公営企業委員会速記録第十一号

令和七年十月六日(月曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長おくもとゆり君
副委員長江崎さなえ君
副委員長たかく則男君
理事銀川ゆい子君
理事柴崎 幹男君
理事後藤 なみ君
滝田やすひこ君
細貝  悠君
大竹さよこ君
遠藤ちひろ君
福手ゆう子君
成清梨沙子君
増子 博樹君
小松 大祐君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長堀越弥栄子君
次長横山 正彦君
総務部長櫻庭 裕志君
水道局局長山口  真君
技監鈴木  理君
総務部長内田 知子君
給水部長藤川 和久君
多摩水道改革推進本部本部長長嶺 浩子君
下水道局局長藤橋 知一君
次長相田 佳子君
総務部長村西 紀章君
計画調整部長家壽田昌司君
施設管理部長井上  潔君
企画担当部長DX推進担当部長女性活躍推進担当部長兼務池野 大介君
施設管理担当部長須賀 隆行君

本日の会議に付した事件
水道局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十二号議案 東京都給水条例の一部を改正する条例
下水道局関係
付託議案の審査(質疑)
・第二百二十三号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例
付託議案の審査(決定)
・第二百二十二号議案 東京都給水条例の一部を改正する条例
・第二百二十三号議案 東京都下水道条例の一部を改正する条例
特定事件の継続調査について

○おくもと委員長 ただいまから公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、水道局及び下水道局関係の付託議案の審査並びに特定事件の閉会中の継続調査の申出の決定を行います。
 これより水道局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百二十二号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○成清委員 条例改正について伺います。
 昨年一月に発生した能登半島地震では、道路や上下水道施設を中心に甚大な被害が発生いたしました。特に、石川県輪島市などでは、長期間にわたり断水が続き、地元住民の方々は大変つらい思いをされました。マグニチュード七クラスの首都直下地震が今後三十年以内に七〇%程度の確率で発生するとされている都においても、決して対岸の火事ではありません。
 こうした中、災害時に住民自身が水道の修繕工事を依頼できる事業者を拡大するための条例改正が水道局から提出をされました。都が被災した際の応急復旧体制を万全にするために必要な取組であり、評価するものですが、条例の意義や適用要件などの詳細を確認してまいりたいと思います。
 まず、給水条例を改正するに至った経緯について伺います。

○藤川給水部長 昨年の能登半島地震では、水道施設に大きな被害が発生いたしました。当局は、主に輪島市の応急復旧等を支援し、道路上の水道管まで通水できるようになりましたが、その先の蛇口から水が出ない状況が多数発生しました。これは、給水管を修繕する工事事業者数五十者程度のうち、自らの被災などにより、実際に稼働していた事業者が数者であったことなどが原因と思われます。
 こうしたことを踏まえ、都が被災した場合の対応を検討したところ、事業者が不足する可能性が高いことから、他の水道事業体が指定した事業者から協力を受ける仕組みが必要と判断しました。そのため、条例改正について準備を進め、令和七年度に入り、国土交通省から各水道事業体宛てに条例改正等の検討を求める旨の依頼があったことも踏まえ、今回、改正案を提出することとなりました。

○成清委員 今、ご答弁にもありましたが、水道局の応急復旧支援により、道路上の水道管までは通水できたにもかかわらず、蛇口から水が出なければ、地元住民にとっては真の復旧とはいえません。給水管は住民の財産であり、自らが修繕しなければならないということは承知しておりますが、その修繕の考え方について、確認のために伺います。

○藤川給水部長 給水管はお客様の財産でありますが、配水管から水道メーターまでの修繕については、災害時における迅速かつ適切な復旧の観点から、水道局が実施しております。
 一方、水道メーターより下流側の修繕については、当局を介することなく、所有者であるお客様が自ら都の指定する工事事業者に直接依頼することとなっております。

○成清委員 東京都で震災が発生し、建物に近い給水管が破損した際には、都民が直接工事事業者に修繕を依頼する必要があるということですが、先ほどの答弁では、災害時はこうした工事事業者が不足する可能性が高いということでした。
 そこでまず、災害時に修繕を依頼できる工事事業者はどのくらいいると想定しているのか伺います。

○藤川給水部長 当局では、給水条例において、都の給水区域における給水装置工事の施行を、都が指定した工事事業者に限定しております。都が指定した事業者は約五千者おりますが、このうち平時の修繕に対応するとして、申請に基づき局ホームページへ掲載している事業者は六百者程度でございます。
 一方で、災害時には自らが被災し、対応が困難な事業者も発生することから、実際に修繕を依頼できる事業者は限定されるものと想定しております。

○成清委員 震災発生時の都の被害想定では、約三十万件の建物に被害が出るとされております。また、断水率は、区部では三四・一%になるとのデータもございます。これを考えると、かなり少ない事業者数であり、条例を改正し、速やかに修繕に対応できる工事事業者を増やさなければならないということが分かります。
 ところで、今回、水道局が提出しております条例改正案では、工事事業者を増やそうとする対象を修繕の工事としております。給水装置の工事種類については、幾つか条例にも記載がありますが、そもそも給水装置の工事にはどのような種類があり、どのような違いがあるのか伺います。

○藤川給水部長 給水装置の工事には、新設、改造、撤去及び修繕の四種類がございます。このうち、新設、改造及び撤去は、給水装置の品質が基準に適合しているかどうかや、その工事が水道局の配水管への影響がないことなどについて、当局の確認が必要となります。
 一方、修繕は、既に当局の確認を受けている給水装置を直すものであるため、改めての確認手続は不要としております。

○成清委員 給水装置の工事には四種類あるということですが、今回の改正では、なぜそのうち修繕に限定するのか伺います。

○藤川給水部長 新設、改造、撤去の工事は、確認手続が自治体ごとに異なっており、都の手続に精通していない工事事業者が行うと、災害等が発生した際の円滑な応急復旧に影響が生じます。
 一方、応急復旧における給水装置の工事の大部分は、こうした手続が不要な修繕であり、担い手を確保しつつ円滑な応急復旧を進めるために、修繕に限定すべきと判断いたしました。

○成清委員 災害時の円滑な復旧を担保しつつ、都民が口にする水道水を供給する給水装置の品質を確保するために、新設等の工事は、これまでどおり都の指定事業者が責任を持って実施するということを確認いたしました。
 一方、事業者が不足する災害時には、この改正条例を最大限に生かし、多くの事業者に修繕に当たっていただけるよう、周知などをしっかり行い、実効性が確保されるようお願いしたいと思います。
 これまでの質疑で、条例改正の詳細について確認をさせていただきました。答弁にもありましたように、災害が発生した場合には、都民のみならず工事事業者自身も被災者となり得ます。より多くの都民に一日も早く蛇口まで水道水を届けるためには、一者でも多く事業者を確保することが不可欠であり、自治体の枠を超えて広く助け合える体制が構築されることを期待して、質問を終わります。

○小松委員 今、成清委員の方から、条例改正の背景をはじめとして網羅的に質問をいただいたので、私の方から、一題、実効性の観点から質問させていただきたいというふうに思っています。
 さきの本会議で代表質問をさせていただいて、その際、配水管の耐震化について質問させていただきました。山口局長からも、新たに地域配水の骨格をなす重要な管路の耐震継ぎ手化を重点的に進めるといった答弁をいただいたところであります。断水のリスクを軽減する取組であって、着実に進めていただきたいと思います。
 一方で、能登半島の地震では、公道の配水管が復旧しても各家庭に水が届かないという深刻な事態が発生をしました。その原因は、家屋の配管、いわゆる宅内配管の修繕を個人で手配しようとしても、地元の水道工事事業者が被災、そもそも被災者でもあったということや、様々な工事需要が集中して人員が不足するといった状況があって、対応が後手になったというふうに聞いています。
 実際、東京都の要請で、都内の多くの水道事業者、派遣、被災地に行っていただいて、工事にも取り組んでいただきました。そういった事業者さんが帰ってくるたびにいうのが、せっかく工事しているんで、その先もやってあげたいんだけど、お役所から禁止されているから手伝うこともできなくてと。実際、私たちの家、水戻るんですかっていうふうにいわれても、ここまで水は確実に来ているけど、そこから先は工事できないから分からないです、ただ、そんだけ断層がずれちゃっていると難しいかもしれませんといって、直してあげたいけどできなかったと、そんなお話を聞いたところであります。地元の指定工事店しか工事ができないというこの制度の壁が、こうした復旧の妨げになっているんじゃないかというような切実な要望も受けたところであります。
 今回、この提案された条例改正というのは、都内の宅内配管の工事は都の水道局が指定した事業者が施行するという現行の仕組みについて、災害時に限って他の地域の工事事業者が従事できるようにするといったものであって、まさに現場の声をこの政策に反映された現実的な対応であるというふうに評価をしたいというふうに思っています。
 一方、肝腎なのは、改正したこの条例改正の効果が災害時に確実に発揮されて、現場で機能するように備えていくということであることはいうまでもありません。そのためには、今回と同様な取組が、他の自治体にも広く波及し、工事事業者にも浸透し、水道事業体間の連携、協力体制がより強固なものになるようにしていかなくてはならないというふうに思います。
 そこで、この条例が広く浸透して、災害時に実効性のあるものとなるよう、今後どのように連携を進めるのか伺います。

○藤川給水部長 現在、複数の水道事業体において、都と同様に条例改正に向けた動きがあることを確認しております。今年度に入り、国から他の水道事業体の指定工事事業者による工事を可能とする検討を求める通知が発出されており、条例改正等の動きがさらに他の事業体に普及していくものと考えております。
 水道局としては、全国でこうした動きが拡大していくことに合わせ、災害時における実効性の高い応援要請の運用体制について、他の事業体と連携しながら整理してまいります。
 工事事業者に対しては、水道工事関連団体や各種講習会等を通じて制度改正を周知するとともに、実際に発災した際には、他の地域の事業者を効果的に案内できるようにするなど、条例の実効性確保に努めてまいります。

○小松委員 水道の復旧作業の担い手、これは、主体は民間の工事事業者であります。この条例改正を通じて、災害時に幅広い工事事業者が確保できて、官民問わず水道の復旧工事が迅速に進むよう、全国最大の水道事業体である東京都水道局のリーダーシップを求めたいというふうに思っています。
 これ、いうまでもありませんが、その大前提となるのは、水道事業の健全性の堅持だというふうに思っておりますので、また事務事業質疑等で、水道会計、これは我が国の多くの自治体が悲鳴を上げている中で、本当にこれまで先輩方、先人の努力があって、現時点では非常に優れたものなんだろうというふうに思いますけれども、物価高騰とか、人材不足だとか様々課題がある中で、これから十年先、五十年先を見据えて、ともに水道経営の健全性に向けて、また事務事業で質疑させていただきたいと思います。よろしくお願いします。
 終わります。

○細貝委員 条例改正についてお聞きします。
 実際に災害が起きた際に、都民がどうやって、どのようにほかの水道事業体が指定した工事事業者へアプローチするのか伺います。

○藤川給水部長 当局では、修繕依頼に応じることが可能な応援事業者の情報を、都の指定工事事業者と同様に、水道局のホームページ等において効果的に周知することとしています。

○細貝委員 その際に、施行のやり方、材料に違いがある場合、現場での混乱を招くおそれがあると思いますが、見解を伺います。

○藤川給水部長 給水装置工事の施行方法や材料については法令で定められており、各水道事業体において、これらを遵守できる工事事業者を指定していることから、適切な施行が図られるものと考えております。

○細貝委員 ほかの水道事業体が指定した事業者が、災害時における復旧工事を迅速かつ円滑に施行できるようにするための取組を伺います。

○藤川給水部長 当局では、指定工事事業者に対し、新規指定時に加え、五年に一度の更新時に講習会を開催しており、この中で、平時、災害時を問わず、給水装置の修繕に対する協力を依頼しております。

○たかく委員 それでは、私からも、条例改正について一件お伺いいたします。
 能登半島地震に際しては、東京都水道局と共に都内の工事事業者が被災地に赴き、断水地域の調査や修繕など、応急復旧作業の最前線に従事されました。とりわけ被害が大きかった輪島市では、水道管の九割が復旧するまでの五か月間にわたり継続的な支援活動が行われました。
 都議会公明党でも、被災地の復旧が早期に進むよう、仮配管や避難所へのルートの復旧を優先するなどの提案を重ねて、東京都はこうした要請にも応える形で被災地支援に当たられてきたところでございます。
 今回の条例改正は、東京都や工事事業者が能登の支援を実際に行う形で明らかになった課題を踏まえ、災害時における他の地域の事業者との互助体制を強化するものであり、極めて意義が深く、評価に値するものだと考えます。
 一方、いざというときに、まず都内の水道施設の復旧に当たるのは、ほかならぬ都内の工事事業者であります。他の自治体からの応援に入った事業者による復旧の加速化も大事でありますが、同時に、地元に精通した事業者による確実な施行とそれを確保するための行政の後押しも必要と考えます。
 そこで質問ですが、ほかの地域の事業者から応援をいただいた場合に、迅速な復旧と質の確保の両面をしっかりと担保できる体制が求められますが、条例の運用についての考えを伺います。また、併せて、災害発生に備えた日頃からの訓練など、復旧を支える都内事業者の技術力の維持向上を支援するための取組についてもお伺いいたします。

○藤川給水部長 今回の条例改正により、災害時の修繕に限り、他の水道事業体が指定した工事事業者も工事の施行が可能となります。
 一方、新設、改造、撤去といった設計審査等が必要な部分については、給水装置の品質確保の観点から、引き続き都の指定事業者が施行します。
 都内の事業者の技術力については、都が主催する防災訓練に当局と共に水道工事関連団体も参加することにより、その向上に努めております。また、団体の応急復旧技術の維持向上を図ることを目的に団体自らが行う防災訓練に係る費用のうち、会場準備費等を当局が負担しています。さらに、今年度からは、訓練に使用する配水管などの材料費を新たに当局の負担対象に追加することとし、事業者の災害対応力の強化を支援してまいります。

○たかく委員 災害時に迅速に復旧するための応援体制は極めて有意義です。同時に、地域を熟知した事業者が存分に役割を果たしていくことも重要であり、条例による事業者の拡大が災害時に限ったものであること、また新設など重要な工事は地域の事業者が担うことを改めて確認しました。
 水道局には、条例の実効性確保と併せて、都内事業者の技術力向上を引き続き後押しをしていただくことを求めて、質問を終わります。

○江崎委員 参政党の江崎さなえです。よろしくお願いいたします。
 私も、給水条例の一部を改正する条例につきまして質問をさせていただきます。
 首都直下地震など災害が発生した際には、都民の命と生活、そして地域のなりわいを守るために、上下水道をはじめとする基幹インフラの迅速な復旧が必要不可欠です。給水設備の修繕体制は、公衆衛生や生活再建に直結する課題であり、今回の条例改正がその強化につながる点については、重要な意義を有するものと考えております。
 その上で、二点質問をさせていただきます。
 災害時には、限られた事業者で対応せざるを得ず、全ての給水設備に損傷が生じるわけではないにしても、相当数の修繕が必要となる可能性が高いと考えられます。
 そこで、修繕の担い手である東京都指定給水装置工事事業者の数と、登録事業者を増やしていく場合はどのような取組を行っていくのか伺います。

○藤川給水部長 都の指定給水装置工事事業者は約五千者でありますが、このうち平時の修繕に対応するとして、申請に基づき局ホームページに掲載している事業者は六百者程度でございます。
 一方で、災害時には自らが被災し、対応が困難な事業者も発生することから、実際に修繕を依頼できる事業者は限定されるものと想定しており、今回の条例改正により対応強化を図るものでございます。

○江崎委員 今、ご答弁にありましたが、都の指定給水装置工事事業者のうち、平時に修繕対応が可能な登録事業者は全体の一割にとどまっており、平時や災害時に対応可能な業者を増やしていくことは喫緊の課題であると認識いたしました。引き続き、修繕体制の強化に向けた取組を要望いたします。
 最後に、条例改正に伴い、震災規模に応じた近隣地域への応援要請の運用、そして都民への情報周知の運用について、どのように想定されているのか伺います。

○藤川給水部長 今回改正する条例の運用については、今後、全国で条例改正等の動きが順次拡大していくことに合わせ、他の水道事業体と連携しながら実効性のあるものに整理してまいります。
 また、応援に来ていただける工事事業者の情報については、都の指定工事事業者と同様に、水道局のホームページ等により、効果的に都民に周知することとしております。

○江崎委員 ご答弁ありがとうございました。
 条例改正の運用に当たって、全国的な動きに呼応しつつ、他の水道事業体と連携しながら実効性のある取組を進めていく方針を確認いたしました。また、応援に来ていただける工事事業者の情報についても、ホームページ等により都民への周知を図っていくことを確認いたしました。
 今後も、関係事業者等と連携を深め、災害時に都民が給水設備の修繕で困らないよう、引き続き制度の検討に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○おくもと委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おくもと委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で水道局関係を終わります。

○おくもと委員長 これより下水道局関係に入ります。
 付託議案の審査を行います。
 第二百二十三号議案を議題といたします。
 本案については、既に説明を聴取しておりますので、直ちに質疑を行います。
 発言を願います。

○小松委員 昨年一月の能登半島地震では、建物の倒壊や、また大規模な火災が発生し、多くの人命や財産が失われたわけであります。水道、電気、ガスといったライフラインも激しく損傷し、下水道に関しては、特に住民が管理する宅地内の排水設備について、工事を担う事業者が地元自治体の指定した事業者に限られることや事業者自身も被災されているということで、復旧がなかなか進みませんでした。これ、実際に東京から派遣された事業者の皆さんからも、そうしたお声を聞いたところであります。
 排水設備の復旧が遅れた結果、トイレやキッチンが使えなくなりますので、自宅への早期帰宅というものがかなわず、長期間の避難を余儀なくされるなど、被災した住民の皆様には大変なご負担を強いてしまったというわけであります。二次災害的に、避難所の健康環境の中で災害関連死みたいなものが取り沙汰されている中で、やはり少しでも早く速やかに自宅に戻って日常生活に入るということは、そうした観点からも大変重要なことだと思います。
 こうした教訓を踏まえますと、国は本年四月、全国自治体に向けて、災害時における他自治体が指定した事業者の活用促進について通知を出したというふうに伺っています。東京強靱化を目指して進めている下水道局としても、今回の条例改正によって、災害時におけるさらなる事業者確保に向けて取り組むということは、一日も早い生活再建につながるということを期待されるものですから、評価をするものであります。
 しかし、条例改正が施行された後であっても、排水設備の復旧工事という重要な業務を担う事業者の方々が、災害時に実際に東京での工事の施行に携わらなければ、それこそ実効性に欠ける、絵に描いた餅で終わってしまいます。
 そこで、復旧工事を担う事業者を確保するため、全国の事業者に向けてどのように支援を求められるのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 災害時における宅地内の排水設備の迅速な復旧に向け、工事を担う事業者が不足すると見込まれる場合には、既存の東京都指定排水設備工事事業者に加えて、他の公共下水道管理者の指定した事業者による復旧工事の施行が有効でございます。
 条例の具体的な運用は現在検討中でございますが、都指定以外の事業者の確保に際しては、当局ホームページを通じて幅広く全国に支援を求めていくほか、都と同様の条例改正を行う自治体を通じた事業者への呼びかけや、下水道関連団体と連携した働きかけなどを考えてまいります。
 こうした様々なルートを活用して支援を求めることにより、確実な事業者の確保に取り組んでまいります。

○小松委員 災害時における早期の生活再建には、トイレなどの排水への不安を一刻も早く解消することが重要であります。
 下水道局には、工事の担い手である排水設備工事事業者と緊密に連携し、復旧に取り組んでいただきたいと思いますが、これは、これまで総務局をはじめ、様々東京都の関係各局とこうした各種団体の皆様は、災害協定など結ばれていらっしゃいますよね。ただ、これ、結ぶことがゴールになってしまうことは、どちらも想定していなかったんだと思うんですが、長い時間を経て、丁寧にメンテナンスをされている協定先の団体と、代が替わっていくことで、結んでいたことすらおぼろげみたいな団体があるというふうに認識をしているんです。ある団体さんは、こうした災害協定が生きているのかどうかも含めて確認をしようということで、自分たちの組合員さんに連絡してきたところ、半分ぐらいしか認知もしていなかったということもありました。
 なので、せっかくこうした日頃から下水道局と連携をされている団体さんはありますから、こうしたことをしっかりとメンテナンスをしていくということは、日頃からやっていただいていることには感謝申し上げますけれども、そうした意味合いで、そうした事業者さんが、この五年先、十年先も、都下水の仕事をちゃんとして、有事にも協力できる強固な経営基盤というところもちゃんとつくっていくということが、災害対策にもつながるんだというふうに思っています。それを実現するためには、やはり下水道の事業、こうした経営も健全性を堅持する必要があるというふうに思っています。これは、事務事業質疑で多くの委員の先生方からもそうしたお話が出ると思いますけれども、そうした観点から、またしっかりと質疑をさせていただきたいというふうに思っています。
 ありがとうございます。終わります。

○細貝委員 条例改正について伺います。
 実際に災害が起きた際に、都民がどのようにほかの公共下水道管理者が指定した工事事業者へアプローチするのか伺います。

○須賀施設管理担当部長 条例の具体的な運用は現在検討中でございますが、下水道局では、他の公共下水道管理者が指定した事業者を含め、当局ホームページや下水道事務所の相談窓口で、事業者名をお客様にお知らせしていくことを考えております。

○細貝委員 施行のやり方、材料に違いがある場合、現場での混乱を招くおそれがあると思いますが、見解を伺います。

○須賀施設管理担当部長 災害時における工事の施行に当たっては、他の公共下水道管理者が指定した事業者に対しても都条例に定めた手続や技術上の基準の遵守を求める規定を、改正条例案に盛り込んでおります。

○細貝委員 ほかの公共下水道管理者が指定した事業者が、災害時における復旧工事を迅速かつ円滑に施行できるようにするための取組を伺います。

○須賀施設管理担当部長 下水道局では、排水設備の工事に必要な手続等に関して、下水道事務所への来所が不要なオンライン申請を導入しております。災害時にも、他の公共下水道管理者が指定した事業者にオンライン申請の利用を促し、迅速かつ円滑な工事の施行につなげてまいります。

○江崎委員 参政党の江崎さなえです。よろしくお願いいたします。
 私も、下水道条例の一部を改正する条例につきまして質問をさせていただきます。
 首都直下地震などの災害が発生した際には、都民の生活と、そして地域のなりわいを守るため、上下水道をはじめとする基幹インフラの迅速な復旧が必要不可欠です。排水設備の修繕体制は、公衆衛生や生活再建に直結する課題であり、今回の条例改正がその強化につながる点については、有意義、重要な意義を有するものと考えております。
 令和五年度東京都地域防災計画によりますと、区部には約百七十六万四千棟の住宅が存在しております。この数値は、固定資産税課税台帳に基づき算出されたものでございます。膨大な住宅を抱える中で、宅地内の排水設備の修繕については、区部では東京都下水道条例に基づき、東京都指定排水設備工事事業者でなければ工事を行うことができません。
 そこでまず、現在の東京都指定排水設備工事事業者の数を確認しておきたいと思います。

○須賀施設管理担当部長 令和六年度末現在、二千四百四十三者を指定しております。

○江崎委員 ご答弁ありがとうございます。約二千五百者を指定しているということですが、東京都地域防災計画における被害想定では、区部では約三十万棟の建物損壊が予想されております。これは全体のおよそ一六%に当たる数値です。この数値を東京都指定排水設備工事事業者に当てはめますと、約四百者が被災し、実働可能な業者はおよそ二千百者になると見込まれます。したがって、災害時には限られた事業者で対応せざるを得ず、全ての排水設備に損傷が生じるわけではないにしても、相当数の修繕が必要となる可能性が高いと考えられます。
 そこで、こうした修繕の担い手である東京都指定排水設備工事事業者の数を今後も確保していくための取組について伺います。

○須賀施設管理担当部長 下水道局では、事業者の負担軽減を目的に、令和三年度よりオンライン申請を導入し、各種手続の簡素化を図るとともに、法改正などに関する情報をオンラインで随時提供することを始めており、こうした取組は事業者の確保にもつながるものと考えております。

○江崎委員 ご答弁ありがとうございます。下水道局がオンライン申請サービス等を活用し、指定事業者数の確保に向けて取組を進めていることが分かりました。
 しかし、去年一月に発生した能登半島地震では、数多くの家屋の排水設備が損傷し、また修繕を担う事業者自身も被災したことから、宅地内の排水設備の修繕の遅れが大きな問題となりました。これを踏まえると、今回の条例改正のとおり、災害時に他地域の事業者の応援を受け、排水設備の円滑な修繕を確保していくことは重要であります。この仕組みを有効に機能させるためには、数多くの事業者に応援いただくことが必要であり、また応援に来ていただいた事業者を都民に有効に活用いただかなければなりません。
 そこで、条例改正後、他地域の事業者をどのように活用していくのか、また、こうした事業者の都民への周知について見解を伺います。

○須賀施設管理担当部長 条例の具体的な運用は現在検討中でございますが、災害時に排水設備工事を担う事業者が不足すると見込まれる場合には、当局ホームページや都と同様の条例改正を行う自治体や下水道関連団体を通じて、事業者に向けて、区部における工事の施行を働きかけていくことを考えております。
 お客様に対しては、排水設備工事の施行が可能な事業者名を、他の公共下水道管理者が指定した事業者を含め、当局ホームページや各下水道事務所に設置する相談窓口においてお知らせしていくことを考えております。

○江崎委員 ご答弁ありがとうございます。災害時に排水設備工事を担う業者が不足する場合の対応や都民への情報提供の方法についても確認させていただきました。
 災害時に都民が排水設備の修繕で困らないよう、引き続き、制度の検討に取り組んでいただくことを要望し、質問を終わります。ありがとうございました。

○おくもと委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案に対する質疑はこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おくもと委員長 異議なしと認め、付託議案に対する質疑は終了いたしました。
 以上で下水道局関係を終わります。

○おくもと委員長 これより付託議案の審査を行います。
 第二百二十二号議案及び第二百二十三号議案を一括して議題といたします。
 本案については、いずれも既に質疑を終了しております。
 これより採決を行います。
 第二百二十二号議案及び第二百二十三号議案を一括して採決いたします。
 お諮りいたします。
 本案は、いずれも原案のとおり決定することにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おくもと委員長 異議なしと認めます。よって、第二百二十二号議案及び第二百二十三号議案は、いずれも原案のとおり決定いたしました。
 以上で付託議案の審査を終わります。

○おくもと委員長 次に、特定事件についてお諮りいたします。
 お手元配布の特定事件調査事項につきましては、閉会中の継続調査の申出をいたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○おくもと委員長 異議なしと認め、そのように決定いたしました。

○おくもと委員長 この際、所管三局を代表いたしまして、下水道局長から発言を求められておりますので、これを許します。

○藤橋下水道局長 公営企業三局を代表いたしまして、ご挨拶申し上げます。
 まず初めに、本委員会でご審議を賜りました議案につきまして、ただいまご決定をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 私ども公営企業が行っております事業は、都民生活や首都東京の都市活動に欠かすことのできない重要な事業でございます。
 これまでに賜りました貴重なご意見、ご指摘をそれぞれの事業運営に反映させまして、都民サービスのさらなる向上と効率的な経営に努め、都民の皆様の信頼と負託に全力で応えてまいります。
 おくもと委員長をはじめ委員の皆様方におかれましては、引き続き、公営企業三局に対しまして、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、ご挨拶とさせていただきます。
 ありがとうございました。

○おくもと委員長 発言は終わりました。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後一時四十一分散会