各会計決算特別委員会第一分科会速記録第三号

平成十三年十月二十二日(月曜日)
   午後一時五分開議
 出席委員 九名
委員長宮崎  章君
副委員長高島なおき君
副委員長大塚 隆朗君
大西由紀子君
小磯 善彦君
萩生田光一君
古館 和憲君
前島信次郎君
桜井  武君

欠席委員 一名

 出席説明員
出納長室出納長大塚 俊郎君
副出納長小泉 克君
副出納長宮原 恒男君
会計制度担当部長中路 有一君
人事委員会事務局局長高橋  功君
任用公平部長砂岡  攻君
試験室長川田 明良君
審査担当部長須々木亘平君
選挙管理委員会事務局局長南  靖武君
次長橋本  剛君
主税局局長安間 謙臣君
総務部長佐藤 昭久君
税制部長鮎澤 光治君
税制調査担当部長川村 栄一君
参事三橋  昇君
参事尾芦 健二君
課税部長吉田 勝武君
資産税部長齋藤  熙君
徴収部長菅原 秀夫君
特別滞納整理担当部長谷口 広見君

本日の会議に付した事件
 平成十二年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  出納長室関係
  ・一般会計決算(質疑)
  人事委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  選挙管理委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  主税局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・地方消費税清算会計決算(質疑)

○宮崎委員長 ただいまから平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会を開会いたします。
 本日から四日間にわたり、本分科会所管局の決算に対する局別の質疑を行っていただきます。
 本日は、まず出納長室、人事委員会事務局、選挙管理委員会事務局及び主税局の決算に対する質疑を行いますので、よろしくお願いをいたします。
 これより出納長室関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、出納長室所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、調整の結果、なくなりましたので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○宮崎委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、人事委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○砂岡任用公平部長 去る十月十日の当分科会におきまして要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十二年度各会計決算特別委員会要求資料の表紙をおめくりください。
 目次でございます。1、民間給与実態調査について、2、措置要求の処理状況、3、不服申し立ての処理状況、4、採用試験の実施状況の四件でございます。
 それでは、まず、一ページをお開き願います。
 民間給与実態についてでございます。
 この調査の目的は、職員の給与と民間従業員の給与を比較、検討するための基礎的な資料を得ることでございます。対象産業、対象事業所、対象従業員、調査項目、調査方法につきましては、ここに掲げてあるとおりでございます。
 二ページをお開き願います。
 措置要求の処理状況でございます。
 これは、平成八年度から十二年度までの五年間において、人事委員会に要求のありました措置要求につきまして、その件数、判定の内容、判定を行った事案に係る要求者の年齢別、男女別、職種別内訳及び同一人による措置要求の状況をお示ししたものでございます。
 三ページをお開き願います。
 不服申し立ての処理状況でございます。
 これは、平成八年度から十二年度までの五年間において、当人事委員会に申し立てがありました不服申し立てにつきまして、その件数、裁決の内容、裁決を行った事案に係る請求人の年齢別、男女別、職種別内訳及び同一人による不服申し立ての状況をお示ししたものでございます。
 四ページをお開き願います。
 人事委員会で実施した採用試験の実施状況についてまとめたものでございます。
 申込者数、受験者数、合格者数につきまして、平成三年度から十二年度までの推移を一覧表にしてお示ししてございます。
 以上、簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○宮崎委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、選挙管理委員会事務局所管分を議題といたします。
 本件につきましては、既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について、理事者の説明を求めます。

○橋本次長 去る十月十日の当分科会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 まず、第1の各種選挙の所要経費につきましてご説明申し上げます。
 (1)は、衆議院議員選挙の所要経費でございます。平成五年の中選挙区制、平成八年及び十二年の小選挙区・比例代表並立制にて執行されました経費内訳をそれぞれお示ししております。
 (2)は、平成九年の都議会議員、平成十年の参議院議員、平成十一年の都知事選挙の所要経費を示したものでございます。
 次のページをお開きください。
 2の、第四十二回衆議院議員選挙における区市町村交付金の交付状況でございます。
 区市町村への交付金の合計は三十七億七千七百万余円となっており、表中に、各区市町村への交付額をお示ししております。
 以上、甚だ簡単でございますが、ご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○萩生田委員 それでは、せっかくお調べいただきましたので、何点かお尋ねをさせていただきたいと思います。
 ただいま資料の説明をいただいたんですけれども、要求した資料の十二年度の衆議院選挙の区市町村別の交付金の交付状況なんですが、これは必ずしも選挙人名簿の数ではないというふうに思うんですよね。この辺の算定基準というのはどうやって決めているのか、まずお尋ねしたいと思います。

○橋本次長 国政選挙に係る選挙執行経費につきましては、国会議員の選挙等の執行経費の基準に関する法律というのがございまして、それにより定められました国の基準に基づいて算定されております。
 基準法におきましては、投票所経費など事務の種類ごとに基準を定めておりまして、例えば投票所経費について申し上げますと、投票所の準備から、投票が終了し投票箱を開票所に送るまでの一切の費用に関しまして経費を積算し、選挙人の数に応じて一投票当たりの基準額を定めております。この額に基づきまして、各区市町村における投票所経費が算出されることになります。他の執行経費につきましても、同様に基準額を基本として算出をいたしまして、これをもとに交付額を決定しております。

○萩生田委員 そうしますと、実際に選挙を執行するに当たって要した費用と交付金額というのは、差金が出るというふうに思うんですね。執行額の方が多い、つまり超過負担になっている団体が多いというふうに聞いているんですけれども、その辺の状況はどうなっているのでしょうか。

○橋本次長 平成十二年の衆議院議員選挙の場合、要求されました資料にございますように、交付額三十七億七千七百四十万九千円でございますけれども、これに対しまして実際に要した執行額は、区市町村合計で三十八億七千五百十二万六千円でございまして、九千七百七十一万七千円の超過負担となっております。超過負担の自治体の数は、十二区、十六市で、一自治体当たりにおきまして、平均三百四十九万円の超過負担となっております。
 なお、その他の十一区、十一市、全町村につきましては、執行額がすべて全額交付されております。

○萩生田委員 どうしてそういう開きが出てくるのでしょうかね。あるいはまた、超過負担が多く出てくる理由というのは、都選管としては、どのようなものだという認識をされているのでしょうか。

○橋本次長 都の区市町村におきましては、ご指摘のとおり、超過負担の多い自治体がございます。超過負担が多く発生する理由として考えられますのは、有権者規模が大きいために基準額を超える額が総体的に大きくなったということ、投票記載台あるいは投票用紙交付機等の選挙設備の更新時期を迎えたといったようなこと、投票受け付けシステム等の開発経費に費用を要したことなどに加えまして、地域の実態に合わせて投開票の執行方法が相違していることなどが考えられるところでございます。

○萩生田委員 例えば、今ご答弁がありました、開票システムを新しく開発するとか、検討するとか、そういう前向きな努力をしたことの結果として、超過負担が出てしまうという自治体もあるわけですよね。でも、それは時代の要請によって、一刻も早く選挙結果を有権者の皆さんや都民の皆さんに知らせしめるために自治体が努力した結果、一時的に超過負担が出てしまうという内容だというふうに思うんですよ。
 たまたま私の選挙区でも、この都議選で初めて、今までは職員の皆さんに開票作業は全部、時間外手当を交付してお願いをしていたわけなんですけれども、ことしから、学園都市という性格上、学生アルバイトを開票作業に実際に使って、経費の圧縮の努力をしてみたんですよね。これは著しく成果があらわれるんですけれども、ただ、交付基準額が決まっている以上は、各自治体が努力したところで来る金は同じなんだから、何も努力しなくてもいいのじゃないかという人も中にはいるし、努力したことによって、例えばその運用を、今お話のあった開発費用などに振り向けることができるんだとすれば、それは自治体の裁量でぜひ進めるべきじゃないかななんていうことを、実は今まで外から見てて思ったわけなんです。
 東京都の選挙管理委員会としては、超過負担が出ないのが一番いいわけですから、出ないように、それぞれの市町村に、執行費用の節減や選挙事務の効率化を図るように助言をしたり指導したりするべきじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺については、どんな努力をされているのでしょうか。

○橋本次長 都選管といたしましては、区市町村とともに選挙事務の改善あるいは効率化について検討、協議をする場といたしまして、選挙事務運営協議会というものを設置しております。その中で、投開票事務の効率化を初めといたしまして経費につきましても、部会を設置いたしまして、お話の人件費単価でありますとか職員配置数あるいは委託契約金額などの適正化につきまして協議をして、必要な助言を行うなど、改善に努力をいたしております。
 また、選挙終了の段階におきましては、区市町村の報告に基づきまして、現実に選挙執行に要した経費の内容の適否を精査いたしまして、事務の改善の助言と、あるいは交付額算定のための材料としているところでございます。

○萩生田委員 そうしますと、今の議論に戻るんですけれども、結局、努力してもしなくても来るお金は同じという今のスタイルの中で、都選管が各自治体に努力を促したところで、なかなか各選管も腰を上げないのじゃないかなというふうに思うんですね。
 率直に申し上げて、どこの自治体もそうだと思うんですけれども、日曜日に、職員の皆さんが総出で投票作業に、立ち会いや事務作業をやられますよね。休日出勤で働いていただく。そして、その日の夜に開票作業があって、また、ここへ出ていって、休日時間外手当というのをもらいながら、大概開票作業に従事するわけですよ。で、どうなるかというと、次の月曜日にみんなお休みをとって、ほとんど、窓口の人たちが最低の人数で業務をされて、市民サービスに悪影響が出るというのが、多分東京じゅう、そんなに変わらない実態だと思うんですよね。ですから、この辺、やはり交付金の基準ルールはルールとして、これは国が決めることですからやむを得ないというふうに思うんですけれども、東京という町の特殊性、これらについては、国に対してきちんと申し述べていく必要があるのじゃないかというふうに思うんです。
 そこで、超過負担が発生しているこういう事実を、都選管としては、国に対して、どういうふうに解消するような努力を行っているのか、お尋ねしたいと思います。
 あわせてですが、経費の節減につきまして効率化に努力している自治体、例えばよく新聞に出るのは、府中市がことしも何分縮めたなんていって、府中市さんは、独自の投票用紙の開発をしたり、カウントする機械を開発したりしているわけですよね。そうすると、それと同じことをよその町でやれば、単純に時間が節約できて、人件費も抑えることができるのじゃないかと思うわけです。最初は、さっきのご答弁にあったように、府中市さんの独自の努力によってそういう開発をして、そのときには開発経費がかかっているかもしれないんだけれども、それがいいものであるのだとすれば、東京都が、それを基準の開票用紙にしたり基準の開票マシーンにして、各自治体に買わせるとか交付をすることによって、全体的な選挙費用というのは圧縮することができるのじゃないかなというふうに思うんです。
 そういう努力をした団体と、関係なく努力をしない団体と、これらに機械的な基準によって交付金が決められているという実態に、若干私は違和感を覚えるんです。それぞれの自治体の努力やその成果が反映されるような交付額の配分にするべきなのじゃないかなと思いますけれども、これらについてお尋ねしたいと思います。

○橋本次長 まず、一点目の、都選管は、国に対して超過負担の解消にどういう努力をしているのかというお尋ねでございますけれども、国政選挙の執行基準額につきましては、既にお話が出ておりますように、全国的な統一基準として定められておりまして、東京都のような大都市の特殊性への配慮が必ずしも十分とはいえないと考えております。
 こうしたことから、選挙執行の際に現実に発生している状況を詳細に国に報告するなどいたしまして、国に対し、正確な現状認識をもらうように努力をしてきたところでございます。
 また、各区市町村の選管の要請を受けまして、都選管といたしましても、超過負担の解消に向けて、直接国に要請を行うなどの努力を重ねております。その結果、平成十二年執行の衆議院選挙に対しましては、超過負担は過去と比べ大幅に圧縮されたところでございます。
 また、二点目の、各自治体の努力がどのように反映されているのかというお尋ねでございますけれども、交付額が、既に申し上げましたとおり、国の法律でその算出基準が定められておりますことから、個々の自治体の努力を十分に反映させるということにつきましては、一定の限界がございます。しかし、経費内容の精査をする中で、区市町村の努力や成果が反映できるものにつきましては、できるだけ交付額に反映させるようにもしてきたところでございます。
 いずれにいたしましても、今後も区市町村への交付金の効果的な配分を進めまして、選挙の管理執行の効率化あるいは経費の削減に努めてまいりたいと考えているところでございます。

○萩生田委員 お世話になります選管ですから、もうこのくらいでやめますけれども、よくそれぞれの自治体で冗談で話題になるのが--確かに参議院選挙があったり都議会選挙があったことしは、選管の事務局の人も大変だと思うんですよね。大変だと思うんですけれども、多分もう年内は何もないですわ、解散しなければ。(「するかもしれない」と呼ぶ者あり)解散しますかね。そうすると、忙しいときは、今のスタッフじゃ確かに大変だろうなというのは客観的に思うんですけれども、選挙がまるっきりない年も同じ人員で選管事務をやっている必要があるのかなというのは、僕は非常に違和感があるんですよね。
 その辺は、皆さんにしてみれば、冗談じゃない、正しい選挙をやるために常に選挙人名簿の更新をして、さまざまな努力をしているんだと、こうおっしゃると思うんですけれども、選挙がなくても選管は仕事がある、選挙が幾つあっても同じメンバーでやらなきゃならない。こういう今日の選挙事務制度を考えますと、首都東京というステータスから考えて、これからの国政選挙も--国政選挙に関して申し上げれば、スルーでお金が抜けていくだけですから、別に東京都が努力しても努力しなくたって、来た金をみんなに配分すりゃそれでいいわけですから、そんなに頭を痛める事務作業じゃないはずなんですよ。
 だけど、それが上手にできることによって、今度は都知事選挙や都議会議員選挙のときには都費を抑えることもできるわけですから、そういう努力を東京都の選管が先頭になって、リーダーシップを持って、司令塔として、これからの区市町村の選管との連携を深めていく必要があるのじゃないか。確かに選挙管理委員会という独立した組織ですから、それぞれ、うちはうちでやり方が違うんだよ、投票所の数も違えば町の広さも違うんだよと、こういうさまざまな特殊事情はあると思うんだけれども、いいものについては積極的に採用していく。
 例えば学生アルバイトを集めたら、すごく集まったんですよ。やりたいという人がいっぱいいたんです。立川に貸してあげたいくらいだった。そのくらい、やりたいという意欲のある学生もいたり、あるいは開票所には、双眼鏡なんかを持って結構なおじいちゃんたちが、一票一票山に積んだのをメモにしたりなんかして、マニアックに選挙の速報みたいなのを自分でやっている人が、どこの選挙区でもいるでしょう。ああいう人たちを下におろしてやったら、もっと生き生きやるのじゃないですか。
 だから、そういう開票作業に夜でもいいから従事してみたいという人たちに、例えば都選管が、一定の研修を経て一定の資格を与えて、それを各自治体でプールしておいて、安い金額でといったら怒られちゃうかもしれませんけれども、ある程度ボランティアに毛の生えたような形で、選挙開票事務にボランティアとして参加することに生きがいだとかやりがいを見出す人たちというのも、都民の中にはいらっしゃるのじゃないかなというふうに思いますので、そういうことによって東京都の選挙管理費用そのものを下げていく。あるいは頑張った自治体は、ご褒美として、その余った分については、選挙の啓蒙活動だとか、あるいはその後の事務作業に使ってもいいよというふうにしていかないと、みんながその気になりませんから、この辺を東京都の選挙管理委員会として、今後、それぞれの区市町村と一体となって取り組んでいただきたいなということを要望して、終わりたいと思います。
 以上です。

○大塚委員 私からは、選管の中で、平成十二年度の選挙啓発費用の執行率についてお伺いしたいと思います。
 今お話がありましたように、選挙全体の経費というのは莫大な経費がかかっているわけですけれども、その中での選挙への啓発経費につきまして質問したいわけでございます。選挙は民主主義の根幹であり、投票率を高めて、多くの有権者の意向を反映してその代表者を選ぶということが大事だというふうに考えておりますし、また、参議院選挙でことしは非拘束名簿式が導入されまして、そういった制度の周知徹底とか、そういったことが大事だというふうにも思うわけでございます。
 そこで、平成十二度決算に関していえば、全体の執行率が九三・五%になっておるわけでございますけれども、その内訳を見ますと、選挙の啓発経費の執行率が五二・四%と、二千九百三十万の予算現額に対して支出が千五百三十万、約千四百万の不用額が出ておりますけれども、この理由について、まずお伺いしたいと思います。

○橋本次長 平成十二年の衆議院議員選挙の選挙啓発経費で、約千四百万円の不用額が生じた主な理由でございますけれども、これにつきましては、実際の立候補者数が、予算に計上した規模に比べて少なかったということがございまして、視覚障害者に対する選挙広報用として、立候補者、政党等の情報をまとめました点字のお知らせというのをつくっておりますけれども、その作成費用において、約八百三十万円の不用額が生じたと。千四百万の不用額のうち八百三十万円がそれであるというようなこと、それから他の契約に落札金額が生じたことなどによるものでございます。

○大塚委員 投票率というのは、そのときの政局とか、あるいは争点によるということも大きいわけでございますけれども、先ほどの萩生田委員の話もありましたけれども、節約をして、なるべく投票率を上げるというような啓蒙活動というのが、我々選挙をしている人間もそうですし、都民の代表を選ぶ、あるいは国の代表を選ぶということからも、先ほどいったように大事なわけです。平成十二年の衆議院選挙の際には、具体的にどのような啓蒙活動を行ったか、お伺いしたいと思います。

○橋本次長 衆議院議員選挙は、いうまでもなく国政選挙でございますので、国が放送などの全国レベルの啓発を行いまして、東京都は国や区市町村と連携分担をしながら、街頭キャンペーンを中心とした多様な啓発活動を行ったところでございます。
 具体的には、特殊広報宣伝車、これはピンク色の豚の形をした車両ですけれども、これによる街頭啓発キャンペーンを行ったこと、それから区市町村との合同啓発キャンペーンを三区二市、二日間にわたって行ったこと、それから救急用のばんそうこう、ウエットティッシュ約三万個などの啓発グッズを作成、配布するなどの活動を行いました。
 そのほか、投票方法に関する制度改正のチラシの配布ですとか、ホームページによる情報発信、それから区市町村の庁舎など七十二カ所に懸垂幕を掲出するなどの各種啓発活動によりまして、制度改正、選挙期日の周知徹底や、投票の呼びかけを行ったところでございます。

○大塚委員 限られた予算の中で、いろいろな試行錯誤をされての啓蒙、啓発活動だと思うんでございますけれども、できるだけ多くの方々に投票所に足を運んでもらうために、二時間の延長ですとか在外投票者制度とか、さまざまな改善がなされているわけでございます。今後、IT化とか、いろんな投票所のあり方とか、これからの投票の制度面での投票率を上げる施策とか、具体的なものがありましたらお伺いをさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

○橋本次長 投票率向上に向けての制度面の改善につきましては、お話のように平成十年の法改正によりまして、投開票が二時間延長をされるとともに、不在者投票の事由緩和がなされるなど投票環境の向上が図られておりまして、ここ数年、投票率も一定程度上昇しているところでございます。
 都選管といたしましても、区市町村選管とも連携をいたしまして、今後さらにこうした投票環境の向上に向けた検討を行いまして、必要に応じ国に提言するなど、積極的に取り組みを進めたいと考えております。
 また、投票率向上のためには、お話のとおり啓発活動の充実が必要と考えているところでございまして、平成十三年の都議会議員選挙や参議院議員選挙では、新たに都民参加型啓発として、都民ウオーク大会やキャッチコピー、川柳の募集を行ったり、主として若年層の意識啓発を目指しまして、インターネットでの情報提供を充実するなど種々の工夫をして、取り組んできたところでございます。
 今後も、国及び区市町村と連携をしながら、投票率向上に向けて、より一層の効果的な啓発活動の実施に努めてまいりたいと考えております。

○宮崎委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で、選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○宮崎委員長 これより主税局関係に入ります。
 決算の審査を行います。
 平成十二年度東京都一般会計決算中、主税局所管分及び平成十二年度東京都地方消費税清算会計決算を一括して議題といたします。
 本件については、既に説明を聴取しております。
 その際、要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○佐藤総務部長 先般の分科会におきまして要求のございました主税局関係の資料につきまして、ご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十二年度各会計決算特別委員会第一分科会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 初めに、目次の次にございます一ページの、要求資料第1号、都税の予算額と決算額の推移について、ご説明申し上げます。
 この表は、平成八年度から平成十二年度までの五年間について、都税総額及び法人事業税の当初予算額、最終予算額及び決算額の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの、要求資料第2号、滞納額・整理収入額・整理収入歩合及び調定額・収入額・収入歩合について、ご説明申し上げます。
 この表は、平成十年度から平成十二年度までの三年間について、個人都民税を除いた都税の滞納額、滞納整理収入額及び滞納整理収入歩合、並びに調定額、収入額及び収入歩合の推移を、それぞれお示ししたものでございます。
 次に、三ページの、要求資料第3号、督促状発付件数及び臨戸件数について、ご説明申し上げます。
 この表は、平成八年度から平成十二年度までの五年間について、督促状の発付件数及び臨戸件数の推移をお示ししたものでございます。
 次に、四ページの、要求資料第4号、平成十二年度不正軽油撲滅作戦の概要について、ご説明申し上げます。
 この表は、不正軽油撲滅作戦の目的、平成十二年度の主な経過及び取り組みをお示ししたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、要求のございました資料に関する説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議のほどお願いいたします。

○宮崎委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより本件に対する質疑を一括して行います。
 発言を願います。

○前島委員 資料もいただきましたけれども、不正軽油の撲滅作戦について、何点かお伺いをしたいと思います。
 昨年の九月以来、大気汚染の元凶の一つでもありますこの不正軽油、さらにまた脱税等にもつながるという問題がありますけれども、東京都が積極的にこの取り組みをされていることは、大変評価をするわけでございます。特に、現場で働いている職員の方々のご努力というものは、大変だというふうに伺っております。
 さらにまた、税収の確保という観点から、最近話題になっております輸入軽油を利用した脱税も見過ごすことのできない問題であります。
 初めに、提出された資料を見ますと、昨年、路上だとか工事現場だとか、トラックターミナル等で、実際使っている燃料の抜き取り検査、調査というものをされていることが書いてありますけれども、こういういろいろな苦労が伴っての、現場の一つのこういう調査だと思っておりますけれども、まず初めに、こうした現場の調査のプロセス等につきまして、ぜひご報告をお願いしたい。

○吉田課税部長 抜き取り調査において採取した油は、直ちに専門機関で分析を行っております。その結果、混和が発見された場合、まず自動車や重機の保有者に対しまして、事情聴取や帳票の調査を実施いたします。
 次に、その販売先に対する追跡調査を行いまして、不正の事実及び販売経路等を確認し、販売の実態を把握した上で、製造基地の発見に努めておるところでございます。
 調査の過程では、アウトローの介在、広域かつ複雑な流通経路、末端ユーザーが容易に使用し得るなど軽油をめぐる状況がございまして、この調査を困難なものとしております。主税局の職員は、内偵、追跡等、昼夜を問わず張り込みを続けまして、事件の全容を把握すべく努めておるところでございます。
 調査の結果、悪質なケースが発見されました場合、犯則嫌疑が判明したものにつきましては、強制調査や通告、告発処分を行っております。
 以上でございます。

○前島委員 今、調査の中で張り込みをしてまでというお話がありましたけれども、都の職員になって、まさか自分がというような、そういうお仕事の中身について、本当に敬意を表するわけでございます。
 不正軽油というのは、ご存じのとおり税金の問題ばかりではなくて、先ほどいいましたように、東京に青空を取り戻し都民の健康を守るというような環境の面もありますけれども、当委員会は、環境の面につきましてはさておいて、そういう点では、私たち、工事発注者でもある東京都というのは、全体の問題からしても東京都が一丸となって取り組んでいく必要が私はあると思うんです。それでまさに不正軽油というのは、要するに調査をしていろんなものが出てきたとか、そういうような結果の問題ではなくて、都民生活に大変に深くかかわり合いがあります。
 しかし、一方、東京都だけでなかなかできない。東京に入ってくる車の多くは、他県や他都市の方からの流入というような形でもって、そういう点では非常に単独的に、主税局なら主税局だけができる問題ではないというふうに思っております。そういう点、ひとつ各局との連携、さらにはまた、いろいろと啓発活動、都民に対するそういうような問題、さらには、この売られている不正軽油がどういう流通経路になっているのか、こういうことも明らかにしていかなきゃならないと思いますけれども、そうした点についての経過について、お話をいただきたい。

○吉田課税部長 庁内、関係業界、都民との連携についてのお尋ねでございますが、まず庁内におきましては、作戦開始と同時に警視庁、消防庁を含む全局で構成する東京都不正軽油撲滅推進会議を設置いたしまして、全庁的な取り組み体制を整備したところでございます。
 推進会議では、各局との情報交換を初め、工事現場や貯油施設、中央卸売市場、トラックターミナル等での抜き取り調査を計画、実施いたしまして、不正軽油の発見、排除に努め、悪質業者摘発の端緒としております。
 都民や事業者の意識啓発策といたしましては、チラシの配布及びポスターの掲示、ホームページや電光掲示板等を用いてのPRを行ったほか、知事がみずからテレビに出演して都民に訴える等、不正軽油撲滅の意義について、積極的に周知を図ったところでございます。
 また、関係業界との連携といたしましては、軽油の販売及び消費にかかわる民間五団体と東京都不正軽油撲滅推進協議会を設置いたしまして、不正軽油を首都圏から追放する方策について協議を行い、実践してまいりました。平成十三年三月には、不正軽油撲滅東京宣言を採択したところでございます。
 なお、今年度におきましては、不正軽油一一〇番の設置、不正軽油撲滅絵画ポスターコンクールの開催等によりまして、関係業界や都民との連携をより一層強力なものにしておるところでございます。

○前島委員 今のご答弁にもありましたけれども、都民の意識というのは非常に大事なことで、本年に入りまして都民一一〇番というのが実施をされて、大変関心が集まっております。中に、今でも、これはまちの中を走っていて、こういう燃料がよく許されるなというような環境的な問題もあるし、さらにはまた、どこから発生するかわかりませんけれども、実際に使われていると見られるような車が走っていることは事実だと思います。
 そこで、先ほどもいいましたように、この不正軽油を撲滅するためには、東京都ひとりが勇んでいてもしようがないわけでありますので、特に全国規模で、こういうような問題について他の道府県との連携がどのようになっているか、よろしくお願いいたします。

○吉田課税部長 他の道府県との連携についてのお尋ねでございますが、昨年十一月、千葉、埼玉、神奈川の各県と、首都圏では初めての路上合同検税を実施いたしました。
 また、本年一月、一都七県から成る不正軽油対策会議を発足させまして、各都県の持つ情報の交換を行いまして、軽油をめぐる諸課題について協力して取り組むことを確認いたしました。このことによりまして、広域的かつ複雑な事案でも、不正軽油の製造販売に関する情報を共有することによりまして、迅速な対応が可能となったところでございます。関係都県は、共同して調査に当たるなど悪質業者の摘発に努めているところでございます。
 なお、本年度におきましては、東京都が全国の道府県に呼びかけ、二十八都府県による不正軽油対策会議を開催するとともに、二十七都道県による合同路上検税を実施したところでございます。

○前島委員 ところで、輸入軽油を利用した脱税のこの問題が、しばしば話題になっておりますが、東京都の取り組みに端を発しまして、地方税法がさきに改正をされて、本年六月からは蔵出し課税という形で、非常に税の取り組みというかな、要するにしっかりと課税するというような体制ができたというふうに伺っておりますけれども、その成果について、ご報告をお願いしたい。

○吉田課税部長 都におきましては、平成十一年十二月の、軽油に係る税制に関する緊急要望など、国に対し輸入軽油の蔵出し課税化を要望してまいりました。
 本年三月、都の要望を踏まえまして地方税法が改正され、これを機に脱税目的の輸入軽油は一滴たりとも国内に流通させないとの強い方針で臨むことといたしました。改正法適用に先駆けまして全国連絡会議を開催し、脱税目的の輸入軽油取り締まり策を示しまして、関係都道府県で協力して取り組むことを提案いたしました。
 輸入許可時までに申告納付しない業者に対しましては、輸入軽油を差し押さえることとし、関係道府県の納税を確保するため、輸入業者の所在県及び税関や油槽所に主税局職員を派遣いたしまして、道府県の税額決定や差し押さえ処分を支援してまいりました。
 その結果、差し押さえなどによる税収額は、十月十五日現在で、全国で約三十九億円、そのうち都には約一億円が納付されました。各都道府県の一体的取り組みによりまして、輸入脱税軽油の国内流通が阻止され、納税秩序の回復が図られているところでございます。
 今後も、納税秩序の維持と税収確保に向け、輸入情報の収集及び全国配信を行いまして、全道府県と一致協力して、監視及び差し押さえ体制を堅持するとともに、輸入業者に対して厳しく申告指導を行ってまいる所存でございます。

○前島委員 今、お話がありましたけれども、こうした悪質輸入業者というようなものに対しては、全国でやっぱり一致して取り組みを行うことが必要であります。それによる課税のあれが全国で三十九億円、都は一億円という形でありますけれども、これは金額の問題ではなくて、そういう一つのルートをやっぱり絶つ、こういうような問題が必要だと思っております。
 また、最近になって、地方税法の軽油規格を、故意にというのか、わずかに外すことによって、意図的に軽油引取税を免れるというような、そういう軽油が売られているというようなマスコミ報道があります。これを疑似軽油というふうにいっているのかどうか、正式な名称はちょっとわかりませんけれども、こういうようなものに対する対応、これも非常に大切だと思いますけれども、ちょっとこの問題についてのご回答をよろしくお願いしたい。

○吉田課税部長 疑似軽油あるいは規格外軽油といわれる油は、引火点や比重を調整し、ご指摘のとおり地方税法上の軽油規格をわずかに外した石油製品でございます。この製品は、輸入時に課税することができないということで、自動車燃料として譲渡、消費されたときに課税することとなります。
 現在、国内に持ち込まれている規格外軽油は、輸入業者の系列あるいは売りさばき先などから判断いたしますと、法改正により輸入軽油脱税の道を閉ざされたブローカーが、脱税目的で輸入していると考えられております。
 主税局では、自動車燃料として使用されることが明白な規格外軽油につきましては、輸入許可時までに申告納付させるとともに、脱税目的の石油製品を輸入しないよう関係業者に厳しく指導しているところでございます。
 規格外軽油は、広域的に流通しておりまして、一東京都だけで対応できるものではございません。今後とも関係県と情報交換を密にいたしまして、共同して調査を進めるなど、脱税は絶対に許さないという強い姿勢で臨むとともに、引き続き主導的役割を果たしていく所存でございます。

○前島委員 最後に、局長にご答弁をお願いしたいと思いますが、今ずっとお話がありましたとおり、不正軽油に関するいろいろな問題というものが、東京都の中にもありますし、また東京都がしっかりと、要するに中心的になって全国の自治体や国に共同歩調をしていく必要があるというふうな、今社会問題にもなっているわけであります。局長の取り組み方、東京都としての取り組み方をぜひお願いをしたいと思っております。

○安間主税局長 ただいま委員から、当局の推進している不正軽油撲滅作戦につきまして、さまざまな観点からご指摘いただき、また職員の努力に対してもご言及いただきまして、ありがとうございました。
 この作戦は、昨年の九月から知事の強いリーダーシップのもとで、庁内各局はもとより民間団体、近隣の各県、さらには各区市町村と連携しまして、またご指摘のありましたように、都民の幅広い支援、ご協力も得られまして、全国規模の作戦ということで展開いたしました。結果的に、悪質業者の摘発も含め大きな成果を上げることができたと考えております。
 また、私といたしましては、この作戦を通じて、当局の職員の士気、モラールが非常に高まったというふうに思っております。
 また、輸入軽油、規格外軽油にかかわる脱税対策につきましても、都が中心となりまして、関係県に呼びかけまして、脱税は絶対に許さないという断固とした姿勢で取り組んだことによりまして、輸入時に納税させるなどの成果を上げることができたと考えております。
 特に、この対策では、全国の道府県との共同の活動を通じまして、道府県間の連携の太いきずなができた、これも非常に大きな成果であったというふうに考えております。
 ご指摘のように、不正軽油は、都民の生命と健康を直接脅かすものでございますし、これを撲滅して東京に青空を取り戻す、そして都民の健康を守るということは、一刻の猶予も許されない課題であるというふうに考えております。
 また、輸入軽油、規格外軽油につきましても、先ほど来ありましたように、いわば法の網をくぐって税を逃れる、そういう行為でございますから、これも極めて重要な課題であるというふうに考えております。
 このため、今後とも、これまで同様、気を緩めることなく、環境改善と納税秩序の維持に向けまして、庁内はもとより関係する自治体と緊密な連携をとりながら、全力を挙げて作戦に取り組んでいく決意でございます。あわせて都民の幅広い理解と協力を得られますよう、一層の努力を重ねてまいりたいと思っております。

○古館委員 それでは、要求資料第1号にかかわって最初に質問させていただきます。
 十二年度の当初と決算、これを全体で見ますと、都税としては全体で三千六百五億円の増になっておりますね。これはかなり大きな増だと思います。その中で、とりわけ法人事業税について、当初と決算で見ますと二千四百二十二億円の増。都税全体の伸びというよりも、ふえた額の大体六七・二%が法人事業税の税収増で占めている、これがこの表を見てわかるかと思います。
 最初に質問ですが、都税が当初予算よりも大きく伸びたその要因は何だとお考えでしょうか。

○鮎澤税制部長 当初予算編成時におきましては、緩やかな景気回復に伴います企業収益や所得環境の改善から、法人二税等について一定の伸びが期待される。しかしながら、十二年度の税制改正や恒久的減税の平年度化などによりまして、これらの減収がそれらを上回るのではないかというふうに見込んだところでございます。
 しかしながら、十二年度の経済は、雇用情勢や個人消費が依然として厳しい状況にあったものの、情報技術関連企業を中心にいたしまして企業収益の回復が予想を上回ったことなどから、法人二税が大幅な増収となったものでございます。

○古館委員 今、お答えの中にもあったんですけれども、最初に、当初予算の編成のときに、こういう見方で三兆九千何がしの都税、法人事業税も七千百四十一億円というふうに見込んだ、その見込みは、十二年度の税制改正や恒久減税の平年度化、こういうことによって相当の減収額が考えられていたと。
 それはそのとおりでありまして、法人事業税の税率の推移というのは、昭和でいいますと四十九年のときの標準税率というのが一二%でした。ここに来てずっと変わっていなかったのが、平成十年度で標準税率が一二%だったのが一%下がりまして、一一%の標準税率に、減税になったんですね。立て続けにその翌年の十一年度に今度は一一%の標準税率を九・六%に減税したんですよね。恐らくこれを、非常に大きな減税になるだろう、このように見込んでいたということがご答弁にありました。
 そこで、この十二年度などの恒久化などによって、この減税による影響額は幾らというふうに推計していたんでしょうか。

○鮎澤税制部長 恒久的減税によります十二年度の法人二税の影響額は二千五百六十六億円というふうに見込んでおります。

○古館委員 二千五百六十六億円というのは物すごい大きいですよね。それで、これぐらいおっこちてくる、だから余り大きく伸びなかった。ところが実際には、今いったように、IT関連などでというふうにいわれたんですけれども、私はここの問題で二つあるというふうに思っております。
 その点で、法人二税について、それぞれ、標準税率と制限税率、それから都が実施している現行税率--この法人事業税というのは、もちろん都民税も同じなんですが、基準というのは三つあるというふうに私は理解しています。一つは標準税率というのと、それから、ここまでは自治体として独自で上げてもいいですよという制限税率、実際に東京都がそういうことで現行で課税をしている現行税率、この三つがあると思うんですね。
 先ほど私は、九・六%という標準税率をお話をしたんですが、それでは、今の制限税率が幾らで、東京都が実際に税率として法人事業税にかけている税率は幾らか、このことについてお答えいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 法人事業税の標準税率は九・六%でございます。制限税率は一〇・五六%、また都の現行の税率は一〇・〇八%でございます。

○古館委員 つまり、制限税率が今の答弁で一〇・五六%、東京都が標準税率よりもちょっと高くしておいてあるんですね、今のお答えで一〇・〇八と。だけど一〇・五六%までは上げてもいいですよという制限税率になっているわけですよね。
 法人事業税についての制限税率、今の現行の一〇・〇八%を一〇・五六%、大体これは一・一倍になると思いますが、そこまで引き上げた場合に、さらにどれほどの増収が見込まれると試算できるでしょうか、制限税率いっぱいまで引き上げた場合に。

○鮎澤税制部長 超過課税につきまして、標準税率の一・一倍となる制限税率いっぱいまで引き上げた場合の増収額でございますが、十二年度決算をベースにいたしますと、約四百億円程度というふうに見込まれます。

○古館委員 つまり、これだけお金がない、財政難だといわれている中で、かつてそういう制限税率いっぱいまで、東京都は法人事業税にしても税率を引き上げたことがあったわけですよね。だから、ここで法人事業税を制限税率いっぱいに引き上げれば、大体四百億円ほどの増収が見込めるということのご答弁がありました。
 現実に、今、世間では、大変厳しいという話になるんですけれども、ところが、大企業の場合の収支なんかを見ていますと、どこでも今、リストラ、合理化をやっているんですよね。IT関連で伸びたといって、それから、などというふうにいわれているんですが、収益が、つまり税が伸びたというもう一つの要因の大きなものに、大企業がどんどん行っているリストラ、合理化、こういうものによって結構収益上げているんですね。それが年々、内部留保という形で大企業などは増大させていっている、これが特徴だと思っています。
 政府などが出している統計だとかを参考にいたしましても、大企業の内部留保というのは年々ふえておりまして、大体四百数十社ぐらいの大企業の内部留保でどれぐらい収益が上がっているかというと、百五十兆円ぐらい上がっている。今、落ちたといっても、百三十兆円ぐらいの内部留保があるといわれているんですよね。
 ですから、私は、そういう意味でいえば、制限税率いっぱい引き上げても、十分担税能力はある、そういうふうに思いますが、いかがですか。

○鮎澤税制部長 現在行っております超過課税は、既に税負担をいただいている法人につきまして、通常の負担を超えた特別の負担をしていただいているものであります。現在の企業を取り巻く経済状況が大変厳しい現況にありますことから、超過税率の引き上げということは考えておりません。

○古館委員 私は、先ほど冒頭に、だから聞いたのは、いわゆる恒久減税がちょうど十二年度実施されていったわけですよね、恒久的に平年度ベースでこの減税が始まっていった。その減税額はどれぐらいかと聞いたら、東京都に入ってくる法人二税ですね、その法人二税の減税額というのは、一年間だけで二千五百六十六億円に達すると。だから、制限税率いっぱいに東京都が仮に税率を引き上げたって、四百億の増収ですから、減税額の方がずっと大きいわけですよ。だから、私は、できないということにはならないと。
 それで我が党としては、この制限税率いっぱいまでの税率引き上げというのも提案をさせていただき、私もその議案の提案をさせていただいたわけですけれども、そういう点でいいますと、私もちょっと計算してみたんです。法人二税の減税がなく、制限税率いっぱいまで引き上げた、いわゆる減税をなしとして、そうすると東京都には、通常だったら二千五百六十六億円余計に入ってきていた。減税がなかったらですよ。おまけに制限税率いっぱいで仮に税を納めてもらったとすると、それに四百億足しますから、約三千億増収になる見込みなんですよ。
 これは何も空想的な話をしているわけじゃないですよね。現実にその前の前の年までは、それぐらい法人事業税として税収として入ってきた。それに制限税率いっぱいにかければ四百億のプラスになって、全体で三千億になる。実は、この三千億の全体としての税収増ということになりますと、決算で見ますと、先ほどいいましたように三千五百億ほどの増収になっていますから、足すと六千五百億円の増収になるんです。
 財政再建推進プランで十二年度にどれぐらいの財源不足が生じるというふうに考えていたかというと、六千二百億円ですよ。そうすると、平年度ベースの減税がなくて、制限税率いっぱいに課税すると、そして今度の十二年度の当初から決算にかけてふえた金額三千六百を足すと六千六百億になって、いわゆる出し入れの差し引きで足りなくなるという六千二百億をはるかに超える。だから、はっきりいえば、主税局の裁量だけでも財源不足というのは解消することができるぐらいの権限と、そうしたものを持っている。
 もちろん減税について、それは主税局の範囲外ですよ、国の法改正だから、それは主税局でできませんというふうに恐らくお答えになるんだと思います。しかし、その減税がこんなふうに大きな減税でなかったら、もっと東京都の財政難というのは圧縮できたし、克服することだってそんなに難しい話ではない、そういう位置に主税局がありますし、主税局のこの間の努力に対して、私は一概に否定しているものじゃありません。減税の大きな額と、それから制限税率いっぱいまでかける、こういう努力を私は引き続きぜひ行っていただきたいということを申し述べて、次に質問移りたいと思います。
 次は、現在、米軍人とその家族への自動車税について質問したいと思います。今これはどのようになっているでしょうか。都民が納めている税率との比較でお答えいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 自動車税の主な区分別に比較いたしまして申し上げますと、排気量二リットルの小型乗用車では、標準税率が三万九千五百円に対しまして、米軍の特例税率は七千五百円であります。排気量三リットルの普通乗用車では、標準税率五万一千円に対しまして、特例税率は一万九千円であります。最大積載量四トンのトラックでは、標準税率が二万五百円に対しまして、特例税率は三万二千円となっております。

○古館委員 今のご答弁ですと、最大積載量四トンのトラックでいうと、標準税率、都民が納めている税金は二万五百円、ところが米軍人が自分で持っているトラック、これは数台しかありませんよね。これは確かに三万二千円払ってくださいよと。
 ところが、排気量二リットルの小型乗用車だと、標準税率三万九千五百円に対して、米軍人の家族の人は自動車税を七千五百円払えばいい。それから、排気量三リットルの普通乗用車の場合、標準税率、都民が払う税金は五万一千円に対して、米軍人の家族が持っている車に対しては一万九千円。これは走っているのは、横田基地周辺で走ったりなんかしているわけですから、日本の道路を走っているわけです。
 私は、そういうものに対しては、きっちりと課税すべきだと思います。それで、都民納付の税率に、都民が納めている税率と同一の税率に引き上げた場合に、どれぐらいの増収になるか、お答えいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 標準税率で課税いたしました場合は、その差額は二億円でございます。

○古館委員 これは東京都だけの問題じゃなくて、周辺の市町村だって--使っている例えばバイクだとか、ああいうのは市町村ですよね。だから、東京都が税率を、優遇措置とらないで、ちゃんと取ったら、市町村の方も少しは税収が潤ってくるはずなんですよね。
 今、二億円というお答えがありました。都民と同一に税率を引き上げることがなぜできないのか、引き上げられないとするなら、その法的根拠は何でしょうか。

○鮎澤税制部長 米軍構成員等の私有車両に対する自動車税の特例税率は、条約であります日米地位協定に基づき定められており、法規制力を有するとされておりますことから、税率の引き上げはできないものと考えております。

○古館委員 日米地位協定の、具体的に何条ですか。

○鮎澤税制部長 日米地位協定の十三条におきまして、私有自動車に対する「道路の使用について納付すべき租税の免除を与える義務を定めるものではない。」というふうになっておりますが、この点について見解が分かれておりまして、二十五条で、合同委員会を設けて検討して、現在の税率となっております。

○古館委員 つまり、十三条では課税できるということを定めているわけですよね。課税できるわけです。それは話し合いによってということで今いいましたよね。だから、法規制がというのじゃなくて、それは日本側が、都民が払っているように、きっちりちゃんと払ってください、そういうことをいうことは可能だし、そういうことはやはり主張をきちっとすべきだしね。
 ですから、私は、そのことはできないというんじゃなくて、そのことについては主張して、実現可能性は十分にある、このように私自身は理解していますが、いかがですか。

○鮎澤税制部長 先ほど申し上げましたように、日米地位協定十三条におきまして、道路の使用について納付すべき租税については日本が課税する旨定めておりまして、そこに、ではその租税とは何かということの解釈につきまして、日本の自動車税は財産課税としての性格をあわせ持っていることなどから、日米で見解の相違がございます。
 このため、先ほど申し上げましたように、二十五条の合同委員会で協議された結果、自動車税の課税に当たりましては、地方税法に定める標準税率のうち、道路の使用について納付すべき租税に相当する部分として決定された特例税率によることとされております。そして、この決定が法規制力を持つものとされておりますので、都独自に特例税率の廃止または引き上げを行うということはできないものであります。

○古館委員 そこのところは、どういう立場で臨むかということがすごく大事なことなんですよね。東京都が各県とそういう協議会があったり、それから東京都と基地のある周辺の市町村と協議会みたいなものがあったり、そういう中で、あるいはそういうところでは要望として出るわけですよね。そこはやはりきっちりと都民の立場というのを伝えながら、そこについては変更させるということですね。
 変更で認めたら、それが法規制だとなるわけでしょう。決まったものが法規制だというわけですよ。上げたら、上げたのが、それが法になるわけですから。だから、話し合って変更することは可能なんですよ。そこははっきりさせた上で交渉に臨んでいく必要があるというふうに思います。
 ですから、この問題は、これ以上質問はしませんが、かつて立川では、たしか五十年代前後に、立川市独自で、都民が払っているような、市民が払っているような税で徴収しますよというふうに、そこの条項を抹消して、市民が払う税額同額を払ってくださいというふうに、たしかそういう条例をつくったことがあるんですよね。
 だから、それは自治体独自の権限としてできることだということだけ指摘をしておいて、この問題には私なりに非常に関心を持っていることですので、したがいまして、強くこの問題の改善を求めて、次に移りたいと思います。
 この十二年度ですが、銀行税の議決とともに、新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免を実施しました。これについては、私どもも大いに賛成という立場をとり、なおかつ、これは所管外なんですが、二十三区だけやって、多摩各地はそういう恩恵にはならない、もちろん税の取り方が違いますから。このことは別に答弁してくださいといっているわけじゃない。そういう三多摩のところにも、同様の措置をぜひ各局で検討してくれというふうにもいいました。(「質問しておいてよ、おれは三多摩なんだから」と呼ぶ者あり)
 ちょうどこの平成十二年度というのは、この新築住宅にかかわる固定資産税、都市計画税の減免を実施した、そういう点では、非常に私どもも賛成した議案なんですね。これについての実績について、まずご報告をしていただきたいと思います。

○斎藤資産税部長 新築住宅に係る固定資産税、都市計画税の減免についてのお尋ねでございますが、この減免は、平成十二年一月二日以降の新築から適用されます。実際に減免が行われますのは平成十三年度分以降となります。
 ちなみに、平成十三年度の定期課税の実績を申し上げますと、減免税額は約七十億円、対象者数は約六万人です。

○古館委員 済みません、当初見込んでいたのを答えていただけますか。今、七十億と六万人といいましたよね。当初見込みはどんな見込みでしたか。

○斎藤資産税部長 これは、減免と減額、合計でもって見込んでおりまして、九十億円というふうに見込んでおりました。もし減免部分に特定いたしますと、ほぼ五十六億円程度ではなかったかというふうに思います。

○古館委員 今、五十六億円と見込んでいたのが七十億円という減税効果--減税ですよね。だから、恐らくこれは対象人数もふえているというふうに考えられます。これは、ある意味で、私は経済効果が非常にあるものだ、そういうふうに理解をしています。
 実は、委員長の今ご要望にこたえたかったんですが、局が違うからということで、この問題の質問は差し控えますけれども、これは、今のこういう景気が悪いという中で、極めて大きな経済効果のある、ある意味では、東京都って結構やるじゃんという感じの大きな意味を持っているものではないかと思っています。
 私も、いろいろ調べさせてもらって、東京都住宅白書というのがありまして、ここで、住宅をつくった場合の経済効果というのがどういうふうにあるのかというのが実はこういうふうに出ているんですよ。
 大体、一・八倍から二倍ぐらい、経済効果が生まれる。第一次効果ですね、生まれるというんですね。一・八五倍から二倍ぐらい。中古のリフォームなんかやりますということで、中古住宅をそういうふうにやった場合、どれぐらいの経済効果が生まれるかというと、一・六五倍ぐらいになる。
 つまり、私は、この問題について、今回は新築だけに限定をしているんですけれども、この問題について、この経済効果--ごめんなさい、経済効果についての認識についてまずお答えいただきたいと思います。

○鮎澤税制部長 住宅建設の経済効果につきましては、関連産業が非常に多岐にわたり、すそ野が広いことから、非常に大きいこととされております。
 今回の減免措置では、平成十一年度に大幅に拡充されました住宅ローンの控除制度等とあわせまして、景気対策としては高い効果が期待できるというふうに考えております。

○古館委員 主税局サイドも非常に効果は大きいというふうにいわれました。私は、このときというか、これが提案されてきたとき、たまたま財政委員をしていまして、そのときに、既存の住宅の改修、改造、それから多摩の方にも適用したらという話をしたんですが、ちょっと多摩の方は所管外なのであれなんですが、既存の住宅の改修、改造、こういうものにも着目をして、これらの事業を拡充するという方向には踏み切れないでしょうか、いかがですか。

○鮎澤税制部長 今回の減免措置につきましては、新築住宅の取得を促進するという観点から設けられたものでございまして、その改修、改造などよりもより大きな負担、それから、より大きい経済波及効果というものを期待して新築住宅を対象としているものでございますので、拡大をするということは、現在のところ考えておりません。

○古館委員 一次効果で約二倍近い効果、それから、中古のリフォームをしても一・六五倍ぐらいというのは、一次効果ですからね。一次効果というのは、大工さんに頼む、そうすると、地元の建設業の人がかかわる、つまり仕事の確保にも役立つ。二次効果というのは、そのことによって、近くのお店屋さんに行って住まいのための必要な備品なんかを買うわけですよね。そういうような効果をずっと考えていくと、結局、この減税をしたということは、必ず東京都のプラス効果として作用していくというふうに、私、確信をしております。
 したがいまして、この問題については、三カ年という期間ですが、これを延長して改修、改造などにも拡充すると。改修、改造についてはお答えがあったんですが、三カ年の延長について、これも求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

○鮎澤税制部長 三年後のあり方につきましては、その時点におきます経済状況等を踏まえまして、判断していくということになると思います。

○古館委員 今、本当に、このことの効果というのは、それこそ第一次分の経済効果ということにとどめないで、ぜひ一度検討していただく。それで、三カ年の期限つきだったんですけれども、これの延長と、それから中古の住宅改造、こういうものに対しても適用してほしいと。せっかく委員長のお計らいですので、局長、いかがでしょうか。

○安間主税局長 住宅減免について、今るるご指摘いただきました。経済効果については、明らかに税制部長答弁したとおりでございますので、大きな効果があるというふうに我々も判断しておるところでございますが、税につきましては、財政の中での税収確保という側面もございますし、それから減税による経済効果がまた税収にもはね返ってくる、さまざまな側面を見なければいけないということと、やはり今非常に経済状況が大きく変動しているときでございますので、長期にわたって政策減税を決めていくというのはなかなか難しい状況だと思いますので、慎重に、三年後の時点でさまざまな視点から検討して判断をしたいと思います。

○大西委員 平成十二年度は主税局所管の東京都税制調査会が創設され、十一月に二十一世紀の地方主権を支える税財政制度という答申を行った年度です。
 そこで、この答申にはどのような意義があり、また、答申を受けて都はどのような取り組み、検討を行ってきたのか、お伺いします。

○鮎澤税制部長 東京都税制調査会の答申は、国、地方を通じた税制度のあり方について、地方の立場から具体的に示したところに意義があるというふうに考えております。この答申を受け、都においては、税源移譲など国において早急に実現すべきものにつきましては、答申を活用しながら、国に対し強く働きかけてきたところでございます。また、都独自に実施できるものにつきましては、答申を踏まえて、あらゆる角度から検証、検討を重ねているところでございます。

○大西委員 地方分権改革の課題は、第一に機関委任事務の廃止、そして、第二に税源の移譲であるといわれています。税源移譲は、国庫補助負担金の削減と地方交付税の抜本的な見直しにより行うことが基本と考えるのですが、現段階の国の考え方はどのようなものなのか、それを都税調答申と比較して示してください。

○鮎澤税制部長 東京都の税制調査会の答申は、国庫補助金、地方交付税の縮減による財源を原資といたしまして、税源移譲を行うべきこととしております。こうした考え方は、本年六月の国の地方分権推進委員会の最終報告と軌を一にしているものでございます。
 しかしながら、東京都税制調査会答申が具体的な税源移譲のシナリオを示しているのに対しまして、国の現在いわれております今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針、いわゆる骨太方針については、なお基本的な考え方を示すというところにとどまっているところでございます。

○大西委員 国の補助負担金はもとより、交付税制度も分権を阻害する要因なんですけれども、交付税制度の基本は、財政調整機能や財源保障であるにもかかわらず、いわゆる公共事業の裏負担分を保障するなど、景気対策や政策誘導という側面を持っておりますが、都税調答申は、この点についてどのようにいっているんでしょうか。

○鮎澤税制部長 東京都税制調査会の答申は、現行地方交付税の問題として、国庫支出金や地方債と結びついて、財源の均衡化と財源保障という本来の目的を大きくはみ出し、景気対策の一翼を過度に担い、各省の事業と協調して政策誘導の機能を強めていることを挙げ、こうした地方交付税による事業誘導は、結果的に地方自治に反しかねないとしているところでございます。

○大西委員 非常にその辺が都民にとってはわかりにくかったり、そしてただいま伺ったように、ゆがんだ地方交付税制度は改革されなければならないわけです。また、ヨーロッパの自治憲章では水平財政調整機能について取り上げていますけれども、この機能については、よりわかりやすく、機能強化すべきであると考えております。しかし、小泉内閣の方向は、これをごっちゃにし、地方税の展望を示すでもなく、交付税全体を縮減しようとしているということを強く申し上げておきたいと思います。
 ところで、都は、不交付団体であるがゆえに、さまざまな財源調整を受けたりしています。大都市の行政需要が評価されていないなど、いろんな問題があるわけですが、このことは私も十分承知しております。しかし、一方で、東京のひとり勝ちというような地方の視線、そして、偏在の少ない税源を移譲しても、なお残る税の偏在の問題もあります。この点については、都はどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

○鮎澤税制部長 税源移譲に当たりましては、できる限りすべての自治体に普遍的に税源が存在する税を選択する必要があると東京都税制調査会は述べておりまして、そうした税源移譲が実現しても、なお財政力の低い地方自治体が存在することは否めないというふうに、ご指摘のとおり述べております。財政力の低い自治体への配慮といたしまして、税源移譲に伴う新たな財政調整制度の創設を、東京都税制調査会の答申では示唆しているところでございます。
 税源移譲を実現していくためには、全国の地方自治体の連携が不可欠でございます。今後、都といたしましても、税の偏在への対応は、ご指摘にありました大都市の行政需要に十分配慮しつつも、さらに具体的に検討していかなければならない課題であると考えております。

○大西委員 ただいま伺いました税の偏在に対応する水平的財政調整機能の問題は、税源移譲を実現するためには避けて通れない課題です。
 また、つい最近、千代田区が千代田市構想を発表しました。この構想を税財源の視点から見てみますと、多額の法人税を納税する法人の偏在という意味では、国と都の関係の問題の本質が、同じように都と特別区の関係としてあるわけです。そういう意味では、突きつけられているのではないかと思います。水平的財政調整機能については、全国ベースにおいても、都ベースにおいても、検討が、そういう意味では迫られていると思います。これは主税局の所管外なので要望にとどめておきますが、ぜひとも、都としても積極的に検討していただきたいと思っております。
 最後に、税財源における分権改革の見通しについて、都はどのように考え、今後実現に向けてどのように取り組んでいくつもりか、局長のお考え、見解を伺って、質問を終わりたいと思います。

○安間主税局長 先ほど委員の方からも、地方分権改革の課題は、第一に機関委任事務の廃止、第二に税源の移譲であるというご指摘がございました。分権を進めるためには、自治体の財政基盤の確立が不可欠でございまして、二点目の税源の移譲は、ぜひとも実現しなければならない課題であるというふうに考えております。
 しかし、税源の移譲につきましては、先ほど税制部長が答弁いたしましたように、国はいまだ総論の域を出ていないという状況でございます。また、全国的に見ますと、財政力の低い自治体を含めまして、全国自治体同士がどうしたら連携できるか、こういう課題もあると思います。そういう意味で、実現までの道のりは決して容易ではないと思いますけれども、今後とも、都議会のご協力をいただきまして、全国自治体とも連携し、国に強く働きかけるなど、知事を先頭に全力で取り組んでまいります。

○小磯委員 東京都では、自動車のグリーン税というのを平成十二年度から国に先駆けてやっておられます。例えば自動車税で、電気、天然ガス、メタノール自動車、ハイブリッド自動車の使用については税額の五〇%を軽減する、こういった措置があって、これは、まさに税金によって東京都の大気汚染の改善を図るという趣旨で行われていると私は思っております。
 自動車公害というのは、排出されるガスによって大気を汚染する、それともう一つは、最近、大変残念なわけでございますが、自動車が放置されて、そのまま不法投棄されているというのもいっぱいございます。二十三区内はそういった姿は余り見ないんでしょうけれども、多摩、私のおります町田でも、尾根緑道という、「さくらまつり」が行われる大変きれいな緑道に不法投棄の自動車がいっぱいございます。そこを何とかしなければいけないということで、鉄さくを設けたんですけれども、鉄さくを設けたら、その鉄さくが終わったその先に、今度はまた不法投棄の自動車が今もってあります。
 そういったことで、こうした不法投棄の自動車、放置自動車を何とかなくさなければならないという思いを私はしております。都市・環境委員会では、こうした不法投棄の自動車をなくすための監視体制でありますとかリサイクルシステム、こういったものをしっかりと訴えてきたわけでございますけれども、一つ税制という面からも、これは検討されなければならないと思っていたところに、実は、こうした不法投棄の自動車を、自動車重量税の還付制度、こういったことを検討しているというふうにお伺いをいたしました。
 まず最初に、この自動車重量税の仕組みについてお伺いをしたいと思います。

○鮎澤税制部長 自動車重量税は、道路などの社会資本を充実するための財源といたしまして課税される国税でございます。車検を受ける者に対し、自動車の区分、総重量、車検期間に応じて定められた税率により課税されております。
 ちなみに、総重量一・五トンの自家用乗用車の税率について申し上げますと、車検期間が二年のものは三万七千八百円、三年のものは五万六千七百円となっております。

○小磯委員 税金の還付制度というのは、私は本当に必要じゃないかなと、こう思っておるわけですけれども、国においてどのような検討をされておられるのか、それについて伺いたいと思います。

○鮎澤税制部長 経済産業省及び国土交通省におきましては、先生、先ほどご指摘のありました廃棄という問題がございます。年間に二万数千台に及ぶ大量の自動車の不法投棄が生活環境の悪化を招きまして、処理の社会的コストも膨大になっているということから、使用済み自動車の適正処理を推進し、不法投棄を防止するために、解体による抹消登録等をした自動車について、残存車検期間に相応する自動車重量税を還付する制度を検討しておるところでございます。両省におきましては、既に財務省に対しまして、来年度の税制改正要望を行っているところであり、今後、政府税制調査会等において検討されるべきものと考えております。

○小磯委員 自動車重量税というのは、これは国税であるということはもう百も承知でございますけれども、不法投棄をなくすためには、ありとあらゆる観点から措置を講じなければならない、私はこう思っております。そういった意味では、ぜひとも、この自動車重量税の還付制度については、本当にその制度が成るように、創設されるべきであると強く申し上げておきたいと思っております。
 続きまして、いわゆる中小企業の事業経営というのが今日極めて厳しいわけでございます。そしてまた、中小企業の経営者の高齢化が進んでいる、そういった中で、今度は中小企業の事業の承継という問題があるわけでございますけれども、相続税の負担が高いために、事業を続けたいと思いながら断念せざるを得ない、こういった状況も生まれているわけでございます。
 そこで、お伺いいたしますが、中小企業の事業承継に係る相続税についてどのような特例が設けられておるのか、伺いたいと思います。

○鮎澤税制部長 中小企業の事業承継に係る相続税でございますが、現在、相続人が引き続き事業を継続する場合には、面積四百平方メートルまでの小規模宅地について、評価額を二割に減額する特例が設けられております。この特例措置は、バブル期における地価高騰を背景に、相続税負担が事業の継続の阻害要因となっているとの批判に対応するために、逐次適用要件や減額率が拡大され、今日に至っているものでございます。

○小磯委員 よく税金の場合は、モデルケースというのがあるわけでございますが、ところで、配偶者と子の二人で相続した場合、資産額が幾らだと相続税が課税されるのか。また、面積四百平方メートルまでは、今お話ありましたように土地の評価額が二割になるということでございますが、この特例の適用がある場合はどうなるのか、お尋ねします。

○鮎澤税制部長 配偶者と子の二人で相続した場合、課税資産が七千万円を超えると相続税が課税されるということになります。
 また、例で申し上げまして、相続財産が事業用の小規模宅地と評価額一千万円の家屋だけだと仮定いたしますと、土地については先ほどの特例が適用されるため、結論的に申し上げますと、土地の評価額が三億円を超えないと相続税は課税されないという計算となります。

○小磯委員 事業用の土地については、ある程度配慮されていると思っております。しかし、東京の土地は高いということで、東京都の税制調査会の答申の資料によりますと、死亡者のうち相続税の課税対象となった者の割合が、いわゆる課税割合が、全国が約五%、東京は約九%と二倍近いのが現状でございます。また、被相続人一人当たりの金額も、全国が三千三百万、東京は六千万円ということでございます。
 また、東京の活力の原点である中小企業を育てていくためには、早い段階で後継者に事業を譲るということも大切でございますが、贈与税の税率はまた、相続税に比べて高いものとなっております。贈与税において事業承継のための特例が設けられているのかどうか、お伺いしたいと思います。

○鮎澤税制部長 贈与税につきましては、事業承継のための特例措置というのは、現在、特段設けられておりません。
 なお、平成十三年度の税制改正におきまして、次世代への早期の資産移転を容易にするという観点から、基礎控除額が六十万円から百十万円に引き上げられているところでございます。

○小磯委員 事業承継と並んで問題なのが、農地の相続税でございます。
 私の地元の町田では、年々緑が減っております。農地が手放され、宅地化されているためだと思っておりますが、現行の相続税では、相続人が農業を続ける限り相続税の納税が猶予、免除される制度が設けられておりますが、適用条件が厳しく、また後継者の問題もあって、やむを得ず手放すケースも多いわけでございます。そして、結果として都市の貴重な緑が失われているということは、先ほどから環境という視点を何回もいっておりますけれども、大変問題であると、何とか緑を残したいという関係者の切実な訴えもあるわけでございます。
 最後に、主税局として、相続税、贈与税について、これらの住民の声をどのように受けとめ、また国に働きかけていくつもりかお伺いをして、私の質問を終わらせていただきます。

○鮎澤税制部長 地価の高い東京におきまして、相続税、贈与税負担が中小企業の円滑な事業承継等の妨げになっている状況につきましては、早急に解決しなければならない課題であると考えております。このため、都におきましては、これまでも社会経済の活力を維持する観点から、相続税、贈与税の負担を緩和すること、特に中小企業の相続人が引き続き事業を承継する場合には、農地と同様、納税猶予制度を設けること、農地に係る納税猶予制度の適用拡大を図ることなどを国に対して強く求めているところでございます。
 今後とも、東京の活力の原点でございます中小企業の育成や緑の保全等の観点から、関係局と連携をいたしまして、相続税、贈与税の負担の適正につきまして、国に強く働きかけていきたいと存じております。

○宮崎委員長 ほかにご質問ありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 本件に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○宮崎委員長 異議なしと認め、本件に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。
 これをもちまして本日の分科会を閉会いたします。
   午後二時五十一分散会

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