各会計決算特別委員会第一分科会速記録第五号

平成十三年十月二十九日(月曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 九名
委員長宮崎  章君
副委員長高島なおき君
副委員長大塚 隆朗君
大西由紀子君
小磯 善彦君
萩生田光一君
古館 和憲君
前島信次郎君
桜井  武君

欠席委員 一名

 出席説明員
警視庁警視総監野田  健君
総務部長岩橋  修君
警務部長人見 信男君
交通部長福島 和夫君
警備部長和田 康敬君
地域部長安藤 忠信君
公安部長米村 敏朗君
刑事部長米田  壯君
生活安全部長片桐  裕君
組織犯罪対策本部長宮本 和夫君
総務部企画課長阿多 壽次君
総務部会計課長関根 榮治君
消防庁消防総監杉村 哲也君
次長白谷 祐二君
総務部長中村 正弘君
警防部長小林 茂昭君
防災部長鈴木 正弘君
救急部長金子  勉君
予防部長鈴木 淳雄君
指導広報部長石倉  仁君
装備部長関口 和重君
総務部企画課長佐藤 行雄君
総務部経理課長稲葉 義行君
総務局局長大関東支夫君
理事石山 伸彦君
総務部長高橋 和志君
行政改革推進室長島田 健一君
IT推進室長木谷 正道君
人事部長山内 隆夫君
主席監察員古河 誠二君
行政部長反町 信夫君
島しょ・小笠原振興担当部長高橋 敏夫君
災害対策部長岡部 恒雄君
参事矢島 達郎君
勤労部長尾井 幹男君
法務部長小林 紀歳君
統計部長早川  智君
人権部長関  正子君

本日の会議に付した事件
平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  警視庁関係
  ・一般会計決算(質疑)
  消防庁関係
  ・一般会計決算(質疑)
  総務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・特別区財政調整会計決算(質疑)
  ・小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○宮崎委員長 ただいまから各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、警視庁、東京消防庁及び総務局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いをいたします。
 これより警視庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、警視庁所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岩橋総務部長 去る十月十五日、当委員会分科会において要求のありました資料につきましては、お手元に提出のとおり準備いたしましたので、ご説明申し上げます。
 お手元資料一ページの1、都内における過去五年間の交通信号機設置の推移については、平成七年度末現在の設置数及び平成八年度から平成十二年度までの設置数を示したものであります。
 都内における信号機については、平成七年度末現在では一万三千八百七十五カ所に、平成十二年度末現在では一万四千五百九カ所に設置されており、五年間で六百三十四カ所の増設となっております。
 なお、表中の各年度ごとの新設数については設置箇所数として、道路形状や交通事情の変化による撤去については撤去等廃止箇所数として、また、その増加数については設置箇所増加数として示しております。
 次に、二ページの2、都内における過去五年間の刑法犯の認知、検挙件数については、平成八年から平成十二年までの過去五年間における刑法犯認知、検挙件数及び認知件数の多い順に十罪種認知、検挙件数を示したものであります。
 表中の外国人件数及び比率は、それぞれの検挙件数に占める外国人の検挙件数と割合を示したものであります。
 過去五年間の刑法犯の認知件数は、毎年増加し、平成十二年には二十九万一千三百七十一件と、過去最多を記録いたしました。検挙件数に占める外国人の割合は、おおむね五%から六%で推移しておりますが、これはあくまでも検挙して判明した件数であり、実際に外国人が関与している事件は、この数値よりさらに多いものと思われます。
 また、罪種別では、認知件数が最も多いものは窃盗で、過去五年間とも、総認知件数の八〇%以上を占めております。これら十罪種の検挙件数に占める外国人の割合は、総検挙件数に占める割合と同様に、おおむね五%から六%で推移しておりますが、平成十二年の侵入窃盗検挙件数に占める割合は一〇%を超えて、前年の二倍の数値となっております。これは、ピッキング用具使用による侵入窃盗事件対策を強力に推進した結果によるものであります。
 以上で説明を終わらせていただきます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で警視庁関係を終わります。

○宮崎委員長 これより東京消防庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、東京消防庁所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○白谷次長 過日の第一分科会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元にお届けしております平成十二年中における特別区及び多摩地域別の救急車によるゼロから二歳までの乳幼児の救護人員等の資料であります。
 表紙をおめくりいただきたいと存じます。
 表の縦の欄は、出場区別に特別区及び多摩地域を分けてお示ししております。また、表の横の欄には、ゼロ歳から二歳の乳幼児の救護人員及び搬送人員--病院収容人員でございますが--救命対応を必要とした人員並びに特別区、多摩地域の病院へ収容した搬送人員をそれぞれお示ししております。
 それでは、表の内容についてご説明いたします。
 まず、救護人員でありますが、救急隊が現場で応急手当を実施し、病院へ搬送した人員と、搬送には至らなかった人員を合わせたものでありまして、特別区では一万三千八百十九人、多摩地域では六千七十二人で、合計一万九千八百九十一人であります。
 次に、搬送人員につきましては、病院へ収容した人員でありまして、特別区内の病院へ搬送した人員は一万三千二百六十二人、多摩地域の病院へ搬送した人員は六千六百六人で、合計一万九千八百六十八人であります。
 また、救命対応を必要とした人員につきましては、搬送人員のうち心肺停止状態などの重篤の乳幼児でありまして、東京消防庁災害救急情報センターに常駐している救急隊指導医の指導助言を受け、三次救急医療機関である救命救急センターヘ搬送した人員であります。特別区にあっては百二十七人、多摩地域では八十三人で、合計二百十人であります。
 次に、特別区、多摩地域の病院へ収容した搬送人員でありますが、表にお示ししてありますとおり、特別区で発生した救急事故現場から多摩地域の病院へ収容した乳幼児は七百二十一人、一方、多摩地域から特別区の病院へ収容した乳幼児は百七十四人で、合計八百九十五人であります。
 以上、雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○高島委員 資料要求はしていなかったのですけれども、過日、消防庁さんの方から、東京都内の過去五年間の火災の発生件数並びに出火原因について資料をいただきまして、それに基づいて、何点か質問をさせていただきたいと思っております。
 火災の件数として一番多かったのは、平成九年の七千二十五件でございました。一番少ないのは、平成十年六千五百五十五件となっており、おおむね年間六千五百件から七千件の発生件数と認識をしております。その中で出火原因が一番多いのは、放火または放火の疑いというのがナンバーワンでございまして、続いてたばこ、ガスこんろ、火遊び、たき火の順となっております。全くその辺で変動がなかったということが、私の認識でございます。
 そこでお聞きしたいのですが、火災から私どもの生命、身体、財産を守るため、東京消防庁として、都民あるいは事業所に対して、火災の安全対策や放火対策についてどのようなことを指導してきたのか伺いたい。

○石倉指導広報部長 東京消防庁といたしましては、都民みずからの防火、防災行動力の向上が大切であることから、平成十二年度は、都民が参加した出火防止、初期消火、通報、避難訓練を一万三千二百回行いました。一方、池袋、立川、本所の防災館も十九万五千人の都民が利用し、防災学習を行ったところであります。
 地域の協力体制であります消防のふれあいネットワークにつきましては、町会、事業所、社会福祉施設間において、昨年度は三十一件の協定が締結され、現在五百四十九件となっております。
 さらに、火災の早期発見に有効な住宅用火災警報器につきましては、昨年七月から普及促進キャンペーンを展開し、およそ七万世帯に設置されました。
 事業所では、自主防火管理体制の充実強化のため、平成十二年度中は、自衛消防訓練が延べ十一万一千六百回行われました。
 次に、放火火災対策でありますが、放火は昭和五十二年以来、火災原因の第一位となっており、昨年は総火災件数のうち約四割を占めるなど、極めて憂慮される事態となっております。このため、放火防止及び住宅火災による死者の低減を図るため、自主防災組織、消防団、関係行政機関等で構成する住宅防火等推進協議会を各消防署ごとに設置し、地域と一体となった諸対策を推進しているところであります。
 また、火災予防運動や日ごろの防火指導等の機会に、昨年度はポスター類三十一万枚を配布するなど、火災予防思想の普及啓発を図っているところであります。
 今後とも、防火安全対策につきましては積極的に対応してまいります。

○高島委員 避難訓練で、一万三千二百回というんで大変びっくりいたしましたし、防災館には十九万人、さらには自衛消防訓練で十一万一千何がしということで、数字をお聞きいたしますと大変なご努力をなさっているなと、そんな思いがいたしてなりません。ただ、非常に残念だと思ったのは、昭和五十二年以来、放火またはその疑いがあるというのが連続トップということは、非常に遺憾だと思っております。その意味では、ぜひともさらにご協力をいただきたい、対策を練っていただきたいという思いがいたします。
 この機会にちょっとお聞きいたしますけれども、放火または放火の疑い、これが長年連続トップだということでございますが、検挙率、これは本来消防庁さんに聞くことではないと思うのですけれども、もしおわかりでしたらば、どの程度検挙しているのか、平成十二年度でも結構でございます、お知らせいただきたいと思っております。

○鈴木予防部長 東京消防庁管内におきます過去五年間の火災原因の状況については、ご指摘のとおりでございます。
 ご質問の放火犯の検挙率についてでございますが、警視庁の統計によりますと、平成十二年中、六八・八%の検挙率が公表されております。

○高島委員 残念だなと思いますね。六八・八%、大変高い検挙率だと思うんですけれども、愉快犯だとか、いろんなことをよくテレビなんかで私どもも拝見をいたします。残念でなりません。さらに安全対策や放火対策について、ご努力をお願いいたします。
 そこで、きょう、私ども朝テレビを見ましたら、早朝に、新宿駅の付近で、また雑居ビルにおいて火災が発生したというニュースを聞きました。実はこの後、私どもも新宿の歌舞伎町の火災について何点か質問をさせていただく予定なんですが、その中できょうのこのニュースを聞きまして、大変びっくりいたしました。
 けさのことでございますから、十分に情報が入ってはいないと思いますが、わかる範囲で結構でございますので、けさ火災が発生をいたしました、それについて概略をお教えいただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○宮崎委員長 委員長から一言申し上げます。
 現在の決算については、平成十二年度をできるだけ外れないようなご質問でいただきたいと思います。
 本日のことですから、ぜひご報告をいただきたいと思います。

○小林警防部長 本日、早朝にあった新宿区歌舞伎町の火災の状況についてご説明申し上げます。
 平成十三年十月二十九日、六時三十分覚知、新宿区歌舞伎町二丁目四十五番八号、歌舞伎町三洋ビルで、耐火造六階地下一階建て、複合用途、建築面積百四十八平方メートル、延べ面積千八十一平方メートルのうち、五階部分五十平方メートル焼損、死者二人、四人がけがをしております。消防隊は、ポンプ隊、救助隊、救急車等四十隊が出場し、はしご隊が五階から一人、六階から二人の計三人を救助し、八時二十一分に鎮火いたしました。
 本火災は、五階エステサロンのマッサージ室から出火していますが、原因については現在調査中であります。出火時には在館者が十七名で、五階部分に十人おりまして、一人がはしご隊により救出、一人が死亡、一人が転落死、七人が屋内階段を使用して自力で避難しております。六階部分には六人おり、二人がはしご隊により救出、四人が隣のビルの屋上に避難いたしました。また、地下一階にいた一人は自力で避難しております。
 なお、当該建物については、本年の一月に査察を実施しております。

○高島委員 大変申しわけございませんでした。平成十二年度の決算ということでございまして、私どもこれから査察について何点か、新宿の歌舞伎町のことについてもお聞きをしながら、十二年度の査察の概要等についてもお聞かせいただきたいと思っておりますので、ぜひご理解をいただきたいと思います。
 あわせて、二名の方がお亡くなりになったということでございまして、心からお悔やみを申し上げる次第でございます。
 火災予防の中で、私は消防の査察は極めて重要であると考えております。これに関して、何点か質問させていただくわけでございます。
 先ほどからお話がございましたように、先般も新宿歌舞伎町の雑居ビルにおいて、四十四名のとうとい命が火災の犠牲となりました。火災を出したこの雑居ビルにあっては、防火管理者を置いていなかったり、消防設備の未検査、点検の未実施、さらには、屋内階段に避難障害となる物品を放置しているなど、日ごろからの安全の備えがなされておらず、結果として大惨事につながったと私は考えております。その他、何か要因があるようでしたらば、お教え願いたい。

○鈴木予防部長 今回の火災では、三階で十七名、四階で二十七名が逃げおくれました。火災原因は、当庁と警視庁とで現在調査中でありますが、さまざまな要因が重なり、多くの死者が発生したものと推定されます。
 被害が拡大した主な要因としては、ご指摘の防火管理上の問題点のほかに、階段、室内にあっては、多量の段ボールや衣類など可燃物が燃焼したことによりまして有毒ガスが多量に発生したこと、さらに、防火扉が閉鎖せず、四階の店舗出入り口のドアも開放状態であったため、煙が早期に流入し、店舗内にいた客及び従業員の避難路が断たれたことなどが考えられます。

○高島委員 次に、先ほど--十三年度で失礼いたしますけれども、きょう発生した火災についても、一月に特別査察というのでしょうか、検査をなさったという話でございます。消防庁では緊急特別査察を行っておりますが、現在までの主な違反の指摘内容はどのようなものがあったか、お伺いさせていただきたい。

○鈴木予防部長 緊急特別査察は、九月三日から今月末までの予定で実施しているところでありますが、十月十八日までに三千六百四十棟を実施し、そのうち三千二百九十三棟の建物に違反が認められました。違反指摘項目の総件数は三万九千二百九件、そのうち、防火管理者の未選任や階段の避難障害などの防火管理に関するものは約二万件で、全体の違反事項の半数を超えており、防火管理意識の低い状況が確認されております。
 また、自動火災報知設備、避難器具などの消防用設備等の維持管理不適や防火戸の機能不良など、違反事項も約一万五千件となっております。

○高島委員 三千六百四十棟のうち三千二百何がしが違反ということでは、ほぼ一〇〇%といっても過言ではないかなと、非常に残念でございます。
 ただいま主な違反指摘内容について伺いましたけれども、いずれにしても、この種の雑居ビルについては、防火管理者の未選任、それに伴う消防計画の未作成、屋内階段における避難障害となる品物、物品の放置など、経営重視で防火安全面を軽視するといった、建物所有者やテナントのオーナーの無責任さによって、同じような違反を繰り返しているのが実態ではないでしょうか。
 そこで、大勢の人が利用し、危険性のある雑居ビルに対しては、抜き打ちで消防査察を実施することが非常に効果的であると考えますが、その辺の見解についてお伺いいたしたい。

○鈴木予防部長 東京消防庁では、査察を行う際、防火管理者の選任状況や消防用設備等の機能の確認をするため、必要に応じて事前連絡を行い、立ち会いを求めてきたところであります。
 今回の雑居ビル火災を踏まえ、階段、通路等の避難施設の管理の徹底が重要でありますことから、日常の管理状況の確認に重点を置いた、事前連絡なしの査察を実施してまいります。

○高島委員 階段とか避難通路、その辺のことを軽く考えているというんでしょうか、そういう意味で、私どもはぜひ積極的な対応を消防庁さんに期待をいたしますので、よろしくお願いいたします。
 そこで、違反状況の中で特に懸念をされていることとしては、火災が発生した場合、早期に避難を行う上で、先ほどの答弁にもあったように、避難路となる屋内階段や防火戸周辺に障害となる品物が置かれていて、重大な事故につながるおそれがあると思いますが、こうした違反についてはどのような処置を講じていくのか伺いたい。

○鈴木予防部長 階段や廊下などに物を置くことは、避難障害や延焼拡大の要因となるばかりでなく、消防隊の活動を困難にするなど、人命安全上極めて憂慮されるところであります。当庁では、この種の違反を根絶するため、現在実施中の緊急特別査察に伴う違反是正を積極的に進めているところであります。また、十一月九日から始まる秋の火災予防運動期間中に、階段、廊下クリーンキャンペーンを庁を挙げて実施することとしたところであります。
 今後とも、避難施設の適正な維持管理のため、放置、存置物品の除去について趣旨徹底を図るとともに、是正指導に従わない悪質なものに対しては、速やかに命令や告発などを行ってまいります。
 さらに、適正な維持管理を確保するために、必要な法令改正について検討し、国へ要望してまいります。

○高島委員 階段、廊下のクリーンキャンペーンということでございます。ぜひしっかりやっていただきますよう、よろしくお願いいたします。
 今回の歌舞伎町の火災でいろいろな問題が山積みしていると思いますが、都民の安全、安心を確保していくための実効性のある消防査察のあり方や、それに伴う国への法改正の要請、さらには条例の改正など、積極的に実施することが必要と思われます。
 最後に、消防庁の最高責任者でございます消防総監に、防火安全対策についての決意をお伺いさせていただいて、私の質問を終了させていただきたいと思います。

○杉村消防総監 東京消防庁では、従前から、都民の安全を守るため各種施策を積極的に展開してまいりました。しかし、今回、歌舞伎町ビル火災が発生し、四十四名ものとうとい人命が失われたことは、まことに残念であります。当庁では、今回の火災の貴重な教訓を生かし、同種災害の絶無を期するために、組織を挙げて各種安全対策を推進しているところであります。
 今後とも、災害から首都東京の安全を守り、都民の安心を確保するため、全職員が一丸となって、その使命達成のために努力してまいる所存でございます。諸先生方におかれましては、引き続きご指導、ご支援を賜りますようお願いを申し上げます。

○大西委員 私も、査察についてお聞きしたいと思っております。
 まず、十二年度の査察業務の内容、実績について教えてください。

○鈴木予防部長 当庁の査察業務は、不特定多数の人が出入りする百貨店、劇場、雑居ビルあるいはガソリンスタンド等の危険物施設及び工場、事務所などの事業所に立ち入り、消防法令等の違反是正を図るとともに、火災予防の啓発を行っております。
 平成十二年度に実施した査察実施件数は、八万五千七百七十二件でございます。

○大西委員 けさもそうですし、九月一日未明の歌舞伎町のビルでも、本当に小さなスペースでたくさんの死亡者が出たということで、だれもがびっくりした事故なんですが、それについては、その後のテロ等の問題が起き、忘れ去られようとしておりますけれども、今、高島委員もその後の査察状況をお聞きになりましたので、現状の取り組みはわかりましたが、そういう中でいろんな問題点も起きていると思います。
 査察をする中で、いろんな問題が生じていると考えられますが、ビルの所有者、実際に営業している事業者が異なったり、また、一つのビルに多くの事業者が入っているなど課題も多いわけですが、どのような取り組みをしていらっしゃるのか、教えてください。

○鈴木予防部長 ご指摘のとおり、小規模雑居ビルにおいては、所有者、テナント、防火管理者が頻繁にかわるなどにより、査察を実施する上で課題が多いのも事実でございます。
 今後、さらに実効性ある査察を推進していくため、関係行政機関と相互に情報交換し、連携を強化するとともに、事務処理システムについての充実を図るなどして、防火安全対策を推進してまいります。

○大西委員 そういう中、今後の防災対策にこの教訓をどのように生かそうとしているのか、お聞きします。

○鈴木予防部長 階段、廊下の日常の管理状況の確認に重点を置いた事前連絡なしの査察を実施するとともに、階段、廊下のクリーンキャンペーンを行い、防火対策を推進してまいります。
 当庁では、現在、外部の有識者から成る小規模雑居ビル火災安全対策検討委員会において、構造、設備基準、防火管理及び査察のあり方など、ハード、ソフト両面における防火安全対策について、鋭意検討しているところでございます。
 今後、検討委員会の結果を踏まえ、条例や規定の見直しを図るとともに、必要に応じて国へ法令改正等を要望してまいります。

○大西委員 今のご答弁にもありましたように、外部の有識者から成る検討委員会がつくられて、その中で条例等、法改正も視野に入れた検討をしていくということですけれども、ぜひ強制力を持った指導が可能になるような法改正がその中にも必要だと思いますので、その辺もしっかりと対策を立てていただきたいと思っております。
 また、こういう防災対策におきましては、消防庁そして都市計画局、衛生局、警視庁、市区町村との連携で、今後の防火対策に取り組む必要があると思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○鈴木予防部長 当庁においては、従来から建築物の新築時等における消防同意を初め、立入検査において重大な建築基準法令違反を発見した際には、建築行政庁に通知をするなどして連携を図っているところであります。
 ご指摘のとおり、同種火災の再発防止のためには、当庁と関係行政機関とがさらに緊密な情報連絡や、合同の立入検査等を行う必要があると考えております。このため、現在、関係行政機関相互による、より実効性の上がる体制づくりを検討しているところであります。

○大西委員 今、都心居住というところで、マンション、そしてビルの高層化が本当に進んでおります。その方向は今後もどんどん進むと思われるのですけれども、高層住宅に対応できる防災対策というものは、やはり私たちにとって非常に気になるところです。消防庁としても、高層ビルのふえているこの状況をどのように把握していらっしゃるのか。そして、今持っているはしご車とか、そういう消防設備で安全対策が可能なのかというのが非常に気になるところなのですが、その辺はいかがでしょうか。

○鈴木予防部長 高層住宅については、避難や、今先生のお話にありました消防活動の困難性が伴いますことから、消防法及び建築基準法により、火災を早期に発見するための自動火災報知設備を初め、スプリンクラー設備、防火区画、特別避難階段、さらに消防活動に有効な非常用エレベーターや連結送水管などの設置を義務づけるなど、防火安全対策基準の強化が図られております。
 また、当庁においては、より安全な避難を確保するため、避難上有効なバルコニーの設置などをあわせて指導しております。
 今後とも、建築計画段階での指導や消防同意審査、さらには竣工時における消防検査などにおいて、高層住宅の安全確保を積極的に推進してまいります。

○大西委員 今の答弁で本当に大丈夫かなという思いは、まだ私にとっては解消されておりません。というのは、やはりはしご車が届く範囲に暮らしたいというのが、何となく思いなんですね。そういう意味では、今の対応は、九階、十階建てにしか、はしご車が対応できていない。それに対する特別要望としてスプリンクラーの設置とかがあると思うんですけれども、やはりその辺がまだ今後の課題だと思っております。
 そういう意味では、東京は火災だけじゃなくて、地震もあります。いろんな災害もまた、この世界的な不安の中で大きくなってきたわけですが、そんな中、東京は巨大化していこうという方向をとっております。
 防災まちづくりの視点から、消防庁としての、東京の安全性についての見解と具体的な取り組みを教えてください。

○鈴木防災部長 東京消防庁では、地震火災等に関する各種調査研究を行うとともに、消防が持つ災害に関する各種データや知識等を活用し、防災都市づくり推進計画に基づく各種事業において、災害に強いまちづくりを推進しております。
 平成十二年度には、東京都及び区市町において開催された都市計画審議会に延べ百五十九回参画するなど、あらゆる機会を通じて提言、要望を行ってまいりました。
 主なものといたしましては、市街地の不燃化を初め避難場所、避難道路の安全化、電線の地中化等による消防活動空間の確保、消防水利の確保、消防署所や消防団施設の整備等の推進を図っているところであります。

○大西委員 今、国と都で都市再生ということがいろいろいわれております。その中には都市の再生、いわゆる都心居住のことがいわれておりますが、都心居住はこれからますます高層化し、そしてその中にはオフィスビル、そして住居も一緒に入れていくということで、ある意味、二十一世紀型の雑居ビルだといえなくもないと思っております。
 そうしたまちづくりが行われようとしておりますが、一般に消防力は都市に対応できなければなりません。そういう意味で、高層ビルの新築や、一方では狭隘道路での新築など、消防力にとっていろんな弊害となるものがあるわけですが、そういう混沌とした今の東京の状況に対して、消防庁としてどのような見解を持っていらっしゃるのか、お伺いします。

○鈴木防災部長 都市の再開発は、防災上安全であることが基本であります。今後とも、都市計画審議会や防災都市づくりにかかわる協議会などにおいて、消防防災の観点から積極的に意見、提言を行い、関係機関と連携を図って、安全な都市づくりに努めてまいります。

○大西委員 今、都市再生というのは、ある意味では景気浮揚というものが一方であるわけですから、どうしても経済優先になっていかざるを得ないと思います。そういう意味では、まちづくりの中に、都市計画局というようなところだけではなく、そこでどんどん計画が進むだけじゃなくて、防災を預かる、そして都民の命と財産を預かる消防庁としての立場、つまり、安全という面から、ぜひそれに乗りおくれることがないような取り組みを進めていただきたいという要望にしまして、質問を終わります。

○萩生田委員 それでは、何点かだけ、ご質問させていただきたいと思います。
 資料をありがとうございました。この資料をいただいて、わずか乳幼児だけでも、年間これだけの搬送をしていただいている消防署のご苦労を考えますときに、本当に心からの敬意を表したいというふうに思います。
 まず初めに、資料の多摩地域の搬送実績なんですけれども、搬送人員と救護人員が逆転して、ふえてしまっているのはどんな理由なんでしょうか。先ほどの説明ですと、救護人員というのは、すなわち、一一九番通報によって現場に駆けつけたけれども、結果として搬送しなくてもいい人を除いて、病院に収容した人数が次の欄に来ると思うんですけれども、多摩地区だけは逆にふえているのは何なんですか。親が一緒に乗るんですかね。

○金子救急部長 ゼロ歳から二歳までの乳幼児の救護人員並びに搬送人員のお尋ねであります。
 特別区は一万三千八百十九名の救護人員でございまして、搬送いたしましたのは一万三千二百六十二名でございます。また、多摩地区では--大変これは失礼をいたしました、救護人員が六千六百六名でありまして、搬送人員が六千七十二名ということでご了承をいただきたいと思います。

○萩生田委員 これはどうしてこうなるのかなと思って、さっきからずっと不思議だったんですけれども、単なる資料ミスということであれば、結構でございます。
 そこで、多摩地域は、ご承知のように、道路の基盤整備というのが非常におくれておりまして、交通渋滞などが多く、当然、二十三区も、人が多く車が多いわけですから、交通渋滞というのはあるというふうに思いますけれども、特に救急搬送にご苦労されていると思いますけれども、実態としていかがでしょうか。

○金子救急部長 多摩地域の交通事情による救急活動に時間を要するのでは、とのお尋ねでありますが、近年の交通事情は、都内全域が慢性的な交通渋滞の傾向にあります。当庁では、迅速な救急救護活動を行うため、必要に応じて救急現場にポンプ車を出場させ、ポンプ隊と救急隊との連携活動を行っております。
 今後とも、効率的な救急活動に努めてまいります。

○萩生田委員 同時に、二十三区に比べて、多摩地域というのは広い面積を有しているわけでございまして、西多摩だけでも特別区二十三区に匹敵するだけの面積があり、そこに都民が生活をしているわけですよね。それに比べて、医療施設の数というのは、ご案内のとおり非常に少ない。特に救急救命に対応できる二次、三次ということになると、本当に病院が限られてしまうんですけれども、救急隊の皆さんが現場へ到着をして、病院の選定をする上で、何が一番多摩地区ではお困りなんでしょうか。

○金子救急部長 傷病者の受け入れ医療機関の選定については、救急告示医療機関ごとに設置している病院端末装置から送られる診療の可否、空きベッドの有無等の情報を、救急隊に積載している端末装置により検索し、受け入れ可能の表示がされている医療機関の中から、傷病者の症状等に適応した直近の医療機関に連絡し、搬送することとしております。
 当庁では、医療機関に対してリアルタイムで診療情報などの入力を依頼しているところでありますが、場合によっては、これが行われないため、医療機関の選定に時間を要する場合もあります。
 今後とも、円滑な傷病者の受け入れについて、関係医療機関と緊密な連携を図ってまいります。

○萩生田委員 余り質問とかみ合っていないような感じもするんですけれども、多摩地区は病院が少なくて、現場でお困りじゃないでしょうかと聞いているんだけれども、お答えは、要するに端末などで病院を探しているんですよね。
 これは、この委員会というか、消防庁が終わった後、総務で、私、改めてお尋ねしたいと思うんですけれども、今の病院の救急端末というのは、結局、端末機はあるんですけれども、その操作は各病院にお願いをしているわけですから、例えば入力漏れがあれば、消防庁としては情報を持てないわけですよね。ですから、これからの東京の情報化というのを考えたときに、やっぱりトータルでこういうのはきちんとしていって、その日のうちに、どこの病院がどういうベッド数があいていて、どういう診療科目が対応可能なのかというようなことは、寸時に消防庁の皆さんが把握できる体制をつくらないと、これはどんなに現場の救急隊の皆さんが汗水流して頑張ったところで対応ができないと思うんですよ。
 これは総務局に後ほどきつくいっておきますから、期待をしていただきたいと思うんですが、私が聞きたいのは、二十三区と比べて圧倒的に病院が足りない多摩地区なわけですから、当然のことながら、救急車をどこへ走らせようかということになれば、お困りなはずなんですよ。
 余り困っているといいたくないみたいなので、お聞きしたいんですけれども、資料の上で、特に乳幼児についてお伺いしました。乳幼児というのは、例えば新生児などは、NICUという新生児のための救急救援支援ベッドがある病院でないと対応ができない場合がございますよね。
 私の手元資料によりますと、新生児のための救急ベッド、すなわちNICUを有する病院というのは、多摩地区にたった三病院しかない。しかも、全部合わせても二十七ベッドしかない。残りの病院はどこにあるかといいますと、すべて二十三区に十八施設が配備をされておりますし、それぞれのNICUのベッドを足しますと、全部で百五十ベッドになる。百五十ベッドある二十三区と、二十七ベッドしかなくて、しかも二十三区より広い三多摩地域を、この新生児の救急救命に対応するという上では、現状を考えたときに、消防庁としては、これ以上、お手上げじゃないかというふうに私は率直に思うんです。
 乳幼児を扱う上で、医療機関が少ない、この三多摩の現状というのはどう認識をされているのか、お尋ねします。

○金子救急部長 NICUを有する医療機関は、衛生局資料によると、特別区内で十八施設、多摩地域で三施設、合計二十一施設となっております。
 NICUへの搬送に当たっては、専門医師の同乗のもとに、患者監視装置、人工呼吸器等の医療機器を搭載した新生児用救急自動車が衛生局の所管により運用されております。
 なお、当庁においては、新生児用保育器を整備した十一隊の救急隊を配備して対応いたしております。

○萩生田委員 困っているといってほしいんですけれども、私は。
 手元資料で、ゼロ歳から二歳までの乳幼児の転院の搬送状況というのをいただきました。十二年度で、特別区では、千六百十七名に対して、NICUを有する医療機関への搬送人員は千百八十三という実績がございます。では、多摩地区はといいますと、五百九十五名に対して、NICUを必要とする医療機関への搬送実績は三百二十三名なんですよ。すなわち、これは搬送ですから、救急隊の皆さんが一回行くんだけれども、そこからまた送らなければならないということです。
 たまたま衛生局が平成十年にドクターカーというのを八王子に配備して、どのくらい活躍しているかといいますと、平成十二年度の実績で四百七十二回の出動をしているんですね。現場へ直接駆けつけて新生児を病院に搬送する例もありますし、あるいは今申し上げたように、一度病院へ収容された母子、例えば、当時はまだ生まれてなくて妊婦さんだった。それが、お子さんが出生して、その後に、どうしてもNICUが必要だということで出動した件数も含めて約五百回あるわけです。すなわち、消防庁の皆さんが救急車で搬送している実績でも同様の数がおありになって、そして衛生局所管のドクターカーでもこれだけの数がある。すなわち、多摩地区におかれましては、新生児を、どういう形にしろ動かさないと、とにかく生命に危険を及ぼす、こういうことが数字の上で私は明らかになっていると思うんです。
 実は、きょうは平成十二年度の決算ですから、余り深く入り込みませんけれども、今、東京都が医療改革という名のもとに、新しい都立病院をどうするか、都立病院の改革会議を進めていますよね。私は、そのこと自体は非常に結構なことだというふうに思うんですが、実は過去に、平成九年に、都立病産院小児医療検討委員会の報告が出たとき、あるいは同じ平成九年の四月に、東京都母子医療体制検討委員会という報告が出たときの内容と、今回、今まさに東京都がやろうとしている病院改革の報告書の中身というのは、ほかのことは私は全然わからないんですけれども、事小児診療に関して申し上げれば、百八十度違う報告がされているわけです。
 今申し上げた九年の東京都母子医療体制検討委員会では、きちんと消防庁のご意見を聴取しているわけですよ。消防庁の皆さんが、周産期に関する救急活動は通常の一・四倍時間がかかるんです。しかも、その母体や胎児や新生児の生命に重大な影響を及ぼす場合が数限りなくあると。しかも、消防機関の救急車は汎用車なんです。ですから、周産期にかかわるハイリスクな患者は運べないんですという、この九年の報告をもとに、今ご答弁があった新生児用保育器を整備した十一隊の救急隊というのが、十年度以降整備をされたんじゃないですか。ちょっと確認をさせてください。

○宮崎委員長 議事の都合により、暫時休憩いたします。
   午後一時五十二分休憩

   午後一時五十三分開議

○宮崎委員長 会議を再開いたします。

○金子救急部長 東京消防庁で配置しております、保育器を含めた救急隊十一隊の整備でありますが、昭和五十八年当時から運用を開始いたしておるところでございます。
 先ほど先生ご指摘の、衛生局所管の救急車の運用につきましては、その前回の報告書を受けて、衛生局所管で整備した救急車両でございます。

○萩生田委員 そうしますと、保育器を整備した十一隊は、とりあえずはあるんだけれども、それじゃ足りませんよ、十分に対応できませんよということで、十年以降、実は衛生局がドクターカーというようなものを配備したということになりますよね。そうすると、現状で十分かというと、決して私は十分じゃないというふうに思うんです。
 それで、多摩地区の特に救急医療、特に三次救命のベッド数、これは子どもも大人も関係なく、圧倒的に数が不足をしていて、多分、搬送実績、たまたま多摩地区から特別区へとか、こういう聞き方をしましたから、そういう資料が出てきたと思うんですけれども、特に多摩地区で申し上げますと、例えば神奈川ですとか埼玉ですとか、あるいは山梨は余り頼りにならないんですが、それぞれ他県に搬送される事例もたくさんあるわけです。特に三次救命については、相模原の北里大学病院ですとか、埼玉医大ですとか、こういうところに行く三多摩都民の皆さんが圧倒的に多いんです。
 よその市までは細かい数字はわかりませんけれども、少なくとも私が住む八王子というのは、三次救命に対応できるベッド数がわずか三十三ベッドしかありませんから、単純にいって、三十三ベッドが埋まっている場合は、三十四人目からは市外の病院に運ばざるを得ない状況にあるわけです。
 これは、当然のことながら、それぞれの自治体が努力をして整備していかなきゃいけないことなんですけれども、事小児診療の救急ということになりますと、民間で小児の専門病院をやろう、あるいは小児の救急診療に力を入れようという病院が今あるかといいますと、今日の医療点数や保険制度や薬価基準を考えますと、新たに開業する可能性というのは、私、ゼロだと思うんですよ。にもかかわらず、今、東京都は全く新しい方向で進めようとしているときに、本来は、こんな重要なときに、一番現場のご苦労を知っている消防庁の皆さんからヒアリングもしないのはおかしいと思うんです。消防庁の皆さんに、今、東京都の衛生局がやろうとしている病院改革会議で、本当に大丈夫ですかと聞かれたときに、総監は何と答えていただけるんでしょうか。

○杉村消防総監 今、先生ご指摘の点ですけれども、私どもとしては、決して消防のことは消防だけで、救急のことは救急だけでというふうには考えてございませんで、それぞれ関係する部局がございますので、その中において十分意見交換等を行いながら推進しているつもりでございます。
 先生のただいまご指摘ございましたことも含めまして、これから東京都と、各種検討の中で話題にはしていきたいと思っております。

○萩生田委員 新人のくせに、打ち合わせもなく総監をご指名して、大変に僣越だったというふうに今反省をしておりますけれども、いいご答弁をいただきました。
 これだけの大きな改革を東京都がしようというときに、消防庁は消防庁、でき上がった病院の計画をただうのみにして、やってみたら大変だというのは、これはこれからの時代にはそぐわないというふうに思うんです。
 縦割り行政の悪い点というのは、まさにこういう点だと思いますので、あれだけの大きな改革を東京都挙げてやろうといっているときに、やっぱり過去の実績を踏まえて、消防庁として、それぞれの現場実態というのは一番皆さんがご存じなんですから、それぞれの地域事情や道路の込み方も含めて、ご存じなのは消防庁の皆さんなんですから、その辺はぜひ正しい判断と正しい意見を各局横断的にきちんとトータルで整合していただいて、少なくとも現状の多摩地区、私は危険な状況にあるというふうに認識をしている一人ですから、その辺につきましては、では何を整備していかなきゃいけないのか、何が足りないのか、何を東京都としては責任を負うべきなのかということは、またいずれの機会かに、私、消防庁の皆さんに生の声を聞き、お助けいただきたい、こう願っていますから、そのことを要望して終わりたいと思います。

○宮崎委員長 先ほどの資料説明の中で、数字が、先ほどの次長からの報告と救急部長さんの意見が違うようでございますので、速記の関係がございますので、正式にご答弁を願いたい。

○白谷次長 最初に萩生田先生からご質問がありました提出資料につきましてでございますけれども、多摩地域の救護人員は、多摩地域の中で発生した救護人員でございます。多摩地域の欄におきます搬送人員は、多摩地域の病院に搬送した数でございますので、数的には、救護人員六千七十二名、搬送人員六千六百六名が正しい数字でございます。

○宮崎委員長 萩生田委員、了解ですか。

○萩生田委員 はい。

○宮崎委員長 ほかに発言ございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で東京消防庁関係を終わります。

○宮崎委員長 これより総務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、総務局所管分、平成十二年度東京都特別区財政調整会計決算及び平成十二年度東京都小笠原諸島生活再建資金会計決算を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布いたしてあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋総務部長 十月十五日の当分科会におきましてご要求のございました資料につきまして、説明をさせていただきます。
 恐れ入りますが、お手元にお配りしてございます平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料の三枚目になりますが、一ページをごらんいただきたいと存じます。番号1、東京都監理団体の経営状況でございます。
 一ページから二ページにかけましては公益法人につきまして、三ページには株式会社につきまして、それぞれ団体別に、平成十二年度決算における収入合計、支出合計及び差し引きをお示ししてございます。
 四ページをごらんいただきたいと存じます。番号2、新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業についてでございます。
 この事業は、地域に密着した映像情報サービスあるいは高速インターネット接続を初めといたします高度なアプリケーションを提供するためのケーブル施設の整備に対して支援を行うものでございまして、都におきましては平成十一年度から補助金の交付を開始しております。
 資料におきましては、これまでに交付をいたしました平成十一年度繰越分から平成十二年度繰越分までの補助金額、事業内容などをお示ししてございます。
 五ページをごらんいただきたいと存じます。番号3、採用者数の推移でございます。
 平成三年度から平成十二年度までの知事部局等の採用者数を、事務、四大技術、その他に区分して掲げてございます。
 最後に、六ページをごらんいただきたいと存じます。番号4、市町村振興交付金、調整交付金の推移でございます。
 振興交付金は公共施設の整備等に要する経費に対しまして、調整交付金は各種施策に要する経常的経費に対しまして、それぞれ財源補完する制度でございます。それぞれの交付要綱で定めております事業区分別、配分項目別の交付金の推移を、平成八年度から平成十二年度まで掲げてございます。
 以上、簡単ではございますが、説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○萩生田委員 それでは、何点か資料をいただきまして、質問してまいりたいと思います。
 東京都において、今、手元の資料にいただいているのは、補助金をいただいている会社の名前だけなんですけれども、東京都内に幾つものCATVテレビ局というのが設立をされました。設立をされた経緯や、またこれらの会社が設立をしたときにどのような公的な支援があったのか、まずお尋ねをしたいと思います。

○木谷IT推進室長 東京都のCATVテレビ事業の多くは、地上波テレビ放送の難視聴を解消し、地域に密着した情報を提供するためのメディアとして、区市町村の支援を得た第三セクターとして設立されたものです。こうしたCATV事業者に対する公的支援としては、国によるテレトピアモデル構想指定地域に対する日本開発銀行、現在、これは政策投資銀行といっておりますが、この無利子融資、これは昭和六十二年度からやっております、それから低利子融資、これは昭和五十九年度から実施しておりますが--というものがございます。
 また、郵政省認可法人の基盤技術研究促進センターからも、テレトピアモデル構想指定地域のCATV事業者に対する出資が、昭和六十二年から平成二年まで行われました。

○萩生田委員 新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業において、CATVの事業者はそれぞれ民間の企業であるにもかかわらず、どういった理由で補助金が支出をされているのか。また、東京都としては、他の方の資料要求によって、一連の東京都の外郭ですとか、出資を伴う株式会社の一覧が出ていますけれども、それぞれのCATV事業には当然出資はしていないというふうに思うんですけれども、そういう中で、都費が補助金として支出されている理由をお尋ねしたいと思います。

○木谷IT推進室長 CATVの事業者は、地域に密着した情報提供という公共的役割を果たしていくことが必要であり、これを支援するために、本事業により、CATV事業者が実施する設備整備に対して、補助金を支出しているものでございます。
 東京都の支出ということについてのご指摘がありましたけれども、この事業は平成十一年度の補正予算から実施をしております。

○萩生田委員 部長、そうじゃなくて、三セクというのは、東京都が経営に直接関係していない民間企業なわけですね。だけど、補助金を出しているのはなぜかといいましたら、公的な事業をしているからだという、こういうご答弁でよろしいかというふうに思うんです。
 そこで、新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業において、公的な補助を行うべき対象であるという、こういう答弁をいただいたわけですけれども、実はこのお金は、決算書にも出てくるように、国の政策費用として、東京都が窓口になって受け入れをして、それぞれのCATV事業者に配分をしているような性格のある補助金だというように思うんですけれども、本来公的な役割があるんだということで、東京都を経由して支出をされる補助金であるならば、都費として、都単として、やっぱり上乗せをして、それぞれ支援をする必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その上乗せ補助を行っていない理由はなぜなんでしょうか。

○木谷IT推進室長 先ほど申し上げましたようなCATV事業の公共的な役割を考えまして、東京都では、国の制度を踏まえて、平成十一年度の補正予算から、本新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業を実施しました。しかしながら、厳しい財政事情等を総合的に判断して、東京都としての上乗せの補助は行わない方針としてきたところです。

○萩生田委員 そうしますと、東京都は、国費で入った予算を、それぞれのCATV事業者が一定のルールにのっとって新しい技術革新に対応するための設備投資をしたいとか、こういう申し出があったときに、その補助を行っているというふうに認識をしているところなんですが、この施策によって、CATV事業者のサービス提供区域が拡大をしたり、あるいは新しいサービスの追加といった効果が、都民の皆さんにわかりやすく見える形になっていないのではないかというふうに私は思っております。
 この施策は、住民にとって意味のある行政施策となっているのか、また、CATV事業者の経済的な負担を一時的に軽減するだけの意味のない施策になっているのではないか、こういう観点から、東京都の新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業に関する見解をお伺いしたいというふうに思います。

○木谷IT推進室長 新世代地域ケーブルテレビ施設整備事業は、第三セクターのCATV事業者が、地域に密着した情報提供やインターネット接続サービスのための施設設備を行う場合に、その一部の費用を補助しているものです。
 区市やCATV事業者からヒアリングしたところ、補助金がない場合には実現できなかった地域へのサービスの拡大、地域に密接した自主放送番組、それから、インターネット接続サービスの充実などが可能になったとの評価を得ており、本事業の効果があらわれていると考えております。

○萩生田委員 それぞれの会社に聞けば、効果があったと答えるのは当たり前だと私は思うんですよ。都民がどういう判断をするかだと思うんですね。
 それで、私、なぜこんなことを聞こうと思ったかといったら、東京都は上乗せをしていない。非常に賢明だなと。しかし、各自治体はというと、この補助金をいただくために、少なからず一定の負担を強いられているわけですよね。それぞれ百万とか五百万とか一千万とか負担をして、それに対して東京都が補助を出している、こういう実態ですよね。
 じゃ、一体、このお金によって何がどう変わったのかといいますと、ここの資料にありますように、幹線の光化をしましたよ、広域化ができましたよ、あるいはセンター施設が整備をされましたよ、こういうご報告が多分されていると思うんですけれども、私は、これらの企業というのは、あくまで民間企業なんだから、この補助金があったってなくたって、それぞれの企業の営利を追求するためには、幹線の拡張をしなくちゃならないし、もし古くなった設備機器があるんだとすれば、いずれかの機会に、きちんと減価償却をしながら入れかえをしなきゃならない、そういう性格があるんだというふうに思うんです。
 しかし、実際には、これら東京都から来たお金がどういうふうに使われているかというと、それぞれ補助金があったことによって企業の皆さんは助かっています、あるいは、このことによってこういうことができました、インターネットサービスができましたというけど、じゃ、補助金によってインターネットの加入者がどれくらいふえたのかとか、あるいは補助金によって光幹線がどれだけ延伸ができたのかというのは、東京都としては全く把握ができていない実態にあるんじゃないかなというふうに思うんです。
 率直に申し上げまして、よそ様の会社まではよく存じないんですけれども、私が住んでいる地元の会社で申し上げれば、センター施設整備ということで、センター機器を買いかえるためにこのお金を使っていますよ。だけど、じゃ、このお金がなかったら、今のままのセンター機器でいいのかといったら、そうじゃなくて、デジタル化に対応するために、いずれにしたって十二年度には買いかえをしなきゃならなかった、あるいは十一年度にはいじらなきゃならなかったわけですから、それは借金してでもやったはずなんですよ。ですから、それが、いうならば、たまたま東京都から来たお金で、割引があったぐらいにしか思っていないんじゃないかなと思うの。
 ですから、もしIT推進室と称してケーブルテレビ事業を今後も支援するということであるならば、このCATV網というのは、将来、東京都が何のために使うのか、なぜ法的規制があって、公共性があって、そこまでの支援をするのかということを、もう少し明確に東京都として政策的に判断する、そういう時期になっているんじゃないかなというふうに思うんです。
 あえて私見を申し上げさせていただければ、少なくとも公費で補った分に関しては、何がどう変わったのかを、各社からきちんとレポートを出させるぐらいのことはするべきだというふうに思うんですけれども、あわせてご答弁を願います。

○木谷IT推進室長 委員のご指摘のとおり、こうした事業に対して、定性的な効果だけではなくて、きちんと定量的にその効果を把握するための評価というものが非常に重要だというふうに考えております。
 このために東京都は、昨年度ですけれども、本事業の実施前の状態について、都内のCATV事業者に対して、CATVに接続可能な世帯数、それから実際の加入世帯数、サービス内容などに関する調査を行いました。本年度において、事業を実施してどうだったのかということについての調査を行い、本事業の評価を行いたいというふうに考えています。

○萩生田委員 ぜひ、それはお願いをしたいというふうに思います。
 それで、各自治体に一つというルールで、最初は国のテレトピアの構想にのっとってそれぞれの企業が立ち上げをしてきたわけなんですけれども、今、世の中ではどういう動きになっているかといいますと、巨大な資本を持った全国展開、あるいは、もっといえば世界展開といってもいいぐらいのそれぞれの大型企業が、こういった地域に根差したCATV企業を買収したり、あるいは増資をして実際の経営権を取ろうという、こういう動きがあることを東京都は認識していますか。

○木谷IT推進室長 地域のCATV事業者においては、経営基盤を強化し、将来の事業展開を円滑に実施していくための選択肢の一つとして、全国展開CATVグループへの参加が行われていることを認識しております。

○萩生田委員 実際には例えば、今日のそういう動きとは別なんですけれども、渋谷をスタートして目黒から世田谷から町田に関してのいわゆる東急沿線は、東急の系列会社がトータル的に管理をしています。だけど、これは地域性を担保しながら、地域のテレビ局としての性格は継続して行われているところなんです。あるいは、小田急線沿線も同じような形態になりつつあります。
 こういう歴史的な経過や、それぞれの町の了解のもとにくっついたりしていく分には、私は構わないというふうに思うんですけれども、今、東京都内でどういうことが起こっているかといいますと、例えばジェイコムという会社の名前を聞いたことがあると思うんですけれども、いわゆる外資系のジュピターという会社ですけれども、これは要するに、会社そのものを買い取ってしまって、一つの配信拠点でしか使っていないわけですよ。
 配信拠点でしか使っていないということは、会社の名前は地域にあるかもしれないけれども--じゃCATVの必要性というのは何だったのかといいますと、一番最初にお答えいただいたように、地域密着型のコミュニティチャンネルとして唯一の公共性のものですから、当然国もお金を出してきた、市もお金を出してきた、区もお金を出してきた、東京都も補助も与えてきた。しかし、じゃ、実際にはどうかといったら、地域性とか公共性というのは全然かすんじゃって、単なるケーブルを送配信するための一基地でしかなくなっちゃっているという実態が、特に二十三区では多く見られます。
 じゃ、多摩地区はといいますと、JCNという新しい会社ができ上がりました。資本金二百億だそうですよ。じゃ、これはどんな会社かといいますと、それぞれ全国のCATVに出資をしてやけどをしちゃった出資者の皆さんが中心になって、もうこれ以上、それらの会社に金を突っ込むのは無理だ、だから、もう一回り外にお金を出して、要するに、そこで赤字になった会社をトータル的にみんな面倒見ていこうということですから、今、部長がご答弁になったように、経営基盤の安定云々という点では一理あると思うんです。
 しかし、私が今心配していますのは、じゃ、そういう会社の配下になった企業というのはどうなっていくかといいましたら、今までの出資を回収しなきゃならない、そういう投資家の皆さんによって、かなりきちんとした採算性を求められる、こういう企業に変わらざるを得ないというふうに思うんです。
 じゃ、どうなるかというと、同じケーブルの延伸をするといったって、やっぱり回収率の高いところから工事はするけれども、不採算で、ケーブルが入ってくることを待っている都民がいっぱいいるけれども、しかしながら、そこへ線を入れたところで加入者が余り見込めないところは、どうしたって線を入れないですよと、こういう現状になってしまって、今せっかく補助金を投じて、これは公共性のあるものだから、東京都としても、新たなIT戦略として将来のツールとして使えるかもしれないからと思って投じているお金が、そういうことじゃなくて、一企業の赤字を消したり、一企業の営利のために使われる可能性があるということを、この時点で認識をしておく必要があるんじゃないかというように思うんです。
 私は、先ほど地元のケーブル会社の話をしましたけれども、これは大株主がメーカーなものですから、メーカーがそのデジタルの配信機や何かをつくっているわけですよ。そうすると、補助金が来て、その金で筆頭株主が自分の会社の製品をその会社に買わせて、しかも、親戚なんだから少しは値引きしてくれればいいものを、定価ぐらいで買わせてそういうものを持たせているような、こういうことに実は公費が回っているという実態が明らかにありますよ。この辺を一回、東京都としては襟を正していただきたいというふうに僕は思います。
 そして、例えばこの光ファイバー網というのは、将来の東京都のIT戦略の中でどういう役割を果たしていくのか。今、この前に消防庁の方でいろんなお話をしたときに、たまたま救急、救命体制で、どこの病院にベッドが幾つあいていて、どういう先生が待機しているから、そこに搬送するというのを端末機を使ってやっているんだそうです。しかしながら、その端末機は、あくまで病院にお任せしているものですから、病院のどなたかがその当日の情報を入力しない限りは、タイムリーに--入力忘れというと、ベッドが百あいているかもしれないけれども、残念ながらそれはゼロになって出てきてしまうという、こういう実態があるんですよ。
 だとすれば、やっぱり東京都が今進めているこういうIT戦略の中で、都民の救急、救命にかかわる救急病院のネットワークは、じゃ光ファイバーネットワークを使ってやろうとか、あるいは--MXテレビに、今、年間十七億円の番組制作料と放映料をお支払いになっています。これは局が違いますけれども。あるいは他の民放放送には八億円、あるいはラジオでは三億円、こういうお金を使って、都はさまざまな広報活動を展開しているんです。このことは悪いことじゃないんです。しかし、将来、このCATVテレビ網が、すなわちケーブルネットワークが東京都内で構築されて、都民のどなたもがこの情報を受けられるようなことになったときには、例えばこういう費用はぐっと削減して、CATVテレビ網を使って、東京都のさまざまな情報の受発信というのは可能になると思うんです。技術的には簡単にできると思うんです。しかも、タイムリーに。あるいは、相手の意思によって、常に情報を取り出すこともできると思う。
 今は、地域のケーブル会社として、第三セクターで市や区も出資をして、苦しみながらもみんなで育てている。これらの会社になぜ補助金を出すかといえば、第三セクターで公益性がある会社だから、みんなで応援しなきゃいけないんだといって国もお金を出している。しかし、一方では、大資本が全部それに傘をかけようとしているわけですから、傘がかかっちゃったときに、でき上がったケーブルテレビ網が、もし五年後に東京都全域に構築ができたとしても、それを経営するのは、全然地域と関係ない人たちが経営陣として経営をするわけですから--東京都が東京都民のための公益性を確保するために、公共性を確保するために、情報の受発信としてこのケーブルを使いたいといえば、使わせてくれるでしょう。そのときにどういうことが発生するかといったら、莫大な費用を要求されると思いますよ。ケーブル幹線を使うんだったら使用料を出してください、東京都さん。番組を放送するんだったら放映料を出してくださいと。これは、私は本末転倒だと思うんです。
 井戸を掘ってくれた人のことを全く忘れちゃうのが民間企業の悪い点だから、これは、今せっかく補助金という制度があるときに、私は、東京都がきちんとしたイニシアチブをとって、これらの地域ケーブルテレビ局というのを今後東京都の情報政策の中でどうやって育てていくのか、どうやって活用していくのかという明確な方向性を打ち出さなくてはならない、そういう大切な時期に来ていると思います。
 この時期を逃したら、糸が切れたたこのように、せっかくみんなで、国も東京都も自治体もお金を出して育て上げてきたそのケーブルネットワーク事業が、結果としては、一部の企業の皆さんの営利にだけ使われるようなことがあって、そして、東京都がその端っこをちょっと貸してくださいといったら莫大な使用料を取られるようなことがあったら、これは私は時の都議会議員として申しわけない、こういう思いがいたしますので、この点について、きちんとした東京都としての指導性が発揮できるように、今後努力をしていただきたいというふうに思いますけれども、長くなりましたけれども、ご答弁をお願いしたいと思います。

○木谷IT推進室長 委員がご指摘の、全国に展開しているCATV事業者に地域のCATVが参加するというときに、いろんなご懸念の点があるということで、我々もその懸念を幾つか持っております。これに対しては、それぞれの区や市ごとにさまざまな努力をしておりまして、例えば、区や市が地域のCATV事業者との間で協定を締結する、その中で地域に密着した情報提供を行わせる、そういう方向を担保している例もございます。
 それから、国の補助金が入っておりまして、補助金適正化法第二十二条では、こうした補助金で取得した財産を各省庁の長の承認なしに目的に反して使ってはいけないという規定がございますので、全国展開のCATV事業者に参加したからといって、簡単に公共的な役割を放棄することはできない状況だというふうに考えています。
 しかし、いずれにしましても、片一方の面では、何とか経営を改善していかなければいけない。そのためには、安く、魅力のあるコンテンツをやはり得ていかないと、市民は参画をしてくれないという経営上の問題があります。もう片一方で、しかし、補助金が入っているので、それを公共的な目的のために使っていくという、その二つをどうバランスさせていくかということについて、東京都としても真剣に考えていかなければいけないんじゃないかというふうに考えております。
 最後にご指摘の点で、地域のCATVを重要なメディアとして、今後の東京における情報化という大きな流れの中に位置づけて、特に、今ご指摘のあった救急でありますとか、あるいは災害対策とかいろいろありますけれども、そういう都民にとって非常に重要な課題に対して、CATVがどういう役割を担うことができるのか、それに対して東京都が何をしていくべきなのかということについて、真剣に考えていきたいと思っております。

○萩生田委員 ありがとうございます。もう答弁結構ですけれども、その辺が、やっぱりお上と民間企業の違いというのが僕はあると思うんです。
 相手は民間企業、今は第三セクターであって、それぞれの、例えば足立区もそうでしょう、あるいは八王子もそうでしょう、立川もそうでしょう。番組内容ですとか、あるいは新規事業をやるときには、それぞれの市議会や区議会のチェックが入る、そういう構成になっていますね、出資をしていますから。だけど、その比率がどんどん下がっていって、普通の大企業になっちゃったら、町の中にある企業に、東京都がこうしろああしろといったって、聞かないでしょう。特別行政的な指導権が発揮できるような計画、法律上とか条例があるのなら別だけれども、そうじゃなければ、町の会社の中で、東京都がこうしろといっても、そのときには僕は聞かないと思うんですよ。
 まさに聞かない新しいジャンルが、こういう情報化のジャンルだと私は思いますので、それは、後できちんと法律や条例をつくりますから心配しないでくださいと、優秀なお役人の皆さんはおっしゃるかもしれないけれども、しかし、株式会社という性格が前面で出てきてしまったときには、私は、ある意味では公益性というのはけっ飛ばされてしまうと。
 例えば、こういう委員会、分科会を、簡単に一分科会ごとにチャンネルを変えて放映することだって、すぐにでもできるぐらい簡単な時代がすぐそこまで来ているんだけれども、しかしながら、それらについては一定の負担をしてくださいよということになると、じゃ、何のために育ててきたんだろうか、何のために皆さんの税金を投入してインフラ整備をしてきたんだろうかということは、いずれまたそのときに問題になることだというふうに思いますので、私は、その点がないように、東京都としての指導力をきちんと発揮できるシステムづくりというのを、やっぱり推進室の中できちんとこの時期につくっていただきたいということを強く要望して、質問を終わりたいと思います。

○小磯委員 本日、ITの推進、そして三宅島についてお伺いをしたいと思っております。
 まず、ITの方でございますが、平成十二年度に、東京都は電子都庁推進計画を策定されました。ITの恩恵を、やはりすべての東京都民が享受できるようにしなければならない。そのための共通情報基盤の整備が必要であると私は思っております。
 特に三点ございまして、一つは、光ファイバーなど高速で安い情報通信基盤、これが必要である。二つ目には、電子申請での成り済ましなどを防ぐ公的個人認証基盤。三つ目には、都民がよく使うような生活関連情報や地理情報、統計情報などの共用データ基盤。こういったことが重要である、こう思っておりますが、その三つの整備についてどのように東京都が考えておられるか、お伺いしたいと思います。

○木谷IT推進室長 都民がITの恩恵を享受する上で、情報基盤の整備は大変重要であると考えております。
 まず一点目の情報通信基盤ですが、大量の情報を瞬時に安価にやりとりできる光ファイバー網の構築が急務であり、来月発足予定の電子都市構築に関する懇談会の中で、その方策を検討していきます。
 次に、電子政府、電子自治体の基盤となる公的個人認証ですが、現在法制面の整備が行われており、関連法案が来年の通常国会に提出される予定と聞いています。東京都においても、平成十五年度の電子都庁に向けて、国や区市町村と連携して検討を進めています。
 また、共用データ基盤についてですけれども、現在でも、都民に重要な情報は東京都のホームページ上に掲載をしております。今後、都民が共通的に利用できるデータにつきましては、委員がご指摘のさまざまな情報、保健衛生や福祉や産業や環境や防災など、あらゆる面について、情報の種類や質、量のさらなる拡充を図っていきたいと思っています。

○小磯委員 私は、消防でありますとか都市計画局など、新宿ビル火災のときにつくづく感じたんですけれども、やはり地理情報システムを各局がばらばらに持っていたのでは、いざというときの危機対応ができないんじゃないのか、こう思っております。
 そういった意味では、地理情報システム、いわゆるGISについて、各部局で使われているわけでございますけれども、これだけコンピューターの性能が向上した現在でございますので、いわゆる統合したGISを構築すべきである、こう思いますが、いかがでしょうか。

○木谷IT推進室長 地理情報システム、いわゆるGISというふうに呼んでおりますけれども、これは現在、東京都の中で十一局、二十システムで利用しております。これら個別のGISを統合しまして、都民生活にかかわるデータ利用の高度化を図り、そして、システム経費を削減することは極めて重要だというふうに考えております。
 現在IT推進室は、各局と連携いたしまして、この統合型GISをどう構築するのかということについて、技術的な検討や、それから、災害対策などにおける利用、活用策の検討を進めています。

○小磯委員 十一局で二十ということは、一局でも幾つかのシステムがある、そういうことだと思いますので、この統合化について、しっかりと実現に向けて頑張っていただきたいと思っております。
 また、先ほどのすべての都民が享受できる、そういう情報化の時代ということでございますが、やっぱりデジタルデバイドへの対応、これは、国でもそういうデジタルデバイドを何とか克服しようということでITの講習をやっているわけでございますが、その実績、そしてまた、これが今回のこれで終わってしまうのか、今後、こういうデジタルデバイドへの対応をどのようにされていくおつもりなのか、お伺いをしたいと思います。

○木谷IT推進室長 東京都と区市町村が平成十三年三月から九月までに実施したIT講習会には、延べ一万六百五十九講習、約二十二万人の都民の方が受講しました。今年度末までには、約三十九万人が受講する予定です。
 東京都総務局が実施しましたIT講習では、受講者の約三分の二が、パソコン等にふなれなといわれております五十代以上となっていました。そしてまた、参加者の八割が講習を理解できたと回答しており、中高年齢者の情報格差、いわゆるデジタルデバイドの解消に効果があったと考えています。
 今後の対応ですが、国では、今年度のIT講習のフォローアップを検討中というふうに聞いておりまして、東京都においても、国の動向を踏まえ、都民の情報活用能力の向上のために適切に取り組んでいきたいと考えています。

○小磯委員 できるだけ多くの方に参加していただく、そういった面で、障害者の方は、まさにこのITを活用されることが大事ではないか、こういうふうに思っております。
 そういった意味で、ハンディキャップのある障害者の方、また、講習に参加しにくい、小さな子どもを持つ家庭など、そういった方々への配慮が必要であると思いますが、どのように対応されているか、伺いたいと思います。

○木谷IT推進室長 ハンディキャップのある方や小さな子どものある方が社会参加を進めていく上で、このITというのは非常に重要な道具であると思っております。これらの方々がITを活用できるように頑張っていきたいというふうに考えております。
 東京都は、このIT講習会の中で、これらの方々が参加できるように、区市町村と連携をしてきめ細かく対応を進めてきました。八月までの実施状況で見ますと、障害のある方向けは十四の区市と都で五百六十五人、一時保育つきは二十五区市で六千六百七十八人の講座が開催されています。さらに、高齢者向けには七区市で三千四百四十人、夜間の講座は五十五区市町村と都で三万四百十人の講座が開催され、好評を得ております。

○小磯委員 ぜひこうした方々への講習というのは続けていっていただきたい、こう要請をしておきたいと思っております。
 次に、ITを推進することによって、ペーパーレスに大変役に立つ、こういわれるわけでございますけれども、本年三月に発表された電子都庁推進計画の中では、ペーパーレス化についてどのように位置づけをしているのか、また、都庁における紙の消費量はどれぐらいなのか、お伺いしたいと思います。

○木谷IT推進室長 都庁における起案文書等は、年間で百万件を超えています。
 三月に策定しました電子都庁推進計画の中では、都民サービスの向上、わかりやすく身近な行政の実現という課題とともに業務の効率化を掲げておりまして、紙の電子化によるペーパーレスは不可欠な課題だと認識しております。また、執務環境の向上、文書保管庫のスペースを減らすこと、さらに情報公開を円滑に行うためにも、紙から電子文書への転換が必要だと考えています。
 なお、都庁における紙の使用量ですが、平成十二年度においては、コピー用紙の使用量が五百八十トンに上っております。

○小磯委員 五百八十トンというのが、多いのか少ないのかも見当もつかないわけでございますが、ペーパーレス化といいながら、A4の紙を見ながら質問していること自体が本当に矛盾を感じるわけでございますけれども、東京都では膨大な紙が使われて仕事が行われているわけでございます。
 民間なんかは、もうかなり企業努力をされて、パソコンネットワークを張りめぐらして、情報の共有化、また事務の効率化、ペーパーレス化を図ることが当たり前になっているわけでございますが、都庁でもパソコンネットワークを整備していると聞きますが、どのようなペーパーレス化の展開がなされているのか、お伺いしたいと思います。

○木谷IT推進室長 都庁のパソコンネットワークはTAIMSと申しますけれども、このシステムは平成十一年度から運用し、現在本庁に約三千台、事業所等に約六百台のネットワークパソコンが接続しています。
 運用ですけれども、文書やファクスにかわって電子メール、いろんなお知らせ情報を電子掲示板に掲示をする、電子会議室の活用、電子化による紙の庁内電話帳の廃止、あるいは一般辞令等の廃止、それから職員名簿や局報の電子化など、ペーパーレス化の取り組みを幅広く今進めております。

○小磯委員 都道府県の十三年度本庁及び出先機関におけるパソコンの整備状況調べという調査内容があるんです。これは大阪府で依頼をして調査したようでございますけれども、これによりますと、パソコン一台当たりの職員数、これが進んでいるところは、秋田で〇・六九。だから、パソコン一台当たりの職員数ですから、少なければ少ないほどパソコンが多いということで、秋田が〇・六九、三重が〇・六九ということで進んでおる。
 東京都は一・七一ということで、これは四十七都道府県で四十三番目に当たっております。職員の数が多いということもあるのでございましょうけれども、四十三番目だと。
 また、ネットワークの接続パソコン割合、これも進んでいるところ、岩手では一〇〇%、鹿児島で九九・九%、東京の場合は六三・五%ということで、四十七都道府県の中で第四十位ということで、これは平成十三年度の当初であろうかと思いますけれども、こういった、ある意味では、まだまだスピードを持って東京都庁のIT化を推進していかなければならない、こう思うわけでございますが、今後のIT化をどのように進めていくのか、お伺いしたいと思います。

○木谷IT推進室長 今、委員から、全国の各都道府県の状態の比較の数字が出ましたけれども、我々にとっても本当に悔しい状況でありまして、何とかしてこの電子都庁を進めていきたいというふうに強く思っております。
 ご指摘のとおり、東京都では、これまで庁内のネットワークが未整備でありまして、本庁の職員であっても、十分な情報の共有化や事務の効率化がなかなか進まないという状況にありました。これは事実でございます。
 昨年から、思い切った電子都庁の取り組みについて進めておりまして、今年度中に、ネットワークパソコンは、本庁に一人一台体制をしくことができます。そして、来年からは事業所に対して全面展開していこうということで、今、施策を進めているところであります。これによって、都庁職員の知恵を集めることができるようになる、このことの意義は非常に大きいと思っております。
 今後、大幅なペーパーレス化を可能とするために、庁内紙や各局事業概要、各種マニュアルなど可能な限りの文書の徹底的な電子化、文書総合管理システムを利用した電子決裁、さらに都民などからの申請届け出の電子化、これらはすべて電子都庁の仕組みになりますけれども、これを進めていきたいと考えております。

○小磯委員 次に、三宅島のことについてお伺いしたいと思います。
 三宅島の方に、議会局で、我が党の同僚議員も視察に行ってまいりました。その話をお伺いいたしまして、質問をさせていただきたいと思っております。
 まず、火山ガスが大変に大量発生しているということで、話によりますと、世界の火山ガスの三分の一を、現在この三宅島が出していると。
 世界的にもまれなケースであると伺っているわけでございますが、火山活動における三宅島の特徴についてお伺いしたいと思います。

○岡部災害対策部長 三宅島は、最近では昭和十五年、三十七年、五十八年、そして今回の平成十二年と、ほぼ二十年ごとに噴火を繰り返しております。
 これまでの噴火は、マグマの噴出によりまして島内の一部に被害が出るという程度でございましたが、今回の噴火の特徴は、大量放出しました高濃度の火山ガスが島全体を覆ったことにあります。学者によりましては、今回の噴火は約三千年ぶりの噴火の形態であるとの意見もございます。

○小磯委員 こうした高濃度の火山ガスというのが、いわゆる人体にどのような影響があるのかなということ。
 そしてまた三宅島では、防災機関の職員に加えて、約二百人の作業員が常駐して、その復旧工事に従事をされております。こうした砂防工事を中心とする工事は、相当長期間にわたって行われているとお伺いしておりますが、これらの従事者の健康管理はどうなっているか、お伺いしたいと思います。

○岡部災害対策部長 三宅島内で働きます防災機関及び工事関係者の健康の管理につきましては、各派遣元あるいは雇用企業等に定期健康診査を義務づけております。また、三宅村は、島内での医療を確保するため、衛生局、総務局、福祉局、日本赤十字社の協力を得まして、医師一名と看護婦二名を常駐させております。加えまして、三宅島に滞在する工事関係者等につきましては、本人の健康状態を記しましたIDカードを携帯させており、健康管理には万全の体制をとっております。

○小磯委員 健康診断については、今お話を伺った限りでは、いわゆる通常の定期健診しかしていないと思われます。そういった意味では、こういった二百人の作業員の方が、常駐の作業が終わった段階で、離島される段階で健康診断を実施すべきである、私はこう思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
 また、医師等を派遣しておられるということでございますが、私が聞いた限りでは、医師は来ているんだけれども、医療設備がまだ十分でないというようなお話を聞いたわけでございますが、その医療施設の一層の充実ということが必要かと思いますが、その点お伺いしたいと思います。

○岡部災害対策部長 被災前の三宅島では、村営の中央診療所が島民の医療を行っておりました。しかし、今回の被災で、中央診療所付近では大量の泥流が発生しました。また、火山ガスが多く見られたため、診療機能は、島の東部にあります村役場に移したところでございます。
 なお、医療器具及び薬品につきましては必要量を確保しており、さらに、常駐している医師の判断で追加医療が必要な患者が発生した場合には、昼夜を問わず、東京消防庁や海上自衛隊に緊急ヘリを要請する万全の体制をとっております。

○小磯委員 避難者が将来帰宅できる、帰島できる、そういった時期を確定するためには、三宅島に対する観測体制を充実させる必要がある、私はこう思うわけでございますが、今後の監視体制がどのようになっているか、お伺いしたいと思います。

○岡部災害対策部長 火山ガス対策につきましては、都は、周回都道沿いに六カ所の監視装置を設置しまして、異常状態のチェックや、火山ガスの推移を見守っております。東京都の強い要望もありまして、国も八月に、三宅島火山観測を充実するため、火山噴火予知連絡会の中に三宅島総合観測班を設置しました。
 今後、火山活動をさらに詳しくチェックするため、山腹部の観測点を復旧したり設置したりしまして、一層の観測体制の充実に努めていきたいと考えております。

○小磯委員 昨年三宅から避難をされた方々のところを、ちょっとお宅を訪問させていただきましたところ、パソコンが支給されると聞いているんだけれども、なかなか支給されないんだがというお話がございました。現在、そういった三宅島の方々というのは、横の連携、そしてまた三宅島の情報、こういったものが本当に大事である、こう思っております。そういった意味で、三宅島の避難をされている方々のそうした情報手段というのはどのようになっているのか。
 そしてまた、八王子のげんき農場が設置をされておるわけでございますが、その後、さらにこういったものを追加する、そういった考えはないのかお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。

○岡部災害対策部長 これまで情報提供につきましては、いろいろな広報紙等で行いましたが、さらにパソコン等の情報機器につきましては、NTTなどから三百四十四台の提供を受けまして、自治会や個人などに貸与しております。また、この使用にふなれな高齢者等に対しましては、ことしの一月から二月、学生ボランティアなどがインストラクターとなって講習会を開催し、約百五十人が受講しております。以上から、現在では避難者は、インターネット等を通じましても、都や三宅村が発表する情報に加え、外部の気象庁等のさまざまな情報の提供も受けておることになっております。
 また、げんき農場につきましては、産業労働局によれば、島民の方々を雇用して、島の特産の農産物を生産しております。現在、約六十名の方が働いており、島民の交流や情報交換の場としても役立っております。このため、帰島できるまでの間、げんき農場が継続できるよう努めてまいりたいと考えております。また、区部に農場を設けることにつきましては、今後、実施に向けて三宅村と相談していくというふうに産業労働局より聞いております。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 昨年の十二月ですが、震災予防条例の全面改定案が提案されました。それで、ことしの四月一日からこの震災対策条例が現実に実施されてきたわけですが、今回のこの東京都の条例改正なんですが、全体的なコンセプト、いわゆる概念そのものを変更するという、非常に大幅な改定だったと理解しております。
 旧の条例前文がそっくり書きかえられて、そしてその中で、私なんかは、災害というものだとか地震というものの特性をきちんとつかんでいる前文だと思って大変評価していたんですが、自然現象である地震を避けることはできないけれども、地震による被害、すなわち震災の多くは人災だというようなことを初めとして、だから都民の英知と努力と技術によってこれを予防し、被害を最小限に食いとめるために都民と都が力を合わせるという基本的な立場が失われ、地震は避けられないものであり、危機管理が重要だ、そのために都民は、自分の命は自分で守る、自分たちのまちは自分たちで守るというこの自助と共助が強調されてきました。
 また、これに行政による公助が連携する場合も、第一義的責任を負うのは、都じゃなくて、あるいは国ではなくて、区市町村だということに変えられました。
 私どもは、この前文の変更は、都の震災対策の重大な後退であって、変質だという立場から修正案を提案したところであります。これは残念なことに、多数にはならないで否決され、現行の震災対策条例が施行されたわけでありますけれども、これに対して、その後の具体的な実践がどういうふうになっているかという点で幾つか質問させていただきたいと思います。
 最初に、かつて東京都として、東京で直下型地震が起きた場合にどのような被害が生じるかという想定をしたことがあると思います。その場合の最悪の想定といいますか、一番いろいろな状況が重なった場合の被害想定、それについてはどのようになっているでしょうか。

○岡部災害対策部長 平成九年八月に東京都が行いました東京における直下地震の被害想定によりますと、冬の夕方十八時ごろ、マグニチュード七・二の地震、これは阪神・淡路地震と大体同規模でございます。人的被害として、死者が約七千名、負傷者が約十五万八千人、建物被害として、全壊、半壊などの合計が約三十六万七千棟、火災による被害として、焼失棟数が約三十七万八千棟、焼失面積が約九十五平方キロメートルなどの被害が発生すると想定しております。

○古館委員 今、死者でも七千名、それから負傷者でも十五万八千人とか、さまざまな大変な被害、甚大な被害が想定されて、これは東京都のたしか消防庁だと思いましたが、想定したことだと思いますが、その事前の予防対策が非常に重要だということを--私は、この被害想定から見ても、またかつての阪神・淡路大震災の経験から見ても、事前での予防対策、これを一層充実させることが大変重要になっているというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 阪神・淡路大震災などの都市における地震の犠牲者の多くは、建物の倒壊や家具の転倒が原因で発生しておりまして、初動態勢や地域の助け合いなどの重要性が明らかとなりました。
 本年四月から施行されました震災対策条例は、このような教訓を背景にしまして改正されたものでございます。地震災害から都民の生命及び財産を守るため、これまで重視しておりました予防対策を一層進めるとともに、応急対策及び復旧対策をも視野に入れた総合的な震災対策を推進していくこととしております。

○古館委員 この中で、先ほどいわれましたが、都市型地震とそちらでいわれているのですが、この犠牲者の多くが、建物の倒壊、家具の転倒、こういうのが原因で発生しているというふうにお答えになりました。
 それで、次いで聞きたいんですが、この東京都の震災対策条例のよって立つ法令は何でしょうか。

○岡部災害対策部長 震災に対します法的な役割につきましては、防災に関する最も基本となる法律は、災害対策基本法において定めてございます。
 しかし、国のこの法制度だけでは首都東京の状況に十分対応できないことから、都は、総合的な震災対策を充実強化させ、震災から都民の生命、財産を守るため、東京都震災対策条例を策定しまして、東京都、区市町村、都民、事業者が一体となって震災対策に取り組んでいくこととしたものでございます。

○古館委員 法制度だけでは十分に対応できないといういい方がされたのですが、私はむしろ、そういう印象よりも、東京都としての責任分野といいますか、それがどんどん後退していくんじゃないのかという印象の方が強いんですよね。
 それで、震災対策の推進に当たっては、都の今回施行された改正された条例によりますと、区市町村が、基礎的自治体としてそういう震災対策の第一義的責任を負っている、こういうふうにしております。災害救助法の第二十二条によりますと、都道府県知事の任務というのがきちっと明記されているんですね、法令は。それで、国、都道府県、区市町村それぞれが--この災害対策基本法を見ましても、国の責務、都道府県の責務、それから区市町村の責務というふうに、きちんとそれぞれの責務が明記されております。
 したがって、私は、国、都道府県、区市町村それぞれが等しくその役割を担うのであって、そういう意味では、皆この第一義的任務を負っている、こういうふうに思うんですが、いかがですか。

○岡部災害対策部長 災害対策基本法では、原則として区市町村が基礎的な地方公共団体として防災対策を行うこととしておりまして、都道府県は、市町村を包括する団体として、広域的、総合的な調整を行うものとしております。
 したがいまして、災害が発生した場合、まずは被災地の地域を直接管理している区市町村の役割が重要でありまして、避難所の運営や避難指示、勧告などの防災対策に当たるということになっております。

○古館委員 それは、区市町村は基礎的自治体というのは当たり前なんですよ。それを書いてあるだけの話であって、だから第一義的だとは書いていないですね、この災害対策基本法でも。しかも、災害があったら、その地域の自治体がさっと出ていく、一番先に出ていくというのも、これは道理のあるところですよね。責任を負っている自治体なんですから、災害があったら、まずそこが出ていく。だから第一義的というふうにはならないはずですよね。
 第一義的というのと、一時的にまず出ていくということとは全然違う。事柄の性質の違うものだと思うんですよね。政治的な、そういう体制に対しての責任という問題が、第一義であるとか第二義であるとかというふうにいわれるわけですが、そういう点からいいまして、私は、災害というのは、国も都も区市町村も、それは同等で責任を負っていかなければならないと。
 なのに、今回のこの条例の改正は、第一義的には区市町村が負うんだということを明記しているというところに、私は、だからちょっと責任逃れの面があるのではないかというふうに指摘をしているところなんですが、その点について改めてご見解をお伺いしたいと思います。

○岡部災害対策部長 まず、災害があった場合の都民の直接管理運営に当たる区市町村の重要性を特に強調したものでございます。

○古館委員 この問題については、私どもの見解については、これは都民のだれもがそのように思っている気持ちだというふうに思っていますので、この問題は引き続き大いに取り上げていきたいと思います。
 次いで、この東京都の震災対策条例の前文、これまで行政主導のもとで震災を事前に防止することを目指してきたと、そういうふうにいって、だからこれからはという感じで、どちらかというと、行政主導のもとで震災を事前に防止することを目指してきているんだけれども云々と。
 私はここで聞きたいのは、じゃ、その行政主導のもとでこれまでやってきたという具体的な事例はどういうことを指しているのでしょうか。

○岡部災害対策部長 これまで都は、震災予防条例に基づきまして、震災予防計画を七次にわたり作成してきております。この中で、予防対策を中心として、地震に強いまちづくりを推進するため、防災都市づくりの推進などの施策を進めてまいりました。
 改正後の震災対策条例では、地震に強いまちづくりの一層の推進を図るため、防災都市づくりに関する計画の策定を義務化するなど、予防対策の充実とともに、今後は、応急対策、復興対策までの分野を含んだ事業実施計画を策定していくこととしております。

○古館委員 こういうやりとりしていてもなかなか具体的ではないので、恐縮なんですが、ちょっと局が都市計画局に入るんですが、ただ、条例の中には重大な中身として書かれているので……。
 今取り組みを強めてきているし、これからも強めたいといっているんですが、具体的に聞きますが、木造住宅とかマンション、公共施設等の耐震改修が、阪神、淡路の経験からいきましても大きな課題になっていると思います。この防災都市づくりの予算である防災生活圏促進事業という事業があります。この防災生活圏促進事業の予算、決算の十一年度から十二年度の推移はどうなっているでしょうか。

○岡部災害対策部長 都市計画局によりますと、防災生活圏促進事業予算の推移は、平成十一年度におきましては、予算規模が約五億七千万、決算額が約五億六千七百万であります。また、平成十二年度におきましては、予算現額が約三億三千九百万、決算額が一億九千九百万というふうに聞いております。

○古館委員 今、五億六千七百万というのが十一年度の決算。それで、十二年度でこういう改正をした。それがちょうど出ている。その年の決算というのが、二億円にもならないんですよね。それまでは五億六千七百万円以上出ているんだけれども、一億九千九百万。今年度も、決算はまだですが、三億三千九百万という予算が一億九千何がしに十二年度はなっていて、十三年度の当初予算も全然変わっていませんから、恐らく同じような決算になるんだろうと思うんですね。
 実際に、そういう防災は大事だよ、予防も大事だよというようなことはいうんだけれども、予算上の中で見ていくと、防災生活圏促進予算一つとりましても、こんなふうに減らされているというのが今の現実なんですね。
 その上、旧条例に明記されていた民間建築物の耐震性確保のための適切な行政指導や耐震診断の実施が、この新条例では--それまでは、助成もちゃんと視野に入れていたわけですね、いわゆる区市町村なんかへの助成も。ところが、ここの新しい条例では、知事の技術面の支援のみとなっているんですね。こういうふうに明記しているんですよ、のみというふうに。支援のみと。これは、施策として後退したのではないかというふうに私は思うんですが、いかがですか。

○岡部災害対策部長 都市計画局によりますと、建築物の耐震診断、耐火性の確保につきましては、原則的として、民間及び公共を問わず、その所有者または管理者が行うべきものとなっております。
 しかし、震災に強いまちづくりを進めていく上で、耐震性、耐火性の確保は重要な課題であるため、都は、平成十二年七月に既存建築物耐震改修促進実施計画を策定し、相談窓口の設置や耐震診断講習会の開催などの支援を実施しており、施策が後退しているとは考えておりません。

○古館委員 私が他局にわたってなぜ聞くかというと、条例の中にそういうふうに書いているから質問しているんですよ。そういうふうに今まで助成していたのを、支援にとどめると。
 それで聞きますが、耐震改修を一層推進して地震に強いまちづくりをしていくためには、私は、都は技術面の支援だけではだめだと思うんですね。進んでいかない。やっぱり区市町村が実施している耐震診断などに財政的な支援を行っていくべきだというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 都は、耐震診断講習会を開催し、耐震診断技術者を養成するなど、技術面からの支援を実施してきております。
 耐震診断の助成につきましては、地域に密着した区市町村において実施されているところでありまして、今後とも、こうした区市町村と連携して、民間住宅の耐震性の向上に努めてまいりたいと思います。

○古館委員 同じ新条例の、都条例の第六条で、区市町村が実施する震災対策事業に対し必要な助成を行うことができるというふうに条例の中でなっているんですよね。耐震診断の方だけは支援というふうに書いているんだけれども、第六条では、震災対策事業に対しては必要な助成を行うことができる、こういうふうにいっております。
 だから、私は、区市町村が行っている耐震診断に対しても、この六条の規定から見ると、助成してもいいんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 耐震診断の助成につきましては、先ほども申し上げましたように、地域に密着した区市町村において実施されていくべきものと考えております。今後とも、こうした区市町村と連携してやっていきたいと考えております。

○古館委員 先ほど技術面の支援といったけれども、東京都は、この問題についてお金をほとんど出していないんですよね、技術面の支援で。これは、都市計画局にも確かめました。どういう支援をしているかといったら、支援なんかしていないんですよ。会場費まで全部、参加する人に負担させているんですからね。それから、参加料というのも八千円。参加料を八千円取っているんですよ、参加する人に。それから、テキスト代といって三千円取っているんですよ。講師の謝礼まで払わされているんですよ。だから、一円も払っていないで、支援をしますなんという話が条例の中に入っているんですよね。私は、これはやっぱり後退じゃないかといわれても仕方がないと。
 しかも、きょうの朝日新聞、ごらんになりましたか。もちろん東京都ですから、私が気がついたんだから、気がついたと思いますけれども、きょうの朝日新聞の朝刊では、「くらし」というページで、「住宅耐震補強で倒壊防止を」と。「広がる自治体の助成」という中に、こういう住宅倒壊を防ぐというのは非常に大事なので、国も予算要求しているというのが、この記事の中に書いてあるんですよ。国ですらそういう考え方を、予算要求をしているというのですから。
 私は別に、単独で東京都が補助しなさいといっているんじゃないんです。区市町村がやっているものに対して一定の補助をする、そういうようなことにぜひ踏み切ってもらいたいと私は思いますが、再度お伺いしたいと思います。

○岡部災害対策部長 個人の住宅等につきましては、管理者及びその事業者の責任だという原則がございます。その中で、国等の補助につきましては、現在、マンション等が行われておると聞いております。こういった関係の中で、さまざまな検討がなされるべきだと考えております。

○古館委員 これは本当に、阪神・淡路大震災の痛烈な教訓なんですよね。それで、今いわれた中でも、私はどうしてもやってもらいたいと思うのは、障害者だとか高齢者だとか、あるいは病気の方とか、そういう災害弱者といわれている方が、例えば診断するというとどれぐらいお金がかかるかというと、この朝日新聞のあれだと、大体十万から二十万、診断だけでかかると書いてあるんですよね。そういうふうにして、この建物をもっと補強しなければいけないとなると、大変なお金がかかっていくわけですよ。
 だから、災害弱者の方には一定の方策ということを、私は、東京都が、もっと区市町村に対してもそういう方向を先導的に考えていってもいいんじゃないかというふうに思うんです。
 自助、共助が強調されているんですけれども、自分でそういう診断だとか補強工事ができない、そういう災害弱者の方に、私は、東京都として、区市町村なんかと連携して、これはぜひ助成に踏み切ってもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○岡部災害対策部長 震災対策条例では、地震災害から都民の生命、財産を守るため、自己責任原則による自助と地域での助け合いによる共助に任せるものではなく、この二つの理念に立った上で、公助の役割を果たす都及び区市町村が都民一体となり、震災対策を実施するということになっております。
 災害弱者対策につきましては、都は、災害弱者防災行動マニュアルの作成や、災害弱者を対象としました防災訓練の実施、緊急通報システムの整備など、区市町村と連携しながら、自助、共助、公助が一体となった災害弱者の安全体制の確保に努めていきたいと考えております。

○古館委員 今の答弁は、震災になった場合の対応なんですよ。だけど、その前の話なんですよ。
 これで最後にしますけれども、ここで、茂木清夫さんという、東大の地震研究所の所長もされて、地震予知連の会長さんも、阪神・淡路大震災の問題について触れていて、政府が早急に自衛隊の派遣を行っておれば、死者の数は半分ぐらい減らすことができたというふうな意見もあったが、しかし、政府や行政の地震直後の対応が遅く、適切なものでなかったことは確かではあるけれども、大部分の方は地震後一瞬の間に圧死したというのが事実だと。
 今のお話は、その後の問題についてどうするかということを答えられたんだけれども、私がいっているのは、災害弱者の方が逃げおくれる、あるいはその家が倒壊して圧死する、こういう状況に対しては、一刻の猶予もならない。だから、私は、何らかの形で補助を考える、そういう方向に踏み切ってもらいたいと。答弁は変わらないと思いますけれども、私は、その問題を含めて、最後に局長からご見解を伺いたいと思います。

○大関総務局長 これは東京都が決して後退したわけじゃなくて、じゃ、よその県で、私は埼玉県人ですけれども、いざ災害が起きたときに県庁がどこまでやってくれているのかと、私は大変歯がゆい思いをしておりまして、東京都の場合は、ご案内のとおり、特別区の場合が内部的団体ということもございまして、平成十二年三月末までは、東京都の方が基礎的だったわけです。そういう意味で、東京都が限りなく市町村の第一義的責任を負ってきたという経緯がございます。
 平成十二年四月一日からは、完璧ではないにいたしましても、区の方が市並みになったということでございまして、市に対しては、第一義的に責任を負う、名実ともに責任を負うということになってまいりましたので、まず区の方が、そういう施策に対してどういう施策を展開するのか、その中に、区だけではだめなのかどうなのか、こういう中から議論をして、総合的に判断する話ではないだろうか、このように考えております。
 そうした中で、順番的には、やはり自分の家は自分でやってもらう。それから、それが自分でもできなければ、隣同士で助け合ってもらう、地域の中で助け合ってもらう。そして、公助の中で、第一義的には、市町村がまず政策としてどうするのか。それで、その中で、共同でやる東京都がそこにどこまで応援できるのか、こういう形で判断していく話だと思っております。

○古館委員 私は、自分でそういうことを守るということも否定しませんし、共助も否定しません。だけど、そういう状況の中で、どうしても災害に対して対応できない人もいるということも事実なんですよね。どうしても政治が、行政がその問題に対して対応しなきゃならないという部分については、東京都も、国や区市町村とぜひ連携しながら、そういう補助なども含めて検討してもらいたい、そのことを強く求めて質問を終わります。
 以上です。

○宮崎委員長 ほかにご発言はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後三時十三分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る