各会計決算特別委員会第二分科会速記録第四号

平成十三年十月二十六日(金曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 九名
委員長馬場 裕子君
副委員長いなば真一君
副委員長大山とも子君
中屋 文孝君
野上じゅん子君
林田  武君
相川  博君
花川与惣太君
木内 良明君

欠席委員 一名

 出席説明員
教育庁教育長横山 洋吉君
次長押切 重洋君
理事小田原 榮君
総務部長小海 博指君
学務部長神山 隆吉君
施設部長松田 紀子君
人事部長中村 正彦君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
人権・企画担当部長比留間英人君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事近藤 精一君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  教育庁関係
  ・一般会計決算(質疑)

○馬場委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第二分科会を開会いたします。
 初めに、委員の所属変更について申し上げます。
 各会計決算特別委員長から、十月二十二日付をもって清水委員が本分科会から第三分科会に変更になり、新たに丸茂委員が第三分科会から本分科会に所属変更になった旨通知がありましたので、ご報告いたします。
 なお、議席につきましては、従来の清水委員の議席を丸茂委員の議席とさせていただきたいと思いますので、ご了承願います。
 本日は、教育庁関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いをいたします。
 これより教育庁関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、教育庁関係を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○小海総務部長 去る十月十五日の当分科会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十二年度各会計決算特別委員会第二分科会要求資料の目次をお開き願います。
 今回ご要求のございました資料は、1の都内公立小・中学校及び都立高等学校の入学式・卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱の実施状況(過去五年間)から、12の都立高尾自然科学博物館の入館者の推移(過去十年間)までの十二件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1の都内公立小・中学校及び都立高等学校の入学式・卒業式における国旗掲揚・国歌斉唱の実施状況(過去五年間)でございます。
 小学校、中学校及び全日制高等学校の別に、平成八年度から十二年度までの卒業式及び平成九年度から今年度までの入学式におきます国旗掲揚及び国歌斉唱の実施率をお示ししてございます。
 二ページをごらん願います。2、都内公立学校教員の懲戒処分及び諭旨免職の状況(過去五年間)でございます。
 都内公立学校教員が、体罰、交通事故等により懲戒処分及び諭旨免職になった人数につきまして、平成八年度から十二年度にかけて年度別にお示ししてございます。
 三ページの上段は、3の都立高等学校運営費及び整備費の決算額推移(過去十年間)でございます。
 運営費及び整備費の決算額につきましては、平成三年度から十二年度にかけてそれぞれお示ししてございます。
 その下は、4、都立盲・聾・養護学校運営費の決算額推移(過去十年間)でございます。
 平成三年度から十二年度にかけての運営費につきまして、各年度の学校数及び新設校とともにお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。5、都立養護学校障害種別児童・生徒数の推移でございます。
 都立養護学校の児童・生徒数につきまして、肢体不自由、知的障害及び病弱の障害別に、平成四年度から十三年度の実施状況をお示ししてございます。
 その下は、6、都立盲・聾・養護学校就学奨励費の支給対象者数及び決算額の推移(過去十年間)でございます。
 平成三年度から十二年度にかけての就学奨励費の支給対象者数及び決算額につきまして年度別にお示ししてございます。
 次の五ページは、7、平成十二年度都立盲・聾・養護学校施設整備費の内容及び各学校からの要望でございます。
 (1)は、施設整備の内容につきまして、老朽校舎改築、校舎等増改築などの別に、平成十二年度の決算額を実施校等とともにお示ししてございます。
 (2)は、各学校からの造改修の要望につきまして、学校運営上必要な改修や危険防止のための改修等の分類の別に、それぞれの要望内容をお示ししてございます。
 六ページをごらん願います。8、多摩地区における公立小・中学校施設の耐震診断調査の結果でございます。
 小学校及び中学校施設につきまして、全棟が新耐震基準に基づき建築された学校、新耐震基準に基づき補強済みの学校及び耐震診断対象建物を保有する学校の別に、それぞれの学校数をお示ししてございます。
 また、耐震診断対象建物を保有する学校につきましては、新耐震基準の制定後に耐震診断を実施した学校の結果の内訳及び耐震診断を実施していない学校につきましてお示ししてございます。
 七ページは、9の「心の東京革命」教育推進プラン進ちょく状況でございます。
 (1)は、これまでの経緯としまして、「心の東京革命」教育推進プランの策定時期等をお示ししてございます。
 (2)は、事業の進ちょく状況としまして、平成十二年度の事業数及び十三年度に実施する事業につきましてお示ししてございます。
 八ページをごらん願います。10、埋蔵文化財発掘調査費の推移(過去十年間)でございます。
 埋蔵文化財発掘に関しまして、東京都、区市町村、民間等の事業者別発掘調査及び国庫補助等の対象発掘調査の別に、平成三年度から十二年度にかけまして、年度別にそれぞれの調査費をお示ししてございます。
 九ページは、11、指定文化財に対する補助対象数、補助額(予算・決算)の推移(過去十年間)でございます。
 平成三年度から十二年度にかけての補助対象数の実績及び補助額の予算と決算につきまして、それぞれお示ししてございます。
 一〇ページをごらん願います。12、都立高尾自然科学博物館の入館者の推移(過去十年間)でございます。
 平成三年度から十二年度にかけての入館者数につきまして、各年度ごとにお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。

○馬場委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○林田委員 それでは、質問をさせていただきたいと思います。決算説明書によりますと九六ページになると思うんですけれども、教員の資質向上に対する施策を中心にいたしまして幾つかお伺いしたいと思います。
 教育は人なりといわれますけれども、かけがえのない子どもたちの教育を担う教員に対する期待は、いつの時代も極めて大きいものがあると思います。とりわけ現在の学校教育においては、子どもたちにみずから学ぶ力などの生きる力を育てるために、基礎学力を確実に身につけさせることや、一人一人の個性を生かす教育を充実させていくことが求められております。教員は日ごろの教育実践を通じて指導力の向上に努めていると考えるわけでございますけれども、変化の激しい社会にあってさまざまな教育課題や子どもたちの変化に対応していくために、教員みずから意欲的に研修に取り組み、常に資質能力の向上に努めることが大切であると考えます。
 しかしながら、とかく教員は教育公務員としての自覚が十分でないとか、視野が狭く、世間のことを知らず、一般社会と遊離した考えを持っているといったことが指摘されております。都民の期待や子どもたちの願いにこたえる学校教育を展開するために、何にも増して教員の資質向上を図ることは重要な課題であるという認識に立ちまして、何点かお伺いしたいと思います。
 まず初めに、指導研修費関係の決算における学校教育指導、教育研究員の活動、初任者研修等について、執行率にかかわってこれらの事業が平成十二年度にどのように実施されたかお伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 まず、学校教育指導についてでございますけれども、公立幼稚園、小学校、中学校及び都立高等学校、盲学校、聾学校、養護学校に、都教育委員会の指導主事が学校を訪問しまして、実践的な解決の方途を見出すための指導助言を行いました。平成十二年度には七百九十六校に学校訪問を行いました。
 次に、教育研究員の活動についてでございます。各地区の教育研究活動の中核となる教員を養成するものでございまして、平成十二年度には四十分科会、五百八十名の教員が実践的な研究を行いました。
 次に、初任者研修等についてでございます。ライフステージに応じた研修として、初任者研修、現職研修Ⅰ部、Ⅲ部、管理職研修の実施のほかに文部省主催講座等への参加がございます。執行状況につきましては、出張旅費や印刷費の節減、公務等による教育研究員の宿泊研修会への不参加あるいは研修の該当者数が当初見込み数よりも少なくなったこと、あるいは参加者数が少なくなって不用額が生じたことなどが原因でございます。

○林田委員 ご説明ありがとうございます。学校教育指導の不用額が一千三十六万、教育研究員の活動不用額が三百二十万ということで八〇%台でございますけれども、なるべく九〇%台には乗せていただきたいな、一〇〇%とはいいませんけれども、そのように感じました。
 次に、教員の資質向上のための事業として、都教育委員会が主催し実施する研修についてはさまざま行われているようでございますけれども、都教育委員会としては教員の資質向上を図るために今後どのように研修を進めていくのか、基本的な認識を伺いたいと思います。

○斎藤指導部長 いつの時代におきましても、学校教育の直接の担い手であります教員につきましては、教育者としての使命感、人間の成長発達についての深い理解、また、幼児、児童生徒に対する教育的愛情、それから専門とする教科などに関する知識、広く豊かな教養、さらには、これらを基盤とする実践的な指導力が求められております。また、今後特に教員に求められる資質能力といたしましては、豊かな人間性や国際社会で必要とされる基本的な資質能力、あるいは変化の激しい時代を生きる社会人としての資質能力なども求められております。
 これら教員に求められている資質能力の向上を図るために、今後、都教育委員会は教員のライフステージに応じた研修や、それから人事考課と連動した能力開発型の研修の一層の充実に努めまして、教員の資質の職務遂行能力の向上に努力してまいりたいと思います。

○林田委員 研修ということは大事なんですけれども、どのような立派な研修を行ってもそれが十分に生かされていかなければ、成果が上がったとはいえないわけでございます。その研修成果が実際に子どもの教育に生かされるように成果を広めることが、実に大事なことであると思っております。都教育委員会といたしましては、研修を初めとする教員の資質向上を図る事業の成果をどのようにとらえ、どのように広げようとしているのかお伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 各研修はそれぞれの目的に沿って実施しており、研修終了後の受講生のアンケート、当該校の校長の話などから、例えば児童生徒理解が深まったとか、あるいは学習指導や学校運営改善の意欲が高まったなどといった状況が見られます。そうしたことから、一定の成果をおさめているというふうに受けとめております。
 研修の成果を広げることについてでございますが、学校運営の中核を担う主任を育成したり、中堅教員の資質を一層向上させたりすることなどによりまして、校内の研修体制の整備、学校運営の改善を図ることが重要でございます。そのため、都教育委員会では教職員研修センターを設置したことに伴いまして、新たに主任研修や管理職候補者研修を実施するとともに、これまで実施してきました現職研修Ⅰ部、Ⅲ部に引き続きまして、教職経験二十年以上の教員を対象にしました現職研修Ⅲ部についても新たに実施しているところでございます。今後、研修の成果が他の教員や学校に広がり、すべての教員の資質向上につながるよう努力してまいります。

○林田委員 最後に、要望というか私見を申し述べたいと思います。
 国が繁栄するための根幹の最も大事なことは人づくりだと思います。今さら申し上げるまでもなく、日本が敗戦後荒廃した国土から立ち直るために経済が優先されてきたわけでございますけれども、一方では、そのために生活は潤ったんですけれども、どうしても人の心、人の情けを忘れてしまう、そんな風潮が広がりまして、他人より自分、義務より権利というような社会になってきたわけでございます。教育が問題といわれ続けていまだ何も解決をしないというような状況の中、ただ国が悪い、文部省が悪い、あるいは学校が悪い、教員が悪い、日教組が悪い、家庭が悪い、親が悪いと、他人に責任を押しつけるような形、自分勝手にいい続けてきたこの社会、教育の現場といたしましては、いろいろな問題を抱え続け、どこから何に手をつけていっていいかわからないというのが現実だと思います。しかし、まず学校の先生、教育の現場を預かる学校の先生に頑張っていただきたい。これは国民、都民の切実たる願いでございます。
 教員は、先ほど申し上げましたように、単なる教育労働者ではない、学校の先生はまず日本の歴史、文化、伝統を知り、そこから人として大切な徳を体で感じ取っていただきたい。そのための研修を広げていただきたい。そんな希望でいっぱいでございます。そしてまた、その研修によって身につけていただいて、日本の将来を担う子どもたちを育てていただきたい。そういった観点から教員の資質向上を怠りなく進めていただきたいと思います。そんなことを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

○相川委員 私から、大変ローカルな質問で恐縮ではありますけれども、個人的な思い入れを含めまして、八王子の高尾山のふもとにあります高尾自然科学博物館に関して幾つかご質問させていただきたいと思います。
 高尾自然科学博物館は、ふもとにあります高尾山というところは、いってみれば都民のオアシスということで、年間二百五十万人ぐらいの観光客といいますか、来訪者が訪れる場所であります。そういうところにあって、東京都で多分唯一なのかなと思うんですけれども、いわゆる自然史系の博物館として、地味ではあるけれども非常に重要な位置づけにあるんだと、私個人的には思っているんですが、その科学博物館の事業内容と役割を含めてお伺いしたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 高尾の自然科学博物館は、東京の自然をより多くの都民に紹介することを目的といたしました文化学習施設でございまして、高尾山を初め多摩地域を中心とした植物、動物など、東京の自然に関する資料や情報を調査収集し、あるいはそれらを研究し、あるいはそれらを展示するという役割を持ってございます。現在、自然観察会とかあるいは自然講座などの学習支援活動も行ってございます。
 なお、平成十二年度におきましては、常設展、企画展、特別展示を行うとともに、年十三回の自然観察会あるいは年四回の自然講座、学校における総合的な学習の支援事業、その他を実施してまいってございます。

○相川委員 今、生涯学習部長のご答弁にもありましたように、大変ロケーションとしては都民の使い勝手の悪いところにあるとは思うんですけれども、高尾山を含めてあの周辺の植物あるいは昆虫類の標本も、開館当時、地元の収集家とか研究者が寄贈をして開館をされたというような歴史も実はあるというふうに聞いております。私は、そういった館内展示も非常にすぐれたものがあると思うんですけれども、それ以上に、今の部長のご答弁にもありましたように、あの博物館が主催している自然観察会あるいは自然講座、それから学芸員が年間幾つか刊行物として出していると思うんですけれども、普通の都民の人たちに対する影響と同時に、そういった自然科学系を専攻している研究者の人たちにも、そういった刊行物等が少なからず影響してきたんだろうと思うわけであります。そういう面で、館内展示以上にそうした館の主催の行事を大きく評価をしているわけであります。また、学校教育の現場の荒廃が伝えられている中で、これから学校教育の中で体験学習でありますとか環境学習でありますとか、そういった位置づけが重要性を増してくるんだと思うんですが、そういう社会教育だけじゃなくて学校教育という場においても重要な位置づけの施設であると、私自身は思っているんですが、今後、その事業の継続について都教委としてどのようにお考えであるか伺いたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 自然と触れ合い、命の大切さやすばらしさを学ぶ自然体験学習等は、子どもたちの心の育成にとりまして、あるいは都民の潤いにとりまして大変大事なことだというぐあいに考えてございます。今後ともそうした事業の役割や機能の継続につきましては、子どもたちにとっても欠かせないものとして考えてございます。

○相川委員 ただいまの部長のご答弁ですと、ある程度、あそこの施設が都教委にとっても重要なんだという認識だと思うんですけれども、そうした認識にもかかわらず平成十二年の十一月に示されました東京都の行政評価制度の試行における評価結果報告書でいきますと、総務局サイドの二次評価でいきますと、廃止が適当だというふうにされているわけです。例えば、これちょっと読みますと、高尾山の自然を背景に持つ地域性の強い小規模な博物館であり、都として今後も所有し続ける意義は薄く廃止が適当である、このような評価をされているわけであります。この評価書の三番目の指標関連データ等を見ますと、例えば入館者数の目標値というのがあるんですけれども、平成九年から十二年まで十万人ということで変わってないんですね。提供されました委員会資料を見ますと、平成十二年度で十万三千四百三十一人が入館している。要するに十二年度でこの目標値を突破しているわけでありますね。
 それから、例えば自然観察会等の参加者数なんですが、これも十二年度目標値の八百五十のところを、これは定員があるはずですから応募者という形で考えますと千四百七十八人の応募があったと、実に一七〇%ぐらいの実績値を出しているわけであります。こういった実績ばかりでなくて、私が耳にします地元の八王子市民を中心とした声を聞きますと、事業を存続させてほしいという声がたくさん聞こえてまいります。また、行政評価がこういった都民、市民の評価と大きく異なっているというふうに、私いわざるを得ないわけであります。
 そこで伺いたいんですが、今後の高尾自然科学博物館のあり方について都教委としてどのようにお考えなのか伺いたいと思います。

○嶋津生涯学習部長 高尾の自然科学博物館につきましては、唯一の都立の自然史系博物館として生涯学習や学校教育などにも広く活用されており、それなりの実績を積んできているものというぐあいに考えてございます。さはさりながら、その一方で、先ほど先生のお話にございましたように、高尾山の自然を背景として持つ地域性が大変強く、また、小規模な博物館という制約を有してございます。このため、昨年の十二月の都庁改革アクションプランにおきまして、そのあり方を抜本的に見直すようにという内容がございまして、それに伴いまして、現在、設置者、所管、運営形態等を含めた今後のあり方の検討を進めてまいっているところでございます。

○相川委員 今のご答弁によりますと、この評価結果報告書とはまた別に、アクションプランの中で方向性を考えるというご答弁であったわけでありますが、部長の行間にありますニュアンスといいますか、個人的な受けとめ方なんですけれども、財政再建というような中での、はっきりいってしまえば減量経営あるいは行政改革というような中で、恐らくこの博物館がなくなっていくのかなという気がしてならないわけであります。
 そういう中で私は最悪のシナリオとして、仮にアクションプランの中で廃止をされるということが現実のものと、要するに、都の事業として廃止をされてしまうということが現実となったときに、これは次善の策として、あの博物館の設立の経緯等を踏まえまして、あの博物館は昭和三十六年に八王子市が設置をして、これも財政難ということを理由にして昭和四十一年に多分八王子が東京都に運営を押しつけたんだと思うんです。いい方がちょっと悪いかもしれませんが。そういった経緯を踏まえてもう一度八王子地域の自然史系の博物館として、八王子に何らかの形で事業継続をしていただきたい。運営に関しましては、例えばNPOに運営を委託するとか幾つか方法は考えられると思うんですが、その辺まで視野に入れて、東京都の中で事業主体は変わっても継続をしていくような検討をぜひお願いをしたいと思います。そのことを要望いたしまして、質問を終わります。

○野上委員 少人数指導についてお伺いいたします。
 先ほど林田委員もおっしゃっておりましたけれども、日本の未来は次の時代を担う子どもたちがどのように成長しているかで決まってくると思っております。その意味では、学校教育の果たす役割というのは非常に大きいものがあります。友情をはぐくみ、幅広い力を身につけ、そして人間性豊かに子どもたちが成長していくことが我々保護者やそれから都民の願いでもあります。
 楽しくなければ学校ではないという本がいっとき大変売れましたけれども、学校が楽しいところであるかどうかの一つに、一つの要素といたしまして、学習内容が的確に理解できるのかどうか、これが大事な要素だと私は思っております。希望の登校、満足の下校、これが私の現役時代の自分のスローガンでございました。自分の信条でもございました。子どもたちがあした学校へ行くのが楽しい、早く学校へ行きたいな、希望の登校、そして知識、技能をしっかりと身につけて満足をして下校する、満足の下校、これを信条として頑張ってまいりました。
 また、今、個に応じた教育が行われることが求められております。一人一人の子どもたちが輝いていくような制度をつくっていくことが大事でございます。学習内容の理解の徹底をしていく制度の一つとして、私は複数の教員が協力して授業を行うチームティーチング、これは大変画期的な方策であると思っておりました。ところが学校教育指導の充実についての資料を見ますと、その加配教員なんですけれども、中学校は平成五年、六年、七年と毎年百四十八名の増員をしてきておりますが、平成八年以降は全く増加がございません。現状維持のままになっております。また、小学校は平成十二年度は全く増加がございません。多分これは国の基準に基づいて行われるものだとは思うのですけれども、一人一人の個性を大事にする教育を行うという意味では、この制度をさらに発展させていくことも教育の大事な要素だと私は思っております。チームティーチングの加配、増加がないのは国の基準に応じての数だと認識をしておりますけれども、現在の小中学校では実施規模はどうなっているのかについてご報告をお願いしたいと思っております。

○中村人事部長 国の第六次教職員定数改善計画を踏まえまして、平成五年度から個に応じた多様な教育を推進するため、複数の教員が協力して授業を行うチームティーチングを実施してまいりました。平成十三年度は小学校四百六十人、中学校で五百七十四名でございます。

○野上委員 小学校で四百六十人ということは、今、学校が千三百七十一校あるということですので、大体三分の一の学校でこれが実施されている、それから中学校で五百七十四人ということは、大体八七%ぐらいの規模で既に実施されているということだと思います。今後とも小規模の学校にもチームティーチングの加配を私は望んでおきたいと思っております。
 次に、七五三という言葉、これは私は余り好きな言葉ではないんですけれども、よく小学校で三割の子どもが学習についていけない、中学校では五割、高校では七割というようなことがいわれております。特に基礎、基本を積み重ねていく教科に関しましてはおくれが顕著なわけです。中学校になって掛け算、九九から教え込まなければならないということが現実にはあるわけです。また子どもにとっては学習内容がさっぱりわからない、そしてじっと机に座って授業を受けるということは苦痛以外の何物でもないわけですね。習熟度を増していくことが私は早急な課題だと思っております。ところで、今年度より新しい教育の方法改善として、少人数授業の定数改善がなされましたけれども、この制度の実施規模について見解を求めたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○中村人事部長 学校でのきめ細やかな教科指導を通しまして基礎学力の向上を図るために、学年や教科の特性に応じた少人数による学習集団を設定していくことが重要である。このような学校の取り組みを支援するために国の第七次教職員定数改善計画、これを踏まえまして定数改善を行っております。平成十三年度では小学校二百三十九人、中学校で百四十五人の規模でございます。今後とも定数改善に努めてまいりたい、こんなふうに考えております。

○野上委員 二百三十九人と百四十五人の増員ということで、今後とも定数改善に努めたいという前向きなご答弁があったわけですが、この少人数授業加配の効果につきまして、どのようなものが考えられるのでしょうか。これを明らかにしていただきたいと思っております。

○斎藤指導部長 児童生徒に生きる力をはぐくむために、基礎的、基本的な内容の確実な定着を図るとともに、個性を生かす教育の充実に努めることが、まず重要であると考えております。少人数学習集団の指導によりまして、一人一人にきめ細かな指導を行うことが容易となり、学習内容を確実に身につけさせる効果が期待できると考えております。

○野上委員 少人数授業のやり方としましては、課題別の授業を進める場合には余り問題になることはないと思うのですが、算数とか数学とか英語などの積み重ねていく教科によっては、習熟度別クラス編制で行われるようになると思います。そのときに、理解度のよいクラス、言葉がちょっと難しいのですけれども、よくできるクラス、それから中くらいのクラス、かなりおくれているクラスみたいな感じで編制がなされてくると思うんですけれども、そういう学級編制に対して、児童生徒の間で反発とか反対の声などないようにして、そういう配慮とかもなさっていらっしゃると思うんですけれども、その指導方針をお話しいただきたいなというふうに思っております。

○斎藤指導部長 小学校では、国語、算数、それから中学校では国語、数学、英語を中心に、少人数学習集団による指導を進めております。この少人数学習集団の編成につきましては、教科や学習内容によって、習熟度別を行ったり、あるいは課題別に編成したり、子どもたちの興味、関心を主体にして行ったり、さまざまな形態で留意しながら行っているところでございます。

○野上委員 子どもたちの興味、関心がぜひ高まるような授業実践を、さらなる指導の充実を強く要望したいと思っております。
 休憩時間に子どもたちと一緒に遊ぶ先生が少なくなっていることをよく聞きます。また、それも現実です。それだけ子どもの相談や会議の打ち合わせとかで時間がとられているのが現状なわけです。教師の平均年齢も、これも調べていただきましたら、小学校で四十四・九歳、中学校では四十三・四歳、高校では四十四・三歳で、盲・聾・養護学校では四十・四歳と、大体四十歳を超えております。緩やかな高齢化の傾向があります。
 そこで、さらに指導充実を図るために、子どもとの触れ合いを含めて、学習指導にティーチングアシスタントとしての大学生を活用してはどうでしょうかということで、お話を伺いたいと思います。

○斎藤指導部長 学生によるティーチングアシスタントを活用することにつきましては、子どもたちの学力向上を支援することを趣旨としておりますけれども、学校生活の中で、児童生徒との年齢も近く親近感があることから、子どもとの触れ合いが親密となりまして、遊びや運動あるいは相談等、生活面への広がりも教育効果として期待されると思っております。今後大学等に働きかけるなどして、その活用方法について具体的に検討してまいりたいと思っております。

○野上委員 ぜひ前向きな検討をお願いいたしたいと思っております。
 次に、不登校及び中途退学対応についてお伺いいたします。
 教育の課題の中で、身近に起こり得ることの一つとして不登校ということがあります。今まで順調に学校教育の中ですくすくと育ってきた我が子が突然学校に行きたくないということが、現実の中で起こってくるわけです。そういうときに、親御さんとしては身を切られるような思いになっております。もちろん、不登校の原因や要因は複合的なものがありまして、学校だけに原因があるのではなく、家庭や友人、また個に起因することも事実ですけれども、学校に全く原因がないということもない、ということも事実です。いろいろな手だてを講じて、不登校に対しても手を打ってこられたと思うんですけれども、現実に不登校の数は東京都では減っているのでしょうか、お伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 中学校を対象として申し上げますと、平成十一年度の公立中学校の場合は、出現率は三・一六%、七千八百三名でございます。平成十二年度は三・二八%で七千八百二十名でございますので、平成十一年度、十二年度の間の比較では微増しております。ただ小学校の方につきましては、これはまた別でございまして、小学校の数につきましては、平成十一年度につきましては二千三百二十六名、出現率が〇・四四でございます。平成十二年度につきましては二千三百二十二で、同じように〇・四四で、こちらは横ばいということでございます。

○野上委員 引き算をしますと、十七名の中学校では増加ということになっているわけですけれども、不登校の対応の教員は、学校教育現場におきましては、具体的にどのような活動をして不登校をなくすように努力をしていらっしゃるのでしょうか。また、不登校対応の教員を配置することによって、どんな効果が上がっているのでしょうか、これをお尋ねいたしたいと思います。

○斎藤指導部長 不登校対応の教員ですけれども、学校の不登校対策の中心的な役割を担いまして、不登校対策についての校内体制を整備するとともに、不登校生徒の実態把握に努め、また学級担任の支援などを行っております。また、教育相談室や適応指導教室等の関係機関との連携を図り、不登校対応の充実に努めております。
 不登校対応の教員が配置された学校におきましては、職員会議とか校内研修などを通しまして、教職員の共通理解に基づいた指導体制が強化され、不登校生徒の早期発見、早期対応が行われるようになり、不登校生徒が減少するなどの成果が出ております。

○野上委員 これほど成果が出ていることでしたら、もう少し加配の枠をふやすことも大事ではないかと考えます。
 また、別の問題なんですけれども、不登校、いじめ、学級崩壊、これらはすべて教育の喫緊の課題なんですけれども、高校生にとっては、中途退学の問題が大変大きな課題ではないかと私は思っております。せっかく入った高校を中途退学をしてしまわなければならないという、こういう現状があるわけなんですけれども、この都立高校の中途退学者の現状についてお伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 平成十一年度の全日制都立高校の退学率でございますが、三・二%、四千五百三十名でございます。平成十二年度につきましては三・一%、四千三百八十四名でございます。ここ数年、減少傾向にはございます。

○野上委員 百四十六名の減少ということで、効果があったわけだと思います。この中途退学者対応の教員の加配を受けた学校では、具体的にどのような指導を行ってそういうふうに数を減少させていったのか、また、その効果についてお伺いしたいと思います。

○斎藤指導部長 各学校におきまして、個々の生徒に対応した教育相談、それから基本的な生活習慣を定着させるための生活指導、あるいは少人数によるきめ細やかな学習指導などを行いまして、中途退学防止のための努力をしております。また、その効果につきましては、例えば平成十二年度に中途退学者対応として加配を受けた全日制都立高校におきまして、平成十一年度と比較して、退学者数が五・一%減少しているという現状がございます。

○野上委員 現実の生活の中で、細やかに手を差し伸べていくことが私は大事だと思います。一人一人の不登校の問題、そして中途退学の問題、こういった問題を克服していく作業というのは大変困難なものがあると思います。不登校や中途退学者の立場に立って、一つ一つの課題、問題解決を図っていくことを要望して、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○大山委員 私は、今回の十二年度の決算で、きょうは、主に四つの柱で質疑したいというふうに思っています。
 まず最初は、都立高校の授業料値上げ、入学金徴収の問題です。
 この決算年度、十二年度は、都立高校の授業料値上げがされて、十三年度新入学生からの入学金を徴収することを決めた年です。十年度にもやはり値上げが予定されていたわけですけれども、教育長は、父母負担の軽減を考えて値上げを見送ったとしていたわけです。それにもかかわらず、その二年後、不況がますます激しくなってきているにもかかわらず、そして教育長は、父母負担が重いことは認識しているけれども、やむを得ないものと判断したというふうに答弁しています。それがどうなったのかということが、今回の決算の一つの問題だというふうに思っています。
 保護者が負担する教育費調査報告、これ、毎年出されているわけですけれども、公立と国立、私立を選択した理由、高校ですね、これを調査項目に入れています。都立高校を選ぶ場合の二大理由というのは、費用が安いということと本人の希望、これが主な理由になっています。これが年々変化しているというのが、毎年の調査ですから、わかるわけです。
 十年のを見ますと、本人の希望というのが五〇%、費用が安いというのが三七%ありました。十一年にはそれが拮抗してきていまして、本人の希望が四〇・二%、費用が安いというのが四四%になっています。十二年度では、これは本人の希望というのが五八%ということで、ふえているわけです。しかし同時に、費用が安いというのが六七・九%ということで、七割近くになってきています。本人の希望が五八%あるというのは非常に重要なことですけれども、不況が長引く中で、ますます経済的な面での都立高校の役割というのは大きいというふうにいえると思います。
 まず、最初に伺いたいのですけれども、こうやって不況もひどい、それから負担が大きくなるというのもわかりながら値上げしたわけですから、何とかしなければならないわけですけれども、経済的な軽減策としては、減額や免除の制度があるわけです。都立高校授業料の減免の数なんですけれども、十年度から十二年度までの全日制高校生に占める減免の割合を教えてください。

○神山学務部長 全日制都立高校における平成十年度から平成十二年度までの授業料の減免の率でございますが、まず全額免除の方が、平成十年度三・四八%、それから十一年度が三・九四%、それから十二年度が四・四八%でございます。また、授業料減額、これは二分の一減額でございますが、平成十年度が〇・六一%、十一年度が〇・六五%、十二年度が〇・七〇%になっております。

○大山委員 ちょっと数字が細かかったですけれども、確実に減額も、それから免除の生徒さんたちもふえているというわけです。合わせますと、十年度が四・〇九%、十一年度が四・五九%、そして十二年度は五・一八%ということですから、着実にふえている。
 減額になる収入基準ですけれども、夫婦と高校生と中学生の子どもを持つ家族四人だったら、大体幾らになりますか。

○神山学務部長 高校の授業料の減免となる収入基準は、仮に計算いたしますと、一家の年収が、四人家族であった場合、五百万円程度で二分の一の減額、四百万円程度で全額免除となります。

○大山委員 先ほどのご答弁で、全生徒に占める割合は確実にふえているということがわかっているわけですけれども、今お答えになった減免対象者の家族に対する、実際に減免を受けている生徒の割合というのはわかりますか。

○神山学務部長 保護者等の所得の調査はできておりませんので、ご指摘の割合については把握できておりません。

○大山委員 実際に不況がかなり長引いている中で、大変な負担になるということがわかっていながら値上げをしているわけですから、どれぐらいの状況になっているのかということぐらい調べてもいいのではないかというふうに思いますけれども、先ほどの、毎年やっている家計調査や教育費調査報告書で見ますと、世帯収入が減額の対象になる五百万円未満の家族が、十二年度で二〇・六%ありました。この調査は、都立高校だけではなくて、私立の高校も、それから中学校も小学校も幼稚園、保育園も入っていますから、そのままストレートに都立高校の生徒さんを持つ家族が二〇・六%の割合になっているとは限りませんけれども、少なくともこの調査を単純に計算しますと、十年度が一四・三九%、十一年度が二一・二六%、十二年度が二五・一三%になっています。十二年度というのは四分の一を超える割合になっているわけですね。年々ふえていて、二年間で一〇・七四ポイント上がっているわけなんです。それまでは、やはり減免は、幾ら秘密にしますといったって、やはり思春期の高校生のことを考えると、なかなか踏み切れないというようなお父さん、お母さんが多いわけですけれども、まさに値上げによってそんなこともいっていられないという状況になってきたのじゃないんでしょうか。それが減免の状況です。入学金の徴収が今年度の入学生から始まったということですから、ますます矛盾が大きくなって、さらに出てくるというふうに思っています。
 もう一つ、この値上げ問題で最後に伺いたいのは、このほかの経済支援といいましたら、都立高校生が利用できるのは日本育英会の奨学資金だけですけれども、それはどれぐらい使われているのか、人数でお願いします。

○神山学務部長 都内国公立、私立高校合わせて、日本育英会の高校の平成十二年度の人数は三千七百四十一人、金額が十億一千六百万円となります。

○大山委員 今の十二年度の数が合わせて三千七百四十一人、そして十年度を見ますと二千八百二人なんですね。これも確実に上がっているわけです。これも、都立の高校生も借りているわけですけれども、非常に重要な役割を果たしていると思うんです。政府の特殊法人の見直しで、育英会も民営化などの方向が出されているわけですけれども、都民の皆さんの状況を見ても、民営化とかではなくて、きちんと今の状況の中で事業が継続、拡充できるように、都からも国に要望することが重要だと思いますけれども、いかがですか。

○神山学務部長 文部科学省は、日本育英会の民営化につきましては、育英奨学事業の充実が図れるのであれば、現在と別の法人形態について検討の余地があるとしております。これに対しまして特殊法人等改革推進本部は、育英奨学事業の拡充の方針に留意しつつ、他の法人との統合による廃止を含め、日本育英会について引き続き検討することとしております。都教育委員会としては、国の動向を見きわめていきたいと思っております。

○大山委員 今ご答弁されたように、国の動向を見きわめていくというようなのんびりした状態ではないと思うんですね。今ご答弁された事務局の意見というのは、これは十月五日公表された分ですから、つい最近の公表の分ですね。その中にも、他の法人との統合による廃止を含め、引き続き検討するということが出されているわけですから、これはきちんと、都立高校に通っている子どもたち、それから私立の高校も含めてですけれども、責任が持てるように、東京都としても、ぜひとも国に意見を上げるべきだというふうに思いますし、それから、東京都がというか、教育長が都立高校の教育を熱心にやっていくんだというふうにいっているわけですから、この経済的な分野での保障というのも、これは授業料、入学料含めてきちんとやっていく、熱心にやっていくという分野の一つだということを指摘して、次の質問に移ります。
 この十二年度ですけれども、今の都立高校の授業料、それから入学金の値上げもありましたけれども、もう一つ、障害児学校に通う児童生徒に対する就学奨励費に対して所得制限を設けて、親の所得によって、全額負担、それから半額負担、負担なしという三段階に分けた年でもあります。この就学奨励費は、親の負担を軽減するために、宿泊訓練だとか校外学習費、それから補助教材費だとか卒業記念品などについて、東京都も独自に補助を充実させてきたものだというふうに思いますけれども、そもそも就学奨励費を東京都が単独事業として始めたねらいだとか位置づけというのは何なんでしょう。

○神山学務部長 都単独事業は、昭和四十九年度の希望者全員就学に向けた条件整備として、心身障害教育を一層普及、奨励するため、国庫補助事業に加えて、四十三年度から実施を始めたものでございます。

○大山委員 つまり東京都は、障害を持つお子さん、それからその家族が安心して教育を受けられる条件を保障しようという立場に立って、この制度を続けてきたわけですね。それはすばらしいことだというふうに思っています。
 就学奨励費というのはいろいろ細かくあるわけですけれども、大きなものの一つに宿泊生活訓練があります。これは、学校だけではできないことを経験したりする中で、子どもが大きく成長する重要なものだというふうにいわれているわけです。土肥だとか聖山へ行く、東京都の施設に行くことが多いということですけれども、例えば十二年度になってから就学奨励費も所得制限が導入されたということで、聖山に行こうというとき、大体行くには、子どもたちの体のこと、肢体不自由児の子どものことを考えれば、なるべく負担を軽くしよう、肉体的な負担も軽くしようということで、新幹線で行くのが一番体への負担も少ないわけですから、それならいいわけですけれども、父母負担が入ったということで、先生たちは、新幹線の運賃は高いので、全額出す親御さんのことを考えるとつい迷ってしまうと。さまざまな障害を持つ子どもたちが安心して移動して宿泊するためには、いろんな配慮がされるわけですけれども、例えば肢体不自由児の学校だったらリフトつきのバスを借り上げなければいけないし、ボランティアさんの参加も一定数確保しなければならないということで、そんなときにバスを借り上げたりするのも、保護者の負担を考えると、それを軽減させるために行事の縮小を考えざるを得ないというようなところも出てきているというんですね。現場では、教育のねらいより保護者の負担軽減を重視せざるを得ないということに疑問を感じるという声が出ているわけです。
 この奨励費に所得制限を設けたわけですけれども、宿泊生活訓練費の父母負担は幾らになっていて、それで十一年度と十二年度の決算は幾らになっていますか。

○神山学務部長 宿泊訓練における保護者の負担は、盲・聾・養護学校全体の平成十年度支給実績によりますと、一人当たり約一万四千六百円でございます。十一年度、十二年度の対比でございますけれども、宿泊生活訓練費につきましては、トータルで十一年度が八千九百二十三万八千円余でございます。十二年度が四千五百八十四万五千円余で、約四千三百万円余の減になっております。

○大山委員 大体半減しているわけですけれども、決算額でいうと、東京都にとって四千三百万円削減したということなんですね。同時に、お父さん、お母さんたちへの負担というのは、すべての障害児学校の小中高の子どもたち平均して、一万四千六百円自己負担がふえたということですね。それで、小学校はこれより少ないでしょうし、高校生ともなれば、これよりも大きくなるというふうになると思うんですけれども、高校生ぐらいだとどれぐらいになるわけですか。

○神山学務部長 高校生になりますと、平均で二万三千三百二十円でございます。

○大山委員 高校生になればおのずと高くなるということですけれども、宿泊生活訓練というのは、障害を持つ児童生徒にとっては学習の一環だというふうに考えますが、それについてはどうですか。

○神山学務部長 盲・聾・養護学校における宿泊生活訓練は、社会生活におけるさまざまな経験を体験する機会が不足がちな障害児に、可能な限り種々の生活体験をさせることによりまして、障害に基づく種々の困難を改善、克服する意欲を育て、学校、家庭等における基本的生活態度を習得させるとともに、社会的適合性を高める役割を果たしていると思っております。

○大山委員 今、宿泊生活訓練というのは、障害を持つお子さんたちにとって非常に重要な役割を果たしているということがご答弁されたというふうに思うんですね。それだったら、その費用は、学習の一環なわけですし、利益を受けた者がお金を払うというような性格のものではないというふうに思いますし、この宿泊生活訓練というのは、就学奨励費の中でも非常に重要な位置づけであるということから考えても、削減する理由というのは全くないというふうに思っています。
 東京都にとって、この四千三百万円、それで就学奨励費全体を見ても五千二百万円なんですね。それは、東京都にとっては全体の予算からすれば本当にわずかなものです。しかし、それぞれの父母にしてみれば極めて大変なことなんですね。東京都はお金がないんだといって五千二百万円、四千三百万円削ったわけですけれども、例えば父母の経済的な負担というのは、宿泊生活訓練だけではなくて、中学三年生だとか高等部の三年生になるとますます負担が大きくなってきて、毎月いろいろ、PTAの会費なんかも含めて、五千円以上払わなければならないというふうになっているんです。先生たちが集金袋を渡すわけですけれども、そのときに、もう少し待ってほしいという声だとか、きついんですという声をちょくちょく聞くというんですね。本当にこんな状況でいいのかということなんです。
 同時に、私申し上げたいのは、教育庁の話じゃないよというかもしれませんけれども、この年というのは、もう皆さんご承知のとおり、何から何まで所得制限が導入された年なんです。ここで教育庁は就学奨励費に所得制限を入れて三段階にしたし、それから、同じ障害者の分野では、重度心身障害者手当には新たに所得制限を導入したんですね。それから医療費助成の所得制限は強化され、心身障害者手当も所得制限が強化され、みんな同じ所得制限になったんです。就学奨励費よりもその所得制限は低いですから、就学奨励費が全額負担の子どもはもちろん、半額になる人でも、重度手当だとか医療費助成はなくなってしまっているんですね。障害児を持つ家庭にとって、福祉の分野でも負担はふえる、手当はなくなる、同じお子さんを持つ家族が、教育の分野でも就学奨励費もなくなる、こういうことになった大変な年だというわけなんですね。親御さんも、それから子どもも安心して教育が受けられるように保障するという立場に立つのだったら、就学奨励費はもとに戻すべきだというふうに私は意見を述べておきます。
 続きまして、重度重複と、それから医療的ケアを必要とする児童生徒への対応の問題で質問したいと思います。
 決算書の八七ページは、養護学校の教職員人件費と管理費の決算が書かれているわけですけれども、教職員費は予算より少なくなっています。きょうの決算では、肢体不自由児の養護学校のことで質疑をしていきたいというふうに思っています。
 肢体不自由養護学校の現在の学級数は幾つで、教員の人数は何人ですか。

○中村人事部長 平成十二年度におけます肢体不自由児養護学校の総学級数は五百八十六学級でございます。そのうち重度重複学級は二百五学級でございまして、肢体不自由児養護学校における教員定数は一千百四十五名でございます。

○大山委員 法律によりますと、文部大臣が定める心身の故障を二以上あわせ有する児童または生徒で学級を編制する場合にあっては、三人という基準で計算するというふうになっていますけれども、この標準で計算しますと、東京都の肢体不自由養護学校の学級数は幾つになって、教員数は何人になりますか。

○神山学務部長 文部大臣が定める基準で学級編制をする場合ということでございますが、現在資料不備のため、現時点では計算するのが困難な状況でございます。

○大山委員 国がきちんと法律で標準を定めていて、しかも、心身の故障を二以上あわせ有する児童または生徒ですから、その基準で計算しない、何学級になるのさえ出してないというのは、非常に、私にいわせれば無責任だというふうに思っています。大体、資料がないとかということですけれども、五月一日付で各学校から報告書が上がってくるというのは、これはもう毎年のことで、しかも、主障害には二重丸を、そして副障害には丸を出して都教委に集中する、これはもうその表があればすぐにでも計算できることだと私は思います。
 それで計算してないということですけれども、都障教組が試算した分があります。これは、十四、肢体不自由養護学校がありますけれども、十三の分で比較しますと、現在の学級数は五百四十六学級、国基準で計算すると六百八十学級必要だということですね。それで学級の不足は百三十四学級、不足の教員数は二百四十二人にも上るということなわけです。圧倒的にこれは教員の人数が足りないし、重度重複認定する学級数も少ないということだというのが明らかだというふうに思っています。
 このことで何が起こっているのかということですけれども、まずは命にかかわること。食事というのは、本来楽しく食事をする、それが本来の姿ですけれども、人も少なくなるわけですから--肢体不自由学校ですから、一人で食べる練習をしたい子もいるわけです。しかし、先生たちが総出になったとしても、一人の子どもに一人はつけないということで、嚥下に問題がある子なんかは、本当に気をつけなかったら誤嚥しちゃって肺炎になってしまうということも考えられるわけですから、一人に一人つけない状況の中で、ちょっと待っててねというふうにせざるを得ない状況が生まれてくるわけですし、それから、学校によっては、前半と後半の子と二部制に分けて食事をせざるを得ないという学校も出ているという状況なわけです。
 散歩に行くというのは、もう一つ、子どもにとっても必要なことですし、いいわけですけれども、散歩に行くときに人が足りないということで、車いすを一人で二台こうやって押すということもあるわけですね。もちろんこれは危険なことです。ですから、現場でも先生たちはなるべくだったらやらないようにしたいということなんですけれども、やむを得ずにそうせざるを得ない状況だということですよね。だから、先生たちは腱鞘炎にもなるわけです。せめて私は国の標準には到達させるべきだというふうに考えますが、どうですか。

○神山学務部長 都教委は、重度重複学級につきましては、自立活動を主とした指導がより適切な児童生徒を対象に学級編制するという考え方を持っておりまして、障害をあわせ持つという考え方に、さらに、いろいろな児童生徒の状況を総合的にとらえた考え方を取り入れて、いわゆる重度重複学級を三人で編制しているところでございます。このような学級編制で、冒頭申したとおり、自立活動を主とした児童生徒の実態に即した指導を行っているところでございます。

○大山委員 本当に、少なく配置するための理屈じゃないかとまで思えるわけですよね。障害をあわせ持っている考え方と、それから、それに加えて総合的にとらえる。都合のいいようにとらえるということじゃないんですか。だから、その障害の状況だとか程度だとか発達の状況を考慮すると学級数が減るというのは、私は到底納得できないですし、かえって、配慮をするんだったら学級数がふえるということがごく当たり前の状況だというふうに思っています。これはぜひとも、せめて国の標準には一刻も早く到達させていただきたいというふうに思います。
 もう一つですけれども、肢体不自由児養護学校の最近の傾向としては、医療的なケア、つまり、たんの吸引だとか経管栄養だとか導尿だとか気管切開での管理などが必要な児童生徒の増加があるわけですけれども、医療的ケアが必要な児童生徒の人数の変化を五年間で教えてください。

○神山学務部長 平成八年度三百七十人、九年度三百六十九人、十年度四百十五人、十一年度四百六十四人、十二年度四百九十四人となります。

○大山委員 この医療的ケアが必要なお子さんも着実にふえているというわけです。今おっしゃった中でも百二十四人ふえているわけですけれども、現在医療的なケアが必要なお子さんというのは、ご家族の、主に大体お母さんですけれども、付き添いなしには通学することができない状況になっています。そのついて一緒にいらしたお母さんが待機しているということについて、どれほど大変なことかということなんですけれども、私もこのお母さんたちのまとめました手記を読ませていただいて、改めて大変なんだということがわかったわけです。
 例えば、小学校三年生のお子さんをお持ちのお母さんですけれども、二十四時間、経鼻エアウェイを使用していて、腎不全用の特殊ミルクを一日に六回注入しているということで、体調のよくないときには吸引も必要なお子さんですけれども、就学前は通所の施設に通っていたので、母子分離で通園していたわけですね。
 入学によって、我が家の生活はがらりと変わりました。子どもと学校に行くことがこんなに大変だとは思わなかったし、この生活が十二年続くのだろうかと思うと、気が遠くなります。一日は、朝の五時三十分の注入から始まり、兄を学校へ送り出し、片づけもそこそこで出かける準備をして、学校へ向かいます。学校に着くと、朝の会に参加しながらミルクを注入します。昼には、また、注入するために教室に戻ります。そういう生活なわけですね。
 睡眠障害を抱えたお子さんが、夜ぐっすり寝てくれるのは一年に数えるほどしかないので、慢性の寝不足でいつも頭はぼうっとしており、車の運転も負担です。私には甲状腺の病気もあり、薬を飲みながらの通学はかなりきついものがありますというわけです。
 そのお子さんが学校が好きで、どんどん成長している姿を見るのは、とてもうれしいことです。しかし、親が付き添わなければ発達の保障ができないということは、とてもつらいことですというふうにおっしゃっているんですね。
 この方だけじゃなくて、ほとんどのお母さんたちが慢性的な寝不足、それから自分の病気があったり、腰痛であったりしても、本当にそれを押して、毎日毎日学校についてきているわけですね。こんな大変な思いをしている状況をこのままにしておいていいというふうに思っておられるんでしょうか。

○神山学務部長 常時医療的ケアを必要とする児童生徒に対しましては、教育としては原則として訪問教育を行っているところでございます。ただし、保護者が通学を希望し、医師の診断等によりまして通学が可能な場合は、医師の指示を受けた保護者による医療的ケアの実施を条件に通学をしていただいているところでございます。
 ただいまご指摘のような状況についてでございますけれども、登校、下校時等につきまして、専門的医療職員を確保することは大変困難でございますし、また学校におきましては、常時医療的ケアを必要とする児童生徒は原則として保護者の付き添いで教育を実施するということでございます。保護者の負担も多いかとは思いますけれども、現状そういうような体制で実施しているところでございます。

○大山委員 今の考え方というのは、訪問が原則で、どうしても来たいんだったら、お母さん、ついていらっしゃいよということですよね。このお母さんたちが、かなり自分の体も酷使しながらも、やはり学校に連れていきたいという思いもこの中に書いてあります。
 あるお母さんは、四年生のお子さんをお持ちのお母さんは、訪問学級という方法もある。けれど、それをしないのは、娘がたくさんの友達や先生の中で楽しいことを共有し、成長している娘の笑顔があるから。待機しているのも私だけはない。励まし合い、つらいことがあったら分かち合っているというんですね。
 制度に子どもたちを押し込んでいくのではなく、子どもたちに合わせた制度を考慮してほしい。医療と教育が十分に連携し、両方が保障されるようになってほしいというふうにおっしゃっているわけですね。
 それから、小学校三年生の娘さんをお持ちのお母さんは、私の娘は重度重複の寝たきりの障害児で、目も見えず、全く動くことができません。たんの吸引とチューブによる水分、栄養摂取が必要なため、母親の私が付き添って登校しているわけです。学校では先生の話しかけに声を出して答えるなど驚くほどの変化を見せ、家に閉じこもって生活していたころに比べて、生き生きと充実した毎日を送ることができるようになりました。学校へ行きたいと意欲的になり、それは娘の大きな自信に結びついていくことと思います。また、親と離れて周囲の大勢の人とかかわる力を身につけ、着実に成長しています。こういうことなんです。
 こんなにまで苦労して、それでもやはり訪問じゃなくて学校に通わせたい。そのお母さんたちが本当に心身ともに疲れ切っちゃっている。でも、それは訪問が原則なんだから、通わせてくるんだったら通わせてあげるから、あなた、ついてきなさいよ、付き添いしなさいよ、ここで待ってなさいと。これが本当に教育の現場で行われていていいのかということなんです。
 そんな中で、都教委が救急医療体制整備事業として教職員の医療的ケアの実践や研究を進めてきたことは、これは大事なことだというふうに思っています。すべての肢体不自由学校で実施されるようになったわけですね。新たな段階に進むときに来ているというふうに思います。
 一つは、医療的ケアを必要とする子どもたちにとって、学校の看護婦さん、重要な役割を持っていると思うわけです。医療的ケアに関することでの看護婦さんの仕事というのは非常に多いというのも、私、これを見て改めて思ったわけですけれども、まずは児童生徒の健康把握ということで、医療的ケアの必要な児童生徒の一覧表作成から始まって、教室での日常の状態の把握、連絡帳だとか児童生徒の授業の様子、担任からの情報を得るとか、医療的ケア実施日の健康把握をしたり、家庭からの健康チェック表、当日の健康チェックというように、今一項目だけを読んだだけですね。六項目、そのほかにも同じように、もっともっとたくさんの仕事があるわけです。
 本当にこれだけの仕事をするというのは大変なことなんですね。だからこそ、肢体不自由学校の看護婦というのは重要な役割を果たすわけですし、医療的ケアを受ける子どもがいる学校の看護婦さんというのも非常に重要な役割を果たしているわけです。
 ところで、肢体不自由学校の、養護学校の看護婦さんの人数、看護婦さんの配置基準はどうなっていますか。

○中村人事部長 肢体不自由養護学校におきましては、一校一名を基本としておりまして、学級数が二十三学級以上である場合には二人を配置しております。現在二十六人を配置しております。

○大山委員 医療的ケア、今の看護婦さんの配置基準、基本は一校に一名、二十三学級を超えれば一名プラスと。二十三学級を超えたら一名で、その次の基準というのはないわけですよね。ですから、二十三学級の二倍の四十六学級以上になったとしても、配置は二名だけということなんです。
 さっき、現在の学級数でいっても、例えば五十一学級、それから四十七学級、六十八学級、それから四十九学級というように、四十六学級以上の学校というのはたくさんあるわけですよね。にもかかわらず、それ以上の基準がないから配置もされていないということなんです。本来だったら、もっと国の標準でいけば学級数も多いわけですし、それから教員の数も多い。しかも看護婦さんの配置は今は少ないということなんです。せめて医療的ケアの必要な児童生徒がいる学校は、その人数によって新たな配置の基準を設定することが必要だと思いますけれども、どうでしょうか。

○中村人事部長 看護婦の定数につきましては、国の基準は設けられておりません。先ほど申し上げました基準に基づきまして配置していきたい、こんなふうに考えております。

○大山委員 東京都の基準、せっかくつくったわけですから、その不足の部分をやはり今の段階できちんと見直していく、これはもう重要なことだというふうに思っています。ぜひ検討していただきたいというふうに思いますし、先ほど読みましたけれども、お母さんたちの手記の中でもあるように、医療と教育の連携がやはり必要なんだということなんですよ。やはり、この医療と教育の連携をきちんと密にとりたい。それから、都立病院がある衛生局ともきちんととる、こういうことは、やはり子どもを抱える現場を持っている教育庁だからこそ、そのそれぞれのところに提起できるというふうに思いますし、全員就学の立場に立って連携ができるようにぜひ提起していってほしいと思いますけれども、いかがですか。

○中村人事部長 先ほど申し上げましたとおり、国基準がございません。今つくっている基準で今後とも配置していきたい、こんなふうに考えます。

○大山委員 今私が質問したのは、看護婦さんのことに限ったのではなくて、もう一度いいますと、医療と教育の連携が必要なんですというのはお母さんたちもいっているとおりです。私もそういうふうに思いますし、医療的ケアを持つお子さんたちが学ぶ学校ですから、本当に成長するというのが目に見えてお母さんたち、実感できるということ。それから、子どもたちが生きがいを持って積極的に生きていけるということにつながるわけですから、そういう立場に立ったら、現場を持っている教育庁が、医療との連携などについて、ぜひほかの局にも提起をしていってほしい、そのように聞いたんです。

○神山学務部長 現在の肢体不自由校は、常時医療的ケアを必要とする児童生徒の対応につきましては、保護者と学校が十分連絡をとりながら、先ほどお話のありました救急体制の中での指導員の指導助言等を受けまして、学校長の判断等によりまして保護者等の不在のときには対応しているところでございます。
 お話の衛生局等の連携につきましては、今後の検討課題というふうに思っております。

○大山委員 先ほど、お母さんたちのご苦労、多いとは思いますけれどもということも触れてくださっているわけですから、ぜひその子どもたちの全員就学、本当にお母さんが倒れちゃったら、もう来られないということになってしまうわけですから、全員就学、そしてよりよい教育、その子にとってよりよい教育を保障するという立場に立って進めていっていただきたいというふうに思います。
 最後の質問ですけれども、先ほどもご質問ありましたけれども、東京都高尾自然科学博物館について質問したいというふうに思っています。
 高尾山は、本当に東京都を代表する豊かな自然が残っている山ですし、それから国定公園、それから都立公園ということに指定されていて、多くの都民が自然に親しんでいるところです。この高尾山は、まさに休みの日などは高尾山に向かって京王線、いっぱいみんな乗っていますし、それから都民のオアシスともいえるところだというふうに思っています。
 その高尾山のふもとの京王線の高尾山口の駅のすぐそばにあるわけですね、東京都高尾自然科学博物館。先日、我が党の清水議員も行って詳しくお話を伺ってきたところですけれども、入館者数は、先ほどのご質問にもありましたように、十二年度、とうとう十万人を超えたということですね。これは、余り宣伝をしていない中で十万人を超えるというのは、なかなかすごいことというふうに思っています。私は、東京都でも極めて豊かな自然の残された高尾山を背景に持つ博物館だからこそ、都民が生きた自然にも即、直接に触れて学べる博物館としての存在意義が大きいということを実感しています。
 十二年に行われました行政評価ですけれども、所管の教育庁は総合評価Bをつけています。総務局は総合評価Eということになっていますけれども、教育庁はどのような評価をしたんでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 平成十二年度の行政評価制度の第一次評価につきましては、事業所管局としての教育庁は、このように記しました。都立の自然史系博物館としては唯一のものであり、生涯学習及び学校教育などの幅広い年代層全般において、その必要性は今後も増大していくものと思われる。もう一つに、築後約四十年を経過し、施設設備の老朽化が見られるが、財政的に新規及び大規模改修は困難であり、現行水準を維持しての事業の継続が適当であると、こう評価しているものでございます。

○大山委員 教育庁のこの評価というのは、私は非常に妥当なものだというふうに思っています。
 総務局が利用者が少ないというふうにいっていますけれども、実際その規模が小さいわけですから、講堂は何人入れるのかというふうな状況ですし、それから自然観察会は非常に人気が高いわけですね。そういう自然観察会ですから、一グループの人数が多かったら成り立たないということで、例えばスミレを見にいこうという企画に、四回も外れたんですということで嘆いている方がいらしたんですね。それぐらい希望者が多いわけです。希望者にこたえられるように、学芸員の増員などを含めて、都民の要望にきちんとこたえていけるように拡充することこそ重要だというふうに考えています。
 入館者、それから自然観察会、講座などいろいろありますけれども、参加者の住所はどうなっていますでしょうか。

○嶋津生涯学習部長 参加者の住所につきましては、順次申し上げてまいりたいと思います。
 まず、平成十二年度の秋に実施いたしました企画展での入館者、アンケートによる住所で見ますと、多摩地域は四一%、二十三区は二九%、他県が二八%等となってございます。
 なお、多摩地域のうちの八王子、すなわち博物館の所在地である八王子の市民の利用率はその半分というぐあいに見込んでございます。
 二つ目に、平成十二年度に実施いたしました十三回の自然観察会での参加者は五百五十二人でございました。その住所の内訳は、多摩地域で五六%、二十三区で三二%、他県で一二%でありまして、八王子市についていえば、多摩地域の約四割となってございます。
 それから三つ目に、十二年度に実施いたしました四回の自然講座の参加数百四十人でございますけれども、その住所の内訳は、多摩地域で六七%、二十三区で二四%、他県が九%であり、これも八王子について申し上げれば、多摩地域の約四割となってございます。
 以上のように八王子市民を中心とした多摩地域の参加者が多いのが現実でございます。

○大山委員 やけに八王子市を強調するわけですけれども、多摩地域全域にわたっているわけですし、例えば企画展では二九%が二十三区から来た方々ですね。それから自然観察会は三二%も参加しているわけですね。そのほかでも、自然講座だって二四%、二十三区からも参加をしているわけです。利用者は八王子市民に限らず、多数の都民が利用しているということなんですね。
 自然観察会の応募者数と倍率なんですけれども、どうなっていますか。

○嶋津生涯学習部長 十二年度に実施いたしました十三回の自然観察会では、募集定員六百人に対しまして、一千二百九十七人の応募がございました。倍率は平均で二・二倍でございます。

○大山委員 平均で二・二倍ということですね。応募しても参加できないという人が、二人に一人は参加できないということなんです。特に人気が高いスミレを見にいこうという企画は、平日の昼間で、比較的高齢者が多いということなんですね、何と定員七十人のところに四百六十二人の応募、高齢者の生きがいだとか健康づくりにも大きな役割を果たしているということだと思うんです。高尾山というフィールドを持つ自然科学博物館だからこそできる自然観察会であり、ムササビに会おうと、こういう企画ができるのは、夜の企画が日帰りでできる、これは貴重だと思うんですよね。それも高尾山口という駅の近くにあるというところですから、それも八王子市民だけではなくて、二十三区からもたくさん応募者が来るということなんですね。
 先ほどのご答弁にありますように、都立の自然史系博物館としては唯一のものだと。基礎的な調査研究も積み重ねていて、東京都が大学に委託した研究をここの高尾自然科学博物館に聞きにくるという話もあるわけで、基礎的な研究や調査というのは非常に貴重なわけですよね。東京都がやっている自然科学博物館の大きな自治体としての役割だというふうにいえると思います。
 先ほども所蔵の資料というのが貴重なものだというお話がありましたけれども、秩父・多摩・甲斐国立公園の東京都地域内の植物標本は、東京都の地域内に自生する植物の九割以上を含む標本だし、ナウマンゾウのほぼ完全な化石があったり、東京都の博物館だからということで信頼していただいて貴重な標本を寄贈していただいたり、それから植物も昆虫の標本も、絶滅に瀕しているものも幾つか含まれているということなんですね。
 学校の支援、これもやっているということですけれども、その実績はどうでしょう。

○嶋津生涯学習部長 学校への支援策、支援事業につきましては、児童生徒に対する調査指導、展示解説、野外観察の指導等を行ってございます。平成十二年度の実績で申し上げれば、小学校、中学校など四十の団体に支援を行ってございました。
 具体的な支援の内容といたしましては、プールの水生昆虫調査指導が十七団体、展示解説が九団体、野外観察指導が六団体、その他が八団体となってございます。
 なお、学校支援四十団体のうち、八王子市の団体が三十三団体でございます。

○大山委員 学校支援というのは、これから総合学習だとか、それから週休が、完全五日制になるということで、子どもたちへの支援というのは大変重要だというふうに思いますし、この役割が大きいわけですね。
 また八王子市がというのがありましたけれども、八王子市というのは使ってもらって本当にいいわけですよ。地の利がいいわけですから、それでどんどん活用してもらえばいいわけですし、それから、八王子の学校の方々は、ここにこんなすばらしいものがあるというのは知っているわけですから、たくさん使うわけですよね。ほかの地域の学校の人たちが本当にみんな知っているかといったら、これほどいい役割を果たしているところがあるというのが、それほど知られていないという点もあるんじゃないでしょうかね。
 人も人材も貴重な資料もフィールドもあるということがわかれば、さらに八王子だけじゃなくて、全都に広がっていくと思いますし、それから私、十三年の学校支援関係指導・協力一覧というのをもらいましたけれども、もちろんこれは八王子だけじゃなくて、世田谷区、四街道市、大田区、それから東久留米市、江東区からも来ていますね。それから日野市だとか、国分寺だとか、いろいろな全都から来ているということも、これは八王子市民だけじゃなくて、学校だけじゃなくて、全都のところが活用できる大切なところだというふうに思っています。
 さっきもありましたけれども、学校の校外学習だとか総合学習などの学校教育と連携した活動ができる博物館として重要だと思いますし、来年から完全五日制になるわけですけれども、自主的に参加する学習だとか、ボランティア活動の場として重要な役割を果たすというふうに考えますけれども、どうですか。

○嶋津生涯学習部長 学校での校外学習や総合的な学習の時間などの学校教育と連携した授業を実施すること、あるいは、土日及び春休み、夏休み、そういったときに児童生徒が自主的に参加する自然学習やボランティア活動の場を提供すること、こういったことは子どもたちの心の育成のために大変重要なことであると認識してございます。

○大山委員 大変重要なことだということですから、本当に全都の子どもたちにこれをきちんと提供していきたいということだと思います。本当にこれは重要なこと、心の育成のために大変重要なことだということですね。ますます役割は大きくなってくるというふうに思っています。
 同時に、都民の自然保護だとか、環境を守る、都民の関心が高いわけですけれども、自然を楽しみ、自然を学び、体験する機会と場を提供できる、都立の博物館としての充実が求められていると思いますけれども、どうでしょう。

○嶋津生涯学習部長 自然や環境を保護し、自然と触れ合う機会や場を提供することは必要なことだとはもちろん考えてございます。ただ、高尾の自然科学博物館につきましては、高尾山の自然を背景に持つ地域性が強いということ、あるいは小規模な博物館である、そういう制約がございます。そのことを踏まえまして、今後そのあり方について検討を行っているところでございます。

○大山委員 さっきから地域性で八王子のことを強調していますけれども、八王子の方だけが利用しているんじゃなくて、もっともっと、こんなことをやっているんです、あんなことをやっているんです、それから高尾山口のところに看板が出たようですけれども、もっと知られれば、本当に都民のものとして、地域性が、一つの地域のものだけじゃないという、全都的な広域的なものなんだというのは、高尾山という場所からいってもいえると思いますし、今利用している人たちの割合からいったって、それは一地域のものじゃないというのは明らかだというふうに思っています。
 それで、小規模だからというんだったら、むしろ今大切な役割を果たしているということが確認されているわけですから、きちんと拡充する方向こそやっていくべきだと思いますし、教育庁みずからが評価したことに自信を持って、ぜひ拡充していく方向で頑張っていってもらいたいというふうに思っています。
 以上です。

○馬場委員長 ほかにありませんか。--発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬場委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時五十一分散会

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