各会計決算特別委員会速記録第六号

平成十二年一月二十八日(金曜日)
   午後一時四分開議
 出席委員 二十九名
委員長山本賢太郎君
副委員長服部ゆくお君
副委員長前島信次郎君
副委員長大山とも子君
理事木内 良明君
理事土屋たかゆき君
理事遠藤  衛君
理事小松 恭子君
理事立石 晴康君
中嶋 義雄君
吉住  弘君
中西 一善君
竹下 友康君
くぼた 光君
川井しげお君
藤田十四三君
大河原雅子君
田中 智子君
清水ひで子君
倉林 辰雄君
野田 和男君
林  知二君
大木田 守君
羽曽部 力君
藤川 隆則君
萩谷 勝彦君
田村 市郎君
佐藤 裕彦君
植木こうじ君

欠席委員 一名

 出席説明員
収用委員会事務局局長斉藤 好平君
次長長沼 友兄君
環境保全局局長齋藤 哲哉君
環境管理部長高橋 徳八君
環境影響評価担当部長長谷川 猛君
参事梶原 康二君
自然保護部長江渡順一郎君
大気保全部長松葉 邦雄君
参事吉野  昇君
水質保全部長岡田順一郎君
助成指導部長井出 勝也君
環境科学研究所次長萩本 秋彦君
財務局局長木内 征司君
技監佐藤 淳一君
経理部長立花 壯介君
契約調整担当部長福永 富夫君
主計部長成田  浩君
管財部長吉田 正明君
地域整備担当部長永坂 達夫君
用地部長橋本  剛君
庁舎管理部長中島  守君
営繕部長畑野 喜邦君
参事青木 治道君

本日の会議に付した事件
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定について
  収用委員会事務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  環境保全局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  財務局関係
  ・一般会計決算(質疑)
  ・用地会計決算(質疑)
  ・公債費会計決算(質疑)

○山本委員長 ただいまから平成十年度各会計決算特別委員会を開会いたします。
 本日は、局別審査のうち、収用委員会事務局、環境保全局及び財務局の順で質疑を行います。
 なお、本日は質疑終了まで行い、意見開陳等は後日行います。ご了承願います。
 質疑に先立ち、あらかじめ委員の皆様にお願いしておきたいと存じます。
 本委員会の日程は過密な中で運営され、皆様には大変ご迷惑をおかけしているところでございますが、委員会運営を効率的に進めるために、質疑は平成十年度決算の審査から逸脱しないよう、委員長として特にお願いを申し上げておきます。
 また、理事者におかれましても、答弁は簡潔明瞭に行っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これより決算の審査を行います。
 平成十年度東京都各会計歳入歳出決算の認定についてを議題といたします。
 これより局別審査を行います。
 収用委員会事務局関係に入ります。
 収用委員会事務局関係の決算につきましては、既に説明を聴取いたしております。
 その際、資料要求はいたしておりませんので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○田村委員 西多摩郡の日の出町二ツ塚廃棄物広域処分場の第二期工事予定地の土地収用事件について、平成十年度に審理を終えて、本年度に収用裁決が出されたと聞いておりますので、本決算委員会において、何点かの内容をお尋ねいたします。
 一つ、全埋立地の面積はどのくらいか、収用対象地の面積はどのくらいか、全面積と収用対象地の比率はどのくらいか、収用裁決の権利者は何名ぐらいか、この四点をまずお聞きします。

○長沼次長 日の出町二ツ塚廃棄物広域処分場の用地面積は、全部で五十九・一ヘクタールでございます。そのうち、ただいまお尋ねございました埋立地面積は十八・四ヘクタールでございます。収用対象地の面積は四百六十一平方メートルであり、したがって、収用対象地は埋立面積の約四百分の一に当たります。
 また、権利者の数でございますが、収用裁決のあった平成十一年十月四日現在、二千八百二十九名でございました。

○田村委員 二ツ塚処分場の審理について、二ツ塚処分場の公開審理は平成九年五月に始まり、平成十一年三月までに十一回も審理を重ねていると聞いておりますが、最終処分場の建設という公共性の高い事業を実施するために、反対運動があったとはいいながら、これだけの時間と労力を費やすことは大きなむだではないかなという思いを禁じ得ないのであります。審理の経過はどうであったのか、審理促進にどういう努力をしてきたのかをお伺いいたします。

○長沼次長 審理に当たりましては、起業者、土地所有者等との間で論点の整理に努め、公正、中立の立場に立ちまして、双方の主張を聞いてまいりました。具体的な審理の過程では、法にございますように、重複する意見や、あるいは当該事件に関連しない事項の意見に関しましては、会長指揮権によって制限するなど、審理の促進に鋭意努めてまいりました。その結果、平成十一年三月三十一日に裁決に必要な意見を聴取し終わったため、審理を終了したものでございます。

○田村委員 それでは、今お聞きしましたんですけれども、意見としてまず申し上げますが、いずれにいたしましても、いかに公正、中立とはいいながら、担当者のきょうまでのご努力に対しては感謝をいたす次第でございます。しかしながら、三多摩二十六市一町の市町民、三百七十余万人の方々の環境問題のことでもあり、重要な最終処分場でもあります。日の出町第一処分場も終わって、次の第二処分場を一日も早く、使用時期を各市町担当者は期待をしている現状でありますので、担当者のなお一層のご努力をお願いしたいと思っております。
 最後に一、二の質問をいたしますが、今、処分組合が権利者一人一人に補償金を配って歩いているというが、受け取りを拒否した場合は、法律上はどのような手だてがあるのかをお聞きします。

○長沼次長 ただいまのお尋ねでございますが、補償金の受け取りを拒否された場合、供託法によりまして、法務局の供託所へその金額を供託するという制度がございます。

○田村委員 今後も、公共性が高いにもかかわらず、土地の共有などの手段で反対運動が行われる事例があると思うんですが、二ツ塚処分場事件を教訓に、公正、中立は当然の前提ではありますが、公共性を考えて、よりよく迅速な審理を行うべきと考えるが、いかがでございましょうか。

○長沼次長 収用委員会は、収用の裁決申請に基づきまして、起業者と土地所有者等との間の、区域、損失補償などの争いを中立の立場から公正に審理し、最終的に裁決により解決していきます機関でございます。私どもは、収用委員を補佐し、中立、公正の立場から収用手続を進め、より効率的な審理が行われますよう、さらに一層全力を尽くしてまいりたいと存じます。

○田村委員 次にお伺いしますが、圏央道の問題でございます。
 私、西多摩の地区は選挙区でございますが、圏央道のうちの、あきる野市、羽村市の中で、十年度の収用、これは建設省の収用委員会での収用法に基づく事業認定ではないかと思うんでありますが、認定があったのか、ないのか、この点だけをお尋ねいたします。

○長沼次長 圏央道の問題につきましては、去る一月十九日に官報告示にございます建設大臣の事業認定告示がなされております。それ以降のことにつきましては、ただいまのところ私どもで入手してございません。どうぞよろしくお願いします。

○田村委員 終わります。

○佐藤委員 関連で、済みません。
 今、田村委員のご質問の中で、ちょっと私も不明な点があるのでお尋ねをするんですが、土地の収用というのは、私権を制限するわけですから、これは大変な問題であるし、厳正、公正、中立が要求されるのはもちろんでありますが、今のお話を聞いていますと、どうもちょっと腑に落ちない点が間々ある。一つは、収用委員会というのは、土地収用法に基づいてやっているんでしょうが、そもそもの収用する根拠というのは、どういうことなんですか。何に基づいて、その収用の事業を行っているか。

○斉藤収用委員会事務局長 お尋ねの収用事業の根拠と申しますか、憲法第二十九条の三項というものがございまして、ご案内のとおりでございますけれども、私有財産制度に触れていまして、私有財産は、正当な補償のもとに公共のために用いることができるという規定がございます。ご案内のとおり、憲法は、二十九条で私有財産の保障をしているわけですが、その財産の保障の後の三項のところで、私有財産といえども、正当な補償を条件に公共のために用いるということで、それに基づいて収用法ができております。その収用法の中で、収用委員会という、これは知事の権限と分けた行政委員会として、中立的にやるということで、七人の委員ということで、ほとんどの方が民間の弁護士と大学の法学部の先生でございます。中立的にやるという保障は、その辺に制度的にあらわれているかなというふうに考えております。
 そういうことですけれども、いずれにしましても、本人の意に反して財産を収用する、土地を収用するということですので、先ほど次長が申し上げましたように、そういう意に反する収用ですから、やはりそれは非常に厳密に、中立的にやるという行政委員会であるけれども、司法にはありますけれども、やはり正しい判決でも長くてはしようがないという部分がありますので、正しいことを早くやるという両立てでやっているところでございます。

○佐藤委員 根本のお話はよく理解をするところですが、先ほどの話に戻って、処分場の話を聞いていまして、最初のご答弁の中で、全体の四百分の一の面積であると。しかも、百五、六十坪のところへ二千八百人の人が所有権を分け合っているという、常識じゃ考えられないような場面だろうと私は頭の中で今想像しているんですが、その所有者の中で、一番大きい土地を持っている人は何平米ぐらい持っているのか、一番小さい人は何平米ぐらい持っているのか、資料がありましたら教えてください。

○長沼次長 ただいま細かなデータは持っていませんので、後ほどご報告したいと存じます。

○山本委員長 そのぐらいわからないの。およそどのぐらいかわからないの。

○長沼次長 先ほどの四百六十平米ほどでございますけれども、共有になってございまして、そのうちの五万分の三万四千という方ですから、大体七割程度のサイズのものをお一人で持っているということでございます。

○佐藤委員 どういうこと……。

○長沼次長 共有でございまして、五万分の三万四千ということでございまして、約七割ほどというような数字になってございます。よろしくお願いします。

○佐藤委員 五万分の三万四千、七割というと、どういうことですか、それ。どういう計算なの。

○長沼次長 共有になってございまして、それが五万ほどに分割されておりますが、そのうちの三万四千の分子でございます。五万分の三万四千ということでございます。

○佐藤委員 確認しますと、要は、等分に共有しているわけですね。

○長沼次長 さようでございます。

○佐藤委員 等分に、同じ人がね。五万人が共有しているの。さっき二千八百といったのは何ですか。

○長沼次長 人数でございます。

○佐藤委員 その五万というのは何なの。よくわからない。

○長沼次長 土地が共有になってございまして、五万分の一だけ所有している方もおられれば、あるいは五万分の三万四千ほどのサイズのものをお持ちの方もおられる、こういうことでございます。よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 その四百六十平米の五万分の一というと、どのぐらいになるんだろうね。ちょっと計算、ゼロが多いんでよく分からないんだけど、何平米ぐらいになるんですか。

○長沼次長 一番小さい単位は、名刺一枚ほどの単位でございます。そういう小さい単位でございます。

○佐藤委員 やっとそれでわかったんですが、ちょっと普通の一般社会の常識で、名刺一枚の土地の所有権というのは考えられないと思うんですね。これはどういう経緯で、この土地の取得をされて、どうしてこういう分割になったのかというのはわかりますか、ざっと簡単でいいんですが。

○長沼次長 二ツ塚のごみ処分場につきましては、既に昭和六十年代から計画が具体化しておりまして、任意折衝で、二ツ塚ごみ処分のための三多摩地域廃棄物広域処分組合が交渉してまいりました。それで、ほとんどの方につきましては、任意折衝で交渉が終了いたしましたが、先ほど申しました四百六十平米ほどのものにつきまして、任意折衝が完成せず、収用の裁決申請になったものでございます。よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 そうすると、これは、任意折衝が始まってから故意に細分化されたというふうに理解してよろしいんですか。

○長沼次長 その経過につきましては、さまざまあろうかと思いますが、私どもで了知するところではございませんので、お許しいただきたいと存じます。

○佐藤委員 これ以上深くは追及しませんが、今までのお話を聞いていると、私は頭の中に、権利の乱用という言葉が浮かんできます。やっぱり反対のためにする反対、土地の売買、土地の所有というのは極めて異常な形態だと思いますので、これはやっぱり、しっかり所期の目的を念頭に置いていただいて、こういう細かい、まさに妨害工作にも等しいようなことに対して、まさに厳正に公益の立場に立って収用委員会に頑張っていただきますように期待します。

○清水委員 同じく十年度の収用事件経費として支出されました二ツ塚廃棄物処分場に関し、一、二点質問いたします。
 先ほどからも繰り返されていますように、土地収用は、公共の利益を実現するために、憲法で保障された財産権に制限を加えるものであります。収用委員会がその手続を進めるに当たっては、公正、中立の立場から慎重に行うべきであり、特に東京都関連の事業を審理するときには細心の注意が必要だと考えます。事業推進の立場を印象づけるものになってはいけないというふうに考えますが、公正、中立という立場について、改めて見解を伺いたいと思います。

○長沼次長 収用委員会は、執行機関からは独立した行政委員会として、先ほど局長が申し述べましたとおり、土地収用法にのっとりまして行っております。審理に当たりましても、中立の立場で、公正かつ適切に事務を進めているところでございます。

○清水委員 二ツ塚処分場の公開審理は、十年度を含めて十一回行われたということです。新聞報道によりますと、最後の審理で、審理の継続を求める権利者の声を抑えて審理終了の宣言を行ったと報道されていたのですが、公正、中立の立場から慎重に手続が進められてきたのでしょうか。

○長沼次長 当該案件の審理に当たりまして、収用委員会は、起業者と土地所有者などとの間で論点の整理に努め、公正、中立の立場に立って、双方の主張を十分聞いてまいりました。
 一方、土地収用法には、収用委員会は、審理の促進を図り、裁決が遅延することのないように努めなければならないという規定もございまして、いつまでも審理を続けていくわけにはまいりません。裁決に必要な意見が聴取し終わったため、適切に審理を終了したわけでございますが、審理終了後も一カ月間は意見書を受け付けており、公正、中立の立場から手続を進め得たと考えております。

○清水委員 先ほども申し上げましたように、新聞報道などでは、そうした東京都の審理の最終に対する疑問なども投げかけられたわけです。慎重さとか中立性で疑問を投げかけられるような部分も残されていたと思うのですが、今後の事件に当たっては厳正を期していただきたいというふうに思います。
 さて、この問題は、一九九二年に、それまで供用されていた谷戸沢処分場の遮水シートが破損し、汚水が漏れ出している可能性があると新聞で報道されたことが発端です。そして、この問題が表面化したころに、第二処分場、二ツ塚処分場の建設計画が進行したわけです。周辺の住民や三多摩の環境やごみ問題に関心を持つ市民が、汚水が漏れ出すような危険な処分場が新たにつくられるのは問題だとして、谷戸沢処分場の汚水漏れの実態の調査と、第二処分場建設の中断を求めて運動が始まったと聞いています。
 この間の、地下水への有害物質の影響の有無、データの開示などを含め、八年余りにわたった過去の経過の積み重ねが、収用委員会という最後の場所で噴出したものだと思います。したがって、そもそも、この事業の認定に当たって、東京都が住民の疑問に真摯に答える姿勢をとってきたのかということも、根本の問題になっています。
 しかし、今日、さまざまな経過があっても、この問題が、迷惑施設の反対運動というレベルを超えて、東京都と日本のごみ問題に関する極めて重要な問題を提起してきたことは間違いないと思います。また、ごみ問題の重大性について社会の関心を喚起し、多摩地域のごみ減量化に都民の意識を向けさせたことは、非常に大きな意義があると考えますが、こうした意見についてどのような感想をお持ちでしょうか。

○長沼次長 ただいまのご質問、ご意見でございますが、土地収用法のうち裁決事務などを所管いたします、私ども収用委員会の立場からの答弁は控えさせていただきたいと存じます。

○清水委員 二ツ塚処分場問題は、建設大臣への審査請求や抗告訴訟が提起されていると聞いています。都の危機突破・戦略プランを見ても、これからも反対運動を伴った土地収用案件が次々と出てくると思われます。今までにも増して、公正、公平、中立の立場に立って、より一層慎重に手続を進めていくべきと考えますが、どうでしょうか。

○長沼次長 収用委員会は、土地の裁決、いわゆる収用の裁決申請に基づきまして、起業者と土地所有者等との間で、区域、損失の補償などの争いを、中立の立場から公正に審理し、最終的に裁決によって解決していただく機関でございます。
 私どもは、今後とも、収用委員を補佐し、中立、公正の立場から収用手続を進め、効果的な審理が行われますよう努力してまいりますので、ご理解を賜りたいと存じます。

○清水委員 今後、強制的な代執行による手段でなく、あくまでも話し合いによって問題の解決に当たるよう要望し、質問を終わります。

○山本委員長 ほかに発言ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 収用委員会事務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、収用委員会事務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で収用委員会事務局関係を終わります。

○山本委員長 これより環境保全局関係に入ります。
 環境保全局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してございます。
 資料について理事者の説明を求めます。

○高橋環境管理部長 去る十二月二十二日の当委員会におきましてご要求のございました資料につきましてご説明申し上げます。
 お手元の資料の目次の次の一ページをお開きいただきたいと存じます。都の一般会計決算額に占める環境保全局決算額の割合の推移でございます。昭和五十年度から平成七年度まで五年ごとと、平成十年度の都の一般会計決算額、環境保全局決算額及び都の一般会計決算額に占める環境保全局決算額の割合を記載してございます。
 二ページをごらんいただきたいと存じます。平成十年度決算の主な不用額と予算現額に対する比率でございます。平成十年度決算の主な不用額につきまして、その事業名、予算現額、支出済額、不用額、予算現額に対する不用額の比率及び不用額の説明を記載してございます。
 三ページをごらんいただきたいと存じます。環境保全局決算の執行率でございます。平成元年度から平成十年度まで十年間の予算現額、決算額及び執行率を記載してございます。
 四ページをごらんいただきたいと存じます。東京都及び区市町村における公害苦情受け付け件数の推移でございます。上段の(1)は、現象別受け付け件数でございまして、平成六年度から平成十年度までの苦情受け付け件数を、大気汚染、騒音など現象別に記載してございます。下段の(2)は、発生源別受け付け件数でございまして、同じく平成六年度から平成十年度までの苦情受け付け件数を、工場、指定作業場など発生源別に記載してございます。
 五ページをごらんいただきたいと存じます。東京都の緑の倍増計画の実績でございます。上段の(1)でございますが、計画事業の執行額の推移でございまして、昭和六十年度から平成九年度までの執行額を三つの施策体系に分類して記載してございます。下段の(2)は、長期基本目標に対する達成状況でございます。アは、既成の市街地における樹木本数の推移を昭和五十八年からグラフに示してございます。目標は、二十一世紀初頭に二億本でございます。イは、都民一人当たりの公園面積を、同じく昭和五十八年からグラフに示してございます。目標は、平成十二年に一人当たり六平方メートルでございます。
 六ページをごらんいただきたいと存じます。保全地域の公有化資金及び保存樹林公有化資金貸付の予算及び決算でございます。平成元年度から平成十年度までの予算額、決算額及び執行率について記載してございます。
 七ページをごらんいただきたいと存じます。保全地域の指定及び公有化の推移でございます。平成元年度から平成十年度までに、自然環境保全地域、緑地保全地域、歴史環境保全地域として指定いたしました面積を上段に、公有化いたしました面積を下段に、それぞれ区市町村別に記載してございます。
 八ページをごらんいただきたいと存じます。区市町村における樹林保存の取り組み状況でございます。平成九年四月一日現在の保存樹林の指定状況について、それぞれ区市町村別に記載してございます。
 九ページをごらんいただきたいと存じます。二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況でございます。上段の(1)は二酸化窒素の状況、下段の(2)は浮遊粒子状物質の状況でございまして、平成六年度から平成十年度までの、一般環境大気測定局、自動車排出ガス測定局別、環境基準達成局数、測定局数及び達成率を記載してございます。
 一〇ページをごらんいただきたいと存じます。都、区市町村等における電気自動車の導入状況でございます。平成六年度から平成十年度までの、東京都、区市町村及び民間等における電気自動車の導入台数を記載してございます。
 一一ページをごらんいただきたいと存じます。都営バス及び民営バスの低公害化の状況でございます。都営バス、民営バスにおける平成十年度末の低公害車の台数を、低公害車の種類ごとに記載してございます。
 一二ページをごらんいただきたいと存じます。雨水浸透ます設置補助の実績でございます。平成二年度から平成十年度までの予算現額、支出済額及び設置数を記載してございます。
 一三ページをごらんいただきたいと存じます。環境科学研究所の研究テーマでございます。平成六年度から平成十年度まで五年間の研究事項を、新規、継続に分けて記載してございます。
 以上、大変雑駁ではございますが、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 それでは、まず最初に、緑の保全、育成についての質問をせさていただきます。
 今や、緑を守り育てること、これは地球規模での課題であり、特に開発の著しい首都東京での緑の保全、育成は、殊さら重要な施策であるわけです。それで、東京都でも関連する各部局がさまざまな計画を立て、実施しているわけです。例えば、緑の倍増計画や、みどりのフィンガープラン、緑のマスタープラン、東京の森林づくりプラン21、このほかあるわけですが、この中でも、環境保全局、当局としての計画やプラン、すなわち緑の倍増計画や、みどりのフィンガープラン、これらについての実績を伺うわけです。よろしくお願いいたします。

○江渡自然保護部長 緑の倍増計画は、要求資料にも記載してございますように、計画の最終目標時点を二十一世紀初頭といたしまして、既成の市街地の樹木本数を、昭和五十八年度末基準で一億本から二億本に、また、都民一人当たりの公園面積を、同じく三平方メートルから六平方メートルにすることとしてございます。平成十一年度の当初の実績まで今わかっておりますが、樹木本数が推計値で約一億七千万本、一人当たりの公園面積が約五・三平方メートルで、おおむね目標に近づいております。一定の成果が上がったと考えております。
 なお、フィンガープランにつきましては、丘陵地における開発の際の切り土量とか盛り土量など、守るべき技術的基準のもととなる指針を示したものでございます。したがいまして、緑の倍増計画のように定量的な評価を行うことは困難でございますけれども、成果を上げるといたしますれば、同プラン対象地域において十三カ所、延べ約百二・九ヘクタールの保全地域を指定したことでございます。

○小松委員 目標に近づいており、一定の成果が上がったということでございますが、最近の緑予算の削減状況、これを見ておりますと、緑が守られているという実感、まるでないわけですね。また、例えば先ほど説明のありましたフィンガープランにつきましても、フィンガーといういわゆる指の部分が今、開発に押されて、だんだん細く短くなっていく。このままでは、指なしフィンガープランになりかねないのではないかと。今後において、本来のフィンガープランといえるべく保全地域の拡大に努めることを求めるものです。
 ところで、緑の倍増計画、これにつきましても平成十二年度には終了することになっておりますが、その後の計画も含めましてお願いしたいと思います。

○江渡自然保護部長 ご指摘のとおり、緑の倍増計画は平成十二年度をもって終了いたします。しかし、引き続き、二十一世紀中葉を長期目標といたします新しい緑の総合計画を策定すべく、現在検討作業中でございます。

○小松委員 新しい緑の総合計画を策定すべくということでございますが、今までの緑の倍増計画、やはりこれを踏まえての形、この教訓を踏まえて今後に入っていかなければならないと思います。例えば区市町村における樹林保存一つの取り組みを見ましても、二十五年間出していただきましたけれども、通算の指定樹林と通算の解除樹林が同面積、または所によってはそれを上回るような解除面積になっているというように、緑の破壊は大きくなっております。これらを含めまして、どのような検討が今されているのか、もう一度よろしくお願いいたします。

○江渡自然保護部長 ただいま申し上げました新計画の中身でございますが、スタート時点は、一応平成十三年度当初を予定してございます。策定作業の進捗状況でございますが、現在、庁内の関係七局で、新計画の基本的な考え方の検討とか内容の整理等を行っている段階でございまして、いまだ内容をお示しできるほどの熟度に達しておりませんので、内容につきましては、もう少々先へ行ってから、公表できるのはそういう時点になろうかと考えてございます。

○小松委員 これが予算でしたら、ここから議論が始まるわけですけれども、決算ということもありますので、余り深入りはしません。しかし、十年度の時点で、この事業については十二年度で終了するんだということが明らかになっているわけで、既に今はもう十二年度を迎えようとしているわけですから、そういう意味では、今のような全く目先がわからないというようなことであっては、ちょっと緑の今後も寂しいなというより、これは大変なことだと。
 そこで、今後についてお伺いすることはこれでやめますけれども、保全地域の公有化では、こういうものをもっときちんととらえなくてはならないので、この経緯、推移、今後の考え方をひとつ具体的にお願いしたいと思います。

○江渡自然保護部長 保全地域の公有化の経緯等について、また、今後の考え方についてのお尋ねでございますけれども、都はこれまで、延べ四十三地域、面積にいたしまして六百五十四ヘクタールを保全地域として指定してまいりました。平成十年度の決算におきましては、約四十八億円の経費で四・五ヘクタールの土地を公有化し、同年度末の累計で延べ三百八十五ヘクタール、全体の約五九%に当たりますが、これを公有化いたしてございます。
 今後、保全地域の公有化につきましては、財政状況も芳しくございませんので、後年度負担の平準化という考え方を基本に据えまして、対象地の開発の可能性や自然地の貴重さの度合いなどに配慮いたしまして、かつ、土地所有者の方々に理解と協力を求めながら、土地の買い取り要請に対応してまいりたい、かように考えてございます。

○小松委員 この保全地域公有化の問題については、やはりそれだけでなく、後年度負担の平準化ということでいってしまうのでなく、これこそ重点的に取り組んでいくべきものというふうに思うわけです。
 それで、この公有化と同時に、一方では保存樹林の公有化資金貸付ですね、これは区市町村ですけれども、やはりこれについても事業が終了するということですが、これらを合わせまして成果の評価、実績、その理由を伺うものです。

○江渡自然保護部長 保存樹林地等公有化資金の貸付制度でございますが、この制度は、バブル期におきます高金利、高地価に対応して、区市町村の緑地保全を支援することを目的として設置した制度でございます。バブルの崩壊後、金利及び地価ともに下落の一途をたどりまして、現在では、金利は当時のほぼ三分の一、地価はほぼ二分の一という低い水準にございます。このため、本制度は当初の目的を既に達成し、その役割を終えたものと判断して、今年度の廃止を決定したものでございます。
 なお、本制度を利用いたしまして区市町村が保全した緑地は、平成十年度末の累計で十六・二ヘクタールとなっております。

○小松委員 当初の目的は既に終了し、役割を終えたということですが、それでは、市町村からの要請というのはもうないのでしょうか。

○江渡自然保護部長 確かに市町村からの財政支援の要請はございますが、市町村自体も財政的に非常に逼迫した状況にございまして、漏れ聞くところでは、予算要求はしているが、保存樹林の買い上げの予算が内示で落とされているという区市町村が大半でございまして、我々もそういう事態は非常に憂えております。ただ、東京都自身も大変財政の厳しい状況でございますし、我々が所管しております保全地域の買い上げの予算についても非常に厳しい状況でございまして、区市町村とも、東京都もなかなか援助の手が差し伸べられないけれども、お互い頑張ろうということで、連絡会議等で、今後どういう対応をとるかということを打ち合わせているところでございます。

○小松委員 区市町村も大変財政が厳しい。だからこそ、こんなときに緑を残すためには、区市町村に対する支援が必要なんではないでしょうか。東京都が厳しいのは確かですけれども、それは別なところでむだがあると私どもは申しておりますし、また、何が一番大切なのかというときの、この緑の保存、育成については、さらに都がもっと区市町村に対しても支援の手を差し伸べ、積極的に進めていく、この立場でやるべきだというふうに思います。
 そういうことで、区市町村に対する支援と都みずからの公有化、これらを合わせた中での今後の緑育成をしっかりやっていただかないと――環境保全局として、緑行政というのは柱になるものではないでしょうか。これからの緑行政は、やはり緑を公有化していかなければ、計画的にやっていかなければ残らないのだという基本を申し上げて、次に進みたいと思います。
 次には、野火止用水について何点か伺いたいと思います。
 東京の歴史保存地域の第一号に指定されました野火止用水に清流が復活されてから、十五、六年たつわけですが、今や野火止用水には、下水処理水とは思えないような大変きれいな水、三次処理水が流れて、コイなども群れをなして泳いでおります。近隣の人々の心を和ませているわけです。用水といえども、川には水が流れて初めて川といえるわけですが、この十年度で、野火止用水の水量が極端に減って魚が浮いたということがありました。これが、この年度の予算削減によるものだということを聞いておりますが、それは事実なんでしょうか。もし事実なら、いつ、どのぐらいの削減により、何%ぐらいの送水量削減が行われたのか、また、この用水の水量確保についての考え方についても伺いたいと思います。

○江渡自然保護部長 野火止用水の下水処理水の送水につきましては、今、理事のご指摘のように、より良好な水質の確保を目的として、従来の砂ろ過処理に加えまして、凝集剤の添加やオゾン処理等の高度な水処理を行っておりますため、年間約一億円という多額の経費を投入してございます。厳しい都財政の状況を踏まえまして、平成十年度におきましては、年度当初に、やむなく計画送水量の四四%カットという送水制限を行ってございます。年度後半には、契約電力等の見直しにより水量の回復を図りましたが、送水カット期間中においても、水路に設置した魚だまりが有効に機能し、魚の生育に最悪の影響を及ぼすまでには至らなかったと聞いております。
 今後は、より一層の送水コストの縮減に努め、効率的な予算執行を図ることで、必要な水量の確保に努めていきたいと考えてございます。いずれにいたしましても、今後とも、野火止用水流域住民の方々にご心配をおかけしないよう、流量の管理に細心の配慮を行っていきたいと考えております。

○小松委員 歴史保全地域指定の用水の水量が、予算削減のため半分近く送水がストップされたと。それで今、魚の生育に最悪の影響を及ぼすまでには至らなかったということですが、何匹かの魚が浮いたのをはっきりと見たということは聞いておりますから、大変な問題だと思います。
 こうした水量確保予算すら削減する、これは、むしろ財務に問いただしてみたい気もいたすわけですが、しかし一方では、下水道局との話し合いで使用料の見直しをする、こういうことで第四・四半期には計画水量を放流できたということですから、全都的に工夫すればできることではないかというふうに思うわけですね。清流復活事業の趣旨を生かしていくというお答えでしたけれども、今後もこういうことがあっては、何のための歴史保全地域指定なのか、何のために用水を三次処理までして送っていくのか、今後の水量確保についての決意、この辺をもう一回伺いたいと思います。

○江渡自然保護部長 先ほどもご答弁申し上げましたとおり、繰り返しになりますけれども、より一層の送水コストの縮減に努めるとともに、理事ご指摘のような、横の局間の連絡を密にして、効率的な予算執行を図ることで必要な水量を確保してまいりたい。また、野火止用水流域住民の方々にくれぐれもご心配をおかけしないよう、流量の管理に細心の配慮をしていきたいというように考えてございます。

○小松委員 自然保護部長は、この野火止については相当前から担当しておられるということですが、自然保護部長がかわられても、今のこの野火止用水の水量が予算削減で減らされるというようなことが決してないということを、ぜひ環境保全局としても守っていただきたいという要望をしておきます。
 この野火止用水には、十五、六年前から水が流れ始めた。流れ始めたというより、流したということですね。それまでの経緯は、皆さんもご存じのように、部長みずからも大変努力されましたと同時に、この関係区市町村では、議員が協議会などを持ちまして、大変な苦労をしてこれが流れるようになってきたと。すなわち、水が流れていない時代が長くあったわけですけれども、またその昔、新座の水利組合にあったという、この用水の水利権ですね。以後、この水利権をめぐってさまざまな経緯があったわけですけれど、現在の水利権の経緯、現在の野火止用水の水利の仕組み、これをお話し願いたいと思います。

○江渡自然保護部長 水利権についてのお尋ねでございますが、実際にここに多摩川の河川水が流されていた当時は、飲料水としての利用とか、農業用水としての利用が実際にございましたために、多摩川の分水権という形で水利権は存在したと聞いております。ただ、現在におきましては、そのような利用がなされておりませんことから、現実に水利権は、新座市自体も存在を主張してございません。ただ、環境水利権という概念が仮にあるものとすれば、新座市にも環境水利権なるものの主張は可能だろうと思いますが、当時、建設省の水利権調整課に私が問い合わせたときには、いまだ環境水利権という概念は確定していないので何ともいえない、こういうお答えがございました。

○小松委員 どうも、わかったようで、わからないようなご答弁なんですが、そうしますと、実際に水をとめたり流したり、これは東京都の権利でいいわけですね。そうすると、新座の水利組合の権利、権限というのは、主張しているということですが、何を主張されているのでしょうか。
 それから、この野火止用水は歴史環境保全地域内ですから、水利権の問題もありますけれど、橋をかけることなどが規制されているわけです。といって、生活権で橋をかけざるを得ないという方々もいらっしゃって、今後も直さなければならないというとき、この許可をするということでは、どこが許可権があるんでしょうか。

○江渡自然保護部長 この野火止用水と申しますのは、一般の一級河川とか二級河川とかいうような河川とは違いまして、普通河川というふうな呼び方をされております。通称青道といわれているものでございます。それで、野火止用水は、長年、新座市が東京都の区域の部分につきましても許可権を持っておりました。つまり、水路敷を利用したいという場合には、東京都にお住まいの方でも、橋をかけたいというような場合には、新座市に行って、新座市から許可をもらっておりました。それが清流復活をきっかけに、新座市と東京都とが協議いたしまして、東京都の区域については東京都が許可を与えられるように、新座市から権限を譲渡していただいた経緯がございます。それが平成八年でございます。ですから現在は、野火止用水の東京都の区域については、東京都知事が権限を、許可権を持っております。平成八年以前は、非常に変則的でございますが、新座市の野火止用水管理組合がその許可権を持って、管理組合の長たる新座市長が権限を持っておりました。現在は都知事の権限に移っております。

○小松委員 わかりました。そうしますと今度は、野火止用水は、これはあくまでも原形のままでということで、自然護岸が保たれているわけですけれど、そのためにやはり損耗も激しいわけですね。今も、私、ずっと走って見てまいりましたが、東村山、小平、東久留米管内で随所に崩れかかったところもあるわけですけど、これらへの対応をどうされてきているか、今後も含めて。
 これは確認しますけれど、こうした護岸整備などは東京都がやるというところまではいいんですが、ふだんですと、この護岸整備というのは、河川だったら河川局だとか、小さな河川だったら市町村とかいうことですけれど、今までは環境保全がやってきたわけです。その辺の関係はどうなっているのでしょうか。

○江渡自然保護部長 先ほどの私の答弁で、実は野火止用水は普通河川であるというように申し上げました。これは、河川法の適用がございません。そして普通河川の管理者、つまり、何と申しますか、護岸等の整備を行う第一の責任者はだれかと申しますと、法律上は流域の市町村ということになってございます。ただ、清流復活事業を実施いたしましたのが東京都でございましたので、流域の市町村と話し合いを行って、引き続き東京都が実態的に管理しているという現実がございます。
 今後も、環境保全局が流域の市町村と協議しながら、護岸、それから緑道といいますか、周辺の緑地、こういうものの整備を図っていくことになろうかと思いますが、その際も、地元市町村の意向を踏まえながら、また予算的な制約等もございますので、ご理解も得ながら整備を進めてまいりたいと。崩落した護岸等は、優先的に整備していかなきゃならないというように考えてございます。

○小松委員 わかりましたが、十年度の対応、どのような形でやられてきたかもちょっと次のところでお伺いしたいんですが、護岸整備と続きまして、遊歩道整備についても伺いたいと思います。
 歴史環境保全地域としての両岸、遊歩道として近隣の人々に大変親しまれて、よりよい散策の場所にもなっているわけですけれど、さらに障害者や高齢者の方々が安心して散策できるものにしていただきたいという要望を多くいただくわけですが、これらの対応はどうされてきているのでしょうか。もし今後やっていくというならば、それも伺っておきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○江渡自然保護部長 まず護岸の補修整備でございますが、東村山市管内は、二カ所で延長二百二十六メートルを十年度に補修いたしております。それから、のり面の補修整備でございますが、東村山市管内の二百平方メートルについて工事を実施いたしております。それから保護さく、フェンスさくでございますが、これの補修整備は、東村山市と小平市管内で延長二百六十一メートルを実施いたしております。また植栽につきましては、東村山市と小平市管内で、中高木を五百七十二本、低木を四百五十株植えてございます。
 なお、ご指摘の障害者、高齢者等に配慮した遊歩道の整備につきましては、今後の検討課題とさせていただきたいと思います。

○小松委員 障害者や高齢者の方々こそ安心して散策できる、そんな野火止が本来のあり方だと思いますので、これはぜひ検討をよろしくお願いいたします。
 一方では、歴史保全という、歴史文化財としての位置づけ、これもこの用水には大切な部分ではないかと思います。地域指定をされまして、どのぐらいたちますか、二十五、六年ですか、ここでやはり集大成をすべきと思いますが、いかがなものでしょうか。
 後ほど玉川上水のこともちょっと伺いますけれど、もう一つは樹林問題ですね。この雑木林がやはり残っていかなければならないということでは、この野火止用水、後ほど伺う玉川上水あわせて、これが東京都における雑木林として残す格好なところであるというふうにも、これは学者が、専門家がいっております。その管理や公有化についても含めて伺いたいと思います。

○江渡自然保護部長 野火止用水の歴史環境保全地域の保全の方針でございますけれども、野火止用水路につきましては、原形のまま保存することを基本とし、あわせて隣接する樹林地についてもできる限り保全を図り、明るい雑木林を中心とした、地域住民が水と緑に親しめる空間にすることでございます。この方針に基づきまして、野火止用水歴史環境保全地域は、指定以降七回にわたりまして区域の拡張を行ってございます。この区域の拡張により、地域に隣接する樹林地を保全地域に組み入れた面積は約四・一ヘクタールに上ってございます。今後も、可能な限り雑木林は確保してまいりたい、かように考えてございます。

○小松委員 雑木林をさらにきちっと残すためにも、公有化の問題というのは出てくるわけで、これもお願いしたいし、それからちょっと今欠けていたのは、やはり歴史保全。いわゆる歴史保全としての位置づけは、環境保全とはちょっと違うといわれてしまってはまた困るんですが、これは文化財という形では、生文局などと一緒になってぜひ集大成していただきたいという要望をしておきます。
 野火止の最後といたしましては、東村山にあります明治学院に沿って、遊歩道、これは、明治学院の敷地内に一時あったものを、今度はきちっと整備されたものですが、これは平成十年に覚書を交わして実施しているはずですので、その合意事項、経緯について伺うものです。

○江渡自然保護部長 明治学院沿いの遊歩道の整備につきましては、東京都多摩環境保全事務所と北多摩北部建設事務所、それに小平市、東村山市及び学校法人明治学院の五者で、平成十年七月に覚書を取り交わしております。主な合意事項でございますが、一つは、明治学院は野火止用水敷内の植栽及び通水用管渠の所有権を放棄するというものでございます。二点目は、東村山市はその管理区域を公園として整備する。三点目として、小平市はその管理区域を緑道として整備するという、この大きく三点にございます。東村山市と小平市は、この覚書に基づきまして公園と緑道整備を実施いたしておりまして、昨年、平成十一年の十月及び十二月にそれぞれの工事を完了いたしてございます。

○小松委員 時間を余りとり過ぎてはいけませんので、もう一つ、どうしてもこの歴史環境保全地域の指定でお聞きしておきたいのは玉川上水です。と申しますのも、野火止のずっと後にはなりますけれど、玉川上水についても歴史環境保全地域に指定したわけです。このことを評価はするわけですが、しかし、この指定については、上水敷地ということで十年度に行われました指定ですね。いわゆる上水の敷地に隣接している雑木林、これは残されている。同じ上水、用水でありながら、なぜ野火止用水と同じようにこれらの樹林を保全するということにならなかったのか、伺いたいと思います。

○江渡自然保護部長 決して、野火止用水と違って樹林地を保全しないということではございませんで、保全の基本的な方針を申し上げますと、玉川上水歴史環境保全地域につきましては、武蔵野の面影を残す雑木林、それから名勝小金井桜及び歴史的土木構造物である素堀りの水路を、可能な限り現況を損なうことなく後世に伝えるよう保全する、こういう保全方針を立ててございます。隣接する雑木林の保全につきましても、こうした観点から地元市と十分に協議し、また、地元住民の方々のお知恵をかりながら対応していく所存でございます。

○小松委員 そうですよね。今お答えいただいた範囲では、ますますこの周辺の雑木林も含めての地域指定でよかったのではないかというふうに思うわけです。答弁、全く納得いかないんですけれども、ここでやりとりしても平行線になるといけませんので、とにかく今後の中で、この雑木林も含めた、周りも含めた保全地域でないと、本当の意味での保全ができないんだということで、強く要望しておきたいと思います。
 最後に一点、この年度ですけれど、昨年の一月十日だと思いますが、空堀川で突然魚が浮上したという事故が起きました。これはいろいろと調査をしたけれど、異常がないんだということも聞いておりますが、この事故の経過と調査結果をお伺いしたいと思います。

○岡田水質保全部長 先生ご指摘の空堀川の魚の浮上事故でございますけれども、平成十一年、昨年の一月十日に、午前十時半ごろでございますけれども、東村山の消防署から、実はこの日は日曜日でございましたので、都の多摩環境保全事務所の副所長の自宅の方に、住民からの、空堀川の第二天王橋、東村山市内でございますが、付近で魚が多数死んでいるという情報が、電話連絡で入ったわけでございます。多摩の環境保全事務所におきましては、担当職員を現場に向かわせますとともに、建設局、それから地元の東村山市等に連絡を申し上げまして、共同してこの事故調査に対応したところでございます。
 調査の結果でございますが、魚の浮上した範囲は、庚申橋、これは東大和市の奈良橋でございますけれども、ここから下流約五キロまでの間にコイやフナ等が七百五十匹、それからドジョウが百匹程度死んでおるのが発見されたところでございます。
 水質調査の結果でございますが、シアンや六価クロム等の毒物は検出されておりません。また、溶存酸素量、いわゆる水の中に溶けている酸素の量でございますが、これも五ないし六ppm、ミリグラム・パー・リットルあったわけでございまして、特段の異常はないわけでございます。また、酸、アルカリのいわゆるp Hでございますけれども、これも八・六から八・七ということでございますので、通常の空堀川の状況と比較いたしますと、即異常という状況でもございませんでした。
 結局、この時点で原因が不明でございましたので、翌日の十一日から十四日までにかけまして、流域の二十二事業場の立入調査を実施いたしております。この結果も、特に問題は発見されなかったということでございます。
 さらに、流域のコンクリート工事等での水の流入状況等も調査いたしておりますけれども、事故発生の直近には、工事をしていたところはなかったところでございます。
 さらに、同様のことが発生するおそれもあるかということで、十四日から二月十五日までにかけまして、約一カ月、浮上地点に流入してくる樋管につきまして、自動採水装置を設置いたしまして監視を継続したわけでございますが、異常は見受けられなかったということでございます。

○小松委員 いろいろ調査をされたことは評価するわけですけれども、何を調査しても異常は認められなかった、しかし、魚は八百五十匹も死んでいる。どうしてでしょうね。こんなおかしなことはないんですが、しかし、今のお話を伺っていますと、魚そのものを調べている様子がないんですけれども、魚そのものを調べたら原因がわかるのではないかという素人判断もあるんですが、いかがでしょうか。

○岡田水質保全部長 ご質問の、魚自体を調べたら原因がわかるのではないかということでございますが、一般環境、いわゆる川の水等の中で死んでしまいました魚の原因について解剖等で原因を特定するということにつきましては、実際にも知見が乏しいのが現状でございますけれども、ただ、死んだ魚の外観の幾つかの特徴がございます。例えば、体表面に血液がにじんでいるとか、あるいは体表の粘膜がなくなっているとか、えらの色が黒ずんでいるというようなことがあるわけでございますが、そういうことから、その原因がシアン等の急性の毒物によるものか、あるいは酸やアルカリ等の刺激性の物質によるものか、また酸素が足りなくて死んだのか、そのことを推定できる場合もあるわけでございます。しかしながら、今回のケースでは、魚を見た限りでは、そうした特徴は認められなかったということでございます。
 さらに、化学分析等によりまして原因究明ができないのかということがあろうかと思いますが、魚の場合には、個体の大きさが非常に小さいということもございまして、体内に残留している原因物質がごく微量であるということもございます。したがいまして、その物質を特定するということは、技術的には非常に難しいということをご理解いただきたいと思います。

○小松委員 ますます不思議でわからないんですが、この結果の不明ということですね。原因がわからなければ、事故を未然に防止するということは、対策を立てるのにも大変難しいと思うんです。
 今後、こういうことが再び起きることのないようにということでは、何らかの対策をしなければならないと思うんですが、さらに、事故発生の原因者を探して処分すること、次の事故を防止する上から重要なわけですので、このような水質事故、空堀川に限りませんけれども、どのような対応を図っていくのか、最後に伺いたいと思います。

○岡田水質保全部長 事故の原因究明についてでございますが、これは、できるだけ早く現場に行って川の水を取ってみる、あるいは現場を確認するということが非常に重要なわけでございまして、そのための体制の整備を図ることが重要な課題というふうに考えております。
 このために、区市町村、それから水道、下水道、建設局等関係部局と構成しております水質異常事故対策連絡協議会におきまして、今回の空堀川の事例も取り上げまして、事故調査をする上での必要事項等について、対応の徹底をお願いしているところでございます。
 その内容につきましては、緊急出動体制を整備すること、それから事故時の連絡体制を確認すること、三点目に、緊急出動時に携帯いたします簡易な分析試薬等の機器を充実すること、さらに、都で作成した事故調査マニュアル、こういうものをご紹介申し上げて整備をお願いすること、こういうことをお願いしているところでございます。
 また、事故の未然防止のためには、事業場に対しまして、立ち入る等によりまして指導を強化すること、さらに区市町村との連携を図っていくことが重要でございまして、これまでに取り組みを行っているところでございます。
 なお、空堀川の事故に関しましては、同様の事故が起こり得るのではないかということも考えまして、ことしの一月になってからでございますけれども、一月八日から十日まで、それから十五日から十六日までの二回にわたりまして、自動採水機を再度設定いたしまして、採水分析も実施しているところでございますけれども、異常は認められなかったということでございます。

○木内委員 十年度決算ということでありますので、この問題に限定しつつ、行政施策の継続性というところから、ぎりぎりの範囲でお尋ねをしてまいりたいと思いますし、同時に、審議促進という点から、用意しておりました設問を割愛しながらお尋ねしてまいりますので、簡潔にご答弁を願いたいと思います。
 決算説明書の二四ページの部分でありますけれども、大気監視システムの管理運営という報告がなされておりました。ここでは、一般環境大気測定局四十七局、自動車排出ガス測定局三十五局等の管理運営を行ったと記載されております。こうした測定局で行いましたモニタリングの結果では、平成十年度の東京の大気の状況というものは極めて厳しいものがあると報告されているわけでありますし、私は、さまざまな政策的行政重要課題があります中で、環境を守り、東京の大気汚染、一刻も早くこの問題の解決を目指していくということは、何にも増して重要な課題の一つである、こう認識しているわけであります。
 平成十年度の大気の状況についてのご報告を、改めてこの委員会で願おうと思いましたけれども、既に発表されているところでありますので、答弁は求めません。しかし、結果的に申し上げまして、二酸化窒素の環境基準あるいは浮遊粒子状物質の環境基準の達成率等の数字からこれを勘案いたしますと、大気汚染の改善というものは遅々として進まずに、極めて厳しい状況にある、こういわざるを得ないのであります。また、経年変化の報告を見ていましても、同じような傾向がたどれるわけでございます。
 こうした大気汚染問題を解決するため、かねて我が党は、さまざまな角度からの具体的な提案をしてまいりました。例えば、アイドリングストップ装置つきの車両の開発、普及を図るなどの中身でありますけれども、特に平成十年度の実績を中心に、環境保全局は、私どもの党の提案を含めながら、具体的にどういう対応をまずしてこられたか、簡潔にお答え願いたいと思います。

○松葉大気保全部長 東京都は今まで、自動車の大気汚染物質を削減するために、いろんな対策を行ってまいりました。対策の内容でございますが、低公害車の普及であるとか、あるいは事業者に対する窒素酸化物の排出抑制指導などに努めてきたところであります。
 また、交通量の抑制対策ですが、冬場の冬期自動車交通量対策あるいは渋滞などの解消を目指します交通需要マネジメントなどにも取り組んできたところでございます。
 アイドリングストップにつきましては、平成十年度に取り組み方針を策定いたしまして、都みずからが率先して実行してまいりました。また、事業者に対しても、いろいろ各種の要請も行ってきたところでございます。
 今、ご指摘がございましたアイドリングストップ装置がついたバスの導入でございますが、平成十年度には、都バスについては五十六台、それから民間のバスでございますが、八十九台の導入費の補助を行ってきました。その普及を図ってきたところでございます。
 このほか、東京にふさわしい自動車使用に関するいろんな、都民あるいは事業者、行政が一体となった取り組みを推進するために、昨年でございますが、自動車使用に関する東京ルールというものも策定したところでございます。また、現在、昨年来開始しておりますディーゼル車NO作戦を展開しているところでございます。
 今後とも、自動車公害対策を含めて、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。

○木内委員 こうした施策というものは、各分野、各般にわたる個別の施策を積み上げて相乗効果を期待していくということが極めて重要なわけでありまして、将来的な課題についての議論も必要だとは思いますが、決算委員会ということでございますので、きょうは割愛するわけですが、ぜひ精力的な取り組みを期待したい、こういうふうに思います。
 なお、ただいまの説明で、交通量の抑制対策として交通需要マネジメントにも取り組んでいるということでありましたが、この決算説明書の二三ページですか、自動車公害対策のところに、地域交通量対策として、一億三千万の経費でTDMのモデル試行を行ったことが報告されているわけであります。
 このTDMのモデル試行の具体的な作業の内容についてご報告を願うとともに、今後の対応についてもお尋ねをします。

○吉野参事 交通需要の抑制につきましては、現在、交通需要マネジメントのあり方、それから、そのとり得る手法などにつきまして、学識経験者、国、区市、都の関係者で構成しますTDM検討会議において検討を進めているところでございます。
 具体的には、交通渋滞の解消や環境改善を目的とした駐車マネジメント、公共交通機関の利用促進、パーク・アンド・ライド等の東京都内で実施可能な施策、また、それを実施するための課題について検討してございます。
 十年度実施しましたモデル試行につきましては、検討中の具体的な手法の効果を検証するために実施しておりまして、区域を限定して、マイカー通勤対策、業務用車両対策、物流対策、それから買い物、レジャー対策の四つの施策につきまして実施しております。
 モデル試行については、練馬区内で、まずマイカー通勤対策としてのパーク・アンド・ライド、それから中央区内で、業務用車両対策としましてタイムシフト、デイシフト、それから立川市内で、買い物、レジャー対策としてマイカーの乗り入れ削減の試みなどを実施してまいりました。
 実施結果としましては、マイカー通勤対策で見てみますと、通勤時間が十ないし二十分短縮できたという人が三〇%程度いたわけですが、一方で、通勤電車で疲れるという不満をいっている方もいるというような状況がございました。
 ただ、平日、安価に利用できる駐車場を駅の近くに整備することとか、公共交通機関の利便性を高めることが、通勤者の公共交通機関への転換を促進するという知見も得られてございます。
 以上でございます。

○木内委員 今、TDMのモデル試行の具体的な事例について、施策をご報告願ったわけでありまして、私は、その限りにおいては、局地的、局所的なトライアルということで一定の評価を行うものでございます。
 さて、関連して、大変高い関心と、ある意味での懸念を持って受けとめている問題がございます。それは、申し上げております決算報告書の中に、交通需要マネジメント検討会議を開催したということになっておりました。この内容についての具体的なものは、お尋ねしたかったけれども、本日は結構でございます。ただ、仄聞するところ、この会議の中でロードプライシングの検討も行ったということであります。過日、にわかに私は、新聞報道によって、ロードプライシングの案なるものに接したわけであります。
 私は、江東区に住まいしております。ちょうど山手線の東側になる。この都議会は山手線の西側になるわけですね。あの新聞等で報道されておりますロードプライシングが実施されますと、私は、毎日都庁に来るたびに金を徴収されることになるわけです。これがいいか悪いかは別の議論として、これは、先ほどのTDMのモデル試行のトライアルのケースとは、まるっきり違うものである。規模といい、社会政策といい、あるいはさまざまな分野から議論されなければならない。したがって、私は、こうした施策というものは都民のコンセンサスを得て実行されなければならないと。
 よく行政と議会は車の両輪といわれます。皆さん、優秀な頭脳を持っておられる。いろいろな施策を想定されるかもしれない。提案をしてくる。議会の議論なしに、これが進むようなことがあってはならないと思う。我々議員は、一人一人が体を張って、そうして有権者の方々との話し合いの中で票をいただいて、施策の展開なり、あるいは行政に対するチェックなりを行う責務と権利を持って出てきているわけでありますから、このロードプライシングが行政の一存によって先行するようなことがあっては断じてならない、このことをまず申し上げておきたいと思うのであります。
 私は、ロードプライシングについて、賛成だ反対だと物をいっているのではないのであります。これだけの重要な施策というものが、議会の議論なり、都民のコンセンサスを抜きにして先行してはいけない、このことをまず申し上げているわけであります。
 世界的に見ますと、このロードプライシングの実施例は、シンガポールなど、ごくわずかしかございません。大気環境改善のために乗り入れ規制の実施を検討されていることについて、私は、その部分的な見識については評価を行うものでありますけれども、やはり総合的な検討が必要だと重ねて申し上げます。
 また、一方、客観的に、この手法というものを大都市東京に実際に適用していくには、いろいろな解決すべき問題、課題があると思うんです。そこで、端的に、現在このロードプライシングの検討状況はどうなっているのか、お尋ねします。

○吉野参事 ロードプライシングは、一定区域に進入する車両に対して料金を課すという経済的インセンティブを活用する、交通流の円滑化、環境の改善を図る手法でございます。
 現在、先ほど申し上げましたTDM検討会議の中で、実施地域、それから料金収受方式、それから対象車両、課金する時間帯、根拠法令等につきまして検討を行っているところでございます。こうした制度面、それから技術面での検討や検証を行った上で、制度化を図り、試行を経て、現在、平成十五年以降の早期実施を目指して作業を進めているところでございます。
 ご指摘のように、この実施に当たりましては、広い都民の合意が十分必要だというふうに考えておりますので、そういう過程を経て実施していくことになろうかと存じます。

○木内委員 今の点、ちょっと重複して恐縮でございますが、この検討状況という中で、例えばこういう実施に当たっては、技術的な問題等がいろいろあろうかと思いますが、考えられる隘路、検討課題はどういったものがございますか。

○吉野参事 現在検討してございますロードプライシングは、一定の区域に入る車に課金しようという制度でございまして、その入ってくる車をいかに検知するかというところが最大の技術的な課題であるというふうに認識しております。それは、入ってくる車は、都内の車だけでなく周辺地域、広くいえば全国の車が入ってきますので、その車に車載型の電子装置を装着させていかないと、人間の手ではなかなか検知できません。そういう電子方式で検知するシステムを確立するということになりますので、その車載型のものを全国の車に装着していただくというようなところが大きな課題であろうというふうに考えております。

○木内委員 その点をお聞きしただけでも、一朝一夕に実現するものではないと思いますけれども、何度も申し上げるように、都民の合意というものを前提にして進めるべきである、こういうことを申し上げておきたいと思います。
 次に、大気汚染に関連して、ディーゼル車対策の問題でありますけれども、DPFの開発ということが今喫緊の課題でありますし、低廉で、いわゆるユーザーにとって負担にならないDPFの開発というものが非常に必要であろう、こういうふうに思いますけれども、DPFの低廉化を中心にした開発の状況について端的にご報告願います。

○松葉大気保全部長 ディーゼル車から出る微粒子の除去装置、DPFの開発状況でございますが、この装置は、これまで東京都も、バスとかトラックなどについて、自動車メーカーなどと共同研究開発をしてきました。十年度までの研究成果でございますが、これらを踏まえまして、平成十一年度からは、DPFの開発促進のための検討会を設置したり、あるいは新たなDPFの開発に向けて共同研究を進めております。
 トラック用のDPFの開発状況でございますが、自動車メーカーが開発いたしましたDPFがあるわけでございますが、これの方式は、フィルターを繊維状に変えることで、耐久性を向上できるということになっています。今後、これらのさらなる耐久性の向上とか、安い価格でのDPF、それから、供給も、大量供給というような体制整備などが必要となっております。

○木内委員 大気汚染の問題は以上にいたしますが、最後に一点、DPF、現状で幾らか、それから、今の段階で大量生産が可能になった場合の推定で幾らか、今後推定でぎりぎり幾らぐらいになるか、数字は出せる範囲で結構ですから、ご報告願えませんか。

○松葉大気保全部長 DPFにつきましては、今までバス用として売られていたものについては、三百万から四百万とか、そういうレベルの価格でございます。私どもがことし、あるいは来年度になりますか、そういうために普及を目指している価格の平均的なところで考えておりますのは、例えばトラック用の中型ないし小型のものですと、六十万とか、そういうレベルぐらいのもの、それからバスとしましては、百七十万程度、こういう価格のものを第一段階として目指していきたいと。
 これは、価格につきましては、多く売れる場合は安くなるわけでございます。そういう面では、普及の拡大に伴いましてさらに低減できるのではないかというふうに考えてございます。

○木内委員 今のDPFの開発というのは、やはり販売数が伸びて社会的需要のインセンティブというものが働いていかなければ、促進できない種類のものでありますから、勢い行政施策の重要性というものが大事になってくる。鶏が先か卵が先かという議論よりも、行政のまず努力、それからさまざまな周辺のいわゆるシステム、制度の整備というものが必要であります。ディーゼル車規制の考え方についてお聞きしたいと思いましたけれども、今申し上げた点を要望して、ディーゼル並びに大気汚染の問題についての質疑はまず終了したいと思います。
 私に与えられた時間、三十五分、通告しておりますが、既に二十分近くたちましたので、何とか二十五、六分で終わりたいと思っております。
 次に、環境ホルモンの問題でありますけれども、人類や野生生物に世代を超えた深刻な影響をもたらすおそれがある、こう懸念されております内分泌攪乱化学物質、いわゆる環境ホルモン問題に対して、環境庁が平成九年三月に研究班を設置した。平成十年五月には、この問題への環境庁の対応方針である、いわゆるSPEED’98、環境ホルモン戦略計画を取りまとめたのであります。
 東京都におきましても、平成十年七月には、この問題への対応として、非常に先進的でありますけれども、地方自治体としては全国で初めて、都の環境ホルモン取組方針、これを策定しているわけであります。私は、今の段階でも、この問題への解決の端緒についたところである、さまざまな研究の成果等については、これを行政施策に反映させるには、今後のさまざまな、いわゆる官民一体となっての努力が必要であろうと思いますので、きょうは答弁できる範囲で結構でありますからお答えを願いたいんですが、申し上げた、この取組方針の基本的な考え方、また、今後への具体的な取り組み内容についてまずお尋ねします。

○梶原参事 お尋ねの東京都環境ホルモン取組方針におきましては、基本的な考え方といたしまして、地域特性を踏まえた調査研究等の実施、リスクコミュニケーションの推進、環境リスク低減に向けた新たな取り組みの検討、そして、有害化学物質関連施策との統一性の確保、以上四点を掲げております。
 また、具体的な取り組み内容といたしましては、大きく分けて三点ございます。第一には、都内一般環境大気や河川の水質等の環境調査や食器からの溶出調査など、現状把握でございます。第二には、野生生物への影響の実態調査や分析手法の研究等の調査研究でございます。第三には、パンフレットの作成やインターネットによる情報提供など、情報の収集提供、このような区分で具体的な取り組みを行っております。

○木内委員 今ご報告になった取組方針の中で、実態調査など、現状把握の推進というものを挙げておられますが、その調査結果はいかなる内容であったか、また、それを今後どのように生かしていかれるのか、また、これまでの反映の仕方はどうであったか、できるだけ具体的にお答え願います。

○梶原参事 平成十年度は、公共用水域や下水道水の水質及び大気等の環境調査、ポリカーボネート製食器からの溶出実態調査を実施いたしました。この調査結果につきましては、東京都内分泌かく乱化学物質専門家会議の開催により、適正な評価、コメントをいただき、公表するとともに、インターネットのホームページに掲載するなど、都民に対し情報提供を行ってきたところでございます。
 この反映につきましては、一例でございますが、平成十年調査のうちで、衛生局実施の給食用ポリカーボネート製食器からの溶出実態調査、この調査結果に基づきまして、関係団体に対し、溶出の低減策を要請いたしました。これを受け、業界団体では、ビスフェノールAの溶出を少なくすることを目的として、メーカーに対しては、ポリカーボネート製食品容器の成形加工ガイドラインを、また、ユーザーに対しては、ポリカーボネート製食器の取扱上の留意事項を、それぞれ作成したところでございます。

○木内委員 次のお尋ねをと思いましたが、今、最後の答弁の中で、業界団体に対してポリカーボネート製食品容器の成形加工ガイドライン並びに同製食器の取扱上の留意事項を作成したと。その後の業界からの対応、あるいは実績等についても、お尋ねしたいところでありますが、まだ期間を経ておりませんので、他の委員会の審議に譲ることといたしますけれども、これは極めて重要な分野の答弁でありますので、しっかりと私も見守ってまいりたいし、業界への対応等一層のご努力をされるよう要請しておくにとどめます。
 次に、この取組方針に基づく事業には一定の成果が出ている、このように私は認識をしておりますが、同時に、問題が問題だけに未解明の部分が極めて多いというのが、この環境ホルモン問題における特性であります。調査研究の一層の推進を国に求めるとともに、都民の安全な生活環境の確保に向けて、都独自の試験研究の取り組みも重要と考えます。
 したがって、この問題に関する都の試験研究の充実を図るべきである、私はこう訴えるわけでありますが、具体的にどのように対応されようとするのか、これが一点。
 それから、現実問題、この問題は、一過性で終わらせてはならない課題でありますので、議会は折に触れてこの問題を取り上げていくべきだと思っておりますけれども、都民が非常に不安に感じている多くの問題の一つであります。今後、環境ホルモンの問題に対し、東京都は具体的にさらに幅広い立場からの取り組みをどうされようとしているのか。
 以上、二点まとめてお尋ねして、私の質問を終わります。

○梶原参事 初めに、都独自の試験研究の取り組みについてのお尋ねでございます。
 都では、環境科学研究所や衛生研究所などにおきまして、魚類や貝類等における生殖器官の異常などの調査研究を進めております。平成十年度には、水生生物を用いた内分泌攪乱化学物質の研究を具体化するために、環境科学研究所に、魚類等暴露試験施設を整備したところでございます。十一年度からは、三カ年計画で、メダカ、ニジマス、コイ等に対する試験研究を順次実施することにより取り組んでいるところでございます。
 さらに、試験研究を効果的、効率的に推進していくために、都の試験研究機関の担当者から成ります試験研究分科会を設置いたしまして、情報交換や検討を行っているところでございます。
 また、国に対しては、調査研究の推進や積極的な情報の提供、地方自治体の調査研究等に要する経費の支援措置を要望しております。
 次に、今後都が環境ホルモンの問題にどのように積極的に取り組み、展開していくかというお尋ねでございます。
 申すまでもなく、環境ホルモンの問題、まだ取り組みが始まったばかりでございまして、まだまだ知見が少のうございます。このため、この取組方針に基づき実施している現状把握の実態調査や、計画的な試験研究を着実に推進していくことがまず重要だと思っております。さらに、新たなさまざまな知見の収集を強化し、遅滞なく行政判断を行うため、発生源情報や環境への排出経路に係るデータの収集など、そういった取り組みもまた重要と思います。
 今後、こうした環境への負荷量に関連する基礎的情報の整備の努力とともに、先ほども申し上げました、東京都内分泌かく乱化学物質専門家会議の運営の充実を図りまして、優先的あるいは重点的な取り組みについても明確化する。そのほかに、総合的かつ積極的な展開を図ってまいりたい、このように考えております。

○藤川委員 私の方からは、意見だけを申し上げておきます。
 私の意見の中から、皆さんへの課題として、今後取り組むべきものがあるかどうか、精査していただければと思います。
 なぜ意見だけかというと、余りにも複雑で――これから私が意見を述べる資料というのは、皆さんからいただいた資料ではなくて、私自身、厚生委員会のメンバーなので、衛生局からもらった資料に基づいて皆さんに質問するわけです。
 ことしの年頭の石原知事の言葉の中に、要するに、皆さんが預かっている分野だけで狭窄的にそのことについて高度に専門化することなく、四囲にどういうことが起こっているか、全体を見渡しながら、いろいろと皆さんの仕事をしていただきたいと申しておられたのは、皆さんまだご記憶に新しいと思うんですが、私、それを聞いておりました。そのことだろうと思います。そしてそのとおりだと思います。
 そして私自身、今私が述べますことは、これは全庁的な事柄であると思っているわけです。その中で、皆さんの方の環境保全局に関しては、どういうかかわりがあるかということについて、具体的な例をもって皆さんにお話ししながら、意見とさせていただきたいと思います。
 本当に卑近な例なんですが、私の娘夫婦が去年の八月一日に、辞令でもって東京に越してくることになりました。そして八月二十二日に、私、ついにおじいちゃんになったんですが、そのときに、八月一日にこちらに移ってくるに当たって、娘夫婦が、その組織からあてがわれる住まいのところに行きますと、その三分の一ぐらい、乳幼児を主体にして、行った人がぜんそくのような状態になってしまうわけですね。そのような中で、生まれたての赤ちゃんを育て、自分たちが生活するということはできないから、要するに場所を違うところに見つけたいというので、一生懸命私、人づてをたどって、そして私の家の近所に住む。そういう面では、結果的には非常に幸福な状況にあるわけですが、でも、もしその組織があてがう、その場所に行ったら、三分の一ぐらいの乳幼児を主体とした人たちがおかしくなっちゃう、そういう状況があるということは間違いないわけです。それは、その住んでいる人がそういうことをいうから、娘夫婦はそこに住まなくなったわけです。
 これは衛生局から出てきた資料なんですが、見えると思いますが、黒い部分です。要するに、ぜんそくとかそういうふうな感じの大気汚染について、先ほど木内さん、いろいろと皆さんに質問しておられましたが、そういうたぐいの病というのが、衛生局の資料の中では、年を追ってふえているわけですね。そして、ここにあるんですが、疾病別患者割合というので、何と九六・四%が気管支、ぜんそく性の病でいろいろと手当てを受けている。ぜんそく性気管支炎が三・五%、それから慢性気管支炎が〇・一%、こういうふうに非常に高い状態で、国で認定されている病で皆さん苦しんでいらっしゃるわけです。
 少なくとも、東京都の一つの大きな課題として石原知事がいっておられますことは、東京を世界に冠たる魅力的な都市にするんだ、そして快適な住環境を確保するんだ、そして結果的に都心に人口を取り戻すんだ――これは前の知事のときにもいっておられましたが、こういうことが東京都の大きな課題であるとすれば、東京都に住まいする人たちがいかに健康で快適な生活をするかということ、そのために皆さんがどのようなご努力をなさるかということの、一つの大きな課題であろうと私は思うわけです。だから、そういう面で、皆さんの局に与えられた課題というのは非常に大きいものがあるということをぜひ強く認識していただきたいというのが、私の意見でございます。よろしくお願いいたします。

○大河原委員 私からも、緑と水についてお伺いいたします。
 先ほど、小松理事から、緑の保全ということで質疑がされましたけれども、環境保全局の重大な事業、自然環境の保全と緑化の推進、大変大きいものだというふうに思っております。資料の中でも、保全地域の公有化、そういったものも出されておりますが、保全地域の指定については、地権者の方への制約が大きくなるということで、地権者からは嫌がられ、多少協力金を出しても、なかなか進まないというふうに思っています。
 そしてまた、公有化をするとなると、自治体の財政が大変厳しいということから、たえ切れない。先ほども、平成十年度、四十八億円で四・五ヘクタールですか、そのようなお話でした。大変土地が高いということもありまして、私が住んでおります世田谷でも、湧水がある部分を買おう、そんなことはとてもできない状況になってきております。
 それで、先ほどから、緑の保全をどういうふうにしていくのか、この公有化の事業は役割を終えたという部長のご答弁もありましたけれども、もう少しこの中身、どんな緑地が、緑が残っているのか、そして、今後これをどういうふうに新しい形で残していくことができるのか、そんなことで質問を進めていきたいと思います。
 まず、平成十年度までに指定した保全地域、先ほどからも四十三カ所というふうに出ておりますけれども、この丘陵地にある保全地域の数、そして、そのうちいわゆる里の風景になります谷戸を含む保全地域の数と谷戸の数をお伺いいたします。

○江渡自然保護部長 丘陵地にある保全地域は十四カ所でございます。そのうち谷戸を含む保全地域は六カ所、谷戸の数は十カ所でございます。

○大河原委員 都内の丘陵地にある谷戸というのは、宅地造成とか、道路ができてしまう、それから、土が捨てられる、いろんな行為によって破壊されてきているというふうに思います。この都内の丘陵地にある谷戸というのは、今どういうふうな状況なんでしょうか。

○江渡自然保護部長 昭和六十三年度の当局の調査結果によりますと、谷戸地形は三百六十六カ所ございました。その時点で、多くの谷戸は既に消滅しておりまして、自然的価値が高く、かつ残土処分地とされる可能性の高い谷戸は四十カ所となってございます。
 その後、平成七年度に行いました調査結果では、その四十カ所が十九カ所に減少してございます。

○大河原委員 ちょっと資料をいただきましたけれども、この赤い地点が三百何カ所という、谷戸がもとあったところですね。そして、緑の部分、本当にもう数少なくしか残っておりません。で、この丘陵地帯の谷戸の現状というのはまさに危機に瀕しているわけなんですけれども、谷戸の価値というものを今、東京都はどのようにとらえていらっしゃるんでしょうか。

○江渡自然保護部長 谷戸は、地形的には、丘陵地に刻み込まれました浅い谷でございます。河川の源流部であるとともに、多くの動植物が生息する、自然豊かな区域でございます。また、季節の変化に応じて、四季折々の動植物を見ることができます。人に快適さや安らぎを与えてくれる自然地でございます。
 こうした谷戸の自然は、一度破壊されてしまうと、復元は極めて困難であり、保全していかなければならない場所であると考えております。

○大河原委員 この赤い点にあらわれているところは、今行ってみれば、本当にここが谷戸だったのというようなことがあると思いますけれども、お隣の神奈川県、鎌倉などでも、谷戸の地域が公園というような形で保全されていたり、さまざまな積極策がとられております。
 部長に今お答えいただいたように、谷戸には数多くの価値がありまして、そして、これは、近くにあれば、子どもたちが必ず行って遊んでいる。空間と自然という、大変貴重な教材が生きている場所でございます。残された貴重な谷戸、これを積極的に保全していかなければならないと強く思うわけなんですけれども、都としては今後どのような対応を考えていらっしゃるんでしょうか。

○江渡自然保護部長 来年度には、多摩地域における谷戸の現況を調査し、今後の保全地域の指定に当たっては、これまで以上に谷戸の保全に重点を絞っていくことを考えております。
 また、自然保護条例の改正の中で、規制と保全の両面から谷戸を守っていくことを検討してございます。

○大河原委員 私、実は先々週の日曜日に相模湖町へ行ってきました。森づくりフォーラムというNPOが今立ち上がろうとしておりますけれども、水源林の下草を刈る、それも山主さんに協力をするという形なんですけれども、山主、それを財産として持っている人だけのものではなくて、もっと市民の力が生きて、それを応援する形で行政も動くというのが新しい時代のやり方ではないか、新しい東京が生まれるというのは、こうした環境保全の中にもあると思います。既に、里山トラストとかいろいろ出てきていますけれども、新しい仕組みを考えて、ぜひともこの貴重な残されているものを次の世代に伝えたいというふうに考えておりますので、ぜひその辺で局としても最大限のご努力をお願いします。
 緑の保全ということは、必ず水の保全ということにつながっているわけです。これから春になりまして、都心でも大きな木がありますが、その下には、今地上にある地図とは全く別の水循環が息づいている別の地図があるというふうに思いますし、実際に東京の水循環、地下の様相は、私たちの想像を超えるものがあります。
 次に、雨水浸透ますのことを伺いたいと思っております。
 清流復活で、高度処理水を用水に流すというようなこともありますけれども、まず、まだまだ表面がコンクリートで埋まっていない、そういうところに降ってきた雨をしっかり地下に涵養させるということが、大変大きな役割を果たすと考えているわけなんです。雨水浸透ますについての資料もいただきました。涵養地域にこうしたますを設置することによって、地下水涵養を図るわけなんですけれども、そもそもこの雨水浸透ますの設置には、東京都が補助を始めた経緯があると思うんですけれども、これはどんなことだったでしょうか。

○岡田水質保全部長 先生ご指摘ございましたように、東京の台地あるいは丘陵地におきましては、都市化が急激に進展したことに伴いまして、雨水の浸透が阻害され、自然の水循環が損なわれてきたということがあったわけでございます。これによりまして、湧水、いわゆるわき水でございますが、これの枯渇や、湧水の量の減少、さらには、湧水を水源といたします中小河川の水量の減少といったようなことが発生してきたということでございます。
 このために、東京都といたしましては、湧水を保全、回復いたしますために、河川ごとに湧水の機能の評価調査を行いまして、平成元年度には、局内で、湧水の保全対策のあり方を検討いたしました。その上で、地元、この場合国分寺市でございますけれども、都として働きかけを行いまして、平成二年度から湧水保全モデル事業を開始したところでございます。

○大河原委員 国立、国分寺から連なっている国分寺崖線、世田谷の方まで来ておりますけれども、本当に湧水は貴重です。東京の地名を見れば、水に関係する地名が数多くありまして、私が住んでおります世田谷でも、代沢、深沢と、沢がついております。渋谷、谷ですね。いろいろありますけれども、大きな水循環の中では、やはりこうした東京都の姿勢、とても貴重だというふうに考えております。
 東京都が平成二年から開始したモデル事業、国分寺市と三鷹市で実施した後、平成八年から、これは湧水保全事業として地域を拡大したというふうになっておりますけれども、その際の考え方ですね、これはどのようなものだったでしょうか。

○岡田水質保全部長 モデル事業でございますけれども、当初、野川の関連いたします真姿の池、それから仙川の丸池、こういう二地区について実施しておったところでございますけれども、この事業を継続することによりまして、区市との連携で雨水浸透ますの設置を推進できる見通しが立ったこと――これは、毎年千基程度の設置が安定的に継続できるということが実証されたわけでございます。さらに、雨水浸透ますが有効と考えられる地元の区や市の関心が高まってきた、こういうこともありまして、都としても湧水保全のために雨水浸透ます設置補助事業の対象区域を拡大したところでございます。
 また、この間には、平成九年度でございますが、環境庁におきましても、井戸、湧水復活再生事業ということで補助制度がスタートしたということもございました。
 なお、平成十年度からは、水循環を保全、再生するための事業といたしまして、水循環再生事業という位置づけで実施しているところでございます。

○大河原委員 十年度からは、水循環を保全、再生するための事業として位置づけられているということで、本当に東京都が地下水、水に関する考え方を、ちょっと失礼ないい方かもしれませんが、進化させてきたといいますか、地域で求められている声に応じてきたというふうに私は評価をしたいと思っているんです。
 しかし、きょう要求いたしました一二ページの資料、ここには実績が出ておりますが、決算を見ますと、この重要性は本当にあるんだけれども、その三分の一が不用額になってしまっているという現実もあるんですね。この原因はどのようなものでしょうか。そして、私はもう本当にフルにこの予算を使って、もっともっと雨水ますをふやして、地下水涵養を図るというふうにしたい、その立場に立つ者なんですが、この点をご説明ください。

○岡田水質保全部長 配布のございました資料の一二ページにもございますように、平成十年度につきましては、四千四百万の予算現額につきまして二千七百六十四万といった支出状況になっておるところでございます。不用額の生じた主な原因といたしましては、この事業の性格といたしまして、区市の要望を聞きながら予算編成をするということをしているわけでございますけれども、執行段階におきまして、区市の財政状況などから、予定した実績が上がらなかったということにあると考えてございます。
 今後、実績をさらに上げていくためには、区市への働きかけを強めること、さらに、区や市の意向、また状況の的確な把握を一層強めるなど、区市との連携を密にする必要があると考えております。
 また、雨水浸透ますを設置することにつきまして、都民の理解と協力を得ていくということが重要でございますので、さらに普及啓発を進めてまいりたいというふうに考えております。

○大河原委員 決算の委員会なので、どうしても執行率に目が行ってしまうかと思うのですけれども、この事業は執行率でははかれない、そのことをぜひこの委員会の委員の皆様にもご理解いただきたいと思うのです。水循環を保全、再生するために、この雨水浸透ますの事業、大きな水循環を守るという意味では大変に重要なものです。局としても、ぜひともこれを設置する区民、都民に理解されるように、ご努力をいただきたいと思うのです。
 特に、必要もない、要するに既設の住宅にこのますをつけるわけですから、新築で一定きっかけがあってつくるというよりも、つけてくださいという側も難しいし、つけましょうというところにも、一歩踏み出した環境エコ意識というんでしょうか、そういったものが必要になってきます。しかし、効果がなかなかはかれない、データ的、数値的に出てこないからといって、この事業の意味がないわけでは決してありませんので、その点について、ぜひ今後ともこの事業の拡大を図っていっていただきたいと思います。
 今年度予算で、都市計画局の治水事業の方にも、この同じ、ますをつけるというのがあります。しかし、その意味合いは、環境保全局は、降った水を一ミリでも多く地下水にと発想して、この雨水ますをつけるわけですが、あちらの事業、都市計画局の方は要するに治水対策ですから、いわばピークカットのような形で、あふれるもの、余ったものを地下に流す、そういう発想じゃないかというふうに思うのですね。事業については、同じものが設置されるということで、効果は着実に出てくるわけなんです。あちらがなくなるような感じですけれども、こちらのこの事業、環境保全局としての本当に大きな役割を果たす事業だと思うので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
 終わります。

○山本委員長 それでは、大河原委員の発言で一区切りつきましたので、議事の都合によって、十分程度休憩といたします。
   午後三時十六分休憩

   午後三時三十分開議

○山本委員長 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
 質疑を続行いたします。
 発言をお願いします。

○植木委員 この決算年度であります九八年は、環境保全局としても、その姿勢が非常に問われた年ではなかったかと思うんですね。西淀川の判決が出されて、それに続いて九八年度に川崎公害裁判の全国で注目された判決が出た。そして一方で、東京都がやはり公害訴訟で訴えられて、審理が緒についた、こういう時期だったと思うんですが、そこでまず、この川崎公害裁判といわれているこの裁判では、どのような内容が争われたのか、簡潔にお示しいただきたいと思います。

○松葉大気保全部長 川崎公害訴訟でございますが、主な争点としましては、被告らが排出した大気汚染物質と健康被害との因果関係の問題、それから、国の工場立地、操業及び環境対策に関する責任の有無、それから、国、公団の道路設置管理者の責任の有無、こんなようなことが主な争点でございます。

○植木委員 今出された争点は非常に大事な中身ですね。大気汚染物質と健康被害の因果関係、それから、国の施策に対する責任の有無、そして、国や公団、道路設置者の責任、これらがどのような結果の内容になって、結論が出されたのか、お示しいただきたいと思います。

○松葉大気保全部長 川崎公害訴訟の国等に対する判決でございますが、十年八月に横浜地方裁判所で判決がございました。その判決の主な骨子でございますが、一つは、対象地域の大気汚染が、二酸化窒素や浮遊粒子状物質の相互作用により、指定疾病の発症、悪化をさせる危険性があった。それから、患者、原告らの健康被害と、道路からの沿道地域への大気汚染との間に因果関係があると。それから、国、公団等に対して、原告に損害賠償の責任を負うというようなことがございました。
 一方、道路からの大気汚染の排出差しとめに対する請求については、差し迫った緊急性がないということで、認められませんでした。

○植木委員 今、結果の内容が示されたんですが、都としては、この川崎公害訴訟の先ほど示された争点や和解の内容、これらについてはどのように受けとめているのでしょうか。

○松葉大気保全部長 国の判決があった後、それぞれが控訴してございます。それで、平成十一年、昨年五月でございますが、東京高裁において、それぞれ和解がなされてございます。その内容でございますが、建設省とか関係機関等が環境基準の達成に向けて真摯に取り組むとか、あるいは、国、公団が川崎市南部の地域の交通負荷の軽減を図るなど、さまざまな内容となっております。
 それを受けまして、東京都としてでございますが、窒素酸化物による大気汚染は非常に厳しい状況にあると認識しております。特に、こういう局地の問題については、ぜひ解決しなければならない課題というふうに受けとめてございます。これまでも、いろいろな対策を講じてきたところでございますが、今後、一層推進していきたいと考えております。今回の環境の和解については、関係省庁、それから地方自治体が連携して、いろいろな沿道対策を講じていくということで和解がなされたわけですが、こういう方向が今後も対策の方向性を示唆するものというふうに考えてございます。

○植木委員 受けとめの内容が示されたわけですが、そうすると、その受けとめで、都としては今後、そういう和解に基づく対策といいましょうか、どのような取り組みをしていくつもりなのか、お示しいただきたいと思います。

○松葉大気保全部長 局地汚染対策の課題を解決するために、東京都では、大和町交差点などで、国、都、地元区などといろいろな検討委員会を設けてございまして、実験を行っているところでございます。
 それから、大坂橋などの局地汚染対策では、国、地元区、それから東京都が連絡会を設けまして、今後の改善策について協議を進めております。今後とも、こうした協議などを通じまして、具体的な対策が推進されるよう努力してまいりたいというふうに考えてございます。

○植木委員 今のご答弁と先ほどの受けとめの内容を総合してみますと、今東京都自身が公害の訴訟を受けている、しかしながら、川崎の裁判の結果を受けとめて、東京の窒素酸化物等による大気汚染は大変に厳しい状況にあるという認識のもとに、具体的な対策を進めると。
 ということは、東京都で行われている公害訴訟について、もちろん裁判そのものは今進行中でありますけれども、責任を痛感して具体策を進めようとしていると、このように受けとめてよろしいのでしょうか。

○松葉大気保全部長 現在、裁判が進行中でございます。この内容についての見解は、コメントを差し控えさせていただきたいというふうに考えていますが、東京都としましては、先ほども申し上げましたように、大気汚染を改善するため、今後とも、国とか各自治体などとも連携を図りながら、少しでも大気汚染が改善されるように努力していきたいと考えてございます。

○植木委員 コメントを差し控えるというのですが、きょうの資料に出されておりますように、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質の環境基準達成状況、どう見てもこれは達成されていない。特に、先ほど問題になりました、ぜんそくなどの原因になっている浮遊粒子状物質、達成率ゼロ%でしょう。
 それから、この決算年度のときに、東京都の条例に基づく、ぜんそくなどの呼吸器疾患の患者数だけでも、約五万人になっているわけですよね。そういう点では、裁判がどういうふうに進行しようが、東京都の受けとめとして、川崎裁判の受けとめとして、当然その責任を認めてしかるべきだ、そして、そのための対策をとる、これが都として当然のあり方じゃないかと思うのですが、もう一度お答え願いたいと思います。

○松葉大気保全部長 裁判のことについては、先ほどお答え申し上げましたように、いろいろ係争中でございます。しかしながら、大気汚染を改善するということについては、全力を挙げてまいりたいというふうに考えております。

○植木委員 しかしながらということなんですが、じゃ、争われている内容が極端に違いますか。どういう内容になっていますか、お聞かせください。

○松葉大気保全部長 東京裁判の内容でございますが、現在、東京地方裁判所で係争中でございます。一つは、被告は国、東京都、首都公団、ディーゼル車メーカー七社でございます。請求の内容としましては、それほど違ってございませんが、川崎訴訟の場合は範囲が、地域が限定した区域になってございます。東京の場合は、広く一般的に東京の町中全体を指した裁判というふうなところが違うわけでございます。

○植木委員 川崎は局地的だ、東京は違うんだというのですけれども、この示された資料で、どう違うんですか。全都的に達成されていないわけでしょう。局地的なものが重なっているわけでしょう。全都的に達成されているならば、違う見解が出てしかるべきですけれども、明らかに全都的に達成されていないのですから、その責任はあると、こういうことじゃないですか。

○松葉大気保全部長 今申し上げましたのは、裁判における対象の地域が、川崎の場合は川崎の南部地域ということでなっている、こういうことでございます。

○植木委員 答えになっていないですよね。しかし、川崎裁判の受けとめとしては、現実に東京の大気汚染の現状は大変厳しいと。これは先ほど繰り返し出たので、もう繰り返しませんけれども、現実に都民は苦しんでいるわけでしょう。先ほどもお話があった、住むところさえ選ばざるを得ない。こういう現状になっている東京都の環境保全局として、裁判の経過は、これから進むわけですから、そのことはもう触れませんけれども、当然責任を痛感してしかるべきだということを、私は改めていいたいと思うんですよ。
 だから、今後の環境行政にとって、厳しく川崎の教訓を受けとめると同時に、東京都として、東京都の裁判の結果が出ようが出まいが、厳しく達成するための努力をする、これはもう当たり前のことですよ。そこを私は強くいいたいというふうに思うのです。
 そこで、時間も短いですから、部分的な問題に入りますが、その中でも、現に今進んでいる道路公害行政について対策を打たなきゃならないわけですよ。その点について、これもいろいろな方法があると思うのですが、私は、一つの点だけお聞きしたいんです。
 今、都や国で、NO2 だとかNOx 、あるいは浮遊粒子状物質、こういうものの除去装置の一つとして、低濃度の脱硝装置、あるいは脱硝技術というのでしょうか、そういうもののさまざまな研究がやられていると思うのですが、どういう角度からの研究で、その技術開発の状況といいますか、到達点、これはどのようになっているのでしょうか。
〇松葉大気保全部長 窒素酸化物などを除去する方法としまして、一つは、直接薬品あるいは吸着などによって除去する方法、これは通常、脱硝の技術というふうにいわれています。それから、あと、土壌中を通しまして、細菌によって窒素酸化物を除去する土壌方式、あるいは換気施設などを設置して強制的な換気を行う方法など、各種実験がされているところでございます。
 それぞれいろいろな開発状況にはあるわけですが、現在の開発の状況でございますが、建設省あるいは東京都が行ったような実験については、現在では、実用化に当たって幾つかの課題がある。例えば設置スペース、省エネルギー、運転等の問題などで、今後さらに検討が必要であるというふうな状況でございます。

○植木委員 もうちょっと具体的にしてほしいのですが、例えば大和町の交差点だとか、あるいは湾岸道路などで行っているものですね、詳しくお願いしたいと思います。

○松葉大気保全部長 大和町交差点でございますが、国、それから都、民間企業などが実験を進めてきたところでございます。例えば、道路管理者であります国とか都が行ったものでは、交差点での換気施設を設けまして、それによる換気の実験、それから東京都、板橋区、建設省などでは光触媒ということで、塗料を塗ったりなんかして窒素酸化物を除去する実験、それから、民間の八社で公募いたしまして、大和町交差点の近くで実験を行っておりますが、光触媒のタイルだとか塗料などを用いた実験、それから土壌による実験などを行ってございます。
 また、湾岸道路では建設省などが実験を行ってございまして、これにつきましては平成九年二月から実験を行って、窒素酸化物の除去については当初の目標を達成したわけでございますが、これら以外に、先ほども申し上げましたように、スペースの問題、省エネルギー、コスト等で、さらに実用上の課題が今後引き続き課題であるということになってございます。

○植木委員 実に具体的な対策の実験がいろいろ行われていると。これらがどんどん実用化されていけば、現在ある道路行政の中でも、完全とはもちろんいきませんけれども、ある程度の対策は可能だと、こういうことだろうと思うんですが、しかし、まだ実用化されていないということで、実用化に向けて、先ほど幾つかの課題を述べましたけれども、具体的にどんなふうに取り組んでいくのか、お示し願いたいと思います。

○松葉大気保全部長 今まで、大和町交差点などで実験を継続してきたところでございます。それらの結果について早期にまとめるということになっております。したがいまして、こういう内容なども踏まえて、専門家の意見または評価を得ていきたいというふうなことになっております。
 実用として推進すべき技術などは、この中であるとすれば、可能な限り今後対応が図れるよう、道路管理者などと協議を進めていきたいというふうに考えています。

○植木委員 実用化のめどをどう立てるかということ、それから具体的な道路行政にどう反映させるかという二点が示されたと思うのですけれども、今の段階で見て、目途としては、例えば今年度中なのか、あるいは数年もかかるのか、それぞれ行政機関が違うから一律にはいえないと思いますけれども、ある程度の見通しというのは、どんなふうに持っているのでしょうか。

○松葉大気保全部長 いろいろな技術、それから規模、内容等、どの程度内容として図られれば実用化ができるのか、こういうようなことが課題なわけでございます。その点につきましては、私どもまだ定かに何年先に実用化になるということは、確かな情報として得ていませんが、今後、先ほどお話し申し上げました大和町の交差点の実験結果など、または建設省などが行っている情報などもさらに入手し、可能性について検討を進めていきたいというふうに考えています。

○植木委員 私が幾つか聞いたところでは、実用化のプランのためのめど、例えば光触媒みたいな実験は大体今年度中だというふうに、これは都市計画でしょうか、関係のところでお聞きしたわけです。もちろんその結果がどういう結果になるか、はっきりわかりませんけれども、一応そういう方向だとか、それから建設省の方は、まだ継続中ではありますが、パーセンテージは先ほども報告があったように達成しているわけですから、あと問題は、どう小型化して低コストにしていくかという課題はあるんだけれども、それにしても、ある程度の実用化の段階で――完全でなければやらないということでは、環境行政、道路行政として本気に取り組む姿勢とはいえないと思うので、やはり一定のめどを立てて取り組んでいただきたいというふうに思いますし、それから、今年度にある程度の見通しを立てるというようなものについては、早速取り入れる、こういうようなことも含めて考える必要があるんじゃないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 今後の実用化の見通しでございますが、現在の技術開発の状況とか、あるいは技術の導入の可能性などについて、今後、関係者との意見交換などを行い、私どもとしては開発が促進されるよう図っていきたいというふうに考えています。

○植木委員 開発を促進して実用化にというお話ですが、何でこういうことをいいますかというと、現に、中野、渋谷、豊島、新宿、目黒、環状六号線のところですね、地下の高速道路新宿線、現在工事をやっているわけですよ。これについてのいろいろの経過は、きょうは都市計ではありませんので、お話しいたしませんけれども、幸か不幸か計画がずっとおくれておりまして、最低でもあと六年以上はかかるというふうに都市計の方ではいっているわけですね。そうしますと、例えば、この二年間の間に一定の方向が出れば、あるいは現実にそういう所管局のところでやれるように道筋をつけるということは、理屈の上では私は可能だと思うんですよ。問題は、まあ財政の問題とか、スペースの問題とか、技術的な問題はありますけれども、しかし環境保全局としては、現にある道路行政、つまりこれからのいろんな計画の中ではじゃなくて、現にある道路行政の中で、この道路は土壌方式、あるいはこの道路は脱硝装置の建設省がやっている方式、あるいはそのほかの光触媒などと併合するとか、そういう工夫をすれば、現在ある道路、あるいは現在工事中の道路にも、私は適用可能だと思うんです。そういう意味で、先ほど、一般的に働きかけるというお話がありましたけれども、例えば今いった新宿線ですね、これなどについて具体的に働きかける意思があるかどうか、お聞きしたいと思います。

○松葉大気保全部長 新宿線などに具体的な働きかけをということでございます。
 先ほど来申し上げていますように、まだ実用化に向けては課題があるということでございますが、都市計画局におきましても、排ガスを浄化する技術が道路で適用が可能であれば、高速道路についても導入を検討するよう、首都高速道路公団に対して要請していくということにはなっているわけでございます。したがいまして、私どもとしては、こういう現在の開発状況とか導入の可能性などについて、都市計画局を初め関係者と意見交換などをしてまいりたいというふうに考えております。

○植木委員 ぜひこういう行っている事業局に対して、働きかけをかなり頻繁にやってほしいんですよね。というのは、余り先になっていくと、計画そのものが進行していきますから、実用不可能になってくる可能性も出てくるわけです。そういう意味では現在の段階からそういう折衝をやっていくことが、私は非常に大事だと思うんですね。そのことを強くお願いしたいと思います。
 それから、先ほどの川崎裁判でも、総合的な沿道対策というお話や、よく読んでみますと、住民参加方式なども取り上げて、施策の実施に対して住民が参加していく、もちろん地元の自治体もそうですけれども。そういう問題の確保だとか、それから公害のない道づくりのための道路連絡会とか、そういうものが示唆されているわけですね。川崎の方では、これから具体化していくんだろうと思います。そういう意味で、東京の道路行政にもやはり住民参加をもっと積極的に入れるべきじゃないかと。
 それから、この新宿線について思うに、建設の段階から公害のない道路づくり、これへの住民参加というのは実質的にはないんですよね。もちろん私ども、地元の住民の皆さんと一緒に、直接交渉をやむを得ずやったりしていますけれども、行政側としてのアプローチというのは非常に弱いんですね、説明会とか大幅な変更とかというのはありますけれども。要は、そうじゃなくて、川崎裁判の教訓というのは、公害のない道路づくりに住民が参加する、あるいは現に起きた公害に対しては、住民参加と協力関係を維持していく、こういう関係を打ち立てるというのがもう一つの大事な点だと私は思うんですよね。
 そういう意味では、事業局がやらないからだめなんだよというのでは、環境保全局としてはやはりいささか受けとめが弱いんではないかと、先ほど指摘したとおりでありますので、環境保全局が主体的になって、そういう現に発生している公害に対しては、当然その対策のための住民参加、それから、先ほどの新宿線のように、現に進めている問題についても、公害のない道路づくりについてやはり住民参加で行っていく、こういう姿勢が必要かと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 今、住民参加というお話でございます。川崎の中でも、建設省、公団それから原告の住民ということで、協議会を設置するということでございます。こういう方向で今後具体的な検討がなされていくと思いますが、私どもとしましては、一つは川崎とかあるいは大阪の関係で、道路環境対策についてこういうような取り組みが始まっていく、こういうことについても、動向とか対策の効果などの把握に努めていき、東京の実情に合った対策の推進が図られるよう努めていきたいというふうに考えております。

○植木委員 動向を見ながらというのでは、首都東京の環境保全局として、何といいましょうか、遠くで眺めて、あそこがうまくいったらやろうみたいな、そんな低い姿勢じゃ、やっぱり環境保全局として正しくないというふうに思うんですよね。東京にふさわしい住民参加の仕組みは、積極的に東京がつくる以外ないわけです。川崎がよかったから東京でというような話じゃないと思うんですよ。そういう意味で、私は直ちにそういう角度で取り組む必要があると思いますが、もう一度お答え願いたいと思います。

○松葉大気保全部長 先ほど、住民参加ということでいろいろお話しいただきました。道路づくりに当たって、国あるいは都でいうと建設局など、主体があるわけでございますが、私ども環境保全局としては、現在の道路の問題、それから新しく建設されます道路の問題、環境問題についてできるだけよい道路がつくられるということについて努力していきたいと考えております。

○植木委員 努力していきたいだけじゃなくて、保全局としてそういう住民参加の検討を、内部検討でも結構ですから、やっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

○松葉大気保全部長 今ご指摘いただいたような趣旨につきまして、例えば局地汚染対策の関係であるとか、そういうようなところで具体的に住民参加などが図れるかどうか、または可能性としてどういうことができるのか、こういうことについても検討してみたいと考えております。

○植木委員 今、検討してみたいと。みたいという願望ではなくて、ぜひ検討してください。
 環境問題は、先ほど来いろいろお話がありましたように、いろいろな角度があるわけですよ。だから、何か一つやったからということで成功するものではない。行政として必要なのは、やはり総合的な対策だと思うんですね。もう時間もありませんので、私の考えを述べますと、川崎裁判やそういうものの教訓を得て東京都が率直にどんどん進めるということ、そしてディーゼル車NO作戦も必要ですけれども、同時に、交通量の抑制策だとか局地汚染対策、高速道路構造そのものの改善、それから、今現に健康被害に遭っている方々への救済策、これなども、まさに予算が減らされているような状況がありますけれども、ふえているわけですから、必要な充実を行っていただきたい。
 それから道路問題、環境問題というと、すぐ新しい道路というようなのが東京都の行政の中でよくあるわけですけれども、そうじゃなくて、新たな被害を発生させないための道路計画にしていく、それから交通需要を増大させないそういう計画、再開発などは促進しないでやる方法なども、広範な検討をしていただきたいということを重ねて強調して、私の質問を終わりにします。

○清水委員 十年度ダイオキシン対策の決算について何点かお伺いいたします。
 決算説明書の二一ページによりますと、ダイオキシン対策の推進で、地下水、土壌環境調査で約三千九百万円支出しています。土壌調査の内容と調査地点の選定がどのような考え方のもとで行われたのか、お伺いいたします。

○岡田水質保全部長 土壌ダイオキシン調査についてでございますが、東京都のダイオキシン類対策取組方針に基づきまして、十年度を初年度といたしまして三年間で、都内の島しょ部を除きます五十四市区町村におきまして、各一地点程度、一般環境調査を実施するという方針のもとに、年間二十地点ずつ、三年間で六十地点の調査を行うこととしてございます。
 そのほかに、ダイオキシンの地面の深さの方向での経年変化を見るための調査も実施することといたしてございます。
 この方針に基づきまして、十年度でございますが、一般環境調査二十地点、深度分布調査三地点の二十三地点について調査を行ってございます。
 地点の選定の考え方でございますけれども、十年度につきましては、大気のダイオキシン濃度との関係を把握することも考慮いたしまして、ダイオキシンの大気の測定地点の近傍で土壌調査を行ってございます。また、その地点の選定に当たりましては、環境庁の土壌調査の暫定マニュアルに基づきまして、特定の発生源の影響を強く受ける可能性のある地点を避けるなど、地域代表性の確保に努めたところでございます。

○清水委員 同じくこのダイオキシン対策推進の全体で、約七千九百万円の不用額が出ておりますが、その主なものは何でしょうか。

○梶原参事 不用額についてでございますが、ダイオキシン類のモニタリング調査委託の契約差金等として約三千三百万円、ダイオキシン類の分析室の改修工事、備品購入の契約差金等として約四千五百万円でございます。

○清水委員 決算年度であります十年度は、大阪の能勢町のごみ焼却施設周辺の高炉の汚染問題や杉並中継所の問題、それから昭島清掃工場の問題、日の出町のごみ処分問題など、全国そして都内でも、ダイオキシンを初め化学物質について大変都民の不安が高まった年であります。先ほどいただきました資料でも、苦情件数が、現象別においても発生源別においても、十年度は大変ふえているというのが現状です。都民の不安にこたえる取り組みが十年度は求められたというふうに思うんですね。
 それで私どもは、この年の代表質問、一般質問そして委員会などで、土壌調査においては都全域で行うことを求めてまいりました。ただいまご説明がありましたように、予定より半分の金額で実施できたということですが、先ほどの雨水ますと違って、これは区市町村の財政との関係でなくてもできる事業です。そういう意味では、不用額が出たのであれば、都民のこうした不安にこたえるために、土壌調査の地点の拡大を検討すべきではなかったのかということを伺いたいと思うんです。
 今ご説明の中で、特定の発生源の影響を強く受ける可能性のある場所は避けるということで、地点の選定の環境庁のマニュアルをいわれましたが、ダイオキシンの発生の原因が焼却によるものということは、当時から研究の中でも指摘されていたわけです。都民の不安にこたえるためには、委員会の中でも要求してまいりましたが、例えば昭島清掃工場周辺の土壌調査をこの二十地点に加えて行うなどの検討は行われなかったのかどうか、お伺いいたします。

○岡田水質保全部長 先ほども申し上げましたように、十年度につきましては、一般環境調査を行うという方針で取り組んだところでございます。したがいまして、特定の発生源の影響を強く受ける可能性のございます場所は避けるというようなことで、地域代表性の確保に努めたところでございます。

○清水委員 先日の報道によりますと、神奈川県では三十七カ所でこうした土壌の調査を行うというような報道がありましたが、地点の拡大と発生源周辺の調査を改めて要望しておきたいと思います。
 大気中のダイオキシン類の濃度の国際比較によると、日本は一けた高い数字になっています。ダイオキシン類が人体に取り込まれるのは、多くは食物経由であるとされていますが、大気中のダイオキシン類は、呼吸によって直接肺に取り込まれるために、発生源近くの住民には大きな影響が懸念されます。人体に及ぶ影響については、科学的にまだ未解明な点はありますが、国際がん研究機関が発がん物質と判断をしており、動物実験は証明しています。日本における高濃度汚染地域の汚染の程度は、書物などによりますと、ベトナム戦争時などにも匹敵するものであるといわれていますが、違うのは、それが戦争でも事故でもなく、日々の生活や経済活動から発生したものであることと、危険性が明らかになった現在でも汚染が継続中だということがいわれています。
 しかも、日本の削減対策は始まったばかりで、厚生省が耐容一日摂取量を定めたのは九六年六月で、その数値は一〇ピコグラムでした。環境庁は九六年十二月に、ダイオキシン類の健康リスク評価指針として、五ピコグラムを採用しました。その後、九八年五月に世界保健機関が一ピコグラムから四ピコグラムとしたことから、ようやく見直しが行われることになりました。九七年、具体的な国での法規制がようやく開始され、しかし、規制内容が不十分という以前に、規制の前提となる実態の把握がなされていないという問題、行政によって、環境や人体の汚染状況の調査がわずかながら行われつつありますが、体系的ではなく、目的や調査方法が明確ではないこと、高濃度の環境汚染が判明している地域における調査も、多くは地域住民が自主的に行ったものでもあります。日本のダイオキシン対策は、他の先進国から十年以上はおくれているといわれています。
 こういう中で十年度の東京都の取り組みを考えたときに、ダイオキシン問題を真剣に受けとめ、きめ細かな情報交換、提供を行うべき年でありました。その役割を果たしているという機関、環境会議が十年度開催されたわけですけれども、何回開催されたのでしょうか、九年度は何回だったのでしょうか、お伺いいたします。

○梶原参事 環境会議は、環境保全施策につきまして、総合的な調整、推進を行うために、全庁的に開催する組織でございます。平成十年度におきましては、ダイオキシン対策に関しては三回でございます。また九年度は八回でございます。

○清水委員 内容については伺いませんけれども、十年度の会議の開催は、十年度に起こったさまざまな事例からいくと、もっと充実されてよかったのではないかというふうに考えます。そういう意味では、全体的な情報の収集、交換、提供などについて一層充実させていただきたいと思います。
 最後に、対策として重要なことは、発生抑制だというふうにいわれています。ダイオキシン類を抑制するためには、塩化ビニール、塩ビ対策が必要です。十年度、塩ビ対策では、本会議質問、同じく委員会質問を行ってまいりましたが、どのような対応を行ってきたのか、お伺いいたします。
 また、現在、塩ビ不使用の多くの製品が出回っています。都庁内での用品利用についてどのような対応を行っているのか、お伺いいたします。

○梶原参事 燃焼方法によりましてダイオキシン類が発生するおそれのある塩素含有プラスチックにつきましては、分別の徹底、リサイクルを通じて発生抑制を図ることが重要と考えております。
 このため、平成十二年度の国への施策及び予算の要望におきまして、塩化ビニールを含むプラスチック製品の使用素材表示の義務づけを要望してきたところでございます。
 現在、環境に配慮した消費行動が重要となっており、再生品あるいは環境に優しい商品の新たな需要を創出し、普及を図ることが望まれております。都庁が率先してグリーン購入の推進を図るため、早期にそのガイドラインを作成したい、かように考えております。

○清水委員 今のご答弁、ガイドラインの作成ということがいわれましたけれども、ぜひそれを早期に行っていただいて、全庁的な認識の普及に努力し、具体的な実行に今後移していただきたいことを要望して、質問を終わります。

○山本委員長 ほかに発言はございますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 環境保全局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、環境保全局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で環境保全局関係を終わります。

○山本委員長 これより財務局関係に入ります。
 財務局関係の決算については、既に説明を聴取いたしております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料について理事者の説明を求めます。

○立花経理部長 去る十二月二十二日の当委員会でご要求のございました資料につきまして、ご説明申し上げます。
 お手元資料の目次をお開きいただきたいと存じます。資料は四項目でございます。
 私からは、資料第1号、中小企業受注実績についてご説明申し上げます。
 一ページをお開きいただきたいと存じます。この資料は、東京都の平成六年度から平成十年度までの各年度におきます全契約実績及び中小企業の受注実績を、工事関係、物品関係別に記載したものでございます。
 平成十年度の欄でご説明申し上げます。工事関係契約でございますが、中小企業との契約分につきましては、件数で二万九千二百四十一件、金額にいたしまして四千十九億九千三百万円でございます。次に、物品関係契約のうち中小企業との契約分でございますが、件数で二十万三千五百七十四件、金額にいたしまして三千百二十一億四千三百万円でございます。
 同様の内容につきまして、過去五年間の実績を記載してございます。
 以上、資料第1号の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○成田主計部長 それでは、私の方から、資料第2号から資料第4号についてご説明申し上げたいと思います。
 二ページ目をお開きいただきたいと思います。B4の大きい紙でございますが、これは、タイトルにもございますように、普通会計決算に基づきます普通建設事業費の推移を示した表でございます。
 区分欄の左側、表側の方をごらんになっていただきたいと思いますが、普通建設事業費を大きく補助事業費、単独事業費、国直轄事業負担金、同級他団体施行事業負担金、それと国や他団体からの受託事業費の五つに分けてございます。また、補助事業費並びに単独事業費につきましては、それぞれ目的別に細分化した表でございます。
 表頭をごらんになっていただきたいと思いますが、平成元年度から十年度まで、各年度におきます金額及び伸び率を示させていただいております。
 補助事業費につきましては、一番右の平成十年度が四千六百七十三億円でピークでございます。また、真ん中の単独事業費につきましては、平成四年度の一兆七千三百八十億円をピークに、平成十年度は、ピーク時の約四割、七千百七十億円でございます。
 また、一番下の合計欄でございますが、平成五年の二兆四百十九億円がピークでございまして、十年度は、ピーク時の約六割、一兆二千三百三十三億円となってございます。
 続きまして、資料第3号に移らせていただきたいと思います。資料第3号は、一般会計におきます都債の発行額、都債現在高及び基金現在高の推移をお示ししてございます。
 年度は平成元年度から十年度までということで、まず都債発行額でございますが、元年の九百三十六億円から、十年度七千五十九億円の発行の推移でございます。
 真ん中の欄が年度末都債残高でございまして、ただいまの都債発行額の増加を反映いたしまして、元年度一兆六千四百三十八億円が、十年度は六兆五千百四十八億円になってございます。
 また、一番右の基金の残高でございますが、(注)3に書いてございますように、ここでいいます基金の残高は、財源として活用可能な基金、財政調整基金及び元本取り崩し型基金の残高の合計でございまして、こちらの方は、先ほどの都債の残高の増加とは対照的に、そこに書いてございます元年度の九千五百七十五億円から、十年度千四十七億円に急激に減少しているところでございます。
 続きまして、資料第4号に移らせていただきたいと思います。これは、一般会計におきます公債費の推移を、元年度から、同じく十年度までで示させていただいております。
 ここでいう公債費には、そこに三つの欄がございますが、元金償還金、利子償還金、減債基金積立金、この三つで構成されているところでございます。
 ご案内のように、満期一括償還方式への移行、こういった影響で、元金償還金は平成七年度以降減少しておりますが、他方、減債基金積立金は、平成八年度からごらんのような金額が積み立てられておりまして、平成十年度におきましては元金償還金六百六十三億円、利子償還金二千三百四十七億円、減債基金積立金九百四十二億円、合計の公債費が三千九百五十二億円となっているという表でございます。
 よろしくご審議のほどお願いしたいと思います。

○山本委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めて、これより質疑を行います。
 発言を願います。

○遠藤委員 それでは、質問させていただきます。
 決算の持つ意味につきまして、歳出の抑制や予算の編成との関係を中心にお伺いいたします。
 各局の決算説明書を見ますと、歳出においては、おおむね予算現額、支出済額、不用額、執行率、そして執行の概要説明、不用額の説明などから構成されております。このうち、歳出決算というと、まず執行率が注目されるといいますか、そういう傾向にあるわけであります。
 現在、都財政は未曾有の厳しい状況にあります。当然、予算編成においても、多くの事業の積算に当たっては、必要額を厳しく精査した上で、できる限り適正な額を計上されているというふうに思います。そういう前提に立ちますと、決算においては執行率は一〇〇%近くであるべきという考えが成り立つわけであります。
 しかしながら、私は、執行状況というものは、その時々の財政状況によって機動的に対応すべきであり、結果としての執行率をできるだけ一〇〇%に近くすることにこだわる必要はないのではないかというふうに考えています。いいかえますと、執行率の高い低いが、財政運営上の本質的な問題ではない、各事業、施策の目的がどの程度達成されたかということが重要であるというふうに考えています。
 たとえ執行率が高くても、よく見られるように、予算の年度内消化といいますか、そういうために期末に工事が集中するような状況を初め――一例として挙げれば、近くの都立高校のフェンスの整備をしたわけでありますけれども、それを現道で整備して、その後間もなく、建設局がその道路拡幅のためにそのフェンスを取り外す。このようなことのように、むだと思える事業を行ったり、執行方法をとっていたのでは、何の意味もないというふうに思います。一方、執行率がたとえ低くても、創意工夫を凝らし、効率のよい事業手法をとっていれば、十分に事業効果が期待されるものであるというふうに思います。
 このように、決算において、単に執行率の数字だけをとらまえるのではなく、その中身について議論し、検証することこそが大切であると考えますが、まず、この辺についてご見解をお聞きします。

○成田主計部長 ご指摘のとおり、決算におきましては、事業の目的や目標がどれだけ達成されているか、これを検証することが重要でございまして、不用額が多いか少ないか、あるいは執行率が高いか低いか、そうしたことは、ただいま申したような視点から議論されるべきものと考えております。

○遠藤委員 ところで、各局の決算説明書を見ますと、不用額説明の中に、職員費の実績による残というのが目につくわけであります。こういう点につきましては、今申しましたように、率にこだわらないといいながらも、ちょっとお聞きしたいと思うわけであります。
 特に職員費というのは、人事、給与制度に基づき、事務的な経費として支払われるものであります。もし仮に、年度途中に、来年度から実施される時限的措置として職員給与の削減などが行われれば話は別でありますが、そうでなければ、職員費の計上は、相当程度、正確に見積もることが可能であるというふうに思います。職員費は、一般会計全体の約三割を占めるものであります。ほんの少しの誤差が、予算上、大きな影響を及ぼすことになる。
 そこで、職員費は、今どのように見積もられているのか、お尋ねいたします。

○成田主計部長 ただいまご質問のございました職員費についてでございますが、これは、前年八月一日の時点におきまして現に在職します職員に対して支払われる給与額でございます現員現給、これを基礎といたしまして、昇給分や増減員経費などを勘案いたしまして、所要額を算定しているところでございます。

○遠藤委員 それでは、なぜ、決算上、職員費の実績による残が生じるのかについてお伺いします。

○成田主計部長 職員費におきます実績減の主な要因といたしましては、ただいま申し上げましたように現員現給を基礎としておりますので、給与水準の比較的高い職員が退職しまして、新規採用職員が採用されると、その分、例えば給与に数倍の差等がございますので、それで残が生ずる。あるいは、扶養手当、通勤手当、こうした実績に基づき支給される手当につきましては、やはりその実績見合いで残が出る、そういうことが考えられるところでございます。

○遠藤委員 今さらいうまでもありませんが、厳しい財政状況にある今日、職員費につきましては、先ほど申したように一般会計の三割を占める。額でいうと、十年度では、一般会計が六兆六千七百五十億円で、構成比が二八・三%、一兆八千八百七十三億円。非常に大きな額でありまして、十二年度の予算案で計算しても、一兆七千二百七十四億円くらいになる。したがって、このように、ちょっとした誤差が大変な額になるわけであります。
 ちなみに、十年度の繰越金、これが約九百九十六億円余ですね。未執行額というのが二千七十六億円くらいあるわけであります。ですから、なお一層の適切な予算計上を行うように、この点は強く要望しておきます。
 次に、議会における決算審議の目的として、予算の執行が、議会の議決、法令等に従って、適法、公正かつ効率的、合理的に進められているかを検討することにありますが、こうして決算が認定されるとともに、財務上の責任が明らかにされるということになるわけであります。このような過去の事業、施策について十分検討を加えることは、財政の健全性を確保するという観点からも重要なことであるわけであります。
 しかしながら、これだけでは、決算の目的としては十分ではないというふうに思います。過去の事業、政策の検証とともに、決算の審議、認定を将来いかに生かしていくかということが非常に重要であるというふうに思います。決算の審議の中で、いかに予算が効率的、効果的に執行され、都民の福祉の向上に役立っているか、つまり、費用対効果を明らかにすることにより、その結果を次年度以降の予算編成に生かしていくということが不可欠だろうと思います。
 そこでお伺いしますが、このような費用対効果などの観点から見直された施策や事業がどのようなものであるか、もしあったら、お聞かせいただきたいと思います。

○成田主計部長 この間の平成十年度、十一年度予算におきましては、費用対効果などの観点を踏まえました施策の見直しといたしまして、事業効果などの観点から、テレビなどの媒体を利用した広報経費の見直し、また、緊急性、必要性などの観点から、各種イベント経費の見直しなどを行っているところでございます。

○遠藤委員 都財政が大変厳しい状況にある今日、費用対効果などの観点から、施策や事業を不断に見直して、限りある財源を都民ニーズの高いものに重点的に投入していくという姿勢が重要であります。その点、ただいまご答弁があったように、広報経費やイベント経費の見直しについては一定の評価をするものでありますが、今後なお一層取り組む必要があるというふうに考えています。
 そこで、最後に、財務局長にお伺いしますが、予算編成は、ややもすると、前年度の予算との増減を中心に議論され、どれだけ新鮮味を出したかに注目されがちでありますが、木内局長は、どのような点に重点を置いて予算編成をすべきであると考えていますか、お聞きします。

○木内財務局長 予算編成するに当たりましては、今のことといいますか、と同時に、この先のこと、二つながらを考えなければいけないというふうに考えております。今のことと、先生お話しになりましたような、前年度との比較であるとか、きょうの財政状況といったようなことを踏まえることはもとよりのことでございますけれども、この先の都政としてというと少し大げさですけれども、都政の進むべき方向あるいは財政としての進むべき方向、そういったことについても思いをいたしながら予算編成に当たっていくことができればというふうに、みずから戒めているところでございます。
 そうした考えの中で、決算というのも大変重要な要素でございまして、お話があった費用対効果、決算の中身に即したような費用対効果の分析も、それを進めていく上において重要な課題であろうというふうに思っております。
 今後とも、予算編成あるいは予算の執行に当たっては、最少の経費をもって最大の効果が上がるよう努めていきたいというふうに考えております。

○遠藤委員 ご答弁ありがとうございました。
 今後も、最少の経費で最大の効果が上がるよう、特に、先ほど、フェンスの移設等の問題に触れましたけれども、特に横の連携といいますか、そういうものに十分注意を払いながら行財政運営に努めていただくことをお願いいたしまして、質問を終わります。

○小松委員 庁舎管理についてということで、今回は、障害者へのハード的な対応という面で伺いたいと思います。
 この都庁舎、外観的にはすっきりしたセンスのよさで評価の高いものであるということですが、一方、一歩中に入りますと、その使い勝手の複雑さ、また、つくりの不親切さも大きく聞かれるところです。特に障害者にとりましては、さまざまな声を聞きます。我が党でも、これまで質問や要望をし続けてまいりました。九年度にも、障害者に優しい庁舎という立場から、同僚の浅川議員も質問しておりますが、この後の現在に至るまでの整備状況はどうなっているでしょうか。

○中島庁舎管理部長 質問のございました、平成九年十月以降の整備状況でございますけれども、平成九年度には、各庁舎出入り口などに身障者用のサインの整備を行ってございます。
 平成十年度には、第一庁舎一、二階の点字ブロックを黄色に塗装しております。さらに、第一庁舎の身障者対応エレベーターの呼び出しボタンをタッチ式からプッシュ式に変更してございます。さらに、全庁舎にあります非常用階段のカラーの滑りどめの取りつけを行ってございます。これにつきましては、十一年度も引き続き実施してございます。
 十一年度につきましては、さらに、第二庁舎の一、二階の点字ブロックを黄色に塗装しております。それからさらに、第二庁舎と議会棟の身障者対応エレベーターの呼び出しボタンをタッチ式からプッシュ式に変更してございます。

○小松委員 多くの整備がされてきているわけですけれども、それでは、現在、この基準になっております福祉のまちづくり条例、この基準に適合していないものはどのようなものがあるのでしょうか。要するに、まだやり残しているものは何なんでしょうか。

○中島庁舎管理部長 この都庁舎は、昭和六十三年に制定されました東京都における福祉のまちづくり整備指針に取り上げている項目を最大限取り入れて建設されたものでございます。その後、平成七年に福祉のまちづくり条例が制定されまして、都の施設として、先導的立場から、整備基準に適合させるべく順次整備を図ってきたところでございまして、現在、福祉のまちづくり条例の整備基準はほとんど達成済みでございます。
 現在未達成のものは、各庁舎の出入り口付近に設置されておりますスロープの識別に関する事項でございます。

○小松委員 残されたそれらについては、今後どのように取り組んでいくのですか。

○中島庁舎管理部長 スロープにつきましては、整備基準では、面を視覚障害者等が識別しやすいものとすることというふうになっておりまして、色等の指定はございません。障害者の状況はさまざまでございまして、色の種類や塗装方法等について、何が適切か一概にはいえないこともありまして、他の要望事項を優先して、これにつきましては実施を見送ってきたものでございます。引き続き検討していく所存でございます。

○小松委員 傾斜路、出入り口のスロープですね、これについてのお答えがなかったようですけれども。

○中島庁舎管理部長 ただいま答弁いたしましたように、スロープにつきましては、整備基準では、スロープ面につきましては視覚障害者等が識別しやすいものとするということになっておりまして、色等の指定は現在ございません。障害者の状況はいろいろさまざまでございまして、色の種類や塗装方法等について何が一番適切なのかというのが一概にはいえないこともございまして、他の要望事項を優先して、このスロープ面につきましての実施は見送ってきたものでございます。
 この問題につきましては、引き続き検討していくところでございます。

○小松委員 検討ということがありましたけれども、これは実施に向けて即検討していただきたいということを要望しておきます。
 ところで、現在、庁舎の一、二階や福祉局にある点字ブロックについては、他局のフロア等さらに整備を進める必要があると思われますが、この辺はどうお考えでしょうか。

○中島庁舎管理部長 福祉のまちづくり条例の整備基準では、廊下や室内に誘導ブロックを設置することまでは定めてございません。福祉局に設置しましたものは、福祉のまちづくりを所管する局の姿勢を象徴的に示すためのものでございまして、整備基準への適合の取り組みとは別のものだと考えております。
 なお、廊下での障害者の誘導につきましては、整備基準で示されている手すりが整備されているところでございます。

○小松委員 整備基準が基準になっているようですけれども、整備基準そのものが大変問題になって、今福祉局の方で検討されているようでございます。例えば障害者用トイレ、これ一つとりましても、私も昨年の三定の一般質問で取り上げましたが、障害者といいましても、車いすの方など、今は電動車いすという大変大きな車いすが出てまいりまして、この整備基準と合致しない、そのために、例えばトイレの中に入って、電動車いすで便器のそばに近づくと、近くにある洗面器が邪魔をしてそばまで近づけない、こういった問題。または、電動車いすでも普通の車いすでも、ドアを開閉するボタンを押す、そして中に入る、そして、終わった後またそれを押して、あける、ゆっくりと行こうとすると、ドアは閉まってしまうというように、こういったいろいろな問題がございます。
 このほかにもたくさんあるわけですけれども、こうしたものは、私ども健脚、健康な者にとってはわからない部分が多いわけですね。ですから、これは整備基準に適合させるだけでなく、実際に来庁する障害者の声を生かす必要があるということと同時に、声だけでなく、私ここで一つ提起をしたいんですが、障害者も入れた庁舎ウオッチングみたいなものをしたらいかがでしょうか。よく私ども地元では、障害者も含めて、一緒にタウンウオッチングをする。そうすると、私たちにとっては――こんなところがこういうふうにまずかったのかと。また、同じ障害者といっても、先ほどお話がありましたように、障害の種別によって、非常に不便に感じるところと、逆にそれがいいところというようにいろいろございます。ぜひ障害者も入れた庁舎内ウオッチングをと提起するものですが、いかがでしょうか。

○中島庁舎管理部長 整備基準にないものにつきましても、これまで、障害者の方々からの要望を聞きまして実施してきたところでございます。例えば、先ほど説明いたしました、障害者対応エレベーターの呼び出しボタンのタッチ式からプッシュ式への変更につきましては、整備基準には定めはございませんけれども、障害者の方々の強い要望があったために、経費節減を工夫しまして実現に至ったものでございます。
 先ほど具体的にご指摘のありました身障者用トイレにつきましては、便器や洗面台は床に固定される構造になってございまして、これらの配置がえには大規模な改修が必要となりますので、今後の課題とさせていただきたいと思います。
 また、自動ドアの開閉スピードにつきましては、機械設備を調整することによって変えることができますので、利用者の状況を調査検討の上、適切に改善を図ってまいりたいと考えております。
 それから、福祉のまちづくりについての対応に当たっては、今後とも、さまざまな方々の意見を聞きまして、適切に対応していきたいというふうに考えております。

○小松委員 直せるものは直していただく。また、お金がかかったとしても、実際に使えないようなトイレではしようがないので、ぜひ今後の検討課題にしていただきたい。
 ただ、最後に検討をとお願いいたしました、庁舎内ウオッチングについてはいかがなんでしょうか。

○中島庁舎管理部長 福祉のまちづくりにかかわる庁舎設備の改善につきましては、今後とも、さまざまな方々の意見を聞きまして、適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

○小松委員 同じことを何回も要求はしませんけれども、私は、その福祉のまちづくり条例そのものもそうですけれども、具体的な提起をしたんですね。障害者と一緒に担当の方々が歩いてくださいという、やればできないことではないですね。お金がかかりますか。そんなことでもないですね。これをどうしますかということで、具体的にお聞きいたしております。

○中島庁舎管理部長 先ほど答弁いたしましたように、この庁舎はいろいろな方々が利用しておりますので、さまざまな方々の意見を聞きながら、適切に対応していきたいというふうに考えているところでございます。

○小松委員 役人というのは、そういう答えしかできないのかなと、大変残念に思います。
 実際は、庁舎内ウオッチング、これはそんなに難しい問題ではないと。私はそういうふうに伺っているんですから、庁舎内ウオッチングについてはということでお答えいただければいいんですよ、そのことをお伺いしたんですから。もうこれ以上は伺いません。ぜひ実施に向けて検討していただきたいということと、こういうことは、福祉局など他局も含めまして総合的に対応していただきたい。そして、ハンディを持つ者がそのハンディを感ずることなく庁舎内を安心して歩ける、利用できる、そんな、だれにも優しい庁舎を目指して具体的な対応をされますことを要望して、質問を終わります。

○藤川委員 私は意見だけにとどめさせていただきますが、私は、財務局というところは、首都の頭脳が集まるすごいところだと思っていて、財務局の皆さんとお話しするとき非常に楽しいわけです。しかし、私の所属する委員会は、要するに聖域なしで、そこまでも手をつけなくちゃいけないということで、都民の皆さんからいろいろと激しい質問に遭うところに二年続けているわけです。そういうことで非常に苦しい思いをしたわけです。
 それはどういうことかと申しますと、財務局も――今ここにおられる皆さんの前の方ですから、今ここにおられる方は、私が質問させていただいた方はいないんですが、要するに、このままで行ったら東京都は財政再建団体に陥ってしまって、大変なことになる、だから、東京都はこのような大変な時期に当たってしっかりと財政を再建しなくちゃいけないんだということは、皆さんの方からも聞いておりますし、私どももそう感じているわけです。それを都民の皆さんに理解していただくように、さあ説明しようと思って、担当の数人の方に、皆さんの前の方々ですが、お聞きしたわけです。そうすると、財政再建団体に陥ったらどういう形になるんですか、どこどこの局はどうなんですか、こちらはどうなんですかというふうに聞いても、明快なクリアな回答が皆さんの方から返ってこないわけですね。大体こうなると思うんで、こうなるんじゃないですかというようなわけです。
 そうしますと、我々は、都民の皆さんと直接接触しておりまして、はっきりとした答えを用意するということが我々の立場を全うすることでありますし、東京都の状況というものをはっきりと都民の皆さんに理解してもらう、要するにそういう立場にあるわけですが、どういうわけか、国との話し合いでもってはっきりさせなくちゃいけないのか、皆さん自身がそういうふうに、そこまではっきりと整理してないのか、何だかわからないけれども、はっきりした答えが返ってこない。
 こういうことであってみれば、東京都の財政というものが大変な状況にある、それをはっきりと立て直さなくちゃいけないのが、要するに、皆さん方、我々にとっても一つの喫緊の責務であるわけですが、そういう状況にないということがはっきりしたわけです。
 ですから、私、意見として申し上げますが、ぜひ、新しい局長さんのもとで、大変な作業だと思いますが、そういうはっきりとした形のものをつくっていただきたいということを、意見として、要望しておきます。

○大河原委員 今、藤川委員の発言にもありましたが、財政再建はいうまでもなく今日の都政の最重要課題でございます。財務局も、財政再建推進プランに基づいて、全力を挙げた取り組みをされていることと思っておりますけれども、私は、財政再建の達成には地方分権の推進が非常に重要な位置を占めるというふうに考えております。
 知事は、就任直後の都議会臨時会で、東京の現状に対する認識として、都財政が未曾有の危機に直面しているのは、もはやその効用を失った中央集権的な政治、行政のシステムの中で、時代にそぐわなくなった手法や仕組みに気づこうとしない保守性に最大の原因がある、そのように述べられました。この点については、私も全く同感です。そして、中央集権的な政治、行政システムにかわるべきものこそ、地方分権だというふうに思っているわけです。
 以下、そうした観点から、基本的考え方について何点かお尋ねいたします。
 まず、議論の大前提として、地方分権の推進の意義、そして、そのために必要なものは何なのか、この点について財務局としてどのような認識をお持ちでしょうか。

○成田主計部長 地方分権推進の意義でございますが、地方分権推進とは、現行の中央集権的な行財政制度を改めまして、住民に身近な地方自治体が、国からのさまざまな制約あるいは関与を受けずに、住民の立場、住民の意思に基づきまして、自主的、自立的な行財政運営を行える、そうした仕組みを構築することであると考えております。
 そして、この地方分権体制を確立しまして、自主的な財政運営を行っていくためには、制度の抜本的な改革によりまして、税源の配分を見直しまして、消費税あるいは所得税等の税源を地方に移譲いたしまして、地方の自主財源を充実強化することが必要不可欠である、かように認識しております。

○大河原委員 ただいまのご答弁については本当に共感、全く同感でございます。
 国からの財源移譲、大変重要であると同時に、とても困難、それも現実的には大勢の方々が思っていることと思いますけれども、これは後ほど議論することにいたしまして、現在の状況について伺いたいと思います。
 現行の地方税財政制度、これにはさまざまな問題があるわけですけれども、その最たるものが、大都市特有の財政需要が正しく反映されない、こういう地方交付税制度であるというふうに思います。こうした制度矛盾のために、東京都は一貫して交付税の不交付団体となってきました。長年にわたって、本来国が措置すべき財源まで負担させられてきた、そのことについて、大勢の議員も財源移譲を迫ってきているわけですけれども、そればかりか、東京都は交付税の不交付団体であることを理由として、財源調整措置まで受けてきております。
 これまで東京都が受けてきた財源調整、一体どのくらいあったんでしょうか。平成十年度から過去三年間の決算ベースでお答えください。

○成田主計部長 過去に都が受けました、地方交付税の不交付団体を理由とする財源調整といたしましては、平成八年度決算では、義務教育教職員の給与費国庫負担金の二百十二億、地方道路譲与税の三十八億など、計二百五十五億円。また九年度決算では、義教国庫二百三十五億円、地方道路譲与税三十八億円など、計二百七十六億円。また十年度決算では、義教国庫百五十一億円、地方道路譲与税四十億円など、計百九十七億円となっております。

○大河原委員 こうした国の不合理な措置については、十二年度予算に向けて、都議会としても応援して、強力な取り組みを行った結果、一部の改善が図られたというふうに聞いております。その内容について、どのようなものになっているでしょうか。

○成田主計部長 財源調整措置の廃止につきましては、私ども、十二年度の政府予算編成に係る東京都の要望におきまして、最重点の要望と位置づけまして、知事を先頭に、都議会議員全員のご参加をいただきました都議会議員連盟のご支援もいただきまして、取り組んだ結果、先ほどご紹介いたしました中の最も影響の大きい義教国庫につきまして、退職手当率が千分の二十から千分の八十四まで引き上げられたことによりまして、六十五億円の改善が図られたところでございます。
 国のこれまでの厚い壁を打ち破ったという点では、大きな前進であると考えておりますが、ただ、都の求めておりました、不合理な制度そのものの改廃、ここには至っておりませんので、引き続き抜本的な改善を目指して要望していく必要があると考えております。

○大河原委員 私たちも、これからまだまだ頑張らないといけないと思いますけれども、国庫補助金についても改善されるべき点が多いというふうに思います。
 本来、国庫補助金などに頼らないで財政運営が保障されるべきだというふうに思うわけなんですが、当面、現行の枠内で、より国の関与の少ない、東京都の自主性が発揮できるような形の補助金を安定的に確保すべきであるというふうに思います。
 そうした観点からは、今回、国が地方分権計画で打ち出した統合補助金制度、これは注目に値するというふうに思うのですが、この制度の概要と、それに対する財務局の見解をお聞きいたします。

○成田主計部長 統合補助金は、お話のとおり、国が地方分権への対応といたしまして平成十二年度から創設するものと承知しております。
 国の説明によりますと、統合補助金にはいわゆる縦型と横型があるそうでございます。縦型は、国が箇所づけを行わないで、具体的な事業箇所あるいはその内容については、地方自治体の主体的な判断が認められるものでございまして、河川や都市公園の整備、公営住宅の建設などに適用されるとのことでございます。他方、横型でございますが、これは、一定の政策の目的を実現するために、地方自治体が複数の事業を一体的かつ主体的に実施することが可能になるものでございまして、分野といたしましては、まちづくりや都市の再開発事業などに適用されるということでございます。
 いずれにいたしましても、従前に比べますと、地方の自主性への配慮という点では一歩前進したもので、新たな制度であると注目しているところでございます。
 もっとも、実際の運用に当たっての細部の詰めはこれからという状況でございまして、財務局といたしましては、情報の収集に当たりつつ、動向の把握に努めてまいりたいと考えております。
 また、ちょっとこの場で恐縮でございますが、私ども、こうした国の状況を把握するとともに、先ほど藤川委員の方からお話がございました、都の財政状況のPR等、これにつきまして、これまで不十分ではなかったかというご意見がございました。私ども、昨年、財政再建推進プランあるいは財政再建団体をめぐる諸問題、そういったパンフを出しまして、それを十二月の「広報東京都」等を通じて、幅広く都民の皆様に周知徹底できるように努力してきたつもりでございますが、先ほどのご指摘等を踏まえまして、この問題に取り組むには、多くの都民の方のご理解が必要でございますので、さらに一生懸命取り組んでいきたいと考えております。

○大河原委員 確かに財政状況のPRというのが随分進んだと思います。いただく広報が、石原都政になってから字ばっかりになったねという声もありますけれども、その点、大勢の目に触れるということは、とてもいいことだというふうに思います。
 国と地方が対等の立場になる、協力関係ということでも、私たちは、大東京でさえこんなに補助金に縛られているのかという現実も見ることができますし、ぜひともその点は進めていただきたいと思います。
 国にも、地方分権の推進に向けた具体的な動きが出てきたということは、とりあえず歓迎すべきだというふうに思いますけれども、答弁にありましたように、せっかくいい制度ができても、実際の運用に当たって、細かい点でまだまだ国があれこれ口を出してくるようなことになっては、魂が入っていない仏様のような、そういう状況になってしまうと思いますね。で、使い勝手がいい補助金とはいっても、補助金はあくまで補助金で、それで地方主権が確立されるわけではありませんから、私たちは、ぜひとも東京都として今後とも地方分権、地方主権の確立を高く目標に掲げて、自立した財政運営が可能となるような、そういう地方自治の本旨にふさわしい財源移譲を求めて努力すべきであると強く思います。
 財務局には一層の努力をお願いいたしまして、質問を終わります。

○くぼた委員 この年度は、債務超過になった臨海関連の第三セクター、いわゆる臨海三セクですね、この三社に対して都として地代減額、無利子貸付あるいは増資などで、十年間で二百七十億の支援策、こういう救済策が出されたのを受けて、実際にその破綻の原因や、その責任などを明らかにしないまま、約八十六億円の支出がされた、そういう年度であります。この財政支出に関してお伺いしたいと思います。
 この年度の前後から、全国各地で同じような経営破綻を来した三セクが大きな問題になったわけですね。それは、設立自治体の財政運営にも非常に大きな影を落とすということが表面化したわけです。そういった背景を受けて、国では、おくればせながら、昨年の五月に、自治大臣官房総務審議官の名前で、第三セクターに関する指針についてという通知を全国の知事あてに出したわけです。この指針の内容に十分留意して、そして適切に対応するように、この通知では要請をしているわけです。これを財務局はどうとらえているのか、また、これに照らして、今前段に延べたような臨海三セクに行った支援をどう考えているのか、まずこの点を伺いたいと思います。

○成田主計部長 二点のご質問にお答えしたいと思います。
 まず、自治省から昨年五月に出されました第三セクターに関する指針についてでございますが、その内容は承知しております。また、各地方自治体におきましては、この指針も参照しつつ、それぞれ団体の責任において第三セクターについて判断を行うべきものと、そのように理解しているところでございます。
 そして、先ほどお話がございました臨海第三セクター支援の初年度の、十年度の検証といいますか、それについての財務局の考え方でございますが、ご案内のように、臨海三セク三社につきましては、社会経済情勢の激変の影響を受けまして経営状況が悪化したために、早期の経営安定化が急務となっていたところでございます。このために、第一に会社の努力、さらには金融機関の支援ということを前提としながら、都としても応分の支援を行う、そうした全体の枠組みの中で、平成十年度から必要な支援を行うこととしたものでございまして、そうした都の支援策を含む平成十年度予算の議決を得て実施したところでございます。
 会社の努力、金融機関の支援、都の応分の支援がそれぞれ行われたことによりまして、平成十年度は、目標といたしました償却前黒字を各社において達成するなど、経営の安定化は計画どおり進んでいると理解しております。こうした成果を引き続き強固なものにするために、関係者の一致した取り組みのもとで経営安定化に努めることが必要であると考えているところでございます。

○くぼた委員 ごめんなさい。私のいい方が悪かったのかもしれませんけれども、その指針については、今、出たということを認識しているというお答えでしたよね。それに照らして、内容に照らして、三セクに対して支援したということについて、どう考えるのかということを伺ったんです。だから、その支援策は今おっしゃったとおりですが、それがこの国の出した指針に照らしてどうだったのかということ、どうとらえているのかということを伺いたかった。

○成田主計部長 自治省から出されました第三セクターに関する指針、いろいろ内容がございますが、この指針というのは、いわば第三セクターに関する一般的なガイドラインでございまして、個別の第三セクターの問題についていえば、それぞれの団体が総合的な観点から、それぞれ適時適切に判断して、自主的、主体的に対応していくべきものだと考えております。

○くぼた委員 一般的なガイドラインといいましたけれども、設立についても書かれてあるわけですけれども、その支援の仕方についてもやっぱり一定の基準を設けなさいということで、国が出しているわけですよ。それはなぜかというと、先ほどお話ししたように、全国各地で同じような三セクが次々破綻していく、で、それの処理とか、その支援とかをめぐって地方財政が悪化していく、そういう状況が目の当たりにあったからこそ、この指針が出たわけです。それに従ってどうするのかということを考えるのが、私は当然だというふうに思うのですね。だから、一般的なものだとか、それは個々に判断する――それは個々に判断するのはそうですけれども、しかし、そのいっている意味はそういう内容だというふうに理解しないと、これはやはり一般財政に大きな影響を及ぼすことになりかねないということなわけですよね。ぜひそういう理解をすべきだというふうに私は思うのです。それは今後のことを考えてもそうだと思うのです。
 臨海三セクの話に戻りますけれども、結局、そのやっている業務内容というのは、オフィスビルの経営なわけですよ。どうしても東京都が支援しなければならないものじゃないというふうに思うんですよね、今、行政的な目的があるというふうにおっしゃいましたけれども。しかし、皆さん方の論理からしても――皆さん方よくいうのは、民間でできるものは民間でだと、こういうことが皆さん方のいっている論理なわけでしょう。それが行革なんだということを皆さん方はいっているわけで、その論理からしても、そのやり方は筋が通らないと思うんですね。したがって、だからこれはもう聖域だといわれても仕方がないというふうに私は思うんです。
 で、国の三セクに関する指針でも、こういうふうに書いてあります。公的支援は、抜本的改革への十分な改善が見込まれる場合に限り公的支援の検討がされるべきだ、こういうふうに書かれてあるんですね。さらに、財政運営への影響や三セクのより詳しい経営状況、一般的に報告しなきゃいけないというような経営状況だけじゃなくて、より詳しい経営状況、それから、経営悪化の原因分析などをきちんと情報公開すべきだと。当然、税金を投入するわけですから、住民に対して、都民に対して、きちんと、どういう状況になっているのか、何が原因でそうなったのかということを明らかにすべきだと。すごく当たり前のことが書いてあると思うのですね。しかし、この年度は、そういった内容を一切されないで、何が原因だったのか、どういう破綻状況なのかということもよくわからないうちに支出をしたわけですよね、約八十六億円、ということなんですね。
 そういう最低限の条件さえ明らかにされていないにもかかわらず、なぜこういった民間では到底考えられないような支援を破綻三セクに対して行ったか。そしてまた今も、今年度もそうです、来年度も恐らくそうなるでしょうけれども、それを温存し続けていこうとしているのか、全く理解できないわけですね。
 支援した結果、償却前黒字は達成したんだと、非常に低いハードルは達成したんだということを今おっしゃいました。じゃあ、実際どうだったかということを、この決算内容からちょっと伺いたいと思うんですが、その九八年度、つまり平成十年度の決算で、この支援された臨海三セク三社の債務超過は、前年度と比べてどうなったんでしょうか。

○成田主計部長 臨海三セク三社の債務超過額の合計でございますが、平成九年度が百三十五億七千七百万円、平成十年度が約百九十六億五千五百万円でございまして、差し引きで約六十億七千八百万円の増加となってございます。

○くぼた委員 つまり、三十億円増資をしたわけですね、この年に支援策で。それでも債務超過の状況がさらに悪化して、三社合わせて、今ご答弁があったように、約六十一億の債務がふえているというのが実態です。これ、もっと詳しく見ると、三社合計で二百億以上の債務超過の状態じゃないですか。これで、経営の改善の兆しが見えたと。世間では通用しない話だと思うんですね。そういう兆しが見えてこないばかりか、民間でいえば、もうとっくに倒産していてもおかしくない会社が、逆に、倒産しないばっかりに、ますますその傷口を広げているというのが、その結果、実態じゃありませんか。
 それでは、この三セク三社が、この平成十年度、九八年度に銀行借り入れに対して支払った利息は、合わせて幾らになるでしょうか。

○成田主計部長 平成十年度一年間で臨海三セク三社が支払いました利息でございますが、東京臨海副都心建設に係る転貸債利息を除いた場合、合計で約八十五億三千八百万になります。

○くぼた委員 これまで三社に対して、銀行の借り入れに対して払った利息を合わせて――今、平成十年度だけでも八十五億三千八百万円、累計しますと約六百億円以上も銀行に対しては利息を払っているということになっているんですね。つまり、三セクができてからこの間、銀行は利息で六百億円以上も稼いでいるということになるわけです。そんな額になるんです。三社の借入金残高、平成十年でいうと八千五百五十七億円もある。だから、毎年八十何億とかを払わなければならない、そういう借金の状況だということなんですね。
 これは、情報が公開されないからよくわからないんですけれども、利率がどうなのかと幾ら伺っても、それは三セクのことだからといって教えてくれないんですが、銀行が都と同等の支援をするということで、十年間にわたって〇・七五%の利率を下げる、こういう銀行がやる同等の支援策が出ているわけですけれども、恐らく金利は相当高いと思うのですね。今、公定歩合〇・五%ですから、どのぐらいの金利かは、情報を公開してくれないので、ちょっとわかりませんけれども、〇・七五%、わずかばかり下げたとしても、若干銀行のもうけが減る、何の痛みもないというだけのことじゃないかということなんです。
 それで、本当にごく大ざっぱにいっちゃいますけれども、この年のお金の流れを見ると、第三セクターの大株主である東京都は、都民の貴重な税金で三セクに財政支援をした。それが、先ほどいったように約八十六億です。結局、そのお金は、同じ株主である銀行への利払いとして流れているということじゃないですか、銀行には八十五億も利息を払っているわけですから。しかも、会社としては経営が改善されたのかといえば、先ほどご答弁があったように六十億七千八百万、債務超過がふえたということなわけです。こんなひどい支援は、だれが見ても納得できないと僕は思うのですね。
 まさに、こういった開発型の三セクは、よくいわれているように、工事をやればやるほどゼネコンがもうかって、借金をすればするほど銀行がその利息でもうかる、こういう構造をつくり出していっているじゃありませんか。
 それだけじゃありません。その支援はこれだけじゃなくて、この三セクビルにわざわざ、都民にとって利便性の高い地域、飯田橋から青少年センターを移転させたりするなどして、合計で七つの都の施設を入居させて賃貸料を払っているわけです。この青少年センターや、あるいは職員研修所もそうですね。今まで家賃がなかったものを、わざわざ三セクビルに入居させて家賃を払うようにしたわけですけれども、この九八年度に契約更新を行っているんです、東京都の施設が。この契約更新が行われて、これによって賃貸料はどうなったんでしょうか。

○成田主計部長 ただいまご質問がございましたが、都の施設が民間等の建物を借用している例はかなりございまして、個々の賃料がどうなっているか、そのすべてについて財務局で詳細を承知してございません。詳細は港湾局の方にお聞きいただければと思います。

○くぼた委員 経常経費を抑えると、いつもいわれているわけですから、賃料がどうなるか、そのくらいはちゃんと押さえていなきゃいけないと思うのです。しかも、この問題は、私たちの党で行特委で質問しているんです。賃料を変えるときに、更新があるんだけれども、その賃料を上げるんじゃないだろうねと。民間では今上げられるような状況じゃないんだということを、当時の主計部長に質問しているわけです。ご答弁は、結局は、民間の動向を見ながら適切に対処していくということをいっている。
 私たちは、賃料が上がっちゃうんじゃないかということで心配をして質問したわけです。そんなことはしないんだというようなご答弁をされているわけなんです。だから、当然注目してしかるべき問題なんですよ。それを、知らないとか、聞いてくださいというのは、ちょっと無責任だと思うのですね、都民の財布を預かる財務局としては。
 ご答弁がないから、私聞きました。港湾局では教えてくれないので、職員研修所の総務局と、それから青少年センターの生文局に聞きました。そうしたら、このときの契約更新で賃料を五%アップしているんです。民間のオフィスビルでは到底考えられないですよ、こんな経済状況の中で、ビルの空き室率も上がっている中で。この二施設の賃貸料だけでも、今、年間十億払っているんですよ。五%アップして幾らふえたかというと、約五千万弱上がっているんです。ふえているんです、経常経費がそれだけ。そもそも家賃を払っていなかったところだってあったわけです。それをわざわざ家賃を払うようにして、さらに賃料の値上げにも応じている。こういう財政の支出を許して、聖域じゃないといえるのかということなんですよね。
 じゃ、この五%アップした後の賃料はどんなもんだと見たら、平米当たり約二万三千円なんです、東京都の契約は。私、オフィスビルの市場調査の民間の会社の――いろいろデータバンクを調べました。平米当たり二万三千円のところを貸しているビルはどこら辺にあるのか。このうち、例えば新宿でいいますと、この西新宿の周辺です。新宿駅の東側に行くと、もう二万円切ります。それから、千代田区は四ッ谷あたりです。丸の内あたりは六万ぐらい、これは当然そうですけれども、千代田区に行くと四ッ谷あたり。私の地元の港区でいうと、浜松町から、品川の山手線の内側は二万より高いです。しかし、外側、海側になると二万切ります。臨海で二万三千円というのは、そういう民間の家賃から比べたって非常に高いんですよ。それを五%……。
 ちなみに、二十三区の中で二万円以上の家賃、二百坪以上の大きなオフィスビルがあるところは、都心三区と新宿、渋谷。それ以外はもうみんな二万円以下です。そういう状況なんですね。
 だから、全く至れり尽くせりの支援だというふうに思うのです。しかも、この家賃について、今後四年間に賃貸料をあと四三%以上上げなければ、この支援策は成立しないんです。平成十六年までに九年度の家賃の一・五倍にしなければならないと、こういうことが前提で支援策として成り立っているわけですね。そういう前提をクリアした上で単年度黒字が出るのが十一年後、それから累積黒字が出るのが三十六年後、こんな再建計画を信頼してほしいというのは無理だというのは常識だと思うのです。こういう再建計画を持ってお金を借りにいったって、だれも貸してくれません。だれも相手にしてくれません。せいぜい再建計画は、三年先の計画がどうなのかと。それだって難しいのが、今の都民の実感じゃないですか。
 聖域なく見直すというふうに、よく皆さん方いわれますけれども、ここまで至れり尽くせりの支援をして、聖域がないといわれても、やっぱり都民としては納得ができないというのは当然だと思うのです。都民の財布を預かる財務局として、今るる述べた支援を当然だと考えておられるのか、そのことを伺いたい。

○木内財務局長 いろいろるるお話をされましたので、ちょっとお時間をいただいて、私の方も話させていただきたいと思います。
 まず最初、一点目として、問題の立論の仕方として、自治省の指針をもって判断の基準とすることについては、一つの指針、行政指導といいますか、さまざまな通知、国の方から来ることについて、私どもとしては一つの考え、とるべきものはとる、とらざるべきものはとらないというか、それぞれの団体が自主的に判断すべきものだろうと思っております。ご質問の趣旨が、自治省の指針をにしきの御旗として、これを守るべきだというご主張だとすれば、私どもとしては納得をしないわけでございます。
 それから、二点目として、出資その他について、金融機関に利息を払ったことはおかしいではないか、ストレートに金が流れたではないかと、そういうご主張でございます。
 金を借りたら利息を払うことは当然のことであって、金に色がついていない中にあって、利息を払わないで、金融機関は不当なもうけをしたということは、全く当たらないというふうに私どもは思っております。金が払えない、利息が十分に払えない、あるいは元金を十分に払えないことを残念に思うということが、三セクの抱える経営の課題というふうに私どもは思っております。
 それから三点目として、債務超過云々のお話をされました。債務超過というのは、先生方よくご存じのとおり、上場している企業が上場基準としてどうなんだろうかという判断基準でございます。したがって、債務超過に陥ったならば、株を上場している企業については上場から外れるということがその基準でありまして、それをもって、この会社は倒産だ云々ということは全くないのでありまして、今、主計部長が答弁しましたように、問題なのは、会社として――先生方の方はよくご存じかと思いますけれども、資金ショートを来すことよって企業はつぶれるわけでございます。
 したがって、先ほど答弁しましたように、償却前の黒字というのは、資金ベースにおいて黒字であるということを意味するわけでございます。わずかであったとしても、元金を返せる状態になったということは、経営の改善が図られたということを意味するわけでありまして、債務超過云々は、これも、すべてを見ているご意見ではなかろうというふうに思っております。
 それから四点目、臨海開発については、私どもとしても、この委員会の議論をまつまでもなく、あるいは先生方が思っておられるように、さまざまな課題を抱えていることも確かでございます。しかしながら、地域開発というものについては、相当な時間と労力を要する中にあって、そのサービスといいますか、その便益というのが、都民あるいは広く国民に還元されていくものというふうに思っております。残念ながら、経営環境あるいは経済環境が当初の予定どおりいかなかったことをもって――それはとても私どもとしてもいろいろな残された、あるいは思いをいたすべきこと多々あるということを踏まえた上で、残念な状況になっているわけでして、これらについては対策、当面の方策をとっていくことによって、先ほどいいましたように、何とか償却前黒字、あるいは臨海会計の回転を図っていく、そして本来の地域開発の趣旨が貫徹すべく努力していくことが本都としての課題であろうというふうに思っております。
 長々答弁申し上げましたように、そうした考えに基づいて今後も行政に当たっていきたいというふうに思っております。

○くぼた委員 今、こういう三セクの状況になったのは、いろいろな経済状況が違っちゃったんだと、こういうふうにおっしゃいました。しかし、それは違いますよ。もうバブルが崩壊しかけているとき、それが明らかになっているときに始めたわけですよ。我々はそのことを指摘した。こういうところで投資したら、ますます大変になる、借金が膨らむということを指摘したわけです。それを聞かないで、そもそもあなた方はやり始めて、結局、都が本来やるべきことではない、こういうビル事業の経営などをやっている。
 今、幾らいろいろ行政目的があるといっても、だからお金を何でもかんでも投入していいんだなんていうことじゃないと思うのです。それは自主的判断はいいです。それはしてください。しかし、それはちゃんと理屈が成り立つようなことをやれというのが、この指針に書いてある内容なんです。だから、情報公開もちゃんとして、都民の納得できるようなことをいって、それでやれということなんです。それが何にもないまま、そして、さらに、さっき述べたように、支援策だって、三十六年後とか十一年後とか、わけのわからないような状況の支援策。それを検証することもなく、四年後に賃料があと四三%上がらなければいけない、そんなこと常識では考えられないですよ。それでも支援をする、それが財務局としてのあり方なのかということを私は伺ったんです。
 今のご答弁は、そうなんだということだと思うのですね。そういうやり方は、財政の使い方がやっぱり逆立ちしているというふうに思うのです。今や、臨海三セクというのは臨海開発の先導役じゃないじゃないですか、実態からして。臨海破綻の先導役を今果たしているという状況じゃないですか。
 百歩譲って、臨海開発と行政目的を認めたとしても、それを遂行するために、財政への影響という観点から、何をしてもいいということじゃないんです。そこのところをきちっと財務局は考えなきゃいけない、財布のひもを締めなきゃいけない、むだ遣いに対しては。そういうあり方をすべきだというふうにいっているわけです。だから、冒頭に述べた国の三セクの指針でも、地方財政への影響を懸念して、公的支援のあり方に一定の基準を示しているんです。それは、ごく常識的なことです。

○山本委員長 くぼた委員、どうぞやっていただいていいんですが、あなたはさっき十五分ぐらいという――今、三十分あなたの演説を聞いているんですが、どうぞその辺を……。

○くぼた委員 済みません。答弁だって長かったので……。(発言する者あり)
 それで、その基準からしても、こういった財政支出にこそ、都民の財布を預かる財務局としてメスを入れるのが当たり前だと。ところが、そうしないというふうにいい続けているのが今のご答弁だと思うのですね。
 結局、聖域なく見直すといいながら、臨海三セクに対しては、確たる再建の当てもないのに、都民の貴重な税金を投入し続ける。そういう聖域を温存しながら、一方で財政危機だといって、都民の生活に密接にかかわる施策については細部にまでわたって切り刻む、こういうやり方を続けているじゃないですか。そういった財政執行の姿勢は、都民の暮らしを守るという地方自治体が本来やるべき仕事をないがしろにするものだ、全く逆立ちしたものだというふうに思います。そのような財政執行を直ちに改めるべきだということを最後に述べて、終わります。

○大山委員 九八年度の決算ですけれども、財務局ですので、東京都の財政運営のあり方を今日の時点で改めて振り返る意味で、幾つか伺いたいと思います。
 といいますのも、九八年度は、東京都自身が青島前知事のもとで進めた財政健全化計画の最終年度に当たったこと、さらには、この年の十月には財政危機宣言が出され、そのことが、昨年石原知事が出されました危機突破・戦略プランにつながっていることだと思うからです。
 そこで、まず伺いますけれども、九八年度の財政運営について、財務当局はどう総括されているでしょうか。

○成田主計部長 平成十年度は財政健全化計画の最終年度でございまして、当初予算では財政健全化に大きな区切りをつけることができたわけでございますが、予想を超える厳しい景気の低迷が続きまして、年度途中で四千億円を超える税の減収が見込まれたところでございます。これに対しまして、財政再建団体への転落を回避するために、歳入の確保や徹底した経費の節減を行うとともに、減収補てん債の発行など二千四百八十二億円の財源対策を講じたところでございます。同時に、厳しい経済情勢の中、都民の暮らしを守り、中小企業の安定化を図る観点から、経済対策の取り組みも行ったところでございます。
 このように、十年度におきましては、厳しい財政状況の中、都民の暮らしを守るために可能な限りの対応を図ったと考えているところでございます。

○大山委員 都民の暮らしを守るために最大限努力したというようなお話がありましたけれども、この九八年度予算の編成過程では、バブル経済の崩壊後の税収減によって財政危機に陥っているというふうにいって、シルバーパスだとかマル福だとかを初めとして、制度の根本にさかのぼった都民施策の見直し、切り捨ての方向が出されたわけです。
 その当時、皆さん方は、財政難の原因は、福祉や教育などの制度として確立している施策が経常経費を押し上げて財政を圧迫していると、繰り返しいわれていました。そして私どもは、財政難の原因は浪費的投資の拡大ではないかと指摘したのですけれども、投資的経費を削っても、起債事業だから財源は生まれてこないというふうにいって、ここに根本的なメスを入れることを拒み通してきたわけです。
 経常経費の増大ということについても、私どもは当時の行財政改革基本問題特別委員会などで取り上げて、論議が行われました。それを通じて明らかになったことは、経常経費といっても、すべてが福祉や教育などの経費ではないこと。実は、経常経費の中には、首都高速道路公団への出資や無利子貸付、再開発や区画整理などの大型開発の助成など、いわば投資型の経費ともいうべき経費が含まれていて、これが経常経費の一割を占め、ふえ続けているということです。また、公債費も、過去の投資的経費の借金の返済の資金ですから、これも投資のための経費であり、経常経費の中の投資型の経費と、公債費を合わせた経費が増大し続け、これが今日の財政を圧迫している張本人であるということは間違いありません。
 ここで、この九八年度の都債発行額は幾らで、その年度末の都債発行残高は幾らになっていますか。

○成田主計部長 先ほど資料第3号で申し上げましたように、平成十年度の都債発行額は七千五十九億円、年度末残高は六兆五千百四十八億円となってございます。

○大山委員 年度末では七千五十九億円、残高が六兆五千百四十八億円ということですけれども、この年は補正予算が組まれています。補正予算での都債発行額は幾らですか。

○成田主計部長 平成十年度の補正におきます都債の計上額でございますが、九月補正におきまして五百八十三億円、最終補正におきまして二千二百五十一億円でございまして、当初と合わせますと全体の計上額は八千九十五億円でございます。

○大山委員 この補正予算は二度行われたわけですけれども、国の景気対策に追随して組まれたものです。その結果、当初予算よりも約三千億円も借金をふやしたことになるわけです。
 ところで、この年の予算が組まれた直後、財務局は「今日の都財政」という小冊子を発行していますけれども、この中で、都債発行について財務局はどう分析されていますか。

○成田主計部長 今ご指摘の「今日の都財政」の中で、都債発行につきまして、今後、毎年度の都債発行額を五千億円程度に抑制するとしても、十四年度末には都債残高が八兆円近くなるという記述をしてございます。

○大山委員 「今日の都財政」、これ、一つは、当面の財源不足の解消で、財政破綻の危機をひとまず回避しましたというふうにいっているんですね。そうした上で、九八年度予算について、今おっしゃったように、都債発行額の大幅減額で都債残高の膨張に歯どめをかけ、将来の財政負担を圧縮しましたと報告しているわけです。
 私は、この都債残高の膨張に歯どめをかけ、将来の財政負担を圧縮するということがとても大事なことだと思っています。しかし、このとおりに実行されればと前提つきですけれども。
 いずれにしても、財務局も、都債、すなわち借金をふやし続けていくことは都財政運営にとってマイナスであると、この時点では判断されていたわけだと思います。ところが、先ほどもお聞きしましたように、補正予算で約二千八百億円も借金をふやしてしまう。予算では八千億円を超えて、最終的に決算でも七千億円を超える借金をしてしまうというのでは、いっていることとやっていることが、まるっきり違うといわれても仕方がないんじゃないでしょうか。

○成田主計部長 私ども、平成十年度当時でございますが、都債発行基準を持っております。これは、財政健全化計画の中で設定した基準でございますが、その基本的な考え方は、中長期的に財政の弾力性、健全性を確保するためということで、三つの柱の基準を設定しているところでございます。
 その第一は、当初予算におきましては、一般会計に計上する都債の発行額は、当該年度に見込まれる一般財源の一〇%程度以下の範囲を目途とする。二つ、そして、当面五千億程度の計上額に抑制することとする。三点目といたしましては、そうした中でも、景気対策や都税の減収などの対応等におきましては、それらの二つの基準を踏まえつつも、財政運営の弾力性にも配慮しつつ、適切に都債の活用を行うこととする。そういった都債発行基準を持って、それぞれ毎年度の都債の発行を行ってきたところでございます。

○大山委員 いろいろおっしゃったわけですけれども、「今日の都財政」これは財務局が発行したものですよ。「今日の都財政」は、今後、毎年度の都債発行額を、さっきおっしゃったように、五千億円程度に抑えても、十四年度末には八兆円近くになると見込まれます、都債はこれ以上の増発はできませんとまでいっているんです。そして、今引用されました、七月に出した中長期的視点に立った財政運営の指針では、都債発行基準として、現状においては当面、起債制限団体転落を回避するための上限である五千億円程度に計上額を抑制することとするとしているんです。これも財務局ですよね。五千億円に抑えなければ起債制限団体に転落すると大騒ぎしていたんです。そうしながら七千億円も借金をする。一体何を考えているのかといわざるを得ないと思います。財務局が、借金をしたくないといっていながら、それに従わざるを得ない理由は一体何なのかと、私は疑問でならないわけです。
 そこで、もう一度九八年度の歳出を見ると、大規模な施設、いわゆる箱物は影を潜めましたけれども、やはり幹線道路だとか大型開発などの予算がメジロ押しです。これが借金の原因となっているわけです。一方、投資的経費といっても、都営住宅や学校施設などの生活密着型の公共事業はもう削減が始まっているんです。補正で見れば、やはり国の景気対策、これに追随したものです。この景気対策というのは、私どもにいわせれば、ゼネコン奉仕の従来型の大型公共事業なんですね。こうした開発至上主義ともいうべきやり方のツケが挙げて都政に、都財政に、そして都民施策にしわ寄せをさせていったのではありませんか。そして、この九八年度というのは、借金依存型の財政の一つの区切りになった年だと思うんです。
 では、これ、パネルを出してきましたけれども、ここに、バブル崩壊前の九〇年度には、都の予算の借金ですけれども――赤いのは決算額です。一般会計の決算額が赤い折れ線グラフです。そして紫色のが年度末の都債発行残高、ブルーの方が都債の各年度の発行高です。バブル崩壊前の九〇年度には都の予算の四分の一ぐらいの水準だった都債が急速にふえ続けて、この九八年度は、何とその年――これが一年間の決算額ですから、一年間の東京都の一般会計の決算額と借金が同じ額になってしまったということなんです。もう一年分の資金を丸ごとつぎ込まなければならないほどの借金の山になってしまったということです。そして、この年を境に、都債残高は都の予算をどんどん上回っていく。それに歯どめをかけることが全くできないでいる。しかも、その危険を財政当局がみずから指摘していながら、続けられていくわけです。その道筋がつくられたのが九八年度だといえるわけですね。
 もう一度伺いますけれども、財務局は、借金をふやさないといいながら、なぜ逆のことをやられたんでしょう。

○木内財務局長 パネルでございますけれども、その後、最近つくりました「危機に直面する東京の財政」十一年六月に出したものでございますけれども、財政再建推進プランの前段としての財政分析を行ったパンフレットでございます。その中に、投資的経費の財源内訳ということの表がございまして、平成三年度と七年度を比較したものでございます。東京都の景気よきときにおいては、起債の充当というのが、どちらかというと相対的に低うございました。ほとんど税をもって投資的経費を賄っていた状況にございましたが、景気が後退する中、税が落ちる中、投資的経費の財源として、起債のウエートを大幅にふやしてきたという状況があります。その結果、何が生じたかというと、一般財源が投資的経費に充たらなくなってきた。充たらなくても、何といいますか、投資的経費を行うことができたという状況がございました。では、その一般財源をどこに使ったかというと、経常経費に使ったわけでございます。都民の期待にこたえて、さまざまな期待にこたえる中で、経常経費のレベルアップ、あるいは現行水準の維持ということで、税が落ちる中にあっても、投資的経費から吐き出された一般財源をもってそれを賄ってきたということが、財政運営として一つあったかというふうに思っております。そのことのよしあしは別として、そういう中にあって、起債が結果としてふえてきた部分も多々あるわけでございます。
 それからもう一つ、投資悪論といいますか、投資をすべて悪とするならば、今後の議論というのは、何といいますか、議論としてなかなか成り立ちがたいわけではございますけれども、投資についても、一定の、あるいは東京都として行っていくということが、都民からの負託にこたえる道であろうというふうに私どもも考えているところでございます。今日の状況、残念ながら投資について拡大し得ない状況にあることもまた事実でございますけれども、でき得る限り、経常、投資のバランスをとりながら財政運営を行うことが必要だろうと。そのことについてのご判断は、委員会におけるご判断だろうと思いますけれども、私どもしても、そういう姿勢で臨んでいくべきであろうというふうに思っているところでございます。

○大山委員 いろいろとおっしゃったわけですけれども、税金がたくさんあったから、投資的経費にはそのまま一般財源をつぎ込めたんだということですよ。一般財源を投資につぎ込んだ額、これは、やはりさっきの「今日の都財政」ですけれども、何と平成五年は一兆九千三百九十八億ですよ。約二兆円を公共投資、公共事業に、大型開発中心の公共投資に投入していたわけです。しかも、公共投資の額、平成十年だって一兆五百八十八億円です。バブル前、例えば昭和五十八年、四千七百一億円です。まだ二倍以上あるわけですよ。異常に大型の投資的経費をふやして、減らした、減らしたといったって、まだバブル前の二倍の投資的経費を使っている。しかも、私たちは、投資的経費が全部悪だなんて全然いっていません。例えば都営住宅どうなりましたか。どんどんどんどん新規建設を減らしていって、とうとう来年度はゼロですよ。そういう投資的経費こそ投入することが必要じゃないですか。この間何をやっていったか。都立高校などの大型の修繕の経費を削減してくる。そういう投資的経費こそつけるべきだと私たちはいっているわけなんです。
 そこで、ここに九五年に東京都が出した財政白書というのがありますけれども、財政白書に見る財政難をどうすべきかという小論文があります。星野泉さんという大学の教授の方の小論文があるわけです。「都政研究」に掲載されています。
   〔委員長退席、前島副委員長着席〕
 この中で、既に九五年ですよ、都財政の改革の視点として、財政健全性から見て、事務的経費、経常的経費の伸びは望ましいものではなく、投資的経費の伸びは常に望ましいことといった見地が必ずしも適合しなくなったといわれ、さらに、公共施設建設と公債費や維持管理費の関係に見るように、投資的経費と義務的経費、経常的経費は明らかに関連しており、前者、つまり投資的経費は、後者、つまり義務的経費、経常的経費の原因となると明確に述べています。その上、星野教授は、公共投資については、新規開発型、大規模開発型から、維持管理型、改良型ともいうべき視点、でき得る限り既存施設の再利用や改良を検討していくことも必要であるとさえ指摘されているんです。この見解が述べられているのは九五年。ですから、このことにしっかり学んでいれば、九八年時点で借金拡大路線ともいうべき財政運営を続けることなど問題にもならなかったはずではないでしょうか。
 もう一つ、都民にとって大きな問題は、投資的経費を削減するといいながら、大規模開発には税金を湯水のようにつぎ込む一方で、財政健全化計画に基づく福祉施策の見直しを押しつけようとしたことです。当時を若干振り返りますと、九八年度予算の編成の過程で、前年度に都議会議員選挙が行われ、財政健全化計画が争点となり、シルバーパスの見直しについて、七割の議員が現行制度を守るということを公約するなど、財政健全化計画に都民的審判が下されたときです。(「前置きはいいよ」と呼ぶ者あり)ちょっと振り返らないとだめですからね。
 ところが、その後、東京都は、これに学ぶことなく、シルバーパスやマル福など都民にとって欠かすことのできない福祉を後退させる予算を計画し、これがさらに都民的運動の中で、例えば障害者医療費助成の見直しは、都自身、提案をあきらめざるを得なくなり、老人医療費助成は都議会で否決されました。公共料金の値上げに至っては、二度提案しながら二度とも否決されるという事態にも及んだのです。都民の怒りは、第一に、東京都が築き上げてきた福祉施策を根こそぎにすることに対するものであり、もう一つは……(「議事進行、質問してください」と呼ぶ者あり)質問です。もう一つは、財政難を理由としながら、平気で大型開発に税金を投入しているという、逆立ちした都財政運営に対してでありました。
 このような福祉切り捨てをめぐって、都議会でも大議論が行われました。九八年度各局要求の発表後、自民党さん、公明党さん、民主党さん、そして無所属さんの四党が行った共同の申し入れは、財源不足を福祉切り捨てによって安易に都民に負担を押しつけることは、行政がみずからの努力を放棄することで……

○前島副委員長 質問してください。

○大山委員 断じて許されないと、都のやり方を厳しく批判されましたし、老人医療費助成、公共料金値上げについて、知事、あなたは、厳しい状況に置かれている都民の暮らしぶりがわかっていない、不況の底から聞こえてくる中小企業者の助けを求める悲鳴があなたには届いていないと、自民党さんが予算議会の本会議討論で述べられています。
 また、公明党さんや民主党さんは、公共料金の値上げに、景気動向の判断と都民生活の現状に対する配慮、空前の政策不況に苦しむ都民の生活に、これ以上の悪影響を与えない……

○前島副委員長 いい加減にしてくださいよ。経過はいいよ。質問してください、質問。議事進行。

○大山委員 都政はそのための盾になるべきといって反対されています。
 まさに議会を挙げて都のやり方を批判し、福祉切り捨てを明確に否定したのです。
 最後に、九八年度予算を考えるとき、もう一つ触れておかなければならないことがあります。それは、都税収入を高く見積もって予算を編成した上で、税収が足りないといって財政危機宣言を行い、今日の福祉切り捨ての新たな路線をしいたことです。
 この点では、当初予算の税収見込みは、法人二税で何と前年度比九・二%増という法外な税収見込みを前提に組み立てられていたことです。全体の都税収入でも、前年度比六・七%という伸びを想定していました。

○前島副委員長 こんな質問ないよ。ちょっと速記とめて。
   〔速記中止〕

○前島副委員長 速記を始めてください。

○大山委員 九・二%増だと、法人二税が。それがいかに現実離れしているかというのは今日明らかだというふうに思っています。
 その当時であっても、あの消費不況のもとで、経済の見通し自体がマイナス成長になるかもしれないというときに、六・七%などというのは、都財政を預かる者が疑問を持たなければおかしいものだというふうに思っています。自治省のその年の全国地方税の見込みは、三・九%増の見込みですから、都の見込みが過大な設定であったことは今日明らかです。
 当初から財源が不足するのは明らかで、むしろ、財務当局はそのことを織り込んで予算を組んだといわれても仕方ないやり方だったのであります。そして、予定どおり税収が不足したとして財政危機宣言を行う一方で、ちゃっかり減収補てん債を発行して借金をふやしてしまったんです。これで財政が苦しいといって、都民に痛みを我慢しろといっても、だれも納得するものではありません。
 こうして積み上げられた借金の返済、すなわち公債費は、来年度は四千六百億円、経常経費の一割以上にも達しているのです。私は、このような大型開発を温存して、その借金のツケを都民の福祉や暮らしの施策にしわ寄せをする、逆立ちした都財政運営を根本的に改めるならば、都民福祉を守りながら都財政を立て直していくことも可能であることを述べて、質問を終わります。

○佐藤委員 ちょっと簡単に質問します。
 予算編成が大詰めでお疲れのところ、済みません、簡潔に終わりますから。私は簡潔に質問します。
 まず、ここに各局別の執行額、執行率等が書いてある書類があるんですが、私、越智恒温さんが出納長のころにいったことがあるんです、不用額といういい方がよくないと。何か余った金、他人ごとみたいな感じがして、よくないから変えろといったことがあるんですけれども、もう少し何かいい用語がないかなと思っていながら、質問します。
 これ、二十七会計ありまして、冒頭に遠藤委員が、執行率ばかりを見てはだめだ、内容を見て議論をしろといったのでありますけれども、二十七会計中、十一会計が九〇%以下なんですね、執行率が。一番低い住宅局が八一・四%。それから、これも二十七会計中、十一会計が百億円以上の執行残を残しているということで、いわゆる皆さんがいう不用額というのは、合計二千億円を超しているわけですね。それで、翌年度繰越額の九百九十億を入れると、三千億円ぐらいが年度内に消化できなかったと、こういう数字が出ているんです。私、初めてこういう統一的な書類をいただいたんですけれども、こういうのというのは毎年なんですか。
 大体、執行率というのは同じような形で、トータルでいくと、九五%前後の執行率で推移をしているんでしょうか。

○成田主計部長 今、先生のお話がございましたように、平成十年度は九五・五%でございまして、たしか過去数年も、おおむねこういう水準の執行率だと記憶してございます。

○佐藤委員 大変平たいことを聞いて申しわけないんだけれども、この執行残の二千億円というのは、どう処理されるんですか。

○成田主計部長 こちらの数字は、それぞれ歳出の不用額でございます。
 ご案内のように、先ほど申し上げましたように、税の減収であるとか、あるいは歳入の見積もりに対しまして国庫等が来なかった部分等々がございますので、実際の不用額といいますか、執行残といいますか、この金額が残る部分はさらに小さな数字になるということでございます。

○佐藤委員 さらに小さい数字をどう処理しているの、最後は。

○成田主計部長 要するに、歳入歳出の決算の中で出ました部分につきましては、歳入から歳出を引いて、その残った部分につきましては、その額は繰越金という形で処理されるということになります。

○佐藤委員 何となくわかりましたけれども、何が原因で、こういう執行残がかなり出るのか。各局それぞれの理由があると思うんだけれども、都財政全体の共通のあれというのはありますか、原因というのは。

○木内財務局長 歳入歳出について、東京都の場合は年間総合予算ということで、年度当初において、年間を見通した歳入歳出を計上するということをルールとしているわけでございます。
 そうした中にあって、例えば国庫補助事業についていえば、国庫補助金が百なら百つくはずだ、二分の一だから二百の事業ができるはずだということで、当然に東京都として望ましい水準といいますか、そうした見込みに基づいて年間の予算額を計上する。それに対して、残念ながら国庫補助採択がされない。仮に、先ほどいった五十、百の関係でいえば、半分しか補助採択されないとすれば、その半分分の事業といいますか、その分ががたっと落ちるというようなことも多々あるわけでございます。
 それに対して、地方の県にあっては、国の補助採択がされたら補正予算で計上する、あるいは起債が採択されたら補正予算で組む、あるいは交付税が確定したら、それを補正予算で組んでいくと、年間何度も補正予算をやるのに対して、東京都にあっては、年間を見通した財政運営という観点から年間総合予算を組んでいることで、見込みと実際との違いが出てくるんだろうというふうに思います。
 その結果、先ほど主計部長が申したように、歳出が落ちると同時に、国庫補助が採択されなければ国庫が落ちる等々の歳入も落ちる、結果としては、現金ベースでは繰り越しという形で残っていくんだろうというふうに思っております。
   〔前島副委員長退席、山本委員長着席〕

○佐藤委員 わかりました。
 ちょっと最後に、私の思いを込めて終わりますが、例えば今年度予算でいえば、今、福祉を再構築しようということで、いろいろ削り込みをしている中で、十年度においては福祉局は百五十一億円も残が出ているんだね、百五十一億。それから、高齢者施策推進室も百三十億円弱の執行残が出ている。医療費の問題を今やろうとしている衛生局に至っては、百八十七億円の執行残が出ているわけですね。何かもっと積極的に、有効的に予算を使ってもらいたかったな、ほしいなという思いは残りますね。
 特に、私は今、厚生委員会にいるからあれなんですけれども、衛生局なんかは、入院時の食事代を七百幾らかもらおうかとか、ひとり親家庭の医療費を自己負担を導入しようかとか、一億、二億のレベルの話を削りながら、皆さんと協議している中で、その裏で百億単位の、各局で百億以上の執行残が出てきているというのは、非常にむなしい感じがしないでもない。そういう思いが、実は正直、この数字を見ていて、私思うんですよね。
 これ以上いってもあれですが、きょうの復活予算なんかでも、例えば衛生局なんていうのは、自民党は七千百万円ですよ、復活を頼んでいるのは。その一方で百億以上余っちゃってるというのは、これは何か、やるせない思いがしないでもないね。それから、消防庁なんかでも、八百万円、実は復活をお願いします、消防団員の方の処遇改善でお願いしますといいながらも、五十三億か四億の執行残とかという、何かちょっと釈然としないものが残るのは私だけではないんじゃないのかな。
 こんな思いを申し上げて、予算編成に当たって、さらに精査をしていただいて、むだがないとはいわないけれども、むだの少ない都政運営を、これからしっかりとにらんでやっていただきたいな、このようにお願いして、終わります。

○山本委員長 ほかに質問はありませんか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 財務局関係の決算に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山本委員長 異議なしと認め、財務局関係の決算に対する質疑は終了いたしました。
 以上で財務局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後六時六分散会

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