各会計決算特別委員会速記録第十五号

平成十二年四月十二日(水曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 二十八名
委員長山本賢太郎君
副委員長服部ゆくお君
副委員長前島信次郎君
副委員長大山とも子君
理事木内 良明君
理事土屋たかゆき君
理事遠藤  衛君
理事小松 恭子君
理事立石 晴康君
中嶋 義雄君
吉住  弘君
中西 一善君
竹下 友康君
くぼた 光君
東野 秀平君
大河原雅子君
田中 智子君
清水ひで子君
倉林 辰雄君
野田 和男君
林  知二君
大木田 守君
羽曽部 力君
藤川 隆則君
萩谷 勝彦君
田村 市郎君
佐藤 裕彦君
植木こうじ君

欠席委員 二名

 出席説明員
主税局局長大塚 俊郎君
総務部長北村 隆史君
税制部長鮎澤 光治君
調整担当部長須々木亘平君
参事谷口 廣見君
課税部長白戸  毅君
資産税部長佐藤 昭久君
徴収部長小泉 克已君
参事小林 宣光君
高齢者施策推進室室長福祉局長兼務神藤 信之君
高齢政策部長有手  勉君
介護保険室長岡本 宏之君
保健福祉部長金内 善健君
施設事業部長我妻 照夫君
高齢施設企画担当部長笠原  保君
参事若林 統治君
都市計画局東京都技監都市計画局長兼務成戸 寿彦君
次長安間 謙臣君
技監山下 保博君
理事塩野 忠弘君
総務部長本多 靖男君
総合計画部長高田 茂穗君
開発企画担当部長山崎 俊一君
地域計画部長勝田 三良君
地区計画担当部長森下 尚治君
施設計画部長杉浦  浩君
航空政策担当部長山内 一良君
開発計画部長林 孝二郎君
建築指導部長小林 崇男君
参事河島  均君
参事只腰 憲久君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  主税局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・地方消費税清算会計決算(質疑)
  高齢者施策推進室関係
  ・一般会計決算(質疑)
  都市計画局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・都市開発資金会計決算(質疑)

○山本委員長 ただいまから平成十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、主税局、高齢者施策推進室及び都市計画局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見の開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 主税局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、大塚局長から紹介があります。

○大塚主税局長 去る四月一日付をもちまして異動がございました主税局の幹部職員をご紹介申し上げます。
 徴収部長の小泉克已でございます。参事で税制調査担当の谷口廣見でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○山本委員長 紹介は終わりました。

○山本委員長 主税局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○北村総務部長 先般の委員会におきましてご要求のございました主税局関係の資料につきましてご説明申し上げます。
 恐れ入りますが、お手元の平成十年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 初めに、目次の次にございます一ページの要求資料第1号、都税収入の推移についてご説明申し上げます。
 この表は、平成六年度から平成十年度までの五年間について、各税目ごとに、その収入額と対前年度伸び率の推移をお示ししたものでございます。
 次に、二ページの要求資料第2号、法人二税に係る税制改正の影響額についてご説明申し上げます。
 この表は、平成元年度から平成十年度までの十年間について、法人二税に係る税制改正の影響額を、初年度に及ぼす影響額と平年度化した場合に及ぼす影響額とに分けてお示ししたものでございます。
 なお、備考欄には、当該年度における主な税制改正の内容をお示ししてございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のありました資料に関する説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○藤川委員 お金の専門家であられる皆さんに、このような質問をするのは大変失礼かなと思いますが、ざっと数えてみて、この部屋の中に百二十人ぐらいの人がいるわけですが、その一人一人が、お金についての考え方というのは、みんな違うんじゃないかと思います。そういう面で、二百分の一としての一市井人として、私は、以下の質問を皆さんにさせていただきたいと思うわけです。
 我々は、皆さんが集めていただいたお金を、東京都政という形で使わせていただいて、そして東京都千二百万人の人たちのいろいろな便に供しているということがあるわけです。そういう面で、この質問はどこでもよかったんですが、やはり自動車税について質問させていただくのが一番すっきりしているのかなと思って質問させていただくわけですが、現在の自動車税の徴収率はどのようになっているか、ちょっとお尋ねいたします。

○小泉徴収部長 現在の自動車税の徴収率についてのご質問でございますが、十年度決算で見ますと、都の自動車税の徴収率は九二・四%でございます。

○藤川委員 事前に資料をいただいてびっくりしたんですが、四十七都道府県ある中で、自動車税に関しては、要するに下から数えた方が早いというような実態で、非常に徴収率が悪いわけです。皆さんご存じのように、東京都の財政というのは大変苦しい状態にあるわけですが、東京都はなぜこのような状況にあるのかということについてお聞かせいただきたいと思います。

○小泉徴収部長 東京都の自動車税の徴収率が、全国レベルに比較して低い、その原因というご質問でございますが、この原因といたしましては、一つには、大都市特有の納税環境を反映しているというふうに考えております。特に東京都の自動車の課税台数は約三百五十万台でございますが、新規登録と他府県からの転入による登録増が平成十年度で約五十五万台でございました。一方、廃車、それから他府県転出などによる減が約五十三万台ございまして、年間で約百万台以上の自動車の移動がございます。このため、権利者の移動や所有者の住所移転等がございまして、納税者の把握など徴税上の問題があると考えております。
 さらに、こうした環境の中で、自動車税は車検時に納めればよいという意識が一部の納税者に根強く残っていることなどが相まって、現在の低い徴収率になっているというふうに考えております。

○藤川委員 皆さんには、いろいろと努力して徴収率というものを高めていただかなければならないわけですが、これからどのような形でこういう問題に取り組んでいくのか、その点をお聞かせいただきたい。

○小泉徴収部長 自動車税の滞納につきましては、これまでも、自動車税総合事務所におきまして、文書や電話催告による納付慫慂を行ってまいりました。また一方、十一年度に入りましてからは、後半でございますが、二月から、自動車税総合事務所の電話催告の一層の強化とあわせて、自動車を五台以上保有する高額滞納者とか、他税目と重複している滞納者につきましては、新たに都税事務所に引き継ぐなど、滞納整理の強化を図ってきたところでございます。
 しかし、都財政の厳しい状況の中で、さらなる努力というものが当然必要となるわけでございまして、都といたしましては、十二年度より自動車税の早期納付、徴収強化をさらに徹底するとともに、車検時に納めればよいという納税者の意識を払拭し、自動車税の滞納を一掃すべく、取り組みを強化していくことといたしました。
 具体的には、自動車税の滞納整理を行う臨時的な専担チームといたしまして、自動車税班を各都税事務所に設置いたしました。設置に伴う人員につきましては、主税局職員全体の中から、内部努力により捻出した百名を投入することとしております。この自動車税班を中心に、徴収部全体で、ほかの税目と同様にきめ細かく繰り返し納付慫慂を行うとともに、納付に協力的でない場合には、預貯金、給与の差し押さえなどの滞納処分に着手するなど、徹底した滞納整理を行っていきたいと考えております。
 また、あわせて「東京都広報」、さらには「あなたと都税」などのさまざまな広報媒体を活用いたしまして納期内納付を積極的にPRし、車検時に納めればよいという納税者の意識の払拭に努め、自動車税徴収率を全国上位の水準まで引き上げるよう努力してまいりたいと考えております。
 目標といたしましては、平成十二年度から二年間で徴収率を九七%まで引き上げ、約百億円の収入増を図ることを目標といたしまして、鋭意徴収努力を重ねてまいりたいと考えております。

○藤川委員 ありがとうございました。
 冒頭、私が、この部屋の中に百二十人ぐらいいて、お金の考え方がおのおの皆違うであろうということを申し上げましたけれども、そうだろうと思うわけでして、私自身がお金について考えている考え方と皆さんとで、やっぱり幾らか違うのかなと思うわけです。
 特に、いただいた資料でびっくりしたんですが、平成十年度で滞納金が百四十七億円あるということを見たわけですが、もしその百四十七億円を全額払うとすれば、商社なんかですと、三%の利益があれば御の字だったわけですね。そうすると、三%というと、どのくらい商社が売らないと、例えば百四十七億円を払わなくちゃいけないかというと、約四千九百億円だと。それで、これは粗利ですから、いろいろな諸経費を引いて、例えば半分くらい残るとすると、一兆近いお金を、商売しなければ百四十七億円というのは入ってこないわけですから、そういう面で、お金をつくる、お金を稼ぐということにポイントを当てれば、税金という形で集められる皆さんと、一生懸命商行為をすることによって、こういうお金を、利益を上げるという私企業とか商社とはまた違っているわけで、そういう面でお金についての考え方が変わってきてしまう。
 そのために、そういうところからお金の使い方ーー百四十七億というと、我々はいつも膨大なポイントを扱っていますから、何か取るに足らない額のお金のように錯覚しがちですけれども、一兆近いお金を扱わなければ百四十七億というお金が出てこないという現実があるわけですから、そういう面では、ぜひ主税局におかれましては、厳しく、いただけるものはいただくことによって、東京都はこういう厳しい財政状況にあるわけですから、一生懸命ご努力いただきたいと思うわけです。
 それが私の意見です。終わります。

○山本委員長 そのほかございませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 主税局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、主税局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で主税局関係を終わります。

○山本委員長 これより高齢者施策推進室関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い幹部職員に交代がありましたので、神藤室長から紹介があります。

○神藤高齢者施策推進室長 当室では、四月一日付で組織改正があり、介護保険対策室が介護保険室となりましたので、改めてご紹介させていただきます。
 介護保険室長の岡本宏之でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○山本委員長 紹介は終わりました。

○山本委員長 高齢者施策推進室関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○有手高齢政策部長 過日の委員会でご要求のありました資料につきまして、平成十年度各会計決算特別委員会要求資料としてまとめ、お手元に配布させていただきましたので、ご説明を申し上げます。
 表紙の次のページの目次をごらんください。ご要求の資料は、1、介護基盤の整備状況外三件でございます。
 それでは、目次の項目に従いましてご説明を申し上げます。
 一ページをお開きください。一ページから四ページにかけましては、1、介護基盤の整備状況でございます。
 一ページは、区部における特別養護老人ホーム、老人保健施設、療養型病床群の平成十年度末の整備数をそれぞれ記載しております。
 二ページをお開きください。二ページは、一ページと同様に、特別養護老人ホーム等の市町村部における整備数をそれぞれ記載してございます。
 三ページをごらんください。三ページは、デイサービス、在宅介護支援センター、ショートステイ、訪問看護ステーションなど、主な在宅サービスの区部における平成十年度末の整備数を記載しております。
 四ページをお開きください。四ページは、三ページと同様に、デイサービス等在宅サービスの市町村部における整備数を記載しております。
 五ページをごらんいただきたいと存じます。五ページは、2、痴呆性高齢者関連事業の実績でございます。
 平成十年度に実施いたしました痴呆性高齢者に関する在宅サービス、施設サービス、相談、調査・研究、研修などの主な事業名とその事業内容について簡単にまとめてございます。
 六ページをお開きください。六ページは、3、緊急通報システム整備状況でございます。
 緊急通報システムの整備状況を、区部、市部、町村部ごとに、その設置形態により消防庁方式と民間方式に分けまして、平成十年度の設置台数の実績を記載してございます。
 七ページをごらんください。七ページは、4、都内における養護老人ホーム等から特別養護老人ホームへの入所者数でございます。
 平成十年度における都内で特別養護老人ホームに入所された方のうち、養護老人ホームと軽費老人ホームから入所された方の数を記載しております。
 以上、簡単でございますが、資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 私は、今回は、都立の老人ホームについて何点か伺いたいと存じます。
 都立の老人ホームは、養護、特養、軽費、そして今年度からは老健施設と、高齢都民に対するさまざまな施策が行われ、都民からも高い期待が持たれておりますが、その中で、大変気になる改善すべき点の中でも、きょうは居室の改善について伺いたいと思います。
 まず、養護老人ホームについて伺います。
 養護老人ホームの居室につきましては、養護老人ホーム及び特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準という厚生省令第十九号の中の第十三条に、「居室に入所させる人員は、原則として二人以下とする。」このようにうたわれているわけでございます。現在の都立養護老人ホーム、すなわち板橋と東村山についてどうなっているか、現状をお聞かせください。

○我妻施設事業部長 ただいまのご指摘のとおり、養護老人ホームの居室定員の国基準は、一室二人以下でございます。
 板橋の老人ホームは、全部で六十九室ございますが、歴史が古いだけに、すべてが三人から四人室になっておりまして、国基準には適合してございません。
 また、東村山は、比較的歴史が新しいものでございますので、七百五十四室のうち、約三%の二十四室は四人室で、その他は国基準に適合してございます。
 また、伊豆山、吉祥寺、大森の各施設は、すべて国基準に適合してございます。

○小松委員 今のお答えですと、板橋では全部基準に満たない、また東村山でもごく一部を除いてということですが、この中で実態を見てみますと、特に男性の方などは、けんかによる生傷が絶えないというんですね。例えば、いびきがうるさくて眠れない、同室者が夜中にトイレに何回も起きる、うるさいとどなったら、どなり返してきたので殴ってしまったとか、または、四人部屋などでは、必ずボスといいますか、リーダーが出てきまして、その人に従わないといじめられると。東村山の例ですが、いじめによる精神不安症で入退院を繰り返していたある方が、この場合は、さっきおっしゃった一人部屋、これは桜棟にあるわけですけれども、個室に部屋を変えたら、すっかり治ったと。東村山では、二人、四人部屋の青葉棟から個室の桜棟に来ると落ちつくというのは、職員のだれもがおっしゃるところです。
 まあ長い人生、人それぞれの生き方がありまして、六十、七十歳になって、そのさまざまな生き方をされてこられた方々が、突然三人、四人同一部屋で、それも二十四時間生活するということですから、どだい無理な話なんですね。夫婦でも、二十四時間このような狭いところにいたら、おかしくなるーーそんなことないですか、それはうらやましいことですね。
 冗談は抜きにしまして、特に、板橋にしろ東村山にしろ、台東区からの入居者が大変多い。すなわち、それは、一時保護施設から来られる方が大変多いわけです。人間の基本的なプライバシーを守るというのであれば、個室化が求められなければなりません。そして、事実、先ほどのお話にもありましたように、この大森や吉祥寺では、もう個室になっているということですから、板橋、東村山でも、早急に個室化、少なくともこの基準外の三、四人部屋はなくす改善をすべきと思いますが、いかがでしょうか。

○我妻施設事業部長 ただいまのご指摘の板橋は、全室、国基準に適合しておりません。東村山の方は九七%適合してございまして、それに適していないのが三%ございます。東村山では八四%が個室でございます。
 いずれにいたしましても、国基準の一室二人以下、こういった方向を私どもも目指しておりまして、来年秋に開設予定で計画しております江東区の潮見の老人ホームのオープンに合わせて、順次居室の改善に取り組んでまいりたいと考えております。

○小松委員 先ほど、せっかく部長のお答えに対して、私の数字が間違っていたようで、それは訂正いたします。失礼いたしました。
 ともかくとして、この潮見に合わせて順次改善していくということですので、これは、特に三、四人部屋、大至急改善をお願いしたいということを申し上げておきます。
 次に、特養老人ホームの居室についても同じことがいえるのではないかということで、お伺いいたします。
 特養につきましても、先ほどの省令によりますと、第二十条に、「居室に入所させる人員は、原則として四人以下とする。」このようにうたわれておりますし、また、特別養護老人ホームは、この四月からは指定介護老人福祉施設という形になりましたから、その人員、設備及び運営に関する基準というのがあり、その中では、設備に関する基準としまして、居室は、一つは定員を四人以下とすること、また、同居室床面積を入居者一人当たり十・六五平方メートル以上とすることというふうにうたわれているわけですね。
 そこで伺います。板橋の特養ホームでの現状はどのようになっているのでしょうか。

○我妻施設事業部長 板橋の特別養護老人ホーム、私どもは板橋ナーシングホームという名称で呼んでございますけれども、百十三室のうち、約六三%が六人室でございますので、これが国基準に適合してございません。

○小松委員 六三%が六人室で適合していないというお答えでした。すなわち、一部屋に六人、これもベッドですから、二十四時間、どういうことになるか、これも伺ってまいりました。例えば、ポータブルトイレを使われる方が多いわけですね。このポータブルトイレを使用の方が、一列三人並んで二列で六人ですから、一列三人が一緒に使えない、二人でもきつい。そして、車いすを入れてターンしようなどとすると、まずはベッドを押して、そして車いすを入れるというような状況だそうです。また一方、おむつの方もいらっしゃいます。おむつ交換のとき、やはり人間の尊厳を守るということで、カーテンを閉めたい。ところが、そのカーテンがうまく仕切りと合わなくて閉められない、そういう状況になっているということだそうです。
 こんなことがあったということで、三年間待ってやっと入所できると喜んで来られた方が、この六人部屋をごらんになって、どうしても嫌だと。家族も、勧めたかったけれども、勧め切れずに帰られたということです。
 先ほど人間の尊厳と申し上げましたけれども、人間の尊厳とは一体何なのかを考えさせられます板橋の六人部屋ですが、この居室についてはどう対応されようとしているのでしょうか。

○我妻施設事業部長 先ほど申し上げましたように、板橋は六割が六人室でございます。
 なお、東村山の方は、歴史が新しいだけに、七十五室のすべてが四人以下で、国基準に適合しているわけでございます。
 ということは、その時代時代に合わせまして、常に最善の設備基準でつくってまいったわけでございます。ただ、時がたちますと、基準そのものの方が変わってまいりますので、ただいまご指摘のような点がございます。
 そこで、板橋の方は、今回、一部を老人保健施設に転換いたしましたけれども、それにあわせまして、老人保健施設の部分は一室四人以下に、国基準に適合するよう、第一弾として居室の改善を行ったところでございます。残る部分につきましては、利用者の状況あるいは都内全体の特別養護老人ホームの整備状況等を勘案いたしまして、順次、近年中に居室改善を行ってまいりたいと考えております。

○小松委員 全体的な整備状況を勘案するなどということではなく、事実、今ひどい六人部屋を、何とかいっときも早く、大至急変えていただきたい。住まいは人権という言葉がありますが、ホームの方々にとっての住まいは、まさにこの居室なんですね。この居室が、基本的人権が守られていなければ、この方々のプライバシー、人権、人間の尊厳などということがそら文句になってしまいます。この六人部屋を直ちに解消すべきことを強く求めて、次の質問に移りたいと思います。
 さて次は、私の地元、東村山にあります特別養護老人ホーム、すなわち東村山ナーシングホームについて何点か伺わせていただきます。
 今から十二年前、東村山ナーシングホームは、一般の特養ホームに加えまして、問題行動を有する痴呆の特別介護棟が併設されまして、リハビリ介護棟とともに大きな目玉として出発いたしました。
 ナーシングホームの事業概要にも、運営方針といたしまして、七ページに、問題行動を持つ痴呆性高齢者等、利用者の特性に十分配慮した専門的処遇の実施、さらには、ここには、問題行動を有する痴呆性高齢者など、特に手厚い介護と医療を必要とする高齢者を主な対象として、それぞれの介護棟で専門的処遇を目指すなどと書かれているわけでございますね。
 こうした大変すばらしい特別介護棟、この決算年次における実績をお伺いしたいと思います。

○我妻施設事業部長 平成十年度の特別介護棟の状況でございますけれども、念のために、特別介護棟につきまして簡単にご説明いたしますと、徘徊するような痴呆性の高齢者の方が、廊下を回遊式に回れるような仕組みになっているわけでございます。いろいろ物にさわってけがをしたりしないように、壁だとかそういったところに、いろんなぶつかるような品物を置かないとか、そういう工夫をしてある施設でございます。
 それで、ここは定員が五十名でございますけれども、痴呆の方々を四十名、それから、当時はミドルステイという、三週間から四週間くらいお泊まりの方を十名入れてございました。
 平成十年度の実績といたしましては、四十床の痴呆の方々はほぼ満床でございまして、新たに入ってこられる方は、年間で約十三名ございました。したがって、お出になる方も十三名いらっしゃったという状況でございます。

○小松委員 常に満床だと。中身をもう少し、本当はお聞かせ願いたかったんですが、私も間近になっての質問なので、後ほど、ぜひ今までの総括などをなさったらいかがかと思います。
 と申しますのは、ここにおける手厚い介護が、いかに問題行動を起こされる痴呆の方々がここで落ちつくか。ですから、それで、ぐるぐる回転してきたという実績があるわけです。
 この年は、痴呆性のグループホームを、例えば私立の立川の方でも立ち上げるとか、また都営住宅のグループホームも準備されるとか、いわゆる痴呆のグループホームが実験的にという形で行われ始めたときでありまして、まさにグループホーム対策がこれから本格化するという中でございました。
 都立のこうした施設、私も大変期待を持って見ていたのですが、この施設を十一年度限りで一般介護棟にしてしまったと。これはなぜでしょうか。

○我妻施設事業部長 私どものナーシングホーム、当時は特別養護老人ホームというスタイルで運営してございましたけれども、これが板橋と東村山と二カ所ございます。両方の入所者総定員が八百五十名でございますけれども、そのうちのちょうど三分の一が痴呆の方々でございます。
 東村山では、先ほど申し上げましたような特別介護棟というのを持ってございますけれども、一般介護棟の中にも痴呆の高齢者の方がいらっしゃって、ちょうど三分の一が痴呆の方々であると。
 また、板橋ナーシングホームは、そういう特別介護棟というような設備を持ってございませんけれども、各フロアに痴呆の方々が入っていらっしゃいました。それも、ぴったり同じ三分の一の人数でございます。

○小松委員 今のお答えで、なぜその特別介護棟をやめてしまったかという納得のいく説明はいただけませんでしたけれども……。

○山本委員長 ちょっと待って。もう一回、今の答えを補足させる……。

○小松委員 ええ。お答えがなかったので、申し上げようと思ったんですが、それじゃ、お答えになっていただいて……。

○我妻施設事業部長 今回、特別介護棟という名称はなくなりますけれども、これは特別介護棟をなくすわけではございません。
 といいますのは、まず先ほど申し上げましたように、特別介護棟というのが全部でベッドが五十。そのうち痴呆の方を専用に四十としておりましたのを、今回、ワンフロアすべて、五十を痴呆専門の方で埋めたいというように考えております。それが第一点でございます。
 第二点は、特別介護棟という区切りがありますと、そこにしか痴呆の方を入れないというような意識も芽生えないわけではございません。むしろ特別介護棟で培ったいろいろなノウハウをすべての介護棟に、職員に学んでいただきまして、全所を挙げて痴呆の方々の入所比率をさらに高めたいという趣旨でございまして、特別介護棟、一般介護棟の機能をフルに活用し、痴呆性高齢者の受け入れを大幅に拡充、発展するものという方針で臨んでおります。

○小松委員 そのお言葉のとおりになると大変いいと思いますが、実際はーーなぜこの特別介護棟がよかったかと申しますと、手厚い介護と先ほどから申しておりましたのは、やはり人員配置なんですね、二・五対一という。これが普通になってしまった。そのことがどうなのかというのは今後の結果を待つし、それからまた、今おっしゃったような今までのノウハウを活用して全所の中に生かす、ぜひそれはやっていただきたいというふうに思うわけですが、やはり、この二・五対一だからこそできた、その中で、今回の措置は大変残念で、遺憾というふうに思うわけです。
 こういう重度の痴呆の方々、他では受け入れてくれない処遇困難な方々をこそ、都立の施設だから受けてもらえるという、そういうものがなくなってしまったということではないというふうに私は受けまして、これからも、痴呆に対する、いわゆるこのホームもしっかりとやっていってほしいと求めておきたいと思います。
 ところで、その次に、この四月から始まりました介護保険のために、この決算年度、九八年度でもさまざまな準備をしてまいりましたね。リハビリ介護棟を廃止して老人保健施設にする準備とか、この四月から出発しております、さまざまな準備がされているわけですけれども、この特養ナーシングホームが、このことによってどのように変わってきたのでしょうか。それに基づく職員定数の変化、特にOT、PT、STなどについてお伺いしたいと思います。

○我妻施設事業部長 介護保険法に基づく特別養護老人ホーム及び老人保健施設の職員の配置基準は、例えば介護、看護職員につきましては、利用者三人に一人となってございます。その他の職種についても、それぞれ国が定めてございます。このため、ナーシングホームの職員定数は、介護保険施設との適用を受けるため、国基準に適合するように是正したところでございます。
 この結果、平成十二年度の東村山ナーシングホームの職員定数は百四人といたしまして、十一年度の百十四人に対して十人を減員といたしました。その主な内訳は、看護職が五人、リハビリ職が四人等でございます。

○小松委員 特にリハビリ職が四人減らされたと。特養と老健で、今までSTをあわせますと七人いたのが、三人になっているわけですね。これで、特養ホームのリハも、今までどおりできるのでしょうか。大変危惧いたしております。
 入所者に渡されます重要事項説明書という中には、機能回復訓練をやるんだと。当施設の一階にある機能回復訓練室の機能を活用して、利用者の主体性を尊重しつつ、個々の利用者の心身状況に合った機能回復訓練を行うとして、個別訓練、集団訓練の説明をしておりますし、また、契約書の中でも、機能回復訓練は、専門職員(理学療法士、作業療法士)による個別訓練、集団訓練等、施設サービス計画に基づき行いますということをうたっているわけですね。
 事実、こうしたOT、PTの専門職によりまして、今までは大変適切なというより、非常にすぐれたリハビリテーションが行われていたということで、利用者も大変喜んでおられましたし、同時に、地域でも高い評価を受けていたのが、このナーシングホームでした。
 聞くところによりますれば、このリハビリテーション、いわゆる機能訓練が、ことしの四月から行われていないというふうに伺っておりますけれども、特養の利用者にも、四月から今までどおりやっているのか、やっていないのか。やっているとすれば、この十日間ぐらいの実績をお願いしたいと思います。三人のOT、PTが、特養の利用者何人に何時間ぐらいやったかということです。

○我妻施設事業部長 ご案内のように、四月一日から介護保険が施行されました。私どもの施設も、四月一日は土曜日でございますけれども、関係職員がふだん以上に出勤いたしまして、この移行に伴ういろいろな準備と円滑な運営に力を費やしてきたところでございます。
 特に老人保健施設におきましては、初めての正式な適用を受けているわけでございますので、ここの体制をまず整備するということを第一に考えておりましたので、現在、リハビリにつきましては、老人保健施設の方の体制整備を重点に行っております。
 したがいまして、四月十一日現在、特別養護老人ホーム等のリハにつきましては、一時、見合わせておるところでございます。

○山本委員長 ちょっと待って。今、決算のあれですから、今は参考のためにお聞きいたしましたけれども、決算の問題についてお聞きください。

○小松委員 現在は見合わせているということで、やられていないということですね。
 そうすると、今後も今までどおり、この特養のリハというのはやっていけるのでしょうか。どのような形でやっていこうとされているのでしょうか。

○我妻施設事業部長 平成十年度の段階でございますと……。

○山本委員長 それで答えてください。

○我妻施設事業部長 はい。平成十年度の段階でございますと、ここにリハビリ関係の専門の医長を配置してございませんでした。それで、今度の介護保険の老人保健施設の適用を受けるに当たりまして、リハビリの専門医を医長としてお招きして、体制を今組み立てているところでございます。
 これまでのリハビリと今後のリハビリとの違いは何かといいますと、これまでは、いわゆるリハビリ職員だけがリハビリをやっておしまいという形でございました。しかし、これでは、多くのニーズにおこたえすることは大変困難でございます。特定の方に対しては大変親切な行為であっても、多くの潜在的なニーズのある方々に対しておこたえができないという状況でございました。今後は、例えば、専門的な個別訓練あるいは集団訓練の指導は専門職のリハビリ職員が行いますけれども、看護、介護職員が八十人以上も東村山ではおるわけでございます。したがいまして、そういった方々も一緒に付き添っていただいて、ある程度のノウハウを身につけていただく。そうしますと、訓練を受けられた方は、自分のお部屋なり、あるいは廊下なり、そういったところで復習ということを行うわけでございます。そうしますと、介護、看護の職員が付き添っていれば、そこで適切なアドバイスといったものができるわけでございます。
 いってみれば、今まではリハビリの専門職だけが行っていたリハビリを、ここの職員全体がチームワークを組んで、一丸となって総合的なリハビリを展開するというような体制整備を今行っているところでございます。
 したがって、今後、こういったものの成果が効果的、効率的に出てまいるように期待しているところでございます。

○小松委員 今までは、この決算年度も含めてOT、PTまたはSTだけがやってきたこのリハを、今後は職員全体でやっていくことでやっていけるんだということでしたが、きょうはもうこれ以上、私は、これからのことになりますから、追及はいたしません。
 ただ、全体でやっていこうとすると、職員が、皆さんがその技術を、ノウハウを身につけることは大変結構ですし、一丸となって皆さんがやろうとするその決意も結構ですが、大変厳しい職員の勤務体制の中で、ましてこのOT、PT、STはなくなったわけですから、大きく減らされた中で本当にやっていけるのかなと、危惧は私はします。そんな危惧はないよということを、ぜひ今後の中で見せていただきたい。後の結果は、次のまた適切な委員会の中でということで、きょうはこの辺でとどめておきます。
 ところで、この特養ナーシングでは、平日の夜間や土曜、日曜または祭日に相談窓口を開設して大変好評を得ているわけですが、この相談の中身などをお聞かせいただきたいと思います。

○我妻施設事業部長 平成十年度、平成十一年度はもとより、それ以前、私ども都立施設では、平日の夜間あるいは土曜、日曜の窓口開設といったものは行ってございませんでした。
 今回の介護保険の施行に伴いまして、平成十二年四月一日から、平日は午後八時まで、土曜、日曜も職員が出勤いたしまして、相談やあるいは入所の受け付け、そういったものを開始いたしました。
 四月十日までの十日間の土曜、休日の受け付け状況を見ますと、板橋では二十七件、東村山では十七件、合計四十四件。また、平日の夜間八時までの受け付けでは、板橋が五件、東村山二件、合計七件となって、全体では五十一件ございました。さらに、当然、平日の日中の受け付けもあるわけでございますので、この状況をご紹介申し上げますと、板橋では五十五件、東村山では百十二件、合計百六十七件で、この十日間、フル稼働を合計いたしますと、二百十八件の申し込みなり、お問い合わせなりがございました。
 簡単にその内訳を申し上げますと、特別養護老人ホームの申し込みが約四三%でございます。また、老人保健施設の申し込みも一五%ございました。また、電話等によるいろいろの細々とした相談、お問い合わせ等も約四二%ございました。これだけ多くの方々が入所をお待ちしているという状況でございますので、私どもといたしましても、現在の各施設のフル稼働を目指して頑張っているところでございます。

○小松委員 大変活躍していらっしゃる相談窓口だと思います。やはり特養は、満杯であるにもかかわらず、さらに特養に対する期待が大きいということも明らかになりました。
 そういう中で、全国でも数少ない夜間や休日の相談窓口、介護保険が開始されましたこれからは、ますます重要な役割を果たすことと思われますので、ぜひ広くPRして、介護保険や介護に悩む都民の相談相手になって、納得のいく対応をされることを望むことで、きょうは、この相談窓口の中身については終わります。
 このように、東村山のナーシングホームは、単なる特養ホームの開設にとどまらず、リハビリ専門の介護棟から重度痴呆の特別介護棟、これは変わったといっても、これらが今まであった。そして、相談活動まで、さまざまな施策を提供してきたわけですが、これがリハビリ介護棟を老健施設に、特別介護棟を一般痴呆棟にと、施設の内容を大きく変えようとしている中で、また、今まで養護や病院などとの三位一体の養育院が、各施設ごとの独立運営になった中で、今後は、都立だからこそできること、そのノウハウを生かしたあり方をどのように考えておられるのか、これを最後に伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○我妻施設事業部長 都立高齢者施設は、これまでも、保健、医療、福祉及び研究の連携による総合的なサービスを時代のニーズに合わせて提供し、病弱な高齢者を初め、介護する方々等への支援を行ってきたところでございます。しかし、これまでは、主として板橋、東村山のそれぞれの構内を中心とした都立高齢者施設間の連携にとどまっていたという側面がございます。
 今後は、都立や民間を問わず、高齢者にかかわる都内全域の病院、介護、福祉施設や在宅サービス事業者はもとより、元気な高齢者の生活の向上に貢献する企業さん等に対しても、ネットワークを築いてまいりたいと考えております。

○大山委員 まず最初に、介護保険をめぐって幾つか質疑をしたいと思います。
 介護保険がとうとう四月一日から始まったわけですけれども、ケアプランのおくれというのは大変大きな問題になっています。
 三月二十二日から二十四日、この三日間で、我が党は全国の調査をしました。全国平均で、ケアプラン作成依頼数が七六・五%となっています。ケアプランの作成を依頼していない方、また、依頼してもまだ作成されていない方も相当数残されていることが明らかになりました。厚生省も、ケアプラン作成漏れなどの実態を全国調査するという報道がありましたけれども、これが現実であることを示しているのではないでしょうか。
 特別区の作成依頼数は、全国平均よりも低い七一・八%ですから、なおさら深刻だというふうにいえると思います。
 そこで、まず質問したいんですけれども、ケアマネジャーの試験と養成が、この決算年度であります平成十年度から始まっていますけれども、十年度の実績はどうなっていますか。

○岡本介護保険室長 平成十年九月に東京都が実施いたしました介護支援専門員実務研修受講試験におきましては、六千三百二十八人の方が合格をしております。
 この合格者に対しまして、その後、実務研修を実施したところでございますが、その結果、六千百四十九人が研修を終了いたしまして、介護支援専門員の資格を取得したということでございます。

○大山委員 十年度では六千百四十九人が終了したということですけれども、その後、何回かやりまして、現在のケアマネジャーの有資格者と、そのうちケアマネジャーとして働いている人の人数というのは把握しておられるでしょうか。

○岡本介護保険室長 平成十二年四月一日現在、都内における介護支援専門員の有資格者でございますが、一万一千百五十九人というふうに把握しております。
 また、在宅の要介護者等に対しまして、居宅サービス計画、いわゆるケアプランでございますが、こういったものの作成などを行う居宅介護支援事業者に従事しております介護支援専門員の数は、三千三百四十人ということでございます。
 このほか、特別養護老人ホームなどの介護保険施設におきましても、介護支援専門員が配置されているところでございます。

○大山委員 合格している有資格者が一万一千百五十九人で、そのうち居宅介護支援事業者で所属して働いているケアマネジャーさんが三千三百四十人ですから、試験は受かっても、実際に仕事をしていらっしゃる方は少ないということなんですね。
 さらにお聞きしたいんですけれども、この三千三百四十人のうち、ケアマネジャーとして専任で働いていらっしゃる方というのは、どれぐらいいらっしゃるんですか。

○岡本介護保険室長 私どもは、専任であるか、あるいは非専任と申しますか、専任でないかということの統計はとってございませんが、ただ、常勤かどうかということに関して申し上げますと、常勤の者は二千七百五十六人というふうに把握しております。

○大山委員 常勤者が二千七百五十六人ということですね。
 それで、人数は把握できているわけですけれども、地元の新宿の、地域の介護支援センターのケアマネジャーさんのお話を伺ったんですけれども、その方は、ケアマネジャーは不足しているというのが実感だというんですね。例えば三月に入って要介護状態になった方など、どこの事業者に電話をしても、ケアマネジャーが手いっぱいで断られてしまったということで、介護支援センターに電話をかけてきたという方が結構いらっしゃるわけですね。
 ケアマネの試験は合格しても、実際にやらない方、しかも、その業務というのは、片手間ではできないということを強調されているんですね。例えば、ケアマネの資格をとった訪問看護婦さんは、みずからの訪問看護をやりながらケアマネジャーの仕事をしているわけですね。申し込みをされた方の分は、何とか三月中に仕上げなければということで、連日夜中までやってしまって、体を壊した方もいらっしゃるということなんですよ。
 このように、人数と同時に、どのような仕事が、実際の仕事がどうなっているかということが問題なんです。三千三百四十人で、結構多いんじゃないかという判断でいらしたら、大間違いだというふうに思っています。ケアマネジャーというのは、大体が看護婦さんであったり薬剤師さんであったり、自分の仕事を抱えながらやっているという方が多いわけですね。
 もう一つ、ここで確認したいんですけれども、ケアマネジャーさんの介護報酬というのはどうなっていますか。
   〔委員長退席、前島副委員長着席〕

○岡本介護保険室長 ケアマネジャー、介護支援専門員でございますが、主な業務といたしまして、在宅の要介護者等が介護保険から給付される在宅サービスなどを適切に利用できるように、居宅サービス計画を作成したり、あるいは在宅サービス事業者との利用の調整であるとか介護保険施設等への紹介など、そういった居宅介護支援、いわゆるケアマネジメント業務を行うわけでございます。
 このような居宅介護支援に対する介護報酬でございますが、月額で申し上げますと、要介護度によって違いますが、要支援の場合には六千五百円、それから要介護一または二の場合には七千二百円、さらに、要介護三から五のケースの場合には八千四百円というふうになっております。

○大山委員 ケアプランを立てて、なおかつその方たちをフォローしながらやっていくという仕事ですけれども、介護度によって六千五百円や七千二百円、八千四百円ということですけれども、例えば、厚生省がいう一人当たり五十件だということで計算しても、一カ月で、七千円平均にすると三十五万円なんですね。これは社会保障の保険料だとかも全部入っているわけですから、この介護報酬というのが低いというのは、もう大方の評価というのは一致していて、とてもケアマネジャー専任でなりわいとして成り立つようなものではないということが、やはり専任でできない原因の一つだというふうに考えますけれども、どう認識されていますか。

○岡本介護保険室長 介護報酬の額の問題でございますが、この介護報酬につきましては、国におきます審議会での審議を経て決定されたものであり、適正なものであるというふうに理解をしております。

○大山委員 額がどうこうといっているよりは、専任でできない原因の一つではないでしょうか、認識はどうですかという質問なんですけれども、いかがですか。

○岡本介護保険室長 私といたしましては、そのように認識はしてございません。

○大山委員 実際、専任でやっていらっしゃる方が大変少なくて、自分の仕事をやりながらやっている、そして夜中までかかってやっていた方というのが、この三月、二月、一月は大変多く出ているというのは、もう皆さんご承知のとおりなんですね。
 ケアプランの作成から考えましても、在宅介護支援センター、先ほどから出ていますけれども、大変重要だというふうに思っています。十年度末の実績と目標はどうなっていますか。

○金内保健福祉部長 在宅介護支援センターの十年度末の実績は、百七十カ所でございます。
 今後の目標につきましては、十四年度に六百カ所を予定しておりまして、おおむね中学校区に一カ所の割合で整備を進めてまいりたいと考えております。

○大山委員 十年度では百七十カ所で、十四年度で目標が六百カ所というご答弁でしたけれども、「とうきょうプラン’95」でも、それから決算年度の十年に出しました改訂重点計画でも、十二年度の目標が六百カ所ということになっているんですね。十年度は二百三十三カ所という目標になっています。目標の中学校区に一つという計画が、この決算年度の改訂重点計画では、六百カ所というのが十二年度なわけですけれども、いつ、どうして十四年度になったのでしょう。
 この計画というのは、介護保険法が九年の十二月十七日に成立して、十年度はまさに、介護基盤を画期的にふやさなければいけないという初めての年度なわけですね。その初年度に既に目標を下げて、あげくの果てには、十二年度までに六百カ所達成だったということですのに、その目標さえも下げてしまった。いつ、どうしてこんなに目標を下げてしまったのですか。

○有手高齢政策部長 これまでの整備状況から見まして、整備可能な年次に、今回策定いたしました東京都高齢者保健福祉計画の中で、この数値を修正したものでございます。
 これからにつきましては、目標年次までにこの目標が達成できるように、関係者とともに全力で取り組んでまいりたいと考えております。

○大山委員 画期的に基盤整備をきちんと責任を持ってやらなきゃいけないという年度で、もう目標を下げてしまう、そして今年度下げてしまうということでは、もう既におくれている整備なんですから、ぜひ十四年度までに頑張っていただきたいというふうに思います。
 ところで、介護保険法下での在宅介護支援センターの役割はどうなっていますか。
   〔前島副委員長退席、委員長着席〕

○金内保健福祉部長 介護保険制度下におきます在宅介護支援センターの役割でございますが、地域の在宅介護の拠点として、主に四つの役割があろうかと思います。
 一つには、介護報酬の対象とはなりませんけれども、総合相談、二つ目には高齢者の実態把握、三つ目には、要介護者以外の方等に対する保健福祉サービスの利用調整、例えば申請代行等、四つ目には、介護予防事業あるいは家族介護教室などの実施による地域ケアの推進等でございます。

○大山委員 公的な役割を持つ在宅介護支援センターですからこそ、今おっしゃったような高齢者施策全般に関する相談や支援、それから地域の情報体制の整備だとか地域ニーズの把握、予防的対応、早期申請の啓発、サービスの質の向上のための調査、評価活動、苦情処理等の利用者保護の介護報酬の対象とならない分野での活動というのは大変重要だというふうに思っています。
 同時に、先ほどケアプランのお話をしましたけれども、介護報酬の対象となる分野でも、困難ケースへのケアプランの作成なども、公的なセンターだからこそ担えるということが、この短い期間でしたけれども、明らかになっています。介護支援センターのケアマネジャーさんは、一人のケアプランをつくるのに、二日も三日も振り回されてしまうケースもあるんです。面倒くさいものは民間企業はやらない。民間活力の導入といっても、裏側では、手のかかるものは断られてしまう。公的なところだからこそ支援センターが引き取ることができると、この間の実態について語っていらっしゃいます。
 介護支援センターは、たとえ介護報酬の出るものでも、不採算の分野を担うところだからこそ、それに専念できる十分な補助が必要だというふうに思いますけれども、その介護報酬の中の仕事も、そして介護報酬外の地域の仕事も含めて、きちんとそれに専念できる十分な補助が必要だと考えますが、どうですか。

○金内保健福祉部長 従来二名の国基準に加えまして、都として一名加算をしてまいりました。介護保険制度下では、要介護者等に対する相談やサービス調整等は介護保険に移行することとなりますけれども、保険対象外の高齢者等に対するサービス調整や介護予防の役割を担うことから、都としては職員一名分を加算することとしております。

○大山委員 一名分を加算することとしていらっしゃるわけですけれども、介護保険の前の十一年度までの補助額と十二年度からの補助額を比較してください。

○金内保健福祉部長 手元の数字が十一年度の数字なものですから、十一年度と十二年度とを比較させていただきます。
 まず、十一年度の補助額でございますけれども、都の単独加算の八百九十八万七千円を含めまして、国、都合計で二千七十万円でございます。
 十二年度につきましては、介護保険制度が開始されたことによりまして補助方式も変更され、事業ごとに補助する形といたしました。総合相談や高齢者の実態把握、福祉用具の展示等を実施した場合には、約五百万円の補助となります。この事業以外に、介護予防や家族介護支援などの事業を受託することによりまして、それぞれ規模等によりまして補助が出ることになります。
 一方、都の単独補助といたしましては、先ほども申しましたが、保険対象外の高齢者等への対策の充実ということで、一名分、七百万円を加算することとしております。
 先生のご指摘にもございましたけれども、このほかに、要介護高齢者等に係る相談やサービス調整等の業務は介護保険制度に移行するために、在宅介護支援センターが居宅介護支援事業者となっている場合には、介護報酬等の収入がございます。

○大山委員 今の補助額からだけ見ますと、今までが、十一年度は二千七十万円。そして、先ほど、国が重なると五百万と東京都が七百万、そうすると千二百万。二千七十万と千二百万ですから、国からも都からも激減だという状況なんですね。
 先ほども申し上げましたように、介護支援センターで担うべきケアプランの作成というのは、民間の企業では断られてしまうような困難なケースが多くなるということが予測されるわけですね。ケアプランの介護報酬は、それでなくても専任できないような貧弱なものだというわけですから、介護支援センターの本来の仕事は、地域の高齢者の把握、介護予防など多岐にわたるわけです。ですから、非常に濃厚な仕事であるだけに、ケアプランで稼げばいいというものではないと思うんですね。
 それで、これ、新宿区の老人保健福祉計画と介護保険事業計画なんですけれども、この中で、在宅介護支援センターの役割というのがあります。ケアプランの作成について書いてあるんですけれども、ケアプランの作成は、制度導入時は積極的に役割を果たす必要がありますが云々、サービスの総合相談や連絡調整の役割を中心に担いますというふうに、ケアプランの作成よりは、地域に住む高齢者すべてに責任を持つのが介護支援センターですよというふうにいっているわけなんですね。この役割についてはどうとらえていらっしゃいますか。

○金内保健福祉部長 先ほどお答えをいたしましたが、地域の在宅介護の拠点といたしまして、それぞれ大きな役割を担っていると考えております。

○大山委員 きちんと地域で担ってもらいたいということだったら、こんなに補助金を激減するのではなくて、きちんとした十分な手当てをするべきだというふうに思います。
 介護基盤整備なんですけれども、もう一つお聞きしたいことがあります。本日出していただいた資料では、デイサービスの項目で一くくりになっていますけれども、予算特別委員会の中で出た資料の中では、在宅サービスの中で「デイサービス・デイケア」というふうに一くくりになっています。それで実績が書いてあるんですが、デイサービスとデイケアは違うのでしょうか。

○金内保健福祉部長 デイサービス、デイケアの違いの前にちょっと申し上げたいんですが、運営費の関係でございますが、先ほど補助額を中心として申し上げましたけれども、私ども、補助額を含めまして試算いたしますと、在宅介護支援センターは、十一年度におきましては約二千七十万、十二年度につきましては約二千三十万ということで、ほとんど遜色がなくなってございます。
 ご質問のデイサービスとデイケアの違いでございますが、デイサービスにつきましては、平成十一年度までは、区市町村を実施主体といたしまして高齢者在宅サービスセンターで実施されておりまして、生活指導や入浴サービス、給食サービスのほか、日常動作訓練などの事業が行われております。一方、デイケアにつきましては、老人保健施設や病院等で、心身機能の回復または維持を目的といたしまして、医療の一環として機能回復訓練を行うものでございます。
 両者の違いは、デイケアがOTやPTまたは経験看護婦などの専門職員の配置が義務づけられているのに対しまして、デイサービスは、生活指導員、寮母、看護婦等の職員配置が緩やかでございます。
 なお、四月からは、それぞれ介護保険制度におきまして、デイサービスは通所介護、デイケアは通所リハビリテーションとして位置づけられております。

○大山委員 介護支援センターについては補助額が激減しているというのは、先ほどお答えになったとおりの激減なんです。そして、ケアプランを立てるということについても、先ほど再三質疑したように、困難なケースだとか、積極的にケアプランをつくるのじゃなくて、地域の仕事を主にやってくださいという方針が区などでは出ているわけですから、そういうことなんです。
 それで、デイサービスとデイケアですけれども、今のお話ですと、デイケアは、リハビリ専門のOTやPTが、それぞれの方に一人一人に合わせて計画もきちんと立てて行う。そしてデイサービスは、生きがいも含めて、日常動作訓練ということでグループなどで行うというサービスになっていると思うんですけれども、基本的に機能や役割が違うということなんですね。
 十年度のデイケアの実績なんですけれども、この予特の資料ですと、「デイサービス・デイケア」で一週間に四万五千七百八十六回という実績になっていますけれども、このうちデイケアの実績はどうなっていますか。

○岡本介護保険室長 ただいまの四万五千七百八十六回・週のうち、一万九百二十回・週でございます。

○大山委員 デイサービスはその残りということですけれども、地元の新宿なんですが、OT、PTが今までは一カ所の高齢者在宅サービスセンターに配置されておりまして、ここでOT、PTの方からリハビリを受けていたんですね。しかし、介護保険法のもとで、そこはデイサービスになってしまいまして、その高齢者のサービスセンターに通ってリハビリを週に四日受けていた高齢者の方々が、結局OT、PTがないデイサービスに、しかも週に二回しか通えなくなってしまっているんです。そのうちのお一人はーーお一人だけなんですけれども、区内に唯一あるデイケアに週二日、それでも二日になってしまいましたけれども、通うことになったんです。そのデイケアも、もう現状ではいっぱいで、これ以上は、今の現状では受けられないということなんですね。
 デイサービスももちろん整備しなければならないものですけれども、とりわけリハビリをきちんと組み立てた、社会復帰に向けたといいますか、きちんと専門家が行うデイケアはとりわけおくれていると思うんですけれども、このデイケアの整備はどう考えていらっしゃいますか。

○金内保健福祉部長 デイサービス、デイケア、今は通所介護、通所リハビリと申しますけれども、ともに介護保険制度では在宅サービスの一つと位置づけられておりまして、計画的に整備を進める必要があるというふうに考えております。

○大山委員 今、両方ともということなんですけれども、では、デイケアの拡充策はどのように考えていらっしゃいますか。

○金内保健福祉部長 通所リハビリを提供いたします施設でございます老人保健施設の整備を計画的に進めることとしております。整備に当たりましては、東京都は独自に、一床当たり四百万円の建設費の補助を行っております。さらに、建設資金や土地取得資金のうち、社会福祉・医療事業団からの融資に係る償還利子につきまして全額補給することによりまして、その整備促進を図っているところでございます。

○大山委員 デイケアの場所としては、老人保健施設というのは大変有力だというふうに私も思います。しかし、この介護基盤の整備状況を見ましても、十年度末で、老人保健施設がゼロというところが結構並んでいるんですね。区部もそうですけれども、多摩の地域でもゼロが並んでいるところがかなりあります。
 新宿でも、老人保健施設は今ゼロなんですね。今年度ようやく八十床のものができることになったんですけれども、目標はあるけれども、なかなか進まないというのが実情だというところなんです。いろいろ相談は来るんだけれども、結局は土地がネックになってしまっているという話も聞きます。聞きますというか、区の担当者もいっているんです。公有地の利用など、もちろん区も出しているんですが、国の土地だとか都の土地だとかの提供も含め、支援策が重要だというふうに思いますけれども、いかがですか。

○金内保健福祉部長 先ほど申し上げましたように、東京都におきましては、独自に建設費関係の補助を行っております。
 なお、老人保健施設の開設主体が、大部分は医療法人でございます。医療法人であることによりまして財産処分が可能であることなどから、補助対象物件の保全上、問題がございます。そのため、土地に対する助成については、現在のところ考えてございません。

○大山委員 いろいろと工夫して、積極的に建設できるように進めていっていただきたいというふうに思っています。
 もう一つ、高齢者の住宅保障についてお聞きしたいんですけれども、高齢者の住宅としては、シルバーピアとケアハウスが主なものだというふうに思っていますが、十年度のそれぞれの実績はどうなっているでしょうか。また、ケアハウスの全国状況はどうなっていますか。

○金内保健福祉部長 まず、東京都におきますシルバーピアとケアハウスの十年度末の実績でございますが、シルバーピアは六千四百六十四戸、ケアハウスにつきましては三百七十八人でございます。
 全国の状況でございますが、シルバーピアはございませんで、ケアハウスにつきましては三万七千四百九十二人となっております。

○大山委員 シルバーピアは東京都独自の施策ですけれども、ケアハウスは、全国の約一%しか整備されていないわけですね。どうしてこんなにも整備がおくれているのでしょうか。

○金内保健福祉部長 ケアハウスは、事業開始が平成二年度と、比較的新しい事業でございます。そのため、区市町村におきまして、その必要性が十分に認識されていなかったことなどが考えられます。

○大山委員 全国的に少ないというのだったら、今の理由というのは成り立つかなと思うんですけれども、全国の一%しか整備していないというと、やはり都自身の位置づけが弱いんじゃないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。

○金内保健福祉部長 先ほどお答えしましたけれども、東京都は独自にシルバーピアというような制度も持っておりまして、これの影響もあろうかというふうに思います。
 また、ケアハウスの整備につきましては、この三月末に策定をいたしました東京都高齢者保健福祉計画におきまして、高齢者の住まいの確保を重点的な取り組みとして位置づけまして、その中で、十六年度に二千百人を目標数として示したところでございます。

○大山委員 シルバーピアがあるから少ないんじゃないかというお話がありましたけれども、シルバーピアとケアハウスの役割の違い、それから国の補助の違いというのを教えてください。

○金内保健福祉部長 まず、シルバーピアとケアハウスの役割の違いでございます。
 一つに、対象者が違います。シルバーピアの場合は、独立して日常生活を営める者、ケアハウスにつきましては、自炊できない程度の身体機能の低下等により、独立して生活するには不安が認められる者ということでございます。
 二点目、サービス提供の内容の違いがございます。シルバーピアにつきましては、管理人、いわゆるワーデンと私ども呼んでおりますけれども、ワーデンが配置されておりまして、安全確認、緊急時の対応、一時的な介護等の業務を担っております。ケアハウスの場合には、これらワーデンの業務に加えまして生活指導員や寮母が配置されておりまして、食事サービス、入浴準備、そのほか相談、助言等の業務を行っております。
 次に、国の補助の関係でございますが、そのうちのまず整備関係では、シルバーピアにつきましては、公営住宅法による建設省の補助を受けているというふうに私どもは伺っております。また、ケアハウスにつきましては、入所定員に約一千万強の補助額を掛けたものを基準といたしまして、国が四分の二、都が四分の一の補助をしております。
 運営の関係につきましては、シルバーピアにつきましては、生活援助員が配置された場合は、年額二百十九万三千円を基準額といたしまして、国二分の一、都の四分の一の補助がございます。このほか、都単で、ワーデンについて年額百二十万の二分の一の補助がございます。それから、ケアハウスにつきましては、三十人規模で計算をいたしますと、事務費について年額三千三百七十三万程度となりますけれども、これから利用者の負担がございますので、利用者負担を引いた額につきまして、民間の場合には国三分の一、都三分の二の補助がございます。

○大山委員 対象者からいっても、サービス内容からいっても、役割が違うというのが明らかになったと思うんですね。それで、ケアハウスは、福祉職である生活援助員だとか寮母の配置がある上、食事サービスがついていますから、非常にいいわけですね。かなり日常生活が低下しても生活できる。しかも、国の補助は格段に違うというわけです。
 シルバーピアの入居申し込みができるのが六十五歳からですから、うまくいっても、七十歳近くになってようやく入居できる。何度出しても当たらなくて、やっと入居した時点で、もう後期高齢者になっている。ですから、今、シルバーピアの超高齢化だとか痴呆の問題などが非常に大きな問題になっています。知り合いで七十八歳で入居できたんですけれども、数年したら痴呆の症状が出てきて、ひとり暮らしだったもので食事の準備もできないということで、特養にその方は入れましたけれども、日常生活の援助だとか、それから食事のサービスなどがあったら、もっと地域で住み続けることができたのにという方なんですね。
 民間のアパートや普通の都営住宅は、ひとり暮らしの高齢者、着実にこういう状況の方がふえているわけですから、ケアハウスは求められているわけです。先ほど、今度の計画で十六年度に二千百人を目標にして思い切ってやっていくということですけれども、ぜひ積極的にやっていただきたいというふうに思います。
 それで、区の制度であるシルバーピアも、高齢者には重要な住宅なんですけれども、先ほど述べましたように、シルバーピアの高齢化も深刻です。シルバーピアにはワーデンがいますけれども、国の制度では生活援助員、LSA制度となっているわけですね。ワーデンと生活援助員制度は、どんな制度で、どこが違うのか。そして、生活援助員制度は何年からスタートしていますか。

○金内保健福祉部長 シルバーピアのワーデンでございますけれども、高齢者福祉に理解と熱意がある人が住み込みまして、安否確認や緊急時の対応等を主な業務としております。一方、国の生活援助員につきましては、社会福祉法人の職員で、主に施設から派遣され、都のワーデン業務のほか生活指導、相談なども担当しております。
 なお、生活援助員制度は昭和六十三年からスタートしております。

○大山委員 ワーデンさんと生活援助員というのは今の違いだと、六十三年からやっているということですけれども、東京都は、生活援助員制度は今どうして実施しないで、全国ではどれぐらい実施しているのでしょうか。

○金内保健福祉部長 都はなぜ生活援助員制度を実施しないのかということでございますが、昭和六十三年三月の制度発足時より、福祉サービスは、地域の高齢者在宅サービスセンターとの連携の中で対応することとしていたものでございます。
 また、全国の生活援助員制度の実施状況でございますが、ちょっと古い数字で恐縮でございますが、平成九年度末の実績では二百六十五団地となってございます。

○大山委員 全国的には展開しているわけですね。高在センターでやってきたわけですけれども、最近、一月ですか、高齢者施策推進室のメンバーで、高齢者在宅生活継続支援検討委員会では結果をまとめたというふうに聞いていますけれども、どんな結果になっているでしょうか。

○金内保健福祉部長 私どもで取りまとめをいたしましたのはことしに入ってからでございますが、シルバーピアが事業開始から十年経過したということもございまして、当時と状況が異なっていることから、今後のあり方やワーデンの業務等につきまして検討をしてまいりました。
 検討結果におきましては、ワーデン業務として生活相談及び日常生活の援助を加えることと、国の生活援助員の導入が有効であることなどが提言をされております。

○大山委員 一月にまとめて、それは何だか今年度予算に全く反映されていないんですけれども、どう具体化しようとされているのか。そして、現在のワーデンを福祉職に変える必要があると思いますけれども、どうですか。

○金内保健福祉部長 まず、現在のワーデンを生活援助員に変える必要があるかどうかという後ろの方の質問でございますけれども、その方からお答えをいたしますと、先ほど答弁いたしましたように、高齢化の進展に伴いまして、高齢者の状態は多様化してございます。これに適切に対応するため、国の生活援助員制度も有効であるというふうに私どもは考えておりまして、都営住宅、シルバーピアの方に生活援助員制度を配置することはどうかというご質問に対しましては、先ほど結果が出ておりましたけれども、我々は有効である、これから活用していきたいというふうには考えておりますが、国の生活援助員制度につきましては、シルバーハウジングプロジェクトに基づいた住宅に適用されるものであるということがございます。それに該当していれば配置は可能でございますが、既にシルバーピアにはワーデンが配置されておりますので、それらとの調整が必要であるというふうに考えております。
 また、生活援助員につきましては、区市町村が実施主体となりますので、区市町村とも十分調整する必要があるというふうに考えております。

○大山委員 有効だという報告が出て、そして要綱などの変更もこれからやるということなのかということを含めてお答えしていただきたいのと、引き続き、検討委員会の結果をもとにして積極的に進めていっていただきたいというふうに思います。

○金内保健福祉部長 先ほども申しましたように、調整事項がございますので、それらについてきちんと調整をした上で、要綱等の作成の事務に入りたいというふうに考えております。

○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 高齢者施策推進室関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、高齢者施策推進室関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で高齢者施策推進室関係を終わります。

○山本委員長 これより都市計画局関係に入ります。
 都市計画局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○本多総務部長 去る一月二十六日の当委員会におきまして要求のございました資料についてご説明申し上げます。
 お手元の都市計画局関係の平成十年度各会計決算特別委員会要求資料の目次の次の一ページをお開き願います。平成十年度都市計画局最重点施策一覧でございます。
 当局の最重点施策である都市交通対策の推進及び都市防災対策の推進について、事業別に記載しております。
 二ページをお開き願います。水資源対策費でございます。
 水源地域対策特別措置法に基づく整備事業及び利根川・荒川水源地域対策基金事業にかかわる、平成元年度から平成十年度における事業費負担金でございます。
 三ページをごらん願います。再開発地区計画の都市計画決定状況でございます。
 平成元年度から、年度ごとにその地区数と区域面積を記載してございます。
 四ページをお開き願います。東京都市計画公園「芝公園」の経過と現状でございます。
 芝公園の指定から最近までの経過等について記載してございます。
 五ページをごらん願います。首都高速道路公団に対する出資金等の支出状況でございます。
 首都高速道路公団に対する出資金及び貸付金を年度別に記載しております。
 六ページをお開き願います。総合治水対策における雨水流出抑制施設の整備状況でございます。
 貯留施設、浸透施設の整備の規模などを記載しております。
 七ページをお開き願います。各戸貯留浸透施設など助成事業の補助実績でございます。
 平成六年度から平成十年度までの浸透ますの個数、トレンチの延長、補助金額について、区や市ごとの実績を記載してございます。
 以上で、要求のございました資料についての説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願いいたします。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 平成十年度は、財政健全化による福祉などの削減、大型公共事業の引き続き温存という予算が決定され、執行されてきた年です。都市計画局は、事業費としては多くを計上、執行していませんが、財政立て直しのための努力をすべき二つの点について今回は伺います。
 まず初めに、ただいまの資料の中でご説明がありましたが、首都高速道路公団への出資金が九十九億円、無利子貸付が百六十七億円と十年度では支出をされております。この額はどのように決定をされていったのか、お伺いいたします。

○杉浦施設計画部長 首都高速道路公団に対します出資金及び貸付金でございますが、これは、出資金、貸付金の対象となります東京都内分の首都高速道路公団の建設事業に対しまして、一定割合で東京都が支出したということでございます。

○清水委員 先ほどの資料の中でも示されておりますように、また、今もご説明がありましたように、根拠としては首都高速道路公団法の四条四項という規定ということですが、この額は、一定割合ということだけで、その中身は決まっていない。ですから、毎年毎年大変大きな額の開き、額の大きな差があるというふうに、ここでもわかるわけです。したがって、一体どのような形で額が決定されていくのかということがほとんど不透明なまま支出をされてきているということを、これまでにも繰り返し指摘をしたところであります。
 それでは、出資金や貸付金は、財源が起債となっているわけですけれども、この発行利率というのはどういうふうになっているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 出資金などの財源は、おっしゃるとおり起債でございますが、これにつきましては財務局が決定していることでございまして、具体的にどういう起債を充当するか、あるいはまた発行条件がどうかまでにつきましては、私どもは把握してございません。

○清水委員 合計をそこに貸付金だけでもしておりますし、出資金だけでも、合計すれば膨大な額になるわけですけれども、これは都市計画局として認識をするぐらいに、やはり大事なことだというふうに思うんです。
 そこで、かねてから指摘をしておりますが、この出資金などが経常経費に入っているわけですけれども、先ほどの出資の内容のご説明からしても、実態というのは投資関連の経費であるというふうに考えますが、どのようにお考えでしょうか。

○杉浦施設計画部長 予算上の経費区分などにつきましても、私どもが決めることではございませんが、例えば自治省から示されております地方財政上の経費分類では、投資的経費というものは、普通建設事業費として支出されます工事請負費あるいは補助金が該当しまして、出資金や貸付金は該当しないものとされてございます。このため、首都高速道路公団への出資金、貸付金につきましては、都における予算見積もりにおきましても経常経費とされているものと理解しております。

○清水委員 私がいいたいことはーー予算の区分というのはそういうふうになっていると思うんですね。しかし、先ほど資料で説明いただきました平成元年度から十年度までの額に対する利息というのは、それぞれ、例えば二年度は年利六・五%とか三年度は五・七%とか、その当時の年利でこの額を掛けて十年度まで足してみますと、利息は約八十二億円余りになっているんですね。十一年度では約九十六億円ぐらいになっていると思うんですけれども、出資金であり貸付金であるとしても、八十億円以上の利息は東京都が支出をすることになっているわけです。
 それで、この事業の実績というのは、この決算書を見ると、都市高速道路建設等に係る費用ということで、確かに予算の区分は該当しないかもしれないけれども、実質的には投資的な経費で、そういうことを都市計画局自身が認識をすべきだということを私たちは繰り返しいってまいりました。そして、これが東京都の財政を大きく圧迫しているというふうに、私たちはこれまでも指摘をしてきたわけです。
 そこで、既に行財政改革基本問題特別委員会でも引用しましたけれども、総務庁が、高速道路に関する行政監察結果に基づく勧告を出していますよね。首都高速道路公団と阪神高速道路公団、この両公団に対して勧告を出したわけですけれども、ここにも、都市高速道路の建設、管理の主体として、この両公団は、都市高速道路の建設、管理を行い、料金収入により建設、管理に要した資金を回収する経営責任を負うことになるにもかかわらず、採算の確保を図る上で重要な意思決定である都市高速道路の路線の決定に当たり、経営の観点から意見を述べる機会を有していないとか、政府は、両公団による都市高速道路の建設、管理は、「特殊法人等の整理合理化について」により、事業資金を財政投融資資金に依存している特殊法人などについては、財投機関債の発行を自由化し、自力での資金調達に努めるものとする閣議決定を行っており、公団の経営責任のより一層適切な遂行が求められているというふうに勧告を出されております。
 それで、都市計画局としては、平成十二年の当初予算では、貸付金を利子補給で要求していたと思うんですね。これまで、公団独自の努力を行う道が必要である社債などもあるのではないかということをいってきましたけれども、これはそうした方向の一つであったのかどうか。それから、最終的に利子補給でなくて貸付金で予算化されたわけですけれども、その経緯についてお伺いいたします。

○杉浦施設計画部長 確かに私ども、当初予算要求では、公団に対します貸付金相当額を、利子補給分について都予算として計上いたしました。これの目的は、都の財政再建推進プランに沿いまして可能な限りの経費節減を行うということを目的として、そういった方式を想定して予算要求を行ったわけでございます。
 しかしながら、予算査定に当たりまして、国や公団とこの方向で制度の改正について調整を進めてまいりましたが、貸付金制度は基本的には国と協調して行うことや、さらには、今おっしゃいました公団自身の資金調達能力がこの金額まではとても無理であろうという、そういった解決すべき問題が多く、最終的には、従来どおりの貸付金で予算査定がなされたと理解しております。

○清水委員 現在十二年度予算でご努力されたように、今後も、公団に対して、出資金、貸付金について抑制を検討していくことが必要ではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 基本的な考えとして、東京の慢性的な交通渋滞を解消することによりまして、環境負荷の低減とか経済の高コスト構造の是正ということは、いわば都政に与えられた喫緊の課題と考えておりまして、財政再建は当然都における緊急の課題でございますが、いわゆる首都高速道路の中央環状線を含めました三環状、外環、圏央道の整備はやはり重点的に推進していく必要があると考えてございます。
 したがいまして、財政再建の趣旨を踏まえ、経費の抑制に留意はしますが、環状方向の道路整備も都における喫緊の重要課題となっているわけでございますので、整備の促進を図る努力をしていきたいと考えております。

○清水委員 私は整備の必要性を聞いたのではなくて、たとえ整備が必要である場合にも、必要か必要でないかということは別にしても、こういう東京都の財政が大変なときに、先ほども高齢者福祉でいろいろな議論がされて、今本当に支援を必要としている部分があるときに、先ほどいったように、こういう出資金や貸付金のあり方を都市計画局がどう認識して、どのように公団に対して取り組んでいくかということが大事だということを私は要求をしているわけです。
 環状道路の問題については最後にまた触れますけれども、次に、平成十年度の当初予算、一番最初に出される予算では、外郭環状道路と周辺のまちづくりに関する調査費用が要求されておりましたが、ゼロ査定になりました。そうすると、十年度は調査は行わなかったのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 十年度予算につきましては、外環に関する調査費を確かに要求しまして、財務査定では削られてございますが、私どもの都市計画調査費の中で、実際には約千五百万でございますが、国庫補助を受けながら調査を実施してございます。

○清水委員 決算書のどこに記載をされているのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 お手元の一般会計歳入歳出決算説明書の二八ページでございます。左肩にページ数が打ってございますが、二八ページにございます目の2の都市計画調査費の範囲の中で執行をいたしております。

○清水委員 ちょっともう一つ、詳しく聞きたくなったので教えてください。
 四つありますよね、支出の内訳の四つ。この中のどこに入っているんですか。

○杉浦施設計画部長 内訳の四つあります三番目の都市計画事業現形測量の中で実施をいたしております。

○清水委員 当初予算ではゼロ査定であったものを、つまり、これは流用ということになるのでしょうか。ーーならないですか。
 では、予算がないのに行った理由についてお伺いしたいと思います。

○杉浦施設計画部長 外環の重要性にかんがみ、今後検討を進めていくに当たりまして、外環を地下にした場合の地上のまちづくりをあわせて検討していくことが必要であると考えておりまして、幸い国の補助金もつきましたので、予算の範囲内で実施させていただいたものでございます。

○清水委員 それならば、その都市計画調査費の3の経費内訳の、事業の実績・達成状況等の中に、問題というか、関心の高いことで予算要求してゼロであったものを執行したわけですから、ここに当然記載をすべきだというふうに思うんですね。これを見ただけでは、外環が調査を行われたのかどうかというのはわからなかったわけですよ。当初予算の要求書でゼロ査定になっているということがわかったわけですけれども、そういう決算書の書き方というのはいいのかなというふうに思います。大きなお金ではない、一千五百万といわれますけれども、内容は大変大きな事業につながっていくことであるので、決算のそうした記載の方法としては、やはり今後よく検討していただきたいというふうに思います。
 この年は、財政健全化で、福祉や医療は、冒頭に述べましたようにいろいろと圧縮されたときだったのに、当初予算がゼロだったのに投資関連はこうやって執行されるというのは、大変疑問だというふうに思います。
 では、調査を行った内容は公表されたのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 今回の調査では、外環周辺のまちづくりに整合した地上部のあり方や公共交通の導入の可能性について検討を行ったわけでございますが、こういった調査目的に対しまして、十年度調査のみでは内容的には完遂してございませんので、取りまとめができる段階ではございませんので、公表はしてございません。

○清水委員 外郭環状道路は、昭和四十一年に都市計画決定をされ、総延長八十五キロですよね。環状道路で、常磐道、東北道、関越道、中央道、東名高速など放射方向の高速道路とすべて接続するという道路で、当時、住宅地の中を通過するということで、区や市は多くの疑問の表明をされました。三鷹市議会の議長の反対要望署名とか、調布市長の再検討要望とか、都議会の反対請願の採択とか、練馬区議会の反対請願の採択とか、武蔵野、杉並、調布、狛江など該当する区市すべてが反対の意思決定をしていたと聞いています。そして、四十五年には国会で凍結宣言が行われたと聞いています。
 住宅地を通過する重大な影響を受ける道路であるということが、当時のこうした各区や市、都、国の動きの中から理解するわけですけれども、現時点で、それらは変更をされたのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 昭和四十一年に都市計画決定がなされましたが、以降、関係七区市ございますうち、世田谷区を除きました六区市の議会から反対の意見表明がなされましたが、その後、その意向が変わったという正式な意思表示はなされてございません。しかし、武蔵野市が平成十一年に地方自治法に基づく意見書を提出した以外は、いずれの区市につきましても、十年以上前の意見表明でございます。そういったことで、現在の意向につきましては明らかにされていないわけでございます。
 また、昭和四十五年に当時の建設大臣がいわゆる凍結宣言を行ってございますが、この凍結を解除したということはまだ聞いてございません。

○清水委員 区市の態度や、それから国の動向というのは、確かにいろいろな形で動いていることは理解をするわけですけれども、正式なそうした態度がまだ決定をされていないうちに、東京都が、予算がゼロだったものを執行して調査するということについては、大変疑問なわけなんです。なぜそれをしたかという理由は先ほどご答弁いただいたわけですけれども、少なくとも、そうした区や市や国の動向を見た上であっても遅くはないというふうにも思うわけです。
 そこで、外環の都内分の東名高速までの十六キロメートル区間の事業費は幾らになるのでしょうか。

○杉浦施設計画部長 事業費につきましては、現在のところ具体的に算定されたものはございません。
 参考までに練馬区の過去の事例で、ご案内のとおり、関越以北、大泉区間が完成してございますが、そのときの実績からいいますと、一キロにつき約一千億程度の事業費を要したと聞いてございます。

○清水委員 そうすると、総延長でいえば八兆五千億円、都内分で換算すれば約一兆六千億と、これは東京都が支出するお金ではないですけれども、膨大な事業費をかけて建設される道路であるわけです。
 先ほども触れましたように、整備の必要性があるかないかは別にしても、首都高速道路の出資金、貸付金、それからこうした大事業費のかかる工事について、今、本当にこうして特別に予算をつけて執行していくというようなことが必要なのかどうなのか。これまでにも触れてきましたけれども、尼崎などの公害裁判では差しとめ請求が出されました。そして、東京裁判で、近いうちに決定というか判決が出るというふうにいわれております。道路をつくった上でも、裁判の結果では、その道路が供用できるのかどうなのかという疑問の部分も出てきているわけです、今の東京の現状の中では。急いでつくる必要があるのかという点で、私たちは繰り返し意見をいってきたわけです。
 先ほど、目的についてもいわれました。渋滞解消とか自動車交通の分散とかいいましたけれども、都心に車が集中している真の原因を、本当に東京都全体で解消に向かって努力をしているのか。TDMとかディーゼル排気ガスとかいいますけれども、物流の、今の自動車が中心のあり方の問題、それから、丸の内や都心部などの再開発などに集中をさせていく道路をつくっていくということについて、やはり検討していく必要があると思います。
 これまでも、欧米の諸国がもう既に進めているLRTの導入とかTDMの導入とか、それから鉄道の交差化とか、そうしたさまざまな渋滞を解消する研究というのはされていると思うんですね。やはりそういうことに真剣に取り組んで、今東京が抱えている問題を解決していく、そして今の財政の立て直しにも向かっていくということが、東京の都市づくりを考える都市計画局には求められているというふうに思います。
 そういう意味では、今指摘をいたしました首都高についても外環の調査費についても、この十年度の決算というのは、冒頭に述べましたように、福祉などが削られながら、大型公共事業の引き続き温存という姿が出された決算だというふうに指摘をして、終わります。

○木内委員 都市計画局では、平成九年、十年の二年間にわたりまして、LRTの導入に関する検討、研究を行っております。その調査結果が十一年に報告、発表されているわけであります。
 今さら申し上げるまでもありませんけれども、世界の各国あるいは各都市でLRTへの評価が改めて行われておりまして、交通弱者あるいはまた障害を持った方々に対して非常に利便性が高い、環境に優しい、定時性が非常に高い。あるいはまた、新交通システムや地下鉄等の建設費に比べて、この建設コストが非常に安い。一説によりますと、地下鉄の二十分の一のコストでこの工事ができる、あるいは新交通システムの五分の一だと。これは各説あるわけでありますけれども、いずれにしても、これまでの概念をかなり超えた新たな評価が生まれているのでありまして、都議会のこの議論の場でも、LRTの導入については、再三にわたってこれまで議論が交わされてきたところであります。
 そこで、まずお尋ねをいたしますけれども、九年、十年に行われたこの調査は、東京都の都市交通行政の中においていかなる意味を持つのか、また、具体的な検討内容はいかなるものであったか、端的にお尋ねします。

○杉浦施設計画部長 LRTは、ただいま先生おっしゃいますとおり、欧米を中心とした諸都市において実績があるわけですが、人や環境に優しく、地下鉄に比べまして経済的なシステムとして導入されてきた経緯がございます。
 このような特徴を有するLRTにつきまして、東京における地域交通を担う都市交通機関としての有効性を検証するために、九年、十年の二カ年で調査を実施したものでございます。具体的には、各地域別の交通事情から六つの導入パターンを設定いたしまして、このパターンごとに事例研究を行いまして、課題とその対応策につきましての検討を行いました。

○木内委員 六つの導入パターンということの報告がありました。それぞれのいわば地域のニーズに応じたタイプが導入事例として検討されたわけでありまして、それぞれのパターンについて全部言及したいんですが、きょうは決算の審議ということでありますので、事例を絞ってお尋ねいたします。
 例えば、事例研究地区の一つに江東区の東部地域が選定されておりますけれども、この地域の調査結果から明らかになった課題、また、この課題を克服するための考えられる今後の具体的な対応策は何であるとお考えでしょうか。

○杉浦施設計画部長 江東東部地域におけます事例研究は、交通不便地域の解消を目的としたわけでございますが、具体的には、JR亀戸駅線と新木場駅の間の明治通り、さらには丸八通りを結ぶ路線を想定しております。この地域は、ご案内のとおり、既に市街化が進行しまして、これらの道路を新たに拡幅することが困難な地域でございます。このため、LRT導入につきましては、この明治通りや丸八通りの車線数を減らすことがどうしても必要となろうかと思っておりまして、これによります自動車交通への影響が課題として挙げられるわけでございます。
 その対応策につきましては、こういった自動車交通の容量低下に対する一般市民の理解と協力を得ながら、道路ネットワーク全体で自動車交通の平準化を図ることが必要であると考えてございます。

○木内委員 この十年度の事例研究は、実態についてかなり正確な把握がなされている、このように私は認識をしているのであります。
 今もご答弁がありましたけれども、導入空間の問題ということで申し上げれば、この空間の有効活用を図りながら、LRTの導入に伴う自動車交通への影響とのバランスをとることも念頭に置いた検討というものも必要なんじゃないか、こう思いますが、どうでしょうか。
 ちょっと一点、大事なキーワード。したがって、その結果、複線ではない、単線のあり方ということも今後検討されてよいのではないか、こう思いますが、どうでしょうか。

○杉浦施設計画部長 限られた道路幅員の中で、単線による運行というご提案でございますが、自動車交通への影響を少なくする一つの方策であると考えてございますが、その場合でも、LRTの上り下り車両相互の行き違い施設というものはやはり設置する必要があると考えてございます。その行き違い施設等をどう具体的に設置して、それがどういう形で空間として確保し得るかといったことにつきましては、地域交通を担う地元自治体とともに、地域の特性を踏まえながら、ご提案の趣旨について研究してまいりたいと考えております。

○木内委員 LRTは、都市における鉄道のように、高速で大量の輸送機能を担うということではないと思うんですね。一定地域のいわばアクセスや、地域内の日常的な生活の手助けをするような、恐らく地域の足としての今後の役割になるのであろう。今お答えいただいたように、地元の自治体とともに研究すべきだと思うのであります。
 この六つのそれぞれの地域は、たしか中央区、それから荒川ですね。あと、多摩の方でしょうか、六つの導入区間ーー荒川区は外されていないでしょう。(発言する者あり)不規則発言に私はお答えするつもりはないのでございますけれども、いずれにしましても、都内六地域ということになるのでありますが、今後の導入検討のさらに踏み込んだ研究を行う際には、地元自治体との十分以上の協議が必要であると思うんですね。したがって、今後、それぞれの自治体、区市町村との連携についてはどのように進めていかれるのか、お答え願います。

○杉浦施設計画部長 LRTは、おっしゃいますとおり、主に地域交通を担う公共交通機関という位置づけが、今回の調査結果でも改めて明らかになってございます。このため、ご指摘のとおり、地元自治体が主体となった取り組みが重要ではございますが、実現に向けて数々の課題もございます。その課題に向けました地元自治体の取り組みに対しましては、都としても、可能な協力に努めてまいりたいと考えております。

○木内委員 最後の質問であります。
 先ほど、江東東部地域のLRT導入までのコースとしての亀戸から新木場という話がありました。この十年の検討の後、新たな時代的環境といいますか、社会環境が大きく変わってきた面があります。それは、一つは臨海副都心の存在でありまして、さきに行われた定例会の答弁の中でも、昨年一年間で三千万人を超える人々が臨海副都心に集まり、また、いろいろな経済効果や雇用吸収効果というものが臨海副都心に今いろいろ付加されて、付与されている。そうして、都民の共有財産としての幅広い期待と将来への展望もここに集まっているわけでありますけれども、江東区の東部地域と臨海副都心のアクセスというものが非常に希薄でありまして、このために、例えば臨海副都心のお台場は港区でありますが、あとの有明北、南、青海というところはいずれも江東区なんですが、江東区の区民にとってのいわば意識は、なかなかアクセスしないという地理的特質を今持っているわけであります。
 したがって、先ほど新木場までという話がありましたが、今後も、こうした環境を反映させて、臨海副都心へのアクセスというものもこの検討路線に付加すべきではないか、こう思いますけれども、いかがでしょうか。

○杉浦施設計画部長 江東東部地域へのLRT導入につきましては、先ほど来申し上げているとおり、地元は江東区でございますが、江東区が導入に向けた取り組みを基本的には進めていく必要があると考えております。
 都としては、その際、ご指摘のような臨海部全般の開発動向も踏まえながら、可能な協力、例えば技術支援などを行ってまいる所存でございます。

○木内委員 以上で終わります。

○大河原委員 私からは、東京都の水源開発についてお尋ねいたします。
 資料も出していただきました。二ページにございますけれども、水源開発の直接の事業というのは国の仕事でありますけれども、東京の将来像を見越して都市整備を進め、都市開発を推進するという都市計画局の仕事として、水源開発を行うということは、ダムを引き受けてくれる当該自治体やその住民の方々の将来に大きな影響を及ぼすということで、私は大変責任のある仕事だというふうに考えております。
 平成十年度にも、この資料にありますとおりに、利根川・荒川水源地域対策基金等に係る事業費負担として五億円以上のお金が支出されているわけなんですけれども、東京都は、これまで、水源開発計画に基づいて、今もダムを幾つも計画している中に参加しているわけです。ここに水道局のパンフレットがありますが、この表のところに赤い印がついているのがまだ計画中のダムで、六つのダム、それから取水堰、導水路、農業用水の合理化計画、こういったことに都は参加しております。
 八ッ場ダムのように、三次フルプランの中に載っていても、まだ事業が始まったばかりというような状態のものもありますけれども、現在の四次のフルプランにおいては、東京都の将来の水予想、水需要をどの程度に考えていたのでしょうか。その点についてまずお尋ねいたします。

○高田総合計画部長 第四次フルプランにおきましては、このフルプランが作成された時期が昭和六十一年でございますけれども、その昭和六十一年時点において、将来の人口や経済の成長率などを予測しているわけでございますが、そういったものに基づきまして、平成十二年度の水需要量を日量六百九十万立方メートルと推計いたしまして、これに見合う水源の確保を図ることとしているところでございます。

○大河原委員 決算書にも、平成十年度、総合計画の中には、十一年度に策定されました水循環マスタープランの調査策定費が出ています。この水循環マスタープランの中には、水需要予測、今後の水需要を日量六百五十万立米と推計しているように見受けます。これは、どのような経緯で六百九十万トンという四次のフルプランから六百五十万トンになっているのか、その点についてはいかがでしょうか。

○高田総合計画部長 東京都水循環マスタープランにおきましては、おおむね四半世紀後の都の水需要を推計してございまして、これは、生活都市東京構想による将来の人口や経済成長率などをもとに、今先生おっしゃいました日量六百五十万立方メートル程度というふうに推計しているわけでございます。
 先ほどご答弁申し上げました第四次フルプランとの差でございますけれども、この時点における将来の人口や経済成長率などの見込みが、第四次フルプラン策定当時と比べまして低くなっておりまして、これらが水需要の推計に反映されたものということでございます。

○大河原委員 基礎になった人口とか経済成長率が変わった。実際には、見込みが低くなっているわけですね。たしか一千二百二十万人から千百六十万人、人口でいえば変化があり、経済成長率などは本当に予測がつかなくて、多分四%から二%ぐらいに実際にはなっているというふうに思います。
 それで、実際に東京都の水道水の需要というのは、九三年以降、毎年減り続けています。そして、実際には、水利権として日量六百十三万トンを東京都は既に持っていますけれども、需要としては、もう一日五百万トン台になっているんですね。
 そういうことを考えますと、次の改定、第五次のフルプランのときに、東京都がどんな水需要を出すのかということに注目をしなければならないと思うんですが、四次の六百九十万トンから、水循環マスタープランの中では、既に水道局、都市計画局さんとも調整をした上でこういう六百五十万という数字が出てきていると思うんですけれども、策定の中で、さらに将来の水需要というのをどのような形でどのように見直していくのか、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

○高田総合計画部長 都におきます将来の水需要でございますけれども、今後策定予定の東京構想二〇〇〇で示されてまいります将来の人口や経済成長率などに基づき、推計することになります。
 また、その際には、近年におきまして降雨の状況などが大分以前と変わってきておりますので、そういった水需要をめぐるもろもろの状況を総合的に勘案いたしまして、関係局と調整を図りながら都の水需給の見通しを定め、第五次フルプランを策定いたします国と十分協議、調整をしてまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 昨年策定された水循環マスタープランというのは、本当に環境面にも配慮しながら都市の水循環を回復していく大変大きな構想として、水政策を総合化する大きな転換を示しているというふうに、私は評価を高くしているところなんです。
 それで、その中でも、今後の水資源については、確かに東京という大都会で安定した水を供給するということについては、大変大きな、まず自己水源が大変限られているわけですから、難しい、ダムに頼らなければならない部分もあると思うんです。ただ、やはり足元の水、地下水の利用とか雨水の利用とか、水循環マスタープランの中でも提案されているような総合的な水利用を進めていくべきだというふうに思うわけなんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

○高田総合計画部長 お話のございました地下水は、身近に利用できる、都内にあります貴重な水源の一つというふうに理解してございます。しかしながら、地下水は、過剰に取水しますと、地盤の沈下ですとか、それから湧水の減少などをもたらすということもございます。
 今後とも、水資源開発による安定した水資源確保に加えまして、地下水の適切な利用を図るとともに、水の有効利用を推進してまいります。

○大河原委員 第四次のフルプランが今年度までで、五次に向かって、局も、今後の水需要予測見直しについてもさらに検討を進められることと思います。
 昨年の全国総合水資源計画、ウオータープラン21というのは、二〇一〇年から二〇一五年を目標としております。知事が出される二〇〇〇年構想、これの中で、東京がどんなまちになっていくのか。人口が減る、あるいは今ちょっと微増しているようですけれども、ただ、中身については、高齢化や核家族化、そういったものもありますし、節水機能のつく機器が普及するといったこともあるというふうに思います。
 そして、今、水源の開発の事業に関しても、総合的に事業評価ということをしていかなくてはなりません。きょうの委員会でも、道路のことですとか鉄道のことは、自分の目の前にあるからこそ見やすいわけですけれども、水源の問題は、本当に遠くにあって、一度決めてしまったものを蛇口を閉めることはなかなか難しいものだというふうに思います。
 予算の審議の中で、水道局が初めて行った公共事業としての評価もしましたけれども、やはり国が決めている事業について自治体の側から声を出していくのは、大変難しいというふうに思いました。公共事業の評価制度が定まらない中では、やはり担当する局が、総合的な都市計画の中で、例えば対案としてどんなものがあるのかーー水道局の評価委員会の中では、委員の方が事業評価の後の意見ということでお出しになっている部分があります。それは、今、利水安全度の問題で、国のフルプランによって決定されているけれども、東京都の自助努力は認めるけれども、荒川や利根川水系だけに頼るのではない、既得水源の活用など総合的な対策が必要であるというご意見なんですね。
 これについても、水道局としては、これまでの需要計画も、恐らく水需要のピークに合わせての計画でした。これは電力と同じで、ピークに合わせた計画というのがこれまでの国のやり方でもあったわけですけれども、水の場合は、ピークの日があっても何日かは大丈夫という、渇水を経験した人は渇水に対して結構免疫力がついてくる、そういうこともあります。別の方法、節水や今持っている水源の有効活用、改善、そういったことが大きく影響してくるというふうに思います。
 都市計画局の仕事として大変重要だというふうに私は考えておりますので、第五次フルプランに向けての局の姿勢、ぜひとも循環型、そして水循環マスタープランをつくっている、そういうところに足場を置いて進めていただきたいというふうに思います。
 終わります。

○山本委員長 ほかに発言がございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 都市計画局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、都市計画局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都市計画局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後三時三十七分散会

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