委員長 | 立石 晴康君 |
副委員長 | 木内 良明君 |
副委員長 | 田島 和明君 |
副委員長 | たぞえ民夫君 |
理事 | 織田 拓郎君 |
理事 | 小礒 明君 |
理事 | 丸茂 勇夫君 |
理事 | 井口 秀男君 |
理事 | 尾崎 正一君 |
羽曽部 力君 | |
真鍋よしゆき君 | |
田代ひろし君 | |
吉田 信夫君 | |
谷口 卓三君 | |
今井 悦豊君 | |
鈴木 一光君 | |
樺山 卓司君 | |
藤田 愛子君 | |
古館 和憲君 | |
石川 芳昭君 | |
白井 常信君 | |
比留間敏夫君 | |
沢西きよお君 | |
田中 良君 | |
寺山 智雄君 | |
曽根はじめ君 | |
新藤 義彦君 | |
小山 敏雄君 | |
西田ミヨ子君 | |
秋田かくお君 |
欠席委員 なし
出席説明員総務局 | 局長 | 大関東支夫君 |
理事 | 早川 良躬君 | |
総務部長 | 高橋 功君 | |
行政改革推進室長組織担当部長兼務 | 山内 隆夫君 | |
参事 | 荒川 満君 | |
参事 | 中田 清己君 | |
人事部長 | 三宅 広人君 | |
主席監察員 | 反町 信夫君 | |
行政部長 | 松澤 敏夫君 | |
地方分権推進担当部長 | 脇 憲一君 | |
災害対策部長 | 岡部 恒雄君 | |
災害対策調整担当部長地域振興担当部長兼務 | 和田 正幸君 | |
勤労部長 | 尾井 幹男君 | |
法務部長 | 金岡 昭君 | |
統計部長 | 早川 智君 | |
学事部長 | 小野田 有君 | |
人権部長 | 関 正子君 | |
環境局 | 局長 | 中野 英則君 |
総務部長 | 平井 健一君 | |
企画担当部長 | 梶原 康二君 | |
技術担当部長 | 関 寿彰君 | |
移管事業調整室長 | 西野 和雄君 | |
環境改善部長 | 長谷川 猛君 | |
参事 | 小島 高志君 | |
自動車公害対策部長 | 松葉 邦雄君 | |
自動車公害対策推進担当部長 | 山本 憲一君 | |
自然環境部長 | 高田 茂穗君 | |
廃棄物対策部長 | 薄 厚一君 | |
環境評価部長 | 町 格君 | |
環境科学研究所次長 | 萩本 秋彦君 | |
地方労働委員会事務局 | 局長 | 歩田 勲夫君 |
次長 | 細渕 功君 |
本日の会議に付した事件
平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
総務局関係
・一般会計決算(質疑)
・特別区財政調整会計決算(質疑)
・小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)
環境局関係
・一般会計決算(質疑)
地方労働委員会事務局関係
・一般会計決算(質疑)
○立石委員長 ただいまから平成十一年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
初めに、日程の変更について申し上げます。
先ほどの理事会におきまして、お手元配布のとおり申し合わせました。ご了承願います。
本日は、局別審査のうち、総務局、環境局及び地方労働委員会事務局の順で質疑を行います。
なお、本日は、質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
質疑に先立ち、あらかじめ委員の皆様にお願いいたしておきます。
本委員会の日程は、過密な中で運営され、皆様には大変ご迷惑をおかけしているところでございますが、委員会運営を効率的に進めるために、質疑は平成十一年度決算の審査から逸脱しないよう、委員長として特にお願いいたしておきます。
また、理事者におかれましては、答弁は簡潔、明瞭に行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
これより決算の審査を行います。
平成十一年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
これより局別審査を行います。
総務局関係に入ります。
総務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○高橋総務部長 それでは、十二月二十日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきまして、ご説明をさせていただきます。
恐れ入りますが、お手元にお配りをしてございます平成十一年度各会計決算特別委員会要求資料、総務局の一ページをごらんいただきたいと思います。市町村振興交付金、調整交付金の推移でございます。
振興交付金は、公共施設の整備等に要する経費に対して、また調整交付金は、各種施策に要する経常的経費に対して、それぞれ財源補完を行う制度でございます。それぞれの交付要綱で定めております事業区分別、配分項目別の交付金につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
二ページをごらんいただきたいと思います。小中学校の避難所機能強化助成実績及び応急給水槽の設置数の推移でございます。
一点目の小中学校の避難所機能強化助成実績の推移でございますが、井戸の整備など項目ごとに、事業を開始した平成八年度以降の助成対象学校数をお示ししてございます。
二点目の応急給水槽の設置数の推移でございますが、設置数及び設置場所につきまして、過去五年間の実績をお示ししてございます。
三ページをごらんいただきたいと思います。市町村受託消防の負担金の推移でございます。
市町村受託消防の経費負担につきましては、委託市町村で構成しております三多摩地区消防運営協議会と東京都との間で毎年度協議し、決定をしております。ここでは、総事業費、都側の負担額、市町村側の負担額等につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
四ページをごらんいただきたいと思います。財団法人東京都福利厚生事業団の事業実績でございます。
平成十一年度の事業実績につきまして、地方自治振興事業などの各事業ごとに、四ページから五ページにかけましてお示しをしてございます。
六ページをごらんいただきたいと思います。都民経済計算の推計方法でございます。
都民経済計算の意義、作成目的、推計方法の概略につきまして、お示しをしてございます。
七ページをごらんいただきたいと思います。私立幼稚園関係補助の実績推移でございます。
私立幼稚園経常費補助等の四つの事業につきまして、過去五年間の決算額をお示ししてございます。
八ページをごらんいただきたいと思います。私立幼稚園における預かり保育に対する補助の実績推移でございます。
私立幼稚園における預かり保育の実施状況につきまして、補助を開始いたしました平成九年度からの推移をお示ししてございます。
九ページをごらんいただきたいと思います。私立高等学校(全日制)の理由別中途退学者数の推移でございます。
全日制私立高等学校における中途退学者数につきまして、過去五年間の推移を理由別にお示ししてございます。
一〇ページをごらんいただきたいと思います。私立学校における応募者数及び入学者数の推移でございます。
私立小中高等学校における入学者選抜の状況につきまして、過去五年間の推移をお示ししてございます。
一一ページをごらんいただきたいと思います。高校生に対する東京都育英資金の貸付実績の推移でございます。
一点目は、全体の貸付者数及び貸付金額につきまして、また二点目は、そのうちの新規奨学生の採用状況につきまして、それぞれ過去五年間の推移をお示ししてございます。
一二ページをごらんいただきたいと思います。財団法人東京都人権啓発センターの事業実績でございます。
平成十一年度の事業実績につきまして、項目ごとに事業内容及び執行額をお示ししてございます。
一三ページをごらんいただきたいと存じます。同和対策事業の執行状況及び予算額でございます。
各局が実施をしております同和対策事業につきまして、局別、事業別に、平成八年度から十一年度までは決算額及び執行率を、また十二年度につきましては予算額を、一三ページから一六ページにかけましてお示ししてございます。
以上、簡単でございますが、ご要求のございました資料につきましての説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○立石委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
発言を願います。
○たぞえ委員 私は、私立学校振興費決算について伺います。
我が党日本共産党は、十一年度予算の編成に当たって、私立学校経常費の二分の一の補助制度を堅持しながら、評価方式の変更による補助の実質削減を行わないように求めました。その結果、補助制度の堅持が図られ、十一年度決算では、高校から小学校までの四百六十七校、幼稚園四百十七園に、合わせて千百八十三億九千七百四十五万円の経常費補助が執行されました。しかし、私学に在学する生徒と父母にとっては、引き続き高額授業料、保育料に苦しんでいます。
そこで、私は、生徒の保護者の家計が急変した場合の問題について、何点か伺いたいと思います。
この決算の十一年度から、経常費補助の特別補助として、保護者の家計が急変した場合への対応策として、補助制度が発足しました。この制度は、授業料が払えない生徒に、学校が授業料を減免した場合について、翌年度に都がその三分の二を補助するものですが、企業からのリストラなどによって職を奪われたケースのほかに、どのような理由がこの減免の対象となっているでしょうか。
○小野田学事部長 家計急変によります学校の授業料減免に対します補助は、家計急変により生徒の修学継続が困難な状況にある場合を対象とする考えで実施しております。このため、保護者の失業や倒産だけに限らずに、死亡や破産あるいは離婚など、可能な限り幅広く対象としております。
○たぞえ委員 一口に家計急変といっても、各家庭の状況はさまざまです。失業の場合は収入がゼロになりますが、そこまで至らなくとも、年収が何割か急減をする、こういう場合もあるわけです。
私は早速、こうしたケースが起こっている学校を訪ねてお話を聞いてきました。ある学校の、小学校六年生の男子ですが、革の製品を使った洋服のデザインを営んでいる保護者の親会社が倒産をして、この方には全く仕事が回ってこなくなったんです。そのために、昨年十月の段階で授業料が払えず、中学校への内部進学の資格を審査する時期だったんですが、家計の急変でこの夢が奪われました。この子のお兄さんは同じ小学校から中学校に内部進学できたのに、家計の急変で、この弟の方は大変残念な結果であります。
また、別の家庭ですが、お父さんが末期の喉頭がんで、自営の仕事ができなくなり、多額の借金を抱えて授業料が払えない。とうとう卒業の時期を迎えましたが、滞納があるために卒業証書が発行されない、こういうことで留年になったわけです。
このような自営業の方が営業不振で売り上げが急減している場合、そのほかの理由による急変と違って、店舗の閉鎖などを公的に証明することが大変難しいわけです。そのために、減免申請を出すことが非常にセーブされてしまう、こういう事態が起こっております。したがって、こうした事態を一番掌握している学校が、公的証明機関として判定を下せるように、弾力的に対応するべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○小野田学事部長 家計急変を証明するための資料は、原則といたしまして、公的資料であることが望ましいわけでございますが、ご質問のように自営業の方が、売上減などに関しましては、それが難しいということは十分承知をしております。このような場合においては、各学校におきまして、保護者や生徒との面談等によりまして、家計急変の状況について正確に確認をしていただいて、その内容を学校として証明していただくなど、柔軟に対応してまいります。
○たぞえ委員 ぜひ学校の自主的な判断でこうしたものが発行できるように、指導していただきたいと思います。
次に、補助の適用年度です。家計急変が発生した場合、その年度のみの対象となっている制度です。しかし、翌年度にも家計がもとに戻るという保証はありません。年度を超えても家計急変として扱うべきだと思いますが、どう対応されますでしょうか。
○小野田学事部長 お話のとおり、家計急変に対する授業料減免補助は、急変が発生した年度のみの取り扱いでございます。ご質問のような場合、あるいは家計急変によりまして授業料減免を受けた家庭で、その翌年度以降も状況が改善されない場合には、家計急変ではなくて、従前より実施しております家計状況による授業料減免補助を適用することとしております。
なお、この家計状況による授業料減免補助についても、平成十一年度までは補助率が二分の一でございましたけれども、十二年度より補助率を三分の二に引き上げて、事実上、家計急変と同様の取り扱いを行っているところでございます。
○たぞえ委員 さらに、家計急変が確証といいますか、確認できるとき、減免措置を講ずるとき、それ以前にも授業料滞納が発生をして、これが確実に家計急変であるということが確認できる期間についても、さかのぼって授業料減免の対象とすべきだと思いますが、こうした措置を求めますが、いかがですか。
○小野田学事部長 ご指摘の点につきましては、今後の検討課題であるというふうに認識しております。
○たぞえ委員 これはぜひ検討していただきたいと思います。
同時に、この制度は、学校の減免額の三分の二を東京都が補助をするものですが、結果として学校側に三分の一の負担が発生をいたしますので、各学校は積極的な活用にブレーキがかかっています。ある私学の事務室の事務長さんが、減免希望者が殺到したら経営は成り立たない、このようにいっていました。別の私学の経営者の方ですが、経常費補助の枠内で実施しているために、利用すると一般補助にもしわ寄せが来る、したがって、経常費補助とは別枠で、全額の補助が行われるように改善を求めたい、このようにおっしゃっていました。
補助率を引き上げるなど、制度をあらゆる側面から検討して、緊急の拡充が必要だと思いますが、どのように対処されますか。
○小野田学事部長 家計急変に対します授業料減免補助につきましては、現在の社会経済情勢を踏まえ、平成十一年度より新たに開始したものでございます。
この補助の対象範囲や補助率については、現時点におきましては、生徒の修学継続に最大限の配慮を行っていると考えておりまして、この制度を学校が積極的に活用して、生徒の修学継続が図られるよう、当面、現行制度の定着に努めてまいります。
なお、私立学校に通う生徒の保護者負担軽減につきましては、私学助成の基幹的補助である経常費補助により対応しているほか、経常費補助を補完するものとして、各種の保護者負担軽減策を実施しているところでございます。
○たぞえ委員 今、最大限配慮をしているとか、当面現行のままとおっしゃいましたけれども、十年度は家計急変による授業料減免人数は二十二名、十一年度は五十四人に急増しているわけです。東京都みずからの調査でも、減免実施校が、十年度十三校から十一年度百二十二校に急増しているわけですよ。ですから、学校も制度の拡充を求めている、そういうことではないかと思います。
昨年十一月七日の総務局の事務事業質疑で、我が党の丸茂理事が減免制度の拡充を求めましたが、学事部長はこのように答弁されているんです。今後とも、保護者負担の軽減を初め、私学助成の意義を踏まえ対応してまいりたい、こう答弁されています。今の答弁ですと、最大限配慮する、現行のままでいくと。大分答弁のレベルが低くなったというように思いますが、明らかに後退だと思いますが、どのように対処されるつもりですか。
○小野田学事部長 この制度は平成十一年度より開始したものでございまして、現時点において、この制度の定着というものを見守りつつ、私どもとしては検討させていただきたいと思っております。
○たぞえ委員 定着というのは現状維持なんですよ。そういうことを各学校や生徒は求めているでしょうか。今の事態の中で、できるだけ中途退学者を出さないためには、必要な手だてをつくる、こういう努力を行政はしなければいけないと思います。十一月の答弁からきょうの答弁まで約二カ月半、この間に経済傾向がよくなったでしょうか。深刻ですよ。もっと当時の答弁に責任を持って、こうした私学の関係者の声にこたえるよう努力していただきたい。
以上です。
○木内委員 私も、家計急変に対する授業料の補助を中心にお尋ねをしますが、既に何点かの質疑が行われましたので、微妙にその質疑の角度を変えながらお尋ねをしますので、事前に了解をいただきたい、こういうふうに思います。
現在、都の私立学校に対する授業料軽減補助制度として、学校側の授業料減免に基づく補助制度と、生徒の保護者への経済的負担を補助する特別奨学金制度、従来からこれがあるわけであります。
ところで、今も質疑にありましたけれども、平成十一年六月十四日、都の私立学校助成審議会での審議において、従来の家計状況に対する授業料減免補助に加えて、新たに家計急変の理由による授業料減免補助を支援する制度、この創設について提案があったわけでありまして、私はその会議録をしっかり拝見いたしましたが、この措置というのはどういう考え方に基づくものであるか、まず概念についてお尋ねをいたします。
○小野田学事部長 家計急変によります授業料減免制度は、近年の長引く不況の影響によりまして、家計が急変した生徒の修学の継続を支援するために創設したものでございます。
この制度は、学校が授業料の減免を行った場合に、翌年度、都がその三分の二を補助金として交付するものでございます。
○木内委員 この制度は、こうした社会的背景から勘案するならば、極めて時宜を得たものであるという面を一方で持っていながら、同時に、家計急変という事態は、長期的に徐々にもたらされるものではなくて、にわかに実は惹起されるという、こういう環境の激変が背景にあるわけであります。したがって、この制度の実施については、より血の通った内容にならなければならない、こう思うわけでありまして、文字どおり急変に対応できるものでなければならないのであります。
ちなみに、補助適用の判断資料として、雇用保険受給資格証あるいは破産宣告書等、公的な証明を求めているわけでありますけれども、学校の現場で、これらの公的な証明に基づくことなく、学校長の判断により減免しているものをすべて認めるなど、そうした対応が必要だ、こういうふうに思うのであります。むしろネガティブポイントとして、こうした資料の欠如を指摘するのではなくて、要望のあったもの、事実が確認されたものについては、すべからくこれを認めるなど、実際の運用の現場でこうした適用をすべきだ、こういうふうに思うのでありますけれども、どうでしょうか。
○小野田学事部長 家計急変の減免につきましては、基本的には、公的な資料に基づくことが必要であると考えております。しかし、先生ご指摘のとおり、家計急変に至るには、公的な書類が提出できないさまざまなケースが考えられます。そのため、書類等に基づかずに学校長の判断で減免を行っている場合についても、内容を確認した上で、柔軟に対応してまいります。
○木内委員 その旨を各学校現場に、今後、きちっと周知徹底すべきでありますから、この場で私はそれを強く要請をしておきたいと思います。
直近の家計急変による授業料減免実績がどのようになっているか、あわせて、生徒が学校へ、あるいは父母が申請した数と実際の適用された数の差異、この実態はどうなっていますか。
○小野田学事部長 平成十二年度の家計急変によります授業料減免実績につきましては、現在、集計作業を進めているところでございますが、平成十一年度の実績に比べて、二倍以上に増加する見込みでございます。
なお、生徒等が学校へ申請した数及び学校が適用した数の実態については、申しわけございません、把握をしてございません。
○木内委員 都は今後、私が今申し上げた趣旨を踏まえて、各私立学校における現状を正確に把握するとともに、その不適用の実態をよく精査して、そして血の通った施策となるよう、これを反映していくべきである、こう考えまして、強く要請をするものですが、どうでしょうか。
○小野田学事部長 ご指摘の趣旨を踏まえまして、鋭意実態の把握に努めますとともに、それらの結果を今後の施策に生かして、あわせてその制度の啓発に努めてまいります。
○木内委員 今の答弁は極めて重要でありまして、この制度の議論は今回がスタートでありまして、今後しっかりこれを凝視してまいりたいと思いますので、要請を踏まえて、実態の把握に努めていただきたい。求めておきます。
平成十年度、高等学校についていえば、家計状況の減免実施校は三十三校、家計急変対応の減免実施校は十校、こういうふうに資料で承知をしておりますけれども、この減免制度を、学校側で、現場で、受け皿として制度として持っているところ、あるいはなおかつ活用している学校にのみに、実は現実というのは、補助が限定をされているという実態がある。これは極めて不公平であります。すなわち、この制度が学校にないところについては、家計急変であれ、あるいは家計状況の厳しさによれ、東京都がせっかく措置した制度が運用されないわけでありまして、いわば大変に生徒個々にとっては不公平である、この不公平性というのは否めない事実である、こういうふうに思います。
減免実施をしていないのは、どういう理由によるものか。例えば、学業成績の理由での授業料減免は、平成十年度、高等学校では九十四校活用実績があるのに比較して、家計急変制度の活用は極めて不十分な実態といわざるを得ないのであります。したがって、これは今後さらに拡大をしていく必要がありますけれども、申し上げた点について、まずどういう理由によるものか明確にしていただきます。
○小野田学事部長 この制度は、学校側が授業料を減免した翌年度に、東京都がその実績に応じて補助する制度でございます。学校側が減免を実施しないという理由につきましてはつまびらかではございませんが、学校の経営上の判断もあると考えられます。
生徒の修学を継続させるために導入したという、本来のこの制度の趣旨が生かされるように、学校におけるさまざまな実例の把握に努めるとともに、学校側にも積極的に活用してもらうよう働きかけてまいります。
○木内委員 今いわれたように、学校におけるさまざまな実例の把握に努めるということでありますから、ぜひこれも継続して汗を流していただきたいと思うのであります。
特に私は、大事な問題は、学校の経営上の判断ということでありますけれども、一体、こうした行政の制度というものは、学校のためにあるのか、生徒のためにあるのかという問題であります。もとより、議論するまでもなく、生徒一人一人の個性と、そして奮発と、そして社会に有為な人材となるような、そうした教育の継承の機会を拡大をするということが、この制度の本来の目的であるわけでありますから、行政の都合や学校の都合で、この制度というものが十分に、あまねく普及されないということは大きな問題でありますから、私はこの点についても、今後、行政の作業というものをしっかりと見守っていくつもりであります。
さらにいえば、幾ら私立学校といえども、社会性、公共性に十分留意して、現下の社会や経済の変化に対して適切に対応できるよう、みずからも当然、渾身の努力でこの作業を行うべきである、こう思うんですね。
こういう議論の場で数字を挙げるのはいかがかと思いますけれども、あえて誤解を恐れずに申し上げれば、私学助成費は、予算ベースで、十一年度、実に千五百八十五億円、十二年で千三百二十億円、これだけのものが助成の額となっているわけでありますから、いわゆる政策的な整合性あるいは旧来の制度との調整等を行いながら、十分に各学校の現場で、この制度の受け皿を今後設けることが可能である、そこにこそ、いわば行政と教育の現場に携わる者の知恵と工夫の生かしどころがある、こう思っているわけであります。
私は、私学に対しても、このことを強く都は要請すべきだと思いますけれども、どう認識していますか。
○小野田学事部長 私立学校は、公教育の一翼を担っておりますことから、その社会性、公共性を踏まえ、社会環境への適切な対応をしていく必要があると認識をしております。
今後とも、行政といたしましても、その基本認識に立って適切に対応してまいりたいと考えております。
○木内委員 基本認識に立って適切に対応ということでありますから、この制度を、小さく産んで大きく育てるという、そういう視点からも、しっかりと取り組んでいただきたいと思うのであります。
平成十一年度の助成審におきまして、家計急変の制度の趣旨は、補助率を引き上げることによって、学校がこの制度をより活用しやすくすることにある、あるいは私学関係の団体の協力等も得ながら、周知徹底を図ってまいりたい、このように報告、説明をされているところであります。
したがって、この発言がなされた平成十一年六月の審議会以降、今日まで、どのような努力を私学の現場に対して行ってこられたのか。また、そうした作業によって、具体的に、これまでの間、減免実施校の実態はどのように推移してきているのか、ご報告願います。
○小野田学事部長 平成十一年六月の助成審議会以降、私立学校理事長、校長会を初め事務連絡会等で、この制度の導入の背景や内容につきまして周知を図ってまいりました。
また、減免実施校の推移でございますが、幼稚園、小学校、中学校及び高等学校全体の実績では、平成十一年度の補助対象校は十三校でございましたが、平成十二年度ではその数が倍近くに増加する見込みとなっております。
○木内委員 そうしたご努力をされているわけでありますから、当然、この制度を所有する学校の数の推移は伸びてきている、こう判断をしたいところでありますから、ぜひ極めて早期にこの実態を把握されるよう、そうしてまた、制度が設けられていない学校につきましても、きちっと要請を行っていくべきである、こういうふうに思うんですね。
理事長、校長、連絡会議、あるいはそのほかの機会等を通じて徹底をしてきているそうでありますが、それが形式に流れてはならない。学校自体の、いわば強い、また深い意識というものを醸成していく必要があると思うのであります。
今後の課題として、減免実施校の実情を掌握するとともに、これを拡大するように懸命な努力を都はすべきだと思いますけれども、その点について、もう一度答弁を願います。
○小野田学事部長 私どもが私学の方々と接触する機会というものが、いろいろな機会でございます。そのような機会を極力、最大限とらえまして、この制度の趣旨の徹底と定着に努めてまいりたいと存じます。
○木内委員 ただこれを要請するということでなく、それぞれの学校の事情をよく掌握をする、あるいは制度を設置するための、例えば根拠規定の整備のあり方であるとか、あるいは関連する情報の提供も綿密に行うなど、こうした具体的な努力が必要だと思うんですが、どうでしょうか。
○小野田学事部長 この制度の学校におきます採用につきましては、幾つか条件がございますが、代表的なものを申し上げますと、まず、その学校で根拠規定を設けてください、それから、それについて文書で生徒、保護者等に周知をしてください、こういうふうな条件が主なものになっております。
したがいまして、この辺の根拠規定の作成等につきまして、具体的な、技術的な徹底といいますか、指導といいますか、そういった点についても十分留意を図りながら、技術的にも、こういったことが各学校において十分に定着していくように、さまざまな工夫を講じていきたいというふうに考えます。
○木内委員 部長から大変明快な答弁がありましたので、了としたいと思うのであります。今後の、いわば理事長、校長会等、事務説明会等で、そうした具体的な作業に言及して、情報提供を初め根拠規定の整備の行い方等、しっかりと協議を重ねていただきたいし、また、そうした努力の結果、次の質疑の機会に、どれだけ実施校が、制度を持つ学校がふえているかということは、きちっと着目をしてまいりたいと思いますので、ご努力を願いたいと思います。
翻って、私学に在籍する生徒の父母は、資料からいいましても、都立高校生の保護者の約三・五倍の授業料を負担しているわけであります。この格差の是正という点からも、特別奨学金補助の所得制限の大幅な緩和、あるいは対象人員の拡大、さらには補助単価の増額等が必要と考えますし、いわば実態に応じた見直しを機動的に行っていく必要があると思いますが、どうでしょうか。
○小野田学事部長 特別奨学金につきましては、従前より、平均的な所得の都民の方々であれば受給できるような支給基準を設定しており、厳しい財政状況のもとではございますが、この水準を維持するように努めております。
また、生活保護世帯や住民税非課税世帯につきましては、一般世帯より補助単価を増額するなど、きめ細やかな対応を行っているところでございます。
今後も、私学助成の基幹的補助でございます経常費補助や、この特別奨学金補助などを通じまして、保護者負担の軽減に努めてまいります。
○木内委員 保護者負担の軽減に今後努めるということでありますし、いわば議会と行政というのは、車でいう両輪でありますから、時に応じ、機にまた応じて、議会としても提案をするし、また行政としても、こうした具体的な保護者の負担軽減に向けての最大の努力を願いたいことを、ここで申し上げておきます。
また、特別奨学金の申請についてでありますけれども、現在、年一回の募集となっているのであります。これが、授業料軽減補助のお知らせ、都内私立高等学校等用という資料がありますけれども、郵送の場合は八月九日から九月十四日まで、持参の場合は八月二十九日から九月八日まで、年一回、短期間に集中をさせているのでありますけれども、受給資格はあるのに、さまざまな事情で、この手続が期間限定、短期間、年一回のために、非常に不便を来したり、そごをもたらしているケースがあるのでありまして、この申請の手続については、随時受け付けをするとか、あるいは年二回制に拡大をするなど、柔軟な対応も検討すべきではないかと思いますけれども、どうですか。
○小野田学事部長 特別奨学金補助の申請手続につきましては、これまでも、申請窓口の一本化や郵送による申請手続の実施などのほか、ご指摘のように、申請期間の延長など、利用しやすい制度になるよう逐次改善を図ってきたところでございます。
年二回受け付けにつきましては、実際の補助金交付手続の関係上、困難な点もございますが、柔軟な対応を図るという観点から、今後も可能な限りこたえていくように努めてまいります。
○木内委員 今後も可能な限り対応ということでありますから、これもやはり、具体的検討課題として今申し上げているわけでありますから、今後の進ちょくを見たいと思います。
家庭における経済環境の悪化等によりまして、私立高校から都立高校へ転学を希望する実態、これをどう認識しておられるか。非常に多くなっているのであります。
また、ちなみに、私学における平成十年度の転学と編入の実態についてもお尋ねをします。
○小野田学事部長 学業の意欲に燃える生徒が、家計急変等の経済的理由により転学を余儀なくされることにつきましては、本人の意思を超えるものでございまして、憂慮されることと認識しております。
都におきましては、従前から行っておりました育英資金の特別募集に加えて、平成十一年度から家計急変による学校の授業料減免に対する補助を行うなど、支援の充実に努めてきております。
転学と転入の実態につきましては、平成十年度、私立の全日制高校におきまして、転出者数は千五百七十五人、転入学者数は二百四人、編入学者数は百三十四人となっております。
○木内委員 今の末尾にいわれた数字は、恐らく初めて公表される数字だと思うのでありますけれども、事ほどさように、社会環境を反映した転入、編入の実態、あるいは私学から都立高校への転学の希望者の増大ということが、指摘されると思うのであります。
子どもは親を選んでは生まれてこられないとよくいいます。学業の意欲に燃えながら、みずからの意思と行為とは関係なく、いわば環境の他律的要因によって学業継続が困難になるケースについては、行政は、そして私学も含めた教育環境というものは、これを全面的に支援をしていかなければならないというのは論をまたないところであります。
さて、角度を変えて、私はぜひお尋ねをするのでありますけれども、先ごろ、私のところにある父母の方から相談がありました。息子さんが私学の高校に通っておられて、いうところの家計急変によって授業料の支払い継続が困難になった、みずからのお子さんの問題であります。すなわち、どうしても都立へ転学をしなければ、これ以上の経済的負担継続はできないということ。
ところが、私はこれは初めて耳にしたわけでありますけれども、そのお子さんが通っている私立の学校に、都立の編入、転学試験を受けるといったら、この学校への退学届を出しなさいといわれたそうであります。
成績優秀な生徒さん。ある都立高校では、欠員の枠が十八名といわれていた。友人が見ても、本人が見ても、家族が見ても、これは紛れもなく受かるだろうという、成績のレベルの高いお子さんだったそうであります。安心感もあったかもしれませんが、緊張の中で、周りからいわれるように退学届を出したのであります。都立を受けた結果は、不合格でありました。
さて、その生徒はどうしたかといえば、帰る学校を持たなくなったのであります。こんな実態がある。家計急変によって都立へ行きたい、それを実現させるために、なぜ退学届を出さなければいけないのか。これは見過ごすことのできない問題でありまして、生徒にとっても、父母にとっても、学業の継続は人生の重要な問題であり、最大の支援が必要であります。
こうしたケース、都立が不合格になって、いずれにも在籍できずに、結局、学業を断念せざるを得なくなったという、極めて非情な事態に陥ってしまったのであります。こんな事態、現実があるということは、私は申しわけないことに知らなかった。家計の急変、転居など進路変更を余儀なくされる場合には、それが円滑に行われるよう行政は対応すべきであるし、希望の転学がかなわなかった場合でも、もとの学校で学業が継続できる環境づくりは絶対に必要であります。これは私のところにお見えになった父母の方の切実なる訴えでありました。
こうしたことを私立学校に徹底し、こうした事態が根絶されるよう、都はしっかりと努力をすべきだと思いますが、どうですか。
○小野田学事部長 生徒の進路変更に当たりましては、本人の置かれている状況を最大限に考慮した教育的な配慮が欠かすことができないものと考えております。私立の高等学校では、このような観点から、転居あるいは帰国子女などの転入及び編入を行ってきたところでございます。
ご指摘のような場合におきまして、高校生の半数以上が通学している公教育の担い手として、学業の継続や円滑な転学ができるよう、十分に意を用いまして、教育的な見地に立って配慮するよう、啓発を行ってまいります。
○木内委員 学業の継続や円滑な転学ができるよう十分に意を用い、教育的見地に立って配慮するよう啓発を行うということでありますから、恐らく、今の答弁を踏まえて、私立の学校に対して、この配慮をするよう具体的な啓発が行われるであろう、このことを私は明確に受けとめて、今の発言は重要視してまいりたい。どうかご努力を願いたいと思うのであります。
最後に、局長に伺います。
これまで何点かお聞きしたことを総括すると、現在の厳しい社会状況の中、子どもたちの学業継続を最大限支援することが重要であります。また、この重要性、必要性というものは、今後ますます大きくなっていくに違いありません。また、積極的にであれ、やむを得ずであれ、進路の変更を希望する場合、それが円滑に行われるような仕組みを考えていくことが重要である、このように私は訴えるものであります。それがまた、冒頭で申し上げた、子どもたちの未来を支える行政の的確なサポートになるのではないか、こう考えるわけでありますが、局長の答弁を最後にお聞きして、質疑を終わりたいと思います。
○大関総務局長 お話をいろいろいただきましたけれども、ご案内のように、もう既に九二%以上ですか、最初の入校まで考えますと、九六%以上が高校進学しているという状況下で、世の中の扱いも、どちらかというと、もう高校は義務教育、このようなことで扱っていようかと思います。
そうした中で、東京の高校を見ましても、私立高校の生徒が二十万人、それから公立高校が十六万人ということで、そのウエートからいたしましても、私立高校の役割というのは大変公共性があるわけでございます。そういう点で、その公共性ということのために、都民税を投入して、そこに支援をしているということが、私学の助成の基本的な考え方だろうと思っております。
そういう中におきまして、高校に修学しております生徒さんが、どのような状況に置かれましても、いわば子どもたちが夢や希望を持って学業継続に向けて努力をしていくということ、これは大変重要なことだと考えております。そのためにも、行政はそのような子どもたちの努力を、あるときは真正面から、またあるときは側面から、しっかりと支えていくということが大変必要なことであり、重要なことだと考えております。
今後とも、学校教育者等々と相談しながら、子どもたちが、未来に対し夢や目標を持ち続けられるような施策の実施に取り組んでいきたい、このように考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉田委員 私も、私学助成の中の私立幼稚園に対する助成の問題について質問をさせていただきます。
いうまでもありませんけれども、少子化の進行を初めとする今日の社会環境の変化の中で、幼稚園の果たす役割というのは非常に大きなものがあり、また父母の皆さんの期待も高いものがあると思います。しかも、東京の場合には、資料を見させていただいたら、幼稚園の中で、私立の幼稚園に通っている園児の方が九割を超えるという点での私立幼稚園の役割というものは、特別の重いものがあると思います。
しかし、現実には、私学助成の中で、例えば小中高と比べてみても至らない点や、あるいは保育行政などと比べてみても至らない点など、解決すべき問題がたくさんあるような印象を持ちました。すべてをこの場でやることはできませんから、何点かについて簡潔に質問させていただきます。
まず第一に、基本的な問題ですけれども、いわゆる小中高の場合には経常費の二分の一補助が堅持をされている。しかし、この十一年度の執行を見ても、私立幼稚園の場合には二分の一に至っていないというのが現状だと思いますし、今年度もまだ至っていないということだと思うんですが、なぜ私立幼稚園に対する経常費の補助が二分の一、五〇%に至っていないのか、そしてこれをどのようにしていこうとするのか。私は当然、二分の一に早期にすべきだと思うんですが、まずこの点についてお答えをお願いいたします。
○小野田学事部長 幼稚園の経常費補助の補助率につきましては、平成八年度の標準的運営費方式導入以降、補助率五〇%の達成に向けて、充実に努めてまいりました。具体的には、平成八年度に四五%からスタートいたしまして、それ以降、毎年一%ずつ改善を図ってきたところでございます。
補助率五〇%につきましては、私立学校教育助成条例制定時におきます都議会の付帯決議を踏まえまして、早期達成に努めてまいります。
○吉田委員 早期達成というお言葉ですから、ぜひ文字どおり早期の達成を改めて要望しておきたいと思うのです。
次に伺いたいのは、都内の私立幼稚園の場合には、学校法人立の幼稚園は約四五%、残りの個人立あるいは宗教法人立が五五%を占めるという状況ですね。これは、他の府県と比べた場合には、東京の極めて特殊な事態であって、他の県の場合には、多くが、八割、九割が学校法人立という状況だというふうに聞いています。
このいわゆる百二条園の場合には、私立幼稚園教育振興事業費補助ということで、東京都が助成をしているわけですが、その補助の割合というものが、学校法人に比べて三分の一だというんですよね。これは非常に私、改めて、正直いって驚いているところなんですけれども、なぜ百二条、個人立、宗教法人立などの場合には、学校法人に比べて三分の一にとどまっているのかという理由を、ご説明をお願いいたします。
○小野田学事部長 個人立や宗教法人立等の学校法人立以外の幼稚園に対する運営費の補助といたしまして、私立幼稚園教育振興事業費補助を実施しておりますが、この事業の補助単価は、お話のとおり、幼稚園経常費補助の三分の一でございます。
この理由といたしましては、学校法人立以外の幼稚園は、私立学校振興助成法に基づく経常費国庫補助制度の対象になっておりません。このため、この補助が都単独補助となっておりますこと、また、個人立等の幼稚園につきましては、学校法人立の幼稚園には義務づけられている学校法人会計基準の適用がございません。こうしたことを考慮いたしまして、三分の一としたところでございます。
○吉田委員 結局、単独補助だということと会計基準が適用されていないということなんですが、どうしても、それだけでは説明としては理解することができません。
それで伺うんですが、それでは、例えば学校法人と百二条園の場合には、職員の配置基準などが特段緩やかな基準等の、区別といいますか、そういう違いはあるんですか。
○小野田学事部長 個人立や宗教法人立等の、いわゆる百二条園につきましても、認可幼稚園であるために、施設設備や教職員の配置につきましては、学校法人立の幼稚園と同様に、国が定める幼稚園設置基準に基づき運営されることとなっております。
○吉田委員 そうしますと、項目別の補助は来るかもしれませんが、基本的な園の運営にかかわる補助金は三分の一しか来ないけれども、設備や職員の配置数は基準どおりであると。一体どうやって園が運営されているのかというふうに率直な疑問を思うわけですが、三分の一少ない分というものは、個人立、宗教法人立の場合には、どのような形でその運営の工夫といいますか、されているのか。私は、必ずこれはいろいろなところにしわ寄せが出ていると思うんですが、その実態はどのように認識されているんですか。
○小野田学事部長 個人立等の幼稚園につきましては、先ほど申し上げました学校会計基準等が適用されないために、いろいろな財産の運用等につきましても、諸般の制約等がないことなど、個人立なるがゆえの、基本財産が例えば個人財産であるとか、法人立とはまた違った財務運営上等の事情がございます。そうしたことをもろもろ勘案いたしまして、個人立の幼稚園では、補助金は確かに三分の一でございますけれども、いろいろな工夫をなさりながら運営をされているというふうに認識をしてございます。
○吉田委員 工夫といっても、三分の一も少ない中で、同じ施設と同じ職員体制を維持するというのは本当に大変なことなんですよ。私も杉並の百二条該当の園の園長さんに聞きましたけれども、率直にいいまして、職員に対する給与をどうしても低くせざるを得ない、大変つらいことであるというお話を聞きましたが、例えば、そういう学校法人と個人立の園の職員の給与などの実態について調べたことがあるんですか。
○小野田学事部長 今ご質問の事項につきまして、調査というものは特段にしておりません。
○吉田委員 先ほどは工夫されているというご答弁だったんだけれども、実態としては、そこは、僕は十分調査されていないんじゃないかなという印象を持つわけですよ。今すぐ、来年からどうこうということはいえないかもしれませんが、例えば、学校法人と比べた場合に、百二条園の職員の方々の給与がどうなのか、あるいは民間の保育園の職員の方々の給与と比べて、こうした対象の職員の方々の給与はどうなのかということは、少なくとも、どれだけの規模かは別にしても、調査をするぐらいのことは、まず必要なんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
○小野田学事部長 基本的には、学校法人立による幼稚園運営というものが、私どもといたしましては、教育の安定的な維持向上という面からは、非常に望ましいものだというふうに考えております。このため、学校法人立に早期になっていただくために、学校法人化志向園ということで、特別な補助制度あるいは誘導制度を設けまして、これにつきましては、三分の一ではなくて、経常費補助の七〇%の額ということで差し上げて、誘導的な策というものを講じておるところでございます。
したがいまして、この三分の一につきましては、ご指摘のように、今後、私どもといたしましても、実態についていろいろ把握をしていく必要というものはあるかというふうには思いますが、基本的には、そこから早く法人になっていただきたいというものが、私どもの基本的な考えでございます。
○吉田委員 学校法人に移行する、あるいはそのための支援策をとることは当然のことだと思いますが、しかし、量的にいって、一気にそれが可能だということも考えられませんし、ぜひ実態をよく見ていただいて、改善のご努力をしていただきたいという要望をさせていただきます。
次に、三歳児に対する対応の問題なんですけれども、当初、幼稚園は、四歳、五歳の二年ということで進められてきましたが、文部省自身も、さらにそれに三歳児を加えて、積極的に幼稚園教育を進めるという方向に発展をしてきていると思うんです。また、資料を見させていただきましたら、三歳児の数は、他の四歳、五歳児と比べてみても、増加傾向としては非常に高いものがあるという点で、この三歳児の就園にどう対応するかということが求められていると思うんですね。
しかし、三歳児ということになれば、四歳、五歳と一歳違いますけれども、その一歳の違いというものの持つ意味というのは、非常に大きな開きがあって、特段の教育的な配慮等が必要だと思うんですが、こうした三歳児についての基本的認識をまずお聞かせください。
○小野田学事部長 三歳児の入園につきましては、四歳児、五歳児と比較して、よりきめの細かい指導体制の工夫が必要であること、また、すべての面でより一層の配慮が必要であると認識しておりまして、各幼稚園の対応も、これに沿ったものとなることが必要であると考えております。
○吉田委員 三歳児の就園に対する補助として、年間一人当たり三千円の助成が実施をされておりますね。何年か前は二千円だったというふうに聞いておりますけれども、ただ、この話を聞いたときに、年額なのか月額なのか、私、ちょっと耳を疑ったのが率直な実情なんですが、三千円というものは、どういう根拠といいますか、どういう目的で設定されているものなんでしょうか。これはやはり、幾らかというふうにいうことはできませんけれども、当然引き上げが検討課題じゃないかなと思うんですが、いかがなんでしょうか。
○小野田学事部長 三歳児就園促進補助につきましては、平成八年度から特別補助として実施しております。補助単価につきましては、当初、園児一人当たり二千円でございましたが、平成十年度に千円増額して、お話のとおり、現在では三千円となっております。
なお、この単価につきましては、導入時においては、国庫補助などの状況を勘案して設定したものでございまして、十年度の改定につきましては、三歳児の就園を一層促進する観点から引き上げを行ったものでございます。
特別補助の実施内容につきましては、都議会議員の先生方を初めとして、私学関係者や学識経験者の方々から構成されております私立学校助成審議会において審議をいただいた上で、決定を図っております。
三歳児就園促進補助につきましても、今後、同審議会においてご審議いただく課題を整理していく中で、その内容を検討してまいります。
○吉田委員 もちろん、審議会で最終的にはご判断があることかと思いますが、ぜひ改善の方向で努力をしていただきたいと思います。
次に、いわゆる預かり保育について、一点質問させていただきます。
資料の中でも、預かり保育に対して積極的に各園で取り組まれて、園児の数も非常にふえているということが明らかであります。平成九年度千九百人が、十一年度は三千六百人にふえております。ただ、連合会の皆さん方からの要望の中で、これも既にいろんな場で質疑されていることでありますけれども、結局、預かり保育の充実による特別補助額の増額に伴って、これは経常費補助の中で見られているために、経常費補助の中の一般補助額を圧迫することになってしまっている、ぜひ、これがふえることによって他が圧迫されることのないようにしてほしいというのが、当事者からの要望として出されているわけです。これは非常に道理のあることだと思いますし、これから預かり保育をさらに拡充していくためには当然の要望だと思うんですが、これはどのように受けとめられているんでしょうか。
○小野田学事部長 預かり保育につきましては、経常費補助の特別補助として平成九年度から実施しておりまして、今年度からは内容を大幅に拡充して実施するところとなっております。
ご質問のとおり、東京都私立幼稚園連合会などからは、この預かり保育に対する補助の別枠化についてご要望をいただいていることは、承知をしておるところでございます。
経常費補助制度は、幼稚園の運営費全般についての経費を対象とする制度でございまして、その経費の積算に当たりましては、公立学校教職員給与などを基礎とする標準的運営費方式を採用しております。したがいまして、一部の項目のみを取り出して別枠にした場合、標準的運営費方式そのものにも影響を与えるために、特別補助の別枠化については慎重に対応したいと考えております。
なお、預かり保育につきましては、現在、拡充の試行期間中でもございまして、この結果も踏まえて適切に対応していきたいと存じます。
○吉田委員 ぜひ積極的な検討をお願いしたいと思うんですが、最後に、私立の保育園の園長さんに話を伺ったときに、園そのものに対する助成と同時に、あわせて強く要望されたのが、保護者の方々に対する負担軽減、これをやはり拡充してほしいという要望でありました。
ご承知のとおり、東京都は、所得制限を平成八年に段階的に導入して、今では三分の二の方に対象が狭まりました。しかも、この間、補助額そのものは増額がされていないというのが現実だと思うんですね。
そこでお尋ねしたいんですけれども、都は所得制限を導入しましたけれども、多くの区市町村の場合には、その東京都の所得制限で対象から外れた方々も、引き続き単独で助成をしていると思うんですが、どのぐらいの区市町村で実施を、単独で、所得制限を超えた分もカバーしているのか、実態のご説明をお願いいたします。
○小野田学事部長 園児保護者負担軽減補助につきましては、現在、四人家族でおおむね七百三十万円以下の世帯を都の補助対象としているところでございます。
この基準を超えた保護者の方々に対しまして、区市が単独で補助を行っている状況でございますが、現在、区で二十区、市町村で二十六市町でございます。
○吉田委員 今の数を聞いても、事実上、ほとんどの区市が、都が削った分も引き続き補助、助成をせざるを得ないというのが、一番身近な自治体としての認識であり、施策だと思うんですよね。
もう一つ伺いたいんですが、実施主体は区市町村というのが、この事業の性格であるようですけれども、それにしても、都の助成額だけではなくて、かなり単独で区市が補助を行っているのが現実だと思うんですが、月額平均で見た場合、二十三区と多摩それぞれで、どれだけの単独補助が父母に対して行われているか、ご説明をお願いいたします。
○小野田学事部長 現在、都の補助額は、生活保護等世帯が月額で六千二百円、一般世帯が四千五百円でございますが、これに対する区市町村の上乗せ平均額は、区部が月額で約七千三百円、市町村部が約三千二百円、都全体の平均額といたしましては、約四千九百円となってございます。
○吉田委員 今の金額で計算いたしますと、区部で見れば、都の月額四千五百円に対して、一・六倍を独自に単独で助成を行っている。それはやはり、そういう必要性にかんがみて対応していることだと思うんですよね。この点では、東京都が、もっと積極的な、この制度の実態にふさわしい改善を図ることが求められていると思うんです。
しかも、もう一つ、この点で質問しておきたいことは、東京都の補助額が変わっておりませんけれども、現実的には、保育料は、わずかではありますが上がってきているのが実際だと思うんですね。そうすると、保育料に占める東京都の補助額の比率というのは、年々低下しているのが経過だと思うんですが、この実態はどうですか。
○小野田学事部長 都内の平均保育料につきましては、平成八年度が二十五万六千九百八十八円、九年度が二十六万三千九百五十四円、十年度が二十六万九千五百七十七円、十一年度が二十七万四千三百三十四円、十二年度が二十七万七千九百十八円となっておりまして、都の補助単価が占める割合は、八年度が約二一%、九年度、十年度及び十一年度が約二〇%、十二年度が約一九%となっております。
○吉田委員 このように、二一%から二〇%、さらに今年度は一九%ということで、保育料に占める東京都の補助が非常に低いものに、額は変わらないけれども、実態的にはなっているということが非常に浮き彫りなわけですから、ぜひこの点での改善を最後に改めて強調させていただきまして、私の質問を終わります。
○古館委員 私は、都内市町村、とりわけ多摩格差などに関連した多摩振興について質問いたします。
多摩格差を解消しながら、多摩地域の振興をどのように進めていくのか、私、質問を準備している段階で、多摩の将来像素案と市町村合併に関する検討指針が出されてきましたので、この二つの文書を念頭に置きながら、九九年度決算にかかわって質問したいと思います。
これまで、多摩地域の市町村は、厳しい財政力のもとで、社会基盤整備や、福祉、医療など社会保障制度の充実に努力してまいりました。東京都が、格差問題についてですが、都市における住民生活の根源的な部分については、同じ都民として、多摩も区部と同様のサービスが享受されるべきであるという考えのもとで、七五年、昭和五十年に、三多摩格差八課題を設定し、多摩の振興に努めてきたことは周知のとおりです。
しかしながら、昨年出された多摩の現状分析報告書の中では、七五年に設定した三多摩格差八課題についてはおおむね解消していると述べ、今後、多摩を区部との比較でとらえず、独自性や個性を生かした振興を図っていく必要があるとの考えを示しております。また、先日十八日に発表した多摩の将来像(仮称)素案も、同様の考え方で策定されています。
そこでまず、東京都としての多摩格差の現状についての認識を伺います。
○松澤行政部長 多摩格差の現状についてのお尋ねでございますが、道路や下水道整備など三多摩格差八課題につきましては、これまで都と市町村が協力して積極的に取り組んできた結果でございますが、現在ではかなりの部分で解消してきております。
しかしながら、一方で、少子高齢化などの社会経済状況の変化や多摩地域の変貌などによりまして、新たな行政課題が発生してきている、このように認識してございます。
○古館委員 かなりの部分で解消ということと、もう一つは新たな行政課題が生まれてきているということも、今ご答弁になったわけですが、私は、八課題の中でも、表の中にありますように、依然として公共下水道、病院、診療所など格差が厳然として残っておりますし、図書館の場合のように、三多摩が二十三区の二・五二倍もの面積がある、そういう地理的条件とか利用条件も考慮しなければ、人口比だけで格差問題を論ぜられない、これも私は道理のあるところだと思います。
また、少子高齢化の進展などによりまして、新たな格差も発生していると考えています。例えば、ここに資料がありますけれども、乳幼児医療費の助成制度を見ましても、特別区では二十二区で就学前まで実施しているのに対して、多摩地域の市町村で就学前まで実施しているのは一市だけで、もう一つ、中学校の給食の問題で見ますと、実施率を見ても、区部で九九%が中学校給食を実施しているのに比べ、多摩地域では五〇%しか中学校給食は実施しておりません。また、奥多摩周遊道路や山岳道路を除いた舗道の整備率も、三五%が未整備となっているなど、大きな立ちおくれとなっております。
私は、多摩格差が現実に存在している事実をしっかりと踏まえて、多摩格差の解消にこれからも都が全力を挙げることを強く求めておきます。
そこで質問しますが、肝心なのは財政的裏づけです。その一つが市町村調整交付金と振興交付金の増額であります。いうまでもありませんが、市町村調整交付金と振興交付金は市町村への補助金で、しかも、一般財源の補完として大きな役割を今日まで持ってまいりました。まず、この市町村調整交付金と振興交付金が果たしてきた役割について、当局としてどのような見解をお持ちか、お伺いいたします。
○松澤行政部長 この両交付金につきましては、都内市町村の各施策に対する一般財源を補うことを目的とした包括的な財政補完制度としまして、これまで都内市町村の行政格差の是正や均衡ある発展などに一定の役割を果たしてきたと考えております。
○古館委員 つまり、格差の是正や行政水準の均衡ある発展に一定の役割を果たしてきた、このようにお認めになりましたが、この両交付金の持つ役割というのは非常に大きいと考えています。ところが、出された過去五年間の実績の資料では、残念なことに、毎年減額されているのが実態であります。
ちなみに、両交付金の総額は、ピーク時と比べてどのようになっているのか、お尋ねします。
○松澤行政部長 両交付金の交付総額でございますが、これまで最も大きかったのは、平成四年度の三百十三億五千四百万円でございます。これをそれぞれの交付金で申し上げますと、市町村振興交付金が百二十億円、市町村調整交付金が百九十三億五千四百万円となっております。
また、現在でございますが、平成十二年度における両交付金の総額は二百三十億円でございまして、このうち市町村振興交付金が百億円、市町村調整交付金が百三十億円でございます。
○古館委員 今、答弁にありましたけれども、両交付金の総額は、ピーク時に比べて八十三億円以上減額されている、こういうことでよろしいわけですね。
それで、これに加えてさらに重要なことは、市町村が、介護保険制度の導入に伴う新たな行政需要などに対応するために、さまざまな努力をしているにもかかわらず、ここ数年、市町村に対する都の支出金が相当の額で減らされてきています。この平成十一年度市町村決算状況調査結果によりましても、九六年度、都の支出金が千五百六十二億円であったものが、九七年度が千五百二十億、九八年度が千四百十三億、そして九九年度が千三百五十二億円と減り続けております。この四年前の九六年度と、十一年度、つまり、九九年度の比較で見ますと、およそ二百億円もの都支出金が減らされております。
しかも、この都支出金の減額傾向は、昨年の福祉施策の大幅な改悪などによりまして、ますます深刻さを増すことになっています。例えば老人福祉手当、寝たきりの高齢者の手当の場合ですが、市町村の条例で現在実施しています。それであるにもかかわらず、都が三年間で廃止する方針が進められたならば、二〇〇〇年度予算で九十八億円が充当されているものが、廃止されますと、平年度化した二〇〇三年度には、九十八億円がゼロになってしまいます。
この都支出金は、都が義務的に支出しなければならない委託金や負担金が含まれている、このことも承知をしておりますけれども、先ほどの老人福祉手当や保育所運営費補助、心身障害者福祉手当を初めとする福祉関連の施策への補助などが多く含まれております。
こうしたことを踏まえて、これらの補助金の見直し、削減によって、都内の市町村の財政運営が極めて困難になる。それとともに、都民生活、特に福祉分野の切り捨て、水準の切り下げにつながるといわざるを得ません。
こうしたことを踏まえ、東京都として、現在の都内の市町村の財政状況についてどのような認識を持っているのか、改めて見解をお伺いします。
○松澤行政部長 市町村の財政状況は、基本的には財源保障として地方交付税の中で措置されるわけでございますが、平成十一年度における都の市町村普通会計決算で市町村の財政状況を申し上げますと、いわゆる財政の健全性を示す経常収支比率では、七〇%から八〇%が適正水準といわれているわけでございますが、都内の市町村全体では九〇・九%となっております。このうち、九五%以上の団体が八団体生じているなど、都内市町村の財政の状況は、都財政と同様に厳しい状況が続いているものと、このように認識してございます。
○古館委員 今、厳しい財政状況が続いているという認識が示されたわけですが、このような都内の市町村の財政状況を考えますと、国が地方への税源移譲を本格的に行っていない、これが今の地方分権における現実ですね。そういう中で、都の果たすべき役割は、基礎的自治体として住民の最も身近な行政を担い、住民福祉の増進のために厳しい財政力の中で懸命に努力している、都内の市町村への財政支援をさらに充実させていくことだと確信をしています。この立場に東京都が確固として立つことが、今こそ求められております。
しかしながら、先週末の市町村合併の検討指針では、合併すれば財政需要額が数十億円削減できるなどと、都側が一方的に強調するものとなっております。これに対して、地方主権に対する逆行という声とともに、都の支出金がさらに減らされていくのではないか、こういう危惧の声が上げられていることも、率直に指摘をしておきます。
昨年の第二回都議会定例会で、我が党の前沢議員が、一般質問で、今ある制度としての市町村調整交付金や振興交付金などを市町村の要望にこたえて抜本的に拡充することは、都としての最小限の責務だと述べましたけれども、いうまでもありませんが、市町村振興交付金、調整交付金は、一般財源の包括的な財政補完制度として、市町村にとっていよいよ大きな役割を果たしております。
それでお伺いしますけれども、都の支出金も減っていることについては、先ほど私が述べたとおりです。これらについては、より一層の拡充を進めることはもちろんでありますが、とりわけ市町村振興交付金、調整交付金について、削減や見直しを行うのではなく、全体としてさらに充実すべきと考えますけれども、どうでしょうか。ご見解をお伺いしたいと思います。
○松澤行政部長 都はこれまで、その時々の都財政の状況や市町村の行政水準などを十分踏まえながら、この市町村振興交付金、調整交付金を通じまして、市町村への財政支援に努め、多摩振興に一定の役割を果たしてきたところでございます。
この両交付金につきましては、今後とも、市町村の行財政運営を十分考慮しながら、厳しい都財政の状況も踏まえつつ、適切に対処してまいりたいと考えてございます。
○古館委員 最後に、今、厳しい財政状況を踏まえつつ、適切に対処していくといわれました。この財政状況という話が随分出てくるんですけれども、都内の市町村の振興を全体として充実させていくという施策を展開しているのは総務局であります。この総務局が、市町村の振興に対して全力を挙げる、これは私は当然の姿勢であろう、このようにも思います。
九七年度に発表された、都から区市町村への分権のあり方検討委員会の答申で、補完的財政調整制度の創設を提案しておりますけれども、分権の時代にふさわしいのは、市町村がみずからの判断で使える一般財源が充実することである、このようにも述べているわけで、こうした役割を担う、二つの市町村交付金を初めとする都の支出金、これらの増額は、税財源の拡充という分権の推進にとって不可欠の課題であります。したがって、私ども日本共産党としても、今後より一層の充実を求めて、私の質問を終わります。
○曽根委員 まず、災害対策費について質問します。
資料の二ページにいただいておりますが、防災対策ということで、その出発点の大きなきっかけは、もちろん阪神・淡路の大震災であったと思います。先日、六周年ということで、幾つかの報道番組がありましたが、行政としては、五年計画の事業が多いので、一区切りというニュアンスが非常に強くなってきているんですが、しかし、現地の状況も含めて、この痛恨の教訓を踏まえての、一区切りにさせてはならないたくさんの課題があると思うのです。
そこで、私は二つの点をお聞きしたいと思うんですが、一つは、やはり六千人を超える死亡者の九割近くを占めたのは、倒壊住宅内での圧死もしくは焼死という、これをいかに未然に防止するかという課題です。もう一つは、避難した方々の大半が最寄りの学校に避難をした。そこで事実上、避難生活を送らざるを得なかった。かなり長期にわたったという実態を踏まえて、学校の避難所機能を強化する、この課題であります。
この二つの課題の、まず最初の、特に木造住宅などの耐震強化を進めるという問題では、私は、今、三宅の方々に適用されているような、個人住宅、個人財産に対する支援等公的な資金の投入というものは、やはり避けて通れないと思うんです。この三宅の被災者生活再建支援法の場合は災害後の支援ですけれども、地震対策で、私、特に求められているのは、災害が起きる前に、特に地震が起きれば危ないとわかっている老朽木造住宅などに事前に手を打つと。そのために、負担能力のない高齢者世帯などに対する補助が必要じゃないかというふうに思います。
そう思っていましたら、ちょうど平成十一年度あたりから、国の方の景気対策の一つとして、個人住宅に対しても、耐震補強の改修に対して補助が出るという制度が立ち上がったというふうに聞きました。東京都ではどういう取り組みが行われているのか。それから、都として、この木造住宅などの耐震強化の問題について、条例を含めてどういう位置づけを行ってきているのかをお聞きしたい。
○岡部災害対策部長 個人住宅などの一般建築物の耐震性の確保につきましては、これまでも、民間及び公共を問わず、その所有者または管理者が行うべきものとして行っております。
都は、平成十二年七月に策定しました、ご指摘の国の制度も取り込みました、既存建築物耐震改修促進実施計画に基づきまして、耐震診断講習会の開催、耐震診断技術者の育成等、技術面からの支援を行っております。
また、平成十二年第四回都議会定例会で成立しました東京都震災対策条例第十五条におきましても、この趣旨を明らかにしているところでございます。
なお、耐震診断、耐震改修の助成につきましては、地域の実情を把握している区市町村が行うべきものであるとして、これまでも各区市町村が実施しているところでございます。
○曽根委員 これはやはり後退だと思うんですよ。というのは、私、九五年の第二回定例会で、これも個人住宅の一つなんですが、マンションに対する耐震補強、耐震診断の助成をやるべきだと。あのときは木宮さんが都市計画局長だったんですが、個人の財産は自分が管理するものという前提は置きながらも、しかし、マンションなど個人住宅で公的な助成が必要なものがあるということで、耐震診断に対するさまざまな支援を考えていきたいという前向きな答弁がありましたよ。
国でさえ--国でさえというとあれなんですが、九八年十一月には、一戸建てを含めた耐震改修費補助をスタートさせると。マンションなどの建てかえ、改修に対して、約一千百戸とあわせて、戸建て住宅等の耐震改修にも約五千五百戸考えるというのまで打ち出したわけなんですね。
実際、災害後の対策でありますが、公的な資金を個人の財産に投入するという道も、今切り開かれてきているというときですから、私、この課題はぜひ全力で取り組んでいただきたい、これが一点。
それから、先日、今お話のあった震災対策条例に改定された際に、第十五条、これは旧条例では第二十条になるわけですが、わざわざ東京都知事の一つの義務として、一般建築物の、必要と認めるときには、耐震性の診断を知事が行わなければならないとされていた規定を、さっきご答弁のあったような考え方で外してしまったわけですよね。これは自分の責任だと。しかし、横浜、川崎を初めとして、木造密集地域を抱えている大都市では、それでは耐震補強は進まないということから、わざわざ助成を行っているところや、さまざまな支援を考えているということなんです。
阪神の場合もやっぱり、老朽木造住宅の多くは、高齢者しか住んでいなくて、財政力も乏しいし、いざ壊れたときには抜け出す力もない、そこは待ったなしだというふうにいわれたわけで、この課題は、本当に改めて考えていただきたいということをまず申し上げたい。
二つ目の学校避難所の機能強化なんですが、これについては、資料にもあるように、平成八年度から始まって、十年度あたりかなり減ったので、どうなるかと思ったら、十一年度少しふえたりしてきたんですね。現状では、どこまで小中学校にろ水器だとか井戸だとかが整備されているのか、到達点をお聞きしたいと思います。
○岡部災害対策部長 避難所に指定されている小中学校への井戸、ろ水器の整備は、従前から区市町村が実施してきたところでございますが、都は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえまして、平成八年度から、島しょ町村を除く区市町村が、避難所に指定されている小中学校に井戸、ろ水器を整備する場合に、経費の補助を行っております。
平成十一年度末現在、避難所に指定されている全小中学校二千二十一校のうち、井戸またはろ水器が整備されている学校は、区市町村が独自に整備した学校を含めまして千五百十一校あり、整備率は七四・八%となっております。
このほか、都は応急給水槽等の整備を実施しておりまして、応急給水充足率は、平成十一年度末現在で九四%でございます。また、都立学校の避難所機能を強化するため、平成十一年度までに全校にろ水器の整備を行っております。
これらを総合的に勘案した、実質的な応急給水充足率は九八%となり、震災時の飲料水はほぼ確保されていると考えております。
○曽根委員 今のご説明だと、小中学校は七割五分、七五%まで来たと。あと残り四分の一残っているが、近くの応急給水槽もできてきていて、それは九四%進んでいるので、どっちかを利用すると考えれば、大体大丈夫ということですよね。ある程度のところまで来たと。
しかし、近くに水があるとわかっていても、そこに移動すること自体が大変な事態というのがあったということは、阪神の苦い教訓なんですよ。車自体が動けなかったわけですから。したがって、私は、避難したところ、そしてそこで生活せざるを得ないという最悪の事態を考えた場合には、避難先に水が確保されているというところに、あと四分の一まで来ているわけですから、これはやっぱり完成させるべきじゃないか。区市町村もやっているし、東京都も補助していると。両方が力を合わせれば、あと四分の一、決して困難な課題ではないと思うんですけれども、いかがでしょうか。
○岡部災害対策部長 小中学校の避難所機能の強化につきましては、従前から、井戸、ろ水器及び救急箱の整備に対する補助事業を実施してきたところでございます。
今後、新たに制定いたしました東京都震災対策条例に基づきまして、都民の方々みずから食料や飲料水の備蓄に努めていただくとともに、区市町村との連携を図り、総合的な震災対策に努めていく所存でございます。
○曽根委員 被災者個人でやるべきことも、もちろんたくさんあると思いますよ。しかし、個々の住民が、最悪の場合、自宅に戻れない、避難先で一定期間生活せざるを得ない場合を考えますと、その場所に水などを確保するというのは、もう個人の力ではできなくなる。そういうときに、自治体の最小限の任務として、あと四分の一残った小中学校を、最も身近な避難先として現に活用された場所に水を確保するという、やるべきことをぜひやるよう、努力を求めたいと思います。
次に、ちょっとテーマが変わりますが、総務局が取り組んできております財政監理団体の経営評価とそのあり方の検討の取り組みについて、簡潔に質問したいと思うので、答弁も簡潔にお願いします。
私たちは、この間、財政監理団体を評価し、あり方を検討するのであれば、何しろ開発関連の三セクが問題じゃないかと。都民の利益にかなうかどうかという問題でも、都民の利益に反した開発が、またそれに関連した三セクがありますし、財政的にも大変な逼迫した状態になっているということで、この問題の追及、解明を求めてきたし、私たちもやってきました。必要ならば、清算を含めて手を打つべきだともいってきました。
現状をお聞きしたいんですが、債務超過に陥っている、つまり最悪の事態になっている第三セクターはどことどこがあって、いつごろからそういう状態になっているのでしょうか。
○山内行政改革推進室長組織担当部長兼務 債務超過となっている監理団体は、五社でございます。株式会社多摩ニュータウン開発センターが平成六年度、竹芝地域開発株式会社が平成八年度、株式会社東京テレポートセンター、それから東京臨海副都心建設株式会社が平成九年度、東京ファッションタウン株式会社が平成十一年度から、それぞれ債務超過となっております。
○曽根委員 これは結局、単に赤字が生まれているだけじゃなくて、資本金さえ、その赤字が超えて、普通の企業ならどうするかと、もう最後の決断が迫られている状態が五社あるんですよね。しかも、平成六年度から、早いところはもう債務超過になっているという状態で、何で一個も整理がないのかと。
この赤字の合計というのは、幾らぐらいになっているんですか。
○山内行政改革推進室長組織担当部長兼務 平成十一年度決算では、債務超過五社の累積損失は、合計で一千五十三億四千六百万となっております。
○曽根委員 当然ながら、今、この赤字を取り戻す手だてがない状態で債務超過になっている。このうち、いろいろ財政的に支援したり、我々が反対している臨海三セクなどもありますが、しかし、それにしても、五社もあってどうして、この間問題にされてきたにもかかわらず、きちっとした清算などを含めた決断が下されていないのかということで、これ、答弁をいろいろ聞いても仕方がないので、ちょっと先へ飛ばしますが、私、はっきりいって、臨海三セクについては、銀行の支援も求めたけれども、お金を投入したわけですよね。これは私たちは反対ですよ。臨海開発にどっぷりつかって、幾ら助けたって赤字は膨らむ一方だということは、前から指摘してきたわけです。
しかし、その手さえ打てない状態の三セクもあるわけですよね。その代表例が多摩ニュータウン開発センターですよ。平成六年から債務超過になったきり、もうほとんど死に体の状態で七年目に入るわけですね。既に九八年度の総務局の指摘でも、多摩ニュータウン開発センターについては、経営は厳しい、打つ手がないと、はっきりいえば。そういうニュアンスのことが書いてありました。実際に聞いてみたら、三十五億円、多摩ニュータウンの事業会計から借りたっきり、いろいろ事業はやっているけれども、いまだに返せないし、返す当てもないと当事者もいっていると。これだけ問題がはっきりしてきているんですから、打開策についてどう検討したのか、その結果どうだったのか、総務局としてはどうお考えですか。
○山内行政改革推進室長組織担当部長兼務 平成九年度、それから平成十年度の株式会社多摩ニュータウン開発センターの経営評価は、資金繰りが困難な状況にあることなどから、厳しい経営状況と評価しまして、収入の増加策等の取り組みを、総務局の経営評価でしてきたところでございます。それは委員ご指摘のとおりでございます。
その後、収入の安定化に向けて、会社としてさまざまな取り組みを行ってきましたが、収支の改善には賃料の大幅な改定が必要でありまして、現状では、地域の開発状況の動向、現在の経済状況などから見て、大幅な賃料アップは困難な状況となっております。このため、自主再建の見込みが非常に厳しい経営状況にありまして、所管局である多摩都市整備本部が、現在、金融機関などの関係者と協議を行っているところでございます。
先ほど発表いたしました監理団体の経営改善計画でも述べておりますが、今年度中には会社経営の今後の方向性が出せるよう、ただいま努力しているところでございます。
○曽根委員 この多摩ニュータウン開発センターは、はっきり決断を下すべきだ。これは間もなく結論を出すというので、その結果を待って、また意見が必要ならばいいたいと思いますが、ただ、ほかの三セクは大丈夫なのかというと、決してそんなことはないと思うんですね。
総務局に、私、ちょっと注文をしておきたいんですが、例えば臨海三セクで東京テレポートセンター、これに港湾局が支援をするとしたときに、総務局は経営評価をする立場ですから、そんなことをしても仕方がないというふうに、厳しく、必要ならば指摘をしなければならない立場だと思うんです。ところが、その東京テレポートセンターに総務局は職員研修所を置いている。その職員研修所のテナント料をどうするかということが、平成十年度に問題になったときに、ほかの民間テナントは、賃料値上げにどこも応じなかった。当たり前ですよ、土地が上がっていないんだから。ところが、総務局だけがテナント料のアップに応じて、五千万円ぐらいですか、増額分を払っているんですよね。
そういう点では、私、こういう問題のある財政監理団体、なかんずく三セクに対して、甘いという過去が--これは今の局長さんのときじゃありませんから、それ以上いうつもりはないんですが、甘いという過去の前歴がありますので、あえて注文をしておきたい。厳しくやってもらいたい。
ましてや、これは決算の域を超えますので、意見だけにしておきますが、返す刀で女性団体とか福祉団体が当てにしているようなところをばっさりやるようなことは、全く逆立ちだということを指摘しておきたいと思う。
最後に、一つだけ聞きたいんですが、最近、都民にとって大事な分野がいっぱいあるんですが、それを担う職員の配置転換が早過ぎるんじゃないかということを、実は実際に当事者の方々からもちらっと聞いているんです。それで、最近、幹部職員でいいんですけれども、どれぐらいの期間で異動しているんでしょうか。
○三宅人事部長 幹部職員の在職年数につきましては、組織の名称変更とか、あるいは在籍のままで昇任昇格人事がございますので、正確に把握することは容易ではございませんが、直近の平成十二年夏季人事異動におきまして異動した幹部職員を抽出して調べましたところ、平均の在職年数は、部長級において一年十月、それから課長級においては一年七月でございます。
○曽根委員 実務的に一番こなさなければならない課長さんのところで、一年半ぐらいでもう動いてしまうというのは、私、ちょっと驚いたんですが、四、五年前と比べて、傾向としてはどうなんでしょうか。
○三宅人事部長 四、五年前というお尋ねでございますが、平成八年の夏季人事異動における人事異動者につきまして、同様に平均在職年数は、部長級においては二年ゼロ月弱でございますが、二年。それから、課長級におきましては一年九月でございます。
○曽根委員 大幅にとはいえませんが、じりじりと短くなっているということかなと思うんですね。
かつては、逆に弊害を指摘されるんでしょうけれども、一つの部署に長くいて、かなりその問題にたけてくるというベテラン職員さんというのが、割と各部署にいたものです。それだけでいいとはいいませんけれども、少なくとも二年程度、できれば専門性を確保するために、三年、四年と一つの部署にいなければならないところはたくさんあると思うんですね。
私、特に現場の建設事務所などでは、都営住宅をつくったり、さまざまな建設局の仕事をしたりするのに、ある程度技術的な資格も必要だし、技量も必要だというところの人手がどんどん入れかわって、具体的な仕事ができる人が現場に少なくなっているという話も聞きました。それで、適切な人事異動の期間というものは、もう少し是正する必要があるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○三宅人事部長 幹部職員の人事異動につきましては、行政ニーズに応じた人材の適正配置とか職場の活性化、あるいは人材の育成などの観点から、適時適切に行われるべきでありますし、これまでも、各事業の円滑な遂行が確保されるように、人材配置については十分意を尽くしてまいりました。
昨年七月に発表いたしました東京都における人事制度の現状と今後の方向という報告書におきまして、管理職については、総合性を求めるだけではなくて、専門性の向上を目指す任用や、人材配置の必要性について強調しております。こうした報告書の趣旨も踏まえまして、今後は、類似の行政分野の局や、あるいは経験のある局への異動の割合を高めるということ、あるいは在職年数も、業務状況に応じましては三年以上の配置も考えるなど、各事業の継続性や専門性の一層の向上を実現するよう、人事異動方針を、先般、各局に通知したところでございます。
今後とも、都民サービスの一層の向上と事業の効率的な実施に向けまして、能力と業績を十分に踏まえた適材適所の人事配置を目指してまいりたいと思っております。
○丸茂委員 私は、この九九年度、平成十一年度の決算に当たって、予算編成の当時を思い出します。この年度の予算では、財政危機を口実に、都民に福祉、教育などに厳しいしわ寄せをする一方で、大型開発に予算を重点配分したり、これから取り上げます、同和事業に見られる不公正行政が依然として続く。こうした税金の使い方を改めて都民の暮らしに役立たせる、そういう点で、九九年度決算を踏まえて質問をしていきたいと思います。
私は、法律上の地域指定もない同和行政を終結させ、都民の福祉あるいは教育の充実にこそ回すべきだという指摘もしておきます。
さて、同和事業は、国においても、総務庁の地域改善対策協議会は、一九九六年五月の意見具申で、物的な生活環境などの格差が大きく改善され、これまでの特別対策はほぼ目的は達成したとして、九七年三月末で終了すると提起し、これを受けて政府は、特別措置としての同和事業を九七年三月末で基本的に終結させ、残務処理として、一部事業、施策について五年から八年を限度に経過措置を講じて、二〇〇二年三月にはすべての事業を終結するとしております。
また、運動団体の一つであります全国部落解放運動連合会は、部落に対する特別対策をいつまでも続けるのではなく、部落と一般との垣根を取り除き、国民融合を総仕上げする段階を迎えていること、そのため、特権的な同和事業や同和教育を終結させて、一般行政を充実させることが求められていると主張しているのであります。
私は、こうした点を踏まえて、何点か伺います。
まず、現在、不公正行政の一つであります都の同和対策事業の高等学校、大学等進学奨励学資金と、一般対策事業である東京都育英資金について、貸付額や収入基準についてどのような違いがあるのか、お伺いいたします。
○小野田学事部長 進学奨励事業の貸付金額の単価につきましては、国の基準に準じておりまして、平成十一年度における学資金は、高校の場合、国公立が月額二万二千円、私立が四万三千円、大学、短大につきましては、国公立が四万八千円、私立が八万二千円となっております。一方、育英資金では、高校の国公立が月額一万四千円、私立が二万六千円、大学、短大の国公立が三万八千円、私立が四万七千円となっております。
収入基準につきましては、四人世帯のモデルで、高校の場合、給与所得ベースで比較しますと、進学奨励事業では六百六十八万円以下の世帯を対象といたし、育英資金では六百七万円以下の世帯を対象としているところでございます。
○丸茂委員 今、ご答弁いただいたところによりますと、同和学資金は最少でも、育英資金の月額で、大学あるいは短大の国公立で一万円の幅、二六%増になっておりますし、また私立で三万五千円、最大の七四%増になっております。また、収入基準も一割増の優遇措置がとられている、こういう実態です。
さらに聞きますけれども、この制度で償還猶予または免除規定の違いはどうなっているでしょうか。
○小野田学事部長 減免基準につきましては、進学奨励事業においては、心身障害、長期所在不明及び生活困難等の事由に該当する場合、一部免除することができ、一部免除が五年間継続した場合及び死亡した場合は、全額免除となります。
育英資金では、死亡もしくは重度の心身障害または災害、疾病等の事由で五年間継続して猶予した場合に、全額または一部免除することができることとなっております。
○丸茂委員 一番の違いは、育英資金は全額あるいは一部免除ですけれども、同和事業は、償還全額免除規定、こういうものが特権的に与えられているという点が明らかだというふうに思います。このほかにも、都営住宅の同和向け特別割り当ても、都民からすれば到底受けられない、そういう施策もとっております。これらについても厳しく指摘をしておき、次に続けます。
次に、資料も、一三ページでしたか、同和対策事業の執行状況及び予算額、提出していただきました。
都は、九六年、平成八年十一月と、九七年、平成九年十二月の同和対策本部会議の決定により、同和対策の見直しを行ったわけですけれども、同和対策事業の九六年度の事業数と二〇〇〇年度の事業数についてどうなったのか。あわせて、決算ですので、同和対策事業の九六年度の決算執行額と九九年度の執行額についてもお答えいただきたいと思います。
○関人権部長 平成八年度におきます同和対策事業は、九十六事業でございました。平成八年、九年、先生ご指摘の同和対策本部会議決定に基づく見直し等によりまして、平成十二年度は二十四事業となっております。
なお、提出をさせていただきました資料で八十事業となっておりますのは、資料作成の関係から、同種の事業等をまとめていることなどによるものでございます。
また、事業の執行額でございますが、平成八年度は五十三億八千二百九十四万一千円でございましたが、平成十一年度には二十七億四千五百二十四万円となっております。
○丸茂委員 今、事業では九十六事業から二十四事業と、七十二事業が減少をしたようなご答弁だったんですけれども、この中には、事業終了と一般施策として移行したものがあると思うんですが、その点で内訳はどうなっているんでしょうか。
○関人権部長 お尋ねの七十二事業でございますが、平成八年度、九十六事業ございました同和対策事業のうち、事業終了や一般対策へ移行したものなどがございます。その内訳は、事業の廃止が二十事業、整理統合が九事業、一般対策への移行が四十二事業、特別区への事務移管が一事業となっておりまして、七十二事業となります。
○丸茂委員 私は、冒頭にも述べましたけれども、同和事業は即刻やめるべきだという考えです。都は、二〇〇一年、平成十三年度末までに同和事業を終了するとしているわけですけれども、その点について改めてお伺いしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○関人権部長 東京都はこれまで、法に定めます対象地域の指定が困難な中で、直接法の適用を受けることなく、法律や答申等の精神を尊重するとともに、国や他府県の動向を勘案しながら、都の実態に即しました同和対策事業を推進してまいりました。
現在は、平成八年、九年の東京都同和対策本部会議決定に基づきまして、激変緩和措置を講ずる必要がある事業につきましては、平成九年度から五年間の経過的措置を講じて実施しているところでございます。
都は、法律や答申等の精神を尊重して同和対策事業を進めておりますことから、国の同和対策の根拠法でございます地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律、いわゆる地対財特法が十三年度末をもって失効する予定であることを踏まえまして、現在、特別対策として実施しております同和対策事業は、原則として終了するという基本的考え方によりまして、今後、関係機関、団体等と十分協議をし、都の方針を決定する考えでございます。
○丸茂委員 今、平成十三年度末をもって原則終了する、今後は団体等と協議し、都の方針を決定するとの答弁がされましたけれども、私は、同和事業は終結させるという都の基本的な姿勢が大事だと考えます。再度お伺いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○関人権部長 先ほどご答弁申し上げましたように、現在、特別対策として実施しております同和対策事業は、地対財特法が十三年度末をもって失効する予定であることを踏まえまして、原則として終了するという基本的考え方に基づきまして、関係機関、団体等と十分協議し、今後、都の方針を決定してまいりたいと考えております。
○丸茂委員 答弁は変わらないわけですけれども、都内二十三区、これまで同和事業を継続していた、そういった区がほとんど同和事業を終結させています。一部、葛飾区の生業資金事業が存続していると聞いておりますけれども、運動団体である東京都部落解放運動連合会は、九七年二月には、そのときにも基本的に終了するというお答えをしているわけで、これまでも法律上の根拠もなかった中で続けられてきた特別対策、これについては、法律的にも国も終結させるという方向ですので、その点をしっかりと東京都自身が貫くように、重ねて私は求めておきたいと思います。
次に、現在危惧する問題といたしまして、部落を固定化し、同和事業の永久化をねらう思惑も依然としてあるという問題であります。それは、国が昨年十一月に人権教育・啓発推進法に絡む問題で、我が党は反対をいたしましたけれども、人権を極めて矮小化して、差別のみに焦点を当て、実際に発生した差別の実行行為や差別実態をなくすための措置ではなく、国民の意識の問題として教育、啓発を行うという点にあります。これは憲法の規定いたします思想、良心の自由、表現の自由などを侵害するおそれのある問題であります。
現在、都の発行しております人権に関するパンフレット、どういうものが出ているのか、改めて、局の協力もいただいて集めてみましたけれども、「アイヌの人々 文化と伝統を理解するために」最新版と十一年度、それから、外国人の人権問題にかかわるパンフレット、それと「みんなの人権」ということで、幅広く人権問題を取り上げている、こういうパンフレットもあります。しかし、その他は、「同和問題の理解のために」、「同和問題の解決のために-解説編-」、「同和問題の解決のために-資料編-」、そのほか「人権尊重の社会」ということで、同和問題読本だとか、教育委員会が出す「みんなの幸せをもとめて」、これも同和問題が中心ですし、労働経済局が出している「採用」というパンフレットも、冒頭を見ますと、同和問題。こういう形で、東京都の人権問題が、やはり同和に非常に偏重しているということが、私は、こういった啓発の資料を見ても感ずるわけです。
したがって、こうした啓発のあり方についても、本当に、基本的人権、今、いろいろ幅広い問題が起きている中で、こうした偏重のやり方は見直すべきだというふうに考えますけれども、都としての取り組みについてお伺いしておきたいと思います。
○関人権部長 人権問題の解決に当たりましては、啓発、教育が非常に重要であると認識しているところでございます。東京都は、昨年十一月、東京都人権施策推進指針を策定したところでございますが、今後は、この指針に基づきまして、人権尊重の理念を社会に定着させ、人権の意義が広く社会に浸透するよう、人間の存在と尊厳にかかわるさまざまな人権問題を取り上げて、積極的に啓発を推進していきたいと考えております。
○丸茂委員 今、東京都の人権施策推進指針に触れられたんですけれども、この中身もずっと見ていきますと、例えば学校教育における人権教育の推進、四五ページですけれども、そのトップに出てくる事業内容、1、人権尊重教育推進校の設置、ここには、学校や地域における人権尊重の意識を高め、同和問題を初めさまざまな人権課題にかかわる差別意識の解消を図るための教育を一層充実する、こう書かれているんですよね。
したがって、私は、こういう方向ではなくて、特に紹介しておきたいのは、和歌山県同和教育研究協議会が、歴史的な役割を終えて、昨年十月、解散を宣言いたしました。その解散に当たって、声明で述べられていたことは、大変重要だと考えています。
それは、同和事業は、旧身分差別をなくすため、旧身分を特定するという二律背反の深刻な問題を持ち、また同和教育を続けることは、今や旧身分による垣根を取り除く上で障害になっていること、かえって融合を阻害すると指摘しているのであります。
私は、人権を考える場合、今、戦後最悪の不況や財政破綻で問答無用にリストラされる事態や、職場での差別あるいは人権侵害、男女差別、盗聴という警察権力による、公権力による人権侵害などもありましたけれども、私はさまざまな課題があると思います。憲法と世界人権宣言の精神に沿って、真の自由と民主主義、人権が尊重される東京都の行政を貫くよう求めて、質問を終わります。
以上です。
○立石委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
総務局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 異議なしと認め、総務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で総務局関係を終わります。
○立石委員長 これより環境局関係に入ります。
初めに、中野局長から、過日の委員会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。
○中野環境局長 去る十二月二十日の本委員会を公務出張中のため欠席させていただきました当局の幹部職員をご紹介申し上げます。
環境改善部長の長谷川猛君でございます。次に、自然環境部長の高田茂穗君でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕
○立石委員長 紹介は終わりました。
○立石委員長 環境局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○平井総務部長 去る十二月二十日の当委員会で要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
お手元の平成十一年度各会計決算特別委員会資料の表紙をめくっていただきまして、左側目次にございますように、ご要求いただいた資料は十三項目でございます。
それではまず、一ページをごらんいただきたいと存じます。1、都の施設における新エネルギーの導入状況でございます。
太陽光発電、風力発電、燃料電池につきまして、導入しております施設名及びその出力、用途を記載してございます。
次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。都における最近の土壌環境調査等の実績でございます。
(1)には、平成十一年度に実施いたしました土壌中の鉛、砒素溶出量調査について、(2)には、土壌中のダイオキシン類濃度調査について、ダイオキシン類特別措置法が施行される以前の平成十年度及び十一年度の都の独自調査と、法施行後の平成十二年度調査に分けて記載してございます。
(3)は、平成六年度から毎年度実施しております、水質汚濁防止法に基づく地下水の水質測定でございます。
三ページは、ダイオキシン類、内分泌攪乱化学物質対策の概要と決算額でございます。
平成九年度から平成十一年度までの三年間の、コプラーナPCBを含むダイオキシン類対策と内分泌攪乱化学物質対策について、その概要と決算額を記載してございます。
四ページをお開きいただきたいと存じます。
上の段の4は、自然保護対策費の予算額、決算額でございます。平成七年度から平成十一年度まで五年間の自然保護対策費の予算額と決算額を記載してございます。
下の段の5は、保全地域の公有化面積の推移でございます。平成七年度から平成十一年度までの各年度ごとの保全地域の公有化面積を示したものでございます。
五ページをごらんいただきたいと存じます。6としまして、保全地域管理費の予算額、決算額、それから7としましては、保存樹林地等公有化資金貸付の予算額、決算額でございます。
いずれも、平成七年度から平成十一年度まで五年間についてお示ししてございます。
六ページをお開きいただきたいと存じます。8の野火止用水、玉川上水、千川上水清流復活事業の決算額でございます。
(1)には、施設建設費の決算額を、(2)には、野火止用水に通水を開始した昭和五十九年度以降の維持管理費の決算額を記載してございます。
七ページをごらんいただきたいと存じます。
上の段の9は、城南河川清流復活事業実現までの経緯でございます。
城南河川清流復活事業につきまして、昭和五十九年十月の目黒川浄化対策三区連合の要望から、平成七年三月に通水を開始するまでの経緯を記載したものでございます。
下の段、10は、城南河川清流復活事業の決算額でございます。
(1)は、全体の施設建設費と、そのうち環境保全局が負担した決算額を、(2)につきましては、平成七年度以降の維持管理費の決算額を記載してございます。
八ページをお開きいただきたいと存じます。年度別清掃工場等建設費の決算額でございます。
清掃工場等の新設、建てかえ、プラント更新の建設費につきまして、その施設ごとに平成七年度から平成十一年度までの決算額を記載してございます。
続きまして、九ページは、平成十一年度清掃工場等に係る環境影響調査の概要でございます。
清掃工場等の新設、建てかえ、プラント更新の際に行いました環境影響調査の平成十一年度実施分につきまして、その施設ごとに概要と決算額をお示ししてございます。
一〇ページをお開きいただきたいと存じます。中央防波堤埋立処分場の埋立処分量の推移でございます。
中央防波堤埋立処分場への埋立処分量を、一般廃棄物、産業廃棄物、都市施設廃棄物に分けまして、平成二年度から平成十一年度までの実績と平成十二年度上半期分の速報値を記載したものでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
○立石委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
発言を願います。
○小礒委員 それでは、二点お尋ねをいたしたいと思います。
まず一点目は土壌汚染につきまして、またもう一点はエネルギー対策、この二点についてお願いいたします。
まず、土壌汚染につきまして、提出をされました土壌調査の資料を見ますと、地下水について定期的に都内の汚染実態を調査されているということでありますが、土壌汚染について、ダイオキシン類等一部の項目を除いて、調査を行っていない。一部の項目と申し上げましても、実際、今、大変に土壌の汚染問題というのは深刻であるということの中で、例えば砒素、シアン、六価クロム、また微量の放射線が検出されたとか、トリクロロエチレン、この都庁にも近く、そう遠くないところからも検出をされておりますけれども、これらが数年来指摘をされているのに、東京都はなぜ土壌汚染の調査を行ってこなかったのか、そのあたりをお願いいたします。
○長谷川環境改善部長 有害物質により汚染された土壌でございますけれども、これらの土壌は、通常、汚染原因となった工場の敷地内にとどまっておりまして、この土壌により汚染された地下水のみが一般環境に広がることが多い、これが実態となっております。
このため、環境調査につきましては地下水について実施し、土壌調査につきましては、地下水汚染対策上必要があるときのみ実施しております。
ただし、先生ご指摘のダイオキシン類についてでございますが、これらにつきましては、廃棄物焼却炉の排ガス等により、広く一般環境が汚染されるおそれがあること及び土壌からの砒素の直接摂取も問題となっているので環境調査を実施している、これが実情でございます。
○小礒委員 まず、米企業--外資が今、日本全国各地で用地買収を行っているということの中で、特にアメリカ国内の国内法でありますけれども、スーパーファンド法が制定されていますね。これについてどのように解釈されていますか。いわゆるこれについてどのように考えられているのか。
○長谷川環境改善部長 土壌汚染というのは、非常に長い期間蓄積して、地下水あるいは粉じんの飛散等によって非常に影響が大きいものでございます。今、先生ご指摘のスーパーファンド法は、企業がファンド、基金を積み立てて、それに基づいて土壌汚染対策をやっていこうというもので、私ども日本あるいは東京都においても、土壌汚染対策上、参考となることの多い制度というふうに理解しております。
○小礒委員 ここでとどまることはないわけでありますけれども、もうちょっと進めますと、この法律は、土地の所有者だけではなくて--買った後も、汚染が発覚すれば、自分でまさに汚していなくても、巨額の負担が強いられるという、いろいろ以下続くわけでありますけれども、非常に強制力の強い法律なんですね。
日本の場合は、土壌に対する明確な規定もありませんし、また、東京都の環境保護条例、後ほど聞かせていただきますけれども、いずれにいたしましても、徹底的な調査を行って用地を買収する、また買収したときに徹底的な調査を行った中で、この原因関係が明らかになったときは、例えば地価が十億円であっても、二十億円の、いわゆるそれに対する汚染の浄化費用を請求するんですね。今、かなり件数として、土壌に対する訴訟がふえているんですね。
これの背景というのは、どうも外資系のスーパーファンド法が背景となってきているのではないかということなんですね。かなり係争状態でありますから、これ以上は微妙なところがありますので--そういう事例が実はあるということ。
それともう一点は、国においても、汚染土壌をそれぞれ調べまして、基準を超えている土壌があるわけでありますが、東京都では何カ所あるんですか。
○長谷川環境改善部長 現在、国では、土壌については環境基準を定めておりますけれども、具体的にこの環境基準を超えたらどういう措置をしろ、このような規定はございません。
○小礒委員 箇所がどのぐらいあるのかを……。
○長谷川環境改善部長 一応そういう形に、今のところ環境基準を超えても特に規定がございませんので、私ども東京都の方でも、何ヵ所ぐらい超えているか、そのような実態調査を行っていないのが実情でございます。
○小礒委員 少なくとも直近の、これ、毎年一番新しい資料等によって、毎年二倍以上、かなり箇所はどんどんふえているんですが、私どもの入手資料では、現在、百十一カ所、都内じゃないですけれどね、百十一カ所、国の環境基準を超えている。非常に汚染された土壌があるというのは明確なんですね。
それとともに、ちなみに大田区でもありましたね。東京都内では、二〇〇〇年、昨年でありますけれども、五月、九月、その後もあったんですけれども、私が入手した資料では六価クロム、先ほど調べられたというけれども、ダイオキシン類、トリクロロエチレン、これ二カ所、そしてさらに一九九九年、そしてまた直近では杉並でもありますね。いずれにしても全国的な、いわゆる汚染土壌として有害物質、汚染されている土壌がこれだけの箇所があると。都内でも明確に今、係争されている状態もあるという、かなり深刻な状況でもあろうかと思うんですよ。このことについて、東京都はどのように受けとめられて調査をされているのかという話を聞きたかったんですが、調査をされていないわけですね。
そしてまた、続けますけれども、環境確保条例、これは制定されましたけれども、本年十月から施行されますね。このいわゆる環境確保条例では、この土壌汚染に対する抜本対策はどう講じられているんでしょうか。
○長谷川環境改善部長 先ほど、ちょっと答弁が足りなくて申しわけございませんでした。
今までは、土壌の環境基準があっても特に国では何も措置していないので、私どものところに事前相談等があるケース、そのケースのみを把握しております。そのケースが、今先生ご指摘の件数になると思います。
私ども、公害防止条例を改正しまして、環境確保条例を昨年末に制定、公布したわけですけれども、この中で、土壌汚染対策をより一層進めるように、有害物質取扱工場の建物の除却とか廃止時、あるいは一定面積以上の土地の改変時には土壌の汚染状況を調査してもらって、調査の結果、処理基準を超えている土壌が存在すると認められるときは、拡散防止の措置をとらせるように規定いたしました。
したがいまして、これから汚染サイトについては、順次、より実態が明らかになってくると思います。
○小礒委員 非常に消極的だと思いますね。鳴り物入りで、この環境確保条例、国に先駆けてこれを打ち出したと、かなりいわれていますけれども、私は、事土壌に対する汚染対策というのは、非常に東京都は先進じゃないといわざるを得ないですね。
それともう一点は、今いろいろ問題になっているところは、例えば工場跡地がありますけれども、ごく普通のというか、化学工場がいろいろありますが、ごく普通で、洗剤ですね、洗い流すやつ、このあたりからも、九〇年代に入って発がん性の疑いを指摘されて、九四年から厳しい環境基準に縛られ始めた。要するに調べていけば、徹底的にこの外資は調べているんですよね。要するに東京が江戸時代から、古い地図から何がどうあって、その後どういうふうな使い勝手をされたか、徹底的に調べ上げているわけです。
また、今いいましたように洗剤からの物質ですね、このあたりからも調べるぐらいになってきているんですよ、実際。それを、ですから私は土壌環境というものをより調査をして明々白々にするとともに、対策を打ち出していくということは、これはもうまさに重要だと思うとともに、それともう一点は、いわゆる大企業もそうだけれども、中小企業の、アメリカのシリコンバレーですが、これはもう今は物すごい汚染が指摘されているんですね。汚染の先進地だともいわれているんです、例のシリコンバレーですね。
これはご案内のように、いわゆる半導体、初めそこには中小が非常にひしめいているわけですね。半導体をつくった中小。そしてまた、このシリコンバレーで働く中で、組み立て部門、プリント配線基盤ですね、マイノリティーの女性が大変多いわけであって、それらのプリント配線基盤の加工なんていうのは家内工業なんですね、シリコンバレーの中でも。
そしてまた、いずれにしてもこの環境汚染がハイテク関連の地下水汚染、当然にして大気汚染もそうでありますけれども、原因関係--健康公害、職業上の被爆ですね。いわゆる二重被爆。高度集積に対応する場合には云々かんぬんとありますけれども、いずれにしても大変な事態も出てきているんですね。日本はどうでしょうかね。テクノポリス構想でかなりさまざま計画を打ち立てているし、東京都でも、今さまざまいわれていますよね。こういうところで中小の立ち上げ、産業の立ち上げもそうだし、この産業にかかわらない部分もそうですよね。
しかし、この中で、やはり私どもとすれば、中小企業の皆さんにもこれらの一定的な、何というのか、施行される十月を待たずに一定的な研修的なものも施す必要性もあろうかと思いますし、またもって新しい産業を集積するような立地が東京都にも予定されておりますから、これらのことの抜本対策も講じていく必要性もあろうかと。
このような中で、局長、あれでしょうか、都内の汚染実態をもう少し把握すべきではないか、土壌対策をもう少し前進させるべきじゃないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。
○中野環境局長 土地汚染対策については、東京都としてもその対策の重要性を十分認識しているところでありまして、今後は、環境確保条例に基づきまして、事業者に対し汚染土壌の調査とその浄化を指導してまいります。
なお、一般環境中の土壌の汚染実態の把握についてでありますが、これにつきましては、土壌汚染の原因となります化学物質が多方面で使用されている現状にかんがみまして、今後、土地の利用区分別に環境調査を実施するなどについて検討してまいります。
○小礒委員 時間的なことがありますので--ぜひ局長が今いわれるように、土地の利用区分に従っての環境調査を、まず早々に実施をする方向でお願いをしたいと思います。また、この件につきましては後日させていただきたいと思いますので、この辺にさせていただきたいと思います。
続きまして、もう一点目のエネルギー対策についてお聞きしたいと思います。
せんだって、京都会議で、COP3で決められた、いわゆる一定の温暖化防止に向けた合意が、せんだってのオランダの会議では合意に至らなかったという一定の方向になってしまったわけでありますけれども、その中でも、やはり大都市である東京は、エネルギーの大量消費を実際しているわけでありまして、都としても国際的な取り決め、国の施策に一定的に頼るだけではなくて、地球環境保全のまさに観点から、エネルギー政策、とりわけ二酸化炭素の排出抑制に向けて指導的な役割を果たすべきだと考えるわけでありますが、そのあたりいかがでしょうか。
○梶原企画担当部長 ご指摘のとおり、都庁は大規模なエネルギー消費者でもございます。率先して省エネルギーの努力をすることが大変重要だと考えております。平成九年度には、都庁エコ・アップ計画を策定し、環境への負荷の低減に向けまして、電気使用量など削減の目標を掲げまして、省エネルギーに取り組んでいるところでございます。
○小礒委員 東京全体も大変なエネルギーの消費都市でありますけれども、とりわけもう少し縮めまして、この都庁舎自身、膨大なエネルギーを消費してきたんではないかと思うんですね。
そこで、都庁でのエネルギー対策はどのような現状になっているかということ、これをお聞きしたいと思います。
○梶原企画担当部長 都庁での省エネルギーに向けた取り組みの柱は、ただいま申し上げました都庁エコ・アップ計画でございます。この中では、例えば電気使用量の削減目標一〇%、平成七年度対比、平成十二年度一〇%でございましたが、結果といたしまして、一例でございますが一九%、約二割の削減という結果となってございます。
○小礒委員 エコ・アップ計画の策定をしていくという中で、しかし、さりとてこのコスト的な面からいわせていただければ、多量消費と相正比例しているわけでありまして、電気、地冷ですね、地域冷暖房、この関係について、十七億三千四百万円のコストが、十一年度でありますけれども、やはりかかっている。これ一年間、十七億四千万円がぱあっと消えちゃうんですね。都民が額に汗して働いて納めた税金の今の数字、ぱっと消えちゃう。確かに、今お話しのように一定限削減が進んできておりますけれども、しかし十七億円という数字は、これは大変な数字だと思うんですよ。
ですからこういう中からおいても、私は、より一層省エネ対策をさらに進める必要性があろうかということを思うわけでありますが、これにつきましてご答弁いただきたい。
またもう一点は、省エネとともに、新しいエネルギーをこの東京都の中で普及させていく必要性があろうかと思うんです。資料にもいただきましたように、太陽光発電だとか燃料電池、風力発電、さまざま新エネルギー、まだまだありますけれども、一定的に出されているわけでありますが、これらのやはり先導的役割というのは、確かにコストはかかると思うんですね。であるならば、しかし、これからの省エネとともに新エネルギーをさらに普及させていくには、いずれにしたってそういう方法でもう進んで、各国とも進んできているわけでありますから、これらのことを具体的に、東京都の環境局としてはどのように現在考えておられるか、お示しをいただきたいと思います。
○梶原企画担当部長 都庁の率先行動でございますエコ・アップ計画は、平成十二年度で計画の時期を終了いたします。今年度中にこれを改定する予定でございます。改定する計画におきましては、自治体としての地球温暖化防止の率先実行計画としても位置づけ、省エネルギー対策を含めて、幅広く環境への取り組みを具体的に盛り込んでまいりたいと思います。
また、都庁自身におきます新エネルギーの普及でございますが、都の施設においても率先して導入を進めるべきだと考えております。現在、資料にもございますように、幾つかの施設において実施してございますが、コストの面、適所の面を考えながら、これからもその可能性を探ってまいりたいと考えております。
○小礒委員 いろいろ技術的な面、それからコストの面、さまざまな面で、まだまだこれからという段階だと思うわけでありますが、これ、一つのコストの面の中で風力発電、これはまだまだ都心部においては、電波障害といいますか、いろいろな音の問題もあるということでありますけれども、いろいろな試みを進めておりますが、今後、例えば風力発電は、現状としてどのような整備といいますか、導入を考えているのか。これからどのようにしていくのか。
それから天然ガスのコージェネレーションという手法があるそうでありますが、これは非常にコストが低廉なんですね。いわゆる一時期いわれた循環的な部分も導入もできますし、環境的な観点から立ってみれば、これは一考に値するんではないかと思うんですが、そのあたりどうでしょうか。
○梶原企画担当部長 風力発電につきましては、お話のように高さがかなりなものになる場合には電波障害の問題、また大分技術改良が進んではございますが、風切り音などの騒音問題などもございます。これらの条件を満たす可能性のある地域としては、都内ではどうしても湾岸部や島しょ部に限られてくるのではないかと考えております。それを確認しつつ、今後の可能性について研究をしてまいりたいと思います。
また、コージェネレーションは大変熱効率のよい設備でございます。これについても、今後の研究開発をにらみながら研究をしてまいりたいと思っております。
○小礒委員 今後とも都の関係施設における新エネルギーの導入を、やはり積極的に首都東京として主導的役割で進めていくべきであろう。新エネルギーの普及を図るためには、いわゆる関係局において--環境局になりますけれども、新エネルギーを、より普及のための施策を今後とも、いわゆる新エネルギーの普及のための施策は重要でありますから、鋭意ご努力をいただきたいと要望いたしまして、終わります。
○立石委員長 この際、議事の都合によりおおむね十分間休憩いたします。
午後三時三十八分休憩
午後三時五十二分開議
○立石委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
ご発言を願います。
〔委員長退席、木内副委員長着席〕
○曽根委員 私から、まず九九年度、平成十一年度をもって区に移管された清掃事業、それに伴う都の新しい課題の問題について、何点かお聞きしたいと思います。
九九年度まで長期にわたって検討されてきました清掃事業の区移管が実施されまして、ごみ問題の解決は、都民に最も身近な基礎的自治体が住民と協力し合って主体的に取り組む必要があるわけですから、その点で、ごみの収集、運搬処分の大部分が区に移管されたことは当然だと思います。
同時に、仕事を移すのであれば、当然十分な財源保障をという点では、まだ極めて不十分でありまして、これは今後財調協議の中で区側の要望にきちっとこたえていくように、まず求めておきたい。
もう一つの課題として、当然十一年度においても検討されていたと思いますが、九割方の人と予算が区に移ると、その後、スリムになった清掃局が環境局と今一緒になっているわけですけれども、新しい都のごみ問題、資源問題、環境問題の解決にどう取り組むべきなのかということですが、その点で、まず一つ考えなければならない問題としては、東京全体の広域にわたって、省資源やリサイクルの活動で、ごみをつくらないという努力を進めていく、そのための都の役割は何か、方向性はどうなっているのかという問題があると思うんです。
その点で、十一年度を含めてそのことは検討してきたと思うんですが、新しい方向性というのはどういうふうに考えておられるでしょうか。
○梶原企画担当部長 都は、これまでも、循環型社会づくりの推進に向けて、廃棄物の発生抑制、資源化の促進、適正処理のための広域的なシステムづくりに取り組んでまいりました。
今後の廃棄物リサイクル施策につきましては、現在審議中の廃棄物審議会での施策のあり方の検討の内容や、廃棄物をめぐる状況を踏まえながら、的確に推進してまいる考え方でございます。
○曽根委員 以前から東京都はごみの収集、運搬、処分をやりながらも、広域的な役割も持っていろんなことをやってきたと。私たちは、例えば住民対応のリサイクルは区市町村の仕事だけれども、商店街、事業者に対するリサイクルの指導は東京都の仕事だということで、商店街に対するリサイクル支援などを求めてきました。
今度は、それも区の方に移ったわけですが、では広域的な意味で東京都がどうやって取り組むのかという点では、やはり業界--さまざまな生産、流通、廃棄にかかわる業界全体に及ぼす行政の力を発揮すべき問題、それから、個々の分野で、例えば今家電をやっていますが、そうした一つ一つの物品、品物についてのリサイクルや省資源化をどう進めるかという問題があろうかと思います。
それで、具体的な、例えば物品一つ一つについてのリサイクルでどういう取り組みをやってきたのか、この間の経過を聞かせていただきたい。
○梶原企画担当部長 生産、流通、消費の各段階を視野に入れた効果的な施策の推進が重要と考えております。
具体的に、これまでやってきた施策を例示いたしますと、新聞社、製紙メーカー、古紙回収業界や、七都県市とともに設置した新聞リサイクル推進会議による古紙の利用拡大に向けた取り組み、また家電リサイクル法の施行を控えまして、区市町村や関係業界とともに、家電製品の効率的なリサイクルに向けた取り組みなどがございます。
○曽根委員 今二つの例が挙がりましたが、家電リサイクルについては、昨年、我が党も質問しましたので、古紙のリサイクルの取り組みについて、ちょっと具体的にお聞きしたいんですけれども、新聞のリサイクルについては、いわばリサイクルの頂点に立つといいますか、最も質のよいパルプから直接つくる部分として、ここは十分リサイクルされてくることや、古紙の混入率を高めることは、その後のリサイクルのサイクルをより大きくしていく上で非常に重要だといわれているわけですね。しかも消費量も多いと。
そういう点で、前から新聞の古紙混入率を高めるには、一つは重さが重くなって新聞会社が嫌がるということや、紙切れが多くなるというふうにいわれていましたが、その辺の取り組みで、たしか九九年、十一年の四月ごろにリサイクル推進会議ですか、ここが古紙混入率を高める宣言を出していると思うんです。その後の取り組みについて、現状どこまで進んだんでしょうか。
○梶原企画担当部長 平成十二年までに新聞古紙配合率五〇%の新聞用紙を導入するように努めることなどの新聞古紙の利用拡大宣言を行って以降、各製紙メーカーにおいて脱インクパルプ製造設備の導入が進んでいること、また新聞社におきましても、古紙配合率の高い新聞用紙を採用する動きが高まっていることなどから、古紙の利用拡大に向けて確実に成果が上がってきていると見ております。
なお、古紙配合率の具体的な数値等実績につきましては、現在、各新聞社において集計中でございます。
○曽根委員 十二年度までということで、その結果はもうすぐ出ると思うんですが、つまり五〇%混入まで高めていこうという当初宣言した内容というのは、基本的に達成されつつあると考えてよろしいんですね。もう一度お願いします。
○梶原企画担当部長 ただいまお答え申し上げましたとおり、古紙の利用拡大に向けての成果は確実に上がってきていると見ております。ただ、実績につきましては、現在集計中でございます。
○曽根委員 それはそのうち出るでしょうからお待ちするんですが、そういう技術的な面での開発と、私、たまたま先日、古紙回収業の方にお会いして実情をお聞きしたんですが、昔ほどの古紙のダブつきによる価格の低迷という、何といいますか、悲惨な状況は一歩脱したものの、かつてキロ二十数円という時代があったのに比べると、いまだに十円以下という状況で、相変わらずもう人を使っている場合じゃなくて、おやじさんと息子さんで二人で何とか食べられるかどうか、しかし仕事は膨大にあるという状況は変わっていないというふうに聞きました。この点では、やはりそうした技術面の開発と同時に、関連業界の指導や、また支援というものにも力を入れていただきたい。
それからもう一つ、東京都に残されている大きな仕事として、産業廃棄物の対策問題があります。これは予定した質問を、時間の関係で少しはしょりまして、私、ずばりお聞きしたいんですけれども、例えば、この間、問題になってきた野焼きの問題ですね。これは、たしかことしから、四月に法改正により全面禁止になるということですよね。
それから医療廃棄物の問題も、私たち昨年の一定で取り上げましたが、広域にわたって他県に不当投棄されている場合があると。こういうものも罰則を強化することになりましたよね。追跡調査も必要になると。つまり、罰則の強化や法の改正はあったけれども、これを本当に守らせるには、これは大変な、やっぱり実態の調査も含めた、人手をかけた、パトロールだとか警戒とかいろんなことが必要になると思います。
その点で、はっきりいって、この部門の職員数がこの間、九八年から九九年にかけて二人ふえて、四十六名が四十八名になっただけということで、本当にこの法改正に対応した手だてが全部打ち切れるのかなというのが心配なんですが、いかがでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 野焼き等の不適正防止を解消するために、都としては、通常からの監視ですとか立ち入り指導のほか、随時、早朝、夜間、休日のパトロールなどを実施するとともに、東京都だけでなく多摩の市町村または警視庁、これらと連携して不適正処理の監視、指導に努めているところでございます。
また、不法投棄などにつきましても、同様に監視や立ち入り指導を行っているところでございます。今お話がありましたように、ことしの四月からは、法改正に伴いまして野焼き等は全面禁止になります。そういうことから、さらに厳正な、厳格な対応をしていくという必要がございます。
特に、東京都職員の体制だけでは十分でないということがございましたが、区市町村等の協力または市民の通報等、それから昨年の十一月には、近隣自治体との広域連携のための組織も、産廃スクラム21というのもつくっておりまして、今後とも、近隣自治体とも連携を強めながら不適正処理の防止に努めてまいりたいと思っております。
○曽根委員 他の自治体とか、それから他の機関との連携は当然だと思うんですが、それにしてもその中心に座るべき都の環境局、この分野での職員配置は、もう少し手厚くするよう求めるべきだと思います。このことは意見として申し上げておきたいと思います。
さて、ちょっとテーマを変えまして、私の地元北区で今計画されております北区堀船の新聞印刷工場建設事業のアセス手続に関連して質問いたします。
これは、平成十一年、九九年の十二月に評価書案が出されましたが、この計画というのは、関東一円の読売新聞と朝日新聞という二大新聞の印刷を一手に行うという、日量二百五十万部の全国最大の巨大工場の計画であり、しかも、にもかかわらず、わざわざ隅田川沿いの狭い住宅密集地域に建設するというもので、この工場の近辺で車がまともにすれ違えるのは、計画地前の六メートルの区道一本しかないという前例のない計画です。
したがって、この計画のアセスメントに関しては、工場自体の日照とか排気とか騒音とかいうことはさほど問題にはならず、問題は、住宅地域の幅三メートルちょっとしかないような細街路にまで入り込んでくるという、深夜、早朝の集配トラックの騒音、排気、交通事故の危険性、これに尽きるといっても過言ではありません。
したがって、一般的なアセスの調査項目を表面的になでるだけではなく、この課題、この深夜、早朝のトラック走行に伴う環境への影響が住民生活にいかなる被害を与えることになるのか、この影響について、いかに実態に即して明らかにするかというのがアセスメントの課題でありました。そのときに、ちょうどたまたまなんですが、私は、九九年、十一年の六月に施行になりました新しいアセスメント条例は、今回のようにアセスの調査項目の立て方自体が、実態に即し住民の意見、要望を取り入れるべき課題についてこそ適用されるべき内容を持っていたと思うんです。
というのは、今回の新アセス条例は、東京都の広報にもありますように、皆さんの意見をより反映する手続に改定しましたということで、アセスメントの調査計画そのものについて住民に公聴会を開き、どういう調査をやるのかということを事前に意見も求めて、それについての審査をするという仕組みが新たに加えられたからです。ですから、この年の六月に、九九年六月に施行開始になった新条例が適用されていれば、その年の十二月に評価書案が出ているわけですから、十分に私はこの条例に基づく調査の内容についての住民の意見も出す場を保障しながらのアセスメントができたのではないかと思うんです。ところが、事業者は新アセスメント条例を選ぶこともできたにもかかわらず、経過措置期間だということを理由にして、旧条例適用で評価書案を提出しました。
私は、この点でいいますと、マスコミでもあり世論の一つを代表する新聞社のこういう工場計画について、読売や朝日の事業者が、やはり何といいますか、より民主的、住民の意見を反映できる新条例を選ぶべきであったと思いますが、それにしてもアセス条例がもうできた、新しい条例ができた中での評価書案だったんですから、事前の東京都による指導、この中で十分にこうしたアセスメント条例の新しい形のものが、この評価書案にも反映されるように指導すべきだったんじゃないかと思うんです。ちょっと過去のことになりますが、十一年度のことなので、この点で環境局のご意見をお聞きしたい。
○町環境評価部長 北区堀船印刷関連施設建設事業の環境影響評価につきましては、今、曽根委員の方からもお話がありましたように、条例改正の施行が十一年六月でございまして、事業者が、既にその時点で環境影響評価のための調査に着手しておりましたため、経過措置によりまして、こういう状況にありましたほかの事例とともに、改正前の条例が適用されております。
このため、本件につきましては、改正条例により新たに規定されました環境影響評価書案作成の前に環境影響評価項目の選定等について、都民や区長の意見を聞く機会は適用されておりません。
しかし、事業者に対しましては、条例改正の趣旨を踏まえまして、評価書案に対する都民意見等についての見解書を事業者が作成する段階で、追加調査などを求め、できるだけ早い段階での関係者への情報提供に努めてきたところでございます。
さらに、知事の審査意見書におきましても、騒音、振動の予測評価結果を検証するため、自動車配送トラックの実際の走行テストの実施、さらにこの結果に基づきます環境保全対策の検討を事業者に求めるなど、改正条例の趣旨に沿った環境影響評価を実施できたものと考えております。
○曽根委員 今のご答弁は、ずっと後の問題までひっくるめてお答えになったので、ちょっと分けてお聞きしたいんですが、まず評価書案を出す前に、事前の調査を事業者はやっているわけで、その段階で、非公式とはいえ東京都のいろんな指導があります。その段階で、もう既にその前の年の十二月に制定され、その年の六月に施行されている新条例の内容を事業者も十分知っているわけですから、それに対して、この新しい条例の趣旨もよく酌んで、調査項目に落ち度がないようにというふうに指導するのが当然だと思うんです。
ところが、経過をいうと、評価書案では事もあろうに、集配トラックが夜間出入りする、この最大の問題について、集配トラックの配送ルートについて、六本のうち一本しか調査をしていないと。あとの細い道については調査をしていない。そのまま評価書案を出してしまった。見切り発車をしたという問題や、それから走行テストなど、後で知事の意見はついたとはいえ、評価書案の段階で、もっときちんと調査項目について、実際の走行テストも含めて調査をやるべきだったのにそれを怠って、後で見解書その他が終わってから知事の意見で出たと。こういう経過をたどっているわけで、私はちょっと、やっぱりたちが悪いと思うんです。
それでこの後、知事の厳しい、確かに前例のないほど厳しい意見書が出ました。それをきちんと盛り込ませた評価書にできるのかどうか。
それから住民の意見もたくさん出ています。それについて盛り込ませることができるかどうか。
そして、出された評価書について、さらに住民の意見を反映する場が、この条例の手続の中であるんでしょうか。
○町環境評価部長 環境アセスメントにおきます住民及び関係自治体の意見につきましては、評価書案に対する意見の提出の段階、見解書に対する意見の提出の段階、公聴会における意見の陳述の機会を通しまして、審議会の答申及び知事の審査意見に十分反映される仕組みという形になっております。
事業者は、こうして作成された知事の審査意見書に基づきまして、環境影響評価書を作成することになっております。都は、評価書の作成過程におきましても、事業者を通例、指導しておりまして、本件におきましても、住民及び関係区長の意見も踏まえまして、走行テストの結果等に基づいた適切な環境保全対策の具体的な記載を求めるなど、知事の審査意見を十分反映した評価書を作成するように指導をしてまいります。
それから、今のご質問の冒頭に、経過措置の適用についてのお話がございましたけれども、経過措置につきましては、先ほどのご答弁で申し上げましたように、条例の附則第五項におきまして、この条例の施行の際、環境影響評価書案等を作成するための調査等に着手しているもの、あるいは完了したもの等につきましては、調査計画書の作成及び提出を要しない、こういう要しないという規定になっておりまして、この段階で事業者の方はこれを提出しなかったということでございまして、その出された内容につきまして、今お話のあったような問題点もあることを踏まえて、その後の指導で対応させていただいたというところでございます。
○曽根委員 後のお話はさっきいったので、もう繰り返しません。向こうは重々わかってやっているんですから、新しい条例の中身。それで、あえて旧条例--どちらでも選べるんですよね。事業者の判断ですから、これは。要しないというだけで。それで旧条例を選んできているというのは、私はやっぱりマスコミとしてとるべき態度じゃないというふうに思うんですよね。
それで今後のことなんですが、評価書が出されてしまえば、少なくとも工事が始まったり、工事が終わって事業を開始されるまでは、住民の意見を出す場がありません。したがって、評価書の中に住民や知事及び地元区長さんたちの意見を盛り込ませるかどうか、ここは評価書案と違って、一層都の権限や指導ができるところですから、ここをぜひきちっと行っていただきたい。
あえて最後にいわせていただければ、それをきちっと行うならば、この場所をわざわざ選んで工場をつくるということ自体がいかに実態に合わないかというのが浮き彫りになるはずです。なぜなら、工場自体に騒音、公害、そんな問題、ないんですから。ちょっと郊外を選べばどこにだって場所がある。わざわざこんな六メートルの道路しかないところに持ってくる必要はさらさらないわけで、これは私、昨年の二定で代表質問でもいいましたが、高速道路王子線の出入口が近くにできると、関東一円に集配トラックが回れるという、その地の利を生かさんがために、住民の環境を犠牲にしてでも、経済効率優先で入ってきたわけです。この点では、高速道路のもたらすものという点でも私一つ意見はあるんですが、きょうは環境の問題について、今後万全の対策をとることを求めて質問を終わります。
○織田委員 私は、東京都のこれまでやってきた緑の倍増計画、この評価という面から少しお伺いをしたいと思います。
昭和六十年から、この緑の倍増計画、事業の方は執行されてきたわけでございます。平成十一年までで結構ですけれども、今日までのその実績、それについては、概略で結構ですけれども、教えていただきたいというふうに思います。
○高田自然環境部長 緑の倍増計画でございますが、この計画では、二十一世紀初頭におきまして、既成の市街地の樹木本数を、昭和五十八年度の一億本から二億本に、また都民一人当たりの公園面積を、同じく三平方メートルから六平方メートルにするということを目標にしてございます。
平成十一年度までの実績でございますけれども、樹木本数が、推計値でございますが、約一億七千万本、それから一人当たりの公園面積が五・三平方メートルと、こういうふうになってございます。
○織田委員 今、お伺いをしました樹木の本数でいうと、一億本から一億七千万本、七千万本ふえましたよと。それから都民の一人当たりの公園面積も約五・幾つということで、三から大幅に目標の六に近づきましたよと、こういうことだろうと思います。
その数値的なものを、何といいましょうか、計画を十全にできたのかどうか、その辺の評価ですね、どういうふうに緑の倍増計画というものを環境局として評価をしておられるのか。それについて簡単にお伺いしたい。
○高田自然環境部長 ただいまご答弁で申し上げましたように、実績を見ますと、おおむね樹木本数あるいは一人当たりの公園面積においては、目標値に近づいておるということで、一定の成果があったというふうに考えてございます。
ただ、この間の緑の推移を見てまいりますと、例えば総量として見てまいりますと、区部、多摩とも減少しておるというふうなことが出てきておりまして、これに対して対応していく必要があるということが、量的な問題で残っておるというふうなところもございます。
○織田委員 今もご答弁にありましたけれども、計画というのを見ていく場合、特に環境局は政策の執行というよりもプランニングといいますか、政策をつかさどるところというふうに私は認識をしておりますので、計画が十全に進むかどうかというところの想像力をどう働かせていくのかというのが、私は重要な点であるなというふうに思うんです。
特に十一年度というのは、一つの端境期といいますか、一つの計画が終えんに向かいつつある二十一世紀の初頭ということですから、新たな計画の枠組みも考えなきゃいけないし、そうなると、今まで実行されてきた計画の評価をどうするかというのは、当然政策セクションとしては十分に考えなければならない。こういうお立場にあるものだというふうに私は認識をいたしております。
例えば、緑をふやしていくと。では何のためという政策目的ということを考えますと、単に樹木がふえたからどうのこうのということではなかろうかなというふうに思います。つまり、都民の生活の中に緑を含んだ快適空間が多数存在をしていくような方向に誘導をしていくというのが本来の目的であって、樹木がふえたから、減ったから--それはふえることは大切なことでありますけれども、そういった、いってみれば政策目的といいますか、そういうものに対する評価をどうしていくかということだろうと思います。
この緑の本数の数え方にしても、ランドサットから、上から衛星写真を撮りまして、その既成の市街地の中で、緑の部分がどれほどあるのかというところから推定をされたものだというふうに伺いました。このランドサットの映像を見せていただきましたけれども、昭和五十八年当時、それから平成七年当時を見ても、私、普通の目から見ても、何がどう変わっているのかさっぱりわからない。そういえば、説明されればこの地域は少し緑がふえているのかなというような、そんな感じを抱きました。
大事なのは、実際に緑の快適空間が欲しい、そう思っているそういう地域に緑が供給されるというのが、本来の政策目的ではなかったのかなというふうに思うわけでございます。ですから、東京全体として、一億本から一億七千万本もにふえましたよといっても、比較的緑の豊かな地域で緑がふえたからといって、住民は、それはいいことはいいことですけれども、その喜びはどうなのか。例えば、住宅密集地域で本当に緑がどおんとふえたら、その地域の住民の方々は本当に喜んでくださるんだろうと思います。
そういった、何といいますか、計画を立てる際に、あるいはまた計画を実行していく際に、そういった行政が行う事業、サービスというものが、住民に対してどういう影響を与えるのか、どの程度喜んでいただけるのか、幸せ感を持っていただけるのか、そういったメルクマールをきちんと持った上で、そしてそこができるような形での事業執行というのを考えていくのが、私は環境局の役目ではなかったのかというふうに今考えているわけなんです。
ですから、その評価をする場合に、例えば木造密集地域という概念があります。これは都の事業の中でも、あるいはまた区の事業や国の事業の中でも、そういう概念があります。そういったところは災害対応から出てきたものかもしれませんけれども、本当に欲しているところに対してその供給をされるという、そういう意味でのメルクマールというのを、環境局としては考えた上でおやりになっているのかどうか。評価をされているのかどうか。そして、それを次の政策展開につなげていこうとしているのかどうか。そういった観点は私は大事なことだなと思いますので、その点について、改めてどういう評価をされているのか。もし改めるべきところがあるなら、どういうことなのか。そういう点をどう--率直にお感じになっているままで結構ですから、ご答弁をいただきたいと思います。
○高田自然環境部長 緑の倍増計画でございますが、これは計画書にも触れ込みがございますように、緑豊かな東京を目指してということで、潤いと安らぎある、先生がおっしゃいましたような快適な生活空間をつくっていく、これは確かに目標として掲げておったわけでございます。その具体的な、数値的な目標として、例えば樹木本数をふやす、あるいは一人当たりの公園面積を倍増していくというふうなところがございました。
緑の都市づくりを考えていく場合に、今お話にございましたように、緑の少ないところ、あるいは緑を確保し快適な空間を形成していくべきところ、ここはどうなるんだというふうなことは確かにあるわけでございます。
例えば、お話にございましたような木造住宅密集地域を取り上げますと、これは計画書の中にもございますが、防災市街地再開発事業、こういったものにあわせて、公園とか街路樹を確保していく。そういった形での手法を緑の倍増計画の中にも事業としては織り込んでございました。ただ、そういった事業は、はかばかしく進ちょくしないというふうなところがございましたし、ある意味では都市計画との連携は十分であったかどうかというふうな視点もあったのかと思います。
環境局といたしましては、そういったところを総合的、体系的に踏まえた形での計画づくりや執行を今後進めていく必要があるというふうに認識しているところでございます。
○織田委員 重ねて、その点について若干、補足的にお伺いをしますけれども、私がこだわっているのは評価ということなんです。
確かに環境局が自前で事業をやっているわけじゃありませんから--いただいた資料によりますと、平成九年までで一兆六千四百五十億円、さまざまな事業に投入をされている。身近な緑をふやす、今ある緑を守る、緑をふやす仕組みづくりをつくる、こういった関係でそれだけの予算が投入されているというふうに、これは他局のものも全部含まった形であろうというふうに思われますけれども、それだけの投資をしているわけでありますから、これは本当にどの程度効果があったのかということを住民にわかる形でお示しいただくというのは、非常に大事なことなのではないのか。全庁調査をせよというようなことは毛頭申し上げませんけれども、例えば今いったように、ある地域、地域、スポットでも結構ですから、そういったところの一つのケースワークでもいいですけれども、そういったものをきちんと取り上げて都民に発信するというのが、私は非常に大事な問題だろうと思います。
これからの計画のあり方、あるいは検証の仕方、今、他のセクションでそういう形の検討をしておりますけれども、そういうものを都民に明確にきちんと説明できるという、そういう観点も、やはりとっていかなければならないだろうと思います。
そこで、これは質疑はしませんけれども、こういうふうに一つの計画が二十一世紀初頭ということで、今もうちょうど二十一世紀の初頭を迎えたわけでありますから、そこは忌憚のないところで、そういう検証を、どうなんでしょうね、政策をつくるというそういう面からいうと、環境局あたりできちっとおやりになっていくというのが、私は今必要なことかなというふうに思います。質問していませんから答弁は求めませんけれども、あえて、意見として申し上げておきたいというふうに思うわけであります。
それで、それに関連をいたしまして、その都市計画との関係、これを、何といいますかね、やっていかなければ、例えば住宅密集地域、土地のないところ、本当に緑をつくっていこうと思うと、公共空間、良好な整備スペースというものをつくり出していくという作業が、絶対これは欠かせないというようなことがあります。そういう点について、これはどういうふうにお考えになっているのか、その基本的な構えを教えていただきたいと思います。
○高田自然環境部長 ただいまお話がございました、また先ほどご答弁させていただきましたけれども、例えば木造住宅密集地域をどうするんだというふうな問題、あるいは東京における都市づくりは、これからある意味では更新時期を迎えていくわけですけれども、そういった時期にどうしていくのかと。これは緑づくりにおいても大きな課題だというふうに思っております。
これからの緑づくりについては、したがいまして、例えば特定街区あるいは総合設計制度などの都市計画諸制度との連携を図っていく必要があるというふうに認識しているところでございます。そういう中に、緑をさまざまな都市計画の仕組みの中に取り組んでいくことによって着実に緑の確保が図られていく、そういった計画づくりあるいは執行を目指していくべきであろうというふうに考えているところでございます。
○織田委員 そういった都市計画との連携をしながら緑を確保をしていくというふうに、次につなげていくような施策をどんどんとっていただきたい、こういうふうに思うわけですが、同時に、その住宅密集地域というのは都立公園のような大きな空地があるわけではありませんし、東京都として実施をしていくというには、なかなか厄介な問題もたくさんあると思います。
そこで、やっぱり区市町村、特に区ですね、そういったところとの連携というのが非常に大事になってくるわけでありますけれども、その辺のところについて特段の配慮を、ひとつお願いをしたいと思うんですが、この辺のところを具体的にどうお考えになっていますか。
○高田自然環境部長 緑を効果的に確保していくためには、区市町村との連携が欠かせないということは、ご指摘のとおりでございます。このため、東京都といたしましては、広域的な観点から区市町村と連携をしていきたいというふうに考えております。
具体的には、その緑の施策を推進していくに当たって、区市町村と協議していくような場をつくっていくなど、今後の緑づくりの推進に当たって、具体的に連携できるような場あるいはその仕組みを考えていきたいというふうに思っております。
○織田委員 そういう抽象的なことも当然大事なわけでありますけれども、具体的に一つ一つのことを、やっぱり区市町村と話を詰めていかなければ、これは空地をつくっていったり、あるいは本当の意味での喜ばれる緑の創出ということは、なかなか進んでいかないんだろうというふうに思うわけであります。
そこで、いろんな何かさまざまな具体策が考えられております。屋上緑化というような問題も最近になって非常に脚光を浴びておりますけれども、これは、とにかく一生懸命推進をしていただいて、緑の創出、しかも、それは緑のないところに緑を創出をする。緑の倍増計画も、もとはといえば街路に緑を植えるという、そういう発想、これはその当時、非常に斬新な発想でありました。街路に緑をつくるということだけで随分潤ったということはあります。しかしながら、現在はその段階はもうとうに過ぎておって、今は一定程度のまとまりのある緑、それが公共空間を形成すると。こういうところに焦点を当て直してやっていかなければならないんだろうというふうに思います。
したがって、屋上緑化も、最近の動きを見ていますと、マンションの中で自分で勝手に囲い込んで、公共空間になっていないというような、そういうようなところが間々見受けられます。居住者のためにはなるけれども、地域にはオープンにしない、開放しないというようなところも、だんだん見受けられるようになっております。そういった面も含めまして、環境局できちんとした形でやれるような、そういう政策誘導というものをお願いしたいというふうに思うわけでございますけれども、概括的に答弁をいただいて質問を終わりたいと思います。
○高田自然環境部長 屋上等の緑化の件でございますけれども、冒頭ご答弁申し上げましたように、緑豊かな東京をつくっていくということで、緑の倍増計画を推進してまいったわけでございますが、区総体の緑について見ますと、この間、残念ながら減ってきてしまったというふうなことがございます。いうなれば、新たな緑化空間をどこに求めるかというふうな政策的な視点で、昨年の十二月に規則を改正し、この四月から指導を開始したというところでございます。
それぞれの宅地の中に公共空間を形成する、これはなかなかある意味では難しいところがございますけれども、私ども緑地基準というのを定めてございまして、その中には、建て主の人たちに、ある意味では選択制でございますが、緑地のとり方についての考えをお願いしているようなところもございます。
ご指摘の趣旨を踏まえまして、今後とも屋上等の緑化に積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
○木内副委員長 今の答弁でいいですか。
○織田委員 構いません。
○藤田委員 私は、平成十一年の最後に研究会が立ち上がりました杉並中継所周辺の環境問題について、この問題が起きた平成八年から何回となく、しつこく質問させていただいているわけですけれども、なかなか納得ができないというようなことがありまして、毎回毎回、機会あるごとに質問させていただいております。この調査委員会で一定程度の方向性が出たというふうに、東京都も杉並区もいっているわけでありますけれども、このところについて、平成十一年度の決算も含めましてお尋ねをいたしたいと思っています。
この調査委員会に係る経費と、専門家研究者の分野別の内訳をまずお尋ねしたいと思います。
○長谷川環境改善部長 杉並中継所周辺環境問題調査委員会の運営でございますが、報償費や会議費等として、約百三十万円の経費がかかっております。
また、調査委員会を構成した委員、十二名でございますが、その専門分野別内訳は公衆衛生学分野三名、疫学分野二名、環境保健分野一名、環境科学分野三名、大気環境分野二名、法律学分野一名となっており、医学分野や廃棄物を含めた環境分野から、幅広く参加をしてもらったものでございます。
○藤田委員 法律学分野ということは、それを見ればわかるのですが、大変細かくて恐縮ですが、公衆衛生学の三人、疫学の二人、環境保健分野一人、環境科学分野、大気環境分野二人という、細かく分けて、どんなふうに実際に何を検討なさったのかを教えていただきたいと思います。
○長谷川環境改善部長 基本的には、この種の問題、公衆衛生学の分野でございます。基本的には公衆衛生学全般をつかさどる人は三名、そのうち特に、いわゆる環境と発症の関係を統計的に解析する疫学分野の方が二名、それからいわゆる一般的な環境保健分野の方が一名、それからあとは狭い意味でいいますと、公害という形で環境科学、公害の中でも幅広くやる環境分野関係が三名、そのうち大気環境分野の専門家が二名、こういう形で、いわゆる公衆衛生学の一般の方、あるいは環境科学の一般の方、それから特にこの杉並との関連で、専門的知識を要する疫学環境保健、こういう内訳で構成しております。
〔木内副委員長退席、委員長着席〕
○藤田委員 私は、この調査会ができる前に、文書質問をいたしまして、この中で、疫学的な部分で杉並区がやったことに対して、その状況で何らかの関連があるのだという--中継所と健康被害は何らかの関係があるんじゃないかということがわかったために、この検討会をつくるというふうになったわけでありますけれども、そのときに、いわゆる疫学的な統計をやってというようなことはもちろんのこと、毒性的な問題、それからいわゆる化学物質過敏症についての問題、それから、あそこの中継所はプラスチックの関係の不燃物がおおよそでありますので、その問題について、いわゆる廃棄物のことに関しての、プラスチック系の廃棄物の問題についてわかるような方々に、ぜひ参加をしてほしいというようなことを要望したことがあります。これらについては、この中に入っていないと思いますけれども、どういうことを目的として、おおよそ何か結果が導き出せるというような状況の中でこの方々を選んだのでしょうか。
○長谷川環境改善部長 委員の先生の中に、プラスチック廃棄物関係を専門にやっている方は入っております。
それから、先ほどいいました化学物質過敏症につきましては、まだ病気としてはっきり定義づけるのは難しいという形で、その専門家は入っておりません。
また毒性につきましては、環境科学一般の分野の方で十分対応できるという形で、中でも議論しまして、それは報告書の中に硫化水素等の毒性等について記すとともに、対照実験等を行っております。
○藤田委員 今、化学物質過敏症が一定の定義がなされていないというふうにおっしゃいましたけれども、最初に発症された方々の状況がわからなかったために、いろいろな方々が医者を探して、そして北里大学の先生のところにたどり着き、そしてその中で化学物質過敏症様の症状が出ているというようなことが、実際にはいわれていたわけでありますけれども、そのことについては、ではだれが、化学物質過敏症が、一定程度の実証としてその病気と認められないというふうに決定をしたのでしょうか。
○長谷川環境改善部長 先ほどちょっと答弁が足りない部分がありましたけれども、本委員会の中に、東京大学の医学部の教授で、一応一般的な意味で化学物質過敏症に係る第一人者の方も入っております。
ただ、この調査の目的は、基本的に杉並区の調査によって、いわゆる杉並中継所周辺の健康影響問題と、杉並中継所との一定の関連があるという結果が得られましたので、基本的にはその解析をやって、平成八年の四月から八月に多数の健康不調を訴えた方と、杉並中継所周辺の発生原因と思われるところの解析、これを中心に行った結果になっておりまして、特に化学物質過敏症がどうという形の医学的な話はやっておりません。
ただその中で、先ほどいいましたように、東大医学部の教授で、現在、化学物質過敏症に対して日本でも第一人者の方がおられまして、その辺の調査方法自体も問題ないという結論になっております。
○藤田委員 周辺の環境調査と、いわゆる健康被害者との関連、原因裁定とまでいくかいかないかは別にして、そういうことで、何が原因かということを探る調査委員会ではなかったのですか。
○長谷川環境改善部長 先ほどご答弁いたしましたように、いわゆる周辺環境と健康不調を訴えた方、その相互の関係を、主として杉並区がやった疫学調査の結果を再度解析するという形をとっております。
その解析結果によりますと、いわゆる平成八年四月から八月、この間に関しては健康不調者が非常に多かった。この時期、特定の発生原因としては、杉並中継所の排水中の硫化水素あるいは井草森公園のクレオソート油のにおいの問題、これがありましたけれども、杉並中継所の換気あるいは排気、大気につきましては、特に平成八年の四月から八月、それ以降についても作業実態は変わっていませんので、直接の因果関係は認められていない、このような調査結果というふうに理解しております。
○藤田委員 それでは、これまでの環境調査の分析実地調査から、患者の聞き取りをこの調査委員会の中ではどんなふうに行っていらしたのでしょうか。
○長谷川環境改善部長 調査委員会による調査、それまでに行われました環境調査の解析、これは当然のことですけれども、補足調査とか、あるいは専門家による患者の聞き取り調査、あるいは再現実験等の実施を含めて行われました。環境調査といたしましては、平成八年以降、東京都の当時の環境保全局、清掃局あるいは杉並区が行った、こういう環境調査結果などを参考に解析等をしております。
さらにデータを補完する目的で、調査委員会のもとで、新たに中継所の排水や排ガスの分析調査や周辺の環境調査を行ったほか、硫化水素の発生やその物的影響についての再現実験も行いました。
また、健康面など訴えの実情を把握するために、健康不調者三人から、医学系の委員、先ほど述べました化学物質過敏症などの権威でございますけれども、そういう委員の方が聞き取り調査を行っております。
○藤田委員 今、硫化水素の発生とクレオソート油ということが原因の一部というふうにされているわけですけれども、それにたどり着くまでの経過というものをお伺いいたしたいと思います。
○長谷川環境改善部長 調査委員会では、環境調査の結果や健康不調者の訴えの症状等をもとに、環境と健康のかかわりにつきまして、施設の稼働期間と発症時期が一致しているかどうか、有訴者の症状と原因物質の関連が一致しているかどうか、関連施設から有害物質が排出されたという科学的根拠が認められるか、それから有訴者の地理的分布について、原因施設または物質による暴露範囲との関連性は認められるか、こういう四つの視点で、疫学的に検討を行いました。
その結果、杉並中継所周辺地域で健康不調の訴えが平成八年春から夏にかけて集中的に発生したことについて、主な原因が中継所の未処理の排水に含まれた硫化水素によるものと判断しました。
また、井草森公園の添え木に含まれたクレオソート油による影響も否定できない。こういう結論となりました。
○藤田委員 それでは、硫化水素とクレオソート油の性状と、人体や環境への影響についてお伺いいたします。
○長谷川環境改善部長 杉並中継所周辺環境問題調査報告書によりますと、硫化水素は無色の刺激臭を有する気体であり、一〇ppm以上では目の粘膜への刺激等の影響があるとされています。また、低濃度での健康影響については、濃度と症状の関連は明確ではないが、〇・三ppmで呼吸障害等、訴えが生じた事例などがあるとされております。
また、クレオソート油ですけれども、これはコールタールからつくられるもので、木材防腐用のほか消毒剤などに使用される揮発性のある褐色の油であります。短期暴露によります毒性は明確ではございませんが、蒸気が高濃度の場合、目や呼吸器系の粘膜を刺激するとされております。
○藤田委員 硫化水素には感作性はありますでしょうか。
○長谷川環境改善部長 私どもの調べている範囲では、一〇ppm程度の、いわゆる作業 環境基準程度の濃度では、そういう性質はないというふうに理解しております。
○藤田委員 平成八年度、平成九年度のときに、これの調査をしてほしいということを随分申し上げました。そしてこの時期になって、何か区へ清掃行政が移管されるのを待つがごとく、三月三十一日に最終、この調査結果が出たわけですけれども、こういうことであるならば、もっと早い時期にこういう調査研究をし、そして長引かせることなく結論を得ることができたんだと思うんですが、その辺についてはいかがでしょうか。
○長谷川環境改善部長 私ども、基本的には杉並区の調査結果、一種の疫学調査、THI調査ですか、これによって杉並中継所と健康影響の関係が、因果関係がある、こういう新しい知見が得られましたので、その中身を解析する、それで本当の原因を探索する、こういう目的でやったので、結果としてそのような時期になりました。
○藤田委員 平成八年のときに、既に私は文書質問の中で、疫学調査をやってほしいということを提起をしています。その中では、あくまでも何も関係がないというようなことで、ずっと突っぱねられましたけれども、実際的には最終こういうことになって、ではこの健康調査は、ある意味では非常に化学物質過敏症、いわゆる何か物に感作性が働いて起こる病気が多いというふうに私は感じておりますけれども、そういうことがずっと長引いてきてしまって、さらに患者の数というものが百三十人も出ているような状況になっているわけです。
それでは、この百三十人、その方々のそれぞれは、この硫化水素、クレオソート油が原因という方がすべてだったんでしょうか。
○長谷川環境改善部長 私どものというか、杉並中継所周辺環境問題調査報告書、これによりますと、平成八年四月から八月にかけて多数の患者が発生した事実につきましては、杉並中継所の排水あるいは公園の添え木のクレオソート油、これとの関連があるという形になっております。
先ほど先生がいったように、私どもは、杉並中継所の換気あるいは排気ダクトと住民の健康障害との直接の関連は認められないという結果が報告書でも出ておりますし、私ども当時の清掃局も含めて強調したのは、いわゆる杉並中継所の換気あるいは排気ダクトからの排ガスの関連については認められなかったわけですけれども、杉並区の疫学調査結果で関連があるという話があったので、改めて委員会をつくって先生方に調べてもらった結果、換気、排気ダクトとは関係なく、中継所の未処理の排水あるいは公園の添え木のクレオソート油、これとの関連があった、こういう結論になっております。
○藤田委員 今お聞きしたのは、およそ百三十人というふうに認められている健康被害の方について、どんな状況だったかをお尋ねしたんですが、実際にそうだと思います。環境のところについては、今まで何も変化がなかったんだからそうじゃないですよといったんだけれども、それだったら、なぜそのときにやらなかったんですかというふうに申し上げているんです。
そのことについて、長引かせた原因になっているんじゃないですか。あの時期で既に硫化水素の問題はありました。クレオソートは残念ながらちょっと私はつけ足しのように思いますし、杉並の私たちの阿佐ヶ谷の青梅街道沿いに毎日三百本ほどクレオソート油につけられた材木を売っているお店があります。そこのご主人にお聞きしても、そんなことで人がぐあいが悪くなるようなことは全くないと。毎日僕はこの三百本を見ているよ、かいでいるよというふうにおっしゃいましたから、ちょっとそこのところは私は非常に問題視をしておりますけれども、ではなぜその硫化水素が出たときに、その問題をチェックし、そしてそれについての原因調査、そしてさらにそういう問題での健康被害を訴えた方々に、その問題を疑わなかったのかということです。
○長谷川環境改善部長 未処理の排水からの硫化水素問題については、今私どもとしても十分気をつけなければいけなかった、反省しております。
ただ、いわゆる杉並の中継所が問題になった時点で、健康不調を訴えた方たちの訴えの主張の大部分が、杉並中継所のごみの圧縮過程で生じる換気ダクトあるいは排気からの微量の化学物質のせいではないか。それにつきましては、同じような中継所がほかにもありまして、そこではそのようなことが起こってないんで、私どもとしては換気あるいは排気ダクトからは直接影響がないという、そちらの方が理解の中心だったもので、いわゆる未処理排水のところまで注意が至らなかった。それが調査がおくれた原因です。
○藤田委員 随分ないいわけですよね。それでは、自分たち、気がつかなかったからといって、それに思い至りませんでしたということであれば、本当にもう一回、全部やり直しですよ、こういうことは。何年間ですか。平成八年から、今十三年ですよ。平成八年の時点で、もう稼働してすぐにそういう問題が起きた。それに対して住民が、ごみ処理の換気あるいは排気が問題だろうといったから、それだけを信じてほかのことはやりませんでした、ほかのことについては思い至りませんでしたっていうんでは、それでは回答にはならないんじゃないですか。
もう一度お願いいたします。
○長谷川環境改善部長 私もちょっと答弁が至らなくて申しわけございません。
当時の清掃局からそのお話を聞きまして、平成八年四月から、確かににおいの苦情がありまして、それらに対して独自に対応をとってきまして、基本的には平成八年の七月、八月段階で、いわゆる排水処理法を変えて、水を直接流すのではなくて、バキュームカーで一時的に回収して流さないようにする。それと同時に施設の根本的改善に着手しまして、平成九年に入りまして硫化水素問題が生じないようにいたしました。
ちょっと私、言葉は足りませんでしたけれども、いわゆる個別の苦情という形ではきちっと対応したつもりでございます。
○藤田委員 構造改革はその年に、九年の三月までに終了いたしましたので、そこでは、ある意味ではもうその硫化水素の問題はなくなったんだと思いますけれども、しかし、そういう視点で行政が、未然防止の観点を貫く環境局がこういうことでやってもらっていたのでは、とても本当に都民の健康を守るというような状況にはならないと思います。以後、そういう観点を改めていただかなければ、これから二十一世紀の環境をどうやって守っていこうか、公害防止条例を全面改正して東京の環境をよりよくしようというところには、なかなか至らないのではないかと思います。
それではもう一度お聞きしますが、百三十人の健康被害を受けた方々、その方々については、今回のクレオソートと、それから硫化水素によっての被害ということで、ほぼ片づけられたのでしょうか。
○西野移管事業調整室長 平成八年の三月一日から八月三十一日までの間、杉並中継所の硫化水素により健康被害を及ぼした方々については、大変申しわけないというふうに思っておりますし、またそれに基づきまして、昨年の九月一日から十一月三十日までの三カ月間、損害賠償手続を行ってまいりました。
要件といたしましては、指定期間に、指定地域内で異臭を感じて指定症状を発した方で、医療機関で診療を受けた方を対象として行ってまいりました。その結果、損害賠償請求は六件でございました。当初、私どもが想定いたしましたのは五十ないし百件ぐらいかと思っておりましたが、これまでに寄せられた相談内容等から少なかった理由を推定いたしますと、先ほど来の質疑の中でもいろいろありましたけれども、平成八年当時の硫化水素に伴います健康被害は軽微でございまして、既に症状が軽快あるいは治っている方がいらっしゃいます。この方がほとんどだと思いますが、そういう方々につきましては、損害賠償請求をするほどじゃなかったという方がいらっしゃいます。
それからもう一つ、杉並中継所の健康被害につきまして、もう一つの主張をされている方々は、中継所の排気、換気空気が中継所周辺の大気を汚染していると主張している方々でございますが、この方々については、今回の損害賠償請求時、応じなかったということなどが考えられます。
なお、請求のございました六件につきましては、現在、中毒症状に知見を有する医療の専門家等で構成いたします硫化水素被害認定審査会において審査を進めているところでございます。
○藤田委員 およそ百三十人の方々がそういう状況の中で、硫化水素か、あるいはクレオソート油による症状によって健康被害を起こしたということが、百三十人すべてに確認をされましたのでしょうか。
○西野移管事業調整室長 今回の賠償手続を進めるに当たりまして、今、百三十人というお話がありましたけれども、区の方に健康不調を訴えた方につきまして、プライバシーの問題がありますので、私どもの方に個々具体的なデータをちょうだいするわけにはまいりませんでした。
したがいまして、今回、損害賠償手続の周知に当たりましては、杉並区並びに練馬区の方に健康被害をご相談された方については、杉並区並びに練馬区の方からご本人あてに連絡をさせていただきました。また、その他の方々につきましては、杉並区報あるいは東京都といたしましても新聞発表等をさせていただいて、周知を図ってきたところでございます。
○藤田委員 長くなりますのでやめますが、先ほどのお答えやら聞いておりますと、本当に公害の問題というのは、非常にいつもいつも長引きます。そして、それが最終決定になるまでに多くの患者を出してきたというのが、もう既にこれまでも幾らでもあった話だと思います。東京都の姿勢を正したいと思いますし、そしてもっと未然防止の観点から、あらゆる問題を予想しながら、ぜひ事に当たっていただきたいというふうに思っています。
以上です。
○井口委員 玉川上水、千川上水、野火止用水関係で、確認の意味で私は質問をさせていただきます。
昭和五十六年九月に、私はこの清流復活で鈴木知事にただしたことがありました。当時は長期計画にもありませんでしたので、何ゆえこれがのらないのかなということがありまして、質問したきっかけがありました。その後、続いて質問したわけでありますが、大変順調にこの仕事が進められて、当初は野火止用水が最初、そして玉川上水、千川上水へと進められました。
そこで質問させていただきますが、玉川上水の通水が開始された当時、自転車や布団などがかなり投げ込まれたり、場合によってはごみが投棄されたというようなことで、大騒ぎになったことがありました。これに対して東京都も努力してきたのでありましょうが、この玉川上水、千川上水にかかわる関係市なども、かなりこのことに努力をしてきたというようなことを感じておりますが、都がこのことに対してどういう認識と取り組みがされてきたか、この辺のことについてお答えをいただきたいと思います。
○高田自然環境部長 玉川上水の通水を開始した時期、昭和六十一年ころでございますが、確かにご指摘のような状況がございました。このため、不法に投棄されたごみにつきましては、巡回による監視、それからその処理をしていくということになりまして、水道局にお願いをして実施してまいりました。
また、お話にございましたように、住民の方々自身による監視やごみの処理も行われまして、また通水が開始されたということで、上水に対する住民の方々の愛着も深まったと。それから近隣の自治体のご協力もございました。そうしたものが反映されて、ごみの投棄がおかげさまで少なくなってきたというふうに認識してございます。
○井口委員 それから、通水当時に、処理水であったために、かなりにおいが出ました。ましてや梅雨どきなどには、特にそういう感じが強かったわけなんですが、これに対しての努力がされたとみえて、今ほとんどの人がそういうことで発言しなくなりましたので、よかったなと思っておりますが、その処理や取り組み、どういうことがされて、このことがよい状況になったのかということで、できればその方法、わかりやすく答弁をいただきたいと思います。
○高田自然環境部長 今お話がございましたように、これも通水当初の問題でございますが、いわゆる下水臭がかなり強く、苦情もございました。このため、平成三年度に、オゾンによる処理ができるような形での施設を備えまして、オゾン処理を行って脱臭をする、こういう方法をとったわけでございます。この後は、おかげさまでにおいの低減も図られてきたというふうに考えております。
○井口委員 簡単にオゾン処理といわれちゃうと、どんなことがオゾン処理なのか、その辺のことをもっと教えてもらった方がいいと思うんですがね。お聞かせいただけますか。
○高田自然環境部長 具体的には、オゾンが持つ酸化機能による脱臭によりまして、においを消すことができる、あるいは低減することができる、こういった仕組みを活用した施設でございます。
○井口委員 そこで、清流復活になったために、大変樹木が勢いつきました。私は両方の川に挟まれた、両方とも千メートルぐらいのところにいますので、両方、全部子ども時代遊んだ場所でありますから、よくわかるんですが、一時、美濃部知事当時に水がとまって、二十年間水がとまりました。そのことのために、かなり地域の、木もそうでありますが、荒れ放題ということがありました。そこに二十年後に水が流れたわけですから、これは大変樹木が勢いづいた。気持ちがいいくらいに色が濃くなりましたし、すばらしい木の発育になった。こうなります。
そこで、私たち一番心配していることは、野木、何といったらいいんでしょうか、木の種類によって、私たちがあんまり希望しない木がぐんぐん育って、こういう木があってほしいなというのは、やられてしまうんですね、勢いで。そんなことがありまして、樹木の管理というんでしょうか、あるいはまた選択というんでしょうか、この維持管理関係について、どういうことを考えて取り組んでいるのか。この辺を聞かせてくれませんか。
○高田自然環境部長 樹木の管理でございますが、通水の効果もあって、お話のように樹木もかなり大きく育ってきたということがございます。ただ、具体的にそれをどういった形で手入れをしていくかということになるわけでございますが、通常の管理としては剪定を進めるというふうなことがございます。そのほか、それぞれ地域、地域によっての特性もございまして、あるいは近隣の住民の方々のお話のような樹木に対するいろんなご希望もございます。
今、そういったご意見を取り入れながら、これからの望ましい樹木管理、どういうふうな形で進めていくかと。場所によっては、ある程度枝落としだけではなくて、木の本数あるいは木と木の間、こういったものをある程度間隔を置いた形でもって、光を大きく取り入れた形での管理を図っていく。あるいは、それ以外のほかのところにおいては、住民の方々の意見等をもとにしながら、これも今ある、例えば木の状態をなるべく維持するようにする。玉川上水、二十数キロ開口部ございますけれども、そういった、それぞれ地域に応じた樹木管理、こういったものを住民の方々、あるいは自治体とともに取り組み始めていると、こういった現況でございます。
○井口委員 そこで、下木の問題なので、これは質問じゃなくて要望しておきますが、木は、どうでもよいような木というのはすごい勢いで伸びるんですけれども、同時にまた、下木でも余り知られていないような、楽しめないような木も結構あるわけです。雑草あるいはまた、つる、いろいろあります。こういうことのために、玉川上水周辺の近所の家の風通しやなんかにも、すごく影響するわけですよ。
ですから下木などでは、ある程度整理をしてきれいにしてもらわないと、木と木の間の中の家なんか、玉川上水に、ほかにも木がありますから、挟まれているような家庭は蒸しぶろみたいな格好の中にもなる。したがって、風通しなどについても十分できるように、私も今まで要求してきましたけれども、これからも十分そういう家屋の損傷のためにも、やっぱり注意をする必要がある。管理者は注意をする必要がある。このことでお願いをしておきます。
それから、前に、これは埼玉県にもどうしてもかかわることでありますので、このことについてはお調べがされていればいいなと思っているわけでありますが、野火止用水は主力は埼玉県に入っていきます。新座市に入っていきます。東京が清流復活で野火止用水を急遽清流にしましたので、このことに関しては、住民の皆さんもあっという間の出来事だったために、こういっていいのかどうかわかりませんが、雑排水がかなり野火止用水に、家庭から管が川に向けられていた。
したがって、川沿いを歩きますと、簡単にいえば、汚い水が全部その野火止用水に向かって向けられている、両方から。そういう場面が当初はありました。あれでは市民が見ても楽しくありませんし、清流だといってみても、何か雑排水が全部野火止用水に向かっていると。こういうようなことを私たち見受けましたので、これは埼玉県の責任上、都はこのことについて申し入れる必要があるということで、私は申し上げたことがありますが、最近の環境においては、その処置がどういうふうにされて、きれいにされていると思うのでありますが、その辺の認識はどうなっているんでしょうか。
○高田自然環境部長 雑排水が野火止用水に流れ込んでいた問題でございますけれども、清流の復活、昭和五十九年度実施でございますが、それに先駆けまして下水管につなぐ、そういった措置を講じ、用水には流入しないようにいたしました。
お話がございました埼玉県における取り組みでございますが、こちらの方は昭和五十一年あるいは五十二年度にかけて同様な措置をとったというふうに聞いているところでございます。
○井口委員 その辺は、埼玉県も良識を持ってやってくれていると思いますので、期待と同時に点検もしておいていただきたいなと、こんなふうに思います。
そこで、この流されている水は、いわゆる処理場の、いうなれば水量がここに流れているはずであります。この水というのは、今の状況、処理場の能力からいって、この程度がよろしいのか。そしてあるいはまた、それ以上に機能さえ、これが強化されれば水はもっと流れるのかどうかということで、お聞きをしておきたい、こんなふうに思います。
なぜならば、年によって、水がもっと欲しいなというときもあります。例えば干ばつのときなど、玉川上水の水はあったにしても、千川には水が行かなくなるという、そういう場面がありました。千川にも相当なコイやいろんな魚がたくさんありますので、実は周辺の人たちが、これは水がなくなって大変だと、魚を助けるために何か処置をしなければならないということで、大変に水たまりを守るために住民の皆さんが飛んで歩いたことが、実はあります。
そういうことがありますので、この玉川上水あるいは野火止用水、千川上水に流す処理場の水というのは、現在以上は流すことができないのかどうか。放水計画とか、あるいは処理計画に合わせて、どういうことが今、それらに対しての見解を持っていられるのかをお聞かせをいただけたらなと、こんなふうに思います。
○高田自然環境部長 玉川上水、野火止用水、それから千川上水への送水量でございますが、これは国、それから都庁の中の都市計画局あるいは建設局、それから当局の間で覚書を交わしてございまして、水路三つを合わせた全体の計画水量は、日量で三万八千二百立方メートルというふうになってございます。天候によりまして、お話がございましたような形で、これで十分かというふうなことがあるかもわかりませんけれども、現状では、この日量の計画量に基づいて通水を行っていると、こういう状況でございます。
○井口委員 最後になりますが、玉川上水はたしか史跡指定ということで、そういう請願もありましたし、そういう方向を期待していると、こういう経過があります。今、一気にそのことができないものとみえて、東京都はその方向に向かっていくということで、これは教育庁の関係でありますが、そういう方向に向かっていくということで、いうなれば事前の取り組みをされていると、こういうことでございます。
この関係市の住民とか議会の審議会の皆さん方が、やはりこの史跡指定というのもかなり強力に希望している、こういうことがありますので、この点については教育庁関係とどういう調整がされているのかを、まず概要をお聞かせいただきたい。
○高田自然環境部長 玉川上水の史跡指定に向けた取り組みでございますが、玉川上水保全協議会というものを庁内に設置いたしまして、その設置に向けた取り組みをしているところでございます。
史跡指定に向けての条件が幾つかございまして、一つは、水が流れている状況であることというふうなことがございまして、これは清流復活事業によって一応実現をしてございます。
もう一つは、土地の所有関係を整理する課題が残ってございまして、こちらの方について取り組んでいる現状でございます。
○井口委員 質問というより、最後になりますが、この水ができる限り、ある程度は量が流せたらいいなと、こう思っています。
それからまた、土地の問題は国にもかかわるようでございますから、どうぞこの辺の調整は極力進めていただくとして、玉川上水が二度と水がとまることのないように、これからも長期的な展望に立ってこの取り組みをしていただく、なおかつ、先ほど申し上げましたように、樹木の整理、それからまた投棄物の処理、こういう面にも常に気を配っていただけるように、このことを願って質問を終わります。
○吉田委員 さまざまな問題がありますけれども、PCBの問題に限って簡潔に質問させていただきます。
PCBの保管問題については、この決算年度の前年度に、日本共産党の、きょうここにおりますたぞえさん、そして松村さんが、それぞれ本会議の定例会で質問いたしました。そこの質問で取り上げた主な点は、東京都みずからが保管をするPCBの管理のあり方が、ずさんではないのかと。その改善を図ることを求めることであり、さらに民間の保管状況についても調査改善を指導すべきだということであり、また大量に使用されている電気機器のPCB使用機器の転換を促進することであり、また無害化処理に取り組むべきであるというような点について、質問をされました。
資料でも明らかになっておりますが、平成十年度、十一年度、二回にわたって保管状況等の実態調査が継続的に取り組まれたというふうになっておりますが、今提起をしたような点が、現実にこの会計決算年度の執行でどのように行われていたのかということで、何点か質問させていただきます。
まず第一点目ですけれども、ご承知のとおり昨年、八王子の中学校におきまして、蛍光灯の中で使われていたPCB含有機器の破損ということが問題になり、実際にはそれ以前にも、八王子ではやはり同様の事故はあったんだというようなことも、話を聞いております。
当然、一定の年度がたてば、こうした事故というのはあり得ることであり、想定された事故だったと思うんですが、その当時から、こうした問題については関心を持って何らかの対応をしてきたのかどうかということ、あるいは、現時点ではどのようにこの問題に対応されているのかということを、まずお答え願います。
○薄廃棄物対策部長 PCB照明用器具につきましては、使用が中止されますと、これは廃棄物処理法の特別管理産業廃棄物として紛失などのないように、厳格な保管管理が義務づけられているところでございます。
しかし、使用中のものにつきましては、製品としての閉鎖性、閉鎖系で用いられていることなどから、法の規制はされていないのが状況でございます。
使用中の高圧トランスコンデンサーにつきましては、旧通産省の方でございますが、管理責任者の設置などが指導がされてございまして、私どもの方もパンフレットを作成し、使用中の高圧トランスコンデンサーについての指導はしてきております。
また昨年、今ご指摘のありました八王子市の小学校での安定器の破損事故発生後でございますが、各区市町村や都庁の各局に対しまして、その再点検と早期の計画的な交換、その後の適正保管、そして万が一、事故が発生したときなどの必要な措置などについて指導しているところでございます。
○吉田委員 法的な規制がなかったからという説明ですけれども、結果的には事後対策ということになってしまったと思うんですよね。
それで、学校の蛍光灯のPCBだけじゃなくて、他の施設にももちろんPCBが現実に照明器具として使われていますし、高圧トランスコンデンサーなども、現実に今も使われているわけですが、当然、昨年の事故から見て、積極的な転換の促進ですとか、あるいは転換した場合の保管管理についても、今からやはり積極的な対応というものを指導すべきだと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 現在も使用されているPCBの機器につきましては、蛍光灯などの照明用安定器と、それから高圧トランスコンデンサー、この二種類がございます。これらの使用機器は、ご指摘のように、交換の際ですとか、また使用が終了した段階で、保管されずに不明、紛失になって環境汚染の拡大につながりかねないという懸念などもされております。これを未然に防止していくことが重要だと考えております。
このようなことから、今後、使用者に使用機器の登録ですとか、使用完了時には届出書を提出してもらうなど、ぜひ使用中のPCB使用機器の新しい都独自のルールを定めて、保管だけでなく使用の段階から適正管理を徹底していきたいと考えております。
○吉田委員 その新しい独自ルールをつくるということは、一般論ではいいことかなと思うんですが、これ、いつごろつくられる予定なんですか。
○薄廃棄物対策部長 これにつきましては、先般、適正処理の検討委員会から提言もいただいておりますので、早急に、今年度中ぐらいを目途に整備を図っていきたいと考えております。
○吉田委員 次にお伺いしたいのは、東京都自身が管理をするPCBの保管が非常にずさんな、例えばシートで覆われているだけだとか、きちんとした容器にも入っていなかっただとか、かなり具体的に実態を示して質問したわけですけれども、こうした東京都自身の管理する廃棄したPCBの保管状況というのは、具体的に、どのように改善が図られたんでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 都庁内に保管してあるPCB機器につきましては、十年度と十一年度に調査をいたしまして、その保管状況、それから個数などを把握いたしまして公表すると同時に、今後の適正保管につきまして庁内各関係者を指導しているところでございます。
○吉田委員 まだ進行形だということですよね。ぜひ、これはもう早急にきちんとした対応を求めたいと思うんです。
あわせて、民間のPCB管理への指導、立入検査等についても求めたわけですが、これはどのように執行されているんでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 都庁だけではなく民間の事業者も含めまして、平成十年度には、毎年、これは事業者に提出を義務づけております処理実績報告書を改善いたしまして、その中に、数だけでなく保管の場所ですとか表示の有無など、保管状況の報告も加えるなどして、その把握の適正化、充実を図ったところでございます。
○吉田委員 ご努力はされているとは思うんですけれども、ただ、これ、十、十一年度の調査結果について文書を事前にいただきましたけれども、その中で、例えば高圧トランスコンデンサーについては、未確認という数がかなりあるんですよね。事業所数でいうと四千七百三十三カ所、機器の個数でいいますと六千五百十一個が未確認であると。ちょっとこれ、未確認というのはどういう意味なのか。対策も、全くこれじゃ指導もとれないわけですけれども、どうされようとしているのか、ご説明をお願いいたします。
○薄廃棄物対策部長 未確認の状況でございますが、調査したのは使用中の高圧トランスコンデンサーでありますけれども、この中には、あて先が不明であったり連絡がとれないなど、このようなものがございまして、これが未確認となっております。今ご指摘のように相当数ございました、この未確認の事業者の状況につきましては、国からも各地方自治体に再度、十分調査するようにと要請がございまして、都としては今後、再調査に取り組み、適正管理に努めてまいりたいと思っております。
○吉田委員 最後に、無害化処理の問題なんですけれども、無害化処理に取り組むべきだという提案をしたことに対して、当時、これは青島知事でしたけれども、まさにご指摘のとおりと。適切な対応をとっていきたいというご答弁があったわけですが、いまだにそれは実現--努力はされていることはわかりますよ--されてないと思うんですが、これはどういうふうに対応をとってきたんでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 PCBの無害化処理につきましては、廃棄物処理法の施行令の改正によりまして、平成十年度から、焼却に加えて新しい無害化処理の方法が認められました。その後、この新しい処理技術によりまして、平成十二年一月ころからでございますが、三つの多量保管事業者が、自社で保管するPCBの処理を開始しております。
しかし、これはまだ自社保管分の処理だけでございまして、これをさらに処理業として行っていくためには、なお住民の理解など多くの課題が残されているということでございまして、このような状況から、都は、平成十二年六月でございますが、PCBの適正処理を促進するための、先ほど申しましたが検討委員会を設置し、鋭意検討を進めまして、昨年末、提言を受けたところでございます。
この提言を踏まえまして、都としてはPCBの無害化処理について検討を進めてまいります。
○たぞえ委員 私は、ごみ埋立処分費について伺います。
十一年度決算では、特別区内から排出されているごみの埋立処分に要した経費が、百十一億八千三百七十余万円と計上されています。ほぼ予算の九五%執行しているわけですが、改めて埋立処分費を各年で追ってみますと、この五年間で六百二十四億円が投資されまして、大変大きな公共投資だというふうに思います。
一方、東京の埋立処分場の歴史を改めて考えてみますと、一九二七年に使用を開始しました江東区潮見、この八号地は三十六・四ヘクタールを埋め立てるのに三十五年かかりました。次の十四号、夢の島は一・二倍の四十五ヘクタールでありますが、わずか九年で満杯になった。続く若洲も、十五号地、ここは七十一・二ヘクタールと、潮見の二倍でありましたが、これもわずか九年で役目を終えました。内側に続いて外側処分場、七七年から使用が始まりましたが、九五年に限界に達すると、こういう計画でありましたが、これは今日なお埋め立てが続いています。
こうした経過を見ますと、都民の減量リサイクルの必死の取り組みの結晶の結果だったんではないかなというふうに実感をしています。まさに埋立量の推移は、減量化を進める都民の苦労のバロメーターだったというふうに思うわけです。
そこで詳しく聞きたいと思うんですけれども、まず、十一年度に埋め立てられた廃棄物、百二十五万トンというふうにいわれておりますが、この外側処分場にはどういうものが埋め立てられていたのか、ご説明いただきたいと思います。
○薄廃棄物対策部長 平成十一年度に埋立処分されました廃棄物は、一般廃棄物が八十三万トン、産業廃棄物が二十三万トン、上下水道汚泥などの都市施設廃棄物が十九万トンでございます。割合に直しますと、一般廃棄物は焼却灰で三〇%、処理残渣で三五%など合計で六六%、産業廃棄物は一八%、都市施設廃棄物は一六%になります。
なお、百二十五万トンのうちの焼却灰三十五万トンを新海面処分場に、残り九十万トンを外側処分場に埋め立てたところでございます。
○たぞえ委員 今いわれた処理残渣というのは、どういう組成なのか。
○薄廃棄物対策部長 処理残渣でございますが、不燃ごみや粗大ごみを破砕処理したものでございます。不燃ごみの処理残渣と申しますと、不燃ごみを減容化のために破砕したものから、鉄ですとか、アルミですとか、ガラスなどを選別いたしまして、残ったプラスチックや陶磁器くずなどでございます。
なお、処理残渣のうち袋状またはフィルム状のプラスチックの一部でございますけれども、大田の第二清掃工場で焼却処分されております。
また、粗大ごみの処理残渣でございますが、要らなくなった家具などの粗大ごみを破砕しまして、鉄分を磁力選別したものでございまして、清掃工場で焼却できる可燃物を除いた不燃物焼却不適物でございます。
○たぞえ委員 不燃ごみの処理残渣、三五%ということですけれども、これをどのような形で埋められているんですか。
○薄廃棄物対策部長 大体十五センチ以下に破砕いたしまして、埋立処分を行っている状況でございます。
○たぞえ委員 結局、ある大きさのものを十五センチ程度のものに小さくして、そのまま埋めている。ですから質も量も変わらないんです。結局、破砕をしたというけれども、現物を小さくしただけ。これでは量的にも質的にも対策を講じていると思えませんが、そういうことじゃないでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 破砕は、重量で見ると、今ご指摘のように大きな減量効果はございませんけれども、破砕をすることによりまして容積を大幅に減少することができまして、また破砕によりまして残渣の均一化が図れるということから、埋立作業の効率化も図ることができる状況でございます。
○たぞえ委員 結果的には作業の効率化を招くだけであって、本質的な減量化になっていない。これは事実ですよ。
やはり中間処理技術の実用化の高度化が進んでいるわけですから、この減容、再資源化の方向に、このプラスチックを歩み寄せる、こういうことが起これば、大幅に埋め立ての削減ができるんじゃないですか。どうですか。
○薄廃棄物対策部長 不燃ごみの処理残渣は、今ご指摘のとおり、大半がプラスチックでございまして、これは高発熱量を持っているということで、サーマルリサイクルが可能でございます。
焼却のほかには、新しい処理技術として、製鉄所の高炉で還元剤として利用する方法ですとか、ガス化炉で利用する方法など、実用化されつつある状況でございまして、このような中間処理技術の進歩によって、今後処理残渣は大幅に減少できるものと考えております。
○たぞえ委員 もう一つの延命化のかぎは、工場で焼却した後に発生する焼却残灰です。現在、埋立場の三割をこれが占めている。溶融化によって減らせる可能性があるのかないのか、どうですか。
○薄廃棄物対策部長 現在、東京二十三区清掃一部事務組合では、一般廃棄物処理基本計画に基づきまして、灰溶融施設の整備を進めているところでございます。
平成十八年度までに清掃工場で発生する焼却残灰の全量を溶融することとしているものでして、今後、この焼却残灰の埋立処分量は大幅に減少するものと考えられます。
○たぞえ委員 今伺いましたこの二つの廃棄物の減量化を、必要な手だてをとれば、外側処分場内の減容は、また延命は可能だというふうに思います。
現実に、せんだっての港湾局の質疑でも西田議員が明らかにしましたが、新海面処分場への廃棄物処理計画、十一年度の計画では四十四万立方メートルに対して、実績は三十八万立方メートル。十年度は、計画六十三万立方メートルに対して四十八万立方メートル。実に計画と実績は、比較しますと七六%というところなんですね。こういう、一方で減量化が存在をしているのに、東京都はさらに海の奥へ奥へと処分場を広げていこうと。
しかも、今度の新海面、G、C、Bの三つのブロックで、護岸整備に千七百五十三億円も一般財源と都債をつぎ込むという計画です。陸地の部分は都民の努力で延命が図られてきている。しかし一層、海面に行きますと、その拡大が図られる。大変な矛盾だというふうに思います。こういうことを続けていれば、貴重な海面の面積が減り、しかも受け皿をつくるからどうぞ捨ててくださいと、こういうことを逆に行政が都民にアピールをすることになるんじゃないでしょうか。延命策を講じれば、処分場の長期的な有効利用は可能だというふうに思います。
最後に伺いますのは、外側での処分量の減量に取り組んで、今考えられている二〇〇三年という終業期限、これ以降も搬入できるように現計画の見直し、その可能性の選択枠があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○薄廃棄物対策部長 中央防波堤外側埋立処分場の使用期間は、平成十年五月に策定いたしました廃棄物等の埋立処分計画に基づく処分量等の推計や、新海面処分場との併用によって、二〇〇三年度までとしたものでございます。
埋立処分計画は、おおむね五年ごとに見直しをしていくこととしておりますが、ごみの減量リサイクルの推進や、ごみ処理技術の開発などによりまして埋立量がさらに減っていけば、二〇〇三年以降も使用することは可能であると考えられます。
○たぞえ委員 これからの百年、二十一世紀は、ごみとなるものをつくらない社会システムが確立されることが求められています。同時に、これまでの江戸以来の埋めるという方式、これから脱却をして、資源をサイクル的に利用するという転換の時代に入っていくと思うんです。その点では、まさにこの外側処分場が、これまでのどんどこどんどこ埋めるというスタイルから、ここを延命させて、その多くが埋められているプラスチックですとか、鉄だとか、ゴムだとか、やはりこういうものを高度な技術によって堀り起こして、この外側処分場を将来ともに使えるような、こういう努力を行政としてやるときが来ているんではないかというふうに思うんです。
といいますのも、私がこのことを思うのは、一たん三十メートルまでこの廃棄物を積み上げました、サンドイッチ方式で。しかし、年数がたって、この山が圧力や腐敗によって、今下がっているわけですよ。では、もう一回三十メートルまで持っていけるじゃないかと、こう素人は思います。しかし、埋立処分のこの免許は、一たん三十にしたら、もう乗っけちゃいけないと、こういうふうになっているわけですね。やっぱりこれも古い発想だと思うんですよ。現実に山が低くなったんですから、この容積は、増えているわけですから--可能性がね。そういうことも含めて、処分場のあり方というのはどうあるべきか、この再検討もする時期に来たというようなことを痛感をしています。
以上です。
○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
環境局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 異議なしと認め、環境局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で環境局関係を終わります。
○立石委員長 これより地方労働委員会事務局関係に入ります。
地方労働委員会事務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○細渕次長 昨年十二月二十日の本委員会におきまして要求のございました資料につきまして、平成十一年度各会計決算特別委員会要求資料に基づきまして、ご説明申し上げます。
一ページをお開き願います。過去十年間の取扱事件数でございます。
まず、不当労働行為の審査についてでございますが、近年、新規受け付け件数が増加傾向にございます。
次に、労働争議の調整についてでございますが、新規受け付け件数の伸びにより、取扱件数は大幅に増加しております。
二ページをお開き願います。過去十年間の主な活動状況でございます。
まず、総会及び公益委員会議につきましては、原則として毎月二回、定例開催されております。
次に、不当労働行為の調査、審問等につきましては、事件数の増加により、平成二年の六百八十八回が、平成十一年には九百六十八回と、増加しております。
また、労働争議の調整に伴うあっせん、調停等につきましては、同様に二百六十五回が八百五十二回となっており、大幅に増加しております。
以上で説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどをお願い申し上げます。
○立石委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
発言を願います。
○寺山委員 資料をいただきました。ありがとうございました。
まず、質問に入る前に改めて基本的にお伺いしますが、地方労働委員会制度というものが設置されている目的というものは一体何なのか、改めてというか、ご説明ください。
○細渕次長 地方労働委員会は、労働組合法、労働関係調整法等に基づきまして、中立、公正な立場から労使紛争を簡易迅速に処理することによりまして、労働基本権の保護と労使関係の安定正常化を図ることを目的としております。
○寺山委員 労使紛争を専門的な立場から、簡易迅速に処理をして労使関係の公正な環境をつくっていくというのが、この設置の目的だし、意義ですよね。
それで、資料を要求させていただいて、先ほどご説明もありましたが、平成十一年度まで過去十年間のこの不当労働行為の審査、それから労働争議の調整を見ていくと、不当労働行為、それから労働争議ともに、新規受け付けの件数というのが伸びてきている。特に労働争議については、十年前に比べて三倍の労働争議の新規受け付けがある。では一方、不当労働行為の審査を見てみると、一番問題なのは、繰越件数が新規件数に比して、平成二年だったらこれはもう五倍近く、そして平成十一年度で見ても三倍近い数になっている。要するに、停滞しているということがあるわけですね。
これは、少なくともこの十年前からそうでありますけれども、これから先もこれだけ経済環境も悪くて、経営環境も悪い、その中で労働環境が悪くなってくるという状況を考えると、今後も新規のこういった調整なり事件というものがやっぱり増加していくというのは、これはもう目に見えてわかっていることだろうというふうに思います。
要するに、何でこういった積み残しが生まれてくるのかということを考えると、結局のところ、事件処理に時間がかかっているということに尽きるんだろうというふうに思いますが、その理由は一体どういうことなのか聞かせてください。
○細渕次長 事件処理の長期化は、中央労働委員会、地方労働委員会通じて大きな課題となってございます。
不当労働行為審査事件の処理に長期間を要している原因といたしましては、係属事件数の増加、それから昇給、昇格差別事件等の複雑困難な事件の増加、それから当事者による入念な証拠調べの要求あるいは双方の代理人でございます弁護士の多忙さ等によりまして、審問期日の指定が困難であることなどによるものでございます。
○寺山委員 今、るるご説明いただきましたけれども、もともとこういう紛争解決のためには、きちっとした準備、それから調査も必要ですし、あるいはそうした紛争調整が長引くということは、これはもうある意味、仕方がないということが、ある面いえるわけです。
では、そのような問題を抱えている中で、都の労働委員会においては迅速な処理の実現のために、一体どのような努力をなさっていらっしゃったのか教えてください。
○細渕次長 不当労働行為事件の審査手続の迅速化についてでございますが、まず昨年一月から公、労、使、三者委員の代表及び事務局による検討会を定例的に開催いたしまして、事前調査あるいは争点整理など実務的な改善、検討を進めまして、そこで合意された事項については実施に移すなど、迅速適正な処理に努めております。
次に、委員を補佐する事務局職員の専門的能力を向上させるための研修の充実強化を図ってきております。とりわけ和解解決の実務、命令書の書き方など、より実践的、専門的な研修に重点を置いて実施してきたところでございます。今後とも、取扱事件の適切な進行管理、事務局補佐機能の充実強化などに積極的に取り組みまして、審査促進に一層の努力をしてまいりたいと考えております。
○寺山委員 そういった形のより迅速化、簡易化あるいは審査の強化をするために、そういったある意味、仕組みという部分については、いろんなさまざまな工夫はしていらっしゃいますよね。
資料要求した二枚目のところの、過去十年間の都労委における主な活動状況ということで、平成十一年度を見ると、総会、公益委員会議、不当労働行為の審査、それから労働争議の調整のために、延べ千八百七十回そうした活動をなさっている。では実際上、労働委員の方々が、どういうふうな活動の実績を上げていらっしゃるのか教えてください。
○細渕次長 委員は、総会、公益委員会議に出席するほか、労働争議に係るあっせん、調停、仲裁、不当労働行為に係る調査、審問あるいは和解等、担当事件の処理に積極的な活動をしてございます。
十一年度における委員の活動状況でございますが、一部夜間の調査等を含めまして、月平均で公益委員が十・四回、労働者委員が八・一回、使用者委員が七・九回となってございます。
○寺山委員 労働委員の方々の活動の実態を見ますと、まあ週休二日ということを考えてみると、公益委員の方で十・四回、労働委員が八・一回、それから使用者委員が七・九回となりますから、月に換算するとほぼ二日に一回、あるいは三日に一回程度はこの事件の処理とか調査に当たっていらっしゃるというような実態が、今見えてきたわけです。
こうした今の皆さん方が努力して、できるだけ迅速あるいは簡易化を進めていこうというふうにされていらっしゃるとは思いますけれども、都の労働委員会自体の体制というものを、もう一回きっちりと見直していって、もっとこうした運営体制というものに対する強化が必要だというふうに思うわけです。その上で、今の労働委員会の制度についての問題点、それはどのように認識していらっしゃいますか。
○細渕次長 社会経済情勢や労働市場の動きの中で、労使関係、労使紛争の状況は大きく変化をしておりまして、地方労働委員会制度の根幹をなす労働組合法等の仕組みについても、制度発足以来五十年余を経過しておりまして、紛争処理の実態と制度には大きな乖離が見られつつございます。
また、このような状況の中で、昨年四月の地方分権一括法の施行によりまして、地方労働委員会の事務については、これまでの機関委任事務から自治事務になりましたが、これに伴う法令改正が行われず、機関委任事務の仕組みがそのまま残されております。
このように、現行地方労働委員会制度については多くの課題があり、積極的に見直しの検討を進める必要があるというふうに認識しております。
○寺山委員 地方分権の流れの中で、自治事務ということになったにもかかわらず、地方労働委員会の分野で、まだまだ要するに規制が、ある意味、迅速に東京都としてやっていきたいんだけれども、例えばその労働委員の人数だって、これは法的に決められていて我々ではどうしようもないというか、地方分権の推進が形骸化している、本当に典型的な例だというふうに思うんです。
やっぱりそれは、東京都の方から変えていく努力を国に対しても積極的に働きかけていくべきだというふうに思いますが、どうでしょうか。
○歩田地方労働委員会事務局長 制度の改善についてのご質問でございますが、都労委といたしましては、これまでも、地労委の事務が自治事務化される過程の中で、現在の労働委員会制度の見直しにつきまして、全国レベルでの会議を通じまして、積極的に改善を働きかけてきたところでございます。
また、事務局といたしましても、自治事務化についての影響を調査するため、検討委員会を設置し、昨年十一月にはそれに対する考え方をまとめ、公表いたしましたが、この中では、ただいま委員ご指摘の法令改正の必要などについても具体的に問題点を挙げまして、制度の改善に向けての考え方を整理したところでございます。
都労委を初めとしたこれら一連の自治体側の問題提起もございまして、労働委員会の全国組織でございます全国労働委員会連絡協議会、この中でも、昨年十二月に制度問題にかかわる検討組織が設けられまして、自治事務化を含む制度の検討が開始されたところでございます。
都労委といたしましても、今後ともこれらの動きに適切に対応するなど、制度の改善に向けて積極的な働きかけをしてまいりたいと考えております。
○立石委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
地方労働委員会事務局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○立石委員長 異議なしと認め、地方労働委員会事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で地方労働委員会事務局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
午後五時五十九分散会
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