各会計決算特別委員会第三分科会速記録第五号

平成十四年十月二十一日(月曜日)
第九委員会室
   午後一時二分開議
 出席委員 十名
委員長大木田 守君
副委員長真木  茂君
副委員長松原 忠義君
長橋 桂一君
小美濃安弘君
かち佳代子君
小松 恭子君
倉林 辰雄君
小林 正則君
矢部  一君

欠席委員 なし

 出席説明員
産業労働局局長有手  勉君
総務部長山口 一久君
監理団体調整担当部長安藤 立美君
産業政策部長乾  敏一君
産業政策担当部長松田 二郎君
参事蓬澤 茂夫君
商工部長大原 正行君
参事泉本 和秀君
参事鹿島 博之君
観光部長帆刈 祥弘君
農林水産部長矢口 貴行君
参事馬場 安男君
労働部長高橋  勝君
参事前田 昭信君
中央卸売市場市場長碇山 幸夫君
管理部長橋本 康男君
事業部長石川 俊一君
市場政策担当部長高津 満好君
新市場建設担当部長小山 利夫君
参事岸  信子君
参事松村  進君

本日の会議に付した事件
 平成十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  産業労働局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・中小企業設備導入等資金会計決算(質疑)
  ・農業改良資金助成会計決算(質疑)
  ・林業改善資金助成会計決算(質疑)
  ・沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
  中央卸売市場関係
  ・と場会計決算(質疑)

○大木田委員長 ただいまから平成十三年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、産業労働局及び中央卸売市場関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより産業労働局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分及び平成十三年度東京都中小企業設備導入等資金会計決算及び平成十三年度東京都農業改良資金助成会計決算及び平成十三年度東京都林業改善資金助成会計決算及び平成十三年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○山口総務部長 去る十月八日の当委員会の要求でございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料の一ページと二ページに目次がございます。要求のございました資料は全部で二十四項目でございます。
 まず、三ページをお開き願います。就業促進費(労働費)に係る財源及び実施事業の内訳でございます。
 1の財源内訳にございますように、歳出額三百八億九千三百三十八万余円に対する歳入額は、国庫支出金など二百八十四億四百七十八万余円でございます。
 2は、実施いたしました事業の内訳で、緊急雇用対策など就業促進を図る各種事業を実施いたしました。
 四ページでございますが、地域商業の活性化対策の実績を記載してございます。
 各年度とも、商店街振興組合や商店街などに対し、表にございますように各種事業を実施いたしました。
 五ページでございますが、中小企業金融安定化特別保証制度の利用実績でございます。
 本制度の申し込みは、平成十年十月から平成十二年度末まででございまして、平成十三年度の実績は、保証実績五千三百四十六件、金額は八百十九億八千三百万円でございます。
 六ページでございますが、保証協会債権回収株式会社への求償権委託・回収状況でございます。
 平成十三年度の実績は、委託求償権は五万三百七件、三千四百九億三千三百万余円でございます。回収分は、五十九億四千万余円となっております。
 七ページから八ページは、中小企業制度融資の実績の推移でございます。
 平成四年度から平成十三年度までの十年間の融資実績が記載してございます。各年度の融資実績は、下の合計欄にございますように、年々減少傾向にあります。
 最下段の代位弁済につきましては、平成六年度以降、七百億円を超える実績となっておりますが、平成十三年度は一千億円を超える額となっております。
 九ページは、都内製造業事業所数でございます。
 表の総数欄にございますように、事業所数は減少傾向にございます。
 次に、一〇ページでございます。大規模小売店舗の区市町村別出店数の推移でございます。
 平成十二年度からは、対象店舗面積の変更に伴い、区市町村とも大幅な減少となっております。
 一一ページは、大規模小売店舗届け出状況でございます。
 平成十三年度は、二十三件の新設の届け出を初め、合計で百八十二件の届け出がございました。
 一二ページは、都内小売業商店数の推移でございますが、昭和五十七年度をピークに減少傾向にあります。
 一三ページでございますけれども、元気を出せ商店街事業の実績の推移でございます。
 件数は申請、決定とも増加しておりますが、決定金額につきましては六億円から七億円の範囲にとどまっております。
 次の一四ページと一五ページには、平成十三年度技術専門校別応募・入校・修了者数、就職率を記載してございます。
 一四ページは、施設内訓練の技術専門校別の状況で、下段合計欄にございますように、応募者は定員のほぼ二倍、就職率は七一%となっております。
 一五ページは、委託訓練実施校での状況でございます。
 委託訓練全体では、応募者は定員をやや上回っているものの、就職率は低い数値でございます。
 一六ページは、障害者の雇用状況及び都の就業支援事業でございます。
 まず、1の企業における障害者の雇用状況(東京)ですが、実雇用率は一・三%台と、法定雇用率一・八%を下回っております。
 次に、2の平成十三年度都の障害者就業支援事業につきましては、各種の雇用促進や職業能力開発事業等を実施いたしました。
 一七ページは、平成十三年度労働相談概況でございます。
 労働相談件数は、1にございますように五万件を超え、5の労働相談項目数におきましては、解雇や賃金不払いの相談項目が上位を占めております。
 一八ページには、都内信用組合の破綻処理状況を記載してございます。
 平成九年度から十三年度の五年間で、二十八の信用組合が破綻しております。
 一九ページは、都内農地面積の推移でございますが、年々減少の傾向にございます。
 二〇ページは、都内農業就業者数及び新規就農者数の推移でございます。
 農業就業者数は、平成八年度以降、二万人前後で推移しております。また、新規就農者数も平成八年度以降、六十人前後の数字となっております。
 二一ページは、新規就農者に対する支援策についてでございますが、都及び国におけるそれぞれの支援策を記載してございます。
 二二ページは、庁内木材使用実績でございます。
 林道工事の土どめ工やガードレール、都営住宅の建築やリフォーム等に使用しております。平成十三年度は、九千四百七十二平方メートルの実績がございます。
 二三ページは、新製品・新技術開発事業の実績の推移でございます。
 1は、助成等の実績でございまして、平成十三年度の実績は、新製品・新技術開発助成金の交付につきましては二十二件、一億二千七百万余円、創造的技術開発助成金の交付につきましては二十件、三億五千二百万余円をそれぞれ助成いたしました。
 2の開発事例には、具体的な助成事例を記載してございます。
 二四ページは、産学公連携事業の実績でございます。
 平成十三年度は、相談件数二百七件を初め、交流会などを実施しまして、共同研究成約件数も十七件となっております。
 5は、共同開発研究の事例を記載してございます。
 二五ページは、組織化推進事業の実績でございます。
 東京都及び東京都中小企業団体中央会による主な事業内容を記載してございます。
 二六ページは、創業支援施設の入居実績でございますが、平成十三年度末の実績は、1の都の第三セクタービルを活用した二つの施設には六十企業が、2の空き庁舎を活用した三施設には六十一企業が入居してございます。
 二七ページは、総合的な支援の仕組みづくり事業の実績でございます。
 平成十三年度においては、1の総合相談実績で、相談企業数四千七百四十三企業、相談延べ件数九千百八十件、2の専門家派遣実績で、派遣企業数六十一企業、派遣延べ件数二百件となっております。
 二八ページには、工業集積地域活性化支援事業の実績及び計画を記載してございます。
 平成十三年度は、十六区市に対し一億八千四百万余円の支援を行いました。
 以上、大変雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、まず最初に都市農政についてお伺いをしたいと存じます。
 今日、食の安全が大変都民の大きな関心となっているわけでありまして、食への安心を高めるためには、安全で新鮮な地元農産物の生産、消費を拡大すること、これが第一だと考えております。
 しかし、残念なことに、都内においては、その農産物の生産基盤たる農地が毎年大変大幅に減少をしていることも現状でありまして、そこでお伺いをするんですが、この審査該当年度の十三年度において、都内の農地面積は一体どれぐらいであったのか、また、それからさかのぼりまして五年前、十年前と比べてどれぐらい減っているのか、推移をお願い申し上げます。

○矢口農林水産部長 都内の農地面積についてでございますが、平成十三年度末で約八千六百二十ヘクタールでございます。これを十年前の平成四年度と比較しますと、約二〇%減少しておりまして、また、五年前の平成九年度と比較しますと、一〇%減少しております。主に減少しておりますのは、市街化区域内の生産緑地以外の農地でございます。

○小美濃委員 大変深刻な問題であるといわざるを得ないわけであります。この農地の減少によって、都市農業を支えていく農家の方は大変な問題を持っていらっしゃる、こう思うわけでございますが、こうした厳しい生産環境に加えて、この七月、都内で生産されたキュウリから、食品衛生法に定める基準値を超える農薬、ディルドリン、エンドリン、ドリン系の残留農薬が検出されました。都内農産物に対する都民の安心が、大変大きくこれによって揺らいだわけでございますが、今回の残留農薬の問題への対応として、東京都は現在までどのような対策を行ってきたのか、お伺いをいたします。

○矢口農林水産部長 これまで産業労働局では、農薬安全対策の一環としまして、都内の畑から主な農産物を直接採取して残留農薬の調査を実施してまいりました。
 先生のお話のありました、この七月にキュウリから基準値を超えました残留農薬が検出されたことに伴いまして、緊急対策といたしまして、農業協同組合と協力して、当時販売しておりました夏物キュウリの残留農薬の調査を実施いたしました。また、現在は、都内全域の土壌調査や秋物キュウリの残留農薬の調査を行っているところでございます。

○小美濃委員 ただいまのご答弁にありましたとおり、現在、農業協同組合や都の関係機関が協力体制をもちまして土壌などの調査を実施中ということでございましたが、さらに、具体的にどのように取り組んでいらっしゃるのか、特にこれは食の安全にかかわることですので、詳しくお聞かせを願いたいと存じます。

○矢口農林水産部長 少し詳しくご説明させていただきます。
 七月に、都内で生産されたキュウリから基準値を超えた残留農薬が検出されましたので、直ちに農業協同組合と緊急対策を開催いたしました。
 安全確保対策としまして、都内約三百検体の夏物キュウリの残留農薬を実施したところでございます。実施に当たりましては、農業協同組合に農家からの検体を集めていただきまして、都の農業試験場におきまして分析を行いました。
 次に、土壌におきます残留農薬の実態を把握するため、都内全域約八百カ所の土壌を調査することにいたしました。土壌の採取は農業改良普及センターが中心になって行い、現在、農業試験場及び肥飼料検査センターで分析を実施しておりまして、来年の一月末を目途に分析を終了させる予定でございます。
 さらに、現在出荷している秋物キュウリにつきましては、農業試験場で分析しておりまして、農家が安全性を確認した上で販売してございます。

○小美濃委員 安全な農産物を生産する責任は、第一義的にはもちろん生産者にあるわけでありますが、安全な農産物を生産すべく、農家が進んで、例えば民間の検査機関に土壌検査を依頼する場合、負担が大きいと聞いております。これは一体どれぐらいなのか、まずお示しをいただきたいと存じますし、また、こうした農家の積極的な取り組みに対して、今、一月というお話もありましたけれども、それが待てないような農家は民間に委託するしかないわけでありまして、例えば、その費用の半分を補助するといった支援を、私は考えるべきではないかと思っておりますけれども、ご見解をお願いいたします。

○矢口農林水産部長 安全な農産物を生産していくためには、先生の今お話しがありましたように、まず、農家や農業協同組合がこれまで以上にしっかりした取り組みを行うべきと考えてございます。
 今お尋ねのありました農薬分析経費につきましては、民間の検査機関で、土壌一点当たりおおむね二万円程度となってございます。
 私どもといたしましては、都内の農産物の安全を確保し、都民の信頼を高めるためには、農家や農業協同組合のこのような取り組みに対しましては、できる限りの支援をしていきたいと考えてございます。

○小美濃委員 できるだけの支援をしていただけるということで、具体的には補助の支援などもお願いをしたいな、こんなふうに思っております。
 それで、実は現在国内で農家が使用している農薬は約三百五十種類あるといわれておるわけでございますが、その中で、残留基準が定められているものが約二百種類程度しかないと聞いております。
 今回の場合も、この二百種類程度の中に入っていたわけでございますが、これから年数を重ねていくうちに、こういった基準値が今定められていないものも、基準値が定められたりしてひっかかってしまう、そういった場合も考えられるわけであります。
 こういった残りの二百種類程度に関しましても、早急に基準値を定めて、都民の安心を確保すべきと考えておりますけれども、ご見解をお願いいたします。

○矢口農林水産部長 ご指摘のように、農薬取締法により登録されている農薬は現在約三百五十種類でございます。一方、食品衛生法に基づき残留農薬基準が設定されておりますものは、登録が執行されているものを含めまして二百二十九種類となってございます。
 厚生労働省では、来年度から三年程度で、新たに約二百種類の農薬について残留基準を設けることとしておりますので、都といたしましても、早急に残留基準が設定されますように、関係各局と連携して国に強く働きかけてまいりたいと思っております。

○小美濃委員 今ご答弁がありましたように、今後残留農薬基準が拡大設定されるなど、農産物の安全基準は一層厳しくなっていくものと存じております。
 そうした中で、安全性に関する知識、また、技術や調査研究能力を持つ農業試験場に生産農家が期待するところは、実は大変大きいものがあると考えております。
 例えば、先ほどの答弁でも、来年の一月を目途に農業試験場の調査が終わるということでございましたけれども、できるだけ早くしていただかないと、現実に今武蔵野市でも、地場野菜、生鮮野菜が、安全宣言が出るまでは一部の販売店での直売を控える、自粛をするというところも出てきておりまして、そういった意味では一日も早い調査結果を待っているわけであります。
 そういったことからも、今後、農家における安全な農産物の生産を支えるべく、より一層調査などの充実強化を図っていただきたい、そう思っておるわけでございますが、どうお考えになっているのか、所見をお伺いいたします。

○矢口農林水産部長 農産物の安全をより確実なものとするために、今後、対象作物や農薬の種類を拡大するとともに、調査検体の数などもふやしていきたいと考えてございます。
 さらに、今お話のありました農業試験場などにおきましても、より安全な農産物の生産にかかわります調査分析や技術開発などをしまして、農家への支援をさらに強めてまいりたいと考えてございます。

○小美濃委員 消費者は、先ほども申し上げましたけれども、食の安全とか安心とか、こういったことについて大変慎重になっているということが今いわれているわけでございまして、いざ何か起こったときには、すぐに東京都が対応できるよう、今までは余り注目をされてこなかったかもしれませんけれども、農業試験場の整備強化、これを一層図っていただくことが望まれているわけであります。
 私の知るところによりますと、現在、試験場の分析研究の担当者がわずか四名だということでありまして、これで都民の食の安全を確保また保障していくのかということを考えますと、一抹の不安が残るわけであります。適正な数はわからないわけでございますけれども、少なくとも今の数よりは分析員のような方をふやしていただいて、また、それに伴い予算も増額をしていただいて、調査体制、こういったものに対して都民である消費者は信頼感を持つわけでございますので、強化をしていただきたいと要望いたしまして、都市農政についての質問は終わります。
 次に、就業対策についてお伺いをいたします。
 都において、四月から七月の平均完全失業率が六%を超えるなど、厳しい雇用情勢が続いておるわけでありますが、その中でも、五十五歳以上の高齢者の方については七・三%、特に厳しい状況にあるというか、そういうふうに理解をしているわけであります。
 そうした状況の中で、都において、高年齢者就業センターや高年齢者就業相談所、こういったところを通じまして、高齢者の再就職を支援するための各種相談等に取り組んでいることと思っておりますが、平成十三年度における東京都の高齢者に対する実績についてお伺いをいたしたいと思います。

○高橋労働部長 東京都では、飯田橋のシニアワーク東京の高年齢者就業センター及び都内十三カ所に設置しております高年齢者就業相談所を通じて、高齢者に対する就業相談を実施しております。
 そこでの十三年度におきます就業相談の件数は、延べで九万三千六百五十六件、そのうち、就業相談を通じて就職に結びついた方は五千百二十八人となっております。

○小美濃委員 大変多い相談件数の割には五千百二十八人、本当にまだまだ厳しい世の中だなというのが感じられるわけでございますが、ただいまご答弁のありました事業などなども、当然大切な事業であるということは認識しているわけでございますけれども、今後は、いわゆる団塊の世代と呼ばれる方々が高齢者となられる時期を目前に控えまして、この東京都において、超高齢化社会というべき事態にいかにスムーズに対応するかということが、ますます重大な問題になってくるのではないか、こう考えているわけであります。また、深刻な経済情勢の中、高齢者と並んで障害者の雇用についても大きな問題となっているわけであります。
 そうした中、都としては、こうした方々の就業支援対策に今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○高橋労働部長 東京都では、高齢者を取り巻く現下の厳しい雇用失業情勢や、急速に進展する社会の高齢化を踏まえまして、高齢者がより身近な地域で、ワンストップできめ細かい就業相談や多様な就業機会の提供を受けることができる拠点を整備するために、今年度、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業を創設いたしました。これは、区市町村が公益法人等を活用しまして、こうした拠点、アクティブシニア就業支援センターを新たに整備する場合に、都が人件費補助等の支援を行うものでございます。
 また、障害者の就業支援対策につきましては、現在、東京障害者職業能力開発校や、財団の東京都心身障害者職能開発センターにおける職業訓練や普及啓発等を行っております。
 今後も、施策のあり方について研究してまいりたいと思っております。

○小美濃委員 高齢者につきましては大分進んできつつあるようでございますけれども、障害者対策につきましてはこれからなのかな、そんな印象を受けるわけであります。
 主に障害者の就業支援等々につきましては、国が中心に政策提言をしているというように理解をしているわけでございますけれども、障害をお持ちの方々は、程度や種類が個人個人さまざまでありまして、できれば、より近い自治体が責任を持って取り組んでいく姿勢が大切であると私は考えております。
 本来ならば、こういったことは市区町村の単位が本当は一番理想なんですけれども、行政区の大きさが小さいものですから、それに障害の種類また程度に応じた就業がなかなか難しい、そう考えますと、国では大き過ぎる、市区町村ではちょっと小さ過ぎる、やはり広域的な自治体であります東京都がある程度な大きさなのかな、適当な大きさなのかな、そんなふうにも考えているわけであります。
 国は、障害者の、例えば知的障害者なんかの場合は、就業の一定期間補助金を出すという仕組みもあるわけでございますが、その補助金が切れてしまうと、経営上の問題で解雇せざるを得ないという状況もあるわけでありまして、あってはならないことですけれども、こういったことが原因で、虐待につながっているなんということも事件となってありました。
 ぜひとも、東京都といたしましても研究、検討していただきまして、国に先駆けて障害者に対する就業支援を確立していただくことを要望いたしておきます。
 それで、高齢者の件なんですけれども、ただいまお伺いをいたしました、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業、これは非常にいいんですよね。こういったものに対して東京都が市区町村に補助をしていく、これは大変いい事業であると思っております。現在の進捗状況についてお伺いをいたしたいと思います。

○高橋労働部長 現在のところ、十月の十五日時点でございますけれども、練馬区及び品川区において、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業として、アクティブシニア就業支援センターが整備されました。その他の区、数区市町村におきましても、今年度開設を検討しているという状況にございます。
 東京都といたしましては、今後とも、区市町村への働きかけを通じて、はつらつ高齢者就業機会創出支援事業の積極的な展開に全力を挙げてまいります。

○小美濃委員 心強い決意を聞かせていただきまして、しかし、ここのところこういった事業がたくさん出てきているわけでございますけれども、市区町村がどれだけ理解をしているかということも、これは大変大きな課題でありまして、よくPRをしていただきたいと思っております。
 結局、こういういい施策がありましても、それを市区町村が使いこなせなければ何の意味もないわけでありまして、しっかりとPRをしていただきまして、高齢者の就業支援について積極的に取り組んでいただくことを要望いたしまして、就業対策について終わらせていただきます。
 次に、観光対策についてお伺いをいたしておきます。
 日ごろ石原知事がご提唱をされておりますアニメ、アニメ産業ですね、これは世界に誇る日本の文化であります。このアニメを世界に情報発信し、海外の多くのファンを観光客として招くことは、観光産業として効果的と考えられます。これは、この東京都観光産業振興プラン、これにも書いてありまして、私もそのとおりだなと思っております。
 この決算該当年度、昨年度の東京都では、東京国際アニメフェア、私も見させていただきましたが、大変盛大に開催をされました。その状況、また成果はどういったものだったのか、お伺いをいたしたいと存じます。

○帆刈観光部長 昨年度の東京国際アニメフェアは、東京ビッグサイトにおきまして、二月の十五日から十七日までの三日間開催いたしました。来場者数は約五万人、海外のバイヤーも約二百三十人以上、プレスも二百八十八社が取材に訪れまして、大変に盛況でございました。
 本フェアは、他県で開かれますような一般的なアニメイベントと異なりまして、出展企業やクリエイターたちとビジネスとを結びつけることを大きな柱の一つにしております。その結果、出展企業百四社の各ブースに訪れたバイヤー企業たちは延べ約三千件、具体的な商談に進んだ件数は約百件でございました。ビジネス面においても大きな成果が上がったと思っております。

○小美濃委員 こういった大きなイベントも確かにいいわけでございますけれども、この東京都観光産業振興プランに書かれておりますとおり、アニメ制作会社の多い杉並、練馬、武蔵野、三鷹、この二区二市では、東京国際アニメフェア、さっき申し上げましたこれと同時に、地域的な広がりを持ったイベントを開催いたしました。また、いたしております。
 各区市では、地元の企業と連携するとともに、それぞれ創意工夫をしまして、お子さんを中心に楽しんでもらえるイベントを行ったと聞いているわけでございますが、そこで、前回同時開催した各区市の具体的な取り組み状況についてお伺いをいたします。

○帆刈観光部長 二区二市の取り組み状況でございますが、区市単位で申し上げます。
 杉並区では、セシオン杉並などで上映会や体験教室、コンサートなどを開催いたしました。練馬区では、大泉学園北口商店街などで声優のトークショーや展示会、スタンプラリー、名作上映会を開催しております。武蔵野市では、吉祥寺駅周辺でおもちゃ市場やアニメ映画祭などを開催いたしました。三鷹市では、三鷹産業プラザなどでアニメのミュージカルや上映会、展示販売などを行っております。
 この二区二市のイベントでは、合わせて二万人以上の来場者があり、大変に注目を浴びたイベントとなっております。

○小美濃委員 ただいまご答弁がありましたとおり、各区市におきましては、地元のアニメ制作会社や商店街と連携をいたしまして、それぞれ工夫を凝らしたイベントを開催しているようであります。
 しかし、私が聞くところによりますと、その運営におきましてさまざまな課題を抱えているわけであります。特に、私の地元であります吉祥寺で行われました、行っておりますアニメのイベントでは、パンフレットの後援に東京都の名前もいただいているわけでございますけれども、きっと、名前を載せていれば、いつの日かご支援をしていただけるんじゃないだろうか、そういった希望を持って、期待を持って懸命に頑張っているわけであります。
 こうしたさまざまな課題、特に資金不足の問題は、これは地元の--これは仕事としてやっているわけではなくて、地元のイベントとしてやっているわけでございまして、なかなかこれが大きいわけであります。都から、各区市のアニメイベントに対する直接的な援助は考えられないでしょうか、ご見解をお伺いいたします。

○帆刈観光部長 先生お話しのとおり、現在、各地域のアニメイベントにつきましては、都の方に補助制度がございません。しかし、お話のアニメを初めとするさまざまな観光イベントは、地域の活性化のために大変に有効な方法と認識しております。
 今後、補助制度も含めまして、都としての支援の方法について検討していきたいと思っております。

○小美濃委員 一抹の明かりが見えたかな、そんなふうな感じを持っているわけであります。現在は補助制度がないということでございますが、本当に期待をするところであります。
 それでは、現在補助はないわけでありますが、イベントの中で、例えばアニメ作品の上映会、こういったものを行うにいたしましても、著作権を持つ企業との交渉に大変苦労をしている、こういった状況が見受けられるわけであります。こういった点につきましても、都からの積極的な支援をいただけないでしょうか、ご見解をお伺いいたします。

○帆刈観光部長 各区市におきまして、上映会等でご苦労なさっている状況は伺っております。
 アニメ作品の上映に対しましては、主にそのご苦労の中心が著作権にございます。その著作権を保有している企業に、都の方から、低廉な価格での提供を要請するなどの支援を行いまして、各地域のイベントの充実に努めてまいります。

○小美濃委員 ぜひ積極的にお願いいたします。
 それと、もう一つなんですけれども、実は、各地域でイベントをしておるわけでございますが、各地域地域でのイベントでの広報もしくは宣伝、これにはやはり地域単位では限界があります、多くの来場者を招くということが大変難しい状況にあるわけでございますが、より多くの来場者をお招きするためにも、都のイベントと絡めて、集客に結びつく大きな宣伝ができないものでしょうか。よろしくお願いをしたいと思うんですが、見解をお願いいたします。

○帆刈観光部長 都としましては、実は十月に「東京の観光」というウェブサイトを立ち上げてございます。そこに各区市が行いますイベントについても登録していきたい。それからあと、都が作成しますポスター、パンフレット等にも地域情報を掲載していきたい。こういったことをあわせまして、各区市のイベントに関しましての広報宣伝に協力いたしまして、集客力の向上に努めていきたいと思っております。

○小美濃委員 本当に前向きなご答弁をちょうだいいたしまして、ありがとうございます。
 今までご質問させていただきました一つ一つの支援は、それぞれ大切なことでありますし、行っていただきたいなと思っておりますけれども、先ほど来申し上げていますとおり、一地区一地区が個々にイベントを単独で行っているだけでは、なかなか広がりに欠けるのではないか、そんなふうに考えているわけであります。二区二市のイベントが都のフェアと一体となって、広域的かつ盛大なイベントとすることができるならば、これは世界から多くのアニメファンを呼ぶことができるのではないか、そんなふうに思っているわけであります。
 そこで、東京都は広域自治体といたしまして、役割を生かして、二区二市と連絡調整を密にしながら、地域的な広がりを持ったイベントにこういったイベントを育てるべきではないか、こう思っておるわけでございますが、ご所見を伺いたいと思います。

○帆刈観光部長 都としましては、観光を産業としてとらえ、さまざまな振興策を現在積極的に展開しているところでございます。
 お話のイベントは、アニメという共通のテーマのもとに実施されており、地域の活性化に大きな役割を果たしています。今後とも、地域の方々と協力しまして、東京国際アニメフェアと一体感を持った、そして地域としての広がりを持ったフェアに育つよう支援に努めてまいります。

○小美濃委員 今、一例として挙げさせていただきました練馬、杉並、三鷹、武蔵野、この地域は実は全部くっついているんですね。近接しております。考えようによっては、この地域、回遊性がある地域でありまして、一つの面として考えるならば、自転車でも回遊ができる、こういった地域ではないかと考えております。
 先ほど来お話をさせていただいておりますとおり、現在はおのおのが独自にイベントを行っているわけでございますが、東京都がそこにぽんと中心となって、四地区の共通な接点を東京都がみずから設けてイベントを行っていただくならば、おのおのの独自性は当然出しつつも、面としての大イベントが行われるのではないか、そんなふうに考えております。これは都にしかできない、各自治体が話し合いがなかなかできないものですから、都が中心に入らなければできない事業であります。こうしたイベントは、地域の活力も大変期待ができるわけでありまして、地域の活性化とともに観光の目玉にもなるのではないかと考えております。
 また、この東京の観光産業振興プランにおきましても、東京のアニメを観光ルートとして開発していくということが書いてあるんですけれども、その根拠は、各地域の地場産業である、この地域でアニメをやっているということが根拠となっておりますので、そういうことを考えますと、このアニメ産業、アニメ事業、アニメとしての地場産業を東京の資源と考えることは大変重要なことではないかと思っているんですね。
 そんなことから、ぜひとも、先ほどのご支援も含めて、また、こういった大きい事業に広げていけば、いずれ必ず補助金がいただけるのではないかと思っておりますので、ご検討を要望いたしまして、次の質問に入らせていただきます。
 最後の質問は、地域商業の活性化対策についてであります。
 商店街の現状は、我が党が第三回定例会代表質問でご指摘をさせていただいたとおり、危機的な状況にあるわけであります。平成十三年の東京都商店街実態調査では、約八割の商店街から、三年前の調査時点に比べ、商店街全体の景況が衰退している、または売り上げが減少した、こういった回答が寄せられており、残念ながら歯どめがきいていないという状況であります。
 今後、高齢化社会を迎え、商店街の地域での役割は増大するものと考えられております。その中で、地域の核である商店街が衰退していくことは地域そのものが衰退することであり、そこで暮らす都民、市民、区民の生活自体を脅かすことにつながってまいります。
 商店街振興につきましては、我が党は、商店街振興議員連盟を結成いたしまして、強く強く推進をしてきたところであります。さきの第三回定例会では、我が党の三宅議員の質問に対し、商店街振興施策の一層の充実を図る、こういった答弁もいただきました。
 そこで、地域商業の活性化対策についてお伺いをいたしますが、十三年度の執行率は七八・四%、不用額は三億七千万円となっております。三億七千万円といえば、我が党が推奨しております元気を出せ商店街事業予算の半分を超える大きな金額だけに、これは関心を持たざるを得ないわけであります。
 限りある予算をどれだけ効率的に執行するかは、極めて大切であります。元気を出せ商店街は、我が党の提言により、平成十年度に創設されて好評を博している事業でありますけれども、創設以来の執行率は一体どれぐらいなのか、お示しをいただきたいと存じます。

○泉本参事 元気を出せ商店街事業の執行率についてのお尋ねでございますが、平成十年度が九一・二%、平成十一年度が同じく九一・二%、平成十二年度は九〇・一%、そして昨年度、平成十三年度が九三・七%でございます。

○小美濃委員 元気を出せ商店街事業は、毎年執行率が九〇%を超えているということでございますけれども、そうであるならば、評判がよくて、かつ執行率の高い元気を出せ商店街事業をますます充実をさせていくべきであると考えております。あわせて、事業の継続性についてお伺いをいたします。

○泉本参事 元気を出せ商店街事業は、長引く景気の低迷による消費の冷え込みや大型店の出店増加など、厳しい経営環境にある都内商店街が行うイベント事業に対する助成でございますが、既に多くの商店街で意欲的な取り組みが行われ、大きな成果を上げているところでございます。
 また、この事業は、商店街に活気を取り戻すことにとどまらずに、地域経済の活性化や地域の中小企業の経営の安定と発展にも多大な成果を上げてきてございます。そのため、景気の先行きが不透明な中で、単年度の特別対策として行われているこの事業について、継続を望む声も多数寄せられてございます。
 今後は、こうした成果を踏まえまして、元気を出せ商店街事業の一層の充実を図るとともに、また、効果的で安定的な施策とするよう検討を進めてまいります。

○小美濃委員 元気を出せ商店街のような高い執行率の事業も含めて、しかし全体の執行率が七八%であるということは、執行率の低い事業も幾つかあるということであります。執行率の低い理由は、そもそもの制度が使いづらいというものもありますし、手続が大変難しいシステムの問題があるということもあるでしょう。また、多くの人々に事業が知らされていないというような、広報のあり方を考えるべきものもあるのではないかと考えております。
 いずれにしましても、今後の予算編成に向けまして、執行率の向上、これは検討すべき最大の課題だと認識すべきであると考えております。都の財政状況は極めて、極めて厳しい今日、執行率の悪い事業の不用額を執行率の高い事業に振り向けることができるような工夫も含めて、より効果的な商店街振興策を構築していくべきであると考えております。大変大切なことでありますので、局長の所見をお伺いいたしたいと存じます。

○有手産業労働局長 商店街が行う多種多様な取り組みを効果的に支援し、より効率的な予算執行を確保するためには、現行の縦割りで複雑な振興策を、商店街にとってわかりやすく、そして選択の幅が広いものに改める必要があると考えております。
 また、商店街の自主的な意欲ある取り組みをより効果的に支援するために、地域に精通した区市町村が行う、主体的で計画的な施策に対しまして積極的に支援をしていく、こういったことも重要であると考えております。
 さらに、総合的な振興策に当たりましては、商店街の活力の源泉である個店づくりや、商店街を支える人づくりに着目して、新たな商店振興施策に取り組んでいく必要があるのではないかと考えております。
 今後、このような課題認識のもとに、元気を出せ商店街事業を核としまして、商店街振興策の一層の充実を図るため、施策の再構築を検討いたしまして、ご要望にこたえてまいりたいと考えております。

○小美濃委員 今、局長から大変前向きなご答弁をちょうだいいたしました。ぜひともよろしくお願いをいたします、こう申し上げて、質問を終わります。

○小林委員 私も元気を出せ商店街についてお尋ねをします。若干重複しておりますが、重複する部分は割愛をさせていただきたいと思います。
 今も話がありましたように、この元気を出せ商店街は、平成十年、バブルがはじけて、いろいろなところに景気が低迷している影響が及んでいった、大体そのころが九年から十年ですから、そういった意味では、時期的には、この事業そのものは私は非常に的を射たというんですかね、時宜を得た事業ということで評価をしているわけです。
 元気を出せ商店街というと、何かいろいろなことを想像するわけですが、集約するとイベント事業ということになるんだろうけれども、百二十何人が全員細かな中身を知っているのか、金額も含めて、どうなんだろうということになると、そんなにみんな知らないんだろうと思うんだよね。
 そこで、最初に、補助の内容を含めて、この事業の内容を伺います。

○泉本参事 元気を出せ商店街事業は、厳しい経営環境に置かれている都内の商店街が活気を取り戻すため、地域と一体となって実施するイベント事業に対しまして助成を行い、商店街の活性化を図るものであります。
 具体的には、補助対象とする経費が二百万円を超える場合は、補助率が二分の一、補助限度額が百五十万円でございます。補助対象とする経費が二百万円以内の場合は、補助率が三分の二、補助限度額が百万円という内容でございます。

○小林委員 私も、自分の選挙区しか呼ばれて行きませんので--呼ばれるというか、勝手に行くんですけれども、行くと、何か、あれ、去年もここに来たなとか思うようなところがあって、別にそれがいいとか悪いとかじゃなくて、先ほど小美濃委員の方から、統計上、十年から何か三年たったら、みんな売り上げが落ち込んでいるという話ですよね。
 そうすると、事業の成果ということでいえば、それは人材の育成とか、いろいろな地域の活性とか、期待をする項目というのはいろいろあるんでしょうけれども、少なくとも商店街の命綱である売り上げの点でいえば、落ちているという話なんですね。そうすると、この事業をずっと続けていいのかなという話が出るわけですね。
 それで、もう一方、同じ商店街がずっと--今ちょうど十三年の決算ですから、十、十一、十二、十三、これは四年経過をしているわけですね。そこで、この事業を開始してからこの十三年度までに、ずっと連続してもらっているところってどのぐらいあるんですか。

○泉本参事 十三年度に元気を出せ商店街事業による助成を受け、イベント事業を実施した商店街は九百三十七商店街でございます。
 そのうち、対象となった商店街の最も多い世田谷区について見てみますと、今お話ございました、事業を開始した平成十年度から十三年度まで連続して助成の対象となっている商店街数は、七十五商店街のうち二十九商店街でございまして、その割合は約三九%でございます。
 また、同様に小平市について見ますと、十一商店街のうち四商店街で、その割合は約三六%でございます。

○小林委員 そうすると、統計上でいえば、同じ商店街がずっと受けているということではなくて--この数字が適正かどうかわからないですよ。五割ぐらいあるのかなと思ったんですけれども、低い方を選んでいったのかなとか思うんですが、そんなことないですか。--ないですかね、三割ぐらいでしたら、ある程度継続してやるということもあるだろうし、それは、私なりにはこの辺は許容かなという気はするんです。
 では具体的に、活性化をさせるためにやる事業ですから、その効果あるいは評価というものは当然なされているというふうに思いますが、この事業の効果、評価はどういうふうにとらえておられますでしょうか。

○泉本参事 元気を出せ商店街事業は、イベント事業を通じまして、個々の商店街を活性化させるための特別対策事業でございますが、これまでも多くの商店街が利用してまいりました。
 事業開始以来、支援を行った商店街数は増加傾向にございまして、平成十三年度の実績を見ますと、先ほど申し上げましたように、九百三十七もの商店街が支援を受けておりまして、これも大きな事業効果であるというふうに認識してございます。
 事業の成果の評価でございますが、平成十年度に実施いたしました調査によれば、地域コミュニケーションの増大、商店街の活性化やイメージアップなどに効果があった、イベント時における売り上げの拡大などの結果が得られてございます。
 また、平成十三年度に東京都の商店街振興組合連合会が実施しました調査においても、同様の効果があったと報告を得ております。

○小林委員 同じ事業が何十年も続くというのは、ないわけじゃないんですけれども、特にこの景気低迷、あるいは商店街が果たしてきた地域での役割、こういったものを考えたときに、何とか活性化して元気を取り戻してほしいということでやってこられたわけですが、今お伺いしていると、私もそんなに呼ばれるわけじゃないけれども、行くと大体、よくいうんだけれども、サンバと阿波踊り、これに集約されるような、日本全体がそうなんですが、こういう事業で本当にいいのかなというふうに思うわけです。もっと本当に商店街が欲しているようなものって、あるんじゃないのかなというふうに私は思っているわけです。
 そういう意味では、このイベント事業というのは、それは来年も多分予算要求の中に入るのかもしれませんが、四、五年たっているわけですね、そういう意味で、このイベント中心の事業というものを少し見直してみる、改めてみる、見直してみるということが必要ではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○泉本参事 元気を出せ商店街事業は、景気の先行きが不透明な中で、消費の低迷や大型店の出店など厳しい経営環境にある都内商店街が、地域と一体となって実施するイベント事業に対して助成を行う事業でございます。これまで大きな成果を上げてきたという点から、商店街や地域経済の活性化に寄与してきているものと認識してございます。

○小林委員 前にもいいましたけれども、結構特徴的な、かなり先駆的なというんですかね、そういう試みをしようという若手の商店主といいますかね、私もその若い人たちと時々話すんですけれども、本音のところをいうと、こんなのでいいのかなとみんな思っているんですね。若い人たちは、もっと何か時代に合った商店のあり方とか、あるいは元気を出せ商店街の使い道とか、結構世代間によっても違うし、職種によっても違うんですね。どうしても平均的なところでいうと、やはり結局はサンバと阿波踊りみたいになっちゃうわけですよね。そんなのでいいのかなと私は思うんです。
 そういう意味で、もっと意欲的に、精神的に何かやってみようという商店街に、できるだけそういうところに厚みを持たせて助成をするというふうなやり方を、私はこれから集中的にやっていくということが必要だと思うんですが、いかがですか。

○泉本参事 商店街の振興は、商店街の自主的、自立的な課題解決に向けた意欲的な取り組みがあって初めて効果を発揮するものと認識してございます。
 元気を出せ商店街事業の実施に当たりましても、区市町村を通じて、商店街に対し、マンネリ化せず独創性ある、あるいは社会環境などに配慮したイベント事業を行うよう指導してございます。毎年度、商店街が意欲を持って取り組むイベントを対象として事業を行ってまいってきたところでございます。

○小林委員 事前に資料として、地域商業の活性化対策事業の主な実績というので、五項目から四項目あって、商店街それぞれ目的や何か違うんだろうと思いますけれども、圧倒的に多いのが、やはり元気を出せ商店街、あるいは活力ある商店街育成事業、これが群を抜いているんですね。これはどういう中身かよくわかりませんが……。
 そこで、私は、元気を出せ商店街は、仮に続いたとしても、どこかで一回区切りをつけて総括をして、例えば元気を出せ商店街、一回受けたり、あるいは二年受けたり三年受けたりすれば、当然その受けた中で次にどういうことを--当然成長していくわけですから、その事業によって、反省も含めて。だから、私は一定の期限をつけるべきではないかというふうに思いますが、いかがですか。

○泉本参事 元気を出せ商店街事業につきましては、単年度の特別対策事業として、毎年度、事業の成果や達成度などを検討した上で更新をしてきたものでございます。今後とも、より効果的で安定的な施策とするよう検討を進めてまいります。

○小林委員 私は、期限を決めて、それでもうあと何もないよということではなくて、何か元気を出せ商店街を仮に三年なり受けて、当然三年の中で、商店街として足らざる部分とか、また、意外と自分たちが見失っていた非常にいいものもあったり、そういうのがいろいろ見えてくるんだと思うんですね。そういうときに、また同じようにイベント事業ですよといってメニューを見せたら、やろうかなと思ったのに、また結局は前と同じ、だからだんだん既得権化していくような気がするんですね。そうじゃないということは当然わかっていますけれども。
 そこで、期限を決めて、例えば三年なり、商店街事業を三年受けられるといったら、四年目はそこからもう一つ新しいメニュー、当然その元気を出せ商店街事業からもう一つステップアップするような事業--余り総花的だと、結局は何も成果が上がらないみたいになっちゃうところがあるんですね。
 そういう意味で、私は、別のメニュー、期限を設けて、三年たったら、四年目から新たなまたメニューを出しますから、そこで皆さんの商店街に一番必要なメニューを選んでくださいというようなやり方というのはどうでしょうか、検討できないでしょうか。

○泉本参事 現在、商店街は、長引く景気の低迷による消費の冷え込みや大型店との価格競争などによって、大きな影響を受けてございます。昨年度行いました東京都商店街実態調査におきましても、商店街の約八割が、商店街の景況が衰退していると回答しているところでございまして、商店街振興の一層の強化を図っていく必要があると認識してございます。
 元気を出せ商店街事業につきましても、景気の動向や事業の成果などを勘案し、安定的な施策となるよう努めてまいります。

○小林委員 時々新聞とかテレビで見ると、最近はあいている商店街の中に介護福祉のサービスセンターを置いたりとか、今までだったら、商店街というのは大体小売店舗がずらっと並んでいるんだけれども、例えば作業所があったりとか、いわゆる今までの商店街の概念からすると考えられないようなことが、今商店街の中で起きているんですね。
 だから、補助金を出す側の東京都が古い形で補助を出すような考え方でずっといると、実態はもう商店街もかなり変わっているわけですよね。だから、商店街に入っていない人もいるわけですよ。
 私のところなんかもそうですよね。精神障害者の作業所が入っている、商店街の真ん中に。それを嫌う人もいるし、新たな商店街の形だという人もいるし、だからそういう意味で、福祉施設なんかこれから、地域福祉なんというのはこれからどんどん地域の中で民間に開放していくわけですから、どんどんそういうところに進出してくるわけですね。
 そういう意味で、私は、本当に真に必要な事業に対して東京都が補助を柔軟に行っていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○有手産業労働局長 ただいま小林委員から、元気を出せ商店街につきましていろいろなご提言あるいはご意見を賜りました。
 私どもも、現状の商店街のままでいいというふうに考えておりませんで、平成十三年の三月に二十一世紀商店街づくり振興プランを策定して、商店街が、ご指摘のあったさまざまな点、そういったものを踏まえて、みずから考え、行動するきっかけとなる戦略を示したところでございまして、このプランに基づきまして、現在、区市町村では地域の特性を生かすために、地域の実情に精通した区市町村の特性を発揮していただいて、各区市町村ごとに商店街振興プランを策定中でございます。
 ぜひ小平市におきましても、委員のご指摘も踏まえて、魅力的な商店街振興プランを策定の上、やってもらいたいと思っていますけれども、いずれにしましても、商店街が活力を取り戻して、住民の暮らしや地域経済を支える場として、また、地域のコミュニティの核として、商店街の果たす役割は非常に重要でございます。商店街が自主的に、そして自立的な取り組みを積極的に行いまして、魅力ある商店街づくり、魅力ある個店づくり、それから、商店街を支える若い人たちが意欲を持って商店街、商店の仕事につけるような人づくり、こういったものをこれから重点的にやっていく必要があるんじゃないかと考えております。
 今後、商店街振興策の一層の充実を図るために、元気を出せ商店街事業を核としまして施策の再構築を図って、より充実した商店街振興策が実施できるように積極的に努めてまいりたいと思います。

○小林委員 ぜひお願いしたいと思います。幾つかそういう新しい例がありましたら、お示しをしていきたいと思っております。
 次に、もう一項目の就業促進についてでありますけれども、就業促進費というのは一体どういう財源で、どういう事業を行っているのかということで資料要求をしたわけです。もらった資料によると、基金の活用で事業をするというのが大半のようであります。
 平成十三年度でいうと、新基金と旧基金というのがあって、旧基金がちょうどこの平成十三年度で終了して、この四十三億の予算の執行が今回の平成十三年度の雇用促進の主な事業ということになっているということであります。
 それで、最初に平成十三年度の実績について伺いますけれども、平成十三年度の緊急地域雇用特別基金事業で、東京都あるいは区市町村それぞれについて、雇用創出効果が高かったものを幾つか挙げてほしいと思います。あわせて、事業の内容も説明していただきたいと思います。

○前田参事 緊急地域雇用特別基金事業のうち、雇用創出効果が高かった事業といたしましては、まず都の事業では、伊豆諸島観光復興キャンペーン、実人員千百四十七人、被災地の緊急クリーンアップ五百十人といった伊豆諸島関連事業や、都立学校における部活動アドバイザー四百八十人、情報教育アドバイザー二百八十人といった教育関連事業などがございます。
 区市町村では、小学校、中学校での情報教育の充実などの教育関連事業七百人や、放置自転車対策千五十九人などが主なものでございます。

○小林委員 かなり一時的な、本当に緊急雇用という感じがしておりますけれども、今伺った事業の内容について、基金を所管するのは、これは旧基金ですから、都の基金ですから、都としての評価はどういうふうになっていますでしょうか。

○前田参事 都の事業につきましては、基金事業による直接の雇用創出効果はもとより、被災地の復興対策や学校教育の充実にも役立ったものと考えます。
 区市町村の事業につきましては、地域の実情に応じて企画、実施されたものでありまして、雇用創出効果とともに行政サービスの充実が図られたものと考えております。

○小林委員 伊豆諸島観光復興キャンペーンとか被災地の緊急クリーンアップ等々は、これは一時的な、まさに一時的なもので、それはそれなりに効果はあったんだろうと思いますが、しかし、今後継続して雇用を拡大して生み出していくというふうには考えられないんですけれども、その辺の見解はいかがでしょうか。

○前田参事 基金事業は緊急かつ臨時的な雇用創出を目的としており、できるだけ多くの失業者を雇用することが求められております。このため、実施要領により、雇用・就業期間は原則六カ月未満とされております。
 事業実施に当たりましては、こうした目的を踏まえ、関係局、区市町村と連携しながら、創意工夫を生かし、さまざまな事業展開をすることによりまして、多くの雇用に結びつくよう努めてきたところでございます。

○小林委員 この基金は平成十一年度から十三年度までで、もうこれで終わりになる基金ですけれども、この三年間でどのくらいの雇用を生み出してきたのか、それから、都としてそれをどのように評価しているのか、伺います。

○前田参事 旧基金事業では、平成十一年度から十三年度までの三年間で約四万三千人の雇用を創出したところでございます。当初想定をしておりました三万人を大幅に上回る結果となり、目標以上の成果が得られたものと考えております。

○小林委員 この質問をするときに、私はかねがね思っているのですけれども、景気対策とか雇用の創出とかというのは、もともと一義的には国の事業だと思うんですね。ですから、どうしても、都がやったり市がやったりするというのは、そういうものじゃないものでないと、そんな東京都全体の雇用を創出するなんというのは、都の予算でやり切れないですね。そういう意味から、都がやったり区市町村がやって、本当に雇用効果とか景気浮揚になるのかなというのは、私はそのことをずっと思っているんですね。そういう意味から今回質問させてもらったんです。
 そこで、都が行う就業促進の事業というのは、全く違う視点から私は取り組む必要があるだろうというふうに思いますが、その辺の都としての見解はいかがでしょうか。

○前田参事 委員ご指摘のように、雇用対策は基本的には国の責務であると認識をしております。しかしながら、国が行います全国一律の雇用対策のみでは不十分であり、東京の厳しい雇用情勢を見据え、都といたしましても、地域の実情に応じたきめ細かい雇用・就業対策を講じていく必要があると考えております。

○小林委員 私は、都が行う事業というのは、地域に密着した、例えば、これから少子高齢化なんというのは、まさに地域事業、市民事業なんですね、そういうところに駅前保育だとか、あるいは域内流通の生産拠点をつくるとか、今みたいに外国から食べ物を運んでくるんじゃなくて、地域の中で生産し、地域の中で流通するような事業を支援するとか、都や市区町村の経済対策とか雇用というのは、そういうところに私はお金を使うべきだというふうに思っております。
 ですから、私は、小学校、中学校単位の中で行える事業、日本全国をお客にするような、そういうんじゃなくて、都が行う、市区町村が行う雇用あるいは景気というのは、そういうところにやるべきだというふうにかねがね思っております。
 そういう意味で、地域に根を張った市民事業とか、市民要望の多い事業、こういったところに補助すべきと考えますが、見解はいかがでしょうか。

○前田参事 基金事業は、地方公共団体が市民要望などの地域ニーズを踏まえ、独自に創意工夫を凝らした事業を実施し、緊急かつ臨時的な雇用の創出を図るものでございます。今後とも、ただいまのご指摘を踏まえまして、都と区市町村で連携をとりながら、効果的な事業を実施してまいります。

○長橋委員 私の方は、同じ就業対策でも、若年者の雇用の推進、若年者の就業対策についてお伺いをしたいと思います。
 文部科学省の学校基本調査ですか、の発表によりますと、ことし春の学卒無業者、これが二十八万人に増大をしているということであります。大学を卒業しても仕事がない若者、これが十一万九千人、約二二%、短大卒業では二万五千人、これも約二〇%、高卒で十三万八千人に、これは約一〇%を超えている、こういうことでございます。
 しかも、就職しても三年以内に離職してしまう、こういう割合が、大卒で三割、高卒で五割、ちなみに中学では七割いるということで、七五三現象などといわれているわけでありますし、また、現在就業率が六割を割るというような状況で、近い将来、二人に一人は無業者になる、こういうような深刻な事態になりかねない、こういうことでございます。
 大卒は、五人に一人以上が進学も就職もしない、これは親にしてみれば、大学まで出してと、こういうふうに思うわけでありますけれども、確かに、景気の低迷で企業が新規採用を手控える、また若者の働く意欲というのが大きく変化してきている、減退してきているというような状況があるわけですけれども、リクルートの調査によりますと、学校を卒業して正社員としてすぐ就職しなかった者の四割が、正社員として仕事につく気がしなかった、こういうふうに答えているわけです。しかし、正社員として仕事を求めながら仕事につけない、そういった若者もいるわけでございまして、こうした若者がいわゆるフリーター、こういうふうになっているわけであります。
 厚生労働省の調査では、フリーターは全国で実に百九十三万人もいると。比べますと、十年前の約二倍近くになっているわけであります。また、同じリクルートの調査によれば、フリーターの六七・五%が、将来はフリーターをやめて定職につきたいという意識を持っていることもあります。
 しかし、そうした意識を持ちながら、正社員にならずに、いつまでもフリーターを続けていては、二十代前半ならばまだいいかもしれませんけれども、三十代前後になってくれば、そこから就職を目指しても、なかなか仕事に対応する技術や能力、こういったものが身についていなければ、結局は希望する職種につけない、希望する職種につけないと、そのままドロップアウトしてしまうような者も出てくる、こういうふうに思うわけでございます。
 そして、このままでは、今後少子高齢化がさらに進展する中で、技術を継承する若者が育たない、また、企業の成長や国際競争力に本当に影響を及ぼしてくる、ましてや税や社会保障といった社会の基盤も揺るがしてくる、大変大きな危険性をはらんでいるわけで、これはイコール日本経済の衰退、社会の崩壊の兆しでもある、こういうふうに思うわけであります。
 こうした中で、国においては、平成十三年十二月から、三十歳未満の若者を対象として、若年者トライアル雇用事業、これを開始するなどして就業対策に取り組んでいるわけでありますけれども、雇用対策、これは一義的には国の事業でありますけれども、東京として積極的に、一番若者の多い東京でありますし、フリーターも多いところであると思います、積極的に取り組んでいくべきである、こういうことでお伺いをしていきたいと思います。
 そこで、まず、都における若年者の失業率についてはどうなっていますか、お伺いいたします。

○高橋労働部長 総務省が行っております労働力調査地方集計結果によりますと、東京都における平成十四年四月から六月の若年者の平均の完全失業率は、十五歳から二十四歳で一〇・七%、二十五歳から三十四歳で七・六%となっております。

○長橋委員 大変高い数字で、東京の若者は大変厳しい状況に置かれている、その推移も非常に急激に上がってきているというふうに思います。
 それでは次に、フリーター、先ほど百九十三万人全国にいるということでございますけれども、都内にはどれぐらいのフリーターがいるのか、お伺いをいたします。

○高橋労働部長 まず、フリーターの定義でございますけれども、労働経済白書によりますと、年齢は十五歳から三十四歳でありまして、現在就業している者については、勤め先における呼称がアルバイトまたはパートである雇用者で、男性につきましては継続就業年数が一から五年未満の者、女性につきましては未婚で仕事を主にしている者、それから現在無業の者につきましては、家事も通学もしておらず、アルバイト、パートの仕事を希望する者となっております。
 これに基づきまして、平成十三年二月の総務省労働力調査特別調査による都内分の集計データを独自に集計してみたところによりますと、都内のフリーター数は、推計で三十四万人となります。これは、十五歳から三十四歳の都内人口の九・六%に相当いたします。

○長橋委員 全国百九十三万人のうち、東京においては都内に三十四万人いる、全国の二割近くが東京にいる、そして十五歳から三十四歳までの一割もいる、こういうことでございます。大変心配なことであると思いますし、フリーターの約四割が正規雇用を希望しながらフリーターを選択している、こういうふうにいわれています。この割合を単純に掛けてみますと、実に三十四万人のうち十三万四千人が、やむを得ずフリーターをやっているということになるわけでございます。
 このように、多くの若者が、働きたくとも働けない、あるいは希望する仕事につけない、こういう状況になっているわけでありますけれども、まずは都の認識、どのように考えられているでしょうか、お伺いいたします。

○高橋労働部長 意欲を持って仕事につきたいと思い、社会に貢献したいと思っている若者が仕事につけないということは、本人にとっても大変不幸なことであると同時に、社会にとっても大きな損失であると認識しております。

○長橋委員 単なる若者の就業ということではなくて、社会にとっても、また東京にとっても、日本にとっても大変大きな損失であるわけであります。
 大きく対策を講じていかなければ大変なことになるわけでございますが、それでは、現在、都はどのような具体的な対策を講じているのか、お伺いをいたします。

○高橋労働部長 東京都では、高校生や短大生、大学生を対象とした職業ガイドセミナーや、いわゆるフリーターを対象としたヤングワーカーズフォーラムを実施し、若年者の職業意識の醸成に努めております。
 また、平成十三年度からは若年者合同就職説明会を都独自に実施いたしまして、若年者の就職機会を提供したところでございます。
 なお、今年度の若年者合同就職説明会につきましては、東京労働局やハローワーク、経済団体や大学の就職部などと幅広く連携を図りながら、十一月の五日、六日の両日、東京体育館におきまして実施する予定にございます。求人企業は二日間で延べ三百社を予定してございます。

○長橋委員 今お話のあったいわゆる合同就職説明会、東京でも独自にやっているということでありますけれども、説明会に来るのは働く意欲がある、こういうことであるかと思いますけれども、話をお伺いしますと、現在就職まで三つのハードルがある、こういうふうにいわれているそうであります。一つは、なぜ働かなければならないのか、これをクリアしなきゃいけない。きょういらっしゃる皆さんには考えられないような話もあるかと思いますけれども、なぜ働かなければならないのかと。今度は、それを乗り越えると、自分は何をしたいんだろうか、その次のハードルがある。そして、それを乗り越えると、今度はどうすれば仕事につけるのか。この三つのハードルを乗り越えていかないと就職までにいかない、そういう若者が多くなってきている、こういうことであります。
 そう考えますと、いわゆる説明会とかいうことではなくて、三定でもうちの中嶋議員が質問いたしましたけれども、厚生労働省は五年間で五万人のキャリアカウンセラーを配置していく、こういうことでございますので、本格的にこのキャリアカウンセラーの養成に取り組んでいるわけであります。
 例えば、こうしたキャリアカウンセラーを活用して、一人一人の若者の適性を踏まえてきめ細かい就業支援を行うなど、新たな対策も必要だと思います。都としては、この若年対策にどう取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○高橋労働部長 都といたしましても、お話のように、若年者の就業支援は重要な課題と認識しておりまして、引き続き国や経済団体、教育関係機関とも連携を図りながら、施策を積極的に推進してまいります。
 さらに、今後は、新たに設置しました東京都雇用・就業対策審議会における議論等も踏まえつつ、キャリアカウンセラーの活用も含め、さらなる若年者の就業支援対策を検討してまいります。

○長橋委員 厚生労働省の概算要求資料においても、国は本格的に若年者対策に取り組んでいくと。都としても、国と力を合わせて、この若年対策は大きな就業対策の柱であると思いますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 今お話のありました東京都雇用・就業対策審議会においても、ぜひ若年就業対策についても議論を深めていただいて、また、この審議会の議論を十分に参考にしながら、新たな若年雇用対策を、施策を展開して進めていただくよう要望をいたします。
 次に、東京都のベンチャー施設についてお伺いをしたいと思います。
 平成十二年度の東京都の空き庁舎を活用したベンチャー施設の第一号として、墨田区に「ベンチャー・SUMIDA」を整備され、十三年度においては神田と八王子の二カ所に開設をされました。
 東京都も、長引く景気低迷の影響で開業率が廃業率を下回る、こういう状況が長く続いているわけでありまして、創業の促進、活発化というのは大変重要な課題であると思います。しかし、創業を志す人や創業間もないベンチャー企業というのは資金も乏しいわけで、特に事務所経費の負担というのが大きな壁になってきていると思います。
 こうした状況の中にあって、東京都においては、すぐれた技術力を保有しながら資金力がない創業間もない企業に対する支援策の一つとして、空き庁舎を利用して、家賃無料のベンチャー施設の整備を進めてきたわけでありますけれども、このような事業は、いわゆる起業マインド、創業したい、こういう効果や、雇用の創出も期待できるわけであります。
 それで伺いますけれども、これまでの整備状況と応募状況並びに整備額についてお伺いをいたします。

○泉本参事 まず、「ベンチャー・HACHIOJI」についてでございますが、平成十三年十二月に開設し、部屋数は十一室でございます。応募者数は二十八件で、その倍率は二・五倍です。
 また、「ベンチャー・KANDA」につきましては、平成十四年三月に開設し、部屋数は三十室、応募者数は百三十五件で、倍率は四・五倍でございました。
 施設の整備費は、両施設合わせまして九千九百十八万六千円でございます。
 なお、参考までに「ベンチャー・SUMIDA」でございますが、平成十二年十一月に開設し、部屋数は二十二、応募者数は百七十件で、倍率七・七倍でございます。

○長橋委員 大変多数の応募者の中から、この東京都のベンチャー施設に入居できる、こういうことでございますけれども、非常に応募が高いので、厳正に審査をしていかなければならないと思いますし、また費用からすれば、厳しい審査を合格してといいますか、入居できるということは、都のお墨つきをもらえるということで、その後の活動についても大変大きな影響があると思いますし、入居資格者、ベンチャー企業の対象者には、期待される有望分野で創業を図ろうとする者、三年以内、こうなっているわけでありますけれども、応募企業に対する入居審査の方法はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○泉本参事 入居企業の審査に当たりましては、入居資格判定基準に基づきまして、一次審査の書類審査におきましては、中小企業診断士に審査委員をお願いし、事業の計画性、事業の新規性、創造性あるいは成長性、市場性の各項目を総合的に判定いたしまして、二次審査を受ける候補者を決定してございます。
 また、二次審査の面接審査におきましては、中小企業診断士やベンチャーキャピタルなどの民間の専門家に審査委員を委嘱し、一次審査の項目に、さらに経営者の資質を判定要素に加えるなど、技術、経営面などで総合的に審査し、入居者を決定してございます。

○長橋委員 今いったような審査で入居者を決定しているということでありますけれども、今度は、入居企業の特徴、それから入居後の活動状況についてお伺いをいたしますけれども、新聞によりますと、「ベンチャー・SUMIDA」では、そこから一生懸命成長して、また発展をして、約半数が卒業したという記事もありました。
 今いった入居企業の特徴と、それから入居後の活動についてお伺いをいたします。

○泉本参事 まず、入居企業の特徴でございますけれども、「ベンチャー・SUMIDA」の入居企業を事業分野で見てみますと、コンピューター、通信などの情報関連分野が五〇%を占めまして、医療、教育、安全・防災分野も合わせますと約二〇%を占めてございます。
 次に、「ベンチャー・KANDA」の入居企業は、情報関連分野が約六〇%と高く、機械、環境、教育分野を合わせて約二〇%でございます。
 また、「ベンチャー・HACHIOJI」は、情報関連分野が約三〇%と、三施設では最も割合が低いわけですが、次いで機械分野が約二〇%、その他コンサルティング分野、デザイン分野などとなってございます。
 次に、入居後の活動状況でございますけれども、「ベンチャー・KANDA」、「HACHIOJI」の二つの施設は、開設してまだ間もないもので、大きな動きがないために、開設後二年近く経過いたしました「ベンチャー・SUMIDA」について見てみますと、入居後、事業拡張のため移転した企業が入居者の二割となってございます。また、公的なベンチャー施設に入居したということで信用力が向上した、このことを背景に収益を上げ、その一部を都へ納付された企業が一社ございます。また、十三年度の都のベンチャー技術大賞特別賞受賞企業も一社、さらに創造法認定企業が三社ございまして、入居企業の技術力の優秀性が評価されているという状況でございます。

○長橋委員 大変に情報分野が多い、また、入居した企業が、その信用力向上を背景に非常に収益を上げている企業もあると。
 このベンチャー企業、家賃無料というのが大きく影響しているかと思いますけれども、大変な成果であるかと思います。そういった非常に成果を出した企業もあると思いますけれども、入居した後も、さまざまな企業がいるわけで、さまざまな問題を抱えているのではないかと思います。企業経営に必要な経理のやり方や法律など、専門的な分野の相談などもあるかと思いますし、また、さまざまな都に対する要望もあると思います。
 そういった意味で、都は、入居企業への支援策はどのようになっているのか、お伺いをいたします。

○泉本参事 入居企業に対する支援策でございますけれども、ベンチャー企業は一般的に、技術力は高いものの、経営力、資金力などが弱い企業が多うございます。
 このため、入居企業の経営力強化を目的に、東京都中小企業振興公社職員によります巡回経営指導や、経営の専門家派遣による継続的な助言指導を行いまして、経営の安定的発展を目指して支援しているところでございます。
 また、創業者の立ち上がり時の資金面を支援するため、各種融資制度や助成制度の活用を促してございます。
 このほか、入居者相互の情報交換や都の施策情報などの提供のため、入居者交流会も開催しているところでございます。

○長橋委員 ぜひ相談窓口というのをしっかりしていただいて、中小企業振興公社の職員の巡回による経営指導などをやっているわけですけれども、ぜひ迅速な対応をして、そういったさまざまな問題を、都として最大限バックアップしていただきたいと思うわけであります。
 そしてまた、さっき、入居希望の数に対して、提供された部屋数が余りにも開きがあるわけであります。ある程度の倍率は、優秀な企業を選出し入居させる意味では必要であると思いますけれども、開業率や雇用創出に対応していくには、より多くの企業の創業というのが必要であるかと思います。
 こうした施設の整備、今三カ所ということでありますけれども、今後どのように考えているのか。いわゆる少子化の影響で、地域では学校の統廃合が続いているわけでありますけれども、こういった学校、地域性によるかと思いますけれども、活用も考えられるのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○泉本参事 新たな創業支援施設の整備の必要性でございますけれども、創業を促進していくためには、創業の場を都内各地に広げていく必要があると考えてございます。
 既に、荒川区や三鷹市のように独自に創業支援施設を開設したところもございますが、地元区市町村が創業支援に積極的に取り組む必要があると考えてございます。
 こうした動きを促進するため、都は今年度から、区市町村と連携いたしまして、創業支援施設を面的に整備していく計画でございます。
 十四年度は、大田区など三区に対し、区の空き施設を活用した創業支援施設につきまして、国と協力して、一カ所当たり一億円を上限に、施設整備に要する経費を補助する予定でございます。
 今後とも、都や区市町村の空き施設などを活用して、各地域に創業支援施設の整備を図ってまいります。

○長橋委員 区市町村、地元の雇用ということを考えると、区市町村との連携というのが大事になってくると思いますし、三鷹などのように本当に積極的に取り組んでいるところもあるわけでございますので、ぜひ大きくこのベンチャー施設、有料でも結構だと思います、進めていただきたいと思います。
 最後に、先ほど若年者の就業対策についてお伺いをしたわけでありますけれども、大きく意識が変化してきている。その中には、サラリーマンになりたくないとか、また人に使われたくないというような人もいるのではないかと思いますし、我々の時代と違って、大きくその就業意識は変化してきているわけです。若年層においても、今までは起業、創業、こういうことは主役ではなかったわけですけれども、一部、私もテレビなんかで見ますと、若い人たちが起業して、いろいろな苦労を重ねながらやっているというお話もお伺いします。
 ぜひ、そういう意味でいえば、サラリーマンが中高年になって、それから退職をして創業したいというと、中高年の場合、かなり高い賃金のリスクというものがあって、また難しいのではないかと思うわけですけれども、若年層でいえば、高い賃金ということもありませんし、また、いわゆる住宅の問題や教育の問題も、そういう中高年に比べれば低いわけでございまして、そしてまた、失敗してももう一回再チャレンジができる、こういうこともあるかと思いますので、そういった意味で、この就業対策とあわせて、若年者が独立開業、こういうところに飛び込んでいくというような仕組みをぜひ考えていただきたいと思います。これは要望にとどめておきたいと思いますが、就業対策とあわせて、若年者も含めた創業・起業対策をぜひご検討いただきたいと思います。
 以上でございます。

○かち委員 雇用・就業問題と中小企業支援についてお聞きします。
 まず、メンタルヘルスケアについてです。
 近年、厳しい不況が続く中で、心の病がふえ続けています。そういう中で、労働相談、労働知識の普及啓発、また、メンタルヘルスケアなどの役割を果たす労政事務所そのものの役割は、大変重要になっていると思います。
 十月五日の新聞報道では、八王子労政事務所で、ことし四月から八月の三カ月間で、前年同期に比較して、同僚とうまくいかないなど人間関係の相談が四・四倍、メンタルヘルスの相談が十三・三倍など、心のトラブルに関するものが急増しているとありましたが、社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所の産業人メンタルヘルス白書によると、企業規模が大きくなるほどこうした傾向が強く、個人、企業両方への影響が深刻さを増していると記されています。
 そこでお伺いしますが、都の労政事務所における労働相談の中で、心の相談関係に関する件数はどのように推移しているでしょうか、過去五年間でお示しください。

○高橋労働部長 労政事務所が受けた相談の中で、相談者が職場におけるトラブルが原因で心身の不調を訴えるなど、精神的な問題に関すると思われる相談件数は、平成九年度は二百件、十年度が四百九十三件、十一年度が四百六件、十二年度が四百八十六件、十三年度が七百十一件となっております。

○かち委員 五年前に比べると三倍以上ということで、やはり急増しているんですね。
 それでは、労働相談の中における、専門医における心の健康相談の位置づけと仕組みはどうなっているでしょうか。

○高橋労働部長 先ほど申し上げましたとおり、労働相談のうちで、解雇やセクシュアルハラスメントなどの相談の中には、相談者が精神的にダメージを受けているケースも少なくありません。こうしたケースに対応するために、相談者の要望があれば、専門家による心の健康相談とあわせて実施することにより、効果的な労働問題の解決援助を行う体制をしいております。
 具体的には、精神保健の専門家を相談員として委嘱し、区部では中央労政事務所、多摩では国分寺労政事務所に、原則として週一回配置しております。
 なお、相談は面談で行うことを基本としております。

○かち委員 労政事務所で相談を受けて、必要があれば、また本人が希望すれば心の相談室の方に回すということで、これが週一回の予約制ということなんですが、それでは、心の相談の相談件数の推移と具体的な相談内容について伺います。

○高橋労働部長 相談件数は、平成十一年度百四十七件、平成十二年度百七十七件、平成十三年度百十一件となっております。
 具体的な相談内容では、セクシュアルハラスメント関係の事件で、一定の解決を見たけれども、職場に復帰後も不安定な精神状態が続いているといったケースや、リストラで退職勧告を受けたが、ショックが大きく、精神的に不安定となり、今後どうしてよいかわからないなど、深刻なケースが見受けられるところでございます。

○かち委員 複雑な社会環境の中で、相談内容も非常に複雑に絡み合っているものが多いように見受けられます。
 先ほど、労働相談の中における心の相談件数が急増しているにもかかわらず、専門医における心の相談件数は比較的一定している、これはどういうふうに解釈すればよいのでしょうか。

○高橋労働部長 先ほど申し上げましたとおり、心の健康相談は、基本的には相談者本人の希望によりまして実施するものでありまして、必ずしも全体の相談件数の傾向とは一致するとは限りません。現体制で相談者のご希望に十分こたえているのではないかなというふうに考えております。

○かち委員 本人の希望もあるということですけれども、相談できる条件があるかないかということでも、大きく影響するのではないかなというふうに思います。
 現在、都内には七カ所の労政事務所があるにもかかわらず、心の相談は多摩地域と区部にそれぞれ一カ所しかない。また、週一回、一回には三人程度の受け入れ態勢とのことでは、実際相談したくても、なかなか相談しにくい状況にあるんじゃないかと思うんですね。
 私は、専門の相談員を置いた心の相談、健康相談の体制を、労政事務所ごとに配置して拡充すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○高橋労働部長 雇用環境が厳しい状況にありますので、労働相談内容もかなり深刻化しております。こうした状況から、労働相談を補完する心の健康相談の役割、これは重要と考えておりまして、今後とも、各労政事務所の労働相談との連携を深めながら、心の相談、健康相談体制の一層の充実を図ってまいりたいと思っております。

○かち委員 国際労働機関、ILOの調査でも、生産年齢人口の十人に一人がうつ病というアメリカでは、年間労働損失日数は二億日、経済損失は二千億ドルに上るとされています。心の病による経済的損失が巨額に上ることから、欧米では、国民総生産の三から四%が職場のメンタルヘルスケアに費やされているともいわれていますが、日本の場合は、まだまだそういう点では立ちおくれているといわざるを得ません。
 働く人々の健康、安全、安心と、組織の本来的使命である生産性向上、組織効率は両立すべきものでありますし、本来的には、国が責任を持って政策的に進めなければならないことだとは思いますけれども、都としても、この心の相談活動に積極的に取り組まれるよう要望しておきます。
 次に、雇用・就業支援の問題ですけれども、先ほど来問題になっておりますが、若年層の雇用についてですが、東京の失業率は急増しており、ことし四月から六月の速報では、総数で六・一%、とりわけ十代後半から二十代前半では一〇・七%となっています。
 学校、大学を卒業して就職しようとする若者の雇用状況は一層厳しくなっています。結局、フリーターという状況で何年か過ごしてしまう、ますます就職の機会が遠のくという悪循環が続いています。こうした中で、都立の技術専門校の果たす役割は大変大きいと思います。
 そこで伺いますが、都立の技術専門校の定員と応募率はこの五年間でどのように変化していますでしょうか。

○高橋労働部長 技術専門校における平成九年度の定員は八千三百十五名で、応募倍率は二・一〇倍でございました。平成十三年度は、新たに取り入れた民間教育訓練機関等を活用した緊急再就職訓練も含めまして、総定員は一万八千六百名、応募倍率は一・四〇倍となっております。

○かち委員 平成十三年というのは特別に委託訓練分が入っているわけですけれども、こういう中で、若者向けの科目についてはどういうふうになっているんでしょうか。

○高橋労働部長 おおむね三十歳以下を対象として実施します、いわゆる若年者向けの訓練科目の平成九年度の定員は千八百五十名でありました。応募倍率は一・七三倍で、平成十三年度の定員は千二百二十五名で、応募倍率は一・八三倍となっております。

○かち委員 定員が減って応募倍率が上がっているわけですけれども、高い失業率の中でも、若者は一〇%を大きく超えているわけなんです。そして、若者の場合、雇用保険の受給者も少ない状況にあるわけです。
 そういう中で、定員も減らし、年齢制限も取り払うということになれば、必然的に若者の入学をする窓口が大変狭くなってしまう、こういうことをどのように認識されているでしょうか。

○高橋労働部長 まず、若年者向けの科目の定員減、この数値の差は、平成十一年度及び十二年度に、おおむね三十歳以下を対象とする延べ二十五科目について年齢制限を撤廃する、要するに緩和する見直しを行ったことによりまして、実質的な若年者向けの科目の定員減はなかったというふうに考えております。
 それから、平成十三年度に実施しました委託訓練の就職率でございますけれども、施設内訓練に比べまして少ない状況に確かにあります。
 平成十四年度におきましては、こうした状況を踏まえまして、就職支援体制を充実するために、委託訓練機関が積極的に就職支援に取り組むよう、委託契約の要件を改めたところでございます。具体的には、訓練カリキュラムの中に、職業ガイダンス、求人情報検索等、就職支援時間の設定を義務づけるとともに、その実績等を次の委託機関の選定に反映させるなど、訓練が就職につながるよう努めてまいりたいと思います。

○かち委員 いろいろと策はとられているというご回答でしたけれども、資料にもありましたけれども、昨年の技術専門校修了生のうち、施設内訓練、都の直営の施設の訓練を修了した方は就職率は七一%平均であるのに対し、委託訓練では三四%ということで大変低いわけです。
 こういう状況がなぜ生まれるかということですけれども、委託訓練では、期間も三カ月あるいは十カ月と短く、中途半端で技術を身につけるまでにはいかないというのが現状ではないかと思うんです。委託訓練をふやして定員をふやしたといっても、内容の充実が伴わなければ実効性がないということを示していると思います。就業訓練の目的は就職であって、就職率の高い施設内訓練の枠を大幅にふやし、若年者対象の定員枠も、少なくとも当初に戻すべきだということを申し述べておきます。
 次に、三年間の緊急地域雇用特別交付金事業が平成十三年度で終了しました。今年度からは緊急地域雇用創出特別交付金事業として継続されたわけですけれども、この事業、今までの事業に対する総括、どのようにとらえていらっしゃるでしょうか。

○前田参事 平成十一年度から平成十三年度までの三カ年間で、総額約百七十七億円の基金を活用し、都及び区市町村におきまして千四百九件の事業を実施した結果、約四万三千人の雇用を創出したところでございます。
 基金事業による直接の雇用創出効果はもとより、都内各自治体において住民サービスの向上が図られるなど、効果があったものと考えております。

○かち委員 この事業は、失業者のつなぎ雇用に活用するというのが本来の目的であったにもかかわらず、どうも実際はそういうふうになっていなかったようです。新聞の調査によれば、非失業者の割合が最も多かったのが広島市で、六六%、最も小さかったのが北九州市で、八%という結果も出ています。
 都としても、雇用者数のまとめは、今ご報告ありましたように出ていますけれども、その内容は分析されていないのですね。
 新交付金事業では、四分の三は失業者にということが条件となっているようですけれども、また、新規雇用した労働者が、当該事業における雇用・就業期間終了後に安定した雇用につながるよう留意するものというふうに要綱でも述べられていますけれども、東京労働局の参加も求めて、労働団体やNPOなど関係団体などと意見交換し、より失業者の雇用に役立つように改善する必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

○前田参事 本基金につきましては、これまでも、ご指摘の経営者団体や労働団体などから、話し合いの場を通じまして意見や要望が出されてきているところでございます。
 今後とも、実施要領を踏まえつつ、可能な限り関係者の意見をお聞きし、適正かつ効果的な事業の実施に努めてまいります。

○かち委員 この事業費の約半分は都の直接の公共事業にかかわるものが多くて、各局にわたっての事業になっているわけですが、失業対策に積極的に取り組む中心というのはこの産労局というわけですから、他局の状況も踏まえて、この事業が有効に活用されるよう、ぜひそのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 また、要綱では、都道府県がみずからの財源によって事業の上積みにも努めることというふうにありますけれども、都としての取り組みはいかがでしょうか。

○前田参事 産業労働局はこれまでも、説明会などを通じまして制度の趣旨や内容の普及徹底に努めるとともに、各局に対しまして積極的活用を呼びかけてきたところでございます。今後とも、全庁的な役割分担の中で、雇用・就業対策の担当局といたしまして、効果的な役割を果たすよう努めてまいります。
 また、現下の極めて厳しい都の財政状況を踏まえまして、本基金を十分に活用いたしまして、雇用創出効果の高い事業を実施するよう努めてまいります。
 なお、平成十四年度から向こう三カ年で二百三十八億円の交付を受けておりまして、これからも、基金事業の目的に照らし、実効の上がる執行に努めていきたいと考えております。

○かち委員 緊急雇用といっても、やはり一時的なものに終始しがちだとは思うんです。本来的には国の政策的な問題があると思いますけれども、予算の中で精いっぱい、東京都としての高失業率の現状を直視して、失業対策に本腰を入れていただきたいと思います。
 次に、工業集積地域活性化事業について伺います。
 資料にもありますが、平成八年から始まったこの事業、これまでに二十カ所の地域指定がされてまいりました。平成十六年に終了ということになっておりますけれども、この事業は、これまでにも私ども再三取り上げてまいりました。一定の成果や教訓を局としても把握されていると思いますけれども、どのように分析されているでしょうか。

○大原商工部長 この工業集積地域活性化支援事業につきましては、サンセット事業として、活性化促進地域の指定後五年間で事業を終了するということになっております。したがいまして、事業全体が終了いたします平成十六年度に、その成果を全体として総括しました上で、地域の工業振興策のあり方について検討する予定でございます。

○かち委員 それは説明を聞かなくても、制度としてそうなっているということは重々承知の上でお聞きしているわけで、内容的にどういうふうに見ているのかと。
 だって、政策的にやってきているわけですから、経過があるわけですから、そのことをどういうふうに受けとめているかということなんですよ。全部を終了して、それから考えるというのでは遅いから、やっている中でも並行的に検討すべきだということは、いろいろな機会を通して議会からも声が上がっていると思うんですが、そういう点を一貫しておっしゃっていただけないのは非常に残念でございます。
 大田区などは、当初指定をされた地域ですので、もう既に五年を経過しているわけですけれども、こういう中で、大変有効な施策だということで幾つもの事例が挙がっているわけです。私もお聞きしたところでは、製品の品質を保つための空調施設を取りつけることができたとか、また、地域の異業種が共同でカタログをつくって、それが販路に結びついたとか、また新しい開発にも結びついたなどなど、さまざまな効果を呈しているわけですね。そういうことで、東京都に対しても、自治体からも要望が上がっていると思うんです。
 しかし、東京都としては五年が区切りということで、大田区は切られてしまったわけですが、大田区自身は独自に、少ないながらもこれを継続するという状況を続けて頑張っているわけですよね。
 そういう状況もかんがみれば、都として、何かこういうことに手だてをする--中小企業は今、本当にいろいろな規制緩和の中で、空洞化する中で、仕事が入ってこない、そういう本当ににっちもさっちもいかないような状況の中で、しかし歯を食いしばって頑張っているわけですよね。そういう状況を都としてどう見ているのか、この内容について、工業集積活性化事業についての中身について、少しぐらいの見解をお示しいただいてもいいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○大原商工部長 繰り返しの部分があって恐縮でございますが、この事業につきましては、それぞれの地域の特性に応じました事業を、それぞれの区市町村あるいは事業者が工夫をして実施されているわけでございます。
 したがいまして、部分的な評価といいますよりも、やはり事業全体が終了した後に全体を総括して、この事業の効果等について十分な検証をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○かち委員 本当にものづくりをどうしていくのか、東京のものづくりをどうしていくのかという点で、真剣な取り組みをされているという実感を、私は受けとめられないんですよね。
 先日、建設局の質疑の中で、すいすいプランというのが大変効果的だというお話がありまして、こういうものは、期限が来たから次どうするかというのを考えるよりも、今よいものは並行的に考えて、同じものでなくても、パートツー的な形でやるべきだというようなご意見もありました。
 ぜひ、そういう点から、終わってから考えるというのではなくて、並行的に総括をしながら、この事業を一たん区切りをつけるのではなくて、内容的に継続されるような中身で、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。
 それで、今必要なのは、新製品の開発とか研究とか販路の開拓、またインキュベーション機能、そういうものを兼ね備えたセンター的なものがどうしても必要なんです。今、大田区には城南地域の中小企業センターがありますけれども、ここは主に製品の計測とか品質規格測定などというものを主力とするところですから、こういうところで前段述べたようなことが本当に可能なのかどうか、どのように見ていらっしゃるのでしょうか。

○大原商工部長 城南地域中小企業振興センターでございますが、ここでは中小企業が、センター内にございます各種の試験機器、こういったものが設置をされております開発支援室を利用いたしまして、センター職員との相談や指導のもとに、実験、測定、分析等を行う開発協力事業を実施しております。平成八年度の事業開始から、同十三年度までの六年間で七十三件の事業実績がございます。

○かち委員 今お話しのように、局としても努力をされて、このセンターの中を活用しながら一定の成果を上げられているということもわかりましたけれども、本格的なインキュベーション機能を発揮させるためには、もっと試験研究機関を、例えば京浜島の工業団地などを利用して、活用して検討するぐらいの心構えをぜひ持っていただきたいと思います。
 それで、今京浜島は、従来のものづくりがどんどん衰退して歯抜けのようになっています。そこに今度は、直接のものづくりではない、例えば産廃処理業者などがどんどん進出してきています。従来の製造業の集積が失われつつある。このものづくりの振興を標榜している東京都として、京浜島に対して何らかの対策をとるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○大原商工部長 京浜島工業団地の事業所でございますが、昭和五十年の工場移転開始以来、昭和六十一年の事業所統計調査時点をピークといたしまして、以後減少を続けております。
 一方、その中で、高度な技術力を保ち、厳しい競争のもと、東京を代表するような企業も数多く立地しているところでございます。
 これまでにない厳しい環境に置かれておりますものづくり産業を振興するために、さきに中小企業振興対策審議会から答申がなされたところでございまして、今後、この答申を踏まえまして、京浜島のみならず、ものづくり産業全体の振興について検討してまいりたいというふうに考えております。

○かち委員 具体的に、ぜひ実効性のあるものを検討していただきたいと思います。
 先日、臨時国会が開かれまして、小泉首相の所信表明演説の中で、あえて、東京の大田区には、職人の技術によって日用品からロケットまで多様な特殊部品を製造している企業や、IT技術を活用して云々、潜在的な力は失われていない、だから構造改革こそが日本の展望を切り開くなどと述べておられましたけれども、中小企業の発展を位置づけるなら、現実をもっと直視していただきたいと思います。
 不良債権処理で、大田区では、もう二つの信組が破綻をしております。再強行ということで、銀行の貸し渋り、貸しはがしがますます進んでいます。規制緩和で生産拠点をどんどん海外に移してしまって、どうして頑張れということができるでしょうか。
 都の予算、決算の推移を見ても、この十年間に中小企業予算は約八〇%以下に減ってしまっています。ものづくり振興のための答申を本当に生かすためにも、中小企業対策予算を位置づけた予算編成にされることを強く求めて、質問を終わります。

○真木委員 先ほど来、雇用の問題、議論されております。大変な失業率、そしてまた労働相談等が相次いでいるということがございます。
 こういった労使紛争というか、労使というと組合という感じがありますが、いろいろなトラブル、そういったものを防ぐためには、やはり労働相談も有効でありますし、また組合にも頑張ってもらわなきゃいけないわけでありますが、なかなか組合がない職場がふえております。
 そうした中で、労働者自身が自己防衛を図っていかなければならないというぐあいに考えるわけでありますけれども、何よりもの自己防衛は理論であります。そうした上で、東京都が主催する労働セミナー、非常に有効であり、かつ役割は大きいんじゃないかと思うんですが、労働セミナーの状況につきまして、十三年度についてお尋ねいたします。

○高橋労働部長 労働セミナーの内容でございますけれども、労使を対象に、労働法や労働問題の基礎的な知識の普及を図る基礎セミナー、就職を希望する主婦や学生を対象に、職業情報や労働法の基礎知識を提供し就業を支援する職業ガイドセミナー、労使を対象に、男女雇用機会均等法や労働問題に関する基礎的知識の普及を図る男女雇用平等セミナーなどを都内の労政事務所で実施しております。

○真木委員 そういった各種のセミナーを行っているということでございますが、私が心配しますのは、労働者の皆さんが本当にそのセミナーに、都が主催するセミナーに参加できているのかどうかということが気になっております。参加状況につきまして確認をしたいと思います。

○高橋労働部長 平成十三年度の実績について申し上げますと、年間百六十九回実施しまして、定員一万六千七百三十人に対しまして、申込者は二万六千三百七十九人、実参加者は一万九千八百六十九人となっております。セミナーへの参加者は、厳しい雇用情勢や労働関係法令の改正などを反映しまして、年々増加してございます。

○真木委員 もうこれで答弁は結構でございますが、百六十九回実施をし、一万七千人程度の定員に対し二万六千人の申し込みがあり、そして参加者は約二万人ということで、定員を上回る参加者があったということで、大変な盛況だと思います。
 この背景には、託児所を設けたものも十回ほどあるとか、それとか夜間に行われたとか、土日にやっている、そうした工夫もなされていることだと思います。
 ただ、私は、ちょっとこの数字、一〇〇%うのみにしていいのかなと、こういった議会の場で大変恐縮でございますが、懸念を持っております。
 と申しますのも、私の近くの方で、多摩の八王子に近い方、多摩の遠い方ですね、セミナーが東京都の労政事務所主催で行われますけれども、都内から大分遠いところであるにもかかわらず六時半からの開会で、四回シリーズで行われますが、四回とも出てきなさいというような、なるべく四日間続けて受講してくださいという要請でありますが、そうした制限が最初からかかっているとか、それとか、託児所は設けているけれども、時間が六時半という極めて中途半端な時間であります。子どもを六時までに保育園に迎えに行くのだって大変な中で、六時半からセミナーが始まるということは、これは、子どもにご飯を食べさせないでそのまま行きなさいという、もし迎えに行けたとしてもそういうことになりますし、大体六時半に、都内で働いている女性が、多摩の大分遠いところでセミナーに出られるということはあり得ないと思います。
 多くのところで市と共催をして行っているということでございますが、勘ぐってしまいますと、市と共催することによって、地元の方々にたくさん呼びかけて出ていただけるというメリットもありますが、足りない分は市役所内部の勉強会にかえればいいというか、市役所の職員がぼうっと出てくればいいということもあり得るわけでありまして、どうぞさまざまなきめの細かい工夫で、本当に困っている方、セクハラを受けているとか、どうもうちの職場は結婚するとやめざるを得ない雰囲気があるというような、そういった女性が--女性に限らず男性も出ていけるような、そうした、出やすいセミナーに心がけていただきたいということを強く要請させていただきたいと思います。
 どうも、六時半からやってはいるけれども、これで出られるのは市役所の人だけだよな、託児所は設けているけれども、どうも魂が入っていないんじゃないかなという気がして、ちょっと発言をさせていただいた次第でございます。
 こういった努力を非常に多とするものでありますが、より充実したものになるように意見を表明させていただきたいと思います。
 続きまして、花粉症対策についてお尋ねをいたします。
 花粉症、私は環境局にも質問をさせていただきました。花粉症は東京プロブレムで、大変な問題だと私は考えております。
 私自身は、花粉症でありますが、軽症であります。マスクもしなくていい状態であります。しかしながら、マスクをしないと、いても立ってもいられない、一年のうちの二カ月は非常に憂うつな思いをして過ごす方が本当に東京には多いという実態がある中で、環境局の取り組みが、失礼ながらまだまだというか、予算上の制限で非常に厳しいということもわかりました。
 そうした中で、産業労働局の取り組みに期待をするわけでありますが、平成十三年度に産業労働局が実施した花粉症対策についてお尋ねをいたします。

○矢口農林水産部長 花粉症についてでございますが、森林、林業面からの花粉症対策としましては、スギ花粉の発生源を抑制します技術開発と、花粉量そのものを抑制します施策の展開が必要であると考えてございます。
 このため、都の林業試験場におきましてこれまで行ってきましたマレイン酸によるスギ花粉の抑制の成果に基づきまして、平成十三年度につきましては、杉の幹にマレイン酸の水溶液を注入いたします実証試験を実施いたしました。これに要した経費は三千万でございました。
 この実証試験の結果、直径が二十七センチメートル未満の杉につきましては、九割以上スギ花粉を抑制する効果が見られました。

○真木委員 このマレイン酸の屋外での実験を平成十四年度にやるという予定にしていたようでございますが、どうも安全性について一部懸念があったということで、今のところ、その計画自体が休止をされているということでございます。
 私は、このマレイン酸の計画、非常に期待をしたとともに、一部には、心の片隅には、よかったなという気もいたします。やはり、自然のものに対して、薬物を打ち込んで、そして抑制をとめるというようなことは、個人的には、素人的にぱっと聞いただけでは、一〇〇%賛成をするわけにはいかないなという気がしておりました。
 ところで、このマレイン酸の抑制効果、もしも安全性に問題がないといたしましても、相当な経費がかかるんじゃないかと思うんですが、一本打つのに幾らかかって、そして東京じゅうの杉にマレイン酸をぶち込むのに、およそ一年間でどれくらいかかるのか、確認をします。

○矢口農林水産部長 マレイン酸を使いました花粉抑制事業を多摩の杉全体に行った場合の経費についてでございますが、多摩地域の杉林の面積は約二万ヘクタール、本数にしますと約四千万本と推定されてございます。平成十三年度の花粉抑制試験の経費をもとに、多摩地域の森林の杉すべてにマレイン酸を注入する経費を試算しますと、一本約五百円程度でございますので、合計で約二百億円ほどになると計算してございます。

○真木委員 杉全部にぶち込むと、二百億円ということでございます。全部にぶち込むと、九割の削減効果ですから、一割になるということでございまして、二百億円つぎ込んで、花粉の量が一割になるということになるかと思います。
 全部花粉の量を一割にする必要はないわけでありますので、仮に二〇%減らそうと。二〇%にぶち込むと四十億円かかって、四十億円ぶち込むことによって、一八%減るというようなことになるのかなと思います。
 これは大変な額でございまして、一八%のために四十億円、毎年打たなければいけないということになりますね。毎年薬品をぶち込み続ける、そしてそれで森林の管理が行われるわけではないわけですから、これはちょっと厳しいなという気がいたします。
 そうしますと、これは、実験としてはこれからも続けていただいて結構だと思いますが、花粉症対策としては厳しいな。そうした中では、花粉の量を減らすものとして、花粉の少ない杉の種類があるというぐあいに聞いております。これは別に薬品をぶち込んだとかいうものではなくて、もともと花粉の少ない種類、品種ということだと思いますが、どういった統計が出ておりますでしょうか。

○矢口農林水産部長 花粉症対策の一つとしまして、花粉の量の少ない杉の品種を開発普及し、発生する花粉の量そのものを抑えていくことが大変有効であります。このため、都の林業試験場におきまして、平成十年度と十二年度につきまして、花粉の量の少ない杉の品種の選抜試験を実施してございます。この結果、西多摩二号という杉の品種では、他の杉に比べまして、おおむね七割も花粉の量が少ないことが確認できてございます。

○真木委員 花粉症対策として、その品種に植えかえることは大変有効なことだと思います。ぜひ、今も伐採が行われているわけですから、新しく植えるときには、そうした品種にかえていっていただきたいと思いますが、今どの程度の伐採が行われているんでしょうか。

○矢口農林水産部長 都内の杉の伐採面積についてでございますが、樹木ごとの伐採面積については統計をとってございませんので、素材生産量から推定いたしますと、平成十二年度におきます都内の杉の素材生産量は約九千立方メートルでございます。木材生産のために伐採される杉林の面積は、約四十ヘクタールと推定されます。

○真木委員 先ほどお答えいただきました東京の杉林の面積は約二万ヘクタール。二万ヘクタール中、伐採されるのは一年間四十ヘクタール。これを計算いたしますと、二万ヘクタール中の四十ヘクタールですから、〇・二%。この調子でずっと植えかえていこうとしますと、五百年ですよね。五百年かかってやっと植えかえられる。しかも、年々減っているということですから、これは大変なことだと思います。
 これでは植えかえもなかなか厳しいかなというぐあいに思うんですが、植えかえを促進することはできないのかなというぐあいに思います。
 なぜそんなに少ないのかということにつきまして、まず原因を究明したいと思いますが、その原因としては何が挙げられるでしょうか。

○矢口農林水産部長 伐採面積が少ない理由についてでございますけれども、多摩地域の杉の原木価格は、十年前と比べますと約五五%も下落しておりまして、原木を伐採して搬出する経費も賄えない状況となっております。こうした採算性の悪化によりまして、伐採面積が低くなっていると考えられてございます。

○真木委員 とても採算に合わないと。切っても給料が出てこないんで、切られていないということだと思います。
 じゃ、これを植えかえていこうということであるならば、今、東京都は伐採には何の補助も行われていないわけでありますけれども--何のということはないですけれども、補助が基本的にはない中で、一定の補助をしていくようなことも考えていかなければいけないと思うんですが、例えば、都内の杉林の二万ヘクタール中の一%、二万中の一%ですから、二百ヘクタールです。二百ヘクタールを伐採し、花粉の少ない新しい品種に植えかえるとして、その植えかえる経費と、そして、幾ら割が合わないといっても少しは売れるわけですから、その利益はどれぐらいになりますでしょうか。

○矢口農林水産部長 二百ヘクタールの杉林を伐採し、そこに花粉の少ない杉の苗を植栽しまして、適切な管理を行う経費を、一定の条件のもとに試算しますと、現行の補助金制度を活用しても、経費は約九億円要することとなります。
 一方、平成十三年度の価格をもとに、二百ヘクタールの杉林から搬出されます原木の販売額を試算しますと、約五億円程度と見積もられます。

○真木委員 費用が九億円かかって、販売額が五億円ということであれば、差額は四億円であります。東京都の財政規模六兆円からしてみれば、何と微々たることかという気がいたします。
 杉というものは、植えてから二十年間は花粉を出さないということですね。そうしますと、毎年一%ずつ切っていきますと、その最初の二十年間は切った分だけ花粉が減っていく。二十年間で二〇%の花粉を抑制することができて、二十一年目から三十年目にかけては、一%減らして、さっき三割ということでございましたので、三割程度の花粉ということですから、その差の〇・七%減っていくということで、三十年目には二七%の花粉が減るということを、年間四億円でできて、そしてそのことによって東京の森林が守られる、手入れがされるということだと思います。
 大変な花粉症対策となり、また東京の森を守るということがわずか四億円でできる、これはなぜ取り組まないんだというぐあいにいいたくなります。
 計算してもらいましたところ、こういった数字が初めて、東京都の方で持っていた資料ではないというか、私の方で計算をして、お願いをしてもらったところでございますが、今、伐採には補助金がありません。今、林業審議会の林業部会の方で--私もメンバーとして参加させていただいております、間もなく出る林業部会の答申の中で、花粉症という言葉が一言もなかったものですから、私の方で入れてもらうことをお願いし、その方向で、今、審議が進められております。
 ぜひ林業部会の答申の中で、また東京都としても、早速、来年度からこの花粉症対策と森林の管理ということが、もうちょっと精査しなければいけないんでしょうけれども、二けたいかない億の単位できっとできるんじゃないかなということが、今、議会のやりとりの中でも明らかになったわけであります。
 花粉症対策としては、ディーゼル車の関連もいわれております。こちらを手つかずにして、花粉ばかりをいじめるというのは、おかしな話であります。一方、環境局との議論の中では、花粉症対策の主管局は健康局であるという答弁もいただきました。しかしながら、花粉に強い体をつくるということには、これはなりません。となるならば、ディーゼルはディーゼルとしながら、花粉の時期に花粉症が発生することは明白なことなわけですから、花粉を少なくするという努力があっていい。
 しかも、この花粉が多過ぎるのは、何も自然のことではなくて、戦後、日本が国策として杉を植え過ぎたという、人間も含めた生態系を人間が壊したということもいえるんじゃないかなと思いますので、それをもとに戻していくという意味で、こうした花粉症対策、今のところ、簡単な試算では、わずか四億円程度でできるということで、ぜひ検討をお願いしたい。
 薬物を打ち込んで、二割を減らすためには四十億円かかるということが、先ほどの試算からもわかっております。そんなお金ではなくて、それでは森の管理はできない。わずか四億円程度で森の管理ができて、花粉症を減らすことができる、こういった努力をぜひお願いし、私の質問を終わらせていただきます。
 局長から一言ございませんか。

○有手産業労働局長 今、花粉症についての委員のいろいろなご提言がありました。こういった問題につきまして、産業労働局だけではなくて、オール都庁挙げて取り組んでいかなくちゃいけないんじゃないかというふうに考えております。

○大木田委員長 この際、議事の都合により、おおむね五分間休憩いたします。
   午後三時二十五分休憩

   午後三時三十四分開議

○大木田委員長 休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 その前に、先ほどお手元に配布しました資料について補足説明があります。

○山口総務部長 大変申しわけありません。先ほどの資料説明のうちの二二ページの単位につきまして、訂正させていただきたいと思います。
 二二ページの18、庁内木材使用実績という資料がございますが、そこの右肩、単位を平方メートルとして書いてございますが、立米に訂正をしていただきたいと思います。大変申しわけありません、謹んで訂正のほど、よろしくお願いいたします。

○大木田委員長 質問を続行いたします。

○小松委員 順次質疑させていただきます。
 まず、都市農業についてです。
 今、農業を取り巻く問題というのは、担い手の高齢化や、重い税負担による農業者の減少、そしてそこに起因する農地の減少問題、さらに最近はBSEの問題や輸入冷凍野菜の残留農薬問題など食の安全にかかわる問題など、農業問題は消費者も含めた全都民的、国民的な大きな課題になっております。その根底にある日本の食糧自給率が危機的状況にある、すなわち、日本の食糧自給率を引き上げることも緊急課題であります。
 この決算年度の十三年度がどんな年であったかを考えたとき、今こそ、生文局などとも連携して、生産部門、また産業部門としての産労局の出番ではないでしょうか。
 しかし、そのバロメーターともいえる農業予算が伸びていない。否、それどころか、ますます削減の方向にある。
 そこで伺うわけですが、ここ何年間、例えば五年前と比べて、昨年度の農業予算、どうなっているでしょうか。

○矢口農林水産部長 農業予算についてでありますが、災害関係経費を除きます農業費につきましては、平成十三年度三十五億三千四百万円となっております。五年前の平成八年度の五十二億三千四百万と比べますと、十七億円の減となってございます。

○小松委員 五年間で三〇%以上もの減というのは、都市農業振興上、ゆゆしき問題ではありませんか。
 では、その内容、なぜ五年間で三〇%も減ってしまったんでしょうか。

○矢口農林水産部長 十三年度と八年度を比べますと、農道やかんがい施設などの土地基盤整備に要する経費、あるいは試験研究機関に要する経費などが減少の主な要因でございます。
 また、事業といたしましては、農村地域定住促進対策事業が平成八年度で終了したことなどが大きな理由でございます。

○小松委員 今、幾つかの事業を挙げて説明されました。そうした事業が減らされたりすることも大変問題ですが、私が調べたところでは、この八年度から十三年度まで--それでは八年度から九年度に至って減ったということではなく、例えばシーリングをかけ始めた平成十一年度から、すなわち、その前年度から比較してみますと、どうなっているでしょうか。

○矢口農林水産部長 平成十年度の予算とことしの平成十四年度の予算を比べてみますと、平成十四年度の予算は二十九億二千七百万円でございます。平成十年度は四十五億三千六百万でございますので、金額にしますと十六億円ほど減となってございます。

○小松委員 まさにこの四年間で四十五億から二十九億、十六億円、二五%ぐらいですか、これが減っているわけです。これこそシーリングの影響ではないのでしょうか。そういわざるを得ません。こんなことをしていて、先ほど申し上げたように、今日求められている都市農業の振興にこたえていけるんでしょうか。
 このことは、皆さんにお伺いしても、大変難しい問題であります。こんなことをしていたら、農地がなくなって、農業も本当に廃れていくよ、これを大変心配し、厳しく指摘をしておくことにしたいと思います。
 都の消費モニターアンケートの結果からも、都民が身近でとれる新鮮で安全な都内産農産物を望んでおります。これを農業者も努力することで、都民の野菜消費の七・四%を現実に生産しております。都民の生活環境を守る上でも重要な役割を果たしている、そんな中での農業予算の削減は大変厳しいと。
 それでは、具体的に、こうした中で、都市農業を振興するため、都の対策、施策はどのようにやられてきたのでしょうか。

○矢口農林水産部長 都ではこれまで、農業者の創意工夫を発揮した収益性の高い農業経営を育成するために、活力ある農業経営育成事業を実施してまいりました。
 この事業では、農産物の共同直売所、収穫体験ができる観光農園や農産加工施設の整備などに対して、助成を行っております。また、農地の保全と活用を図るため、かん水施設の整備や土壌改良などについて支援を行う生産緑地保全整備事業などを実施してまいりました。

○小松委員 今お答えになっていただいた施策、どれも大切な施策であり、そして予算がもう少しあれば、もっともっと充実できる施策であるということは、当局の方々もお考えになっていらっしゃるのではないでしょうか。
 きょうは、その中で生産緑地、この話が先ほどもちょっと出ておりますが、見ておりますと、毎年、二百ヘクタールの農地が、これは東京ドーム四十三個分だというんですね、こんな大きな農地が減少を続けている。農地は、その大半が生産緑地以外の農地で、生産緑地についてはほとんど減少していないんだ。そういうことで、都市農業の振興には、やはり生産緑地をふやす取り組みが不可欠ではないでしょうかね。
 事実、都内では、江戸川とか、また今後、日野市など、積極的な追加指定に取り組んでおります。私の住む東村山も努力をしているようです。
 「逐条解説生産緑地法」というのがありますが、それによりますと、その四七ページには、公共施設等の敷地の用に供する土地として適しているということをいっております。これはどういうことかというと、良好な市街化を図っていくために必要な公園、学校、病院等の公共性、公益性の高い施設を設置するのに適した土地という意味で、公共施設の敷地とすることができる土地を広く意味するものであり、公共施設等の予定地としてあらかじめ保全する必要がある土地に限定する趣旨ではない、このようにはっきりと明言されております。
 このことは、意外と区市町村の方でも正確に受け取られていない部分もあるようです。
 確かに、この指定局は都市計画局でありますが、生産現場を所管する産労局の取り組みについて伺うものです。

○矢口農林水産部長 生産緑地についてでございますが、生産緑地は保全すべき農地として都市計画に位置づけられた農地でございます。昨年策定いたしました東京農業振興プランにおきまして、農業と調和した緑あるまちづくりを進める観点から、生産緑地の追加指定を促進することとしてございます。
 このため、産業労働局といたしましては、東京都農業会議と共同で、農業委員会の方々の研修会や協議会の場におきまして、生産緑地制度の理解を深めるための研修などを実施してございます。
 今後とも、区や市と連携いたしまして、生産緑地の指定を促進し、農地の保全に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○小松委員 ぜひ、区市町村や農業者への情報提供を強めること、また、追加指定の側面的な援助を求めておきたいと思います。
 農地を確保して保全し続けていくためには、この農地で実際に農業をされている農業従事者が柱になるわけですが、今回いただいた資料でも年々減少しております。今回、年齢は伺っておりませんが、高齢化に伴う担い手の減少ということは否めません。
 全国的にも重要な課題であるわけですが、その一方で、最近、東京でも、意欲的な農業後継者や、農業以外の分野から農業に参入したい、こういう意向を持つ若者がふえているとも伺っております。新規就農ということですね。
 これにつきましては、我が党の河野議員が、全国の例を挙げて具体的な提起をしており、それに対して、都も努力する旨の回答を得ておりますが、都としての取り組み、その後の進捗状況などをお伺いしたいと思いますし、また、最近はフレッシュ&Uターン農業後継者セミナーというようなことをよく聞きますが、好評だとも聞きます。それらをあわせて伺うものです。

○矢口農林水産部長 新規就農者につきましては、ご提出しました資料にもございますように、三年間で実践的な農業技術を習得するフレッシュ&Uターン農業後継者セミナーあるいは独立行政法人農業者大学校への派遣などを実施してございます。
 フレッシュ&Uターン農業後継者セミナーにつきましては、平成二年度に農業改良普及センター事業としてスタートしまして、これまで四期、三百二十名の後継者の方々が研修を修了してございます。現在は、五期生、百三十八名の方々が研修を実施しておるところでございます。

○小松委員 そのように新規就農の一定の取り組みをしているではありませんか。と申し上げますのは、実は私、こういう希望される方から質問されて、全国農業会議内に置かれている全国新規就農相談センターが、新規就農支援制度についてまとめているんだけれども、東京都については、東京都の都道府県段階、市町村段階の新規就農者受け入れ支援情報は現在ありませんと、インターネットでやっても出てしまうんだと。紹介されているのが四十五道府県、東京のみ紹介されていない。東京だけこういった就農支援をやっていないじゃないかといわれまして、ちょっときょう持ってくるのを忘れましたけれども、新規就農支援ハンドブックみたいなものがありますね。それを見ましても、確かに東京の紹介がない。どうしてでしょうか。

○矢口農林水産部長 今ご指摘のありました、全国農業会議所が発行しております新規就農ガイドブックでございますが、これの東京都について事業が欠落しているものは、何か事務的な手違いによるものと考えられてございます。私どもとしては、東京都農業会議及び全国農業会議所に、都の実施事業を申し入れてございまして、今後とも施策のPRは行っていきたいと考えてございます。

○小松委員 事務的な手違いということですので、情報提供は抜かりなくしっかりやってほしいし、来年度はきちっと入れておいていただきたいんですが、都市農業の振興に向けて、農林部職員一丸となって努力していることは存じているわけですが、一方では、農地面積や担い手の減少に歯どめがかかっていないわけです。
 こんなときに、東京都は、昨年十二月、農業振興プランを策定しておりますね。当プランにつきましては、既に農対審の答申を昨年七月提出し、私も委員の一人として、農業部会等においてさまざまな意見を述べさせていただいているわけですが、その中で、東京の農業を守るためにも、東京の農業を重要な産業と位置づけてほしい、こうした提起もさせていただき、文言として明記されているわけですね。しかし、東京都から出てきました振興プランになりますと、重要な産業が、魅力ある産業というふうに変わっております。
 このことにつきましては、先ほどの河野議員もただして、農林部長から、農業を重要な産業と認識しているとの答弁を得てはおりますが、ここで、農対審の一人として、たまたまこういう議会の決算委員ということがありまして、質問する場がありましたので、改めて、このプランにおける東京農業の位置づけ、そしてまた今後の進め方の基本を伺っておきたいと思います。

○矢口農林水産部長 都市農業は、新鮮で安全な農産物を生産しまして、都民の食卓に提供する重要な役割を担っていると考えてございます。このため、今、先生のご指摘のありました東京農業振興プランを昨年は策定しましたが、この中では、都市農業を魅力ある重要な産業として位置づけておりまして、今後とも、付加価値の高い東京ブランド農産物の開発普及や、意欲的な農業経営の育成など、農業振興に取り組んでまいりたいと考えてございます。

○小松委員 農業振興プランにおきましても、農対審の答申を踏まえまして、東京の農業を東京の重要な産業と位置づけるとした今の部長のお言葉、ぜひ積極的な施策展開をする中で、位置づけていただきたいと思います。
 また、今の東京の農林業の果たす役割、これからますます重要になっていると申しますのも、今、緑とか、先ほどから出ております食の安全、またはヒートアイランド、地球環境を守るなどなど、農地を残し、農業を発展させることでの役割、大変絶大なものであります。
 そのためには、これ以上の都市化は許されないというふうに思いますが、そうした中で、農業予算こそ重要施策として位置づけて、重点的な予算配分を求めまして、続いて、多摩産材の活用について伺ってまいりたいと思います。
 多摩産材につきましては、林業が衰退する中で、林業・木材産業の活性化のためには、木材の利用が活発になり、伐採と育林の循環が復活することが重要であるわけです。木造住宅の建築や、また内装工事などの民間の木材利用が伸び悩む中にあって、都が行う公共事業にこそ、木材、特に多摩産材を積極的に使っていくことが求められるわけですが、こうした面から、決算年度における公共事業での木材利用の実績を伺うものです。

○矢口農林水産部長 木材利用の実績でございますけれども、平成十三年度の都の公共事業におきます木材利用実績は、九千五百立方メートルでございます。産業労働局としましては、特に多摩地域の間伐材につきまして、治山、林道などの山間部の土木工事に積極的利用を進めてございます。

○小松委員 公共事業での多摩産材利用については、間伐も含めまして、今後とも積極的に進めていただきたい。
 一方、民間でも、多摩地域の森林・林業を守るために、積極的に多摩産材を使おうとする活動があると聞きますが、実態をつかんでいらっしゃるでしょうか。

○矢口農林水産部長 民間におきます取り組み状況でございますけれども、多摩地域の林業家や製材事業所あるいは工務店、設計事務所の方々などで構成いたします、東京の木で家をつくる会というのがございます。また、奥多摩町森林組合が出資した奥森ハウス株式会社というのがございますが、これらなどが多摩産材を使った家づくりを行ってございます。

○小松委員 このような地域で生産された木材を地域で利用する活動は、動き出して間もないわけですが、多摩産材の活用を進める上からも、重要な活動だと思うんですね。
 これらの活動に対して、都はどのような支援を行ってきたのか、伺います。

○矢口農林水産部長 都といたしましては、産業労働局と住宅局が協力しまして、東京の木・いえづくり協議会を設立してございます。これで多摩産材を使った家づくりの普及とPRに努めてございます。
 また、この協議会に参画してございます東京の木で家をつくる会や、生活協同組合・消費者住宅センターなどの団体に対しまして、学習会や交流活動に支援をしてございます。

○小松委員 そうした中で、今回どうしてもお伺いしておきたいのは、先日、中間まとめが出された農対審答申林業編の中で、地元材を顔の見える商品として消費者に供給する仕組みを構築するなど、多摩産材利用の推進に向けた基本的な取り組みの方向が示されているわけですけれども、都は、この中間まとめの公表の後、一カ月にわたり都民の意見を求めていたようですが、地域材の利用拡大についてどのような意見が出されたんでしょうか、お伺いをいたします。

○矢口農林水産部長 八月に農林漁業振興対策審議会から中間のまとめが出されてございます。この中で、多摩産材の利用促進のための基本的な取り組みとしまして、消費者が求める情報を提供いたしますシステムの整備や、産地や品質、性能などを保証する認証制度の導入、あるいは公共施設での地域材の積極的な利用などが審議会から提言されてございます。
 一カ月間、都民の方々から意見を求めましたところ、都民からは、東京の木のよさをPRいたします窓口の設置や、東京都独自の森林認証制度の確立、木質バイオマスエネルギーの早期事業化などにつきまして、ご意見がございました。

○小松委員 こうした都民の意見を大切にプラン作成時にも生かしていただきたいと思いますが、もう一つ大切なのは、奥多摩とか檜原、青梅、八王子など、林業のある町の生の声を聞いて、ぜひプランづくりに生かすことを求めるものです。
 林業を本当に都民のためにということで、私、最近、大変感動しているのが、東京新聞にはことしの五月三日に載りましたが、その後、「女性セブン」ですが、週刊誌にも載せられました。木の香りが漂う僕らの校舎ということで、お隣の埼玉県の玉川村の事例が新聞や週刊誌などに載せられていたことは、局もご存じのことと思います。小中学校の木質化ということです。
 木質化というのは、鉄筋コンクリートの校舎などと外側は変わらないと。すなわち、建物の外観や構造はそのままにして、内装、インテリアに木材を使用することだというんですね。
 私も初めてこの言葉を耳にしたわけですけれども、この木質化された校舎の使い心地については、子どもたちがこういっております。廊下を走ってもキュッととまるから滑らないの、転んでもけがをする子が少なくなったよ、転んでも痛くないよ、明るくてきれいになった、木っていいにおいがするんだね、大変な評判だそうです。保健の先生も、木はやわらかく感じるし、足や体に受ける衝撃が少なくなったような気がします。子どもたちのけがの手当てをしていても、以前の校舎のときより軽いように見受けますと。何と、こうした子どもたちにとって大変プラスだったということで、実際には村長さんが、建材による健康への影響がマスコミで取り上げられるようになったから、こういうことをやったんだということですね。
 実際に木というのがどのようになるかというと、例えば、静岡大学の農学部が行った、マウスを木の箱、鉄の箱、コンクリートの箱で飼う実験の結果を見ますと、三つの箱でマウスを八週間育てた後に交配し、雌が分娩した子マウスを二十三日間観察した結果、子マウスの生存率は、木製箱が八五・一%、金属製が四〇・〇%、コンクリート製が六・九%だと、こういう成果が出ているということですね。
 さらに、木質化を実現した玉川小学校の結果では、木質化の前の八八年に、インフルエンザにかかった生徒数が百十五人だったのに対して、木質化後の二〇〇〇年度には十五人と、大変激減したというんですね。
 これは、木材には周囲の空気の湿度、温度状態に応じて、水分を吸ったり吐いたりする働きがあって、そうしたことになるんだろうということで、微生物を排除することもあると。杉やヒノキは特にそういう力を多く持っているんだということで、大変長いページを費やしまして、るる書かれております。
 そして最後には、こうした東京の木・いえづくり協議会を発足させるなど、地元材普及に取り組む都林務課はとしまして、東京都の林務課の言葉を入れております。東京の伝統的な産地、青梅と埼玉県の飯能は、峰一つ挟んで、木だけでなく、人が往来した間柄、東京もおくれをとらないよう頑張りたいとエールを送るとありますが、これらについての所見をお願い申し上げます。

○矢口農林水産部長 先ほど申し上げましたように、この八月に農林漁業振興対策審議会から中間のまとめをいただいてございます。この中で、学校などでの公共施設の地域材の利用を提言してございます。
 都といたしましては、今後、審議会の最終答申を踏まえまして、学校を初めとします公共施設での地域材の活用については、検討してまいりたいと考えてございます。

○小松委員 ぜひ、検討してまいりたいということですから、この仕組みづくりも含めて、今、私がわざと時間を費やして長々と話したというのも、やはり、林業振興もあり、そしてまた緑の問題もあり、さらにはこれを使うことによる、今は子どもたちでしたけれども、人間の健康にもプラスになるという、これは一石二鳥以上のものではないかと思うんです。
 そうした中で、林業を発展させ、さらには消費者、それからまた私たち都民も潤うという、森林から供給される木材は、人と環境に優しい素材であるわけです。循環型社会の形成や持続可能な社会の実現には、森林が適切に管理、利用されることが不可欠であり、このためには、多摩産材の有効利用がより一層推進されるべきと考えるわけです。
 今後、新たに策定される推進プランも含めまして、多摩産材の積極的な利用を促す仕組みづくりなど、多摩産材の需要を拡大するための具体的施策についての検討をお願いするものであります。
 そのためにも、農業と同時に、減額され続けている林業予算の増額をしっかり求めていくことを強く要望してまいりたいと思います。
 次には、商店街の振興について質問させていただきたいと思います。
 まず、元気出せ商店街事業ですが、この元気出せ商店街事業につきましては、既に複数の方々からの質疑がありましたので、あえてそれは省略させていただきますが、その中で一つだけ私がお聞きしたかったのは、決定件数と申請件数、これらに差があるわけですね。昨年度にしましても、申請は八百六件、九百六十六商店街ということですが、決定には七百八十五件、九百三十七件の商店街だという、この少々の申請と決定の数値の差というのは何でしょうか。

○泉本参事 申請件数は、毎年度六月末までに補助金の交付申請のあった件数でございまして、一方、決定件数は、事業終了後、その実績報告をいただきまして、補助金の額の確定を行った件数でございます。したがいまして、この二つの差は、事業の中止をされた場合の差ということになります。

○小松委員 これは申請者からの、またみずからの中止であって、東京都がそれを選択しているものではないということですので、今後も、要望が出て、要綱に合致するものには、必ず出していただきたいんですが、この元気を出せ商店街事業というのは、先ほどから質問者が二人で、私で三人目なんですけれども、産労局、特に商工対策として、これほど都民から、また議会の各会派からも評価されている大変な事業ということで、ぜひ今後も発展継続させていただきたいということでは、先ほど、別にこれは切らないよということで来ましたけれども、今、大変財政は厳しいといいますけれども、効果のある事業だということでは、ぜひ拡充をしていただきたいと思うんですね。
 地元の中で、私、いろいろ聞いておりますと、この元気出せ商店街の事業、これは本来なら自分たちだけの単独の費用では到底できない、それがこういうせっかくの補助金をいただいたので、みんな頑張っているんだということで、東村山なんかでも、阿波踊りを初めとして、各商店街が多く取り組んでおります。非常に役立っている。
 一方では、あそこまでは自分たちの負担があるからできないんだという、そうした商店もありますけれども、そうした商店に対して、さらに何とかこういう元気出せ商店街なんかに取り組めるような意欲を持たせるような施策、そして、これを同じに続けるだけじゃなくて、拡充させていくという方向を求めるものですが、いかがでしょうか。

○泉本参事 先ほど来ご議論いただいておりますように、またご答弁申し上げさせていただいておりますように、今後とも、この事業のあり方については十分検討してまいりたいと思います。

○小松委員 ぜひ拡充策を求めるものでございます。
 それでは次に、大規模店対応ということでは、これまで営業時間を規制しておりました大規模小売店法が、二〇〇〇年五月ですか、廃止されまして、二〇〇〇年六月から、立地法のもとで、深夜営業拡大などによる影響が大変深刻になっているということです。私の地元でも、例えば西友は夜十一時まで営業しているなど、スーパーの夜型、深夜型が大変加速しております。
 この中で、問題は、東京都が立地法によって商業調整をしなくてよくなった、いい方を変えれば、商業調整もできなくなっちゃったということですね。
 この立地法施行後の状況をどう見ているか、まずお伺いしたいと思います。

○泉本参事 平成十年六月に施行されました大店立地法につきましては、出店地域周辺の生活環境との調和を図るため、店舗を設置するものが配慮すべき事項、あるいは必要な駐車台数、騒音、廃棄物などの確保について、指針等も定めることを義務づけてございます。
 都といたしましては、この法の趣旨に基づきまして、適切な運用に努めてまいります。

○小松委員 よくわからなかったんですけれども、やっぱり、立地法ができることによって、商業調整をしなくて済むようにはなったんだけれども、逆にいえば、商業調整をしないということは、こうしたいわゆる大規模店の進出には何の歯どめもなくなってしまったわけですね。事実、いただいた資料を見ますと、立地法が施行されてからは新規が大変減っていると。しかし、変更届が多く出ているというのが、この資料の中で明らかにされております。
 こうした変更届、中身を見てみますと、一番多いのがやはり五条関係です。営業時間を、開店を前に持っていく、そして閉店時間を後ろに持っていくということで、実際に私も幾つか調べてみましたが、西友などは大変たくさんやられております。
 事実、私、新聞記事を一定検索してみましたが、二〇〇〇年六月に施行された大規模小売店立地法は、それまでの大規模小売店舗法が中小の商店保護の立場から規制していたものが、原則的になくなったと。この立地法では、届け出て、環境面での影響がないと認められればできるようになったため、どんどんと深夜店が出ているんだと。地域によって温度差もあるんだけれども、ということで、営々と記事が載っております。
 中には、フクロウの時代、スーパー深夜営業定着、生活さらに夜型化というように、こうした夜遅くまでお店があいているということは、一見消費者にとってよいような形も見えますけれども、しかし、ここにも書かれております、歯どめのない夜型化は、そこで働く人の労働強化につながり、生活リズムを乱すという指摘もある。まさにそうだと思うんですね。
 どうしてこんなに遅くまで働かなくてはならないのと、こぼされている方もあります。しかし、今、こういう非常に不況なとき、仕事があれば行かざるを得ないという中での、商業調整もなくなった立地法ですが、この現状を東京都も知っていただく必要があると思うのです。
 立地法前までは、商店街の、こうしたスーパーも含めての調査をよくやられておりましたが、立地法が始まってからは、まだ一度もそういう実態調査もしていないと思うんですが、今、近隣住民に与える影響というのは、単なる商店街に与えるだけでなく、また騒音や非常に明るい照明の問題、交通渋滞の問題等々、大きな環境問題とも絡んできております。ぜひ実態調査をすべきと思われますが、いかがでしょうか。

○泉本参事 大型店が周辺環境に与える影響につきましては、既存の法手続の中で、地元区市町村や住民の意見をお聞きして、把握を行っているところでございます。
 今後も、この法の趣旨を踏まえまして、適切な対応に努めてまいりたいと思います。

○小松委員 法の趣旨は、もちろん、都はそういわざるを得ない立場なんでしょうけれども、都としても、実際にぜひ実態調査をしていただきたい。そして、何らかの歯どめ、規制を国に働きかけていただきたい、このことをきょうは求めるだけにしておきたいと思います。
 次に、商店街総合活性化事業について、二〇〇一年度から振興プランづくりを区市町村に指示しておりますが、この進行状況について伺います。

○泉本参事 この事業は、平成十三年度及び十四年度におきまして、区市町村みずからが取り組む商店街振興プランを作成する経費の一部を補助するものでございます。
 十三年度末で策定を終えているところは、九区六市でございます。また、十四年度に策定予定のところは十三区十六市三町で、合計二十二区二十二市三町でございます。
 今後も、商店街の存在する区市町村すべてに対し、個別にプランの策定を働きかけていく予定でございます。

○小松委員 大分プランづくりが進んでいるようですが、私どもの都議団は、商店街活性化総合支援事業については、すべての区市町村の予算を用意することとか、また計画ができたらすぐに実行に移せるように、事業のための予算準備すべきことを主張してまいったわけですけれども、都は、予算づけはこれからというわけですね。
 我が党都議団は、この間、区市から聞き取り調査を行ってきたわけなんですけれども、その中で区市からさまざま出されたのは、都がどれくらい予算をつけてくれるのかわからないという不安ですね。本当にこの事業が役立つものかという、そうした不安もあるということです。また、商店街活性化総合支援事業導入を理由に、これまでの個別の支援事業補助金が打ち切られないのかな、そういう心配もしているわけです。
 まずは、本事業の導入で、これまでの個別の支援事業、先ほどからありました元気出せだけではなく、この中にもたくさんの支援事業が書かれておりましたけれども、そうした個別の支援事業や補助金を打ち切ることがないと確認できるのでしょうか。

○泉本参事 商店街支援策は、地域の実情に精通した区市町村が主体となり、商店街と緊密な連携をとりながら展開していくことが重要であると認識してございます。
 都は、こうした区市町村の主体的かつ自主的な取り組みを尊重し、区市町村がみずから策定する商店街振興プランに基づく商店街振興策を支援していく所存でございます。

○小松委員 質問は、もちろんそれはやっていただきたいんですけれども、今まであるような個別の支援事業を削減していく、切り捨てていく、または補助金を切り捨てていくようなことがないんですねと、これは確認だけですので、もう一回お願いいたします。

○泉本参事 商店街の振興策につきましては、先ほど来申し上げておりますように、区市町村の主体的かつ自主的な取り組みが重要でございます。これらの要素を踏まえまして、施策の再構築に取り組んでまいりたいと思います。

○小松委員 私がお聞きしたのは、個別の支援事業、切ることないねということに対しては、今、商店街活性化総合支援事業が区市町村の事業だからということですけれども、これ以上聞きません。要望しておきます。
 こうした本事業の導入で、今ある個別の支援事業や補助金を打ち切ることのないように、これは強い要望をしておきたいと思います。
 そしてもう一つは、区市町村がやりやすいような支援をしていくべきというふうに思われますが、それについては、今お答えのあったような範囲で、これからの動向を見なくちゃならないということでは、決算でもありますので、これらを含めて、区市町村と十分協議を進める中で進めてほしい。要望だけにしておきます。
 最後に、信用保証協会の債権回収について伺いたいと思います。
 昨年の四月一日から保証協会債権回収株式会社--サービサーといいますね--が設立をされて、債務者に対する保証協会の求償権が委託されたわけですね。その数字は資料にもいただいたわけですが、論議を交わす前に、この中で中小企業金融安定化特別保証制度にかかわる分の件数、金額はどのくらいあるんでしょうか。

○鹿島参事 信用保証協会が回収を委託した求償権は、平成十三年度五万三百七件、三千四百九億三千三百七十六万五千円、このうち、中小企業金融安定化特別保証制度、いわゆる安定化にかかわる分は一万六千四百四件、二千百二十一億五千六百八十二万七千円でございます。平成十四年四月から八月末までに委託したものにつきましては、九千七百七十六件、七百四十六億五千三百八十九万二千円、このうち、安定化にかかわる分は四千五百九十四件、四百八十四億四千六百五十万八千円となってございます。
 また、回収状況でございますが、平成十三年度は五十九億四千九十四万五千円、このうち、安定化にかかわる分は二十六億六千五百七十三万二千円でございます。平成十四年四月から八月末までに回収した金額は三十七億八千七万、うち、安定化にかかわる分は十八億一千五百七万一千円でございます。

○小松委員 ありがとうございました。
 ところで、基本的な確認ですけれども、この十三年度からつくられている保証協会債権回収株式会社、サービサーの設立目的、役割、体制、そして回収方針などはどうなっているでしょうか。

○鹿島参事 保証協会債権回収株式会社は、保証協会における代位弁済の増加によりまして、累増しております求償権の管理回収について、債務者及び保証人個々の事情に応じたきめ細かな相談体制を整備し、債権の回収の向上につなげることを目的といたしまして設立された団体でございます。
 保証協会の債権を回収することによりまして、信用保証制度の健全な維持発展に寄与するという役割を担っております。
 回収に当たりましては、法令を遵守することはもとより、債務者の個々の実情に即したきめ細かな対応を図るとともに、厳正かつ適正な回収を実行することを方針にしていると聞いております。

○小松委員 そうしますと、債務者に対する保証協会の求償権が保証協会債権回収株式会社に行く、この基準はどうなっているんでしょうか。

○鹿島参事 保証協会が保証協会債権回収株式会社に委託する求償権は、一つ、安定化にかかわる無担保求償権、二つに、安定化を利用している債務者が併用して利用しておりますその他の融資にかかわる無担保求償権、そして、その他委託により回収の効率化が図られる求償権となってございます。

○小松委員 そうしますと、保証協会から債権回収会社に委託した件数、これは資料でわかるんですが、都は、これらのうち、競売にかけられた件数というのはつかんでいるんでしょうか。また、競売するかどうかはどこの判断で、その決済はどうやって行われているのか、都はそれにどうかかわっているかということを明らかにしていただきたいと思います。

○鹿島参事 東京信用保証協会に今のことを確認したところ、競売件数は、平成十三年度三件、平成十四年四月から八月末までに三件でございます。
 債権管理回収業に関する特別措置法によりますれば、債権回収会社は、委託を受けて債権の管理または回収の業務を行う場合には、委託者のために、自己の名をもって当該債権の管理または回収に関する一切の裁判上または裁判外の行為を行う権限を有する、このように規定されております。
 なお、東京信用保証協会におきましては、保証協会債権回収株式会社における競売等の重要な法的手続を事前の承認事項としております。
 東京都は、債権の回収方法について判断する立場にはございません。

○小松委員 東京都の権限外のことが大変多くなるわけです。ですから、非常に実態もつかみにくいかと思いますが、私どものところへ来た生活相談にはさまざまな例があるわけです。例えば、代位弁済になって、保証協会に返済していたけれども、保証協会側が、返済期間が長くなるので、返済額を上げてほしい、できなければ、任意競売か、または任意売却と、強引に話を持っていかれてしまったということ。
 また、勤務先の保証人になったAさんが、保証協会債権回収から、抵当権の設定も含め、求償金の支払いを求められている。支払い方法について、弁護士も入れて話し合いもしていたんだが、一方的に競売に着手されたということなんですね。
 また、次の方は、制度融資が代位弁済になって、順調に返済しているんだ。安定化融資は金融機関に返済している。しかし、代位弁済の分が回収会社へ委託され、そのことについて債務者には何の相談もなく、一方的にはがきによる通知が来ただけだと。
 こうした例が既に出ております。本当にひどいと思わないでしょうか。こうしたことは、今、東京都の責任の全く外に置かれてしまった。本当は、保証協会でやっていれば、まだ東京都と保証協会は関係があったということですけれども、保証協会からこうしたサービサーへ委託する、このことは義務なんでしょうか。この委託をやめて、保証協会に戻す、保証協会やってくれというようなことはできないんでしょうか。

○鹿島参事 保証協会が代位弁済で求償権を受けたときに、その求償権を回収するという義務が保証協会にあるわけです。その求償権をどう回収するかということで、保証協会が独自に考えたことでございますので、うちがそれについてどうこうという筋合いではないと思います。

○小松委員 でも、実際には、無担保無保証で借りても、後で身ぐるみはがされるようなことになっては大変なわけでして、昨年できたばかりですけれども、ことしはまだ半年しかたっていない中で、既に件数もふえております。
 都は、代位弁済の回収方法、債務者の担保競売差し押さえする基準などをできないというわけですが、回収方法、基準、債務者の生活を保障するルールなど、こうしたものをつくる必要があると思うんですが、こうした努力というのはどこかでできないものでしょうか。

○鹿島参事 保証協会債権回収株式会社は、債権管理回収業に関する特別措置法に基づきまして、全国五十二の保証協会の出資により設立された債権管理回収専門会社でございます。
 この法律によりますれば、業務の適正な運営の確保を図るために、債務者の親族等に、債務者にかわって債務を弁済するようなことをみだりに要求してはならないなどの規定が設けられております。
 また、同社は、法務大臣の監督下に置かれておりまして、都の指導監督権限の管轄外にございます。
 なお、現在のところ、都に対して、特段の苦情は私どもは聞いておりません。

○小松委員 きちんと法律によって、債務者にかわって債務を弁済することをみだりに要求してはならないという規則があるんだけれども、実際には身ぐるみはがされて、本当に泣いてくる相談者がいるわけですよ。東京都に対し特段の苦情はないというのは、今、これは保証協会との関係になっておりますから、都の窓口が直接あるわけではないので、その辺もあろうかと思います。
 確かに、東京都が権限外ということもわかっておりますけれども、これからの中で、こうした人々を救うような保証ルールをどう考えていったらいいのか、都がいきなりつくれといったって、それは無理なことも承知で申し上げたわけですけれども、保証協会との話し合いの中で、何か救う道はないのかということでは、これ以上お聞きしてもお答えは同じだと思いますので、これを強くお願いするという中で、終わらせていただきたいと思います。
 以上です。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で産業労働局関係を終わります。

○大木田委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都と場会計決算を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○橋本管理部長 去る十月八日の当分科会で要求のありました資料につきまして、お手元に配布してございます各会計決算特別委員会第三分科会要求資料に基づきまして、ご説明させていただきます。
 恐れ入りますが、一ページをお開きいただきたいと思います。と場会計における主な施設整備と契約状況(平成七年度以降)についてでございます。
 と場会計において、平成七年度以降に実施しました主な施設整備でございます。汚水処理施設、小動物棟整備、大動物棟整備につきまして、工事件名、契約方法、契約年度及び契約金額をそれぞれお示ししてございます。
 次に、二ページをお開きいただきたいと思います。と場会計におけるBSE対策経費でございます。
 この表は、と場会計におけるBSE対策につきまして、十三年度決算を内容別にお示ししてございます。
 以上、簡単ですが、要求資料の説明とさせていただきます。
 よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○大木田委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○小美濃委員 それでは、食肉市場における食の安全、安心確保について質問をさせていただきます。
 平成十三年度は、BSEに国内が大揺れに揺れた年度でございました。去る十月八日に開催されました本分科会における碇山市場長のごあいさつにもありましたように、中央卸売市場はこれまで、国に先駆けてBSE対策にさまざまな施策を実施されてきました。さらに、施設整備などにおいても、多くの経費を投じ、安全で安心な食肉の供給を実現されてこられました。
 そこで、私は、今回、このBSE対策を中心に幾つかの質問をしたいと存じております。
 まず第一点目といたしまして、都民にとって一番関心の高いのは、現在、芝浦屠場においてどのようなBSE対策が実施をされているのかということであります。具体的にお示しをいただきたいと存じます。よろしくお願いします。

○岸参事 東京都では、国に先駆けて独自に、出荷者に対して、出荷の際に、と畜牛育成履歴申告書の添付を義務づけるなど、BSE感染の疑いのある牛が芝浦屠場に入ってこないよう努めております。さらに、特定部位である脳や脊髄などについては、いち早く除去し、焼却に努めるなど、安全対策を講じてまいりました。
 また、先週、十月十八日からは、牛の頭部については、従前は目や脳に限定されておりましたけれども、舌やほほ肉を除いた牛の頭部全体についての焼却を実施いたしました。

○小美濃委員 実施状況は大体わかりました。
 それでは、この間、設備の改善はどのように対策をされましたでしょうか、お伺いをいたします。

○岸参事 設備改善についてでございますが、BSEの検査結果が判明し、陰性が確定するまでの間、枝肉はもちろん、新たに内臓等をと場内に分離保管しておくため、内臓等を保管するための冷蔵施設を新たに整備いたしました。
 また、より一層安全性を高めるため、特定部位である脊髄を背割り前に除去するための吸引装置を設置したほか、今年度中には、脊髄を包んでいる硬膜の除去装置を設置し、さらに万全を期す予定でございます。
 また、作業方法の改善といたしましては、背割り器、のこぎりやおの等について、一頭ごとに洗浄、消毒するとともに、作業終了後には、毎日、施設や、と畜用具等の消毒を徹底しております。
 今後とも、設備改善、衛生管理を徹底し、安全な食肉の供給に努めてまいります。

○小美濃委員 ハード面や作業面での対策は理解ができました。一定の評価をいたしたいと存じます。
 ところで、こういった対策を受けて、牛肉の価格、こういったものについて消費面ではどうなったのか、お伺いをいたしたいと思います。

○石川事業部長 BSE対策を受けて、牛肉価格などが消費面でどうなったかというお尋ねでございますけれども、一般家庭でも消費されます和牛のB3という等級格付の卸売価格を例にとってみますと、事件発生一年前の平成十二年九月には、キロ当たり千三百円程度でありましたけれども、事件発生直後の十三年十月には千円と、三〇%下落をいたしました。全頭検査実施後も、下落の傾向はしばらく続きまして、十二月には七百円弱となりました。しかし、年が明けまして、ことしの六月ごろから、夏場の焼き肉需要もございまして、急速な回復基調に入りまして、八月時点で千四百円と回復しております。
 卸売価格の変動に見られますように、小売段階におきましても回復基調になっているというように承知しております。

○小美濃委員 一定の報告があったわけでございますけれども、しかし、食肉の小売商の方々から聞いたお話では、最近の消費者は、これまで以上に産地や品質、こういったものに対して気にするようになってきておりまして、消費者に産地などの情報を提供することが、真の消費回復につながるということになっているわけであります。
 そこで、食肉市場において、この産地情報についてはどのように取り扱われているのか、お伺いをいたします。

○石川事業部長 食肉市場における産地情報の取り扱いでございますが、先ほども申し上げたとおり、食肉市場に出荷されます牛には、一頭一頭、と畜牛育成履歴申告書が添付されております。これによりまして、出荷者、飼育者、と畜する牛の種別、生年月日等が明らかにされております。
 この申告書は、都の指導によりまして、卸売業者から仲卸業者、売買参加者等の買い受け人にも渡されているところでございます。したがいまして、少なくとも流通の第一段階までは産地情報が伝わるようになっているところでございます。

○小美濃委員 少なくとも流通の第一段階までは産地情報が伝わるようになっているということでございますが、では、小売商、小売店の方にはその情報が伝わっていないということなんでしょうか、お伺いをいたします。

○石川事業部長 現状では、仲卸、売買参加者等が、それぞれ個々の業者が、小売商の方の求めに応じまして情報を提供しているというところで、すべての小売の方に伝わっていないというのが現状でございます。

○小美濃委員 現状はそういうことであるということは理解ができました。
 ところで、国は牛の一頭一頭を識別するための制度を発足させたということを聞いているわけでございますが、具体的にはどういうものか、お示しをいただきたいと存じます。

○石川事業部長 国が発足させました、牛を一頭ごとに識別する制度でございますけれども、この制度は家畜個体識別システムといいまして、牛の耳に、一頭ごとに十けたのコードのついた耳標を装着し、このコードによりまして、個体を識別して、必要な情報をデータベースに載せるものでございまして、今月の十月一日から稼働を始めたものでございます。

○小美濃委員 もう少し詳しくお伺いをいたします。そのシステムを使うと、産地情報なども消費者に明らかになる、こういったことなんでしょうか、お伺いをいたします。

○石川事業部長 国のシステムにおける産地情報の取り扱いでございますが、農林水産省の説明などによりますと、牛のコード番号さえわかれば、インターネットで産地情報を入手することができるといっております。しかし、残念ながら、このシステムは、今のところ、まだ十分なものとなっておりません。しかも、基本的に、牛の産地からと畜場までの情報伝達を前提としていることから、肉となったものに関する情報を消費者に伝える方法は、このシステムでは考えられていないということでございます。

○小美濃委員 もう少し突っ込んでお伺いします。その情報の中には、どのようなえさ、飼料を与えたかということが含まれているんでしょうか、お伺いします。

○石川事業部長 国のシステムにおけるえさ情報の取り扱いでございますが、このシステムではえさの情報は含まれておりません。

○小美濃委員 都民の関心事は、どの場所で育ったとか、どのようなえさを与えたか。実際、今回のBSEの問題も、肉骨粉が原因ではないかというふうにいわれていたわけでございまして、肉骨粉を食べたか食べないかということが非常に問題になっていたわけですよね。そういうようなものが載っていないというのは、余り意味のない情報ではないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○石川事業部長 委員ご指摘のように、BSEの感染原因に飼料としての肉骨粉の使用が挙げられていることなどを考えますと、与えた飼料などの情報は重要だというふうに考えてございます。国のシステムでは、これ以上データ項目をふやせないというようなことなどから、このような情報が入っていないということでございます。
 都といたしましては、と畜牛育成履歴申告書に与えた飼料を記載してもらうような方向で検討しているところでございます。

○小美濃委員 都独自で、と畜牛育成履歴申告書に与えた飼料を記載してもらうということを、本当にこれは、いってみれば一番の関心事でございますので、積極的によろしくお願いをしたいと思います。
 実は、私も実際にデータベースにアクセスしたものをいただきました。自分でアクセスしたわけじゃないんですけれども、それを見させてもらったんですけれども、見ますと、個体識別番号があって、生年月日があって、性別、品種、ホルスタインだとか、いろいろ書いてあるわけですね。
 ただ、こういった情報が果たしてどれだけ消費者にとって役立つものなんだろうか、ここが非常に疑問なんですよね。私は、こういった情報を見ても、ああ、これは安心した牛肉だなと、こういうふうに思う人はなかなか少ないんじゃないかと思うわけでございます。
 それよりも、このデータはデータで出していただくのは結構なんでございますけれども、このデータの信頼度、これは本当にデータどおりなのか、こういったものもやはり心配になってくるわけでございます。そういったことについてご見解をお聞かせ願いたいと思います。

○石川事業部長 国のシステムのデータの信頼度についてでございますが、先ほど触れましたように、食肉市場に出荷される牛一頭一頭に添付されましたと畜牛育成履歴申告書の内容と、個体識別システムの情報が食い違う例が多くありまして、関係者も困っているというのが現状でございます。
 そのため、申告書とシステム情報との違いが判明した場合、一つ一つデータベースセンターに問い合わせをしまして、正しい情報を確認しながら使っているのが現状でございます。
 また、再三、正しい情報が伝達されますよう、個々の出荷者に対しても是正を求めているところでございます。

○小美濃委員 データが正しくないということ自体が問題であります。個体識別システムを所管している農林水産省に対して、これは強く抗議をするべきだと思っておりますけれども、姿勢をお伺いしたいと思います。

○石川事業部長 データの不正確なシステムについて、国に抗議すべきではないかというご指摘でございますが、このシステムは、先ほど申し上げましたように、まだ立ち上げたばかりということで、混乱しているのが現状でございます。このため、食肉市場に出荷されてきます牛につきましては、このシステムの運用を担当しています家畜改良センターに、専任の担当者を置かせまして、データのチェックをさせているのが現状でございます。
 このような状況が今後も続くようでありますと、信頼性も揺らぎかねませんので、さらに国に対して善処方を強く要望してまいりたいと考えております。

○小美濃委員 もう国に任せている時代も、国ばっかりに頼っている時代も終わりつつあるのかな。また、国は遅いですからね。やはり東京都独自に、消費者にしっかりとした正しい情報を与える方策を考えていかなくてはならないと思っているんですけれども、何かお考えはおありでしょうか。

○石川事業部長 都としての独自の方策についてのお尋ねでございますが、都としましても、国のシステムの欠陥を補うために、九月末に食肉市場の業界と協議の場を立ち上げまして、国の個体識別番号をもとに、仲卸業者、売買参加者だけでなく、小売商など消費者に近い業者にも生産履歴を伝える仕組みづくりについて検討を始めたところでございます。

○小美濃委員 さまざまな立場の方を交えての協議の場を設けて、検討を始めたということは、高く評価をするところであります。
 そこでお伺いをしたいんですが、それでは、この協議会では具体的にどのような点を検討されているのでしょうか、お伺いをいたしたいと思います。

○石川事業部長 業界との協議の場での検討内容でございますが、食肉の場合、流通の過程で、枝肉、部分肉、精肉と順次加工されていくという特色がございます。そのため、流通の過程それぞれの段階で情報を正しく伝達する方法をどうすればよいか、また、システムを稼働させるに当たって生じる経費の負担はどのようにすればよいか、また、偽装を防ぐための方策をどのようにするのかなどの課題を解決いたしまして、消費者に安心してもらえるような仕組みづくりを検討しているところでございます。

○小美濃委員 いろいろなシステムをこれからお考えになられるということでございますけれども、しかし、こういったものは余り難しくしてしまっては、当の消費者のご理解がなかなか得られないのではないかと私は思っているわけであります。
 先日、ちょうどタイミングがいいことに、NHKのテレビで、このトレーサビリティーについて取り上げておりましたので、私も興味深く見させていただきました。先進国では、と畜解体場で、十数枚の個体識別のシールをつくって、各段階でどんどん段階的に張っていって、最終的に小売店、店舗までこの個体識別番号がしっかりと張られていくという、そういったシステムをとられているということが紹介をされておりました。
 これは小売関係の方が考案したものなんですけれども、日本でも、また芝浦屠場でも、こういったシンボルマークをつくって、こんなシールをつくって枝肉に張って、枝肉がだんだんだんだん流通していく、こういった流通経路も一つの手なんではないのかな、そんなふうに思っております。
 本当に大切なのは、システムをつくっても、消費者にとって、わかる、目に見える、こういったものが非常に大事なわけでありまして、といいますのも、例えば先ほども事例を出しましたけれども、この十けたの個体識別番号がパックについていても、それを一々調べる消費者がどれだけいるんだろうかということが、一つ問題なんですね。むしろこういったシールに、シンボルマークのような、安全マークのようなものをつけて、この肉はしっかりとした流通経路を、流通過程を通ってきたんだよ、そういったことを消費者が一目瞭然でわかるシステムをつくっていくことが、実は大事なんではないかと考えているわけであります。
 また、偽装の問題ですけれども、偽装問題を考えていたのではなかなか前に進めないわけでありまして、何とか前に進もうという姿勢も大事なんではないか。こういったシールも、一つの例として協議会でぜひ取り上げていただきたいな、そんなふうに思っております。
 また、別な問題として、現在、個体識別番号は、国産の牛肉には当然つけられるわけですが、輸入牛肉は除外となっております。これはまた、消費者にとっては大変素朴な疑問に発展しかねないわけであります。
 牛肉の自由化以降、輸入と国産の流通量は、実は逆転をしている状況でありまして、この個体識別番号がすべて小売店に行ったとしましても、今のままですと、半数以上の牛肉に番号がつかない、こういった状況も考えられるわけでありまして、輸入牛の差別的扱いとなってしまうわけであります。
 これはここで議論する話ではなくて、実は国と国との問題でありますけれども、この問題につきましても、ぜひとも、先ほど立ち上げだとおっしゃっておりました協議会の中で、都が率先して国に申し入れて、アメリカやオーストラリアのような輸入が多いところの公社に相談するよう、求めていただきたいと存じます。
 さてさて、そういったことをしながら、できれば本当に早急に検討していただきまして、国に先駆けての新しいシステムづくりに取り組んでいただきたい、そう思っておるわけでございますが、この問題について、卸売市場として所見をお伺いいたしたいと存じます。

○石川事業部長 国に先駆けたシステムづくりについての所見についてのお尋ねでございます。
 産地情報などの生産履歴を消費者に明らかにすることは、食の安全、安心に関する大変重要な施策の一つであるというふうに考えてございます。
 流通が広域化している今日、このような施策は、本来でいきますと、国が実施すべきものと考えますけれども、国の制度が、先ほど申し上げましたように、まだまだ不十分であることから、都といたしましては、この面でも、国に先駆けまして、モデルとなるようなシステムづくりを目指したいというふうに考えているところでございます。
 こういった観点から、関係業者との協議を開始したところでありまして、今後、国の動向を踏まえながら、関係者と十分協議を重ねまして、生産に関する情報を消費者が簡単に手に入れられるよう、また、委員ご指摘のわかりやすい仕組みづくりとなるよう、検討を進めまして、一層安全で安心できる食肉の供給に努めてまいりたいと考えております。

○小美濃委員 本当に、昨年の九月でしたか、一頭目のBSE牛が発見されたときは大変でございましたけれども、しかし、都は、国に先んじて大変迅速な対応をとられたことは、私は高く評価をしているところであります。
 先ほどのご答弁の中で、小売はほとんど戻ったというご回答でございましたが、私が聞いた話によりますと、確かに、スーパーの牛肉はほとんど戻ったようでございますが、いまだ小売店は、実はBSE問題前の八割に達するか達しないかという状況だそうであります。
 トレーサビリティーの問題は、国民的議論にも実はなっておりまして、ぜひとも東京が率先して開発に取り組み、石原知事が常日ごろおっしゃっていらっしゃいますとおり、東京から国を変えていくんだということをぜひとも実践いただくことを強く要望いたしまして、質問を終わります。

○真木委員 引き続き、BSE対策につきましてお伺いをいたします。
 昨年、私は、十二月になりますけれども、芝浦を視察させていただきました。人生観にも影響を及ぼすような、非常に貴重な経験をさせていただいた次第でございます。その経験をもとに、そのときの感想を含め、質問をさせていただきたいと思います。
 昨年度、BSE対策で本当に大変だったかと存じますが、中央卸売市場として、この間のBSE対策にかかった費用をお尋ねいたします。

○岸参事 経費についてのお尋ねでございますが、平成十三年度のBSE対策の実施による経費といたしましては、と場会計分としまして、脳、脊髄等の特定部位の除去、焼却等に要しました経費一億八千二百三十一万一千円でございます。また、市場会計分といたしまして、仮設の内臓冷蔵庫の整備等に要しました経費七千万円余ございまして、合計で二億五千三百二十七万五千円でございます。

○真木委員 私が視察をしたときの感想として、まず、獣医さんでいいんですか、検査医さんの手間が大変にふえているということを目の当たりにして、実感をいたしました。
 そして、そういった検査にかかる費用はどうなんですかというぐあいにお伺いしたら、私、全く素人なものですから、それは健康局管轄ですよといわれまして、続いて、じゃ、冷蔵庫を設置していますよね、あの冷蔵庫も大変お金がかかっていますよねといったら、いや、実はあの冷蔵庫は市場会計の方であります。きょう審議するのはと場会計ですということをいわれまして、複雑だなということを痛感したわけでありますが、ただ、人件費を除きまして、二億五千万もの費用がかかったということでございます。
 そういった上で、検査のかかわるところは健康局の管理でありますが、検査以外でも、解体作業等におきまして処理工程がふえております。人的工程もふえて、人的措置を心配するわけでありますけれども、この間のBSE対策として、人的措置はどのようにされましたでしょうか。

○岸参事 人的措置についてのお尋ねでございますが、今、副委員長がおっしゃいましたように、市場会計であったり、健康局であったりいたしますけれども、と場分についてのお話をさせていただきますと、昨年のBSE対策に当たりましては、小動物ライン、要するに、豚等のラインが補修中でございまして、その人員を大動物ラインへ応援に出すなどの工夫によりまして、特に人員増を行うことなく、現行の人員体制で対応したところでございます。

○真木委員 と場の仕事というのは、本当にいろんな神経を使って、大変な職場でございます。それに加えて、BSE対策ということで、一頭一頭への配慮というか、神経集中がさらに高まっているという中で、今後、小動物ラインが復活した場合、人的措置をどのようにお考えでしょうか。

○岸参事 今後の人的措置の見通しということについてお答えいたします。
 BSE発生以来一年が経過いたしまして、設備も整備されるとともに、職員も作業に習熟してまいっております。今後、職員の適正な配置を図りながら、現在の体制の中で対応していきたいと考えております。

○真木委員 何でもふやせというわけじゃありません。しかしながら、本当に重労働の仕事でございますので、過度な負担がかからないように配慮をしていただきたいと思います。
 その上で、BSE対策二億五千万円、これを高いと見るか低いと見るか、よくわかりませんけれども、大変なお金がかかっております。その中で、と畜使用料、要は手数料ですね、と畜使用料はどのようになっていますでしょうか。と場の経常的な経費に対する使用料の割合の中で、と畜使用料の割合について、そして単価につきましてもお尋ねをいたします。

○橋本管理部長 現在のと畜使用料は、牛が一頭当たり六千円、豚が一頭当たり千二百円であります。また、十三年度決算におけると場の人件費等運営費を合計した経常的経費ですけれども、約四十億円となっております。これに対しまして、使用料及び手数料の収入は約八億円でございます。したがって、その割合は一七%ぐらいになるかと思います。

○真木委員 あれだけの多大な、大きな作業をして、人が何人もかかって、牛一頭当たり六千円というのは、随分安いなという感じもいたします。
 そうした中で、平成十三年度の一般会計からのと場会計への繰入金はどのようになっていますでしょうか。

○橋本管理部長 一般会計からの繰入金は約四十三億でございます。

○真木委員 これはまた大変な額であります。牛だけで四十三億円ということでございまして、そうしますと、食肉流通において、東京都民が食べる牛肉なり、その肉において、芝浦を経由しているものは大体どれぐらいの割合を示しているんでしょうか。また、芝浦で扱っているのは、大変高い牛である、肉であるというぐあいに伺っております。都民の口にほとんど入ることのない、また高級な牛なり豚が多いというぐあいに聞いておりますけれども、その割合と肉の種類をお尋ねいたします。

○岸参事 初めに、芝浦屠場を経由している牛がどのくらい都民に入っているかというお尋ねでございますが、統計的には全国レベルのものしかございませんので、農林水産省の資料によれば、平成十一年度の食肉、牛や豚などでございますが、食肉の総流通量に対する中央卸売市場経由率は約六%でございます。
 また、芝浦屠場では高級牛が多いのではないかということで、高級牛の割合についてでございますけれども、まず、どういうものが高級牛かということは、格付協会というところが格付しておりまして、芝浦屠場で取引されているもののうち、高級牛といわれるものの割合は、約四〇%程度でございます。

○真木委員 そういたしますと、素人から見ますと、二つの疑問がわいてまいります。一つは、と畜使用料の問題であります。要は、解体にかかわる牛の所有者が払う手数料が、一七%しかと場会計の中で占めていない、貢献していないということですね。これは余りにも比率が低過ぎるんじゃないかということであります。
 しかしながら、それが都民生活に与える影響が大きいのであるならば、それもしようがないかなという気もいたしますが、都民の口に入る牛肉のうち、六%しか芝浦を経由していない。しかも、その多くが高級牛である。高級牛四〇%といわれましたから、普通、肉の扱いの中で、高級牛の割合というのは、こんなに四〇%もあるわけじゃないわけですから、芝浦における高級牛の割合というのは非常に高い。
 私たちのイメージとしては、芝浦を経由するものは、高級店に行くか、もしくはデパートのグラム売りされるところに行くものであって、スーパーやデパートでパックされているものは、余り芝浦を経由していないというようなイメージでいいんじゃないかなと思うんですが、そういったものであるならば、と畜使用料、この解体手数料につきまして、もうそろそろ改定を考えていいんじゃないのか。今の状況であれば、東京に来れば来るほど赤字がふえると。東京で扱えば扱うほど、芝浦で扱えば扱うほど、都民の負担がふえるということになりますが、その辺につきましてお考えを確認します。

○橋本管理部長 使用料につきましては、一応三年ごとに見直すことになっておりまして、来年度がその時期になるわけです。ただ、BSE経費の増大だとか、あるいは現在の経済情勢、いろいろなことが考えられるかと思います。来年度の予算見積もり編成の中で、今、検討している段階でございます。

○真木委員 お伺いしますと、まず東京では、牛の産地というか、食肉を生産しているところは非常に少ないわけでありまして、町田に数戸、八王子に数戸というような状況ですよね。そうした中で、消費をする地ということで、一定の責任があるんだと思うんですけれども、しかしながら、来れば来るほど赤字が膨らむ、都民の負担が膨らむということは、いかがなものかなというぐあいに思います。
 なぜ東京、芝浦まで持ってくるかといえば、生きたまま持ってくる方がよっぽど高いわけですけれども、来て、ストレスを解消するために、芝浦で一日寝かせて、ストレスを解消してあげてから処理をするということのようでございます。そういった大変な手数をかけて芝浦まで持ってくるというのは、やっぱり、芝浦で処理をした方が高く売れるという生産者側の理屈があるようでございます。そうしたことも含めれば、都民の負担を極力軽減するべきだというぐあいに考えるのが一つであります。
 それとともに、もう一つは、六%しか都民の口に入らない芝浦屠場であります。この経由率も低くて、そして一般会計からの繰り入れが四十三億円もあるということであるならば、率直な疑問として、東京都としてこのと場を維持していく意義につきまして、もう一度確認をした方がいいんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか。

○岸参事 東京都として、と場を維持する意義についてということでございますが、芝浦屠場は、食肉ということではなくて、牛の取り扱いで見ますと、全国最大の規模でございます。そのゆえに、全国的な建て値市場としての役割も果たしております。今、先生がおっしゃいましたように、値をつけるに当たって、他の市場が価格の判断基準とする市場ということでございます。
 また、今回のBSE対策のように、危機管理の立場から、国に先駆けた措置を実施するなど、率先して全国のと場をリードしておりまして、このように全国のと場全体のレベルアップを図る責務があるというふうに考えております。

○真木委員 今のようなご答弁、東京都としての全国先駆けとしての責務があるんだ、首都東京としての責務があるんだということであるならば、なおさら、先ほど小美濃先生からもご提案のありましたような、そういった国に先駆けて行うということに関しまして、具体的な実績をさらに上げていただかなければ、四十三億円という一般会計からの繰り入れというのが、六%のためにというのは、非常に大きいというか、大き過ぎると思いますね。
 先ほど産業労働局と議論をさせていただきましたが、花粉症対策、四億円でできるという、そういったものがありました。しかしながら、四億円という新しい支出は、今の東京都の財政の中では非常に厳しいというのが今の状況かと思います。BSE対策として二億五千万円、そして一般会計、日常的な繰り入れが四十三億円というのは、ちょっと大き過ぎるというぐあいに思いますので、ぜひ一般会計からの繰り入れを極力抑える方向で、使用料につきましても検討をいただきたいというぐあいに思いますし、また、なおそれでも維持するというんであれば、さらに国に先駆けて、日本全国の食の安全に向けて、モデル的なことを取り組んでいただきたいということを強く要望しておきたいと思います。
 最後に一点、お伺いいたします。
 昨年の十月十日に、芝浦屠場で全国二頭目のBSE感染牛発見というような報道がうわっと出て、大騒ぎになりました。しかしながら、その後は、二日か三日後かに正式な検査が出て、陰性であったと。東京都では、東京発のものはなかったということでございましたけれども、これはミスリードという見方も当然あります。そして、それが与えた影響というのは非常に大きかったです。しかしながら、東京都の、疑わしきものは出さないという姿勢は、私は評価をするものであります。
 この二頭目の、ミスリードといわせていただきますが、結果としてミスリードした取り扱いについて、その後の東京都の姿勢に影響を与えておりますでしょうか。

○岸参事 昨年、東京都のとりました態度がミスリードとの見方もあるが、ということに関しまして、お答え申し上げます。
 東京都は、昨年の芝浦屠場でBSEが疑われる牛が発見された際、危機管理として、また消費者の安全を確保するという観点から、安全な食肉以外は食肉市場から一切出さないという基本方針のもと、流通をとめ、回収等の緊急措置をとったところでございますが、こうした考え方にいささかの変化もございません。
 なお、つけ加えますと、食の安全と安心の確保は極めて重要であり、食の安全と安心を脅かすようなことが生じた場合には、時期を失することなく果敢に対応することが、消費者の信頼をかち取る上で非常に大切であり、行政の重大な責務と強く認識しております。
 今後とも、危機管理の視点に立って、有害な食品を市場に入れない、出さないを基本に、生鮮食料品の安全性に万全を期してまいりたいと考えております。

○真木委員 東京都の芝浦から一切の危険な食肉を出さないという姿勢は、評価をしたいと思います。しかしながら、そんなに胸を張っていわれちゃいますと、ちょっと待ってください、ミスリードはミスリードだったんだという中で、本当に東京でというのは非常にショッキングでありました。そして、先ほど小美濃議員からもありましたけれども、私の近くのステーキ屋さんなども、やっぱり全然客足が落ちたままですね。もう牛肉屋さんから、ステーキ屋さんから、ランチメニューなり何なりから、あそこの店に行くということが習慣から外されているようなところがありまして、本当に落ちている、牛肉専門店からは客足が遠ざかっているなというのは、私は実感として思っております。
 基本的に評価をいたします。一切出さないという姿勢を変えてもらっちゃ困りますし、確認されるまで発表しないということではいけない。その上で、どうぞ精度を高めて、疑わしきが出たときも、一刻も早く安全なら安全という宣言ができるように、その体制に努めていただく。基本は今のままで結構でありますが、さらに精度を高め、一刻も早く検査体制が進む、そういった体制をつくっていただきますことを要望申し上げ、質問を終わります。

○かち委員 BSEに対して、三人目ということもありますし、私も一般質問で食の安全確保について質問させていただいたこともありますので、ダブる質問を割愛させていただき、ちょっと意見だけいわせていただきます。
 昨年、BSE問題が発生して大騒動になり、牛肉に対する不安、不信を招いて、また風評も加わって、畜産の生産から卸、小売、外食のあらゆる流通段階で大きな打撃を受け、消費激減による相場の暴落は、業界全体にも未曾有の被害を与えたと思います。その後起きた食肉偽装事件も重なり、食肉に対する消費者の不信をさらに増幅させ、惨たんたる状況であったと思います。
 そういう中で、と場を初め、都の関係者の皆さんの非常なる改善努力をされてきたことに対しては、大変敬意を表したいと思います。
 そして、ここに費やされた経費、今お話がありましたけれども、二億五千数百万ということで、大変な出費になったわけです。これももとをただせば、もっと早くに、イギリスでBSEが発生したときに、日本の国として対応してこなかった。その後手後手の対策が、今日のこの大問題になっていると思いますので、その責任はやはり国にあると思います。
 そして、こういういろいろな問題の中から、食品安全法も来年春には改正されようとしております。こういう中で、トレーサビリティーやリスクコミュニケーションなども法制化される動きがあります。
 この牛肉の問題は、東京には消費地ということで全国から入ってくるわけで、なかなか履歴追跡ということも難しい側面はあるんですけれども、幸か不幸か、と場を持っているという点では、ここが中心になって、履歴をきちんと証明して、消費地まで持っていくシステムをつくる、仕組みをつくるというモデルケースを実験的にできるところだと思うのです。東京都から率先してそういうことをやっていこうということが先ほども出されましたけれども、ぜひそういうことを率先して実現していただきたいと思います。
 そして、いろいろな仕組みをつくる上で、協議会なども持っていかれるということですけれども、その中には、生産者や流通業者、それに加えて、消費者も含めての協議を重ねていただきたいということを申し上げて、意見にかえさせていただきます。

○大木田委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○大木田委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後五時十九分散会

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