委員長 | 山本賢太郎君 |
副委員長 | 服部ゆくお君 |
副委員長 | 前島信次郎君 |
副委員長 | 大山とも子君 |
理事 | 木内 良明君 |
理事 | 土屋たかゆき君 |
理事 | 遠藤 衛君 |
理事 | 小松 恭子君 |
理事 | 立石 晴康君 |
中嶋 義雄君 | |
吉住 弘君 | |
竹下 友康君 | |
くぼた 光君 | |
東野 秀平君 | |
川井しげお君 | |
藤田十四三君 | |
大河原雅子君 | |
田中 智子君 | |
清水ひで子君 | |
倉林 辰雄君 | |
野田 和男君 | |
林 知二君 | |
大木田 守君 | |
羽曽部 力君 | |
藤川 隆則君 | |
萩谷 勝彦君 | |
田村 市郎君 | |
佐藤 裕彦君 | |
植木こうじ君 |
欠席委員 一名
出席説明員中央卸売市場 | 市場長 | 大矢 實君 |
経営管理部長 | 碇山 幸夫君 | |
調整担当部長 | 浅倉 義信君 | |
業務企画担当部長 | 小島 郁夫君 | |
施設部長 | 内村 修三君 | |
築地市場再整備担当部長 | 小栗 英夫君 | |
衛生局 | 局長 | 今村 皓一君 |
技監 | 荻野 忠君 | |
総務部長 | 長尾 至浩君 | |
企画担当部長 | 櫻井 巖君 | |
健康推進部長 | 上間 和子君 | |
生活環境部長 | 河津 英彦君 | |
医療計画部長 | 友松 栄二君 | |
地域医療担当部長 | 中村 忠夫君 | |
医療福祉部長 | 長岡 常雄君 | |
薬務部長 | 山川 洋平君 | |
病院事業部長 | 小野田 有君 | |
参事 | 菊地 輝雄君 | |
参事 | 山下 征洋君 | |
参事 | 大塚 孝一君 | |
住宅局 | 局長 | 戸井 昌蔵君 |
次長 | 三上 雅之君 | |
総務部長 | 清水 巖君 | |
住宅政策担当部長 | 菊田 利春君 | |
連絡調整担当部長 | 渡利 紘司君 | |
開発調整部長 | 水庭 武宣君 | |
参事 | 脇 憲一君 | |
参事 | 小林 計代君 | |
建設部長 | 小関 尚久君 | |
参事 | 西野 和雄君 | |
管理部長 | 片岸 龍男君 | |
管理制度改善担当部長 | 津島 隆一君 | |
営繕担当部長 | 藤澤 幸吉君 |
本日の会議に付した事件
平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
中央卸売市場関係
・と場会計決算(質疑)
衛生局関係
・一般会計決算(質疑)
住宅局関係
・一般会計決算(質疑)
・都営住宅等保証金会計決算(質疑)
○山本委員長 ただいまから平成十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
まず初めに、本委員会の担当書記に交代がございましたので、ご紹介いたします。
議事課の永井靖君です。
〔書記あいさつ〕
○山本委員長 紹介は終わりました。よろしくお願いいたします。
○山本委員長 本日は、局別審査のうち、中央卸売市場、衛生局及び住宅局の順で質疑を行います。
なお、本日は質疑終了まで行い、意見の開陳等は後日行いますので、ご了承いただきたいと思います。
これより決算の審査を行います。
平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
これより局別審査を行います。
中央卸売市場関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、大矢市場長から紹介があります。
○大矢中央卸売市場長 四月一日付の異動で当市場の幹部職員に交代がございましたので、ご紹介をさせていただきます。
調整担当部長の浅倉義信君です。施設部長の内村修三君です。築地市場再整備担当部長の小栗英夫君です。
以上でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○山本委員長 紹介は終わりました。
○山本委員長 中央卸売市場関係の決算については、既に説明を聴取してございます。
その際資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行いたいと思います。
発言をお願いいたします。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
中央卸売市場関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 異議なしと認め、中央卸売市場関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で中央卸売市場関係を終わります。
○山本委員長 これより衛生局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、今村局長から紹介があります。
○今村衛生局長 四月一日の人事異動により、当局の幹部職員に交代がございましたので、紹介させていただきます。
まず、生活環境部長の河津英彦でございます。健康づくり施策調整担当参事の菊地輝雄でございます。経営改善等を担当します参事の大塚孝一でございます。
以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
〔理事者あいさつ〕
○山本委員長 紹介は終わりました。
○山本委員長 衛生局関係の決算については、既に説明を聴取しております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
資料について理事者の説明を求めます。
○長尾総務部長 去る一月二十六日の本委員会におきましてご要求のございました資料について説明申し上げます。
お手元配布の平成十年度各会計決算特別委員会要求資料をごらん願います。
資料は、目次にございますように、1の都立総合病院における感染性廃棄物処理委託(平成十年度)から、14の療養型病床群の整備目標数と整備数でございます。
まず、一ページをお開き願います。1、都立総合病院における感染性廃棄物処理委託でございます。
病院別、廃棄物種類別に、平成十年度における処理量、収集・運搬委託業者名及び中間処理委託業者名について記載してございます。
なお、注にございますように、感染性産業廃棄物は注射針、メス、手術用手袋など、感染性一般廃棄物は血液等の付着した脱脂綿、ガーゼ、包帯、紙おむつなどでございます。
次に、二ページをお開き願います。2、療養型病床群病床数でございます。
区市町村別に、平成十一年八月に実施しました療養型病床群への移行調査結果による平成十一年度末の開設許可見込み病床数を記載してございます。
次に、三ページをごらん願います。3、老人保健法に基づく機能訓練の実施状況でございます。
特別区、市町村別、A型、B型の内容別に、実施区市町村数、実施施設数をそれぞれ記載してございます。A型、B型の訓練内容につきましては、注3に記載してございますので、後ほどごらんいただきたいと存じます。
次に、四ページをお開き願います。4、リハビリテーション専門病床数でございます。
二次保健医療圏別に、平成十二年一月三十一日現在の病床数を記載してございます。
次に、五ページをごらん願います。5、かかりつけ医機能推進事業及び医療機能連携推進事業の実施状況でございます。
かかりつけ医機能推進事業、医療機能連携推進事業別に、開始年度、実施地区を記載してございます。
なお、医療機能連携推進事業欄記載の地区医師会名は、事業実施の委託先でございます。
次に、六ページをお開き願います。6、がん検診の区市町村別受診者数と受診率でございます。
六ページ、(1)の特別区別、七ページ、(2)の市町村別に、がんの種別ごとの平成十年度における受診者数と受診率を記載してございます。注2にございますように、がんの種別は国の指針に基づくものであり、胃がん、肺がん、大腸がんは四十歳以上、子宮がん、乳がんは三十歳以上の者を対象に実施してございます。
次に、八ページをお開き願います。7、難病医療費患者一部負担導入前後の医療費助成額と認定患者数でございます。
(1)、医療費助成額でございますが、患者一部負担導入前、導入後に区分し、その医療費助成額を記載してございます。注にございますように、患者一部負担の導入は平成十年五月一日ですが、実際の医療費助成の支払い月は受診した月の二カ月後となります関係で、各年の七月から翌年の六月までの一年間を比較してございます。
(2)、認定患者数でございますが、認定患者数、重症患者等別の平成十一年六月末日現在の数を記載してございます。
次に、九ページをごらん願います。8、主な在宅難病患者支援策の実施状況でございます。
在宅難病患者支援事業別の事業内容等の概要を記載してございます。
次に、一〇ページをお開き願います。9、食品安全対策及び食品衛生相談等の支出額と規模の推移でございます。
食品安全対策、食品衛生相談等別の平成六年度から平成十年度までの五年間の支出額等を記載してございます。
次に、一一ページをごらん願います。10、犬の登録、犬・猫の収容、動物愛護事業等及び動物保護相談センター管理運営の支出額と規模の推移でございます。
犬の登録、犬・猫の収容、動物愛護事業等、動物保護相談センター管理運営別の平成六年度から平成十年度の五年間の支出額等を記載してございます。
次に、一二ページをごらん願います。11、病院数の推移でございます。
昭和六十三年から平成九年までの十年間の東京都と全国の病院数及び対前年増減数を、各年十月一日現在で記載してございます。
次に、一三ページをごらん願います。12、療養型病床群病床数の推移でございます。
平成五年から平成十一年までの東京都と全国の病床数を、各年十月一日現在で記載してございます。
次に、一四ページをお開き願います。13、介護療養型医療施設に指定された療養型病床群病床数でございます。
平成十二年三月二十七日現在の指定病床数を記載してございます。
最後に、一五ページをごらん願います。14、療養型病床群の整備目標数と整備数でございます。
二次保健医療圏別に、整備目標数と整備数を記載してございます。注にございますように、整備数は、平成十一年度末の開設許可見込み数でございます。
以上、簡単ではございますが、要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山本委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
発言を願います。
○羽曽部委員 ダイオキシンのことについてお尋ねをしたいと思います。
ダイオキシンというのは、人類が生み出した最悪の化学物質だともいわれて、人々から大変恐れられているわけであります。都民は、当然でありますけれども、自分の健康にかかわる問題について、こういうダイオキシンなどというような有害化学物質については、神経をぴりぴりとしておるところであります。
そこで、ダイオキシンというのは、僕がここで申し上げるまでもないと思うのですけれども、がんができやすいとか、そういう毒性を持っておるとか、いわゆる発がん性、あるいは人間の奇形を促す毒性もある、こんなこともいわれておりますし、さらに、皮膚や内臓を侵すというふうな、いわゆる内分泌攪乱物質もともに入っている、こういうような多様な毒性を含んでいるんだ、このようにもいわれているわけであります。
特に、発がん性を帯びた、この毒性を持っているのがダイオキシンなんだというふうに私ども思っているだけに、がんといえば、人の死亡と直結するわけでございますから、大変に恐れられているわけであります。まして、ダイオキシンという有害な化学物質は、目に見えてこないんですね。見えるのか、見た人がいるのなら、ここで説明していただきたいんですが、なかなかこれは見えない。まさにそういう意味で、都民の皆さんそのものが、どこか根本的に、心理的にというか、不安があるわけです。
都民の日常生活の安心、安全が脅かされているんじゃないかという感覚を払拭できないわけでありまして、これからの時代は、政治の重心は、これは何といっても開発や成長の時代から、環境や、安心や安全、そこに次第にシフトしていっている、こんなふうに私は考えております。
そういう意味で、ダイオキシン対策は、都民の健康を考える上でも、また、東京の都民の未来の生活を考える上でも、避けて通れない大きな課題だと私は思っておるのです。そこで、幾つかの点で質問をさせていただきたいと思っております。
その前に、ダイオキシンという化学物質を確認した時期は、一体いつごろだったのだろうか、私は、そこから確認をしながら、質問を進めていきたいと思っております。
その前に、ちょっとお断りしておきますが、私の質問の要領として、どうなっているのかの現状をまず把握して、そして、どうしてなのかという原因をつかんでいく。このままではどうなってしまうのかという予測を踏まえて、それならどうしたらいいかという対策も踏まえての質問を、ずっと続けていきたいなというふうに思っております。
それでは、このダイオキシンが発生したというか、そういう物質を確認した時期はいつであったのか、このことについて、まずお答えをいただきたいと思います。
○山下参事 ダイオキシン類につきましては、一九六〇年代のベトナム戦争で使われました枯れ葉剤に不純物として含まれていたことが知られております。日本におきましては、一九八〇年ごろから、ごみ焼却炉からダイオキシン類が発生していることが一部の研究者に知られておりましたが、問題になったのは比較的最近のことでございます。
○羽曽部委員 そこで、かような現象について、もう一点、別な視点からお尋ねをしたいわけでありますけれども、ダイオキシン類の毒性について、今、人体にどのような、具体的な姿で見える形で病気があるのかないのか。これは、例えばサリドマイド児のような、奇形児が生まれたとか、顔がゆがんじゃったとか、あるいは口が何かひょっとこ面のように曲がっちゃったとか、わかりやすく答えていただきたい。簡単でいいですよ。
そして、そんなことがないなら、ないと答えていただけば結構でございますが、いずれにしても、このことはまた確認しながら進めていきたいと思いますので、お答えをいただきたいと思います。
○山下参事 ダイオキシン類は、蓄積性があり、発がん性など、さまざまな毒性を有することが知られておりますが、人間に対する直接的な影響につきましては、まだ不明な点が多いのが現状でございます。
なお、現在の通常の環境汚染レベルでは、ダイオキシン類により健康影響が生じることはないといわれております。
○羽曽部委員 それにしても、新聞も書き立てるし、みんな不安でおどかされてばかりいるんだけれども、健康に関係ないと。それなら別に問題とすることはないわけなんですけれども、しかし、やはり問題はいっぱい潜在しているなという気持ちをぬぐい切れないものがあります。
そこで、ダイオキシンの発生する原因、このことについて、どうしてなのかという原因を尋ねていきたいなというふうに思っております。
どなたでもわかっているように、何か落ち葉のごみをベトナム戦争で焼いたら、それがダイオキシンだ、こういうつかみ方でございますけれども、何といっても、ごみ焼却場の灰に含まれている猛毒だということだけは間違いないわけでありまして、このことについては、これはやはり大変だと。ごみ焼却場を何とかしなきゃいかぬと。
これは化学的にも、焼却して燃焼するプロセスの中で、どうやら化学反応として発生してくるんじゃないのかなということに気づきまして、既に平成九年の六月ごろには、ダイオキシンを抑制する、ガス化の何かごみ工場の溶融炉みたいなものを三井造船が開発、研究をいたしまして、いろいろとやっているように思うのですけれども、そこで問題なのは、大体そういう意味ではダイオキシンの濃度を、基準を下げることに振り回されてきたんじゃないのかな、私はそういうふうにも思ってはいます。
しかし、そうではないのです。私の住んでいるところは、新宿のど真ん中ですが、この新宿では、昨年、新宿区でダイオキシンを抑制する条例をつくりました。なぜかというと、法定基準以下の小型焼却炉か何かで燃やせば、ダイオキシンがじゃんじゃん出てくるということで、全国の、二十何カ所を厚生省が調べたら、新宿御苑の隣の、新宿の落ち葉をちょっとかき集めて燃やしたら、日本で二番目のダイオキシン濃度が発生したというふうにもいわれているわけでありまして、私どもは、ことしから基礎的自治体という形になってまいりますので、二十三区、それから市区町村もそうでありますが、役割分担としては、広域行政としての衛生局は、どんな指導をしていくのか。
これは環境の部局との関係もございますから、ここでとやかく深くは詰めていきませんけれども、どういう仕方で対応し、ご指導をされていくのか、この辺のところを一点、お尋ねをさせていただきたいというふうに思っております。
○山下参事 都が保有します病院、学校等の小規模焼却炉につきましては、平成九年十月から使用を中止しております。また、事業場や一般家庭で使われている小型焼却炉につきましては、環境保全局が小型焼却炉にかかわるダイオキシン類排出抑制指導要綱を制定しまして、平成十年七月から実施しております。
なお、区市町村につきましては、さまざまな機会を通じまして情報提供を行うとともに、都民や事業者に対して適切な指導が行えるよう、衛生局といたしましては、今後、関係局との連携に積極的に努めてまいりたいと思っております。
○羽曽部委員 そこで、続けてお尋ねをしたいわけでございますが、都民はどのぐらいの量のダイオキシン類を摂取しているのか、また、その量は健康への問題という形でいうなら、どのぐらいの量までが安全の軸足になっているのか、その辺のところをお答えいただきたいと思います。
○山下参事 衛生局が平成十一年度に行いました調査の結果では、都民の食品からのダイオキシン類の一日総摂取量は、体重一キログラム当たり二・一八ピコグラムでございました。これは一兆分の二・一八グラムということでございます。この値は、平成十二年一月に施行されたダイオキシン類対策特別措置法に基づく安全基準量、TDIの四ピコグラムを下回っております。
また、平成十年度調査結果の三・一六ピコグラムに比べまして、摂取量は減少しておりますが、今回の結果だけでは、食品からのダイオキシン類摂取量が減少しているとはいえません。
○羽曽部委員 そこで、ダイオキシンの今のお答えがありましたけれども、減少しているとはいえないというお話でございますが、このダイオキシン類の摂取量は減少しているかどうかも、全く断定できないような状況というのはつかみにくいわけですけれども、過去と比べて、生活環境の中でのダイオキシン類量の推移は、これからどうなっていくというふうにお思いになっていらっしゃるか、お答えをいただきたいと思います。
○山下参事 衛生局では、平成元年度から、化学物質による環境汚染状況を把握するための基礎資料といたしまして、東京湾に生息する魚介類のダイオキシン類蓄積状況を調査する生物汚染状況調査を実施しております。この調査結果では、魚介類に蓄積されているダイオキシン類濃度は、年により変動はあるものの、年々減少していることがわかっております。平成十年度結果では、平成元年に比べ、約半分量に減少しております。
○羽曽部委員 衛生局では、ごみの調査も実施しているように聞いておりますけれども、その結果はどうなっているのか、また、母乳は大丈夫であるのか、このことについてもお尋ねさせていただきます。
○山下参事 衛生局では、平成十年度から母乳中のダイオキシン類の調査をしておりますが、平成十一年度の中間報告によりますと、都の結果は他の大都市の結果とほぼ同程度でございました。
なお、母乳の安全性につきましては、厚生省は、摂取が一時的なものであること、母乳が乳幼児に与える有益な影響から、今後とも母乳栄養は推進されるべきものであると説明をしております。
○羽曽部委員 視点を変えてお尋ねをしますけれども、ディーゼル排ガスに環境ホルモン作用があるといわれておりますが、ダイオキシン類との関係、これはどのようになっているのか。どうも環境ホルモンの作用というのは、内分泌攪乱物質だといわれていれば、ダイオキシンとも似て非なるものかなというふうに私は思って、素人なものですから、いつも頭が混乱しておりますから、これは峻別して仕分けがきちっとできるものなのか、明確にお答えをしていただければ、私どももそれなりの対応策も考えられるのかなというふうに思っておりますので、お答えを願います。
○山下参事 環境ホルモン、すなわち内分泌攪乱化学物質が生体に及ぼす影響や実態の解明は、まだ進んでおりません。非常に不明な点がございまして、環境ホルモン、ダイオキシン、相互にそれぞれ似たような作用をするというのが現在の考え方でございます。
なお、ことし三月に改定されましたダイオキシン類対策取組方針では、ディーゼル車排ガスにつきまして、ダイオキシン類の排出量を把握するための調査を環境局で実施することになっております。
○羽曽部委員 今のお答えをお聞きしておりますと、まだまだダイオキシン類に対して、あるいはディーゼル車の排気ガスについても、その正体というものは正確じゃないというか、不明確で、何となくつかみにくいものがあるというようなお話でございますけれども、それでは、都民の不安を解消するためには、衛生局としてはどのような対応策を練られているのか、その辺のことでお答え願いたいと思います。
○山下参事 都は、東京都ダイオキシン類対策取組方針に基づきまして各種施策を実施しておりますが、衛生局としましても、ダイオキシン類にかかわる環境調査を実施するとともに、その結果を都民に広く提供するなど、情報の提供に努めてまいります。
また、環境局と連携し、都民の不安解消に努めてまいりたいと思っております。
○羽曽部委員 そのようなお答えですが、ダイオキシン類の人体に対する健康影響については、今後の調査研究結果を待たれるところだと私は思っております。ダイオキシン類が私どもの生活環境の中に存在することは事実でありますから、都民は毎日毎日、私ども生活をしているこの環境の中に、ダイオキシン類に取り囲まれて生活を営んでいるということだけは、確認をしたいと思っております。
一般に、人はダイオキシン類を主に食品や大気などから摂取しているといわれておりますが、都民はどのぐらいの量のダイオキシン類を摂取しているのでしょうか。また、その量は、健康に対して障害がないぐらいの、そういう量なのかどうか、このことについて明確にお答え願えればありがたいです。
○山下参事 ただいまのご質問でございますが、先ほどほぼお答えしましたので、同じような答えをしてよろしいでございましょうか。(羽曽部委員「いいですよ」と呼ぶ)
衛生局が平成十一年度に行った調査の結果では、都民の食品からのダイオキシン類の一日総摂取量は、体重一キログラム当たり二・一八ピコグラムでございます。これは一兆分の二・一八グラムということでございます。この値は、平成十二年一月に施行されたダイオキシン類対策特別措置法に基づく安全基準、TDIの四ピコグラムを下回ってございます。
また、平成十年度の調査結果の三・一六ピコグラムに比べまして摂取量は減少しておりますけれども、今回の結果だけでは、食品からのダイオキシン類摂取量が減少しているとはいえないわけでございます。
○羽曽部委員 母乳の調査は今年度で終了するのか、継続して行うのか、その必要は全くないのか、このことについてお答えいただければありがたいです。
○山下参事 母乳の調査は、平成十二年度まで実施しまして、平成十三年度に三年間の総合解析を行う予定にしております。この総合解析の結果を踏まえまして、その後の調査のあり方等につきまして検討してまいりたいと考えております。
○羽曽部委員 今までのいろんな答弁を聞かせていただきましたけれども、衛生局は、食品や母乳、東京湾に生息する魚介類などのさまざまな調査を行っていることがわかったわけでございますけれども、今後大切なことは、これらの調査結果をどう対策に結びつけていくかということだろうと私は思います。
そこで、最後の質問をさせていただきます。ダイオキシン類対策は、衛生局だけではなく、発生源の対策など他局との連携が重要であると思いますが、都全体としてどのように取り組んでいくのか、衛生局の技監に、締めとして答弁をお願いします。
○荻野技監 都は、平成九年十一月に東京都ダイオキシン類対策取組方針を策定いたしまして、それに基づきましてさまざまな対策を全庁的に進めてまいりました。平成十二年、ことしの一月でございますけれども、ダイオキシン類対策特別措置法が施行されましたことにあわせまして、東京都ダイオキシン類対策取組方針の改定を行いまして、三月末に発表したところでございます。
今後は、改定されました取組方針に基づきまして、各局が各種施策を実施いたしますが、衛生局といたしましても、人体への影響に着目しまして、魚介類や母乳などの調査を継続して実施するなど、その対策に取り組んでまいります。
○羽曽部委員 最後に、ダイオキシン類の健康影響について質問させていただいたわけでございますけれども、ダイオキシン類の問題は、私たちの生活と密接に関連した問題でございまして、都民一人一人が関心を持ち、ごみを減らすなどの行動を起こすことが、とても重要であると私は考えております。
そのためには、都民にダイオキシン類に関する正確な情報を的確に、迅速に、わかりやすい形で提供する、これが大事だと思っております。この問題についての正しい理解と協力を得ることが、やはり大事なのかなというふうに考えました。
ダイオキシン類については、まだ十分にわかっていない部分が多くあるんだなということもわかりました。そして、都としても、関係局が一体となって積極的に取り組んでいくことが必要だと私は思っております。
殊に、これはいつだったか定かではないのですけれども、ダイオキシンの問題で、たしかテレビ朝日で、埼玉県所沢市の野菜の騒動というのがありました。ダイオキシン濃度が高いということで、この野菜を買うとか買わないとか、農家の私生活や生産関係に関する問題にまで、経済にまで発展したような事件がありましたけれども、やっぱり大事なのは、リスクのコミュニケーションというものをしっかりと取りつける、行政はそういう役割があるんじゃないのかなというふうに私は思うのです。
マスメディアというのは、やっぱり無責任なところがありまして、珍しければ、大変だ、大変だといっておどかせばいいわけですが、我々は安心で安全な、そういう行政を行うことが大事かなというふうに思うだけに、これは都民にとっては、本当に安心、そして安全だという期待のできる、安心して寄りかかって、行政に委ねられる健康状態というものを、常にそういうベターな状況をつくることが大事、大切なのかなというふうに思っております。
この辺のところを、ダイオキシン類の対策の充実を要望しながら、私の質問を終わります。お答えは別に要らないです。
○小松委員 私は、保健所の問題について何点かお伺いしたいと思います。
都は、平成九年の地域保健法の全面施行を契機に、多摩地区の十七保健所、十四保健相談所を統廃合して十二保健所としたわけです。我が党は、この間、利用者サービスの低下につながる統廃合に一貫して反対するとともに、保健サービスの充実強化の名のもとに行われた各種の改悪に断固反対してまいりました。
保健所が広域化されたことによるデメリットは大変大きく、例えば、地域保健の大きな担い手の一つである保健婦が受け持つ人口、これも統廃合前と比べますと、二倍以上にもふえることになっております。
また、今問題になっております危機管理問題など新しい課題も多くある中で、母子保健事業が市町村に移管されたにもかかわらず、現場の保健婦さんから、従来より仕事が忙しくなった、大変だという声が聞かれ、私も、その声をきょうは少し取り上げようと思ったのですが、時間がありませんので、そうしたアンケートもとられておりますので、それはぜひ後ほど参照していただきたいと思います。
そこで、まず初めに、衛生局はこの保健所の統廃合、これを今どのように評価しているか、伺いたいと思います。
○長尾総務部長 新たな地域保健体制は、利用者の視点に立ったサービスの提供と地方分権を基本的な視点として行われたものでございます。都の保健所は、精神保健や難病対策の専任保健婦を配置するなど、広域的、専門的サービスの提供と、市町村の支援を中心に活動してきたところでございます。都から移管しました母子保健事業が市町村で円滑に実施されていることとあわせ、総体としての地域保健サービスの向上は図られているものと考えております。
○小松委員 総体としての地域保健のサービス向上が図られているというご答弁でしたが、保健所のあり方は、行政の守備範囲を狭めようとする方向ではなくて、公衆衛生を修学したさまざまな職種による総合機能、すなわち総合性を生かした実践の強化と。この意味では、保健所ほど専門職の多い職場はないわけですから、これに住民参加を保障したまちづくりとしての公衆衛生機能を再構築することを指摘しておきたいと思います。
そして、一般健康相談事業、これも廃止されたわけですが、時間のない中で、この質問は省略しまして、この事業につきまして、やはり今こそ、この不況の中での再就職や学生の就職など、保健所の健康診断料は千四百円と、大変安いと喜ばれ、住民に好評であっただけでなく、保健所の公衆衛生機能の後退にもつながりかねないものである、このことを指摘して、次に進みたいと思います。
この統廃合以後も、衛生行政を取り巻く状況、大きく変化しております。例えば、和歌山のカレー毒物混入事件に端を発する健康危機管理の問題、災害時の緊急避難性としての保健所の活用、さらに、エイズや薬物、そして最近は、この四月から始まりました介護保険制度への対応など、課題は山積みされているわけです。そして、これらはみんな保健所が積極的な役割を果たしていかなければならないものです。
こうした新たな問題に対して、衛生局はどのように対応しようとしているのでしょうか、伺いたいと思います。
○長尾総務部長 平成九年の保健所再編整備以降、健康危機事例の発生や、介護保険制度の導入など、地域保健を取り巻く環境の変化に対応するため、保健所には新たな役割が求められております。都では、保健所における健康危機管理体制の整備についての検討を開始することとし、また、介護保険に関しましては、保健所管内の市町村が介護保険制度を円滑に実施することができるよう、介護認定審査会への参加など、必要な取り組みを行っております。
○小松委員 非常に抽象的、一般的なお答えなので、本当はもう一歩、具体的にお答え願いたいのですが、後ほど意見としていうことにいたしまして、きょうは大変時間が限られている中で、次の問題を質問させていただきます。
最近、新聞紙上を大きくにぎわした新潟少女拉致監禁事件では、保健所の役割が大きくクローズアップされたところです。しかし、このとき初めて保健所が何をやっているところなのかわかった、こういう声も聞かれ、関係者の間では住民に対する広報の重要性が改めて認識されたのではないでしょうか。
都の保健所では、統廃合に際しまして、「保健所だより」の発行数を六回から四回に削減したりしておりますけれども、この保健所での情報提供については、今後またさらに六回にふやすということですので、これもさらに要望だけにしておきます。
私は、もっともっと保健所の仕事を広報して、住民の理解を得て活動すべきと考えます。これからも広報の回数をふやすことを是とはしますけれども、あらゆる手だてによる住民への情報提供の展開に取り組んでいただきたいということで、要望だけにしておきます。
ところで、保健所の利用者にとりまして、もう一つ大きな問題は、統廃合されました保健所が、利用者にとっては利用しづらく、また遠い存在となってしまった、こういう声をよく耳にするからです。私は、この声の中から、この決算年度に関しまして、特に多摩東村山保健所におけるCR検診車の導入について、その経緯などを中心に何点か伺いたいと思います。
まず初めに、CR検診車の導入の目的などを伺いながら、そして、なぜ多摩東村山保健所でCR検診車のモデル事業を行うことになったのか、また、モデル事業の実施に際し、どのような検討が行われ、利用者や職員団体等への説明はどのようにされたのか、まとめて伺いたいと思います。
○長尾総務部長 CR検診車でございますが、CR検診車は、CRの特徴でございます精度の高い画質や、受診者の被曝量の低減も期待できることなどに加え、車の機動力を生かして、小規模企業検診や結核の定期外検診など、保健所内外の撮影に活用できることから導入が行われたものでございます。
昨年度から実施しましたモデル事業は、本格的導入に向けまして、具体的問題点の検証を行うため実施しているものでございます。CR検診車の駐車スペースなどの施設条件を考慮し、北多摩北部保健医療圏、多摩東村山保健所、多摩小平保健所でございますが、そこで行うこととしたものでございます。
また、実施に際しましては、平成十年十月に衛生局内に検討会を設置し、活用方法について検討を行ってまいりました。利用者への説明は、導入決定後、直ちに行うとともに、職員団体には、検討会と並行し随時情報提供を行ってまいりました。
○小松委員 実に短期間のうちに、結論を誘導するかのような検討会が三回開かれただけで導入の決定が行われた。しかも、利用者や職場、職員団体への説明は、導入が決定されてから行われる。このように極めて非民主的な手法でCR検診車の導入が行われたものであることが明らかになりました。
精度の高さを考えれば、CR撮影装置を決して否定するものではありませんが、現在のCR検診車を利用した撮影は、利用者、特に障害を持つ、それも肢体に障害を持つ方々にとっては、極めて使いづらいものであります。そのため、障害者など保健所の利用者が中心となりまして、保健所の利用を進める障害者・市民の会を結成しまして、今までのレントゲン装置を残してほしいということも含めて、担当課である地域保健課と再三交渉が行われたことは、既に私も聞いておりますし、ご存じだと思います。
このようなことは、本来導入前に調整されるべきでありまして、今回の導入の経緯を考えれば、利用者を軽視したものといわざるを得ないわけです。なぜこのように拙速にCR検診車の導入に踏み切ったのか、伺いたいと思います。
○長尾総務部長 CR検診車の導入に当たりましては、平成九年四月の地域保健法の全面施行を前に、平成七年から保健所の職員を含めた検討会の中で検討を重ね、保健サービス提供体制の強化策として、導入の決定が行われたものでございます。
導入に当たりましては、結核検診等における診断精度を向上させ、結核予防につなげていくことが急務とされたことから、CR検診車の本格的利用に向けまして、モデル事業として実施していくこととしたものでございます。
○小松委員 答弁を伺っていても、そんなに急がなければならなかった理由は釈然としないわけですが、それでは、保健所の利用を進める障害者・市民の会、もちろん今までのレントゲン装置を残してほしいということから始まって、従来の撮影方法への変更など、さまざまな要望が出されているようですが、どのようなことが実現したのか、伺います。
○長尾総務部長 地域の障害者団体からの要望は、ご指摘のように、従来の撮影方法への変更のほか、障害者の方々が利用しやすい施設にしてほしいというもので、衛生局といたしましては、これらの要望に可能な限り対応してきたところでございます。
具体的には、CR検診車を保健所庁舎に隣接して駐車することによります通路の確保や、雨や風対策のための施設改修、そのほか、検診時におきます受診者の安全確保のための人員配置などを行ってまいりました。
○小松委員 もともと検診車による検診を想定していない保健所の建物ですから、これはいろいろな要望が出されるのはもっともなことで、これに対しての対応は、本当によくされてきたとは思うのですけれども、されていたとはいっても、障害者にとっては大変使いづらいというのが声です。
今後の問題もありますけれども、それでは、ちょっとここで観点を変えまして、保健所における現時点でのCR検診車の実績と金額、これはどのようになっているのでしょうか。
○長尾総務部長 平成十一年度の実績は、保健所全体で百十一回、うち多摩東村山保健所では七十五回でございます。金額は、総額で約三千九百万円、うち多摩東村山保健所分では約二千五百万円でございます。
○小松委員 九七年度の各会計決算特別委員会で、私ども共産党の村松議員が質問いたしまして、それに答えている中で、CR検診車に係る経費が年間約二千万円と答弁をいただいております。しかし、今伺いますと、実際には年間二千五百万円もかかったということですね。また、従来の撮影方法では、村松議員へのお答えでは、人件費を含めて約千六百万円だということですから、そうしますと、大変なコスト高になっているということがいえるのではないでしょうか。
コスト削減が求められている現在の都財政において、それに見合う効果があるのか、また、改めてコスト削減が声高に叫ばれている今日、なぜCR車なのか、CRの効果も含めてお願いをいたします。
○長尾総務部長 CR検診車は、今後普及が見込まれるものでございます。その普及とともに、コストの削減は大幅に進むものと期待しております。また、CR検診は非常に精度の高いもので、受診者にも被曝の量が非常に少ないものですから、今後、定期外検診における所外撮影などに着実な成果を上げ、普及していくものと考えております。
○小松委員 ご答弁では、なぜコストが割高であるCR車を導入したのか、納得のいくものではありません。これ以上お答えを願っても、きっと平行線になると思いますので、まずは、今はモデル実施ということでありますから、この三年間のモデル実施後は、何としても従来の撮影方法に戻すべきことを要望して、次に進みます。
CR検診車と関係しておりますけれども、実は新規結核患者が三十八年ぶりに、また結核の罹患率が四十三年ぶりに増加に転じたことを受けまして、昨年、厚生省が結核緊急事態宣言を出したことは記憶に新しいところでありますが、この結核緊急事態宣言で、国は保健所の役割をどのように考えているのでしょうか。
○長尾総務部長 平成十一年七月に厚生省が発表しました結核緊急事態宣言では、結核対策の最前線である保健所等の結核対策機能の強化や、結核が発生した場合の危機管理の観点から、迅速かつ的確な対応などを地方自治体に求めております。
○小松委員 そうですね、自治体に求められるものは大きいわけです。ところが、そういうときに、二〇〇〇年度からは、エックス線撮影装置を操作する放射線技師が、保健所全体で五人も削減されたと伺っております。また、多摩東村山保健所では、既に保健所内のエックス線撮影装置は、昨年五月に撤去されております。
CR検診車は機動力が売り物とのことではありますが、このような状況の中で、保健所は、結核対策で求められている役割を本当に果たすことができるのでしょうか、伺います。
○長尾総務部長 都では、結核緊急事態宣言を受けまして、保健所の患者管理の充実を図るとともに、集団発生時の対応の強化として、初発患者調査及び定期外検診の実施の徹底を行っていくこととしております。CR検診車は、この定期外検診において、その活躍が期待されております。
○小松委員 結核対策の充実強化が求められている中、甚だ疑問といわざるを得ません。きょうは時間がありませんので、これだけにしておきます。あとは要望だけを述べさせていただきます。
結核が国民病といわれていた時代に逆戻りすることなく、行政が住民の健康を守っていくには、保健所の果たす役割、ますます重要になってきているわけです。このような中で、モデル事業とはいえ、一方的にCR検診車が導入されたことに大きな危惧の念を抱いております。
保健所で実施している各種事業について、衛生局では、今後の都保健所のあり方検討会を設置して事業の再構築に向けた検討を行っていると伺っておりますが、この検討に際しましては、保健所が地域住民、特に障害者など社会的弱者のよりどころになっていることを踏まえて、CR検診車のように局主導で一方的に実施するのではなく、利用者である住民や現場の職員の意見を取り入れていくべきだということを要望しておきます。
また、事業の実施に当たっては、委託ではなく必要な職員を確保するよう要望するものです。
最後に、国民の健康権や生存権を市場の論理に委ねようとする動きが強まる中で、これを規制し、抜本的な対策を講ずることが焦眉の課題となっております。保健所公衆衛生が、地方自治体の使命である住民の健康と暮らしを守り、充実させていくために、その役割が十分発揮できるような機能をつくり上げることを要望して、質問を終わります。
○萩谷委員 医療廃棄物の問題に絞ってお尋ねをしたいと思います。
既に皆さんご承知かと思いますが、産廃処分業者が海外に感染性医療廃棄物の混じったものを違法に搬出した。しかも、これが刑事事件にまで発展した。これを契機に、いや応なしに国民、都民が注目せざるを得ないという状況になっておりますけれども、いわゆるこの問題について、都立病院では現状どうなっているのか、わかりやすく答えてください。
○小野田病院事業部長 都立病院におきます感染性廃棄物は、医療行為に伴って発生いたします注射針、血液などが付着いたしました脱脂綿、ガーゼなどでございます。これらは病棟や検査室などの各所に配置しております専用容器に収集をしております。
この感染性廃棄物の入りました専用容器は、委託業者が回収いたしまして、中間処理施設に運搬をいたします。中間処理施設におきましては、焼却、滅菌処理をした後に、リサイクルされたり、最終処分施設で埋め立てが行われます。委託後の処理が適正に行われているかの確認をやっておりますが、病院が発行する産業廃棄物の管理票によりまして、収集、運搬から中間処理施設までの経過を確認するとともに、中間処理施設については、病院職員が現地の視察を行っております。
さらに、東京ルールに従いまして、最終処分の適正処理を確認するために、中間処理業者と最終処分業者とで取り交わした契約書や、最終処分業者の許可書等の写しの提出を求めておるところでございます。
○萩谷委員 今のご答弁の中に東京ルールという言葉が出てまいりましたけれども、この新しいマニフェスト制度と東京ルールという、この関連性の中で、最終処分が間違いなく適正に行われたということが確認されているかどうか、甚だ疑問な点がありますので、これについてはどうでしょうか。
○小野田病院事業部長 都立病院におきます感染性廃棄物の処理につきましては、ただいま申し上げましたとおり、東京ルールに従いまして、中間処理の段階までにとどまらず、最終処分におきましても、最終処分業者との契約書や許可書によって、適正処理の把握に努めているところでございます。しかしながら、最終処分の段階におきまして意図的に不適正な処分が行われたような場合について、その実態の確認は難しい側面があると考えております。
○萩谷委員 産廃処分業者が都内、都外を含めてどのぐらいあるかというのは掌握しにくい状態がありますけれども、この適正処理を行うためには、業者が信用される者であるということと、いま一つは、この処分に当たって、採算性のとれる金額で契約するということがポイントかと思うのですけれども、いわゆる業者選定と契約関係は、現在どのように行われているのでしょうか。
○小野田病院事業部長 業者選定と契約についてでございますが、財務局の指名競争入札参加者有資格者名簿に登録されました業者の中から、営業許可の有無、事業内容、事業規模などを勘案の上、各病院あるいは財務局の業者選定委員会におきまして、収集、運搬と中間処理につきまして、それぞれ専門業者を指名いたしまして、入札等を行って契約をしております。
○萩谷委員 今までの実績を踏まえて、この契約単価がどうなっているのか、これを明らかにしてください。
○小野田病院事業部長 契約単価でございますが、専用容器の形態、あるいは処理方法などにより差が生じますが、ちなみに、平成十年度におきます感染性産業廃棄物の処理委託単価は、収集、運搬と中間処理の合計単価で見ますと、一リットル当たり二十三円から五十一円までとなっております。
○萩谷委員 私も資料をちょうだいしたわけですけれども、産業廃棄物連合会のアンケートによりますと、感染性廃棄物を適正処理するためには、キロ当たり三百ないし三百五十円かかるんだ、こういうふうに明示されておりますけれども、今教えていただいた数字を見ますと、都立病院の契約単価は、キロに換算をしたとしても、適正処理価格の半値以下だ、こういうふうに判断せざるを得ないわけですけれども、果たしてこういう状況で、これに当たる業者が処理できる契約金額であるのか、甚だ素朴な疑問を持つわけです。
俗に、安かろう悪かろうという言葉がありますけれども、そういうことであってはならない。いわゆる契約等については、土木建築等は最低価格制度がきちっと定められているわけですけれども、この種の契約については、以前、広島で、落札値段が一円、これはもう採算も何も関係ない、とって名を上げることが目的なんだ、こういわれたニュースで、一時にぎわったことがありますけれども、衛生局としては、指導的な立場にならざるを得ないわけですから、果たしてこういうことでよろしいのかどうか。もう一回ちょっと部長、この点を。それで、最後に局長に伺います。
○小野田病院事業部長 感染性廃棄物の処理契約の単価についてのお尋ねでございますが、適正な処理単価につきましては、処理施設の所在地、あるいはその施設の規模、処理方法など、多くの要素が関係しております。都立病院の契約単価は、公正な競争により決定されたものでございまして、私どもといたしましては、処理業者が責任を持って業務を請け負うことが可能なものと認識をしておるところでございます。
○萩谷委員 しゃきっとした答えが返ってこないわけですけれども、今までの短いやりとりの中で、局長、これは、これからどういうふうに取り組んで解決していこうと考えていらっしゃるのか、最終的な結論をお願いします。
○今村衛生局長 ただいま部長が申し上げましたように、処理単価につきましては、いろいろな要素が関係しておりますので、何が適正かというのは非常に難しいわけでございますけれども、より適正な価格になるように、我々もいろいろ誘導していかなきゃならぬと思っています。
また、医療廃棄物、なかんずく感染性廃棄物の適正処理を図るためには、先生ご指摘のとおり、責任を持って処理を行う業者を選定するということが大変重要であると考えております。
今、国においては、処理業者の実態調査を行いまして、適正な業者の選定に必要な業者の実績ですとか、あるいは環境対策などの情報をインターネットで公開するシステムを整備中であると聞いております。こうした情報を踏まえまして、東京都におきましても、環境局、財務局等と連携を図りながら、都立病院におきます感染性廃棄物の適正処理に努めてまいりたい、こう思っております。
○大河原委員 私からは、骨髄移植対策について伺います。
東京都は、骨髄移植対策の推進、関係機関の連絡調整を目的とする骨髄移植推進協議会を設置して、正しい知識の普及啓発、あるいは民間病院に無菌室やアイソレーターの補助をするなど行ってきたことは評価をしたいと思っております。
何年か前にも、この事業について伺ったことがあるのですが、きょう改めて、平成十年度の決算ではありますけれども、骨髄バンクの登録状況について、まず現状を伺います。
○長岡医療福祉部長 白血病などの治療方法でございます骨髄移植を推進するために、骨髄提供希望者の登録を行う我が国の骨髄バンクといたしまして、財団法人骨髄移植推進財団が平成三年十二月に設立をされました。当初、このバンクでは、九〇%の患者さんに移植のための白血球が適合するためには、骨髄登録は十万人が必要とされ、登録を推進してきたところでございますが、平成十年八月に、その目標が達成されたところでございます。その後、より適合性を高めるために、新たな登録目標を三十万人としておりまして、平成十二年二月末現在、全国で約十二万六千人が登録をしている状況でございます。
○大河原委員 私が以前質問させていただいたときには、目標が十万人でした。それが三十万人という高い努力目標になっているわけなんですが、東京都は、この骨髄提供者登録について、どのような事業を実施して、どのように支援をしてきているのか、その点についてお聞かせください。
○長岡医療福祉部長 東京都は、平成五年度に、骨髄移植対策につきまして関係機関との情報交換や連絡強化を図るために、東京都骨髄移植推進協議会を設置しますとともに、都民に対する普及啓発に努めてまいりました。
また、骨髄提供者の登録につきましては、日本赤十字社の献血ルーム等、都内七カ所で実施しておりますけれども、このほかに東京都といたしまして、多摩地区におきまして、平成六年度から二保健所で登録を開始いたしまして、平成九年度からは四保健所に拡大をしたところでございます。
さらに、平成十年度からは、都民が登録しやすいように、骨髄移植推進財団や日本赤十字社と共催で、イベント等に合わせまして、休日におきます集団登録を開始し、平成十一年度は都内五カ所で実施をしたところでございます。
○大河原委員 東京は、他の府県に比べて登録をする場所が数多くあるわけなので、それだけ期待をされているというふうに思います。都は、今後、三十万人登録目標について、どのようにかかわっていくおつもりなのか、その点を伺わせてください。
○長岡医療福祉部長 骨髄移植の推進には骨髄提供者の確保が最も重要な課題でありますことから、現在、都は、骨髄バンク推進キャンペーンを開催するとともに、骨髄提供希望者登録についてのパンフレット等を保健所などで配布しますとともに、「広報東京都」や衛生局のホームページを活用するなど、普及啓発に努めているところでございます。
今後とも、これらの普及啓発活動や骨髄提供希望者登録を進めますことによりまして、骨髄移植の推進に積極的に協力をしてまいります。
○大河原委員 きょうの質問は確認をさせていただくというような形で、今後ともぜひこの事業――東京都の直接の事業ではありません、支援事業ですけれども、進めていただきたいと思っています。それは、三十万人というふうに登録目標が高くなって、人々の認識というのも、骨髄バンクね、知っているというふうに大変に広まってきたとは思うのです。
ところが、ことしに入って、既に登録をした人、五十歳を過ぎると登録を抹消することになるのですが、新規の登録者数よりも抹消する人の数がふえてきている、そういう現実がありまして、ぜひとも東京で、いろんなキャンペーンのところで、集団登録がかなり効果的だと。これは東京都が支援をしながらわかってきていることですけれども、人気グループのコンサート会場で、こういう骨髄バンクのボランティアの人たちがキャンペーンをしているとか、そういった状況も東京ならではというふうにも思います。
そして、もう一方で、臍帯バンクができたことで、少し小さな誤解が生まれているのかなとも思っています。それぞれの患者さんに合った移植の方法が考えられるわけで、臍帯バンク、臍帯血の移植で、これまでの骨髄バンクの肩がわりが全部できるというふうには到底なっていないわけなので、ぜひ今後とも、東京都も支援の力を緩めないでいただきたいという要望をして、終わります。
○藤田委員 療養型病床群に限定してお尋ねをいたしますが、私の質問の前提であります幾つかの数字を、実は一問一答でお尋ねする心づもりでおったのですが、みんなできょう質問時間の短縮に協力しようということでございますから、これは私の質問のあくまでも前提ですから、資料は手持ちにありますから、その数字だけを申し上げて確認をさせていただきます。こういう認識でいいかどうか。
一つは、療養型病床群の整備を促進するために、全国ベースで十九万ベッド、こういう目標を掲げておりますけれども、この目標を受けて、平成十年度末に第二次改定を行った東京都保健医療計画の整備目標は、平成十二年度当初を目途に一万六千八百ベッド、そして平成十二年三月一日現在、開設許可を行っている療養型病床群のベッドは、一万六千八百ベッドに対して一万二千四百五と、乖離がある。
この乖離を埋めるための見通しとしては、全病院を対象にした意向調査で、平成十二年度中に新たに四千七百二十九ベッドを転換する見込みであって、累計では一万七千六百八ベッドになるので、優に目標は達成できるという現状にあると衛生局は確信を持っていらっしゃるように推定をいたしておりますが、私が挙げた数字に間違いはございませんか。
○櫻井企画担当部長 今、先生お尋ねの、療養型病床群の整備目標、整備の状況、今後の見通しについては、先生のおっしゃるとおりでございます。
○藤田委員 一万六千八百の、十九万ベッドに対する東京都の目標に対して、一万七千六百八ベッドの見通しがある。この限りでは、衛生局もかなり頑張ったし、目標と計画達成の実数は、予測も含めていえば万々歳なんだ。
私は、そのことをなぜ伺ったかといいますと、実は療養型病床群というのは、介護保険法の中で介護療養型医療施設として位置づけられているという関係なんです。時間がありませんから、多くのことを申し上げませんけれども、介護保険制度における施設サービスの提供施設の一つとして位置づけられている、このことを重視をしているわけです。
これは申し上げるまでもないことですけれども、すぐれて介護保険の関係は高齢者施策推進室の事務事業でございますから、衛生局に多くのことをお尋ねすることの限界はわきまえております。しかし、介護保険法に基づく施設サービスの提供施設の一つとして療養型病床群を位置づけたという全体の流れの中で、衛生局は予算を組んで、療養型病床群に転換してほしいという政策的誘導をやっているわけですから、その成否と、その現状を問うことは不当ではないという観点から、少し伺ってまいります。
先日発表された東京都介護保険事業支援計画が頭の中にありますけれども、これによると、平成十二年度の介護療養型医療施設を都内に整備することの目標としては、どういう目標を掲げていますか。
○櫻井企画担当部長 先日、高齢者施策推進室の方から発表いたしました東京都介護保険事業支援計画では、平成十二年度に一万六十五人分の介護療養型の医療施設を都内に整備することを目標にしております。この人数でございますが、平成十二年度におきます施設サービスは、今、先生からもお話がありました特別養護老人ホームあるいは老人保健施設、それと私どもが直接所管しております療養型病床群との三種類でございますけれども、この必要数を把握の上、他の二つの施設である老人ホームと老人保健施設の整備目標と合わせまして、都内に整備しなければならない目標として設定をしたものでございます。
○藤田委員 つまり、平成十二年度に、私が申し上げました介護療養型医療施設、つまり療養型病床群を受け皿に転換する目標というのは、一万六十五ベッドですね。確認しておきたい。
○櫻井企画担当部長 今お尋ねの介護保険における施設サービスの量として十二年度に計画しております数字は、おっしゃるとおり一万六十五人分ということでございます。
○藤田委員 それでは、実際に介護療養型医療施設として指定された病床は幾つですか。
○櫻井企画担当部長 高齢者施策推進室の方では、介護保険の施行に伴いまして、この一月と三月に、今お尋ねの介護療養型医療施設の指定を行ってきております。この指定によりますと、第一次指定で二千九百七十床、第二次指定で七百六十七床でございまして、合わせて三千七百三十七床となってございます。
○藤田委員 療養型病床群をつくるという医療施設の機能の分類自身は、私は疑問はあるんですよ、特定病院からね。これはきょうの論議になじみませんから申し上げませんけれども、問題は、療養型病床群全体の整備というのは、一万六千八百ベッドに対して、予測もひっくるめて一万七千六百八ベッド、計画を超えそうだと。しかし、それを療養型病床群の介護保険としての受け皿整備という、ある意味では衛生局も責任を持たなきゃならぬ観点で押さえると、一万六十五ベッドに対して、既に四月一日からスタートしておるのに、三千七百三十七ベッドが指定されたということでは、三分の一しかないわけでして、これはもう大変不安な状況だというふうにいわざるを得ないのです。
そこで、もう時間がありませんから、丸めて申し上げますけれども、療養型病床群は、いわゆる介護型と医療型の二種類に区分されますね。介護保険法でいう介護型に指定されるためには、介護療養型医療施設に変えなきゃならぬ。そのためには、一部屋六ベッドだったのを四ベッドにする。一人当たりの居室面積を一・五倍の六平米以上にする。それから、ふろや談話室を設ける。それから、医師や看護婦を少なくするかわりに介護職員をふやす等々の措置を病院の側は講じなきゃならないんですね。
したがって、金の出し方が足りないのか、補助の仕方が足りないのか、あるいはーー私は、手前みそを申し上げて恐縮ですけれども、介護保険の問題で二十二軒歩きました。そこでは、みんな同じような傾向があるんですよ。療養型病床群としては一定の数を留保しているが、受け皿として、介護保険の介護施設に転換するためには渋っているんです。ほとんどがその三分の一程度で、なお多く療養型病床群の医療型で病院がストックをしているという現状なんです。
これは、雑駁にいいますけれども、介護保険の受け皿に転換させるための衛生局の努力と金のつけ方が足りないのでしょうか。それとも病院の方が、療養型病床群を全部出したのでは、これは将来の病院経営を考える上で、どうもそろばん勘定をしてみると、少しは残しておかなきゃだめだという思惑に基づくのでしょうか。それはどういうふうに把握されていますか。
○櫻井企画担当部長 衛生局としましては、療養型病床群の整備目標を達成するために、平成十年度から、療養型病床群への転換を支援するための施設整備や設備の整備に対しまして補助を実施することとあわせまして、高齢者施策推進室と連携を図りながら、医療機関を対象としました説明会を実施するなど、療養型病床群制度や介護療養型医療施設制度の趣旨等の周知徹底を図ってまいりました。
しかしながら、介護報酬と診療報酬の体系の違いが病院経営に大きな影響を与えること、また、一度指定を受けますと、指定の変更になかなか困難が伴うことなどから、指定申請に慎重になっている医療機関が多いという現状にございます。これまでの介護療養型医療施設の指定の状況につきましては、先生のように、三分の一というお話ございましたけれども、私どもとしても大変憂慮しているところでございます。
○藤田委員 今、部長の答弁で、介護報酬と診療報酬の話が出ました。私、この問題に、きょうたびたびいって恐縮ですが、頭の中にあるものですからーー議事進行に協力しようということですから、余り多く触れませんが、しかし、衛生局に申し上げるのは釈迦に説法ですが、年間十一兆円の老人医療費を何としても圧縮しなきゃならない。これは社会的誘因をいかになくすかという長年の懸案事項と裏表なんですね。
そこで、療養型病床群は、お年寄りをできるだけ介護保険に移して、医療保険の負担を軽くしようと。いいにしろ悪いにしろ、そういう魂胆なんです。だから、医療から介護へという流れを促進するために、介護報酬が医療保険の診療報酬より高くなるように設定されているんですよ。ニンジンをつけているんですよ。だから、医療機関が介護保険の受け皿として療養型病床群を全部払い出さないで一部ストックしておいて、一部分を受け皿づくりに回しましょうなんていうのは、単なる介護報酬と介護保険の診療報酬との対比において逡巡があるんだという見方だけで律するわけにはいかないんです。そうふうに、僕は思う。
そこで、もう時間がないですから簡潔に伺いますけれども、今申し上げましたような状況というのは常々いわれていることなんですが、保険あって介護なしという状況が現実になってくるということを、実は改めて知ることになるわけなんです。これは療養型病床群の整備に財政支援を行っている衛生局として、療養型病床群を受け皿にすること自身が、少し座りの悪い、感じの悪いプランなんだとは思いますが、そのことの論評はきょうやめるとして、衛生局としては、一体これからどうするんですか。大変深刻に受けとめていますということで答弁は終わっているのですが、じゃあどうするんですか。
○今村衛生局長 ただいま藤田先生から、介護サービススタートに当たって、大変重い命題を賜ったと承っております。ご指摘のとおり、介護保険制度における施設サービスの一つである介護療養型医療施設の確保は、大変難渋をする課題だと考えております。関係団体や医療機関等が、今、部長が申し上げたような理由から、どちらが経営にプラスなのか、模様眺めをしている状況の中で、どうやって手を挙げさせるかということに大変苦慮しております。
今後は、関係局と十分調整を行いながら、すべての病院に適切な情報を提供するなど、医療機関に対する一層の働きかけとあわせまして、これは大都市を含めて全国的な問題でもございますので、こういう問題を国に上げて、必要に応じて要望を行うなど、介護療養型施設の確保に努めてまいりたいと思っております。あわせて、療養型医療施設が質の高いサービスを提供できますように、環境の改善を図るための設備整備にも積極的に努めてまいりたい、こう思っております。
○藤田委員 あとは意見を申し上げるにとどめます。
療養型病床群において介護サービスを適用するかどうか、あるいは、そこを少し控え目にして、医療サービスの方に回すかどうかということは、現在の制度の中では、開設者が総合的に判断して決めることなのであって、行政の側は強制することのできないところが、一つは悩みの種であろうとは思うのです。
そういう現状の中で、今の衛生局長の前向きな答弁は、それなりに積極的にやるお気持ちなんだなというふうに受けとめはしますけれども、介護型の療養型病床群への入所を希望する皆さんが、要介護認定は受けたが入所する施設がなくてサービスを受けることができないという状況は、これは当然のことながら、放置しておっていいことではない。
そこで、今の局長の答弁で、とりあえずきょうはわかりましたけれども、ぜひ介護保険制度における施設サービスについては、特別養護老人ホームや老人保健施設等をバランスよく配置するとともに、療養型病床群が受け持つ役割もまた、そのことの当否はともかくとしてあるわけですから、そこに衛生局も着目をして、高齢者施策推進室と十分な連携を図りながら、適切な介護サービスの提供体制を確保するために努力をしていただきたい。
ゆめゆめ療養型病床群全体の整備が一万六千何ぼで、平成十二年度中には一万七千何ぼいくから、目標達成でめでたしめでたしなんていうことにならぬように、介護保険の受け皿として何が求められているかということを改めて直視をし、一万の目標に対して三千七百しか提供がないという、この深刻な事態を受けとめて、一層の努力をしていただきたい、こういうふうに思います。
○清水委員 周産期医療事業と重症心身障害児療育施設について、何点か、簡潔に伺います。
都の衛生年鑑の母子保健医療の動向によりますと、一九九八年、この決算年度であります平成十年度で、二千五百グラム未満の子どもの出生数は八千百十五人、これは、一九八〇年、七千二百二十六人だったときと比べると、出生数が減少する中で、千人に対して比較をしてみますと、一九八〇年は五十一・六だったものが八十二・六人と、大変増加をしていると、ここに出ております。
これは、さまざまな環境の中で、また医療の充実の中で、こういうふうに大変小さなお子さんが生まれ、そして亡くならずに育っていくというふうな方向にもなっていると思います。これを見ますと、一千グラム以下のお子さんの数も大変ふえている数字になっております。
こうした中で東京都は、九年度から周産期医療事業を行っているわけですけれども、この中で、とりわけセンターであります都立八王子小児病院などでも、ドクターカーを配備して、こうしたお子さんへの対応を緊急に行うということで、大変頑張っている様子も、先日も改めて訪問させていただいて、院長先生などからお話も伺ってまいりました。そして、本当に小さく生まれて頑張っている新生児を若い夫婦が見に来ておりましたけれども、本当に心配そうに眺めている様子を見て、医学の進歩のすばらしさと、都の医療事業の果たす役割を痛感してまいりました。
そして、以前には、毎日新聞賞をとられた方のテレビドラマ化の放映がされまして、それを見ている間、私も涙がとまらなく見ていた、そうした記憶もあります。大変重要な都の事業だというふうに考えるわけですけれども、そこで、この事業の中で、NICU、新生児集中治療管理室を十四年までに二百床整備することとしておりますが、九年度の事業開始以来、何床ふえて、現在、何床整備されているのか、また、今後の整備の見込みをお伺いいたします。
○上間健康推進部長 周産期医療事業を開始しました平成九年十月以降、都全体で周産期母子医療センターが三施設、NICUが二十三床増加しております。平成十二年四月現在、周産期母子医療センターが二十一施設、NICUは百七十一床整備されております。今後とも、整備目標である二百床を目指して、引き続き周産期母子医療センターの整備に努めてまいります。
○清水委員 多摩地域のNICUが区部に比べて大変不足をしているということは、昨年の決算委員会でも他の議員が取り上げたところです。そのときに、区部が二・二床に対して多摩は〇・七床と大変低くなっていることに対して、どのように対応していくのかという質問に対し、衛生局長が、多摩地域はNICUの病床数が少なく、引き続き多摩地域に新たな施設の整備を目指すと答弁しておりますけれども、具体的にどのようにふやしていくのか、お伺いしたいと思います。
○上間健康推進部長 多摩地域でNICUの病床数が少なく、周産期母子医療センターの整備が切実な課題となっていることは十分承知しております。引き続き多摩地域における新たな施設の整備を目指しまして、新生児医療に対応可能な医療機関に対して、周産期母子医療センターの整備を働きかけてまいります。
○清水委員 八王子小児病院が大変手狭で、これを移転、改築していくということが既に決定して、用地も確保されているのですけれども、この際に、NICUを増床するということが、この達成に向けて必要だというふうに思うのですが、NICUは増床するのでしょうか。
○小野田病院事業部長 八王子小児病院につきましては、八王子小児病院あり方検討会において、多摩地域における新生児救急医療の中心的役割を担う周産期母子医療センターとして拡充していく計画となっています。現在、局内に八王子小児病院建設検討委員会を設置いたしまして、その医療機能やNICUを含む病床規模について検討を行っているところでございます。
○清水委員 今の医療の動向を見ますと、このNICUというのは、救急医療とか、それから全体の少子化、二十四時間の体制が必要だということで、不採算部門だというふうに思うんですね。また、同じく、この医療年鑑などを見ますと、小児科や産科の医師が少子化の中で減少している、病床が減少しているという中で、このNICUも民間の中でふやしていくというのは、なかなか困難なことだというふうにも思うんです。
そういう中で、東京都全体でこのNICUをふやすという方向がある中で、具体的にふやすためには、都立病院で増床するのが不可欠だと考えるわけです。
特に、多摩地域での周産期医療の整備には、今、病院事業部の方からなんですけれども、お話がありました八王子小児病院の移転計画を早期に具体化して、そして増床の方向に向かっていくこと、それから、多摩南部地域病院での整備というのは、現実的には可能な方法だというふうに考えるんですが、これら都立の施設で周産期医療に積極的に取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○小野田病院事業部長 周産期医療は、少子化が進行する中で、重要な医療課題の一つと考えております。このため、都立病院では、平成十一年度に墨東病院、そして豊島病院を加え、六病院に周産期母子医療センターを整備するなど、積極的に周産期医療の充実に取り組んできました。今後とも、周産期医療に適切に対応してまいります。
○清水委員 この都立小児病院の移転などを契機に増床するということなどが考えられるわけですけれども、現在、検討委員会の設置ということで、さっきご報告があったんですけれども、これが具体化していって、実際に整備されるには七、八年、少なくともかかっていくというふうに予想されるわけですね。
そういう中では、やはり今さまざまな新しい事業がなかなかできないという財政事情ではあるとは思うんですけれども、大変重要な東京都の周産期医療整備をしていく上で、ぜひこの早期移転などの建設問題を具体化しながら、NICUの増床を行っていただきたいと要望いたします。
さらに、こうしたお子さんたちがふえてくるということは、NICUを退院するお子さんたちは、さまざまな心身の発達など、いろいろな問題を抱えていることが多いというふうに考えるんですが、このことをどのように認識されているでしょうか。
○上間健康推進部長 NICUに入院する子どもたちは、心身に障害を残すこともあることから、退院した後も手厚いケアが必要であると認識しております。
○清水委員 こうした子どもや家族のために、具体的にどのような事業が実施されてきたのでしょうか。
○上間健康推進部長 退院後の子どもや、その家族に対する地域での支援策としまして、未熟児出生連絡票などを用いまして、医療機関から保健所へ連絡するなど、相互の連携を図っているところです。保健所では、訪問指導や、未熟児を持つ親のグループ活動への支援など、必要な保健サービスを実施しております。
○清水委員 さらに、心身に重い障害を持つ子どもに対しては、どこでフォローされているんでしょうか。
○上間健康推進部長 心身に重い障害を持つ子どもに対しては、主治医のいる病院が外来等で医療や訓練等を実施しておりますほか、必要に応じまして、重症心身障害児施設や肢体不自由児施設等で訓練や指導を行っております。
○清水委員 病院などでのフォローとしては、この八王子小児病院でも伺ったんですけれども、外来デイケアとして、通院している子どもや親に、待ち時間を使って、赤ちゃん体操や障害者福祉関係の情報交換などが始められて、大事な時間として喜ばれているというふうに伺います。
小さく生まれたことも親にとっては大変ショックですし、そこに障害が残ったということも本当にショックだというふうに思います。そこから立ち直って、これから起こってくるさまざまな問題に対応していくためには、その後のフォローというのが大変大事だと思います。八王子小児病院でやられている、この外来デイケアということが重要な内容だというふうに、私もお話を伺いました。このような取り組みをぜひ大事に支援していただきたいというふうに思います。
さて、重症心身障害児施設についても、今いわれましたけれども、これについては今までも議会でもさまざまな議論が行われてまいりましたし、それから最近、最終報告などが出されていることは承知しております。また、療育圏によって整備が具体化されているということも伺っているわけですけれども、しかし、この療育圏を見ても、例えば西多摩地域とか、それから南多摩地域というのは、八王子一市だけでも、他の療育、一つの圏に相当するぐらいの大変広い地域になっております。
その西多摩地域ですとか八王子市には重症心身障害児施設はないわけですけれども、八王子市や西多摩地域で心身に重い障害を持つ子どもは、どこに通えばよいのでしょうか。
○上間健康推進部長 今、委員のおっしゃいましたように、東京都では、都内を十二の二次療育圏に分けまして、重症心身障害児の在宅支援を行うこととしております。八王子市は南多摩地域の療育圏に属しておりまして、多摩市にございます島田療育センターが、それからまた、西多摩地域の療育圏では武蔵村山市にございますみどり愛育園が、それぞれ重症心身障害児の療育を行っているところでございます。
○清水委員 当然のことだとえを願います。
○友松医療計画部長 平成四年と平成十年の状況を比べますと、都内の小児科医の数は四千百七十一人から四千九十三人に、小児科標榜の病院が三百十八施設から二百七十三施設に、小児科標榜の診療所が三千六百二施設から三千三百五十施設に、それぞれ減少しておるところでございます。
○木内委員 また、各大学の医学部におきましても、医局における小児科標榜を志向する医学生が大変減ってきている、こういう傾向もほかの部面ではあるわけでありますけれども、私は、この小児医療というものは、努めて行政医療の色合いというものを濃くしていかなければ、いわゆる小さな子どもを持つ、幼児を持つ親にとっては、ますます不安な社会環境ということになりかねないのであります。
この点は、よく行政、議会ともに理解をしたいと思います。特に、核家族化が進んでまいりますと、いわば未聞のしつけ、教育あるいは子どもの成長に携わる若い母親にとって、小児科医あるいはその関連の診療所の存在というものは、非常に重要な意味を持つのであります。
そこで、いわゆる小児科医療の施策については、大きく国の政策によるところが多いのでありますけれども、小児救急医療という点でいえば、都における衛生局のマターになってくる、こういうふうにも思うわけでありますが、現在、地域での小児の初期救急医療体制は、具体的にどうなっていますか。
○友松医療計画部長 小児の入院を必要としない初期救急医療につきましては、区市町村が実施主体となり、輪番制の在宅当番医や、固定施設である休日夜間急患センターが診療に当たっております。
○木内委員 乳幼児特殊救急医療事業の平成十年度の決算の状況はどうでしたか。
○上間健康推進部長 平成十年度の予算現額五億二千八百万余円に対しまして、支出済額は四億八千万余円で、執行率は九〇・九%でございました。
○木内委員 申し上げたいのは、少子化の時代にありましては、こうした事業には極めて積極的に行政は取り組む必要があるわけでありますけれども、不用額が今ご報告いただいた数字の中で生じたのは、どういう理由によるんでしょうか。また、事業の充実に向けて、平成十年度、どのように取り組まれましたか。
○上間健康推進部長 不用額が生じましたのは、平成十年度当初におきましては、計画した施設数の確保が困難な状況でございまして、当該年度中に段階的に十八施設、三十六床へ事業を拡大したためでございます。年度当初の当番施設数を十二施設、二十四床から、十八施設、三十六床に事業を拡大しまして、さらに固定医当番制を一部導入し、事業の充実を図りました。
○木内委員 平成十年のこの事業を新たなスタートとして、十一年、十二年、そして来年十三年度というぐあいに拡充のご努力をぜひ願いたい、このことをまず要請します。
次に、小児科医療における問題点は、さっき申し上げたように、玄人、そして専門性が非常に大きい。さらにまた、スタッフ等が重要な要素になってくる。そのために、旧来の診療報酬制度では、小児科医というものの経営がなかなか困難である。こうしたものを反映して、国では、このたび診療報酬制度の中における小児科医療の点数の改正を行ったわけでありますけれども、端的にこれはどんな点の改正が行われたか。また、この診療報酬制度の改正によって、小児科医が今、その標榜数が少なくなっている傾向を果たして食いとめることができるかどうか、この二点について、あわせて伺います。
○上間健康推進部長 平成十二年度の社会保険診療報酬の改定では、小児入院医療に関しまして、小児入院医療管理料が新設されましたほか、救急医療に関しましては、乳幼児救急医療管理加算や救急搬送診療料乳幼児加算が新設されるなど、改善が図られました。
また、小児科廃止の動きに対しましては、ある程度の歯どめ効果は期待できるとは思われますが、少子化のさらなる進行等もありまして、小児科標榜医療機関の増加までは見込むことは困難ではないかと考えております。
○木内委員 まさに部長のおっしゃるとおり、診療報酬制度の改正をしたぐらいでは、申し上げている問題の解決には断じてつながらないわけであります。じゃあ一体どのようにすればいいかといえば、いわゆる他の標榜分野とは一線を画して、小児医療についてはしっかりと行政医療の側面、性格を強く持たせていかなければならない、こういうことを私は強く訴えたいのであります。
民間病院での小児救急医療への積極的な取り組みというものは、実は残念ながら、今日的状況の中では期待できない。先日も新聞に出ておりましたけれども、いろいろな大手の病院等で、この小児科がどんどん撤退している、廃止している、こういう実情があるわけでありまして、行政として積極的に取り組むことが、行政医療として取り組むことが求められている、こういうふうに思うのであります。
さて、都立病院の小児救急患者の取扱実績、この推移を伺うのが一点。この調査も、やはり二年ごとでしょうから、したがって、十年度の決算ですから、十年の数字と、平成六年の実績についてご報告を願うとともに、あわせて、申し上げているように、都立病院は今後も引き続き小児救急医療に積極的に取り組むべきと考えるのでありますけれども、これに対する所見をあわせて伺います。
○小野田病院事業部長 平成十年度におけます小児救急患者の取扱実績についてでございますが、小児救急医療を実施しております広尾病院等、七つの病院で合計約四万七千五百人でございました。平成六年度の実績は約三万五百人でございまして、この間に約一万七千人、五五%の増加となっております。
そして、都立病院におきましては、広尾病院や大塚病院など七病院のほか、平成十一年度から新たに豊島病院を加えまして、八病院が休日・全夜間診療事業の中で、小児救急患者に常時対応しておるところでございます。さらに、平成十二年度中には、新たに駒込病院がこの体制に加わることとなっております。また、大塚病院や八王子小児病院など九病院が乳幼児特殊救急医療事業に取り組むなど、小児救急医療体制の確保を図っているところでございます。今後とも、小児救急医療の充実に努めてまいります。
○木内委員 こうして議会で具体的なテーマが議論されるということの意味は、大変大きいわけであります。もとより、決算委員会ということでありますけれども、ぜひ小児救急医療を含む小児医療の充実については、衛生局の奮励をお願いしたいと思います。
特に、小児医療全体の政策課題として申し上げれば、国に要望すべき課題も多くあるのであります。したがって、最後に局長にご答弁を願いますけれども、小児医療の現状と今後の充実に関するご決意、国への要望のご決意、あわせて伺いたいと思います。
○今村衛生局長 ただいま木内先生から、小児医療についての厳しい督励と適切な貴重なご提言を賜りました。ありがとうございます。
国に対しましては、これまでも乳幼児救急医療の充実などにつきまして要望してまいったところでございますが、小児科医の確保等も含めまして、小児医療の充実について、さらに要望してまいりたいと考えております。
それから、急速な少子化の進展の中で、安心して子どもを産み、育てられる環境を整備することは、都政の重要課題の一つであり、その中で、小児医療は、ますますその充実性を強められてきていることは認識しております。
このため、東京都といたしましては、周産期医療を含めて、小児救急医療など体制の一層の整備に努めるほか、ただいまご指摘のありました都立病院におきましても、病院の機能に応じた専門性が発揮できますよう、事業の充実に努めてまいります。今後とも、関係機関との緊密な連携のもとに、小児医療の充実に向けて努めてまいります。
○木内委員 以上で、小児医療の問題については終わりとさせていただきますが、いろいろとご答弁をご用意くださった関係の方には、割愛したことについておわびをまず申し上げたいと思います。
次のテーマであります。先ほど、八王子の療育施設の問題が出ました。東京東部における療育センター、長い間の懸案でございまして、本人はもとより、関係者の方々、ご父兄の方から強い要請が出ているところでありますが、これまで若干の予算が計上されながら、なかなか計画決定、事業決定に至っていないといううらみがあったわけであります。
平成十年、重症心身障害児施設に関する検討経費が計上されておりますね、衛生局では。今般、たしか三月二十八日、数日前だったと思いますけれども、最終報告が出されたと聞いておりますが、こうしたいわゆる施設の必要性について、どういう提言内容になっていますか、ポイントを絞って簡略にお答え願います。
○上間健康推進部長 平成十年五月に都立重症心身障害児施設検討委員会を設置いたしまして、都立重症心身障害児施設の今後のあり方、また区東部地域における重症心身障害児施設の役割及び機能等について検討を重ねまして、本年三月二十八日に最終報告をいただいたところでございます。この中では、区東部地域に新たに重症心身障害児施設を整備する必要があると提言しております。
○木内委員 ご答弁にあったように、区東部地域への重症心身障害児施設の整備の必要性を新たに確認した提言であると、こういうことであります。施設の建設に当たっては、心身に重い障害を持つ方々や家族のニーズに的確に対応できるよう、万全を期さなくてはならないと思うのであります。
そうした、いわば整備された施設というもの、血の通った環境というものが、今後用意されなくてはならない。私は、一日も早い実現をこの場をかりて要請するわけでありますが、その提言というものが検討されたのが平成十年からだった、こういうことであります。
さて、具体的にどのような事業内容で、どの程度の規模の施設を考えているんですか、その中では。具体的に答弁願います。
○上間健康推進部長 最終報告では、新施設を入所、通所、外来等の機能を備え、重症心身障害児の総合療育センターとしての役割を担う施設とすべきであるとしております。具体的には、百二十人規模の入所施設を整備し、その中で緊急入所等にも対応することとしております。さらに、通所事業や心身障害児の外来診療等を実施することによりまして、重症心身障害児等の在宅支援サービスにも積極的に努めるべきであると提言されております。
○木内委員 入所、通所、外来等の機能を備えた総合療育センターとしての役割、具体的には、百二十人規模の入所施設を整備し、また同時に、緊急入所にも対応していく、こういう具体的な性格が今、議会の場で初めて明らかにされました。これが単なる報告に終わらないよう、関係者の切望をぜひ知っていただいて、一日も早い実現を要請するものでありますが、先ほども申し上げたとおり、区東部地域には施設がないため、緊急入所を利用する際にも、遠方の施設まで、長時間かけて連れていかなければならない。特に、体の弱い子どもにとって、長時間の移動は大変な負担であるし、親にとっても一日仕事である。これに類似した話は、先ほどの委員の質問にもあったとおりであります。どの地域でも同じであります。
区東部地域の重症心身障害児施設建設は、心身に重い障害を持つ子どもを抱える親たちにとっては、長年の悲願であるわけでありまして、東部療育センターを早急に建設すべきと考えますが、必要性の認識と、建設に向けての決意を、この問題について最後に伺います。
○上間健康推進部長 重症心身障害児の入所施設も通所施設もない区東部地域には、心身障害児の在宅支援サービスの拠点ともなる重症心身障害児施設の早期建設が望まれていることは、十分認識しておるところでございます。このために、平成十一年度は建設予定地の地質調査を行うとともに、平成十二年度には土壌汚染調査を予定するなどの準備を行っているところでございます。今後は、この都立重症心身障害児施設検討委員会の最終報告を踏まえまして、建設に向けて努力してまいります。
○木内委員 今、上間部長から明確な答弁がありましたので、局長は結構でございますので、次に参ります。
リハビリの問題であります。高齢化や生活習慣病の増加等により、治癒することの困難な退行性疾患や慢性疾患を持つ患者がふえている実態があります。また、救急医療の発達などにより、重篤な疾患や障害の救命率が上昇した結果、障害を残した状態で療養生活を余儀なくされたり、介護が必要になるケースも増加しています。リハビリテーションは、こうした患者の寝たきり化を防ぎ、積極的に自立を高めるとともに、その介護に当たる家族等の精神的、肉体的、経済的負担を軽減させるものであり、その重要性は、今後こうした時代背景の中でますます増大していくものと考えます。
そこで、都は、リハビリ医療を急性期、回復期、維持期の三段階に区分して、発症から社会復帰まで一貫した対応をしている、こういうふうに私は認識しているわけでありますけれども、まず急性期や回復期のリハビリテーションはどのように行われておりますか、お尋ねします。
○友松医療計画部長 急性期のリハビリテーションは、一般病院で機能障害を残すおそれがある者に対して、内科的・外科的治療と並行して実施されているところでございます。回復期のリハビリテーションは、原疾患が安定期に入った状態にあり、かつリハビリテーション医療を集中的に行って効果が期待できる人に対しまして、理学療法、作業療法、言語療法を集中的に行うもので、専門リハビリ医療施設で実施しております。
都では、急性期のリハビリテーション医療の充実を図るため、急性期の病院における医師等の医療従事者に対して、リハビリの知識や技術の研修を実施しております。また、回復期のリハビリテーションにつきましても、東京都リハビリテーション病院を運営するとともに、リハビリ専門病床を平成十九年度までに三千床整備する目標を定め、都立病院改築時における病棟整備及び民間病院に対する設備費補助事業を実施し、専門リハビリテーションの充実に努めております。現在、リハビリ専門病床は二千八十七床となっております。
○木内委員 私が本委員会でこの問題を取り上げる意味というのは、こうした高齢化が進む中で、寝たきりのお年寄りをつくらないリハビリの重要性ということに、充実した施策の展開をお願いしたい、実はこういう意味合いからであります。
アメリカでは、けがをすると、治療はするけれども、決してベッドには寝かせない。体が弱っても、できるだけ自立自助努力によって生活を送らせる、こういう環境のようであります。日本では、ちょっと体が痛むと、おじいちゃん、おばあちゃん、大変だということで、大事に大事に寝かせてしまう。これがいいか悪いかは別にして、やはり寝たきりを多くしない施策、あるいは病気を大きく進行させない施策というものが大事だという視点から申し上げているわけであります。
急性期や回復期のリハビリテーションを終えた人に対する維持期のリハビリについて伺うんですけれども、平成十年度予算額は四百七十六万八千円という数字になっています。この具体的取り組みは、どういう内容でありましたか。
○友松医療計画部長 維持期のリハビリテーションの実施場所としましては、医療施設や福祉施設、老人保健施設での外来や、通所リハビリテーション及び訪問看護等による在宅リハビリテーションがございます。都では、平成四年度から、通所リハビリ医療の一拠点としてデイケアを実施しております老人保健施設に対しまして、人件費の補助を行ってきました。平成十年度は、四施設に計四百三十六万一千円交付しているところでございます。
○木内委員 また、あわせて、老人保健法における機能訓練事業も維持期のリハビリとして位置づけられていると思うわけでありますけれども、この問題における平成十年の実績、それから今日を経過して、今後に至る取り組みの具体的方針、これについて伺います。
同時に、本格的な高齢化社会を迎えて、ますますリハビリの持つ意味というのは重要になってくるわけでありまして、全体的にリハビリ施策をどう進めていかれるおつもりなのか、局の決意を伺って、私の質問を終わります。
○今村衛生局長 医療技術の進歩や介護保険制度の実施、また寝たきり防止等の観点から、リハビリテーションの充実は重要な課題であると当方も考えております。今後、ますます増大してまいりますリハビリテーションのニーズに的確に対応するために、今年度、学識経験者やリハビリテーション従事者等で構成いたします東京都リハビリテーション協議会を設置いたしまして、実態調査を踏まえ、今後の都におけるリハビリテーションのあり方ですとか、あるいは体制整備の具体策を検討してまいることとしております。また、地域リハビリテーション支援センター等の整備を含め、リハビリテーション医療体制の整備を図ってまいります。
国に対しても、リハビリテーション医療の充実を図るために、診療報酬の改善等を含めまして、引き続き要望してまいりたいと考えております。
○大山委員 私は、難病対策について伺います。
この決算年度であります十年度なんですけれども、どういう年だったかということなんですが、財政健全化計画の実施案が、この前年の八月に発表されまして、その具体化のもとで都民サービスを削減していくきっかけになった年だというふうに認識しています。
とりわけ、衛生局で最大のものは、難病医療費助成に一部負担が導入されたことだと考えています。これまでは、難病患者は、その難病に関することなら、お財布の心配をしないで安心して医療を受けられたわけです。難病患者の医療費助成が十年五月から一部負担が導入されたわけですけれども、この決算書を見ますと、難病医療費助成の執行残は二十四億円以上です。
十年六月の厚生委員会で、その要求資料で、一部負担導入による患者への影響額は十四億円という資料が出ていますけれども、実際の影響額は幾らだったのかということと、そしてこの一部負担の内容を簡潔にお願いします。
○長岡医療福祉部長 平成十年五月に導入されました難病医療費の患者の一部負担は、スモン等四疾患及び重症と認定されました患者を除きまして、入院の場合は一カ月で一万四千円を限度とし、外来は一回千円を限度に、月二回までの自己負担としたところでございます。
この直接の影響額は、いろいろな要素がございまして、試算が困難でございますが、患者一部負担導入前の平成九年七月から十年六月の一年間の助成額は七十八億三百万円余でございまして、患者一部負担導入後の平成十年七月から十一年六月の一年間は六十五億九千四百万円余となっておりまして、その差は約十二億円となっております。
○大山委員 いろいろあるけれども、約十二億円は患者の負担の方に移っているということなんですね。約十二億円といっても、なかなか患者さんの姿が見えてこないんですけれども、実際、難病患者さんたちはどうなったかということなんです。
肝臓病友の会というところで、十年八月にアンケート調査をしています。八割以上はC型肝炎です。六十五歳以上が四七%、ほとんどが年金暮らしです。また、その四割の方が二カ所以上の医療機関に通院していまして、六割の方が合併症やほかの病気で受診しています。そうしましたら、一カ月平均の自己負担額は、七割近くの方が六千三百円程度だと。生活に及ぼす影響では、重いとか、やや重いというのを合わせますと五六・四%。病気の重い患者ほど、入退院の繰り返しで負担が重くなっています。入院は一カ月一万四千円といっても、月をまたげば二カ月分になってしまいます。これは、差額ベッド代などはもちろんないという状況です。
膠原病などでも、副腎皮質ホルモンが特効薬になっているということですけれども、副作用の関係で、いろいろな科をまたいで受診しなければならないと。パーキンソン氏病も、本来の神経内科だけでなくて、副作用などでいろいろと、高血圧だとかということで、国民年金の身で大変苦しい、困った生活になっているというふうに話しています。ですから、一部負担で一カ月、一回千円まで、二回ということで、二千円で済むというような状況ではないというのが患者さんの実態になっているということなんですね。
ところで、患者の一部負担を導入したときに、居宅支援事業に関して、何と説明していますか。
○長岡医療福祉部長 在宅の難病患者さんに対する支援策の一層の充実を図るために、平成十年十月の実施を目途に、ホームヘルプサービス等を行う在宅難病患者居宅生活支援事業の規模拡大などを検討していると答弁したところでございます。
○大山委員 第二回定例会の本会議の一般質問の答弁では、在宅難病患者居宅生活支援事業の規模拡大ということをご答弁されているんですね。平成十年六月一日の厚生委員会では、長岡医療福祉部長さんが難病対策の見直しについて報告させていただきますということで、一つ目が有料化なんですね。二つ目が対象疾病の拡大、これは重要なことです。第三番目にということで、在宅難病患者施策の充実強化というふうに発言しているわけですね。つまり、ただ有料化するだけじゃなくて、在宅施策の充実強化が大きな柱の一つなんだというふうに強調していらっしゃるわけです。
しかも、その次の厚生委員会では、これは自民党さんの質問に答えたんですけれども、総合的な施策の展開というのはどういうことなのかという質問に対して、ご答弁は、自己負担分の投入だけでなく、在宅療養の支援策の充実なども含めたというふうに、有料化とともに在宅支援が大きなものなんだというふうにおっしゃっているわけです。
先ほど出ました居宅支援事業ですけれども、この居宅支援事業の十年度の予算と決算をお願いします。
○長岡医療福祉部長 平成十年度予算は一千万円で、七地区で実施しておりまして、決算額は四百十二万九千円となっております。
○大山委員 一千万円予算を計上して、執行したのはわずかに四百十二万九千円ということなんですね。それで、十年度のホームヘルプ派遣は、七地区、三十二人です。この委員会や議会の流れですと、医療費の助成が在宅サービスにもちろんかわり得ないんですけれども、医療費の助成も重要ですし、在宅も重要なんですけれども、この議会の流れの中でいくと、とにかく在宅サービスは充実するんだというのが議会の中でのご答弁だというふうに理解しているわけですけれども、それでもこれだけ執行率が悪いわけですが、これはどうしてこんなに悪いんでしょうか。
○長岡医療福祉部長 この事業の対象者は、国の特定疾患対策研究事業の対象疾患などに該当しまして、老人福祉法や身体障害者福祉法の施策に該当する方を除く難病患者等でございまして、日常生活を営むのに支障があったり、介護や家事援助を必要とする方が対象となっております。対象が限定されていることから、未実施の区市町村が多いというふうに考えております。
○大山委員 実績に合わせるということで、さらに来年度は大幅削減されているわけですね。有料化とセットで出してきて、在宅支援は大きな柱の一つなんだという位置づけをしたはずなのに、二年たって在宅は不十分、有料化だけが残っているということじゃないかということなんですね。
衛生局のアクションプランでも、在宅重視が書かれているわけです。有料化とセットで、初めてて出てきた特殊疾病対策の実態がこのありさまだと。在宅支援強化の行き着く先は、こういうことなのかといわざるを得ないと思うんですね。対象者が限定されるとはいえ、施策と施策の谷間に入ってしまう、そのところを救う、都民を救うということは重要な役割なわけです。
それにしても、都内でわずか七地区で、十一年度でも十地区と聞いていますが、地区をふやさない限り、施策と施策のすき間も埋めることはできないというふうに思いますが、区市町村に実施してもらえるように働きかけなどはされているんでしょうか。
○長岡医療福祉部長 この居宅生活支援事業は、在宅の難病患者さんの療養生活を支援する事業でございまして、保健、医療、福祉にわたる総合的な難病対策の一つとして、大変重要な事業と考えております。このため、今後ともホームヘルパーの養成を充実するなど、区市町村の取り組みを支援し、さまざまな機会をとらえて実施地区の拡大を働きかけてまいります。
○大山委員 ぜひ地区も拡大していってほしいと思っています。
私たちは、在宅支援の強化とともに、それを一緒にして有料化した難病医療費については、もとに戻す必要があるーーもとに戻すように求めるものです。いずれにしても、在宅支援は重要ですから、このままの状態ではなく、本気でやってほしいということをあわせて要望しておきます。
先ほど、難病のことについて触れましたけれども、病気になることだけでも、やはり最初、何だか病名も確定しない時期が長かったりして、かなり大変なわけですけれども、精神的にも肉体的にも大変だと。しかも、死とも背中合わせのような方も多いわけです。そのために、自分の病気のことから、生活のことから、あらゆることで相談したいことも多いわけですね。
東京都難病団体連絡協議会に衛生局は事業の委託をしていますけれども、その内容と委託費の八年からの推移をお願いします。
○長岡医療福祉部長 東京都難病団体連絡協議会に対します健康指導委託事業は、患者さんの福祉の向上を図るために、患者及び家族に対します生活療養相談と健診事業を委託しているものでございます。
委託費の推移でございますが、平成八年度は五百五十一万円、平成九年度は四百九十五万九千円、平成十年度は四百四十六万三千円でございます。
○大山委員 こういうときに着実にという言葉を使っていいのかわかりませんけれども、着実に一割ずつ削減しているという状況です。このままいったら、何年か後にはゼロになってしまうんじゃないかということですけれども、この東京都難病団体連絡協議会は、東京都が委託をしている事業を着実にやっているわけですけれども、月曜日から金曜日には、電話相談を受けているわけです。どんな相談が来るのかということで尋ねましたら、あらゆることなんですね。就職が、何歳なんだけれどもできるんだろうかとか、結婚したいんだけれどもとか、妊娠したけれども薬を飲んでいて大丈夫だろうかとか、離婚の問題だとか、自分は親だけれども、親なき後はどうしたらいいんだろうかと、あらゆる問題が、相談が持ち込まれるわけです。
難病患者の本人が相談の相手になりますから、相手も、相談される方も安心して、また当事者だからこそ対応できたり、答えられたりするケースも多いということですが、そういう意味でも、この相談事業というのは重要だというふうに考えるんですけれども、いかがですか。
○長岡医療福祉部長 ただいまお話がございましたように、この相談事業は患者、家族等から電話等による相談に対しまして、医療機関の照会でありますとか、医療にかかわる助言、指導等しているものでございまして、難病患者さんの在宅療養を支援する上で大変重要であると認識しております。
○大山委員 非常に重要だということと、あと、もう一つ委託されている事業に、専門医の先生も含めた巡回健診というのもやっていらっしゃるわけですが、巡回健診も、いつもは病院ではなかなか長く相談できないんだけれども、時間をとってじっくりと専門医の話が聞けるということで、好評だというふうに聞いています。どちらもーー電話相談も、この巡回健診も、在宅支援を強化するということでしたら、なお一層充実しなければならない事業だと考えますが、どうですか。
○長岡医療福祉部長 難病患者さんの健康指導委託料につきましては、団体からご要望を受けているところでございますけれども、都の財政状況を踏まえまして、全庁的な施策の見直しの中で、平成十二年度当初予算では、他団体に対します委託費と同様、一割減額としたところでございます。事業の必要性は十分認識しておりますので、引き続き団体と協議しながら、事業を実施してまいります。
○大山委員 重要な事業をやっているということは、必要性は十分認識していらっしゃるということですから、こういう重要な事業を委託している団体、患者団体ですから、最初からお金はなくて、何とかやりくりしながら、家賃も払いながら、一人の経費しか出ないようなところを二人ついてやったりというような、ボランティアも含めて委託事業もこなしているという現実があるわけですね。最初から年間五百万そこそこの委託費を、毎年五十万ぐらいずつ削ってきて、もうこの先、削るものがないというような状況だと思いますので、ぜひこの一割削減は今年度でストップさせてもらいたいというふうに思っています。
最後になりますけれども、衛生局全体の予算の執行率というのが八八・三%なんですね。百八十七億円も執行残、使い残しがあるわけです。毎年、難病団体の委託費は五十万ずつ削減する。お金がないから削減するんだというふうにいっているわけですよね。しかし、その一方で、百八十七億円も使い残す。都民から見たら、こんな異常な話はないと思うんですね。
きょうは、主には難病について質疑しましたけれども、精神の、例えば共同作業所、私も予特でも取り上げましたし、委員会でも取り上げましたけれども、共同作業所の運営費だって使い残しているんですね。やむにやまれず、補助金がなくても、実際来る人もいっぱいいるしということで、東京都の補助金は出ないけれども、必死で運営しているところというのがあるわけですよ。毎年毎年、新規補助は縮小して、とうとう今年度は新規の運営費補助はゼロと。百八十七億円も使い残しておきながら、全く許されないことだというふうに思います。
こういう意見を述べて、終わりにします。
○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
衛生局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 異議なしと認め、衛生局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で衛生局関係を終わります。
○山本委員長 これより住宅局関係に入ります。
初めに、先般の人事異動に伴い、幹部職員に交代がありましたので、戸井局長から紹介があります。
○戸井住宅局長 去る四月一日付で、組織改正及び幹部職員の異動がございましたので、審議に先立ちまして、ご報告及びご紹介を申し上げます。
初めに、組織改正の概要でございますが、区市町村との調整機能を強化するため、地域住宅計画担当参事を廃止し、区市町村調整担当参事を設置いたしました。
次に、この組織改正などに伴い、人事異動がございましたので、幹部職員をご紹介させていただきます。
連絡調整担当部長の渡利絋司君でございます。参事で区市町村調整を担当します脇憲一君でございます。
なお、不動産業指導部長の石橋伸一郎君は、病気治療のため、本日の委員会を欠席させていただいております。
以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
〔理事者あいさつ〕
○山本委員長 紹介は終わりました。
○山本委員長 住宅局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
資料について理事者の説明を求めます。
○清水総務部長 去る平成十二年一月二十四日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料について、ご説明申し上げます。
お手元の平成十年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。表紙を開いていただきますと目次がございますが、合計六件の資料の件名を掲げております。
初めに、一ページをお開きいただきたいと存じます。1は、都営住宅の建設計画と実績でございます。
平成元年度から十年度までにつきまして、新規、建てかえ及びその合計に区分し、計画と実績をそれぞれ記載しております。
次に、二ページをお開きいただきたいと存じます。2は、既存都営住宅のエレベーターの設置状況でございます。
平成三年度から十年度までにつきまして、区部及び多摩の地域ごとに、団地数と、設置いたしました棟数を記載しております。
次に、三ページをお開きいただきたいと存じます。3は、都営住宅の応募状況でございます。
まず、1は新築、空き家の応募状況でございますが、平成六年度から十年度までにつきまして、募集戸数、申込者数、平均倍率及び最高倍率に区分し、新築と空き家別に、それぞれ記載しております。
次に、四ページをお開きいただきたいと存じます。2は、ポイント方式の応募状況でございます。
ポイント方式とは、抽せんによらないで、住宅困窮度に応じて点数をつけ、点数の高い方から順次入居していただく制度でございます。前記同様、平成六年度から十年度までにつきまして、母子世帯向けから車いす使用者世帯向けまでの六区分と、その合計をそれぞれ記載しております。
次に、五ページをお開きいただきたいと存じます。3は、単身者向けあき家等応募状況でございます。
2と同様、平成六年度から十年度までにつきまして、単身世帯向けから多家族世帯向けまでの四区分の応募状況を記載しております。
次に、六ページをお開きいただきたいと存じます。4は、平成十年度における都営住宅の保証金の状況でございます。
1は、区部及び市部の保証金の額で、新規入居及び建てかえによる入居に区分して、その最高額、最低額、平均額を記載しております。
2は、都心の区部及び区部に近い市部の保証金の額で、1と同様に、新規入居及び建てかえによる入居に区分して記載しております。
次に、七ページをお開きいただきたいと存じます。5は、都営住宅の世帯主の年齢構成別減額、免除の状況でございます。
世帯主の年齢区分別に、都営住宅入居世帯、減額世帯、免除世帯につきまして、それぞれ世帯数と構成比を記載しております。
次に、八ページをお開きいただきたいと存じます。6は、平成十年度住宅局最重点施策でございます。
既存ストックの有効活用の観点から、1、都営住宅の建設事業の推進、2、スーパーリフォーム事業の推進、3、分譲マンションの維持管理への支援につきまして、それぞれ重点的に事業を進めてまいりました。それぞれごらんいただきたいと存じます。
以上でご要求のございました資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。
○山本委員長 説明は終わりました。
ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
発言を願います。
○野田委員 私は、五年前の平成七年の決算特別委員会におきまして、阪神・淡路大震災の直後ということもありまして、建築物の安全性の確保という観点から、都営住宅の耐震調査、耐震補強と建てかえ事業について質問いたしました。この問題に関連いたしまして、今回、何点かお伺いいたします。
最初に、平成七年の決算特別委員会の質疑で、都営住宅の耐震調査とか補強などを検討する体制づくりを求めましたが、その後の対応についてお伺いいたします。
○藤澤営繕担当部長 都営住宅全棟につきまして、落下物のおそれのあり、なしなどを緊急点検いたしまして、必要な補修をまず行っております。また、昭和三十五年から五十五年までに建設いたしましたピロティーや店舗つきの住棟約四百六十棟を対象に、平成七年度から耐震診断を行いました。
診断の結果、耐震改修の必要性が高い百六十六棟につきましては、平成八年度から順次、耐震改修を行いまして、十一年度までに百三十八棟改修しまして、おおむね完了しております。残りの二十八棟につきましては、今後、建てかえ等で対応してまいります。
○野田委員 次に、建設年度の古い都営住宅の建てかえ事業についてでありますけれども、現在の住宅マスタープランでは、昭和三十九年度以前の都営住宅は、平成十七年度までに住宅状況などを勘案しながら、順次建てかえを行うことを目指すとのことでございますけれども、現在、杉並区内にある建てかえ対象となっている都営住宅はどの程度あるのか、団地数、構造別の住戸数についてお伺いいたします。
○小関建設部長 杉並区内の建てかえ対象団地は、平成十二年三月末、先月末現在で、事業中も含めまして十四団地ございます。構造別に見ますと、木造はございませんで、簡易耐火造が約三百六十戸、中層耐火造が約千六百二十戸で、合計二千戸程度となってございます。
○野田委員 このうち、杉並区内でも比較的大きな団地である、平成七年の決算特別委員会でも私、取り上げましたけれども、西田町の第三住宅、それから昭和三十年代後半に建設された中層耐火構造の久我山アパートの建てかえについて、現在の取り組み状況についてお伺いいたします。
○小関建設部長 杉並区の西田町第三住宅の建てかえ計画につきましては、現在、地元区と協議を行ってございまして、居住者の仮移転先の確保をしながら、できるだけ早い時期に、できれば平成十三年度にも着手したいと考えておるところでございます。
また、久我山アパートにつきましては、建設年次、仮移転先住宅の確保などから、十一年度に着工いたしました上高井戸団地の次に建てかえることと位置づけております。本団地につきましては、都市計画一団地の変化が必要となることなどから、これまでも区と建てかえ計画の協議をしてきたところでございますが、上高井戸団地の進捗状況等を見ながら、今後とも積極的な協議を進めまして、早期に事業化したいと考えておるところでございます。
○野田委員 ただいま答弁をいただきました杉並区内の状況は、都営住宅の建てかえ事業のほんの一例にすぎないわけでございます。都内全体の都営住宅のストックの中で、現在、建てかえ対象となっている昭和三十九年度以前に建設されたものは約六万戸ございます。さらに、今後、昭和四十年代の住宅が加わってきますと、この四十年代の住宅のうち、スーパーリフォーム事業の対象とならないものを合わせますと、近い将来、建てかえの対象はおおむね十万戸程度に及ぶこととなるんではないかと思います。今後、住宅局は、これらの膨大な建てかえ事業に対処していくわけでございます。
これまでの住宅局の取り組みについては評価するものでございますけれども、現下の厳しい財政事情のもとでは、従来のような行政の直接施行では限界があります。計画の実現が大変困難な状況が想定されるわけでございます。そこで、今後は、行政と民間との適切な役割分担を踏まえまして、公社などの監理団体の活用を含め、外部委託化などを進めるべきであると思います。
都は、昨年十一月に策定した危機突破・戦略プランにおいても、この推進を掲げ、その一つにPFIの活用を挙げております。PFIのIについては、国を初め、さまざまな動きがあるようでございますけれども、現在の状況についてお伺いいたします。
○小関建設部長 PFIにつきましては、平成十一年七月、民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律、いわゆるPFI法が成立いたしまして、九月に施行されたところでございます。ことしの三月には、同法律を運用するための基本方針が定められてございます。
建設省は、公共事業にPFI事業を導入する上での課題等につきまして、検討会を設置しまして、都もこれに参加して検討を行っているところでございます。
東京都におきましては、庁内の連絡調整を図る場といたしまして、政策報道室にPFI研究会を設けまして、全庁ね。
それに加えて、現状は失業率の増大とか倒産の増加、また今年度から定期借家権の導入など、ますます都営住宅の需要が増大するということが考えられます。そういった都民の住宅を取り巻く深刻な状況がある中で、都営住宅の新規建設を大幅に後退させるということは、都としての住宅政策の柱を投げ出してしまうということは明らかだと思うんです。
その一方で、不要不急の大型の公共事業を温存するという、そういうやり方は絶対に私は認められないと思います。そういう意味でいえば、公営住宅法に基づく住宅局の役割からしても、住宅に困窮する低所得者の必要性に見合う住宅供給を目標に考えるのが当然だと思うんです。
いただいた資料の三ページから後の資料を見てもわかるように、募集状況がずらずらっとあらわされているわけですけれども、平均倍率で、新築は二十四倍から五十九倍と。供給が不足しているのは明らかだと思うんですね。それにどう可能な限りこたえていくのか、目標を持つのが本来のあり方だというふうに思うんです。
そういう観点からすると、住宅局の方でも十分とはいえないと思いますが、みずからの住宅建設の建設目標を持っておられるわけです。それが九六年に改定された十カ年計画、第二次東京都住宅マスタープランです。そこにおいて、都営住宅の建設戸数は、新規、建てかえ、それぞれ何戸でしょうか。それを一点、伺いたい。
また、そのマスタープランの公営住宅の建設戸数というのは何を根拠にしているのか、その二点をお答えいただきたいと思います。
○菊田住宅政策担当部長 マスタープランにおきます平成八年度から十七年度までの十年間の都営住宅の供給計画戸数でございますが、新規建設一万三千戸、建てかえ四万戸の計五万三千戸でございました。
住宅供給計画戸数をどういう形で決めているかということでございますが、住宅マスタープランでは、最低居住水準未満世帯の解消と、二十一世紀初頭での約半数世帯の誘導居住水準の達成を目標といたしております。都営住宅を含む公営住宅についていいますと、この目標とする最低居住水準を自力のみでは達成することが困難な世帯を推計し、現在、持っておりますストックの活用等を考慮いたしまして算定いたしたものを、住宅供給計画という形で提出させていただいております。
○くぼた委員 計画戸数が新規で一万三千戸、建てかえで四万戸。その数字の根拠というのは、都営住宅でいえば、公営住宅でいえば、最低居住水準未満の住宅の解消というお答えでした。その公営住宅で供給する戸数を十カ年で出していくのが計画戸数だということでした。
先ほど述べたように、私は、マスタープランの数字というのは、やはり低所得者、住宅に困窮する低所得者層の需要に照らしても、非常に不十分なものだというふうに思いますけれども、少なくとも、住宅局がそういう形で最低居住水準未満の住宅の解消を目標として掲げた数字、これを達成させるのが当然のことだというふうに思うんですね。
これに照らし合わせると、新規建設は十年で一万三千戸ですから、毎年に直すと千三百戸ずつ計画していくことが必要だということになります。この一ページの表を見てもわかるように、現にこれまで住宅局は、おおむねそういった形で毎年ごとに計画を立ててきているわけです。
そういった目標、最低居住水準未満の住宅解消というプランの目的さえも、先ほど述べた財政健全化計画の、住宅の量では充足されたといういい分の前に屈伏させてしまえば、行き着く先が新規建設ゼロというのは、もう目に見えていたことじゃないかというふうに思うんです。
その意味では、この平成十年度、九八年度というのは、新規建設の後退というのが本当に顕著になった画期の年だというふうにいってもいいんじゃないかというふうに思うんですね。だから、ここのときに、やはり住宅局として、そういう立場に立ってプランに掲げた目標を対峙させて、新規建設を守り抜くということが、この年度、必要だったんだというふうに私は思うんです。
そういった点からも、最低限の、このマスタープランに掲げた都営住宅新規建設の計画をやり抜くべきじゃないかというふうに思うんですが、この点はいかがでしょうか。
○菊田住宅政策担当部長 住宅マスタープランは、平成八年度から十七年度までの十年間につきまして、住宅政策展開の方向性を示すものでございます。マスタープランの中にもありますように、計画の実施に当たりましては、効果的、効率的な執行に努めるとともに、社会経済状況の変化に応じて適切に対応する、こういうこととされております。
私どもといたしましては、今後とも、この住宅マスタープランの長期的目標を踏まえて、都営住宅の的確な供給というものには努めてまいりたいというふうに思っております。
○くぼた委員 今のご答弁は、ちょっととんでもないんじゃないかと思うんですけれども、今、住宅マスタープランは方向性を示すものだというご答弁がありました。私、事務事業概要をちょっと見たんですが、マスタープランについては、住宅基本条例第六条に基づく、東京都のまちづくりと連動した住宅対策を総合的に推進するための基本となる計画だと、こういうふうに書かれています。それから、計画の前期五年度分というのは、これは国の法律ですよね。住宅建設計画法に基づく五カ年計画であるということが書かれています。それを、方向性を示すものだという認識でいいんでしょうか。もう一度、ご答弁お願いします。
○菊田住宅政策担当部長 若干言葉足らずかもしれませんけれども、現在のマスタープランに書かれているものをそのまま読み上げますと、東京における居住の将来像の実現に向け、一九九六年度から二〇〇五年度の十年間の施策の展開の方向を示すものですということでございます。
○くぼた委員 もう一ついいますと、住宅マスタープランというのは、国の住宅及び住宅地の供給に関する基本方針に基づいて、都道府県が立てる都市計画マスタープランに反映するために策定するものであります。
そういう意味では、都の都市計画のマスタープランに方向性を示すものだというような、あいまいな計画を反映させることになるわけですよ。だから、そういう意味では、そういう扱いというのは、やはりそもそも認識が違うんじゃないかというふうに思います。そういう認識だからこそ、達成についても、そのときの財政状況とかという話になると思うんですけれども、そうじゃないと思うんですね。だから、こういう計画なわけです。国に基づいてつくったものですから、それから東京都の都市計画のマスタープランに反映させるものですから、これは達成させるという立場で取り組むのが、やはり当然だというふうに思うんですね。
それからもう一つは、財政状況に応じてやっていくということをいわれたわけですけれども、そもそもマスタープランの前には、財政状況が厳しくなっているということを前提としてつくったんだということが、策定目的の中に書かれてあります。だから、一次のプランに比べて、この二次のプランは、新規の建設戸数を五千戸下げたというものになっているわけです。そういうことをそもそも前提に立てて、達成を目標にしてつくられたものです。
そういった意味では、方向性を示すものじゃなくて、これは達成するんだという立場で取り組まない限り、やはり新規建設は大幅に後退することになってしまうというふうに思うんです。したがって、最低でも私はマスタープランの目標を達成する取り組みをするのは、住宅局としては当然であり、その立場で今後とも取り組むべきことを再度主張しておきたいというふうに思います。
次の問題に移りたいと思います。次は、港区の芝浦にある芝浦アイランドの問題について伺いたいと思います。
港区の芝浦には、都心でも数少ない約五ヘクタールもの都の未利用地があるんです。ここは、かつて都電の基地だったところですけれども、今それが交通局から財務局の管理の土地になって、その周辺の民間の土地まで含めて、運河で囲まれた約九ヘクタール、ここが芝浦アイランドと俗に呼ばれている地域であります。
この土地は今、財務局の管理となっていますが、この未利用地を中心にした整備計画作成に住宅局が関与しているわけですけれども、その理由はどういうことなんでしょうか。
○小林参事 芝浦アイランド地区とのかかわりでございますが、住宅局は、平成七年度に芝浦アイランド地区におきまして、都心居住推進のためのアイデアコンペを実施してございます。
芝浦アイランド地区の開発につきましては、アイデアコンペでの提案を取り入れながら、住宅を主体として行うとの観点から、現在、住宅局におきまして整備計画作成のための作業を行っているものでございます。
○くぼた委員 貴重な都の未利用地であり、都心居住推進としても、その点から実現させるということで、住宅主体の整備計画の策定でかかわっているということですけれども、そのコンセプトはどういうものなんでしょうか。
○小林参事 芝浦アイランド地区の開発につきましては、都心居住の推進を図る上で重要なプロジェクトと考えてございます。そのため、整備計画の作成に際しましては、ファミリー世帯向けを中心に、多量で良質な住宅を相当量供給するとともに、公園や緑、水辺空間による潤いのある居住環境の整備を目指しているものでございます。
○くぼた委員 都心居住を推進するために、港区の重点課題でもある定住人口の確保、とりわけファミリー層を中心とした良質な住宅を整備するということでしたけれども、実は、この地域の開発に対して、地元港区からは、芝浦アイランド地区を広域避難場所を兼ね備えた住宅開発にしてほしいという要請が出されています。私は、これは一定の道理があるというふうに思うんですね。
この芝浦というところは、駅でいうとJR田町駅周辺なんですけれども、芝浦に住む住民の皆さんが広域避難場所に行く場合には、一つ先の駅の品川駅の先まで行かなきゃいけないということで、先の水産大学が指定されているところなんですけれども、かなり距離があるんです。しかも、海岸地域ですから、運河がたくさん走っている。そこに行くためには、幾つもの橋を渡っていかなければならないということなんです。
したがって、芝浦地域に住む住民にとっては、身近なところに広域避難場所をぜひ確保してほしい、目の前に広大な都有地がある、そういう都有地をそういった場として使えるようにしてほしいというふうに願うのは、当然のことだと思うんです。そういったことで、区議会には、周辺住民から、芝浦アイランドに広域避難場所を兼ね備えた住宅開発を求める請願が出されたわけです。
それから、芝浦アイランド地区を高層住宅誘導地区に指定するに当たって、これは平成十年ですけれども、都市計画審議会から港区に意見照会があったときに、区長の名前で、広域避難場所の機能を十分兼ね備えた住宅開発を求める、こういう意見書が付されたという経過があります。
ですから、こういった地元区民の意見を反映させるために、どのように取り組もうというふうに考えておられるんでしょうか。
○小林参事 芝浦アイランド地区につきましては、今ご質問にございましたとおり、高層住居誘導地区が指定されておりまして、高層住宅を中心とした開発になるというふうに考えております。
整備計画の作成に際しましては、防災広場としても利用できる公園を設置いたしますとともに、住宅開発計画におきましても、建ぺい率が小さくなる高層住宅の特性を生かしまして、緑地等の空地をできるだけ確保する方向で検討してまいりたいと存じます。
○くぼた委員 都民の土地だからこそ、住民は公共の立場に期待をしているわけです。民間の土地を広域避難場所にしてほしいということをいっているわけじゃないんですから、また、行政も議会と一体となっての要望なわけですから、ぜひこの要望が最大限反映されるような計画にしてほしいということを、再度要望しておきたいと思います。
ところで、平成十年、九八年度に、住宅局が芝浦アイランド地区に関する委託調査を行っているわけですけれども、その目的と内容は何でしょうか。
○小林参事 芝浦アイランド地区の開発につきましては、昭和六十二年に特定住宅市街地総合整備促進事業によりまして、商業、業務、教育、文化施設、住宅等の複合用途によります整備計画の建設大臣承認が受けられております。その後、平成七年度に都心居住推進のためのアイデアコンペを実施いたしましたことから、住宅主体による開発に変更するため、建設大臣に対しまして、整備計画の変更承認申請をする必要が生じております。委託調査は、そのための資料づくりを目的として行ったものでございます。
調査の内容といたしましては、敷地条件の整理、住宅棟の配置計画、事業化のための開発手法等の検討を行っているものでございます。
○くぼた委員 その調査の中で示されたイメージというのがあるんですけれども、それを見ますと、そもそもコンペでは、五ヘクタールのところに八十階を三棟建てる、そういう計画だったのが、この中では、五十階という超高層の住宅を三棟建てるというものになっています。そのほかに、中高層を二棟建てる。五棟建てて、約二千四百戸を供給する計画だということになっています。
私は、住宅を供給することには特に異論があるわけではありませんし、それは港区としての要望でもあるわけです。都心居住を推進するということでも重要なことだというふうに考えていますけれども、果たして超高層住宅がいいのかどうかということは、考える必要があると思うんですね。
ご承知のように、超高層の住宅が、居住者に精神的にも肉体的にもさまざまな影響を与えるというふうなことがいわれて、欧米では、そういった住宅の建設はほとんどやらなくなっているという状況であります。そういった意味では、良好な住宅環境をつくる上から、こういう超高層がいいのかどうかという問題については、検討するべきだというふうに考えます。
そうなった背景には、恐らく事業の収益性や採算性を重視するということがあると思うんですけれども、そういうことじゃなくて、都民に良好な住環境を提供するという立場から、超高層住宅のあり方そのものについて、これは住宅局が関与しているからこそ検討ができるというふうに思いますし、そういったところもぜひ考えていただきたいと思います。
こういったイメージ案を出されると、私は、民間が主体の開発になるということを非常に懸念するわけです。しかし、先ほどもいいましたように、ここには都内でも貴重な未利用の都有地に住宅をつくるということでありますから、当然、民間とは違った住宅を供給するのが当たり前だと思うんです。しかもこの間、港区内でいえば、分譲の民間マンションが次々と建設されているわけです。この三年間を見ただけでも、年間三千戸から四千戸の民間のマンションが供給されているのが実態でありまして、同じような住宅供給を行うのであれば、都有地であり、住宅局が関与している意味合いを投げ捨てることになるんじゃないかというふうに思うんです。
その点で、事業化に当たっては、都営住宅を初め、公営住宅をつくるべきだというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
○小林参事 初めに、超高層住宅の件でございますが、ただいま委員の方から、超高層住宅が大変問題であるというようなご発言がございましたが、学界の定説では、超高層住宅そのものが居住者に害を及ぼすという話は確定してございません。
超高層住宅ということから、中にお住まいの方が外に出にくくなる、そういうことによって生じる、例えば子どもの親離れがちょっと遅くなるとか、そういうものは指摘されてはございますが、超高層そのものが物理的に問題があるというようなことは、学界でもまだ指摘はされていないということを冒頭申し上げたいと思います。
次に、アイランド地区の整備計画の内容のことでございますが、現在作業中で、確定したものではございませんけれども、住宅建設事業者といたしまして、公団等の公的事業者、それから民間事業者が想定されておりますが、都営住宅の建設につきましては、芝浦アイランド地区を含めまして、周辺に相当数の都営住宅があることなどから、想定はしていないところでございます。
○くぼた委員 私は、住宅の物理的な問題をいったのではなくて、そこに住む人たちに対して大きな影響があるという問題があるので、そこら辺のところを検討してほしいということをいったわけです。
今のご答弁だと、公団公社は住宅建設で消極的になっているのが現状なわけですよね。そういう中で、公営住宅の建設を完全に否定されたということじゃないんですけれども、そのようなご答弁だと、貴重な都有地を行く行くは民間に売却をして、そこに住宅をつくらせるだけのことになってしまうんじゃないかということが非常に危惧されるわけです。
地価が下がったとはいえ、ファミリー層にとって、住めるようなマンションを購入する、あるいは借りるということは、まだまだ非常に大変なのが実態だし、都心部では、そういったマンションが事務所用に転用されるという問題もあるわけですから、そういった問題をどうクリアしていくのかという点で、住宅局として、ちゃんとした考えを持って進めていただきたいというふうに思うんです。
それから、周辺には都営住宅がいっぱいあるとおっしゃいましたけれども、周辺には民間のマンションもたくさんあるわけですよね。そういった意味では、芝浦アイランドというのは都心の貴重な都有地ですから、その条件を最大限に生かした住宅供給をやるのが当然だと思うんです。すなわち、都営住宅の供給を初め、公社住宅をつくる、良質で低家賃といった民間では応じることが困難な都民要求にこたえるべき、そういう供給をする必要があると思うんです。
その点では、公社公団が事業を行うのはまだしも、民間という答弁もありましたけれども、民間が事業者としてどうかかわってくるのか、現時点ではよくわかりませんが、例えば、民間に土地を売却するなどというのはとんでもないことだというふうに思います。そういう意味で、住宅局の存在意義が問われることになると思いますので、そのことをきちんとわきまえて今後取り組んでいただきたいということを、要望しておきたいと思います。
最後に、都営住宅の居住者に対しての共益費の問題について、お伺いしたいと思います。
都営住宅の居住者に対して、住宅局は、家賃と一緒に、エレベーターや配管などの維持のために五百円程度の共益費を徴収していることは知っています。それとは別に、居住者は、共用の廊下の電灯やエレベーターの電気代、共用の水道料金、樹木の剪定に要する費用など、いろいろな名前があるんですが、共用費という形で負担をしています。そういった共益費は、主にその住宅の自治会が自治会費に含めて徴収したり、共用費とか共益費とかいうことで集めたりしているのが現状なんですね。
平成十年、九八年の年にできた港区の超高層の都営住宅なんですが、ここで、私は相談を受けました。つまり、超高層なわけで、高速のエレベーターが必要だったり、水道を使うにもポンプで二階上まで揚げないとならないというような関係で、非常に電気代がかかるということなんです。ほかに、二十階以上の、都内にある八団地のうち、幾つかの状況も伺ったんですけれども、そういうところでは、集める名目はいろいろあるんですけれども、自治会費として、あるいは自治会費と共用費とまた別々に集めたりということで、とにかく総額として一カ月当たり三千五百円から五千五百円徴収をしているのが実態だということがわかりました。
超高層ですから、集める戸数も多くなるわけで、自治会としての扱う額も大きくなる。自治会にとっても大変な仕事になっているわけです。こういうような状況になっていることについて、どのように認識されているでしょうか。
○片岸管理部長 私どもが平成十年五月に都営住宅居住者の高齢化等の実態調査を行っておりますけれども、その中で、共益費につきましてサンプル調査をしてございます。それによりますと、自治会費の金額は、月額で千円未満が約五割ございます。そして千円から二千円が約四割となってございまして、ただいまの先生のような例は、ほんの特異な例だというふうに認識しているところでございます。
○くぼた委員 全体ではそういうことだと思うんです。今私が取り上げたのは、都内には、そういう超高層といわれる団地が約八団地あるんですけれども、そういうところでは、やっぱり共用費、共益費は電気代などで非常に高い状況になっているということなんですね。
それによっていろんな問題が出ているというふうに思うんです。それは自治会が、額が低いうちは払えない人がいても、それをお互いに補てんし合ったりということで、そんな大きな問題はなかったらしいんですけれども、額が高くなってくると、なかなか補てんというのも難しくなってくる。
幾つか実情を伺ったんですが、ある住宅では、なかなか払ってもらえない人がいたので、繰り返し役員の方が徴収に行ったら、その方がたまたま生活保護を受けておられた方で、そういうことを打ち明けられて、役員の方は非常に気まずい思いをしたと。それでも前向きに考えて、それを生活保護費の中の一部として見てもらえないかということで、行政側とも交渉したらしいんですけれども、それは対象にならないということで……(「委員長、これ、決算に関係ないじゃないですか」と呼び、その他発言する者あり)になったということなんですね。自治会として、そういった各世帯のプライバシーまで踏み込んだということで悩む話をしていたわけです。
また、ある団地では、未納者の名前を役員会で報告をすると。自治会のお知らせに、名前は出さないんですが、何階の人が未納ですよというようなことを載せるところもあるということで、個々の自治会でそれぞれ苦労されているようですけれども、居住者間の問題にもなり、なかなか独自で解決は難しいというふうに思うんですね。(発言する者あり)こうした共益費の問題について、まずは調査をして、自治会などとも相談しながら、徴収方法とか費用負担について局として支援すべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○片岸管理部長 ただいまのご質問でございますけれども、自治会からの相談に応じることだとか、共益費の中で大宗を占めております電気代の縮減方法についてのアドバイス等は、私どもは、そういうことをやることは可能だと考えておりますが、共益費の性格からいたしまして、財政的に支援するということはできない、かように考えております。
○くぼた委員 もう一点。そういう問題があるので、住宅局としてもちゃんと調査をして、自治会のソフトの面での支援ということもやるべきじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
○片岸管理部長 昨年三月の東京都住宅政策審議会におきましても、共用部分の管理につきまして、居住者の高齢化に対応した新しい管理方式の必要性が提言されているところでございます。今後、新たな管理方式を検討する中で、必要と思われる調査につきましては行ってまいりたいと存じます。
○くぼた委員 ぜひ自治会からの……(「もう時間だよ、時間」「約束を守ってください」と呼ぶ者あり)もうこれで終わりますから……。
○山本委員長 先ほどの理事会でお約束をして……。時間を過ぎていますね。まとめて要領よくお願いします。
○くぼた委員 ぜひそういうことで、自治会から直接聞き取るなど実態調査をして、検討してほしいというふうに思います。
今取り上げたのは超高層だけの問題ではありますけれども、応能応益の家賃の制度をとっているということからいっても、そういう高い共益費は果たしていいのだろうかという問題もあると思うんです。ご答弁の中にもありました住宅政策審議会の中でも、そういった高齢者に対しては、共益費の徴収方法を検討する方向が出されているわけですから、ぜひそういう問題も含めて調査をお願いして、質問を終わります。
○大河原委員 私は、都営住宅についております併用店舗の活用について伺います。
商店街の空き店舗については、さまざまなところでお話が出ておりますが、同じような空き店舗を、よく都営の集合住宅の下に見受けるわけなんです。都営住宅に併設している店舗にはどういう種類のものがあって、それぞれの店舗の設置の目的、経緯、業種、店舗数などはどうなっているんでしょうか。
○片岸管理部長 都営住宅に併設しております店舗は二種類ございます。一つが、都または財団法人首都圏不燃公社が民間に分譲いたしました併存店舗、そしてもう一つは、都が住宅つき店舗として賃貸しております併用店舗がございます。
併存店舗は、都営住宅居住者の日常の利便に資するため、昭和三十二年度から現在まで、一千三百六十五店舗分譲しておりますけれども、その業種はさまざまでございまして、特に食品を扱うお店だとか日用雑貨店、あるいは飲食店等がございます。
また、併用店舗でございますが、住宅地区改良事業等によりまして立ち退きとなる人の生活再建のために設置したものでございまして、現在、一千六十店舗を管理しているところでございます。
○大河原委員 併存店舗の方は、最初に建てるときに分譲してしまうということで、持ち主の方はそこに住んでいらっしゃらない。一方、住宅つき店舗の方は、政策的な住宅地区改良事業によって立ち退きを迫られた、生活再建のためにつくられたもので、居住者もおられて、お店もあるという店舗だということなんですけれども、この併用店舗、どのくらい空き家が発生しているのか。
よく都営住宅に行きますと、両方どちらか見分けがつかないわけですけれども、大きさによっては多少はつきますが、大変住宅が寂れた感じがいたします。それで、併用店舗の空き家はどのぐらい発生しているのか。それからまた、この併用店舗の空き家についてはどのような活用をしていくのか、その点についてあわせてお答えください。
○片岸管理部長 併用店舗の空き家でございますが、現在、空き家は八十戸ございます。
その活用方法でございますけれども、併用店舗は、先生お話のとおり、住宅地区改良事業等により住宅を除却された居住者の生活再建のために建設されたものでございますので、当該居住者が転出いたしますと、その目的は完了するものでございます。このため、空き家となった併用店舗住宅につきましては、店舗部分を居室に改修いたしまして、住宅として都民に供給することとしてございます。
○大河原委員 併用店舗は、現在、千六十店舗あるわけで、ちょっとお調べいただきましたらば、空き店舗の方、要するに空き家は、今、八十戸ということでした。でも、実際に行ってみると、もっと閉まっている感じがするんですね。お調べいただきましたらば、そこに居住はしていらっしゃるけれども、お店の部分は既に休業ということでシャッターが閉まっている、そういう状況になっていると伺いました。
店舗の部分は、居住者がいなくなれば、そこを居住者用の住宅に改造して、新たに貸し出すことになるわけなんですけれども、一階にあるメリットというのは、私はすごく大きいと思うんです。今、この店舗部分、空き家になっている時間が短いんだと。あいてから二カ月ぐらいで修理をするようなことも伺ってはいるんですけれども、この店舗部分を改修しないで、例えば今必要になってきているミニデイサービスをやる場所ですとか、NPOの事務所、これは電話一本、机一個置けるところが本当に必要ということが出てきていますので、こういう非営利団体への貸し出しとか、あるいは知事が盛んにいっていますけれども、ベンチャービジネスの寝床といいますか、そういったものにも使えるというふうに私は思っているんです。
当初の政策的な役割は終えてはいるんですけれども、こういうところに貸し出しをすることはできないんでしょうか、その点について伺います。
○片岸管理部長 併用店舗は、店舗部分と居室部分とが一体となりまして一戸の都営住宅を構成しておりまして、店舗部分のみを切り離してお貸しするということはできません。併用店舗を含む都営住宅は、いわゆるグループホーム等を経営する社会福祉法人等に使用させることはできるわけでございますけれども、一般的には、住宅に困窮する者を入居対象としておりまして、ご提案の団体だとか企業に賃貸することはできないことになってございます。
○大河原委員 本当に残念なんですね。今、ご紹介をいただいたグループホームのところ、足立区の例を見せていただきましたけれども、スウェーデンやデンマークで、一般居住者の中に障害者、知的障害を持った方たちも住んでいらっしゃいます。でも、日本では、本当に地価が高いことから、それぞれの方が一戸建ちの家にレンタルでも住むということはとても難しくて、このような足立や立川市の例も、都営住宅を使ってのグループホームというのは大変に先を期待されるものだというふうに思います。ぜひともこのところは進めていただきたいと思うんです。
都営住宅の居室の部分は、ちょっと今、押しても動かないということがわかったんですが、都営住宅の集会所の方は、ボランティア活動の場として利用するというのは、たしか大勢の委員の方たちもおっしゃっていると思うんですけれども、その点はどのぐらい進んできているんでしょうか。
○片岸管理部長 ただいまの、集会所をボランティア活動の場として利用することにつきましては、先ほどの答弁と違いまして、集会所の管理運営に当たります自治会と協議をし、またこうした活動を支援する立場にございます区市町村等とも連携の上、積極的に検討してまいりたいと考えているところでございます。
○大河原委員 店舗つき住宅といいますか、併用店舗については、こういう現状が今あって、なかなかそういう非営利団体への貸し出しも、ベンチャーを育てるというところにも、ちょっと活用ができないというわけなんですけれども、障害を持った方たちが起業をする、そのために事務所を借りようとしても、まず障害が邪魔になって、普通に事務所を借りることもできない。そしてまた、住宅と仕事場が遠いということからも、なかなか起業に結びつかないとか、そういうこともさまざま考えられます。
新たな政策として、こういった併用店舗の発想で活用を考えられないものか、ご検討をいただきたいというふうに要望しまして、きょうは終えることにします。
○服部委員 まず、都の住宅政策についてお伺いいたします。
平成十年度の住宅局関係の決算を見ますと、優良民間賃貸住宅供給助成費、民間住宅建設資金助成費及び民間活用都民住宅供給助成費、こうした民間住宅施策にかかわる決算数字は、額では二百八十二億二千百万円、全体の九・七%と大変小さいわけですけれども、規模では十二万戸を供給していると。非常に大きいわけですね。小さな額でも大きな効果という市場誘導策、換言すれば、民間活力の活用によるものと思われます。
都の住宅マスタープランの住宅供給のフレームは、平成十七年の人口を千百七十万人、普通世帯数を四百九十万世帯としています。そのうち、公的関与または支援する住宅供給戸数は、都のかかわる三十三万戸を含めて六十七・五万戸としているわけですが、これを構成比でやりますと、およそ一四%なんですね。
私は、公的な住宅の供給というのは、大体一〇%から一五%程度ではないかと思っているんです。ということは、残りの八五%から九〇%ぐらいは民活でやっていかなければならないわけです。そこで、都が事業主体として、住宅施策の推進に中心的な役割を今まで果たしてきたわけですが、そういうものを転換して、民活の時代が始まったのではないかと考えます。
そこで伺いますが、都が事業主体として供給を続けてきた都営住宅は、今までどのような役割をしてきたのか。一方、今後、これまで以上に民間活力を活用した住宅施策を展開すべきと思いますが、都はどのように考えているのか、まずお伺いいたします。
○菊田住宅政策担当部長 東京都では、住宅に困窮する低額所得者に対しまして、低廉な家賃で賃貸する、良質な住宅でございます公営住宅を供給してまいりました。このことは、低額所得者の居住の場の確保や、東京の居住水準の向上に資してきたものというふうに考えております。また、今後一層急速に進む高齢化や低い経済成長等を踏まえますと、公営住宅の役割は、なお大きいものというふうに思っております。
民間活力の活用についてでございますが、これまで都におきましては、都民住宅におきます指定法人の活用でございますとか、優良民間賃貸住宅供給助成でございますとか、高齢者向けの優良賃貸住宅供給助成などを進めてまいりました。最近におきます厳しい財政状況、また民間におきます住宅供給能力の向上、こういったものを考え合わせますと、民間活力を活用した住宅施策は、今後なお一層重要なものになるというふうに考えております。
○服部委員 私も、都営住宅が、戦後のそういった住宅政策で一定の役割を果たしてきた、これは間違いないと思います。しかし今、都営住宅をめぐってさまざまな矛盾が出ているのも事実だと思います。
平成十一年度の住宅白書によりますと、年収に占める家賃の割合は、都営住宅居住者では一三・一%、月額で三万七千円、民間賃貸集合住宅居住者では二七・三%、月額では十万円、大変大きな差があるわけなんです。
そこで、都営住宅居住者の家賃の負担率、これはどの程度を妥当とされているのか、お伺いいたします。
○菊田住宅政策担当部長 都営住宅の入居収入基準内入居者の個々の家賃といいますのは、年収に一定率を乗じまして算定いたしました家賃算定基礎額というものがございますが、これに住宅から受ける便益をプラスし、またはマイナスをして算定するという形になっております。
そのもととなります家賃算定基礎額でございますけれども、この家賃算定基礎額を算定する際には、年収に一定率を乗じております。この一定率は、現在、一五%から一六・五%という数字で、収入に応じて定められております。したがいまして、公営住宅に入居する入居者の家賃負担率は、一五、六%程度が標準ではないかというふうに考えております。
○服部委員 今、答弁のありました都営住宅居住者の家賃の負担率、これも民間の賃貸に比べると、やっぱり相当低いといわざるを得ません。都営住宅居住者は、そういった意味でかなり優遇されているんですね。そのような都営住宅であるからこそ、厳正な管理が求められなければならないと私は思うんです。
そこで伺いますが、平成十年度にあった不正入居の件数と主な事例は何か。また、そのような事例についてどう対応したのか、伺います。
○片岸管理部長 いわゆる不正入居には、実体的な不正居住と、手続を欠いているために不適正な状態になっているもの、この二通りがございますけれども、これらを合わせました平成十年度の件数は、二百八十三件となってございます。その事例の大部分は、入居名義人が死亡または離婚等による転出によりまして、名義人不在となっているものでございます。
このような名義人不在の事例につきましては、承認を得た同居者が引き続き居住を希望するときには、使用承継を許可しておりますけれども、同居の承認を得ていない居住者がいる場合等につきましては、住宅返還を求めているところでございます。
○服部委員 それでは次に、都営住宅は、一度抽せんで当たって入居する。そうすると、まさに一生ものどころか、末代まで使えるような仕組みになっているんですね。都営住宅というのは、個人の財産ではないんですよ。やっぱり貴重な都民の財産だと私は思います。
そこで、承継という制度ですが、これが都営住宅に入れない都民から、従来から恩恵を受けていた特定の者が、さらにまた特別な恩恵を受ける、これは納得できないんだ、こういうような反発も聞いているわけですが、承継の法的な根拠について伺います。
○片岸管理部長 使用承継でございますが、公営住宅法第二十七条第六項に使用承継が規定されておりまして、その考え方は、名義人が死亡または退去した場合に、残された同居者につきましても、事業主体の承認を得て適法に同居した者であることから、その居住の安定について一定の配慮を受けるべき地位にあると考えられます。
したがいまして、収入が明け渡し基準以下である等の一定の要件を満たす居住者につきましては、事業主体の承認を得て、公営住宅の使用権を承継できるとされているものでございます。
○服部委員 法的根拠について伺いましたが、それでは、都の使用承継承認制度はどうなっているのか、伺います。
○片岸管理部長 都におきます使用承継制度でございますが、東京都営住宅条例第二十条により規定されておりまして、それを受けまして、同条例の施行規則第二十二条第二項に、使用を承継しようとする者が、使用者の配偶者または三親等内の血族もしくは姻族であって、使用開始当初から引き続き都営住宅に居住している者であるとき、または使用を承継しようとする者が、都営住宅に同居の許可を受けてから引き続き一年以上居住している者であるときに限りまして、使用の承継を許可することができると規定されてございます。
○服部委員 都の使用承継承認制度は、やっぱり甘いんじゃないかという声もあるわけですが、もっと厳しく見直す考えはないのかを伺います。
○片岸管理部長 公営住宅法による使用承継の考え方は、事業主体の承認を得て適法に同居した者の居住の安定について、一定の配慮を図ることとなってございます。また、使用承継の実態は、全承認件数のうち、約六割が使用者の死亡を理由といたしまして、その配偶者に使用承継をしたものとなってございます。
しかしながら、ただいま先生お話しのとおり、実際に使用承継承認手続を進めていく上では、ご批判のないような厳正な審査をいたしまして、公平を期していく所存でございます。
○服部委員 次に移ります。
ところで、ことしの三月、定期借家制度が導入されました。住宅困窮者が二十年も三十年もずっと住宅困窮者であり続けるという考え方は、私はいかがなものかと思うんです。都営住宅に入居している間に、貯金をしたり、資産を形成して、持ち家に住みかえてもらう、そのように私は考えているんです。期限つき入居を都営住宅に導入するべきと考えますが、どうお考えですか。
○菊田住宅政策担当部長 本年三月一日から、借地借家法の改正によりまして、いわゆる定期借家制度が導入されました。公営住宅につきまして、公営住宅法及びこれに基づく条例に特別の定めがない限り、原則として借地借家法が適用される、これは判例上確立されているところでございます。
しかしながら、公営住宅の目的は、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定に寄与することにございます。したがいまして、入居者が高額所得者となることなど特段の事由がない限り、居住が継続するということを前提として、制度が成り立っているものでございます。
そういう意味で、現状におきまして、公営住宅は定期借家制度ーー期限つき入居でございますが、定期借家制度にはなじまないものというふうに考えているところでございます。
○服部委員 都心居住という観点で、下町に生まれる、都心に生まれる、そして育ったところにこれからもずっと住み続けたい、そういう気持ちの方も、地価が高い、あるいは家賃が高いといったことで、やむを得ずよそへ引っ越さなければならない。
結婚して子どもを持つ若い方と私も話すんですけれども、そういった方々は、都営住宅に、十年でも十五年でも期限つきでいい、とにかくその間貯金して、さっきのように、民間の分譲マンションの頭金をつくったり、そういったことでぜひやりたいんだ、そういう声も実際に聞きます。それが、今のお話の公営住宅法の縛りになるわけですよね。
これは昭和二十六年に制定された法律ですが、戦後の復旧事業といいますか、バラックや、あるいは戦争の引揚者とか、そういったような対象とされていた公営住宅法、これは国の方ですから、都に話してもどうということではないかもしれませんが、このあたりも見直す必要があるというふうに私も思いますし、また、その辺を都の方もよく研究していただきたいと思います。
次に、都営住宅は都民共通の貴重な財産であり、先ほど申し上げましたように、できれば回転よくここを使うべきだ、そのように思うんですが、例えば都営住宅からほかの住宅へ住みかえる、積極的にそれを働きかけるべきだと思いますけれども、その辺はいかがお考えでしょうか。
○片岸管理部長 明け渡し請求の対象者でございます高額所得者及び明け渡し努力義務のあります収入超過者に対しましては、明け渡し相談会だとか、あるいは自発的明け渡し努力のご通知等を直接郵送いたしますとともに、全居住者向けの広報紙等によりまして、先生今お話しされました都市整備公団あるいは住宅供給公社の空き家賃貸住宅、都民住宅等の新築賃貸住宅へのあっせんを行いますほか、東京都住宅建設資金融資あっせん、こういうようなものをお知らせいたしまして、積極的に住みかえを図っているところでございます。
○服部委員 今の答弁とは直接関係ありませんけれども、例えば都心居住という点で、住宅手当と通勤手当の問題があります。通勤手当というのは経費として落ちるわけですね。住宅手当は所得ですから、課税されてしまう。これももちろん、国の方の話なんですが、考え方として逆転することもあり得るのではないかなと。住宅手当が通勤手当と同じように、ある一定の額までは経費としてみなされる、そういったことになれば、何も遠くへ行かなくても近場に住んで、その分、通勤手当が少なくて済むわけですから、その辺も大いに研究をし、ご相談もいただきたいと思います。
最後に、都営住宅は、本来、収入の低い方が資産形成を行うまでの間、仮に住まう住宅であると思います。その意味で、資産を形成する前の若い世帯も、都営住宅に入りやすい仕組みもつくるべきだと考えます。また、都営住宅は、ともすると地域からちょっと閉鎖的な世界を形成したようにも思われますが、戦後五十年余り経過して、社会経済環境の変化等も踏まえて、都営住宅が地域に貢献できるよう、都営住宅のあり方を見直す時期に来ていると思いますが、最後に住宅局長にお伺いして、終わります。
○戸井住宅局長 若い世代の都営住宅への入居については、昨年、若年世帯の枠を設けまして、優先入居を試行いたしました。今後もこの試行を重ねまして、本格実施につなげたいというふうに思っております。
また、本格的な高齢社会への対応や既存ストックの有効活用の視点から、都営住宅集会所のボランティア活動の拠点化ですとか、大規模団地の建てかえの際に、中堅所得層向けの住宅を併設するとか、高齢向けの施設を併設するとか、さらには防災まちづくりとの連携などを図って、とにかく先生ご指摘のように、地域に開かれ、地域に貢献する都営住宅を目指してまいります。
○小松委員 都営住宅の高齢化問題についてですが、この問題は都営住宅の大きな課題となっているわけで、今後、さらに都営住宅における大きな問題のウエートを占めていくものと思われますし、東京都も、先ほどもありましたけれども、九七年度に高齢者の実態調査を行っているわけで、きょうはそれらの中での何点かを伺いたいと思います。
そこで、まず最初に、都営住宅団地の高齢化率と一般の高齢化率をお答え願います。
○片岸管理部長 都営住宅の高齢化率の状況でございますけれども、平成十年一月住民基本台帳等によりますと、六十五歳以上の高齢者の割合は、都全域では一四・五%であるのに対しまして、都営住宅では一九・〇%となっており、また、七十歳以上の高齢者の割合につきましても、都全域では九・四%に対しまして、都営住宅では一二・〇%となっておりまして、都営住宅の高齢化率は、都全域と比較してかなり高い状況になってございます。
○小松委員 今の数字は二年前の数字で、これは年々高くなってきているわけで、例えば私の地元の武蔵村山の大きな団地、五千世帯の村山団地では、現在、既に高齢化率二七%という異常な高齢化の状況が出ております。
そこで、こうした高齢化の著しい中で住宅管理にも福祉の視点が求められるというふうに思いますけれども、この年、住政審、私も委員をしておりましたので、その論議は存じておりますが、この住政審を得て、実際にはどういうことを実施してきたのか、お答えください。
○片岸管理部長 東京都住宅政策審議会の答申を受けまして、現在、この内容を順次実施しているところでございますけれども、既に若年ファミリー世帯向けの募集だとか、親子近接入居募集など、新しい募集体系を実施しておりますし、さらに巡回管理人制度につきましては、平成十二年度にモデル実施することとしてございます。
このほかにも、都営住宅を活用した痴呆性高齢者グループホーム事業、あるいはソーシャルミックスの推進などにつきまして、十二年度以降の実施に向けまして、現在、鋭意検討中でございます。
○小松委員 まさしく今、管理人のお話も出たわけですけれども、そもそも管理人の役割についてということで、住宅局の認識を伺いたいと思います。
○津島管理制度改善担当部長 現在、都といたしましては、おおむね千戸以上の団地に専任管理人を、また二百戸程度に一人の連絡員を配置しております。
主な業務内容は、専任管理人は、各種申請書類の受け付け、修繕の申し込みの受け付け、住まい方の指導相談などを行っております。また、連絡員は、「すまいのひろば」やその他の文書等の配布、集会所などのかぎの管理、不適正使用や長期不在の報告などを行っております。いずれも専任管理人と連絡員が相まって、住まいに関する現地管理を行っております。
○小松委員 今までは住まいに関するということでの管理人でございましたけれども、先ほどから申し上げていますように、大変な高齢化をした団地の中での管理人のあり方というのが、やはりここでは福祉という役割がプラスされなければーーむしろプラスというよりも、その福祉の役割が重要というふうに思われるのですが、その辺はどう認識しておられるでしょうか。
○津島管理制度改善担当部長 住政審答申で述べられておりますけれども、住宅の管理に当たりまして、高齢化が進む都営住宅の実態に対応しまして、民生委員や区市町村の福祉部局と有機的に連携することが極めて重要であるというふうに認識しております。
このため、管理に当たりまして、巡回管理人のモデル実施に当たって、二人一組で巡回することを予定しておりますが、そのうち一人は、福祉部門と連携を果たすような形で実施していきたいと考えております。
○小松委員 住宅局も福祉としての役割である管理人を巡回して置くということで、福祉的役割が大きくなっていることが明らかになったわけですが、であるならば、幾つかの団地を巡回する管理人で一体いいのだろうか。今お話のあったように、専任というのは一千人以上の団地ということで、これで事が足りるのでしょうかということでございます。
巡回の管理人設置は、住政審も求めておりましたし、何もない今までの中小団地にとっては一歩前進かもしれませんが、巡回管理人だけでは不十分であることは、例えば健常高齢者のみが入居しますシルバーピア、ここでは二十戸、三十戸に一人のワーデン、または国のシルバーハウジング、ここでも三十戸に一人ということになっております。
今ここで数をということではありませんが、せめて百戸とか、そのあたりに一人ぐらいの割合で、管理人というより、LSA的な人材の配置が必要と思われますが、今後のこの進め方も含めてお願いいたします。
○津島管理制度改善担当部長 管理人の配置につきましては、団地単位にすることが理想ではございますが、管理コストや効率性などを考慮いたしますと、複数の団地を巡回方式で管理することが現実的ということで、今回、巡回管理人制度をモデル実施することといたしたところでございます。
モデル実施の検証を踏まえまして、高齢化時代に適合した今後の管理のあり方については、幅広く検討してまいりたいというふうに考えております。
○小松委員 私も、そうはいったものの、一挙にそれをやれといっても、それが直ちに実現できないことはわかっておりますが、このモデル事業を進めながら、各団地の高齢化対応、特にソフト面での本格的なあり方を、管理人設置の問題を含めて抜本的な対応を求めます。
そこで、都営住宅の高齢化対応のハード面でのバリアフリー、これは最近大変進んでまいりました。特に、建てかえ完了団地についてのバリアフリーは、共有部分、共用部分も含めまして、室内も大変整備されております。しかし、一方で、現在建てかえ対象から外れている団地、すなわち中層住宅、四、五階住宅、このエレベーターの設置が急務となっていると思われます。
そこで、このエレベーター設置について、先ほどの説明になりますと、幾つか残っているということで、この残りの住棟についての予定はどうなっているのか、お伺いいたします。
○藤澤営繕担当部長 現在までに設置要望がございまして、設置可能な住棟約四百三十棟のうち、十年度までに二百九十三棟設置しております。残りは約百四十棟ございますが、十一年度にスーパーリフォームを含めて約百棟設置しておりまして、十二年度に約六十五棟を予定しております。
スーパーリフォームで設置するエレベーターにつきましては、要望の出されていない住棟も実施しておりますので、これらを差し引くと、残りは約五十棟になります。これらにつきましては、できるだけ早期に実施できるように努めてまいります。
○小松委員 このエレベーターにつきましては、この決算年度を含めまして、ここ二、三年で急遽、大変進んでいるということで評価するわけですが、あと残りが五十棟ということは、エレベーターの基数にしますと、五十プラス少々ということになると思います。これぐらいは一気にやってしまうということはできないのか。あと二、三年というお話がありましたけれども、五十棟残してあと二、三年。もう少し短期間にということを強く要望しておきます。
そして、このエレベーターなんですが、店舗つきの住棟にエレベーターを設置する場合、店舗所有者の同意及び共益費、これはどのようになっているのでしょうか。
○藤澤営繕担当部長 店舗つき住棟にエレベーターを設置する場合でございますけれども、通常は店舗所有者の同意は求めておりません。また、共益費も、東京都では徴収しておりません。
○小松委員 ということになりますと、店舗つきについても、これは物理的なものを含めて調査の上、大至急やっていただきたいというのが、例えば東大和の東京街道団地の十五、十六号棟の店舗つき住棟の改善について、そういうものを含めまして、ぜひそれは要望しておきます。
ところで、都営住宅に入居が決定した、建てかえ、新設都営に入れると喜んだ、これもつかの間、連帯保証人をといわれまして、はたと困ったといわれる高齢者のひとり暮らしの相談を、この年もたくさん受けました。それは、この連帯保証人は、都の住宅条例の施行規則で、次のようになっているからです。
この中にありますように、連帯保証人は、次の要件を備えている者でなければならない。一、東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県又は山梨県に住所を有する者であること、二、独立の生計を営む者であること、三、確実な保証能力を有する者であることということで、高齢者のひとり暮らしの方などは、この要件を満たす親しい知人がいないという方が多々いらっしゃいます。特に建てかえに当たりましては、住み続けてきた方が今後も住み続けるわけですから、こうした方々に果たして保証人の義務づけが必要なのでしょうか。制度の改善を求めるものです。
これにつきましては、私も建設・住宅委員会、常任委員会の中で、三年前だったと思うんですが、同趣旨の質問をし、あのときはいいお答えをいただけませんでしたけども、三年経過しておりますので、ぜひ前向きのご答弁をお願いいたします。
○津島管理制度改善担当部長 連帯保証人の条件緩和の問題につきましては、各会派からの要望がございました。これにこたえまして、本年四月一日より、建てかえ再入居につきまして、高齢者や障害者のいる世帯や生活保護による住宅補助を受けている世帯に対しまして、使用料の滞納がないことを条件に、連帯保証人の選任につきまして、免除を認めることといたしました。
また、一般的に、連帯保証人を選任するに際しまして、先生からお話ありました、これまで近県在住者に限定していた連帯保証人の資格要件につきまして、日本国内に住所を有する者であれば足りることとし、その要件を同時に緩和したものでございます。
○小松委員 連帯保証人選任を免除する要件ということで、要綱で決められたということと、また住所を関東近県にということを日本国じゅうということで広めたということで、これは大変評価いたします。これだけ免除規定ができるならば、できれば住み続ける建てかえのときの保証人制度は、廃止の方向で考えていただけないものかなと、これも要望して、きょうは終わりにいたします。大変前進的なお答えをいただきましたので、きょうはこれで終わらせていただいて、次に保証金の問題でございます。
都営住宅入居に際して、保証金という名目で家賃の二倍を支払うことになっておりますが、この保証金の目的、意義は何でしょうか。
○片岸管理部長 保証金は、公営住宅法第十八条におきまして敷金とされておりまして、入居者の債務を担保するため、家賃の三カ月分に相当する金額の範囲内で徴することができるとされておりまして、都営住宅条例第十一条におきましては、使用料の二カ月分を納付することといたしてございます。
○小松委員 そうしますと、今、保証金の残高はどのぐらいございますか。
○片岸管理部長 十年度決算では、約百十五億円でございます。
○小松委員 この保証金の運用益はどのように使っておられるのでしょうか。どこにどれだけの額という数字も、あわせてお答え願います。
○片岸管理部長 保証金の運用益でございますけれども、都営住宅居住者のための集会所その他の共同利便施設、自転車置き場等ほかございますが、そこの建設並びに整備のために使用しております。十年度の歳出額は四億九百万円でございます。
○小松委員 それから、先ほどもありましたように、この保証金を滞納や損害金へ充当するということですけれども、これはどのくらい、この決算年度で充てられたんでしょうか。
○片岸管理部長 十年度決算でございますけれども、約二億三千万円となってございます。
○小松委員 ありがとうございました。数字的には大変よくわかってまいりました。
なぜこのようなことをお聞きしたかと申しますと、先ほど保証金の実態については額を示され、資料説明があったわけですけれども、この中で建てかえで再入居される、特に年金暮らしの方にとって、本来家賃の二カ月分は大変きついんだという訴えを聞くわけです。
今のご説明のように、退去するときの現状復帰のための費用にとおっしゃるのでしたら、新居を見つけて退去することなどほとんどない、この高齢者の再入居に当たっての保証金だけでも、下げるなり減免なりの手法がとられないものでしょうか。
○津島管理制度改善担当部長 建てかえに当たり、保証金の減免の問題でございますけれども、現在、保証金は、公営住宅法では三カ月分の範囲内とされておりますけれども、都営住宅条例におきまして、居住者の負担を考慮して二カ月分といたしております。また、住宅の建てかえ、再入居の場合には、当初納付した保証金との差額分を納付することにしておりまして、住宅使用料が上昇する場合には、保証金の性格からいって、差額徴収はやむを得ないというふうに考えております。
○小松委員 一定部分わかるんですけれども、本当にこれからここをついの住みかとする減免高齢者の再入居ということを申し上げているんですが、もう少し数字を調べてみますと、都営住宅の保証金収入は、この決算年度では一万二千九百四十九戸分で九億二千二百七十二万八千七百円だと。さらに、この保証金返還分はと申しますと、四億七千百四十四万七千八百四十二円という数字が示されております。したがいまして、この収入のうち、建てかえの年金低所得者や減免世帯の、この二カ月分を一カ月分に減らすということはできないのか。先ほど、法は三カ月分範囲内ということですから、これを一カ月にしたからとして、法には触れないわけです。
一方、今の数字を全部、先ほどお聞きしましたのも、これをやっても赤字にはならないんではないかという、まさに素人判断ではありますけれども、ぜひご検討をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
○津島管理制度改善担当部長 高齢者世帯が増加する中で、保証金の運用益を充当しております、先ほど管理部長が述べました環境整備に要する経費も、今後年々増加することが予定されます。また、保証金の減免制度を考える場合に当たりましては、居住者間の公平あるいは負担能力等さまざまな問題がございます。こうしたことから、現時点におきましては、先ほど申しました差額徴収を行うということが適当ではないかと考えております。
○小松委員 今、現時点ではとおっしゃいました。その先がなかったわけですけれども、決算ですからね、確かに今おっしゃったようなこともるるあるかと存じます。ぜひこれらを精査し、十分なる検討をして前へ進んでいただきたいということを最後にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○川井委員 都営住宅の管理全般についてお聞きしたいんですけれども、都営住宅、私どもまちに出てお話を聞きますと、東京都の全施策のうちで最も不公平感を都民の方々が感ずるその施策の一つだろう、仕事の一つだろう、こういうふうに思うほど、いろいろな言葉を聞きます。
そういう言葉を、現実に局の方でとらえているのか。なおかつ、その原因は、どういうものを指して一般都民の方々がいっているのかという認識を持っておるか、ちょっと聞かせていただけませんか。
○片岸管理部長 都営住宅は、住宅に困窮する低額所得の方に良質な住宅を供給するということでございまして、全員が入れれば別でございますけれども、たまたま、十年度、八倍のそういう競争率等がある中で、お入りいただいた方に対していろいろと、先ほど来、減免措置があってみたり、法律上の手当てがある、そういうようなことから、そういう声が聞かれるのかなと思っているところでございます。
○川井委員 若干認識不足かなと思いますけれども、後ほど触れます。
実は私、平成九年、十年、そして前回の定例会の中で、高額所得者、収入超過者、滞納者、こういうものを扱った質問をさせていただきました。私、最初びっくりしたんですよ、二十六万戸、二十五万何がしですね、その都営住宅の中で、収入超過者八万七千程度、平成八年であったと思うんですね。それに加えて滞納者は二万七、八千あった。減免者が約五万近くあった。高額所得者は一万二千あった。
こうなっていくと、まともな形で、要するに入居の規定のものを満たしている、なおかつ正規に家賃を払っている人というのは、十万世帯を割ってしまうんですね。こんなことを都民が知ったら、大変な驚きだろうな、また、例えば東京都として、こういう数字を都民の方々に明らかにできるんだろうか、そんな思いがあって、実は当時質問をしました。
その中で高額所得あるいは収入超過者に対しては、それぞれの部の方々が努力をしていただいて、おおよそ三万何がし減ったんだろうと、こう理解をしております。これは、全部が全部その努力とはいえない部分も実はあるわけですけれども、それに触れていますと時間がかかりますので、おおよそそんな努力があったと。これは新しく土地を買って建物を建てた、そして二万何がしを提供した、これと同じ努力ですから、大変評価されていいんだろう、こう思っております。
ただ一つ、滞納者について、実は当時ご答弁の中で、法的措置を含めて努力していきますというご答弁をいただいた。これは平成八年と十年、とりあえず数字で何件ずつという、それから滞納金の状況というか、累計滞納額の状況をまず教えていただきたい。
○片岸管理部長 法的措置の件数でございます。法的措置の対象者として選定いたしました件数は、平成八年度は五百四十八件ございました。平成十年度が八百四十六件でございます。そして、そのうち、実際に訴訟提起したものでございますが、平成八年度が四百五十二件、平成十年度が六百十二件となってございまして、選定件数、それから訴訟提起件数とも、増加をさせてきているところでございます。
それから、もう一つの累積滞納額でございます。申しわけございませんが、平成八年度は四十五億七千万円でございました。これが、平成十年度は五十四億七千万円と、こちらは増加してございます。
なお、これにかかわります私ども収納額につきまして申し上げますと、平成八年度四十五億四千万円であった収納額が、平成十年度は五十億四千万円と、こちらの方も増加させているわけでございますけれども、これを上回る滞納の発生があったということで、こういう累増の結果になっているところでございます。
○川井委員 これは、滞納額累積、八年度からいうと十億近くふえている、九億かな。それと同時に、いわゆる滞納している世帯数も、実は八年度から十年度においてふえてしまっているんですね。こういうことは、私は、厳しい経済情勢等々わかるんですけれども、やはり努力していくことが多くの都民から理解いただくことなんだろうと、こういう思いを強く持っておるんです。
特に、先ほどいったように、二十六万世帯のうちに入居規定を満たしながら、まともに家賃を払っている人というのが九万何千世帯しかいないんだということになれば、大分努力してそれを是正していただいたけれども、一般都民の方々の不公平感というのはまさに募るばかりだ、こう思うんですね。
そこで、努力したんだろうけれども、その取り組みにもかかわらず、滞納者がふえているわけですね。それの認識の持ち方、そして、それと同時に今後どう取り組んでいくのかということでお答えいただきたいと思うんです。
○片岸管理部長 まず、取り組み状況についてでございます。
平成十年度までの取り組みでございますけれども、例えば訪問徴収の職員の補充だとか、あるいは法的措置職員を増員するなどの措置をとってきておりまして、これらの措置により、先ほどちょっと申し上げましたけれども、収納額は年々増加させてきたわけでございます。しかしながら、どちらかといいますと、滞納者の数は平成八年度から、九年度はちょっとふえましたけれども、九年度から十年度に比較しますと、前年を下回りまして、ほぼ二万八千人程度で、横ばいで推移しているわけでございます。
しかしながら、特定の者が長期滞納させているということ、それから、これら誠意のない長期滞納者に対しましては、法的措置あるいは強制執行等を講じまして、住宅の明け渡しをしたわけでございます。明け渡ししたことによりまして住宅明け渡し者がふえまして、いわば徴収が困難となった退去者滞納といいますか、こちらの方が増加していることなどが、なかなか滞納を減らすことができないという理由になっているように考えているところでございます。
なお、これからどうしていくのかということでございますけれども、滞納整理につきましては、住宅局、それから滞納整理事務を委託しております住宅供給公社、双方の執行体制を強化したところでございます。
具体的には、住宅局におきましては、十一年度は五名体制で法的措置担当を行っていたわけでございますが、これを管理職を含む職員を増員いたしまして、六名ふやしまして十一名体制でこれに当たる。そして、これらによりまして、誠意のない滞納者には、より一層明け渡し訴訟を強化していくというふうに対応してまいります。
また、住宅供給公社におきましても、支社に担当職員、これは四名増員いたしまして、あわせて本社におきましても体制強化を図りまして、納入催告だとか、納付指導等を強力に行いまして、実情に応じたきめ細かな指導を行ってまいります。
また、先ほど、冒頭、先生の方からご指摘いただきました多数の都営住宅入居希望者だとか、あるいは納期内に使用料を納めていただいておる大多数の入居者との社会的公平の見地からも、今後とも滞納縮減に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○川井委員 都営住宅入居者の、きちんと納めている大多数というお話があった。私は大多数だと思っていないけれども、その方々の公平性のためにもと、こういうんだけれども、もっというならば、全都民との公平性もよく考えていただきたい、こう思うわけであります。特に、長期滞納者の数がふえているというのは気になるところでございますので、今いったような努力をぜひしていただきたい。
それから、冒頭に聞いた都営住宅に対しての一般都民の不公平感というのは、この長期滞納あるいは高額所得者とか、減免云々とか、そういう数字は、実は一般都民は知らないんですよ。だから、このことよりも実は転貸しだとか、または継承だとか、あるいはそこに住んでいながら屋根つきの車庫を借りて高級外車を乗り回しているとか、こういうことを含めて、大変不公平感を持っておられる。それに加えて、今のような数字が都民の方々に実際わかっていった場合というのは、私はもっと不公平感が大きくなってしまうんだろうと。
そのためにもぜひ努力をし、そして、より若い若年層で住宅困窮している方々にチャンスを与えていってほしい。そして、まさに都民全体の財産であるからして、みんなで使っていこうよというような思いがなければいけないんだと思う。みんなで使っていこうということになると、先ほど服部ゆくお議員がいわれたような、ある意味での期限つきとか、そういうものも実はこれから考えていかなければならぬ時代になるのかなと。
これをいうと、昭和二十六年当時つくった、今から何十年も前につくった公営住宅法があって、どうのこうのと、こういうんだね。だけれども、それが本当に、法律ありきじゃなくて、現状どうあるのか、場合によっては法改正をしていかなければならない。そのために、他府県あるいは市区町村に働きかけて、お声を聞いて、ともに同じようなことであるならば、国に働きかけていく、その準備をしていますとか、そのぐらいのものを持っていかなければーー住宅局が実際どう考えているのか、法律があるからしようがないんだというようなことであるのか、そこら辺、聞かせてもらえないか。
○戸井住宅局長 この定期入居の問題というのは非常に難しい問題でございまして、今回、定期借家制度ができたことによって、当然公営住宅ではどうなるかという問題が社会的に関心を持ったわけでございまして、実は昨年の国会の十二月末ですか、文書質問で国会の方から政府の見解をただしたんですね。その答えは、先ほど担当部長がご説明申し上げました、要するに公営住宅法ではなじまないということなんですけれども、私が思うに、やはり定期借家制度ができて、これからの住宅政策は、二十一世紀に向けて大きく変わる一つのきっかけになるのではないかというふうに思います。
ただ、公営住宅は、昨年に国会で国の方針を明確にしたばかりでございますので、直ちにそれを国に対して働きかけるというのは非常に困難でございます。しかし、これは重要な問題でございますので、中長期的に向けてその辺の取り組みに対応していきたいというふうに考えているところでございますので、どうぞご理解をいただきたいと思います。
○川井委員 中長期的で、長期にならないで、中期的で考えていただけないかなと思うわけですけれども、ただ、やっぱりこれからきちっとそういう考え方を住宅政策の一つの柱として考えていくような時代になってくるんだろう、こう思っておりますので、ぜひ努力をしていただきたいと思っております。
それから、どうせ住宅で都民に貢献していきたいということであるならば、例えばこれから向かう少子化対策に対して、その一端の役割を住宅が担っていくんだ、こういうこととか、あるいは高齢化に対しても、古い、もう三十年も前に建てた都営住宅、例えば中野の白鷺の住宅なんか、高齢者率なんていうのは大変なものだ。半分以上、もう六十五歳以上になっちゃっているんじゃないかと思われるくらい。ですから、こういうものに対しても、そういうお年寄りばかり集まるようなところをつくっちゃいけない。万が一、災害でもあったらどうするんだというようなものを含めて、やはりオギャーと生まれた赤ちゃんからお年寄りまでいて、それで一つのまちなんだからね。
だから、そういうものをまさにつくり上げていく、その努力を都営住宅は担っていくんだと。高齢者の対策も、あるいは少子化の問題も、とにかく子どもが三人以上いたら、自由に優先的に入れますよぐらいのことで、その一端を担っていくんだというような夢のある考え方を、ぜひ考えとして打ち出していってもらいたい、こういう思いがあるんですけれども、その思いに対して一言ご返事をいただいて、私の質問を終わりとします。
○戸井住宅局長 我が国、そして東京は、これまでの成長社会が終息いたしまして、成熟社会を迎えようとしているわけでございます。こうした中で、社会経済のさまざまな領域で制度の見直しや改革が進められております。
したがいまして、住宅政策についても、今新しい時代への転換期に来ている、そういう認識を持っておりまして、住宅行政において新たな時代の状況に対応した政策の展開が必要であると考えております。ご指摘の都営住宅について、都民共有の財産として一層効果的に活用していくことを初め、より的確な施策の推進に努めていかなければならないというふうに考えております。
そこで、ことしの四月に今予定をしておりますけれども、今後の住宅政策のあり方や推進方策について、住宅政策審議会に諮問して審議していただくということになっておりますので、その中でさまざまな問題について幅広く議論をしていただきたいというふうに考えております。
○大山委員 私は、高齢者の住宅の問題について絞って質問したいと思います。
高齢者の問題なんですけれども、事務所への相談でも多いものの中に、高齢者の住宅の問題があります。長年住み続けてきて、大家さんに立ち退いてくれないかといわれて困っている方だとか、年金だけの生活で家賃を払うのも大変なので何とか、都営住宅はどういうふうに申し込んだらいいのかとかという相談も多いわけです。
私は、出身、地元が新宿ですけれども、確かに最近、マンションが建っています。しかし、アパートに住んでいらっしゃる高齢者の手が届くようなマンションではないわけですね。今、新宿区でも、宅地建物取引業協会新宿支部というところの協力で、住宅相談をやっているんです。高齢者に限った相談ではないんですけれども、圧倒的に高齢者の相談が多いんです。
九年から十一年度で見ますと、平均年齢が六十一・五歳、六割の方が六十代、七十代だという状況なんですね。住みかえの理由は、一時期多かった、バブルの時期多かったんですけれども、建てかえによる立ち退き要求は減りましたので、ただの立ち退き要求ですから、十一年度で二十七件、約二割なんですね。これは建てかえによる住みかえの家賃助成の対象にもならないわけですから、結構厳しいわけですね。あと家賃が高いが一九%、それから住宅設備や周囲の環境が劣悪という理由がそれに次ぐわけです。立ち退きは迫られる、家賃は高い、住宅状況は劣悪ということで、高齢者の住まいに関する状況は深刻だというふうにいえると思うんですね。
民間アパートなどに住んでいる高齢者世帯、もしくはひとり世帯のところなんですけれども、最低居住水準に満たないところに住んでいる世帯の割合とその特徴は、どうなっているでしょうか。
○菊田住宅政策担当部長 平成五年の住宅統計調査によりますと、民営借家に居住する夫婦とも高齢者の世帯の最低居住水準未満率は約一四%、同じく高齢の単身世帯では約三七%でございまして、高齢単身世帯での割合が高くなっております。
○大山委員 高齢者のみ世帯でも約一四%、そして単身ですと四割近い方が最低居住水準以下の住宅に住んでいる、民間のアパートに住んでいるということなんですね。ところが、いざ住みかえようというふうに思っても、すんなりいかないのが高齢者でして、先ほどの住宅相談の中でも、協力してくれる大家さんもいるんですけれども、成約率というのは極めて低くて、相談に見えた方の二割程度しか契約に至らないという状況です。
それで、居住者も高齢者なんですけれども、大家さんも高齢者ということで断る率が高くなっているというのが最近の傾向なんですね。
高齢者にとって、やはり住みなれたところで住むというのは、つながりだとか、いろいろありますので、住みなれたところで住み続けるためにも、公的住宅の建設が必要であると思いますけれども、その辺の認識はいかがでしょうか。
○菊田住宅政策担当部長 本格的な高齢社会を迎え、高齢者が住みなれた地域に住み続けていくためには、高齢者向け住宅を整備していくことが重要であろうというふうに考えております。
このため、都は、これまでもシルバーピアの供給でございますとか、区市町村による福祉市借り上げ型住宅の供給に対する支援などに努めてまいりました。また、平成十一年度からは、新たに高齢者向け優良賃貸住宅の助成事業を開始しております。今後とも引き続き区市町村の住宅施策を支援するなど、高齢者向け住宅の整備に努めてまいる所存であります。
○大山委員 高齢者向け住宅の整備に努めていくという方向はいいわけですけれども、例えば、新宿でも、都営住宅だとか区民住宅の高齢者向けの公募には、平均すると四十倍ぐらいになっちゃうんですよ。まだまだ圧倒的に足りない状況なんです。代表的な住宅として、今シルバーピアのお話もありましたけれども、この住宅の八年度から十年度の建設の実績はどうなっているでしょうか。
○水庭開発調整部長 都営住宅によりますシルバーピアの建設実績は、平成八年度四百五十四戸、平成九年度二百四戸、平成十年度四百十戸となっておりまして、この三年間で合計千六十八戸となってございます。
○大山委員 三年間で三十八地区、千六十八戸、建設はされているけれども、まだまだ不足しているという状況ですので、もっと積極的にやっていっていただきたいということなんですが、シルバーピアなんです。シルバーピアは、緊急通報だとか安否確認など、高齢者世帯には安心できる機能が整備されていますから、それにワーデンさんも配置されていますから、一歩進んだ高齢者の住宅にはなっているというふうに思っています。
ところが、まだまだ歴史が浅いということもありまして、ワーデンさんと居住者との関係というのが、非常にうまくいっているというところもあるのでしょうけれども、案外ぎくしゃくしていたりというケースがあるんですね。とりわけお年寄りというのは、七十年、八十年、自分で生きてきた方たちですから、お年寄りの心理もわかる、そして一人一人もちろん対応が違うということでは、専門職の配置にもなっていないということでは、不十分さがあるというふうに思っています。
具体的には、チェーンを閉めて寝たのにチェーンが外れていたとか、ワーデンさんとの距離をどうしていいかわからないとか、それからちょっと具合悪くなると特養に申し込んじゃうとかというような話で、お互いにどうつき合っていいかわからないという今の状況なわけですね。
ですから、ワーデンさんの役割については住宅局は所管ではないと思いますので、高齢者施策推進室での質疑にいたしますけれども、東京都では、都営のシルバーピアの供給に当たって、個別住宅ごとに、住宅局、高齢者施策推進室と関係区の職員を含めた検討委員会を設けて、高齢者がより安心して暮らせるように、そのあり方を検討しているというふうに聞いています。
こうしたこれまでの苦情だとか、入居者の実態を十分把握しながら、その計画を策定していくことがよりよい住み方になるというふうに思うのですけれども、どのように反映しているんでしょうか。
○水庭開発調整部長 シルバーピアを計画するに当たりましては、個別の団地ごとに住戸の配置計画、福祉サービス等について検討しております。この中で、入居者とワーデンとの良好な関係が築けるように、ワーデン住宅、それから高齢者生活相談所や緊急通報システムなどにつきまして、関係者の意見を十分に計画に反映するようにしております。今後も区市町村との連携を深めながら、ご指摘の問題点等にも配慮いたしましたよい計画づくりに努めていきたいと思っております。
○大山委員 反映するという上でも、今シルバーピアが、入居が始まって十年ということでは、大分積み重ねもできてきていると思うんですね。ですから、実態を調査することも含めて、ぜひ積極的に反映させていっていただきたいというふうに思っています。
高齢者も安心して住み続けられるようにということでは、シルバーピアを初めとして、それから先ほどの資料の中でも、最高三けたの倍率というところまであるような実態では、圧倒的に足りないというのが現状だと思うんです。例えば、地元の新宿でも、税務大学校の跡地だとか、参議院宿舎跡地など公有地もあるわけなんですね。
ですから、ぜひ区とも連携して、公有地を活用しながら公営住宅の建設をするように、都としても努力していただきたいという要望を申し上げて、質問を終わります。
○山本委員長 ほかにありますか。
〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
住宅局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山本委員長 異議なしと認め、住宅局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
以上で住宅局関係を終わります。
これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
午後六時三十六分散会
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