各会計決算特別委員会第三分科会速記録第六号

平成十三年十月三十一日(水曜日)
   午後一時一分開議
 出席委員 十名
委員長東野 秀平君
副委員長織田 拓郎君
副委員長吉野 利明君
高橋かずみ君
初鹿 明博君
山口 文江君
三宅 茂樹君
丸茂 勇夫君
星野 篤功君
尾崎 正一君

欠席委員 なし

 出席説明員
住宅局局長橋本  勲君
技監小関 尚久君
総務部長関谷 保夫君
住宅政策担当部長小川 富由君
連絡調整担当部長阿部  亨君
開発調整部長青木 治道君
臨海住宅整備担当部長区市町村調整担当部長兼務高岡 信也君
建設部長小林 計代君
建設推進担当部長矢口 哲也君
参事大森 勝海君
管理部長井上 克彦君
参事野澤 直明君
参事渡部 景之君
不動産業指導部長渡利 紘司君
都市計画局局長木内 征司君
技監勝田 三良君
理事杉浦  浩君
総務部長野田 一雄君
総合計画部長中島  守君
開発企画担当部長福島 七郎君
地域計画部長小林 崇男君
施設計画部長只腰 憲久君
航空政策担当部長甲斐 正彰君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
開発計画部長田中  亨君
建築指導部長森下 尚治君
参事河島  均君
参事萩原 豊吉君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  住宅局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・都営住宅等保証金会計決算(質疑)
  都市計画局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・都市開発資金会計決算(質疑)

○東野委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
 本日は、住宅局及び都市計画局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
 これより住宅局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、住宅局所管分及び平成十二年度東京都都営住宅等保証金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○関谷総務部長 去る十月十日の当分科会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の平成十二年度各会計決算特別委員会第三分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。表紙を開いていただきますと、目次がございますが、合計六件の資料の件名を掲げております。
 初めに一ページをお開き願います。1は、都営住宅・公社住宅・都民住宅の建設実績でございます。平成三年度から平成十二年度までにつきまして、都営住宅、公社住宅については、新規、建てかえ及びその計に区分し、また、都民住宅につきましては、新規の建設実績戸数を記載しております。
 二ページをお開き願います。2は、都営住宅応募状況でございます。平成八年度から平成十二年度までの新築募集及び空き家募集の応募状況を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
 三ページをお開き願います。3は、都営住宅使用料一般減免の状況でございます。一般減免における、平成三年度から平成十二年度までの減免件数及び減免額を記載しております。
 四ページをお開き願います。4は、既設都営住宅へのエレベーター設置状況でございます。エレベーターの設置を開始いたしました平成三年度から平成十二年度までの団地数及び設置基数を記載しております。
 五ページをお開き願います。5は、車いす使用者向け都営住宅の建設実績及び応募状況でございます。平成八年度から平成十二年度までの建設実績と応募状況を記載しておりますので、それぞれごらんいただきたいと存じます。
 六ページをお開き願います。6は、東京における分譲マンションのストック数でございます。分譲マンションのストック数を区部と多摩地域に分けて、平成五年十月一日時点及び平成十年十月一日時点並びに平成十三年一月一日時点のストック数を記載しております。
 以上でご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○初鹿委員 私は、本日は、都民共有の財産であります都営住宅の管理の問題について、何点かお伺いをさせていただきます。
 現在、都営住宅は二十六万戸を超えていると思いますが、その居住の状況については、多くの都民から批判があるということは紛れもない事実だと思います。具体的に申し上げますと、所得の基準を超えているのに住み続けているという方がいる一方で、本当に住みたくても住めないという方が非常に多い。ただいまいただいた資料でも、応募状況を見ますと、十二年度の十月だと五十六・九倍という非常に高い倍率になっていて、なかなか都営住宅に住みたいと思っても当たらないという状況にあるわけで、そういう不公平感というものがある。
 また、例えば港区とか、千代田、新宿、そういう都心区においては、非常に利便性が高い地域であるにもかかわらず、こういう地域で安い都営住宅に住み続けている。しかも、世襲のような形で、世代をわたって長期間に住んでいるという不公平な例があり、都民の中で非常に批判があるということは事実だと考えるところであります。
 こうした折に、さきの定例会で非常にいい条例というのができたなと我々民主党は考えているんですが、我々も賛成しました期限つき入居制度というものは、これからの都営住宅のあり方というものを大きく変える非常によい条例だなというふうに高く評価をしているところでありまして、ぜひともこういう期限つきの入居制度というものを、これまである都営住宅にも広げていただきたいなと我々民主党は考えるところであります。
 住宅局は今、真剣に都営住宅をどうするか、そういう問題に取り組んでいるという姿勢は高く評価をするところでありますが、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、都民からすると不公平感が否めないような具体的な例が幾つかありますので、その辺について、改善すべきものは改善をしていただきたい。そういう観点で幾つか質問をさせていただきます。
 まず一番問題なのは、やはり入居しているということは、特権といったらいけないですけど、権利なわけですね。こういう権利を持っている場合に、義務も必ず伴う。当たり前の義務なんですが、それは家賃を払うということなんですが、それを行っていない。簡単にいえば、滞納している方がかなりの人数いるというふうに聞いております。家賃を払うことは最低の義務でありますから、滞納者に対してしっかりとした対策、対応というものを住宅局としてとっていただかないと、やはり都民としては納得ができないわけであります。
 平成十二年度の決算を見てみますと、増加してきた滞納額が久しぶりに減少に転じていると。一生懸命やられたんだなということがわかる結果、数字が出ているわけでありますが、こうした効果につながったと思われるのは、やはり法的措置を強行に実施していったことかなというふうに考えるわけでありますが、平成十二年度の法的措置の実施状況というものはどうだったんでしょうか。お伺いいたします。

○井上管理部長 平成十二年度の家賃滞納に対しまして、訴訟や強制執行等の法的措置を実施した件数は、平成十一年度の倍に相当いたします千九百五十八件になっております。こういったような実績が滞納額の縮減につながったものというふうに考えております。

○初鹿委員 当然、法的措置というのは効果があるわけでありますが、これは本当に最終的な手段だと思うんですね。例えばリストラに遭ってしまって、もう家賃が払えなくなってしまった。本当に困っている方に法的措置を講ずるというのはいかがなものかなと思うわけで、法的措置を講ずるまでの間にどういう対応をやっていくかということが本当は一番重要なんだと考えるわけであります。そういうことで、法的措置に至るまで、どういった経過をたどって対応していくのかということをまずお聞かせください。

○井上管理部長 滞納の初期、要するに最初のころのものに対しましては、当然、文書による納付の催告でありますとか、あるいは、その後、それに応じない方につきましては、訪問によって納付指導等を行っております。そういう指導の中で、必要に応じまして、居住者の方から納付誓約書といったようなものの提出を求めて、そういうものをちょうだいしながら、滞納の縮減に積極的に取り組んでおります。ただ、そういうふうな取り組みにもかかわらず、滞納が解消しない、滞納して長期になってしまった、そういう滞納者につきましては、住宅局におきまして法的措置を実施しているところでございます。

○初鹿委員 いずれにしましても、対応というものをしっかりしていただいて、なるべく接触をすることで、例えば本当に生活に困っているんでしたら、福祉的な措置というものも講ずるような努力というものもしていただきたいと思いますし、そういったことで、例えば減免制度というものもあるわけですから、そういうののあっせんとか、いろいろ工夫をしていただきたい。あくまでも、法的措置というのは最終手段だということで対応していただきたいと考えるところであります。
 とはいっても、やはり払わない、滞納しているということは、必ずしもいいことではないわけでありまして、できるだけ最終的な手段には及ばないにしても、もうどうしようもないという状態になったら、これは法的措置に訴えるということが有効だと私も考えるわけでありますが、この法的措置について今後も、もうどうにもならないという場合には行っていただきたいと思います。
 今後、これからまた十三年度、十四年度と対応というものをしていくと思いますが、これからの法的措置の予定と、また、それに対する取り組みの姿勢というものをお聞かせください。

○井上管理部長 訴訟等の法的措置は、委員ご案内のとおり、滞納整理の極めて有効な手法であります。そういうことですので、平成十三年度は、法的措置の対象として約二千三百件を見込んでおるところでございます。都営住宅の管理の適正な執行という視点からも、今後、より一層厳正に取り組んでまいりたいと思っております。

○初鹿委員 ぜひとも、できるだけ多く滞納者をなくしていくという努力を続けていただきたいと思います。
 次に、基準を超えて入居している収入超過者について何点かお伺いをいたします。当然、収入超過者の解消というものが、都営住宅というものを公平、公正に運用していく上で非常に重要だなと考えるわけでありまして、特に都営住宅に入りたいのに入れない、そういう都民からすると、当然の要求だと思うんですね。収入を超過しているのに、いつまでも住み続けている。これは、待っている人間からすると納得がいかない点だと思います。
 平成十二年度における収入超過者は何名おりまして、これは、割合としてはどれぐらいになっているんでしょうか。そして、私も不勉強で申しわけないんですが、この割合というのは、大都市である東京独自のものなのか、それとも、日本全国的に大体割合は一緒なのか、その辺のところをお聞かせください。

○井上管理部長 収入超過者でございますが、平成十二年度に認定いたしました収入超過者は約三万七千世帯になっております。この世帯の数でございますが、都営住宅の全体に占める割合が約一四%程度になってございまして、例えば、大阪府ですと、同じ平成十二年度に認定した数が約一三・五%、大阪市でございますと一四・八%とか、大体全国的に同じような割合になっております。

○初鹿委員 ただいま三万七千世帯、収入を超過しているということでしたが、先ほどの資料にまた戻りますけれど、十二年度に新築で応募している方が二万六千、空き家でも十二年十月だと二万三千、合わせて四万九千ですから、解消できたら申し込んでいる方の半分以上が入れるわけですね。そういうことを考えますと、やはり収入超過者の解消に向けて取り組んでいかなければならない。恐らく一生懸命努力をされていると思いますが、何らかの解消を妨げる要因というものがあるのだと思うんですが、解消を妨げている要因や、また、解消に向けて幾つかハードルがあって、問題点があると思うんです。それについてどういう認識をされているのか、お伺いいたします。

○井上管理部長 収入超過者につきましては、公営住宅法上、収入超過者に課されておりますのは、明け渡しの努力義務でございまして、法律上、明け渡しの強制義務が課されておるわけではございません。したがいまして、強制力がないというのが一つ大きな問題だろうと思います。それから、都営住宅にお住まいになっておりますので、地域に密着して離れがたいという住んでいる方の感じもあろうかと思います。
 そのようなことがございますので、私どもとしては、収入超過者が自発的に退去できるよう、そういうふうな退去を促すような施策をとっておりまして、例えば、収入超過者であること、明け渡し努力義務があることを、本人に注意を喚起する、そういうふうな文書を送付するとか、あるいは、公社、公団、あるいは都民住宅へのあっせんを行うとか、あるいは、住宅建設資金の融資のあっせんを行うとか、そのほか、各個人の状況に応じまして、個別の相談等に応じるなど、解消に努めております。

○初鹿委員 国の法律上の制約があるというのは十分に理解をしているところでありますが、やはりそうはいっても、収入超過者が住んでいるということは、都民からすると納得がいかないわけでありますから、ここはぜひ国を動かすという意味でも、都の方から積極的に、国に対して法改正も含めて要求をしていくということも必要なのかなと考えるわけであります。いずれにしても、収入超過者が存在をしているということだけは紛れもない事実でありますから、今後ともこの解消に向けてぜひとも努力をしていただきたいとお願いをいたします。
 ところで、先ほども冒頭で申し上げましたが、基準以上の収入がある。そして、それだけではなくて、子どもや孫の代まで世襲的に住み続けているという実態もあるわけであります。こうした都民の共有財産である都営住宅が世襲で住み続けられる。明らかに公平性を欠いていると思うわけですが、現行の使用承継制度というものを早急に見直さなければならないと私は考えるところであります。その取り組みについて、住宅局としてどういう姿勢で臨んでいるのか、お伺いいたします。

○野澤参事 都営住宅は、真に住宅に困窮している都民が広く公平に利用できるよう、的確に管理していくべきものと考えております。このため、先生ご指摘の使用承継制度につきましては、その見直しについて、現在、検討を進めているところでございます。

○初鹿委員 いずれにしても、今、ご答弁いただいたように、使用承継制度というもの、不公平感が都民の中でかなりありますので、早急に見直しを図っていただき、都民としてしっかりと公平性が確保できるような制度というものをつくっていただきたいと思います。
 何点か質問いたしましたが、都営住宅が都民からすると非常に不公平だなというイメージがかなりあるわけでありますから、それを払拭するように、住宅局として努力をするようにお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

○織田委員 私は、都営住宅の建てかえについてまずお伺いをしたいと思います。委員会に提出されました資料を見ますと、平成十二年度の建てかえの実績は、計画が三千二百三十七戸で、実績も三千二百三十七戸。これは計画からいうと大変好成績といいますか、計画どおりきちんと建てかえられたというふうになっておりますけれども、まず、建てかえの対象になる住宅、これはどういうふうに考えているのか、お答えいただきたいと思います。

○小林建設部長 建てかえにつきましては、昭和三十年代以前に建設した住宅を対象としてございます。

○織田委員 三十年代以前に建設をされたものが対象、それでは、これまで建てかえも年間相当なペースでやっているわけでありますけれども、あと何戸建てかえなきゃならないというか、三十年代以前に建設されたもので、建てかえをしなきゃならないもの、あと何戸残っているということになるんでしょうか。

○小林建設部長 平成十二年度末現在で約三万九千戸ございます。このうち、浴室等の増築を行ったものにつきましては約二万一千戸ということでございます。

○織田委員 今残っているのが三万九千戸、そのうちおふろなどをつけて増築、住戸改善を行ったものが約二万一千戸ということでありますと、細かな補修等はともかくとして、当面、この三万九千戸、とりわけ一万八千戸の部分というのは、これは急いで建てかえを進めなければならないということになるわけですが、いただいた資料の実績等を見ておりますと、だんだん建てかえの戸数、新規のものも含めて五千二百戸ずつぐらいのペースでずっと来まして、平成九年、十年、十一年と、それが約千戸ずつぐらいダウンをして、十二年度はさらに約千戸程度ダウンをしているという状況でございます。財政的に非常に大変な中で建てかえ事業を行っていただいているわけでございますから、仮に十二年度のペース、約三千戸程度がずっと続くということになりますと、平成十二年度末で三万九千戸残っているわけでありますから、順調にいって十三年程度かかるということになるわけでございます。
 四十年以前、四十年は入らないですから、三十九年以前に建設をされたものということでございますので、あと十三年で最終的に全部順調にいって建てかえが完了しましたということになりますと、一番おしりの昭和四十年からスタートとしますと、一番新しいので建ってから三十六年になっているわけでありますけれども、それにプラス十三年ということでありますから、約五十年、都営住宅を使うということになるわけですね。恐らく鉄筋コンクリート、あるいはまた、財源の償還といいますか、そういった面から考えますと、やっぱり耐用年数というのは大体七十年だというふうに建設省の方とか、いろんなところでお伺いをしているわけでありますけれども、そういう観点からいうと、建ったものを長らえて五十年使いました。七十年使えるところを五十年使いましたというところで建てかえるというのは大切なことだろうなというふうに思うわけでありますけれども、しかしながら、建物としては五十年もちますよと。もつでしょう。しかしながら、中に住んでいるのは生身の人間ですから、早い話が、例えばエレベーターがなかったり、あるいはまた設備関係のものが壊れたり、あるいは、時代の状況に合わなくなって、いろんな不都合が起きてきたりというようなことがありますので、実はこの五十年間使うということについては、非常に修繕、営繕関係といいますか、使い勝手を保障していくということが非常に大事になってきます。これは後の管理の部分で少しお伺いをしたいというふうに思いますけれども、そういうような状況であるということはよくわかります。
 それでは、三十年代以前に建設されたものについては建てかえで対応する。三万九千戸、これから粛々と進めていくということでいいわけですけれども、それでは、昭和四十年代、特に昭和四十年代前半については、大量の都営住宅が供給をされておりますが、これについては、スーパーリフォームということを行って、今、事業を進めていただいているわけでございますけれども、工事後はあと何年使うということになるんでしょうか。

○小林建設部長 スーパーリフォーム事業を実施した住宅につきましては、工事後、おおむね三十年以上使うこととしております。

○織田委員 工事完了後おおむね三十年以上ということですから、例えば四十年代の前半に使われたものが三十年以上使うということでありますと、もう既に、一番古いもので三十五、六年たっているわけでありますから、それにあと三十年使うということは、六十五年、これまた耐用年数いっぱいいっぱいを使うと。こういう意味では、大変効率的といいますか、私、個人的には世知辛いなというふうには思うんですが、建物の長寿命化を図って、耐用年数近くまで使い切るということは非常に大切だろうと思います。
 そこで、そういう意味ではいいんですけれども、一方、個別の住宅においてはいろんな客観条件がございまして、例えば幹線道路の沿道に建っているような住宅で、大型のトラックががんがん通るようなところでは、建物も揺られますし、それだけ損傷も大きくなっていくというようなことがございますので、これはぜひ、建物の長寿命化を図ってしっかり使い切るということも非常に大切な視点でありますけれども、一方、個別にきちっと建てかえをやらなきゃならないということについては、これまた積極的に進めていただかなきゃならないというふうに思うんですね。
 そこで伺いますけれども、板橋区に富士見町のアパートというのがあります。昭和三十年代の建設でございますけれども、建てかえ対象住宅に指定をされておりますけれども、今後の計画、どのようになっているのか、まず概略お伺いをしたいと思います。

○小林建設部長 板橋富士見町アパートにつきましては、昭和三十五年から三十七年にかけて建設された団地でございまして、建てかえが必要であるというふうに考えております。このため、昨年九月から十二月にかけまして、現地の測量を行ったところでございます。現在、建てかえ計画作成に向けて検討しているところでございます。

○織田委員 確かに昨年十月ごろでしたか、私も現地の住宅にお住まいの方から、測量をやりました、測量に入ってますと。来年あたり建てかえるんでしょうかという期待の声がいっぱい寄せられると同時に、一部、建てかえられちゃ困るんだけど、どうしたらいいんでしょうかみたいなお話も伺ったりいたしました。それだけ関心が高いわけでございますし、東京都が測量に入ったというんで、色めき立ったというような経過があるわけです。
 しかしながら、あそこの住宅を建てかえるということになりますと、個別の問題としては非常に大きなネックというものが幾つも横たわっているわけでございます。それは、建てかえを進めるということについて、東京都自体がほとんどすべての団地で抱えている問題だろうと思います。それは、一例を挙げますと、この富士見町の団地の場合は、げた履きになっておりまして、下が店舗になっています。この店舗が単に貸しているということならばいいんでありますけれども、分譲形式になっております。そういうことから、建てかえ、権利関係の複雑さ、建ててから古いもんですから、譲渡をされたようなものや、当初の形態とは変わってきているようなことがありまして、そういう複雑な問題を抱えているわけであります。さらにはまた、あそこには改良住宅が一つの団地の中に随分混在をいたしておりまして、そういった財源確保といった面からも、なかなか難しい問題を抱えているやに聞いております。
 実際、これが建てかえを進めるという方針であったならば、当然、それをスムーズに進めるためには、先行をして、ある程度そういったネックになるものをほぐしていかなければ、計画は一向に進まないというふうに思うんです。そのあたり、自治会長さん等も、お話を伺いますと、この話が出てからお願いしますというふうにいっても一向に進まないというようなお声をちょうだいするわけでありますから、ぜひこれは、一番ネックになるものこそ早く着手して、そのほぐす作業をやっていかなきゃならないというふうに思うんです。特に、この団地の場合は、分譲店舗の問題が一番のネックになるわけですから、権利関係の調整に早く入っていただくようにお願いをしたいと思うんですけれども、そのあたりをどう進めていくのか。この辺の方針等についてお答えをいただきたい。

○小林建設部長 ご指摘のとおり、板橋富士見町アパートの建てかえを進めるに当たりましては、分譲店舗所有者との権利調整が大きな課題となるというふうに考えております。今後、早い時期に分譲店舗所有者の意向を調査いたしまして、その結果を踏まえ、建てかえ計画の検討を進めてまいります。

○織田委員 期待している人が非常に多いんで、ぜひとも、課題は多いですけれども、なるべく早く着手できるように努力をしていただきたいというふうに思います。
 次いで、都営住宅の管理の問題について、お伺いをしたいと思います。さきの住政審の答申において、都営住宅制度の抜本的改革を行うことが極めて重要であるという提言がございました。それで、住宅局が一生懸命取り組んでいただいていることは評価をするわけでありますけれども、日常の業務遂行の過程において、私はまだまだ改善すべき事項が多いと思います。
 例えば、都営住宅の募集業務、この事務処理に結構時間がかかるんじゃないかというように思います。それでお伺いをいたしますけれども、まず空き家の住宅募集、当せんしてからあっせんされるまでに、大体どの程度の期間を要しているんでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

○井上管理部長 平成十二年十月の空き家の募集の場合について見ますと、入居登録をしました二千三十四世帯のうち、現時点であっせん済みの世帯が千四百五十七世帯、あっせん待ちの世帯が五百七十七世帯となっておりまして、当せんからあっせんまでの期間の平均は、約七カ月となっております。

○織田委員 二千三十四世帯のうち、今住んでいるのが千四百五十七世帯、おおむね四分の三程度が既にあっせんをされました。あっせんをされたといっても、早い人もあれば遅い人もいる。現況で、既に一年たっているわけであります。一年たっても、あっせん待ちの人がまだ四分の一ほど残っている。これは、今までの平均でも七カ月ですから、これであと残りの五百世帯近い人があっせんをされていく。今まで四分の三ですから、あと四分の一、一年ぐらいかかるという計算ですね。ですから、そうなりますと、ご答弁の平均七カ月以上ということでありますけど、平均はもう少し長くなると。いずれにしても、当せんをしてから一年を超えて、まだあっせんをしていただけないということは、これは都民にとっては甚だ納得のしがたいことであろうというふうに思います。
 ですから、空き家募集からあっせんされるまでの期間をもっと短縮できないものなんでしょうか。この期間の短縮に向けて、住宅局、いろいろな取り組みをされているだろうと思いますので、どういうふうにされようとしているのか、その取り組みをまず教えていただきたいと思います。

○井上管理部長 空き家住宅の募集規模と申しますか、募集戸数は、空き家の発生見込みに基づきまして、空き家申し込み後、大体一年以内にあっせん可能な空き家の戸数を想定いたしまして設定しておりまして、そういうことでございますので、実際のあっせんまでの期間は、空き家の発生状況によりまして多少左右される場合もあることは事実でございます。
 しかしながら、委員ご指摘のように、あっせん期間が長くなる傾向もございますので、今後私どもとしましては、真に都営住宅を必要としている都民の需要に、可能な限り速やかに対応できるよう、募集管理システムの改善といった事務改善も含めまして、より一層のあっせん期間の短縮に向けて、さらに努力をしてまいります。

○織田委員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。募集管理システムの改善をするということですから、いろんな改善の仕方があると思いますので、英知を絞ってそれをできる限り早くやれるようにしていただきたいというふうに思います。
 次に、住宅変更について伺いたいと思います。平成十二年度の住宅変更申請状況とこれにかかわるあっせんの状況、これはどうなっているでしょうか。

○井上管理部長 平成十二年度の住宅変更申請は千百十四件でございまして、そのうち有効なものが千十五件となっております。この千十五件のうち、現在時点であっせん済みが四百九十一件、あっせん待ちが五百二十四件となっております。

○織田委員 これも数字を見ると、やはり一年間で約半分ぐらいの需要にしかこたえられていないと。これ両方とも相当時間がかかってるんですよね。ですから、これもぜひ都民の要望に--皆さん何もむちゃくちゃな要望をしてるというわけではないわけですね。ですから、そういう面での時間短縮に向けて、住宅変更についてどういう取り組みをされるのか。これもちょっとお伺いをします。

○井上管理部長 住宅変更申請におきましては、エレベーターつきの住宅であるとか、あるいはバリアフリー住宅、あるいは住棟の低層階への希望とか、そういった団地や階数を特定した申請が多うございまして、こういった条件を備えた住宅の空き家が一方で少ないという一面もございます。さらに公募での当せんをした方へあっせんする住宅との調整も必要であることから、委員ご指摘のように、住宅変更のあっせんに時間を要していると、こういう状況でございます。
 今後、私どもとしましては、住宅変更の申請をされた方につきましても、本人の希望や事情、それから、申請に至った背景であるとか、団地の状況であるとか、そういったようなものを十分把握いたしまして、募集管理システムの改善の中で、あっせんまでの期間の短縮に向けて努力をしてまいります。

○織田委員 先ほども話しましたけれども、都営住宅が古くなってくると、住宅にエレベーターがついてないとか、あるいはまた、今の住宅変更の問題でも、上層階から一階、エレベーターがついているところへ移してもらいたいとか、生活のありようが高齢化してくる、あるいは社会状況が変化してくるということで起こってくる需要というのは、こういうところに反映をしてきているわけでございます。
 したがって、建てかえを進める、スーパーリフォームを進めるというさきのものと同時に、こういった住環境、適切な住環境というものを常に更新をしてつくり上げていかなければ、それに付随するそういう需要がまた起きてくるということでございますので、基本的に、そういったエレベーターの設置だとか住戸の改善ということが、営繕関係、修繕関係、メンテナンスの関係というのが、非常に重要になってくるということをまず指摘しておきたいと思います。
 そこで、既設の都営住宅へのエレベーターの設置状況、これについて教えていただきたいと思いますが、平成十二年度までに四百八十三基設置をしてきた実績は、高く評価をするわけでございますけれども、強い要望が今なお途切れずにあるわけでございます。そこで、現在、住宅局が要望事項として把握をされているエレベーターの設置についての棟数、建物の数、どの程度あるのか。それからまた、今後早期にそういうことについては設置を進めていかなければならないわけでありますけれども、その見通し、どうなっているのか、お伺いをいたします。

○渡部参事 自治会等からの要望を受けた上で調査いたしまして、設置を見込んでいる棟数という形でお答えをさせていただきます。都営の団地につきましては、複数の棟から構成されていることは一般的でございまして、例えば、個別の棟から要望がありましても、団地全体の棟について調査を行っておることが実態でございます。こうした団地も含めまして、設置可能であると判断している棟数は、本年度着工分も含めまして約三百五十棟ございます。今後とも事業の円滑な推進に向けまして、一層努めてまいります。

○織田委員 おおむね三百五十棟ということですね。今、スーパーリフォーム分を除きますと八十基ぐらいのエレベーターが設置をされているというところになってきているわけですから、これ、ちょっと先が見えてきたなという形が印象としてあります。八十基ずつやっていったとすると、おおむね四、五年で、今設置ができますよというエレベーターについては、片がつきそうな段階になってきました。
 もちろん、階段室型がまだ全然手つかず、やっと試行が始まったばかりでありますから、何ともいえない部分はあるわけですけれども、それにしても、廊下型の設置可能な部分については、随分ご努力をしていただいて進んできたというふうに思うわけでありますが、残念ながらこれは、いわゆる私たちも一生懸命推進をしてくる中で、例えば二十四戸以下のものについては設置をしません。あるいは、建築基準法上問題があるということについては、これはできません。あるいは、住民の合意がなければできませんというような三つの条件をクリアしなければ、この三百五十棟の中にカウントされないということがございました。この三百五十棟について現在できるものについては、めどがついてきた段階で、やはり新しい基準というものを考えていかざるを得ない、そんな時代になってきたのかなというふうに思うわけでございます。
 したがって、そういったことを考え、そして一方で、階段室型に、今、試行段階でありますけれども、簡易式というのが本格的なんでしょうけれども、小型のエレベーターを設置するということになってまいりました。これを、廊下型でも、二十四戸以下はだめですよといわれていた基準外のところに設置ができるような、そういう方針に変わるのかどうか。私は、これまで設置できないといわれていた既設の廊下型の住棟にも、このコンパクトな形のエレベーターの設置をぜひ進めていただきたい。また、そのことを工夫していただきたい。このことを考えているわけですが、そのことについてお答えをいただいて、質問を終わりたいというふうに思います。

○渡部参事 ご指摘のように、同一団地内の中で、既にエレベーターの設置されている住棟が多いという一方、二十四戸未満であるがために、まだ設置対象外ということで、エレベーターをつけておらない住棟があることは事実でございます。こうした住棟につきまして、階段室型エレベーターを設置することにつきましては、改めて自治会等の要望を確認しながら、費用対効果などさまざまな面から検討してまいります。
 また、敷地の関係ですとか、日影規制の関係で、これまで設置ができなかった、そういう住棟への設置につきましても、コンパクトな設計であるといった特徴を生かしまして、配置など工夫を重ね、設置が可能になるものもあるというふうに理解しておりますので、今後検討してまいりたいというふうに思っております。

○丸茂委員 私は、この決算年度、平成十二年十二月に示されました東京構想二〇〇〇、ここでは、都内の住宅総数は世帯数の約一・一三倍に達し、住宅ストックが量的に充足していること。ただ、質の面では、特に区部で家族向けの良質な借家が不足していることなど、必ずしも充足していない、こういう指摘がされております。住宅ストックは充足しているという問題については、都内の居住条件では、家賃や居住面積、さまざまな面で偏在があると思いますし、ストックがあるからそれで事足りるということではないというふうに思います。
 それは指摘にしておきまして、そこでまず、東京における居住、特に借家の現状をどうとらえているのか、お伺いをいたします。

○小川住宅政策担当部長 東京の借家の現状でございますが、平成十年の住宅・土地統計調査によりますと、東京の住宅の五五・五%が借家ということでございまして、これは全国に比べて借家率が高いという数字が出ております。また、このうち民間の民営借家については約二百万戸でございますが、そのうち、床面積が三十平米未満のいわゆる非常に小さい住宅が二分の一強を占めているということでございます。また、そういうことの影響で、居住者を見ますと、六割以上を単身者が占めているということで、非常に単身者に特化しているような状況でございます。
 なお、民間の借家ということになりますと、いわゆる古くて木造で、設備なんかもトイレを共同でというような、そういうもののイメージがあるわけでございますが、そういった木造で設備共用の民営借家というものは、全体の約三%弱にまで減少していると。そういう意味においては、ストックが変わってきているという状況があると、そういうふうに認識しております。

○丸茂委員 特に、東京も借家率では都心地域が低い状況にあります。そういう点で、都心居住を推進するというのも一つの住宅政策に掲げているわけですが、都心居住施策が十分機能できなかった理由の一つに、環状六号線の内側での三階以下の建物が占める割合が六割だ。そのため、都心部及びその周辺地域の都市空間が効率的に利用されていない。このことが問題とされております。
 しかし、私は、一番の理由は、都心居住が進まないというより、都心居住ができなくなってきている、条件が高くなっているんじゃないかと。高地価、高家賃、あるいは高い固定資産税などによるものではないか。それを、公共交通機関が高水準に整備されている地域だから、本来、高密度に活用すべきなどとして、新たな仕組みづくりを提案しているわけですけれども、これまで都心に暮らしてきた都民が、高密度の住環境を望んでいるのかどうか。さらには、どうすれば住み続けられるのか、さまざまな要求があるはずだと思います。新たな再開発の手法では、逆に、これまで長年住んできた住民が追い出されることにつながらないのか。そういった問題点を危惧するわけですけれども、その点いかがでしょうか。

○小川住宅政策担当部長 都心居住の推進についてのお尋ねでございますけれども、職住近接が図られて、ゆとりを持って都民の方々がいろいろな活動を活発にできるという意味から、都心居住というものは、いわゆる活力のある居住を生み出すという観点から非常に重要な課題であるというふうに認識をして、推進をしたいというふうに考えております。
 具体的には、共同住宅供給などをバックアップする都心共同住宅供給事業、そういった事業を行うとか、あるいは、住まいの形といたしまして、例えば、都心地域で広い持ち家に居住する高齢者の方と、都心居住を希望するファミリー世帯の方の円滑な住みかえを支援するような、そういうミスマッチを解消するような仕組みづくり、あるいは、この住宅政策だけではなく、都市計画の部門とも連携をして、各種の規制緩和等の対応をしながら、職住近接を実現したい。そのように考えております。

○丸茂委員 今、ミスマッチ等のお話もあったんですが、そういうことで、それを解消するような形が実際にできるのかなという感じはいたしますけれども、例えば、都心三区で今後高齢者人口がふえていく傾向にあると私は思うんですね。そういう方々が実際にこれまで住み続けてきた、あるいは住み続けるために、公共事業、それも供給が求められてくるんじゃないか。そういう点で、これらの方々に対する対策なり、あるいは住宅政策、どのようなことを考えているのか、お伺いをいたします。

○小川住宅政策担当部長 都心の高齢者の方々に対する対策ということでございますけれども、一般的に高齢者対策、これから高齢化率が上がっていくという中で、例えば住宅をバリアフリーにするとか、あるいは高齢者をお断りというようなことのないような市場の仕組みづくり、あるいは福祉と連携した居住サービスの提供、いろいろ総合的に推進をしなければいけないというふうに考えております。
 ただ、公共、公営住宅というような政策というものにつきましては、実は、高齢者になればなるほど持ち家率が上がるとか、あるいは高齢者の方の居住のタイプ、三世帯居住、いろいろな住まい方があるというようなこと、あるいは、現在の状況でいえば、都心に住んでいる方が高齢化をするということはあっても、高齢者の方がどんどん都心に入ってきているというような状況でもないというようなことでございますので、私ども、高齢者対策は総合的な施策展開が必要でございますけれども、必ずしも高齢者化が公営住宅ニーズに直接につながるというようなものではないだろうというふうに考えております。

○丸茂委員 私は、新たに高齢者が都心に来るというのは、そうないと思うんです。やっぱりそれまで住んでいた方々の住まいの条件なり家族の条件、あるいは相続問題も含めて、やっぱり住み続けたいけれども、住む条件がないというところで、新たな住宅確保、こういう問題が当然出てくるんじゃないかと。そういう点で、都心部における公共住宅に入りたいという要望も強くなっているわけで、私はその点での施策を求めておきたいと思います。
 もう一方、職住接近の都心居住というのであれば、一般勤労者が住める住宅供給、これができるのかということも真剣に検討する必要があるのではないか。職住接近の都心居住を望んでも、先ほど述べましたように、高地価、あるいは高家賃、あるいは高い税金、こういうものが壁になってくるのではないか。私も、最近、都心の家賃どうなのかという点で、インターネットで新宿区の民間住宅の家賃を調べますと、一DKで一カ月七万円から九万円が相場で、十二万円の物件もありました。一LDKでは、十二万円から十八万円前後が相場となっております。さらに、現在、再開発が進んでおります汐留地区では、マンションの予約を受け付けたところ瞬時に完売したという報道もありますけれども、その実際のマンションの売り値は億ションと、こういうことで、一般都民にはほど遠い住宅供給になっております。
 現在、東京の経済を支える勤労者の多くの形態も、私は変化があるというふうに思います。例えば、派遣労働者だとか契約社員、フリーターなど身分も不安定な勤労者がふえているのが現状だと思います。こういう人たちを含めた住宅供給はどうしていくのか。そこでの都営住宅など公共住宅の役割があると考えます。都民の要求は、低廉な住宅を求める要求も大変強いものがありますし、先ほど提出いただいた新規募集の五年間の推移等でも、それはもう明らかだというふうに思います。詳しく数字は挙げませんけれども、現在、失業率が五・三%に見られる、こういった長引く不況と相次ぐ社会保障の切り下げなどで、所得が低い都民の都営住宅入居は一層高まっているのではないか。
 そういう点では、この年、都営住宅の新規建設ゼロは、私は大問題だというふうに思います。また、こうした低所得者にとどまらず、収入に応じて負担能力に応じた家賃の仕組み、そういうものをつくり、都民要望にこたえる都営住宅なり、あるいは都立住宅、こういった新規の供給が必要ではないか。そう考えますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○小川住宅政策担当部長 都営住宅の供給につきましては、委員ご指摘のような社会情勢の中で、都民に対するセーフティーネットの役割を果たすということが非常に重要だと考えております。その中で、現在あるストックを活用し、真に困窮している方に的確に供給されるように、私ども都営住宅制度の抜本的改革というふうに申し上げておりますけど、そういった中で、都民の方々にご理解いただけるような制度に持っていって、その要望におこたえをしたいというふうに考えております。

○丸茂委員 都民からすれば、さまざまな公共住宅に対する要求、特に都営住宅に対する要望も強いわけで、その点では、東京都がその都民要求にどうこたえるか。その点が極めて重要だと思います。先ほども申しましたけれども、この年度、新規建設はゼロと。建てかえも例年ベースの実績でしかありません。一方、公社、公団、これも住宅建設から撤退すると。こういう状況の中で、いかに都民の要望にこたえるのか。このことが、私は都に求められてるというふうに考えます。
 今後、こうした住宅供給、あるいは車いす住宅、あるいは中高層都営住宅のエレベーター設置など、バリアフリーの問題も含めて住宅施策を一層拡充するように求めまして、質問を終わります。

○東野委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これに異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で住宅局関係を終わります。

○東野委員長 これより都市計画局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、都市計画局所管分及び平成十二年度東京都都市開発資金会計決算を一括して議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野田総務部長 十月十五日の当分科会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成十二年度各会計決算特別委員会第三分科会資料をごらんいただきたいと思います。
 まず、目次の次の一ページをお開きください。羽田空港沖合展開跡地に関する経緯でございます。羽田空港沖合展開跡地に関する経緯を時系列に記載しております。
 二ページをごらんいただきたいと思います。二ページから三ページにかけましては、平成十二年度に都市計画決定された面整備事業等の一覧を記載しております。(1)といたしまして、地区計画等の一覧でございます。区市ごとに地区名及び面積を記載しております。(2)として、特定街区の一覧でございます。区ごとに街区名及び面積を記載しております。三ページでございますが、(3)として、市街地再開発事業の一覧でございます。区市ごとに地区名、施行者及び面積を記載しております。(4)として、土地区画整理事業について記載しております。
 次に、四ページから七ページにかけましては、都心五区における主な面整備事業等の一覧を記載しております。
 四ページは、地区計画等の一覧でございます。地区計画と再開発地区計画について、地区名と面積を記載しております。
 五ページでございますが、特定街区の一覧でございます。区別にそれぞれ街区名と面積を記載しております。
 六ページをごらんいただきたいと思います。市街地再開発事業の一覧でございます。区別にそれぞれ地区名、施行者及び面積を記載しております。
 七ページをお開きいただきたいと思います。土地区画整理事業の一覧でございます。区別にそれぞれ地区名、施行者及び面積を記載しております。
 八ページでございますが、平成十二年度決算における不用額と流用額でございます。(1)といたしまして、不用額が生じた主な事業とその理由、(2)といたしまして、流用額が生じた主な事業とその理由をそれぞれ記載しております。
 以上で要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願いいたします。

○東野委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高橋委員 私から、決算書二七ページ、また、それに関連する質問をさせていただきたいと思います。
 経済情勢の先行きが見えないこの状況下において、国土の約四%弱の面積に日本全国の約四分の一の人口、約三千三百万人が集中し、政治、経済などの中枢機関が集中するなど、人口や都市機能が集中する東京圏の果たす役割は大きいと思っております。それに対し、その受け皿となる社会基盤としてその根幹をなす道路整備は、昭和五十二年から平成九年度の間で約一・三倍の伸びに対し、自動車保有台数は約二・三倍、走行台キロは一・七倍となるなど、その整備がおくれている実情があると思います。
 その結果として、混雑時の旅行速度は、平成九年度の交通量調査によると、全国平均時速約三十五キロに対しまして、区部は時速二十キロにも満たなく、男子のマラソン選手にも負ける状況であることは周知の事実だと思っております。
 現在、これらに対処すべく、国や都においては、三環状九放射の高速道路ネットワークの構築に向け努力されているところと聞いております。特に、その環状道路の中でも根幹をなす外郭環状道路の役割は重要と考えますが、現在、埼玉区間が開通し、私の住む練馬区まで平成六年に供用されており、また千葉区間は、平成十九年度供用に向け事業中であると聞いております。
 このように整備が進む中、練馬区から世田谷区までの東京区間のみが、現在もなお凍結状態が続いているところであります。さきの石原知事の現地視察を契機に、昨年から地元団体との話し合いが持たれ、本年四月には計画のたたき台を公表し、五月には扇国土交通大臣の謝罪発言や原点に戻った話し合いの場の設置提案など、地元との対話を重視した取り組みがなされていることは大変意義があり、高く評価しているところであります。去る九月二十八日には、都議会においても建設促進議員連盟を立ち上げ、その整備促進に向け運動を展開していこうと考えているところであり、そこでお伺いさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、外郭環状道路については、これまで地元団体との話し合いが持たれておると聞いておりますが、これまでの経過についてお伺いいたします。

○成田外かく環状道路担当部長 平成十一年の知事視察の際に要望のあった七団体と昨年四月に話し合いを開始いたしまして、現在まで四回開催いたし、その小委員会も一回開催しております。その事前調整のため、頻繁に関係団体とは連絡調整を行ってきたところでございます。
 また、本年四月には、地下案のイメージとなる計画のたたき台を公表いたしまして、その地元説明会を延べ十日間開催いたし、約三千人の方々が参加していただいております。その後、相談所を約一カ月半開設いたしまして、約二百人の個別の相談にも応じてまいりました。さらに、要望のあります地域の町会、あるいはもろもろの団体等とも話し合いを継続してまいっております。

○高橋委員 特に都市計画決定以来、反対運動を継続している団体として、外環道路反対連盟があるとお伺いしておりますが、その反対の主な主張とは何か、お伺いいたします。

○成田外かく環状道路担当部長 昭和四十一年の都市計画決定当時、地元団体は主に三点の主張をいたしております。一つは、自動車公害に対する懸念。もう一つは、外環が通ることによります地域分断。それから、住民要望の反映されない都市計画決定の手続について反対してございます。
 現在、外郭環状道路反対連盟からは三つ要望が出されておりまして、一つは、過去の反省とその責任の所在をまず明確にし、住民に示すこと。いわゆる謝罪でございます。二点目に関しましては、現道路計画を白紙に戻し、ゼロからの出発をすることを明確に確認したいと。いわゆる計画の白紙撤回でございます。その上で、三点目は、凍結解除も考えなければならない。特に凍結解除については、大変重みのある事柄であり、軽々しく取り扱わないことという、この三点が地元反対連盟からの求めでございます。

○高橋委員 ご答弁をお伺いさせていただきまして、連盟の要求する謝罪については、五月に大臣が発言しており、また白紙撤回については、計画のたたき台により従来の高架案から地下案が提案されたことにより解決しているのではないかと思いますが、大臣の発言のあった、原点に戻った話し合いの場の提案から約半年近くになっておりますが、もう一度その辺の細かい状況をお伺いしたいと思っています。

○成田外かく環状道路担当部長 八月に地元七団体との第四回の全体会の話し合いを開催いたしております。この場では、大臣が提案しております新しい協議会の設置に向けた準備会を提案させていただいておりまして、九月二十八日と十月二十八日の二回、準備会を開催いたしまして、協議会設立に向けた調整をさせていただいております。また、その準備会に向けまして、頻繁に接触を持ちながらきめ細かな連絡調整を現在行っているところでございます。

○高橋委員 ぜひ頻繁にやっていただきたい。
 外環は首都圏の慢性的な渋滞解消や、ご案内のとおり環境問題等を解決する上でぜひとも必要であると思っております。早期に整備を図るべきであると思います。そのため、新たな話し合いの場を設置するなど、地元との話し合いを精力的に進め、早期に計画の具体化を図るよう要望しておきます。
 次に、地下鉄大江戸線の延伸についてお伺いさせていただきます。地下鉄大江戸線については、平成三年十二月に光が丘-練馬間が開業したのを皮切りに、昨年の十二月には都心部を一周する環状部も開業し、東京における新たな交通ネットワークの形成や沿線地域の活性化に大いに寄与してるところであると思います。
 しかしながら、光が丘から郊外方面への延伸が計画されている地域の住民は、現在、ご案内のとおり、東武東上線、あるいは西武池袋線を利用しておりますが、両線の間隔が五キロメートル程度以上離れていて、俗にいう鉄道空白地域となっている上、周辺道路が混雑しているため、最寄り駅に向かうバス交通が渋滞に巻き込まれるなど、日常生活に非常に不便をかぶっており、地下鉄大江戸線の光が丘から大泉学園町方面への延伸については、地元区住民の悲願となっているところであります。
 そこで、本路線の整備についてどのように考えているのか、ご所見をお伺いいたします。

○只腰施設計画部長 公共交通網の整備でございますが、通勤、通学時の混雑緩和、あるいは速達性の向上を図るため、これまでも地下鉄路線などの新設路線の整備、あるいは複々線化などの既設路線の改良を進めることによりまして、効率的かつ利便性の高い交通体系の形成に努めてきたところでもあります。
 ご指摘の地下鉄大江戸線の光が丘から大泉学園町への延伸でございますが、副都心新宿へのアクセスの向上、あるいは、今ご指摘ございました鉄道不便地域の解消に資する路線として、整備の必要性が高いものというふうに私ども考えております。

○高橋委員 また、東京圏における鉄道整備の基本計画としては、昨年一月の運輸政策審議会答申第十八号がありますが、光が丘から大泉学園町方面への延伸は、この答申においてどのように位置づけられているのか、また、事業化に向けた都の取り組みはどうなっているのか、お伺いいたします。

○只腰施設計画部長 今、ご指摘ございました運輸政策審議会の答申、この答申の番号は十八号でございますが、それにおきましては、地下鉄大江戸線の大泉学園町への延伸でございますが、二〇一五年、平成二十七年でございますが、その時期までに整備着手することが適当である路線ということで位置づけられているところでございます。
 この事業化でございますが、大江戸線の導入空間となります都市計画道路補助二三〇号線の整備、あるいは周辺地域のまちづくりを進めていくことが重要というふうに考えております。
 今後、先ほど申し上げた答申を踏まえまして、引き続き、まちづくりの主体となります地元練馬区あるいは関係機関とともに、これらの課題にも取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○高橋委員 答弁ちょうだいいたしましたけれども、本路線の事業化に対する地域住民の熱い願いにこたえられるよう、大江戸線の導入空間となる都市計画道路補助二三〇号線の早期整備と、光が丘から大泉学園町間の事業化を強く要望しておきたいと思っております。
 次に、連続立体交差事業についてお伺いいたします。
 去る十月二十六日に、都庁舎において連続立体交差事業促進東京都連絡協議会が開催されたと仄聞しておりますが、都政でも大変重要な課題の一つとなっており、地域の発展にも大きく寄与する都市基盤整備である鉄道の連続立体交差事業についてお伺いしたいと思っております。
 西武池袋線の連続立体交差事業については、昭和四十六年一月に、桜台から石神井公園駅付近が都市計画決定され、現在は桜台から練馬高野台駅付近が事業中となっておりますが、事業中区間については、ことし三月に、目白通りと鉄道の交差を従来と逆に切りかえる--新聞でも報道されておりましたけれども、逆立体化工事が行われたところでありますが、石神井公園付近については、いまだ事業化されておりません。沿線まちづくりとあわせて進めていただくためには、石神井公園付近の整備、さらには保谷駅付近までの連続立体交差化が必要と考えております。
 そこで、これらに関連してお伺いさせていただきます。石神井公園駅付近までの現在の状況と今後のスケジュールについてお伺いいたします。

○只腰施設計画部長 ただいまご指摘ございました西武池袋線の連続立体交差事業でございますが、先生、ご発言ございましたように、ことしの三月に、桜台の駅から練馬高野台の駅まで、在来線の高架化が完了したものでございます。十九カ所踏切がございまして、この中には放射三五号線、放射七号線、環状八号線など、大変大きな道路との交差も含まれているものでございます。
 今後でございますが、ここは複々線化も一緒にやるということで、線増部分の工事を行いまして、それを含めまして、十四年度末までには完了する予定でございます。
 また、ただいまご指摘いただきました石神井公園付近でございますが、これは練馬高野台の一つ郊外方に当たるわけでございますが、この区間につきましては、まだ事業化されてございません。この西武池袋線でございますが、もともと練馬から石神井公園までの複々線化をあわせて行うということで、ご指摘のように石神井公園駅付近の立体化、複々線化をしませんと本事業の事業効果が十分に発揮できないと考えておりまして、そういう意味では、石神井公園付近の整備は必要不可欠のものであるというふうに考えております。
 ただ、現在の都市計画が、石神井公園方の郊外方で、いわゆる高架線のまま切れているような形で都市計画がされておりまして、地上にすりついていないということで、事業化に当たりましては、郊外方にその都市計画を延伸するような都市計画の変更が必要でございます。この点も含めまして、今後、地元区あるいは鉄道事業者など関係機関とともに、事業化に向けて鋭意検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

○高橋委員 西武池袋線の連続立体交差事業については、先ほど申し上げましたように、沿線まちづくりにあわせて、地元住民の期待が一層高まっているところであります。現在事業中の区間については、予定どおりの事業完了に向け、引き続き関係者の方々の努力をお願いいたします。
 また、石神井公園駅付近から保谷駅付近までの連続立体交差化についても、早期事業化が図られるよう、本日のところは強く要望しておきます。
 最後に、数点要望しておきますけれども、西武池袋線と都市計画道路補助一三五号線は、大泉学園駅近接で交差しておりますが、この九月に車道部分がアンダーパスで立体化されました。地元としては、この地域の朝夕の交通渋滞はこれで解消されると期待しておりました。ところが、新聞等でも報道されましたように、この立体の南側では、都市計画道路補助一三五号線が全く整備されておらず、このため、当初期待された立体化による朝夕の交通渋滞は、いまだ解消されていないのが現実であります。この立体化は、渋滞解消への一歩であると思いますけれども、区が整備することとなっている都市計画道路補助一三五号線の西武池袋線南側についても、早期整備が待たれるところであります。都としても区への財政的、技術的、それぞれの支援を積極的に進めていただきますよう要望しておきます。
 あわせて、大泉学園駅並びに保谷駅周辺の交通渋滞解消のため、放射七号線及び補助一五六号線の大泉学園駅北以西の早期整備についても、強く要望しておきます。
 以上、外環の計画及び地下鉄大江戸線の延伸、西武池袋線連続立体交差事業に関して質問させていただきましたが、本日は時間の都合等もあると思いますので、それぞれの具体的な事項に関しては、今後、本会議場等で質問したいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。

○織田委員 私は防災都市づくりについて簡単に質問をさせていただきます。
 地震や火災や水害という、本当にいろいろなところで事件が起きます、あるいはまた災害が起きますたびに、東京だったらどうなんだろうな、地元だったらどうなんだろうなということが必ず頭をよぎるわけでございます。幾らか前、一月ぐらいだったか二週間ぐらいだったか、定かでありませんけれども、政府の地震調査推進本部の地震調査委員会が、南海地震と東南海地震が今後三十年以内に起きる可能性を、それぞれ四〇%、五〇%というふうに予測されるということが公表されました。日本地震学会では、東海地震が早ければ来年、遅くとも二〇〇五年までに起きるという--本当に起きるのかなという、いささか疑問はありますけれども、そういう見解を発表しました。
 南関東直下型地震についても、いつ起きてもおかしくないという非常に切迫性のある状態であるということが常々指摘されているときでありますから、まさに防災都市づくりということをたゆみなく前進させていくことが必要だなということを痛感するわけでございます。
 そこで、防災都市づくり事業について、決算書によりますと、三一ページに、防災生活圏促進事業の予算執行率が五八・六%というふうにございます。この防災生活圏促進事業の内容とこれまでの実績について、まず伺いたいと思います。

○萩原参事 防災生活圏促進事業でございますが、安全で住みよい防災生活圏の形成を推進することを目的といたしまして、災害時の危険性が高く、優先的に整備すべき地区等を対象に、事業を実施いたします区市に対し、都が事業費の一部を補助するものでございます。
 事業の内容でございますが、防災広場、道路等の整備、また、建築物の不燃化及びまちづくり活動に対します支援などを行ってございます。現在、十八地区、約二千二百ヘクタールにおきまして事業を実施中でございます。

○織田委員 ただいまもご説明のあった防災生活圏促進事業、非常に細かい事業で、市区町村でやっていただいている事業であると思いますけれども、広場をつくったり、防火遮断といいますか、道路等を整備したり、あるいは燃えにくいまちづくり、いってみれば燃えないまちづくり、逃げなくてもよいまちづくりということの最前線のお仕事ということになろうかと思いますが、これが、予算の執行率六割弱という低い状況でございますけれども、昨年度、この執行率が低かった理由はどんなところにあるんでしょうか。

○萩原参事 執行率が低かった主な理由といたしまして、防災道路の整備に当たりまして、当初予定しておりました路線が、工事中の迂回道路の確保、こういったものをめぐりまして、地域住民との間でなかなか合意形成が図れなかったために繰り延べさせていただいたこと、また、不燃建築物への建てかえでございますが、建て主さんの資金調達等が非常に困難になった等の理由により建築困難になったことによります実績減でございます。

○織田委員 一つは、景気の悪さから来るんでありましょうし、確かに都市計画万般にわたって、合意形成の難しさというのは、つとに指摘されているところであると思いますけれども、私の地元の板橋区においても、大谷口地区で防災生活圏促進事業が行われております。この大谷口地区におきます防災都市づくり事業を具体的にどのように進めてきているのか、ご説明をいただきたいと思います。

○萩原参事 大谷口地区につきましては、東武東上線、環状七号線、川越街道及び補助二六号線に囲まれました二つの防災生活圏から成ります、約百四十四ヘクタールの地区でございます。地域の延焼火災の拡大を抑制するために、環状七号線、川越街道、補助二六号線の沿道不燃化を、都市防災不燃化促進事業によりまして進めておりまして、延焼遮断帯の形成を図ってございます。現在、環状七号線及び川越街道につきましては、延焼遮断帯としての機能をほぼ果たす不燃化が完了いたしておるところでございます。
 また、補助二六号線につきましては、平成九年から道路の拡幅整備に着手いたしておりまして、十二年度末で約五千平米強、全体でいいますと、約三〇%の用地買収が済んでおるということでございます。この道路の整備とあわせまして、平成十一年から沿道の不燃化を進めておるところでございます。
 また、環状七号線、川越街道と東武東上線で囲まれました仲町、弥生町の地区につきましては、防災広場、防災井戸の施設整備でありますとか、地域の防災組織への活動支援、こういったものを防災生活圏促進事業によりまして行ってございます。
 また、川越街道から南側の大谷口、大山西町などの地区につきましては、公園等の整備、また、木造建築物の建てかえ促進、こういったものを、木造住宅密集地域整備促進事業、また緊急木造住宅密集地域防災対策事業、こういったものを活用いたしまして実施いたしておるところでございます。

○織田委員 いろいろ細々としたことまでご説明をいただきましたけれども、東京都も、あるいはまた地元の区についても、いろいろ努力されていることはよく理解できるわけでありますけれども、実際、あの地域を私も歩いてみますと、本当に隔靴掻痒、修繕型といいますか、そういう事業というものはかくも進まないものかなという印象を受けざるを得ないわけですね。大いに地元の個々の住民の方々の理解を得ながら、あるいはまた、住民の方々が家を建てかえるなり、マンションをつくり直すなりというようなところでの、そこへかみ込んでいっての事業の展開ということ、それにプラス遮断帯としての道路の整備、そして不燃化をかけていくということで、今までのご努力はよくわかるんですけれども、これでは何か間に合わないなというような印象を受けるのは、私一人ではなかろうというふうに思います。
 本当に基本的なことで恐縮なんですけれども、こういった事業を進めるために、今、何が問題で、都市計画としてはどういうことをやっていけば事業そのものが進むのか。そしてまた、これで進まない、修復型で進まないということになれば、新たな手法も考えるのか、私は大きな転換点に来ているのではなかろうかなという気がしてなりません。
 そこでお伺いしますけれども、今申し上げましたように、事業を進めていくために、何が問題点か、何が必要なのか、このことについてどう考えているのか、お伺いしたいと思います。

○萩原参事 大谷口地区を初めといたします木造密集地域の現状といたしましては、非常に土地が狭小であること、また、借地人、借家人など、権利関係がふくそうしていること、また、高齢者が多いなどの特徴が挙げられております。
 こういった地区で防災まちづくりを進める上での問題点といたしましては、やはり住民の合意形成、こういったものが不可欠であろうかというふうに考えております。たとえ一定の防災意識があったといたしましても、耐火建築物の建てかえには、資金面での負担が非常に大きくなること、また、地主の同意がなかなか得られづらい、また、木造住宅へのこだわりなどの理由によりまして、事業がなかなか長期化する傾向にある、委員のご指摘のとおりでございます。
 そこで、住民の理解を深めまして事業を推進いたすために、特に資金面での負担の軽減策といたしまして、都市防災不燃化促進事業の補助対象に仮住居のための費用を含めるなど、いわゆる補助対策の拡充、また、補助率そのものの拡大、事業期間の延伸とともに税制面での優遇措置など、こういったことに対しまして、国に対し、生活再建に対する支援の拡充を求めていきたいと、こんなふうに考えております。
 また、土地の共有化や建物の共同化、こういったものを促進いたすために、街区再編プログラムなどの新たな施策の導入といったことを図ることによりまして、容積率等の計画的なコントロール、こういったことも行ってまいりたいと考えております。
 また、コミュニティにも配慮いたしました、安全で環境が良好な、まさに魅力あるまちづくり、こういったものを、住民、区と連携を深めることによりまして、円滑な合意形成、こういったものに全力を挙げていきたいと考えております。

○織田委員 今、さまざまな手法を動員してそれと取り組んでいかれる、そういうご答弁でございました。国に対しても本当に強く要望していただいて、都市再生とかそういったことも、都心部においては大切でありますけれども、現実に住民がたくさん住んでいるのは周辺区でございまして、そしてまた、環七の内側の一部、ベルト的にそういう木造密集地域というのはありまして、ここの問題を解決しないと、防災都市づくりというのは一向に進まない、こういうご認識を持っていただきたいし、そして、そういったところにある程度資源を投入していかなければ、国の力もかりて投入していかなければ、いつまでたっても東京の安全というようなものは担保できないんではないかというふうに思っています。こういった複雑な問題があります。今までのように、土地の値段、土地の値上がりを期待した上で事業を進めていけばスムーズにいくのではないかといった手法が破綻しております。したがって、今日的な状況にあった中で、どうすれば事業というものがそういった観点から進んでいくのかということを、ぜひ知恵を絞っていただいて、早期に防災都市づくりの実現、これを目指していただきたい、このように要望して、終わりたいと思います。

○丸茂委員 東京構想では、東京における都市計画、都市像が方向づけられ、東京圏の骨格的な都市構造では、環状方向の都市と都市の結びつきを重視して、交通網の整備等を進め、東京圏の発展を図ることを目指すとして、環状メガロポリス構想なるものが示されました。さらに、東京の新しい都市づくりビジョンがことし十月に発表されました。その中では、首都圏の広域幹線道路ネットワークを形成する首都圏三環状道路の完成を目指すとしています。しかし、九八年の「生活都市東京の展開 改訂重点計画」などでは、都市の過密解消、混雑緩和対策として、鉄道やモノレール等の整備、LRT導入の検討、それから、混雑を緩和し、効率的な都市活動を実現するための交通マネジメント、いわゆるTDMなど、さまざまな角度で検討がされてきたと考えております。
 現在、TDMは、やっと取り組みが始まろうとしている段階ですが、さらに区部環状などの公共交通やLRT、さらにはリニアモーターなど、新しい交通システムの検討など、その姿がなかなか見えてきません。その点、どうなっているのか、まずお伺いいたします。

○只腰施設計画部長 公共交通網の整備でございますが、先ほどもちょっとご答弁申し上げたところでございますが、通勤、通学の混雑緩和や速達性の向上に加えまして、地域の利便性の向上を図るような観点から、地域の交通需要の規模あるいはその地域の特性に応じまして、ご存じのような多摩都市モノレールあるいは臨海部の「ゆりかもめ」等、中規模の需要にも応じるような新たな交通網の体系整備を行ってきたところでございます。
 ただいまご指摘いただきました区部環状あるいはLRT、リニア等の新たな交通システムにつきましても、例えばLRTにつきましては、既に都としては過年度に調査を行ったところでございまして、江東区で最近、調査がまた開始されるということで、私ども、技術的な協力をしているところでございます。
 また、区部環状につきましては、都と区の部長級で関連の連絡会を構成いたしまして、需要の見通しあるいはコスト縮減方策などの検討を行っているところでございます。
 また、リニアにつきましては、いわゆる新幹線タイプのものと、それから、常電導といいまして、もう少し都市内交通機関に使えるものがございますが、本日たまたま、趣旨に賛同される都議会の関係の会派によりまして、リニアの促進都議連というのが設立されたわけでございますけれども、私どもとしては、従来から、促進期成同盟会の一員として、国への要望活動を行ってきているところでございます。

○丸茂委員 今、お答えがそれぞれあったんですが、やっぱり都民にわかる形で、計画の中にもしっかりと位置づけてほしいというふうに思います。
 東京都は、三環状など、これらの道路が完成すると、混雑が緩和され、自動車走行速度が上がり、利便性が向上する、また、大気汚染も改善されると、これまでも述べられております。そこで、三環状道路などが完成すると、どう混雑が解消されるのか、わかりやすく教えていただきたいと思います。

○只腰施設計画部長 現在の首都圏の高速道路ネットワークでございますが、ご存じのとおり放射方向が先行して、計画の九割できておりまして、一方、環状方向につきましては、もともとの全体計画の二割にとどまっているということで、環状方向が立ちおくれている現状にございます。そのため、東京を通過するような交通が、すべてといいますか、大方、都心環状線に集中するようなことで、慢性的な交通渋滞の原因になっているものでございます。そういうことから、こうした整備のおくれている三環状道路につきましては、この整備を図ることによりまして、都心部を通過するような交通の迂回、分散が図られるということで、交通渋滞の改善に大きく寄与するものというふうに考えております。
 また、これに加えまして、全体の整備効果といたしましては、首都圏メガロポリス構想のときの試算によりますれば、ほかの道路のネットワークの向上も含めまして、車の走行速度が圏域全体で一割上がりまして、年間一兆七千億の時間短縮効果、それから、全体として走行速度が上がるということで、窒素酸化物や二酸化炭素の一割程度の減少、そういうことで大気汚染の低減に寄与するのではないか。また、渋滞につきましては、現在、圏央道の内側で六百カ所あるというふうにいわれているんですが、三環状九放射の道路ネットワークが全体完成しますと、大方の渋滞ポイントは解消されるのではないかというような整備効果を、私ども、見込んでおります。

○丸茂委員 私は、渋滞がどう具体的に解消されるのかという点に絞って考えてみたいと思うんですが、専門家の検討では、実際に高速道路が整備されても、渋滞がなくなるかといえば、道路整備が進んでも、自動車保有と交通量が上回れば渋滞は一向になくならない、こういう指摘があります。
 その実例として、首都高速道路公団が横浜市域におきまして、八九年に横浜湾岸線と大黒線、九〇年三月に狩場線の供用がされた交通量の変化を調査したものがあります。そこでは、高架の高速道路と一般道の交通量の変化が比較されておりまして、供用開始一カ月後は確かに若干減るものの、三カ月後にはふえ始めまして、ほぼ三カ月たちますと、もとの同じ状況になるということが明らかになっております。半年、一年たてば、供用開始前よりさらに交通量がふえ、渋滞がひどくなっている、こういうことは間違いないという指摘もされております。これらは、阪神高速道路でも、同様な調査を行った結果、同じような結果が出ているとされております。
 また、東京都内、一般道の主要交差点における昼間十二時間での年間延べ渋滞時間を、五年ごとに時系列的に推移を調べたものもあります。そこでは、一九六五年から九〇年まで、年を追うごとに、渋滞する交差点数と、そこでの延べ渋滞時間がますます増加の一途をたどることが明らかになっています。高規格の高速道路がつくられても、それらにつながる一般道の整備が進まず、高速道路から吐き出された車が殺到していくから渋滞がまたひどくなる、これは当然のことだといえます。特に密集市街地では、簡単に道路をふやすことは不可能ですし、現になかなか一般道の整備が進まない。その話も先ほどから出ておりますけれども、渋滞がそのために年々ひどくなるのではないかと。そういう点で、都市計画上、この高速道路の整備と一般道の整備の矛盾、これをどう解決していくのか、そのことが問われているんじゃないかと思いますが、その点ではどういうお考えを持っているのか、お聞きいたします。

○只腰施設計画部長 ただいまご指摘いただきました高速道路と一般道路の関係でございますが、高速道路の整備によりまして、生活道路を含めました一般道路の通過交通、あるいはそこを通っているような一般の交通を高速道路に転換するということによりまして、生活環境の改善を全般的に図ることができるというふうに考えております。そういう意味で、大きな整備効果があるのではないかと考えております。
 また、高速道路の出入り口といいますか、インターチェンジでございますが、おっしゃるように、ここをうまく一般道路と接続しまして、円滑にそういう整備を進めていくことが、全体の高速道路の役割を高めることにつながるわけでございますが、高速道路の供用にあわせまして、例えば圏央道等ではアクセス道路の整備に努めるということで、そのような接続の円滑化を図る、また、都心部におきましては、高速道路の出入り口でありますランプの設置につきましては、その位置あるいは形状等を工夫いたしまして、一般街路とのスムーズなアクセスが図れるように努めているところでございます。
 また、一般道路の整備につきましては、確かに財源等の問題もあるわけでございますが、私ども、計画的、効率的に整備を図るため、事業化計画を定めまして、計画的な整備の推進を図っているところでございます。

○丸茂委員 環境の問題も触れられたんですが、私も環境局の質疑で、車の絶対量、交通量がまたそれでふえれば、環境への負荷がまた大きくなるという点で、総量規制も含めて抜本的な対応、それから、車そのものの排出ガスの規制を初めとした総合的な対策が必要だという主張もしてきたんですが、一方で、道路はもうつくらない、車にも頼らない、こういうイギリスに定着するアンチ・ロード・ムーブメント、こういう運動と、道路、交通政策の転換をどうとらえるか、こういう新たな問題提起がされております。
 イギリスでは、九八年に道路交通削減法が成立していますが、道路交通量を削減する法律なんです。その交通量を減らす理論的、実証的な基礎を与えるものとして、誘発需要と蒸発需要の論理があるとされております。新しい道路やバイパスをつくる、レーンをふやすことの最も一般的な理由が、交通量を減らす、あるいは渋滞をなくすということですけれども、一見もっともらしく思えるこの理屈は、肥満を治療するためにベルトを緩めるようなものであって、道路のキャパシティーをふやすことは結局交通量をふやすことにしかならない、こういう圧倒的な根拠、証拠を欧州の交通担当大臣による政府機関、ECMT報告で示されまして、根拠が崩れ去っております。道路交通量の増加の最大の要因は道路開発だと、こうまでいう研究者もおります。
 一方、蒸発需要でありますけれども、例えば、ある道路が閉鎖されたとき、以前その道路を走っていたすべての交通量が他の道路に移るのではなく、一部分は消えてしまう、こういう現象で、実際にイギリスでは、全面的あるいは部分的に閉鎖された道路の閉鎖前後の交通量の変化を世界各地から収集して分析した結果、そのほとんどで交通量の半分以上が消えてしまったという事例が紹介されておりました。
 こうした蒸発需要についての考え方が、東京構想あるいは都市ビジョン等では論議され、あるいは検討されてきたのか、その点、お伺いいたします。

○只腰施設計画部長 ご指摘のロンドン等のイギリスの大都市あるいはヨーロッパの大都市の例ということでございますが、先ほどちょっと数字を申し上げたわけでございますが、東京等におきましては、環状道路の完成率二〇%ということで、ロンドンではほぼ一〇〇%ということで、基礎とする道路の整備率が大分差があるのではないか。したがいまして、仮にある道路のリンク部分が閉鎖をされても、その迂回あるいは代替機能というのは広くロンドン等ではあるのではないかということで、私ども、蒸発需要というのは今まで余り耳にしておらないわけでございますが、そういうような基礎的な条件の違いがあるのではないかと認識しているところでございます。

○丸茂委員 今、道路率のお話もあったんですが、これは、我が党が代表質問でも取り上げたんですけれども、東京との比較そのものが正確ではないのではないかと。そのとき指摘したのは、高速道路を含む幹線道路についても、一平方キロメートル当たり四千人以上が隣接している既成市街地という同じ物差しではかってみると、東京も、ニューヨークや、あるいはロンドン、パリを見ても、二〇%前後で差がないということも指摘してきたところです。特に東京は、島しょや奥多摩の山岳地帯を有する、土地が平たんではない、そういう点では、ニューヨークやロンドンなどと一律に比較ができない、その比較を同じレベルでやれば、道路の整備率は変わらないということは、指摘しておきたいと思います。
 私は、問題は、ふえ続ける自動車需要をどう抑制していくのか、都市づくりの中にそのことをどう見込んでいくのかが問われていると考えます。ところが、東京構想二〇〇〇や都市ビジョンは逆行して、自動車の需要をふやす都市開発を大規模に進めようとしているのでありまして、三環状もその需要に対応する計画だと私は考えます。我が党は、道路全般を否定するものではありませんが、自動車需要を抑制する都市づくり、これを定める中で道路のあり方を考えるべきではないか。圏央道においても、もともと一極集中対策として、業務核都市や工業団地などを配置して分散を図るのが目的の道路として計画されたものであると思っております。渋滞解消の役割という点では、疑問も出されております。幹線道路優先の姿勢が、この平成十二年の最終補正で千四百十億円の事業費の九九%、千三百九十億円が国の補正予算に伴う公共事業費によって占められ、しかも、その内容が、本来国が負担すべき国道など直轄事業負担金など、どの幹線道路に使うかも明らかにされないまま計上された経過や、また、国にいいなりの首都高速道路公団への無利子貸付金が二百六十億円も計上されてきた、そういう経過も踏まえて、批判してきました。そうした問題点を指摘して、次に、地元の羽田空港跡地問題について伺います。
 構想二〇〇〇では、羽田空港の国際化や沖合の再拡張には触れておりますが、肝心の東京都が責任を持つ羽田空港沖合展開後の二百ヘクタールの跡地問題が全く触れられておりません。こういう事態だからこそ、国は暫定だとはいいますけれども、七十七ヘクタールという跡地を示してきたのであります。
 資料も要求いたしましたが、国、地元自治体とともに、東京都は跡地利用に関して検討を行ってきたはずです。都として跡地利用に関してどのような調査、取り組みをしてきたのか、この点でまず伺います。

○甲斐航空政策担当部長 羽田空港沖合移転跡地につきましては、お手元の資料の一ページにもございますが、平成六年九月に、国と都、大田区で、羽田空港跡地共同調査に関する連絡会議といったものを設置いたしまして、その後、平成九年の六月には、学識経験者を交えた東京国際空港跡地利用計画調査委員会といったものを発足させております。そういう中で、国と都と大田区、三者で共同して調査検討を進めてきております。
 これまでに、跡地の特性、役割、土地利用の基本的な考え方、また、跡地の将来像と導入機能及びその立地条件などについて、調査検討を行ってきております。

○丸茂委員 私は、そういう検討をするに当たっても、これまでも何度も指摘してきたんですけれども、当時の運輸大臣、現在財務大臣である塩川正十郎氏と当時の鈴木知事、地元区長と結んだ協定書に基づいて、沖合展開後の跡地の範囲、当時二百ヘクタールを想定していましたが、それを確定することが極めて重要だと考えておりますけれども、その点はいかがでしょうか。

○甲斐航空政策担当部長 羽田空港の跡地問題は、先生もご承知のとおり、新たな局面を迎えております。都はこれまで、首都圏の航空需要にこたえるため、羽田空港の再拡張、それから国際化を国に求めてきておりました。国はことしの七月三十一日に、首都圏第三空港調査検討委員会の場で、国際化を視野に入れた羽田の再拡張を首都圏新空港に優先させることを表明しております。跡地問題も、このような状況の変化を踏まえて議論すべきであるというふうに考えております。
 都といたしましては、羽田空港の国際化としての機能、容量の拡大といったものが十分に発揮されることが重要であると主張しているところであります。
 今後、本格的な国際線のターミナルも必要でありますし、滑走路、エプロン、そういったものの整備も必要であります。そういった空港施設の配置計画が今後検討されていく中で、跡地の問題も利用可能な範囲といったものが確定されていくべきであるというふうに考えております。

○丸茂委員 私は非常に不満を覚えます。というのは、現在の羽田空港の沖合展開が今現在あるのは、当時、埋め立てそのものの免許、それから沖合展開も、地元区、議会も含めて、三者協定を結んで、跡地利用の取得まで、あるいは範囲はどこまでにする、そういう約束の確認のもとで進められ、今現在に至っているわけですよね。
 それから、かねがねいっておりますけれども、現在の羽田空港跡地予定地、その一部には、米軍の四十八時間以内に退去せよという形でそこを追われた羽田の住民の歴史もありますし、また、今申し上げました議会との合意、そういう中で三者協定が確認をとられたわけで、そこでは、三者で沖合展開による空港用地外とする範囲とその土地の利用計画、あるいは沖合展開により空港用地外となる土地を東京都が取得する方法と時期、こういうものまで協定として結ばれたわけであります。
 そういう点では、地元区を初めとして、跡地利用に対する期待は大変強いものがあるわけで、その間に入って、埋立事業を初めとして、協定の一員であります東京都がどうそれに対処していくのかということが、極めて私は、責任は重大だというふうに考えております。その点で、三者協定の立場に立って、地元区の要望が実現できるよう、都として一層の力を尽くすよう求めるものですけれども、最後、その点の決意も含めて、お考えをお聞きします。

○甲斐航空政策担当部長 現在の跡地の範囲といいますものは、繰り返しになりますけれども、沖合の第一次的な移転、現在の移転であります。これは、実は、再拡張などを前提としたものではないということがありますので、再拡張によりまして、先生もご案内のとおり、大体一・五倍ぐらい空港容量がふえますから、それを既存ストックの活用という観点からも、二百ヘクタールの一部をそういったものに充てるということも含めて、空港配置計画が出てくることにつきましては、私どもも国際化を進める上で望ましいと考えておりますが、これまでの経緯、もちろん私どもも考えておりまして、羽田空港の再拡張や国際化を進めていくといった意味で、空港の施設配置計画とか、あるいは跡地でありますとか、そういったものが地元に受け入れられるような努力をするということは、非常に重要だと認識しております。その際、したがいまして、都としても必要があれば、地元の意向を国に伝えていくといったことをやる所存でおります。

○山口委員 先ほど、高橋委員の質疑の中で触れられていましたが、私も外郭環状道路について何点かお伺いいたします。
 都と住民団体との協議が続いていると聞いておりますが、住民からの問題提起の中に、計画の必要性について説明を求められていると思います。まず、この計画は、国の上位計画のどこに位置づけられているのか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 外郭環状道路の計画の位置づけでございますけれども、外郭環状道路は、国土開発幹線自動車道建設法に定められている予定路線に位置づけられておりますほか、首都圏整備法に定められております首都圏基本計画に位置づけられております。

○山口委員 今ご答弁があったことは事実ですが、一方で、今話題となっている今後の整備路線九千六百キロの計画の中にすら、この外環は載っていないことも事実です。今、この整備についても、道路公団の行革問題と絡んでいるということは、ご承知のことだと思いますが、この外環については、一般道路事業ではなく公団の事業となります。現在、公団は行革の俎上に上がっておりますが、その影響をどう予測しているのか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 公団の民営化についてでございますけれども、行革断行評議会の提言案や、それから、国土交通省案、これは九月に出しておりますけれども、それから、建設、管理の分離案などが今、出されておりまして、現在、国において議論されているところでございます。
 都といたしましては、この公団改革と外環の必要性は異なる次元の話ととらえてございまして、都市再生プロジェクト第二次決定に位置づけられていることや、渋滞解消、環境改善のために、国における議論とは別に、外環が首都圏にとって必要な道路であることを訴えております。

○山口委員 石原行革担当大臣の発言にもあるように、公共事業において道路一般をやめるというのではなく、必要性を厳しくチェックしていくという方向が国の方向だとも思います。これからは、より計画の根拠などが問われてくるのではないかと考えられますが、そこで、外環道路によって、自動車交通の分散導入機能、バイパス機能、非常時の迂回機能が提起されております。こうした機能を想定するデータあるいは根拠はどこにあるのか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 外郭環状道路は、首都圏に不足する環状方向の自動車専用道路でございまして、放射、環状のバランスのとれた高速道路ネットワークの構築に不可欠な道路であると認識してございます。
 この外郭環状などの環状道路は、放射方向の道路にリンクすることによりましてネットワーク化が図られ、交通の分散化や、それからバイパスの確保、あるいは非常時の迂回機能等が確保されるというふうに考えております。

○山口委員 重ねて伺いますが、具体的なデータや根拠が示されていないというところで、数字的なものはいつごろ出されてくるのでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 外環は、現在、たたき台を地元に提示している段階でございまして、今後、必要性から議論していくというふうなことで、将来事業者である国とともに、そのデータあるいは根拠等について精査しているところでございます。

○山口委員 数字的なものは、必要データはとりあえずおくとしても、交通の分散機能やバイパス機能はあるが、道路改善によって新たな交通需要を生み出すという、いわゆる誘発交通の問題があるかと思われます。外環道路においてはどう推計できるか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 新しい道路をつくりますと、既存道路より転換される交通や、あるいはバイパス機能を期待しまして通る交通が発生するわけでございます。外環に関しましては、開通いたしますと、現在渋滞している環状七号線、環状八号線、あるいは都心を通過しております首都高速道路の交通が転換されることになりまして、東京全体の渋滞している交通がスムーズになるものと期待してございます。

○山口委員 先ほど、丸茂委員の方からヨーロッパの状況が話されましたが、イギリスでの具体的調査の中で出てきたと聞いています。今後の地域住民や都民との合意形成の中では、当然必ず出てくる問題だと思います。それにこたえる準備が必要だと考えるので、その点を強く要望しておきます。
 次に、具体的な問題ですが、構造上、大深度を利用した場合とそうでない場合、工事費や環境、そして地上権などでどのような違いがあるのか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 外環につきましては、先ほど申し上げましたように、必要性から議論していくことというふうに現在なっておりまして、インターチェンジの位置あるいは計画の中身については、まだ定まってございません。現在、高架から地下へ変更した場合の計画のたたき台を地元に提案している段階でございまして、今後、社会的な合意形成がなされる中で構造が定まっていくこととなりますので、その時点で検討させていただければと思っています。

○山口委員 多分構造問題一つでも、選択によって全く異なる事態となると思います。地域住民や都民への計画についての説明責任が大きく問われます。そもそもの交通政策からも問われてくると思います。イギリスでは、九八年、交通におけるニューディールと転換し、自動車専用道路の新たな建設をやめました。国に先駆け、東京都としても交通政策の優先順位を変える必要があるのではないでしょうか。自動車交通需要政策とこの外環計画との政策的整合性には疑問を感じております。一見、渋滞解消という共通点はありますが、需要そのものを抑制する点では違いが出てきています。東京都としての交通政策について、その点どうなのか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 英国との対比でございますけれども、英国と我が国の都市形成の生い立ちあるいは社会資本ストックの違い等から、おのずと交通政策は異なるものと考えております。特に首都圏をめぐる環状道路に関しましては、ロンドンではほぼ一〇〇%完成しておりますけれども、その整備を約十三年で行っております。しかし、ロンドンと同時期に計画されております東京の環状道路に関しましては、現在、その整備率がわずか二〇%というふうなところでございます。
 ご指摘の英国におきますニューディールでは、新たな道路建設を取りやめたわけではなく、交通需要に対して、道路建設とともに公共交通の充実を含む、より総合的な施策の展開をうたっております。
 都市交通問題の解決には、道路整備などの交通容量拡大策とともに、交通需要の管理が必要でございまして、都としましても、道路整備だけではなく、公共交通の整備やTDMなど、総合的な交通政策に取り組んでいるところでございます。
 なお、外郭環状道路につきましては、東京行動プランにおいても、TDMを支える都市基盤として位置づけられているところでございます。

○山口委員 今の答弁については、いささか納得はできませんが、今後、十分に議論していきたいと考えております。
 いずれにしても、この計画の問題は、成熟した日本有数の市街地を変える計画であるということで、やはり周辺環境が問題となってきます。無論、国のアセス法の対象事業でありますが、アセスについては東京都の方が先行しており、蓄積があります。都として国の制度を上回る運用の提起などが考えられると思いますが、いかがでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 アセスに関することでございますけれども、外郭環状道路は、国が事業主体として予定されてございまして、環境影響評価法の対象事業であるため、今後は同法に基づきアセスを行っていくこととしてございます。

○山口委員 本日の日経新聞でも、構想段階からの合意形成を国レベルですら提起されています。都の総合アセスの適用や、実は事業アセスのプロセスの中に、東京都には上乗せの手続が含まれています。都民への説明責任を果たすためにも、こうした運用は視野に十分に入ってきていると思いますが、いかがでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 けさの日経新聞に載っておりましたけれども、実は、この後、その研究会が行われまして、私どももオブザーバーという形で出席させていただきます。国の研究会で今提言しておりますのは、構想段階での合意形成、その次に、計画段階での合意形成というふうな形で分けてございまして、私ども、この提言が正式に出されましたならば、都としましてもそれなりの研究をしてまいりたいと思っております。

○山口委員 計画を検討する場合、もう一つ大きな問題が環境問題だと思います。環境でも、緑地保全と地下水への影響が心配されています。地下化によって大切な地下水の水脈が分断されるのではないか、あるいは地下水調査そのものが影響を与えるのではないかという心配がありますが、どのような課題があるか、都としての見解を伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 地下化に関する問題点でございますけれども、地下化を予定しております外環の整備における課題といたしましては、ご指摘のように、地下水等に対する影響が考えられておりますけれども、これらの影響の程度に関しましては、今後、現地調査を実施して明らかにしてまいり、その上で、影響を最小限にするように、対策に努めてまいりたいと考えております。

○山口委員 もう一つ、水の問題とともに、換気塔による大気汚染が問題だと思いますが、現行の機能でどれだけの汚染が除去できるのか、伺います。

○成田外かく環状道路担当部長 道路整備におきましては、高架から地下構造にすることによりまして、騒音、振動、大気等の環境面で大幅に改善できることが、これまでにも立証されております。その上で、集中処理いたします換気塔からの排気に関しましては、防じんに加え、大気への拡散効果などにより、環境基準はクリアしておるわけでございます。
 汚染物質の除去につきましては、将来、外環が完成されるころの技術の発展をも踏まえて検討しなければなりませんけれども、今後、現在も単体規制が大分進んできておりますけれども、自動車の単体規制が大きく進むものと思われておりますので、現行よりは相当程度削減できるというふうに考えております。

○山口委員 大気について、現段階では汚染の拡散でしかないというところは、大変気になるところです。
 幾つか問題を指摘させていただきましたが、最終的には、やはり住民との合意形成をどう図っていくのか--国では合意形成手法を研究しているようです。先ほども少し触れましたが、環境でも、交通問題でも、構造問題でも、建設ありきでなく、きょうの新聞で報道されているように、国と同様にノーアクション案を含めた検討が必要だと考えていますが、いかがでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 都といたしましては、外環は、東京のみならず首都圏にとって必要不可欠な道路だと、このようにとらえておりまして、自動車保有や走行台数キロメートルの伸び、あるいは渋滞の現状を考えますと、早期に完成しなければならない道路と思っております。
 確かにご指摘のように、新規路線に関しましては、計画に当たっては、社会的な合意形成に向け、先ほどご指摘ありました国の研究会におきましても、構想段階などでは特に対話を重ねていくことは、必要なことと理解しております。
 外郭環状道路に関しましては、埼玉区間では既に開通いたしておりますし、千葉区間に関しましては平成十九年度完成予定で、現在事業中でございます。そういう意味から申しましても、首都圏の高速道路ネットワークの形成上から、この東京区間のみ高速ネットワークから除外することは考えられないと、このように考えております。

○山口委員 つくらない案も含めて検討していくことを生活者ネットワークは従来から主張してきました。ぜひとも都でも取り入れていただけたらと思います。こうした計画は、国ではなく、身近な自治体こそ合意形成プロセスを整備しやすいことです。東京都としても積極的に新たな合意形成への工夫を提案すべきと考えますが、局長の見解をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

○木内都市計画局長 外環の問題を中心といたしまして、環境問題を含めまして、いわば事業の実施を前提にしてのご質問をるるいただきまして、ありがとうございました。
 合意形成というのは、言葉でいうと、いうのはやすくでございまして、なかなか難しいご質問だろうというふうに思っております。私どもとしては、外環の必要性はるる申し述べてきたところでございまして、地下化案を中心とした案を出す中にあって、地元だけではなくて、広く社会的な合意は形成されつつある、あるいは形成されているのではないかという期待感を持って、今日、見ているところでございます。
 そうした状況下ではございますけれども、この間の経緯もいろいろありましたし、歴史的な経緯を踏まえながら、地元に対しても丁寧な対応をしていかなければいけないということは、引き続き努力をしていきたいというふうに思っております。ただ、外環そのものに対して絶対反対ということについての合意形成といいますか、そこら辺は、冒頭申し上げましたように、なかなか難しいのかなというふうに思っております。
 私どもとしては、外環について申し上げれば、社会的な合意が形成されつつある中にあって、それに力を入れまして、事業の実現に向けてさらなる努力を重ねていきたいというふうに思っております。ただ、一般論として申し上げたときには、先生ご指摘の合意形成については、事業のそれぞれに即した、個別の事業において対応すべきものというふうに考えておりまして、外環については、合意形成のプロセスは既に走り始めている、動き始めている状況にあるというふうに理解しております。
 今後、新たな事業が発生する段階においては、必要な合意形成のプロセス、本都としても当然のことながら考えておりまして、これまで以上に、合意形成に向けてさらなる努力を重ねていきたいというふうに思っております。

○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 以上をもちまして第三分科会における決算の審査は終了いたしました。
 なお、本分科会の審査報告につきましては、打合会にご一任いただきたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○東野委員長 異議なしと認め、そのように取り計らってまいります。
 これをもちまして第三分科会を閉会いたします。
   午後三時二十二分散会

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