加の支援策が一層充実されてきています。
 さらに、平成十三年度の福祉費の決算は約五千四百九十三億円で、前年度比、約二百八十六億円ふえているんですね。伸び率でいえば、五・五%増です。また、一般会計に占める割合も八・九%であって、前年度は八・二%でしたから、福祉の切り捨てには決して当たらない、私はそう思います。
 予算というのは、青天井じゃないんですよ。青天井じゃない。福祉の充実というのは、単に予算額とか決算額の多寡だけではかるものではないと考えます。問題は、福祉の内容ですよ。都民の福祉ニーズにいかにこたえているかという行政評価、すなわち、政策評価を適切に行うことだと私は思います。
 福祉の分野は非常に広いですよ。例えば身障の関係の方もある。ホームレスの問題もあるんですよ。五千六百人のホームレス、この方々が毎日--あすのパンじゃないんですよ。きょう食べるものがない。また、寒くなってくれば凍死者も出る。そういう実態を知っていますか。そういったこともやはり福祉の大きな中の範囲なんです。
 そういった中で、私は、納税者が理解を得られるような福祉政策でなければならないと思っています。一概に、福祉といっても、国とか都市によって福祉文化というものは異なります。日本は日本の、東京は東京の、そして区市町村は区市町村の、その特性に応じて、その福祉文化に基づいて福祉施策を構築していく必要があります。
 私は、福祉は基本的には心の問題であると考えているんです。心の福祉を推進すべきであります。お年寄りや障害を持つ人に対する思いやりの心、これが私は福祉の原点だと思います。私は、これから東京の目指す社会福祉は、心の福祉を基本として、自助、共助、そして公助という考えに立つべきです。例えば白いつえをついた方がプラットフォームにいらっしゃる。そうしたら、駅員にそれを任せるのではなくて、周りの方が声をかけてあげる。あるいは高齢者が立っていれば、電車の中で、シルバーシートじゃなくて、周りの方が席を譲ってあげる。そういう心の問題が大変重要だと思いますし、それがまさに血の通った福祉だと私は思います。
 福祉を充実するためには、都は、都民ニーズに応じた新しい施策を推進していくとともに、各市町村がそれぞれの地域特性に応じた福祉文化に基づく施策を推進していくことを支援すべきです。このような視点から、都は福祉改革により、どのような福祉の充実に努めてきたのか、現状認識について伺います。

○川崎福祉局長 これまで、都においては、全国一律の画一的なサービスでは対応できない都民の新しいニーズにこたえるため、都独自の認証保育所制度の創設、心身障害者施設緊急整備三カ年計画事業の実施、高齢者のケアリビングなどの福祉施策を推進してきました。さらに、包括補助制度によりまして、障害者の就労支援のための独自の仕組みづくりやコミュニティバスの導入など、区市町村が行う、それぞれの地域の実情に合わせたきめ細かな施策の展開を支援してまいりました。
 こうした取り組みにより、利用者本位の新しい福祉を目指して、福祉の充実に努めてきたと認識をしております。

○服部委員 大都市としての特性を生かして、多様な事業主体が、競争を通じて質の高い福祉サービスを提供して、都民がみずからの責任でそれを選択するシステムに改めていかなくてはならないと思います。それが都民本位の福祉だと私は思うんです。
 今後、こうした大都市特性を踏まえ、東京の福祉をどのように推進していこうとしているのか、伺います。

○川崎福祉局長 東京は、ご指摘のとおり、全国平均に比べますと、人口密度は約十六倍、全国のNPO法人やサービス産業の約二割が東京に集中していることなどのほかに、一世帯の平均人員が二・二人であり、ひとり暮らし高齢者の割合が高いといった、他の道府県にはない大都市特性を有しております。
 こうした特性を踏まえ、NPOや民間企業等の多様な事業主体を参入させることなどにより、サービスの質と量を確保するとともに、高齢者や障害者などが、地域の中で必要なサービスを選択し、可能な限り自立した生活を送れるよう、独自の取り組みを推進してまいりました。
 今後とも、区市町村と連携し、このような都独自の取り組みにより、東京の福祉の充実に努めてまいります。

○服部委員 先ほど私、福祉は心の問題だ、こういうことを申し上げました。(「行政はそうじゃないんだよ」と呼ぶ者あり)
 ところが、さきの各会計決算特別委員会の第二分科会--行政じゃないんですよ。障害者の方やその家族に対して、大変思いやりに欠ける発言がありました。それは、盲聾通訳、介助者派遣事業の質問の際に、盲・聾の方が、いまだに座敷牢のようなところにいる方もいるとの日本共産党の委員からの発言であります。座敷牢という言葉はわかっていますか。広辞苑を引いたことがありますか。親が子に虐待をしているということなんですよ。
 私は、この間、この日曜日でしたけれども、NHKのアーカイブス、「友だち百人できるかな」全盲少女が初めて普通学級へという番組がありました。これは見られた方もいらっしゃると思います。これは私、非常に感動いたしました。これはたしか昭和五十一年のNHKのドキュメント番組であります。まさに親子が本当に必死になって、普通学級に行くためにいろいろ苦労もされ、そして、顔では笑っていましたよ、だけど、その気持ちというのはどんなものだったのか。私はそれを見たときに、本当に感動いたしました。
 そういう気持ち、それをこういうような発言をする。この発言は、盲・聾の方の--普通、健常者もそうです。親として、子どもはかわいく育てたい。ましてそういう障害のある方に対しては、もっともっと親としては、子どものために頑張ってやっていこう、そういう盲・聾をお持ちの親に対する侮辱だと私は思うんですね。どんなにか、その言葉が親の心を傷つけることか、あるいはまた子どもの心を傷つけることか。親の気持ちを考えると私はいたたまれなくなります。こうした発言をする人には、福祉政策に対する思いやりの心や、心の福祉という概念が全く感じられないということを私は指摘しておきます。(発言する者あり)
 次に、民間社会福祉施設サービス推進費補助についてお伺いいたします。(「それで終わり」と呼ぶ者あり)何か反論があったらいってくださいよ。あなた、座敷牢という言葉、読み上げてみましょうか、どういうことなのか。これ、広辞苑なんですが、広辞苑によりますと、「座敷牢」、「外へ出られないように、厳重に仕切って」、狂人ですよ、狂った方、「狂人などを入れておく座敷」、これが広辞苑に書いてある。よく読んでください。(発言する者あり)
 次の質問に移ります。
 これはまた大分新聞に報道されました。この補助制度は、平成十一年の第一回定例会において、東京都社会福祉協議会に参加している民間社会福祉施設の代表者などの理解を得るまでは、新制度に移行しないこととの付帯決議が付された上で、議会が承認した経緯があります。その後、福祉局と東京都社会福祉協議会との折衝委員会において協議した結果を受けて、六カ月の準備期間を置いて、平成十二年一月より実施されています。
 この補助制度は、従来の都加算や公私格差是正事業補助を再構築したものでありますが、改めて、その当時のサービス推進費補助制度にした理由、これを伺います。

○川崎福祉局長 従前行っておりました公私格差是正事業は、民間福祉施設の職員給与について、補助金の交付を通じて、東京都がその決定に関与しておりました。また、都加算制度は、使途を細かく規定し、補助基準どおりの職員配置を義務づけるなど、硬直した制度となっておりました。さらに、保育事業における選択制の導入や介護保険の実施などの社会状況の変化もあり、施設の特色を生かしたサービスや職員の能力に応じた給与決定など、施設経営者による自主的かつ柔軟な運営が可能な制度となるよう、見直しを行ったものであります。

○服部委員 今の答弁にありましたように、施設経営者による自主的かつ柔軟な施設運営を促進するものとのことですけれども、サービス推進費補助については、三カ年度の経過措置が設けられております。十三年度は経過措置期間であります。このサービス推進費補助制度になったもとでの施設の運営状況については、都はどのように認識をしているか、この点について伺います。

○川崎福祉局長 民間社会福祉施設の運営状況などは、指導検査や運営指導において把握しておりますが、全般的に適切な施設運営がなされており、民間社会福祉施設サービス推進費補助の実施後、多くの施設において、この補助の目的を踏まえた運営が適切に行われているものと認識をしております。

○服部委員 現行のサービス推進費補助の制度を構築したのは、平成十一年でした。それ以降、規制緩和による保育所への株式会社の参入、また都の職員の給与削減等がありましたが、都としては、さらにどのような社会経済状況の変化があったと認識しているのか、伺います。

○川崎福祉局長 平成十二年一月のサービス推進費補助制度の実施により、民間社会福祉施設は、自主的かつ柔軟な運営が可能となりましたが、一度補助されると、以後は経常的経費として一律に補助されており、施設の努力が反映されないものであるという課題がありました。このような中、保育所への株式会社の参入などのお話のほかに、平成十五年四月から、障害福祉分野に支援費制度が導入され、措置から契約に転換されることとなるため、措置費の上乗せの補助であります現行補助制度を再構築する必要が生ずるなど、社会状況も大きく変化をしております。
 また、保育所や障害者施設において、都の補助の対象としております常勤職員の配置義務づけが大幅に緩和されたことなども、大きな変化であると認識をしております。

○服部委員 サービス推進費補助の制度になった後に、福祉を取り巻く社会経済状況、これは大変変化をいたしました。一般的に行政の施策は、その施策をめぐる、時代、時代における状況の変化に的確に対応していく必要があります。サービス推進費補助についても例外ではなく、さまざまな状況の変化のもと、そのあり方について検討しなければならないと理解はいたします。
 しかし、十一月になった現時点においても、施設の代表者の意見を聞いている段階ですね。サービス推進費補助にした際も、制度改正から実施するまでの準備期間、これは六カ月あったんですよ。先月二十二日でしたが、我が党は、サービス推進費補助の再構築は慎重に対応すべきである、そう福祉施策に関する緊急申し入れをいたしました。支援費制度に移行する障害者施設は別としても、平成十五年四月に制度改正はすべきではない、私はそう考えますが、見解をお願いします。

○川崎福祉局長 民間社会福祉施設サービス推進費補助につきましては、施設代表者の意見などを聞きながら、これまでの画一的な仕組みを、サービス向上に向けた施設の努力が真に報われるものとするよう、慎重に検討を進めております。(「これ、決算なの」と呼ぶ者あり)
 検討に当たりましては、平成十四年度からの本則実施の状況を把握することが必要であり、また、制度改正を行うためには、一定程度の準備期間も要するため、ご指摘をも踏まえ、措置から支援費制度に移行します障害者施設は別として、平成十五年度中の制度改正は実施しない方針といたします。

○服部委員 ありがとうございました。
 これ、決算といっても、決算というのは、予算につなげていくから決算なんじゃないですか。何いっているんですか。
 次に、精神障害者の社会復帰対策について伺います。
 精神科に入院している患者のうち約三割が、入院の必要がない、いわゆる社会的入院である、このようにいわれているんですね。その解消の必要性が指摘されて久しくなります。近年、精神医学の進歩や、数次にわたる法律の改正などによって、入院医療中心の治療体制から、地域におけるケアを中心とする体制という、こうした流れの中で、退院後の社会復帰及び自立と社会参加を促進するためには、地域における生活の場や活動の場、あるいは相談や交流の場などとしての社会復帰施設を地域の中に確保していくことが、私は不可欠だと考えます。
 私の地元の台東区でも、家族会などのご尽力もあって、早くから、例えば通所授産施設、これはZIPといいますけれども、また共同作業所が整備され、また、ことしは二カ所目のグループホーム、これはチェリーハウスといっていますが、が設置されるなど、着実に社会復帰施設の整備が進んでいます。精神障害者社会復帰施設のあり方検討会の報告においても、社会復帰施設の今後の整備の方向性を示し、また東京構想二〇〇〇で、その具体的な整備計画を策定しております。
 そこで、まず、東京構想二〇〇〇の三カ年推進プランで掲げた平成十三年度計画に対する実績、これがどうなっているのか、伺います。

○長尾健康局長 平成十三年度に新たに補助を開始いたしました社会福祉施設は、グループホーム六カ所、通所授産施設二カ所、地域生活支援センター五カ所でありまして、東京構想二〇〇〇推進プランの計画どおり整備を進めております。
 なお、小規模通所授産施設につきましては、計画数を七カ所上回る十二カ所となっております。

○服部委員 精神障害者の社会復帰を促進して、自立と社会参加を実現していくためには、社会復帰施設の量的確保と同時に、在宅の精神障害者を地域で支える体制整備が重要であると考えますが、見解を伺います。

○長尾健康局長 在宅の精神障害者が地域で安心して暮らしていくためには、日常生活に関する相談支援、地域との交流の場であります地域生活支援センターの整備を着実に進める必要がございます。さらに、家事援助などのホームヘルプサービスを初めとする在宅福祉サービスの拡充を図るなど、地域での支援体制を確保することが重要であると認識しております。

○服部委員 精神障害者の地域での生活を総合的に支援していくこと、これが大変これから必要であると私は考えますが、今後、都としてどのように取り組んでいくのか、伺います。

○長尾健康局長 平成十一年の精神保健福祉法改正によりまして、在宅福祉サービスは、身近な区市町村が主体となって推進することとなっております。都といたしましては、区市町村が円滑に事業を実施できるよう、その支援を行うこととしております。
 また、ご指摘の社会福祉施設あり方検討会の報告を踏まえまして、社会福祉施設の着実な整備を進めるとともに、各施設が提供するサービスの質的向上のため、第三者評価の体制を整備するなど、保健、医療、福祉の各分野にわたり、精神障害者施策の一層の充実に努めてまいります。

○服部委員 次に、教育問題について伺います。
 まず、都民に信頼される学校経営の確立について伺います。
 とにかく今、家庭の教育が非常に低下しましたよね。そんなこともあり、学校教育のあり方、これも大きく変容を迫られているわけでありますが、都教委は、平成十三年度に教育管理職の希望降任制を導入しました。十九名の教育管理者が降任をしたと聞いていますが、校長が経営者としてのリーダーシップを発揮できない、学校特有の状況があるのではないでしょうか。校長に期待する役割に見合う権限、例えば人事あるいは予算、こういったものについての権限が果たして十分なのか、見解を伺います。

○横山教育長 お話のように、校長といいますのは、学校内の人事配置あるいは予算執行計画の策定などの権限を有しておりますが、これまでの学校というのは、ともすれば運営組織が十分機能していない、そういうこともございまして、校長が権限を発揮しにくい、こういう実態がございました。このため、都教育委員会は、全国に先駆けまして主幹制度を導入して、学校運営組織を整備することといたしました。
 また、校長が経営者としてリーダーシップを一層発揮するためには、権限の拡大が必要でありますことから、さきに策定しました都立高校改革推進計画におきまして、校長の裁量権限拡大の施策を盛り込んだところでございます。具体的に申し上げますと、学校に配付される予算総枠の中で、校長の裁量によりまして経費の組みかえ等が弾力的に行える自律経営推進予算の導入を計画いたしております。
 また、校長の経営ビジョンを実現するために、校長の人事配置計画を支援しまして、適材適所の人事異動の徹底が図られるように、異動要綱の改定を含めまして教員異動のあり方を見直してまいります。

○服部委員 とにかく、学校は都民に信頼をされなければなりません。それは校長とか教頭だけでなくて、学校全体で山積する課題に取り組むことが必要であると思います。そういった意味で、都教委が平成十五年度から全国に先駆けて導入する主幹制度、これに私は大いに期待をしています。
 一方、主幹制度の導入に当たって、主幹の配置は管理体制の強化だとか、管理職の顔色ばっかりうかがう教師ばっかりふえて、子どもに目が行かなくなるなんていう、そういう批判もあるんですね。私は、そういった批判は全く当たらない、そう考えています。管理強化といいますけれども、上司を上司と思わない、極めて独善的な教員がいる。これは、これまで全く管理してこなかったことが問題だと私は思いますよ。さまざまな抵抗が予想されますけれども、どうか毅然とした態度で対応していただきたい。学校というのは、教師のためにあるんじゃないんですよ。子どもたちのためにあることの自覚を高めるためにも、私は、主幹制度の導入を強く望むものであります。
 ところで、国の制度である主任制度、これが導入されたとき、さまざまな意見があって、制度が形骸化された経緯もありますが、東京都が導入する主幹制度については形骸化される懸念はないと考えますけれども、改めて、主幹制度導入について、教育長の考え方を伺います。

○横山教育長 学校が抱えます困難な課題に積極的に対応していくためには、学校を、これは紛れもない組織ですから、学校を組織として機能させて、校長のリーダーシップのもと、すべての教職員の力を結集する必要がございます。主幹制度の導入によりまして、それぞれの教員の力を発揮しやすい学校運営組織が確立されますことから、児童生徒の教育環境が向上しまして、より質の高い教育を提供することができるものと私は確信いたしております。
 また、主幹制度は、監督権限を持つ新たな職を設置するものでありますことから、この制度を適正に機能させるためには、校長が、制度の趣旨に沿って、主幹を初めそれぞれの教員を適切に指導していくことが重要でございます。都民の期待にこたえまして、信頼される学校をつくるため、主幹制度の定着と充実に向けまして、全力で取り組んでまいります。

○服部委員 今、教育長の決意を伺いました。
 それでは、次に、健全育成についてお伺いいたしますが、今、いろんなこういった社会状況の中で、人を思いやる心、あるいは自分が住んでいる地域や社会のために貢献しようとする気持ち、こういったものが社会全体として何か薄らいでいるような気がいたします。
 こうした中で、私は、これからの社会を担う子どもたちが心豊かな人間として健全に成長していくためには、学校や地域において、社会のために役立つことを進んで行う心、すなわち奉仕の精神、こういったものを育てることが大切であると私は思うんです。このことについては、都教委は、社会貢献の精神をはぐくむということを教育目標、基本方針に掲げて、家庭や地域と連携した心の教育の充実を図ることを示しています。
 奉仕活動というと、とかくまた、みずから進んで行うものだから、強制して行わせるべきものじゃないとかいうような意見も出てくるんですけれども、初めはやはり学校で指導しながらこうした機会や場を与えて、子どもたちに、社会のために役立つことの大切さや、あるいは喜び、そういったものを体験させることが必要だと私は思います。
 学校内外において奉仕活動をより一層推進するために、例えば奉仕活動の日、そういったものを定めて、地域と一体となって子どもたちが体験活動を行うよう、キャンペーンを張ることが効果的であると思いますが、今後、都教委として奉仕活動をどのように推進していくのか、伺います。

○横山教育長 都の教育委員会としましては、これまでも、トライ&チャレンジふれあい月間を定めるなどしまして、各学校におきます特別活動や、あるいは総合的な学習の時間などにおきまして、地域の実態に即して奉仕体験活動を推進するよう指導してまいっております。
 なお、都立高校におきましては、ボランティア教育の手引を作成したり、あるいはボランティア活動の単位認定を推進する、こんな指導もいたしております。
 お話の奉仕活動に関する日を定めることにつきましては、各学校の積極的な取り組みを推進する上で効果が期待できますことから、特定の日を決めるのがよいのか、あるいは実態に応じて、週間あるいは月間として行うのがよいのか、その辺の問題も含めまして、その実効性も含め、設置に向けて検討しますとともに、あわせて、体験発表会などを実施するなどして奉仕活動の推進に努めてまいります。

○服部委員 ぜひそのことを、大事なことですから、推進していただくようにお願いいたします。
 こうして国際化が急速に進む中で、私たちは、日本の国にまず誇りを持つ、あるいは世界から尊敬される日本人としての自覚を持つこと、私は、これがますます大切になってきた、そのように思うんです。
 先般、十月五日に、都議会開設六十年を記念して、中学生との意見交換がありましたね。そのときに私も出席をさせていただいて、中学二年生の公立あるいは私立の中学生がさまざまな意見を述べておられました。その中に、港区立の中学二年生の女生徒なんですが、本当は全文を読み上げたいんですが、こういうことをいっています。日本を愛することは、自分を愛することだ。日本を深く知ることができたら、日本を大事にできると思います。中学二年生の女生徒です。私は、本当にこういったこと、ぜひこの提言を、環境問題についてとかいろいろ中学生のいい意見もありますから、皆さんもこれをぜひ読んでいただきたいと思うんですけれども。
 都教委は、教育目標、基本方針の中で、二十一世紀を担う子どもたちに、世界の中の日本としてのアイデンティティーを育てる教育を行うことが重要であることを示しています。こうした教育を実現するためには、都教委として、子どもたちに期待することをメッセージとして送ることが大切であると考えます。
 例えば、都立高校の卒業式に際して、卒業生の皆さんへというあいさつ文を卒業生に配布していると伺っています。これまでのあいさつ文を拝見しましたが、国際社会に生きる日本人としての期待を込めた言葉は、平成十二年度からより明確になってきていますが、このことは、どのように時代が変化しても大切な教育そのものだと私は思います。卒業式には国旗を掲揚、国歌を斉唱して、日本の国旗、国歌を尊重する態度を育てることとされています。卒業式はまさに学校教育の集大成であります。ここに目指す教育の理念が盛り込まれなければなりません。我が国の歴史や文化を尊重し、郷土や国を愛する心を培うということは、卒業生に対するあいさつ文に盛り込むことはもとより、日常的な教育活動の中で積極的に推進すべきと考えますが、教育長の所見を伺います。

○横山教育長 今、委員ご指摘の子どもと議会の話は、私も同席させていただきまして、生徒の話を聞きまして、非常に感銘を受けました。
 児童生徒は、教科及び特別活動等の学習はもとより、社会体験などさまざまな教育活動を通しまして、我が国や郷土の伝統、文化に対する理解と愛情を深めまして、それを愛し、尊重する心を持つことは極めて大切でございます。
 現在、都教育委員会は、児童生徒が郷土に対する愛着や誇りを持ち、多様な文化に対する理解を深めるなど、世界の中の日本人としてのアイデンティティーを育てる教育を推進いたしております。
 今後とも、各学校が、教科としての道徳や社会、あるいは総合的な学習の時間、学校行事などの教育活動を通しまして、世界の中の日本人としての自覚や誇りをはぐくむ教育を進めるよう指導してまいりますとともに、日本の文化や世界の文化に触れて親しむ交流会の実施や啓発資料の作成、配布を行ってまいります。

○服部委員 日本人としての自覚と、国を愛する心を育てるというのは、国家存立の基盤である教育の根幹にかかわることであります。ぜひこうした教育の一層の充実をお願いして、次の質問に移ります。
 心の東京革命の推進についてですが、心の東京革命は、親や大人が責任を持って子どもたちに正義感や倫理観などを伝えていくものです。東京都も、心の東京革命アドバイザーという養成や、またこの間、知事が、これはたしか練馬区の幼稚園でしたか、視察に行かれて、子育て講座、心の東京塾、こういった開催をしておりますが、こうした事業を真に実効あるものにするために、ひとり東京都だけで実施するのではなく、住民に身近な区市町村と連携し、協力することが絶対不可欠だと考えますが、簡潔に見解をお願いします。

○三宅生活文化局長 心の東京革命を東京都は提唱しておりますが、これは家庭と地域社会の大人と子どもの関係でございますから、区市町村と連携協力していくことが非常に重要であると思っております。
 今委員ご指摘の心の東京革命アドバイザーの養成や心の東京塾の開催を行っておりますが、その際、区市町村からの要望があった場合には、例えば対面型の相談に加えまして、電話相談にも対応できるカリキュラムを用意するなど、実情に応じて対応しておりますし、また反対に、参加者募集の広報や会場の提供などは、区市町村の協力を得て行っております。さらに、親子で参加する祭りなどの地域の伝統行事あるいはキャンプなど、心の東京革命を推進するための事業として、経費の一部を区市町村に補助しております。
 今後とも、区市町村と連携を強化してやってまいります。

○桜井委員長 服部委員の発言は終わりました。
 古館和憲委員の発言を許します。

○古館委員 それでは、質問をさせていただきます。
 まず最初に、東京の環境についてお尋ねをしたいと思います。
 秋がなくて、すぐ冬に来たというような感じになっているんですけれども、ことしはとりわけ暑さの厳しい夏であったと思います。
 そこで、まず、ことし七月、八月の東京の平均気温と過去百年の東京の年平均気温の推移についてお伺いをいたします。

○小池環境局長 ことしの東京における七月及び八月の平均気温は、気象庁東京管区気象台のある大手町で、七月、八月ともに二十八度でありました。
 また、過去百年間の年平均気温の推移でございますけれども、気象庁データに基づく十一年移動平均で見ますと、最も低かった明治三十八年、西暦でいいますと一九〇五年では十三・五度で、直近の平成八年、一九九六年では十六・四度となっており、この間、二・九度上昇しております。

○古館委員 今のお答えにもありましたように、東京は、この百年間で二・九度上がったと。それで、世界の地球的規模での過去百年間というのは、〇・六度上がったということなんですね。ですから、いかに気温が、この東京では異常に高くなっているかということは、この数値からも明らかだと思います。
 そこで、次に、都民の健康に悪影響を及ぼす東京の熱帯夜について、ことしの日数と過去からの推移、傾向についてお伺いいたします。それと、熱帯夜ということについての概念をちょっといってください。

○小池環境局長 本年、気象庁が大手町で観測した熱帯夜の日数は--この熱帯夜というのは、先ほどご質問がありましたけれども、その日の最低気温が二十五度を超える日、こういうことになります。この熱帯夜の日数が、七月が十五日、八月が十四日、九月が四日、合計三十三日となっております。
 また、熱帯夜の過去からの推移でございますけれども、気象庁データに基づく五カ年移動平均を見ますと、昭和五十年ごろまでは年間十五日前後で推移しておりましたが、それ以降、増加傾向を示し、直近の平成十二年では約三十五日となっております。

○古館委員 それで、きょうの朝日新聞で、「湾岸の衝立」ということで記事が載っておりました。これは汐留再開発地区、そこに住んでいる方なんですね。とにかく、つい立てのようにビルが建っているということで、風が全然通らない。蒸し暑さはひどい。風がぴったりとやんでしまった。これじゃ酸欠になってしまう。それで、「今年の夏はこたえた。高層ビルが出来て海からの風が吹かなくなった。これほどひどいことは、これまでなかった」と。そういうことで、この朝日新聞でも、先ほどいいましたように、日本全体では百年間で一度上がったけれども、東京は、この朝日新聞の報道だと、三度。先ほど東京都の回答はもうちょっと低かったんですけれども、こういう記事が載っております。こうした東京の平均気温の上昇や熱帯夜の増加、これは東京のヒートアイランド現象の深刻さを物語っていると思います。
 そこで、お伺いをいたしますけれども、ヒートアイランド現象が生じる原因というのは一体何なんでしょうか。

○小池環境局長 ヒートアイランド現象の主な原因といたしましては、温度上昇を抑制する効果のある緑地や水面が減少したこと、地表面のアスファルト化や建物増加により蓄熱量が増大したこと、工場や事業所、自動車からの人工排熱が増大したことなどが考えられます。

○古館委員 今、人工排熱ということがいわれましたが、具体的に人工排熱というのをもう一度ちょっとお話ししていただけないでしょうか。

○小池環境局長 人工排熱につきましては、ただいま答弁いたしましたように、工場や事業所、住宅等の空調からの排熱や自動車からの排熱が主なものと考えております。
 東京都といたしましては、地球温暖化防止対策とあわせまして、人工排熱対策といたしましても、本年六月から環境確保条例に基づき、建築物環境計画書制度をスタートさせ、工場、事業所等の省エネルギー対策を進めますとともに、自動車の燃費向上について、国、メーカーに働きかけるなど、自動車排熱対策について取り組んでいるところでございます。

○古館委員 今のご答弁にもありましたけれども、人工排熱というのは、いわゆる自然の問題じゃないですね。自然現象じゃないんですね。オフィスとか住宅等の排熱、それから自動車、それからもう一つは、都市形態の変化ということなんですね。先ほど、汐留再開発の例を挙げましたけれども、もう風がぴったりやんじゃった、今までとは全く違うという、つまりそういう都市形態の変化という問題も、ヒートアイランド現象の大きな原因であります。
 さきの第三回定例会で、我が党は、石原知事が進めようとしている都市再生によって、二十三区の二酸化炭素が六・七%も押し上げられること、そして、自動車発生交通量も五・六%も押し上げられて、ビルや道路から排出される熱量も激増するという試算を出しました。今でさえヒートアイランド現象が、とりわけこの東京で顕著にあらわれている中で、二〇〇三年問題がさらに拍車をかけようとしております。来年二〇〇三年だけでバブル期の二倍のオフィス床が供給されることから、供給過剰による空き室率の上昇と賃貸料の大幅な値下がりが予想されております。その上、都市再生によって膨大なオフィスビルが供給されることになれば、本格的なビル不況が到来することは避けられません。このことは、「週刊東洋経済」や「エコノミスト」でも同様の指摘をしているところであります。
 石原知事は、三定での我が党の代表質問に答えて、都市再生について、その意図を極めて簡潔に答えました。その一つは、拠点となる地域に集中的、戦略的に民間の力を振り向けて、新たな需要を喚起すること。都市づくりですね。もう一つは、道路などの都市基盤整備をさらに進めていくことだ、このように代表質問で答えられました。
 そこで、質問ですけれども、これらは、十三年度に国に対して、実は同じ十三年度、今、決算の時期ですけれども、首都圏再生緊急五カ年十兆円プロジェクトというのを国に求めましたけれども、これは国みずからの責任でやらせるということをたびたび知事も発言をしておられます。都の持ち出しは、それではないというふうに考えていいのでしょうか。

○前川知事本部長 今お尋ねのありました五カ年十兆円プロジェクトは、首都圏に集中的に投資を行うことが、首都圏の再生、ひいては日本全体の再生--再生というのは、単に都市基盤整備だけではなくて、生活環境の改善、当然大気汚染等の軽減も含むわけでありますが、そういうことにつながる、そしてまた景気浮揚にもつながる、そういう基本的な考え方に基づいて、知事が、平成十三年六月に国に対して提案をしたものであります。
 提案の内容は、従来の制度にとらわれることなく、財源配分の見直し等を図り、例えば道路特定財源の配分等でありますが、こういったものの見直し等を図って、首都圏に国費の重点的、集中的な投資を行って、国がみずから積極的に事業を展開することを求めたものであります。
 したがって、基本的に国費の投入で賄われるべきものでありまして、都の負担については、これが生ずる場合にも、これまでの通常のルールにより行うものであり、新たな負担の導入は想定いたしておりません。

○古館委員 今、通常のとおっしゃいましたね。通常ということは、いわゆる東京都も支出をするということでとらえていいんでしょうか。

○前川知事本部長 通常と申し上げたのは、これまで、例えば国道等をつくる場合であれば、一般的なルールにより地方負担もある、それを指して申し上げているわけであります。

○古館委員 それでは、石原知事が国に対してというのは、いわゆる答弁そのものが少し修正されてきているんじゃないかというふうに私は思うんですね。前は、国にお金を出してもらうんだ、こういうことをいっていたんですね。今の答弁は、通常のお金は東京都も支出しますよということの答弁だということを再確認いたしました。
 それでは、お聞きしますけれども、これら十兆円事業で見込まれている、通常の都としての負担はどれくらいになると試算しているんでしょうか。

○前川知事本部長 お答えする前に、先ほどもちょっと答弁が舌足らずでありましたが、国に対して求めているのは、例えば、一言触れましたけれども、道路特定財源の配分が、首都圏には現在、全国の一三%であります。これを二五%に拡大しろと要求しているわけであります。そうすると、当然でありますが、今申し上げた一般的な負担についても、都は軽減されることになるであろうというふうに想定をいたしております。
 それから、お尋ねの件でありますが、五カ年十兆円プロジェクトで示した三環状道路の整備費は、今後十年間で国が予定している四兆円の事業費に、三環状道路全体で一兆五千億円を五年間で重点的に追加投入することを求めているわけであります。これによって、既に着工している部分の工事を促進し、あわせて、未着工部分の早期事業化を図ることによって、三環状道路全体の供用開始時期の前倒しをねらっているわけであります。
 こうした三環状道路の早期整備によって、例えば排気ガスによる大気汚染の軽減など、外部不経済の解消効果も見込まれますが、これに要する整備費は、三環状道路の性格上、基本的に国費の投入で賄われるべきものと考えております。

○古館委員 私は今、三環状について聞いたんじゃなくて、十兆円事業ということで、通常に東京都が支出をするというふうに答弁されましたから、じゃ、十兆円でいうと、通常で考えるとどれぐらい東京都の負担が必要になりますかということを今聞いたんですけれども。

○前川知事本部長 後半部分については、ちょっと先走り過ぎて、誤解をいたしました。
 全体について十兆円の中で、今のお話で、十兆円あることによってどれだけ都の負担がふえるかというふうに理解してよろしいでしょうか。

○古館委員 はい、そうです。

○前川知事本部長 これについては、先ほど申し上げましたように、大きな方向として、例えば道路特定財源の再配分等を考えておりますが、そういったことを通じて、全体として、少なくとも新たな負担の導入はない、それからまた、そういう再配分があれば都の負担が軽減されるというふうに考えておりますけれども、具体的な数字については、試算はしておりません。

○古館委員 本当にちょっと今までのスタンスから変わっているんですよね。いわゆる通常の負担、新たな負担はない、こういういい方をされているわけなんですね。
 それで、大体十兆円の事業の中身を見ますと、明らかに東京都の仕事というのがいっぱい入っているんですよ、この中に。例えば、環二とか晴海とか、それから電線の地中化だとかというものも、東京都分だとかというのがあるわけですね。明らかに都がやる仕事も、十兆円のこのプロジェクトの中に入っているわけであります。
 そういうような状況の中で、今、三環状のお話がありましたけれども、それでは、ちょっと具体的に聞きますけれども、三環状の一兆五千億円について、それぞれ所要額をお聞きしたいと思います。一兆五千億円の内訳です。

○前川知事本部長 お答え申し上げます。
 先ほど概略申し上げましたが、その前に、今おっしゃっている趣旨がよくわからないのでありますが、要するに一般的に、例えば電線の地中化等で都が負担するものがあるとすれば、それは仮に今までのルールを変えなければ、当然都が負担するのは、これは当たり前であって、別にそのこと自体はいいも悪いもないわけであります。ただ、それについて我々は、そういう形での負担自体が問題がある。だから、国費をもっと重点的、集中的にルールを変えて投入しろと、そういうふうにお話をし、提案をしているわけであります。このことをぜひご理解いただきたいと思います。
 それから、一兆五千億円についてそれぞれの所要額ということでありますが、私どもは、先ほど申し上げましたように、今後十年間で国が予定している四兆円の事業費について、三環状道路全体で一兆五千億円を五年間で重点的に追加投入することを求めたものであります。これによって要する整備費につきましては、三環状道路の性格上、基本的に国費の投入で賄われるべきものであると考えております。

○古館委員 話がちょっとまた前後しちゃったんだけど、基本的に国費の投入と今おっしゃいましたね、最後の答弁で。つまり、この三環状でも、例えば中央環状線でも国費の投入ということをいっていらっしゃるんですか。

○前川知事本部長 私は、概括的なお話を申し上げているわけでありますが、現在のルールがどう変わるかということ自体が、これはまだはっきりしていないのであります。ただ、都としては、そのルールを変えろと、それによって道路負担についての都の負担を軽減しろ、こういう話をしているわけであります。

○古館委員 今、変えるというふうに、変えることを念頭に置いていっているわけなんですね。それじゃ、もう一つ聞きますけれども、これら三環状道路について、中央環状線は都の出資金などで出していますね。それから外環は始めたばっかりなので、ちょっと論外として、圏央道については既に始まっていますね。今日までの圏央道について直轄事業の負担金は幾らになるでしょうか、総額でお答えください。

○小峰建設局長 圏央道は、一般国道四六八号線として国土交通省による直轄事業と日本道路公団による一般有料道路事業により、整備が進められております。東京都が負担を始めた平成五年度から十三年度までの直轄事業負担金の総額は、約六百三十一億円でございます。

○古館委員 圏央道というのは東京都の管轄の道路ではないわけですね。ところが、今、圏央道についても九年間で六百三十一億円の直轄事業の負担金を出しているということが明らかになったわけですね。首都高については、三年から十三年度のこの十一年間で、実は出資金が千五十七億円、東京都は出していますね、負担していますね。それから貸付金は二千百八十八億円、これはたびたび質問でやりとりしていますから、ご存じのとおりかと思います。
 そこで、この五カ年の十兆円プロジェクトを国に要求したのが十三年度なんですね。私は、今、知事本部長が基本的には国に出させるといっているんですから、だったらやっぱり十三年度も直轄事業負担金五百五十億円出しているし、それから首都高速道路公団への出資金も百八億円、貸付金が二百六十一億円など、都として支出をしているんですね。私は、この問題は、そこまでいうんだったら、国に出しなさいということをまずいうべきじゃありませんか。そして、いって、その問題について(発言する者あり)失礼しました、もうちょっとゆっくりやります。それだったらば、やっぱりここは出さないという態度をきちっと表明すべきじゃないですか、いかがですか。

○前川知事本部長 十三年度に直轄負担金を支出をしたということでありますが、これは五カ年十兆円プロジェクトを提案をして、国がみずから積極的に事業を展開しようと求めた。これを可能とするための法律の改正、あるいは先ほども何度か申し上げましたが、道路特定財源の配分の見直しであるとか、都市基盤整備に対する無利子融資制度の創設等の要望をあわせて行って、この結果として、例えば平成十四年度に民間都市再生事業に係る無利子融資制度が創設をされた、そういった成果もあるわけであります。
 今お尋ねの国直轄事業の負担金制度の改善等については、これは従前から国への要望は別途、ご承知のとおり行ってきている次第であります。一定の改善が見られるものの、まだ十分ではなくて、今年度も国の事前協議についての法令化等を要望いたしております。
 そういう意味で、両方にらみながら現実対応もしているということをご理解いただきたいと思います。

○古館委員 そうすると、お尋ねしますけれども、結局、国の方の法改正もうまくいかなかったと、そういうふうになったら、じゃ、この十兆円プロジェクトというのは見直しをするんですか、いかがですか。

○前川知事本部長 よくご質問の趣旨がわからないのでありますが、五カ年十兆円プロジェクトを推進してなぜ悪いのか、よくわからないのでありますけれども、それを国の責任であると申し上げているだけであります。それについては、先ほど来申し上げているように、一般的な要望に加えて、このところ行われている、いわゆる道路公団の民営化等の議論の中でも、都としては明確に意見を申し上げている次第であります。

○古館委員 私は、先ほど東京の環境の問題と、それからヒートアイランドの問題をいいました。そういう中で、この十兆円プロジェクトの大半が大規模公共事業、道路も含めた、そういうもので埋め尽くされております。したがって、私どもは、こうしたところに巨額のお金をつぎ込んでいくということであるならば、それは都民の福祉、医療、環境、教育、自治体が一番力を入れるべきところへ、私はむしろ本当にそういう都民の税金などをきちっと注ぎ込んでいくということが大事だ、そのように思っているところであります。
 そこで、十二年度についてのシルバーパスについてなんですけれども、十二年度はご存じのとおり、シルバーパスの全面有料化や、マル福や老人福祉手当の段階的廃止など福祉の切り捨てが行われました。十三年度はその二年目の年であります。
 福祉の問題では、大谷田就労支援ホームの廃止だとか、盲導犬のえさ代補助六十四万円などの打ち切りなど過酷ともいえる削減が行われました。そして、いわゆる経済給付的事業は、シルバーパスを初めとして福祉総体としての切り捨てが十一年度対比で六百億円近くに及んで、教育分野でもとりわけ盲・聾・養護学校施設整備費など大きく削減されるなど、高齢者や障害者など弱い立場の都民への切り込みが激しくなったのが際立った特徴であります。
 具体的に、まず、シルバーパス事業についてお伺いいたします。
 シルバーパスを全面有料化した十一年度に比べて十三年度の七十歳以上の人口は一・〇九倍になっているにもかかわらず、千円のパスと経過措置の方を合わせると、十一年度に比べて八八%に低下しております。この中でも、とりわけ経過措置で五千円、一万円というように段階的に負担が重くなっていく層が、十二年度と比べても三万一千百一人も減っておりまして、約七六%に減ってしまいました。十一年度の見直しの時点での発行枚数の推計は、十二年度が八十六万二千枚、十五年度が九十七万八千枚と右肩上がりで多くなると推計されております。ところが、十三年度で購入している人が七十三万四千七百七十五人で、十一年度から見ても減少していることが明らかになっております。
 そこで、この推計と実際の発行枚数が違って減少した理由についてどのような認識をお持ちか、お答えいただきたいと思います。

○川崎福祉局長 平成十一年度に行いました推計と実績に差が生じた理由といたしましては、これまで郵送や民生委員により配布していたものを、地域の窓口での発行に改めたことなどにより、真にパスを利用する意思のある方が発行を受けたことによるものと考えております。

○古館委員 今、真にパスを利用する意思のある方がパスの発行を受けたと考えているというのがご答弁でしたね。じゃ、そのようにいい切る根拠というのはどこにあるんでしょうか。意向調査などしてのことですか、いかがですか。

○川崎福祉局長 利用者の負担が年間で千円、月に換算すれば八十三円であること、また有料パス、これは二万五百十円でございますけれども、このパスについては発行枚数がふえていることなどから、総合的に判断しますと、真にパスを利用する意思のある方はパスの発行を受けているものと考えております。

○古館委員 それでは、意向調査をしたわけではないんだと思うんですけれど、こういうことについての、いわゆる意向調査を進めるという意向はございませんか、どうですか。

○川崎福祉局長 意向調査は実施しておりません。そして、今後も、先ほど答弁したように、真にパスを利用する意思のある方はパスの発行を受けているものと考えており、改めて調査をする考えはございません。

○古館委員 先ほど五千円、一万円という形で、経過措置で段階的に負担が重くなっている人の発行枚数が現実に減っている。その方々にとっては、私は過重負担ではないかと思うんですが、その点についてはいかがですか。

○川崎福祉局長 シルバーパス制度は、平成十二年度に見直しを行い、有料パスの所得基準を区市町村民税課税者、すなわち年金収入換算で二百六十六万六千円以上に見直しをしました。それに伴い、有料パスに該当する方でも十一年度に無料でパスの発行を受けておられた方につきましては、経過措置として平成十四年度まで負担金の軽減措置をとることとしております。
 経過措置対象者へのパスの発行枚数が減少した理由は、利用者自身が負担と利用を勘案してメリットが少ないと判断し、取得しなかったためと考えております。

○古館委員 それでは、改めて、通知方法ですけれど、これはまちまちで、それぞれの区市によって通知方法が違うんですよね。その点どうですか。

○川崎福祉局長 現在の広報の方法については、各区市町村でそれぞれ異なっております。統一的には実施をしておりません。

○古館委員 それで、今、局長のご答弁でも、通知方法がまちまちだということが明らかになりましたが、通知をしていない区が三区あります。四つの市も通知をしていない、このように聞き及んでいます。ことしの十月以降の個別通知を行うかどうかについて、どうするか検討中だというのが十四区に達しています。十二の市にも、これはこれからどういうふうにするか検討中だ。だから、周知していない区や市が現実にあり、今後、周知についてどうするかということがはっきりしていない区市が多数を占めてきているというのが現実であります。
 真にパスを利用する意思のある人が発行を受けたなどというのは、通知がされていないというところも現実にある中で、そのようにいえますか、どうですか。

○川崎福祉局長 周知がされていないということはありません。ただ、個別に通知を出していないということで、周知はそれぞれの広報媒体を使ってしているところでございます。
 シルバーパスの周知方法でございますけれども、都及び区市町村の広報紙への掲載や、高齢者が利用される施設にポスター、チラシを掲示、または配布することなどにより、制度の周知を図っております。事業実施主体であります東京バス協会及びバス事業者におきましても、バス車内や駅でのポスターの掲示、またチラシの配布を行うなどPRに努めておるところでございます。
 こうした周知方法により、対象者には十分周知が行き届いていると思っておりますが、引き続き努力をしてまいります。

○古館委員 今、局長も、引き続き、より周知をするために、ますます充実をさせていくということを答弁したわけですから、そのことをきちっとやっていただきたいと思います。
 シルバーパスは、高齢社会の中で生きがいや寝たきりを予防するなどの観点から、私はもとに戻すことを初めとして抜本的に再検討することが、このシルバーパス事業は特に必要だと思いますけれども、ご見解を伺います。

○川崎福祉局長 シルバーパス制度は、世代間の公平を図るなどの課題を解決するために、都議会の審議を経て見直しを行いました。新しい制度のもとで多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用していただいており、十分ご理解を得ているものと考えております。
 都としましては、制度の定着と円滑な実施のために、事業実施主体であります東京バス協会とともに、今後とも努力をしてまいります。

○古館委員 先ほど、周知に引き続き努力するとの意向が表明されております。私は、今、抜本的再検討を強く求めましたけれども、制度として存在している事業について都民への平等性を最大限に確保すること、それは行政としての最低限の努めだと思っています。その立場から周知方法のさらなる徹底を求めるとともに、もとに戻すことを初めとする抜本的な再検討を強く求めて、次に行きます。
 教育庁所管の決算についてでありますけれども、大幅に減っているのが教育費と施設整備費、その中で施設整備費は、一番決算額としても多い平成七年度と比べますと、二六・八%にまで激減をしています。これは、財政健全化計画などの中で、十二年度、十三年度で五日市青年の家、多摩教育研究所、近代文学博物館、生涯教育センター、社会教育会館、そして青年の家四カ所などが廃止されました。
 さらに、こうした施設だけではなく、例えば定時制高校の生徒の修学旅行の補助七十万五千円もカットされました。この理由について、比留間学務部長は分科会での大山委員の質問に対して、厳しい都財政の影響から全体として減少傾向にあると述べました。その最たるものが盲・聾・養護学校施設整備費であります。この決算推移は、七年度を一〇〇といたしますと、十三年度は一四・三まで比率として激減をしています。しかし、小中学校の子どもの人数は減っておりますけれども、障害児学校の子どもの人数はむしろふえております。小中高校で十年度と比べても八百四十一人もふえております。ところが、増員に見合って普通教室をふやすなどの対応をしないので、音楽教室を転用したり、一つの教室をアコーデオンカーテンで区切って使ったりなどが常態化しております。それが毎年ふえているのです。
 それで、十四年度五月一日現在で二百三十五の教室が転用で使われております。例えば、高等部まである養護学校では、小中の音楽室をなくしてしまったので、休み時間の移動がそれこそ大変で、中学生が高等部まで行かなければならなくなったり、アコーデオンカーテンで仕切っても隣の声は筒抜け、ある肢体不自由児の養護学校ではトイレも不足して、一つの教室で学習もする、給食もする、トイレもする、このような状態が慢性化して、しかもふえ続けているというのが現実であります。このままでよいと教育長はお考えでしょうか、いかがですか。

○横山教育長 都立盲・聾・養護学校、特に知的障害養護学校におきましては、近年在籍します児童生徒数が増加していることに伴いまして、お話しのように管理諸室や特別教室を普通教室に転用する状況が生じております。
 都教育委員会としましては、教育環境の確保を図るために、これまでも学校の実情を勘案しまして、教室の増改築を行ってきたところでございまして、今後とも各学校の必要性や緊急性、校地の状況などを考慮の上、必要な対策を講じてまいります。
 また、知的障害養護学校の児童生徒は、今後とも増加すると見込まれますことから、学校の教育環境の確保と改善のあり方につきまして、本年七月に設置をしました東京都心身障害教育改善検討委員会におきまして、盲・聾・養護学校全体の再編整備を含めまして、検討しているところでございます。

○古館委員 ぜひこういう事態がなくて、本当にどの都民の子どもも平等に教育が受けられる、そのように事態を早速に改善をしてもらいたいと思っております。
 十一年度から都立高校改革に基づいて新しいタイプの高等学校を設置しております。これは十三年度までの三カ年の施設整備、これを金額、それから盲・聾・養護学校の増改築に要した経費、同じ三カ年でどのようになっているか、それぞれご答弁をお願いします。

○横山教育長 都立高校改革推進計画に基づきます新しいタイプの高校の整備に要した経費は、平成十一年度から十三年度までの三年間で百三十六億三千七百万でございます。
 一方、盲・聾・養護学校の校舎等の増改築に要した経費は、同様の三年間で九十四億五千四百万円でございます。

○古館委員 新しいタイプは百三十六億四千万、盲・聾・養護学校は九十四億五千万ということで、やっぱりこの予算の配分状況を聞いたら、都民や関係父母がどのように思うだろうかということを考えざるを得ません。とにかくこのような事態を解消していくことは、教育庁として真っ先に取り組むべき最重要課題の一つであります。直ちに学校の増設や増改築などに取り組むことを強く求めます。
 子どもの基本的な発達を保障しなければならないところには、なかなかお金が--削減されていく。今の都政が都市再生最優先で施策の展開を行い、福祉や教育などの都民に密着した分野でも、高齢者や障害者など弱い立場にある都民の施策は、大なたが振るわれていることについて厳しく批判をし、その転換を求めるものであります。
 最後に、都財政難ということについてでありますけれども、厳しい事態が続いていることは事実であります。しかし、税収の伸びからいいますと、十三年度は十二年度とともにかなり大きな伸びを示しました。十二年度から切り捨てた福祉や教育施策をもとに戻し、介護保険料、利用料の軽減など、都民の暮らしに回すことが十分に可能であったことを指摘したいと思います。
 実際に十二年度途中から明らかになったIT関連好景気や、リストラなどによる税収増によって、十二年度末に五千二百九十五億円もの大型補正予算が組まれました。この傾向が十三年度へと続いていきました。この結果が財政再建推進プランの見込みを大きく上回り、十二年度では三千九百九十億円、十三年度では四千六百九十三億円ものプランよりも上回ることになりました。
 ところが、こうした税収増は、ふえた税金を公共事業に集中的に投下されました。文字どおり自治体として本来最も力を入れなければならない福祉や暮らし、教育などにではなく、大型公共事業など投資型事業にそれこそ湯水のように現金、すなわち一財、一般財源が投入されたのであります。その象徴的ともいえる十三年度予算と連動し、組まれた十二年度最終補正予算では、税収増の中で首都高速道路公団への無利子貸付金や道路、街路の建設、区画整理、市街地再開発などの投資的経費に現金が大盤振る舞いされたり、そして羽田沖の埋立会計からの借入金も前倒しして返しました。このときの補正予算五千二百九十五億円のうちの実に三千八百四十八億円、七三%の現金が、このように投資型経費に投入されたのであります。
 この十三年度の決算では、十一年度から始まった福祉の分野でのいわゆる経済給付的事業の都政からの撤退、先ほど私は、十二年度からの福祉切り捨てで、その削減額が総体として六百億円近くといいましたけれども、十三年度だけだと、切り捨て額は百五十億円程度でありまして、増収分のわずか数%充てれば、福祉の新たな切り捨ては防げたのであります。それをしないで、都民の痛みをさらに求めるなどは、自治体本来の使命を投げ捨てたものといわざるを得ません。
 十三年度が、石原都政にとって、都財政の危機突破を標榜して、福祉、医療、教育、文化施設など都民に密着した仕事に大なたを振るう一方で、東京構想二〇〇〇をベースに、東京メガロポリス構想、都市づくりビジョン、重要施策、国への十兆円プラン、都税調、行政評価、包括外部監査など、政策の上でも手法の上でも、また財政の上でも、都市再生と称する大型公共事業を都政の中心に据えるという、まさに石原色をいよいよ鮮明にした年度であったと思います。
 こうした逆立ちした都政運営、都財政の運営を、都民の福祉、暮らし、環境優先にこそ切りかえることを強く求めて、私の質問を終わります。
 以上です。

○桜井委員長 古館委員の発言は終わりました。
 真木茂理事の発言を許します。

○真木委員 民主党の真木でございます。私は、第三分科会に所属をしておりました。第三分科会は八局担当となっていたわけでございますが、八局全部に質問をさせていただきました。第三分科会の皆様には、ご迷惑をおかけしました、ありがとうございました。
 十三年度決算につきまして審議をし、そして、それを十五年度予算の中に反映させるという決算委員会の趣旨を酌みまして、私は、第三分科会で質疑をさせていただきましたこと、そこをさらにこの総括質疑で発展をさせるという観点で質問をさせていただきたいと思います。
 花粉症対策についてお尋ねをいたしました。環境局と産業労働局に質問をさせていただいた次第でございます。産業労働局におきましては、マレイン酸、成長抑制剤を杉に打ち込むということをやっておりましたけれども、発がん性物質が出て、ちょっととんざをしております。そして、環境局にお尋ねをしましたが、環境局の花粉症対策としては、ディーゼル車との因果関係の調査に三千三百万円、そして直接の関係ではないけれども、森林の伐採、これも間接的には花粉症対策になるんでしょうかという答弁でございました。
 これでは、やはり東京都としての花粉症対策は不十分だと思います。東京都として花粉症対策をもっとしなければならないと思うんですが、花粉症対策の主管局は健康局だといううわさもございます。健康局としての花粉症対策をお尋ねしたいと思います。

○長尾健康局長 健康局では、昭和五十七年春の杉花粉の大量飛散に伴います花粉症患者の多発を契機に、専門家による東京都花粉症対策検討委員会を昭和五十八年度に設置し、全国に先駆けて花粉症対策事業を開始してきております。
 具体的には、花粉飛散数の観測や予測、患者実態調査を初めとする各種調査研究、また十三年度からはディーゼル車排出ガス等花粉症の関連に関する疫学調査及び発症メカニズム調査を実施しております。さらに、飛散予防や保健情報テレホンサービスやホームページ等により都民へ提供するなど、花粉症対策事業の充実に努めております。現在、関係局で合同してこの事業に取り組んでおります。

○真木委員 健康局がこの間、国が動かない中で、国に先駆けて東京都が取り組んできた、そして他の自治体よりも先駆けて東京都が取り組んできたという健康局の活動を高く評価をさせていただきたいと思います。
 しかしながら、健康局の取り組み、基本的には分析が中心でございます。分析なくして対策はないわけでありますけれども、分析だけでは対策になりません。花粉の絶対量をどのようにしていくのかということにつきましては、やはりディーゼル車の対策で見ても、ディーゼル車に強い体をつくるということにならないのと同様に、花粉症に強い体をつくるということにはならないんじゃないかなと思います。花粉の絶対量をどのようにするのか、総合的な取り組みを全庁的に展開すべきであるというぐあいに思っております。
 その観点からしまして、私は、ディーゼル車対策と同様に環境対策として、環境局にもっともっと頑張ってもらいたい、そういう気持ちを強く持っております。環境局がそうした全庁を束ねる総合調整機能を担うべきだと思いますが、いかがでありましょうか。

○小池環境局長 これまでに都が実施した調査によりますと、都民の五人に一人が花粉症であり、その発症にはさまざまな要因が考えられますが、特にディーゼル車排出ガスの関与が疑われております。このため、環境局は、ディーゼル車排出ガスと花粉症の関係を明らかにするために、先ほど答弁ありましたように、関係局と連携し、現在、ディーゼル車排出ガスと花粉症の関連に関する調査を実施しております。都民の健康と環境を守る立場から、環境局が中心となり、関係各局との連携を密にして対応してまいりたいと思います。

○真木委員 大変重たい答弁だと認識します。現在はっきりと、今後、環境局が中心となってとご答弁をいただきました。その局長の決意をどうぞ今後とも大切にしていただきまして、東京都として、オール都庁として、花粉症対策に取り組む、以後は環境局に聞けば、東京都の花粉症対策の取り組みが一目でわかるという体制をつくっていただきますことを、強く期待を申し上げたいと思います。
 それにつきまして、その上で、花粉の絶対量を減らす上では産業労働局の役割、林業をつかさどっております産業労働局の役割も重要だと思います。花粉症対策の上では発生源対策として、花粉の少ない杉への植えかえは極めて有効ではないかと考える次第であります。
 私は、産業労働局の農林漁業審議会の林業部会に所属をし、中間答申づくりに一緒に参画をさせていただきました。その中で、花粉症対策がないということを私はクレームをつけ、それが盛り込まれるようになった次第であります。
 そして、その中で勉強させていただきましたが、西多摩二号という新しい品種があって、これは従来の杉に比べて七〇%減、三〇%しか花粉を出さないということでございます。そして、杉は植えてから二十年間花粉を出しません。もし仮に、東京都には二万ヘクタールの杉林があるということでございますが、この一%の二百ヘクタールの杉を毎年切って、そして植えかえることができたならば、二十年間花粉を出しませんので、毎年一%ずつ減って二十年間で二〇%減る。そして、二十一年目から仮に花粉を出すとしても、一%減って、そして〇・三%ふえるわけですから、〇・七%減、三十年間で二七%の花粉を減らすことができるということになります。現在は〇・二%の分でしかありません、四十ヘクタール分の杉しか切られていないということでございます。
 第三分科会のやりとりを踏まえながら、私の方でつかんだ情報、そして皆様からのご協力をいただいたところによりますと、いろいろな前提を置いてでありますが、二百ヘクタールの杉を伐採し、そして花粉の少ない杉に植えかえて、その費用が九億円、伐採した杉を売ると幾らになるかということでは五億円、差額はわずか四億円であります。東京都の予算六兆円、〇・〇一%で六億円、それ以下のお金で東京都の杉の一%を植えかえることができる。そのことによって二十年間で二〇%の花粉を減らし、三十年間で二七%の杉を減らすことができる。
 あくまで東京都の杉に関してだけでありますけれども、東京都の中の杉だけの話でございますが、これは極めて東京都がさほど大きな公的負担を行わずに推進できる花粉症の発生源対策、東京都として、行政として、初めて花粉を減らす取り組みにかかるということになるんじゃないかと思うんですが、東京都としての所見をお伺いします。

○有手産業労働局長 お話しの杉林を伐採をしまして、花粉の少ない杉に植えかえていくということは、花粉症の解決策の一つと考えております。
 ご提案の内容につきましては、どこまで公的な負担をすべきか、また森林所有者の意向はどうかなど、十分検討することも必要でございますし、さらに花粉の少ない杉品種の苗の確保とか、大量に伐採された後の木材の活用、伐採技術者の確保など検討すべき課題もあると認識しております。

○真木委員 まだまだ課題があることは私も承知をしております。しかしながら、大した経費を伴わずに、公金の支出を伴わずにできる具体的な、オール日本で初めての花粉を減らす取り組みとして高く評価できるんじゃないかなというぐあいに思っております。
 そして、それは単に花粉症対策ではなく、林業、今、二百人しか従事者がいなくなったというぐあいにいわれておりますけれども、林業対策になり、そしてさらには今、東京都は今年度で三億円、環境局は支出をしております。来年度は五億円の要求をしておりますが、森林対策、これにもつながっていくわけであります。今は環境局が切った木をそのまま倒しているという状況でございます。杉花粉対策になり、林業支援になり、そして森林管理になる、総合的施策としてぜひ検討いただきたいというぐあいに思います。
 いずれにいたしましても、まだまだ課題はあるわけでありますが、花粉の絶対量を減らすということに向けての東京都の決意を、これは東京都だけじゃできないことであります、首都圏全体で取り組まなければならないと思いますが、花粉の絶対量を減らすということに向けた東京都の決意を伺いたいと思います。

○有手産業労働局長 花粉症対策として杉花粉を少なくするためには、都を含めた首都圏全体の森林をシェアに入れた広域的な取り組みが必要であるということで、この点については真木理事と同感でございます。
 現在、花粉症対策も含めて東京都農林漁業振興対策審議会におきまして、二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業振興の方向についてご議論をいただいているところでございます。今後、審議会の最終答申を踏まえて、都として、花粉を少なくする方策について幅広い観点から検討してまいります。

○真木委員 林業審議会の答申にもぜひ盛り込んでいただきたい。そして、ぜひ東京都の施策として具体的な検討をお願いをしたいというぐあいにお願いを申し上げます。
 これこそ知事本部長、重点施策とすべきじゃないかと思ったりするわけですが、問いません。ぜひ重点施策としてよろしくお願いしたいと存じます。
 そして、続きまして、同じく環境局、そして先ほどの答弁、環境局がこれも中心となってということがございました。ぜひ環境局、取りまとめをしていただきまして、お願いをしたいと存じます。
 続きまして、ヒートアイランド対策であります。これも十三年度決算審議を通じまして、極めて不十分だといわざるを得ない状況にあることがわかりました。勝手なことをいわせていただきますと、来年度の予算要求を見まして、非常に心もとない、ヒートアイランド対策が、本当に東京プロブレムの一つ、最重要の一つだというぐあいに私は思っております。
 そうした中で、来年度予算を見ても、ヒートアイランド対策は心もとないわけでありますが、そこで提案をさせていただきたいと思います。
 まず、東京の暑さがどんなに暑いのか、クレージーであるのかということを、やはりオール東京都民で認識を共有するところから始めなければならないというぐあいに思います。このままほうっておけばもっともっと東京は暑くなるんだということも含めて、環境局からもらいました資料で、これ、私は二つの資料をちょっとあれしてましたので、環境局の裏づけがあるわけじゃありませんが、シンガポールの月間平均気温が一番高いのが五月で二十七・四度、ジャカルタでも一番高い平均月間気温が二十七・七度、別の資料で東京都の方の資料を見ますと、二〇〇二年七月が二十八・〇度、二〇〇一年でいいますと、七月が二十八・五度、平均気温はジャカルタやシンガポールよりも高いわけであります。このことを、まずオール東京都民で共有するということから始めなければなりません。
 そして、この数字はあくまでも学校の校庭にあります百葉箱での数字でありますけれども、東京の暑さというのは下からの照り返し、壁からの照り返し、そして人工的な排気熱、こうしたことで世界の中で間違いなく一番高い、暑いところではないのかというぐあいに私は思います。さらに、ネクタイを締めているところじゃ絶対に間違いなく高いわけです。
 そうしたことから、まず、環境局として、体感温度指数というような仮称でございますが、ネクタイを締めているとどれだけ高いのかとか、東京ではこの程度の暑さを、ジャカルタよりもシンガポールよりも本当に高いんだよ、高く感じているんだよということを、さらにそれにネクタイを締めて、さらにさらに高く感じているんだよというようなことがわかるような体感温度指数を東京都の研究でつくることを提案したいと思いますが、数千万円の委託費を設ければ簡単につくってくれるんじゃないかと思うんですが、いかがでありましょうか。

○小池環境局長 お話しの体感暑さ指数でございますが、この指標につきましては、現在さまざまな形で、体感暑さ指数そのものという形ではございませんが、いろいろと研究が行われていることは承知しております。ただ、現時点では一般的な指標と確立するまでには至っていないというのが現状でございます。
 体感温度を測定するためには、気温や湿度に加えまして、その地点での風速だとか、また照り返しの状況などさまざまな要素をいろいろと組み合わせて検討する必要がありますし、測定地点ごとに、また時刻によりましても指標が大きく変化する。さらには個人の感じ方によっても、また幅がある。こういうようなことで、客観的な指標として用いるにはなかなか課題も多いんではないか、こういうふうに認識しております。ただ、このように多くの課題はありますが、専門家の意見を聞きながら研究してまいりたいと思います。

○真木委員 私は都議会一年生でございまして、都議会用語がよくわかりません。都議会の研究というのはアッハハハというようなことも(笑声)聞くところでございますが、どうぞ日本語として、都議会方言でなく、研究は研究をしていただくということを強く期待申し上げたいと思います。私は環境局の大応援団のつもりでございます。ぜひ私の一方的な片思いの思いを踏みにじらないように、お願いを申し上げたいというぐあいに思います。
 ところで、続きまして、第三分科会の中におきましては、都市計画局の質疑もさせていただきました。その中で十三年度におきましても、屋外広告物が大きく動いております。そして、今年度におきまして、十月八日にはタクシーの車体広告につきまして審議会に諮問をしております。本当にどんどん東京都の屋外広告物規制、緩和の方向で動いております。
 その前提であります、まずタクシーの前の電車の車体利用広告についてお尋ねしますが、電車の車体利用広告について、山手線には車体を利用した広告がございますが、小田急線にはございません。なぜでしょうか。

○勝田都市計画局長 電車の車体利用広告についてでございますが、複数の都県、政令市をまたがる路線のものにつきましては、通過するすべての都県、政令市の条例上の基準に適合しなければならないとされております。山手線はご案内のとおり、都内の路線のみを走行する電車でございますので、東京都の条例の基準を満たしていれば広告を掲出することはできますが、小田急線は電車の広告掲出を認めていない川崎市を通過するというため、広告掲出ができないこととなっております。

○真木委員 都県境の問題の一つでございますが、電車においてはやはり他県、他市の広告規制を東京都の基準で土足で踏みにじってはならないという配慮をなされているわけであります。
 一方、今度タクシーの車体利用広告について検討を始めました。タクシーはどこにでも、どこへでも行きます。そうした中で、東京のタクシーが行くことが考えられるおよそ百キロ圏内、ゴルフにタクシーを使う方たくさんいらっしゃいます。七都県市を初めとします百キロ圏内の自動車に関する車体利用広告、多くは適用除外ということでございますが、実態についてお尋ねいたします。

○勝田都市計画局長 東京では、タクシーについてはこれから審議を進めるという段階でございまして、ご案内のとおりラッピングバスが既に走っている状況でございますが、お尋ねの自動車の車体利用広告についての七都県市及び百キロメートル圏内における県の規制状況でございますが、川崎市等を除いて他県登録の広告を掲出した車両の流入は認められております。

○真木委員 川崎市等を除いてということでございますが、私、きのう調べてもらいました。百キロ圏内には十一の県、政令市、広告の主体を持つ都市がありますが、十一分の三が適用除外の整備がない、川崎市、横浜市、山梨県において適用除外の整備がないわけであります。そういたしますと、もし東京都の基準で車体利用広告をしたタクシーが山梨へ行ってくれといわれたときには、乗車拒否をするのか、もしくは屋外広告物規制で摘発を受けるのか、どちらかになります。
 もう東京都は既に十月八日にタクシーの審議会を設けているわけでありますけれども、そうした審議会をつくる前に整備すべき課題がたくさんあるんじゃないかなというぐあいに思います。とりわけ先ほど都県境という問題がございましたが、今、知事本部の方で近隣県連携担当とかいうことで、ディーゼル車、また産業廃棄物、東京都が表に出過ぎないようにしながら、現場では物すごい苦労をされながら、七都県市の連携を図っていただいているところでございます。
 もし東京都がこのタクシー広告規制を強行すれば、東京都のために三つの議会において条例改正をやってもらわなければなりません。東京都のために何で条例を議会でやらなければいけないんだという声が当然出てくることだと思います。私は、そういった意味からしても、まだまだやるべきことがたくさんあるというぐあいに思う次第なんです。
 私は、そもそもはことしの二月一日のバス、タクシーの規制緩和、大幅な規制緩和で、私どもの町田市なんかでもバス路線、赤字路線はなくなるんじゃないかという懸念が出ております、いまだにあります。そのバス路線を何とかして確保していきたい。そして、規制緩和の中で、台数制限もなくなる中で、タクシーの運転手さんが物すごい労働条件の悪化に、不景気とともにこの規制緩和で苦しんでいる。そうした中でバス路線を守っていきたい。バスとタクシーの労働者の皆さんの生活を少しでも向上させていきたい、守っていきたいという気持ちで、本業以外の収益が上がるならば、それもいいだろうというつもりで、この屋外広告物規制、バス、タクシー、電車、私は規制緩和には基本的に今でも賛成であります。
 しかしながら、十月八日にタクシーの審議会ができた、前ぶれもなくぽっと出てきているわけでありますけれども、これにはまだまだやることがある。整備すべき課題がたくさんある。そのもう一つの事例として、多摩モノレールの事案があるかと思います。
 多摩モノレールにおきましては、普通は銀色のボディーにオレンジのラインがある多摩モノレールであります。しかしながら、バラのマークの何とかというような会社とかだけが、突然、その車体広告をしている車両だけが、真っ白なボディーが走りまして、真っ白なボディーだけの電車というのはないですから、そこに文字だけ赤い、バラのマークと赤い文字があって、そのバラのマークと文字だけが一〇%未満だから、十分の一で合法であるというようなことでございますが、こうしたものは、そもそも東京都は車体利用十分の一という規制の中で、電車の車体利用十分の一でございますが、そういった一面白地で、全面がそのまま、車体全部が一面企業広告イメージというようなものは想定していたのか。そして、これは認めたのかどうか、確認したいと思います。

○勝田都市計画局長 条例による電車の車体利用広告の面積基準につきましては、車体各面の十分の一以下でございまして、多摩都市モノレールの車体利用広告はこれらの基準に適合しておりますので、許可をしております。
 なお、今ご指摘ありました車体の地の色については、広告物ではございませんので、そのような取り扱いとしております。
 ちなみに、参考でございますが、今ご指摘あった白い車体については、経費が七百万円かかっておりまして、シートを張っておりますが、これについては多摩都市モノレールが負担しているということでございます。

○真木委員 全く聞いていない、そんなことは。それは全然関係ない話です。
 ルールを守らなければ、こういった想定しないことに関して、新たな東京都としての取り組みとかがなければ、一体どうなるのかというぐあいに思うんですね。タクシーで認めた場合、こういった抜け道は幾らでもある。それをタクシーで認めていった場合、これからめちゃくちゃなことになるんじゃないかなという懸念があるわけであります。
 私は、一部の人がルールを守って、一部の人が守らず挙行するというのは大嫌いです。多摩モノレールでそういうのを認めるんなら、山手線でマイルドセブン、キャビン、真っ赤なボディーにキャビンとだけかいてある、これを認めなければおかしいと思うんですね。それを認めるんだったら、僕は何も文句いわないわけでありますが、こういったところで不公正がある中で、次のステップへ進むというのは果たしていかがなものか、次のステップへ進めない、守るべきルールを遵守する体制をつくってからにしていただきたいということを、強く要望しておきたいと思います。
 最後から二問目です。すいすいプランについてお尋ねをいたします。
 第三分科会に所属をしていた議員がおります。全会派の議員から、多摩のすいすいプラン一〇〇交差点右折待機事業、すばらしいという声が出ました。しかしながら、現在百カ所あるうち五十二カ所、すいすいプラン一〇〇でございますが、五十二カ所はもう完成し、四十八カ所についてももう既に事業に着手しているということでございます。
 多くの都民から、ほとんどの都民から高く評価されているこのすいすいプラン一〇〇、もう次の計画を練らなければ、すいすいプラン一〇〇ツーを練らなければ、事業の継続はできないと思うんですが、建設局長の決意を伺います。

○小峰建設局長 交差点すいすいプラン一〇〇事業は、比較的少ない経費で大きな効果を早期に発現できるもので、交通渋滞の緩和、交通事故の防止、排出ガスの減少による環境改善などの効果がございます。このため多摩地域を中心に百カ所の交差点を選定し、右折レーンの設置等を進めております。平成十三年度末までに五十二カ所が完成しております。
 今後とも地元市や関係住民の理解と協力を得て、まずは残りの事業箇所四十八カ所の完成に向け努力してまいります。

○真木委員 ただいま建設局長のまずは残された部分を建設し、完成していくという力強い決意、すいすいプラン一〇〇ツーに向けた決意だと受けとめさせていただきたいと思います。
 どうぞ財務局長、全会派からも高い評価を得ているということをご理解いただきたいと思います。
 最後に、一年生議員でございます。初めての決算委員会を経験させていただいての感想的なことを踏まえて、出納長にお伺いしたいと思います。
 今の決算書を見ますと、予算の執行率が低いものが問題となってしまいます。このまま今のような決算書では、どれだけ予定されていた事業が執行されて、そして予算の執行率がどれだけかというのがわかりません。低いと問題になってしまうがために、各部におきましては何とか一〇〇%に近づけようということになってしまいます。十キロ予定していた道路が、十キロ完成して、そして予算の執行率が九五なのか、十キロ予定していたのが八キロしかできないのか、そして予算の執行率が一〇〇%なのか、これはいけないわけですね。一方で十キロ予定どおり完成をし、工夫を重ねて八九%の執行率であった、こういうことであれば褒められなければならないわけであります。
 予算の執行率を表記するよりかは、むしろ節約率が問われなければならないわけでありますし、この決算書にできればもう一つの欄を設けて、予算の執行率だけじゃなくて事業の執行率、五カ所予定していた福祉施設を四カ所しかできなかったけど、一〇〇%予算を執行しちゃったのか、四カ所だったから予算の執行率も八〇%ですよとするのか、そこら辺のところ、もう一工夫をいただきたいということを要望したいと思います。

○桜井委員長 質問……。

○真木委員 質問です。

○大塚出納長 ご質問ですね。ご案内のとおり、決算というのは一会計年度の歳入歳出予算の執行の結果の実績を表示するために照査される計数表であります。行政評価のように各事業について、その実質的な達成率等さまざまな観点から評価を行うものとは、いわば制度を異にしているということであります。しかし、それはそれとして、最少の費用で最大の効果を上げる、これはいわば行政運営の大原則でありまして、節約率というお話がありましたけれども、その執行率を例にとっての事業執行に当たっての大切な問題意識からのご提案と基本的には受けとめたいと考えています。
 これまでの議会や都民に対しては、予算の執行率だけによらない総合的な事業評価をしていただけるよう、各局の決算説明書、あるいは主要施策の成果等の資料を作成する等、いろいろと工夫はしてきているわけであります。主要事業についての行政評価を含め、事業を総合的に評価するためのこうしたさまざまな取り組みをより一層進めるとともに、出納長室としてはよりわかりやすく、より評価しやすい決算説明を行うよう努めております。

○桜井委員長 真木理事の発言は終わりました。
 執印真智子委員の発言を許します。

○執印委員 それでは、平成十三年度各会計決算について通告に従って質問いたします。
 初めに、都市農業について伺います。
 本年七月に都内産キュウリから三十年も前に使用、販売が禁止された有機塩素系農薬が検出されたとして大きな波紋がありましたが、さかのぼれば既に十三年度実施の調査から同様の農薬が検出されていたといいます。
 東京都においては、国産及び輸入野菜、特に都内産の野菜の残留農薬について毎年健康局が行っているということですが、検査方法及び実施状況、また、十三年度の農産物流通及び情報提供などを行うに当たり、関係局との連携がどのように図られたのか、伺います。

○長尾健康局長 健康局では、昭和六十三年度から国産及び輸入野菜の残留農薬検査を実施し、その結果を公表しております。平成十一年度からは、都内産の農産物約五十検体についての検査を実施しており、平成十三年度にはキュウリ七検体中一検体から基準を超える有機塩素系殺虫剤ディルドリンを検出いたしました。そのため、今年度はキュウリの収穫時期に合わせまして、当該地域において重点的に調査を実施し、再び一部の検体から同じ農薬を検出いたしました。
 健康局では、これらの結果について直ちに産業労働局に情報提供しており、産業労働局におきましては、生産者に対する調査指導を実施しております。

○執印委員 ことしは収穫時期ということなので、平成十三年度、ちょっとその時期がもしやずれていたのかなとも思うわけですが、今回残留農薬が検出されたことを受けまして、当該の生産者は自主的に出荷を停止をして、農業協同組合などから、土壌調査の実施など地場野菜の安全確保について対策を求める要望が上がっているというふうに伺っております。
 九月の報告によれば、産業労働局では改めて農業協同組合と協力をして、キュウリ約三百検体の残留農薬調査を行って、三・九%に当たる十一検体から基準値を超えた当該農薬が検出されているということです。
 さらに、拡大調査として、都内全域にわたり八百カ所の土壌採取を行い、現在、都農業試験場で調査分析中ということが分科会の中で示されたようですが、取り組みの状況について詳細を伺います。

○有手産業労働局長 都内全域を対象といたしました土壌の残留農薬調査は、お話しのように、農業協同組合の協力を得まして、これまで約八百カ所の土壌の採取を終了いたしまして、現在、農業試験場及び肥飼料検査センターで分析を進めているところでございます。分析は、来年の一月末を目途に終了する予定でございます。

○執印委員 土壌調査分析については、大変少ない職員でなさっているということを伺っておりますし、関係職員の皆さんのご努力に敬意を表します。
 その上で、今後の対応について意見を申し上げますが、農薬毒性事典というものによりますと、今回検出されたディルドリンに関しては、キュウリには残留基準があるけれども、カブにはディルドリンの残留基準がないため、高濃度で残留していても回収措置はとられないということだそうです。今回の八百カ所の土壌採取の結果を受けつつ、検査品目をふやしていただくことと、その結果、キュウリ以外の作物からも高濃度で検出されるようなことがあるならば、都独自の回収基準や回収措置をとられるなどの検討をお願いいたします。
 次に、この有機塩素系の農薬が使用、販売禁止された一九七〇年前後には無害化処理する方法がなかったとはいえ、国の指導により当時相当量が埋設処分されたというふうに伺っております。東京都も実態調査をされているというふうに思うんですが、その結果はいかがだったでしょうか。

○有手産業労働局長 国は、過去に残留性などに問題があって、埋設処理した有機塩素系農薬につきまして、今後計画的かつ適正に処理をしていくために昨年、実態調査を行ったところでございます。
 都内におきましては、区市町村、製造業者及び農業協同組合へ照会いたしましたところ、埋設処理した実態はございませんでした。

○執印委員 埋設処理の実態はなかったということで、とりあえず安心かと思いますが、今のお話を伺いますと、現在、有機塩素農薬など有毒性により使用禁止になった農薬の回収システム、それからチェックシステムというのはどうなっているのか。三十年前のものについては、どうも不十分だったのかなという気がするわけですが、回収システムとチェックシステムについてお伺いいたします。

○有手産業労働局長 国により販売が禁止され、回収が必要となった農薬につきましては、農薬取締法によりまして、製造販売業者が回収に努めることになっております。また、同法によりまして、国は製造販売業者に、また東京都は販売業者に立ち入り、関係書類等の検査をすることができる、このような形で農薬の回収、チェックシステムができ上がってございます。

○執印委員 今、使用禁止になったものについては伺ったわけですが、使用禁止のものと、それから登録が、三年ごとだそうですけれども、失効したもの、それから購入者の手元で期限が切れたもの、いろいろな農薬があるというふうに思うんですが、期限切れ農薬については購入者の責任というのが大きいかと思いますが、使用禁止や失効農薬については後世に影響を残さない処理が今後必要だというふうに思います。
 現在分析中の土壌調査の結果も待たなければならないと思いますが、原因の究明は徹底的に行うべきですし、処理方法や周辺環境への影響についても責任を明確にしておくべきだというふうに思います。
 今回の拡大の土壌調査以降、今後どのような取り組みが検討されているのか。それから東京都から国へ農薬の回収システム等の徹底も含めて働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○有手産業労働局長 都といたしましては、今後、生産現場での土壌や作物における残留農薬調査を徹底するなど、食の安全の確保に全力を挙げていきたいと考えております。
 また、回収される農薬につきましては、区市町村農業協同組合や各農家に対し周知を図ることはもちろん、回収漏れがないように徹底して指導してまいります。
 さらに、国に対しまして、製造販売業者が責任を持って回収するシステムの構築を強く働きかけてまいります。

○執印委員 このディルドリンについては、日本で農薬として使用禁止になった後、八〇年まではシロアリ駆除剤として輸入されたということですし、また、輸入食品に関してはゴマとか大豆、落花生については残留基準値がないため、販売禁止ができないというようなこともあるようですので、現状での農薬と作物の残留基準の関係は非常に複雑になっておりますが、最終的にはきちんとしていかないと、都民の健康とそれから都市農業者への信頼にかかわることですので、健康局、産業労働局が中心になって全庁的な取り組みをしていただくことをお願いして、次の質問に移ります。
 次に、入札及び契約について伺います。
 昨年の公営企業会計の決算において落札率の公表と落札率の明記を提案をし、前向きの回答を得ました。現在、十三年度からの取り組みがあったことと思いますが、財務局が集約をしつつ全局の取り組みになったというふうに聞いておりますので、落札率公表についての取り組み状況と評価を伺います。

○田原財務局長 入札に関する情報につきましては、従来から入札後に入札者、予定価格、落札金額等記載しました入札経過調書といっておりますが、これを作成いたしまして、各契約部署ごとにおいて閲覧をしてきました。ことしの四月からは、現在開発を進めております電子調達システムの一つとして、入札情報サービスシステムを本格稼働させまして、当面一部の局を除いてございますけれども、他の入札契約情報とあわせて入札経過調書も東京都のホームページ上に記載しまして、情報の一元的な提供を始めております。
 このホームページでは、従来からの閲覧事項のほかに、ご質問の落札率、これにつきましても表示をすることといたしまして、一層の利便向上を図っているところであります。

○執印委員 公正で透明な入札と契約を目指して、そのチェックの手段ともなる落札率の情報提供については評価をいたしますが、一方で、現実として公営企業関係がおくれているので、ぜひ急いでいただきたいというふうに思います。
 こうした入札にかかわる情報公開、そして情報提供は、都民の参加意識や関心を高めていくために、可能な限り利便性を高める必要があります。例えば、ホームページに局別、業種別、土木工事ですとか電気工事、空調工事などの業種別の落札率について一覧で検索できるような、都民が分析しやすい形での情報提供を今後工夫したらいかがかと思いますが、ご見解をお伺いいたします。

○田原財務局長 先ほど申し上げましたとおり、ことしの四月から入札契約適正化法の趣旨を踏まえまして、すべての工事入札案件の予定価格を事前公表いたしまして、入札結果をホームページに掲載をしております。他の公共団体に先駆けた取り組みを進めていると思っております。
 お尋ねの局別、業種別の落札率につきましては、入札情報サービスシステムが稼働したばかりでありますので、当面は現行システムの適切な運営に努めてまいりたいと考えております。

○執印委員 よろしくお願いします。
 次に、入札契約の適正化による節税が必要だというふうに考えますが、それと同時に公共事業の発注が社会環境整備につながるものでなければならないというふうに思います。国土交通省では、経営事項審査について現行の売り上げ重視から、収益などの経営の質を重視することを検討しております。
 その経営事項審査の項目の中に社会性という項目がございまして、これに関して環境、子ども、女性、福祉など社会環境整備を誘導するため、また新たにISOの取得状況、男女平等参画促進状況、障害者雇用の達成状況等を加えるべきだというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○勝田都市計画局長 お尋ねの経営事項審査の社会性等の審査項目は、建設業法に基づきまして、退職金共済制度加入の有無や業務災害の有無等を国土交通省が告示しております。経営事項審査の項目見直しは、国土交通省において行われるものでございますが、ISO認証取得状況を社会性等の審査項目に追加するかどうかについては、現在検討がなされていると聞いております。

○執印委員 国や自治体が行政サービスを提供するために、民間企業と結んでいる契約総額は約六十五兆円だそうですので、国の審査項目への追加は大きな影響があるというふうに思われます。
 次に、東京都の財務局では、今答弁のあった経営事項審査を経た業者について、これまでの最高工事高などの基準でランクづけをしているというふうに伺っております。こうした競争入札参加資格のランクづけについても、評価の基準として障害者雇用、男女平等などの社会的な基準について入れていくべきと考えますが、現状と今後について伺います。

○田原財務局長 身体障害者の雇用状況の反映につきましては、物品調達等の指名競争入札の実施に当たりまして、身体障害者を多数雇用している企業を優先的に指名できる取り扱いを指名基準に定めてあります。
 男女共同参加の促進に関する取り組みにつきましては、現時点では資格審査の審査項目とするのに十分な客観的な評価基準が確立をされておりません。このため、競争入札参加資格の審査項目とすることは困難でございます。
 また、ISOの取得につきましては、公共工事の施行、物品の調達等における品質の向上、それから環境への配慮といった観点から、平成十二年度の資格審査より格付に反映をさせております。

○執印委員 現在、男女共同参画については審査項目に入れるのは困難ということでしたが、例えば女性管理職の割合やパート労働への対応、またはセクシュアルハラスメント対策への取り組みなどが、先ほどの経営事項審査にも入るように働きかけていただきたいと思いますし、今後、都の格付にも反映されるよう他局と連携しながら、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 さて、次に、現在、社会的分野で公共性を担うNPOの活動が期待されております。昨年、しかし、残念ながら緊急地域雇用特別基金事業の例では、国が、NPOが事業委託の対象として上げていたにもかかわらず、昨年度の実績では都としては一団体のみでした。産業労働局では、昨年度、産業活性化に向けた企業とNPOの協働に関する調査を実施しておりますが、どのようなものであったのでしょうか。

○有手産業労働局長 昨年度実施しました調査では、NPO法人と企業を対象に相互連携の実態などについてのアンケートやヒアリングなどを行いました。それによりますと、NPO法人の八割近くが企業との連携に前向きであること、七割近くが収益事業を実施していること、また現在連携協力関係にある企業で、今後その連携を解消しようとする企業は皆無であることなどが明らかとなりました。
 これらのことから、NPO法人には産業活動の担い手として、また産業活動を支援する主体として、産業の活性化に一定の役割を果たすことが期待されている。そしてまた、今後、企業や行政との協働の推進が重要である。このような調査内容になってございます。

○執印委員 NPOの活動は、社会的な分野での貢献のみならず、産業の活性化にも貢献するということですから、今後はNPOが積極的な活動を展開できるよう条件を整備することが必要だというふうに思います。
 さらに、節税や税の有効利用が必要でございますので、監理団体を含めた都の財政状況の把握が不可欠であるというふうに思います。この点でバランスシートの活用は重要です。例えば、連結決算の充実など今後さらに実態を反映させるようなバランスシートの作成が課題の一つというふうに考えますので、監理団体の現状と今後の方向性について伺います。
 またさらに、右肩上がりの税収が見込めない時代でありますし、少子高齢化がさらに進む中で施策を厳しく精査し、政策選択をする時代です。
 今の決算の資料をいろいろ出していただきましたけれども、バランスシートとあわせて決算の資料を充実することが必要だというふうに考えますが、現状では財務局作成の予算書と各局決算説明書に微妙なずれがあることや、出納長室作成の決算明細書にも、各局の決算明細書にも、個別事業については当初予算の明記がなく、示されている執行率は予算現額に対するものとなっており、流用や補正の内容が見えにくいものとなっております。このあたりに関して工夫をお願いし、都民が見てわかりやすい決算資料の作成を東京都全体で取り組む必要があると思いますが、バランスシートとあわせてご見解を伺います。

○赤星総務局長 各団体におきますバランスシートのお尋ねでございますけれども、その設立形態に応じました会計基準を適用しまして、財務諸表を整備してございます。今後とも各団体の自主性、自律性を尊重しながら、都におきますバランスシートの作成動向などに留意してまいります。

○大塚出納長 わかりやすい決算資料の作成の取り組みについてでございますけれども、いろいろと工夫はしてきておりますけれども、この現状、必ずしもこれで十分とは考えておりません。今後とも議会等に対して、よりわかりやすい決算説明を行うよう、各局を指導してまいります。

○桜井委員長 執印委員の発言は終わりました。
 以上で本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○桜井委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十八日の午後零時四十五分から理事会を、また、午後一時から委員会を、本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時十八分散会

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