各会計決算特別委員会第一分科会速記録第六号

平成十三年十月三十一日(水曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 九名
委員長宮崎  章君
副委員長高島なおき君
副委員長大塚 隆朗君
大西由紀子君
小磯 善彦君
萩生田光一君
古館 和憲君
前島信次郎君
桜井  武君

欠席委員 一名

 出席説明員
議会局局長細渕  清君
管理部長志村 啓文君
議事部長川島 英男君
参事徳毛  宰君
知事本部本部長田原 和道君
外務長田邊 隆一君
次長三宅 広人君
企画調整部長渡辺日佐夫君
秘書部長橋本 康男君
政策部長山口 一久君
外務担当部長浅野 秀治君
特命担当部長南雲 栄一君
企画調整担当部長荒川  満君
参事熊野 順祥君
首都調査担当部長野村  寛君
自治制度改革担当部長幡本  裕君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  議会局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  知事本部関係
  ・一般会計決算(質疑)

○宮崎委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、議会局及び知事本部関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いをいたします。
 これより議会局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、議会局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、調整の結果なくなりましたので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で議会局関係を終わります。

○宮崎委員長 これより知事本部関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、知事本部所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布いたしてあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○渡辺企画調整部長 去る十月十五日の当分科会において要求がございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
   〔委員長退席、大塚副委員長着席〕
 お手元に配布しております平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 一ページをごらんください。要求のございました資料は、米軍横田飛行場及び厚木飛行場の航空機騒音等に係る要請等の実績でございます。このページには、東京都として要請したものについて、平成九年度から今年度の直近までの要請等の内容及び要請先について掲載してございます。
 二ページをお開き願います。このページと次の三ページには、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会として要請したものについて、同様に掲載してございます。
 四ページをお開き願います。このページには、渉外関係主要都道県知事連絡協議会として要請したものについて、同様に掲載してございます。
 以上、簡単でございますが、要求がございました資料の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○大塚副委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○桜井委員 首都機能の移転反対に関しまして質問させていただきます。
 衆議院の国会等の移転に関する特別委員会は、昨年の五月に、平成十四年をめどに三候補地を一カ所に絞り込む、こういうふうに決議をしているわけでありますが、その二年目に当たる来年の五月に向けて、現在、準備を進めていると聞いております。状況は、時間的にはかなり切迫してきているということであります。そこで、首都移転問題について、もう既にあらゆる場所で大勢の方々が議論をしていることでございますが、改めて何点か伺います。
 まず、一点でありますけれども、平成十二年度に、首都移転反対活動として、首都機能移転に関する調査を実施したということになっておりますけれども、調査の内容はどのようなものであったのか、まず、これをお聞かせください。

○野村首都調査担当部長 平成十二年度には、首都移転の費用対効果の検証についてを公表いたしました。これは、国が公共事業を実施する場合に用いております費用便益分析という手法によりまして、首都移転の費用と効果を移転候補地別に検証したものでございまして、効果から費用を引きますと、いずれの移転先候補地におきましてもマイナスとなりまして、首都移転により、日本全体で四兆五千億円から六兆三千三百億円のむだが生じることが明らかになったところでございます。

○桜井委員 移転先では、候補地域の中に分散して都市づくりを進めるとしているようでありますけれども、中には山間部が多く平野部が少ないというところもあり、インフラなど都市基盤整備が全くなくて、これから多額の費用が必要である、あるいはまた、利便性に疑問がある、このような点がありますけれども、この点についてはいかがでございますか。

○野村首都調査担当部長 国会等移転審議会の試算によりますと、基盤整備費として二兆五千億円が必要であるとしております。今回、都で再検証いたしまして、先日、十月二十六日に発表した調査によりますと、倍以上の約五兆五千億円が必要となるとの結果となっております。
 また、移転先候補地では、立法、行政、司法の各機能を小都市--これはクラスターといいますけれども、小都市に広く分散配置するため、その小都市間の移動にかなりの時間と費用がかかる、それで極めて非効率な都市となるということを、我々は予測しております。

○桜井委員 三番目ですけれども、国は、首都移転を進めようとしておりますけれども、反面において、全く相矛盾すると思うのでありますが、霞が関の庁舎の建てかえをするなど、非常に矛盾したことを行っていると思われます。建てかえ計画などが進んでいるものがありますけれども、どのようなものがありますか、この点について伺います。

○野村首都調査担当部長 現在進んでおりますのは、首相官邸の新築工事、国土交通省庁舎と外務省庁舎の耐震補強工事、それと文部科学省庁舎と会計検査院庁舎の建てかえ計画が進められているところでございます。
 また、本年一月には、総務省、警察庁などが入る合同庁舎二号館の建てかえ工事が既に竣工しております。

○桜井委員 非常におかしなことをやっているわけであります。
 四番目に行きますが、国際間の競争は、これからいよいよ激化する方向でありますが、世界における日本の地位を守るためには、行政と経済との有機的な機能連携が、ますます重要性を深められると思います。国側の方は、首都移転により行政と経済を分離するとしていますけれども、そうすると、日本の国際競争力の低下が非常に危惧されると思うのでございますが、いかがでございますか。

○野村首都調査担当部長 これまで日本が国際競争力を保ってきたのは、政治と経済が密接に連携しまして、国全体として効率的な運営がなされてきたことも、大きな要因であると考えております。
 今先生がお話しのとおり、現在、我が国の国際競争力は低下傾向にありまして、首都移転によって行政と経済との有機的な連携が失われることになるとすれば、さらにその低下傾向に拍車がかかる可能性が十分にあるというふうに考えております。

○桜井委員 五番目に行きますけれども、平成九年度における、この場合は県内総生産という言葉を使いますけれども、県内総生産の全国に占める一都三県の割合は三一%と、日本全体の三分の一を占めているわけでありますが、首都移転は、東京圏の経済のみならず日本経済全体に大きな影響を与えると考えられるわけでありますけれども、この点について予測しているかどうか、伺います。

○野村首都調査担当部長 首都移転のために各地域の公共事業費を削減しまして、新都市建設に集中投資した場合、移転先の実質国内総生産、いわゆる実質GDPでございますけれども、それは当然のことながら増加しますけれども、他の地域の実質GDPは当然のことながら減少することになりまして、日本経済全体の実質GDPは、二〇二三年までの二十年間の累計で申し上げますと、最大十三兆七千億円も減少する、こういうふうに試算しております。

○桜井委員 次は、六番目ですけれども、今答弁がありましたように、首都移転は、日本全体に非常に好ましくない影響を与えるということが明白であると思います。一部には、首都機能移転反対というのは東京のエゴだというような、非常にレベルの低い批判がありますけれども、東京都としては、首都移転が日本全体に大きな不利益を与えるということを広く国民に伝えて、全日本のために断固として首都移転に反対すべきであると考えておりますけれども、これは知事本部長に伺います。

○田原知事本部長 首都移転につきましては、平成二年の国会決議がありまして、それからさまざまな議論がされております。その移転の理由が、最初は東京の一極集中の是正、それから、災害対応力の強化ということもございました。さらには、行革に絡みましてでありますけれども、国政全般の改革ということがありまして、その時々の状況に応じて非常に変化をしております。こういうことを見ますと、そもそも首都移転というのは、もう意義は既にないというふうに考えております。
 また、現在の日本の経済状況につきましてはご承知のとおりでございまして、首都移転のためのむだな投資をできる状況には全くないと思っております。
 ご指摘をいただきましたとおり、首都移転は日本に大きな弊害をもたらすということは明らかでありますので、都議会の各党の皆様方、それから、首都をともに支えております七都県市とも連携をいたしまして、あらゆる機会をとらえて、白紙撤回に向けた活動をしてまいりたいと思っております。どうぞご支援のほどよろしくお願いいたします。

○桜井委員 最後ですけれども、首都移転に賛成して積極的にそれを推進しているのは、移転先候補地を抱える八つの府県にすぎないわけであります。反対している、現在のところの一都三県を差し引くと、残りの三十五の道府県は、賛成でもなければ反対でもない、いわゆる高みの見物をしているわけでありますが、平成二年の国会決議から十一年もたち、この問題はもう忘れられ、風化しつつあると思われます。わずか八府県、それも、今後絞り込みの過程で脱落した県は、間違いなく、急速にその翌日から風化していくのではないか、このように思われます。最終的に残った候補地のわずか二県から、首都移転に踏ん張っていけるかどうか、非常に疑問だと思われます。
 この問題につきましては、風化することが一番いい解決方法だと思うのでございますが、この点について、見解を聞いて悪いんだけれども、本部長の見解を一応聞いて、質問を終わります。

○田原知事本部長 ただいま風化というお話がございましたけれども、それと同時に、国会の決議というのもなかなか重いわけでありまして、今後どういうふうに展開をしていくか、予測をすることは大変難しいと思っております。
 先ほど申し上げましたとおり、首都移転というのは日本の将来に大きな不利益をもたらすというふうに考えておりますので、今後も反対運動に全力を挙げてまいります。重ねてご支援のほどをよろしくお願いいたします。
   〔大塚副委員長退席、高島副委員長着席〕

○大塚委員 今、桜井委員から首都移転の話がありましたけれども、大変大事な問題だと思いますので、私からも、それを中心に質問をしたいと思います。
 バブル経済を背景として、平成二年に決議をされてから、十一年を迎えようとしているわけでございますけれども、その後、社会情勢や経済情勢も変わり、一極集中というところからも、大分東京を取り巻く環境も変わったというふうに思っておるわけでございます。
 また、国の方では、六百六十兆を超える大きな長期債務を抱えて、いわゆる行政改革や構造改革といったものが課題になっておるわけでございます。今、首相官邸とか、省庁再編によりまして霞が関の施設が更新されて、大変大きな投資がされておるわけでございますけれども、その方向性からいっても、大変矛盾がある首都機能移転だというふうに私は思っておりますので、白紙に戻すことが最良の方法だというふうに思っております。
 今さら反対の理由をお聞きするわけでもございませんけれども、東京都は、これまでにどのような取り組みをされてきたのか、まず、お聞きしたいと思います。

○野村首都調査担当部長 都の方は、平成二年の国会決議に対しまして、慎重に対処すべきであるとする知事のコメントを発表して以来、一貫して首都移転に反対する態度をとってきております。このため、首都移転についての調査研究、都民に対する情報の提供、広報、これを大きな二つの中心といたしまして、これまでも首都移転問題に積極的に取り組んでまいりました。
 なお、平成十一年十月には、行政と民間が一体となって、広く国民に首都移転反対を訴える、首都移転に断固反対する会を立ち上げまして、同年の十二月には、東京大会において一万人という多人数が参加する、首都移転に断固反対する国民大集会を開催をいたしました。このほか、七都県市との連携、衆参国会議員の先生方への働きかけなど、首都移転の白紙撤回へ向けて、現在も積極的に取り組んでいるところでございます。

○大塚委員 そういった平成二年の決議からの東京都の意思表明というのが、かなりいろいろな形で行われてきたというふうに私は思っておりますし、それが白紙撤回に向かって実を結ぶようにしなければなりませんけれども、平成十二年の決算ということで、平成十二年は、特に反対に向けての調査研究やいろいろな活動があったと思いますけれども、それについて伺いたいと思います。

○野村首都調査担当部長 十二年度における状況でございますけれども、まず、第一点の調査研究といたしましては、首都移転が有効かどうかを検証するために、国が現在、公共事業を実施する際に通常行っております費用便益分析の手法を用いまして、移転先候補地ごとに費用と効果を算定した、首都移転の費用対効果の検証についてを昨年の十二年十一月に公表いたしまして、首都移転は莫大な税金のむだ遣いであることを明らかにしたところでございます。
 また、広報活動といたしましては、前年に国会等移転審議会から答申が出された十二月を、首都移転反対運動の一周年ということもございますので、広報強調月間と位置づけまして、「広報東京都」を初め、さまざまな広報媒体を使いまして、集中的に広報活動を実施したところでございます。

○大塚委員 費用便益法というもので都が先駆けて検証して、国に提言をしたということですけれども、先ほど、事業実施に当たりまして、必要な数字が結論的に二と、経済的妥当性がある一をも下回るというような結果、先ほどお話しのように、四兆から六兆数千億にわたる量的なむだが出るというような検証もされたわけですけれども、それに対しまして、国や委員会あるいは候補地などからどのような意見や反論があったのか、お聞かせいただきたいと思います。

○野村首都調査担当部長 どのような反応があったかというお尋ねでございますけれども、まず、国の方ですけれども、首都移転の費用対効果の検証という、本来であれば国が行わなければならない内容を都で先行して実施したものであったということで、新聞各紙でも大きく取り扱われました。この公表に対しまして、国土庁は、東京都の試算は経済波及効果を算入していないように思うとのコメントを公表いたしました。
 しかしながら、我々の立場からいたしますと、この批判は、生産波及効果分析と我々の用いました費用便益分析とを混同したものであって、その批判は妥当性を欠いているというふうに考えております。
 また一方、候補地県におきましては、平成十三年の三月に、岐阜県、愛知県などを構成メンバーとする岐阜・愛知新首都推進協議会が、首都機能移転効果と費用に関する調査報告書を取りまとめ、公表しております。この報告書は、我々の手法をそのまま取り入れまして、条件の設定を変えております。この協議会の試算は、独自の条件設定をして、国とも大きく異なる前提に立っているという点がございまして、信憑性に欠けるのではないかというふうに考えております。

○大塚委員 昨年、十二年の五月に、衆議院の国会等移転に関する特別委員会が、今後二年間、すなわち来年の五月に、三カ所の候補地を一カ所に絞るというようなことが決まりましたけれども、その後の動きにつきましてお伺いしたいと思います。

○野村首都調査担当部長 その後の動きでございますけれども、本年六月に入りましてからにわかに動きが活発になりまして、衆議院の特別委員会は初めて東京都を視察いたしまして、意見交換を行いました。その後、七月には、三移転候補地のすべての視察と地元関係者との意見交換会を行っております。
 さらに、今月の二十五日には、本年四月から同委員会が開設しておりますホームページに意見を寄せた中から人選した八人の参考人を招致いたしまして、移転に関する意見を聴取いたしております。
 なお、同委員会からは、東京都と移転先候補地との比較考量の参考とするため、十一月二十一日に、来月ですけれども、知事に参考人出席を求めてきているところでございます。

○大塚委員 新たな動きとして、特別委員会で八人の参考人が、ホームページというツールを使って選任されたということなんですけれども、既に比較考量作業が始まっているという形の中で、わずか八人の、しかも非常に限定された八人の参考人によって、国家を左右するような首都移転という問題を決めるということに、大変私は疑問を抱くわけですけれども、ちなみに、八人の首都機能移転に対する賛否の状況がわかりましたら、教えていただきたいと思います。

○野村首都調査担当部長 私どもも、特別委員会を傍聴いたしまして、その特別委員会での発言内容から判断いたしますと、八人のうち、六名が移転推進派、一名が反対、残る一名が中立というふうに考えております。

○大塚委員 すべての人が使えるとは限らないホームページという形での、一応国としては、公に出しているというふうな形なんだと思うんですけれども、まず、それ自体も疑問に私は思うわけでございますし、今ご答弁のように、六人が推進派ということで、その母数や人選の経過もはっきりわからないというような状況でこのことが進むこと自体、私は大変遺憾に思うわけでございます。
 大変横暴という形でのそういった作業が進んでおるわけですけれども、二十六日に知事本部の方で、首都移転の再検証というものを作成して発表されたと思うんですが、まさにこの作業が進んでいく中でタイムリーな作業だったと思いますし、それが反対への一つの大きなものになればいいなというふうに思っております。
 また、知事がその内容を多分踏まえて、十一月二十一日に参考人となって意見を述べると思いますが、今回、その結果を広く都民に周知徹底して、反対の声を伝えることが大事だと思いますし、また、私は、個人的には、知事のリーダーシップやキャラクターでマスコミ等に出て、大きくそういった反対の声を上げていくことがぜひ必要だと思っておるわけでございます。
 最後に、そういったことを踏まえて、私からも本部長に、今までの経緯と今後の対応についてお考えをお伺いして、質問を終わりたいと思います。

○田原知事本部長 今お話をいただきました今回の調査の中でありますけれども、一つは、東京一極集中の是正、災害対応力の強化、これは国がずっと主張してきたものでございますけれども、これについては、首都移転の効果、意義は全くないというふうに、我々は調査の中で判断をしております。
 さらには、国政の運営、外交の問題にも触れておりますけれども、これらにつきましても、さらには、日本経済全体に多大な弊害を与える、こういうことにつきましても、改めて明らかにしたと考えております。このように、国民生活、国政に重大な影響をもたらす数多くの問題を抱えた首都移転ということで、その議論にはぜひ終止符を打つべきであろうと考えております。
 そのためには、先ほども申し上げましたけれども、都議会のご協力をいただきながら、さらには、首都移転反対運動の中心になっていただいております首都移転に断固反対する会との連携もさらに強めながら、あらゆる機会をとらえて、白紙撤回に向けた活動を展開をしてまいる決意でございます。

○小磯委員 私は、厚木基地の米軍機の騒音について質問をさせていただきます。
 きょうの要求資料、出てきた資料は、国に対して、また米軍に対しての横田並びに厚木の航空機騒音の要請の実績の資料でございますが、日米合同委員会に基づく環境分科会、そしてまた航空機騒音分科会、こうした中身が、本来なら東京都にもわかっていなければならないのではないかなと私は思っております。せめて、いつ、どういうテーマの分科会が行われたのか、そういったことも本当は開示しなければならない資料ではないかと思うわけですが、国は、こういったことについて、不開示情報だということで、ないわけでございますけれども、今後とも、こういった米軍との日米分科会、環境分科会、また航空機騒音分科会等の情報開示を求めていただければと思っておる次第でございます。
   〔高島副委員長退席、大塚副委員長着席〕
 町田市は東京都なんですけれども、その航空機騒音というのは厚木でございます。神奈川県にある厚木基地、ここの米軍機の騒音が大変うるさいわけでございます。昨年、町田市民にアンケートをとりますと、一番の悩みは、実はこの米軍機の航空機騒音である、こういう結果が出ているわけでございます。そういった意味で、私も、何とかこの厚木基地の米軍機の航空機騒音の解消に努めてまいりたいと思っているわけでございますが、横田の方が町田市に来られて、米軍の騒音を聞いて、町田の米軍機の騒音はすごいと、こういうふうに驚いておられました。それぐらい、町田における米軍機の騒音問題というのは、大きい問題であると思っております。
 今回、特に九月十一日にテロがございまして、それに伴う米軍機の訓練、それの影響も相当あったわけでございますが、これはしようがない面もあるわけですけれども、実際、地元の方、住民としては、なかなか航空機騒音は耐えられないものがあるということだと思っております。
 まず、厚木基地周辺と横田基地周辺における航空機騒音の違いについて、どのように都として認識をされているか、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 両基地の騒音の違いは、一概にはいえないわけですが、一般的な飛行方法として、輸送機が主体の横田飛行場におきましては、騒音の影響範囲は滑走路の延長方向に細長く延びるのに対しまして、戦闘機や攻撃機が離着陸する厚木飛行場では、旋回のため、滑走路の両脇にも大きく膨らむ傾向にございます。

○小磯委員 滑走路の両脇にも大きく膨らむということで、やはり範囲が広いんだと思うんですけれども、厚木基地周辺の住宅防音工事助成対象区域設定の経過及びその助成の内容について、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 厚木基地周辺の住宅防音工事制度は、昭和四十九年に施行されました防衛施設周辺の生活環境の整備に関する法律に基づきまして、国が行う助成制度でございます。
 区域指定に際しましては、防衛施設庁が厚木飛行場周辺地域の、いわゆるうるささ指数、W値と申しますが、それを測定しまして、その結果をもとに告示を行っているところでございます。区域の指定は、昭和五十四年以来、計四回行われまして、対象区域が段階的に拡大されてまいりました。
 助成の内容は、告示の際に指定区域内に所在する住宅で、所有者が防音工事を行う場合に、部屋の壁や天井の遮音工事、防音建具や空調機器の取りつけなどの費用につきまして、国の基準により助成を行うものでございます。

○小磯委員 東京都が毎年実施しております航空機の騒音調査ですけれども、町田市内の幾つかの測定地点におきましては、今いったうるささ指数ですね、これは七五Wを超えているわけでございますが、なぜ住宅防音工事助成が行われていないのか、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 現在の工事助成対象区域は、昭和六十一年に告示されたものでございまして、その時点以降に、うるささ指数が七五Wを超えた地域は、現在の助成対象区域には含まれないためでございます。

○小磯委員 町田市には、ここ数年間の騒音レベルからいえば、本来、住宅防音工事助成が受けられる地域があるのに、区域指定が十五年にわたって変更されていないために助成が受けられていないと、こういうふうに理解できるわけでございます。
 住宅地域における航空機騒音にかかわる環境基準どおり七〇W、これで実施すべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 都は、従来から、国に対しまして、基地周辺の騒音被害の軽減を図るために、住宅防音工事の対象区域の拡大や補助対象施設の拡大を要請してまいりました。
 また、米軍基地が所在する自治体で構成する渉外関係主要都道県知事連絡協議会、いわゆる渉外知事会におきまして、それを通じまして国に対し同様の要請を行っているものでございます。

○小磯委員 「東京の基地二〇〇〇」というのがあるわけですが、これを見ますと、横田基地周辺では、法に基づいてさまざまな施策がされておりますけれども、厚木基地の騒音影響を受けている町田市においてはどのような措置がなされているのか、また、その内容と金額についてお伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 町田市における住宅防音工事の実績は、延べ九十七件、補助額は約二億円でございます。
 また、教育施設騒音防止工事の実績は、町田第二中学校の壁面工事、冷暖房工事等で、補助額は約二億四千万円でございます。

○小磯委員 いわゆるこの基地の、「東京の基地二〇〇〇」というのは、二年ごとに発行されているということでございますけれども、やはり厚木基地の実態とかその周辺の状況については、横田基地から比べると相当分量が少ないわけでございますけれども、もっとそのデータを載せるべきではないかと、こう思うわけでございますが、いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 今後、都の調査データだけではなくて、国等から情報提供を受けるなどしまして、町田市に関しましても、できる限りのデータを掲載していきたいと考えているところでございます。

○小磯委員 東京の基地の場合は東京防衛施設局、そして厚木基地の場合は横浜防衛施設局という、防衛庁のそういう縦割りになっているわけでございます。そういった意味で、横浜防衛施設局が実施した、いわゆる厚木基地の騒音のアンケート、これが実施されたわけですが、町田市は入っていないと。しかも、そのデータについては、神奈川県には多分行ったんでしょう。しかし東京都には、そのデータの資料が来てなかったと。そんなことで、本当に、ついそこにある厚木基地のことが、防衛庁の縦割りによって、東京都にしっかりした情報が入ってこないということも、私はおかしいと思っております。
 町田市は、東京防衛施設局管内にありながら、騒音の発生源である厚木基地が横浜防衛施設局管内にあるという、ある種、はざまのようなそういう状況であると、こう思っております。一連の国の施策の事務とか、また日常的な情報提供の流れがどのようになっているのか、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 国の施策等に関する申請等の手続やその他の情報提供につきましては、町田市と東京防衛施設局との間で行われております。都といたしましても、今後とも関係機関の連携を密にしていきたいと考えております。

○小磯委員 ぜひ、その点よろしくお願いしたいと思います。
 それから、厚木基地周辺の航空機騒音に関する軽減措置、これは昭和三十八年及び昭和四十四年の日米合同委員会の合意があって、その中に人口周密地域の上空を低空で飛行しないと、こう書かれているわけでございますが、実際、その低空飛行が、私なんかは見ていて、町田市の上空を低空で飛行している米軍ジェット機が本当にあるわけですね。市民の方々からもそういった声が多いわけでございますが、実際にそういう合意が守られているのかどうか。また、その守られているかどうかの確認というのはできているのかどうか、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 米軍機の低空飛行につきましては、ご指摘の昭和三十八年の合同委員会の合意のほか、平成十一年の在日米軍の低空飛行訓練に関する日米合同委員会合意というものがございます。
 これによりますと、在日米軍は低空飛行訓練を実施する際、国際民間基準や日本の航空法に定められた高度規制によって運用しているとされております。個々の米軍機の運用に関しましては、確認できてございません。

○小磯委員 やはり合意はあっても、その確認はできていないということで、本当に守られているかどうかというのは、実際問題、確認できていないし、守られていないんじゃないかなと私はそう思っているわけでございますが、やはり、提案でございますけれども、例えば日本と米国と合同の、そうした航空機の監視委員会のようなものをつくって、定期的に確認を行うべきではないかなと、こういうふうに思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 また、先ほどの日米合同委員会合意の中で、騒音対策委員会を設置するとうたわれているわけでございますが、その実態がどうなっているか伺います。

○南雲特命担当部長 騒音対策委員会は、昭和三十八年当時、厚木飛行場の騒音に係る対策を検討するために設置する予定でございましたけれども、その後、他の飛行場に係る騒音対策も含めた日米間の協議の場として、日米合同委員会の下に航空機騒音対策分科委員会が設置されたと伺っております。

○小磯委員 やはり、その分科委員会が設置されたんでしょうけれども、しかしその分科委員会で、どういったことが協議をされて、どういう方向に向かってやっているのか、そういったところが情報が開示されないというのは、まことに残念だなという思いがいたします。
 私、これ、提案でございますけれども、現在は米軍機の騒音とか、また飛行高度を規制する法律がないと。そんなことで、東京都で条例を設けて、そういった制限をすべきじゃないかなと、私はこう思っているわけでございます。その条例というのは、本当に簡単な条例でいいんじゃないかなと。例えば、東京都の上空を飛行する航空機は、都民の生命、身体及び財産に危害を及ぼさないように飛行すると。そして航空機による騒音は地上において七〇ホンを超えないようにしなければならない、これが一つです。
 また一つは、東京都の上空を飛行しようとする航空機は、飛行予定日、また飛行予定経路、そういったことを東京都に通報しなければならないと。また東京都は、その航空機による騒音の大きさを測定すると。こんな簡単な条例を制定することによって、しっかりと東京都自体がそういった航空機騒音に対して一定の歯どめをかけられる、そういったことを考えていいんじゃないかなと思うわけでございますが、いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 条例化に関します貴重なご提言でございますが、米軍機の飛行に伴う騒音や安全上の法的な問題につきましては、日米安全保障条約に基づく米軍への施設、区域の提供者でございます国が、日米地位協定等に基づいて適切に処理すべきものと考えております。
 都といたしましては、都民の安全を守る立場から、米空母艦載機着陸訓練の中止や低空飛行の禁止等を、毎年国及び米軍に対しまして要請しておりまして、今後も引き続き要請をしてまいりたいと考えております。

○小磯委員 現在、航空機に対する規制としては、国内法としては航空法、また航空の安全、障害の防止等について、その航空法で規定されております。また、自衛隊機については自衛隊法、米軍機については日米安保条約及び地位協定があるわけでございます。
 しかし、都民が航空機の障害による不安と生活妨害を受けている現状に対して、その責任と施策を、やはり国にのみ依存しているわけには私はいかないと思っております。住民の安全の保持と環境の保全という本来的な自治体の業務に努めなければならないと、私はそう思っているわけでございます。そうした法令とか条約とか、こういったものに抵触しない範囲において、いわゆるさっきいったような形で、東京の上空を飛行する航空機に対して、自治体として何らかの手段を講じていかなければならないんじゃないかなと、こういうふうに思っている次第でございます。何とぞ知事本部でも、このことについて研究をしていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、米軍は、厚木基地上空を含めて伊豆半島から新潟に及ぶ広大な、いわゆる横田空域を持っております。この空域の存在のために、我が国の民間航空機が不便を強いられているということでは困ると、こう思っております。ぜひ横田空域の返還への取り組みについても、しっかりとやっていってほしいと思うわけでございますが、このことについて「東京の基地二〇〇〇」では触れられておりません。今後こういった内容についても載せていくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 いわゆる横田空域につきましては、昨年十二月に都が発表いたしました航空政策基本方針の中で、初めて取り組み方針を示したものでございます。本年六月及び十月の、都の国に対する提案要求におきまして、横田空域及び管制業務の返還につきまして、最重点事項として要望を行ったところでございます。
 現在、改定作業中の「東京の基地二〇〇二」には、これらの経過を踏まえまして、横田空域の現状や都の取り組みについて掲載していく予定でございます。

○小磯委員 今回、国会ではテロ対策特別措置法、それから自衛隊の一部改正法、これが昨日ですかね、制定がされました。今回の自衛隊法の一部改正に伴って、米軍施設への自衛隊による警護出動ができることになっておりますが、自治体との何らかのかかわりが出てくるのかどうか、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 自治体とのかかわりといたしましては、自衛隊法第八十一条の二第二項におきまして、内閣総理大臣は自衛隊の部隊等の警護出動を命ずる場合には、あらかじめ関係都道府県知事の意見を聞くこと、と規定されております。

○小磯委員 都道府県知事の意見を聞くということですが、どういった意見を聞くのかとか、そういったことについて国からの説明といいますか、ございますでしょうか。

○南雲特命担当部長 事前の説明はございませんでしたが、本日、たまたまでございますが、十月三十一日の渉外知事会の場で、防衛庁から自衛隊法の改正につきまして説明が行われているところでございます。

○小磯委員 東京都内には、現在、米軍基地がいわゆる八カ所あるわけでございますが、この八カ所の米軍基地について今後どう対応されていくのか、お伺いしたいと思います。

○南雲特命担当部長 自衛隊の都内米軍施設への警護出動につきましては、どのような部隊が、どのような形で警護を行うのか、また、関係都道府県知事の意見を聞く趣旨や内容につきましても、明らかではございません。昨日、十月三十日に、これらを早急に明らかにすることや、十分な情報提供を求める緊急要望を渉外知事会として国の関係機関に提出したところでございます。今後、国の意向を十分確認しながら適切に対処してまいりたいと思います。

○古館委員 それでは、横田基地の返還について質問いたします。
 ご承知のように、横田基地というのはさまざまな特徴がありまして、一つは、首都に、世界でも全く希有な外国の基地があるということですよね。二つ目に、横田基地の滑走路の東に弾薬庫があるんですが、土手の二十九室ある、そのうちの十七室が、核兵器を含む爆発力の大きな兵器を危険度一というマークをつけることになっているんですが、そのマークが、二十九のうち十七室つけられているとか、それから三つ目に、横田基地は米軍の司令機能を持った、首都のそばにあってそういう米軍の司令機能を持っている基地だということと、それから最大のあれは、もう一つは、輸送機の基地ということでも、大量輸送ができる基地という、そういう特徴を持っているわけです。
 きょうも資料がございましたけれども、戦後の都政が、東京もこの間、随分基地問題というのはかなりの調査や報告書が出ていまして、平成十一年の十月には横田基地に関する調査という、現況調査報告書というのが出ていまして、それから平成十二年度の三月には「東京の基地二〇〇〇」というのが出ていまして、その後に平成十二年の十二月には、都市計画局から航空政策基本方針というのが出されております。
 こういうのをずっと見ますと、戦後、この都政が横田基地を初め東京の基地に対して、さまざまな紆余曲折はありましたけれども、周辺自治体とともに騒音を初めとする市民生活にかかわる被害の除去、さらには返還を求める歴史であったと、こういうふうに認識をしているんですが、この認識について、どのようなご見解をお持ちでしょうか。

○南雲特命担当部長 東京都は、従来から、都民生活の安全を守り、地域のまちづくりを推進するため、関係自治体と連携しながら、都内米軍基地の整理縮小、返還に取り組みますとともに、騒音など基地に関する諸問題の解決に努めてまいりました。
 昭和二十七年、日米安全保障条約発効時、都内には何と二百八カ所の米軍基地が所在しております。その後、グラントハイツ住宅地区、関東村住宅地区及び調布飛行場、立川飛行場など漸次返還されまして、現在は八カ所、総面積千六百三ヘクタールとなっております。まさに返還の歴史だといえると思います。

○古館委員 それで、そういう歴史の中で、石原知事も、また石原都政も、横田空域の返還とともに、横田基地そのものについての返還も公約として掲げていると理解していますが、この点についてはいかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 知事の公約は、横田基地の返還と民間との共同使用でございます。また、横田空域及び管制業務の返還につきましては、昨年十二月に都が策定した航空政策基本方針におきまして、初めての取り組み方針を示したものでございます。
 これらの課題につきましては、本年六月及び十月の、都の国に対する提案要求におきまして、最重点事項として要望を行ったところでございます。

○古館委員 今、石原知事の公約が、基地の返還と民間との共同使用だというふうにいわれたんですが、この問題について、きょうは少し質疑させてほしいと思います。
 石原知事は、基地の返還までの間、横田基地を軍民共用したいということを打ち出しました。これについては、東京構想二〇〇〇だとか多摩の将来像、こういう中にも同様の記述があります。これらの計画年度が、実は二〇一五年度までを東京構想も想定していますし、それから多摩の将来像も、二〇一五年を目安にして、目標としてこうした計画が掲げられております。これでいきますと、二〇一五年でも米軍の軍用機が依然として優先利用した上に、民間航空機が、これらの文書を読んでいますと、少なくとも一日五十四便が飛行すると、こういう計画であります。これでは、横田基地の返還はおろか、基地問題での最大の課題である騒音など、さらに拡大することになることは明らかだと思います。
 それで、質問しますが、この軍民共用方針に対して、とりわけ周辺自治体はどのような態度をとられているでしょうか。

○南雲特命担当部長 地元自治体の中には、騒音影響への心配から、共用化に反対の立場をとっている自治体があることは承知しております。一方で、共用化に関するさまざまなデータを都として示してほしいというご意見や、共用化にあわせ、まちづくりを推進してほしいといったご意見もございます。
 今後とも横田飛行場の民間航空利用の実現のために、地元並びに周辺自治体等とも十分話し合いを進めまして、連携を図りながら、さらに広い視野からも世論を喚起し、国に強く働きかけてまいります。

○古館委員 この資料の中に、さまざま経緯がありまして、平成三年七月には、都市計画局長名で早期横田基地の返還というのが書いてあったり、昭島市長が共同使用化に反対する要請書を提出するとか、それから瑞穂町長も同じように軍民併用反対の要望書を提出するとか、昭島市長は再三にわたって提出していますし、立川市長も横田基地の軍民共用化推進は容認できない、こういう要望書を提出しております。
 さらに、十四年度に向けての東京都の予算編成に対する要望事項というのが、東京都の町村会と、その町村議会議長会、ここで来年度の予算要望に対する要望事項がありまして、ここの中で、最後のところで、軍民共用化については、騒音被害や航空機事故の危険性が増すばかりでなく、飛行場の永久化につながることから推進するべきではないと。つまりこれは、一町村とかということではなくて、多摩の町村会と町村会議長会が、そういうことをここにきちっと文書で要望が出されております。
 したがいまして、そういう点から見ますと、私は軍民共用については意見が一致していない、これが現状の事実であるというふうに思いますが、その点についていかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 地元の自治体の中にはさまざまな意見があることは十分承知しておりまして、今後そういった自治体とも十分話し合いの上、進めてまいりたいと考えております。

○古館委員 つまり、今後ではなくて、既にもう強く進めてきているわけですよ。これだけ反対があるにもかかわらず、もう事態は進めていって、今の話だと、今後話し合いも進めていくということをいうわけですよね。これは、本当にそういう意味でいうと、まちづくりを初めとして、私は逆の立場だというふうに思っていますし、その点については、やっぱり軍民共用についての意見が依然として一致していないんだと。だからこそ、ここに、来年度の予算要望事項の中にもまだ軍民共用化についてはやるべきじゃないと、こういうことをいっているんだということをきちっと厳しく指摘をしておいて、次の質問に進みたいと思います。
 こういう状況の中で、今私もちょっとお話ししましたが、東京都が軍民共用の方針を押し通そうとする、それで、これまで都民や周辺自治体とともに今日まで積み上げてきたこの横田基地の返還運動、私は、この軍民共用という方針が出たことで、逆に亀裂が生まれることを非常に懸念しているところです。これでは、基地返還という都民の悲願、都議会でも一致して横田基地の返還という意見書を上げたところでありますけれども、そういう都民の悲願や都議会の一致した要望というのは、返還なんですね、そういうような結束した返還運動に不一致点を持ち込む、こういうことになるんじゃないかと思います。いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 都は、国への提案要求におきまして、都内米軍基地の整理縮小、返還と、返還までの対策としての共同使用を最重点事項として要望しております。都としての最終目標は、あくまで横田飛行場の返還でございます。返還までの対策として、首都圏の空港機能を補完し、多摩地域の振興に資するため、横田飛行場の民間航空利用の実現を促進する、そういうものでございます。返還運動に何ら不一致点を持ち込むものではございません。

○古館委員 現実に、そういう点で異議ありといっている自治体が、しかも周辺自治体の方が多数を占めているわけですよね。ですから、そういう点でいうと、今あくまでも返還だというふうにおっしゃいましたので、それでは、全面返還の目標年次をどのように設定しているでしょうか。

○南雲特命担当部長 横田飛行場の全面返還の時期につきましては、具体的な目標年次を設定してはおりません。できる限り早期に実現できるよう努力してまいりたいと思っております。

○古館委員 具体的には設定していないということなんですけれども、あくまでも返還だと。ところが、軍民共用の方針は先行してもうどんどん進んでいる。そういうところは具体的になっているんですが、全面返還の目標年次が全く具体的に設定されてないという問題が、今明らかになったと思うんですね。不一致点のある軍民共用は、経済効果まできちっと計算して出しているわけですよね、軍民共用やればこんなふうに経済効果が出るよと。ところが、全面返還については都としての具体的アプローチは全く今ない。これでは、都民の理解も合意も私は得られないだけじゃなくて、本当に全面返還の立場に立っているのかということを都民から指摘されても仕方がないんじゃないかと思うんですね。両々相まっていくというのだったら、もうちょっとわかる話なんですけれども、ところが、軍民共用だけはだっと先行してどんどん進んでいっている。二〇一五年には全面返還が実現をしているという構想にむしろ転換すべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 先ほども申し上げましたが、都の最終目標はあくまでも返還でございまして、国に対する都の提案要求におきまして、最重点事項として、そのための必要な措置を国に強く求めているところでございます。同時に、返還までの対策として、首都圏の空港機能を補完し、多摩地域の振興を図るため、横田飛行場の民間航空利用の実現を求めているところでございます。全面返還が早期に実現することが非常に望ましいわけでございますが、それ以前にできるだけ早く民間航空利用が実現するよう、努力していく所存でございます。

○古館委員 もう一回いいますけれども、この計画は二〇一五年にそういうふうになっているという計画なんですよね。そういうふうになっているということは、軍民共用が二〇一五年、それ以降もずっと続くという前提の計画なんですよ、これは。だから、いつまで首都の東京に外国の基地を二十一世紀の中で置くのかという問題が問われているんだと思うんですね。二十一世紀になろうとしている状況の中で、それが二〇一五年になるとますます軍民共用が、ここでは経済効果が上がっていっているよという方向になっているわけですよ。だから、だんだんだんだんそれは固定化されていくという方向になっていくと考えるのは、これは私は無理な話じゃないというふうに思っているんですね。
 それで、軍民共用化についてさらに聞きますけれども、軍民共用化のために、東京都の計画を見ますと、シンボル的施設として大規模なエアターミナルビル、こういうのを建設など計画しているんじゃありませんか。いかがですか。

○南雲特命担当部長 今ご指摘の共用化の際のエアターミナルにつきましては、平成十一年十月に都が発表いたしました横田基地に関する調査の中で、経済波及効果を算定するために初期投資額の想定をした際のターミナルビルのことであると思われます。
 この調査は、地元の要望等も受けまして、横田基地に民間航空機が就航した場合を想定した経済効果や騒音の状況などを総合的に調査し、軍民共同使用の状況を把握、理解するための基礎的なデータを整理することが目的でございまして、都の計画という性格のものではございません。

○古館委員 そんなこといっても、東京都のこの計画書の中にきちっと書かれているわけですよ、要望で出たから出しましたと。東京都がそういう考えがなかったら出さない話なんです、これは。
 それで、ターミナルビルとその関連施設も含めて、規模と費用はどれぐらいになりますか。

○南雲特命担当部長 本調査におきまして、空港関連施設とは、国内線及び国際線のターミナルビル、また、これらの中に設置されますテナント施設等を指しております。ターミナルの規模とその費用につきましては、あくまで横田飛行場における需要予測に基づく試算の数字でございますが、国内線ターミナルビルは延べ床面積約二万平米、建設費五十九億円、国際線ターミナルビルは延べ床面積約三万平米で、建設費が八十五億円、合計百四十四億円と想定しております。

○古館委員 ですから、軍民共用化というのは暫定の問題じゃないんですよ。国際ターミナル、国内ターミナル、で、これは基地の中ではつくれませんから、どこかに設けるわけですね、近隣に、近くに。そうすると、これでいうと、ビルの建設の費用だけはちゃんと具体的に、国内線が五十九億、国際線が八十五億と書かれているんですね。ところが、この同じ計画書の中にはこういうふうに書いているんです。本調査の想定では、飛行場に附帯した駐車場整備とその駐車場収入、アクセス等インフラ整備、それからCIQ施設、CIQというのは、例えば出入国管理業務を行うような施設ですね。空港関連施設整備、貨物ビル建設及び周辺の宿泊施設あるいは道路。だから、ビルをつくるということになると、用地買収も必要、駐車場も必要、出入国管理の業務をするところも必要、宿泊施設も必要、そういうふうになっていったら、総工費幾らになりますか。

○南雲特命担当部長 本調査におきます経済効果の試算の中では、ターミナルビルの建設費のみを想定しておりまして、用地取得費等は算定してございません。これは、経済効果がいたずらに多く試算されることを防ぐ意味で、ターミナルビルの建設費のみに限ったものでございます。

○古館委員 おかしな話ですよ。これは経済効果を出すというためにつくった調査だったら、そういうのが全部入らなかったら経済効果というふうには--東京都はできるだけ経済効果がいっぱいあらわれるということを出したいはずなんですよ。ところが、そういう部分については余りにも多額になるから、出さなかっただけじゃないですか。それで、しかもこういうビルをばっちり張りつける。何でもつくっていくとなると、これは、返還になりますよという話にはなかなかならないです。
 東京構想二〇〇〇、多摩の将来像は、ともに二〇一五年までの構想となっていて、そして共用化のための計画は、今いったように緻密に練り上げられているんですね。経済効果まで具体的に試算されていて、肝心かなめのところはビルの建設だけにとどめて、あとはもっと途方もないお金がかかるんだけれども、それは試算から抜きましたよという話が今のご答弁だと思うんですね。私は、これでは軍民共用の永久化を東京都自身が先導しているんじゃないかというふうにいわれても仕方がないんじゃないかと思うんですが、いかがですか。

○南雲特命担当部長 再三申し上げておりますが、東京都の最終目標はあくまで返還でございまして、返還までの対策として首都圏の航空機能を補完し、多摩地域の振興に資するために、民間航空利用の実現を目指しているところでございます。都が主張する民間航空利用は返還までの対策でございまして、軍民共用化の永久化を先導するものではございません。

○古館委員 それなら、そういう問題が、もし返還された場合に、これ自体は東京都がまちづくりそのものを規制することになるんじゃないですか。周辺の自治体の自主権、主体性、そういう問題からじゃなくて、既にそこには空港が存在するということになるじゃないですか。だって、そのビルを、あるいは物すごい巨額の投資をしたものを全部つぶすんですか。だから、そういう部分でいうと、やっぱり周辺自治体の人たちのそういう総意だとかそういう声も、うんと上げなければいけないと思います。
 ことしの一月の都市・環境委員会で、航空政策担当部長が、我が党の質問に答えて、都としては、横田飛行場が返還されるまでの間、首都圏の空港機能を補完し、多摩の振興などを図るために横田飛行場の滑走路の有効策として、民間航空利用することが必要であると考えているとして、横田飛行場の民間利用を次期空港整備計画に位置づけることも必要だ、こういうことで、国への働きかけを引き続き行いますと答弁していますけれども、既にこれは国に要求しているんでしょうか。

○南雲特命担当部長 都は、国に対する提案要求の中で、返還までの対策として、首都圏の空港機能を補完し、多摩地域の振興を図るため、横田飛行場の民間航空利用の実現に向けて必要な措置を国に強く求めているところでございます。民間航空利用が具体化する段階では、次期空港整備計画への位置づけについても国に要請してまいりたいと考えております。

○古館委員 今、いろいろ、どんどんどんどん東京都の計画は先行して進めて、依然として町村会も、昭島だとか、それから立川だとか瑞穂町だとか、羽村のところでもJRの駅に行くと横断幕を張っていますよ、軍民共用は反対だといって。そういうふうにいろんな意思表示が、横田を取り巻く周辺の自治体ではそういう声が上がっているのに、計画だけは東京都の計画はどんどん進んでいく、これは私は問題だと思うんですね。
 首都東京のど真ん中に米軍横田基地がある。で、ことしの九月二十七日に米軍機のC7部品の落下事故が発生したりしましたよね。いろんな事故が起こっているし、騒音問題でももうたまらないという声が、実際に周辺の住民から起こっているわけです。都民の安全についていえば、同時テロと報復戦争という泥沼化の中で、きょうの朝日新聞にも出ていますけれども、新たなテロ再警告ということで、横田基地でも厳戒体制が続くということで報道されておりますが、ますます危険要素が増しているというふうにお感じになりませんか。いかがでしょう。

○南雲特命担当部長 横田基地の現におかれた状況に対します事故、テロ、さまざまな都民の不安につきましては、国など関係機関と連携を図るとともに、地方自治体とも緊密に連絡をとりながら、その解消に努めているところでございます。

○古館委員 私がいったのはそういうことではなくて、現実に横田基地があって、私は冒頭に横田基地の機能について話しましたよね。危険度の一番のランクの格納庫もある、こういうことも私さっき指摘をしました。それからアメリカの司令基地がある、司令機能を持っている。だから、米軍横田基地というのは一般的な基地というのとちょっと性格が違うんですね。そういう点でいうと、今私がいったのは、そういう危険要素というのがますます増しているんじゃないか、そういうことについての認識を聞いたのですが、いかがですか。

○南雲特命担当部長 横田飛行場があることによって危険度が増しているというお話でしたけれども、私はそのようには考えていませんが、そのために、都の最終目標としてあくまでも返還を求めているということでございます。

○古館委員 余り考えてないということと返還という問題と、私は、そういう部分というのは正直にきちっと新聞でも--だれだって、都民だって一番先にぴんとくるのは、どこが危ないかと考えたら、やっぱり横田基地なんですよ。だってこの間だって、同時多発テロが起こったときに、大きなあるスポーツ新聞ですけれども、横田基地が標的になっていたんじゃないかなんてどんと出ましたよね。
 だから、だれでも、そういう問題が出てくると、やっぱり横田基地というのに対しては不安を感じているということだと思います。担当者も、その問題については、やっぱりきちっと事実は事実としてそれこそ把握をしながら認知をして、そういう中での対応をしていくというのが、私は本来のあるべき姿だというふうに思っています。
 今のご答弁で、私はそういう認識では困るなと思いますが、最後に、今こそ周辺地域の市民、自治体、都民の悲願である横田基地の返還に向けて、具体的なアクションプランを都が周辺自治体などと一緒につくること、このことを強く求めますけれども、いかがでしょうか。

○南雲特命担当部長 繰り返しになりますが、横田飛行場につきましては、都の最終目標はあくまでも返還でございまして、国に対する都の提案要求におきましても、最重点事項として、そのための必要な措置を国に強く求めているところでございます。同時に、返還までの対策として、首都圏の空港機能を補完し、多摩地域の振興を図るため、横田飛行場の民間航空利用の実現を求めているところでございます。今後とも、横田飛行場の返還までの間の共同利用並びに横田空域の返還が実現しますよう、国に強く働きかけてまいります。

○古館委員 それでは最後に、本部長にご見解を聞きたいと思いますが、私どもは、全然示してくれないというのが全面返還のためのアクションプランというか、これは以前公明党の大木田議員も同じように質問しているんですよ、全面返還のためのアクションプランをつくったらどうかと。アクションプラン、全面返還のためのプランというのは全然明らかじゃないのですけれども、ただ、返還というのは私、評価しています。だけれども、その返還をどうするかという部分についていうと、はっきりしてないですよね。その間の軍民共用に伴うものだけは、今いったように極めて緻密にできているわけです。
 私は、全面返還という部分でも、知事があの首都機能移転問題でも先頭に立って都民集会をやったと同じような形も含めて、どのようにして全面返還のためのアクションプランをつくるか、この点では改めて強くそのプランをつくることを求めますけれども、最後に、本部長にご見解を伺いたいと思います。

○田原知事本部長 これまで再三答弁をしてまいりましたけれども、都の最終目標はあくまでも返還であります。これに向けて全力を挙げてまいります。努力をしてまいりますが、ご承知のとおり非常に難しい、厳しい問題でありますので、一朝一夕にどうなる、なかなか難しいところでありますので、まず、途中の段階として共同使用を考えていこうじゃないか。共同使用については相当具体的な議論ができるので、その議論については、ある程度ですが、方向を示せるところは示していって、全面返還の方はもちろん全力を挙げてまいるわけでありますけれども、それは、もう少し共同利用の方向が見え、あるいは全面返還について根回しと申しましょうか、国との議論がもう少し進んで、あるいは米軍との議論が進んで、そのときにやはり具体的にこうやっていこうというふうに形を示していければと思っています。

○古館委員 今後も引き続き--ちょっと私どもの考えと違うんですよね。なぜかといったら、軍民共用化をすることが全面返還だという部分をいつも強調されるんですね。
 しかし、同時に、そこの部分でいうと、全面返還の問題をするためにはどうしたらいいかというアクションプランも明確にそれこそ示すということも、これは必要なことだ。しかも、周辺の自治体の方々、昭島も立川も瑞穂町も、それから羽村も含めて、こういう問題については、軍民共用化については、困りますという要望書をちゃんと東京都に出してきているわけですからね。
 そういうことも含めて、きちっと全面返還のアクションプラン、これについてはどうしても私は考えてもらいたいし、つくってもらいたい、そのことを最後に要望して、私の質問を終わります。

○大西委員 平成十二年に東京構想二〇〇〇というものがつくられたわけですが、私、そのことについて少し質問させていただきます。
 東京構想二〇〇〇は、東京の五十年後を視野に入れた長期構想ですが、普通、長期構想はどれくらいの期間を指すんでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 今、先生からの東京構想、長期構想というお話ですが、東京都では、基本構想という位置づけをしておりますので、従来東京都がつくってまいりました基本構想で見ますと、おおむね基本構想の構想期間は十年から二十年ということでございます。
 なお、東京構想二〇〇〇は、人口、経済などは五十年先を展望しつつも、政策の構想期間として二〇〇一年から二〇一五年までの十五年間というふうになっております。

○大西委員 長期構想策定に当たって、策定メンバーはどのようにしてお決めになったんでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 東京構想は、当時の政策報道室計画部が原案を作成いたしまして、その後、政策会議の議論を踏まえまして策定したものでございます。なお、本構想の策定に当たりましては、一つは、都民からの意見を募集いたしますとともに、二つ目には、有識者に対してアンケートやヒアリングを行いました。
 それから、平成十二年九月には、中間のまとめを出しましたけれども、それを「広報東京都」やホームページに掲載しまして、都民等から幅広く意見を求めました。また、その中間まとめを題材に、都政モニター会議で意見を聞くなどしてまいったところでございます。
   〔大塚副委員長退席、高島副委員長着席〕

○大西委員 政策会議のメンバーというのは、三役と出納、教育長、総務局、財務局からの局長が集まるわけですね。そして、実際にこの原案を作成した政策報道室計画部、その原案を作成する中に女性のメンバーというのは何人ぐらいいたんでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 済みません、当時のことなので、正確でないんですが、四十名ほどの計画部の職員の中で、女性が八名程度、その中に管理職一人が入っております。

○大西委員 まず、基本構想、長期構想、どちらも、そういうものを行うには、やはり人口動向とか経済成長のGDPとか、そういうもののデータというのが基礎になるわけですけれども、都の人口は、この東京構想二〇〇〇の中にも、二〇一〇年には千二百二十六万人で、それ以降二〇一五年には千二百二十万人ということで、実は二五年で次はちょっと書いてなかったんですが、ピーク時のおよそ九六%、千百八十二万人というふうにもデータとしてありました。
 しかし、旧国土庁が発表しました大都市圏のリノベーションプログラムによりますと、東京圏一都三県の人口は、やはり二〇一〇年にはピークを迎えますが、二〇五〇年にはピーク時の七八%まで減ると予測しています。五〇年にはどのくらい減るのかということは、このデータにはないんですけれども、その辺をどのように予測していらっしゃるのか。

○荒川企画調整担当部長 当時、国土庁が推計いたしました東京圏の人口予測については把握しておりませんけれども、考え方といたしましては--予測そのものの手法についてはまだ突き合わせをしておりませんけれども、東京都のピークは、国土庁が推計しているよりもおくれるのではないかというような考え方を持っております。
 その考え方としましては、社会移動、つまり都心居住などの推進によりまして、さらに首都圏の中の人口が東京の方に集まってくるということで、ピーク時が少しずれるというふうに考えております。
   〔高島副委員長退席、委員長着席〕

○大西委員 少しずれるけれども、東京圏でも二〇一〇年が人口のピークであり、以降、減少に見舞われるというふうにおっしゃっていましたよね。
 常識的に考えれば、人口は、構想が取り上げるようなインフラの基礎であり、指標でもあります。そういう意味では、この計画の中にあります道路交通や航空機利用などのインフラの部分も、ちゃんとそれに合ったものを見据えた計画が必要になると思います。しかも、五十年先を見据えるというのは、もっと人口が減少する時期を見据えるということにもいえるんじゃないかと思います。
 これまでのインフラの整備速度から見れば、これからそういうものを計画を立てて議論をして決めても、実際にそれが私たちに供用されるのは、人口減少が行われているそういう先になるわけですので、ぜひ、こういう大きな構想をまとめるには、大前提として、現状把握、将来動向をきちっと示して、その上で、こういう施策が必要で、その効果によって、将来動向は施策の効果としてこういうものがあるというものをやはりちゃんとこの構想の中に盛り込むべきじゃないかと思います。
 そういう意味で、最近では、行政が作成する計画も、計画作成過程の透明性や施策の効果の明瞭性などが厳しく問われていると思います。つまり、計画の根拠を明確に示すことが必要だと思っておりますが、この構想を作成するに当たって、代替案の検討とか施策の効果の予測などは、どういう時点で、どういう場で行われたんでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 今のご質問は、計画の策定過程に関するご質問だろうと思いますけれども、計画といいますか、東京構想策定に当たりましては、まずは各局から、今どのような課題があるか、あるいは今後どのようなことが課題となるか、それに対して東京都としてどういうふうに対応していくべきか、現在の施策についてどういった問題点があるのか、どういうふうに改善していくのかといったようなことで、各局がそれぞれ検討いたしまして、それを当時の政策報道室計画部の方でまとめまして、その中でそれぞれの施策の体系をつくりまして、相互に矛盾はないのか、あるいは目標といたします東京構想の場合には、千客万来の世界都市東京という目標を立てましたので、それに向けてそれらの政策が効果を上げることができるのかといった観点から構想内容を検討しまして、それを東京構想二〇〇〇として取りまとめたものでございます。
 したがって、その策定過程でこれまでの政策の効果などの検証をしたということでございます。

○大西委員 各局それぞれなさったということですが、やはりそこが基本になりますので、この東京構想の中でも少しページを割くべきであったんじゃないかなと私は思います。
 この東京構想二〇〇〇を策定したときには、それまであった基本計画、これは扱いはどうしたのか、その辺が今の、次の策定するためのいろいろな基礎になる部分でもあるわけですけれども、どういうふうな扱いになったんでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 東京都の基本構想ということでお話しさせていただきますと、現在ある東京構想二〇〇〇が策定されるまでは、東京都の基本構想は、青島都政時代につくられました生活都市東京構想でございました。
 しかし、昨年末に東京構想二〇〇〇が策定されました時点で、東京都の基本構想は、それまでございました生活都市東京構想から現在の東京構想二〇〇〇に変わったというふうに認識しております。

○大西委員 確かに知事がかわると同時にこれは変わったということは承知しました。そうはいっても、行政の基本構想、長期構想というものが、知事がかわることによって、そうくるくる変わるのかということもやはり問題だと思うんですけれども、それを避けるためにも、これまでの長期構想について、ある意味、総括的なものがあったと思うんですけれども、どのようになさったんでしょうか。

○荒川企画調整担当部長 これまであった生活都市東京構想をどう総括したかということでございますけれども、生活都市東京構想は、ちょうど右肩上がりの時代が終わり、人口は横ばいから緩やかな減少、経済も成熟社会に移行する、こういうような時代認識に立ちまして、生活者の視点を重視した都市づくりや暮らしの確保を目指した都政運営が必要であるというふうな考えのもとに策定したものでございます。
 しかしながら、その後、バブル崩壊後の不況が予想以上に長引きまして、今日では、国際社会における日本の競争力の低下や、従来型の中央集権システムの機能不全などの問題が顕在化しまして、日本全体が大きな危機に見舞われている、そして、そのことがこの東京に先鋭的にあらわれている、これに対応した都政のあり方を求めるというような認識をしてございます。そういう中で今度の新しい構想がつくられたというふうに考えております。

○大西委員 確かに、お答えの後半の部分、バブル崩壊後の不況が予想以上に長引きという、そういう状況はあるわけですけれども、しかし、やはり根本的には、やがて日本の人口が減少社会に入るということ、そして、東京もそれにいや応なく従わざるを得ないということ、そういう現象があるということで、このバブル云々は、ある意味では一側面ではないかと思います。
 もちろん不況を賛美するわけにはいきませんけれども、GDPの増大が望めない中で、つまり成長指向のない中で生活環境をどのように改善していくのかという生活都市構想の発想というんですか、そういうものは引き続き貴重だと私は考えております。
 ある意味では、日本の経済的競争力の低下が常態化せざるを得ない中で、危機感をあおるような東京構想二〇〇〇のメッセージはやはり、ちょっと長期的な展望を欠いたものであって、長期構想にふさわしくないんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。

○荒川企画調整担当部長 現在の東京構想二〇〇〇ありますけれども、基本構想といいますのは、私の考えになりますけれども、従来の継続の部分と変革の部分があるのではないかというふうに考えております。
 例えば、継続の部分、どこを継続しているかということを考えてみますと、例えば生活圏でのまちづくりの話、あるいは、福祉における措置から契約へといった本人選択の問題、それから、行政への市民参加ですとか協力ですとか、そういったようなことは、現在の東京構想二〇〇〇の中でも引き継がれているのではないかというふうに考えております。
 ただ、どこが変わったかといいますと、都市づくりの中で、従来は多心型都市づくりということで、人口分散に対する政策を行ってきましたが、今後はそれを環状型の都市づくりを目指すべきではないか、あるいは、もちろん生活圏レベルの都市づくりも必要ですけれども、首都圏全体をにらんだ都市づくりが必要ではないかというようなこと、あるいは、先ほど申し上げましたように、福祉の中でも、民間活力を導入してはどうかとか、あるいは行政運営の中において、スピード、コストなどを重視していく、こういったようなことが変革の面であるのではないかというふうに考えております。
 基本構想、いろいろその時代を反映したものではないかと思いますけれども、そういったような形で、十分、今後、東京構想二〇〇〇は意味のあるものだというふうに考えております。

○大西委員 東京構想二〇〇〇の六八ページ、構想の実現に向けた政策目標と戦略的取り組みの中に、第一にやはり、職と住のバランスのとれた、ゆとりある都市を実現するということが挙げられております。この文章には本当にそうだと思うんですけれども、今、東京都が目指す都心居住、これはどういう人たちが住める都心居住として想定しておりますか。

○荒川企画調整担当部長 職と住のバランスのとれたということで、都心居住を第一に挙げておりますけれども、現在の実態を見ますと、むしろ周辺の県から、リタイアした、しかも子どもたちがもう巣立った高齢者世帯が実態としては都心に集まっている面が強く出ているのではないかというふうに考えますけれども、今後、私たちが求めていく都心居住ということであれば、ファミリー層も含めていろいろな層がこの都心の中に住めるというような政策をとるべきであると思いますし、現在、東京都としてもその方向で政策を進めているところでございます。

○大西委員 今、確かに高齢者の方たちが都心へ帰ってきていらっしゃる現象は非常にあります。そういう意味では、もう一つ喜ばしいことでもあるわけですけれども、まだ多くの問題も抱えている。コミュニティの問題をどうするのかということ、それからファミリー層をこれからまた都心へ受け入れていくためにこういう都心居住というものが考えられているといいますけれども、現実には、東京の場合の都心居住というのは、こういうことをするということは、ある意味、高層化をどんどん目指していくことが必要でもあります。
 そういう意味では、本当に子どもを育てる環境、少子高齢化対策をまちづくりという中でしっかりとしなければいけないのがこの都市構想だと思うんですけれども、しかし、残念なことに、この策定の段階に四十名中八人しか女性がいないとか、何よりもまちづくりには女性、そして子ども、そして高齢者というのが一番幅をきかせながら暮らす場所だと思っておりますので、そういう意味では、この意見というものをしっかりと出せる場所というのが東京都庁の中に必要だと私は思います。
 そして、今の東京都が抱えているいろいろな問題の、なぜ国際的な力をなくしたかというと、やはり東京がどうしても暮らしにくかったということ、それは原因として人口が過密であるとか地価が高いということ、それは私たち日本に暮らす者も同じように悩みがあるわけですけれども、外国の企業で、今まで日本に事務所を構えた人たちも同じように悩んで、よそへ逃げていったわけですよね。
 それを解消するために、今は高層化でそれをカバーしようと思っているわけですけれども、どう考えても、そういう意味で、これからのオフィスというのは、ある意味、日本にビルを構えなくても商売が、事業が成り立つような世の中に全体がなってきているわけですし、そして、ほかの外国の地価を考えたときに、本当にどんなに頑張っても競争ができるんだろうかという部分が、やはりどうしても残ってしまいます。
 それとまた、人口過密の問題もあります。今は首都機能移転の問題も出ておりましたし、皆さん、移転に反対しましょうという意見でしたけれども、単純な問題ではないと私は思っておりますので、しっかり行政として冷静な立場で取り組んでいただきたいなと思います。
 もう一つ、また策定の段階に入りますけれども、この長期構想が出されて、議会の議決事項にあるわけでもなく、なかなか市民のそういうものを取り入れることができないものです。しかし、現実には、次から次と具体的な施策が出されていくというような、非常にやっかいな、そして重要な問題だと思っております。
 今、分権の時代ですので、計画のつくり方も、ある意味、上からつくって、それをトップダウンでおろすということは変えるべきだと私は思っております。もちろん、東京都として、広域的な問題は都がつくるとしても、一部はやはり市区町村からの積み上げの方式を、しっかりそういう計画を検討するべき場所、そういうものからつくり上げていく基本構想にすべきだと思っております。
 中央集権のフランスでさえ、国の計画をパリに策定させて、そして国が予算をつけるという方向にあります。もちろん、私たちが住む東京ですので、その地域、市区町村でそういう計画を立てて、それを東京都がどんと予算をつける、そういう方向にまず発想の転換を求めて、質問を終わりたいと思います。(「答弁は」と呼ぶ者あり)いいです。

○宮崎委員長 それでは、最後ですから、田原知事本部長から答弁を願います。(笑声)

○田原知事本部長 分権のお話というふうに伺いましたけれども、計画策定する際に、先ほども部長の方からお話し申し上げたように、いろいろな形で意見を聞きながら、取り入れながらやってきておりますけれども、やはり、これからますます分権といいましょうか、基礎的自治体が何をどう具体的にやっていくのか、それがキーワードといいましょうか、かぎであると思っておりますので、これから計画を策定する、あるいはそれを具体化する場合には、その留意をさらにいたしまして取り組んでいきたいと思っております。

○大西委員 一ついいですか。(「本部長出ちゃったらおしまいだよ」と呼ぶ者あり)そうですね。わかりました。

○宮崎委員長 ほかに発言ございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 ご異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で知事本部関係を終わります。
 以上をもちまして第一分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告書につきましては、打合会にご一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、そのように取り扱ってまいりたいと思います。
 これをもちまして第一分科会を閉会いたします。
   午後二時四十分散会

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