副委員長 | 織田 拓郎君 |
高橋かずみ君 | |
初鹿 明博君 | |
山口 文江君 | |
三宅 茂樹君 | |
清水ひで子君 | |
星野 篤功君 | |
尾崎 正一君 |
欠席委員 二名
出席説明員多摩都市整備本部 | 本部長 | 石河 信一君 |
建設監 | 勝田 三良君 | |
管理部長 | 長野 宏君 | |
事業企画担当部長 | 二ノ宮 博君 | |
建設計画部長 | 山崎 俊一君 | |
産業労働局 | 局長 | 浪越 勝海君 |
総務部長 | 飯山 幸雄君 | |
同和対策担当部長 | 坂爪 正二君 | |
参事 | 百合 一郎君 | |
産業政策部長 | 樋口 勉君 | |
参事 | 帆刈 祥弘君 | |
参事 | 鈴木 房男君 | |
商工部長 | 大原 正行君 | |
参事 | 中村 晶晴君 | |
参事 | 橋本 直紀君 | |
農林水産部長 | 矢口 貴行君 | |
参事 | 和田 敏明君 | |
労働部長 | 渡邉 泰弘君 | |
雇用就業推進担当部長 | 友繁 佳明君 | |
労働調整担当部長 | 高橋 勝君 |
本日の会議に付した事件
平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
多摩都市整備本部関係
・一般会計決算(質疑)
・新住宅市街地開発事業会計決算(質疑)
・相原小山開発事業会計決算(質疑)
産業労働局関係
・一般会計決算(質疑)
・中小企業近代化資金助成会計決算(質疑)
・農業改良資金助成会計決算(質疑)
・林業改善資金助成会計決算(質疑)
・沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
○織田副委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第三分科会を開会いたします。
議事に入る前に申し上げます。
東野分科会委員長及び吉野分科会副委員長から、所用のため本日の分科会に出席できない旨の申し出がありましたので、私が分科会委員長の職務を代行させていただきます。よろしくお願いいたします。
次に、委員の所属変更について申し上げます。
各会計決算特別委員長から、十月二十二日付をもって丸茂議員が本分科会から第二分科会に変更になり、新たに清水議員が第二分科会から本分科会に所属変更になった旨の通知がありましたので、ご報告いたします。
なお、議席につきましては、ただいまご着席のとおりとさせていただきますので、ご了承願います。
本日は、多摩都市整備本部及び産業労働局関係の決算に対する質疑を行います。よろしくお願いいたします。
これより多摩都市整備本部関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十二年度東京都一般会計決算中、多摩都市整備本部所管分及び平成十二年度東京都新住宅市街地開発事業会計決算及び平成十二年度東京都相原小山開発事業会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○長野管理部長 去る十月十日の当分科会におきましてご要求のありました資料についてご説明を申し上げます。
お手元の資料をごらんいただきたいと存じます。表紙をお開きいただきますと、資料の目次がございます。
初めに、次の一ページをお開き願います。多摩ニュータウン事業の居住人口、事業費の計画と実際の推移との比較についてでございます。
1の居住人口の推移では、昭和四十年度の当初計画から、その後、計画を変更した年度の計画人口、居住人口及び計画変更の理由について記載しております。
表にありますように、平成十二年度は、計画人口三十四万二千人に対しまして、居住人口は十八万九千人となっております。
2の表は事業費の推移ですが、(1)が新住宅市街地開発事業で、(2)が相原・小山土地区画整理事業でございます。当初計画から主な年度の施行面積、事業期間、資金計画及び実績累計について、それぞれ記載しております。
表にありますように、平成十二年度末において、新住宅市街地開発事業は、資金計画四千九百二十六億円に対しまして、実績累計は四千六百十八億円、また、相原・小山土地区画整理事業は、資金計画七百八十八億円に対しまして、実績累計は六百七十七億円となっております。
次に、二ページをお開き願います。多摩ニュータウン事業における宅地の処分済み面積、未処分面積及び処分計画についてでございます。
この表は、新住宅市街地開発事業及び相原・小山土地区画整理事業別に、上段にございます処分対象面積に対しまして、処分済み面積、未処分面積を表示し、一番下の欄に今後の処分計画を年平均でそれぞれ記載しております。
表の右側の合計欄にありますように、四百八十七・五ヘクタールの処分対象面積に対しまして、処分済み面積は三百三十六・五ヘクタールで、未処分面積は百五十一ヘクタールでございます。
以上でご要求のありました資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○織田副委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○清水委員 多摩ニュータウンについては、これまで長年、公団や公社などの公的住宅が建設されてきました。しかし、公団が分譲住宅から撤退したことなどによって、ここ数年、公的住宅の供給から、民間企業が住宅建設の主体となっています。そのために、各方面にさまざまな影響が出ています。地元の業者の発注なども、これまでと大きな変更があって、発注が少なくなったという声も多々聞くようになりました。
そうした中で、最近、多摩ニュータウンの八王子市区域内で、高層マンションの建設計画をめぐって、事業者、そして周辺住民とさまざまな問題が起こり、一般新聞の多摩版には、何回もこの住民と事業者の問題が取り上げられ、地元の新聞にも取り上げられるというふうになってきております。なぜこのような問題が起こっているのか、多摩本部の所見を伺います。
○山崎建設計画部長 多摩ニュータウンについてのお話でございますが、多摩ニュータウンにおきます大規模な民間の集合住宅につきましては、既に平成十年度から八王子市内で分譲が始まってございます。ご指摘のありましたトラブルの事例につきましては、都立大学の周辺ですとか南大沢駅周辺での集合住宅の建設に伴うものでございます。
これらにつきましては、建設場所が既成市街地との境界にありましたり、また、計画が高層のものであるというようなことによりまして、周辺の住民が、日照問題ですとか圧迫感ですとか、そういうことを懸念して生じていると、こういうふうに認識しております。
○清水委員 いろいろと伺いたいところですけれども、今回は地域も限定されている問題でもありますので、これ以上、その内容については、お聞きするということはしません。今の説明で十分に内容がおわかりになったかどうかわかりませんけれども、多摩ニュータウンの事業というのは、地元の住民が、当時は一坪五千円で畑や丘陵地を手放して、東京都の住宅建設に協力するんだということで進められてきていました。ですから、住民の中には、持っていた畑を売り、丘陵地を売り、長い間耕してきた畑を売ったということで、今でも、高層マンションができている中で、地元のお年寄りなんかは、その地域を見ながら、うちはここに畑があったんだよと語っている姿も見られることが多々あります。
そういう中で、今、問題が起こっているのは、そうやって手放してきた土地、そこに地元の住民が、例えば十四階建てのマンションが自分の目の前に、六メートルの道路を隔てたところにできるというふうになれば、これはとても黙っていられないというのは当然だと思うんですね。それで、民間の用地を民間が開発するということに対しては、住民は、やはりそれはもう仕方のないことだというふうに思うかもしれませんが、東京都が行ってきた開発の中で、しかも、自分たちが、安い、坪五千円で売ったところに、自分たちに被害を与えられるような高層マンションができるということに対して、これは納得できないということが、一カ所、二カ所、そして三カ所あたりで起こっているところです。
そういう問題については、そうした周辺住民ともいろいろ話し合いを重ねていただいているところですけれども、ニュータウンの新しい住民というのは、ニュータウンが大変緑豊かで、景観もよくて、整っているまちだということで移ってこられた方もたくさんあります。ところが、買った目の前に、自分の高さよりも高いマンションが建って、景観が損なわれたということで、転居された方もいると聞いています。こういう状態では、多摩ニュータウン自身のすぐれた住環境が本当に保てるかどうかということも危惧しているところです。ニュータウンのすぐれた住環境を守り、住みよいまち、当初予定していたそういうまちにしていくために、本部はどのようなことを行っていこうとしているのか、伺います。
○山崎建設計画部長 この間、住宅供給のあり方ですとか、まちづくりの進め方等につきまして、地元関係市ともいろいろ協議、話し合いを続けてきております。
今後とも、ニュータウンを住みよいまちにしていくためには、住宅建設において、それぞれの地区の環境条件ですとか地域特性に配慮したまちづくりにしていくという必要性については、重々認識しております。
このため、民間事業者への宅地販売に当たりましては、事前に地元市と建設条件について協議を十分行う、また、周辺住民に対しても必要な情報を提供する、こういう進め方のルール化を図りまして、それにのっとって、手順を尽くして進めていきたいと考えております。
○清水委員 今いただきました資料では、未処分面積ということで、まだ百数ヘクタール残っています。現在残っているところだけでも、大変大きな問題になっているわけなんです。都市計画局でも、都市計画変更で、何度か私もこの間質問してきたのですけれども、学校用地を計画していたところが、学校を建設しないという都市計画変更を出されてきたんですけれども、実は、その場所というのは、まだ多摩ニュータウンの中でも大変豊かな緑地が残っている谷戸だったり、丘陵地だったりするわけなんです。
そこが、学校建設がなくなったということで、じゃどうするかというと、宅地販売のために造成をするということで、それだったら、そのまま、せっかく残っている緑地なんだから、残しておいたらどうかというようなことを、都市計画局でも、都市計画変更の際に、最近の計画に当たっては発言したところです。やはり私は、今、未処分地をすべて販売をするということには、大変疑問があります。
そういう意味では、やはりその開発をしている状態の中で、何でもどこでも全部売るんだ、そういうことではなくて、周辺の住民の問題、それから緑の問題、地形の問題、そういうことも考えながらいっていっていただきたいというふうに思います。
現在起こっている問題については、十分に住民の声を聞きながら対応していただきたいということを要望して、終わります。
○織田副委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○織田副委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で多摩都市整備本部関係を終わります。
○織田副委員長 これより産業労働局関係に入ります。
決算の審査を行います。
平成十二年度東京都一般会計決算中、産業労働局所管分及び平成十二年度東京都中小企業近代化資金助成会計決算及び平成十二年度東京都農業改良資金助成会計決算及び平成十二年度東京都林業改善資金助成会計決算及び平成十二年度東京都沿岸漁業改善資金助成会計決算を一括して議題といたします。
本件につきましては、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○飯山総務部長 去る十月十五日の当委員会で要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料の二枚目の目次をお開き願いたいと存じます。要求のございました資料は、全部で四項目でございます。順次ご説明申し上げます。
まず、一ページをお開きいただきたいと存じます。中小企業金融安定化特別保証制度の利用実績でございます。
本制度は、平成十年十月から受け付けを開始いたしました事業でございます。
利用実績を十年十月から月ごとに、十三年三月まで記載してございます。
平成十二年度の実績といたしましては、表の下から二段目にございますように、保証申込件数は十一万七千七百三十件、金額は二兆九千五百四十二億二千四百万円で、このうち保証実績は十万一千五百九十六件、金額は一兆六千九百七十五億六千九百万円でございます。
次に、二ページをごらんいただきたいと存じます。二ページから次の三ページは、中小企業制度融資の実績及び代位弁済の推移でございます。
表頭にございますように、平成三年度から平成十二年度までの十年間の融資実績を記載してございます。
融資実績は、下の合計欄にございますように、平成四年度の二兆八千五百三十九億円を境に減少傾向にございます。
最下段の代位弁済につきましては、平成六年度以降、七百億円を超える実績となっておりますが、平成十年度は特に多く、九百億円を超える額となっております。
次に、四ページをごらんいただきたいと存じます。業種別海外生産比率の推移でございまして、平成十二年度は見込み数値となっております。
平成十二年度は、過去同様に輸送機械の比率が最も高く、製造業全体では一四・五%となっております。
次に、五ページをごらんいただきたいと存じます。元気を出せ商店街事業の実績の推移でございます。
平成十二年度は、前年度に対しまして、件数は、申し込み、実績とも増加しておりますが、金額は、申し込み、実績とも減少しております。
以上、大変雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○織田副委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
発言を願います。
○高橋委員 私から商工業の振興についてお伺いしたいと思います。
地域産業の振興を強力に推進していくことは、単に産業振興の観点からだけではなく、地域社会そのものの活力を高めるという観点からも、極めて重要なことだと認識しております。私は、これまで、地元の商工振興につきましては懸命に取り組んでまいりましたが、東京都という面積だけでなく、財政規模においても、大きなフィールドから、さらなる効果的な施策の展開に取り組み、全国へ発信できる行政施策の構築に、今後、全力を傾注して貢献していきたいと思っております。
そこで、最初に、平成十二年度東京都一般会計決算説明書の中で、地域産業の振興を図るために要する経費は、商工費の中の構造変化対応支援費に当たると思いますが、その中で、会社を新たに起こしたり、新技術の開発などの支援は、低迷する経済の立て直し策として、あるいはまた深刻な雇用状況の打開策として、大きな期待が寄せられているところと思います。
そこで、創業について、具体的にどのような事業に取り組まれてきたのか、まずお伺いしたいと思います。
○大原商工部長 新たな産業分野へ進出する意欲的な起業家の支援は、東京の産業の活性化と雇用の促進を図るために極めて重要であると考えております。平成十二年度におきましては、TOKYO起業塾におきまして、創業に関する相談やセミナーの開催をいたしましたほかに、創業支援機構の整備による創業の場の提供や、あるいは融資制度の充実など、創業支援策に取り組んできたところでございます。
○高橋委員 そこで、次にお伺いいたしますけれども、新たな技術の開発やアイデアの具体策を進めるためには、それ相当の資金が必要であります。しかし、創業間もない中小企業に十分な資金の余力があるかといえば、極めてまれであると思っております。したがって、創業支援というのは、公的支援がどうしても必要な分野といわざるを得ないと思っております。ソフトとハードの両面からの取り組みが、今、求められておりますけれども、ソフトの中心である資金の支援策にはどのようなものがあるのか、お伺いいたします。
○大原商工部長 融資につきましては、創業者や創業間もない中小企業者などに低利な運転資金、設備資金を融資いたします創業支援融資を実施したところでございます。
また、新製品、新技術等により創業または事業化に必要な経費の一部を助成する制度といたしまして、創業支援助成や、あるいは創造的技術開発助成を実施しているところでございます。
○高橋委員 そこで、今、ソフトの関係のお話をお伺いいたしましたけれども、ハードの中心である創業支援策の整備はどのようになっているのかを伺います。
○大原商工部長 平成八年度に臨海副都心にございますタイム二十四ビル及び東京ファッションタウンビル内に整備をいたしました創業支援施設を、十二年度においても引き続き低廉な家賃で提供したところでございます。
また、都の空き庁舎を利用した無料の創業支援施設といたしまして、平成十二年度は、旧都立繊維工業試験場江東分場のビルを改造いたしまして、「ベンチャー・SUMIDA」という施設を開設したところでございます。
なお、今年度は、都立産業技術研究所八王子分室を改造いたしましたベンチャー八王子、仮称でございますが、これと、旧東京都職業能力開発研修所を改造いたしましたベンチャー神田、これも仮称でございますが、この設置を計画しているところでございます。
○高橋委員 そこで、創業支援施設には、今の空き庁舎の利用もされているということでありますけれども、施設の有効利用ということからも大変結構なことだと思っております。しかし、その立地が商業地などの業務用地ばかりであることには、視点を転じることも必要ではないかと思うんであります。特に大規模な集合住宅においては、同年代の方の入居が多く、ある時点から一斉に高齢化し、空き家がふえて、どちらかというとゴーストタウン化するのではないかと心配もしておりますし、決してその言葉はオーバーではないと思っておるのが私は現状だと思っております。一方で、少子化の影響で、幼稚園や保育園も含めてですけれども、学校などの公的施設の廃止は、住宅地にも拡大していく傾向にあると思っております。
そうしたときに、どうやって地域の活力を生み出していくか、さまざまな方策が検討されていることは承知しておりますけれども、私は、産業を呼び込むことによって、地域おこしも有力な方策であると考えております。生活に密着しながら、無公害で、環境に配慮した技術の研究、そして、開発を主とするベンチャー企業を対象とした創業支援施設の設置は、新たな道を切り開くことになるんではないかと思っております。
そのような観点から、大規模団地や住宅地などの、これまで産業立地を余り考えていなかった地域における創業支援の設置についても考えていくべきだと思うんでありますけれども、いかがでしょうか。
○大原商工部長 大規模団地あるいは住宅地における空き施設を利用した創業支援施設の設置につきましては、用途地域の指定の状況ですとか、あるいは地元区市町村の方針にもよりますが、都と区市町村の役割分担も踏まえまして、地域の特性を生かした地域産業の活性化を図る方策の一つとして有効なものであるというふうに考えております。
○高橋委員 今の私の質問は、先日ご指導いただいたんですけれども、創業支援施設の入居案内というのを見させていただいたんですけれども、どうしてもそのようなことを感じましたので、ご提案させていただきました。ぜひその辺を慎重に、また的確に、前向きにご検討していただきたいと思っております。
そこで、最後に、新たな技術開発というのは、どうしたってやっぱり失敗の積み重ねの中から生まれてくるものであると私は思います。行政も例外ではないと思います。でありますので、地域に合った創業支援策をぜひ重ねて検討していただくようお願い申し上げ、今後の創業支援策の方向をぜひ局長から決意を聞かせていただきまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
○浪越産業労働局長 東京の産業の活性化や雇用の創出を図る上で、創業の促進を図ることは、お話しのとおり、ぜひとも必要なことと考えてございます。東京の産業が経済環境の変化に対応して発展していくためには、東京の産業の集積や多様な消費者ニーズなど、東京の特性を活用し、新しい分野へ進出する意欲的な起業家の活動が強く求められております。
このため、都市型産業の新規創出や企業化の促進に向けて、新規創業者などへの創業の場の提供や補助、融資制度などの助成制度を拡充、さらには総合相談窓口の開設や人材育成あるいは技術指導、あるいは交流機会の創出など、ハード、ソフト両面から、さまざまの角度から取り組んでいるところでございます。
また、最近では、施設の設置に対する国の補助制度の創設や、千代田区あるいは墨田区、三鷹市などの区市を初めとして、独自に創業支援施設を設置するなどの動きも見られます。
そういうふうなことで、今後とも、創業の支援につきましては、都として地域の実情に精通しました区市町村と連携を図りながら、東京都における産業振興の重点課題として、全力を挙げて取り組んでいきたいと、そのように考えております。
○初鹿委員 九〇年代は失われた十年といわれていますように、非常に景気が低迷をして、バブル崩壊から十年以上、なかなか景気が回復してこない、そんな時代だったと感じております。そうした中で、デフレスパイラルというものが目前の、実際の問題となっているさなかで、ことし九月には、アメリカであの恐ろしいテロ事件が起こり、この先、経済はどうなっていくんだろうか、本当に日本人だけじゃなく世界じゅうの深刻な課題になっているなと感じているところであります。
また、我が国では、狂牛病の問題も出ており、非常に深刻な状況が続いているなと、そんなふうに考えているわけでありますが、私たち民主党という党としての立場でいいますと、一生懸命働いている、汗を流している、そういう人たちが報われる社会をつくっていくということが、党としての目標でありますし、私の議員としての目的でもあると感じております。当然、政治家すべてにわたって共通の課題だと思いますが、この都議会でも、各会派、違わない目標であると、そういうふうに考えております。特に今の景気の低迷を考えると、中小企業に対する対策というものが非常に重要であるなというふうに考えております。雇用の八割を中小企業で賄っているという状況を考えますと、中小企業に対する施策というものを何よりも優先して強化していかなければならない、そういう認識に立って、きょうは何点か質問をさせていただきます。
繰り返しになりますが、今、非常に景気が厳しい状況にありまして、各中小企業は本当に苦しい経営を強いられております。しかし、だからといって、我々東京都を初めとして行政の側も、無尽蔵に財政の余裕があるわけではないということを考えますと、当然、中小企業に対する施策というものも、ある程度重点化を図っていかなければならないのではないか、そう考えるところでありまして、無定見なばらまきの対策ではなくて、しっかりこれからの、未来の経済というものを活性化していく、そういうものに貢献できる施策というものを優先にしていくべきではないかなと考えております。
先日説明をいただきました決算書を見ますと、業種別振興対策費というのでしょうか、これに対して幾つか事業がございますが、この中で、特に今後力を入れていくというのでしょうか、大きく期待ができる、そういった事業はどれになるんでしょうか。
○大原商工部長 業種別の振興対策といたしまして、平成十二年度には十の事業を実施させていただいたところでございます。私ども、いずれも重要な施策でございまして、軽重をつけるというのはなかなか難しいというふうにも考えておるんですが、あえて申しますと、経営革新支援事業が今後期待されるのではないかというふうに考えております。
この事業は、業種別組合等を通じました対策の有効性が低下等をいたしまして、それに伴って創設されたものでございまして、経済的環境の変化に即応いたしまして中小企業が行う経営刷新を支援することによりまして、中小企業の創意ある向上発展を図ることを目的としているものでございます。都といたしましても、重要な中小企業支援策として実施をしているところでございます。
○初鹿委員 国の中小企業対策は、中小企業基本法の制定から大きく変わったといわれております。これまでの経済の二重構造を構成する中小企業の下支えをするという--中小企業は、どちらかというと、弱者として見て支えていこうという施策から、大企業に負けない意欲と技術を持っているすぐれた中小企業というものがたくさん日本にはあるわけですから、こういった頑張っている、高い技術を持っている中小企業の自助努力を応援しようという、そういう施策へ転換がされてきているというふうに私も聞いております。
ところで、今ご紹介いただきました経営革新法に基づく経営革新支援事業でございますが、実際には必ずしもうまく機能していないんではないかなというように感じているところでありまして、特に決算書を見ますと、執行率が五五・七%と、非常に低いんですね。今、これが今後非常に期待ができる事業だというお答えをしていただいた割には、非常に執行率が低いなというふうに感じるところでありますが、その原因というのは何なんでしょうか、お伺いいたします。
○大原商工部長 経営革新支援事業でございますが、これは東京都から経営革新計画の承認を受けた中小企業者を対象にいたしまして、新商品あるいは新技術の開発等に要する経費について、二千万円を限度に補助をするものでございまして、補助対象事業費全体の三分の一を国、三分の一を都、残りの三分の一を中小企業者自身が負担することになっているものでございます。
ご指摘のように、平成十二年度につきましては執行率が低かったわけでございますが、これは、平成十二年度はこの補助事業実施の初年度でございまして、補助対象事業の精査ですとか、あるいは国との調整に時間を要しまして、補助対象である事業の実施期間が短くなったという事情がございます。その結果として執行額に影響が出たものでございます。
今後は、こうした経緯を踏まえまして、実効性の確保、効率性に努めてまいります。
○初鹿委員 掲げる目標がどんなに高くても、現実のものとならないと、やはり絵にかいたもちであるといわざるを得ないわけでありまして、国の補助事業であるからといって、やはり十分に機能させるような工夫や努力というものを東京都みずからが行っていくことが必要ではないかな、そう感じるところであります。
私がそこで問題にしたい点は、せっかく経営革新事業という認定を受けたにもかかわらず、実際には融資や補助制度上のうたっている恩恵というものが十分ではないのではないかな、そんなふうに感じているところでございます。
実は、先日も私のところに、この認定を受けたという企業の方が相談に来られて、お話をしていたんですが、いざ認定を受けて金融機関の方に融資の申し込みに行った、そうしたら、担当の窓口が、いまいちその制度というものを理解していなかった、というよりも、はっきりいって制度自体を知らなかったというんですね。金融機関に、経営革新法の認定を受けて、これで特別な融資がもらえるんではないかという期待を持って行った中小企業の方が、やはりそこで金融機関の方の対応がそうなってしまうと、何だったんだろうな、せっかく認定を受けたのに、これは何だったんだというふうに思うわけであります。実際に、都はどういう形で金融機関に対して制度の周知徹底というものを行っているのか、お答えをいただきたいんです。
○大原商工部長 経営革新支援事業におきまして、経営革新計画の承認を受けました中小企業の新たな取り組みに対して、補助金に加えまして融資などの支援措置が講じられているものでございます。こうした支援措置は、関係行政機関を初めとして、政府系の金融機関、信用保証協会などの支援機関ごとに実施をされますことから、相互に緊密な連携を図りつつ、中小企業の経営革新を円滑に支援することとしているところでございます。特に融資に関しましては、都から直接金融機関に対しまして、中小企業の経営革新計画の内容とともに、その要望を連絡するなどの措置を講じているところでございます。
ご指摘のような金融機関が制度自体を知らなかったというような事態は、極めて残念なことでございまして、今後とも融資を申し込まれる方々に不都合が生じないように、関係機関との連携をより一層緊密にいたしまして、中小企業の経営革新の支援が確実に実施をされますよう努めてまいりたいと考えております。
○初鹿委員 ぜひ都の責任としてこういう漏れがないように実行していただきたいと思うところであります。確かに、私も経営革新計画にかかわる承認の申請書のコピーを持っているんですが、それによりますと、都からちゃんと各金融機関に対して、認定を受けたということを連絡するというようなことが書いてあるわけですが、それを持っていって、ないとなると、やっぱりがっかりしてしまうんだなというふうに感じるわけですから、ここは周知徹底を図っていただきたいとお願いをいたします。
さらに、問題が一点ありまして、それはどういったことかと申し上げますと、認定を受けても、中小企業信用保証法の定める別枠の追加融資を受けられないという事態が生じていると。私も、ばらまきにつながるような助成策には賛成しかねると先ほども申し上げましたが、こういうきちんとした制度の中の話で、大いに期待が持てる事業として、経営革新の認定をしているにもかかわらず、実際には融資が受けられないということになったら、大きく期待をする事業というものの名が泣くなということになるんではないかなと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
○橋本参事 融資の審査は、保証協会や金融機関が行うものでございます。一般的に企業の財務内容、売上高や返済能力など、総合的に勘案して融資の決定が行われるために、場合によってはご指摘のようなケースもあり得るかと存じております。しかしながら、中小企業が経営革新支援法の認定を受けることにより、中小企業信用保険法の別枠保証の利用が可能となるわけでございまして、多くの中小企業にとっては、融資を利用する機会が拡大しているものと考えております。
○初鹿委員 ぜひそういう方向で融資もしっかり受けられると。
あと一つ、これはお願いなんですが、やはり申し込みを行った時点で、各企業に対して、こういう支援策があるよ、税制の優遇もあるんだよ、どういうメニューがあるのかということを、受け付けの段階でしっかり説明をして、相手にも理解をしてもらうような努力をぜひ図っていただきたいというふうに考えるところであります。
ところで、話は金融支援の全般についてに変えさせていただきますが、制度融資がやはり、中小企業対策という中では、予算、支出とも大変大きな金額になっておりまして、金融事業費の支出済額は約二千七百億円となっておりまして、そのうちの九〇%以上がいわゆる制度融資に使われております。
そこでお伺いいたしますが、先ほども資料を出していただきましたが、制度融資の特徴というものをぜひ説明していただきたいと思います。
○橋本参事 平成十二年度は、引き続く景気の低迷による企業業績の悪化を背景といたしまして、創業支援融資等が伸び悩んだところでございます。しかし、経営安定支援資金融資や長期事業資金といったセーフティーネット型や、あるいは一般型の資金に需要が多かったことが特徴でございます。
ちなみに、制度融資全体では、融資目標額一兆三千百億円に対しまして、実績一兆七千八百八十六億円となりました。目標達成率は一三六・五%となったということでございます。
○初鹿委員 こういう厳しい経済状況でありますから、仕方がないところではないかなと思いますが、先ほどの高橋委員の質問の中でもございましたが、創業に対する融資というものが非常に低調であるのが気がかりであります。
十二年度ですと、千三百九十件ということで、全体からしますと一%に満たないということでありますね。非常に創業に対する支援というものが、額が少ないんではないかな、件数が少ないんではないかなと思うわけでありますが、東京の産業の活性化を進めるに当たって、やはり新たに事業を起こすという、この創業支援というものをしっかりと支えていく必要があり、そういう意味で、金融面からも推し進めていく新たなしっかりとした融資の制度というものの充実を図るべきだと考えるところでありますが、いかがでしょうか。
○橋本参事 東京都は、創業等を積極的に支援していくことが産業の活性化のためにぜひとも必要であると認識しております。このため、本年十月一日にスタートいたしましたが、創業支援融資の融資対象を、旧来、創業後一年だったものを、創業後三年まで拡大したところでございます。今後とも、創業の積極的な支援に努めてまいりたいと存じます。
○初鹿委員 ぜひとも、この厳しい状況でありますが、十分に創業支援というものを行っていただきたいと考えるところであります。先ほどの高橋委員の質問と重なるところがありますので、最後、ご答弁は結構でございますが、ぜひともこれからの二十一世紀というものをしっかり考えて、将来性の高い事業とかベンチャーに対する支援策というものをより充実させていただきたいと考えるところでありますので、それだけつけ加えて私の質問を終わらせていただきます。
〔織田副委員長退席、山口委員着席〕
○織田委員 私は、二点ほど質問をさせていただきます。
一つは、林業の振興という点についてご質問をいたします。
最近、森林の価値というのが大幅に見直されてきていることは、ご承知のとおりだろうと思います。一つは、森林の持つ環境面からの意義であります。地球環境の問題を考えると、やはり二酸化炭素を吸収していく、あるいはまた、水源林として国土の保全に役に立つというような役割が、従来にも増して強まっているわけでありますけれども、もともと山の手入れ、山の保全というのは、適切な林業がきちんと栄えていって初めてできるんだろうというふうに思います。公費を使って山の手入れをすると、莫大な経費がかかるわけでありますから、そこに産業として成り立ち得るような、そういうことに配慮を十分していかなければ、山の保全というものはなかなかできるものではないというようなことを、最近いろいろなところへ行って実感しているわけでございます。
しかしながら、山の保全のために欠かせない林業というものが、大変低迷をしているというのが現状であろうというふうに思います。そうしたことから、東京における木材の生産量、生産額、それから、杉あるいはまたヒノキの価格、現状どのようになっているのか、まずお伺いいたします。
○矢口農林水産部長 東京におきます木材の生産量などについてでございますが、平成十一年度の木材生産量は一万九千立方メートル、その生産額は三億八千八百万円でございます。
また、杉の価格は一立方メートル当たり四千円、ヒノキの価格は一万七千円でございます。
これを五年前の平成六年度と比べますと、生産量は約五割に、生産額は約四割に減少し、また、杉の価格は約四割に、ヒノキは約七割に低下してございます。
○織田委員 平成六年あたりと比べると、低落の様子というのが甚だしいものが実はあるように思います。こうした林業を振興するということで、東京都においても幾つかの施策を行っているわけでございます。決算の説明書によりますと、林産業の振興のうち、林業生産流通対策、こういったことに約三億七千万円を支出しているわけでありますけれども、具体的にこれはどのような対策を講じてきたのか、その内容を若干ご紹介いただきます。
○矢口農林水産部長 平成十二年度の木材生産流通対策の内容についてでございますが、木材市場を運営する事業者に対します貸し付けや製材業者に対する利子助成を行う事業として一億五千八百万円、林業生産を進めるための林業構造改善事業で六千万円、健全な森林管理のための分収林事業の推進で三千四百万円、木材利用普及啓発事業で一千万円などの各事業を実施してまいりました。
○織田委員 今、お伺いをしてきましたわけですが、木材市場に対する貸し付け、あるいは製材業者に対する貸し付けの際の利子補給というような事業、極めて側面的な支援ということなんだろうと思います。ところが、現在の状況というものを考えてみると、そういったものだけで果たして十分なんだろうかというのが率直な感想でございます。林業なり、山を持って、木を植えて、切り出して、そして、それをなりわいにして、また再投資に向かっていくというようなことを動かしていくには、もっと経済的に十分ペイできる、そういう仕組みを考えてあげるというか、そういうことを組み込んでいくということがなければ、大変厳しい状態になろうかと思うんです。特に需要サイドですね。ここ数年の経済の流れをずっと見ていますと、私もマンションの中に住んでいるんですけれども、やっぱり木材というのが使われた家がなかなか建ちにくい状況になっている。共同住宅も、昔は和室なんて結構あったんですけれども、だんだん和室が少なくなって、今は、和室なんかは、3LDK、4LDKのところでも一つぐらいあればいいと。大変木が使われなくなってきたような気がいたします。
そういう意味で、木材の需要をしっかりと掘り起こしていくような施策とか、そういったさまざまな、もっとインパクトのある、あるいはまた将来につながっていくような施策が私は必要なんだろうというふうに思っているわけです。そういうものがあって初めて、東京の森を林業として、産業として存続させる、継続させるということが可能になってくるような気がいたします。
そこで、例えば、東京の木を利用した住宅建設というものが何とかできないものなのかというような思いがするわけですが、現在、東京都内にそういった取り組みの仕方をやっているような例はあるんでしょうか。その辺、あればお聞かせいただきたいと思います。
○矢口農林水産部長 東京の木で住宅の建設を進めている都内の取り組みについてでございますが、一つには、東京の木で家を造る会の活動がございます。この会は、多摩地域の林業者や製材業者を初めとしまして、工務店、建築家、都民が一体となって、平成八年から、東京の木を使った木造の家づくりに取り組んでおります。
また、生活協同組合消費者住宅センターは、東京都森林組合連合会と協定を結びまして、森林組合連合会から木材の供給を受けまして、平成十年から東京の木を使った住宅づくりを進めております。
○織田委員 今、ご答弁にありましたように、東京の木で家を造る会、あるいはまた、生活協同組合消費者住宅センター等が行っているような活動、これは、東京の森林というと、主に多摩の森林、多摩産材ということになるわけですけれども、これは、東京の木を使っていただいて、多摩産材を使っていただいて初めて効果が出てくるわけでありますが、それを経済のベースに乗せていくための方法だろうと思うんですね、需要を喚起していくということは。これがないと、なかなか林業というのは再生をしてこない。
東京の森が--私、こういう問題を考えるときに大事だなと思う視点を一つ申し上げますと、これによって利益を受けるのは一体だれなんだろうかということなんですよ。山を持っているような人たちは、それぞれ境遇に違いはありましょうけれども、決して林業がなくなったから食えなくなるというわけじゃないと思います。この林業が衰退して、山が荒れて一番困るのは一体だれなんだという視点に立ちますと、これは災害がふえてきたりというようなことで、あるいはまた、地球環境といったような問題で、多くの都民、不特定多数の住民、都民全体、そういった方々が困る、そういう性質のものであろうと思います。ですから、山は、経済ベースに乗らなければ、どんどん廃業していくだけでありまして、これを何とかするということは、非常に公的な側面が強いということを、まず認識していただかなければならないんじゃないかというふうに思うんです。そうしたことから考えていきますと、この取り組みというのは、私は、もう少ししっかりとしたものがあってもいいのかなという気がしております。
先ほどの答弁にありましたように、こうした東京の木を使った住宅建設など、そうした多摩産材の利用、流通促進、そういうことをしていくために、東京都として、取り組みは、まさに私は一生懸命やってもらいたいというふうに思っているんですが、重要であると思いますけれども、都としてはどんな取り組みが大切だというふうに認識をされておるのか、お伺いしたいと思います。
○矢口農林水産部長 ご指摘いただきましたように、多摩産材を経済ベースに乗せ、多摩産材の利用促進を図るためには、第一には、東京の木であることの証明や、十分な品質を備えていること、第二には、多摩の林業家から生産される木材を製材、加工するルートを確立すること、第三には、多摩の木材を使う設計者、大工さん、あるいは工務店をネットワークすること、第四には、家を建てようとする方々に、多摩の木材、多摩の森林に愛着を持ってもらうことなどの環境づくりがぜひとも必要と考えております。
このため、都といたしましては、多摩産材を広くPRするための展示、販売拠点やネットワークの関係者や都民が広く交流できる拠点の整備などの取り組みが重要であると考えております。
○織田委員 今、お答えになっていただいたことは、私は非常に大事なことであると思います。やはりこういった環境に対する理解の深まりというのが出てきておりますので、今こそ、こういう意味では、経済的に流れていくような、そういう林業というものを考えていかなきゃいけませんし、今、お答えになりました東京の木であるということを証明する、多摩産材でありますよということがきちっとしたものになっていく。そしてまた、製材、あるいはまた流通のルート、加工のルート、こういったことも大切でありますし、何よりも、多摩には大工さんがいらっしゃって、棟梁さんがいらっしゃって、木を知り尽くしたような人がいて、この木はここに使えば適切なんだということをしっかりわかっていて、そういうものを上手に使って一つの良好な住宅を建てる、そのことが口伝えになって、それが広がっていくというような、まさに多摩の木を使う設計者、大工、工務店、そういったもののネットワーク、これは非常に大切な視点だと私は思いますので、ぜひこれを推進し、そしてまた、今お答えになったように、PRするための展示、販売拠点、そういったところへの支援、そういうものをぜひお願いしたいと思うわけであります。
しかしながら、最後に申し上げたいのは、林業が産業として成り立つためには、最低限ここは必要だというのは、要するに再投資です。今、杉が立米四千円で山から出てきている。その四千円で、それをまた一本、五十年の材をつくろうとするならば、単純な話、五十年間で分けて、五十分の一ずつ木を切り出していくという形になりますので、五十年間待たなきゃならない。その木を植えなきゃならない。その植える費用で、立米当たり四千円上がってきて、それができますか、できないです。こんな非効率的なことはできない。商売の原則からいうとできない。じゃ、それはどうするかというと、価格形成といいますか、価格の維持というか、それをまた納得してもらって買っていただくというようなことが大事だろうと思います。
私は、そういう意味では、木材のブランド化ということを考えていかなきゃいけないんではなかろうかというふうに思います。ブランドというのは、例えばエルメスなんかにしても、製造原価はどのぐらいあるのかわかりません、丁寧な仕事、いい製品ということもあるかもわかりませんが、この不況下でも買う人がいる。目の飛び出るような価格で買う人もいる。
木材の場合は、そこまでいかないかもしれませんが、せめて再投資ができるぐらいの価格維持、価格形成力というものを持っていかなければならないんだろうと私は思います。そういう意味では、東京都の多摩産材、こういうもののブランド化を、事業者と一体になって考えてしかるべきだと私は思います。東京都は、こうした観点からどんな支援ができるのか、見解を伺いたいと思います。
○矢口農林水産部長 ブランド化のお尋ねでございますが、近年、エコ商品あるいはグリーン商品といった、環境や健康に配慮した商品を選択する消費者の方々がふえてまいりました。住宅につきましても、価格のみにとらわれず、健康や環境といった面が評価されるようになってきております。地域の材を使うことは、環境に調和した循環型社会の構築に貢献し、森林、林業の振興に寄与することになります。
このような点に着目しまして、環境あるいはふるさと多摩などをセールスポイントとしたブランド化の方策につきまして、今後、森林、林業の方々や建築関係者の方々とともに検討してまいりたいと考えております。
○織田委員 ぜひ進めていただきたいと思います。
次に、職業訓練について伺いたい。特に、都立の技術専門校、この運営状況等についてお伺いしたいと思います。
ご承知のように、これだけの不況が続いております。失業率五%時代、こんな中で、自発的ではない、非自発的離職者が随分たくさん生じて、厳しい雇用情勢が続いているわけでありますが、なかなか再就職も難しいという状況をちまたでよく聞きます。収入面で折り合わない、これは当然だろうと思いますが、中高年になると、なかなか、ほとんどないというような状況、あるいは、ふと気がついてみたら何の資格もなかったというような形、さまざまな状況がありますけれども、大変再就職が厳しいという状況があります。
こうした状況を考えますと、私は、新しい職場、新しい仕事、新しい労働というものを得るために、スキルアップということがどうしても必要になってくるんだろうと思いますし、そうした技能を習得する場として、東京都が持っている技術専門校、この役割というのは、これまで以上に重要になってきているというふうに、私は認識いたしております。
この技術専門校、現状は一体どういうふうになっているのか、どの程度役割を果たしているのか、これは、やはり就職率というところに端的にあらわれているんだろうと思いますので、まず、平成十二年度の技術専門校の修了生、この就職率についてお伺いいたします。
○渡邉労働部長 お尋ねの平成十二年度の技術専門校修了生全体の就職率でございますが、七一%でございました。
ちなみに、平成七年度から十一年度までの五カ年の平均が五六%であり、それとの比較では一五ポイントの上昇、また、前年度との単年度比較でも一一ポイント増と、いずれも大幅に上昇しております。
なお、多少手前みそになりますが、そのことをお許しいただきますと、その一一ポイントの上昇要因として考えておりますのは、校におきまして、就職相談の充実ですとか、模擬面接を実施するとか、あるいは企業のPRを校内で実施していただくというようなことに加えまして、部と校とで連携いたしまして、十二年度には特に力を入れまして求人行脚をいたしました。旧来は年に一遍でございましたけれども、十二年度からは三回にこれを増加させて、六十事業主、団体に回っております。
もう一つは、インターンシップを本格的にやる前提として、試行拡大をいたしました。これらが効果を奏したかと思っております。
○織田委員 今、お話をお伺いして、ああ、随分頑張っていらっしゃるんだなと、率直に敬意を表したいと思いますし、今後も、また引き続きご努力をいただきたいというふうに思います。
就職率全体で、平成十二年度七一%、ここ数年でぐんとはね上がった、努力が実った、こういうお話でございますが、就職率が高い科目というのは、どのようなものがあるんでしょうか。
○渡邉労働部長 大変厳しい中でも就職率が高い科目がございまして、今、ご指摘がありましたけれども、その例といたしましては、品川校、亀戸校、赤羽校、足立校及び武蔵野校の五校で実施しております電気工事科、これが平均九四%の就職率でございます。
それに続きまして、品川、板橋、江戸川、八王子及び府中校、五校で行っております介護サービス科、この五校平均が就職率九二%で、これが一、二位でございます。
○織田委員 九割五分とか九割二分という就職率は、大変高率なものだというふうに思うわけですが、反面、高齢者になると、なかなか厳しいというふうに思うんですけれども、こちらの方の実績はどうなっていますでしょうか。
○渡邉労働部長 ただいまご指摘ございましたように、高年齢者の就職は大変厳しい状況が続いておりまして、我々としても大変もどかしい思いをしておりますけれども、高年齢者向け科目全体の就職率は、平成十二年度におきまして四九%になっております。
ただし、これは、過去と比較しますと、これも先ほど申し上げたような対策に力を入れた結果、平成十一年度との単年度比較だけで申し上げますと、七ポイント上昇した状況でございます。
○織田委員 こうした効率高いハイレベルの割合で就職ができるということは、非常に大切なことでありますが、一方、需要に見合った形でこういう科目設定がなされていれば、そういうことは自然の形で恐らくでき上がっていくんだろうというふうに思うわけであります。これだけ社会の変化が速いと、科目も十年一日のごとくやっていては陳腐化をするという形になりかねません。そうした観点から見ると、やはり常に時代のニーズに合った形での科目の開発、そして、受け入れ先である企業との連携、そういったことが非常に重要になってくるというふうに思うわけでございます。
昨年十一月には、国においてIT基本法が制定されまして、我が国のIT基本戦略の方向が決定された。我が党も今年の第一回定例会では、IT化に対応した職業能力開発の強化ということについて質問もしたわけでありますけれども、そうした急速なIT化の進展に対応するために、さまざまな訓練ニーズに応じた公共職業訓練、またITにかかわる専門的、体系的な職業能力の修得、これを図るための訓練というようなことも必要になってきているわけであります。しかも、そうしたITだって、もう数年たてば、恐らくその需要もかなりおさまってくるのかなと、一波終わって、違うところの需要がまた出てくるのかなというふうに思うわけであります。
したがって、時代に即応して変わっていく、そのことが僕は必要だと思うんですが、この技術専門校において、こういう科目の改廃、スクラップ・アンド・ビルドというのは、どのように行っているんだろうか、このことについて、まずお答えをお願いしたいと思います。
○渡邉労働部長 お尋ねの技術専門校におきます訓練科目の改廃については、ただいまご指摘のように大変重要であり、かつ、その時代のニーズにマッチしておりませんと、そのこと自体が大変回り道になってしまうということでございます。そのため、労働部におきましては、校と連携をとりながら、外部の専門家、例えば経営者、人事、研修の担当者、あるいは現場の高度熟練技能者などの方々の意見を伺ったり、また、応募や就職率などの実績を評価し、あるいは各種の人材ニーズ調査等に基づきまして、継続的にこれを行っているところでございます。
今、お話ございましたような、新規成長分野といわれているような分野に対する科目の新設というようなことにつきましては、特に力を入れております。今、お話がございましたITに限って申し上げれば、平成十二年度は、三十五歳以上の方を対象にしたパソコン実践といった科目を拡充するほか、緊急IT訓練としまして、二千人規模の委託訓練を実施したところでございます。
○織田委員 ちなみに、十二年度に検討して新たに開発したIT関連科目というのはあるんでしょうか。
○渡邉労働部長 これまでも、約四百八十人ぐらいの規模で、既にコースをIT関連科目でも置いておりましたが、十二年度では、それを二百人規模にふやして、さらに十三年度に向けては充実強化を図っているところでございますが、十二年度にIT科目の開発を行ったもので、本年四月、新規設置したものといたしましては、電子商取引に関する実務的知識と技能を習得するWebデザイン科といわれている科目や、サーバー機器等の設定技能等を習得するネットワーク構築科といわれているような科目を置いてございます。
○織田委員 ご努力はよくわかります。そこで、今後とも、こうした新しいニーズに対して、技術専門校、三カ月、六カ月、一年という非常に短期で技能を習得していただく、そしてまた労働市場に送り出していただく、こういう役割でございますので、これはスピードが命だろうと思います。まさに時代に合ったものを速やかに設置し、あるいは逆に、速やかに廃棄する、こういうことがダイナミックに運営できませんと、どうしても硬直化してしまうということでございますので、そういった点、十分にご要望をしたいというふうに思います。
最後に、一つ懸念をいたしますのは、ちょうど今から三十年、四十年前になりますけれども、日本の物づくりというものが飛躍的に大きく成長していく機縁になったのは、やはりまじめで、よく働いて、会社も休まない、こういうしっかりとした熟練工といいますか、そういった方々によって、日本の経済、物づくりというのはずっと支えられてきました。
最近、いろいろなところでお伺いすると、そういう日本経済を支えてきた方々が、今、陸続と定年退職をして、そして労働市場から去っていっているということを耳にします。単に伝統技術の世界ばかりではなくて、機械製造であるとかさまざまな物づくりの現場においては、そういった方々が果たしてきた役割、あるいはまた、そういった人たちが持っている仕事に対する気構え、心構えというものは、私は物づくりの一番基本的なものだろうというふうに思っております。そうしたものがだんだん消えていくのではないかということで、非常に危機感もありますし、寂しい思いもあります。
今、都が持っている技術専門校、あるいはまた、これは教育庁になるかもしれませんが、工業高校だとか、そういう物づくりというものを支えていくためのマンパワーを輩出するところというのは、今、逆に、物づくりが衰退局面というような形で、大変危機感にある中でこそ、やはり私は、十分に力を入れて、もう一遍再生をしていくための、東京都全体あるいは国全体かもわかりませんが、そういうものの努力をしていかなければならないというふうに思っているところであるわけです。これまで培われてきた高度熟練技能、この継承について、どういうふうに東京都はお考えになっているのかということ、これについて、まず一つ伺いたいと思います。まとめて伺います。
次に、例えば、こういう高度熟練技能の継承というものを考えていく際に、技術専門校が一定のきちっとした役割を果たしていけるようにしていったらいいなというふうに、私は思うわけでございます。
これは余談になりますけれども、きのう私の地元の板橋区で産業交流展というのがありまして、これは労働経済局の支援の中でやっているわけですけれども、そのオープニングセレモニーがあったわけです。そこへ行きましたら、板橋の技術専門校と北豊島工業高校との共同で、物づくりコンテストというのが出品をされておりました。それを見させていただいて、あるいはまた、さまざまなおもしろい提案や何だかんだというのがありましたけれども、物づくりの現場を支えるというのは、私はそういったところの地道な努力から起きてくるような気がしてなりません。そういったものを、どうか東京都でもしっかりとバックアップできるような、そういうことをやるべきではないかというふうに思っているわけでございます。
私、こういう考えを持っておりますが、これに対して局長の見解なり何なりをお聞かせいただければありがたいと思います。
これで私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
○浪越産業労働局長 物づくりを支えます高度熟練技能の継承についてのお話でございますけれども、ご指摘のとおり、高度熟練技能の継承は、都内の物づくり産業の維持発展のために、緊急かつ重要な課題でございます。
東京の物づくりは、多様な業種で構成をされ、高度な技術力を持つ中小企業とその集積が核となりまして、東京の活力を支え、都民の生活の向上に大きな役割を果たしているところでございます。
よくIT革命の話がございますが、IT革命が急速に進展している今日においても、物づくりの大切さは、減じるどころか一層増しているというふうにいわれておりまして、物づくりは東京の活力の源泉であり、それを支える技能の訓練あるいは技能の継承は、大変重要なことというふうに認識してございます。
このため、都では、技能尊重機運をより一層浸透させるとともに、技能者の社会的地位や技能水準の向上を図ることを目的といたしまして、東京都の優秀技能者に知事賞の贈呈を行っておりますし、また、都内の製造業及び建設業を中心とした中小企業などの技能者の確保や後継者の育成を図るために、高度熟練技能を有する者を東京都技能継承推進者に認定いたしまして、後継者育成活動に対する支援を行っているところでございます。
技術専門校のお話、いろいろございましたが、一つの施策といたしまして、今年度から、技術専門校での取り組みといたしまして、製造業における高度熟練技能の継承を図るために、中小企業や個々の企業の枠を超えて、地域で技能継承に取り組むための仕組みといたしまして、大田技術専門校に「東京ものづくり名工塾大田」を開設いたしました。
この「東京ものづくり名工塾大田」は、都立大田技術専門校を会場といたしまして、技術専門校の指導員だけではなくて、民間の技術士を塾長にいたしまして、また、民間の現役の高度熟練技能者をも講師に来ていただきまして、大田、品川地区の中小企業に勤める二十から三十代の青年技能者を対象として実施しているところでございます。
今後とも、私ども、こういうことは大変必要だろう、重要なことと考えておりまして、大田技術専門校以外の他の機械系の技術専門校においても、今後、拡大をしていきたいと、そのように考えてございます。
〔山口委員退席、織田副委員長着席〕
○清水委員 前議員との関連がありますので、私は先に農林業の方について伺いたいと思います。
十二年の中で行われた農林業の問題としては、七月に東京都産業振興ビジョンが策定されましたが、この中で、今後の農業振興の基本的な方向が打ち出されているというふうに思います。
さらに、同じ年、七月には、東京都農林漁業振興対策審議会から、二十一世紀の東京農業が果たすべき役割と振興の方向についての答申がありました。そして、この答申では、都民の豊かで快適な暮らしに貢献する東京農業の創造や、産業として魅力ある東京農業の展開などを基本的に振興方向としようとしております。
これらのビジョンを受けての具体化は、もちろん十二年度だけではなくて、今につながってきているものだというふうに思いますが、これらのビジョンを受けてどのように対応していっているのか、お伺いしたいと思います。
○矢口農林水産部長 昨年七月に農林漁業振興対策審議会から答申をいただきまして、現在、農業振興プランの策定を進めているところでございます。
新しい農業振興プランでは、農地や担い手の減少、また、農産物の価格の低迷など、東京農業をめぐるさまざまな課題を踏まえまして、今後の東京農業が果たしていくべき役割と振興の方向を明らかにしまして、東京農業が魅力ある産業として実現できますように、計画的に展開すべき振興施策を盛り込んでまいりたいと考えております。
○清水委員 農業の現状は、輸入農産物の激増や価格の暴落や、また、重い農地税制のために、東京の農林業をめぐる情勢は、これまでになく厳しさを迎えている今日だと思います。この認識とその理解をしっかり持って、農林漁業振興に当たることが行政の重要な任務といよいよなっているというふうに思いますが、また、ことしの猛暑の中で、環境保全、災害に果たす役割についても、農地の果たす役割というものが見直されております。
農林業振興については、時間を限りなくかけてご質問したいところですが、絞って伺います。
十二年四月、また、十一年の決算委員会でも、私も触れてきているんですけれども、十二年四月の決算特別委員会においても、我が党の議員が質問いたしましたが、獣害対策について伺いたいと思います。なかなか西多摩地域や八王子の地域の議員でないと理解できないところがあるというふうに思うんですけれども、東京都についてはいろいろやってきていただいております。これまでの取り組み状況について伺いたいと思います。
○矢口農林水産部長 多摩地域の猿、シカ等の獣害対策につきましては、平成九年度に、学識経験者や市町村関係者で構成いたします東京都獣害対策協議会を設置しまして、被害防止の具体的な対策を検討するとともに、これまで獣害防止対策モデル事業、緊急獣害防止対策事業などを実施しまして、侵入防止施設の整備などに努めてまいりました。
また、平成十一年に獣害対策基本方針を策定し、獣害対策の目標や基本的視点を定めるとともに、平成十二年の十二月に、農作物の被害対策と野生鳥獣の保護を両立する対策を計画的に推進するため、五カ年間の獣害対策基本計画を策定いたしたところでございます。
○清水委員 それ以前には、本当にたくさんの被害があったんですけれども、これの取り組みをしていただいて、農業経営者などもかなりやる気が出てきて、いろいろ工夫をしながらやっているところです。しかし、こういう取り組みにもかかわらず、事態は依然として深刻な状況にあるというのが現状です。
多摩地域にお住まいの方は、一昨日の読売新聞の多摩版で報道されている新聞報道を見られたと思うんですけれども、我が党の市議団が八王子市恩方地区の農民から受けた、イノシシや猿による農作物の被害について八王子市長に申し入れを行ったところ、直ちに現地調査が実施されたという報道です。
この新聞にも書かれていますように、八王子市の農林課によりますと、八王子市内の被害は、昨年度は六十一件でしたが、本年度は既に七十六件あるということです。それで、伺いましたリンゴ園では、ことし、イノシシに二回、猿に四回荒らされて、合計約二千四百個のリンゴの被害が出ているということです。同じ日に恩方地区の住民が、写真を持ちまして都庁の農林課の方に来て、要望もしたと思うんです。毎年毎年要望しているわけなんですけれども、現実的に実感としても、昨年以上にことしの被害というのは大きくて、特にイノシシの被害が大きくなっています。都としての一層強力な対策を講じるべきだというふうに思うんです。
これが確実になくなるという方向ではなくて、いろいろ模索しながらやっているんですけれども、しかし手を緩めたら--私も実際に、前にも触れたことがありますが、民家のところに出てきている猿なども目の当たりにしたことがあります。そういう点でどのように考えておられるのか、伺いたいと思います。
○矢口農林水産部長 市町村からの報告によりますと、農作物の被害は、事業実施前の平成八年度では六千七百万円ございました。十一年度には二千九百万円、十二年度には二千万円と、事業実施後は徐々に被害が少なくなってございます。
しかしながら、いまだ被害を受けている農家や、新たに被害が生じている地域が出ていると聞いております。このため、先ほどご答弁申し上げました獣害対策基本計画に基づきまして、計画的に被害防止対策を講じてまいりたいと考えております。
具体的には、電気さくや防止ネットなど侵入防止施設の整備、追い払いのための発振器の設置や巡回員の配備などの侵入警戒システムの導入を予定しております。また、定期的に生息状況や被害状況、あるいは捕獲した個体の栄養状態などにつきまして調査しまして、事業の評価や、さらに効果的な事業実施の検討を行ってまいりたいと考えております。
○清水委員 猿からシカになって、そしてイノシシが多くなって、ことしは、私の方に来たのはアナグマなんですけれども、これも初めてなんですよね。これに対しても対策が後手になってしまったこともあるんですが、私は今入っているのが環境局なものですから、貴重な動物を保護しようというようなことでやっているんですけれども、それと農業との関係ということでは、農民の声も本当に切実なものですから、抜本的な対策というのが大事だと思います。
また、昨日あった多摩の市長会との懇談の中で、現地に行かれた八王子の市長からは、対策のための手続とか、それから許可などに対しても機敏な手続ができるようにと、清水さん、よくいっておいてくれということで伝えられましたので、伝えたいと思います。
さて、先ほど林業の話がありましたので、何点か触れたいと思います。
先ほど大分ご説明ありましたように、多摩の林業は、木材価格の低落を背景に経営が不振、森林放置、そして荒廃の道をたどっているというのは、環境局に出されるいろいろな資料の中にも、本当に深刻な状況として書かれて、目の当たりにしてまいりました。
そして、先月起こった台風十五号で、檜原ですとか奥多摩では大きな災害があって、多摩地域の新聞にもこれが報道されまして、私も実際に現地に行って見たんです。先ほど災害の話もありましたけれども、このままだと、大きな災害、それから災害が多発して、それに対応する災害対策費の方が余計にかかってしまうのではないかなというようなことも予想されます。
先ほどからいわれているように、森林の管理が行き届かないことが影響している。直接の原因が全部そうだとはいいませんが、大きな影響があるというふうに考えます。東京都として、先ほどからもご答弁ありましたが、森林の適正な維持管理を一層進めていく必要があると思いますが、どのように対応していくのか伺いたいと思います。
○矢口農林水産部長 一般的に間伐等の手入れが不十分な森林では、太陽の光が十分に届きませんで、地表の植生が乏しくなるため保水力が低くなり、表土が流出しやすくなるといわれております。このため、国土保全の観点からも適切な森林管理に努めているところでございます。
先ほどのお話にありました本年九月の台風十五号でございますが、沢筋の土砂流出や林道の被害が発生しましたが、これは連続降雨量が七〇〇ミリメートルを超えるという、これまでにない記録的な豪雨のためであったと考えております。
また、森林管理の推進につきましては、都といたしまして、これまで森林の適正な管理のために、間伐や間伐材搬出の経費を助成いたしまして、約一万二千ヘクタールの間伐を行ってきました。今後とも間伐を計画的に進めるとともに、伐採跡地の植林を促進いたしまして、適切な森林の整備に努めてまいります。
○清水委員 約一万二千ヘクタールの間伐が行われてきたというふうに伺いましたが、今いわれている間伐に必要な面積というのは、二万五千五百ヘクタールほどあるということで、これは四六%ぐらいの実施ではないかと思います。手入れがされないで、五割以上の場所が放置をされているということで、大変大きな危惧を抱かざるを得ないわけです。
こういう中で、国において、ことし森林林業基本法が改正されました。これまでの林業振興の視点に加えて、森林林業の持つ多面的な機能を重視する方向で改正されました。
私は、林業を産業として成り立たせるという重要な部分が、先ほど触れられていましたけれども、国の法律改正の中では削除されるということで、一面では後退する不十分なところがあったという中身だったので、国会議員団としては、削除された部分を挿入した修正案を提出して、否決されましたので、本法案に賛成したということになって、そこの部分が、国の法律としては削除されましたけれども、重要な部分として依然として残ることは確実だと思います。
しかし、新たに加わった環境保全、生態系保全、水源確保などに着目することになったわけです。前述の環境局質疑でも、大きな時間をかけてこの部分を私は強調してきたところなんですけれども、CO2の固定機能を持っている森林、生態系保全、東京の抱える危機といわれていますけれども、それに対応する重要な役割を果たさなければならないというのが森林機能であると思いますが、こういう国などの動き。それからEUなども、先日、日本経済新聞の十月九日にも、京都大学の先生が農地の問題をいっていますけれども、そういう面で、林業の国の動きなどに対してどのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。
○矢口農林水産部長 東京の森林は、今お話がありましたように、水源の涵養や大気汚染の浄化など、都市部を含めた都民にさまざまな恵みをもたらしております。都といたしましては、森林をより健全に保全するため、これまでの木材生産を主とする林業の振興にとどまらず、国土や環境を保全する機能、青少年の教育や都民との触れ合いなど人との共生の場としての機能など、森林の持つさまざまな機能に応じた東京の森づくりを目指していく必要があると考えております。
このため、平成十三年度中に、二十一世紀の東京の森林整備のあり方と林業の方向につきまして、農林漁業振興対策審議会に諮問する予定にしております。
○清水委員 平成八年に、前の知事のときに、東京の森も林りづくりプラン21というのがつくられて、この中でも、そういう面では都市との共生ということでかなり強調されていると思うんですけれども、数値目標を持って進められているんですが、やはり新しい動きを取り入れて、今いわれたような取り組みを、中身を含めながら諮問を進めていっていただきたいと思うんです。
農地の問題、農業の問題、林業の問題について幾つか伺ったんですけれども、森林、農業農地の持つ多面的機能については、先ほど木材に多摩産を使うという話が出たんですが、都民が、どういう木材を使ったら安い住宅がつくれるかという視点だけじゃなくて、東京全体の環境を守れるのかと、そういう認識を共有していくということが大事だと思うんです。そういう機能を発揮するための施策の充実に努めることが必要ですし、そのためには予算の増額というものも図るべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。
○矢口農林水産部長 森林や農地につきましては、木材生産や食糧生産などの基本的な役割に加えまして、水源の涵養や自然環境の保全、また、都市地域のヒートアイランド現象の緩和や良好な景観の形成など、さまざまな役割を果たしております。
このため、農林業の産業としての振興はもとより、森林や農地の多面的な機能の一層の発揮に向けた施策の展開が重要であると考えておりますので、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
○清水委員 次に、中小企業対策について伺います。
戦後最悪の不況の中で、都民の暮らしと営業はますます深刻となっています。企業倒産の増大、そして、その中で負債の総額が大きく膨れ上がっています。全国最悪となった数字も示されています。中小企業は、大企業の生産拠点の海外移転、大型店出店ラッシュ、打撃的な影響を受けています。地域経済の主役である中小企業を守るための振興対策を抜本的に強めることが、十二年度には求められてきたと思います。
十二年七月、先ほど触れましたが、産業振興ビジョンが策定されて、東京の牽引力である産業と雇用の深刻な状況を背景として策定作業をスタートさせたとし、そして発表し、それに基づいて都民の声を聞きながらまとめられたというふうに書かれています。そうした動きをベースに十二年度は進められてきたわけですけれども、十二年度の中小企業予算、臨海副都心関係予算と融資関係予算を除く予算は、一般会計に占める割合、約〇・三二%だったわけです。前年度からも下がって、この十年余りで最も低い予算であったと思います。このうち工業関係予算はどのようになっているのでしょうか。
○大原商工部長 平成十二年度の工業関係の予算額でございますが、十一億六千八百二十三万円でございまして、平成十一年度に比べまして、金額にして三千五百九十七万円の減、率にいたしまして二・九九%の減となっております。
○清水委員 前年度からも減額になったということがいえると思うんですけれども、深刻な状況は先ほどからも触れられているんですが、中小企業対策予算の中でも割合としても低いと思うんです。これで中小企業全般にわたる支援策が十分に講じられてきていたのでしょうか。
○大原商工部長 工業関係予算につきましては、製品技術の開発支援と地域工業の活性化の大きく二つに分けて事業を行っているところでございます。製品技術の開発支援につきましては、新製品・新技術開発助成、創造的技術開発助成など八事業にわたりまして事業を展開しており、地域工業の活性化につきましては、工業集積地域活性化支援事業など六事業を実施しているところでございます。事業の執行に際しましては、創意工夫を凝らしまして、その効率性を引き上げるなど支援の効果が上がるように努めているところでございます。
○清水委員 区内の墨田区の話などがよく、中小企業の事業が活発だということで例に出されることが多いんですけれども、中小企業の条例をつくって多面的な中小企業対策をやっていると聞いているわけです。融資だけでなく、技術支援、大企業との契約、経営そのものを援助するなど、予算も、今、〇・三二%と計算したんですけれども、ここでは一般会計の二%余りを中小企業対策に使って、相当な仕事を進めているのが現状です。私は、東京都がこの程度の予算を確保すれば、もっと大きな仕事--一自治体がこういうふうにできるわけですから、大きな支援ができると考えているわけです。
そこで、具体的な問題を二点伺います。
九六年に始まった工業集積地域活性化事業は、都内の主要な工業集積地域を対象に、地域に蓄積された技術や情報、人材などを活用した新分野の進出やネットワーク構築などの事業活動を支援することにより、地域の活性化を図るというものです。事業は、事業者の申請に基づいて、都が二分の一、区市が三分の一を補助し、事業者負担六分の一という制度です。個人事業者でも利用しやすい簡素な手続とメニューで、融資ではなく補助金であることが大きな力になってきました。
そこで伺いますが、これまでの成果をどのように評価しておられるのか伺います。
○大原商工部長 工業集積地域活性化支援事業につきましては、例えば大田区などにおきまして新技術開発等への支援、あるいはご指摘の墨田区での工房ショップの設置など、地域の中小製造業の特徴や課題に即した具体的な成果を上げているというふうに評価をしているところでございます。
○清水委員 決算書には、四四ページの構造変化対応支援費ということでいいわけですよね。ここに書かれている決算になっているわけですけれども、ここで問題は、我が党としては、十二年終了ということでしたが、繰り返し継続を要求してきました。今いわれたように、大変大きな力を各地区に与えて、事業者にも大きな勇気を与えてきたこの事業が継続をされていかないということで、私たちは繰り返し要求してきたわけなんですけれども、この決算の年で事業終了したと思うんです。それはなぜでしょうか。なぜ継続がされてこなかったのでしょうか。
○大原商工部長 工業集積地域活性化支援事業につきましては、平成八年度から毎年四地域、合計二十地域を指定いたしまして、これは当初の計画でございますが、平成十二年度をもって地域指定は終了したところでございます。したがいまして、それ以降の指定については考えていないところでございます。
○清水委員 理由を聞いたんですけれども、対象となっている地域は何地域ですか。対象というか、申請すれば受けられるという地域の数は。
○大原商工部長 今、ちょっと手元に具体的な資料は持ってございませんけれども、一定の基準に基づきまして工業の集積等が見られる地域につきましては、二十に限らず、可能性はあるというふうに承知しております。
○清水委員 今ご説明のあった大田区では、十三年度からはなくなったわけですけれども、メニューを多少縮小されましたが、独自で継続されているというふうに伺っています。今ご説明あったように、五年間で、リサイクル機器の新製品開発、地域ネットワーク、名簿の作成など二百五件の事業を、総額一億七千万円の補助金を活用して行われました。こういう重要な成果がつくられてきたわけですけれども、二十以外の地域で、例えば八王子もその地域だったんですが、五年間の事業だから、五年前に、この事業の申請をされたらどうですかということで、市と話し合ったことがあるんですけれども、当時はまだ十分な商工業のプランなどできていなくて、また自治体の負担があるというようなことで、活用されないで終了してしまったわけです。
しかし、今、内容はそれぞれともかく、大田区ですとか墨田区ですとか、そういうところの話を順次聞いていって、それ以外の地域が、やはり製造業を重視しなければならないと。東京都もさっきいっているように製造業を重視しなければならないというようなことで、新しい展開を市としてもつくっているというわけです。特に、これはもう終了してしまったものですから、市としては、そのことについて現在は考えていないと思うんですけれども、東京都の制度が続けば、内容によっては活用できるかもしれないというふうに、先日、商工の部長さんとちょっと話をしました。
そういう意味では、さっき私が聞いたのは、何で終了したんでしょうかという理由を伺ったんですけれども--都内の各自治体では取り組みの違いがあると思うんです。大田とか、本当にすごく集中しているところで直ちにできるというところと、よくよく考えていったらやっぱりできるという、そうしたら都が終わってしまったというのではなくて、今、こういう意欲を持ち始めているところもあるわけですから、区市町村の取り組みを支援していくためにも--また大田では、五年間で打ち切りではなくて、継続してほしいという要請も繰り返し出されていると思うんです。継続や新たな事業の申請など、支援するのが東京都の役割だというふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。
○大原商工部長 この事業につきましては、委員もご指摘されましたように、指定は十二年度に終了しております。私どもは現在、事業終了地区に関しまして、その成果を検証しているところでございます。こういった点も踏まえまして、十六年度以降、工業の活性化支援策について検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○清水委員 ぜひ前向きな方向で検討を進めていっていただきたいと思います。
次に、小さなお金ですから、決算のどこに含まれているのかということがよく認識できなかったんですけれども、十三年度の事業概要の中にもなかったんですが、十二年度まで続けられてきた東京ブランド選定事業について伺いたいと思います。
この事業の平成十二年度の計画は、東京ブランドの認証、認定商品の常設販売というのが平成十二年度の事業内容になっています。この事業の内容は、社会経済のグローバル化や消費者の価値観及びニーズの多様化などに対応した東京の物づくりを支援するとともに、都内中小企業製品の販路開拓を図るため、首都東京の魅力を最大限に活用した東京ブランド事業を展開し、同事業の基本理念である人と環境に優しい東京製品の日本及び世界に向けた情報発信及び普及を図るというふうにして、平成十一年度には基本指針の策定、ロゴタイプの制定ということで、これがロゴなんですか。--ということで、十二年度の事業概要になっているわけです。
この決算書の中で、決算金額は幾らでしょうか。そしてどこに入っているのでしょうか、お伺いいたします。
○大原商工部長 平成十二年度の東京都一般会計決算説明書、産業労働局分の四五ページでございます。項目といたしましては、業種別振興対策費、ここの中に十項目ほど事業が入ってございますが、この中の上から七番目、国際化への支援の中に東京ブランド事業の分が入ってございます。金額は百二十九万五千三百四十五円でございます。
○清水委員 執行額、それから執行状況はどのようになっているでしょうか。
○大原商工部長 先ほど申し上げました百二十九万五千三百四十五円が執行額でございます。お手元の資料は決算書でございますので、予算は入ってございませんが、予算額は六百七十九万五千円でございます。
○清水委員 内容はどうでしょうか。執行の内容です。
○大原商工部長 この事業の内容でございますけれども、東京産業貿易協会の方に実施部隊をつくりまして、そこで製品の選定等の作業を行いました。その審査員の報酬等に要する費用として、先ほど申し上げました百二十九万円を支出したものでございます。
○清水委員 ちなみに、ことしの予算は幾ら見込んでいますでしょうか。
○大原商工部長 今年度の予算は百万円ということでございます。
○清水委員 ちょっと続きですからお伺いしますが、本年度の予算は、現在どの程度の執行状況になっていますか。
○大原商工部長 現段階ではまだ執行はしておりません。
○清水委員 前に本会議で、この東京ブランドについての答弁があったと思いますが、紹介していただきたいと思います。
○大原商工部長 幾つかございますが、一点ご紹介を申し上げます。
平成十一年の第一回定例会におきまして、例えば、八王子織物を東京ブランドに指定して、販路拡大等に努めることが必要ではないかというご質問がございました。これに対しまして、平成十年度の検討結果を踏まえて、適用案件や販路開拓支援対策について具体化を図っていく旨の答弁をさせていただいているところでございます。
○清水委員 具体化を図るというふうに答弁されましたけれども、ここの事業の内容についても、認証とか認定商品の常設販売とかというところまではいっていないと思うんです。選定作業とか、先ほど幾つか説明ありましたけれども、現状はどうなっているのかお伺いいたします。
○大原商工部長 平成十二年度に、東京産業貿易協会におきまして東京ブランド製品を募集いたしまして、百三十六点の応募の中からブランドの認証候補を選定したところでございますが、東京ブランドにふさわしい製品が見当たらないということで決定されておりまして、現在、選定はされてございません。
○清水委員 認定というか、百三十六点の中から選択していっているのはどういう方々ですか。
○大原商工部長 委員の方でございますけれども、学識経験者が一名、小売業関係者が二名、行政関係者が一名、運営団体役員が一名、それから分科会を三つ設けておるわけですが、その分科会のそれぞれの会長三人、これらの方に東京ブランド運営協議会の委員に就任していただいているところでございます。
○清水委員 そうすると、学識経験者も、そういう専門の大学の先生方も、もちろん中に入っておられると思うんですけれども、百三十六点の候補の中でふさわしいものがないということで、その百三十六点以降は何もされなかったんですか。百三十六点出てきて、百三十六点全部ありませんよということで終わったんですか。
○大原商工部長 平成十二年度においては、おっしゃるとおりでございます。
○清水委員 平成十一年度はどうでしたか。
○大原商工部長 平成十一年度でございますけれども、幾つかの点を申し上げます。
平成十二年になっておりますが、十二年二月十八日に東京ブランド事業の基本指針を策定しております。それから、同日に要綱等も作成をしております。こういった状況でございます。
○清水委員 百三十六点あって、どういう内容かはわかりませんけれども、先ほど、その目的の中に、都内の中小企業の製品の販路開拓を図るためということで、都内全域から--全部応募しなかったかもしれませんよね。これが徹底されていたら、もっとたくさんの応募があったかもしれませんけれども、いずれにせよ、例えば、先ほど八王子織物のブランド指定について具体化を図るということで、局長答弁があったんですけれども、その後、作業が多少進んだということで、八王子の織物組合の前の理事長さんには、東京都の方から、八王子の織物は、百三十六点の中から三十品目ぐらいが絞り込まれて、そして、その中から決定をしていく予定であったけれども、去年、十二年度は決定せずに先に延ばすという通知をもらったんだという話を伺ったわけです。
ちょうどその時期に--新宿駅の西口で今、いろんなものを売っていて、きょうも沖縄のものを売っているんですけれども、大体三十品目ぐらいが候補に上がって、その中の指定は先だよというときに、ちょうど新宿駅で何か産業の販売の日があって、その中に東京ブランド八王子織物というのを売っていたんですね。労働経済局の方に聞いて、東京ブランド八王子織物って売っているんだけれども、あれは東京ブランドに指定されたんですかと、いやまだ決まっていませんということだったんです。それは後からわかったんですけれども、それでそのときに、本当に東京ブランドというものが、地元の--百三十六点はどんなものが応募されたかわからないんですけれども、一つ一つの業界の人にとってみれば、本当に期待を持っていたと思うんです。ですから、三十品目に絞られて、それが先になったよというお話を前理事長さんがされたときには、本当にがっかりした雰囲気だったんです。
私は、前のときに質問したように、四百年の歴史を持った--織るわけです。手織りというのは伝統工芸品になっちゃって、織るという人は一人しかいないんですけれども、機械で織ったネクタイをつくっていると。今、ほとんどがプリントですよね。プリントで五百円、千円のを売っていますけれども、日本ネクタイ協会がセーフガードの発動というときに、八王子は実は入らなかったんです。それはどうしてかというと、八王子は価格の高い--さっきいわれた木材のブランドではないですけれども、ブランド品をつくるということで、そういうものをつくってやっていくんだから、セーフガードとはちょっと関係ありませんということで、それには加わらなかったというお話を聞いたときに、そういうものを、確かにどんどん海外から輸入されているのが現状ですけれども、四百年の伝統を守って物づくりをやっている業界が、都内には八王子だけでなくてたくさんあると思うんです。確かに、ふさわしいものが選ばれるためには必要だというふうに思います。ですから、それは時間をかけてじっくりと掘り起こして、その中から選べばいいと思うんです。
ところが先ほどのご答弁では、ことしの百万円の予算は執行していないということじゃないですか。どういうふうにやっていくおつもりなんですか。
○大原商工部長 現在の状況でございますが、産業貿易協会の方から東京ブランドについての具体的な製品の提案が現在ございません。
そこで、個別具体的な製品を選定するのではなくて、付加価値の高い製品ですとか、環境負荷の軽減、持続可能な社会の実現に向けた製品の開発を支援するとともに、これらの取り組み事例を国内外に発信することで、東京製品によるシティーセールスを図ってまいりたいというふうに考えております。
このため、現在、高付加価値で人と環境に優しい製品づくりの事例を、中小企業に対します経営革新指導等を通じまして収集中でございまして、これを年度内に取りまとめまして、都による過去の取り組みとあわせまして報告書にまとめていく予定でございます。
○清水委員 それでは、東京ブランド選定事業というのは、このまま継続していくということになりますか。
○大原商工部長 個別具体的な製品を東京ブランドとして選定を今後していくかどうかについては、先ほど申しました平成十三年度の取り組みの結果等も踏まえまして検討していく必要があるというふうに考えております。
○清水委員 具体的にお答えの中身がよくわかりませんけれども、少なくともこれまで行ってきた予算は、十二年度は百二十九万円、ことしは百万円、大きな予算ではないと思うんです。十二年度の予算は六百八十万円ぐらい、こういう予算で、各中小企業が真剣に伝統を守って物づくりをしているときに、個別だとかいろいろいわれましたけれども、これまでの趣旨を踏まえた形で、この事業は継続していくべきだと思うんです。
新しいものに対して支援をしていくというのは、もちろん重要なことだと思うんです。しかし、古い伝統、例えば八王子だったら、関東大震災でつぶれたけれどもまた立ち上がった、空襲を受けたけれどもまた立ち上がった。それから、構造の改革、変化というようなことで、機織り機をつぶしたり、自分が不本意にこれを売らなければいけない、その中からも立ち上がりながら、しかし今のこの不況の中で、何とか最後に東京ブランドなど、八王子ブランドということで、「マルベリー」ということで八王子はやったわけなんですけれども、こういう物づくりを支援するということが大事ではないでしょうか。
私は、環境に優しいといったから、八王子の織物は、絹だったりして、今、絹は環境に優しいということで、しかもプリントではなくて織っているということでは、私がつけているわけではないですけれども、これはうちの夫のですが(実物を示す)本当に手ざわりもよくて、ちょっと局長さんにさわっていただきたいと思って持ってきたんです。
それで、これは、もし気に入っていただければつけていただきたいと思うんです。
これは、さわっていただきたいと思います。
ということでは、ブランドの選定事業をぜひ継続していただきたいということを要望して、終わります。
○山口委員 私は、都市農業について何点か伺います。
新農業基本法の大きな特徴の一つは、産業としての農業をどうするかという農業者にとっての基本法ではなく、食糧問題という新たな視点を柱に盛り込んだ点にあります。食糧生産や流通の国際化を背景に持つ新農業基本法のもとで、農業就業人口の減少、高齢化、後継者不足という現状に対し、将来的に食糧生産をだれが担うのか、農産物輸入の拡大による自給率の低下に対し、私たち消費者の食生活のあり方や食べ方をどのように着地させるのかが問われていると思います。食糧生産を農業者のみにゆだねるだけではなく、消費者も生産者と一体となって、こういった食糧システムをつくり上げていくことが必要であると考えています。
平成十二年度も、農業団体指導及び担い手の育成等に支出として約六億二千万円が計上されております。都市農業支援事業における、そこで国分寺市の農業ボランティアの育成などの事業助成の額と内容について伺います。
○矢口農林水産部長 都市農業支援事業についてでございますが、本事業は、農業ボランティアを育成することや、農業との触れ合い体験を通じまして、農家と都民が一緒になって都市農業を支えていくことを目的としまして、平成十二年度から実施しております。
平成十二年度は、国分寺市におきまして実施し、事業費は約四百五十万円、都は約三百万円を助成しました。事業内容でございますが、農業ボランティアを育成するために技術習得講座を開催したり、受け入れ農家の指導のもとに農作業の実習を実施しました。また、市民が農業と触れ合えるために、農家の畑を借り、野菜栽培や収穫などの農作業体験を実施いたしました。
○山口委員 東京都が援農ボランティア支援事業を実施するに当たり、平成七年度に実施した農業ボランティア受け入れ農家意向調査において、参加者の責任性、専門性、作業効率などを確保するためには報酬を支払うべきだという意見が複数の農家から寄せられていました。
農業ボランティアに関しては、七つの区市で既に事業が実施されており、平成十二年度末で五百三十五人もの都民が九十九戸の農家で援農活動を実施中だと聞いております。しかし、都民がパートタイマーとして農家に参加できる仕組みづくりは進んでいないのではないかと思われますが、この課題についての見解を伺います。
○矢口農林水産部長 パートタイマーの活用のお尋ねでございますが、東京の農家におきましては、コマツナの収穫や出荷作業、あるいはナシの受粉作業などにパートタイマーを活用している例がありますが、農作業の内容や時期が限られておりまして、従事する方が固定的になりがちと聞いております。また、一般的に農業は家族中心の経営で営まれておりまして、パートタイマーの雇用などになじめない農家が多いという現状もあります。
都といたしましては、これまで育成してまいりました七百五十名余りの農業ボランティアの活動を広げるためにも、農家の意向や、パート雇用にふさわしい作業内容等を把握いたしまして、パートタイマー活用のあり方などを検討していく必要があると考えております。
○山口委員 一方、現在策定中の新農業振興プランへ向けた東京都農林漁業振興対策審議会の答申、昨年七月に出されていますが、その中において、再度、農業ヘルパーなどの雇用労働力の育成、活用の必要性が提言されています。このことについてどのように受けとめたのか、お伺いいたします。
○矢口農林水産部長 農林漁業振興対策審議会からいただきました答申では、都市に住む多様な人材を活用していくため、農業の幅広い担い手として農業ボランティアや農業ヘルパーの育成などが提言されました。
都といたしましては、多様な担い手の確保に向けた貴重なご提言として受けとめさせていただいておりまして、現在策定中の農業振興プランにおきましても、農業ヘルパーなどの多様な担い手の養成につきまして盛り込んでまいりたいと考えております。
○山口委員 高齢化と後継者不足により、東京の農家も深刻な担い手不足が問題になっています。今後も東京の農家が安定した農業経営を続けていくためには、東京に住む多様な人材を農業の担い手として育成し、活用していくことが重要だと思います。東京都として、農業ヘルパー育成講座の実施や受講生の農家へのあっせんなどへ向けた具体的な施策を講じるご予定があるかどうか伺います。
○矢口農林水産部長 農業ヘルパーの養成につきましては、農家側が必要とするヘルパーの数や、求められます農作業技術の水準に見合った講習内容、あるいは作業内容、雇用期間、賃金などの就業条件などの課題がありますため、今後、農家の意向や農作業の実態の把握を行いまして、どのような施策が効果的か検討してまいりたいと考えております。
○山口委員 今後、課題が整理され、稼働した場合には、農家の需要と派遣農業ヘルパーとのミスマッチのないように、コーディネーターの育成が必要かと思われます。東京都としては、このシステムの構築に向け支援していくことが必要ではないでしょうか。要望いたします。
次に、新規就農者への農地のあっせんについてですが、現在、社団法人全国農村青少年教育振興会が、東京を含めた全国各地で都市住民を対象とした就農準備校を実施しており、平成八年度の開校以来、約六千人が受講しています。都市住民の中に農業へ強い関心を持っている人が多くいることをあらわしています。
一方で、東京の農地も、高齢化や後継者不足により管理が困難になっている状況です。特に、市街化調整区域においては土地の開発に規制があるため、耕作放棄農地の発生が目立ってきています。
しかし、東京では非農家出身者への農地の対策に対して閉鎖的なので、新規就農希望者が存在していても、他の自治体で新規就農せざるを得ない状況です。新規就農者への農地のあっせん制度が機能している神奈川県相模原市においては、農地を借りて新規就農した例もあります。一方、八王子市の住民が、住宅近隣に耕作放棄となった農地が存在しているにもかかわらず貸してもらえなかったというような事例もございます。耕作放棄の農地の活用ができるようにすることが必要だと思います。
東京の自給率はわずかにすぎないことから、新規就農者への農地の貸し出しが推進されるように、東京都として、東京都農業会議、各市区町村の農業委員会を通じて強く働きかける等していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○矢口農林水産部長 近年、高齢化や兼業化の進展、担い手の不足等によりまして、耕作放棄地が見られるようになっておりまして、このような農地の有効活用が重要な課題となっております。
このため、都といたしましては、農業振興地域を対象にしまして、農地流動化推進事業を実施しておりまして、農地情報の収集や農地のあっせんなど、市町村や農業会議、農業委員会の取り組みを支援しているところでございます。今後も、本事業を推進いたしますとともに、農業会議や各地区の農業委員会協議会の場を通じまして、新規就農者などの方々が農地を確保でき、地域農業の振興が図れますよう、強く働きかけてまいります。
○山口委員 次に、東京都では、土づくりを基本とする環境に負荷を与えない農業を進め、安全で新鮮な農産物を都民に供給するために、環境保全型農業の推進事業を進めています。その中での地域における家畜ふんや生ごみ等の未利用資源を堆肥化し、農地への循環を推進するために、循環型システム支援についてですが、生ごみの地域リサイクルシステム支援の東京都補助金額について、平成十二年度、未利用資源の堆肥化の手法検討の二分の一補助から、平成十三年、循環型システム支援四分の三となった理由について伺います。
○矢口農林水産部長 これまで、地域におけます堆肥化とその利用拡大を図り、リサイクルを推進しますため、平成八年度から家畜ふんを対象とするリサイクル支援事業、平成十年度から生ごみを対象としますリサイクル支援事業を実施してまいりました。
平成十三年度からは、生ごみや街路樹の剪定枝など余り利用されておりません有機性資源を、より積極的に堆肥として農業生産に利用し、環境保全型農業をさらに推進するため、循環型システム支援事業といたしまして一本化し、補助率を四分の三といたしたところでございます。
○山口委員 施設整備にかかる費用はどのぐらいなのか、お伺いいたします。
○矢口農林水産部長 施設整備にかかる経費でございますが、区市町村が策定いたしますリサイクルシステムにおける施設規模等によって異なってございます。例えば平成十二年度の立川市の場合でございますが、剪定枝粉砕機などの整備のために約三千万円、平成十一年度のあきる野市の場合は、堆肥製造施設二基を整備するなど施設規模が大きく、約八千万円となっております。
○山口委員 このような事業により、今後さらに循環型農業システムの確立、地域内流通が実現されていくことは、都市農業においては必要なことであると考えます。今後も期待をしていきたいと思っております。
次に、平成六年から始められた東京都有機農業モデル生産団地の事業についてですが、この事業の目的と、これまでの補助総額について伺います。
○矢口農林水産部長 環境に配慮した農業を推進するため、有機農業の実証と普及を図ることを目的に、有機農業モデル生産団地を育成してまいりました。モデル生産団地に対しましては、有機農産物等の栽培マニュアルとなる栽培指針を作成いたしまして、農業改良普及センターを中心とした支援チームによる現地での指導を実施してまいりました。あわせて、私どもの有機農業堆肥センターで生産いたしました優良堆肥の供給を行ってまいりました。
補助額につきましては、平成六年度から十一年度まで、モデル生産団地の指定の初年度に堆肥散布機などの必要な機材を整備するため、一団地当たり二百五十万円、十二団地合計で三千万円補助してございます。
○山口委員 農薬、化学肥料を五〇%削減した農産物の生産を目指す減減型モデル生産団地は、平成十一年度に十市二区が協約期間が終了し、そのうち有機型は四市一区で進められ、平成十七年にすべての事業計画が終了することになっています。この間、有機農業フォーラムを開催するなどして、課題や対策の検討をされてきましたが、具体的に講じた対策についてお伺いいたします。
○矢口農林水産部長 これまで開催しました有機農業フォーラムにおきまして、有機農業を推進する上での問題点といたしましては、優良な堆肥が入手しにくいこと、突発的な病害虫の発生があること、手間のかかる割には価格に反映されないことなどが挙げられておりました。
そこで、有機農業の栽培技術の普及を図るために、農業試験場、農業改良普及センター等が連携いたしまして、有機農業の栽培マニュアルであります栽培指針を策定いたしまして、栽培技術の指導を行ってきております。
また、堆肥につきましては、先ほど申し上げましたけれども、有機農業堆肥センターで生産しました優良な堆肥を、モデル生産団地以外の農家にも頒布することといたしております。
さらに、平成九年度から、減農薬、減化学肥料で栽培いたしました農産物を都が認証する制度を導入いたしました。このことによりまして、認証しました農産物の信頼性や商品選択の目安が提供できまして、流通の促進に寄与しております。
○山口委員 都内有機農産物等の認証されたものの表示についてですが、東京都有機農産物等認証制度の普及に向けて、消費者にとってわかりやすい表示が必要かと思います。さきに遺伝子組みかえの表示マークを東京都は公募いたしました。このような方法がPRとしても大変有効だと思いますので、ぜひ有機農産物の認証等にもこういったことを採用されることを提案しておきます。
最後に、協約期間が終了した団地に対しまして、農業改良普及センターを中心とした支援チームにより、継続して支援、フォローアップを行ってきているとのことですが、幾つの市区が同様の形態で継続されてきているのか伺います。
○矢口農林水産部長 三年間のモデル生産団地の指定期間が終了しました七団地に対しましては、指定期間中と同様に、私どもの農業改良普及センターを中心とした支援チームによりまして、継続して指導を行っております。また、堆肥につきましても、有機農業堆肥センターの優良堆肥を有償で頒布できるようにしております。
このため、七団地、五市二区につきまして、その後も継続して有機農業が実践されております。
○山口委員 最後に要望といたします。
国内自給率を高める上で、都市農業の役割は大変重要です。農水省の九九年の発表によると、都道府県別の食糧自給率の試算値によると、東京都の自給率は一%であるのに対し、北海道は一七九%とあり、都市の食生活が地方の農業に支えられて初めて成立するという実態があります。食糧自給問題は国家単位での自給論になりがちですが、まずは地域内の生産と消費を考え、食糧の地域自給力を最大限に発揮させることが、自給問題の解決を進める上で有効であると考えます。
また、農地は都市の自然環境の悪化を防ぎ、環境保全機能を持つ重要な役割を持っています。生産された野菜などを学校給食に導入することは、学校農園とあわせて教育機能を果たします。このようなことから、都市農業の果たす役割は大変大きく、持続可能な農業生産と、農地の維持と消費システムの構築を今後も図っていくことが必要であることを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。
○東野委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○東野委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
午後三時三十一分散会
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