各会計決算特別委員会第一分科会速記録第四号

平成十三年十月二十六日(金曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 九名
委員長宮崎  章君
副委員長高島なおき君
副委員長大塚 隆朗君
大西由紀子君
小磯 善彦君
萩生田光一君
古館 和憲君
前島信次郎君
桜井  武君

欠席委員 一名

 出席説明員
収用委員会事務局局長有手  勉君
次長宇口 昌義君
監査事務局局長中山 弘子君
次長細渕  功君
財務局局長安樂  進君
技監畑野 喜邦君
経理部長佐藤 兼信君
契約調整担当部長中村 忠夫君
主計部長松澤 敏夫君
財産運用部長小野田 有君
参事矢口 幸一君
庁舎管理部長岡本 宏之君
営繕部長野本 孝三君
参事岸野  勇君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  収用委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  監査事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  財務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・用地会計決算(質疑)
  ・公債費会計決算(質疑)

○宮崎委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日は、収用委員会事務局、監査事務局及び財務局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いをいたします。
 これより収用委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、収用委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宇口次長 先般の分科会におきましてご要求のございました収用委員会事務局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 目次の次にございます一ページ目、資料第1号は、収用事件の取扱件数、処理件数、委員会開催日数でございます。
 これは、平成八年度から平成十二年度までの五年間につきまして、収用事件の取扱件数、処理件数、委員会開催日数の推移をお示ししたものでございます。
 注にございますように、取扱件数は、前年度からの繰り越しと当該年度の新規申請を合わせた数でございまして、処理件数は、当該年度に裁決、また和解等で処理を終わった数でございます。
 次に、二ページの資料第2号、平成十二年度における土地収用事件の裁決例をごらんください。
 これは、平成十二年度に収用委員会において出されました土地収用事件の裁決のうち、主なものについて、事件概要も含め記載したものでございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 ご発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○宮崎委員長 これより監査事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、監査事務局所管分を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 なければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○宮崎委員長 これより財務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、財務局所管分、平成十二年度東京都用地会計決算及び平成十二年度東京都公債費会計決算を議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取してあります。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤経理部長 それでは、私からは、資料第1号及び資料第2号についてご説明を申し上げます。
 最初に、一ページをお開き願います。資料第1号の中小企業受注実績でございます。
 これは、工事関係と物品関係の中小企業受注実績の過去十年間分を集計したものでございます。全企業の受注した件数と金額、その中に占める中小企業の件数と金額をお示ししたものでございます。
 平成十二年度で見ますと、工事関係におきましては、件数八三・五%、金額四八・一%が中小企業分となってございます。また、物品関係におきましては、件数八五・三%、金額で六三・四%が中小企業分となってございます。
 次に、二ページをお開き願います。資料第2号は、平成十二年度の中小企業受注実績でございます。
 ただいまご説明を申し上げました資料第1号の平成十二年度分を局別にお示ししたものでございます。
 私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○松澤主計部長 それでは引き続きまして、私の方からは、要求資料第3号から第5号までにつきましてご説明を申し上げます。
 まず、三ページ目をお開きいただきたいと思いますが、資料第3号、性質別歳出の推移についてでございます。
 普通会計決算ベースで、平成三年度から平成十二年度までの過去十年間の推移をお示ししてございますが、上の方の区分の欄の横に人件費、物件費、扶助費といった形で、それぞれの年度ごとに、上段が金額でございます。それから、下段が歳出に占める構成比として記載してございます。ごらんいただきたいと存じます。
 次に、四ページの資料第4号、都債発行額及び都債現在高の推移についてでございます。
 これも、普通会計ベースで平成三年度から平成十二年度までの過去十年間の推移をお示ししてございますが、都債発行額は当初予算と決算、また各年度末の都債現在高を記載してございます。
 この間、税収の低下などもございまして、都債を大量に発行してきたため、年度末の都債残高は、平成三年度の二兆三千九百四十二億円から、一番下の平成十二年度には七兆六千七百五十億円と、三・二倍にまで増加をしてきております。
 次に、五ページでございます。資料第5号、都債償還額及び減債基金残高の推移についてでございます。
 九年度から十二年度までは決算ベース、十三年度は予算ベース、また十四年度以降十八年度までは、表の下の(注)にもございますように、各年度の起債発行額を三千五百億円としまして、減債基金へ所要の額全額を積み立てるものとして試算をしたものでございます。
 この推移でいきますと、都債の償還額は、十三年度予算での三千二百五十一億円が、十四年度以降、ごらんのとおり急激に増加しまして、十五年度の推計では七千九百億円に達し、またそれ以降も、六千億円台の高い水準で推移すると見込まれるところでございます。
 説明は以上でございます。よろしくお願い申し上げます。

○小野田財産運用部長 ご要求がございました資料第6号、7号についてご説明申し上げます。
 要求資料第6号、六ページでございますが、財産運用収入の推移でございます。
 財務局で収入いたしました土地の売り払い及び貸し付けの実績と、建物の売り払い及び貸し付けの実績につきまして、平成八年度から平成十二年度の金額等を記載してございます。
 平成十二年度の欄でご説明申し上げます。
 土地の売り払いは、件数で百九十七件、面積で七万九千二十四平方メートル、金額にいたしまして二百二十九億九千四百万円でございます。土地の貸し付けは、それぞれ一千八百三十七件、三十七万四千七平方メートル、二十三億八千五百万円でございます。
 建物の売り払いは四件、四億五千二百万円、建物の貸し付けは九十四件、一億八千七百万円でございます。
 土地と建物を合わせますと、売り払いが二百一件、七万九千二十四平方メートル、二百三十四億四千六百万円で、貸し付けが一千九百三十一件、三十七万四千七平方メートル、二十五億七千二百万円となっております。
 続きまして、七ページの見開きをごらんいただきたいと存じますが、要求資料第7号、用地会計による用地取得の推移についてご説明申し上げます。
 用地会計で取得をいたしました事業用地の種別ごとに、平成八年度から平成十二年度の当初予算額を上段に、決算額を下段に記載してございます。
 平成十二年度の欄でご説明を申し上げます。
 単独事業用地は、当初予算額が、面積で六万五千三百六十九平方メートル、金額にして六百六十五億二千二百万円でございます。これに対しまして決算額は、面積で一万八千七百四十平方メートル、金額は八十九億六千四百万円で、執行率は一三・五%となっております。
 同様の内容につきまして、下に道路用地、河川用地、公園用地及び再開発用地の順に記載してございます。
 平成十二年度の合計は、当初予算額が、面積で十七万五千九百五平方メートル、金額は一千億円でございます。これに対しまして決算額は、面積で十万七千八百四十六平方メートル、金額は三百三十六億百万円で、執行率は三三・六%となっております。
 以上で要求資料第6号、7号の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○高島委員 私どものお願いをした資料、感謝申し上げます。
 その中で、ちょっと何点かお聞きをさせていただきたいと思いますが、初めに、用地会計が設けられている目的は何か、お伺いをさせていただきたい。

○小野田財産運用部長 ご説明申し上げます。
 用地会計は、衛生施設あるいは清掃施設などの生活関連施設及び河川、公園等の事業用地の取得を容易にして、事務事業の円滑な推進を図るため、おおむね十年以内に事業化される見込みの土地を先行的に取得することを目的として設置された特別会計でございます。

○高島委員 その中で、今ご説明もあったんですが、東京都用地会計決算説明書の平成十二年度用地買収費の内訳にある単独事業用地とは何か。さらには、その予算の執行率が大変低くなっております。その辺について伺いたい。

○小野田財産運用部長 単独事業用地と申しますものは、用地の取得が、国の補助金交付の対象とならない用地のことをいいます。平成十二年度の単独事業用地に係る予算の執行率は、教育施設用地が七五・五%、都市整備用地が六四・三%となっておりますが、この予算の対象となっている国有地の取得実績がなかったことから、単独事業用地全体では一三・五%となったものでございます。

○高島委員 用地会計における用地買収費用は、どのような考え方で予算化をしていらっしゃるのか。特に国有地等の用地の買収費用の計上はどうなっているのか。
 今お話を聞きますと、七五・五%、六四・三%、国有地についてはゼロということで、この一三・五が割り出されていると思うんですが、その辺のことも含めて、どういう形で予算化をしていらっしゃるのか。特に国有地等の用地の買収費用の計上の仕方、それについてご説明をいただきたい。

○小野田財産運用部長 都は、財政再建推進プランに基づきまして、不要不急の土地は取得しない方針でございますが、都民生活を支える施設用地など事務事業に欠かせない用地の取得につきましては、適時適切に行う必要がございます。
 このため、用地会計予算におきましては、各局からの需要を把握の上、事業用地を先行的に取得できるよう、財源の確保に努めております。
 なお、国有地は、その取得時に起債が可能なことから、大規模な国有地を先行的に、かつ、いち早く取得できるように予算を確保しておるところでございます。しかし、国有地取得予算の執行の現状にかんがみまして、予算規模の適正化にも、一方では努めているところでございます。

○高島委員 それでは、また基本的な質問なんですけれども、用地会計で取得した土地は、当初の取得目的に沿って活用されているのかどうか、伺いたい。

○小野田財産運用部長 河川用地あるいは公園用地など、十年以内の事業化が見込まれます用地を先行的に取得するという制度でございますことから、河川、公園などの都市計画上の用地として、現時点においては、まだ具体的に供用されていない用地も一方ではございます。

○高島委員 いろいろと資料を拝見させていただきますと、過去五年間で国有地の取得は一件だけなんですね。それ以外には--その五年間以外ということですが、そういう実績はあるのかどうか。
 それから、その土地の現状はどういう形になっているのか、お聞かせいただきたい。

○小野田財産運用部長 お話がございましたとおり、平成八年度から平成十二年度の五年間に用地会計で取得いたしました国有地は一件でございます。具体的には、平成八年の十二月に取得いたしました港湾労働者福利厚生施設用地でございまして、面積が二百七十平米、取得金額は一億九千九百万円でございました。
 それ以外の取得の実績ということでございますが、国有地の取得実績といたしましては、平成七年度に取得いたしました日本社会事業大学の跡地がございまして、面積が約二万四千平米、取得金額は約三百億円でございました。
 それぞれの現状ということでございますが、先ほど申し上げました港湾労働者福利厚生施設用地につきましては、その後、警視庁に所管がえいたしまして、現在、三田警察署の公舎となっております。それから、社会事業大学用地の現状でございますが、現在、その用地の一部を駐車場として暫定利用いたしておるところでございます。

○高島委員 今、二カ所ということで理解をさせていただきました。
 それから、先ほどもお話がありましたけれども、取得後、事業化に至っていない施設建設予定地の用地があると思います。その全体取得の中の何%が事業化されていないのか、供用開始をされていないのか。また、このような土地が発生する理由は何か。また、今後これらをどう解消していくのか。その辺のことについてご答弁をいただきたい。

○小野田財産運用部長 平成六年度から平成十二年度の七年間に用地会計で取得した単独事業用地の大半を占めますのが、約五十四万平米ございます施設用地でございまして、これで見まして、おおむね七割、約三十七万平米の土地が本来の目的に沿って利用されております。しかしながら、残りのおおむね三〇%、約十七万平米になりますが、これが施設建設に向けて計画中でございます。
 このような土地が発生する理由につきましては、用地会計で先行的に取得いたします用地は、おおむね十年以内の事業化が見込まれるものが対象になるという制度でございますので、用地取得後、事業化に至るまで数年間を要することもございます。また、用地取得後の財政状況の変化などから、施設建設が遅延する場合もございます。
 また、今後どう解消していくかという対応策でございますが、先行取得をいたしました用地の有効活用の観点から、適切かつ効率的な施設建設が行われますように、民間活力の利用による施設整備などについて支援に努めて、できるだけ早期の利用を期しておるところでございます。
 しかしながら、当初の計画を達成する見込みが立たず、どうしても事業化が困難になったというような用地につきましては、未利用地として財務局に引き継いで、全庁的な活用を図っていくことにいたしております。

○高島委員 当初、供用開始をされていない、事業化されていないのがもっとあるのかな、五〇%ぐらいはまだあるのかなという思いがあったんですが、今ご説明を聞かせていただきますと、約七〇%、三十七万平米が事業化、供用化をしていらっしゃるということでございます。そういう意味では、まだまだ三〇%あるわけですから、基本的には行政自治体は目的がなければ土地を買えないわけですから、公拡法、いろいろと問題があるから。そういう意味では、最善の努力をしていただきますよう、よろしくお願いをいたします。
 続いて、今後、都市再生プロジェクトを推進していく必要があると考えます。用地会計による土地取得についての基本的な考え方を伺いたい。

○小野田財産運用部長 用地会計は、おおむね十年以内に事業化される見込みがある土地を先行取得することが制度の趣旨でございますので、これからは、事業実施の確実性などの視点も踏まえるとともに、都の未利用地を活用することはできないかなど、いろいろな意味でのチェックを重ねていきたいと考えております。
 一方、都民生活や都市の活性化のために必要性が高い用地につきましては、事業の遂行に支障がないよう、長期的な視点も踏まえまして予算措置に努めていくつもりでおります。

○高島委員 最後の質問になるんですが、あえてお伺いをさせていただきたいと思います。
 先ほどのご答弁の中にも、国有地、起債が可能といわれているというお話も理解はできるのですが、当初から起債を起こす予定ではなくて、必要に応じて起債を起こしていけばいいことであるのかなと、そういう思いもいたします。
 さらには、地方自治体は、目的がなければ土地は取得できないと考えております。無論、東京都民に必要な土地は積極的に買収する必要がありますが、現在の社会経済状況を考えると、いかがなものかと一考を禁じ得ないわけでございます。
 その中で、東京都はこれからどう対応していくのかをお聞きして、私の質問を終わらせていただきます。

○小野田財産運用部長 先ほども申し上げましたところでございますが、用地会計は、都市基盤の整備を初めとして、公園、住宅、学校などの事業用地の買収が適時適切に行われ、結果として事務事業が着実に推進できるよう設けられた特別会計でございます。
 今後、用地会計における用地取得に当たりましては、財政再建推進プランの方針に従い、新たな用地の取得については、その必要性を十分検討し、できる限り抑制することといたしますが、一方、都にとって先行的に確保、調達することの欠かせない事業用地を弾力的、機動的に取得できるよう、長期的な視点も踏まえ、予算措置に努めてまいりたいと存じます。

○大塚委員 私からは、平成十二年度の財務局の各会計決算について、財産利活用総合計画について質問したいと思います。
 昨年、平成十二年十一月に、都有財産について、激変する社会情勢のもと、その変化に的確に対応する都政が求められ、納税する都民の立場に立ち、従来の適正管理という静態的視点から、行政経営資源の一つととらえ、今や厳しい経済状況の中で民間が行っておりますコスト削減や資源の有効活用計画を踏まえつつ、その利活用を図るといった、まさに動態的視点に重点を移す財産利活用総合計画が制定されたことは、その計画自体は大変評価されるものだと思っております。
 さて、この計画自体は、平成十三年、そして十五年までの三年間にわたり実施されるものですが、平成十二年度に策定された初年度として、まずどのようなことがあったのか、これから質問をさせていただきたいと思います。
 財務局の一般会計決算説明書の中で、平成十二年度に約八万平米の土地が売却されているわけですが、この結果、財務局が売却を今後予定されているうち、何%売却され、残りの面積がどれぐらいになるのか、まず教えていただきたいと思います。

○小野田財産運用部長 平成十二年十一月に策定いたしました、ただいまお話のございました財産利活用総合計画におきましては、約九十七・六ヘクタールの財務局所管未利用地の売却を予定しておりました。これ以降、平成十三年九月末までに、各局から新たに約一・五ヘクタールの土地を引き受けているところでございます。
 このうち、平成十二年十一月から平成十三年九月までに十三・二ヘクタール、一三・三%に当たりますが、これを売却いたしまして、残りは約八十五・九ヘクタールでございます。

○大塚委員 今のお話ですと、十三・二ヘクタール、残りが八十五・九ヘクタールということで、十三年度から三年間でその土地を売却するという計画になっているわけですが、その見込み、または実現可能な計画なのか、お教えいただきたいと思います。

○小野田財産運用部長 財務局は、平成十二年十一月に策定しましたこの財産利活用総合計画におきましては、約九十七・六ヘクタールの財務局所管の未利用地の処分を計画しております。この計画では、平成十二年度から十四年度までの三年間で、金額にして一千億円以上の売り払いを行うことを目標としておりますが、平成十三年九月末までの都有地の売却実績は約十三・二ヘクタール、金額に直しまして七百二十六億円となっております。
 今後、売却の促進に努めることによりまして、期間中に計画を達成することは十分可能であるというふうに考えております。

○大塚委員 その売却の促進策といたしまして、十二年度から宅地建物取引業者に対する業務委託方式を実施していると聞いております。その委託の方式と、また十二年度の実績、効果を教えていただくとともに、その際、公募しても応募者がいなかった場合に委託をしているということですが、今後落札者がいない場合に、もう少し広く--専門家であります宅建業者への委託方式に改善点を設ける方法があるのか、ご見解を伺いたいと思います。

○小野田財産運用部長 都におきましては、おおむね三百平米以下の小規模な土地について、公募による売却を行っております。
 この公募方式による売却を行った土地で売却ができなかったものにつきまして、平成十三年三月から、社団法人東京都宅地建物取引業協会など三団体と協定書を締結いたしまして、これらの団体に土地取引の媒介を委託いたしました。
 この結果、平成十三年九月末現在でございますが、合計四件、約二億二千万円余について契約が成立しております。これにより、増収が図られたことはもとより、PR効果など一定の効果はあったものと考えております。
 さらに、平成十四年度からでございますが、その範囲を拡大いたしまして、入札の結果、落札に至らなかった物件につきましても、同様の手法を導入することを現在検討しております。

○大塚委員 このように財産利活用総合計画による取引を進めることによって、市場が多少なりとも活性化をして、平成十二年度の売却先の個人、法人を問わず、それぞれ事業拡大につながっていくとすれば、経済的な効果が大きくなるというふうに思うわけです。
 そのような経済効果があるとすれば、なおさら都有地というのは、それぞれのいろいろな事業で、当時必要なことで購入された土地だと思うわけでございますけれども、その買収目的に沿って、あるいは他用途に活用できるものは他用途で適切に活用されるべきものですが、それでもなお未利用地となっている土地は、いたずらに放置するのではなく、さらに流通市場へ放出するべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○小野田財産運用部長 財務局が所管しております未利用地につきましては、都としてできる限りの有効活用を図る。このため、まず各局に対しまして、事業用地として使用する可能性を打診しております。
 各局において利用計画がないことが確認された場合には、その土地が所在いたします地元の区市町村へ利用希望の有無を照会いたしまして、申し出がないものについて、積極的に売り払いを行っていくこととしておるところでございます。

○大塚委員 わかりました。
 次に、同じ総合計画の中の本庁舎の有効活用にかかわる質問に移りますが、同総合計画の中で、施設の有効利用を図るために、OA化やオフィスレイアウトを見直す、また空き床の有効利用を図るといったことは当然のことだと思います。
 そしてまた同計画では、職員のコスト意識向上を図るために、庁内家賃の設定や庁舎管理会計の考えを十二年度から導入しているとのことですが、この考え方につきまして、まず具体的にお伺いしたいと思います。

○岡本庁舎管理部長 総合計画にございます庁内家賃と庁舎管理会計についてでございますけれども、まず庁内家賃と申しますのは、日ごろ余り意識しないで使っている庁舎にもコストが生じている、かかっている、こういうことを職員に認識させるために考えた一つの手法でございます。
 具体的に申しますと、新宿都庁の近隣、西新宿地区の民間高層ビルの賃料を参考にいたしまして、都の各局が使用する庁舎の床面積に応じて、仮に負担する家賃といったものでございます。
 また、庁舎管理会計の考え方でございますが、庁舎を民間賃貸ビルと仮定いたしまして、それを使用する各局からの家賃、先ほどの庁内家賃でございますが、それを中心とした収入と、一方、庁舎の維持管理などにかかる支出、こういう両者のバランス状況を把握して庁舎のコスト管理を行おうというものでございます。
 こうした考えをもとに、私ども財務局といたしましては、各局の年間家賃とそれを職員一人当たりに置きかえた金額を算出しまして、それを各局に通知いたしまして、庁舎コストに対する職員の意識改革を働きかけているところでございます。

○大塚委員 今のご答弁ですと、この考え方は職員の意識改革のためだというふうなことですが、この財政難の折に、特に行政には、都民の税金をいかに効率的に、効果的に使うかということが問われているわけでございます。したがいまして、営利事業でないからコストは関係ないという考え方は間違いで、職員のコスト意識向上という観点から、この方向は評価に値すると思うわけでございます。
 しかし、行政の事務事業、行政サービスというのは、必ずしも定量的にはかれるものばかりではなく、定性的なものもあるわけです。当然のことで、改めて述べるものではないかもしれませんけれども、庁舎管理に際しまして、この点、十分配慮されるべきものだと思いますが、最後に見解をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。

○岡本庁舎管理部長 庁舎管理に当たりましては、来訪者や庁舎を利用する都民の快適性あるいは利便性、そういったものとか、あるいは各局事業の遂行のための良好な執務環境、こういうものにも十分配慮することが非常に重要である、そういうことから、コストだけですべてを律するといいますか、運営するわけにはいかない面もあるというふうには考えてございます。
 またその一方で、これは東京都のほかの事業と同様でございますけれども、庁舎管理におきましても、限られた財源の中で最大の効果、効率を上げるように、経費の節減などに努めることも欠かせない点かと存じます。
 こうした点に十分配慮しながら、今後とも、効果的であり、また効率的な庁舎管理に努めてまいりたいと考えております。

○小磯委員 平成十一年六月二十二日の新聞の報道でございますけれども、住友銀行の運動場を東京都が購入したと。「財政難の中、四十七億円、用途が壁、ほかへ売却困難」と、かなり大きな新聞記事が出ております。これは、公的資金注入による救済策の条件として金融機関が進めているリストラ策の資産売却で、東京都が住友銀行の運動場の一部を約四十七億円で購入していたと。都計法上、公園に指定され、都以外は購入が困難だったということでございます。
 財政再建推進プランの柱の一つが都有地の資産売却であるにもかかわらず、そういった中、政策的に矛盾するのではないかといったこともいわれているわけでございますけれども、まず、この三井住友銀行の運動場のその後、それからまた、富士銀行の済美山運動場、こういったことについて今どうなっているか、お伺いしたいと思います。

○小野田財産運用部長 三井住友銀行の石神井運動場につきましては、平成十一年三月に、その一部を、ただいまご指摘のように、約一・八ヘクタールを公園用地として取得いたしました。この部分については、現在、野球場として一般開放されております。残りの二・二ヘクタールは、現在、引き続き銀行のテニスコートなどとして利用されております。
 富士銀行の済美山運動場につきましては、平成十一年二月に都市計画公園事業として認可されましたが、取得には至っておりません。

○小磯委員 大手銀行の一ヘクタール以上の運動場などの施設が東京都内にどれだけあるのか、また、現在まで東京都としての購入実績があるのか、お伺いしたいと思います。

○小野田財産運用部長 都市計画公園内の大手銀行の一ヘクタール以上の運動場などの施設は、区部には、先ほどの二つの銀行の運動場のほかに一件ありまして、多摩地域にはさらに六件あると伺っております。
 都のこれまでの取得実績でございますけれども、先ほど申し上げました三井住友銀行の石神井運動場の一部、約一・八ヘクタールのみでございます。

○小磯委員 今おっしゃった七件の運動場については、例えば、東京都に買ってくださいという申し込み等が現在、来ていますでしょうか。

○小野田財産運用部長 公園としての買収の申し入れはございます。

○小磯委員 それは、七件のうち何件かわかりますでしょうか。

○小野田財産運用部長 手元にすべてを網羅した資料がございません。実際、この都市計画公園の買い取り申し入れと申しますものは、私ども財務局ではなくて、建設局の方に申し入れが行われます。そうした関係から、ちょっと資料が手元に十分なものがございませんが、手元の資料で申し上げますと、当該金融機関からの、区内におきます状況といたしましては、もう一件でございます。三井住友銀行の先ほどの件と、先ほどの済美山の件と、それから、もう一件ございますものにつきまして、買い入れの申し入れがあったというふうに把握をしております。
 申しわけございません。二十三区以外のものについては、手元に資料がございませんので、恐縮でございます。
 失礼いたしました。訂正いたします。二十三区にございます特別区内のものについて資料がございまして、多摩地区--私も多摩地区に居住させていただいております。失礼いたしました。多摩地区のものにつきましての申し込み状況については、手元に資料がございません。

○小磯委員 財政再建のために都有地の売却が進められている中、大手銀行の運動場などを買収するのはどうかという考え方もございます。しかしまた、その土地がいわゆる開発等に使われるのだったら、緑を残すという視点から公園として取得するということがあってもいい、私はこう思っております。
 ともかく基本は、必要であれば購入する。しかも、それは十分に検討するということだと思いますが、局のお考えをお伺いしたいと思います。

○小野田財産運用部長 東京都は現在、財政再建推進プランに基づきまして未利用地の売却を図るとともに、一方で、新たな用地の取得につきましては、その必要性を十分検討しながら、できる限り抑制をすることにしております。
 大規模な土地の新規取得に当たりましては、各局における事業見通しの確実性を十分踏まえ、慎重に判断する必要があるものと考えております。

○小磯委員 先日説明された資料を読み返してみましたが、十二年度決算と十一年度決算の比較がわからなかったのでお伺いいたしますが、十二年度における財務局の歳入総額と歳出総額、前年度と比べてどうだったか、お示しいただきたいと思います。

○佐藤経理部長 財務局の十二年度一般会計決算額の合計の前年度との比較についてでございますけれども、歳入につきましては、十二年度は八千三十五億円でございます。十一年度が一兆一千五百七十二億円となってございまして、前年度より三千五百三十七億円の減少となってございます。
 また一方で、歳出でございますが、十二年度は一兆一千三百十億円、十一年度が七千九百三十八億円でございまして、前年度より三千三百七十二億円の増加となってございます。

○小磯委員 財政再建といえば、通常考えれば、歳入をふやして歳出を減らすというのが取り組みでございますけれども、都の各局が、それぞれこうした取り組みを行っていると思います。
 今お伺いしますと、財務局においては、歳入が減少して歳出が増加しておりますが、その理由についてお伺いしておきたいと思います。
 歳入のうち、大きく減っている項目は何なのか。また、歳出のうち大きく増加している項目は何なのか、お伺いしたいと思います。

○佐藤経理部長 まず、歳入の主な増減でございます。まず、繰入金が前年度より一千三百七十一億円減少してございます。これは、主に中央卸売市場会計からの借入金が減少したためでございます。また、都債が前年度より三千四百六億円の減少となってございます。
 また、歳出につきましては、減債基金積立金の増など、公債費が前年度より千七百七十三億円増加いたしましたほか、諸支出金のうち財政調整基金積立金が千四百四億円の増加となってございます。

○小磯委員 財務局というのは事務局ではございませんので、ただいまのお答えには財政運営上の必要性があったと思いますが、歳入について、なぜ繰入金や都債が巨額の減になっているのか、その理由についてお伺いしたいと思います。

○松澤主計部長 ただいまご指摘の繰入金や都債につきましては、財務局が一括して予算計上しているものでございますが、まず、繰入金につきましては、十一年度に財源対策として行いました中央卸売市場会計からの借入金二千億円が皆減となっております。
 次に、都債についてでございますが、財政再建推進プランに基づく投資的経費の抑制にあわせまして、当初予算において都債を抑制するとともに、最終補正予算におきましても、年度途中における都税の増収を活用しまして、極力都債の発行を抑制し、将来の公債費負担の軽減を図ったため、大幅に減少しております。
 これらは、いずれも借入金に依存する財政運営を改善しまして、将来の都財政の負担を軽減しようとするためのものでございます。

○小磯委員 次に、歳出について、公債費や基金積み立てなど、都全体の歳出を預かる財務局が一括して所管している経費が大きくふえておりますが、このように歳出増とした理由をお伺いしたいと思います。

○松澤主計部長 公債費や基金の積み立てといった歳出が前年度決算と比べ増加しましたのは、これも、十二年度における年度途中の都税の増収を、今後の財政運営に最大限生かすため、財政体質の健全化に向けた取り組みに振り向けたことによるものでございます。
 具体的には、最終補正予算におきまして、財政調整基金への義務積み立てを千二百四億円行うとともに、これまで本来所要額の二分の一しか積み立ててこなかった減債基金につきまして、十二年度分から四分の三まで復元することとし、六百十二億円を積み増したことによるものでございます。

○小磯委員 十二年度のいわゆる税収の増を、将来の財政運営のために、きちんと役立つように使っているということが、ご努力されているということがよく理解できました。歳入面において、都債とか、また他会計からの借入金などの借金を意識的に減らしたのと同様、財政の健全化を目指す上で必要な判断であったと思っております。
 しかし、今後の景気の動向次第では、都税収入が再び大きく落ち込むことも覚悟しなければなりません。また、十二年度財務局決算では、財政体質改善のために、十一年度に比べ歳入減、歳出増であったけれども、もっと収支が厳しくなれば、将来のための取り組みが制約されることも考えられるわけでございます。
 こうした中にあって、今後とも歳入歳出の両面にわたった取り組みを強化し、財政再建と財政体質の改善を確実に達成しなければなりません。
 そこで最後に、財務局として、今後、財政再建の達成に向けてどのように各局をリードして取り組んでいくおつもりか、財務局長の決意をお伺いしたいと思います。

○安樂財務局長 ただいま主計部長の方からもお答え申し上げましたけれども、東京都は都財政の体質改善に全力で取り組んでおりますが、とりわけ借金体質といいますか、先ほどの要求資料にもございましたけれども、平成四年ごろから、内需拡大という国家的な取り組みの中で、都債の発行額が非常に膨らんでおります。それまでは大体二千億、三千億の規模であったものが、先ほどの資料にありましたが、八千億ぐらいに急激に膨らんでおります。その後も一兆円を超えるような額になっております。
 平成十五年という非常に近い時期に、こういう過去に発行いたしました都債の償還額、八千億近くに達しております。そういう意味では、その後も高い水準が続きますので、こういう借金体質というものが、財政運営の弾力性を著しく阻害しております。借金体質からの脱却ということが大きな課題となっております。
 先ほど答弁にありましたけれども、予算編成に当たりましては、できる限り都債を抑制するということを一つ重点に置いておりますし、また、減債基金であるとか、こういう積み立てをふやしまして、将来の財政負担を軽減するということを大きな眼目にしております。しかし、最近の経済情勢から、今後、税収の落ち込みがさらに予想されております。そういう意味では、今後内部努力の一層の推進、これはもういうまでもないことですが、事業の見直しなど、これから徹底的に進める必要があると思っております。
 ご指摘のように、財務局は予算だけではなくて、例えば都有地の有効活用であるとか、建物の建設、維持管理、それからさまざまな面がありますけれども、そういう点で、全庁的な調整、あるいは指導ということを行っております。金額の多寡にかかわらず、むだな支出がないかどうか、それから効率性の悪いことをやっていないかどうか、あるいは都有地をむだに使っていないかどうかというようなことを点検したいというふうに思います。あらゆる面で、もっと創意工夫の余地はないかということをこれから考えていきたいと思います。そういう観点で、全庁的な財政改革にこれから取り組んでいきたいと思います。
 平成十一年に財政再建推進プランを策定しておりまして、これは財政再建の総合的な計画であります。歳入から歳出にわたりまして、非常に詳細に総合的な計画を定めておりますので、先ほど申しましたような観点で、これからもこの取り組みを一層進めていきたいというふうに思っております。

○古館委員 それでは、質問させていただきます。
 この十二年度というのは、財政再建推進プランの初年度ということになります。財政再建推進プランというのはここにありますが、ここでも初年度は六千二百億円の財源不足が出る、こういうことで、それで出してきたのが、具体的には、例えばシルバーパスを全面有料化するとか、老人医療費の助成や老人福祉手当の段階的廃止、障害者やひとり親家庭、公害患者を初めとする医療費助成への本人負担の導入など、福祉医療の制度を軒並み切り捨てる、こういうことを打ち出してきました。
 その一方で、臨海副都心開発だとか幹線道路建設など、財政難の原因である大型公共事業の浪費というのは温存されていました。投資的経費はいまだにバブル前の一・五倍の水準にありまして、高速道路公団への貸し付けなど含めれば、実に一兆円になるということを、私どもは予算の質疑の中でも明らかにしてまいりました。
 それで、今各区市町村でも恐らく決算委員会が開かれていると思いますが、板橋区で東京都の福祉施策の見直しによってどういう影響が出ているかという資料がありまして、一、二紹介したいと思いますが、老人福祉手当の支給については、支給されている人が十一年度が二千三百七十人、ということは世帯といってもいいですよね。それだったのが千九百七十七世帯に落ちまして、約四百世帯ぐらい減になりました。
 これは段階的に廃止になっていきます。その初年度分で約四百、これは人と書いてありますが、ここで老人福祉手当というのは、ご存じのように寝たきりの高齢者の手当。ですから、これは人というけれども、それを例えば女性の方が一生懸命介護して支えている。その人に仕事があるかというと、つけるわけないんですね、介護しているから。だから、そういうような生活実態の中で、既に初年度分だけで約四百世帯の方が削減になってしまった。打ち切りになってしまった。これが一つの老人福祉手当の支給の、板橋の中で具体的にあらわれている事例であります。
 もう一つ、シルバーパスの交付の問題でもそうですが、十一年度は全体で三万八千三百六十七人の方がシルバーパスを受けていましたけれども、それが今回全面有料化になり、さらに課税の方への大変な高額徴収ということになりまして、三万八千何がしのシルバーパスを受けていた方が三万二千台に落ちました。六千五十九人という減少になった、削減になったんですね。その特徴は、課税された方も減っているんですが、非課税の方が非常に減っているというのがこの中で特徴になっております。
 私どもは、こういう中でも、予算の使い方によっては、こういうふうに組み替えれば、ちゃんと福祉も守ることができるという組み替え動議も、毎年のように日本共産党都議団としては提案させていただいておりました。そういう中にあって、さらに年度の後半になりましたら、都税が当初見込みに対して相当伸びた、そういう事態になりました。
 そこで、最初の質問ですが、決算ではどれだけ増収になったでしょうか。

○松澤主計部長 平成十二年度の都税収入は、当初予算額で三兆九千八十四億余円に対しまして、決算額は四兆二千六百七十億余円となりまして、決算額は企業収益の改善などによりまして、当初予算額を三千五百八十五億余円上回っております。

○古館委員 この一般会計での三千五百余億円の伸びですね、全体の最終補正予算という中では、もうちょっと組まれているんですけれども、これだけの増収に対して、当然都民は、この時点でこの切り捨てた福祉をもとに戻してくれ、さらに福祉を充実させてくれという声が上がったのは当然であります。
 ところが、大きな増収に対して、都は福祉の復活や、都民生活に予算を振り向けるということは最終予算ではほとんどしませんで、その中心にどこが座ったかというと、公共事業なんですね。それも幾つもの問題を含んでいる事業に対して、はっきりいって、お金の大盤振る舞いをしました。
 そこで質問しますが、その中で首都高速道路公団への貸し付け、これがその代表的な一つといえると思います。ここで最終補正予算で貸し付けた金額は幾らでしょうか。

○松澤主計部長 今、都税の増収分についての使い道のお話もございましたが、基本的には最終補正予算では、都財政が大変厳しいものですから、先ほどご答弁しましたように、将来に備えた基金の積み立てであるとか、隠れ借金の削減、あるいは景気対策、そういった形に使っているということでございます。
 そういう中で、お尋ねの首都高速公団への貸し付けでございますが、十二年度最終補正予算では、貸し付けの金額は二百十億七千九百万円でございます。

○古館委員 当初にも予算を組んでいて、こういう最終補正予算で新たに首都高速道路公団への貸し付けを約二百十一億円補正でつけた。無利子の貸し付けですよね。一般の人が借りるときは、無利子なんていうのは余りないわけですね。ところが、首都高速道路公団に貸し付けるときは無利子。利息分は、都が負担することになります。それで、都の利子負担は十二年度で幾らになるでしょうか。

○松澤主計部長 十二年度最終補正予算における首都高速道路公団への貸し付けには都債を充てておりませんので、これに係る都の利子負担はございません。
 また、これまで首都高速道路公団への貸し付けの財源として起債した都債に係る十二年度の利子支払い額でございますが、これにつきましては六十二億円でございます。

○古館委員 つまり、利息分も東京都が負担するわけですよね。貸して、今回は都債を発行しなかったから現金ですよね。一般財源を投入した。で、年間の利息分、利払いが六十二億円。これも東京都が負担するわけですよね。
 それで、ここに東京都の高速道路整備事業貸付要領というのがあります。貸付金の要領ですね。この中では、貸し付ける義務というのは全く何もないんですよね。それどころか、要領ということ自体が、こういうふうにしてお金を貸せるというのは私も不思議なんですが、それにしても、この中に、例えば第六条で、知事は公団に対し資金の貸し付けを行うことを決定したときは通知書を送付する。それから、貸し付けを行わないことを決定したときはその旨を通知する。だから、貸し付けを行わないということも決めることができるんですよね。
 なのに、これだけの増収があったということで、私は当時、だったら、財調基金だとか、そういうところにもっと積み上げるべきだ、そういう主張をいたしました。ところが、こういうふうに首都高速道路公団、貸し付ける義務もない。それなら貸さないよということだって、ちゃんと要領の中でそういうふうに明記している。
 これはことしの予算委員会でも、我が党の木村議員が、知事との質問の中でやりとりがありまして、ご存じだと思いますけれども、これは国でも特殊法人の見直しの中で自前でやりなさい、こういうふうにいわれているのが--首都高速道路公団を初めとする事業です。この問題について、木村議員が事業資金について公団に自力調達を求めよというふうに質問したことに対して、知事は、都の負担が軽減できるなら自力調達も一つの方策だ、こういうふうに答弁しました。
 ご存じのように、この貸付金というのは何の義務もない。こういういわくつきの無利子貸付を行ったということは、こういう事態の中で、本当に貴重な都民の財源を都民の福祉や暮らしなどの復活、拡充に振り向けなかっただけじゃなくて、都の財政運営の比重、これは本来自治体が、東京都がそこまでやらなきゃいけないのかという問題に至るまでの、この問題は非常に大事な問題なんですね。
 東京都が、特殊法人は自前でやりなさいと知事はいっているんですよ。走っている高速道路はもうかっているんだ。あんなに渋滞しているんだから。だけど、何でお金が必要かというと、がんがん高速道路をつくるから。ですから、そういういわくつきのこういう無利子の貸し付け、こういう問題に対して、いとも簡単に出したということに対して私は非常に疑問を持ちますし、問題だというふうに思っています。さらに、今の私の指摘は、国の直轄事業に対してもいえるんですね。
 さっきの貸し付けの問題は、今どういう状況で、石原知事の予特での答弁がありましたけれども、この問題については、見直しだとか、そういうことで、何か今進行していますか、お願いします。

○松澤主計部長 首都高速道路公団への無利子貸付金の問題についてでございますが、ご案内のとおり、出資金はできる規定でございますが、無利子貸付金については、義務とか任意という貸し付けはないということございます。
 そういう中で、今回の最終補正予算におきましても、景気対策、国の今大変重要な問題でございますから、そういう景気対策ということで、都税の増収をその中に生かすという一環の中で、今回中央環状線の、特に山手通りの下とか、非常に厳しい状況でございますから、そういうことも含めて、用地買収、あるいはシールドの方にお金の貸し付けをしたという経緯がございます。
 首都高速道路公団への出資、貸付金はそういうことで、東京における社会資本の整備を進める上で、緊急かつ必要性の高い事業であるとの判断に基づきまして、現状ではこれまでのルールに従って、国と折半ということで負担したということでございます。

○古館委員 今までの現状について、今報告があったと善意に理解します。だけど、知事の答弁にしても、全国知事会でも、これは問題だよといっているものですね。それで、くしくも、今いいましたけれども、出資金についてもできる規定だと。だから、貸付金のほかに出資金というのも東京都は出しているんですね。それもできる規定なんですよ。貸付金は全くできる規定でも何でもない、任意なんです。
 例えば、そういう首都高の決算の中でも、出資金が十二年度に約百十三億、貸付金は三百二十六億ぐらい貸していますから、合計で四百数十億円なんですよ。こういう問題については、知事のこういう言明もあるわけで、やっぱり都民の暮らしや福祉の方にシフトしていく、そういう方向を強く求めておきたいと思います。
 さらに、国の直轄事業についてもそうですが、最終補正でさらに積み増ししたという点でも、私は容認できないものだと思っています。それで、国の直轄事業について、補正で予算化した額は幾らになるでしょうか。

○松澤主計部長 国直轄事業負担金につきましては、道路と河川を合わせまして、最終補正予算で二百二十五億円を計上いたしました。

○古館委員 国の直轄事業というのは、道路にしても河川にしても、国道であり、一級河川ですね。ともに国の事業ですね。その点、確認させてください。

○松澤主計部長 いずれも、お見込みのとおりでございます。

○古館委員 つまり、東京都が一生懸命、今のご答弁ですと二百二十五億円、国が行う事業に対して出している。今回は税収増があったということも大きな作用をしたんでしょうけれども、ほとんど全部一般財源で賄いましたね。これまで国の直轄事業にお金を出すために、物すごい財政難の中で、東京都は四苦八苦しているんです。そういうような状況でありまして、大半、国の直轄事業というのは借金して賄っていませんか。その点についてはいかがですか。

○松澤主計部長 おっしゃるとおり、起債を財源としてございます。

○古館委員 つまり、お金がない中で、さらに国が行っている事業に対して、これだけ払えと一方的に来るんですね。これは知事も答弁しているんです。一方的に来るんだと。財務当局は、この問題、よくご承知だと思うんですね。これだけ払いなさい。結局は、お金がないから借金ですよ。それも、結局は都民の税金で、将来負担の中で払うことなんですね。そういうようなものが国の直轄事業であります。
 全国知事会でも、これは廃止を主張していますし、石原知事も、直轄事業というものを考えてもらいたいと国にいっているんだ。勝手に向こうで決めてきて、何%持てというのは一方的な話だ。制度として改めるよう、今も強く求めているというのが、ことし二月の我が党の木村議員の代表質問に対して、知事が答弁した中身であります。
 私は、この国の直轄事業の問題についても、本当に地方分権というんだったら、こういうものにこそきちっと、こんなのやめると、知事の今までのスタンスでいったら、こんなの出さないよといってもらいたいぐらいですよ。知事じゃないから、きょうは質問は差し控えますけれども、知事は、何でもやりなさい、責任は私が持つよなんていう形で、幹部職員を前にして、たしかいっていますね。そういうことをやるんだったら、国の直轄事業、この問題については、まず、こんなの出さないよといってもらいたいぐらいなんです。
 このほかにも、十二年度の最終補正予算には、羽田沖の埋立事業会計に対しても二百十四億円、ぽんと返しましたね。これは質問しません。私の方でいいますけれども、これは返済期間は、十二年度に返すという約束じゃないんですね。まだ後年度で返せばいいものを、先にどんと返すんです。なぜ先に返しちゃったかというと、ご存じのように、臨海開発会計と埋立事業会計と羽田沖の三会計を統合したでしょう。だから、臨海が赤字だから、二つの会計からどんどんお金を借りる。そういうものの穴埋めにしたにすぎないじゃありませんか。こういうふうにして、前倒しして返済してあげる。十二年度、シルバーパスをもとに戻すのに必要なお金は、そんなにかかるものじゃありません。二十億円何がし。マル福の制度をもとに戻す費用だって五十四億円ぐらい。いろいろな削減や、打ち切られた二十一事業をもとに戻すお金は、四百数十億円ぐらいあれば、十分に復活することができるものであります。最終補正予算で支出した首都高の無利子の貸し付け二百十一億円、国の事業のために出した、国の直轄事業で二百二十五億円、この二つのお金があれば、福祉の削減、打ち切りの金額とほぼ相応するんですよ。
 いっておきますけれども、この問題については、貸付金はこの間二年間かな、最終補正で、たしかお金をつけましたね。国の直轄事業なんていうのは、最終補正で結構つけているんですから。だから、福祉は経常的ですというかもしれぬけれども、この国の直轄事業だって、貸付金だって、首都高に対する出資金だって、経常収支的なものとして出しているんですからね。性格は極めて投資的なんだけれども、経常なんですよ。だから、私ども、こういう点でも、本当にどのようにして財政を振り向けていくのかという問題が今問われているということを強調させていただいて、最後に財政運営のルール化についてお尋ねしたいと思います。
 財務局資料、ここに出していただきました。ありがとうございます。財務局資料の都債償還額及び減債基金残高の推移というのをいただきました。減債基金については、予算のやりくりで積み立てを半分に減らしたり、四分の三にしたり、財源不足の調整財源という役割も、結果として果たしてきました。通常のルールによる基金の積み立てを行うとすると、ここの表にありますが、減債基金残高で、十四年推計で九千億近くなっていますね。それから、そのすぐ下の十五年推計で、積み立ての残高が七千三百億円ぐらいになっている。これは毎年の借金返済に対応して積み立てられています。私どもは、基金の積算が過剰ではないかということもずっと指摘してきております。
 きょうはこの問題についての質問ではありませんで、この多額な減債基金が必要になったのは、左側の都債の償還額というのを見ていただくと、十五年推計で七千九百億、約八千億の借金を一遍に返済しなきゃならない。こういう大変な高額になることに対応したものといえます。十五年ぐらいになると、なぜこんなふうに七千九百億ぐらいに、どおんと膨れ上がっていくのか。この問題について、わかりやすくお話をしていただきたいと思います。

○松澤主計部長 ご案内のとおり、いわゆるバブル経済崩壊後、景気の後退を受けまして、都税収入が大きく落ち込むということで、都財政が極めて厳しい状況になったわけでございますが、そうした中、都税収入が当然落ちたわけですから、その分として、投資的経費の財源として都債を積極的に活用することにより景気対策に取り組むとともに、投資的経費に充当していた一般財源を経常経費の財源に振り向けるなどによりまして、都民サービスの水準を維持することとしたところでございます。
 このため、平成四年度以降、都債発行額が大量に増加したわけでございますが、ちょうど十年満期ということで、今後、その償還時期を迎えることから、実償還額が十四年度以降、高い水準となるものでございます。

○古館委員 それでは聞きますが、過去最高の都債発行というのはいつで、幾らですか。

○松澤主計部長 普通会計決算ベースで申し上げますと、過去都債発行額が最も多かったのは、平成五年度の一兆二千六十億円でございます。

○古館委員 つまり、五年にはバブルが崩壊した後ですね。それで、税収は入ってこない。基金は結構あった。それをどんどん取り崩しながら、同時に、大型公共事業を初め、予定する計画だけはいっぱいあったんですね。その当時、一兆二千億円の都債発行。この資料によりますと、普通会計ベースでいうと、十二年度が四千三百五十一億円の都債発行ですから、一兆二千億がどんなに大きいかというのがおわかりかと思います。その次の年は九千三百九十億、その次の年の平成七年は一兆一千億、こういう一兆円レベルの都債が、だあっと続いたわけですね。十年たったら返済しますよということになるから、だから財政再建推進プランの収支計画書を見れば、収支見通しを見れば、財源不足の金額と公債費の負担、十二年、十三、十四、十五で幾ら払うかということの公債費の金額と、よく見ると、大体財源不足額が照応しているんですよ。照応しているという事実だけいっておいて、これはこれ以上いいません。
 しかも、これはすべて返すときは一般財源なんですね。七千九百億円にしても、何にしても、一般財源です。現金なんです。借金して、借金を返しますということはできないんですね。だから、七千九百億円返すとなると、七千九百億円の現金がなければ返せないということになるんですね。だから、減債基金も生まれている。それぐらいに、東京都の財政運営の中で、公債費が負っている使命というか、役割というか、都民に対しても非常に重要な位置を占めているのが、この都債発行であり、公債費だということがいえると思います。
 そういう意味でいうと、東京都政の中で、都債償還に一番一般財源が投入されているんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○松澤主計部長 その前に、四年から都債が大幅にふえたことについて若干補足させていただきますと、平成三年に都税収入は四兆八千億円ございました。それが、二年後の平成五年には四兆円ということで、八千億円近く税収が落ちているわけでございます。そういう中で、一方では、何とか日本経済を浮揚させるということの中で、国の経済対策に合わせて景気対策をやったり、それから、都税が落ちた分を都民サービスが低下しないように減収補てん債を発行したり、そういうやり方で起債を発行してきて、それがローンとなって十年後に出てくる、こういうようなことも経緯としてはございます。
 そういう中で、今お話がありました、一般財源が一番費やされているんじゃないかということでございますが、都債につきましては、先生ご案内のとおり、世代間の負担の公平を図ることなどを主な目的としまして、投資的な経費の財源として発行するものでございます。したがいまして、投資的経費をその年度に一時的に大量に一般財源で負担するのではなくて、都債の償還という形で、長い期間にわたって一般財源を負担することによって平準化を図っていく、そういうような性格のものとして財源措置していることでございます。
 そういう中で、今、平成十三年度の一般会計予算において、どの程度が公債費に充当される一般財源かといいますと、現在では一〇%程度の状況となっておりまして、一番高いのは、扶助費等も含めた、いろいろな補助金も含めた補助費等が一五%ぐらい、それから都区財調の繰出金が一八%、そういうような形で、特に公債費が一番高いというような状況ではございません。

○古館委員 その数字はわかりましたが、税連動経費とかなんとかというのは、もともと区市町村の方に行く、区の方に行くのが大半なわけですね。そういう中で、東京都が自前の問題としていうと、これは相当の一般財源の投入になるということは否定できない、こういうふうに思います。
 都債残高が十二年度どうなるかというふうに聞こうと思いましたが、資料が出ていまして、ここで七兆六千七百五十億円、こういうふうに出ています。私は、この都債残高を計画的に減らしていける、そういう都財政の運営が極めて重要だと考えていますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○松澤主計部長 現在、財政再建推進プランに基づきまして、財政構造改革の中で、都債の発行については抑制してきているところでございますが、残高を減らすことにつきましては、財政再建のための財政健全化の観点から都債残高の膨張を極力抑制していくということにおいては、これは必要なことということでございますが、一方で、都債の性質というものを考えますと、都債の残高が限りなく減少すればいいというものでもございません。都債の残高については、どの程度の水準が適正であるかは、財政の規模や税などの一般財源の状況を踏まえるとともに、その時々に応じた都民サービスといいますか、都民ニーズに対応した都債の活用を考えることが必要でございまして、都債は投資的経費の財源でございますから、都債残高をどんどん減らしていくことが適切ということにもならないのではないか、このように考えております。

○古館委員 今、財政規模や税の状況を踏まえるということもいいましたけれども、では、一年間で六千億だ、七千億だ、八千億だというふうに返す、これが適正規模だという認識なんですか。

○松澤主計部長 先ほどお答えしましたように、現在の財政構造改革を進める中においては、現在の都債残高というものをこれ以上ふやしていくというのは、これからの財政負担、あるいは財政運営を考えますと、やはりきつい話でございますので、都債の発行については十分抑制を図りながら財政運営する、こういうことでございます。

○古館委員 それを聞いて、少し安心しました。というのは、いろいろな白書みたいなものを財務局がいつも出しているんです。財政が今どうなっているか。そういう中で、バブルの崩壊した後のああいうやり方は、ちょっと過度過ぎたということについて、そういう表現はちゃんとあるわけです、財務局がつくっている各種の財政白書なんかの中で。今まで聞いていると、それが全然どこかへ行っちゃって、行くのかと思ったら、今そういう答弁をされました。このままいったら、どんどん八兆円を超えちゃう。だって、四千億円台のオーダーで都債発行なんかしていたら、八兆円規模に行きませんか。私なりの試算だと、行きます。三千五百億円でもどうかなと。三千億円、これぐらいでちょうど山が少しずつなだらかになっていって、カーブが落ちていくのかなと。
 私はそのように思いますが、そういうふうに進めていくという点での財政運営のルールは、きちっと財務当局として確立してもらいたい。私は皆さんのお力で四年前に都議会に出させてもらって、皆さんからいろいろ教えてもらった中での、私の一つの結論です。そういう方向に大きく、ぜひ決断してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○安樂財務局長 委員ご指摘のように、現在大きな問題になっているのは、都債がふえてきて、それの償還が非常に大きな額になって、八千億なんていう額になりますと、ほとんどほかの一般財源を圧迫しているわけですね。そういう状態を我々も決していいとは思っていないので、そういう意味では、平成十一年からですけれども、都債も既に抑制を始めているわけですね。そういう点では、ご指摘のとおりだと思います。
 ただ、一方におきまして、この間の本会議の場でも、私、答弁させていただきましたけど、機動的に都民の生活向上を図るために、場合によっては大きな事業を行う場合というのがあるわけです。委員は、大規模な公共事業をかたきのような感じでご指摘されておりますけれども、必ずしもそうではないので、道路も橋梁も、こういうものによって道路が渋滞すれば経済効率も悪くなりますし、中小企業なんかにとっては非常に大きな損失になっているわけですね。年間四兆九千億も損失が出ているという試算があるわけです。ですから、こういう時期を失うことなく、そういう必要がある場合には起債を活用するということも非常に重要だと思うんですね。また、世代間の負担の公平ということからいっても、起債は十分に駆使していくべきだというふうに思うんです。
 そういう中でも、今いわれたように、現時点においては財政再建ということで起債を抑制するということで、現在、財政運営を進めておりますが、そういう弾力的な手法を、起債の活用の余地を残しておくべきだというふうに財務局は考えているわけで、その兼ね合いの中で十分ご批判を踏まえながら、財政運営の適切なやり方をしていきたいというふうに思っております。

○古館委員 局長にご答弁いただきました。私どもは、公共事業をすべてだめというふうに思っていません。例えば都営住宅の新築なんかも、全然ふやさないわけですね。そういうこととか、多摩なんかは、道路があっても、歩道もない。歩車道が分離されてないとか、そういう意味での生活道路自体もなかなか確立してないとか、いろいろな問題はあります。あるいは、バリアフリーとか、そういうような公共事業は大いにすべきだということも予算の組み替え動議の中で反映しているところです。
 ただ、今、局長が大変慎重にお話しされたことも、私は認識として押さえておいて、私どもは、今後ともきちっと財政も健全化されて、都民の暮らしも生活も充実していく、そういう方向で大いに論議もしていきたいということを最後に申し述べて、質問を終わります。

○大西委員 建設廃棄物関係で少しお聞きいたします。
 平成十二年三月に、都は、都内最大の事業者であり、消費者として、環境配慮の行動基準を取りまとめた「環境配慮行動の広がりをめざして」というものを発行しております。その中では、建設廃棄物のリサイクル率の目標が掲載されておりますけども、財務局としての平成十一年度の建設廃棄物のリサイクルの実績はどのようになっているんでしょうか。

○野本営繕部長 財務局における建設廃棄物のリサイクル率は、目標値九〇%に対しまして、平成十一年度の実績値は九五%となっております。
 その内訳でございますけれども、アスファルト塊、コンクリート塊、建設発生木材は、目標値一〇〇%に対して実績値もほぼ一〇〇%となっております。建設泥土につきましては、目標値六〇%に対して実績値七五%、建設混合廃棄物は、目標値六〇%に対しまして実績値は三二%となっております。

○大西委員 順調に進んでいるようですけど、今のお答えで、その中で建築混合廃棄物のリサイクルの実績が三二%と、ほかに比べて極めて低いんですけれども、その原因と今後の対策をお聞かせください。

○野本営繕部長 建設混合廃棄物のリサイクル率が低下している原因としましては、工事現場での廃棄物の分別が進んでいることが挙げられます。分別が進んだことによりまして、残った建設混合廃棄物の量は減少しておりまして、その中のリサイクル可能なものが少なくなるため、リサイクル率としては上がらない、こういうことになっております。
 今後の対策としましては、工事現場での廃棄物の分別をさらに進めまして、建設混合廃棄物の発生量自体を削減していきたいと考えております。

○大西委員 都としては、産業廃棄物の東京ルールで提起したように、排出事業者だけでなく、発注者--この場合は都も含まれるわけですけれども--に最終処分の確認を求めてきたわけですが、建設混合廃棄物についても、この確認をしていらっしゃるんでしょうか。

○野本営繕部長 財務局営繕部では、所管する工事の請負者に対しまして、廃棄物処理委託契約書の写しとか、あるいは建設廃棄物処理実績書等を提出させまして、最終処分の確認をしてきたところでございます。

○大西委員 最終処分の行き場所なんですけれども、どの県に一番行っているんですか。

○野本営繕部長 廃棄物の処理先でございますけれども、大変申しわけないんですけれども、手元に詳細な資料がございませんので、後ほど調べてご返事したいと思います。

○大西委員 確認はしていらっしゃるというふうに受け取っていいんですね。

○野本営繕部長 処理先については、先ほど申しましたように、当然確認をしております。

○大西委員 わかりました。
 建設廃棄物の問題は年々深刻化しておりまして、都としても民間の規範となるような取り組みが必要です。法的には発注者の責任は求められていませんが、自治体としては拡大責任の考えで進めていくべきだと思います。都も発注主体の一つとして、財務局は、今後の建設廃棄物の処理について、どのように対策をしていこうと考えていらっしゃるんでしょうか。

○野本営繕部長 財務局営繕部で所管する工事の建設廃棄物の処理につきましては、関係法令はもとより、東京都建設リサイクル推進行動計画、あるいは東京都リサイクルガイドライン等に基づきまして、発生抑制、再利用の促進、あるいは適正処理の推進の三つを基本としまして、計画、設計、施工の各段階で積極的に取り組んでいるところでございます。今後とも、所管する工事につきまして、発注者としての責任を持って対応してまいりたいと思います。

○大西委員 国の廃棄物政策は、事業者の拡大責任が不鮮明です。都では審議会で制度の検討がされていると思いますが、財務局としてもその先頭に立っていただきたいと思って、要望しておきたいと思います。
 次に、都立大学跡地のことについて、少しお聞きしたいと思います。
 まず、都有地の売却について、都の基本的なお考えをお聞かせください。

○小野田財産運用部長 都立大学跡地の関係でございますが、都有地売却の基本的考えにつきましては、都有地は、本来、都の事業に用いるためのものでございまして、貴重な都民の財産と認識しております。しかしながら、都財政の現状が極めて厳しい中で、都が利用する見込みのない不用な土地につきましては、地元区市町村に取得の意思を確認の上、財源確保のため、売り払いの促進に努めているところでございます。

○大西委員 そういうわけで、今回も都立大学の深沢校舎の跡地もそういう対象になっていました。周辺とかけ離れた戸数七百九十一戸、十九階という大きなマンションがここに建つということが今起きているわけですけれども、そういう経過をたどったんでしょうか、教えてください。

○小野田財産運用部長 都立大学深沢校舎跡地の利用につきましては、都市計画局、財務局、世田谷区などで構成いたします都立大学跡地利用計画検討会において検討が進められました。そこで、住居系を中心にした土地利用を目指す、このような基本方針が策定されました。財務局といたしましては、この方針及び世田谷区の意見を踏まえまして入札参加要領を作成し、平成十三年一月に入札を実施いたしました。その後、都議会の議決を経て、落札者と土地売買契約を締結いたしました。現在、開発者により、マンション建設計画が進んでいるところでございます。

○大西委員 資料も見せていただいたんですが、その中に、確かに跡地利用についての都の基本的な考え方ということで、区と都市計画局、財務局で協議しているものがあります。これを見ますと、ある意味、非常にアバウトなんですけれども、そういう意味では、このような今回のもめごとが予測されることではないかというふうに考えてしまうんですけれども、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
 なぜここに住民が参加しなかったのかというのが、何度も何度も紛争がいろいろ続いている現状の中で、大きな地権者の一つとして、こういうものはぜひとも基本的な部分だけではなくて、しっかりと住民参加のもとに作成すべきだったと思うんですが、その辺はどうだったんでしょうか。

○小野田財産運用部長 この基本的な考え方につきましては、住居系を中心とした土地利用を図ること、生活支援サービスなど、公共性の高い機能を導入することを目標にいたしまして、地区周辺に開かれた生活支援サービス機能の導入、歩行者ネットワークと広場、緑地など、空間機能の確保等について規定しております。また、この基本的考え方は、地元世田谷区からの要望にも沿ったものでございまして、地域の実情を十分踏まえたものと考えております。

○大西委員 先ほどもいいましたけれども、これを見ますと、環境共生を目指した建築物を整備すること、現行の用途、容積等による整備、それから周辺環境、自然環境、都市景観を配慮した整備と、確かに入っておりますので、それを踏まえて進んだ場合は、今回のこういうことが起きても仕方がないわけなんですけれども、せっかく都市計、財務、区を入れた協議の中でしたので、ある意味、もっと具体的に、景観はどうなのか、高さはどうなのかという、そういうものを住民参加で、これからもいろいろな場合が想定できるわけですから、ぜひ進めるべきだったと思いますけれども、もう一度その辺をお答えください。

○小野田財産運用部長 財務局が入札参加要領で提示いたしました基本的な考え方は、財務局が入札参加の申し込みの条件の一つとして設けたものでございます。その作成は、専ら行政が行うものと考えております。

○大西委員 そういう意味では、財務局としましては、先ほどの都有地の売却についての基本的な考え方というところで、財政再建というものがまず出てくると思うんですけれども、財政対策が優先するのか、そこに環境とどういうふうに整合性を図っていくかというのがこれから問われるわけですけれども、財務局としては財政再建対策が優先するんでしょうか。

○小野田財産運用部長 本件土地につきましては、都としての利用が将来にわたって見込めないこと、あるいは地元世田谷区においても取得の意向がないこと、また、世田谷区の住居系を中心とした開発を進めるべき、このような区の意見を踏まえまして、民間への売却を決定したものでございます。
 さらに、都の財政が極めて厳しい状況が続く中で、利用予定がない遊休地の売却は、臨時的財源を確保する点で有効な手段でありまして、本件の売却はこれにかなったものととらえております。

○大西委員 そういう意味では、東京都は一つの事業者であり、消費者であるという特殊な立場があるわけですけれども、環境施策について、都として事業者責任をどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○小野田財産運用部長 売却後におきます環境施策につきましては、基本的には、買い受け者が関係法令に従いまして、みずから適切に行うべきものと考えております。
 なお、本件土地につきましては、売却に当たって基本的な考え方を明示いたしまして、その中で環境面に配慮した整備を入札参加条件にしたところでございます。

○大西委員 そんな中、今いろいろな運動が出ておりまして、地域住民が用途規制をみずからかけるのは確かに本筋だと思うんですけれども、都も事業者として、地域住民として提案すべきではないかと思うんですが、その辺いかがですか。

○小野田財産運用部長 この跡地売却に際しましては、都市計画を所管します都市計画局、地元の世田谷区の参加のもとに利用方針を決定いたしました。この利用方針は、地域にふさわしい土地利用を目指したものでございまして、隣接地域も第一種中高層住居専用地域に指定されておりまして、一部マンション等が立地している状況を考慮して、現行の容積率を適切としたものでございます。

○大西委員 区の建築指導や環境条例上の手続が世田谷区にあるわけですけれども、都としてそれをしっかりと認識する必要があるんですけれども、見解を伺います。

○小野田財産運用部長 先ほどお話しいたしましたが、売却後の土地利用につきましては、買い受け者が関係法令に従って、みずから適切に行うべきものと考えております。本件についても、現在、買い受け者が世田谷区の環境基本条例等に基づく必要な手続につきまして、区と協議、調整を行っていると聞いております。都としても、必要に応じて買い受け者が関係法令等を遵守するよう、要請を行っていきたいと考えております。

○大西委員 先ほどもいいましたように、跡地利用というものを、大きな敷地を都が持っているし、地権者としても非常に重要な役割があると思います。もちろん財政的な面から、こういう行為が行われることは承知しますけれども、住民にとってどうなのか、それから環境都市構想、都市の景観、そういうものも含めた、もっと総合的な対策で進めていただきたいと思いますので、そういう場合には、基本的な、余りにもアバウトではなく、もう少し具体性のあるようなものを、それから、今後もめるようなことが予測されることはいっぱいあるわけですから、そういうものも、財務局としてもいろいろな横の関係を密にしながら、ぜひ取り組んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。

○宮崎委員長 先ほど大西委員の質問がございました。後ほど答弁をという部長からのお話でございましたが、わかりましたら、ご報告をいただきます。

○野本営繕部長 先ほどは失礼しました。
 建設廃棄物の受け入れ先をということでございますけれども、大変申しわけないんですが、詳細な内訳はございませんけれども、東京都、千葉、埼玉、神奈川で、関東でほとんど一〇〇%を受け入れております。

○大西委員 そういう意味では、今、東京都はメガロポリス構想とか、そういうものも立てて、東京圏という大きな枠の中で進めていこうという考えもあるわけですから、そういうごみ問題も、そういう中でぜひしっかりと取り組んでいただければと思っております。

○宮崎委員長 ほかに質問はございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑を終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時五十一分散会

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