各会計決算特別委員会速記録第八号

平成十二年二月二日(水曜日)
   午後一時二分開議
 出席委員 二十九名
委員長山本賢太郎君
副委員長服部ゆくお君
副委員長前島信次郎君
副委員長大山とも子君
理事木内 良明君
理事土屋たかゆき君
理事遠藤  衛君
理事小松 恭子君
理事立石 晴康君
中嶋 義雄君
吉住  弘君
中西 一善君
竹下 友康君
くぼた 光君
東野 秀平君
川井しげお君
藤田十四三君
大河原雅子君
田中 智子君
清水ひで子君
倉林 辰雄君
野田 和男君
林  知二君
大木田 守君
藤川 隆則君
萩谷 勝彦君
田村 市郎君
佐藤 裕彦君
植木こうじ君

欠席委員 一名

 出席説明員
人事委員会事務局局長中山 弘子君
任用公平部長伊藤 章雄君
試験室長阿部 尚武君
審査担当部長川田 明良君
生活文化局局長今沢 時雄君
外務長田邊 隆一君
総務部長赤星 經昭君
交通安全対策担当部長枡野 雅憲君
コミュニティ文化部長松岡 勝彦君
調整担当部長樋口 勝美君
参事友繁 佳明君
国際部長川島 英男君
女性青少年部長高西 新子君
消費生活部長早川  智君
総務局局長横山 洋吉君
理事行政改革推進室長事務取扱南  靖武君
理事早川 良躬君
理事人事部長事務取扱前川 燿男君
知事室長松田 曉史君
総務部長三宅 広人君
行政改革推進室行政改革担当部長飯山 幸雄君
行政改革推進室組織担当部長山内 隆夫君
主席監察員砂岡  攻君
行政部長松澤 敏夫君
地方分権推進担当部長尾井 幹男君
地域振興担当部長和田 正幸君
参事大原 正行君
災害対策部長佐藤 兼信君
勤労部長高橋  功君
法務部長金岡  昭君
統計部長山本 碩一君
学事部長幸田 昭一君
人権部長田口 正一君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  人事委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  生活文化局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  総務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・特別区財政調整会計決算(質疑)
  ・小笠原諸島生活再建資金会計決算(質疑)

○山本委員長 ただいまから平成十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、人事委員会事務局、生活文化局及び総務局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見の開陳等は後日行います。ご了承願います。
 これより決算の審査を行います。
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 人事委員会事務局関係に入ります。
 人事委員会事務局関係の決算につきましては、既に説明を聴取いたしてございます。
 その際資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 人事委員会事務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、人事委員会事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で人事委員会事務局関係を終わります。

○山本委員長 これより生活文化局関係に入ります。
 生活文化局関係の決算につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布しております。
 資料について理事者の説明を求めます。

○赤星総務部長 去る一月十九日に開かれました当委員会でご要求がございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の各会計決算特別委員会、一月十九日分要求資料、生活文化局と書かれた封筒の中の平成十年度各会計決算特別委員会資料をごらんいただきたいと存じます。
 お開きいただきますと、まず目次でございますが、要求のございました資料は、ここに掲げてございますとおり、全部で十件でございます。以下、順次ご説明させていただきます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。東京国際交流財団、東京都歴史文化財団、東京女性財団の補助金の決算額の推移でございます。
 平成六年度から平成十年度までの五年間の決算額の推移を記載してございます。
 なお、東京国際交流財団の平成七年度、平成八年度の金額が対前年度比で大幅にふえている主な理由でございますが、まず、平成七年度は、表の中段にございます東京都歴史文化財団で実施しておりました東京都国際平和文化交流基金事業の一部が移管されたことによるものでございます。また、平成八年度は、東京国際フォーラムが平成九年一月に開設されることとなったため、その準備に要する経費を支出したためでございます。
 また、東京女性財団でございますが、平成七年度の決算額が対前年度比でふえている主な理由でございますが、東京ウイメンズプラザが平成七年十一月に開設されたため、ウイメンズプラザ開催イベントや事業規模の拡大による経費を支出したためでございます。
 二ページをお開きいただきたいと存じます。生活文化局所管東京都監理団体の常勤役員における都OBの状況でございます。
 東京国際交流財団、東京都歴史文化財団、東京女性財団、東京コンベンション・ビジターズビューローの四団体につきまして、それぞれの常勤役員数、都OB役員の担当職務、人件費における都OB役員給与の割合を記載してございます。
 なお、下段の(注)1にございますように、役員数は、平成十年八月一日現在で掲げてございます。
 三ページをお開きいただきたいと存じます。東京都国際平和文化交流基金及び東京都男女平等推進基金の運用益金の決算額の推移でございます。
 平成六年度から平成十年度までの五年間の運用益金の決算額の推移を記載してございます。
 四ページをお開きいただきたいと存じます。東京都江戸東京博物館における観覧者数、収支の推移及び派遣職員の状況でございます。
 (1)は観覧者数及び収支決算の推移でございます。平成五年度から平成十年度までの観覧者数、歳出、歳入、その差額をそれぞれ記載してございます。
 また、歳出額は、東京都からの補助事業費と委託事業費を合算したものでございます。
 なお、歳入でございますが、六十五歳以上の高齢者や都内在住在学の小中学生などに対しましては、常設展の観覧料を都条例で無料としております。
 次に、(2)でございますが、平成十年度の東京都からの派遣職員の状況でございます。都派遣の常勤職員、職員総数の区分に応じまして、人数、人件費、主な役割を記載してございます。
 五ページをお開きいただきたいと存じます。東京女性財団における自主活動、自主研究助成事業の推移でございます。
 この事業が始まりました平成五年度から平成十年度までの自主活動助成事業、自主研究助成事業につきまして、件数及び助成金額の推移を記載してございます。
 六ページをお開きいただきたいと存じます。東京女性財団自主活動助成に係る審査規定でございます。
 助成対象活動、活動者の要件、活動の要件、審査会の区分に応じまして、審査規定の内容を記載してございます。
 七ページをお開きいただきたいと存じます。前ページの審査規定に基づきまして助成対象となりました平成十年度自主活動助成対象一覧でございます。事業名、団体名について記載してございます。
 八ページをお開きいただきたいと存じます。東京女性財団自主研究助成に係る審査規定でございます。
 助成対象研究、研究者の要件、研究の要件、審査会の区分に応じまして、審査規定の内容を記載してございます。
 九ページをお開きいただきたいと存じます。前ページの審査規定に基づきまして助成対象となりました平成十年度自主研究助成対象一覧でございます。事業名、団体名について記載してございます。
 一〇ページをお開きいただきたいと存じます。消費生活対策費及び消費生活センター費の項目別決算額の推移でございます。
 消費生活対策費、消費生活センター費の区分に応じまして、平成六年度から平成十年度までの五年間の決算額の推移を記載してございます。
 なお、平成八年度、平成九年度の決算額に差異が生じております主な理由は、下段の(注)にございますように、平成九年四月に消費生活行政全体の組織再編が実施されたことによるものでございます。
 以上もちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○大山委員 まず最初に、有機農産物等流通推進事業について質問いたします。
 安全で安心できる、そしておいしい野菜を食べたいというのは多くの都民の願いだし、なかなかな手に入らないというのも都民の悩みなわけですけれども、いつも行くお店にあれば買えるのにということがいわれているわけです。この都が進めている有機農産物等の流通推進事業は、都民のこの願いにこたえようとするものだと思いますけれども、どのような目的で行われていますか。

○早川消費生活部長 消費者の食品に関します安心、安全意識の高まりを反映いたしまして、有機農産物等への関心が大変広がっておりますけれども、表示の信頼性や流通量の低さなど、必ずしも消費者の期待にこたえられる状況にはございません。
 したがいまして、東京都では、都民が安心して有機農産物等を購入できるように、流通環境を整備するため、有機農産物及び特別栽培農産物流通指針を平成八年度に策定し、有機農産物等の流通推進事業を実施しているところでございます。

○大山委員 今、この指針がありますけれども、その指針の内容、ねらいのところをいっていただいたと思うのですけれども、都民がいつでもどこでも安心して有機農産物を購入できるようにというところがあるんですね。それはちょっと答えてもらえなかったのですけれども、いつでもどこでも安心して有機農産物を購入できるようにというのが、やはり都民の願い、これにぴったりしているところだと思うんですね。やはり、これがどういうふうに実現できるのかということが重要なことだというふうに思っています。
 事業の現在までの実績をまず教えてください。

○早川消費生活部長 平成九年三月の事業開始以降現在までの実績でございますが、流通協定を締結した自治体が二県十五市町村となり、モデル事業につきましても、十三事業者、四十二産地となっております。流通量につきましては、平成九年度に一千七十四トンでございましたが、今年度は、流通協定、モデル事業合わせまして約一万トンが見込まれ、年々拡大してきているところでございます。

○大山委員 モデル事業を合わせて約一万トンということで、確かに最初が一千七十四トンですから、ふえてはいるのですけれども、中央卸売市場での年間の取扱量は約百八十万トンというふうにいわれていますから、それと比べても〇・五%ぐらいでしかないということなんです。まだまだ、いつでもどこでも都民が手に入るということにはちょっとほど遠いかなというふうに思っています。
 有機農産物等の流通量を拡大するために、どのような努力を行っていらっしゃるのでしょうか。

○早川消費生活部長 東京都としての努力でございますけれども、東京に出荷しようという産地が拡大することが大変必要でございまして、東京都の事業の普及のために、流通指針を全国の自治体に配布いたしまして、流通協定締結あるいは流通モデル事業への参加を呼びかけているところでございます。
 また、平成九年度からは、全国の都道府県有機農産物等担当課長会を主催いたしまして、直接PRを行ってきました。
 このほか、流通環境の整備の一環といたしまして、有機農産物等の仕入れを希望する都内事業者の名簿及び有機農産物等の出荷、取引を希望する全国生産者名簿を作成しまして、東京都ホームページや、あるいは印刷物として配布するなどということで取り組んでいるところでございます。

○大山委員 いろいろと全国から集まっていただいたり、名簿をつくったり、ホームページを開いたりということですけれども、もちろんそれ自体の努力というのは否定しませんし、やってもらっていいわけです。しかし、なかなか広がらないというところでは、きちんと産地に足を運んで、そして、どうしたら有機の作物の生産量がふやせるのかということを、現地の生産者の方とも話し合いながら進めていくということが必要なんではないかなというふうに思っているのです。
 ところで、ここ数年の決算額なんですけれども、具体的にお願いします。

○早川消費生活部長 決算額でございますけれども、過去五年間の決算額は、平成六年度が三千五百万余円、平成七年度が二千九百万余円、平成八年度が二千七百万余円となっておりまして、この三カ年におきまして、事業開始の準備として、全国の生産者実態調査や有機農産物等検討委員会の設置、あるいは流通指針等の策定を行ったところでございます。そして、平成九年度からは事業を本格的に開始いたしましたが、決算額といたしましては、平成九年度二千九百万余円、平成十年度が二千五百万余円となっております。

○大山委員 準備期間を経て九年度で本格実施をして十年度になったということですけれども、本格実施をしたその次の年にもう予算が減ってしまっているわけで、これではなかなか積極的な活動もしにくくなっているのではないかなというふうに思うわけですけれども、もう一つの面であります、有機の農産物、それから特別栽培農産物という二種類あると思うのですけれども、簡単に大まかな定義だけ述べてください。

○早川消費生活部長 有機農産物と特別栽培農産物の違いということでございますが、有機農産物は、農薬及び化学肥料の使用を中止してから三年以上経過しました圃場、いわゆる畑でございますが、において収穫された農産物でございます。また、特別栽培農産物は、慣例的に行われています栽培方法に対しまして、農薬及び化学肥料をいずれも五割以上削減して栽培、収穫された農産物でございます。

○大山委員 有機農産物は三年以上ということで、かなり厳しい規定になっているわけですね。私も、土づくりをしっかりとやって、堆肥でいい土をつくって有機の栽培をやっているという農民の方たちとも話す機会があるのですけれども、生産者の立場でも、やはり市場でも、有機の野菜を仕入れられるようにということではかなり熱心にやっているというんですね。卸や仲卸の業者の方ももっと欲しいというふうにいっているし、きちんと入れば売れるところもあるんだといっているというふうにおっしゃっているわけです。三年間というのはかなり厳しいけれども、もちろんそれを目標にするというのは大変重要なことだというふうに思っています。
 しかし、その広げる段階でのいろんな工夫の中で、なるべく地球にもやさしいような、土をしっかりつくって、減農薬にしていくという過程も含めて、いい野菜を多くするという目標に向かって移行していく段階では、そういう野菜をふやしていくというのも重要だというふうに思っています。
 ですから、つくったのがだれで、そして、農薬は、最初のときと中間のときと二回やりましたとかというふうにきちっと情報が伝われば、明確になれば、よりよい野菜ということでは広がっていって、そのうちにまた有機のきちんとした野菜にもなっていくということでは、そういう点でも生産者と話しながら拡大していくというのは大変重要なことだというふうに思っています。
 最後なんですけれども、消費者への情報提供というのはどのように行っていらっしゃいますか。

○早川消費生活部長 消費者へのこの推進事業の普及を目的にいたしまして、「信頼できる有機農産物・特別栽培農産物の広がりをめざして」と題するリーフレットを作成いたしまして、協定品取扱小売店及びモデル事業品取扱小売店で配布するなどの普及に努めているところでございます。
 また、平成四年から十年まで、七回にわたりまして、有機農産物等東京フォーラムを開催いたしまして、消費者への普及に努めてきました。
 このほか、生産者や流通事業者、そして消費者との交流会を開催いたしまして、消費者が直接有機農産物等の生産現場と情報交換を行う機会を設けるなどもしております。
 今後とも、普及啓発の手法について工夫を重ねまして、消費者への普及に努めてまいりたいと存じます。

○大山委員 ぜひいろいろ工夫したり、それから、消費者が、あのお店にはあるんだというのがわかるようなことも、わかりやすい表示、掲示をよろしくお願いしたいというふうに思っています。
 食べ物のことについては、本当に安全で安心して、それからおいしいものをということは、やはりきちんと、いい野菜ということだと思うのですけれども、やはり現在野菜の輸入量が着実にふえているんですね。九九年は二百七十二万七千七百二十九トンということで、前年度比で一一一・七%になっているのです。その分国内生産が減っているわけですけれども、輸入を抑えるということも含めて、東京都としても働きかけていただきたいと思いますし、より多く流通できるように、さっきの生産者との話、相談も含めて積極的にやっていっていただきたいというふうに思っています。
 次の質問ですけれども、女性財団に関して質問いたします。
 女性財団の自主事業や自主研究への助成の事業についてなんですけれども、この年は財団への補助金が一三%以上減額した年です。財団の事業もいろいろあるわけですけれども、財団の目的であります、豊かで平和な男女平等の社会を目指すということのために、自主活動、自主研究への助成というのは、私、大変重要な役割を果たしていると思っていますけれども、生活文化局として、この自主事業や自主研究の意義といいますか、評価を教えてください。

○高西女性青少年部長 自主活動、自主研究助成事業は、女性問題解決に役立つ取り組みを自主的、積極的に行っている民間の団体、グループ等に対し、活動経費または研究経費の一部を助成することにより、男女平等の社会的風土づくりを進めることを目指しております。
 この事業の成果につきましては、活動研究報告書の作成配布や報告会の開催等を通じまして、東京都や財団法人東京女性財団が施策や事業を検討する際の参考といたしますとともに、一般都民への男女平等についての普及啓発に役立てているものでございます。

○大山委員 一般都民への男女平等についての普及啓発にも役立てているということですけれども、この年が、財団の補助金が総額が減ったということと同時に、自主事業、自主研究への補助率が減らされているのです。補助額全体も縮小しましたけれども、今まで補助率が四分の三だったのですけれども、二分の一で評議委員会に提案されたんですね。
 私、ちょうどそのとき評議委員だったのです。ですから、このときの評議委員会というのは、非常に反対を表明する評議委員だとか、それから、非常に心配する発言が続出した評議委員会だったということで、忘れることができない会議だったんですね。
 補助率が、これは割と新しい事業ですから、この間の東京都の流れとしては、二分の一というのがオーソドックスな形だったと思うのですけれども、これがあえて発足当時に四分の三になっているというのは、これは特殊性といいますか、経過があると思うのですけれども、それは承知されていらっしゃいますか。

○高西女性青少年部長 自主活動、自主研究支援事業の補助率につきましては、支援の対象となる女性団体等の財政基盤が脆弱であることから、四分の三という補助率を実施してきたものであると聞いております。

○大山委員 今、財政基盤が、自主事業や自主研究されるところが脆弱だから、四分の三の助成にしようということを、やはりそういう位置づけがあって決めたんだということを自覚されていらっしゃるわけですけれども、最初からこの財団にかかわっていらっしゃる方が話してくれたのは、やはり自己資金の調達をするというのは、とにかく大変なんだという話なんですね。比較的働いていない主婦の方も自主研究、自主事業に参加している方が多いので、例えば、五万円ずつ自己負担というか、自主資金をつくりましょうといっても、その五万円が主婦の方なんかでは調達するのが大変なことなんだということで、最初は東京都から二分の一の補助率だというふうに提案されたんだけれども、そのときの事務局長も理事たちさんも一緒になって、やはりこういう状況の中では四分の三にしようということでは、どんな小さなグループだとか資金が不足しているグループの活動も保障するという非常に重要な意義を持っている補助率だというふうに思っているのです。だからこそ、このときに、四分の三の補助率を二分の一に東京都が勝手に決めつけてといいますか、押しつけてくることに対して、皆さんが怒ったんだというふうに思っています。
 事務局長さんなども、財団にとっては本当に大事な事業でございますというふうにおっしゃっているんですね。これについては何としても守りたかったというのが正直なところなんですというふうに、非常につらい気持ちも話していらっしゃるわけですけれども、この三年間の自主事業、三年間というのは九六年、九七年、九八年でいいんですけれども、研究助成事業応募の件数はどのように変化していますか。資料で助成を実施した件数は出ておりますので、申請された応募件数で。

○高西女性青少年部長 活動、研究助成の応募件数でございますが、平成八年度は百四十三件、平成九年度は百三十八件、平成十年度は九十件、こういうふうになってございます。

○大山委員 十年というところでは応募件数が九十件ということで、皆さんが心配されていたことがまさに起こっているというふうに見てもいいのかなというふうに思っていますけれども、もうちょっと詳しく見たいのですが、予算の執行率はどうなっていますか。同じ九六、九七、九八年で。

○高西女性青少年部長 活動、研究助成費の執行率につきましては、平成八年度は九二・二%、平成九年度は九五・三%、平成十年度は八二・九%となっております。

○大山委員 九二%、九五%と、九〇%台をずっと維持していたわけですけれども、九八年で八二%ということに執行率も低くなっているわけです。九〇%台というと、やはりかなり活用されているという印象なんですけれども、同時に、補助額が四分の三までの補助だったときは六千万、二分の一補助になったら四千万という補助金額になったわけですから、事業規模としては同じ八千万ということになるわけですけれども、九六年は七千三百七十四万、九七年が七千六百十七万、九八年が六千六百三十四万というふうに、やはりぐっと下がってきてしまっているという状況なんです。
 ところで、副理事長として当時の生活文化局長が出席して、私、よく覚えているのですけれども、生活文化局長でありまして、都側の責任者という立場でございますのでという前置きをしていろいろと話されて、二分の一補助については、この一年間の経過を見させていただきたいと思いますというふうにたしか発言されているんですね。様子を見てということですけれども、どのように総括されたのでしょうか。今このような激減している、変化している、それから応募件数も減ってしまった、それから事業規模も縮小してしまったということでは、どのように総括したのでしょうか。

○高西女性青少年部長 先ほどお答えいたしましたように、平成十年度につきましては、応募件数、助成件数ともやや減少しておりますが、その後の傾向を見ますと、応募件数、助成件数とも、平成十一年度には平成九年度以前の水準に戻ってございます。したがいまして、平成十年度にそれぞれの件数が減少した理由につきましては、助成率が二分の一に下がったことによる影響であるとは一概にはいえないというふうに考えております。

○大山委員 一概にはいえないと。それは一概にはいえないというのは、確かにそうだというふうに思うんですね。しかし、いろいろ女性財団の自主活動だとか、自主研究だとかにかかわっていらっしゃる方のお話を聞くと、やはり自己資金を半分用意するというのは本当に大変なんだということなんですね。それで、やはり小さな団体だとか、資金の調達が厳しい方たちは、結局やりたいと思っても、応募しないで終わっちゃうということがあるんだということなんですよね。
 ですから、応募件数は確かに十一年度は回復したのかもしれないのですけれども、それと同時に、やはり、きちんと本質的な問題提起をしていただきましてというふうに元局長もおっしゃって、重く受けとめさせていただきますというふうにいっていらっしゃるんですね。重く受けとめて、やはり、表面に出てきた数字だけでなく、その背後にあるような状況、女性の団体の状況も含めて、きちんともうちょっと丁寧に対応をしてほしいというふうに思っています。
 この年、平成十年というのは財政健全化計画の最終年度の年で、どこにしわ寄せが来ているのかなといったら、このような地道にそれぞれの自主的な活動をしているような団体、都民のところにやはりしわ寄せが来てしまっている一つのあらわれではないかなというふうに思っております。
 意見を述べて、終わりにします。

○木内委員 コミュニティ文化費の決算についてお尋ねします。
 芸術を愛し文化を創造する喜びに満ちた都市の環境づくり、換言すれば、芸術文化の興隆を期するということは、豊かで潤いのある東京のまちづくりに欠かせない要素である、こう私は思うわけであります。新たな時代の構築が、もはやかつての軍事力ですとか、経済力とか、政治力といったハードパワーによる効力は失われて、心の力、すなわちソフトパワーによってなされるとの指摘が相次いでおります現状を勘案しますと、このことは一層重要なことであると私は思います。
 たしか国木田独歩であったと思いますが、詩歌なき国民は必ず窒息する、こういう箴言を残しているのもむべなるかなと思うわけであります。
 しこうして、行政が各分野への諸施策や予算措置を講じたからといって、短時日のうちに、にわかに芸術文化の果実が得られるものでもないこともよく承知をしております。重要なことは、うまずたゆまず、あたかも伏流水が植栽を潤し続けるごとく、直接、間接に支援を継続していくことが重要である、こう痛感するわけであります。
 そこで、まず、あえてこの場で明らかにしていただきたいのでありますけれども、平成十年度までのコミュニティ文化費決算額の推移を、経年五年でご報告を願いたいと思います。

○松岡コミュニティ文化部長 過去五年間のコミュニティ文化費決算額の推移でございますが、平成六年度が三百二十四億七千四百二十三万六千円、平成七年度が八百九十七億七千三百九十二万七千円、平成八年度が六百七十六億八千五百七十三万四千円、平成九年度は百一億七千九百八十八万八千円、平成十年度が八十六億八千八百八十四万七千円となっております。
 ただし、平成六年度から平成八年度までの決算額が大きくふくらんでおりますが、これには国際フォーラム建設費が含まれております。

○木内委員 今答弁のように、六年から八年の決算額には国際フォーラム費が含まれている。それでは、これを除いた決算額の推移、特に平成六年度と十年度に限って、ご報告願います。この間、ずっと減少しているはずです。

○松岡コミュニティ文化部長 平成六年度は百四十八億五千六百三万九千円、平成十年度につきましては、先ほど申し上げましたように、八十六億八千八百八十四万七千円となっております。

○木内委員 私も手元で計算をしてみますと、六年と十年を比べて減少傾向の一途をたどっているわけでありますが、約六〇%の減額になっているわけであります。芸術文化の振興が、少なくとも現実的側面で見る限り、行政の支援なしに成り立ちが困難な分野というのもかなり多くあるわけであります。この予算措置の削減によって財政的に逼塞を余儀なくされるケースがしばしば出てきているものと思われるのです。
 平成十年度におけるコミュニティ文化費及び芸術文化助成費の執行内訳はどうなっていますか。

○松岡コミュニティ文化部長 芸術文化への助成に関するご質問でございますが、まず、江戸東京博物館におきまして歌舞伎や能楽、寄席、邦楽等の上演を行っているほか、都民芸術フェスティバルにおける日本舞踊や民族芸能などの上演に対する助成、隅田川花火大会等への助成など、伝統文化の分野への助成を行っております。
 次に、芸術文化国際事業助成や、創造活動支援事業などの民間の芸術文化活動への助成を行っております。このほか、東京国際映画祭や、国際舞台芸術フェスティバル、名曲サロンなどに対する助成を行っております。

○木内委員 恐らく今のご報告の中では、こういう財政状況の中でありますから、あえて割愛をしなければならない予算執行分野もある、あるいはまた、申し上げたような趣旨から、継続的にこれをしっかりと助成をしていくということの必要性がさらにいえる分野もある、こういうふうに思うのであります。
 私が今回の質問で指摘をしたいのは、こういう財政難というのはピンチであるわけでありますけれども、ピンチだからこそ知恵を出し、工夫をして、そして、これをチャンスに変えていくという努力が必要なのではないか、こういうことから、私もいろいろ調べてみました。
 翻って、海外に目を転じた調査結果を申し上げれば、例えば、ニューヨークやロンドンを初めとして、芸術文化興隆への各部面における積極的対応を行っている都市というのが随分とあるんですね。文化庁の委託調査によりますと、芸術文化活動に対する支援体制のあり方、例えばアメリカなんかでは、文化支出の九二%が民間によるものである。逆にイギリスは、四分の三が中央政府によるものであって、いずれも手厚く環境づくりが行われているということがわかりました。芸術家や芸術団体に対して、概括的にいえば、ヨーロッパでは国家や自治体が政策的財政支援を行っている、アメリカでは企業や個人などが多額の費用を負担している、こういう特色がある。
 海外のこれらの都市における芸術文化の助成というもののあり方、自治体としてどのようにかかわっているのか、生活文化局としてはどういう認識を持っておられますか。

○松岡コミュニティ文化部長 海外の都市におきます芸術文化助成につきましては、ただいまご指摘にございましたように、国によってかなり異なっております。民間機関の調査によりますと、アメリカではメセナ活動が非常に盛んでございまして、芸術文化助成の九割以上は民間からのもので、自治体からはごくわずかとなっております。イギリスでは、国からの助成が最も多く、七割を超えておりまして、自治体からは二割弱、民間からは一割弱となっております。フランスでは、民間からの助成はほとんどなく、自治体と国からの助成はほぼ二分の一ずつとなっています。ドイツは、日本と同様、芸術文化助成の九割以上が自治体からのものとなっております。

○木内委員 例えば、今、多くの引用例は、自治体や国の負担というケースが多いのでありますけれども、刮目したいのは、アメリカのありようですね。芸術文化に対する民間助成が大きいのは、寄附金に対する税制上の優遇措置がアメリカでは講じられている。
 私は、一般論として、経済のパイ自体が大きいときは、さまざまな施策や予算措置が講じられるのでありますけれども、パイがこれだけ縮小してきて、財政上の危機が叫ばれているときでありますから、いわゆる国や自治体による財政支援、助成にかわる新たな展開というものが必要になってくる、こういうふうに思うんですね。
 したがって、今日の東京都における厳しい財政状況の中での大きな示唆がアメリカの例にも求められる、こういうふうに思うのです。窮状を打破するための各分野、各般における検討、努力ということが必要でありますけれども、まず、東京都として、芸術文化に対する税制の優遇措置、この拡充、充実を国にさらに強く要求していくべきであると思いますけれども、いかがでしょうか。

○松岡コミュニティ文化部長 芸術文化の振興につきましては、民間からの寄附が寄与するところが非常に大きゅうございまして、それには税制上の優遇措置の拡充が必要と考えております。このため、平成十二年度の政府予算編成に関する要望におきまして、都として初めて、芸術文化活動への支援に関する税制上の優遇措置の拡充を国に対しまして重点要望いたしたところでございます。

○木内委員 これは文化庁を通じて行ったと思うのですが、反応はどうでしたか。

○松岡コミュニティ文化部長 芸術文化活動への支援に関する税制上の優遇措置拡充につきましては、ご指摘のとおり、所管の文化庁を通じたわけでございますが、文化庁のご理解はいただけたものと考えております。残念ながら平成十二年度の税制改正には直接反映されませんでしたが、今後も息長く国へ要望活動を行ってまいりたいと考えております。

○木内委員 恐らく、理解はされたけれども、具体的に予算措置の果実は得られなかった、こういう答弁だったと思うのです。緊急を要する問題ではないかもしれないけれども、看過することのできない問題の一面があるわけでありまして、私は、今後、他の道府県知事等との横断的な連携作業等も含めながら国への要請を行っていかないと、芸術文化の振興という特殊な領域の問題でありますので、今後、非常に先行きが懸念されるわけでありますので、その点のしっかりした今後の対応を要請したいと思います。
 もう一つは、そういう税制上の優遇措置、環境づくりが行われ得ない段階、現状の中にあっても、さらに知恵を絞るべきだ、こう訴えるものでありますけれども、例えば、アメリカでいうところの企業メセナのあり方、いわゆる経済界等からのこうした支援体制の構築をも、また独自に発想の転換を行って進めていくべきではないか、都としての新たな発想と決意を持つべきではないか、こう主張するわけですが、いかがでしょうか。

○松岡コミュニティ文化部長 芸術文化活動への支援に対する税制上の優遇措置の拡充に関する国への要望につきましては、ご指摘のとおり、他の自治体との連携を十分図りつつ、要望活動を展開してまいりたいと考えております。
 なお、企業等を含めた芸術文化活動の環境づくりにつきましても、今後検討を進めてまいりたいと考えております。

○木内委員 非常に短時間の、数少ない質問でありますけれども、重要な答弁であると私は受けとめます。新しい発想の転換のもとで、一方で税制上の優遇措置を講ずるように国に東京都は強力にこれを求めていく、一方で、そういう環境が整わなくても、新たな発想のもとで企業メセナ等を含めて努力を検討していく、こういうことでありますので、その成果というものを私はしっかりと見守ってまいりたいと思います。
 以上の議論を通じて、かつて港湾行政のトップにおられて、その非常な行政力と英断で仕事をしてこられた生活文化局長の、この問題に対する決意と抱負を伺って、私の質問を終わりたいと思います。

○今沢生活文化局長 物質的に非常に豊かになった社会となったわけでございますけれども、それとともに精神的な豊かさを希求する傾向も強くなったという感じがしております。芸術文化は心の糧といわれておりますけれども、ハード的なインフラに比しまして、私は、日ごろの生活をするための心のインフラともいえるものであるというふうにも考えております。また、もちろん私たちの生活を豊かに潤すものでもあるという認識を持っております。
 そのようなことから、芸術文化への助成の重要性については十分認識しているところでありますけれども、いかんせん厳しい財政状況に置かれておりますので、先ほどもいろいろございましたように、財政的な面からの力も落ちているような感じもいたしますけれども、しかしながら、そういうときだからこそ、先ほども、これをチャンスに変えてというような木内委員のお言葉もございましたが、来るべき二十一世紀に向けまして、英知を結集して東京の芸術文化の振興に努力してまいりたい、このように考えております。

○土屋委員 二点質問をします。審議促進ということですから、さっき佐藤先生からも、早く質問しろというご指摘をいただきましたので、簡潔な答弁をいただければ早く終わりますので、ぜひ審議促進を行政の側でお願いします。
 まず最初に、女性財団の件なんですけれども、断っておきますけれども、私は男女平等に反していないんですね。ちなみに、私のスタッフは四名おりまして、そのうちの半分が女性で、そのうちの一人はかなり重要なところを任せているような事務所ですから、誤解をされると困りますので、あらかじめいっておきます。
 まず、東京都の考える男女共生――男女平等といっているらしいのですけれども、これはどういうことか、簡単に説明してください。

○高西女性青少年部長 男女平等とは、男女が互いの違いを認めつつ、性別にかかわりなく個人として尊重されること、及び男女を問わず、一人一人にその個性と能力が発揮される機会が確保されることと考えております。

○土屋委員 その答弁で大切なのは、男女が互いの違いを認めつつということだと思う。全部同じにはいかないのですから。ただ、性差別があってはいけないというのは当然、当たり前のことだと思うのですけれども、では、財団法人東京女性財団の運営費は年間幾らで、だれが支出していますか。

○高西女性青少年部長 平成十年度決算における東京女性財団の運営費は三億五千四百八万余円でございます。この運営費の財源は、都からの補助金が三億四千四十万余円、有償刊行物の販売や講座の受講料等の財団収入が一千三百六十八万余円となっております。

○土屋委員 いや、そうじゃないんだよ。それはウイメンズプラザの運営費が入ってないんです。それを含めると七億円以上の数字になっていると思うんだけれども、違いますか。ちゃんと正直に答えないとだめだよ。

○山本委員長 速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○山本委員長 速記を始めてください。

○土屋委員 いいですか、あなたたちが管轄している財団でしょう。そこに幾ら出しているかわからないなんて情けない話をしなさんなよ。かつてこれは新聞で追及されたじゃないか。七億六千六百万出しているって。僕でさえ知っているんだから、それを管轄している担当部長、担当局長が知らないというのはどうかしているね、はっきりいえば。もう少ししっかりやってくれよ。
 それで、この東京女性財団が、小学校、中学校、高等学校、教師編、大人編などのジェンダーチェックの小冊子を出しているんだけれども、この作成と配布の意図は何か、簡単に答えてください。

○高西女性青少年部長 男女平等社会を実現するためには、男性も女性も一人一人がみずからの生き方を選択し、おのおのの個性や能力を十分生かすことのできる社会にすることが大切でございます。東京女性財団は、このような観点から、男女平等の社会的風土づくりを進めるため、家族・家庭生活や学校生活などのテーマごとに、男女平等への指針、ジェンダーチェックリストを作成したものでございますが、これは都民が男女平等を考えるための素材として提供したものでございます。

○土屋委員 じゃ、それはどこに配布をして、どういう活用をして、その総額は幾らかかっているの。

○高西女性青少年部長 男女平等への指針、ジェンダーチェックリストでございますが、先ほどお話ししました家族・家庭生活、あるいは地域・社会生活編、学校生活編、職業生活編と各種ございます。それぞれ印刷、配布しているところでございますが、配布先は、家族・家庭生活におきますれば、それぞれの一般の女性、あるいは男女ともにでございますが、方々、あるいは学校生活編でございますれば、これも小学生編とか中学、高校編とございますが、それぞれの学校の生徒さんに主に配布してございます。あるいは職業生活編は、企業等を中心に配布しているところでございまして、それらは、それぞれ経費は、大変細かくなりますが、よろしゅうございましょうか。(土屋委員「いや、もういいです」と呼ぶ)

○土屋委員 僕は、間違いがあるといけないので、質問のネタのときにこの話はしてあるんです。だから、ちゃんとメモをとらないのがいけない。数字がわかっているだろうけれども、それについては一々いいませんけれども、問題は、この内容だと思うんです。ジェンダーチェックの小学校編、これには、女の子と男の子のこだわり。例えば、裁縫箱の色を男の子は青を選んだ、女の子は赤を選んだとしますと――僕はそれは個人の自由だと思うんだけど、もし男の子が青で女の子が赤だというと、バツになっている。最後にチェックするようなところがあって、こだわり度はどうですかと。つまり、いわゆる男女の差がある、趣味で嗜好として差があるということについて肯定的に丸をつけた人は、おくれている人だと書いてあるんですね。
 それから、これは中学編。先生から、やさしい女子、頼りがいのある男子がよいといわれたときに、これは丸をつけたらアウトなんですよ。
 それから、年に一度のバレンタインの日に――もうじきだけれども、自分の思いをある人に伝えたり、意外な人からチョコをもらったり、どきどきしますね。でも、これは、ちょっと待ってください、女子はバレンタインのチョコでしか思いを伝えることができないのでしょうかという。いろいろな伝え方があると思うんだけど、でも、ここでイエスと答えちゃうと、アウトなんです。
 それから、彼女と彼のデートの日、ハンバーガーショップで彼がおごってくれました。男の子は女の子におごるものなんでしょうかというんだけど、これはおごろうがおごるまいが自由だと思うんですね。このときに、おごるということを書いちゃうと、おくれている人間だということが書かれてある。
 それで、結婚披露宴で新郎が最後にあいさつをし、新婦は傍らでうなずいていました。Aは、夫として気構えが見えて心強い、Bは、二人で支え合うのだから、奥さんもあいさつをさせろと書いてあるんです。Aという方に丸をつけますね、そうすると、これはゼロ点。
 それから、妻の身内のお葬式に夫婦で行きました。お焼香や献花は、A、夫が先にするのが普通だ、B、妻が先にした方がいい。どっちでもいいと思うんだけど、どっちもいいのに、Aにつけると零点で、Bにつけたら一点なんだよ。
 これは、どっちでもいいことを、何で点数化しなきゃいけないんですか。東京都のいう男女共生というのは、性の違いを認めながら、平等な社会参画ができるようにしたいというのが基本方針でしょう。一体、この企画意図は何にあるんですか。もう一回答えてください。

○高西女性青少年部長 ご指摘のバレンタインのチョコやハンバーガーショップでの支払い、あるいはランドセルの色の記述等に関しましては、児童生徒にわかりやすい例を挙げて、男女平等について考えるきっかけにしていただこうとしたものでございます。
 ただ、その一部に、その趣旨が十分に伝わらなかった表現があったものとは認識してございます。

○土屋委員 部長の答弁だと、一部に不認識な点があったということを認めているわけだから、これは今後改善してもらわないと困ります。だって、女の子が赤で男の子が青であろうと、その個人の自由なんですよ。日本は、はっきりいって、北朝鮮みたいな軍事独裁国家じゃないんだから、金正日が右といえば右へ動くとか(発言する者あり)個人の自由に任せる部分は――いいですか、生活文化局というのは、国際部もあって、非常に一生懸命やっている部分もあると思いますよ。だけど、個人が考えて、個人が判断する生活や家庭のあり方や平和のあり方を、行政が税金を何億円も使って偉そうにいう必要はないでしょう。全然違うじゃないですか。考え方が違うんだよ。
 それで、これから派遣職員の話です。
 ですから、それは反省をしてくださいね。さっき反省をするといったんだから、反省をしてください。実はこの問題は、もう三年前に、同じようなパンフレットで一回問題になっているんだよ。エプロンを旦那さんが奥さんに誕生日にプレゼントしました。そしたら、それは女性に家事労働を強いるものだというのでバツだというような情けない内容のパンフレットを、東京都の税金であなたたちがつくっていたんだよ。それは今配布していないじゃないか。そうじゃないの。だれがやろうが自由なんだよ。それは各家庭に任してくださいな。(発言する者あり)
 天下り職員の話に行きます。これは共産党も賛成しないとだめだ。女性財団に都の職員が派遣されていると思いますけれども、一体何名で、全体職員は何名なのか、それは何%なのか。天下り職員は何名で、その給与と退職金は一体幾らか。

○高西女性青少年部長 平成十年度における東京女性財団の全職員は、非常勤職員十九名を含めまして三十二名でございます。そのうち都派遣職員は十三名で、構成比は四〇・六%となっております。そして、都OBの役員は一名でございまして、資料、生活文化局所管監理団体の常勤役員における都OBの状況にございますとおり、人件費における給与の割合は七・五%となっております。

○土屋委員 大体その全体のやつは資料でわかるので、私が聞いているのは、いわゆる天下り役員なんですよ。その人はどうして必要なのかという理由と、大体その人は一体幾ら――だって、これ全体で七億六千六百万、その数字が今正しいかどうかわからないけれども、お答えできなかったから、あなたたちがいった金額で三億幾ら、その中で一体天下りの役員の、役員というか、その人たちが必要があるから雇っているのかどうか知らないんですけれども、慣例で雇っているとしたら問題なわけで、給与というのはおおむねでいいんですよ、個人のプライバシーもあるから、おおむね一千万ぐらいとか、おおむね一千五百万ぐらい、そのぐらいは教えてくださいよ。

○赤星総務部長 特定の団体で、ここは一名の役員でございますので、特定されてしまいますので、当局所管の監理団体全体でお答えさせていただきたいと思います。
 財団におきます役割でございますとか、財団の経営状況によって若干異なりますけれども、当局所管の監理団体の役員の平成十年度の報酬でございますが、おおむね一人当たり一千四百万程度となっております。
 それから、先ほど先生ご指摘のウイメンズプラザの経費含めてございますけれども、平成十年度はウイメンズプラザの委託事業がございます。これは、ウイメンズプラザの管理運営を女性財団に委託しておりますので、情報収集、情報提供あるいは相談業務、これを合わせますと、決算額で約六億二千万円となっております。

○土屋委員 だから、大体一千万ちょっとなんだよね。さっき共産党の大山さんが補助金の率の問題を話していたと思うんですけれども、この際、天下り職員が必要なのか。東京都の赤字を生み出したというのは、責任者は二人いて、私は議会と行政だと思うんですけれども、その人が前に行政職でどのポジションにいたか、私はわからないんだけれども、どうしても必要なら、僕は、幾ら高給を出してもそのポジションに置いておく必要はあると思うんだけれども、全員ほとんど派遣職員なんだから、それで全額東京都のお金で動いているわけですから、一千万も高給を出す天下り職員が必要なのかどうか。よその局もそうですよ。
 本来は、これ、自主的に運営されているんだったら、確かに個人のプライバシーもありますから、細かな数字は出さなくてもいいということになるのかもしれないけれども、実際はそうじゃないわけだから、本当は出すべきだと思うので、都の改革というのは、そういうところもやってもらいたいと思います。
 もう時間がないので、女性財団はそのぐらいにしておきます。
 次に、江戸東京博物館の問題ですけれども、江戸東京博物館の運営費というのは、ここに書いてあるので一々いいませんけれども、かなり赤字が出ているわけです。事前の答弁調整のときに、いろいろ見方がありますというけど、これは一般社会でいえば赤字なんで、この五年間、経営改善にどういうご努力をされてきたんですかね。

○松岡コミュニティ文化部長 江戸東京博物館につきましては、開館前に百万人程度を想定しておりましたが、開館当初、大変注目されまして、三百万を超える観客がお見えになりました。その後、観客数は減ってきたのですが、十年度につきましては、NHKの大河ドラマとの連携だとか、民間企業との協賛、はとバスの観光コースへの組み入れなど営業努力をしておりまして、観客数が九年度を上回る形で回復したという状況にございます。

○土屋委員 上回るといっても、若干なんだから、それほど威張ることじゃない。赤字は多少減っているけど、相変わらず赤字なんです。これが民間企業だったら、とっくのとうに破産している状態なんです。部長にそれほど威張られる必要はないけれども、じゃ平成五年から平成十年まで、東京都から、つまり、税金から江戸東京博物館に幾ら累計で出したのか、その内訳を教えてください。簡単でいいですよ。

○松岡コミュニティ文化部長 平成五年度から十年度までの東京都からの支出の累計でございますが、三百十七億八百三十万九千円でございまして、その内訳は、管理運営委託料が二百五十七億七千九百五万一千円、補助金が五十九億二千九百二十五万八千円となっております。

○土屋委員 ともかく、簡単にいえば、三百十七億円、税金から江戸東京博物館に支出があった。で、状態はあんな程度ということなんですよ。あんな程度というと、そうじゃないというかもしれないけれども、そういう状態ですよね。この赤字部分については、東京都民の税金が移動して補っているわけなんですけれども、支出の削減についてはどのようなことをやってきたんでしょうか。

○松岡コミュニティ文化部長 館の経営の安定化のためには、支出経費の節減とともに収入を安定させるという両面からの取り組みが必要であると考えております。支出経費の節減対策につきましては、清掃、警備等の建物管理経費、コンピューターシステム関連経費などランニングコストを中心に、平成五年度から十年度までに約六億円を削減しております。また、収入の安定を図るため、話題性、魅力のある展覧会の企画、マスコミとのタイアップ、企業による各種協賛、ボランティアによる展示ガイドの実施など多角的な取り組みを行っております。
 こうした取り組みが実を結び、先ほど申し上げましたように、十年度には観覧者数の減少傾向に一定の歯どめをかけたと考えております。

○土屋委員 それは努力で別に減少したのではなくて、NHKが減少を食いとめただけです。それで、昭和六十一年の九月に、江戸東京博物館建設基本計画構想という本があって、僕は持っているんだけれども、この中で、開館時の管理運営の項で、利用者本位の運営や事業活動、サービスの向上を図るため、一般利用者の代表や外部の学識経験者から構成される附属機関を設け、助言、指導を求める必要があると記されているんだよね。現在、これはどのように生かされているんでしょうか。

○松岡コミュニティ文化部長 ご指摘の基本構想にございます附属機関につきましては、開館後の平成七年度に、学識経験者から成ります江戸東京博物館運営委員会を設置いたしまして、博物館展示、事業活動、調査研究などの館の運営事項について、さまざまな角度から助言をいただいているところでございます。また、利用者の意見、要望を館の運営に反映させるために、来館者へのアンケートなどを実施しております。

○土屋委員 一般市民の人からのアンケートというか意見を集約しているというけど、全然集約していないよ。だって、展示内容について、平成十年を境に、地元住民や利用者から、特定の歴史観に立った展示があるという指摘が相当数されているはずなんですよ。それはどのように生かしているんですか。

○松岡コミュニティ文化部長 来館者アンケート等によりますと、展示内容につきましてはおおむねわかりやすいとの好評を得ておりますが、中には、ご指摘のとおり、施設のサービスや展示内容についてさまざまなご意見が寄せられていると聞いております。

○土屋委員 いや、聞いているんじゃないよ。だって、都議会でも十八名の都議会議員が現地視察に行って、岡部副館長がたしか出迎えに出たと思うんだけれども、こことここがおかしいじゃないかと。例えば、歴史年表なんか見ていてもそうなんだけど、事件というか、全国のところに、小林多喜二「蟹工船」発表とか、小林多喜二虐殺されるとか、モスリン事件とか、それはそういう事件があって、そういう小説があったということは僕は認めるんだけれども、戦前ですから、どちらかといえば日本浪漫派が文学の主流だったんだ。保田与重郎なんか。そういうものは一つも書いてなくて、いわゆる社会の暗い面だけをここに書いているじゃないですか。
 これはかつて決算委員会でも田代ひろし委員が問題にしているんだけど、その下の説明のところに、戦争への道と書いてあるんだね。そこに、一九三一年に勃発した満州事変は、日中戦争、太平洋戦争へとつながる十五年戦争の開幕となったというんだけど、十五年戦争という言葉はだれがつくったの。

○松岡コミュニティ文化部長 大変不勉強で申しわけございませんが、昭和三十年代に鶴見俊輔氏によって初めて唱えられたというふうに記憶しております。

○土屋委員 よく勉強されて、敬服をいたします。鶴見さんが昭和三十年代につくった。つまり、満州事変から大東亜戦争の終わりまでを一つの戦争としてくくって、これは侵略戦争だということをいいたいから、十五年戦争という新しい言葉をつくったんですよ。事実を照査すれば、途中に梅津、何応欽という両将軍が梅津・何応欽協定をつくったでしょう。そこで塘沽停戦協定をしているじゃないですか。そんな基本的な歴史的な認識もなくして、十五年戦争を一くくりにして、これはいわゆる共産党の史観ですよ。それを、審議会をつくりましたからといって、パネルに展示して、都議会からも指摘があった。さっき、いろんな審議会をつくって十分に検討しておりますといっていますけれども、検討はしているんですか、していないんですか。

○松岡コミュニティ文化部長 先ほども申し上げましたように、都議会からのご意見、それから、来館者からのアンケート等をちょうだいしております。平成十年七月から、東京都江戸東京博物館の運営委員会の中に、常設展示の専門部会を設けまして、展示の検討を行っております。都議会の議事録、都民の意見、要望につきましては、専門部会に報告しております。
 館におきましても、平成十年三月に、常設展示のあり方検討委員会を設置いたしまして、常設展全体としての体系的で詳細な検討を開始しております。十一年四月には、常設展リニューアル委員会に衣がえいたしまして、展示室へのアプローチ、各ブロックの展示等の考え方の検討を進めております。
 今後は、今年度中に策定するリニューアル計画の考え方に沿いまして、これまでの都議会や都民の意見を踏まえまして、可能なものから順次展示がえを進めていく考えでございます。

○土屋委員 最初の前段のはほとんどいいわけなんです。最後のところが肝心で、実はこれは間違いがあってはいけないのではっきりいうけれども、平成十年の七月三日に、副館長の岡部さんから僕のところにファクスが来ているのです。江戸東京博物館の運営委員会において十分内容についても検討するという返答が来ている。あんまり細かいことをいいたくないんだけれども、あり方検討委員会と江戸東京博物館運営委員会と二つあるよね。あり方検討委員会は、中にいる職員、都の派遣職員も二十三名か二十四名いるんでしょう。こういう人たちが――そこにも我々の税金が使われているんだけれども、そこでかなりの日数ずっと検討してきた。
 じゃ、江戸東京博物館運営委員会の委員は何名で、日当はいくら払っているんですか。

○松岡コミュニティ文化部長 江戸東京博物館の運営委員会の委員でございますが、委員の数は、今現在でございますが、十四名でございます。それから、一回当たりの委員報酬でございますが、委員会開催ごとに一人二万二千円ということでお支払いをしてございます。

○土屋委員 だから、こういうことなんだ。結局、そういう委員会をつくって、二万幾らのお金を払っているけれども、都議会からも一般市民からもかなりの批判があったにもかかわらず、平成十年に指摘があった――今平成十一年でしょう。この間ほっぽり放し。一体何やっていたの。
 きょうはもう時間がないから、余りその問題については突き詰めないけれども、いいですか、リニューアルをするといったら、したらいいですよ。そこにまた莫大な金がかかるんだろうけれども、歴史観というのは幾つかあるんですよ。自由主義史観とか、大東亜戦争肯定史観、それから十五年戦争。個人個人が、さっきの男女の話じゃないけど、どんな主義主張でもいいんだよ。だけど、行政が税金を使ってやるときには、一定の偏った歴史観を子どもたちに教えないでほしい。あなたたちがその展示を触らない間に、子どもたちは何万人も見に来ているんだから。知らない子どもたちは、東洋モスリン事件、小林多喜二、「蟹工船」、何て暗いんだ。保田与重郎は一体どうしたんだよ。その当時の日本の青年たちというのは、保田与重郎の本を読んだり、倉田百三の本を読んで、それで青春を謳歌したんだよ。そんなことを一つも書いていない。もう日本共産党のやり方と同じなんだよ。思想を統制するのは、共産党がやるのなら自由なんだけど、行政は、そろそろ、知事がまともな知事にかわったんだから、少し歴史観をしっかり変えた方がいいよ。
 それで、あなたたちは、全部、審議会、審議会というんだよ。そういうことで逃げるんだけど、梅津氏は、平成十年の四月十七日の決算特別委員会で、いわゆる常設展示の内容については、最終的には都が責任を持つんだと。確かに常設展示に関する業務については委託をしておりますけれども、内容については、一義的には受託業者である財団が責任を持つ、ただし、最終責任は、委託者であります東京都が持つ、そういったじゃないですか。それに対して意見というか、感想を述べてください。

○松岡コミュニティ文化部長 展示につきましては、ただいま土屋先生のご指摘のとおり、展示内容につきましては、一義的には受託者である財団が責任を持つ、最終的には委託者である東京都が責任を持つということで、私どもが最終責任があると考えています。

○土屋委員 そういうことでしょう。だから、特定の歴史観に偏った展示はだめだということなんです。
 それで、さっきちょっと聞き忘れたので、悪いけど女性財団に戻らせてもらいたいんだけれども、一つだけ。これで終わります。
 実は、さっき助成金という話が出ましたね。僕は、いろんな団体に行政が助成をするというのはすごくいいことだと思うけれども、女性財団がかつて、ICJ国際セミナー、戦時奴隷制、日本軍「慰安婦」・強制労働をめぐって、日本の戦争責任資料センターという団体が主催する会に三百万出していますよね。

○高西女性青少年部長 平成七年度に、女性財団の活動助成費の一部といたしまして、ICJ国際セミナーに三百万円の助成をしております。

○土屋委員 それはどういう観点から――さっきの共産党の大山副委員長の質問で、いわゆる援助というか、基準があったよね。そうすると、この基準に合っているのかなと思うんだけど、例えば、慰安婦問題の歴史と現状をめぐって、それから、天皇制と戦時奴隷制とか、朝鮮植民地支配、強制連行。それで、ほとんどが北朝鮮の高麗大学の教授とか、すごいんだよ。だから、特定の考えを持った人が多いんだろうけど、別にこういう団体があってはいけないと私は思わないけれども、さっきの基準にこれが入っているとなると、相当すそ野が広がっちゃうんじゃないですか。

○高西女性青少年部長 活動助成に当たりましては、財団法人東京女性財団の方で助成審査会を設置いたしまして、自主活動助成実施要綱に基づきまして審査が行われ、その報告に基づき適正な助成がなされたものと理解しております。
 お話しのICJのセミナーにつきましても、その活動目的といたしまして、女性問題の解決を図るための普及啓発事業の一環として従軍慰安婦等をとらえ、助成をしたものというふうに聞いております。

○土屋委員 僕は銅谷さんというそのときの女性部長に聞いたんだけど、たしか記憶によると、正確じゃないけど、総事業費四百五十万のうち三百万を東京都が助成しておいて、じゃ報告を受けたんですかといったら、二枚か三枚の報告書でおしまい。現場で何をやっているか全然わからない。で、行われているのが、北朝鮮の学者を中心とした――じゃ、皇室と戦時奴隷制が何か関係があるんですか。そういうところが、いや、それは基準に合っていますということになれば、東京都の女性財団のやる助成が、これからはすそ野がどんどんどんどん広がって、極めて反日的な運動を政治的な目標とする団体にも助成をするという危惧を僕は持つね。
 助成金が三分の一になったとか二分の一になったとか、いろいろあるけれども、それは率を上げるのは僕も賛成だけれども、やるんだったら、適正に、まじめに、男女平等のことに関してやっている団体に助成をするのは賛成ですけれども、こういう特殊な、何か日本の戦争責任を追及するような団体にまで女性財団が補助対象とみなしているというのは、極めて問題な発言だと思うけどね。

○高西女性青少年部長 民間団体等の活動の助成に当たりましては、要綱等によりまして適切な運営に努めてきたところではございますが、都議会のご意見等を踏まえまして、なお一層、公平、公正な運営を行うよう財団を指導してまいりたいというふうに考えてございます。

○土屋委員 そろそろ質問を終わりますけれども、財団を指導するというと、何か第三者的なんだよね。そうではないじゃない。全額税金で運営されているんだ。ですから、私の支援者の中でも、シングルマザーの人もいるし、この前も陳情に来て、生活が大変だ、だけど、まじめに国民健康保険も納めている。一方でそういっておいて、一方で、同じ東京都の懐、同じだから、その予算の中で、こんなわけのわからない団体に三百万も金出しておいて、やっている内容を見たこともない。もう済んじゃったことは仕方ないかもしれないけれども、今後、女性財団のあり方について、石原知事とよく相談してくださいよ。
 それで、この助成のあり方についても、助成をするということについては、大山副委員長がいわれたとおり、僕は賛成なんですよ。お金がないんだから、補助率も高めた方がいい。だけど、もし仮に助成をするんだったら、きちっと書類をとって、現場を見て、それで報告書をもらって、不適切なら返してもらえばいい。
 悪いけど、あと一言だけいわせてもらいたいのは、生活文化局は前歴があるんだよ。東京都高校生平和の日の集いというところに後援名義を出していたじゃない。あれを僕はインターネットで検索したら、日本共産党民青が、ずっとたどっていったら、何だこんなことがある。そこにノーチェックで後援名義を出していたんだよ。彼らはそれを宣伝していた。そういうことがあるんですよ。
 だから、平和とか民主主義とか、それから、いわゆる男女平等というのは、そういう特定の勢力に利用されやすい項目なんです。だから、あなたたちは税金の番人なんだから、それが適正に使われる、みんなが納得できるような税金の使われ方をしなきゃだめですよ。じゃなかったら、生活文化局なんか要らないよ。個人の夫婦のあり方、家庭のあり方とか、平和はこう考えなきゃいけないなんということを皆さんに教えられるほどIQは低くないもの。
 ですから、局長答弁は形式的な答弁しかないんだろうから、それは必要ないんで、生活文化局の助成のあり方、それから、ジェンダーフリーの考え方、これを、しつこいようだけど、知事が変わったんだから、青島じゃないんだから、だから、やっぱり行政は知事の政策を実現することが第一の目的だと僕は思うから、ぜひそれはしっかり受けとめてやってください。これは意見です。

○大河原委員 知事が変わっても、行政できちんと継続してやらなければならないことはございます。その中で、生活文化局が一番大きく取り上げて、一番都民の生活に密着しているのは消費者行政だというふうに私は思っておりますけれども、過去三年間の消費者行政予算と相談件数の推移をまず伺います。
 そしてまた、平成十年度において、消費者相談事業の内容、それから実績についてもお答えください。

○早川消費生活部長 過去三年の消費生活対策費及び消費生活センター費の予算の合計でございますが、平成八年度が四十五億一千六百万余円、平成九年度が三十五億一千五百万余円、平成十年度が三十億九千三百万余円でございます。
 そして、東京都消費生活総合センターへの相談件数でございますが、平成八年度が三万一千六百四十三件、九年度が三万五百四十八件、十年度が三万百四十四件と、ここ数年間は三万件台で推移しております。
 また、平成十年度の相談を商品、サービス別に見ますと、パソコンの購入に関連する相談や外国語会話教室に関する相談がふえておりまして、また、相談内容別に見ますと、契約に関する相談が最も多く、六七・八%を占めております。

○大河原委員 平成八年度に四十五億円あった予算が、平成十年度には三十億円まで減っているわけで、予算も大変に減っています。しかし、相談件数は三万件台で推移しているというわけですけれども、これを市町村レベルで見ますと、区市町村では相談件数が平成八年度で五万一千八百十六件、そして十年度には五万七千四百四十件にまでふえています。平成四年度からずっと資料をいただきましたが、これは毎年毎年着実に相談件数はふえ続けているわけです。そして、今お答えいただきましたように、その相談内容についても、契約に対する相談が多いというふうなお答えです。
 大分複雑になってきているというふうに思っておりますが、バブルがはじける中で、消費者被害、どのようなケースが目立っているのでしょうか。

○早川消費生活部長 就職に有利です等のセールストークを用いての電話勧誘による各種資格取得講座の契約に関する相談がふえております。また、いわゆるダイヤル2Qなど電話による各種の情報サービスに関する相談なども増加いたしております。

○大河原委員 電話を使っての勧誘というものは、本当に一対一になってしまうというところで、被害に遭っても、なかなかそれが表に出しにくいということもあると思うのです。そして、こういった消費者被害、契約というところでトラブルが続発してくるわけなんですけれども、昨年、愛染苑山久の問題というのが大変マスコミに取り上げられました。これはどのような事件であったか、まずご説明ください。

○早川消費生活部長 東京都消費生活総合センターに寄せられました相談の概要で見ますと、愛染苑山久は、着物のモニター等に応募してきた女性に対しまして、制服として必要などといって着物や宝石を売りつけ、ローン代金の返済に見合った額につきましては給料名目で支給するなどといって契約を結び、月々のローン代金に相当する金額は、昨年十月ころまでは同社から支給されていたようでございます。しかし、昨年末に同社の解散整理の通知が出されたため、多数の消費者が多額のローンの支払いを抱えるに至ったというものでございます。

○大河原委員 この山久の問題というのは、この会社の着物のモニターとか着物展示会のパートに応募してきた女性たちに、着物とか宝石をローンを組んで制服がわりに買ってくださいということで契約を結ばせてしまう。で、あげくの果てに会社が倒産して、その応募してきた方たちにはローンだけが残っていく。
 もちろん、気軽にローンを組んでしまう側にも問題があると思うのですけれども、この山久の経営破綻に伴って、消費者センターには一体どれくらいの相談が出てきたのでしょうか。そしてまた、消費者センターは、この問題に対してどのように対応されたのか、その点についてお伺いいたします。

○早川消費生活部長 東京都消費生活総合センターでは、愛染苑山久に関して、昨年十二月中に二百六十九件の相談を受け付けました。相談者に対しましては、販売会社や信販会社へ契約解除や支払い停止の通知を発送するよう助言いたしたところでございます。また、弁護士会との連携を図りまして、十二月中旬には被害者弁護団が結成されたところでございます。さらに、区市町村のセンターに対しましても、効果的な相談対応に必要な情報を随時提供してまいりました。今後とも、被害者弁護団や区市町村のセンターと連携をとりながら、適切に対応してまいりたいと存じます。

○大河原委員 十二月中に二百六十九件の相談があったということで、この内容、一人一人のローン額も一千万円を超える方まであるというようなことも聞きまして、大変驚きました。この会社が私が住んでおります区に本社があったり、それから、支店は神奈川県にもあるようなんですが、被害に遭われた方が広範な地域にわたっているということで、今、東京都の方はご報告のとおりなんですけれども、神奈川県の状況では、同じ十二月の末で約三百件の相談が寄せられているというふうに聞いております。両方合わせると、もう六百、七百という被害者が出ているわけなんですが、東京都の方は本当に機敏に動いていただいたようで、被害者弁護団の結成というのも昨年度中に行われているということで、神奈川県は、ちょっとここで申し上げるのは何ですが、同じ事件で一カ月もおくれてしまうという対応の遅さが問題になるかというふうに思います。
 さて、消費者保護基本法、これは三十年前にできたものですけれども、都道府県と区市町村のこうした消費者被害対策について役割分担をしているというふうに考えておりますが、消費者契約法の成立をにらみまして、実態として問題をどのようにとらえていくのか、その点について東京都はどのようにお考えでしょうか。

○早川消費生活部長 消費者保護基本法においては、区市町村は苦情処理のあっせん等を行い、都道府県は苦情の適切、迅速な処理に必要な施策を講ずること。また、同じく通達でございますけれども、都道府県は、区市町村段階であっせんすることが困難なもの等についてあっせんに努めるとともに、区市町村の体制整備について育成、指導に努めるものとするというふうに定めております。
 東京都におきましては、広域化、複雑化する消費生活相談に対しまして適切に対応するとともに、区市町村との情報のネットワークを図りまして、区市町村が行う相談について弁護士等のアドバイザー制度の活用や、相談員研修会などの開催により支援を行っております。
 現在、国におきまして消費者契約法の制定が検討されておりまして、消費生活相談機能の重要性は今後ますます高まっていくものと考えられます。都といたしましては、都域全体の相談処理体制の充実強化を図るとともに、消費生活総合センターが持つ区市町村のセンター・オブ・センターズ機能をより一層強化するよう努めてまいりたいと存じます。

○大河原委員 東京都は、この消費者センター、平成九年に組織再編をして、本所、また四支所の再編をしたわけですけれども、消費生活総合センターと多摩消費生活センター、本当にセンター・オブ・センターという機能は、この大消費地東京と申し上げますが、日本の本当に中心となる消費地で、その役割は他県に比較できないほど私は大きいというふうに思っているのです。
 近年では多くの自治体で行革が進んでおりまして、消費者行政のところも、ご多分に漏れずリストラが進んでおります。消費者被害の傾向から、当然、相談機能の強化というのは求められます。先ほどから、契約や相談内容が複雑になってくるというところからは、相談員の専門性が問われるところですし、その力量を持った相談員を常に確保していくというところからも、財政的な支援もぜひ強化していかなきゃならないというふうに私は思うわけなんですけれども、既に消費者が保護される存在から、自分で自主的に学び、表示や情報提供などを確実なものとしていかなくてはならないというふうに思っています。
 その点では、NPOとの連携もまさに必要となっていくわけですけれども、東京都として、この消費者行政、どのように今後対応して進めていこうとしているのか、その点についてお答えください。

○早川消費生活部長 東京都は、これまでも、都民の消費生活の安定と向上のために、事業者に対しましては表示や取引行為の適正化のための規制、指導を行うとともに、消費者に対しましても消費者相談や消費者啓発などを行いまして、被害の救済と未然防止に努めてきたところでございます。
 今後、規制緩和がさらに進展する中で、消費者の自己責任がより求められることとなります。このため、国においては、現在、消費者契約法の制定について検討がなされているところでございます。
 都といたしましては、消費生活相談の充実強化に努めるとともに、消費者が主体的に消費行動ができるよう、幅広く市民、消費者団体等とも連携をとりながら、的確な情報提供や消費者啓発などを行い、消費者の自立支援等の充実に努めてまいりたいと存じます。

○大河原委員 消費者保護基本法ができて、先ほども三十年といいましたけれども、品質とか安全性とか、そういったものを相談するというようなところから、まさにことしは介護保険の導入もありますが、世の中全体が、消費の中でも契約といったものを中心の社会に変わっていこうとしているわけです。そして、先ほども、センター・オブ・センターの位置づけとしての都の消費生活総合センター、しかし、区市町村にそういった第一義の相談機能や苦情処理の機能が求められているといっても、区市町村の方も実はリストラが進んでいて、むしろそういった難しいことはできなくなっている。予算もどんどん減っているのが現状かというふうに思います。
 先ほど出ました神奈川県の場合も、予算を半分に減らしている。そんな中では、センター機能は、求められているんだけれども、充実が追いつかないという現実があるんじゃないでしょうか。消費生活センターというのは、裁判所の外にある身近な紛争処理の機関として非常に大きな役割を担っていると、ある弁護士さんがおっしゃっていましたけれども、本当にそのとおりだと思うのです。ぜひとも消費者行政、相談業務に関して、このセンターの役割は非常に重要ですので、今後とも積極的に進めていただきたいと思います。
 以上、終わります。

○山本委員長 そういう要望ですね。

○中嶋委員 二点質問をいたします。
 決算書を見ても、よく内容がわからない点ですが、国際協力事業について、たしか石原知事も、知事になった当初、都市外交なんてよく口にしていました。それから、グローバルプレイヤーだとかいろいろいっております。どうも最近は縮小、均衡的な議論ばっかりで、いわれない中であっても、この国際協力事業、しっかりやってもらいたいという意味で、平成十年度の具体的な実績をお教えいただきたいと思います。

○川島国際部長 東京都は、これまで、東京都の持つノウハウを活用しながら、開発途上国への技術協力等を行ってまいりました。
 ご質問の平成十年度の国際協力事業の実績でございますが、各局からの報告を踏まえますと、まず、職員の派遣でございますが、JICA等との連携によりまして、自動車排気ガス対策ですとか消防技術指導、下水の汚泥処理等の分野で技術指導を行っておりまして、東京都全体で二十九件、四十一人の職員を、中国、タイ、フィリピン、ベトナム等十一カ国に派遣したところでございます。
 また、受け入れでございますが、研修生という形での受け入れが多うございますが、水質汚濁対策ですとか救急医療、自動車整備等の分野で、タイ、中国、ブラジル、インドネシア、ベトナムなど、延べ三十九カ国から、東京都全体で約百五十四人ほどの研修生を受け入れているところでございます。

○中嶋委員 どれもなかなか意味のあるおもしろい仕事なんですが、財政状況が厳しい中にあって、今後はどんな方針で臨まれるのか。

○川島国際部長 ご指摘のように、東京都の財政状況は大変厳しいものがございますが、幸いにして東京都には、豊富な経験とノウハウと、それから豊富な経験を持った職員がたくさんおります。私どもは、今後とも、国際協力事業につきましては、国のODA資金ですとかNGOとの連携を図るなど工夫をいたしまして、関係局と協力をしながら、鋭意、国際協力事業の推進に努めていきたいというふうに考えております。

○中嶋委員 ご努力をぜひともお願いしたいと思います。
 二点目。過日、青少年問題協議会である資料が配られまして、前からわかっていたことですが、いささか驚きました。露骨な表現なんていういい方ではとても追いつかないようなすさまじい性描写、この場では表現できない本がコンビニで日常的に売られている。小学生、中学生、高校生が自由に買えてしまうという実態の報告がありました。
 検察庁からは――警察庁だったかな、実際補導された実例で、そういう本を見て、女性とはこういうものだと思い込んでしまったと。さっきジェンダーの議論がありましたけれども、これはそれ以前の極めて深刻な状況になりつつあるのではないかという気がいたします。
 そこで、東京都はいろいろな事業をやってまいりました。特に十年三月には、青少年の自立と社会活動のための行動プランまで策定して、特に性の問題に関するさまざまな事業に取り組んでこられたところであると思っていますが、十年度の実績、その結果の評価と総括があれば、お聞きしたいと思います。

○高西女性青少年部長 青少年の健全な性的判断能力の育成は、行政はもとより、家庭、学校、地域が一体となって取り組むことが必要であると考えております。
 このため、平成十年度におきましては、まず、小学校五年生の保護者向けに、子どもの性に関する教育の基礎的な知識などを掲載しました「見つめよう思春期の心とからだ」という冊子を作成し、都内の小学校を通じましてすべての対象保護者に配布したところでございます。
 また、高校二年生を対象に、性に関する正しい判断に役立つ情報などを盛り込んだガイドブックを検討いたしまして、平成十一年度に「ティーンズ・ノート」としまして発行し、すべての対象者に配布したところでございます。
 これらの冊子については、家庭で親子が性について話し合う機会づくりや、青少年自身の性的判断能力の育成に役立ったものと思われます。

○中嶋委員 行政的なご努力をしていらっしゃるんですが、こういうパンフレットとか環境づくりの努力をぶち壊すような、そういう種類の情報、それから雑誌、ビデオ、CD―ROMが出回っているんですね。この実態は直視せねばならぬと思います。
 そこでもう一つ、青少年健全育成条例がございます。ここで、露骨な性表現や暴力表現などの有害な環境から青少年を守る、こうなっているわけですが、この条例が規定している基本的な考え方を確認の意味でお答え願いたいと思います。

○高西女性青少年部長 青少年を取り巻く環境の中で、露骨な性表現や暴力表現を内容とする図書等が、青少年の健全な育成を阻害するおそれはございます。
 このような社会環境を改善するため、東京都青少年の健全な育成に関する条例では、一つ目としまして、大人社会の役割、責務、二つ目、関係業界の自主規制、三つ目といたしまして、行政による規制の三つを基本的な柱として規定しまして、これらを総合的に展開することによりまして、青少年の健全な育成を図ることとしております。

○中嶋委員 この三つ、大人の責任、それから業者の自主規制、それから行政の規制。ところが、同じ警察庁だったかな、取り締まった業者がみずから、これは表現の自由なんていうことで語られるべき事柄じゃないと、そういう雑誌を出している業者自身が認めているんですね。とてもじゃないけれども、これは単なる表現の自由の範疇に入るようなものじゃないということを、出している業者本人、つかまった業者本人が取り調べでしゃべっている。それほど中身がひどい。となると、三番目の行政の規制に踏み込まざるを得ないと思います。
 そこで、その規制の一つである不健全図書等の過去五年間の指定実績はどうなのか、それから、その指定についての考え方をお聞きしたいと思います。

○高西女性青少年部長 平成六年度から十年度までの五年間に、図書四百五十六冊、ビデオ百八十五本を不健全図書類として指定いたしました。年間平均では、図書九十二冊、ビデオ三十七本となります。
 指定に当たっての考え方でございますが、東京都青少年の健全な育成に関する条例では、「青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、またははなはだしく残虐性を助長し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの」を不健全図書類として指定することができると定めております。
 指定に当たりましては、売り場の状況や認定基準等を総合的に判断した上で、都議会の先生方を初めとする学識経験者等により構成されます青少年健全育成審議会等のご意見を伺いまして決定しているところでございます。

○中嶋委員 そうですね。著しく性的感情を刺激し、また残虐性を助長――だけれども、これは、私思うんですけれども、それどころじゃないんですね。小さな子どもたちの人間観を阻害してしまう、ゆがんだ人間観を植えつけてしまうというところまで行きつつあるおそれが現にあると思います。
 一番危ないのは、やはりコンビニエンスストア。もうすぐ手に入ります。このコンビニに関して、そろそろ具体的な規制、対策に取り組むべきだと思いますけれども、ご見解はいかがでしょうか。

○高西女性青少年部長 コンビニエンスストアに対しましては、毎月、不健全図書として指定した雑誌等の販売、陳列状況を立ち入り調査し、販売方法等について指導を行っております。
 また、コンビニエンスストア業界とは定期的に意見交換会を行いまして、青少年に有害な図書を販売しないよう要請を行うとともに、昨年の十一月には、区分陳列等の自主規制の徹底につきまして文書で要請を行ったところでございます。さらに、今後は、この要請への対応状況等についても調査を行うこととしております。
 また、最近の青少年にとって不健全な図書等が相当出回っているという状況につきましては、先生のご指摘のとおり、大変憂慮すべき事態だというふうに認識しております。
 今後とも、関係業界にさらなる自主規制の徹底を要請するとともに、都議会や都民、あるいは青少年問題協議会等のご意見も聞きながら、適切に対応していきたいというふうに考えております。

○中嶋委員 前にもいったことがありますが、質問というのは適切な対応の中身を聞いているのであって、答えで適切に対応しますといわれると困ってしまうんですけれども、ぜひとも適切に対応していっていただきたいと思います。
 よく、学識経験者とか専門家の方は、情報の選択能力を涵養することが大事だ、あるいは自立性を涵養することが大事だとおっしゃるんです。でも、事態に比べたら、これはきれいごと。情報の選択能力あるいは自主性が育つ前に、さまざまな情報でがたがたと社会観や人間観を壊されている実態が一部にあることは、これは客観的な事実です。
 であるならば、行政として、ナイーブな問題は含んでいても、どうしたら効果的な規制ができるか、ぜひとも検討していただきたいと思います。
 以上要望して、質問を終わります。

○山本委員長 活発なご意見がありましたけれども、ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 生活文化局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、生活文化局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で生活文化局関係を終わります。
 この際、議事の都合により、おおむね十分ほど休憩いたします。
   午後二時五十四分休憩

   午後三時七分開議

○山本委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 これより総務局関係に入ります。
 総務局関係の決算については既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○三宅総務部長 一月十九日開催の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元にお配りしてございます平成十年度各会計決算特別委員会要求資料をごらんください。
 表紙をおめくりいただき、目次をごらんいただきたいと存じます。資料は全部で九件ございます。
 一ページをお開きください。1、過去五年間における市町村振興交付金、調整交付金の推移でございます。
 市町村振興交付金は、市町村が行う公共施設の整備等に要する経費に対して、また、市町村調整交付金は、市町村が実施する各種施策に要する経常的経費に対して、それぞれ財源補完する制度でございます。
 それぞれの交付要綱で定めております事業区分別、配分項目別の交付金につきまして、平成六年度から平成十年度までの五年間の推移を百万円単位でお示ししてございます。
 二ページをごらんください。2、過去五年間における市町村別財政指標の推移でございます。
 これは、財政状況を示す指標である経常収支比率、公債費比率及び財政力指数につきまして、平成六年度から平成十年度までの五年間の推移を市町村別にお示ししたものでございます。
 三ページをごらんください。3、市町村受託消防の制度及び負担金の推移でございます。
 これは、昭和三十五年に多摩地域の市町村から消防事務を委託されてから現在までの受託経費の負担方式及び平成六年度から平成十年度までの負担金の推移をお示ししたものでございます。
 市町村受託消防の経費負担につきましては、受託市町村で構成しております三多摩地区消防運営協議会と都で毎年度協議し、決定しているところでございます。
 四ページをごらんください。4、都内私立高等学校における授業料減免制度の実施状況でございます。
 これは、都内の全日制私立高校における授業料減免の実施状況についての資料でございます。
 まず、(1)では、都の私立高等学校等特別奨学金補助事業の平成十年度実績につきましてお示ししてございます。
 (2)では、学校独自の授業料減免制度の平成十年度実績につきましてお示ししてございます。
 五ページをごらんください。5、都内の全日制私立高等学校における経済的理由による中途退学者数の推移でございます。
 これは、都内の全日制私立高等学校の生徒数、中途退学者総数、経済的理由による中途退学者数及びその割合について、平成六年度から平成十年度までの五年間の推移をお示ししたものでございます。
 六ページをごらんください。6、都内高等学校に通う生徒の保護者が負担する教育費でございます。
 これは、教育費の年間平均支出総額を、平成九年度、平成十年度、それぞれ私立高校、都立高校につきまして、各学年ごとにお示ししたものでございます。
 七ページをごらんください。7、私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助事業の実績推移でございます。
 これは、私立幼稚園等に通う園児の保護者への負担軽減補助事業における補助単価及び対象者数を、それぞれ生活保護世帯及び住民税非課税世帯、一般世帯につきまして、平成六年度から平成十年度までの五年間の推移をお示ししたものでございます。
 八ページをごらんください。8、都内公立、私立幼稚園の入園時納付金平均額の推移でございます。
 これは、入園時納付金を、保育料、入園料、施設費、その他に分けまして、私立幼稚園、公立幼稚園につきまして、それぞれ平成七年度から平成十一年度までの五年間の推移をお示ししたものでございます。
 なお、公立幼稚園における平成十一年度の数値につきましては、現在集計中でございます。
 九ページをごらんください。最後に、9、都内幼稚園類似施設の施設数及び在籍幼児数の推移でございます。
 これは、都内における幼稚園類似施設の数及び在籍幼児数につきまして、平成七年度から平成十一年度までの五年間における推移をお示ししたものでございます。
 以上、簡単でございますが、ご要求のあった資料につきましての説明を終わります。
 よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。

○倉林委員 時間の関係で一点に絞ってお伺いしたいと思いますが、平成十年度、総務局の一般会計決算説明書の歳出の六〇ページの区市町村振興基金についてお伺いいたしたいと思います。
 この振興基金は、ここにも書かれておりますけれども、区市町村の公共施設等の整備に要する財政需要に対して貸し付ける基金、いわゆる資金だというふうに書かれております。私もそう理解しておりますが、そこで、まず、この基金制度の目的、また貸し付けの内容、さらにまた現在この貸付利率がどのようになっているのか、まずお伺いします。

○松澤行政部長 区市町村振興基金につきましては、ただいま委員の方からお話ありましたように、区市町村の公共施設等の計画的な整備に対しまして、良質な資金を安定的に貸し付けることにより、区市町村の財政負担を緩和し、行政水準の向上と住民福祉の増進を図ることを目的とした制度でございます。
 この仕組みとしましては、毎年度、区市町村から返還される貸付金の元金それから利子を原資といたしまして貸付額を決定します。そして、地方債と同様の適債事業や、地方債の許可対象とならない用地費等を対象に貸し付けを行うものでございます。
 また、この振興基金の貸付利率についてでございますが、一般貸し付けが国の資金運用部資金の金利と同じでございまして、特別利率は、原則としてその二分の一ということになっております。
 現在の利率、二月現在でございますが、申し上げますと、一般貸し付けが二%、それから特別利率は一%、このようになっております。

○倉林委員 ただいま答弁がありましたように、区市町村振興基金は、とりわけ多摩の市町村にとっては、地方債に加え、さまざまな公共事業を行うために大変有利な条件で資金を調達できる制度ということであります。
 現在の低金利時代を反映して、借りる側にとってみれば時宜を得た制度だな、こう思うわけでありますけれども、また逆に、これを裏返しまして、返す側に立ってみますと、過去の高金利時代に借り入れた資金を毎年返済しており、その負担に苦慮しているという団体も多いわけではないかと思います。実際、市長会や町村会からも、振興基金について負担軽減の強い要望がなされているとも私も聞いております。
 そこでお伺いしておきたいと思いますけれども、市町村の基金の貸付残高はどのぐらいあるのか、また、そのうち、高金利時代に貸し付けられた資金はどのぐらいの割合になっているのかをお伺いいたします。

○松澤行政部長 振興基金の貸付金の残高と、利率の高い貸し付けについてのお尋ねでございますが、平成十年度末現在で申し上げますと、市町村の貸付金の残高は二千二百三十七億九千百万円となっております。
 このうち、現時点から見て高金利ともいうべき六%以上の貸付金の残高が百七十八億六千四百万円でございまして、全体の約八%を占めております。さらに、七%以上の貸付金では三十八億五千九百万円ということで、全体の一・七%を占める、こういった状況となってございます。

○倉林委員 ただいまの答弁によりますと、六%以上の高金利を払っている貸付金が、貸付残高の約八%、金額では約百八十億ぐらいある、こういうことであります。また、七%以上の貸付残高もあるということですけれども、この低金利時代にはちょっと考えられない高いものだなというふうに思うわけであります。
 いずれにしてもかなりの金額であるということがわかりましたが、このような高金利の返済は、現在、各市の財政状況を考えると、かなりの市町村の財政負担であると思うわけでありますけれども、このような中で、東京都は今までに、この振興基金についてどのような財政負担の緩和や軽減策を行ってきたのかを伺っておきたいと思います。

○松澤行政部長 振興基金における市町村の財政負担の緩和のための方策についてのお尋ねでございますが、都といたしましては、これまで、市町村が抱える振興基金の公債費負担を軽減するため、利率の高いものについては、市町村からの繰り上げ償還を積極的に受け入れるとともに、全額を返せない団体についても、部分的な繰り上げ償還に応じてきたところでございます。
 また、この区市町村振興基金の制度の中で、財政力の弱い団体に対する財政負担の軽減や、それから防災等緊急度の高い事業の促進などを図るため、低利貸し付けとして、通常の利率の二分の一の特別利率を設け、貸し付けを行っているところでございます。

○倉林委員 繰り上げ償還や低利の枠を設けるなどして、都としては、財政負担の方策をとってきたということはよくわかりました。
 一方、市町村は、資金調達の方法として、この振興基金と同じように、いわゆる政府資金である地方債を借りているわけですけれども、地方債は、高金利負担を軽減するための制度は現在どうなっているのかということを伺っておきます。
 また、国の方では、繰り上げ償還や借りかえ等は認めているんでしょうか、それについても伺っておきます。

○松澤行政部長 政府資金に係る地方債の繰り上げ償還や借りかえについてのお尋ねでございますが、国の方では、いわゆる郵便貯金などを原資とするこの資金運用部資金については、貸付金利と預託金利を同一とし、収支が均衡するよう運用しているところから、政府資金の繰り上げ償還や借りかえについては、原則として認めておりません。
 しかしながら、地方財政の悪化に歯どめをかける方策の一つとして、特例的にですが、平成十一年度限りの繰り上げ償還だけを認めたところでございます。
 その場合、その対象団体は、起債制限比率の平成七年度から平成九年度の三カ年の平均が一五%以上の団体でございますが、この繰り上げ償還を行った場合、原則として、政府資金の新規貸し付けを三年間受けられないという厳しい条件もつけているところでございます。

○倉林委員 そうしますと、ただいまの答弁では、国は、政府資金の地方債の繰り上げ償還や借りかえは原則的には認めていないということでありますが、その意味では、東京都は、既に基金の繰り上げ償還を認めているという点では、評価をすべきだというふうに思います。
 しかし、繰り上げ償還を行うためには、一般財源等からそのための資金を捻出する必要があるなど、現在の市町村の財政状況では、一括で返済することはなかなか困難ではないか、こう思うわけであります。
 そこで、市町村財政の健全化を図る観点から、より一層、市町村にとっての金利負担の軽減策、例えば、貸し付け残額分のうち高利率分について、利子の軽減を行うなどの積極的な方策がとれないのかということを、この決算を通してどのように今まで検討されてきたのか、ちょっと伺っておきます。

○松澤行政部長 振興基金の市町村の金利負担軽減策についてのお尋ねでございますが、市町村振興基金は、先ほど申し上げましたとおり、市町村から返還される貸付金の元金及び利子を原資として運用しておりまして、途中で借りかえなどを認めることになりますと、その分だけ、他団体への貸付額が減少するなど、貸付枠の確保を図る観点から難しい課題がございまして、これまで種々研究を重ねてきたところでございます。
 一方、都内の市町村の財政状況は、長引く景気低迷の影響などを強く受けまして、税収が低迷する中で、とりわけ公債費など経常経費が増加しており、一段と厳しさを増しているところでございます。
 こうしたことから、市町村財政の健全化を図る一環として、この市町村振興基金については、今後、市町村の財政状況や貸付金利の状況などを見極めながら、ご指摘のように、貸付残高にかかわる利子の軽減策について具体的に検討してまいりたい、このように考えております。

○倉林委員 具体的な検討の中身についてちょっと触れたいという思い、感じもあるわけですけれども、特に貸付残高に係る利子の軽減について具体的に検討してまいる、こういうお話でありましたが、決算の質疑でありますから、これ以上はやめますけれども、現在の市町村の財政状況を踏まえながら、また市町村の財政の健全化のためにも、基金の金利負担の軽減策についてぜひ前向きに検討していただきたいということをお願いいたしたいのと同時に、また、軽減策の検討がある程度進んできたときには、また別の角度で再度質問をしたい、こう思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○小松委員 私立幼稚園等園児の保護者負担軽減補助事業について、何点か伺います。
 今、就学前の幼稚園は、昔と違いまして、ほとんどの家庭で、たとえ生活が苦しくても、母親が働いていなければ、幼稚園に行かないと友だちもできない。それも最近は、三歳児からの通園が普通になっており、したがいまして、大切な教育の一環になってきております。
 その中で、これから質問させていただきます私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助事業は大変大きな役割を果たしているといえると思うのですが、この事業の目的、対象の範囲を伺うものです。

○幸田学事部長 お尋ねでございます私立幼稚園等の園児保護者負担軽減補助事業は、私立幼稚園及び私立幼稚園類似施設に在籍する幼児の保護者に対しまして、区市町村が行う保護者負担軽減事業にかかわる経費の一部を補助する事業でございます。
 対象者は、生活保護世帯、住民税非課税等世帯及び住民税額が一定基準以下の世帯でございます。

○小松委員 対象者は、生活保護世帯、住民税非課税等世帯及び住民税額が一定基準以下の世帯である、こういうようなご答弁でございますが、もうご案内のように、九五年までは所得税の制限はなかったはずです。九六年度から対象者に所得制限の導入を図ったわけですが、そのことによりまして対象者も減らされている。この概要、対象減について伺うものです。

○幸田学事部長 平成八年度に幼稚園補助に関します総合的な見直しを行いました。これは、幼稚園経常費補助に標準的運営費方式を導入することとあわせまして、園児保護者負担軽減補助事業に所得制限を導入いたしたものでございます。
 また、この所得制限の導入とあわせまして、それまで単一でございました支給区分を二区分にいたしまして、生活保護、住民税非課税等の世帯につきましては、補助単価の増額を行ったところでございます。
 なお、所得制限の導入につきましては、三カ年の激変緩和措置を設けまして、平成八年度は保護者のおおむね五分の四、九年度にはおおむね四分の三、十年度にはおおむね三分の二を対象にするということにしてございます。

○小松委員 すなわち三分の一の方々が対象者から外れているということで、これは大変なことです。まして、小中学校と違いまして、公立幼稚園に行きたくても、公立が圧倒的に少ないわけですから。
 そこで伺うわけですが、現在、都内にある幼稚園について、公立と私立の割合、どのようになっておりますでしょうか。また、区部と市町村部でのそれぞれの割合について伺います。

○幸田学事部長 平成十一年度の学校基本調査によりますと、都内の私立幼稚園の数は九百二十三園、公立幼稚園の数は二百五十七園でございまして、私立幼稚園の占める割合は約七八%となってございます。
 また、区部につきましては、私立幼稚園が六百十二園、公立幼稚園が二百三十七園でございまして、私立幼稚園の占める割合は約七二%、市町村部につきましては、私立幼稚園が三百十一園、公立幼稚園が二十園でございまして、私立幼稚園の占める割合は約九四%となってございます。

○小松委員 お答えのように、多摩では、ほとんどの幼児が私立幼稚園に通わなければならない。そして、この私立幼稚園の父母負担が大変大きいというわけでございます。
 いただきました資料でも明らかなように、私立幼稚園の入園時の納付金、初年度の納付金ですね、これが平均では、九八年度で見ましても三十九万七千三百円余、四十万円弱であるわけで、同年度の公立七万二千余円の五・五倍にもなるわけです。
 幼稚園児の父母といえば、大半が二十代の後半から三十代ぐらいでしょうか、収入面から見ましても、共働きの少ない幼稚園児の保護者の方々にとっても大変厳しいものではないでしょうか。
 そういう意味からも、この園児保護者負担軽減事業が非常に大きな役割を果たしているわけですが、所得制限の導入で、先ほど、三分の一の人たちが補助が受けられなくなったと。このような所得制限は撤廃すべきと考えますが、所見を伺います。

○幸田学事部長 私立幼稚園等園児保護者負担軽減補助事業につきましては、昭和四十年代後半の幼児急増期におきまして、幼稚園に対します補助の代替措置として、保護者に一律に助成する制度として発足したものでございます。
 その後、幼稚園に対します補助制度を整備していく中で、平成八年度に経常費補助に標準的運営費方式を導入いたしまして、幼稚園に対します補助を充実させるとともに、保護者負担軽減補助につきまして、所得制限の導入並びに生活保護世帯等に対します補助の増額を行ったものでございます。
 幼稚園経常費補助につきましては、その後も、毎年補助率をアップするなど充実を図っておりまして、教育条件の維持向上や保護者負担の軽減に資するものとなっているというふうに考えてございます。

○小松委員 保護者負担の軽減というのであるならば、まさに全保護者を対象にすべきではないでしょうか。事実、都が九六年度からの所得制限導入後も、ほとんどの区市町村で、各自治体独自の補助金を、住民税基準超過世帯にも上乗せさせることをし続けております。住民の実態を見るときに、区市町村が加算を継続せざるを得ないという状況があるわけでございます。ですから、この基本である東京都の所得制限を撤廃すべきだ、このことを強く要望いたします。
 ところで、この補助制度は、幼稚園類似施設に対しましても行っておりますが、この中身を聞かせていただきたいと思います。

○幸田学事部長 お尋ねの幼稚園類似施設は、施設などの面におきまして、国が定めます幼稚園としての基準を満たしていないため認可を受けることのできない無認可の幼児教育施設でございます。
 制度発足の経緯といたしましては、昭和四十年代後半の幼児急増期に、認可幼稚園の数が不足していたため、都独自に緊急避難的措置といたしまして、これらの施設を一定の条件のもとに幼稚園類似の幼児教育施設として認定したものでございます。
 なお、幼稚園類似施設は、認可された幼稚園ではございませんために、経常費補助等の対象にはなりませんが、保護者負担軽減補助につきましては、認可幼稚園と同様に対象といたしております。

○小松委員 保護者負担軽減補助については、認可保育園と同様に対象となっているわけで、今後も、この類似施設に対する保護者負担軽減補助の灯を消すことのないよう続けていただきたいと思うわけです。
 ところで、類似施設であれば、保護者負担軽減補助は受けられるということのお話でしたが、この類似施設としての認定すら受けていない無認可の幼児教育施設がありますが、どうしてでしょうか。なぜ新たに認定できないんでしょうか。

○幸田学事部長 幼稚園類似施設につきましては、昭和四十年代後半の幼児急増期に緊急避難的に設定した施設でございます。その後につきましては、幼児数の減少など、幼稚園をめぐります状況が大きく変化していることから、新たな認定は行っておりません。

○小松委員 新たに認定を行っていないんですね。でも、実態を見ますと、その多くは、団地の集会所やプレハブ、こうしたものを使って幼児教育を行っている幼児教室と呼ばれるものがほとんどだと思います。
 この制度のできる以前から、都内に、特に三多摩に多く散在しておりますが、この施設こそ、施設そのものにどこからも何の補助もなく、保育者と父母の自主運営で運営されておりますので、財政的には大変厳しい。ぜひ類似施設としての認定をして、財政的援助をすべきと思いますが、なぜできないのでしょうか。
 この幼児教室に、法人の私立幼稚園と同等とまでいわないまでも、法人に対しては経常費の補助など基幹的な補助もされているわけですが、そこまでいわないまでも、百歩譲っても、保護者を対象とするこの幼稚園児保護者負担軽減事業だけでも対象にすべきではないかと思いますが、新たに認定していただくことを再度求めます。

○幸田学事部長 幼稚園には、国の定めます幼稚園の設置基準がございまして、その基準に満たない幼児教育施設につきましては、法令上、行政の指導監督が及ばないわけでございます。したがいまして、私学助成の対象は、基本的には認可幼稚園のみとなってございます。
 現在認定いたしております幼稚園類似施設は、昭和四十八年当時、認可幼稚園の数が不足していたため、子どもさんたちが入園できず、無認可の施設に入らざるを得なかった幼児につきまして、その保護者に対します緊急避難的措置として認定をし、補助の対象といたしたものでございます。そのため、今後新たに類似施設として認めていくということは大変困難であるというふうに考えてございます。
 なお、類似施設の中には、幼稚園としての認可を希望しているところも一部ございますので、都といたしましても、相談等を通じましてこれらを支援していきたいと考えてございます。

○小松委員 確かに制度発足当時と比べますれば、幼児の数は減り続けているわけですが、だからこそ、幼児教室など自主運営の施設の幼児も減り、ますます厳しい財政を余儀なくされているわけです。
 そもそもこの事業は、若い保護者への支援策で始まったもので、今や都でも、少子化傾向の中で、少子化対策としての位置づけが必要になっているのではないでしょうか。
 少子化対策ということになれば福祉局の所管になることは承知しつつも、現に総務局で補助金を担当しているわけです。どの幼稚園に通園しようと、類似施設であろうと、幼児教室であろうと、子どもたちや保護者が財政的にも差別なく安心して通園できるこうした幼児教室も対象に加えて、所得制限撤廃をしたり、補助金引き上げなど、拡充策を強くこの際要望しておきたいと思います。
 大きな二点目は、調整交付金につきまして質問をさせていただきます。
 この調整交付金につきましては、今日まで、我が党議員団は、本会議、委員会などあらゆる機会に取り上げて拡充を求めてまいりましたが、きょうは、具体的な事例を示しまして質問させていただきます。
 例えば、私の地元の北多摩北部には六都科学館という、名前のとおり、科学のことは何でもわかるよというような、とても楽しい広域的文化施設がありますが、これを例にとって伺っていきます。
 この科学館は、東久留米、清瀬、東村山、小平、田無、保谷、この六市が一部事務組合を構成して運営しておりまして、地域住民だけにとどまることなく、広い地域から多くの利用者がありまして、また、科学教育の一環として、小中学校の校外学習の場としても利用されているわけでございます。
 そこで、まず、多摩六都科学館の入館者数、また六市の住民以外の入館者数はどうなのか、さらに、科学館を運営する経費はどのようになっているのか、また、科学館に対する六市の財政負担状況などについて、あわせてお伺いするものです。

○和田地域振興担当部長 多摩六都科学館の入館者数につきましては、平成十年度は十万三千三百二十二人となっております。それから、六市以外からの入館者数でございますけれども、市町村別の入館者数という数字は六都科学館では把握しておりませんので、ちなみに、小中学生の校外学習についての学校別の来館者数がございますので、それで申しますと、全体で一万一千六百二十人、そのうち約三割の三千四百七十八人が六市以外の地域からの入館者となっております。
 それから、科学館の管理運営経費でございますけれども、平成十年度決算で申し上げますと、六億一千百八万円となっております。これに伴います財源といたしましては、入場料収入が九千七十七万円、また科学館に対する六市の負担金は五億二千三十万円となっております。

○小松委員 今お答えいただきましたように、大変六市の負担が多くなっているわけでございます。本来、六都科学館、利用状況から見ましても、また設立の経緯からしましても、広域施設として都が運営すべきであると考えるわけでありますが、実際には六市で共同して運営しておる。その上また今のような大変な額を負担している。こうした広域施設、区部では都でほとんど運営しているということでございますから、今から都でといっても無理ならば、せめて六市に対する個別の補助制度をつくるべきであると思いますが、いかがでしょうか。

○和田地域振興担当部長 新しく個別の補助制度をつくるべきではないかというご質問でございますけれども、六都科学館につきましては、都は、建設に当たりまして、それまでの経緯を踏まえて、施設建設費について事業費の四分の三という極めて高率の補助を行うとともに、用地につきましても、振興基金の無利子や特別利率による貸し付けを行うなど、かなりの財政支援を行ってきたところでございます。
 設立後の管理運営費につきましては、入場料や六市からの負担金などで賄っていくことがいわば経営の基本であるというふうに考えておりまして、ご指摘のような新たな補助制度については、現在のところ考えてはおりません。

○小松委員 この構成六市のほとんど、いただきました資料から見ましても、例えば経常収支比率九〇%以上、この五年前と比べましても、それぞれの市がほとんど高くなっている。また、財政力指数も五年前よりみな下がっているということで、大変苦しい財政運営を強いられておりまして、科学館に対する財政負担が大変重荷になってきております。景気の先行きも大変不透明で、このままではこの有意義な施設、この存続が危うくなるおそれもあるのではないか、都がみずからやるどころか、個別の補助金制度もつくれないというのでは、余りにも無責任じゃないかと。
 それでは、こうした市に対しまして何らかの財政支援をしていくべきと考えますが、いかがでしょうか。

○和田地域振興担当部長 都としては、六都科学館に対し、直接の支援をするということになっておりませんけれども、一部事務組合の構成団体でございます六市に対しましては、調整交付金によりまして、団体の財政状況等を勘案しながら財政補完を行っているというところでございます。

○小松委員 そこで、実際に各市が六都科学館に出している負担金のうち、調整交付金が充当された額、この構成割合を教えていただきたいと思います。

○和田地域振興担当部長 調整交付金を市町村がどのような事業に充てるかということは、市町村の自主的な判断で行うべきものとなっております。
 お尋ねの、各市が調整交付金を六都科学館への負担金にどれだけ充当したかということにつきましては、六市からの報告によりますと、平成十年度決算では、充当額は、六市合計で八千百五十六万円、また、その構成割合は一五・七%となっております。

○小松委員 構成割合は一五・七%。大変割合が低いのは、各市への調整交付金の額そのものが低いことを反映しているものと思われます。
 そこで伺うわけですけれども、そもそも調整交付金とは、市町村と特別区との行政格差の解消を図ることではなかったのではないでしょうか。また、圏域行政の推進に寄与するものではなかったのではないでしょうか。その目的、役割についての基本的な認識をお伺いいたします。

○松澤行政部長 市町村調整交付金の目的、役割についてのお尋ねでございますが、ただいま委員からお話しございましたように、市町村間の教育、福祉等の行政水準の均衡、あるいは市町村と特別区との行政格差の是正を図ることを目指しまして、多摩、島しょ地域の市町村に対しまして、投資的事業以外の各施策に対する一般財源の不足を補完する、こういうものでございます。

○小松委員 多摩格差は全く解消されていない上に、市町村の財政状況は一段と厳しさを増しているわけです。市町村の財政状況、先ほど申し上げましたが、どのように認識しておられるのか、お伺いいたしたいと思います。

○松澤行政部長 多摩地域における市町村財政の現状についての認識というお尋ねでございますが、昨年発表しました平成十年度の都の市町村の普通会計決算では、戦後二度目の歳入歳出総額ともにマイナス、こういうような伸び率になってございます。
 また、財政の健全性を示す経常収支比率では、一般に八〇%程度が適正水準といわれている中で、市町村全体では、前年度の九〇・八から九二・二%と悪化するなど、市町村財政は都財政の状況と同様に全体的に厳しい状況になっている、このように認識しております。

○小松委員 ご答弁にあったとおり、市町村の財政運営、極めて厳しい局面に立たされておりまして、その中で調整交付金の重要性、ますます増してきているわけですが、にもかかわらず、毎年十億円ずつ減らされている。
 さらにさかのぼって調べてみますと、六十二年度がピークで百九十三億五千四百万、それから六年間でぴったり六十億の減額になっているわけです。毎年十億円ずつの減額、一体、この理由、算出根拠は何なのでしょうか、お伺いいたします。

○松澤行政部長 市町村調整交付金が毎年減額されていることについてのお尋ねでございますが、都財政は、ご案内のとおり、近年税収が低迷する中で極めて厳しい状況が続いておりまして、これに伴って、都の一般会計予算における一般歳出額についてもおおむね毎年減少を続けているところでございます。
 こうした状況の中で、市町村調整交付金につきましては、いわゆる府県財源を用いた任意の包括的な補助金であることなどから、都財政の状況などを十分踏まえながら、市町村の財政状況あるいは行政水準などを総合的に勘案して、その総額が毎年度決定されてきたところでございます。

○小松委員 今のご答弁は全く納得できないわけです。その時々の都財政の状況を踏まえてと、こういわれるわけですけれども、都財政の、市町村の財政状況、行政水準なども総合的に勘案しということをおっしゃっておりますが、これを踏まえて毎年十億円ずつ減らしていった、こんな理屈が成り立つでしょうか。このほかにこのようなやり方をしている支出項目、または、市町村に限らず、あらゆる補助金、交付金はあるでしょうか。全く理解に苦しむわけです。
 まして、この九八年度という年は、青島都政のもとで財政危機突破宣言をした年でもあります。この年も同じように十億円削減とは一体何なんでしょうか。再度伺うものです。

○松澤行政部長 ただいまも申し上げましたとおり、都財政は近年極めて厳しい状況に直面しており、これに伴いまして、都の歳出額も全体として減少が続いているわけでございます。
 それから、収入の大宗を占める都税収入については、ピーク時には四兆八千億円台まであったものが、来年度の税収見通しでは四兆円を割り込むような、こういう事態にもなっているところでございます。
 この市町村調整交付金については、総務局としては、これまでその確保に可能な限り努めてきておりますが、この総額については、こうした都財政の状況を踏まえながら、市町村の財政状況、行政水準を勘案しつつ措置されたことにより、こうしたことになってきたものと考えております。
 なお、若干つけ加えさせていただきますと、市町村の財政運営の安定化を図るため財源措置される一般財源的な地方交付税につきましては、平成六年度から十一年度の間に、多摩二十七市では、交付団体に異動した分を除いても百九十億ほど増加しております。

○小松委員 何回ご答弁いただいてもどうも納得できないわけで、これ以上お聞きしても同じだと思いますが、質疑を通しまして明らかになりましたように、この制度の目的、役割である市町村と特別区との行政格差の解消を図る、または市町村の行財政運営の健全性と効率性に資するためなどというこの目的と、今おっしゃった連続減額の実態とは全く相入れないものではないでしょうか。
 そもそもこの調整交付金は、主にソフト面に対する事業の補助金方式、これを、ひもつきでなく各自治体が自由に使えるように、その中で区部との格差是正、解消を目指す、こういうことで交付金方式にしたという経過があったのではないでしょうか。
 ですから、自由にといわれましても、多摩各市の充当項目、これは大体、常備消防とか、または上下水道とか、または広域行政圏事業、このように充てられているかとも思います。これら今挙げた事業は、区部ではまさしく大都市行政事務として、財調の財源のうちの五六%を使ってやっているわけです。
 多摩支援とおっしゃるなら、すなわち、本来の多摩格差是正とは、調整だけでなく、振興交付金も含めて、交付金の拡充と、広域行政には個別の補助金制度をつくるなど、めり張りをつけた行政水準引き上げ支援を求めるものですが、こうした多摩への財政支援拡充について最後に総務局長の決意を伺って、質問を終わりたいと思います。

○横山総務局長 市町村の財政支援についてでございますが、都としては、これまでも、市町村振興交付金であるとか、あるいは調整交付金を通じまして、市町村の行財政運営に対してできるだけの財政支援を行ってきたところでございます。
 現在、ご案内のとおり、都財政は極めて厳しい状況にございます。一方、市町村財政も同様に厳しい状況にあることは十分認識いたしております。市町村の財政運営に支障を来すことのないよう、今後とも、多摩、島しょ地域の発展のために総務局として可能な限り努力してまいる所存でございます。

○萩谷委員 三人続きまして同じ多摩格差の問題についてお伺いしたいと思います。内容は重複する点がありますので、簡単にお尋ねいたしますので、答弁も簡略にお願いしたいと思います。
 冒頭申し上げましたように、多摩地区の振興をどうするかという問題に絞って、まず、都市基盤整備の道路という問題一点に絞ってお伺いしたいと思いますが、いわゆる多摩全体の格差という問題については、それぞれどのようなご認識を持っていらっしゃるか、お尋ねします。

○和田地域振興担当部長 格差の問題につきましては、多摩地域の人口の急増であるとか、区部と比較しての制度の違いといった面から格差が生じたということにつきましては、認識をしておるところでございます。
 こういったさまざまな格差といわれる課題につきましては、市町村と協力しながら解決に向けて取り組んでまいりました。その結果、義務教育施設であるとか下水道の整備など、かなりの面で進展が見られたところでございます。
 しかしながら、都市基盤整備といった面など、まだまだおくれているという部分もございます。こういった面で、今後とも努力を続けていきたいというふうに考えております。

○萩谷委員 一言で申し上げますと、多摩格差の問題は、縮まるどころか広がった、これが現地の私どもの深刻な認識なんです。
 そこで、冒頭申し上げましたように、都市基盤整備、その中でも道路問題に絞ってお尋ねをしたいと思いますけれども、先ほどの質問の中に出てまいりましたが、いわゆる六市をくくった広域圏がありますね、多摩北部広域行政圏、この六市の中で、従来、よく見れば見るほどまとまった、東京都が積極的に打って出てこれをやったというのは、子ども科学館、これしかないんじゃないか、こういう認識を持っているんですけれども、まあそれは伺う予定でおりましたが、ほかの議員が伺いましたので、省略します。
 いわゆる六市の広域行政圏の中で、道路整備が現在どうなっているのか、具体的に区部二十三区と三多摩の市町村を比較してお願いしたいと思います。

○和田地域振興担当部長 道路の整備状況につきましては、都市計画道路の整備率で見ますと、平成十年度末現在、区部は五五・一%、多摩地域は四五・六%、お話しございました北多摩北部地域は二五・七%となってございます。

○萩谷委員 道路整備にこれは関連すると思いますけれども、いわゆる多摩地区は、東西のルートはややパーフェクトに近い状況で整備されました。問題は、南北の幹線が、正確な表現でいいますと皆無に等しいと。したがって、例えば交通のルートでいえば、皆さんのご努力のおかげで、南北十六キロにわたるモノレールがやっと二十六、七年ぶりに開通しました。これは、強いていえば一つの例にしかすぎません。
 そこで、ここで伺いたいことは、格差の象徴的な問題として、各鉄道の駅を中心に駅前広場、例えば、ひばりヶ丘、東久留米、久米川、田無、花小金井等々、まだいっぱいありますけれども、この駅前広場の整備も現在どうなっているのか、これは毎回毎回話題に供するわけですけれども、理由はいっぱい並べられるんですが、実行する歩みが全然見えてこない。したがって、現状の中で、今後の見通しを通して、十年度現在のを見てもこういう実態があるわけですから、今後どうなるのかという不安ばかりが先行して、中身がついてこないという問題があるものですから、よろしくお願いしたいと思います。

○和田地域振興担当部長 ご指摘の駅前広場の整備につきましては、駅前広場の整備というものは、いわばそれ自体が単独で事業として実施されるということよりも、実際には、駅への進入道路とか鉄道の連続立体交差化事業など、そういった事業とあわせて一体的に整備されることが多いということから、それらの事業がなかなか進捗しないということであると、駅前広場の整備も進まないという関係になってございます。

○萩谷委員 今のご答弁を伺っておりますと、道路のおくれが一〇ポイント、駅広等のおくれを見ると一四ポイント、非常に開きが大きいわけですけれども、この原因は一体何なんでしょうか。

○和田地域振興担当部長 先ほども申し上げましたが、駅前広場自身は、単独というよりも、ほかの事業との関連でなされることが多いということでございます。
 それと、あと、実際には、各駅ごとに事情がそれぞれございまして、例えば地権者との交渉がなかなか進まないということであるとか、必ずしも住民の大方の賛同が得られないといったようなさまざまな個別な理由もあるやに聞いております。

○萩谷委員 駅広の問題にしても、道路整備の状況にしても、それぞれごっつい原因があるということはわかりました。
 これからは、この道路整備という問題は、いわゆる私どもの日常生活に切り離せない密着した問題の一つですから、その整備については、これから一体どういうお考えでいくのか、今までありきたりの答弁をいただいておりますが、和田部長は非常に三多摩を愛する人だと伺っておりますので、真摯な態度でのご答弁を期待します。

○和田地域振興担当部長 道路整備につきましては、都市の骨格を形成する、例えば府中所沢線などの主要幹線五路線を初めとした幹線道路や、人々が安心して歩ける生活道路の整備など、極めて重要な課題であると考えてございます。
 都といたしましては、道路整備につきましては、現在、渋滞解消のための交差点すいすいプラン一〇〇を多摩地域を中心に進めるとともに、南北道路の整備や市町村に対する支援としての道路特別交付金等によりまして、鋭意道路整備に努めてきたところでございます。

○萩谷委員 これを最後にします。締めくくりで、局長、お願いします。
 今までの当たり前のやりとりの状況をお聞きになって、今後、こういう問題について具体的にどう取り組んでいこうという決意、お考えなのか、むしろ決意を伺いたいですね。

○横山総務局長 ただいまるるご質疑がございましたように、道路整備などの基盤整備を進めていくことは、多摩地域の発展であるとか住民生活の安全、利便性の向上のために大変大切なことであると認識いたしております。
 また、今後の多摩の振興というものを考えるときには、多摩というのは豊かな自然と活力を有していまして、大きな発展の可能性を秘めたすばらしい地域であると。ただ、その場合も、こういったような基本的な視点が必要であろうと思っております。
 昨年の第二回定例会での知事の施政方針の中でも、今後の多摩振興を考える視点としまして、多摩地域は区部とはまた違った独自性や個性を明確にした地域づくりが求められていること、また、多摩地域を大きな可能性を秘めた地域としてとらえまして、新たな視点に立った魅力ある地域づくりを進めていくこと、こういった表明をいたしております。
 このため、まず、三多摩格差八課題であるとか、その後の新たな行政課題を含めた多摩地域の現状分析をまず行いまして、その結果を踏まえて、多摩の将来像を明確にしていくことが喫緊の課題であると考えております。
 現在、多摩地域の現状分析を市町村と協力をしながら進めているところでございまして、こうした検討を鋭意進めまして、市町村との連携を十分とりながら、多摩地域の振興に全力を挙げてまいる所存でございます。

○大河原委員 私からは三点ほど伺わせていただきます。
 平成十年度に総務局には人権部が設置されております。この組織改編の経緯とその目的を伺います。
 また、今日、東京における人権問題をどのようにとらえていらっしゃるのか、その点についてもお答えください。

○田口人権部長 まず、人権部の設置の経緯と目的でございます。人権の世紀といわれる二十一世紀を控えまして、国連における人権教育のための国連十年の決議や、国の人権擁護施策推進法の制定など、人権をめぐる国内外の状況を踏まえまして、また、多様化する人権問題に的確に対応し、都民一人一人の人権が尊重される社会を実現するため、全庁を挙げて総合的に人権施策を推進する組織といたしまして、平成十年の七月十六日に、同和対策部を組織改正いたしまして、人権部が設置されております。
 次に、今日の東京における人権問題についてでございますが、東京においては、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題、アイヌの人々、外国人、HIV感染者など、人権教育のための国連十年に関する国内行動計画における重要課題のほか、性的マイノリティー等の人権問題や犯罪被害者等の人権問題など、さまざまな人権問題が存在していると認識しております。

○大河原委員 二十一世紀は人権の世紀といわれているということで、それに、翻って考えてみますと、二十世紀は、世界人権宣言から始まりまして、最後に出されているのは子どもの人権、権利の条約が国際条約として成立をしております。とりわけ子どもの人権に関しては、人権部としてどのように東京の子どもの現状をとらえ、認識しているのか、また、平成十年度から、このことについてはどのようなかかわりをとってきたのか、そのことについてお答えください。

○田口人権部長 東京都が昨年六月に実施いたしました人権に関する世論調査の結果によりますと、関心のある人権問題では、子どもの人権に関心があると答えられた方が六三%、また、現実の社会で子どもの人権侵害が存在すると思うと答えられた方が八七%となっております。
 さらに、子どもの人権が尊重されていないと思うものは特にどのような場合か、こういった問いに対しまして、友人などから仲間外れをされるなどいじめを受けること、これが五一%、大人が子どもに自分の考えを強制すること、これが四六%、頭髪の丸刈りや学校外での制服着用などを強要する校則、これが二七%、保護者による子どもへの体罰、二六%、教師による生徒への体罰、二五%などとなっております。
 このような調査結果を見ますと、東京の子どもの人権にかかわる問題には、子ども間の問題、大人の側の問題、校則の問題、保護者、教師による体罰の問題等々、幅広いものがあると受けとめております。
 人権部といたしましては、すべての人の人権が尊重される社会を目指して総合的に人権施策を推進しており、普及啓発活動を中心に取り組んでおります。今年度は、「みんなの人権」という冊子を作成したほか、人権週間の行事などで、女性、子ども、高齢者、障害者、同和問題などの人権について、広く都民の皆様に、人権問題を身近な問題としてとらえ、理解を深めていただくよう努めているところでございます。

○大河原委員 東京都の取り組みの中でも、こうした人権部がつくられて、東京では、複雑な人権問題、多様化しているというふうにいいたいと思いますが、女性の人権も、法律ができたから、変わったからということで直ちに獲得できるものではありません。
 そしてなお、子どもの場合はもっと、選挙権もなく、公に意見を表明する場もない中で、また親の保護のもとにあって、なかなか子ども自身の声を聞くという場面がないのが今の社会の現状かと思います。
 そんな中にあっても、東京都の中では、子どもの権利保障について、二十三期の東京都青少年問題協議会の答申が、子どもの権利条約をいかす東京プログラム、大変積極的な姿勢を見せているところを、私たちは、新しい時代を担っていく子どもたちを本当に伸び伸びと育てていくための基本になるものだというふうに考えております。
 東京都では、一昨年から、子どもの権利擁護を図るための委員会、そしてまた、その第三者的モデル機構としての電話相談や調査の部門もできておりますけれども、この昨年発足した子どもの人権擁護のための庁内での研究会に総務局も参加しているとお答えいただいております。この研究会に参加する総務局としてのねらい、これについてはいかがでしょうか。

○田口人権部長 子どもの権利条例研究会、権利条例はまだ仮称でございますけれども、この研究会は、子どもの権利保障、権利擁護を推進していくための条例のあり方を検討するため設置されております。福祉局の子ども家庭部長が座長となり、福祉局、生活文化局、教育庁の関係各課のほか、総務局人権部も構成員として参加しております。
 人権部といたしましては、人権施策にかかわる全庁的な動向を把握するとともに、総合的に人権施策を推進するという立場でかかわっているところでございます。

○大河原委員 スタートラインに立ったといっていいと思うんですけれども、子どもの人権をどのように大人が考えていくのか、子どもであった時代を私たちが今思い返しても、時代が余りにも急速に、そして大幅に変わってきたことをとらえていかなくてはなりません。
 子どもを考えるときに、過去の事例を引いて新しい方策を考えるというのは、とても現状では無理な話になってきています。子どもたちが、ほっとしたい、一番何を今望んでいるかというと、眠りたい、そういうような現状が東京の子どもたちの中にもあります。そんなことが子どもの権利なのか、そういうふうな、そんなの権利じゃないんじゃないかというふうな大人側からの声があるかもしれません。
 しかし、学校というシステムや、地域の中での子どもたちをとらえる大人の目が変わっていかない限り、そして、子どもたちが、自分たちが主張している意見をしっかりと大人がとらえる、そういった仕組みが仕組みとして整っていかないと、子どもたちの権利保障は実現されないと考えております。
 ぜひ、今の四局研究会で、福祉局、それから教育委員会、生活文化局、それぞれの所管、手足を持っている局がやっているわけですけれども、それぞれが専門分野としてきたところの、例えば福祉局だったら虐待問題には詳しいでしょう。しかし、教育庁のところで、いじめや体罰問題、子どもたちの時間がない問題、そういったこともあります。総合的に見られる立場にあるのは、私は、総務局、全体総合推進として責任がある局だなというふうに認識をしております。
 卑近な例ですけれども、例えば「みんなの人権」というパンフレットもお配りになっています。教育庁の方で子どもの権利条約のパンフレットをつくりましたけれども、これも、予算の関係もあり、既に打ち切られて、そのこと自体、子どもの権利自体について、子どもたちはもう言葉としても知らない、そういうふうな調査も出ております。
 ぜひとも、東京の人権問題にリーダーシップをとって進めていく人権部としての今後の積極的な取り組みをお願いして、質問を終わります。

○土屋委員 関連。
 ちょっと、答弁をよく気をつけなければいけないのは、例えば、アンケートで、人権抑圧の中で、学校の校則があったからといって、今、話を聞いていると、学校の校則が悪いようなことをいっているように聞こえるんだけれども、教育庁の見解とちょっと違うと思うよね。子どもの人権は守らなければいけないけれども、子どもの人権条約ができたいわゆる経過というのは、例えばインドなんかで、六歳、七歳ぐらいの子どもたちが、石材置き場で運ばされる、脊椎変形症になる、そういう子どもたちを救うというか、その子どもたちの人権を擁護するというのが人権条約のスタートなんです。
 所沢高校で例の問題が起きたときに、盛んに彼らがいっていたのは何かといったら、子どもの権利条約で、それから意見の発表権なんだと。社会はすべて規則があるし、権利と義務は一体なんだから、教育庁と全然反対のやつ――それは調査としてそういう結果は出たかもしれないけれども、眠たい子どもがいるというのは、眠たい大人だって今ここにもいっぱいいるじゃないですか。
 石原慎太郎が、石原さんが書いた本が幾つかあるんだ、教育に関して書いた本がたくさんあるけれども、やはり、たくましい子どもとか、社会に出れば競争というのが厳然としてあるわけですよ。今、小学校、中学校の……(「質問なんですか、それは」と呼ぶ者あり)意見発表です。基本的な基礎学力が随分低下している、高校中退者が――落ちている、そういう現状だってあるじゃないですか。
 だから、一面的に、学校の校則があるから、人権を抑圧するから校則がよくないんだというようなとらえ方をするような答弁は慎んでいただきたいと思う。

○山本委員長 これに対してどうですか、田口人権部長。

○田口人権部長 今の世論調査の結果について数字的なご報告をさせていただきました。
 その校則の中身として、今申し上げましたような頭髪の問題ですとか、あるいは校則の中身の中で、校外での着用の問題、こういったことが内容として出てきたわけでございます。
 今ご指摘のございましたように、校則そのものがいい悪いということではございませんので、その辺申し添えておきます。

○大河原委員 関連。
 今の二つの土屋理事のご意見がありましたけれども、かように子ども観は差があるわけです。子どもは今までどおり保護し、しつけ、勉強させる、教育するものという、そういう子ども観と、それから、それでやってきたけれども、立ち行かない。どうしてか。例えば、校則は子どもたち自身がつくったものではなくて――子どもたちがなぜ守れないか、自分たち自身でつくって守ろうよと決めたものなら、もっと守りやすいものができる、そういう発想が足りないんです。だから、上からの押しつけになる。
 大人は、親切心、子どもを守ろうという気持ちでやってきた。子どものためにと思ってやってきたことが、子どもたち自身にとってみたときに――それは最終的には同じ結論になるかもしれない。だけれども、子どもたち自身が考える力、問題解決をするという努力、そういったものを見つけるという立場がありません。
 ですから、私は、この子ども観、大きく今隔たりがございますので、ぜひ人権という大きなとらえ方をした上で四局の研究会も進めていただきたい。その立場からも、総合的な人権推進の立場の総務局としてその研究会に積極的にかかわっていただきたいと要望して、終わります。

○山本委員長 じゃ、まあそういうことで進めていただきましょう。

○植木委員 私は、私学助成について伺います。
 私立学校への経常費補助などの助成の切り下げの方向が九年度の財政健全化計画で打ち出されました。しかし、そこで打ち出された切り下げ方向は、議会の中での論議を通じて、都外生の補助の削減の問題や小中学校の教育補助の問題などについて、私学振興法の精神から見て、あるいは実態からも道理がないということがはっきりして、そのことは実施しないということで決着が既についてきたわけです。
 そうした論議を経て、なおかつ私学助成の見直しが行われてきたわけですが、その見直しの内容と影響額についてお示しいただきたいと思います。

○幸田学事部長 財政健全化計画に基づきます経常費の見直し項目といたしましては、まず共済負担金算入率の見直し、二点目が標準教職員数の調整、三点目が評価係数の調整でございます。いずれも、平成十年度から五カ年の経過措置となってございます。
 また、この見直しによる影響額は、五年間でおおむね九十七億円でございます。

○植木委員 そうした財政健全化計画で打ち出された見直しの方向性で削減の方向が明らかになって、毎年削減されるようになってきた。その後の減額状況は実際はどのぐらいになっているでしょうか。

○幸田学事部長 高等学校から幼稚園までの経常費補助の予算額は、平成八年度が一千二百二十九億円でございまして、九年度は約一千二百三十億円でほぼ横ばい、平成十年度は一千百九十二億円で、対前年比で三十八億円の減額、平成十一年度は一千百七十九億円で、対前年度で約十三億円の減額となってございます。

○植木委員 今示されたように、九年度から減額の方向が出されて、この二年間で既に五十一億円減額されてきた。本年度のことについては、これからといいますか、今、復活の、党からが出ていますから、直接的には質問しませんけれども、それにしても、今年度も含めれば百億を超すような減額に単年度でなってくる。そうしますと、単純に計算すると、生徒一人当たり二万円前後ともいわれているんですね。そういう意味で、非常に学校関係者は心配しているわけです。
 私立学校では、このような補助金の削減に加えて、少子化時代に突入して、生徒の減少の問題も、実際の収入問題とも絡めて大変大きな問題ですが、都内の私立学校の――今回、全部いっていると時間がありませんから、私立高校の生徒数の推移でその状況をお示しいただきたいと思います。

○幸田学事部長 学校基本調査で申し上げますと、都内の私立高等学校の生徒数は、平成八年度が約二十二万八千人、平成九年度が二十一万六千人、平成十年度は二十万八千人、平成十一年度は二十万四千人でございまして、この三年間に約二万四千人、率にいたしまして一〇・四%の減となってございます。

○植木委員 生徒数が一割ということは、収入がそれだけ減るということですが、それでは、生徒募集に当たって、初年度の納付金、生徒さんから徴収するわけですけれども、この初年度納付金の傾向は、この二、三年間でどういう状況になっているでしょうか。

○幸田学事部長 都内の全日制の私立高校の初年度納付金の推移でございますけれども、十一年度が合計で八十万二千四百六円、十二年度が八十万九千七百四十三円、値上げの間差が七千三百三十七円、〇・九%のアップ率となってございます。

○植木委員 十一年度のアップ率が出されたわけですけれども、入学予定者の学納金が十一年度上がったと。しかし、全体の傾向として、じゃ、ずっと値上げができるのかどうかという点で、実際の学校の学納金の状況について、つまり、値下げをしたのか、値上げしたのか、据え置きなのか、その辺についての傾向を示していただきたいと思います。

○幸田学事部長 全日制の学費の改定状況でございますけれども、ただいま十一年度、十二年度申し上げましたが、もう少し傾向ということで申し上げますと、七年度の入学時では、値上げ校が百四十二校、率にして六〇%、八年度が、値上げ校百二十二校、五二%、九年度が百十五校、四九%、十年度が百四十三校で六一%、こういう推移でございます。

○植木委員 今、受験の真っ最中なんですが、十二年度はどんな状況ですか。

○幸田学事部長 失礼いたしました。十二年度が、値上げ校が八十八校、三七%でございます。

○植木委員 つまり、学納金の状況は、ここのところへ来て急に逆転してきて、値上げしている方の率が減って、逆に据え置きや値下げの状況の方がふえてきている、こういうことだと思うんですね。
 つまり、今、私が質問したのは、一つは、やはり毎年の私学助成がずっと減額の状況になってきている。九年度、十年度を境にしてぐっと減ってきている。それから、入学者の生徒数も一割減ってきている。入学者数をふやそうとすれば、今日の経済状況の中で学費の納付金を上げることはできないで、逆に減額や据え置きをするという傾向にある、こういう二重三重の状況に直面している、こういうことだと思うんですね。
 こういう影響は、現在の学校経営の実態についてどのような影響が出ると認識しているでしょうか。

○幸田学事部長 児童生徒の減少などによりまして、私立学校の経営が年々厳しいものになってきているということについては承知をいたしております。
 各学校法人におきましては、厳しい状況の中、大変な経営努力をされておられまして、教育条件の維持向上にも努力をされているというふうに聞いております。

○植木委員 経営努力というお話がありましたけれども、実際にどういう分野に影響が出ているかというのは、私立学校の財務状況を皆さん調査していると思うんですが、財務状況の傾向だとか、あるいは教育条件への影響、こういう点がもしわかったら、わからなければ結構でございますが、わかったらお示しいただきたいと思います。

○幸田学事部長 私立高等学校で、全日制で申し上げますと、財務状況を見るには、一つの指標がございます。都でいいますと歳入に当たります帰属収入、これは学校会計法上で帰属収入というふうに申します。それと、歳出に当たります消費収入というものがございます。
 このいわゆる収支係数でご説明をいたしますと、八年度が収支係数一二%、九年度が一〇・八%、マイナスの一・二%となってございます。十年度が現在集計中でございますので、この八年度、九年度の推移でお許しいただきたいと思います。

○山本委員長 ちょっと速記をとめてください。
   〔速記中止〕

○山本委員長 速記を戻してください。

○植木委員 今、財務状況の傾向が示されていましたけれども、さっきの三つの角度から、具体的にそういう財務状況が大変マイナスになってきていると。
 私も、幾つかの学校をお聞きしまして、私学の実際の状況はどうなっているんだろうかということを幾つか聞いてみたんですけれども、例えば、先生一人当たりの授業の持ち時間を多少減らさざるを得ないとか、あるいは困難な教室への教職員の配置をしたいけれども、なかなか配置できないとか、それから、新しい教育研修などはもうやれないとか、それから、専任の教職員が本当は理想的なんですけれども、講師をふやしたり、あるいは兼務をふやしたりしてやらざるを得ないという状況が出てきている。賃金カットの問題もある。それから、建てかえ費用などの積み立ても、余裕のある学校、ない学校、いろいろありますけれども、積み立ての額が減ってきたり、あるいはゼロになったりする学校も出てきたりしているということで、必ずしも経営状況というのはよくなっていない。
 それから、結局、私学振興法に基づいて教育条件の整備が求められて、そして私学助成を行ってきているわけだけれども、実際には赤字の学校が出始めてきているんですね。赤字だからといって、じゃ教育をストップするかというと、そうはいかないということで、学校によってさまざまありますけれども、非常に困難な状況になってきている、こういう状況だと思うんです。
 しかも、経常費の二分の一補助ということでやってきたんだけれども、その二分の一の補助の枠内でもいろいろ操作があって、少しずつ実際はパイが減ってきているわけですね。
 そういう意味で、私は、私学振興法の精神に基づいて、やはりこれ以上の削減というのは教育条件の悪化につながりかねないということで、削減すべきでないというふうに思うんですが、私学振興法の立場からどのようにお考えでしょうか。

○幸田学事部長 東京の教育におきまして私立学校が大変重要な役割を果たしていることは申し上げるまでもございません。また、私立学校の厳しい現状につきましても、十分に認識をいたしております。
 経常費補助は、ご案内のように、都の私学助成の中でも基幹的な補助でございまして、教育条件の維持向上、保護者負担の軽減、学校経営の健全化に大きな役割を果たしているものでございます。
 今後とも、私学助成の意義を十分踏まえまして、適切に対応してまいりたいと存じます。

○植木委員 ぜひ私学振興法の精神を名実ともに実行できるように、これ以上の削減は行わないという立場で臨んでいただきたいというふうに思うんですね。
 いずれにしても、私学の経営や、それから、何よりも教育条件、子どもたちに与える影響がこれ以上悪化しないようにしていくのが、皆さんの最も大事な仕事だというふうに思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
 もう一方、父母の側から見ますと、きょうも資料をいただいていますし、きょうの新聞等によりますと、失業率も最悪を更新して四・七%になってきている。経済的理由による退学者、あるいは授業料が途中でおくれるということも出てきている。
 そういう意味で、父母負担の軽減措置の問題というのは非常に大事になってきていると思うんですけれども、たしか十年度で、家計急変の事態についてぜひ対応してほしいという要望を私ども繰り返し提案をして、ようやく十一年度に家計急変についての東京都の独自補助が実現したわけですが、資料をいただきましたのを見ますと、この家計状況の急変、当初もうちょっと予測というのがあったんですが、少なかったと。よく見てみますと、実施学校も少ない。まあ導入したばかりですから、十分徹底し切れない、家族の方々にも届き切れないという面もあるんですが、実施も少ない、こういう状況だと思うんですね。
 そういう意味で、全部の学校でこの制度を活用できるような状況が一番望ましいと思うんですけれども、それがなぜこういう状況になっておられるのかなと。全部の生徒が利用できるようにしていただきたいと思いますけれども、その辺の実態はどうでしょうか。おわかりでしたら……。

○幸田学事部長 経常費補助の中に、特別補助の一つといたしまして、今お話しのとおり、家計急変により学校が授業料を減免した場合に、その減免額の三分の二を補助する制度ということで、国に先駆けまして、平成十一年度から導入したところでございます。
 ご案内のように、学校の補助につきましては、前年の実績に応じまして都として補助をする、こういう制度になってございます。そういう意味では、今、委員のご指摘のように、十年度中の家計急変に対しまして、学校側が独自におやりになった部分のみ十一年度の対象になるということでございます。
 私どもといたしましては、今年度につきましては、既に、この制度について十分な説明会を用意いたしまして、その説明会の中でお話を申し上げてきておりますので、今年度の家計急変に当たります生徒さん等々につきましては、十分な対応ができようというふうに考えてございます。

○植木委員 ぜひ実態も把握していただきたいんですが、私が幾つか聞いたところでは、家計急変になっても、なかなか学校によっては十分この制度が実施されていないので、中退に至らなくても、授業料滞納が始まる。先生は、状況を調べたりして、何とか学費納入してほしい、こういうことなんだけれども、実際におくれてくると、例えば大学受験の書類が渡されないとか、あるいは卒業間際だと卒業式の書類が渡せないとかという事態も、若干ではあるけれども生じてきているということで、ある学校の先生方は、PTAのお母さん方と協力して独自の助成制度を、学校がもしできなければということで、検討すらやっているところも出始めてきているんですね。
 それは正常ではないと思いますので、先ほど、説明会をやったというんですけれども、何がネックになっていて、どうすればそれが実現できるのかということを正確につかんでいただいて、よりこの制度が生き生きと活用できるようにぜひしていただきたいというふうに思うんです。それは、先ほど、やるというお話でしたので、具体的に詳細につかみながらやってほしいということをつけ加えたいというふうに思います。
 それから、特別奨学金などで保護者負担の軽減を図っておるわけですが、私学の方はそういうことでどんどん減ってきて、学校の方も経営努力もいろいろな限界が出てきているところもあるとすれば、やはり保護者負担の軽減補助について、保護者の経済負担が限界に来ている状況も部分的には出てきているわけですので、保護者負担の軽減について具体的に、より一層充実した形で制度を検討すべきではないかというふうに考えますが、この点についてはいかがでしょうか。

○幸田学事部長 私立学校にかかわります保護者負担の軽減につきましては、まず、私学助成の基幹的な補助でございます経常費補助で対応をまず第一義的にする。その補完といたしまして、保護者の所得状況を考慮いたしまして、一定の基準により経済的理由等で就学が困難な世帯に対しまして措置すべきものと考えてございます。
 現在、私立高等学校等特別奨学金補助につきましては、平均的な所得の都民が受給できますよう支給基準を設定しているほか、生活保護や住民税非課税の世帯に対しましては、一般世帯より補助額を増額するなど、きめ細やかな対応を行っているところでございます。
 今後も、これらの補助を通じまして、保護者負担の軽減に努めていきたいというふうに思います。

○植木委員 ぜひそういう新しい角度から検討をしていただきたい。
 きょうもらった資料で見ますと、この補助実績の中で、生活保護世帯百十八人、こういうふうになっているわけですが、実は私どものところにも、受けたいんだけれども、そういう生活保護を受けているとかということがわかっては困るので、どうしてもなかなかできないということが問い合わせなどでございます。
 制度の本来の仕組みをきちっと守ってすることが基本でありますから、当然、その制度の基本を守っていくわけですが、そういう家族からも、プライバシーを守っていくということをより充実してほしいということでの声があるわけです。
 そういうことに対して、プライバシーを守る工夫を検討することが重要だと思いますけれども、いかがでしょうか。

○幸田学事部長 現在、都内の私立高校の生徒さんに対します特別奨学金に関しましては、まず、学校が生徒さんに対しまして減免を行う、それに対しまして、都が学校に対して補助をするという学校補助という制度、仕組みになってございます。したがいまして、全く学校に知られずに補助をするというのは極めて困難でございますけれども、プライバシーに対する配慮ということで、この特別奨学金の申し込みの受け付けにつきましては、場所を当該学校以外に別途設けまして、一括して申請書が学校に行くなどの工夫をしているところでございます。
 また、説明会等におきましても、生徒さんに対します配慮ということで、プライバシーの保護について特段の配慮を求めているところでございますけれども、今後とも、このプライバシーにつきましては、一層の配慮をしてまいりたいと存じます。

○植木委員 私の質問は以上で終わりますけれども、いずれにしても、私学助成全体の中での問題点、そして父母との関係、ぜひ一層充実に努めていただきたいということを申し述べて、終わりにします。

○山本委員長 ほかに発言ございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 発言がなければ、お諮りいたします。
 総務局関係の決算に対する質疑は、これをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、総務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で総務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会といたします。
   午後四時五十分散会

ページ先頭に戻る

ページ先頭に戻る