委員長 | 立石 晴康君 |
副委員長 | 木内 良明君 |
副委員長 | 田島 和明君 |
副委員長 | たぞえ民夫君 |
理事 | 織田 拓郎君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
理事 | 井口 秀男君 |
理事 | 尾崎 正一君 |
羽曽部 力君 | |
真鍋よしゆき君 | |
田代ひろし君 | |
吉田 信夫君 | |
谷口 卓三君 | |
今井 悦豊君 | |
鈴木 一光君 | |
樺山 卓司君 | |
藤田 愛子君 | |
古館 和憲君 | |
石川 芳昭君 | |
比留間敏夫君 | |
沢西きよお君 | |
田中 良君 | |
寺山 智雄君 | |
曽根はじめ君 | |
小山 敏雄君 | |
西田ミヨ子君 | |
秋田かくお君 |
欠席委員 三名
出席説明員警視庁 | 警視総監 | 野田 健君 |
副総監警務部長事務取扱 | 奥村萬壽雄君 | |
総務部長 | 末綱 隆君 | |
交通部長 | 浅井 守君 | |
警備部長 | 和田 康敬君 | |
地域部長 | 安藤 忠信君 | |
公安部長 | 安藤 隆春君 | |
刑事部長 | 栗本 英雄君 | |
生活安全部長 | 片桐 裕君 | |
総務部企画課長 | 阿多 壽次君 | |
総務部会計課長 | 関根 榮治君 | |
消防庁 | 消防総監 | 池田 春雄君 |
次長 | 杉村 哲也君 | |
総務部長 | 中村 正弘君 | |
警防部長 | 小林 茂昭君 | |
防災部長 | 稲葉 昇君 | |
救急部長 | 白谷 祐二君 | |
予防部長 | 鈴木 淳雄君 | |
指導広報部長 | 金子 勉君 | |
装備部長 | 関口 和重君 | |
総務部企画課長 | 佐藤 行雄君 | |
総務部経理課長 | 伊藤 克己君 | |
産業労働局 | 局長 | 浪越 勝海君 |
総務部長 | 押切 重洋君 | |
同和対策担当部長 | 坂爪 正二君 | |
参事 | 百合 一郎君 | |
産業政策部長 | 樋口 勉君 | |
参事 | 帆刈 祥弘君 | |
参事 | 鈴木 房男君 | |
商工部長 | 大原 正行君 | |
参事 | 中村 晶晴君 | |
参事 | 橋本 直紀君 | |
農林水産部長 | 江口 直司君 | |
参事 | 和田 敏明君 | |
労働部長 | 渡邉 泰弘君 | |
雇用就業推進担当部長 | 友繁 佳明君 | |
労働調整担当部長 | 高橋 勝君 |
本日の会議に付した事件
平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
警視庁関係
・一般会計決算(質疑)
消防庁関係
・一般会計決算(質疑)
産業労働局関係
・一般会計決算(質疑)
・中小企業近代化資金助成会計決算(質疑)
・農業改良資金助成会計決算(質疑)
・林業改善資金助成会計決算(質疑)
・沿岸漁業改善資金助成会計決算(質疑)
○立石委員長 ただいまから平成十一年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
本日は、局別審査のうち、警視庁、消防庁及び産業労働局の順で質疑を行います。
なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
これより決算の審査を行います。
平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
これより局別審査を行います。
警視庁関係に入ります。
先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、警視総監から紹介があります。
○野田警視総監 先般の人事異動により幹部の交代がありましたので、ご紹介申し上げます。
皆様方から向かいまして、左に生活安全部長片桐裕、右に警備部長和田康敬、地域部長安藤忠信、後列左に会計課長から企画課長に転じました阿多壽次、右に会計課長関根榮治でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○立石委員長 紹介は終わりました。
○立石委員長 警視庁関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
警視庁関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 異議なしと認め、警視庁関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で警視庁関係を終わります。
○立石委員長 これより消防庁関係に入ります。
消防庁関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○杉村次長 過日の委員会において要求のございました資料についてご説明申し上げます。
お手元にお届けしております資料は、平成十年度以降の消防庁舎の改築状況及び耐震補強状況でございます。
まず、1の改築状況についてご説明申し上げます。
表の縦の区分欄には、平成十年度以降改築を行った消防署及び出張所を示しております。横の欄には、改築の着工及び竣工の年度を示しております。表の中の白丸は改築工事の着工時期を、黒丸は改築工事の竣工時期をあらわしております。また、新設と表記しておりますのは、消防署または出張所を新たに整備したものでございます。
まず、消防署の新設状況でありますが、消防行政需要に的確に対応するため、平成十年度に小金井消防署及び昭島消防署を、平成十二年度に葛西消防署をそれぞれ新設したものであります。
次に、改築状況でありますが、老朽、狭隘化していた庁舎を改築し、防災拠点としての機能を高めるため、平成十年度に城東消防署及び大井消防署を改築いたしました。また、足立、渋谷、神田の各消防署についても、平成十二年度から平成十六年度にかけて改築を行うものであります。
表の下欄、出張所の改築状況をごらんいただきたいと存じます。
豊島消防署巣鴨出張所から日野消防署豊田出張所までの四出張所を平成十年度に、城東消防署大島出張所については平成十一年度に改築したものであります。また、保谷消防署田無出張所についても平成十二年度から改築工事を行っており、今年度竣工する予定であります。町田消防署成瀬出張所につきましては、消防力の増強を図るため、新設の消防出張所として、平成十二年度に竣工したものであります。
なお、本表には記載しておりませんが、世田谷消防署池尻出張所及び渋谷消防署恵比寿出張所の二所について改築を予定しており、今年度において基本設計に着手する予定であります。
次に、2の耐震補強状況についてご説明申し上げます。
表の縦の区分欄には耐震補強工事及び耐震調査設計を行った年度を、横の区分欄には耐震補強工事及び耐震調査設計の種別を、それぞれ消防署と出張所に分けて表記しております。
当庁では、平成十年度から計画的に耐震調査設計及び耐震補強工事を実施しているものであります。表にお示ししてありますように、平成十年度に三消防署、六出張所の耐震調査設計を、平成十一年度には、三消防署、六出張所の耐震補強工事及び三消防署、五出張所の耐震調査設計を実施いたしました。また、平成十二年度には、三消防署、五出張所の耐震補強工事及び二消防署、四出張所の耐震調査設計を行ったものであり、引き続き消防庁舎の耐震強化を図ってまいります。 以上、雑駁でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。
○立石委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
発言を願います。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
消防庁関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 異議なしと認め、消防庁関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で消防庁関係を終わります。
○立石委員長 これより産業労働局関係に入ります。
先般の組織改正により、労働経済局が産業労働局となりましたので、本日は労働経済局が所管しておりました決算について、産業労働局関係として質疑を行います。ご了承願います。
先般の組織改正に伴い、産業労働局長に浪越勝海君が就任いたしました。浪越局長からあいさつ並びに幹部職員の紹介があります。
○浪越産業労働局長 このたびの組織改正に伴いまして、産業労働局長を拝命いたしました浪越でございます。気持ちも新たに、産業労働行政の推進に全力で取り組んでまいる所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
幹部職員の紹介の前に、当局の新しい組織についてご案内申し上げます。
危機的な東京の産業と雇用情勢を打開し、東京の活力を取り戻すため、急速に進行する産業構造の変化を踏まえた新たな施策展開と事業の再構築を図るための組織として、従来の労働経済局の組織を再編整備し、本年四月から産業労働局として新たな一歩を踏み出しました。
主な改正内容といたしましては、新たな課題の解決に向けて、積極的かつ迅速に施策を展開していくため、政策形成機能と総合調整機能を強化することとし、産業政策部を新たに設置いたしました。
さらに、創業、ベンチャー支援や就業促進など重要な課題に効果的、効率的に対応できるよう、商工部門及び労働部門を再編整備し、それぞれ一本化いたしました。
また、観光を新たに産業振興の視点からとらえ、施策を展開していくための体制整備を図ったところでございます。
これらにより、行政サービスの向上を図り、都民の皆様の期待に積極的にこたえていきたいと考えておりますので、今後とも、委員の皆様のご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
次に、四月一日付人事異動によりまして当局幹部職員に交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
産業政策部長の樋口勉でございます。商工部長の大原正行でございます。労働部長の渡邉泰弘でございます。雇用就業推進担当部長の友繁佳明でございます。労働調整担当部長の高橋勝でございます。監理団体調整担当参事の百合一郎でございます。産業政策担当参事の帆刈祥弘でございます。産業調査担当参事の鈴木房男でございます。観光産業担当参事の中村晶晴でございます。金融担当参事の橋本直紀でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕
○立石委員長 あいさつ並びに紹介は終わりました。
○立石委員長 産業労働局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○押切総務部長 去る一月十九日の当委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
お手元の資料の二枚目の目次をお開きいただきたいと存じます。
要求のございました資料は、全部で十項目でございます。順次ご説明申し上げます。
まず、一ページをお開き願います。一ページは、労働経済局所管の第三セクターの経営状況でございます。
当局所管の第三セクターは、表頭にお示ししてございますように、東京国際貿易センター、東京ファッションタウン、タイム二十四の三団体でございます。この団体の設立当初からの経営状況を記載してございますので、ごらんいただきたいと存じます。
なお、表の下段の注にございますように、東京国際貿易センターの十一年度累積損益が、前年度の三百二十一億円から二百九億円へと百十二億円減少いたしましたのは、企業会計制度が変更となり、繰り延べ税金負債に百十億円を振りかえたことが主な理由でございます。
次に、二ページをごらん願います。中小企業金融安定化特別保証制度の利用実績でございます。
本制度は、平成十年十月から受け付けを開始いたしました事業でございます。利用実績を十年十月から月ごとに十二年三月まで記載してございます。平成十一年度の実績といたしましては、表の下から二段目にございますように、保証申込件数は九万七千二百九件、金額は一兆五千六百八十六億五千万円で、このうち保証実績は八万七千七百六十五件、金額は一兆二千七百四十一億六千二百万円でございます。
次に、三ページをごらん願います。三ページから四ページまでは、中小企業制度融資の実績及び代位弁済の推移でございます。
推移1及び推移2の表は、表頭にございますように、平成二年度から平成十一年度までの十年間の融資実績を記載してございます。融資実績は、下の合計欄にございますように、平成四年度の二兆八千五百三十九億円を境に減少傾向にございます。最下段の代位弁済につきましては、右端の平成六年度七百二十一億円となっておりまして、それ以降、七百億円を超える実績となっておりますが、次の四ページの平成十年度では特に多く、九百億円を超える額となっております。
次に、五ページをごらん願います。元気を出せ商店街事業の実績の推移でございます。 平成十一年度は、前年度に対しまして、申し込み、実績ともに増加しております。
次に、六ページをごらんいただきたいと存じます。六ページから一〇ページまでは、技術専門校の定員数及び応募倍率につきましてお示ししてございます。
六ページの上の総括の表では年度ごとの応募状況を、また、下の内訳の表では、各技術専門校における科目の年度ごとの応募状況を記載してございます。
次に、飛びまして一一ページをごらん願います。労政事務所における労働相談の件数と職員数を、平成二年度から十一年度までの十年間についてお示ししてございます。
この十年間での労働相談件数は、平成十年度の五万五千二百三十二件が最も多くなっております。
次に、一二ページをごらんいただきたいと存じます。平成十一年度の東京都海外人材育成協力事業の実施状況をお示ししてございます。
この事業は、開発途上にある海外の都市から研修員を受け入れ、民間企業の協力を得て専門知識や技術を習得させ、派遣都市の産業に貢献できる中堅技術者を育成することを目的に実施しているものでございます。平成十一年度は、中ほどの〔5〕にございますように、北京市、ジャカルタ特別市、ハノイ市から合計三十八名の方の受け入れを行いました。
次に、一三ページをごらん願います。皇居外苑堀の網打ちについてでございます。
網打ちの実施に当たりましては、環境庁、現在の環境省でございますが、財団法人自然環境研究センターに委託して、投網による調査を行っております。
次に、一四ページをごらん願います。都内全域の生産緑地の状況について、平成四年十二月末から平成十二年十二月末までをお示ししてございます。
この間における生産緑地の状況は、区部、市部ともに減少しております。
次に、最後の一五ページをごらん願います。主な農業振興施策の内容につきまして、過去十年間をお示ししてございます。
事業といたしましては、表頭にございますように、活力ある農業経営の育成、有機農業の推進、野菜供給確保対策、苗木の生産供給の施策を実施いたしました。
以上、大変簡単ではございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○立石委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
発言を願います。
○井口委員 国内総生産関係、GDPということだと思いますが、これが今どういうことになっているのか、そして、都内の総生産はどのくらいなのか、国内総生産に占める都内の総生産の割合はどうかということで、まずお尋ねをいたします。
○鈴木参事 ただいまのご質問は、日本の国内総生産並びに東京都内の総生産に関するご質問でございます。
平成十年度の我が国の実質国内総生産は四百八十兆円でございました。それに対しまして、都内の総生産は八十一兆円でございました。全国に占める東京都の割合は、一六・九%でございます。
○井口委員 都内の事業所数、従業者数に占める多摩地域の割合がどうなっているかということでお尋ねいたします。
○鈴木参事 都内の事業所数、従業者数に占める多摩地域の割合というご質問でございます。
平成十一年度の事業所統計調査によりますと、都内の事業所数は七十一万二千九百九十七事業所でございます。そこで働いている従業者でございますけれども、従業者数は七百六十万一千八百十人でございます。多摩地域におきますそれぞれの数字でございますけれども、事業所におきましては十二万九千八百四十三事業所、従業者数でございますが、百二十七万五百二十七人という数字でございます。
都内に占める多摩地域のそれぞれの割合でございますけれども、事業所数におきましては一八・二%、従業者数におきましては一六・七%という割合になってございます。
○井口委員 大学や研究機関と産業との連携の内容について、私なりに知っている範囲で考えているわけでありますが、大学が持つ独創的な知識、あるいは研究成果が企業に円滑に移転していくためには、まず、大学が行っている研究内容と企業のニーズについて、双方が理解する必要があります。また、行政や公設試験研究機関は、その紹介や仲立ちを行い、共同研究へ誘導することが求められる、このように思います。
また、大学の基礎的な研究成果を企業の製品開発に結びつけるためには、素材や加工技術などの面で試行錯誤を伴うことでありましょう。公設試験研究機関による技術的アドバイスや、素材、製品、性能等の試験などの支援を行うこと、さらに、大学の研究者が企業との連携をとりやすいように、契約その他の事務を処理する機能が必要であろう、こう思います。
大学がこうした連携を円滑に進めるための体制の整備を図ることなどが一般的に考えられております。しかし、産・学・公連携は、大分以前からいわれていることでありますが、いささか最近においてはマンネリ化しているのではないかなと、このような状況を感じることがございます。
また、多摩地域には多くの大学が立地しているわけでありますが、こうした多摩地域の産業と大学の集積を活用するため、多摩地域における産・学・公の連携が非常に重要であると考えますが、産・学・公連携についての都の基本的な考えをお伺いいたします。
○大原商工部長 新産業の育成などの地域経済の振興に向けまして、地域産業の技術開発力の向上を図っていくためには、大学の持つ人材や独創的な知識、研究成果と企業の開発力を有機的に結びつけていくことが必要であると考えております。
都は、産・学・公連携を推進するために、大学と企業、特に中小企業との連携の橋渡し役を果たすとともに、大学の独創的な研究成果を活用した中小企業の製品開発や技術力の向上を支援していくことが、極めて重要であると考えております。
また、平成十年八月には大学等技術移転促進法が、平成十二年四月には産業技術力強化法が施行されまして、企業と大学、公設試験研究機関との連携のための環境が整備されたことに伴いまして、行政といたしましても、より積極的に産・学・公の連携を推進することが必要であると考えております。
○井口委員 多摩地域における産・学・公連携はどのように進められているのか、ご説明を願います。
○大原商工部長 産・学・公の連携を推進するためには、大学と企業の双方が、それぞれが持つ研究成果やニーズ等を理解する必要がございまして、都では、平成六年度から多摩地域の商工会議所や商工会連合会と共催をいたしまして、中小企業者と都立大学や科学技術大学あるいは都立産業技術研究所との交流を促進するテクノフォーラムを推進してまいりました。
平成十年度に、産の代表でございます都内の商工会議所、学の分野では都立の大学、公の分野では公設試験研究機関と行政の代表者、この三者が一堂に会しまして、産・学・公連携を進めるための技術協力サミット宣言というものを採択いたしております。産・学・公の普及啓発を図るために、技術協力サミットを開催してまいりました。
また、平成十一年度からは、定期的な協議機関といたしまして、産・学・公連携推進会議を発足させまして、ネットワークの強化を進めているところでございます。平成十二年度からは、産・学による共同研究など実質的な連携を推進するために、大学との共同研究を希望する企業と大学との仲介を行います窓口を都立の産業技術研究所に設置いたしまして、民間の専門家にコーディネーターをお願いしまして、仲介を進めております。
また、企業技術者と大学教授等とのフェース・ツー・フェースの交流会を開催いたしまして、多摩地域を含めまして、現在、十四件の共同研究が発足をしているところでございます。さらに、TAMA産業活性化協議会との連携協力を実施しているところでございます。
○井口委員 TAMA産業活性化協議会のことになりますが、都立大学の古川教授が中心となって、埼玉、神奈川両県を含む広域的な多摩地域で、中小企業、大学、自治体などの方々が集まり、積極的な産・官・学の交流を行ってきたと聞いておりますが、TAMA産業活性化協議会の概要と活動内容についてお知らせ願います。
○大原商工部長 TAMA産業活性化協議会でございますが、埼玉県の南西部、東京都の多摩、神奈川県の県央部、これを一体といたしました地域の産・学・官の連携のもと、この地域の中堅中小企業の製品開発力の強化と市場の拡大、新規創業環境の整備を図ることを目的といたしまして、平成十年四月に設置されたものでございます。これが平成十三年四月二日付で社団法人化いたしまして、現在、社団法人首都圏産業活性化協会となったところでございます。この協会の会員数でございますが、現在、約四百五十というふうに伺っております。
それから活動内容でございますけれども、調査研究事業、情報の収集及び提供事業、研究開発の促進事業や産業界及び産・学・官における交流、連携の促進事業、こういった事業を展開するというふうに伺ってございます。
○井口委員 多摩は、やがてアメリカのシリコンバレーのようになるであろう、こういわれております。それだけに大学も、あるいはまた、かなり優秀な企業もあると。TAMA産業活性化協議会の将来も含めて、見通しについてお伺いをしておきます。
○樋口産業政策部長 多摩地域には、先生ご指摘のように、現在、七十八の大学が立地しております。例えばアメリカのシリコンバレーは七校といわれておりますが、こういったものと比較いたしましても大変大きな集積になっております。また、多摩地域は、豊かな緑と先端産業の集積に恵まれておりまして、市場への近接性、あるいは情報の豊富さ、こういった点で有利な特性を持った地域でございます。
今後、TAMA産業活性化協議会の支援などを通じまして、産・学・公連携を推進し、こうした豊富な資源を産業や地域と結びつけることによりまして、東京の産業の振興を図る上で、この地域が大きなポテンシャルを秘めた地域になるものと認識しております。
○井口委員 都として、TAMA産業活性化協議会に対して、これからどのような支援を行っていくのかについてお伺いをしておきます。
○樋口産業政策部長 TAMA産業活性化協議会は、先ほど商工部長の答弁にもございましたように、四月二日に社団法人化いたしまして、その活動の幅を広げる体制を整えたところでございます。
都といたしましては、大学教授などの人材情報あるいは研究情報を調査いたしまして、その結果をこの協議会の進めております情報ネットワーク事業に対しまして提供すること、さらには、中小企業振興公社の職員の派遣といったような人的側面、これらのことを通じまして支援をしてまいる所存でございます。
○井口委員 最後になりますが、多摩における産・学・公の連携の推進は、産業の振興に向けて大変大事であります。特に今、この難しい時代を乗り切るために、私たちは、多摩のこうした素材、素質を十分に生かせるようなことに力を出すべきだと、こんなふうに思います。そんな意味で、将来のことをしっかり見据えて取り組んでいただく、このことから、局長にその決意をお伺いして、質問を終わります。
○浪越産業労働局長 多摩地域は、豊かな空間や良好な自然環境、大消費地を近くに控えるという特性とともに、情報通信産業やコンテンツ産業などの先端産業の集積に恵まれた地域でございます。また、多くの大学や研究機関が立地をし、学術研究の集積も進んでいる地域でございます。こうした学術研究の膨大な資源の蓄積が産業に活用されることになれば、東京の産業振興に果たす役割ははかり知れないほど大きいものがあるというふうに考えてございます。
今後とも、こうした多摩の地域特性を生かして、産・学・公連携を推進するために、新産業創造の拠点を目指して設立されたTAMA産業活性化協議会などとの協力体制を強化し、産業振興という政策的視点のもとに、多摩地域の産業振興を図ってまいります。
○丸茂委員 私は、中小企業対策について伺っていきたいと思うんですが、三月の日銀短観、あるいは内閣府の二月の景気動向指数、こういうものを見ますと、厳しい経済指標となっていることが明らかになっています。
そういう中にあって、東京における中小企業を取り巻く経済環境はどうなっているのか、まずお伺いしたいと思います。
○樋口産業政策部長 ただいま先生からご指摘ございましたように、三月の日銀短観によりますと、企業の景況感を示す業況判断指数が、中小企業製造業でマイナス二七を示しておりまして、これは昨年十二月に比べまして一一ポイントの悪化となっております。
また、三月の政府月例経済報告によりますと、景気の改善に足踏みが見られ、また先行きについては、アメリカ経済の減速や設備投資に鈍化の兆しなど、懸念すべき点が見られるとなっております。
さらに、都内中小企業につきましても、都が実施いたしました東京都中小企業の景況調査の三月調査でございますけれども、都内の中小企業全体の景況をあらわします業況指数はマイナス四九となっておりまして、三カ月連続して悪化傾向をたどっております。このように、都内の中小企業を取り巻く環境は厳しい状況にあるというふうに認識しております。
○丸茂委員 私も、この決算年度の九九年度の四月から、今説明のあった今年度の二〇〇一年度三月の景気動向調査もずっとさかのぼって見たわけですけれども、この何年来かは、多少改善あるいは一服状態、そういうものを繰り返しておりますけれども、特に昨年十二月、回復ヘの足取りが減速、二十カ月ぶりの経済見通しでも低水準、一月、二月、さらに後退する、こういう厳しい傾向が生まれております。
そういう状況にあって、それでは都として、こういった厳しい環境に対してどのような重点的な施策を考えているのか、その点をお伺いいたします。
○樋口産業政策部長 都内の中小企業を取り巻く厳しい状況に的確に対応していくためには、何よりも中小企業の経営の安定を図っていくことが必要であろうと考えております。 このため、都といたしましては、三月末で終了いたしました安定化特別保証制度にかわりまして、制度融資の無担保保証額を五千万円から八千万円に引き上げたところでございます。
さらに、元気を出せ商店街事業や国の緊急雇用対策特別事業を引き続き実施いたしまして、景気の回復や雇用の安定の確保を図っていくこととしております。また、それに加えまして、技術の開発、販路の拡大、創業の支援といったようなさまざまな施策を展開いたしまして、中小企業の意欲的な取り組みを積極的に支援し、東京の産業の活性化に努めてまいりたいと考えております。
○丸茂委員 私どもも、最近、日本経済をどう立て直すかという緊急政策提言も出したところですが、一つには、消費税を三%に戻して消費を拡大する。さらには、社会保障の連続改悪を凍結して将来不安をなくす。三つ目に、雇用を抜本的に改善するために、企業のリストラを抑えて、何よりも--雇用の問題でも、東京でも七割を超える雇用は中小企業が支えているわけですから、そこを抜本的に支援していくという課題を掲げているわけです。そういう点で、中小企業を本当に支援していくということは、経済対策上も極めて重要な課題になっていると思います。
そういう中にあって、私ども地元大田区でも、いろいろ地域を見てみますと、製造業のみならず、卸、小売業に至るまで、商店街でも、産業の空洞化といわれるような事態にまで発展している、問題が広がっている。そういう中にあって、いかに地域経済を活性化させるか。地域経済を循環させれば、三倍、四倍の経済波及効果が生まれる、その基盤が崩れ出しているということで、地域産業の活性化については極めて重要な課題だと私は思っております。
そういう運動に取り組んでおりましたら、つい先日、川崎市でも地域経済振興条例を求める住民の直接請求運動なども始まっておりますけれども、私は、地域経済の活性化について、東京都としてどういう考え方を持っているのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○大原商工部長 経営者の高齢化ですとか、あるいは後継者難、長引く景気の低迷、あるいは空き店舗の増大や製造業の空洞化など、厳しい経済環境の中で廃業する事業所が多い、こういった状況について、私どもも認識しているところでございます。
ご指摘の地域経済活性化のための施策は重要であるというふうに考えておりまして、都といたしましては、従来から、制度融資や工業集積地域活性化支援事業あるいは元気を出せ商店街事業などによりまして、中小企業や商店街の振興を図ってきたところでございます。
○丸茂委員 私どもも、地域経済を活性化する上で、工業集積地域活性化支援事業、都独自の支援事業というのは、非常に中小企業にも元気を与えているだけではなくて、それの窓口にもなっている地元の自治体も非常に元気づけているという点で、何度となく私も、議会で、この事業の成果なりを含めて取り上げてまいりました。
そこで、九九年度、平成十一年度決算における活性化事業の補助実績、成果についてはどうなっているのか、改めて伺っておきます。
○大原商工部長 この工業集積地域活性化支援事業の十一年度の実績でございますが、東京都の補助は、合計十六地区に対しまして、金額で一億九千二百万円でございます。
○丸茂委員 実績、成果、中身についてはいかがでしょうか。
○大原商工部長 先生もご存じのように、この事業は、地域的に特色のある工業集積が形成されていることに着目いたしまして、区や市と共同いたしまして、その地域の活性化を図るために実施するものでございまして、区や市が、創意、工夫あふれる活性化事業を実施することが非常に重要であると考えております。
内容でございますけれども、区や市が、例えば新製品、新技術開発助成事業ですとか、あるいは若手経営者セミナーといった、それぞれの特性を生かした事業に取り組みまして、工業集積地域の活性化に寄与しているというふうに考えております。
○丸茂委員 この活性化事業が核となって、さらに各区市町村では大きく事業を展開しております。この補助事業がスタートした九六年度から本決算年度の九九年度までの東京都の補助総額と、それに伴って事業が拡大している総事業費、トータルでは一体どうなっているのか伺います。
○大原商工部長 平成八年度から平成十一年度までの合計でございますが、東京都の補助実績は、この間で五億二百万円でございます。それから総事業費でございますけれども、同じ期間で二十四億三千三百万円でございます。
○丸茂委員 今ご答弁があったとおり、東京都の五億円余の補助を核として、二十四億円を超えるさまざまな取り組みとして、事業が拡大、波及されているということがいえると思うんですね。
したがって、私どもは、この事業を五年間の期限で打ち切るのではなくて、事業そのものの効果や、あるいはこの事業を通じて生み出される効果などを多面的に検討して、即刻、検証の結論を出して、継続すべきだというふうにかねがね都に求めてきたところです。都としても、事業を終了したところから直ちに検証はするという答弁はいただいているんですが、その後どうするのか、そこのところがはっきりしませんので、改めてお伺いいたします。
○大原商工部長 この工業集積地域活性化支援事業でございますが、先生もご承知のように、平成八年度から毎年四地域、合計で二十地域を指定いたしまして、平成十二年度をもって地域指定につきましては終了したところでございます。この事業は、指定後五年間で事業を実施するものでございまして、事業がすべて終了いたします平成十六年度に、その成果を総括した上で、地域の工業振興の施策のあり方について検討する予定でございます。
なお、先ほどご指摘のございました事業を終了した四地区ございますけれども、ここにつきましては、速やかに事業効果を検証していくつもりでございます。
○丸茂委員 私は、都内の中小企業から見ると、東京都としての姿勢が大変おくれていると。経済環境は一段と厳しくなっているし、中小企業を取り巻く環境も一段と厳しい。そういう中にあって、歯を食いしばって、中小企業、またその地元自治体がさまざまな取り組みをやって、この工業活性化支援事業でも、新製品開発から人材育成から、さまざまな分野で成果を上げているわけですよね。
そういうこともお認めになっていながら、結果的には平成十六年、二〇〇五年にならないとその後の方向は出せない。そうじゃなくて、サンセット方式でも、いい成果があればやはり事業を継続する、あるいは名称は多少変わっても、その事業の趣旨を生かして継続するようにと、西田委員も先日の経済・港湾委員会で求めたと思うんですが、私も、実際に打ち切られた、終了した四区に聞いてみました。
そうしますと、私の地元大田区では、工業技術開発支援事業として二千五百三十五万円の予算化をしております。しかし、二分の一補助なんですね。したがって、二分の一を事業主が負担しなければならない。これが大変重いということで、何とか都の補助が受けられないか、こういう期待の声が寄せられておりますし、さらに品川区では、製造業活性化支援事業として一億六千万円余、足立区では工業の経営革新支援、名称は変わっておりますけれども二千二百万円程度の予算化、墨田区では地域新分野進出事業やネットワーク形成事業四千三百六万円。各区はそういう予算化もしながら、とにかく中小企業支援のために力を尽くそうと。こういうところに東京都としてやっぱり支援するのは当たり前のことじゃないでしょうか。
重ねて伺いますけれども、この成果と事業の必要性、それを含めてご答弁いただきたいと思います。
○大原商工部長 繰り返しになって恐縮な点もございますが、この工業集積地域活性化支援事業につきましては、サンセット事業として発足したものでございまして、私どもも、区や市がそれぞれに創意工夫を凝らして立派な事業をしていただいているというふうに認識はしているところでございますが、その成果検証につきましては、やはり全体の事業が完了した後にきちんと検証して、次なる施策を考えていきたいというふうに考えているところでございます。
○丸茂委員 そこのところはぜひ考えを改めていただいて、私は、またこの後も質問を続けますけれども、中小企業を取り巻く状況は一層厳しくなると思うんですね。そういう中にあって、やはり一つ一つ手を打つべきところ--それぞれの工業集積なり、そのネットワークが崩れたら大変なことなんです、もう取り返しがつかない。それを、どう維持し、守り、発展させるか、そこは、東京全体の経済にも大きな影響を与える問題です。
これ以上やりとりしていても、なかなかいい答弁が来る気配がないんですけれども、中小企業を本当に支援する、工業集積をこれ以上空洞化させない、そういうところでは何らかの検討が必要だと思うんですが、それに対する手だてという点はどういうことを考えているんですか。
○浪越産業労働局長 東京の物づくりを支えてきた工業集積地域は、生産機能の分散化や後継者不足などによって、大変厳しい状況に置かれている状況にございます。そういうことで、都としては、工業集積地域の活性化を図るために本事業を実施してきたものでございます。
先ほど先生からお話のありましたように、この事業を活用して区や市が創意工夫し、それぞれの地域の特性に合ったような地域の活性化を図ることは、大変意義のあるものと私どもは考えてございます。
○丸茂委員 そこまでいっているんですから、東京都としても、大いにそれを広域的自治体として支援する、そこまで十分検討していただきたい、その成果もしっかり見ていただきたいというふうに思います。
次に、商業の方についてお伺いしたいと思うんですが、私どもは、商店街から大変だというお話を聞いて、各区市町村をいろいろ調査もいたしました。各区市もいろいろな形で商店街調査、それから商店街みずからも調査活動をやっているんですね。私は、そういう中からうかがえるんですけれども、地域商店街、商業が衰退しているだけじゃなくて、大田区などでは、経営者そのものがやる気までなくしている。このままいったら、本当に取り返しのつかない事態になる。
したがって、今、商業振興は本当に抜本的な対策をとらないと、これまで町を支えてきた、コミュニティなり、にぎわいを支えてきた商店街そのものがやっぱり重大な事態になる。調査活動をやって、そこから抜本的な対策を立てようと、こういう意気込みが、自治体でも商店街自身も、そういう危機感を持っているということを痛切に受けとめる事態に直面をいたしました。
そういう中にあって、東京都としては、この商店街振興なり商業振興、どういう重点的施策でこの事態を打開していこうとしているのか、お伺いしたいと思います。
○大原商工部長 都内の商店街でございますけれども、売り上げですとか商店数の減少、あるいは空き店舗の増加、経営者の高齢化、あるいは後継者不足といった困難な状況に直面をいたしております。また、平成十二年版の東京都中小企業経営白書によりますと、経営者の三二%が廃業を予定している、このような結果も出ております。
こうした状況を踏まえまして、都は、本年三月でございますが、二十一世紀商店街づくり振興プランを策定いたしまして、地域コミュニティの核といたしまして、地域社会の中で、商店街がその役割、機能を実現していくために、商店街自身が自主的に取り組む八つの戦略を提示させていただいたところでございます。
この戦略の実現のために、都は、区や市町村、あるいは関係機関と連携をいたしまして、商店街の自主的、自立的な取り組みを支援していく考えでございます。
○丸茂委員 さまざまな都の施策が取り組まれるということですから、ぜひ実効性あるものを取り組んでいただきたいと思うんですが、そういう中にあって、大変商店街からも喜ばれているのが元気を出せ商店街事業ですね。これまで東京都の商業施策というと、いろいろ注文がついて、なかなか厳しい条件があって、使いにくいと。そういう制度が多い中にあって、元気を出せ商店街事業は、商店街みずからの企画、イベントに支援を行うという中で、本当に厳しい不況の時代だからこそ、こうした直接支援が私は喜ばれているのだろうというふうに考えます。
そこで、今決算委員会にも資料で出していただきましたけれども、元気を出せ商店街は九九年度決算で、申し込みは七百三十三件、しかし実績は七百二十九件。商店街数でも、申し込み時点は九百三商店街が八百九十九商店街。実績では商店街でも四商店街、実態は差があるわけですけれども、特別の理由があるのでしょうか。
○大原商工部長 ご指摘のように、申請件数と実績件数に若干の差がございます。これは、いずれも申請があった後にそれぞれの商店街等からの辞退があったということで、この食い違いが生じているものでございます。
○丸茂委員 ちなみに、二〇〇〇年度の申込件数あるいは商店数と実績、これがどうなっているのか、わかればお伺いいたします。
○大原商工部長 現在わかっているところでは、平成十二年度分が、申請で七百八十七件、商店街数で申しますと九百六十五商店街でございます。申請の金額につきましては七億八百二十九万八千円となっております。
○丸茂委員 実績については、三月末で年度を終了するということで、まだ数字は出ないかと思うんですが、出していただいた資料、九八年度スタートの時点では五百二十件、六百九十八商店街、四億八千四百五十七万余から、十一年度は七百三十三件、九百三商店街、八億七千百九十二万、そして十二年度は、申請だけですけれども、件数は七百八十七件と、スタートの時点から約五割近いですかね、そして商店街数でも九百六十五商店街。ただ、金額の方は八億から七億に減るという点で、各商店街の配分額が相当減るのじゃないか。そういう点では、やはりそれぞれの要求に見合った対応策が必要ではないかというふうに思います。その点では、みずから頑張って商店街振興を進めるという点では、金額が絞り込まれるということのないように、強くこれは要望しておきたいと思います。
そういう中にあって、こうした地域工業の活性化あるいは商店街振興を含めて、中小企業振興基金を運用する構造変化対応支援の経費が、実は東京都決算参考書という形で配られまして、商工業の振興に要した経費、かつての労働経済局、一二〇ページにあるわけですけれども、この経費の中で、五項目に分かれてその事業の実績と不用額等が記載されているんですが、その中で一番不用額を出しているのが構造変化対応支援に要した経費で、不用額が六億五千三百万円余、執行率は八二・三%。全体の平均執行率が九三・九%ですが、その中で一番不用額を出し、執行率でも落ちているのがこの分野なんですね。
しかし、実際に果たしている事業、中小企業の要望からすると、やはりこの決算状況はいかがなものかというふうに考えるわけですけれども、この執行率が一番低いその理由をお伺いしたいと思います。
○大原商工部長 ただいまご指摘のありました構造変化対応支援に要した経費、これの執行率が八二・三%ということでございますが、この経費は、ただいまご指摘の一二〇ページのその項目の下の方に、中小企業振興基金、地域工業の活性化対策、創業の支援というふうに書いてございますが、三つに分かれております。それぞれについてでございますけれども、まず、中小企業振興基金事業は執行率が六八・七%でございます。地域工業の活性化対策は八八・三%、創業の支援は九八・四%でございます。つまり、この三つを足したときに構造変化対応支援に要した経費の執行率が下がっている原因は、中小企業振興基金事業の執行率が低いということでございます。
そこで、この内容でございますけれども、この事業につきましては、それぞれの企業から提出されます助成金の申請に基づいて交付決定した額というのは、十九億一千五百九十万円でございました。この金額に対して、三億四千六百八十七万円が未執行になっているわけでございます。この未執行の内訳でございますけれども、事業の変更によるものが一億九千四百九万円で、未執行額の五六%を占めております。その理由ですが、経費の節減ですとか、あるいは事業規模の縮小、こういったものが大宗を占めております。
もう一つ、事業を中止したということで一億五千二百七十七万円、不用額全体の四四%でございますが、こういった未執行が出ております。この理由でございますが、やはり景気の低迷等によりまして、事業主体が必要な自己資金を調達できなかったというようなことが推察されるところでございます。
○丸茂委員 私も気になりまして、特に商店街活性化推進事業、これは、未組織商店街でも利用できるということで大変大事な基金事業なんですけれども、この申請、実績等で見ますと、特に九八年度から--申請件数はそれほど変わらないんですが、九五年度は最高十一億五千二百七十三万二千円の申請金額で、七億八千九百三十五万の実績金額となっております。しかし、九八年度になりますと二億五千七百二十四万円余、実績でも二億四千九百三十万円、十一年度、この決算年度は申請で二億四千九百九十一万円余、実績では二億三千六百七十万円、こういうふうに、十一億あるいは七億程度のものが大幅にダウンしているんですけれども、この理由は何でしょうか。
○大原商工部長 特に基金は、平成九年から平成十年にかけて、ご指摘のように金額の急速な落ち込みがございます。この理由でございますけれども、平成九年度に補助率とか補助限度額の見直しを行いました。端的に申しますと、平成九年度に補助率が二分の一であったものが、平成十年度には三分の一、これは施設整備でございます。それから活性化事業につきましても、それまでの補助率が三分の二であったものが三分の一というふうに、補助率が下がっております。こういった関係で全体の金額が少なくなっているものでございます。
○丸茂委員 私は、これだけ中小企業が困難で、まして商業の面では大変厳しい状況にあるというところで、補助率を下げることによって、実際、この事業が後退している。そして、決算上は不用額として多額に残している。これは、都民の要求からしたら全く逆のことをやっていると思うんですね。
したがって、私は、こういう不況のときだからこそ、補助率をもとに戻して、本当に支援するような基金事業にする。これで足りなかったら、一般財源でも応援してやりなさいといいたいところなんですが、こんな不用額を出しているんですから、この不用額が出ないように、補助を上げて使いやすいように支援する、そういう努力を私は強く求めておきたいと思います。
最後に、融資の問題でもお尋ねしておきたいんですが、国の中小企業安定化特別保証制度は、ことしの三月三十一日の申請をもって終了しました。その一方で、今、国は不良債権の早期処理を含めた経済対策を打ち出しておりまして、不良債権を抱える金融機関は、中小企業への貸し渋りあるいは資金回収、これが一層強化されるだろうというふうにいわれております。
そういう事態をとらえて、都として、どう対応していこうとしているのか。制度融資の何らかの対応が必要ではないのか。融資の拡大あるいは別枠融資、こういうことなどを検討する必要があるのではないかと思いますけれども、国の早期処理という経済対策の中小企業に与える影響、そして、融資の面での対策をどう考えているのか、あわせて答弁をお願いいたします。
○橋本参事 三月末をもって中小企業金融安定化特別保証制度の受け付けが終了いたしました。現在、その直後でございますので、貸し渋り等の影響について見きわめる状況にはございません。
しかしながら、都内の中小企業を取り巻く経済環境や金融環境は依然として厳しいものがございます。そのため、万が一にも金融収縮の再来というような事態があってはならないと考えており、注意深く見守っていくことが必要であると考えております。
続きまして、融資の件についてお答え申し上げます。
国におきましては、保証制度の終了を踏まえ、ご指摘のとおり、平成十二年十二月に中小企業信用保険法を改正し、無担保保険の限度額を五千万円から八千万円に引き上げたところでございます。
これを受けまして、都といたしましても本年一月、制度融資の貸付限度額を、小規模企業融資において五千万円から八千万円に引き上げを行うなど、そのほか物的担保要件についても、原則無担保としていた保証合計残高五千万円以下というものを八千万円以下とするなどの条件緩和を行ったところでございます。今後とも、中小企業の資金調達の円滑化に万全を期していくつもりでおります。
○丸茂委員 今ご答弁のあった貸付限度額の引き上げ等が行われたわけですが、この中では、中小零細企業が特に利用する無担保無保証の融資制度の枠が拡大されていないんですね。したがって、今後の経済動向なり国の経済対策、それに伴う不良債権の早期処理によって、中小企業がどんどん資金回収で倒産していくということになったら大変なことになるわけで、国の方も、何らかの中小企業対策は別の形で考えるとはいっているんですけれども、十分その辺を掌握しながら、特に運転資金、資金繰りで何よりも頼りにしているのがこの東京都の制度融資ですから、万全を期して対応するように求めて、質問を終わります。
○木内委員 緊急雇用対策基金事業についてであります。
この事業は、深刻化する雇用情勢に対応するために、国が平成十一年度に創設をしたものでありますけれども、どうも私は、実態として見てまいりますと、この制度そのものには大変な側面的意味があるけれども、タイミングが非常に急であったために、これを受け皿として活用する都道府県あるいは区市町村によっては、大変な苦労を余儀なくされた、こういう現実があることを指摘せざるを得ないわけであります。
例えば東京都におきましても百八十二億、うち都単独事業として九十一億、区市町村が九十一億。これが、しかるべく長期にわたって準備されてきたり、あるいは検討の結果、さまざまな事業が想定される中で与えられた環境であればまだしも、大変急だったために、東京都の当時労働経済局においても、区市町村においても、大変なご苦労があったのじゃないか、こんなふうに一つ私は印象として持つわけであります。
同時に、今回の百八十二億の活用状況というものをよく検証しながら、今後、国においてこうした事業がまた再現されるような場合には、より一層、平素からこうした政策的研究を重ねながら、さらに有機的、機動的な運用というものが行われなければいけないだろう、十分な検証を加えていかなければいけない事業である、こういうふうに思うわけであります。
平成十一年から十三年度までの期限つきの事業というわけでありますけれども、きょうは十一年決算ということでありますから、当該年度について活用状況がどうであったか、都の九十一億、区市町村における九十一億の十一年度における活用実施状況について、まずご報告願います。
○友繁雇用就業推進担当部長 緊急地域雇用特別基金は、ご指摘のように、平成十一年度に百八十二億五千百万円を原資として積み立て、雇用創出を促進するための緊急地域雇用特別基金事業として、平成十三年度までの三年間行うものでございます。
十一年度の活用状況でございますが、都実施分が五十事業、雇用実人員で三千三百八十四人、決算で十六億三千百二十九万八千円、区市町村実施分が二百四事業、雇用実人員で三千四百三十九人、決算で十一億六千百四十七万五千円でございます。合わせまして、事業数二百五十四事業、雇用実人員六千八百二十三人で、二十七億九千二百七十七万三千円の決算でございます。
○木内委員 今のご報告の数字にも明らかになっているのですけれども、これが十一年度以降十二年へと実施が推進される中で、いわば区市町村同士の横の情報交換や、あるいは東京都が連絡調整を行うことによって、さまざまな示唆がそれぞれに与えられて、より充実はしてきていると思うんですけれども、冒頭に申し上げたような側面は見逃せない事実だと、こんなふうにも思うわけであります。
さて、東京都がこの基金を活用する形で、第二回、第三回の東京産業交流展を開催してまいりました。私は、この事業は費用対効果からいきましても、あるいは東京の産業を空洞化させないための施策としても、あるいは中小企業事業者あるいはベンチャー企業等に対する活性化の突破口となる意味からも、極めて重要な事業である、こういう指摘をしてきたところであります。私も、再三にわたってこの会場を訪れて、意欲あふれる出店起業者の方々と直接、懇談の場を持ったりしてきたわけであります。
実は、私は、この問題については昨年の第四回定例会で質疑を展開いたしまして、知事も、この事業に対する認識の高い評価を明らかにされたところでありました。この継続的な実施ということが、東京の中小企業活性化に向けては必須の要件である、こういう視点から、私は継続をすべきである、こういうふうに訴えてきたところであります。
その私の質疑の中で、知事は、高い評価を示しつつ、さらに東京都という限定された地域にとどまらず、関東近県、隣接県との広域的な共催などを念頭に置きながら、ぜひまた進めていきたいという趣旨の答弁をされているわけであります。
そこで、確認の意味も含めてお尋ねするわけでありますけれども、緊急雇用対策基金を使っての催し物というものを、今後も広域的な視点でぜひ進めていくべきである、こう強く申し上げるものでありますけれども、所見を伺います。
○大原商工部長 都内の中小企業にとりまして、技術、製品開発や販路の拡大を行うことは、その存続、発展のために不可欠でございます。そうした点から、ご指摘の産業交流展は、製品技術の展示ですとか、あるいは受発注の商談などによりまして、さまざまなビジネスの機会を中小企業の方々に提供できているというふうに考えております。
お話のように、こうした催し物を、都内だけでなく、広く他県の参加を得て開催することは、中小企業の交流の場を広げ、また、より多くの入場者が期待できるなど、有意義なものと考えているところでございます。このために、今後、他県市に対しましても、その参加を働きかけていきたいというふうに考えてございます。
○木内委員 いわゆる今後ということの概念でいえば、第四回の十三年度ということが当面あるわけでありまして、これは何とか基金事業で資金、予算の手当てはできまして、来年度以降についても、私どもは、こうした議会での議論を踏まえて、予算の要求もしながら、この予算獲得に汗を流すような努力をして、ぜひ今後、さらに、より長期的、継続的にこれが実施されていくよう努力をしてまいりたい、こんなふうに私自身は思うとともに、ぜひまた浪越局長を先頭に、申し上げた趣旨を踏まえて、この産業交流展の長期的継続が可能になるような努力を願いたい、このことを一点申し上げておきます。答弁は結構です。
さて、視点を変えまして、この緊急雇用対策基金事業を議論いたしましたときに、私どもは、さまざまなメリットを考える上で、ホームレスの方々、路上生活者の方々をこの基金事業の中に取り入れて、何らかの形で雇用促進を図るとともに、こういう路上生活者の方々が、そういうきっかけによって、今後、社会復帰への足がかりとなるような施策も展開すべきだ、こう訴えてまいりましたところ、この事業の中で、森林整備事業への緊急雇用が行われた、こういう経過がありますけれども、この実績についてはどんな内容になっていますでしょうか。
○江口農林水産部長 緊急雇用対策で実施してまいりました森林整備事業の実績でございますが、平成十一年十一月から都合三回にわたりまして失業者等を雇用し、奥多摩町外五市町村において、林道沿いの森林整備を行ってまいりました。このうち奥多摩町と檜原村につきましては、五人用の宿泊施設をそれぞれ一棟設置し、路上生活者の受け入れにも努力をしてまいったところでございます。
通勤雇用並びに宿泊雇用合わせた雇用実績でございますが、初年度の平成十一年度は、実人員で五十二人、うち七名が路上生活者でございます。雇用人員と雇用日数を掛け合わせました延べ人員では三千九百二十八人日、うち路上生活者が三百十三人日となっております。
また、十二年度は、実人員で百九人、うち十一名が路上生活者でございます。延べ人数では一万一千二百五人日、うち路上生活者が千三百三十四人日となっております。
なお、宿泊雇用のうち、約六割は路上生活者となっております。
○木内委員 私は、今のご報告を聞いて大変感慨を新たにしておりますのは、初めて私どもが提案した、路上生活者のこの事業における雇用の結果実績というものが報告をされた。議会の議論を通してこれが施策に反映され、そして今の数字のように、十一年度では何と三千九百二十八人日、十二年度では一万一千二百五人日ということでありますから、社会的なこうした状況を勘案するならば、極めて大きな成果を上げ得たのではないか、こういうふうに実感せざるを得ないわけであります。また、こうした路上生活者の方々を受け入れるに当たっては、関係者、森林事業組合、あるいは当時の労働経済局にあっては、宿泊施設を設けたり、その環境整備には多大な努力をされたということについて、まず敬意を表するものであります。
この議論をしたときに、いろいろな懸念された項目があった。例えば、山間事業部において、冬季も含めて厳しい気候条件のもとでの作業が、果たして安全性や健康の担保ができるものだろうか、あるいは、規律といっては誤解を招くかもしれないけれども、なかなかそうしたことになじまない日常を送ってきた路上生活者が、果たして地元の皆さんに受け入れられるだろうか、こういう懸念も実は議論したことを記憶しているわけであります。
今申し上げた点についての懸念材料というものは、実態はどうでありましたか、確認したいと思います。
○江口農林水産部長 作業の安全性の確保につきましては、地元のベテラン監督員によります指導、それから林業機械の操作講習会などを行いまして、その徹底を図って、事故の防止に努めてまいりました。この結果、これまで作業中の事故等は発生をしておりません。また、当初、地元で心配された路上生活者の受け入れについても、概してまじめな作業態度等を見て、懸念も払拭されたと理解しております。
○木内委員 恐らく社会的な印象とは異なって、路上生活者も一生懸命社会復帰する意欲を内に秘めておりますから、したがって、雇用の現場で、そうしたいわば初期の気持ちというものが結実できるように、恐らく懸命に仕事に取り組まれたんだろう、こんなふうに思いまして、提案者としては、私は重ねて感慨を深くするものである、こういうふうに申し上げたいと思うわけであります。
それでは、路上生活者等の雇用による森林整備事業については、実際にどういう成果が上がったのかということを確認したいのですが、山間部における作業でありますから、恐らく大変困難な作業にも直面したでありましょうし、また加えて、下草刈りとか間伐というのは、ある程度のしっかりした指導がなされなければ、むしろ自然破壊にもつながるということで、関係者の懸念もあったのではないかと思うんです。成果についてご報告願います。
○江口農林水産部長 この事業の成果として、三点ほど挙げられるかと思います。
まず一点目でございますが、この事業の取り組みによりまして、渓流や林道沿いの倒木、不法投棄物の除去等が進みまして、山地災害の予防や地域景観の向上に大いに役立ったと考えられます。
二つ目には、この事業の本来の趣旨であります失業者等の新規雇用の創出や就業機会の拡大が進みまして、路上生活者にとっては、六カ月という就労実績や経験が今後に生かされるものと確信をしております。
三点目に、森林組合にとっても、この事業を受託したことによりまして、短期的にではありますが、林業労働力不足の解消が図られたと、このような成果が考えられているところでございます。
○木内委員 今、江口部長からご報告があったことは、皆、この三点ともに大きな成果だったというふうに思いますとともに、この事業の期限というのが十三年度いっぱいだと。いずれこの事業が終わってしまうと、今の三点のメリットというものが、またもとに戻るという心配もあるわけですよね。
例えば、景観の保全であるとか、あるいは就業機会の拡大などとまってしまう。さらには、短期的に見れば、林業労働力不足の解消が図られたけれども、この事業がストップして、またもとへ戻っちゃうという心配があるので、私はこれからもいろいろ知恵を絞って、議会の発言を通して、いわゆる路上生活者の方々が、こうした基金事業を終えた後も何とか就労できるような方策というものを、私自身、模索もしなければいけないという、そんな気持ちも強く持っているわけであります。これについては答弁は結構でございますし、これは私の今の率直な心境を申し上げたわけであります。
さて、いっておりますように、十三年度になるわけでありますけれども、十二年度に続いて十三年度も、この路上生活者の雇用対策というものが、この基金事業の中で継続していくべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。
○江口農林水産部長 森林整備事業につきましては、本年度も十二年度とほぼ同じ内容で事業を実施してまいりたいというふうに考えております。また、ご指摘の路上生活者の受け入れにつきましても、引き続いて実施をしてまいります。
○木内委員 「高名の木のぼりといひしをのこ」という、古文の中に、おりるときが大事だということがありますけれども、遺漏なきよう、事故なきように事業の推進に当たっていただきたいし、そういう事業実施の中で、先ほど申し上げた趣旨がいかなる形でまた可能となるかも、産業労働局においては引き続いての検討研究を願いたいと、このことを申し上げておきます。
さて、長期化する不況の中で、中小企業の方々は、さまざまな不安、経営基盤の安定に向けての努力、こうしたまた心労を重ねているわけでありまして、こうした経済の活性化を図るための指標としては、いろいろな数字に言及できると思うのでありますけれども、私は、きょうは創業という支援策の問題について、何点かお尋ねをしたいと思います。
不況が長期となるこの傾向というものを側面から見てみますと、一つは、廃業率が創業率を上回るという傾向が、実は顕在化するのが不況の実態の一つでございます。いわば景気が悪いために、創業、起業への機運というものが減衰し、あるいはまた、そうしたリスクがあるために、現実に廃業というものの率が大変に高まっていくという傾向があるわけでありますが、この景況と開業率、廃業率との関係、私が申し上げた点について、どう認識されていますか。
○大原商工部長 若干、数字が古くて恐縮でございますが、東京の開業率、廃業率につきましては、平成八年度に調査をいたしました事業所・企業統計調査報告、これが最新のものでございます。これによりますと、全産業の開業率が三・三%、廃業率が三・六%でございますので、廃業率が開業率を上回っている状況にございます。
こういった状況を打破するために、東京都は、東京の産業の活性化と雇用の促進を図り、東京を再生していくためには、創業支援施策が大変重要な施策の一つであるというふうに認識をしているところでございます。
○木内委員 これは答弁は結構ですけれども、都の施策としての創業支援策については、さまざまな分野でこれまでも行われてきているわけでありまして、企業家等を対象にした創業時に必要な起業相談あるいは創業セミナー、あるいは交流会の実施、さらには私どもが強く訴えてまいりまして実現した、この創業支援施設の提供でありますとか、あるいは資金的支援としては、創業支援融資や創業助成等がこれまで行われてきております。
さて、この中でTOKYO起業塾というのは、なかなかこれまで関係者からの期待も大きく、現実的成果を上げている施策の一つであります。この起業塾における創業セミナーの修了者で、創業を起業した実績というのを、どのように掌握しておられますか。
○大原商工部長 平成十二年の七月でございますが、TOKYO起業塾の平成十年度から十二年度までの創業セミナーの受講修了者を対象に、創業についてのアンケートによる調査を行っております。
その結果、アンケートの回答があったもののうちで、セミナー受講後に事業を創業しましたかという問いに対しまして、創業した、あるいは創業を具体的に計画中、このように回答を寄せられた率が四三%ございました。それから、これのほかに、既に創業をしていて受講したという企業が二〇%ございました。
○木内委員 景気の回復を行ったり、中小企業分野での経済の活性化を行うための施策がいろいろあるでしょうが、やはり一つは、創業率を高めていくということが重要課題である。
今ご報告があったように、起業塾のセミナー一つとってみても、創業を具体的に計画中が四三%、それから既に創業していて受講した企業が二〇%という報告でありますから、これは大変に現実的成果を生み出している事業だ、こういうふうに思うわけでありまして、さらにさっき申し上げたような各分野における施策を並行実施し、そして相乗効果を高めることで、この創業率というのは上がってくるわけでありますから、鋭意こうした制度の推進にご努力を願いたいと思うわけであります。
さて、創業する際、やっぱり一番ネックになりますのが融資の問題でありますね。創業支援融資についてでありますけれども、十一年度の目標と実績、これを十年、十二年度と対比して示していただきたい。また十三年度の計画についてもあわせてお伺いをしたいんですが、手元の資料では、平成十年度が融資目標九十億、それから十二年度が三百億に対して九十九億、これは前年の融資実績から大分落ち込んでいるわけでありますけれども、この推移についてまずご報告願います。
○大原商工部長 平成十年度から十二年度について、時系列で申し上げます。
平成十年度の融資目標は二百三十億円でございまして、これに対する融資実績が件数で一千二百十六件、金額で九十億九千八百万円余でございました。
十一年度でございますが、融資目標は、対前年度比一三%増の二百六十億円でございました。これに対する実績でございますが、件数で五四%増の一千八百七十二件、金額では六四%増の百四十八億八千七百万円余でございました。
平成十二年度でございますが、融資目標は、さらに前年度に一五%増しまして三百億円、これに対しまして融資実績は、対前年度比で、件数で二六%減の千三百九十件、金額にいたしますと二七%減の百八億三百万円余でございました。
それから十三年度の融資目標でございますが、前年と同額の三百億円を予定しております。
○木内委員 今ご報告いただいた数字の中で、十一年度と十二年度に、その目標額と実績額において差が生じているわけでありますけれども、これはどんな理由によるものか認識を示していただきたいのと、それから、こうした実態を踏まえて今後どう対応していかれるのか、お尋ねします。
○大原商工部長 この制度におきましては、実は平成十一年度に融資の要件の見直しを行っております。具体的には、勤務の経験ですとか年齢等について、これらの要件を緩和いたしまして、融資対象要件の緩和をした結果、融資実績では六四%増、目標の達成率では一七ポイント増というような、前年度対比で大きな成果を示したところでございます。
これを受けまして、平成十二年度には融資目標の拡大を行ったところでございますが、期待どおりの景気の回復が進みませんで、平成十一年度の水準には到達しなかったところでございます。今後、本制度につきましては、一層の普及拡大に努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○木内委員 今まさに部長が答弁されたように、平成十一年三月五日付で創業支援融資の改正が行われ、発表されて、これを受けて関係者が殺到した。それで十二年度については、熱が冷めたのか、あるいは経済環境の変化ということもあったんでしょうが、これに差異が生じたというのが実態なんですね。
ご報告のように、当初、この創業支援融資制度というのは、非常に厳しい要件であったというふうに受けとめられていた。我が党は、この創業支援融資の要件をもっともっと緩和して、受けやすくすべきだという提案を重ねていった結果、こういう融資要件の緩和が行われました。
例えば、その連帯保証人は金額一千万円以内で、自己資金額等の範囲内の申し込みの場合は、連帯保証人、物的担保ともに不要としたり、あるいは融資額の四分の一以上の自己資金がある場合または連帯保証人が二名以上の場合は、千五百万円まで無担保とか、いろんな要件の緩和があったわけです。
これが発表された当初は、大変にニュース性があり、また皆さんが大きな関心を持った。一年たってみたけれども、周知徹底が余り十分でなかったという面もあると思いますので、今後ぜひ、今答弁にあったように、普及啓発というと申しわけないけれども、周知徹底を図って、より多くの方がさらにこの創業支援融資制度が利用できるような、そういう環境をつくられるよう私は強く今要請をしておきます。
それからもう一つ、この創業支援にとって大事なのは、創業、起業を目指す、こうした方々が、意欲がありながら資金調達が十分できなかったり、あるいは環境が整わない、事務所が借りられない、だからインキュベーターというその機能も踏まえて、そういうスペースというものを提供すべきだ、こう訴えてきた。そうしたら墨田に二十二のスペースができた。これはえらいニュースになりましたよね。結局、この「ベンチャー・SUMIDA」については、いわばこういう事業の第一歩を踏み出すものでありまして、その後、千代田区とか、あるいは八王子の駅の交通至便のところに同じ性格のオフィスがまた設けられて、こういうことになってきたわけであります。そうして、いわば施設の提供、スペースの無料貸与を含めたこういうベンチャー、企業家、創業家への環境の提供というものは、より重要になってくると思うんです。
具体的にお尋ねしますけれども、「ベンチャー・SUMIDA」等の施設提供事業、これは今後もさらに拡大をすべきだということを強く要請しますが、いかがですか。
○大原商工部長 「ベンチャー・SUMIDA」等のいわゆるベンチャー施設の提供事業でございます。平成十三年度につきましては、千代田区内の職業能力開発研修所、それからご指摘のありました八王子市内の産業技術研究所、八王子庁舎の一部を利用いたしまして、ベンチャー施設を設置する計画でございます。今後、現地の諸条件等を勘案いたしまして、実施設計を行い、具体的な部屋数ですとか部屋の面積等を確定いたしまして、早期に開設できるように努めてまいります。
また、タイム二十四のビルの中の共同利用スペースの一部を有効活用いたしまして、ここにスモールオフィスを設置する計画もございます。
○木内委員 ぜひ、いわれた計画について、遅滞なく進められるよう要請をいたします。
それから「ベンチャー・SUMIDA」の入居に当たって、応募企業と入居企業の数及び業種の実態、これはどういうふうになっていますか。恐らくこうした情報等が与えられることで、今後、今報告されたこのスペース等の利用希望者にとっては、いわば優位な知識となるわけでありますから、できるだけ具体的にご報告願いたい。
○大原商工部長 「ベンチャー・SUMIDA」の入居状況等でございます。
まず、入居受け付けは、平成十二年八月二十八日から九月一日まで行いました。その結果、部屋数が二十二に対しまして百七十件の応募がございました。この百七十の事業分野別の内訳でございますが、情報提供サービス分野、情報メディア・コンテンツ分野あるいはコンピューター通信分野といった情報関連分野で、全体の五一・八%を占めております。
次に、入居が決定いたしました二十二の企業について見てみますと、事業分野別で見ますと、やはり情報関連分野が半数近くを占めておりますが、そのほかに医療分野、教育分野、安全防災分野といったユニークな分野も合わせて、二〇%近くを占めているところでございます。
○木内委員 情報関連分野を中心に、多様にわたっているということがわかるわけでありますけれども、こうしたいわゆる入居企業は、東京都に対して、さらにさまざまな要望を提示してくるであろうと思うんですが、その内容はどんなぐあいになっていますか。
○大原商工部長 平成十三年三月に、これは「ベンチャー・SUMIDA」でございますが、都が入居企業につきまして巡回経営相談を実施いたしました。その結果、都に対する主な要望事項といたしましては、まず、都の支援策の情報の提供をしてほしい、これが三八・五%ございました。それから経営指導をしてほしい、これが二三・一%、資金調達について支援をしてほしい、これが一五・三%でございました。これが主な要望でございます。
○木内委員 最後の質問です。
今ご報告あったように、こうした環境の中で、入居した企業がその事業活動を続ける中で、都に対する要望も、ご報告のようにいろいろとあるわけであります。いわゆる創業の場の提供ということで、これまで環境づくりに資してきたわけでありますけれども、私は今後、やはりこうしたハード面だけの物理的環境の提供にとどまらず、今の入居企業が希望している要望の実態を踏まえて、ソフト面における側面的支援策、これも講じていく必要があるであろうと。
例えば、経営指導を求めている、あるいは資金調達における具体的な方途についての指導も求めている、あるいは情報提供というものが一番要望として多い、さらに販路開拓のあり方、中小企業経営指導の判断、あるいは相談とか、恐らく沈潜したそういう要望もあるのではないか。したがって、環境として、物理的環境とともにそうしたソフトの面での対応についても、東京都が今後リーダーシップを持ってそうした入居企業の要望にこたえていくべきではないか、こういうふうにも思うわけでありますが、申し上げた趣旨も踏まえて、最後に局長のご決意、ご抱負を伺って、質問としたいと思います。
○浪越産業労働局長 廃業率が開業率を上回る経済状況の中で、東京の産業の活性化を図るためには、創業の場の提供や創業支援が大変重要でございます。そのため都においては、先ほどお話のありましたように、タイム二十四あるいはTFTのビルのスモールオフィスだとか、あるいは「ベンチャー・SUMIDA」とか、神田あるいは八王子等のいわゆるハード部門の整備にこれ努めているところでございます。
創業者が、創業初期から円滑な事業の発展を図っていくためには、創業の場などの提供とあわせて、お話のありました創業した企業の実情に即した経営や技術にかかわる相談指導などの、いわゆるソフト面の支援が大変重要な課題と考えてございます。このため、財団法人東京都中小企業振興公社に、この四月から総合支援センターを設置いたしまして、ワンストップサービスによる支援を行うとともに、商工会議所や民間専門家を活用した経営相談及び産業技術研究所による技術相談を行っていくなど、都がリーダーシップを発揮して、ハード、ソフト両面にわたる創業の支援を図ってまいります。
先ほど担当部長から報告がありましたように、都の施策について積極的なPRを、事業者を初め都民の方々に努めることが何よりも必要でございます。積極的な展開を図ってまいりたいと考えてございます。
○藤田委員 私は、東京の農業問題について、何点かお尋ねをいたしたいと思っています。
食べ物の安全という観点から、私たちは、この農業問題を消費者の側から考えてまいりました。消費者モニターの中でも、いわゆる食べ物の安全、そして有機農産物に非常に興味がある、あるいは安全なものを食べたい、有機農産物が必要であるというふうに考えていらっしゃる方が、約八割もいらっしゃるという状況があります。
しかし、実際に消費者の側からすると、これも本来はどちらがよかったのか、悪かったのかわかりませんが、曲がったキュウリは排除するとか、あるいは見た目の悪いもの、そして多少虫がついていたりするものについては、なかなかこれを好まないというような状況が片方であり、非常に農業問題については難しい問題があるということは、十分わかっています。
なおかつ東京の農業といいますと、坪単価の高いところで、額にしたら一本五百円の大根になろうか、千円の大根になろうかというような状況もある中ではありますけれども、やはり農業の多面性ということを考えたときに、この東京の農業、都市農業というものに非常に重要な役割があるということがいえるというふうに思っています。
そして、もちろん東京の産業振興ビジョンの中にも、都市農業がきちっと位置づけられましたので、ぜひともこの東京の農業をきちっと確保していくというか、これ以上は減らしていかないということが必要であろうというふうに思っています。
〔委員長退席、木内副委員長着席〕
そういう中で、私たちは、市民と行政の協議会というような協議会を、この都議会の中で議員の方にもお呼びかけをしまして、議員の質問権、調査権というものを市民に開放していこうということで、これまで六回の会議を開いております。ことしの一月二十五日にも、東京の農業問題を考えるということで、労働経済局の方々、それから実際には食べ手の消費者、それからつくり手の農業者まで含めてご参加をいただきまして、問題を明らかにしてきたところでございます。
そして東京の農業というふうにいいますと、生産者からすれば、もう二十年遅いよとか、あるいは三十年遅いよというような状況の中で、もっと早くこういうことがきちっとみんなの中で共有ができたらというふうにいわれるんですが、でも、それでもやっていこうという強い決意を持っていらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。
それで、相続や後継者の問題、それから食べ続けるだけでは農業を存続させることができないような状況になっています。そして特に有機農業が必要というふうに、好まれるというふうにいわれますけれども、有機肥料を使用すると、コスト面や労力面から、また収穫量が少ないことから、もちろん割高になるということもあります。それから後継者がいない、人手が足りない、それからまた都市計画の観点からいえば、区画整理事業や農地の税制の問題など、こういう理由で農業を続けられないというような問題もあって、農地はもちろん減少しているというようなことがあるわけであります。
そこでまず、十一年ということでありますので、お尋ねいたしますけれども、東京都有機農業推進事業において、有機農業モデル生産団地の育成を行っています。三年間の教育期間を持つために、農家はそれなりの覚悟や心意気でこれを進めてまいりました。そして、都民に安全で新鮮な農産物を提供するだけでなくて、有機農業の普及啓発にも大きく寄与してきたというふうに思っています。
有機農業を推進していくためには、この事業は非常に有効な、また重要な事業だというふうに思っていますが、減農薬、減化学肥料栽培型の指定というのが、この十一年度で終了いたしました。そしてさらに有機農産物栽培型というのも十七年で事業終了予定になっていますけれども、この減減栽培型の問題、どのような検証をされて、そして今後どういうふうにしていくのかについて、まずお尋ねをしたいと思っています。
○江口農林水産部長 都では、平成六年度から有機農業推進事業を実施してまいりまして、平成十一年度までに、十二のモデル生産団地を指定してまいりました。この事業成果を生かすため、毎年、有機農業フォーラムを開催し、その中で課題ですとか、あるいは対策についても検証を行ってきたところでございます。
それによりますと、有機農産物につきましては、生産に多くの労力を要すること、労力に見合う販売価格とならないことなどが問題点として出されております。今後、これらのことを踏まえ、有機農業等の一層の普及拡大に向け、問題解決に当たってまいりたいと考えております。
○藤田委員 もちろん今お話があったような、要するに価格が見合わない、それは、片方でいえば消費者の教育も足りないというようなことになってくるわけでありますけれども、都市農業のあるべき姿として、その生産された安全で新鮮な農産物は、個人の直売所で、あるいは学校給食などにも活用されているわけでありまして、消費者と生産者の顔の見える関係で、地域内流通ができつつあるというふうに思っています。これは子どもへの農業教育にもつながってまいります。
そして、モデル生産団地としてグループ化することによって、組織化された生産者や、生産した農産物の有機認証を推進事業終了後も継続して、安全で新鮮な農産物を都民に提供し続けることが非常に重要なことだと思っています。認証制度が都民にわかりやすく選別できるようなマークですとか、それからポスターなどで表示をする、こういう支援が必要だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
○江口農林水産部長 モデル団地の指定期間が終了しましたモデル生産団地に対しましても、今後とも農業改良普及センターを中心としました支援チームによりまして、継続的に技術支援あるいはフォローアップを行ってまいりたいというふうに考えております。
また、東京都独自の認証制度も行うことにより、またそれらの認証制度の周知、PRを通じまして、消費者の有機農業に対する理解を深め、生産者が継続して取り組めるよう努めてまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 認証制度のマークを使って、そして小売の商店街の中には、このお野菜は有機ですよというのがあるんですが、ちょっと小さくて非常に見にくいですとか、あるいはそこまで目がいく人が少ないというようなこともありますから、ぜひそこの認証制度の周知、それからPRにしっかりと努めていただきたいというふうに思います。
もちろん東京の農業は、近隣の方々がよく目にするところでありますから、実際にどれだけ農薬を使っているかというようなことも一目でわかってしまいますので、こういう努力が実を結ぶような形をPRしていただきたいと思っています。
それから、有機を扱う場合に、肥料というものが非常に大きな問題になってきます。そして、この一環として、都庁で排出される生ごみを青梅の畜産試験場で堆肥化しまして、有機農産モデル生産地へ配布するという事業を行っておりました。これは十年度から十三年度までということですが、課題がどんなふうになっていますか、お伺いをしたいと思います。
○江口農林水産部長 東京都では、平成十年度から都庁舎の食堂で排出されます生ごみの堆肥化事業を、モデルプラントにより開始しまして、年間七十トンの優良な堆肥を得ております。
このモデルプラントの実績から見ますと、各地域で堆肥化を進める上での課題としましては、まず生ごみの分別の徹底とともに、施設用地の確保、地域における堆肥生産や流通のシステムを構築することが課題であるというふうに考えられております。
○藤田委員 今おっしゃったような地域における堆肥生産ということがこれからは必要になってくるかと思いますけれども、そういうことを考えて、そういうモデルケースを地域の中でまたやっていくことができるのではないかと思いますけれども、これについてはどんなふうにお考えでしょうか。
○江口農林水産部長 今後の生ごみ堆肥化の事業展開に当たりましては、地域内でのリサイクルシステムの確立を図ることが重要であるというふうに考えております。これまでに確立しました技術の提供あるいは堆肥化施設の整備助成とともに、堆肥の生産及び利用組織の育成についても、今後支援をしていくことが大事だというふうに考えております。
○藤田委員 生ごみの堆肥化というのは、もちろん塩分が多いというようなことがよくいわれておりますし、それから油ですね、油脂の問題があるというふうにいわれておりますけれども、畜産から出る畜ふんの堆肥と生ごみをまぜれば、ここも解決ができるというふうにいわれております。ここはもちろん東京都内だけでありますけれども、こういうことを地方にお願いをすると、また東京のツケを地方に持ってくるのかというふうにいわれたことがありますけれども、それもこれも含めて、有機農業が循環型の農業であるということには変わりないわけでありまして、ぜひこの点でもやっていただきたいというふうに思っています。
それから、後継者問題について何点かお尋ねをしたいと思います。
平成八年度から始めまして、当初五年間の予定であったわけですけれども、援農ボランティア事業があります。農地の保全を維持していくためには非常に有効な事業で、自治体に農地のあるなしにかかわらず広域な事業とすべきというふうに考えています。
というのは、自分の自治体に農地がなくても非常に農業に興味があるということで、出かけていくということができるように本来はしたらよいと思うのですけれども、今まではなかなかそういうふうにはなっていませんでした。自分の自治体でやってくださいということでしたが、この点についてはいかがでしょうか。
○江口農林水産部長 国に先駆けまして、都が実施してきました援農ボランティア事業につきましては、国が本事業に準じた事業を区市町村事業として実施することになったため、今後の人材育成につきましては、区市町村事業にゆだねるところとなったものでございます。
都といたしましては、新たな国の事業では、各区市町村を超えた広域的な事業展開に支障が生ずるため、これまで育成した認定登録者の活用など広域的な対応を図っていきたいと考えております。さらに、農地のない地域からの受け入れなどにつきましても、実施区市町村に働きかけるなど必要な調整を行っていきたいと考えております。
○藤田委員 もう一つ、農業従事者の高齢化や人手不足への対応としまして、農家にとってこの援農ボランティアは非常によかったわけでありますけれども、農業労働者として当てになって、そしてまた有償に見合う農業技術を身につけるということが非常に重要になってくるわけです。もちろんボランティアといいながら、そこには農業というきちっとした事業としてやっているわけでありますから、遊びで行っていては困るわけですので、この農業のボランティアにさらに技術をきちっと教えるというような、農業ヘルパーの育成事業というものが私は必要であろうかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
○江口農林水産部長 担い手となり得る農業ヘルパーにつきましては、関係団体とも連携を密にしながら、新しい援農支援システムを検討してまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 ぜひ、よろしくお願いをしたいと思っています。
それから、都市農業への理解や食糧の自給率を高めること、今、輸入が四六%ということで、自給率が非常に落ちているというのが日本の事情です。そしてなおかつ、昨日、一昨日、ネギや生シイタケのような話がありましたけれども、非常に輸入のものが多くなっているというのが現実であります。この自給率を高めることなど、意義を子どものころから意識教育としていく必要が私はあろうかと思っています。農業教育について、どんな見解をお持ちか伺いたいと思います。
○江口農林水産部長 ご指摘のとおり、子どもたちが農業に触れ合い、農業や食べ物について関心を持つことは、日本の農業を振興し、食糧自給率を高める点からも、非常に重要であるというふうに考えております。このため、今後、都の教育庁や農業関係団体との連携を深め、学童農園の設置、支援などによりまして、農業や食べ物に対する子どもの理解をさらに深めてまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 都市農業をめぐる税制などの改善というようなことは、これはもう非常に大きな問題でございまして、もちろん相続税の納税猶予制度を堅持するように強く国に求めるべきであるというようなことが、昨年の七月の答申の中にも出ているわけでありますけれども、また、あわせて畜舎等の農業用施設についても、農業経営に必要不可欠なものであって、これについても制度の適用がされるように求めていく必要があるというふうにいわれているんですが、実はこの問題について、私は八年前にも、ちょうど小作の試験場へ行った後、それからまた八王子の堀之内などの畜産農家がありますけれども、そこでもこのことが提起をされていまして、何だ、全然進んでいないのかしらというような本当に歯がゆい思いがいたしますけれども、ぜひこの税制の問題についての改善についても、強く国へ要望してほしいわけです。
もう一点、平成八年から新しい市民農園として誕生した体験型の市民農園は、農家の経営の一環として認められるために、相続税納税猶予の適用が受けられています。農地保全に向けて、一般的な市民農園にもこういうような適用がされるように拡充していくことが必要だと思っていますけれども、この優遇策、強化をすべきと思いますが、いかがでしょうか。
○江口農林水産部長 体験型の市民農園につきましては、地域住民との連携を農業経営に取り入れた取り組みとしまして期待されておりまして、今後とも都市地域における新たな農業の展開の方向として、積極的に推進をしてまいりたいと考えております。
ご指摘の一般の市民農園等につきましても、多くの都民ニーズにこたえながら、農地を保全するシステムとして定着しており、相続税の納税猶予制度の適用拡大などの税の優遇策についても、引き続き国に積極的に要望してまいりたいというふうに考えております。
○藤田委員 農地も同様でありますが、要するに農業者の方々が緑をつくっているというところで、私なんかは、もう最近では、これも含めて都市に住む者みんなの緑だというふうに考えれば、逆さまに、サラリーマンが、ぜひこの相続税などの優遇措置も、私たちのためにもしてほしいというようなことをいってもいいぐらいだと思うほど、緑がどんどん切られていってしまいますので、この点について、農地ということで高い緑がない部分もたくさんありますけれども、ぜひこの税の優遇については、国へ強く要望していただきたいというふうに思っています。
そして最後に、都市農業ということからいえば、従来の行政と農家とだけで関係を築き上げていくということではなくて、農業者、それから市民、行政と連携した住民参加型の仕組みづくりが不可欠だというふうに思っています。そして、農あるまちづくりを進めるためには、樹林地、雑木林や里山も含めてでございますけれども、一体的に保全が必要です。そして、区市町村の都市計画方針でこれを位置づけることが重要でありますし、関係局、いわゆる都市計画局などで連携をしながら、農地保全に向けた支援策が必要であるというふうに思っています。
最後に、この点についてどんなふうに考えているかを伺って、質問を終わります。
○浪越産業労働局長 東京の農業を、都市農業として新たな視点から産業振興ビジョンで位置づけしたところでございます。農地や緑豊かな東京を形成する重要な要素でございまして、後世に引き継ぐべき都民共有の財産であるというふうに認識してございます。
農業は、安全で新鮮な農産品を供給する役割に加えまして、お話のありましたように、安全保障上の見地、いやしの空間としての農地、あるいは防災上の観点からの視点等々、多方面の機能が見直されているところでございます。農業を取り巻く状況は、高齢化、後継者問題、環境問題あるいは食品の安全性の問題等々、解決すべき困難な問題が横たわってございます。
私ども、現在、都市計画局と環境局が中心になりまして、各局が連携して策定した緑の東京計画において、農業を生かした地域づくりにより、農地を保全していくことを施策の方向に位置づけたところでございます。今後、さらに関係局との連携を深め、農地保全のための方策を検討していきたいというふうに考えております。いずれにいたしましても、今後とも、東京の農業の維持発展のため、農業振興プランに基づきまして、総合的、計画的な施策の推進に努めてまいります。
○藤田委員 力強いお言葉だったんですが、何か少しずつ農業の予算が切られているように思いますので、ぜひその辺もしっかりと増額ができるようによろしくお願いをいたしたいと思います。
以上です。
○古館委員 私は、中小企業の振興と雇用の拡大について、幾つか質問いたします。
まず、東京の中小企業は、全事業所の九九%を占めておりまして、都内各地にそれぞれ特徴を持つ産業を集積しています。板橋区、北区の城北地域も、都労働経済局発行の「東京の産業と労働二〇〇〇」にも記述されておりますけれども、産業別で見ますと、出版、印刷、次いで金属製品、一般機械などが続いています。
城北地区である私の地元、板橋区で見ますと、工場数は三千三百四十九で、二十三区中、第九位です。従業員数は三万九千三百六十一人で、第二位です。製造品出荷額は九千百六十八億円で第三位、それぞれ二十三区の中でも都内有数の工業区だということです。製造品出荷が高いということからおわかりのように、厳しい経済状況の中にあっても、中小の製造業を中心に、工業集積の高いところであります。
こうした地元で、産業、工業界の方々とお会いしますと、いつもいわれるのが、この東京都産業振興ビジョン二〇〇〇の、既存の産業集積の再活性化が盛り込まれていることを評価しながらも、城南、城東、都心等、既存産業集積の再活性化を図るとなっておりまして、城北がなぜ入っていないのかと聞かれることです。都の計画に城北の二文字が入るかどうかは、苦闘しながら物づくりで頑張っている人々にとっては、私どもが考える以上に、大変な重みと、内なる活力を生み出しているということを実感させられています。
そこで、お聞きいたしますが、どうして城北が盛り込まれなかったのでしょうか。板橋、北区など城北の産業集積の位置づけをどのように考えておられるのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
○樋口産業政策部長 産業振興ビジョンにおきましては、先生ご指摘のように、既存の産業集積の活性化という記述がございます。その中におきまして、城南、城東地域などの例を挙げて説明しているところでございます。例示ということで挙げてございます。
一方、城北地域につきましては、先生ご指摘のように、工場数あるいは従業者数で見ましても、東京都全体の約八%を占めます重要な工業集積地域であると認識しているところでございます。
○古館委員 これは、記述できていないのを知らないというのもあれなんで、そういう重要な工業集積の地域であるという認識を示されました。次期、今度こうした検討のときには、ぜひともこの城北、板橋を含めて、頭の中にきちっと位置づけていただくことを改めて求めておきます。
それで、産業振興ビジョン二〇〇〇では、地域中小企業振興センター、これが創業ベンチャー支援や既存産業の経営革新の支援の中に、地域支援機関としてしっかり位置づけられていることに私は着目をしております。この中小企業センターの果たす役割については、八六年度に墨田区が中小企業センターを開設して、これは区でございますけれども、企業人経営、技術の向上への支援、勤労者、区民の福祉の向上など多様なニーズにこたえ、全国的にもその役割が注目されております。
そこで質問ですが、地域中小企業センターを、先ほど大変評価をいただきました城北、板橋区にもつくるようにして、さらにネットワークをきめ細やかなものにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○大原商工部長 地域中小企業振興センターの整備についてでございますが、これにつきましては、現在、地域の中小企業を支援するために、城東、城南地域に設置がされております。これに引き続きまして、多摩地域に振興センターを設置すべく取り組んでいるところでございます。これら三カ所の開設後の振興センターのあり方につきましては、区市町村との役割分担も考慮しながら、検討をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
○古館委員 これは地元の方でも大変期待しているところでございますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
次に、工業関係、産業関係決算額についてお尋ねいたします。
九八年度と九九年度の対比で、工業関係、商業関係の決算額をそれぞれお示しいただきたいと思います。
○大原商工部長 まず、平成十一年度の工業関係の経費の決算額でございますが、九億三千九百九十万円でございまして、前年度に比べますと、金額にして五千二百十一万円、率にいたしまして五・三%の減でございます。
一方、商業関係でございますが、決算額が平成十一年度で十五億一千百六十五万円でございまして、前年度に比べまして、金額で五千二百五十八万円、率にして三・四%の減となっております。
○古館委員 これは、ちなみに、工業関係が当初予算では十二億ほどだったと思います。それが九億四千万ということで減になり、商業関係も、当初予算では十七億一千百万円だったと思いますが、これも実際に十五億何がしということで、減額されているわけですね。
制度融資についてですが、この間、私、予算特別委員会のときに具体的には指摘しませんでしたが、これまで融資件数が二十万件を超えていたんですけれども、これが十一年度でいいますと、十七万七千三百十三件ということで、融資額もこの数年減少の一途で、この数年間で最低というふうになっています。私は、東京の全事業所数の九九%を占め、雇用者の八割が働いている中小企業の経営を守ることは、雇用の危機を打開する上からも極めて重要だと考えています。
この間も予特で、私どもの木村幹事長が代表総括で質問しましたけれども、国直轄事業で国道を維持管理するために、東京都が九九年度、一年だけで六十一億円も都が支出しているわけですよね。工業、商業、足しても二十四億何がしなわけです。つまり、国道の維持管理費用に六十一億円も都が支出している。それよりも半分以下というのが、九九%を中小企業の事業所が占めている、この東京都の商工業の予算であるということについては、やっぱりこの問題は思い切って増額をしていく、そのことを改めて強く求めておきたいと思います。
そこで、都産業ビジョンの二〇〇〇で、東京の活力を生み出す雇用・就業機会の開発、雇用のミスマッチの解消など、四つの政策目標が雇用の創出と確保ということで掲げられておりますけれども、緊急に雇用を拡大するという政策目標でいいますと、労働時間の短縮、これこそが雇用拡大での決め手というのが世界の常識です。例えばフランスでは、労働時間を週三十五時間に短縮して、雇用拡大に着実に成果を上げております。日本の労働時間は、労働省の調査では、年間千九百八十三時間、フランスやドイツと比べて三百時間から五百時間も長くなっております。
〔木内副委員長退席、委員長着席〕
ところが、総務庁の調査でいいますと、年間総労働時間が二千二百四十二時間、先ほど労働省の調査は千九百八十三時間といいました。総務庁の調査では、二千二百四十二時間となっており、労働省の調査よりさらに二百五十九時間も長くなっております。この差はサービス残業となっていると考えられています。
我が党は、先日、日本経済の危機打開への緊急提言で提案いたしましたが、その一つが、リストラ競争を応援する政治家が、雇用危機を打開し雇用を拡大する方向への転換ということを提起いたしました。今のリストラ計画が、企業に残った労働者にはサービス残業を含む長時間労働を強いることを前提にしてつくられていることは重大であります。全労連の調査では、リストラ、人減らしのもとでもサービス残業があると答えた労働者が、実に半数以上に上っております。旧労働省が摘発したサービス残業件数も、九九年に調査した十四万六千事業所のうち、一万一千件以上にサービス残業があるということで及んでおります。
この不況の悪循環を打開する一つの方策で、しかも即効性のあるものが、サービス残業をゼロにして、その分を雇用の拡大につなげること、社会経済生産性本部の労働時間短縮の雇用効果に関する調査研究によりますと、サービス残業ゼロで九十万人、残業を全部ゼロにした場合に百七十万人、その経済波及効果は十二兆円にもなるといわれております。
そこで質問しますが、サービス残業も含む労働時間の短縮が雇用拡大につながるということについて、ご所見をお伺いしたいと思います。
○友繁雇用就業推進担当部長 ご指摘のように、平成十一年五月に、財団法人社会経済生産性本部がサービス残業をゼロにした場合の雇用機会創出効果のシミュレーション結果として、マクロレベルでサービス残業ゼロにして、およそ九十万人の雇用創出効果があるという推計を、労働時間短縮の雇用効果に関する調査研究の中間報告で行ったことは承知しております。
しかしながら、このシミュレーションは、相当に幅のあるものであることに加え、生産量一定という条件のもとでの部分調整を仮定したものであります。現実に雇用が拡大するかにつきましては、消費の動向、答申の動向、生産性など、いろいろと波及効果によって大きく変動するものと考えております。
○古館委員 今、いろいろいわれましたけれども、ただ、社会経済生産性本部のその試算については、そのように理解をしているということで追認していることをまず確認をさせていただいて、それで、都としてサービス残業の実態把握をしているでしょうか、お答えいただきたいと思います。
○友繁雇用就業推進担当部長 サービス残業の実態を把握しているかということでございますが、労働基準法については、平成十一年四月以降三回の改正で、変形労働時間制や裁量労働制の拡大などの労働時間制度が導入されております。
都では、これら新たな労働時間制度の実態や課題を把握するために、昨年十一月から本年一月にかけて、労働時間管理等に関する実態調査を実施しているところでございます。その中で、お話のいわゆるサービス残業についても調査しており、現在、調査結果の取りまとめを進めているところでございます。
○古館委員 そういうことで、今現在、サービス残業についても調査の中に入れて、取りまとめしているということです。
はっきりさせておきたいと思っておりますのは、働かせても賃金を払わないというサービス残業は、明白な法律違反であって、犯罪行為だということなんですよね。国会での日本共産党議員の質問に、厚生労働省も、サービス残業をなくすために、四月に基準、通達を出すということを明らかにしておりました。
ここに持ってきましたが、これが、四月六日付で厚生労働省の労働基準局長が都道府県労働局長あてに出した通達であります。ここで、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準についてということがありまして、この基準の考え方1に、趣旨について、この通達を出した目的を次のように述べております。
目的についてですが、「労働基準法上、使用者には、労働時間の管理を適切に行う責務があるが、一部の事業場において、自己申告制の不適正な運用により、労働時間の把握が曖昧となり、その結果、割増賃金の未払いや過重な長時間労働の問題も生じている。このため、これらの問題の解消を図る目的で、本基準において労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき具体的措置等を明らかにしたものであり、使用者は、基準を遵守するべきものであること。」このように、この通達の中では明確に述べております。このように、使用者に労働時間を管理する責任があることを明確にしておりまして、さらにこの通達は、後の方で基準の周知とか、さらに基準の遵守のための指導等を記しています。
このサービス残業根絶に向けて、都としても実態調査などを踏まえて具体化することが求められていると考えます。都は、サービス残業をなくす取り組みを強化すべきと考えますが、ご所見をお伺いしたいと思います。
○友繁雇用就業推進担当部長 時間外労働については、労働の対価としての賃金が支払われるべきものであり、違法なサービス残業については、あってはならないものと考えております。
そのため、都としては、東京労働局とも連携を図り、適正な労働時間管理が行われるよう、使用者に対する労働セミナーや職場改善訪問事業等のさまざまな取り組みを通じて、一層の啓発普及に努めてまいります。
○古館委員 サービス残業が常態化しているということは、実は労働者が過剰でも何でもないんですね。サービス残業が常態化しているということは、労働者そのものが不足しているということを逆に意味していると思います。政府のミニ経済白書も、大企業の利益がふえたのに、家計の所得と消費が伸びず景気がよくならないのはリストラをしているからだと指摘しています。この企業利益が上がっていることと国民の家計消費が一向に連動しないということは、国会で我が党の志位委員長とのやりとりの中で、森総理自身もお認めになったことです。個々の大企業が、目先の利益にとらわれてリストラを推進すればするほど消費は落ち込む。社会全体では不況に拍車がかかるというように、大企業によるリストラ競争が不況の悪循環に拍車をかけている、このように我々は考えています。
今、雇用不安が深刻です。三百二十万人に及ぶ失業は、一九七〇年代の石油ショック後や円高不況時の百万人台と比べても異常です。これまで述べてきたリストラ計画が、企業が、企業に残った労働者にはサービス残業を含む長時間労働を強いることを前提にしてつくられていることでありまして、労働者が過剰だというのは、企業利益のみを優先する、私どもはつくられたいい分だと考えています。サービス残業をなくせば雇用がふえることは明らかであります。
そこで、最後にお尋ねですが、今、第十二期労働審議会が開かれ、雇用対策について議論され、提言が出されると伺っておりますが、我が党がこれまで主張してまいりました、若い人や高齢者、障害者などの雇用の拡大はもちろん、大企業のリストラ、サービス残業の根絶と雇用の拡大に真に有効な方策が出され、都として雇用拡大の面でも国を動かすような対策をとられるように強く求めますが、最後にご所見をお伺いしたいと思います。
○浪越産業労働局長 都は、これまでも、その時々の情勢に的確に対応した雇用就業対策を実施してきたところでございます。
昨年の四月から、職業安定行政が国に一元化され、基本的には国が担うこととなりましたが、都としても、都民の安定した暮らしを実現するために、現下の東京の雇用失業情勢が依然として厳しい状況の中、都民の就業の場を確保していくことは、産業労働政策における大きな課題であると考えてございます。東京の雇用失業情勢が大変厳しい状況で推移している中で、都民の就業機会を確保する、今申し上げたように大変重要なことでございます。
これからの時代の労働行政は、産業構造の変化と働く人々の価値観の多様化の中で、複雑化する雇用就業問題に対応していくため、都民の就業ニーズを的確に把握するとともに、雇用の場をつくり出していく産業政策とも十分連携をして、労働政策を展開していくことが重要でございます。
こうした中でも、NPOやワーカーズコレクティブ、パートタイムなどの多様な働き方の増加や、働く人々の職業能力、いわゆるエンプロイアビリティーの向上にも適切に対応することが不可欠と考えてございます。現在、労働審議会において、都における雇用就業対策のあり方について、活発な意見が取り交わされ、意見をまとめている最中でございます。
また、この三月にちょうだいいたしました職業能力開発審議会の答申も踏まえ、第七次東京都職業能力開発計画の策定にも取りかかったところでございます。今後とも、働く人々を取り巻く環境の変化に対応した幅広い労働行政を展開してまいります。
○古館委員 終わります。
○谷口委員 大分時間も過ぎてまいりましたので、できるだけ早く終わりたいと思います。
先ほど藤田委員から、農業問題についていろいろご質問がございましたが、私も都市農業の問題で、幾つかお尋ねをしたいと思います。
私は、昨年の第四回定例会、それからこの前の予算特別委員会と、農業問題を取り上げさせていただいたわけでございますが、東京都政が改めて都市農業という問題に温かい目を向けていただけるというふうな方向性が明確になってまいりまして、喜んでいるところでございます。
「そしてまた、農地や山林や、そういったものが非常に都民にとって貴重な財産といってもいいような、そういう状況になっております。特にこの都市農業を育てることによって、一つには、食糧の自給率を高めるとか、東京の農業だけではそれほど高まるわけではありませんけれども、安心して食べられる食糧の提供ができる、自然との触れ合いができる、ヒートアイランド現象を抑制できると、いろいろの効果が考えられるわけでございまして、そういった意味でも、この都市環境をよりいいものにするために、しっかりした取り組みをお願いしたいというふうに思うんです。
私は、都市農業は、何といっても後継者が不在であると。これはもう大変深刻でございまして、約五〇%が後継者はもういないといっているわけですから、ほうっておけば大変なことになることはもう目に見えておりますし、現在の農業従事者も大変高齢化しておるというふうな状況でございますから、東京都内の農地を存続させる、いわゆる、ただ土地を置いておくだけではなくて、そこに農業というものを展開するということになりますと、どうしてもそのための戦略論というものを考えなければいけない、こういうふうに考えておりまして、この点に絞ってお尋ねをしたいと思っております。
都が実施してきた農業振興策の中で、これが戦略的な取り組みだというふうにお考えになっているものをご指摘いただきたいと思います。
○江口農林水産部長 平成十一年度の決算の中で見ますと、農業費の決算額は大体三十八億一千万余になっておりますが、この中で私どもが主要な事業として、また戦略的な事業として取り組んだ事業として、一つには、活力ある農業経営育成事業がございます。決算額で大体一億八千百万でございます。
あわせて、環境保全型の農業の推進につきましても、主要な事業として私どもは取り組んでまいりました。決算額で九千四百万程度になっておりますが、以上二つを主な戦略的な事業として、積極的に展開をしてきたところでございます。
○谷口委員 財政が非常に厳しいということで、財政健全化を進めているさなかでございまして、農業関係の予算についても厳しいということは、これは当然のことであろうかと思うんですが、十一年度以降、本年度、新年度の十三年度に至るまでの農業費の予算の推移というのはどうなっておりますか。
○江口農林水産部長 各年度の農業費の予算額についてでございますが、平成十一年度が四十一億四千九百万円、十二年度が三十七億六千八百万円、そして平成十三年度が三十五億三千四百万円となっております。
○谷口委員 なかなか農業に関する予算は厳しい現状にあるという数字が出ておりますが、そういう中で、都市農業を守る観点から、都が実施してきた今までの振興策、ここにいろいろデータが出ておりますけれども、これに対して都としてはどういう評価をなさっているのか、その辺をお尋ねいたします。
○江口農林水産部長 都市農業は、消費者のニーズを的確にとらえ、身近で生産を行うことの有利性を最大限に生かすことが戦略的に重要であるというふうに考えております。都としましては、農産物に対する安全性や、地場農産物の入手などに対する都民の強い要望に対応し、付加価値を高めるための有機農業の推進、そして流通経費を削減し、新鮮で安心な農産物を供給するための直売施設の整備支援などの施策を通じて、都民の期待にこたえ得る都市農業の育成が進められたものというふうに考えております。
○谷口委員 今挙げていただいた施策というのは、はっきりいいまして、まだまだ、そこにある農業に付加価値をつける、農民の皆さんがつくったものを何とかできるだけ高く売りたいという程度の、そういう観点かなというふうに思えてならないわけでございまして、やはり都市農業を振興するということになりますと、これから若い人たちも含めて、都市農業の従事者が夢と希望が持てる状況づくりをする、経営の安定を図ることも必須条件でございます。
そういう観点で、やはり東京都の戦略的な展開というものを考えていただく必要がある、こう思っているわけでございますが、この点はいかがでございましょうか。
○江口農林水産部長 都市農業が都民の期待にこたえ、そして活力あるものとなるためには、個々の農家や、あるいは生産者グループの創意と工夫に基づく魅力的な農産物の生産が重要であるというふうに考えております。
このため、都としましては、主要な施策であります活力ある農業経営の育成事業のメニューの多様化などを図ることによりまして、今後とも事業の弾力的な運用を進め、戦略的な形態を育成してまいりたいというふうに考えております。
○谷口委員 こちらの、主な農業振興施策の内容という過去十年のものがございますけれども、その中で活力ある農業経営の育成というのがございまして、これは割合と、過去から今日に至るまで、予算はちょっと増加傾向にあるというふうに思っております。私は町田ですけれども、あちこちに町田が出てまいりまして、非常にいいことだなというふうに思っております。
最近では、直販施設をつくるとかアグリハウスを建てるとか、そういったことにかなり力が入っているなというふうな傾向が見えるわけでございますけれども、この農業経営の育成という、この施策に対するいわゆる農家のニーズというのは、予算額に対してどれぐらい、何倍ぐらい申し込みがあるものなのか。これは大体一〇〇%近い予算執行だというふうに伺っておりますが、それはいかがでございましょうか。
○江口農林水産部長 まず、予算の執行率でございますが、この活力ある農業経営の育成事業につきましては、九八・八%ということで、ほぼ満額執行になっております。
そして、十一年度におけます補助要望の状況でございますが、大体予算措置に対しまして二倍以上の要望が寄せられておりまして、十一年度、具体的に申し上げますと、施設整備計画二十八事業、三億五千万の要望が出されております。
これに対します、採択できたものは、十事業の一億六千五百万円となっており、採択率で申し上げますと、事業数では三五・七%、補助金ベースでは四七・一%となっております。
○谷口委員 今、お答えをいただきましたように、ニーズは非常に高いわけでございまして、やはりやる気のある人には大いに援助をしていくという、そういう形の行政展開というものを図っていただく、こういう必要があろうかと思うんです。
さらに、これから東京都が都市農業の育成に対して、もっともっと、より多くの人たちが参加できる状況づくりをやっていけば、年々そういったニーズが高まってくるんじゃないかと。
それで、昨年、農地法が改正されまして、農業生産法人の形態要件が緩和されたということでございますが、この点についてご説明ください。
○江口農林水産部長 昨年の十一月に農地法の改正が行われまして、農業生産法人の形態要件の緩和が図られ、本年三月から施行されております。
その主な改正内容でございますが、三点ございまして、第一点目は、農業生産法人になり得る法人形態に、株式の譲渡制限がありますものの、株式会社が加えられたことでございます。二点目に、事業内容が拡大され、売り上げの過半が農業であれば、農業以外の事業も可能となったことでございます。三番目に、構成員として、法人と継続的取引関係にある個人、法人が認められたことでございます。
こうした三点の改正でございまして、この改正によりまして、農業生産法人のより幅広い活動が可能となった点でございます。
○谷口委員 今ご説明がございましたように、生産法人を設立して、その活動をする場合に、かなり幅広い活動ができるなというふうな思いがするわけでございます。やはり都市農業に夢を持たせるためには、もうかる農業といいますかね、簡単にいえば、きちっとした収入のある農業、こういったものを確立していかなければ--この東京近辺で、私も農業をやりたいよというふうな気持ちを起こしていくと。
さらに、いわゆる農外者といいますか、農業をやっていなかった人間もそういう生産法人の中に入って、農業ができる形態をつくっていくというふうなことを考え、そして後継者のいない農地をどういうふうに守っていくかと、この戦略論がなければ、恐らく都市農業を守ることはできないだろうと、このように思うわけでございますけれども、最後に局長のお考えを伺って終わりたいと思います。
○浪越産業労働局長 東京の農業を取り巻く状況は、高齢化あるいは後継者難、さらには担い手不足、環境問題、安全性の問題等々、多くの課題がございます。
このように厳しい環境の中で、農業を職業として選択し得る魅力ある産業として育成するためには、先生がおっしゃったように、収入ある、もうかる農業を実施する必要もあろうかと思いますし、そのためには付加価値の高い農作物の生産や、企業的経営に取り組む、いわゆる独創性あふれる意欲ある農家を支援する必要があろうかと考えます。そのため、さまざまな分野のノウハウを農業経営に取り入れ、企業的な展開を図る農業法人等を積極的に育成することが必要であろうと考えております。
今後とも、東京の農業の維持発展のために、農業振興プランに基づきます総合的、計画的な施策の推進に努めてまいりたいと考えております。
○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
産業労働局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 異議なしと認め、産業労働局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で産業労働局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後三時五十分散会
Copyright © 1999
Tokyo Metropolitan Assembly All Rights Reserved.