各会計決算特別委員会速記録第八号

平成十三年二月二日(金曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 三十名
委員長立石 晴康君
副委員長木内 良明君
副委員長田島 和明君
副委員長たぞえ民夫君
理事織田 拓郎君
理事小礒  明君
理事丸茂 勇夫君
理事井口 秀男君
理事尾崎 正一君
羽曽部 力君
真鍋よしゆき君
田代ひろし君
吉田 信夫君
谷口 卓三君
今井 悦豊君
鈴木 一光君
樺山 卓司君
藤田 愛子君
古館 和憲君
石川 芳昭君
白井 常信君
比留間敏夫君
沢西きよお君
田中  良君
寺山 智雄君
曽根はじめ君
新藤 義彦君
小山 敏雄君
西田ミヨ子君
秋田かくお君

欠席委員 なし

 出席説明員
出納長室出納長佐々木克己君
副出納長三宅  亨君
副出納長道本 佳治君
教育庁教育長横山 洋吉君
次長鎌形 満征君
総務部長加島 俊雄君
学務部長若林 尚夫君
施設部長神山 隆吉君
人事部長小海 博指君
福利厚生部長小島 郁夫君
指導部長斎藤 尚也君
生涯学習部長嶋津 隆文君
体育部長桜井 武男君
同和教育担当部長幡本  裕君
人事企画担当部長臼井  勇君
都立高校改革推進担当部長山際 成一君
局務担当部長千葉 和廣君
参事佐藤  広君
都市計画局局長山下 保博君
次長石山 伸彦君
技監勝田 三良君
理事塩野 忠弘君
総務部長野田 一雄君
総合計画部長中島  守君
開発企画担当部長田中  亨君
地域計画部長小林 崇男君
施設計画部長杉浦  浩君
航空政策担当部長山内 一良君
外かく環状道路担当部長成田 隆一君
開発計画部長只腰 憲久君
防災都市づくり推進担当部長福島 七郎君
建築指導部長森下 尚治君
参事河島  均君

本日の会議に付した事件
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  出納長室関係
  ・一般会計決算(質疑)
  教育庁関係
  ・一般会計決算(質疑)
  都市計画局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・都市開発資金会計決算(質疑)

○立石委員長 ただいまから平成十一年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、出納長室、教育庁、都市計画局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 出納長室関係に入ります。
 出納長室関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際、資料要求はいたしておりませんので、これより質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 出納長室関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、出納長室関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○立石委員長 これより教育庁関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員の交代がありましたので、横山教育長から紹介があります。

○横山教育長 昨日、二月一日付で幹部職員の異動がございましたので、紹介をさせていただきます。
 局務担当部長の千葉和廣でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○立石委員長 紹介は終わりました。

○立石委員長 教育庁関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○加島総務部長 過日の委員会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の平成十一年度決算特別委員会要求資料の目次をお開き願います。今回ご要求のございました資料は、1の都立高校改革推進計画による全日制普通科高校数の学区別比較から、4の区立小中学校校地の所有状況までの四件でございます。
 それでは、一ページをお開き願います。1、都立高校改革推進計画による全日制普通科高校数の学区別比較でございます。
 都立高校改革推進計画の第一次及び第二次実施計画により改編等となる全日制普通科高校について、対象の高校をお示しするとともに、平成九年度と計画実施後の学区別学校数をお示ししてございます。
 二ページをごらん願います。2、都立学校修繕費の推移、過去五年間でございます。
 都立学校の修繕費について、平成七年度から平成十一年度までの各年度の決算額及び修繕の実施校数をお示ししてございます。なお、注意書きにございますように、修繕の決算額は、新増改築事業を除く増改修事業、耐震補強事業及び大規模改修事業のうち、一件当たり五千万円以上の事業を対象としております。
 三ページは、3、知的障害養護学校の教室不足数の状況でございます。知的障害養護学校について、平成十二年五月一日現在における、普通教室等の保有教室数と学級数に基づく必要教室数の比較により、教室不足の状況を学校別にお示ししてございます。
 四ページをごらん願います。区立小中学校校地の所有状況でございます。区立小中学校校地について、平成十二年五月一日現在における学校数及び校地面積の全体をお示しするとともに、国有地、都有地、民有地の別に借地の状況をお示ししてございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくお願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○新藤委員 例の過日の成人式ですか、各地区におきまして、大変ひどい状況があったわけでございます。その中で、また、十七歳を代名詞とする青少年の非常な凶悪化とか低年齢化とか、そんなふうに、次代を担う子どもさんたちの今の状況というものは、非常に嘆かわしいものがあるわけでございます。
 その中で、当然、これは家庭教育あるいは社会環境と申しますか、マスコミ、大人を含めた社会でのいろいろな問題、さらには学校教育、こういったものが総合的に絡み合った中での現象というふうに私も思っているわけでございますが、その中で、やはり学校教育というものは、子どもさんのこれからの長い人生をいかに人間として成長させるか、そのための非常に大事な関門だと思っているわけでございます。
 その中において、いろいろと聞き及ぶところによりますると、全く先生として指導性がない、あるいはやる気がない、そんなお話を聞くわけでございます。これはもちろん人数は少ないわけでございますけれども、しかし生徒の側からしてみたら、これは一生に一度の出会いと申しますか、非常に大切な時期でございますので、こういったことについて、やはりある程度対応しなければならない、これは当然のことだと思います。
 その中でお伺いしたいんですが、児童生徒を適切に指導できなかったり、指導意欲に欠けるような先生がおられるわけでございますが、こういったことに対しまして、都の教育委員会としては、その実態をどのように把握しているのか、お伺いいたします。

○小海人事部長 いわゆる問題教員の実態でございますけれども、問題教員のうち、児童生徒を適切に指導できない指導力不足教員につきましては、平成十一年度、新たに認定した教員が三名、前年度から継続している教員が七名、合計十名の教員を認定しております。
 これに対しまして、指導意欲に欠ける教員の実態につきましては、現在のところ、十分には把握できておりませんが、今年度から実施する業績評価の評定結果に基づきまして、その実態を的確に把握することが可能になると考えているところでございます。

○新藤委員 それでは、そのような教員に対しまして、都の教育委員会は今までどのように対応してきたのか、お伺いいたします。

○小海人事部長 まず、指導力不足教員につきましては、学校におきまして個々の教員の実情に応じた指導計画を作成し、管理職等の指導のもとに、主に模擬授業及びチームティーチングの授業を通しての教材開発や、児童生徒への対応方法の改善など、学習指導に関する研修を、段階を追って行ってまいりました。
 また、指導意欲に欠ける教員等につきましては、管理職が自己申告書提出の際に行う面接や、授業観察実施後に行う指導育成等、人事考課制度に基づき、個別に指導を行っているところでございます。

○新藤委員 今後、このような教員をなくしていくことが必要だと考えているわけでございますけれども、都の教育委員会としてはどのように対応していくおつもりでしょうか。

○小海人事部長 児童生徒を適切に指導できない教員に対しましては、指導力不足等教員と認定し、教職員研修センターにおきまして専門的、集中的に研修を実施することにより、再教育を図る予定でございます。
 また、指導意欲に欠ける教員につきましては、引き続き人事考課制度に基づき、校長が面接や指導育成を行うとともに、教職員研修センターにおきまして、教員のライフステージに応じて実施する現職研修や、教育課題、教科等に関する専門研修なども実施することにより、資質の向上、能力の開発を目指す考えでございます。

○新藤委員 ぜひ十分に実施していただきまして、児童の指導に当たる先生でございますので、よろしく徹底方、お願い申し上げておきます。
 次に、これは日本国民といったらいいんですか、児童として、やっぱり誇りをいろいろな面において持てるような形をとらなければならないと思うのですが、その中において、特に歴史教科書の関係につきましての選定で、いろいろと問題があるのじゃないかなと、私も思っているわけでございます。
 特に教科書の採択に当たっては、学校の方針とか意向、あるいは場合によっては教職員組合の意向、そういったものが非常に大きく反映されているというふうなことを、私も聞いておるわけでございますけれども、都の教育委員会としては、こういうことに対してどういった指導をしてきたのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 教科書の採択につきましては、採択についての権限を有します教育委員会の責任において、適正かつ公正に行われる必要がございます。
 都教育委員会は、採択に当たりまして、学校の意向を把握するなどの場合には、教育委員会の採択権限を侵害しないよう、文書やヒアリング等により指導してまいりました。今後とも、適正な教科書の採択が実施されますよう、区市町村教育委員会に対する指導を行ってまいります。

○新藤委員 それでは、この教科書の採択について、今後どのような改善をしていくのか、お伺いいたします。

○斎藤指導部長 教科書の採択に当たりましては、教育委員会の責任において、各地区の実情に応じ、適切に教科書の採択が行われることが必要でございます。
 都教育委員会といたしましては、専門的な調査研究の充実、適正かつ公正な採択の確保、開かれた採択の推進を図る観点から、区市町村の採択事務について、適宜実態調査やヒアリングの実施など、今後とも適切な指導助言、または援助を行ってまいります。

○新藤委員 ぜひ子どもさんが--これは学校だけでは解決できない問題なんです。やっぱり親とか家庭教育、あるいは社会等々のことも大切なんですが、学校教育の方もぜひ、子どもさんが人間として、あるいは社会の一員として、いろんなことが勉強できるような、そういったことに対して誇りを持ってやっていただきたい、このような教育をお願いしたいと思います。
 次に、過日の、これは意見だけ申し上げますけれども、二十七日に日本教職員組合の教育研修全国集会というのがあったわけでございます。横山教育長がここに行かれましてごあいさつしたところ、何か荒れた成人式さながらの状況だったというようなお話で、先生がこんな状況だったら、子どもさんの教育はできないと思うんですよ、私は。ですから、そんな面につきましても含めて、是正方をお願い申し上げたいと思います。
 以上で終わります。

○たぞえ委員 私は、十一年度決算に当たって、三つの課題についてお伺いしたいと思います。
 一つは、資料4で指摘されました学校施設校地の借地料、承諾料の問題です。
 都内の区立小中学校千三百二十校のうち、八・五%の百十二校が国有地を使用しています。そのために、市町村は国に対して毎年校地の借地料を払い、建てかえ、増築の際には承諾料を払うという、財政的にも大変大きな負担を強いられているのです。
 十一年度では、二十三区が支払った借地料はどの程度の額でございましょうか。

○神山施設部長 二十三区が国に支払いました国有地借地料は、平成十一年度総額九億二千七百万余円でございます。

○たぞえ委員 私は、二十三区の区長会から、また教育長会から出されておりましたこの問題、平成八年度の各会計決算特別委員会でも取り上げまして、とりわけ建てかえ、増築等にかかわる承諾料の廃止を、都として国に求めるよう強く要求いたしました。
 都教育委員会は検討させていただきたい、このように答弁されましたが、その後、どのような努力をされてきているのでしょうか。

○神山施設部長 国への増改築承諾料の廃止要求につきましては、特別区教育長会からの要望も踏まえまして、文部省に対しまして、二十三区からの国有地にかかわる増改築承諾料の廃止要望について伝えてまいりました。

○たぞえ委員 国は、どのようにこの要望について対応されているんですか。

○神山施設部長 国は、所管は大蔵省になりますけれども、現在財務省でございますが、平成十一年九月から、国有地にかかわる増改築承諾料につきまして、五割減額することといたしております。

○たぞえ委員 これによって二十三区が計上していました財政負担、これはどの程度軽減されたのでしょうか。

○神山施設部長 増改築承諾料の減額制度が平成十一年九月から新たに実施されましたが、それ以降に増改築承諾料の支払われた実例はないところでございます。
 今後は、増改築承諾料につきましては、制度上五割減額されたことになると思います。

○たぞえ委員 これまでの承諾料が半分の額に、率におさまった。しかし、それでも実際に校舎の増改築を行う場合には承諾料を払わなければならない、こういうことは歴然として残っているわけですから、当然、区市町村は、体育館や学校校舎の改築に当たって、その建築費以外にも承諾料を払うことは、さらにブレーキをかけているわけです。それだけ負担が大きいということではないでしょうか。
 この制度の承諾料は、関西地方の一部にはないと聞いておりますが、確認をしたいと思います。

○神山施設部長 国は、関西地方においても、都市部など増改築承諾料の慣行のある地域では、増改築承諾料を徴収することといたしております。

○たぞえ委員 八年度の決算の際にも、この制度が関西地方には適用していない、関東地方の各自治体に適用しているということで、大変不公平であるということも、私は指摘をしました。
 関西地方の府県の一部ということでありますが、かかっているところとかかっていないところがある。これはやはり教育の機会均等という視点からも、現実に大変矛盾が起こっているというふうに思います。半分まで削減をしたのですから、根本的にこの承諾料についてはなくすよう考えるべきだと思いますが、いかがですか。

○神山施設部長 国では、普通財産について適正な対価により貸し付けを行うこととしておりまして、民間での慣行を踏まえまして、徴収しないという例外事項がありますが、原則として増改築承諾料を徴収しております。
 小中学校は公共性の高い施設であることから、今後とも負担の軽減を図ることが望ましいと考えております。
 なお、国におきましては、現在貸し付けている国有地につきましては、増改築等の承認申請がなされた場合は買い受け勧奨を行い、売り払い処分を積極的に推進しているところでございます。

○たぞえ委員 売却処分の促進と今いわれましたが、そういう問題が根本的な解決ではないと思うのです。借地料を払うのもやっとのときに、承諾料を払うのが嫌なら土地を買え、これでは財政負担はますます根本解決しません。
 そんな財政状況にないわけですから、教育委員会自身もそのことはよくご承知だと思うんですよ。財政難といっている都が、やはり区市町村の立場でこの承諾料を積極的に廃止するよう要求することが、今日の教育条件の適正化を進める上で大事だと考えます。
 その点で、都教育委員会として、引き続き承諾料の廃止を国に求めるべきだと思いますが、見解を伺いたいと思います。

○神山施設部長 小中学校の設置者であります二十三区の意向等も踏まえまして、努力してまいりたいと思います。

○たぞえ委員 次に、教室不足の問題です。
 まず初めに伺いますのは、公立小中学校、都立高校では教室不足というのはあるのでしょうか。

○神山施設部長 都立学校において、普通教室が不足しているということはございません。
 また、公立小中学校につきましても、普通教室が不足している状況にはないと認識しております。

○たぞえ委員 知的障害養護学校の保有教室数の実態を示してください。

○神山施設部長 平成十二年度、知的障害養護学校におきましては、六校において教室に余裕があり、十五校一分校で教室が不足しております。
 不足校における必要教室数は四百六十三教室で、保有教室が四百十四教室であり、不足数は四十九教室となっております。

○たぞえ委員 教室が四十九も足らない。公立の小中と都立高校はそんな事態はない。この不足の改善が進んでいないのは、一体なぜなんですか。

○神山施設部長 知的障害養護学校では、児童生徒の障害の重度重複化や入学者数の増減などによりまして、年度間で教室の必要数に変動があり、一部の学校において、教室不足が生じております。
 このような状況に対応するため、従来から、管理諸室などの転用とともに、校舎の増築などを行って、柔軟に対応しているところでございます。

○たぞえ委員 十一年度の都立学校の修繕費と、修繕校の内訳数をお知らせください。

○神山施設部長 十一年度に執行した、一件五千万円以上の工事を対象とした修繕費の総額は七十三億一千万余円で、修繕を実施した学校数は三十五校であり、その内訳は高校が三十校、五十四億三千余万円でございます。修理費総額の七四%。盲・聾・養護学校が五校で十八億七千余万円で、修繕費総額の二六%でございます。

○たぞえ委員 施設改善の重点の置き方が違うのじゃないでしょうか。
 これは来年度の予算原案でもくっきりあらわれていました。養護学校の増改築費は二億四千四百万円の削減です。その一方で、都立高校の改築費は三十七億八千七百万円の増です。統廃合絡みで、都立高校に大きく配分がされていまして、比率としても養護学校は片隅に追いやられています。このような財政計画では、養護学校の教室不足は根本的な解決はしません。この四十九の教室不足を解消するには、一体何年かかるのでしょうか。

○神山施設部長 教室不足の対応につきましては、これまでも、管理諸室や特別教室などの転用や増築などで対応してきております。今後も増築などを計画しているところであり、教室不足に対応してまいります。

○たぞえ委員 四十九の不足教室をゼロにするには何年かかるのかと伺っているのです。もう一度お願いします。

○神山施設部長 四十九の教室不足を解消するに当たりましては、ただいまご答弁申し上げたとおり、管理諸室、特別教室、あるいは増築などで対応してまいりまして、いつの時点で解消するということは、早急に対応してまいりますが、現時点では、はっきり申し上げられません。

○たぞえ委員 見通しがないということなんですよね。本当に、障害のある子どもたちに責任を持って、教育行政側がことしはこれだけの学校教室不足を解消しよう、こういう努力をしなければ、いつまでも一つの教室で二クラスが同時に勉強しなければいけない、こういう事態をそのまま放置しておくわけにはいかないじゃないですか。年々、子どもたちの障害も複雑になっている中で、一日も早い改善が、教職員や、またPTAのお母さん方からも、強く要望が出されています。
 教育長に伺いますけれども、養護学校にも適正な財政配分を行って、不足解消に本格的に取り組むべきだと思いますが、教育長の決意を伺います。

○横山教育長 私どもの職務の一つとして、教育環境の整備というのは重要な職務でございますので、今ご指摘のございましたような点も含めまして、最大限の努力をしてまいります。

○たぞえ委員 それでは、次に養護学校のスクールバスについて伺います。
 スクールバスを配車している養護学校の生徒の在籍数、そのうち利用者は--三千五百六十六人がこのバスに乗車をしています。バスの乗車時間が一時間を超える学校は全体の何割あるんでしょうか。

○若林学務部長 スクールバスの配車でございますけれども、盲・聾あるいは病弱養護、これを除きます四十三校のうち、三十九校に配車をしてございまして、一時間を超えるコースのある学校は、全体の三十四校、八七%でございます。

○たぞえ委員 十一年五月一日の時点で、平均乗車時間は六十九分というふうにいわれています。最長時間は、肢体不自由の光明養護学校の子どもで百五分、知的障害の矢口養護学校で八十五分です。この両校は、十二年五月一日現在ではどういう時間になっているのでしょうか。

○若林学務部長 光明養護学校の環八コースがあるわけですけれども、これが百五分でございます。それから矢口養護学校の世田谷コースが九十分となってございます。

○たぞえ委員 ひどい状態だと思うのです。一年経過しても長時間乗車時間が変わらないと。長い時間バスに乗って、子どもたちが家から学校まで行く。
 私は、ある親のお話を聞く機会がありました。この子どもは朝六時半に起きて、三十分身支度をして、七時半ぐらいにバスの停留所に向かいます。そこで乗り込みまして、学校に着くのが八時四十五分、一時間十五分乗っているわけです。
 途中からも乗ってきますので、だんだん乗ってくる子どもたちは時間が短くなるが、最初に乗った子どもは、全部乗り切るまでずっとバスの中にいるわけですよ。ご飯を食べてきたとしても、途中でトイレに行きたい、そういう事情があっても、学校に着くまでおりられません。
 土曜日、給食がない学校の場合に、給食なしで乗車して、ぐるっと回ってきて午後三時だったと。その間、水も飲めない、トイレにも行けない。おなかぺこぺこで、ようやく家に着いて四時だった。本当に子どもたちはつらい思いをしているのじゃないでしょうか。
 都教育委員会は、この解決のためにどういう改善の努力をされてきたのでしょうか。

○若林学務部長 スクールバスの運行コースにつきましては、毎年の就学状況に応じまして見直しをしているところでございます。
 先ほどの二コースの場合でございますけれども、光明養護学校の環八コースでございますが、乗車人員が十六名でございます。百五分を乗車している児童が一名、それから七十分乗車している児童が二名ございます。残り十三名は六十分以内となってございます。
 それから、矢口養護の世田谷コースでございますけれども、乗車人員は二十五名でございまして、六十分を超える児童生徒が七名、六十分以内の児童生徒が十八名ございます。
 今年度は、こういう乗車いたします児童生徒数が七名増加したという経過でございますけれども、児童生徒の通学状況を考慮した上で、バス停も四カ所増設してございます。こういうことによりまして、乗車時間が五分延びてございます。
 また、羽田コースのように五分短縮したコースもございますので、毎年の就学状況に応じて見直しをしているところでございます。

○たぞえ委員 五分短縮したといって、今、部長の顔にほほえみがありましたが、それではバスの配車台数、これはどうなっていますか。十一年、十年でお願いします。

○若林学務部長 全体の配車台数でございますけれども、十年度が百八十七台、それから十一年度も同じでございます。十二年度が百八十九台という状況でございます。

○たぞえ委員 私、事前に教育委員会から資料をいただいておりますが、部長の答弁といただいているものと、ちょっと違いますので、きちんと指摘をしておきたいと思うのですが、十年度百八十九台、十一年度百八十九台、十二年度百九十一台、こういう実態です。

○若林学務部長 ただいまたぞえ副委員長がおっしゃいましたのは、盲学校、聾学校を含めての数でございまして、私、先ほど答弁いたしましたのは、そこを除いた台数でございます。

○たぞえ委員 先ほど私が申し上げたのは、盲・聾・養の全体の数字です。肢体不自由の養護学校でいいますと、平成九年以降、一台も増車はありません。知的障害学校でも、九年度七十一台が十二年度七十三台で、二台ふえただけです。これでは、長時間乗車時間の根本解決は図れないと思います。ここが解決しなければ、根本的な解決はないのじゃないでしょうか。増車がどうしても必要です。どのように改善されていくお考えか、示してください。

○若林学務部長 先ほどのスクールバスの運行コースの設定に当たりましては、毎年の児童生徒の就学状況を勘案しながら設置をしてございます。財政等の状況もございますので、その辺の兼ね合いも含めながら、その対応を図っているところでございます。

○たぞえ委員 障害を持つ子どもたちにとって、一定時間を超えた場合の我慢というのは、非常に精神的にも大きなプレッシャーがかかります。この子どもたちが学校に着いて教育を受けるときに、普通の気持ち、普通の体の状態、そういうコンディションが大事だと思うのです。その子どもたちに、やはり行政というのは必要な手だてはきちんととってあげる、これが教育の行政の仕事だと思います。
 百五分、一時間四十五分もバスに乗っていかなければいけない、こういう非常事態は、すぐに解決をしなければいけないと思います。それは、コースの変更やそうした手の問題ではなくて、基本的にはバスをふやして、短時間で自宅から学校までのルートをつくってあげる、こういう手だてだと思います。
 そういう点では、この間増車はありませんので、改めて今後の対策として、増車を強く要求しておきたいと思います。

○木内委員 先ほど来の、例えば新藤委員の質疑の中でも触れられておりましたけれども、十七歳の問題、あるいはさきに行われた全国的な成人式における憂慮すべき事態、こうした傾向というものが年々社会的にも大きくなってまいりました。将来的な国民的資質を考えるときに、さまざまな論点が指摘されると思いますけれども、私はその中で、特にこうした社会的風潮の中で、幼児教育が持つ意味というのは大変に重要になってきている、こういうふうに思うのであります。
 また、既によく議論されることでありますけれども、学級崩壊、これもまさに憂うべき事態に、今入っているわけであります。こうした原因を考えるとき、さまざまな学識経験者や専門領域の方の指摘する点は数多くありますが、例えば三点。一つ、子どもたちの社会性の未発達の問題であるとか、あるいは子どもの変化に対応できない教員の現場における指導力の問題、さらに家庭、地域社会における教育力の低下、これは社会環境や都市構造の激変の中でもたらされてきた側面もあるわけでありますけれども、幼稚園教育、あるいは小学校入学前の段階における教育のあり方というものが大きな視点で検討され、またその施策の充実が図られなければならない、こう思うわけでありまして、私は、かつてこの決算特別委員会、あるいはさまざまな機会をとらえて、幼児教育の重要性を訴えてきているところであります。
 家庭の教育力の低下、地域社会における家庭の孤立ということが指摘されて久しくなっていますけれども、こうした状況も踏まえて、都は東京構想二〇〇〇の中で、子どもが健やかに育つ社会を築くため、心の東京革命の推進ということを提唱しているのであります。
 この推進に当たっては、家庭、学校、地域の連携のもとに、幼児期からの子どもの発達を一貫して見通した教育を行うことが重要であると私は考えておりまして、とりわけ、何度も申し上げるように、幼児期の教育が重要であるわけであります。
 そこで、まず初めに、幼児期の教育並びに幼稚園教育の重要性について、今私が指摘したことも踏まえまして、都教委の認識をお尋ねします。

○斎藤指導部長 幼児期は、生涯にわたる人間形成の基礎が培われる時期でございまして、幼児期からの教育は極めて重要でございます。
 特に、基本的な生活習慣や創造的な思考、あるいは主体的な生活態度などの基礎を育てる、人とのかかわりを大切にした道徳性を培うことなどの面からも、幼児教育については、今後とも推進をする必要があろうかと思っております。

○木内委員 そういう流れの中で地教法の法律事項の改正等があって、十一年度以降、都の幼児教育に対するあり方というものも変化してきている、こう思うのであります。
 平成十一年度における公私立幼稚園数及び近年の推移はどういう傾向をたどっているのかということ、それからあわせて、時間の関係でお尋ねをするわけでありますけれども、平成十一年度における幼稚園教育に関する教員の研修及び研究の実態はどういうものでありましたか。

○斎藤指導部長 まず最初に、公私立幼稚園数及び近年の推移でございますけれども、平成十一年度は公立幼稚園二百五十七園、私立幼稚園九百二十三園、国立幼稚園二園の、合計千百八十二園です。五年前の平成六年度と比べまして、公立は二十六園、九・一%、私立は四十六園、四・七%、全体で七十二園、五・七%の減少になっております。
 次に、教員の研修及び研究の現状でございますけれども、平成十一年度の研修につきましては、指導部管轄におきまして、新教育課程の理解推進の研修等、二本の研修を実施し、計四百人が参加しております。
 また、都立教育研究所におきましては、新規採用教員研修を初め、幼児教育に関する専門的な理解や技能を高める研修など九本、計五十二回の研修を実施しまして、四百九十八人が参加しております。
 また、同じく平成十一年度の研究につきましては、指導部では教育研究開発委員会による研究を一本、都立教育研究所では二本の研究を行っております。

○木内委員 私は、かつてこの議会の質疑の中で申し上げた視点から、幼児教育は充実させるべきであり、あるいは都研の改編があり、センターに移行するような事態の中でも、幼児教育研究の機能というものは、形はどうあれ存置されるべきである、継続されるべきであるという主張をいたしました。これらに対して、東京都側からはそのようにする、いわば幼児教育の研究の継続というものは行っていくのだ、こういうことになりました。
 十一年度以降、今日における改編の中身、組織図、こういったものを見てみますと、幼児教育研究の明確であった部門がなくなり、あるいは他のセクションに併合される形になっておりますけれども、組織を統合し、教職員研修センターを設置したことに伴って、現在、幼児教育に関する研修、研究はどういう体制のもとに行われているのですか。

○斎藤指導部長 これまで都立教育研究所におきまして、幼児教育部において、幼稚園教諭に対する研修及び幼児教育に関する研究を行ってまいりました。
 平成十三年度に設置する教職員研修センターにおきましては、研修、研究の機能を機能別に集中させ、研修業務や研究業務に専念できる組織にする予定でございます。幼稚園教諭に対します新規採用教員研修や、専門性の高い内容についての研修は、これまでと同様、実施する予定でございます。
 また、研究につきましても、今後の幼児教育のあり方を展望しながら計画的な研究を行い、その成果を、教職員研修センターにおける研修や、幼稚園内の研修に活用できるようにする予定でございます。

○木内委員 今のお答えを確認する意味で、重ねてお尋ねをするわけでありますけれども、教職員研修センターの今の形に移行はしているけれども、幼児教育研究については連続し、また継続して今後も行っていく、こういうふうに受けとめました。研究部門の中の教育課程研究、教育云々といろいろありますけれども、この中の事業として行っていく、この中で行われるものが引き続き継続されるのだ、したがって幼児教育というものは、文字どおり、今後も引き続きこの研修センターの組織の中で行われていく、こう受けとめてよろしいですか。

○斎藤指導部長 幼児教育に関する研修、研究の機能は、連続してこれまでと同様に維持してまいります。

○木内委員 明確な答弁をいただきました。
 それから、幼稚園教育の重要性を踏まえて、今後、全体的にどういった構想のもとに研究を行っていくのか、答え得る範囲で結構ですから、お聞きします。

○斎藤指導部長 幼稚園から小学校、中学校、高校、大学までの一貫した子どもの発達を考慮しながら、各講師が連携して教育を実践できるような計画に研究を進めていく予定でございます。
 心の東京革命におきましては、幼児期からの心の教育や、基本的な行動の仕方の重要性について、家庭への呼びかけを行っており、幼児期の教育の進め方についての実践研究は必要なものと認識しておりまして、今後とも幼児教育に関する課題について、研究を進めてまいります。

○木内委員 それから、地教法の改正によりまして、十二年四月一日から幼稚園教育に関する事務が都から区市教育委員会に移管をされました。区へ移管をされる中で、幼稚園教員に対する研修が、どのように今後行われていくのか、そして、この研修における東京都の役割、これは既に前回の質疑で明らかになっているところも踏まえて、組合委員会との役割分担にも触れて、明快な答弁を願います。

○斎藤指導部長 新規採用教員などを含めまして、一般的な研修につきましては、現在も都教育委員会と区市教育委員会が、それぞれ役割分担で進めているところでございます。
 今後とも、都教育委員会は、都全体の教育水準の維持向上を図る立場から、区市教育委員会及び特別区人事・厚生事務組合教育委員会と役割分担をしながら、幼稚園教育職員の研修の充実を図ってまいります。

○木内委員 たしか十二年の決算特別委員会で、斎藤指導部長が幼稚園教育職員の研修については、特に専門的分野については広域的な立場、あるいは教育水準の向上という立場から引き続き行っていくということ、まさに今の答弁と重ね合わせて、充実した内容での対応というものを、ここで強く要請をしていきたいと思うのであります。
 それから、冒頭にお聞きしたのでありますけれども、私立幼稚園における幼児教育というものは、今、社会の構築を考える上でゆるがせにできないものでありまして、私立幼稚園教員の資質向上、研修の充実に対する都教育委員会の役割についても、答弁を願います。

○斎藤指導部長 私立幼稚園の設立趣旨はさまざまございまして、都教育委員会の考え方を一律に示すことは難しい面もございますけれども、幼稚園教育要領の趣旨を踏まえた教育が行われるよう、幼稚園の教育課程、あるいは幼児教育の課題についての研修を行う際には私立幼稚園にも呼びかけるとともに、指導資料作成配布の際には、情報提供もあわせて行ってまいります。

○木内委員 設立趣旨等さまざまであることから、都教委の考え方を一律に示すことは難しいとしながらも、後段の部分の答弁にありますように、都教委と私立幼稚園の関係というものが明確になったことを多としたい、こういうふうに思います。
 さて、次の問題であります。
 先ごろ文部科学省におきまして、二十一世紀教育新生プランには、指導力が不足し、十分な適格性を有しないと認める教員に対する方策が明らかにされておりまして、国においても、指導力不足教員の問題に遅まきながら取り組み始めたところであります。
 今でこそよく喧伝されるのでありますけれども、大阪府など他の自治体においても、この問題に対する対策が検討され、取り組みというものが広がりつつあるわけでありますけれども、東京都においては、この問題に、いち早く実は取り組んでいる経過がありまして、その先見性を、まず私は高く評価するものであります。さらに今後、東京都としては、他府県での取り組みを先導する意味においても、指導力不足教員に対する対策を一層充実させるべきである、このことを、まず質問の冒頭に当たって、私は訴えるものであります。
 さてそこで、平成十一年度の指導力不足教員の実態については、先ほど新藤委員の質問にございましたので、あわせての答弁を願えれば結構でありますけれども、それぞれの現場からの報告等も含め、指導力不足教員の決定の仕方、また、その後、こうしたケースに対してどのような対応をしたのか。私は、上がってきておる資料と数字を見て、さらに現場の関係者からの話を勘案いたしますと、まだまだ指導力不足教員の実態というものは明確に把握されていない、きちっとした対応によって、現場の混乱は避けるべきだし、いわばそうした指導力不足教員というものの実態をきちっと掌握しなければならない、こう思うわけでありますけれども、今の二点、あわせてお尋ねします。

○小海人事部長 まず、平成十一年度の指導力不足教員の実態でございますが、指導力不足教員として十名の教員を認定しておりました。内訳は、平成十一年度に新たに認定しました教員が三名、前年度から継続している教員が七名でございます。
 この指導力不足教員をどのように決めたのかということ、またその後どのような対応をしたのかということでございますが、まず小中学校の教員につきましては、それぞれの校長の具申によりまして、区市町村教育委員会から、調書によって申請が出されます。また、都立学校の教員につきましては、校長から調書によって申請が出されます。その申請をされた教員につきまして、東京都教育庁内の部課長で構成する判定会で決定するものでございます。
 指導力不足教員として決定された者は、担任等を外しまして、一年間研修に専念できる体制を確保しているものでございます。

○木内委員 指導力不足教員に対する研修は極めて重要でありますと同時に、再三指摘するように、すそ野の実態というものをもっと明確に把握すべきだと思います。こうしたケースに対する研修はどのように行われてきたか、また、その研修の結果、退職やあるいは引き続き指導力不足教員として更新された実態、これについてはどうなっているでしょうか。
 なお、これをお聞きする際に、恐縮なんですが、さっきも新藤委員いっておられましたが、日教組教育研究全国集会のとき、報道によりますと、より根源的な問題として、国民の期待にこたえる学校教育を行うためには、教職員の資質、能力の向上とともに、指導力不足教員に対する適切な対応が不可欠である、これについて、さらに深く教育長が言及された。このときに、会場からやじや怒号や、聞くにたえないようなさまざまな反応があったということでありました。これに関する答弁は結構でございますけれども、これは極めて重要な課題だと思いますので、先ほどの答弁をお願いしたい。

○小海人事部長 指導力不足教員に対する研修をどのように行われたのか、あるいはこの研修の結果はどうであったかということでございますが、指導力不足教員の多様な特徴や要因に対応しまして、学校におきまして、個々の教員の実情に応じた指導計画を作成し、管理職等の指導のもとに研修を行いました。
 具体的には、模擬授業及びチームティーチングの授業を通して、教材開発や児童生徒への対応方法の改善と、学習指導に関する研修を段階を追って行いました。
 平成十一年度の十名に対しまして、一年間の指導研修を行いました結果、学校に復帰した者が一名、退職が三名でございます。それから病気休職が一名、残り五名が、指導力不足教員として継続することとなったものでございます。

○木内委員 これまでは、それぞれの学校において、管理職等が中心になって指導が行われてきたと思うのでありますけれども、学校だけで指導するには、指導する側の時間やノウハウの問題、あるいは環境等に限界がある。やはり専門的、集中的に研修を行うような体制づくりが今後絶対に必要だろうと、強く私はこれを申し上げるわけでありますけれども、今後こうした指摘の点も踏まえて、どういった具体的な研修を行っていかれますか。

○小海人事部長 ただいま副委員長ご指摘のとおり、これまでの研修の成果を改めまして、平成十三年度から教職員研修センターが設置されます。それに伴いまして、指導力不足教員に対する指導力ステップアップ研修を新たに実施してまいります。
 指導力不足等の程度に応じて、主に教職員研修センターで一年間研修する長期コース、年間四十日程度研修センターに通う通所コース、夏季休業中等に十日間程度研修する短期コースの三コースを設けまして、実施をいたします。
 いずれのコースにおきましても、学校や区市町村教育委員会との連携を密にしまして、受講者の研修に対する意欲を喚起しながら、学習指導の計画や教材づくりの演習、模擬授業、事例研究などを行い、学習指導の具体的な方法や技術、児童生徒の心のとらえ方など、基礎的な知識、技能を習得させるものでございます。

○木内委員 今ご報告のように、いろいろな研修を計画されているということで、私はその成果に大きな期待を、実は持っているのでありますが、しかし率直にいって、中には研修の成果があらわれない教員も当然いると思う。プロがプロの資格要件に欠けるような実態であったならば、これは厳しい対応をする必要がある、この点についてはどうですか。

○小海人事部長 研修等によりましても指導力の向上が見られず、教壇への復帰が困難と判断されれば、退職を勧告するなど、適切な対応を図ってまいります。

○木内委員 明快な答弁が出ました。
 以上で私の質問を終わります。

○藤田委員 それでは、大きく二点についてお尋ねをいたしたいと思います。
 まず一点でありますけれども、学校給食の問題をお尋ねいたしたいと思います。
 東京都の関係では、盲・聾・養護学校の給食が民間委託をされましたのが九六年からだったかと思います。そこで、平成十一年度でございますが、この民間委託がどのような状況になっているかを教えていただきたいと思います。

○桜井体育部長 学校給食は、正しい食事習慣の体得、そして栄養管理や健康の増進を目指しているところでございます。
 盲・聾・養護学校におきまして、平成八年度から調理業務の委託をしたところでございます。これにつきましては、児童生徒の重度重複化の障害に応じまして、一人一人の障害の状態、機能の発達状況などとともに、日々の健康状況にも配慮した、きめ細かな給食の提供を課題としてございます。
 このため、これらの課題を解決するために、給食内容の一層の充実を図るとともに、財政上の効率化を図ることを目的に、平成八年度から調理業務の民間委託を実施しているところでございます。

○藤田委員 目的のところに財政の問題、きめ細やかな調理、それから盲・聾・養ということであれば、低学年から高学年までの子どもたちが一堂に会しているようなことで、そんなことが目的というふうになっていたわけでありますけれども、例えば、朝非常にぐあいが悪くなったりというような子どもたちに対して、調理の業務変更ができるのかというようなことが、そのときにも問題になったかと思いますけれども、それも含めまして、現在、この業務委託によって問題が起きているのか起きていないのか、問題点があれば、お答えをいただきたいと思います。

○桜井体育部長 学校給食の調理業務の委託に当たりまして、調理業務の変更等につきましても、月単位、週単位、日単位の変更指示書等によりまして、現実に対応しているところでございます。
 現在、どのような問題があるかというお話がありましたが、学校、それから保護者、行政側職員等を構成メンバーといたします都立盲・聾・養護学校給食調理業務委託運営委員会を定期的に開催いたしまして、給食に関する問題点、あるいは要望、意見等についての反映を行いまして、給食の充実に努めているところでございます。

○藤田委員 そのときにも連絡会を提案いたしまして、それを受けて、年に二回ということでありますから、実際には私なんかの考えですと、そういうことを一カ月に一度くらいやっていただいたらいいのじゃないのかなと思っていたのですが、そんなに問題が起きていないというようなことであろうかというふうに思います。
 それでは、平成十一年度で、民間委託をされたことによって、決算ベースでどの程度の財政に対しての切り下げができたのかということをお尋ねしたいと思います。

○桜井体育部長 平成十一年度の調理業務委託経費についてでございますが、十一年度につきましては学校数二十五校が実施してございます。今回の決算書にもございますように、決算額二億九千七百四十九万円を要してございますが、これを仮に直営で実施した場合の人件費等を試算いたしますと、約四割の節減になったものと考えております。

○藤田委員 続きまして、第二点でございますけれども、一九九四年の五月二十二日でしたでしょうか、子どもの権利条約を日本でも批准をいたしました。そして、教育庁は、子どもの権利条約を批准したことによって、パンフレットなどをつくるということで、低学年、小学校の高学年、そして中、高というところでの三種類のパンフレットをつくるということをおっしゃっていらしたわけですけれども、現状、子どもの権利条例に対して、平成十一年度時にはどのような取り組みを行ったのかを伺っておきたいと思います。

○斎藤指導部長 いじめや体罰等に関する相談に対応するために、総合教育相談室に家庭教育相談部門を設けるとともに、夜間電話相談を開始しまして、相談体制機能の充実を図りました。また、中学校にスクールカウンセラーを重点的に配置し、いじめや不登校等の問題解決を図ってまいりました。
 さらに初任者研修や現職研修の研修テキストに、児童の権利に関する条約を掲載しまして、条約の趣旨や教育指導上の配慮等について教員の理解を図るよう努めてまいりました。

○藤田委員 そのときにつくられましたパンフレットは、その後はどんなふうになっていますでしょうか。

○斎藤指導部長 ご質問のパンフレットにつきましては、当時配りましたけれども、その後、その子どもたちは持っておりまして、それを活用しているような状況がございます。それから教員につきましては、新規採用の折に配布しまして、趣旨の徹底を図っております。

○藤田委員 そうしますと、新しく小学校に入った子どもたちには、今はもう配られていないということでしょうか。

○斎藤指導部長 その後、教科書等にこの権利条約につきましては、掲載というか、載った経緯もございまして、学習段階の中で教材として扱うというような事態もございまして、現在は新一年生には配っておりません。

○藤田委員 非常に子どもたちに虐待、いじめ、不登校など、さまざまな問題がありまして、例えば川西市などでは、調査をした結果、六%の子どもが生きていくのがつらい、自殺をしたいというようなアンケート調査が出たということがありまして、今現在、川西、箕面、そしてついせんだって、川崎市で子どもの権利条例がつくられたわけでありますけれども、東京でも、実は児童福祉審議会、それから青少年問題協議会にこのことが諮問されまして、それぞれから総合条例をつくることが望ましいということが答申されたわけであります。
 そして、それぞれの代表質問やら、あるいは委員会の質問などでも、ことしの三月いっぱいまででこの条例をつくろうという答弁もいただいておりますし、実際に検討に入る段階であるというところまできたわけでありますけれども、それが平成十一年度に、子どもの権利条例の研究会が庁内検討会に変更をされてしまったというような状況になっているのです。平成十一年度に発足して、昨年の九月に報告書が出されておりますけれども、この検討結果について、都教委の考え方をまずお尋ねいたしたいと思います。

○斎藤指導部長 子どもの権利条例研究報告書には、子どもの虐待やいじめ、不登校など、子どもをめぐるさまざまな課題が示されておりますけれども、都教育委員会としましては、現状の問題としまして、子どもたちからの苦情相談を受けておりますので、まず総合教育相談室を開設して、子どもにかかわる対応をしてまいりました。
 また、近年、この相談内容が多様化、複雑化していることもございまして、総合教育相談室と多摩教育研究所の相談部門を一元化しまして、教育相談センターとして、いじめや体罰等の問題解決救済のため、教育相談機能の一層の充実を図ることといたしたところでございます。
 さらに、都教育委員会としましては、区市町村との連携を十分図って、広域的な立場から子どもたちの人権についてかかわり、支援していく所存でございます。

○藤田委員 実は、これはSOS電話ということで、児童相談所内に設けられている、これについても非常に問題はあるかと思いますが、試行ということで、SOS電話が子どもからの直接の電話を受けるようになっています。
 その第一号が、やはり学校での問題でありました。児童福祉というようなことからの答申であったことも含めて、今、都庁内では、福祉局の中に子どもの権利に関する部署が置かれていますので、教育庁の方では、なかなかそこの問題と絡めて、縦割りの中で難しい状況があったというふうにも思いますし、それから、私が最初に質問させていただいた平成五年の第三回定例会のときにも、オンブズマンの必要性を述べたわけでありますけれども、いわゆるこの子どものSOS電話というものは、オンブズの機能を有しているというふうにいわれている試行的なものでありますけれども、ここで第三者機関、例えば、今、総合相談窓口が置かれているのでというようなお話がありました。
 それも十分、必要であろうと思いますが、例えば学校の相談をしたいと思っているのに、学校に電話をかけるということは、子どもたちにとってはこれは難しいことであると思いますし、校長先生の問題が何かある、あるいは学校の先生の問題で、体罰を受けているというようなことで相談をしたいと思っているのに、直接窓口に出られる方がそういうことであるということでは、なかなか解決がつかない、あるいは電話をする気にもならないというような状況になっているわけですけれども、第三者機関としてのオンブズについては、教育庁としてはどんなふうに考えられましたでしょうか。

○斎藤指導部長 教育委員会制度そのものは、委員によるいわゆるレーマンコントロールのもとで教育委員会の業務が執行されておりまして、その権限として、指導監督を行っているということが一つございます。
 それから、今ご指摘の、学校の子どもたちから、学校のことについて学校関係者への問い合わせは不都合ではないかというご指摘でございますけれども、この相談センターにおります相談員たちは専門家集団でございまして、もちろん一部は、現在のところ指導主事もおりますけれども、専門家の人がそれを受けて、学校にかかわるようなこと、指導にかかわるようなことについては、直ちに私どもの方の行政部門に連絡を入れまして、それぞれの当該の教育委員会の方に対応を求めたり、あるいは事実関係を調べてもらったりするような迅速な対応を今しているところでございます。
 したがいまして、教育委員会制度との絡みの中で、第三者機関からのということがややなじまない。それから、学校の実態から申し上げまして、やはり子どもたちの教育をしている場でございますので、その教育指導との兼ね合いも考慮しながら、指導助言していくことがふさわしいのではないかというふうにも考えております。
 そういった意味で、お答えになったかどうかわかりませんけれども、そういう見解でございます。

○藤田委員 もちろんそのように、最初の一般質問のときにはお答えになりました。しかし私は、この約七年の間、いろいろ教育の場面でのお話を伺っておりますときに、やはり任命権者、そして予算権を持っているということにおいて、教育庁が第三者機関としての機能を発揮をしているというふうにはなかなか思えないのでありますけれども、その辺についてはどうでしょうか。

○斎藤指導部長 子どもにかかわる保護者等、都民からの問い合わせ、苦情につきましては、率直に相談窓口等で承っておりますし、それについて、当該の指導にかかわるから隠すとか、そういうことではなくて、公正に対応してまいったつもりでございます。

○藤田委員 ごめんなさい、質問の意図がはっきり伝わらなかったようでありますけれども、やはり知事が人事の任命権者であり、そして予算権を持っているというところでは、なかなかこれが独立ということの、いわゆる第三者機関としての役割を果たしているとは思えないなというふうに思うわけであります。
 そして、この研究会の中で、東京都の機関に対しては、例えばオンブズができたにしても、役割として発揮ができるかもしれないけれども、区市町村に対してはそこが届かないのではないかというようなことが書かれているかと思いますけれども、これについてはどんなふうな考え方によっているのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

○斎藤指導部長 ご指摘のように、都立関係につきましては、その勧告について受け入れることは可能かと思いますけれども、区市町村の教育委員会につきましては、区市町村の設置者であるということが一つございまして、その管轄の違う教育委員会に対して、協力関係にはございますけれども、上下関係という関係にはございませんので、そういう機関に対して直接調査、あるいは勧告を行うということは、ややなじまないのではないかというふうに考えております。

○藤田委員 それでは、ふだん指導室が市区町村の教育委員会に対して、あるいは学校に対して指導をするというのは、どういう観点から指導ができるのでしょうか。

○斎藤指導部長 法に基づきまして、東京都教育委員会が区市町村教育委員会に対して、教育指導内容について調査を行うものでございます。

○藤田委員 ということであれば、例えば第三者機関としてのオンブズとしての指導と、教育庁としての指導が違うということで、今ご発言をいただいたのでしょうか、ちょっとそこだけ確認をしたいと思います。

○斎藤指導部長 県、都、あるいは県と区市町村の教育委員会の位置づけにつきましては法整備がされて、それぞれ関係が明確になっておりますけれども、新しい制度については、それなりの法的根拠で可能であれば、それは調査あるいは指導ということはあり得るかと思います。

○藤田委員 オンブズということになりますと、そこに第三者の目が入り、そして指導勧告までなされなければ、なかなか権限としての力を発揮することができませんから、実際にはオンブズパーソンを入れて条例をつくっていこうということが、子どもの権利条例の中では、述べられてきたわけでありますけれども、常に教育庁の中では、そういう今お話しされたような見解に立っているということで、これを総合的な青少年行政、児童福祉の観点、それから教育の観点、学校の観点というところからの総合性というものが、片方の局がご理解いただけないとすると、なかなか総合的なものができないのかなというふうに思います。
 例えば現在、児童に対しての体罰や虐待というものについて、特に何か相談ではなくて、それを解決するべく、あるいは子どもの最善の利益を考えたときに、それが執行できるような、そういうものがありますでしょうか。

○斎藤指導部長 体罰につきましては、既に全教職員に対して、体罰にかかわる指導啓発資料を配布したところでございます。
 それから虐待につきましては、法改正によりまして、本年度になりまして、学校の方に対して、報告義務について周知徹底するよう啓発したところでございます。

○藤田委員 最後のところにに、当面、試行中の子どもの権利擁護委員会の効果を検証しながら、権利擁護、権利保障の仕組みづくりについて検討を続けていくというふうになっております。教育庁もこの中に、もちろん検討委員として入っていらっしゃるわけですけれども、今後、そういうさらなる研究会、あるいはさらなる検討を続けていくための仕組みは、何かありますでしょうか。

○斎藤指導部長 繰り返しお答えで恐縮でございますが、先ほど申し上げました相談機能の充実を十分図りながら、子どもたちの権利にかかわる部分については十分対応してまいりたいと思っております。

○藤田委員 まだまだ、子どもに権利を与えるとわがままになるだけとか、そういうふうにおっしゃるような方が先生方の中にもいらっしゃるわけですけれども、未来の大人たちであります。権利をどういうふうに持っているのか、一人の人として、生まれたときからどうやって権利を持っているのかということを教え、そして子どもの権利を持っている、その主体であるということは、自己決定能力をその人たちに教えていくことでありますから、必ずそこには責任ということがついてくるわけでありまして、何もわがままにするために、子どもの権利というようなことをいっているわけでは全くありません。
 そういうことを考えたときに、本当に子どもたちに権利があるということを知らせる、そしてそれが、ひいては自分の身の処し方を、自分みずからが決定していくのだということが必ずそこに出てくわけでありますので、多分そういう、教科書の中に入っている子どもの権利についても話をしてくださっていると思いますけれども、現在の東京の中では、まだまだ、不登校を初めいじめ、体罰というふうにいろいろな問題が出てきておりますし、これからの世の中にあっては、私はやはり地域にはオンブズ、東京には権利条例というような大きな柱を掲げることが、東京からの発信であろうかというふうに思っているわけです。
 子どもたちの状況からして、都教委の中での最終的なこの条例についての考え方を、もう一度教育長にお願いいたしたいというふうに思います。

○横山教育長 今、るる議論をお聞かせいただきましたけれども、基本的に、都教委がやっている第三者機関の話がございましたが、確かに、教育委員というのは知事に任命されていますが、私、知事に任命されていますが、決して知事の指示で動いているわけではないし、第三者機関として機能をしているという自負はございます。
 また、子どもたちの問題につきましても、先般、昨年の第四回定例会でご議決いただきました教育相談センターの関係で、私自身も見に行きましたが、相当親身に相談を受けておりますし、そういう点では、都教育委員会としましては、最大限の子どもたちの権利擁護のため、努力をしているつもりでございます。
 ただ、その教育の課程の中で、子どもたちの権利というのは当然教えるべき内容でございますが、それとともに責任といいますか、義務といいますか、これもやはり相当強く、現在のしつけの状況を見ますと、今後とも、権利とあわせて義務というものをやはり教えていく必要がある、こう感じております。

○吉田委員 私、近年、大きな社会問題となっているいわゆる学力の低下、または学力の危機といわれる事態と、こうした事態に対して東京都としてどのように対応されてきたのか、されようとしているのかということを中心に、若干質疑をさせていただきます。
 何をもって学力というのかという議論はありますけれども、しかし、各界から基礎的な学力の低下、さらに数学や理科という、非常に主要な授業をめぐって、これを嫌う傾向が増大していること、そして学ぶということから逃避をしようとする傾向が強まっていること、しかも、小中学生だけではなく、大学生の中でも分数計算ができないなどという指摘も出されているところであります。
 これは決して昨今の問題ではなく、いわば今日の日本の教育の深刻な問題を反映しているのではないかと思います。その打開は、子どもたち自身のためにも急務でありますし、さらに学級崩壊などということを解決していく上でも、この解決抜きにはあり得ないことではないかなと思いますし、日本の将来にとっても、解決が求められている課題だと思います。
 そこで、まずお伺いしますけれども、本決算年度は、ちょうど青島都政から石原都政に変わった時期であります。たしか危機突破・戦略プランというものが、この年度の後半に打ち出されたと思いますけれども、東京都として、平成十一年度における教育施策上の重点なり力点は、どういうところに置かれて取り組んできたのか、まずご答弁をお願いいたします。

○幡本同和教育担当部長 平成十一年度における教育施策上の力点ということでございますが、この点について、東京都の計画という面で見ますと、平成十年十一月に策定されました「生活都市東京の展開 改訂重点計画」では、スクールパートナーを活用した、いじめ、登校拒否対策の推進や、都立高校の活性化の推進などを示したところでございまして、それに基づいて、一人一人の児童生徒に応じた多様で弾力的な教育などを目指して、教育施策を進めてまいりました。
 また、平成十一年十二月に策定されました、ご指摘のありました危機突破・戦略プランでは、教育の危機を打開するため、東京の未来を開く新しい教育の展開を戦略として掲げ、心の東京革命による社会的ムーブメントの展開や、多様な選択の道を開く都立高校改革などを提示したところでございます。
 これらに基づき、平成十一年度におきましては、トライ&チャレンジふれあい月間を設けて、公立小中学校における体験活動や、社会教育施設における親子触れ合いの機会の充実などに取り組むとともに、都立高校改革推進計画に基づく新しいタイプの学校の設置などに取り組んできたところでございます。

○吉田委員 私は、今日の事態から考えてみたときに、本当に基礎学力をしっかり身につけるということが、しっかり据わっていたのだろうかという印象を持ちます。
 例えば登校拒否に対する対応や、あるいは心の問題一つをとってみても、その土台にしっかりとした学力をつけるということが、やはり何よりも求められていると思うのですが、こうした基礎学力の充実という点では、どのような努力が払われてきたのでしょうか。

○斎藤指導部長 児童生徒の基礎的、基本的な内容の定着を図るために、教員の指導力の向上が重要でございます。
 教育研究員等による指導法の研修、研究を進めることや、学校訪問による校内研修の充実を図るための支援などをしてまいりました。また、習熟度の違いや、興味、関心の違いが生じやすい教科等についてはチームティーチング等を導入し、指導の工夫を図ってきたところでございます。

○吉田委員 今、個々の教員の努力だけで解決できるような事態じゃないと思うんですよね。しかし、結局そういうことをまず冒頭にいわれましたけれども、それ自身も私は疑問がありますが、あわせて、やはり今日の学力の危機といわれている事態についての、教育庁としての認識が問われているのではないかなと、いささかおこがましいいい方かもしれませんが、そういう思いがいたします。
 それで、今日の学力低下といわれる事態について、現状認識ですけれども、どのように現状をとらえていらっしゃるのでしょうか、お答えをお願いいたします。

○斎藤指導部長 児童生徒の学力全体としましては、一定の水準を維持しているというふうに受けとめております。しかし、個々の一人一人の児童生徒の実態を見ますと、興味、関心、意欲、学習の進みぐあいなどについては、それぞれ差がありますし、また課題もあるというふうに受けとめております。

○吉田委員 それぞれ差があるのは当たり前のことでして、本当にどういう認識なのかということが問われると思うのです。
 非常に不思議なんですけれども、石原知事は、昨年第四回定例会の私どもの指摘について、もっときちんとした答弁をされていると思うのですが、認識が違うのですか。

○斎藤指導部長 立場は違いますけれども、基礎学力の定着、重要性については、非常に強く、私ども重要なことと受けとめております。また、そういう努力をしてきたつもりでございます。

○吉田委員 知事は、我々が具体的な数値も含めて、今日の学力をめぐる事態について指摘をしたことに対して、しかし残念なことに、指摘されるような傾向がございます、私たちは大いに反省していかなければなりませんという旨の答弁をされているのですよね。
 しかし、先ほどの答弁は、成績は高い、まあ個々にはいろいろなことがありますよという点では、やはり実態認識そのものが非常にはっきりしていないのじゃないかという印象を受けるわけです。しかも、東京構想二〇〇〇、最近発表された文書の中でも、わざわざ懸念される学力の低下というふうにいわざるを得ないところまできているのじゃないでしょうか。
 そこで、改めて具体的な指標等で、この事態について認識をただしていきたいと思うのですけれども、これは社会的にマスコミでも報道されていますが、昨年十二月に国際教育到達度評価学会、いわゆるIEAが発表した三十八カ国の中学生の調査結果があります。
 その一つのポイントは、日本は試験の点数は決して低くはない、しかし、数学や理科が好きだというふうに答えた生徒の数が極めて低いという指摘があるのですけれども、例えば日本の場合、数学が大好きというふうに答えた生徒の比率と、回答をした国の中の順位はどのようになっているのでしょうか。

○斎藤指導部長 数学が大好きというのは、世界的な比較で申し上げますと一けたの数字でございまして、非常に低いという順位でございます。

○吉田委員 数字もちゃんといってくださいよ、資料を持っているんだから……。

○斎藤指導部長 はい、今申し上げます。
 数学が好きな生徒の割合でございますが、下から三番目の位置にございます。

○吉田委員 私が承知をしている限りでは、数学が大好きは九%で、調査国中、最下位じゃないですか。違いますか。

○斎藤指導部長 大変失礼しました。おっしゃるとおりでございます。最下位でございます。

○吉田委員 ですから、数的に見た試験の結果は高いところにあるかもしれませんが、実は好きな子どもというのは極めて少なくなっている。しかも、これは年々の減少で、大好きで見れば、世界で最も低いという事態にあるのだということは、やはり直視する必要があると思うのです。
 もう一つ、この調査の中で、専門家から、学習離れ、学習から逃れる傾向が強まっているという指摘があるのですけれども、この調査の中で、学校外で数学の勉強や宿題をする生徒の割合という設問があると思うのですが、これは何%で、国際的には下から何番目でしょうか。

○斎藤指導部長 学校外での一日の学習状況、三時間以上する生徒の割合という項目でございますけれども、一七%でございまして、これも下から二番目の位置を占めております。

○吉田委員 私の質問と答弁がちょっと違っていますが、今いわれた指標一つをとってみても、学校から帰って勉強するということ一つをとってみても、調査した国々の中では最低ランクに位置しているというのが、日本の現状ということだと思うのです。
 それで、私、東京都にかかわる同様の調査はないのかということでいろいろ聞いてみましたけれども、なかなかないというご答弁でした。ただ、これは生活文化局が調査をしている、大都市における児童生徒の生活、価値観に関する調査の中で、家から帰ってどれだけ勉強するのかということが、三年置きの調査ですから、何年かにわたってわかります。こういうものについては、承知していらっしゃるでしょうか。

○斎藤指導部長 資料はいただいております。承知してございます。

○吉田委員 まあ、いいます。この中で、家に帰って勉強する時間にどれだけを費やすのかという設問があるのです。中学二年生の場合ですが、何と家では一切勉強しないという子どもの数が、一九九二年に調査したときには二七%です。それが九八年、二年前になりますが、調査したときには四三%です。一時間というか、全くしない、三十分する、二時間、三時間というふうに分かれているのですが、勉強しないというふうに答えた数が、わずかこの六年間で二七%から四三%に上がっているという状況なんです。
 もう一つ、学力についての客観的指標はないのだということがいわれていましたけれども、調べてみますと、例えば東京都算数教育研究会という組織がありまして、これはまさに十一年度の調査結果ですが、五十一地区、十六万二千二百四十六名の生徒を対象にして、一年生から六年生までテストを行っております。これもある程度の経年的変化がわかるのですが、これは中身、ご承知でしょうか。

○斎藤指導部長 承知しております。

○吉田委員 私は、中身をどう認識しているかということを本当はお答え願いたかったのですけれども、この調査では、二十七の回答を見ると、平成四年と平成十年度の同様の調査結果の推移がわかります。単年度だけでわからない回答もありますけれども、推移がわかるのは二十七回答なんです。
 そのうち、明らかにこれだけをもちろん絶対視することはできないかもしれませんが、平成四年に比べて、平成十年の正解率がやはり下がっているという回答が、二十七設問中二十設問で、正解率が下がっているのです。こういうことを一つとってみても、今日の事態というのは、やはり私たちがきちんと掌握していくことが求められているのではないのかなというふうに思います。
 その上で、こうした基礎学力の低下、あるいは危機という事態に、改めて現時点でどのように対応されていこうとしているのか、次に質問させていただきたいのです。

○斎藤指導部長 基礎学力をつけていくためには、学校に通う子どもたちの実態に応じた個別指導とか、あるいはグループ指導、繰り返し指導等、まず指導方法の工夫改善が必要かと思います。それから、指導体制の協力的な確立による校内研修の情報交換、研修の充実、こういうことも必要かと思います。
 いずれにしましても、多様化している子どもたちの興味、関心を引きながら、基礎学力をきちっと定着するためには、さまざまな観点から、今後努力していく必要があろうかと思っております。

○吉田委員 もちろん、この解決は東京都だけでできる問題ではありません。私はやはり学習指導要領に基づく詰め込みの問題だとか、あるいは過度な競争による振り分けが低学年から起きている問題だとかいうことに、メスを入れていく必要があると思うのですが、あわせて、やはり東京都自身の解決という点では、例えば少人数授業、あるいは少人数学級等々は本格的に努力をしていくことが必要だと思うのです。
 その中で、チームティーチングなどの努力もされていると思うのですが、こうしたチームティーチングの果たしている役割、あるいは十一年度の実績、今後の方向などについては、どのようにお考えなんでしょうか。

○斎藤指導部長 チームティーチングの導入によりまして、児童生徒の理解の程度、あるいは個別的な課題に応じた指導が可能となりますし、児童生徒の興味、関心に基づいた活動とか、あるいは個々の理解を助け、意欲的に学習に取り組む、そういう面で役割もございますし、効果を上げているところでございます。
 第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画では、平成五年度から平成十二年度までで、平成十二年度の完成規模で申し上げますと、小学校四百六十人、中学校六百七十人の加配付で行っているところでございます。

○吉田委員 もう一つ具体的な問題で、学級編制も四十人ということになっているものですから、例えば、四十人をちょっと超えて、二クラスでやっていたものが、転校等で一人、二人減っただけで、クラスを一クラスに変えなければならない。しかもそれが、一年生から二年生という非常に重要な時期に、クラスが二つあったものが一つにならなければならない、極めて機械的な対応が現場で起きているということで、父母の皆さんや先生方からも、非常にこの点での指摘があるわけですが、十一年度の現状と、そうした問題点が解決されようとしているのか、お答えをお願いいたします。

○若林学務部長 学級編制基準でございますけれども、十一年度につきましては四十人学級で対応しているところでございまして、十一年度につきましては、国の協力者会議の動向を見ながら勘案して、検討していきたいというように対応してきたところでございまして、現在もそういう状況で進んでおるところでございます。

○吉田委員 それは今後も続くのですか。

○若林学務部長 学級の維持という観点からいたしますと、今回の第七次改善計画では少人数を指導するということになってございまして、学級編制に直接かかわる部分での改訂はございませんので、学級の維持をどうするか、人数が変わった場合の学級編制をどうするかということについては、十三年度の予算要求で一部改善をさせていただいているところでございます。

○吉田委員 どうも話がわかりにくいのですが、どのように改善しようとしているのか、説明していただけませんか。

○若林学務部長 学級維持につきましては、四十人と四十一人のところで変化があるわけでございますけれども、具体的に増減が生じた場合は、学校あるいは地教委との相談をいたしまして、その判断に伴いまして、変動するかどうか、これについて相談をしていきたいというふうに考えてございまして、その対応を、十三年度に一部予算のお願いをしたところでございます。

○吉田委員 一部といわないで、大いに、やっぱり積極的に、今日の教育の現状にふさわしく努力をしていただきたいと思うのです。
 しかし、それにつけても、個々の改善や工夫は大いにしていただくにしても、やはり一人一人にきちんと行き届いた教育を実現する上では、少人数学級という努力が求められていると思うのですが、この基本的な認識はどうなんでしょうか。

○若林学務部長 十一年度におきまして、国の教職員配置のあり方等に関する調査研究協力者会議におきまして、今後の学級編制のあり方についての検討がなされました。
 国の方針が示されておるわけでございますけれども、十一年度につきましては、まだその段階ではございませんでした。十二年度の五月に、その協力者会議の報告を受けまして、国は公立小中学校の第七次教職員定数改善計画を策定いたしまして、基礎学力の向上と、きめ細かな指導を目指す教職員定数の改善を行うということを、十二年の八月に発表したところでございます。
 また、それと同時に、都道府県委員会の判断によりまして、国の標準を上限といたします学級編制基準を定めることができるという法改正を行う考えが、そこで示されたところでございます。
 これを踏まえまして、現在、文部科学省が義務標準法を初めといたします改正法案を今国会に提出しているところでございまして、その状況を見ているところでございます。

○吉田委員 私は、文部省の動向を説明してほしいといったわけじゃなくて、東京都教育庁として、学力向上を図る上では、少人数学級、学級人数が少ない方がいい、そういう努力が必要ではないですかということを、見解を問うたのです。もう一度答弁してください。

○若林学務部長 国の動向あるいは法改正の動向を踏まえまして、私どもの方は、十三年度におきまして、都教育委員会といたしまして、学級編制基準については変更いたしませんで、十三年度から、教科等の特性に応じました少人数指導の授業の実施等、これを実施したいということで、予算要求をお願いしたところでございます。

○吉田委員 教育長、ご存知だと思うのですが、昨年十一月二十一日の文教委員会の場で、教育長はこういわれたのですよ。
 学力の向上だけを考えれば、それは学級人数が少ないというのがいいに決まっているわけですと。なぜそういうふうに素直に答弁にならないのですか。これは教育長、間違いないですよね。

○横山教育長 今ご指摘の文教委員会で私が答弁しましたのは、いろんな議論の中で、当然教育をやっているわけですから、教育効果を考えた場合に、生活集団として考える面と、学習集団として考える面がございますと。したがって、生活集団として四十人がいいのかどうか、これについては、まだ国サイドにおいても検証がなされておりません。ただ、現在の義務教育国庫負担制度の中で、学級編制基準を四十人としていることは事実でございます。
 今申し上げたのは、学力向上、物を教える、こういった意味では、それは少なければ少ないほどよろしいでしょうと。そういった方向で、今回の定数改善の中で、基礎学力につきまして、二十人の学習集団を編制することを可能とするような制度改正がなされた、こういうことでございます。

○吉田委員 そういうご答弁を、僕は期待していたのですよ。
 しかも、これは世界の流れからすれば当然であり、逆に遅いぐらいだと思うのですが、欧米の学級編制の基準はどのようになっているのでしょうか。

○若林学務部長 文部科学省から出されております教育指標の国際比較、平成十三年版でございますけれども、これによりまして、欧米の主要国におきます学級編制につきまして申し上げたいと思います。
 アメリカ合衆国のカリフォルニア州の例でございますけれども、一学級の上限人数、これは初等学校の第一学年から第三学年が三十二人、それから同じく第四学年から第八学年までが二十八人でございます。また、中等学校に当たります第九学年から十二学年でございますけれども、これは二十五人となってございます。
 それからイギリスでございます。初等学校の第一学年と第二学年が一学級三十人を上限としておりますけれども、そのほかは、一学級の学級定員は設けてございません。
 さらにドイツのノルトラインウェストファーレン州の例でございますけれども、一学級の標準日数と一学級の人数の範囲を定めてございまして、例えば、初等教育基礎学校に当たります第一学年から第四学年は標準人数が二十四人でございまして、人数の範囲が十八人から三十人までとなってございます。

○吉田委員 だから、もう既に欧米は随分早い段階からこういう移行をしているわけですから、国の動向ということを繰り返しいわれてきたかと思いますが、やはり東京都から率先して改革をしていくということが必要なんじゃないでしょうか。
 少人数学級、具体的に三十人学級の実現を、私ども繰り返し求めてまいりました。十一年度の時点においてでも、委員会等で繰り返し質問してきたわけですが、その時点で、改めてどういう理由をもって三十人学級を実現することが困難だというふうにお答えされてきたのか、ちょっとご説明をお願いいたします。

○若林学務部長 若干先ほどもご答弁いたしましたけれども、十一年度につきましては、国の教職員配置のあり方等に関します調査研究協力者会議におきまして、今後の学級編制等のあり方について検討中でございました。
 そういうところで、国の方針が示されていなかったこと、それと地方分権一括法の改正が予定されておりましたが、いわゆる義務標準法の第三条に、学級編制の標準の規定がございますけれども、この改定の予定がなく、引き続き国の標準に基づきまして、都道府県教育委員会が学級編制基準を定めることとされていたことなどを踏まえまして、三十人学級に移行できないという考えでご答弁してきたところでございます。

○吉田委員 ちょっとさっきとダブって申しわけありませんが、流れが流れなものですから--今いった理由は、今状況が変わりつつあると思うのですが、どのように変わろうとしているのか、もう一度お願いいたします。

○若林学務部長 状況の変化といたしまして、十二年五月に出されました、国の先ほど来の調査研究協力者会議の報告を受けまして、国が小中学校の第七次職員定数改善計画を策定いたしまして、基礎学力の向上、それからきめ細かな指導を目指す教職員定数の改善、これを十二年八月に発表したところでございます。
 それと同時に、都道府県教育委員会の判断によりまして、国の標準を上限といたします学級編制基準を定めることができるように、法改正を行う考えが示されたところでございます。
 こういうことを受けまして、現在、文部科学省が義務標準法を初めといたします法改正を国会に提出をしているという状況の変化がございます。

○吉田委員 そうすると、第七次の定数改善計画の中では、教員一人当たり児童生徒数を欧米並みに水準を改善するということが打ち出されたと思いますし、さらに一番の問題であった学級編制基準についても、都道府県が独自の判断で学級編制基準を設けることができるという法改正が、今、準備をされているということですよね。
 そういたしますと、東京都として、例えば三十人学級を独自の判断で進めることは、法的には可能になる可能性が大だというふうに理解してよろしいのですね。

○若林学務部長 法改正が成立すれば可能であるというふうに考えてございます。

○吉田委員 学力の問題について若干質疑をさせていただきましたけれども、子どもたちにとっても授業がわからない、ついていけないまま長時間にわたって座っていなければならないということは大変な苦痛でもありますし、また、子ども自身の将来にとっても、日本の社会の問題にとっても、本当に一刻も早く解決を求められている問題だと思います。
 そういう意味で、さまざまなご努力もされてきたかと思いますけれども、国自身が思い切ってそうした欧米並みの配置基準ということを主張し、そのための法改正までしようとしているわけですから、やはり一日も早く三十人学級への実現の努力をしていただきたいという、これは要望にいたしまして、私の質疑を終わります。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 教育庁関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、教育庁関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で教育庁関係を終わります。

○立石委員長 これより都市計画局関係に入ります。
 都市計画局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○野田総務部長 昨年十二月二十日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元に配布しております当局の平成十一年度各会計決算特別委員会資料をごらんいただきたいと思います。
 まず、目次の次の一ページをお開きください。羽田空港跡地共同調査に関する連絡会議の経緯でございます。年度別に開催回数及び主な議題について記載しております。
 次の二ページをごらんください。羽田空港跡地利用計画に関する調査の概要でございます。
 1として羽田空港移転跡地基本計画策定調査の中間報告を、2として大田区の作成した羽田空港移転跡地利用計画調査を記載しております。
 三ページをお開き願います。外郭環状道路の経緯でございます。昭和四十一年から時系列に経緯を記載しております。
 四ページをごらんください。平成十一年度に都市計画決定された面整備事業等の一覧を記載しております。
 (1)として、地区計画等の一覧でございます。区市ごとに、地区名及び面積を記載しております。
 五ページをお開き願います。(2)として、特定街区の一覧でございます。区ごとに、街区名及び面積を記載しております。(3)として、市街地再開発事業の一覧でございます。区市ごとに、地区名、施行者及び面積を記載しております。なお、土地区画整理事業は、平成十一年度に都市計画決定された地区はございませんでした。
 次に、六ページから九ページまでに、都心五区における主な面整備事業等の一覧を記載しております。六ページは地区計画等の一覧でございます。地区計画と再開発地区計画について、地区名と面積を記載しております。
 七ページをお開きください。特定街区の一覧でございます。区別に、それぞれ街区名と面積を記載しております。
 八ページでございますが、市街地再開発事業の一覧でございます。区別に、それぞれ地区名、施行者及び面積を記載しております。
 九ページをお開きください。土地区画整理事業の一覧でございます。区別に、それぞれ地区名、施行者及び面積を記載しております。
 次に、一〇ページでございますが、再開発地区計画の都市計画決定状況でございます。平成元年度より年度ごとに、地区数及び面積を記載しております。
 一一ページをお開きください。首都高速道路王子線の整備に係る総事業費でございます。昭和六十一年度より、首都高速道路及び関連街路等の事業費を、それぞれ記載しております。
 次に、一二ページでございますが、首都高速道路整備に係る事業費及び資金構成の推移でございます。過去十年間の事業費と資金構成を、国、都、公団に分けて、それぞれ記載しております。
 一三ページをお開きください。多摩の各心しんの育成・整備計画の進ちょく状況でございます。多摩の各心しんごとに整備計画、規模及び進ちょく状況について、それぞれ記載しております。
 大変雑駁ではございますが、以上で、要求のございました資料の説明とさせていただきます。どうぞよろしくご審議のほど、お願い申し上げます。

○立石委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○井口委員 道路の上空に設けるといいますか、建築物についての問題で、何点かお聞きいたします。
 一般的には、道路内や道路の上空には建築物は建てられないというのが普通でございます。私が住んでいる武蔵野市の藤村女子高等学校では、道路の上空に渡り廊下が設けられております。どういう根拠でこれが建築されることになるのか、また、学校以外に道路上空に通路が設けられている事例にはどういうものがあるのかを、参考にお聞かせ願います。

○森下建築指導部長 建築基準法におきましては、道路の上空に設けます通路については、安全上、防火上及び衛生上支障がなくて、かつ他の建築物の利便を妨げず、また周囲の環境を害するおそれがないものにつきましては、許可を受けて建築をすることができることとなってございます。
 具体的な事例としましては、学校のほかに病院でありますとか百貨店、老人ホームなどがございます。

○井口委員 許可を受けて建築することができるわけでありますが、許可の基準があると思います。どういう基準なのか、お聞かせをいただきます。

○森下建築指導部長 例えば、学校とか病院などに設ける通路では、生徒、患者、老人などの通行の危険を防止をするために必要なもので、許可の技術的な基準としましては、通路の幅員、構造、設置の数だとか、路面からの高さなどが定められております。

○井口委員 建築基準法に基づく例外的な許可であるということのようにも思えますが、許可に当たっての手続にはどういうものがあるのでしょうか。
 また、武蔵野市で道路の上空に渡り廊下を設ける場合は、だれがどういう許可をすることになるのでしょうか、お聞かせを願います。

○森下建築指導部長 手続につきましては、建築確認申請以外に、建築主からの許可申請手続が必要でございまして、許可するに当たりましては、あらかじめ建築審査会の同意を得ることが必要となってまいります。
 また、消防署、警察署、道路管理者とも協議を行い、それぞれの所管事項に関して支障がないことの確認を行う必要がございます。
 武蔵野市の場合でございますと、武蔵野市長が許可することになります。

○井口委員 そこで、ちょっと具体的なことでお聞きしたいと思います。
 この廊下にも限界がある--高さにも限界があるし、渡る距離にも限界がある、こういうことがありますが、こういう参考例として、高さ、幅、そういうものについてはどういう認識をお持ちでしょうか。参考にお聞かせいただけますか。

○森下建築指導部長 高さにつきましては、例えば五メートル以上であるとか、通路の幅員については六メートル以内であるとかというような具体的な数値が定められてございます。
 これは、道路の上空を占有するということで、安全上であるとか、環境に対する影響ができるだけ少ないようにということで、一定の限度があることについてはやむを得ないものと思っております。

○井口委員 この辺に、質問の方はそういうことにしておきますが、最近、我が市でも、デパートなどが、一つのデパートですけれども、現在あるデパートのまた隣に、同じ会社のデパートができて、大きい道路を渡って二つが並んでできている。また、それが特に最近はよくて、日本一の売り上げだとかというような勢いになっているところがあります。これが一つの運動として、渡り廊下をつくりたいというような流れの話もあります。
 ただ、景観の問題だとか、それからその地域が防災上、簡単にいうと、はしご車の大型などが通れたり、いろんなことをする、都市計画的な大事なところでありますので、そうしたことをいろいろ考えると、構わずこういうことが許可できていいのかなという心配もあります。それから、取り組み方によってはどこでもできる、こういうふうな場面に、許可さえ取ればできるということになりますが、都は、こういう面については、周辺の実情や、その場所の条件、そういうようなところも十分把握していただいて、市の許可ではありますけれども、そのことが将来に大きなブレーキにならないように、これからも十分にその辺のところの調整はしてもらう必要があるのではないか。
 一般的には、できることは何でもやった方がいいという風潮がありますが、さて、すべてがそれでいいかどうかというのも、また問題があります。都としても、十分その辺は大きい視野に立って見てもらいたいな、こんなことを、今痛切に感じています。
 以上、意見です。終わります。

○吉田委員 この機会に、都市計画局が担当だということで、都内の鉄道施設の安全対策、都としてとってきた対応を中心に、若干質疑をさせていただきます。
 一月二十六日、新大久保駅でホームに転落した人を助けようとした韓国人留学生李秀賢さん、そしてカメラマンの関根史郎さんがとうとい命を落とすという、痛ましい事故が発生いたしました。多くの都民が、この李さん、そして関根さんの行為に心から敬意を表すると同時に、JRの安全対策に改めて厳しい怒りを持ったと思います。
 まずただしたいことは、今回の事故は非常に大きなニュースとなったわけですけれども、実はこうした転落事故は、これまでも都内で繰り返し起きてきたのではないかなと思うのです。
 それで、決算年度であります一九九九年、平成十一年度に都内で発生した、駅での転落事故件数というものは掌握されているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 鉄道事業者は、ルールに基づきまして、鉄道事故等報告規則というものがございますが、地方運輸局長への事故報告が義務づけられてございます。それによりますと、平成十一年度の首都圏におきます転落事故件数は二十六件と聞いてございます。都内については統計がございませんので、現時点では把握できてございません。
   〔委員長退席、田島副委員長着席〕

○吉田委員 都内の事故数は把握してないという自身、疑問なんですが、少なくとも、都営交通、交通局に聞いたところ、この十一年度はたしか二十二件の転落事故があった。そうすると、首都圏全体で二十六件というのは、余りにもつじつまが合わないなと思うのですが、都が直接運営している都営交通、さらに都市計画局が担当している営団地下鉄、この十一年度の転落件数というのは、掌握してないのですか。

○杉浦施設計画部長 ただいま申し上げました、事業者から関東運輸局への転落事故の報告件数のうち、都営はなし、営団は一件でございますが、なお、報告に至らない転落事故件数は、直接それぞれに問い合わせたところ、八十八件あるということでございます。

○吉田委員 なぜこういう数字上の違いが生じるのでしょうか。ご説明いただければ……。

○杉浦施設計画部長 関東運輸局への報告義務のある事故は、車両等と接触して傷害を生じた事故でございまして、ただいま第二問目で申しました八十八件というのは、そういった事故に至らない、転落現象だけをとらえたものでございます。

○吉田委員 そうしますと、先ほど答弁された首都圏で二十六件というのは、転落して、かつ車両と接触して、何らかの人的被害も含めたものを述べたものである。しかし、車両と接触しなかったとしても、転落でいえば、都営、営団で十一年度一年間、東京だけで八十八件ある。こういうことになりますと、JR及び私鉄を含めた都内の転落件数というものは、少なくとも百を超えた、数百という件数が起きている危険性があると思うんですよね。
 それだけに、やはり今回の事故というのは、決して偶然なものではないのだなという印象が改めてするわけですし、しかも、今回の事故の場合では、ホームに駅員がいない、あるいは転落を検知するマットがなかった。転落時に避難する空間もない、そういう極めて構造上の問題、鉄道事業者の責任というものが非常に大きく浮き彫りになっていると思います。
 そこでお尋ねしたいのですけれども、こうした鉄道施設で、まず転落を防止する対策としてはどのようなものがあるのか、あるいは転落した場合に、どう安全を確保するのか、当然、何か共通の基準みたいなものがあっていいと思うのですが、その辺はどうなっていたのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 ホームから転落を防止する対策といたしましては、ご案内かと思いますが、転落防止さく、あるいはホームドア、それから転落した場合の安全対策といたしましては、転落検知マップや列車非常停止警報装置などが挙げられます。
 しかしながら、ホームからの転落防止さく及び転落した場合の安全対策そのものの設置等に対する基準については、法令等の定めはございません。

○吉田委員 そうすると、さまざまな手法はあるけれども、法令としては特段の定めがないということは、これはそれぞれの鉄道事業者の自主的な対策にゆだねられているということなんでしょうか。ちょっとご答弁をお願いいたします。

○杉浦施設計画部長 おっしゃいますとおり、駅の管理責任者である各鉄道事業者の判断で行っているものでございます。

○吉田委員 私、実はJRに、今回の退避場所がなかったではないのかということについて問いただしたんですが、JRがどのような、大きな鉄道事業者ですけれども、そういう何か安全上の基準を持っているかというのは承知していらっしゃいますか。

○杉浦施設計画部長 具体的には承知してございません。

○吉田委員 電話で聞いただけですから不十分かもしれませんが、私が聞いた相手の方は、JRとしては、駅の転落に当たって避難するための空間を、特段全駅で確保するというふうな対策はとられてないということをいわれて、私は本当にびっくりしたんですよね。それだったら、ではこの場合、どこに逃げればよかったのかといえば、結局、埼京線の側に逃げる以外なかった。しかし、そこにはちゃんと障害物があって行けないじゃないかというと、いや、それは落ちた場所が悪かったんですというようなことをいって、本当にこれはもう少しきちんとやっているのかと思っていたんですが、ゆゆしき事態だというふうに思うんです。
 そういう事態だからこそ、私はやっぱり、直接的には運輸省かもしれませんけれども、東京都としてもきちんと、これは都民の安全にかかわる、あるいは公共交通輸送機関の安全性が問われるような問題だと思うんですけれども、どのように、こうした問題について東京都としては対応されてきたんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今議論になっております駅施設の安全性につきましては、管理責任者である鉄道事業者がそれぞれの判断と責任において、必要な安全対策を行っているわけでございます。また、今回のような事故に対する指導権限は国の権限となってございまして、都には法的な権限が付与されてございません。しかしながら、都民の安全を守る立場から、都としても鉄道の安全性の確保を促していくということは必要であろうと考えております。

○吉田委員 お話としては、ちょっと抽象的にならざるを得ないのかもしれませんけれども、そこで、都内の各駅の基準がないということになれば、それぞれ駅ごと、鉄道事業者ごとにばらばらだということですよね。極めて不安な状況なわけですから、それだけにこれは国の仕事でもあると思うんですが、東京都としても、各駅ごとのこうした転落防止さく、あるいはいざ転落した場合の対応策の整備状況などについて、少なくとも把握をするということは、まず第一義的にやられて当然のことではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の事故を踏まえまして、国土交通省では、ホームにおきます安全対策の実態調査を実施することといたしております。都といたしましては、この国の調査の状況を見ながら実態の把握に努めるなど、必要に応じまして適切に対応してまいります。

○吉田委員 もちろん国の責任が法的には問われるわけですけれども、例えば転落を防止する、そのための必要な体制もとるということは第一義なんですが、同時に、やはり転落した場合にきちんと対応できるような設備が、少なくとも最小限緊急に整備されなきゃならないと思うんです。私が聞いた限りでは、例えば、営団なども、ホームの下に十メートル間隔で--十メートルですよ、避難する空間を設置するというのが営団の方針らしいんですよね。
 果たして十メートル間隔が適切か否かということが、今問われていると思うんですが、では、全駅で必ず避難をするスペースがあるかといえば、構造上、一部避難をするスペースができてない駅舎も残されているらしいんです。こうしたことはやはり早い段階で掌握をして、きちんとした対応を求めていくというのが緊急課題だと思うんですが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 先ほど申しましたとおり、国土交通省が実態調査をいたします。一義的な指導監督者でございます国土交通省が、その調査に基づきまして注意喚起をするなど、ホームの安全対策を検討することとしていると聞いております。
 私どもとしては、現時点では国の調査結果を踏まえるとともに、国と連携を図りながら、どういうことができるかも含めまして、適切な対応をとってまいりたいと思っております。

○吉田委員 視力障害者団体である東京視力障害者の生活と権利を守る会の調査結果が新聞等でも報道されていますけれども、全盲の方の三人に二人、弱視の方の二人に一人、そして毎日外出する方では九割の方が転落を経験している。
 その方々にいわせれば、駅のホームは欄干のない橋ともいえるというふうに訴えておりまして、ホームドアの設置や職員の配置を要望しているわけですけれども、そこで、改めて国及び国土交通省に対して、駅舎の安全対策などについて今まで東京都として過去申し入れをしてきた経過はあるんですか。

○杉浦施設計画部長 私ども都市計画局と各鉄道事業者あるいは国土交通省、前身の運輸省などとの連絡調整は、幾つかの機会がございます。そういう面で、当然のことながら安全対策については議論になっているわけでございまして、そういう場面で、安全性の向上をどうしたらいいかという議論はかねてからしてきたところでございますが、改めて、例えば正式な文書で申し上げるというようなことは、私の知っている限りではないと思っております。

○吉田委員 私は、やはり東京の実情に基づいて、国任せではなく、積極的に国に対しても指導の強化なりをきちんとした形で求めていく、単なる会議等での交換にとどまらず、ということは最低限緊急にやるべきことだと思いますし、同時に、各鉄道事業者に対して緊急に解決すべきものは緊急に解決する、そして抜本的に解決するものについては抜本的に解決をするというような働きかけを、東京都として行ってしかるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 大変痛ましい事故でございますので、ご趣旨は理解できますが、とりわけ今回の事故のように管理責任に類することは、法的権限などの当事者能力なくしては十分に達成しがたいというのは事実でございます。都としては、当事者である鉄道事業者や指導監督権のある国が行います安全対策を見極めながら、さらに都として何ができるか、適切に対応していきたいと考えております。
 なお、私どもが、例えば経営上関与しております営団、東京臨海高速鉄道、多摩モノレール等に対しましては、今回の事故を教訓とし、一層の安全対策を働きかけてまいりたいと存じております。

○吉田委員 都民の安全にかかわる問題ですし、これだけの痛ましい事故が発生したわけですから、国任せ、鉄道事業者任せじゃなくて、東京都として、より積極的に機敏な対応をしていただきたいということを求めて、質問を終わります。

○織田委員 都政に携わって、都市計画といいますか、計画を立てて、計画を執行していくという中で、どうもその計画が計画どおりいかないということも随分たくさんありまして、そういうことを考えておりますと、どうしても計画をスムーズに執行していくための合意といいますか、そういうものをスムーズに、円滑に合意が得られるような、そういう工夫をしていかなければいけないのかなという気がしてならないわけであります。
 特に、最近、例えば民間の事業でも、マンションを一つ建てるのでも、これはもう本当に合意を得ていくというのは大変難しいことではあろうと思うんですけれども、結構時間がかかる。あるいは道路一本通すのも何十年もかかりますよという論議がよくされるんですけれども、そういうことも一方ではある。
 今回の当委員会に出されました資料を見ても、外環という事業、経過がご報告されておりましたけれども、それを見ても、やはりこれはちょっと時間がかかり過ぎて、青函トンネルみたいに、でき上がったときに物の役に立たなかったという計画もあるわけではありますけれども、そういう合意を得て、そしてスムーズに事業を動かしていくという工夫が少し足らないのではないか、そんなような気がしてならないわけでございます。
 私の住む板橋区の中にも補助二六号線という都市計画道路がありまして、一定程度のところまでは、徐々にではありますけれども事業が執行され、着実に進んでいるわけでありますけれども、肝心かなめのところに大規模な商店街がございまして、この商店街をめぐりましてさまざまな意見があります。
 ちょうど商店街の真ん中を斜めに分断をする形で都市計画道路が計画されておりますので、そんなことをされたら商店街はぶっ飛んでしまうというような声や、あるいはそれに対して対応していこうという声や、いろんなことがあったりして、それに鉄道の立体交差化といいますか、東西交通といいますか、そういったものも絡みまして、とにもかくにもにっちもさっちもいかないという状況に、今あるわけであります。
 今申し上げました補助二六号線、これは進んでいるわけですけれども、こういう計画が一体どうしてこんな計画になったのかというのが非常に疑問なわけであります。この商店街を横断するような計画、これが実は、要するに途中までは事業が進むんだけれども、そこから先がどうにもならないというようなことになっているわけでありますから、この辺のところはどういうお考えだったんでしょうかね。その辺のところをまずお伺いしたいと思います。

○杉浦施設計画部長 ご質問の補助二六でございますが、環六と環七の中間に位置します環状道路で、道路ネットワーク上も大変重要な道路と認識してございますが、おっしゃいますとおり、大山地区の整備に関しまして、一方では非常に住民の方の要望というのも出てまいりまして、まちづくりの契機として本路線の早期整備を望む声がある。また一方では、環境問題あるいは交通事故の増加等の危惧、また、ご指摘ありました大山のハッピーロード大山商店街、この分断に対する反対意見がございます。
 この経緯につきましては、都市計画決定時点にさかのぼりますと、極めて古い話でございますので、今そこを掘り起こしてもしようがないと思いますが、いずれにしましても、このハッピーロード、それから踏切、前後の川越街道、中山道との交差、こういった問題を解決するためのさまざまな案と、それから地元のまちづくり、再開発計画等とのセットの話、こういった議論があるわけでございます。
 そういうわけで、鋭意、地元区ともどもさまざまな検討をしておりますが、住民の合意形成に時間を要しているという実態でございます。

○織田委員 大山商店街をめぐる補助二六号線の経緯についてはよく承知をしておりますけれども、問題は、そういう例が実は山ほどあってということの方が東京都全体としては問題になるんじゃないかと思うんです。
 そこで、都市計画道路あるいは公園、そういったものの現在の整備状況、どのぐらい計画されて、どのぐらい達成されているのか。あるいは中には着手されてないというような、十年も二十年も、三十年もたっても着手されてないというようなものがそのまま残っていたりするわけであります。その辺の概要といいますか、大ざっぱで結構ですから、数字的なところをちょっとお示しをいただきたいと思います。

○杉浦施設計画部長 都内全域の都市計画道路は、延長で三千百八十一キロ計画されてございまして、平成十一年度末の完成延長は一千六百四十三キロ、整備率にしますと五二%にすぎません。事業中の延長は約四百キロございますので、これを含めた整備率でも六四%でございまして、未着手の延長は残る千百三十八キロ、割合でいうと三六%程度となってございます。
 一方、公園では約五千三百五十二ヘクタールが計画されておりまして、平成十二年度四月一日現在の供用面積は三千二百八ヘクタール、供用率は約六〇%で、残り四〇%が未供用となってございます。

○織田委員 今の数字でも、道路の方でいえば未着手が三六%、三分の一は手がついてないということであります。その理由なんですけれども、これはいろいろあると思うんですよ。財政的に厳しくなって取得が進まないとかいうのも一つあるでしょう。再開発事業のように、経済状況が悪くなったから、なかなか苦戦をしていますよというような面もあるでしょう。都施行の事業であれば、なかなか予算出てきませんよというような面もあるでしょう。そういう予算的な制約も確かに一方ではあると思いますが、私が思うのは、やっぱり合意ができていないというか、合意が進められないというか、合意をするのが下手だというか、その辺のところに大きな原因があるというふうに考えております。
 都市計画法が昭和四十四年に改正されて、都市計画をつくる際に住民合意を取り込んでいくということが改正をされるようになったわけですけれども、それ以前は、もうそれこそ地図の上にえいやっと線を引いて、決めました、後はしっかり従ってくださいよみたいな、そういう形での進め方であるならば、これは今日のような、かなりデッドロックに乗り上げたというような計画がばかばか出てきてもしようがないんだろうと思うんですね。
 そういうことを考えてまいりますと、これからの都市計画あるいはさまざまな公共事業もそうですし、民間もそうだろうと思いますけれども、この住民合意のつくり方、これをひとつ本当に研究をしていただきたいと思います。これがなければ、計画を立てても進まなければ、これは資源のむだ遣いになっちゃいます。
 よく論議されますけれども、都市計画道路を引かれて、その範囲内に入ったら、それによって不利益をこうむる人が山ほど出てくるわけでありますから、このあたりのところをトータルとして考えたら、私は、初めに合意をきちっとある程度つくっておいて、そして計画をつくり、事業にかかっていくという方が、トータルとして、あわてるよりもうんとスムーズに事は進むのではないかという感じがいたします。
 では、そういう制度になっているのかどうかということが問題になるわけですけれども、その前に、こういう私がいう住民合意をいかにつくるか、住民合意を素早くつくるか、それを経てから計画執行という方向へ持っていくための、その現在的な課題といいますか、それはどのように都市計画局の方ではご認識をされているのか、お伺いをしたいと思います。

○中島総合計画部長 これまでにも、東京都では、都市計画案の策定に当たって、都市計画並びに環境影響評価に当たっての住民参加手続などによりまして、住民の方々の意見の反映に努めてきたというように認識しております。
 しかし、近年では、事業や計画のより早い段階から住民意見を広く取り入れていくことが求められるようになってきております。東京都としても、このような状況に合わせまして、住民の意見を幅広く取り入れるための仕組みやルールを整備していくこと、とりわけ便益が広域に及ぶ基幹的な施設整備や土地利用の基本的な方向を定める際に、広く都民の意見を反映させていくことが重要な課題であると認識しているところでございます。
 さらに、あえて加えさせていただくならば、正当なプロセスを経て合意された事業につきましては、計画どおり迅速に実行する仕組みを確立していくことも、計画に対する信頼性という点から重要なことであると考えております。

○織田委員 今お答えをいただいたわけでありますけれども、幅広い合意形成の仕組み、ルールをつくっていかなければならない、これは早急に考えていかなきゃならない問題であろうというふうに思います。同時に、今、都市計画法の改正の前につくられた計画、これも逐次、その地域の住民の方々や関係者の方々と協議をして、前に進むように、あるいはまたどういうふうにするかということについて調整をしながら、すり合わせをしながら、ゆっくりではあるんだろうと思いますけれども、変更しながら進めていく、こういうようなことでありますでしょう。その際にも、やはりそういった意味で合意形成というものをやる、その工夫というものをやっていかなければ進まない、このことをよく認識をしていただきたいというふうに思います。
 また、そういうふうにして決められたんだから、後は一気呵成にやりますよというのもちょっと性急な論議で、一番最後のお答えについては、私も若干疑問の面がないわけではないですけれども、そういう意味から、近年PIということがいわれております。パブリック・インボルブメント、要は含意といいますか、含むところをよく事前に取り込んで、そしてやりましょうという、そういう手法でありますけれども、これは多様な方法論があると思います。
 そういう合意形成の中で多様な意見を吸収し、こなしていく。そこにはNPOの介在もまた期待をされるというようなこともいわれているわけでありますけれども、そういったまちづくり、あるいはまた事業を執行していく、計画をつくっていく、そういう中で、このPIというものを、東京都も積極的に受け入れていくべき時期に来ているというふうに思うわけでありますが、そういうものに対する考え方と、そのPIの具体的な手法等、今考えられているものがあるとするならば、それを述べていただきたいと思います。

○中島総合計画部長 理事ご指摘のように、PIにつきましては、現時点では手法的にもまだ定まった方式があるわけでないといわれております。まだ試行錯誤で、手探りの段階にあるともいわれているところでございます。
 合意形成を円滑に進めていくためには、計画や事業の早い段階から情報の共有化を図りまして、計画決定過程の透明性を高めていくという取り組みが極めて重要だと認識しているところでございます。計画案の策定に際しましては、これまでにも、例えば都市計画決定の手続に入る前に、関係する方々に事前説明を行ってきたところでございますけれども、これらに加えまして、事業の規模、内容等に応じて、アンケート調査、シンポジウム、ワークショップ、協議会による討論など、さまざまな手法の中から最も適切な手法を選択、または複数組み合わせるなどして、住民との合意形成を図っていくことが極めて重要となっておりまして、それらのあり方や仕組みにつきましても、検討していくことが必要であると考えているところでございます。

○織田委員 それでは、ちょっと角度を変えまして、今度は民間と民間の、例えば東京都が中高層のマンション紛争ということについて機関を持っておりますけれども、その紛争調整について、これをどのように進めているのか、概略をお願いします。

○森下建築指導部長 まず、建築計画につきまして近隣関係住民の方から相談があった場合には、当事者同士の自主的な解決を促すために、都としましては、建築主に対しまして、住民と誠意を持って話し合いを行うよう指導してございます。その上で、あっせんの申し出があった場合には、当事者双方が同席した上で主張の要点を整理し、適切な助言を行うことによりまして合意形成を進め、紛争の解決を図っているところでございます。
 このあっせんでも合意に至らなかった場合に、さらに専門家でございます調停委員による調停を行うこともございます。

○織田委員 それでは、紛争調整の中で、平成十一年度にどれぐらい持ち込まれて、どのぐらい合意になったのか、どの段階になったのか、合意ができずにそのままになっちゃったのかというような状況を教えてください。

○森下建築指導部長 平成十一年度において、東京都があっせんを行った件数は四十一件でございまして、そのうち合意に至りました件数は二十九件、約七割でございます。合意に至らず打ち切りとなった件数が十二件でございます。
 合意の状況としましては、例えば、高さの削減でありますとか壁面の後退などの一部の設計変更を行い、かつ金銭補償を行う、そんなような組み合わせというものが全体の三分の二ぐらいの事例となってございます。

○織田委員 今お伺いしますと、大体、持ち込まれれば、七割ぐらいは何らかの形で合意になる。残りはそのまま打ち切りになる。裁判に行くようなケースもある。
 私たちもよく相談を受けるわけなんですけれども、交渉相手が建築主やそういう売り主ではなくて、普通のコンサルタント会社だったりするということで、当事者がなかなか住民との話し合いに出てこないというようなことも指摘されており、これはいろいろなところで問題になっておりますから、今あえて申し上げませんけれども、実際問題として、民間と民間でやっている場合は、商売ですから、もうからないというようなことになったら建物を建てるその意義が失われてしまいますから、なかなか譲歩できないというようなこともよくわかるわけでありますけれども、そういうことを考えていくならば、むしろ建築確認をおろす前に、本当の意味で、その段階での弱々しい、初めからもう決まったものですよというような形ではなくて、あるいは初めから一階ぐらい削るということを織り込んでいるというような、そういうことではなくて、本当の意味で地域住民と、地域住民もごね得だみたいなことではなくて、本当にそういうことできちっと話し合えるような、そういう地域の合意形成、それは絵空事といわれるかもわかりませんけれども、そういう意味での合意形成の仕組みを何とかつくり上げようというふうに考えていかないと、いつまでたってもこの建築紛争というのは続くし、それぞれが後味の悪い思いをするということがあると思うんですね。
 こういう意味での良好なまちづくり、さまざまな手法があると思います。この地域の合意形成、どのように進める方法が、あるとするならばあるのか。民間と民間だから、東京都としてはなかなか関与できませんよというような形で、後ろに引いた形で物事を考えるのか。まちづくりということを所管する都市計画局としてどのようにお考えですか、お伺いしたい。

○森下建築指導部長 理事ご指摘のように、地域の合意形成は大変大切であると思います。建築紛争を防止して良好なまちづくりを進めていくためには、あらかじめ地域のあり方について十分な話し合いを行いまして、例えば、地区計画でありますとか建築協定などの手法によりまして、まちづくりのルール化をあらかじめ図っておくことが大切であろうと思っております。
 都としましては、よりよい地域づくりという観点から、このような区市町村が主体となるまちづくり、計画づくりでございますけれども、そういったものを支援していく考え方でございます。

○織田委員 そういった形でまちづくりのルールをつくっていくということが非常に大事であるということ、この点をよくご認識をいただくということをお願いしたいというふうに思うわけでありますけれども、区市町村もいろんなことをやっている、東京都もいろんなことをやっているという中で、もう一遍、この合意づくり、これは今の行政において、私は一つの行政課題であるとすら思っております。
 合意づくりをうまくやらないで、決して十全な計画の執行というものはできません。ですから、例えば古いやつにしたって、新しいやつにしたって、今行き詰まっている。都市計画の道路だろうが地域計画だろうが、そういったものが行き詰まっている。そういうところに新たな合意形成の仕組みというものをどんどん適用して、何が、どこで、どういうふうに効果的なのか、こういう場合はこうなんだ、千差万別です、状況は。状況は千差万別なんですけれども、そこに合った適切なものを一つ一つ試してみて、実行してみて、努力をしてみて、こういうケースにはこういうものが効果的であるというものを、やっぱりそういう意味で着手をしていただきたいと思います。合意形成、こういう私の考えはいかがなんでしょうか。局長、感想で結構ですからご答弁をいただければと思います。

○山下都市計画局長 先生ご指摘のとおり、都市計画事業は、大変まちづくりにとって重要な課題でございます。しかしながら、これまでの経緯から見ますとままならないといいますか、十分迅速にこれが進むという状況ばかりではない、十分承知しておるところでございます。
 まちづくりにつきましては、合意形成が大変重要であるということはご指摘のとおりでございまして、私ども、今、都市計画審議会の中でもご議論いただいておるわけでございますけれども、今後の二十一世紀におけるまちづくりの中で、合意形成は非常に大事だという考え方のもとに、先ほど先生のご指摘のようにPIなども含めまして、そのほかのいろいろな手法も含めて、総合的にまちづくりの進め方、合意形成のとり方、こういうようなものも我々の重要な政策課題として検討していく必要があるというふうに考えております。
 さらに、財源などの確保の仕方、これもできるだけ、まちづくりの人たちが負担するものがまちづくりに反映できるようにという、わかりやすいまちづくり手法というものも必要だろうというようなことで、現在、新しいまちづくりの考え方についても十分検討していっているつもりでございますし、この三月には、そういうものが、一応都市計画審議会の方から報告していただけるようになっている予定でございます。

○田中委員 それでは、私からは、放射五号線に関連して何点かご質問をさせていただきたいと思います。
 私の地元の杉並区では、この放射五号線の計画についてはさまざまな意見がございます。まず、この計画の概要について、簡単にご説明をいただきたいと思います。

○杉浦施設計画部長 放射五号線は、千代田区麹町から杉並区久我山三丁目の三鷹市境に至る、区部と多摩を結びます主要な幹線道路でございます。
 今回、総合環境アセスメントを試行している区間は、このうち唯一の未整備区間となってございまして、この区間を整備することによりまして、区部と多摩の連携の強化はもちろんのこと、渋滞の著しい国道二〇号などの混雑緩和、周辺地域における居住環境の改善あるいは防災性の向上など、多大な効果が期待されているものでございます。

○田中委員 この計画は昭和二十一年に決定されたというふうに伺っておりますけれども、その後、昭和四十一年にルートの変更があったということですが、現在のルートに、そのときに変更した主な理由についてお尋ねをいたします。

○杉浦施設計画部長 放射五号線と三鷹三・二・二号線は、昭和四十一年まではそれぞれ別々に計画といいますか、別のルートを通っておりましたが、昭和四十一年当時に、区部と多摩を結ぶ主要な幹線道路と整備するために、これを接続する必要が生じたことが一点。それから、当時は初台までできてございました首都高速四号線と中央自動車道を接続させる必要があったということ。さらには、現在の放射五号線の位置に保健防火道路という広幅員の道路計画が既に計画されており、空間的な担保がされていたということ。以上のことを総合的に判断しまして、現在のルートに決定したものでございます。

○田中委員 今回の総合環境アセスメント試行の中で、このルートの変更などは検討されなかったのかどうか。

○杉浦施設計画部長 総合環境アセスメントの中では複数案を作成しますので、ルート変更の可能性についても検討しましたが、放射五号線の当該区間の東側は既に完成してございまして、西側においても、現在事業中でございます。
 このように、両側が制約されている中で、ルートもおのずから変更の限界があるというのが実態でございます。さらに、現在のルートは三十年以上も建築制限を実施してきた経緯がございますし、また、地元の方々には、例えば家の再建、将来の生活設計など、放射五号線の現在の計画を前提に早期整備を望んでおられる方もいらっしゃると聞いてございます。さらに、このルートを変更すれば、その変更先で新たな関係者や支障となる建物が多数発生するため、新たに地域の合意を得ることは極めて困難であると思われることなど、以上のことを総合的に勘案しまして、ルート変更は困難と考えたものでございます。

○田中委員 地元ではさまざまなグループ、住民の皆さんがこの放射五号線の計画に反対をして、長年反対運動を続けているというふうな実情がございますけれども、こういった反対している人たちの反対理由というのも、当然皆さんの方にも伝えられていると思いますが、改めて都の見解をお聞かせいただきたいと思います。

○杉浦施設計画部長 反対の方々が数多くいるということは従前から承知してございますが、今回の総合環境アセスメントの試行でございますが、この制度では、従前の手続に比べまして、計画の早い段階で複数案を提示するとともに、多くの地元の意見を聞く機会を設けております。また、それ以外にも、地元の反対グループの方々とは定期的に話し合いも行っているところでございます。
 反対の方々に対しましては、今後とも、十分話し合いを継続し、理解と協力を求めていくつもりでございます。

○田中委員 ところで、地元の杉並区は、この放射五号線の計画に対してどのような考え方を示しているのか聞かせてください。

○杉浦施設計画部長 総合環境アセスメントの制度の中で、地元区の意見の照会をすることがなされてございますが、それによりますと、地元杉並区は、放射五号線の道路の整備の必要性は認めているということが一点。それから、総合アセスメントに関します意見といたしましては、建設に当たっては地域環境に配慮するとともに、地元関係団体等と十分な話し合いをすること、さらには計画案のC案は好ましくない、A、B案についても玉川上水保全の観点から難が多い、三案以外についてもその可能性を検討することという意見が寄せられてございます。

○田中委員 さて、東京都では、この玉川上水を歴史環境保全地域ということで指定をしております。一方で、放射五号線の計画を、この玉川上水の流れに沿って進めているというのは、はたから見ていると、矛盾をしているのではないかという疑問を感ずるんですけれども、これについてはどのように考えているか。

○杉浦施設計画部長 玉川上水は、平成十一年に歴史環境保全地域に指定されてございますが、放射五号線の現在の都市計画を前提としてございますので、この限りにおいては整合されていると考えてございます。具体的に申しますと、今回お示ししたA案、B案については、基本的には玉川上水の区域をそのまま残す案でございます。そういう意味では、歴史環境保全地域の指定とは矛盾しないと考えてございます。
 しかしながら、新たに出しましたC案でございますが、ご指摘のとおり、歴史環境保全地域との調整がもちろん必要になってまいります。このC案を出した考え方は、今回の総合環境アセスメント制度試行のための環境配慮技術指針に基づきまして、損なわれる環境の有する価値を代償するものとして、身近にさらに豊かな緑、水辺を新たに創出する案として考えたものでございます。
 A、B、C、いずれ三案を選択する場合でも、今後とも事業を進めるに当たりまして、地元のご意見を十分聞き、理解と協力を求めてまいりたいと考えております。

○田中委員 今まで放射五号線についてご答弁を伺ってきましたけれども、相変わらずかなり地元の反対をしている人たちと、東京都の立場には相当の開きがあるような印象を持つわけです。なかなかこれをおっしゃるように進めていくというのは難しい状況にあるのではないかという感じがいたしますけれども、東京の全体の道路整備の状況について考えていったときに、よく問題にされているのが、都心部への流入してくる交通量の相当数が通過車両だという問題がいわれるわけですね。それを解消する方法として、環状道路、中央環状、外環、圏央道という道路整備が必要だということで、今、都としても取り組んでいるということだと思います。
 確かに、放射五号線の未完成の部分の手前のところで、交通量が多いときには詰まってしまって渋滞が発生し、それがその周辺の住環境を、侵害するといういい方が適切かどうかわかりませんけれども、影響を及ぼしているということは、それはそれとして、問題としては理解できるわけですけれども、東京全体を考えたときに、根本的に、この地域でいえば、外環道だとか圏央道が貫通した場合に、どのように交通量が変化をしていくかということを十分研究する必要があるのではないか。その上に立って、この放射五号線の緊急度、優先度、そういったものを検討する必要があるのではないか。道路をつくればつくるだけ車が流入してきて、渋滞を招くというのが東京の独特の交通渋滞の問題でありまして、その大きな理由が、今申し上げたような通過車両をどうするかという対策がおくれてきたということがあるのだろう。
 そういう観点から考えて、この放射五号線の整備について、玉川上水の保全、それから自然環境、こういうものを大切にしてくれという地元の強い要望、そしてこの路線に対する反対意見というのが出ているわけですから、今申し上げたような整備の優先度などを、外環あるいは圏央道が貫通した場合どうなるのかというような調査、研究をすることが不可欠ではないかなというふうに思います。
 私も同じ杉並区に住んでいて、例えば、今進めている東京都の同じ事業ですけれども、これは建設省がやっていますが、例えば善福寺川緑地公園、川に沿ってどんどん緑をふやしていこうというような計画を一方でやっていて、河川は河川でどんどん親しみのある構造に変えていきましょうというようなことをいってやっている。一方で、こういう玉川上水の今の姿というものは、ある意味では、東京都の公園緑地部なんかが進めているような方向、そのままあるわけですよね。
 昭和四十一年というと、私はまだ小学校に上がるか上がらないかという年ですけれども、恐らくこの高井戸の周辺にしても、かなりのどかな牧歌的な田園風景というものも随分あったところではなかろうかなというふうに思います。そういうふうに、周りにいっぱい緑があるという中で、この玉川上水をどんどん暗渠にして道路をつくっていった。でも、周りにまだ緑があったから、当時はさほどその損失が目立たなかったのかもしれないけれども、しかし、今となっては、その田園地帯というのはみんな開発されてしまいましたから、相当希少価値のある緑であるというふうになっていると思うんですね。
 ですから、確かに過去の計画は計画として、そのときのいろいろな判断でつくったことでしょうけれども、何十年かたってみて、大分環境が変わってきた。それから緑、環境というものについてのとらえ方も変わってきた。この玉川上水の付加価値も、周りに緑がなくなっちゃったことと裏腹に希少価値が高まってきたということもいえるのではないかなと思いますので、そこで反対運動が強くあるのだろうと思います。
 繰り返しになりますけれども、外環とか圏央道とかできた場合にどうなるのかということをもう少し実証的に研究をした上で、本当にこの優先度がどれだけのものであるのか、緊急度がどれだけのものであるのか、こういうことを都としても十分に調査してもらいたいと思います。最後に、その点についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。

○杉浦施設計画部長 先生ご指摘のとおり、現在の道路整備で最も重要なのは、外環、圏央道を代表といたします、いわゆる環状方向の道路整備ということで、現在、それらに向けて鋭意取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、一方、放射五号線につきましても、ほとんど大部分ができ上がって、なおかつこの区間だけが未整備な状態で、路線の性格としては、区部と多摩を結ぶ重要な幹線道路になってございます。この部分を整備することによりまして、区部と多摩の連携が強化され、均衡のとれた東京の発展にも資するということでありまして、極めて事業効果の高いところでございます。
 これらのいわば幹線道路を先行的に整備することによりまして、そのほかの補助幹線等もあわせまして、効率的な道路のネットワークの形成を図っていく必要があると考えてございますが、その効率的な道路ネットワークの形成に向けては、先生ご指摘の整備の優先順位等について、十分配慮しながら進めていきたいと考えております。

○小礒委員 それでは、一点質問をいたします。
 多摩の心しん育成整備につきまして、要するに、多摩地区で五つの核都市のいわゆる育成整備、多摩の心しんの育成整備が昭和五十七年、そしてまた平成二年には多摩ニュータウンが加わりまして進められてきたのでありますが、東京都はこの計画に具体的にどのように取り組んでこられたのか、お願いしたいと思います。

○田中開発企画担当部長 理事ご質問の多摩の心しん育成・整備計画は、平成十年四月に策定した計画でございまして、八王子、立川、青梅、町田、そして多摩ニュータウンの五つの核都市を多摩における広域的な拠点として計画的、重点的に育成整備することを目指す計画でございます。
 この計画の中で、それぞれの核都市ごとに整備エリアを設定いたしまして、そのエリア内で面整備事業等の先導的プロジェクトの推進を図りますとともに、核都市相互間や他の圏域との交流を支える交通基盤の整備を図ってまいりました。
 具体的な先導的な整備プロジェクトの例といたしましては、立川や町田等におきまして、駅前の区画整理事業や市街地再開発事業等を推進いたしてまいりました。また、多摩ニュータウンにおきましても、業務・商業施設などの土地利用を進めてきたところでございます。
 また、交通基盤関係につきましては、昨年、多摩都市モノレールが全線開通いたしまして、核都市である立川と多摩ニュータウンが結ばれたところでございます。さらに、多摩南北道路を中心といたしまして道路網の整備も推進するなど、核都市の育成に取り組んできたところでございます。

○小礒委員 それでは、今五つの多摩の心しんの取り組みにつきましてお話があったわけでありますけれども、特に多摩ニュータウンですね、平成十年四月に策定した育成・整備計画でありますが、平成二年に、第三次東京都の長期計画の中で、このいわゆる多摩の心しんが打ち出され、多摩ニュータウンがここで入ったわけですね。
 自来、確かに業務・商業施設の土地利用が進められておりますけれども、これはとりわけ多摩ニュータウンの中の心しんといわれる多摩センターの南側、特定させていただきますと、南側は都市基盤整備公団によって開発されてきた。ここらあたりは商業・業務施設が張りついてきてはいますが、しかし実際、本来の東京都の東京都施行区画整理事業区域内、多摩センターの北側ですね、さらには、その都道をまたいで、北側の都有地ですね、このあたりは全くといっていいほど手がつけられていない状態であろうかと思うんですが、このあたりはどのように状況を把握されているんでしょうか。

○田中開発企画担当部長 多摩センター地区におきます土地利用の状況でございますが、特にご指摘のございました北側地区につきましては、現在、新住宅市街地開発法上、この地域はその他の公益施設用地となっており、一部が住宅用地と位置づけられている状況でございますが、ただいまご指摘のありましたとおり、いまだ利用率が低いという状況になっておるところでございます。
 そのため、今後は南側の機能立地と並行いたしまして、北側の特色ある地区像を確立するため、今日的な社会ニーズに対応した土地利用の活性化を図っていくことが必要と考えております。既に一部の地域におきましては、核都市の育成整備に寄与する土地利用の動きがございまして、都市計画の変更など、機能どおりに向けました手続を進めているところでございます。
 今後とも、都といたしましては、地元多摩市のほか、都市基盤整備公団とも連携をとりまして、当地区の活性化にふさわしい土地利用計画を策定するため、関係者と鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。

○小礒委員 私は前にもこの委員会、また前に所属しておりました常任委員会でもこれを取り上げさせていただきましたが、このいわゆる多摩センターの北側につきましては、要するに、土地利用が、ほとんど手つかずの状態がここ数年来続いているわけですね。とりわけ多摩センターの南側の基盤整備公団の整備との歴然とした格差が生じてきている。
 特にそれを端的にあらわすのが、多摩の心しんとして、また後ほど触れますが、業務核都市にも指定された中でも、北側は都市ガス管の供給が面的になされてない。個々的には対応しておりますけれども、これは民間で行っているわけであって、要するに南側と北側の、とりわけ東京都が都有地を保有し、なおかつ開発をしてきたこの北側は全くもって、今も触れましたけれども、まちづくり形成が、非常に速度が遅い。そしてまた、格差が歴然として、まちづくりの様相を見る中においてもこれはいうまでもないところだと思うんですね。
 こういう中で、業務核都市に指定されたわけであります。平成十一年三月に業務核都市に指定されたわけでありますけれども、これらの状況を踏んまえて、どのように業務核都市として取り組みがその後なされているのか、このあたりをお願いいたします。

○田中開発企画担当部長 多摩市は平成十一年三月に、ご指摘のとおり、第五次首都圏計画におきまして、新たに業務核都市に位置づけられました。これを受けまして、これまで決まっておりました八王子・立川業務核都市基本構想を、新たに多摩市を加えまして、三市連携の視点から全般的な見直しを行いまして、八王子・立川・多摩業務核都市基本構想に変更することとしております。
 このため、今年度、十二年度には、都及びこの関係三市により構成されます基本構想策定にかかわる連絡会議を組織いたしまして、八王子、立川、多摩業務核都市の整備に関する予備調査の取りまとめを行ったところでございます。現在、この予備調査につきまして、国と鋭意事前調整を行っているところでございまして、年度内には国に提出する予定でございます。
 また、最終的な基本構想そのものにつきましても、十三年度早期に策定を図ってまいりたいと思っております。

○小礒委員 今後、いわゆる予備調査案を国土交通省に提出をする、そしてその後、基本構想ですか、これを策定していくという流れになっていくわけでありますけれども、この中で、とりわけ業務施設集積地区という中での、先ほどから触れておりますけれども、多摩センター及び周辺地区、この施設の集積を目指す中での立地、このあたりはどのように考えられ、今まで調査をされて、ここに記載をされているのか、そのあたりをひとつ……。

○田中開発企画担当部長 業務核都市基本構想策定の中で、この多摩地域に育成すべき施設といたしまして、現在予備調査の中で挙がっている施設の重要なものを申し上げますと、例えば、もう整備が終わっておりますけれども、多摩都市モノレールが一つございます。あるいは高度情報幹線中継施設、あるいは東京厚生年金健康センター等々がございます。

○小礒委員 この先また続けさせていただきますけれども、要するに、現在、今お話が出ましたといいますか、予備調査の中でまとめられた調査原案、この中では、当該の地区について、いわゆる多摩センターの以南ですよね、すべて。すべての施設が、既設の施設も含めて、今後計画されるのは、すべて南側である。東京都が予備調査をして、なぜ東京都有地があれだけ北側に展開しているにもかかわらず、いってみれば、地元では放置しているんじゃないかというような厳しい意見も出ているわけでありますけれども、それに対して、予備調査の段階でも、今後のいわゆる施設立地も含めた土地利用も含めて、なぜこの中で、北側が一施設も掲載されていないのかというのは大変疑問に思うところでありますけれども、次に続けさせていただきます。
 そこで、今も触れましたが、センター北側のいわゆる台地、若干駅舎よりも、また通常の土地画整理地域より高台に面しているこの都有地ですね、この整備計画が具体的であるならば、どのように東京都としては考えておられるか、そのあたりをちょっと……。

○田中開発企画担当部長 多摩センター北側地区の土地利用の活性化につきます今後の戦略でございますが、この土地の有効活用を図るために、都におきましては、地元多摩市あるいは都市基盤公団も含めた、当該土地にかかわります土地利用検討会議を設置いたしまして、この土地の有効活用を図るべく、今、関係者とともに検討を開始しているところでございます。

○小礒委員 実際、この北側の土地利用計画といいますか、いわゆる多摩の心しんの育成整備が遅々として進んでない。先ほどもいいましたように、多摩の心しんが計画として出されたのが昭和五十七年、具体的に多摩ニュータウンが入ったのが平成二年、そして平成十年に育成・整備計画が実際的に出されてきた。このように過去を振り返ってみても、相当数の時間を有しているにもかかわらず、いまだかつて北側の都有地は手つかずである。
 そして今、多摩センターの土地利用計画というのは、当該の都有地に対してのお話かと思いますけれども、この多摩センターの北側の土地利用検討会議ですね、これはいつ行われたんですか。

○田中開発企画担当部長 十三年二月一日、昨日開催されております。

○小礒委員 局長、この今の私と部長のやりとりを聞いてどうでしょうか。これだけの時間をかけて、そして都有地が、そしてまた土地区画整理事業区域内、さらにその北側の、先ほどから触れている都有地の土地利用が、土地利用をしているんだと前段で今ご答弁されたにもかかわらず、これが今やりとりの現状なんですよ、内容として。私がここで質問しますよという中で、もう一週間以上、それ以上たちますかね。そしてこのいわゆる北側の土地利用の検討会議が昨日ですか、一回持たれた、こういう現状ですよね、実際問題として。これに対して局長、どうなんでしょうか。

○山下都市計画局長 多摩センター地区の業務核都市としての育成につきましては、大変これまでも重要な課題として取り組んできておるわけでございますが、ご承知のとおり、北側台地につきましては、非常に地形的にも、下のまちから上がっていくのに非常に大きな段差がございまして、それのためのデッキの整備事業なども必要だというふうにいわれております。それから、台地部分につきましてでございますが、現在住宅地として、住宅用途としての取り決めが土地利用で定められておるわけでございますけれども、何分にも新住宅市街地整備事業としての制約があるというようなことから、多摩ニュータウン全体を含めまして再構築というような大きな流れの中で、新住事業を早く仕上げて、土地の処分がもう少し自由度を高められるようにしようというような大きな流れの中で現在検討している状況でございまして、大変遅々としているということについては非常に申しわけないというふうに思いますが、この大きな流れの中で、土地利用を転換できるように検討していきたいということで、検討会としては昨日設置したばかりというような状況でございますが、そうした中で検討させていただければというふうに思っております。
   〔田島副委員長退席、委員長着席〕

○小礒委員 それでもう一点、今も局長からご答弁いただきましたが、実際的に、地形的な点が今お話しのような、いわゆる土地利用を誘導していくというんですか、このあたりの弊害になっているのかなと思うんですが、前々から、手元にも資料としていただきまして、歩行者のデッキ整備事業が出ては消え、出ては消えじゃないですけれども、これは、実際どのように今後整備をする方向で考えておられるのか、そのあたり、お願いします。

○田中開発企画担当部長 ご指摘の多摩センター北側地区は、大変南側地区との高低差があるために、南側地区あるいは駅との連絡をよくするために、歩行者デッキで連絡する必要があると考えております。そのため、デッキ計画を多摩の心しん育成・整備計画の中では先導的プロジェクトとして位置づけているところでございます。この歩行者デッキ事業は、現在、多摩市で実現に向けて検討中でございますが、都としても、地元市とともに事業の推進について今後検討してまいりたいと思っております。

○小礒委員 いずれにいたしましても、南北地区の連続一体性が図られたセンター機能の確保というのは当然に不可欠であることはいうまでもないわけでありますけれども、今後に向けて、南側の新住側、それからいわゆる鉄道事業者、そして当然、都有地に導線を引っ張っていくわけですから、歩行者専用デッキにつきまして、東京都の一段の取り組みを、ぜひお願いしたいと思います。
 当然、地元市でもこれは大変強い関心事でもありますし、若干違うんですが、地域戦略プランの中でも若干触れられているようでありますので、今後、関係者との話し合いをさらに進めていっていただきたいと要望させていただきまして、最後になりますけれども、核都市として、多摩ニュータウンの、先ほど若干触れられましたけれども、総括的に今後どう取り組んでいくのかお願いしたいと思います。

○田中開発企画担当部長 昨今、社会経済情勢が大変変化してきておりまして、そういう中で多摩ニュータウンも成熟期を迎えている、このように認識しておりまして、これからの多摩ニュータウンのまちづくりにおきましては、地域における管理運営という観点も重要になってくると認識しております。都市計画局といたしましては、多摩ニュータウンを五つの核都市の一つとして、今後とも職住のバランスのとれた自立性の高い都市として育成整備していく必要があると考えております。
 このため、地元多摩市や都市基盤公団などと連携をとりまして、業務、商業などの諸機能の誘導を図りますとともに、他圏域との連携を支える交通基盤の整備にも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 今後とも、多摩地域全体の自立性を高めるため、八王子、立川などの他の核都市と連携し、核都市多摩ニュータウンを魅力ある都市として育成してまいりたいと考えております。

○丸茂委員 私は、現在、羽田空港の国際化あるいは再拡張問題がマスコミをにぎわし、都民の関心を呼んでおりますけれども、空港移転跡地の二百ヘクタールの範囲確定と利用計画、これは全くといっていいほど進んでいないばかりか、国は当面の跡地として、予定のほぼ三分の一にしか当たらない七十七ヘクタールの跡地範囲を一方的に示しまして、また、地域住民の広域避難場所に当たるところに、駐車場をこれまた一方的に整備するという、これまでの国そして東京都、大田区、三者でいろいろ協議したことを踏みにじる形で事態が進んでおります。そういう中で、何点か伺っておきたいと思います。
 まず、羽田空港の跡地に関して、平成六年、九四年十月に、当時運輸省、現在国土交通省ですか、東京都、大田区の三者による羽田空港跡地調査連絡会議が設置されましたけれども、その目的は何だったんでしょうか。

○山内航空政策担当部長 この羽田空港跡地共同調査に関する連絡会議は、羽田空港跡地共同調査に関する国土交通省、当時運輸省でございますが、それから東京都、大田区の連絡調整を行い、調査の円滑な実施に資することを目的としております。

○丸茂委員 私自身、これを立ち上げる、共同調査の三者協定案というものを持っているんですけれども、目的は、はっきり書いてあるんですよ。羽田空港沖合展開事業により空港用地外とする範囲とその土地利用について、これらをより具体化するため、運輸省、東京都及び大田区で共同調査をする、これが目的なんです。
 その点はもう指摘しておきますけれども、資料として、この連絡会議の調査に関する経緯を示していただきましたけれども、平成十一年度、九九年度、この決算年度は一回しか開催をされておりません。そこで、これまでのこの連絡会議の目的に照らして、どこまで調査が到達し、どういう実績あるいは成果を上げてきたのか、いかがでしょうか。

○山内航空政策担当部長 本日お配りいたしました資料の一ページ目にもあらましが表になっておりますけれども、連絡会議では、学識経験者や行政関係者から構成される東京国際空港跡地利用計画調査委員会を設置することといたしまして、同委員会の幅広い見地からの指導、助言等を得ながら、利用計画に関する調査を実施してきております。これまで、跡地の役割、理念、土地利用の基本的考え方、それから導入機能等について検討を進めてきたところでございます。

○丸茂委員 いろいろ調査なり、検討をしてきたと。しかし、この連絡会議設置に当たって、私自身、当時の担当局からも、都市計画局からも聞いたんですけれども、東京都の腹づもり、それは今後いろいろ経過があるから状況は変わるだろうけれども、東京都の考え方は、平成六年、それから七年に前提条件の整備、そして平成八年、九年に跡地利用のイメージ、ここでは委託調査も含めてやる、平成十年、十一年には具体的な利用計画を定めたいと。だから十一年度には利用計画が示されていい、そういう時期なんですね。しかし全く、今、冒頭でも答弁されましたけれども、何も見えてこないというのが私は実態だと思うんですね。この当時、調査スケジュール、第一段階、第二段階、第三段階、こういうスケジュールも定めましていろいろ調査してきたけれども、全く見えてこない。
 それでは、羽田空港跡地利用計画に関する調査の概要も示していただきました。二ページに調査の概要というのが示されておりますけれども、この東京都の羽田の杜・構想における空港跡地利用計画、この空港跡地の広さ、面積は幾らと想定していたのか。また、大田区の羽田エアフロントシティ21、この跡地利用計画の跡地の面積、広さ、これをどの程度と想定していたのか、改めて伺っておきます。

○山内航空政策担当部長 資料の二ページに概要を記してございますけれども、都の羽田の杜・構想は、昭和六十三年九月に中間報告として出したものでございます。また、大田区のエアフロントシティ21、これは平成二年三月に発表されたものでございますが、いずれも跡地範囲は約二百ヘクタールというふうに想定しておりました。

○丸茂委員 今、跡地約二百ヘクタールといわれましたけれども、都としてこの跡地二百ヘクタールを含めて、歴史的にこの跡地問題についてどういう経緯を踏んできたのか、認識しているのか、その点お伺いしておきたいと思います。

○山内航空政策担当部長 都としては、昭和五十六年に調印されました確認書の趣旨に沿いまして、沖合移転により空港用地外とする範囲とその土地の利用計画については、地元区の要望に十分配慮して定められるものと考えております。

○丸茂委員 そういう認識だから、なかなかこの跡地利用の範囲だとか、それから利用計画が定まらないというふうに私は率直に感じているんですけれども、羽田空港の沖合展開問題は、運輸省がとにかく空港を拡張したいと。しかし、周辺住民は航空機騒音で拡張反対だ、逆に空港は撤去してもらいたい、そういう決議までやられて、住民集会もやられる。そういう中で両者が歩み寄って、沖合展開は認めるけれども、跡地利用についてはなるべく地元の意向を酌んで利用計画を立てる。そのときに、およそ二百ヘクタール、これは当時の運輸大臣の塩川正十郎氏、それから東京都は鈴木俊一知事、区長、三者で、今ご答弁のあった昭和五十六年の確認書で、それは交わされているわけです。
 そういう歴史を踏んで、現在あるわけですけれども、一方では国際化だ、再拡張だという中で、跡地利用の問題についてはなかなか具体的に進まないというのが現状にあるんですね。そういう点で、当面の跡地としての七十七ヘクタール、こういう跡地範囲も提示されたわけですけれども、そこで暫定駐車場ということで国が一方的に進めている問題についても、この計画について、事前に東京都に対して相談があったのかどうか、この点も、ちょっと確かめる意味も含めて聞いておきたいと思うんですが、いかがですか。

○山内航空政策担当部長 国が地元大田区や地域住民に対しまして駐車場計画を提示するその前には、都に対しては国から事前の相談はございませんでした。

○丸茂委員 全く相談がなかったということなんですよね。したがって、私は、特に東京都が跡地のこの三者協でも、空港用地外となる土地を東京都が取得する方法と時期も含めて確認書まで交わしているわけですから、東京都がどういう姿勢でこれに臨むかというのは大変大事な位置を占めているんですよ。そのために、こういう連絡会議も設置していろいろな調査をやっているわけで、私はいろいろ、まずやらなきゃいけないのは、跡地範囲の二百ヘクタール、これをどうするかということをきちんと調整すべきだというふうに考えております。そういう点で、跡地の範囲の調整についてどういう決着をしていこうとしているのか、この点、お伺いしておきたいと思います。

○山内航空政策担当部長 都は、跡地の範囲を決めるに際しましては、羽田空港の国際化に支障のない範囲で確定させるべきであるというふうに考えてきております。このような観点から、早期に国と大田区が相互に理解できるように、三者協議会や実務者レベルでの打合会の場を通じまして、妥当な結論が得られるように調整を進めてまいりたいと考えております。

○丸茂委員 今の答弁は到底認められないですね。こういう連絡会議をつくって、皆さん方三者で、東京国際空港跡地利用計画調査報告書という、こういう立派なものも出しているんですよ。これは平成十年三月、東京都の発行で出ています。
 ここでどういっているかといいますと、本調査の対象区域は、図1に示すとおり、十五キロ圏内に東京駅、横浜駅を含む場所に位置した、規模おおむね二百ヘクタールの国有地とする、この空港はアクセス云々と。跡地の範囲も、こうやって文書ではっきりと考えているにもかかわらず、国際化云々という形で、その範囲さえあいまいにしている。こういう調査結果を、全くあなた方は無視しているんですか。どうなんですか。

○山内航空政策担当部長 先般、航空政策基本方針を発表いたしましたので、その中に、現在、東京都が首都圏の空港問題ないしは航空政策に関して、どのように考えているかというのは整理して記述してございますので、先生もご承知のことと思いますけれども、羽田空港の国際化というようなものが、その報告書以降に出てきたものですから、我々としては、現在は、羽田空港の国際化に支障のない範囲で跡地の範囲は確定させる必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。

○丸茂委員 では、国際化に支障のない範囲というのは幾らの広さと考えているんですか、東京都は。

○山内航空政策担当部長 具体的に、どのような面積であるかというようなことも含めまして、現在、国ともいろいろ意見交換などをしているわけでございまして、それらも含めまして、この三者協議会や実務者レベルの打合会を通じて、妥当な結論が得られるように調整していきたいというふうに考えている次第でございます。

○丸茂委員 やっぱり東京都の姿勢はおかしいですね。大田区も、この連絡協議会を開催したいといっても拒否しています。というのは、一方的にそういう押しつけが提案されているからなんですよね。実際に、運輸省が新羽田時代だとかいろいろパンフレットを出しています。こういう絵を見ても、空港が沖合展開した予定地と跡地と思われるところは白抜きで、ほぼ二百ヘクタールのそういう表示をしているんですよ。一体どう考えているんですか。それから、三者協で決めた、確認したときの二百ヘクタール、先ほどから聞いておりますけれども、東京都自身がどう考えているのか、もう一度答弁してください。

○山内航空政策担当部長 確認書で、また跡地の範囲につきましては、特に二百ヘクタールという確認はされていないというふうに私は承知しておりますが、その具体的な数字としての二百ヘクタールというものは、今まで確認書で、五十六年ですか、確認はされていないと思いますけれども、ただ、現実に、国の方では最近まで二百ヘクタールという答弁などをしてきたというのは承知しております。
 それで、国際化についておかしいという話ですが、これは一方では大田区……

○丸茂委員 そんなこといってないよ、跡地の二百ヘクタールといっているんだよ。

○山内航空政策担当部長 それで、跡地の二百ヘクタールにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、羽田空港の国際化に支障のない範囲で確定させる必要があるだろうということでございますので、それについて、現在、大田区と国との間で協議をしているということでございます。

○丸茂委員 これ以上やってもなかなか、押し問答になっていますが、実際あなた方が発行しているこういう文書でもちゃんと二百ヘクタールという数字を使っているということ、それから、大田区がエアフロントシティ21というのは、全くそういう跡地を考えずに計画しているわけじゃないんですよ。跡地利用をどうするか、空港全体、まちづくり、東京の環境問題、それから空港の安全問題、いろいろ含めて、やっぱりまちづくり--都市計画局ですからね、あなた方は。そういうものを含めて、どういう利用をするのかと。まさに都市計画なんですよ。それを一方的にこんな絵をかくはずないですよ。
 したがって、跡地はほぼ二百ヘクタール、これはもうちゃんと地図に鉛筆入れて、当時協定--私も区議会五期十八年やって、当時のことも知っていますから、これ以上いいませんけれども、そういうこれまでの、確認書まで交わした内容をあいまいにするようなことはだめですよ。そしてなおかつ、東京都の都知事が確認書まで交わしていることなんですから、絶対にあいまいにしないということを重ねて強く要望しておきます。
 それでは、協定書では、空港用地外となる土地を東京都が取得する、こういう方法と時期も触れられているんですが、取得はどうしようとされているんですか。

○山内航空政策担当部長 東京都といたしましては、国、大田区とともに、平成九年度より空港跡地の利用計画を検討してまいりましたが、羽田空港をめぐる、先ほどご説明したような状況の大きな変化を踏まえまして、また、跡地が東京のみならず日本全体にとっても貴重な都市空間であることから、空港跡地の範囲の確定を待って、関係者と協力し合ってよりよい利用計画を定めていきたいというふうに考えております。

○丸茂委員 土地取得について聞いているので、利用計画じゃないよ。

○山内航空政策担当部長 土地の取得の関係につきましては、その利用計画が策定された段階で、都として用地を取得する必要がある場合には、都の財政を勘案しつつ適切に対応していきたいと考えております。

○丸茂委員 これも今、答弁は逆立ちしているんですよね。羽田沖の埋め立てをやる場合にも、開発を含めて特別会計をつくったわけですよ、羽田沖埋立事業会計という。そういうものをつくって、その埋め立てた土地は将来運輸省にも、処分をするということを含めて、独立した会計をつくったんですよ。この羽田沖会計、大体財産的にどのくらいある、そのくらいわかっているでしょう。それ、幾らぐらいあると思っていますか。

○山内航空政策担当部長 申しわけございませんが、資料ございませんものですから、また調べさせていただきます。

○丸茂委員 わからないというのもおかしいんですよね。東京ベイエリア21で、臨海会計と埋立会計とそれから羽田沖埋立会計を統合するという提案をしているんですよ。
 私からいいますと、一般会計にたしか五百五十億、臨海会計に六百六十億、手持ちにも四百億ぐらい、約千五百億を超えるそういう会計を持っているんですよね。そういうお金で全部は買えないけれども、跡地取得のために、その目的が終わったら、それに充てる、当然のことなんですよ。それを今度は臨海会計も含めて統合するなんていう、地元からしたら到底認められない提案が今なされております。
 したがって、これについても私は厳しく指摘をして、必ず跡地は東京都がこの協定に沿ってきちんと取得をする。跡地のほぼ二百ヘクタール、これを確保する。その中でいろいろ条件が変わってきて、その利用計画はどうするのかというときに、国際化だとか環境問題だとか将来の都市づくりだとか、時代の流れの中でどうしても検討しなければならない、そういう問題が出てくるでしょう。
 しかし、その場合も、地元区の要望を十分配慮するという約束になっているわけですから、改めて東京都は跡地二百ヘクタールを確定させて、そして地元住民の意向を反映させた利用計画を策定すべきだ、改めて再度求めますけれども、いかがですか。

○山内航空政策担当部長 羽田空港の跡地につきましては、跡地面積がどのくらいになるのかも重要ではございますが、国際化など、羽田空港の機能が将来にわたって適切に確保されることが前提となる話ではないかと考えておりまして、大田区も、国際化ということでチャーター便なども飛ばすことについていろいろ取り組んでまいりましたし、今後、国や大田区と十分話し合いながら、跡地範囲や利用計画を定めるべきであるというふうに考えております。

○丸茂委員 今の答弁は、全然私認められません。一方的なんですよ。そういう約束を全く無視している。先ほどから航空政策基本方針、これが示されまして、ここでは跡地利用計画、今答弁があったようなことが書かれておりますけれども、これも、これまでの約束から全く外れた中身になっているという点で厳しく指摘をしておきたいと思うんです。
 それで地元では、今沖合展開して、新たな滑走路を利用していますけれども、国際化に向けて、一つは騒音問題が新たに起きているんですよ。というのは、これまでの旧空港の離着陸が、モノレール以内の住宅地以外には入らない、そういう約束で航空路が決まっていたんですけれども、沖合展開して、大分騒音は遠のきましたけれども、一方では新A滑走路を左旋回という形で、今度はモノレール以上に内陸部、市街地を飛んで、それも早朝新たな騒音をまき散らしている。そしてなおかつ早朝、深夜にわたる航空機の発着便もふえまして、航空機の低周波の振動が、また新たな問題が起きているんです。こういう騒音問題が、また新たな問題を巻き起こしている。
 最後にしますけれども、私は、こういう航空政策でも全く触れてないのは問題だと思うんですけれども、昨日、日航機のニアミス事件が起きております。何よりも航空機、運輸行政というのは安全が第一でなきゃいけないと思うんですよね。そういう中で、この文書でも国際競争力だとか効率性だとか利便性、これはうたわれておりますけれども、安全の問題については全く触れてないというのは、私は大変危険に思いました。
 先ほど、ホームからの転落事故の問題、これまでも三菱自動車のクレーム隠しですか、それから雪印乳業の集団食中毒事件、いろいろな事件をずっと見てきますと、やはり人命だとか安全問題が二の次、三の次にやられているんじゃないかということを、非常に私、都民の立場から見て重大な問題を提起しているなと。したがって、航空機の安全についても、やはり東京都自身もしっかり踏まえて今後の計画なり方針を立てるということが極めて大事になっていると思いますので、一般論でもいいですから、航空機の安全問題についてどういう認識を持っているのか、お尋ねしておきたいと思います。

○山内航空政策担当部長 先生ご指摘のとおり、航空機の安全確保の問題は大変重要な課題であるというふうに我々も考えております。今後、いろいろ航空政策を展開する中で、羽田の有効活用などにより飛行回数が増加するとか、いろいろあるかと思いますけれども、まずは国、また航空会社、それ以外に、そのほかにもいろいろ整備をされている民間事業者とか、航空を取り巻く関係の方々は多数いらっしゃるわけですけれども、そういう方々とともに、東京都としても何か取り組むものがあるのであれば、取り組んでいく必要があるのかなと。
 いずれにしても、国やそういう民間の方々一丸となって、航空機の飛行の安全確保というものについて取り組んでいただくことになるし、また、それは十分安全が確保されることになるというふうに我々も考えております。

○丸茂委員 やはり東京都知事がしっかりとした考えを持っていただきたいし、なおかつ地元の区にも問い合わせて、安全問題はどういうことが考えられるのか、十分つかんでもらいたいと思うんですよ。
 区議会でも論議になっていますけれども、着陸しようと思って、北風の場合は南側から進入しますけれども、格納庫が新しくできまして、そこで乱気流が起きる。着陸やり直し、四十一回、去年やっているんですよ。その飛行機が海側に出られなければ、市街地を通って--現実に私自身もJR蒲田駅近く、今もう大田区役所はそこに移っていますけれども、その真上を、目の前を低空で飛ぶ。もちろん空港の離発着時に一番事故が起きやすい、これはもうどなたも知っていることですけれども、そういう問題を含めて、やっぱり航空機の安全、そしてなおかつ空港周辺の安全問題、こういうものも含めて私は検討すべきだ、また、東京都自身も安全問題を重視して計画を進めるべきだということを指摘して、質問を終わります。

○たぞえ委員 私は、都民参加による東京の道のあり方、またその方向について、特に外郭環状道路のあり方についてお伺いしたいと思います。
 外環道路は、一九六六年、昭和四十一年に都市計画決定をいたしましたが、決定時に問題がある、こう指摘されています。その問題点とは何なんでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 計画当時、急激なモータリゼーションの発達によりまして発生しました問題が、当時注目されたものと考えております。現在の外郭環状道路は、当時の都市計画法に基づき、手続が適切に行われたものであると認識しております。

○たぞえ委員 当時の法律のもとで適切な手続だったということですが、その旧法ですね。戦時中の昭和十八年、一九四三年三月十八日に施行した許可認可等臨時措置法、そういう法律です。その法律は、私見て大変驚いたんだけれども、前文に、大東亜戦争に際し行政簡素化のため内閣決定はしない、こういうふうに書いてある法律なんですよ。その決定に基づいて都市計画法の特例として、内務大臣の決定だけで事業計画が決められた、こういうものなんですね。
 だから、その法律のもとで一九六六年に計画決定して、それ以降一九九一年、平成三年に廃止されるまでの間は、その戦時中の法律の内容で進んできている。ですから、住民説明もない。それから、住民参加の保障もない。住民合意もない。ですから、住民が、戦後民主主義の理念からいっても納得できない、謝罪して白紙に戻せと要求しているのは当然じゃないでしょうか、どうですか。

○成田外かく環状道路担当部長 確かに、今たぞえ副委員長のご指摘のように、当外郭環状道路は許認可特別措置法の適用を受けながら都市計画決定したものでございますけれども、私も、法といたしましては、それに従い決定されたものでございますので、適切に決定されたものと思っております。

○たぞえ委員 住民がそのまちづくりや道路計画に一緒に知恵を出して、どんな住みよいまちをつくるかと、これが戦後民主主義の原点です。しかし、内閣の決定もない、大臣の決定だけで事が進んで住民に周知されない、そういうのはおかしいじゃないかというのは、私は当然の住民の声だと思いますよ。
 一九七〇年十月九日に参議院の建設委員会で我が党の春日正一議員が外環問題についてただしました。当時の根本国務大臣が、議事録を読んでみますと、地元と話し得る条件が整うまでは強行するべきではない、その間においてはしばらく凍結せざるを得ない、このように答弁されているわけです。この凍結の当面の理由ですね、これは何なんですか。

○成田外かく環状道路担当部長 当時、昭和四十五年の十月の参議院建設委員会の中で根本大臣がお答えいたしておりますのは、当時の計画は、自動車専用部の構造が基本的に高架方式であったと。これに起因いたしまして、騒音、排ガス等の環境問題や、あるいは地域分断等を懸念する地域住民の強力な反対運動があった。また、世田谷区を除きます地元の区市議会でも反対決議がなされてございます。
 このことが背景となりまして国会で取り上げられましたことから、今たぞえ副委員長ご指摘の大臣の発言になったと承知いたしております。

○たぞえ委員 今成田部長がお答えになったように、住民の意向を無視した、こういうふうに地元市や多くの都民が、この計画について異議を唱えたわけです。私は、改めてこの参議院の建設委員会の議事録を、当時のを読んでみましたら、実は道路をつくるだけじゃなかった。そこに再開発や区画整理もセットされていたんですね。そして副都心までつくるという計画だった、この沿道にですよ。だから、住民が望んでいる快適な通れる道というものとはほど遠い巨大な計画だったわけですよ。
 ところが最近、石原知事が三環状促進をうたい文句にして、凍結解除だということを大変張り切っていっています。東京構想二〇〇〇でも、都として実施に移すということが表明をされています。国会で指摘された道路とまちづくり、こういうプランから離れて、今日では道路計画だけが先行する。まさに道路計画ありきなんです。
 聞きますが、知事は、大臣にかわって高速道路計画の凍結解除の責任を負っているんでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 知事が凍結解除の責任を大臣にかわって負っているかというふうなご質問でございますけれども、昭和四十五年十月の参議院の建設委員会で発言をなされているのは当時の根本建設大臣でございまして、基本的には、大臣の発言に基づき凍結されたものでございますので、大臣が凍結解除すべきことだと、都もそのように認識いたしております。

○たぞえ委員 そうですね。大臣が述べた、条件が整うまでは、の見解は今日も存在しているんです。それであるのに、知事が、また都側は、あたかも解除したかのような判断で行動をとっている、これは問題だと思うんです。地元住民団体は、凍結解除については大変重みのある事項であるので、軽々しく取り扱わないようにしていただきたい、このように東京都との懇談でも述べられている。ですから、知事がいろいろなところでしゃべっていらっしゃることは、これはちょっと国の方針、凍結という事態とはかけ離れたことを述べているといわざるを得ません。
 この凍結の宣言をしたときにもいわれたわけですが、大多数の住民の納得得る条件、それは白紙に戻してゼロから出発するべきだという、こういう条件が満たされない限り、凍結は解除できないと考えますけれども、どうでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 ただいま地元は白紙撤回を求めているというふうなことで、白紙に戻してからというたぞえ副委員長のお話でございますけれども、先ほども申し上げましたように、凍結解除は大臣が行うものと考えております。
 その一方で、現在は地元団体との話し合いを進めており、これまで三回行っております。また一方では、地元区市等の動向を見ながら、この外郭環状道路は、東京にとりましても、首都圏にとりましても大変重要な道路でございますので、できるだけ早期に凍結解除をしてほしいというふうなのが東京都の立場でございます。

○たぞえ委員 まだ凍結解除も決まっていませんのに、あちこちの構想で解除されたかのようにひとり歩きをしたり、そういうことが今住民から指摘されているんですよ。
 東京都が九七年九月に外かく環状道路及びその周辺まちづくりに関する調査報告書を作成しました。この時点から今日までの東京の自動車保有台数はどういうふうに変化しているんでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 平成九年の自動車保有台数と今日までの変化でございますけれども、東京都における自動車保有台数は、平成九年では約四百二十一万台でございます。平成十一年でございますけれども、ここでは約四百十九万台というようなことで、ほぼ横ばいの状態でございます。

○たぞえ委員 横並びなんですね。首都高速道路の一日の交通量の推移を見てみますと、平成元年で八十七万七千台が走行している。十年度は八十六万台。ですから、車全体が横ばいなんです。どんどんふえるという時代じゃないんです。この計画、外環道路の計画を立てたときは、将来は自動車総量がふえるだろう、こういう根拠で打ち出されました計画です。ところが、現在は頭打ちですよ。ですから、高速道路ができれば、もっともっと自動車が集中できやすい環境ができるというふうにおっしゃるけれども、しかし、総量的に今詰まっているわけですから、この当時の計画そのままを通そうというのはちょっと無理があるんじゃないかというように思うんです。
 今回発表された東京構想二〇〇〇で、外環高速道路が二〇二五年に完成すると仮定をしているようですが、この時点の交通量というのは、東京でどの程度走行するものと考えておりますか。

○成田外かく環状道路担当部長 将来の自動車保有台数につきましては、現在の時点では推計を行ってございませんけれども、参考までに、平成十年七月の新道路整備五カ年計画の策定に際しまして、建設省が、二〇二〇年の全国の自動車保有台数を約八千九百万台と推計しているものがございます。

○たぞえ委員 そのでき上がる外環は、一日幾ら、何台走るんでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 現在、交通センサス等いろいろ整理いたしておりますけれども、まだ具体的な交通量配分につきましては算定いたしてございません。

○たぞえ委員 この計画ですが、東京都は盛んに経済効果が高い、そういう必要性を期待しているようです。しかし一方、住民の皆さんから指摘されているのは、自動車総量の集中による大気の汚染、土地の用途変化による住環境の破壊、緑の損失、こういうことが指摘されています。都民に新たにもたらされる負の遺産、これはどのように算定しているんでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 先ほどもお答えいたしましたように、まだ具体的な交通量配分をいたしておりませんので、負の経済効果につきましても算定いたしてございません。

○たぞえ委員 完成仮定の二〇二五年の自動車通行量は持ち得ていない。そして道路ができることによってもたらされる新たな影響も予測がない。しかし、何とかつくりたい。これでは都民は納得しません。百年後でしたら、電気自動車とか空を自動車が飛ぶ時代も来るでしょうけれども、まだそういう段階じゃない現実に、今東京を脅かしている大気の汚染、こういう現実を見れば、都民が、やはりある特定地域に集中する自動車の量を見れば、深刻なことが予想される、こう考えるのが普通だと思います。
 もう一つ聞きたいんですが、東京における貨物輸送の交通分担の状況、凍結した当時と今日でどういう割合でしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 凍結当時の昭和四十五年でございますけれども、東京発の貨物輸送のうち、自動車利用の割合は約九六%でございます。また、鉄道が約三%、海運が一%でございます。自動車の分担割合につきましては、現在もほぼ変わってございません。

○たぞえ委員 自動車利用が断トツなんですね、貨物輸送は。私はそれは否定はしないんです。必要なんですよ、車で運ぶということは。ただ、昭和四十五年当時、鉄道が三%。調べますと、今は一%ですよ、鉄道利用が。既存の、あるわけですから、鉄道というのは。やはり自動車依存型じゃなくて、いろんな交通の手段を活用するということが大事だと思うんですけれども、貨物輸送の鉄道における役割、これをどのように東京都としては評価されているんですか。

○成田外かく環状道路担当部長 鉄道貨物輸送に関しましては、確かに環境面、それから大量輸送の面ではすぐれているのではなかろうかという評価がある一方で、自動車に関しましては、鉄道に比べまして機動性あるいは迅速性とか、小口の多頻度の輸送等にその面で非常にすぐれてございます。ドア・ツー・ドアの対応だとか、いろいろな宅急便等、そういうふうなものに対応いたしました--自動車が鉄道に比べてすぐれている面が多々ございますので、これに対応した道路整備が必要であるのではなかろうかと考えてございます。

○たぞえ委員 私は、今度の外環道路の路線値から比べてみまして、既存の武蔵野線、南武線、東西に走る中央本線、こういう鉄道の活用を行えば、既にできているわけですから、道路整備に費やす事業経費よりもはるかに軽減されて、輸送時間短縮も当面すぐできるというふうに思うんです。しかも、東京都が掲げていた業務核都市構想の地点にこの鉄道網が近づいていますので、このネットワークの強化で、貨物輸送の強化は一段と進むことができる、こういうふうに思うわけです。
 こういう貨物輸送の新たな道が開かれるという余地があるわけですが、こういう活用というのは、どのように東京都として進めていこうと思っていらっしゃるんでしょうか。

○成田外かく環状道路担当部長 確かに、ご指摘のように、東京圏の中には活用が期待できる鉄道もございます。しかし、先ほどたぞえ副委員長もご理解いただきましたように、九六%の分担率がある自動車での輸送をより効果的に誘導するためには、首都圏の三環状等の広域幹線道路、それから都心部への交通集中を緩和する幹線道路の促進をいたすことが、都市内の輸配送の効率化を図るための基本ではなかろうか、このように考えてございます。

○たぞえ委員 既存の道路を有効に利用する、そしてその道路が輸送や生活の手段として不備ならば、それは交差点の改良ですとか、また幅員を広げるとか、そういう都民に使いやすい道にすることは当然です。
 現在でも、そういう既存の道路で十分貨物輸送が行われている地域と、使われてない地域があるというのは事実なんですよ。ですから、私たちは道路をつくっちゃいけないとはいってない。問題は、国も東京都も大変な借金ですよ。例えば三環状だけで九兆円という事業費です。都市計画局は首都高速道路公団に大変お金を渡すのが特技なようですが、平成十年度で二百六十六億、十一年度二百十二億、十二年度三百四十四億、来年度五百五十四億と、これは出資と貸し付けです。一体どこにそんなお金が出てくるのか。それは、橋脚を直したりする必要はあります。
 しかし、これから新たに高速道路をつくる中央環状新宿線ですとか、そういうものに費やすお金が、毎年毎年ふくれ上がっていっているんです。借金依存型の今のぼろぼろの体で、どうしてこんなにお金を費やすのか。さらに国費でこうした三環状にお金をつぎ込むわけですよ。これじゃ、みんな借金を負わされた国民が道路を走らなきゃいけない。じゃあ、ただで乗っけてくれるのかといったら、有料でしょう、きっと。二重の負担ですよ。そういうあり方が今どうなのかというのが全国民的に問い直されているんじゃないですか。有明海のあの水門、あけろ、あけないと今注目を浴びているところです。一たん閉めたらもう閉めっ放し、一たん決めた道路はもうつくりっ放し、こういうご時世ではない。
 四十一年に都市計画決定して、四十五年に凍結して以来、そのままの形で、構造は地下になるなんていっていますが、そのままの形でいいのかどうか、再検証しなきゃいけない。そういう意味でも、この凍結の解除は行わずに白紙に戻して、都民の参加でよく練り上げていくということが大変大事な時期に来ているということを指摘して、私の質問を終わります。

○曽根委員 簡潔に、首都高速道路公団の事業の、特に私は、高速道路王子線の問題に関連して何点か質問したいと思います。
 資料で首都高に対する貸付金、それから出資など、それから事業費の資金構成などの資料をいただきました。王子線の事業費もいただきました。首都高に対する出資というのを始めたのは、たしか十年ぐらい前かと思うんですが、このとき、通常は国の外郭団体ですから、地方自治体は、地財法で国の外郭団体にお金を出してはならないという規定があるんですけれども、特別措置法で、新幹線関係とこの首都高については出すという措置法ができたというふうに記憶しているんですが、ただ、それは出資についてはそういう法定の定めがありますが、貸付金については、これは法律でも何でもなくて、東京都の政策判断で出しているお金じゃないかと思うんですが、いかがですか。

○杉浦施設計画部長 首都公団に出しております貸付金でございますが、これは、貸付要領に基づきまして、毎年議会の議決をいただき、国と同額を支出してございます。渋滞解消という政策的な目的ではございますが、いわゆる国と協調して出すという面で、義務的な支出の性格の強いものでございます。

○曽根委員 法律で義務づけられているんですか、改めて確認します。

○杉浦施設計画部長 法律では義務づけられてございません。

○曽根委員 義務づけがないにもかかわらず、政策判断で、国と同額ということで無利子貸し付けをもう相当額行ってきて、今回問題にする王子線についても、もう一千億円以上ですよね。出資と合わせて一千億円以上になると思うんです。
 最近、総務庁が行政監察報告というのを出して、都市高速道路問題について、この決算年度である九九年の八月に文書を発表いたしました。その中に、この首都高や阪神なども含めた高速道路の建設が、つくった後に建設事業費を返していくというこの仕組みはなかなかもう困難ですよと。
 というのは、建設費がかつての十数倍にもうはね上がっている。このいただいた資料によると、一一ページにあるように、高速道路王子線については、関連街路も含めると四千五百五十億円。一メートル当たり、もう一億円近いお金がかかっているわけですね。恐らくでき上がれば、都内で一番高コストの道路になると思うんです。
 これを返済していくためには、この高速道路の首都高の料金をもう払いたくないような金額まで上げなければならないということになってしまうということから、財政のあり方について検討すべきだということで、もし計画的にちゃんと高速道路をつくっていくのであれば、資金調達については、自前できちんと公団に確保させるべきではないかと。安易に国や自治体が出資する、要するに上限額も何もなしに、その都度動くような金額で出資するやり方について物申していると思うんですが、これはご存じですか。

○杉浦施設計画部長 ご指摘の勧告では、確かに、事業資金を財政投融資資金に依存しております特殊法人について、財投機関債の発行を自由化しまして、自力での資金調達に努めるよう勧告されていると理解しておりますが、端的にいえば、これは公団が、従来財政投融資資金などに依存しておりました資金を、みずから調達を行うべきということでございまして、決して先ほどいっております都や国が支出している公的負担分に言及しているものではないと理解しております。

○曽根委員 そんなことはないです。その前の文章を読むと、国及び地方公共団体は、一定率に相当する額を出資しているが、その出資率は、各年度の予算措置によって定められることになっており、固定的なものではない、このような仕組みのもとで行われているけれども、事業資金を自力で調達に努めるようにする閣議決定を行っているじゃないかということを指摘しているわけです。私は、この文脈では、明らかに国や地方公共団体の出資を安易に行うことについて、警鐘乱打とまではいいませんが、厳しい指摘を行ったなというふうに受けとめました。
 それで、どうなるかなと思っていましたら、同じこの年度の秋に行われた予算編成の段階で、都市計画局は、今までやっていた出資、貸し付けのやり方を変えて、貸付金ではなく、公団が借り入れをする際の利子補給だけを行う、援助するというやり方を知事査定に向けて予算見積もりで提案しているわけですね。これを行った理由は何でしょうか。

○杉浦施設計画部長 当時の要求では、東京都の財政再建推進プランに沿った経費削減を行うことを目的としまして、都が貸し付けます金額と同額を公団がみずから資金調達を行い、その調達に係る利子相当分について都が利子補給を行う方式を前提としまして、予算要求を行ったものでございます。

○曽根委員 東京都も財政が厳しいということで、いろいろなことを工夫されたんだと思うんですね。法的な裏づけもとられて正式に予算要望されたわけですから、そういう見込みもあってなされたと思うんです。残念ながら、査定ではもとの形に戻されたようですけれども、私は、いろいろ工夫すれば、利子補給も必ずしも必要ではないと思いますけれども、いつ戻ってくるかわからない貸付金を毎年何百億も、それも料金で返済して何十年かかるかわからないという形で、それは出資の方ですが、貸付金は期限は決まっているとはいっても、しばらく待たなければ戻ってこないというお金を貸し付けるやり方から、最小限にそれを抑えたいという努力があったものだというふうに、この点では評価したいと思う。
 それで、これだけ莫大なお金をかけて高速道路をつくっているわけですが、特に私の地元で高速道路王子線が平成十五年、二年ぐらい先に開通の予定でいるわけです。ここまで工事が進んできて、基本的には私たちは、環境破壊問題が解決されない以上、工事については凍結すべきだといい続けてきましたが、ここまで進ちょくしてきて、環境対策は万全にやれということで、改めて地元の皆さんと一緒にいい続けているところです。
 この高速道路王子線について、出資、貸し付けはどれぐらいお金が入っているんでしょうか。

○杉浦施設計画部長 王子線の供用予定は、現在のところ平成十四年度と想定してございますが、平成十二年度までの出資、貸し付け実績と、十三、十四は現在の方式を用いて推計をし、それらを合算しますと、王子線に対しては約一千二百億円、東京都のお金が出ております。

○曽根委員 本体の建設費は、資料によると約三千億円。このうち千二百億円が都からの貸し付け、出資であり、さらに関連街路は東京都の方の責任でつくっているわけですね。合わせますと、都の事業費というのは相当な、いってみれば、全体の事業費四千五百数十億円のうち半分以上ということになるんでしょうか。これだけお金をかけてやってきたわけですが、地元の皆さんが心配している環境対策については、ほとんどナシのつぶてといってもいいような状態です。やっと最近、防音壁を若干高くつくるということが計画として提示されたところです。
 今、非常に二酸化窒素並びに粉じんの除去装置として注目をされております土壌脱硝装置が実用段階に近づいているといわれていますが、私は、この高速道路王子線の飛鳥山トンネル付近、特に傾斜が厳しく、百メートル進む間に六メートルから七メートル近く上昇するという、排気ガスが最も心配される地域について、特にその土壌脱硝装置の設置を、もうこれは五年越しになりますが、求め続けてまいりました。
 東京都でも、建設局では既に実用化に向けてかなり進んでいるというふうに聞いていますので、技術的にはこの王子線の中に、かかる費用や規模の問題は差しおいても、設置が可能な段階に来ていると思いますが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 先ほどのお答えで、都から公団に渡っている一千二百億円の中には、関連街路に関する都の分担金も入ってございますので、そのようにご認識いただきたいと思います。
 ただいまお問い合わせの土壌脱硝でございますが、ご案内かと思いますが、大量の土壌を収容する広大なスペースが必要でございまして、耐久性、維持管理など、解決すべき課題がたくさんございます。殊さら王子線の飛鳥山トンネルのように、トンネル内の大量の換気を必要とするものにつきましては、土壌脱硝装置そのもののみで浄化するシステムは、現段階では実用化するまでに至ってないという認識でございます。

○曽根委員 実用化はまだどこもできてないんですよね。しかし、最近、私聞いてびっくりしたんですが、環状二号線の建設計画を住民に示した建設局は、環状二号線の上部に土壌脱硝装置を、いわば実用化してやりますという図まで示しているわけですね。事業計画の概要の中には、わざわざ都市計画を変更して、トンネル上部に土壌脱硝装置をつけるという図も示した。これは本格実施をやるという約束を住民たちにしているわけです。
 この環二の計画自体は大変大きな問題があって、住民の不安が高いためにこういう対応をせざるを得なかったんだと思いますが、それにしても、同じ東京都の建設局が既に実用化ということを打ち出している。ならば、そのちょっと二、三年前に完成する予定の高速道路王子線になぜできないのか、私は大変疑問なんです。
 やる主体は首都高速道路公団になると思いますけれども、この事実、建設局が既に実用化に向けて動いており、それからきのう、私たまたま朝早く来ましたら、九時に庁内放送がありまして、何でも大和町交差点でやってきた実験装置を大規模にしてやるそうですね。七百平方メートルですか、日本最大の土壌脱硝装置になるんだと、これはしきりにアナウンスしていましたよ。実用化に向けてここまで踏み込んできているという事実は、都市計画局としても受けとめていただきたいんですが、これはご存じですね。

○杉浦施設計画部長 確かに土壌脱硝装置がいろんな問題点を克服しながら、実用化に向けているという状況はございますが、唯一の残る問題点は、処理能力といいますか、空気の量、時間当たりの処理する量がなかなか少ないということがございまして、例えば環二では、あれは道路構造上、半分を自然換気にしまして、半分を土壌脱硝にしている。
 それから大和町では、これは実験でございまして、ある一定量の空気に対してどれだけ効果があるかを測定するわけでございまして、交差点全域の空気を対象にしているわけではございません。そういう面で、王子線のトンネルのような閉塞断面の空気を浄化するというものに対しての実用性はまだ確立されてないと考えているところでございます。

○曽根委員 もちろんまだこれからの問題は山ほどあるわけですが、それを乗り越えてここまで来たということは今もお認めになったとおりで、私は何も閉鎖型のトンネルだけに限らず、その前後にあります高架の部分についても、もし可能で、技術的に実証されれば、そこでも活用は大いにあるというふうに思います。たとえ一部ではあっても、効果があるとわかっている装置をなぜつけないのかというのが住民の感情ですよ。そこをちゃんと受けとめていただきたい。
 それからもう一つ、王子線に関して、先日環境局にもお聞きしたんですが、この王子線のランプを利用して配送トラックを運行しようとしている堀船の新聞印刷工場計画があって、これは夜間に主に集中して、四百数十台の配送トラックが出入りするということで、環境問題が地元で大きな不安を招いていることはご存じでしょうか。

○杉浦施設計画部長 都議会におっしゃいます計画に関する請願が提出され、都市・環境委員会で審議もされていますし、また、同印刷工場の建設事業にかかわります環境影響評価書にかかわる見解書が公表されていることから、この計画に対する地元の動向については承知してございます。

○曽根委員 この印刷工場の計画、日量二百五十万部という大量の新聞を印刷して、関東一円に配送するという計画にとって、高速道路の出入口が近くにあるというのは決定的な意味を持っているわけです。これがなければ、せいぜい都内をめぐる範囲しか刷れないでしょう。それが関東一円に持っていけるというのは、高速道路があるおかげなんですよ、出入口ができるという。一般的にいって、高速道路の出入口をつけたり高速道路を通す場合、その周辺沿道にこうした工場が出てきたり開発が進む、車の出入りが便利になるということは、高速道路をつくる目的の一つになっているんでしょうね。

○杉浦施設計画部長 一般に首都高速を初めとする高速道路の整備は、例えば地域道路の混雑を緩和し、通過交通を排除するなど、自動車交通公害の軽減にも資するわけでありますし、また、ランプの整備は、地域の利便性を高めるとか、あるいは活性化、あるいは地域環境の改善にも資するものと考えております。そういった観点からのランプ計画というのが一般的な計画の考え方でございます。

○曽根委員 地域環境に資するとは限らないというのが、この王子ランプの例なんですよ。それは昼間多少出入りがふえるといっても、そんな大した影響はないかもしれない。下だって、明治通りでもうすごい交通量ですから。しかし、夜間、ほとんど車の走行がない時間帯に集中して新聞配送トラックが出入りするという環境問題を起こしてしまうことになるわけなんです。
 こういう場合は、やはり都市型の--高速道路ができることによって、確かに地域住民の方もたまには高速道路を利用するかもしれません、年に数回ぐらいは。しかし、圧倒的には、そこにできる工場の配送トラックにとって極めて便利な施設として王子ランプが利用されるんですよ。圧倒的にです、これは。地域住民にとって便利なのか、工場を進出させようとする企業側にとって便利なのかというのは明らかだと思うんです、私は。
 そういう点では、新たな環境問題として、これに対して一定の、道路をつくる側として、もしくは計画する側として、環境対策を考えなければならないと思いますが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 お尋ねのランプにおきます、例えば配送トラックにつきましては、私どもの調査によりますと、一日約四百数十台のうち、百台が王子線のランプを利用すると推計されておりまして、この限りにおいては、このランプ計画は直ちに地域の環境悪化を招くとは考えてございませんが、なお、道路の構造で環境の改善について対応すべきことについては、可能な限り努めていく考えでございます。
 また、本件は、東京都の環境影響評価条例に基づき、環境影響評価条例の対象になってございますので、条例に基づき、環境問題については適切に評価、対処されるものと考えてございます。

○曽根委員 最後に意見を申し上げますが、私は、何も四百数十台全部王子ランプを通るなんていってないですよ。しかし、このうちの百台がこの王子ランプを利用できないとすれば、ここに工場は建てられないんですよ。それははっきりしているんです。その印刷のうち、わずか四分の一でも関東近県に、時間が限られた時間帯の中で配送するためには、この場所でなければならなかった。住宅密集地のど真ん中に工場を持ってきているわけですから。
 したがって、この問題は、もしアセスメントが終了し、それでも計画が強行された場合には、行く行くはこの高速道路王子線の完成に合わせてこうした環境問題が顕在化してくることになりかねない。そうならないことを私たちは願って、今この工場の計画はもとに戻してほしいというふうに繰り返し要望をしているところですけれども、もしこれが行われた場合には、今お話のあった環境対策を万全にやっていただくことをまた改めて要求しなければならないかもしれません。
 そのことについては改めて、こうした高速道路をつくる際の地域に及ぼす影響というのは、プラスばかりじゃない、むしろこういう問題が続々と起きてくるということを念頭に入れて道路計画は考えていただきたいことを申し上げて、終わります。

○杉浦施設計画部長 先ほど首都高速道路公団に対する都の負担金の一千二百億の金額に対しまして、関連街路費がすべて含まれると申しましたが、精査しますと、貸付金、出資金の中に関連街路整備にかかわる首都高の分担金がございますが、それに対する東京都の貸付金、出資金のみが含まれているということでございます。訂正させていただきます。

○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 都市計画局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○立石委員長 異議なしと認め、都市計画局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時五分散会

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