委員長 | 馬場 裕子君 |
副委員長 | いなば真一君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
中屋 文孝君 | |
野上じゅん子君 | |
林田 武君 | |
清水ひで子君 | |
相川 博君 | |
花川与惣太君 | |
木内 良明君 |
欠席委員 なし
出席説明員衛生局 | 局長 | 今村 皓一君 |
技監 | 荻野 忠君 | |
総務部長 | 櫻井 巖君 | |
企画担当部長 | 齋藤 進君 | |
健康推進部長 | 長岡 常雄君 | |
生活環境部長 | 河津 英彦君 | |
医療計画部長 | 奥田 匠君 | |
医療福祉部長 | 金田麻里子君 | |
薬務部長 | 大屋 喜重君 | |
病院事業部長 | 押元 洋君 | |
健康づくり施策調整担当部長 | 菊地 輝雄君 | |
病院企画担当部長 | 大塚 孝一君 | |
参事 | 木村 豊彦君 | |
参事 | 梶山 純一君 |
本日の会議に付した事件
平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
衛生局関係
・一般会計決算(質疑)
○馬場委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
本日は、衛生局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
これより衛生局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十二年度東京都一般会計決算中、衛生局所管分を議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際、要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○櫻井総務部長 去る十月十日の本委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の資料をご参照ください。それでは、お手元配布の平成十二年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料をごらん願います。
資料は、目次にございますように、1の高次脳機能障害者実態調査の結果と平成十二年度の取り組みから、7の周産期母子医療センターのNICU病床数と出生数の現状まででございます。
まず、一ページをお開き願います。高次脳機能障害者実態調査の結果と平成十二年度の取組でございます。
(1)の高次脳機能障害者実態調査結果の概要につきましては、調査実施時期、高次脳機能障害者推計数、原因疾患、障害の種類、日常生活の状況、障害の特性及び福祉サービスの利用状況の概要を記載してございます。
また、(2)の平成十二年度における取り組みにつきましては、高次脳機能障害者リハビリテーション等調査研究会の設置年月、委員の構成及び検討内容を記載してございます。
恐れ入ります、二ページをお開き願います。難病医療費の助成対象疾病数、患者数及び助成額でございます。
平成八年度から平成十二年度までの難病医療費の助成対象となる疾病数、認定患者数及び医療費助成額を記載してございます。
次に、三ページをごらん願います。都保健所の保健婦一人当たりの人口でございます。
平成八年度から平成十二年度までの都保健所の保健婦一人当たりの人口、保健婦職員数及び市町村人口を記載してございます。
恐れ入ります、四ページをお開き願います。精神障害者グループホームの施設数及び都補助額でございます。
平成八年度から平成十二年度までの精神障害者グループホームの施設数と都補助額を記載してございます。
次に、五ページをごらん願います。公立病院運営費補助額の推移でございます。
平成八年度から平成十二年度までの公立八病院への運営費補助額の推移を記載してございます。
次に、六ページをお開き願います。小児科及び産科・産婦人科を標榜する医療施設数の推移でございます。
平成二年から平成十一年までの十年間の小児科及び産科・産婦人科を標榜する医療施設数につきまして、病院と一般診療所を区部、多摩の地域別に分けて記載してございます。
恐れ入ります、七ページをごらん願います。周産期母子医療センターのNICU病床数と出生数の現状でございます。
区部、多摩地域のNICU(新生児集中治療管理室)の病床数及び出生数を記載してございます。
以上、簡単ではございますが、要求資料のご説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○馬場委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○いなば委員 衛生局は、石原知事のもと東京発医療改革を積極的に推進して成果を上げていることに対しまして、評価をしたいと思っております。東京発医療改革は、透明性の不足、信頼性の不足、効率性の不足という現在の医療における三つの不足を克服する取り組みでありまして、開かれた医療、また、安心できる医療、むだのない医療を改革の方針として、三百六十五日二十四時間安心の医療提供と患者中心の医療を実現すると聞いております。
我が国は、社会的にも経済的にも曲がり角でありまして、さまざまな分野で改革が唱えられておりますけれども、医療の分野もその例外ではなく、医療保健制度の改革にあわせまして、患者の選択の尊重と情報提供など、医療提供のあり方を改革する論議が活発に行われているところであります。こうした国の動きに先駆けまして、東京都が医療改革に取り組むことをよしとするもので、今後とも、その取り組みの充実を願うものでもあります。
そこで、十二年度の新規事業であります病院機能評価促進事業について、この評価制度は、病院機能を第三者の目で評価するものであると聞いています。医療における透明性、信頼性の向上にとって大変有意義な制度であるとも思っております。こうした制度の受審を促進する事業は、東京発医療改革の先駆けというものではないかと思っております。
そこで、病院機能評価の目的、そして、その評価の内容はどのようなものになっているのか、まず冒頭、お伺いしたいと思っております。
○奥田医療計画部長 病院機能評価でございますが、医療機関みずからが質の高い医療を効率的に提供するための取り組みを促進するということで、財団法人日本医療機能評価機構が専門的、中立的な立場から実施しておるところでございます。
評価内容でございますが、病院の種別によって若干異なってございますが、病院全体の運営体制であるとか職員の教育研修内容、診療各部門の運営体制、療養環境など患者サービス面での配慮、事故発生時の対応、救急医療など地域医療ニーズへの対応などでございまして、病院のあらゆる機能や活動が対象となってございます。
都といたしましては、安全で質の高い医療サービスを実現するためにも、多くの医療機関での受審が重要と考え、平成十二年度から病院機能評価の受審を促進するための事業を開始したところでございます。
○いなば委員 では、これまでに都内の病院ではどのぐらいの病院がこの評価を受けたのか、お示しいただきたいと思います。
○梶山参事 日本医療機能評価機構は、平成九年度から病院機能評価を開始したところであり、本年十月十五日現在、認定を受けた都内の病院数は、大学病院を初めとして五十三病院となっております。
都としては、今後とも、都内の認定病院数の拡大に向けて病院機能評価促進事業の充実に努めてまいります。
○いなば委員 続きまして、近年、医療事故が続発していることは周知のとおりであります。医療の信頼性が揺らいでおるわけでありまして、病院の医療安全への取り組みこそきめ細かく評価して、安心、安全の医療を確保すべきと思いますけれども、先ほどのお答えでは、安全確保についての評価項目が若干希薄な感がしますけれども、医療安全についての評価はまたどうなっているのか、お伺いしたいと思っております。
○奥田医療計画部長 医療安全の確保に関しましては、現在は、事故防止への適切な対応、発生時の体制の確保などの三項目が評価の対象とされております。
日本医療機能評価機構では、ご指摘のとおり、病院医療の質向上、とりわけ患者の安全の確保が重要であることから、来年度から医療安全に対する評価をさらに詳細にして強化するという予定でございます。
これによりますと、これまでに実施してまいりました医療事故防止への対応に加えまして、患者の安全確保のための組織や院内方針、対応手順が具体的に確立しているか、あるいは原因の究明や改善につなげるための情報収集、分析体制が整備されているか、さらにはスタッフに対する系統的な教育訓練に取り組んでいるかなど、評価項目は七項目に拡大されることになっております。
○いなば委員 病院はとかく、その専門性のレールの中で閉鎖性が強いとも思うわけですけれども、実態がよくわからなかった面が多々あったわけですよね。病院における医療機能を第三者の目で評価するということは、こうしたことを少なからず拡大できますし、都民にとりましても、評価を受けた病院へ安心して受診できるなど、信頼の医療の確保につながっていくものだと思っております。
そうした、都民に病院機能評価の内容や審査を受けた医療機関であることは積極的に周知していくことが重要であると思うわけですけれども、この点について都はどのようにお考えになっているのか、お答えいただきたいと思います。
○奥田医療計画部長 このたびの医療法改正によりまして、病院機能評価の認定結果につきましては広告ができるということになりました。ご指摘のように、病院にとりましては、改善の成果である認定結果を示すことが患者の信頼獲得になるということで、現実に多くの病院が、院内掲示等に加えてホームページなどで認定結果の広報を行っている状況でございます。
都といたしましても、病院機能評価は、患者による医療機関の選択に役立ち、安心、安全の医療の確保に結びつくものであるという認識から、認定の有無を積極的に都民に広報することが重要であるというふうに考えておりまして、今後、さまざまな周知方法について具体的に検討していきたいと考えております。
○いなば委員 ところで、最後になりますけれども、東京都が直接経営している都立病院の受審状況はどのようになっているのか、また、ホームページでの都民への周知状況はどういうふうになっているのか、あわせてお伺いしたいと思います。
○押元病院事業部長 都立病院におきます財団法人日本医療機能評価機構によります病院機能評価の受審状況につきましては、これまで七つの病院が審査を受けております。そして、そのすべてが認定基準を達成しているという評価を受けたところでございます。これまで、病院の改築ですとか、あるいは改修工事などで審査を受けられない病院もございましたけれども、これらの病院も含めまして、今後とも積極的に評価を受けてまいりたいと考えております。
都民への周知でございますけれども、審査結果をインターネットのホームページに掲載いたしておりますほか、病院内に認定証を掲示しているところでございます。今後は、病院のパンフレットなどにも認定を受けたことを記載するなど、より積極的に公表してまいりたいと考えております。
○いなば委員 きょうは決算ということですから、直接関係ないので質問はとどめるわけですけれども、今非常に問題の論議になっております、板橋には老人医療センター、そしてまた都立豊島病院があるわけであります。一昨年、新装オープンしたばかりですけれども、それがいろいろと揺らいでいる状況も、非常に毎日毎日、地元で耳にしております。
そんなこともいろいろとあわせて質問したかったんですが、決算では関係ないということで、これは十二月の一般質問の方で、また代表質問、委員会等でも我が党はさせてもらうつもりでおりますけれども、きょうは決算ということであえてとどめますが、いろんな意味で、今後ともいろいろまたご指導もいただきたい、そう思います。
○相川委員 私から、野宿生活者、いわゆるホームレスの人々の社会復帰に対する支援あるいは医療支援、さらには、そのホームレスの人々を支援する一般市民への感染防止というような観点から、平成十二年度の新規事業である結核緊急患者対策について伺いたいと思います。
私、この数年、一時は結核というものが天然痘と同じように撲滅されたのではないかというふうに思っていたわけなんですが、最近それが増加傾向にある、さらには、抗生物質が効かない耐性菌まであらわれているような話を耳にしております。
そういう中で東京都では、十二年度に、当該決算年度に結核が、疑われる緊急患者を一般の救急病院においても臨時に受け入れができるように、院内感染を予防するための個別の空調設備を整備する緊急一時入院施設整備費補助事業を開始したということでありますけれども、まずこの事業実施の背景について伺いたいと思います。
○金田医療福祉部長 都で、平成十二年に新たに結核患者として登録された方は四千五百四十一人となっております。しかし、都内の結核病床は、患者の減少傾向もあって年々減少し、現在の稼働病床は約千床となっております。そのため、結核が疑われる緊急の患者が、結核の診断が確定していないことや、また、一般の救急病院では結核であった場合に院内感染を予防するための設備がないことなどが原因で、入院先がなかなか決まらない事例が昨今発生しております。
こうした状況に対応するため、結核が疑われる緊急患者を、結核と診断されるまでの間、一般の救急病院においても臨時に受け入れができるよう、都が個別の空調設備を整備する費用を補助する緊急一時入院施設整備費補助事業を開始したものでございます。
○相川委員 この決算書を見ますと、緊急一時入院施設を七床整備したということでございますけれども、具体的にどちらの病院に整備をしたのか、お尋ねしたいと思います。
○金田医療福祉部長 十二年度に、結核が疑われる患者を緊急に受け入れるため、個別の空調設備を持つ病床、緊急一時入院施設を整備した病院は、台東区の浅草病院、豊島区の池袋病院、豊島区の敬愛病院、品川区の第三北品川病院、墨田区の中村病院、文京区の日本医科大学付属病院、町田市の町谷原病院の七病院でございます。
○相川委員 今お答えの七病院のような一般の救急病院で緊急に受け入れた患者が、例えば結核と診断された場合に、早急に結核専門病院に転院させる必要があると思うわけでありますが、そのための体制というものが整備されているのでしょうか、伺いたいと思います。
○金田医療福祉部長 都では、十二年度に救急病院、結核専門病院、都医師会及び学識経験者等の代表で構成する連絡会を設置し、検討を行ってきました。
その結果を踏まえ、結核専門病院の空きベッドの状況等を都が把握し、関係機関に情報を提供することで、緊急一時入院施設で結核の診断が確定した緊急患者を結核専門病院へ円滑に転院させる結核緊急医療ネットワークを整備し、本年三月から、救急搬送を所管している東京消防庁などとも連携を図りながら運用を開始しています。
○相川委員 今のご答弁で、三月からネットワークを運用しているということなんですが、それでは、これまでに緊急一時入院施設で受け入れて結核専門病院に転院した患者の数と、そのうちのホームレスの患者の内訳、それからまた、転院が実際に円滑に行われたのか、この点について伺いたいと思います。
○金田医療福祉部長 結核緊急医療ネットワークの運用開始から九月までの七カ月に緊急一時入院施設で受け入れた緊急の患者は二十名でございます。そのうち、受け入れた施設からの連絡では、ホームレスであるという方が八名で、受け入れた患者の四割となっております。
また、診断の結果、非結核と判明した患者等が七名、結核と診断され結核専門病院へ転院した患者が十三名でございます。受け入れ及び転院はすべて円滑に行っております。
○相川委員 現在、そのネットワークは円滑に運用されているということでありますけれども、まだ緊急一時入院施設は、先ほどのお話ですと、例えば七床整備したうちの六床が二十三区内であるということで、近くにない地域も実はあるわけであります。こうした地域に、さらに施設の整備が必要だと思うわけでありますが、今後の衛生局サイドの整備予定について伺いたいと思います。
○金田医療福祉部長 緊急一時入院施設は、今後、十三年度及び十四年度に各七床整備し、既設の七床とあわせて二十一床を整備して運用する予定でございます。
整備に当たっては、救急搬送の実績や地域性等を考慮して行う予定でございます。
○相川委員 結核が疑われる緊急患者に迅速かつ適切な医療を提供するためには、緊急一時入院施設以外の医療機関にも協力を求める必要があると思うわけであります。このネットワークを運用する体制の整備が、実は非常に重要な問題だと思うんですが、この点に関する所見を伺いたいと思います。
○金田医療福祉部長 結核緊急医療ネットワークの運用に当たっては、緊急一時入院施設はもとより、結核患者を医療上の必要性から一般病床などで収容、治療するための施設を整備している医療機関にも、ネットワークへの参加と緊急患者の受け入れについてご協力をいただいております。
今後とも、結核専門病院を含め、合併症や重症患者に対応できる病床の確保を推進するなど、結核が疑われる緊急患者に迅速かつ適切な医療を提供する体制の整備に努めてまいります。
○相川委員 最後に、最近、野宿生活者、いわゆるホームレスの人々に対して社会復帰を支援する市民活動が各地で、小さいけれども非常に盛んになってきている現状というものがあるわけであります。先ほどの答弁にもありましたように、例えば緊急一時入院施設に受け入れて結核専門病院に転院した患者--二十名あって、そのうち約四割の八名の方が、実はホームレスあるいはホームレスと見られる患者さんであったと。ホームレスは、皆さんもご承知のように、大変劣悪な生活環境の中で、しかも極度な栄養不良等で結核に感染しやすい環境が、我々一般市民に比べれば物すごく高い状況にあると思うわけであります。そういう中で、そうした方々への支援を行っていく一般都民の方に感染がされないような形で、こうした事業が新しくできたということに関しましては、確かに予算額としては規模は小さいと思いますけれども、そういう見方をすれば、大変きらりと光る事業だと大きな評価をしているわけであります。
先ほどの答弁にもありましたように、十二年度で七床整備をして、そのうちの六床が二十三区ということでありますから、今後とも、多摩地域を含めて地域性にも考慮をされて、こういった事業の整備を推進されていくように要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○木内委員 初めに、難病患者居宅生活支援事業についてであります。
これは、事業開始が平成九年の十月ということで、国は、例えば十二年度においては十九億円の予算を計上しておりまして、この目的は、在宅難病患者の生活の質の向上のため、ヘルパー派遣、生活用具給付により日常生活を支援し、患者の自立と社会参加を促進する、こういうことになっているわけであります。
当該年度の十二年度は、申し上げたように、国においては予算十九億円が計上されていたが、現実には六千万円しか使われていなかった、このようにいわれているわけでありまして、東京都はこの国の事業を受けまして、難病患者等の在宅生活を支援するホームヘルパーの派遣事業や、あるいは日常生活用具の給付に対して補助をするとともに、ホームヘルパーの養成研究を行ってきているわけであります。私が問題意識を持ちますのは、十九億円も計上されて、実際に執行されたのはわずか六千万円であるという、施策の実施の中身が空洞化しているという点であります。
そこで、まず伺うわけでありますけれども、平成十二年度の実績、都においてはどうなっていますか。
○金田医療福祉部長 平成十二年度の実績でございますが、難病患者等居宅生活支援事業は、十二区市で実施し、予算額一千五百万余円に対して決算額は約六百万円で、ホームヘルプサービスは五十二人、日常生活用具給付は二十六件、ホームヘルパー養成研修は五百六十五人に実施いたしました。
○木内委員 この決算の報告によりますと、十二年度の予算現額、規模百五人、それから金額で一千五百万余円に対して、今、一部ご報告がありましたけれども、支出済額が、規模で五十二人、約五百八十九万円、不用額が九百十万円、執行率が三九・三%、こういうわけであります。
執行率が三九・三%と低いわけですが、当初、都では予算をどういうふうに見込んでいたのか、どうしてこういう決算の結果になったのか、報告願います。
○金田医療福祉部長 予算の方でございますが、例えばホームヘルプサービスでは、前年度の実績見込みなどから、実施地区を十五区市、利用者を百五人という形での想定をして予算を計上いたしました。
決算では、実施地区は十一年度の十区市から十二区市に増加いたしましたが、利用者は予定より少なく五十二人となっております。
○木内委員 客観的な数字のご報告だったわけですけれども、原因、理由はいろいろ考えられると思うんですね。例えば、区部では八区というのは、世田谷を初めとする八区、それから市町村では羽村を初めとする四市、十二地区、こういうことだろうと思んです。
いろいろな理由があると思いますが、一つには、受け皿としてこの事業を実施する区市町村が極めて少なかった、こういうことがいえると思うんですね。この理由は何ですか。
○金田医療福祉部長 本事業の対象者は、国の特定疾患対策研究事業の対象疾患百十八疾患などでありますが、既に老人福祉法や身体障害者福祉法による施策の対象となっている方も多く、これらの方々は対象から除かれることになります。このように本事業の対象者が限られることなどから、未実施の区市町村が多いと考えております。
なお、十三年度は、新たに八区市を追加し、計二十区市で実施予定など、順次実施地区は拡大しております。
他の福祉制度ではカバーできない部分を担っている事業であるため、引き続き、未実施の区市町村に対して事業実施を働きかけてまいります。
○木内委員 今の答弁は、恐らく必要のある事業ではあるけれども、対象者となるパイが少ない、小さいということはあったと思います。しかし、施策の展開の前提になる事業の理念というものは、当然これは私は評価すべきものであるし、現実にこうした需要といいますか、必要とする方々がおられることも事実でありますから、この制度は充実、積極的な対応をすべきだ、こういうふうに思うんですね。
ところで、この事業についてどのくらい周知徹底が実際行われていたかという一つの証左として、東京都難病団体連絡協議会が患者さんに行ったアンケートというのがあるんですけれども、この回答者の八割が制度自体を知らなかった、こういう答えを出しておられるわけでありまして、私はこれは、制度があるのに周知されていない、このために事業の執行率が当初予定から大幅に下回って低いというのは大きな問題だと思う。
したがって、今後、きょうのこの審議を新たなスタートにして周知徹底を図り、この事業の実施を充実していく必要があるんじゃないか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
○金田医療福祉部長 事業の実施主体である区市町村と連携して広報に努めるとともに、患者団体など関係諸機関を通じて、今後とも事業の周知を図ってまいります。
○木内委員 そういう答弁ですから、今後の推移をしっかり見守ってまいりたいし、この議論は、今後の機会でさらに続けてまいりたいと思うんですね。
難病は、原因が不明で、治療方法が未確立という特徴がありますから、したがって、患者さんは長期の療養を余儀なくされているのが実は実態であります。このため、患者さんやその家族の方々にとりまして、精神面、社会面、さらに経済面等の負担が非常に大きくなっている。地域における難病患者さんの日常生活を支援し、その自立と社会参加を促進するというこの事業の意義は極めて大きいわけでありますから、申し上げておりますこの議論の経過を拳々服膺して、ぜひその推進に当たっていただきたい、こういうふうに思います。
さて次に、さきの福祉局所管の十二年度決算のときにも触れたわけでありますけれども、高次脳機能障害対策についてであります。
本日の委員会の冒頭で、要求資料に対する説明がありました。一次調査が平成十一年の十月に行われまして、二次調査は平成十一年の十二月から十二年の一月まで行われました。恐らくは、議会における議論としては実は全国で初めてのことであった、このように後日いわれることになった私どもの党の議会における発言、これが引き金となって行われたのが実態調査でありました。
この実態調査は、さまざまな角度からの高次脳機能障害に悩む方々、ご家族のご苦労を大きく顕在化することになりました。他の道府県はもとより、国においても、この東京都の実態調査の結果というものに大きく刮目をいたしまして、国においてもその後一億円の予算が計上されるなど、高次脳機能障害対策に対する施策は、この都議会の議論、都議会の施策の実施を大きなスタートラインとして、これまで続けられてきているというわけであります。
ちなみに、このときの調査で明らかになったのは、都内で高次脳機能障害に悩む患者さんは約四千二百人おられるということ、それから、疾患の原因となるものは旧来の予想を大きく逆転いたしまして、原因としては、脳血管疾患が約八割、それから頭部外傷が約一割、そのほかが一割、こういうふうになっておりまして、脳血管疾患による高次脳機能障害者の方々が全体の八割を占めるという、こういう傾向も明らかになりました。
それから、障害の種類につきましては、失語症や注意障害や記憶障害など約十種類に分けられての調査が行われ、それぞれの状況というものも明らかになると同時に、日常生活の状況もここで明白になりました。また、障害の特性、外観からは認知されにくく、自分でも障害を十分に認知できないなど、さまざまな角度からの特性が明らかになるとともに、こうした理由によって、患者の皆さんは社会復帰が極めて困難であって、患者さんはもとより、ご家族の方々の、例えば二十四時間の介護をするご苦労の日々というものも明らかになってまいりました。
しこうして、この高次脳機能障害といいますのは、これまでの福祉制度や医療制度の対象になっていない、いわば谷間に置かれているということで、新たな施策の構築が必要だということを私は訴えてきたところでございます。そうして、そういう議会での発言等を踏まえて、平成十二年度にこの高次脳機能障害者リハビリテーション等調査研究会が設置をされまして、今日まで、その研究会における活動、検討、研究というものが進められてきたわけであります。
そこで、まずお尋ねをいたします。平成十二年度における高次脳機能障害対策の進ちょく状況、申し上げた調査研究会での活動等を踏まえて、具体的にご報告を願います。
○奥田医療計画部長 高次脳機能障害に関するお尋ねでございますが、ただいまお話がございましたように、平成十二年度の取り組みといたしましては、調査研究会を設置したということで、この研究会では、実態調査の結果を踏まえまして、高次脳機能障害に関する診断技法等をわかりやすく解説するためのマニュアルと、それからパンフレットの作成について具体的な検討をしているところでございます。
○木内委員 今の部長の答弁にありました、診断技法の確立ということを研究されているわけでありますけれども、申し上げたように、福祉制度や医療制度の対象になり得なかった、また、社会に沈潜して問題の社会的認知がなかったというこの状況の中で、最も必要なものの一つが診断技法の確立ということである、私はそう認識しているわけであります。
例えば、診断技法の確立によって高次脳機能障害という認定が行われるようになれば、これによって、いわば福祉や医療の制度の中に具体的に組み入れられる、こういう道が開けてくるからであります。これがないために、いわば福祉の法内、法外作業所での受け入れだとか、あるいはショートステイやデイケアなどの施設の受け入れが、今柔軟に行われている面は一部あるものの、これが完璧に体制、環境として実施されていないという、こういう現状があるわけでありますから、診断技法の確立というのは、今まさにこの問題解決への大きな実は前提条件となる課題である、こういうふうに思っているわけであります。
特に、今ありましたマニュアルとパンフレットの作成ということは、家族の会の方々を初め医療関係者の間でも、あるいは全国的な規模で、この完成が待たれているわけであります。例えば、申し上げておりますように、高次脳機能障害の患者さんをお持ちのご家族の方々向けのパンフレットあるいは対応のマニュアルが一本ある、もう一つは、医家向けのパンフレットというものも待望されているわけでありますけれども、これが一年以上かけてなかなか作成が日の目を見ないというのも、実はこの作成自体が非常に困難な作業であるということは、私はよく理解をしているつもりであります。
その上でお尋ねをいたしますけれども、マニュアルやパンフレットの、申し上げたそれぞれの特徴をどう認識して、どういうものであるべきと考えておられますか。
○梶山参事 調査研究会では、日常生活場面でさまざまな障害があらわれやすいという高次脳機能障害の特徴を踏まえた、医師などの医療従事者向けのマニュアルとご家族向けのパンフレットを作成することとしております。
医療従事者向けのマニュアルは、実際の診療やリハビリテーションの現場で役立つよう、日常生活場面と診療場面での症状のあらわれ方や他の類似の症状との識別方法などを解説し、さらに、症状に合ったリハビリテーションの方法を具体的に解説する予定でございます。
また、ご家族向けのパンフレットは、このマニュアルの中から、日常の生活を送る上で必要な家庭でのサポートの方法をわかりやすくまとめたものとする予定でございます。
○木内委員 今答弁にあったように、医家向けのマニュアル、パンフレットというのは、まさに文字どおりに医療関係の方々がこれを基本として、診断技法等として導入、利用することが考えられるわけでありますから、極めて重要なんですけれども、例えば幾つもの類似の症例、症状が複合してあらわれることが多くて、なかなかその見きわめが難しい、こういったこともあると思うんです。
特に、医療関係者向けのマニュアルを作成するに当たっての困難な問題というのはどこにあるのか、認識をお尋ねします。
○梶山参事 高次脳機能障害は、ご指摘のように、幾つもの類似の症状が複合してあらわれることが多く、一見似たような問題行動であっても、その原因が異なる場合がございます。
現在、症状を確実に見きわめる技法や具体的なリハビリテーション及び援助の方法については研究が始まったばかりであり、確立されていないのが現状でございます。このため、症状と診断のポイント、リハビリテーションの方法を、わかりやすく体系的にマニュアルとして記述していくことが非常に困難な作業となっております。
○木内委員 困難な作業であっても、日々そのご苦労を重ねていただいていることには、私は大きく評価もさせていただくし、また敬意も表させていただくわけですよ。恐らく、こういう議論をしているのは東京都議会だけでありまして、ほかの道府県ではほとんど、ここまで具体的あるいは専門領域にわたっての議論というのは行われていない。国においても、一億円予算計上されたというものの、ここまでのマニュアルの具体的分野にわたる議論までは国会の場では行われていない。
したがって、いろんなご苦労はおありだと思いますけれども、東京都が今、全国の高次脳機能障害対策を牽引しているんだという、そういう自負と誇りとを持っていただいて、ご苦労は多いと思いますけれども、一日も早く成案を得ていただき、診断技法の確立を行い、全国のこの問題で悩む方々への大きな灯台となるように強く要請をしていくわけであります。
さて、この診断技法の確立については、何度も申し上げるように最も難しい課題の一つでありまして、都が作成を検討しているマニュアルは、現段階における診断やあるいはリハビリテーション技法の集大成であって、今後の高次脳機能障害対策の確立に向けた貴重な第一歩になるというふうにも、あわせて思うわけであります。
ちょっと角度を変えまして、国は、先ほど来申し上げておりますように、高次脳機能障害者の支援のためのモデル事業を開始したところでありますけれども、都の十二年度の事業、それから、十二年度をスタートにする今日に至る事業を議論する際にどうしても必要なので、国のモデル事業はどういう内容のものなのか、ご説明願います。
○梶山参事 国の高次脳機能障害者支援モデル事業は、二段階の取り組みから成っております。
まず初めに、事業に参加する道府県の協力を得て十カ所の病院を指定し、さまざまな症例を集積した上で国立身体障害者リハビリテーションセンターが中心となって分析し、高次脳機能障害を判断する評価基準や支援プログラムを確立しようというものでございます。
このモデル事業は、今年度始まったばかりであり、今後五年間を予定していると聞いております。
○木内委員 今ご説明にあったように、症例の集積あるいは症例の分析、評価基準、支援プログラム、この確立に向けてのモデル事業、調査事業といってもいいのではないかと思うんです。これを国が始めたわけです。ところが、東京都は先行して、これは既にスタートしているわけですから、その意味では、事業内容からいって、都の方が先輩になるわけですね。
そういった点もあるんでしょうが、実は家族の会の皆様から、せっかくこれまでいろんな努力が積み重ねられて東京都で進んできた、国の方でも一億円も計上されてモデル事業が行われた、なのに、なぜ東京都は国のモデル事業に参加していないのか、こういうふうにいわれますと、私は申し上げたようなお答えをしているわけでありまして、いわば先行しているからということになるわけですね。
そういうふうに私は認識しているんですけれども、都が国のモデル事業に参加していない理由について、こうした公式の場で明らかにご説明願いたいと思います。
○奥田医療計画部長 ただいま国に先駆けてというお話がございましたが、まさにそのとおりでございまして、少し詳しくご説明申し上げますと、全国に先駆けて平成十一年度に実態調査を行ったということで、その時点で既に、高次脳機能障害に見られる特徴的な症状、これも資料にございますが、十に分類した基準を作成してございます。
現在は、この基準に従いまして、日常生活場面を考慮した具体的な診断のポイントであるとか、あるいはリハビリテーションのマニュアル作成に取り組んでいる段階でございまして、まさに先行した取り組みとなっているために、国のモデル事業には参加していないということでございます。
○木内委員 都が全国に先駆けてこの対策に取り組んだ、このことは国や他の自治体に大きな影響を与えているわけでありますから、他の自治体も国も、東京都の先行したこの事業内容を実は今見詰めているというわけでありますから、なお都の責任は大きいと思いますし、類似した質疑をさきの予算特別委員会で行いまして、今村衛生局長から答弁がありましたときに、石原知事も大きくうなずいて、都のこういう先駆的な取り組みについては大変得心したような印象を強く受けたわけであります。
申し上げるまでもなく、東京都はこれまで、乳幼児の医療費の無償化、あるいはさまざまな福祉や医療の部面において、国に先駆けて福祉施策を牽引し、実施し、国は、これをモデルとして国の施策に取り入れてきたという、こういう長い誇るべき歴史があるわけでありまして、私は、この高次脳機能障害対策についても同じようなことがいえるというふうに思っているわけであります。
さて、この実態調査の実施に加えて、診断マニュアルやパンフレットの作成についてはさきに触れたわけでありますけれども、こうした都のスピーディーな対応というものは、まさに今後もさらに加速して求められると思うんですが、そこで、先ほど触れた調査研究会の報告がいつまとまるのか、マニュアルやパンフレットの作成は具体的にいつになるのか、これを明確にしてください。
○奥田医療計画部長 専門的、技術的に非常に困難な問題も多いわけでございますが、研究会といたしましては、年内に検討結果をまとめていただくという予定になってございます。
マニュアルであるとかパンフレットでございますが、医療機関、福祉施設等に広く配布して普及していく予定でございます。
○木内委員 年内ということですから、来年三月までということで、いわれるように困難な課題はあろうかと思いますが、ぜひ中身の、なるほどと関係者が信頼を置くような、そういうものを完成していただきたいと思うのであります。また、医療機関や福祉施設ということでありましたけれども、まさにこれは、衛生局のマターに限定せず、福祉を初め各局にまたがって、関係機関、分野への配布、徹底、利用方の促進を強く要請していきたいと思います。
さて、高次脳機能障害を持っている方々、あるいはご家族の皆さんが最も頼りにするのは、医療施設におけるリハビリテーション科や地域の通所施設でありまして、また具体的に頼りにするのは、そこで働くリハビリテーションスタッフの方々でありますし、こういう方々には特に、マニュアルを配布するだけでなく、これを重点的に活用して知識、技術を普及するようにもご努力いただきたいこと、これは答弁は必要ありませんが、要望を強くさせていただきます。
ところで、昨年四月のこの各会計決算特別委員会におきまして、私は一般のリハビリテーション医療体制の充実策についてお尋ねをし、これに対して衛生局長は、リハビリテーション協議会を設置して、今後のリハビリテーション医療体制の整備のあり方を検討していきたい、こう抱負を述べられたところであります。
現在、一般のリハビリテーション医療体制の整備について、この答弁を踏まえ、どのような検討を進めておられますか。
○奥田医療計画部長 都におけるリハビリテーション医療体制全体のあり方につきましては、昨年七月に東京都リハビリテーション協議会を設置いたしまして検討しておるところでございます。
ここでは、リハビリテーション医療の提供に当たって、地域の中核的機能を果たす地域リハビリテーション支援センターの整備のあり方、それから、これらのセンターの間の連絡調整であるとか情報交換を行う全都的な機能のあり方などについて検討しているところでございます。
○木内委員 関連して、リハビリテーションスタッフの方々の研修というのも極めて重要な位置づけになると思いますが、この点についてはどうですか。
○奥田医療計画部長 リハビリテーション従事者の研修につきましては、リハビリテーション協議会や地域リハビリテーション支援センターの重要な役割として実施していくことを検討しているところでございます。
○木内委員 一つ一つ、施策の内容というものが確認されて実施されていく。そうした重要性を感じながら、今質疑を行っているわけでありますけれども、このリハビリテーション従事者に対する研修が医療体制の整備の中にきちんと位置づけられることは、やはり今後、時代的展開の中で極めて重要な課題であるリハビリテーション医療の質の向上のためにも極めて重要なことである、こう思うんです。
そこで、これは提案でありますけれども、高次脳機能障害者の診断やリハビリテーションに関する知識、技術の普及については、そうした一般のリハビリテーション研修体系の中にも取り入れて実施することが極めて効率的であると私は考えるものでありますが、どうでしょうか。
○梶山参事 一般のリハビリテーション従事者研修の中に高次脳機能障害に関する知識、技術の普及を位置づけることは、人材や施設の有効活用、あるいは継続的なリハビリテーションの実施といった観点から効率的な手法であると考えております。
今後、リハビリテーション従事者研修の体系の中に、ご指摘の高次脳機能障害の診断やリハビリテーションに関する研修を位置づけて実施していくことについて具体的に検討してまいりたいと考えております。
○木内委員 具体的に検討ということですから、また次の議論の機会にご報告を願いたいと思います。積極的な取り組みを要請しておきます。
もう一点、私のもとには、障害者と家族の会の方から、高次脳機能障害に関する医療機能の中核となる病院の位置づけを明確にしてほしいという多くの要望が寄せられています。
さきに二月、これは福祉局の主催でありましたが、区市町村保健所等の窓口で担当するスタッフの方々を対象にした高次脳機能障害に対する講習会が一日を割いて行われました。ところが、その後、各区市町村、地域に濃淡の差が出てまいりまして、非常に対応のよいところ、それから、そうでないところ、人事の異動等で、東京都主催の講習会に参加した人が継続的な対応へのご努力を少ししなかったようなところが、またもとの状態に戻ってしまったということがありまして、各地域でこの障害に悩む家族が窓口を訪ねても、なかなか今、打てば響くような反応が返ってこないところも出てきた。私、また福祉局を通じて、先日のこの決算委員会で強い意見の表明を行ったところであります。
一方で、もう一つは、医療施設に、各地域の病院等に参りましたときに、ご家族の方々が高次脳機能障害だといって、事前の問診用の書類に書き入れる、あるいは口頭でそれを伝えても、高次脳機能障害に対する知識が十分でなかったり、あるいは医療関係者としての認識がもう一つ不足していたりという、さまざまな要素はありますけれども、医療機能の中でたらい回しにされたり、あるいは木で鼻をくくるような対応をされたりすることが、ややもするとある。
したがって、こういう高次脳機能障害の家族を抱えた私たちが、例えば、この病院に行けば詳しいですよ、この病院に行けばよく対応してくれますよというような体制ができれば大変にありがたいんだ、こういうご意見も強く聞いているわけでありまして、中長期的な医療環境の整備の中で明確な位置づけが行われればと私も強く今願っているところであります。
そこで、例えば墨田区にあります東京都リハビリテーション病院、いわゆる通称都リハ、ここは高次脳機能障害者に対する診断やリハビリテーションに非常に実績がありまして、家族の会の皆さんの期待も高いというふうに聞いております。また、都が実施してまいりました、さきに触れた調査や研究会において、この病院の副院長が部会長を務めているなど、高次脳機能障害者に関する研究や研修の面でも、病院のスタッフの皆さんが大変大きく貢献していると聞いているわけであります。
高次脳機能障害者に関するリハビリテーション従事者研修の実施に当たっても、あるいはさまざまな取り組みの中で、今申し上げております都リハの機能を大きく活用していくべきである、こう考えますが、いかがでしょうか。
○奥田医療計画部長 東京都リハビリテーション病院は、これまでも地域のドクター等を対象としたリハビリテーションの研修会等を実施してまいりました。
ご指摘の高次脳機能障害に関する研修に際しましては、リハビリテーション病院の持つ機能や実績を十分に活用するよう検討してまいります。
○木内委員 以上で、私の具体にわたる質問は終了いたしますけれども、高次脳機能障害対策については、何度も触れるように、国がおくればせながらモデル事業を開始した。しかし、都は、既に先駆けをし、具体的取り組みを精力的に進めてきていただいておりまして、東京都としては、今後とも、こうした高次脳機能障害を持つ人や、あるいはご家族が安心して暮らせるよう、国をリードしていくようなそういう施策を、議会の議論も通じ、積極的に打ち出していくことを強く要望いたしまして私の質問を--それでは局長の抱負をお尋ねします。
○今村衛生局長 高次脳機能障害につきましては、その実態が、一般の方々はもとより医療関係者の間でさえも、いまだ十分に理解されているとはいいがたい状況の中で、ただいま木内委員からご指摘もありましたように、患者さんやご家族のご苦労は大変なものがあると我々も考えているわけでございます。
高次脳機能障害対策につきましては、本会議や予算特別委員会を初めといたしまして、いろいろな機会に木内委員と議論もし、また時には叱咤激励をされながら、いろいろな施策を進めてまいったことでございますが、都が国や自治体に先行いたしまして取り組みを行ってきたとはいえ、残念ながらまだ満足の行くものにはなっていない面もございます。
したがいまして、ただいま木内委員からいただいたご提案を踏まえまして、高次脳機能障害に関する知識、技術の普及啓発に努めるなど、高次脳機能障害対策の一層の充実に努め、関係者のご要望にこたえてまいりたいと、こう考えております。
○清水委員 私は、衛生局の十二年度決算が提案されておりますが、これが都民の立場からどうなんだろうかということを検証するために、この間、都立梅ケ丘病院、母子保健院、八王子小児病院を訪ね、小さく生まれ、必死で生きようとしている新生児や、病気を克服するために、ベッドの上で泣くのをこらえて看護婦さんや母親を待っている幼児などを見てきました。そして、障害を持った子どもを、体がぼろぼろになりながらも、明るく子育てに頑張っている多くの父親や母親の声を聞いてきました。空前の少子化といわれる中で、この小さな命を守るために行政に課せられた責任は非常に重いことを痛感してきました。小児医療の充実強化は、緊急に取り組むべき課題です。
私は、本当ならば、都立病院改革として、これは地元からいえば廃止と同じことである府中への統合が警告されている八王子小児病院について触れたいところですけれども、直接の会計ではないということですので、その意味を込めて、小児救急医療、周産期医療の充実について伺いたいと思います。
平成十二年九月に東京都救急医療対策会議から、東京都における今後の小児救急医療体制のあり方の報告が出されました。この報告書では、入院を必要とする二次救急医療機関について、固定通年制で小児科医師が常時診療できる医療施設を約六十病院七十床程度整備すべきとされています。この報告を受けて、都は、十二年度は準備をしてこられたということで、ことし四月から、五十一病院七十三床を確保し、整備されてきたと聞いています。
さて、これを二次保健医療圏域別に見ると、一病床数当たりの年少人口、十四歳以下はどのようになっているでしょうか。多摩地域内での状況についても、あわせて伺います。
○梶山参事 都全体を二次保健医療圏別に見ると、最も少ない区中央部保健医療圏が一床当たり六千八百七十一人、最も多い区東部保健医療圏が一床当たり三万八千九百七十人と、地域により差がございます。区部、多摩ごとの平均で見ますと、一床当たりそれぞれ約一万九千人と、ほぼ均衡しております。
なお、多摩地域においては、最も少ない北多摩南部保健医療圏が一床当たり一万三千八百八十二人、最も多い西多摩保健医療圏が一床当たり三万十九人となっております。
○清水委員 報告の整備施設数六十病院に対して、実際には五十一病院でありますが、これを区部、多摩に分類して、一病院当たりの年少人口を比較するとどのようになるでしょうか。
○梶山参事 区部の平均では、一病院当たり二万五千九百三十八人、多摩の平均では、一病院当たり三万二千三百六十七人となっております。
○清水委員 今お聞きしたところによりますと、二次保健医療圏別の実態を見ると、区部、多摩と区別をすると、病床数はほぼ均衡しているということがわかりましたが、病院数という点になると、その配置にアンバランスがあるというふうに思います。
また、病床数でいいますと、区中央部の六千八百七十一人と、区東部の三万八千九百七十人、区の中でも大きくまだアンバランスがありますし、多摩の中でも、先ほどご答弁がありましたように、西多摩では一床当たり三万を超えるということで、区の中央部と比べても大きな差があるわけですけれども、この施設数などのアンバランスについてどのようにお考えになっているか、伺いたいと思います。
○奥田医療計画部長 休日・全夜間診療事業に参画していただいております病院を二次保健医療圏別に見ますと、一部、地域的に偏在しているという面があるのも事実でございます。
地域の医療機関の実情を勘案しながらも、今後とも参画施設の確保に努めてまいります。
○清水委員 区部の場合、東部の三万八千を超える一床当たりの人口というのは、これも大変大きいんですけれども、それでいいということではありませんけれども、区部の場合は、交通、また大きな病院なんかも、ほかにもあるということも予想されるかもしれませんが、特に交通の面を見ても、最も困難な地域である多摩地域の中で、この西多摩地域の確保が求められているというふうに思うわけです。
今、充実をさせていく、確保に努めるといわれましたけれども、なかなか困難な課題であると思うんですが、その中で実績をいただきました。この実績をいただいたところを見ると、五十一の施設の中で、都立の八王子小児病院が、救急車による搬送患者数は三百十五人、入院患者数は二百二十六人で、これは救急車で一日当たり三・五人が運ばれ、二・五人が入院していることになります。全都五十一施設の中で最も多く、ほぼ満員の状況となっていますが、こうした点から、今、数のご答弁がありましたように、南多摩圏域でもまだ十分ではありません。
そして、西多摩圏域では、非常に大きなアンバランスがある中で、都立八王子小児病院がこの面における果たす役割は非常に重要であるというふうに考えますが、所見を伺います。
○奥田医療計画部長 ご指摘のとおり、都立八王子小児病院が、休日・全夜間診療事業の参画施設として地域において非常に重要な役割を果たしてきたということについては十分認識してございます。
○清水委員 さて次は、もう一つ資料をいただいておるんですけれども、小児科及び産婦人科標榜医療施設数ですけれども、このうち小児科の診療数について、多摩、区部に分類して一診療所当たりの年少人口を比較するとどのようになるのか、お伺いしたいと思います。
○梶山参事 区部では一診療所当たり三百七十人、多摩では一診療所当たり六百十五人となっております。
○清水委員 今お答えいただいたように、一般の小児科の数も、これは一般的にいわれていることですけれども、全体としても少ない。しかも、多摩地域での診療所、小児科の数が大変少ないということもわかりました。
やはり、多摩と区部では、小児医療を担う診療所にしても格差があるわけですけれども、こうした小児医療に関するアンバランス、格差を踏まえて、特に初期救急医療の体制についてどのような対応を考えていくのか、お伺いいたします。
○奥田医療計画部長 初期救急医療体制の体制整備が多摩地域の課題であるということについては、十分認識してございます。今後とも、実施主体である区市町村と十分連携を図りながら、休日、夜間急患センターなど固定施設での診療体制の確保に努めてまいります。
○清水委員 小児医療の体制について今実態がわかりましたが、小児医療はもういうまでもないことですけれども、成人と異なり、容体が急変しやすいなどの特性があり、また身近な地域で医療が確保される必要があるといわれています。特に、過疎状態の著しい多摩西南部地域住民医療機関の要請にこたえているのが八王子小児病院であるということもわかりました。その役割は大変重要だというふうに思います。小児の新しい医療機関を整備することが困難なとき、多摩西南部に都立小児病院を残すということがますます重要になってきているんではないかなということを、今の実態のご説明や、ご答弁の中から感じたところです。
次に、NICU、新生児集中治療管理室の整備についてお伺いいたします。
東京都の衛生年報によりますと、東京都の母子保健医療の出生数に対し、低体重児の出生動向は、一九八〇年には出生千対比、千人に対する比が五一・六%だったものが、一九九六年には七五・五%となり、二〇〇〇年には八六・六%となっています。近年、低体重児、未熟児が増加しているわけですけれども、その理由についてお伺いしたいと思います。
○長岡健康推進部長 低体重出生児、いわゆる未熟児の増加の要因といたしましては、出産年齢の高齢化や、不妊治療によります双子や三つ子など多胎の増加、こういったさまざまな要因があると考えられております。
○清水委員 もう一度伺いたいんです。その傾向というのは、今後どのようになっていくというふうにお考えですか。
○長岡健康推進部長 先生、先ほどご指摘ございましたように、二千五百グラム以下につきましても全出生に占める割合というのは増加しているわけでございまして、今後とも高年齢の出産がふえる、あるいは多胎妊娠がふえるというような状況でございますので、全体的にはそういった傾向にございます。
○清水委員 技術が進歩していって、今まででは死亡してしまっていた低体重児の子どもが生き続けることができるということは、今の少子化の中で大変重要なことだというふうに思います。医療の技術の進歩を痛感するわけですが、医療の現場ではそうした低体重児が、未熟児が障害にならないように、障害をできるだけ少なくさせて生存させていこうというふうに、障害なき生存というようですけれども、努力をされているというふうに伺います。
未熟児が後遺症を残さずに健全に発育するには、生まれた後にどのような医療が必要だというふうに考えておられますか。
○長岡健康推進部長 未熟児、特に千グラム未満の超低体重出生児につきましては、呼吸器系や循環器系の未熟性に伴い、重い合併症を併発する可能性がございます。こういったために、周産期母子医療センター等におきます迅速かつ適切な専門的な医療が不可欠でございます。
○清水委員 迅速ということをいわれましたけれども、それはできるだけ別の医療機関に移すという場合には、搬送時間を縮小していくということが重要であることはいうまでもないわけです。そのために、八王子小児病院にはドクターカーの配備が行われて、年間四百件を超える出動が行われて、そうした小さな命が守られている、そういう認識のもとで行われたというふうに思います。
さて、今度は、無事に出生した未熟児が自宅に退院した後、母親には通常以上の不安や悩みが起こってきます。発達に障害がある乳幼児の場合には母親の育児困難が予想されて、虐待などもかなり高いケースで起こってくるのではというふうにもいわれています。障害に対する正しい理解、また受容度によって、誤った対応を最大限避ける必要性が生まれているわけですけれども、退院後、未熟児、新生児の定期的な発達健診、神経学的後遺症の早期発見、発達遅滞児の理学療法、栄養相談などが考えられますけれども、未熟児のフォロー体制についての所見をお伺いしたいと思います。
○長岡健康推進部長 周産期母子医療センター等を退院した子どもにつきましては、その医療機関で定期的にフォローされているのが一般的でございます。
また、未熟児の出生連絡票などによりまして医療機関から保健所等へ連絡がとられた場合には、連絡を受けた保健所等で訪問指導あるいは未熟児を持つ親のグループ活動への支援など、必要な保健サービスを提供しているところでございます。
○清水委員 現在九床になったNICUの病床を持つ八王子小児病院から退院をしていった方々は、今話がありましたように、その医療機関で定期的にフォローされているということで、事業概要を見ますと、年間一千百件以上の未熟児追跡外来相談ということで行われているようです。障害を持った子どもの親の皆さんも、子どもを抱えて通ってフォローをされているということです。
さて、長期の入院が必要ということで、それを解消するということからも、未熟児が長期間の入院から自宅に人工呼吸器を置いて生活できる在宅人工呼吸療法というものが開始されていると思うんです。これはどのような医療ケアが必要か、お伺いします。
○長岡健康推進部長 気管切開などがなされ、呼吸管理を要する患児の場合は、一般的には主治医の管理のもと、気道の十分な加湿・吸引とともに、その適切な衛生管理が必要となってきております。
○清水委員 未熟児のフォローにしても、在宅人工呼吸療法も、八王子小児病院は未熟児追跡外来、外来での心理相談によってきめ細かく対応されています。それは、生まれたときからの経過を把握していて、使用できない薬がたくさんある中で適切な治療を素早くしてもらえる。長い期間のかかわりの中で積み重ねられてきた経験と信頼から生まれた関係の中で行う医療として、なくてはならないものとなっています。今の二つの面からも、八王子小児病院の存続が強く求められているというのが実態なのです。
さて、平成九年度に周産期医療対策事業を都は開始しました。事業開始以来の最近の資料については、先ほどの資料の中で出されております。百七十七床ということで出されていますが、この間、それぞれ区部、多摩地域別に何床ふえてきたのか、お伺いをしたいというふうに思います。
また、千人に対する比率で見ると、どうなっているでしょうか、お伺いいたします。
○長岡健康推進部長 周産期医療対策事業を開始した平成九年度以降、NICU、新生児集中治療管理室は、区部で二十六床、多摩地域で三床増加しておりまして、平成十三年八月末現在で、都全体で百七十七床が整備されているところでございます。
現在、出生千人に対します比率で見ますと、区部では千対二・三床に対しまして、多摩地域では〇・八床となっております。
○清水委員 この間、二十九床、大変維持管理費などもかかる中でふやされている努力は大変評価をしたいと思いますが、この二十九床の中で二十六床が区部、三床が多摩ということで、この周産期医療対策事業というのは多摩地域に重点的に力を入れよう、今いわれたように二・三床に対して〇・八。二年前に伺ったときは二・二対〇・七だったわけですけれども、その不足している多摩地域にふやそうということで進められてきていたと思うんですが、多摩地域にふえていかなかった理由はどのようにお考えですか。
○長岡健康推進部長 多摩地域で整備が進まない理由といたしましては、一つは区部に比べまして周産期医療に対応し得る総合的な医療基盤を整備している医療機関が少ないこと、二つとしましては、新生児医療を専門とする医師、看護要員等の確保が難しいこと等があり、そういったことが多摩地域で整備が進んでいない理由でございます。
○清水委員 それでは、この間どのような対策を講じているのか、伺いたいと思います。
○長岡健康推進部長 多摩地域におきます周産期医療センターと新生児医療に対応可能な十二の医療機関との連携を推進しまして、ハイリスク新生児への医療提供体制のネットワーク化を図るため、平成十二年度から多摩地域周産期医療連携強化事業を実施しているところでございます。
○清水委員 現在、今ご説明いただいた多摩地域周産期医療連携強化事業の実績はどのようになっているでしょうか。その内容についてもご説明ください。
○長岡健康推進部長 平成十二年度の事業実績でございますが、三十四件の利用がございまして、延べ入院日数は六百五十九日でございました。
実際にどんな市町村から搬送されたかということでございますけども、搬送元の市町村としましては、八王子市が二十件と最も多く、次があきる野市で四件となっております。
搬送先でございますけれども、その病院につきましては国家公務員共済組合連合会立川病院の十件が最も多く、次が公立昭和病院と日野市立総合病院の七件となっております。
○清水委員 十二年度の三十四件の新生児の出生体重について伺います。
○長岡健康推進部長 三十四件の出生体重は千五百八十六グラムから四千百二十二グラムでございまして、平均いたしますと二千五百七十五グラムとなっております。
○清水委員 この事業の趣旨、目的は、NICUが満床のときに新生児医療に多様な医療機関との連携ということで行われているというふうに思うんですね。本来ならば、NICUにどうしても入る子どもは別の施設に搬送するというふうに伺っていますけれども、しかし、この目的がNICU満床時に、依頼によって受け入れた多摩地域の新生児医療に対応できるということは、これはこれで、それまで整備される期間の中で重要なことではあるし、この三十四件も無事に元気に育っているということでありますから、それはそれで重要なことだと思います。
しかし、平成十四年に向けて答申、報告などでは二百床を整備するということで進めてきて、現在百七十七床ですよね。それがいつまでかということは、また後で伺うにしても、二十三床不足していると。多摩地域では三床しかふえていない。だから、かわりのものでこれをやったんだということではありますけれども、しかし、本来ならば、このNICUが整備された周産期医療センターを多摩地域にふやそうということが東京都の目的であるわけですから、具体的にはこの整備する必要性は変わらないというふうに思うんですけれども、どのように働きかけをしてきたのか、今後の見通しについて伺います。
○長岡健康推進部長 多摩地域にございます三つの周産期母子医療センターと、先ほど申し上げております十二の協力医療機関からなります多摩地域周産期母子医療連絡会を定期的に開催しておりまして、相互に連絡を密にするとともに、協力医療機関につきましてはセンターとしての整備をするよう、機会あるごとに働きかけをしているところでございます。今後とも、多摩地域の周産期医療体制の充実に努めてまいります。
○清水委員 今、十二の医療機関といわれましたけれども、武蔵野赤十字病院とか青梅市立総合病院とか町田市民病院とか日本医大多摩永山病院とか、多摩地域で新生児医療に対応できる医療機関に対して働きかけを行ってこられたと思うんですね。多摩地域に少ないからということで、特段の力を入れてこられたと思うんですけれども、それが今日、なぜまだ実現していないんでしょうか。こういう病院があるんですけれども、なぜ実現していないんでしょうか。
○長岡健康推進部長 先ほど来お答えしているところでございますけれども、多摩地域には、先ほどお答えしました十二の協力医療機関につきましては新生児医療に対応ができ、複数の新生児専門医がいるなど、レベルの高い医療が提供できる医療機関でございますけれども、看護体制の整備等で、まだ診療報酬上の周産期医療センターになっていないという、そういったような状況がございます。そういった意味で、周産期母子医療センターとして位置づけがされるよう、今後とも協力をお願いしていきたいと思っております。
○清水委員 かなりの職員、三床に一人とか、かなりの高い人員配置が必要だということで困難だと思うんですけれども、絞って、多摩地域でもし今後NICUの病床を持った病院がふえていくとしたら、十二全部が、私立病院とかなかなか困難な病院もあると思うんですけれども、どのような病院が可能性が大きいというふうに思いますか。
○長岡健康推進部長 現在十二の医療機関がございますけれども、その中でどういったお子さんであれば対応可能であるかということで調査をしているところでございますけれども、新生児医療、本当に専門的な医療が必要である一千グラム未満に対応できるような医療機関、あるいはもう少し一般的な千五百グラム程度に対応できるような医療機関、さまざまでございますけれども、既に一千グラム以下の超未熟児にも対応できる医療機関がこの中で数カ所ございます。そんな状況でございますので、もう少しの時間が必要かなというふうに感じております。
○清水委員 区内で整備されているところを見たり、それから多摩でこの間整備されたところは三鷹市の杏林大学病院ですか、ですからかなり大きな、職員の手を持っているところが対応できるというふうに予想されるわけですけれども、それでは今年度、八王子市に開設が予定されております東海大病院はかなり大きな病院だというふうに思うんですけれども、そこに対してはNICU設置の働きかけを東京都として行ったのか、伺いたいと思います。
○長岡健康推進部長 東海大学八王子病院の開設に当たりましては、病院と地域での連絡会で、病院側から周産期医療スタッフの確保が困難なことから、NICUの設置は難しいという話があったと聞いております。
○清水委員 東京都がどのような働きをしていくのかということを聞いたこととは、対応が余りにも緩やか過ぎるんじゃないですか。東海大病院、大きな大学病院ができるという、その時点で可能性があったと思うんですよね。しかも、九年の後に青写真なんかもできて進められてきているわけですから、NICUを整備するとなれば、場所の確保とか、いろいろと改善したりするのが大変なことがあるでしょうから、新しい病院ができるというときに、今のお答えだと話があったと聞いているということで、それは東京都は聞いたという話で、都がここにふやす、そういう努力はしてこられなかったんですか。
○長岡健康推進部長 東海大学につきましては、本院につきましてはNICUを設置しているというふうに聞いております。一つの大学で分院も含めてNICUを設置するのは、大変困難だというふうに理解しております。
○清水委員 そうすると、報告などでは二百床を十四年までに整備しようということで進められてきているわけですけれども、では、残り二十三床をどこでふやすというふうに考えているんですか。
○長岡健康推進部長 都内で二百床の計画につきましては、都内全域でということでございますけれども、できるだけ地域的な偏在がございます多摩地域について整備していきたいというふうに考えております。
○清水委員 杏林大学病院、多摩永山病院、それから八王子市の東京医大医療センター、それから東海大病院ということで、それらが大体大きな病院なのかなとも予想されるんですけれども、そういう中でずっとやってこられて、この五年間で三床しかふえていない。それをどうやって、しかも東海大学ができるときにも困難かなということで、それを受けとめてしまった。では、これからどうやってふやしていくんですか。
私は、それについて平成十二年、やはり決算特別委員会のときに質問をいたしました。それは、八王子小児病院が移転改築する際には、このときにはそういう計画で進められてきていましたから、移転する際にはNICUは増床するんですかというふうに質問しました。これ、衛生局の決算ですから、病院のことは聞いていません。NICUは増床するんですかと聞きました。
そうしましたら、当時の病院事業部長は、八王子小児病院は、多摩地域における新生児救急医療の中心的役割を担う周産期母子医療センターとして拡充していく計画である。現在、局内に八王子小児病院建設検討委員会を設置し、その医療機能やNICUを含む病床規模について検討を行っている。そのときに私が、民間では受け入れるところもあるけれども、困難が伴うものであるから、少なくとも今の九床から三床、六床というふうにふやせるのが、この都立の八王子小児病院ではないでしょうかということで伺って、そういうご答弁をいただいたわけなんですけれども、そのことについてどうなってきたんでしょうか。
○大塚病院企画担当部長 昨年二月、お話の八王子小児病院建設検討委員会を設置しました後、昨年九月、知事の諮問機関として都立病院改革会議が設置され、八王子小児病院を含む全十六都立病院の今後のあり方につきまして、都立病院の果たすべき役割を初め、原点にまでさかのぼった議論を積み重ね、その報告が本年七月提出されたことはご案内のとおりでございます。
この報告によれば、多摩地域に不足する周産期医療の充実も視野に入れまして、清瀬、八王子、梅ケ丘の三つの小児病院を統合した、小児の心から体に至る総合的で高度、専門的な医療を提供する小児総合医療センターを府中病院隣接地に設置すべきであると提案されております。
今後、報告内容を十分に尊重いたしまして、行政としての計画であるマスタープランを年内を目途に策定していきたいと考えております。
○清水委員 その中間が何もないじゃないですか。八王子小児病院の中で今検討会を設置して、増床規模などについても検討を行っている、そして今に至っていると。その中間が何もない。なぜかという理由が全くないと思うんですよね。
それで、清瀬がNICU六床、八王子小児病院が九床、十五床ですよ、現在。そして、杏林病院が三床、十八床。あと二十三床、それに上乗せして府中でつくるんですか。私が聞くところによると、だれがいったということじゃない、清瀬の六床と八王子小児病院の九床を合わせた十五床程度だというふうに私は予想するわけです。
そうしたら、多摩地域でふえないどころか、しかも八王子小児病院がある場所というのは、先ほどから問題にしている多摩西南部に一カ所もなくなっちゃうじゃないですか。搬送する時間を減らさなきゃいけない、身近なところでフォローしなければいけない、そういうことが予想されているのに、期待されているのに、今の計画ではこのNICUの整備、これまでずっと東京都がやってきた、その進めてきた内容からも全然整合性がないんではないんでしょうか。
私は、やはり空前の少子化といっている中で、子どもの命を本当に守るために、この計画では安心して若い人たちが出産できるかというようなことも考えられるわけですけれども、こういう多摩西南部からNICUが一カ所もなくなってしまうような計画、こういう数もほとんどこれから可能性がなくなる。先ほど最初にいわれましたように、未熟児はふえていくだろうというような中で、子どもの命が本当に守れるんでしょうか、お伺いいたします。
○長岡健康推進部長 周産期母子医療センターと新生児医療に対応可能な医療機関等との連携を強化するとともに、都と地元自治体、地域医療機関等がそれぞれの役割を担って密接に連携する中で、今後とも多摩地域の周産期医療体制の充実に努めてまいります。
○清水委員 小児医療の充実と、それからNICU、それからその後の親などへの支援などについて述べている声を紹介したいというふうに思います。これは、八王子小児病院の院長の事業概要の前書きに書かれている言葉です。
拡大、増加する小児医療の需要に対応すべく、当院の診療内容の充実、施設の拡張、改造が必要となっていますが、当院は敷地が狭く困難な状態であります。現状を少しでも改善するために、平成十一年一月より開始された在宅人工呼吸管理と患者の訪問医療は、長期入院の人工呼吸管理患者のQOLの向上など診療上の前進が期待され、病院としても病床利用率を高め、在院日数の短縮などの効果を期待しましたが、反面、在宅患者の増加が担当する医師や看護婦の仕事量の増加となり、現状の人数では負担となってきています。
この状態を受け、平成九年八月に設置された都立八王子小児病院の在り方検討委員会は、平成十一年六月までに七回開催され、周産期医療センターの機能を有し、小児救急医療にも適切に対応できる小児医療施設として、当院を移転改築する方向性を持った今後のあり方についての報告書をまとめ、病院事業部長に提出しました。この報告を受けて、早期の移転改築が望まれるところではありますが、昨今の都の財政状態や医療を取り巻く諸事情をかんがみると、不安材料は多々あり、確たる方向性が望まれるところであります。
二十一世紀の超高齢社会を目前として、空前の少子化状態にある次世代を担う子どもたちの健全な育成は、我が国の将来に極めて重要な問題であります。新生児から思春期までの子どもが各種疾病から回復し、健全に成長、発育するためのお手伝いをする我々の仕事の意義をかみしめながら、職員一同力をあわせようということで、これは院長先生が狭い中で、そして大変な中でやられている実態です。
それから、NICUを利用した親の声です。平成七年二月、長女の出産時、急遽帝王切開となったが、仮死状態ですぐにNICUへということになったものの、そのとき八王子小児のNICUが満床ということで、新宿の東京医大へ搬送。おかげさまで適切な対応で、長女は現在一年生。元気で学校に通っている。
それから三年後、双子を妊娠し、二十五週で破水。一たんは板橋区内の大学病院へ母体搬送されたが、やはりそこでもNICU満床のため都立大塚病院へ。帝王切開での出産となった。生まれた二人は両方とも約一キログラムという、小さく細く、見るにたえない体。未熟児という世界に初めて飛び込んだが、それからは地獄のような日々が続いた。体重一グラムの増減に一喜一憂しながら、自宅八王子から大塚へとひたすら通ったが、残念ながら長男は二カ月足らずで短い命を閉じてしまった。気管内挿管、たび重なる感染症、気管切開、そして脳の障害。過酷な試練ばかり、先の見えない不安に押しつぶされ、気が変になりそうな暗く長いトンネルの中のような日々だった。
それでも、一年がたち、ようやく何とか自宅でという見通しが立ったとき、やはり距離の問題は大きく、八王子小児に移してもらえることになって、結果どれだけ助かったことか。八王子小児に移って外出外泊を重ね、やっと退院が実現し、週一回のカニューレ交換も車で二十分という、近いからこそ何とか通うことができた。子どもは気管内吸引という医療的行為が必要不可欠。食事、入浴、排せつ、着がえもすべて要介助。それでも家族そろって自宅で生活できるのは、何といってもいざというとき、カニューレが抜けるなどのとき、近くに病院があるからという安心感だ。
私の体はぼろぼろ。つらくてもむち打って、何とかやっと毎日生活している。子は座位もとれず、いつでも吸引器が手放せないため、通院、リハビリなど移動手段はすべて車。電車には一度も乗ったことがない。当然のことながら、万が一、車で事故が起きたとしても、疲れていたからといって済まされるはずはない。私の人生において、NICUがいっぱいという経験を二度している。都内にはNICUのある病院が幾つかあるが、今の状況で、多摩地区で八王子小児がいっぱいだったときの対処は、遠方へ運ぶことになるが、へその緒や血がついた生まれたての子の搬送は、距離があればリスクが高くなるのは当然。
私は、東京の小児医療を充実させる道は、都立小児病院の統廃合ではなくて、八王子小児病院は存続させ、これまで予定されていたとおり、移転拡充する道しかないというふうに思います。だからこそ、そういう声が強いからこそ、八王子市民こぞって、議会こぞって要望をしているわけです。改革というならば、子どもの命を守る改革を進めていただきたいことを要望して、質問を終わります。
○大山委員 衛生局の十二年度決算とういことですので、まず最初に、衛生局の衛生費がどうだったのかということを見てみたいというふうに思っています。
いただいている一般会計決算説明書の三ページには、歳出のところに衛生費があります。執行率は九一・一%というふうにあるわけですけれども、まず最初に伺いたいのは、一般会計予算現額に占める衛生費の割合の推移を、平成九年から十二年度まで示してください。
○齋藤企画担当部長 都の一般会計予算現額に占める衛生費の割合ということのお尋ねでございます。
平成九年度では約二・五%、十年度では二・四%、十一年度は二・三%、十二年度では二・二%でございます。
○大山委員 今のが予算に占める衛生費の割合で、二・五、二・四、二・三、二・二ということですね。
それでは、一般会計支出済額に占める衛生費の割合の推移を、同じく九年度からお願いします。
○齋藤企画担当部長 一般会計支出済額に占める衛生費の割合でございます。
平成九年度は約二・四%、平成十年度は二・二%、十一年度二・二%、十二年度二・一%でございます。
○大山委員 今、予算に占める割合と、それから決算に占める衛生費の割合ということを年を追って示していただいたわけですけれども、四年間連続して、予算でも決算でも衛生費の比重が低下しているということは明らかです。これは、都民の皆さんの命や健康、それに直接かかわる衛生行政を進める上で大きな問題だというふうに思っています。保健や医療の拡充のために努力していただきたいと思っているわけです。
もう一つ、全体のことでお聞きしたいんですけれども、十二年度を見ても、予算での衛生費の割合より、決算になると占める割合が低くなる。十二年度を見ますと、予算では二・二%、決算では二・一%というふうに下がっているわけですけれども、これはどういうわけでしょう。
○齋藤企画担当部長 執行段階での実績残等によります不用額というものが予想より多いものですので、そういった関係で、現額に比べて支出済額の方で割合が小さくなっているものと考えております。
○大山委員 予算の段階では、財源がない財源がないということで削りに削って、しかもその削った予算を、決算の段階では百三十一億円も使い残しているということなんですね。本当に予算に対する信頼を揺るがす問題だというふうに思っています。
百三十一億円もの不用額ということですから、これは本当に、ただ使い残しが多かったということだけじゃなくて、これだけ不用額にしてしまったということに対してはどのように思っていますか。
○齋藤企画担当部長 不用額についてのお尋ねでございますが、ただいま百三十一億円ということでお話があった内訳を申し上げますと、職員費の減、残で約二億九千四百万、それから実績残としまして約百五億、また経費節約で約二十二億円となってございます。
このうち、実績残の百五億でございますけれども、委員ご案内のとおり、衛生局ではさまざまな病床整備等の補助事業がございます。補助事業の中で、申請者からの見込みを毎年見込んで予算をつくっているわけですけれども、諸般の事情から、申請が少なくて補助金額が少ないというようなものと、それから医療費助成の関係で、これは患者さんの医療にかかった費用というものが、予想は、なるべく受け皿を多く用意しておきましても、結果的に申請が少ないというようなことから少ないというようなものが大宗でございます。
○大山委員 いろいろおっしゃいましたけれども、それでは具体的に見てみたいと思います。
この十二年度というのは、まず精神障害者に関してですけれども、九年度に局は精神障害者福祉元年というふうに位置づけて、施策の充実を目指すというふうにいい始めてから四年目の年になるわけですね。
具体的に伺いますけれども、精神障害者グループホーム運営費補助、これが説明書にあるわけですが、これは九三ページですね。これを六千六百万円も不用額としていますけれども、これはどうしてですか。
○金田医療福祉部長 不用額の内訳としては、交通費、施設借り上げ費などの経費で、実績に応じて補助していることから不用額が生じたものであります。
○大山委員 グループホームの運営費補助ですね。交通費というのはグループホームでは要るのでしょうか、わからないんですけれども、ではグループホームに関してはどうですか。
○金田医療福祉部長 先ほどのは、全体の通所授産施設とか共同作業所、援護寮、福祉ホームなどのことで申し上げましたので交通費がございましたが、グループホームでございますと、施設借り上げ費などの経費で、実績に応じて補助しているところから不用額が生じたものでございます。
○大山委員 六千六百万円も不用額になっているわけですけれども、それでは、精神障害者社会復帰施設の今後のあり方についての検討会というのが十二年の十一月に中間のまとめを報告しているわけですけれども、その中で、日本精神神経学会の調査分析の方向に照らして、都内における必要数量を試算しているページがありました。活動の場、生活の場、これはいろいろありますけれども、充足率はどうなっていますか。
○金田医療福祉部長 「精神障害者社会復帰施設の今後のあり方について-中間のまとめ-」によりますと、社会復帰施設の必要数量及び充足率の試算では、充足率は、活動の場で六七・五%、生活の場で一一・〇%となっております。
○大山委員 先ほどからお話ししております、六千六百万円不用額が出ているグループホームなど、これは生活の場ということですね。この生活の場の整備が、日本精神神経学会の調査分析で、東京都が、局が、検討会が分析--それに照らしてどのぐらい充足しているかといったら、生活の場は一一・〇%だと。一割ちょっとしか充足していないんだということですから、局としても、グループホームなど生活の場は圧倒的に不足しているというふうに認識されているということだと思います。
ところで、先ほど申請の数などによるというふうにおっしゃっていましたけれども、グループホームで、十一年度、十二年度、東京都の補助金を要望したグループホームの数と、実際補助対象になったグループホームの数というのを教えてください。
○金田医療福祉部長 平成十一年度は七ヵ所、平成十二年度は十ヵ所の要望がございましたが、補助選定基準に基づき、それぞれ四ヵ所を補助対象といたしました。
○大山委員 申請は七ヵ所、そして十ヵ所あったけれども、それぞれの年度は四ヵ所の、新規しか補助対象にしなかったということなんですね。予算で、新規は四ヵ所だから、四ヵ所だけしか認めないというんではなくて、不用額が出るというのはあらかじめ予測されるわけですから、使い残すのではなくて、申請してきた、要望を出してきたところには積極的に認めるべきだというふうに思います。そういう姿勢がなければ、いつまでたっても進まないんじゃないかと思っています。これが生活の場ですね。
もう一つ、共同作業所、これは活動の場ということですけれども、十二年度、この決算年度は、予算がないんだということで、お金がないんだということで、新規申請はストップだということにした年ですね。関係団体初め、さまざまの方々から、何とか新規を認めてほしいという切実な要望が寄せられていたわけですね。
私のところにも、十一年度で共同作業所を申請して、その方、もう私財をなげうって、仕事もやめて専念をして、東京都の補助金を待ちに待っていたわけですけれども、十一年度はだめだということで、実際運営しているんだけれども、十二年度はゼロですといわれて、本当に必死になって、病気になりながら、これ以上補助が出なかったら、もう立ち行かなくなるんですというせっぱ詰まったようなところで、ようやく十三年度は出たわけですね。
こうやって削っておきながら、共同作業所のところは八千八百万円も使い残しているわけですね。本当にこれ、都民の皆さんは納得できないということだと思うんですよ。補助金に余裕ができたんだったら、年度途中でもどうして新規受け付けをしないんですか。
○金田医療福祉部長 補助金の申請に対しての受け付けでございますけれども、区市町村からの要望等に対しましても、補助対象選定基準に基づきまして、施設の適正配置に配慮しつつ、運営状況、地域との連携を総合的に判断し、選定しております。
○大山委員 今のやりとりは、十二年度は共同作業所は新規ゼロだといって、申請さえも認めなかったわけですよね、それで八千八百万円も共同作業所の運営費補助で使い残している、これはおかしいんじゃないですかという質問です。
だから、本当に必死になって頑張っている、実際もう運営している共同作業所が、のどから手が出るぐらいに補助金が欲しいにもかかわらず、不用額を出しているわけですから、これは到底納得できるような代物ではないというふうに思っています。
精神障害者授産施設も活動の場ですけれども、十三年度の予算の段階から、都加算の補助が削られた上に、国の措置にある乙地だとか丙地など、いわゆる級地格差を導入しました。これにより、福祉局の知的障害や身体障害の授産施設に比べて、今までも格差があったんですけれども、今まで以上の格差が、とりわけ多摩地域の乙地や丙地で生まれて、深刻な問題となっています。この問題は早急に是正されるよう、厳しく求めておくところです。
続きまして、成東児童保健院についてです。
成東児童保健院というところは、気管支ぜんそくを初めとして、膠原病だとか心臓病だとか腎臓病だとか、いろいろな難病など、医療を必要とする子ども、なおかつ、虐待があったり親の病気があったり家庭崩壊など、さまざまな理由で家庭で養育できない子どもたちのために、医療と福祉を同時に保障するという施設ですね。医療と福祉を同時に保障しながら、なおかつ、地元の成東の幼稚園、小学校や中学校、そして養護学校や高校などにすべての子が通えているということですから、本当に子どもとして当たり前の生活を保障しているところが成東児童保健院というところです。
十四年度末で廃止するという方向を出したのが、この決算年度であります十二年度です。日本じゅう探しても、ここと岩手の施設だけという、病院も併設した虚弱児施設という貴重なものでありますし、最初のうちは栄養失調だとかいろいろあって、年々ぜんそくが多くなって、アトピーだとかもふえてというように、時代とともにその役割を変化させながら成長してきたのがこの成東児童保健院です。
今は、先ほど清水議員の質疑にもありましたけれども、高度医療で超未熟児でも命を救うことができるけれども、その反面、育てにくさからの虐待も高い率であらわれることが統計でも出ているというのが明らかになっています。成東児童保健院の役割というのはますます重要になってくるということは、私自身、繰り返し議会の場で訴えてきたところです。
まず最初に伺いたいんですけれども、決算説明書の六八ページに児童福祉施設費というのがありますが、成東児童保健院の管理運営費が出ていますが、予算現額に対して、支出済額がかなり少ないわけですが、これはどういうことなんでしょうか。
○長岡健康推進部長 ただいま予算規模と決算規模のことであろうかと思いますけれども、平成十二年の一月に成東児童保健院の廃止方針を決定いたしまして、それ以降、措置がえを進めたことなどによりまして、規模の差が出たものでございます。
○大山委員 つまり、予算はちゃんとついているんだけれども、議会にも諮らないで年度途中で廃止方針を一方的に決めて、それで新規入所は停止、それから、既に入所している子どもたちの措置解除をする、そういうことをやってきたということですね。こういうことだと、予算では全部ついているわけですよ、しかも議会に諮らないで勝手にやる、予算審議を形骸化するものだといえるというふうに思っています。
十二年度中にそうやって退所した子どもたちは何人で、その後どこに行ったんでしょうか。
○長岡健康推進部長 平成十二年度におきまして退所した措置入院児の数は十二名でございます。
その進路でございますが、家庭の引き取りが四名、児童養護施設への措置がえが四名、就職及び専門学校がそれぞれ一人、その他の施設が二人でございます。
○大山委員 家庭引き取りが四人、それから児童養護施設が四人ということですね。私は、その措置がえされた子どもたちがどうなっているかということを、きちんと見なければならないというふうに思っています。
例えば、十二年度末で家庭引き取りとなった気管支ぜんそくのお子さん、家庭に戻ってから、ひどいぜんそく発作も何回か起きましたけれども、お母さんは精神的に不安定、病気がありまして、十分子どもの病気に対応できなかったんですね。結局、児童相談所の一時保護に措置されて、そのときに、その子は成東児童保健院に戻りたいというふうにいったわけですけれども、それは廃止が決まっているんだから措置できないんだということで、都立の児童養護施設に措置されました。しかし、病気の管理ができないということで、今は寄宿舎つきの養護学校に転校しました。養護学校ですから、幾ら寄宿舎があるといっても、土曜日や日曜日、それから夏休み、春休み、冬休みなどの長期の休みは家に帰らなければなりません。家に帰ったとしても、結局、その子は--何がいいたいかというと、成東児童保健院から衛生局は出したんだということですけれども、家に帰っても、その子はその後一時保護所、それから児童養護施設、それから寄宿舎と、転々としているんですよ。措置を解除して成東から、目の前からいなくなれば、その子が--家に帰したわけですけれども、こんなことになっているということを把握していますか。
○長岡健康推進部長 成東児童保健院では、措置がえになった児童の状況につきまして、保健院を訪問したときや電話連絡のあったときに現状を把握しているところでございます。平成十二年度の退所した児童につきましても、今までも少なくとも一、二回の連絡がとれておりまして、その時点での状況を把握しているところでございます。
○大山委員 それはもちろん、成東児童保健院に子どもから連絡が来たり、子どもが訪問してきたら、当然対応しますよ。しかし、衛生局がこれを廃止にするんだということを決めて、措置を解除しているわけですから、無理やり成東から追い出して、子どもたちをあちこちに出して、その子たちがどうなっているのか、せめて追跡調査ぐらい衛生局の責任でやってもいいんじゃないでしょうか。
○長岡健康推進部長 成東児童保健院の廃止につきましては、知事の決定を受けているところでございまして、また、都庁アクションプランの中でも取り上げたところでございます。全庁的な対応をしているところでございます。
児童の処遇等につきましては、基本的には児童相談所の役割と考えておりますけれども、措置がえをしました児童や措置がえ先の施設等からの相談には、成東児童保健院で適切に対応しているところでございます。
○大山委員 連絡が来れば適切に対応しているのはもちろんですけれども、それで子どもたちのその後の処遇に責任を持つというのは、児童相談所であることは確かですよ。それなら、衛生局は、ともかく目の前から子どもがいなくなれば、成東児童保健院から子どもがいなくなれば責任はない、そういうふうにいっているようなものじゃないでしょうか。
成東から出て児童養護施設に行ったという子どももいますけれども、そうではなくて、既にかつて看護婦さんもいる児童養護施設にいて、成東に来たという子もいます。まだ入所しています。児童養護施設にいるときに、気管支ぜんそくで発作を起こして何度か入院しましたが、病院では付き添いが必要だといわれて、付き添いをできるような体制ではないので成東に措置された子です。この子は置き去りですから、親御さんはいません。児童養護施設ではだめだったから成東に来たんですね。この子は今成東にいて、学校にもちゃんと通っています。
もう一人、ことしの予算特別委員会で私も話題にしましたけれども、膠原病をもっている高校生、お母さんも同じ病気で亡くしている高校生です。北寮育センターを紹介されて見学に行ったものの、北寮育センターは重症心身障害児の施設です。病児と重症心身障害児、それは違うものですね。
本人はこういっているんです。私が思ったのは、障害のある子どもたちは車いすに乗っていたり、歩けなくて寝たきりの子もいました、そんな中にお話のできる子どもが入るのはかわいそうに思いました、今保健院の子どもたちはつらい思いをして生活しています、そんな中、今からほかの施設を探しなさいというのは子どもをばかにしています、こういうふうにいっています。あっちにもこっちにも行き場所がない子どもたちになってしまっている--しまっているというよりは、東京都が子どもたちを追い込んでいるということじゃないでしょうか。
きょうは、十二年度に成東児童保健院を退所した子のケースを中心に見ました。十四年度末だというふうにいっている中で、ますます矛盾は子どもたちにしわ寄せされているんです。成東児童保健院という、東京都でもここしかない機能を持ったところを廃止しようとしているのですから、矛盾が出るのは当然だというふうにいわなければなりません。それを福祉局の所管の普通の児童養護施設に押しつけたり、それから教育庁の病弱養護学校に押しつけて済まそうとしているわけですけれども、児童養護施設も、都立のものでも看護婦さんの配置は、今まで、直営から変わって縮小の方向になっています。病弱養護学校も、縮小の方向を教育庁も出しています。こうやって病気を持ち、その上家庭でも養育できない子どもたちを東京都が再び投げ出す、こういうことを私は許せないです。今からでも遅くはありません。見直す勇気を持っていただきたいというふうに思います。
先日、さっきも出ていましたけれども、さっきも述べましたけれども、衛生局所管の医療を伴う都立の児童福祉施設、北寮育センターとか府中寮育センターですね、あり方検討会が事業団委託の方向を発表しています。特に都立の施設というのは重症の児童だとか複数の障害、それから困難な障害を持った児童を受け入れているわけですから、都として責任を持って都立直営を堅持されるよう強く求めておきます。
最後に、難病対策について伺いたいと思っています。
先ほども委員の質疑の中に難病の在宅生活支援事業というのがありましたけれども、これは先ほどもお話ありましたように、難病患者へのヘルパー派遣や日常生活用具の給付の福祉事業だということですね。これが何と執行率が三九%にとどまっているという指摘ですが、これは局としてはどういうことだというか、とどまっているのはなぜなのかという分析なんでしょうか。
○金田医療福祉部長 本事業の対象は、国の特定疾患対策研究事業の対象疾患百十八疾患などであるが、既に老人福祉法や身体障害者福祉法による施策の対象となっている方も多く、これらの方々は対象から除かれることとなります。このように本事業の対象者が限られることなどから、執行率が低かったと考えられます。引き続き実施地区の拡大や事業のPRに努め、事業の適切な実施を図ってまいります。
○大山委員 引き続きPRしていただいたり、それから区市町村で実施できるようにしていただきたいというのは、もうそのとおりなんですけれども、難病医療費助成を平成十年度に有料化したとき、これは充実するという約束だったんですよね。ところが、十二年度は、決算も執行率が三九%ですけれども、予算の段階で既に前年に比べて二割にまで削減され、その上、三九%しか執行できなかったわけです。難病の患者団体の方々のお話を聞きますと、皆さん、難病の対応ができるヘルパーさんの派遣を切実に求めていらっしゃるんですね。難病患者さん特有のさまざまな対応だとか心理状態など含めて養成をする--これは養成の事業も入っていますので、養成をするということも重要ですし、難病患者さんのトレーニングをしたヘルパーさん、この事業でこそできることだというふうに思いますので、ぜひ充実させていっていただきたいと思っています。
きのう、東京都の特殊疾病対策協議会報告書というのが出されましたけれども、これからの難病対策の方向についての報告書だったわけですが、都としては在宅難病患者居宅生活支援事業を初めとして、難病患者に対する福祉サービスの重要性についてどう考えておられて、今後どのように充実していこうとしているんでしょうか。
○金田医療福祉部長 在宅難病患者の居宅生活支援事業、先ほど申し上げましたように、これからも事業の適正な実施、あるいは事業のPRに努めていきたいと思っております。
○大山委員 難病患者さんに対するそのほかのことも含めて、今後どのように充実していくかということとか、重要性についてはどうですか。
○金田医療福祉部長 患者や家族の意思が尊重され、安心して在宅療養生活できるよう、保健、医療、福祉のサービスの体制を整備していくように努力していきたいと思っております。
○大山委員 また、きのうの報告書では、平成十年の難病医療費助成の有料化に続いて、今度は慢性肝炎、肝硬変、ヘパトームを難病医療費助成の対象から外そうということが提言されていますけれども、どういう内容か、医療費助成の見直しについて簡単に説明してください。
○馬場委員長 ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕
○馬場委員長 それではお願いします。
○金田医療福祉部長 昨日、専門家の委員の先生方から成る東京都特殊疾病対策協議会の報告をお出しいたしましたが、これを受けて、今後東京都として検討していきたいというふうに考えております。
○大山委員 きのうはプレスでも発表されたのを見ますと、ウイルス性肝炎は難病としての医療費等助成対象としてはなじまないというようなことが書かれているわけです。それの一方、国は新たな肝炎対策をスタートしようとしているわけですけれども、その理由はどういうことでしょう。
○金田医療福祉部長 国の方の事業でございますけれども、厚生労働省の来年度の概算要求では、C型肝炎対策として、老人保健法に基づく基本健康診査等における肝炎ウイルス検査の実施や治療法、治療薬の研究開発等を推進すると聞いております。
○大山委員 国が肝炎対策有識者会議というので、これをまとめた議事録だとか、ざっとですけれども、目を通させていただきました。そうしましたら、肝炎というのは飲酒が原因といわれてきたけれども、実は輸血などの際のウイルス感染が主な原因であることが明らかになってきた、それで社会的責任として、国の新たな対応が避けて通れない問題になってきたというふうになっているんですね。ところが、こうして国の施策がようやく前進を始めたときに、都が国に先駆けて実施してきた慢性肝炎や肝硬変やヘパトームの医療費助成をなくすというのはとんでもないことだというふうに思っています。
この国の報告書だとか議事録を読ませていただいたんですけれども、治療薬として代表的なインターフェロンの療法については、完全にウイルスを除去して、将来の肝がん等の発生リスクをなくすことができる症例が全体の三分の一、ウイルスは排除できないが、肝炎の進行をおくらせる可能性のある症例が同様に全体の三分の一、インターフェロン無効の症例が残り三分の一となっています、これは我が国の約七割の感染者のウイルスがインターフェロンの著効する遺伝子型ではないことによると考えられるというふうに見ています。ですから、治療法は確立していないんだということですよね。医療費が高いということも大きな問題として指摘されておりまして、肝炎対策に関する有識者会議の第二回では、患者団体の四人の方から意見をきちんと聞いているんですね。その方々からは、医療費が高いこと、就職先も差別され、仕事も困難であること、こんな中、長期間の治療で医療費を払い続けなければならないことが出されています。インターフェロンが欧米に比べて二、三倍は高いということなんですね。国の第四回の有識者会議では、これまで実施されてきた種々の施策を今後一層強化しつつ、さらに体系立てて、効果的、効率的に展開していくことが重要だと、こうやって厚生労働省の管理官が発言しているわけです。東京都が先進的に行ってきたことを後退させる理由というのはないということが明らかだというふうに思っています。
これは、東京都がきのう出したのはあくまで報告書なわけですけれども、きのう発表して、あしたは来年度予算の局要望の発表なわけですけれども、そこに削減を盛り込むようだったら、命にかかわる問題として非常に見過ごしてはおけないし、やみ討ちのようなやり方じゃないかというふうに思っています。東京都の報告書でも、早期発見、早期治療にシフトするというふうにいっているわけですが、それはそれで重要なわけですから、進めていただきたいというふうに思いますが、国でさえ三分の一は治らないといっているわけで、一回ウイルスのキャリアになると、治ったと思って治療をやめていると、肝硬変や肝がんに移行するということになっているんですね。肝炎の患者団体の皆さんの納得と合意が政策を変換する場合には不可欠だというふうに思いますが、いかがでしょう。
○金田医療福祉部長 先ほども申し上げましたように、昨日、東京都特殊疾病対策協議会の報告書と、それから東京都におけるウイルス肝炎対策報告書が出たところでございますので、それを受けまして、今後東京都の方向性を考えていきたいと思っております。
○大山委員 これから方向性を考えるということですよ。繰り返しますけれども、命にかかわる問題なんですね。ですから、一方的に強行するようなことは絶対にしないよう強く求めるものです。
また、最後になりますけれども、国はこうやってきちんとプロセスも公開して、ホームページで公開しているわけです。あれこれ理由をつけて、お持ちいただけませんでしたけれども、検討会がどういう経過になっているのか、プロセスの情報の公開は当然のことですので、早急に議事録を公開されるよう要望して、質問を終わります。
○馬場委員長 ほかにありませんか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で衛生局関係を終わります。
以上をもちまして、第二分科会における決算の審査は終了いたしました。
なお、本分科会の審査報告につきましては、打合会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○馬場委員長 異議なしと認め、そのように取り計らってまいります。
これをもちまして第二分科会を閉会いたします。
午後三時三十一分散会
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