各会計決算特別委員会速記録第十号

平成十三年二月九日(金曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 二十九名
委員長立石 晴康君
副委員長木内 良明君
副委員長田島 和明君
副委員長たぞえ民夫君
理事織田 拓郎君
理事丸茂 勇夫君
理事井口 秀男君
理事尾崎 正一君
羽曽部 力君
真鍋よしゆき君
田代ひろし君
吉田 信夫君
谷口 卓三君
今井 悦豊君
鈴木 一光君
樺山 卓司君
藤田 愛子君
古館 和憲君
石川 芳昭君
白井 常信君
比留間敏夫君
沢西きよお君
田中  良君
寺山 智雄君
曽根はじめ君
新藤 義彦君
小山 敏雄君
西田ミヨ子君
秋田かくお君

 欠席委員 一名

 出席説明員
政策報道室室長安樂  進君
理事赤星 經昭君
知事室長中村 正彦君
政策調整部長岡田 重信君
特命担当部長松田 紀子君
国政広域連携担当部長三枝 修一君
広報部長中島 建夫君
計画部長関谷 保夫君
調査部長松田 曉史君
首都機能調査担当部長野村  寛君
都民の声部長浅井 憲彦君
中央卸売市場市場長大矢  實君
経営管理部長長尾 至浩君
業務企画担当部長石川 俊一君
調整担当部長浅倉 義信君
施設部長内村 修三君
築地市場再整備担当部長小栗 英夫君
生活文化局局長高橋 信行君
外務長田邊 隆一君
総務部長幸田 昭一君
交通安全対策担当部長宇波 興宣君
東京二〇〇〇年祭担当部長高橋 敏夫君
コミュニティ文化部長三好 勝則君
調整担当部長尾崎 眞幸君
国際部長山口 一久君
女性青少年部長高西 新子君
心の東京革命推進担当部長村松  満君
消費生活部長中澤 正明君

本日の会議に付した事件
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  政策報道室関係
  ・一般会計決算(質疑)
  中央卸売市場関係
  ・と場会計決算(質疑)
  生活文化局関係
  ・一般会計決算(質疑)

○立石委員長 ただいまから平成十一年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、政策報道室、中央卸売市場、生活文化局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 政策報道室関係に入ります。
 政策報道室関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料はお手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡田政策調整部長 去る一月十九日の当委員会におきまして要求がございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元に配布しております平成十一年度各会計決算特別委員会要求資料の目次をごらんください。
 要求がありました資料は、目次に掲げました七件でございます。
 一ページをお開きください。米軍横田飛行場の軍民共用化に向けた取り組み状況でございます。
 石原知事の就任以降、平成十一年五月から現在までの主な事項を掲載してございます。
 二ページをお開きください。米軍横田飛行場・多摩サービス補助施設・赤坂プレスセンター返還要請の経過でございます。
 これまで都が行ってきた返還要請の内容及び最近の返還状況を掲載してございます。
 三ページをお開きください。多摩サービス補助施設返還に向けた取り組み状況でございます。
 都が国に対して行ってきた提案要求活動など、平成十一年六月以降の主な事項を掲載してございます。
 四ページをお開きください。米軍横田飛行場における米空母艦載機による着陸訓練の実施状況でございます。
 平成元年度から十一年度までの各年度ごとに、着陸訓練の通告回数、その通告に基づく実施回数、実施日数及び訓練飛行回数を掲載してございます。
 五ページをお開きください。年度別基本計画等の策定状況及び主要課題一覧でございます。
 このページから次の六ページ、七ページにかけまして、平成二年度から十一年度までの過去十年間に策定した計画書の名称、計画書の構成及び主要課題について掲載してございます。
 八ページをお開きください。政策形成のために行っている調査研究の主なテーマ一覧でございます。
 このページから次の九ページにかけまして、平成七年度から十一年度までの過去五年間に政策形成のために実施しました調査研究の報告書等の名称を掲載してございます。
 一〇ページをお開きください。首都移転に関する政府・国会の経緯及び東京都の対応でございます。
 平成二年十一月の衆参両院における国会等の移転に関する決議以降の政府、国会の動き及び都の行ってきた対応について掲載してございます。
 以上、簡単でございますが、要求がございました資料の説明とさせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めましてこれより質疑を行います。
 発言を願います。

○たぞえ委員 私は、十一年度決算での政策報道費のうち、東京の米軍基地について伺います。
 ことしは、サンフランシスコ条約、日米安保条約の締結から五十年目の年であります。日米安保条約のもとで日本が米軍に提供した全国の施設、区域は、沖縄県の三十九カ所を含めて全国百三十二カ所という状態です。私たち首都東京でも、五十年間横田基地など八カ所の基地が置かれ、実に五万六千人を収容する東京ドーム三百四十三個分の巨大な基地が置かれております。そのようなもとで十一年度決算で示している東京の基地関係経費の予算と支出額はどのような数字だったんでしょうか。

○松田特命担当部長 当室におけます基地関係経費は、事業関連の資料作成経費として、印刷製本費や渉外知事会の分担金等が主な支出内容でございまして、予算ベースでは、平成十年度が三百三十八万円、平成十一年度が三百十六万円、平成十二年度が三百九万円となっております。また、支出済額は、平成十年度で二百三十八万余円、平成十一年度で六百四十四万余円となっております。
 なお、十一年度の支出済額につきましては、横田基地に関する調査費三百三十六万円が含まれております。

○たぞえ委員 十一年度はいわゆる軍民共用のための調査があって、通常よりもかなりの支出があったという話であります。
 通年出しております「東京の基地」、冊子を発行しておりますが、この十一年度は何冊印刷され、どこに配布をしているんでしょうか。

○松田特命担当部長 「東京の基地」は、事務資料として二年に一回発行しておりまして、平成十一年度は七百五十部作成しております。
 配布先は、都議会の各会派、庁内の関係局、国、米軍等の関係機関、市町村や他の道府県に配布しております。

○たぞえ委員 大変貴重な資料なものですから、私どもは毎回いただけるのかなと思ったら、十一年度はもらえませんでした。情報ルームを訪ねますと、販売はしておりませんで、閲覧だけであります。これでは到底多くの都民に基地の実態を紹介する規模とはなっていないと思います。
 特に米軍基地の存在によるNLPの被害、こういう実態を知らせるためにも、都として隔年この冊子を発行するために、少なくとも横田基地に隣接する、影響を受けている周辺の地元の市議会議員や町会議員の皆さんに配布できるような発行部数に改善をするべきじゃないでしょうか。

○松田特命担当部長 「東京の基地」は、基地の周辺自治体にも配布されておりまして、その中で適切に対応されていると存じますが、地元への周知方については、なお適切な対処をしていく所存でございます。

○たぞえ委員 次に、騒音など、基地所在の自治体で暮らす住民は深刻な被害を受けています。先日、私どものところにメールが届きました。ちょっと読んで紹介しますが、横田基地爆音直下に住んでいる者としてぜひ皆さんに知っていただきたいことがある、こういう投書です。先週の日曜日、五月二十三日は娘の小学校の運動会でした。横田基地はこの日も朝から大型輸送機が離着陸し、日本の市民生活など関係ないとばかりに爆音をまき散らしています。特に怖かったのは、午後一時過ぎ、騎馬戦の真っ最中にF18が続けて四機離着しました。子どもたちはちょうど騎馬戦の真っさなかで、子どもも先生も親もすべてが固まったように時間がとまり、競技が中断しました。戦闘機の爆音は、子どもの歓声も実況中継も音楽も、すべてかき消していきました。そしてF18が去った後、C9が離陸、何とそのままタッチ・アンド・ゴーを始めたのです。四十五度以上も急上昇しながら、運動場の真上を、飛行機の腹を見せながら急転回していき、少しずつコースをずらしながら五回繰り返しました。爆音もさることながら、落ちてきはしないかと、不安で胸がどきどきと鳴ったのは私だけではないはず。強い怒りを感じました。子どもたちにとってみれば、練習を重ねた晴れの日、それがまたしても横田の飛行機に台なしにされた、そういう思いが強かったのですと。このような、本当に爆音の被害というのは大変な事態だなということを私も改めて痛感したのです。
 米軍機が横田の基地滑走路を空母の甲板に見立てて、夜間、艦載機が着陸して、直ちに急上昇する、そういうタッチ・アンド・ゴーが繰り返される、こんな訓練を人口密集地で、しかも真ん中の、住民が暮らしているところで許されているのは、世界じゅうで日本だけです。アメリカ本国でもやっていないものです。日本の国民が外国軍隊のための苦しみにいつまで耐えなければならないのでしょうか。
 ことし一月までの十年間の横田基地の米空母艦載機による離着訓練の回数はどのような実態なんでしょうか。

○松田特命担当部長 横田飛行場で実施されました米空母艦載機の着陸訓練につきましては、平成三年四月から直近の平成十三年一月までの十年間で、合計一万四千五百十七回でございます。

○たぞえ委員 先日我が党の爆音問題プロジェクトチームが、横田基地を持つ野澤福生市長を訪問した際に、市長がこのようにいっています。NLPを行うという通告があったときにも、NLPが始まってからも、NLPが終わってからも抗議しているが、この繰り返しでは、もうだめです、米軍機は小回りで市街地の真上を低く飛ぶ、事故の危険があり、騒音被害はもう限界だといって、訓練にノーの声を上げているわけです。
 東京都は、横田基地対策に関する在日米軍への要望書を毎年出しているようですが、その中でも、今後一切中止するよう強く要求すると書いています。それでNLPは一体中止になったのか、効果はあったのでしょうか。

○松田特命担当部長 米空母艦載機の着陸訓練を初め、軍用機の騒音につきましては、重大な問題であると認識しておりまして、都は従来から、周辺町村と協議会を設置しまして、国や米軍に対し空母艦載機着陸訓練の中止を求め、あわせて騒音レベル等の具体的なデータを示して抗議を行っているところでございます。
 現在、空母艦載機訓練について米軍で改善策を検討していると聞いておりますが、地元の騒音影響に配慮し、最大限硫黄島で実施するということを、米海軍の厚木基地司令部より都として確認をいたしました。

○たぞえ委員 今でも本当に深刻な、また重大な基地騒音、そして基地そのものの存在が大問題になっていると思うのです。東京都が東京構想二〇〇〇、航空政策基本方針、それから多摩の将来像の中で、返還までの対策として民間航空の利用の実現を国に働きかける、こういう方針を掲げているわけです。
 ご存じのように横田は、在日米軍司令部や第五空軍司令部、航空団司令部、戦術空輸航空団、こういう主な部隊のほかにも三十四の部隊がこの基地の中に配置されているわけで、アメリカの国防総省の文書を読みますと、世界的、地理的事件を支援する中心的兵たん施設だという位置づけなんですよ。
 そういう状況にある横田の機能に加えて、返還までの間は--まだ返還のめどはついていないわけですが、かなりの長期間にわたって、米軍と民間を混合した共有が行われるということなんですね。どうですか。

○松田特命担当部長 現在都は全面返還を原則として要求しておりますが、それまでは民間との共同利用ということを国等各方面に要求しているところでございます。

○たぞえ委員 この軍民共用を仮に実施をした場合に、政策報道室が十一年十月に作成した横田基地に関する調査というのがありますが、航空機騒音について予測をしています。そこでは、飛行回数、民間の便の回数をどのように予測をされているのでしょうか。

○松田特命担当部長 先生ご指摘の調査によりましては、軍用機につきましては実地調査と騒音データをもとに、平均の飛行回数を低空通過を含めまして一日六十四回と推計しております。
 また、民間機につきましては、この調査で航空需要が最大となる二〇一五年の予測値から、旅客、貨物合わせて五十四回と推計しておりまして、軍用機と合計しますと、一日当たり百十八回の離着陸の回数を予測しているところでございます。

○たぞえ委員 民間との共用になれば、これまでの騒音がさらに倍近くにもはね上がる、その影響ははかり知れないものが都民に襲いかかってくるということになります。
 石原都政が推進している軍民共用化ですけれども、先月の二十九日、米軍横田基地のある瑞穂町の関谷町長が赤星理事のところをお訪ねして陳情書を手渡しました。この陳情書を改めて読んでみますと、軍民共用化は町民の心情を全く理解していない、怒りを覚える、このように町長は大変憤慨をされて、爆音被害を二重に拡大する共用化は絶対反対である、このように明確に述べていらっしゃるわけであります。
 今日でも米軍基地の騒音に苦しむ学校は数多くあります。私は教育庁に調べていただいたら、爆音の一番ひどい七五デシベルの直下にある都立高校は、羽村高校、多摩工業高校、拝島高校、この三校であります。これは毎日爆音に苦しんでいる。東京都の教育委員会は、二月二十一日に行われる東京都立高校の入学試験、全校二百四校が行われるわけですが、この入試選抜の中では、放送による英語のリスニングテストというのが行われるそうです。これは放送を子どもたちに聞かせて試験をやるわけで、この瞬間に爆音が入ってきますと試験ができない、こういうことで都教委は重大な結果を招くことになるという警告を発して、米軍に申し入れをしました。
 これに加えて民間機が新たに飛行すれば、受験期だけではなくて、日常的な学校運営にも大きな影響を与えかねないことは明白であります。
 さらに、最近、民間機のニアミスが大ニュースになりましたが、横田空域と呼ばれる米軍管制空域、ここは大変狭い空域であるために危険な事故が予想され、今でも羽田空港から飛び立つ民間機の安全飛行が大変脅かされているといわれています。実際に九八年八月十九日の朝、相模原上空で羽田発広島行きの日航機と空母艦載機FA18戦闘攻撃機とのニアミスが発生しまして、まさにこの空域というのは大変危険な状況にあるわけです。
 こんなふうに広大な空域を他国の管制下に置かれているのは、まさに日本だけです。地元住民だけではなく、日本の航空交通の根本にかかわる事態ではないでしょうか。
 民間機のさらなる飛行は、過密の空域をさらに過密にすると考えますけれども、都はどのようにお考えなんでしょうか。

○松田特命担当部長 現在都は横田の空域についても返還を求めているところでございますが、横田空域の民間利用が実現いたしますと、関東エリアにおける空域が拡大し、その結果、過密状況が全体として緩和されるものと考えております。

○たぞえ委員 過密が解消されますといいましたけれども、直下の都民にとってみたら、爆音は倍ですよ。根本解決にはならない。だからやはり横田の基地は、現在の被害から解消するためには、返還の道をたどるしかないというふうに申し上げておきたいと思います。
 次に、横田基地の軍人が利用している多摩サービス補助施設の返還の問題です。
 この施設は百九十八万平方メートル、東京ドーム四十二個分に匹敵する面積で、米軍人と家族のために、ゴルフ場施設やキャンプ場、野外施設、スポーツ施設を備えたものです。ここにはタヌキもキツネもおるようですが、大変自然の豊かな基地です。この施設に面して、都道稲城日野線、通称川崎街道の稲城市から多摩市に至る九・三キロメートルのうち、米軍多摩サービス施設に隣接する一・八キロ区間は、二車線の幅員であるために--二車線九・五メートルですね--恒常的な自動車渋滞が続いて、都民生活に深刻な影響を与え続けてきました。まさに基地の存在そのものが東京都民の基幹交通の慢性的な麻痺を生んできた原因です。
 この根本的な解決の手だてである川崎街道の拡幅を行うためには、補助施設の用地を道路用地に切りかえる、このことが何よりもの決め手です。そのために基地の返還が大変急がれていました。我が党はいち早く九七年三月三日の第一回都議会定例会代表質問で、秋田かくお議員が、緊急に道路拡幅を行うために、基地施設の返還に直ちに取り組むよう都の姿勢をただしました。東京都は、大蔵大臣と東京防衛施設局長にどのように働きかけ、努力を行ってきたんでしょうか。

○松田特命担当部長 川崎街道の道路拡幅に伴う多摩サービス補助施設の一部土地の返還につきましては、平成九年三月十二日付で、大蔵大臣と東京防衛施設局長に対し返還申請書を提出しているところでございます。

○たぞえ委員 その申請書を提出されたわけですが、では日米合同委員会はどのような見解を東京都に示しているんですか。

○松田特命担当部長 平成十年二月二十六日の日米合同委員会では、多摩サービスの補助施設の土地の一部約二万三千平米を都道拡幅用地として返還すること、また、そのための条件として、敷地内で移設が必要となっている施設につきまして、道路事業者である都が代替の施設を建設し、その経費は都が負担すること、以上の二点が合意されました。

○たぞえ委員 もう一度確認しますが、多摩サービス施設の一部を正式に返還をする、こういうことを日米合同委員会は承認をされたわけですね。もう一度お願いします。

○松田特命担当部長 平成十年二月二十六日の日米の合同委員会で、多摩サービスの土地の一部二万三千平米を返還されるということが合意されました。

○たぞえ委員 では、返還の際には、米軍から返還書が提出される必要があるわけですが、返還書による返還日とはいつなんでしょうか。

○松田特命担当部長 返還日は、平成十二年十二月二十一日でございます。

○たぞえ委員 これは国の権限にかかわることでありますので、当然閣議で決定したんですか。

○松田特命担当部長 平成十三年一月二十三日の閣議で決定しております。

○たぞえ委員 それによる当該道路の拡幅に必要な土地の返還規模と道路延長距離はどういう内容なんでしょうか。

○松田特命担当部長 多摩サービス補助施設に関連する道路延長は、一・八キロ、返還面積は二万三千二百六十二平米でございます。

○たぞえ委員 それでは、これによって現道二車線から何車線に拡大するのですか。

○松田特命担当部長 完成いたしますと、四車線道路になる予定でございます。

○たぞえ委員 この米軍施設の返還は無償なのか有償なのか、どういう基準になっているのでしょうか。

○松田特命担当部長 これについて、国に返還された土地については対価の支払いはなかったと聞いております。

○たぞえ委員 そうしますと、今回の基地施設の返還によって、東京都は返還面積に匹敵する代替地の提供はあったんでしょうか。

○松田特命担当部長 代替地の提供は行っておりません。

○たぞえ委員 私、先日、サービス施設と道路の拡幅の現場を調査をしてきました。既に四車線の工事が急ピッチで行われておりまして、かつて私が見に行ったときよりも、米軍施設のフェンスがずっと山の方に入り込む、こういうことで、基地内に後退をしていたわけです。
 延長二千四百二十メートルのうち、建設局施行区間が千九百メートル、多摩都市整備本部施行区間が五百二十メートル区間、この区間でありますが、いつになれば歩道と車道の工事が完成して、いつ車が供用できるんでしょうか。

○松田特命担当部長 車道部分の一部につきましては、今年度末に完成し、四車線道路として利用でき、また、全体といたしましては、歩道を含めて平成十三年十月末に完成し、供用を開始する予定であると聞いております。

○たぞえ委員 もう一回確認しますけれども、今平成十三年十月とおっしゃいましたが、実際に車が通れるのは何月からですか。

○松田特命担当部長 車道部分の一部一・九キロについては、今年度末に完成し、車が通れる予定であると聞いております。

○たぞえ委員 きょうはもう二月ですから、この三月、来月には一部四車線で車が通行できると。私が行きましたときも、トラックがたくさん通っていて、歩道が狭いものですから、これでは事故も起きかねない、一日も早い全線四車線の完成を期待をしたいと思います。
 私ども日本共産党は、機会のあるたびに、生活密着型の道路など公共事業を大いに進めるよう強調してきました。この点からも、今回の施設返還と道路拡幅を心から歓迎をするものです。一層施設の全面返還を努力されるよう期待をしたいと思います。
 さらに、米軍が不法に公園用地を占領している麻布ヘリポート問題でも、都として最大限の努力を要求したいと思います。
 最後に、都内における生物兵器の実験部隊の配置についてです。
 森首相は、昨年の十二月、防衛庁がこの三月にも、世田谷区の三宿の陸上自衛隊駐屯地内に、生物兵器として使われる細菌に関する研究部隊を設置する計画を発表しました。ここで行う研究の中身、今後の計画を都はどのように把握されているでしょうか。

○松田特命担当部長 平成十二年十二月十八日に防衛庁から新組織の部隊、医学実験隊について説明がございました。それによりますと、研究は文献が中心であり、実験施設もないことから、危険性を伴うものではないとのことでございました。

○たぞえ委員 十三年度の国の予算書を見てみますと、予算あるんですね。この部隊の設置に伴う経費は三十五億円なんです。三十五億円も本を買うわけじゃないんです。現在の施設を改築したり研究するためのいろいろな器材を購入する、だから文献調査じゃないんですよ。この計画はもともと、アメリカの国防白書でも書いていますが、アジアの同盟国にも生物兵器作戦の構想を策定させると、こういう流れの中でこの三月にも配置される、こんな計画です。
 防衛庁長官の諮問機関であります生物兵器への対処に関する懇談会というのがありますが、ここでも盛んな議論が行われていて、防護の研究を行うためには最小限の生物剤の保有が必要だということで、中国大陸に進出をした七三一部隊の細菌実験、こういうものが起こるんではないか、こういう不安を、周辺住民は大変危惧をされる。世田谷区議会の各会派の皆さんも、これは大変なことだということで、防衛庁に見解を求めています。実際に実験隊がどう配置され、どういう研究をしていくのか、防衛庁からいまだ全く住民には説明がありません。このことが住民の不安を一層広げています。実験隊の配置の前に住民説明会を行うよう都は防衛庁に要望するべきだと思いますが、いかがですか。

○松田特命担当部長 都として説明を受けました際に、誤解や混乱を招くことのないよう、地元区を初め地元に十分説明をするよう要請したところでございます。また、地元の動向を見ながら、今後についても適切に対応したいと考えております。

○たぞえ委員 東京の基地についていろいろ伺いましたが、この多摩サービスの返還、本当に都民にとって貴重な前進だと思います。二万四千平米の道路用地が確保できたことによって、都民の足も快適になると思います。しかし、根本的には、八カ所の米軍基地の存在が、東京ドームの数でいいますと三百四十三個分と、これだけの広大な基地が返ってくることによって、特に横田基地では、五日市街道がもとに戻って、こうした交通の新たな足の確保が図られます。こういうことが行われれば、都が盛んに掲げている多摩の幹線道路の整備も、緊急性というのは再検討できるんじゃないでしょうか。こうした貴重な土地を都民のために大いに生かしていくためにも、予算の措置でも、それから政策報道室の人の配置でも、ぜひ厚くしていただいて、この日本から世界に平和のメッセージを東京都自身が送れるように努力していただきたい、そういうことを申し上げて終わります。

○木内委員 十一年度を中心に、これまでの首都機能移転反対の経過、動きについてであります。
 本年は、国会を中心に昨年五月の決議を受けた移転先候補地の絞り込みに向けた動きが一方でいよいよ本格化してくるものです、こう考えられるわけであります。十一年度においては、知事及び都議会に私どもも力を糾合しました。こうした移転反対への動きというものが極めて活発になった年であります。この年、十二月十七日には、移転反対の一万人集会が開かれました。旧来、移転促進の国の動きに対して都の動きはあったわけでありますけれども、この一万人集会を契機にまた各方面での動きが急速に出てきた、こういう時期でもあるわけであります。したがって、十一年度以降のこうした移転反対への具体的な動き、行事等をつぶさに検証をして、いよいよ本格化する正念場ともいえる本年、そして来年に向けての動きが極めて重要な課題になってくる、こういうふうに思うわけであります。
 そこでまず、一万人集会当時の行事の位置づけは、移転反対の動きの中でどういうものであったのか、また、時間の関係で、一万人集会の後、各方面にどのような影響があったと認識しておられるか、あわせてお尋ねします。

○野村首都機能調査担当部長 首都移転に断固反対する国民大集会、いわゆる先生おっしゃいました一万人集会は、国会等移転審議会による移転候補地の答申という極めて大きな山場を目前に控えた時期に、官民が一体となって組織した首都移転に断固反対する会が主催となり、都議会のご協力もいただきながら開催したところでございます。全国から移転に反対する声が結集して、国に移転の白紙撤回を強く訴えるとともに、その後の移転反対運動を盛り上げる転換点になったと考えております。
 なお、その後の影響でございますけれども、全国から多数の参加を得て、一万人というかつてない規模で開催されましたことから、集会の模様は新聞やテレビ等で大きく取り上げたところでございます。集会後は、全国の団体や個人から励ましの声が多数寄せられまして、首都移転の白紙撤回を求める主張が一万人という多数の重みを持って、国はもとより、全国に強くアピールできたと考えております。

○木内委員 今お答えいただいたように、関係方面あるいは社会的な世論、また、さまざまな領域にこれは影響を与えたと思うのでありますけれども、とりわけ重要な検証を行うべきは、こうした政策判断を行う国のいわゆる行政レベルの中にどういう影響を与えたか、こういうことでもあろうかと思うのであります。
 したがって、これは確認の意味でお尋ねするわけでありますけれども、こうした今答弁をいただいた経過を経て、関係機関や関係閣僚の発言に首都移転慎重論やあるいは反対論がその後出てきているわけでありますけれども、具体的にはどんなものでありましたか。

○野村首都機能調査担当部長 一万人集会後の移転反対機運の盛り上がりを受けまして、昨年九月には、首都移転の担当大臣でございました扇国土庁長官が、政治と経済が一体でなければ首都とはいえないと、移転に反対する考え方を表明されました。その後は、首都移転を白紙に戻して、原点に立ち戻って議論をするべきだとする新聞論調が多くなってきたところでございます。また、先月二十五日には、省庁再編後としては初めて国土交通省の扇大臣が、参議院の決算委員会におきまして、二十一世紀に日本が国際社会の中で生き残るには何をすべきかをもっと議論すべきだと、首都移転に重ねて反対する発言をされたところでございます。

○木内委員 そうした発言のベクトルもあり、いろいろなところでまたアンケート調査が実施されたり、国民世論が収れんされた経過があるわけでありますけれども、例えば昨年十二月に、社会経済生産性本部が公表した全国の知事及び市長、さらには、主な民間企業経営者を対象とするアンケート調査結果が発表されたわけでありまして、この中で、現在進められている首都移転は実現が難しいと判断するものが全体の七六%、実現すると思うという回答はわずか一四%、こういう結果が出ているのも事実であります。どうも仄聞するところ、この調査を起こすに至った発想というのは、首都移転促進のためのいわばばねにするという意向があったようでありますけれども、実は結果を見てみるとこういう内容であったというふうなことを聞いているわけであります。こうした数字からも明らかなように、国民の間に首都移転は現実的には難しいのではないか、こういう印象が浸透してきていることもわかるわけであります。昨年十一月に東京都が発表した、首都移転の費用対効果の検証についてでは、首都移転による効果が大きくマイナスである事実が明らかになりました。
 そこで、この調査についてでありますけれども、改めてその手法、データ、どういったものが用いられて試算が行われたか、そうしてその結果、具体的にどのような結論が得られたのか、この調査結果がどのように国民に周知をされたのか、あわせて伺います。

○野村首都機能調査担当部長 国が公共事業の妥当性を評価する方法として一般的に使用している、費用便益分析の手法を用いた算出を行いました。この手法は、当時の建設省などにおいて既に導入されていたのでございまして、新規事業の採択時に、事業の適否を判断するために用いられているものでございます。今回の算出に当たりましては、客観的な立場を確保する見地から、算出に使用したデータは、国会等移転審議会の資料を中心に国の資料を用いました。その結果でございますけれども、首都移転には経済的妥当性がなく、効果から費用を引いた額はマイナスになり、首都移転を行うと、日本全体で四兆五千億から六兆三千三百億円という巨額なむだが生ずるということが判明いたしました。
 なお、この調査結果の国民への周知でございますけれども、報告書の内容を即座にインターネットで公開いたしますとともに、パンフレットを作成いたしまして、全国の都道府県、政令指定都市はもとより、国会議員等に広く配布をいたしました。また、都内の全家庭に配布されております「広報東京都」十二月号でその内容をわかりやすく解説し、広く都民への周知を図るとともに、MXテレビなどを初めテレビ番組などでも特集を組み、周知に努めたところでございます。

○木内委員 そうした周知の結果、各方面の反応はどうであったかもお尋ねしたいと思います。とりわけ当時の国土庁が、東京都の試算は経済波及効果を算入していないように思うという暴論を吐いているわけでありますけれども、こうしたいわば壮大なむだ遣いですよという東京都のアピールに対して、各方面の反応、どう認識しておられるか、また、これは極めて国民にとって重大な情報でもありますから、今後さらに周知すべきであると考えるわけでありますが、どうですか。

○野村首都機能調査担当部長 まず第一点目の、各方面の反応でございますけれども、首都移転の費用対効果の検証という、本来であれば国が行うべき内容を都が先行して実施したことから、新聞各紙に大きく取り扱われたところでございます。その後、さまざまな団体、個人から多数の問い合わせがありましたが、その多くは賛意を表するものでございました。
 なお、今先生からもお話ありましたように、新聞報道によれば、国土庁は、東京都の試算は経済波及効果を算入していないように思うとのコメントを発表しているところでございます。一言これについて申し上げますと、国土庁の批判は、経済波及効果と今回我々が採用いたしました費用便益分析とを混同したものであり、批判は当たらないと考えております。
 両者の違いの例を、まず建設費一億円の道路で申し上げます。経済波及効果分析というのは、例えば山の中の極めて交通量の少ない道路でも、二十三区の極めて交通量が多い道路でも、建設費が一億円であれば、それに産業連関表から求めた建設業の生産誘発係数、東京の場合約二・一でございますけれども、これを掛けて約二億一千万円の全く同じ効果があると、こういう分析でございます。これはいわば道路自体の効用を全く考慮しないで、産業全体のパイがどのくらい大きくなるかというものを見るものでございまして、手法が全く違います。
 これに対しまして、私どもが今回採用いたしました費用便益分析というのは、例えば、その道路をつくると走行速度がどの程度上がるか、また、ガソリン代等の運行経費はどの程度削減されるのかといった道路自体の効用を見るのでございまして、今回の我々の調査分析は、首都移転事業自体の効果を見るというものでございましたので、費用便益分析を採用したところでございまして、国土庁の批判は当たらないと考えております。
 また、第二点の今後の周知でございますけれども、調査結果を、極力専門用語を減らしまして、図表を活用するなど、だれにもわかりやすい資料づくりを目指して、報告書とパンフレット二種類の資料をまとめました。広く全国に配布するとともに、インターネットでも公表したところでございます。さらに、先月作成いたしました首都移転に関する都の考え方をまとめました二十一世紀の日本のためにと題するパンフレットの中でも、首都移転は莫大な税金のむだ遣いであるということを強調しております。今後とも、あらゆる機会をとらえまして、積極的に周知に努めてまいります。

○木内委員 今、大変丁寧な国土庁の批判に対する反論をしていただいたわけでありますけれども、今担当部長がお述べになった国土庁の批判への反論は、公式にはこれまでされましたか。

○野村首都機能調査担当部長 私ども、いろいろな機会があるたびに表明しておりますけれども、公式に都の見解として国土庁に申し入れたということはございません。

○木内委員 その意味では、きょうの質疑というものの持つ重さは、おのずからまた理解をされるところだと思うんですけれども、これに対する国土庁の反論はありましたか。

○野村首都機能調査担当部長 我々は、あらゆる機会を通じまして今のような話をしておりますけれども、国土庁からの直接の反論はいまだにございません。

○木内委員 この点についての質疑は、これでもう十分かと思いますし、恐らくこうした委員会における質疑が今後顕在化してくることが頻繁にあるだろう、こんなふうに思います。
 さて、私は、かねてよりさまざまな機会をとらえて申し上げているわけでありますけれども、東京都単独の首都機能移転反対運動というのは、それが単独に歩き続ける限り、一地方自治体のエゴに映る傾向なきにしもあらずである。したがって、この運動は、東京都単独でアピールするものではなくて、首都圏の各県も含めてこぞって力を合わせて反対すべきものである、それによって、またさらに大きな影響も期待ができるんだ、こういうふうに思っているんです。
 七都市首脳会議でこれまでも働きかけが行われてきたわけでありますけれども、従来この会議では、首都移転に対して強い懸念を表明するという表現が行われていたのでありますけれども、今後のあるべき首都圏のグループ化を行っての反対運動並びに近年における七都県市首脳会議でのコメントなり、あるいは新たな展開、考え方の変化というものはあったでしょうか。

○野村首都機能調査担当部長 これまでも首都の機能は、七都県市全体で担ってきたのでございまして、首都移転反対は、先生がおっしゃるとおり、東京都のみでなく、東京圏全体として取り組んでいかなければならない重要な課題であると考えております。こうした観点から、七都県市首脳会議でも働きかけを強めた結果、従来の会議においては、先生が今おっしゃったとおり、平成十一年の会議におきましては、首都移転に対して強い懸念を表明するとの表現にとどまっておりましたものが、昨年十一月の会議におきましては、首都移転に強く反対するとの立場が明確に表明されたところでございます。

○木内委員 さっきも触れましたけれども、昨年五月、衆議院の国会等の移転に関する特別委員会は、首都移転に関しては、二年を目途に結論を得るとする決議を行っております。この決議は、今の国民の意向から見て極めて異論のあるところである、きょうの質疑を通じても明らかになっているわけであります。
 そこで伺いますけれども、これまで国会の決議や法律などでできた制度が、その後国民世論の前に覆された例というものがあったと思うんですけれども、具体的にはどんなものがありましたか。

○野村首都機能調査担当部長 すべてを把握しているわけではございませんが、資産性所得の総合課税化を図るために、昭和五十五年に一たんは導入が決まったグリーンカード制度が、国民的な反対の声を受け、議員立法により廃止された例があると聞いております。

○木内委員 そうした過去の事例もあるわけでありまして、私どもは、いかに国会決議であろうと、また仮にこれが法律事項であろうと、いわば国民世論の大きなうねりの中で、この反対運動によってこれをついえ去ることは極めて可能性が大きい、こういうふうに見ているわけであります。したがって、東京都は、この決議の形骸化を図るべくさらに反対の運動を展開すべきではないかと思いますので、後ほどこれについてまず一点ご答弁を願いたい。
 それからもう一点は、ことしは、申し上げた二年目となる正念場の年であります。十一年度に行った一万人集会などの動きから、第二ラウンドの動きがいよいよ必要になってくる。その一つは、国民各層に首都移転の理不尽を訴える草の根的な動きが必要であって、他方では国会の動きをにらんで、今申し上げたとおり政策判断を変えさせる動きが必要、こう思うのであります。こうした認識を踏まえて、先ほどのご指摘もあわせて、今後各種のアプローチが必要ではないか、こう申し上げるのでありますけれども、どうでしょうか。

○野村首都機能調査担当部長 まず第一点目の決議の形骸化を図るべきではないかというご質問でございますが、首都移転には全く意義がなく、日本の将来を危うくするものであります。したがって、このことを広く都民、国民に周知いたしまして、移転反対世論を盛り上げていく必要があると考えております。昨年十二月を首都移転反対強調月間と位置づけまして、「広報東京都」や都庁展望室におけるパネル展示などにより、都民のみならず、他県からの来訪者にも移転反対をアピールしたところ、多くの賛同する意見が寄せられるなど、大きな反響があったところでございます。今後とも、多様な手法を駆使して世論を盛り上げ、移転の白紙撤回を目指してまいります。
 なお、第二問の各種のアプローチが必要ではないかというご質問にお答えいたします。
 ご指摘のとおり、都民に対する直接的な働きかけが重要であるため、地域、職域などにこちらから直接出向きまして、草の根的に移転反対を掘り起こす、いわゆる出前PRを積極的に実施しているところでございます。一方、首都移転に関する議論の場は国会に移っておりまして、国会議員の動向がますます重要性を帯びてきております。こうした状況を踏まえまして、都選出の国会議員の方々につきましては、ことしに入ってから首都移転に断固反対する会の入会を再度働きかけ、新たな加入者を獲得するなど、取り組みを強化しているところでございます。
 また、財団法人日本地域開発センターが行った全国会議員アンケートに対して、首都移転に反対の意見を表明した国会議員の方々に対しましては、資料を提供して、今後の協力関係の公式に向けた取り組みを行っているところでございます。いずれにいたしましても、今後都議会のご協力をもいただきながら、さらに国会議員への働きかけを強め、国会での動きに即応できる体制の確立を目指してまいります。

○木内委員 確かにいわれるように、議論の場は国会に移っておりまして、お聞きしますと、先月の十五日前後から、精力的に都の担当の皆さんが国会に足を運んで、そうして東京都関係の衆参国会議員に要請を行われた、こうしたご努力を本当に多とするものであります。いわば一万人集会にも見られたように、まさに超党派といいますか、都議会においては各会派がこぞってこれに力を結集して、爆発的なイベントを盛り上げたわけであります。したがって、都議会としての横のつながりも極めて重要でありますけれども、また、各政党における縦の連携によって、みずからの会派の所属する国会議員にこうした動きへの認識、さらにまた、問題への理解をさらに深めるよう、政党としても努力をする必要がある、私はこのことを痛感しているのであります。
 ちなみに一月三十一日現在で、首都機能調査担当部長初め皆さんがいろいろご努力をして、議員会館に足を運んで、汗を流した、要請をしたけれども、実はまだ入っていない東京都関係の議員が各会派にいるんですね、党に。これは具体的に申し上げません。ただ党名だけ申し上げれば、自民党、民主党、残念ながら公明党にも一人、それから共産党、自由党、無所属ですか、二十名の東京都関係の国会議員がまだ入っていないという事実がある。中には、恐らく立場上留保させてもらいたいというようなことをいった議員がいたとかいないとかも聞いておりますけれども、私は、私の党の議員に、この資料をいただいてすぐに電話を入れました。どうしてあなたは入らないんだといったら、申しわけない、事務的なミスだったというものですから、早速そこは話を取りつけて、しっかり対応をお願いしたい、こう思うわけであります。ここではあえて私はこの表をぱっと見せるだけで、名前は申し上げません。これは各会派でまたご努力をされるべきであろうというふうに思うわけであります。
 さて、最後にお聞きするわけでありますけれども、申し上げたようないわば議会と行政とがまさに車の両輪となって、この運動、この時期正念場を迎えて、今後集中的な努力をすべき時期に入ってきていると思うのであります。まあ運動論としては、さまざまな形が考えられるでしょう。先ほど触れた一万人集会のような形がいいのか、あるいはそうではない急所、急所をついていく動き、あるいはまた政党を通じての動き、いろいろとあると思いますけれども、最後に英邁な安樂室長から、都としての決意、取り組みの今後の見通しをお尋ねして、質問を終わりたいと思います。

○安樂政策報道室長 この首都機能移転の問題の発端は、東京に大災害が来たときに、その首都機能をバックアップする機能を別途設けておくべきであるという議論から始まったというふうに聞いております。しかし、これがさまざまな思惑と絡みまして、また、このバブル期特有の誇大妄想というんですか、そういう中で非常に首都機能の移転ということのような話にまで膨らんでしまったわけでありまして、現在冷静に考えてみれば、そういう東京から首都機能を移転するという差し迫った理由というものは、現在はもとよりですが、当初からなかったのではないかというふうに思います。
 都民の中には、この首都機能が移転すれば、毎日苦しめられている通勤ラッシュであるとか、あるいは交通渋滞から開放されてよいではないかという、そういう善意から発する声もありますが、今回の費用対効果の試算では、この霞が関や永田町を中心とした交通量の減少による効果というのは意外に小さいということがわかっております。こういう都民の切実な願いにこたえるためには、やはり幹線道路を初めとする都市基盤、そういうものを着実に整備していく以外にはないというふうに思います。この首都移転に要する十兆円を超えるような経費を、その何分の一かでも東京に集中的に投資すれば、東京は本当に住みよい快適なまちになるというふうに思っております。
 ただいまは、担当部長の方からも、さまざまな取り組みの状況につきましてはるる申し上げましたが、今後も、経済的に全くむだなだけではなくて、むしろ東京の活力を阻害し、社会、文化の衰退を招くような首都移転論議に一刻も早く終止符を打っていくために、都議会のご支援、ご協力もいただきながら、また先ほどお話ありましたが、七都県市など関係の団体とも手を携えて、あらゆる努力を重ねていきたいというふうに思っております。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 政策報道室関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、政策報道室関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策報道室関係を終わります。

○立石委員長 これより中央卸売市場関係に入ります。
 中央卸売市場関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 中央卸売市場関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、中央卸売市場関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で中央卸売市場関係を終わります。

○立石委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 初めに、高橋局長から、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。

○高橋生活文化局長 さきの委員会におきまして、公務出張のため欠席いたしました幹部職員を改めて紹介させていただきます。
 外務長の田邊隆一でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○立石委員長 紹介は終わりました。

○立石委員長 生活文化局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○幸田総務部長 平成十二年十二月二十二日に開かれました当委員会で要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の各会計決算特別委員会十二月二十二日分要求資料、生活文化局と書かれた封筒の中の平成十一年度各会計決算特別委員会資料をごらんいただきたいと存じます。
 お開きいただきますと、まず目次でございます。ご要求のございました資料は、ここに掲げてございますとおり、全部で十四件でございます。以下、順次ご説明させていただきます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。平成十一年度交通安全対策の事業内容と実績でございます。1として総合調整、2として普及啓発について、それぞれの事業名、事業内容、実績について記載してございます。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。文化懇談会の答申とその具体化でございます。冒頭に記載のとおり、文化懇談会は、昭和五十六年八月から平成十一年三月まで設置されており、その間に答申として取りまとめられた三件につきまして、その概要及び具体化の状況を記載してございます。
 三ページをお開きいただきたいと存じます。都民芸術フェスティバルの助成団体数、助成額、入場者数の推移でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間の助成団体数、助成額、入場者数の推移を記載してございます。
 四ページをお開きいただきたいと存じます。シルバーエイジ芸術鑑賞事業の実績でございます。事業が開始されました平成八年度から平成十一年度までの公演数及び割引者数の実績を記載してございます。
 五ページをお開きいただきたいと存じます。東京都江戸東京博物館及び東京都写真美術館の観覧者数の推移でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間におけます観覧者数の実績を、年度ごとに表側の区分に応じて記載してございます。
 六ページをお開きいただきたいと存じます。東京都写真美術館の作品資料収集数の推移でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間におけます写真作品、映像作品・資料及び図書資料等の収集状況について、表側の区分に応じて実績件数を記載してございます。
 七ページをお開きいただきたいと存じます。若手芸術家育成支援事業でございます。これに該当いたします当局所管事業は、表側の二事業でございまして、それぞれ事業の開始年度、事業内容及び事業実績について記載してございます。
 八ページをお開きいただきたいと存じます。東京都平和の日記念行事の事業内容及び決算額の推移でございます。平成二年度から平成十一年度までの十年間の事業内容及び決算額について記載してございます。
 九ページをお開きいただきたいと存じます。特定非営利活動法人の設立認証実績でございます。(1)といたしまして申請団体数及び認証団体数を、また、(2)として認証団体が行う活動を分野別に区分し、その団体数を記載してございます。
 なお、下段の注1にございますように、団体数は、それぞれの団体の定款に記載されている活動の種類を計上しておりまして、複数記載がございますので、(1)の認証団体数とは一致いたしませんので、あらかじめご了承願いたいと存じます。
 一〇ページをお開きいただきたいと存じます。都市提携交流事業の実績でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間の主な事業の実績を記載してございます。
 一一ページをお開きいただきたいと存じます。平成十一年度外国人都民会議の実績でございます。会議名とその主な内容について記載してございます。
 一二ページをお開きいただきたいと存じます。東京ふるさと野菜の品目及び入荷量の推移でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間の品目及び入荷量の推移を記載してございます。
 一三ページをお開きいただきたいと存じます。東京ふるさと野菜供給事業におけるキャベツの供給実績でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間におけます契約期間ごとの契約量、入荷量、入荷率、価格差補償金、価格差補償対象数量、価格差補償対象率について、その実績を記載してございます。
 一四ページをお開き願いたいと存じます。東京都消費生活総合センターの相談件数の推移と特徴でございます。平成七年度から平成十一年度までの五年間の相談件数、その特徴について記載してございます。
 以上をもちまして、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○西田委員 それでは、十一年度決算の審査に当たりまして、女性施策に関連して幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まずこの十一年度で実施された事業でありますが、男女平等訴訟支援事業というのがモデル実施で行われました。この事業にかけられた金額それから利用された件数などお答えいただきたいと思います。

○高西女性青少年部長 都は平成十一年度に、男女平等に関する訴訟支援制度の試行を実施いたしました。支援決定件数は九件、支援決定額は二百万円でございます。

○西田委員 これはたしかわずか二カ月で実施されたもので、二百万円ですね。しかも九件の訴訟に至るものがあるということですが、この訴訟支援事業はどのような場合に適用されるのか、検討されるのか、これをお聞かせください。

○高西女性青少年部長 男女平等に関する訴訟支援制度でございますが、本制度は、家庭内等における暴力ですとか、あるいはセクシュアルハラスメント等につきまして、これを法的な解決をしたいという場合に、経済力がないためにその訴訟ができないという場合に、それを支援しようというものでございます。
 訴訟支援適用の基準といたしましては、資力に乏しい者であること、また勝訴の見込みがあることでございます。

○西田委員 勝訴の見込みのあるものということがありますので、明らかに不当な被害をこうむった、そういう女性が多いと思うんですけれども、お金がないために、裁判に向かうことができずに泣き寝入りをしてしまう、そのようなことのないように、人権を守るということで取り組まれたものだと思います。
 その訴訟に至った九件についてですが、どのような内容か、その内訳を示していただきたいと思います。

○高西女性青少年部長 訴訟支援に至りました九件の内訳でございますが、セクシュアルハラスメントに関するものが四件、夫婦間暴力に関するものが四件、性犯罪に関するものが一件でございます。

○西田委員 セクシュアルハラスメントとか夫婦間暴力とか、一般的にいえば大変難しい、そういう問題について、九件というのは訴訟に至ったものですけれども、それ以上、相談があったと思うんですね。
 そういう訴訟、相談が受けられるということで、こういうものが行われたと。わずか二百万円というお金で、私は、大変大きな成果が得られたのではないかと思いますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
   〔委員長退席、たぞえ副委員長着席〕

○高西女性青少年部長 この試行につきましては、セクシュアルハラスメントや夫婦間暴力など、これまで民事法律扶助でほとんど扱ってこなかった事案につきましても補助対象とし、一定の実績がございましたことから、国の法律扶助制度の運用に生かされたものと考えております。

○西田委員 九件、訴訟に至ったわけですけれども、それらがその後どのような結果になっているかというのは、把握しておられるのでしょうか。

○高西女性青少年部長 訴訟支援に至った九件のその後の状況でございますが、勝訴は一件、和解二件、示談成立一件、調停成立一件、訴訟取り下げ一件、交渉中二件、訴訟中一件となっております。

○西田委員 勝訴や和解やいろいろあって、まだ交渉中のものだとか、あるいは訴訟中のものだとか、九件のうち三分の一あるわけですね。この事業が行われたのが十一年の夏ごろですよね、八月か九月ですから。それから見れば、もう一年半近くたっているわけですが、そういう係属が行われているということなんですね。
 それで、生活文化局では、この訴訟支援事業を立ち上げるのに相当な努力が払われたことだというふうに思います。こうした成果が上げられたという、その要因として何があったのかという点については、どのようにお考えでしょうか。

○高西女性青少年部長 男女平等に関する訴訟支援制度の試行は、東京都が平成九年度に行いました女性に対する暴力調査報告によりまして、深刻な被害の実態や被害者に対する援助の必要性などが明らかになったことなどを契機として都民の関心が高まり、また、法律扶助協会等、関係者のご協力もありまして実施できたものと考えております。

○西田委員 法律扶助協会の協力があって実施できたということは、弁護士さんたちが、やっぱり協力をしてくれたということだと思うんですね。
 私、前にも委員会で申し上げたのですけれども、弁護士会の方々が、東京都がこの訴訟支援事業を立ち上げるということで、積極的に協力しようという方々が登録を募ったんですね。登録を募られて、五十人ぐらい組織をされたそうであります。
 今もお話がありましたけれども、九件ということは、二百万円で九件の訴訟ですから、一人当たりでいえば、一件当たりでいえば二十万か三十万ということですよね。法律扶助協会でやることですから、五十万円が限度だといいますけれども、これは、私は、長い、もう一年半ぐらいになるのに、まだ訴訟中というのもあるわけですよね、しかも、物すごい大変な仕事だと。
 セクシュアルハラスメントは大変なんですけれども、暴力の問題でも、ストーカー行為とかそういうことがあって、法律事務所に本当に刃物を持って、相手の弁護をやっている弁護士を出せとか、それから、待ち伏せをされるとかということが起こる事件なんだそうですよ。
 ですから、この問題で、女性の人権をとにかく守るということに相当熱心に関心を持っていたり、その重要性をきちんととらえて、そして、忙しい仕事の中でこの仕事が入るわけですから、そういう意味では、だれもがやりたいという仕事じゃないわけですよね。恐らく、女性の弁護士さんを中心にして五十人登録していただいて、この問題は、東京都がお金を出して支援してくれるのであれば、やろうというので立ち上げた。
 ところが、二カ月やって、その翌年度の予算には本格的な予算が乗るのかなと思ったら、生文局は要求されたんですが、査定で切られてしまった。
 先ほどの答弁でありましたように、国の制度として移行できたというのは、東京都がそういうことをつけたからだと思われるような答弁をされましたけれども、国のお金がふえたといっても、扶助協会では、子どもの問題や、あるいは被害者の救済の問題にもっと積極的に、大変な問題でやりたかったという話なんですよね。
 やっぱり女性の問題、男女平等訴訟支援というのは、首都の東京がまさに先鞭をつけて、そしてお金も出して自分たちを励ましてくれるという、そういう中でこそ意義があったのにということで、何か二階に上げられてはしごを外されたという思いだというのは、これは、弁護士さんたちのみならず、法律扶助協会もそのようにいっておられました。
 ちょうど男女平等参画基本条例がつくられた今年度からこれを本格的に実施しようと、みんな思って立ち上げたら、はしごを外されちゃったというわけですから、こういう東京都の姿勢が、私は非常に問われている問題なんだというふうに思うんですよ。
 ボランティア的な精神で、弁護士さんたちが頑張ってやろうといったときに、その力をもっともっと大いに発揮していただいて、都民のために役立てていくという、そういう--言葉では、いろんなところにボランティア、ボランティアと最近書いてあるんですけれども、具体的な施策でいうと、それと逆行していることがやられているというふうに思えてならないわけであります。
 そういう点では、本当にこれは、わずかな費用で大きな効果が上がったんですよ。費用対効果という点でいえば、まさにこれは、すぐれた政策だったと思うんですね。そういう点で、今後、やはりそういう取り組み、特に男女平等とか人権を守るとかという場合には、専門家の協力がなければできないと私は思うんですね、今の段階で。
 そういう意味では、今後のその行政のあり方として、そういう力を大いに引き出して頑張ってもらうという、そういうことが極めて大事なんじゃないかと思うのですけれども、その点についてはどうでしょうか。

○高西女性青少年部長 東京都の訴訟支援が、十一年度に試行いたしまして、十二年度には本格実施されなかったということでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、ちょうどタイミングよくといいましょうか、平成十二年には、国の方におきましても、新たに民事法律扶助法というものが成立し実施される。そして、その中では、夫婦間暴力やセクシュアルハラスメントなども対象としていく。そして、予算額も大幅に、約四倍だというふうに記憶しておりますが、四倍にふえるというふうなことがございまして、これは、東京都が試行したものが国の制度によって引き継がれるというふうに判断いたしまして、東京都の方では本格実施を見送ったものでございます。
 また、ボランティアというふうなことでございましたけれども、男女平等参画の推進に当たりましては、これまでも都民の方々あるいはボランティアの方々、団体の方々等と協力してまいりました。今後とも、なお一層、その協力関係を保ってまいりたいというふうに考えております。

○西田委員 国の制度に引き継がれたというふうに、東京都の方は、もちろんいわれるわけですけれども、本当にこういう東京都のやり方について、関係者は怒っているわけですよね。関係者は怒っているんですよ。私は、そういう行政のありようというのは、今後のいろいろ発展の上でも障害になるものだというふうに思います。
 そういう点では、今後そういうことのないように、本当の意味で、ちゃんと皆さんが頑張れるように励ます、そういう行政をやっていただかないと困るということを申し上げておきたいと思います。
 もう一つ、女性財団の問題であります。
 この女性財団の廃止の問題が、今、男女平等参画問題に取り組む女性たちの間で熱い議論が巻き起こされておりますし、これに反対する運動も大いに取り組まれて、連日のように、各会派の方へも要請行動などが行われているのではないかというふうに思います。私は、これに関連して大いに議論したいところではありますが、十一年度の決算の審査でございますので、それに即して質疑が行えるように努力をしたいというふうに思います。
 まず、決算書によりますと、九九年度、平成十一年度のウィメンズプラザの入館者の数というのは二十二万一千百六十三人というふうになっております。ああ、多くの方々が利用されているんだなというふうに私は思いましたけれども、その中で図書資料室というのがあるんですね。これがまた、大変いいものだというふうにいわれているわけですけれども、この図書資料室の利用状況というのはどのようになっているでしょうか。九九年度の利用者数などをお示ししていただきたい。
 そしてまた、九七年度からの三年間の推移で見ると、どのような状況になっているのか、教えていただきたいと思います。

○高西女性青少年部長 ウィメンズプラザの図書資料室の利用者数でございますが、平成九年度は七万九千九百七十九人、十年度八万四千三百三十四人、十一年度は九万二千三十七人となっております。

○西田委員 九年度約八万人から、十一年度で九万二千人ということですから、二年間で一万二千人ぐらい利用者がふえていると。結構ふえているわけですね。
 そこで、利用する方々は、そこで閲覧をしていかれる方、あるいは図書をお借りになっていらっしゃる方、あるいはそこでレファレンスを受けていろいろ利用される方がいらっしゃると思うんですね。
 いろいろありますけれども、そのレファレンスの状況というのは、図書館のレベルを決める上でも大変重要なものではないかというふうに思うのですが、これはどのような利用状況になっているでしょうか。

○高西女性青少年部長 図書資料室のレファレンスサービスの利用件数でございますが、九年度は七千七百五十四件、十年度九千六百四十二件、十一年度は九千六百八十八件となっておりまして、十一年度は、平成九年度に比較しまして約二五%の伸びとなっております。

○西田委員 レファレンスの伸びが二五%伸びていると。利用者数の伸びと比べても大きく伸びているわけで、これは極めて重要なことだというふうに思います。
 それで、この図書資料室で収集している図書や資料の保有の状況について、いかがでしょうか。九年から十一年までの三カ年間の状況について、お答えをいただければと思います。

○高西女性青少年部長 図書資料室で保有いたします図書及び資料についてでございますが、九年度四万一千五百八十冊、十年度四万四千二百八十冊、十一年度四万六千六百五十三冊となっておりまして、十一年度は、九年度に比較しまして約一二%の伸びとなっております。

○西田委員 蔵書数も、ちゃんと伸びているということだと思うのですが、その中で、行政資料、それから団体資料の保有状況はどのようになっておりますでしょうか。

○高西女性青少年部長 図書資料室で保有する行政資料につきましては、九年度一万四千三百七十九冊、十年度一万五千二百三十一冊、十一年度一万六千百十二冊となっておりまして、平成九年度に比較して約一二%の伸びとなっております。
 また、団体資料につきましては、九年度五千五百七十五冊、十年度六千六十八冊、十一年度六千四百六十五冊となっておりまして、同様に約一六%の伸びとなっております。

○西田委員 蔵書数が保有数ですね、図書及び資料の。保有数が四万六千六百何冊あるうちに、内訳で見ますと、この行政資料というのは、ちょっといただいた資料で計算してみますと、三五%を占めておりますね。それから、団体資料が一三・八%を占めておりまして、全蔵書数、資料数の約半分を、こういう行政資料、団体資料で占めているというのが非常に大きな特徴になっているのではないかと思います。
 それで、女性問題や男女平等参画問題の専門の図書資料室として極めて大きな役割を果たしているというふうに思うのですけれども、これについて、生活文化局はどのように評価しておられますでしょうか。

○高西女性青少年部長 ウィメンズプラザの図書資料室は、男女平等参画に関する情報と資料を幅広く収集し、多くの都民や団体等の活動や研究に利用されており、局としましても、男女平等参画の推進を図るに当たり、有効に活用されていると考えております。

○西田委員 私は大きな役割といったのですが、有効な役割を果たしているというように評価をされたわけですね。
 そこで、私は、この図書資料室、いろいろ各方面の方々からご意見をお聞きいたしますと、大変すぐれた図書室だとして、専門図書室としては大変すぐれているというふうにお聞きをするのですが、今、有効に評価と、生かされているという、ちょっと私のニュアンスと違うのか同じなのかわからないんですけれども、そのように評価される要因として、どのようなものをお考えでしょうか。

○高西女性青少年部長 この図書資料室の評価は、今もお話がありましたように、行政資料や団体資料を初めとする資料が豊富なこと、また、適切な分類整理あるいはレファレンスサービスを行うなど、利用者の利便を図っていることによるものと考えております。

○西田委員 先ほども申し上げたように、行政資料、団体資料、比率が大変高いわけで、これがそろっていることが一つだと。あるいは分類整理ですか、それとレファレンス、こういう機能が大いに有効に働いているというお話だと思うのですが、この図書、本という、ばちっとした本だけというんじゃなくて、資料が多いというのは、分類整理をするという点でも非常に大きな苦労が要る問題なのではないかなと思ったり、そういうものを含めてレファレンスが適切に行われるというのも、これも大変重要なことなのかなと思って、このウィメンズプラザの図書資料室が、考えてみますと、あの日比谷に最初に情報センターとして設置されて、飯田橋に移って、そして、この図書資料室としてちゃんとでき上がっていくという、この長い三十年余にわたる経過の中での蓄積というのがあると思うんですが、それに携わってこられた、やっぱり専門員の方々の豊富な知識だとか、それから、こういう女性問題に対する識見だとか、そういうものが非常に大きな役割を果たしているんじゃないかというふうに思うのですけれども、どうでしょうか。

○高西女性青少年部長 この図書資料室につきましては、今お話しのように、日比谷図書館の情報センター時代以来、長い歴史を持っておりまして、その間にさまざまな資料を収集しております。
 また、この業務に当たります職員につきましても、都の派遣、再雇用及び非常勤の専門員で当たっておりまして、非常勤の専門員につきましては、男女の平等に関する専門の知識を有するということで業務に当たっていただいているところでございます。

○西田委員 今後とも、やっぱりこういう専門員の方々の力を大いに発揮していただけるように、私からもお願いをしておきたいというふうに思います。
 それで、行政資料、団体資料がたくさんそろえられているということなんですけれども、これは、ウィメンズプラザが女性問題のというか男女平等参画問題の専門図書館として、実は世間にもよく知られているというか、公表されているんですね。いろんなデータブックみたいのを探して見てみましたら、結構ちゃんと、そのことが紹介されております。
 それで、例えば「ライブラリーデータ’98/’99」というのがあるんですが、専門図書館を紹介しているんですけれども、このウィメンズプラザの図書資料室は、女性の社会参画の促進などによる男女平等社会の実現を目指して、都民の自己開発、自主研究、実践活動などを支援するため、女性問題に関する図書や行政資料、民間団体や研究グループなどが発行する資料、雑誌、新聞、海外資料、ビデオなどを幅広く収集し提供しているというふうに紹介されておりまして、そのページに同じ、いろいろ女性団体、女性センターなどの専門的な図書館の紹介があるんですが、行政資料、団体資料というのを見てみますと、やっぱり断トツに数が多いんですね。
 それで、国立の婦人教育会館の婦人教育情報センターも同じように紹介されていますが、ここには、婦人団体資料とか地方行政資料というのは名前だけあるんですけれども、その数は表記されていないんですね。余りに大量なので表記しないのかということはないと思うんですね。やはり国のだということで、地方自治体の持っているものと違うということで、数が少ないので、そろっていないんじゃないかというふうに思います。
 それから、「東京便利データbook」というのが、エルマガジンという会社の発行されたものであるのですが、この専門図書館の一つとして、コメントが、ウィメンズの図書資料室が紹介されているんですが、そこでも、全国の女性関係の行政資料が充実というふうにコメントされておりまして、そういう意味では、私は、やはりこのウィメンズプラザの図書資料室というのは、本当に全国的にも大きな位置を占めている非常に重要な誇るべき図書資料室として存在しているのではないかというふうに思います。
 そこで、この資料の収集というのは、どのようにして行われるのかという問題なんですが、例えば大学の図書館などでは、研究紀要等がありますよね。それを大学図書館の間で、どんどん無料でお互いに提供して交換し合う。そのことによって、大学の図書館の、資料を収集して質を高めていくというのが常識だというふうに聞いているわけなんですね。
 ウィメンズプラザのこの図書資料室にこれだけの資料が集まって、そして評価されているというのは、それなりの長い積み上げ、それから専門員の方の努力という問題があるわけですけれども、やっぱり適切な情報を発信してきたというのがあるんじゃないかと思うんですね。本当にジェンダーの視点に立って、先駆的な情報を提供して交流してきた。それが全国の女性センターや女性団体の信頼を得て、こうした資料がたくさん集まってきたんじゃないのかというふうに私は考えるわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○高西女性青少年部長 図書資料の収集につきましては、先ほど申し上げましたように、長い歴史と職員の努力、それから、東京都の施設として、東京都もそれなりの予算を投入しましてそれを遂行してきたということ、そしてまた、ウィメンズプラザが出版物等も刊行いたしまして交流を図ってきたということが上げられようかと思います。

○西田委員 私は先日、ある方に、要請に来られた方なんですけれども、お会いをいたしましたら、その方は、世界女性会議のNGOで、参加してワークショップをやったり、あるいは他県に呼ばれてお話しをしたりということをなさっている方のようなんですけれども、女性財団発行とか女性財団監修とかという本はすべて買っているんだそうです。すべて購入して、非常にいい中身なんだということを力説しておられました。
 改めて私も、自分の持っているものを見てみたんですけれども、そういう意味では、この女性財団の発行の刊行物というのが、本当にそういうふうに多くの方々に信頼されて読まれているのかと。だから、やっぱりそういう資料も集まってくるのかというふうに改めて思いました。
 ところで、女性財団の発行する出版物、刊行物として、どのようなものがあるのでしょうか。

○高西女性青少年部長 これまで女性財団が東京都の補助事業として発行してきましたものとしては、テーマ研究の報告書、学習用ビデオや刊行物、男女平等のための普及啓発資料、定期情報誌「東京女性財団ニュース」などでございます。

○西田委員 ビデオも含めて、いろいろあるわけですけれども、その中で、十一年度にはどのようなものが発刊されたのでしょうか。ちょっと書籍の名前で教えていただけますか。

○高西女性青少年部長 十一年度に発行されましたものとしましては、テーマ研究報告書として「女性の視点からみた先端生殖技術」、それから普及啓発資料としては「女性政策・女性センターを考える」、男女共同参画社会基本法を受けて、また刊行物として「セクシュアル・ハラスメントのない世界へ」等がございます。

○西田委員 十一年度は、まだビデオもありますよね、今、おっしゃいませんでしたけれども、あると思うんです。過去にさかのぼっても、「先駆者たちの肖像」だとか、今いわれたようなものも、「セクシュアル・ハラスメントのない世界へ」は十一年度ですか。そういうものもあって、なかなかおもしろい本があると思います。
 「女性政策・女性センターを考える」という、この本も、非常に地域の女性センターの方々の要望にこたえた普及啓発の本だと思うのですけれども、本当になるほどなるほどと思う、悩みに答える本になっておりますね。
 そこで、こういう図書類の発行ということが、財団が運営しているから、私は自由にできる部分があるかなと思ってもいるんですけれども、その財団が発行するという形と、それから直営になった場合と、どのように違いがあるのかないのか。違いがあるとすれば、どういう違いがあるのか、ちょっと具体的に教えていただきたいと思います。

○高西女性青少年部長 財団におきましては、普及啓発等を目的として刊行物を作成し、区市町村や女性センターに送付するとともに、また販売もしてきております。
 直営化後におきましても、引き続き刊行物を作成し配布するほか、販売する場合は、都の他の刊行物と同様に、都民情報ルーム等を通して行うこととなります。

○西田委員 ちょっと済みません。今は、財団が発行している本はどのような販売方法をとっておられますか。

○高西女性青少年部長 財団が発行したものを販売する場合には、財団に来られた方、あるいは申し込んで郵送してほしいという方に、売ったりお送りしたりする、あるいは、場所は限られておりますが、特定の委託する書店等におきまして販売をするというふうに行っております。

○西田委員 そういう点では、販売の方法も変わるということですよね。全部、都民情報センターで販売するということになるんじゃないかというふうに思うんです。
 それで、私、この都民情報センターで販売している刊行物というのはどういうものかなというふうに見てきました、改めて、そういう視点で見てきました。なかなか興味深い、これ、ほしいななんていうものがいっぱいありますよね。あるんですけれども、医療だとか住宅だとか環境だとか、いろいろあります。
 しかし、これは基本的には、都の政策的なものでつくられたもの、あるいは研究所や都のプロジェクトチームで研究したその成果だとか、あるいは都の計画だとか方針だとか、都の行政を外に発信するというのかな、理解していただく、そういう種類のものが中心だったんじゃないかなというふうに思うんですね。
 財団が発行されているような、いろんな書物、先ほどいわれたような「セクシュアル・ハラスメントのない世界へ」だとか、「『ことば』に見る女性」とか、あるいは「先駆者たちの肖像」だとか、ああいうぱっちりした、こういういわゆる女性本みたいな本はなかったように思うんですよね。
 しかも、こういう本は、大学の先生とか、あるいは研究者とか、そういう方々にお願いして書いていただいているというか、執筆者がそういう方になっているんですね。それで、監修が財団で、発行が財団でという形のものが多いと思うんです。
 これ自身が今、全国的にも、都民、関係者の間でも非常に喜ばれている大事な資料、情報の発信になっているわけなんですが、こういうものが、本当に直営になったときに発行されるんですか、出せるんですか。

○高西女性青少年部長 直営化後に、今までと同様な刊行物が発行できるかということでございますが、直営化の理由ということで先般来申し上げておりますが、現在、男女平等参画の状況は新たな段階を迎えているというふうに考えておりまして、今後、東京都は、行政機関として男女平等参画について、ウィメンズプラザを直営化して、本庁と一体となって積極的に推進していくというふうに考えております。
 刊行物の出版等に当たりましても、その東京都の施策を中心としたものにはなってこようかというふうに考えております。
 また、従来、財団が出版してきたような図書等につきましては、場合によっては、出版社等でまた売れるというふうなことであれば、出版なさるということはあろうかというふうに考えております。

○西田委員 今のご答弁でちょっとわからないところがあったんですが、二つお聞きします。
 一つは、新たな段階を迎えているというのはどういうことをいうのか。
 それからもう一つは、財団が刊行してきた出版物のようなものは今後また書店等を通じてですか、場合によっては出版するというお話なんですが、これはどこが出版するという話になるのか、ちょっとそこを明快にお聞かせください。

○高西女性青少年部長 新たな段階とはどういう段階かということでございますが、女性財団が平成四年に設立されて以降、国におきましては男女共同参画基本法の制定、あるいは改正雇用機会均等法等が成立、施行されております。また、東京都におきましても、昨年男女平等参画基本条例というものを施行するなど、法制度の整備が進んできております。また、区あるいは市におきましても、地域の女性センターというものが相当多数設置され、大変活発に活動されているというふうに聞いております。そういうことで、今後、現在の課題に即応した、企業における参画促進でありますとか、あるいは大変現在問題になっております家庭内等における暴力でありますとか、そういう問題に的確に対応していく必要があるのではないかということでございます。
 それからもう一つ、出版物の方はどうなるかということなんでございますが、今後、東京都が刊行するというふうなものの内容につきましては、また時のニーズに即応して出版の内容等は考えていかなければならないというふうに基本的には考えておりますが、従来の女性財団が発行してきたようなものも、絶対ないというわけではないかというふうに思いますが、基本的にはやはり東京都の施策あるいは法制度の普及等を中心としたもの、それをわかりやすくといいましょうか、一般の方々に向けてわかりやすく出版していくというふうなことになろうかというふうには考えております。
 また、書店等を通じてということかということだったんですが、広く読まれる普及啓発のものということは、行政が出す場合もありましょうし、研究者の方あるいは都民が、活動なさっている方等がまたお書きになるものもあろうかというふうには考えておりますが、そういう資料につきましては、ウィメンズプラザの図書資料室でも収集いたしますし、あるいは出版社の方でも、今の情勢を受けまして、セクハラの問題等はかなり一般の出版物でもございます。出版していくこともあろうかというふうに考えております。
   〔たぞえ副委員長退席、委員長着席〕

○西田委員 情勢というか、新しい段階に入った問題についてはまた後ほどお伺いをしますが、お話をいたしますが、出版についてなんですね、東京都の出版。今、部長さんも東京都の施策を中心にしたものになるだろうというふうにお話がありましたので、それはもう間違いないことだと思うんですね。
 実は私調べてみました。そうしたら、東京都の出版物というのは、当たり前のことだと思うんですけれども、東京都の印刷物取扱規程というのがあるわけですね。そこで、妥当性だとか必要性だとか経済性だとか、内容の整理だとかいろいろチェックするということがありますね。これをどこで判断するのかというときに、生活文化局が--この印刷物の中にはチラシだとかビデオだとかパンフレットだとか本だとか、いろいろなものがありますから、軽微なものもしっかりしたものもいろいろあると思うんですね。軽微なものは各局が独自に出せる。全庁的に諮らなくても出せるというんですが、基本的には、印刷物委員会規程というのがあるんですね。ここでいろいろ検討されるということですね。この委員会規程で、だれが委員になるのかと見たら、委員長は総務局の総務部長ですね。それから、委員は政策報道室広報部出版課長、政策報道室都民の声部の情報公開課長、それから総務局総務部の文書課長、それから財務局経理部の契約第二課長、財務局の主計部の予算第一課長及び総務局総務部副参事法制担当の職にある者というふうになっているんですね。
 私は、この男女平等参画という問題というのは、先ほど来からいっていますけれども、やはり長い間の、戦後初めてですよ、女性に参政権が与えられたのは。それ以前は投票する権利もなかったんですからね、女性には。そこから始まって、新しい憲法のもとで男女平等というのが規定が入って、そしてそれを実現しようと本当に先駆的に頑張ってこられた多くの女性運動家たちの手によって、今日いろいろな形で前進してきていると思うんですよね。しかし、先ほど、法が整備されたといいましたけれども、現実はそんなに変わっているわけじゃないんですよ、慣行にしても制度にしても。でも、私は--昔は婦人部といったのが女性部になった。言葉が変わっただけで、やはり今考えてみますと、本当にこれは大したものだなと思います、改めて。しかし、そんなに考えが変わっているというものじゃないと思うんですね。
 もし本当に新しい状況になったというのであれば、私は、国会で、選択的夫婦別姓なんというのが法制審で答申で出されながら、いまだに、何年たっても、特定の会派の反対で法制化されないというこの現実だとか、あるいはこれは本当にもう現実に、男性が女性の方に籍を入れたとなったら、これも不便なものですよ、現実に。本当に一人の人間として、選択ですからそうやらなくてもいいわけなんですが、選択的な別姓をちゃんと法制化で、いろいろな事務手続上も混乱のないようにするとかというのは当たり前のことだと思うんですよ。何でこんなことが国会議員ともあろう人たちの間で意見がまとまって法制化されないのか。そういう状況一つ考えてみたって、法律ができたからってすぐ前進するわけじゃないんですよね。
 私は、そういう点で、この印刷物の検討委員会のメンバーが、男女平等参画問題を所管する生活文化局の人はいないわけですよ、全く。全くいないわけでしょう。経済効率とか、東京都のものであるかどうかとかいうだけの判断で決められていく。ここで私は、これまで国民や都民に待たれてきた、こういうウィメンズプラザ財団の権威あるというのかな、そのようなこれまでどおりの刊行物というのが絶対に出ない、出せないというふうに思うんですね。これはもう一回お聞きしようと思ったけれども、いいです。本当にそれは重大な問題だというふうに私は思います。
 さっきから繰り返しいっておりますが、財団の発行するものというのは、本当に歓迎されているんですね。個別に出版すればいいじゃないかといったって、そこが、この人はどういう考えの人なのよ、この人はどういう考えの人なのよ、わからないです、そんなもの、はっきりいって。いろいろなものをもちろん読んでみて、取捨選択は自分でやればいいわけですけれども、そういう意味ではいろいろな考え方が自由に、やはりいろいろな議論があるわけですから、財団として大いに考え方を普及して、そして男女平等社会づくりを進めていくという立場に立った出版物を出すということの意味は私は極めて大きいというふうに思います。「スタートライン」というビデオが十一年度出たそうですが、文部大臣の最優秀賞ですか、優秀賞をいただいているということもあります。こういう直営によって、このウィメンズプラザの心臓部ともいうべき、情報を発信するというここの部分が自由にできなくなる。これは重大な問題だし、財団であればこそ、そういうところが本当に自由闊達に進められてきたものではないかというふうに思います。
 それで、ウィメンズプラザがなぜ今日直営でなく、財団で運営されてきたのか、その経緯についてちょっとお話ししてください。

○高西女性青少年部長 東京都は平成元年度に、婦人問題協議会報告等を踏まえまして、東京ウィメンズプラザ、このときは仮称でございますが、の基本構想を策定し、男女平等参画社会の実現を目指す活動の拠点として東京ウィメンズプラザを設置することといたしました。その管理運営方式につきましては、当時から直営を含めさまざまな議論がありましたが、その時点では、都民ニーズへの柔軟な対応ができるという運営のメリットが強調され、委託による公設民営方式とすることとなったものでございます。
 なお、先ほどの出版物のことに関しまして少し申し忘れたことがありましたので、補足させていただきたいと存じます。
 確かに東京都が出版するものといたしまして、先ほど申し上げましたように東京都の施策あるいは法制度の普及等々一般普及用のものを含めて、それが中心になろうかというふうには考えておりますが、財団等が発行してきておりますようなものにつきましては、先ほども都民やボランティアの方々あるいは研究者の方々が発行することもあると申し上げましたが、そうした場合に、現在も民間活動助成という制度を財団を通じて行っているところでございますが、直営化後におきましても、この活動助成を通じまして側面からは支援してまいりたいというふうに思っております。
 また、これはちょっと蛇足かもしれませんが、今後はまたインターネット等を通じましても幅広い普及啓発を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

○西田委員 今のご答弁ですけれども、いずれにいたしましても、やはり活動を支援するというのは当然のことなんですけれども、そういう点でこれまで積み上げてきたそういうすぐれた実績の上に立って信頼されてきた財団の刊行物というのがなくなるというのは、これ自体私はやはり重大な問題だというふうにいわざるを得ません。
 それで、このウィメンズプラザがなぜ公設民営になったのかというのは、これがようやく、もう何十年も前から婦人会館の構想があって、なかなかできなくて、ウィメンズプラザができるとなったときに、九〇年ごろですか、公設民営にという、婦人問題協議会の答申にそういう方針が入って、そしてそういうところで活躍されておられた方々、この方々は恐らく本当に先駆的な女性問題の取り組みを進めてきた方々だと思うんですね。そういう方々が有志で直筆で署名して、都知事に直接お会いして、それは生活文化局長が大変な取り計らいをしてくださったそうですけれども、鈴木知事にお会いして、公設民営でやってくれということを要望してなったということなんですよね。
 それで、なぜ公設民営でということを主張したのかということが、このウィメンズプラザの五周年を記念した記念誌の中に、そういう関係者の方々がるる述べておられるわけですね。新しい社会の課題に敏感で小回りのきく民間NPOとかNGOなどが、社会の問題が複雑になる中で、行政ではカバーし切れない問題に取り組んでいるだとか、あるいは人の心や価値観、意識を揺り動かす、精神や内面の問題は、行政よりも、いわば民間の財団で行う方が身軽だし、弾力的に実施できるんだ、それから女性たちの拠点をつくるなら公設公営では限界がある、民間ならではの自由な発想と手法をもって女性の視点を生かした運営が必要、そのためには女性問題の解決を設立目的とする独立法人をつくり、運営をゆだねるべき、こういうことがいっぱい書かれておりまして、今答弁がありました、ニーズに柔軟にとか、そういうことの内容はこういうことだと思うんですね。
 私は、これまで世界女性会議などを重ねられて、国内的にも国際的にも女性問題の解決というのが大きく前進してきたと思うんですけれども、昨年の六月にニューヨークで開かれました国連の特別総会、女性二〇〇〇年会議では、男女平等政策の推進及び実施や北京宣言及び行動綱領の実施に関して、どのようなことが強調されているのでしょうか、これをお聞きしたいと思います。

○高西女性青少年部長 女性二〇〇〇年会議の成果といたしまして、政治宣言及び北京宣言及び行動綱領実施のためのさらなる行動とイニシアチブ、いわゆる成果文書でございますが、が採択されております。
 政治宣言では、女子差別撤廃条約の完全批准、男女平等の推進に向けた男性の関与と共同責任の強調、またNGO及び女性団体の役割と貢献の再認識等がうたわれております。
 また、いわゆる成果文書におきましては、北京会議以降の状況を踏まえ、女性に対する暴力や教育、健康に関する取り組みなど、行動綱領の実施に向けた各国政府等の行動を提言しております。

○西田委員 今、政治宣言の内容がお話しになられましたけれども、報告書を読みますと、至るところに、政府の責任と同時に、女性NGOとの連携とかパートナーシップとかということが非常に強調されているんですね。それが今の世界の水準なんじゃないかというふうに思うんですけれども、そういう立場で見た場合、この東京女性財団を通してのウィメンズプラザの運営の仕組みというのは、仕組みですよ、どのように評価できるでしょうか。

○高西女性青少年部長 東京都は、男女平等参画社会の実現を目指す活動の拠点としてウィメンズプラザを設置し、管理運営を東京女性財団に委託しております。これまでもウィメンズプラザの運営につきましては、設置条例や都の方針に沿いまして、場の提供や情報の提供等を行い、利用者の方々とも意見交換を行いながら、都民活動の支援に努めてまいりました。直営化後のプラザの運営に当たりましても、民間とも連携し、都民ニーズへの柔軟な対応やサービスの向上を図ってまいりたいと考えております。

○西田委員 もう終わりにしたかったんですが、今私は今後どうするかという話を聞いたわけではなくて、仕組みとしてこの女性財団に委託したウィメンズプラザの運営ですね。その根底にはさっきいろいろるる述べたような考え方があって、運営されている。こういうNGOとの連携とかパートナーシップとかという点では非常にすぐれた制度として、仕組みとして存在しているのではないかというふうに思っているんですが、その点ではどうですか。

○高西女性青少年部長 女性財団が設立されました平成四年、あるいはウィメンズプラザが設置されました平成七年の当時におきましては、民間の方々あるいは団体等の方々と連携するに当たりまして、財団というものが弾力的運営ができるということで採用されたものというふうに考えております。ただ、今日、行政とあるいは民間とが連携していく場合に、必ずしも財団という形式をとることしか方法がないのかどうかということは、いろいろ議論があろうかというふうに考えております。行政とNPOとの連携に当たりましても、新たな協働方式というものが考えていけるのではないかというふうに思っております。

○西田委員 今は財団には理事会があり、それから評議員会という、まさに仕組みの中に都民参加という仕組みがきちんとあるわけですよ。活動が、先ほどからいわれているような出版物にしても自由な発想である程度活動ができる。そういう意味では、本当にNGOとの連携あるいはパートナーシップという点で考えた組織形態のあり方としては、私は、財政なんかの問題を考えればどうかというのは皆さんおっしゃるかもしれませんが、そういう意味では非常にいい形で先駆的な形をとっているんじゃないかというふうに思わざるを得ないわけであります。
 そこで、最後の質問になりますが、これは事務的な質問です。財団廃止の場合にはどのような手続が要るのか、どんな要件があれば廃止になるのか。それから、条例の改正というのはあるのかないのか、これは事務的な質問でお願いします。

○高西女性青少年部長 財団の解散の手続についてでございますが、東京女性財団寄附行為第三十五条によりまして、理事会、評議員会の決議と主務官庁の許可があったとき解散することができると定めております。
 また、東京ウィメンズプラザ条例の改正でございますが、東京ウィメンズプラザは、ウィメンズプラザ条例により設置された東京都の施設でございます。同条例第十三条では、知事は、財団法人東京女性財団に対してプラザの管理運営に関する事務のうち、知事が指定する事務、プラザの施設等の維持管理に関する事務を委託することができると定めておりまして、財団事業の直営化に当たりましても、条例改正の必要はございません。

○西田委員 今のは聞きおきますが、私は最初に男女平等訴訟支援について伺いました。本当に小さな費用で実に大きな成果を上げたのに、これが男女平等参画基本条例が通ったときに切られてしまったということですね。それからいよいよ本格的に男女平等参画社会を目指して施策の推進あるいは実践に当たって、今世界的にも呼びかけられているNGO、官と民のパートナーシップの強化など、そういう世界の水準から見てもまさに先駆的な役割を果たしていると皆が思っている女性財団を廃止するという、この世界の流れとも女性たちの願いとも逆行した石原都政の方向というのは、私は都民や女性たちの決して納得を得ることはできるものではないというふうに思います。
 予算の点でいえば、本当に七千二百万円でしょう、削れるのは。第三セクターなんか、何ですか。もう本当に一千億円も借金しているような、それに何も手をつけないで、本当にわずか、削ったって、内部努力七百二十億円の〇・一%、そしてみんなが望んでいるこの女性財団からつぶしていくなんというこんなやり方自体を私たちは認めることはできない。
 これから予算議会に向かって本格的な論戦が展開されると思いますけれども、この女性施策を担当する生活文化局としては、私はやはり根本から再検討すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

○藤田委員 実は、私が質問しようと思っていた事柄が西田さんとほとんどダブりましたので、予定の質問の間を質問させていただきますので、ちょっと質問内容と違うところでお答えをいただきたいというふうに思っております。
 先ほどお話がありましたこの訴訟支援の試行でございますけれども、私たち生活者ネットワークが復活予算の中にこれを提案をしまして、一千万円のお金がついたというところからこの問題が始まったわけでありますけれども、この都の試行であった訴訟支援と、それから今行われている民事法律扶助法ができた後の違いというものがありましたら、教えてください。

○高西女性青少年部長 東京都が平成十一年度に試行いたしました訴訟支援制度と、国の制度であります民事法律扶助制度の比較ということでございますが、東京都の訴訟支援制度におきましては、夫やパートナー、その他の者からの暴力、あるいはセクシュアルハラスメントなどの被害を受けた者が訴訟支援を受けるということでございます。国の民事法律扶助制度につきましては、その対象が必ずしもセクハラあるいは暴力というふうに限ったものではなくて、民事裁判事件全般ということになっております。
 また、立てかえ条件等あるいは審査基準等につきましては、基本的には同じということになっております。

○藤田委員 所得制限があるというふうに伺っておりますけれども、これについてはどのような所得制限であって、そしてそれは国と都の制度とは同じだったのか、違ったのかを教えてください。

○高西女性青少年部長 所得制限でございますが、資力に乏しい者ということで、単身者で年間所得が二百四十万円未満の者、これは世帯の状況等によって異なってまいりまして、これは都の試行におきましても、国の制度におきましても、同じ基準でございます。

○藤田委員 それでは、今回ウィメンズプラザを直営化するということでしたけれども、DVなど、いわゆる家庭内暴力に重点的に取り組む必要があるということがいわれておりますけれども、今行動計画がつくられておりますけれども、この中で、DVに関して新たな取り組みはどんなふうなことがありますでしょうか。

○高西女性青少年部長 家庭内等における暴力への対策についてでございますが、本年一月、男女平等参画審議会がまとめた行動計画の基本的な考え方の中間のまとめにおきましても、三つの柱のうちの一つに挙げられております。その中で、都に求める取り組みの方向として、各専門機関相互の連携や緊急対応機能の強化、また相談体制の充実等が提言されております。今後、男女平等参画審議会の最終答申を得て行動計画を策定してまいりますが、家庭内等における暴力への対策につきましては、積極的に盛り込んでまいりたいと考えております。

○藤田委員 それでは、ちょっと数字的な問題ですが、平成十一年のDV、セクハラ、性暴力に関する相談状況、数のものはどんなふうになっているでしょうか。できましたら、前後の年がわかればいいかと思います。

○高西女性青少年部長 ドメスチックバイオレンスあるいはセクハラについての相談状況ということでございますが、ウィメンズプラザにおきましては、平成十一年度は、内容分類はちょっとこの時点ではとれておりませんが、ドメスチックバイオレンスあるいはセクハラ等合わせまして、一年間で六百四十七名の相談がありました。一般相談全体は六千三百九十二名でございまして、そのうちの六百四十七名ということでございます。
 また、平成十二年度は十二月までの数字でございますが、一般相談全体五千三百二十三名のうち、ドメスチックバイオレンス等は七百五十五名というふうになっております。その内訳といたしましては、ドメスチックバイオレンスが四百十五名、セクハラが百八十五名、その他ストーカー、レイプ等というふうになっております。
 そのほか、女性相談センター等でも相談を受けつけております。

○藤田委員 それで、先ほどお話しの、いわゆる行動計画の中でございますけれども、この相談機能に対しては、都に求める取り組みの方向としてというふうにありましたが、各専門機関相互の連携や緊急対応機能の強化というようなことは実際には今まではどんなふうに行われていたのでしょうか。

○高西女性青少年部長 家庭内暴力等に対応します各相談機関の連携ということでございますが、東京都におきましては、平成九年度に暴力に関する実態調査ということを行いまして、大変深刻な被害状況等が明らかになったことを踏まえまして、平成十一年度から女性に対する暴力についての庁内の連絡会を設けております。また、平成十二年度からは、これをさらに家庭内等における暴力についての連絡会ということで、福祉局、教育庁等々庁内各局、あるいは警視庁、区市町村の福祉事務所、あるいは民間シェルターの方も入っていただきました連絡会を持って情報交換等を図っているところでございます。

○藤田委員 それでもう一度、緊急対応の強化の機能や専門機関の相互の連携というのは、その相談体制の中でどのように行ってきたんですか。

○高西女性青少年部長 申しわけありません。お答えが漏れてしまいましたけれども、緊急対応の機能の強化ということでございますが、これは、現時点におきましても、それぞれの相談機関で個別ケースに即応しまして、緊急な事情のある者につきましては、そのニーズに対応するように努力しているところではございますが、組織的な対応ということになりますと今後の課題かというふうに考えておりまして、なお一層緊急体制がとれるように今後検討してまいりたいと考えております。

○藤田委員 今、相談を受けて、緊急な対応をとらなくちゃいけないときには、例えば弁護士さんを紹介するとか、あるいはシェルターに紹介するとかということはしてないんですか。

○高西女性青少年部長 それぞれの相談機関で必要に応じましてやっているところはございます。

○藤田委員 私はやっているんだと思っていたんですよね。実際にこういうことが、相談体制の充実というようなことが、ウィメンズプラザを直営化することの大きな柱になっているといっているんですが、いや、実はちゃんと連携もよくして、そして相談体制もきちっととっているよと、これまでも私はいわれてきたのを聞いているわけなので、その点については、これが、だから直営化なんだという話はちょっと納得がいきません。
 それから、この相談に当たっている方々はどのような身分の方ですか。

○高西女性青少年部長 相談に当たっている職員でございますが、ウィメンズプラザにおきましては、非常勤の相談員あるいは再雇用の相談員が当たっております。また、女性相談センターで都の職員及び非常勤の相談員がおりますし、精神科医等もいるというふうに聞いております。また、区市町村におきましては、婦人相談員、母子相談員等が相談に当たっているところでございます。

○藤田委員 それで、非常勤の相談員ということでありますけれども、この方々は東京都の職員ですか、それとも女性財団の職員ですか。

○高西女性青少年部長 非常勤の職員は、現在は財団の職員でございます。

○藤田委員 私は予特のメンバーでもありますので、これ以降は予特の中でお話をさせていただくことにいたしまして、この女性施策については終わりにしたいと思います。でも、これからというときだというふうに私も思っていまして、現在のいわゆる性的役割分業の社会は全く変わっていない。基本法ができた、あるいは条例ができたからといって、全く変わっていないのではないかというふうに思っていますし、これからだと思いますし、男女平等雇用機会均等法ができた後の状況を見たときに、女性たちは、どちらかといえば、男性と同様に働かされるというようなことから含めて、それは少子化の一途をたどっているということを私は考えざるを得ないというようなことを思っています。
 さて、子どものことについて何点かお尋ねをしたいと思います。
 青少年問題協議会で、総合的な子どもの権利条例が必要だというような答申が出たわけでございますけれども、生活文化局ではどのような取り組みをこれについて考えましたでしょうか。

○高西女性青少年部長 青少年問題協議会の答申は、家庭や地域、学校など、子どもたちが生活する場において、虐待など権利侵害があった場合の救済のみならず、幼児教育の大切さやメディアによる有害情報の問題など、子どもが健やかに成長するための環境整備等について幅広く提言しております。当局におきましては、この趣旨に沿って、地域の健全育成活動への支援あるいは健全育成条例の運用など、さまざまな取り組みを進めてきたところでございます。
 また、子どもの権利条例につきましては、平成十一年度に福祉局が、子どもの権利条例(仮称)の研究会を発足させたことに伴いまして、関係局として参加し、検討を行ったところでございます。

○藤田委員 その中の、今検討を行ったというふうにありますが、生活文化局としてどのような検討を行ってまいりましたでしょうか。

○高西女性青少年部長 その検討会のメンバーは、福祉局を中心といたしまして、教育庁、総務局の人権部、そして生活文化局の青少年課というメンバーでございまして、関係各局が合同して、子どもの権利擁護あるいは権利の保障というものにつきまして具体的にどういうふうに取り組むべきか、あるいは権利の概念はどういうふうに整理されているのかということと、あるいは第三者機関の設置の妥当性等について検討したというふうに聞いております。

○藤田委員 それでは、この条例については--ちょっと読ませていただきたいんですが、研究会報告の中にあるんですが、平成十一年四月の第二十三期東京都青少年問題協議会答申についてなんですが、子どもの権利の重要性を社会認識とするとともに、子どもを含めた都民も自治体行政も、その理念に基づいた活動を実現していくために、子どもの権利や都民の責務などを明文化した条例の制定が必要である。条例の内容としては、自治体に対する条約の実施の義務づけ、子どもの関係施策の総合的推進の義務、第三者機関の設置、子どもの意見表明権ないし参加権の保障、広報の義務などが考えられ、子どもの権利の大切さを示し、多様な分野において子どもの視点に立った施策を総合的に推進するために指針となることが期待される、と答申をして、第三者機関の設置などを含んだ子どもの権利に関する基本条例の必要性を提言をしているというふうにこの研究会報告の中にも書いてあるわけなんですね。
 それで、総合条例ということで生活文化局、それから教育庁、それからその部署があります中心になっている福祉局というふうになっているんですが、実はその中で、青少年健全育成条例の一部改正でいいじゃないかとかというような話も当時あったように聞いておりますけれども、この青少年健全育成条例とこの子どもの権利条例というようなものについての、どういうふうにこれとの整合性といいますか、そういうことはどういうふうに生活文化局の中では検討がなされたんでしょうか。

○高西女性青少年部長 当局が所管しております青少年健全育成条例は、青少年の環境の整備を助長するとともに、青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止し、もって青少年の健全な育成を図ることを目的としております。本条例は、大人の側から、青少年が健やかに生活し成長していく環境を整備することにより、側面的な支援、例えば不健全図書類の販売、閲覧等の制限、また性に関する健全な判断能力の育成などを行うことについて定めておりまして、子どもの権利に関する条例というものとは即、則するもので必ずしもないというふうに考えております。

○藤田委員 基本的にどこに視点を置くかということが本当は全く違うわけなんですよね。大人が子どもたちが育つ環境を整備をしていくというのが健全育成条例の考え方だと思います。子どもの権利条例というのは、子どもの最善の利益をどういうふうに考えるかということで、実際に子どもたちにどういうふうに意見表明権を出させるのかというようなことや、子どもが本当に生きていく権利があるんだというようなことを明記をしていくというようなこと、そういう条例が必要なんだというようなことがその時代背景を受けて、児福審の中でも提言をされ、そして青少協の中でも提言をされたというふうになっているんです。
 実は、これはもうご承知のことだと思いますけれども、ことしの三月三十一日までに条例を提案するということが約束をされていました。しかし、今もって全くそういう状況にはなっていないというふうになっているんですけれども、この辺についてはどんなふうに考えられているでしょうか。

○高西女性青少年部長 子どもの権利条例につきましては、都として、これまでも関係各局でさまざまな角度から検討してまいりましたが、子どもの権利の概念について多様な意見があり、また、その権利保障をどうとらえ施策を進めていくかにつきましては、慎重に対応していく必要があると考えております。今後、東京の子どもが置かれている状況を幅広い視点からとらえまして、家庭、学校、地域などの生活の場において子どもの健全育成のための環境整備に努めていく必要があると考えております。

○藤田委員 子どもに対してとにかく権利を与えたら、そこにはただわがままにするだけだというような意見が一部あります。しかし、私たちは、この青少協の中で淫行処罰規定を入れようか入れまいかといったときに、初めのときに、知事、そのときは鈴木知事だったと思いますけれども、自己決定能力をどういうふうにはぐくんでいくのかということによって、この淫行処罰規定は入れないでおこうというような大変すばらしい結論を出されて、あのときには入らなかったというのがありますが、子どもたちが人権を守られているというようなことを自覚をするということは、すなわち大人にしていく、そして人権感覚を持った大人になっていく、ここをどういうふうに教育していくかということによって全く変わってきてしまうわけでありますから、今女性の権利というようなことも含めて、こういう権利意識というものが全く教育をされないままに、私たちのこの日本の中では施策が行われ、そしてこれこそ行政がきちっと考えなければいけないことだと思っているんですが、なかなかそこが、慎重に慎重にというようなことで、本当にある意味で大人にならせるということをいつまでもおくらせてしまうような日本の社会だなということをつくづく感じるわけであります。
 この点については、例えば今は、生活文化局は一筋、心の東京革命ということでやっていらっしゃるようですけれども、これとてもやはり大人の社会が悪いんだ、だから子どもたちをどうしようかとなったときに、子どもたちに何々させるというようなことになってくること、これはやはり子どもを一個の人間として扱っていないような、そういうような私には施策に思えてならないわけです。片方で、やはり子どもの権利というものをきちっと考えた上で、一緒にルールを考えていこうよということであれば、それは大変すばらしい高邁な考え方になろうかと思いますけれども、子どもは隷属物、子どもは保護するだけということでは、日本が子どもの権利条約を批准したその意味がないのではないかというふうに思いますけれども、局長に最後にその点についてお尋ねをして終わりにしたいと思います。

○高橋生活文化局長 まず最初に、心の革命のことが出ましたので、それから触れておきたいと思いますが、今先生、させるという話で子どもを隷属云々というふうにお話しされましたけれども、あの表現はあくまで親の責任を、つまり子どもに対していろいろなルールを伝えていく責任が親としてあるわけでございまして、そういう角度から、あくまで親に向けて、させるという表現をしたわけでございまして、そういう意味で、子どもを隷属的に扱うというようなことは毛頭考えておりませんので、その辺はぜひご理解をいただきたいと思います。
 それと、その問題に絡んでなんですが、子どもの権利条約の中で、保護の対象からある意味では自立的な子どもをということが権利条約の中でいわれているということは私ども承知をしておりまして、そういう意味で子どもの意見表明の話とか、子どもの主体性を強調したことが条約の趣旨であるということは理解しております。しかしながら、そのことが直ちに子どもの権利というふうな形で、権利というのはある意味では社会的にその権利を保障する、担保する、だれが担保するのか、どういう機会に担保するのかというような極めて法的な問題でございまして、その権利というようなことについてはさまざま法律との関係もございますし、どういう場面でそういうことが問題になるかということもいろいろあろうかと思います。
 したがって、一般的な子どもの権利というふうなことを直ちに法なり条例にするということについては、逆の、例えば親子関係でそれを、意見表明を親子関係で権利というのかというような具体的な問題もいろいろあろうかと思います。したがいまして、その権利等につきましては、子どもの権利条約の研究会の中でも触れられておりますけれども、その内容あるいは取り扱い等については、まさに慎重に取り扱うべきものだろうというふうに思います。
 しかしながら、例えば意見表明等につきましては、具体的なそういう場を、例えば私どもの局でかつて青年会議というようなことをやりましたが、現在でも青少年の主張の大会等ということを通じて、子どもの発言の場というか、そういうものを設けているわけでございます。したがいまして、権利条例の問題については極めてさまざまな問題があろうかと思いますが、そうした条約の中の基本的な趣旨そのものについては、お国柄も違いますし、それから法的な取り扱いについてもいろいろ問題あろうかと思いますが、発言等の場を確保するというような趣旨等については、具体的な政策の中で生かしていきたいというふうに思っております。

○藤田委員 終わりにしようかと思ったんですが、させるというようなことで隷属物と考えていないというふうにおっしゃいましたけれども、実は地域の中で、大人が、石原知事がお墨つきをつけてくれたから、だから私たちはこれで子どもをしかれる、あるいは怒れる、あるいは注意ができる、こういう声が上がるような状況が今の東京の親の状況です。そしてなおかつ、親子関係の中で子どもの権利というような話がありますけれども、これが崩れているからこそ虐待が起きているんではないですか。虐待というものは親子関係で権利というようなことを考えない、そういうことが、すなわち親の権利が認められていなかったというような状況の中で初めてこれが連鎖をしてくるということが私は虐待の大きな問題だと思っています。
 そしてなおかつ、権利というものはきちんと憲法の中にも書かれておりますし、それをどういうふうに実践をさせるのか、そしてこの条約を批准をしたということは、子どもの権利基本法というようなものをつくりなさいというようなものがあったにもかかわらず、実際日本は法律を変えてこなかったというような状況があるわけですので、もう一度その辺については今の状況をさらに見直していただきたいというふうに私は思います。
 以上です。

○丸茂委員 現在、コンピューターを初めとした共同通信技術、ITの発展は、人類の文化、技術の発展の中でも画期的な一段階を開きつつあります。特にインターネットの発展と普及は、世界じゅうのコンピューター同士の通信を可能にし、既に国民の二割以上、通信白書によりますと、利用者数で、九九年度末で二千七百万人を超える、こういう人が利用しているといわれております。多様な情報を入手し、発信する新しいコミュニケーションの手段になっています。そういう中で、最近私は、ウエブキャッシング、インターネットでできるキャッシングサービスという車内広告が山手線に掲載されているのを見まして、インターネットがどこまでどういう分野まで多様化していくのか。便利さと同時に心配な側面も感じざるを得ませんでした。そうしたもとで消費者行政においても多様なトラブルが発生するなど、新たな対応が求められていると考えます。都民にとってインターネットを有効に活用できるようにするための本格的な方策をとることが重要ですし、また、インターネットを利用した新たな犯罪防止や、インターネットのもたらすリスクへの対応なども当面重要だと考えております。
 そこで何点か伺います。
 まず、インターネットが急速に普及しているもとで、インターネットに関する相談も増加しているのではないか。都及び区市町村等への相談件数と推移はどうなっているのか、お伺いいたします。

○中澤消費生活部長 相談の件数と推移でございますけれども、都それから区市町村の消費者センターに寄せられましたインターネットに関する消費者相談件数は、平成九年度三百五十四件、十年度七百五十八件、十一年度一千百四十六件と、年々増加しております。今年度、十二年度につきましては、二月七日現在で相談のデータベースに入力済みの件数で二千百九件と、前年度を大幅に超える相談が寄せられております。

○丸茂委員 本委員会に提出いただいた東京都消費生活総合センターの相談件数の推移と特徴、この決算の十一年度、インターネットに関する相談の増加が特徴といわれたことが今の件数によっても明らかになったと思いますし、十一年度で急速にふえた。それがさらに倍加する勢いでふえているということがわかったわけですけれども、それでは、相談の内容は主にどういうものがあるか、それもお伺いいたします。

○中澤消費生活部長 インターネットに関する相談を見ますと、契約、解約等含みますけれども、そういうものに関するものが最も多くて、続きまして販売方法ということになっております。これは、インターネット以外の相談と同じような傾向でございます。
 具体的に幾つか例示をさせていただきますと、インターネットが使い放題で、プロバイダー料金が無料といわれてパソコンを購入したけれども、サービスが中止になってしまった。しかし三年間は解約できないというようなことがあったとか、あるいはインターネットで商品を購入するために代金を支払ったけれども、品物が着かない。ホームページもなくなってしまって、事業者と連絡がとれなくなった。あるいは、インターネットを利用していたら身に覚えのない国際電話につながってしまって、法外な電話料金が請求された等々、その他マルチまがい商法、あるいは個人情報の漏えい等、さまざまな相談がございます。

○丸茂委員 今、身に覚えのない国際電話に通じたという話も出たのですが、インターネットを利用した電子商取引、これは国際的な取引も可能とするものです。そういう点で、国際的な取引や契約に関する相談、これはどういうものがあるのか。また、消費者を保護するためのルールだとか、保護だとか、その点はどういうものがあるか、お伺いしておきます。

○中澤消費生活部長 都内の消費生活センター等に寄せられたインターネットにかかわる国際的な取引、契約などに関する相談は、件数としては、平成十一年度でもまだまだ十件足らずという、わずかでございます。
 ただ、その内容といたしまして、先ほどと同様に例示で申し上げますと、インターネット通信販売でイギリスから化粧品を取り寄せたら二回届いてしまった。一回分は返品したのだけれども、請求は二回分来た。あるいはインターネットで養毛剤を購入した。注文時の説明は英語文だったのですが、品物と同時に届いた日本語の説明書には、高血圧あるいは心臓病の人は使用できない、こう書いてあって、むだになってしまった。あるいはインターネットを利用して、海外の業者に雑誌の購読の申し込みをして、途中で取り消しをしたのですが、それでもその後も半年分カードから引き落とされてしまった。こうした例の相談がございます。
 また、インターネットにかかわる国際的なルールでございますけれども、こうしたルールのうち、消費者保護の観点からは、経済協力開発機構、OECDでございますが、それが電子商取引における消費者保護のためのガイドラインを平成十一年十二月に公表して、各国においても、このガイドラインに沿った取り組みがなされていると聞いてございます。

○丸茂委員 各国でも、OECDのガイドラインに沿って取り組みがされていると。日本国内では、昨年いわゆるIT基本法も成立したわけですけれども、それではこの電子商取引の国内の分、これはどういう状況にあるか、お伺いいたします。

○中澤消費生活部長 インターネットは電子データを利用して、企業間だけでなく、個人でも安価に、迅速に国際間での情報交換ができるという大きなメリットがございます。日本の国際競争力の点からも進展が望まれるものでございますが、一方で、当事者の実態がつかみにくいなど、匿名性が強くて、データの漏えいあるいは改ざんが容易である、そういう、従来のルールでは対応できない問題もございますので、法整備が必要でございます。
 国は、インターネット進展のためにIT基本法を定めたほか、電子データによる取引の安定化のために電子署名や書面交付義務の免除、他人になりすまして不正アクセス行為の禁止等の法整備を行いました。
 また、事業者に対しては、ホームページなどの画面上で消費者が商品の相手方を確認できるように、商品や事業者名等の明示を義務づけるなどの法改正を行っております。
 さらに、電子商取引について、現行民法の特例を定める法案や、あるいは個人情報保護のための基本法案が今国会に提出をされる予定と聞いてございます。
 このように、急激に進展するインターネットの実情に合わせて、法整備が次々と行われている状況にございます。

○丸茂委員 それでは東京都はどうなのか。先日いただきました都庁改革アクションプランでは、電子商取引などの普及に伴って発生する犯罪から都民を守るため、セキュリティーの必要性について、事業者、利用者への指導、啓発することが求められますと、こう述べているわけですけれども、東京都における相談事業、あるいは事業者等においてはどのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。

○中澤消費生活部長 消費者から寄せられました相談につきましては、消費生活総合センターは、問題の解決に役立つように適切な助言に努めて、必要に応じて関係機関を紹介したり、あるいは事業者との交渉、あっせんを行っております。
 特に、電子商取引等の新たな取引形態や、被害の多発をしている業態については、適切な対応を図るために、体制を強化もしているところでございます。
 また、電子商取引をめぐるトラブルの防止のために、消費者に対してホームページやあるいは生徒向けの副読本等、多様な方法で積極的に情報提供をしているところでございます。
 事業者に対しましては、インターネットを利用した不適正取引行為を是正し、取引の適正化を図るため、事業者調査、指導を行うとともに、関係する事業者団体等と連携して、電子商取引の健全な進展を図っているところでございます。

○丸茂委員 日々急速に多様化し、発展しているインターネットですけれども、やはり東京都自身も何らかのルールをつくって指導に当たっても、あるいは消費者に対しても事業主に対しても、きちんとした対応が求められるのじゃないかというふうに思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

○中澤消費生活部長 インターネットにかかわる消費者トラブルは、先ほどもお話がございましたが、国際的な広がりを持っておりまして、単独の自治体内のルールでは十分対応できないという特性があると思っております。
 また、先ほど申し上げたとおり、インターネットにかかわる国内ルールは、法整備の過程にございます。都としては、まず消費者相談や事業者調査、指導等を通じて消費者被害の実態を把握をして、問題点を分析、抽出をしていくという必要があると思っております。都民が安心して電子商取引のインターネットのメリットを活用していただくというためには、今後インターネットの進展とともに、重要性を増していくと考えております。
 これまでも電子契約法の制定について、国に提案をしてまいりましたけれども、これからもインターネットの特性に応じた民事ルール、あるいは紛争解決への国際的取り組み等、法の整備やシステムづくりなどを、消費者被害を未然に防止するという観点から積極的に国に働きかけをしていきたい、こう思っております。

○丸茂委員 東京都自身、いろいろなケース、対応もこれまでもしてきたわけですから、国もいろいろ法整備なり条件整備をやっているということですけれども、東京都自身も、やはりこういうルールに合うべきだという点では、私は前向きな取り組みを強く要望しておきたいと思います。
 そういう中で、これの相談業務も大変だと思うのです。インターネット、これだけ日々多様化し、急速に進んでいる状況のもとで対応されている職員の研修等、その点はどうされているのでしょうか。

○中澤消費生活部長 相談業務にかかわる相談員あるいは職員に対しましては、消費者関連の法律の改正、電子商取引所等の新しい業態の知識等について講座方式の研修をやっておりますし、また弁護士等のアドバイザーとのケーススタディー方式による研修等も行っております。あるいは都独自の研修のほかにも、国民生活センター等が実施をする外部研修への派遣研修も行ってございます。
 取引形態が新しく、技術的変化も激しいために、相談の解決に多くの困難が伴いますインターネットを利用した電子商取引などにつきましては、今後とも、都と区市町村相談職員等に対する研修を行いまして、専門性を高め、相談の適切な処理に努めてまいりたいと考えております。

○丸茂委員 では最後に、今、国がIT革命の一環として、今年度からも補正予算等で情報通信技術講習推進特例交付金等、都道府県に基金をつくり、区市町村等を通じて住民に対するインターネット講習等が進められる、そういう状況になっております。
 そういう中で、単にインターネットを利用促進、普及するというだけでなくて、例えば初心者がコンピューターの操作を誤って不必要な契約をしてしまった、こういう場合も考えられるわけで、セキュリティーなども含めたインターネットの賢い利用というのですか、そういう講習の中にきちんと位置づけて、やはり普及を図るべきだというふうに考えますけれども、生活文化局として、これまでの蓄積を含めてどう対応されていこうとしているのか、お伺いいたします。

○中澤消費生活部長 電子商取引をめぐるトラブルの防止には、事業者側の適切な対応はもちろんのこと、消費者自身が契約についての知識と、インターネットやIT技術を使いこなす、情報リテラシーと一般的にいっておりますが、いわば情報を上手に使いこなす能力を身につけることが大事だ、こう思います。
 情報通信技術講習推進特例交付金制度などの、住民を対象とするインターネット講習会の機会は、今後どんどんふえてくるのだろうと思っておりますが、庁内関係部局や区市町村等が講習を行う際には、その内容が消費者としての情報リテラシーを配慮したものとなるように、トラブル事例を踏まえて、インターネット利用上の問題点や注意点等を積極的に情報提供をしていきたい、こう思っております。

○吉田委員 それでは私は、この機会に、生活文化局が所管をいたします文化政策、文化行政の基本点に絞って、質疑をさせていただきます。
 一九九九年、平成十一年の一月に、東京都は、二十一世紀への提案、文化都市ビジョンというものを発表されました。これは東京都自身が取り組むだけではなく、区市町村あるいは民間企業も含めて、どういう方向で東京の文化政策、文化行政を進めていくのかという基本的な方向性を明らかにしたものだと思いますし、当然、東京都自身がこれをどのように具体化していくのかという責任が問われていることだと思うのですが、初めにこの文化都市ビジョンの性格、及びどのようにつくられたのか、簡潔にまずご説明をお願いいたします。

○三好コミュニティ文化部長 平成十一年一月に発表しました文化都市ビジョンでございますが、まずビジョンの性格といたしましては、おおむね二〇一五年ころ、二十一世紀の初頭を目標に置きまして、文化都市としての東京のあるべき姿、すなわちビジョンを展望いたしまして、その実現に向けて都民、芸術文化団体、行政等々が力を合わせて取り組むという提案でございます。
 その策定の経緯でございますけれども、次代の東京が豊かな都市となるためには、文化の視点から東京を見直す必要があるということで、平成七年十月に、文化にかかわります各分野の専門家で構成いたしております東京都文化懇談会に、文化都市ビジョンの基本的内容について諮問いたしまして、平成八年十二月に答申を得たわけでございます。
 その後、庁内関係部局での検討を行った上で、さらに都民、区市町村などのご意見を聴取いたしまして、平成十一年の一月に取りまとめたという経緯でございます。

○吉田委員 東京都の提案ですけれども、今お話にありましたように、専門家の方々の文化懇談会の答申を受ける、それだけではなく、さらに各界の方々の意見も聞いてつくられた、それだけに、この提案自身を実行する東京都の責任というのは大きいと思うのです。
 文化政策といっても非常に幅広い範囲になっていますけれども、きょうは何点かに絞って、じゃあどのようにこの提案に基づいて東京都、あるいは生活文化局として努力をされてきているのか、努力をしようとしているのか、お伺いしたいと思います。
 先ほどの子どもの権利条約にも関連することでありますが、文化都市実現のための課題という章の中で、だれもが文化に親しむ、参画できる環境をつくるということが強調され、その中でも、とりわけ青少年が芸術文化に親しむ機会が限られている、これを大いに拡大していく機会をつくる必要があるのだということが、特別に見出しを立てて強調されているわけですが、この点ではどのようにこれを具体化されてきたのか、またされようとしているのか、お答えをお願いいたします。

○三好コミュニティ文化部長 青少年などの方々が芸術文化に親しむ機会を拡充するということで、この文化都市ビジョンの中では、学生ですとか家族などを対象とした各種割引制度や、施設共同割引利用券の制度でありますとか、さらには解説つき講演、ワークショップ、出張講演、広場などでのプレ講演など、幅広い観客層に働きかけ、引きつけるプログラムをふやすということを、ビジョンの中でうたっております。
 具体的には、例えば現在、生活文化局が所管しております江戸東京博物館やたてもの園、写真美術館などでは、できるだけ多くの児童生徒が利用しやすいような料金、案内面での便宜を図っておりますし、また学芸員などによる青少年対象のミュージアムセミナーなどを実施しておるところでございます。

○吉田委員 これは教育庁と一体で考えないと、生活文化局だけで考えると一定の限界もあるかと思いますけれども、やはり学校での鑑賞教室その他の促進も含めた、この分野というのは、本当に大きな力で取り組んでいく必要があるのじゃないかなと思っております。
 二つ目に、具体化で、この文化ビジョンの具体的な取り組みを定めた中で、とりわけ強調しておりますけれども、やはり芸術、創造にかかわる人材をはぐくむということを、二十七項目を定めた取り組みのトップに強調しております。
 これは私、以前から大変大事な課題ではないのかなと。例えば都市の発展という点でも、ニューヨークが復興していく上で、若手芸術家を大いに育成するということで、ニューヨークが文化の発信都市になっていくということが、ニューヨークの発展の中でも大きなモメントを占めたというふうに聞いておりますけれども、こうした目標第一で掲げた、いわば芸術、創造にかかわる人材をはぐくむ、あるいは若手芸術家の育成という点では、どのような取り組みがされてきたのでしょうか、されようとしているのでしょうか。

○三好コミュニティ文化部長 文化都市ビジョンの中で、芸術、創造にかかわる人材をはぐくむということでありますが、その後の具体的な都民の創造活動を支援するという中では、ビジョン実現のために関係者が取り組むべき具体的な施策といたしまして、例えば広範な関係者の連携のもとに、低廉な指導料で指導を引き受ける芸術家を登録し、指導者としてアマチュアの文化団体に派遣する体制を整えるでありますとか、あるいは区市町村の文化施設、低廉な民間施設等の練習施設や発表する場所に関するネットワークをつくるといったような、都民の創造活動を支援する施策、取り組みが掲げられているところでございます。

○吉田委員 それは読めばわかることなんですけれども、具体的にどのように現実の問題として努力をされているか、もう少し。

○三好コミュニティ文化部長 先ほど申し上げましたように、このビジョンは関係者が取り組むべき具体的な方策ということで掲げられておりますので、こういったものをさらに具体化し、そのうち東京都が都の施策としてやるべきもの、あるいは民間団体がやるべきものを、もっと整理していく必要があるというふうに考えております。
 そういった意味で、昨年十二月に、私どもといたしましては、当面の東京都文化政策手法の転換と取り組みというものを発表いたしまして、その中で、世界を視野に入れた文化創造と発信の強化のための文化創造活動への公共空間の開放など、具体的に都の施策として今後展開していこうとしているところでございます。

○吉田委員 一朝一夕に、しかも、東京都だけの責任で一気に前進を図るということは難しいかもしれませんが、今のご答弁を聞いていても、いささか歯がゆい思いもするわけです。
 私は、個々改善充実しなきゃならない課題がたくさんあると思うのですが、きょう特に議論をしたいのは、この文化ビジョンの中でも、東京の場合には、世界の各都市と比べて、コンサート等も含めて鑑賞料金が非常に割高である。その一方、じゃあ高いから芸術団体が潤っているかといえば決してそうじゃなくて、経済的には極めて脆弱な状態の中で活動を余儀なくされている方々あるいは団体が多いということを述べているわけですけれども、やはり都民の方々の文化鑑賞の機会を広げる上でも、そして専門家団体、あるいは芸術団体の方々の経済的基盤を確立する上でも、鑑賞料金が、ヨーロッパの諸都市などと比べて割高であるという問題を解決するというのは、本当に大事な、中心的課題ではないかと思うのですが、ここでも、日本では強固な支援基盤がないということが文化ビジョンの中で書かれています。この点では、具体的にどのような改善の努力をされようとしているのでしょうか、また、されてきているのでしょうか。

○三好コミュニティ文化部長 支援基盤といいます場合には、行政、民間、いろいろな形があるわけでございますけれども、都としましては、従来から、例えば民間企業が文化事業に対して寄附する場合の税制上の優遇措置などについて、国の方に改善を強く要望しているところでございます。

○吉田委員 東京都は、今もお話しありましたけれども、東京都としてどういう努力をしているのか、しようとしているのか。ビジョン発表前からやっていることを続けることは意味がありますよ。しかし、ビジョンを発表されて、提案したわけですから、新しい努力があってしかるべきだと思うのですが、どうなんでしょうか。具体的に。

○三好コミュニティ文化部長 私どもといたしましては、先ほど申し上げました東京都の文化政策について、今までやってきたことを整理し、今後やるべきことを考えていこうということで、昨年十二月に当面の東京都文化政策手法の転換と取り組みというものを発表させていただきました。
 この中では、文化にかかわる団体の財政基盤強化を図りますために、今申し上げました寄附税制改革、あるいは特定公益特殊法人に対する基準の緩和、手続の簡素化に合わせまして、企業メセナとの連携でありますとか、ネットワークによる情報交換の場の設立といったようなことを具体的に、これから考えていくこととしております。

○吉田委員 東京都自身がどういう努力をするかというのは、全く今ご答弁の中でなかったのですが、そういう実態なんですか。

○三好コミュニティ文化部長 文化活動と申しますのは、先ほどもございましたように、実際に文化活動を展開いたします芸術文化団体、個人、それから企業、行政、こういったものがみんなでつくり上げていくものだというふうに考えておりますので、そういった中で、都の政策も考えていきたいというふうに考えております。

○吉田委員 私がいうのも変なんですけれども、例えば東京都自身がすべての文化企画について財政支援はしていらっしゃいませんけれども、しかし、都民芸術フェスティバルだとか、名曲サロンだとか、特定のものを抜き出してではありますけれども、積極的支援策としてとられてきているわけですから、それは大いに胸を張っていわれていいのじゃないかなと僕は思っていたのですが、それすらいわれないものですから、何回か質問をさせていただきました。
 ぜひそういうことを大いに拡充していただきたいと思うのですが、ただ、やはりヨーロッパの諸都市などと比べた場合、鑑賞料金の高さというものは、ちょっと東京が高いよという程度じゃなくて、かなり構造的な違いがあると思うのです。例えばヨーロッパのロンドン、パリ、あるいはベルリン等のコンサートや演劇の観劇料と東京都の比較をした場合にどのくらいの格差があるのか、その点、どう認識されているのですか。

○三好コミュニティ文化部長 ロンドン、パリ、ベルリンとコンサート、観劇の料金につきましての比較でございますが、平成八年の十月から十一月にかけまして、生活文化局で実施いたしました比較調査がございます。
 これは、各都市の代表的な施設を抽出いたしまして、その鑑賞料金を加重平均で比較したものでございます。さらに、もう一つの方法といたしましては、その加重平均を、鑑賞者の負担感を見るために内外格差で調整したもの、この二つの指標がございますが、これらの指標、まず加重平均で見ますと、クラシックコンサートでは、東京を一〇〇とした場合ロンドンが五一・五、パリが六一・四、ベルリンが四六・七となっております。また、観劇では、ロンドン五九・〇、パリ四九・三、ベルリン六六・一でございます。
 もう一つの方法であります内外格差を考慮した調整によるところでは、東京を一〇〇とした場合に、クラシックコンサートが、ロンドンでは七八・三、パリ八二・三、ベルリン六三・一となっております。また、観劇では、ロンドンが八九・七、パリが六六・一、ベルリンが八九・二、以上のとおりとなっております。

○吉田委員 今の説明を聞きますと、加重平均の方を見れば、ロンドン、パリ、ベルリン、その三都市、コンサートでも観劇でも、大体東京と半分前後の格差が生まれている。さらに、これは購買力平価その他実際の物価で比べたものかもしれませんけれども、それで見てもやはり七割前後、東京よりヨーロッパの諸都市の方が低いという状況があるのです。
 これは一概にいえないかもしれませんけれども、本当にこれを解決しようとした場合に、いろいろな手法があると思うのですが、なぜヨーロッパの諸都市と東京の場合にはこれだけの格差が生まれているのでしょうか。どうそこは見ていらっしゃるのですか。

○三好コミュニティ文化部長 先ほどの鑑賞料金の比較の結果でございますけれども、この辺の要因を詳細に分析したところはございませんけれども、例えばクラシックのコンサートなどでは、いわゆる外来のコンサートなど、アーチストの来日費用に係るものについて、結果的にそれが料金に反映されているという部分もあろうかというふうに考えております。

○吉田委員 それももちろんあるでしょう。外国から来れば、旅費その他全部料金に反映するわけですから。しかし、例えばかつて東京都が行った調査の中で、東京都交響楽団の金額とニューヨークの楽団との比較をしただけでも明らかに違いがあるということを、あなた方がつくられた資料の中で発表した経過があるのですよ。だから単純に、外国のものが来たら旅費がかさむから高いんだなんということだけで見ていることは、私はやはりこの問題の本質的解決にはならないと思うのですが、どうですか。それだけですか。

○三好コミュニティ文化部長 先ほど申し上げましたように、詳細な分析をしたものがございませんので、にわかには申し上げられませんけれども、コンサートあるいは観劇に対するこれまでの蓄積、それから市民の方々の考え方、そういったものを踏まえたことが今の現状になっておるものというふうに考えております。

○吉田委員 きょうは余り論議をするつもりじゃなかったのですけれども、それではこの問題--あなた方がビジョンで指摘をしている、日本の場合には、日本、東京の鑑賞料金は高い、しかもそれは、日本では強固な支援基盤がないことだと。片方、芸術団体の方も、一部の芸術家や芸術団体を除けば、多くの芸術家の年収は一般的に低く、活動の経済的基盤は脆弱であるというふうに、問題点を指摘しているじゃないですか。したがって、これを解決しない限り、本当に低廉で、かつ安定的な形で芸術団体が発表活動を営むことができないということがあると思うのです。
 もちろん、国によって文化振興策というのは、歴史がありますから、単純ではありません。特にその点では、アメリカはもともと企業が支援をすることが歴史的に仕組まれていますけれども、ヨーロッパの場合、一例を挙げれば、フランスではオーケストラ団体の運営費の七八%が国及び地方公共団体の財政的支援で行われている、イタリアではバレー団の運営費の九五%が公的な助成で行われている、こういう公的な支援が確立しているところに、料金が低く抑えられる、また会場費なども、会場とそこのオーケストラとが一体で行われている、特段そのために、わざわざ使用料を払わなくたっていい、という関係があるのじゃないですか。

○三好コミュニティ文化部長 ご指摘のように、ヨーロッパではそういった公的支援が行われているものもございますし、あるいはアメリカでは、いわゆる民間からの寄附を積極的に受け入れるための税制上の特別措置があるわけでございまして、そういった点で、日本とかなり状況が異なるということは、認識をいたしております。

○吉田委員 もう一つヨーロッパの例で、私は行ったことがないので、本だけなんですけれども、イギリスの場合には、国立はもちろんのこと、公立の美術館の観覧料、入場料というものは、我々外国人が行っても無料だというふうに聞いたのですが、違いますか。

○三好コミュニティ文化部長 イギリスの場合は、国立の大英博物館などは無料と聞いております。公立についても、無料のものもあるようですが、例えばシティーが運営しておりますロンドン博物館は有料で五ポンドですから、今の為替レートで換算いたしますと、約千円くらいの入場料を取っているというふうに聞いております。

○吉田委員 私は、やはりここは財政力の問題ということでは決してなくて、文化についての考え方というものがあるのではないのかなと思うのですけれども、イギリスでは、大英博物館をなぜ無料にしているというふうに認識されていますか。

○三好コミュニティ文化部長 大英博物館は国立で、政府の補助金、民間の寄附及び収益事業のお金などを充てて運営しているために無料だというふうに聞いておりますが、なぜ無料にしているかという考え方そのものについては、伺ったことがございません。

○吉田委員 私は、まじめに議論をしているつもりなんですよね。
 これはやはり、私が読んだ文献の中で、イギリスの文化行政、文化政策を紹介した中で、芸術文化の鑑賞は公共サービスの重要な一部であるという位置づけをしているのだ、という記述がありました。
 またフランスの場合は、ミッテラン大統領のときに、ジャック・ラングという担当大臣が生まれたそうですけれども、そのときに、文化が一部のエリートの文化ではなく、本当に平等で多くの方々が親しめることのできる文化にしなければならないという考え方が打ち出されて、文化予算が二倍になったということも書かれておりました。
 本当に今東京都、これは国の責任もそうですけれども、そういう思い切った文化についての考え方を、やはり前進をさせていく必要があるのじゃないか。ちなみに、世界人権宣言では、すべて人は、自由に社会の文化的生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵にあずかる権利を有するということを、高らかに宣言をしているわけです。文化というものを気軽に多くの都民が親しむことができる、そういう方向をもって、せっかくこのビジョンをつくられたわけですから、努力をしていただきたいというふうに思います。
 しかも、東京都の文化施策は、きちんとした方向性を定めている条例を持っていると思うのですが、これはどうでしょうか。

○三好コミュニティ文化部長 東京都文化振興条例が昭和五十八年の十月に公布、施行されています。
 この中で、「都民が東京の自然及び歴史的風土に培われた、国際都市にふさわしい個性豊かな文化を創造することに寄与し、もって都民生活の向上に資することを目的」として、各種の文化振興施策の考え方が述べられているところでございます。

○吉田委員 時間もありませんからくどくどいいませんけれども、きちんとした東京都独自の、文化の振興に関する条例を持ち、その中では東京都として、文化振興策として、少なくとも大きく何と何と何をやるかということは明言されているわけですから、時々の力点はあったにせよ、それに基づいてきちんと行っていくことが求められているのではないかと思うのです。
 最後に、しかしながら、予算的には非常にこの間、削られているのが現実の経過だと思うのです。例えば生活文化局だけで見た場合、コミュニティ文化予算というのですか、文化にかかわる予算というのは、この三年間、どういう変遷をたどっているのでしょうか。

○三好コミュニティ文化部長 コミュニティ文化予算ということでとらえますと、本日、決算委員会でございますが、平成十一年度が八十七億でございます。その前年が九十八億八千万、その前年、九年度が百十三億二千六百万という数字になっております。

○吉田委員 今、平成九年から十一年の三年間の推移、コミュニティ文化部にかかわる予算を紹介していただきました。厳密には、教育庁の予算と合わせて東京都の芸術文化予算というふうに判断するのが妥当だと思うのですが、今紹介をしていただいた金額だけを見比べても、この局面だけを見ればということになりますが、八割以上、七十数%に減少しているのが現実だと思うのです。
 もともと、先ほどもいいましたように、日本、東京の場合には、非常に文化的支援策が不十分な中で、さらに現実的には予算が削られているという状況、これをやはりどうしても解決することが不可欠だと思うのですが、これに関連して、ヨーロッパの諸都市は、予算に占める文化予算の比率というのは大体どの程度のものなのか。国は資料があると思うのですが、もしできれば諸都市で比較できれば一番ありがたいのですが、いかがですか。

○三好コミュニティ文化部長 大変申しわけございませんが、都市レベルでの調査というものを持ち合わせおりませんが、国レベルでは、文化庁が欧米の主要国の中央政府が支出いたしました芸術文化経費を、その国の予算の規模と比較をしたものがございます。
 ただ、各国の文化行政、制度、それから予算の範囲なりが異なっておりますので、単純な比較は困難でございますが、あえて比較いたしますと、国家予算に占める割合が、日本では〇・一一%、イギリスでは〇・三一%、フランスでは一・〇一%、ドイツでは〇・二六%、アメリカでは〇・〇一%というふうになっていると聞いております。

○吉田委員 これは国の数しかいっていただけませんでしたけれども、国で見ても、今お話があったように、予算に占める比率は、日本とイギリスを比べれば日本は三分の一、フランスと日本を比べれば、日本はフランスの十分の一という事態です。
 都市のレベルでどうかなということで、私もいろいろ調べてみたのですけれども、確かに明確に比較をできる資料はありませんでした。しかし、文化庁が委託をした電通の資料、それは皆さんもお持ちだと思うのですが、その中では、例えばフランスの人口十万以上の都市における文化予算が紹介されているのですが、人口十万以上の都市の文化予算というのは、その市の予算の一割、一〇%である。フランクフルトの場合には一二%であるというふうな事例も紹介をされているのです。やはりもともとが、ヨーロッパなどの国々と比べてみて、出発点である文化予算そのものが非常に少ない。しかもこの間、削減が続いているというのが現実の経過だと思うのです。
 幾らすばらしい文化ビジョンを出しても、これでは到底追いつけないのも現実であると思うのですが、やはりこの点では大いに、生活文化局としては文化予算をきちんと拡充していくという努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○三好コミュニティ文化部長 これまで文化行政のための予算によりまして、広く芸術文化の普及などを行ってきたわけでございます。しかしながら、現在では芸術文化に対する住民のニーズも異なってきております。住民自身がみずから楽しもうという、いわば日常的に手の届くものになってきているというような状況、あるいは文化そのもののあり方が、従来の西欧文化偏重からより伝統的な日本文化へという、文化政策そのものの変更も必要だと思っておりますし、あるいは発表とか鑑賞の場としての文化施設の整備がほぼ終了いたしまして、官民の施設と合わせて相当程度整備されてきたということから、今後これをどう活用していくかというようなことがございます。
 そういったようなことを、いろいろ状況を踏まえながら、かつ必要な施策を取捨選択し、必要な予算を確保し、事業を展開してまいりたいというふうに考えております。

○吉田委員 なかなか回りくどいいい方で、私には理解できないのですが、大いにやはり頑張っていただきたいと思うのです。
 最後の一問ですけれども、この文化ビジョンをつくるときには、文化懇談会という、各界の相当著名な方々、西洋美術館の館長さんですとか加わって、進められてまいりました。私個人の意見ですけれども、そういう方も大事ですけれども、現場で劇団なりオーケストラなどの事業をやっている方々ももっと参加して、意見がいえる懇談会が必要ではないかなという印象を持つわけですが、この文化懇談会は、もう一たん廃止をされたわけですよね。しかし、文化施策、文化行政をどういうふうに進めるかということは、皆さん方も一生懸命考えられるのでしょうけれども、やはり当事者の意見を聞いて、具体的な支援策を確立をし、進めていき、また当事者の意見を聞きながら、それをさらに改善の努力をしていくという、広く東京の芸術文化団体の方々と皆さん方とが有機的なネットワークをつくって、推進していくことが大事なことだと思うのですが、この点はもう文化懇談会を廃止をして、それで終わりということなんでしょうか。

○三好コミュニティ文化部長 文化懇談会は、昭和五十六年から平成十年まで設置をされまして、今、委員のご指摘にもございましたように、文化にかかわる各分野のいわば大所高所からのご意見をいただき、都の文化行政の推進を図ってきたところでございます。
 今後はさらにこういった文化行政を具体的に進めていく上で、実際に芸術文化活動にかかわっている団体、個人、あるいはそれを支えている企業、専門家、実際に鑑賞者である都民、こういった方々の意見を聞くことも非常に重要であるというふうに考えております。
 先ほど申し上げました、昨年十二月に策定いたしました、当面の東京都文化政策手法の転換と取り組みということで、今後具体的に東京都の文化施策を進めていく中では、実際に文化活動にかかわっておりますさまざまな個人、団体の方々に集まっていただいて、意見交換しながら進めていく必要があるというふうに考えております。

○田代委員 青少年とメディアについてちょっとお伺いしたいのですけれども、最近、青少年とメディアのかかわりというのがかなり、社会環境の変化、特にメディアの発展というものは目覚ましいものがあるものですから、例えばテレビゲームですとかインターネット、あるいは中学生も持っているといわれている当たり前の携帯電話、こういう多様なメディア空間の中で青少年が生活を送っているわけですけれども、逆にこういうメディアによる情報のはんらんというのは、青少年が成長していく上で欠かすことができない人と人との触れ合い、友達、仲間、あるいはいろいろなものを体験する、物事を考える、判断する力を若干弱めているのじゃないかということが、指摘されているわけです。
 特に最近気になりますのは、子どもたちがよく立ち寄りますコンビニエンスストアなんかで、かなりの量の成人向けの雑誌というものが、子ども向けの雑誌なんかとまざって置かれている。こういうことが、ほとんどのコンビニエンスストアで行われているわけですけれども、東京都ではこれに関して、青少年の健全育成条例の改正作業を進めているというのですから、これは今度の定例都議会で提案されて、議論がその場で行われると思うのですが、それと同時に、今大変問題になっております、先ほども電子商取引の話が出ましたが、なかなか規制が難しいと思うのですが、インターネットなんかの映像で、かなり有害であるというか、青少年が見るにたえないようなものが簡単にアクセスできる、これが親御さんたちからどうにかならないかという要望が、かなり強く出ているのです。
 昨年都で実施しました青少年に関する世論調査の中で、テレビや雑誌のほかに、インターネットを利用した情報についての都民の意識というのを聞いていると思うのですが、その結果はどういうことになっておりますか。

○高西女性青少年部長 昨年、政策報道室が実施しました青少年に関する世論調査におきましては、青少年が意識しないで性表現や暴力表現を目にしてしまう状況について、媒体別に聞きましたところ、インターネットを利用した情報について、問題がある、あるいは多少問題があると答えた人の割合は六九%となっております。

○田代委員 いわゆる七割近い人ということですね。特にその中で、今問題になっております若い人たちはどのくらい、どのように感じているのでしょうか。

○高西女性青少年部長 このうち、年齢が十五歳から十九歳の若者について見ますと、問題がある、及び多少問題があると答えた割合は、五七・九%となっております。

○田代委員 ということは、六割、若者自身の六割、半数以上の人たちが問題があると答えておるわけですね。先ほどもお話しございましたように、このIT革命の中で、パソコンを駆使していろいろな情報に簡単にアクセスできる、こういう時代になってきたわけですけれども、インターネット自身、お話にありましたように、国も越えて入ってきてしまう。法的な規制というのは、なかなか大変だと思うのです。
 話に聞きますと、有料のサイトで、お子さんが、かなり子どもが見るべきじゃないようなものを見て、月に何万円、十何万円という料金を取られる。あるいはそういうものを簡単に見ることができるような、それ用の本がどんどん多数売られている、こういうことが今大きな問題になっているわけですけれども、東京都としては、この問題についてどのように取り組んでいこうとしているのか、お考えがあれば教えていただきたいと思います。

○高西女性青少年部長 ただいま田代委員がご指摘されましたように、インターネットの普及率は大変なものがございまして、青少年の方がむしろそれへのアクセスといいましょうか、活発に取り組んでいるみたいなところがございます。
 そのインターネットにおきましては、業者によるもの、あるいは個人サイトによるもの、さまざまなものがございますが、非常に過激な性表現でありますとか、あるいは暴力表現、さらには違法な薬物であるとか、犯罪を誘発するような情報等も発信されているところでございます。
 このような青少年を取り巻く社会環境の変化、特にインターネットを初め各種メディアによりまして、青少年に有害な情報がはんらんしている状況につきましては、大変問題があると考えているところでございます。
 このため、次年度の青少年問題協議会におきましては、メディア社会の進展と、青少年施策のあり方について幅広く検討していただく予定でございまして、この中でインターネットやテレビゲーム、また携帯電話など、さまざまなメディアの普及が青少年の意識や行動に及ぼす影響や、施策のあり方について議論していただくことになっております。
 その結果を踏まえまして、都としても対応を検討してまいりたいと考えております。

○田代委員 このインターネットなどの映像メディアというのは、図書、いわゆる本なんかの活字のメディアに比べて、青少年に与える影響というのは極めて強いわけですね。メディア側が予想するよりはるかに大きなインパクトを青少年に与えているわけです。
 ついせんだっても、韓国で自殺のサイトで二人の少年が亡くなった、こういう事件があるわけですけれども、今からどんどんこういう電子メディアが急速に青少年の間で広まることは当然間違いないことでありまして、有害情報から青少年を守る取り組み、こういうものを十分に念頭において展開していただきたい。
 ざる法という言葉は非常に残念ですけれども、何もないよりはやはり東京都の姿勢というものをしっかりと打ち出していただくことから始めていただきたいということを強く要望して、質問を終わります。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 生活文化局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   [「異議なし」と呼ぶ者あり]

○立石委員長 異議なしと認め、生活文化局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時四十二分散会

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