各会計決算特別委員会速記録第十号

平成十二年二月九日(水曜日)
   午後一時三分開議
 出席委員 二十九名
委員長山本賢太郎君
副委員長服部ゆくお君
副委員長前島信次郎君
副委員長大山とも子君
理事木内 良明君
理事土屋たかゆき君
理事遠藤  衛君
理事小松 恭子君
理事立石 晴康君
中嶋 義雄君
吉住  弘君
中西 一善君
竹下 友康君
くぼた 光君
東野 秀平君
川井しげお君
藤田十四三君
大河原雅子君
田中 智子君
清水ひで子君
倉林 辰雄君
野田 和男君
林  知二君
大木田 守君
羽曽部 力君
藤川 隆則君
田村 市郎君
佐藤 裕彦君
植木こうじ君

欠席委員 一名

 出席説明員
出納長室出納長佐々木克己君
副出納長三宅  亨君
副出納長上村 弘明君
選挙管理委員会事務局局長鳴川 智久君
次長宇口 昌義君
政策報道室室長柿沼 伸二君
理事高橋 信行君
政策調整部長岡田 重信君
循環型社会づくり担当部長齊藤 建一君
特命担当部長三好 勝則君
参事三枝 修一君
広報部長中村 正彦君
計画部長関谷 保夫君
調査部長鳥飼 源宏君
首都機能調査担当部長二村 保宏君
都民の声部長中島 建夫君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  出納長室関係
  ・一般会計決算(質疑)
  選挙管理委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  政策報道室関係
  ・一般会計決算(質疑)

○山本委員長 ただいまから平成十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、出納長室、選挙管理委員会事務局及び政策報道室の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 出納長室関係に入ります。
 出納長室関係の決算につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言をお願いいたします。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 出納長室関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、出納長室関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で出納長室関係を終わります。

○山本委員長 これより選挙管理委員会事務局関係に入ります。
 選挙管理委員会事務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○宇口次長 去る一月二十四日の当委員会でご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます各会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 まず、一ページをごらんください。1の、投票にかかわる選挙制度の改正と各種選挙の投票率につきましてご説明申し上げます。
 (1)は、投票にかかわる選挙制度の公職選挙法改正の内容を、改正前と改正後とで比較したものでございます。法改正は、平成九年十二月十九日に公布され、改正点ですが、〔1〕の選挙人名簿登録回数増以下六点でございまして、主なものといたしましては、〔2〕の投票時間の午後八時までの延長、〔4〕の不在者投票の事由緩和等がございます。
 (2)は、各種選挙の投票率の推移を示したもので、改正後に行われた選挙は、参議院議員選挙、都知事及び統一地方選挙がございますが、いずれも、改正前と比べ投票率が若干上がっております。
 なお、統一地方選挙の数字は、長の選挙の投票率でございます。
 二ページをごらんください。2の、障害者における投票制度の変遷と便宜供与につきましてご説明申し上げます。
 (1)の投票制度の変遷につきましては、点字投票、代理投票及び郵便投票の内容と改正経過を示したものでございます。〔2〕の代理投票と〔3〕の郵便投票については、対象となる者の範囲につきまして改正が行われております。
 (2)は、投票所等における便宜供与の一覧で、〔1〕の二階以上でエレベーターのない投票所の解消、〔2〕の仮設スロープの設置、以下九項目について実施内容を示してございます。
 以上、甚だ簡単でございますが、要求資料についてご説明申し上げました。よろしくお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○田中委員 公務員を選定し、これを罷免することは、憲法でうたわれております国民の権利であります。選挙権の行使、参政権をどう確保するかということは、都の選挙管理委員会としても大事な仕事であるというふうに認識しております。そういう観点から、特に障害者や高齢者、いわゆる社会的に弱い立場に置かれている人たちに対する対応について何点か質問をしたいと思います。
 まず、さまざまな障害を持つ方がいるわけですけれども、このような方が投票する場合、どういう制度があるか。先ほど説明いただきました資料の中にも書かれておりますけれども、改めてご説明をお願いいたします。

○宇口次長 障害を持った方等への投票制度でございますが、点字投票、代理投票、郵便投票の三つの制度がございます。また、施設入所者については、指定病院等における不在者投票制度がございます。

○田中委員 では、それぞれの投票内容の説明と利用状況についてお示しください。

○宇口次長 まず、点字投票でございますが、視力障害のある方が、投票所におきまして投票管理者に申し出て、点字器具を使って投票するものでございます。利用状況でございますが、以下、数字は平成十一年の都知事選挙の数字でございますが、点字投票件数は千百三十三件となってございます。
 次に、代理投票でございますが、投票管理者のいる投票所、不在者投票におきまして、身体の故障等で自書することができない方から申請があった場合に、補助すべき者二人を定め、うち一人の立ち会いのもとに他の一人がいわゆる代筆投票を行うものでございます。代理投票の件数は、投票所、不在者投票所、指定施設不在者投票を通じまして九千八百九十一件となってございます。
 郵便投票でございますが、重度の障害があり、投票所に行くことが困難な一定の要件を満たした方が、一連の手続を経て在宅で郵送による投票ができるものでございます。郵便投票をした者の件数でございますが、五千六百七件となってございます。

○田中委員 今ご説明いただきましたけれども、代理投票は自宅でもできるんでしょうか。ちょっと確認をお願いします。

○宇口次長 代理投票でございますが、投票管理者のいる投票所ないしは施設ということでございますので、自宅ではできません。

○田中委員 そこで、先ほどの数字ですけれども、障害者でも投票所に足を運ばれて普通に投票できる方がいらっしゃるわけですので、今、身体障害者手帳交付者、概数ですけれども三十数万人いるという中で、一概にはいえないとは思いますけれども、ごく単純に考えて、今、東京都で重度の障害者手帳を受けている方は、ほとんど常時介護を要する方ですよね。その方が二十歳以上の方で六千人以上いらっしゃるということであります。また、寝たきりの手当であります老人福祉手当を受けている方が五万人以上いらっしゃるわけですから、こういう数字から見ても、点字投票から郵便投票、全部を合わせて一万六千程度というのは、非常に少ないというのが印象です。
 そこで、具体的に伺いたいんですが、郵便投票についてですけれども、どういう方が投票できて、どういう手続が必要なのか、また、施設入所者についてはどういう方法で投票できるのか、お示しをお願いします。

○宇口次長 まず、郵便投票でございますけれども、資料の二枚目のところの投票制度の変遷の改正経過欄、下段の方に書いてございますが、身体障害者手帳を持っている方で、一つは、両下肢、体幹等の移動機能障害が一、二級の方、もう一つが、心臓、腎臓、呼吸器等の機能障害が一、三級の方と限定されております。
 手続でございますが、あらかじめ郵便投票証明書の交付を受けておきまして、選挙期間中に選挙管理委員会に郵便投票証明書を提示して、投票用紙の交付を受け、本人が自書した上で郵送してもらいます。なお、郵便投票証明書の発行件数は、昨年の都知事選挙の時点で八千二百八十三件となってございます。
 施設入所者の方についてでございますが、先ほどご説明しましたとおり、不在者投票のできる施設として選挙管理委員会の指定を受けた施設の入所者につきましては、施設の長を不在者投票管理者として施設内で投票することができます。

○田中委員 説明をしていただきましたけれども、私は、この郵便投票の制度、問題が二つあるんじゃないかなというふうに思うんです。一つは、資料にもありますけれども、投票できる人の範囲が極めて限定的だということなんですね。ご説明もありましたけれども、いわゆる両足がないなどの移動機能障害が一、二級だということ、また、呼吸器関係の障害が一、三級ということで、投票所に行くのが非常に困難と考える場合だけだということになっているわけです。
 例えば、心臓や肝臓とか呼吸器障害以外の方でも、ほとんど寝たきり状態で在宅で生活していらっしゃる方は多くいらっしゃるというふうに思うんです。施設に入所しないで在宅でいらっしゃるという方がかなりの数に上ると思うんですけれども、その方は入らないということなわけですね。
 もう一つの問題は、自分で書けなければだめだということだと思うんですね。先日、新聞報道によりますと、筋萎縮性側索硬化症、いわゆるALSといわれる難病なわけですけれども、この難病に侵された人が国に賠償を求める訴えを起こしたという報道がありました。
 新聞報道の内容を紹介させていただきますと、一月十四日、投票は私と社会との重要な接点の一つ、投票に関する選択肢がない現状を変えたいと、国に賠償を求める訴えを起こしました。村山芳子さんとおっしゃる方です。現行の公職選挙法は、重度障害者の郵便投票を認めていますが、自筆に限定と。ペンを持てない村山さんは、棄権を余儀なくされています。今はまばたきしかかなえられない体でも、意思伝達は可能です。郵便投票の代筆が認められないのは違憲と訴えますということで、こういうふうに訴えられているわけです。
 日本ALS協会というところがあるわけですけれども、同様に、自筆ができない在宅のALSの患者は推計で約二千人いらっしゃるというふうにいわれておりますし、この係争に、思いを代弁してくれたと、勇気ある行動ありがとうということで、この村山さんのところに反響が多く寄せられたという報道がありました。この村山さんは、気軽に社会参加できること、それが実現できたら、有権者として一票の重さを健康なときより意識するかもしれませんねということをいっていらっしゃるわけですね。
 そういう意味でいいますと、本当に自筆で、自分で書くことができない人というのは、こういう難病の方以外の方でもかなり多くいらっしゃると思うんですけれども、先ほどの説明でもあったように、制度としては代理投票というのがあると。ですけど、確認しましたとおりに、いわゆる原則は投票所だということで、行かなければならないわけですね。そうすると、投票所に行けない、しかも自分で書けないという方は、じゃあどうすればいいのかということで、憲法の中でうたわれている参政権、いわゆる選挙権の行使という基本的な権利が行使できないという状況に置かれているわけですね。しかも、選挙権を行使することによって社会参加をしたいというふうに望んでいる方が多くいらっしゃるわけですね。なぜ、郵便投票では投票できないのか、また、外国ではそういう場合にどういうふうになっているのか、お願いいたします。

○宇口次長 郵便投票では自書によることとされておりますので、現状では結果としてできないわけでございます。代理投票は、先ほども申し上げましたように、投票管理者のいる投票所等においてに限定されております。そういうことでできない。
 もう一点の外国の制度でございますが、十分に把握してございませんけれども、一例として、ベルギーでは、視覚障害者や自書能力のない選挙人については、委任投票というのが認められております。これは、委任を受けた親族等が、投票所において他の選挙人と同様に投票するという制度でございます。そのように聞いております。

○田中委員 やはりこういうALSとかというのは、筋肉がだんだん縮んでくるといいますか、縮小してくるわけですね。それで、運動の機能としては障害があるんだけれども、意識ははっきりしているわけだし、考えも非常にはっきりしているわけですよね。ですから、社会に参加したいという希望や、やはり自分が生きているというか、みずからがそこに参加をして現状を変えたいというような思いも重くあるわけですね。
 ですから、先ほど、自書が原則だというふうに、法律がそうなっているということですけれども、こういう方がいらっしゃるということについては、いかがでしょうか。どういうふうにお考えでしょうか。

○宇口次長 選挙権の行使という基本権の行使につきましては、非常に重要なことだと思っておりますけれども、それを決めております選挙法等の基準、法律の方が改正されなければ、なかなか難しいかなというふうに思っております。

○田中委員 外国では、先ほどベルギーの例をお話しされましたけれども、ドイツなどでも、在宅投票の枠がかなり広く設けられているということも聞いております。例えば、郵便配達の人が投票用紙を回収して回るというようなことも聞いているわけなんですね。かなりのヨーロッパの諸国では、在宅投票ということを、基本的な選挙権を行使するという点で非常に緩やかに、ある意味では緩やかにできるような条件が整えられているということも聞いております。
 このような外国の例にも学んで、委任投票もできないか。また、先ほどおっしゃったような公職選挙法の法律の問題ではありますけれども、ぜひ選挙法の改正も含めて、国にも強く働きかけていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、寝たきりの高齢者について伺いたいと思います。
 やはり寝たきりの高齢者についても、現状では郵便投票だとか不在者投票が利用できないという状態ですね。同じ寝たきり状態でも、施設に入所されている方は、管理者がいるという状況で不在者投票ができる制度になっているわけですね。在宅の方はできないという状況が、どう考えてもちょっと納得できないのです。
 介護保険がことしの四月から制度が始まるわけですけれども、実際に今、東京都でも問題になっています老人福祉手当の廃止の問題がありますけれども、自分たちの介護だとか生活をどうするかというような、極めて直接的に自分の生活にかかわる問題を論議しているというか、問題になっているそのときに、基本的な権利である選挙権を行使できないということは、考えれば矛盾じゃないかなというふうに思うのです。
 寝たきりの人でも、家族が投票所に連れていってくれるという人がいるかもしれないですけれども、行けない人がほとんどじゃないかと思います。これについては、どういうふうに認識をしているのですか。

○宇口次長 在宅寝たきり高齢者の方の投票機会の確保というのは、公民権の行使という大変基本的な事柄であるというふうに認識しております。これまでも、郵便投票などにより投票が可能となるよう、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて国に法改正を要望してきたところでございます。

○田中委員 平成七年の九月に都議会の総務委員会で、寝たきり老人の選挙権行使の保障に関する意見書というのが採択されております。それで、それ以降、対応がなかなか進んでいないわけですけれども、対応が進まないのはどういう理由か、また、今後の見通しとか法改正の動きということについては、どういうふうになっているでしょうか。

○宇口次長 先ほど申し上げましたように、郵便投票の対象の方の資格要件というのが非常に厳しく定められている、一定の障害者手帳等を通じた基準というもので定められておるわけでございますけれども、在宅寝たきり高齢者の方につきまして、そういった基準が今のところないと。現在、介護保険の制度が進行中でございますけれども、そういったものの中で基準が定められれば可能になるかもしれませんが、その辺がまだ現在明確でないということが理由ではないかと思います。

○田中委員 今、介護保険の制度についてお話がありましたけれども、基準が明確じゃないというところで、介護保険の中では、いわゆる要介護認定ということが行われるわけですよね。一から五まであるわけです。そういう意味で、お話もありましたけれども、そういう認定の基準が在宅寝たきり高齢者の郵便投票の対象基準として採用できるように、これから国に働きかけてもいただきたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○宇口次長 基準がどのような形ででき上がってくるかということが、まず問題になるかと思いますけれども、東京都選挙管理委員会に諮りまして、連合会を通じて国に要望するかどうか検討してまいりたいと思います。

○田中委員 重要なことは、郵便投票の枠を、限定されたものだけじゃなくて、どんな方でも選挙権が行使できるという状況をつくるという意味で、ア、イというごく限られたものではなくて、それ以外の条項をつけ加えられるというような状況でぜひ法改正できるように、改めて、強く今後とも国に働きかけていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、立候補者の情報を初めとします選挙情報について伺いたいのですけれども、障害者についての選挙情報、情報提供の際に、どのように対応しているのか伺いたいと思います。

○宇口次長 まず、視覚障害者についてでございますが、選挙公報を点字翻訳した「点字ジャーナル」というものが発行されますので、それを購入いたしまして希望者に配布しております。平成十一年の都知事選挙では、三千九百部を配布したところでございます。
 聴覚障害者につきましては、政見放送に手話通訳をつけているものがございますけれども、これは、つけられるように国に要望しまして、参議院の名簿届け出政党の政見放送について実施に至ったところでございます。他の選挙にも拡大することを含めまして、なお引き続き聴覚障害者が政見等を知る機会をふやせるように、国に要望してまいりたいと思っております。

○田中委員 今、お話がありましたように、政見放送では、政党が持ち込むビデオでは手話通訳士をつけることができるということだと思うのですけれども、詳しく話を伺ったところによると、政党が持ち込むビデオじゃない放送局側での放送、これはつけることができないというような放送法になっているというように伺ったわけです。今後とも、政見放送そのものについても知ることができないという方もいるわけですので、ぜひその拡大も要望しておきたいと思います。
 また、聴覚障害者については、文字放送ができれば、よりわかりやすいわけですけれども、それも今の状況ではできていないということですので、情報提供という点では、まだまだじゃないかなというふうに思うのです。
 あと、「点字ジャーナル」というのが選挙公報ということで出ているわけですけれども、それも、参議院選挙はすべての候補を全部点訳ができるけれども、衆議院選挙になっちゃうと、余りにも候補者が多くて全部点訳できないのだと。それで、経歴だけだというふうにも伺っているんですね。そうすると、もともと受け取る情報が少ないというふうにもなるわけで、やっぱり情報に格差があるという問題があると思うのです。まだまだ取り組み自体も弱いのじゃないかなと思うのですけれども、いかがでしょう。

○宇口次長 先ほど申し上げましたように、この件につきまして、国に要望したことで、少しずつ拡大してきたところでございますが、物理的に限界もあって、なかなか速やかに進まないということが大変残念でございますけれども、今後とも、国に拡大方要望してまいりたいと思います。

○田中委員 ぜひ、よろしくお願いします。
 最後ですけれども、先ほどの資料の中にも、投票所における便宜供与というところで、項目が九項目ほどあるわけですけれども、車いすなどの方が投票所に入れるためには、スロープも欠かせないわけですが、平成十年の参議院選挙では、スロープなどの設置に三千二百九十六万円という経費が支出されているというふうに伺いました。スロープの設置できるところについては、ほとんど設置されているというふうに伺っていますけれども、聞いてみますと、まだまだ多摩の各市については設置できないところも結構あったりするわけですね。構造上の問題もあるわけですけれども、できるだけ設置については、スロープが長くなったりとかする場合もあるとは思うのですけれども、ぜひ今後とも引き続き努力をしていただきたいと思います。また、どうしても設置ができないという部分については、ぜひ職員で対応していただくなどの対応を引き続きお願いしたいというふうに思います。
 あと、細かい話になるんですけれども、視力障害者の方に伺いますと、外に出るためにはガイドヘルパーという制度があるわけですね。一緒に連れていってくれるという制度があるんですけれども、そのガイドヘルパーの方も、投票についていかれる方は、同じ日になっちゃうものだから、みんなが要求するものだから、なかなか利用しづらいということで、勢い一人で行かれたり、家族で行かれたりするわけなんです。そうすると、行きなれない投票所の場合は、例えば中学校でやるときは、門までは行けるんだけれども、門から先がわからない、どこにどう行ったらいいか、投票所までどう行ったらいいかがよくわからないと。できれば門にだれか人がついていてくれればありがたいのだがというような話だとか、そういう細かい話なんですけれども、伺っているわけなんです。
 そういったきめ細かな対応もあわせて要望しまして、私の質問を終わりたいと思います。

○藤川委員 私は、皆さんに、今までの経験に基づいて質問させていただきたいと思います。
 私、過去五回選挙戦を戦ってきたんですが、そのもとになる公職選挙法というのは非常に難しい選挙法であるということがわかったわけです。それは、読み方によっていろいろな解釈ができるという面がありまして、極めてあいまいな部分が多いとか、そのゆえにいろいろな解釈の余地を生んでしまう、そういう面があるわけです。そして、私自身おかしいなと思い、また、いろいろな人から質問を受けるときに、きわまって神頼みというような形でもって都の選管に電話をすることもあるんですが、そうすると皆さん、非常にクリアな答えをいただいて、すっきりするという面が多々あったわけですが、そういうときに、皆さんが自信を持ってこちらからの質問に対してお答えになるというときに、もしそこに大きな過ちがあった場合に大変なことになるわけですね。
 要するに、選挙運動というのは、ある面では自己を最大限に顕示して戦うわけですから、その顕示の仕方によっては、法律に抵触するとかしないとか、大変な問題を惹起するわけです。よくいわれることですが、そのことは政治活動なのか、選挙運動なのかというようなことでもって云々されることがあるわけですが、皆さんが私どもの質問に対して、はっきりと答えてくれるというその根拠ですね、それはどこに依拠するのかということについて質問させていただきたいと思います。

○宇口次長 公職選挙法の解釈ということでございますと、法律の所管という側面でいいますと、一義的な解釈につきまして自治省の所管ということになります。私どもといたしましては、そうした法の解釈、運用を踏まえて、公平、公正な選挙の執行に努めているところでございます。

○藤川委員 もうここにいらっしゃる方は、ほとんどの方が経験していらっしゃると思うのですが、一つ例を挙げますと、ポスターの張り方について、私は選挙をして、こういう張り方はしちゃいけないのだというふうに解釈していたんですが、あるとき、いや藤川さん、こういう張り方をしてもいいんだよといわれて、自分自身のポスターの張り方というのが非常に厳しくて、損をしたのかなというふうに思ったことがあります。
 例えば、公示前に張った、候補者の名前等がはっきりと表示されている政治活動用のポスターは、選挙期間中そのまま張っていいということがあったわけですが、これはやっぱりおかしいと、そういうことでもって総務委員会や予算特別委員会で何度か俎上に上ったと聞いております。都議会でもその決議が行われた結果、昨年、ポスターの張り方について相当大きな法改正がなされたと聞いておりますが、その経緯についてご説明いただきたいと思います。

○宇口次長 政党の政治活動用ポスターについての法改正の経緯でございますけれども、従前は、公示前に張ってあったものについては公示後も張ったままでよいというふうにされておりました。その前はかなり厳しい時代もあったわけですけれども、直前はそういうふうな形でございます。これについては、公職選挙法の百四十七条第一項第五号に該当する場合以外は撤去することができないというふうに、極めて限定的に解釈されておったわけでございます。この撤去できる場合の基準となるのが、ポスターの内容が選挙運動のためであるか否かという点にあったわけでございますが、その解釈が若干あいまいな部分があったわけでございます。
 この問題につきましては、従前から東京都選管といたしましても、都道府県選挙管理委員会連合会を通じて、公示後は撤去することができるようにすべきということで、国に申し入れてまいったところでございます。昨年三月に、先生のおっしゃいましたように、都議会でもご決議いただき、そうしたことが契機になりまして、昨年の八月に公職選挙法が改正されたものでございます。
 その結果、公示後には、確認団体制度のある選挙に限ってでございますが、すなわち国政選挙、都議選、都知事選挙などの場合で、氏名または氏名が類推されるような事項が記載された政治活動用ポスター、これについては撤去していただくということになったわけでございます。

○藤川委員 最後に、意見だけを申し上げておきます。本当はその意見だけでよかったんですが、一問目、二問目の質問というのは、都選管が置かれている立場というものが、いかに大切な立場にあるかということを認識していただき、強調するための質問であったわけです。
 それはどういうことかと申しますと、私は厚生委員で、介護保険についてちょうちょうはっしやっているわけですが、そのときに強く感じましたことは、要するに、そのことは区市町村のマターであるといわれているわけですが、そのときに、区市町村のマターであるということで、国とか都道府県においてその扱い方があいまいになってくると、区市町村が非常に迷惑をこうむるわけです。そういうことで、この選挙法に関しましても、区市町村のレベルにおいて、要するに法解釈において非常に苦しむ場面が多々あるわけです。その一番苦しんでおられる方々が、それをどのように解釈し、どのように選挙をやっていったらいいかというときに、国の解釈と末端の区市町村の解釈とが違う場合もあるのであろうと私は思うわけです。そのときに都選管がいろいろと区市町村から質問を受けるわけですが、そのときに、もしかすると国の解釈と末端の解釈とが違う場合もあるであろうというふうに思うわけです。そのとき皆さんはどうするかということを私は考えるわけです。
 私は、今までいろんな質問をしたときに、本当にクリアに回答いただいて、それでもってすっきりした形で選挙を行うことができたわけですが、これから、もしその国の解釈それから区市町村の解釈が違った場合、また、それがどう考えてもおかしいというようなことが強く認識された場合には、ぜひ皆さんの方で、徹底的にそれはおかしいんじゃないかということをいい続けてほしいと思うわけですね。要するに皆さんの立場というのは、民主主義の本当のガーディアン、民主主義を本当の意味で守っていく立場にあるわけですから、そういうもので皆さんの置かれている立場というものは、一般的に解釈されるよりも非常に重い責任のある立場であるということを強く認識して事に当たっていただきたい、そういうふうにお願いしておきます。

○佐藤委員 一点だけ確認なんですけれども、うちにも寝たきりのばあさんがいるんですよ。九十二ですね。もう七、八年寝たきりで――ばあさんじゃいけないかな、母方の祖母がいるんですけれども、毎回毎回私の選挙のたびに、おまえの名前を書きたいねといいながら、どうせ書けないんだろうねとこういわれる。選挙のたびに、おまえ、早く区長さんに頼んで変えてもらっておくれ、こういわれるんですね。涙ながらに、手を握りながらいわれるわけですよ。
 今、田中委員の質問を聞いていますと、どうも、どうしようも救いようがないと、寝たきりの老人については。在宅の寝たきり老人についてはもう救いようがないというんだけれども、何かこれ都の裁量の中で、うちのばあさん、頭ははっきりしているわけで、ぼけてもいないものだから、何とかこういう人たちに投票の道を開く可能性があるのかないのか。まあ、何か提案がないかといわれるかもしれないけれども、逆に皆さん方の方から、こういうふうにしたらこうなるんじゃないかというのがあるのかどうか、ちょっと聞かせてほしいんだよね。

○宇口次長 寝たきり高齢者の問題につきましては、先ほどもお答え申し上げたところでございますが、国の基準で、郵便投票の要件というのが非常に厳しく限定的に定められております。その基準の中に新たに介護保険の要介護度というようなものが採用されるようなことになれば、開かれるのかなというふうに思っておりまして、我々、その辺も期待も含めて、法改正要望をさせていただいているところでございます。よろしくお願いします。

○佐藤委員 もう一点だけ、済みません。一つ確認なんですが、要求資料の中に出ているこの郵便投票の要件の中で、両下肢、体幹等の移動機能障害ってある、これは具体的にはどういうことを指すんですかね。ちょっとその辺のことは、選管に聞いてはいけないことなのか、福祉に聞いた方がいいのか、ちょっとよくわからないですが、実際にはどういう状況だと、こういうのが一、二級になるというのはわかりますか。

○宇口次長 郵便投票の要件でございますが、投票所に行くことができない、物理的に体の状況でできないという、内容的には、そういうふうなことが定められておりますのが、この表現でございます。要するに移動ができないということでございます。私も、詳しく――その表をちょっと持ってきていないので、大変恐縮でございますけれども、下肢が、片足が例えば欠落しているとかですね……(「手帳を持っている」と呼ぶ者あり)はい、もちろん手帳を持っている方、そういう方は当然、この身体障害者手帳を持っておられるわけでございますけれども、手帳を持っているだけではだめで、移動ができないという認定がされる方に限定される、そういうことでございます。
 ちなみに、高齢者の方でも、こういう身体障害者手帳を持っておられる方は数多くいらっしゃいます。

○佐藤委員 今、最後の言葉をちょっと聞きたかったんだけれども、そういうことで、これ以上、私、いいませんけれども、そもそもこの郵便投票があるということすら知らないお宅が多いと思うんですね。その辺の普及啓発も含めて、何とか年寄りの切なる願いをかなえていただけるような方策をひとつお考えいただけるようにお願いして、終わります。

○山本委員長 ほかになければ、お諮りいたします。
 選挙管理委員会事務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、選挙管理委員会事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で選挙管理委員会事務局関係を終わります。

○山本委員長 これより政策報道室関係に入ります。
 初めに、柿沼室長から、前回の委員会で紹介できませんでした幹部職員の紹介があります。

○柿沼政策報道室長 先日の委員会を欠席いたしておりました幹部職員をご紹介申し上げます。
 理事の高橋信行君でございます。
 どうぞよろしくお願い申し上げます。
   〔理事者あいさつ〕

○山本委員長 紹介は終わりました。

○山本委員長 政策報道室関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○岡田政策調整部長 去る一月二十四日の当委員会におきまして要求のございました資料につきましてご説明させていただきます。
 お手元に配布しました平成十年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんいただきたいと存じます。
 表紙をおめくりください。要求のありました資料は、横田基地における米空母艦載機による着陸訓練の実施状況、年度別基本計画等の策定状況及び主要課題一覧及び政策形成のための調査研究一覧の三件であります。
 一ページをごらんください。横田基地におけます米空母艦載機による着陸訓練の状況を平成元年度から十年間お示ししたものでございます。各年度ごとに、着陸訓練の通告回数、その通告に基づきます実施回数と実施日数、あわせて、目視によって確認した飛行回数を表示してございます。
 続いて、二ページをお開きください。年度別基本計画等の策定状況及び主要課題一覧でございますが、過去十年間に策定した基本計画等の名称、計画書の構成及び主要課題について一覧にまとめてございます。
 次に、五ページをお開きください。平成六年度から平成十年度までの五年間に政策報道室が実施した政策形成のための調査研究一覧としまして、報告書等の名称を年度別に記載してございます。
 なお、政策報道室の設置が平成八年七月でございますので、平成六年度及び平成七年度実施分については、企画審議室及び情報連絡室が実施した調査研究を記載しております。
 以上、まことに雑駁でございますが、要求資料につきましてご説明させていただきました。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○服部委員 私は、東京メトロポリタンテレビジョン株式会社、いわゆるMXテレビについて絞って質問をいたします。
 MXテレビは、平成七年十一月、東京で初めての地方UHF局として開局いたしました。そこで、最初に、平成七年度から平成十年度まで、東京都からMXテレビに出稿した額、これを政策報道室の決算額でお示しください。
 次に、現在、MXテレビの主要株主にどこがなっているのか。
 三番目に、MXテレビのサービスエリア、視聴可能範囲と平均視聴率の推移について。
 第四に、開局時と現在で、MXテレビの受信可能世帯はどのくらい増加したのか。また、増加した大きな理由は何か。
 第五に、MXテレビの経営状況についてお伺いいたします。MXテレビの平成十年度における収支、これは、営業収支と営業外収支とがあろうかと思いますが、それぞれの額と平成十年度の損益についてお示しください。そして、経営状況は改善されていると見ていいのか。
 以上まとめて伺います。

○中村広報部長 MXテレビの出稿額でございますけれども、平成七年十一月にMXテレビが開局したわけでございますけれども、十一月からの五カ月間、平成七年度の決算額は十四億一千六百万円でございます。平成八年度が三十四億二千四百万円、平成九年度が三十三億三千八百万円、平成十年度が二十九億九千二百万円となっております。
 次に、主要株主でございますけれども、昨年六月二十三日開催の株主総会時のMXテレビの第六期営業報告書によりますと、東京都のほか、鹿島建設株式会社、それから株式会社ソニー、これがそれぞれ一万二千三百株、率にしますと四・一%の最大出資者となっております。このほかに東京急行電鉄株式会社、株式会社東京新聞社、財団法人特別区協議会など、株主総数は百四十九名ということになっております。
 次に、サービスエリア等でございますけれども、東京タワーを中心にいたしまして、おおむね四十キロメートル圏内、これが視聴可能でございます。ここには、東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県が含まれます。さらに、都内におきましては、東京タワーから電波が届かない多摩地区に八カ所、それから島しょ地域に十二カ所の中継所を設けております。小笠原の父島、母島までを含めました都内全域で視聴することが可能でございます。
 それから、平均視聴率でございますけれども、昨年MXテレビが行いました調査によりますと、六時から二十四時まででございますけれども、全日の平均視聴率は、五月で一・二%、七月で一・一%、十二月で〇・六%であったというふうに聞いております。
 それから、MXテレビの受信可能世帯数ですけれども、平成七年十一月開局時は、全エリアで三百八十七万世帯でございました。平成十一年十月末現在ではこれが六百八万世帯ということで、四年間で二百二十一万世帯広がっております。これを都内で見ますと、平成七年十一月開局時は百六十二万世帯でございました。これが昨年十月末時点では二百八十五万世帯ということで、四年間で百二十三万世帯ふえております。この増加理由でございますけれども、ケーブルテレビ局への加入者増によるものであるというふうに聞いております。
 次に、平成十年度の収支、損益の関係でございますけれども、先ほどの第六期の営業報告書によりますと、営業収益は七十七億一千七百万、これに対する費用が八十七億三千四百万円、営業外収益は一千百万円、これに対する費用が二億八千六百万円ということで、特別損失等を含めました当期の損失額で見ますと、十三億五千四百万円の損失ということになっております。損失額は毎年改善されてきておりますけれども、依然経営は厳しい状況にあるというふうに認識しております。

○服部委員 依然MXテレビの経営が厳しい状況にある、そういうことがわかりましたけれども、近隣の、例えば神奈川、千葉、あるいは埼玉、そういった各県のUHF局は、こういう厳しい経営環境にありながら、何とか黒字を出す、そういうような段階まで来ているということも聞いております。
 そこで、MXテレビの将来展望について伺いたいと思います。
 まず、デジタル化の動きです。
 つい先月の朝日新聞でしょうか、放送デジタル化、CATV飛躍の予感とか、同じ日の日本経済新聞、放送衛星デジタル視聴者一括管理とか、こういうデジタル化に向けてのさまざまな動きが出ているわけです。VHF各局は平成十五年デジタル化を予定している、そういうことなんですが、MXテレビがデジタル化する場合のメリットとデメリット、デジタル化に向けた今後のスケジュール等について伺います。

○中村広報部長 デジタル化のメリットとデメリットでございます。
 まず、メリットでございますが、他局V波とU波との違いがなくなりまして、受信条件が同一になります。これによりまして、現在ですとUHF専用のアンテナを立てないといけないということになっておりますけれども、この問題が解決することになります。それから、放送と通信の融合が進みまして、双方向の機能を活用した新しいビジネスチャンスが拡大するというメリットが挙げられます。
 一方、これに対するデメリットでございますけれども、このデジタル化をするに当たりましては、多額な設備投資が必要になるということが最大のデメリットでございます。そのほかに、番組内容が魅力がないということになりますと、同一条件の中で、複数のテレビチャンネルの中で埋没する可能性も出てくるというふうなことも考えられます。それから、番組のソフト数がより多く必要になるというふうなデメリットも考えられます。
 それから、スケジュールでございますけれども、MXテレビでは、V波の方がデジタル化する平成十五年、二〇〇三年までにデジタル化を図りたいというふうに聞いております。仮に平成十五年にデジタル放送を開始しましても、これは郵政省が決めることになりますが、おおむねその後七年間、二〇一〇年くらいまでは、現在のアナログ波とデジタル波、両方を流すということになりますので、完全にデジタル放送一本化になるのは、おおむね二〇一〇年以降だということになります。

○服部委員 ただいまのお答えのように、デメリットもありますけれども、デジタル化をすることによって、アンテナの問題がなくなるとか、放送と通信の垣根をなくす、そういった意味では大変なメリットであろうと思います。
 そういった意味で、このデジタル化、平成十五年ですが、これはMXテレビにとっても一つの大きなチャンスだととらえていいのではないか、私はそのように思います。
 そこで、経営面なんですが、MXテレビは、今後何年ぐらいたてば、仮に都の出稿がなくても経営していけるようになるのか、その辺の見通しについて伺います。

○中村広報部長 東京都では、MXテレビに対します出稿額、いわばスポンサー料ですけれども、これを、平成十年度、それから十一年度と、各年度おおむね三億円から五億円ずつ減らしてきております。この二カ年間について、東京都からの出稿料の減少分を、民間からスポンサーに新たになっていただく、あるいは増額していただくというふうなことで補ってきたようです。
 都といたしましても、今後ともMXテレビの営業力をさらに強化して、民間スポンサーからの出稿を図って、都に依存しない経営基盤をつくっていただきたいというふうに望んでおります。

○服部委員 今、そういう見通しも伺いましたけれども、私は、現在、低俗番組とか、やらせ報道、こういったことで問題になっている視聴率至上主義の一部の民放に比べて、このMXテレビのスタッフは、番組の制作に大変真剣に取り組んで、また頑張っている、そのように評価しております。しかも、番組の内容が東京中心である、唯一のテレビ局でもあります。例えば報道番組の「東京NEWS21時」、これが大変健闘している。あるいは「Tokyo,Boy」これも評判がいい。
 今週の「週刊とちょう」、石原知事が講演した内容が掲載されておりますが、講演の中で石原知事はこういっていますね。「MXテレビに、テリー伊藤さんに頼んだバラエティー番組がありまして、私も東京の宣伝とメッセージを伝えるためにほとんど毎週出ていますが、なかなか人気があります。」大変人気を呼んでいる。
 とにかく、より多くの人に見てもらえれば、先ほどのお話のように、スポンサーもふえて、経営状態もよくなっていく、そのように考えます。
 そこで伺いますが、来年四月、調布に完成する東京スタジアム、こういったスポーツ試合を完全中継する、あるいは、地方にあるUHF局やCATV局、こうしたところとタイアップする、そういったことなどで番組の編成に工夫を凝らした上で、首都東京のテレビ局として全国へ情報を発信するよう、東京都も主要株主ですから、発言をし、提案をしてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○中村広報部長 大変貴重なサジェスチョンをありがとうございます。
 お話のように、これからテレビ局間の競争が激化してまいりますので、MXテレビの特性をより発信していかないといけない時代になろうかと思います。
 そこで、番組の差別化だとか、あるいは番組内容のレベルアップを図っていきたい、こんなふうに考えておりますけれども、ご指摘のように、地域開催のスポーツだとかイベント、こういうものを積極的に発信しながら、ほかのU局だとか、あるいはCATVに番組を提供するような体制をとって、首都東京を代表する地域密着型の魅力ある番組編成を行っていくように、MXテレビに要請していくつもりでございます。
 また、東京都が提供する番組におきましても、いわゆる在来型の行政番組とは違う、より多くの都民に見てもらえるよう努力をしてまいりたいというふうに考えております。

○服部委員 東京唯一のテレビ局、UHF局ということで、特性を生かして個性を出すように、これから発言をしていくということですので、よろしくお願いしたいと思います。
 また、先ほどの答弁でもございましたけれども、受信可能世帯、これが平成十一年の十月末で、近県も入れて六百八万世帯。東京では二百八十五万世帯ということです。都内の総世帯数が五百三十万世帯といわれておりますから、計算いたしますと、普及率は五三・八%になります。
 MXテレビをより多くの都民に見てもらうためには、まず都の職員が率先してMXテレビを見て、そして、そのよさを都民にPRしていく、こういうことも大事だと私は思います。ですから、職員寮とか、あるいは都の施設、こういったところでもMXテレビが受信できるようにして、石原都知事を初め都の職員が視聴できるようにしてほしい、そのように思いますが、いかがでしょうか。

○中村広報部長 東京都の施設あるいは災害対策職員住宅、ここでは、おおむね受信設備の設置を完了しております。
 それから、今後とも、職員に対しましては、庁内テレビあるいは庁内紙を通じましてMXテレビ番組を紹介したり、あるいは番組の視聴を呼びかけてまいりたいというふうに考えております。
 知事も、つとに、機会あるごとにMXテレビを宣伝しておりますので、ぜひよろしくご協力をお願いいたしたいと思います。

○服部委員 都知事が見ているかどうか。

○中村広報部長 失礼しました。よく話に出てきますと、MXテレビのあの番組がどうだこうだと知事はいっておりますので、自宅で、装置はもちろんありますし、よく見ているようでございます。

○服部委員 受信する機械もあって、都知事も見ているということですから、また、都の幹部職員や我々も含めて、このMXテレビ、内容はいいんですから、大いに見て、宣伝もするということにしていかなければいけないと思います。
 今、部長の答弁にありましたけれども、番組の紹介ですね、これがやはり大事だと私は思うんです。いかにいいものであったとしても、それが隠れていたら、なかなか見てもらえない。そこで、私も、日刊紙すべての番組表をチェックしたんですね。日刊紙のテレビ番組表、これを見ますと、我がMXテレビがVHFと一緒に並んでいるというのは、東京新聞と日経新聞だけです。ほかの新聞は、ほかの千葉、埼玉、いわゆる地方のUHF局と同列、と同時にラジオ番組と一緒なんですね。
 これじゃ、新聞を見て、きょう、じゃ、どんな番組が映るのか、MXでこういういい番組をやっているから見たいと思っていても、それが、何ページもめくってラジオ番組と一緒というようなことでは、私はいけないと。いけないといいますか、それは新聞社のいろいろな考え方もあるんでしょうが、そのように思います。
 したがって、首都圏三千三百万人といわれていますが、アピールできるメディアとして、東京の日刊紙に対して、せめてVHF局と一緒にMXテレビの番組を掲載するよう、ぜひ働きかけをしてもらいたい、そのように考えますが、いかがでしょうか。

○中村広報部長 ご指摘のように、V波の番組案内とは一緒に載っておらない新聞が非常に多うございます。これだと番組周知が図れないのは、ご指摘のとおりだと思います。このことにつきましては、私どもも問題意識を持ちまして、従前からMXテレビに求めてまいりましたけれども、一部、実現しておらないという状況にございます。
 今後も、各新聞社に対してなお一層強く働きかけて、これは営業活動の一環でもございますので、MXテレビにその旨、要請してまいりたいというふうに考えております。

○くぼた委員 私は、麻布の米軍ヘリポートの基地の問題について伺わせていただきたいと思います。この問題もずっと長い問題で、この年度にも、地元の運動団体を初め、何回か交渉したわけであります。
 ご承知のように、麻布の米軍ヘリ基地は、都心の住宅など密集地に隣接してあるわけで、離着陸時のヘリの騒音とか振動、あるいは万一の危険性というのが非常に危惧されている。そういう中で、地元の港区議会を初め、区長も、あるいは住民も、一日も早くこの米軍ヘリ基地を撤去してほしいということでの意思表示がずっとされているわけです。
 この米軍ヘリ基地については、その存在そのものもやっぱり問題になっているわけですけれども、もう一つ大きな問題は、このヘリ基地に隣接する都立の青山公園をヘリポートとして不当に占拠し続けて、既に七年になっているということであります。
 そもそも、不当に占拠し続けることになったその原因というのは、都道環状三号線の六本木トンネルの工事に伴って、工事期間中の暫定のヘリポート用地として青山公園の一部が提供されたわけです。約四千平米です。そのトンネルの工事の完了とともに、公園は返すよという約束になっていたわけなんですね。そのトンネルの工事を始めるときにも、住民に対して、皆さん、安心してくださいと、この公園を一部、今回ヘリポートとして使いますけれども、トンネルの工事が終われば、もとどおりに公園として戻しますということを、住民に対しても東京都は説明したわけですね。その根拠として、東京都と防衛施設局と米軍と三者で、いわゆるそういう協定を結んだんです。その協定の中にちゃんと、トンネル工事が完了したら、公園をもとどおりにするんだということが書かれてあるんです。だから安心してくださいということで、事前の説明会なども行われてきたわけであります。
 しかし、実態はどうだったかというと、もう七年前にトンネル工事が完成したにもかかわらず、今は、前よりも広い、公園も含めた状態で、ヘリポート基地として使い続けている。こういう横暴なやり方を米軍がしているわけです。
 そこで、住民や基地の撤去を求める運動団体の人たちが、約束が違うんだ、七年もたったんだから、都は当然、公園の返還を早く求めるべきだというふうに、この間、何回も何回も申し入れをしているわけですし、同時に、そういう説明があったわけだから、じゃ、その約束が書かれてある三者協定をぜひ見せてほしいということで、都に開示を求めたわけです。その結果、三者協定の一部が開示されたわけですけれども、ところが、開示された文書の中には、工事完了後の公園の扱いについて述べられた部分はなかったんですね。しかも、開示されたのは一部開示ということで、ここにありますけれども、こうやって、戦前の教科書を思わせるような墨塗りの文書で開示されるということだった。
 この協定が開示された経緯と、なぜ一部開示だったのかというのを教えていただきたいと思います。

○三好特命担当部長 昭和五十八年、ご指摘の在日米軍、東京防衛施設局、東京都建設局の三者によりまして締結されました、いわゆる三者協定でございますけれども、これは原文が英文でありますので、日本語訳を、東京防衛施設局と東京都建設局とが協議いたしまして作成いたしました。日本語訳につきましては、内容的に、原文を網羅する形で作成いたしました。
 それで、ご指摘の平成九年の文書開示に際しましては、この日本語の訳文をもとにいたしまして、東京防衛施設局と東京都建設局との間で協議を行いまして、文書開示を行ったものでございます。

○くぼた委員 訳文があったということで、開示に当たっては、防衛施設局と建設局で協議をして、要するに、墨塗りをして一部開示されたということですね。つまり、公園を提供している側、提供しているというか、要するに不法に占拠されている側は、そうやって一生懸命墨塗りをして、苦労してやっと開示したわけなんですけれども、運動団体の人が昨年、今度は米軍に対して、その三者協定を開示してほしいということで開示を求めたら、米軍の方は、今度は墨塗りどころか全文をあっさり開示したわけです。
 そういう点を見ても、やはり開示の仕方というのは非常におくれていると思うんです。そのことをやっぱり都としても認識するべきだと思うんですが、ここで問題なのは、それによると、一番住民が知りたい部分、工事完了後、公園はどうなるのかという部分について、ヘリポートの修復が完了するまで、米軍が一時的に公園の一部を使用するために、地位協定に基づいて提供するんだ、こういうふうに書かれていたわけです。つまり、米軍が公園を今使用し続けていることが、みずから結んだ協定をも破っているということを示す、そういう最も肝心な部分がこの協定の中にあったわけですね。
 ところが、先ほどもお話ししたように、都が出した一部開示の中では、公園を一時的に提供するということしか訳されていなかったわけですね。いつまでという、ヘリポートの修復が完了するまでという一番肝心な部分が訳されていなかったんです。要するに、墨塗りであるならまだ、そこは隠したんだなということがわかるんですが、墨塗りじゃなくて、訳されていなかった。つまり完全に欠落していたということなわけですね。
 私、政策報道室の仕事は、やはり都民に対して情報をわかりやすく提供する、開かれた都政を目指していく、そういうことを推進していくところなはずですので、住民が最も関心を持っているところを、なぜ欠落したまま、そういう訳を開示したのか、その点をお伺いしたいと思います。

○三好特命担当部長 平成九年の文書開示に基づきます開示文書につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和五十八年に、在日米軍、東京防衛施設局、東京都建設局三者で英文で作成されました三者協定を、東京防衛施設局と建設局との協議によりまして日本語の訳をつくったものでございます。この訳文をもとにいたしまして開示文書を作成したということでございまして、内容的には、原文の内容を十分伝えるものでありますし、いずれにいたしましても、米軍の現在のヘリポートの使用というのが、工事に伴い一時的に使用するという内容でございますので、それについて特に問題ないものと考えております。
 なお、都といたしましても、これまで、この三者協定に基づきまして、ヘリポートの原状回復について、復旧工事に着手できるよう、再三にわたり東京防衛施設局の方に要請しておるところでございます。

○くぼた委員 今お話があった、つまり、工事が終わったらヘリポートを原状に復旧するという部分は、確かに開示されていたんですね、都の情報開示に。しかし、公園の部分についてはどうするかという、そこが、住民からすれば一番大きな問題なわけです。公園は戻ってくるんだということで、一時的にヘリポートとして使わせてほしいと。だから、工事が終われば、当然、公園はもとに戻ってくるんだという説明をされた、その公園の部分については欠落をしていたということなわけですから、そういう意味では、私、東京都として、住民が一番関心持っていることを欠落させるというのは、非常に都民に対して無神経な――無神経なのか、どうせ全文開示しないんだから、わからないだろうというような、軽くあしらった態度なのかわかりませんけれども、そういう態度ととられても仕方がないというふうに思うんですね。
 それから、仮に単純なミスだとしても、一番の争点というのは、公園が返ってくるのかどうかということなんですから、その肝心なところに答える、都民が一番知りたいと思うところに答えるために注意を払うべきだというふうに思うんですけれども、今のお話ですと、初めにその訳したものがあって、それで結局十七年間来ちゃったわけですよね。それも、住民の関心があったにもかかわらず、それを見直しもしないで、結局、墨塗りするところだけ決めて、一部を開示したということであるわけですから、本当に都民の知りたいと思っていることに積極的に答えようという態度じゃないと思うんですね。
 そういう意味では、やっぱり政策報道室は、都民に開かれた窓口を推進するという役割を持っているんですから、ぜひそこのところは今後改めていただきたいというふうに思います。
 ところで、この米軍のヘリポートが住民に騒音や不安を与えているということと同時に、不法占拠を、都立公園を不当に占拠していたという状況を知事は知っていたと思うんですが、昨年、知事は、横田基地を視察する際に、その不法占拠されている米軍のヘリコプターで横田に向かったわけです。当然、これに対しては、住民や、あるいは運動団体の人たちから、余りにも無神経じゃないかということで怒りの声が上がったんですが、どうしてそういうことになったのか、その経過を教えていただきたいと思います。

○三好特命担当部長 昨年の六月二日に知事が横田基地を視察する際に、米軍ヘリを使用したということについてでございますけれども、当日は、日程調整の都合によりまして、ヘリを使わざるを得ないという状況だったわけでございますけれども、米軍以外のヘリが横田基地へ着陸する場合には、米軍側の許可が必要なわけでございますが、その許可が、その六月二日の当日までにはおりない見込みでありましたので、米軍のヘリを利用するということで、今回そういう措置をとらせていただいたところでございます。

○くぼた委員 許可がおりないということで、やむを得なかったということでありますけれども、ぜひ今後は、そういう住民の感情からしても――それだけじゃなくて、少なくとも返してくれというふうに知事はいっているわけでしょう。そういう対等の交渉を進める上でも、こういったことはやめるべきだというふうに思います。ぜひそういうことで留意していただきたいと思います。
 ともかく、この協定文が全文開示されたことによって、米軍みずからが、自分が結んだ協定に反して都立公園を使用し続けている状態だということははっきりしたわけです。
 この前の知事の記者会見のときにも、麻布の米軍のヘリポートについては、目抜きのところにあるわけなんで、速やかに返還を求める努力を考えていきたいというふうに述べているわけですから、私は、横田や多摩サービスセンターのように、麻布のヘリポートの基地についても、公園の占拠状態の早急な解消は当然のこととして、基地の返還も視野に入れた具体的な手順を検討していくべきだというふうに考えますけれども、今後どのようにこの問題については取り組んでいくんでしょうか。

○三好特命担当部長 米軍基地の存在そのものが騒音の被害、事故への不安など、都民生活にさまざまな影響を与えておりますとともに、まちづくりにも障害となっているところであります。このため、東京都といたしましては、都民の平穏で安全な生活を守り、地域のまちづくりを推進する立場から、都内八カ所あります米軍基地の整理縮小、返還の促進に取り組み、国に対して要請をしておるところでございます。
 個別の基地ごとにつきましては、いろいろ課題があるわけでございますので、横田基地や多摩サービス補助施設のように、それぞれの基地の状況に応じまして、その都度適切に対応を図るということでやってきておりますし、今後、赤坂プレスセンターにつきましても、そのような観点から取り組みを進めてまいりたいと考えております。

○くぼた委員 今のご答弁ですと、赤坂プレスセンターという特定の名前も挙げて、具体的に交渉のテーブルにのせていくということだと理解するわけですけれども、ぜひそういった方向で、地元の港区とか、あるいは住民、運動団体と一緒になって取り組みを進めていくということも含めて、不法占拠状態が一日も早く解消されるように、と同時に、この基地そのものも、一日も早く全面的な返還に向けて精力的に関係者に働きかけていただく、交渉に踏み出していただいて、この問題についても早い解決を実現することを求めまして、質問を終わります。

○木内委員 MXテレビについてお尋ねをするわけですが、期せずして、私の尊敬する服部先生からも、先ほど、MXテレビについての質疑がありました。自民党の副委員長、そして公明党の理事という立場の私どもが、あえてこの決算委員会でMXテレビを取り上げることの意味を、まず政策報道室はきちっと受けとめていただきたい。
 平成七年の発足、ターニングポイントだとはいうものの、社会情勢の変化やさまざまな環境が激変をしてきて、本来の姿が失われてはいけないからという、そういう意味からの指摘もせざるを得ないわけであります。
 先ほど、服部副委員長への答弁の中で、平成十年度決算額として二十九億九千二百万が都民の血税から払われていた。あまつさえ、発足に当たっては四・一%、東京都が出資をして、株主の一隅を担っているわけであります。これも都民の血税であります。
 したがって、本来このMXテレビが掲げた理念、経営方針というものが、都民の意思に沿って円滑に運営されていかなければならないわけでありますから、こういう点で、本委員会で貴重な時間を割いて、この問題に指摘、質疑が行われるという意味を重ねて重く受けとめるように、まず申し上げたいと思うのであります。
 既に満四年を経過しました。視聴率万能主義に陥らない経営方針、東京の行政が見えないという都民の批判にこたえられる番組放送、地域ニュースと生活情報を伝える身近なメディアとしての役割を担ってのスタートであったわけであります。MXテレビは、発足の趣旨に沿って、東京のローカル性に徹しつつ、なおかつ、世界に発信しても恥じない、質を重視した、それでいてしかも、私企業としての経営基盤が確立されることが極めて重要な課題なのであります。
 もとより、この放送事業体としてのMXテレビは、東京都が直接運営する事業体ではありませんから、したがって、放送番組編集の自由の基本原則というものを大前提としながら議論をしていくわけでありますけれども、東京商工会議所、在京マスコミ、参加企業等の協力を得ながら、なおかつ、東京都が基軸的原動力の一つとなって、その本来的な意味での経営が行われて――いわゆるサジェスチョンをする立場での基軸的原動力という意味で申し上げているわけでありますけれども、そういう過程があって初めて、本来的な意味での質と存在性が担保されてくると思うのであります。
 したがって、何問かまずお聞きしていくわけでありますが、服部副委員長の質疑、答弁との重複を避けながら、まずまいりたいと思うのであります。
 二十四時間東京の鼓動を生き生きと伝えることを基本理念として、MXテレビはスタートしました。申し上げたように、放送の持つ公共性に立脚し、質を重視した放送を行うこととしているわけであります。こうした方針は、東京の地域テレビ局として今後とも堅持されるべきものと私は主張いたしますし、考えております。都としては、株主及び番組提供者という立場から、必要に応じてこうした理念の堅持について要請をしていく必要があると思いますけれども、まず、この点の所見を伺います。

○中村広報部長 先生ご指摘のとおり、MXテレビ発足当時、地域に密着した東京のニュースを、東京都民はもちろんのこと、世界に向けて発信しよう、こういう経営理念で発足いたしました。MXテレビは、東京唯一のローカル局として、東京に密着した情報を伝えることが期待されております。今後とも、ご指摘の経営方針は堅持されるものというふうに考えております。私どももそういう方向でMXテレビと接触してまいりたいというふうに考えております。

○木内委員 今の答弁、ぜひ銘記して、対応を願いたいと思います。――次の答弁の準備しなくていいですから、私のいうことを聞いてくださいよ。大事なことなんですから、今いっているのは。
 それで、私は、平成九年の第三回定例会本会議でこの問題を取り上げているわけです。このときに、やはり経営基盤を安定させるためには、東商などによる積極的支援を要請すべきだと申し上げた。放送事業としての健全な歩みを期するには、経営基盤の強化を図ることが第一の課題であるわけです。しかしながら、先ほど来の質疑でもるるあったように、一方では、視聴率が上がらないとスポンサーがつかない。スポンサーがつかなければ、出稿料は少なくなるから、財政基盤は沈下してくる。実はこういう隘路が一方であり、一方で、質のいい番組、世界に発信しても恥じない報道というような特性をもあえて、この放送事業者は求められているわけであります。だから、非常に難しいはざまの中で、しかしながら、そうしたピンチ的な状況というものを、知恵と工夫で紡ぎ出しながら、新たな手法をまた模索していかなければいけないという命題も与えられているんですね、この放送事業者は。そこに難しさがあるわけですよ。
 だから、我々も応援をして、そうして、いわゆるバラ色というか、都民が求める、その放送事業体というものをつくっていきたいという思いで質疑をやっているんですから、履き違えないでいただきたい。
 申し上げた経営基盤の強化を図るということが第一の課題と考えますけれども、どうですか。

○中村広報部長 ご指摘いただきましたように、放送業界、特にMXはいろいろな課題を抱えておりますけれども、この中で、経営体質、経営基盤を強化して、長い将来にわたって東京の発信源にならなければいけないというふうに考えております。

○木内委員 それで、経営の安定化をもたらすためのさまざまな提言が、各方面からこれまで行われてきました。また、平成九年の定例会での私との質疑の中でも、いろいろな議論があったわけでありますけれども、当時の赤字の原因としていわれたことは、大きく三つあります。一つは、管理体制の未成熟さということ、もう一つは、支出への細密なチェック機能が不備であるということ、三番目が、制作費が突出をしている、こういう議論がされたわけであります。こうしたことは、ぜひ改善をされるように要請していきたい、こういう趣旨の答弁があったわけでありますけれども、その後、平成十年を経て以降、どのように改善をされたように掌握しておられますか。

○中村広報部長 MXテレビは、平成九年六月に現経営体制になっておりますけれども、その後、MXテレビ局内の何々局何々局という局数を七局から四局に減じております。そういう大胆な組織見直しを行いますとともに、特に営業局、それから編成報道局の強化を図り、協力な指導体制を図っております。
 経費の節減に努めておりまして、その結果、制作費につきましては、平成八年度の六十二億四千五百万円に対しまして、平成十年度は四十九億五千四百万円ということになっております。

○木内委員 数字だけ聞きますと、六十二億スパンから約五十億にという答弁がありました。しかし、申し上げた三点についての十分な答弁だと私は思っておりませんが、これ以上この点については答弁を要求しませんけれども、なお一層当時の議論、それから本日のこうした議論の経過を踏まえて、申し上げている点はよく理解されているところでしょうから、MXに対しておっしゃっていただきたいと思うんです。
 それから、同じく、当時の議論で、人件費、番組制作費等を対象にした約十億円を目標とした再建策、リストラ策を推進中であると、当時の経過的な状況についての答弁がありました。その後、この再建策の成果はどうでありましたか。

○中村広報部長 MXテレビの経営改善の状況でございますけれども、平成九年六月に現経営体制となりまして、経費の節減に順次取り組んでまいりまして、特に平成十年の下期からは、レインボー作戦というふうに名づけまして、経費節減計画を導入して経営改善に取り組んでいる旨の報告を受けております。
 この中では、制作費の適正化と聖域なき一般経費の削減を行う、会社設立時に導入しながら使用頻度の低い施設設備の除却を行う、それから、幹部職員の給与の削減、あるいは超過勤務手当の抑制など給与の節減を行う、こういう内容から成っております。この計画によりますMXテレビの平成十年度下期、半年間におきます経費節減額は、約三億円に達しております。平成十一年度におきましてもこのレインボー作戦を引き続き実施しておりまして、経費節減に努めているというふうに聞いております。

○木内委員 恐らく、当時の議論の経過を下敷きにしますと、私は、この十億円の再建策というのは、単年度における数字ではなかったかと思います。したがって、平成十年度の下期、半年で約三億ですから、きょうはご報告はなかったけれども、下期で三億、年間で六億ということでしょうかね。努力はしておられるだろうけれども、当初の目的を達成したとはいえない。したがって、今年度、また十二年度ということで、いずれまた別の機会に、この成果というものはお尋ねしてまいりたいと思いますけれども、一層の努力が必要なのではないかという印象をまず申し上げたいと思います。
 さらに、経営基盤を安定させるために、東商などによる積極的支援を要請すべきであるという指摘を私は行った。放送事業としても健全な歩みを期するには、東商等の支援というものが大変必要になるわけでありますけれども、これは時間の関係で今割愛いたしまして、提供番組のスポンサーの実態、これについてお尋ねをします。
 先ほど服部副委員長から話がありましたが、いわゆる他の県の経営状況との比較が出たわけですけれども、私も全体的に、東京都を含めて埼玉や千葉や神奈川、この各局の財政状況と経年における番組提供の傾向というものを見てまいりますと、いずれの局でも、開局当初には、売り上げに占める地元自治体、東京でいえば東京都、あるいは区市町村ですね、こういったところが入ってくると思うんですが、この地元自治体の番組提供費の割合が極めて高いものになっている共通性があるんです。MXテレビにおいても、こうした傾向にあるわけでありますけれども、東京商工会議所を中心として、新たなスポンサー獲得に努力をしていく、こういう答弁も当時行われました。
 そこで、提供番組のいわゆる公と私、公と私の額、割合、これがどう変化してきているのか、開局の七年、八年、九年、十年、こういうふうに明らかにしていただきたい。ちょっと時間がかかるんだけれども、報告願えますか、大事なことですから。

○中村広報部長 MXテレビの有価証券報告書などから推計しますと、平成七年度、開局の年ですけれども、東京都、それから区市からの出稿、いわゆる公の部分、これが十七億九千万円、五四・二%になっております。そのほかに、特別区競馬組合、これが五億円、一五・一%、その他の民間企業が十億一千万円、三〇・七%でございました。平成八年度、これは公の部分が四十二億九千万円、五二・九%、競馬組合が二十一億六千万円、二六・六%、民間企業が十六億六千万円で二〇・五%。それから平成九年度でございますが、公の部分が三十八億円で五〇・九%、競馬組合が二十億七千万円で二七・八%、民間企業が十五億九千万円で二一・三%。平成十年度が、公が三十二億七千万円、四二・五%、競馬組合、二十一億四千万円、二七・七%、民間企業が二十三億円で二九・八%という結果になっております。

○木内委員 例えば民間企業のパーセント、それから全体額、一応の推移は今のではっきりしましたけれども、しかしさらに子細にこれを精査してみると、例えば十年度における民間企業の二十三億というのは、三大テノールという例の有名なイベントが行われた、こういういわゆる突出した特色ある事業があった年であったために、この二十三億という数字が出ている。この数字をどう見るかといえば、そうした知恵と工夫を凝らしたイベントというものを営業の中にしょっちゅう取り込んでいく、あるいは創出していくことによって、スポンサーからの出捐を仰ぐことができるという一つのとらえ方ができる。同時に、その努力がなければなくなるのだということ、これがいえると思うのです。
 きょうは触れませんけれども、視聴率なんか、たしか昨年ですか、突出して非常にいいのが、野村監督のブームで阪神戦の中継をMXが契約して流したために、その時間帯のゴールデンタイムがえらいはね上がっているのがありますよね。
 というようなこともあったようでありますけれども、それぞれ経年でその年の特色はあるとはいうものの、私は、まだまだ民間企業への番組提供への営業努力というもの、これをさらに推し進めていく必要があるんだろうと、こういうふうに思うのであります。
 ちなみに、東京都競馬は公と考えられるわけでありますけれども、純粋な民間企業からの番組提供は増加し、平成九年度の政策報道室長答弁に期待したとおりの結果になっていますか。

○中村広報部長 民間企業からの出稿料が増加傾向にあるということは紛れもない事実でございますけれども、東京都として期待したといえる姿になっているとはいいがたい状況でございます。
 なお、先ほど申し上げました数字、消費税を除いた数字でございますので、念のためよろしくお願いします。

○木内委員 そうなんですね。これは質問じゃありませんけれども、さっきも東京都の支出とMXの、向こう側からの数字と、消費税の分と区市町村の分の差が出ていることは、先ほど来の審議でよく理解しております。
 それで、MXテレビの株主のうちで、都のみが多大な提供をしているような傾向も実は見受けられるわけでありますけれども、ほかの株主は具体的にどのくらいの額を提供しているのか。というのは、番組提供をする民間企業者イコール株主ではないわけですよ。株主であって、協力的でないというか、あるいは景況の判断等もあってというか、非常に及び腰のところがある、このように思うのですけれども、どうなっていますか。

○中村広報部長 東京都、それから議会局を含めますと、三十四億三千四百万円の出稿料を払っているわけですけれども、これに対しまして、MXテレビの都以外の株主企業が払っているのは、年間一億円程度出稿している企業が数社あるというふうに伺っております。

○木内委員 百四十九者が株主で、実態を聞いてみると、株主が、自分が保有している株を発行している会社の営業に一生懸命になれないという事態は、ゆゆしきことだと私は思うんだよね。
 したがって、いろいろとは申し上げませんけれども、東京都としてはMXテレビに対して、厳しい赤字体質を改善するために、ほかの株主さんたちと協調した提供ということを視野に入れた努力をすべきと、こうしっかりとお伝えいただくべきだと思うのですが、そう思いませんか。

○中村広報部長 先生ご指摘のとおりでございまして、MXテレビの厳しい赤字体質を改善して、その経営基盤を安定させるためにも、MXテレビのすべての株主企業が経営や改善のために貢献していただくことが望ましいというふうに考えております。
 東京都は、MXテレビの具体的な経営内容に直接発言する立場にはございませんけれども、MXテレビの経営陣と、それから東京都と、同じ認識に立って努力しているものというふうに考えております。

○木内委員 言葉じりをとらえるわけじゃありませんが、努力しているものと考えているという答弁だけれども、こういう議論というのは、一定の成案なり、あるいは方針というものを紡ぎ出して、行政に反映させていくというのも決算委員会の大きな意味ですから、それでよしとするのではなくて、努力をさらに積み重ねるように要請をしてまいりたいと、こういうことでいってもらいたいと思いますよ。それでなければ、議論の意味がないのだから。質問した、答えた、そういうことではないわけです、議会の議論というのはね。
 それで、ほかの株主あるいは民間企業に番組提供が伸びない理由をどうとらえていますか。

○中村広報部長 MXテレビ視聴可能な世帯は着実に伸びておりますけれども、いまだ残念ながら認知度が低くという実態もございます。視聴率がとれないということが最大の理由で、スポンサーがつかないという状況になっていると思います。また、いわゆるバブル崩壊後の景気低迷によりまして、民間企業の広告経費が削減されているという事情もあろうかと考えております。

○木内委員 認知度が低いという点については、先ほど来の服部副委員長の質疑でも指摘のあったところですから、ラテ番等の扱いを初め各部面の努力を要請するとして、一つここで問題なのは、視聴率がとれていないことが最大の理由だというふうに、今、答弁をされましたが、これは大変重要な問題なんです。視聴率だけを追求していくと、旧来の商業主義的、あえて誤解を恐れずに申し上げれば、視聴率追求型の放送事業者になってしまう。そうかといって、視聴率が上がらないとスポンサーがつかない。ここに難しさがあるのだけれども、いわゆる本物志向の時代に入ってきたといわれている、あるいは、ハードの時代から心を最も重要視するソフトの時代に入ってきたともいわれているので、どうかその道を探りながら、経営体質の強化を図るようなご苦労を、汗をかいてもらいたいと。大変無責任ないい方かもしれませんけれども、一方で経営基盤、一方で本物の放送事業というもの、本来の開局当初からの方針を踏まえての放送事業というものを要求したいと思うのですね。
 その現状打開への認識と決意は、MXテレビは今持っているとお思いですか。あるいは具体的に、東京都以外の株主への番組提供への働きかけと努力をいかに行っておられるか、その辺も踏まえて、掌握している範囲で結構ですから答えてください。

○中村広報部長 MXテレビ自身も、開局以来長く続いております非常に厳しい現状は認識しておりまして、考えられ得る経営上のあらゆる努力を行って、民間企業からの出稿額が、平成十年度で約七億円の増加となっております。また、十一年度にもおおむね五億円の増加が見込まれるというふうな状況でございます。しかし、現状を打開するまでには至っていないと私どもも考えておりまして、都以外の方たちに対します番組提供の働きかけにつきましては、日々努力を行っているけれども、まだまだ改善されていないというふうに報告は受けております。お話のとおり、今後の存続をかけてMXに頑張っていただきたいと我々も要請してまいる。よろしくお願いいたします。

○木内委員 きょうの質疑で初めて裂帛の気合いの答弁をいただいた思いをしていまして、どうかその決意を心に刻んでおくように、お願いしたいと思います。
 それから、コンセプトの問題は、きょうはちょっと質問時間が長くなってしまいますので、割愛をいたします。妙な答弁をされちゃうと、コンセプトが変わったり、今、ターニングポイントにある、その特質を私は認めちゃうことになる可能性がありますので、コンセプトの問題については他日に議論を譲る、このようにいたします。
 さて、このMXテレビの開局前の議会における議論の中で大変に重要視されたのが、災害時における役割の重要性であったはずであります。東京都固有のいわば地域に根差した放送事業ということで、このときの都民の期待は極めて大きなものがあったわけであります。これに関連して、災害時に適時適切に都民に情報を提供することは地域テレビ局の使命である、このような認識が都側によって行われている経過があるわけであります。MXテレビにおいても、これに対応するため、二十四時間放送の体制を組んでいると聞いている、今後もこの体制は維持されるものと認識している、こう明快に答弁があるのだけれども、最近また、考え方が若干揺れてきているということも聞いているわけですが、どうでしょうか。

○中村広報部長 東京都では現在も、災害時に適時適切に都民に情報を提供していくことはMXテレビの使命の一つであるというふうに考えております。また、MXテレビでは、現在でも二十四時間の放送体制を組んでおります。ただ、最近のインターネットの急速な普及だとか、あるいはテレビ、ラジオのデジタル放送化、あるいは放送を取り巻く環境の変化、こういうものを踏まえますと、東京都としては、災害時等における都民への情報伝達方法は今まで以上に多様化が可能でございますので、都としても、あらゆるメディアを使って災害時には情報を提供していきたいというふうに考えております。

○木内委員 両方の意味を持った答弁だと思うのですよ。本来の二十四時間の放送サービス、すなわち災害時における適切な都民への情報提供ということを満たすために、さらにこの二十四時間体制を踏まえた多様化が必要であるという考え方だと、今の答弁を聞きました。あるいは、一定の役割をMXテレビには持たせるものの、さまざまな情報伝達手段が発達しているこの数年の環境変化の中で、この考え方もさらに再検討せざるを得ないというような、そういうニュアンスにも聞かれるわけで、恐らくうまいぐあいに答弁されたなと、こういうふうに私は聞いていたわけであります。
 しかし、本来のMXテレビの公共性といいますか、東京都民へのサービスということから考えると、二十四時間体制の堅持ということを、あえてここでさらに貫くべきであるということを私は主張申し上げておきたいと思うのです。ちょうど今、その判断の過渡期になっているんですね、MXテレビは。したがって、きょうの議論というのは大変に意味があると思います。
 いずれにしましても、ちょうどY2K問題のときに、東京都とMXテレビ並びに都の防災センターの連携というものがきちっととれていたということもいわれておりますし、また今後、これは答弁は結構ですが、MXテレビと他の一般民放事業者、あるいはNHKも含めてですけれども、災害時における位置づけというものを――今までるる述べてきた特色を持ったMXテレビであるからこそ、有機的に都の防災センターとの関係を保ちながら、都政と一部分リンクした形で、本当に都民が納得する放送事業に反映されなきゃいけない、都民の要望というものが。
 しかし、聞くところによると、一般の放送事業者とMXテレビと東京都との関係というものは全く差異がなくて、同じ距離にあって、同じ位置づけにしかなっていないわけで、これはまことに残念だという気もするわけでありまして、いわゆる災害時のこうした特色ある活動を、あるいは都民へのサービスをさらに今後追求していくべきだ。かねてからあった議論の中では、戦艦「大和」が方向転換が容易にできないときに、いわば駆逐艦のような取材網をしいて、そうして都民への情報提供をしていくことが、MXテレビの特色たり得るという議論もあったように思うのです。例えば、たった一人のクルーが、マイクと何とかというカメラを持って災害現場に飛び込んでいって、それで取材網の整備を相当細かくやっていくという議論もあったわけですけれども、今申し上げた状況の中だと、それがなかなか難しい。
 しかし、私は答弁は求めませんけれども、その分野でのMXテレビの特色を出す戦いというもの、経営努力というものもぜひ要請していただくことを強く訴えまして、本日の質疑とさせていただきます。
 以上です。

○藤川委員 私は、政策報道室がどういう仕事を主にすべきところであるかということに焦点を当てて質問をさせていただきたいと思います。
 私は、旅をするのが好きで、いろいろな国々を旅をして、いろいろな大きなまちを見てきているんですが、東京というところぐらい、まちをつくるという面においてすばらしいところはないと思うわけです。要するに、地理的に西高、西の部分が高くて、東低、東の部分が低いという形でもって、玉川上水をつくったときも、そこに着眼して玉川上水をつくったというわけです。
 そういう面で、よく議会等で多摩格差だとかなんとかっていわれておりますが、私自身の考え方では、二十三区と二十七市のまちづくりにおいて、いろいろな違いがあってしかるべきだというふうに考えるわけです。そして、都会議員になってから、いろいろといろいろな局の人と話していて、東京全体をにらんだ場合に、多摩という部分をどういう形でこれからまちづくりをしていくのかということを聞いてみましたら、おのおのの局の人が、いや、私のところではない、私のところでもないということをいい続けているわけです。
 私はそのときに、多摩局という局をつくって、そしてそこにすべての権限を集中させて、そこの考え方に基づいて、各局がおのおの持っている予算を使っていく、まちづくりという多摩の部分においての整合性を持たせるべきだと思っているわけですが、現状はどうかといいますと、おのおのの局がおのおのの予算をもってパッチワークのように場当たり的に仕事をしている。だから、でき上がったものは、全然多摩部という形の整合性もなければ、東京都の中での位置づけというものもないわけです。
 そういう面で、どこかがイニシアチブをとって、そしてしっかりと、こういう哲学にのっとって、こういう考え方にのっとって多摩部というものをこれから開発し、東京都の中でこれだけの予算をもって開発していくんだと、そういう考えが必要なのかなと思うわけです。
 そういうことから、首都機能の移転に絡んで、七都県市の中で東京都はどういう位置を占めるのか、多摩はそれに関連してどういうようなまちづくりをするのか、関東平野全体をにらんでどういうような形にするのかというような、そういう大きなビジョンが必要だと思うわけですが、何せ現状では、東京都に関する限りにおいては、おのおのの局、室が何の整合性もなく場当たり的にやっているのじゃないかと思うわけです。
 そういうことを考えた場合に、ネズミの嫁入りみたいなんですが、ようやくたどり着いたのが、やはり政策報道室あたりがそういうところをイニシアチブをとって総合的に考えて、そして他の局や室に協力を求めて、整合性を求める必要があるのかなというふうに考えているわけですが、その点についてどのようにお考えか、お考えを示していただきたいと思います。

○関谷計画部長 これまでも、東京都における都市づくりですとか、そうした計画につきましては、東京都全体の総合的な構想、計画を定めるとともに、各局におきましては、テーマ別のマスタープランですとか、地域別の整備指針、整備計画等を策定してきたところでございます。
 東京の都市づくりを進めるに当たりましては、総合的なビジョンを示し、基本的な指針を提示することによって、個別の計画を先導していくということが今後とも重要であると、私どもとしても認識しているところでございます。
 現在、平成十二年中を目途に東京構想二〇〇〇を策定中でございますけれども、この中で、例えば都市計画局が現在検討しております東京の新しい都市づくりビジョンですとか、総務局が検討している、ただいま先生からもご指摘のありました多摩のあり方、多摩の将来像などとの連携をも図りつつ、中長期的な東京の都市づくりの方向性ですとか、総合的なビジョンを明らかにしてまいりたいと考えております。

○藤川委員 私は、多摩で生まれて、今日に至るまで多摩を逍遙し続けているわけで――そして、懐かしい多摩の緑や多摩のスペースがどんどん切り取られるように破壊されていっている現状があるわけです。そういうときに、東京都は一体何しているんだ、こんなことでいいのかというような義憤にも似たような憤りを覚えるわけです。
 一昨年ですか、多摩の雑学大学に行って、多摩の市長さん四、五人が集まりまして、パネラーとして、これからの多摩はどうあるべきかということを、おのおのの市長さんが抱負を述べられたわけです。そのときに異口同音に市長さんたちが申されたことは、やはり二十三区にはない変わったまちづくりをする。そうすると、その基調は何かというと、やはり緑とスペースだといっているわけですね。私もそうだと思うわけです。それじゃ、だれが一体音頭をとって、そういう形の二十三区とは違った、二十七市多摩部のあり方ということを探っていくのか、だれの発想により、だれのイニシアチブによってそういう形に持っていくのかということになると、責任の局が全然見当たらないわけですね。そういう中でもって、膨大な予算を使いながら各局が存在しているわけですが、そういう面において、政策報道室というものの今後のあり方という面に関しては、皆さんに心していただきたいというふうに私は思うわけです。この部分は私の意見でございますが、よろしく皆さんの英知を集めて、早急に一つの形をつくっていただきたいということをお願いします。

○大河原委員 私は、都政の広報活動について伺います。
 先ほどもMXテレビのお話が出ましたけれども、東京都が持っている広報媒体、各種あります。まず、広報の基本方針と各広報媒体の活用方法を教えてください。

○中村広報部長 わかりやすく開かれた都政の実現に向けまして、都民とのコミュニケーションの充実を図り、都民の理解と協力を得ながら都政を推進していくことを目指して、広報活動を展開していくわけでございますけれども、政策形成過程の中間の段階の情報あるいは問題の提起、解決策の提案などを盛り込みました、いわゆる提案型広報、これについて、広報と広聴の連携を強化しながら、その充実を図っていくこと。二つ目には、高度情報化の進展に対応しまして、インターネットなどを活用した都政情報提供システムの充実を図っていくこと。それから、都政の重要課題につきまして、重点テーマあるいは月間テーマとして設定いたしまして、タイムリーな時期に各種広報媒体を最大限活用して集中的な広報を行うこと。また、将来に向かいまして広範な取り組みが必要となってまいりますテーマにつきましては、長期的な視点から戦略的な広報を展開していくということで、広報の基本方針として積極的に取り組んでいるところでございます。
 その際、テレビ、ラジオ、印刷物あるいはインターネット等の広報媒体あるいはパブリシティー、こういう多様な媒体を組み合わせましたいわゆるメディアミックスということによりまして、効果的な広報活動を図ってまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 メディアミックスというのは、本当に重要だというふうに思います。久しぶりにMXテレビの状況も先ほどからお聞きしているわけですけれども、費用対効果の面から見ますと、やはり十分にそれぞれの媒体を精査しなきゃいけないなというふうに改めて思いました。
 メディアと、そこに載せる情報の中身、このマッチングが大変に重要だと思います。そのメディアを使って、どういう人を対象とするのか、そしてそこに何を伝えていくのかということは、都政の戦略の中でも極めて議論しなきゃならないところじゃないでしょうか。
 さて、インターネットの普及、これは本当に目覚ましく、平成十年度の時点で約一千七百万人が利用していたといわれておりますけれども、もう既にウナギ登りに普及率が上がっております。インターネット商業利用の開始以来、わずか五年で世帯普及率が一〇%を超えるという、これは、携帯電話が一〇%世帯普及するのに十五年かかったといわれていますから、圧倒的なスピードで普及しております。
 平成十年度からは、東京都のホームページが本格稼働しているというふうになっておりますが、東京都のホームページのこれまでの実績について伺います。

○中村広報部長 都政情報提供システムは、平成八年六月の試行段階から平成十年三月のシステム本稼働を経まして、これまで、フロントページでございますけれども、延べ三百万件余りのアクセスがございました。年度別に見ますと、平成八年が月平均約一万件、平成九年にはこれが二万九千件、平成十年には九万三千件、そしてことしの平成十一年度、これは十二月までの実績で月当たり十七万九千件というアクセスを受けております。これらの件数は、インターネット利用者の爆発的な増加傾向と相まって、今後もふえ続けるものというふうに考えております。

○大河原委員 私も、インターネットの初心者なんですけれども、東京都のホームページを訪れる人が大変多くなって、月に十八万件ですか。爆発的なインターネット利用者の増加とともに、東京都が平成十年に検索機能を備えたこととか、情報部分を充実させたことはとても大きかったというふうに思います。ますますふえていくわけで、今のホームページが持っている課題を次々にクリアしていけば、さらに広がると思うわけなんですけれども、今のところ、行政においてのインターネットの利用というのは、情報提供あるいは意見の募集というものが大半だと思います。今後は、また特徴であります双方向の活用というのをぜひ深く広げていっていただきたいわけなんですけれども、このインターネットを利用しているといったらいいでしょうかね、若い世代に向けた情報発信のツールとして、インターネットを活用すべきだというふうに思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

○中村広報部長 インターネットに高い関心を持つ若い世代に対する情報提供発信手段として、このインターネットを利用していくことは極めて有効だというふうに考えております。現在の都政情報の提供に当たりましても、トップページあるいは東京情報、これのビジュアル化を図っております。また、内容的にも、子ども向けの内容の画面もございます。今後、さらに工夫、改善を重ねまして、子どもも含めました若い世代に親しまれ、求められる情報、あるいは伝えたい情報がより豊富になるようにしていきたいというふうに考えております。
 また、私どものホームページばかりでなくて、各局もホームページを持ってございますので、これにつきましても、そういう考え方に基づきまして協力、連携していきたいというふうに考えております。

○大河原委員 昨年の東海村JCOの放射線漏れ事故の際にも、東京都のホームページへのアクセスは大変多かったと思います。情報提供が、各局の取り組みが次々と画面に出てくるということで、頼もしく思ったわけなんで。先ほども、MXテレビの災害時の体制というのもありますが、私は、このインターネットの災害時の情報周知の方法というのは非常に有効だと。さきの阪神のときにもありました。このように災害時に、都民への情報周知の方法としてインターネットをどのように活用していくのか、その点についてお答えください。

○中村広報部長 インターネットにつきましては、先生ご指摘のとおり、阪神・淡路大震災におきましてその有効性が実証されたところでございます。東京都におきましては、災害が発生した場合には、災害情報提供システムは、災害時の運用として、まずトップページですけれども、災害対策本部が設置された時点で、災害の専用のページに切りかわります。それから、提供情報でございますけれども、被災情報、救援情報、避難所情報、それから帰宅支援情報等、災害対策本部の発表と同時にホームページに掲載するという予定になっております。
 なお、昨年末、いわゆるコンピューターの二〇〇〇年問題で災害対策本部が設置されましたけれども、十二月二十七日から一月四日まで、災害対策本部設置期間中、災害情報画面に切りかえまして、結果的に、何もなかったものですから、これは練習になりましたけれども――ということで既に実施しております。

○大河原委員 コンピューター二〇〇〇年問題で災対本部が設置されたことから、今回、インターネットの災害時使用のことがもっともっとクローズアップされてくるのかなと思っておりましたけれども、刻々変わっていく情報を伝え、また必要な情報をどこからでも取り出せるということでは、本当に大きな期待が持たれます。特に災害時において期待したいのが、NPOの方たちとの連携、リンクを充実させていただきたい、そのように考えます。
 双方向性ということでは、チャットとか掲示板というものが、世の中のインターネットワールドでは盛んなわけなんですけれども、行政が持つチャットや掲示板などという可能性についてはどうでしょうか、問題点は多々あると思うんですけれども。

○中村広報部長 現在、双方向に意見をやりとりする方法は、インターネットのほかに、ご指摘のとおりチャットだとか掲示板だとかいろんな方法がございます。しかしながら、すべての方法がその安全性に問題がないかということになりますと、そういうわけではございませんで、例えばチャットや掲示板の場合は、個人に対する誹謗中傷、こういういたずら書き等をされる可能性がありますので、これは常時監視して排除しないといけないという問題があります。これは相当の人手を要するということです。
 それからチャット等も、こういう会議方式ですと、文字を入力する速度が速い人が、早い者勝ちといいますか、ということがございますので、障害者の方々あるいは高齢者の方々にとっては非常に不利なことになりますので、行政が行うバリアフリーのシステムとはいえないのではないかというふうに考えております。多数同時接続方式の双方向通信を、したがって行っておりません。
 インターネットメールにつきましては、気軽に意見や質問などができますし、先ほどいいましたような欠点がございませんので、今後とも、インターネットのメールを受信して、各局に発信していきたいというふうに考えております。

○大河原委員 チャットや掲示板で、多数同時接続方式というものの問題点というのは、私も、やりとりをさせていただく中で、ああそうか、手の速い人がやっぱり勝っちゃうんだなということがわかったんですけれども、やはり障害を持った方たちのアクセスが随分ふえてきているんじゃないかなというふうにも思っています。知事のところへメールで意見が出されている、項目別に出ているものを見ましても、障害関係の意見などもたくさん出て、その出した方が障害者だということはわからないわけですけれども、そういう件数がふえてきたということは、かなりあるんじゃないかと思います。
 それで、提案型の広報をするということについては、このインターネットはうってつけというふうに思うわけで、今、ディーゼル車NO作戦ステップ2というのが始まりまして、ルールが一部変わりました。匿名ということを廃して、自分の本名あるいはハンドルネームをきちんとつけてある者のみ出すと、そして、受け付ければ十五時間以内に掲示をしますよということで、また議論が始まっているわけなんですけれども、ぜひ討論会、公開の大きなものだと思います、ルールを決めて活用していただきたいと考えます。
 次に、都政情報の提供システムとして、ホームページの今後の課題について伺いたいと思うんです。お金も、実は余りかからないんじゃないかなというふうに期待しているんですけれども、今後のホームページの課題についてお聞かせください。

○中村広報部長 この関係につきましては、歴史も浅い、しかし、日進月歩より秒進月歩くらいの感じで技術が進歩しております。ということもありまして、平成十年三月稼働後、これまでは多くの都民の皆さん、あるいは職員からのEメールを通じて意見をちょうだいしておりまして、その後、ご意見を反映して、画面のビジュアル化を図るとか、そういうトップページを開設したのもその成果でございます。
 今後の課題につきましては、個性ある各局のホームページ、これとの連携を強めて、広く都民に、より使いやすくて親しみやすいホームページをつくっていきたいというふうに考えております。
 また、二つ目としまして、障害者あるいは高齢者の方々に利用しやすいソフトウエアの導入や工夫、こういうものがぜひとも必要であろうということで、引き続き実施していきたいというふうに考えております。
 それから、最近問題になっております悪質なハッカー、これに侵入されない強固なシステムを維持していかなければいけない。今お話がありましたように、都民の皆さんからせっかくお寄せいただいたメールが壊されたりということのないように、強固なシステムを維持していきたいというふうに考えております。
 今後、これらの課題解決に向けて努力をしていきたいというふうに考えております。

○大河原委員 最後に、要望を述べさせていただきます。
 何日か前から、ホームページの一面が変わりまして、知事から富士山の絵に変わりました。都政情報それから東京情報、英語、イングリッシュの部門に分かれているわけなんですが、東京情報は余りにもちょっと観光的というか、中身がもうちょっと充実してほしいなというふうに思います。それから英語版の方なんですけれども、これも都政情報の項目から比べますとメニューが格段に少なくなって、十分とはいえないと思うんです。外国人都民もふえてきている中からは、ぜひともこの英語の部分、あるいは他の言語に関してもご検討いただきたいと思います。
 障害を持った方たちの意見表明、それから、小中学生、高校生、大学生、そういった子どもたちは、意見表明の部分が、言葉も未熟だったりして、対面でというのがなかなかむずかしいところもあります。東京都の都政に対しても、さまざま、小さいころから意見を持っている子どもたちもおります。ぜひ子ども向けの画面、動いたりするものもありましたけれども、中高生向け、意見表明ができるように、インターネットを操ることができるようになっている子どもたちへのアクセス方法、これの充実をさらにお願いしたいと思います。
 インターネットは、さらなる活用によって、その活用の範囲が躍進、広がっていくわけですけれども、同時に、先ほどの広報の基本に返りますと、メディアミックスということで、情報弱者をつくらない、そのため、他のツールを駆使していただきたいというふうに思います。ぜひともその点、情報弱者をつくらないということ、積極的なフォローを要請しまして、質問を終わります。

○山本委員長 そのほか発言がなければ、お諮りいたします。
 政策報道室関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、政策報道室関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で政策報道室関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後三時二十分散会

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