各会計決算特別委員会速記録第十四号

平成十二年四月七日(金曜日)
   午後一時七分開議
 出席委員 二十九名
委員長山本賢太郎君
副委員長服部ゆくお君
副委員長前島信次郎君
副委員長大山とも子君
理事木内 良明君
理事土屋たかゆき君
理事遠藤  衛君
理事小松 恭子君
理事立石 晴康君
中嶋 義雄君
吉住  弘君
竹下 友康君
くぼた 光君
東野 秀平君
川井しげお君
藤田十四三君
大河原雅子君
田中 智子君
清水ひで子君
倉林 辰雄君
野田 和男君
林  知二君
大木田 守君
羽曽部 力君
藤川 隆則君
萩谷 勝彦君
田村 市郎君
佐藤 裕彦君
植木こうじ君

欠席委員 一名

 出席説明員
多摩都市整備本部本部長久保田康治君
建設監山下 保博君
管理部長永井 征士君
企画推進担当部長二ノ宮 博君
建設計画部長宮崎 真澄君
都立大学事務局局長土肥 謙二君
次長矢島 紘一君
港湾局局長浪越 勝海君
技監高見 憲一君
総務部長阿部  功君
港営部長高橋 和志君
港湾振興担当部長小宮山元二君
開発部長渡辺日佐夫君
臨海部開発推進担当部長南雲 栄一君
参事高野 一男君
港湾整備部長増田 忠亮君
計画調整担当部長宮地 陽輔君
離島港湾部長小池 正臣君
参事押元 雅治君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  多摩都市整備本部関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・新住宅市街地開発事業会計決算(質疑)
  ・相原小山開発事業会計決算(質疑)
  都立大学事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  港湾局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・港湾事業会計決算(質疑)

○山本委員長 ただいまから平成十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、多摩都市整備本部、都立大学事務局及び港湾局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見の開陳等は後日行います。ご了承をいただきます。
 これより決算の審査を行います。
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 多摩都市整備本部関係に入ります。
 多摩都市整備本部関係の決算につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○永井管理部長 去る一月二十六日の当委員会におきましてご要求のありました資料につきまして、お手元の平成十年度各会計決算特別委員会要求資料に基づきましてご説明申し上げます。
 表紙をおめくり願います。目次でありまして、三点の資料がございます。
 次の一ページをお開き願います。多摩ニュータウン各住区の入居開始年次及び小中学校の設置状況でございます。
 稲城、多摩、八王子の各市におきます、施行者別の各住区入居開始年次と小中学校設置状況をお示ししてあります。
 次に、二ページをお開き願います。新住宅市街地開発事業におきます都有地の売却状況及び貸付状況でございます。
 (1)の都有地の売却状況では、住宅用地、業務用地の別に、全体計画と売却実績、残宅地をヘクタールの単位でお示ししてあります。
 (2)の都有地の貸付状況では、箇所数、場所、面積、目的及び土地利用計画上の用途をお示ししてあります。
 続きまして、三ページをお開き願います。相原・小山地区の都有地等売却状況でございます。
 都有地、保留地の別に、全体計画、売却実績、残宅地をヘクタールの単位でお示ししてあります。
 以上で資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○清水委員 平成十年度は、多摩ニュータウンの開発が始まり、ただいま資料でご説明いただきましたように、入居が開始されてからおよそ三十年余りを経た年になっています。十年度に、大妻女子大学社会情報学部が首都圏ニュータウンの現状調査という調査をされた結果がまとめられておりますが、多摩ニュータウン、港北ニュータウン、千葉ニュータウンの三千人を抽出し、一千人余りの方から回答されている調査であります。
 これによりますと、平成十年度では、これらのニュータウンの居住者が、住みよい、多少住みよいという回答を合わせると、多摩ニュータウンでは約八〇%余りになっております。しかし、これまでの間には、鉄道もなかった時代、商業施設も全くなかった時代、公共施設も全くないということが何年も続いて、私も、市議会でも多くの発言をした経験があります。今日、不十分ながら、やっとそろってきたというのが住民の意識だというふうに思います。八王子の部分でいえば、市民という意識がまだまだ十分にないといわれるのが今日の現状であります。したがって、これからが、新たな大事な課題への対応が求められる時期だと思います。
 そこで、多摩ニュータウン事業再構築検討委員会が発足されたというふうに聞いておりますが、どのような目的で、どのような構成メンバーによって進められているのか、お伺いいたします。

○二ノ宮企画推進担当部長 東京都施行区域の造成工事が、平成十一年三月末で約九六%の進捗でございまして、収束段階を迎えている中、多摩ニュータウン事業には、現在、課題といたしまして、宅地販売の促進、少子高齢社会への対応、多摩市が新たに業務核都市に位置づけられたことなどを踏まえまして、広域連携機能の強化などが発生してございます。
 従来の基盤整備、住宅供給を中心とした事業手法だけでは、こうした課題に適切に対応していくことは難しく、地元市、民間、大学、公団など多様な主体を組み込んだ、まちづくりの新しい枠組みを再構築していく必要がございます。
 このため、多摩ニュータウン事業の再構築について調査を委託したものでありまして、多摩ニュータウン事業再構築検討委員会が設置されております。メンバーにつきましては、日端康雄慶應義塾大学教授を委員長といたしまして、学識経験者、国、都、地元市及び都市整備公団のメンバー十三名で構成されております。

○清水委員 この委員会の構成メンバーですけれども、ただいま簡単にお答えいただきましたけれども、伺うところによりますと、地元にあります都立大学の教員が構成メンバーには含まれていないというふうに伺っております。昨年、都立大学の五十周年記念のいろいろな事業が行われ、都交響楽団とかいろいろありまして、その中で可能な、参加をさせていただいた中で、多摩ニュータウンの問題についてのシンポジウムが行われたんですね。
 一般はがき応募をさせていただきまして参加をしたのですけれども、そこでお話を伺った中で、今後の多摩ニュータウンをどういうふうにしていくのかという、さまざまな視点から研究をされている先生がおられました。もちろん、都立大学の先生だけではなくて、筑波大学の先生などもお話しされておりましたけれども、多摩ニュータウンのこれからの問題を話し合われるときに、都立大学のそうした研究をされている先生などが、地元として、日々毎日、駅を利用されているとか、住民に接触されているとかいうことがあるわけですから、このメンバーに加わっていただくということをお考えにならなかったのでしょうか。

○二ノ宮企画推進担当部長 今の学識経験者につきましては、ニュータウン経営の仕組みの視点から、他のニュータウンの事例に詳しい委員の方が選定されております。都立大の先生についても、検討の中ではございましたけれども、今回は入ってございません。
 また、少子高齢化など、地域生活の視点から、このような分野で活躍している方も委員に選ばれております。

○清水委員 その理由はわかりましたが、最初に紹介いたしました大妻女子大学の調査の中で、多摩ニュータウンと港北ニュータウンと千葉ニュータウンの比較をしているのですけれども、共通している部分もあるのですが、多摩ニュータウン独自の問題というのもあるんですよね。ですから、他のニュータウンの経験に詳しい先生が入られるのはいいのですけれども、地元に、そこに大学があるということで、やはりそうした意見を聞いて今後に生かしていくことが重要だということでは、この点は、また別の点からも検討をしていただきたいというふうに思います。
 また、この委員会の検討の内容というのはどのようになっているのでしょうか。また、委員会の開催の回数というのはどのようになっているのでしょうか。

○二ノ宮企画推進担当部長 再構築委員会の主な検討内容でございますけれども、一つは、多摩ニュータウンの現状と課題、もう一つは、多摩ニュータウンに求められる新たな役割、もう一つは、多摩ニュータウンの新たな枠組みによります事業展開の必要性と事業再構築の方向などでございます。
 この検討のため、委員会は昨年の十月以降、三回開催してございます。

○清水委員 今後のスケジュールはどのようになっているのでしょうか、お伺いいたします。

○二ノ宮企画推進担当部長 平成十二年三月末に、ごく最近でございますけれども、最終委員会が開催されてございます。今後、都といたしましては、この委員会の報告を受けまして、都内部での検討を加え、多摩ニュータウン事業の再構築推進方策を策定いたしまして、国や地元市等関係機関との調整を進めていく予定でございます。

○清水委員 今後のスケジュールの今のご説明ですと、三回の委員会で最終というふうにご報告がされました。しかし、最初にこの委員会の目的をご説明いただきましたけれども、先ほどご説明いただいた中でも、新たな課題ということでは大変重要な問題が含まれておりますし、出発してから約三十年ということでは、各市にもいろいろな歴史とか経過があると思うのです。
 それから、この間、財政の問題をめぐっても各市といろいろなやりとりが行われたということでは、各市がさまざまな意見を持っているというふうに思うのですけれども、三回の委員会で最終ということで、十分に市などの意見が反映されるのでしょうか。

○二ノ宮企画推進担当部長 委員会の開催は三回でございましたけれども、この委員会には、地元の各市から、多摩ニュータウン担当の部長が委員として参加してございます。また、この委員会以外にも、行政関係の実務者、課長級で構成されます連絡会が六回開催されております。市などとの意見交換はその中で行っております。
 また、さらに、このほかにも随時、私ども、市との意見交換を行うなど連絡調整に努めてまいりました。

○清水委員 先ほどご説明いただいた検討内容で検討されているかどうか定かではないのですけれども、新しいまちというのは、これまでの整備の経過を見ても、先ほどいただいた資料の中にも、同じ年に学校が六校も開校されるとか、一遍に同じ世代が入居してくる、そういう経過をたどってきたわけです。
 また、最近、テレビでも放映されたことがありますけれども、新しいまちということで、歩道と車道が分離される、また、地形などでは丘陵地域を切り開いて造成される。ですから、駅から住宅までエスカレーターを使って行くという、堀之内の周辺のつくりなどもあるわけですよね。
 そういうことでは、他の既成市街地などとはまた違った、つくりと特殊性というのがあると思うのです。そういう中では、やはり起こってくる問題も、そうした既成市街地とは別の問題などが起こってくる。バリアフリーの問題とか、それから新しい世代がそろっているということで、学校の統廃合なども多摩市などでは出てきております。また、同じ世代が集まっているということでは、まとまったものが何かできるという有利な側面というものも進められております。ネットワークとか情報提供などを求める声というものも強くなっております。
 そうしたものが、この委員会の検討の中で網羅されているのかというと、私は、今十分にそれがされているというふうには、これまでお話を伺ってきて、感じることができないでおります。また、各市などでは、これから各市に移っていった場合に、これだけの大きな町をどうやって整備していったらいいのかという財政の問題などもあります。ですから、大変に大きな問題があるということは、だれもが認識するわけです。
 そこで伺いたいのは、これらの開発の経過というのがあるわけですけれども、東京都が計画を立てて進めてくる、そして、地形とか年齢とかさまざまな経過があるわけですけれども、こうしたこれまでの開発経過を踏まえて、これからの東京都の役割というのをどのように考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

○二ノ宮企画推進担当部長 東京都が行っております造成等の工事は、先ほども申し上げましたように収束段階に来ておりますが、事業者としての都の関与は、これから縮小していくことになります。このため、今後のまちづくりは、地域経営の主体であります市の役割が大きくなってくるかと思います。
 東京都は、多摩ニュータウンのまちづくりを進める仕組みに積極的に参加し、適切な役割分担のもとでまちづくりに関与していくことが、地域にとって望ましいというふうに考えております。

○清水委員 これは改めて申し上げるまでもないと思うのですけれども、発足に当たって、地元市との行財政に関する要綱ですとか、多摩ニュータウンの西部地区の開発大綱などという、当初の市などとの取り決めというか約束というか、そういうものが出発点としてあるわけですよね。ですから、そういうことも踏まえながら、今後、各市と十分に話し合いを重ねて、都の役割、市の役割というものを分担していただきたいと思います。財政の問題が一番大きいと思うのですけれども、都の役割を十分に果たしていただきたいというふうに要望をさせていただいて、次は、坂浜・平尾土地区画整理について伺います。
 平成九年に、坂浜・平尾土地区画整理事業が都市計画決定されております。この地域は、多摩ニュータウン全域を新住宅市街地開発事業として買収しようとしましたが、土地所有者の希望によって、約二百十二ヘクタールですか、買収が困難な地域約二二%余りを土地区画整理事業として開発することになった、その一地域であります。この間の経済状況の変化を見ても、また、多摩ニュータウン全体の住宅販売状況を見ても、これからこの地域に予定されております二千戸余りの住宅を新たに開発する必要があるのかどうかということが、疑問視されております。
 また、これは都市・環境委員会で質疑をしてきたことですけれども、オオタカの営巣なども確認されて、多摩地域の貴重な丘陵地であることから、委員会などでは、事業の見直しも求めてまいりました。現在、事業が始まっていないというふうに伺っておりますが、その内容についてお伺いいたします。

○宮崎建設計画部長 坂浜・平尾土地区画整理事業の区域は、稲城市の西部地域にございまして、多摩ニュータウンに隣接する、ただいまお話しございましたように面積二百十二ヘクタールの区域で、平成九年八月に都市計画決定されたものでございます。
 その後、事業の着手に向けて必要な準備を進めてまいりましたが、社会経済状況の大幅な変化に加えまして、都の財政健全化計画実施案や財政再建推進プラン等におきまして、東京都施行の土地区画整理事業については、既着手事業が一定の収束を見るまでは新規事業を実施しないということなどから、事業の着手を現在見合わせているところでございます。

○清水委員 それでは、この事業についてどのように対応しているのでしょうか。

○宮崎建設計画部長 本事業は、保留地処分金に多くの財源を依存いたしますが、近年の地価の下落や宅地需要の冷え込みなどによりまして事業の採算性が懸念されますために、工事計画や資金計画など事業計画の見直しを行っているところでございます。
 また、地権者に対しましては、事業の着手がおくれることについてご説明し、理解を求めてきているところでございます。

○清水委員 今後、この事業をどのようにしていくおつもりなのか、お伺いいたします。

○宮崎建設計画部長 平成十一年二月、昨年の二月でございますが、稲城市長から早期事業化について要請がありまして、また、地権者からも早期事業着手を求められております。
 当本部といたしましては、工事費の縮減、あるいは移転補償費を軽減する工事計画、早期の保留地処分収入を確保するための資金計画など、事業の実施を可能にする計画を策定いたしまして早期事業化に努めてまいります。

○清水委員 住民の方や市民の方の要望というのは、下水道の整備ですとか、河川の整備ですとか、道路の整備ですとか、当たり前の基本的な整備がこの地域ではおくれているということで、これまで、こうした決定の中で進めてほしいという要望が出されるのは当然のことだと思うんですね。当初の、三十年前のそうした計画の中の一環として組み込まれていたということもあったということで、それを望むというのはわかるわけですけれども、しかし、今のご説明のように、事業の採算性とか経済状況がどのようになっていくのかということも定かではないという状況、そしてまた、環境保全というような観点から、先日の定例会の中でも、採算性の問題がある公共工事、環境に配慮しなければならない公共工事などについては、やはり見直しをする見識が求められているのではないでしょうかということで、意見なども述べてまいりました。
 私は、オオタカの問題のときには、ずっと調査をこの地域の中で直接させていただきましたし、住民のそういう強い要望も理解をしているわけですが、そうであればなおのこと、下水道の整備などは、一体いつになるかわからないという状況でなくて、それぞれ単独で整備をしていくというふうにすればよいのではないかと考えるわけです。つまり、事業手法自体を見直す必要があるのではないかと思いますが、その点についてお伺いいたします。

○宮崎建設計画部長 本土地区画整理事業の主たる目的は、第一に、地区内に残されている良好な環境の緑地を公的な緑地として保全いたしますとともに、周辺からの開発圧力によって無秩序に市街化される、いわゆるスプロール化されることを防ぎ、良好な環境の市街地を整備する。また、第二に、多摩ニュータウンの関連公共施設であります鶴川街道、三沢川等の整備促進を図るということなどでございます。
 本事業につきましては、地元市や地権者との合意形成を経まして都市計画決定されたものでございます。道路整備、河川整備などの個別の事業としてでなく、土地区画整理事業による総合的なまちづくりを進めていく必要があるというふうに考えております。

○清水委員 そういう期待をするというのはわかりますけれども、しかし、現実の問題としてどうなのかということもあります。それから無秩序な市街化という点では、きょうも報道されておりましたが、都は、自然保護条例の改正を、私も自然保護審議会の委員ですけれども、四十何年ぶりに行うということで、そういう改正のときだからこそ、こうしたところの自然を守るという可能性もできてくるわけですから、今後、ぜひそれは検討していただきたいというふうに思います。
 続きまして、この決算書の中にあります秋留台地域総合整備計画の事業が、十年度決算では未執行となっております。平成五年の四月にマスタープランが策定されて以来、基本計画の検討、総合環境アセスメント制度の試行に向けて調査が行われたと聞いております。私は、都市計画の委員会で、この秋留台総合開発計画の一つ一つの事業が成功せずに、宅地造成されたのに野ざらしになっている事業、市の計画が既に変更されてしまっている事業など、都市計画局に対して実態を紹介しながら、これを見直すべきだというふうに意見をいってまいりました。
 また、こうした計画が進められていた千葉県のかずさアカデミアパーク開発の実態も調査し、圏央道沿線開発計画が既に今の経済状況の中では成功していないということで、事業の中止を求めてまいりました。
 そこで、先ほどもお伺いいたしましたが、未執行となっておりますが、それはなぜなのか、お伺いいたします。

○二ノ宮企画推進担当部長 ご質問の、平成十年度予算についての未執行の関係でございますが、これにつきましては、計画対象地域の環境の現況調査、将来の環境予測、評価など、総合環境アセスメント制度の手続に要する調査費といたしまして三千万円を計上してございました。
 しかしながら、本事業につきましては、秋留台地域総合整備計画、いわゆるマスタープラン策定以降の社会経済状況の大幅な変化などによりまして、なお一層の見直しが必要となったために、総合環境アセスメントの試行に入れず、未執行となったものでございます。

○清水委員 先ほど述べましたように、これまでの計画の中でもそういう状況なのですから、現在、この機会に抜本的な見直しが必要だというふうに考えられます。私としては、この事業の中止を決断すべきだと思いますけれども、今後の計画の見直しはどのように考えておられるのか、お伺いいたします。

○二ノ宮企画推進担当部長 多摩整備本部といたしましては、本事業につきまして、これまで、マスタープランに基づく基本計画の策定作業を通じまして見直しを行ってまいりましたが、このマスタープランそのものにつきましても、社会経済の変化に対応した見直しが必要になりました。
 このようなことから、平成十二年度からは、まちづくりに対しまして総合的な調整機能を持ちます都市計画局におきまして、将来を見据えながら、改めてマスタープランの見直しを行っていく予定でございます。

○清水委員 住宅・都市整備公団は、これまでの全国の開発がどうなっているのか、五年間手がつけられなかったところはどうなのか、そして、これからどうするべきなのか、再評価というのを昨年はされました。
 その中で、ここはもうやめてもいいのになと思うところも継続となったところもありますが、しかし、中止になったものもあるんですね。住宅・都市整備公団の事業の中で、幾つか中止になったものもあります。そういう意味では、先ほどの坂浜・平尾の土地区画整理、それから秋留台地域総合整備計画など、バブルの時代にずっと計画されてきて、その間、かなりの開発地の買収というのも、民間の事業者によって行われております。そういう問題のクリアなども、ちょうど自然保護条例などの改正と相まって可能になっているときなのですから、本格的な中止を含めた抜本的な見直しを、そうした事業について行っていただくことを要望して、質問を終わります。

○田中委員 私からは、東京スタジアムの建設について若干お伺いしたいと思います。
 青島前知事のもとで、平成九年の八月に財政健全化計画実施案というのが出されたわけですけれども、この武蔵野の森総合スポーツ施設の建設ということについても、代表的な見直しの項目の中に入りました。この中で、必要性、規模、管理運営方法及び開設時期などについて総合的に検討し、必要な見直しを行うというふうにされました。
 その後、東京都が行う他のスポーツ施設については、依然として凍結されたままで現在に至っているわけですけれども、五万人スタジアム自体については、ちょうど決算年度である平成十年の六月から工事が着工されたという状況で、現在では、二〇〇一年の春の開業に向けて事業が着々と進んでいるという状況だと思います。
 私、地元なものですから、しょっちゅう目にする機会があるわけですけれども、非常に大きな東京スタジアムの全容がほぼ明らかになってきたというふうな状況で、いろいろな機会ごとに、周りの地元の人たちの口の端に上るという状況になってきております。
 それで、伺いたいのですけれども、これまでも、東京都はたびたび見直しの機会があったわけですが、五万人スタジアム自体としては、大きな変更なく今まで行って、現在、工事に着工しているわけですけれども、昨年九月、東京スタジアムの建設、運営方法を変更したわけです。この理由は、どうしてでしょうか。

○永井管理部長 東京スタジアムの建設、運営につきましては、第三セクターであります株式会社東京スタジアムが行っているところでございますけれども、お尋ねの建設、運営方式を変更した理由は、昨年の四月に、金融監督庁が作成いたしました金融検査マニュアルによりまして、金融機関が第三セクターに対する融資に厳しい姿勢で臨むようになりまして、会社におきまして建設資金の借り入れが困難となったこと、また、サッカーの人気の低迷などによりまして、会社の収支見通しが当初計画より厳しくなったためであります。
 なお、これによりまして、将来的な都の財政負担が明確になり、また、会社の経営努力がより反映される仕組みとなるものでございます。

○田中委員 もともとは、東京都の負担というのは三十五億円程度だったわけですね。その後は、運営費を負担するというようなスキームになっていたわけです。今、金額はお答えいただけなかったのですけれども、二百五十億円ですね、利子も入れれば三百七十億円の買収経費がかかるということでありますから、先ほど、将来的な財政負担ということはおっしゃいましたけれども、現在の財政負担ということでいえば、やはり大きな負担になっているというのは明らかであると思います。
 こういう大型の、いわゆるバブル型といいますか、そういうスタジアムは本当に過大な計画だったのではないかというのは、最初からいわれていたわけですけれども、収容人数を五万人とした理由、そして、建設費については幾らでしょうか。

○永井管理部長 収容人員につきましては、スタジアムが、当初から多摩国体の主要会場ともなり得る規模として計画されたものでありまして、また、サッカーの国際試合や大規模なイベントをも誘致できるよう、五万人としたものでございます。
 なお、建設費は約三百七億円の見込みであります。

○田中委員 多摩国体の主要会場ということですけれども、今、計画では二〇一三年というふうにいわれているわけですけれども、実際、国体をやるためには、補助競技場ですとか、いろいろの附帯設備が必要なわけですよね。現状では、東京都では、今の経済状況に合わせて、附帯設備自体は凍結されているという状況もあるわけですね。そういう中で出てきた今回の見直しだというふうに思うんですよ。
 そういう意味からいえば、五万人を収容できるサッカー場が、例えばスタジアム型といいますか、特にこういう屋根がついたーーもともとは、全天候型での事業だったわけですよ。そういう過大な施設が必要だったのかどうかということは、やはり考える必要があるのではないかなと思わざるを得ないのです。
 いずれにしましても、今、もうほとんど形としてできている状況の中で、今から見直せというのはできない話だと思いますので、この後の運営が、実際どうなっていくのかということだと思うんですね。やはりきちっと、都民に財政負担、地元市に財政負担ができないように、どういうふうに運営していくのかということが問われてくると思うのです。建ってから、株式会社東京スタジアムが運営するということになっているわけですけれども、実際の試合数とか入場者の見込み数、また、収支の見込みについてはいかがでしょうか。

○永井管理部長 東京スタジアムにおきますスポーツやイベントの開催数は、年間百回、入場者数を年間百万人と見込んでおります。
 また、事業計画に基づく試算では、開業初年度である平成十三年度の会社の収支は、収入が約八億六千万円、費用が約八億九千万円ではありますけれども、開業五年後には、収入が約九億七千万円、費用が約九億四千万円と見込まれますので、健全経営は十分可能であると考えております。

○田中委員 実際には来年の春のオープンということですが、国立競技場ですとか横浜の国際競技場などを見ますと、やはり一年以上前から予約が埋まっていなければいけないという状況だと思うんですね。見込み数としては、年間百回、百万人という予定ではあるけれども、では、実際どうなのかというところを見なければいけないと思うのです。具体的に、来年春からの計画というのはどうなっているのでしょうか。

○永井管理部長 現段階では、竣工後に開催される国際大会などの日程は確定しておりませんけれども、既に株式会社東京スタジアムは、関係機関に対しまして招致の働きかけを行っているところでございます。
 また、サッカーのJリーグの公式戦では、FC東京及びヴェルディが東京スタジアムをホームスタジアムとすることが決まっております。
 なお、安定した収入を確保するためにも、このほかにアメリカンフットボールなどのボールゲーム、コンサートなどのイベントの招致に努めているところでございます。
 なお、Jリーグの試合数の点だけを申し上げておきますと、二チームがホームチームになりますと、おおむね年間二十六試合を見込んでおります。

○田中委員 私、試合数と平均入場数の見込みをいただいたわけですけれども、FC東京とヴェルディ川崎、それが、今お話があったとおりにホームスタジアムになるということだと、二十六試合ということですよね。Jリーグの公式戦だとすると、いわゆる百日ですから、二十六試合で四分の一ですね。それだけでなくて、プロサッカーの例えば非公式戦だとか国際親善試合というのを全部合わせますと、大体三十五試合という見込みになっているというふうに伺いました。
 そうすると、三分の一がサッカーの試合ということになります。でも、現在決まっているのはJリーグの二十六試合だけということですので、百日使うという予定はあっても、今決まっているのは二十六日だけということですよね。先ほど、アメリカンフットボールだとか、ほかのいわゆる国際大会などの招致をやっているというふうにいわれましたけれども、これで果たしてうまくいくのか、予定したとおりに招致できるのかと、そういう懸念が生まれるのは当たり前だと思うんですね。実際、十年四月の段階で計画を策定したときには、実は開催日が百三十九日ということだったんですね。それを百日に下方修正したわけです。動員数も百三十万人ということだったんです。それを百万人にしたということで、下方修正せざるを得なかったわけですよね。
 そうすると、そこの時点で考えたときは、収支がきちっと合っている状況だと思うのですけれども、このままで本当に大丈夫なのでしょうか。いかがでしょうか。

○永井管理部長 先ほどご答弁申し上げましたとおり、会社の収支を試算した結果、健全経営は可能であるというふうに考えてございます。

○田中委員 私は、非常に疑問だと思うのです。やはり一年ぐらい前から決まっていないと、そういう大きな、例えば一万人、二万人の規模の試合というのは、そんな三カ月前や四カ月前に決まるという話ではないと思うんですね。そういう意味では、ご苦労はされていると思いますけれども、運営にそごを来さないように、ぜひ営業活動をきちっとやっていただきたいということを要望しておきたいと思うのです。
 それと同時に、もし、仮に赤字になった場合、出資者である東京都、地元市ーー出資者なわけですから、これ以上の財政負担があるのではないかというのが、やはり大きな心配事になってくると思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。

○永井管理部長 これも、先ほどご答弁したとおりでございますけれども、会社の収支を試算した結果、健全経営は可能であると考えておりますので、会社の運営に対する地元市の財政的支援等は考えてございません。

○田中委員 約束できるのでしょうか。いかがでしょう。

○永井管理部長 そのように考えております。

○田中委員 このスキームの中で、地元市の協力、積極的活用を要請していくんだという話があったのですけれども、地元市の活用ということはどういうことでしょうか。

○永井管理部長 地元市の協力につきましては、市民利用の促進という観点から、スタジアムの特性を生かしたイベントの実施、あるいは、市民に対するスタジアムのPRなどを行っていただくというようなことを考えております。

○田中委員 イベントの開催ということですけれども、市民が気軽に使えるという意味では、活用してもらう方法というのを考えることも必要なことだと思うんですね。例えば、興行の場合以外で地元の自治会だとかが使う場合に、使用料をできるだけ安くして使いやすくするということも一つの方法かなというふうに思いますので、ぜひ考えてほしいと思います。
 しかし、もともと、例えば他のところで、自前の施設でスポーツ大会、競技大会をやってきたのに、施設がある、施設を使わなければいけない、だから、自前の施設でやっていたスポーツ大会を東京スタジアムの五万人スタジアムでやる必要があるということで、わざわざ大会を移すということも、一つの地元の活用の方法だというふうに考えられているのではないかなと私は思うのですけれども、それだと、本来のやり方からすると、ちょっと本末転倒なのではないかといわざるを得ないと思うんですね。
 そういう意味で、本来の営業活動は、やはりサッカー場や競技場ですから、そこを中心として取り組んでいくべきだというふうに考えますので、現在、招致の活動をしているということですけれども、ぜひあらゆる機会に、運営にそごを来さないということを、十分経営努力をしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 あと、予定によりますと、最大のイベント動員数四万人というふうになっております。十年度の決算でも、飛田給の駅の改修工事ですとか、会場までのアクセスの道路、地元負担も含めていろいろと、改修工事そのものも進んでいるわけですけれども、実際に交通アクセスについては、どういうふうになっていますか。

○二ノ宮企画推進担当部長 スタジアム開場までには、アクセスに必要な道路の整備や駅改良工事などを行って、来場者には、鉄道、バス等の公共交通機関の利用により来場するよう誘導することで、十分な交通対策を講じることができるというふうに考えております。

○田中委員 伺うところによりますと、鉄道は、京王線、西武多摩川線、あと、中央線を含めて七割ぐらいということを伺いました。あとは、中央線の方々をバスで送迎するということで、例えば五万人の場合に、七割を電車とバスとしますと、三万七千人ですよね。あと一万三千人弱の方が、どういう交通手段で来るかということになるのですけれども、バスを見込んでも、かなりの数の人が、やはり昼間の試合だと、特に車を使う人が多くなるのではないかなと思うんですね。そうすると、駐車場が千台しかないということを伺ったので、これで対応できるのかなと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。

○二ノ宮企画推進担当部長 来場者につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、鉄道、これは京王線と西武多摩川線、これは多磨墓地前駅からのアクセスでございますが、あるいは近傍の駅からのバス輸送、そういったことで対応できるというふうに考えております。

○田中委員 やはり地元の方の心配というのは、例えば昼だったら、交通渋滞の話なんですね。甲州街道のすぐそばなんです。甲州街道って、もともと渋滞するので有名なわけですよね。一度に何万人という方がいらっしゃるというイベントのときになると、それで賄い切れるかどうかということがあります。それと、周辺の道路に駐車場がなくて、細かい道にも駐車されちゃうとか、そういう心配を地元の方からはいろいろと聞くわけです。それは、当然考えられることだというふうに思うのです。ですから、そういう点でも、電車を十分使うということも含めて、バス輸送なども含めて、具体的な検討をぜひよろしくお願いしたいと思います。
 あと、交通渋滞とか騒音、ごみ処理などの問題、周辺住民に対する対応についてはいかがでしょうか。

○永井管理部長 まず、スタジアムの本体でございますけれども、この建設に当たりましては、イベント開催時に騒音や光が周辺に影響を与えないよう、設計上、工夫されております。
 また、今後、開催時等々の混雑する日等に当たりましては、周辺住民に迷惑をかけないため、交通対策を初めといたしまして、イベント主催者や関係機関と緊密に連携して、適切に対応していくよう会社を指導してまいります。

○田中委員 ぜひ主催者、関係機関と連携して、地元住民、自治会などの方々の意見を十分聞いて対応していただくよう要望して、終わりたいと思います。

○山本委員長 ほかに発言ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 多摩都市整備本部関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、多摩都市整備本部関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で多摩都市整備本部関係を終わります。

○山本委員長 これより都立大学事務局関係に入ります。
 都立大学事務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○矢島次長 去る一月二十六日、当委員会におきましてご要求のありました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の平成十年度各会計決算特別委員会要求資料の目次をお開きください。ご要求のございました資料は、都立大学教員数、職員数、学部学生数の推移外十点でございます。
 一ページをごらんください。過去十年間の都立大学教員数、職員数、学部学生数の推移でございます。
 教員数、職員数、学部学生数は、当該年度の五月一日現在の現員でございます。
 二ページをごらんください。過去五年間の教員の研究奨励費、都市研究費、受託研究費、施設整備費の予算推移でございます。
 注にございますように、受託研究費につきましては、全額外部資金でございまして、平成九年度からは提案公募型研究を含んでおります。
 三ページをごらんください。主要な公立大学の学生数、教員数、学生経費、研究費の比較でございます。
 学生数、教員数は、平成十一年五月一日現在の現員で、学生数には大学院生を含んでおります。また、大阪市立大学、横浜市立大学については、医学部を除いた数字でございます。
 四ページをごらんください。自治会費の徴収方法及びその告知方法並びに大学の関与につきまして、平成十一年度までの入学者と平成十二年度入学者との比較をお示ししてございます。
 五ページをごらんください。上部団体の部室の使用規程である、東京都立大学課外活動施設管理要綱でございます。
 この要綱は、第二条にございますように、学生ホール及び体育会棟課外施設、いわゆる部室の利用について必要事項を定めたものでございます。
 七ページをお開きください。課外活動団体への便宜供与の方法につきまして、備品供与の方法、大学の関与、予算配分の基準と資格についてお示ししてございます。
 八ページをごらんください。都立大学における休講措置の基準等についてお示ししてございます。
 九ページをごらんください。平成七年度から平成十年度までの学生ホールの維持管理費の推移をお示ししてございます。
 注にございますとおり、学生ホール維持管理費は、全学に対する学生ホールの面積比を算出し、その面積案分により、学生ホールの使用量、料金を算出しております。
 一〇ページをごらんください。学生から提起されている二件の訴訟費用の金額とその内容でございます。
 十年度に加え、参考のため、十一年度の実績も示してございます。
 なお、総務局法務部の職員が指定代理人として職務を執行しておりますので、弁護士費用等はかかっておりません。
 一一ページをごらんください。平成十一年三月の入学手続時に新入生に配布したチラシでございます。
 次の一二ページに、平成十二年三月の入学手続時に新入生に配布したチラシを、参考としてお示ししてございます。
 一三ページをごらんください。平成十一年三月の入学手続会場のレイアウト図でございます。
 次の一四ページに、平成十二年三月の入学手続会場のレイアウト図を、参考としてお示ししてございます。
 以上、大変簡単ではございますが、ご要求のありました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言をお願いいたします。

○清水委員 ただいまの資料の中で、教員の研究奨励費などの推移を示していただきましたが、大学全体にかかわる研究費というのは、この教員の研究奨励費だというふうに伺っております。これを見ますと、九年度までは増額をされているようですが、十年度以降は減額になっていると思います。このことについては、既に所管の委員会で、くぼた議員も指摘をしてまいりましたが、これは、研究の質や役割にかかわる問題として、具体的には書籍ですとか雑誌の購入など、研究にとって欠くことのできないもので、やむなくやめてしまった雑誌もあるというふうに伺っておりますし、純粋な研究費も減っていると伺っております。既に指摘をしてまいりましたが、これは重要な問題で、改めて、研究費の今後における増額をまず要望しておきたいと思います。
 そこでお伺いいたしますが、平成十年度までの研究費の推移の中で、これらの研究費によってどのような研究がされているのかということを知る機会は少ないのですが、この機会にーー十年度一年度で何かできるかというと、研究というのはなかなか大変だというふうに思いますので、この十年度を含めて、最近の業績ではどのようなものがあるでしょうか、お伺いいたします。

○矢島次長 本学は、昭和二十四年の開学以来、首都東京の学術と文化の振興に努めますとともに、開かれた大学を志し、経済的に就学が困難であった人々に対しても門戸を開き、広く受け入れてきたところでございます。この間、学術研究の高度化にも対応し、数多くの研究業績を上げますとともに、その研究成果を公表してきたところです。
 これまで、各分野で学会等における数多くの受賞実績がございますが、最近では、昨年九月に、理学研究科に所属する二名の教員が、日本動物学会賞を同時に受賞するという快挙を上げてございます。

○清水委員 ふだん、なかなか聞くことができないのですけれども、今ご説明になった日本動物学会とはどのような団体なのでしょうか。また、お二人の先生が受賞されたといわれましたが、その研究とはどのような内容なのでしょうか。そして、この研究というのは、今後に何が期待ができるのか、お伺いいたします。

○矢島次長 日本動物学会は、所属する会員の研究業績の発表、知識の交換、会員相互間及び国内外の関連学協会との連絡提携や、研究上の便宜を図ることを通じて、動物学の進歩並びに普及に努めることを目的に、明治十一年に創立された法人でございます。
 今回、動物学会賞を受賞しましたのは、本学理学研究科の八杉貞雄教授と桑澤清明教授で、同じ所属の研究者が二名同時に受賞するということは、同学会史上初めてだと聞いております。
 八杉貞雄教授は、消化器官の分化における組織間相互作用の分子的研究で、細胞が胃や腸などの消化器官へと特異的に分化するための分子の働きを解明したものでございます。
 桑澤清明教授は、無脊椎動物における自律神経系の比較生理学的研究で、無脊椎動物の心臓、循環器系の神経支配の機構を解明したものでございます。
 両教授の三十年以上にも及びます基礎的研究の成果は、次代を担う若手研究者に対しては有力な動機づけとなり、がん治療や人工臓器の開発などを初めとした、将来の応用的研究に結びつくこともまた、期待されるものでございます。

○清水委員 大変貴重な研究の成果が受賞されたということで、なかなか聞く機会もないのですけれども、今ご説明いただきましたこの受賞例を含めて、大学にはいろいろな研究成果とか業績といったものがあると思うのです。これを都民にもっとわかりやすく、広報とか情報提供とか宣伝がなされていいと思うのですけれども、それはどのようにされているのか、お伺いいたします。

○矢島次長 昨今の社会経済状況の急激な変化に伴う行政改革の大きな流れですとか、都財政の危機的状況の中で、都立大学もまた効率的な財政運営に努め、都内唯一の公立総合大学としての特色の明確化を図るなど、積極的に情報を発信していくことが求められております。
 都立大学では、各部局及び事務局ごとに数多くの研究論文誌、年報、案内、資料などを発行するほか、平成八年七月からは、新たにホームページを開設するなど、大学の研究教育活動を初めとするさまざまな事業を、広く学内外に紹介しているところでございます。

○清水委員 私たち議員にも、そうしたものがきっと送られてきているとは思うのですけれども、それを十分に理解をしたり、ゆっくりと見るという機会もなかなか少ないのですけれども、こうした基礎的、学術的研究が数多くされているというふうに今ご説明していただきましたので、理解をすることができました。
 そこで、そうした地味な基礎的研究というのは、すぐに効果が出るという効率性とかになじみにくいので、先ほど三十年といわれましたけれども、継続性が保証できる、こうした公立大学などで行われていくことが必要であると思いますが、いかがでしょうか。

○矢島次長 都立大学は、首都東京の唯一の公立総合大学として、各学部、研究科でさまざまな基礎的、学術的な研究活動を展開しております。平成三年四月の移転を機に、大型設備の購入など、今まで以上に施設設備の充実を継続的に図り、基礎的研究にふさわしい設備を有してございます。
 これからも、世界に通用する高度な研究教育水準を維持、発展させていくため、大学の持つ教育研究資源をフルに活用してまいりたいと考えております。

○清水委員 そこでお伺いいたしますが、平成十年度から始まっているという大学改革の検討は、現在どういう状況でしょうか。また、この間、知事が都立の大学のあり方について発言をしていますが、知事との関係ではどういう状況でしょうか。

○矢島次長 本学では、一昨年から大学改革に取り組んできましたが、昨年四月に、新総長のもとで本格的な改革推進体制を整え、学内で検討を進めてまいりました。学部や大学院教育の改革、産・学・公連携を初めとした地域社会への貢献などを主要な柱とする大学改革計画の策定に向けて、現在、全学を挙げて取り組んでいるところでございます。
 本年二月に、この間の検討状況を総長から知事に報告いたしましたところ、その際、知事から、既成のものと異なるドラスチックな改革案を九月までに作成するようにとの指示がございました。

○清水委員 それでは、既に設置されている大学のあり方を変更する場合がありますが、そのとき、設置者はどこまで決定権を持っているのでしょうか。

○矢島次長 変更の内容によって異なりますが、大まかにいいますと、大学の存廃や授業料などの条例事項、予算、定数などは設置者の決定権限にかかわる事項でございます。一方、教育研究に関するものは大学が決定する事項でございます。

○清水委員 大学のあり方の重大な変更というものが今後予想されるわけですけれども、それは知事単独で決めるものではなく、大学関係者の意見、都民の意見を十分に聞くことが重要だと考えます。この点を踏まえて改革論議を進めていくべきだと思います。
 関連して、設置者である知事の権限と大学の自治の原則の関係も重要な問題だと思いますが、そもそも大学の自治とは何でしょうか、その法的根拠はどこにあるのか、お伺いいたします。

○矢島次長 大学の自治は、明文の規定はございませんが、一般的に、憲法の定める学問の自由を保障するために認められるものと解されております。その主な内容は、教員の人事、教育研究の方針決定などでございます。

○清水委員 大学の設置者は、今ご説明がありました、確かに明文の規定はないということですが、憲法の定める学問の自由を保障するためということで、当然、大学の自治を尊重、擁護する義務があると思いますが、どうでしょうか。

○矢島次長 大学は、設置の理念、目的に即して運営されます。大学の自治は、その中で基本的に尊重されるべきものと考えております。
 東京都におきましては、設置者と大学とが、東京都における学術研究の中心として、広く知識を授けるとともに、深く専門の学術を研究し、あわせて都民の生活及び文化の向上発展に寄与するという設置目的を実現するために、一体となって教育研究の充実発展に努めてきたところです。
 大学では現在、全学を挙げて大学改革に取り組んでおりますが、都における厳しい財政事情や知事の意向、さらには、都民の大学に寄せる期待などを十分に踏まえて検討を進めていきたいと考えております。

○清水委員 知事は設置者として、都立の大学のあり方について意見を表明する立場に当然あると思います。同時に、都立の大学は都民共有の貴重な財産であり、最終的には都民の利益に奉仕することを趣旨として設立されております。
 また、当事者となる大学の意向についても、大学の自治の原則を十分尊重していくことが求められていると思います。今始まっている都立の大学改革の論議が、都民の重要な財産である都立の大学をどう発展させるか、都民に、東京に、地域にどう貢献するのか、どう学問的な発展をかち取るのか、こうした方向で議論が発展することを期待したいと思います。
 先ほど、知事から九月までにという指示が出されたということですけれども、大変重要な内容を持っているものですから、議論が尽くされない状況であった場合には、拙速に方向を決定しないでいただきたいと思います。教育研究に日々携わっておられる現場の大学の教職員の立場から、先ほども前段で触れましたように、研究とか教育というものは、一概には成果が出ない、効率性では出ない、そういうような実態なども十分に反映させていただきたいということをお願いしまして、質問を終わります。

○木内委員 マサチューセッツ工科大学のレスター・サロー教授の言を引くまでもなく、今は人間主体の頭脳産業の時代である、知識主義経済の草創期、こういうことがいえると思うわけであります。こういう点からいえば、大学研究者の成果や発想というものが、産業活性化に直接間接に資することのできる社会システムをつくっていくことが大変重要であるし、時代の要請である、私はこのように思っているのであります。そういう意味からいえば、今まさに大学の研究成果を産業の活性化にアクセスする、こうした産・学連携の重要性というものは、論をまたないのであります。
 翻って、都立大学について申し上げれば、それぞれの部門、学部等によって濃淡はありますけれども、その充実した研究成果の集積や、あるいは優秀な教授、助教授陣の体制を考えたり、あるいはまた、その立地条件からいいましても、産・学連携の日本の経済社会におけるあるべき基本形というものがここにある、こう思わざるを得ないのであります。
 これまでの決算委員会等における都立大学に関する質疑を聞いておりますと、どうも暗い議論が多かったような印象を私は受けるのでありますが、都立大学の果たしてきた役割、そして今後への重要な使命、成果についても大きく光を当て、これを宣揚して、さらに伸ばしていかなければならない、こういうふうに私は思うのであります。
 先日、私は南大沢に初めて足を運びまして、キャンパスをお訪ねいたしました。複数の教授、職員の方と長時間にわたってお会いする、また懇談する機会を得たのであります。ちなみに、この八王子を中心にして今、関東通産局のイニシアチブのもと、埼玉の南西部、八王子中心の東京の多摩、さらには、三多摩を経由して神奈川の県央部に至る縦の地域を日本のシリコンバレーにということで、TAMA産業活性化協議会なるものが既に発足をしているわけであります。こうした地域的な要件、あるいは八王子市内だけで二十を超える大学が既に設置されて、大きな研究成果というものが紡ぎ出されている。
 こう考えてまいりますと、何度も申し上げるように、我が国における産業と学問、産・学連携の基本的、充実したスタイルというものが、この都立大学からいよいよ新しいスタートを切ることができるという実感を深くするのであります。そうしたポテンシャルが都立大学にはあるんだ、こういうふうに私は確信をしているのであります。
 平成十年度の決算審議ということでありますから、この点に絞ってお尋ねしてまいります。この都立大学を中心にする産・学連携の実態というものは、いろいろな論及の仕方ができると思いますけれども、一つには、研究分野、あるいは産業側、企業側から見るところの人材の育成と、いろいろな分野での接点を持って、産・学連携の作業に今汗を流しておられるのが都立大学だ、こういうふうに思うわけであります。
 さてそこで、平成十年度における決算書を見てまいりますと、受託研究費で予算現額九千三十万七千円、支出済額が同額、執行率一〇〇%、それから提案公募型研究で一億七千二百二十五万八千円、これは執行率が九九%になっておりますけれども、充実した事業の執行が行われている、こういうふうに思われるわけであります。例えば、十年度における外部資金による研究実績はどうであったかということを一つお尋ねします。
 ちなみに、企業、産業サイドからの要請としては、製品の技術開発援助、あるいは委託研究成果の製品化等々のさまざまな課題への援助が考えられるわけでありますけれども、これは、いわば産・学連携の分野における大きなコアの一つであるとも思われるわけであります。受託研究を初め、いかなる実績であったか、提案公募型研究あるいは教育研究奨励寄附金の分野に至って、具体的にご報告を願います。

○矢島次長 都立大学における産・学連携の取り組みの現状についてのお尋ねでございますが、外部資金による研究実績については、今お話ございました受託研究については九千万余円でございますが、それ以外に、提案公募型研究につきまして十一件、一億七千二百万余円となってございます。また、教育研究奨励寄附金につきましては、八十七件で七千七百万余円でございます。これは寄附講座を含む総額となってございます。
 また、企業人の再教育についても実績がございまして、平成十年度の状況を五月一日現在で見ますと、企業などからの研修員の受け入れ人数が十人、社会人入学制度による受け入れが二十二人となっております。

○木内委員 確かに、企業、産業側にとって人材の育成ということは、その経営の生命線にかかわる問題でありますし、どうしても自前の研修というのはなかなか困難である。こういったときに、都立大学が受け入れ体制というものを整えて人材育成を図るということには、産業社会からの大きな期待が集まっているわけでありまして、ご報告願った点も踏まえて、さらに拡充強化というものを強く要請したいと思うのであります。
 今、二点について触れたわけでありますけれども、個別の研究協力や支援、あるいは企業人の再教育といった分野での連携というものも極めて大事でありますけれども、さらに、単に象牙の塔という大学の本来の領域にとどまることなく、地域社会への広がり、あるいは積極的な働きかけ、交流というものも極めて今後の重要な課題だと思うのであります。いわゆる産・学交流という課題についてであります。
 今、決算審議をしております平成十年の十一月には、商工会議所や都の労働経済局と連携して技術協力サミットが開催されている。これは、当時、大変全国的にも注目をされたものでありますけれども、都立大学の立場からの取り組みと成果というものについてお尋ねいたします。あわせて伺いますので、もうちょっとお聞きいただきたいと思います。
 同時に、さっき申し上げたTAMA産業活性化協議会との連携による産・学交流会も、その後実施されております。この産業活性化協議会は、申し上げたように、日本のシリコンバレーを目指すというキャッチフレーズも標榜されているほどの大きなプロジェクトでありますけれども、このTAMA産業活性化協議会への都立大学としての参加、協力の内容についてもお尋ねをしたいのであります。
 先日、キャンパスをお訪ねした際に、ご多忙の中、古川教授にお会いすることができまして、種々ご指導をいただきました。古川先生は、単に学問の泰斗ということにとどまらず、誤解を恐れずに申し上げれば、まさに象牙の塔にとどまることなく、地域産業社会との強いかかわり合いの中で、イニシアチブを持って新たな時代に対応した指導を進めておられる、このように、私は長時間にわたる懇談の中で実感したわけであります。敬意を表しているのであります。まさにフィールド、現場に出ての学者としての面目躍如たるものを感じたのであります。
 以上二点について、ご報告を願います。

○矢島次長 お尋ねの技術協力サミットにおきましては、都立大学からは、これに参加をいたしまして、参加企業に対する個別相談ですとか情報提供、あるいは交流、懇親等を積極的に行ったところでございます。
 また、TAMA産業活性化協議会との関係でございますが、TAMA産業活性化協議会については、今ご紹介のありました古川教授が会長を務めておりまして、そことの関係では、産・学交流会をともに実施いたしておりまして、研究室や実験設備の公開、講演、研究情報の提供、個別相談などを行ってきてございます。

○木内委員 今言及いたしました東京都技術協力サミット宣言というものをちょうだいして、全文を拝見しました。この理念、考え方について、私は大きく賛意を表しますし、また、評価をさせていただくものであります。関係者の方々のご努力を高く評価いたします。しかしながら、課題はまだまだあるわけでありまして、この宣言の最後に、今後の推進方針という欄がございまして、この中に、仮称産学公連携推進会議の設置、ネットワークの構築ということが示されております。
 私は、この技術協力サミットの継続的活動と充実、その成功を念願するものでありまして、また、議会の場を通じ、さまざまな機会に労働経済局にも精力的な対応を要請してきたところでありますけれども、このサミットを今後、実質的、有機的に機能させていくことは、極めて重要な課題だと私は思っているのであります。この一環を大きく担う都立大学においても、さらに積極的、精力的な参加、協力を期すべきである、私はこう考えるのでありますけれども、どうでしょうか。

○矢島次長 ただいまご紹介ありましたように、産業界、大学、公設試験研究機関及び行政といった産・学・公の連携を強化し、強力な仕組みづくりを積極的に行っていくことを確認した、技術協力サミット宣言が採択されたわけでございます。そこで産学公連携推進会議が設置され、その後も継続的に活動してきております。
 都立大学といたしましても、これらに対しまして積極的に参加及び協力をしているところでございます。

○木内委員 協力しているところでありますという答弁ですが、協力していくんでしょう、これからも。

○矢島次長 失礼いたしました。これからも、なお一層積極的に、これに対して参加及び協力をしてまいる所存でございます。

○木内委員 しっかり対応をお願いしたいと思います。
 それから、さっきも若干触れておられましたので割愛いたしますけれども、研究情報提供、これにもしっかり取り組んでいただきたいことを強く申し上げておきます。
 それから、都の労経局の事業との連携でありますけれども、今後、中小企業振興公社等を通じて、都の労経局は、中小企業のデータベースの整備を図るとともに、いわば我が国の経済活性化の最も重要な部分である東京の中小企業の受注の拡大であるとか、経営の前進に向けての努力をしていくわけであります。
 こういう中で、総合情報システムへの情報提供でありますとか、あるいはまた、ベンチャー企業育成にもつながるさまざまな対応というものが、都立大学の立場で、労経との事業を進める上で可能だというふうに思うのです。ぜひこれを進めることを願うものでありますが、答弁を願います。

○矢島次長 ご指摘の中小企業総合情報システムにつきましては、研究者の情報をここに提供しておりますし、ベンチャー企業育成にもつながります創造的事業活動促進事業等の認定に際しましては、専門的、技術的見地から審査に加わっておりまして、十年度の認定審査に当たりましては、三十八件中、十四件の審査をしているところでございます。 今後とも、労働経済局との連携を積極的に図ってまいりたいと存じます。

○木内委員 研究成果等を結実させて、これを産業に反映させ、国民生活、都民生活に資するものとしていくということは、極めて重要なことであります。そのために、研究しやすい環境、あるいは特許に関しても、特許取得を進めやすい環境づくりが必要であるということを、私はこれまでも訴えてきたわけでありますけれども、平成十年度には、特許取得推進のための発明規程が改正されているわけでありますけれども、これによって、特許に関する実績というものはどういう推移になっていますか。

○矢島次長 ご指摘のあった発明等取扱規程の制定によりまして、九年度以前の実績を見ますと、十年間で一件であったわけですが、平成十年度には、工学研究科応用化学専攻におきます半導体の加工に関する発明など、全部で十三件の届け出がございました。いずれも、発明者個人に特許権利が帰属するための手続をしているところでございます。

○木内委員 次は、大学から産業界への技術移転の問題でありますけれども、既に全国で十カ所のTLOが設立をされているのであります。大学における技術移転をスムーズに進めるための要件というものをさらに整えていく必要がありますし、都立大学独自の取り組みというものも必要になってくると思うのであります。具体的方針を伺います。

○矢島次長 産・学連携を進めるためには、相談、紹介などを行う窓口機能、受託共同研究など外部資金の受け入れ管理機能、研究成果を評価、管理し、それを産業界に移転する機能の三つが必要でございます。TLOは、このうち三番目の機能に該当するわけですが、技術移転をスムーズに進めるためには、これらがうまく連携して、実質的に機能することが必要でございます。
 都立大学では、平成十二年度に産・学連携の窓口を開設し、共同研究など外部資金の受け入れを積極的に進めていくこととしてございます。
 また、特許等の技術移転に関しましては、TAMA産業活性化協議会が、近く設立予定のTAMA│TLOに参加をいたしまして、学内機能と連携し、成果に結びつくよう取り組んでまいる所存でございます。

○木内委員 今いわれたTAMA│TLOについて、さらに詳しくご報告を願いたいのですが、その性格とか期待される機能ですね。要するに、さっきも申し上げましたけれども、多摩地域、八王子等、数十を数える大学がある、学術機関がある、また、企業等も存在している。こういった環境の中でのTAMA│TLOの性格づけというものは、恐らく、全国に比較して抜きん出た将来イメージというものが持たれてもよろしいのではないか。そのための具体的な手法というもの、言葉がふさわしいかどうかわかりませんけれども、小さく産んで大きく育てるという言葉がありますけれども、まず、スタートからのスタイル、性格、機能についてご報告願います。

○矢島次長 TAMA│TLOは、多摩地域などの大学や企業、団体、個人が出資する株式会社として設立されます。会員制をとりまして、研究者、企業、団体が会費を払って参加する方式の広域的な技術移転機関でございます。複数の大学、研究者が参画をして、専門家の協力を得ながら、研究成果である発明を複合化し、付加価値の高いシステム特許として権利化し、企業へ技術移転、販売を行う、いわば特許の製造加工の機能が期待されるところでございます。
 また、これによりまして、大学や研究者にとりましては、研究成果の特許化、産業界への移転の利便が図られ、ロイヤルティー収入などが得られることになります。企業にとりましても、技術製品開発の促進につながり、産・学双方のメリットが将来的に期待されるものと考えております。

○木内委員 もし、先ほどの委員の質疑とダブっていたらおわびしなきゃいけないのですが、途中、トイレに席を立って戻ってきたら、研究成果の受賞の話をしておられた。私は、いろいろ資料をひもといたり、研究成果の一覧を拝見したり、現場を見て驚いたのですが、都立大学のレベルというのは物すごいんですね。卑近な例といっては恐縮ですが、たしか一九九三年に、民放が主催している琵琶湖の鳥人間コンテストというのがありまして、これは、見る方は楽だけれども、実は飛ぶ方は大変な思いをして、苦悩と研さんと研究を凝縮して、何百メートル飛べる、何キロ飛ぶというのを競うわけです。これは、非常に外形は楽しそうにやっていますけれども、実は相当な研究の蓄積がなければ結実しない競技なんですね。そこで都立大学は、鳥人間コンテストで、たしか優勝しているはずなんです。
 それはこちらにおいといて、専門分野の研究においても、私はこの前、現場でお聞きして驚いたのですけれども、炭素素材でしたか、百万分の一ミリの素材で、地上からスペースにある衛星を結びつける、それを十分つなぎとめるのに耐え得る強靱な繊維などというものがあるそうですよね、カーボンナノチューブですか。これは俗説かどうかわかりませんが、そのくらいのすさまじい、グローバルな視点で見ても先端的な研究成果などというものも、実は都立大学にあるというふうに聞いたわけです。
 したがって、実用的な技術開発ということはもとより、新産業創出につながるような先端的な基礎研究分野でもすぐれた研究成果を上げていると聞いているのですが、これはどうなのでしょうか。

○矢島次長 理学研究科では、新機能物質ですとか生命科学の分野で、国際的水準の先端的な研究に取り組んでございまして、今ご紹介のあったカーボンナノチューブの研究ですが、これについては、炭素原子でできた直径百万分の一ミリという繊維状の新炭素物質の創製プロセスの研究でございます。これは、軽くて丈夫で電気を通しやすい新物質ということで、ご紹介のありましたように、衛星と地上を切れることなく結ぶことができるというようなことがいわれておりまして、超小型半導体回路ですとか燃料電池の貯蔵など、新産業の創設にもつながる次世代素材として開発が期待されているものでございます。

○木内委員 話は変わりますけれども、企業人の研修あるいは育成という分野の実績も、これから都立大学は積んでいくべきだと思うのです。立地を考えますと、南大沢でありまして、例えば、ここに社会人の入学を許可して、夜間、研究の場を設けるという都立大学の大学院構想というものも、これまで、私はいろいろなところで申し上げてきているのですけれども、南大沢では利便性が非常に悪い。やはり一般の企業、あるいは社会活動という広域的な広がりからいえば、都心ということになるのでありましょうけれども、社会人のための高度専門教育を行う大学院というものを都心に設ける、キャンパスを都心に設けるという検討も、今後の議論の中でしていくべきかなと。
 十年度決算でありますから、ここから逸脱することは避けたいと思いつつも、十年前後の成果というものを勘案するならば、もっともっと社会に開いた都立大学の大学院のあり方というものも検討されていいのではないか、こういうふうに思うのです。私は、また別の機会に、これは知事にも、あるいはこの議会の中でさらに叫んでいきたいと思っているのですが、どうでしょうか、都立大学ご自身、事務局としては。

○矢島次長 都立大学では、企業経営や法律実務に関するコースの設置など、高等専門教育のための大学院の充実を図ることとしておりまして、そのためには、今お話のあったように、都心部キャンパスの確保が必要と考えております。既存施設の有効活用など、関係部局とも協議をしながら検討してまいりたいと考えております。

○木内委員 最後の質問であります。るる質疑を行ってまいりましたように、産・学・公の連携という命題の中での大学の役割というのは非常に大きいわけであります。大学のすぐれた研究成果の活用や人材育成を通した新産業創出などが、今後期待されるわけであります。
 こうした、いわゆる都民の期待、社会の要請に対して、都立大学はどのようにこたえ、取り組んでいくのかお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。

○土肥都立大学事務局長 産・学・公連携の中で大学の果たすべき基本的な役割でございますが、社会的な要請にこたえられるような高度で先端的な基礎研究、あるいは応用開発研究を積極的に進めるとともに、産業活性化の推進力となる創造力豊かな優秀な人材を育成していくことが大切と考えております。その上で、研究成果の産業界への還元など、産・学・公連携を推進していくべきと考えておりますが、その際、何よりも必要なことは、大学のさまざまなシーズを産業界のニーズとうまくマッチングし、具体化していくことと考えております。そのためには、産と学とをコーディネートできる人材と、適切に機能する仕組みづくりが不可欠でございます。
 都立大学では、平成十二年度に産・学連携のための窓口を開設するなど、体制強化を図ったところでございますが、他の大学や試験研究機関、労働経済局等と連携しながら、実質的にこれが機能するような産・学・公の推進体系構築に積極的に取り組んでいきたい、そういうふうに考えております。

○山本委員長 この際、議事の都合により、おおむね十分程度休憩いたします。
   午後二時四十五分休憩

   午後二時五十九分開議

○山本委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○土屋委員 先ほどの木内理事のご発言に私は全く同感でありまして、研究成果はいいんです。問題は、運営が悪い。幾つかの点について質問をいたしますので、審議促進という点から、いいわけは要らないですから、極力、事実関係だけ述べてください。
 最初に、都立大学における自治会費の徴収方法は、現在、どのような形式で行われているか、教えていただきたい。

○矢島次長 自治会費の徴収は、入学試験の合格者が入学手続を行う日に、A類自治会及び夜間受講生自治会が自治会費徴収の窓口を設け、卒業までの自治会費を一括して納入してもらう方法で行っております。

○土屋委員 自治会が成立していなければ、自治会費は徴収できないと思うんですね。平成六年、七年は学生大会も不成立で、自治会として正規に成立していないんです。にもかかわらず、大学当局は、自治会費をいわゆる仮の自治会と称する人たちに徴収をさせていたという事実があるわけですけれども、これは、どうお考えですか。

○矢島次長 自治会が成立しているか疑義があるという点につきましては、A類自治会について、平成七年度に一時執行部が不在となりましたが、学生の自主的な再建活動により、平成八年度に新しい執行部が選出され、その直後の学生大会で再建過程の取り組みが追認されました。
 このため、大学では、学生大会によって学生の支持を得た再建活動であり、自治会執行部であると認めたところです。今から考えると、平成七年度は正規の自治会執行部が成立していなかったので、自治会費を例年のように徴収させたことが果たして妥当であったのか、疑問の余地がございます。

○土屋委員 だから、疑問の余地というのは、成立してないと認めていると同じなんです。平成六年でも、委員長と副委員長の大石さんがやめているのだけれども、自治会執行部は二役が存在しなくなり、崩壊状態になっていて、この後、民青系の学生が、勝手に執行部を委任された形の有志ということを自称して、規約上根拠もなく決議などを行って、自治会執行部経常経費を勝手に使い込んだりしているわけです。
 平成七年も、臨時執行部というのをつくって、自治委員に往復はがきを送って、予算の承認とか非承認を問うような形で予算の成立を図っているなど、いわゆる規約上、自治会は成立していたとはいえないんです。大学当局は今さらそれを認めないといえないわけで、だから疑念があるという答弁になったと思うんだけれども、自治会への加入は、あくまでも学生個人の自主的判断という理解でいいんですか。

○矢島次長 大学といたしましては、自治会への加入は、学生個人の自主的判断で行うものと考えております。

○土屋委員 これが、平成十一年度入学手続日に、いわゆる民青系の学生が配ったパンフレットなんだけれども、そこに自治会費納入受付会場というのが明示されていて、自治会は全員加盟制になっていますので、自治会費は必ず払ってくださいと書いてあるじゃないですか。これについては、どういう感想をお持ちですか。

○矢島次長 自治会への加入については、先ほどお答えしたとおりでございます。学生個人の自主的判断で行うものと考えております。

○土屋委員 つまり、このパンフレットは間違いだということね。

○矢島次長 自治会そのものへの加入は、今考え方について申し上げましたけれども、自治会の建前といたしましては、全員加入ということになってございます。ただ、加入の意思については、個人の意思にゆだねられていると考えております。

○土屋委員 都立大学の自治会に関しては、いわゆる良識派学生から随分批判が出ていると思うんですね。インターネット裁判でも、良識派学生が勝っているわけだけれども、自治会に現在まで、例えば入学式に配布するパンフレットにも書いてありますが、諸手続をする建物に部屋を提供しているわけです。たしか平成十年、平成十一年とだんだん改良はされつつあると思うのですけれども、最初の段階では一番から十番まで番号を振ってあって、何も知らない学生は、一番からずっと会費を、(「知らないでやっている」と発言する者あり)知らないんだよ。それで、ずっとお金を納めてくれば、十番目に自治会費を納めるようになってしまうじゃないですか。
 ですから、これについては、現在、各大学で自治会費の代理徴収なんか大体していないんですから、どのような改善をしてきたか。それから、知らないで自治会費を納めた学生が随分いると思うのですが、それについてどういう感想をお持ちか、教えてください。

○矢島次長 自治会費の徴収についてですが、十一年度から、任意加入であることを明記し始めますとともに、十二年度から、教室の貸与をしないなど手続会場のレイアウトの工夫を行いまして、入学手続と自治会の加入手続の区分をより明確にするなどしてきたところです。これらの要因によりまして、徴収率が低下したということがあるのは事実でございます。
 また、ことしは、自治会への教室貸与をやめまして、入学手続を行う教養部棟の外の中庭の一部を貸与することとし、入学手続との区別をより明確にしたところでございます。大学といたしましては、教室貸与をやめたということは大きな改善と考えておりますが、さらに一層の検討を行ってまいります。
 大学としては、代理徴収は行ってございません。

○土屋委員 わかりやすくいうと、おととしはこれなんですね。平成十年、一から十番まで書いてある。知らないで十番目まで行ってしまう。とんでもない話ですよ。それで、批判があったので、去年やっと一階、二階に分けたということなんです。ことしは、何か中庭に出したというんですけれども、自治会専用に中庭を使わせているわけですよ。よそのサークルは、この中庭へ入っちゃいけないということになれば、確かに外には出したかもしれないけれども、一般学生に随分誤解を生じる部分があると思うんですよね。
 それで、学生が徴収をしており、大学は代理徴収をしていないということですけれども、僕は、この形は実質的に代理徴収的な行為だと思うんですよ。昨年、一昨年、自治会費を納めた学生は、新入生のうちおのおの何%か、教えてください。

○矢島次長 十年度の自治会費の納入でございますが、A類自治会が八四%、B類自治会が八五%でございます。十一年度につきましては、A類自治会が七三%、B類自治会が八〇%でございます。

○土屋委員 つまり、昨年徴収率が落ちたのは、議会で問題になって、学生が諸経費を払うルート、方法を多少変更したんですね、その結果だと思うんですよ。だから、何となく自分の意思に反して自治会費を納めていた学生が、納めなくなったということだと思うんですね。
 ことし、こうした良識派学生たちは、議会の批判を受けて徴収方法を変えたと思うのですけれども、今後、どのような形でそれをさらに改善するつもりなのか、考え方があれば聞きたいと思います。

○矢島次長 先ほどもお答えいたしましたけれども、ことしについては、自治会への教室貸与をやめまして、入学手続を行う教養部棟の外の中庭の一部を貸与し、手続の区分を明確にしたわけですが、教室の貸与をやめてということに加えまして、今後、さらに一層の改善の検討を行っていきたいと考えております。

○土屋委員 さらに、入学式の当日ですけれども、入学者向けにパンフレットを配るわけですよね。その中に、差し込みという形で、こういう資料を出しているんです。そこに、わざわざA類自治会、B類自治会は大学が公認する団体だと。これらの会費は任意と、一応ここに書いてあるんですね、アリバイ的に。ところが、「大学は両団体のみ入学手続会場である教養部棟中庭ににテントを設置して会費を徴収することを認めています。」ということを、わざわざ書いている。
 それで問題なのは、実はA類自治会、B類自治会のあり方について、つまり大学の運営についてこれは問題だと指摘しているのは、新聞会を中心とした学生諸君なんだけれども、その下に、「なお、昨年度は都立大学新聞会を名乗る団体が都立大学新聞会全学生を構成員とし」ずっと書いてあって、「大学が公認するこのような都立大学新聞会は存在しませんのでご注意下さい。」ということをわざわざ書く必要があるんですか。

○矢島次長 今、理事ご指摘の件につきましては、自治会が任意加入であること、また新聞会につきましては、昨年、会費を徴収しようとした事実がありましたので、この団体が大学が公認する団体ではないことなどを記載した説明文書を作成し、入学手続者が誤認をしないよう、これを入学手続書に同封し郵送いたしました。大学としてこれを決定し、実施したところでございます。

○土屋委員 新聞会って一つのサークルだから、全員から無理やり徴収したというなら別なんですけれども、個々別に徴収しているわけですよね。だから何ら問題ないわけですよ。
 それで、内部資料なんですけれども、この差し込みを起案したのは学生部長でしょう、小林さんという教授。この人は共産党系といわれている人なんだけれども、(「何ですか、そういうことを」と呼ぶ者あり)いや、本当だから仕方ないじゃないですか。この人たちが起案をして、わざわざそんな話を入れさせているんですよ。任意だと書けばいいんですよ。大学当局が、一方の学生に肩入れをするようなことをする必要はない。(発言する者あり)

○山本委員長 ちょっと、お静かに……。

○土屋委員 なおかつ一番問題なのは、入学式の後で自治会のいわゆる説明会が開かれるんですけれども、そこに学生課職員の人がわざわざ出てきて、これはテープがあるけれども、なお最後になりますけれども新入生の皆様には……、いろいろこうあって、その中で、一部の学生グループが都立大学新聞というものを発行し、都立大学新聞会と名乗って活動しています、しかし、本学はこれらの団体を正当なものとは認めていません、大学が正当と認めていた新聞会は現在活動していないと。これ、昔、新聞会は共産党だったんです。あかつき印刷という印刷会社に都立大学新聞というものを印刷させた。そのときは正当だと。そうじゃない連中が、連中といったら失礼だけれども、諸君が新聞会を新しく構成したら、それは認めないということを、わざわざ大学の職員が説明する必要があるんですか。(「さっき、共産党の前の新聞会って、何ていったの、わからない」と呼び、その他発言する者あり)

○山本委員長 ちょっと待って……。終わってから質問してください。

○矢島次長 ただいま理事からお話のあった入学式の後の説明で、新聞会について、これについては支払いが任意であるということを説明したものと理解しております。

○土屋委員 わざわざ、私は書く必要がないと思うんですよ。
 それでなおかつ、一部のいろいろ批判がある自治会ですから、学生自治組織なんで、自分たちの努力で自治会費を集めさせる必要があるんですよ。わざわざ大学当局が、その中庭を便宜供与する必要はないと思いますけれども、それはどう考えますか。

○矢島次長 大学自治会につきましては、他の学生団体とは異なる位置づけをしている団体でございます。課外活動の取りまとめを行う組織で、学生の総意を代表する機関として位置づけておりまして、自治会費の徴収に当たって、大学の指導のもとに置き、あくまで任意加入であり、強制加入の印象を与えないよう節度ある勧誘を行っているところでございます。

○土屋委員 任意加入なんでしょう。ところが、当日の写真だけれども、これ、矢印が新入生で、周りを取り囲んでいるのが自治会の役員。それで、私のボランティアの人たちが直接聞き取り聴取をしたんだけれども、そこで新入生のAさんは、いろんなやりとりがあったんですけれども、書くようになっていて、一応書けるとこまでいいといったんですけれども、皆さん書かれるんですか、入られるんですかと聞いてみたら、ここに来た人は大体皆さん入りますよねと。そのときに、では自治会というのをよくわかっていて入ったんですかと聞いたら、いやあんまりよくわかっていないと。
 別の人は、みんな入っているといったんで、そんなものかなと思って手続をしたと。別の人は、どのように集めていましたか、うるさいと。その人は一応全員加入ということをいわれて書類を書かされたといっているんです。任意加入と全然違うじゃないですか。ちゃんと答えてください。

○矢島次長 入学手続日における自治会費の徴収につきまして、今理事からお尋ねがあったような事実につきましては、例えば全員加盟制度といったことを新入生がいったところについて申し上げますと、自治会に確認をいたしまして、任意であることを説明し、ただし払ってもらうお願いをするように徹底しているということでした。
 ご質問にあるような印象を持つ新入生がいるということを伝えまして、一層の配慮をするよう指導したところでございます。
 今ご指摘のことについていえば、実際に私ども職員が立ち会いまして、そこで指摘のあった事実については確認をしながら、任意であるように指導を統一しております。

○土屋委員 指導をするということですからーーさっき見せたああいうリーフレットを自治会がつくって任せる、それから、あと写真をお見せしたように前に立ちはだかっている、ああいう行為は、力づくでやっている行為と同じですよ。
 さっき新入生が直接話した話も、新入生が自治会の人にいわれたという証言ですから、ぜひそれを踏まえて、任意加入なら任意加入でいいんですよ。自治会が一生懸命自分たちの自治会費を集めるような運動をしようと自由ですけれども、それはキャンパスで自由にやるべきだと思いますね。特定のところに便宜を与えるというのは、僕は間違っていると思います。
 ともかく今までの話を聞きますと、いわゆる当局といいますか、上層部は改革をしようと思っていると思うんだけれども、学生委員会だとか評議会だとか学生部という部があって、つまりその人たちというのは、特定の政治勢力に便宜を与えるような体制を何とか維持しようということになると僕は思うんですよ。これで、皆さんがいうような方針で、都立大学の自治会費徴収疑惑は解消されると考えていますか。

○矢島次長 大学では、全学的合意のもとに教育的見地から、勧誘活動において学生の自主性を尊重して、学生の自治を認めているところです。
 学内規定に基づき公正に選出され組織されている学生委員会及び学生部が、学生の勧誘活動を所管し、学生の自主性を尊重しつつ、必要に応じて指導助言を行っております。この指導助言に当たっては、すべての学生団体に対して公正に対応しております。
 なお、今後とも特定の政治勢力に利用されることのないよう努力してまいります。
 自治会費の徴収については、総長のもと全学的な了解に基づいて、納入の任意性の確保、また、その納入は学生の自主的な判断によるものであることを強調し、一層の改善に努めてまいります。

○土屋委員 ぜひ、それをしっかりやっていただきたいですね。
 それで、具体的には、今後どのようにその問題に取り組みますか。

○矢島次長 大学では、学生の自治組織である以上、自治会費は自主徴収という考えに立っておりますが、教育的な見地から学生の勧誘活動を支援するため、その取りまとめ組織である自治会に対し、自治会費徴収の場の提供など便宜を与えてきたものでございます。
 現在、学生サービス向上の一環として、入学手続の郵送化を検討しておりまして、これにより、入学手続と自治会費の納入等を全く切り離すことができるようになると考えております。

○土屋委員 それは僕は大前進だと思いますね。なるべくそういうふうに郵送にするとか、誤解のないように切りかえた方がいいですよ。
 自治会費は、本来どのような目的のために支出をされるべきなんでしょうか。

○矢島次長 新入生向けのパンフレットにも記載されておりますが、学生の自主的な判断に基づき、自治会費は大学祭の運営費や体育会、文化部連合、サークル連合等に加盟する各サークルの活動費など、充実した学生生活等のために使われるべきものと考えております。

○土屋委員 例えば、全学連、都学連加盟分担金が、九七年、B自治会では百七十四万円の支出金のうち二十六万五千円もある。つまり支出の一五・二%に当たるが、この全学連分担金とは何ですか。

○矢島次長 A、B各自治会が加盟する全日本学生自治会総連合への分担金と聞いております。
 ちなみに、平成十一年度における全学連及び都学連加盟分担金は、A類学生自治会が四万五千円、夜間受講生自治会は十三万五千円でございます。

○土屋委員 要は、議会で批判が起きたんで、少し分担金を減らしていると思うんですよ。私は、かなり本来の支出目的とはかけ離れていると思う。早稲田大学でも早稲田祭を中止しているんだから、都立大学も今後しっかり改善をしていく必要があると思います。
 それで、入学日当日に(「それこそ介入じゃないの」と呼び、その他発言する者あり)ーーちょっと委員長、静かにさせていただけませんか。

○山本委員長 委員長からご注意を申し上げます。
 ご静粛に。発言中、静かにお聞きください。

○土屋委員 入学日当日に、実は良識派学生が大学の運営について校門前でアピール活動をしていたと。そのときに、都立大学の組合の委員長の宮原さん、理学部の教授ですけれども、その人が出てきて、陳情の件はどうなった、今すぐ謝罪しろと。何であんたに謝らなきゃいけないかと学生が聞いたら、あの陳情で精神的苦痛を受けた職員がいるんだと、こんなことをいっているわけですね。これは職員の発言として適切か不適切か、お答えをいただきたいと思います。

○矢島次長 前期の入学手続日に、入学手続に直接関係のない教員の一人が、ビラをまいていた学生と口論になりかけた事実はございました。
 なお、この教員には、大学としての公式行事である入学手続会場前であり、新入学生やその保護者の方々のいるところではふさわしくない旨を伝えました。

○土屋委員 では、民主青年同盟という同盟があるんですけれども、昨年まで学生ホールを部室として使用していたことがあると聞いていますけれども、それは間違いありませんか。また、事実なら、どの程度の期間、部室として使用させていたんでしょうか。

○矢島次長 お尋ねが都立大学の民主青年同盟であれば、平成十年度まで都立大学の学内登録団体として存在しておりました。この団体は、十年度まで部室を使用しておりました。

○土屋委員 説明によれば、昨年六月で民青がこの部屋を明け渡しているということなんですが、明け渡しを求めた理由は何ですか。短く具体的にお願いします。

○矢島次長 学生サークルの団体登録につきましては、学部通則などの学内規定により定めておりまして、学生サークルが登録団体としてふさわしくない場合は、大学への登録を認めておりません。ご指摘の団体は学部通則に抵触することが判明したため、十一年度から団体登録を認めないこととしたものでございます。
 そこで、当該団体から登録申請も提出されなかったため、それまで使用していた学生の部室を退去させたものでございます。

○土屋委員 今、ふさわしくない団体という発言があったと思うんですが、どの点がふさわしくなかったんでしょう。

○矢島次長 登録をふさわしくないといたしましたのは、主として、学外に本部を有する組織の一部として活動する団体ということでございます。

○土屋委員 ほんと、そのとおりなんです。学外に本部を置く。
 ホームページを見ると、日本民主青年同盟の目的と規約と書いてあるんです。そこの(二)というところに「民主青年同盟は、日本共産党のみちびきをうけ、科学的社会主義と日本共産党の綱領、一般的民主的な教養をひろく」と書いてあるんですね。その十行ぐらい下に「科学的社会主義と日本共産党の綱領を学んでこそ、民青同盟が青年の夢と」こう書いてあるんですね。ですから、この上部団体というのは、当局は答えられないと思うんですけれども、僕は日本共産党を指すのかなと推測をしますけれども、(「上部団体じゃないよ」「訂正しなさい」と呼び、その他発言する者あり)それは、話を、相談をしていると聞いていますけれども(「上部団体といっちゃいけないの」「答弁は違っているよ」と呼び、その他発言する者多し)

○山本委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○山本委員長 速記を始めてください。

○土屋委員 当局の試算によれば、いわゆる民主青年同盟が不正に使用していた部屋は、広さが十二平米とかいろいろ書いてあるわけです。それで、平成三年から平成十一年に限って、いろいろ電気代だとか部屋の使用代とか試算しただけで三百五十七万七千二百円かかっているわけですよ。では、このお金は回収したんですか。これは大問題ですよ。これは決算に関係あるから。

○矢島次長 理事からご指摘のあった学生ホールの部室については、十二平米でございますが、これについては、登録団体としてふさわしくない団体であることが判明した時点で速やかに対処し、部室を退去させましたので、これについて回収はしておりません。

○土屋委員 本来、それは都民の税金の不正使用になるわけですよ。だから、やっぱり返還を求めるということを僕はしていくべきだと思うんです。
 関連でちょっと聞きたいんですけれども、仮に、よその部室が同じような形で使われていたということになったら、同じように退去処分というか、退去処置をするんでしょうか。

○矢島次長 仮に、その団体が学部通則に適合しないということであれば、同様な扱いとなります。

○土屋委員 ここに、マルクス主義と現代のーーこれ、いまだにマルクス主義を信じているという、これはちょっと信じがたい。もう時代おくれですよ。
 それで、この会がつくったパンフレットがあるんですけれども、ここに民青同盟都立大B類なんて、しっかり書いてある。こっちにも同じようなのが書いてあるんです。確かに、さっきいったもう一つのは写真でわかるんですけれども、こうやって民主青年同盟と、入り口にこういう表示をしてあったんではっきりわかったんでしょうけれども、表示をしてあるかないかにかかわらず、自分たちの出しているパンフレットにこう書いてあるんですから、これの処置はどうかするんですか。

○矢島次長 理事が今ご指摘の事実については、承知しておりません。これから調査しまして、必要があればしかるべく対応してまいります。

○土屋委員 看板の表示があるかないかは大した差じゃないと思うんです。自分たちで、そういっているんだから。しっかり調査をして、きちっとした処置をしてください。
 それから、学生大会がこの前あって、休講になったと思うんです。これは決算と関係のある話なんで、ちょっとお聞きいただきたいんですけれども、休講による代講措置はどのようにとられたんでしょうか。

○矢島次長 大学の授業につきましては、全学的に決定する学年暦に従いながら、授業担当者が自律的に授業計画を作成し、授業を実施しております。
 学生大会のために大学がとった休講措置についても、授業担当者が当該授業計画の中で対応しております。このため、大学として代講ーー補講でございますが、その取り扱いは特に定めておりません。

○土屋委員 教員の自主性に任せるということなんですけれども、やむを得ない理由で休講したのはともかく、僕は無責任だと思うんですよ。教授だとか常勤講師には給料が払われて、非常勤講師は当然払われていないですよね。ですから、学生は授業が受けられていない。代講措置については教員の自主性に任せると。でも給料は払われているということにならないでしょうか。

○矢島次長 ただいまお答えいたしましたが、授業担当者がみずからの授業計画の中で対応することとしてございます。

○土屋委員 そもそも学生大会で、いわゆる休講にする理由が僕は希薄だと思うんですよ。ですから、もし仮にしているとしたら、その根拠というのは何なんですか。

○矢島次長 大学教育の中で、授業以外の面で学生が課外活動やサークル活動によって社会性や人間関係を培うことは、極めて重要なものと考えております。こうした教育的見地から、学生の課外活動を大学として支援しているものです。
 学生大会は、学生の総意を代表する機関であり、これに学生が参加することによって、自治の意義や自己責任による組織運営を行うことについて学ぶよい機会であると考え、こうした教育的効果と休講措置による授業の影響等を総合的に比較考量し、休講措置を行うかどうかを決定しているところです。

○土屋委員 総意を代表するといいますと、第一番は任意加入ですね。
 二番目に、かつて自治会では、本当は自治委員の選出は、選出母体において無記名投票の互選で行うという規定があるんですけれども、くじ引きだとかじゃんけんで決めていたとか、それから、十四条だと本当は百八十名くらいいるはずの自治委員は、実際三十名しかいなかったということが指摘されているわけなんで、随分問題があると思うんですよ。
 それに、さらに実は、これは人権問題だと思うんだけれども、自治会に反対する人たちに対して、いわゆる権利停止、いろんなサークル活動だとか、それに制限を加える。自治会選挙にも出られないし投票もできない、そういう権利停止処分をしているわけなんですよね。ですから、その自治会が僕は全体を代表しているとは思わないんですけれども。

○矢島次長 自治会については、先ほど理事からご指摘がありましたように、かつて大会が成立しないこともございましたが、その後、再建された後は基本的に規約に基づいて学生大会等が開かれて運営されてきておりまして、学生の総意を代表する機関だというふうに認識しております。

○土屋委員 その権利停止の問題について、今後検討するつもりはあるんですか。

○矢島次長 権利停止につきましては、A類、夜間の両自治会が学生大会において、平成九年に、B類自治会執行部を一方的に解任したと主張し混乱を招いた学生に対して、自治会活動に関する権利の停止を決議したものでございます。この決議は、学生の自治活動の中で行われたものであり、学生の自治活動を尊重するという従来の枠組みから、大学としてもこの決議について尊重する立場をとっております。
 なお、学生委員会は権利停止の問題について検討しております。

○土屋委員 ぜひ、その検討をしてください。
 それで、政治的中立性の問題については、平成十年十二月十一日に齋藤局長が、政治的中立性について疑いを持たれないようきちっと運営してまいりたいと、文教委員会で答弁しているんです。共産党の人は、そんなことをいうと、またとんでもないということをいうかもしれないけれども、いわゆる共産党支配といわれている大学をどう改革するのかを明らかにすべきだと思うんです。
 百二十億円の税金で運営されている都立大学が、改革をやるにしても、皆さんはやりたいと。ところが、学生委員会があって、そして評議員会があって、学生部長がいて、そこで何かいろんなことが全部ストップしているような印象を僕は受けるんですけれども、自治とは学問の自治であって、超法規的なものじゃないと思うんですよ。ですから、その点について、今後どういう姿勢で都立大学を改革していくのか、決意をお聞きしたいと思います。

○土肥都立大学事務局長 大学は真理の探求あるいは学問の発展のため、さまざまな角度から自由闊達に教育研究を行う場でございます。このために、大学には自治権が認められているところでございますが、その反面として、大学の運営に当たっては、自治を認められた機関としてみずからを厳しく律し、適正な運営に努めなければならない責務があると考えております。
 また、都立大学は都民の貴重な税金で運営されております。都民の信頼を損なうことのないよう、教育機関として中立性を確保するという観点から、一部に偏することなく、より一層適正な大学運営に努めてまいりたいと、そういうふうに考えております。

○土屋委員 まさにそのとおりで、疑いを持たれないように、それからあと、自分たちでつくったような証拠があるわけですから、それを至急調査して、来年に特定の政治勢力に利用されないように学生の自治会(「新聞会もね」と呼ぶ者あり)ええ、ですから、そういうことをぜひきっちりやってください。
 それで、それは民青が下部組織だとかないとか、さっき議論がありましたけれども、下部組織であると一つも書いてない、相談相手と。こんなことをいったら、自民党学生部は自民党を相談相手、公明党の学生部はあるかないか知らないけれども、相談相手、(「日本共産党学生部とはいってないのよ」と呼ぶ者あり)だけれど、規約に日本共産党の綱領を勉強してと、はっきり書いてあるじゃないですか。だから、物事は実質的意味と形式的意味と二つがあると思うんですよ。形式的意味では下部組織じゃないかもしれないけれども、実質的にはそうじゃないですか。何が悪いんですか。
 ということをいって、きっと次に僕の後を彼がやるでしょうから、そこでいろいろ日本共産党的な反論が出てくると思うけれども、学生自治を利用して自分たちの勢力伸長を図るなんてのは、もう学生自治を破壊する最大の敵だと私は思う。

○植木委員 ただいまの質疑の中で、日本共産党に触れて、いろんなまぜこぜの質問がありまして、どう考えていいのか非常に複雑な気持ちでございます。
 一つは、やはり大学における自治、学生の自治、それぞれの自主権、自治会の自主権、またそこで論議されるべきこと、大学当局として論議されるべきこと、それから決算委員会で論議されるべきこと、それから文教委員会、あるいはそれぞれの段階での論議は当然あるべきことだと私は思うんです。
 ただ、そういう大学の当然あるべき自治と、それから、そこに共産党支配という言葉が出てきたり、上部団体、下部団体という言葉が出てきたりしていますけれども、これは思想信条の自由をどう考えるかという、そういう問題として私はとらえていかなければならないと。幾つか、中身は非常にごちゃごちゃになっています。
 ですから、整理をして、まず発端であります大学内でのB類自治会や新聞会などをめぐっての問題が、一体どういうことになっているのかというのが一つです。それに対して、大学の自治の問題で幾つか、何回か触れられましたけれども、大学の当局として当然とるべき態度、そしてそのほかの問題と、幾つか分けて論議をしないといけないと思うんですが、限られた時間でございますので、事実確認だけ、まず最初にやりたいと思います。
 先ほどいいましたけれども、B類自治会や新聞会などをめぐる問題について、簡単に整理してご説明願いたいというふうに思います。

○矢島次長 新聞会、自治会問題の事実経過についてのお尋ねでございますけれども、新聞会問題につきましては、平成九年六月に、学生全員を会員とする学生組織の都立大学新聞会の従来からの執行部に対して、六月以降、従来の執行部から自分たちが新しい執行部になったと主張する一部グループとの正当性をめぐる争いでございます。
 従来からの委員長は、一部グループの行動が正規の手続を経たものでなく認められないと主張し、A類学生自治会も同年七月の臨時学生大会において、従来からの執行部を正当であるとして、自称新聞会の無効と新聞会予算の凍結を決議しました。また、夜間受講生自治会も同年十二月十日の学生大会で、自称新聞会を認めないことを決議いたしました。
 大学は、平成十年六月に、本学学生委員会が新聞会問題と大学の対応についてと題する新聞会に関する見解書を発表して、新しい執行部になったと主張する一部グループが新聞会規約上の執行部ではないと結論を出しました。自称B類自治会の問題は、都立大学夜間受講生自治会、いわゆるB類自治会といいますが、その一部の自治委員が平成九年七月二十五日の自治委員会において、正副委員長の権限を停止し臨時執行部を選出したと主張しましたが、従来からの執行部が同日の自治委員会は不成立であると反論し、同年十二月十日の学生大会において、自称B類自治会執行部を認めないとの決議を可決しました。
 大学では、平成十年三月にB類自治会代表権問題及び誹謗中傷ビラに関する学生委員会見解を公表して、従来からの執行部が正当であることを学内に伝えたところです。

○植木委員 今のは、都立大学としてつかんだB類自治会や新聞会などをめぐっての経過だと思うんですが、いずれにしても、自称という、つまりきちっとした手続を経ない団体がおられると。そのことが、学生自治会として正規の手続をもってーーそういう自称ということでは認められないと。これは、自治会としての正規のきちっとした手続に基づいてやられたというふうに、今のお話を伺って認識したわけですが、そのとおりでよろしいでしょうか。

○矢島次長 それぞれの自治会が学生大会を開いて決議したところでございます。

○植木委員 そうすると、そういう状況に対して現時点の大学当局がとってきた対応、それから、現時点の状況についてご説明願いたいと思います。

○矢島次長 大学は、新しい執行部になったと主張する一部グループが新聞会規約上の執行部ではないと結論を出しております。
 また、一部グループが占拠している部室については、平成十一年七月一日付で、総長名で部室からの退去命令を出しております。

○植木委員 そうすると、学校としてもきちっとした対応をとって、いずれにしても正規でない団体については厳正に対処するということが、当然必要だというふうに私は思うんです。ぜひ、そのようにしていただきたいと思います。
 この点は、今の論議を聞いていまして、非常にごちゃごちゃして、紛争が起きて、一体まだ決着がついていないのかというような印象を受けたんですが、都議会の文教委員会で、あるいは都議会本会議では、これについて同趣旨の陳情が出されていたと思うんですが、どのような決着を見ているでしょうか。

○矢島次長 ただいま委員お尋ねの陳情につきましては、平成十二年第一回定例会に付託をされまして、不採択とされております。

○植木委員 文教委員会におきましては、この問題について全会一致で決着がついて、先日の本会議で決着済みということで、処理がされたというふうに思うんですね。
 そういう意味では、学内のいろいろなごたごたが、今でも続いているかのような指摘がるるありましたけれども、現時点においても、正規のルールにのっとってやっていると。ただし、不正な自称グループというものがいろいろまだやっておられると。こういうことについては、引き続き厳粛に対処していただきたいというふうに私は思います。
 それから先ほどの中で、今のは事実確認として確認なんですが、大学の自治の問題について、どこの大学であれ、どこの団体であれ、共産党に属そうが、自民党に属そうが、公明党に属そうが、民主党に属そうが、それは憲法に保障された自由だと思うんです。ただ、それぞれの組織というものがありますから、その組織の目的、公平な立場、そういうものが当然あると思うんです。それに基づいてやられている場合において、それぞれの個人がどこの政党に属そうが、どこの団体、どういう考えを持っていようが、そのことをもって非難をすることは、私は当たらないというふうに思うんですね。
 現に、私が幾つか聞いたところによりますと、ある大学では現職の国会議員を呼んで講演会をやって、そして部室で選挙の応援をやっていらっしゃった、こういうところもあるわけでございます。そういう事実もあるわけです。
 それが、あたかも都立大学において共産党が支配しているというようなことで、何かそれが悪いというんでしょうか、事実として全く違うと思うんです。私ども共産党は、都立大学を支配しているなんていうことは全く思っておりませんし、それから自民党の皆さんが支配しているとも思っておりませんし、ほかの政党が支配しているとも思っておりません。それぞれの大学の自治や、それぞれの個人の自由に基づいて、思想信条の自由に基づいて厳粛に活動されている。大学当局は、先ほどいろいろ答弁があったように、適切に対処されているというふうに私は思います。
 それから、日本共産党自身について、いろいろ具体的な中身にまで触れられたか、全部聞き取り切れておりませんのでわかりませんけれども、(「それじゃ、もういいよ」と呼ぶ者あり)ええ、もう終わりますから。
 先ほど事実確認しましたので、見解だけ述べておきますけれども、日本共産党は創立以来一貫して、七十数年にわたって活動してまいりましたけれども、今日、国民的な大きな支持を得て、全国的にも地方議員もふえて、国会でも一定の(「そんなのは質問じゃないよ」と呼び、その他発言する者あり)ですから、そういう点で土屋委員が共産党に対して好きであるか嫌いであるかは自由でありますけれども、そのことをもって非難するのは当たらないということをきちっと申し述べて、私の質疑といたします。

○山本委員長 ほかに発言はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 なければ、お諮りいたします。
 都立大学事務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、都立大学事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で都立大学事務局関係を終わります。

○山本委員長 これより港湾局関係に入ります。
 初めに、先般の人事異動に伴い、半年ぶりに交代がありましたので、浪越局長から紹介があります。

○浪越港湾局長 去る四月一日付の人事異動に伴いまして港湾局の幹部職員に交代がありましたので、紹介させていただきます。
 港湾振興担当部長の小宮山元二君でございます。臨海部開発推進担当部長の南雲栄一君でございます。
 以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
   〔理事者あいさつ〕

○山本委員長 紹介は終わりました。

○山本委員長 港湾局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○阿部総務部長 一月二十四日開催の当委員会におきましてご要求のありました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元の資料、平成十年度各会計決算特別委員会要求資料をごらん願います。
 ご要求のありました資料は、表紙の次のページにありますように全部で四項目、四ページでございます。
 一ページをお開き願います。1、平成十年度における港湾局の最重点事業でございます。
 局の最重点事業と考えております東京港振興関連事業及び空港整備事業の執行状況につきまして記載しております。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、二ページをお開き願います。2、事業別決算額の推移でございます。
 昭和六十年度から平成十年度までの決算額を会計別、事業別に取りまとめたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、三ページをお開き願います。3、国内主要港における取扱貨物量の推移でございます。
 東京港を初めとする国内主要港五港につきまして、平成元年から平成十年まで十年間の貨物量の推移を外貿と内貿に分けて、一表に取りまとめたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 次に、四ページをお開き願います。4、国内主要港における外貿コンテナふ頭の整備状況と計画でございます。
 東京港を初めとする国内主要港五港における平成十二年一月末現在の岸壁水深十三メートル以上のコンテナ専用バースについて、既設バース数と各港の港湾計画による計画バースを一表に取りまとめたものでございます。詳細につきましては、ごらんいただきたいと存じます。
 以上、大変簡単ではございますが、ご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 港湾局の一般会計のうち、港湾整備費について質疑していきたいと思います。
 今ご説明していただいた資料の二ページには、事業別決算額の推移というのがございます。この資料で出していただいた中に、東京港整備費というのがございます。港湾費の中でも比較的大きな割合を持っているわけですけれども、この中にはどんな内容が入っているのかということを、ご説明をお願いします。

○阿部総務部長 東京港整備費の内容についてでございますが、この中には、コンテナふ頭や東京港臨海道路等の整備、航路・泊地しゅんせつなど東京港の港湾施設の整備費を初め、海上公園整備や新海面処分場等の廃棄物処理場建設、護岸保全施設建設、汚泥しゅんせつ事業などの経費のほか、これらの施設の管理運営に要する経費などが含まれております。

○大山委員 コンテナふ頭の整備だとか、航路だとか泊地のしゅんせつなどを初めとした、港としての東京港を整備する本来の仕事と、それには直接関係しないような、例えば東京港の臨海道路だとか、レインボーブリッジは平成五年でオープンしていますから、今のご答弁には入れていないんだと思いますけれども、その中身や、それから新海面という最終処分場の建設など、そういうことで、港そのものの仕事と、そして臨海関係の仕事、最終処分場の仕事があるわけですが、資料で出していただいた一番最初の六十年度と、額が一番大きくなっております平成二年度、そして平成八年度以降の、港に関しての本来の整備事業と、その後はレインボーブリッジ、港湾道路、それから廃棄物処分場の三つの合計、それぞれを教えてください。

○阿部総務部長 ただいまお話のございましたレインボーブリッジ、臨海道路は、いずれも港湾の基本的施設である臨港道路として整備を行ってきたものでございまして、東京港の機能向上にとって不可欠な施設であることはもとより、首都圏の交通ネットワークの形成にも資する重要な施設であります。
 また、東京港における廃棄物処理場も港湾法上の港湾施設でございまして、この整備は、都民にとって不可欠な廃棄物の最終処分場を確保するという重要な使命を達成するため、国費の導入も図りながら、当局の事業として実施してきているものでございまして、ご指摘の三つの施設は、いずれも東京港本来の事業というふうに認識しております。
 お尋ねの三施設合計の事業費と、それ以外の東京港整備費の事業費の推移についてでございますが、昭和六十年度は、三施設合計の事業費が五億円、その他の事業費が二百六十二億円、平成二年度は、三施設合計の事業費が三百八十億円、その他の事業費が六百八十億円となっております。
 なお、臨海道路整備は平成三年度から本格的に実施されております。
 次に、平成八年度以降につきましてですが、レインボーブリッジの整備が平成六年度で終了しておりまして、先生ご指摘の特定施設としては、臨海道路と廃棄物処理場のみとなりますが、平成八年度は、二施設合計の事業費が八百十四億円、その他の事業費が三百七十一億円、平成九年度は、二施設合計の事業費が六百十四億円、その他の事業費が三百二十九億円、平成十年度は、二施設合計の事業費が五百二十八億円、その他の事業費が二百九十七億円というふうになっております。

○大山委員 聞きもしませんでしたが、本来の仕事だというふうにおっしゃいますが、例えばレインボーブリッジは臨海副都心開発というか、臨海副都心のためのアクセス道路ですから、臨海副都心開発がなければ、これは不必要なものなわけですね。アクセス道路ですから、開発者が負担するのは当然だというふうに(「弱い者にとってみれば生命線だぞ」と呼ぶ者あり)ですから、開発者負担が当然です。
 東京港臨海道路は、臨海副都心を支える広域幹線道路の一つであって、特に清掃関係、それから港湾関係の車両を臨海部から南側に排除するということを大きな目的の一つとして、臨海副都心での企業活動のための自動車交通と競合しないように目的を持ってつくられた道路の一つであります。したがって、私たちは、臨海副都心計画がなければ急ぐ必要がなかった、そういう道路だというふうに考えております。
 また、沈埋トンネル方式の採用によって、一メートル当たり五千万円以上と、コストも極めて高いということでは、都の財政負担も重い道路だというふうに思っています。新海面処分場は、不必要だとはいいませんけれども、見直しの必要もある事業です。
 本論に戻りますけれども、昭和六十年度、この資料で出していただいた最初の年度の東京港整備費のこの三事業は、臨海関連と最終処分場の経費は、わずか東京港整備費の二%だったんですね。しかし、その後、臨海関連だとか廃棄物処理場の整備費がどんどんふえて、とうとう平成八年度からは本来の港の整備費と逆転してしまいまして、八年度は東京港整備費の六九%、九年度は六五%、十年度は六四%と、六割以上が臨海副都心関連や処分場のものに使われているという状況になっています。
 最終処分場の整備が、新海面処分場をつくっているわけですけれども、総事業費が七千四百四十億円ですから、巨大なプロジェクトだというわけです。平成八年から十年のごみの埋立量はどうなっているのかということと、都内の公共工事で発生する土の量はどのように変化しているのかということをお願いします。

○高野参事 中央防波堤外側埋立地及び新海面処分場に処分してまいりました廃棄物の処分量は、関係局の資料によりますれば、先ほどの平成八年度が百六十五万トン、平成九年度百三十四万トン、平成十年度百三十九万トンと推移しております。
 また、ご質問の都内の公共工事で発生した建設発生土の量は、都市計画局の資料によりますと、平成八年度六百七十一万立方メートル、平成九年度六百八万立方メートル、平成十年度四百八十六万立方メートルとなっております。
 なお、処分場は、廃棄物のほかにしゅんせつ土や建設発生土も受け入れておりますけれども、これらの処分量は、経済状況や気象条件等によって年ごとに増減しているものでございます。

○大山委員 建設発生土ということについても、今ご発言ありましたように、年々減っているわけですね。それから廃棄物の埋め立てについても、百六十五万トン、百三十四万トン、百三十九万トンということで、年々減っています。これはもちろん減少傾向にあるわけですね。(「数字と違うじゃない、いっていることが」と呼ぶ者あり)百三十四万トン、百三十九万トン、平成八年度から比べれば百三十九万トンと減っています。
 しかも、この処分場計画をつくったときの予定していたごみの処分量は、毎年五百万トンなんですよ。その埋める計画でしたから、百六十五万トン、百三十四万トン、百三十九万トンですから、半分以下になっているわけですね。
 平成十年の行財政改革基本問題特別委員会で我が党の曽根委員が、計画時より使える期間が大幅に長くなっていること、しかも、処分場の間仕切りの部分が国の補助がつかないことなどを考えると、北と南に分けて、南側の処分場整備は当面凍結すること、港湾局の試算では、護岸整備についてだけでも、四千五百億円近い整備費のうち二千五百億円節約できるということも示しながら、せめて間仕切り部分の建設だけでも直ちに見直して凍結すべきだという提案をしていますけれども、この提案についてはどう対応されましたか。

○増田港湾整備部長 ご質問にありました平成十年四月の行財政改革基本問題特別委員会での曽根先生のご質問は、平成三年七月に策定されました、処分量が多かった当初の計画に基づいて行われたものでございます。
 都では、平成十年一月より、東京スリムプラン等の策定を受けて見直しの検討を行いまして、ご質問直後の同年五月には、リサイクルや有効利用を図り、当初処分計画に対しまして約六割を削減するという新しい処分計画を策定してございます。
 現在の処分場の整備は、この削減された新しい処分計画に基づきまして、段階的に着実に整備しているところでございます。
 また、中仕切り護岸につきましては、ごみの適正な処分のために必要でございます。中仕切り護岸は、これまで国庫の補助対象外でございましたけれども、国に対しまして補助事業とされるよう要望活動を精力的に行いまして、平成十二年度から新たに補助事業として採択されることとなったものでございます。

○大山委員 見直し量が六割減で見直しているということですね。ということは、その分、急がなくても済むわけですよ。実際、建設のBブロックを例にしますけれども、建設の時期は、当初そして現在、見直し後というのは、どういう建設の時期になったんでしょう。

○増田港湾整備部長 Bブロックについてでございますけれども、当初の計画によりますと、平成七年に着手いたしまして、平成九年に護岸を完成する予定でございました。ごみの処分計画、あるいは今申し上げましたごみの処分計画に基づきまして適切に対応していくということから、平成八年度に着手いたしまして平成十年度に仕上げるということで、施行時期をおくらせながら適切に対応したものでございます。

○大山委員 当初の膨大な見込みの量のときは七年から九年で計画をして、六割減だということになって八年から十年、竣工というんですか、工事が終わるのは一年おくらせたということですね。
 そうしますと、実際の埋立状況ですけれども、当初計画は、何年から何年で埋め立てが全部終わっちゃうという時期になっているんでしょう。

○増田港湾整備部長 当初の計画でございますけれども、平成九年度に仕上げまして、九年から埋め立てを開始しまして十三年度に終わるというような予定でございました。

○大山委員 当初の膨大な計画だと、来年度にはもう埋め立てが終わっちゃうという計画だったんですね。しかし、今、Bブロックは埋め立てを開始したのがいつで、どれぐらいまでの期間で埋め立てるという見通しなんですか。

○増田港湾整備部長 供用開始でございますけれども、平成十年八月からでございます。
 現在は、土砂系、しゅんせつ土であるとか、あるいは建設土等を処分しているわけでございますけれども、ここのBブロックにつきましては、平成十四年度から一般廃棄物が入ることとなってございます。そういった関係から、十二年度いっぱいには隣にありますCブロックをつくりまして、そちらに土砂系を入れるということになってございます。したがいまして、その後にBブロックに一般廃棄物系が入ってくるわけでございます。
 そういったことから、一般廃棄物につきましては十四年から入りますけれども、今後の経済社会情勢等を十分勘案して、長期的な視点に立って延命化を図っていきたいというふうに考えてございます。

○大山委員 今、延命化とおっしゃいましたけれども、延命化というのは十分図っていく方向だし、今も図っていっているはずなんですね。六割もごみの量を減らせた、減らしたということですし、私たちは不必要だといっているんではなくて、過大ではないのか、急ぐ必要はないんじゃないんですかと。今、これだけお金がないないといっているときに、これだけの巨大なお金を使うものは、もっと抜本的に見直していくことが必要なんだというふうに考えています。ましてや循環型の社会にしていこうということですから、この埋め立ての量というのは、どんどん今後も減らしていく可能性が十分にあると思っています。
 お金がないといいながら、臨海部開発関連だとか、それから今のような抜本的に見直す、そして凍結しても可能ではないかと思われるようなところにお金を注ぎ込んでいて、本来の、例えば内貿だけでも百近くあるようなバースですけれども、耐震バースがまだまだ一歩進んでいないとかということがあるわけですから、そういうことこそ、きちんと港湾局として力を入れていくべきだというふうに思っています。
 もう一つ港湾局の大きな仕事に、島しょの港湾整備の事業があるわけですけれども、大島の波浮港について幾つか質問していきたいと思っています。
 決算年度であります平成十年度に波浮港臨港道路整備検討調査委託報告書というのが出ていますけれども、これはどういう目的で、どんな内容の計画ですか。

○小池離島港湾部長 ただいまご質問がございました離島に関連してのお尋ねに先立ちまして、委員がおっしゃられました当局の事業予算に関連しました発言に一言ご説明申し上げます。
 当局といたしましては、バブル崩壊後、都財政が極めて深刻な状況に直面する中、ご案内のとおり、平成九年度、十年度の予算要求に当たりましては、投資的経費に対して、連続してマイナス三〇%という大幅なシーリングが設定されました。このため、当局といたしましても厳しい対応を求められましたが、事業の必要性、緊急性を踏まえまして、真に必要な事業の実施に努めてまいってきたところでございます。
 こうした中で、島しょ等港湾整備につきましても、平成三年度以降平成十一年度まで、一貫して二百億円を超える事業を確保してまいっておりまして、当局といたしましては、最大限の対応を図ってきたものと考えてございます。
 さて、委員がおっしゃられました離島に関連しての直接のお尋ねでございますけれども、調査に関連いたしまして、この調査対象となっている波浮港の臨港道路につきまして、どのような検討経緯をもって取り上げられるようになったのかということを、まずご説明申し上げたいと思います。
 波浮港の周辺地域は、定期船が周航する大島北部の岡田港や元町港に比べまして、発展がおくれ地域格差が生じていますことから、地域振興と活性化を図るために、港を核とした海辺のまちづくりにつきまして地元から要望がございました。平成五年度に運輸省、東京都、大島町及び地元の各階層の関係者の方や学識経験者で構成されますマリンタウンプロジェクト調査委員会というものが設置されまして、調査検討がなされました。その調査委員会におきまして、港を核とした海辺のまちづくりの方策として、小型船の施設や多目的バース等の整備とあわせまして臨港道路の整備が提案されたものでございます。
 この臨港道路の目的でございますが、波浮港の港口部に東西に橋をかけることによりまして、港湾施設や港の東西を結ぶ連絡道路を確保し交通不便の解消を図ること、また、火山噴火や津波が襲来したときの避難道路の確保を図ること等を整備の目的としてございます。
 当局ではこの提言を踏まえ、平成八年度に第九次港湾整備五カ年計画に位置づけまして、平成八年度以降、関連調査を実施してまいりました。お尋ねの平成十年度の調査は、このような臨港道路の取りつけ可能なルートの比較検討や景観等について検討してまいったものでございます。

○大山委員 長いご回答ありがとうございました。
 私が今質問している趣旨というのは、離島にはきちんとやってほしいという思いを込めてやっているわけなんです。
 それで、今お話しありましたように平成五年度には、町、国、都でマリンタウンプロジェクト調査委員会が開催されて、波浮港を核とする海辺のまちづくりについて話し合いが行われて、八年度からの長期計画でその橋の計画がのって、十年度には委託調査をして報告書を提出してもらったというように、着実に進めているというふうに見受けられるんです。
 しかし、この計画については、「波浮の港」という歌がありますけれども、その歌のイメージと、見晴らし台から波浮港を見おろして、遠く続く太平洋を見渡せるところに観光地としてのよさがあるんだということ、それから、先ほども災害時の避難ルートということを強調されておられるわけですけれども、渡って、強風のときなんか大丈夫なのかというようなことも含めて、この必要性も疑問視されているわけです。また、波浮港の地域の多くの住民は橋づくりに反対していると聞いているんですけれども、その辺の把握はどうなっていらっしゃいますか。

○小池離島港湾部長 ただいま申し上げましたように、この臨港道路につきましては、大島町及び地元の方々の参加しましたマリンタウンプロジェクト調査委員会で、波浮港地域の振興と活性化を図るために提言されたものでございます。
 また、地元大島町からは、毎年東京都の予算編成に際しまして、港湾施設とあわせて臨港道路の整備促進について要望が出されてございます。こうした状況から、臨港道路につきましては、地元の期待は大きいものがあると理解してございます。
 なお、臨港道路の整備に関しまして、現在都議会に陳情が出されており、地元の一部に反対があることは承知してございます。

○大山委員 きちんと住民の意見を正しく把握しなくちゃいけないと思うんです。今おっしゃった陳情にしても、千人からの皆さんの署名もついての陳情だということも聞いております。検討委員会等の手法を用いて、住民の皆さんの意見を取り入れた臨港道路計画を策定する予定であるというふうに報告書には書いてあるわけですね。これでは、臨港道路、つまり橋の計画が先にありきと。住民の要望がいろいろあるんだろうけれども、橋の計画がまず先にありきなんだということじゃないかなと思うんですけれども、どうですか。

○小池離島港湾部長 臨港道路につきましては、ただいまも繰り返し申し上げましたけれども、大島町や地元の方々が参加いたしましたマリンタウンプロジェクト調査委員会で、波浮港地域の振興と活性化のために提案されました。その意見を尊重いたしまして、当局といたしましては第九次港湾整備五カ年計画に位置づけているところでございます。
 調査報告書に記載されている点につきましては、臨港道路の具体化に当たりまして、地域振興を望んでおります大島町や地元の方々の意見が反映されますような計画となるよう、検討委員会の設置が望ましいと考えたものでございます。

○大山委員 地域の振興が、何によって振興されるのかということが、かぎなんだと思うんですけれども、先ほど述べました十年度の報告書の中には、初めにという文章の中で、なお、次年度以降は地域住民の代表と関係各機関で構成する検討委員会を開催し、地域住民の理解促進のため説明会を開催することが望ましいと。波浮港の臨港道路、これは橋ですけれども、整備検討調査委託の報告書でこのように述べているということは、行政が住民の理解を求めるというときは、大体計画をそのまま進めようというときに使う常套句なんですよね。再開発のときだって、幹線道路の建設のときだって、理解を求めるといいながら、強行してきたというのがこの間の経過なわけです。
 今、この波浮港という地と、それから大島というこの島で、住民の皆さんが本当に産業振興したい、より豊かに生きたいという点で、やはり住民の合意がなければ建設するべきではないというふうに考えますけれども、どうですか。

○小池離島港湾部長 波浮港地区の振興を図りたいといいます地元の熱意を背景といたしまして、昨年の十一月に大島町長のもとに、長期的視野で波浮港の港湾整備にかかわる今後のあり方を検討する目的で、波浮港港湾整備検討委員会が設置されております。この委員会は波浮港の地元関係者で構成され、港湾施設と港湾施設間を結ぶ臨港道路の橋梁の整備につきましても検討することとしてございます。
 東京都といたしましては、この波浮港港湾整備検討委員会の今後の検討結果を踏まえまして、波浮港にかかわる整備内容や事業の優先順位等について総合的に検討し、適切に対応してまいりたいと考えております。

○大山委員 適切に対応していきたいというのは、住民の合意がなければやらないということなんでしょうか。再度確認させてください。

○小池離島港湾部長 ただいま申し上げました点でございますけれども、ただいまご説明いたしましたように、地元の方々も含めました町長が設置した検討委員会で出されました結論を踏まえまして、検討していきたいということを申し上げたわけでございます。

○大山委員 昨年の十一月二十五日に、報告書の手法というのにあるとおり、町が検討会をつくったということですけれども、くれぐれも住民の合意なしには建設しないように、再度要望したいというふうに思っています。
 この橋づくりは着実に進んでいるわけですけれども、波浮港の緊急の課題というのは、水防対策だというふうに聞いていますけれども、この水防対策はどうなっていますか。

○小池離島港湾部長 波浮港の水防対策についてでございますが、平成九年度に都議会へ波浮港の水防対策について陳情書が出されております。台風時や荒天時の浸水防止対策の必要性につきましては、当局といたしまして十分承知してございます。
 波浮港の水防対策につきましては、大島町や地元住民で構成されます波浮港水防対策検討委員会というものが設置されまして、これには東京都も参加してございますが、平成九年度から平成十一年度にかけまして、水防対策の具体策について検討してまいりました。
 その中で委員会から提言がありまして、その提言を踏まえまして平成十二年度に、港内から波の浸入を防止します対策として、通路に角落としを設置することといたしまして、事業費一千百万円を事業実施することとして予算計上しているところでございます。

○大山委員 ぜひ進めていってもらいたいというふうに思っています。島の人たちの命や財産を守る水防対策、ようやくできるということですけれども、先ほど、全体の予算が厳しい中で離島の対策もきちんとやっているんだというふうにお話があったわけですけれども、本年度はとうとう島の単独の整備費も一五%マイナスになってしまったということですね。
 例えば利島などでは、船客の待合所の窓のサッシがさびて補修してほしいとか、船揚げ場の柱もかえてほしいなど切実で、本当にささやかな要求の実現を待っているわけですね。
 片や、その橋は三十億ですか、そういう金額で着実に進めようとしているということでは、伊豆七島とか小笠原などの島々の暮らしに不可欠な島しょの港湾整備費は、十年度決算で二百十億七千百万円なんです。東京港を、臨海道路と新海面処分場を合わせますと、五百二十七億九千七百万円です。約二・五倍も都民の税金を使っているわけですね。きちんと凍結できるんじゃないかとかという提案も含めてやっているにもかかわらず、相変わらず税金を注ぎ込んで、片や十万円、百万円の単位で、ささやかな要求実現の順番を待っている島の人たちがいるわけです。
 だから、こういう逆立ちじゃなくて、きちんと本来の港整備、そして離島の港の整備を積極的に、本気になってやっていっていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○木内委員 議会の議論でありますから、いろんな意見があるわけでありますけれども、やはり民主主義のルールというものは、いわば議会の過半数の支持を得た予算案が通り、そして予算の措置が対象とするさまざまな事業が、議会の過半数の賛意を得て進められていくというところが、実は筋論であります。したがって、港湾局は、都民生活にとって欠くことのできない、各領域における大変重要な仕事をしているわけでありますから、いろんな議論はありますけれども、どうか十二年度も自信を持って仕事を進めていただきたい。このことをまず、私は質疑の冒頭に当たって申し上げるものであります。
 さて本題に入りますけれども、東京港の振興ということについて、私は五点だけ端的にお伺いいたします。
 この東京港がいんしんをきわめるということは、直接間接に東京の経済の活性化につながり、都民生活にさまざまな恩恵をもたらすものであります。したがって、東京港の振興というものは、都政の中にあって、今後の重要課題の一つであるということがいえるわけであります。
 かつて国際貿易港といえば、以前は大変バタ臭いイメージである横浜港とか神戸港、これを思い浮かべる人が多かったわけでありますけれども、今や東京港は国内首位の国際貿易港、こういうことになってきているわけであります。
 東京港では、航路や貨物を誘致するため、長年、海外に対してのポートセールス活動に力を注いできたわけでありまして、いわば、こうしたさまざまな官民一体となっての努力が成果を出してき、そして今日の立場を得たと、こういうふうに思っているのであります。座して国内首位の立場を得たわけでは決してないわけであります。
 そこでお聞きしますが、ポートセールスの平成十年度の実施状況と成果についてお答え願います。

○高橋港営部長 東京港では、東京都港湾局と船会社や港湾運送事業者などの東京港関連の民間団体が一体となりまして、東京港振興施設団、通称外貿ミッションと呼んでおりますが、これを結成いたしまして、毎年一回、海外でポートセールス活動を実施しております。
 訪問先の現地におきましては、船会社、荷主あるいは経済団体などを直接訪問いたしまして、東京港のすぐれた施設やサービスを初め、大消費地東京に最短距離にある物流拠点としてのメリットなどをアピールいたしまして、新たな航路や貨物の誘致を行っております。
 また、現地の港湾関係者からの情報収集や、東京港に対する船会社、荷主さんのいろいろな要望を生の声としてお聞きしまして、東京港の施設整備あるいは管理運営の改善に活用しております。
 ただいまお尋ねの平成十年度の実施状況でございますが、アジア、オセアニア地域を十二日間の行程で訪問をいたしました。シドニー、ニュージーランドのオークランド、シンガポール、上海の四都市を訪れまして、現地の船会社、荷主、商工会議所に対しまして、東京港のPRあるいはプレゼンテーションなどを実施してまいりました。
 このポートセールスの成果といたしましては、現地の荷主の東京港利用への要望が高まったことによりまして、翌年平成十一年、台湾の世界的船会社でございますエバーグリーン、これが東京港とオーストラリア間の航路を新設いたしました。
 なお、これまでは東京港とオーストラリアを結ぶ航路はございません。これによりまして、東京港と世界を結ぶ航路網の充実に大きな前進があったというふうに考えております。

○木内委員 そうした努力が相乗効果をもたらし、そして平成十一年度に初めて、ご報告があったように外貿コンテナ貨物取扱量、貿易総額、この両面で日本一の実績を達成したということであります。
 また、世界主要港のコンテナ貨物取扱量、このランキングでも十三位にまで上昇してきている。恐らく今後、これは継続、維持発展をさらにしていかなければならないと思うわけでありますけれども、このことは意外に喧伝されていないうらみがあるのであります。
 したがって、今改めて聞きたいんでありますけれども、この外貿ミッション、いつから開始されて、ご報告いただいた以外にどのような地域で活動してきたのか、また、現在までの成果についてもご報告願います。

○高橋港営部長 外貿ミッションでございますが、昭和五十五年から開始をしております。この間の訪問先は、先ほど申し上げましたアジア、オセアニア方面が九回、北米方面が四回、ヨーロッパ方面が七回となっております。
 東京港の外貿コンテナ貨物取扱量でございますが、外貿ミッションを開始しました昭和五十五年と、昨年、平成十一年で比較をいたしますと、コンテナの個数では、昭和五十五年は六十三万個、平成十一年は二百四十万個となっておりまして、約四倍の伸びを示しております。
 また、貿易総額でございますが、昭和五十五年が四兆一千億円、平成十一年が八兆五千億円と約二・一倍の伸びを示しております。
 そこで、具体的な成果の例を一、二挙げさせていただきますと、平成二年度の外貿ミッションでは、世界有数の船会社でございます韓国の韓進海運の誘致に成功いたしまして、同社が東京港埠頭公社の青海コンテナふ頭を専用使用することになりました。現在、韓進海運の外貿コンテナ取扱量は、東京港全体の約一割を占めるまでに至っております。
 また、平成九年度の外貿ミッションを契機といたしまして、世界の首位を争うデンマークの船会社でございますマースクラインの東南アジア航路が開設され、東京港とアジアを結ぶネットワークが一段と充実いたしております。
 このように、二十年間の外貿ミッションで、東京港への新規航路の開設や、既存の航路で新たに東京港への寄港を開始したものは十八社に上っておりまして、東京港の発展に寄与していると考えております。

○木内委員 今ご説明にもありましたけれども、私は最近、何度も青海コンテナターミナルへ参ります。もう巨大なコンテナ船が貨物を満載して毎日出入りしている。極めて活況を呈しておりまして、ふ頭では、ビルの高さのような大型クレーンが大量のコンテナを積みおろすために、一日休みなく稼働しているわけですね。私は、ここで長く働く人に聞いてみますと、今、十年前には実は想像もできなかった活況ですよと、このことをしみじみ吐露しておられたのが極めて印象的でありました。
 このアヒルの水かきともいえるような、目立たないけれども、実は一生懸命努力をしてきた外貿ミッションというものが東京港の発展に大きく寄与している、この事実はよくわかるわけであります。
 さて、今、経済効果等の数字についてご報告いただきましたけれども、この外貿ミッション実施のためにはどのくらいの経費を、例えば平成十年の場合、支出しているのか、また、船会社の誘致に成功した場合の経済的効果は具体的にどの程度になるのか、伺います。

○高橋港営部長 外貿ミッション実施のため都が支出した経費でございますが、平成十年度の場合、約五百万円でございます。その使途は、旅費、資料作成、現地におけますプレゼンテーションの開催費等となってございます。
 また、船会社の誘致に伴います経済的効果でございますが、これはいろいろなケースがございます。例えば東京港埠頭公社のコンテナバースの利用について見ますと、一バース当たり、つまり一岸壁当たりの年間の専用使用料でございますが、これが約十億円程度でございます。これが公社の収入となって入ってくると、こういうことでございます。
 また、さらに航路が開かれまして船舶が寄港すれば、それだけ港湾関係事業者の営業収入が増加し、また雇用の確保にもつながるわけでございます。
 このような直接的な効果だけではなく、東京港の発展は、東京を初め首都圏経済に大きく寄与しておりますので、外貿ミッションは、支出する経費に対しまして非常に多くの実質的な成果の上がる事業であると考えております。

○木内委員 この財政状況が極めて厳しい現今の都政の中にあって、こうした事業というものは、一層強く推進されなければならないと思うんです。わずかといっていいかどうかわかりませんが、わずか五百万円で、例えば一社の誘致に成功すると、十億程度が公社の収入となって入ってくる。したがって、私は、このいわゆるポートセールスというのは、毎年満遍なく各地域に足を運んで、どんどん客をとってくる、この努力が必要だと思うんです。財政が厳しいからといって、もし切られるようなことがあったら、私どもは、例えば二月の政党要望復活折衝の中でも、五百万でも一千万でもつけて、そして自民党さんと相談しながら応援していきますから。いや、こういう事業が必要なんですよ。五百万で十億でしょう。相乗効果はもっと大きいわけだから。これを、(発言する者あり)共産党には相談しませんから。
 今後、何度もいうように、継続、充実が必要だと思うんですけれども、そうかといって旧来どおりだけの行き方では不十分である、こういうふうに思うんです。
 東京都では、国際関係の事業の見直しが進んでおりますけれども、実効性の高い事業を充実していくためには、一層効果的なものにしていくためには、創意工夫というものがこれから必要だと思います。予算措置も、申し上げたように必要だと思うんです。
 例えば、派遣先としては、欧米、アジア、オセアニアなどがあると思いますけれども、港湾局からいただいた資料によりますと、私、ざっと見てみましたら、五、六年に一回程度しか訪問していない地域もあるんですね。民間の営業に例えれば、顧客への営業努力といいますのは、間断なく行っていくことが必要なんです。したがって、もしこういう五、六年に一回程度しか訪問できないようなケース、対象地域があるとすれば、その地域における緊急的、重点的な課題に対応しにくいのではないか。重要課題のある地域には毎年でも出向くような、いわば柔軟な対応が必要であると、こういうふうに私は訴えるわけであります。
 今後、予算措置は、ある意味では議会のサポートも必要でありますけれども、創意工夫という分野では、ぜひ行政のレベルで、港湾局の中で知恵を絞ってもらいたい。こう思うわけですけれども、所見を伺います。

○高橋港営部長 外貿ミッションの今後の実施費用についてのお尋ねでございますが、港湾間の国際競争はますます激しくなっておりまして、世界主要港のコンテナ貨物取扱量の順位も、この十年間で大きく変動しております。また、横浜港、神戸港などの国内主要港も、それぞれ積極的にポートセールスに取り組んでおります。
 しかし、今先生お話しのように、一方、都財政もご案内のとおり非常に未曾有の厳しい状況にございます。そこで、このような時代の流れ、状況に応じまして、より多くの成果が上がるポートセールスを行うことは、東京港にとりましても非常に重要なテーマであると考えております。
 ただいま先生よりご提言がありましたように、派遣先やセールス活動の内容などに創意工夫をこらし、例えば今後は、今非常に経済発展の著しいアジア地域の船会社、荷主に対する重点的なアプローチを初め、ポイントを絞ったセールス活動を行うことによりまして、より戦略的、機動的、継続的なポートセールス活動を展開してまいりたいというふうに考えております。

○木内委員 最後の質問であります。
 ここ数年におけるアジア経済というものは大変な成長ぶりでありまして、具体的に東南アジア諸島に目を転じますと、シンガポール、高雄ーーカオシュンですね、それから釜山、こうした港の国際コンテナターミナル間の競争というものが、より一層今後激しくなってくるわけであります。これは他の分野の貿易収支等でもいえることでありますけれども、東南アジア諸港の、産業のいわゆるウエートのあり方というものが今、熾烈をきわめる競争社会になっているわけですね。したがって、東京港の特色を生かし、これまでの努力も生かし、さらに今後、申し上げているような積極的、精力的なポートセールスの活動を行うべきである、こういうふうに思うわけであります。
 最後に、いよいよ意欲的で、自信を持って仕事を進めている港湾局長の決意を聞いて、私の質問を終わります。

○浪越港湾局長 東京港は、先ほどお話のありましたように、平成十年度では外貿コンテナの取扱量は日本一になり、平成十一年度では、コンテナ貨物の取扱量と、それから貿易額も日本一になりました。これも、ひとえにこれまで都議会の皆さんの温かいご支援と、それから港湾施設の整備をこれまでにやってきたこと、それに加えまして、今ご議論のございましたポートセールスに官民一体となって取り組んできた、長い取り組みの成果の一つであろうというふうに私ども考えてございます。
 しかし、私ども日本一、日本一といっていても、二位の横浜とは、それほど大きな差はまだございません。また、目を海外に転じてみれば、ご指摘のように東南アジアの諸港を中心にいたしまして、まさに港湾の国際競争はますます激化してございます。国際的に見て、東京を初め、国内の主要港の地位はむしろ低下しているというのが実態ではなかろうかと、私ども厳しく受けとめてございます。
 東京港が、都民の生活を守り首都圏経済の発展を支えていくためには、これからも国際的なメーンポートとしての東京港が役割を果たしていくことが大切でありますし、常に世界を視野に入れた、危機感を持った港湾経営が必要であろうというふうに私ども考えてございます。今日の状況に慢心することなく、頑張っていきたいと思います。
 そういうことで、今後とも効果的なポートセールス活動を行っていくとともに、ソフト、ハード両面にわたりまして、使いやすい東京港をつくっていきたいと考えてございますので、引き続きよろしくご支援のほどお願い申し上げます。

○田中委員 私は、調布の離着陸場について若干確認をさせていただきたいと思います。
 まず、十年度の決算の中で、空港整備費の中で、調布の離着陸場に対する予算がついていると思うんです。三億二千万の経費が計上されているわけですけれども、この事業の内容と、執行率一〇%というふうに低いわけですけれども、この理由について伺います。

○小池離島港湾部長 平成十年度に予定しておりました事業でございますが、調布離着陸場につきましては、平成十二年度末に正式飛行場化を果たすということで事業に取り組んでおります。平成十二年度の事業内容といたしまして、実施設計と土木工事等予定してございました。
 この執行率が、ただいまご指摘ございましたように一〇%と低くなっているわけでございますが、その理由でございますけれども、当初、平成十年度のできるだけ早い時期に飛行場としての設置許可を得まして、当該年度内に実施設計と土木工事との着手を予定し、予算を計上してございました。しかしながら、運輸大臣の設置許可が平成十年十二月二十五日となりましたために、平成十年度の予算執行は実施設計にとどめまして、土木工事には着手できなかったことから来る執行率の低下ということでございます。
 なお、執行できなかった約二億八千七百万円につきましては、翌年度に繰越実施しているところでございます。

○田中委員 あわせて、防音工事の助成について、二億七千五百万の支払い済みというふうになっているわけですけれども、十年度だけじゃなくて、平成六年度から防音工事が継続していると聞いていますけれども、この防音工事の内容と実施状況についてお伺いします。

○小池離島港湾部長 制度についてでございますけれども、調布離着陸場はまだ正式な飛行場でないために、環境庁の航空機騒音に係る環境基準に基づく騒音規制等に係る指定行為がなされていない状況にございますが、航空機騒音対策の一環といたしまして、東京都独自の制度として設けたものでございます。
 具体的に申し上げますと、航空機騒音をあらわす国際的な単位でございますWECPNLが七〇を超える地域の住宅を対象としまして、防音型アルミサッシや冷暖房装置などの防音工事への助成を行うものでありまして、平成六年度から平成十年度までの五カ年に申請のございました七百六十一戸につきまして、総額約七億八千七百万円の助成を行っているところでございます。

○田中委員 今、五年間で七百六十一戸の防音工事が終了したというふうに伺いましたけれども、対象世帯は九百戸というふうに伺っているんです。ですから、まだ済んでいない世帯が百四十戸余りあるわけですけれども、私、ここに「民家防音のしおり」というのを、平成六年十月に港湾局が出したものをいただいたんです。
 これを見ますと、申込方法が記載されておりまして、申込期間が、調布、三鷹、府中、三市のお住まいの方なんですけれども、平成六年十一月一日から平成六年十一月二十二日までの間に限られているんですね。調布市でも十日、三鷹市八日間とか、大体十日前後の申込期間しかないんですね。申込時間も、午前八時半から午後五時十五分までということで、お昼の時間を除く、しかも、土日、祝祭日を除くと書かれてありますので、なかなか申し込めなかった人もいるんじゃないかなと思うんです。
 平成十年までの工事と伺っているんですが、残った分については、これからの扱いというのはどういうふうになるんでしょうか。

○小池離島港湾部長 九百戸ぐらいというお話がございましたが、これは事業に当たりまして、事前に騒音の予測をいたしました範囲にどのくらいの戸数があるかということで予測されたのが約九約九百戸というふうに、私どもは把握していたわけでございます。
 この助成制度につきましては、あくまで申請主義をとっております関係で、この期間に申請のございましたのが七百六十一戸ということでございまして、先ほど委員のご質問がありましたけれども、申請しなかった人、漏れがあるんではないかというご指摘なんですが、この工事区間について、新たに、申請期間に間に合わなかったから工事をしてほしいということはございませんでした。ですから、あくまでこの申請のありました七百六十一戸について、平成十年度までに工事をしてまいったところでございます。

○田中委員 今、申請主義という話、申請がということですけれども、伺ったところによりますと、工事を終わって正式な飛行場として認められるということになりますと、国の方でも環境の方向での、もう一回、再度騒音に対しても調査をするというような話も伺っているんですけれども、このときに何らかの措置というのはできないんでしょうか。いかがでしょうか。

○小池離島港湾部長 正式飛行場になりますと、先ほど来申し上げておりますように、環境庁の航空機騒音に係る環境基準が適用されるようになります。このときに、騒音の基準を満たせない場合には、それを実施するように工夫をするということになっているんですが、実際には飛行場の騒音基準を満たすのはなかなか難しいところがございまして、備考欄として、対策といたしましては防音工事を講じるというようなことがございます。その基準に、騒音がどういう状況にあるかということにつきましては、この新たな環境基準の対象となりますと、東京都の今回の環境局が改めて調査をいたしまして、それでもって何ホン、WECPNLがどのくらいだということが設定されます。
 その場合に、私ども地元の関係三市とお約束しておりますように、七〇を超えるような場合には適切に対応してまいりたいと思っております。

○田中委員 ぜひ、適切に対応をお願いしたいと思うんです。
 あと、防音の工事を終わった方についてもちょっと伺ったんですけれども、実際どのぐらいの効果があるかというふうに考えますと、例えば、甲州街道に面したところもあるんですけれども、甲州街道に面した部分については開口部の、いわゆる窓のサッシの防音の工事をやってもらったものだから、道路の騒音についてはかなり減ったというふうに思うんだけれども、飛行機の騒音ということから考えると、なかなか騒音が今までよりも減ったような気がしないというような、そういうのもあるんですね。
 実は、地元市との都営コミューター空港受け入れ条件という条件を、市と港湾局の間で、東京都との間で交わしていると思うんですけれども、その中で騒音対策というところがあるんです。その中で、先ほどいいましたWECPNLですか、その騒音指数が七五を超える地域に対しては屋根の防音対策を講じることという、そういう受け入れ条件の一つの項目があるわけなんですね。屋根というふうになると、なかなか大変というのもあるとは思うんですけれども、この点についてはどういうふうに考えているでしょうか、ちょっとお願いいたします。

○小池離島港湾部長 平成十年度までに実施いたしました防音工事助成につきましては、正式な飛行場になる前の対応といたしまして、航空機騒音に係る環境基準に基づいて、国が実施しております防音工事に準じて実施してまいってきたものでございます。
 国における防音工事助成は、WECPNL値が七五以上である地区の住宅につきまして、窓のサッシ工事、冷暖房設備の取りつけ工事等の工事を対象としておりますが、屋根の防音工事につきましては、実施要領等に定められている事例もございません。
 また、屋根は各住居ごとに構造が異なり、基準の設定が難しいことから、屋根そのものに対する防音工事は難しいと考えてございます。
 屋根そのものに対する防音工事は難しいと考えておりますけれども、地元三市と交わしました協定締結に当たりまして、その際東京都が回答しておりますとおり、正式飛行場化後におきましてWECPNLが七五を超える地区につきましては、調査検討を行った後、必要であると考えられる助成項目の追加等について、関係市とも協議の上実施していくということを考えてございます。

○田中委員 屋根というのは、それぞれに構造が異なるということでなかなか大変だと。国でもそこまでやっていないということだと思うんですけれども、上から飛ぶという、もちろん航空機ですので上なわけですけれども、そういう意味で開口部から音は入ってくるとはいいながらも、できれば、お話がありましたような正式飛行場化になったときには、七五を超える地域についての協議の対象として、ぜひよろしくお願いしたいというふうに思っております。
 もう一つ、航空機の騒音現況調査というのも一千八百九十万ついているわけですけれども、これは固定の常時置かれている調査の二カ所、調査する固定箇所があるということと、夏冬、数カ所で一週間程度調査をするというふうに伺っているんですけれども、これは結果については公表されているんでしょうか。

○小池離島港湾部長 騒音調査の結果についてでございますが、これにつきましては一年ごとに取りまとめまして、地元の府中、三鷹、調布の各市、それに小金井市を加えまして四市に報告書をお渡ししております。そのうち調布市におきましては、行政文書閲覧室で市民に公開してございます。

○田中委員 先ほども紹介したんですけれども、調布の離着陸場の受け入れに当たっては、さまざまな覚書、協定書、また、受け入れ条件なども地元市と約束をしてきているというふうに思うんです。改めて確認をさせていただきたいんですけれども、正式飛行場化に当たって、東京都としてはどういうスタンスで臨むのか、ちょっと確認をお願いいたします。

○小池離島港湾部長 調布飛行場につきましては、平成四年に国から東京都に管理を引き継ぎました際、また、平成八年の正式飛行場化への合意を得た際に、地元の三鷹、府中、調布の三市と、調布離着陸場の整備及び管理運営に関する協定を締結しております。飛行場の整備に当たりましては、この協定に沿ってこれまで実施してきているところでございますが、今後、正式飛行場化における管理運営につきましても、誠意を持って対応していく所存でございます。

○田中委員 最後に、今度の定例会の中で、国に対する、管制官を飛行場の飛行機が飛んでいる間必ず常駐させてほしいというような請願も採択されましたし、意見書も採択されたということで、ぜひこれも強く国に働きかけていただきたいと思うんですけれども、意見書についても採択されておりますので、ぜひその点を最後にお聞きして、質問を終わりたいと思います。

○小池離島港湾部長 調布離着陸場は、全国でも余り例のない住宅密集地に位置しまして、年間一万六千回を超えます離着陸回数を持つ飛行場としまして、安全確保に万全を期す必要があることから、東京都といたしましても、調布飛行場への航空管制官の存置と管制時間の延長について、国に対してその実現を強く要望してきたところでございます。
 今般、東京都議会で請願を趣旨採択され、意見書を提出していただいたことで、さらに強く国にその実現を要望してまいりたいと考えております。

○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 港湾局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、港湾局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で港湾局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後五時散会

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