各会計決算特別委員会速記録第三号

平成十三年十一月十二日(月曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 三十名
委員長小山 敏雄君
副委員長東野 秀平君
副委員長宮崎  章君
副委員長馬場 裕子君
理事織田 拓郎君
理事いなば真一君
理事高島なおき君
理事吉野 利明君
理事大塚 隆朗君
理事大山とも子君
中屋 文孝君
高橋かずみ君
大西由紀子君
初鹿 明博君
小磯 善彦君
野上じゅん子君
萩生田光一君
林田  武君
山口 文江君
清水ひで子君
三宅 茂樹君
相川  博君
古館 和憲君
丸茂 勇夫君
前島信次郎君
星野 篤功君
花川与惣太君
木内 良明君
桜井  武君
尾崎 正一君

欠席委員 一名

 出席説明員
出納長大塚 俊郎君
教育長横山 洋吉君
知事本部長田原 和道君
総務局長大関東支夫君
財務局長安樂  進君
主税局長安間 謙臣君
生活文化局長高橋 信行君
都市計画局長木内 征司君
環境局長赤星 經昭君
福祉局長前川 燿男君
衛生局長今村 皓一君
産業労働局長浪越 勝海君
中央卸売市場長碇山 幸夫君
住宅局長橋本  勲君
多摩都市整備本部長石河 信一君
建設局長山下 保博君
港湾局長川崎 裕康君
大学管理本部長鎌形 満征君
警視庁総務部長岩橋  修君
消防総監杉村 哲也君
選挙管理委員会事務局長南  靖武君
人事委員会事務局長高橋  功君
監査事務局長中山 弘子君
地方労働委員会事務局長大久保 隆君
収用委員会事務局長有手  勉君
議会局長細渕  清君
副出納長小泉 克君
副出納長宮原 恒男君
出納長室会計制度担当部長中路 有一君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について(質疑)
・一般会計決算
・特別区財政調整会計決算
・地方消費税清算会計決算
・小笠原諸島生活再建資金会計決算
・母子福祉貸付資金会計決算
・心身障害者扶養年金会計決算
・中小企業近代化資金助成会計決算
・農業改良資金助成会計決算
・林業改善資金助成会計決算
・沿岸漁業改善資金助成会計決算
・と場会計決算
・都営住宅等保証金会計決算
・都市開発資金会計決算
・用地会計決算
・公債費会計決算
・新住宅市街地開発事業会計決算
・相原小山開発事業会計決算
・市街地再開発事業会計決算
・臨海都市基盤整備事業会計決算

○小山委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 この際、建設局長から発言の申し出がございますので、これを許します。

○山下建設局長 冒頭に当たりまして、一言ご報告並びにおわびを申し上げます。
 三宅島島民の帰島に向けて全力を挙げてその復興に取り組んでいる中で、昨日、三宅島緊急砂防工事に関連いたしまして、当局の職員が逮捕されるという不祥事が発生し、まことに申しわけなく思っております。
 当委員会の委員の皆様方はもちろんのこと、都民並びに三宅島の島民の方々にも深くおわびを申し上げたいと存じます。このようなことは決してあってはならないものであるというふうに考えております。
 現在、捜査中のため、詳細は明らかになっておりませんが、当面の対応といたしまして、私どもの局内に汚職対策委員会を設置して、事実関係を調査するとともに、再発防止に向け綱紀粛正など対策を講ずるよう、全力で取り組んでいく所存でございます。
 また、復興工事につきましても、おくれが生じないよう万全を期してまいりたいと思っております。どうぞよろしくご理解のほどをお願い申し上げます。

○小山委員長 発言は終わりました。
 これより決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 また、去る十月十日から各分科会に依頼してありました局別審査につきましては、お手元配布のとおり、報告書が提出されました。
 朗読は省略いたします。


平成十二年度各会計決算特別委員会 第一分科会審査報告書

 第一分科会で行われた平成十二年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十三年十一月二日
      平成十二年度各会計決算特別委員会
        第一分科会委員長 宮崎  章
 平成十二年度各会計決算特別委員長
 小山 敏雄殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十七日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成十二年度東京都一般会計決算中、知事本部、総務局、財務局、主税局、出納長室、選挙管理委員会事務局、人事委員会事務局、監査事務局、収用委員会事務局、議会局、消防庁、警視庁所管分
  ・平成十二年度東京都特別区財政調整会計決算
  ・平成十二年度東京都地方消費税清算会計決算
  ・平成十二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算
  ・平成十二年度東京都用地会計決算
  ・平成十二年度東京都公債費会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
   十月十日(説明・資料要求) 出納長室、主税局、収用委員会事務局、議会局、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局
   十月十五日(説明・資料要求)警視庁、消防庁、知事本部、総務局、財務局、監査事務局
   十月二十二日(質疑)    出納長室、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局、主税局
   十月二十六日(質疑)    収用委員会事務局、監査事務局、財務局
   十月二十九日(質疑)    警視庁、消防庁、総務局
   十月三十一日(質疑)    議会局、知事本部
2 本分科会における質疑の概要
(1) 知事本部所管分
   〔1〕首都移転問題について
   〔2〕厚木基地周辺における騒音対策等について
   〔3〕米軍施設への自衛隊の警護出動について
   〔4〕横田基地の全面返還問題について
   〔5〕長期構想のあり方について
(2) 総務局所管分
   〔1〕新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業の取組方について
   〔2〕東京都のIT推進における諸課題について
   〔3〕電子都庁計画について
   〔4〕三宅島の今後の監視体制等について
   〔5〕東京都震災予防条例の改正について(東京都震災対策条例)
(3) 財務局所管分
   〔1〕用地会計における用地取得状況等について
   〔2〕財産利活用総合計画について
   〔3〕大手銀行運動場の取得について
   〔4〕歳入歳出のうち多額の増減を生じた項目について
   〔5〕都税収入の増について
   〔6〕首都高速道路公団への貸付けについて
   〔7〕国の直轄事業への都費支出について
   〔8〕都債発行抑制について
   〔9〕建設廃棄物のリサイクルについて
   〔10〕都有地売却の基本的な考え方について
(4) 主税局所管分
   〔1〕不正軽油撲滅作戦について
   〔2〕法人事業税における税源不足解消について
   〔3〕米軍関係車両の自動車税について
   〔4〕住宅取得時の固定資産税減免措置について
   〔5〕東京都税制調査会答申について
   〔6〕事業継承に係る相続税・贈与税について
(5) 出納長室所管分
   質疑なし
(6) 選挙管理委員会事務局所管分
   〔1〕選挙における区市町村交付金について
   〔2〕選挙啓発経費の執行状況について
(7) 人事委員会事務局所管分
   質疑なし
(8) 監査事務局所管分
   質疑なし
(9) 収用委員会事務局所管分
   質疑なし
(10) 議会局所管分
   質疑なし
(11) 消防庁所管分
   〔1〕都内事業所に対する火災の安全及び防火対策について
   〔2〕平成十二年度査察業務内容と実施結果について
   〔3〕防災対策における市区町村との連携について
   〔4〕ビルの高層化に対する設備や対策について
   〔5〕まちづくりの視点からの防災について
   〔6〕多摩地区の乳幼児の救急搬送について
(12) 警視庁所管分
   質疑なし


平成十二年度各会計決算特別委員会 第二分科会審査報告書

 第二分科会で行われた平成十二年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十三年十一月二日
      平成十二年度各会計決算特別委員会
        第二分科会委員長 馬場 裕子
 平成十二年度各会計決算特別委員長
 小山 敏雄殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十七日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成十二年度東京都一般会計決算中、大学管理本部、生活文化局、福祉局、衛生局、教育庁所管分
  ・平成十二年度東京都母子福祉貸付資金会計決算
  ・平成十二年度東京都心身障害者扶養年金会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
   十月十日(説明・資料要求) 福祉局、衛生局
   十月十五日(説明・資料要求)生活文化局、大学管理本部、教育庁
   十月二十二日(質疑)    福祉局
   十月二十六日(質疑)    教育庁
   十月二十九日(質疑)    大学管理本部、生活文化局
   十月三十一日(質疑)    衛生局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 大学管理本部所管分
   〔1〕研究費について
   〔2〕大学評価について
   〔3〕他の大学や研究機関との連携について
   〔4〕遠隔教育システムについて
   〔5〕社会人の生涯教育について
   〔6〕都立大学の改革について
   〔7〕教育研究設備機器の充実について
(2) 生活文化局所管分
   〔1〕心の東京革命について
   〔2〕NPOの支援について
   〔3〕消費生活総合センターについて
   〔4〕交通安全対策について
   〔5〕私立学校経常費補助について
   〔6〕幼稚園の預かり保育について
(3) 福祉局所管分
   〔1〕包括補助「福祉改革推進事業」について
   〔2〕高次脳機能障害者対策について
   〔3〕福祉費の一般会計に占める割合の減少について
   〔4〕平成十二年度に始まった福祉施策見直しの都民への影響について
   〔5〕子どもへの虐待と児童養護施設等について
   〔6〕包括補助「高齢者いきいき事業」について
   〔7〕介護保険導入の状況について
(4) 衛生局所管分
   〔1〕病院機能評価促進事業について
   〔2〕結核緊急患者対策について
   〔3〕在宅難病患者居宅生活支援事業について
   〔4〕高次脳機能障害者対策について
   〔5〕小児救急医療について
   〔6〕多摩地域のNICU(新生児集中治療管理室)の整備について
   〔7〕衛生費の一般会計に占める割合の減少について
   〔8〕精神障害者施策について
   〔9〕成東児童保健院について
   〔10〕難病患者対策について
(5) 教育庁所管分
   〔1〕教員の資質向上について
   〔2〕東京都高尾自然科学博物館について
   〔3〕小中学校の少人数指導等について
   〔4〕不登校及び中途退学への対応について
   〔5〕平成十二年度の都立高校授業料値上げについて
   〔6〕肢体不自由児養護学校の充実について


平成十二年度各会計決算特別委員会 第三分科会審査報告書

 第三分科会で行われた平成十二年度東京都一般会計決算等に関する審査の概要を次のとおり報告する。
  平成十三年十一月二日
      平成十二年度各会計決算特別委員会
        第三分科会委員長 東野 秀平
 平成十二年度各会計決算特別委員長
 小山 敏雄殿

1 本分科会の設置及び審査の経過
(1) 本分科会は、九月二十七日に設置され、次の案件を審査した。
  ・平成十二年度東京都一般会計決算中、都市計画局、環境局、産業労働局、住宅局、多摩都市整備本部、建設局、港湾局、地方労働委員会事務局所管分
  ・平成十二年度東京都中小企業近代化資金助成会計決算
  ・平成十二年度東京都農業改良資金助成会計決算
  ・平成十二年度東京都林業改善資金助成会計決算
  ・平成十二年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算
  ・平成十二年度東京都と場会計決算
  ・平成十二年度東京都都営住宅等保証金会計決算
  ・平成十二年度東京都都市開発資金会計決算
  ・平成十二年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算
  ・平成十二年度東京都相原小山開発事業会計決算
  ・平成十二年度東京都市街地再開発事業会計決算
  ・平成十二年度東京都臨海都市基盤整備事業会計決算
(2) 本分科会は、次のとおり各所管局ごとに審査し、終了した。
   十月十日(説明・資料要求) 住宅局、多摩都市整備本部、建設局、港湾局、地方労働委員会事務局
   十月十五日(説明・資料要求)都市計画局、環境局、産業労働局、中央卸売市場
   十月二十二日(質疑)    港湾局、建設局
   十月二十六日(質疑)    多摩都市整備本部、産業労働局
   十月二十九日(質疑)    地方労働委員会事務局、中央卸売市場、環境局
   十月三十一日(質疑)    住宅局、都市計画局
2 本分科会における質疑の概要
(1) 都市計画局所管分
   〔1〕東京外かく環状道路について
   〔2〕都営地下鉄大江戸線の延伸について
   〔3〕西武池袋線の連続立体交差事業について
   〔4〕防災都市づくりについて
   〔5〕新交通システムの整備について
   〔6〕三環状道路整備について
   〔7〕羽田空港沖合移転跡地について
(2) 環境局所管分
   〔1〕産業廃棄物対策について
   〔2〕屋上緑化について
   〔3〕地球温暖化対策について
   〔4〕自動車排気ガスの対策について
   〔5〕自動車交通の総量規制について
   〔6〕森林環境保全地域について
   〔7〕里山保全地域について
   〔8〕ダイオキシン等土壌汚染対策について
(3) 産業労働局所管分
   〔1〕創業支援事業について
   〔2〕中小企業対策について
   〔3〕林業振興について
   〔4〕林業振興における多摩産材の流通について
   〔5〕職業訓練について
   〔6〕農業振興について
   〔7〕獣害対策について
   〔8〕農業ヘルパー事業について
   〔9〕新規就農者への農地あっ旋について
   〔10〕環境保全型農業(循環型システム支援)について
   〔11〕工業集積活性化支援事業について
   〔12〕工業関係予算について
   〔13〕TOKYOブランドについて
(4) 中央卸売市場所管分
   〔1〕食肉処理の安全性の確保策について
   〔2〕食肉廃棄物処理について
(5) 住宅局所管分
   〔1〕都営住宅の家賃滞納問題について
   〔2〕都営住宅における収入超過について
   〔3〕都営住宅使用承継制度について
   〔4〕都営住宅の建替について
   〔5〕都営住宅の空き家及び住宅変更について
   〔6〕都営住宅におけるエレベーター設置について
   〔7〕都心居住について
   〔8〕都営住宅の供給について
(6) 多摩都市整備本部所管分
   〔1〕高層マンションの建設計画における都の対応について
   〔2〕多摩ニュータウンの住環境について
(7) 建設局所管分
   〔1〕道路整備の用地取得について
   〔2〕多摩地域の道路整備事業について
   〔3〕交差点すいすいプラン一〇〇事業について
   〔4〕地方幹線道路整備について
   〔5〕市街地再開発事業について
   〔6〕亀戸・大島・小松川地区再開発事業について
   〔7〕不法係留船対策について
   〔8〕都立公園整備について(公園のバリアフリー化等)
   〔9〕公共施設へのアクセスのバリアフリー化について
(8) 港湾局所管分
   〔1〕三宅島火山活動及び新島・神津島近海地震災害における復旧事業について
   〔2〕臨海道路整備事業について
   〔3〕東京港における空コンテナの取扱いについて
   〔4〕城南島海浜公園の駐車場利用について
(9) 地方労働委員会事務局所管分
   質疑なし


○小山委員長 これより質疑を行います。
 この際、一言申し上げておきます。
 質疑に当たりましては、さきにご了承をいただいております委員会実施要領等に従いまして運営してまいります。委員の皆様方には、円滑かつ充実した審査が行われますよう、ご協力をお願いいたします。
 なお、持ち時間につきましては、終了五分前に振鈴で一点、時間満了時に二点を打ち、お知らせをいたします。質疑時間はお守りをお願いいたします。
 次に、理事者に申し上げます。
 答弁に際しましては、質疑の要旨をよく把握し、簡潔明瞭に答弁をされるようお願いをいたします。なお、発言の際には、必ず職名を告げ、委員長の許可を得た上で発言されますようお願いをいたします。
 これより順次発言を許します。
 高橋かずみ委員の発言を許します。

○高橋委員 平成十二年度の各会計決算特別委員会において、最初の質問者としていただいたことに感謝を申し上げます。
 まず最初に、平成十二年度は、財政再建推進プランの初年度として、すべての施策について聖域なく見直しを行うなど、全力で取り組んでいるところでありますが、決算では三年連続の実質赤字となりました。今後とも、この推進プランの道筋に沿って、財政構造改革を果敢に進め、財政再建の取り組みをより一層するよう要請いたします。
 まず、質問に入ります前に、昨日、三宅島の砂防工事に絡み、今、建設局長から冒頭にあったことは、都民の信頼を裏切る大変遺憾なことであります。今後、二度とこのようなことがないようにしていただきたいと思います。
 それでは質問に入ります。
 食肉安全対策についてお伺いいたします。
 近年、食品の安全性や衛生管理に対する都民の関心はますます高まり、生産から販売までの食品流通過程での衛生的な取り扱いが厳しく求められております。
 そこで、平成十二年度に、と場においても衛生対策工事が行われたようでありますが、どのような内容であるのか、お伺いいたします。

○碇山中央卸売市場長 O157の問題を契機といたしまして、より衛生的なと蓄解体処理を確保するため、平成八年十二月でございますが、屠場法の施行規則が改正されまして、と場におきます衛生管理基準が新たに定められるとともに、平成九年十一月には、屠場法施行令が改正されまして、冷却設備や洗浄設備等の設置が義務づけられたところでございます。
 食肉市場におきましては、こうした改正の趣旨に沿いまして、衛生管理の徹底を図るため、施設設備の改善や、あるいは作業方法の改善に段階的、計画的に取り組んできたところであり、平成十二年度におきましては、大動物、これは牛でございます、小動物、これは主に豚でございますが、それぞれの処理工程におきまして、と体の汚染を防止するため、処理工程の改善や新たな洗浄装置の整備等を行ったところでございます。
 今後とも、衛生的な食肉処理に努めまして、安全な食肉を安定的に供給するように万全を期していく考えでございます。

○高橋委員 ところで、食肉処理といえば、今、都民の注目を集めているのは、牛海綿状脳症、いわゆるBSE問題であります。九月に我が国初のBSE感染牛が発見されてから、その影響は、単に食肉関連業界だけにとどまらず、食品業界全体に波及し、さらに化粧品業界、医薬品業界にまで及んでおります。
 健康を損なうおそれのあるBSE感染牛の発生に国民は大変なショックを受け、さらに、初期対応の不手際から、消費者は一斉に牛肉離れを起こし、関係業界は大きな打撃を受け、いまだに立ち直れないのであります。都はこれまで、三局防疫推進会議を中心に迅速な対応をとってきましたが、国の安全宣言後も、残念ながら、消費者の牛肉離れが続いているのが現状であります。
 そこで、BSE発生以来、食肉市場での取引の状況はどのようになっているのか、お伺いいたします。

○碇山中央卸売市場長 BSE、いわゆる狂牛病の発生でございますが、食肉市場での取引にも大きな影響を与えてございます。平成十三年十月におきます市場への上場頭数、これは競りにかけるということでございますが、上場頭数を昨年の同時期と比較いたしますと、約三〇%程度の減と相なってございます。また、十月におきます取引価格を昨年の同時期と比較いたしますと、いわゆるステーキ用などで需要の高い上質の枝肉で約二〇%程度の減、その他の標準的な枝肉におきましては約三〇%程度の減となってございます。
 このように、消費者の牛肉離れは依然として続いておりまして、いまだに小売店等への大きな影響を与えてございます。

○高橋委員 このように消費者に大きな不安感を抱かせているものに、まず、食肉の流通経路が複雑で不透明であること、しかも、消費の段階で、検査実施後の安全な食肉であることが消費者にわかりにくいということが指摘されております。このため、スーパーなどの牛肉の売上高が大幅に減少したり、大半の焼き肉店では売り上げが前年の半分未満だったとしております。
 こうした状況を打破し、消費者の信頼を回復するためには、中央卸売市場として、関係業界への指導などの取り組みが必要と考えますが、ご見解をお伺いいたします。

○碇山中央卸売市場長 中央卸売市場といたしましては、これまで、関係局とも連携をとりまして、いち早く特定危険部位の除去あるいは焼却処分を行うなど、安全を確認できないものについては食肉市場から流通させないという考え方のもとに対応してきたところでございます。
 さらに、牛の集荷に当たりましては、出荷履歴等が確認できる子牛の登録証あるいは血統証明書、または肉骨粉非使用証明書などの公証性のある文書の添付を求めまして、流通経路の把握に努めているところでございます。
 今後におきましては、生産者等の協力も得まして、食肉市場から食肉を流通する際に、この公証性のある文書を添付し、買い受け人が出荷履歴等を十分把握できる仕組みを進めてまいります。
 また、スクリーニング検査に合格したものにつきましては、東京食肉市場株式会社がBSE検査証を発行してございますが、こうした検査証が適正に運用されるよう業界を指導してまいります。
 今後とも、食肉市場から市場に流通いたします牛肉につきまして、関係局とも十分連携をとりまして、業界の指導に努めるなど、食肉を消費者に安全して食べていただけるよう万全の措置をとってまいりたいと考えてございます。

○高橋委員 よろしくお願いいたします。
 次に、建築物定期報告等指導に関連し、いわゆる雑居ビルの安全対策についてお尋ねいたします。
 去る九月一日に発生した新宿歌舞伎町の雑居ビル火災の大惨事は記憶に新しいところでありますが、十月二十九日の早朝に同様の雑居ビルから再び火災が発生し、人命が失われるという事態となりました。いずれの火災も、法令上の問題点が幾つか指摘されておるところであります。
 そこで伺いますが、九月一日の火災発生直後より、都及び区の特定行政庁では、歌舞伎町と同様の雑居ビルについて緊急安全点検を実施しており、十月末で取りまとめをしたとのことでありますが、点検の結果と、明らかになった問題点はどのようなことだったのか、お伺いいたします。

○木内都市計画局長 今回の緊急安全点検は、三階以上の階をキャバレー、ナイトクラブ、飲食店、遊技場等に供する建物でございまして、階段が一カ所のものを主な対象として実施したものでございます。調査総数は、十月三十一日現在で二千八百棟でございました。
 点検の結果、階段の防火戸がないなど建築基準法などの法令に違反しているものが八百七十七棟で、約三一%でございました。また、避難経路に物品などが置かれているなど維持管理上の不良のものが、法令違反と重複しているものを含めまして千九百棟で、約六八%でございまして、法令違反もなく、管理も良好であるものは三〇%にとどまっておりました。
 このように、雑居ビルにおきましては、適法に維持管理されていない建築物が多く、利用者の安全確保の面から見まして、極めて大きな問題があったというふうに認識をしているところでございます。

○高橋委員 また、今回の火災を教訓として、繁華街などにおける小規模雑居ビルの建築基準については、思い切った見直しをする必要があると思いますが、ご所見をお伺いいたします。

○木内都市計画局長 東京都では、このたびの火災直後から、区や市及び関係機関とともに、避難規定などの建築基準のあり方、さらには飲食店の営業許可と建築確認の連携などについて検討を行ってまいりました。また、国土交通省におきましても、所要の検討を進めているというふうに聞いております。
 今後は、国などの関係機関と十分連携を図りながら、例えば、二方向避難の規定を強化するなど制度を見直して、建築物の安全性を一層確保するよう努めてまいります。

○高橋委員 よろしくお願いします。
 関連して、消防査察についてお伺いいたします。
 こうした雑居ビル火災の教訓を踏まえ、どのようなことに重点を置いた査察を実施していかれるのか、お伺いいたします。

○杉村消防総監 このたびの火災について、都民の皆様は、廊下や階段などの避難経路に可燃物を置かないこと、窓等の開口部を内装により密閉してふさがないこと、防火戸等は常に閉鎖できる状態にしておくこと、避難器具は有効に使用できる状況にしておくことなどが、教訓として焼きついたものと思っております。
 このため、九月三日から、明星56ビルと同規模同種の四千百六十九棟について、防火管理の徹底、避難誘導対策の徹底、出火防止対策の徹底及び消防用設備等の設置、維持管理の徹底を重点として緊急に査察を実施しております。
 また、現在、面積にかかわらず、同種の危険を有する雑居ビル約一万棟に拡大をいたしまして、階段、廊下の物品の放置、防火戸の閉鎖障害の有無など、避難施設等の管理に特定した重点査察を、本庁職員も含め、庁の総力を挙げて、事前連絡なしで実施しております。

○高橋委員 再びこの種の火災を未然に防止していくためには、雑居ビルの建物所有者や各テナントのオーナーなど、防火安全面をおろそかにしている実態から、もっと査察のあり方などを改善すべきだと思います。
 今後どのような取り組みをされていくのか、お伺いいたします。

○杉村消防総監 今後の査察の取り組みとしては、階段、廊下の避難障害及び防火戸の閉鎖障害の状況や、自動火災報知設備のベル停止などについては、事前連絡なしの査察を実施してまいります。また、消防用設備等の機能の確認については、法令に基づく点検報告制度を有効に活用し、査察の効率化を図ってまいります。さらに、法令違反については積極的に警告や命令を行うなど、違反是正の強化を図ってまいります。

○高橋委員 よろしくお願いします。
 次に、鉄道等の都市施設に関する計画についてお伺いいたします。
 去る十月三日、小田急線連続立体交差事業の事業認可処分取り消し事件の一審判決がありました。事件は、都が国から平成六年に取得した小田急線の世田谷代田から喜多見間約六・四キロメートルの連続立体交差事業に関する事業認可を取り消すというものであります。
 これに対し、被告、原告ともに控訴し、今後は高裁の場で争われることとなりますが、判決は、単に小田急線の事業推進に影響が出るのではないかといった点だけではなく、現在、都が進めている他の立体交差化計画事業にも波及するのではないかとの危惧を抱いております。
 そこで、まず第一に、都が参加人として控訴審に参加するに至った理由についてお伺いいたします。

○木内都市計画局長 理由の第一は、小田急線のこの事業は、ボトルネック踏切、十七カ所ございますけれども、その除却や複々線化により交通渋滞あるいは地域分断を解消するとともに、鉄道の混雑緩和、具体的にはピーク時の混雑率を一九〇%から一六〇%に緩和するものでございますけれども、そうした混雑緩和や到達時間の短縮を図る重要な事業であること。
 第二には、事業費につきましても、高架化案あるいは地下化案を比較考量した上で高架化案を選択したものであり、騒音などについても十分に配慮した上で、都市計画法及び環境影響評価条例に基づいて都市計画決定を行っており、適正なものであること。
 第三に、また、既に高架橋の約七割が完成しておりまして、仮にも判決が確定して事業認可が取り消されるようなことになりますれば、事業の進捗に大きな支障を生ずること。
 以上三点を訴訟の中でも主張したわけでございますけれども、判決ではこうした主張が認められなかったことから、上級審に判断を仰いだ方が適当であるという判断のもと、控訴審に参加するものでございます。

○高橋委員 次に、今回の判決によって、現在進められている小田急線の事業に何らかの影響が及ぶのかどうか、また、小田急線以外の都内各地で進められている連続立体交差事業に影響が及ぶのかどうか、お伺いいたします。

○山下建設局長 まず、小田急線の連続立体交差事業についてでございますが、この事業は、十一万人を超える事業促進の要望などを受けて、平成六年より事業を進めているものでございます。
 既に十七カ所の踏切のうち七カ所を除却し、来年度にはすべての踏切を除却する予定でございまして、今後とも着実に事業を推進してまいります。
 また、このほかに、現在、都では、JR中央線や京浜急行線など七路線九カ所で事業を進めておりますが、いずれも地元の強い要望を受けて実施している事業でございます。
 連続立体交差事業の促進を望む多くの都民の期待にこたえ、引き続き積極的にこの事業に取り組んでまいります。

○高橋委員 また、本年九月の都議会第三回定例会の我が党の代表質問に対し、石原知事は、都内の踏切解消に向けた中長期目標や立体化の方策を明らかにした基本的方針を取りまとめると答弁いたしました。
 この基本的方針の取りまとめに向けた今後の取り組みについてお伺いいたします。

○木内都市計画局長 基本的な方針の取りまとめに当たりましては、踏切の遮断時間、交差道路の交通量等のデータをもとにいたしまして、道路交通ネットワークの整備やまちづくりに及ぼす効果などを勘案することが重要と考えてございます。
 今後、地元自治体や鉄道事業者などの協力を得ながら、いわゆるボトルネック踏切を中心に、踏切解消の中長期的な目標や実現のための方策の検討など、多岐にわたる課題を詰めていく必要があるのではないかというふうに思っております。

○高橋委員 東京には千二百カ所にも及ぶ踏切があり、世界の大都市の中で、あかずの踏切に悩まされている都市はないと思います。その推進に向けて、国費の重点的投入を求めていくことが不可欠と考えますので、都の一層の努力を要望しておきます。
 次に、自然保護条例に関連して、東京における緑の保全と回復についてお伺いいたします。
 ヒートアイランド現象や地球温暖化が進行する中で、緑の果たす役割には改めて大きな注目が集まっております。
 そこで、まず、東京の中で、みどり率は多摩と区部でそれぞれどのように推移しているのでしょうか、お伺いいたします。

○赤星環境局長 東京におきますみどり率の推移についてでございますが、昭和四十九年から平成十年までの約二十五年間で、区部では約三〇%から二九%へ、また多摩地域では約八六%から八〇%へと六ポイント、それぞれ低下しております。

○高橋委員 多摩と区部を比較いたしますと、やはり多摩の方がみどり率は高いが、減少率は逆に多摩の方が多くなっております。東京全体の緑の回復と再生を図るためには、何といっても多摩の緑を守ることが重要だと思います。
 その緑の中心は、丘陵部から山地にかけて広がる広大な森林の緑であります。市街地の樹林地や里山の緑の保全に努めることも大切ですが、森林が荒廃していったのでは、その努力も実りません。都の環境行政の中では、これまで、森林を東京の緑の中心と位置づける視点が弱かったのではないでしょうか。
 都では、現在、環境行政の基本となる環境基本計画の改定を行っていると聞いておりますが、その検討の中では、森林の緑をどのように位置づけているのか、お伺いいたします。

○赤星環境局長 東京都環境基本計画の改定に関しましては、現在、環境審議会においてご検討をいただいておりますが、去る八月末に改定の基本的な考え方を示しました中間のまとめが公表されております。
 この中で、森林の荒廃を東京におきます自然環境の危機と位置づけ、特に林業の衰退に伴います人工林管理の弱まりが、環境保全や水源涵養機能の低下を招き、生態系への悪影響につながると指摘されているところでございます。さらに、こうした認識の上に立って、森林の広域的な機能を評価いたしました森林管理の新たな取り組みが必要であるとの指摘もされております。

○高橋委員 それぞれ今、お話をお伺いいたしました。こうしたいろいろな環境政策の中にしっかりと位置づけてやっていかなくちゃいけない問題だと思っております。
 そうした観点も含め、東京における緑の保全、回復の施策を強化していくべきと考えますが、見解をお伺いいたします。

○赤星環境局長 森林は、国土保全や水源涵養など、さまざまな公益的な機能を持っております。東京の緑は、多摩の森林を含めまして、環境保全の上から重要な機能を果たす都市基盤の一つであると考えます。
 こうした視点に立ちまして、これまで以上に関係各局と協力しながら、全庁的に緑行政の展開に努めてまいります。

○高橋委員 次に、都営住宅の問題についてお伺いいたします。
 都営住宅は、税金を投入して建設した都民の共有の財産であり、公平性の観点から都民の理解が得られるように運営していくことが重要であります。
 こうした意味で、都営住宅は、孫子の代まで住み続けている世帯がいること、相当の資産のある居住者や高額所得者、家賃滞納者の存在など、多くの課題を抱えており、さまざまな改革を求められております。
 そこで、まず、都営住宅の管理の適正化の面からどのような取り組みをしているのか、また、その十二年度の実績についてお伺いいたします。

○橋本住宅局長 都営住宅の管理の適正化についてでございますが、住宅局は、都営住宅の管理の適正化と抜本的な改革に取り組んでおります。平成十二年度におきましては、高額所得者につきまして、平成九年度の約一万世帯を約二千二百世帯まで減少させ、滞納整理につきましても、七年ぶりに滞納額を減少させたところでございます。
 また、さきの定例会におきまして、一部の都営住宅に期限つき入居制度を導入するための条例改正を行っていただいたところでございます。
 今後も、改革に向けまして、使用継承制度の見直しなど、都民の理解を得ながら積極的に取り組んでまいります。

○高橋委員 都営住宅の管理の適正化とあわせて、今後とも、都民の理解を得ていくためには、事業主体としての経営努力が求められます。厳しい財政状況が続く中でどのような経営努力をしているのか、お伺いいたします。

○橋本住宅局長 経営努力についてでございますが、住宅局では、住宅施策に必要な財源を確保するため、平成十一年度から、住宅局財源確保対策本部を設置し、毎年度目標設定を行い、財源確保に積極的に取り組んでおります。
 平成十二年度におきましては、都営住宅敷地の有効活用により生じた余剰地の売却促進や使用料の滞納縮減、建設コスト縮減などに取り組み、その結果百二十三億円の財源を確保したところでございます。

○高橋委員 都営住宅敷地の有効活用により余剰地を生み出しているとのことですが、その十二年度の実績をお伺いいたします。

○橋本住宅局長 用地の売却の実績についてでございますが、平成十二年度に財務局へ引き継ぎました用地の実績は三十八カ所、約四万平方メートルでございます。また、これまで財務局に引き継ぎました用地の平成十二年度の売却実績は約八十一億円でございます。

○高橋委員 都は、期限つき入居制度の導入など、既に先行的な取り組みも行っており、その姿勢については評価しておりますが、これを一過性のものに終わらせることなく、答申を現実の施策に移していく必要があると思います。そのためには、こうした都営住宅の改革等について、現在策定中の新しい住宅マスタープランの中で明確に位置づけていく必要があると考えます。
 そこで、新しい住宅マスタープランの策定スケジュールと、策定に当たっての基本的な考え方についてお伺いいたします。

○橋本住宅局長 新しい住宅マスタープランについてでございますが、成熟社会の到来や住宅ストックの蓄積を踏まえまして、これまでの新規建設を中心としました住宅政策から、住宅ストックや市場を活用しまして、ハード、ソフト両面で都民を支援する居住政策へ転換を図っていく方向で検討しております。
 ご指摘の都営住宅の改革を大きな課題として位置づけるとともに、民間住宅施策との連携を図った総合的な施策体系の構築を目指しております。年内には中間のまとめを公表し、議会、都民などから広くご意見をいただき、年度内には策定してまいります。

○高橋委員 次に、雇用・就業対策についてお伺いさせていただきます。
 平成十二年四月に、地方分権一括法が施行され、地方自治関係者の長年の願いであった機関委任事務の廃止や、多くの事務の自治事務化が図られるなど、国と地方は基本的に対等の関係となりました。
 しかし、労働行政の分野においては、地方事務官制度の廃止とともに、職業安定行政が国に一元化されることによって、都道府県の雇用・就業対策は大きな転換点を迎えることになったのではないかと考えますが、そこで、まず、旧職業安定部が平成十一年度に所管していた都費事業が、平成十二年度にどのように引き継がれ、その結果、相当する事業費がどのように変わったのか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 平成十一年度における旧職業安定部が所管していた事業のうち、若年労働者雇用対策、女性等雇用対策、ハローワークへの各種相談員の配置などの事業は廃止、縮小したところでございますが、重度障害者や山谷地域日雇い労働者の雇用対策などの事業は、都事業として平成十二年度以降も継続して実施をしております。
 予算額は、平成十一年度九億五百万円、平成十二年度五億六千二百万円余りとなっております。

○高橋委員 雇用・就業対策の一部が後退を余儀なくされている実態を伺いますが、これは、都の雇用・就業対策を担う組織や権限などが大きく縮小したことによるもので、ある意味でやむを得ないと思います。
 ただ、都が国と対等である立場で雇用対策法がいう地域の実情に応じて雇用に関する必要な施策を講じていくためには、現在、余りにも権限が制約されていることに最大の問題があると思います。
 その典型が職業紹介事業に関するものであります。現在、国は、地方公共団体に対して職業紹介事業を許可しないこととしております。しかし、現下の雇用情勢は、マスコミにも報道されているように、失業率が五・三%という最悪の状況にあり、国の公共職業安定所には失業者があふれております。
 こうした中で、都や区市町村は、幾ら希望しても、仕事を失って困っている都民に職業をあっせんできないというのは理不尽といわざるを得ないと思います。
 都は、現在、都や区市町村が職業紹介事業を行えるよう国に要望しておりますが、その基本的な考え方と、都や区市町村が職業紹介事業を行うことによって都民にどのようなメリットがあるのか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 雇用対策については、本来は国の責務と考えておりますが、完全失業率が過去最悪を更新し、今後さらに悪化することが懸念されている中で都民の雇用を確保していくためには、国の全国一律的な対応では不十分であります。
 都としても、職業紹介事業を含め、地域の実情に応じたきめ細かい雇用・就業対策を講じていく必要があると考えております。
 このため、都や区市町村が、産業施策や福祉施策、職業能力開発施策等とあわせて職業紹介事業を行うことで、高齢者や障害者、パートタイム労働者など地域に根差した雇用・就業機会を求める都民に、より実効ある対応が可能となるものと考えております。

○高橋委員 今後、都は、国が実施している全国一律的な雇用・就業対策の限界を認識した上で、東京という地域の実情や都民ニーズに対応した独自の雇用・就業対策を確立していかなければならないと考えます。
 そこで、今後、都としてどのような基本的な考え方に基づいて雇用・就業対策を進めていこうとしているのか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 ご指摘のように、東京における雇用情勢が危機的な状況にある中で、都としては、第一に、中高年ホワイトカラーのリストラやフリーターの増加など他の地域に先行して発生する問題への対応、第二に、ホームレスの自立支援など大都市特有の地域問題への対応、第三として、高齢者や障害者の就業促進など国による一律的な対策では質的、量的に対応できない課題への取り組みの三点を基本に据え、国に対してさまざまな提案を行いつつ、都独自の雇用・就業対策に積極的に取り組んでまいります。

○高橋委員 昨今の経済社会情勢を考えれば、当面は雇用・就業対策が都政の最重要課題の一つであることは明白であります。
 さきの都議会第三回定例会では、我が党の呼びかけにより、都や区市町村が職業紹介事業を行うことを可能とする制度改正など、東京の雇用対策の充実を図るための三項目から成る意見書が採択され、総理ほか関係閣僚あてに提出されたところであります。
 今後とも、我が党として、都の雇用・就業対策の充実に向け、可能な限りの支援をしていく所存でありますので、都としても、ぜひ区市町村との連携を図りながら、地域に根差した個性ある対策を進められるよう強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○小山委員長 高橋かずみ委員の発言は終わりました。
 中屋文孝委員の発言を許します。

○中屋委員 それでは、私の方から福祉、医療、教育、文化などの分野に関連して、幾つかお伺いさせていただきます。
 まず、福祉改革についてお伺いいたします。
 我が国の社会福祉は、戦後復興期の生活で極めて厳しい状況にあった社会的弱者を対象に制度化されまして、当時の社会状況のもとでは、有効なシステムであったといえます。しかし、高度経済成長に伴って社会経済が大きく変化いたしまして、さらに、世界でも類を見ないほどの速さで少子高齢化が進んでいる中、これまでのシステムのままでは、都民のニーズに適切に対応することが困難になってきております。制度として疲れが見えるシステムを大胆に見直しまして、高齢者や障害者を初め、都民が安心して暮らせる東京を築かなければ、若い世代に大きなツケを残すことになります。広い視野を持って、そして孫の世代のことまで考えての改革を実行することが我々の責任と考えます。そのためには、既存の施策をさまざまな観点から見直し、新しい福祉の展開に振り向けていくことが必要と考えます。そして、都民が地域の中で安心して自立し生活できるよう、支援するよう、そうした施策の展開に変えていかなければならないと思っております。
 そこで、お伺いいたしますが、福祉改革元年ともいうべき平成十二年度に行われた手当や医療費助成等の見直しは、福祉改革の一環として実施したものであると考えておりますが、改めて福祉施策の見直しの総括と評価についてお伺いをいたします。

○前川福祉局長 これまでの福祉サービスは、主として社会的弱者などを対象として、限られた財源を重点的に投入し、画一的なサービスを提供する、そうした行政主導の色彩の強い制度として実施されてまいりました。今お話がありましたが、この制度は、戦後の福祉の充実に大きく貢献をしてまいりましたが、社会が豊かになり、少子高齢化が進展する中で、都民の高度かつ広範なニーズにこたえることができなくなっております。そのため、福祉サービスの内容と提供のシステムを利用者本位の視点から改革することが必要となっております。これが現在進めている福祉改革でございます。
 平成十二年度に実施した一連の福祉施策の見直しは、国の社会保障制度の充実等を踏まえ、負担の公平性や制度間の整合などを図るため実施したものでありますが、この見直しによって、都は、全国に先駆け、新しい福祉の実現に向け、積極的に改革を展開していくための基礎をつくることができたと考えております。そうした意味で、福祉改革の一環をなすものでございます。

○中屋委員 平成十二年度は、見直しにより生み出された財源によって、我が都議会自民党が提案した包括補助制度、福祉改革推進事業を初めとする新たな施策が充実されるとともに、十二月に策定された東京都福祉改革推進プランにおいては、認証保育所や障害者施設緊急整備三カ年計画など、都民の福祉ニーズに対応した新たな施策が計画された年であります。この福祉改革推進プランを着実に進めていくことはもとより、さらに一歩も二歩も進んだ改革を推進していくべきと考えますが、推進に向けた決意をお伺いいたします。

○前川福祉局長 東京都は、福祉改革への取り組みを進めるために、今お話ありましたように、昨年十二月、福祉改革推進プランを策定いたしました。このプランでは、新しい福祉の理念と展望を示すとともに、サービスの質と量を十分に確保できるよう、民間企業を含む多様な事業主体を積極的に参入させるなど、幾つかの先駆的な戦略プロジェクトを定めております。
 今後は、今ご指摘もありましたが、このプランを着実に推進するとともに、こうした理念を、高齢者、障害者、子どもなどすべての福祉分野でさらに発展、具体化させ、これによって、施策と執行体制の両面において改革を新たな段階に推し進めていく考えでございます。

○中屋委員 次に、介護保険についてお尋ねをいたします。
 平成十二年度は介護保険が開始された年度であります。介護保険制度は、介護を必要とする状態になってもできる限り自立した生活が営めるよう、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みであります。そして、受けられる介護サービスの給付と負担との関係がわかりやすい、社会保険方式を取り入れております。
 そこで、まず、介護保険サービスに要する経費の負担について、その考え方と、制度上、国、都、区市町村、利用者でそれぞれどのようになっているか、お伺いいたします。

○前川福祉局長 介護保険制度、これは、お話のとおり社会保険方式を取り入れておりますが、この制度におきましては、介護保険サービスに要する経費について、社会全体で支え合うことを基本としながら、適切な公費負担を組み入れたものとなっております。
 具体的には、サービス利用時に原則として一割の利用者負担をいただく、これを除いた分につきまして、保険料と公費で五〇%ずつ負担することとされております。保険料につきましては、六十五歳以上の第一号被保険者が一七%を、四十歳以上六十五歳未満の第二号被保険者が三三%、これで合わせて五〇%ですが、負担をし、また公費につきましては、五〇%について、国が二五%を、都及び区市町村がそれぞれ一二・五%ずつを負担することとされております。

○中屋委員 介護保険制度は、開始年度である平成十二年度だけの単年度で評価するのではなく、長期的なスパンの中で、制度の安定化を図りながら考えなければならないものと考えます。平成十二年度の都の介護給付費負担金が介護保険事業支援計画よりも下回ったことをもって、保険料を減額すべきなどと短絡的にいう人もおりますが、制度上どのような仕組みで高齢者の方々の保険料の額が定められているのか、改めてお尋ねいたします。

○前川福祉局長 六十五歳以上の第一号被保険者の保険料は、中期的に安定した財源確保を可能とする視点から、介護保険法上、事業運営期間である三年間の支出及び収入状況等を勘案して、均一の基準額を設定することとされております。個々の被保険者の保険料につきましては、年度ごとの所得状況等により、今お話ししたこの基準額をもとに設定された、所得段階別の額が適用されることになっております。

○中屋委員 制度というものは長期的視野に立って運営し、はぐくむべきと考えます。そうした観点から、介護保険制度が将来に向かって円滑に実施されていくようにするために、これまで都はどのような方策を講じてきたのか、また、今後も制度として発展していくために、都として認識している課題にはどのようなものがあるかなど、都における介護保険制度に対する評価と考えについてお伺いをいたします。

○前川福祉局長 介護保険制度は、行政がコントロールする福祉から、利用者本位の開かれた福祉への転換を目指すという、私どもの福祉改革を推進する上で極めて重要な役割を担った制度であると評価をいたしております。これまで、多くの関係者のご努力によりまして、大きな混乱もなく、おおむね順調に運営されていると認識をしておりますが、制度の健全かつ円滑な運営のためには、解決すべき課題があるのもまた事実でございます。
 例えば、要介護認定の一次判定において、痴呆性高齢者の要介護度が低く出る傾向があると関係者から指摘されていること、また、制度の運営に重要な役割を果たす介護支援専門員が、業務多忙のため、期待された役割を十分に果たせていないと指摘されていることなどでございます。
 このため都では、中長期的に制度をはぐくむ観点から、介護支援専門員支援会議における総合的な支援策の検討、また、平成十七年度に予定されている制度全般の見直しに向けて、課題や対応策を検討するための東京の介護保険を育む会の設置など、さまざまな取り組みを進めているところでございます。

○中屋委員 次に、救急医療についてお伺いをいたします。
 少子高齢化の進行や疾病構造の変化などから、救急医療の需要は年々増加、多様化しております。こうした中で、都は、救急医療体制を、区市町村が実施する初期救急医療と都が実施する二次及び三次救急医療の三層構造に分け、それぞれの役割分担のもと、対応に努めてまいりました。特に入院治療を必要とする二次救急医療について、都は、平成十一年度から、休日・全夜間診療事業を実施し、固定施設において三百六十五日二十四時間の診療体制を確立するなど、充実強化を図ったところであります。
 そこで、休日・全夜間診療事業に関連してお伺いをいたします。
 まず、休日・全夜間診療事業の患者取扱実績についてでありますが、平成十二年度は、十一年度と比較してどうなっているのでしょうか。特に、二次救急医療を強化するという点で、入院治療の対象となった患者はどういう状況であったのか、お伺いをいたします。

○今村衛生局長 休日・全夜間診療事業における平成十二年度の患者取扱数は、約百六十三万七千人でございました。前年度と比較して五万三千人増加しております。取扱患者数のうち入院患者数は約十九万七千人で、一二%を占めており、七千人の増加となっております。平成十一年度に本事業を開始してから、事業の定着化とともに、患者数は増加傾向にございます。

○中屋委員 休日・全夜間診療事業のこの二年間の患者の取扱数の実績が増加傾向にある中で、実際には、約九割の方が入院を必要としない軽症患者でありました。三層構造となっている救急医療体制の中で、軽症患者を対象とした初期救急医療は、輪番による在宅当番医制または休日夜間急患センターなどの固定施設において、区市町村が実施しておりますが、休日夜間急患センターの整備状況はどうなっているのか、お伺いします。また、一部自治体では、平日の夜間にも初期救急を実施しているようですが、実施区市町村は具体的に幾つなのか、あわせてお伺いいたします。

○今村衛生局長 都内の休日夜間急患センターは、十六区十八市に、合わせて五十一施設がございます。また、平日の夜間における初期救急医療については、現在、四区五市一町の合わせて十の自治体が、休日夜間急患センターあるいは在宅当番医制で実施しております。

○中屋委員 入院治療を必要とする重症の救急患者に対する二次救急医療と、入院を必要としない軽症の患者に対する初期救急医療の状況について答弁をいただいてきましたが、こうした現状について、都はどのような問題があると考えておりますか、お尋ねいたします。

○今村衛生局長 初期及び二次の救急医療の問題点でございますが、初期救急については、平日の夜間帯における体制確保が不十分であること、また、開業医が輪番で行う在宅当番医制は、日によって診療場所が変わるなど、都民にとって少々わかりにくいものとなっております。二次救急につきましては、初期救急との役割分担が有効に機能しておらず、その結果、二次救急医療機関に軽症患者が集中し、負担が過重となっているなどの問題があると認識しております。

○中屋委員 大病院志向などによりまして、重装備の病院に軽症患者が集中し、本来の医療機能が効果的に活用されていないことなどの問題点はかねてから指摘されておりますが、それは救急医療においても同様であります。初期、二次及び三次の各救急医療機関の機能を効率的に活用していくためには、地域における各医療機関の役割分担の明確化と連携を一層推進していく必要があると考えます。
 都は、平成十三年度に、休日・全夜間診療事業において小児科を新たに立ち上げるなど、全国に先駆けて救急医療体制の充実に取り組んでいることは評価するところであります。しかし、実際の救急医療の現場においては、先ほどご答弁のあったような問題点も内在しております。
 そこで、このような問題点を踏まえて、都民の不安を解消し、利用しやすい救急医療体制を構築するためには、初期の救急医療体制を充実していく必要があると考えますが、都の取り組みの方向性をお伺いいたします。

○今村衛生局長 初期、二次及び三次の救急医療機関がそれぞれの役割に応じた機能を発揮し、救急医療全体のレベルを向上させるためにも、特に、平日の夜間帯を含めた固定施設による初期救急医療体制の充実強化を図る必要がございます。
 都といたしましても、区市町村が地域の実情に即した効果的な初期救急医療を実施できるよう、支援する必要があると考えております。今後とも、区市町村と密接な連携を図りながら、救急医療のより一層の充実に努めてまいります。

○中屋委員 次に、教育行政についてお伺いをいたします。
 平成十二年度は、いわゆる新しいタイプの高校として、隅田川高校が進学重視型単位制高校に改編され、チャレンジスクールの桐ヶ丘高校が開校いたしました。いずれも都立高校改革推進計画に基づく最初の学校であり、平成十二年度は、都立高校改革元年とも呼ぶべきものでありました。
 この二校の性格に象徴されているとも思われますが、現在、都立高校においては、進学対策の充実に対する都民の期待にこたえる学校や、不登校や中退を経験した生徒も積極的に受け入れ、学ぶ意欲にこたえる学校など、多様な生徒の学習要望にこたえるための特色化と弾力化が求められております。また、これらの学校における取り組みの成果が、都立高校全体の活性化につながることが期待されております。今後とも、都立高校改革が継続的に進められていくべきであると思いますが、それに関連して、何点かご質問いたします。
 まず、平成十二年度に開校した両校のような単位制高校や総合学科高校などが、これからも設置される計画ですが、都立高校改革推進計画や新しいタイプの学校に対する都民の評価や期待をどうとらえているか、お伺いをいたします。

○横山教育長 隅田川高校及び桐ヶ丘高等学校等の新しいタイプの都立高校におきましては、多様な選択科目を設置しまして、生徒による選択の幅を拡大するなど、個々の生徒の進路希望や個性に応じまして、特色ある学校活動を展開しておりまして、地域や保護者からも高い期待が寄せられているものと考えております。
 また、本年実施しました都立高校に関する都民意識調査におきましても、今後つくっていくべき新しいタイプの高校について聞きましたところ、複数回答ではございますが、都立高校改革推進計画で設置を進めております総合学科高校が五四・六%、単位制高校が三九・二%と高い割合でございまして、新しいタイプの高校に対する期待が多くなっているものと考えております。

○中屋委員 次に、都立高校改革においては、今後とも、都立高校の活性化、特色化や新しいタイプの高校の設置など、都立高校改革の第一次及び第二次実施計画を予定どおり実施すべきであります。その際、都民に対して説明するとともに、改編、統合の対象となった学校の関係者にも十分説明し、理解を得るよう努めるべきであると考えますが、お伺いをいたします。

○横山教育長 都立高校改革推進計画におきましては、都立高校が抱えるさまざまな課題に対応しますとともに、都民の高校教育に対する期待にこたえ、都民に信頼される、魅力ある都立高校の実現を目指すものでございます。今後とも、都民に対して都立高校改革の目的や内容を十分説明しますとともに、対象校のPTA、同窓会等の関係者に対しましても、話し合いや要請等にきめ細かく対応し、第一次及び第二次実施計画を着実に推進してまいります。

○中屋委員 また、都は、都立高校改革推進計画を他の道府県における高校の再編整備計画に先立って策定し、都立高校の活性化を推進しておりますが、今後の都立高校改革をどう進めていくのか、今後のスケジュールを含めてお伺いいたします。

○横山教育長 都立高校におきましては、生徒の個性を伸長しまして、進路希望の実現に資する多様で柔軟な教育を展開しますとともに、個性や独創性、柔軟性に富んだ人材、高度な専門性を有する人材など、次代を担う若者を育成していくことが求められていると考えております。
 これらの課題に対応しまして、都立高校改革を継続的に推進するため、来年度新たな実施計画を策定する予定でございまして、さまざまな方の声をお聞きをし、参考にしながら、新たな課題への対応を図ってまいります。その策定時期につきましては、平成十四年秋ごろを見込んでおります。改編や統合にかかわる実施計画案につきましては、あらかじめ対象校に通知をしまして、一定の期間を設けた上で、学校関係者や地域関係者に説明をし、理解を求めた上で決定する予定でございます。

○中屋委員 次に、人事考課制度についてお伺いをいたします。
 少子高齢化が急速に進行する中で、社会にさまざまなひずみが生じております。学校教育において、いじめ、不登校、社会の基本的ルールを守れない子どもの増加など、さまざまな教育課題に適切に対応することが求められております。そのためには、学校経営において校長、教頭がリーダーシップを発揮するとともに、第一線で学校教育を担う教員の資質向上、意識改革が重要であると考えております。
 そのような中で、都教委は、全国に先駆けて教育職員に人事考課制度を導入して、教員の資質向上と意識改革に取り組んでいると聞いております。今後この人事考課制度が適正に運用され、さまざまな教育課題に前向きに取り組み、積極的に課題解決を図れる教員集団をつくってほしいと願っております。
 そこで、昨年人事考課制度を導入し、一年間のサイクルを経験したことになると思いますけれども、その結果についてどのように把握しているのか、お伺いをいたします。

○横山教育長 人事考課制度は、自己申告がその柱の一つとなっておりますが、自己申告の面接におきまして、教員みずから、授業内容や指導方法について学校管理職に指導助言を求めるなど、校長と教員との相互理解が深まり、校長の方針を理解して、学校運営に積極的に参加する姿勢が見られるようになってきております。
 この人事考課制度の活用につきましては、昨年度の評価結果を今年度の教員の特別昇給に適切に反映させましたが、今後は、平成十四年度の異動や昇任選考に活用しますとともに、研修との連携を十分に図ってまいりたいと考えております。

○中屋委員 また、運用していく中で、さまざまな問題点も出てきていると思いますが、今後どのような点を改善していけばよいと考えているのか、お伺いをいたします。

○横山教育長 自己申告書の記入内容につきまして、学校経営方針との整合性に疑問のある事例や、あるいは教育管理職による適時適切な指導が不十分な事例なども見られましたことから、今後は、評価者訓練等を通しまして、評価者としての資質能力を一層向上させ、人材育成に向けた指導の徹底を図ることによりまして、制度の定着を図ってまいる所存でございます。

○中屋委員 次に、文化の振興についてお伺いをいたします。
 東京には、官民の文化施設や創造的な人材など、豊かな文化資源がありまして、こうした状況を踏まえて、都の文化政策の方向性を明らかにする必要があります。決算資料によれば、十二年度において、東京都は約六十六億円を文化振興に投入しておりますが、厳しい都財政の中で、この文化予算を効率的に使っていくことが求められているところです。
 平成十二年度に策定された「当面の東京都文化政策手法の転換と取組」においては、そのために政策手法を転換するとしておりますが、文化行政の基本的な考え方をお伺いいたします。

○高橋生活文化局長 都の文化政策の役割は、文化を都市の魅力と活力の源ととらえまして、文化施設や人材などの文化資源を効果的に結びつける仕組みをつくっていくことであると考えております。
 都では、こうした視点に立ちまして、これまでの文化政策手法を転換することといたしまして、第一に、従来、どちらかというと西洋音楽などを、安い価格でそういうものを提供するというようないわゆる鑑賞機会の提供型から、若手のアーチストなどへの創造環境の整備ということ、第二番目に、文化施設の統合等を契機にいたしまして、施設の整備から文化創造、発信拠点としての機能の充実へ、それから第三に、文化にかかわる多様な主体との、例えばNPOなども含めてでございますが、との連携、仕組みづくりへの調整機能の発揮などに重点を移してまいりたいと思います。

○中屋委員 それでは、東京の創造環境の整備に向けて、その後具体的にどのような取り組みを行ってきたのか、お伺いしたい。また、今後はどのような分野に重点を置いて取り組んでいかれるのかについても、あわせてお伺いをいたします。

○高橋生活文化局長 十三年度におきましては、映像文化を通じ東京の魅力を発信するため、撮影許可等に関する総合窓口である東京ロケーションボックスを開設したほか、駅や公園などの公共空間を、文化創造活動の場として若手アーチストに提供していく事業などの検討を行っているところでございます。
 今後は、そうした創造環境の基盤をさらに拡大するために、引き続き、現在でも歴文などを通じて若手アーチストの演劇等についての支援をやっておりますが、そうした若手アーチストを支援する事業を充実させるとともに、日本固有の文化の発信とアイデンティティーの基礎となる伝統文化、これにつきましても、現在でも例えば江戸博で歌舞伎の若手の公演とかあるいは落語などをやっておりますが、そうした伝統文化を継承、発展させる事業に重点を置きまして、施策を展開してまいりたいというふうに考えております。

○中屋委員 文化振興のあり方につきましては、さまざまな意見があり、見解が分かれるところであります。今後も幅広く議論をしていくべきであると考えておりますが、これに対する取り組みはどのように進めていくのか、お伺いをいたします。

○高橋生活文化局長 東京の文化活動は、さまざまな団体、専門家、都民等によって展開されており、こうした方々との間で、文化振興のための基本的展望を共有していくことが必要であります。このため、政策論議の端緒となるものとして、昨年「当面の東京都文化政策手法の転換と取組」を取りまとめ、文化活動に係るさまざまな主体相互の交流や幅広いネットワークづくり、及び行政との柔軟なパートナーシップの形成に係る取り組みの必要性を明らかにしたところです。今後その具体化に向け、例えば文化会議だとかあるいは情報提供の連携などについて検討を進めてまいる所存です。

○中屋委員 昨今、企業のリストラ、失業率の上昇など、社会全体が重苦しい雰囲気に包まれております。こういうときこそ、文化や芸術が持つ力によって、人々が元気と活力を取り戻すことも必要であると考えます。限られた財源を活用して、文化の面からの都市再生に積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 次に、消費者行政施策についてお尋ねをいたします。
 近年、規制緩和や自由競争政策の推進などによって、日本も構造改革が進展し、市場原理に基づく経済社会、いわゆる市場メカニズム重視社会に移行してきております。事業者にとっては、これまで阻害されていた事業への新規参入の規制が撤廃されたことにより、自由な参入が可能となるため、事業活動が活発化し、その結果として、日本経済は活性化するといわれております。
 しかしながら、消費者にとって、経済のグローバル化や情報化の進展、市場メカニズム重視社会への移行は、多様で豊かな生活が可能となる一方で、一部事業者による不公正かつ不透明な事業活動が消費者に不利益をもたらすケースも少なからず発生させているということであります。
 このような状況の中、平成十二年度に消費生活対策審議会が答申を出したと聞いております。この審議会答申をどのように消費者行政施策に反映していくのか、お伺いをいたします。

○高橋生活文化局長 昨年十二月に消費生活対策審議会から、社会経済システムの変化と消費者行政のあり方について、答申を受けたところでございます。
 その答申内容は、第一に、多発、増大している新たな消費者取引トラブルに対応するため、市場メカニズム重視社会に対応した取引環境の整備が必要であること、第二に、商品やサービスの安全性に対して、商品事故情報隠しや食品の安全性への不安が再燃しており、安全で安心できる消費生活基盤の確保が重要であることなどでございます。
 都では、この答申を受けまして、まず取引環境の整備関係では、既に特別機動調査班を設置し、悪質な事業行為を行う事業者名の公表を行ったところでございます。また、安全で安心できる消費生活基盤の確保関係では、遺伝子組みかえ食品などバイオテクノロジー応用食品について、都独自のガイドラインによるマーク表示を、この十二月から実施する予定でございます。
 今後も、消費者の適切な商品選択に必要な情報を提供し、消費者が自己責任に基づいた行動をとれる環境を整備するなど、新たな消費者行政施策を展開してまいります。

○中屋委員 社会経済の構造改革が進展し、消費者並びに事業者双方に自己責任が問われる時代になってきたといえます。国は、消費者、事業者間の情報力や交渉力の構造的格差を埋めるため、特定商取引法など業法の改正や、PL法や消費者契約法など民事ルールの整備を進めてきております。
 一方、都の消費者行政においては、昨年の消費生活対策審議会の答申内容である、消費者を取り巻く社会経済環境の変化に的確に対応した施策を既に展開しているとのことです。ところが、今年度も、審議会において、東京都消費生活条例の改正についてを諮問事項とする検討が行われていると聞いております。
 そこで、消費生活条例の改正を実施する理由と、今後のスケジュールについてお伺いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

○高橋生活文化局長 消費生活条例を改正する理由でございますが、第一に、消費者契約法など新たな法整備への対応や、インターネット取引や迷惑メールによる勧誘など、新たな取引形態や消費者被害の実態に対応する必要があること、二番目には、不適正な事業行為を行う悪質事業者などに対する改善勧告及び事業者名の公表措置に係る手続の迅速化を図り、被害の拡大・未然防止をさらに進める必要があること、第三に、機動的な行政措置をとるため、審議会の諮問が必須要件となっている事項を見直す必要があることなどでございます。
 次に、消費生活条例改正のスケジュールですが、十月末に中間報告が審議会で出されましたが、現在都民意見を聴取しているところでございます。この十二月下旬には審議会から最終答申が出される見込みでありまして、これを受けまして、平成十四年の第一回定例会に改正案を提出する予定でございます。

○小山委員長 中屋文孝委員の発言は終わりました。
 馬場裕子副委員長の発言を許します。

○馬場委員 平成十二年度決算特別委員会で、私からは、大きく四点について質問をさせていただきます。
 まず、福祉諸施策ということでございますが、利用者が選択をするために必要なサービスの質と量の確保、また、区市町村との連携と都の役割、このことは大きくこれからの福祉それぞれの施策について、重要な問題になってきております。
 この中で、さらに、私は、本日、児童虐待及びDV防止法における施策間の連携について等の観点から、一時保護について質問をさせていただきます。
 福祉サービスを必要とする女性の状況が複雑化してきております。総合的な福祉サービスを必要としているにもかかわらず、相変わらず、高齢者、障害者などの分野別のサービス提供の仕組みとなっています。とりわけ配偶者からの暴力を受けて保護を求める女性は、このようなサービス提供方法では対応し切れないのではないでしょうか。こういう視点から、まず質問に入らせていただきます。
 さまざまな理由で行き場のない女性、特に子どもを伴った女性の受け皿として、現在では、女性というくくりで、女性相談センターなどに一時保護がされている状況にあります。年代では、二十代から五十代、六十代の方もいらっしゃいますが、ほぼ均等で、この一時保護の対象外に近いような、心身、体、そして心もともに障害を持つような方も含め、七〇%の方が、今この女性相談センターに一時保護をされているという状況がございます。
 この一時保護、基本的には二週間なんですが、現状では、東京都の女性相談センター二カ所、四十五名定員に対して平均四十五・三人、つまり、もう満杯というような状況にあるという十二年度の報告があります。東京都の女性相談センターは、原則として保護の必要がある女性であれば、原因や年齢を問わずにかなり幅広く受け入れている、このことは評価をするものであります。しかしながら、今、平成十二年度の実績、満杯状態と申し上げさせていただきました。
 この女性センターで保護した女性の中には、本来、本人の安全と自立のためには高齢者施設や障害者施設で保護すべきであるにもかかわらず、女性ということで、女性相談センターが受け入れている場合もあると伺っております。また、一たん女性相談センターで受け入れた場合でも、本人の状況がわかり次第、速やかにほかの専門施設に移す必要があるにもかかわらず、受け入れ先が見つからない場合もあるというふうに聞いています。
 そこで、福祉事務所から一時保護の依頼があった際に、女性相談センターが満杯で断った場合、福祉事務所はどのような対応をしているのか、また、都では、女性相談センター以外に一時保護の受け皿を持っているのか、お伺いいたします。

○前川福祉局長 今お話がありましたが、夫からの暴力などさまざまな理由から緊急に保護を必要とする女性、こういった女性に対しましては、都と区市町村が連携協力をして、一時保護を初め、自立に向けての相談、援助等の支援を実施いたしております。
 一時保護につきましては、福祉事務所が第一次的な窓口となって対応しており、本人の置かれている状況や抱えている問題などを勘案しながら、都の女性センターへの一時保護を依頼したり、あるいは他の施設、センター以外の施設の活用を図るなど、所要の対応を実施いたしております。
 また、東京都では、外国人女性のために緊急一時保護を実施している民間団体に対しても、財政支援を行っております。

○馬場委員 今お答えをいただきましたように、この一時保護については、現状では、区市の福祉事務所が第一次的な窓口になっているということで、今、私は、福祉事務所から依頼を受けて、都が満杯の場合という質問をさせていただいたんですが、お答えにありましたように、都が満杯であっても、区市の福祉事務所がその対応をしなければならないということをおっしゃっていたのかなというふうに私も思います。
 区市にとっては、一時保護は大変な問題ということであります。ここに資料があるんですが、二〇〇一年、ことしの三月に東京女性財団が出された配偶者等による暴力の被害女性と子どもへの支援に関する調査報告書の中でも、具体的なことで困ったことという、この調査対象は、各施設の職員さんを対象にとった報告書なんですが、大変なことで一番に挙げられていることが、緊急避難施設の紹介、さらに仕事探し、職業訓練、住居の確保、保育所等の施設入所、生活保護貸付金、心理ケア等、こうしたさまざまな問題が挙げられています。
 区市町村が独自に一時保護先を確保しなければならないという現状なんですが、こうした現状を都でも十分認識をしていらっしゃるのではないかなというふうに思いますが、都として、支援策は、それではどんなように考えていらっしゃるのでしょうか。

○前川福祉局長 今お尋ねの支援策につきましては、大きく二つの点で実施をいたしております。
 一つは、平成十二年度から実施をしておりますが、ひとり親家庭総合支援事業の中で、緊急に一時保護を必要とする母子等に対し、区市町村が実施する母子緊急一時保護事業や、緊急一時保護ホテル宿泊費助成事業への財政支援を実施いたしております。
 またもう一点、一時保護の受け入れにつきましては、さまざまなケースが想定されるために、今お話もありましたが、都や区市町村等の関係機関が連携協力して、相互に情報の共有化とか意思疎通を図っていくことが重要であります。
 このため、都としては、区市の婦人相談員との連絡会の開催であるとか、相談員の研修とか、そういった対応を行っております。

○馬場委員 今お答えいただきました施策は、お答えの中にありませんでしたが、ひとり親家庭総合支援事業という大きな事業の中に組み込まれている事業なんですね。このことでもおわかりのように、まず、一時保護等が必要になった場合に--その前に、それぞれの状況で、子どもの虐待、それからDV、いろいろな事情がありますが、そうした場合に、まず離婚になる例が多い。そして、離婚からひとり親になっていく。そういう状況があるということを、都では認識していらっしゃるのではないかなと思います。
 そういう意味では、ひとり親家庭総合支援事業の中に組み込まれているという状況ではありますが、区市が苦慮しているこういう一時保護総合支援について、もっともっと都では力を入れていただきたいというふうに私は願うものでございます。
 次に、このたび、長年の女性たちの思いが実り、この十三年十月十三日から、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律が施行されました。法施行後、早速、大阪等で保護命令が出されたなどの報道からも、DV被害者の深刻な問題が浮き彫りにされております。ドメスチックバイオレンスですが、DV被害者にとって、いかにこの法律の制定が待たれていたかということが推察されます。
 この法律の施行によって、DV被害者の一時保護の責務が女性相談センターに課されることになりました。すなわち、DV法による一時保護は、都道府県の責任により行うこととされておりまして、法施行前の一時保護とは違う重みがあるというふうに私は思っております。このことを都にぜひ認識をしていただきたい。
 ここに内閣府男女共同参画局のパンフレットがありますが、この中にもきちんと、一時保護、都道府県に各一カ所は設置されなければならない、そして一時保護業務は都道府県の責務であるということが書かれております。そういう意味でも、今まで一時保護が、さきの質問でも述べさせていただきましたように、区市町村の福祉事務所が大きく一次的に窓口になっていた、そういう状況から、このDV法につきましては、都が都道府県業務として責任を負わなければならない、こういうことがあります。
 都では、それでは、このようにDV法に基づく一時保護をどのように充実をさせていくお考えなのか、ご所見を伺います。

○前川福祉局長 これまでも、東京都の女性相談センターは、保護や援助を求める女性に対しまして、緊急一時保護を初めとする幅広い女性保護施策を、区市町村と連携協力をしながら実施してきております。
 今お尋ねがありました、夫などからの暴力に対する被害者の保護につきましても、その中で的確に対応してきており、実態を見ますと、平成十二年度の女性相談センターにおける一時保護件数の四割は、夫などからの暴力によるものでございます。
 したがって、いわゆるDV法の施行後も、こうしたこれまでの実績の積み重ねを大事にしながら、区市町村などとの基本的な連携の枠組みを維持して、一時保護につきましても的確に対応していきたい、こう考えております。

○馬場委員 今お答えをいただきましたように、平成十二年度の一時保護件数の四割は夫などからの暴力である。今お話ししましたように、DV法が施行され、今、各地で一斉に取り組みが始まっております。こうした中で、さらにこの数字は大きくなる。つまり、助けを求める女性がふえてくるというふうに思われます。
 また一方では、子どもの虐待との連鎖、このことも大きく今いわれております。DVと子どもの虐待の関係ということ、家族、家庭の問題ということで挙げさせていただければ、子どもへの虐待をしている六割は母親であり、そのうち、三割はひとり親の場合が多い。母子で暮らす中で虐待がふえ、またその母子で暮らすということの原因が、大きく夫からの暴力ということであるというふうに思っています。
 そういう意味では、これから東京が各区市と連携をして、それぞれの施策を充実をさせていかなければならないというふうに思っていますし、危機介入という意味では、一時保護というものが大変大きな役割を持っているというふうに思っています。
 この一時保護、またそれからの自立に向けては、それぞれのところでの役割、各施設での職員等も含めての役割が大変大きなものがあるんですが、現状では、母子相談員、児童相談員等、各地で一人勤務というところが多いというふうに聞いています。それぞれ大きな課題をしょって、こうした皆さんが勤務をする中で、先ほど述べましたように、大きく問題になっているのが、行政の縦割りということが述べられています。
 大きく女性問題、いろいろな分野にまたがり、特に自立に向けてはさまざまな分野へかかわっていくということが多い。そのためには、きょう、各局の局長初め責任者の皆さんがお集まりで、出席をなさっていらっしゃいますが、こうした各局の皆さんの連携ということが大変大切なことであるということが強く述べられています。
 私も、これからの都の事業は、まずDVにおいての対策、一時保護等の相談事業の対策とともに、広域性、そして各事業の連携、このことを図ることが、大きく解決に向かって大切なことだというふうに思いますので、ぜひこれからの十四年度の予算、さらに今後の福祉の中での女性施策について、充実を図られることを願って、次の質問に移ります。
 次は、緊急地域雇用特別基金事業について伺います。
 緊急地域雇用特別交付金事業は、現下の厳しい雇用、失業情勢の中で、中高年齢者の非自発的離職者や新規学卒未就職者を主な対象として、臨時応急的な雇用の場を確保することを目的として創設されたものであります。
 平成十一年度から平成十三年度までの三カ年の事業で、都は、この三カ年における新規雇用目標数を三万人としており、各年度においては、新規就職者延べ人員数を計画していらっしゃいます。そこで、新規雇用目標数と各年度における新規就業者延べ人員数をどのように算出していたか、お伺いをいたします。

○浪越産業労働局長 都の新規雇用目標数の設定については、国から都への交付額が交付金総額の九%であり、この数をもとにすると、全国の雇用目標数三十万人に対して、二万七千人となりますが、都における厳しい雇用情勢を考慮して、それを上回る三万人としました。
 また、各年度の目標については、事業計画ごとに見込まれる新規就業者数を積み上げて算出したものでございます。

○馬場委員 この緊急地域雇用特別交付金は、都の事業と区市町村の事業を合わせて、できるだけ多くの新規雇用を確保することを目的としております。
 当初、国から交付を受けた百八十二億五千百万円のうち、九十一億五千百万円を都の事業として、残りを区市町村の事業として実施することを計画してこられました。
 十一年夏から秋へかけての緊急対策として、短時間で計画しなければならなかった状況というものはありますが、十二年度予算では、都と区市町村合わせて九十億五千五百万円余りを計画していました。しかし、決算では、七十三億七千二百万円余りで、執行率は八〇%と低くなっております。これが新規雇用の実績に影響がなかったか、お伺いいたします。

○浪越産業労働局長 交付金事業につきましては、これまで、各事業の円滑な実施と予算の効率的な執行に努めてきたところでございます。新規雇用の創出についても、着実な成果を上げていると考えております。

○馬場委員 それでは、三年間での新規雇用目標三万人の達成見込みについて伺います。

○浪越産業労働局長 平成十一年度及び十二年度の交付金事業の実施により、都と区市町村とを合わせて二万四千五百三人の新規雇用を創出しました。
 今後とも、目標が達成できるよう努めてまいります。

○馬場委員 新規就業者の目標が達成されたとしても、その内容が重要であると考えます。先日、十一月四日付の朝日新聞では、緊急地域雇用特別交付金で実際に雇用された人たちが、失業者か非失業者かを把握していない自治体が多く、把握している自治体の中には、非失業者が多数雇用されていたという調査結果が報道されております。
 緊急地域雇用特別基金事業は、中高年齢者などの非自発的失業者や新規学卒者の未就職卒業者を主な対象として創設されました。そういう意味では、緊急地域雇用特別交付金事業の目的に照らしてみれば、委託事業者が失業者等を採用するように、都として指導をしていく必要があるのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 都としては、各事業において、できるだけ多くの失業者が雇用されるよう、新規雇用者の人件費を総人件費の三割以上とすることといった、他県に例を見ない独自の目標を設定しております。これに基づいて委託事業者等を適切に指導しており、新規雇用に結びついているものと考えております。

○馬場委員 国の基準では、新規雇用の割合が明確に定められていないという現状がありますが、平成十二年度において都が実施した事業は、各局合計して六十一事業あります。その中には、執行額に比べて新規雇用者数が少なかった事業も幾つか見られます。今後実施する事業については、できるだけ新規雇用につながるような事業の実施に努めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 事業の実施に当たりましては、これまでも新規雇用につながるよう努めてきたところでありますが、新規雇用者数については、各事業ごとの性格や実施時期、地域特性などにより、違いが生じたものであると考えております。

○馬場委員 先ほども申し上げましたが、数の目標達成は見込めるということですが、内容を実のあるものにするということが望ましい。そういう意味では、平成十二年度は、区市町村分として介護支援専門員受験対策講座、養成講座、また育児サービス提供介護員の養成、さらにケアマネジャー養成事業講座、NPO法人の設立運営に関する研修といった、講習や養成講座の事業が多く実施されております。講習や養成講座を受けた人が、スキルアップを図ることによって職につきやすくなるということを考えますと、雇用対策という点からは大きく有効であるというふうに考えます。
 緊急地域雇用特別基金事業の事業化に当たっては、こうした観点から事業化を図っていくことが重要なのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 お話のような事業につきましては、区市町村と連携をして実施しているところでございまして、雇用就業の促進に効果があったと私どもは考えております。

○馬場委員 現在もさらに厳しいという失業率の中での対策ということで、再登場したというふうに思えるものがあります。先日発表された政府の補正予算案では、新たなということで、緊急地域雇用特別基金事業を平成十三年から十六年まで、三千五百億円を盛り込んでの提案がされています。そして、その事業の八割以上を人件費とすることや、失業者の新規雇用の割合を四分の三以上とするなどの条件を課すということも含まれていると聞いています。
 しかし、数値的なことだけでなく、地域特性の事情を踏まえて、どのような事業を実施することがより有効な雇用対策になっているかを分析し、国に提言する、あるいは東京都独自で実施することで、本当に困っている失業者の雇用対策につながるよう努めてもらいたい。
 まだこれから審議をされるということですが、今まで申し述べました今やっている事業も含めて、都のこうした積極的な国への提言が必要というふうに考えますが、いかがでしょうか。

○浪越産業労働局長 ただいまお話のありました国の新しい交付金事業につきましては、今後、国から示されるであろう事業要領等を踏まえ、新規雇用の創出を図る観点からも適切に対応してまいりたい、そのように考えております。

○馬場委員 雇用対策、都でも本当に大きく取り扱っていかなければいけないというふうに思っていますが、国が出してくるいろいろな施策を受けてやらざるを得ない、そんな状況の中で、さらなる皆さんの努力を期待しているところでございます。
 この事業も、十一年から十三年とされたものが、今の案ですと、さらに十三年から十六年、通算して六年という緊急対策ということになります。そういう意味では、国の補助が出るとして、これを使って都がさらに雇用対策を有効にしていく、このことが各自治体に課せられた大きな役目だというふうに思っています。
 そういう意味では、このことの賛否はありますが、今行われている十三年までの事業を適切に執行され、国に向けて、このことの是非、そして実際に行う自治体が、有効であるかどうかということの提言を国にして、国としての有効な施策にしていただかなければならない、このことをぜひお願いをして、質問を終わります。
 次に、環境についてお伺いいたします。
 最近注目をされております、都市型の環境問題であるヒートアイランド現象に関して、何点かお伺いいたします。
 ヒートアイランド現象は、都市内において郊外よりも気温の高い地域が、都市を中心として局地的に形成される現象ということでございます。夏季における、夏場における夜間の熱帯夜、昼間の高温化がもたらされ、熱中症などの健康への影響の拡大が懸念されております。都市環境や都民生活に大変大きな影響を与える問題であると思っています。
 その原因の一つは、都市内の緑の減少であり、もう一つは、都市排熱の増大でありますが、そもそも都内では、近年、どのような要因で都市排熱が増加をしているのか、まず伺います。

○赤星環境局長 東京での都市排熱の大きさを、エネルギー消費量によって部門別に見ますと、事務所ビルなどの業務部門と自動車などの運輸部門との割合が高く、この二部門で全体の約七割を占めております。
 特に近年増加が著しいのは、事務所ビルのエネルギー消費であり、平成二年からの八年間で六割近くふえております。

○馬場委員 今お答えをいただきましたように、オフィスの排熱が大きく影響している。この人工排熱を抑えることが、まず大きく重要だというふうに思います。
 都は、環境確保条例で、延べ床面積一万平米を超える建物を対象に、建築物環境配慮制度を導入し、来年度からの施行を予定していると聞いております。具体的に、この制度の中で建築物にどのようなヒートアイランド対策の導入を求めていらっしゃるのか、伺います。

○赤星環境局長 建築物の環境配慮制度でございますけれども、地球温暖化防止やヒートアイランド対策を目的としたものでございまして、現在、平成十四年六月の施行に向けまして、準備を進めているところでございます。
 本制度におきましては、延べ床面積一万平方メートルを超える建築物の新築に際し、省エネルギーシステムの導入を初めといたしまして、屋上等への反射率の高い仕上げ材の使用や、敷地内の保水性舗装の採用などを通じまして、ヒートアイランド対策への取り組みを求めていく予定でございます。

○馬場委員 このヒートアイランド現象は、環境への配慮を怠ってきたこれまでの都市づくりの結果として生じたものだというふうに思っております。先日、十月二十九日の第三分科会でも、我が会派の初鹿委員が指摘いたしました屋上緑化等、全庁で積極的に対策を講じてほしいと思っておりますが、それだけでは問題は解決しません。都内の道路や駐車場のすべてを保水性に変える、また風の道を配慮した都市計画を行うなど、環境局が中心となって、全庁的なヒートアイランド対策が進むよう努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○赤星環境局長 ヒートアイランド現象の進行を食いとめ、緩和していくためには、都市活動におきますエネルギー消費の抑制や、緑化の推進に加えまして、都市づくりのあり方自体を、従来以上に環境に配慮したものに変えていくことが必要でございます。
 現在、改定を進めております東京都環境基本計画の中で、総合的なヒートアイランド対策の方向性を示し、全庁的な取り組みを強化してまいります。

○馬場委員 ありがとうございました。
 この環境の確保は、だれもが賛成をする課題ということでございますが、現状のような経済の状況の中では、思っていても、なかなかこれを積極的に取り入れるということをちゅうちょするという状況もあり得ると思います。具体的な施策一つ一つ、都民は大変大きく意識は高まり、環境について協力をしたいという気持ちはあります。そういう意味では、いろいろな面から、環境局が中心となって、お金だけでなく、さらに具体的な知恵も働かし、都民との協働の中で目標を達成していく、そして都民の生活を守る、環境を守るということをしていただきたい。このことを、環境局の頑張りを期待して、私の環境の質問を終わります。
 最後に、行政評価について伺います。
 次年度予算を編成する過程で、前年度の行政活動の成果を検証、評価すること、このことが重要であると思います。これまでは、決算審議がそのための重要なツールでありましたが、新たに導入された行政評価制度も、今後は大きな役割を担うことになります。
 都が全庁を挙げて行政評価制度の構築に取り組み、十三年度からの本格実施を実現したことは評価をしております。しかしながら、行政評価は、それを行うことが目的ではなく、あくまでも手段であります。したがって、制度は、それ自体が効果的で客観性があり、都民にもわかりやすく、事務事業の見直しや予算編成に有効に活用できるものとすべきであります。
 このような認識のもとで、都の行政評価制度を見てみますと、その努力は評価しつつも、なお制度の完成に向けて工夫する余地があると思われます。
 以下、よりよい制度とするために必要な問題提起を行ってまいります。
 まず最初に、評価を事業所管局の局長が行う一次評価と知事本部長が行う二次評価という二重構造にした理由、またねらいは何でしょうか、お伺いいたします。

○田原知事本部長 まず、第一次評価につきましては、現に事業を実施している事業所管局が、自己点検の観点から、その立場で実施をしているものでございます。
 また、第二次評価は、できる限り客観的な評価とするとともに、都の施策全体の中における事業のあり方を検証するために、全庁的な立場から知事本部が実施しております。
 行政評価は、まず事業所管局がみずからの仕事を見詰め直すことが必要であろうということを考えておりまして、それに全庁的な視点による評価が必要なことから、このようなプロセスで実施をしております。

○馬場委員 行政評価は、まずその事業所管局がみずからの仕事を見詰め直すこと、そしてさらに全庁的な視野も必要である、本当にこのことについては進めていただかなければならないというふうに思っていますが、ここに、十二年度の評価結果について、事業所管局の一次評価と二次評価者の評価とを対比した表があります。これを見ると、局の評価と二次評価の間には非常に大きな隔たりがあるものがあります。十二年度の対象事業四十八のうち、局は四十一事業にAまたはBという合格点をつけ、抜本的な見直しというDが一事業、事業廃止となるEはゼロという結果でした。しかし、二次評価では逆に、Aはゼロ、Bがわずかに二、Dが十七、廃止が六という結果になっております。
 一次評価と二次評価が極端に隔たっている事業を具体的に挙げますと、産業労働局所管の地域中小企業経営・技術相談と教育庁所管の総合教育相談の二事業ですが、この所管局の評価がAで、拡大実施が適当、こういう判断なのに対して、二次評価はDで、事業の抜本的な見直しが必要という厳しい評価となっております。
 一次評価を実施することで、局の自己責任を明確にするというねらいはわかりますが、同じ事業を評価しているのに、ここまで大きく食い違っているということでは、制度の実効性に疑問を感じざるを得ません。
 なぜこのような結果になったのか、まず評価の基準はどのように設定されているのか、伺います。一次評価と二次評価の基準は違うものなのでしょうか。

○田原知事本部長 昨年の試行の際の事務事業評価の評価項目は、達成度、必要性、効率性及び公平性、この四つを設定いたしまして、これらの検証を踏まえて、事業の今後の方向性を示す総合評価を行っております。
 第一次評価、第二次評価ともに評価項目は同じでございます。

○馬場委員 それでは、今ご説明がありました評価基準に基づいて、私が例に挙げた二事業について、各所管局長と二次評価者がどのような評価を行ったのか、またこの二事業について、所管局は二次評価をどのように受けとめていらっしゃるのか、またその後どのように対応しているのか、それぞれお考えを伺います。

○田原知事本部長 第二次評価に当たりましての考え方でございますけれども、まず、地域中小企業経営・技術相談につきましては、中小企業支援法の施行を踏まえまして、効率性の観点から、民間事業者の専門能力を最大限に活用して、より効果的な運営形態を目指すことなどが必要であるとしたものでございます。
 また、総合教育相談につきましては、必要性はあるとしながらも、効率性の観点から、多摩教育研究所の教育相談室との統合をする必要や、蓄積されました相談事例から抽出された問題点を、学校の改革により一層役立てていくべきものとしたものでございます。
 これらのことから、二事業の今後の方向性として、抜本的な見直しが必要であると評価いたしました。

○横山教育長 総合教育相談の行政評価についてでございますが、子どもたちのいじめや不登校、あるいは暴力行為等に関する相談事例は、近年、多様化、複雑化、深刻化しておりまして、子どもたちの心のケア、家庭の子育てなどを支援します相談事業への都民のニーズは高く、その充実が強く求められている状況でございます。
 そのため、総合的、一元的な相談体制を構築しまして、家庭教育相談の拡充や、きめ細かい相談体制の整備充実が必要であると考え、第一次評価を行ったものでございます。
 そこで、二次評価の受けとめ方とその後の対応でございますが、東京都といたしましては、二次評価を受けまして、多様化、複雑化、深刻化します相談に迅速、的確に対応するために、都立教育研究所と都立多摩教育研究所の相談事業を一元化しまして、平成十三年四月一日付で東京都教育相談センターを設置したところでございます。
 教育相談センターにおきましては、区市町村の教育相談機関との連携を強化、支援しますとともに、教職員研修センターと連携した研修、不登校の児童生徒等に対する相談の充実及び電子メールによる相談の受け付けの開始など、相談機能の一層の整備充実に努めているところでございます。

○浪越産業労働局長 地域中小企業経営・技術相談事業につきましては、厳しい経済状況下における、経営技術上のさまざまな問題を抱える中小企業のニーズが拡大していることから、一層の充実強化に努める必要があります。
 また、中小企業者の身近なところで支援事業を行う必要性が高まっており、今後は、多摩地域への展開も含めた事業の拡充を図っていくべきであると考えます。
 二次評価は、このような事業の必要性を認めつつ、ただ効率性の観点から、運営主体について、民間活力の導入などの見直しが必要であるという指摘と私どもは理解をしております。
 局としては、この評価を真摯に受けとめ、本事業を東京都中小企業振興公社へ移管してまいります。

○馬場委員 それぞれのお立場からご説明をいただきました。各局と二次評価者では、評価の視点が、初年度ということでしょうか、ずれているというより、それぞれの事業の目的が違うというところで、結果的に一次、二次がずれてきたのかなというふうに受け取りました。
 公表されている評価結果報告書の評価欄を読ませていただきましたが、ここでも同じことがいえます。
 これは評価の基準が不明確とかあいまいとかということもありますが、一方、事業局としての施策の充実を図りたいということと、知事本部の効率性を重視するという点から、大きく見方、観点が違ってきているのかなというふうに私は受け取りました。
 それでは、この評価結果を有効活用する方法として、これから、例えば予算編成への反映ということは、大きく重要な観点だというふうに思います。さきに述べましたように、予算編成のためにも評価が必要ということから考えましても、この予算編成への反映ということが大きく課題にありますが、今のように一次と二次とで評価の結果が大きく隔たっているような状況では、的確な反映というものは難しいのではないか、私はそのように受け取りました。早急に評価基準というものを精査して、都民にとっても、客観性をより高めていく必要がある。十三年度の本格実施に当たって、この点でどのような改善がなされているのか、加えられているのか、お尋ねいたします。

○田原知事本部長 十三年度の本格実施に当たりましては、これまでの試行結果を踏まえまして、事務事業評価における必要性、効率性などの個別の評価項目の検証に際して、具体的な設問を設定いたしました。
 さらに、各評価項目の検証結果と、総合評価が次にありますけれども、総合評価を結びつけるための手順を示す、事業点検フローと申しましょうか、これを策定いたしました。例えば必要性が高い場合でも、事業の仕組みなど効率性に問題がある場合には、これについては抜本的見直しが必要といった評価結果となるように、評価基準を明確にする改善を行ったところであります。

○馬場委員 評価基準が明快で客観性があるものであり、評価ということの効果を高めるためにも、この制度の根幹にかかわる重要課題として、評価基準の明快で客観性のあるものについてのご検討をさらにお願いをしておきます。
 行政評価の結果を生かして真に効果のある改善を行うためには、実際にその事業を所管し、内容にも精通している当該局の自発的な創意工夫が必要であると思います。そのためには、まず、局の見解を求めることは当然でありますが、それを一つの固まった評価ととらえるのではなくて、二次評価者との議論の出発点と位置づけ、両者間で改善に向けての真摯な議論、検討を重ねていくべきなのではないでしょうか。
 途中の段階で意見が分かれ、活発な議論が行われるのは大いに結構ですが、結果として都民に示す評価は、都として一本化し、以後、所管局の納得のもとに積極的に改善を図っていくというのがあるべき制度であると思いますが、いかがでしょうか。
 十一年、十二年度は試行の段階であり、まだまだこれからというところだと思いますが、せっかく行った評価結果を建設的に生かしていくために、評価のしっ放しということでは何にもなりません。評価結果を有効に活用するための関連部署との連携、フォローアップは重要な課題であります。
 また、その際には、二次評価が頭ごなしに結論を押しつけるのではなく、所管局と十分議論し、双方が納得の上で、ともに改善に向けた取り組みが行われる必要があると考えます。
 知事本部は、試行期間中に得た教訓を踏まえ、評価結果の的確なフォローアップを行うための仕組みづくりに向けて、どのような工夫を行っていらっしゃるのでしょうか。

○田原知事本部長 行政評価制度の実施に当たりましては、評価結果を事務事業の見直し、予算編成等に反映させていくことが、制度を有効に機能させる上で重要である、これはご指摘のとおりでございます。
 このため、事業所管局が評価結果を踏まえまして、その後、どのような見直し、改善を行ったのかを知事本部が調査をするなど、進行管理を実施する予定でございまして、この過程では、事業執行局と十分議論をしたいと思っています。また、その結果につきましても、公表することを考えております。

○馬場委員 評価の結果については、都民にわかりやすい形でこれを公表していく必要があります。現在公表されている報告書は、膨大な事務事業評価表をもとにするものとなっています。都民の前になるべく多くの情報を提示して議論を深めるという趣旨は大いに結構であり、熱意はよくわかりますが、A4版で四百ページにもなる資料を、何人の都民がじっくり読み込んでくれますでしょうか。
 先日の委員会でも質疑がありましたが、昨年十一月十七日に平成十二年度行政評価制度の試行結果を公表してから、本年十月までのインターネットでのアクセス件数は六千六百四十一件。そのうち、アンケート回答件数というのでは、二十七件という状況が報告をされました。都民のための行政評価制度なのに、反応が少ないような気がいたします。やはり現在の公表のあり方は、必ずしも都民の立場に立ったものとはいいがたいのではないでしょうか。都民にわかりやすい制度とするためには、評価基準の設定や都民公表のあり方について、外部の専門家など第三者機関の意見を参考にすることも必要であると思います。
 こうした点も踏まえ、行政評価制度の確立に向け、今後、より一層の工夫が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○田原知事本部長 インターネットに事業評価を公表いたしましたが、これは六千六百件を超えるアクセスがあった。これは、都民の関心が非常に高いものである証左であろうと思っております。それだけに、今年度の本格実施の報告書の作成に当たりましては、さらに内容をわかりやすくするなどの工夫をしているところであります。
 また、高度な専門性ですとか実践的な識見が必要な場合には、必要に応じて外部専門家の意見を聴取いたしまして、その内容も評価に生かしていきたいと思っております。
 今後とも、都民からいただいたご意見、議会でのご議論を踏まえながら、試行から本格実施になりましたので、より実効性の高い制度に改善をしてまいります。

○馬場委員 いうまでもなく行政評価制度は、都の行政活動の目標と結果を都民にわかりやすい形で示すとともに、成果主義に立って都民サービスの向上を図っていくことに、その目的があります。現在、中期的にも税収の大幅な増収が見込めない中で、行政評価制度は、限られた財源を最も効率よく使って、真に必要な都民サービスを維持、向上させていくために必要不可欠なツールであると考えます。
 今回の一次、二次のそれぞれの立場からの意見を見るということも、私たちには大変参考になります。決算委員会においても、こうした評価の資料があるということは、また私たち議員にとっても、それぞれの事業を評価する上で大きく参考になるということを改めて感じました。本格実施に当たり、原点に立ち返って、真に都民のためになる制度の構築をさらに図っていただきたいと思います。
 次に、行政評価制度は東京都自身が行っているものでありますが、自治体には、行政の適正な運営を確保するために、監査委員制度が設けられております。監査委員の職務権限は、財務監査のみならず行政監査や工事監査など、広範囲に及びます。この監査制度につきましては、これまでも職務の独立性及び専門性の確保、実施体制の充実、透明性の確保などが指摘されてきております。
 東京都監査事務局も、昨年七月に検討委員会の報告書をまとめられ、監査手法の充実策を提言しております。今回の十二年度決算についても審査意見書を出されておりますが、都財政の巨大さや監査委員の職務権限の広さから見て、監査事務局の体制は十分なのでしょうか。
 知事部局との人事交流も一概には否定いたしませんが、それでも職務の独立性は保てるのでしょうか。疑問に思う点も少なくありませんが、現在の監査事務局の体制についてどのようにお考えか、事務局長のご見解を伺います。

○中山監査事務局長 監査委員監査は、都の行財政の運営が適正になされているかを検証し、その結果を都民や都議会等に報告するものであり、独立性と専門性が保たれていることが不可欠であると考えております。
 このことから、事務局の職員に対しては、機会あるごとに、独立の立場で公正不偏な監査を実施することの重要性についての意識の涵養に努めております。また、専門性を高めるため、今年度から、企業会計に関する監査を専門に実施する体制を整えるとともに、各種研修を体系的に実施しております。さらに、監査の公正性、客観性の確保を図るため、実査マニュアルの充実に努めているところです。
 今後とも、独立性についての意識の涵養を図るとともに、研修の充実などを通して専門性の確保を図り、監査事務局の体制のより一層の充実に努めてまいります。

○馬場委員 最後ですが、今述べました行政評価と監査委員の評価、このことが屋上屋を重ねない、大きく都民にとって必要な資料の提供になる、そのことが重要だと考えます。その意味で、都民が行政事務を評価する上で有意義だと思いますが、監査と情報提供についてどのようにお考えでしょうか、伺います。

○中山監査事務局長 検討委員会報告で示しました事業評価手法による監査とは、事業の実施状況などについて現場調査をするなどの結果に基づいて、知事部局で実施している行政評価とは別に、監査委員が都の事業についての客観的な評価を行うものです。この監査は、独立した立場からの判断として評価を行うことにより意義を有するものでありまして、同時に、その結果が都民や都議会などへ報告され、都政についての有意義な情報となるものと考えております。
 今後、行政評価の実施結果も視野に入れながら、都民等から信頼される監査を行い、その結果を明確でわかりやすい情報として提供するよう努めてまいります。

○小山委員長 馬場裕子副委員長の発言は終わりました。
 この際、議事の都合により、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十三分開議

○小山委員長 休憩前に引き続き、委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 東野秀平副委員長の発言を許します。

○東野委員 私からは、平成十二年度決算にかかわる極めて身近な問題について、本日はお伺いしたいと思います。
 初めに、目黒川、呑川、渋谷川・古川のいわゆる城南三河川の清流復活の事業について、何点か伺います。
 近年、河川改修、また下水道の整備が進んで、かつて暴れ川とも呼ばれた流域の住民を悩ませた目黒川等も、はんらんによる浸水被害は減少し、生活環境の改善面で著しい進展が見られるようになりました。しかし、その反面ともいうべきか、都内の中小河川の貴重な水源でありますいわゆるわき水が、コンクリート護岸の整備によって河川への直接流入を阻まれ、また、合流式の下水道にすべてわき水が取り込まれるというようになってしまった結果、雨天時の下水道からの越流水だけが流れる、そのような川になってしまった。その結果、汚物の川底への付着、また、ヘドロの堆積などから、異臭等の新たな問題もクローズアップされるようになってきたところであります。
 本来、河川は、雨水を排水するためだけにあるものではないことは、いうまでもありません。川面に鳥が遊び、水中に魚の姿が見られてこそ、初めて川と呼べるのではないかと思います。平成七年三月に、城南三河川の清流復活事業として、落合処理場の高度処理水の送水が開始されましたが、これはまさしく、かねてからの地元区、地元住民の強い要望が実現したものであります。これまでに至る先輩議員、また諸先輩たちのご努力、また各局の努力に対しましては、改めて敬意を表するものであります。
 そこで、まず、清流復活事業が開始されるまでの三河川の水質と、開始されてからの水質の変化について伺います。

○赤星環境局長 城南三河川の水質の変化についてでございますが、水質汚濁の代表的指標でございます生物化学的酸素要求量、いわゆるBODの年平均値で見ますと、清流復活事業が開始されるまでは、目黒川、呑川において、環境基準でございます一リットル当たり八ミリグラムを達成していない年が多くなっておりました。
 事業を開始いたしました平成七年度以降は、三河川ともおおむね二から四ミリグラムの範囲で推移し、環境基準が達成されております。

○東野委員 ただいまの答弁にもあったように、事業の開始により水質は大幅に改善された、このようにいえると思います。実際、それまで多くの区民の方々から寄せられておりました川のいわゆる異臭、臭気に対する不満の声も、多少なりともおさまってきたようでありました。臭気とBODの値とは直接的には結びつかないと思われますけれども、少なくとも、BOD値が高いと臭気が強くなる傾向があると仄聞するところであります。
 ところが、東京都は平成十二年度に、財政の逼迫を理由といたしまして、落合浄水場からの送水量を半減、半分にすることとして大きな問題となったことは、記憶に新しいところであります。
 そこで、昨年、送水量を半減させたときの水質への影響についてお伺いしたいと思います。

○赤星環境局長 平成十二年度は、六月から九月までの夏場を除きまして、送水量を半減させたところでございます。送水量を半減させました月のBODを、計画どおりの送水を行いました他の年と比べますと、降水など気象条件の影響もあり、明確な影響を読み取ることは必ずしもできていない状況でございます。

○東野委員 BOD値については、送水量の減少とは必ずしも直接的には関係がないようですね、今のご答弁からすると。明確ではないということなんですけれども、一方で、送水量が半減になりました、そういったところでの地元区や地元住民の声、実際の住まわれている方々の声、これはどうだったのでしょうか。

○赤星環境局長 送水量を半減しました後、地元住民からは、臭気がする、あるいは魚の姿が見えなくなったなどの報告が地元区に寄せられたと聞いております。
 また、流域の六区の区長、区議会議長さんを初め、目黒川を豊かな生活環境にする会からも、送水量の復活を求める要請がございました。

○東野委員 ただいまご答弁にもありましたように、地元区、地元住民の強い要請もありまして、今年度は、年度当初から計画どおりの送水量が確保されているわけでございます。
 今年度に入ってからの地元住民からの苦情の状況はいかがでしょうか。

○赤星環境局長 今年度に入りましては、城南三河川につきまして、地元区、都民からの特段の苦情は寄せられておりません。

○東野委員 先ほど、送水量の減少が必ずしも水質に与える影響は明確ではない旨の答弁があったわけですけれども、地元区や地元住民からの報告にあったように、臭気や魚の姿、魚影などの生活に密着した指標、こういった観点から見ますと、やはり送水量の減少が影響を与えているというふうに見るべきであろうと考えます。
 また、多くの住民の方々が川に関心を持っていまして、この清流復活事業が、地元住民に幅広く受け入れられ、期待されていることを裏づけるものであろう、このように考えます。
 私は先日、目黒川流域三区の区長、区議会議長などから成る目黒川浄化対策三区連合の都への要望に、顧問として立ち会わせてもらったわけでございますけれども、目黒川を初めとする城南三河川が川としての姿を取り戻すためには、清流復活事業だけでなく、雨天時の下水道からの越流水による河川の汚濁を軽減する合流式下水道改善事業や、河川のしゅんせつ事業、また、親水護岸などといった河川環境の整備事業が総合的に展開されることの必要性を強く感じた次第でございます。
 今後は、環境局、建設局、また下水道局とが、協議を進めながら清流の復活事業を進めていくべきだというふうに考えます。清流復活事業は、ご存じのとおり、環境局の所管事業になっているわけでございますが、どうも環境局だけでやっているこの事業に関して、なかなか区民、住民の要望に残念ながらこたえられない局面が生まれてくるという弊害がございます。そういったことに対して、環境局長としていかがお考えになるか、お伺いしたいと思います。

○赤星環境局長 ただいま先生ご指摘のように、しゅんせつあるいは越流水対策等含めますと、建設局、下水道局と今後、今まで以上に協同して事業を実施していく必要があると考えております。

○東野委員 最後になりますけれども、来年度の清流復活の事業に対する局長の決意をここでお伺いしたいと思います。

○赤星環境局長 引き続き厳しい財政状況ではございますけれども、地元区、関係各局と協力しながら、城南三河川の清流復活事業が円滑に実施できるよう、全力を挙げてまいります。

○東野委員 今のことに関連しまして、最後にもう一言申し上げておきたいと思いますが、都心河川の清流復活は、都会の喧騒の中、まさに心の安らぎを与える都民にとってのオアシスであろうかと思われます。その意味では、都の事業としては、一定のランニングコストはかかるものの、金銭にかえがたいものとなり、環境局の事業としては誇れるものだというふうに思っております。残念ながら、十二年度に事業の後退を余儀なくされる状況に至ったわけでございますけれども、ぜひ今後とも、都の大切な事業の一つであるという認識のもと、都民の心を豊かにする事業として継続されるよう、関係各局と協議の上推進されることを、切に要望しておきたいと思います。
 次に、シルバーパスについて、時間の関係上、簡潔にお伺いしたいと思います。
 福祉局は、国に先駆ける形で、昨年末、福祉改革推進プランを発表し、二十一世紀にふさわしい、利用者本位の新しい福祉の構築を目指すものとなっているわけでございます。与えられる福祉から選択する福祉へと、まさしくエポックメーキングともいうべき、時代を大きく転換するものであろうかと思われます。
 ところで、シルバーパス制度につきましては、平成十二年度に改正されたわけでございますけれども、平成十一年度と平成十二年度の発行実績をお伺いしたいと思います。

○前川福祉局長 シルバーパスの発行実績でありますが、平成十一年度が約八十二万三千枚、平成十二年度が約七十四万九千枚となっております。

○東野委員 約七万四千枚、九%減っているわけでございます。細かい話と思われるかもしれませんが、実は減った理由に、千円の発行手数料の利用者負担を挙げている者がいます。局長、この際でございます、どう思われるのか、本当にこの千円の発行手数料の負担が、数が減った大きな理由となったのかをお聞きしたいと思います。

○前川福祉局長 無料パスにつきましては、従来の制度では、郵送や民生委員の方により配布をしていたため、実際に利用されていない方にも交付されている事例があったわけでございます。新しい制度では、パスを地域の窓口で発行することに改めるとともに、区市町村民税が非課税の方には、今お話しのように、千円の負担をお願いいたしました。非課税の利用者の負担が年間で千円、これを月に換算すれば、八十三円でございます。
 また、従来からの有料パス、二万五百十円ですが、これを受け取る方については、逆に発行枚数がふえております。
 こういうことを総合的に判断をすると、真にパスを利用する意思のある方がパスの発行を受けているものと推測され、これが発行枚数減の大きな理由と考えております。

○東野委員 私も地元を回っている中で、このシルバーパス存続については多くの方から声を寄せられ、また、今回の措置につきましても、ある意味では感謝され、また、具体的に千円の手数料料金がシルバー人材センター等の経費に向けられているということをご説明しますと、本当に納得していただく場面に遭遇するわけでございます。
 私は、ここで何を申し上げたいかというと、これからさまざまな福祉改革に向けて、二十一世紀の新しい福祉構築に向けて進めざるを得ない現況を考えますと、一つ一つの施策を大切にしながら、そして現場に、都民にきめ細やかに説明をすることによって、多くの賛同を得ながら、都民としっかりと協働しながら政策を進めていくことの大切さを訴えたいのであります。そのような意味では、いわゆるデマによる都民への混乱というものは絶対にあってはいけない、このことを強く強く心に感じながら都民と接している毎日でございます。
 以上でございます。

○小山委員長 東野秀平副委員長の発言は終わりました。
 萩生田光一委員の発言を許します。

○萩生田委員 平成十二年度決算に関連をして、財政、行革、電子都庁など、私が所属をいたしました第一分科会の所管のそれぞれの課題について、この総括でお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず初めに、財政問題について伺います。
 平成十二年度は、財政再建推進プランの初年度として、職員定数の削減や管理団体への財政支出の見直しなど、内部努力を徹底するとともに、すべての施策について聖域なく見直しを行ったわけでありますが、一方で、そうした財政再建への取り組みの最中に、約三千六百億円という都税の大幅な増収がありました。IT関連による増収だというふうに、新聞報道等では途中でもお伺いをしたわけでございますが、そこで、図らずも得られたともいえるこの増収を、どのように生かしたかを検証しておきたいと思います。
 まず初めに、この都税の増収分がどのように平成十二年度は使われたのか、その使途についてお伺いをいたします。

○安樂財務局長 平成十二年度は、IT関連業種が好調だったこともありまして、最終的には、当初予算に計上した額を三千六百五億円上回る税収が得られております。この増収分は、十二年度の最終補正予算で次のような経費に充てております。
 一つには、税収が伸びると、それに連動して支出しなければならない経費があります。このようなものとして、特別区財政調整会計に五百三十七億円を繰り出し、また、財政調整基金へ千二百四億円を積み増ししております。
 二つ目には、当初予算では本来、所要額の二分の一しか積んでいなかった減債基金への積み立ての一部復元や、他会計から借り入れている借入金の返済など、いわゆる隠れ借金と呼ばれているものを減らすため、八百二十六億円を充てております。
 三つ目には、三宅島の災害対策や国の補正予算に対応した景気対策などの所要の経費、一千三十億円を措置しております。

○萩生田委員 都税の増収の一定割合、つまり平成十二年度で申し上げれば、今局長の答弁がございました五百三十七億円については、そもそも税収に連動して自動的に区市町村へ交付されるものであり、都の判断というものではないので、これは使い道としては当然というか、仕方がないところだというふうに思います。検証すべきは、こうした税連動経費以外の三千六百億円余りの都税収入の使い道ということになります。
 では、今ご答弁がありましたように、財政調整基金の積み立てについてお伺いをいたします。
 都は、これまでも、年度途中に都税の増収があったときは、一定割合を義務的に積み立ててきました。例えば昭和六十二年あるいは六十三年、鈴木都知事の時代に、当初予算に比べそれぞれ七千億円余り、あるいは三千七百億円余りの都税の増収があり、財政調整基金など財源として活用可能な基金に、合わせて六千億円以上積み立ててきました。その結果として、バブル経済の崩壊後、都税収入の急激な落ち込みに対応できたことは、記憶に新しいところであります。
 十二年度は、財政調整基金に千二百四億円を積み立てたところでありますが、この積み立てに対して、なぜ大幅な財源不足が生じているのに、ある意味では貯金ともいうべき基金に積み立てる必要があるのかといった声も、各自治体では聞かれるところであります。
 そこで、十二年度に財政調整基金を積み立ててきたことの意味について、税の増収と財政調整基金積み立ての考え方と、あわせてお伺いをしたいと思います。

○安樂財務局長 財政調整基金は、年度間の財源を調整し、長期的視点から財政の健全な運営を図ることを目的としておりまして、大幅な税の増収があった場合には、その一定割合を、ただいまお話がありましたが、積み立てることが条例により義務づけられております。
 十二年度は、年度途中に都税の増収があったため、千二百四億円を条例の規定に基づき義務的に積み立てたものであります。確かに、ただいまのお話にありましたけれども、当面、緊急に手当てすべき諸経費がメジロ押しなのに、なぜ一種の貯金ともいうべき基金積み立てなどやっているのかというご意見も一部にはあるかと思いますが、過去におきまして、税収が好調に伸びているときに、それを蓄えることなく歳出を伸ばし、税収がダウンしたときに、一たん膨らんでしまった歳出を縮めることが極めて難しいという、そのために財政危機に陥ってしまうという過去の経験から、昭和五十四年に、現在のような、税の増収の一定割合を義務的に積み立てることを条例で定めたものであります。
 このような財政調整基金を初めとして、活用可能な基金が、先ほどお話がありましたが、一時は一兆円近くありまして、バブル崩壊後に、都税収入の急激な落ち込みをカバーし、都の財政運営を支えたという経緯がございます。
 依然として極めて厳しい状況が続く中で、都財政は、地方交付税の不交付団体であるとともに、法人二税に依存するなど不安定な歳入構造にあり、こうして都税の一時的な増収を積み立てて今後の財政運営の安定化に資することが、どうしても必要であるというふうに考えております。

○萩生田委員 ありがとうございます。十二年度は、今後の財政運営の安定化のために、今ご答弁のありました、条例に基づく義務的な積み立てを行った、そういう意味はよくわかりました。
 私は、個人的には非常に疑問なんですけれども、十二年度でこれだけ膨らんだ税収が、もうその後、あっという間に期待ができないという、まさにITバブルというんでしょうか、その辺については仕組みがよくわからなくて、IT関連を取り巻く業界の業績というのは相変わらず順調ですし、また、すそ野が広くなって、さまざまな業種が参画をして、ある意味ではITにかかわる企業はふえているにもかかわらず、十四年度では税収の増が見込めないという逆転現状が起こっているわけでございまして、こういう再び税収が落ち込むものと見られている現在においては、今回のこの十二年度の積み立てが十分意義のあるものであったということは、よく理解をしました。
 次に、最終補正予算における経済対策とその財源についてお伺いをしたいと思います。
 東京都は、国の補正予算に合わせて、公共交通機関や道路の整備、あるいは中小企業対策など、緊急の課題に取り組みました。一方、従来は景気対策の財源として都債を発行してきましたが、十二年度については、都税の増収を生かして、都債を追加発行しませんでした。
 そこで、最終補正予算における経済対策に合わせて都債を発行しなかったことの意義についてお伺いをいたします。また、仮に経済対策に充てた都税約一千億円分を都債発行で対応していたら、利子を含めた後年度の負担額はどれくらいになるか、仮の質問で大変恐縮でございますけれども、あわせてお答えいただきたいと思います。

○安樂財務局長 平成十二年度最終補正予算では、都税の増収が見込まれたことに加えまして、国庫支出金等の財源も確保されましたことから、景気浮揚などの景気対策につきましてはこれらの財源を活用することといたしまして、将来の都債償還の負担を軽減するために都債の追加発行を行わなかったものであります。
 仮に、一千億円について都債を発行していた場合の後年度負担額を、ことし三月時点での都債の表面利率一・四%をもとに試算いたしますと、償還期間の十年間の元利合計額は一千百五十億円と見込まれます。

○萩生田委員 つまり、十二年度は最終補正における経済対策の財源として都債を活用しなかったことで、今ご答弁がありました、仮の質問ですけれども、千百五十億円を余分に使わないで済んだと、こういう将来への財政負担が軽減されたということがわかりました。同時に、将来の施策のための財源を確保したことにもつながっているわけですから、高く評価をしたいというふうに思います。都債発行の抑制という流れの中で当たり前のことかもしれませんが、私は適切な対応であったと考えます。
 このように、十二年度の財政運営は、将来の財政負担の軽減など、都税の増収を未来に生かしたという点で高く評価ができます。しかしながら、十二年度の増収は一時的なものと考えざるを得ません。十三年度、現在途中でありますけれども、この以後もこのような財政運営ができるかといえば、極めて難しい状況にあるといえます。財政再建の本筋に立ち返って内部努力や施策の見直しを引き続き徹底しなければ、財源不足の解消は到底見込めず、都税収入が落ち込むと見られる十四年度はまさに正念場といえます。十二年度の取り組みを帳消しにすることなく、引き続き財政再建推進プランに掲げた目標の確実な達成に向け、今後とも財政運営にしっかり取り組んでいくべきと考えますが、最後に、局長の決意をお伺いしたいと思います。

○安樂財務局長 最近の経済環境の急速な悪化によりまして、主税局の推計によりましても、十四年度の都税収入は大幅な落ち込みが避けられない見通しとなっております。都財政を取り巻く環境は今後ますます厳しくなるというふうに思われます。したがいまして、ご指摘のとおり、今後、これまで以上に内部努力の徹底を図るとともに、既存の施策につきましても引き続き徹底的な見直し、再構築などを行いまして、財政再建に向けた取り組みを着実に実施していかなければならないというふうに思っております。
 一方、厳しい財政状況のもとにありましても、現在の緊急課題でもあります首都東京の再生や都民生活の向上のために今をおいては欠かせない事業は着実に進めていく必要があります。限られた財源を効果的な施策に重点的に振り向けていくことが肝要であります。このような大変難しい課題に直面しておりますが、全庁の知恵と努力によりまして難局を乗り切っていかなければならないというふうに考えております。その際、当面の対応にのみ目を奪われるのではなくて、お話にもありましたが、十二年度の取り組みのように、常に中長期的な視点に立って戦略的な財政運営に努めまして、財政再建推進プランの確実な達成に全力を挙げていきたいと思います。

○萩生田委員 ありがとうございます。今ご答弁がありました、今をおいて欠かせない事業というのは、これは東京都にはいろいろなものがあるわけですから、その優先順位を間違わないように、それぞれ慎重な対応を期待しておきたいと思います。
 続きまして、行政改革の成果についてお伺いをさせていただきます。
 鈴木都知事時代の昭和五十四年以来、都は、これまで数次にわたる行政改革を進めてまいりました。第一次行政改革から現在に至るまでの二十二年間、都は不断に行政改革を進めてきたわけであります。この間、職員定数において約三万人を削減するなど、組織の簡素効率化については一定の効果を上げております。しかし、不断の行政改革といえば聞こえはよいものの、悪くいえば、職員は行革なれしてしまって、行政改革の精神が現場の職員一人一人にまで十分浸透しているかどうか、危惧するところであります。
 ところで、昨年十二月、新たな行政改革プランとして、都庁改革アクションプラン、都政改革ビジョンⅠが発表されました。そこで、初めに、今回の都庁改革アクションプランについて、その概要をご説明願いたいと思います。

○大関総務局長 都庁改革アクションプランの概要ということでございますが、IT革命や地方分権の進展など、都政をめぐる社会経済環境が急激に変化している中、都みずからの果たすべき役割と改革の内容を明らかにするため、都庁改革アクションプランを策定いたしました。都庁改革アクションプランは、都政改革の基本的考え方を明らかにするとともに、執行体制や仕事の進め方など全庁的な行財政システムを中心に、平成十二年度から十五年度までに実施する改革策をまとめたものでございます。

○萩生田委員 私どもが都議になる以前につくった計画でありますから、つい先日、九月に、十三年三月末現在の実施状況というのをいただいたんですね。それぞれ一定の成果が示されているわけですけれども、失礼ないい方をしますけれども、逆にいうと、では、こういうことは今までやっていなかったのかなと、今までの行革の中ではこういうことは話題にもならなかったのかなというふうに、非常に違和感を覚えました。
 今、局長の答弁の揚げ足をとるわけじゃないんですけれども、都政をめぐる社会経済環境が急激に変化していると、こういうご答弁がございましたけれども、都政をめぐる社会経済環境というのは、この二十二年間、常に目まぐるしく変化をしてまいったというふうに私は思います。
 そこで、従来の行政改革と、今回の都庁改革アクションプラン、すなわち石原行革とは何が違うのか。今までの都庁の中で、行革の、今回のアクションプランは何が違うのかという点をお示しをいただきたいと思います。そのねらいと特徴についてお示しをいただきたいと思います。

○大関総務局長 これまでの行政改革は、主として現行体制を前提といたしまして、組織や定数の見直しなど、効率的な執行体制の確保をねらいとしてまいりました。今回の改革は、これまでの取り組みを継続しつつも、東京の将来像を見据えた都政のあるべき姿を示し、それにふさわしい質の高いサービスを効率的に都民に提供できる都政をつくり上げることをねらいとしたものでございます。また、改革を、現行制度においても直ちに取り組むべき当面の改革と、それから、将来の制度改革を視野に入れた中長期的視点の改革とに区分いたしまして、段階的に取り組んでいくこととしたことも特徴の一つでございます。

○萩生田委員 ぜひ、質の高いサービスを効率的に都民に提供できる都政を実現をしていただきたいというふうに思います。
 これまでの行政改革を経て、いうならばお役所仕事とよくいわれますけれども、どの程度改まったのかといいますと、私は今まで外から都政を見てきて、大きく日々変わっているなあというふうに感じたことは実際になかったわけでございます。
 レベルはぐっと下がって、重箱の隅をつつくようなお話で大変恐縮なんですけれども、都議会議員になりまして一番びっくりしましたのは郵便物の多さでございまして、自宅や、あるいは事務所や、さまざまな郵便物が送られてきます。あるいは机上にも配布をしていただいていまして、中には同類のものも、机上と事務所、あるいは自宅と事務所、さまざまなお手紙なり書類が送られてくるわけですけれども、しかも、速達郵便で来るものもかなりの数あるんですよね。速達郵便というのは、ご承知のように、普通郵便じゃないんですから、お金がかかる。封を切ってみますと、確かになるべく早く議員に伝えた方がいいだろうなというふうに客観的に思える内容ですけれども、速達できのう出して、きょうこれが私の手元に着かないと何が困るのかということを考えますと、果たしてその必要があったのかと思うようなものがたくさんございます。
 それから、私はついこの間議会局にもちょっといったんですけれども、各議員及び会派政調会の皆様へ、十一月一日から深夜の宿直は巡視にかわって警備員が行いますと。これは、多分ここに至るまでの間労使のさまざまな調整があったりして、十月いっぱいにやっとめどがついて、十一月一日からさあ変わるぞということで、喜び勇んでお手紙をいただいたんだと思うんですけれども、定形外郵便でA4の紙が一枚入っていて、私、カッターであけて、事務所の人間に手紙を全部あけてクリップでとめさせているんですけれども、これは何か一緒に入っていたはずだから、落としているから探せといって事務所の中を探させるぐらい、びっくりしたんです。一応確認したら、この一枚が入っていたんですね。なぜ、こういう文書を折らないで、平気で定形外の郵便で送るのか。定形外の郵便というのは一体幾らするか、ご存じだと思うんです。
 今、大関局長から勇ましいご答弁がありまして、ぜひ期待をしたいと思うんですけれども、基本的な都庁の職員の皆さんの常識というのを変えてもらわないと、たった一枚のペーパー、しかも、どうしても私の事務所にタイムリーに送らなきゃならないものじゃないこんなお手紙まで平気で定形外で送るという今日の都庁職員の感覚というのは、私はどこかちょっとねじが抜けちゃっているんじゃないかというふうに思うんですよ。ですから、この辺を、行革、確かに看板は結構でございますけれども、中身をぜひ精査していただいて、何かその辺も、もしかすると、失礼ないい方かもしれませんけれども、マニュアル化をしていかないと、だれに、いつ、この郵便を出していいのか、いけないのかということがわからないんじゃないかなと、こう思わざるを得ない、そんな実態もございます。
 ところで、都庁全体で、こういう郵便物というのは数々のものがあると思いますけれども、平成十二年、一体幾らかかっているのでしょうか。

○大関総務局長 先生方にたくさんの書類が送られていくこと、大変申しわけないと思っておりますが、これは職員からいいますと、できるだけ都政情報を素早く知っていただこうということで、ある意味でのサービス精神が、履き違えていっている部分があろうかと思います。これはぜひ精査しまして、できるだけ効率よく的確にお伝えできるような方法を考えたいと思っております。
 それから、先ほど、郵便物のことでございますが、本庁から発送する郵便物、これは先日調べさせましたところ、年間約六百万通だそうでございます。その郵送料でございますが、約六億円と、このようになってございます。この中には、書面でなければだめだという、処分の通知とか、それから都税の納税者への督促状、こういったものも当然含まれてございます。

○萩生田委員 私は、もしかしたら、脈々と続く東京都議会の権威なり歴史の中で、都議会の先生方にお渡しする文書は折って渡すと怒られる、そういうことがあったのかなと思って一応事務局に聞いてみたら、そういうことはないんですよね。今どきこんなことをいう人はいないと思う。タイムリーに情報を公開する、提供する、また、議員の皆さんに理解を深めてもらうということの必要性は、私もわかります。ただ、それは、折っても済むものは、局長、やっぱり折るべきですよ、折って送れるものは。あるいは、どんなに遠くても、西多摩の議員さんだって、中一日あれば届くわけだから、どうしても時間的にあしたまでに伝えなきゃならないものは、ファクスをちゃんと事務局に連絡をみんなしているわけですから、こういうものを活用して、取り急ぎ連絡しておくものや、あるいは後ほど書類を渡すものや、その辺は、やっぱりちょっと皆さんが少し精査をしていかないといけないんじゃないかなというふうに思います。
 今ご答弁がありましたように、約六百万通、しかも、六億円。ただ、これは、事前にちょっと調べさせていただきましたら、今局長にご答弁いただいたのは、一般会計分、すなわち知事部局ですよね。これに加えて、公営企業や学校や警視庁、東京消防庁があるわけです。警視庁や消防庁は、これはやはり採算度外視といいますか、対費用効果関係なく必要なものもあると思うし、タイムリーに事件を解決したり、犯罪を未然に防ぐためのさまざまな費用というのは、これは一定見ておかなきゃならないと思うんですけれども、学校なんというのは、教育長、特にひどいですよ。学校の郵便物なんというのは、本当に考えてないです。我々のところに、それぞれの地域の小学校や中学校から来ますけれども、私は自分の子どもが小学校にいながら、子どもが持ってきた全く同じ紙をまた郵便でわざわざ送ってきたりとかって、平気でしますよね。
 この辺の感覚を一回全部整理しないと、どんなに立派な行革案を出しても、なかなかこれ--皆さんからしてみれば、たった六十円かもしれない。あるいは、たった百円かもしれない、百二十円かもしれないけれども、大きな都庁がみんな同じことをやっていたら、これは大変な金額になりますよ。この辺は、ぜひ十四年度の中で、一度きちんと整理をしていただきたい。
 これは、郵送で送らなきゃならないという、今ご答弁があった義務的な郵便とでもいいましょうか、納税通知書ですとか、あるいは、さまざまな公文書にかわるような、相手にきちんと伝えなきゃならないものについては私も理解をしますけれども、それらの郵便については、一体だれが、これを郵送で送れとか送るなとかという判断をしているのでしょうか。

○大関総務局長 郵便物の発送、これは基本的にはそれぞれの所管課で判断することでございます。
 なお、書面で行われております処分の通知、あるいは都税納税者への督促状の送付等につきましては、法令や規則によりまして、個別に定められているものがございます。

○萩生田委員 ぜひその点は今後の課題にしていただきたいと思います。
 東京都では、数多くの広報紙や出版物も都民に提供しているわけでして、パソコンやインターネットが普及している今日、こうした印刷物を大量、一律に配布するのは、ペーパーレスの視点からも問題であるというふうに思われます。
 過日私どもの分科会では、他の委員さんの質問の中で、一体都庁の中でコピー用紙がどのくらい消費されているのかという質問をしましたところ、何と十二年度で五百八十万トンの紙が消費をされていくわけですから、この辺も今後の大きな課題だというふうに思います。
 そこで、今後、印刷物は最小限にして、まさにIT都庁を目指す東京都としては、情報発信をさまざまなITツールを使って行っていくことが大切というふうに考えますけれども、現時点ではどのような方向で考えていらっしゃるのでしょうか。

○大関総務局長 都民が必要な情報をスムーズに得られるよう、時代の変化に対応して広報手段を工夫すること、これは大変重要なことと考えております。
 これまでも、東京都が発表いたしました報告書等につきましては、極力ホームページに掲載し、インターネットを利用して都民が情報を入手できるようにするなど、都民サービスの向上とともに、ペーパーレスの促進にも取り組んでおります。今後とも、都民のニーズに適切に対応できるよう、ITを活用した情報発信に努めてまいります。

○萩生田委員 さきの所信表明で石原知事もご発言になりましたけれども、職員のコスト意識という点ではまだまだ不十分といわざるを得ないと思います。今、さまざまな質疑の中で指摘をしました郵便物一つとっても、自分のお金で払うんだったら、これは考えると思うんです。それぞれの議員の皆さん、後援会の人に手紙一枚送るにも、時期や枚数をいろいろ考えて、あるいは、まとめることによってどういう安い郵便があるかというのを郵政省の皆さんと話し合いをしながらという、そういう努力をしているわけですから、ぜひ各局でその辺一回見直しをしていただきたい、そんなふうに思います。
 そこで、行政改革を断行するのは、立派な計画や分厚い計画書ではないと思います。実際に実行するのは職員一人一人ではないかというふうに思うんです。職員の意識改革については、このアクションプランの中でどのように取り組んでおられるのか、お伺いをいたします。

○大関総務局長 職員の意識改革についてでございますけれども、都庁を変えるには、何よりも職員の一人一人が自己改革に取り組み、サービス精神と鋭敏な経営感覚を持つことが必要であると考えております。そのため、民間企業での職場体験など、各局が実情に応じた取り組みを行っているほか、庁内公募制、あるいは人事考課制度へのチャレンジ目標の導入、こういったことで職員の意識の高揚を図っております。
 今後とも、あらゆる機会をとらえまして、職員一人一人に改革への意識をさらに浸透させ、日常的な問題の改善を初めとして、都庁改革を着実に推進してまいりたいと考えております。

○萩生田委員 それでは、その延長線で、次に、電子都庁についてお伺いをいたします。
 電子都庁の実現に向けて今後さまざまなシステムが整備をされていきますけれども、今、平成十四年の予算の要求時期ですが、それぞれ各局でシステム開発費用なる項目がふえてまいりました。都庁は、今申し上げました巨大な組織でありますので、縦割りの組織の中で、本来ならば共同で利用できるものが、情報が共有化されていないまま、ばらばらに整備されるおそれがございます。例えば、質疑の中でもありましたんですが、地図情報システム、GISについては、統合されないまんま、多くの局で個別に開発をされています。すなわち、例えば警察情報みたいにみんなが開いて見ていいよというわけにいかないものについてはやむを得ないと思いますけれども、都市計画局が持っているものを建設局が使えるんだったらやっぱり一緒に使うべきだと思いますし、そこに新たな情報を加えていくことによってその情報に付加価値がついてくるんじゃないかなと、こんなふうに思っているわけです。
 IT化は非常に重要なことでありますけれども、ややもすれば、同じメーカーの同じデザインの色違いの服を買ってしまうようなことにもなりかねないというふうに思います。こういう点について、今後、むだなく効率的に行うにはどのように取り組んでいくのか、お伺いをしたいと思います。

○大関総務局長 都庁のIT化が大変おくれたこともございまして、各局でそれぞれ開発した情報システムを有しているわけでございます。IT化というのは、そもそも行政の効率化を目指すものでございまして、その整備に当たりましては、情報の共有化を図りながら、むだなく進めることが必要でございます。
 今後、電子都庁のシステム整備に当たりましては、全庁的に利用するものにつきましては、庁内に共通システム開発チームを設置いたしまして、各局共同で開発する方式をとってまいります。また、開発手法といたしましても、市販されている汎用的なパッケージソフト、これを極力利用いたしまして、経費を最小限に抑えるように努めていきたいと考えております。今後、こうした取り組みをさらに強化して、できるだけ効率的で、経費の安いシステムの開発を進めてまいります。

○萩生田委員 ぜひそのように期待をしたいと思います。
 ところで、現在、東京都のさまざまな行政分野でIT化が進められておりますけれども、都の公有財産や未利用地に関してはどのような電子情報化を図っているか、お尋ねしたいと思います。

○安樂財務局長 十二年度に今後の財産活用の指針となります財産利活用総合計画を策定いたしましたが、現在、これをインターネットに掲載しております。この総合計画には、参考資料として、都が所有している未利用地につきましてのさまざまな情報、例えば、所在地でありますとか面積、都や区市町村が今後利用する予定があるかどうか、それから、今後の民間への売り払いの予定の有無、あるいはその時期などを明らかにしております。また、十三年度からは、都が保有する公園、学校、庁舎などすべての公有財産につきまして、その面積や所在地などの情報をインターネットに載せて、広く情報提供に努めております。

○萩生田委員 財務局が所管している未利用地については、単に情報を電子化して公開するだけではなく、東京都の事業への活用ですとか、将来の活用見込みのないものの売却を進めてきているというふうに聞いており、また、今ご答弁がありましたように、インターネットで公表して、その土地につきましては売却の可能な状況になっている点は、一定評価したいと思うんです。
 私が聞きたいのは、都民にとっては、財務局が管理している普通財産か、土地バンクに入っているか否かとか、それぞれの行政目的で買ったかどうかというのは全くわからないで、都有地というのがそれぞれの区市町村に存在しているわけでございまして、これは買ってから何年もたつけれども、全く使わないけれどもどうなっているんだと、こういう議論は常々あるわけですよね。
 先ほど住宅局長のご答弁でもありましたけれども、三十八カ所、四万平米、八十一億円で財務局に引き取ってもらったというお話がありますけれども、うちの市なんか、もっとけた違いに、何十万坪もあって、全然使わないわけですよ。全然使わないんですけれども、財務局の管理ですと、今局長の答弁がありましたように、例えば、ほかのものに一時的に貸してくれないかといったときに、非常にスムーズに話が通って、一定の固定資産税充当分とかという形でお借りをすることも可能なんですよ。ところが、ほかの行政財産については、行政財産で目的が決まっていますから、だれが見たって未利用地で、ちっとも何年も使っていないのに、これは目的が決まっていますからお貸しするわけにいきませんといって抱えているのが東京都の未利用地で、私は、これを何とか一元的に管理できる方法というのを考えていただけないかなというふうに思うんです。
 例えば、私どもの市には二つの警察署がありまして、凶悪犯罪が起こりますと、そこに特捜本部ができるんです。特捜本部ができますと、応援の刑事さんたちが見えますから、駐車場が足りなくて、結局近くの公園を半分つぶして、地元の町会長さんなんかにも理解をしていただいて、市が管理していますから、当然これは嫌とはいえませんからね、新聞をにぎわせているあれだけの事件が早く解決してほしいと思ってお貸しをするんですが、ややもすると半年も一年も捜査本部が解散できないこともあるわけです。そうすると、子どもたちにとっての憩いの場である公園が駐車場としてずうっと使われてしまう。ところが、近くに都有地がいっぱいあいているんですよ。だけど、それは、今申し上げたように、普通財産じゃなくて、行政財産。それぞれ目的を持って買っているから、なかなか警視庁もそういう情報を知らない。我々の方がよっぽど知っていて、あそこへいって借りたらどうですかなんていうんですけれども、そうなってきますと、目的外使用だからといってなかなか貸せないと、こういう実態があるんです。
 私は、これは、今まではそういうルールだったというふうに思うんですけれども、例えば、公共事業をやる場合の資材置き場ですとか、あるいは立て坑の位置を決めるとか、さまざまな--公共事業にも、残念ながら取得はしたけれどもなかなか進まない都市計画道路の拡幅用地だとか、区画整理の保留地だとか、あるいは住宅局が都営住宅を建てるつもりで買ったけれどもなかなか手をつけない、そういう土地については、地元の自治体との判断の中で、公共性があるものについては、もっと積極的に貸し出しをして有効利用をするべきだというふうに思うんですよ。
 その点をやはりどこかがトータルで司令塔として扱わないと、今お話しのように、財務局はきちんとデータベースに落としていますよと、こうおっしゃるかもしれませんけれども、都民から見れば東京都のお金で買った土地は全部都有地なんだから、使っていない都有地、未利用地については一元的に管理ができるように、そして、そのことによって、ややもするとなかなかギブアップできなかった事業用地が、これ以上はもううちの局持ち切れない、申しわけないけれどもこれ処分してくれと、こういう話もしやすいんじゃないかなと、私はこう思っておりますので、今日存在する予定用途があることは十分承知して取得した土地だと思いますけれども、未利用地のまま、所管する局以外に利用させないでおくということは全くむだなことだというふうに思います。今後は、未利用地が実際に使用されるまでの間、有効活用として、所管局に限らず、その土地を必要とする局が利用できるようにしていくべきではないかというふうに思いますけれども、ご所見をお伺いしたいと思います。

○安樂財務局長 各局が持っていてまだ事業に使われていない土地につきましては、これまでも全庁的な利用を促してはきておりますが、これまでは財務局がやはり完全な集中管理をしていなかったこともありまして、その土地についての情報把握が不十分なために、必ずしも有効活用がなされていなかった面がありました。局としては、事業の計画がある間は、それを財務局へ引き継ぎがどうしてもおくれがちになります。
 ご指摘のように、どの局が持っていようと、当該土地のその都有地が利用されないままに放置されるということは大変むだなことでありますので、今後は、当該土地、あるいはその周辺の利用状況なども含めた土地の実態調査を進めまして、他の局が利用可能かどうか判断するための情報を十分に提供いたしまして有効活用を促進したいということで、現在既にその準備に入っております。

○小山委員長 萩生田光一委員の発言は終わりました。
 古館和憲委員の発言を許します。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 平成十二年度は、シルバーパスや老人医療費助成を初め、都民にとってかけがえのない福祉切り捨てが始まった年です。また、都が福祉改革プランでの新事業を打ち出した年でもありました。
 そこでお尋ねをいたしますけれども、これまでの決算審査を通じて、切り捨ての主な対象となった福祉十事業と特別養護老人ホームの補助金を合わせて、前年度比、その削減額が二百九億円に上っていることが明らかになりました。これは、都民、とりわけ高齢者や障害者など社会的に弱い人たちに、二百九億円もの切り捨てや負担増を押しつけたことではないでしょうか。いかがでしょうか。

○前川福祉局長 今ご指摘がありました二百九億円というのは、恐らく支出総額を十一年度と十二年度比較されたんだと思いますけれども、私どもの判断としては、旧福祉局分だけでも、見直し百六億円に対して、充実経費は、これを上回る分の新たな事業を実施をいたしております。それが第一点であります。
 それから、第二点でご指摘を申し上げておきたいのは、私どもが行った見直しは、このいろいろな事業が、創設当初と違って、国の事業の、国の社会保障制度の充実等を踏まえてかなり進んできたと。これを踏まえて、都が全国に先駆けて新しい福祉を実現をする、そのための基礎をつくるために実施したものであります。そうした意味で、福祉施策の見直しは福祉改革の一環をなすものでありまして、これをもとに、今お話もありましたが、昨年十二月に福祉改革推進プランを策定し、十二年度、十三年度と積極的に事業展開を図っているところであります。

○古館委員 私は、先ほどちゃんと、福祉十事業と特別養護老人ホームについて、前年対比でいいますと二百九億円削減したと。このことは、明らかにやはり都民に対する負担増だというふうに思うんですね。百億円超いろいろな事業に回したというのは、それはそれで私どもは否定するものではありませんけれども、この福祉事業が二百九億円減額に、削減になったということは事実なんですね。
 特別養護老人ホームの問題についても、介護保険が始まったということで、私は、東京都のすぐれたこうした施策、これはますます充実させていってしかるべきだというふうに思っております。そこで、この特別養護老人ホームが都の補助が大幅に切られて、私も地元の特別養護老人ホームを訪ねてみましたけれども、職員が、大変な職場環境の中で、一生懸命特養ホームで仕事をされているのを見ました。結局は入所している高齢者にそのしわ寄せが行っていると、私は目の当たりにして、そのことを実感いたしました。
 そこで質問しますけれども、都の補助の大幅な削減が、特養ホームに入れないで待機している、これは二十三区だけでも一万六千人ほどに上っておりますが、高齢者の入所がますます困難になってきたのではないでしょうか。それで、お聞きしますけれども、平成十年、十一年度と十二年度、特養ホームの新しく入所した人の推移を教えていただきたいと思います。

○前川福祉局長 突然のお尋ねですので、ちょっと数字は今見てみますけれども、私ども、今お話がありましたように、介護保険制度によって特別養護老人ホームの入所対象者の概念が変わったと、それは事実でございます。
 これに対応するためには、当然ながら特別養護老人ホームの増設に努力をすると同時に、もう一方では、今取り組みを始めておりますが、地域でのグループホーム等のいわゆるケアリビングについて、私どもはこれから積極的に展開をしていきたい、こう考えている次第でございます。

○古館委員 私も限られた時間ですので--平成十年度は、新しい特養ホームに入所された方が千九百五十人でした。ところが、この十二年度、介護保険が始まって、今おっしゃったような特養ホームの助成がだんだん打ち切られ、削減されていく、こういう状況の中で、十年度には約二千人の方が新規ではいれたのが、十二年度は千百九十三人というのですから、半分ぐらいの方しかはいれていないのですね。
 つまり、それだけ特養ホームの建設が少なくなった。特養ホームへの運営費補助が削られて、結局は高齢者に大きな影響を与えていることは明らかだと私は思います。二百九億円が、都民とりわけ高齢者や障害者などの負担増となって、都はその分のお金を削ったわけです。決算というのは金額として数字であらわれてくるわけですから、これはいろいろいい方はあるでしょうけれども、数字というのは雄弁なわけですね。この二百九億円の削減は、初年度だけの削減額でありまして、今後その影響はさらに深刻なものになっていくと思います。だからこそこの初年度での総括が、切り捨てられた福祉の復元にとっても重要な意味を持つと考えております。
 十二年度の予算論戦の際に、もう一つの都のいい分は、一般会計に占める福祉費の構成比率が上がっている、だから福祉は切り捨てではなく充実だ、という議論でありました。
 それでお聞きいたしますけれども、福祉費の一般会計における構成比率について、決算ベースで前年との対比では、八・四%の構成比率が八・二%に下がった。さらに、平成十二年度の予算額との対比でもマイナスになっていて、八・四%の構成比だったのが、ここでもやはり八・二%と落ちております。この八・二%に下がったことについて、どのようなご見解をお持ちでしょうか。

○前川福祉局長 まず前提として申し上げますが、私どもが進めている福祉改革は、これは一時的な財政の事情によってやっているわけでは毛頭ないわけであります。当然ですが、利用者本位の福祉をこの東京から実現をしていく。そのために、財政事情にかかわらず、これから本格的に展開をしたいと。したがって、仮に十二年度で、十一年度に比べて予算額が落ちたとしても、十三年度はむしろ大きくふやしているのであります。そういう意味では、長期的、戦略的に福祉の充実を図っていくというのが、我々の方針であります。それが第一点であります。
 それから、第二点目、福祉費の一般会計に占める構成比率でありますが、これを参考までに申し上げますと、確かに決算では十一年度より十二年度は下がっております。予算現額で見ますと、十一年度八・九%、十二年度は九%、十三年度九%でございますが、十三年度は、当初予算当時よりはむしろ上がっているのであります。
 しかも、今のご指摘で、決算の持つ意味についてもぜひご理解をいただきたいと思っております。決算というのは、予算執行の過程で、景気動向や事業実施主体である区市町村の取り組み状況、あるいは経費節減努力などにより増減するものであることから、都としての施策実現の姿勢を反映する予算における構成比とは、性質を異にするものであります。
 したがってまた、お話の構成比率の違いは〇・二ポイントのレベルであって、予算と決算の性格の違いを考慮すると、この差異をベースに福祉に対する都の姿勢を議論するのは、適切とはいえないと私どもは考えております。

○古館委員 私は先ほどの質問で、あのときに、一般会計に占める福祉費の構成比率は上がっている、だから切り捨てではなくて充実なんだということについて、でも、実際に決算になったら下がっているじゃないかということを今お話ししているわけですね。ただ、下がったということはお認めになったわけです。
 それで、その下がった理由、原因ですけれども、それは後でまた質問しますが、不用額が大きかったということと、最終補正予算が先ほど非常に論議されておりましたが、この最終補正予算の額が非常に大きかった。で、この中で福祉関係予算がほとんど盛り込まれていなかった。こういうのが全体として下がったんですよ。そうじゃありませんか。

○前川福祉局長 技術的に申し上げれば、今お話がありましたように最終補正との関係は当然あると思います。
 ただ、何度も申し上げますが、決算の、しかも〇・二%の減をもって、東京都の福祉政策に対する姿勢を云々するのは、これはちょっと適切とはいえないだろうと考えております。

○古館委員 ちょっとそちらの方が修正をしたわけで、私は、最初の予算の論議の中にそういう論議があったから、でも事実は違いますねということで、今お話をさせていただきました。
 最終補正予算は、都税収入だけで三千六百億円もの増収があったなど、大変大きな補正予算でありました。この補正予算で福祉事業にお金を回さなかったから、下がる要因になったのじゃないかと今お話ししましたけれども、私は、福祉十事業の復活だとか、おくれている介護基盤整備など、やることはいっぱいあると思っておりました。ですから、この補正予算だとかそれから不用額そのものを回せということをいっているのじゃなくて、これだけの不用額という大きなものがあるのであれば、やはりおくれている介護基盤、これを--全国最低水準に近いのが結構あるわけですよね。老人保健施設の定員であるとか、あるいは在宅介護支援センターであるとか、デイサービスであるとか、これは四十七都道府県の中で、二つが四十七位、もう一つデイサービスセンターというのが四十四位ですから、それであれば、こういうところにもっと福祉の予算もちゃんとつける、こういう対応があってしかるべきだったと思います。
 それで、聞きますけれども、この十二年度の福祉費の不用額は幾らでしょうか。

○前川福祉局長 福祉決算における十二年度の不用額は、三百十六億余円でございます。

○古館委員 これはさきの決算分科会でも指摘をいたしましたが、この三百十六億円の不用額というのは、もちろん金額にしても、不用額として一番多いわけですね。福祉十事業と特養ホームの補助で、当初で二百九億円、対比ですね、お金が削られた。その上さらに三百十六億円もの不用額を出す。
 これに対して福祉局は、執行率についても、九三・七%で十一の款のうち上から四番目の高い執行率というふうに、たしか大山議員とのやりとりの中でそのように答弁をしておりました。しかし、福祉費の執行率は、この十年間の平均でも九四・六四%でありまして、今回の九三・七%というのは自慢にもならないと思っております。
 不用額では、款別で二番目に多いのが住宅費で、その不用額は、福祉費の三百十六億に対して百六十五億円。予算額で福祉費の一・四倍以上の教育費が、その不用額は百九億円でありますから、こうしてみると、福祉費の三百十六億円もの不用額というのは、私は本当に異常なことだと思いますが、その認識についてお伺いしたいと思います。

○前川福祉局長 先ほど三百十六億円と申し上げました。それは事実でありますが、ちなみに申し上げますと、福祉費の予算現額は五千五百五十七億であります。今お話しになっている十二の款別の決算執行状況の中で一番大きいのであります。そういう一番大きい款の中で三百十六億の不用額が出た。これについては、私どもは不用額をなくすよう今後とも努力することは当然でありますが、予算のいろいろな執行の事情でこういった形が多少出るのは、これはやむを得ないと考えております。

○古館委員 先ほどからるる述べておりますけれども、三百十六億円という不用額、これは本当に大きいのです。例えば、五千五百億円単位の福祉費の予算、その中で三百十六億円といいますと、これは五%ぐらいになるのじゃないでしょうか。ですからそういう点でも、本当にこの三百十六億円の不用額というのは非常に多いというふうにいわざるを得ません。
 しかも、今、福祉団体などの方からいろいろお話を聞きますけれども、十万円、二十万円という世帯でこの補助金が削られているんですよね。福祉団体の人たちは皆泣いているんですよ。高齢者や障害者など社会的に弱い立場の都民、本当にぎりぎりの生活の中で、もうこれ以上何を削ったらいいのかと、そういうことを、たくさんの方にお会いするといわれます。福祉や医療費をもとに戻してという願いも非常に強いんです。
 先日も、私、板橋なんですが、板橋区の六十五歳になられたお二人の女性の方から訴えられました。お二人とも都の老人医療費助成マル福の段階的廃止によって、わずかの違いで、誕生月がちょっとおくれているものですから、受けられなくなった方です。
 一人は、後を継ぐ人もなく、ご夫婦で小さな工場で製造業を営んでいる人です。奥さんは胃がんの手術を受けて、慢性病は高血圧、皮膚科、眼科、歯科、悔しいけれども、次から次へと病気を併発して、マル福が受けられるようになるまでと父ちゃんと頑張ってきた。ところがそのマル福が廃止されて、がっかりしてしまった。国の方も七十歳からの医療費助成もやめる方向だと聞いて、二重にショックを受けた。ちなみに、この方の十月の医療にかかった費用は二万一千八百四十円でした。
 もう一人の女性の方は、ご夫婦の年金を足しても、生活保護ぎりぎりなんです。二人暮らしです。妻は六十六才。やはり少しの違いでマル福が受けられませんでした。右足の大腿骨が変形して、首、頸椎も変形し、歩行も大変な状態です。しかも最近、緑内障を患い、眼科、内科、整形外科と通院して、月の医療費は大体二万一千四百円。夫は七十三歳、寝たきりで今は病院に入院しています。いつもはこの女性が寝たきりの夫の介護をして、ありがたいことに老人福祉手当が五万五千円支給されていました。ところがこれも減らされ、来年からは廃止されてしまう。おむつ代もかかり、さまざまな医療にかかわる出費が九万六千円になる。こういう話をされて、貧乏人と年寄りは早く死になさいといっているような感じでせつない、何とか復活してというふうに懇願しておりました。
 石原知事は、福祉十事業のことをいうと、口癖のように、陳腐な議論だなどといいますけれども、お尋ねしますが、これが陳腐な議論なのかどうか、局長のご見解をお伺いしたいと思います。

○前川福祉局長 いろんな議論が錯綜して入っておりまして、お答えするのはなかなか難しいのでありますが、まず一点目は、不用額の理由であります。具体的に申し上げますと、例えば高齢福祉費の中で、介護給付費の負担金が確かに残っておりますが、これは、予想に反して、介護給付費について、老人保健施設の整備等が若干おくれたこともあって、執行が残ったというだけのことであります。
 それから、施設整備費につきましても同じでありますが、これはたまたま老健施設等のやはり整備の申し出が、よそより少なかったという理由に基づくものであります。
 逆に、例えば子ども家庭福祉費等についてでありますが、こういったものについては積極的な増を図っているわけであります。
 そういう不用額はそれなりに--私どもの経費は義務的な経費がほとんど全部であります。そういう形で、恣意的に残すことはできないのでありまして、当然のことながら、それなりの理由があって不用額になっているというのが、第一点であります。
 第二点目は、じゃあ、こういう不用額につきまして、これを使って、見直した事業をちゃんとやればいいじゃないかというお話でありますけれども、これは全く筋違いの議論であろうと私どもは考えております。これは当然ですが、先ほども申し上げましたとおり、現在都が進めている福祉改革は、長期的、歴史的視野に立って、既存の福祉のシステムを、利用者本位にシフトをしていく、そういう、政策体系を転換しようとしているものであります。一時的な財政上の理由によって行っているものではありませんから、お金があったから見直しはやめるという筋のものでは毛頭ないと考えております。
 それから、予算そのものの性格もぜひご理解をいただきたいと思います。予算は、都が当該年度政策として何を実施するかという、いわば方針であって、知事が議会に提案し、ご議論をいただいて執行するものであります。十二年度の福祉予算についていえば、既存の福祉施策を社会経済状況の変化等を踏まえて見直す、同時にそれによる財源を活用して新たな施策展開を積極的に行う、こういう方針、これを一体として福祉改革を進める、これが、議会での十分なご審議をいただいて定められた都の方針と認識しております。
 したがって、結果として決算に不用額が生じたからといって、予算で定めた方針を変更し、見直しをもとに戻すといったことはすベきでないのは当然であります。
 それから三点目に、いわゆる低所得者に対する対応の問題でありますけれども、私どもが老人医療費の助成を見直したのは、これがスタートした時点と比べて、国の医療制度、例えば老人保健制度が発足した、介護保険制度が発足した、医療保険制度についても高額療養費の制限が導入された、こういった形で弱者に対するいわば経済的な配慮がかなり手厚くなっているのであります。私どもは見直しに当たっても、モデルケース等も使って試算をやっておりますけれども、これは十分対応できるという判断をしたわけであります。
 仮に今お話をいただいたような方があるとすれば、そういった方々は、例えば介護保険であれば、当然生活保護を受けていただいて、それに従って保険料も払ってもらい、利用費も負担をしていただく、それが当然であろうと思います。

○古館委員 だから、生活保護の問題というのは、詰まるところ、何かいうといつも当局は、セーフティーネットで生活保護があると。生活保護が受けられない話を今私は全部しているんです。ぎりぎりのところなんですよ。だったら生活保護がありますよと、日本の生活保護なんていったって、本当に水準が低いんですから。そういう状況の中で、生活保護というのがセーフティーネットで受けられる人の話を私はしているのじゃないですからね。このことだけはっきりさせていただいて。
 さっきの私の質問には答えていないんですよ。福祉十事業のことについて、陳腐な議論だというふうに知事はよくいうんです。(「知事がそういったんだからしようがない」と呼ぶ者あり)いや、だから、局長の見解を聞いているんですよ。もう一回いってください。

○前川福祉局長 何度も申し上げますが、十事業の見直しを行ったのは、福祉改革の一環であります。まだ国のいろんな医療保険制度等が不十分な時代に発足した事業を、時代の変化に対応してこれを見直していく。これを全体として、それによっていわばつくられた財源も使いながら、東京都の行政的な役割をシフトをしていきたい。
 それは何かというと、時代の変化に即応して、都民、高齢者、障害者あるいは子どもを持った家庭の社会福祉サービスに対する要求はかなり高度化し個別化してきている、そういう事態に対応していきたいというのが、福祉改革であります。ですから、これはあくまで福祉改革の一環としてやっているのでありまして、これについてはぜひ総合的にご判断をいただきたいと考えております。それが一点であります。
 それからさらに、今、陳腐というお話もありましたけれども、私どもはこういう議論については、昨年のこの見直し事業をご審議いただいた議会等においても、十分ご審議をいただいておりまして、その段階でも十分論点は出尽くしていると。それを指して知事はそうおっしゃったのだろうと考えております。

○古館委員 時代の変化とかいろいろ今いわれましたけれども、かつて東京都が、老人医療費は先駆的だったんですよ。国をも動かしたんです。今は違うんですね。国がこうだからこうですという。そうじゃないと思うんです。
 先ほどの陳腐な議論という問題について、どうも局長は追認するようなご答弁を今されたんですけれども、(「追認なんかしていないよ」と呼ぶ者あり)所得の格差が今どんどん広がっているんですね。一方ではかなり高額所得者がいる、ところが、低所得者層というのがまたどんどん広がっているというのが今の、これは経済学者であれどこであれ、だれでもこの問題は、貧富の格差が広がっているというのは、いっているところです。(「おれにいってるの。向こうにいえよ」と呼ぶ者あり、笑声)たまたま真っすぐにいるものですから。私が紹介したように、都民の生活実態というのは、今私がいったようなのが現実なんですよ、そういう人がいるんですから。そういう中にきっちり、やっぱり政治がその問題についてちゃんとした対策をとるということ、これは古臭いことでも、ありふれたことでもないんです。文字どおり今日の問題なんですよ。憲法二十五条がいう生存権にかかわる問題が現実にあることを、私は強く認識してほしいと思いますし、これが都民の願いだということをいっておきたいと思います。
 だからこそ、都民の要望の上位がいつも健康、福祉ですね。東京都民の世論調査で、いつも上位にあるのが健康、福祉じゃありませんか。三百十六億円というお金を余すのであれば、十事業とか特別養護老人ホーム--ただ、局長いっておきますけど、私は財政の運用については少しは知っているつもりですから、余ったんだからこれをどうだという問題ではなくて、余るという状況の中であれば--それから、あの最終補正予算で、貸付金だとか国の直轄事業で大体五百億投じていますよ。そういうお金があるならば、こういう生きた福祉の十事業などの復活なんかも考えるべきだということを、私は改めてここで強調させていただきたいと思います。
 現金給付的事業は、本格的な少子高齢化のもとでいよいよ必要性が増している。私はこれが実態だと思っています。これらの事業をもとに戻す、復元することを改めて強く求めておきます。
 福祉十事業と特養ホーム補助の削減が二百九億円。最終補正予算で首都高速道路公団に、先ほどいいましたけれども二百十億円を気前よく支出いたしました。お金の工面というのは、やっぱりそれは、どういうふうにして都民の福祉や暮らしを守るか、ここにやはり一番の熱意といいますか考え方を、ぜひ施策の中に展開をしていただきたいと私は思っております。
 二〇〇〇年度、平成十二年度は、少子高齢化対策がいよいよ重要になりました。介護保険制度も始まったときに、二十年前の一九八〇年以来、初めて福祉費の予算額が前年に比べて下がり、その削減した予算をさらに三百十六億円を使い残して、決算においても一般会計に占める福祉費の比重を低下させた、東京の福祉後退の画期をなす年だと、私はいわざるを得ません。
 この福祉や医療の切実な事業は切り捨てた上で、都立病院改革会議の報告書が出ました。都立老人医療センターの機能を都立豊島病院に移して、その上で豊島病院を民営化するという報告に対して、今度は医療まで受けにくくするのかという声が都民から上がっています。いうまでもなく老人医療センターは、主として六十五歳以上の都民を対象とした高度医療を提供し、我が国の高齢者医療の先駆的、モデル的な役割を担っていることは、さきの厚生委員会の質疑でも局自体が認めているところであります。
 しかも、この老人医療センターが、高齢者特有の疾患を持ち、複数の疾患と精神機能の低下、高齢者特有の痴呆、尿失禁、転倒等の病態があり、日常生活上の機能障害を起こしやすく、さらに免疫機能が低下し、病気が治りにくいなどの諸特性がある、だからこそ、患者の自律機能障害を防止し、生活の質、QOLの維持向上を最終目的とすべきで、単なる疾患の診断と治療だけではなく、チーム医療に基づいた全人的、包括的医療が必要だと考えます、局が我々の質問に対してこのように答弁しているんですね。こうしたチーム医療に基づいた全人的、包括的な医療という使命、これは老人医療センターの折茂院長が就任あいさつで述べた言葉であります。
 こうした役割を担っている都立老人医療センターの機能のようなものは、ほかにどこかにございますか。

○前川福祉局長 今の質問にお答え申し上げますが、その前に一言だけ補足をさせていただきたいのですけれども、先ほどのお話の中で、あたかも私どもが東京の福祉を低下させようとしているかのようなお話がありました。そうではないのであって、私どもは、東京から私どもが新しい福祉をつくって発信をしていきたい。そのために、五千二百億円の福祉改革推進プランもつくり、平成十三年度は予算だけでも四・三%という大幅な増を知事にお許しいただき、議会にお許しをいただいて取り組んでいるわけであります。そういう意味で、ぜひこのことだけはご理解いただきたいと思います。
 それから、老人医療センターの問題ですが、これは今おっしゃったとおりでありまして、日本最初の高齢者専門病院として、高齢者医療に先駆的、モデル的に取り組んできた、こういう病院はほかにはないと考えております。
 そこで我々は、今後の高齢化のさらなる進展を見据えて、こうした老人医療センターの取り組みを踏まえて、高齢者医療の一層の充実と普及拡大を図っていきたいと考えております。
 そのために、来年六月から開設予定の痴呆性高齢者等の専門病院を江東区に整備し、また老人医療センターについても、経営を民間に委ねることで、その豊富なノウハウを活用して、質の高い医療サービスを民間病院にも普及していきたい、こう考えているわけでございます。

○古館委員 局長は今、矛盾しているんですよ。都立の老人医療センターは、全人的、包括的な医療の使命、それから、全国でも唯一の高齢者専門の高度な医療を行う病院であるというふうに、今答弁されたんですよね。しかも、民間のノウハウといったって、全国でここにしかないのが、高齢者のノウハウ、ノウハウといったって、民間はノウハウはないんですよ。だからこそ、こういう意味でいうと、やはり都立の老人医療センターとしてしっかり都民の期待を担って頑張っているわけで、そうした都立の医療センターとしてこれからも--この問題は板橋区の医師会の幹部の方々も、都立の老人医療センターがあることで随分地域の医療水準も引き上がる、そしてそのことが、私はだから、全都にうんと広げていけばいいと思っているんです。何か民間ということで、ノウハウもない民間に民営化させるというのは、私はこれは筋違いだということだけいっておきたいと思います。
 なぜこのようになるかということ、それは結局、財源の問題なわけですね。都債残高が八兆円にもなろうとしているんです。しかも、借金返済が来年度から六千億、七千億、八千億近くもの償還が予定されています。しかもこの都債は、幹線道路などの大型の公共事業を進めるために発行されて、こうした多額の借金返済が都の財政難の大きな要因になっているにもかかわらず、石原都政の都政運営が、東京構想二〇〇〇に代表される大型の都市開発へとさらにその傾斜を強める方向を一段と鮮明にしていることであります。
 この東京構想二〇〇〇が目指す方向は、政策誘導型への転換といいながら、実際に提起されている方向は、東京圏メガロポリス構想に象徴されるように、都心部、その構想でいうセンターコアへの集中的投資による再開発と、それを支える都市基盤の整備にほかならない。
 そこでお聞きしますけれども、東京構想二〇〇〇の中で示された東京圏メガロポリス構想、この計画事業費は幾らと見込んでいるでしょうか。

○木内都市計画局長 首都圏メガロポリス構想は、本年の四月に策定したものでございまして、それは首都機能移転論がなお語られている中にありまして、首都圏の七都県市が担うべき首都の将来像及び圏域の都市づくりについての構想をお示ししたものでございます。したがいまして、構想の性格上、全体の事業費が幾らであるというようなことを示すような性格のペーパーではないというふうに思っております。
 まして、大型の都市開発をこれによって何か特別な形でやっていこうとか云々とか、そういうことのものでもなく、必要なものを必要なものとして位置づけた上で取り組みを述べたものでございます。

○古館委員 これはだから、試算をしていないということですね。それで、じゃあ、これについてやる考えはないということでしょうか。今のご答弁だと、これは将来像の像を示したと。だけど、大事なことは、こういうことが示されていくと、ひとり歩きしていくというのがこわいんですよね。
 そういう部分の中で、この問題について、私はどうしても指摘をしておきたいと思っていますのは、これは東京新聞の十一月九日付なんですけれども、「東京外環道の凍結検討」というのが一面トップで出ているんです。これは、自民党は八日、日本道路公団の分割・民営化問題で焦点になっている高速道路整備計画の見直し問題について、一部見直しを容認し、東京外郭環状道路、これも建設の凍結をする方向で見直しに入ったということが、この新聞の中に記されております。
 この理由は、建設コストが高いということ、この東京外環道と第二東名高速道路の建設を取りやめると、九兆円程度の事業費が節約できるとしております。外環道については長年にわたって反対運動が取り組まれ、凍結されてまいりました。道路の効果、建設費などの問題も多いものでありまして、私は見直しは当然だと思いますけれども、都はどのようにお考えでしょうか。

○木内都市計画局長 二点申し上げます。
 一点目は、先ほど申したように、首都圏メガロポリス構想については、これから先、七都県市として共同して取り組むべき戦略的な課題を申し上げているわけでございまして、構想の中で具体的な事業費を算定する性格のものではないというふうに申し上げたわけであって、具体的な戦略については七都県市がこれから協議、協調する中、着実に取り組んでいくものというふうに考えております。
 二点目は、外環の話で今お話がございましたが、新聞で報道されました具体的な中身についてはつまびらかにされていないところでございますけれども、国の特殊法人改革の議論の中で高速道路の整備計画の見直しも取り上げられており、その中で外環も報じられているものでございまして、それは、いわゆる千葉区間といわれている埼玉県の三郷から千葉区間のことが、直接的には取り上げられているものでございます。
 そもそも外環につきましては、東京区間、関越の大泉ジャンクションから東名のところまでの十六キロでございますけれども、それらを含めて外環全体については、首都圏の交通渋滞の緩和、ひいては環境の改善、さらには都市間の交通のネットワークの整備という、我が国における大きな目的に沿うような重要な路線であるというふうに考えておりまして、そうした特殊法人改革の論議とは別に、改めて本都としては早期に整備すべきものという位置づけが、基本的な考え方でございます。

○古館委員 先ほど、外環の三環状問題については既に、それこそ予算の内示の中でも外環の問題というのは触れてきていまして、国がやるから国がやるからと東京都はいうんですけれども、これはもう、前財務局長ですから私が何かいってもあれなんで、国の事業だといったって必ず裏負担がついて回ってくるわけですね。国の直轄事業なんて、資料をいただきましたけれども、大体少なくても三分の一は国の事業に対して負担するというような、ちゃんと負担区分まで決まっているわけですよ。だからこれは、国の事業だからいいということには絶対にならない。今の東京都の財政からいいますと、三千億円オーダーぐらいで都債を発行しなかったら、都債残高というのは絶対に落ちないというのが、これは大体の今の推計の中でも明らかになっているわけです。時間もありませんが、そして、今は自民党の中でのそういう国の方の動きを私は紹介しました。
 もう一つは、経済財政諮問会議でも大きなテーマとなっておりまして--この経済財政諮問会議というのは、小泉首相のもとでつくられたわけです。メンバーは、牛尾さん、それから奥田というトヨタの会長さんですね、この人たちが名を連ねているものでありますけれども、この中で、社会資本整備のあり方についてという文書をこの会議に提出いたしました。その随所で、経済や財政全体と整合性のとれた公共投資にすること、そして、その際に考慮することとして、我が国の公共投資のGDP比を欧米の水準に近づけていく、こういう必要性を財界の方々が、この経済財政諮問会議を構成されて参加しているメンバーなんですが、その人たちがこういう報告書を提出しているところであります。
 したがって、経済や財政全体と整合性のとれた公共投資にする、大規模ダム事業などの見直し、高規格幹線道路など、特殊法人が行う公共事業の厳しい見直しを提言しております。こうした提言について、都としてどのような見解をお持ちでしょうか。
 それと、最後に、こういう状況の中で、先ほどいいましたが、公共投資のGDP比を欧米の水準に近づける。ちなみにいいますと、日本で、一般政府ベースで見ますと、日本、五・七%ですね。イギリスは一・四%、アメリカ、一・九%、ドイツ、二・〇%。これでもわかるように、アメリカも含めた他の欧米諸国、そういうところよりも公共事業が四倍も五倍も高い。このことを、この経済界の中で、報告書の中でもはっきりといって、それに五年間の中でどれだけ近づけるかということも、はっきりとこの中に示されているんですね。
 したがって、今、大きな流れは、国民の世論、都民の世論も、こういう道路をつくるよりも、社会保障、医療、健康をやってくれ、これがはっきりと世論の中にはあるんですね。政治家も、それから経済界も、そして都民の世論も、大型開発はもうごめんだという声なんです。これに対して、ぜひ声として皆さんが受けていただくということを、もう時間もありませんが、最後に答弁をお願いしたいと思います。

○田原知事本部長 ご承知のことではございますけれども、ことしの六月、政府は、今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太方針でございますけれども、これを閣議決定いたしまして、さらに、現在、改革行程表を出して、公共投資の改革を進めているところでございます。
 都としましては、首都圏を再生することが日本再生の早道である、これは主張をしているところでありまして、国の公共投資については、首都圏三環状道路の整備や道路特定財源の大都市部への配分拡大など、首都圏の公共投資を重視する方向で改革をすべきだというふうに国に対して主張しておるところでございます。
 GDP比のお話がありました。それから、経済財政諮問会議の中での議論がありますけれども、この中でも、都市再生など骨太方針の重点方針にシフトをいたしまして、めり張りのきいた資源配分が必要だという議論でありまして、何がめり張りのきいたものか、それから、骨太方針の重点方針にシフトをする、その辺をどこに持っていくか、これから議論が必要だろうと思っております。

○小山委員長 古館和憲委員の発言は終わりました。
 小磯善彦委員の発言を許します。

○小磯委員 私は、医療問題についてお伺いをいたします。
 私、常々、二十四時間安心して受けられる医療体制、こういったことを訴え続けてまいりました。石原都知事も、三百六十五日二十四時間の安心を目指す東京発医療改革、これに私は基本的には賛同しているところでございます。
 そこで、患者への情報提供不足、また、医療機関の情報不足など透明性の不足、また、続発する医療事故など信頼性の不足、医療資源の偏りや、硬直化した病床規制などの効率性の不足など、現状の医療に対する三つの課題が示されているところでございます。この課題に対する改革の方針として、開かれた医療、安心できる医療、むだのない医療、こういった三つが示されているわけでございます。
 そこで、これらの方針から見て、十二年度の決算を踏まえて、これまでの実績、そして今後の方向を含めてお伺いをしたいと思っております。
 入院治療を必要とする二次救急医療について、東京都は、平成十一年度から休日・全夜間診療事業を実施し、固定施設において三百六十五日二十四時間の診療体制を確立するなど、充実強化を図ってきたところでございますが、二次救急医療機関の確保についての基本的な考え方、そしてまた、平成十二年度の状況についてお伺いをしたいと思います。

○今村衛生局長 東京都における二次救急医療体制につきましては、平成十年の東京都救急医療対策協議会からの報告を基本としております。本報告では、都民にとっても、救急隊にとっても、わかりやすく利用しやすい制度といたしまして、従前の救急告示医療機関制度をさらに強化した固定・通年制の二次救急機関が必要であり、その規模は、救急搬送実績等を勘案し、都全体で二百五十施設程度確保すべきであるとしております。
 このため都は、平成十一年度から休日・全夜間診療事業を開始いたしまして、十二年度末現在、二百七十二施設、七百六十四床をただいま確保しているところでございます。

○小磯委員 今の答弁ですと、東京都全体としては二次医療については確保している、こういうことでございますが、しかし、これもやはり地域に大変偏在をしているということだと思います。
 例えば、区の中央部保健医療圏、ここでは人口が約六十万人に対して二十五施設、七十床、南多摩保健医療圏、ここでは人口百二十七万人に対して二十一施設、五十五床ということで、一床当たりの人口数では約三倍の開きがあるということでございます。また、圏域内で比較しても、例えば、私の地元町田市では、現状では四つの病院しか休日・全夜間診療事業が確保されておりません。一施設当たりの人口は、東京都の平均ですと四万三千人、町田市は九万四千人ということで、現在の約二倍の二次救急医療施設が必要である、私はこう思っているわけでございます。
 このように地域的に偏在している実態を踏まえて、二次救急医療機関の確保について、今後どのように取り組んでいかれるのか、お伺いをしたいと思います。

○今村衛生局長 休日・全夜間診療事業に参画している病院を二次保健医療圏別に見ますと、一部、ご指摘のように地域的に偏在している面もありまして、ご指摘の町田市についても同様な状況にあると認識しております。今後とも、事業実績の動向や地域の医療機関の実情を勘案し、引き続き参画施設の確保に努めてまいります。

○小磯委員 実は私の地元町田市は、二次のいわゆる救急医療だけでなくて、例えば医者の数なんかにしても、人口十万人に対して東京都が二百六十六人であるのに対して町田市は百二・六人ということで、東京都の平均からいきますと、約三八%の医師数です。また、人口十万人に対する一般病床数、これは東京都の平均が九百七、町田市の場合は五百十二ということで、これが約五六%。そういったことで、町田市のいわゆる医療体制というのは、マンパワーが東京都の平均の四割弱、施設が六割弱、そしてまた、救急体制が五割、そういった客観的数字がいえるんじゃないかな、私はこう思っているところでございます。
 町田市民の皆さんの要望をいろいろ聞きますと、やはり休日や夜間の診療体制を充実してほしい、こういう声が大変強いわけでございます。また、小児の専門病院をつくってほしい。また、救急時の市内での受け入れ体制を整備してほしい、こういった声が大変多く聞かれるわけでございます。そういったことで、私自身、町田市の医療体制、なかんずく救急医療体制が決して十分ではない、こう思っているところでございます。
 先ほどのご答弁の中に、初期と二次と三次の機能分担、これはもちろん必要でございますが、全体の水準を上げていかなければならない、そういった地域もあるということをご理解いただければ、こう思っております。
 そういったことで、町田市としては、小児の休日夜間の急患センター、これの設置などを今考えておるようでございますが、東京都としても、これをしっかりとバックアップしていただいて、初期と二次の救急医療体制の構築についてご努力をお願いしたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○今村衛生局長 二次救急医療を担当する休日・全夜間診療事業に参画している医療機関、例えば町田市民病院などは一生懸命頑張っておりますが、そういったところの負担を軽減していただくためには、区市町村が実施主体であります初期の救急医療体制を整備する必要があるということは、ご指摘のとおりでございます。今後、町田市を初めてとして、区市町村が地域の実情に即した効果的な初期救急医療を実現できるよう、支援する必要があると考えております。

○小磯委員 町田市には四つの二次の救急医療機関があるわけでございますが、人口から見て絶対数が足りない、私はこう思っております。その分、救急車で他の行政区へ搬送して搬送時間がかかるなど、救急車が現在の六台では厳しい状況にございます。町田市内の救急患者の約四分の一、年間三千百件が神奈川県内の救急医療機関へ搬送されております。実はこの数字は、東京都全体で東京以外の病院へ搬送された人員数、約八千六百人のうちの三六%を町田市で占めている。これぐらい町田市の場合は神奈川県へ搬送される事例が多いということでございます。そういったことで、町田市の地域特性も大きく影響しております。
 救急車の増強について、こうした地域特性も十分考慮に入れていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。

○杉村消防総監 救急車の増強配備につきましては、これまでも厳しい都財政状況の中、地域における救急車の集結状況及び出場件数等を勘案して、計画的な配備に努めてまいりました。ご指摘の件につきましては、今後、救急出場件数の推移、地域特性等を総合的に勘案して検討してまいります。

○小磯委員 続きまして、多摩ニュータウンにあります相原・小山土地区画整理事業、ここに文化厚生ゾーンというのがございます。ここの医療施設進出問題についてお伺いをしたいと思っております。
 東京都では均衡ある都市づくりを進めており、その一環として、ニュータウン計画においても、活力あふれる快適なまちを目指して、着々とまちづくりが進められております。そのまちづくりには、都市基盤となる公共施設の整備が重要であると考えますが、都の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。

○石河多摩都市整備本部長 多摩ニュータウンでございますけれども、これまで、道路や公園などの都市基盤整備を進めながら宅地の造成を行ってきております。この結果、すぐれた居住環境を備えたまちができ上がりつつあります。したがいまして、今後は、このような良好な環境を生かしながら、そこに住む人々が安心して快適に生活していけるように、必要な公共施設を、地元市とも力を合わせ、バランスよく配置していくことが重要であると考えております。

○小磯委員 多摩ニュータウン計画の中で進められております土地区画整理事業の中の相原・小山地区に文化厚生ゾーンが設定をされております。そのゾーンでは、公共施設、特に医療施設の配置が計画されていると聞いております。どのような具体的な整備計画があり、この計画をどのように認識しているのか。あわせて、この計画の進ちょく状況についてお伺いをしたいと思います。

○石河多摩都市整備本部長 相原・小山地区の文化厚生ゾーンでございますけれども、教育や福利厚生などの施設の立地を進める地区となっております。町田市におきましては、ふるさと21健康長寿のまちづくり基本計画の中で、この地区に、リハビリテーション医療施設を中心に高齢者向け施設を整備しようとしておりますが、その中心となります医療施設の誘致につきまして、東京都の保健医療計画と調整中であると聞いております。
 相原・小山地区では、道路、公園等の都市基盤整備がほぼでき上がっておりまして、こうした文化厚生ゾーンの計画が実現すれば、地区全体のまちづくりが大きく進展するものと考えております。

○小磯委員 多摩都市整備本部としては、ぜひともこの相原・小山土地区画整理事業の中にリハビリの病院を持っていきたいというお気持ちであるということを受けとめさせていただきました。
 まちづくりを進めていく上で、公共施設、中でも病院は必要な施設でございますが、一方、新たに病院を建設しようとすると、医療法により病床規制がなされており、現実的には建設が困難となっております。現在、規制緩和が叫ばれている中で、この病床規制はどのように考えておられるのか。また、東京都として病床規制の弾力的運営を図るために、国に対してどのように働きかけていくのか。さらに、来年度の保健医療計画の見直しの状況はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

○今村衛生局長 病床規制は、病床の適正配置を図り、適切な入院医療を確保するためのものでございますが、算定方法が全国画一的で、地域の特性が反映されにくいなどの問題が指摘されていることは承知しております。このため、より地域の実情に応じた効率的な医療を実現するために、病床数の算定や、医療計画の運用において知事の権限を拡大するなど、より弾力的な運用が可能となるよう、これまでも国に対して積極的に働きかけてまいりましたが、引き続き取り組んでまいります。
 なお、お尋ねの保健医療計画につきましては、現在、東京都保健医療計画推進協議会において、保健医療施策全般につきまして、改定に向けた検討を始めたところでございます。

○小磯委員 在宅への円滑な移行を図るリハビリテーション医療に関しては、急性期、回復期、維持期の各段階における適切なリハビリテーションの提供と、各段階の連携によるシステム化が必要でございますが、多摩地域のリハビリテーション機能の充実が求められていると私は思っているところでございます。何としても誘致できるようにご努力をいただきたい、こう思っているところでございます。
 最後に、開かれた医療ということで、医療情報、これについてお伺いをしたいと思いますが、休日や夜間に急病になり、かかりつけ医に連絡がとれない等の理由で困った場合、医療機関案内が有効であると考えますが、東京都では、住民に対する医療情報の提供をどのように行っているのか。そしてまた、先ほど、初期、二次、三次の機能分担を明確にするとおっしゃっておられましたが、そういったためにも、双方向のテレホンサービスがやはり必要なのではないかな、こう思っております。また、現在、IT革命といわれる情報通信技術の飛躍的な発展により、インターネットでだれもがアクセスできる環境が整備されておりますが、そうした現状に即応できるような情報提供を考えるべきではないか、その点についてもあわせてお伺いをして、私の質問とさせていただきます。

○今村衛生局長 都は、平成五年度から、保健医療情報センター「ひまわり」で、夜間・休日診療を行っている身近な医療機関等の案内を二十四時間対応で行っております。平成十二年度からは、医療機関案内のホームページを作成するとともに、携帯電話による情報提供を開始し、これまで以上に都民が直接保健医療情報を利用できるよう整備したところでございます。今後とも、IT化の進展を踏まえて、都民がより利用しやすい情報システムの構築を検討してまいりたいと考えております。

○小山委員長 小磯善彦委員の発言は終わりました。
 木内良明委員の発言を許します。

○木内委員 緊急雇用対策についてお尋ねをいたしますけれども、今年度から決算審査は分科会形式が導入されました。スピーディーな審査を行う。これは、喫緊の課題に対して、とりわけ重要なテーマについては、決算審査を次年度の予算に反映し、また、事業執行にこれをきちっとにじませていく、こういう趣旨があるわけでございまして、私は、二十分間の短時間でありますけれども、主に産業労働局長を中心に質疑を展開しますが、これはすぐれて重要な課題でありますので、全局長、関係の方々、ひとつしっかりとこの質疑をお聞きいただいて、来年度に反映をしていただきたい、このことをまず冒頭申し上げておきます。
 さて、先週の九日、閣議決定が今年度補正予算について行われました。追加支出総額が約三兆、事業規模で五兆八千億ということでありまして、雇用のセーフティーネット、あるいは、今日的な景気への施策というものが大きく盛り込まれた補正予算であります。実は、この補正予算の中で、いわば新緊急地域雇用特別対策、これが実は盛り込まれているわけでありまして、三兆を超える大変な規模の補正予算であります。先ほど馬場さんの方から質疑がありましたけれども、十一年度の途中からこの事業は実施がスタートいたしました。このいわば十二年度決算の審議の中身である、当時の雇用対策、これをよく検証することで、新たな補正への血の通った施策の展開に結びつけていかなければならない、こう思っているところでありまして、馬場さんの質疑との重複を避けながら、角度を変えてお尋ねをしてまいります。
 まず、先ほどの緊急地域雇用特別交付金をもとにした事業の平成十二年度末までの執行状況と、今後の計画についての質疑がありました。重複しますから、答弁は結構です。執行額は、平成十一年度が二十七億余、十二年度が七十三億余、合計で百一億余、今後、交付金の全額執行にぜひ努めてまいりたい、こういうことでありました。あわせて、新規雇用者数は、平成十一年度が六千八百人、十二年度が一万七千六百八十人、合計で二万四千五百三人、これについて新規雇用目標数を達成すべきだという質疑に対して、努めてまいりますという答弁でしたけれども、私は、これは制度発足当初からこれにかかわってまいりましたし、きょうお見えの大関総務局長、当時、労働経済局長のときに、いろいろお知恵をいただき、また、議会で発言し、これを施策に反映してきたところでありまして、この推移を見てまいりますと、この雇用目標数は達成できるものと思っておりますけれども、明快に答弁願えませんか、努めるということではなくて。

○浪越産業労働局長 新規雇用数の問題でございますが、今、先生からお話がありましたように、十一年、十二年の二カ年の合計は二万四千五百三人でございまして、目標である三万人まで、あと五千五百人でございます。平成十三年度は、渓流など美化及び防災事業や遺跡確認、分布調査などの事業の実施により、交付金の円滑な執行に努め、新規雇用目標数を確実に達成できるようにしてまいりたいと思っております。

○木内委員 努めるということから、確実に達成できるように頑張るということであります。やっぱり質疑というのは大事なんですね、こうやって一つ一つ確認をしていくわけでありますから。全国で三十万人目標、東京、三万、ぜひ達成してください。もう一度答弁をお願いします。

○浪越産業労働局長 三万人を確実に達成したいと考えております。

○木内委員 これは非常に重要な答弁であります。それで、冒頭私が申し上げたように、十一年、十二年、十三年と、大変なご苦労をされてきたと思うんです。実は、十一年度の途中から急遽、この施策が国からおりてきたわけでありまして、九十一億の都の事業、同額の区市町村分、それぞれが工夫を凝らすけれども、なかなかいい案が出なかった。だから、この間の事業内容を見てみますと、直接に雇用を成就するものと、それから、もう一つは、間接的に雇用を喚起し、掘り起こすための調査事業、こういったものも実は大きく盛り込まれてしまったんです。したがって、新しい雇用対策においては、要するに、これまでの好事例、それから、それに反する事例等を峻別して、横断的、また有機的に情報を区市町村等への連絡調整も図りながら共有をして、実質的に今度の新しい目標を達成するような、こういう事業を進めていかなくてはいけない、こう思うわけでありますね。
 たしか十二年度でありましたけれども、他の行政目的であるところの、ホームレス、路上生活者の方々までをも雇用吸収できないかということで、三多摩の森林事業のための間伐事業に随分と雇用いたしました。プレハブもつくりました。そういう中でご苦労をされて行った事業もあるわけでありますけれども、例えば、新規雇用者数の中で大きかった事業、これを都と区市町村に分けて幾つか例示していただきたいと思いますし、答弁に立たれる以外の他の局長についても、ぜひこの辺をよくお聞きいただきたいし、いよいよ後に触れますけれども、これまで以上の多額の補正予算が実は東京都におりる予想でありますので、知恵を出さなければいけないところでありますから、どうでしょう、答弁願います。

○浪越産業労働局長 新規雇用者数の大きかった事業として、平成十二年度の例でお話を申し上げますと、都の事業では、都立高校において、部活動アドバイザーの派遣で四百六十三人、情報教育アドバイザーの派遣で三百十一人、また、新島、神津、式根島の被災地の海辺の清掃で四百五十六人などがあります。
 次に、区市町村事業といたしましては、放置自転車対策で一千三百二十五人、道路、公園等の清掃で五百六十四人などがございます。

○木内委員 この事業の実施に当たってはいろいろな条件がついておりまして、アイデアがよくても実施に移せなかったとか、あるいは、制約があるためにアイデア倒れに終わるというのが随分あったわけです。
 これは、もう一度私は検証したいと思うんですけれども、この緊急地域雇用特別交付金に基づく事業を実施する中で、大きく制約となった制度上の課題というのは何でしたか。

○浪越産業労働局長 現行交付金の条件としては、新規雇用の創出に努めること、雇用期間が六カ月未満で、かつ更新できないなどがございます。
 このうち、雇用期間が六カ月未満で、かつ更新できないという条件については、継続して雇用する必要がある場合、一つの例でございますが、特定の者との対人関係の中で継続的にサービスを提供するような業務、例えば教員の補助者などがございますが、そのような場合においては大きな制約となっております。

○木内委員 そうした今答弁のあった制約の緩和ということで、私ども公明党は、いわゆる縦の線で、国会での議論あるいは政府・与党の協議の中にこれを反映させてまいりました。制約の緩和に努めてきたところでありまして、許される時間の中で、後にこの緩和内容についても触れたいと思うわけでありますけれども、ちょっとここで方向を変えて、この緊急地域雇用特別交付金に基づく事業の中で、三宅島避難者の方々への就業機会の確保にかかわる事業についてお尋ねをするんです。
 この事業の中で、三宅島の方々を雇用対象とした事業の平成十二年度までの執行額と新規雇用者数についてお尋ねするとともに、この避難者の方々を雇用対象とした平成十三年度の計画についてはどうなっているか、まずお尋ねします。

○浪越産業労働局長 平成十二年度に都が三宅島の避難者を雇用対象として実施した事業といたしましては、都の公共施設のクリーンアップあるいは三宅島商工業者の意向調査、また三宅島避難者支援要請キャンペーンの三つがございます。その合計執行額は一千八十四万円余りでございまして、新規雇用者数は百五十三人でございます。
 また、十三年度の事業でございますけれども、三宅島避難者を雇用対象とし、三宅島げんき農場を平成十三年度から実施しておりまして、平成十三年十月末までの新規雇用者数は百二十四名でございます。
 また、区市町村においても、公園の清掃や駐輪場の誘導など、二十四事業、延べ一万人日の就業機会を確保する事業を実施しているところでございます。
 今後とも、三宅島避難者の就労機会の確保のために、こうした事業を着実に進めてまいります。

○木内委員 しこうして申し上げたように、今度の新しい制度のもとでは、継続的な雇用の延長が可能になるというような要請を私どもはしてきたわけであります。
 例えば、さっきも触れられておりましたけれども、この交付金をもとに新たに実施する事業については、都道府県の計画全体で事業費に占める人件費割合がおおむね八割以上であること、これは真水が大きくなるわけですね。事業に従事する者に占める新規雇用の失業者数がおおむね四分の三以上であることなど、これまでの交付金に比べて、より一層失業者の雇用の確立に実は資するものとなっているわけであります。
 そして、さっきもちょっと申し上げましたけれども、これはまだオーソライズされた資料ではありませんけれども、政府・与党で今回の事業の補正予算を組むに当たっての協議の中で議論された内容がここにございます。
 「以下に該当する者については、必要に応じ、雇用期間を一回に限り更新することができるものとする。」さっき浪越局長も答弁しておられましたけれども、「特定の者(児童・生徒、障害者、高齢者等)との対人関係の中で継続的にサービスを提供する業務を受け持つ者」、例として「教員補助者、障害者・高齢者支援員、介護予防相談員」、こうなっております。二番目に「企画・管理部門等であって事業を継続するために必要不可欠な業務を受け持つ者」、例として「事業開始から終了までの間の進行状況の管理を行う者」、三番目「重大な災害の被災者」、例として「被災地域への復帰が困難であって避難地域での生活を余儀なくされている者」、四番目として「更新雇用後も雇用期間の定めのない雇用として正式に雇用することに、事業主が同意した者」、以上四点が議論をされ、恐らくこの方針に沿って打ち出されてくるものと思われるわけでありまして、これを前提にしての議論になるわけでありますけれども、こうした運用によって拡大、継続、充実が各事業で可能になると思うんですが、例えば、この三番目の重大な災害の被災者という部分で、三宅島避難者については、さらにこの適用を拡大、充実させることが可能だと思います。
 例えば、げんき農場については、継続また維持、拡大ということを私ども公明党は再三にわたってあらゆる機会で訴えてきたところでありますが、こういった方針がもし打ち出されれば、この申し上げております三宅島の避難者の方への施策というものは拡大、延長できますね、げんき農場については。

○浪越産業労働局長 正式には、まだ国の方から新しい緊急地域雇用特別交付金の話は来ておりませんが、今の話が事実とすれば、私ども三宅島については対応できるものだと考えております。

○木内委員 重大な答弁でありますから、ぜひその朗報を待って継続に努めていただきたいと思うのであります。
 それから、例えば、今回の新たな事業というものを好機として、これまでなかなか着手できなかった異なる行政目的の事業にもこれを使うべきだと思うのであります。これまで政府によって発表されました好事例の中には、例えば、妊産婦、新生児訪問指導員確保事業というのがあります。私どもは、この核家族化の進む社会の中にあって、子育てや妊娠や出産のノウハウを知らない若いお母さん方へのいわゆる助言者として、環境づくりとして、例えば子育てヘルパーを整備すべきだ、こういうふうにいってきたわけでありますけれども、これは申し上げているように、きょうはあえて答弁は福祉局長には求めませんけれども、こういった福祉や医療の面のスタッフの確保等にも十分に新しい事業というものは適用できるわけでありまして、どうか産労局長、この議論を機に、各局におけるそうしたいわゆるアイデアなり知恵というものを、これからさらに積極的にくみ上げられるように要請するんですが、どうでしょうか。

○浪越産業労働局長 新しい緊急地域雇用特別交付金の内容が示されれば、私ども国から示されるであろう要領や事業イメージを踏まえて、区市町村と十分に連携協力しながら、また各局とも協力しながら、知恵を絞り、雇用の創出のための事業の実施に努めてまいりたい、このように考えております。

○木内委員 以上で、私の質問は終わります。
 ぜひ、おっしゃるように、一つは、東京都における事業としてそのご努力を精力的に行っていただきたい。もう一点は、今度は区市町村もいろいろ濃淡があるところでありまして、この連絡調整にいかに血を通わせるかということが重要な課題であります。
 さっきも申し上げたように、横断的、有機的にこうした情報を区市町村が共有できるように努力をお願いしたい、このことを訴えて、私の質問を終わります。答弁は結構です。

○小山委員長 木内良明委員の発言は終わりました。
 山口文江委員の発言を許します。

○山口委員 初めに、三宅島の復旧工事にかかわって一言だけ申し上げます。
 今、事件が発覚したばかりですが、三宅島の復旧工事に絡むということで、このことは他の汚職事件とは異なり、大変その罪は重大といわなければなりません。なぜなら被災された島民の方々にとっても、またこれを支援しようとする都民、そして日々対策に奮闘されている職員にとっても、その士気をくじくものにほかならないからです。復旧工事が通常の事業に比べより迅速性が問われることはいうまでもありませんが、そうであればこそ、厳しいチェックシステムが問われています。いうまでもなく、事件の中心問題については司直の領域ですが、システムの総体を検討する必要があり、情報公開、そして情報提供について、関係局の積極的な姿勢を強く求めておきます。
 では、福祉のまちづくりについて何点かお伺いいたします。
 平成十一年度の東京都社会福祉基礎調査において、福祉のまちづくりに関する都民の意識について調査していますが、この調査結果を踏まえ、平成十二年度施策等、福祉のまちづくり施策にどのように反映されてきたのか、伺います。

○前川福祉局長 今ご指摘がありました調査結果でございますが、この中で、今後特に重点的に取り組む必要があるとする課題として、地域における連続的、一体的な整備や、公共交通施設の整備を挙げる回答が多かったわけであります。
 そこで、私どもとしては、お話しのように、これらの結果も踏まえて、地域におけるバリアフリー化をさらに積極的に進めるため、平成十二年十二月に策定した福祉改革推進プランで、新たに五カ年にわたる緊急整備事業を計画化し、その中で、福祉のまちづくりの地域支援事業であるとか、鉄道駅のエレベーター等整備事業などを重点的、集中的に推進することとした次第であります。

○山口委員 高齢になっても、障害を持っても、より豊かな生活を送ることができるよう、まちづくりの視点も大きく変わろうとしています。美術館や劇場、公園や庭園などにおいても、バリアフリーが進められています。しかし、一つ一つの施設が整備されても、そこにたどり着くためのアクセスがスムーズにいかない場合があります。私も地域でバリアチェックを時々行いますが、過去に、都道において点字ブロックが敷設されているのに、区道に入った途端に途絶えてしまったという現実に唖然としたことを覚えています。駅や道路、建物など、その事業主体が違うわけですから、連携してまちづくりは進めていかなければなりません。
 そこで、バリアフリー化に向けた新宿駅西口広場における整備事業の実施例について伺います。

○山下建設局長 新宿駅西口広場につきましては、公共交通機関を利用する高齢者、障害者などの移動の利便性及び安全性の向上を図るため、本年三月、東京都及び鉄道・バス事業者、地元区、地元商店会などから成る新宿駅西口広場バリアフリー対策検討会を設け、相互に協力して、実施可能な箇所からバリアフリー化に取り組んでいるところでございます。
 これまでに、京王線新宿駅と西口広場とを結ぶ階段の一部を、障害者の方の参画も得て、車いすもすれ違うことができるスロープに改良したところでございます。今後も引き続きバリアフリー化に向けて取り組んでまいります。

○山口委員 ただいま答弁をいただいた中に、障害者の参加ではなく参画という言葉がありました。この西口整備事業では、実際に複数案が提案され、障害者の意見によって決定された部分もあると聞いています。こうしたことは大変大きく評価されるものであると思います。
 では次に、都の公園において、障害者団体などと連携してバリアフリー対策を行った例があるのでしょうか、お伺いいたします。

○山下建設局長 これまで、都立公園におきましては、園内の段差解消やスロープの設置、車いす用トイレなどの整備に加えまして、道路と接する部分、これにつきましてもバリアフリー化に取り組んでまいりました。
 その際には、福祉のまちづくり施設整備マニュアル、これによることはもちろんでございますが、障害者団体に現地視察をお願いいたしまして、設計にその意見を反映するよう努めてきております。平成十二年度には、猿江恩賜公園、小金井公園、府中の森公園でこのような取り組みを実施したところでございます。

○山口委員 現実にはさまざまな取り組みが行われています。これからもこうした都民の声を反映した政治が進められることを要望いたします。
 都民の身近な生活環境が面的にバリアフリー化されるためには、区市町村や事業者及び都の関連する部局との連携が福祉のまちづくり施策の推進にとって重要であると考えますが、都の見解を伺います。

○前川福祉局長 ただいまご指摘があったとおりでございまして、身近な生活環境が面的にバリアフリー化されるためには、都民、事業者、行政の協働が重要でございます。
 そのため、東京都の福祉のまちづくり推進協議会に関係局が幹事として参加し、緊密な連携をとっております。また、区市町村で設置される協議会などにつきましても、福祉局を初め都の関係局や事業者が参加をし、計画の策定や事業の推進に協力をしております。
 今後とも、庁内関係部局や区市町村等と連携を深めまして、福祉のまちづくりを着実に推進してまいりたいと考えております。

○山口委員 福祉のまちづくり事業の実施に当たっては、事前に利用者の意見を聞く必要があると思いますが、設計の段階から利用者の意見を反映するためにどのような方策がとられているのか、お伺いいたします。

○前川福祉局長 都における福祉のまちづくり事業、これを実施するに当たりましては、必要に応じて、先ほど申し上げました福祉のまちづくり推進協議会に諮るほか、設計の段階から事業関係局と福祉局が連携協力して、地域の高齢者や障害者などのご意見を聞いております。
 また、区市町村が行う福祉のまちづくり地域支援事業におきましても、同様の協議会を設置していただくなどの対応によりまして、関係者の意見が施策に反映される仕組みをとっております。
 こうした方策によりまして、具体的な整備を行うに当たっては、利用者の意見が計画段階から反映されるよう取り組んでいる次第でございます。

○山口委員 今の答弁により、計画段階での利用者意見の反映はなされているようですが、整備後も本当に使いやすいものになっているかどうか、実際に障害者の方などが利用して不自由な点も出てきているかと思います。そういった点検が必要かと思いますが、福祉のまちづくりの事業実施後も都民の社会参加が進み、生き生きと暮らせるよう、都民の視点に立った事業評価を行う必要があると考えますが、見解を伺います。

○前川福祉局長 利用者本位のバリアフリー化の推進を目指しまして、私ども先ほどお答えしましたとおり、地域の高齢者や障害者などの意見を事前に反映するよう取り組んでいる次第でありますが、今お話しありましたように、福祉のまちづくり事業を実際に実施して、その結果として、高齢者や障害者などにとって現実に利用しやすいまちとなる、これは当然ながら極めて重要でございます。
 したがって、事業の実施後もこうした利用者の評価が反映されて、必要な取り組みが進められますように、実際に事業に当たる区市町村であるとか、事業者と協力をしながら今後とも対応していきたい、こう考えております。

○山口委員 ぜひ、この評価の仕組みを実現させ、特定の障害のある人を対象にしてきたバリアフリーから、だれもが本当に暮らしやすいことを視点にしたユニバーサルデザインのまちづくりへと転換していただくことを強く要望いたします。
 次に、防災のまちづくりについてですが、ビルの安全を考えるとき、都市計画法や建築法、消防法等とともに、その後の安全管理や査察のあり方が問われてきます。
 そこで、まず平成十二年度の査察業務の内容、実績を教えてください。

○杉村消防総監 東京消防庁の査察業務は、不特定多数の人が出入りする百貨店、劇場、雑居ビルあるいはガソリンスタンド等の危険物施設及び工場、事務所など、事業所に立ち入り、消防法令の違反是正を図るとともに、火災予防の啓発を行っております。平成十二年度に実施した査察実施件数は、八万五千七百七十二件です。

○山口委員 雑居ビルの消防査察を実施する際に、階段に荷物を置いたりして避難路をふさいだりする等、指導が必要なケースも多いようですが、現状について伺います。

○杉村消防総監 九月三日から行いました緊急特別査察では、四千百六十九棟について査察を実施いたしましたところ、階段等において避難障害となる物が置かれていたものは千六十三件でございます。
 あの悲惨な火災の後にもかかわらず、これだけ多くの違反があったことを踏まえまして、対象を一万棟に拡大し、現在、階段、廊下などの日常における管理状況の確認に重点を置いた事前連絡なしの査察を実施し、違反是正の徹底に努めております。

○山口委員 雑居ビルの消防査察を進める中で、ビルの所有者やテナントが頻繁にかわるなどの問題が生じていると思いますが、具体的にはどのような問題があるのでしょうか、見解を伺います。

○杉村消防総監 建物の所有者やテナントが頻繁にかわったり、昼夜でテナントの経営者がかわるなど賃貸の形態が複雑で、管理権原者の実態把握が困難となっております。
 また、頻繁に内装工事が行われ、自動火災報知設備の感知障害や誘導灯の一部未設置など、消防法令違反の問題が生ずる場合があります。
 さらに、建築基準法で定められた開口部や消防隊進入口が安易にふさがれるなどの問題もあります。

○山口委員 お答えいただきましたような問題に向けては、先日の分科会でも、検討委員会において条例や規定の見直し、さらに法令の改正等を国へ要望するとの答弁がありましたが、関係行政機関と連携し、実効性のある取り組みが求められます。
 今回、火災の発生した雑居ビルは、いずれも建築基準法に基づく定期調査報告書が提出されていなかったとのことですが、その定期調査報告制度の内容と、今回の雑居ビルと同種の建築物の報告状況について伺います。

○木内都市計画局長 定期調査報告とは、不特定多数の人々が利用する、例えばデパート、飲食店など、特殊建築物を対象といたしまして、建築物の所有者などが防火区画、避難階段や出入り口などの維持管理状況を定期的に調査し、特定行政庁へ報告するものでございます。
 今回火災を起こしました遊技場などと類似用途の建築物については、三年ごとにこれを実施することになっており、直近の平成十一年度の実績によりますれば、報告すべき棟数は二千九百二十七棟に対しまして、一千五十一棟、三五・九%の報告率でございました。この報告率は、他の用途のものと比べますと低いものでございまして、問題があるものというふうに認識しているところでございます。

○山口委員 建築物の維持管理状況を定期的に調査し、事故を未然に防ぐことが定期調査報告制度の目的とのことですが、実際の報告率はわずか三五・九%と、大変低い状態にとどまっているのが現状のようです。
 これに対して東京都はどのような対応をしているのか、伺います。

○木内都市計画局長 定期報告が提出されてない建築物につきましては、その所有者や管理者に対して、再三にわたって提出方を督促いたしております。また、今回の緊急安全点検に加えまして、未報告の建築物の所有者に対しても、改めて提出を要請いたしたところでございます。
 しかしながら、雑居ビルにつきましては、所有者の変更が頻繁に行われること、あるいは所有者の安全意識が低いことなどによりまして、報告率は先ほど申したような低い状況にとどまっております。
 そこで、今回の惨事を受けまして、所有者などを把握する仕組みづくり、あるいは利用者にとって建築物の安全性がわかるような報告済みマークの普及など、定期報告制度の実効性を確保する方策について、現在検討を進めているところでございます。

○山口委員 新宿を初め渋谷や池袋など、大規模な繁華街がある地域では、安全安心条例ともいうべき新たな条例を制定し、定期報告の義務を徹底、強化する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

○木内都市計画局長 報告率が低いのは、法の規定は現にあるが、残念ながらそれが実行されていないからでございまして、大規模な繁華街などにおきましては、既存建築物の適正な維持管理を図る上で、まず、現の所有者あるいは管理者を把握することが重要でございます。
 今後、特定の地域におきましては、区や市及び消防署など関係機関が地域ごとに協議、連携する仕組みづくりなど、制度の運用面での強化が必要であるというふうに考えております。

○山口委員 このような、特に人が集まる地域での建築物の安全を確保し、安全で安心な市街地を形成していくためには、まちづくりに関係する部局の垣根を越えた取り組みが必要と考えますが、見解を伺います。

○木内都市計画局長 今回の雑居ビルの火災に際しましては、都のみならず、区市と消防機関が既に連携して緊急点検を行ったところでございます。
 また、現在、雑居ビル内の飲食店営業許可と建築事務との連携などについて、関係部局及び区市などが検討を行っているところでございます。さらには、国等の関係機関とも建築基準の見直しについて検討を始めているところでございます。
 今後とも、建築物の安全性確保を図るため、垣根を設けることなく、関係機関との緊密な連携をとってまいりたいというふうに思っております。

○山口委員 東京は、先進国で例を見ないほど巨大圏域を形成しています。一般に、消防力や防災力は都市に対応していかなければなりません。しかし、現状では、再開発などで高層ビルの新築が進む地区もある一方、依然として狭隘な道路での新築など、消防力にとって脅威となる開発も行われています。こうした都市の状況について、都市づくりを進める都市計画局の見解を伺います。

○木内都市計画局長 東京都は、これまでも、都市計画道路の整備や市街地再開発事業などによりまして、防災性能を備えた建築物と市街地の整備に努めてまいりました。
 しかし、都心部にありましては、幹線道路に囲まれた街区にあっても、その内側においては細街路が残り、耐火性能が十分でないというような建物も見られるところでございます。
 今後は、こうした防災面でも課題を抱える市街地におきまして、市街地再開発事業などを促進するとともに、さきに公表しました都市づくりビジョンで提案している街区再編プログラムを新たに制度化し、民間主導で街区単位、地区単位での建てかえと道路等の整備の促進を図ってまいりたいというふうに思っております。

○山口委員 最後に、都市の規模や姿、形に適した安全安心という視点からの都市計画が短期的にも長期的にも必要とされていますし、常に変化する都市に対応できる手法が求められています。特に、繁華街では、ビルの所有者、借り手、実際に営業をやっている事業者が目まぐるしくかわったり、また一つのビルに複数の事業者が入居していたりと特有の問題があります。建築確認時竣工調査、定期検査等で、安全の重層的取り組みを強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○小山委員長 山口文江委員の発言は終わりました。
 以上で、本日予定いたしました質疑はすべて終了いたしました。
 お諮りいたします。
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてに対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○小山委員長 異議なしと認めます。よって、本件に対する質疑は終了いたしました。
 なお、十一月十六日、午後零時四十五分から理事会を、また午後一時から委員会を本委員会室で開会いたしますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時一分散会

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