社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会速記録第十一号

平成十七年五月十六日(月曜日)
 第十五委員会室
 午後一時四分開議
 出席委員 十二名
委員長山崎 孝明君
副委員長木内 良明君
理事東村 邦浩君
理事高島なおき君
理事大西 英男君
理事名取 憲彦君
柿沢 未途君
松村 友昭君
宮崎  章君
服部ゆくお君
曽根はじめ君
藤田 愛子君

 欠席委員 一名

 出席説明員
総務局局長赤星 經昭君
総務部長大塚 孝一君
行政改革推進室長前田 信弘君
主席監察員相上 孝司君
財務局局長松澤 敏夫君
経理部長臼井  勇君
主計部長熊野 順祥君
福祉保健局局長幸田 昭一君
総務部長吉川 和夫君
生活福祉部長笠原  保君
参事杉村 栄一君

本日の会議に付した事件
付託事項の調査(意見開陳)
 社会福祉法人東京都社会福祉事業団(以下「事業団」という。)が運営する東京都社会福祉総合学院(以下「学院」という。)に関する次の事項
(1)学院に関する平成十六年度包括外部監査結果に対する東京都の対応
(2)学院の設立の経緯及び運営の状況
(3)学院に関連する財産管理の状況
(4)事業団が学院に関連して東京都から受けた補助金の執行状況
(5)事業団が福祉人材養成事業に関して学校法人と締結した契約内容
(6)その他調査に必要な事項
出頭拒否に対する告発の取り扱いについて

○山崎委員長 ただいまから社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会を開会いたします。
 初めに、議席について申し上げます。
 本日の議席については、ただいまご着席のとおりといたしますので、ご了承願います。
 次に、理事者の欠席について申し上げます。
 宮川財務局財産運用部長は、病気療養のため、本日の委員会には出席できない旨の申し出がありました。ご了承願います。
 次に、記録の提出について申し上げます。
 去る五月十二日の委員会において、知事に対し五月十五日までに提出を求めました記録について、お手元配布の「記録の提出一覧(五月十二日新規請求分)」のとおり、議長あて提出がありました。
 本記録の中には個人情報等も含まれておりますので、その取り扱いについては十分注意されますようお願いいたします。
 なお、要求した記録のうち、「不存在」とされた記録につきましては、引き続き請求することといたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。
 次に、去る三月二十三日、四月八日、四月二十二日、四月二十五日及び五月二日の委員会において提出を要求しました記録のうち、「不存在」「一部不存在」とされた記録の一部を五月十二日の委員会において引き続き請求しておりましたが、これらの記録につきまして、お手元配布の「記録の提出一覧(五月十二日再請求分)」のとおり回答がありました。
 本件について理事会で協議した結果、引き続き請求することとなりました。ご了承願います。

○山崎委員長 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、これまでの本委員会における証人尋問を踏まえた各会派の意見開陳を行います。
 これより、社会福祉法人東京都社会福祉事業団が運営する東京都社会福祉総合学院に関する付託事項について調査を行います。
 この際、これまでの証人尋問を踏まえ、各会派の考え方や問題点等について意見を述べていただきたいと思います。
 順次発言を願います。
 服部委員。

○服部委員 私は、都議会自由民主党を代表し、本委員会に付託された調査事項について、これまでの調査結果を踏まえ、社会福祉総合学院の運営について何ら違法性はないにもかかわらず、疑惑を捏造したとされる濱渦副知事と、この企てに加担し、都政に混乱を招いた関係者すべてに対し、厳しくその責任を追及していくという立場から意見表明を行います。
 さて、本特別委員会は、申し上げるまでもなく、平成十七年三月十四日の予算特別委員会において民主党の中村議員が行った社会福祉事業団に関する質問に対する濱渦副知事の不法、不当答弁を発端とし、平成十七年三月十六日に、本会議において全会派一致で設置されたものです。
 濱渦副知事は、平成十七年度予算を提案する責任者という立場にありながら、その提出された予算案の中に不正、不適切な内容があるかのような答弁を行いました。全くもって不可解な、そして、これは議会を愚弄する発言であるだけではなく、知事を補佐する立場にある副知事としてあるまじき答弁でありました。
 我が党は、都民の代表として、この問題について副知事がいうような疑念や疑惑があるのか、この百条委員会の場で真摯に、かつ厳しく真実を究明してまいりました。この件に関するこれまで本委員会の調査は、約一カ月半の間に、委員会開催回数十回、延べ十二人の証人に対して四十時間以上かけて尋問を行い、現在までに提出された記録資料は段ボール箱五箱、登壇いただいた証人や、要求した資料の収集、分析、作成にかかわる関係者には大変ご協力をいただいております。
 いまだに、この問題そのものについて調査が十分なされていないなどという意見をいう者や、政党間の政争で実質的な調査が進んでいないなどというマスコミ論調もありますが、それこそが本委員会の調査活動を理解していないことをみずから表明していることにほかなりません。
 それでは、これまでの調査結果から、現在まで明らかにされた事実、そして今後解明していかなければならない問題点について述べさせていただきます。
 まず、冒頭に申し上げたとおり、社会福祉総合学院の運営については、契約や財産関係、学校設立手続、補助金などについて、全く違法、不当などということはなかったことについてであります。
 以下、違法、不当がなかったとするポイントについて説明をいたします。
 まず第一は、学院の空き教室を使って開校している臨床福祉専門学校の設立の手続についてです。
 二月二十五日の定例記者会見において、知事から、学校なんて三カ月でできるものじゃないとか、設立に関して特例中の特例の取り扱いをしているなどという発言があり、あたかもこの学校が違法な形で、何か特別な便宜を図ってもらって設立されたような印象を都民の方々に与えました。
 確かにこの学校は、設立認可を申請してから認可がおりるまでの期間が約二カ月ではありますが、これは、既存建物を校舎とする場合は最短二カ月で許可がおりるという一般の基準内の取り扱いであり、ほかにも同様の事例が複数あることを、過日の本委員会で、生活文化局長の証言や高島理事が明らかにされております。すなわち、認可にかかわる期間について、特別なケースではないということが明らかになったのであります。
 また、知事が特例中の特例といわれることについても、東京都私立専修学校設置認可取扱内規の例外規定の範囲内であり、いわば規定に従って行われている内容を、たまたま特例と表現したにすぎないことが明らかになりました。
 本委員会における生活文化局長の証言でも、専修学校を設置する際、校地、校舎につきましては、都では、東京都私立専修学校設置認可取扱内規を設けて、原則として自己所有することを求めていますが、国、地方公共団体、住宅供給公社等の財産で所有することが困難な場合でも、教育上支障がないということが確実と認められる場合には自己所有であることを要しないということを特例と表現したことにすぎず、このケースも、都の土地に立地した建物を五年の定期借家契約で借用しているものであり、法的にも問題ないと、この手続にかかわる事務を所管する局長が明確に証言しているのであります。
 何の問題もない事柄を疑惑が存在するかのように取り上げたことで、今、現に存在する学校法人やその関係者、そしてそこに通学する学生、保護者の間に動揺が起こり、風評被害が発生しているとしたならばゆゆしき事態であり、このような事態を引き起こした関係者はみずからの責任を痛感しなければなりません。
 第二に、財産管理面、すなわち、土地無償貸付契約及び公有財産規則の違反はなかったということであります。
 土地無償貸付契約については、第四条の用途指定と第五条の転貸禁止の条項に違反するとの民主党柿沢委員の再三にわたる指摘や、宮川財務局財産運用部長や櫻井出納長の証言もありましたが、学院の運営形態の変更は、事業の一部を直営から委託に変更するものであり、事業の主体、建物の所有、福祉人材養成事業という目的には変更がないこと、また、教室の一括貸し付けは、委託事業で使用しない空き時間の教室の有効活用を図るものであり、その用途が福祉人材養成事業に限定されていることから、第四条の用途指定違反に当たるものではありません。
 これは、平成十三年当時、財務局が福祉局に回答した内容そのものとまさに符合するものであります。また、転貸契約を事実上結んでいるわけでもなく、建物の使用を認めているだけで、権利を譲渡しているわけではないので、転貸に当たるものでもなく、第五条違反にも当たりません。
 唯一問題となり得るとすれば、庁内手続である公有財産管理運用委員会に付議しなかった責任は財務局なのか福祉局なのか、また、本当は付議すべきであったのかという次元の問題ですが、これについても、公有財産規則は、今回のように既に付議を経ている物件について、その利用状況がどの程度変われば再付議が必要かという判断基準までは規定しておらず、したがって、再付議が必要であったとまではいえないと考えられ、規則違反とはならないと考えます。この公有財産管理運用委員会にしても、会長である松澤財務局長が、一回も出席したことはありません、一回も出席したことがないという程度の庁内組織であり、付議の云々が重大問題になる存在とは到底考えられません。
 第三に、五年間の定期建物賃貸借契約が有効に成立しているということです。
 これも、民主党の柿沢委員が繰り返し主張し、宮川、櫻井など一部の証人からは、契約そのものに瑕疵があるとか、事実上更新権のある契約になっている可能性があるなどという証言もありましたが、公正証書により契約の更新がないことを定めていること、また、契約締結に先立ち合意確認書を取り交わし、契約の更新がなく、期間の満了により賃貸借が終了することを双方で確認をしていることから、借地借家法第三十八条の要件を満たしております。
 また、事業団から生活文化局長あて提出した、事業が継続的、安定的に実施できるよう配慮するとの文書を、あたかも契約更新の裏約束をした念書であるというような疑念が提起されておりましたが、これは設立認可事務の関連書類として求められ提出したものであり、念書というのであれば、この設立認可事務の関連書類を許認可庁に提出してもらうことによって、定期建物賃貸借契約に何ら影響を与えないという、学校法人側から事業団に提出された疑惑を払拭する念書があることが明らかになっております。したがって、定期建物賃貸借契約が有効に成立していることを疑う余地は全くありません。
 第四に、補助金は適法、適正なものであるということです。
 このことについては、不正発言をした濱渦副知事ですら、三月二十九日の尋問で、補助金は都規定に基づいた適法、適正なものであると証言していることからも明らかなものです。それどころか、本事業の賃貸収入により運営費補助金の削減が図られることになり、監理団体改革の推進に寄与するものとして評価されるべきものであります。
 民主党柿沢委員が尋問の中で再三質問をしている、仮定に仮定を重ねた立ち退き料の試算についても、先ほど申し上げましたとおり、定期建物賃貸借契約として有効に成立していることから、支払い義務が発生することは考えられず、補助金の不正支出や立ち退き料の支払いから発生する住民監査請求や損害賠償請求の対象になることもありません。
 これまで民主党が社会福祉総合学院の運営に疑惑があるのではないかとしてきたよりどころとなる主なものは、財務局の作成した弁護士意見メモと、包括外部監査人が議会や知事に正式報告をする以前に、いわば監査の途中で作成した補足資料なるものの二点であります。
 一般に、弁護士はみずからの発言や意見の提供には慎重であり、もし仮に百条委員会の場で正式にみずからの見解を公表するということになれば、記名押印をした文書を作成して提出しているはずでありますが、今回提出されてきた記録資料は、単に財務局が口頭で緒方弁護士から聞き取った話を文書として作成した資料であります。また、包括外部監査人の補足資料も、最終的に監査報告がなされる以前に作成されたメモであり、最終報告に記載されていない事項は正式な包括外部監査人の見解とはいい得ないのであります。
 この二つの資料のいずれもが、単なるメモあるいは伝聞資料にすぎず、疑惑ありとする論拠としては非常に薄弱なものであります。
 以上申し上げたとおり、これまでに行ってきた調査により、社会福祉総合学院の運営には何の問題もなかったという結論に達しました。しかしながら、このように何ら問題のないことについて、二月二十三日以降の「歪んだ補助金」という産経新聞の予断に満ちた報道、二月二十五日の、大変な問題だ、けが人が出るかもしらんねという知事の記者会見の発言、そして予算特別委員会での濱渦副知事の発言により、あたかも違法、不正があったように扱われてきたわけであります。
 しかも、濱渦副知事は、予算特別委員会の不正発言を、本委員会の証言において、違法性はない、答弁は将来の改善に向けたものと答弁修正を行い、方針変更を行いました。これらの背景には一体何があるのか、本特別委員会において調査を進めていくに従って、この真意を究明することの必要性が浮き彫りになってきたわけであります。
 このため、本特別委員会設置の発端となる質問を行った民主党に対し、学院の運営に問題があるという認識に至った経緯、予算特別委員会での質問の経緯を明らかにするため、民主党の政策責任者である富田議員に三回にわたって出頭要請をしましたが、民主党は、証言することはないとの理由で出頭を拒否しております。
 そもそも本委員会は、民主党の予算特別委員会における質疑の中で、予算案に疑義があるとの答弁に端を発して、民主党を含め、全会派一致で設置されたのであります。私たちは、一部マスコミの論調にあるような、民主党たたきをしようなどとは考えておりませんし、余りにも民主党が真相究明に非協力的であるがゆえに、批判せざるを得ない状況になっていることを申し上げさせていただきます。
 本来であれば、進んでこの場で証言すべき立場にあったはずの富田議員が三度も出頭を拒否するということは、この間、出頭いただき証言された方々と比べ、余りにも不誠実な態度であるといわざるを得ません。議会が全会一致で設置した百条委員会というものをどう考えているのか、議会人としてはもとより、普通では考えられない、あるまじき行為であります。そして、これを支持する民主党は、自分たちも賛成して設置した本委員会の意味を全く考えていない、真相解明への意欲も姿勢もないと断ぜざるを得ないのであります。
 本委員会への出頭を頑迷に拒否する一方で、民主党は、記者会見の場で個人の氏名を挙げての誹謗や、渦中の富田議員のホームページなどを使い百条委員会の議論を牽制するなど、いわば場外乱闘ともいうべき行動に終始していることは、議会人としては許しがたい行為であります。
 また、柿沢委員が本委員会を人民裁判と批判したことに対して、我が党の大西議員が問題視したことを、議会外の発言を取り上げられたことは不本意と謝罪に応じなかった姿勢を見ても、民主党は、議会人であるということ、そして議員としての発言の重みを理解していないとみずから認めているといわざるを得ません。
 民主党は、国政では個人情報の重要性を声高に叫んでいるにもかかわらず、自分たちの意に沿わないものに対しては、前後の見境もなく、個人攻撃ともとられるような発言をする、議会外では何をしても許されると考えているのでしょうか。
 富田議員は、ホームページ上で、三月十四日の予算特別委員会での質疑以降、この問題に関して、ほぼ毎日といっても過言でないほど見解を述べております。三月十四日の、副知事答弁は包括外部監査の指摘を受け問題を解決すると述べたもので、問題指摘には当たらないに始まり、三月二十六日には、都議会に設置された百条委員会で民主党はしっかりと疑惑を追及する姿勢、しかし、最大会派自民党は疑惑はないと主張している、疑惑追及の民主党、疑惑隠ぺいの自民党と自民党批判を展開し、その後も、記録の分析や現地調査などを行い、真相究明に取り組んでいることをアピールし続けています。
 不思議なのは、先週金曜日の五月十三日の記者会見の発言で、最初は問題がないと思っていたものを、三月八日段階では、濱渦副知事からの話を聞いただけで問題ありと判断したとしている点であります。ホームページの記述を見ても、富田議員は、三月十四日以前には現地を見たこともなく、社会福祉総合学院の運営に関する知識も、百条委員会で証言することはないといっているのですから、全くなかったのではないでしょうか。
 そうであれば、富田議員が濱渦副知事から一回話を聞いただけで問題ありと判断できたのは、濱渦副知事からかなりの示唆を含んだ決定的な問題提起がなければならない、そのような判断には立ち至らないと考えるのが一般的な感覚であり、このことによって、濱渦副知事から質問を依頼されたと考えても何の無理もないのではないでしょうか。もし仮にみずから判断できるほどの知識があるのであれば、当百条委員会で証言することはないなどと三回も出頭要請を忌避する理由は成立し得ないのであります。
 一たん自分が証人として喚問される段になれば証言することはないというのでは、百条委員会の場において証言することによってみずからの偽証のリスクを生ずるがゆえの行動、すなわち、真実を証言することができないため逃げているといわれても抗弁できないのではないでしょうか。何かいいたいことがあるのであれば、正々堂々とこの場に出頭して証言すべきであり、我々はその機会を何度も与えてきたのであります。
 富田議員の証言拒否により、五月十二日には、内田都議会議長がみずから進んで証言という事態に立ち至りました。内田議長は、真実を知る者の一人として、議会人としての責任と良心、この問題で不安に陥っている都民への責任、都政の停滞への憂慮から証言を決意されたものです。
 そして、内田議長の証言と、補足資料として提出された勇気ある都職員の陳述書から、予算特別委員会の民主党の質問は、濱渦副知事の仕掛け、執拗なまでの民主党への働きかけによってなされたことが明白になりました。このことにより、濱渦副知事が、三月二十九日の本委員会において、民主党に働きかけをしたことはないと証言したことは明白な虚偽であることが明らかとなり、本委員会において偽証であると認定されることとなったのであります。
 濱渦副知事は、事ここに至って初めて事態の深刻さ、重大さに気がついたのか、申し開きをさせてほしい旨の文書を提出してまいりました。何ゆえにこのような事態に立ち入ったかということを反省するわけでもなく、偽証は勘弁してほしいので申し開きをしたいとは何をかいわんやであります。このような濱渦副知事の姿勢こそが現在の事態を引き起こしているということを謙虚に反省をして、みずからの責任を自覚し、副知事の職を去ることが濱渦副知事に残された唯一の選択であることを申し上げておきます。
 五月十二日の本委員会における内田議長の証言及び議長証言を補足した勇気ある都職員の陳述書により、白日のもとに真実は明らかになりました。そして、庁内において、今や真実はどこにあるのかということを知らない者はもう一人もいないのであります。
 しかしながら、議会人として無念なのは、富田議員自身が濱渦副知事の偽証を立証してほしかった、都職員と同じように勇気を持って証言をしていただきたかった、このことがまことに残念至極であります。
 今後は、自治法百条に基づき、出頭拒否を行った富田議員と偽証を行った濱渦副知事の告発について粛々と手続を進めるべきであります。ささいな話を大きくし、都政に混乱を与えた濱渦副知事と、このことに加担をした者たちの責任を徹底的に追及し、断固たる処分を行わなければなりません。
 濱渦副知事の恐怖独裁政治への反感は庁内に充満し、新聞にも出ていますよ、臨界点に達しております。今回、百条委員会ができたことは、都政にとっては不幸な事実ですが、しかし、災い転じて福となすという言葉もあります。この百条委員会を出発点に、都政改革を強力に推し進め、二度と執行機関がみずから疑惑を捏造し、それに議会が利用されるという事態が起きないようにすべきであります。
 最後に、知事がいまだ記者会見で、民間ではあり得ないような賃貸関係と評価していることが気がかりでありますので、あえて申し上げます。
 知事は、都有地を活用した建物の一括貸し付けを指してこのようにいわれているのかもしれませんが、今回のケースのような事例は、民間ではもちろん、東京都でもこれまで広く行われております。知事着任後、空き家となっていた知事公館を民間に貸し付け、都財政の改善に少しでも寄与すればと、年間五千万円の賃料で貸し付けたことを評価されているのは、ほかならぬ知事ご自身のホームページであります。
 また、旧東京都庁第三庁舎は、ある株式会社の東京本社ビルとして一括貸し付けされておりますし、今回記録資料を取り寄せた国際フォーラム、ビッグサイトなども、内部をさまざまな業者に貸し付け、管理会社である団体がみずからの収入として使用料金を徴収しております。決して社会福祉総合学院だけが建物一括貸付方針をとっているわけではありません。
 万が一にも、包括外部監査が立地条件の不利を指摘するような建物を、東京都の方針に従ってこれまで協力して借りてきた学校法人が不利になるような問題の解決をされることはない、そのように思いますが、今後の対応策の検討に当たって、この点に十分な配慮をお願いしたいと思います。
 執行機関側には、拙速に小手先の対応で糊塗するのではなく、学校法人側にも都民にもご理解いただける案を作成して、我々議会側とも十分調整して対応いただくことを最後に強く要望し、意見表明を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

○山崎委員長 木内委員。

○木内委員 初めに、第一に、社会福祉総合学院の運営に関して、違法、不法などという問題は存在しなかったこと、第二に、そして、何ら違法、不法がない本問題を疑惑の対象として取り上げ、疑惑の捏造が濱渦副知事、櫻井出納長によって行われたこと、疑惑捏造に都議会が利用されたこと、第三に、今の都政には、こうした疑惑捏造を容易に許してしまう土壌、背景が存在し、都政運営を一刻も早く正常化させなければならないこと、そしてそのためには、本委員会は一刻も早く結論を出す必要があることというこの三点が、本委員会における尋問、調査等の結果判明した事実であるという立場から、我が党の見解を申し上げます。
 まず、違法、不法の問題でありますけれども、本委員会の設置の発端となったのは、三月十四日の予算特別委員会の中村委員の質疑に対する濱渦副知事の答弁でありました。補助金が正当でないかもしれない、正当な形で、不法でない形で処理されないといけない、本来の形に戻すなどでありました。
 予算特別委員会の締めくくり総括質疑では、大塚副知事から、学院の運営に関しては違法性がないことが明らかにされました。答弁した本人である濱渦副知事すらも、三月二十九日の本委員会の尋問で、違法性がないという明確な証言をしております。さらに石原知事も、四月二十八日の記者会見で、これからどうするかという問題と将来の問題であるということを明言しているのであります。
 また、公有財産管理運用委員会の付議、予算要求の日付の問題などの尋問がありましたが、例えば、予算要求の日付の問題などは、事務手続の問題であり、各局が予算要求を行い、担当者、課長、部長、局長など内部の各段階での調整を経て知事の査定が行われ、その間に追加資料を提出し、要求後の状況の変化、議会、都民からの要望に対応しながら予算案を編成していくという、予算編成の実態を無視した、予算のイロハを知らないとしか思えない発言もありました。
 取り上げられた問題は、いずれも瑣末な手続上の問題、庁内の意思疎通の行き違いの問題にすぎないということも明らかになり、不法とか正当でないとかという問題ではないという事実が明らかになったのであります。
 以上の点から、社会福祉総合学院の運営に関して、違法、不法という問題はないことは明らかであります。
 さらにいえば、私は、三月二十九日の本委員会で濱渦副知事に尋問しましたが、三月十四日におけるこの濱渦副知事の答弁は、何度聞いても、学院の運営は現在違法であるという意味にしか解釈できないのであります。まさにロジック、論理性としての非整合性は明らかであります。私は詭弁だと指摘をしたところであります。
 本委員会の濱渦副知事の証言は、マスコミにも取り上げられているように、事実上の答弁修正であったわけです。このことは、後ほど述べる疑惑捏造の構図からも明らかであります。さらに、濱渦副知事がどのように取り繕うとも、敬心学園に生じている入学辞退などの風評被害、多くの都民の不安の声などは、都民の皆さんがそのように受けとめた証左であります。
 次に、本委員会の調査内容で明らかになった疑惑捏造の構図についてであります。
 我が党は、この騒動の発端となった三月十四日の民主党の中村委員の質問に関して、民主党と濱渦副知事との間で事前調整があったのではないかという疑念を持ち、三月二十九日の本委員会で濱渦副知事を尋問し、私、そして山崎委員長、自民党の野村副委員長が濱渦副知事に証言を求めました。それに対して、副知事からは、事前調整はしていないとの証言がありました。さらに、民主党の議員にこの質問をさせたのは濱渦副知事であるという情報があるがいかがかという尋問に対しても、副知事は、しておりませんときっぱり証言しております。
 我が党の東村理事が尋問の中でも申し上げましたが、事前調整そのものを否定しているのではありません。議会と執行機関とが限られた時間で中身のある議論をしていくためには、この私たち議会もきちっと事実を取材し、確認をする。執行機関も事実を調査し、そして明らかにして、論点、疑問点を浮かび上がらせる、すなわち質問の具体化の作業、これは当然にやっていることであります。しかし、濱渦証人は、不思議なことに事前調整はないということでありました。
 五月十二日に、実に重要な証言、陳述書の提出が本委員会にありました。内田議長と中村委員の質疑に至る経過を知っている関係職員の陳述書であります。都政の混乱を憂い、その内容は極めて具体的にして詳細をきわめ、恐らくは、陳述者の職を賭しての都政改革への決意が実感として十分に受けとめられるものであります。二月二十五日の知事の定例記者会見以降の副知事サイドからの働きかけが、この中には実につぶさに実は報告をされておりました。
 民主党の名取幹事長は、学院の運営には何の問題もないのではないかと考えながらも、実は副知事からのたび重なる働きかけに思い悩み、内田議長に相談をし、内田議長も思いとどまるよう説得したという、こうした経過がつぶさに実はわかるわけであります。内田議長の証言と、そしてこの陳述書の内容はぴたりと符合するのであります。
 濱渦副知事と民主党の一部議員との間に事前調整のやりとりがあったことは明らかであり、三月二十九日の濱渦証言は紛れもなく偽証であったと断定できます。議会としては、これに対して厳正に対処すべきであると考えます。さらに詳細なやりとりは、司直の手によって明らかにされることと思っております。
 さらに、中村委員が質疑の中で独自に入手したと発言し、本委員会の記録請求で、練馬区が文書の開示を行っていないとされた臨床福祉専門学校の設置認可申請書も、中村委員は濱渦副知事から手に入れたという事実も明らかになったわけであります。
 さらに、何よりも衝撃的なことは、濱渦副知事が、いわゆるけが人の名前を富田議員に伝えていたということです。このことは、今回の問題を疑惑の対象として取り上げた動機に関連することなので、後ほど触れたいと思います。
 次に、何の違法性もない本問題を疑惑の対象として取り上げ、疑惑を捏造しようとしたのかという動機について、本委員会の尋問調査の中でも明らかになったことを申し上げます。
 私も、そして他会派の本委員におきましてもこの尋問があったわけでありますけれども、文京区の小日向の社会福祉保健医療研修センターの土地売却であります。
 十六年九月に開かれた都有財産利活用推進会議に研修施設の見直しが掲げられており、包括外部監査と並行して、尋問の中で、本研修センターと社会福祉総合学院の統合を財産運用部が福祉保健局に働きかけをしていたことが明らかになりました。しかし、財産運用部は、他の局の研修施設に対してはほとんど働きかけを行っておりません。こうしたことから、今回の社会福祉保健医療研修センターと社会福祉総合学院の問題は明らかに別個のものであり、特別の扱いであり、動機の一つであったと推察をされるのであります。
 続いて、本委員会の調査の中で明らかになった二つ目の動機であります。それは、先ほど申し上げた陳述書で明らかとなった特定政治家の追い落としであります。
 五月十二日に本委員会で明らかにされた陳述書では、石原知事が定例記者会見で述べたけが人として、二名の政治家の名前を濱渦副知事が富田議員に挙げたとされています。一人は、千代田区選出で都議会議長の内田氏、もう一人は、同じ千代田区の区長である石川氏であります。そして、最初に副知事が用意していた予定答弁には、けが人の名前が入っていたという信じがたい事実が明らかにもなりました。
 あくまで富田議員が発言した内容を陳述書として整理したものでありますが、自己の政治力を強めるため、濱渦副知事がけが人の名前を挙げたとすれば、都議会議長、そして対等の立場である地方公共団体の首長を追い落とすため疑惑を捏造したことになり、地方自治の根幹にかかわるこれは重大問題であります。
 次に、本委員会では、疑惑捏造に向けての数々の仕掛けも明らかになりました。本委員会の調査の中で、私、そして我が党の東村理事も再三尋問した弁護士意見であります。
 本委員会の中では、三種類の弁護士意見の存在が確認されました。まず一つは一月三十一日付弁護士意見、そして第二は二月二日付弁護士意見、最後に、委員会の記録請求に応じてようやく出てきた資料93の弁護士口頭相談記録であります。
 このうち、一月三十一日と二月二日の弁護士意見は、いずれの証人もその存在を否定しています。しかし、本委員会の調査の中で明らかになったように、濱渦副知事が総務局長、財務局長、福祉保健局長の三人の局長を呼び、学院の問題を調査指示した内容、これは資料59でありますけれども、これは二月二日付の弁護士意見の内容に符合しております。
 また、私の尋問に対して、幸田福祉保健局長からは、副知事からの調査指示の際、濱渦副知事はクリアホルダーを持っていて、包括外部監査人、弁護士などからの資料があると発言したとの、弁護士意見の存在を裏づける証言もありました。
 さらに、資料93でようやく出てきた弁護士の相談記録は、あくまで口頭相談の内容を紙に起こしたものであります。記録請求しても口頭相談記録しか出てこない、弁護士と相談したことを一切メモにしていないなど、一般社会では到底考えられない、明らかに不自然な実態が証言されました。さらに、財務局長にも口頭で報告したという不自然な証言もありました。弁護士意見の存在を隠ぺいしようとした事実からも、逆に弁護士意見が存在したことは間違いがないものと推測をされるのであります。
 このほかにも、疑惑の捏造の構図が次々と明らかになりました。
 資料30の包括外部監査人からの監査報告書概要版の補足説明資料、濱渦副知事が補助金が正当でないかもしれないと判断した重要な資料ですが、担当の総務局長も知らない中で、副知事が包括外部監査人と話をしたことが明らかになりました。担当の総務局長も、本委員会に提出される段になって初めてこの資料の存在を知ったという異常な事態で、秘密裏に事を進めた実態が明らかになりました。
 また、二月二十五日の記者会見の前日、石原知事に社会福祉総合学院の問題を説明したのは濱渦副知事と櫻井出納長であり、知事のけが人発言を誘導した事実も明らかになりました。
 また、本委員会の調査を通じて、今の都政運営のあり方の問題も明らかになったのであります。
 先ほどの監査報告書概要版の補足説明資料も、担当の局長を無視された実態が明らかになりましたが、それに加えて、我が党の東村理事が尋問を行った、三月十四日の予算特別委員会の中村委員の質疑について、副知事は質問を入手していたものを、総務局長が知らなかったという異常な事態も明らかになりました。
 東村理事の尋問に対して、赤星総務局長は、質問は知らない、アンサーとかクエスチョンとかではなく、監理団体改革の実績を届けたという証言をしました。しかし、資料132番、133番によれば、副知事が入手した質問に基づいて、答弁骨子という形で用意するよう指示され、想定という形で総務局が答弁案を用意したという事実も明らかになったのであります。
 そして、三月十四日の予算特別委員会では、副知事主導で秘密裏に事を進め、質問の項目と答弁者が箇条書きにされた一覧表に項目すら存在しないあの爆弾質問になったわけであります。
 指示された職員もやむにやまれずという側面があったのではないでしょうか。この答弁の問題にしても、補足説明資料の問題にしても、氷山の一角であります。今問題とすべきことは、特定の副知事が庁内で異常な力を持ち、都政運営に著しい支障を来している、そういう実態であります。本来、一致団結して知恵を出し合い、汗をかき、都民のために尽くすべき都庁の力が十分に力を発揮できない。ある一部の特定の個人や勢力によって牛耳られ、秘密裏に事が進められ、疑惑を捏造するという都政の大きな問題点が明らかになったのであります。
 さらに、この問題で、都庁、事業団だけでなく、民間学校法人の名誉までも傷つけ、そこに通う都民を不安に陥れた、この責任は極めて重いといわざるを得ません。このことを強く申し上げておきます。
 さらに、私は、あえて申し上げたいのは、本百条委員会における民主党の対応についてであります。
 例えば、最後まで証人喚問に応じることなく、真実の解明に協力してこなかった民主党の富田政調会長を初め、真相究明に向けた委員会の活動に対する非協力的な態度、事実を隠ぺいしようとした態度に対しては、本委員会は厳正に対処すべきものと、このように考えるものであります。
 さらにまた、木を見て森を見ないかのごとき瑣末なテーマに固執した議論の展開には、多くの関係者の批判が寄せられたことも指摘をしておきたいと思います。
 また、この民主党委員による、十分な調査を怠った結果の事実に基づかない発言が行われたり、あるいはまた、この百条委員会を人民裁判的委員会呼ばわりするなど、都民に信頼される都政改革を目指し、問題の真相を究明しようとする本委員会の真摯な努力を冒涜するものも大変に目立った、本委員会のこれまでの実は経過なのであります。
 このことに対しても、本委員会はやはり厳正に対処すべきことを私は訴えるものであります。こうした民主党の無責任な姿勢は、必ずや幅広い都民からの厳しい糾弾を受けることになると断ぜざるを得ません。
 いずれにしても、さきの委員会で委員長も発言しておりましたが、都政運営の正常化こそ今急務であります。一刻も早く本委員会の結論を出すとともに、また関係した特別職におかれては、速やかに出処進退を明らかにすべきことをこの際申し上げまして、我が党の意見表明を終わります。

○山崎委員長 柿沢委員。

○柿沢委員 都議会民主党を代表して、意見の開陳をさせていただきます。
 この百条委員会、都政史上前代未聞の異常な委員会、進められてきたと思います。百条委員会は、行政の不正や汚職の真相の解明を目的として設置されるものです。かつては、川崎市議会の百条委員会の調査を通じてあのリクルート疑惑が明るみに出て、政界全体を巻き込む大きな事件に発展したというような過去の歴史もございます。
 今回の委員会、社会福祉総合学院の運営に関する調査特別委員会もそのような形で、つまりは、社会福祉総合学院の運営に関して、過去に不正はなかったか、現在、法令、規則、契約に照らして不適当な点はないか、将来にわたって問題は生じないか、また問題が生じるとすればその責任はだれにあるのか、そうしたことを調査し追及する目的で設置されてきたというふうに考えておりました。
 私たち都議会民主党としても、そのような考えのもと、百条委員会の設置に賛成をして、必要な調査、尋問を行ってきたところであります。
 これまでの私たちの調査や尋問の中では、社会福祉総合学院の建物が、事実上、民間学校法人の専門学校の校舎として使われている現状が、都と事業団との間で交わされた土地無償貸付契約書の条項に違反している疑いが強いこと、さらに、これは民法上の債務不履行を構成する可能性があること、臨床福祉専門学校の設立が認可された経過などを踏まえると、敬心学園と事業団との間の定期建物賃貸借契約は有効に成立しておらず、敬心学園に一般的な旧借家権が発生している可能性があること、その場合、建物現在価値の四割に当たる八億円もの立ち退き料を敬心学園に支払う可能性が生じること、社会福祉総合学院の三浦文夫学院長が、学院の施設の貸し出し及び学院事業の委託事業者を決定するプロポーザルの公募が行われている最中まで敬心学園の理事を兼ねており、借受事業者が敬心学園に決まる少し前の平成十三年十一月二十二日に敬心学園の理事を辞任していることなどの重要な事実が次々と明らかになっております。
 こうしたことについて一つ一つ事実の解明を果たしていくのが、当委員会の設置目的にかなうことだと私たちは考えてきました。
 ところが、この間の委員会の運営は、そうした百条委員会の本筋の議論をすっかり脇に置いて、三月十四日の予算特別委員会で答弁に立った濱渦副知事の責任を追及することに専ら終始してきたのであります。まさに、濱渦副知事を追及し、糾弾するための百条委員会だったといっても過言ではないほどでございます。
 いみじくも、前回の委員会で、当委員会の山崎委員長みずからが、この委員会の名称は、本来、社会福祉法人東京都社会福祉事業団による東京都社会福祉総合学院の運営等に関する調査特別委員会の前に、予算特別委員会における民主党中村委員の質問に対して濱渦副知事の答弁により問題提起された社会福祉総合学院のというふうにすべきであったというような発言をされましたけれども、まさに今申し上げたような百条委員会の設置の裏の意図が読み取れるものといえると思います。
 そうした政治的な意図のもとでありましょうか、前回五月十二日の委員会では、濱渦副知事の三月二十九日の証人尋問における証言内容が虚偽のものであるという認定を早々と議決したわけでございます。
 しかしながら、濱渦副知事は、本委員会に陳述書を提出した都職員の陳述内容などに事実と異なる部分があるとして、再度の弁明の機会を求めているところであります。
 さらに、石原知事も、五月十三日の記者会見で、事の発端となった予算特別委員会の質問が、濱渦副知事による持ち込み質問ではなく、むしろ知事自身がこの問題を重大視し、ぜひ議会にも関心を持ってもらいたいと、我が会派の名取幹事長にその意向を伝えたことが事の始まりとなっていることを、知事みずからが進んで明らかにしております。
 こうしたことを考えれば、自民党などが追及する濱渦副知事のいわゆるやらせ質問云々の点について、現時点ですべての事実や経過が明らかになった状況とはいえないというふうに考えております。
 さらに、私たちが議論の本筋だと考えている学院の施設に関する公有財産や契約の関係については、当委員会の証人尋問で私たちが指摘したさまざまな疑問点について、現時点で財務局は不透明な点があるとして調査中であり、まだその結論が出ていない状況です。
 石原知事が設置を指示した調査改善委員会は、先週金曜日の知事会見によると、ほぼ結論を出したといわれており、会見の発言内容から推測しますと、学院建物の原状回復、もとの状態への回復を強く示唆する内容となっておりますけれども、いまだその結論が公表されているという段階ではありません。
 さらに、過日の産経新聞の記事によると、社会福祉総合学院の三浦文夫学院長は、敬心学園の理事を兼職していた平成十三年九月の段階で、学院の施設貸し出し及び事業委託のプロポーザルが行われることを九月の段階で小林理事長に伝えていたと語っており、このことについては、十月二十八日付の朝日新聞の報道で初めて知ったという小林理事長の本委員会での証言内容と明らかに食い違っているなど、証言の真偽を疑わせるような事実が新たに明らかになっております。
 要するに、当委員会で調査すべき事項については、今もって何一つ事実が解明されたとはいえない状況です。
 私たちは、そもそもこの今回の社会福祉総合学院をめぐる問題を最初に指摘をした包括外部監査人、そして法律上の意見等を財務局にアドバイスしたとされる財務局顧問弁護士をこの委員会にお呼びをして、専門家の立場から詳しく見解を伺うべきだ、それがこの委員会の初めの一歩であるというふうに主張をしてきました。しかし、いずれも委員会の多数派によってこの実現を阻まれてまいりました。
 包括外部監査の内容が問題になっていながら、当の包括外部監査人から一度も話を聞こうとしないというのは、私たちから見れば甚だ不可解であり、問題の本質を覆い隠そうとする政治的な意図を勘ぐらざるを得ません。
 今、濱渦副知事の偽証を認定することで、あたかも本委員会の調査目的を達したかのような議論が行われていることは、本委員会の調査項目に照らして全く見当違いであり、事の本質から目をそらせるものだと指摘をせざるを得ません。
 私たちは、本委員会を濱渦副知事糾弾のための委員会だとは思っていませんし、もしそのような意図でこの委員会が設置されたのだとしたら、そのような政治的思惑に満ち満ちた委員会にこれ以上つき合うことはできないと考えております。
 私たち都議会民主党は、大事なことはまだ何一つ明らかになっていないという認識のもと、今後も、包括外部監査人からの聴取を初め、必要な調査を行っていくことをこの委員会に対して求めてまいります。
 そして、都民の皆さんに対して、どちらが本委員会に臨む上で真っ当な姿勢であるかをあらゆる機会を通じて問い、厳正なる審判を求めてまいりたいと考えております。
 以上で終わります。

○山崎委員長 曽根委員。

○曽根委員 本委員会に付託された社会福祉総合学院の運営に関する調査事項について、日本共産党都議団の意見を述べます。
 第一に、本委員会設置の契機となった三月十四日の予算特別委員会での濱渦副知事による、社会福祉総合学院に関する、補助金が正当ではないかもしれないという疑念を発しられました、財産が正当な形で、不法でない形で処理がされないといけないなどの発言と、その根拠とされた包括外部監査報告をめぐる問題についてです。
 まず、社会福祉総合学院について、副知事が、不法でない形で処理されないといけないと発言したように、現状での不法性が存在するのかどうかという点です。
 社会福祉総合学院は、リカレント教育の拠点として、社会福祉事業団が石神井学園の敷地の一部を無償貸与されて建物を新築し、二〇〇一年に事業団の自主事業としてスタートしましたが、当初の計画より大幅に縮小され、土曜を除き夜間のみの授業で始まりました。そして、初年度のうちに学院事業の民間委託と昼間の空き教室の貸し付けが検討され、翌年度には、公募によって敬心学園への学院の委託と、敬心が独自に設立した専門学校への定期賃貸借による貸し付けが行われるという特異な経過をたどっています。
 この間に、学院運営の効率化の検討や委託先の公募と審査、本来なら校地や校舎を自前で持つべき専門学校設立の原則と異なり事業団の建物を借り受けることや、長期安定的な運営が保証されるよう求められる点でも、五年の定期賃貸借契約という矛盾を抱えていたため、事業団による長期安定的な運営への配慮を行う一方で、学校法人からは五年の契約期限についての念書を添えて、私学審議会では特例中の特例と説明し了承を得るなど、無理に無理を重ねての委託と貸し付けにこぎつけたことがうかがえます。
 また、入学生が毎年減り続けている同学院の現状を見ても、都民の目線から見て、都民財産として適切な活用のあり方とはいえないことは明らかです。
 しかし、濱渦副知事が、学院のあり方について、不法という表現や正当性に疑念が発しられたといういい方で指摘したような問題点が具体的に存在するのかといえば、不法と断定できる根拠は存在しないといわざるを得ません。都の予算執行の最高責任者の一人である副知事が、百条委員会での証人喚問を受け発言を修正したとはいえ、明確な根拠もなくあたかも不法であるかのような認識を示したことは重大であり、その責任が厳しく問われなければなりません。
 社会福祉総合学院の民間専門学校への貸付契約が問題とされた背景には、二〇〇三年以来、財務局が、小日向の社会福祉保健医療研修センターを社会福祉総合学院に移転、統合し、跡地を売却する構想を掲げ、ことしの初めごろまで一貫してその具体化を図ってきたこと、また、統合するためには当然同学院の専門学校への貸し付けが最大の障害であり、統合推進の立場からは、早期に契約を解消して専門学校に建物を明け渡させる必要があったことが、我が党の追及で浮き彫りになりました。
 小日向の研修センターの見直しは、二〇〇三年七月の第二次財政再建推進プランで研修施設の見直しの一つとして例示され、同年十一月策定の第二次都有財産利活用総合計画でも研修専門施設の利活用として位置づけられました。
 さらに、二〇〇四年九月二十四日に開かれた都有財産利活用推進会議の幹事会でも研修施設の利活用が強調され、その直前の九月十六日には、財務局財産運用部長が同研修センター統合の打診のため福祉保健局の総務部長を訪ねており、十月初旬には課長レベルで統合のチャート図まで提示しています。担当部長が局を超えて相手を訪ねたり、さらにチャート図まで提示しているのは、各局研修施設の中で小日向の研修センターだけであり、同研修センターの位置づけが重要だったことは関係者も認めています。
 しかも、昨年の都有財産利活用推進会議の委員長は濱渦氏であり、第二次財政プランや第二次財産利活用総合計画策定当時の財務局長だった櫻井氏が推進会議副委員長で、幹事長は松澤財務局長であります。
 彼らが、推進会議の中心課題の一つであった小日向の研修センター統合計画の対象地である練馬の学院の状況として、建物が敬心学園に定期賃貸借契約で貸し出されており、これを解消しなければ研修センターの移転、統合はできないことを熟知していたことは当然のはずです。したがって、財務局副参事が一月十三日に生活文化局に出向いて、専門学校設立当時の資料を借り出していた事実などを見ても、一月末の外部監査の事前報告より以前から、契約上の問題点を探っていた可能性が大きいといわなければなりません。
 本委員会での証言や資料提出をめぐって、濱渦副知事を初め都庁幹部職員による偽証の疑いや証拠記録の提出の拒否、事実を隠ぺいするなどの重大な問題が起こりました。
 五月十二日に行われた内田議長の証言や都職員の陳述書によって、濱渦副知事が、この問題を都議会の質問で取り上げるよう繰り返し民主党の名取議員や富田議員に働きかけていたことが、ほぼ全面的に明らかとなりました。
 この点で、三月二十九日、本委員会における濱渦副知事の証言の中で、委員長の、あなたから民主党の議員に働きかけをしたということはないということですかとの問いに「私は、質問していただくようにお願いしたことはございません。」と証言した内容は、濱渦副知事の偽証であることは疑いようがなく、我が党はその認定に賛成しました。
 さらに、櫻井出納長も、濱渦氏とともに同学院のあり方を問題にするという点で深く関与してきたことも、本委員会の調査の中で明らかになりました。
 我が党が公用車の運行記録から明らかにした本年二月二十四日の知事訪問の際、学院問題を詳しく報告し、そこでの情報が、翌日、記者会見での知事のけが人が出るかもしらんねとの発言につながったことは確実です。
 この二月二十四日に櫻井氏は、公用車で帰宅する前に外一名とされる人物を杉並に送り届けていますが、二月二十四日の知事訪問後は濱渦氏とは別行動だと証言しており、同乗者に関する本委員会の証拠記録の提出要求に対し、同乗者について記憶がないと回答していることは極めて重大です。櫻井氏は、この公用車の運行記録にある外一名について氏名を明らかにすべきであり、それをしなければ、偽証または証拠隠ぺいの疑いが強いといわざるを得ません。
 また、財務局が、学院貸し付けのあり方が都と事業団との契約に違反しており、住民監査請求が行われれば責任が問われるなどとする見解と、貸し付け当時の対応も含めて責任をすべて当時の福祉局長に転嫁し、財務局がその責任を免れるよう擁護する方策を特定の弁護士に依頼して弁護士意見なる文書を作成し、以後は、福祉保健局とはこの問題を公文書でやりとりするなど、弁護士意見どおりに行動していた事実も我が党の調査に基づいて明らかになりました。
 弁護士意見書の存在を指摘されて、委員会に証拠記録として提出を求められながら、それに応じず、財務局長の証言でも、承知しておりませんとその存在を隠し通している姿勢は、真相究明にふたをするとともに、議会と本委員会に対する重大な冒涜といわねばなりません。
 また、財務局の顧問弁護士の口頭意見なる文書が資料として提出されましたが、これは、我が党が示した一月三十一日及び二月二日時点として文書化された弁護士意見とは異なるものです。
 しかも、財務局と財務局の顧問弁護士とする緒方孝則弁護士との契約は、資料として提出された発令通知書によれば、その職務内容は、江東区枝川一丁目地区適正化事業実施にかかわる法律相談に関することだけで、それ以外の今回の社会福祉総合学院の相談は契約されていません。契約外のことを相談すること自体認められていないばかりか、まだ公式な発表前であった包括外部監査報告という内部情報を、この問題では外部の立場の人物に漏らしていたことになります。これは公務員の守秘義務にかかわる重大問題であることを指摘しておくものです。
 また、我が党は、包括外部監査報告について、かねてからそのあり方について問題点を指摘してきたところですが、今回の問題は、改めて、包括外部監査が行政によって恣意的に利用される危険のあることを明確にしました。中でも、議会報告の一カ月以上前に、事前に報告されるだけでなく、知事側の意見によって報告内容の書きかえも行われるなどは、本来の外部監査の趣旨に反しているだけでなく、議会と知事の対等の関係にももとるやり方がとられていたことを浮き彫りにするものです。包括外部監査について、抜本的に見直されるべきものであることを申し述べておきます。
 知事によって調査改善委員会が設置されましたが、この委員会において、本委員会での証人尋問にも影響を及ぼしかねない答弁調整が行われた可能性が否定できないことも指摘されねばなりません。
 ここで、民主党の対応について一言申し述べておきます。
 我が党は、事態の解明を進めていく上で、濱渦副知事から質問の依頼を受けたとされる民主党の議員が、みずから事の経過の真実を明らかにすることが重要であると考えます。我が党は、理事会において、濱渦氏から民主党に質問の依頼があったとする内田氏の証言と都職員の陳述書の内容が事実と異なり、濱渦氏の証言が偽証でないというのであれば、名取議員、富田議員が明確な反証を提出すべきであると主張しました。実際に、理事会を休憩して、そのための猶予も与えられました。にもかかわらず、民主党は、内田議員への尋問をも要求せず、理事会でもその後の委員会でも明確な反証を提出しませんでした。
 第二の問題は、社会福祉総合学院の開設と、その後の唐突な民間法人への委託、貸し付けをめぐる問題です。
 もともと社会福祉総合学院は、都内四カ所での都立高等保育専門学院と社会事業学院を廃止し、それらを発展的に継承して、福祉、介護の現場で働く福祉実務者のリカレント教育を行い、実践的で専門性を備えた人材を養成し、福祉事業の質を向上させるという目的で設立されたものです。本来、都として、昼間も含めて現場から優秀な人材の再養成に出てこられるよう保障することも含めた、本腰を入れた取り組みをすべき事業だったはずです。
 それが、石原知事が就任し、九九年七月の財政再建推進プランを出した直後に急転換し、土曜を除き夜間のみに縮小されてしまいました。その後さらに介護保険などが導入され、石原知事の東京構想二〇〇〇などに示されたように、民間の市場サービスに福祉がゆだねられていく中で、人材育成まで事業者責任でという都の方針の大後退が進み、空き教室が非効率だとして、学院の開設からわずか半年後に専門学校に施設のほとんどを貸し付け、その賃貸料で施設の維持費を捻出して、学院の運営に対する都の補助金を廃止するという道をたどりました。
 その結果は明瞭です。毎年学院の入学生は減少し、現在では定員の半数に満たない状況です。学院の建物の九割は専門学校によって利用され、事実上、民間の専門学校に都有地を無償で提供し、税金で建物を建ててやったのと同じことになっているのが現状です。
 現場の福祉実務者の再教育による事業全体のレベルアップという大きな目標とそれに対する都の責任は、事実上投げ捨てられつつあるといわなければなりません。二〇〇三年二月の厚生委員会で我が党の大山とも子議員が指摘したように、改めて、都の本来の責務として、リカレント教育の拠点として同学院の本格的な事業の拡充に取り組むべきであることを強く申し述べておきます。
 最後に、今回の社会福祉総合学院の問題を通じて指摘されなければならないのは、濱渦副知事の発言を初めとする一連の言動が、事実上知事の承認のもとに行われたことです。
 知事は、一月二十八日の包括外部監査の事前報告の際に同学院問題の調査を指示し、また、二月二十五日の記者会見でけが人が出るかもしれないと発言しました。また、民主党とのかかわりについても、知事は五月十三日の記者会見で、名取幹事長とある席で会ったときに(中略)民主党もこの問題について考えてほしいということをいいましたといい、濱渦副知事が民主党に質問を依頼したとされている問題で、みずからの関与を認める発言を行ったことは重大です。
 知事が名取氏と話した後、詳しくは濱渦副知事が呼ばれて説明したとされていますが、知事自身が質問を依頼するような発言がなかったのか、濱渦氏の説明について知事がどこまで把握していたのかなど、事実を明らかにする上で、石原知事自身の証人喚問は、以前から我が党が求めていたとおり、ぜひ行うべきだということを申し上げたいと思います。
 そして、社会福祉総合学院の運営に関していえば、知事が、福祉はぜいたくだ、民でできるものは民でなどといい、福祉予算を削減し、福祉の民営化を推し進める都政運営のあり方そのものがもたらしたものであること、何より、福祉人材の養成は都が直接責任を持って実施すべきものであることを指摘しておくものです。
 以上で意見表明を終わります。

○山崎委員長 藤田委員。

○藤田委員 社会福祉総合学院の運営について、一点目は、都が社会福祉事業団に支出している補助金について、濱渦副知事が、不法や不法でない形に戻す必要があるのかないのかということが問われました。
 これは、三月の二十五日の予算特別委員会で、大塚副知事が違法性はない旨、明確な答弁があって、濱渦副知事ですら、三月二十九日の証人喚問で違法性はなしというふうに証言をいたしております。
 そして二点目は、社会福祉事業団と民間学校法人が締結した定期建物賃貸借契約の有効性についてでありますけれども、社会福祉事業団と民間学校法人の間で交わした公正証書及び合意確認書の存在が明らかになり、定期賃貸借契約として有効であることを認めており、転貸しに当たるとは思えません。
 転貸しという問題については、先ほどもありましたが、知事公館の例があります。知事公館をイタリアンレストランに貸し、さらにそれを結婚式場に貸すなど、そういうような状況があるのをまさに転貸しというわけでありまして、今回の問題は、民民で契約をし、民間、事業団と学校法人の間で交わしたものであり、何ら問題はありません。
 なお、このことに関連して、民間学校法人の設置認可についても、生活文化局長の証言により、問題がないことが明らかになっています。
 そして、三点目は、都と社会福祉事業団が締結した土地及び立木の無償貸付契約についてでありますけれども、民間学校法人への建物一括貸し付け及び学院の福祉人材養成事業の委託に伴って、公有財産管理運用委員会への付議、再付議などの手続について、福祉局では、財務局との協議を踏まえて対応したといい、財務局は福祉局との協議の事実を認めない、認めておりませんけれども、実際にはこの公有財産管理運用委員会は単なる内部組織であり、公有財産委員会に付議するしないは、執行機関内部の手続の問題であって、今回の問題のように、不法である、あるいは不法でないということは、みずからの責任を回避したものというふうにいわざるを得ません。学院の運営にかかわる本質的な問題ではないというふうに思っております。
 これが問題になるのであれば、資料144にあるように、株式会社フォーラムやビッグサイトのように、株式会社が業務委託をして、そして上がりの何%かを収入としているが、これは本来都のものとして徴収する必要があるというふうにいわざるを得ませんし、これを全く何もしていないということは、このことが本題ではない、これは行政の施策上問題はないというふうにしているわけでありますので、目的外使用ということも出されておりますけれども、そして、これは財務局が不透明として、資料146にあるように、今後さらに内容を精査していく必要があるとしております。しかし、二月二日以降、いつになっても結論が出されない。これは結論を出す必要がないというふうにも一方では考えられる問題であります。
 さらに、濱渦副知事の偽証の問題でありますけれども、五月十二日、内田議長からの証言及び都幹部の陳述書が提出をされております。議長の証言と陳述書により、三月二十九日、当委員会における民主党との事前調整はないとの濱渦副知事証言は偽証であると判断をいたします。当委員会として偽証、議長証言及びこの陳述書の信憑性を認め、濱渦副知事の偽証を確認いたしております。偽証を確認した当委員会としては、今後、濱渦副知事の行為に対して厳正に対処すべきだというふうに申し上げておきます。
 二つ目は、櫻井出納長の責任であります。
 二月の二十五日の知事記者会見で、知事は、民間学校法人による専門学校の設置について、念書や特例中の特例など大きな問題があると発言をいたしました。しかし、その後、当委員会の調査では、この問題については明らかな違法性があるわけではないということが明白になっています。
 また、記者会見の前日、学院の運営に関して知事に説明を行ったことを櫻井出納長みずからが証言をいたしております。ひとりのみで調査をしたとしていますけれども、これは初めからストーリーがあり、新たなものを調査できなかったことを証明しているようなものであるといわざるを得ません。
 そして、公用車で一人プラスして自宅へ帰ったというふうにされていますが、本来、濱渦副知事であれば十分これは公開をされるべきでありますけれども、そうではないということは、明らかに問題のある人が乗っていたというふうにいわざるを得ません。
 出納長が知事に説明した資料は当委員会にも提出されておりますけれども、この資料を普通に説明しただけでは、知事の発言にはつながりません。櫻井出納長が事実を歪曲した説明を知事に行い、知事の判断を誤らせたことも明白であろうというふうに思いますし、あるいは、このことも含めて知事もわかっていたということも先般の記者会見の中でもいわれており、このことはさらに追及をすべきだというふうに思っております。
 これまでの調査で、濱渦副知事、櫻井出納長が中心になって、学院の運営を対象として疑惑を捏造してきたことは明らかだと思います。しかし、なぜ疑惑があると思わせようとしたのか、根本解明が、根本的な解明がなされていません。
 また、二月二十五日の知事発言、けが人が出るといった根拠となる資料請求を拒んでおります。これは明らかに自治法違反、百条調査権の資料提出に反するものであります。
 また、五月十三日の知事発言でも相変わらずいっているのが、もとに戻さなければいけないという言葉です。法律違反がないならば、副知事は少なくとも違法性はなしといっているのですから、なぜ原状復帰、もとに戻さなければいけないのか。知事の頭は副知事、出納長からの説明以外は何も受け入れておらず、全く撤回しない態度については不可思議といわざるを得ません。
 また、財務局と福祉保健局の見解の相違の決着がついていません。知事は、四月一日につくった改善委員会でほぼ決着がついたと発言いたしておりますけれども、百条委員会終了前に中間報告ないし決着の報告を提出させ、二定前に福永副知事にこの百条委員会での説明をさせるべきだというふうに思っております。
 さらに、弁護士意見なるものが重要な位置を占めているようでありますけれども、だれの依頼で作成されたのか、一月二十八日、三十一日、二月二日に財産運用部が作成しておるという文書も出てまいりましたけれども、二月二日には副知事が、濱渦副知事がこの時点でその席にいたから、既に、弁護士もいろいろいっているという発言があったとされております。
 これについては、ある意味では、幹部の方々の証言の中でも、もっとしっかりと発言をされるべき問題であったというふうに私は思っています。この弁護士意見も不存在とされておりますけれども、これも資料提出拒否で、自治法違反でございます。
 さて、私は、今回の問題は、都幹部の陳述にあるように、何か変だなあと思わせればよく、外部監査報告と人事に絡めて、文京区の土地の問題も含めて、都民に動揺を与えようとしたものだというふうに考えるのが妥当だと思います。
 十五年三月ごろから、当時の櫻井病院経営本部長が濱副知事と社会福祉総合学院に行き、その後、財産利活用推進会議が持たれるなど、文京区の土地問題が問題になったのでしょう。また、人事の問題もあったのでしょうが、これは、知事とともに強権を発揮してきたことはこれまで行われてきたことであり、何ら新しいことではありません。
 実は、外部監査の中にある水道問題、水道の外郭団体の監査を、私は、目くらますために濱渦副知事が仕掛けた問題なのではないかという疑いさえ持っております。外郭団体改革と称して、そこには利権や使用費用を肩がわりさせるという巧妙なからくりが、今までにもうわさとして聞こえてまいりますが、これについての疑いをぬぐい去ることができません。
 疑惑の捏造により都政を混乱させ、さらには民間学校法人へ風評被害を生じさせた責任、偽証により真実の究明を阻害した責任、こうした責任に対し、当委員会としても、濱渦副知事の告発も視野に入れ、厳正に対処をすべきでありますことを最後に申し上げたいと思います。
 以上です。

○山崎委員長 それでは、ただいま各会派から意見が出されましたが、これに対してご意見ほかにあれば、伺います。

○高島委員 ただいま各党の意見表明が出されました。
 今、民主党の柿沢委員から意見表明があったわけでございます。その中で、私はちょっと耳を疑ったわけでございますが、この百条特別委員会に対して、濱渦追及の委員会という発言があったのは、各委員の皆様方もお聞きのとおりだと思っております。
 私ども自民党を初め公明党、そして共産党、ネットさん、この四党については、先ほどから意見表明がありましたように、この百条委員会で四十時間以上の、各委員が十二人の証人尋問をしながら、この追及を努力をしてまいりました。そして、その中からまず第一点は、学校の空き教室を使って開校している臨床福祉専門学校の設立の手続について、これも明白になったと四党は意見表明をしているわけでございます。
 あわせて財産管理面、すなわち、土地無償貸付契約及び公有財産規則の違反はなかった。さらには、五年間の定期建物賃貸借契約が、これはきちっと有効になっていると。さらには、五年以上のことについても、公正証書をきちっと付議してやられている。そして最後に、補助金は適正であると。違法ではない、適正であると。そういうことがすべてもう正しいと論証されていると私どもは認識をして、きょう意見表明をさせていただいたわけでございます。
 ましてもや、発言をなさった濱渦副知事、さらには大塚副知事においても、当百条委員会並びに予算特別委員会で違法、不正はなかったと、そういう発言をしているわけでございます。これは、当然、この百条委員会で長い時間、多くの証人の方にもご出席をいただきながら、きちっと追及をさせていただいたことであって、このことをあたかも濱渦追及の委員会だと、とんでもない発言だと私どもは認識をしております。
 あわせて、私ども粛々とこの委員会を進めてまいりました。そして多くの結論が出た中で、濱渦副知事の偽証についての採決を、裁定をし、さらにはきょう意見表明をしているわけでございます。あえて委員会の運営を混乱させるような、さらにはまた逆戻りをさせるようなそういう発言はぜひ慎んでいただきたい。このことは、私ども百条委員会の委員を含め、また委員会を含めて冒涜するようだと、大変遺憾な思いでございますので、あえてこの場で表明をさせていただきたいと思います。
 以上です。

○山崎委員長 ほかに。

○東村委員 先ほど民主党柿沢未途委員の発言の中で、先般の内田議長の証人尋問のときに、いわゆるあの陳述書は非公開であると委員長は冒頭申し述べられまして、それがゆえに、人物の特定ができないような配慮を委員長はされました。にもかかわらず、先ほど柿沢委員は、局名と、そして課名並びに課長名まで述べられました。これは既にもう人物が特定されたと、これは多くの人がわかる問題でございます。
 したがいまして、これは、柿沢未途委員については再三再四、多くの委員から指摘をされ、特定の個人を責めるような、個人を特定できるような発言は厳に慎むべきであると、このように委員長からも指摘がありまして、これは、私はまず委員長に問責決議をお願いしたいと思います。
 その上に、二点目です。先ほど敬心学園の元理事であります三浦文夫先生、三浦文夫先生は、都政にとってもかなり貢献をされてきたすばらしい先生でございます。この先生があたかもこの敬心学園の、この社会福祉事業団からの委託に何らかの関与があったような発言をされました。私は一番最初のときにも、これはおかしいんではないかと思っていましたが、現に三浦文夫先生は、十三年十一月二十二日、こういうことがあってはならないということで辞任、理事の辞任願を提出をされ、そして審査があったのは十三年の十二月二十日でございます、審査委員会があったのは。一カ月前に既に提出をされている。
 民法の六百四十三条、民法六百五十六条、これによりますと、学校法人と理事の法律関係は委任また準委任の関係にあるものと解されており、理事の辞任に当たっては、契約の一方当事者である理事から理事長あてに辞任願が提出された場合、準委任契約は終了するとあります。
 私立学校法では、理事の解任、辞任についての根拠規定はありません。また、法人の寄附行為九条では、理事の任期を定めるが、解任、辞任については規定はないので、民法六百五十一条が根拠となるわけであります。
 したがって、私は何ら、ああいった発言をされましたけれども、これはいいがかりであり、本当に何の罪もない人がいろんな意味でこういうところに名前を出されて、いろんな意味で、これは全庁、当然また都民にも知らされるわけでございまして、非常に遺憾の思いをされているんじゃないかと思いますし、これだけ都政に貢献をされた人をこういう場でこういう形で引用される、私は非常に見識を疑いたいわけでございます。
 したがいまして、冒頭述べました問責決議をぜひとも委員長にお願いしたいと思います。
 以上です。

○山崎委員長 問責決議……。ちょっと理事の皆さん集まってください。
 速記とめて。
   〔速記中止〕

○山崎委員長 速記再開してください。
 ただいま東村理事から問責決議のご提案がありましたが、この件については、終了後、理事会を開き、協議をいたします。
 ほかに意見ありますか。
   〔「なし」と呼ぶ者あり〕

○山崎委員長 ない。
 以上、これまでの証人尋問を踏まえ、各会派の考え方や問題点等について意見を述べていただきました。ご苦労さまでございます。

○山崎委員長 次に、証人、東京都議会議員富田俊正君につきましては、議長から、去る四月十九日、四月二十五日及び五月二日の委員会に証人として出頭するよう通知いたしましたが、いずれも出頭されませんでした。
 なお、本出頭拒否につきましては、正当な理由がないものと認める決定を同日の委員会において行っております。
 この際、東京都議会議員富田俊正君の出頭拒否に対する告発の取り扱いについて議題といたします。
 これより採決を行います。
 本件は、起立により採決いたします。
 本委員会は、東京都議会議員富田俊正君の出頭拒否について告発に該当するものと判断し、しかしながら、事の重大性にかんがみ、これを議長に報告して、本会議における議決を求めることに賛成の方はご起立願います。
   〔賛成者起立〕

○山崎委員長 起立多数と認めます。よって、そのよう決定いたしました。
 以上をもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後二時三十五分散会

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