各会計決算特別委員会速記録第十三号

平成十三年四月六日(金曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 二十七名
委員長立石 晴康君
副委員長木内 良明君
副委員長田島 和明君
副委員長たぞえ民夫君
理事織田 拓郎君
理事小礒  明君
理事丸茂 勇夫君
理事井口 秀男君
理事尾崎 正一君
羽曽部 力君
真鍋よしゆき君
田代ひろし君
吉田 信夫君
谷口 卓三君
今井 悦豊君
藤田 愛子君
古館 和憲君
石川 芳昭君
比留間敏夫君
沢西きよお君
田中  良君
寺山 智雄君
曽根はじめ君
新藤 義彦君
小山 敏雄君
西田ミヨ子君
秋田かくお君

 欠席委員 三名

 出席説明員
多摩都市整備本部本部長田原 和道君
建設監勝田 三良君
管理部長長野  宏君
事業企画担当部長二ノ宮 博君
建設計画部長山崎 俊一君
港湾局局長齋藤 哲哉君
技監高見 憲一君
総務部長渡辺日佐夫君
港湾経営部長高橋 和志君
物流企画担当部長小宮山元二君
臨海開発部長津島 隆一君
開発調整担当部長高野 一男君
港湾整備部長小池 正臣君
計画調整担当部長細川 泰廣君
離島港湾部長野村 孝雄君
参事押元 雅治君
都立大学事務局局長川崎 裕康君
次長二村 保宏君

本日の会議に付した事件
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  多摩都市整備本部関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・新住宅市街地開発事業会計決算(質疑)
  ・相原小山開発事業会計決算(質疑)
  港湾局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・港湾事業会計決算(質疑)
  都立大学事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)

○立石委員長 ただいまから平成十一年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、多摩都市整備本部、港湾局、都立大学事務局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 多摩都市整備本部関係に入ります。
 先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、田原本部長から紹介があります。

○田原多摩都市整備本部長 平成十三年四月一日付の組織改正におきまして、これまでの企画推進室と宅地販売課を統合いたしまして、事業企画課を設置いたしました。これに伴いまして、従来の企画推進担当部長から事業企画担当部長に名称が変更になりました。本人の異動はございませんけれども、名称変更がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
 事業企画担当部長の二ノ宮博でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○立石委員長 紹介は終わりました。

○立石委員長 多摩都市整備本部関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○長野管理部長 去る一月十七日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきまして、ご説明を申し上げます。
 お手元の資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をお開きいただきますと、五件の資料の目次がございます。
 初めに、一ページをお開き願います。
 株式会社多摩ニュータウン開発センターの当期損失、累積損失及び債務超過額の推移についてでございます。
 同社が設立されました昭和六十三年度から平成十一年度までの当期損失、累積損失及び債務超過の額を、それぞれ記載しております。
 次に、二ページをお開き願います。
 多摩ニュータウン事業の居住人口、事業費の当初計画と実際の推移との比較についてでございます。
 1の表は、昭和四十年度の当初計画から、その後、計画を変更した年度の計画人口、居住人口及び計画変更の理由について、それぞれ記載をしております。
 表にありますように、平成十二年度は、計画人口三十四万二千人に対しまして、居住人口は十九万一千人となっております。
 2の表は、(1)が新住宅市街地開発事業で、(2)が相原・小山土地区画整理事業でございます。当初計画から主な年度の施行面積、事業期間、資金計画及び実績累計について、それぞれ記載をしております。
 それぞれの表にございますように、平成十一年度末におきまして、新住宅市街地開発事業は、資金計画五千四百七十七億円に対し、実績累計は四千四百八十二億円、また、相原・小山土地区画整理事業では、資金計画七百八十八億円に対し、実績累計は六百三十九億円となっております。
 次に、三ページをお開きください。
 多摩ニュータウン事業における住宅建設対策費補助の見直しについてでございます。
 1の経緯では、昭和四十九年の住宅建設対策補助制度の創設から、平成十一年度の見直しまでの主な経緯について記載しております。
 2の補助内容では、創設当初の補助内容と見直しの内容について記載をしてございます。
 次に、四ページをお開きください。
 多摩ニュータウン事業の未処分宅地の状況と処分計画についてでございます。
 表は、未処分宅地と処分計画につきまして、新住宅市街地開発事業及び相原・小山土地区画整理事業に分けて記載しております。
 未処分宅地は、合計欄にございますように、平成十二年度末見込みで百五十二・六ヘクタールでございます。
 また、平成十三年度以降、新住宅市街地開発事業は、年平均十三・一ヘクタール、相原・小山土地区画整理事業では、年平均七・二ヘクタールを、それぞれ処分していくこととしております。
 次に、五ページをお開き願います。
 秋留台地域総合整備計画の検討経過と関連予算についてでございます。
 1は検討の経過で、2は関連予算執行額であります。合計欄にありますように、当本部執行の調査関係費は七億六千五百万円、用地買収費は四十億九千三百万円、合計で四十八億五千八百万円となっております。
 以上で、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○小礒委員 それでは、一点お尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず、多摩ニュータウン事業も昭和四十四年から開始をされまして、このように一定の年数が経過したわけでありますが、道路及び公園等、私ども、歩行いたしましても、通行いたしましても、感じるところは、年数も古いところで三十年を超えているという状況の中で、その都度補修をしているようにも見るわけでありますが、大変傷んでいる道路等が近ごろ目につく状況があります。
 このような中で、多摩ニュータウン事業のまさに節目に当たりまして、地元市が今後引き継ぎを予定されている道路及び公園がどのような状況で、いわゆる多摩都市整備本部の現在管理している道路及び公園の引き継ぎを行っていくのか、その協議は地元市とどういうふうに進んでいくのか、このあたりをお願いいたします。

○山崎建設計画部長 道路、公園等の公共施設の引き継ぎの件でございますけれども、公共施設につきましては、本来管理者に引き継ぐまでの間、多摩都市整備本部が暫定的に管理しております。そして、協議が調った施設から順次必要な補修工事を行いまして、地元市に引き継いでいく、こういう手順をとっております。
 これまで地元市に引き継いだ公共施設は、平成十二年度末で道路が全体の約三割、公園緑地が約五割となっております。
 なお、道路、公園等の引き継ぎ完了は、十五年度を予定しております。

○小礒委員 次に、この多摩ニュータウン内のいわゆる公共下水道につきましてですが、道路、公園と異なりまして、地元市との関係の中で、引き継ぎ事務もなかなか大変な要素があろうかと思うんです。下水道料金の徴収を含む事業経営全体の移管であるという中で、地元にとりましては、今のお話で、十二年度末現在で、道路が全体の約三割強、公園緑地面積が五割という状況ですよね、いわゆる公園、道路の引き継ぎ、そしてまた、さらにこの下水道の引き継ぎとなってきますと、地元財政というのは大変厳しい状況になってくる。
 ちなみに、十五年というような一定のめどがここに示されているわけでありますけれども、とりわけ下水道の移管について、関係市とのこの移管の協議、このあたりは現在どのような状況になっているのか、そこらあたりをお願いします。

○山崎建設計画部長 公共下水道の移管についてでございますけれども、昨年の九月に東京都と関係四市との間で覚書を締結しておりまして、移管の時期を平成十四年四月一日としまして、移管の事業を進めてきております。
 具体的に、平成十二年には補修箇所の調査を実施しておりまして、引き続き平成十三年度にはこの調査結果に基づいて必要な補修を実施し、完了したいというふうに思っております。

○小礒委員 下水道の引き継ぎの時期が平成十四年四月一日ですね。十五年がいわゆる公園緑地、そして道路の引き継ぎ、こういうことで引き継ぎ事務が進んでいくわけであります。しかし、もう一度お伺いしたいのは、今、一番地元で懸念といいましょうか、要するに移管後に地元の負担が大幅にふえていくんではないか、維持管理経費、現状の各市におけるこれらの通常の維持管理経費も少なくない。また、一定的に伸びているという状況の中で、これらの移管が十四年、そしてまた十五年、目安の中で進んでいく。
 そしてまた、もう一点、多摩都市整備本部はこれからいわゆる組織改正がなされるということがありますので、そのあたりも、地元市は今後どうなっていくのか、これらのことですね。引き継ぎ事務を進める中で、いわゆるさまざまな協議が今なされておりますね、これについてどうなのか。大変この点について不安感といいましょうかね、持っているセクション、担当者も、私も直接聞いているんですけれども、このあたりどうなんでしょうか。
 それで、地元のいわゆる負担ですね、新たなる負担増、これはどの程度になっていくのか、これに対する処置、このあたりをお願いします。

○山崎建設計画部長 先ほど来ご説明させていただきましたけれども、引き継ぎあるいは移管に先立ちまして、例えば下水の管渠等の調査をして、補修の必要なところは補修をして引き継ぐというような手順を踏んでおりますので、移管後直ちに地元市に特段の負担が出てくるということはなかろうと思っております。
 また、管渠等の財産については、無償譲渡ということを予定しておりますので、そういう面からの負担もないというふうに思っております。
 また、当本部の仕事につきましては、残る仕事については体制を整えるということになっておりますので、以後、遺漏なきように努めていけるものというふうに思っております。

○小礒委員 いずれにいたしましても、財政負担はそう心配ないと、管渠等の財産については無償譲渡するんだから、これは問題ないよというようなお話かと思います。しかし、いずれにいたしましても、各市の財政も非常に厳しい現状から見たときに、新たなる短期間での負担というのは顕著に出てくると思うんですね、数字上も。ですから、このあたり、どうも急げや急げじゃないでしょうけれども、ともかく十四年だ、十五年だと。ともかくこの間に地元四市と協議して、どんどん移管業務を進めていくんだということの中で、いわゆる都及び多摩都市整備本部は、そういう方向で今、鋭意進めているんでしょうけれども、一方、受ける側の地元市、これは現状というものをさらに考慮していただきたいなというふうに、このあたりは要望いたします。
 もう一つ、これは引き継ぎの一点に当たるわけでありますけれども、多摩市内の旧白地区の下水道、この負担の問題でありますけれども、他市との整合性を比較してくると、都の整備方針に非常な不公平感を感じるわけですね。一方においては、年度が若干違いますけれども、都が全面的に整備を行っている。一方においては市単費で、どうしてもやはりこの白抜きの、白地区の整備をせざるを得なかったという状況ですね。こういう状況から見て、同じ多摩ニュータウン区域内の整備手法から見ると、大変不公平感があると思うんですね。これらのことで地元市ともさまざまに意見調整を行っておられると思いますが、このあたりぜひ、この移管に当たって、先ほどからるる申し上げておりますけれど、年度も決まっているようでありますから、ご案内のように、これは地元で大変問題になっておりまして、地元市議会でもこの問題は再三にわたって取り上げられておりますし、地元の市も挙げてやはりこの問題を大変に、いわゆるどういう方向にいくのかというようなことで、平たくいえば心配しているということでありますので、ぜひこのあたり、地元との協議も現状さらにもう一歩踏み込んだ形で解決ができ得るような話ですね、取り組んでいただきたいと、この点は要望します。
 それから、二点目、下水道施設の補修であります。先ほどからるる申し上げておりますけれども、この当該地域、いわゆる自治体だけじゃありませんけれども、財政状況が各市とも大変厳しい。この中での移管でありますから、とりわけ下水道施設の補修につきましては、きめ細かく行う中で、これはそれぞれ四市からの要望も共通しておりますので、これらのことはきめ細かく対応していただきたい。
 それから収束、私は収束というか、多摩ニュータウン事業のすべてがここで終わるというふうには思っていません。責任は東京都にあるわけでありますから、その一端があると思うんですね。今さまざまな課題や問題点がいろいろ噴出していますよ、地元を見て歩いても。この中でこれだけの物をつくり、地元にこれだけの維持管理を、今度は移管移管というけどね、大変膨大な維持管理経費がかかることは間違いない。それと、大変老朽化があった中、さまざまな面で大変な状況がこれからさらに進行するわけですよね。ですから、その面から見ても、都は多摩ニュータウンはもう終わりだ、いわゆる事業は収束を迎えた、これで都は一切関係ないんだというような姿勢ではないと思うけれども、このあたりしっかりと地元市にも、その信頼のきずなが外れないように、ひとつお願いをしたいというふうにも、これも要望いたします。
 いずれにいたしましても、まだまださまざまにお尋ねをしたい、具体的な形でお尋ねしたい点もあるわけでありますけれども、ニュータウン関係四市、とりわけまだ未解決な課題についての、ぜひ本部長のリーダーシップといいますかね、先頭になって地元市とのさまざまな協議、それから地元市も一定的な了解--協議が成立したと、これもそうでしょう、しかし、真にいろんな意見を聞く中で、それぞれ個々的な各論部分からなってくると、全くもってもろ手を挙げて了解じゃないことも、これも事実だと思うんです。
 それらもぜひ解決してもらって、まさに多摩ニュータウン事業の大きな節目を迎えるわけでありますから、そのあたり、これから本部長の施設移管に当たってのリーダーシップを求めるとともに、基本姿勢をお伺いして、終わらせていただきたいと思います。

○田原多摩都市整備本部長 ただいま小礒委員からご指摘、ご要望がありましたとおり、公共施設あるいは下水道は事業そのものでありますけれども、これを引き継ぐに当たりましては、地元市が安心して受け取って、それからさらには運営をしていけることがぜひとも必要であると考えております。
 移管後の実施体制等々、今るるお話しありましたけれども、地元市にとってさまざまな影響が考えられますので、これらの課題について地元市と十分協議を行って、その上で施設の引き継ぎ、それから下水道事業の移管を進めてまいります。
 本日いただきましたご要望も踏まえまして、さらに今これで多摩ニュータウン事業、都は終わりと、こういうのではないかというお話がありましたけれども、決してそうではありませんで、今後もまちが発展をするように力を尽くしてまいりたいと思っておりますし、再構築を着実に推進してまいって、そういう目的を達したいと思っておりますので、よろしくご支援のほどお願い申し上げます。

○たぞえ委員 私は、多摩における開発について伺います。
 多摩地域の拠点都市として、広域的な都市機能と複合都市、これをつくるために多摩ニュータウン計画は一九六五年に、規模三千九百八十ヘクタール、居住人口三十万人をつくり上げる、こういうことで計画決定されました。
 ところが、先日、都が出資率五一%、九億円で設立をした株式会社多摩ニュータウン開発センターが、経営の行き詰まりによって民事再生法の適用を東京地裁に申請をする、こういう方針を固めたことは、ニュータウン事業がいかに深刻な事態に陥っているか、このことを物語っていると思います。
 そもそも三セクセンターは、南大沢駅前で三棟の商業ビルや複合ビルを建設、運営しておりますが、九二年には開業したそごうグループやスーパーの忠実屋、こうした大手商業施設が商圏人口が思うように伸びない、こういう理由によって九四年の秋から九五年春にかけて次々に撤退をいたしました。そのため、テナントの収入が落ち込んで、過去の不動産収入やビル建設による借入金の金利負担から多額の赤字決算が続いて、こうしたもとで三セクセンターの九九年度時点の負債総額が三百八十四億円にも及ぶ。都の部分だけでも百九億円に達しているわけです。この赤字の穴埋めには三百年もかかると、このような報道もありました。都の三セクで会社再生法の適用が申請されたのは、実はこれが初めてであります。この経営破綻こそ多摩ニュータウン開発事業そのものが行き詰まっていると、このようにいわざるを得ません。
 そこで、多摩ニュータウン内の東部地域にあります坂浜・平尾地区の開発について具体的に伺いたいと思います。
 この地域は、豊かな里山や畑が広がる自然地二百十二ヘクタール、ここに計画人口一万四千人、そして六本の都市計画道路をつくることによって一日当たりの自動車交通量は一万四千台、これが集中する、こういう計画であります。しかも、この事業の中心地には高層ビルを建設する。そういう大規模な開発計画であります。
 私は、九七年三月の予算特別委員会でこの問題を取り上げました。業務ビルを中心とした開発によって絶滅の危機に立たされているオオタカを初めとした生態系が破壊しかねない。オオタカが生息している豊かな自然と稀少動物保護こそ東京都は率先して守るべきだろうという問題を提起しまして、この開発計画の凍結を求めました。ところが、この事業の主体である東京都は、利用構想計画、これは何一つ修正をしないまま、その質問の直後の八月には都市計画決定を強行しました。
 それから約四年がたつわけでありますが、この計画はどう進行したのか、具体的に伺いたいと思うんです。
 坂浜・平尾では二千戸の住宅供給をするという計画でありますが、都市基盤整備公団や住宅供給公社、都住宅局は、多摩ニュータウン全体で住宅の供給はしないというふうにいっています。こういうもとで、住宅供給建設のめどはついたんでしょうか。

○山崎建設計画部長 坂浜・平尾の土地区画整理事業ですけれども、おっしゃるとおり事業目的の一つに公的住宅の供給を掲げておりました。都市基盤整備公団の分譲住宅からの撤退ということがございまして、公的住宅の建設の見込みは現在のところ立っておりません。

○たぞえ委員 住宅の見込みがないというわけであります。当初の計画どおり、保留地処分による資金の当てはついたんですか。

○山崎建設計画部長 保留地の処分金の確保のめどでございますけれども、先ほど申しましたように、公団の撤退等がございましたので、公団等にかわります保留地の新たな処分先、これをどう確保するかということに加えまして、地価の下落傾向が続いている、こういう状況をあわせて考えますと、改めて保留地処分金を確保するということを再検討する必要があると考えております。

○たぞえ委員 一千百億円の事業費は、保留地処分によって初めて成り立つものであります。この計画による事業の採算性は確保できたとはいえないんじゃないでしょうか。しかも、めどがつかない、土地の下落が進行している、このような計画はまずもって事業が成り立たない、そういうことではないでしょうか、どうでしょうか。

○山崎建設計画部長 ご指摘の事業の採算性でございますけれども、その後生じたさまざまな状況等を踏まえながら、採算性も含めまして、あるいは都市計画決定時の事業内容について改めて見直す必要が生じているというふうに考えております。

○たぞえ委員 わずか約四年前に都市計画決定したこの広大な開発計画そのものが、もはや今、見直しせざるを得なくなっている。ですから、やっぱり計画段階の中身に問題はなかったのかどうか、こういうことだと思うんですよ。
 私は、かつて現地に行ったり、都立稲城高校にも伺ってお話を聞きましたが、この開発地に面した広大なゴルフ場があります。当時、多摩都市整備本部長は、オオタカの生息地であることは認めた。では、オオタカは一体何をとって食べるか、連鎖動物でありますから、ハトだとか、こういったものを食べる。しかし、それは全く心配ないんだよと、このようにお答えになったんです。しかし、あの広大なゴルフ場は農薬に染まって、動物も住んでいない。とにかく雑草をどんどん根こそぎ取っていかなければゴルフ場の役割がないということで、オオタカが生息できるだけの環境整備はもはや奪われてしまいかねない、こういうことを私は指摘をしました。
 この坂浜・平尾地区だけではなくて、こうした畑や、また谷など広大な豊かな自然地にこうした多摩ニュータウン開発事業と同じような規模で画一的に開発事業を持ち込むことは、やはりその後の計画進行の上で大きな破綻を現在見ているんではないかというように思います。
 この段階で抜本的な再検討を行うべきだと思いますが、これはどのような方向で展開するんでしょうか。

○山崎建設計画部長 ただいま申しましたとおり、また、本年三月の予算特別委員会での質問に本部長がお答えしましたとおり、社会経済情勢や都の財政の状況を考えますと、従来の計画のまま進めることは困難であるというふうには考えております。
 ただ、しかしながら、この地区においてスプロール問題ですとか、緑の保全とか、さまざまなまちづくりの課題というものが残っております。そういう課題をどういうふうにして解決しながら、まちづくりを進めていくかということも考えなければいけない、こういう状況でございます。このために、当地区の整備のあり方、あるいは事業の内容につきまして、地元市との間で協議の場を設け、計画の見直しを進めているところでございます。平成十三年度中に見直しの方向は出したいと考えております。

○たぞえ委員 住宅供給の見通しがない、保留地処分の見通しもない、しかし、見直しはやりますと、地元要望が強いというふうにおっしゃっていますが、地元要望の多くは豊かな農地、そしてすぐれた環境をそのまま残してもらいたい、これが多くの意見なんですよ。こういうもとで、どういう方向で見直すのか、これは大変大事なことだと思います。私は、自然との共存、こういう方向での見直しこそ、残された多摩での豊かな自然を守っていく行政の責務であるというふうに思います。
 画一的な従来型の開発の見直しが全国的に叫ばれているときに、こうした貴重な土地のあり方については、決定をしたといって、そのままレッツゴーではなくて、一たん立ちどまった深い再検討を強く要求しておきたいと思います。
 以上です。

○藤田委員 私も、何問か質問させていただきます。
 きょうはそれぞれの区市町村の小学校の入学式ということでございまして、この多摩ニュータウンの中でも実は統廃合など、一挙にまちを立ち上げたために非常に高齢化が進んでいるということで、これからなお一層大変な状況になるのではないかというふうに思っているところでございます。
 私は世田谷に住んでおりましたけれども、聖蹟桜ヶ丘及び高幡不動、そして野猿峠、この辺は小学校の遠足の地域でございまして、それ以降の、四十年ぐらいからの開発ということで、本当にあの当時の面影を残しているところはなかなか探すのが難しいところになってきております。
 まず、平成十一年度におきまして、多摩ニュータウン事業の再構築に向けてどのような検討が行われ、また準備がされたのか。また、その後、これがどういうふうに進められてきたのかを伺いたいと思います。

○二ノ宮事業企画担当部長 多摩ニュータウンの再構築につきましては、平成十一年十月から平成十二年三月まで多摩ニュータウン事業再構築検討調査を実施してまいりました。この中で、日端慶應義塾大学教授を委員長といたしまして、学識経験者、国、都、地元市、公団のメンバーから成ります委員会を設置いたしまして、今後のまちづくりの方向性について検討してまいりましたとともに、ニュータウンにおける課題の整理を行ってまいりました。
 これをもとにいたしまして、平成十二年七月に、都としましては、多摩ニュータウン事業の再構築に関する基本的方向を発表したところでございます。

○藤田委員 この多摩ニュータウンというのは、都の多心型の都市構造論によって位置づけられてきたわけでございますし、それから多摩の心しんとしての位置づけであったというふうに思います。構造論としては、いわゆる一極集中を少し外側に広げていくという点では理解ができたわけですけれども、ある意味では中途半端な距離といいますか、なるべく都心に仕事で出かけるのに便利なようにといいますと、なかなかこの地域の中だけでまちをつくっていくというのは、開発が難しかったように思います。今回の多摩開発センターの破綻に見られるように、多くの問題を残してきているわけです。
 都としては、この問題について、多心型都市づくりというようなことも含めまして、どのように総括をしていらっしゃのかを伺いたいと思います。

○二ノ宮事業企画担当部長 多摩ニュータウン事業の実施によりまして、居住環境のよい住宅地を大量に供給いたしまして、これまでに十九万人が居住する職住が調和した新市街地を形成するとともに、鉄道、幹線道路の整備等によりまして、バランスのとれた地域構造の形成に寄与してきたと考えております。
 一方、バブル崩壊以降、土地需要の変化ですとか、地価下落に加えまして、都市基盤整備公団を初めとする、いわゆる公的住宅建設者が撤退したことなどによりまして、新住宅市街地開発事業や土地区画整理事業の事業収支が厳しい状況になりました。現在、多摩ニュータウン事業の再構築によりまして、事業収支の改善に全力で取り組んでいるところでございます。

○藤田委員 新住法という、ある意味では非常にかたい制度で、このまちづくりを迫られたわけでありますけれども、ですから、片方では最初に入った方々が非常に高い金額で、バブルのころから含めて高い金額で住宅を買った。そして、その後だめになって、安い金額で入っているというようなことで訴訟まで起きているというようなことが実際に報道されておりましたけれども、自治体が参加、それから市民が参加ということではなかなか難しいまちづくりだったかというふうに思います。例えば空き店舗対策について、事業者や自治体の担当者は入るけれども、肝心の消費者が入っていなかったというようにも聞いています。実際にはシャッターになってしまいましたところに私たちも、市民がつくる、例えばお弁当屋さんですとか、それからデイセンターをつくりたいというような、そんなお話をいたしましても、なかなかそこが厳しい状況がありまして、どうぞというわけにはいかなかったというような経験も持っています。
 平成十五年に都として事業を終了するということになっているわけですけれども、分権の視点を踏まえまして、どのように市町村にまちづくりを移管をしていくのか、どういうまちづくりを進めていくのかを伺いたいと思います。

○二ノ宮事業企画担当部長 これからのまちづくりについてのお尋ねでございますけれども、多摩ニュータウンにつきましては建設の時代から地元を中心とする地域ケアの時代に入ったと認識しております。これは、私どもの発表しました基本的方向の中でも述べていることでございます。今後のまちづくりにつきましては、開発者を中心としたまちづくりから、地元市が中心となる新たなまちづくりの仕組みを構築することが必要であると考えております。
 このため、昨年十二月に東京都と地元四市、都市基盤整備公団とともに、多摩ニュータウンまちづくり検討会を設置したところでございます。この中で、ライフスタイルの変化ですとか、少子高齢化など社会経済状況の変化を踏まえまして、地元市主体のまちづくりにつきまして検討しております。地元四市によるまちづくり協議会の設置に向けた協議も進めているところでございます。

○藤田委員 実は多摩市では初めて、東京都では多分初めてになろうかと思いますけれども、自治基本条例をつくっていこうというような大変大きな動きもあります。そして、市民はそれぞれが意識を持った方々が大変多いというふうに聞いておりますけれども、ワークショップでまちづくりをしていこうというのをかなり早い段階からやっていらっしゃるということもありますので、こういうまちづくりの実施部隊がたくさんできているというふうに思いますので、ぜひそことの協議を進めていただきたいというふうに思います。
 多摩ニュータウンの全体の住宅供給でございますけれども、先ほどお話ししたように、値段的な問題もありますけれども、供給がだぶついているというふうに聞いております。今後の住宅供給についてどのようにお考えになっているのかを伺いたいと思います。
 それから、残された相原・小山区画整理事業でございますけれども、ここもすぐ隣接は八王子、そして相模原というふうになっておりますけれども、この地域の事業をどのように進めていくのかを伺いたいと思います。

○山崎建設計画部長 まず、多摩ニュータウンの住宅供給についてでございますが、公団などの公的住宅政策の転換を踏まえながら、今後の多様な居住ニーズにこたえ、なおかつ地域特性を生かしたまちづくりを推進するよう、なされる必要があるというふうに考えております。そのため、従来の公的住宅供給を前提としましたファミリータイプ中心の画一的な住宅供給を見直したいと考えておりまして、現在、地元市と協議をしているところでございます。
 また、相原・小山区画整理につきましては、工事は最終段階にあります。平成十五年度までに換地処分を予定しておりまして、これらを着実に進めるとともに、宅地処分を促進し、自然と調和した活力ある複合的な市街地の形成に努めてまいりたいというふうに思っております。

○藤田委員 乱開発を防ぐためにということで、こういうような事業を行うわけでありますけれども、しかし、まだまだ相原・小山地域の中では自然が非常に残され、いわゆる里山の形成というような形で農業を営んでいらっしゃる方もいらっしゃいますし、そして緑深いというところもあります。
 それから、堀之内地域では、私も何回か行きましたけれども、牧場がまだ残っている。そして、天蚕、天然の蚕ですね、そんなこともやっていらっしゃるところもありまして、非常にまだまだ緑豊かな、本当に都心から比べればすばらしい地域でありますので、自然と調和したという中で、まだつくろうというような意気込みと、今のお答えだとなってしまうかと思うんですが、いま一度、先ほどお話しありましたように、画一的な供給計画を見直すということをぜひ進めていっていただきたいというふうに思っています。
 それから、多摩ニュータウン開発センター問題について、決算ではございませんが、ぜひちょっと聞いておきたいと思いますので、お願いいたします。
 去る三月三十日、多摩ニュータウン開発センターにおいて、東京都が民事再生手続の開始の申し立てを行ったというニュースがありました。十一年度決算との関係で若干確認をしておきたいと思っています。
 この株式会社多摩ニュータウン開発センターが、事実上破綻となったのはいつごろで、そして十一年度末の経営状況を主要な指標で示していただきたいと思います。

○長野管理部長 株式会社多摩ニュータウン開発センターは、平成六年度の決算から債務超過になりまして、いわゆる破綻状態になったわけでございます。
 また、十一年度末の経営状況を主要な指標でというお話でありますが、累積損失が六十七億円、債務超過額が二十八億円、負債が三百八十四億円となっております。

○藤田委員 三年前ぐらいであったかと思いますけれども、ちょうどイトーヨーカ堂が入ろうかというときに、私が多摩ニュータウンのことについてお尋ねをしたい、経営状況がどういうふうになっているかというようなお話をしたいというふうに、質問をする予定をつくっておりましたら、イトーヨーカ堂が入るので、ぜひそれについては聞いてくれるなというようなお話がありました。もちろん片方で、こんな状況だからといったら、とても入るわけにはいきませんから、そういうようなことはやめましょうということでしたわけですけれども、実際には事業計画、平成二年度に作成したときの十一年度予想というのが、ビルの賃貸料ですけれども、年間で十九億一千五百万円というような想定をしていらっしゃったのが、実績としては八億円ということですか、これも半分以下という状況になっていまして、非常に厳しい状況。それからデパートが借りていたところをスーパーマーケットということで、なかなかお金を取りにくいというような状況もあったかと思いますが、今の負債額になっているということでありますけれども、法的手続に入るならば、今お話ししたようなもっと早い時期に行うべきだったというふうに思っているんですけれども、その点についてはどんなふうな解釈をしていらっしゃいますでしょうか。

○長野管理部長 平成六年度に各テナントが相次いで撤退をいたしまして以来、会社は地域住民の生活利便施設を確保するために、後継テナントの誘致に取り組んでまいりました。また、各テナントの誘致にあわせまして、経営改善策の検討というものを行ってきたわけでありますが、経営の抜本的な見直しが必要だというふうに判断をいたしまして、昨年来、東京都と融資をいただいている金融機関との間で協議を続けてまいりました。しかし、この協議におきまして、合意を得るということに至りませんでしたために、自主再建ということを断念いたしまして、このたびの民事再生手続開始の申し立てということになったものでございます。

○藤田委員 非常に厳しい状況であるというふうになっているわけですが、東京都は商業ビル、ガレリア・ユギの土地代金五十五億についての無利子据置期間の延長を行うとともに、三十五億の改築融資を行っているというふうに聞いていますけれども、このような財政支援、いつ、どういうような経緯で行われていったのかを伺います。

○長野管理部長 東京都は平成二年度に会社に対して土地を処分いたしまして、三年無利子据え置き、二十二年分割払いということで、売却代金の支払いを受けることとしておりましたが、平成六年から各テナントが相次いで撤退をし、会社の資金収支が悪化をいたしましたために、六年の八月から土地代金の返済繰り延べを行っているところでございます。
 また、三十五億円の融資につきましてですが、これは平成十年度に新たに各テナントを誘致するために必要な改築費用の一部ということで、貸し付けを行ったものでございます。

○藤田委員 今の説明にありました貸付金を含めて東京都が行った財政支援、今後、民事再生法の手続の中ではどんなふうに扱われることになりますのでしょうか。

○長野管理部長 民事再生手続が開始をされますと、東京都の債権も含めました各債権につきまして、それぞれ圧縮をされることになりますが、その具体的な内容につきましては、今後、作成をされる再生計画の中で定められるということになります。

○藤田委員 都とそれから融資機関との間で協議を続けてきて、これが不調に終わったということでありますけれども、民事再生法の適用をしてしまいますと、いわゆる経営陣の責任があいまいというようなことがいわれているわけでありますけれども、今後、この点についてはどのように対処をするのかを伺っておきたいと思います。

○長野管理部長 会社の経営破綻の主な原因といいますのは、相次ぐ各テナントの撤退、あるいは景気の低迷が長期化したというようなことなどによりまして、賃料収入が伸びなかったということでございます。このような状況の中で、経営陣はその時々の状況に応じた判断をしてきたものと考えますが、民事再生手続開始の申し立てをいたしました以上、会社の再建は新たな体制で行っていくべきであろうと考えております。

○藤田委員 実際にそれぞれの企業が、各テナントも含めてですが、やはり採算が合わないとなれば、そこで撤退をするというのは当たり前でありまして、そのときにどういうふうに、常々評価をしていくということを、やはり私は、怠ってきた結果がこういうことにつながってしまったんだというふうに思うわけです。こういう失敗を繰り返さないために、そしてまた新たな事業を立ち上げる場合には、周到な計画と実現性の担保がもちろん不可欠であるというふうに思います。実際には事前事後の評価を必ずしていくというようなことも不可欠でありますし、それから中途で引き返すという仕組みがなければ、例えばバブルのときに住宅をさらに、数字が確実ではありませんが、四千戸でしょうか、ふやしたというような経緯があったということでありますので、こういうことを考えますと、やはりこれもある意味ではバブリーな計画が破綻を招いたというふうにいわざるを得ないというふうに思います。
 実際には、私は、臨海副都心の問題に最初に興味を持ったのは、実はこの多摩都市整備本部で中水道を実施をしたということから、この中水道の問題、このときには難しいということで引き返したというふうに多摩都の方では聞いておりますけれども、この問題から臨海の問題を注意深く見るようになった経緯がありますけれども、途中で引き返す仕組み、こういうことがこれからは重要だと思いますし、事前事後の行政評価システムなどが問われているというふうに思っています。
 このような観点から、多摩都市整備本部で行う事業について、今後どのように対処をしていくのか、厳しい状況を突きつけられていると思いますし、それから先ほどの質問にもありましたように、これからどういうふうに引き継いでいくのかということ、それから一挙に立ち上げたために、また新しく改築をしていく、それからまちが高齢化をしていったときにどういうふうにバリアフリーにしていくのか、大変厳しい状況がたくさん突きつけられていると思いますけれども、最後に本部長にお伺いをして、終わりにしたいと思います。

○田原多摩都市整備本部長 今後、事業に取り組む際にどのような点に留意をしていくべきか、こういうお尋ねでございます。
 もとよりのことでありますけれども、実現性が十分に担保された適切な計画に基づいて事業を進めていくべきだと考えております。現在、都庁全体で、ご承知のとおりでございますけれども、行政評価制度ですとか、それから成果重視の都政への転換、それから事務事業の不断の見直し等々に取り組んでおります。本部といたしましても、これらの方針を十分に踏まえまして、諸課題ございますけれども、事業の推進、あるいは見直しに取り組んでまいりたいと思っております。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 多摩都市整備本部関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、多摩都市整備本部関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で多摩都市整備本部関係を終わります。

○立石委員長 これより港湾局関係に入ります。
 先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、港湾局長より紹介があります。

○齋藤港湾局長 去る四月一日付の組織改正に伴いまして、港湾局の幹部職員の担当職務が変わりましたので、ご紹介をさせていただきます。
 物流企画担当部長の小宮山元二でございます。
 なお、従来の港営部が港湾経営部、開発部が臨海開発部と部名が変更になりました。それに伴い、両部の部長の名称変更があったことを、あわせてご報告申し上げます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○立石委員長 紹介は終わりました。

○立石委員長 港湾局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○渡辺総務部長 一月十七日開催の当委員会におきましてご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十一年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 ご要求のありました資料は、表紙の次のページにありますように、五項目でございます。
 一ページをお開き願います。
 国内主要港における取扱貨物量の推移でございます。
 東京港、横浜港など国内主要五港における外貿貨物量及び内貿貨物量につきまして、平成二年から平成十一年まで十年間の推移を取りまとめたものでございます。
 二ページをお開き願います。
 世界主要港におけるコンテナ取扱量の推移でございます。
 シンガポールや香港など世界の主要港におけるコンテナ取扱量の上位二十港について、平成二年から平成十一年まで十年間の推移を取りまとめたものでございます。
 三ページをお開き願います。
 土地処分の実績でございます。
 一般会計及び港湾事業会計における平成七年度から平成十一年度まで、五年間の土地処分実績を取りまとめたものでございます。
 四ページをお開き願います。
 東京港臨海道路事業第一工区の年度別建設事業費決算の推移でございます。
 平成元年度から平成十一年度まで十一年間の決算の推移を、財源別に取りまとめたものでございます。
 五ページをお開き願います。
 島しょ等港湾整備事業費の決算の推移でございます。
 島しょにおける平成二年度から平成十一年度まで十年間の決算の推移を、港湾整備費、漁港整備費、海岸保全施設整備費及び空港整備費の各事業費別に取りまとめたものでございます。
 以上、簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議賜りますようお願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○曽根委員 私からは、東京港の今後の役割、これまでの実績を踏まえてどういう方向を目指していくのか、これを周辺の開発の状況等の関連も含めて、何点かお聞きしたいと思います。
 まず、資料として1の取扱貨物量の推移を見ますと、十年前に比べて、この決算年度十一年についていえば、総取扱量でいえば五位から三位、特に外貿コンテナの取扱量についていえば三位だったものが、現在は国内主要港の中でもトップというふうに役割を高めていることがわかります。そういう点では国内でもトップクラスの外貿コンテナを中心とした主要港であり、しかも国際的にも物流の拠点、いわゆるメーンポートになってきていることは明らかです。
 そこで、国際港としては、その次のページにあるような、主要港の中で、特にアジアの中ではシンガポールや香港のように、取扱貨物量の七割から八割が海外から入ってきて、また同時に海外に出ていくという、いわゆる国際的な中継港、いわゆる国際ハブ港ですね、こういう役割を果たしている港と、東京港のようにバックに巨大な消費地を抱えているために、いわば消費物資の受け入れ港、もしくは産業による製品の積み出し港というふうに、国外に開かれた入り口という役割を果たしている港とはおのずと国際的な役割も違ってくるだろうと思うんです。
 実態から見まして、東京港についていえば、これは都民の消費を支える、また産業を支えるという役割が中心だと思いますし、今後もこれは基本的に変わらないと思うんで、そういう点で海外のいわば中継貨物の取り扱いを競い合っている国際ハブ港などとの国際競争を、必要以上に争う必要はないというふうに考えるべきだと思うんですが、東京港のあり方について基本的な考え方をお示しいただきたいと思います。

○高橋港湾経営部長 今、先生から、ハブ港、メーン港の違いについていろいろご丁寧な説明がありましたが、東京港の進むべき基本的な方向でございますが、東京港は大消費地東京に最も近く、消費生活物資を中心に扱う商業港でございます。そのすぐれた立地特性や充実した港湾施設が世界の船会社、あるいは荷主などの物流関係者に高く評価をされております。今後、消費者ニーズに対応いたしまして、コスト削減、あるいはスピードアップなど物流効率化が一層求められる中で、東京港の物流拠点としての重要性はますます高まっていくというふうに私ども予測をしております。
 都といたしましては、これまでの東京港のこういった特性を生かしながら、引き続き世界のメーンポートとして、東京及び首都圏四千万人の生活と産業を支える役割を担えるよう努めていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 基本的なあり方はそういうことになると思うんですね。そこで、最近、東京港の振興促進協議会などで関係者の協議が進んでいるわけですが、この中で、いわゆる三百六十五日二十四時間のフルオープンを目指すという方向が打ち出されているわけです。私は、確かに国際的な貨物がどんどん入ってくる、いろんな時間帯、いろんな日にち、日曜日であっても今は船が動いているということでいえば、その受け入れを随時行えるようにするという点は、受け入れ体制としてはそういう方向を目指すのは当然かと思いますが、例えば先ほどいいましたように、中継貨物をどっちが取り合うのかというような競争のためではなく、また、そういうふうな競争に参入する必要はないわけで、そういう意味でいわば東京都民にとって必要な物資が日常きちんと入ってくる、また輸出港としての役割も適切に果たしていくという範囲で充実をさせていけばいいんじゃないかというふうに考えております。
 それで、一つは、そうした二十四時間フルオープンということになれば、当然、港で働いている方々の労働条件がどうなるのか、必要な人員の強化はされるのか、こういう点がちょっと心配なわけですね。かつては海外の港、それから国と海外の政府との関係でも多少のあつれきがあったこともあります。そういう点で、現在検討中の港の機能の充実という点では、労使間を含めて関係者の合意のもとに進められるべきだというふうに考えるわけですが、このフルオープンにする必要性について、また、それに基づく合意という点での局の認識をお聞きしたいと思います。

○高橋港湾経営部長 二点のご質問にお答えをさせていただきます。
 まず最初に、二十四時間三百六十五日フルオープンが必要かというご質問だと思いますが、東京港を初めとする我が国の主要港湾は、他のアジアの諸港と比較いたしまして、港湾の利用にかかわるトータルコスト、こういったものが高い、あるいは利用時間に制約があること、さらにはいろいろ諸手続が煩雑である、こういったことから港の使い勝手に非常に問題があると、こういうことがかねてより指摘をされております。そういったことから、その総体的な地位を低下させておりまして、今、急速に国際競争力を失いつつあるという認識に私ども立っております。
 東京港が引き続きメーンポートとしての地位を維持していくためには、港湾を取り巻く規制の見直し、あるいは効率的な荷役体制、利用者のニーズに対応した低コスト、高サービス体制の変革が不可欠であるというふうに考えております。
 もし仮に東京港がメーンポートとしての役割を喪失することになりますと、物流コストの上昇、物資供給の不安定化、流通時間の増大など、都民だけではなく首都圏の生活と産業に多大な影響を及ぼすことになります。このため、東京港では、先生、今ご指摘ありましたが、一昨年、平成十一年四月に官民一体となって東京港をどういうふうに使うかということでアクションプランというものを策定いたしまして、港湾荷役サービスの拡充など、やはり使いやすい港づくりに努めているところでございます。
 一方、国におきましても、港湾運送事業法あるいは港湾労働法の改正が行われておりまして、港湾運送事業の規制緩和も図られ、日本全体の港を使いやすいものにするという努力が図られているところでございます。このように港湾をめぐる環境は大きく変化をしておりまして、国際港湾である東京港におきましても、二十四時間三百六十五日フルオープン、こういった港湾サービスの充実を図っていかなければならないというふうに考えております。
 もう一つのご質問でございますが、フルオープンに当たっていろいろ労働条件を含めて労使間のいろんな話し合いが行われるべきだろうということでございます。おっしゃるとおり、こういったフルオープン化の実施によりまして、港湾労働者に過度の負担がかからないよう配慮する必要があると考えております。
 このフルオープン化の実施に当たりましては、日曜荷役あるいは夜間荷役、こういった労働者の交代制勤務の導入が不可欠でございます。世界の主要港湾もほとんどといっていいぐらい、先ほど先生が挙げたいろんな港でもそうなんですが、二交代、三交代という形で交代制勤務による二十四時間体制をとっております。残念ながら我が国では、そういった体制がまだとられていない状況でございます。そういったフルオープンに対応するため、今後は具体的な勤務条件、例えば時間外勤務など新たに必要となる労働コスト、こういったものをだれが負担するかといったような問題、あるいは荷役の必要に応じた柔軟な交代制勤務、これにどう対応するか、こういったことを検討していく必要があるというふうに考えております。
 いずれにしましても、こうした勤務条件につきましては、基本的には事業者と労働者の双方で実施に向け十分な話し合いをしていただき、具体的な条件を探っていくことが必要であるというふうに認識をしております。私ども港湾管理者といたしましても、これまで港湾法等に基づきまして、港湾労働者等の労働環境の改善を図るために、福利厚生施設等の管理、整備をしてきたところでございます。今後、二十四時間フルオープン化が実現した場合には、必要に応じて福利厚生施設の整備に努めていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 今お話しのあったように、アクションプランを見ますと、二十四時間、当然交代制勤務という新しい本格的な体制も必要になるということから、福利厚生施設の必要性なども明記されておりますので、これは当然だと思います。同時に、日曜荷役の促進ということでいうと、何といいますか、企業間の労働者の相互融通なども考えていかなければならぬとか、余り人数をふやさない中でうまくやろうというニュアンスもその記述の中に見えるので、そういうふうに考えていくよりは、私は、このフルオープンにするに当たって--これまではコンテナの導入などによって港で働いている雇用人数というのは極端に減ってきたわけですよね。ひところの恐らく五分の一ぐらいになっているんじゃないかと思うんです。それが改めて、本当に二十四時間開港していくために、むしろ雇用の場を広げるといいますか、交代制勤務で人員も増強して十分な人を配置するということが可能になるならば、これが一番いい方法だと思うんですね、今、雇用が非常に厳しいときですから。そういう方向でぜひ積極的に検討していただくようにお願いをしておきたいと思うんです。
 それからもう一つ、国際的な入り口として、玄関としての役割を果たす上でも、あそこからさまざまな形で国内に物資が供給されていく。特に内貿関係のふ頭の整備というのは、東京港のもう一つの機能として大変重要だと思うんです。現在、内貿は臨海開発地域に囲まれた形で十号地を中心に行っているわけですが、この充実を目指すという点でいいますと、いわばスペースその他なかなか今後、課題が多いのかなというふうに思うんですが、この内貿機能の充実という点についての局の考え方をお聞きしたいと思います。

○高橋港湾経営部長 先ほど先生から紹介いただきました当委員会の資料でございます内貿貨物の推移を見ましても、ある程度横ばいでございましたが、最近の国内経済が非常に低迷をしている中でかなり貨物量が停滞をしております。そういった中でも私ども、こういった国内物資にどうやって対応していくかということで、一つは、いろいろ環境面の配慮を図りながら、経済性、効率性、こういった観点から、多様な輸送手段があるわけでございますが、そういった中からとりわけ長距離貨物輸送、こういったものを海上輸送が選択されるようモーダルシフトを推進する、こういうことが重要ではないかというふうに考えております。そのためには、コンテナ船あるいはローロー船等の船舶の大型化、高速化に対応する岸壁の整備、こういったことを初めといたしまして、広い荷役ヤードや駐車スペースを有するターミナルが必要だろうと、このように考えております。
 このため、東京港におきましては、既存のふ頭の再整備を進めるとともに、新たなユニットロードターミナル、こういったような整備を計画いたしまして、既に、先ほどご紹介がありましたが、内貿の拠点でございます十号地その二ふ頭におきまして、ローロー船対応のユニットロードターミナルの整備を実施したところでございます。これ以外にもいろいろ、十号地のふ頭におきまして、内航コンテナ船の拠点を整備しております。さらに、外貿コンテナふ頭におきましては、関税法上の制約から、これまでは内航船舶が接岸をできませんでしたが、一部規制緩和と関係官庁への働きかけによりまして、内航船の利用が可能となりまして、外貿コンテナ貨物の効率的な国内海上輸送が実現をしておりまして、実績が年々増加をしております。
 今後ともこういったモーダルシフトというものを推進していく中で、輸送革新に対応した施設整備などをやりながら、内貿機能の充実に努力をしていきたいというふうに考えております。

○曽根委員 充実を進めていく上で、やっぱり耐震補強、耐震強化が不可欠だと思うんですけれども、たしか九七年に私、事務事業質疑のときに、日の出ふ頭が大正時代からの岸壁がそのままになっており、桟橋を支える柱がもうさびついて細くなって、本当に重量物を載せると大変なことになるんじゃないかというように重大だということで、直ちに改修をというふうにお願いしました。そのとき余りはっきりしたお答えはなかったんですが、この日の出ふ頭を含めて内貿などのふ頭の強化、改修がどういうふうに進められているのかをお聞きします。

○小池港湾整備部長 ただいまご質問の老朽化しております内貿ふ頭の改修の件でございますけれども、私ども港湾局といたしましては、築造以来長い年月がたっているふ頭につきましては、平成七年度と平成八年度の二カ年にわたりまして、ふ頭施設の健全度調査を実施しております。その際、補修が必要と認められました箇所につきまして、安全性の確保や施設の延命化を図るために、順次計画的に対策を講じてきております。
 ただいまご質問のございました大正十四年に東京港において最初に築造されました日の出ふ頭についてでございますが、これにつきましては、四バース三百八十二メートルにつきまして、平成十年度からコンクリートくいの補強及び床板の打ちかえを実施しておりまして、平成十三年度、今年度には完了する予定になってございます。
 また、主に西日本方面と結ぶ内貿雑貨輸送の拠点となっております十号地その二ふ頭では、全バースで二十四バースあるわけですが、二千四百二十メートルにつきまして、平成十一年度から鋼矢板及び鋼管くいの腐食対策を平成十六年度完了目途に実施しております。
 なお、十号地その二ふ頭につきましては、液状化する部分につきまして、昭和六十三年から平成八年度まで、六バース八百十メートルについて既に液状化対策を実施してございます。さらに、北海道定期航路の輸送拠点であります品川ふ頭の内貿三バース四百七十六メートルについては、平成十年度及び平成十一年度に鋼矢板の腐食対策を既に実施済みでございます。

○曽根委員 日の出のふ頭についても十年度から、もう今年度で終了するということで、ほっと一息というところなんですが、引き続き老朽化した内貿ふ頭の整備を急いでいただきたいと思います。
 それと、十号地とともに、いわば内貿関係のもう一つの拠点でありました豊洲のふ頭ですね、島の関係、それから、ばら物、鉄鋼ふ頭などがあそこにあったんじゃないかと思うんですが、これは今、開発との関係で移転していると思うんですが、豊洲にあったふ頭はどこにどういうふうに移転したんでしょうか。

○高橋港湾経営部長 今ご指摘の豊洲ふ頭でございますが、現在は鉄鋼の民間専門ふ頭、それと内貿雑貨の公共ふ頭がございまして、鉄鋼あるいは伊豆七島など離島向けの雑貨等を取り扱っております。これらの施設につきましては、港湾計画等に基づきまして、沖海側、海側に移転を再配置をいたしまして、機能の更新、向上を図ることとしております。
 跡地利用につきましては、この地域にありますエネルギー関連施設跡地を含めまして、ふ頭全体におきまして、業務、商業などの複合地域として開発をし、この地域の活性化に資することとしております。
 移転計画でございますが、民間のこの鉄鋼ふ頭につきましては中央防波堤の内側埋立地に移転をする、内貿雑貨公共ふ頭につきましては十二号地のふ頭に移転する、こういう計画を立てております。
 なお、既に公共ふ頭でございました石炭ふ頭は、平成十二年五月に中央防波堤内側埋立地への移転を終了しております。

○曽根委員 豊洲のふ頭というのは、島の方々を含めた、ばら物といいますか、いろんな雑貨のものを扱うふ頭として、私は大切な役割を果たしていたんだと思うんですよ。それが、先ほどは港湾計画に基づいてとありましたが、要するに豊洲を再開発して都市にするということから、それも、私は陸側で防潮堤ができるというふうに、そうすれば十分の一ぐらいの費用でできるというふうに指摘しましたけれども、六百億円ぐらいかけてわざわざ周りの海を埋め立てて防潮堤をつくることまでやって、それで豊洲の開発をやると。その連動で、ここにあったふ頭があちこちに移転せざるを得なくなった面があると思うんです、もちろん機能もアップさせるのは当然ですけれども。そういう実態があったということは指摘しておかなければならないと思うんです。
 今後、東京港のこうした内貿ふ頭の充実の上で大きなネックになるのは、今回の豊洲の開発、そして、かつては臨海開発が青海の北半分まで食い込んできまして、あそこにあった大型のバースに使えるふ頭を三百五十メーターぐらい食い込んだわけですね、北から。今テレコムセンターなんか建っているところまでですけれども。こういうふうに港湾の用地を都市開発にとられていくというのが、それで港の機能はどんどん南へ下がっていて、あと残っているのは新海面処分場しかないわけで、この先埋め立ては基本的にできないということですので、本当に港の役割をきちんと守っていくためには、これ以上都市開発に追い立てられるという関係にしないことが重要だと思うんです。これは港湾計画全体の問題になりますが、今後の東京港のあり方として、港湾機能の充実確保、このことに全力を挙げていただくように求めまして、質問を終わります。

○木内委員 初めに、港湾局の主要事業の一つであります東京港臨海道路に関するものであります。
 決算の説明書によりますと、平成十一年度では、東京港臨海道路について、補助、単独合わせて約百八十億円の支出が行われております。港湾局の個別の施設建設としては、新海面処分場を初めとする廃棄物処理場の決算額の約二百五十億円に次ぐものでありまして、まさに港湾局を代表するビッグプロジェクトになっている、こういうことがいえるわけであります。これだけのプロジェクトの実施に当たっては、既に周知されているように、海底トンネル部を初めとして難工事を多く抱えておりまして、きょうご出席の高見技監を初め、港湾局の技術陣の皆さんの大変なご苦労があろうかと思いますけれども、同時に、財源確保にもさまざまな努力が重ねられているわけでありまして、まず、十一年度決算ということでありますから、この東京港臨海道路の建設財源の構成について、基本的な考え方と十一年度の実績がどういう内容になっているか、お尋ねします。

○渡辺総務部長 東京港臨海道路の建設財源についての基本的な考え方及びその内容についてのお尋ねでございますけれども、臨海道路の建設財源につきましては、この道路が基本的な一般行政施策、すなわち港湾物流の円滑化に寄与する道路としての性格のほかに、埋立地間を結ぶことによりまして、埋立地の利便性の向上、ひいては開発利益が増進していくというような性格がございますので、そのような性格を持った道路ということから、一般財源のほかに会社負担金を導入しているところでございます。
 十一年度実績では、総事業費約百八十三億円の財源の内訳といたしまして、おおよそ国庫補助金が十八億円で一〇%、一般財源が四十六億円で二五%、埋立事業会計の繰入金が六十四億円で三五%、臨海副都心開発事業会計繰入金が五十五億円で三〇%となってございます。

○木内委員 今、明快にお答えをいただきましたように、国庫補助金が一〇%程度、一般会計負担金が二五%、残りの六五%ということでありますから、三分の二が実は埋立会計と臨海会計の負担だということでありまして、私は、この割合というものを私ども都民はしっかりと認識をする必要がある、こういうことが一点いえると思うのであります。
 そして、今も若干総務部長からお触れいただきましたけれども、確認の意味で伺いますけれども、東京港臨海道路の整備の目的と効果、また、施設としてのこの道路は性格上どういう位置づけになっているのか、重ねてお尋ねします。

○小池港湾整備部長 まず、東京港臨海道路の整備の目的と効果についてでございますが、第一に、港湾機能の沖合展開に伴う物流の円滑化や臨海副都心の開発に伴う交通需要への対応に寄与すること、それとあわせまして、都心部の通過交通の分散により、交通渋滞の解消にも寄与することが一つございます。
 第二に、東京湾岸の城南地域と江東地域を東西に結びつけていますことから、神奈川から千葉に至る地域の連携を強化し、東京湾岸域の広域的な交通及び物流の円滑化に寄与すること、この二つを考えてございます。
 これらのことから、東京港臨海道路の整備は、東京臨海地域のみならず、東京全体の経済の活性化と東京湾岸の諸都市の連携に資するものと考えておりまして、平成十三年度末の第一工区の完成に引き続きまして、第二工区の早期着手を目指しているところでございます。
 また、ご質問にございましたこの道路の性格についてでございますけれども、この道路は、既成市街地の道路と異なりまして、港湾法上の臨港交通施設として位置づけられておりますいわゆる臨港道路として、国庫補助対象事業で整備しております。

○木内委員 ここで、今の答弁を踏まえて認識しなければいけないのは、城南方面さらには第二工区完成の暁には江東方面に多大の効用がもたらされるとともに、東京圏全体の交通アクセスの円滑化にも寄与するなど、多部面にわたる効果が期待できるものである、そして、その施設としての性格は極めて公共性も強い臨港道路である、こういう答弁であったわけであります。
 そういういわば公共的施設が、一般会計、いいかえれば都民負担が極端に少ない形で整備をされているというのが実態でありまして、このことに関していえば、都民としては、このシステムというのは歓迎すべき形であるわけでありまして、逆にいえば、埋立会計、臨海会計という二つの会計に大きな財政負担のしわ寄せがいっているということにほかならないわけであります。こうした点の認識を踏まえて、関連の事項というものは議論をしなければならない、こう思うわけでありまして、この臨港道路に限らず、同じような例はほかにもあるわけでありまして、今や東京のシンボルの一つといいますか、ランドマークといっていいんでしょうか、になっておりますレインボーブリッジにしましても、これも実は臨港道路という位置づけになるわけですけれども、この建設財源も約七十億円の国費を除いた約八百億円が埋立会計と臨海会計に負っている、こういうふうになっているわけであります。
 歳出予算は一般会計で組まれているものの、現実にその財源を見れば、一般会計負担を極力抑えながら、埋立会計、臨海会計の負担によって、いわば都民共通の財産である公共的な施設が整備されてきている、これが事実である、こういうふうに思うわけでありまして、このことの認識が極めて重要なんではないか、こう思うのであります。
 それから、これは付加的に何度かこの都議会で答弁をいただいてきていることでありますけれども、臨海副都心を初めとした臨海地域の開発が、第一次波及効果だけでも十三兆円を超える経済効果を持ち、あるいは七十五万人もの雇用創出効果を通して、東京あるいは首都圏という地域経済に多大な貢献をしているということも報告をされているわけであります。さらに、そこから生み出される今後における税収効果というものも、都財政にとっては実は大変なプラスの面がこれから顕在化してくるわけであります。
 そこで、改めて確認をしたいわけでありますけれども、臨海副都心開発に伴う税収効果により、臨海副都心開発に要する一般会計負担額に見合う税収が確保されるのはいつごろになるのか、具体的にまずお答えを願いたい、数字も踏まえてですね。

○渡辺総務部長 臨海副都心開発に伴う税収についてでございますけれども、これは、あくまで一定の条件を置いた上での、港湾局といたしまして専門調査機関に委託して調査した試算ではございます。
 その試算によりますと、これまでの臨海副都心開発に支出した一般財源につきましては、平成十一年度末までで約千五百億円という数字でございますが、この金額を、千五百億円を臨海副都心開発からの都税収入で回収することになるのは、平成十三年度というぐあいに試算をしております。また、臨海副都心開発事業費の全体額、約二兆四千三百億円でございますが、これにおける一般財源の負担額は約三千九百億円でございます。この三千九百億円を臨海副都心開発からの都税収入で回収することになるのは、平成二十年度と試算をしているところでございます。

○木内委員 一定の条件を置いた上での、さらに外部調査機関に委託した結果ということでありまして、数字をお示しをいただいたわけでありますけれども、港湾局としての概略の試算ということでありますが、ここでポイントになるのは、一般会計としても、費用対効果上、今後将来的に十分に採算がとれるということの本質をよくここで評価していく必要がある、このことを私はまず申し上げたいわけであります。
 一般会計の負担は、そこから上がる税収によって行く行くは回収されていく、その道筋というのが今も明らかになっているわけでありますけれども、しかも都民共有の財産であるさまざまな施設というものが整備されて都民の手元に残っていく、こうしたいわば推移に対しまして、一部からは、臨海副都心開発に今後二兆円もの資金が投入されるのはけしからぬといって、さも臨海副都心開発のために都民が二兆円も負担するかのような印象を与える、そうした喧伝が行われているわけであります。そう感じるわけでありますけれども、そこで伺いますが、今後の投入額二兆円という、こういういい方は正しいのか正しくないのか、まず局の見解をお聞かせいただきたいと同時に、今後想定される一般財源投入額はどの程度と見込んでおられますか。

○渡辺総務部長 臨海副都心まちづくり推進計画におきまして、臨海副都心開発に係る広域交通基盤整備及び地域内都市基盤整備の全体の事業費でございますが、約二兆四千三百億円ということになってございます。このうち平成十一年度末までに約一兆四千億円を支出してございます。その内訳は、広域交通基盤整備に約五千六百億円、地域内の都市基盤整備に約八千四百億円でございます。この結果、残っております投資額は、二兆四千億から一兆四千億を引きます残りの約一兆円でございます。十二年度以降の投資額二兆円という数字につきましては、東京都の計画上、根拠のある数字であるというぐあいには思っておりません。あくまで残る投資額は約一兆円というぐあいに見込んでいるところでございます。
 また、今後の開発は、主として広域交通基盤に重点が移ってまいります。残る投資額約一兆円につきましては、地域内都市基盤に約二千億円、広域交通基盤には残りの約八千億円でございまして、この金額を投資する計画となってございます。
 この広域交通基盤というものにつきましては、環状二号線あるいは晴海通りの延伸、それから、りんかい線につきましては東京テレポートから大崎への延伸、「ゆりかもめ」につきましては、有明から豊洲の延伸などの整備ということでございます。
 これらの道路や鉄道などの広域的な交通ネットワークの整備につきましては、通常、税金による整備が一般的でございますが、この臨海副都心の計画におきましては、多額の会社負担が行われることになっておりまして、その結果、今後の事業費約一兆円に占める一般財源は、約二千四百億円に抑えられる予定でございます。

○木内委員 どうも先ほど指摘した方面からは、恣意的にこの数字を膨らませて針小棒大に見せかけようという意図が、私には印象として見受けられてならないわけであります。私も決して楽観をしているわけではありませんで、とにかく埋立会計と臨海会計は大変な負担をしているわけでありますから、港湾局としても、相当の決意でこれは取り組んでもらわなければならないと思うわけでありまして、関係者全員が必死の覚悟で頑張ろうとしているときに、その努力に冷や水をかけ、足を引っ張るようなそうしたまねをするのはいかがなものかと、こう思うわけであります。石原知事がさきの予算特別委員会で答弁しておりましたけれども、試合放棄するような話をしているのではなく、生産性のある打開策を今まさに示すべきときである、こう思うわけでありまして、この会計決算審査の場において、私は、一般会計歳出の裏側にある財源に焦点を当てて何問かお聞きをしたわけであります。それは、単に歳出の表面だけを見ていては事業の本質は到底理解できない、こう考えるからでありまして、他局の事業では、港湾局事業のように公共的分野まで公営企業会計が財政負担をしている例はまずないのではないか。逆に、公営企業の事業に対し、繰り出し基準に基づいて一般会計が一定の負担を行っているのが通例である、このことをまず申し上げておきたいと思います。
 さて、次に、東京港の振興ということについてであります。特に私は、これまで再三にわたって、海外におけるポートセールス活動について提案をし、また、具体的にお尋ねをしてきたところであります。
 東京港は、外貿コンテナ貨物取扱量が平成十年以来横浜港を抜いて三年連続日本一となるなど、今や我が国を代表する国際貿易港として確固たる地位を築いていることは、既にだれもが認めているところでありますけれども、東京港が初めから今日のような活況を呈していたわけではないのでありまして、ことし開港六十周年を迎えたわけでありますけれども、この東京港は、むしろ横浜や神戸と比べれば歴史の浅い国際貿易港、こういうことがいえると思うのであります。首都圏四千万人の生活や産業活動になくてはならない重要な役割を果たしているわけでありますが、その役割や効果については、都民に十分知らされていない傾向もあるのであります。
 そこで、後発港であった東京港が国際貿易港として発展してきた理由と、その発展が都民生活にとってどういう効果を上げてきているのか、まず確認の意味で検証して、今後の質疑につなげていきたい、こう思うわけでありまして、明快な答弁をまず願います。

○高橋港湾経営部長 我が国の港湾を取り巻く状況には大変厳しいものがございます。東アジアの主要港、例えば韓国の釜山港あるいは台湾の高雄港などの台頭によりまして、国際競争力の低下が懸念をされております。港湾を利用する船会社あるいは荷主、倉庫業など関連企業は、物流トータルコストの低減やスピードアップ等の物流効率化を追求しておりまして、この企業のニーズにこたえていくことのできる港だけがより多く利用されるという現実が目の前にございます。
 このような状況の中で、東京港が国内諸港の中で現在の地位を占めるに至りましたのは、大消費地東京に最短距離にあり、かつ首都圏各地を結ぶ主要道路の結節点にあることなど、物流拠点としてすぐれた立地特性を世界の船会社や荷主が高く評価していることが最大の要因であると考えております。また、利用者のニーズに適切に対応した港湾施設の整備や、今、先生いろいろご紹介いただきましたが、継続的なポートセールスの実施など、官民一体となったさまざまな努力が成果として実を結んできたことも重要な要因であると考えております。
 東京港が国際貿易港として発展することは、世界の基幹航路に周航する大型本船が東京港に多数寄港することになりまして、首都圏四千万人の生活や産業を支えるために必要な食料品、日用品などの消費生活物資や付加価値の高い工業製品などが、迅速に、安価で、安定的に供給される効果をもたらしていると考えております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、港湾の国際競争は一層厳しさを増しております。今後も引き続き港湾施設の整備やポートセールスなどの努力を継続していかなければ、現在の地位を継続することは非常に難しいと考えております。

○木内委員 そこで、先ほど私の前の質問をされた委員の論の展開と私は逆なんでありますけれども、競争に何も参入する必要はないんじゃないか、あるいは恐らく、私の聞き間違いでなければ、外国の他の港と競うことはない、こういうような発言もあったように思いますけれども、まさに今、高橋部長いわれたように、港湾の国際競争というものは一段と激化しておりまして、港湾施設の整備やあるいは港の使い勝手のよさを追求するとか、あるいは今ご答弁のあったポートセールスなどの努力であるとか、こういったいわば継続的な必死の努力を継続していかなければ、現在の地位を維持することは極めて難しいわけでありまして、先ほども指摘があったところでありますけれども、例えば三百六十五日二十四時間フルオープンについては、そこの現場で働く方々やあるいは関係者の皆さんの合意を前提とすることはもとより当然でありますけれども、まさに今部長もいわれ、私も訴えているような、そうしたいわゆる経営努力というものをしなければ、この今日の地位を保つことは到底無理なわけでありますから、私は、さらに奮励されることをここに強く申し上げておきたいわけであります。
 恐らく、今日のにぎわいを実現するまでにはさまざまな努力があったと思うわけでありますが、きょう取り上げております航路や貨物を誘致する海外におけるポートセールス活動、これは恐らく、東京都の幅広いさまざまな事業の中では珍しいビジネスですね、商業活動の、私は大いなる意味を持った事業だと、こう思っているわけでありまして、姉妹港、友好港であるニューヨークあるいはニュージャージー港、ロサンゼルス、ロッテルダム、天津港との交流活動を通じて世界とのつながりを深めていったことも、実は今日的な東京港の興隆に大きく資するものがあった。それだけでは当然ないわけでありますけれども、他の努力と相まった相乗効果であり、この中におけるポートセールスの成果というものは極めて大きなものがあったとしっかりと評価をしなければならない、こう思うわけであります。
 さて、十一年度決算ということでありますけれども、平成十一年度の海外におけるポートセールス活動の実施状況がどういうものであったか、できるだけ具体的にご答弁を願いたいと思いますし、例えばこの十一年度における一般会計ベースといいますか、経費で幾らぐらいかかっているのか、それから、こうした経費を投入したポートセールスの結果、入港料やあるいは係船使用料等、直接的にいわばご報告いただける増収分はどのくらいになるのか、こういったことも含めてお答えを願います。

○高橋港湾経営部長 海外におけるポートセールス活動につきましては、東京港では、私ども都と船会社、港湾運送事業者など港湾関連の民間事業者が一体となりまして、東京港振興使節団、外貿ミッションとも呼んでおりますが、こういったものを結成をいたしまして、毎年一回、北米、欧州、アジアなどの世界の主要航路の拠点となる地域を訪れまして、ポートセールス活動を展開をしてきております。
 平成十一年度でございますが、ここでは、東京港の外貿貨物取扱量の約四割を占めております北米航路の中心地域でございます北米西岸地域を、八日間という厳しい日程でございましたが、訪問いたしました。シアトル、タコマ、サンフランシスコ、ロサンゼルスの四都市で、現地の船会社、荷主、商工会議所、港湾管理者などを対象に、東京港の最新情報の提供や誘致活動などを実施してきたところでございます。経費は、PR活動費や旅費等で約三百七十万円でございます。
 この成果等でございますが、これまで東京港に寄港していなかった北米西岸航路、これが二航路が新たに東京港に寄港を開始したことなどが挙げられます。この新たな二航路の増加によりまして、都財政にもたらす効果でございますが、一定の条件のもとで試算をさせていただきますと、先ほど具体例が挙がりましたが、入港料あるいは係船使用料等の都の年間収入だけ見ても、毎年約六千二百万円の増収となります。また、こういった形で航路が開かれますと、船舶が寄港することになるわけでございますが、荷役作業など港湾関係事業者の業務量が増加し、雇用の機会もふえる、こういうことになります。荷役作業にかかわる荷役料だけについて見ても、年間約三億円を超える収入が見込めることとなります。

○木内委員 今ご報告あったように、こういう、地味ではありますけれども、着実な、そしてまた具体的な数字としてあらわれる効果の出る事業というものは、これまで以上に充実、継続をさせていかなければならない、このことを私は強く訴えたいのであります。
 内容の濃い活動を行い、大きな成果を上げている、こういうふうに判断をするわけでありまして、三百七十万円という限られた予算が、毎年六千二百万円の都の収入だけでなく、今三億円という数字も挙げられましたけれども、港湾関係事業者の収入と、あるいは当然そこで働く人々の雇用を生み出しているわけでありますから、費用対効果の観点から見て、極めてこれは特筆すべきすぐれた事業であるといっても過言ではないと思います。
 国内他の港がどういう努力をしているかは詳しくは知りませんけれども、例えば主要港の外貿コンテナ貨物量推移というものを見てまいりますと、東京港については終始右肩上がりで推移をしてきている。他の四港は、手元の資料にありますが、横浜、名古屋、大阪、神戸、こういったところは、跛行現象といってもいい過ぎではない、上がったり下がったりを繰り返している。特に横浜や神戸については、外貿コンテナ個数の推移は乱高下を繰り返して、極めて不安定な傾向というものが見えているわけであります。
 そこで、海外におけるポートセールス活動が具体的に、例えば外貿ミッションによって、昭和五十五年以来毎年一回ずつ派遣されてきておりますけれども、昭和五十五年と平成十二年の数字との比較の中でどういう伸びを示しているのか、外貿貨物取扱量あるいはコンテナ個数、貿易総額等についてご報告を願いたいと思います。

○高橋港湾経営部長 外貿ミッションは、今お話しのように、昭和五十五年度以来毎年一回ずつ、アジア、オセアニア方面には十二回、北米方面には四回、欧州方面に八回、こういった形で実績を上げてやってきておるわけでございます。
 この間の東京港の外貿貨物取扱量、金額、これは、今先生おっしゃるとおり順調に推移をしておりまして、コンテナの取扱個数でございますが、昭和五十五年が六十三万個、平成十二年が二百六十四万個となっておりまして、約四・二倍の伸びを示しております。また、貿易総額でございますが、昭和五十五年が四兆一千億円、平成十二年が八兆九千億円となっておりまして、約二・二倍の伸びを示しておりまして、これには、こういったポートセールス活動の成果が大きく寄与しているというふうに私ども考えております。
 具体的な成果の一例を少し申し上げさせていただきますと、平成二年度の外貿ミッションの成果といたしまして、平成三年十二月に、韓国の有力船社でございます韓進海運、これが東京港埠頭公社の青海コンテナふ頭を新規に借り受けることとなりました。平成十二年の韓進海運のコンテナ取扱個数は、東京港全体の外貿コンテナ取扱個数二百六十四万個の一割を占めるなど、東京港の振興に大きく貢献をしております。このほか、ポートセールス活動では、オランダの有力船社が東京港への新規航路を開設をしたり、これまで東京港にございませんでしたオーストラリア航路も台湾の有力船社が寄港を開始する、こういった形で二十件の航路の増加が実現をしております。

○木内委員 今のご報告でも、外貿ミッションというのは昭和五十五年に派遣を開始してから既に二十一年の歴史がある、ご報告のように相当な成果を上げている事業であることは承知をいたしました。
 この外貿ミッションとは別に、またさまざまな努力をしてこられ、その結果、東京港が世界の海上輸送のひのき舞台に引き上げられてきた、こう思うわけでありますけれども、その努力の一環として、姉妹港や友好港とのコミュニケーション、活動というものについても地道に努力をされてきた、こう思うわけでありますけれども、とりわけ交流活動について、平成十一年度の実績と活動状況、どういうものであったかお尋ねします。

○高橋港湾経営部長 姉妹港、友好港との交流活動でございますが、平成十一年度は天津港を訪問いたしました。相互に経営情報の交換を行ったほか、天津だけではなく、北京等でも中国の有力船社の幹部と会見し、誘致活動を実施したところでございます。また、今回は、天津港当局のご協力をいただきまして、中国政府の海運担当の局長とも会見することができ、中国の海運行政の今後の戦略あるいは中国から見た東京港の評価を聞くことができました。このような例を見ても、姉妹港、友好港提携が単なる友好にとどまらず、経営面でも大きく役立っております。なお、日数は六日間で、経費は百九十万円でございました。
 また、これまでの姉妹港、友好港交流事業でございますが、ニューヨーク・ニュージャージー港、ロサンゼルス港、ロッテルダム港、天津港との間で、それぞれ使節団や研修生の派遣、こういった相互の受け入れ、あるいは姉妹港、友好港提携の節目でのセミナーの実施などによりまして、港湾経営情報の交換あるいは技術交流を深めております。これらの活動が実を結びまして、こういった姉妹港、友好港を経由する東京港との貨物取り扱い自体も増加をいたしまして、過去十年間で五〇%の増加となっております。
 これ以外に、海外で経常的に東京港のPR及び貨物誘致を行うため、国際港湾情報に詳しい現地スタッフに業務を委託することによりまして、世界の主要港に現地代表を置いております。具体的には、ロッテルダムに欧州代表、シンガポールに東南アジア代表を設置しておりまして、船会社、荷主等の訪問、さらには港湾設備や管理運営状況の情報収集を行っております。この海外代表の諸活動は、オランダあるいは台湾の有力船社の東京港誘致にも寄与しております。

○木内委員 我が国においては、国民の日常生活は現実的に輸入品なくしてはもう成立し得ない、そういう実態になっているわけでありまして、輸入貨物が早く、安く、そして安定的に輸送されなければ、私どもの毎日の生活は破綻をしてしまうといっても過言ではないわけであります。輸入貨物の九九%が実は海上貨物である、こういわれているわけでありまして、今、世界の港湾の国際競争は厳しさを増す一方でありまして、繰り返して申し上げますけれども、とりわけ東南アジア地域は激戦地であって、東京港も日本一の座に甘んじることなく、ポートセールスもこれあり、あるいはさまざまな領域における努力をさらに重ねていく必要がある、こう思うのでありますが、残念ながら、十三年度予算を見ると外貿ミッションの予算が措置されていない。姉妹港、友好港事業の中で細々とポートセールスを行っていくという方針のように見受けられるんですけれども、私はこれでは不十分である、こう思います。
 都の財政状況には依然として厳しいものがありまして、全庁的には国際関係事業の見直しが進んでいるわけでありますけれども、きょう検証しましたように、費用対効果の観点などから見直すべきものは大いに見直すべきであるけれども、しかし、真に都民のために必要な事業というものは、今いった外貿ミッション、ポートセールス等がまさに象徴的なものでありますけれども、創意工夫を凝らしながら、むしろ積極的にこれ以上の展開を図るべきである、こう要請、訴えるものであります。
 外貿ミッションやあるいは姉妹港などとの交流事業は、限られた予算の中で大きな成果を上げていることがきょう改めて明らかになったわけであります。こうした将来の東京港の発展、ひいては大都市東京の発展につながる事業についても、来年度以降、予算措置を含めて積極的な対応を港湾局はすべきだと思いますが、局長の抱負を承りたいと思います。

○齋藤港湾局長 東京港は、先ほど来お話がありましたように、三年連続で外貿コンテナ取扱量で日本一となったということであります。激しい国際競争の中にございまして、世界の主要港の中では相対的な地位が落ちているというふうな危機意識も持っております。決して、そういう意味では楽観できる状況にはないというふうに考えております。このような状況にありまして、国際競争力のある使いやすい港づくりのために、ソフト、ハード両面にわたって、さまざまな面での積極的な施策を展開していくことが肝要であると考えております。
 外貿ミッションについてでございますが、昨年、私自身もミッションの代表として釜山港、ロッテルダム港、あるいはハンブルク港を訪ねました。現地の港湾関係者あるいは船主、荷主、そして物流関係の事業者の方々とお会いしまして、まさに激動の競争の中にあるということをひしひしと感じております。また、東京港に対する期待と注文も直接耳にすることができました。そういう意味で、世界の船会社あるいは荷主に東京港利用のメリットを直接アピールし、またユーザーの貴重な生の声を伺う、非常に意義のある施策であると考えております。また、これが東京港の発展にも寄与してきたことは、先ほど答弁で申し述べたとおりでございます。今後は、今まで以上に東京港の経営戦略と密着した実践的な活動として多くの成果を獲得してまいりたいと思いますし、そのため必要な予算獲得にも努力をしてまいりたいと思います。
 また、お尋ねの姉妹港友好提携事業を通じて、これまで世界の有力港とのネットワークを強化してまいりました。今年度も天津港との提携二十周年記念事業を計画しておりますが、今後は、これらのきずなをさらに深めるとともに、新時代の港湾経営をともに開拓していく上でのよきライバルとしての関係も大切にしながら、ポートセールスなどにおいても協力関係を一層強化してまいりたいと考えます。
 東京港は、おかげさまでことし開港六十周年を迎えることができました。今後も、都民と首都圏の人々の生活と産業を支えるために、世界のメーンポートとして発展するよう力を尽くしてまいりたいと思います。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 港湾局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、港湾局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。

○立石委員長 都立大学事務局関係に入ります。
 都立大学事務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○二村次長 去る十二月二十二日、当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして説明を申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十一年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙をお開き願います。ご要求のございました資料は、八王子キャンパス移転後の校舎維持管理費、施設整備費、研究費の推移の一点でございます。
 平成三年度から平成十一年度までの各年度における校舎維持管理費、施設整備費、研究費の決算額をお示ししてございます。
 大変簡単ではございますが、以上でご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○曽根委員 都立大学については、最近、都立四大学の統合の方針といいますか、方向が打ち出されるなど、どのような方向で今後発展させていくのかがいわば大きな課題となっているわけです。
 ここでやる議題ではありませんが、我が党としては、まず、都民にこの間の論議の成果をきちんと明らかにしながら、公開の場で議論を進めていくこと、密室で協議をしないこと、また、大学のいわば現場を担っている方々の意見を大いに尊重することなどについては、意見をいってきたところです。
 それを考えていく上でも、一昨年度になりますが、十一年度、九九年度の決算の内容について、私は基本問題について幾つか聞きたいと思うんです。
 今資料をいただいたので、少し傾向も出ているんですが、大学の関係でハード、ソフト、ハードの方は校舎維持管理費、施設整備費など、また研究費のソフトの部門も含めて、平成九年度、九七年度をピークとしてその後若干下がってきているんです。一割ちょっとですけれども、もともとぎりぎりの予算の中で運営をされていたわけですし、それが一割以上減らされるということになれば、必ずどこかにしわ寄せが出るんじゃないかというふうに心配なんですけれども、一つは、校舎維持管理費などについて、この削減分というのはどういう形で影響が出ているのか、そして、今後もこのまま続くとするとかなり大変だと思うんですが、今後についてはどのように考えておられるのか、お聞きしたいと思います。

○二村次長 校舎維持管理費につきましては、大学の建物管理のための経費でございまして、都の厳しい財政状況を受けまして、平成九年度以降は予算が減少しているところでございます。そのため、本学におきましては、委託業務の内容の見直しであるとか、効率的な執行のための工夫などの内部努力によりまして、教育研究に支障が出ないように努めているところでございます。
 また、本学の校舎等は建築後既に十年以上が経過しておりますので、平成十二年度に行われました外部監査報告におきましても、長期的視点に立った施設設備の大規模修繕計画等の策定の必要性を指摘されているところでございまして、今後、計画の策定を含め、適切に対応してまいります。

○曽根委員 建物は、十年たちますと、さまざまな面で大規模改修というのが必要になるわけで、これからそういった面での予算、むしろふやしていかなければならないというふうに思うんです。
   〔委員長退席、田島副委員長着席〕
 それから、もう一つの面として、この同じ九一年度ですか、平成三年度に比べて学生の数も、当時の四千七百人余りから、九九年度、平成十一年度には六千三百人余りと、約一・五倍に学生は定員をふやしているわけですよね。そういう意味でも、利用する学生の数がそれだけふえているわけですから、清掃その他校舎の維持管理、設備関係も含めて、当然ながら、予算としてはふやして当然のところでありますので、予算の確保に全力を尽くしていただきたいということを、まず申し上げておきたい。
 それからさらに、大学のいわば真髄であります研究予算、これも平成九年度、九七年度をピークとして減り続けてきているわけです。この減少というのは、やはり大学のいわば価値を決める教育研究に影響を与えざるを得ないというふうに思うんですが、そういった面で、今の状況についてお聞きしたいと思います。

○二村次長 大学といたしましても、研究費等は大学の研究教育におきまして不可欠なものと認識しているところでございます。そうでありますが、厳しい都の財政状況の中では、一般財源によるものにつきましては、研究費や施設整備であっても、これが削減の対象となるというものでございまして、しかし、研究費につきましては、受託研究費や提案公募型研究、あるいは教育研究奨励寄附金など、外部資金の導入に積極的に取り組み、受け入れをふやしていくことで、研究水準や研究環境の確保を図ってまいりました。また、施設整備につきましても、緊急性や必要性の観点から執行内容を精査して、予算の効率的な執行に努めてきたところでございます。

○曽根委員 特に、今、教育研究費の中に外部資金の導入に力を入れているというお話がありました。私たちも、多摩には中小企業で頑張っているところもたくさんありますし、そういったものと大学との連携、これは労働経済局所管のところでもお聞きしたことがあるんですが、こういったものを大いに促進していくこと、そのために、一定の財政的な面での協力も当然あってしかるべきだと思っております。しかし、大学のいわば基礎的な研究部門については、これは企業もなかなか参入してこない当面採算性が不透明な分野が多いわけで、この部分を担っている大学の基礎研究部門は、これはやっぱり公費できちんと確保しなければならないというのが大学の役割だと思うんです。
 そういう点で、研究費について、東京都の予算から一律に、ほかの経費と同じように一五%だとか一割だとかカットしていくというやり方は、この分野については改めるべきじゃないかと思うんですが、事務局としてのお考えはいかがでしょうか。

○二村次長 先ほども申し上げましたように、私どもとしては、厳しい都の財政状況を踏まえまして、限られた予算の中で最大の効果を上げていくというスタンスで、私どもこの予算の執行に携わっております。各教員の方々の教育研究に支障のないように、今後とも努めてまいります。

○曽根委員 例えば、昨年知事も視察に行ったそうなんですけれども、理学部の生物学ですか、乾燥に強い植物の研究ということで一躍非常に注目を浴びた研究があったわけですが、これは、もともとは植物学としては大きなテーマとして一つの遺伝子研究も含めた植物学の研究の一部門で、企業参入するにはまだ先の見えない分野として地道に基本予算、研究費でいえば公費の予算でやってきたものだと思うんですが、これが今回非常に世界的にも大きな成果を上げたということで注目をされたわけです。これはたしかいわゆる研究奨励費といいますか、教員の研究奨励費でもってやってきた研究だと思うんですが、それを確認したいと思います。

○二村次長 先生がただいまご案内の乾燥に強い植物の研究でございますが、本学では、小柴助教授がこの問題について非常に大きな成果を上げられているところでございますが、この小柴助教授は国からの科学研究費補助金なども得ておりますけれども、一般財源の研究費もその研究の基盤になっているところでございます。

○曽根委員 つまり、企業はこういう分野は最初はお金を出さないんですよね。しかし、乾燥に強い植物ということになれば、今後、環境緑化、例えば都市緑化にしても、それから砂漠化の防止にしても、国際的に非常に大きな価値があるというふうにいわれているわけですね。聞くところによれば、世界のトップスリーに入るぐらいのレベルの研究の成果が上がりつつあるということをお聞きしているんですが、これはやっぱり基礎研究費が辛うじて確保されて、少なくなりながらも確保されてきたからこそ、こういうのが生まれてくるわけですよね。海に例えれば、企業の研究というのが養殖場であるとすれば、自然の海を豊かに守ることが基礎研究をいわば支えているわけで、そこから大粒の真珠も出てくるけれども、養殖場の真珠というのは小粒のものが、粒はそろうけれども、確実性は高いけれども、ある程度以上のものはできないと。やっぱり大きな研究の成果というのは、基礎研究の豊かな海の中から生まれてくるというものだと思うんです。そういう点では、ぜひ今後、研究、基礎的な部門の研究の充実に一層努力をしていただきたいということを要望しておきます。
 それからもう一つ、都立大学で、学生数もふえている中で、就職を担当する職員の数が実質的には一名しかいなかったというふうに聞いているんですが、この決算年度である十一年度はどういう体制で、それまでと比べて何らかの対策は打たれたんでしょうか。

○二村次長 平成十一年度からは、就職担当係長を配置しまして、就職ガイダンス等の企画の充実を図るとともに、採用活動で大学を訪れる企業の対応が従来に増してできるようになったと思っております。また、就職ガイダンスの回数をふやすとともに、模擬面接会やディベートトレーニングなどの就職講座も始めたところでございます。さらに、学生のさまざまな疑問等に助言を行うため、企業について知識豊富な本学同窓生によります就職相談を開始したところでもございます。また、インターネットを利用した就職情報の収集のために、就職資料室に就職用パソコンを新たに配置したところでございます。

○曽根委員 それで、この決算年度である九九年度、平成十一年度については、それまでと比べて学生の就職希望者の就職率は、全体的には厳しい傾向なんですが、都立大学としてはどうだったんでしょうか。

○二村次長 平成十一年度の就職率は、本学では八八・一%でございまして、平成十年度の八八・六%と、二年続きまして九〇%を割り込んだところでございます。

○曽根委員 ほとんど希望者全員就職できていたこれまでと違って、テンポイント近く就職率が下がっているということは、確かに全体的には大学生の就職、大変ですけれども、やはり放置できない問題だと思うんです。聞くところによれば、今年度についても、体制を強化するよう予算要望にも出されたようですけれども、実際にはなかなか財政当局からも認められていないというふうにお聞きしていますけれども、どういった点で実質的な強化を図っていくのかという点での、就職指導といいますか、お世話の体制の強化について考え方を伺いたいと思います。

○二村次長 今後の就職支援のあり方でございますけれども、十三年度につきましては、当面の措置として、現員の中で就職支援の強化を図るために、十二年度の就職担当係長の一名に二名をふやしまして三名体制としたところでございます。それに加えまして、就職活動の支援の企画であるとか実施を行う、教員を中心とした委員会を設けたところでございます。また、就職ガイダンスの回数をさらにふやすとともに、進路決定の参考となるため、代表的な企業による業界の説明会を開催することとしております。さらに、就職資料室のパソコン利用の支援として就職ホームページを立ち上げるなど、就職支援の充実強化を図ることにしているところでございます。

○曽根委員 これまでは、係長級にしたとはいっても、部下のないたった一名の就職指導の職員ではなかなかやっぱり限界があったと思うので、そういう点では、三名にふえたということは三倍ですから、大きな前進の一歩だと思いますが、できるならば、学生課並びに大学職員全体が全くふえていないという中で、この分野にしわ寄せが来るということのないように、新たな定数増という形での職員を確保することが望ましいと思うんです。なかなか全体は厳しいですけれども、ぜひ、大学の今後の発展、特に統合構想などが出ている中で、大学としての自治、自立性を守りながら、学生との関係、また研究の分野でもさらに前進を果たせるように努力を期待しまして、質問を終わります。

○木内委員 決算年度の平成十一年度は、都立大学にとりまして、開学五十周年の佳節ということで、地域の人々への参加と、そして接点を広げまして、多様な講演会やイベントなどの記念事業が行われたり、あるいは学術的な難しい講演会だけでなく、高齢社会に対応したシンポジウムやあるいはウィーンフィルの楽団員を招請してのコンサートなど、いわば地域社会に接点を大きく広げた企画が持たれ、多くの人が参加をした、こう聞いているわけでありまして、私の前の質問者は、主に大学にとってのドメスチックな問題、例えば基礎研究部門のあり方であるとか、あるいは教育研究の実態ということについて触れられましたけれども、私は、大学を社会に開くという、こういった視点から何点かお尋ねをしたいと思うのであります。
 大学は、そこにいる学生や教員だけのものではなくて、都民の貴重な財産としての側面も持っているわけでありますから、これからは、資源をさらに開放して多くの都民が利用できるようにしていくことも必要である、こう思うわけでありまして、今日的意味における大学の社会的役割というものを考えるとき、大学がいかに社会と接点を持ち、期待にこたえ、存在意義を発揮できるかということが問われてもいるんだ、こういうふうに思うわけであります。
 大学に対する期待はいろいろありますけれども、特にこれからの高齢社会に求められるのは、生涯学習の支援ということであります。また、知的好奇心の旺盛な元気な高齢者や働きながらステップアップを目指すサラリーマンなど、多様な社会人の学習意欲にこたえ、学びの場を広く提供することも、大学の重要な役割だと私は思うわけであります。
 こうした観点から、都立大学と関係が深い都民カレッジ事業、社会人教育について、平成十一年度の実績を踏まえてお尋ねをします。
 私の手元に、こういう「都民カレッジ」の大変立派な案内書がありまして、精読、熟読をいたしました。まことに充実した中身で、これまでよくぞこうした、それぞれの分野、それぞれのテーマにかかわる専門のいわばアカデミックな方々がこれを担当して、歴史を築いてこられたということを高く評価したい。また、これにかかわってきた都立大の関係者の方にも敬意を表するものであります。
 さて、そこで、まずお聞きするわけでありますけれども、この都民カレッジについてでありますが、平成十一年度における事業の状況がどうなっていたか、講座の開催及び受講者数及び受講者層の特色を、都立大キャンパスあるいはもう一カ所で行われた丸の内キャンパスについて、それぞれご報告を願いたいと思います。

○二村次長 まず、都民カレッジにおきます講座の開講状況でございますが、大学近くのビルにあります都立大キャンパスにおきましては、開講講座数が百三十六、また国際フォーラムの中にあります丸の内キャンパス、これが開講講座数が二百九でございまして、合わせますと三百四十五講座となっております。また、受講者数について見ますと、都立大キャンパスが三千八百九十人、丸の内キャンパスが八千五百九人でございまして、合わせますと一万二千三百九十九人でございます。
 受講者層にどのような特色があるかというお尋ねでございますが、全体で見ますと、男女はほぼ半々でございますが、六十歳以上の方が四七%と半数を占めておりまして、そのうち七〇%以上が男性の方でございます。
 まず、都立大キャンパスで見ますと、六十代の男性が全体の三〇%近くと高くなっております。次いで五、六十代の地域の家庭の主婦層が多いのが特徴でございます。一方、丸の内キャンパスでは、やはり六十代の男性、女性が多いものの、四、五十代の男性や二十代から四十代の女性など、勤め帰りの夜間受講者が多く、また、大学院レベルの講座の人気が高いのが特徴でございます。ただ、受講者は、最近は繰り返し受講されるいわゆるリピーターの方が多くなっておりまして、新規の受講者が余りふえていない状況にございます。

○木内委員 都民カレッジは、平成三年に財団法人都民カレッジとして設立をされた後、教育庁の財団と統合し、平成十一年に生涯学習文化財団の事業となった経過があるわけでありますが、都民カレッジの事業費と生涯学習文化財団に対する補助金がどのくらいのものか、また受講料の割合はどうなっているか、さらに事業費の内訳について、十一年度の実績でご報告を願います。

○二村次長 十一年度実績で見ますと、収入合計が五億六百九十万余円でございまして、そのうち、生涯学習文化財団に対する都からの補助金額は二億九千六百八十一万余円でございます。収入に占める補助金額の割合は約六〇%となっております。また、受講料収入は一億五千三百七十八万余円でございまして、収入全体の約三〇%を占めるということになっております。
 これに見合います事業費の主な内訳でございますが、人件費が三〇%強、二つありますキャンパスの家賃など建物管理費が二〇%強、それから講師への謝金が二〇%などとなっております。

○木内委員 開講時から最近までの講座数、受講者数の推移についてお尋ねしようと思いましたが、これは資料で私自身掌握したいと思いますので、割愛をいたします。
 いずれにしましても、近年、受講者の減少傾向が続いているわけでありまして、この原因としては、民間のカルチャーセンターの増加や区市町村の生涯学習事業の充実などによって、都民にとっての選択肢が広がったこと、また、都民カレッジ事業が一定の層について根強い人気を得ているものの、類似事業との競争的環境の中で独自性を十分発揮できず、新規受講者を獲得できなかったことなどが受講者の減少につながってきている、こう考えるわけであります。しかし、いずれにしても、この事業については今なお根強い人気と、そしてまた、この受講を希望する人はかなりの多数に上っているわけでありまして、都民カレッジは十三年度に廃止することが決まった、こう仄聞しているわけでありますけれども、本事業は、先ほども出た生涯学習文化財団の事業となってまだ二年しかたっていない。申し上げているように、受講者は減少傾向にあるとはいえ、こうした社会全体の生涯学習の需要の高まっている中で、なぜ廃止をしてしまうのか、その理由と経緯について、明確にお答え願いたいと思います。

○二村次長 昨年の監理団体総点検におきまして、都民カレッジ事業は、民間との役割分担を明確にし、競合するものは民間に任せるという考え方から廃止の方向が示され、独立採算でなければ存続不可能という状況になりまして、最終的に経営の効率性の観点から廃止することとされたところでございます。
 その間、本学といたしましても、生涯学習文化財団と大学とで存続に向けて協議を重ねてまいりましたけれども、財団による独立採算が困難であること、それから、平成三年に都民カレッジができて以来十年を経過しているわけですけれども、その間に民間カルチャーセンターの増加、それから区市町村の生涯学習事業の展開、他大学における公開講座の拡大など、さらには、都立大の教員が講師となる割合も、当初の六〇%から三〇%以下へとかかわりも低下するなど、都民カレッジを取り巻く状況が大きく変化しており、事業の見直しをする必要があること、さらには、大学改革の中で、新たな時代にふさわしいオープンカレッジのあり方を検討していることなどから、財団の事業としては廃止するとの結論に達したものでございます。

○木内委員 今、この廃止ということについては、今回受講者から存続を求める陳情が都議会に出されております。これまでの講座の意味を高く評価し、廃止を撤回するようにとの内容でありまして、この議論については別の機会に譲るとしましても、さて、受講者にどんな対応をしてきたのか、受講者に説明責任があると思うんですが、これはどうですか。

○二村次長 監理団体総点検結果が示された昨年の十一月に、財団から受講者に、都民カレッジの講座を十三年度に廃止することを掲示等によりまして周知しまして、その後、本年の二月には両キャンパスで説明会を開催いたしまして、廃止の経緯と理由、大学が新たな事業展開を考えていることなど、今後の方向性についても説明してきたところでございます。署名活動が行われているということは私どもも承知しておりますが、個別にも機会をとらえて説明するなどしてきたところでございます。
 今回、本年九月をもって講座の提供を終了することが、生涯学習文化財団の理事会において、先般正式に承認されましたので、今後は、大学が主体となって、都民カレッジにかわる新たな形態の生涯学習支援事業を早急に検討し、具体化に向けて準備を進めていくことを都民、受講者へも説明し、理解を得られるよう努めてまいります。

○木内委員 カレッジのこれまでの実績は十分評価できますし、したがって、廃止は極めて残念なことでありますけれども、時代の変化の中で、必要な見直しは当然されなければならないとも思うわけであります。都からの補助金は約三億円に達し、事業費も人件費と家賃が支出の約五割強を占めるという状況でありますから、この辺に工夫を凝らせば、経費をこんなにかけずに継続し、あるいは実態を継続させていくことが可能なんじゃないか、こういうふうに私は思います。経営的理由でやむを得ず廃止するというのではなく、こうしたピンチをもっと前向きな姿勢として残していくべきではないか。都民カレッジ廃止後の、いうところの生涯学習支援策を具体的にどう考えているのか、お尋ねします。

○二村次長 都民カレッジがこれまで果たしてまいりました役割は、大変大きいものがあると思いますが、社会状況等の変化の中で、受講者のニーズも多様化しており、資格取得につながるような社会人のより本格的な学習ニーズなど、新たなニーズに柔軟にこたえていくことが求められているというふうに考えております。今回、生涯学習文化財団が行う現在の形の都民カレッジ事業は廃止することとなりましたけれども、今後は、こうした新たなニーズに対応できるよう、原点に返って、大学としてのオープンカレッジのあり方を考えてまいります。

○木内委員 新たなニーズに柔軟にこたえていくということ、それから原点に返って大学としてのオープンカレッジのあり方を考えていくということでありますけれども、それでは、具体的な事業としてはどういうものを今後検討されますか。

○二村次長 今後は、都立の四つの大学が行います公開講座の共同事業化であるとか、あるいはその拡充、それを具体的に検討しますとともに、多摩地域の他の大学との連携による公開講座の共同実施、あるいは区市町村が行います生涯学習事業との連携などもあわせて検討してまいります。
 また、現在の受講生や地域で学習意欲のある元気な高齢者、あるいは市民団体など都民の参加も得まして企画、実施するような参加型の講座など、多様な事業展開を検討いたしまして、これからの時代にふさわしい新たな生涯学習事業として、大学が主体性を持って再構築してまいりたいと思っております。
 十三年度には、学内にはこうした検討するための公開講座等委員会というのを立ち上げまして、教員の積極的な参加により、具体的検討を進めていくこととしております。

○木内委員 都立大のキャンパスでは、今ご答弁のあったような新事業についての検討を早急に進めて立ち上げていくよう、強く要請するわけでありますけれども、一方、丸の内キャンパスというのは地の利があり、あるいはサラリーマンの方々であるとかOLの方々、いわば南大沢の都立大とはまた異なった立地を持っているわけでありまして、こうしたいわゆる丸の内については、より本格的な講座が望まれているということも聞いているわけでありますけれども、こういう需要にはどうこたえていきますか。

○二村次長 多様化、本格化します社会人の学習ニーズに適切にこたえていくためには、公開講座のように学外者向けに学習の場を提供するだけではなくて、大学本来の授業を開放するなど、大学そのものの中に社会人を広く受け入れていくことが必要だというふうに考えております。現在は、特定の科目を受講できる科目等履修生の制度や社会人入学制度がありますけれども、こうした仕組みの柔軟化や枠の拡大等を今後検討いたしまして、社会人が利用しやすいように、受け入れ環境を充実させていきたいと思っております。

○木内委員 今いわれた科目等履修生についてでありますけれども、十一年度の実績についてお尋ねしようと思いましたが、これは割愛をいたします、時間の関係で。
 そして、いえることは、社会人の受け入れ実績というものが非常に少ないので、もっとふやすべきであると、私は、先ほど来の主張と重なりますが、訴えるわけでありまして、都立大学が八王子にあるため、私もここへ、この前ある教授をお訪ねするのに伺いまして、やっぱり相当遠いですよね、都心から、南大沢というところは。それで、都心に勤めている人はなかなか通い切れないという問題も、社会人の受け入れ実績が少ないという理由としてあるのではないかと思うんです。社会人向けの都心部のキャンパスを確保すべきだと、私は昨年の決算特別委員会でも申し上げているところでありますけれども、都庁などの都の施設を使って社会人向けの大学院を開設したいという答弁もあった。
   〔田島副委員長退席、委員長着席〕
 また、昨年我が党の議員も、ロースクールなどについて質問しておりますけれども、この点について、その後の検討状況はどうなっていますか。

○二村次長 この二月に策定されました都立の大学全体の大学改革基本方針の中におきまして、より高度な専門教育やリフレッシュ教育を行うためのプロフェッショナルスクールを開設することとしておりまして、都心キャンパスを拠点としたビジネススクールや法科大学院などについて、さまざまな角度から現在検討しているところでございます。
 社会人が利用しやすい立地は非常に大切な条件でございまして、都庁や他の都の既存施設などの活用について、関係局と協議しながら、現在進めております大学改革の中で具体的な検討を行っているところでございます。

○木内委員 近年、神田周辺でも一橋大学が社会人向けの大学院をスタートしたり、あるいは京都大学が東京駅前にビジネススクールなどをつくって、各大学でも社会人対象の大学院に力を入れてきているのであります。
 翻って、私どもで今議論しておりますこの新宿というのは最大のターミナル駅でありまして、都庁で仮に大学院や生涯学習講座を開講したら、ほかの大学にはない特徴ともなりますし、都民にも大学の存在がアピールできる、都庁の有効活用策としても大きなメリットがある、こう思うわけでありまして、これを、提案とともにぜひ実現すべきと訴えるものですけれども、どうでしょうか。

○二村次長 本学といたしましても、都庁にキャンパスを確保できれば、ユニークな大学院として多くの社会人学生を集めることができるだけではなくて、大学と都政とが連携する拠点としても広く活用できるなど、さまざまなメリットがあると考えております。
 いずれにいたしましても、教育庁や都立の他の大学と具体的な内容の検討を進めておりまして、財務局や関係局と十分調整し、実現を目指して積極的に取り組んでまいります。

○木内委員 今、財務や関係の局との十分な調整を図って実現を目指して積極的にということでありますから、早期の進ちょくを期待したい、このように思います。
 最後でありますけれども、生涯学習社会といわれる今の時代に、大学への期待は非常に大きいものがあります。もとより生涯学習ニーズに大学だけが対応すべきであるというわけでは決してありませんけれども、都立の大学が、こうした社会的要請にこたえ、大学をもっと社会に開放して、都民のための大学としての役割をさらに果たしていくべきであると考えます。都立大学は一番大きな総合大学であり、それなりの十分な資源を持っているわけでありますから、したがって、このポテンシャリティーは極めて大きいと考えますし、先頭に立って都立大学については頑張っていただきたいと思いますが、川崎局長の抱負をお尋ねします。

○川崎都立大学事務局長 今までの大学もそうでありましたけれども、これからの大学は、特に社会の要請に柔軟かつ迅速に対応していかなければならないものと考えております。よくいわれることでございますけれども、先ほど先生の方からもご指摘がございましたけれども、開かれた大学になることが求められております。このことは、大学に対する期待のあらわれであると同時に、現在の大学の現状に対する不満といいますか、物足りなさの表明であるというふうに私は理解をしております。
 一般社会という外に向かって開かれた大学にするためには、学内それから大学、そして学会に対して、つまり内向きには大変開かれた教員の方々の意識を、やはりもう少し外向きにも開いていただかなければ、なかなか事はうまく進まないというふうに理解をしております。教員一人一人が社会にもっと目を向けて、多くの都民に貢献することが、みずからの仕事の重要な一部であるということをよく認識していただき、それに先生方が情熱を向けて取り組んでこそ初めて開かれた大学というものが実現できるものというふうに私は思っております。そうでなければ、遠からず大学という存在そのものが危うくなるというような状況が、今の大学の競争ということから考えて想像できる状況にございます。現在、他の三大学とともに大学改革に取り組んでおるところでございますけれども、その改革の中でも、この社会貢献というものを改革の大きな柱の一つとしているのも、こういう趣旨からでございます。
 この四大学につきましては、合計しますと約九百名の教員がおります。そして、もうご存じのとおり、この四大学で、私どもの八王子、それから日野、そして昭島、そして荒川区、それから晴海と五つの地区に分かれた校舎を持っております。これだけを見ても大変な資源であるということで、こういう持てる資源を有効に活用することによって、都民の期待の高い生涯学習のニーズに、我々の知恵を出せば、何らかの対応ができるものというふうに考えております。と同時に、大学だけでなくて、やはり区市町村との連携協力、そして民間の知恵を活用、そして活力を活用することによって、新たな仕組みづくり、これによって、こういうニーズを我々受けていくことも可能ではないかというふうなことで、現在検討をしているところでございます。
 どちらにしましても、今後改革の中で、これらのことも含めて、できるだけ多くの都民の期待にこたえられる大学を目指して努力をしていくつもりでございます。よろしくご支援のほどお願いいたします。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 都立大学事務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、都立大学事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都立大学事務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時四十一分散会

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