各会計決算特別委員会速記録第九号

平成十三年二月七日(水曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 二十七名
委員長立石 晴康君
副委員長木内 良明君
副委員長田島 和明君
副委員長たぞえ民夫君
理事織田 拓郎君
理事小礒  明君
理事丸茂 勇夫君
理事井口 秀男君
理事尾崎 正一君
羽曽部 力君
真鍋よしゆき君
吉田 信夫君
谷口 卓三君
鈴木 一光君
樺山 卓司君
藤田 愛子君
古館 和憲君
石川 芳昭君
比留間敏夫君
沢西きよお君
田中  良君
寺山 智雄君
曽根はじめ君
新藤 義彦君
小山 敏雄君
西田ミヨ子君
秋田かくお君

欠席委員 三名

 出席説明員
監査事務局局長久保田康治君
次長銅谷 勝子君
人事委員会事務局局長中山 弘子君
任用公平部長砂岡  攻君
試験室長川田 明良君
審査担当部長石田 秀明君
福祉局局長高齢者施策推進室長兼務前川 燿男君
次長藤堂 義弘君
総務部長上條 弘人君
地域福祉推進部長小山 園子君
生活福祉部長岡本 宏之君
山谷対策室長上野 純宏君
子ども家庭部長福永 富夫君
障害福祉部長谷川 健次君
国民健康保険部長井出 勝也君
企画担当部長村山 寛司君
連絡調整担当部長中村 憲司君

本日の会議に付した事件
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
監査事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  人事委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  福祉局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・母子福祉貸付資金会計決算(質疑)
  ・心身障害者扶養年金会計決算(質疑)

○立石委員長 ただいまから平成十一年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、監査事務局、人事委員会事務局、福祉局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
監査事務局関係に入ります。
監査事務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
監査事務局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、監査事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で監査事務局関係を終わります。

○立石委員長 これより人事委員会事務局関係に入ります。
 人事委員会事務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 資料の要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶものあり〕

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 人事委員会事務局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、人事委員会事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○立石委員長 これより福祉局関係に入ります。
 初めに、前川福祉局長から、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。

○前川福祉局長 前回の委員会を欠席いたしておりました幹部職員をご紹介申し上げます。
 国民健康保険部長の井出勝也でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○立石委員長 紹介は終わりました。

○立石委員長 福祉局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○上條総務部長 去る十二月二十二日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、お手元配布の平成十一年度各会計決算特別委員会要求資料にまとめてございますので、ご説明をさせていただきます。
 表紙の次のページ、目次をお開き願います。今回ご要求のありました資料は、全部で五項目となっております。
 それでは、順を追ってご説明申し上げます。
 まず、一ページをお開き願います。生活保護開始人員の推移でございます。
 東京都内における生活保護開始人員につきましては、平成七年度から十一年度までをお示ししてございます。
 次に、二ページをお開き願います。年齢階級別被保護人員の推移でございます。
 被保護者全国一斉調査によります、平成七年から十一年までの東京都分の人員につきまして、年齢を三区分に分けてそれぞれ記載してございます。
 次に、三ページをごらん願います。保育所入所待機児童数の推移でございます。
 平成二年度から十一年度までの、四月一日と十月一日現在の保育所入所待機児童数を記載してございます。
 次に、四ページをお開き願います。保育所公立・私立別入所児童数の推移でございます。
 公立と私立別に、平成二年度から十一年度までの保育所入所児童数を記載してございます。
 次に、五ページをごらん願います。民間社会福祉施設サービス推進費補助(B経費)と民間社会福祉施設職員給与公私格差是正事業との制度概要の比較でございます。
 それぞれの事業の目的、基本的な考え方、補助方式などについてお示ししてございます。
 以上、ご要求のございました資料につきましてご説明を申し上げました。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○古館委員 それでは、保育室の充実にかかわりまして幾つか質問させていただきます。
 今、保育に欠ける子どもで保育園に入れない、そのような待機している子どもさんが依然として多くに上っております。東京都内の区市町村で、待機児は何人で、そのうち三歳未満は何人いらっしゃるでしょうか。

○福永子ども家庭部長 平成十一年十月一日現在の認可保育所の入所待機児童数は、都内全体で一万二千二百十三人で、そのうち三歳未満は一万四百九十六人、率にいたしまして八五・九%でございます。この数字は、保育室や家庭福祉員で保育を受けている児童も待機児童としてカウントされている数字であり、これらを除いた実質待機児童数は、全体で九千七百八十二人となっております。
 また、平成十二年四月一日現在では、待機児童の数は都内全体で七千七百二十五人で、このうち三歳未満児は六千九十四人、率にいたしまして七八・九%でございます。同様に、保育室や家庭福祉員で保育を受けている児童数を除いた実質待機児童数は、六千六百五十五人であり、三歳未満では五千七十人となっております。

○古館委員 後ろの方で、平成十二年四月一日のお話がありましたけれども、四月一日というのは、児童数は大体少ないカウントになりますので、先ほどの平成十一年の十月一日現在でのお答えでいきますと、いずれにしましても一万人を超える待機児がいると。しかも、その大半が三歳未満児の子どもさんということだと思います。
 こうした中で、認可保育園をもっと増設するということはいうまでもありませんけれども、保育に欠け、保育を要する子どもに対して保育を実施するという役割を担っているのが、私は保育室だと考えています。福祉局の「子どもと家庭・女性の福祉施策概要」の中でも、このように記されているわけでありますけれども、この保育室の役割は、待機児が三歳未満を初め依然として多いという状況からも、大変重要なものである、このように私は考えますが、ご見解を伺いたいと思います。

○福永子ども家庭部長 保育室は、三歳未満児を対象として、産休明け保育、延長保育、年度途中入所などの多様なニーズにこたえる、小規模で弾力的かつきめ細かな保育サービスを提供する施設であり、都といたしましては、低年齢の待機児童の多い状況の中で、その解消に資するものであるというふうに考えているところでございます。

○古館委員 保育室が重要な役割を果たしている、また、そういう役割があるということ、今、そういう解消策ということでお話がありましたけれども、しかし、低年齢児の待機児の解消策、この問題でいえば、本来的には認可保育園が担うものだというふうに思いますし、保育室はあくまでも、そういう点では補完的役割を担っているのではないか、このように理解をしています。
 そのことだけ指摘して、次に進みますけれども、保育室でのもう一つの特徴なんですが、その特徴は、保育料などの父母負担が非常に重いということです。福祉局としては、一カ月の保護者の負担、保育料ですね、これは大体どの程度だというふうに認識していますでしょうか。

○福永子ども家庭部長 平成十一年度の保育室における保育料でございますけれども、区市町村によって、また保育室によって、あるいは子どもの年齢によって異なっておりますけれども、三歳未満の低年齢保育ということもございまして、四万円ないし五万円台のところが大多数ということでございます。

○古館委員 今、四万円から五万円ということがいわれましたが、私、板橋の選出の者なんですが、板橋の場合、その保育料のほかに、これはほかもそうだと思うのですけれども、給食費だとか、あるいはおむつ代だとか、いろんな形で別途徴収しているところが結構あるわけですよね。結構といいましたが、かなりの部分あります。ですから、実質的に四万から五万という状況、それに、実際はもう少しプラスされてカウントされているというのが、今の若い子育て世代の負担の実態だというふうに思っています。
 そこで、改めて聞きますけれども、若い夫婦にとってこれだけの負担というのは、今の長引く消費不況のもとでは非常に負担が重い、このように私は考えますけれども、いかがお考えでしょうか。

○福永子ども家庭部長 保育室の保育料でございますけれども、先ほど申し上げましたように、区市町村や保育室、あるいは子どもの年齢などによって保育料は異なっておりますけれども、都といたしましては、保育室全体といたしまして、都と実施主体であります区市町村、それと保護者がそれぞれ三分の一ずつを負担するという考え方で助成をしているところでございます。保育料につきましては、保育サービスの対価として負担をしていただいているということでございます。

○古館委員 大変負担が重いということについては、直接的に触れていないわけなんですが、ここに、東京都が出している「東京都の賃金、労働時間及び雇用の動き」というのがありまして、これが平成十二年の十月分ということで、十一年度での、それぞれの規模の、大きな、小さなという規模がいろいろありますが、その企業で働いている若い人の統計資料みたいなものがあります。それから、働いている人の全体の収入、賃金指数がどうかと。
 そこで見ますと、平成七年度を一〇〇としますと、十一年度は九九・八ということで、つまり、全然賃金水準が上がっていないで、むしろ落ちてきている。最近、ご存じのとおり、東京都も職員給与も含めて落ちていますから、民間企業も同じような形になるわけですよね。そういうことを考えていくことも、負担増になっているのではないかという私の指摘のもう一つの根拠です。
 それから、もう一つは、東京都が「情報連絡」ということで、この黄色い冊子の資料集で、少子化問題というのが特集で組まれているのですが、その「情報連絡」という資料集の中では、出産、育児に適した環境づくりのために何が必要かという問いがあるんです。一番は住宅環境の改善というのがあるんですが、あと、二位、三位、四位、五位というのは全部保育にかかわっているんですね。例えば、育児休業がしやすくなる、ゼロ歳児保育の充実、時間の延長、産休明けが利用できる、親の働く時間に対応できるような保育、企業がもっと企業内保育施設を設置しやすいような制度、整備充実、保育所に子どもを預けたい人の希望がかなえられやすいような努力。
 つまり、少子化を、対策として充実させて改善をしていこうとなると、何がネックになるかというと、その第一位は住宅環境なんですけれども、そのほかにずっと続いていくのが、保育の状況なんですね。
 それで、もう一つ同じ特集で、少子化の原因が何だと思いますかということについて、第一位は子育てにお金がかかるから、これが五八・〇%なんですが、二十代になりますと、これが六割、三十代になって女性の方がもっと高くなるんですね。そういうことで、子育てで何が一番問題かというと、お金がかかるということなわけですね。
 そういう中にあって、四万、五万、そういう負担というのはやはり重いものだと、このように私は認識をしているわけなんですが、その点について改めてお聞かせいただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 助成の考え方でございますけれども、先ほどご答弁申し上げましたように、保育室全体として、保育の運営に係る経費につきまして、都と区市町村と保護者がそれぞれ三分の一ずつ負担をするという考え方で助成をしておりますけれども、現実に、保護者の方が実際に負担される額というのを、保育室との契約に基づく保育料というケース、あるいはまた、区市町村の方で特に単独で助成をされたりして、保育料を設定されている区もあるということでございまして、区市町村がそれぞれ単独で助成をされているということもございます。

○古館委員 全く直接的には答弁を避けているんですよね。
 私がいっているのは、子育て世代、二十代、三十代、そういう人たちが認可保育園に子どもさんを預けられない。で、保育室に預けるという人たち、どうしてもどこかで預かってもらわないと、夫婦で仕事を保障できないという部分が、保育室の方にどうしても入れてほしいということになるわけですね。
 少子化対策の拡充という点からいうと、今のは生活実態で私聞いたんですが、そういう中にあって、だから必要なのは都と区市町村の補助制度、これが非常に大きな役割を果たしているというふうに思います。
 この点についてですが、補助制度の果たす役割、私はますます重要なものだと考えますが、いかがお考えでしょうか。

○福永子ども家庭部長 都では、平成九年度から保育室運営事業の制度改正を行いまして、保育室は三歳未満児を対象とし、小規模で弾力的かつきめ細かな保育サービスを提供する施設として位置づけをいたしまして、その内容の充実を図っているところでございます。

○古館委員 それで、具体的にお聞きしますけれども、都は保育室に対してどういう補助をしてきているかということもあるんですが、補助率がこの間どういうふうになっているか、具体的には、平成八年度、九六年度から年度を追って教えていただきたいんですが。

○福永子ども家庭部長 平成八年度までは、都事業として補助基準額の十分の十の補助率で補助を行ってまいりました。平成九年度からは、三歳未満児を対象に、産休明け保育、年度途中入所等、小規模で弾力的かつきめ細かな保育サービスを提供する施設として、区市町村事業と明確に位置づけをいたしまして、九年度以降、三歳未満児につきまして、都と区市町村とで二分の一ずつ補助をするということにいたしました。
 三歳以上につきましては補助対象とはいたしませんけれども、経過措置といたしまして、都の補助率といたしましては、平成九年度は四分の三、平成十年度は三分の二、平成十一年度は二分の一の補助といたしました。

○古館委員 つながりがありますので、十二年度はどうなっていますか、十三年度はどうなっていくのでしょうか。

○福永子ども家庭部長 平成十二年度も、経過措置といたしまして、三歳以上児につきまして都の補助率は二分の一ということでございまして、十三年度につきましては、経過措置が終了いたしますので、本則に戻ります。

○古館委員 今、お話ですと、十二年度は経過措置ということで、三歳以上についても二分の一の措置と。十三年度になったら、三歳以上児の子どもさんに対する補助はゼロです、こういうことだと思うのです。
 補助率の改定というのは、随分変遷がありました。最初は十分の十、東京都が補助してきた。私は、ここはきちっと押さえておきたいし、この補助率の改定が、保育室への補助金が減っていくということであっては絶対ならないと思うんですね。つまり、補助率を変えました、そのことによって補助金額が減るということについては、絶対してはならない。
 そこでお尋ねしますけれども、園児に対する補助額が、平成八年度、九六年度からどのように推移しているか、お答えいただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 保育室の入所児童一人当たりに対する都の補助額ということでございますけれども、仮に都の年間総補助額を入所延べ児童数で割り返した数字で試算をいたしますと、平成八年度が三万三千百四十七円、平成九年度が三万六千五百九十六円、平成十年度が三万六千九百三十一円、平成十一年度は三万七千三百五十七円となります。

○古館委員 今のご答弁でいきますと、保育室に入っている子どもさんの一人当たりの補助額というのは、年々増額をしている、こういう数字だと思うんです。八年度が一人当たりの補助額が三万三千百四十七円、直近というか、この決算やっている十一年度は三万七千三百五十七円ですから、一定の補助額がふえている、そういうふうな今のご答弁なわけですね。
 先ほど私は、保育料がどれぐらいになっているかということを聞きました。そうしたら、四万から五万円だ、こういう答弁が返ってまいりましたね。それで、十一年度も、一人当たり園児に対する補助額が、今の答弁だと三万七千三百五十七円。さっき私がやりとりしたときに、どういう答弁をされたかといいますと、都と区でお互い三分の一、三分の一で、あとの三分の一は保護者が負担する。つまり、三分の一、三分の一、三分の一ということで、都と区と保護者ということになりますと、今の話でいうと、十一年度の決算が三万七千三百五十七円に対して、保護者の負担は四万から五万。明らかにこれは不平等じゃないですか。つまり、補助をもっと引き上げなきゃならないということを意味するんじゃないでしょうか。いかがですか。

○福永子ども家庭部長 先ほど、十一年度、一人当たりということで、総補助額を延べ児童数で割り返したという数字でございますけれども、これにつきましては、ゼロ歳児から五歳児まで、さまざまな児童が入所しておりまして、それを一応決算額と延べ人員で割った数字ということで、それぞれの入所の児童の年齢構成とかいろいろな形も違っております。
 ただ、補助の考え方といたしましては、これも繰り返しになりますけれども、都と区市町村、それから保護者がそれぞれ、保育室全体の運営費の中の分担を、三分の一ずつ負担するという考え方で助成をしているわけでございます。実際の保育料につきましても、年齢ごと、あるいは区市町村ごと、保育室ごとにそれぞれ異なっておりますので、そういった形で、必ずしも同じものを比較しているという形にはならないかと思います。
 実際の保育料につきましては、これも繰り返しになりますけれども、区市町村あるいは保育室の個別の事情によってそれぞれ異なっているというのが実態でございます。

○古館委員 今のは全然理由にならないですね。なぜかといったら、園児一人当たりに対しての補助額をいったんですよ。だから、全部平均して出してくれているわけですから、今いろいろな事情をいったって、実態は、三歳未満という形にかなり特化しつつあるんですね。この問題については、私ども、三歳以上でも補助を出しなさいと、後から意見でいいますけれども。
 だから、そういう中であれば、大体保育料というのは四万から五万の水準と先ほど答弁した形で推移しているんですよ。板橋で、段階的な保育料を取っているなんていうのはほとんどありませんよ。大体保育料というのは決まっておりまして、だから、そういう中での一園児当たりということで、先ほど私がいったように、平均で一園児三万七千三百五十七円、保育料が四万から五万。だから、もっと東京都の補助はふやしてもいい。
 では、聞き方変えますけれども、事実はお認めになりますか、この数字について。

○福永子ども家庭部長 平成九年度の制度改正での補助額を申し上げますと、それ以前の旧制度では、三歳未満児につきましては三万五千五百円、三歳児が一万二百円、四歳以上につきましては八千七百円というベースで、十分の十ということですが、補助額の基準額を定めておりました。制度改正では、これは定員の区分にもよりますけれども、九年度のあれで申し上げますと、三歳未満につきましては、六人から十二人のところでは六万六千四百円という形でございまして、さらに、ゼロ歳児についてはゼロ歳児加算ということで、乳児三人に対して職員を一人配置できるようにということで、一人当たりが四万七百円という形で、制度改正によって、補助額自体は大幅に充実してアップをしてございます。

○古館委員 私の質問には直接答えていないんですけれども、しかし、否定もしなかったですね。
 先ほどからいっていますけれども、一園児当たりの保育料はどうかというふうに聞いた場合に、四万から五万と答えたんです。で、一園児当たりの平均額でいうと、都の補助金は三万七千何がしと答えた。だから、その差というのはすごく大きいんですよ。
 そういう点でいえば、私は、補助率の変遷も重要な問題だとは思いますけれども、一園児当たりの補助額を一層ふやす、これが肝心かなめなんですね。こうした立場からの対応を今後もしていくことを強く求めますけれども、いかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 繰り返しになりますけれども、平成九年度の制度改正によりまして、三歳未満という非常に待機児童が多い対象に対しまして、補助額の増額等、充実を図ってきたということでございます。そういう中での保育室については、重要な施設として認識をしているという状況でございます。

○古館委員 改めて、今の事実についてきちっと肝に銘じていただいて、こうした三分の一、三分の一というふうにおっしゃるならば、そこに一刻も早く持っていく、そのことを強く求めたいと思います。
 それとの関連で、都の補助対象保育時間が、保育室については、朝七時から夜七時までの十二時間というふうになっています。このように十二時間の延長保育、つまり、保育時間をこのように設定しているのであれば--ほかは基本は大体十一時間設定になっていると思いますけれども、ゼロ歳児と一、二歳児の格差をなくすことはもちろんですが、この十二時間という長い保育時間を東京都が求めているのであれば、改めて私は、今の包括補助の中に基本単価をもっと、そういうことを考慮して増額してしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 補助対象の運営費につきましては、午後七時までの延長に対するための措置というのを含んで補助をしているところでございます。

○古館委員 現場の施設長さんなんかに聞けば、そうはいっても、幾ら入っているのかと。包括運用なんだからわからないわけですよね。それで、明らかに、他の園というか、認可の保育園というのは、大体基本は十一時間対応。ところが保育室については、要綱などで、朝七時から夜七時という形で、十二時間対応なんですよね。しかも、さっきいったように補助額がまだまだ低いわけですから、そういう点でも増額をぜひ考えていただきたい。
 続いて質問ですが、よく施設長さんとお話ししますと、耐震の問題だとか、もうちょっとここをこういうふうに施設を改善すれば、もうちょっとよりよい保育ができるようになる、だからここはちょっと改修したいとか改善したいとか、そういう声があちこちから出るんですけれども、今の制度だと、個人だから貸さない、貸し付けはしない、そういう形になっているんですよね。
 大変大きな声として、施設長さんからは、施設の修理や補修、補強、改修などの場合に、無利子の貸し付けなどのようなものを創設してもらえないだろうか、こういう声が出ているんですが、これについてはいかがでしょうか。

○福永子ども家庭部長 都では、保育を要する子どもが利用している保育室が、その特色を生かした運営を行うことによりまして多様なニーズに対応できるよう、区市町村が実施をする保育室の運営事業に対しまして経費の補助を実施しているところでございます。
 施設の修理、補強等に対しましては、地域の実情を踏まえ、実施主体である区市町村が独自の判断で行っているというふうに聞いております。

○古館委員 今の話は、東京都としては今のところは考えないけれども、独自で区市町村がやっているというように理解していいわけですね。もう一回答えてください。

○福永子ども家庭部長 保育室につきましては、都といたしましては、運営費につきまして実施主体である区市町村を支援しているところでございまして、施設の修理や補強等につきましては、それぞれ地域の実情を踏まえて、実施主体でございます区市町村が独自の判断で貸し付け等を行っているというふうに聞いております。

○古館委員 ということは、東京都としても必要性は認めると、このように理解していいでしょうか。

○福永子ども家庭部長 都といたしましては、運営費につきましての助成ということで区市町村を支援していきたいというふうに考えているところでございます。

○古館委員 ですから、東京都としてという意味じゃなくて、今の答弁は、区市町村が主体的に考えていっていると判断しているということは、必要性は認めるのかと聞いたんです。東京都がやるかと聞いたんじゃないですよ。必要性は認めますかと聞いているんです。

○福永子ども家庭部長 まさに実施主体は区市町村でございますので、区市町村が必要であって、それなりの独自の貸し付けとか助成をなさっているということについては、我々としても、それはそれで実施主体の意見を尊重していきたいというふうに認識しております。

○古館委員 ぜひこの問題は東京都としても考えてもらいたい。施設の修理、補修、補強、改修、これらはある意味で保育サービスという形で、しかも、無認可ですが、重要な保育の一翼を担っているのが保育室である、だから補助金を出しているんだと思うのですよね。そういうところが、安全で快適な環境の中で保育ができるというのは、東京都としても責任を持っていることで、逃れられませんね、補助金出しているんですから。だったら、そういうことも含めて--別に、助成しなさいって、私、今提案しているんじゃないです、貸し付け、無利子のようなものなど、これは、そういう声も大変大きなものとしてありますので、ぜひ実現方お願いしたいと思います。
 この質問のやりとりの中でもはっきりしましたけれども、保育室への支援は、何よりも都が基本単価を引き上げていくことが非常に大事だと。そして、ゼロ歳児と一、二歳児の格差をなくすこと、さらに、私ども日本共産党都議団、復活予算でも求めましたけれども、三歳以上児への補助を継続すること、これがますます重要であるというふうに考えています。
 今後、保育室の役割にかんがみて、都として一層の支援策の拡充を強く求めて、質問を終わります。

○谷口委員 突然でございますけれども、保育行政に関連して一つだけお願いをさせていただきたいと思います。
 数人の母親から同じような訴えがございました。子育ての環境をよくするために、あるいは、これからの少子化対策のために、保育行政を量的にも拡大をしていく、充実をする、整備をする、非常に大事なことであると思いますし、大いにそれを進めていただきたいと思うのですが、実は、一歳とか二歳の子どもを預けて、風邪を引きますと、治らない。十日たっても治らない。医者にいわれたのは、保育所に行っていると治りませんよ、こういうふうにいわれたというわけですよ。
 もちろん、大勢の子どもを預かっていますから、一人一人にどういうふうな健康のチェックをするかというのは難しい問題かもしれないんですけれども、園内の子どもに対する健康管理に対して、チェック体制というものを少し考えていただけないだろうかというふうなご意見がございました。これに対してご意見がございましたら、お答えいただきたいと思います。

○福永子ども家庭部長 風邪等で熱が三十七度を超したような場合に、預かれないところが多いわけでございますけれども、病後児保育ということで、病後児に対しましても保育ができるようにということで、十二年度では、十二カ所でございますけれども、そういう形での施設等の保育内容の充実を図っております。
 また、園内で風邪等を引かないように、健康管理といいますか、そういったものにつきまして、いろいろな保育団体等といろいろ意見交換する場もございますので、そういった場等を活用しながら、私どもといたしましても、区市町村等とも相談しながらいろいろと指導していきたいというふうに考えております。

○吉田委員 本決算年度の福祉局の事業執行の中で最大の問題は、民間社会福祉施設運営費への都加算制度、さらに職員給与に対する公私格差是正事業の根本的な見直しだったと思います。
 両制度とも、民間社会福祉施設であっても、その役割の法的な責任からも、施設運営においても利用者処遇においても一定の水準を維持するために進められてきた制度だと思います。
 私は当時、厚生委員会にも所属しておりましたし、予算特別委員会でも、この問題が、利用者処遇あるいはサービス水準に重大な影響を与えるのではないかということを、民間社会福祉施設の関係者の方々から直接お話も聞き、また、示していただいたシミュレーション等に基づいて主張してきたところでありますけれども、改めて、この決算の審議を通じて、現実的に両制度の根本的な見直しがどのような影響を与えているのかということについて若干質疑をさせていただきたいと思います。
 資料でも提出をしていただいておりますが、まず最初に、いささか時間もたっているものですから、公私格差是正事業について、いろいろな点があるかと思いますが、見直しの基本的な目的、そして、一番何が大きく変わったのかということを、概括的にご説明をお願いいたします。

○村山企画担当部長 従来の都加算制度、公私格差是正制度につきましては、従来から、制度が複雑で硬直的だというような指摘もあったわけでございますが、特に近年に至りまして、保育事業におきまして、父母の選択希望が反映されるというふうな制度の変更があったことや、あるいは介護保険制度が実施される、それらも含めて、全体として社会福祉の基礎構造改革が進められていくというふうな、民間社会福祉施設を取り巻く社会状況に大きな変化があったということがまず背景としてあるかと思います。
 こうした中で、福祉施設の運営につきましても、利用者のニーズにこたえるために、より施設が主体的にみずからの特色を明らかにできるような、そういう運営努力を行いやすいような制度ということが求められてきたというふうに、都としては認識をいたしております。
 そうした中で、都としては、福祉施設への助成制度のあり方も、施設の主体的な努力を支援するような、あるいはそれを促進するようなものに改革していく必要があるという認識のもとで、先般、民間社会福祉施設サービス推進費補助を創設したということでございます。
 本制度の目的は、民間社会福祉施設の特性と創意工夫による自主的かつ柔軟な施設運営を支援して、都民の多様なニーズに対応した福祉サービスの確保と、施設利用者の福祉の向上を図るということを目的としておりまして、東京都社会福祉協議会に参加している民間社会福祉施設の代表者の方々の理解も得て、平成十二年一月に実施したところでございます。
 これによりまして大きく変わったということでございますれば、やはり施設経営者の主体性を重んじるというところが大きな転換点かなというふうに考えてございます。

○吉田委員 いろんなお話がありましたけれども、目的の中で、施設利用者の福祉の向上ということがいわれたと思うんですね。私どもが当時質疑をしたときも、この制度の見直しが利用者処遇の向上につながるんだということを繰り返しお話しになりました。きょう私が質疑をしたいのが、本当にこの見直しが利用者処遇の向上あるいは利用者サービスの向上につながりつつあるのかということであります。
 さらに、ちょっと前提的に確認をしておきたいんですけれども、そうした利用者に対するサービスの向上ということを考えた場合に、民間の福祉施設あるいは福祉サービス等の活動における人材の役割ということがやはり大きな問題だと思うんですね。他の一般のサービスの場合には、例えば設備だとか、さまざまな改善ということがありますが、このような福祉事業、福祉施策の場合には、専らそれを提供する人の努力というものが非常に大きな比重を占めていると思うんです。また、福祉は人材だというような言葉もありますが、こういう点での基本的な認識をまずお答えをお願いいたします。

○村山企画担当部長 福祉施設における人材、職員が果たす役割については、利用者サービスの上で非常に重要なものであるというふうに考えてございます。今回の制度改正におきましては、こうした観点から、それぞれの施設の特性あるいは運営方針に合った、より効果的な職員の配置あるいは人材の育成を図れるような制度改正ということに意を用いたものでございます。
 今回の制度改正によりまして、職員の能力や責任の重さ等、その責任を果たしている度合いに応じた給与決定など、施設経営者による主体性を尊重した上で、自主的かつ弾力的な施設運営を促進することができるようになったというふうに考えてございます。
 したがいまして、本制度は、新しい時代における福祉施設の人材の確保、育成のあり方について、一つ新しい貢献を果たし得るものというふうに考えてございます。

○吉田委員 ちょっとだけお伺いしたいんですけれども、これはその当時も議論があったんですが、職員の専門性とか経験性とか、そういうものの果たす役割というのはどうお考えなんでしょうか。

○村山企画担当部長 今回の制度改正におきましては、職員の経験年数であるとか、そういうようなものについて重んじるというふうな制度になってございまして、そういう点からも、専門性であるとか、あるいはそういう経験というようなものがより重んじられるような制度になっていると考えてございます。

○吉田委員 当時、予算特別委員会で、私、質問した際に、青島知事でしたけれども、福祉は人材という言葉を引かれまして、このように発言をされました。よりよい施設サービスを提供してまいりますためには、高い専門性と実践的な技術を兼ね備えた意欲あふれる人材の確保が重要でありますと。
 ですから、本当に利用者処遇だとかサービスの向上ということを考えた場合、このことが本当に実現できるような給与体制なり、あるいは職場環境が実現できるのかということが一つの判断としてあると思うんですね。
 しかも、やはり民間の福祉施設の場合に、そう大規模じゃありませんから、ただ個々の秀でた人がいるだけではなくて、いかにチームワークが存在をして、集団のまとまった力として効果的に福祉サービスが提供できるかということが私は重要だというふうに思うわけです。
 少し具体的な話に入りますけれども、十一年度の途中からの執行ということになりました。ちょうど現時点で、見直しが執行されてからほぼ一年が経過すると思うんですけれども、この間は経過措置がとられているということもありますけれども、この一年間の経過で、先ほどいわれた皆さん方の意図、あるいは私が非常に関心を持っています、本当に利用者処遇の向上につながっているのかという点は、一年間の経過をどのようにご認識されているんでしょうか。

○村山企画担当部長 新制度は、民間社会福祉施設の創意工夫による自主的かつ柔軟な施設運営を支援することにより、利用者処遇の向上を図ることを目的として、弾力的でかつ包括的な補助を行うということでございますが、経過期間中であります現時点におきましては、各施設において施設経営者が、利用者処遇の向上を図るために、制度の趣旨に沿った施設運営が行えるよう、施設経営の効率化を進めるなど、現在さまざまなご努力をいただいている過程にあるというのが、現段階の状況であるというふうに認識してございます。

○吉田委員 一年間経過したわけですが、利用者処遇は改善されつつあると。あるいは、そういうと、昔が悪かったような印象になるかもしれませんけれども、少なくとも、さらに上がってきたというご判断ですか。

○村山企画担当部長 先ほど来申し上げておりますように、この制度というのは、各施設の経営者が主体的に物を行っていく、いろんな経営を行っていくと。今までのように、東京都の基準にそのまま合致して、給与制度も自分で決められないというような制度ではなくて、みずからが創意工夫で主体的にやっていくことのできる、あるいはやっていかなければならない制度でございます。
 そういう中で、十二年一月からということでございますので、現在、一年ちょっとたったところでございますが、先ほどお答え申し上げたように、各施設の経営者は、いろいろな問題について解決を図るべく、さまざまなご努力を懸命にしていただいているのが現在の状況であろうと考えてございます。

○吉田委員 そうすると、現時点では利用者処遇が少なくとも向上したとはいえないわけですよね。(村山企画担当部長発言を求む)まだ発言している。別にそのことをもって、それ見ろなんていうわけじゃありませんから、どうぞいてください。
 それで、もちろんそれは、現時点で利用者処遇がどうなったかということを数値的に確認することはなかなか困難だと思うんですよ。ただ、経過措置だといっても、多くの施設が、少なくとも見直し以前に受けていた給与に対する助成額よりも減少していることは間違いないですよね。減少の幅が、十四年度本則適用までの間、段階的な激変緩和措置があり、かつ上限でも五百万以上の削減は行わないような一応の歯どめがあるということは事実ですけれども、金額の大小は別にしても、全体の施設の中で、どれだけが減少になっているんでしょうか。

○村山企画担当部長 十一年度は十二年一月の実施ということでございますので、現時点においてどれだけの経費が削減されたとか、あるいはふえたとかということについては正確には申し上げられないというのが、現在の状況でございます。

○吉田委員 では、シミュレーションを当時出されたと思うんで、そのシミュレーション、これはあくまでも本則適用段階になりますが、当時、民間社会福祉施設七百四十四施設がこれを受けていたというふうにいわれていますが、どれだけが減少になるというふうに、シミュレーションでは明らかにされたんでしょうか。

○村山企画担当部長 今、委員ご指摘なのは、恐らく平成十一年二月にお示しした、予算特別委員会に提出した資料についてのご言及だというふうに理解してございますが、この試算は、都議会のご請求に応じまして、まだそのときは制度がしっかりできていないといいましょうか、確定したわけではございませんので、さまざまな仮定を設けて行ったものでございます。
 この試算は、経過期間中における職員構成の変化を全く考慮していないと。職員構成が変われば、当然B経費については変わってくるわけでございますが、その点を全く考慮していないこと。それから、資料をご提出した後で、民間社会福祉施設の代表者の方々といろいろお話し合いを経た中で、さまざまな変更点が生じているわけでございますが、それらの点を反映していないことなど、実態との間では大分乖離が生じてきているというものでございます。
 したがいまして、現在の時点におきましては、この平成十一年二月時点の試算結果についてお答え申し上げることについては、差し控えたいというふうに思います。

○吉田委員 私は、少なくとも根本的な変更というのは、その後あったというふうには承知しておりません。例えば経験年数のとらえ方で、その後、東社協の方々の意見を受けた変更は若干あったかと思いますが、大筋においては変化しておりませんから、そのときの数字がかなり大きく変わるということはないと思うんです。
 私どもにそのときに示された数を計算しますと、七百四十四施設のうちで五百六十七施設が結果的には減少になると。比率にすれば、七五%を超える施設が減少です。一〇〇%の削減がないにしても、段階的であったとしても、七五%の施設で、あるいはそれに近い施設で、今、当時と比べて受けている補助額が減少しているというふうに推計できるわけですよね。にもかかわらず、なぜ利用者処遇、利用者に対するサービスが向上できるのかというのが率直な質問、疑問なわけです。
 それで、先ほど、従来の制度では、職員給与が経営者の意思なしに何かがんじがらめに固められていたかのようなお話がありますけれども、それは違いますよね。委員会での質疑のときでもありましたけれども、二万円の範囲内あるいは一定の範囲内で自主的に給与を決定することができるし、保育園などの実例でも、多くのところでそういう活用の仕方をされていたという点では、いささか強調し過ぎる感があると思うので、一言いわせていただきます。
 それで、具体的な話をいたしますけれども、これは予算特別委員会だったか、厚生委員会だったかちょっと忘れたんですけれども、例えば婦人保護施設があります。都内にある民間の婦人保護施設はたしか五カ所だと思うんですが、その多くが、当時のシミュレーション結果でも、半分程度に補助金が削減されるということが明らかになりました。それで、私は、これでは幾ら何でも、利用者処遇は向上するどころか低下するではないかということを繰り返しいいましたけれども、その当時、いえ、サービスの向上につながりますということを力説されました。
 例えば、そのときにも例に挙げましたけれども、十二人の職員のある婦人保護施設で、シミュレーションではその時点で、本則適用の場合ですけれども、一千万円、年間補助金が削減されるという実例を出したんですけれども、サービスの向上につながるんだというふうにご答弁をされました。数少ないからご承知かと思うんですが、実際にこういう施設の場合どうなったんでしょう。

○村山企画担当部長 先生、個別の施設の実態についていろいろご指摘をいただいているわけでございますが、いろいろ紆余曲折を経て十二年一月から実施に踏み切られたこの制度につきましては、都議会の付帯決議等にも基づきまして、東京都社会福祉協議会に参加する施設の代表者と十分いろいろ協議を重ねまして、さまざまな点で問題があるところについては修正もいたしまして、その結果、ご理解を得た上で、十二年一月から実施して、現在、都内の各施設経営者の方々もろとも、その制度の円滑な定着に向けて、経過期間中いろいろ頑張って施設の改革を行うなど、いろいろな努力を今一生懸命しているということでございますので、個別の問題について、いろいろご意見はあろうかと思いますが、ここはひとつ、制度の円滑な定着に向けてご協力いただければと思います。

○吉田委員 私は、意見をいっているんじゃないんですよ。十一年度に私が質疑をしたときに、具体的な事例を挙げて、この場合に明らかにサービスの向上になりませんといったら、あなた方が、いえ、サービスの向上につながりますと。一般論じゃなくて、具体的なこういうケースということで挙げたことについて。では、それから一年余が経過いたしましたけれども、どうだったんですかと。あるいは、それはちょっとわからないかもしれませんけれども、婦人保護施設の、この見直しが行われた以降の状況について掌握されているのは、僕は当たり前の、皆さん方の仕事としては当然かなというふうに思うんです。いかがですか。

○福永子ども家庭部長 婦人保護施設につきまして、四施設ということでございますが、現在は経過期間中でございまして、特段の影響というのは出ていないというふうに聞いております。

○吉田委員 失礼ですけれども、それはだれから聞いた話ですか。どういう根拠をもって、そういうふうに特段の影響がないというふうにいわれるんですか。--ちゃんともともとの答弁者が答えてくださいよ。

○村山企画担当部長 私どもは、本制度の本則の実施に向けまして、先般、民間社会福祉施設サービス推進費補助に関する懇談会というのを設けたところでございまして、一月三十日に第一回の会合を開催いたしたところでございます。
 この懇談会は、民間社会福祉サービス推進費補助の本則への移行を踏まえて意見交換するというものでございまして、東京都の福祉局、高齢者施策推進室、衛生局の各局の職員と、東社協に参加している民間社会福祉施設の代表者の方によって構成されているところでございます。
 今後、この場を通じて、さまざま本則移行に向けての意見の交換をしてまいりたいというふうに考えてございまして、婦人保護施設の問題につきましても、そういった場を通じて、よく施設の方々の意見も聞きながら適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。

○吉田委員 ちゃんと答弁してくださいよ。私、質問していないじゃない、そんなことは。

○福永子ども家庭部長 施設長会等で情報交換等を行って、また施設現場も適宜訪問等して、実態把握に努めております。

○吉田委員 私は、直接お話を聞きました。私が事例に挙げたところは、十二人の常勤職員がいらっしゃいましたが、経過措置期間中ではありますけれども、そのうち二人の常勤職員がおやめになったというか、やめてもらったというか、正確にはそこの表現はわかりませんが、少なくとも常勤は十二人から十人に変わって、そして二人分は非常勤にかわられたということです。特段の影響がないなどというふうにいえる状況じゃない。
 あるいは、私の杉並の施設にも聞きましたが、職員は何とか維持をしているけれども、例えば給調手当を廃止する、期末手当を削減するということで、職員の皆さんに無理をお願いしていると。しかし、それも、本則適用のときにはいかないだろうということで、大変な不安と懸念を覚えているというのが現実の姿だと思うんですね。それを、もしその事実がありながら、特段の影響がないという判断だとすれば、私は、やはり今後の問題にとって大変誤った結論になるのではないのかなというふうに思います。
 次に、その当時、やはり民間社会福祉施設の中で最大の数を占めるのが私立の保育園でした。質問してもお答えにならないだろうからいいますけれども、当時のシミュレーションで、私立保育園五百四十六カ所のうち--福祉局が示したシミュレーションですよ。私たちがつくったシミュレーションじゃないですよ。そのうち、四割以上補助金が削減されるという施設が百七十七施設、金額にして一千万円以上削減されるという施設が約一七%、全く補助金が来なくなるという施設が四十施設になるだろうというシミュレーションを発表されたんです。
 保育も同じ福永部長さんかと思うのですが、民間保育園では、こうした経過措置ではありますが、公私格差の見直しの影響というのは、どのように担当部長さんとして受けとめていらっしゃるでしょうか。

○福永子ども家庭部長 保育所につきましては、事業の実施主体が区市町村ということでございまして、保育所の処遇とか会計、あるいは運営指導等につきまして、指導監督、指導検査を実施しておりまして、指導検査部門と連携して、運営等の実態の把握に努めているというところでございます。
 また、各種の保育団体との意見交換等を実施しておりますので、そういったところを通じまして、いろんなサービス推進費に関連した意見等についても、問題があればお伺いするというところでございます。

○吉田委員 ちょっと、実態認識を伺っているんですよ。公私格差の見直しから一年がたちました。職員の数だとか職員の給与だとか、そして利用者サービスだとか、そういう点で、一年以上たったわけですから、対比をして、実態をどのようにごらんになっていますかと。

○村山企画担当部長 今、先生がお引きになった資料というのは、先ほど申し上げましたとおり、その状況を直ちに本則に移行したという想定での仮の試算でございます。
 しかしながら、現在、経過期間中にあるという中で、これから本則に向かって、各施設の人員構成は変わっていくわけでございまして、そこでの影響の数値をお引きになられて、その影響についてどうなんだというふうにご質問されても、現在の状況はまた、現実に経過措置期間中であるので違うというのが一つと、もう一つは、実際に本則適用になるときまでに、各保育園なり何なりの人員構成は変わってくる。そうすると、大幅にその補助額自体も変わるので、先ほどの試算というのは、現実的な、三年後なり四年後に立ったときの状況とは必ずしも同じではない。あるいは、恐らく相当程度変わっているだろうということが予測されるわけでございまして、そういう中で、そういう変化も含めた上で、三年間の経過措置を設けた上で、今般、東社協の施設の代表者の方々等の理解を得た上でこの制度を立ち上げたのが、現在の状況でございます。
 したがいまして、現在は、その制度の円滑な定着に向けて、どういうふうにすれば、これが先生ご指摘のような利用者サービスの向上につながるのだろうか、どういうふうにすれば、この制度の趣旨を生かすことができるのだろうかということで、各施設においても努力をいただいているところでございまして、私どもとしても、そういう方向で、この補助制度の執行については適切を期していきたい、かように考えてございます。

○吉田委員 ちょっと答弁してよ、ちゃんと。

○福永子ども家庭部長 今、村山企画担当部長が申し上げましたように、本事業につきましては、施設経営者がみずから自主的な判断によりまして柔軟な施設運営を促進して、給与制度等につきましても、労使間での話し合いということで、自主的に、その施設運営をより効率的に、あるいはより利用者本位になるようにという形でそれぞれ努力をいただいているというふうに考えておるところでございます。

○吉田委員 全然答弁になっていないじゃないですか。
 そもそも公私格差だけではなくて、東京全体の保育行政を所管されているわけですから、そこで公私格差の見直しが行われて--村山さんは違う違うと、シミュレーションとは、といわれましたけれども、違うというならば、どう違うのかということも説明していただきたいんです。それを数値で示すことは難しいかもしれませんけれども、実態として、例えば保育園の中で、職員給与の削減や、あるいは職員の削減なりという事態が起きていませんかということをお聞きしているんですよ。どうですか。

○村山企画担当部長 各施設においては、今さまざまな努力がされているということだと思いますけれども、法人におきまして、職員の勤務条件を初めとする労使関係の問題、これは、基本的には労働関係法令等に基づいて適切に処理されるべき問題でございまして、福祉担当部局として、都として、個別具体的な実態を把握する立場にはないというふうに認識をいたしております。
 それから、民間社会福祉施設の職員配置基準等の施設運営基準につきましては、私ども、本制度を実施する際には、法令等に定めるところにより運営すべきである、する必要があるということを補助要件として付しておりまして、この補助金の適正執行について、指導検査、運営指導などを通じて適切に確保していくということで現在やっているところでございます。
 それから、人員配置等につきましては、民間社会福祉施設の特性と、創意工夫による自主的かつ柔軟な施設運営を支援して、都民の多様なニーズに対応した福祉サービスの確保と施設利用者の福祉の向上を図るという、先ほど来申し上げております本制度の趣旨に基づきまして、法令等で定める範囲内で、可能な限り施設における創意工夫にゆだねられるべきものだというふうに考えてございます。
 また、サービス向上全体といたしましては、現在、東京都としては、社会福祉施設におきまして質の高いサービスが提供されますように、サービス評価制度あるいは権利擁護制度、それから施設経営情報の公開など、透明性の高い施設運営あるいは利用者本位の仕組みづくりを積極的に進めているところでございまして、利用者サービスがどのように向上していくかについては、こうした中で全体として明らかにしていくことが適切であると考えてございます。

○吉田委員 担当部長、答弁してくださいよ。全然違う答弁じゃない、今の。

○福永子ども家庭部長 保育園につきましては、実施主体が区市町村ということでございますけれども、各種の保育団体と日ごろから意見交換等を実施しております。その中で、施設の経営をしておられる社会福祉法人につきましては、それぞれ独自の給料表を作成したり、創意工夫をされているというふうに伺っておりまして、社会福祉施設サービス推進費に関連した個別の特段の問題のお話というのは、私はじかには伺っておりません。

○吉田委員 きのうも、いろいろ行財政改革基本問題特別委員会で議論になりましたけれども、東京都がつくったアクションプランの中の職員のあり方という中でも、現地、現場主義と。職員は現場に行って、そこで生の話を聞いて考えなさいと。それが出発点だということを強調されているんですよ。
 それで、私が聞いた話を紹介させていただきますけれども、例えば、杉並のある私立の保育園では、給調手当の廃止で、一番最高の方で一年間で十二万円、給与が削減になりました。また、期末加算手当の削減、そして期末手当の削減等々が現実的に起きているんです。
 しかも、ただ給与が減っているというだけではなくて、将来に対する不安というものが非常に広がっていると。このままいったら、どういうふうに自分たちの雇用はなるのか、安心して仕事をすることができるのかと。
 例えば、この定数のグルーピングによって、一人定数がふえた減っただけで、補助額が翌年は変わるわけですよね。その影響をどういうふうに職場の中でやりくりするのか。じゃ、だれかやめてもらうしかないのかと。あるいは、経験年数の平均が、このグルーピングでまた下がったと。そのしわ寄せをどうやって自分たちの中でやりくりするのか。じゃ、結局、だれかやめてもらうしかないのねというふうな、非常に疑心暗鬼といいますか、今下がっただけではなくて、将来に対する不安を、私が承知をしている限りでは、かなりの民間の保育園の中で広げる結果になっているというのが、皆さん方が行った公私格差是正制度の根本的な見直しの、やはり現実が生んでいる状況だと思うんですね。
 ご意見はあるかもしれませんが、私は少なくとも、そういうことをはっきりと、直接現場の方々、経営者の方々、職員の方々から聞いているわけです。
 しかも、本則適用前の段階ですけれども、盛んに皆さん方は違う違うというふうに強調しますけれども、それだったら、厚生委員会に出した資料は一体どういう意味を持っていたのかということになるんです。当時の厚生委員会に出された資料を持ってきましたけれども、十四年度の本則適用になった場合の削減総額というのは、ちょうど二〇%、率にしたら。金額にしたら、二十九億円の削減が施設全体で起きるわけですよ。
 単純に二〇%カットということを考えてみても、十四年度の本則適用のときに、どれだけ施設に対する補助金が削減がされるのか。それは、さらに、今、私どもが聞いているような話以上のさまざまな問題が起きてくることは明らかだというふうに思うんです。
 私は幾つかの事例を挙げましたけれども、一体何をもって、それでもサービスが向上するというふうにいえるんですか。

○村山企画担当部長 今、先生ご指摘の資料につきましては、先ほど来申し上げておりますように、経験年数等の変化というようなものを一切捨象いたしまして、直ちに本則適用にした場合の影響値について機械的に試算をしたという、当時の資料でございまして、それをもって、本則適用じゃ二割が減るじゃないかというようなご指摘は、(吉田委員「紹介しただけじゃない、あなた方の資料を」と呼ぶ)必ずしも現実とは一致していないものだというふうに、まず申し上げさせていただきたいと思います。
 その上で、今お尋ねの件で、そういう状況であるのにもかかわらず、利用者サービスへの影響はないのかというのがご質問の趣旨かと思いますけれども、先ほど来申し上げておりますように、この新しい制度は、民間社会福祉施設の創意工夫、自主的、主体的な経営努力を支援していきたい、それをもって利用者処遇の向上を図ろうということでございます。その結果、各施設におきましては、各施設の特性に即して、それにふさわしい人材を確保する、あるいは育成をする。そのために、給与制度であるとか、あるいは人事配置方針などをみずから定めることができるように、より弾力的にできるようにする。それによって、より経営努力がしやすいようなものにしたわけでございます。
 したがいまして、結果的にさまざまな形で、補助額そのものについては、ふえるところもありますし、減るところもあるということが、将来の人員構成などにおいては生じるかもしれませんけれども、各施設におきましては、そういった制度の特性も踏まえつつ、制度の趣旨に沿った施設運営が行えるように、施設経営の効率化、改革を進めて、すぐれた人材を確保していただけるものだというふうに期待をしておりますし、それを通じて、利用者処遇の向上に必ずや資するものであるというふうに思っております。
 実施に当たりまして三年間の経過措置を設けたのは、そうした新しい制度への円滑な移行、各施設がソフトランディングできるべく、しかるべきご努力をいただくための期間というふうにご理解いただければと思います。
   〔「明快」と呼ぶ者あり〕

○吉田委員 全然明快じゃないですね。だから、利用者処遇、利用者サービスがなぜ引き上がるかということを、あなた説明できないじゃない。
 柔軟になります、自主性を重んじます、それは強調されるけれども、そのことをもって、なぜ利用者処遇が上がるのか。給与は下がります、将来の身分は極めて不安定になりますということを、私、実例として挙げたわけですよ、少なくとも。
 じゃ、何をもって利用者処遇が確実に上がるという、根拠を示してごらんなさいよ。

○村山企画担当部長 冒頭の目的のところで申し上げましたとおり、これからの福祉というのは、やはり従来のような措置制度だけのもとで一定の仕事をしていくという時代から、より利用者サイドに立って、利用者のニーズを的確にとらえて、それにこたえていく中で、社会福祉施設も含めた施設が発展していくというような時代に今入っているというふうに、私どもも認識をしておりまして、その点については共有できるものがあるのではないかというふうに思っております。
 そういう中にあっては、施設経営者が、みずからの施設を発展させて、あるいはそういう意味では、この福祉の世界でより拡大していくためには、やはり利用者のために、利用者のニーズに即したサービスを行わなければ、みずから生き残っていくことができないという時代に、今、突入しつつあると。そういう時代に向けてどうしていくのかというのが、東京都の課題でもありますし、民間社会福祉施設、法人の今の課題でもあろうかというふうに思います。
 したがいまして、先生、さっき、じゃ、どうしたら利用者サービスが向上するんだというふうにおっしゃいましたけれども、我々が、なるべく自由にして、使っていただいて結構ですよ、なるべく利用者サービスの向上に資するように活用してくださいというふうにこの補助制度を改めたことをいわば奇貨として、各施設が、より自分たちが利用者ニーズにこたえられるように施設運営を変えていこうとするのは当然の成り行きでございまして、それは、現在の社会の動向にふさわしい経営者のあり方だというふうに、各経営者の方々も十分ご認識いただいているところでございますので、そういう点では、今後、現在も含めてでございますけれども、利用者サービスは必ずや向上していくものと確信してございます。

○吉田委員 私は、時間もありませんからいいませんけれども、そもそも、当初あなた方が、これをすることによって利用者サービスが向上するんだというふうにいったときから、なぜこれをすると利用者サービスが向上するのかという、例えば、同様の例をやったときの経験がありますということを示されたわけじゃありませんでした。あるいは、園の経営者の側から、こういうふうにすれば、私たちは利用者サービスを引き上げることができるんですというふうに要望があったわけじゃないんですよ。一方的に皆さん方が、これをやれば利用者サービスが上がりますということを、ただ抽象的にいって、これを導入したわけですよ。
 ですから、それだったら、一年間経過いたしました、じゃ、少なくとも利用者サービスが向上するような芽が現実のものに出ているかといえば、具体的にそれを示すことも今できなかったわけです。ただ同じことを繰り返し、これを奇貨としてサービスが向上することを期待するということをいうだけなんですよね。
 私はやはり、現実にこの一年余の経過があるわけですから、その経過の上に立って、それで利用者サービスが向上しつつあるのか、逆行しつつあるのか、事態をどう見るのか、その上に立って--東社協との話し合いも始まりつつあるというふうに聞いておりますけれども、本則の適用を前にして、やはりしっかりと、こういう現実をとらえていただきたいというふうに思うんですが、いかがですか、これは。

○村山企画担当部長 私ども、この制度の発足に込めました政策的な意図というのは、先ほど来申し上げているとおりでございまして、その制度の実が上がるように、今後とも、関係者との間での協議もしながら、この制度が本当に実が上がるように努力してまいりたいと思っております。

○吉田委員 実態をきちんと把握していただきたいということはどうですか。当たり前のことだよ、こんなことは。現場主義といっているんだから。

○村山企画担当部長 現場を把握すべきであるというご指摘でございますけれども、どういう観点からの現場の把握であるかというのが、いま一つ明快ではないわけでございまして、先ほど来申し上げておりますように、労使関係につきましては、法人における、労働関係法に基づく自主的な対応が基本でございますということでございまして、都として、個別具体的に実態を把握する立場にはないと。それから、補助金の適正執行については、その範囲においてちゃんとやらせていただいてございまして、人員配置については、今回の範囲の中で、法令等で定められる範囲においては可能な限り創意工夫にゆだねるというのが、今回の制度の趣旨でございますので、この形で進めさせていただいているということでございます。
 そういう面では、私どもが行うべき観点からの対応については行っているところでございまして、今後とも、関係者のお話などもよく伺いながら適切に対応してまいりたいと考えてございます。

○吉田委員 私は別に、どういう角度で実態把握せよといったわけでもありませんし、現場主義というのも、私がいったわけじゃなくて、都庁改革アクションプランですか、その中で盛んに強調しているから、そのことをいっただけなんですよ。実態把握なんて当たり前のことじゃないですか。
 そこで、最後に一つ具体的な事例について、これはいわゆる従来の都加算、A経費についてなんですが、村山さん盛んに、利用者のニーズ、ニーズということを幾度となく強調されました。ところが、逆に利用者のニーズに対応できないような事態が生まれています。
 それは、児童養護施設で、個々の生徒さんが、例えば公立高校に行くのか、私立の高校に行くのか、あるいは専門学校に行くのか、さまざまなケースが生まれるわけですよね。今までの制度の場合には、そうしたケースに対応できるような項目補助といいますか、事項に対応した補助制度があったと思うのですが、今度は包括補助になりますから、個々の進路に対応した必要な経費が保障されていないということから、逆に、例えば専門学校に行こうと思っていたけれども、それが抑えられてしまうというふうな事態すら、一部の園の中である話を聞いたわけですけれども、これはどうなんでしょうか。

○村山企画担当部長 特別育成費の取り扱いにつきましても、今回の実施に当たりまして、東社協に参加している民間社会福祉施設の代表者との間で十分協議をして、理解を得た上で実施をしたものの一つでございます。
 その内容につきましては、補助金の簡素化あるいは制度改正の趣旨からということであれば、本来は完全包括化というのが、趣旨からすれば正しいといいましょうか、適正なわけでございますが、直ちに実施することが、実際の状況との間でなかなか難しいというようなご意見もございましたので、経過期間の三年間につきまして、その間で体制を整えていただくということで、包括化から除外をしたものでございます。したがいまして、本則適用時には単位費用の中に組み込んでいきたい、かように考えてございます。

○吉田委員 私、具体的に質問しているんですが、児童養護施設の担当部長さん、どなたですか。こういうことは心配ないんですか。どう対応されるんですか。

○福永子ども家庭部長 各施設に対しましては、子どもたちの将来の進学に伴う経費負担に対応できるよう、現在も経過期間中でございますけれども、経過期間中から計画的な補助金運用ということで指導しております。
 なお、民間の児童養護施設とは今後とも適宜協議を進めてまいりたいというふうに考えております。

○吉田委員 経過期間中はいいんですけれども、本則のときにそういう個別対応が困難になるのではないかというふうに質問をしているんです。
 あわせて、もう時間過ぎていますが、もう一つ聞きますけれども、先ほど、構造改革が背景にあるんだということを村山さん盛んに強調されましたけれども、少なくともこの児童養護施設については、措置から契約へということを直ちに執行するのはなじまない、当面は少なくとも措置制度で継続されるというふうに聞いているんですが、それならば余計、やはり個別的なきちんとした補助制度を継続すべきだと思うのですが、あわせてご答弁お願いします。

○福永子ども家庭部長 本則適用後のお話でございますけれども、本制度の趣旨に沿いまして、補助総額の中で、各施設の実情に応じた弾力的かつ柔軟な対応をしていただきたいというふうに考えているところでございます。
 なお、児童養護施設につきましては、措置制度ということで、契約という形にはなってございませんので、その辺の事情は当然考えた上での今回の経過措置というふうに認識しているところでございます。

○村山企画担当部長 後段のご質問との関係でございますけれども……。(「あなたに質問してないよ、悪いけど」「福祉局に質問しているんだから」と呼ぶ者あり)答えさせていただきます。
 本制度の措置制度との関係についてでございますが、措置制度との関係では、そもそも措置制度の中には一定の、こうした学校に行くための経費というのは算入をされていると。その上に乗せた部分のお話でございますので、その点については、そういう中での東京都としての独自制度についてどのように運用していくのかということでございまして、そのようなものとして、今、子ども家庭部長からお話ししたような形で対応させていただきたいというふうに思っております。
 また、措置制度というのは、ほかの契約に移行するものとは別ではないかというご指摘でございますけれども、その点については、措置制度から移行しない、措置制度のままで今後とも行われる分野につきましても、利用者本位のサービスを志向する、そのための主体的な施設での創意工夫、経営努力というものはやはり求められるものであるというふうに考えているところでございます。

○吉田委員 利用者ニーズに対応できるということを盛んに強調されたわけですから、本当にこの制度の変更によって、子どもの進路が保障されない、あるいは保障しようとしたら、それが逆な形で、そこの経営者や他のサービスに矛盾としてしわ寄せが起きるというようなことのないように、ぜひ大いに努力をしていただきたいということを改めて強調いたします。
 最後に、先ほど話がありましたように、やはり福祉サービスの向上というときには、本当にそれを支える職員の方々の専門性や経験性、技能、しかもそれが、個々の人が秀でるだけではなく、集団として経験や専門性が高まっていくということが不可欠です。それを支えるのは安定的な身分保障であるということは、この間の公私格差対策の果たしてきた役割から見れば、いうまでもないことだと思うのですね。
 きょうの話、もう少しかみ合った話ができるかと思いましたけれども、残念ながら、本当に平行線どころか、離れていくような印象で、寂しい思いをせざるを得ませんでしたけれども、実態に即して、改めるべきことは改めるという姿勢で対応していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を終わります。

○立石委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 福祉局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、福祉局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で福祉局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十四分散会

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