各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十四年十月十八日(金曜日)
第十委員会室
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長坂口こうじ君
副委員長大山とも子君
副委員長古賀 俊昭君
谷村 孝彦君
矢島 千秋君
執印真智子君
服部ゆくお君
中嶋 義雄君
福島 寿一君
真鍋よしゆき君

欠席委員 なし

 出席説明員
福祉局局長川崎 裕康君
総務部長吉川 和夫君
生活福祉部長反町 純夫君
高齢者部長福田  豊君
子ども家庭部長笠原  保君
障害福祉部長有留 武司君
保険部長野村  寛君
企画担当部長内海 憲二君
団体改革担当部長片岡 貞行君
連絡調整担当部長菅原 眞廣君
山谷対策担当部長廣田 正志君
参事中島 滋夫君

本日の会議に付した事件
 平成十三年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  福祉局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
  ・心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○坂口委員長 ただいまから平成十三年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに、理事者の欠席について申し上げます。
 福祉局長岡技監は、公務の都合によりまして本日の分科会に出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 本日は、福祉局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより福祉局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十三年度東京都一般会計決算中、福祉局所管分、平成十三年度東京都母子福祉貸付資金会計決算及び平成十三年度東京都心身障害者扶養年金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○吉川総務部長 過日の分科会で要求のございました資料につきまして、お手元の平成十三年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料により、説明させていただきます。
 表紙の次のページ、目次をお開き願います。資料の一覧でございまして、全部で十八項目となっております。
 それでは、順を追って説明させていただきます。
 まず、一ページをお開き願います。
 福祉費の予算及び決算の推移として、平成四年度から十三年度までの福祉費の予算現額、決算額及びそれぞれの一般会計に占める割合などにつきまして記載してございます。
 次に、二ページをお開き願います。
 各種手当制度及び医療費助成制度の見直しの内容として、平成十二年度に実施いたしました改正内容につきまして記載してございます。
 三ページをごらん願います。
 福祉手当及び医療費助成等の予算及び決算の推移として、平成九年度から十三年度までの予算現額、支出済額などを三ページから四ページにわたって記載してございます。
 五ページをごらん願います。
 民間社会福祉施設に対する補助実績として、施設種別ごとの平成十一年度、十三年度の補助実績などを記載してございます。
 次に、六ページをお開き願います。
 東京都福祉改革推進プランにおける主な事業プランの状況でございます。平成十二年度から十四年度までの各事業ごとの計画、予算、決算について、六ページから九ページにわたりまして記載してございます。
 次に、一〇ページをお開き願います。
 福祉改革推進事業の成果・実績として、事業の実施状況や主な取り組み事例などにつきまして記載してございます。
 一一ページをごらん願います。
 高齢者いきいき事業の成果・実績として、事業の実施状況や主な取り組み事例などにつきまして記載してございます。
 次に、一二ページをお開き願います。
 自立支援センター及び緊急一時保護センターの事業費として、それぞれの建設費及び運営費につきまして、国、都、区の支出額及び支出割合を記載してございます。
 一三ページをごらん願います。
 山谷地域の状況といたしまして、昭和六十三年、平成四年、八年、十一年の簡易宿所宿泊者数、平均年齢、生活保護受給者数などを記載してございます。
 次に、一四ページをお開き願います。
 シルバーパスの区市町村別発行数として、平成十一年度から十三年度までの区市町村別の発行数、及び資料の右下になりますが、費用負担別の発行数を記載してございます。
 一五ページをごらん願います。
 特別養護老人ホームに対する補助の推移でございます。(1)に、平成九年度から十一年度までの施設運営費都加算・職員給与公私格差是正事業の決算額を、(2)に、平成十二年度及び十三年度の特別養護老人ホームの経営支援事業の決算額を記載してございます。
 次に、一六ページをお開き願います。
 認可保育所に対する補助実績の推移として、平成九年度から十三年度までの補助実績などを記載してございます。
 一七ページをごらん願います。
 認可保育所整備費補助の予算及び決算の推移として、平成四年度から十三年度までの予算現額と決算額を記載してございます。
 次に、一八ページをお開き願います。
 国における介護保険及び医療保険をめぐる主な動きでございます。(1)に介護保険関係を、(2)に医療保険関係につきまして、平成九年度から十三年度までの国の制度改正等の主な内容を記載してございます。
 一九ページをごらん願います。
 要介護(要支援)認定者数として、平成十四年三月末の認定者数を、被保険者の区分別、要介護度別に記載してございます。
 次に、二〇ページをお開き願います。
 居宅介護(支援)・施設介護サービス受給者数でございます。(1)の居宅介護(支援)サービスにつきましては、被保険者の区分別、要介護度別に、(2)の施設介護サービスにつきましては、被保険者の区分別、施設種別ごとに、平成十四年三月分の受給者数を記載してございます。
 二一ページをごらん願います。
 居宅介護サービス利用率として、平成十三年度におきますサービス種別ごとの利用率及びそれぞれの要介護度別の利用率を記載してございます。
 最後になりますが、二二ページをお開き願います。
 国民健康保険の特別区、市町村及び国民健康保険組合に対する都補助金の予算及び決算の推移といたしまして、それぞれにつきまして平成九年度から十三年度までの予算現額及び支出済額を記載してございます。
 以上、ご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○坂口委員長 ご苦労さまでした。説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○服部委員 昨日は、都庁の展望室でカジノの疑似体験という大変華やかなそういう場面で、また、このカジノの法制化等については、これからいろいろ議論もされると思いますが、きょうは福祉局ですから、カジノ問題ではなくて、そういう反面、例えば、山谷地域あるいはホームレスの問題、そういう部分も東京には課題としてあるわけです。
 そこで、きょうは山谷対策とホームレス対策について質疑をさせていただきたいと思います。この山谷地域というのは、もうご承知とは思うんですが、地域からいえば浅草の北部の方、それから荒川区の一部が入って山谷地域、歴史的に、寄せ場の時代からずっと続いてきた地域です。
 そこで、資料もいただきましたけれども、この資料にありますように、山谷に簡易宿所が百五十軒程度でしょうか、あります。そこに宿泊されている方、過去十年にさかのぼってということで資料をいただいたわけですが、数字的には平成十一年の数字がこの資料では出ております。四千六百二十名が今そこに住んでいる。かつて東京オリンピックがありましたが、その前、昭和三十八年当時が一番のピークでして、一万五千人、今の三倍ぐらいの方がそこに住んで生活をされていた。そのために台東区は、家族連れで来た方もいましたから、子どものための学校までつくって、いろいろ対応してきた、そういう歴史もあります。それが現在では約三分の一に減っている。
 また、平均年齢ですが、五十九・七歳、十年前にさかのぼったとしても、これも十歳ぐらい平均年齢としては上がっている。要するに高齢化しているんです。だんだん年齢が上がっている。そういう数字が出ていますのと、生活保護の受給者、これもこの表にあるように、昭和六十三年当時が六百七十七人、平成十一年では千六百四十二名。ことしの数字を私の方も調べたんですが、二千百名という数字です。こうなりますと、生活保護の受給者も十年前に比べて約三倍にふえている。それが山谷地域の実態なんです。
 こうした状況の中で、さらに、この資料にはありませんが、福祉局というより健康局の所管になりますが、結核の罹患率、これまた大変なんです。これは平成三年当時に比べると、現在はやや減少はしています。いろいろ努力もいただいているわけですけれども、ただ、平成十三年の数字を見た限り、人口十万人当たり、全国平均が二十七・九人、東京都の平均が三十三・九人、台東区の平均が何と百二十一・九人、これは東京都の平均の四倍なんですね、結核の罹患率。もちろん、これは台東区の数字ですから、山谷という地域だけではありませんが、ただ、山谷地域が非常に多い。これは山谷に住んでおられる児童生徒にもまた影響している。山谷地域というのはそういう実態があります。
 それを踏まえて、まず質問させていただきたいんですが、山谷対策における今回の平成十三年度予算の執行状況、これは予算現額が約九億円でしたね。支出総額が約七億円、執行率は七八・九%、こういう数字になっているわけですが、この執行率について、その理由は何なのか、まずその点についてお伺いいたします。

○廣田山谷対策担当部長 山谷対策費の十三年度予算における不用額は、一億九千二万三千二十五円で、この主な理由は、相談援護事業、応急宿泊援護事業等ですが、この実績減によるもので、相談者数の減少に伴うものでございます。相談者数は平成十一年度がピークで、平成十三年度は過去四番目に多い相談者数となっております。

○服部委員 山谷地域には城北福祉センターがあります。この城北福祉センターの応急援護の実績なんですが、これは平成十一年度をピークに減ってきていますけれども、まだまだ高い水準にあります。今進められている山谷労働センターと城北福祉センターを一体化しよう、平成十五年ですか、そういう動き、計画があるわけですけれども、この一体化によってどういう効果が期待ができるのか、その点について伺います。

○廣田山谷対策担当部長 これまでの相談の多くは求職や宿泊などの応急援護が中心であり、なかなか自立には結びついておりません。山谷労働センターと城北福祉センターの一体化は、福祉分野と労働分野の相談を一体的に行う総合的かつ一貫性のある相談体制を構築するもので、日雇い労働者等の自立につながる支援の強化を目指すものでございます。また、両組織を一体化することにより、柔軟かつ効率的な運営が可能になるものと考えております。

○服部委員 今のお答えのように、効率化あるいは簡素化、これも大変重要なことです。ただ、地域の方は、これによって山谷対策の後退につながるのではないかなという危惧をお持ちの方もいますが、今ご答弁いただきましたように、そういうことではないんだ、そして、やはり目的は自立支援なんですよね。自立に結びつく支援体制、これがこの一体化の目標といいますか--もちろん、山谷に住む方、ホームレスもそうなんですが、働きたい意欲のある人、あるいは、働きたい意欲があるけれども働く場所がない人、と同時に、先ほど申し上げたように、高齢化して、施設に入っていただくしかないという方もいるし、また、中には薬物とかアル中だとかいうことで怠惰な暮らしをしている、そういう人もいます。そういった中で、自立をしよう、働く意欲がある、そういう方々については、やはり自立が本来の目的ですから、そういう体制をこれからも一体化によって進めていただきたいと思うんです。
 それで、十三年末になりますけれども、玉姫の労働出張所がありますが、そこの管内にはおよそ二千九百人の日雇い労働者がいるわけです。これも、やはり高齢化して働けない、そういう方もいるわけなんですけれども、ほとんど年金生活なんてのは送れない方々、また身寄りもない、身寄りがないから山谷の方でという方々ですから、将来の生活が大変不安である。それは無理もないことだと思うのですけれども、そこで、山谷地域の今後の高齢化対策、その点についてお伺いいたします。

○廣田山谷対策担当部長 山谷地域の日雇い労働者は、都内の他の地域よりも高齢化が進展をしておりまして、失業、疾病、生活困難等の諸問題に対応するには、総合的な取り組みが必要でございます。そのため、特別就労対策の充実や健康相談室の運営、城北福祉センターの生活相談や敬老室の運営、更生施設さざなみ苑の開設や運営費補助、単身者向け都営住宅の特別割り当てなど、従来から福祉、保健、医療、住宅、就労等の施策の推進に努めてきたところでございます。今後とも、関係区、関係局との連携のもとに適切に対応を講じてまいります。

○服部委員 先ほどいただいた資料で数字を申し上げた簡易宿所ですが、平成十三年は二千百名の方が生活保護を受けて現在暮らしているわけです。この資料によっても、まだまだどんどんこれはふえていく、そういう傾向に今あるわけですけれども、この方々が将来体が動かなくなっちゃったり、また在宅生活ができなくなったり、そういう場合に養護老人ホームでしょうか、そういった適切な施設も必要ではないかと思うんです。山谷対策事業として、高齢者の施設について、今までもやってはいただいておりますが、今後どのように整備をしようとしているのか、この点をお伺いいたします。

○廣田山谷対策担当部長 高齢者施設につきましては、平成十四年四月に荒川区内に養護老人ホームが開設され、東京都としても施設整備の補助や運営費補助を実施し、必要な人への対応を行ってきたところでございます。今後とも、日雇い労働者の状況の把握に努めますとともに、関係区と十分相談しながら対応してまいりたいと考えております。

○服部委員 今、何点かについて指摘したように、この山谷対策というのは、ひとり福祉局だけの問題ではありません。また、福祉局だけで解決できる問題ではありません。もちろん雇用の問題もありますし、それから住まいの問題もあります。そういった点では、健康局や産業労働局、あるいは住宅局、そういう関係局と連携を深めながら、またこういった局にも山谷の実態というものをよく把握をしていただきながら、解決に向けていかなければならないと思うんです。
 私は、今申し上げたように、山谷地域を、現状はもちろん現状として認めながら、福祉、雇用について対応しなければならないと同時に、いつまでもこういう対応ではなくて、長い歴史のあった山谷の地域を、これからもっと夢のある山谷にしていかなければいけないと思うんです。山谷地域というのは、先ほど場所も申し上げたようですが、都心に非常に近い、アクセスなんかも非常にいい場所なんですよ。ですから、まちづくりという観点でとらえていけば、非常にすばらしい町になる。ここは局が違いますけれども、本当に花でいっぱいの山谷になっていく、そういう可能性のあるところで、これはまた都市計画局の範疇かもしれませんが、私は、山谷問題の解決の基本というのは、まちづくり、やはりそういう視点で考えることが非常に重要だと思うんです。
 したがって、今まで福祉局でお進めいただいたこと、ほかの局も連携をして進めていただきながら、将来としては、十年後には山谷はこういういい町になるんだ、そういう一つのビジョンを示しながらやっていかなければならないと思いますので、福祉局もそういう観点で、ただ現場のことを、これも大事なことですが、やっているだけではなくて、将来山谷をこういう町にするんだという考え方も、ぜひ福祉局の皆さんにもお持ちいただきたい、そのように私は思っています。
 次に、ホームレス対策に移ります。東京は、とにかく国際都市東京、五年後にはシンガポール並みの六百万人の外国の観光客を誘致をするんだと。きのうのカジノなんかもそうだったのかもしれませんが、そういう夢のあるといいますか、東京の魅力を大いに売り出して、来年は江戸開府四百年もありますけれども、東京に内外の観光客を大いに誘致をしよう、そういう今大きな動きがあり、もちろん観光は産業である、そういうとらえ方、経済波及効果も相当あるはずです。
 ただ、例えばニューヨークやパリ、ホームレス、これは大変な数字ですよ。十万人ともいわれ、二十万人ともいわれるホームレスが現にいて、しかも東京あるいは大阪の、日本のホームレスと違って、家族連れ、子連れのホームレスがいる。それがジプシー的な動きをして、子どもたちを使って、いろんな犯罪を犯すとか、そういう大変な状況に今外国の方もあるわけです。日本の場合は、数からいっても、まだまだといいますか、ふえたといっても、平成十三年、全国でたしか二万四千人でしょうか、という数字が出ています。
 東京都も今日まで、このホームレス問題については大変真剣に取り組んでいただきました。私ども都議会自民党も、平成十一年の七月、国会議員との合同懇談会を発足して、大阪、名古屋、上野公園、隅田川の河川敷、そういったところを訪ねてホームレスの実態を調査し、そして、都議会自民党の中にホームレス対策協議会を設置して、国に対して要望書を提出しましたし、また区と都の協議、こういったものも続けてまいりました。
 そして、全国の平均が全体で二万四千人と申し上げましたが、ホームレス全体の数が三年前に比べて一八%増加をしている。東京はどうかといいますと、東京はそのときに五千八百人であったものが五千六百人に減少しています。三%ですが、全体的にふえる傾向がある中で、三%とはいえ減少をしたということは、これは特筆に値する。これはもちろん、都のさまざまな施策の中でこういった数字が出てきたのではないかと思います。
 それで、一定でしたか、国の方に意見書も提出をし、とにかくホームレス問題の責任というのは、第一義的には国にあるんだ、もちろんホームレスに自立してもらわなければいけない、そういう観点で、国の方でホームレスの自立支援に関する特別措置法を早期に制定してほしい、これも都議会の方で意見書を提出させていただいたわけです。これは七月の末でしたか、成立をし、ことしの八月七日施行された、そういうことになります。
 ホームレス問題というのは、その区だけでもできませんし、東京都だけでもできないし、国と連携をして、これは一つの大きな都市問題であり、社会問題であるわけですから、全体的に取り組まなければいけないことですから、一歩前進をした、私はそう思います。
 で、伺いますが、この法律が施行されたことによって、ようやく国がその責務に見合う本格的な対策に踏み出す、そういったことが期待をされている、そういう状況になったわけですが、都は、先ほど申し上げたように、国に先駆けてホームレスの自立支援に特別区と共同で取り組んでまいりました。この国の自立支援法をどう評価をされているのか、この点についてまず伺います。

○菅原連絡調整担当部長 東京都はこれまで二十三区と共同して、国に先駆けまして、ホームレスの就労自立を基本とした総合的な自立支援システムの確立に取り組んでまいりました。今回の自立支援法の中においても、自立の意思がありながら、ホームレス生活を余儀なくされた者に対して自立の支援を行う、こういう点が明記されております。この考え方は、東京都と二十三区が進めております自立支援システムに共通するものでございまして、積極的に評価したいと思います。
 また、ご指摘のように、ホームレス問題は、第一義的には国の責任において解決すべき問題であると考えております。今回の法制定に伴いまして、第一に、国によりまして各自治体への財政支援が期待されます。また、第二に、全国レベルでのホームレス対策が促進されます。第三に、自立支援に向けた取り組みについての国民の理解が図られる、こういうことが期待されると考えております。

○服部委員 自立支援センターの第一号は、台東区でした。その後、間もなく二年経過するわけですけれども、現時点で自立支援システムをどう評価されるのか、伺います。

○菅原連絡調整担当部長 東京都は十二年度から緊急一時保護センター、いわゆるシェルターといわれているものでございます、それと自立支援センターを中核といたしまして、自立支援システムの構築に努めてまいりましたが、現時点で、緊急一時保護センターが一カ所、それから自立支援センターが四カ所、これが稼働しております。自立支援センターからは、九月末までに千六百四十七人の方が退所いたしまして、その四八%に当たる七百九十四人が就労自立しております。
 先ほど先生ご指摘のように、全国のホームレスが増加している中で、二十三区のホームレス数は十一年度からほぼ横ばいで推移しております。また、自立支援センターの入所者の七割が路上生活一年未満の方である、こういった点から見まして、路上生活の長期化、定着化を防ぐ上で、自立支援システムが大きな役割を果たしているというふうに考えております。

○服部委員 今答弁いただきましたように、全国平均はホームレスが一八%ふえたけれども、東京の場合は三%減っている。これはやはり担当の方の努力で、いわゆる東京方式、今お話のあった緊急一時保護センターを五カ所、自立支援センターを五カ所、また自立訓練センターもいずれ五カ所、そういう方向で開設をして、東京方式がうまく回転し、せんだって局長でしたか、自立支援センターの大体三カ月という区切りもありますから、千人ぐらいが三カ月ぐらいで回転をしていくんだと。
 そういうこと、でホームレスの中の、ホームレスもいろいろ種類というんでしょうか、さっき申し上げたような、働きたくても仕事がない方が七、八割、そういった方々には雇用の促進も含めて大いに働いてもらう、それが基本だと思うんですけれども、こういう東京方式がある程度功を奏したといいますか--私も、名古屋ですとか、大阪の方にも参りましたけれども、向こうは大変ですよ、数も多いしね。さっきの山谷もそうですが、東京はチャンスだと思っているんですよ。東京から、そういう山谷問題や、今質問しているホームレス問題を解決する、いいチャンスだと私は思っているんです。ところが、この平成十三年度に開設をする予定の五カ所のうち一カ所、区名を挙げれば渋谷区ですが、まだ開設がされてない。その区のいろんなご事情もあるんでしょうが、私は残念に思っています。
 このホームレス問題というのは、人ごとじゃないんですよ。どこかの区が、公園や河川から例えば排除するといいますか、立ちのいていただく、そうなれば、どこかにまた青テント、ブルーシートを建てて住む、そういう悪循環になるわけです。我々は、ホームレス問題はそういう悪循環をさせたくない。要するに、働きたい人には働いてもらう。病気で、どうしてもぐあいの悪い方は施設に入っていただく。あるいは高齢者についてもそうでしょう。そういう施設にも入っていただかなければいけない、あるいは生活保護も受けていただくことも考えなければないけない。
 しかも、この自立支援センターの方ですけれども、恒久施設をつくろうといっているんではないんですよ。例えば、つくったからずっと、五十年、百年、そこに保護センターがあるわけではない。また、あってはいけないんです。ホームレスというのは、これは解決できる問題ですから、ブルーシートは。
 ですから、これはあくまでも恒久施設ではなくて、一時的な、例えば台東区であれば--それは台東区もホームレスの自立センターをつくるといったら、地域からやっぱり反対もありましたよ。だけど、それは、自分たちだけ反対をして、じゃ、どうなるのと。ほかに結果的に迷惑をかけるわけですから、この辺は各二十三区とも、ホームレス問題を解決しようという共通の認識に立って考えていかなければいけないと思うんですよ。
 ですから、これは例えば台東区の場合、一応五年を限度にということ。この五カ所、今四カ所ありますけれども、四カ所も、多分そういうことで地元ともお話し合いをされていると思うんですが、五年たったら、いずれはどこかの区に、それはつくってもらわなきゃいけない。それはそうですよ、二十三区共通の--今のところ、三多摩の方はそれほどではないと思いますけれども。済みませんね、渋谷区をお隣において。
 これは都会議員さん、いろいろ努力されている。ただ、区の方が、例えば区長会だとか、担当者の会合があると思います。だから、区に、都の方もそういった共通の認識に立っていただくようにお話をして、これは別に恒久施設をつくるわけではありませんし、いつかまたどこかでつくらなければいけないことだから、とにかくご協力をしてくださいと。別にこれは渋谷区の問題だけでなく、これから先いろんな区にいく話ですから。その点ちょっとお答えいただけますか。

○菅原連絡調整担当部長 現在、東京都と渋谷区で設置場所を探しておりますが、残念ながらまだ適切な場所が確定しておりません。今後とも、引き続き精力的に渋谷区とともに、センター設置に向けて努力してまいりたいと考えております。

○服部委員 いずれにしても、さっき申し上げたように、都だけでもできる話ではありませんから、都と区と連携をする、協議をする、国とも協議をしていく、そして、一体となってこのホームレス問題は解決をしていかなければいけないわけです。
 最後に、この自立支援法の制定を受けて、今後、都はホームレス対策にどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

○菅原連絡調整担当部長 現在、緊急一時保護センター、自立支援センターは、計画数の半分が稼働しております。今後、自立訓練ホームの整備を含めまして、十五年度までの計画施設の設置に全力を挙げたいと考えております。
 また、稼働して二年を経過しておりますので、運用上の必要な見直しを行い、より実効性の高いシテスムにしてまいりたいと考えております。今後、自立支援法に基づいて、国が定める基本計画を受け、都として実施計画を作成していくことになりますが、国、関係各局、二十三区、民間団体等と連携いたしまして、福祉、就労、住宅、保健医療など、ホームレスの自立に向けた総合的な対策の構築に努めてまいります。

○服部委員 今までこのホームレス対策、あるいはホームレス問題というものに取り組ませていただきながら、国の法制化といいますか、自立支援法が成立をした、都にとっても、区にとっても、あるいは財政的な支援も含めて大変な前進だというふうに私も理解しておりますし、先ほど申し上げたように、東京のホームレス、日本のホームレスというのは外国と違ってまだ数は少ない。最近は女性もおられるようにはなっていますけれども、まだ家族ぐるみということには至っていない。だから、これを二十年、三十年後に解決をするんじゃなくて、今解決をしていかなければ、またふえていってしまう。そういう流れにもなっていくと思うんです。国の方も一定のめど、八年後、平成二十二年でしょうか、目指して、いわゆるブルーシートですね、ホームレスをとにかく限りなくゼロにしていこう、そういう目標もあります。
 したがって、都の方もその目標に向けて、今後少なくとも公共の場にこのブルーシートがなくなるように、これからも引き続き努力をしていただきたい、そのように申し上げて、私の質問を終了します。
 ありがとうございました。

○谷村委員 初めに、昨日の各紙に報道されております児童養護施設筑波愛児園への対応について伺います。
 十年近くにわたり、職員による児童に対する虐待があったと報道されております。そもそもこの件が明らかになったのは、平成十三年度が発端だと聞いております。これらの報道によりますと、女性保育士七人と男性指導員一人が虐待に関与している。このうち七人は、いずれも勤続十五年以上のベテラン職員である。小学四年生以上の園児十人は、カレンダーの金具を新聞紙と粘着テープでぐるぐる巻きにした愛のむちで、おしりを最高五十回から百回もなぐられた。風呂の水に顔をつけられた。手足を縛って寝かされたり、床下に二、三時間も閉じ込められたりした。夜に騒いだ罰として、長時間廊下に正座させられたり、タマネギを丸かじりさせられたりした。水を張った浴槽に入れてふたをする。頭をこぶしでなぐる。職員は、園長に見つからないように見張り役まで置いていた等々の証言があるようでございます。
 私にも、ちょうど小学校五年生の息子がおりますので、この報道に触れまして、大変な憤りを感じた一人でございます。
 そこで、この件が明らかになったときの事実経過及び都の対応について確認をさせていただきたいと思います。

○笠原子ども家庭部長 昨年の五月でございますけれども、子どもたちへの学習ボランティアをしていた大学生から、施設内で体罰等が行われている、こういった指摘がございました。こうした指摘に対しまして、東京都といたしましては、直ちに事実を把握するための訪問調査などを行いまして、その結果に基づきまして、施設経営者に対し、口頭による改善指導と改善計画書の提出を指示いたしました。
 施設側から出された改善計画案では、体罰等が行われていたことを認めた上で、児童が安心して毎日の生活を送れるように、処遇上のさまざまな改善すべき点などが示されました。このため、都といたしましては、施設から提出された改善計画案が適切に実行されますように、継続してこれまで指導を実施してまいったところでございます。

○谷村委員 今回のこの事件が突然新聞などのマスコミに出たわけですが、それによりますと、東京弁護士会子ども人権救済センターに人権救済申し立てがあったということですけれども、これについての事実経過と都の対応、そして、現在どのような点が問題になっているのか、伺いたいと思います。

○笠原子ども家庭部長 ただいま申し上げましたような指導をしている中で、本年の八月でございますけれども、施設責任者から都に対しまして、適切な施設の運営あるいは児童に対します指導などの取り組みができません、児童養護施設として運営していくに当たって困難な状況に直面している、こういう相談がございました。ボランティアからの東京弁護士会子ども権利救済センターに対します人権救済の申し立ては、こうした施設側からの申し出の対応をしている中で、過去に行われた体罰などに対しまして、その職員の謝罪あるいは処分、今後の養育方針作成、こういったことについて行われたものでございます。
 東京都といたしましては、施設での子どもたちへの処遇実態の迅速な把握に努めまして、緊急的な対応といたしまして、児童の一時保護、新規入所措置の停止などを今月の初めに行いました。また、一昨日、十月十六日付で、抜本的な施設運営の刷新が図られるよう、強い姿勢で法人に対しまして運営体制確立に向けた改善指導通知を出しました。

○谷村委員 昨年度からの経緯も踏まえまして、都は、このような事件の再発防止策と他の児童養護施設への指導について、今後どのように行っていかれるのでしょうか。

○笠原子ども家庭部長 養護施設は、さまざまな理由から親と一緒に暮らせない子どもを預かっている施設でございまして、したがって、入所した子どもが安心して施設の中で日常生活が送れますように、個々の児童の状況に即した処遇を行うということが基本である、こういうふうに考えてございます。
 東京都といたしましては、そうした考え方に立ちまして、施設が速やかに体制の立て直しを図って、子どもが安心して生活できるような受け入れ態勢を整えていくように、迅速、的確な指導をしてまいりたいというふうに思っております。
 具体的には、施設の内部のみでは運営体制の立て直しは困難なので、法人外部委員を主体といたしました再建委員会を設置して、理事会及び法人運営、施設運営の正常化、それと職員の子どもたちへの処遇対応力の向上などを図っていくことが急務だというふうに考えてございます。このために、現在、茨城県や関係機関、東社協の児童部会等でございますけれども、こういったところとの連携を図りながら、具体的な対応方策について検討しているところでございます。
 なお、ほかの施設への指導についてでございますけれども、十月の十五日、臨時施設長会を開催いたしました。その中で、改めまして、入所児童への適切な処遇体制の確立につきまして、施設全体に対して強く指導いたしたところでございます。

○谷村委員 どんな立派な福祉制度、福祉施設をつくり上げたとしても、その運用、運営が適切に行われなければ、とんでもないことになるという一つの例ではないかと思います。二度とこういう痛ましい、大変に不幸な事件が起こらないよう、全力での取り組みをお願いしたいと思います。
 それでは、決算審査として、まず、福祉局全体の平成十三年度予算の執行率についてお尋ねしたいと思います。東京都全体の執行率、また、他局と比較して福祉局はどうだったのでしょうか。

○内海企画担当部長 平成十三年度予算の福祉費の執行率は九五・六%でございまして、都の一般会計全体における執行率の九六・〇%と比較いたしまして、ほぼ同程度となってございます。
 また、他局との比較でございますが、二十五局中十番目の執行率ということになってございます。

○谷村委員 執行率としては、福祉局は東京都全体の平均であり、局として福祉施策の充実に大変努力していただいていることがわかります。しかし、決算説明書で個別の事業について見ますと、執行率の低い事業が見られるのもまた事実であります。その中でも特に障害福祉の分野につきまして、平成十三年度という年は、いわゆる心身障害者施設緊急整備三カ年計画の初年度という重要な節目でもありますので、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、決算説明書七七ページ以降の心身障害者福祉費の中で、八二ページの75、知的障害者生活寮事業は執行率が七七%ですけれども、その次の76、重度知的障害者生活寮事業は約四〇%と、執行率がかなり低くなっております。生活寮は障害者の地域生活を支える居住の場として重要な施設でございますけれども、なかなか実績が上がらないというのは残念なことでございます。
 そこで伺いますけれども、十三年度に生活寮事業の執行実績が上がらなかった理由は何でしょうか。

○有留障害福祉部長 生活寮全体の課題といたしましては、平成十五年度からの支援費制度への移行に当たりまして、費用負担の問題がございました。これまでどおり出身地の自治体が負担するのか、あるいは生活寮所在地の自治体が負担するのか、国の対応が明確でございませんでした。そういうことがございまして、区市町村等が生活寮設置について、やや消極的対応をとらざるを得なかったことなどによるものと考えております。
 それから、重度生活寮でございますが、これは東京都が先駆的に始めた事業でございまして、本格実施二年目でございます。そんなことで、制度の詳細などについて区市町村や法人に十分に理解されなかったということがその要因と考えております。

○谷村委員 ただいまのお答えにもありましたけれども、これまで生活寮の設置がなかなか進まない状況があり、それを打開するために心身障害者施設緊急整備三カ年計画が策定されたものであると思いますけれども、その意味では、三カ年計画の初年度の成果が重要になると思います。これは決算説明書の中では項目が設けられておりませんので、計画目標との比較で、平成十三年度の達成状況をお答えいただきたいと思います。
 施設の細かな種別にこだわらず大まかで結構ですので、通所施設、入所施設、そして生活寮などの居住の場、この三つの区分ごとに十三年度計画目標の数と決算上の整備実績を箇所数でお答えいただきたいと思います。

○有留障害福祉部長 心身障害者施設緊急整備三カ年計画の平成十三年度における達成状況でございますが、まず入所施設でございます。計画数六カ所に対して、実績は四カ所でございます。それから、通所施設でございます。計画数三十カ所に対しまして、実績が二十八カ所でございます。それから、生活寮など居住の場は、計画数二十六カ所に対して、実績は十四カ所でございます。これらを合計しますと、計画数六十二カ所に対して実績は四十六カ所という達成状況でございます。
 なお、生活寮など居住の場につきましては、例えばアパート借り上げなど、施設整備の補助を伴わないものがございます。こうしたものを含めますと、平成十三年度には二十四カ所、生活寮二十二カ所、重度身障グループホーム二カ所を新設しているところでございます。

○谷村委員 全体として計画数に届かない状況ですが、その背景についてはどのように見ておられるのでしょうか。

○有留障害福祉部長 本計画の初年度でございます平成十三年度の実施に当たりましては、計画の発表は平成十二年の十二月ということでございます。したがいまして、周知期間が非常に短く、各区市町村においても、時期的に予算要求の対応が困難であったというふうに考えております。
 それから、設置者であります社会福祉法人等におきましても、計画を具体化するための調整、例えば地元自治体との調整とか、近隣調整とかいろいろございます。そういうものに時間を要して、初年度の実施に間に合わなかったところもあったんじゃないか、そういうふうに考えております。

○谷村委員 区市町村や法人の取り組みはもちろん大変に重要なことでありますけれども、それを後押しする都の積極的な支援が、その推進のかぎを握っていると思います。率直に申し上げまして、この三カ年計画の初年度は相当なおくれをとっているといわざる得ない状況ですけれども、三カ年計画は本当に達成できるのでしょうか、その見通しをお伺いしたいと思います。

○有留障害福祉部長 先ほど申し上げたとおり、三カ年計画の初年度である十三年度は、計画発表から実施までの期間が短かった等の理由により、区市町村等の準備が整わず、実績が計画に達しなかった状況がございました。しかしながら、今年度十四年度におきましては、区市町村や法人等に対し、制度の周知徹底を図るなど計画達成に向けて強く働きかけておりまして、現在まで多数の相談を受けている状況でございます。
 また、平成十四年度は計画を上回る予算措置もしているところでございます。平成十五年度までの三年間で計画数を達成できるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。

○谷村委員 現在の緊急整備三カ年計画の達成に向けたご努力は大変に評価したい、評価するべきと思いますが、生活寮などの、地域によっておくれている状況がある一方、支援費制度の導入という大きな節目を迎えまして、障害者の地域生活を支えるサービス基盤の一層の充実が求められていると思います。
 そこで、サービス基盤の一層の充実に向けまして、さらなる施策を検討すべきと考えますが、所見を伺いたいと思います。

○有留障害福祉部長 平成十五年度から導入されます支援費制度の理念は、選択と自己決定ということでございます。そういうことで、ご指摘のとおり、地域生活を支えるサービス基盤の一層の拡充などが必要であると認識しております。ご指摘を踏まえまして、サービス基盤の一層の拡充のために、新たに必要な施策について今後具体的に検討を進めてまいります。

○谷村委員 次に、福祉サービスの充実のための区市町村の取り組みにつきまして、質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどお聞きしました障害者施策の取り組みでもわかりますように、福祉サービスの基盤整備を進める上で、区市町村の積極的な取り組みが大変に重要であることは、いうまでもございません。その一方で、区市町村の財政状況が大変に苦しいということも、また事実でございます。このような状況の中で、区市町村が積極的に基盤整備を進めていけるように、その取り組みをより一層促していくためには、さまざまな工夫が必要となってくると思います。
 そのための補助制度の一つとしまして、平成十二年度から区市町村の福祉基盤整備や先進的な取り組みを支援するために、高齢者いきいき事業、福祉改革推進事業がそれぞれ創設されております。これらの補助制度は、特定の事業に補助する個別補助金ではなく、区市町村が創意工夫を凝らしながら、地域の実情に応じて行う取り組みを支援する、いわゆる包括補助制度でございますけれども、委員会資料としてお願いをいたしましたが、その実績、成果が一〇ページ、一一ページに掲載をされております。これらの包括補助制度によって、区市町村によるさまざまな事業取り組みが進んだことがわかります。
 そこで、確認の意味でお尋ねをいたしますけれども、福祉改革推進事業では、区市町村の取り組みを誘導していくための仕組みであると思いますけれども、この資料にも、福祉改革を推進する事業への取り組み状況に応じて補助基準額がふえる仕組みとしている、このように書いてありますが、これはどのようなものか、具体的に説明をお願いいたします。

○内海企画担当部長 ご指摘のとおり、福祉改革推進事業は、区市町村が地域の実情に応じまして、主体的に福祉基盤の整備等に取り組むことを支援する包括的な補助制度でございます。この補助事業は、大きく分けますと二つございまして、一つは、区市町村が福祉改革に取り組む場合に、その努力に応じて支援する、基本事業、選択事業といういい方をしてございますが、その事業と、もう一つは、区市町村が独自に企画いたしまして、ハード整備を含めた基盤整備を行ったり、新たな課題に対して試行的に取り組む事業を支援する、いわゆる独自事業、先駆的事業というものとございます。
 そのうち基本事業では、福祉改革推進プランのSTEP2にかかわる、都が福祉改革実現のための事業と位置づけてございます幾つかの事業がございます。例えば、心身障害者の通所施設の整備、あるいは入所施設の整備、認証保育所の設置、あるいは福祉のまちづくりのバリアフリーの事業、そういうふうな福祉基盤整備に取り組んだ場合には、それぞれの指標で設定した点数、ポイントと申しますか、そのポイントを加算する制度を導入してございます。
 補助基準額は、そのポイントが多いほどふえることとしてございます。基盤整備に積極的に取り組んでいる区市町村を支援する仕組みとなってございます。

○谷村委員 そこで、お尋ねいたしますけれども、加算指標に掲げる事業に区市町村が取り組んだ場合に、点数がつくというインセンティブがあるということですが、例えば、心身障害者施設緊急整備三カ年計画に取り組んだ区市町村に対しましては、どのくらいの補助基準額がふえるのでしょうか。

○内海企画担当部長 心身障害者施設緊急整備三カ年計画に取り組んだ区市町村に対しての補助基準額の加算のご質問でございますけれども、例えば、知的障害者入所更生施設の整備の場合は三十点という点数をつけまして、一点百万円の加算をするということで、補助基準額でいうと三千万円、あるいは心身障害者の通所施設の場合も、同じように三十点、三千万円という形での補助基準額がふえる、そういうふうなことになってございます。
 また、入所や通所の施設の偏在を緩和する、そのためのインセンティブといたしまして、施設が所在しない場合など、整備の進んでいない区市町村が新たに整備する場合には、さらに補助の基準額を加算する、そんな仕組みにもなってございます。

○谷村委員 加算指標に掲げる事業に取り組むことで点数がふえ、結果として区市町村が自主的に取り組む事業に対して補助が行われる、その分の財源によって、福祉サービスの新たな基盤整備や利用者支援のための仕組みづくりに取り組むということが可能になる、こういうことですね。
 このような区市町村が自主的、主体的に取り組んでいる例として、福祉改革推進事業の資料には、独自の取り組み、あるいは先駆的な取り組みとして四つの取り組みが紹介されております。一〇ページの3の(2)ですけれども、ここで取り上げられております福祉ボランティア運営施設の整備とは、どのような事業でしょうか。

○内海企画担当部長 福祉ボランティア運営施設の整備についてのお尋ねでございます。
 NPOやボランティア等として福祉サービスに取り組んでいる団体は、今後は、福祉サービスを提供する上で非常に大きな役割を果たしていくことが期待されているわけでございますが、一方、これらの団体は活動場所の確保に苦慮していたり、あるいは運営に関する情報が不足していることなどから、活動基盤の脆弱な団体も少なくない現状にございます。
 お尋ねの運営施設の整備事業につきましては、このような現状を踏まえまして、NPOやボランティア等の団体に対しまして、活動の場所の提供、あるいは運営に関する相談や助言、あるいは活動情報の提供などの支援を行いまして、その活動基盤を安定させるために区市町村が独自に行う事業でございます。

○谷村委員 福祉サービスの提供主体として、地域の力や特性に着目して、きめ細かなサービス提供をできるNPOやボランティアなどへの支援策ということだと思いますけれども、もう一つ、その二つ下の福祉総合ネットワークシステムの開発とは、これはどういう事業でしょうか。

○内海企画担当部長 福祉サービスの利用者がみずからのニーズに合ったサービスを選択して利用するためには、利用者の方々の身近な区市町村におきまして、サービスに関する十分な情報を入手できるような仕組みが必要でございます。
 お尋ねの福祉総合ネットワークシステムにつきましては、こうした観点から区市町村がそれぞれの地域のニーズに応じて主体的に取り組んでいる事業でございまして、例えば、役所の福祉部門の窓口で、さまざまな情報をワンストップで確認できるような庁内の情報ネットワークづくりを行うもの、あるいは、地域の中のバリアフリーマップをインターネット上で提供するためのシステムを開発するもの、それからまた、電子メールを使いまして二十四時間の子育てに関する相談をするもの、そういうふうな事業がございます。

○谷村委員 大変すばらしいシステムだと思いますけれども、これまでのご答弁にありましたように、福祉改革推進事業は、東京都が進める施策を区市町村に取り組んでもらうためのインセンティブを働かせるという側面と、区市町村が独自に取り組む事業や先駆的事業への支援という、二つの側面があるということがわかりました。
 都は、利用者本位の福祉を実現するために福祉改革を進めておりますけれども、この実現のためには、都と区市町村がお互いに知恵を出し合いながら連携していくことが必要だと思います。その上で、ある場合には区市町村の先駆的な取り組みを全都的に拡大する、また、ある場合には区市町村の取り組みの温度差を解消していく、これは広域的な自治体としての東京の責務であり、重要な役割だと思います。
 そこで、先ほどお聞きしました区市町村の福祉総合ネットワークの開発を例に見ますと、現在東京都が進めております福祉情報総合ネットワークの構築とは、どのように連携をしながら進めていくことになりますでしょうか。

○内海企画担当部長 利用者の方々が地域の中でサービスをみずから選択、利用するためには、必要な情報が総合的、一体的に提供されること、また、それに容易にアクセスできる環境を整えること、こういうことが不可欠だと思ってございます。そのためには、区市町村が中心となって、地域に根差した福祉サービスの状況や特色をきめ細かく、わかりやすい情報として提供していくことが重要でございます。区市町村が開発している福祉総合ネットワークはそのための事業でございます。
 一方、現在東京都が構築を進めてございます福祉情報総合ネットワークは、福祉サービスに関する情報について、基本的なものからサービスの質に関する情報まで、ここに来ればすべての情報にたどり着ける、そういう東京の福祉情報のポータルサイトというんでしょうか、いわば玄関的機能を持った仕組みを目指してございます。
 今後、ネットワークの稼働に当たりましては、区市町村のきめ細かな情報と東京都のポータルサイトを連携させ、都全域の一体的、総合的な福祉情報総合ネットワークというものを構築していきたいと思ってございます。

○谷村委員 東京の福祉情報のポータルサイト、いわゆる玄関的機能を持った仕組み、大変すばらしいネットワークだと思います。ぜひ強力に推進をしていただきたいと思います。
 福祉改革推進プランでも、また福祉改革STEP2でも、キーワードの一つとして地域が挙げられておりますけれども、この地域というキーワードには二つの意味があるのだと思います。一つには、だれもが身近な地域で住み続けられるインフラ整備を進めること、そしてもう一つは、住民にとって、より身近でサービスを受けるその区市町村という地域、この地域の自治体の創意工夫を生かしながらきめ細かな福祉を実現していくことが、二十一世紀にふさわしい福祉のあり方、福祉の推進の方途であると思います。
 都の役割と地域というキーワードから最初にお聞きしました障害者施策で考えてみますと、都の心身障害者施設緊急整備三カ年計画による補助事業と、区市町村の地域の実情に応じた取り組みを支援する福祉改革推進事業を連携させることで、障害者福祉の基盤整備を推進し、障害者の方の地域での自立した暮らしを確保することができるということだと思います。
 これまで、障害者施策や区市町村の取り組みに対する都の支援策を中心に質問をしてまいりましたけれども、今後とも都として区市町村の取り組みを支援し、区市町村と力を携えながら、地域に根差した新しい福祉を構築していくことが不可欠であると考えますけれども、最後に、福祉局の今後の取り組みにつきましては、川崎福祉局長の決意をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。

○川崎福祉局長 東京都が進めております福祉改革を一層推進していくためには、ご指摘いただいたように、区市町村が主体的、積極的に取り組んでいただくことが何より重要であるというふうに考えております。これまでも、お話の福祉改革推進事業を初め、さまざまな施策により区市町村の取り組みを強力に支援してまいりました。これからも区市町村と連携し、区市町村の主体的な取り組みを支援しながら、地域に根差した利用者本位の新しい福祉の実現に向けまして、全力で取り組んでまいります。

○谷村委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

○坂口委員長 ちょっと早目ではございますが、この際、議事の都合により、おおむね十分間休憩いたします。
   午後二時十四分休憩

   午後二時二十七分開議

○坂口委員長 それでは、休憩前に引き続き分科会を開きます。
 質疑を再開いたします。
 発言を願います。

○大山委員 十三年度の決算ということですけれども、十二年度はシルバーパスの全面有料化を初め、マル福や老人福祉手当の段階的廃止という福祉の切り捨てが行われて、十三年度はその二年目の年だということですね。東京都は、切り捨てではなくて、充実するんだとか、在宅重視なんだというふうにいってきたわけですけれども、障害者の分野でまず見ていきたいというふうに思います。
 十二年度から福祉の切り捨てが行われましたので、十一年度との比較というのが重要です。まず伺いたいのは、決算説明書の七七ページには、目のところの項目で心身障害者福祉費というのがあります。これの十一年度から十三年度までの決算額を教えてください。

○有留障害福祉部長 心身障害者福祉費につきまして、十一年度と十三年度の決算額でございますが、平成十一年度は五百二十一億三千七百二十五万四千円でございます。平成十三年度の決算額は、四百三十億四千五百九十二万七千円でございます。

○坂口委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○坂口委員長 速記を再開してください。

○有留障害福祉部長 失礼いたしました。平成十一年度は五百二十一億三千七百二十五万四千円でございます。平成十二年度は四百五十三億七千二百三十三万六千円でございます。平成十三年度の決算額でございますが、四百三十億四千五百九十二万七千円でございます。

○大山委員 十一年度が約五百二十一億、十二年度が約四百五十四億、十三年度が四百三十億ということで、着実に下がっているというわけですね。十一年度と比べると、約九十億円のマイナスだということです。在宅の充実だというふうにいっていたわけですけれども、障害者の在宅関係の予算は、十一年度と比べて十三年度はどうでしょうか。

○有留障害福祉部長 障害福祉関連の施設関係を除いた決算額を申し上げます。平成十一年度は五百八十億五千五百万円でございます。十三年度の決算額は四百八十九億四千九百万円でございます。

○大山委員 この在宅関係、在宅を重視するんだといっていたわけですけれども、これも五百八十億五千五百万円から四百八十九億四千九百万円ということで、九十一億六百万円の減少になっている。決算説明書の七七ページから、この目のところでは心身障害者福祉費が始まるわけですけれども、八二ページまで事業が載っているわけです。この事業、十三年度の決算説明書では八十五事業あります。十一年度の決算説明書を見ますと、九十一事業になっているわけですけれども、この事業数の差、廃止した事業は何でしょう。

○有留障害福祉部長 平成十一年度から十三年度までの間で廃止した事業でございますが、事業名を申し上げます。
 心身障害者児福祉講座、それから人工肛門・人工膀胱用装具購入費助成事業、ワープロ講習会、身体障害者地域活動育成事業、それから聴覚障害者用字幕つき映画事業でございます。このほか、点字図書給付事業というのがございまして、これは日常生活用具給付等事業に統合されております。さらに、人工肛門等の購入費助成事業も、これは基本的に補装具の給付事業に統合されております。

○大山委員 他の事業にかえているんだというようなことですけれども、本当に充実させていきたいというんだったら、例えば、ワープロ講習会なんていったら時代おくれになっちゃっているわけですから、パソコン講習会にすれば、ちゃんと講習の人は集まるわけですし、日常生活用具で拡大したんだったら、実際、額がふえてきて、決算がふえてきてしかるべきだというふうに思います。
 同時に、それだけの廃止した事業があるわけですけれども、十三年度にさらに終了したものだって、大谷田就労支援ホームや福祉機器サービス拠点整備費の補助などが続いて、盲導犬のえさ代までやめてしまったということですが、この二年間に障害者福祉は大きく後退した、これが明らかだと思いますけれども、これで充実した、障害者福祉は充実したんだといえるわけですか。

○有留障害福祉部長 先ほど十一年度と十三年度の決算額等について申し上げましたけれども、その中には、介護保険制度への移行なども含まれております。さらに、先ほど来申し上げているとおり、心身障害者緊急三カ年整備計画のように、年間四十数億をかけて、三カ年で百二十数億になるわけでございますが、この財政難の中に、地域生活をサポートするための施設整備緊急プランを、緊急整備計画などを出しておりますので、私どもは障害福祉全体は十分に前進させているというふうに考えております。

○大山委員 これだけ大きく額も減らしておいて、緊急整備はそれで着実に進んでいるといったら、そうですか、そうじゃないですよね。進んでいないというふうな質疑がさっきあったわけですよ。それと同じように、きちんと充実したということだったら、当然予算がふえて当たり前じゃないですか。普通、福祉費といったら、普通にしているだけでも予算は当然ふえていく、これは常識ですよね。(発言する者あり)福祉費が、対象者は確実にふえるわけですから、当然普通にしているだけでもふえる、これは当たり前ですよ。それさえもない中で、額まで下がっているというのは明らかに後退だというふうに思います。
 それでは、乱暴だとかという不規則発言もありますから、きちんと具体的に聞きたいと思います。
 福祉改革推進プランは、分野別事業プランというのは充実していく、これが方針ですね。その事業プランというのはどうなっているかということですけれども、その中の一つであります盲聾者通訳、介助者派遣事業、これは十三年は八十二万円不用額となっているんですね。盲ろう者友の会に委託している事業ですけれども、どのような委託契約になっていますか。

○有留障害福祉部長 盲聾者通訳、介助者派遣事業は、NPO法人東京盲ろう者友の会に委託して行っております。その契約内容は、事務費と事業費に分けまして、事業費につきましては、派遣単価千三百五十円に派遣時間を乗じて支払うこととしておりまして、年間予定時間と基準額を定め、年間予定時間を派遣時間が下回る場合には、差額を清算するものとしております。
 十三年度におきましては、派遣予定時間一万九百九十七時間、基準額一千四百八十四万六千円のところ、派遣実績一万三百八十九時間であったことから、その差額分について八十二万八百五十円の不用額が生じたものでございます。

○大山委員 都がお金を出すというのは、約束の一万九百九十七時間分で、それを超えた分は自前ですよということですね。それを下回った場合は払いません、そういうことでいいわけですよね。

○有留障害福祉部長 事業は、予算の範囲内で行われるものでございますから。それから、出来高払いというのは適正な契約だと考えております。
 したがいまして、契約額に対して、基準額に対して実績が伴わない場合は清算していただく、これは当然だと思っております。

○大山委員 盲聾者というのは、もう皆さんもご承知のとおり、目も見えない、耳も聞こえないという方々ですけれども、途中から聞こえなくなったり、見えなくなったりという方も、それから最初からという方もいますけれども、私、本人に、初めて盲聾者の方にお話を伺ったときに、深くて真っ暗な井戸の底に沈んでしまったようだ、そういうふうにいわれたことを今でも忘れることができないわけですね。一人で外に出ることさえ困難なわけです。だからこそ、この通訳介助者派遣というのはなくてはならない事業だというふうに思うわけです。
 今、その派遣を利用している方は五十九人なんですね。五十九人の人が必要に応じて使っているわけです。ですから、年度末にぴったり一万九百九十七時間に合わせるなんていうのは神わざだといっているわけですね。しかし、オーバーしてしまったら会の負担になるということですから、会にそういうお金はないわけですね。
 結果的に、届かなくなったということで不用額が出たということですけれども、オーバーしたら、それぐらいのちょっとの余裕は都が持ちますよというくらいだったら、安心して使えるわけですよ。しかし、オーバーしても払えないから慎重になるわけです。お金がある団体だったら、それほど気にならないことだとはいえるんだと思うんですけれども、そうはいかないわけですね。
 もう一つ心配しているのは、依命通達で、来年度予算は実績見合いですということなんですね。本当はもっともっと必要なのに、削られたらどうしようということなんです。それは、削られたらどうしようというふうに心配するのは、需要がないから不用額が出たんじゃなくて、本当はもっと使いたいんだけれども、制度が、さっきいったように使いにくいから、ちょっと余ってしまったわけですね。
 一万九百九十七時間といっても、五十九人分の一年間なんですね。ですから、単純に割ったら一人一日三十分です。それでは、どうにも外出することだってできませんから、外出なんかのときにお願いするわけですけれども、一回三時間としても、一人当たり一年間で六十二日分しかないわけですね。一年間のうちで約三百日は何もない。社会につながる窓口というのは、この盲聾通訳者を通してしか社会と窓がつながらないわけですね。ですから、もっともっと使いたいんですけれども、超過したら払えないからということで、結局執行残が出てしまう。それをもとに来年度決められたら困るというのは、これは本当に切実な思いだと思うんです。
 十五年度というのは、一万八千七百二十時間というのが、この福祉改革推進プランの中にのっている約束の値ですね。執行残をもって、計画より下げるなんてことはないということでいいわけですね。

○有留障害福祉部長 盲聾通訳派遣事業につきましては、ほぼ福祉改革推進プランの計画に合わせて予算計上しております。今後もプランの達成に向けて努力してまいります。

○大山委員 ぜひ、より一層の充実を、使いやすく、窮屈でない制度でやっていっていただきたいというふうに思います。
 もう一つですけれども、通訳養成講座をやめてしまったということなんですけれども、プランでは、ここにもありますように、派遣時間は十五年度一万八千七百二十時間、十六年度二万三千六百六十時間というふうに、派遣時間数をふやすことになっているわけですけれども、この通訳をふやす必要というのはないんですか。

○有留障害福祉部長 盲聾通訳派遣事業につきましては、十一年度決算額九百五十万円ぐらいでございますが、十三年度決算額におきましては二千百万円強となっております。この数字でもおわかりになるとおり、事業費を二倍以上に増額するとともに、十二年度には、従来、団体の実施事業に対する補助事業であったものを都の委託事業としてきたものでございます。
 この委託事業に切りかえる際の役割分担としましては、都は派遣について委託する一方、団体は養成事業を自主事業として実施していくということにしたものでございます。現在も、友の会において養成が行われているところでございます。

○大山委員 養成に今までは東京都が責任を持っていたわけですよね。今、自主事業だとかといいましたけれども、養成に対して、予算は東京都は出しているんですか。

○有留障害福祉部長 ただいま申し上げたとおり、都の事業としては廃止いたしましたけれども、団体の自主事業として役割分担を図るということで、整理したものでございます。その際に、先ほど申し上げたとおり、派遣事業の事業費を二倍以上に充実させております。

○大山委員 派遣事業は派遣事業なんです。派遣事業をふやしたからといって、養成事業をなくして、それでいいのかということですよね。見えない、聞こえないということは、人によって指文字を手でさわったり、手に書いたり、指点字だったりということでは、一人一人コミュニケーション手段が違うわけですから、その人に合った通訳の仕方を開発して、個々に対応しなくちゃいけないという通訳です。
 ですから、養成はまだまだ必要だということで、友の会は、都からは予算が出なくなっちゃったけれども、どうしても必要なので自前で養成したわけですね。五十人募集したら、百五十人もの方々が応募してくれたんですね。やる気のある人が、そんなにもいるということなんです。せっかくだけど、自主事業で本当にお金がないから、百人もの方々を断らざるを得なかったということなんです。五十人中、四十四人は修了したわけですね。
 全国盲ろう者協会の調査によりますと、東京都のようにこうやって派遣事業がある県、これは必ず養成もきちんと県の責任でやっているんですよ。養成をやってないのは東京都だけだということなんですね。他県から比べたって、東京都がいかに無責任かというのが明らかだと。それで、推進プランに位置づけられているんですよ、拡充するというものなんですよ。そういう事業でも、こういうふうに困った実態なんですよ。プランにのせてあるんだったら、扱いやすい制度とすること、通訳養成を再開することは最低限のことだというふうに思います。
 盲聾者は、見えなくなったり聞こえなくなって、自殺ばかりすることを考えて閉じこもっている方だとか、いまだに座敷牢のようなところにいる方もいます。そういう方々を友の会の方が歩いて見つけ出しているんです。その人に合ったコミュニケーション手段を見つけ出してコミュニケーションする、そうすると、みるみる明るくなっていくというんですね。本当に閉じこもっていた人が、コミュニケーションで通訳の人たちと、社会とつながっていくことで明るくなっていくということですよ。
 現在、盲聾通訳、介助者派遣事業を受けていらっしゃる方は、先ほど申し上げましたように五十九人です。東京都は、手帳の取得状況なんかで、きちんと各区市町村を通じて調べていると思うんですけれども、東京都内で盲聾者、盲と聾の重複障害の方というのは何人いらっしゃるんですか。

○有留障害福祉部長 東京都が平成九年十二月、ちょっと前でございますが、区市町村を通じて行った調査では、全都で九百七人ということでございます。

○大山委員 平成九年の数字でも九百七人ですよ。今十四年ですから、さらにふえているというのは予測がつくわけですけれども、今通訳派遣を受けている方が五十九人ですから、その東京都が把握している人数の、ほんの七%にも満たない人たちなんですよ。しかも、この人たちというのは、会員さんの努力で一人一人探し出しては、救い出したとでもいうような方々なんですね。
 超過したら自腹だとか、使い残したら返せだとかといってるんじゃなくて、会の人たちと一緒に探し出すくらいのことを東京都はやらなければならないんですよ。派遣時間を少し長くしたら養成の予算を削るなんていうのは、同じお皿の中で、こっちのおかずをあっちに持っていく、そういうことと同じようなことだというふうにいえます。こんなことをやっているから、推進プランの事業計画に位置づけられている事業でさえ、充実どころか、現場は大変困っているという状況になっているわけです。
 もう一つ、障害者関係ですけれども、点字図書館に委託した事業ですが、視覚障害者用図書製作貸出事業というのがあります。これは執行率一〇〇%です。しかし、これも十一年度と比較しますと減額されているんですね。十一年度と十三年度の決算はどうなっていますか。

○有留障害福祉部長 視覚障害者用図書製作貸出事業は、視覚障害者に対する点字図書とか録音テープの作成及び貸し出しを、社会福祉法人日本点字図書館に委託して実施しているものでございます。
 この事業の決算額でございますが、十一年度決算額は四千四十四万三千円でございまして、十三年度決算額は二千九百九十二万六千円でございます。

○大山委員 十一年度が四千四十四万、十三年度が二千九百九十二万ということで、一千万程度、約四分の一がなくなっているわけですね。この減額した内容というのは何ですか。

○有留障害福祉部長 減額の主な理由でございますが、平成十二年度末におきまして録音テープの製作貸出事業を見直しまして、定期刊行物である「東京ジャーナル」の製作、貸し出しを取りやめたことなどによるものでございます。
 これをなぜやめたのかという理由でございますが、この「東京ジャーナル」の内容は、他の週刊誌の記事を抜粋した娯楽的なもの、それから、都の事業等の広報などから編集されております。週刊誌につきましては、都内公共図書館においてテープ版が多数貸し出されております。
 二点目、都の広報については、「広報東京都」のテープ版が作成されております。こういうことなどから見直しを図ったものでございます。

○大山委員 「東京ジャーナル」という、今おっしゃった月二回発行していた雑誌ですね、これをばっさり切ってしまったということなんですね。二千五百本ですから、読者がそれぐらいいらしたわけです。その月二回の録音テープを楽しみに待っていた方がいらっしゃるわけですよ。週刊誌だとか雑誌の録音というのは、点字図書館の方もおっしゃっていますけれども、圧倒的に少ないわけですよね。私たちだったら、山のようにすごい種類が出ているわけです、月刊誌も週刊誌も。しかし、いろんな雑誌からの切り抜きだとか「広報東京都」だとかを抜粋した月二回の「東京ジャーナル」、これは本当に貴重な雑誌だったんです。
 私たちは、目で見れば、つり広告なんかでも読んで、大体週刊誌を読んだような気持ちになっちゃうわけですけれども、雑誌だとか週刊誌のたぐい、目が見えない方たちには、声にしなければ、幾ら山のように積んでいたってわからないわけですよね。選べるどころじゃないわけです。選択だとか自己決定だとかいいますけれども、選択する余地もなくなっちゃったということですよね。
 視覚障害者は、情報のバリアをなくしたい、これが一番のことです。それは、目で見える、私たちがちゃんと目で見て認識できるものは、目が見えなくたってわかるようにする、これが情報のバリアをなくすということじゃないんですかね。近づける努力が行政の努力だというわけです。二千五百本つくっていたということは、それだけ読者がいらしたわけですから、廃刊になってもかなり問い合わせが続いたということですね。(「どこに」と呼ぶ者あり)点字図書館に。ですから、東京都がさらにバリアをつくってしまったということにほかならないということです。
 次ですけれども、これも推進プランにあって、しかも緊急三カ年計画にも入っている、先ほども質疑がありましたけれども、生活寮のことです。福祉改革推進プランにおける主な事業プランの状況というのを、資料で六ページから一覧表で出していただきました。生活寮は、知的障害者が地域で生活するためにはなくてはならないもの、これはそのとおりですね。しかし、十三年度の計画は十九カ所に対して九カ所ですね、半分です。全体の整備状況を見ても、二百三寮というわけですね。先ほど、区市町村が消極的だったから少なかったんだというふうにご答弁の中にもありましたけれども、つくりたいというふうに思っているんだけれども、大変な状況があるわけです。
 とりわけ区部の整備はおくれているわけですけれども、例えば、うちは新宿ですけれども、親の会の方たちが一生懸命探しているわけですよね。しかし、借りられる建物、ああ、ここはいいかなと思っても、高くて折り合わないというのが、こっちもそうだし、あっちもそうだということで、本当に苦労されているわけです。本人はどうかといったら、ほとんどの方が作業所の労賃、それから年金、福祉手当くらいしか収入がないわけですから、家賃と光熱水費を払うとマイナスになってしまう。これでは、家賃は自己負担だという生活寮にはなかなか入居できないわけですね。
 区部でも設置を促進させて、障害者が地域で生活できるようにするためには、家賃補助だとか、二十三区での整備を促進するために、例えば借り上げのための助成をすることなどが必要だと思いますけれども、どうですか。

○有留障害福祉部長 生活寮につきましては、先ほどお答えしたとおり、自立を目指す障害者が地域で生活できるよう、さらに生活寮の一層の設置促進策について検討してまいります。

○大山委員 ぜひ家賃補助だとか、整備を促進するための借り上げの助成なども検討をしていただきたいというふうに思います。
 重度生活寮も望まれているんですけれども、五カ所の目標で三カ所だと。先ほど、本格実施二年目だったからいろいろ理解がされていないんだとかというお答えがありましたけれども、モデル実施を始めたのは平成九年ですから、四年たっている年なわけですね。で、いまだに合計しても九カ所しかないと。十二年度の執行率はどうだったといったら二〇・二%、十三年度は、八二ページにもありますように三九・九%、ともに執行率は低いわけです。重度の方でも地域で生活できるようにするというのは本当に重要だと思いますし、都独自の重度生活寮というのは、きちんと体制をとってということで、設置促進というのはさらに進めるべきだというふうに思います。
 同時に、実際、現在の生活寮に重度の人が入居しているというところも結構あるんですね。世話人さんは、家族もろともかかわって苦労されているところもあるわけです。ノーマライゼーションだという理念からいっても、重度障害者、最低四人いなきゃいけませんよということをきちっとやるのも--じゃなくて、重度生活寮、東京都の制度もいいんですけれども、それだけじゃなくて、重度の方も軽度の方も一緒に生活できるように、重度生活寮の独自の促進とともに、実際に入居しているところには重度加算で改善していく、これが、より現実的な改善であり、設置を促進するというか、重度の方も生活寮に入れるためには必要なことだと思うんですけれども、どうですか。

○有留障害福祉部長 東京都は、重度知的障害者の居住の場として、一般の生活寮よりも世話人体制を充実させた、ご指摘の重度知的障害者生活寮制度を独自に設けて整備を進めているところでございます。来年度から実施される支援費制度では、障害者がご自分で事業者を選択して、利用に当たりましては、障害程度区分に応じた支援費が支給されます。
 したがいまして、重度の知的障害者が一般の生活寮を利用する場合にも、現在の国の重度加算に相当する支援費が支給されることになります。ただし、重度知的障害者が自立生活を送るためには、やはりそれなりの充実した処遇体制が必要でございます。
 したがいまして、都としては、今後とも重度知的障害者生活寮の設置促進を図ってまいりたいと考えております。

○大山委員 重度生活寮を設置していく、促進していくということを否定しているわけじゃないんですね。それも重要だし、より現実的な対応として、もっと改善できることがあるんですよということで提案しているわけですけれども、例えば支援費で、今度は都加算じゃなくて、国の支援費制度では重度加算があるんですとおっしゃるわけですけれども、その支援費では、重度加算というのが一人当たり一カ月幾らで、今の重度生活寮では一カ月当たり幾らなんですか。

○有留障害福祉部長 東京都では、一般の生活寮は八万九千円、重度生活寮につきましては一人月額二十一万円という形で重度加算を行っております。
 支援費制度においては、中軽度者が一月六万七千三百七十円、重度者は十三万四千七百四十円でございます。ですから、先生ご指摘のように、国制度における支援費の重度加算で重度障害者を十分に対応できるような処遇体制は、ちょっと不十分かなというふうに考えております。

○大山委員 今おっしゃったとおりだと思うんですよ。支援費制度の今の国の想定している重度加算では、重度の方が入ったら不十分だというのは、これは認められたとおりだと思うんです。だからこそ、現在入っている現実的な対応として、東京都もきちんと重度加算をしていくという立場に立つべきだと思います。
 充実していくというふうに位置づけたわけですから、実質的に促進することをしていかなきゃいけないと思います。生活寮もさらにふやしていく必要があるし、ほかの緊急三カ年のを見てみますと、この表でいただいたように、まだまだ不十分だということも、ゼロカ所とかというところもあるわけですよね。
 ですから区市町村も、私たちも区市町村にアンケートしたわけですけれども、その区市町村からの声でも、やはり緊急三カ年というのはなかなか準備が、東京都にいわれてすぐ、自分のところで準備ができるわけじゃないから、どうしてもずれていくわけですよね。だからこそ、もうちょっと、緊急三カ年で終わっちゃうんじゃなくて、もっと同じようなことを引き続いてやってほしいという声は、あちらこちらから出ていたわけですね。
 ですから、区市町村の準備からいっても、準備ができないからおくれちゃうんじゃなくて、きちんと準備ができるように、早目に、もうちょっと余裕を持って、緊急整備三カ年計画と同じような状況を継続しますよというようなことを東京都が表明すれば、区市町村もそれなりに対応できるというふうに思いますけれども、どうですか。

○有留障害福祉部長 ご指摘の計画の延長ということでございますが、今年度は三カ年計画の二年目でございまして、都は、区市町村などと連携して、計画達成に向け整備促進に全力で取り組んでいるところでございます。しかしながら、十五年度から支援費制度が導入されるということで、地域生活を支えるサービス基盤の一層の拡充が重要であることは認識しております。
 そこで、先ほども申し上げたとおり、新たに必要な施策について検討を進めてまいりたいと考えております。

○大山委員 ぜひ、区市町村の意見も聞きながら進めていっていただきたいというふうに思います。
 これも推進プランにある事業ですけれども、鉄道駅エレベーター等整備事業というのがあります。資料では、十二年度は十四駅、十三年度は二十駅というふうになっているわけですけど、これは実績ですね、それぞれエレベーターは何基ついたんでしょう。

○反町生活福祉部長 高齢者、障害者を含むすべての都民が円滑に社会参加できる環境を創出するため、都は、平成八年度から鉄道駅エレベーター等整備事業を実施しております。
 整備状況でございますけれども、十二年度は、計画数十八駅に対しまして十四駅、そのうちエレベーターの設置数は六駅、九基となってございます。十三年度は、計画数二十三駅に対して、実績は二十駅、エレベーターが十四駅、二十七基となってございます。

○大山委員 九基と二十七基ということで、徐々にふえているということはわかるんですね。例えば新宿駅を見ますと、全国的にも大きなターミナル駅なんですね。でも、ホームに行こうというときに、一つもエレベーターがないんです。エスカレーターは今ついてきましたけれども、エスカレーターというのは、車いすの方なんかが乗ろうとするときは、とめて乗らなくちゃいけないということでは、障害者の方本人も非常に心苦しいという状況になりますので、やはりエレベーターというのは、自力で移動するためにはかなり重要な設備だと思います。それがホームにつながるものが一つもないということは、都庁のある前で、ちょっと情けないかなというふうに思うわけです。
 ホームが十四番線まであるんですね。ですから、西口や東口などのフロアがありますね、南口の高さ、それから新南口というふうに層が三つになっているわけですね。そうすると、ざっと数えまして、素人計算ですが、十七基は必要かなというふうに思うんです、最低でも。
 この駅の大変なところは、駅と周辺の管理状況が、JRを初めとして事業者が六者もあるんですね。それにくっついているのが甲州街道だとかの国道、それから西口広場だとか、その広場は東京都の建設局という土地ですから、管理の関係が非常にふくそうしているというところなんです。西口のバリアフリー化が、バスターミナルのところがようやく今度エレベーターがつくということになったわけですけれども、これも東京都が積極的に検討会を立ち上げて、各事業者と協議を進めていったものですから前進したわけですね。
 新宿区は、基本構想をつくるというふうにしているわけですけれども、管理者がふくそうしているだけに、せっかく調査して、こうやってつくっていこう、二十二年までには、みんな駅にエレベーターをつけるんだよということで国でも決まっているわけですけれども、せっかくつくった基本構想を実現させるためには、たくさんいる事業者だとか国とか東京都との話し合い、調整というのは、不可欠というか、かぎになると思うんですね。ですから、積極的に東京都が、福祉のまちづくりという観点からいっても、調整していく役割が求められていると思うんですけれども、どうですか。

○反町生活福祉部長 JR新宿駅ホームのエレベーター整備についてでございますが、新宿区が、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律、いわゆる交通バリアフリー法でございますが、これに基づく基本構想を策定する中で、新宿駅の特性ですとか、あるいは事業者等の意向なども考慮して検討されるべきものであるというふうに考えております。
 今後とも、新宿区や鉄道事業者等との連携を図りながら、都としても一定の役割を果たしていきたいというふうに考えております。

○大山委員 ぜひ積極的にやっていただきたい。都内だけじゃなくて近県からも含めて集まる駅ですので、よろしくお願いします。
 シルバーパスを全面有料化したとき、交通の問題がありましたけど、局は見直し後の交付者数の推計を出していましたけれども、どういう数でしたか。

○福田高齢者部長 平成十一年度見直しの時点での試算の推計でございますけれども、そのとき、平成十二年度の発行枚数を八十六万二千枚、平成十五年度は九十七万八千万と推計しております。

○大山委員 平成十五年度の発行者数が九十七万八千人というふうに推計しているわけですね。いただいた資料で、一四ページにシルバーパスの発行枚数が書いてあります。十三年度で、購入している方が七十三万四千七百七十五人ですね。この人数というのは、十一年度から見ても減少しているわけです。ということは、十五年度はさらに減少する可能性の方が高いというふうに思うわけですけれども、推計との違いをどのように見ておられるでしょう。

○福田高齢者部長 平成十一年度のときの推計でございますけれども、この際は、平成十一年度において、制度改正によるパス発行率への影響を見込むことが困難であったために、千円パス及び経過措置、五千円、一万円、一万五千円という経過措置をたどるパスにつきましては、七十歳以上の対象人口のうちの無料パスの交付率を乗じて算出しました。また、二万五百十円のいわゆる有料パスにつきましては、それまでの交付実績から算出したものでございます。
 しかしながら、そういったパス発行率への制度改正の影響を見なかったんですが、現実には、無料パスの場合は郵送で送るとか、あるいは民生委員によって直接配布するとか、そういった形で配られておった面があったわけですけれども、制度改正後、地域の窓口へパスを利用したいという方が発行を求めに行くという形に変わりましたので、真にパスを利用する意思のある方がパスの発行を受けたと、そういうことで七十四万枚程度の数字になったと考えております。

○大山委員 今おっしゃったように、制度改正の条件を加味しなかった、こういうことだと思うんですよ。さっきから不規則発言がありますけれども、老人福祉手当を受けている方には十一年度からは渡していなかったわけですから、実績というのは当然比較するべき対象だというふうに思っています。ですから、今ご答弁の制度改正の条件を加味しなかったということだと思いますし、二年間続けて減少しているということ自体、問題だと思うんです、高齢者人口はふえますから。
 二年間続けて減少しているわけですけれども、新たにシルバーパスの対象になる人、今ご答弁でありましたけれども、お知らせがとか、そういうことをおっしゃるわけですけれども、発行枚数、それから、きちんと漏れをなくすということから見ても、新たにシルバーパスの対象になる方一人一人にお知らせするなど、確実にきちんと届けていく、パスの利用につなげていくということは必要だと思うんですけれども、どうですか。

○福田高齢者部長 十月以降の新規対象者への広報につきましては、東京バス協会及びバス事業者において、バス車内、駅のポスターの掲示板等をふやすなど、積極的なPRを行っております。
 また、多くの区市町村の協力を得まして、七十歳以上を対象とした通知ですね、いろいろございますが、そういったものを送付する際に、シルバーパスのお知らせを同封していただいたりしております。これにつきましては、各区市町村に対して大変感謝しております。

○大山委員 今、多くの自治体でというふうにおっしゃいましたけれども、やる前は、民生委員さんが顔を見ながら届けにいったりということも含めてあったわけですね。ですから、どの自治体でもそのように一人一人にお知らせできるようなことを相談しながら、ぜひ進めていっていただきたいというふうに思います。
 それにしても、七十歳以上人口の伸びというのは、十一年度と十三年度を比較すると一・〇九倍なんですね。千円のパスと経過措置の方々は、十一年度と比べると八八%にまで落ち込んでいます。とりわけ、経過措置で五千円、一万円というふうに値が上がっているところは、十二年度と比べても三万一千百一人も減って、約七六%になってしまいました、一年間で。非課税者の千円もそうですけれども、やはり負担感が大きいということなんですね。生きがいだとか寝たきりを予防するということが今本当に求められている中で、そういう観点からいっても逆行しているということが、ますます決算でも明らかになったというふうに思います。抜本的に再検討することが求められます。
 次に、介護保険の問題です。十三年度決算説明書の九二ページに、介護保険給付費負担金の不用額が約七十四億円、十二年度の決算書を見ますと約三十一億円なんですけれども、これは区市町村と負担率が同じですから、区市町村に使い残しがあるというふうに思いますが、区市町村には幾ら残っていますか。

○野村保険部長 今のお話でございます、介護給付費総額に占めます区市町村の一般財源からの負担割合は都道府県と同率でございまして、一二・五%でございますので、東京都で現在七十四億出たということは、推計いたしますと、都内六十二保険者全体で、都と同額の七十四億円程度の不用額が発生しているのかというふうに推計しております。

○大山委員 そうしますと、十三年度で七十四億円、そして、十二年度から積み立てというか区市町村は介護保険会計ですから、合わせると、十二年、十三年で百五億円が残っている、積み立てられているというふうになるわけですね。来年は三年ごとの見直しの年で、新しい計画をつくるというときですけれども、介護保険の保険料設定のパターンを東京都は三つ示しているわけですけれども、その三つの中の一番低く設定したものというのは、どういう前提で設定されていますか。

○野村保険部長 介護保険の保険料の設定につきましては三パターンございまして、まず、保険料Ⅰ、保険料Ⅲ、保険料Ⅲという区分がございます。個別にちょっとご説明しますと、保険料Ⅰからご説明した方がわかりいいのでご説明しますと、保険料Ⅰというのは、これがベースになりますけれども、当該区市町村における向こう三カ年間のサービス費用から利用者負担等、これは大体一割ですけれども、除いた介護給付費等見込み額に対しまして、次期の保険計画ですと一八%、今回ですと一七%ですけれども、一八%を乗じまして、それを第一号被保険者数で割った額が保険料Ⅰでございます。これがベースになりまして、保険料Ⅲというのは、この保険料Ⅰの算定根拠に、さらに区市町村による特別給付費等を加えて算出いたします。
 それから、ご承知かと思いますが、ご質問の保険料Ⅲでございますけれども、保険料Ⅲにさらに財政安定化基金からの借入金の償還、これは借金の返済でございます、それから、あと剰余金ですね、これは準備基金からの取り崩し、これを加味して保険料額を算定いたします。
 ちなみに、一番低いのはどれかというお話ですけれども、一概にどれが一番低いとはいえませんけれども、剰余金を取り崩してそれを算入するということになりますと、保険料Ⅲが一番低くなろうかというふうに考えております。

○大山委員 今、三番目に設定したのは、保険料の積み立てているのを取り崩しながらということの設定なわけですね。今後、もちろんサービスが伸びていくわけですから、積み立ててあるものを全部使ってしまおう、取り崩そうなんていうことはできないというふうに思うんですけれども、保険料の設定というのは、自治体の努力で、自主的な判断でできるということでいいわけですよね。

○野村保険部長 保険料につきましては、これは各区市町村が介護保険事業計画、今策定しておりますけれども、これに基づきまして算定いたしまして、各条例によりまして定めるということになっております。
 ただ、その際に、この事業計画の策定に当たりましては、今先生からもお話がありましたけれども、当該区市町村の介護サービス基盤の整備状況、それから住民の方のサービス利用希望の状況、こうした地域の実情に合っているかどうか、これがまず一点。
 もう一点は、保険料の設定につきましても、剰余金があるから全部崩していいということにはなりませんで、長期的な視点に立って、介護保険制度の健全かつ安定的な運営に資することができるように給付と負担が均衡しているかどうか、こうした点に配慮した上で、都と区市町村で十分協議して設定する、こういうことになっております。

○大山委員 区と都と協議をするということですけれども、自主的な判断というのは、やっぱり基本のというか、保険者ができるということでいいわけですよね。

○野村保険部長 最終的な決定は条例に基づきまして決定いたしますけれども、その際に、私どもは、事業計画を区市町村がつくる、それから、その支援計画を東京都がつくるということからいいますと、広域団体としての東京都が必要な助言と指導はすべきだろうというふうに考えております。

○大山委員 保険料の設定ということでは、相談したり、具体的にもっと充実させるためにはどうしていくのかという相談は、本当に十分していただきたいと思います。しかし、そうはいっても、今の保険料の負担というのは、年金だけで生活している方々にとっては本当に重くのしかかっているわけですよね。だからこそ、各区市町村が保険料の減免に踏み出しているわけです。
 私たちの調査によりますと、十九区十三市が、この夏の段階でも、独自に努力をして保険料減免に踏み出しています。こういうふうに各自治体で頑張っているときだからこそ、もともとの保険料を抑える努力というのは、やはり基本的に求められることだというふうに思っています。
 同時に、都としても保険料減免に踏み出すことと、減免を実施している区市町村への支援をすること、また、より使いやすくするための利用料の減免と、やはり実施している区市町村への支援を強めることが求められています。
 今、るる十三年度の決算を見てきたわけですけれども、十二年度の福祉の切り捨てで特養の補助を含めて削減されたのが、十二年度、十三年度を累積しますと五百八十八億円になります。痛みは非常に大きなものとなっているといわざるを得ません。これらの経済給付的な事業をもとに戻すと同時に、幾つか提案もさせていただきましたけれども、福祉の全体を拡充する方向で努力することこそ求められていることを述べて、終わりにします。

○執印委員 それでは、子どもの権利擁護委員会に関連して質問させていただきます。
 一九八九年に、国連で子どもの権利条約が採択をされました。これは、二十世紀にあった二つの大きな戦争の中で、一番弱い子どもたちが犠牲になってきたという深い反省のもとに採択されたものというふうに伺っております。この条約では、子どもを、保護される対象から、一人の人間として権利を行使する側へ位置づけるという内容のものとなっており、大変画期的であると思います。
 日本は一九九四年にこれを批准いたしましたが、国内法の整備などはまだされておりません。その中で、東京都は前知事の時代に、子どもの権利条例の制定の方向を打ち出し、個別の事例に具体的に対応していこうということで、この子どもの権利擁護委員会を施行されたというふうに伺っておりますし、その取り組みを大変評価しております。
 その後、子どもの権利条例については足踏み状態になっているようですが、先ほども質疑がありました、施設における子どもの権利侵害の状況には大変に胸が痛みます。そういう、親と一緒に暮らせないで施設に行った子どもたちが、そこでそんなにひどい虐待に遭ったときに、一体だれを信じて生きていったらいいんだろうか、人間を信じることができるようになるんだろうかというふうに胸が痛みます。それは、職員の皆さんもきっと同じであろうと思います。
 質問させていただきますが、平成十年度に、この子どもの権利擁護委員会が施行されてからの電話相談の実績をまず伺います。

○笠原子ども家庭部長 平成十年十一月の試行開始から平成十三年度末までの三年五カ月間にわたります総相談件数は、四千六百八十八件となってございます。このうち、いじめ、体罰、虐待等の権利侵害に関する相談、いわゆる権利擁護相談でございますけれども、全体の約三割に当たる一千四百六十五件、残りの約七割に当たる相談は、学校及び家庭等における悩み事の相談がほとんどだと、こういう内容になってございます。
 それから、権利擁護相談のうち、調査、調整あるいは指導が必要な困難事例として、子どもの権利擁護専門員に引き継がれた事例は百五十四件でございます。内容別に見ますと、一番多かったのがいじめで四十二件、次いで体罰の十七件、虐待の十一件、こんなふうになってございます。

○執印委員 いじめの相談が多いということと、体罰、虐待というのもあって、日本の子どもは飢餓も戦争もなくて幸せだというようないわれ方を片方でされているわけですけれども、現実の場面では、本当にいろんなことを抱えながら生きているんだということがわかると思いますが、重ねまして、これまでの相談の特色ですね、これをお伺いいたします。

○笠原子ども家庭部長 全相談件数を相談者別に見てみますと、子ども自身からの相談が多くて、全体の八割を占めております。次いで母親等からの相談が多い、こういうふうになってございます。
 それから、権利擁護相談千四百六十五件につきまして、これを内容別に見てみますと、多くが、学校における友達からのいじめ、あるいは先生からの体罰等の相談というふうになってございます。また、その中の権利擁護専門員が取り扱った事例について見ても、約六割が学校における事例となってございまして、学校にかかわるものが多い、こういう特色が挙げられます。

○執印委員 ありがとうございます。
 先日、決算委員会の中で、教育委員会にいじめの発生件数のデータを私もお願いしたわけですが、これによりますと、これは文部科学省の調査で、東京都の公立学校のいじめの発生件数ですが、平成六年度がピークで、この年が六千五十六件、これは小学校、中学校、高校合わせてこういう数字になっておりますが、少しずつデータの上では減ってきておりまして、平成十二年度になると、合わせて千八百七十三件、それから平成十三年度には千三百三十件。
 この二年を見ても、その調査によるいじめというのは三〇%ほど減っているというふうに思いますが、今お話もありましたし、私もデータをいただきましたが、この子どもの権利擁護委員会に来ている相談のうち、いじめに関しては、立ち上げの年は七十六件と。これは一年間の実施ではないということもあって低かったんだと思いますが、その後、十一年、十二年、十三年と、二百十三、二百四十八、二百三十二と、その相談の件数というのは、文部科学省が調査したものに比べると、決して相談の件数の割合は減っていないというふうに思います。
 そこで、この権利擁護委員会の重要性、それから、この相談を受けたときの対応の重要性というのが、またとても大きなものだと思いますが、権利侵害に関する相談に対して、福祉局としてはどのような対応をされているのでしょうか。実際に子どもの権利擁護委員会の方が対応されていると思いますが、その内容についてお話しください。

○笠原子ども家庭部長 子どもなどからかかってきた相談の電話は、まず専任の電話相談員が受けます。大部分は、その助言により終了しております。電話相談員が調査、調整あるいは指導が必要な困難事例というふうに判断した場合は、弁護士等の権利擁護専門員に引き継がれます。困難事例として権利擁護専門員に引き継がれた事例は、専門的な立場からの助言、あるいは親などを交えた面接等によりまして解決を図っているということでございます。
 それから、学校や施設でのいじめや体罰などで、本人や親などへの助言、面接等の対応に加えまして詳細な調査が必要なものは、東京都の教育委員会に対します調査依頼、あるいは児童相談所、施設等との調整などを行いまして、子どもにとって最善の解決方法が図られるように対応している、こういうことでございます。

○執印委員 これも先日、教育委員会関係の質疑の中でもお話をさせていただきまして、私もいじめが原因の自殺というふうには決めつけておりませんけれども、十九歳以下の自殺は、平成九年度から平成十三年度で、東京都で合わせて二百八十四名、そのうち十五歳以下の自殺が、平成九年三人、平成十年十六人、平成十一年十六人、平成十二年六人、平成十三年八人というふうになっておりますが、その中でも、十二歳以下の自殺というのがありました。これは恐らく中学一年生以下の子どもなのかなというふうに思うんですが、十二歳以下が平成十年で三人、平成十一年で三人、平成十二年で二人というふうに、みずから命を絶った子どもさんというのがいるわけです。
 少子化の時代でもありますし、せっかく生まれた子どもが、みずから命を絶つことがないように、こういった相談のメニューというのをぜひ大切にしていただきたいと思います。何よりも子どもに先立たれるというのは、親にとって一番つらいことだと思いますが、その中でも、みずから命を絶つということは、本当にどう表現のしようもない悲しい出来事だというふうに思います。
 それで、先ほど、詳細な調査が必要なものは東京都の教育委員会にも調査を依頼している、子どもにとって最善の解決方法が図られるよう対応しているというお話でございましたが、教育委員会でも、今後とも、子どもの権利擁護委員会から対応を依頼されたいじめ等の問題についても、速やかに適切な対応をしていくという、そういったご答弁をいただいておりますので、局をまたいで、子どもの権利のために全力を尽くしていただきたいと思います。
 次に、虐待についてお尋ねをいたします。
 先ほど、施設での虐待のやりとりもございまして、私も感想を述べさせていただきましたが、十三年度におきます児童虐待の相談件数と、それに対する対応の状況をお尋ねいたします。

○笠原子ども家庭部長 都内の十一の児童相談所への児童虐待の相談件数でございますけれども、昨年度二千四百九十一件でございまして、十二年度に比べまして約五百五十件の増加となってございます。
 これに対します対応といたしましては、虐待を受けた子どもを親元から切り離しまして施設などへ入所させたものが、約一割弱の二百十五件、施設入所に至らないで、家庭で児童相談所の児童福祉司などが親やその子どもの指導を行う、いわゆる在宅指導でございますけれども、これが約千八百件になってございます。
 また、通報の中には、調査の結果、虐待でなかったものがかなりございまして、昨年度では四百三十一件と、通報の約一七%を占めてございます。

○執印委員 いろんな関心が高まってきた中で、虐待でなかったものもあるということではありますけれども、全体としては相談の件数がふえているということです。
 それでは、十三年度におきまして、児童虐待対策として新たにどのような取り組みをされたのか、お伺いいたします。

○笠原子ども家庭部長 十二年の十一月に児童虐待防止法が施行されたことなどから、児童虐待に対します社会の関心の高まり、こういったことによりまして児童虐待の通報件数、これが十三年度大幅に増加したというふうに私ども見てございます。
 こうした状況を踏まえまして、児童虐待に対してどういった対応をすべきか、そのための有効な対応策を検討していくためには、まず実態を把握することが重要であろうというふうに考えまして、昨年の十月に、都内十一カ所の児童相談所で取り扱った全事例につきまして、児童虐待の発生のメカニズム等を実証的に分析した児童虐待白書、こういったものを作成いたしました。
 それからまた、虐待問題に総合的に取り組んでいくためには、地域の関係機関などが相互に、緊密に連携を図りながら対応していくことが大切でございまして、そのためには、身近な区市町村を中心とした関係機関のネットワークづくりが重要であろうというふうに思っております。
 このために、児童虐待防止ネットワーク事業をモデル的に、豊島区と立川市の二つの区市で実施をいたしました。その中で、地域の中での児童虐待の早期発見と早期対応を行うための連携マニュアル、こういったものをまず昨年度作成いたしました。そのほかにも、虐待を行った親や虐待を受けた子どもへの指導あるいは支援の充実を図るために、児童相談所に精神科医を配置したり、あるいは一時保護所に非常勤の心理職員の配置をする、こんなことも実施いたしました。

○執印委員 平成十三年度には児童の虐待白書をつくり、連携マニュアルをつくり、そして精神科医の配置ですとか非常勤心理職員の配置ということで、具体的な施策を優先して着々と進められているということについては評価をいたします。
 その上で、私、二つお願いがあるんですけれども、一つは、私も子育ての経験がありますが、この子育てというものは三百六十五日二十四時間営業なものですから、非常に過酷なんだと思います。それで、核家族になりましたから、困ったときにすぐ、どうしたらいいのというふうに聞ける人もいない。
 私どももいろんな調査をした中で、今は母親が中心のことが多いわけですけれども、何が一番子育てで求められているかというと、配偶者の協力なんですね。こういうことが一番おくれているわけで、子育ては楽しいだろうといい切れる方は、一回、自分で子育てしてみたらいいと思うんですけど、そういう微妙な感じというのがわからなかったら、自分の子どもをなぜ虐待するんだということの解決は、本当にはできないだろうと思います。
 それで、私は、その子育ての中へ子どもの権利の視点を入れることが必要だという中で一番最初に申し上げましたけれども、子どもの権利条例の制定というのが本当に必要だというふうに思っております。今、川崎市でできておりますし、東京都の中では世田谷区が子ども条例というのをつくりました。それから、現在、日野市とか小金井市で検討されております。また、都以外では多治見市が子どもの権利条例の検討をされ、埼玉県では子どもの権利擁護委員会の条例ができました。
 北海道の奈井江町というところで、平成十四年の四月一日から子どもの権利に関する条例というのが制定をされております。これは十八条から成る条例ですが、基本理念としては、「町及び町民は、奈井江町の子どもを育てるにあたり、子どもの権利を尊重し、子どもの幸福を追求する権利の保障に努めるものとする。子どもは、その権利が保障され、豊かな人間性を養うことにより、自らを律し、主体的に判断してその責任を果たし、自分らしく生きることを支援される。町及び町民は、すべての子どもが幸福に暮らせる町づくりをめざし、子どもと協働する。町民は、安心して子どもを育てることができるよう支援される」。
 町民の役割としては、これは第五条にあるんですが、「町民は、自らが子どもの成育に大きく関わっていることを理解と自覚をし、子どもの権利保障と子どもが幸福に暮らせる町づくりに努めるものとする。保護者は、子どもの成育に第一義的責任を有し、家庭が子どもの人格形成に大きな役割を果たしていることを理解し、子どもを育てることに最善を尽くすとともに、子どもの権利の保障に努めるものとする。」ということで、あとは子どもの生きる権利、子どもの育つ権利、子どもの守られる権利、子どもの参加する権利などがうたわれております。
 それで、東洋大学の森田明美先生が奈井江町に行って、子どもたちにこのことについて聞いてみましたところ、クラスの中で五、六人しかこの条例を知っている子はいなかったということのようですけれども、親は何といってるのというふうに聞いたら、町が子どものことを考えてくれる条例をつくってくれてよかったねといっていると。
 それから、子どもたちに、じゃ、そういうものができたけれども、困ったときはどうすればいいと思うのというふうに聞いたところ、子どもたちは、町長に手紙を書けばいいんだよというふうにいっていたそうです。
 それで、このことは、条例をつくったからといって、きょうとあしたが百八十度変わるなんていうことは、もちろんどんな条例でも考えられないことですけれども、この奈井江町の子どもたちの話を聞きますと、大人の親の側は行政に対する信頼感を持ち、子どもたちは大人社会に対する信頼感というのを持ったんだというふうに、私はこの話から考えます。
 それで、条例と施策が両輪として進められることが何よりも大事だと思いますし、こういうふうにお話をさせていただくのは、例えばドメスチックバイオレンスの防止の法律ができて、東京都の条例の中でもそのことをうたっていくということに関して、ドメスチックバイオレンスはいけないという、そのことがまず都民に伝わっていくわけですね。それが何よりも重要なわけです。世間では「ドメオ」というような新しい言葉もできて、暴力を振るう男はドメオと今は呼ばれているようですけれども、そういうようなことも含めて、条例をつくるということの意義はとても大きくあるというふうに考えております。これが私のお願いの一点目です。
 二点目は、現都知事は、子どもはしかられる権利もあるというふうに、以前、本会議で答弁されたというふうにも伺っておりますが、非常に現状認識が足りないと私は思います。先ほど来、施設の中での虐待の問題、それから、実際にこれだけの相談件数があるということを考えたときに、きちんと現状認識をされるべきだし、そのために、職員の皆さんから、現実をきちんと私は話していただきたいというふうに思います。昔昔の育児環境のことだけで今の育児環境を語ることはできませんし、育児をしたこともない人たちが一方的に育児について考えた中で物が進められることは、大変危険だと思いますので、これはお願いをしておきます。
 ここまでは私の意見とお願いでございますが、最後に、川崎福祉局長にお尋ねしたいんですが、いろいろ質問をさせていただきましたが、いじめの問題ですとか、虐待の問題ですとか、子どもたちの命にかかわるものについては、お互いに知恵と愛情を出し合って、子どもの命を守ることに全力を挙げていきたいというふうに思いますが、局長のご決意をお伺いしたいと思います。

○川崎福祉局長 子どもに対する施策というのは、私どもの福祉局にとって、これから最大のものに、重要な課題になるというふうに私は認識しております。ただ、権利権利というのはどうかなという気もしておりまして、私どもとしては、具体的施策の中で、子どもの育成について支援をしていきたいというふうに考えています。
 また同時に、先ほど先生方からもいろいろ出ておりますけれども、やはり地域、区市町村でもっともっとこの点についての努力をしていただきたいと。今までは、どうしても子どもというと保育園が中心でしたけれども、それでは子ども支援ということについて十分ではないと思っていますので、我々としては区市町村の子育て支援について十分支援していくつもりでございますので、区市町村の方にも、もっともっと力を入れていただきたいというふうに思っています。

○執印委員 ありがとうございました。
 権利の問題が出てきたので……。これで終わりにしようと思ったんですけど、権利のことですね。
 まず、子どもに権利権利というなというような議論、ここが、子どもの権利の問題を考えるときに一番ひっかかる部分なんですけれども、一番最初にお話をしたように、子どもも、保護される対象から一人の人間として、権利を行使する人として位置づけられたというのが、この子ども権利条約の精神だというふうに思います。そこは、もちろん権利があれば(「義務もある」と呼ぶ者あり)権利と義務は一つじゃないんです。権利があって行使したことについて、自分が判断して自分で決めたことについて、そのことについて子どもは責任を持つ必要があると私は思いますが、ただ、責任があるんだから権利を行使するなという、その議論そのものが基本的に間違っているわけなんです。
 それから、子どもについては法的な義務というのは課せられておりませんので、そのことを少し整理して考えていただくようにお願いをいたしまして、質問を終わります。

○坂口委員長 ほかに発言がございますでしょうか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 本件に対する質疑はこれをもって終了したいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○坂口委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時五十一分散会

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