各会計決算特別委員会第二分科会速記録第六号

平成十四年十月二十五日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時三分開議
 出席委員 十名
委員長坂口こうじ君
副委員長大山とも子君
副委員長古賀 俊昭君
谷村 孝彦君
矢島 千秋君
執印真智子君
服部ゆくお君
中嶋 義雄君
福島 寿一君
真鍋よしゆき君

欠席委員 なし

 出席説明員
生活文化局局長三宅 広人君
総務部長嶋津 隆文君
広報広聴部長佐藤  広君
都政情報担当部長二ノ宮 博君
文化振興部長荒川  満君
都民協働部長中島 建夫君
交通安全対策担当部長脇  憲一君
心の東京革命推進担当部長島田幸太郎君
私学部長中澤 正明君
消費生活部長高田 茂穗君
参事金子 良江君
参事保持眞二郎君
大学管理本部本部長鎌形 満征君
管理部長飯塚 宏子君
調整担当部長久保  大君
改革推進担当部長菊地 輝雄君
参事清水 克則君

本日の会議に付した事件
 平成十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  生活文化局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  大学管理本部関係
  ・一般会計決算(質疑)

○坂口委員長 それでは、ただいまから平成十三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 本日は、生活文化局及び大学管理本部関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより生活文化局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都一般会計決算中、生活文化局所管分を議題といたします。
 本件につきましては既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○嶋津総務部長 去る十月八日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元配布の十三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんいただきたいと思います。資料は九つでございます。目次にございますように、1の科目別予算、決算の推移から9の私立学校経常費補助の予算、決算の推移まででございます。
 では、一ページをお開きいただきたいと思います。科目別予算、決算の推移でございます。
 生活文化局の所管でございます生活文化費、女性青少年費、消費生活対策費並びに消費生活センター費の平成九年度から十三年度までの予算、決算額の推移及び一般会計に占める割合並びに不用額、執行率の状況を記してございます。
 二ページをお開きいただきたいと思います。東京都消費生活総合センターの相談件数の推移と特徴でございます。
 平成九年度から十三年度までの消費生活総合センターの相談件数の推移と、前年度対比で顕著に増加した相談事項を特徴欄に記載してございます。
 三ページをお願いいたします。東京ウィメンズプラザの利用状況でございます。
 平成十一年度から十三年度までの来館者数及び施設貸出利用件数と利用率、相談事業相談数、図書資料室の利用者数、それから講座、研修事業参加者数の推移を記してございます。
 四ページをお願いいたします。私立学校経常費補助各割単価の推移でございます。
 平成八年度から十三年度までの過去六年間につきまして、各学校区分ごとの各割単価の推移を記してございます。
 五ページをお願いいたします。東京都育英資金一般貸付の予算、決算及び規模の推移でございます。
 過去五年、平成九年度から十三年度まででございまして、(1)に予算現額及び決算額の推移を記載してございます。また、(2)といたしまして、表側の区分ごとに、貸付人数の実績の推移を記載してございます。
 六ページをお願いいたします。平成十三年度の決算区分別執行状況でございます。
 十三年度の決算の執行率八〇%未満の事業につきまして、各区分ごとに、予算現額、支出済額、不用額、執行率及び主な理由並びに平成十四年度予算額を記載してございます。
 七ページをお願いいたします。東京都消費生活条例第八条に基づく申し出制度の運用状況でございます。
 平成九年度から十三年度までの消費生活条例に基づく申し出内容と措置内容をそれぞれ記してございます。
 続きまして、八ページをお願いいたします。平成十三年度、心の東京革命推進事業の主な実績でございます。
 生活文化局の執行分の心の東京革命推進事業の実績及び歳出額を記載してございます。
 九ページをお願いいたします。最後でございますが、私立学校経常費補助の予算、決算の推移でございます。
 平成九年度から平成十三年度までの過去五年間につきまして、表側の区分ごとに、予算及び決算額の推移を記載してございます。
 以上、簡単ではございますが、要求資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○真鍋委員 私は、この生活文化局の十三年度決算の審査に当たりまして、民間活力の導入という視点から、十三年度、局においてはいろいろな動きがされておりますが、そのことを検証していきながら、これからにつなげてもらいたいと思いまして、質問をさせてもらいます。
 まず、人の問題なんですけれども、行政のいろいろな業務をする中で、特にサービス、窓口業務というところは、シーズンによっては忙しい、そうじゃないときは余り忙しくない。人が多くいるのがいいのか、少なくいるのがいいのか、なかなか定員を決めるというのは難しいことがあります。その中で、民間委託はどうなんだ、こういう議論がよくあります。特に、この局の所管であります旅券の業務につきまして、夜間業務の委託に始まって、十三年度に全面的委託という画期的な動きがありました。この機会をかりまして、このことをもう一度確認していきたいと思います。
 この旅券業務について、どういう中身をいつ民間委託にしていったのか、その経緯をまずお尋ねします。

○中島都民協働部長 旅券業務の民間委託についてでございますけれども、平成十年九月、作成した旅券をお渡しする交付業務につきまして、夜間の時間帯の業務を民間に委託しております。平成十三年四月には、申請及び交付の窓口業務につきまして、夜間の時間帯を含め、すべて民間に委託を行っております。また、同じく平成十三年四月に、電話による問い合わせにつきまして、新宿、有楽町、池袋、立川の四カ所の旅券事務所での対応を一元化いたしまして、電話案内業務として民間委託したところでございます。

○真鍋委員 中身については、今ご説明を受けた内容だということですけれども、これまで都がやっていた場合に、大変長蛇の列ができていたり、大変待たされたなんという声をいろいろ聞いていたんですが、委託をすることによって、いろいろな点で改善されたと思います。今その経過をご説明いただいたんですけれども、具体的な民間委託のねらい、導入の目的といいますか、こういう成果が得られるんだというねらいがあったと思うんですが、それを確認したいと思います。

○中島都民協働部長 旅券の申請など窓口業務につきましては、委員が今おっしゃられたように、申請者の増加により待ち時間が長くなっているという状況がございました。このため、窓口業務は民間に委託し、申請者が多い夏ですとか冬の時期と、それ以外の時期といったような、業務の繁忙期と閑散期に応じまして柔軟に人員配置を行い、待ち時間を短縮してサービスの向上を図っていきたいということでございました。
 また、問い合わせの電話が大変多くございましたので、話し中でつながりにくい、そういう状況もございました。そこで、四カ所の旅券事務所でそれぞれやっていました電話対応を一元化いたしまして、委託化し、サービスの向上を図るとしたものでございます。

○真鍋委員 今ご答弁がありましたとおり、確かにそういう忙しいシーズンと、そうじゃないところに、民間委託することによって柔軟な対応ができていると思うんです。
 それで、これを実際に実行してみて、結構いろいろな形でプラス要素があったと思うし、特に、これまでは役所の方がそこに配置されていたんですけれども、人員の減少というか、行政改革というか、またほかの分野で仕事をしてもらう。この分野では正式職員の数を減らすことができたと思うんです。そういうふうに、仕事の中身としての評価、また、それによって具体的にどういう改革ができたのかという中身、このことについて東京都はどのように評価されているのか、お尋ねします。

○中島都民協働部長 旅券の窓口業務につきましては、これまで、申請、交付時間の延長、それから日曜日の交付など、サービスの向上ということで見直しを図ってきたわけでございますが、業務の民間委託につきましても、この見直しの一環として実施してきたものでございます。窓口では、申請者が多い時期とそれ以外の時期に、柔軟に対応して人員配置を行ってきたわけでございますが、その結果、待ち時間が大幅に短縮され、円滑な旅券の受け付けが可能になったというふうに考えております。電話による問い合わせにつきましても、話し中でつながらないといったことがほとんどなくなってまいりまして、迅速に対応できるようになったということでございます。
 一方、今、委員のお話にございました旅券課全体の職員定数でございますけれども、窓口業務の全面委託を開始いたしました平成十三年度には、前年度、十二年度の六十二名から四十三名へと、十九名の減員となってございます。

○真鍋委員 民間活力の導入ということで、この旅券業務は大変有効であったと思います。こういう試みというか、こういう具体化というのは大変大事なことだと思いますから、まだまだいろいろな分野でこのことは導入を図れると思いますので、より一層検討していただいて、実行してもらいたいと思います。
 それから、今度は施設の活用の面なんですけれども、小笠原伯爵邸ですね。東京都が持っておられる旧小笠原邸があります。ここはこの局で所管していたと聞いているんですけれども、民間にこれを貸し出して、ことしの六月にレストランとしてオープンして、大変人気を博していると聞いているわけです。この活用のことについて、追って確認をしていきたいんですけれども、この施設は都の施設でありまして、今申し上げましたが、生活文化局の所管であるというのか、あったとお聞きしていますけれども、これまではどういう活用だったのか、それをお尋ねしたいと思います。

○荒川文化振興部長 今お話しの旧小笠原邸でございますけれども、これは新宿の河田町に昭和二年に、小倉藩の藩主の小笠原長幹伯爵邸として建てられたものでございます。この小笠原邸が都の建物になりましたのは、昭和二十七年に法務省から買い上げたものでございます。
 その後の経緯を申し上げまして、今のご答弁にかえたいと思いますが、昭和二十八年から五十年までは民生局、今の福祉局でございますけれども、そこの中央児童相談所ということで使用されてまいりました。昭和五十年に、中央児童相談所が現在の戸山町の方に移転しましたので、その跡地にといいますか、この小笠原邸を壊して、別の福祉施設を建てるという計画があったんですが、その決定をしたんですけれども、その後、都民の方から、この建物を保存してほしいという要望が出まして、この要望を受けまして、取り壊すことをやめまして保存するということになりまして、平成三年、生活文化局の所管となりまして、歴史的建造物を所管する当局の所管となったところでございます。
 その後、建物の修復工事ですとか活用のための調査を生活文化局の方で行いまして、平成七年には、保存活用検討委員会というものを局内に設置して、この建物を生かしながら保存、活用する方策を検討してきたところでございます。

○真鍋委員 経緯がわかりました。
 そこで、この旧小笠原邸を保存しようということになったわけですけれども、老朽化もしているでしょうし、修復もしなきゃならない。その中で、税金でやっていくのか。最初、冒頭申しましたけれども、結果的には、ここは民間に貸して、そこが整備するというような結論になったわけです。今回のそういう修復に至った経緯が、そういうことだと思うんですが、どうしてこういうふうになったのか、説明をしてもらいたいと思います。

○荒川文化振興部長 先ほどの答弁の中で、保存活用検討委員会を局内に設置したと申し上げましたけれども、その検討結果を申し上げますと、当初の考えなんですけれども、東京都が直接修復工事を行うという結論でございました。しかしながら、その後、バブルの崩壊などがございまして、東京都の財政状況が非常に悪くなったということから、東京都が直接修復工事を行って活用するということは困難になりましたので、もう一つの方法として、東京都の経費を使わずに、民間事業者を活用して、この建物を修復、保存する方法はないかということを、当時の生文局内で検討いたしまして、関係局とも協議をして、その方法をとることとしたものでございます。
 実際の修復に当たりましては、条件をつけて民間事業者を公募したわけでございます。その条件としましては、民間事業者が自己の経費で修復工事を行うこと、それから、都民の財産でございますので、建物の都民公開を行うこと、あるいは、その建物が文化的価値がございますので、そういう価値にふさわしい事業を行う、こういったような条件を付しまして、平成十二年の九月に民間事業者を公募しまして、翌年の二月に現在の事業者を決定したものでございます。

○真鍋委員 経緯はよくわかりました。国も、PFI、民間資金であるとか、いわゆる公共事業に民間の資金、ノウハウが導入されるような法律ができてきたり、世の中の流れというのはそういう動きになっています。今回のこの小笠原邸の今の経過も、なるほどなと思うわけです。そこで、民間の資金でこれを修復して、現在に至っているわけですけれども、この民間資金の活用の中身、具体的にどこが事業をして、どういうふうな契約になっているのか等、その中身について説明を求めます。

○荒川文化振興部長 この小笠原邸の建物につきましては、東京都と民間事業者との間で、十三年の二月から平成二十五年の三月までの約十二年間を契約期間といたします定期建物賃貸借契約という契約を結びました。
 具体的な資金のスキームとしましては、旧小笠原邸の修復工事に係る費用は、約五億円かかります。この五億円というのは事業者に負担してもらうということで、都費は一切使わない。さらに、建物の賃借料について、都は民間事業者の方から十二年間、月五万二千五百円でございますけれども、これをむしろ支払っていただいて、都の収入とするということでございます。こういったような形で効率よくこの建物を修復して活用していくということでございます。

○真鍋委員 本当に一つの方法であったと思います。財政状況が厳しい中、しかし、価値のある都の所有物、これは都民の財産ですけれども、それが老朽化したまま放置されるということを何とか阻止して、五億円をかけて、すばらしい建物によみがえらせたということで、それを民間の資金でやったと。大事なところは、先ほどのご答弁の中でも、都民に広く開かれている、オープンである。そういうことによって、これは、都民の財産としての活用というものも担保されていると思います。
 一つこの小笠原邸の例を見ましても、こういう手法はまだまだ考えられるし、行政をいかにスリムにしていくのか、税金をいかに効率的に使っていくのか、これがテーマであります。そういうことで、この局の所管の中でも、こういう歴史的価値の高い建物がまだありますし、そういう中身としては、例えば東京都美術館、現代美術館、庭園美術館等々も所管されているわけですけれども、そうした施設の建てかえもあるでしょう。これからどうしていくのかという部分で、この小笠原邸の一つの事例というものが参考になるんじゃないか。ぜひともその辺を検討してもらい、いかにそういう民間のノウハウというか、資金というか、活力を生かしていくのかということをぜひとも考えていってもらいたいと思いますが、見解はいかがでしょうか。

○荒川文化振興部長 東京の町を見ますと、いろいろな文化財ですとか歴史的価値のある建物がございまして、そうした建物を保存、活用していくことは、東京の文化的魅力を向上したり、あるいは観光資源として活用していくことで、非常に重要だというふうに考えております。こうした建物を保存、活用するために、今回やったように、都と民間事業者とが協力していくという方策は、今後財政が余り伸びないということを考えますと、これからの時代にあっては有効であるというふうに考えております。
 ただ、行政側の財産制度上の問題ですとか、あるいは民間事業者の事業採算上の問題などのケースによりましては、幾つか制約条件を克服していかなくちゃならないということがございますけれども、他の都立の文化施設等の改善ですとか、建てかえですとか、あるいは活用を行っていく場合には、今回のような都と民間事業者とが協力していく方策について有効でございますので、検討していきたいというふうに思っております。

○真鍋委員 今、窓口業務、そして都の貴重な財産等の民間活力の導入という話をしてきたんですけれども、同じような形で、民間の施設の活用という部分で、私立幼稚園というものがあります。これは、区によっても市によっても、これまでの歴史が違いますから、一概にいえませんが、多くの流れ、例えば私の地元であります世田谷区なんかは、もともと公立の幼稚園はありませんでした。私立の幼稚園だけがありまして、子どもさんがふえた。区長さんとか部長さんとかが一生懸命いろいろなお寺さんへ行ったり、いろいろなところへ行って、幼稚園経営してくださいよということで、何とか寺幼稚園とか、そういうのがいっぱいできまして、かつて八十二まで、世田谷区の話ですが、私立幼稚園はふえました。その後、それでも足らないということで、区立幼稚園をつくりました。十数園つくりました。それから今度は子どもさんが減りまして、私立幼稚園はどんどんなくなりましたね。今、八十二あった幼稚園が五十八になっていると思います。ことしは園児の募集が五十七とかも聞いているんですけれどもね。しかし、一方、区立の幼稚園はまだ十数園残っているんですね。私、これを都議会の一般質問でも取り上げたことがありまして、役割分担しましょうよと。先ほどいってきた、この流れであります、税金の効率的な有効な活用、これは私は図るべきだと本当に思います。
 この私立幼稚園の保護者の方に補助金を出しているわけですけれども、かつて平成七年に検討して、八年から所得制限が導入されました。八百三十万円を一つの線にやって、一年ごとに、七百九十万、七百三十万というふうに所得制限を厳しくしていったわけです。こういうふうになった中で、さりとて、それぞれの身近な自治体はそういうわけにもいかないということで、今に至っているわけであります。それからまた、十三年度で見ますと、この所得制限の中でも、また中身をもう少し細分化して、補助の状況が変わっているんです。
 そういうことで、このことをこれからずっとお尋ねしていきたいんですけれども、まず最初の質問は、昭和四十七年に保護者補助の事業を開始したわけですけれども、どういう見直しを行っていったのか、まずそこを整理したいと思いますので、お答えいただきたいと思います。

○中澤私学部長 ご質問の、私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助事業と申します長い名前でございますが。これにつきましては、平成七年度と平成十三年度にそれぞれ見直しを行いまして、翌年度から実施したところでございます。
 平成七年度の見直しでは、私立幼稚園に対する経常費補助等の充実とあわせて、ご指摘のありましたような所得制限の導入のほかに、生活保護世帯等に対する補助額を増額するなど、保護者の所得状況に応じた補助制度としたというものでございます。
 次に、平成十三年度の見直しでございますが、対象となります園児保護者の所得制限の上限額はこれまでどおり同額といたしまして、生活保護世帯からおおむね年収三百六十万円以下の世帯までの所得階層と、私立幼稚園等に同時に就園している第二子以降の幼児を持つ保護者の方につきましては、現行の補助水準を維持するとしつつ、おおむね年収三百六十万円を超える世帯を対象として、所得の階層に応じた負担の適正化を図る観点から見直しを行っております。
 また、この見直しにあわせまして、厳しい都財政の中で都民の新たな保育ニーズにこたえた施策として、平成十四年度から、私立幼稚園預かり保育推進補助事業開始をいたしまして、その充実を図ったものでございます。

○真鍋委員 十三年度にまた一つの大きな変化があったと思います。預かり保育のことについては、また後ほど伺うとしまして、この保護者への補助、こういう形で所得制限等が導入された中で、ここ数年どういう形になっているのか。平成十年と十四年ぐらいを対比していただいて、私立幼稚園の幼稚園数、幼児数並びにこの対象者数はどういうふうな推移になっているか、お尋ねします。

○中澤私学部長 都内の私立幼稚園の園数それから園児数の推移ですが、学校基本調査によりますと、平成十年度では、幼稚園数は九百二十八園、園児数は十五万一千七百人でございます。次に平成十四年度ですが、数値は同じく学校基本調査の速報値でございますが、園数では八百九十二園、園児数では十五万九千八百三十五人でございまして、この間の動向を見ますと、幼稚園数では微減、園児数では微増の傾向にあります。
 それから、園児保護者負担軽減事業の補助対象の幼児数でありますけれども、所得制限を現行の七百三十万円とした平成十年度では九万一千二百八人、平成十三年度では九万四千七百六十六人でございます。

○真鍋委員 それで、所得制限を導入して、その中で、そうはいってみたものの、補助を受ける方々はふえている状況ではありますが、東京都は所得制限を導入したけれども、先ほど申しましたとおり、区市町村としてはそういうわけにいかない。東京都が導入をした。そうすると、所得制限にかかっている方は補助金をもらえない。それならば区や市が出しましょうといったり、また、補助金をもらっていても、その額ではまだまだ足らないので、上乗せしましょう。いわゆる上乗せ、横出し、これをやっている区市町村が多いと聞いているんです。この上乗せ、横出しの補助状況、区市町村はどんな形になっているのか、東京都はどのようにとらえているのか、お尋ねします。

○中澤私学部長 この私立幼稚園等園児保護者負担軽減事業費補助事業は、区市町村が私立幼稚園等に在籍する幼児の保護者に対して行います負担軽減事業の経費を補助する場合に、東京都がその一部を補助いたしまして、幼稚園教育の充実と振興を図るものでございます。
 そこで、都のこの補助に加えまして、区市町村独自に補助単価を増額している自治体は、平成十四年度でございますけれども、二十二区二十六市三町となっておりまして、合計五十一の自治体であります。さらに、都の所得制限の上限額を超えた保護者世帯を補助対象とする自治体は十九区二十四市二町で、合計四十五の自治体でございます。
 こうした区市町村の取り組みは、各自治体内における幼稚園の公立、私立の設置状況など、幼児を取り巻く教育環境、それから各自治体の財政状況などを見きわめながら実施されているものというふうにとらえております。

○真鍋委員 今の、上乗せで五十一自治体、横出しで四十五自治体。ほとんどの自治体がこういう形で上乗せ、横出しをしているわけですね。この後また私の意見を申しますけれども、そこで参考までに、この上乗せ、横出しをしている区市町村の中で、それぞれの最高額と最低額、この自治体はどこで、幾らなのか、お尋ねします。

○中澤私学部長 都の補助に加えまして独自に補助単価を上乗せ補助している自治体のうち、おおむね年収六百八十万円を超えて七百三十万円以下の世帯の補助区分では、最高額は月額で江戸川区の二万二千五百円、最低額は千代田区の千円でございます。
 また、都の所得制限額を超えた世帯を補助対象とする自治体のうち、最高額はやはり月額で江戸川区の二万六千円、そして最低額は東大和市の二千百円でございます。

○真鍋委員 先ほどの答弁の中に、公立、私立の設置状況とか区市町村の財政状況とかというようなご答弁をされたわけでありますけれども、東京都が所得制限を導入したけれども、ほとんどの自治体が上乗せ、横出しをせざるを得ない状況。それはほとんど、公立の幼稚園で幼児教育を担っているところは概して補助金が少なくて、ほとんど私立にゆだねているところは補助金が高い、こんなふうな傾向と私は読んでいます。
 まず一点目いえることは、東京都が所得制限を導入したのはやむを得ない措置であったと思うけれども、結果として、東京都がやめた分、導入した分、区市町村が負担している、こういう実態ですよね。ここは、どうとらえるかはなかなか難しいところですが、身近な自治体としては、それだけ子育て、幼児教育というところに重きを置いている。それぞれなかなか厳しい状況の中でも、それだけの手当てをしているんだなということが考えられます。これからもこの所得制限をずっと続けていかざるを得ない、一方でそういう気もするわけですけれども、これだけ基礎的自治体、身近な自治体が上乗せ、横出しをやっている実態を踏まえて、ここはもう一度、導入したから、何が何でもこれをずっと続けるというだけではなくて、研究をする必要もあるのかなと私は思います。
 それからもう一点、先ほども申しましたとおり、公立と私立が両方、自治体によってはある。公立を経営することによって大変お金がかかりながら、また私立に対して補助金も出している。この非常に中途半端な状況をどうやって整理して--逆に、税金を有効活用して、そして私立の保護者への補助を手厚くし、結果として保護者も喜び、その自治体の財政も助かる、こういう流れをきちっとつくっていく必要があると思います。これは、いろいろな機会でこれからも主張していきたいと思います。
 それから、先ほど申しましたけれども、幼稚園は九時-二時。あれだけ施設があり、スタッフがいる中で、もったいないなというような気持ちを、皆さん持っておられたと思います。かつて、幼稚園は文部省、保育園は厚生省という縦割りの世界があった。ところが、幼保一元化の流れで、幼稚園にも保育的機能を持ってもらおうじゃないか。それで、預かり保育をやるとか、今度は併設するなんということも、東京都も今度、中の要綱というか、そういう考え方を持っていると思うんですが、これは大変有効なことだと思うんです。施設があり、スタッフがいる。そして一方、保育園の待機児はどんどんふえて、待機児ゼロ、待機児解消というのが、それぞれの自治体の大変大きなテーマになっている中で、私立の幼稚園の施設が活用される、これは大変画期的なことだと思います。
 そこで、私立幼稚園の預かり保育が実施されているわけですけれども、これを、東京都は補助をされているわけですね。今いろいろ申し上げましたけれども、東京都が預かり保育に対していろいろ補助されている、この目的の中身について、まずお尋ねします。

○中澤私学部長 都は、少子化の進行及び女性の社会進出、そして共働き家庭の一般化などに伴う保育ニーズの多様化にこたえるために、平成九年度より、預かり保育事業を行う私立幼稚園に対して、その運営費の補助を行ってまいりました。そして、預かり保育事業の拡大促進を図る観点から、これまでは、教育時間開始前一時間以上、それから教育時間終了後二時間以上、そして夏季休暇期間を補助対象としていたものを、平成十四年度には、経常費補助の別枠として、私立幼稚園預かり保育推進補助を新たに設けまして、教育時間終了後の時間をさらに延長するとともに、春季、冬季休暇を対象として、補助内容の拡充に取り組んできたところでございます。

○真鍋委員 今のご答弁で、その充実をさせてきたということでありますが、そうすると、私立幼稚園における預かり保育がどんどん進んできていると思うんですが、幼稚園の数は今どれぐらいになって、対象園児数はどれぐらいになっておりますか。

○中澤私学部長 預かり保育を実施しております幼稚園は、平成十三年度実績ベースで見ますと、補助対象の幼稚園数八百五十一園のうち五百四園が行っております。五九・二%、おおむね六割ということでございます。
 また、預かり保育の対象園児は、一日当たり約五千三百人ほどでございます。

○真鍋委員 これを導入されて、九年からかな、それで今十三年度で、実施率が五九・二%という今のご答弁をもらいまして、着実に伸びてきているなと。まだまだこれがふえて、幼稚園も、九時とか二時というだけじゃなくて、こういう預かり保育を充実してもらえれば、これこそ本当に子育て支援になるわけですので、これはさらに充実をしていってもらいたいと思います。
 それで、この幼稚園のことで、私立の幼稚園についての経常費補助であるとか、こういう預かり保育の補助というものは、大変貴重な、有効な税金の使い方だと私は思います。幼稚園には類似幼稚園もあるんですね。類似幼稚園の場合は、園庭が狭いとか物理的な条件で、幼稚園になりたくてもなれないということもあり、その中で、公の、都の方としても、保護者の補助を何とかしましょうということで、これは続けていただいているわけですけれども、これもやはり貴重な施設であります。そこで預かり保育ができたら、またそれこそ保育園で待機をしている方々にとっても非常にプラスになると思います。そういうことで、もちろん、認可されたから対象になる、無認可だからならない、これはわかるんですけれども、そういうふうなことではなくて、もっと何か一つのルールをつくって、有効に今ある既存のものを活用する、こんな研究もぜひともしてもらいたいと思います。
 今るる、生活文化局にかかわることで、民間資金、ノウハウ、それから人的なパワー、こういうことを活用することによって、より有効な行政サービスが展開できるということを申し上げてきました。今、私がいってまいりましたことを、またよく検討されまして、次なる新たな実行に移してもらいたい、このことを申し上げて、私の質問を終わります。

○福島委員 過般の委員会において資料要求をさせていただきました、心の東京革命と私学の振興について、大きく二点について質問をさせていただきます。
 まず、心の東京革命でありますけれども、本件につきましては、昨年来所属をさせていただきました文教委員会において質疑をさせていただき、また、先日の教育庁にかかわっての決算委員会においても、私なりの提案をさせていただいたところであります。
 戦後五十有余年の経過の中で、我が国は、精神的な価値より物的価値を、社会的責任より個人の権利を優先する風潮が蔓延し、自己中心的な、社会性を備えない子どもたちが増加したことは、まさしく親の、あるいは大人の責任であり、ひいては社会の、国家の存亡に帰着をするものだと思っております。
 本来、子どもたちは天空に浮かぶ小さな小さな星であり、だれしもが一番星の輝きを持っているはずなのに、そのことに気づいている子どもたちがどれほどいるでしょうか。行政においても、教育の現場においてもタブー視されてきた、心の問題を画期的に提案し、子どもたちに気づかせる、私を含めた親や大人たちを目覚めさせるチャンスそのものが、心の東京革命であると認識をいたしております。
 平成十二年八月に行動プランが発表され、既に二年が経過をいたしました。この間、民間団体や企業などを中心に、心の東京革命推進協議会を設置し、都民運動の新たな推進母体として、行政との連携により、キャンペーンなどさまざまな事業を展開しております。心の東京革命が取り扱っている問題は極めて大きく、かつ時間のかかる問題であり、単年度で実現できるものではありませんが、今後も粘り強く実践をしていくことが何より肝要だと思っております。
 そこでまず、平成十三年度の事業の主な内容と成果についてお伺いいたします。

○島田心の東京革命推進担当部長 心の東京革命を推進していくためには、都民一人一人の行動指針、それと、サポートする行政の施策を明らかにいたしました行動プランに基づく具体的な行動を実践することが重要というふうに考えております。中でも、心の東京革命アドバイザー養成事業、これは、地域で心の東京革命の趣旨を伝えながら、子育てに困っている人の相談相手になる人材をボランティアとして養成するものでございます。核家族化、それから地域の連帯感、こういったものが薄れているなどの影響により、家庭や地域の教育力が著しく低下しております。この心の東京革命アドバイザーの果たす役割は大変重要だと考えております。十三年度でございますが、都全域で活動するチーフアドバイザーを十九人、区市町村単位で活動いたします地域アドバイザーを、目黒区、品川区、渋谷区、それから三鷹市で百一人養成したところでございます。

○福島委員 心の東京革命を推進していくには、区市町村の協力が不可欠でありますし、また協力がなければ、地域での具体的な事業を展開することはできないものだと考えております。ただいま答弁のありました心の東京革命アドバイザーは、地域で心の東京革命の趣旨を伝える存在として大切な人材でありますし、今後も大いに養成をしていただきたいと思っております。
 しかしながら、そもそも革命とは天命が改まること、国家や社会の組織を根本的に変えることであります。都政の緊急課題である心の東京革命を、革命の名にふさわしく広げていくには、東京都が先導的に事業を進めていくことが極めて肝要であると思いますが、東京都として、今後どのようにこの心の東京革命を推進していこうと考えておるのか、お伺いしたいと思います。

○島田心の東京革命推進担当部長 今後の事業展開についてのお尋ねでございますが、まず、心の東京革命の趣旨を踏まえた会合を行うなど自主的な普及活動や、子育てに困っている人の相談相手になります、先ほど申し上げましたアドバイザーに関しましても、その中で具体的に地域で活動いたします地域アドバイザーの養成区市を、先ほど、十三年度は四区市と申し上げましたが、新たに今回は倍増して、増加させたいというふうに考えているところでございます。
 また、十三年度から、地域ぐるみで行われております、子どもたちの交流活動や体験活動など、他の模範となる取り組みを、心の東京革命推進モデルとして指定いたしました。今後、その内容や成果などを生かして、都内の隅々まで活動を広げまして、そのモデルとなるような取り組みを普及拡大してまいります。
 さらに、あいさつ・声かけ運動、それから体験活動への参加など、統一テーマを設定いたしまして、全都的かつ、心の東京革命推進協議会、青少年育成協会、参加団体とも連携いたしまして、心の東京革命らしい事業に積極的に取り組んでいく、そういうふうに考えております。

○福島委員 前段の二点の質問を踏まえて、視点を変えて質問をさせていただきたいと思います。
 私は、人が生きるということは、人間の感性たる喜怒哀楽を心の底から燃焼させることに尽きることだと思っております。喜ぶとは人の悲しみを知ることであり、怒るとは人に対して優しさがなくてはなりません。悲しいとは必ず楽しみが待っていることであり、楽しいとは本当のつらさに耐えなければわからないことであります。そうした喜怒哀楽に感動し、共感があるからこそ、人は生かされて生きているものだと思っております。ましてや、人は単にひとりぽつんとこの世にあるのではなしに、先祖や、先の子孫の一連の時の流れの中でこの世にあるのであり、輪廻という鎖の中の一つの輪であります。そうであるがゆえに、一日一生の思いで最善を求めているのだと思っております。つまり、生きるということは、換言すれば、ありがたいことであり、心からありがたいといつも念じている、いつも喜んでいる、いつも感謝している自分そのものなのであります。
 私は、第二回の定例議会において、石原知事に対して、教育のあるべき姿について質問をいたしました。その際、人は、難儀を体験し、それに打ちかとうと努力して強くなり、人の立場がわかるようになる、あるいは悲しみがわかるようになる、生かされて生きていることに気づく、法灯明に守られた自灯明を発見すると発言させていただき、それゆえに難儀そのものが大切であると説かしていただきました。
 難儀の難に有ると漢字で書いて、ありがとうと読むのであります。難儀に、困難に行き当たろうとも、生きているからこそであり、生きているあかしだと自己内省できる自分がいるからこそ、難が有る、ありがとうと思えるのであります。心の東京革命行動プランを評価するものの、このありがたいという表現、人として普遍的な考え方が落ちていると私は思うのであります。
 行政改革の真っただ中、この革命を社会運動に準ずるべきものにするために、部長、副参事を有する専管組織を設置し、縦割りといわれている行政の垣根を取り払い、全庁的な運動展開を進めている生活文化局の皆さんの胸には、誇りある、心の東京革命推進を標榜したバッジが光り、それぞれの皆さんの名刺の裏には、心の東京ルール七つの呼びかけが記されております。この呼びかけには、礼節を説く毎日のあいさつや、先人や目上の人に対する敬愛や尊敬の心、体験の中で子どもを鍛える、鍛錬、耐性の心がうたわれております。
 平成十二年八月に行動プランが発表され二年余が経過し、ますます社会が荒廃、混乱を招いている今だからこそ、前段申し上げました視点、すなわち、ありがとうという感謝の心を、心の東京ルール七つの呼びかけにぜひとも加えるべきであるとご提案申し上げますが、いかがお考えか、お示しいただきたいと思います。

○島田心の東京革命推進担当部長 ありがとうという気持ちを伝えることにつきましては、先ほど申し上げました行動プランの中にも、三十五の具体的な行動といたしまして、ありがとうなどのあいさつが自然に飛び交うゆとりある心をはぐくんでいくということもございます。
 ありがとうという、ご指摘ありました感謝の気持ちを伝えていくことは大変重要なことだ、大切なことだと考えております。知事の言葉をかりますと、著書で「いま魂の教育」というのがございます、この中で、優しい言葉は命の木であるというふうにされております。これは、知事ご自身の経験として、映画館の切符のもぎりをされたときのことでございますが、単調な中で、ちぎった映画の入場券の半券を渡すときに、相手から、どうもありがとう、サンキューと声をかけられたとき、何とも救われた思いがしたというふうに書いてございます。ありがとうという言葉は、あいさつの言葉でもあり、感謝の言葉でもあり、また、いたわりの言葉でもあるというふうに思います。心の東京ルール七つの呼びかけは、子どもたちに伝えていくべき社会の基本的ルールというふうに考えております。委員のご提案につきましては、今後の行動プランの見直しの中で検討させていただきたいというふうに思います。

○福島委員 ただいま、担当の部長から大変意義深いご答弁をいただいたと思っておりますし、また、心強く思っております。
 そこで、局長にこの際お伺いしたいと思いますが、私の提案、ぜひ局長の言葉でご答弁をいただきたいと思います。

○三宅生活文化局長 今、委員、いろいろご説明いただいた内容、非常に含蓄があって、心の問題ですし、重要な問題ととらえております。
 実は、私、数年前まで、地域の少年野球の球拾いのお手伝いをしておりまして、そのときに、子どもが野球がうまくなるということは当然でございますし、スポーツを楽しんでもらいたいというのは当然でございますが、チームの一番のテーマとして、これはスタッフがみんなで考えていたことでございますけれども、あいさつを大切にしようというのがございました。練習の初めにグラウンドに向かって、お願いします、練習の後にグラウンドに向かって、ありがとうといいます。これは、監督、コーチもみんな一斉にグラウンドに向かってやるわけで、だれに向かってやっているわけでもないんですが、ここでスポーツをさせていただくということに対する感謝の気持ちだと思っております。
 例えば、キャッチボールをやっているときに、お願いします、ありがとうございました、とあいさつをするわけですが、球拾いをしていても、子どもは、球をこぼしますと、後ろで父兄がとって返すときに、その都度、一々帽子をとって、ありがとうございますというんです。余りやり過ぎると練習の時間がなくなるぐらいでございますけれども……。(笑声)
 よその公園で見ていると、よその子がキャッチボールをして、球が転がってきて、とってあげると、自然に帽子をとって、ありがとうございます、という子がいます。その子は恐らくそういうクラブで活動しているんだなというのがすぐわかります。やはりある種、そういったあいさつというのは、大人もやっている、周りもやっているという中ではぐくまれて、自然にあいさつをするんだ、こう思っております。身近な人間、それは大人、子どもに限りませんが、あいさつをするということが自然に子どもたちの中にしみ込んでいくんだろうな、こう思っております。
 そういう意味で、今、委員からご指摘のあったこと、本当にご指摘ありがとうございますと申し上げるわけでございますが、ご提案のことも踏まえまして今後検討させていただきたい、こう思っております。

○福島委員 局長、ご答弁ありがとうございます。(笑声)
 心の東京ルール七つの呼びかけは、先ほどもご答弁がありましたけれども、子どもたちに伝えていくべき社会の基本的ルールであります。ありがとうという言葉は、単にあいさつではなしに、感謝であり、いたわりであり、そして何よりも、すべてをのみ込んでしまう大きな優しさと強さを兼ね備えた言霊であると私は認識をいたしております。
 局長、担当部長を先頭に、生活文化局が一丸となって、東京の子宝を大きな優しさで包んでいただきたく、心からお願いをしておきます。
 次に、私学の振興施策について何点か質問をしたいと思います。
 学校の本質は、生活指導と教務指導が相まって、児童生徒の資質向上、学力の向上を図るところにあります。私立の中高一貫校は、この点を着実に実施し、都民の高い信頼を得ているところであります。
 ところで、現在、東京都教育委員会において、従来画一的に行われてきた高校教育を改め、都立高校の活性化を図るため、都立高校改革が進められています。このことは、都立高校の教育を考えたときに意義あるものだと思っております。しかし、意欲的な改革であればこそ、慎重な検討が必要だとも思っております。昨日の教育委員会において、都立高校改革新配置計画が策定、発表されましたが、その中で、公立の中高一貫校の整備について、当初、計画ではパイロット的に二校設置だったものが、十校に変更されており、大幅に拡大されております。そして、このことが私学側に対して事前に十分な説明がなされていないとも聞いております。
 中高一貫校は、先ほど述べたように、私学の努力の結実であり、私学の大きな特徴となってきたものであります。適切な生活指導、教務指導を前提とする私立中高一貫校が東京の教育の質を高めてきたことは言をまたないものであります。保護者負担、授業料だけ見ても三・五倍という格差の中で、公私の切磋琢磨を、子どもたちに、未来に還元させるということ、あるいは、子どもたちに本当の意味での幅の広い選択肢を与えていくということは、私立と公立の差異を明らかにすることであり、公立ならではの中高一貫校の研究成果を明確にすることではないのでしょうか。私学が長い時間と労力を傾けて培ってきた生徒指導の体制と知識を持たないまま、初めにありきの形だけを模倣するとするならば、東京の教育の質そのものを下げることにつながりかねません。男女別教育や宗教教育などとともに私学の大きな特徴であった中高一貫校を公立に整備することによる私学への影響を、私学振興を進めてこられた私学部としてどのように認識されておられるのか、お伺いいたします。

○中澤私学部長 今お話しの私学への影響ということでございますが、公立と私立が切磋琢磨する契機という側面もありますけれども、公立の中高一貫校が整備されることによりまして、これまで中高一貫教育に魅力を感じ私立学校に志向されてきた生徒の流れが、公立学校に振り向けられることは否定できないと思っております。具体的な影響の度合いがどの程度になるかというのは、はかることは困難でございますけれども、中高一貫校として整備される都立高校の近隣地域においては、より一層の影響が出ることは避けられないのではないかと考えております。

○福島委員 私も、今の部長の答弁のとおりだと思っておりますけれども、そうした状況を踏まえれば、中高一貫校の整備については、なおさら私学側への十分な説明があってしかるべきだと考えておりますが、これまで私学側に対しどのような協議がなされてこられたのか、お伺いいたします。

○中澤私学部長 公立学校側と私立学校側の協議の場としては、現在、公立学校の設置者としての教育庁と、私立学校の代表者である私立中学高等学校協会、そして私学行政を所管いたします私ども生活文化局私学部の三者で公私連絡協議会を設置いたしまして、主として都内高等学校への就学に関する諸課題を協議しております。今回の都立高校改革につきましても、この公私連絡協議会の場を活用して論議がされておりまして、この中高一貫校の整備についても、その中で意見交換が行われているところでございます。

○福島委員 公私連絡協議会で意見交換が行われているというご答弁でありましたけれども、十分な協議が果たして行われているんでしょうか。十分な協議を経ないまま今日に至っているのではないのでしょうか。おのずと私立と公立の守備範囲は違うものであり、公私連絡協議会は、公私の特色をともに伸ばす協議の場でなくてはならないはずであり、ひいては東京の教育の質そのものを向上させる意見交換の場でなくてはなりません。公立のことだけを、また私立のことだけを考えていたりするならば、東京の公教育はよい方向に進んでいかないと思っております。今後、東京の公教育をよりよくするためには、公私が正しく切磋琢磨して中等教育を推し進めていくことはもちろん、お互い連携、協調していくべきだと考えております。そのためには、今まで以上に公私が協議をすることが必要であると考えますが、私学部としての見解を求めたいと思います。

○中澤私学部長 都立高校改革、特に中高一貫校の整備につきましては、先ほど申し上げた公私連絡協議会での意見交換も踏まえまして、私立中学高等学校協会から出されました質問書が東京都教育委員会でも論議をされ、また、それに対する回答書が出されるなど、これまでにない公私協調への努力が進められております。
 今後も、公私連絡協議会の場をより充実させるなど、公私連携、協調して東京の公教育をよりよいものにしていくよう、私学部としても努力をしていく所存でございます。

○福島委員 ただいま、ご努力いただくという答弁でありましたけれども、公私連絡協議会とは、読んで字のごとく、あくまでも協議の場であり、一方的に通告する場ではありません。改革を進めるためには、結果責任はもとより、説明責任を果たすべきであり、公私連絡協議会における実質的な協議が今後ともに大変重要であるということを、あえて指摘させていただきたいと思います。
 次に、私立幼稚園に関して若干質問をさせていただきたいと思います。
 私立幼稚園運営に対しても従来から経常的経費の補助がなされてきましたが、小中高校と異なり、甚だ残念ではありますが、その二分の一の補助は長い間達成されませんでした。しかし、今年度ようやく、幼稚園関係者の長い間の要望がかない、二分の一補助が実現されました。教育とは、将来、社会人として重要な知識や道徳を身につけさせるための組織的活動であります。その長く根気の要る取り組みの中で、幼児期における教育の重要性はだれしも否定できないところであります。幼稚園は、幼児期の教育、子どもにとって特に大切な時期を担っています。しかも、都内においては、幼稚園に通う子どもの九割以上は私立幼稚園に通っています。そのような重要な役割を担う私立幼稚園に対し、二分の一補助が達成できたことは、私も昨年の文教委員会で質問させていただきましたけれども、大きな意義があるものだと思っております。
 そこでお伺いいたしますが、私立幼稚園に対する経常費助成について、今後はどのような考え方で進めていかれようとしておられるのか、お尋ねいたします。

○中澤私学部長 幼稚園につきましても、高中小学校に準じた標準的運営方式を導入しております。平成十四年度に補助率二分の一を達成いたしましたが、今後も引き続き二分の一補助を堅持いたしまして、教育条件の維持向上、経営基盤の安定を図っていきたいと思っております。

○福島委員 さらに、私立幼稚園の現状を見ますと、少子化の進行や女性の社会進出、共働き家庭の増大などの保育ニーズに合わせた預かり保育が実施されています。そこでお伺いいたしますけれども、預かり保育を実施している幼稚園の推移と現状はどのようになっているのか、また、その間の私立幼稚園数と園児数はどのようになっているのか、あわせてお尋ねをしたいと思います。

○中澤私学部長 補助対象幼稚園の推移を見ますと、都が私立幼稚園経常費補助の中の特別補助として預かり保育に対して補助を始めた平成九年度は、実施率は二四%でございました。平成十三年度では五九%まで増加をしております。
 一方で、補助対象園児数の推移でございますけれども、平成九年度には約千九百人でありましたけれども、平成十三年度には約五千三百人と、全体として約二・八倍の伸びになっております。
 また、私立幼稚園数は、平成九年度で八百九十八園であったところ、平成十三年度には八百六十七園と、三十一園減少しております。
 園児数は、平成九年度に十四万九千三百六十五人のところ、平成十三年度には十五万五千四百五十五人と、約六千人増加をしております。

○福島委員 ただいまのご答弁のとおり、私立幼稚園の在園児数は、少子化にもかかわらず、預かり保育などの保育ニーズに的確に対応し、さらなる努力がなされております。この預かり保育の補助に対する推移についてお伺いしたいと思います。

○中澤私学部長 平成九年度の経常費補助等の特別補助項目に預かり保育推進補助を設けまして、補助実績は一億二千二百万円でございました。その後、逐次増額をしてまいりまして、平成十二年度には制度を充実するなどの結果、平成十三年度には四億二千万円となりまして、この四年間で三・五倍の増額となっております。平成十四年度には、経常費補助とは別枠に、新たに私立幼稚園預かり保育推進補助を設けまして、預かり時間の延長、あるいは冬季、春季休暇も対象に加えるなど、預かり保育事業の拡大にきめ細かな対応を図ってきております。
 今後とも、少子化の進行や女性の社会進出、共働き家庭の増大など、保育ニーズに合わせたきめ細かな施策を展開し、私立幼稚園の保育の充実及び経営の安定化に寄与していきたいと考えております。

○福島委員 幼稚園を取り巻く環境が激変する中、預かり保育を実施するなどで私立幼稚園の人気が高まり、園児数も、ただいまのご答弁のとおりふえております。幼稚園関係者からは、さらに創意工夫を凝らして少しでもよい教育環境をつくっていきたいという、熱意あふれる言葉をあちこちで聞いております。平成十四年度に新設された私立幼稚園預かり保育推進補助は、経常費補助の補助率二分の一と相まって、この熱意を後押しするものだと思っております。今後も、都民の声、私学の声をきちんと受けとめていただき、時宜にかなう制度充実のためにご努力いただきますことをお願い申し上げて、私の質問を終わります。

○谷村委員 都政の重要課題や都民生活に直接かかわる都政情報につきまして、積極的に広報広聴活動を展開していくことは、いつの時代におきましても大変に重要なことであります。また、これは政治、行政の根幹でもあります。政治の基本というものは、どこまでも民の声を聞くということにあるともいわれております。昨日、ある先輩が語っておられましたけれども、この聞くという言葉には四つの意味があると。耳に自然に入ってくるのが、新聞の聞という字を書く聞くということで、静かに耳を傾けて聴く、これは広聴の聴、聴覚の聴を書く聴く。効き目がある、効果の効の効く。そして利き酒の利くは、利益の利と書きます。役に立つ、機能する、都民に利する、こういう意味だそうですけれども、聞くということはまさに政治そのものであるということでございました。
 古くは、政治の治、治めるという言葉は、聞こし召すといっていたわけでございます。聖徳太子が一度に十人の話を聞いて、それを正確に理解できたことをもって、政治、行政の能力があると評価をされた一端であるともいわれています。
 厳しい財政状況の中での都政運営、むだをなくして、都民生活にとって、また東京の繁栄にとりまして真に必要なものは着実に拡充していく、こういう大変な都政運営が求められております今日においては、とりわけ都民の皆様のお声を的確に都政に反映していくことが、都政をよりわかりやすく、また身近なものとし、都民の都政への理解と関心を高めていくためには必要なことであり、また、都政運営の基本であるともいえます。このような観点から、東京都の広聴事業につきまして質問をさせていただきます。
 一口に広聴、つまり都民の声を聞くといいましても、提言や苦情など、都民の側から行政に対してさまざまな声を発信してくる場合と、世論調査など、行政が都民に対して意見を聞いていく、求めていくケースなど、いろいろな場合があると思います。また、都庁全体の都民の声を受ける窓口である広報広聴部以外の各局へも、都民の皆様からさまざまな意見が寄せられていると思います。そこでまずは、東京都としてどのような広聴事業を実施されているのか、伺います。

○佐藤広報広聴部長 都民から寄せられる提言や苦情などを都政に生かしていく広聴事業には、都政に関する建設的な提言、意見を受け付けております「知事への提言」と、苦情、要望等を受け付ける都民の声総合窓口がございます。苦情、要望等につきましては、広報広聴部の都民の声総合窓口はもとより、各局にも都民の声を集約する窓口を設けまして対応を図っているところでございます。
 また、行政が都民に対して意見を聞いていく調査広聴には、世論調査と都政モニターアンケート、また、知事が直接都民の意見を聞く、知事と議論をする会の開催などがございます。

○谷村委員 社会経済情勢が大きく変化する中で、また、都政への期待が従来以上に高まっている今日におきまして、都政の仕組みや進め方について疑問を投げかけられたり、都政について積極的に問題提起を行うなど、都民の行政に対する関心は大変大きな高まりを見せております。実際に都民から都政に寄せられる提言また苦情などは平成十三年度でどのくらいの数になるのか、教えていただきたいと思います。

○佐藤広報広聴部長 都政全体で見ますと、広報広聴部で受け付けるほかに、各局で受け付けている分もございまして、平成十三年度で申し上げますと、各局分が約八万件、広報広聴部で約一万三千件となっております。合わせまして年間で九万件余りという状況でございます。
 広報広聴部で十三年度で受け付けました約一万三千件の内訳ですが、「知事への提言」の窓口に寄せられた提言、意見は約七千件、また、都民の声総合窓口に寄せられた苦情、要望等は約六千件となっております。また、その六千件のうち約半数が苦情、要望でございまして、その他は問い合わせなどに該当するものでございます。

○谷村委員 ただいまのご答弁ですと、都庁全体で年間九万件、このようになりますと、単純計算で、三百六十五日で割っても、毎日二百五十件の声が寄せられている。各局へ直接寄せられる都民の声を別にしましても、年間約一万三千件。これは毎月一千件以上、毎週だと二百七十件、毎日四、五十件の声が寄せられているということになります。これほどの都民の声が広報広聴部の窓口に寄せられているということですけれども、こうした都民の提言や苦情に対してどういう取り扱いをされているのでしょうか。
 また、都民の声を生かすことが広聴部門の存在意義であると思いますけれども、ただ単に聞くだけで済まされてしまっては、せっかくの都民の声も生きてこないことになります。そのあたりの対応について確認をさせていただきたいと思います。

○佐藤広報広聴部長 先ほど、「知事への提言」と苦情、要望に分けまして申し上げましたけれども、都民から寄せられた声への対応の仕方は、両方とも基本的に同じでございます。まず内容につきまして吟味をいたしまして、所管局へ通知をするとともに、回答の必要なものにつきましては、局から回答するように要請をしております。とりわけ苦情等につきましては、説明や謝罪など速やかな対応が望まれることから、各局に対しましてもそのような指導を行っているところでございます。
 また、受け付けました主な事例につきましては、毎月の事例集を月報として発行しておりまして、プレスにも公表するとともに、都のホームページにも掲載いたしまして、都民に情報還元をしているところでございます。

○谷村委員 毎月の事例集として月報として発行され、またプレスにも発表し、同時に都のホームページにも掲載されているとのことですが、私もよく拝見させていただき、政治活動、議会活動の糧とさせていただいております。
 例えば、今週発行されました九月分の月例報告に掲載されている中で、感謝事例というのが掲載されておりますけれども、苦情に対する対応に感謝という声が寄せられておりました。職員の対応について苦情を申し出たところ、営業所長から電話があり、反省しているとのことでした。早速対応いただきありがとうございます。この局は一般市民とやりとりする機会がなく、対応になれていないのかとも思いました。自分の申し立てた苦情がどのくらい効果があるかわかりませんが、少しでもサービス業としての自覚が出ることを願います。実は、このようなメールを送ってもだめかしらと、あきらめ半分でしたが、都民の声が直接届き、対応していただける場があるのは大変心強いです。行政に対するイメージも変わりました。勇気を出してメールをしてよかったと思っています。ありがとうございましたと。最初は苦情で、文句をいって怒っていたのに、最後は、ありがとうございましたと。こういうお礼のメールが届くぐらいの大変すばらしい事業であると思います。(「所長はだれだ」と呼ぶ者あり)そこまでは出ていないんですけれども……。
 通常、きちんと謝るということ自体がすごく画期的なことで、この月例報告には、さまざま対応が悪かったことには素直に謝っていらっしゃるという、それ自体大変すばらしいことだと思いますけれども、これから、電子都庁、電子都市構想も着実に進められてまいりますが、この結果として期待されている事項の中に、ご家庭と都庁、お茶の間と都庁が一本のラインで直結される。都庁が開庁している時間に電話はかけられないけれども、メールなら簡単にできる。気軽にできる。夜中にメールをしておいた。そうしたら速やかに返事が来た。こうしたことだけでも、都政への信頼が高まっているという実情もあるわけでございます。
 そこで、個々の声も大切でありますが、いろいろな課題に対しましてさまざまな角度から多くの声が寄せられていることと思います。これらを十分に分析し整理した上で、各局、各職員に周知することも、広聴セクションの重要な役割だと思いますが、この点はいかがお考えでしょうか。

○佐藤広報広聴部長 都民の声総合窓口に寄せられます苦情、要望は、職員に対するものが比較的多くなっております。そのため、例えば職員の知識が足りなかったことによる問題の事例や、横柄な態度に起因する苦情事例など、職員の行動の問題点を分析いたしました、職員への声事例集を作成いたしまして、職員研修所の接遇研修に活用するとともに、パソコンを利用した職員報でございます「とちょう-i」や全庁掲示板への掲載等を通じまして、職員対応の向上に生かしているところでございます。
 また、施策や事業に関する苦情、要望につきましても、例えば時間延長などサービスの拡大、改善を求めるというようなものや、手続の簡素化や迅速化などを求めているようなもの、そのような観点からさまざまな分析をいたしました事例集を作成いたしまして、都政全体にかかわる課題を考える資料として関係部署に配布しております。
 さらに、今後は、都民の声とその具体的な対応をより精査することによりまして、施策形成や事業実施等に際して、その活用を図る必要があるというふうに考えております。

○谷村委員 都民サービスの窓口業務も大変なご苦労が伴うものでございますけれども、都民の皆様からの苦情が毎日寄せられ、それに対応するお仕事も大変にストレスがたまる、人格者でないと務まらないお仕事の一つであると、大変に感謝をいたしております。都民から都政に対する提言のうち、積極的なものにつきましては、都民の提案として事業実施部門の施策に反映されるべきであると考えますが、都民から寄せられる知事への提言は都政にどのように生かされるのでしょうか。具体例があれば、ぜひご紹介をお願いいたします。

○佐藤広報広聴部長 「知事への提言」窓口に寄せられた提言の内容につきましては、比較的、既に局で検討の俎上にあるものが多いという実態がございますが、例えば、都立公園にドッグランをつくってほしいという提言がございました。これにつきましては、そのような声を反映いたしまして、今年度になり、局で、二カ所の公園に試行的にドッグランを設置することになった、こういうようなケースがございます。

○谷村委員 都民の声が生かされて、試行的とはいえ、ドッグランが都立公園にできた。大変にすばらしいことだと思います。先ほどの九月分の月報の感謝事例でも、池に水を入れてくださったことに感謝という声が寄せられておりまして、一市民の提言を取り上げて、都立府中の森公園のメーンの池に水を入れてくださり、本当にありがとうございます、カルガモもきっと喜んでいることでしょうと。カルガモは初夏に誕生し、初秋のころにはやや大人になります。せめてその期間は池の水を抜かないでください。できれば、池の水を抜かなくてもいい丈夫な池にしてくだされば、カルガモも喜ぶと思います。ことし七羽生まれた小ガモは、今四羽になってしまいましたが、元気で、訪れる私たちをほっとさせてくれます。以前に生まれた大人のカモも池に帰ってきている様子です云々と続くわけですけれども、都民の声を都政に反映させるべくいろいろと工夫をされ、ご苦労されているところだと思います。都民の声も一様ではないでしょうし、予算等の制約などもあることから、都民の声がすぐに施策に反映されることも決して多くはないでしょうが、その中から一つでも生かしていく、生かしていこうと努力される、その皆様のご尽力に深く敬意を抱くと同時に、私も私の立場で、こうして寄せられたお声が少しでも施策に反映されるよう努めてまいりたいと思っております。
 次に、先ほどのご説明では、調査広聴事業には世論調査とモニターアンケートがあるとのことでございます。具体的に、昨年度、それぞれの事業におきましてどのようなテーマにおいて調査が実施されたのか、お伺いいたします。

○佐藤広報広聴部長 昨年度の実施状況についてですが、世論調査では、保健医療に関する世論調査、首都圏と東京に関する世論調査、都民生活に関する世論調査、自動車利用と環境に関する世論調査の四本を実施しております。
 また、都政モニターアンケートでは、平成十三年度は、郵送によるモニターとインターネットモニターの両方を実施しておりますが、郵送モニターでは、東京港と海上公園、東京と都政に対する関心、都営住宅の入居と管理、性感染症についてなど六本、それからインターネットモニターでは、選挙行動について、「養育家庭」里親について、都心部の景観づくりの三本となっております。

○谷村委員 かなり多岐にわたったテーマが選定されておりますけれども、この調査内容はどういう基準で決めておられるのでしょうか。

○佐藤広報広聴部長 世論調査とモニターアンケート調査の調査内容の決め方についてでございますが、都政の重要課題を初めといたしまして、今後施策を展開していく上で、都民意見を事前に聞き、施策に反映させていく必要のあるテーマや内容を選定しております。選定に当たりましては、事業実施部門の意向を反映するなど、各局との連携にも努めているところです。
 特に都政モニターアンケートは、今年度からはインターネットを利用した調査に全面的に移行しておりまして、その利点であります調査の迅速性を生かすなど、調査の実施に当たりましては、都民意見を効率的に反映できるよう工夫をしていきたいと考えております。

○谷村委員 ただいま、インターネットを利用した調査の実施について触れられましたが、時代の流れを的確にとらえるためにも、これまで以上にタイムリーな調査が可能となったわけでございます。インターネットを余り利用しない世代へのご配慮もお願いしたいわけですが、このようにして実施された世論調査とモニターアンケートによって、都民が何を考え、何に不満を持ち、施策には何を期待しているのかなどの意識を科学的に把握することが可能になると思います。一部団体や政党などが、みずからの勢力拡大のために意図的にデマを記載したビラなどによって--時には、局に対して電話やファクスによる攻勢もかけるようですけれども、繰り返し行っているこうした悪質な扇動行為などに都政は絶対に左右されない、左右されてはいけないという意味においても、大変重要な事業であると思います。
 こうした世論調査やモニターアンケートの実施は、施策や計画策定の前段で行ってこそ生かされるものであると思います。これまでの調査結果は都政にどのように生かされているのでしょうか。

○佐藤広報広聴部長 十三年度の例で申し上げますと、世論調査の、保健医療に関する世論調査は、今年度策定の東京都保健医療計画第三次改定の参考とするために実施しております。また、モニターアンケートの東京港と海上公園につきましては、海上公園の今後のあり方などを検討いたします海上公園審議会における審議の参考とするために実施したところでございます。
 計画の策定段階や新たな施策の実施に当たって都民の意向を反映させていくことは、都政運営の基本であり、ご指摘のとおり、今後とも、計画の早い段階での調査など、効果的な調査広聴事業の実施に努めてまいります。

○谷村委員 行政と住民とのコミュニケーションといいますと、ややもすると都のお知らせや、都が行おうとする施策をPRする広報事業に目が向きがちではあります。それはそれで大変に重要なことでございますけれども、しかし、都民の日常生活の諸問題についての都民の声を収集分析して、都民の意向を都政に反映させる、広聴事業の重要性はますます高くなっていると思います。まして、現在行っておられる都民からのクエスチョンやサゼスチョン、プロポーザルに対するクイックアンサー、クイックレスポンスは、先ほども触れましたけれども、ペーパーレス化にとどまらない電子都庁、電子都市構築においては、血の通った都政という意味でも大変に必要不可欠なものであります。
 最後に、広聴事業の課題と、それに対する今後の取り組みについて伺いたいと思います。

○佐藤広報広聴部長 広聴事業の課題と、それに対する今後の取り組みについてでございますが、一つは、都民の声の受け付けの体制にかかわる課題でございます。
 広報広聴部では、都民の声につきまして、「知事への提言」と都民の声総合窓口の両方で受け付けをしているところでございますが、都民が声を寄せるときに、どちらの窓口に申し出たらよいのかというのは、実際判然としない場合があろうかと思います。このような課題を踏まえまして、都民の声の窓口の一本化など、都民から見てわかりやすく、利用しやすい窓口になるよう体制を整えることによりまして、都民の声のワンストップサービスを実現して、都民サービスの向上を図っていく必要があるというふうに考えております。
 二つ目には、政策形成過程における中間段階の案を、インターネット等を用いて幅広く広報するとともに、都民の意見を取り入れて施策に反映していく仕組みであります、いわゆるパブリックコメントとしての提案型広報の充実でございます。これまでも、広報と広聴の連携には努めてきているところでございますが、これをより一層考慮していく必要があるかと考えます。
 また、広聴テーマの設定に当たりましても、都政の重点的広報テーマに合わせまして設定していくなど、広報と広聴の連携強化を図りまして、効果的な広報広聴事業の展開を図ってまいります。

○谷村委員 これからもぜひ頑張っていただきたいと思います。私も、都民生活の現場を歩いて耳を傾けて聞いていくのは当然のことながらも、広報広聴部のこうした広聴事業で寄せられた声もしっかりと吸収させていただいて、議会活動、政治活動に生かしてまいりたい、このように思っております。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○大山委員 用意していただいた資料の中でも、款、項の生活文化費も、それから女性青少年費も、消費生活対策費も、消費生活センター費も下がりっ放しという状況ですけれども、きょうは、私は、私立学校経常費補助について取り上げたいというふうに思っています。
 平成九年度に約一千百九十八億円だった私立学校経常費補助ですけれども、十三年度には一千八十一億円、額で百十七億円減額になっています。私がなぜ九年度からいいましたかというと、十年度からは財政健全化計画、それから十二年からは財政再建推進プランが実施されているからです。この減額の原因なんですが、幾つか要素はあるとは思いますけれども、財政健全化計画と財政再建推進プランでの減額の両方合わせたものを、九年と比べて十年、十一年、十二年、十三年という減額を累積すると、幾らになるでしょうか。

○中澤私学部長 予算額におきまして、財政健全化計画におけるいわゆる見直しの影響額は、今お話がございましたように、平成十年度から平成十三年度まで、これで約八十億円。そして財政再建推進プランによる見直しの影響額は、平成十二年、十三年の二カ年で約二十億円でございまして、この間、両者合わせた影響額は約百億円程度というふうに考えております。

○大山委員 両方合わせて累積すると、百億円もの額になるということですね。
 それでは、高校生一人当たりの経常費補助ですけれども、とりわけ財政健全化計画と推進プランのダブルパンチになるのが十二年からですから、それを起点にしますので、十一年度と十三年度の一人当たりの経常費補助というのはどうなりますか。

○中澤私学部長 高等学校経常費の決算額を生徒一人当たりで割り返してみますと、平成十一年度には約三十七万一千円でありましたけれども、平成十三年度には約三十五万七千円となっております。額にして約一万五千円、率にして約四%の減少ということでございます。

○大山委員 総額でも財政健全化計画と推進プランは影響し、そして一人当たりの補助額も、両方の計画とプランで減額になっているというのが今わかったわけです。
 つい先日も、私立学校の校長先生と話す機会がありましたけれども、経常費補助が減ったら授業料などを上げざるを得ない、しかし、この不況ですので、学費が上がったら、ますます父母の負担が大きくなるということでは、本当だったら上げたくないというふうに話しておられましたし、父母会の会長さんは、自分の学校でも、授業料が払えなくて結局やめていった生徒さんもいるんだということでは、リストラだとか倒産だとか、これだけ長引く不況ですから、決して他人事じゃないんですというふうにおっしゃって、子どもが経済的な理由で学校を変わらざるを得ないなど、こんな悲しいことはありませんというふうにおっしゃっていたんですね。
 学校が授業料を減額しよう、減免しようという場合に、都からの補助もありますけれども、学校自体も財政的な負担があるということでは、二の足を踏んでしまう、やりたくてもできないというところがあります。だからこそ、授業料自体を抑えるということが重要なわけですが、実際のところ、私立学校の、高等学校でいいですけれども、平均授業料は、平成八年度と十三年度でどうなっているでしょう。

○中澤私学部長 私立学校の平均授業料でございますが、平成八年度に三十五万八千四百八十七円でありましたけれども、平成十三年度には三十八万八千八百十二円となっております。額にして三万三百二十五円、率にして八・五%の増加ということでございます。

○大山委員 確かに経常費補助の削減が授業料の値上げにつながっているということだと思うんですね。子どもたちが、経済的な理由で、学習する権利だとか学ぶ場所の選択を制約されるということがないようにするためにも、経常費補助というのは重要な役割を果たしていると思うんですけれども、それについてはどうですか。

○中澤私学部長 経常費補助の目的は、教育条件の維持向上、経営の健全性、それから保護者負担の軽減、この三つを挙げてございます。私立学校側もそれぞれ、効率的な経営によりまして負担を保護者に転嫁することを避ける、そういう努力をしているところでございます。私どもも、今後も引き続き経常費補助の補助率二分の一を堅持して、保護者負担の軽減を図っていきたい、こんなふうに考えております。

○大山委員 今、経常費補助二分の一を堅持するというふうにおっしゃっていたわけですけれども、私も、その二分の一を堅持するというのは非常に重要だというふうに思います。ですから、その姿勢をきっちりと引き続き据えていただきたいというふうに思います。
 元国立教育研究所の次長の市川昭午氏なんですけれども、私学の存在は、財政の負担になっているのではなく、むしろ財政を助けているというふうにおっしゃって、平成十年度の私学教育を国公立で実施した場合、七兆八千四百六十二億円かかり、実際の国と地方の教育費は十八兆五千四百五十一億円かかっているわけですから、私学がなくて全部国公立だったら、二十六兆円も財政負担になりますというふうに述べておられます。この計算を当てはめて計算いたしますと、東京の私学が公立だったら、十二年度の教育費で計算しましたら、約四千四百八億円です。十三年度の経常費補助総額は約一千八十一億円ですから、三千三百二十七億円、都財政を軽減しているということにもなるわけです。
 十二年度も十三年度も都税収入は予定よりふえたというのは、もう皆さんご承知のとおりです。そのとき、急いで返済しなくてもいいような羽田沖埋立事業会計からの借り入れを返済したり、地下鉄建設株式会社に対する転貸債の償還などに充てるなどしているわけです。来年度の予算編成の方針の中でも、高どまりを続けている経常費補助などと書かれているわけですけれども、先ほどおっしゃるように、二分の一を堅持するんだということをしっかり据えていただいて、さらに充実するように頑張っていただきたいということを述べて、終わります。

○執印委員 それでは、まず心の東京革命の推進について伺います。
 心の東京革命の関連の決算につきましては、執行率が六六・二%となっておりますが、当初予算では八百五十万円だったものが、予算現額千三百二十五万四千円となっております。つまり、当初予算に対してふやして、それで執行率が六六・二%ということだと思いますが、この経過と不用額の説明を求めます。

○島田心の東京革命推進担当部長 平成十三年度の当初予算でございますが、心の東京革命事業を推進するための民間団体でございます心の東京革命推進協議会の設立が平成十二年の十月でございました関係で、事業内容等未確定のものが多かったことなどによりまして、協議会の予算を計上できなかったという状態でございました。その後、このため、青少年施策関連予算から四百七十五万四千円を捻出いたしまして、協議会への補助予算等に対応したところでございます。
 なお、この四百七十五万四千円という金額でございますけれども、これは、消耗品等の管理経費の節約あるいは建物維持管理経費の残金見込み額を充当したところでございます。
 それから、不用額四百四十七万六千円でございますが、そのほとんどは、家族ふれあいの日の普及チラシを心の東京革命のPRチラシとして兼用いたしましたことによります、広報方法の変更による残でございます。

○執印委員 今お話しの中で、推進協議会の設立が平成十二年十月で計上できなかったということですが、十月ですから、本当に必要があれば計上したんだと思いますし、通常、新規事業については流用により開始するというのは余りない対応だというふうに思います。流用そのものが間違っているというふうにはもちろん思っておりませんけれども、このような事業なんだなというふうに改めて確認をさせていただきます。
 それから、今、家族ふれあいの日の普及チラシのお話がございました。これのことだと思いますが、家族ふれあいの日優待券というのがこれには載せられているわけですけれども、これに書かれている事業者とか、それから東京都の施設も含めて、施設に行ったときには割り引きになる、そのようなもののようですけれども、このチラシの配布実績、それから、優待券の利用状況の実態把握はしているのでしょうか。この普及事業の効果が検証されているのかどうか、伺います。

○島田心の東京革命推進担当部長 当初予算に関しまして、先ほど、平成十二年十月が心の東京革命推進協議会の設立であったということで、ぜひご理解いただきたいというふうに思います。
 次のご質問でございますけれども、普及のチラシは二十万部作成いたしまして、小中高の学校関係や区市町村等、四千五百二十カ所程度に配布したところでございます。
 家族ふれあいの日の優待券の利用状況をどうつかんでいるのかというお話でございますが、これは、ファミリーレストランとかコンビニエンスストア等々、大変多くのところに参加していただいておりまして、そういった企業におきましては、集計するということは、それぞれの事業所といいますか、支店から全部情報をいただかないとできないという理由がございます。そういう意味で、企業等の方から、集計コストとか手間がかかるんだというふうなお話をいただいておりますので、私どもとしては把握しているところではございません。

○執印委員 手間はかかると思いますけれども、要するに東京都の費用をかけて、こういう効果がどれぐらい上がったという点検が全くないことは、私は問題だというふうに思いますし、改めて推進協議会の設立の話もありましたけれども、私が申し上げているのは、通常、新規の事業についてはきちんと当初に予算化するべきだということを申し上げております。
 次に、このことについては、二十万部刷って、節約されたのはわかるんですけれども、それがどのように生かされているかというチェックもないということは問題だというふうに思います。
 次に、心の東京革命推進協議会関連の事業の進捗状況を伺います。

○島田心の東京革命推進担当部長 十三年度でございますが、日本ボーイスカウト東京連盟、それから私立中学高等学校父母の会中央連合会など、推進協議会の会員団体の参加を得まして、あいさつ・声かけ運動をテーマといたしました統一的な行動を実施したところでございます。
 また、心の東京革命アドバイザーの養成、活用といたしまして、チーフアドバイザーを十九名、地域アドバイザーを百一名養成したところでございます。

○執印委員 私は、この心の東京革命がいっている、子どもの社会の問題は大人社会の問題だということについては異論があるわけではないんです。しかし、私、日野の市議会でも活動しておりましたが、日野市議会では、心の東京革命の推進に向けた取り組み方針、素案に対しまして、平成十二年の三月議会で、東京都「心の東京革命」の抜本的見直しを求める意見書というのを、保守の会派の方が提案をいたしまして、自民党、公明党、連合の関係の方、ネット、共産党、全会派一致で東京都に、東京都知事と東京都教育長あてに、この意見書を提出しております。実際には、一自治体の意見書でございますので、しんしゃくされることなく、平成十二年度からこの事業が実施され、今審議をしております十三年度決算へとつながっているわけですが、そんなことがございまして、私どもの地域では、この取り組みには心底賛成をしておりません。よって、この取り組みに心配な点がございますので、幾つか質問させていただきます。
 その意見書の内容は、職員の方はご存じだと思うんですけれども、提案に際しての状況というのは、先ほど局長から少年野球の話などもございましたが、少年野球を実際に地域で教えていらっしゃる方が、地域の教育力が低下しているというふうにいっているが、とんでもない、地域では一生懸命やっている、そういった状況をきちんと把握されないままに、地域の教育力の低下というふうにいわれることは心外だというような質問を議会でされ、その結果として、このような意見書を出すことになりました。
 それで、私も、こういうことを踏まえて、概要版を例にとって質問させていただきます。ちゃんとしたのもありますけれども、この概要版を例に質問いたしますと、幾つか先人の言葉というのが書かれております。ここに、一番最初に賀川豊彦さんの言葉が書かれておりますが、これは「子供は叱られる権利があり、親は又之を叱る権利があるのである。善いことも、悪いことも勝手で、少しも叱られることも、正されることもない子供は、決して大切にされて居る子供でなくて、寧ろ虐待されて居る子供である。」というふうに書かれておりまして、私も随分、子どもはしかられる権利があるということだけ聞いてまいりましたし、今回、都知事がおっしゃったこと全部、議場での発言を見てみましたけれども、子どもはしかられる権利があるということだけしかおっしゃっていないんですね。だけど、これは、ここに書いてあること全文読むと、私はこれはネグレクトのことだと思うんですよね。つまり無視。無視のことをいっているんだと思うので、そういう意味では当然だと思うんです、私も。
 これは、教育庁の指導部が出した児童虐待のリーフレットですけれども、児童虐待とは、身体的暴行、性的暴行、心理的虐待、養育の放棄、怠慢があると。これは、心理的虐待の中に「ひどい言葉で子どもを傷つけたり、極端に無視したりすることによって、子どもに心理的な傷を負わせるような行為です。」というふうに書いてあるわけですけれども、しかられる権利があるということだけひとり歩きしないように、きちんとこれが伝わらなくちゃいけないし、また、ネグレクト、無視は虐待ですから、そのことをちゃんと伝えていく必要があるのではないかと思いますが、見解を伺います。

○島田心の東京革命推進担当部長 今、委員の方から、心の東京革命行動プラン概要版の中の賀川豊彦氏の引用文を全文お読みいただいたところでございます。私どもも同様に、この賀川先生の引用文は全文使わせていただいているところでございます。この引用文につきましては、人に迷惑をかけたときはきちんとしかろう、こういう事項の説明として、私ども適切なものだと考えております。引用文全体を見ますと、委員から今お話しございましたネグレクトへの警鐘、そういったものもあろうというふうに思ってはおります。
 それから、親や大人がしかるべきときというのはきちんとしかる、そういうことによりまして、子どもたちは社会の決まりを守り、思いやりの心などを持っていけるものと、私どもは考えております。

○執印委員 今、これはネグレクトであると思うというお話もいただきましたので、これを使うときにはきちんと使っていただきたいというふうに思いますし、しかるときにはきちんとしかるということは、それは当然のことですから、やっていかなくちゃいけないことだというふうに、そこは私も思っております。
 次に、これは、載っている先人からの一言が全部男性のようなので--外国の方はちょっと全部はわかりませんけれども、全部男性だというのがちょっと私気に入らないんですけれども、次に、コンラッド・ローレンツ。オーストリアの動物行動学者だそうですけれども、「幼い頃肉体的な苦痛を味わったことのないような子供は、成長して必ず不幸な人間になる」。決めつけてあるわけなんですけれども、これを読むと、ちょっと私心配になるのは、子育てをするときには、厳しくしつけなきゃいけないというふうに片方でいわれるものですから、どうしても厳しいということと体罰ということと、ごっちゃになっちゃう場合があるんですね。これは、ここだけ書いてあると、体罰を容認するものと読み違う家庭とか保護者がいないとも限らないというふうにちょっと心配をするわけですが、見解を伺います。

○島田心の東京革命推進担当部長 今の子どもたちというのは、総じて我慢強さとか耐性、これが乏しくて、肉体的、精神的に苦労して何かを求める気持ちが弱くなっているというふうに指摘されているところでございます。心の東京革命行動プランの中のコンラッド・ローレンツ氏の引用文でございますが、子どもたちに、何か幸せを得るには、それに対応した我慢や苦労が必要なのだと教えた趣旨でございまして、体罰を意味するものではないというふうに考えております。

○執印委員 今、この言葉については、申しわけないけれども、不用意な感じが私はするんです。今の虐待というのは、子育てをしていて、うっかり手が出ちゃったというような虐待から、どうしてこんなことが大人から子どもに対してできるんだろうというような、そういうちょっと考えられないような虐待までもあることは確かなんですけれども、ただ、やはり誤解のないような伝え方をしていく必要があるというふうに思いますし、お答えの中で、今の子どもたちは総じて我慢がないというふうにおっしゃったんですけれども、実は、この心の東京革命がいっているのは、子ども社会の問題は大人社会の問題だといっているわけですから、私たち大人自身にでは我慢があるのかということをまず省みないことには--今の子どもたちは、とくくるところに問題があるのではないかというふうに私は感じます。
 それで、先日、福祉局では虐待の問題を取り上げさせてもらいましたけれども、平成十二年度に比べて平成十三年度は虐待が五百五十件多かったということなんです。だから、残念ながらふえているんですよ。つまり、これから、先ほどお話がありました、心の東京革命アドバイザー養成講座の実施等、地域での活用その他に関して、虐待の問題も含めて、どんな配慮をされてこのことを進められているのか、伺います。

○島田心の東京革命推進担当部長 心の東京革命アドバイザーというのは、心の東京革命の趣旨を地域で伝えたり、子育ての仲間づくりなどを行うボランティアでございます。
 養成講座に当たりましては、本当に子育てよりも親育て、親や大人が責任を持って子どもたちに伝えていくんだという心の東京革命の趣旨を理解できるよう、留意しているつもりでございます。具体的には、心の東京革命の理念と今後の展望ですとか、心の東京革命アドバイザーの役割というカリキュラムを持って、十分にお話ししております。
 それから、現場の実情、要するに虐待などに関しましても、これも大きな問題でございますので、実際に子ども家庭支援センターで、虐待の解決あるいはさまざまな問題に対応なさっている方にも実際来ていただきまして、このカリキュラムの中でお話をしているところでございます。

○執印委員 そこはくれぐれもお願いしたいと思います。東京都全体で、片方で虐待に対して対応していて、心の東京革命アドバイザーも含めて、心の東京革命が精神論だけで子どもをくくることがないように、ぜひお願いしたいと思います。
 それから、私どもの意見書の中に、子育て支援は東京都というよりも基礎自治体がやるように、地域を核に、市民団体やNPOが主体的に子育て子育ち支援ができるように、基礎自治体を財政的に支援してくださいというものを一つ入れてありますが、これに関してはどのようになっているでしょうか

○島田心の東京革命推進担当部長 心の東京革命の実現に関しまして、区市町村あるいは民間団体の役割というのは大変大きなものがあると、私どもも考えております。
 具体的な財政支援でございますけれども、先ほど申し上げました地域アドバイザーの養成講座につきましては、講師等の謝礼につきまして私どもの方の協議会で負担させていただいている。これは大した金額ではございませんが、そのようなことをやらせていただいております。
 それから、区市町村の方で青少年に社会の基本的ルールを伝えていくなど、心の東京革命の活動などを推進するための事業、こういったものを区市町村でやっていただいた場合には、その経費の一部につきまして補助させていただいているところでございます。

○執印委員 心の東京革命のこの施策そのものが、既に動いている施策ですので、担当者の皆さんのご努力は認めているところですが、先ほどから申し上げているように、全体的には正直違和感があります。その違和感は何かというと、これだけ時代が変わって、片方で子どもたちが消費のターゲットになっているようなときに、古い時代の精神論だけで子育てはできないだろうなという違和感です。
 それからもう一つ、こういう家族ふれあいの日というのもありますけれども、家族が触れ合えるような制度そのものをきちんとつくっていかないで、これも精神論だけでいわれても対応できないなというふうに、それは思います。
 それで、ぜひ現代にマッチした子育て支援をお願いしたいんですが、最後に、この心の東京革命については、だれが、いつ、どのように検証して、何を基準に評価をされていくのかを伺います。

○島田心の東京革命推進担当部長 平成十一年度の第五回目の都政モニターアンケートの結果でございますけれども、心の東京革命につきまして、行政、東京都がリーダーシップをとって積極的に取り組むべきだというのは五〇・一%でございました。東京都の取り組みが必要だが慎重に対応すべき、これも三〇・一%あったところでございます。
 私どもはやっぱり、一刻も猶予できない事態でございまして、決して精神論だけではなくて、具体的で地道で着実な取り組みを進めていきたいと思っております。ただ、先生おっしゃっておられますように、私どもは機運を高めることなどに力点を置きまして、行動主体である都民の皆さん一人一人に具体的な取り組みを実際にやっていただきたいというふうに思っているところでございます。
 それから、具体的な事業の評価基準等々についてのお話でございますが、個別の事業の実施に対しましては、予算の査定、それから決算の審査等におきまして、事業の適正さと効果の評価を受けているところでございます。
 それから、評価の基準、心の東京革命評価基準の指標につきましては、例えばでございますけれども、協議会の会員数あるいはアドバイザーの養成数、そういったものが考えられるところでございます。
 心の東京革命というのは、人の心のありようの問題でございます。継続的で息が長く、そして着実で信念を持った取り組みが必要だというふうに考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○執印委員 先ほどの調査では、慎重に対応するべきだというのが三〇%あるということですから、まとめておっしゃると八〇%が賛成しているというふうに数字は出てくるわけですけれども、決してそうじゃないんだと思うんですよ。三〇%の人は、今の社会は子どもたちのために何とかしなきゃいけないと思うけど、やり方については慎重さが必要だということをおっしゃっているのだと思うので、その辺をお願いしたいのと、それから、事業の評価に対しては、予算の査定や決算の審査ということで、こちらにボールを投げられたんだと思うんですけれども、実際には、事業評価というのは行政がこれからみずからやらなくちゃいけないということがあるわけですから、決してそれだけではない、きちんとみずから評価をされるべきものではないかというふうに思います。
 それで、私どものというか、日野市議会での意見書、五つ項目がありますので、ちょっと読み上げさせていただきますが、「〔1〕都民活動の状況把握や実態把握が不足しています。まずは基礎自治体を通し都民の活動を把握してください。それができるまでは安易に基本方針を出さないでください。〔2〕都民の活動や子育て世代の思いを十分に把握したうえで、地域を核に市民団体やNPOが主体的に子育て子育ち支援ができるよう、基礎自治体を財政的に支援してください。〔3〕一つの価値観を都民に押しつけないでください。〔4〕東京都教育委員会は、『子どもの権利条約』に基づき子どもの声を尊重しながら、地域の教育力と連動した豊かな学校運営が進むよう、教職員の力量アップに務めてください。さらに教育の分権化を進めてください。〔5〕東京都の計画にある『子どもの権利基本条例』を速やかに制定してください」。
 これは、こちらの担当じゃない局のものも入っておりますが、対案というような形で出させていただきましたものです。
 その文言の中に、家庭の教育力の対応策として子育てマニュアルなどの提案がされておりますが、マニュアルで子どもが育てられるとは思えないということと、こういった一面的な対応は、若い世代に子育ての楽しさよりも義務感を抱かせ、子育てを息苦しくし、少子化にますます拍車をかけてしまうのではないかと危惧しておりますというふうに入っているわけですが、ちなみに、先日発表された昨年の出生率では、東京都は一・〇一と過去最低でございました。これは心の東京革命のせいだというふうには、もちろんそんなふうには思いませんけれども、そんなふうに決めつけて物は考えませんが、性別役割分業を認めるわけでもありませんが、これまで子育てをしてきた女性たちの声とか、先ほどいった、地域で青少年の育成にかかわってきた人たちの声を聞かなくて、問題解決はできないというふうに思います。ぜひ今後、冷静に事業の点検、判断をされることをお願いしておきます。
 次に、危害防止対策について伺います。
 消費生活条例第八条では、条例の定めに反して消費者の権利が侵害されている疑いがある場合に、知事に対してその旨を申し出て、適切な措置をとるように求めることができるというふうになっております。この制度の果たす役割は非常に大きいと私どもは考えてまいりました。
 そこで、申し出制度の運用状況について資料をちょうだいいたしましたが、この五年間に、この申し出制度を受けて東京都が対応した結果についてどのように評価をされているのか、見解をお伺いいたします。

○高田消費生活部長 消費生活条例第八条は、今お話がございましたように、消費者の権利が侵害されている疑いがある場合に、都民が知事に対して措置要求の申し出ができる旨を明記するとともに、申し出に対する知事の対応義務を定めているものでございます。この申し出に基づきまして、調査は、庁内の関係局とも十分に協議し、役割分担の上、実施してございます。
 平成十三年度までのこの五年間に、申し出は、要求資料にお示ししてございますように十件ございましたが、都はこの申し出を受けまして、家庭用プラスチック容器からの内分泌攪乱化学物質の溶出検査でありますとか、牛乳食中毒事件に関連した、牛乳や乳製品製造事業者への監視指導など、消費生活に関する幅広い分野について調査等を実施してまいりました。
 調査結果につきましては、都民に情報提供するとともに、業界団体等に対しまして改善要望を行ってございます。その成果といたしまして、業界団体がガイドラインを作成し、事業者が製品の改善を行うとともに、消費者に対して使用原材料の情報開示をしたというものもございます。
 このように、都民の申し出制度は、消費者の権利実現のために十分その役割を果たしているというふうに考えてございます。

○執印委員 この間の調査の結果に基づき業界団体が変わってきたということが、消費者の立場からしたら非常に大きなことだというふうに思います。
 次に、平成十三年度の申し出は二件あったようですが、一件のパラジクロロベンゼン、オルトジクロロベンゼンを含有する製品のダイオキシン類については、今調査中ということでございますので、今後を待ちますけれども、もう一件の方のクレオソート油に関するPAHについて具体的に伺いたいと思います。申し出を受けてどのような調査を実施されて、結果はどのようになったのでしょうか。

○高田消費生活部長 クレオソート油は、コールタールを蒸留して得られるものでございまして、木材防腐剤として使用されてございます。都は製造メーカーに対し、成分内容の分析データの提供を求め、そのデータをもとに、各成分の安全性について、国内外の文献や規制の状況を調査いたしました。その結果、クレオソート油には発がん性の認められるベンゾ(a)ピレン等が含まれているということが判明いたしました。

○執印委員 今、製造メーカーに対して成分内容の分析データの提供を求めたというお話がありましたが、これについては本当にいろいろご苦労があったんじゃないかというふうに思います。業界が、またメーカーがその情報を公開するということはなかなか大変なことだと思いますし、働きかけは、本当に担当者の皆さんの粘り強さがあってできたことだというふうに思います。
 それでは、そういう結果を踏まえられたわけですが、ご苦労のほどをちょっとお話しいただけるようでしたら、お話しいただきたいと思いますし、この結果に基づいて、業界に対してどのような措置をとられたのか、また、庁内の各局に対してはいかがでしょうか。木材の防腐剤ということで関連の局があるかと思うんですが、そのあたりをお聞かせください。

○高田消費生活部長 業界団体、これは日本芳香族工業会というところにお話ししたわけでございますけれども、技術的にはいろいろ除去についての可能性はあるようでございますが、採算の面とか設備投資の面、かなり課題が残っているということで、私ども、お話については、率直にそういったところの問題状況を伺ったところでございます。
 それでもう一点、クレオソート油の業界に対する措置と各局への働きかけでございますけれども、クレオソート油は、植木の支柱や垣根の腐敗防止のためのガーデニング材料として市販されてございます。このため、都は消費者への危害危険防止の観点から、製造メーカー及び業界団体に対し、ベンゾ(a)ピレンの含有率を減らすよう要望いたしました。また、国に使用基準等に関する検討を依頼するとともに、クレオソート油を使用する可能性のある庁内関係局に対しまして調査結果を伝え、使用についての配慮を求めたところでございます。

○執印委員 こういった調査をすることができるということが、都でしかできない仕事だというふうに思いますので、都民にとっては、非常に健康の面からもありがたいというふうに思います。
 そこで、こういった調査結果が速やかに今度は都民に伝わって、その情報を得て、暮らしの中で都民の目からも町をチェックできるといいますか、販売しているものをチェックするとか、ちょっと注意して見ていくというようなことが必要かと思います。
 また、一方、環境局では、化学物質の子どものガイドラインで鉛を選定して、同様に、事業者への代替物質の使用とか都民への情報提供というのをしておりますが、都民の立場からしますと、局ごとのくくりではなくて、暮らしているという視点から、一括した生活関連の化学物質情報が欲しいわけですけれども、都民に対する情報提供はどのように行っているのでしょうか。

○高田消費生活部長 私どもが関連しておりますのは商品の安全性ということでございますが、商品の安全性に関しましては、ホームページ「東京の消費生活」や「くらしの安全情報」「東京くらしねっと」などの広報誌を通じまして、都民に広く情報を提供しております。
 特に、お話がございました化学物質についてでございますけれども、化学物質に関する新しい動きや、関係各局が実施する施策、調査につきましては、ホームページに化学物質の項目を設けまして、わかりやすい形で一覧できるようにしてございます。

○執印委員 都民がアプローチできる形でまとめていらっしゃるということです。
 最後に、この調査というのは、法律の規制がないけれども、安全性について疑わしい状況がある場合に、都民の安全を守る立場で実施されているものだというふうに思います。先ほども申し上げましたけれども、市区町村にはできない、これぞ東京都の仕事という感じがするわけです。先日は、健康局でしたか、東京都のアレルギーの状況というのを質問させていただきましたけれども、三歳の子どもでしたかね、五人に二人がアレルギー症状を持っているということで、都民からいたしますと、こういった制度を使って、暮らしの安全というのをさらに深めていきたいというのは、だれも感じているところだというふうに思います。
 そこで、この申し出制度、大変いい制度だというふうに思っておりますが、この制度の都民への周知はどのようになっているでしょうか。

○高田消費生活部長 先ほどご答弁申し上げましたホームページ「東京の消費生活」において、制度の趣旨及び申し出の方法、それから申し出書の様式等について詳細に紹介してございます。また、都民向け広報誌「東京くらしねっと」を通じまして、制度の趣旨や調査結果についても随時、情報提供してございます。
 この制度の運用を通じまして、なお一層、都民参加の推進を図るため、今後とも、迅速でわかりやすい都民への情報提供に努めてまいりたいと存じます。

○執印委員 こういった化学物質から受ける影響ですね、そういうものが子どもたちに与える影響は、もちろん私たち大人に与える影響も大きいわけですけれども、こういうことも含めて、子どもたちの環境を守るということを、生活文化局を挙げてやっていただきたいことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○矢島委員 東京都にはいろんな局がたくさんあります。予算が大きくて人員がたくさんいれば重い局だというような見方もあるでしょうけれども、学務費の一千三百億を除くと二百四十五億しかない中で、大変少ない予算でやっている局ですが、人間の大きさに非常に近いものであるということからいけば、仕事内容も含めて、私は大いに期待するところがあります。やはり大きさじゃありませんから、小さいなりの頑張り、しっかりお願いしたいなと、これを申し上げて、質問に入りますが、生活文化局というのは、この名前に非常に私は興味があります。生活のありようが文化だとしたら、その縦軸、横軸というんでしょうか、その頂点と広がりには芸術があるということもいい得ると私は思います。
 それで、生活文化局は、文化、芸術という面からいきまして、教育庁より事務の移管を受けられました。特に文化庁と日本芸術文化振興会などの所管を受けられているわけですから、名実ともに東京都の文化振興の役割を担ったものと認識できると思います。
 平成十二年の十二月に、当面の東京都文化政策手法の転換と取組を策定されておりますけれども、まさにこの時期は絶妙と思える時期で、これが出たことがいわば呼び水となって、文化、芸術政策の一元化のきっかけに--それ以外のこともいろいろあるかもしれませんが、そういう時期に来たかなと。そういう一つ一つの取り組みが何よりも重要だと私は思います。ここに生活文化局の力、そして、将来の広がる可能性が常に人の生活とともにあるように思っております。いわば、これまでのライフスタイルなどサブカルチャーから、芸術、ハイカルチャーまでの文化公共政策の所管が加わった、エポックメーキングの非常に重要な時期だと思います。
 その上でお聞きいたしますが、今回の移管が生活文化局の取り組みにどのような意味を与えて、またどのような展望と課題があるか、お伺いいたします。

○荒川文化振興部長 今お話にございましたように、教育庁の方から文化施設が本年四月に参りまして、例えば池袋の東京芸術劇場など文化の四施設、それから歌舞伎教室などの文化事業、それから文化に関する後援名義を東京都は出しておりますけれども、それのほとんどが参りました。それから、国への文化関係の助成金の申請事務など、今回の移管でかなりのものが生活文化局に参ったわけでして、当初は、スタート時期は大変慌ただしかったのも事実でございますけれども、最近は大分落ち着いてまいりました。
 と同時に、この一元化自体のメリットがやはりございまして、同じ文化施設でも、教育庁関係の四施設と、江戸博ですとか写真美術館など生活文化局の施設がございますけれども、こういったものの財務状況ですとか、あるいは人員配置などを比較しますと、やはり違いがあることが非常にわかりました。また、統一した目で文化行政全体を見ることができますので、そうしながら全体的な文化施策展開を図ることが可能になったというふうに思っております。
 今後は、こうした文化行政の一元化のメリットを生かしまして、今申し上げましたように、財務状況の統一的把握ですとか人材の横断的活用、事務手続の簡素化などを図りながら、魅力的な事業企画、集客力の向上、統一的な広報戦略など改革を行っていきたいというふうに考えております。

○矢島委員 今お話がありました移管をされました施設について、ちょっとその現実をお伺いいたしますが、このうち、歴史と伝統ある上野文化会館、そして比較的新設の東京芸術劇場、その利用状況。利用状況はいわば施設の性格を、現況の性格をあらわしているようなところがあると思います。そういう点についてどういう状況であるか、お伺いいたします。あわせて、施設の管理運営は財団法人によって現在行われておりますけれども、その理由をお伺いいたします。

○荒川文化振興部長 今お話のございました二つの施設のうち、まず東京文化会館、これは昭和三十六年に開館いたしましたけれども、音楽、オペラ、バレエなどを中心にしまして、クラシックの殿堂という性格を持って、多くの人々に現在親しまれております。ただ、二つのホールがございまして、大ホールの方は高い稼働率を保っておるんですけれども、小ホールにつきましては決してまだ稼働率が高いとはいえない状況でございまして、今後、世界に通じるようなブランドを維持しながら、質の高い若手音楽家のコンクールですとか、あるいは音楽の練習などにも活用を広げまして、稼働率を図っていきたいというふうに考えています。
 それからまた、東京芸術劇場、これは矢島先生のお近くでございますけれども、平成二年に、クラシック専門の大ホール、それから舞台公演が可能な中小ホールを備えた総合的な文化施設ということで開館いたしました。ここは逆に、中小ホールの方は舞台芸術を中心にやっておりまして稼働率は高いんですけれども、大ホールの方はクラシック専門ということで、こちらの方はむしろ稼働率のアップが課題ということになっております。今後、東京芸術劇場の知名度アップのためのセールス活動を続けながら、東京芸術劇場に行けば、何かこういう新しいもの、すばらしいものが見られると、こういうふうな特色を出すことを目指してまいりたいというふうに考えております。
 それから、施設の管理運営を、現在、財団法人の歴史文化財団の方に委託しておるわけですけれども、こういうふうに施設管理を財団に委託いたしますのは、財団に、営業ですとか事業の企画に関する専門的なノウハウを持った人材などを、あるいはそのノウハウ自体を蓄積させまして、こういった文化関係の利用者サービスの確保ですとか、稼働率の向上を図ることを目的として、このような委託をしてございます。こういうことから、美術館、ホール、特に舞台芸術関係につきましては歴史文化財団に委託しております。
 また、ホール関係のうちの国際会議も可能なホールなどにつきましては、東京国際フォーラムというのがございますけれども、そちらの方につきましては、東京国際交流財団というところ、これも生活文化局の所管でございますけれども、こちらの方に委託をしているところでございます。

○矢島委員 東京都は、自治体文化条例の先駆けとして、昭和五十八年に東京都文化振興条例を設けられました。また、昨年の十二月には、議員立法でありましたけれども、文化芸術振興基本法が成立しました。これを受けまして、東京都の条例の内容について現行のままでよいのか、また実効性をどのように担保を、その関係においてしていこうとするのか、伺います。
 そのとき重要となることは、文化芸術振興にかかわる公共性、社会性の意義は何かということになろうと思います。この点について認識がないと、一言の言葉で腰を引いて箱物の貸し出し行政に戻ってしまう、こういう心配があります。ここのところの認識をお伺いいたします。

○荒川文化振興部長 今お話のございました、まず東京都の文化振興条例でございますけれども、これは昭和五十八年に制定されたものでございますけれども、文化の振興に関する東京都の施策の基本を明らかにするということなどを目的に、国に先駆けて制定されたものでございます。
 それから、昨年、平成十三年に制定されました国の文化芸術振興基本法、こちらの方は、文化芸術の振興に関する国及び地方自治体の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本を定めることなどを目的に制定されたものでございます。
 この両者を比較いたしますと、国の基本法にいろいろ盛り込まれておりますけれども、そのうち文化芸術に関する教育研究機関の整備ですとか、あるいは国語の理解というような、国の役割に関する四つの事項がそこに入っておりますけれども、これらを除けば、都の条例は国の法律の要素をほぼ盛り込んでいるというふうに認識しております。
 加えまして、この法律が制定されたときに附帯決議が出まして、この附帯決議二点ございますけれども、一点は文化の内容への行政の不介入、それからもう一つが、文化の範囲を広くとらえるべきであると。こういう附帯決議が出ましたけれども、この附帯決議につきましては、条例の方では既にこれに対応した形をとってございます。
 このように条例が法の内容を先取りして盛り込んでいることから、現時点では条例の改正は必要ないというふうに考えておりまして、むしろ具体的な文化施策の面でいろいろな展開を図っていきたいというふうに考えております。

○矢島委員 先ほどの東京都文化政策手法の転換と取組の中で、文化行政の一元化に触れておりますし、この問題は、今回の所管の変更で、中核的な部分は終わったと思います。また、その中で第二に取り組む点として、文化振興の中核としての財団の再編を問題にしております。私はこのところは非常に重要な問題だろうと思います。東京都知事部局の職員は、異動は数年でありますし、文化芸術振興は専門性と継続性を有する問題であります。つまり、従来の行政手法で、予算と職員の枠の中で完結的に考えがちなそのやり方では、まさに行政執行の方法ということになりまして、これからの文化芸術振興には十分対応していかないというふうに私は思います。
 また確かに、江戸博、美術館など、施設には学芸員がおりまして、その分野で貴重な取り組みをされているのは承知をしております。しかしながら、芸術文化の振興を図るためには、政策という方策から、総合的機能を担うアートマネジメントの転換が当然必要になろうと思います。このためには、芸術文化振興の自主的機能、専門性、継続性、民間との結節点、これも大変重要なことですが、そして大胆、柔軟、また総合的に取り組める組織に早急に移管すべきだと私は思います。このことは、手法の転換と取組でも、私はそういうふうに読み取れますが、同趣旨の方向を示しております。ここで重要なのは、早急な取り組みということになろうかと思います。その場合には、受け入れる組織の整備がまず重要だし、それをしっかりしていかなければ、形だけ持っていったということになっては実質が伴ってまいりません。現行の文化振興の装置を管理する財団の改編あるいはパワーアップなど、こういうことも一つの例となろうと思いますけれども、その認識と方向性について伺います。

○荒川文化振興部長 まず、今のご質問にお答えする前に、先ほど答弁漏れがございましたので、そちらの方を先にお答えさせていただきます。
 条例の内容の実効性をどのように確保していくかというご質問でございますけれども、これにつきましてはやはり抽象的な文言ということよりも、具体的に東京都がどういったような文化事業をやっていくか、それを都民の目に見えるような形で展開していくことが必要だろうというふうに思っております。
 先ほど先生からお話に出ました当面の転換と取組というところで、鑑賞から創造へ、施設の整備から文化の発信へ、それから、都がみずからやるのではなくて、いろんな主体と連携していく、こういう三つの柱を立てたところでございまして、こういった考え方のもとに、例えば、ことしの場合はアジア舞台芸術祭というのをこの夏にやりましたけれども、そこでは他の都市との連携を図ってみたり、ヘブンアーチストでは、いろいろな活動の場にまで展開をする。あるいはワンダーサイト、ワンダーウオールというのがございますけれども、そういったところで若手アーチストの創作の場、作品発表の場を設けていく。あるいは、ロケーションボックスによって撮影の機会を増やしていく。こういったような具体的な取り組みをしているところでございます。
 それから、先ほどの三つ目のご質問の中で、文化芸術振興に係る公共性、社会的意義が重要である、その認識を伺うということでございましたけれども、私自身の文化に対する認識を申し上げさせていただければ、例えばライフスタイルですとか作品の発表、そういったような作品で表現される、ちょっとかた苦しい言葉を使えば、人類の知的蓄積というふうにいえるのではないかと思っております。いずれにしましても、人々の生活に潤いとか豊かさを与えますとともに、都市という地域にエネルギーを与えるのが文化であるというふうに思っておりまして、そういった点で大きな役割を文化は果たしていると思います。
 こうした状況のもとで、今後とも文化の面から東京を再生し、東京を世界の人々を魅了する創造性あふれる都市とするため、創意工夫を凝らして文化事業を展開していきたいというふうに思っております。
 それから、ただいまご質問のありました財団の問題でございますけれども、歴史文化財団には、今お話がございましたように、事務職員のほかに館長、それから学芸員など専門的能力を持った固有の職員がございます。今回の一元化を契機にいたしまして、こういった職員の専門性をより高めるために、業績評価と能力給、あるいは他の専門機関、美術館への派遣研修、こういったような研修制度を充実することによって新たな人材を活用していくというような仕組みを設けたところでございます。制度が発足してまだ半年ぐらいしかたっておりませんので、その効果はまだ期待できませんけれども、今後、財団が芸術文化の担い手として魅力ある施策の展開を図っていくよう、財団職員を積極的に、あるいは財団自身を積極的に活用していきたいというふうに考えております。
 そして、このような仕組みを通じまして、財団のアートマネジメント能力、企画ですとか広報ですとかマーケティングですとか、あるいは資金調達、経理財務--単なる美術展示ということではなくて、こういった能力を持つ、あるいはアートアドミニストレーションというような言葉も使うようでございますけれども、こういった能力を向上させながら、財団自身を、芸術文化の振興の中核としての機能を発揮させるよう努めていきたいというふうに思っております。

○矢島委員 ぜひ努力をしていただいて、行政がそれを型にはめるというんじゃなくて、行政でない形でやっていくということの意義は、非常に自由、発展的にできるという、総合的にできるという意味がありますから、それを保障するような、下支えするような努力を考えていっていただければありがたいと思います。
 最後に関連で一つだけ別件でお聞きいたしますが、芸術文化は生活の楽しみでありますし、ふとしたきっかけで、今まで興味を持たなかったものに興味を持つようなこともあろうかと思います。また、観光客などにとっても大変有効な旅の魅力だと思います。どこかの劇場でおもしろそうな演劇がかかったり、小さなライブでジャズメンが旋律を組み立てたり、いろんな出会いの機会があろうと思いますが、なかなか知らない町では--東京に住んでいる人間にとりましても、その情報は得にくいところがあろうと思います。歴史の古い都市では、伝統的にきめの細かい情報の提供が、しっかりした月刊誌等で、どういうところが出版しているんでしょうか、インフォメーションツーリストかもしれませんが、そういうところでしっかり出していると思います。芸術文化の振興というのは、それをどのように周知をするか。興味ある人だけに知らせるのではなくて、たまたま来た人にも非常にわかりやすく伝えるような、こういうことが、逆にいえば東京都のそれぞれの人にいろんなチャンスを与えることにもなると思います。
 この情報提供の方策は当然考えられておると思いますけれども、その現況と、それから、観光政策の一つであると私は当然思っておりますので、その乗り合い状況をどういうふうに考えられているか、これをお聞きして、質問を終わります。

○荒川文化振興部長 東京が文化豊かな都市といわれるようにするためには、もちろん、今まで申し上げましたように、文化の発信力を高めるということは重要だと思いますけれども、同時に、鑑賞機会がここにあるということが、都民はもとより外国人にもわかるというようなことが必要だろうと思っております。そういう観点から、文化専門のホームページの開設を現在準備しておるところでございまして、文化イベントの開催情報、施設の利用案内、それから文化団体の活動紹介などの情報を簡単に検索できるようなホームページ、特に、公共だけでなくて民間の文化団体あるいは文化施設等のリンクも張りまして、検索できるようにしていきたいというふうに考えております。
 観光関係で、現在、産業労働局は十月にウェブサイト「東京の観光」というようなものも開設しておりますので、こういったものとも連携を図りながら、都民や、あるいは東京を訪れる外国人あるいは国内の観光客にも十分使えるような便利なサイトにしていきたいというふうに考えております。

○坂口委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後三時三十八分休憩

   午後三時五十四分開議

○坂口委員長 それでは、休憩前に引き続き分科会を開きます。
 これより大学管理本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都一般会計決算中、大学管理本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○飯塚管理部長 去る十月八日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます、大学管理本部と記載されております封筒の中の平成十三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらんくださいませ。
 表紙をお開き願います。
 ご要求のございました資料は、都立四大学の卒業生の進路及び就業状況外六点でございます。
 一ページをお開き願います。都立四大学の卒業生の進路及び就業状況を、平成十四年三月の卒業生について、卒業者数とその内訳、就職者数、就職率を男女別にお示ししております。
 二ページをお開き願います。都立四大学の研究奨励費による研究の例を、各大学別に主な研究テーマと研究成果等を一覧にしてお示ししたものでございます。
 三ページと四ページは、都立四大学の学生数、教職員数、予算額、決算額についてでございます。
 三ページをごらんくださいませ。都立の四大学につきまして、上段の表で学生数を、下段の表で教職員数を、各年度五月一日を基準として、平成五年度から十四年度まで過去十年間の推移として一覧にしたものでございます。
 四ページをお開きください。都立の四大学別に、上段では各年度の当初歳出予算額を、下段では十三年度までの決算額の推移を一覧にしてお示ししたものでございます。
 五ページをお開き願います。都立の四大学における奨学金受給者数を、日本育英会からのものと、それ以外とに分けて、その推移をお示ししたものでございます。
 六ページをお開きくださいませ。平成十三年度に行った事業のうち、廃止事業及びレベルダウン事業について、その事業名と予算額、事業終了時期をお示ししてございます。なお、平成十二年度につきましては、廃止事業、レベルダウン事業ともに該当はございませんでした。
 七ページをごらん願います。都立の大学の研究費歳出決算額を、一般財源研究費と外部資金研究費とに分けて、五年間の推移をお示ししたものでございます。
 八ページをお開きください。執行率が八〇%以下の事業につきまして、各費目、区分事業名ごとに、その予算額、執行額、主な理由をお示ししたものでございます。
 以上、甚だ簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○坂口委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○矢島委員 日本の少子化の影響は、大学の将来にも大きな影を落としております。受験者全員を合格させても定員が割れる時代が到来することが予想されておりますし、学習塾が大学入試問題作成の請負を発表する、こういうような時代でもあるようです。まさに入試が過去のものとなっている様相を呈しております。そして、社会での大学の位置も揺らいでおるのはご承知のとおりです。
 このような中にあって、都立の大学は平成十三年十一月、改革大綱のいう今日的な存在を明確にしようと改革に取り組もうとしております。大綱には、多面的な連携、人材の育成、東京への貢献、運営の革新により存在感がある大学、東京の持続的発展に貢献する大学、都民が活用できる大学を目指そうという内容で記載されておりますが、もっとわかりやすい言葉で、具体的にどのような大学を目指しているのか、お伺いいたします。

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○菊地改革推進担当部長 今回の大学改革の柱は、教育改革、社会貢献、運営革新の三本でございますが、これをいいかえますと、大学の本来の使命でございます教育研究のあり方を見直すことによりまして、次代を担う力ある人材を輩出できる大学、大学での研究活動を通じまして、東京の地域産業経済の発展や都市問題などの解決のために貢献できる大学を目指しております。
 このため、教育面では、入試及び基礎、教養教育の改革を、研究面では、時代に適応しました社会貢献のための先端研究への重点化や、産学公の連携の仕組みをつくることといたしております。
 さらに、運営の革新では、これら研究、教育の内容を不断に見直すことができる大学であるとともに、都民に対してもわかりやすい大学とするための運営体制を目指しているところでございます。

○矢島委員 都立大学改革は、独立法人化と、教育研究と経営の分離が大きなポイントだと思います。まず、この理由を伺います。また、本来的に大学は研究と教育がその使命でありますから、経営組織が予算と人員を確保し、教育と自由な研究を教員集団に任せる担保が必要だと考えます。この点についての所見を伺います。

○久保調整担当部長 先ほど委員もご指摘のとおり、大学は大変厳しい時代を迎えておりまして、公立大学におきましてもまた、これまでの大学運営を大胆に変革する必要に迫られております。
 大学の独立法人化は、時代の要請にこたえまして、大学を活性させるための手法の一つでございまして、具体的には、国立大学の法人化と同様、教員の能力を十分に活用するために、能力主義、業績主義を導入する一方で、その自由な活動領域を広げるということ、それから、経営面でも企業会計による弾力的な財務手法を採用するなど、いわば民間の経営感覚を大学に取り入れることなどを柱としておるものでございます。
 また、経営部門と教育研究部門との分離は、都民に対して経営責任を明確化するとともに、それぞれにふさわしい能力を持ったトップのリーダーシップのもとで、この大学の置かれた難局を乗り切ろうとする考え方に基づくものでございます。
 しかし、こういった改革は、あくまでも自主的、自律的な大学運営を確保するという理念を前提としているものでありまして、経営部門は、大学における教育や研究などがさらに活発に進められるためのいわば支援組織であるという視点に立っていることはもちろんでございます。

○矢島委員 どんな立派なことも、実際にやるときにどういう方向に向かうか、その内容次第ですから、今の理念というのは、常に戻るべき原点として大切にしていただかなければいけないことだと思いますので、ぜひその点は周知して、今後の都立の大学の改革で、開校、始まりましても、その先のことを大切にしていただきたいと思います。
 独立法人化は、いいかえれば、私は都民のアカウンタビリティーだろうと思います。そこでポイントになるのは大学の評価ということになりますが、物事を進めるときは、目的を持って計画を立て、そして実行し、結果が出る、その結果を評価することが重要ですし、このことは責任の所在を明らかにし、次への努力の基となることだろうと私は思います。
 改革大綱でも、大学法人みずからの評価、そして平成十二年四月に発足した大学評価・学位授与機構による五年ごとの教育評価、研究評価、テーマ別評価などの外部評価、そして都が行う総合評価などを想定しているようです。この中には当然、財務諸表などによる経営評価も入ることだろうと思います。
 本意ではありませんけど、誤解を恐れずにあえて私が申し上げれば、優秀な学生が多く集まり、教員は学生の教育に励み、有用な研究を数多く行って、都立大学よりその研究成果を社会へ発信して、東京のシンクタンクとして多くのテーマに取り組んで貢献し、また、学んだ学生は優秀な、多様な人材として成長し、各種の難関試験にも数多く合格し、社会に旅立つ先も中枢組織というような、これが、一つの見方が、具体的なことになろうかなと。そしてもちろん、財務諸表もよいと、こういうような見方もあるかもしれません。
 この評価基準は、具体的にわかりやすいものでありますけれども、基準の一つとなすべきものであるけれども、最終的に必要なのは総合評価ということになろうと思います。身内の者でない、開かれた組織で行うべきと私は思います。それぞれの個別の評価、そして実態のいろいろな数値化できるものが出てきたとしても、先ほどお話しありました理念に立ち戻ったときに、果たしてそれは総合的によいかということ、そして、それも一部の中のよくわかる人の話だけではなくて、中の人間だけではなくて、社会的にも、そして地域的にも広い世界の中でたくさんの人に評価をしてもらう。まあ、万人が評価するのは無理ですから、委員を選考しなきゃいけないでしょうけれども、そういう意味で、それらの代表の開かれた人たちにより、開かれた組織により行うべきだと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

○久保調整担当部長 法人化後の大学の活動を評価するに際しましては、委員ご提案のように、身内が行うというのではなくて、第三者による評価組織を設置し、厳正で客観的な評価を行う仕組みを導入することを検討しているところでございます。
 また、その際の評価の範囲につきましては、るるご提案ございましたが、大学すなわち法人の財務運営や事業執行の状況、それから教育研究、社会貢献の各分野における成果などを想定しておりまして、評価結果につきましても、都民にわかりやすい内容と方法で公表する工夫が必要であると考えているところでございます。

○矢島委員 できれば評価の順番は、教育と研究発表を先にいっていただいて、その後に財務諸表が出てくれば、より理念に近いかなと思うんですが、細かいことで恐縮ですけれども、やはりそういうような気持ちにいきがちだということだけは、先ほどから申し上げているように、十分注意していただければありがたいと思います。
 大学本部所管の三大学一短大は、平成十四年度予算ベースで百五十七億五千八百万円の都の一般会計を投入しております。日本一の最大最強の自治体といえると思いますけれども、東京都はメニューで大学を持っているわけでは当然ありません。これまでの東京都の財政支援を受けながら、それに対する必要な説明責任を都立大学は果たしてきたか、東京都施策への貢献は十分であったか、この点についての認識を伺います。

○久保調整担当部長 これまで都立の四大学は、それぞれの設立の趣旨に基づきまして、教育研究活動に取り組み、人材の育成や研究の面でも公立大学として一定の役割を果たしてきたものと考えております。
 都民に対する説明という点では、それぞれの大学が教育研究活動の自己点検と評価に取り組み、その活動の公表に努めてきたところでございます。
 また、東京都の施策への貢献という点では、例えば都立大学の都市研究所におきまして、いわゆるロードプライシングに関する調査研究を実施し、交通需要マネジメント東京行動プランとして実を結んだケース、あるいはまた都立大学工学研究科におきまして、小型レーザーを用いた花粉測定システムを開発し、花粉症対策に役立てたケースなど、大学における研究が東京都の施策に生かされた例もございます。
 しかし、大学における教育研究の成果を広く発信し、その知的資源を都民や都政に十分に還元したかといわれれば、必ずしも十分ではなかったと認識しております。今回の改革を通じまして、都立の大学がこれまで以上に、社会や都政にその知的資源、研究成果を還元できる体制をぜひ確立したいと考えております。

○矢島委員 新大学の発足は十七年四月と伺っております。それまでのおよそのスケジュールをご説明ください。

○菊地改革推進担当部長 昨年十一月の大学改革大綱策定後、今年五月に、学部のコース、大学院の専攻など新大学の基本的な構成を決定し、大学と私ども大学管理本部が共同して新大学の発足に向けた準備に取り組む組織といたしまして、都立新大学設立準備委員会を立ち上げてまいりました。
 現在は、この準備委員会で具体的に基礎、教養教育などの教育内容、入学者の選抜方法や、産学公連携推進の仕組みなどを中心に検討を進めております。これらの基本的な事項につきましては、おおむね今年度中には固めていきたいと考えております。
 また、来年度は、より詳細な個々の授業科目の内容の検討や公立大学法人への移行のため、中期目標、中期計画の策定を進めるとともに、十六年度当初に迫りました文部科学省への大学設置認可申請手続の準備を進めていく必要がございます。
 さらに、開設前年度となります再来年度の平成十六年度は、新大学の入学試験を実施し、また、各種の条例、規則等を整備して、平成十七年四月に新大学を開設してまいりたいと考えております。

○矢島委員 最後に、平成十六年の夏ごろに文部科学省への申請があるというお話がありまして、大変時間が限られている中でのことだろうと思います。ぜひ、精力的にしっかり努力していただきたいんですが、このためには広く意見を聞くことと、それから、形ができたというのではなくて、事業化のシミュレーションを行っていただきたい。この点は努力をして、よりよい形で出発するということが必要ですし、日本の首都東京にふさわしい大学づくりに努められたいと私は期待するところであります。
 この点について、最後に本部長の決意をお聞きいたして質問を終わります。

○鎌形大学管理本部長 先ほど先生からご指摘ございましたように、都立の大学は多額な都税を投入していただいておりまして、教育研究、それから社会貢献、こういったものを通じまして、都民や都政から高い評価をいただき、真に存在感のある大学に生まれ変わる必要があると考えております。
 私ども大学管理本部は、こうした改革を進めるということを使命として発足した組織でございます。確かに与えられたといいますか、残された時間は決して多くはございませんが、都議会を初め、大学運営諮問会議などの外部有識者や都民の意見なども広く聞きながら、皆様方のご期待にこたえることができますよう、平成十七年四月の新大学の開設を目指しまして、各大学の教職員を含めた全職員が打って一丸となって着実に改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。

○中嶋委員 今の矢島委員の質問で、もうあえて質問する必要がないほど、結構ポイントのことをいってくださったのですが、しかし、私も実は都立大学が出身校でございまして、かつての劣等生が偉そうに質問するにはいささかはばかられるものがありますが、立場が変わりましたので、立場に免じてご容赦を願いたいと思います。
 具体的に、まず決算説明書の三八ページ、研究奨励費、これを見ますと、3の受託研究費が執行率四二・九%、4の提案公募型研究が六四・四%、6の研究補助金、これはまああれですけれども、寄附講座に至ってはゼロ%と。執行率のよしあしで事業執行の是非を論じるのは、これは乱暴ですが、しかし研究費に関しては、そうはいっていられないと思います。まして大学です。なぜ執行率がこれほど低くなったのか。
 受け入れ実績の減という説明だけですが、それで済むのかと、こういう気がいたしますが、まず説明をお願いしたいと思います。

○飯塚管理部長 ただいま先生からご質問ございました受託研究費、提案公募型研究費など外部資金を導入する研究費につきましては、予算枠をある程度確保しておきませんと、外部資金の提供を受けられないといったこともございまして、過去の実績を踏まえ、可能な限り予算計上をいたしてきたところでございます。
 受け入れ実績が何ゆえ減少したのかというお尋ねございますが、受託研究等の外部資金研究費につきましては、昨今の厳しい経済状況を反映いたしまして、予算計上時に比べ、件数や一件当たりの金額が減少いたしたためでございます。また、提案公募型研究につきましては、一件当たりの採択金額が減少いたしたためでございます。

○中嶋委員 理由はあるんでしょうけれども、もうちょっと積極的に外部資金の提供を受けられるような努力がなければ、予算を組んだ意味がないわけですから、もう一段の努力をお願いしたいと思います。
 それで、ここにある研究奨励費の研究例の資料を要求いたしました。二ページに載っております。この冒頭には、新宿の歌舞伎町の防犯カメラが載っておりまして、これは警察・消防委員会で視察をいたしました。大変に効果がございまして、現に、この防犯カメラが設置されたところでは犯罪が減りつつあると、担当の警視庁の方もいっていらっしゃいました。非常に効果が上がっている。つまり、これは東京都が持っている大学らしい研究なわけです。その大学の研究の成果が警視庁ですぐに具体化された、歌舞伎町で効果が上がった、こうした事例をこれからふやす必要がございます。
 したがって、しつこいようですが、研究奨励費あるいは提案公募型研究の執行率が悪かったという、この決算結果をどう総括して今後に生かしていくのか、そして大学改革につなげていくのか、見解をお示し願いたいと思います。

○飯塚管理部長 外部資金の獲得を強力に推進するためにも、大学研究の成果を社会に還元していくという努力が必要でございます。そのため、今般の大学改革におきましては、大学が社会に貢献するということを改革の柱の一つといたしまして、大学と企業との一層の連携を図るために、産学公連携センターを設立し、大学における研究成果の社会還元に努めることとしてございます。
 こうした社会還元の試みを成功させます前提といたしまして、教員の意識改革が必要でございますことから、競争的研究資金を獲得する努力を教員一人一人に促すために、平成十三年度より従来の研究費配分等を再編成し、都立大学に競争的研究費として総長特別研究費を導入いたしたところでございます。
 これらの仕組みを通じまして、冒頭で先生にご紹介していただきました例にとどまらず、より社会に還元できる研究成果を上げられますよう、大学が一丸となって努力してまいります。

○中嶋委員 そうなんですね。これも後でいおうと思ったんですが、大学管理本部の皆さんの大学改革にかける緊張感というのは、一定程度伝わってまいります。次は、総長以下の教授陣、とりわけ総長のリーダーシップが僕は必要だと思います。そういう意味では、今話の出た総長特別研究費、余り聞きなれません。これは恐らくいい話だろうと思いますので、この内容をちょっと教えてください。

○飯塚管理部長 従来、一般財源の研究費につきましては、一律的に配分するものの割合が非常に大きゅうございまして、研究内容や成果の評価が配分額に反映するものではなかったため、教員に対し研究活動の活性化を進めるインセンティブに欠けまして、また、都立の大学として社会に貢献し得る研究を重点的に推進していくことが難しい面がございました。
 総長特別研究費は、都立の大学として積極的に推進すべき研究に総長がリーダーシップをとりまして、経費を重点的に配分しようとするものでございまして、大学改革の一環として、平成十三年度から導入いたしました学内公募型の競争的研究費制度でございます。十三年度の実績といたしましては、四十八件を採択いたしまして、合計二億円を配分しておりますが、研究例といたしまして、先ほどご紹介いただいた歌舞伎町の防犯カメラと都民のプライバシー、その他の研究をやっているところでございます。

○中嶋委員 ぜひ、これは活用をしていただきたいと思います。教員のインセンティブ、あるいは競争意識を導入する、これは大賛成です。乱暴にやると弊害も出ますけれども、今まで余りにも競争的関係が大学の教授にはなかったと僕は思いますので、こういう制度は大いに活用していただきたいと思います。
 また、この十三年度、これは本会議の一般質問でも提案しましたけれども、たしか、この年から大学と都の試験研究機関の連携が始まったと思います。臨床医学総合研究所を初め、さまざまな試験研究機関と連携をとるべきだと訴えまして、ぜひやりたいと、こういう答弁をいただいたことを覚えておりますが、現状でどのような成果が出ているのか、ご報告をお願いしたいと思います。

○清水参事 都が有する大学や試験研究機関の人的資源や設備等を十分に活用いたしまして、共同研究などにより成果を出していくことは重要な課題でございまして、ご指摘の平成十三年度には、まず都立大学と農業試験場との間で共同研究を開始してございます。その成果といたしましては、資料の二ページに記載してございますが、環境ストレス耐性植物の開発研究の成果の一つでございます、乾燥に強い芝によりまして都市緑化への利用を目指しているところでございます。
 また、十四年度には、都立大学と環境科学研究所との間でヒートアイランドの対策効果予測に関する研究を共同で開始してございます。この研究は、気象の数値予測モデルを適用いたしまして、各種のヒートアイランド対策の効果を定量的に評価することを内容とするもので、その成果を具体的な行政施策につなげていきたいというふうに考えてございます。
 今後とも、都立の大学と試験研究機関との連携を強め、相互の交流や共同研究を拡大いたしまして、都政への貢献を図ってまいります。

○中嶋委員 この環境ストレス耐性植物の開発、これはたしか石原知事が誕生して最初に都立大学を訪問して、見てきてびっくりしたと。砂漠の緑化に使える芝でしたね、こういうのをやっていると。実はこれ、僕も見てまいりました。非常に若い研究者が、余り広くない研究室で立派な成果を出している。大変に感心をいたしました。もうちょっと環境をよくしてあげたいと思っておりますので、事務当局のご努力をお願いしたいと思います。
 そういういい研究も出ていながら、関連しまして、これは十三年度とはちょっと外れますけれども、文部科学省の二十一世紀COEプログラム、新聞でも大分報道されました。都立大学が五分野に一件ずつ申請した、科技大が一分野に一件申請した、そのうち二件が二次審査には残ったものの、採択はゼロと。採択されたのは、ほとんどが国立の大学。しかし、公立大でも、大阪府立大、大阪市立大、静岡県立大、姫路工大が採択に至っているんですね。公立大学の雄といっておきながら都立大が入らなかった、非常に残念だと思います。
 で、研究を奨励して、その成果をはっきりと提示して都民に理解していただく、これも大学改革の重要なテーマと、さっき答弁にございました。今回のCOEプログラムの結果の総括はどうなのか。その総括を通して、総長初め教授陣、あるいは事務当局の一層の奮起を求めたいと思いますが、見解はいかがでしょうか。

○菊地改革推進担当部長 文部科学省の二十一世紀COEプログラムは、第三者評価によります競争原理を導入することにより、世界最高水準の大学を育成することを目的に、今年度から始められた取り組みでございます。今年度は生命科学など五分野に、全国で百六十三大学、四百六十四件の申請がありました。採択されたのは、そのうち五十大学の百十三件でございまして、採択されました構想は、重厚かつ伝統的な研究基盤をもとに提案されたものと、研究基盤の規模ではなくて、その内容の特色化によって提案された、この二種類に分かれると考えております。
 都立の大学といたしましては、お話のとおり、二大学がチャレンジしたわけでございますが、今回はそのいずれにも入ることができず、非常に残念な結果であったと考えております。結果論ではございますが、都立の大学も、これまでの長年にわたります研究の成果を踏まえた研究の焦点の当て方や、プログラムの組み立て方によりましては採択の一角に食い込む力を持っていると考えております。今回の結果をよく分析いたしまして、都立の大学としての特色化、重点化を図るなど、戦略的に研究活動を展開して取り組んでまいりたいと考えております。
 さらに、平成十七年度に開設いたします新大学では、新たに先端科学技術研究科を創設するなど、研究活動の一層の充実に取り組んでまいりたいと考えております。

○中嶋委員 これは愛校心とか母校愛とか、そういう情緒的な話からいっているのではなくて、都民の一人としてちょっと残念ですよ、こんなのはね。お金も使っている、優秀な教授もいる、それで規模も立派だと。鈴木俊一さんがあんな立派な学校をつくってくれたわけですから、しっかり頑張ってもらって、こういう国のプログラムでも必ず存在感を示していただきたい、これは強く要望したいと思います。
 だって、さっきいった砂漠の緑化に役立つ耐性ストレスに強い植物とか、炭素によるナノチューブ、これはすばらしい研究成果を現に出しているわけですから、それがなかなか具体的な成果となって都民の目の前にあらわれてこない、これはやっぱりちょっともったいない。あるいは--まあそれ以上いいません、頑張ってください。
 続いて、大学大綱がこの年には発表されております。前から思っていたんですが、自治体立の大学の存在意義というのがあると思うんですね。とりわけ首都が保有する大学の存在意義、これをはっきりとわかる、明確にする改革であってもらいたいと思いますが、しかし独立行政法人化とか、四つの大学を一本化してしまうということばかりが前面に出てきて、中身と内容が、さっきもありましたけれども、いまひとつはっきりとしない。
 改めて問います。今回の改革として、どんな新しい大学をイメージしているのか、ご答弁を願います。

○菊地改革推進担当部長 新大学におきましては、都立の大学としての存在意義からも、教育研究活動全般にわたる改革に取り組みまして、都民の子弟を初め、東京の次代をリードするすぐれた人材を輩出できる大学とするとともに、大都市東京の課題に的確にこたえる研究を推進することによりまして、都政、都民、東京に貢献できる、確かな力のある大学としていきたいと考えております。そのため、厳正な第三者評価を取り入れた目標評価システムを確立し、教育研究の活性化と不断の改革の仕組みをつくってまいりたいと考えております。

○中嶋委員 時間も押してまいりましたので、例えば、今のは定性的な話でして、具体的に、この資料にもございます大学と教員の数、僕が求めたわけじゃありませんが、これを見ますと、学生十人に教授が一人なんですね。大変な少人数教育。つまり、やる気のある学生にとっては利用価値の高い大学であることは事実です。僕みたいにやる気がなかった人間には余り利益はなかったんですけれども、意欲のある人間には大変利用価値が高い。そういう少人数教育の特徴はちゃんと残すことができるのか。独立行政法人化になって、収益を上げなくちゃいけないと、めったやたら学生ばっかりふえちゃった、これじゃあ、ちょっと僕は心配なわけです。
 それからもう一つ、多様な人材を集めてくる、そのためには今の入試制度のままでいいのか。具体的にこの二点、お示し願いたいと思います。

○清水参事 今回の大学改革は、東京発の教育改革の一環として位置づけておりまして、特に、大学については教育のターミナル、終着点としての責務を踏まえまして、大学教育のありようを抜本的に改革していくこととしております。このため、まず大学の入り口であります入学者選抜につきましては、ペーパーテストの学力だけでなく、個性、独創性、学ぶ意欲など、多様な資質を評価する人材発掘型の入試に転換していく考えでございます。
 このうち、夏休みを利用して高校生に大学の授業を受講させ、能力、適性等を判定するゼミナール入試、また、入学資格を持っておりませんが意欲のある者については、大学の指定した科目を履修させまして、その成績により入学を認めるチャレンジ入試、このような入試については、新大学の発足を待たずに十六年度の入試から実施することとしております。
 このほか、都立高校を対象とする指定校推薦制度や、既に取り組んでおりますが、大学教員によります高校への出張講義等によりまして、都立高校との太いパイプを築くなど、初等中等教育との連携を強化してまいります。
 また、大学における教育改革といたしましては、少人数クラスでの基礎ゼミナールの新設、また、実践的な英語力を身につけるための授業改革など、徹底した基礎、教養教育によりまして、学問の基礎的な力や基本的な技能を確実を身につけさせ、これを質の高い専門教育へとつなげてまいります。
 この改革を実現するため、教育の改善に向けては、教員の研修や授業評価を導入する一方、学生には厳格な成績評価制度を導入するなど、教員と学生の双方に努力を求める仕組みをつくってまいります。

○中嶋委員 かつて本会議の一般質問で、自民党の樺山議員が都立大を取り上げておりまして、非常に高い評価を与えてくださった。特に人文などは大変に偏差値が高い、日本最高クラスと。多様な入試も必要ですが、そういう水準が確保できる、そういう体制はやはり必要だろう。
 それから、最後におっしゃった教員と学生双方に努力を求めていく仕組み、これ、いうのは簡単ですけれども、実際は難しい。でも、これは挑戦するしがいのある仕事だと僕は思いますので、ぜひ頑張ってください。できれば、私の孫を入れたいぐらいですよ。
 それから、あと大学、これはさっき産学公の連携、都市研究所の古川教授、具体名を出しちゃまずいかもしれませんが、古川教授が大変頑張っていらっしゃる。実は我が党の、七都県市の公明党の県会議員、政令市会議員のサミットを開きました。呼びました。話をしてくれました。名古屋も大阪も来たんだ。名古屋、大阪の府議あるいは市議が熱心に耳を傾けて、終わってから質問攻めにしていました。産学公の連携に関して、古川教授の四十分間の講演が大変に勉強になったと、こういっておりました。大学の中でも頑張っている人はいるわけですから、新しい大学では、これを個人のキャラクターとか能力に依存するんじゃなくて、制度として産学公の連携を図れるようにやってもらいたい、こう思いますが、見解はいかがでしょうか。

○久保調整担当部長 大学の知恵を社会に還元すると申しますか、こういったことにつきましては、大学改革大綱におきましても、大学の社会貢献として、改革の柱の一つに位置づけているところでございます。
 とりわけ大学と産業界との連携につきましては、これを重視し、新たな大学においては産学公連携センターを設置するなど、産業界との結びつきを効果的に行って、東京の産業の活力向上に寄与したいと考えております。
 いわゆる産学公連携については、これまでにも大学の研究概要集を積極的に公開するとともに、企業への技術説明や相談機会の提供など、大学と企業、特に中小企業とが交流する場を設けて進めてきたところであります。
 しかし、大学における研究成果を産業界に十分還元するためには、さらに、大学みずからが積極的に企業側にもアプローチする姿勢が必要であると考えておりまして、今回の改革を契機に、大学内に大学と企業を結びつけるコーディネーターを配置したり、特許の取得やその活用方法を検討するほか、企業との共同研究の促進を図って、具体的な成果が上がるよう努力してまいりたいと考えております。

○中嶋委員 もう出しちゃいましたからいっちゃいますけれども、古川教授はみずから走り回って、資金をみずから集めて、それで産学公の連携に非常に努力をされた。もう一教授ののりを越えた活躍をしていらっしゃるわけですね。そういう行動力のある、そうした学者をたくさん擁して、具体的に東京都に貢献できる、東京都の中小企業の皆さんにも貢献できる、そういう新しい大学をぜひつくっていただきたい。
 最後に、大学管理本部長に、付加価値の高い、都民にとって付加価値の高い大学をつくるという決意を、予算編成の真っ最中ですから、その決意が大事ですので、ぜひ決意を述べていただきたいと思います。

○鎌形大学管理本部長 都立大学、先生ご卒業の都立大学は、先ほど先生お話しございましたように、教育研究という観点では、かなり水準の高い大学だろうと私たちも認識をしております。しかしながら、先ほどもちょっとお答えしましたけれども、多額な税を投入しているという割には、都政だとか都民から余り顔がよく見えない大学ではないのかなというふうにも感じているところでございます。
 こういった視点と、それから今日、大学が国家、社会から強く求められております役割を踏まえまして、都立の大学のあり方も今、抜本的に見直しているところでございます。
 その目的は、教育機能を強化して、一層、社会に有意な人材を育成するということと、それから新しい大学の研究力、先ほどCOEも出ましたけれども、研究力を向上させまして、その成果を十分に都民生活だとか産業の活性化、さらには都政にも反映、貢献できるよう、大学を法人化して自主的、自律立的な運営を確立するというところにございます。
 そのためには、首都東京の大学という特徴やメリットを最大限に生かしながら、学生に基礎、教養をしっかりと身につけさせまして、大学を広く社会に開いて、先ほどご指摘いただきました産業界の連携だとか、試験研究機関、さらには都の諸機関、都政との連携協力、こういったものをやりながら、また、教育委員会で現在行われております都立高校の改革、これとも密接に連携をいたしまして、都立ならではの付加価値の高い大学に育て上げていきたいと、このように考えております。

○大山委員 ずっと大学の改革大綱のお話が出ていましたけれども、今ご答弁にありましたように、やはり都立ならではというところというのは、非常に重要だというふうに思っているんです。
 科学技術大学の先生が、学術の中心としてその発展を図り、産業の発展、育成を含め、国民生活を守るという国、自治体に課せられた責務の実現に、国公立大学の大きな使命があるというふうに書かれているんですね。国公立大学は十、百年後の国民人類の生活の未来を予測し、その安全と発展の基礎を築くとともに、それを担う人材の育成という、民間の産業界には任せられない長期的、公共的な責務を担っているというふうに書かれているんです。
 私は、これが非常に重要だというふうに、これを前提にというか、前置きにしておきますけれども、この大学改革大綱というのは、十三年の十一月に出されているわけです。今までの質疑でも出ていましたけれども、現在の都立大学と科学技術大学と保健科学大学と都立短大について、短大と都立大のB類をなくして一つの大学にする、運営は法人化するというものかなというふうに思うんですけれども、いまひとつ具体的にどうなっていくのかということで、よくわからないという面がありますので、幾つか具体的に質問しながらいきたいと思います。
 まず、最初に伺いたいんですけれども、現在は四つある都立の大学をなぜ一つにするのかということなんですけれども、一つにしないと何か不都合があるのでしょうかということなんです。

○菊地改革推進担当部長 新たな都立の大学では、一つの運営主体のもとに四大学を統合するとともに、人的、物的資源を一つの大学として集約することとしています。これにより、四つの大学全体の教育研究の蓄積を生かしつつ、各分野の複合的連携を進め、より幅広い総合性の発揮、より高度な研究拠点としての機能を充実させることが可能となるものと考えております。
 なお、現在大学には、教育の再生や社会の諸課題への対応といった困難な課題がございます。特に、都立の大学には、単に大学改革というだけではなく、東京の教育改革の一翼を担う役割や、大都市東京の抱える課題の解決に向けた貢献なども求められています。
 こうした困難な課題に対応していくためには、都立の大学としての限られた資源を最大限活用して、より時代に適合した高い教育研究を目指す必要がございます。このため、四大学に人的、物的資源を分散させ独立して活動するのではなく、一つの大学として人的、物的資源を集約し、総合力を発揮していくことが不可欠であると考えています。

○大山委員 それぞれの大学がそれぞれの歴史を持って歩んできたわけですけれども、その困難な課題をということなんですが、具体的に幾つか並べられましたけれども、いまひとつ具体的な困難というのがよく見えないんです。この大学自体、より時代に適合した教育研究を目指すということで集約することが必要なんだというお話でしたけれども、集約することで実現するんだろうかということなんです。
 例えば、都民にとってどうかということですけれども、短大が今ありますね、栄養士の資格が取れるという学校ですけれども、新しい学校になって取れるのかということを確認したいんです。

○菊地改革推進担当部長 ご指摘のとおり、新大学では栄養士の養成課程を置くことは予定してございません。全国的に、栄養士につきましては必要な養成数は既に充足しているといわれておりまして、全国の栄養士の調査によりましてもそういう結果が出ているわけでございますが、今後、栄養士の養成課程ではなくて、栄養分野の研究の重点化に努めてまいります。

○大山委員 健康栄養学科というところが人気がないのか、学生がいないのかというと、決してそうでもないわけですよね。この大綱の後ろの方に出ているところを見ますと、競争倍率も三・六倍ということなんです。都民にとって、短大がなくなるということや、栄養士の道もあったものがなくなるという話ですね。
 保健科学大学なんですけれども、荒川区の東尾久ですね、この学校はどのようになるんですか。

○菊地改革推進担当部長 荒川の保健科学大学は、新しい都立の大学の一学部として今後スタートいたします。

○大山委員 新しい大学の一学部としてと。聞くところによりますと、一年生は南大沢に行って、二年生以降は東尾久なんだというようなことを伺っているんですけれども、そういうことでいいんでしょうか。

○菊地改革推進担当部長 新しい大学の保健科学部の学生につきましては、一年次は南大沢で集中的に授業を受け、二年次から尾久の方で授業を受けることになります。

○大山委員 この学校というのは、改めて見せていただいてというか読んでみたわけなんですけれども、医学系の技術者養成ということで、看護学科と理学療法学科と作業療法学科と放射線学科があると。それぞれの試験に合格してもらわなきゃいけないわけですよね。一年生のときから、かなり密度が高い授業を行っているというふうに聞いています。専門の基礎、例えば看護概論だとか、理学療法士だったら解剖学概論だとか、放射線学科だったら画像解剖像学概論など、これらを今は一年生でクリアしているというお話なんですね。これらを二年生でやっていたら間に合わないからだというふうにいわれました。
 現在も実習が大変重要なカリキュラムですから、通常の四年制の大学の授業時間だと、大体、一日四時間が通常だといわれていますけれども、ここは今でも一日五時間の授業で、五時五十分が終業時刻だということなんですね。保健科学大学ですから、荒川区の東尾久、都立大が南大沢、都内でも東と西という状況で、この二校は、どのルートをとっても乗りかえ三回で、駅から駅までだけでも一時間半かかるわけですね。
 一年生は、基礎、教養教育を南大沢で行うということですけれども、現実的に専門の基礎を一年生でやらなければならない保健科学大学の学生さんたちにとっては、いまひとつ現実的ではないんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょう。

○菊地改革推進担当部長 保健科学大学の学生が総合大学の中で学ぶということの意義につきましては、今までの医療系の学部だけの構成というよりも、広くいろんな人と、いろんな志を持った人と交流できるというところに非常な意義を見出しております。
 ご指摘のとおり、今は新大学の教育課程については検討中でございますし、また、特に保健科学部につきましては、一年次と二年次以降のその組み合わせ、専門教育課程等もございますので、検討している最中でございますが、学生に負担のかからないような方向で今検討しているところでございます。

○大山委員 もちろん、ほかの学部の学生と交流できるとかっていうところはありますよ。否定しませんよ。しかし、私、さっき述べたように、かなり密度高いカリキュラムを組んでいて、なおかつ一年生から専門が入ってくるということでは、専門の教育を、カリキュラムは一生懸命組んだとしても、どうしても間に合わない、東尾久が基本だということでしたら、その一年生の専門科目を受けるときは、南大沢の方に、東尾久から先生たちが行かなきゃいけないのかなというふうな心配をするんですけれども、そういうことにはならないんですか。

○菊地改革推進担当部長 ご指摘のとおり、現在考えておりますのは、学生がキャンパスを移動するのではなく、教員が南大沢キャンパスへ行って講義を行うというような方式を考えております。

○大山委員 たとえ先生たちが通うにしても、さっきいったように、電車に乗っているだけでもというか、移動を考えても一時間半、往復が三時間ということですから、何だか非常に非効率的だなと思うんですよね。
 次に、科学技術大学なんですけれども、産学公の連携ということでは実績があるわけですね。中心になってこれを担ってきたわけですけれども、改革大綱では産学公連携センターの設置は日野キャンパスとするというふうになっているわけですが、科学技術大学のキャンパスは大学としては使わないということになるんでしょうか。

○久保調整担当部長 日野につきましては、日野というのは多摩地域のほぼ中心にございまして交通の便もよいなどの、企業にとっても非常に接近しやすい場所であると。それから、日野キャンパスの周辺には、企業の研究所を初め、多くの企業群が集積しているというような基本的な条件がございますので、産学公連携センターを日野キャンパスに設置したいという方向で改革大綱で進めてきたところでございます。
 また同時に、新大学の移行に当たりましては、施設の増築や改修等はできるだけ少ない範囲でとどめたいという基本的な考えを受けまして、既存施設の有効利用を図ると。
 こういった諸状況を勘案いたしまして、お尋ねのように、日野キャンパスには産学公連携センターという形で、現在の施設を十二分に活用してまいりたいというふうに考えているところでございます。

○大山委員 今現在の科学技術大学で産学公連携の仕事といいますか、中心になって担っていることを拡充していってほしいというふうに思っているわけですよね。それを日野でやるなっていうわけじゃなくって、聞きたいのは、連携センターというのは大学の中の一つということでいいのか、それとも全く別の組織になってしまうのか、センター自体が。

○久保調整担当部長 今回の大学改革の柱は、先ほど来申し上げておりますとおり、教育の充実、それから研究の充実、そして社会貢献活動の拡充と、この三本を基本的な柱にしているわけでございます。これら三つを合わせまして大学の活動というふうに考えておりますので、当然、産学公連携センターは、この社会貢献の一部ということで位置づけております。

○大山委員 じゃ、大学の組織の中の一つだというふうに確認させていただきたいと思っています。
 都立大学は都市問題研究が特徴だということで、これも拡充していくんだというお話がさっきもありました。今いろいろ、あの学校、この学校というふうに伺ったわけですけれども、果たしてこれが大学を統廃合しなければできないことなのかなというのが、まだ疑問にあります。結局、B類はなくしちゃう、短大はなくしちゃう、それで一つの学校にしてスリムにしてしまうと。しかも、保健科学大学なんかはかえって使いにくく、矛盾が大きくなってきちゃうということで、先に削減があって、それを実行するために、つじつまを合わせているだけじゃないかなっていうふうに思わざるを得ないわけですね。
 そうしてみると、結局、削減なのかということと同時に、クローズアップされているのが、独立行政法人化と教職員の非公務員化という問題だというふうに思っています。
 この独立行政法人化では、責任者を教育研究部門と経営部門に分けるというのはさっきから出ていますけれども、経営部門の責任者は知事が選任するとか、東京都が都立の大学が果たすべき役割や教育研究の重点分野などを大学法人に示すとか、人事、予算はトップダウンで決められるようにするとか、教育研究成果を第三者評価機関が評価して資源配分に反映させるとかっていうことが、この中には並んでいるわけですね。
 こうしたところを読んでいくと、一体、学問の自由だとか、それを支える大学の自治がどうなるのか、深い意味で人間や社会の発展に貢献する研究ができるんだろうか、学生の勉学条件が保障されるんだろうかという危惧を抱かざるを得ないと思います。
 それで、教育費というのは、大学にとっては自主的な研究を保障するという意味では重要な指標になると思うんですけれども、一人当たりの研究費、都立大だけでいいですから、幾らになるのか、五年前とちょっと比べてみてください。

○飯塚管理部長 都立大学を例にとりますと、講座単位の研究費で、実験系でございますけれども、平成十年度七百九十七万六千円が十四年度には五百四十九万一千円となってございます。

○大山委員 五年間で二百四十八万円減っているわけですね。資料で出してもらいましたけれども、その費用が、どの費用が減っているかっていえば、一般財源はだいぶ減っているんですね。それで、一般財源は五年前の七三%になっているんですが、外部資金研究費というのが五年前の一九二%になっています。もちろん、外部資金がすべて悪いということをいうわけじゃないんですけれども、気をつけなきゃいけないのは、やはり企業は見返りを求めるんだというのはもうありますし、理系はすぐに役立つものが基準になっているというのは、現場の先生たちがおっしゃっていることですね。
 外部資金は、先ほどのご答弁ありましたように、企業などの経営状況によって違ってしまう、影響を受けてしまうわけですね。だからこそ、研究を充実するんだ、学校を充実するんだっていう立場だったら、一般会計の分をふやすことが重要だというふうに思っています。あえていえば、研究には現状批判というのが必要です。現状に何も問題がなければ研究する必要はないわけです。現状批判を通じて、社会の進歩に役立っていく。だからこそ学問の自由が必要なわけですね。
 知事が経営責任者を決めたり、東京都が研究の重点分野を決めれば、それに従う範囲のものしかできなくなってしまうという懸念があるわけです。で、外部の第三者が評価といっても、正しい理論は、出されたころはなかなか評価されないものですよね。非公務員化も、教育研究者としての身分が保障されないで簡単にリストラの対象になってしまうことや、また企業の経営者と教授を兼ねるということになれば、研究の成果が一企業のみに流出していくということも起こり得る。それでいいのかということを考えなきゃならないというふうに思います。
 最近のノーベル賞を受賞した方の研究を見てもわかるように、研究というのは、すぐに実利的に役に立つかどうかだけではないものだというのはもうご承知のとおりだし、大学が社会の中で果たす大事な役割の一つは、経済効率や費用対効果だけでは割り切れない、多様な分野の研究にじっくり腰を据えて取り組むこと、そうした中で都民に役立つ成果が生まれてすぐれた人材が育っているのは、現在、都立大を巣立った方の活躍を見ればわかるんじゃないかと思います。
 以上、四大学の統合と独立行政法人化に疑問を呈して、質問を終わります。

○執印委員 これまでのやりとりでほとんどあったと思いますが、執行状況の低いものについて資料請求もさせていただきましたので、手短に質問いたしますので、よろしくお願いいたします。
 まず、十三年度決算のうち、執行率の低いものについて資料請求したその内容、その理由を伺います。

○飯塚管理部長 執行率が低い理由についてのお尋ねでございますが、受託研究等の外部資金研究費は、厳しい経済状況を反映いたしまして、予算計上時に比べ、件数や一件当たりの金額が減少したためでございます。また、提案公募型研究は、一件当たりの採択金額が減少したためでございます。外部資金研究費は、予算枠をある程度確保しておきませんと、外部資金の提供を受けられないこともございまして、過去の実績を踏まえまして、また安全率を見込んで予算計上してきたために、執行率が低くなってしまうものでございます。

○執印委員 今のお答えの中で、予算は安全率を見込んでいるということでございますが、そのような見込み方をする理由ですね、改めて外部資金研究費の予算の計上の考え方について伺います。

○飯塚管理部長 外部資金研究費につきましては、今後拡充してまいる必要があると考えておりまして、受け入れ見込みがございます案件につきましては、可能な限り予算計上して受け入れ態勢を整えてまいりました。予算計上がないという理由から、受け入れを断るといったことになりますと、相手方との信頼関係にも影響いたしまして、将来的な受け入れの芽を摘んでしまうといったことにもなりかねないということでございます。
 そのため、外部資金研究費につきましては、事項によりましては、過去の実績の最大限を目安とするということで、高目の予算計上をしてきたところでございます。

○執印委員 ご説明としてはわかりましたけれども、この十三年度、特に執行率が悪かったんじゃないかと思うんです。この執行率の悪さは、執行率が悪いからその事業が悪いというわけではないんですけれども、立てた予算の見込みというのは、最大限努力してやっていただかなきゃいけないわけです。その改善の努力をすべきだったと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○飯塚管理部長 平成十五年度予算要求におきましては、受託研究、提案公募型研究などの外部資金研究費の受け入れにつきまして、実績に基づいて規模を見直しまして、より決算額に近い予算を計上いたしましたとともに、予算確定後も各大学で外部資金を受け入れやすいように、予算科目を統合いたしました。また、外部資金の受け入れにつきましては、これまで教員個人の努力に任せるといったところもございましたけれども、組織的体制をとるなど、資金の確実な確保を図ってまいる所存でございます。

○執印委員 先ほど来議論がありますように、都立大学は十七年度に法人化する方針ですけれども、法人化後もこういう問題というのは残るんでしょうか。

○久保調整担当部長 法人化後の会計は、企業会計原則に基づく制度になりますために、官庁会計の場合のように、予算額に対しまして執行率、収入率がどうであったかという評価は原則としては行われません。それにかわりまして、この問題に限って申し上げれば、外部資金をどれだけ獲得できたか、前年度と比べてどうであったか、あるいはその理由はどこにあるのか、その結果、損益計算上どういう影響を与えたのか、こういった観点から評価されることになります。
 それと同時に、収入があらかじめ見込んでいました目標額に達しない場合には、法人の財政状況を苦しくすることになりますので、従来以上に、先ほど矢島委員、中嶋委員からもご指摘いただいたとおりでございますが、積極的な研究アピールへの努力、こういったものが求められることになろうかと考えております。

○執印委員 最後の質問にいたします。総括的にお尋ねしますけれども、これまでも議論あったように、法人化して会計処理を変えたとしても、社会から都立大学への研究要請というのが高まっていかないことには、この問題はどうにもならないかなというふうに思うわけですが、考え方をお尋ねいたします。

○久保調整担当部長 都立の大学におきます研究への社会的な要請、期待、こういったものにこたえるために、私どもは三つの視点からの対策を考えております。
 具体的に申し上げますと、第一に、大学が何を研究しているのかを知っていただくということ、それから二つ目は、この研究要請をしやすくするということ、三つ目としましては、大学自身が積極的に中小企業等を支援していくという姿勢を示すということ、これが大切ではないかというふうに考えております。
 現在、第一、第二の点につきましては、わかりやすい研究概要集を冊子の形で、あるいはインターネット上で積極的に公開したり、さらには研究室を公開して研究紹介を行うこと、また、関心のある企業と大学とが交流する場を設けまして、技術相談と、きっかけとなる環境をつくること、こういった試みを行っているところでございます。また、第三の点につきましては、中小企業等に製品化へのアドバイスなども行えるようなコーディネーターを大学に配置することも考えているところでございます。
 いずれにしましても、ご指摘の研究要請の問題につきましては、課題として私どもも認識しているところでございまして、今回の大学改革を機会に、社会に一層開かれた大学を目指していきたい、そのための一つのステップであるというふうに考えているところでございます。

○執印委員 熱意のほどは承りました。私は、都民になって大体二十二年ぐらいだと思いますが、科学技術大学と地元市の連携というのは始まっているんだなということは感じてまいりましたが、改めて、私たちが都立大学に望むものは何だろうというふうに、この決算を機に考えてみましたときに、一つは、授業料が安くて、さまざまな状況にある若者に勉学の機会を提供でき、人材が育成できることかなというふうに思いました。それからもう一つは、東京という地域性に根差した研究や調査が進められることだと思います。さらには、地道だけれども人々にとって大切な調査研究が行われて、都民の信頼を得ていくものであってほしいというふうに感じたわけなんです。それは、先ほど来ご説明あったことと一致しているのかなと思いながら聞いたわけです。
 ここで、なかなか大学の研究というのは都民には見えにくいわけですが、ノーベル化学賞でいいんでしょうか、田中さんのお話を伺っていると、あの方自身も威張ってなくて大変好ましい男性だなというふうに思いますが、あの方の、一滴の血液から将来の病気がわかるような研究をしたいとおっしゃっていたというふうに私も漏れ聞いたんですが、そのようにわかりやすく都民に伝え、その必要性がわかるような形でまた戻していくことが必要だろうなというふうに思っております。
 今後の対応については、研究の公開とかコーディネーターの充実の話がございましたので、いろんな研究との兼ね合いというのは当然あると思いますが、今後どのような形になるのか、期待をしながらよく見させていただきたいと思います。また、夜間部の廃止ですとか法人化への内容に関しては、今後とも丁寧に見ていきたいということをお伝えいたしまして、質問を終わります。

○坂口委員長 ほかに発言はございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で大学管理本部関係を終わります。
 以上をもちまして第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、打合会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、そのように取り扱ってまいります。
 これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
   午後五時五分散会

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