公営企業委員会速記録第四号

令和七年三月十八日(火曜日)
第十委員会室
午後一時開議
出席委員 十四名
委員長あぜ上三和子君
副委員長吉住はるお君
副委員長おじま紘平君
理事竹平ちはる君
理事福手ゆう子君
理事後藤 なみ君
東 まり子君
しのはらりか君
岩永やす代君
関口健太郎君
慶野 信一君
柴崎 幹男君
増子ひろき君
小松 大祐君

欠席委員 なし

出席説明員
交通局局長久我 英男君
次長総務部長事務取扱横山 正彦君
職員部長櫻庭 裕志君
資産運用部長築田 直樹君
電車部長神永 貴志君
自動車部長佐藤 和哉君
車両電気部長生越 啓史君
建設工務部長坂口 淳一君
企画担当部長渡貫 貴浩君
経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務若井 太郎君
技術企画担当部長一條 勝夫君
安全管理担当部長内山 裕道君
調整担当部長木元 隆平君
鉄軌道事業戦略担当部長稲垣 宏昌君
バス事業経営改善担当部長和田  明君
技術調整担当部長神田 隆司君
技術管理担当部長周郷 友義君

本日の会議に付した事件
交通局関係
予算の調査(質疑)
・第二十四号議案 令和七年度東京都交通事業会計予算
・第二十五号議案 令和七年度東京都高速電車事業会計予算
・第二十六号議案 令和七年度東京都電気事業会計予算
報告事項(質疑)
・東京都交通局経営計画二〇二五(案)について

○あぜ上委員長 ただいまより公営企業委員会を開会いたします。
 本日は、お手元配布の会議日程のとおり、交通局関係の予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 これより交通局関係に入ります。
 予算の調査及び報告事項に対する質疑を行います。
 第二十四号議案から第二十六号議案まで及び報告事項、東京都交通局経営計画二〇二五(案)についてを一括して議題といたします。
 本案及び本件につきましては、いずれも既に説明を聴取しております。
 その際要求いたしました資料は、お手元に配布してあります。
 資料についての理事者の説明を求めます。

○横山次長 過日の委員会で要求のございました資料につきまして、お手元の資料1、公営企業委員会要求資料として取りまとめましたので、その概要についてご説明申し上げます。
 一ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体における職員数、都派遣職員数、固有職員数及び都退職者数でございます。
 各団体における職員数と、そのうち都から派遣している職員数、団体の固有職員数、都退職者数を記載してございます。
 続きまして、二ページをご覧ください。政策連携団体、事業協力団体における職員数の雇用形態別推移でございます。
 各団体における職員数を過去五年分記載してございます。
 三ページをご覧ください。定数、職員数の推移でございます。
 当局の条例定数及び職員数を過去五年分、職種及び雇用形態別に記載してございます。
 続きまして、四ページをご覧ください。女性職員数の推移及び女性職員の宿泊施設の整備状況でございます。
 当局の女性職員数、過去五年分と宿泊施設数、そのうち女性職員が宿泊できる施設数及び整備割合を記載してございます。
 五ページをご覧ください。都営バス運転手の新規採用人数でございます。
 当局のバス運転手の新規採用人数を過去五年分記載してございます。
 続きまして、六ページをご覧ください。交通局の事務職員と都営バス運転手の雇用形態別の年間労働時間と年収でございます。
 雇用形態別に、それぞれ年間労働時間、年収及び平均年齢を記載してございます。
 七ページをご覧ください。未利用局有地の所在地及び面積でございます。
 交通局が所管する普通財産で、恒久的な利用に供していない土地について記載してございます。
 続きまして、八ページをご覧ください。育児休業の取得人数と取得率の推移でございます。
 育児休業の取得人数及び取得率を過去五年分記載してございます。
 以上をもちまして資料の説明を終わらせていただきます。よろしくご審議のほどお願い申し上げます。

○あぜ上委員長 説明は終わりました。
 ただいまの資料を含めまして、これより本案及び本件に対する質疑を行います。
 発言を願います。

○柴崎委員 まず初めに、今回公表されました東京都交通局経営計画二〇二五(案)、こちらの内容についてお伺いしたいと思います。
 この新たな計画の策定に当たりましては、事業環境の変化のみならず、現行計画に定めた目標とその成果を踏まえて作成されたものと思う次第であります。
 現行の経営計画二〇二二、これは今から三年前に策定されたわけでありますが、コロナ禍がもたらした需要構造の変化ですとか、少子高齢化の進行、また気象災害の頻発、激甚化、こういうところから、交通局を取り巻く事業環境が大きく変化している中で策定した計画であったと思います。
 この三年間、交通局はこうした変化に迅速かつ的確に対応しながら、持続可能な経営、運営を進めるために、安全・安心の確保ですとか質の高いサービス提供、こうした四つの目標を計画に掲げまして、それらを踏まえながら取組を進めてきたと考えております。
 そこでお伺いしたいんですが、まず経営計画二〇二二、ここで掲げる取組の達成見通し、これについてお伺いしたいと思います。

○渡貫企画担当部長 交通局では、令和四年度からの三か年を計画期間といたします経営計画二〇二二に基づきまして、都営地下鉄全駅でのホームドア整備を完了するとともに、燃料電池バスの導入を累計八十両まで拡大するなど、計画に掲げた事業を着実に進めてまいりました。
 一方で、入札不調等によりエレベーターの整備に遅れが生じるなど、一部には計画どおりに進まなかった事業もございます。

○柴崎委員 交通事業者として掲げた施策の多くの目標が達成できている、その一方では、一部の事業につきましては計画どおりに進んでいない状況にあるとの説明が今ありました。
 お話にありましたエレベーター整備については、後ほどまた伺いたいと思いますけれども、今回三年ぶりになります新たな経営計画を策定することになるわけであります。
 この間、やはり先ほども申し上げましたように、自然災害や事故への懸念、そして少子高齢化の進行、さらには環境意識の高まりですとか、デジタルトランスフォーメーションの進展など、世の中が急速に変化を続けているわけであります。
 そこでお伺いしたいのですが、経営計画二〇二五、こちらの策定に当たりましての基本的な考え方、こちらについて伺いたいと思います。

○渡貫企画担当部長 都営交通を取り巻く事業環境は、公共交通の担い手の不足や物価の高騰など、厳しさや不確実性を増しております。
 こうした中にありましても、お客様目線に立った輸送サービスの提供はもとより、都の政策と連携しながら、様々な価値を利用者や地域社会に提供していくことが重要と考えております。
 このため、これまで以上に安全で誰もが利用しやすい環境整備を進めるとともに、移動を通じて多様な主体と東京の魅力を共創してまいります。
 また、脱炭素化に向けた取組を強化するほか、たゆまぬ企業努力の積み重ねによる経営改善や職員が活躍できる職場環境づくりなど、デジタル技術も有効に活用しながら、持続可能な事業運営に向けた基盤づくりを進めてまいります。
 今回策定いたします経営計画二〇二五に基づきまして、目指す姿の実現に向けて着実に取り組んでまいります。

○柴崎委員 様々な課題に対しまして、局がこの三年間で取り組んでいくべきと見込んだものを具体的に計画にしたものと思われます。
 それぞれ掲げた目標の達成を目指していただいて、着実に取組を進めていただくように要望しておきます。
 次に、この新たな経営計画には、五つの目指す姿の実現の下、様々な取組が掲げられております。
 こうした中で、その中でも日々多くの利用者の命を預かり、人々の移動、そして社会の経済活動を支えている交通事業者として、まずは何よりも大切な安全・安心の確保に向けた取組について伺いたいと思います。
 まず、都営地下鉄のトンネルの老朽化について伺いたいと思います。
 今年一月二十八日に埼玉県八潮市で発生しました道路陥没事故、こちらは下水道管の破損ですとか、硫酸による腐食、さらには軟弱な地盤など複数の要因が重なって発生した事故とされております。こうした中で、私たちの日常を支える都市のインフラ管理の重要性を再認識させられた事故でもありました。
 今回の事故は、地中に埋められた下水道管で起きた事故ではありますが、日々、地下鉄運行を行っている交通局の立場からも、他人事では済まされないものだと考えます。
 都営地下鉄の運行は、その大部分でトンネルを通過するため、輸送の安全を確保する観点からも経年劣化への対策をしていると認識をしておりますが、そこでお伺いしたいのは、都営地下鉄のトンネル老朽化対策につきまして、実施内容と今後の取組について伺います。

○坂口建設工務部長 都営地下鉄では、トンネル内の構造物を健全に維持するため、法令等に基づき、日頃から巡視により状態を確認するほか、年に一度、全区間を対象に点検を実施しております。
 具体的には、目視や打音検査により、ひび割れや剥落のおそれ等について検査を行い、変状等が確認された場合は、劣化状況等に応じて速やかに補修を行っております。また、経過年数の長いトンネルにつきましては、路線や区間ごとに健全度を詳細に調査した上で、ひび割れ等からの漏水を防ぐ対策や、将来、トンネルからの剥落の可能性がある劣化部を未然に除去し、修復する剥落対策などの長寿命化の工事を実施いたしております。
 今年度は、浅草線戸越駅から泉岳寺駅間などで工事を完了しており、来年度は引き続き、泉岳寺駅から大門駅間などで工事を進めてまいります。

○柴崎委員 日頃から、適切にトンネルの管理をされているということでございます。今後につきましても、より計画的に補修を実施していくとのことでもありました。引き続き、徹底した管理をお願いしたいと思います。
 次に、鉄道車両の作業委託における輪軸、この組立て作業時の不適切な取扱いについて伺いたいと思います。
 昨年七月二十四日にJR山陽線の新山口駅構内で発生した貨物列車の脱線事故の調査過程で、鉄道車両の車輪に圧力をかけ、車軸にはめ込む輪軸、こちらの組立て作業で不適切な取扱いがあったことが判明したわけであります。
 その後、国土交通省が緊急点検を指示した国内百五十六の鉄軌道事業者のうち、五十事業者の車両でデータの差し替えがあったわけであります。
 交通局でも、さきの委員会質疑の場で確認したとおり、都営地下鉄などにおきまして、輪軸組立て作業の受託事業者から記録を差し替えていた旨の申告があり、組立て時の圧力が基準値外のものがあるということが判明しております。
 交通局では、組立て作業の際には、超音波探傷を行うほか、車輪が緩んでいないことを確認するなど安全性に問題がないことを確認したとのことでありますが、そもそもこの記録の差し替えは、これはあってはいけないことであります。したがって、さきの委員会で、交通局は委託先に対しまして不適切な取扱いの発生原因ですとか再発防止策、これを取りまとめて報告するよう指示したとのことであります。
 そこでお伺いいたしますが、輪軸の組立て作業時の不適切な取扱いにつきましては、発生原因について伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 受託事業者からの報告によりますと、圧入力の値が基準を外れていても、これまで車輪が緩んだことがなく、また車輪と車軸の締め代が基準値内であり、組立て時の圧入波形に異常が見られなければ実質的に問題はないとの認識を、少なくとも十年以上前から持っておりました。
 その一方で、受託事業者は、検査成績表の数値を基準の範囲内に収めておきたいという動機から、圧入力の値を基準値内に書き換えて提出していたものでございます。

○柴崎委員 受託事業者は、検査成績表の数値を基準値内に書き換えて提出したとの説明が今ありました。
 今後、二度とこのようなことがないように、しっかりと再発防止策、これを図ることが大切であると思いますし、交通局といたしましても、委託先を含めてしっかりと対策を進めることが重要であると思います。
 そこでお伺いしたいと思います。不適切な取扱いに対する再発防止策と、これを踏まえた交通局の対応について伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 受託事業者からの報告では、作業記録の書換え防止のため、検査成績表の数値と圧入波形を照合の上、その両方を提出するとともに、組織改編を行い、品質管理担当の独立性を高め、チェック体制を強化するほか、今後はデータの書換えができない設備を導入するなどの対策を講ずることとしております。
 交通局におきましては、受託事業者に随時立ち入り、取組状況を確認するなど、確実に再発防止策が履行されているよう管理監督してまいります。
 なお、以前の調査データの書換えが判明した輪軸につきましては、受託者により再圧入等を行い、是正いたします。

○柴崎委員 地下鉄の安全・安心な輸送サービスのためには、これからも万全な対応をお願いしたいと思います。
 続きまして、車内における安全性向上に向けた取組について伺いたいと思います。
 令和三年度、電車内で立て続けに発生いたしました死傷事件、これは私たちが日々利用する車内で起きた大変ショッキングな事件でございました。まだ記憶にも新しいところでありますが、この事件を受けまして、鉄道各社では車内防犯カメラの整備、これが進み始めたわけでありますが、防犯カメラはこうした犯罪ですとか迷惑行為への一定の抑止効果が期待されるところであり、痴漢対策としても有効と考えられます。
 都営地下鉄における取組につきましては、令和四年二定の我が会派の代表質問でも質問させていただきましたが、車内防犯カメラにつきましては、令和六年度末までに設置完了という答弁があったわけですが、都営地下鉄等の車内防犯カメラの設置につきましては、この進捗状況について伺いたいと思います。

○生越車両電気部長 交通局では、迷惑行為や痴漢等犯罪の未然防止、テロ対策など、セキュリティ強化を図るため、令和六年度末までに全ての車両に防犯カメラを設置することを目標としてまいりました。
 都営地下鉄は、全百五十編成のうち車両更新に合わせて八十編成に、日暮里・舎人ライナーは、全二十編成のうち車両更新に合わせて十六編成に設置いたしました。また、残る車両につきましては、職員自らによる機動的な施工体制を構築いたしまして、順次後づけによる設置作業を進め、本年一月末までに全車両への車内防犯カメラの設置を完了させたものでございます。

○柴崎委員 今、答弁いただきました。予定よりも大分早く完了したということでございました。これは、利用者の安心感も大きく向上したことと思います。引き続きまして、さらなる安全性確保に向けた取組をお願いしたいと思います。
 次に、先ほど、入札不調等によりましてエレベーターの整備が遅れているという説明がありましたので、この点について伺いたいと思います。
 都営地下鉄における移動の円滑化、バリアフリーにつきまして、いわゆるワンルート整備については全駅で完了しているところでありますが、現在、さらなる利便性の向上のために、バリアフリールートの充実に向けまして、エレベーター、この整備が進められているわけであります。
 こうした状況の中で、地元であります都営大江戸線の光が丘駅、こちらのエレベーター整備工事につきましては、現在の局の経営計画において、令和六年度までの供用を目指して、現在土木工事が進められているわけでありますが、構造工事の入札不調、これによりまして、今年度中に供用できないとなったと聞いております。
 今、国ですとか地方自治体が発注する様々な工事、この現場で、参加する業者がいなかったり、あるいは入札価格が予定価格を上回ったり、いわゆる入札不調ということで工事に遅れが生じるようなケースが相次いで発生していると聞いております。
 局のこのエレベーターの設置工事におきましては、入札不調が続いているようでありますが、その原因について伺いたいと思います。

○周郷技術管理担当部長 現在、大江戸線光が丘駅及び新宿線瑞江駅では、エレベーター設置に向け、土木工事を進めているところでございますが、後続工事において入札不調が続いております。
 例えば、光が丘駅では、昨年七月の入札不調を受け、一部の施工時間帯を深夜から昼間に変更するとともに、予定価格や発注時期の見直しを行ったものの、再度入札不調となってございます。入札を辞退した複数の工事業者にヒアリングを行ったところ、依然として予定価格との乖離や技術者不足が主な原因であるとのことでございました。

○柴崎委員 要因については、今、確認をさせていただきました。
 入札不調は、ある意味、不可抗力といわざるを得ない部分もあるのは確かでありますが、やはり地元でエレベーターの完成を待ち望んでいる住民もたくさんおります。したがって、一日も早く完成できるように取り組んでいく必要があるわけであります。
 この入札不調になった工事につきましては、先ほどの要因を踏まえて、今後どのような対策を行っていくのか、これについて伺いたいと思います。

○周郷技術管理担当部長 入札不調の要因を踏まえまして、さらなる取組として、価格面での乖離縮小に向け、個々の施工条件を積算価格に反映できる見積り積算方式を活用してまいります。
 大江戸線光が丘駅及び新宿線瑞江駅につきましては、こうした対策を行った上で、令和八年度中の供用開始を目指しまして、順次工事を発注してまいります。

○柴崎委員 今、答弁いただきました価格面での見直しなど、不調対策に努めていることを確認したわけでありますが、より利用しやすい都営交通を実現するためにも、バリアフリールートの充実は不可欠であります。エレベーター整備を着実に進めていただくようにお願いをしておきます。
 続きまして、ZEV化の推進について伺いたいと思います。
 ZEV化は、世界的にカーボンニュートラルへの動きが加速する中で、都営バスにおきましても導入拡大を進めていくことが重要だと思います。
 まず、燃料電池バスについて伺いたいと思います。
 都営バスでは、二〇二四年度末時点で八十両、この燃料電池バスを運用しているわけであります。新たな計画の中では、二〇二五年四月には、有明自動車営業所に国内初となりますバス営業所内水素ステーションを開所し、燃料電池バスの導入をさらに拡大していくとの記載がございます。
 そこでお伺いしたいのは、開所を予定している有明営業所内の水素ステーション、この整備の経過と進捗状況について伺いたいと思います。

○和田バス事業経営改善担当部長 有明営業所内の水素ステーション整備につきましては、令和五年九月に、整備や運営を行う事業者を公募により選定しまして、その後、事業者がバスの動線を踏まえた水素供給設備の配置などを水素ステーション整備計画として策定し、計画に基づき、令和六年六月から工事を進めてまいりました。
 令和七年二月には、国による最終検査を終えまして、現在は充填に関わる作業手順の習熟や充填スケジュールの調整など開所に向けた準備を進めており、来月、運用を開始する予定でございます。

○柴崎委員 予定どおり準備が進められているということを今確認できました。有明自動車営業所を新たな拠点として、計画に掲げる目標達成に向けまして、さらなる燃料電池バスの導入拡大を進めていただきたいと思います。
 次に、EVバスについても伺います。
 EVバスの導入も、ZEV化の推進に効果的なものであるとされており、交通局では、大都市におけるEVバス導入モデルの構築に向けまして、令和五年九月に東京電力ホールディングス、こちらと事業連携協定を締結し、検討を進めているというふうに聞いております。
 新たな計画におきましては、二〇二五年度にEVバスの営業運行を開始すると記載をされておりますが、ここでお伺いしたいのは、このEVバス導入に向けた進捗状況、これについて伺いたいと思います。

○和田バス事業経営改善担当部長 EVバスの導入には、充電設備等のための十分なスペース確保や、早朝から深夜まで運行する中での充電時間の確保、一回の充電で走行できる距離が短いことなど、様々な課題がございます。
 このため、交通局では、東京電力ホールディングスと連携し、大都市におけるEVバス導入モデルの構築に向けた検討を行っており、来年度早期には、北営業所におきましてEVバス二両をパイロット導入し、実際の営業路線を運行することで、車両性能や効率的な充電方法等を検証してまいります。
 現在は、車両の調達や充電設備の工事を進めているほか、太陽光発電によるグリーン電力を活用した充電の実証実験に向けて、庁舎壁面への薄型太陽光発電設備の整備に取り組んでおります。

○柴崎委員 交通局と東京電力双方の強みを生かしまして、導入に向けた準備を着実に進めていただきたいと思います。
 最後に、大江戸線延伸について伺いたいと思います。
 都営地下鉄は、一日平均約二百五十万人と、大変多くの方に利用されているわけであります。その中でも、大江戸線の乗客数は最も多いというふうに聞いております。まさに、東京の都市活動を支える重要な路線であります。そのように認識をしているところであります。
 一方で、練馬区北西部におきましては、二十三区でも数少ない鉄道空白地域でもあります。そこにお住まいの多くの方々が延伸を切実に願っていることはいうまでもありません。
 私も以前から、地域の方々と大江戸線延伸促進期成同盟による要望活動を行うなど、様々な機会を捉え、延伸の早期実現を強く求めてきたところであります。
 こうした中で、延伸につきましては、昨年十一月の委員会質疑の場におきましても、取組状況など確認をさせていただきました。
 そこでお伺いしたいのは、大江戸線延伸に係る調査につきましては、令和六年度においての検討の進捗状況、こちらについて伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 今年度は、将来の旅客需要に関する調査を行うとともに、さらなる旅客需要創出や、駅や鉄道施設など事業に関わるコストの低減等の面から、収支採算性等の課題解決のさらなる検証を進めております。
 現在実施している調査の過程におきましては、最新の人口推計の活用や区のまちづくりとの連携などにより、公共事業における費用便益比、いわゆるBバイCは一定程度改善しているものの、収支採算性については依然として課題があるとの試算となってございます。

○柴崎委員 大江戸線の延伸の事業化を進めるためには、収支採算性とBバイC、この二つが重要になってくるわけでありますが、現在進めている調査では、最新の人口推計の活用、区との連携などによりまして、BバイCについては一定の改善が図られているという答弁が今ありました。
 一方では、依然として収支採算性、こちらに課題があるとのことでありますが、そこでお伺いしたいのは、課題解決に向けましてどのように取り組むのか、令和七年度の交通局の取組、こちらについて伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 令和七年度は、調査費の予算を三千六百万円に増額しており、関係局や練馬区などと密に連携を図りながら、旅客需要の創出、コストの低減、財源の確保、活用の面から、課題解決のための精査を行ってまいります。

○柴崎委員 ぜひ、この事業化の実現に向けまして、課題解決にしっかり取り組んでいただきたいと思います。
 これは再三申し上げておりますが、都営交通として最も新しい地下鉄路線である大江戸線、こちらの全線開業からもう既に二十年以上たっているんですね。したがって、当時の建設で培った技術、そしてノウハウを持った職員の方々がかなり少なくなっているのも現状でございます。したがって、いざ延伸工事を始めるということになった段階で、必要な技術職員が確保できていない、そんなような状況にならないように、早い段階から工事を見据えた体制づくり、これをぜひご検討を進めていただきたいと思います。そして、延伸実現に向けまして、局そして庁内が一丸となりまして、さらなる努力を期待するものであります。
 以上で私の質疑を終了といたします。

○後藤委員 よろしくお願いをいたします。
 私からも、この東京都交通局経営計画二〇二五、このものにつきまして質疑をしてまいりたいというふうに思います。
 この経営計画を見てみますと、都営交通は五つの目指す姿というものを掲げられておりまして、誰もが円滑に移動できる公共交通、そして、移動を軸にした多彩な価値の提供、安全・安心な公共交通機関、また、脱炭素でエコな移動手段、持続可能な事業運営ということで、この五つの項目を定めておりますので、ざっとこの五つの項目を確認しながら進めてまいりたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
 まずは、この計画に記載をされている、誰もが円滑に移動できる公共交通ということでありますけれども、重要なのは、先日も東京都の方では、ホームドアの設置に向けてというところで、鉄道事業者と協議会を通じてホームドアの設置を二年前倒しでやっていきますというようなことや、補助率も東京都が上げて前倒しでしっかり進むように対応していくということで、こうした公共交通、こうした政策がぐっと前に進んでいくところでありますけれども、次にやはり重要なのは、移動しやすい環境というところでいくと、隙間とか段差対策というのは非常に重要な課題の一つであるというふうに思います。
 少子高齢化を迎える中で、高齢者の方、車椅子利用の方も増えていますし、小さなお子様なんかでも一緒に、私も子供なんかと地下鉄や鉄道に乗っていますと、やはり隙間が非常に危ないということもございますので、安全・安心な移動手段の確保という意味では、隙間や段差、こうしたものの解消というものは喫緊の課題であるというふうに考えております。
 この経営計画、この一個前のバージョン、二〇二二の方では、しっかりと隙間を埋める、段差や隙間を埋める対策については位置づけて、その間、都営交通としても、局として対応していただいているというところもございまして、今年の一月には、三田線が隙間や段差対策が完了したというふうに認識をしています。そして、大江戸線や都営新宿線などにつきましても、既に対応がおおむねされているというところでありまして、やはり残るはというところでいえば、都営浅草線というところだというふうに思います。
 もっとも、都営地下鉄の中でも早く、古くから開業されているというのが都営浅草線ということでありますけれども、こちらもしっかりと対策をさらに加速をさせていくべきだというふうに考えております。
 浅草線の段差や隙間対策についての進捗状況と、今後の取組について伺いたいと思います。

○周郷技術管理担当部長 都営地下鉄では、車椅子をご利用のお客様が駅員等の介助なしに車両に乗り降りしやすくするため、ホームと車両との段差や隙間を縮小する取組を進めております。
 浅草線では、これまでに東銀座駅と人形町駅で対策を完了しておりまして、令和七年度は、新橋駅など六駅でホーム先端部のかさ上げやくし状ゴムの設置を進める予定でございます。
 計画期間でございます令和九年度までに、大規模改良を予定している泉岳寺駅や、京成電鉄が管理している押上駅を除く浅草線全駅で、段差、隙間対策の完了を目指してまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。令和九年度までに、一部の駅を除いて完了を目指しますというご答弁でありました。しっかりとご対応いただいているということが確認できました。
 しかしながら、泉岳寺はこれから大規模改良するということがあるということで仕方がないかなと思うんですけれども、やはり京成電鉄が管理しているということで、押上駅については、なかなか所管ではないので対応が難しいということだというふうに思うんですけれども、ただ一方で、押上駅ってスカイツリーがあったり、ソラマチという大規模な商業施設があったりと、非常に乗降者数も増えているというところもありますし、多様な方々がお越しになるのも押上駅ということでありますので、都営交通からも働きかけというぐらいになるのかなというふうに思いますけれども、早期にこちらも対策が進むように対応をして、働きかけをしていただきたいなというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
 また、この経営計画に書かれておりますTOEIスマートステーションというものも、この取組の中には記載をされておりまして、非常に新たなデジタル、こうした技術なども活用をしていきながら、お客様サービスのスタイルをアップデートしていくということで、デジタル化なども進めている我が会派としても、しっかり応援をしていきたい部分かなというふうに思っています。
 特に、労働人口なども減少下にある中で、デジタルを使ってサービス品質を落とさずに、むしろ上げていくという取組は非常に重要であるというふうにも思いますし、私自身も先日、都営線を使って通勤をしておりましたら、朝、人身事故がありまして、駅に人がもう本当に人だまりみたいな形になっていて、乗務員の方が対応してくださっていたんですけれども、やはりその情報がなかなかタイムリーに届かないということで、乗務員の方も大変ご苦労されている様子がありました。
 例えば、こうした状況下の中においても即時に、今当たり前のことですけれども、情報がやり取りをできて、乗客の利用者の方にしっかりと伝えていくであったり、こうした利便性の向上ができると非常にいいのかなというふうに思います。
 この計画を見てみますと、スマホを持って乗車支援をするというふうに記載がありました。こうした技術などを使って、サービス向上につながるといいなというふうに期待をするものでありますけれども、全ての駅の係員がスマートフォンを持って業務に当たるということなんですが、地下鉄の利用者にとって、どう利便性が向上するのか。私のさっきの事例なんかでも使えるといいなと思うんですけれども、具体的な取組のイメージを教えていただきたいと思います。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、迅速かつ正確な運行情報の提供や、サポートを必要とされるお客様の乗車支援等を目的に、駅係員が携行する業務用スマートフォンの導入を進めております。
 このスマートフォンを活用して、列車の運行状況等をリアルタイムで把握し、お客様へより的確なご案内を行うほか、ゲリラ豪雨など最新の防災情報を早期に入手することで、迅速なお客様対応や災害の被害の未然防止等に役立ててまいります。
 さらに、移動制約者支援アプリをスマートフォンに搭載し、車椅子をご利用のお客様などの情報を乗車駅と降車駅の係員が共有することで、よりスムーズな移動支援を可能としてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。いただいた内容を見ますと、乗務員の方の働き方改革にもつながる取組でありますし、一方で利用者にとっても、メリットがあることかなというふうに思いました。
 あとは、よく最近では、電車、バスとかも、バスの待合所とかもそうですけれども、いろいろな情報をデジタルサイネージで表示をして、常にアップデートしていくような、こうした取組なんかも進んでいますので、ぜひ都営交通の中においても積極的に活用をしていただきたいなということをお願い申し上げたいというふうに思います。
 続きまして、移動を軸にした多彩な価値の提供というものが項目でありますけれども、こちらについて伺っていきたいというふうに思います。
 多彩な価値の提供というところでいえば、都営交通を利用される方、特に最近増えているのは外国人の利用客の方々だというふうに思います。訪日外国人の観光客も、去年は過去最多ということでありまして、特に浅草駅とかすごいですよね。たくさん外国人の利用客の方がいらっしゃって、よくあるのは、やっぱり切符の販売所のところで、先ほどとちょっと似ているんですけれども、どう買ったらいいか分からなくて、乗務員の方をつかまえて説明を受けているというような様子がよく見られるわけでありまして、我々よく通勤で利用している者や都内に住んでいる者などはICカードですよね、Suicaなどを使うわけでありますけれども、旅行などで来られた、特に外国人の方などは、そうしたICカードなどもなかなか利用していないということもありますので、移動を快適に多彩な価値の提供という意味でいえば、外国人の方々も円滑に移動ができる、こうした支援も必要であるというふうに思います。
 そうした観点から、私たち都民ファーストの会東京都議団としても、これまで代表質問などを通じて、諸外国では今かなり広まっているクレジットカードで移動ができるように、決済ができるようにするシステムということで、こうしたものも提案をさせていただき、答弁を得たところでありますけれども、伺いたいと思います。クレジットカードのタッチ決済による利用状況と、今後の取組について伺いたいと思います。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 都営地下鉄では、外国人旅行者等の利便性向上を図るため、京急電鉄と連携し、昨年十二月から浅草線、三田線、大江戸線の二十六駅で、クレジットカード等のタッチ決済を用いた新たな乗車サービスを試験導入いたしました。
 タッチ決済は、外国人旅行者を中心に、羽田空港から都心部への移動などに利用されており、一日当たりの利用者数は、導入時の三百人弱から、先月末には一千人近くまで増加をしております。
 今後、より多くのお客様にご利用いただけるよう、令和七年度末までには都営地下鉄全駅に導入を拡大するなど、さらなるサービスの充実に取り組んでまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。令和七年度末までに都営地下鉄全駅に導入を拡大していくということで、早速ご対応を急ピッチで進めていただいていることに感謝を申し上げたいというふうに思います。
 非常に利便性も高いということで、一日当たりの利用者も、去年十二月からサービスを始めて、導入時の三倍近くまで伸びているということで、ぜひ、これから全駅に導入をされるということですので、羽田空港とか成田空港、成田は千葉だとあれですけど、外国人の方々が移動するポイント、ポイントでしっかりとこうしたサービスが使えますということもPRをしていただくと非常にいいのかなというふうに思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 続きまして、スタートアップとの連携に関する取組について伺ってまいりたいというふうに思います。
 本計画を見ると、この中にスタートアップとの協業についても記載があります。私たち会派としても、これまでもスタートアップとの連携支援というものに非常に力を入れているところもあります。今後、スタートアップ支援を強化していく中で、やはり東京都そのものがファーストカスタマーになってほしいということで、特に公共調達などでしっかりと活用をしてほしいということを、これまで代表質問などを通じて何度も取り上げさせていただいたところでもあります。
 先日のさくらトラムのデジタル一日乗車券の取組などについては、会派も非常に議員で注目をしておりまして、これ、すごくいい取組だよねということで、こうした新たな技術なども、スタートアップと連携をしながら、まちの回遊性を高めていくであったり、あるいは都営交通の中における事業課題をやはり一緒に解決をしていくというようなことは非常に有益であろうというふうに思っております。
 このスタートアップの連携強化というものを掲げていらっしゃるわけですけれども、今後どのように取り組んでいくのか伺いたいと思います。

○若井経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務 スタートアップの持つ斬新なアイデアや革新的な技術を積極的かつ効果的に活用することで、移動需要の創出や利便性向上などの課題の解決につなげていくことは重要と考えております。
 これまで複数のスタートアップと連携しまして、東京さくらトラムにおけるデジタル一日乗車券の試験的発売による旅客誘致や、都営バス営業所における放射冷却機能を持つ新素材による省エネ効果の検証などに取り組んでまいりました。
 引き続き、関係局と連携しながら、様々なスタートアップの商品やサービスの実証の場として都営交通のフィールドを一層活用することで、新たな価値の創出を図ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。非常に前向きな取組であろうというふうに思います。引き続き積極的に、交通局としてもスタートアップとの連携強化、図っていただくことをお願い申し上げたいというふうに思います。
 また、続きまして、安全・安心な公共交通機関に関する取組について伺いたいというふうに思います。
 交通機関にとって、安全・安心というものは、何よりも一番重要なものだというふうに思います。そうした意味では、これはいうまでもなく、交通局の皆様、これまでも安全・安心の取組という意味ではしっかりと取り組んでいただいているというふうに思っておりますけれども、やはり心配なこと、安全・安心というものを考えたときに心配なものの一つとしては、災害ということだというふうに思います。首都直下地震、こうしたものについては三十年以内に七割というふうにいわれておりますし、今、小池知事の下でも首都防衛ということを掲げて、各局総動員で災害対策をしっかりと進めていただいているところかというふうに思います。
 足元の交通局を見てみますと、令和四年度に東京都交通局浸水対策施設整備計画というものを策定されておりまして、都市型の水害とか荒川の氾濫、高潮対策などなど施設計画を定めているところではありますが、やはり昨今の気候変動などの状況に鑑みて、対策の強化というものも必要であろうというふうに思います。
 去年の八月なんかには、麻布十番で、ゲリラ豪雨でその地域一帯が浸水すると。そもそも麻布十番の地域自体はそこまで浸水する地域ではないといわれているところまでも、やはりこうした事案が起きているわけですから、昨今の気候変動などに鑑みた施策のバージョンアップというものも必要であろうかというふうに思います。
 新たな経営計画の期間中における都営地下鉄の浸水対策、この施設整備について具体的に教えていただきたいと思います。

○坂口建設工務部長 交通局では、地上からの水の流入の防止に加え、地下鉄ネットワークを通じた浸水被害の拡大を防止するため、浸水対策を計画的に進めております。
 経営計画二〇二五の期間中には、駅出入口二十か所、通風口二十一か所で浸水対策を実施するほか、トンネル内防水ゲートや駅構内防水扉などの整備を進める計画であります。
 令和七年度は、浅草線東銀座駅の出入口などに防水扉等を設置するほか、戸越駅から五反田駅間などの通風口で浸水防止機の改良工事を実施する予定であります。また、引き続き、大江戸線蔵前駅付近のトンネル内にある防水ゲートの改修工事を実施してまいります。
 今後とも、お客様への影響や対策による効果を考慮しつつ、浸水対策を着実に進めてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。新たな計画の中の位置づけとしては、浸水対策、かなり盛り込まれておりまして、東銀座や蔵前駅などなど、改修工事などをやっていくというようなご答弁でした。防水扉とか水が入ってこない対策という意味では非常に重要だというふうに思いますし、また、この計画期間の中においても、昨今は計画をしてもそれを上回る状況で豪雨災害が続いているということもあります。その都度都度、状況を見ながら対策をしていただきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 下水道局なんかでは、過去、新宿周辺でマンホールの水が逆流して噴き上げてしまったときなんかにも即時に対応をしていただいて、何ていうんでしょう、マンホールが飛び上がらないマンホールに替えていただいたとか、都度都度、対策をいただいているというふうに思います。交通局もまたしかりだというふうに思いますので、豪雨対策、非常に安全・安心という意味では一丁目一番地の政策であるというふうに思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 また、火山対策についても、非常に喫緊の課題である取組であるというふうに思います。今、さきの東京都の首都防衛に資する防災対策の中で、火山噴火についても、しっかりと計画の中に位置づけて対策を講じていくという動きがあります。交通局においても、しっかりと連携をして対策を進めるべきというふうに考えております。特に、富士山が噴火をしてしまった場合は、やはり火山灰の影響、交通網も非常に大きな影響を受けますので、しっかり対策をすべきだというふうに思いますし、この中にもしっかり位置づけられていますということであります。
 総務局の方では、地域防災計画の火山編の修正が進められているところでありますけれども、交通局として、計画期間中、火山の噴火対策について、どのように進めていくのか伺いたいと思います。

○内山安全管理担当部長 富士山の大規模噴火の発生時には、都営交通においても運休や遅延などが想定されておりまして、迅速な復旧が重要でありますことから、令和七年度早期に予定されております東京都地域防災計画の修正を踏まえ、BCPである交通局危機管理対策計画火山編を策定いたします。
 策定に当たっては、噴火予報の発表や降灰があった場合など、それぞれの局面において、早期の運行再開に向けて実施すべき内容を明確化し、タイムラインに整理してまいります。
 また、レール上の灰を取り除くカートや除灰作業に必要な防じんマスク、ゴーグル等を現場に配備するとともに、訓練を通じて職員の対応力向上を図ってまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。それぞれの局面において、タイムラインにしっかりと整理をして、訓練などもやっていくということでありました。
 これは全ての防災施策にいえることでありますけれども、しっかりとそれを想定して、いつ起こってもいいように訓練をしていくということが非常に重要でありますので、なかなか火山噴火というものをリアルに想定して訓練するということの難しさもあろうかというふうに思いますけれども、積極的に、それこそスタートアップなどの新たな知見なども活用しながら、こうした火山の降灰対策などもしっかりと備えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いをいたします。
 続きまして、脱炭素でエコな移動手段というものも、この経営計画には位置づけられておりまして、こちらも伺いたいというふうに思います。
 さきの交通局の委員会においても、脱炭素の取組などについて、私も質疑をさせていただきましたけれども、今年の四月に、国内初めてということで、バスの営業所内に水素ステーションを開所いたしますということだと思います。現在、八十両導入をしているFCバスというものを、計画期間中に、この中では百両まで拡大をするということが本計画には記されております。脱炭素の取組に向けて、率先して交通局がFCバスの導入に向けても取り組んでいただいていることを評価したいというふうに思います。
 先日の事務事業質疑の際には、EVバスの導入について質問をさせていただきまして、来年度早期に、二両をパイロット導入するということや効率的な充電方法なども検証を進めますというようなご答弁をいただいたところでもございます。
 脱炭素の取組などについては、ゼロエミッション東京の実現に向けて、交通局、取り組んでいただいているところではありますけれども、やはりなかなか交通事業でありますので、電力消費が非常に多いというところ、こうした現下の状況下の中で、カーボンハーフの取組を進めていくというのは、非常になかなか大変なのではないかなと思います。
 そうした意味では、さらなる取組が必要だというふうに考えますけれども、まず足元の状況ということで、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けたこれまでの取組と課題について伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 交通局では、これまで、照明のLED化や省エネ効果の高い車両への更新等を進め、CO2排出量の抑制に努めるとともに、庁舎等への太陽光発電設備の設置や当局の水力発電所で発電した電力の活用により、再生可能エネルギーの利用を拡大してまいりました。
 一方で、都のカーボンハーフの基準である二〇〇〇年度と比較しますと、大江戸線の全線開業や日暮里・舎人ライナー開業の影響に加えまして、電車の運行本数の増加やエレベーター増設などサービス向上も進めてきた結果、CO2排出量は増加しており、二〇三〇年カーボンハーフの実現には、二〇二三年度のCO2排出量約二十六万トンから、さらに約十五万トン削減する必要がございます。

○後藤委員 なかなか難しいというご答弁かなというふうに思います。できることはやってきたということで、照明のLED化とか、省エネ効果の高い車両への変更などなどやってきていただいたということでありますけれども、一方で、大江戸線も全線開業しているということや日・舎ライナーも開業しているということで、基準年よりも――交通網が発達すればするほど、なかなか難しいということで、これも基準がなかなか、結構こういう交通網は発展していくのが、首都東京の場合は基本、数字、しばらくは基本だというふうに思いますので、なかなか難しいかなというふうに思いました。
 特に、二〇二三年度の二十六万トンから、さらに十五万トン削減することが必要ということで、これをどうやっていくかということだというふうに思いますけれども、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向けて、今後どのようにCO2排出量削減に取り組んでいこうと考えているのか伺いたいと思います。

○一條技術企画担当部長 交通局のCO2排出量の大半は、地下鉄で使用する電気に由来しております。このため、LED化等の既存の取組の推進に加え、電力市場の動向等に留意しながら、電力会社から再エネ由来の電気を調達し、排出量の大幅な削減を図ってまいります。
 こうした取組を通じまして、二〇二七年度までに、局のCO2排出量を二〇〇〇年度の七五%以下とすることを目指すとともに、二〇三〇年カーボンハーフの実現に向け、さらなる取組を検討してまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。なかなか、再エネ由来の電気の調達以外に、大幅にこうした取組を進めていくほかないのかなというふうに思いますけれども、ただ、今の答弁の中では、さらなる取組も検討していきますということもありました。割と交通局の中では、EVバスもそうですし、先ほどの答弁の中にもありましたFCバスなどなど、積極的に脱炭素の取組、進めていただいていますので、今後も新たな技術の活用などなど、こうした状況も見ながら、できるものはしっかりと積極的に取り入れていただくようによろしくお願いをいたします。
 また、この経営計画の中には、持続可能な事業運営についても記されています。やはり持続可能性という意味を考えると、目下の状況の中で、最も今、大きな課題の一つは、バスの乗務員不足なのではないかなというふうに思います。さきの事務事業質疑でもそうですし、先般の代表質疑や予算特別委員会などでも、多くの議員の皆さんから、バスの乗務員不足に対する対応を求める声が上がっているというふうに思います。
 こうした中で、一つの代案として期待をされているのが自動運転技術ということでありまして、この新たな計画の中にも、バスの自動運転技術の実装に向けて、まずは都営バスのエリア内で実証実験をしますということが書いてあるわけであります。
 都営バスにおけるバスの自動運転を行う上で、まず、どのような課題があると認識をされているのか伺いたいと思います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスは、都内の厳しい走行環境で運行しており、自動運転の導入には、交通量が多い道路における駐停車車両等の回避や、自転車や歩行者等の飛び出しなどへの対応、急制動時のお客様の安全確保などの技術的な課題がございます。
 また、自動運転のシステムや安全性に対するお客様や地域住民の方々の理解など、社会的に受け入れられる環境が整うことも必要と考えております。

○後藤委員 ありがとうございます。非常に、都内は自動車なども含めて交通量が多いということで、なかなか自動運転をするには不確実性が高いということで、実装化することの難しさがあるというご答弁であったというふうに思います。
 しかしながら、今、各地で、自動運転技術は地域で競うように実証実験なども進めているところでもありまして、東京都でも、こうした新たな技術を使った交通手段という意味でいえば、空飛ぶ車も、来年度、実証実験、実証走行に向けた具体の取組が進んでいきますし、やはりもう少し地に着いた取組ということでいえば、バスの自動運転、これはやはり非常に都が先鞭をつけて進めていくものであるというふうにも期待をしているところであります。
 バスの自動運転に向けた検討状況について伺いたいと思います。

○和田バス事業経営改善担当部長 自動運転につきましては、新たな経営計画において、計画期間中に、都営バスの運行エリア内で実証実験を行うこととしております。
 現在、最新の技術開発の動向について、開発事業者へのヒアリングや、国や関係局との意見交換を行うとともに、自動運転に適した路線や使用する車両の選定等について検討を進めてございます。

○後藤委員 ありがとうございました。実証実験をやっていくということで、自動運転に適した路線や車両の選定などについても検討をしていくということで、一歩ずつ前に進んでいくのだということが確認できました。
 これから様々な具体を詰めていくということかというふうに思いますけれども、やはり東京広しです。東京都内といっても様々な状況があるわけで、実証実験をせっかくやっていただくのであれば、やりやすいところという観点だけではなくて、やはり都民からして、実証実験、自動運転が実際に走ることで、その利益をしっかりと享受できる、じゃあ地域はどこなのか、路線はどこなのか、様々なテストケースで、実証なので、そこをもって、できる、できないを、今後本格的に検討していくということだと思いますので、実証にふさわしい様々な実証実験をしていただきたいというふうに思いますので、ぜひともよろしくお願いをいたします。
 最後に、この経営計画の最後ですけれども、経営計画の中の、経営の見通しについて伺いたいというふうに思います。
 これまで、都営交通、コロナ禍においては、交通量が大幅に減少するというこうした状況下の中で、大変厳しい経営状況にあったというふうに認識をしております。しかしながら、コロナが明けて、都営交通、様々なバスや都営地下鉄など、乗客も戻りつつあるというふうに認識をしております。
 ただ一方で、目下の物価高騰などなどもありまして、この経営の見通しについても予断を許さない状況であるのかなというふうに思いますけれども、そんな中で、この計画を見ていますと、計画期間中に、都営地下鉄をはじめ、都営交通の四事業については、経常損益が悪化するという見通しになっていますけれども、これはなぜなのか、理由を伺いたいと思います。

○渡貫企画担当部長 都営交通では、沿線人口の増加などに伴い、今後も一定程度、乗車料収入が増加するものと見込んでございます。
 一方、支出面では、コストの縮減に努めているものの、さらなる物価の高騰や人件費単価の上昇に加え、施設設備の老朽化対応に伴う減価償却費の増加などにより、収入の伸びを上回って費用が増加し、計画期間の三か年で、いずれの事業も経常損益が悪化する見通しとなってございます。

○後藤委員 乗車料収入は増加をしているものの、やはり施設の老朽化などの対応などで、経常損益が悪化する見通しだという話でありました。私の地元の日暮里・舎人ライナーも、なかなか収支が難しい、そして、おじま都議のいる都営大江戸線も、今、延伸に向けての議論が進んでいるところでありますけれども、やはり収支採算性と公共性が両立をしていくというところは、なかなかそのタッチポイントを見つけるというのは非常に難しいことだというふうに思いますけれども、やはり都営交通ということでもありますので、ある一定程度は、公共性や都民のニーズに即した対応ということを重視して取り組むことも重要なのかなというふうに思っています。
 一方で、やはり収支を改善していくという意味においては、しっかりとこの都営交通の稼ぐ力そのものを高めていく取組ということも重要であるというふうに思っておりまして、特に関連事業ですよね。
 民間の鉄道事業者なんかと比較をすると、やはりJRさんなんかは、駅ビルを建てたりとか、ホテルを建てたりとか、鉄道の関連事業で非常に収支を安定させているという側面もあるというふうに思います。JR東日本の経営状況と比較をしてみると、そうしたいわゆる関連事業というものの全体に占める割合が二八%ということで、三割近くを民間の鉄道会社などでは占めているのに対して、都営交通では、この関連事業費というのが六・二%ということで、大体五倍弱ぐらい違いがあるということであります。もちろん、JR東日本さんなどは、地面の上にも建物が建てられるとか、全然前提条件が違いますので、同じようにどんどん建てればいいというわけではないんですけれども、やはり今できるものの中で稼ぐ力を高めていくような取組は、でき得る対策なのかなというふうに思います。
 関連事業をより一層推進していくべきだと考えますが、見解を伺います。

○築田資産運用部長 交通局では、経営基盤の強化に資することなどを目的に、不動産や広告、構内営業などの関連事業を展開しております。事業を進めるに当たりましては、お客様のニーズや地域の特色等を踏まえ、保有する資産を有効に活用し、収益力の強化や利便性の向上を図ることが重要と考えております。
 こうした考えの下、既存の広告媒体も含めた、より魅力的な広告商品の開発や販売を促進するとともに、既に開始していますベビーカーのレンタルや乳児用液体ミルクなどを購入できる自動販売機のような、駅利用者の利便性向上に資するサービスの展開にも取り組んでまいります。
 また、西新宿三丁目西地区の市街地再開発事業等へ参画し、周辺まちづくりに貢献するとともに、取得する資産の利活用を検討してまいります。
 これらの取組を積極的に進め、関連事業のさらなる推進に努めてまいります。

○後藤委員 ありがとうございました。取得する資産の利活用も検討しますというご答弁でありまして、ぜひ積極的に進めていただきたいというふうに思いますし、ベビーカーのレンタルや液体ミルクの販売なども、会派の要望などもあって、これまで、こどもスマイルスポットという形で拡大をしていただいているところであります。子供も含めて移動しやすい環境整備ということからも重要だというふうに思いますし、あとはユーザーのニーズをぜひつぶさに調査していただいて、よくJRとかだと、駅の構内にコンビニがあったりとか、ちょっと欲しいものが、ちょっとお金を落とすような仕組みがやっぱりうまいなと思うことがありまして、ぜひしっかりとそのあたりも、公共性を担保しつつ、しっかり稼ぐ力を高めるような取組についても検討をしていただくようにお願いをしたいというふうに思います。
 すみません、時間もぎりぎりですが、最後に、私の地元でもあります日暮里・舎人ライナーについてお伺いをしたいというふうに思います。
 新交通ということで、雪に弱い日暮里・舎人ライナーでありまして、去年の二月も、大雪の際に車両がスリップをしてしまいまして、運休になったということがありました。今年も、今月の上旬に降雪の予報が出ておりまして、私も大変心配をしておりまして、交通局の皆さんとすごく心配をしながら当日を迎えたわけでありますけれども、大事には至らなく、安心をしております。
 ライナーでは、降雪の予報に備えてどのような対応を行っていたのか、また、今後も降雪の可能性があると思いますけれども、交通局のさらなる対策について伺いたいと思います。

○内山安全管理担当部長 今月四日は降雪が予想されたことから、お客様に対しては、列車の遅れや運行停止の可能性について、駅構内の掲示板やホームページ、SNS、都営交通アプリにより、前日から注意喚起を行いました。
 また、勾配が大きい区間に設置しているロードヒーターをあらかじめ稼働するとともに、走行路に凍結防止剤を散布いたしました。
 さらに、状況に応じて速やかに対応できるよう、お客様へのご案内等に必要な要員の手配、除雪用ブラシを装着した列車の準備を行うとともに、列車が駅間停車した場合に備え、ハイヒールを履いたお客様などに安全に避難いただくための靴を用意いたしました。
 来年度は、走行路の凍結による輸送障害の未然防止を図るため、過去の状況等を踏まえ、ロードヒーターを増設する予定でございます。

○後藤委員 ありがとうございました。大変寒い日に、走行路に凍結防止剤を散布していただいたり、様々ご対応をいただいた交通局の皆様に、まず感謝を申し上げたいというふうに思います。
 また、ロードヒーターを増設していただけるということで、これが一番効果があるかなというふうに思っておりますので、これによって、今後の、今年ちょっと雪が降ることはないかもしれませんけれども、今年、来年の降雪時にどのように変化があるのかについても期待をしたいというふうに思います。よろしくお願いをいたします。
 そして、混雑緩和対策につきましては、さきの事務事業質疑でも、私から交通局の皆様に要望をさせていただいたり、あるいは先日、この日暮里・舎人ライナーの混雑緩和対策につきましては、足立区の近藤区長と共に久我局長に要望書も提出をさせていただきました。私も同席をさせていただきましたけれども、やはり四年連続で混雑率ワーストワンということもありますので、今でき得る対策はやっていただいていると思いますけれども、何かできないかということで提案をさせていただきましたのは二つです。時差通勤のさらなる推進ということと、代替輸送の実行ということであります。
 まず、この時差通勤の推進について伺いたいと思いますけれども、先月実施をしたライナーの時差ビズキャンペーンについて、地元区との具体的な連携内容も含めて伺いたいと思います。また、今後も効果的なキャンペーンを検討していただきたいというふうに考えます。見解を伺います。

○稲垣鉄軌道事業戦略担当部長 日暮里・舎人ライナーでは、都営交通の乗車ポイントサービス、ToKoPoを活用し、平日のオフピーク利用を促進する時差ビズキャンペーンを実施しております。
 本年二月に実施をいたしました冬の時差ビズキャンペーンでは、平日のオフピーク時間帯の利用に対しまして、一日当たり一〇〇ポイントを付与するとともに、より多くの方にご参加いただけるよう、局ホームページ等によるご案内に加え、足立区の協力を得て、区役所や沿線の駐輪場などにPRポスターを掲出し、広く周知を図りました。
 今後、区とも連携しながら、オフピーク通勤のさらなる促進に向けて取り組んでまいります。

○後藤委員 冬の時差ビズキャンペーンについてご答弁をいただきました。私も実際に日暮里・舎人ライナーを利用されている方からお話も聞きましたけれども、やはりこの時差ビズキャンペーン、ポイント、ポイントのキャンペーンということもありまして、利用者の皆さんに認知をされるまでにも少し時間がかかるのかなというふうに思います。ぜひ連続的に取組を進めていただきたいなというふうに思いますので、積極的な周知とともに、併せて取組の拡大を要望しておきたいというふうに思います。
 また、代替輸送につきましては、先般も予算特別委員会の総括質疑の中で、会派から提案をさせていただきました。日暮里・舎人ライナーの下を走る都バスなどを使って代替輸送をしていくということも提案をさせていただいたわけでありますけれども、その際に、日暮里・舎人ライナーの、バスを活用した社会実験の具体的な内容について、今後、区と協議をしていきますという答弁を得たところであります。どのような検討を行っていくのか伺いたいと思います。

○渡貫企画担当部長 日暮里・舎人ライナーの混雑緩和に向けた、足立区との協働によるバスを活用した社会実験につきましては、実施時期や時間帯、運行区間、バス乗務員の確保、費用負担を含む区との役割分担などを整理する必要がございまして、今後、区との協議を進めてまいります。

○後藤委員 足立区西側地域の皆様の悲願でもありますから、ぜひとも積極的に取組を進めていただきたいというふうに思いますし、開始時期については、何年もかかるということでは困りますので、例えば来年とか、具体的に見える早期の時期の中で、ぜひとも急ピッチで検討をしていただきたいというふうに思います。
 また、運行区間などについても協議するとありましたけれども、やはり朝はなかなか日暮里・舎人ライナーの下も混雑をしていますから、例えば急行便をつくるとか、あとは要望したいのは、足立区と協議をしたときにも、私からも重ねて要望させていただきましたけれども、代替輸送という実験をするのであれば、やはりライナー券が使えないと、日暮里・舎人ライナーの通勤定期券ですね、こちらが使えないと、代替輸送の意味がありませんので、しっかりこれも使えるようにしていただきたいというふうに思います。
 あと、バスの乗務員ですね、これ、非常に難しい。既に、東京都もバスの乗務員不足という状況もありますので、例えば民間事業者と足立区ともよく協議をしていただきながら、朝の時間帯のみという形で連携をしていただけるところがないかなども、きめ細かくフォローをしていただいて、足立区ばかりが負担になるということのないように、しっかりと東京都としても誘導しながら、前向きに進めていただきたいと強く切にお願いを申し上げまして、私の質疑を終わります。

○慶野委員 あらゆる職種、業界で人材不足、これは仕方ない時代に入っております。そうした中でも、運輸業界二〇二四年問題、トラックやバス、これも人材不足、これもしようがないことですけれども、その先、どのように、この人材不足の中で運行休止、減便などを防いでいくのか、守っていくのか。
 私の地元の荒川区では、コミュニティバス、民間に頼んでおりましたけれども、費用負担をどれだけ申し出ても、人がいないのでやめますということで、今年度いっぱいでの撤退が決まっております。要は、お金じゃなくて、既にもう人の問題で、どれだけお金を投入しても、もうできないというような民間の状況もあります。
 そんな中で、公共交通、公営交通である都営交通も、運転士、それから保守職員も含めまして、支えてくださっている皆さんの人材の確保、人に焦点を当てて、幾つかお尋ねしたいと思います。
 一点目は、都電荒川線、路線が一本ですから、どの程度の方が働いているのか、関連する、関心のある皆様にも分かるように、都電荒川線というのは、全体で何名の方で運営がされているのか、まずお伺いしたいと思います。その上で、そのうち運転士は何人なのかお答えいただきたいと思います。

○櫻庭職員部長 令和六年三月三十一日現在で、軌道事業全体で百十四名の常時勤務職員が在籍しておりまして、このうち路面運転士は八十七名となってございます。

○慶野委員 百十四名で都電荒川線を担っていただいて、八十七名、大半が運転士と。事前に確認させていただいたところ、この八十七名は、必要人数におおむね近い人数で、これだけいれば、今は安定的に運行ができると。この大半が運転士という状況ですけれども、平均年齢が高い状況もあって、これから退職をどんどん迎えていく。
 その退職人数に見合った新たな運転士というものを確保していかなければいけないことになると思いますけれども、最近の路面運転士の採用選考状況をお尋ねいたします。

○櫻庭職員部長 令和四年度から六年度に実施いたしました路面運転士の採用選考の応募者数は、順に、六十三名、三十七名、三十五名と年々減少しております。
 また、職員の退職などに伴い、採用者数は増加していることもございまして、応募倍率は、同様に、二十一倍、六・二倍、四・四倍と低下しております。

○慶野委員 ご答弁いただいたとおりですけれども、六十三人応募があった令和四年から、三十七人、そして三十五人と応募者が減少しております。
 今後、こうした状況で、退職者数が増える、なのに応募人数が減ってしまうという、こういう状況の中で、人材確保に向けて、どのように取り組んでいくのか見解を伺います。

○櫻庭職員部長 路面運転士におきましては、令和七年度の採用選考から、応募者の裾野拡大を図りますため、受験資格の年齢要件を、これまでの二十歳以上三十歳未満から、十八歳以上三十五歳未満に拡大いたしますとともに、動画やSNSなどを活用した採用PRの強化などに取り組むことで、必要な運転士の確保に努めてまいります。

○慶野委員 今、若者のキャリア形成というのは、三年以内に離職してしまう人、どうしようかとか、他局の話ですけれども、私も様々、青年層のお話を伺いながら、中には新卒で就職したその瞬間に、転職の申込みをしている人たちも見受けられるといったことを本会議でも取り上げさせていただきましたけれども、人材の裾野を広げるというご答弁で、今までは二十歳以上で三十歳未満、つまり二十代の人だけで応募していたものを、今後は十八歳以上三十五歳未満にするというふうに変更する。十八歳からとなることで、やはり高卒の人が申し込みやすくなったり、二十歳まで待たなくていいわけですから、進学してしまって、二十二歳になってしまうということもありませんし、大きくきっかけづくりになることと思います。
 また、三十五歳未満ということで、二十二歳から民間の他の企業に入った人たちが、多くの人は、今、データを見てみると、二度、三度と、三十代までに転職をしていく。そして、三十を過ぎたときに、キャリア形成に行き詰まる。何度か、二年ごと、三年ごとで転職を繰り返していく中で、三十過ぎると、途端に新たな就職先が見つからなくなったり、活況だとはいえ、就職できたとしても、最初の新卒で入社した会社のお給料まで届かなくなってしまう。こういう相談が、私たちの下にもたくさん届いている状況を考えると、三十五歳未満までを募集の対象にするということは、極めて賢明な、今後の人材確保に向けた策だと思います。
 路面運転士、来年度選考をこのように拡大していく中で、都電荒川線が地域の人の足であるということと同時に、都電荒川線という歴史のある最後の荒川線、路線を守っていってほしいという希望を込めまして、今、確認をさせていただきました。
 次に、運転士だけではなくて、運転する人が乗る車両は、朝、自然と走っているわけではなくて、日々メンテナンスをしてくださっている保守職員の存在があって初めて安全な運行ができているわけですけれども、交通局では、地下鉄やバス、保守を担う交通技能の職員の採用を行っておりますが、交通技能職員採用選考の状況についてはいかがでしょうか。

○櫻庭職員部長 交通技能職は、地下鉄の車両整備、電気設備や軌道の保守、バスの整備を行う職員でございまして、その採用選考の状況につきましても、路面運転士と同様に応募倍率が低下しております。

○慶野委員 資料にもありましたけれども、やはり年々応募が減ってきていて、特に電気、令和六年、三・四倍、整備は五・二倍ということで、確実に減り続けている。やはり、就職、転職の市場が活況の状況ですから、こうした中で、終電後に始発までの間に限られた短時間で、しかも深夜の作業を行わざるを得ないというこのお仕事を、どのように魅力に感じて選んでもらえるのかっていうのは、かなり難しい状況ですから、漫然と今までどおりのルール、募集の在り方で行っていれば、減ってきてしまいました、人手不足の状況ですので仕方ありませんということになりかねません。
 交通技能職員の人材確保に向けて、ある程度攻めていく改革が必要だと思いますけれども、見解を求めます。

○櫻庭職員部長 今年度、自動車整備、電気、電車整備におきまして、採用選考を年二回実施いたしましたほか、受験可能な上限年齢の引上げを行いました。
 また、自動車整備におきましては、学歴や資格などの有無を問わず受験できますよう、受験資格の見直しを行ったところでございます。
 さらに、令和七年度の採用選考から、電気、電車整備においても受験資格の見直しを行うなど、応募者の裾野拡大を図ってまいります。
 今後のこうした取組によりまして、地下鉄やバスの車両整備や保守などを担う人材の安定的な確保に努めてまいります。

○慶野委員 学歴や資格の有無を問わない、そして年に複数回行ったり、こうした工夫を重ねて、保守職員の確保をしていくということでありました。
 乗務員不足、最も喫緊の課題となっているのは、これまでも出てまいりましたけど、バスの乗務員の確保、不足であります。二〇二四年問題で、民間も本当に大変な思いをして人材の確保をしている。そもそも、今、バスとか、なりわいとする、ドライバーとなるということにかかわらず、若者の車離れで、もともと免許すら取らないという若い人、たくさんいるんですね。免許を身分証明書代わりに取ったとしても、車なんか持っていないという方もたくさんいらっしゃいますし、いわんや、こういう中で大型二種免許を取得して、バスの運転手をなりわいとしていってもらう、都営交通、交通局を選んでもらうという、何重にもハードルがあるわけです。
 バスの乗務員というのは、勤務時間が特殊な上に長い。そして、変則的勤務体系であったり、料金の収受とか、様々なお客様の対応をいわゆるワンオペで行うという、もう大変なお仕事を、ただ運転だけすればいいわけじゃなくて、交通環境で安全でなければいけない上に、いろんなお客さんが乗り降りしてきて、そのお金の支払い方も、今、変革の最中ですけれども多様ですし、お体が悪い方もいらっしゃる、若い方からご高齢の方までいる、これ、一人で全部何のサポートもなくやっていくという、困難な事例を挙げていくだけでも、本当に大変なお仕事であるにもかかわらず、処遇面がどうなっているのかというのが、あまり一般の方というか、目指して来られる方にとっては分かりにくい面もあると思いますので、お金の話をするのが適当かどうかは別として、交通局として、どういう対応になっているのかということを確認します。
 都営バスの運転手になると、身分は公務員になるわけです。この公務員である運転手の平均年齢五十・四歳、そして平均労働時間は二千九十三時間、平均年収は六百六十一万円となっているそうであります。事務職員に比べると、百四十時間、お仕事の時間が長くて、平均年齢でいえば八歳も上、四十二・九歳に対して五十・四歳ですから、八歳近く上にもかかわらず、平均年収は六十七万円低い。いっぱい働く、しかも年齢も高い、なのに収入が低いという、数字だけで比べてしまうと、何もメリットを感じない職場ということになってしまいますけれども、都営交通でバスの乗務員になると、どういうキャリアを形成していって、つまり、どういう人生を歩んでいけるのか。そこには、やはり労働ですから、その対価として収入というのも、また身分というのも重要になってくると思います。
 バス乗務員のキャリアパス、交通局ではどのようになっているのかお伺いします。

○櫻庭職員部長 交通局では、運輸系職員を対象に、独自の人事任用制度を設けておりまして、将来設計などに応じて、ご本人がキャリアを選択できる制度となっております。
 バス乗務員をはじめ、駅係員や保守係員など運輸事業を担う職員は、採用時の運輸主事に始まりまして、選考によって、グループリーダー、助役などを経て、部長まで昇任することが可能となっております。

○慶野委員 志高く真面目にやっていけば、いわゆる本庁でいうところの部長職までは昇進することができるということで、先輩たちの課長、部長、本庁でいう課長、部長に。確認しましたら、課長さんというのは営業所長クラスということでしたけれども、そうした営業所長にまでなられた運転手出身のというか、経験者で営業所長になっている方々が、やはり若手の運転手の皆さんにも、頑張って働く中で、運行管理する側、営業を管理する側にまで、ここまで昇進する、そして、それに見合ったお給料をもらえるようになると、本庁でいう部長にまでなれるんだということが、働く皆様の希望になれば、中途退職するようなこともなくなっていくのかなと思います。
 逆に、運転が好きで、バスの運転手を、ドライバーを選んだ、こういう方にとっては、事務所で働く、営業所で机の前に座っているというよりも、生涯運転していきたいんだという方も多くいることと思います。
 バス運転手として仕事を続け抜いた場合、どこまで昇格できるのでしょうか。

○櫻庭職員部長 バス乗務員として乗務を継続する場合、同僚ですとか、後輩の育成などにも携わります二級職のグループリーダーまで昇任することが可能でございます。

○慶野委員 運転手一筋という、これが技術なのか、事務なのかは別として、運転手一筋という仕事を選んで、仕事というか、その生きざまを選んだとしても、二級職まで行けて、事前に職員の制度体系、いただきましたけれども、バス運転手、およそ約二千名前後いる中で、助役七百名、この助役の手前まで、リーダーにまでは上がって、人材育成に携わっていける。自分の経験、運転手としての魅力、こういうことを語りながら働き続けていくことができる。助役にまで最後、昇格すれば、課長、部長になるそのチャンスまで手に入れることができるというお話でございました。
 最後、話の角度を少し変えますけれども、交通局に今、ご答弁をいただいてきたように、都営バスで一生懸命ドライバーをやっていくことで、これほど身分を守られながら、そしてやりがいを感じながら、キャリア形成も見据えながら働き続けられる職場になればなるほど、民間のバス事業者の皆さんとの差が広がりかねない。
 民間ではやはり、難しい話は飛ばしますけれども、民間事業者の団体から、私どもにもいろいろな要望が届いております。バス事業者の運転手、せっかく免許まで取らせて育成してきたのに、いろいろな事情で都営バスに移ってしまう人がいる。これは、こちらから引き抜いているのか、いろいろな話の中で魅力に感じて来てもらっているのか、この実態は一人一人に聞かなければ分かりませんけれども、やはり引き抜かれた側としたら、表現としては、交通局に取られたという思いになるのは致し方ないわけであります。
 民間バスの事業者から転職してくる方が事実、多い中で、今後、バスの乗務員、人材確保、交通局の確保、また民間も含めた人材確保をしていかなければならないという状況の中で、交通局、どういうふうに、こうした声がある中で取り組んでいかれるのか。申し訳ありません、こんなことを聞いて、すみません。

○櫻庭職員部長 交通局では、これまで、採用選考の受験資格の対象年齢の順次拡大ですとか、大型二種免許をお持ちでない方を対象とした養成型選考の実施、動画やSNSなどを活用した採用PRの充実に取り組んでまいりました。
 来年度は、民間バス事業者の厳しい人員状況を踏まえつつ、人材確保を図るため、養成型選考による年間の募集人員を倍増いたしますとともに、短時間勤務の導入による交通局OBなどの活用を図ってまいります。
 今後、こうした応募者の裾野を広げる取組を一層進めまして、バス乗務員の確保に努めてまいります。

○慶野委員 ありがとうございました。交通局は、努力に努力を重ねております。ただ、人材、労働人口そのものが減っている中で、特にドライバーを選択するという人が顕著に減っていく。二〇二四年以降、引き続きこういうことが起きていく。この乗務員の処遇改善等は、民間企業にあっては、これ、交通局のせいではなくて、交通局は一生懸命確保しながら、その処遇に合った――交通局を一つのサンプルとしながら、民間事業者には、他局が何らかの形で賃金アップをするような政策、それから経営そのものを下支えするような中小企業への支援というような、他局がそういうサポートをしていくように、我が会派も促していかなければならないと考えております。
 その上で、交通空白が生まれないように、それぞれが補完し合って、民間と交通局とがしっかりと同じレベルで切磋琢磨していける環境をつくっていくためには、交通局の努力と併せた企業への支援を、他局を含めてしっかり行っていくということを、今日は、人の面からの質疑を確認させていただきまして、民間へのサポートも必要という結論で終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

○福手委員 よろしくお願いします。共産党の福手ゆう子です。
 まず最初に、ちょっと地元の問題をやらせてもらいます。
 文京区内にある向丘二丁目のバス停について伺っていきます。
 駒込駅南口から本郷通りを御茶ノ水方面に走る都バス茶51や、荒川土手から東京駅へ走る東43のバスが停車する向丘二丁目のバス停は、現在は長元寺というお寺の前に設置をされています。
 このバス停は、かつて道路工事のために、御茶ノ水方面にバス停が一時移動しました。そして、その後、二〇〇六年、平成十八年八月頃、再び地先の工事との関係で、さらに御茶ノ水方面に移動をし、今の場所に移動をしてきました。その結果、次のバス停、向丘一丁目のバス停に接近し、バス停間の距離が百メートルほどになり、逆に手前の吉祥寺前のバス停との間が約八百メートルと開いてしまいました。こういう状況の中、近隣住民や商店、お寺の住職などから、白山上の商店街で買物をした帰りにバスに乗りたいのに、離れてしまって使えない、地下鉄とアクセスしにくくなった、バス停を白山上寄りに移してほしいという声が上がっていました。
 伺いますが、交通局は、向丘二丁目のバス停の移転を求める住民の要望をどのように受けてきたのか伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 向丘二丁目停留所につきましては、平成十七年度に、地先から移設の要望を受け、移設先を探し、翌年度、御茶ノ水駅方面に約百メートル移設いたしました。その後、ご利用の方々から、他の系統のバス停や地下鉄駅から遠くなったとして、改めて移設要望を受けております。

○福手委員 平成十八年からということでは、二十年近い前からの要望だということですね。バス停の移設直後から、近隣住民や町会からも東京都に移転の要望を伝えてきていて、地元の区議などもバス停を戻すよう要望してきた、そういう経過があります。
 直近では、二三年に、移設を求める三百七十三筆の署名簿を住民の方々と共に私も一緒にお渡しして、実現に向けて、みんなで働きかけをしてきたという経過があります。
 このように、住民の要望、以前から上がっておりましたが、移転に向けて、今後どのように進めていくのか伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 停留所の移設につきましては、お客様の利便性への影響だけでなく、道路管理者及び交通管理者からの許可、停留所の設置先の地権者などの了承を得る必要がありまして、引き続き検討することとしてございます。

○福手委員 バス停の移設で一つ課題となっていたこととしまして、白山上にある三井住友銀行白山支店が、以前は入り口が本郷通りに向かって設置をされていて、バスの車窓から店内が見えてしまうという懸念が挙げられていました。しかし、その後、銀行は入り口の位置を移動し、車道沿いにある窓にはブラインドが設置され、店内が見えてしまうという課題も解決をされてきたという経過があります。
 先ほど、引き続き検討というふうにお答えしていただきました。向丘二丁目バス停の移設の問題は、住民の皆さんの長年の要望ですので、ぜひ実現するよう、引き続き取り組んでいただくことをお願いしたいと思います。
 次に、交通局経営計画では、バス乗務員の担い手不足ということで課題が挙げられています。そのことに関わって、バスの便、それからバス乗務員の定数のことについて聞いていきたいと思います。
 都民からは、来年度、バスがあちこちで減便されるんじゃないかという心配の声が上がっていますが、令和七年度のバスの廃止、減便の計画を伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 今春のダイヤ改正におきまして、土曜、休日のみ運行している一路線を休止、車庫から起点となる停留所まで営業運行している三路線を回送運行に変更いたします。
 減便数につきましては、現在精査を進めているところでございます。

○福手委員 例年は、この時期に、来年度の減便数など、具体的にお聞きできる状況になっているんですけれども、今はまだ精査中ということで、難航していることが分かります。
 今の段階で、交通局のホームページに、幾つかの路線が運行終了や休止、廃止のお知らせが出されています。例えば、葛西駅前から錦糸町駅前を走るFL01というバスは、土休日のみの路線になっています。これは運行休止とありますが、中身を見ると、二十七便全てがなくなるという内容になっています。
 今、答弁されたように、土日のみ運行の路線や、もともと少ないダイヤで走っていた路線、あと補完している路線など、基本的に利用者が少ない路線が減便の対象となっています。
 しかし、減便の根本的な要因というのは、やはり乗務員の不足によるものです。また、はとバスが走らせている路線の減便もあります。それも、乗務員確保の困難によるものです。都バスのルートの近くを民間バスが走っているから、都バス路線を廃止しても構わないという判断があったのではないかと思いますが、民間バスも同様に、乗務員不足の課題がありますので、減便してよい理由にはならないのだと私は思います。
 韓国では、ソウルなどの大都市で、市内の全てのバス路線をエリアに分けて、民間バスと公共バスで路線を分担して、低廉な運賃で利用ができるようになっています。ソウル市は、バス交通を一括して公的に管理したことで、バス労働者は雇用の改善がなされ、民間バス事業者は安定した経営が保障されています。私たちは、ソウル大使館に行き、移動権について確認、認識をお聞きしたところ、移動権は、現行の憲法には規定されていないものの、幸福を追求する権利や平等権、人間らしい生活をする権利から間接的に生み出すことができ、一般的には、当然保障されるべき基本権と認識されているというふうに話されていました。
 また、そのほかには、フランスでも、赤字だから減便するという考え方ではなく、赤字を補填することこそ必要という考えに至っています。
 局としても、乗務員確保のために努力をされているということは、こちらも認識をしています。しかし、やはり赤字だから減便、もともと少ないから影響は少ないと減便していくと、やはり市民の交通権というのは保障されなくなってしまいます。赤字の路線も維持するための交通政策、これを考えていく必要が、いよいよ必要になっているんだと思っております。
 これまでも、減便するとさらに利用しづらくなり、利用率がさらに減っていくという状況がありますが、これまでバスの廃止や減便したことによる影響を調査したことというのはあるのでしょうか、伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、運行実績の分析や営業所からのヒアリングを行うとともに、お客様から寄せられたご意見なども参考に、状況等を把握しております。

○福手委員 例えば、先ほどもいいましたけど、荒川土手から東京駅に行く都バス東43というのは、駒込病院の前に止まるんですけれども、何年か前に、駒込病院から先に行く便というのが減ってきたんですね。高齢化が進む中で、減便されて困っているっていう声は変わらずあるわけです。
 減便した路線などの実績や営業所にヒアリングなどをして、次の見直しに生かしますっていう答弁がありましたが、運転手不足という中で、増便より減便が見直しの中心になってはいないかと率直に思ってしまうような減り方です。利用率だけで減便するべきではないと思います。
 特に、路線バスの運転手は、先ほどのお話にもありましたが、本当に大変なお仕事だと思っています。日常的に人の命を預かり、早朝、深夜の勤務や様々な利用者の対応など、求められる仕事です。こうした中で、なかなか人が集まらないという状況があるのではないでしょうか。
 バスの乗務員の労働環境を抜本的に改善し、安心して仕事が続けられる環境づくり、そしてバスの便数を増やしていくことがやっぱり必要です。
 次に伺います。新年度のバス乗務員の定数が増員をされていますが、その理由を伺っていきます。

○佐藤自動車部長 バス乗務員の職員定数につきましては、主に労働時間等の基準の見直しへの対応により、増員することといたしました。

○福手委員 国の基準告示に対応するための増員ということで、これ、重要な対応です。しかし、住民の大事な足を守るためのバス乗務員の増員もやはり必要です。
 交通局は、都営交通における都民の交通権の保障について、どのように考えているのか伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスは、身近な移動手段として、地域における公共交通ネットワーク全体の利便性や効率性が高まるよう、乗客潮流の変化を的確に捉えて、路線やダイヤの設定を行っております。

○福手委員 交通局経営計画二〇二五では、都営交通が目指す姿について、誰もが円滑に移動できる公共交通を掲げています。都営交通だけにはとどまりませんが、高齢化社会を迎える中、多くの人が身近な地域や生活圏域で暮らし続けるための公共交通の在り方が求められています。
 乗客潮流の変化を的確に捉えてといいますが、少ない乗客であっても、必要な路線はやはり維持するべきだと思います。目指す姿で、誰もが、とあるように、全ての都民の交通権、移動権の実現を目指すことが重要だと思います。そういう立場で、バスの乗務員の増員を進めていただくことを求めておきます。
 次に、痴漢対策についてです。
 交通局は、六月に行っていた痴漢撲滅キャンペーンを、受験シーズンと春の新学期のシーズンにも拡大して行っています。
 このように、痴漢対策の取組を強化してきた背景と、そのような判断をしてきた理由を伺います。

○神永電車部長 痴漢は性犯罪であり、許されない行為であると、もとより認識しており、交通局では、これまでも、犯罪や迷惑行為の未然防止に向け、車内カメラの設置や痴漢撲滅キャンペーンの実施、局独自の啓発ポスターの作成、掲示など、鉄道事業者として必要な対策に取り組んできたところでございます。

○福手委員 キャンペーンでは、アナウンスやポスター掲示、あと巡回の強化なども行われてきました。当初は、ポスターの内容では、痴漢、盗撮に注意と、女性に対して自衛を求める内容のポスターが貼られていたんですが、それが痴漢は犯罪ですっていうふうに変わっていき、そして次には、被害に遭ったとき、第三者が対応を取れば痴漢が止まるということから、今は第三者の協力を呼びかける内容へとポスターも変化をしてきました。そして、大江戸線で女性専用車も導入をしてきました。ですから、局のこの前向きな取組がとても重要だったと改めて思っています。
 それで、二〇二三年一月から導入されてきた大江戸線の女性専用車、これが定着をしてきたと思いますが、どう評価しているのか伺います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、お客様に、より安心してご利用いただけるよう、平成十七年から新宿線で、令和五年からは大江戸線で、平日の朝ラッシュ時間帯に女性専用車を運行しております。
 大江戸線の女性専用車の取組につきましては、お客様からは、安心して利用できるようになったなどの評価をいただいており、おおむね好意的に受け止められているものと考えております。

○福手委員 安心して利用できるようになったと、そして好意的に受け止められているということで、本当に理解が広がって、女性だけでなく、ほかのお客さんにとっても安心して使えるようになって、本当によかったなと思っています。駅係員の皆さんの努力にも感謝したいと思います。
 こうして、大江戸線の女性専用車、定着してきましたが、まだ三田線と浅草線への導入が残されたままです。しばらく課題を共有しているというところで止まったままになっていますので、ぜひ導入へ踏み出していただくことを求めておきます。
 次に、駅のバリアフリー対策について伺います。
 全ての駅にエレベーターを設置するワンルート化が実現しました。次は、二ルート目の設置を進めていくということになります。経営計画では、五駅にエレベーターを設置する目標がありますが、この五駅が選ばれた理由を伺います。

○周郷技術管理担当部長 整備に必要な空間の確保などの課題がある中、駅の構造や周辺状況等を踏まえまして、再開発等の機会も捉えながら、バリアフリールートの充実の対象駅を選定しております。

○福手委員 五駅というのは、瑞江駅、光が丘駅、東日本橋駅、春日駅、大門駅ですね。選ばれた理由としては、駅の構造や周辺状況等を踏まえたというふうにお答えがありました。具体的にはどういう条件かといいますと、病院や障害者施設や、あと官公庁、そして乗降者数、こういったことなどを踏まえて選んでいくということをお聞きしています。
 計画では、先ほどの五駅に設置していくということになりますが、ほかの駅にもエレベーター設置を求める住民の要望があります。これにはどのように応えていくのか伺います。

○周郷技術管理担当部長 バリアフリールートの充実に当たりましては、整備に必要な空間の確保などの課題がございまして、駅の構造や周辺状況などを踏まえながら進めることとしてございます。

○福手委員 実際には、用地の確保に苦労されているという、そういう課題もあるということをお聞きしています。しかし、二ルート目も設置してほしいという住民の要望はかなりあります。
 私の地元の文京区には、三田線の千石駅がありまして、これは国道を挟んで出入口がありますので、今設置されているのとは逆の道路の反対側にも、もう一つエレベーターをつくってほしいという声があります。しかし、この駅は、乗降者数はそんなに多いわけではないですし、大きな病院や官公庁など周辺にあるわけではありません。でも、既にあるエレベーターというのは一人用で狭くて、大きな通りを挟む形で出入口があるので、やはりニーズがあるんですね。
 千石駅に限った話ではありませんが、子育ての支援ということで、NHKが二〇二五年の二月に聞き取りをしているんです。そこでも、子育て支援で上がっている声の中には、やっぱり駅のエレベーターだというのが出ていました。都営地下鉄でも、ベビーカーを駅員が運ぶっていう駅がありますけれども、やはり狭くてベビーカー、一台しか乗れないとか、エレベーターに乗るために何人も待っている駅っていうのがあります。それを改善するために、エレベーター、やっぱりつくっていくということが必要になってきます。高齢化も進んでいる中で、バリアフリーを強化することがとても大事になってきます。
 ワンルート化っていうのは、全ての駅でっていうことで、皆さん、一〇〇%を目指して取り組まれてきましたけれども、二ルート目についても、やはり可能な限り設置するっていう、そういう方針を持って取り組んでいただきたいと、そのことを要望しておきます。
 最後に、Wi-Fiについて伺っていきます。
 経営計画では、デジタルを活用して公共のサービス向上を図っていますが、駅や車内での無料Wi-Fi事業というのがやられていて、これは令和五年の三月で終了をしています。
 その後、計画というのはあるのでしょうか、伺います。

○一條技術企画担当部長 都営地下鉄では、令和五年四月から、訪日外国人向けのサービスとして、都庁前駅でオープンローミング対応Wi-Fiを開始しており、さらなる設置の可能性につきましては、お客様の利用動向などを勘案しながら検討しております。

○福手委員 この以前のサービスは終了したんですけれども、そのときに、何でやめたのかと私は何回か都民の方に聞かれたことがありました。このサービスは、今、答えられたように、訪日外国人向けとしてやられていたんですけれども、普通に都民の方も無料Wi-Fi、使っていらっしゃったんですね。今、答弁があったように、訪日外国人向けで、提供場所は都庁前駅のみということでやっているということが分かりました。
 しかし、公衆Wi-Fiというのは、やっぱり誰もが無料で使えますので、災害対応の観点からすると、駅でWi-Fiが使えるということは必要だと思いますが、いかがですか。

○一條技術企画担当部長 都が策定している「つながる東京」展開方針では、公衆Wi-Fiは、災害や通信障害時の通信手段としても有効とされております。

○福手委員 今、答弁されたように、デジタルサービス局が所管していて実施しているこのつながる東京では、災害時の通信手段としてWi-Fiは有効だというふうにあります。
 デジタル局でも、都有施設でオープンローミング対応のWi-Fiの導入を行っていますが、この事業には、鉄道乗換駅も整備対象というふうになっています。
 都営交通の中で対象となる駅はどの駅か伺います。

○一條技術企画担当部長 関係局と調整中であり、整備する駅については未定でございます。

○福手委員 私はデジタル局に聞いたんですけれども、来年度整備する駅は増やしていくということで調整をされているというふうにいっていました。
 この国際規格のオープンローミングに対応したWi-Fiなので、局としてはインバウンド対応を念頭にされているかと思いますが、そうすると、整備する駅っていうのは限られてくると思うんですね。ただ、やはりこれは災害時の備えとして整備することが重要だと思います。災害対応であれば、やはりどの駅にも必要になってくると思います。訪日外国人だけではなくて、やっぱり様々な人が移動するときに調べたり、連絡取ったりっていうのにも使いますので、やはりどの駅でも使えるようにすることが必要だと思います。
 局としても、公共サービスの向上につながりますので、ぜひデジタル局と連携して、全ての駅で整備していくよう検討していただくことをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○あぜ上委員長 この際、議事の都合によりまして、おおむね十五分間休憩いたします。
   午後三時五分休憩

   午後三時二十分開議

○あぜ上委員長 休憩前に引き続き委員会を開きます。
 質疑を続行いたします。
 発言を願います。

○関口委員 よろしくお願いします。
 初めに、輪軸についてであります。
 昨年は、車軸に圧力をかけて車輪にはめ込む輪軸の組立て作業で不正がありました。国土交通省が緊急点検を指示した国内百五十六の鉄道軌道事業者のうち、九十一事業者の車両で、圧力の値が各社が定める基準から外れていたということであります。そのうち、五十事業者の車両で、基準に収まるようにデータが改ざんをされていたということでありました。
 交通局に目を向けますと、都営地下鉄と都電の車両で、輪軸の組立て作業の圧力を基準内に収まったように記録を改ざんする不正があり、その数は車軸四百六十七本ということでありました。
 私は、昨年の委員会の中で、委託先の京王重機に対して、記録の改ざんを行ったことは非常に重い事態で、強い姿勢で臨むべきということで質問いたしました。
 こうした背景もありまして、京王重機が、本年一月に、国交省に改善措置を提出いたしました。都にはどのような説明がなされたのか伺います。

○神田技術調整担当部長 受託事業者からは、作業記録の書換え防止のため、検査成績表の数値と圧入波形を照合の上、その両方を提出するとともに、品質管理担当の独立性を高め、チェック体制を強化するほか、今後はデータの書換えができない設備を導入するなどの対策を講じるとの報告がありました。
 また、併せて、データを書き換えた軸については、契約書に基づく適切な履行となるよう、受託者により再圧入等を行い、是正するとの申出がございました。

○関口委員 ありがとうございます。
 そして、私は、昨年、同じく委員会で、交通局の競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱を見る限り、京王重機における輪軸の記録の改ざんは、指名停止措置要綱に接触をするのではないかと指摘をさせていただきました。
 その後の対応について伺います。

○築田資産運用部長 京王重機整備株式会社につきましては、昨年十二月下旬に開催されました東京都契約事務協議会での協議を経て、十二月二十四日から本年三月二十三日まで指名停止措置となりました。

○関口委員 京王重機、三月二十三日までの指名停止ということで、来年度の競争入札には参加できないということで伺っております。
 ただ、これ以降の話ですと、やはり来年度以降の競争入札もそうですし、これからの競争入札の際に、記録の改ざんや安全対策などについて、より一層強化をすべきと考えますけれども、見解を伺います。

○神田技術調整担当部長 来年度以降の受託事業者に対しても、適宜、履行状況を立入り確認するなど、適切な管理監督に努めてまいります。

○関口委員 続いて、カスハラ対策について伺います。
 都議会立憲民主党は、カスタマー・ハラスメント防止条例制定のために尽力をしてまいりました。二〇二三年七月に、会派の中でのカスハラ対策プロジェクトチームを立ち上げ、私はそこの事務局長として、都内の労働団体や経営者団体、消費者団体の皆様とのカスハラ対策についての意見交換をし、条例化が必要だということを痛感したところであります。
 その後、二〇二三年の都議会本会議代表質問で、知事に対して、カスハラ防止条例を提案し、条例が制定をされたものと思います。
 都は、来月から、全国で初めてとなるカスハラ防止条例が施行されます。特に、都営交通においては、鉄道や都営バスなど、お客様からカスハラを受ける機会が日常的に多くなっており、カスハラ対策に力を入れることは極めて重要だと考えております。
 初めに、現状確認ということで、今までどのようなカスハラがあったのか、またそれに伴い、どのようなカスハラ対策がされてきたのか、まずは都営バスについて伺います。

○佐藤自動車部長 都営バスでは、乗務員の写真や氏名を無断でSNSに掲載される等の迷惑行為の事例があったほか、乗務員のお客様対応に関してお客様が感情的になり、過度な謝罪要求を受けたことがございます。
 また、乗務員が安心して働くための環境整備等の観点から、令和五年八月に、車内での乗務員氏名の掲示を廃止するなどの対策を行っております。

○関口委員 続いて、都営地下鉄、都電、日暮里・舎人ライナーについて、同じく伺いたいと思います。

○神永電車部長 都営地下鉄などでは、お客様からの不当な要求などの事例といたしまして、改札機でエラーが出たためお声かけしたところ、入場履歴がないのはおまえらのミスだ、運賃は払わないと大声でどなられた、遺失物の問合せがあり詳細を伺ったところ、覚えていないと返答された上、早くしろ、能なしなどの暴言を受けた、お客様同士のトラブルが発生した後、一方のお客様が駅務室に長時間居座り、クレームを繰り返したなどの報告を受けております。
 こうした事例につきましては、研修等を通じて駅係員に共有するとともに、暴力の被害に遭った場合には複数の係員で対応し、警察へ通報することとしております。

○関口委員 今、ご答弁をいただきましたが、バスにしても、鉄道に関しても、相当様々なカスハラを受けていたんだろうなということで、現場で働く職員の皆さんには、改めて感謝をしたいということとともに、実効性のあるカスハラ対策が必要なんだろうなということを改めて実感したところであります。
 東京都の方では、カスハラ防止条例施行を機に対応マニュアルを作成し、ホームページで公表しました。マニュアルでは、カスハラが発生した場合、対面、訪問、電話などの場面ごとの対応方針が検討されているということで聞いております。
 都営交通においては、どのような点に留意がされ、マニュアルづくりがされているんでしょうか。

○櫻庭職員部長 交通局では、都の条例やガイドラインなどの内容を踏まえ、現場の意見を取り入れながら、カスタマーハラスメントの定義や判断基準、具体的な対応方法などを取りまとめた対応マニュアルの作成に向けて検討を進めております。

○関口委員 まだ検討中ということでありました。都の公営企業のカスハラマニュアルにつきましては、総務局のカスハラ防止に関する基本方針と連動する形で作成されるということで聞いておりますけれども、四月一日から条例が施行されるにもかかわらず、動きがちょっと遅いんじゃないかなということを感じております。
 特に、同業他社であれば、民間の鉄道会社であれば、条例制定よりもかなり率先して、早期からカスハラ対策、カスハラマニュアルというものを実施していたわけでありますので、総務局の動きがちょっと遅いんじゃないかというところに、つまるところ、なるかと思うんですが、ぜひ早期にカスハラマニュアル、カスハラ対策というものを現場に浸透させていくことが重要だと思っております。
 そういう意味では、管理職を含め、現場の職員に対して、いかにこのマニュアル、つくった後に浸透させるかということが重要だと思いますけれども、カスハラ対策をどのようにして根づかせていくのか伺います。

○櫻庭職員部長 職員に対しましては、マニュアルの周知や様々な研修などを通じまして、理解の促進を図ってまいります。

○関口委員 ぜひ、マニュアルの周知はもちろんなんですけれども、研修等をしっかりしていただいて、理解促進を図っていただきたいと思います。
 また、カスハラ対策としましては、もちろん都営交通を使ってくださるお客様に対して、カスハラを抑止するための発信をしていく必要があります。
 取組の強化、重要だと考えますけれども、見解を伺います。

○櫻庭職員部長 これまでも、暴力行為の防止につきまして、ポスターや車内放送などにより、広く呼びかけておりまして、カスタマーハラスメント防止につきましても、お客様への啓発を行うこととしております。

○関口委員 これまでもということでご答弁いただきましたけれども、より踏み込んだ抑止に対しての対策が、私は必要であると考えますので、ぜひご検討いただきたいと思います。
 さて、私は、この間、交通局の職員と都営交通協力会の職員の待遇の差について、様々な指摘をしてまいりました。カスハラ対策におきましても、交通局の職員を守るための取組はもちろんのことでありますけれども、都営交通協力会の職員に対しても同様の対応が取られるべきと考えます。見解を伺います。

○横山次長 東京都営交通協力会からは、都の条例等を踏まえ、基本方針の策定等を進めていると聞いております。
 なお、現在、交通局では、対応マニュアルの策定に向けて検討を進めているところでございまして、その内容について協力会へ情報提供をしております。

○関口委員 都営交通協力会と待遇の差があったりとか、カスハラ対策に対して大きな差が生じないように、ぜひそこは連動してやっていただきたいと思います。
 続いて、交通局の職員の採用についてであります。
 先ほど、他の委員から質問がありましたので、確認を含めた質疑に関してはカットしたいと思いますが、要点は再度聞かせていただきたいと思います。
 昨年の公営企業委員会におきまして、バス運転手の不足について、取組について伺いました。その中では、交通局がバスの運転手不足について様々な取組をされているということを確認したところであります。しかし、先日、現場で働く皆さんとお話をしましたところ、バスの運転手不足というものは、ある種、もう社会問題化しているんだけれども、これからは技術系の職員の採用が大変なんだということを非常に懸念されておりました。
 そこで、技術系の職員の採用選考状況については、先ほど慶野委員が質問されて、答弁の中でもありましたけれども、応募者数というものが近年減少傾向であり、応募倍率は年々低下しているということでありました。
 しかしながら、技術系職員の採用が困難であることは、交通局に限った話ではありません。しかし、首都東京の交通機能をしっかり維持させるためにも、この技術系職員の採用に力点を置くことは重要であります。
 交通局においても、取組の強化が必要だと考えますけれども、見解を伺います。

○櫻庭職員部長 今年度、自動車整備、電気、電車整備におきまして、採用選考を年二回実施いたしましたほか、受験可能な上限年齢の引上げを行ったところでございます。
 また、自動車整備におきましては、学歴や資格などの有無を問わず受験できますよう、受験資格の見直しを行ったところでございます。
 さらに、令和七年度の採用選考から、電気、電車整備におきましても受験資格の見直しを行うなど、交通技能職の安定的な確保に向けた取組を強化してまいります。

○関口委員 今、ご答弁いただきました。様々な取組をされていることは確認をいたしましたが、よりこれから厳しくなっていくのではないかと思いますので、しっかり柔軟な取組、取組の強化もしていただきたいと思います。
 続いて、交通局の経営計画二〇二五についてであります。
 経営の見通しについて触れられておりますけれども、二〇三五年に向けて、運賃収入を中心とした高速電車事業、自動車運送事業、軌道事業、新交通事業の経営の見通しについて、どのような分析をしているのか伺います。

○渡貫企画担当部長 都営交通では、沿線人口の増加などに伴い、今後も一定程度、乗車料収入が増加する一方、物価の高騰や人件費単価の上昇、施設設備の老朽化対応等の影響もあり、経営計画二〇二五でお示ししている二〇三四年度までの経営の見通しでは、高速電車事業の経常損益は収支均衡水準で推移、自動車運送事業、軌道事業、新交通事業につきましては赤字で推移するものと見込んでございます。
 また、軌道事業と新交通事業につきましては資金不足となるものの、高速電車事業と自動車運送事業では一定の累積資金残を確保できるものと見込んでございます。

○関口委員 なかなか厳しい状況があるということであります。
 続いて、運賃収入とは異なる観点で、電気事業や関連事業収入の見通しなどは、どのように分析をしておりますでしょうか。

○渡貫企画担当部長 電気事業につきましては、多摩川第三発電所の大規模更新等を計画してございますが、経常損益は今後十年間、黒字を継続し、また累積資金残は二〇三二年度に一時的に資金不足となるものの、その後は回復する見通しでございます。
 関連事業につきましては、所有する不動産の活用や広告事業、構内営業等を通じまして、毎年度約百四十億円の収入を確保するものと見込んでございます。

○関口委員 電気事業におきましては、小河内ダム直下の多摩川第一発電所、白丸発電所及び多摩川第三発電所の三水力発電において発電をしているわけであります。ただ、私は、電気事業会計を考えるときに、小河内ダム直下の地域だけではなくて、都内全域をフィールドとして電気事業の展開をしていく必要があると考えております。見解を伺えればと思います。

○神田技術調整担当部長 小水力発電施設や太陽光発電設備等の整備について検討いたしましたが、電気事業として運営するには、用地の確保や費用対効果等の課題があり、開発に適した地点は確認できませんでした。

○関口委員 ただ、用地確保の課題があるとかということでありましたけれども、東京都交通局ですから、都内にもしっかり目を向けて、電気事業でしっかりもうけられるところはもうけていくという、私、視点が大事だと思うんです。先ほど、ご答弁でもいただきましたけれども、将来に目を向けたときに、残念ながら運賃収入の増というものは見込めないわけであります。しかしながら、公共交通を担う都営交通を一気に縮小させてしまったらいいのかといったら、そうではないと思うんです。
 例えばなんですけれども、ドイツの公営企業であるシュタットベルケというものがあります。これは、電気、ガス、水道、交通などの複数の事業を展開しておりまして、収益の出やすい事業の売上げをそうでない事業に補填をして投資をしているというものがあります。電気とか、ガスとか、そういったところの方が、事業の収入、利益が出やすいので、公共交通に補填しているという考え方なんですね。この観点は、都における公営企業においても重要なのではないかと私は考えております。
 交通局におきましても、電気事業や関連事業収入のさらなる展開が必要だと考えますけれども、見解を伺います。

○渡貫企画担当部長 地方公営企業制度におきましては、法令等により、交通事業、電気事業などの事業ごとに特別会計を設けて経理し、その経費は、原則として経営に伴う収入をもってこれに充てることとされてございます。また、公営企業の経営に相当因果関係を持つ範囲内で附帯事業を行うことは可能でございますが、地方公営企業法で定める電気事業を鉄道事業等の附帯事業とすることは認められてございません。
 関連事業につきましては、所有する資産を有効活用し、高速電車事業等の本来事業の経営基盤強化に資することなどを目的としてございまして、引き続き、相当因果関係を持つ範囲内で収入の確保に努めてまいります。

○関口委員 今、ご答弁いただきましたけれども、法令などにより、事業ごとに特別会計を設けて経理をするということで、これは公営企業法の原則であります。そして、経営に相当因果関係を持つ範囲内での附帯事業を行うことは可能だということでありますけれども、電気事業と鉄道事業を一緒にすることは認められていないということで、会計を一緒にしてしまって、赤字の補填をすればいいんじゃないかということはできないというご答弁だったんですけれども、ちょっとこの間、交通局の皆さんとお話しして思ったのが、やっぱり公営企業法と条例というものにちょっと縛られ過ぎちゃっているなと思っていて、例えば、極論をいえば、電気事業会計で生まれた利益を鉄道関係の会計の方に貸付けをすることは可能なわけであります。その貸付けをある種、返さないという建前で利益補填みたいなことは、事実上可能なわけです、制度上は可能なわけです。ちょっと頭の体操じゃないですけれども、こういった様々なことをやっていく必要が、私はあるんじゃないかと思うわけであります。交通局が持っているポテンシャルというのはやはりありますから、そういったことをちょっと未来として考えていく必要があると思っているんです。
 私、今、問題意識として――交通局には直接関わらない、先ほどちょっと自動車整備士とか技術系の職員の話をしたので直接は関わるかもしれませんが、自動車整備士とか自動車整備工場というのが、都内でどんどんどんどん空洞化していくっていうことが、これからどんどんどんどん加速をしていきます。特に、二十三区の中では、非常に自動車整備士と整備工場が空洞化していくという状況があって、十年間で整備士は約二万人減少して、整備士試験の申請者はピーク時より半減しているそうであります。都内の自動車保有台数は、この十年で横ばい、あんまり変わっていないそうなんですが、十年で整備士は一〇%以上減っていると。単純計算、整備士の仕事が一割増しになっているという現状なんです。
 これは、後継者不足とか、賃金が低いこととか、あるいはEV車両への対応が難しいこととか、様々な要因が組み合わさっているそうなんですが、二十三区であれば、整備工場を畳んでも、マンション建てたりとか、テナントに貸し付けて収益が上げられるから、整備工場を畳んじゃっても問題ないっていうことが、廃業の加速の一因だということなんです。これから、都内の車検とか自動車整備を都内で支えられなくなる時代になっていくと私は考えているんです。
 今すぐにではないんですけれども、例えば将来を見たときに、自動車整備工場を交通局が担うということもあり得るんじゃないかと私は考えるわけであります。それだけ柔軟に、今の社会で何が起きているか、何が必要とされるかということを、もちろん民間需要の圧迫はしてはいけないと思いますけれども、柔軟に考えながら、交通局の関連事業とか、運賃以外の収益を充てるというところに考えていただきたいと。その分をしっかり公共交通に還元するんだということを、ぜひ交通局にやっていただきたいということを最後に要望しまして、質問を終わりたいと思います。

○岩永委員 よろしくお願いいたします。
 まず最初に、バスの運転手不足についてお聞きします。
 人材不足が大きな課題となる中で、これまでもバスの運転手不足の問題について質問してきました。都営交通としましても、バスの運転手不足への対応として、乗務員確保に向けた取組として、採用後に大型二種免許を取得できるような、そういう採用方法も取り入れるなど、対策や取組を行ってきています。
 間もなく新年度を迎えますが、都営バス運転手の二〇二五年度の採用に向けた選考の応募状況等について伺います。

○櫻庭職員部長 都営バス運転手の採用選考の状況でございますけれども、令和七年四月一日採用予定の選考に対しましては、二百八十八名の応募がございまして、合格者は百六名でございました。
 また、八月一日採用予定の選考に対しましては、百八十六名の応募がございまして、合格者は三十四名でございました。
 このほか、十月一日を採用予定とする大型二種免許をお持ちでない方を対象とした養成型選考を実施中でございます。

○岩永委員 応募者数は一定ありますが、受験をして、合格をして、そして採用となると、その中で人数も減っていったりするようなこともあって、厳しい状況にあるというふうにもお聞きしております。
 そのような中、都営バスの運転手、乗務員不足への対応として、二〇二五年度から、新たに短時間勤務人材の導入が始まります。人材不足の解消の一助となることを期待しますし、また柔軟な働き方、子育てや介護をしながら働く選択肢としても、一つ重要な取組になるのではないかと思っております。
 そこで、短時間勤務人材のシフトの組み方、職務内容など、具体的な内容を伺います。

○櫻庭職員部長 都営バスにおきましては、乗務員の確保を図るため、短時間勤務の導入による交通局OBなどの活用を進めることといたしました。これらの職員は、朝夕のラッシュ時間帯を中心に、都営バスの路線バス運転業務に従事するものでございまして、原則として、一日当たりの勤務時間は五時間、勤務日数は月十六日でございます、

○岩永委員 一日当たり五時間で、朝夕のラッシュ時間帯を中心に勤務されるということで、一か月十六日勤務ということです。交通局のOB等の活用を想定されているということで、再任用を終えた方に継続して勤務いただくことも視野に入れてということだと思いますが、ぜひ年齢や性別を問わずに、採用の視野を広げていただきたいと思います。例えば、三交代のシフトで働くことは難しい子育て中の女性にとっても、短時間であるならば、乗務員として働いてみたいという人もいらっしゃるかもしれません。交通分野は、まだまだ男性が主流な職場です。特に、バスやタクシーの乗務員は、女性がとても少ない分野ですが、短時間勤務人材の導入は、都営バスの女性乗務員を増やす後押しとなることも期待をしております。
 女性運転手の人数の五年間の推移についてお聞きします。

○櫻庭職員部長 令和二年度から六年度までの各年度四月一日現在における女性バス乗務員の常時勤務職の職員数は、順に、十七名、二十三名、二十二名、二十名、二十三名でございます。

○岩永委員 この五年間をお答えいただきましたが、五年間で少しずつですが増えてきているようです。二十名ちょっとで推移している状況ですけれども、この四月から、カスタマー・ハラスメント防止条例が施行されますが、このことが女性乗務員募集の後押しをすることにつながるのではないかという期待もしております。
 都営交通は公営の事業ですので、あらゆる分野の政策をジェンダーの視点で考えて取り組むジェンダー主流化を進めていくことが重要です。しかし、先ほど申し上げたように、交通分野全体で、中でも運転手の女性の割合が極端に低いという現状があります。業種では、航空、鉄道、自動車の中でも、自動車の部門が一番低くなっております。そのような中で、民間でも様々な創意工夫を試みて、女性の乗務員を増やす努力をしておりますが、都営交通でも積極的に取り組んでいく必要があると考えます。
 先ほど、都営バスの運転手の女性の常勤の人数ということで、二十名程度で推移をしているというご答弁がございましたが、都営バス全体の運転手の人数が約二千百名ぐらいということで、ホームページの方にも紹介がありましたけれども、その割合として見ると一%程度ということで、まだまだ非常に少ないという状況があります。女性の乗務員が増えることで、サービスの向上にもつながると思いますので、交通局としても、女性乗務員を増やす取組をぜひとも進めていただくように、よろしくお願いいたします。
 次に、都営バスのバス停の上屋とベンチの設置について伺います。
 公営交通は、高齢者や障害者、妊産婦や子供など、誰にとっても利用しやすい交通機関であることが重要です。そして、来年度、シルバーパスの価格が四割下がって、現行の二万五百十円が一万二千円になるという方向が示されておりますので、高齢者の外出や社会参加の後押しになるのではと期待をしているところです。
 バスを利用する高齢者の方から、バスに乗り遅れないように時間に余裕を持って早めに家を出て歩いていくので、着いた後の待ち時間が長くなる、そして、そういったときに、バスを待つ間にもベンチがあるとありがたいのだという声を多くお聞きします。足が悪い方ほど、ゆっくり歩いても間に合うように早めに出られるという傾向がありますので、その分、待っている時間が長くなると、立っていることも大変になるという現状があるということです。さらに、近年では、地球沸騰化といわれるような暑い夏、三十五度を超える酷暑の中でバス停で待っているときに、少しでも日陰があるといい、そしてベンチがあっても、上屋がないと、直射日光で熱くなった金属製のベンチには座れないのだという声もお聞きするところです。
 そこで、都内の都営バスのバス停のベンチと上屋の設置状況を伺います。バス停全体の数と、そのうちベンチと上屋の設置数を教えていただけますか。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、令和七年二月末におきまして、三千八百三十八の停留所に、ベンチを千二百三十二基、上屋を千六百四十棟設置しております。

○岩永委員 三千八百三十八の停留所のうち、ベンチが約三分の一の停留所に設置をされておりまして、上屋が大体半分ぐらいという状況です。ぜひベンチと上屋の設置を増やしていただきたいと思っております。
 それから、再エネの推進の取組として、上屋への太陽光パネルの設置を進めていましたけれども、現在の設置の状況と今後について伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、平成二十九年度から令和元年度までに、環境局のバス停留所ソーラーパネル等設置促進事業の補助制度を活用しまして、三十棟の上屋にソーラーパネルを設置してございます。
 一方、補助事業は既に終了していることや、維持管理費も高額であること、都心部では発電効果が十分に得られる日当たりのよい停留所が限られていることなどから、現時点では増設の予定はございません。

○岩永委員 現時点で増設の予定はないということで、ちょっと残念なんですけれども、上屋に太陽光パネルがあることで、バス停の照明であったり、またデジタルサイネージなども最近増えておりますので、そういった電力の供給、それから災害時にも役に立つと思います。何よりも、ゼロエミッションの目標を達成するために、二〇三五年再エネ六〇%を全庁を挙げて取り組んでいく必要があります。あらゆるスペース、場所、機会を活用する、それから手法も含めて進めていく検討をお願いしたいと思います。
 次に、ベンチについてですが、先ほどバス停でのベンチの設置数が千二百三十二基、上屋が千六百四十棟というご答弁でしたけれども、ベンチがないバス停への新設、そして既にベンチが設置をされているバス停にはベンチを増設、つまり座れる箇所を増やしていくということを要望します。また、その際には、できるだけ多摩産材を使ったベンチを積極的に導入をしていただきたいと思いますが、所見を伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、バスを快適にご利用いただけますよう、新たな経営計画期間中に、ベンチを新設と更新を合わせ九十基整備することとしております。
 また、ベンチの新設や増設に当たりましては、歩道の幅員、支障物の有無などの課題がございます。
 ベンチの材質については、各停留所の状況に応じて選定しておりまして、多摩産材も活用しております。

○岩永委員 次の計画、三年間で九十基増やしていくということです。バス停の場所や歩道の幅員など、様々対応が必要な場所もあると思いますけれども、ぜひ工夫しながら進めていただくようにお願いをいたします。
 それから、多摩産材を使ったベンチも今設置もされておりますが、拝見も実際にさせていただきました。やはり木の持つぬくもり、そして金属のベンチよりも夏は熱くなりにくい、冬は冷たくなりにくいという材質がよいという声も多く聞いております。耐用性の問題ももちろんあるとは思いますが、これから設置予定の九十基については、できるだけ多摩産材を使って整備をいただくことを要望しておきます。
 次に、再エネの取組についてです。
 都は、二〇五〇年カーボンゼロに向けて、二〇三〇年には五〇%減、三五年には六〇%減の目標を定めました。都内のCO2排出で運輸部門の七割を占める自動車の脱炭素化を進めるために、都営交通事業における脱炭素化の取組は大変重要です。東京都は、薄くて軽い次世代型ソーラーセルの設置にも力を入れて、これまでに太陽光パネルを設置できなかった場所、例えば建物の壁や窓ガラスにも設置を広げていこうと、今後の取組が期待されているところです。
 昨年十一月の事務事業質疑では、EVバスの導入について質問をし、二〇二五年度には北営業所で導入をされることになりました。EVバスの導入には、充電施設の整備もセットで必要になります。北営業所での充電設備の整備状況について伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 来年度早期のEVバス二両のパイロット導入に向けまして、現在、北営業所において変電設備を改修しているほか、充電器の設置工事などを進めているところでございます。

○岩永委員 来年度に向けて改修工事などが行われているということですが、できるだけEVバスのある営業所内でも発電量を増やして、その電気をバスに使う、電力の地産地消の取組も、併せて進めていけるとよいと思っています。
 バスの駐車場に太陽光パネルつきの屋根、カーポートを設置する取組も、既に民間では始まっています。営業所のバスの車庫に太陽光パネルつきの屋根を設置することで、バスに充電をすると同時に、バスの空調節約、つまり、止めている間に直射日光になるべく当たらないような形になるので、バスの車内の温度の上昇も抑えることができるということで、一石二鳥という効果もあるそうです。
 また、バス自体の屋根に太陽光パネルを設置して、発電しながら走行できるようなバス、ソーラーパネルバスという名前で、名阪近鉄バスで導入をされております。
 今後は、このような新たな取組を模索して、あらゆる可能性を検討していただくことを要望いたしますが、所見を伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 北営業所では、EVバスの導入に併せまして、太陽光発電によるグリーン電力を活用した充電の実証実験に向けて、庁舎壁面への薄型太陽光発電設備の整備に取り組むこととしており、現在、設置工事を進めております。

○岩永委員 壁面を活用してということです。都バスで初めてのEVバスが導入される機会ですので、ぜひ都営交通での電力自給割合を高める取組をさらに一層進めていくことを要望いたします。
 続いて、カスハラ防止条例についてです。
 四月からのカスハラ防止条例施行に向けて、昨年十二月に指針が策定されました。未然防止、また現場での対応、相談体制などを盛り込んだ各団体のマニュアルなどもつくられたところです。
 都営交通では、カスハラ対策について、どのように取り組んでいくのか伺います。

○櫻庭職員部長 交通局では、現在、現場の意見も取り入れながら、カスタマーハラスメントの定義や判断基準、具体的な対応方法などをまとめた対応マニュアルの策定に向けて検討を進めておりまして、今後、職員に対しては、マニュアルの周知や研修などを通じて理解の促進を図ってまいります。

○岩永委員 交通局の対応マニュアルの策定に向けて検討されているということですが、公営交通である都営交通においては、カスハラ防止対策と同時に、障害者や認知症の人への配慮や対応も大事な取組です。丁寧に対応することが大切だと思いますし、現場での対応力がより求められる分野だと思います。
 都営交通では、どのような研修に取り組んでいくのか伺います。

○櫻庭職員部長 高齢者や障害があるお客様にも安心して都営交通をご利用いただけますよう、新規採用職員や管理監督者などを対象といたしまして、介助方法を学ぶ座学や実習、障害者団体などから講師を招いたロールプレー、認知症の理解や支援に関する研修などを行っておりまして、引き続き、丁寧にお客様に対応できますよう、こうした研修によって現場の対応力を高めてまいります。

○岩永委員 ロールプレーや様々な実習なども含めた研修などに取り組んでいただいておりますが、その対象が新規採用職員、また管理監督者ということです。社会状況も非常に変化が激しい時代ですし、また繰り返し研修に参加できるように、現場の取組事例なども共有しながら、多くの職員、現場の職員の皆さんが研修を受けられるような対応を要望いたします。あわせて、交通局、総力をもって顧客への対応力を高めていくことを要望いたしまして、質問を終わります。

○しのはら委員 既に多くの委員と重なる部分もありますが、質問していきたいと思います。
 まずは、東京都交通局経営計画二〇二五(案)から、幾つかお伺いしたいと思います。
 少子化の進展に伴う輸送需要や労働力不足による事業の担い手の減少、物価の高騰など、都営交通を取り巻く環境は厳しさを増す中で、様々な観点から計画が策定され、取組が検討されていると思います。
 まずは、経営計画で一番に掲げられている、誰もが円滑に移動できる公共交通に関して、ホームと車両との段差、隙間の縮小についてお伺いいたします。
 車椅子などを利用している人が駅員等の介助なしに車両に乗降しやすくするために、浅草線において、ホームと車両との段差、隙間の縮小を進めるとありますが、こちらの取組についてお伺いします。

○周郷技術管理担当部長 都営地下鉄では、車椅子をご利用のお客様が駅員等の介助なしに車両に乗り降りしやすくするため、ホームと車両との段差や隙間を縮小する取組を進めております。
 浅草線では、これまでに東銀座駅と人形町駅で対策を完了しておりまして、令和七年度は、新橋駅など六駅でホーム先端部のかさ上げやくし状ゴムの設置を進める予定でございます。
 計画期間でございます令和九年度までに、大規模改良を予定している泉岳寺駅や、京成電鉄が管理している押上駅を除く浅草線全駅で、段差、隙間対策の完了を目指してまいります。

○しのはら委員 計画期間の令和九年度までに、大規模改修予定以外の浅草線全駅で段差、隙間対策の完了を目指して進めていかれるということで、ぜひとも誰もが円滑に移動できる公共交通の実現に向けて、引き続き進めていただきたいと思います。
 次に、移動を軸にした多彩な価値の提供に関してです。
 これまで困難であった課題の解決や革新的なサービスの創出に、新たな技術やスタートアップの斬新な発想を積極的に活用していく必要がありますが、経営計画では、スタートアップ支援に係る都の施策との連携も図りながら、積極的にスタートアップと対話を行い、局事業への効果等を見極めながら検討、導入を進めるとありますが、スタートアップと連携する取組について、実績と今後の予定をお伺いします。

○若井経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務 交通局では、これまで、スタートアップの斬新な発想やサービスを活用し、デジタル一日乗車券の試験的発売による旅客誘致や、放射冷却素材を活用した省エネ効果の検証などに取り組んでまいりました。
 引き続き、様々なスタートアップの商品やサービスの実証の場として都営交通のフィールドを一層活用し、移動需要の創出や利便性向上などの課題解決を図ってまいります。

○しのはら委員 これからも、スタートアップを含めた官民連携で、より都営交通の価値を多方面から高めていただければと思います。
 次に、お客様ニーズの変遷に応じて、これまで駅の改装や大規模改良等を通じて、利便性が高く魅力的な駅空間の創出を行ってきたかと思いますが、計画期間におけるお客様ニーズを踏まえた地下鉄駅構内のサービスの展開についても所見を伺います。

○築田資産運用部長 交通局では、お客様の利便性の向上と収益確保を図るため、駅構内の限られたスペースを有効に活用し、店舗や自動販売機などのサービスを展開しており、お客様の声や事業者などとのヒアリングを通じまして、変化するニーズを把握しながら、新たなサービスの導入に努めてまいりました。
 今年度は、三田線神保町駅構内にスタンド型ベーカリーを開店させるなど、三店舗を誘致するとともに、傘シェアリングサービスや宅配便受け取りロッカーの充実など、生活に関連したサービスの充実に取り組んでまいりました。こうした取組を積極的に進め、構内営業のさらなる推進に努めてまいります。

○しのはら委員 駅構内の様々なサービス展開によって、駅や路線の価値が高まっていくものだと思います。引き続き、利用者の皆様のニーズを捉えた便利なサービスを展開いただきたいと思います。
 次に、公共交通の担い手不足に伴う諸課題に対応する取組について伺います。
 少子化に伴う生産年齢人口の減少による労働力不足は深刻で、交通局においても、ベテラン職員の大量退職を迎える中で、採用予定者数の確保が困難な職種も発生するなど、将来にわたり事業を継続するための体制づくりが重要になっています。
 まずは、担い手不足の中で、地下鉄等のメンテナンスにデジタル技術を活用することで、業務の効率化を図りつつ、メンテナンス品質の維持向上を図るTOEIスマートメンテナンスを目指す取組について伺います。
 地下鉄軌道管理のデジタル化を図る中で、レールの傷や摩耗等を検査するレール計測車を活用し、レール交換周期の最適化を図るとありますが、具体的にどのような取組か、どのように効率化されるのか伺います。

○坂口建設工務部長 都営地下鉄では、将来の限られた人的資源の中でも、保守の品質を維持向上させるため、軌道管理のデジタル化を進めております。
 レール計測車は、レールの傷や摩耗等に関する複数の検査を同時に実施可能な車両であり、今年度導入し、来年度より本格的に活用を開始するものであります。
 今後、保線管理システムを通じて、各種検査データを一元的に管理し、データの蓄積、分析を進め、状態に応じたレール交換周期の最適化を目指してまいります。

○しのはら委員 レール計測車の新規導入と保線管理システムの再構築により、地下鉄軌道の維持管理を高度化されていくということで、今後の進展が期待されます。
 次に、人材確保について、計画期間における取組の中で、特に業界全体で担い手不足が深刻化しているバス乗務員について、志望者の裾野拡大に向けて養成型選考の採用者数を拡大するとともに、短時間勤務の活用等を行うとありますが、バス乗務員不足への対応として導入予定の短時間勤務とはどのようなものかお伺いします。

○櫻庭職員部長 短時間勤務の職員は、都営バスの路線バス運転業務に従事するものでございまして、交通局OBなどの活用を図りまして、朝夕のラッシュ時間帯を中心に、原則として、一日当たりの勤務時間は五時間、勤務日数は月十六日でございます。

○しのはら委員 既に業務を熟知している交通局OB等の活用も図っていくということですが、短時間勤務が導入されることで、柔軟な働き方の選択肢が増え、多様な人材が働きやすい職場となることを期待します。
 引き続き、職員が働きやすい職場環境づくりについて伺います。
 以前より、交通、運輸の現場で働かれる職員の皆様は、特にカスタマーハラスメント被害に遭われた事例などを多く耳にしました。
 来月から、東京都ではカスタマー・ハラスメント防止条例が施行されます。それに当たり、東京都カスタマー・ハラスメント防止条例の制定に伴う交通局の対応状況についてお伺いいたします。

○櫻庭職員部長 都の条例やガイドラインなどの内容を踏まえますとともに、現場の意見も取り入れながら、カスタマーハラスメントの定義や判断基準、具体的な対応方法などをまとめた対応マニュアルの策定に向けて検討を進めております。

○しのはら委員 実効的なカスハラ対応マニュアルが策定され、職員の皆様が働きやすい環境実現のためにしっかりと機能することを期待します。
 さて、経営計画からの質問は以上となりまして、次に、二点お伺いいたします。
 塗料メーカー大手、日本特殊塗料がアスベストを含まないとして製造販売した断熱塗料に基準値超えのアスベストが含有していた問題で、塗料が使われた地下鉄車両の譲渡を受けた解体業者と、日本特殊塗料や東京メトロとの和解が、二月十七日付で東京地裁で成立していたことが分かったというニュースがありました。
 これは、二〇〇六年にアスベストの規制が強化されていたが、二〇一七年の検査で発覚したというものでしたが、振り返って、交通局でも同様の状況がなかったか、どのように対応がなされてきたかをお伺いいたします。

○神田技術調整担当部長 交通局では、都営地下鉄の車両を廃棄する際には、メーカーの見解等にかかわらず、全ての車両についてアスベスト含有の調査をしておりまして、その結果に基づき適切に処理をしてございます。

○しのはら委員 交通局では、メーカーの見解にかかわらず、全ての車両について調査をした上で、適切に処理がされていたということが確認できました。
 最後の質問です。停電による運休が相次いでいる新交通システム「ゆりかもめ」について、小池百合子知事が、駅の間に止まった列車から降りた乗客が安全に避難できるよう、安全シューズの貸出しを始めたというニュースを目にしました。
 高架上は段差などがあり、特にハイヒールでの歩行は危険が伴うため、同様のトラブルに備え、靴底に鉄板が入った安全シューズの配備を決めた、三十足用意し、乗客の避難誘導に向かう緊急車両に積み、希望者に貸し出すとのことですが、同じ新交通システムである日暮里・舎人ライナーでは対応がなされるのでしょうか、お伺いします。

○神永電車部長 日暮里・舎人ライナーでは、地震などにより列車が駅間で停車し、走行できなくなった場合に、ハイヒールを履いたお客様などを最寄りの駅まで安全にご案内できるよう、避難用のシューズを配備しております。

○しのはら委員 日暮里・舎人ライナーでも、避難用のシューズが配備されたということでした。
 これからも、様々な技術開発やサービスの発展、安全性への自立的な取組を通じて、将来にわたり、東京の都市活動や都民生活を支える公共交通機関としての使命を果たしていくことを要望し、私の質問を終わります。ありがとうございます。

○東委員 新たな経営計画では、労働力人口の減少が見込まれる中、持続可能な事業運営の確立について随所で言及されています。
 交通分野では、バスの乗務員不足が大きな話題となっています。先ほどからも、都営バス、民間バスにかかわらず、運転手不足については、多数の理事、委員の方からも質疑がありました。私の住んでいる武蔵野市でも、民間のバスの時刻表にバッテンマークがつき出して、大幅な減便、運休を行っており、バスの運転手の方が不足しているということを実感しているところであります。
 国内において少子高齢化が進んでおり、交通局の現場を支えるその他の職種においても、厳しい状況が見込まれることは想像に難くないです。
 一方、都営交通は、いずれの事業も生活に欠くことのできない交通インフラであり、安定的に事業を運営する必要があり、デジタル技術などを有効に活用しながら効率的な執行体制を構築することは、非常に重要と考えております。
 こうした観点から、本日、何点か質問いたします。
 TOEIスマートステーションについてであります。
 経営計画では、デジタル技術も活用しながら、お客様サービスのスタイルをアップデートするTOEIスマートステーションについて記載があり、都営地下鉄の駅の仕事が大きく変わるのではないかと受け止めております。
 都営地下鉄では、令和五年度の利用者数は、一日当たり二百四十九万人であり、障害者や高齢者、子育て世代、外国人など多様な人たちが利用をしております。また、地震やゲリラ豪雨などの自然災害、鉄道におけるテロや事件などに対して的確に対応が求められることは、今後も変わりないと考えております。
 そこで、様々な利用者がいる中、TOEIスマートステーションの実現に向けて、今後どのように取り組んでいくのかを伺います。

○神永電車部長 都営地下鉄では、労働力人口の減少が見込まれる中、持続可能な事業運営に向け、デジタル技術も活用しながら、駅業務の見直しを図っていくこととしております。
 具体的には、改札窓口に遠隔対応が可能な機器を導入し、お客様からの問合せに対応するほか、全ての駅係員が業務用スマートフォンを携行し、迅速かつ正確な運行情報の提供や、災害時における速やかなお客様対応、車椅子をご利用のお客様などへの乗車支援等に活用してまいります。
 また、クレジットカード等のタッチ決済を全駅に導入し、交通系ICカードの活用と併せ、決済手段の多様化を図ることで、外国人旅行者などのスムーズな移動を可能としてまいります。

○東委員 他の鉄道会社でも様々な新しいサービスの導入を進めているので、それも参考にしながら、検討に当たっては、利用者の視点に立って、効率的でありながら不便を感じることなくスムーズに地下鉄を利用できるよう、変革に取り組むことを要望しておきます。
 次に、都営バスの乗降データの実証実験について伺います。
 バスの利用者数については、現在、人力による調査が主流と聞いております。デジタル技術を活用すれば、もう少し簡単かつ正確にデータが収集できるのではないかと思われます。日常的にデータを取得できるようになれば、乗客の利用状況や流れを把握できて、路線やダイヤの見直しの基礎資料としても活用できると思います。一年前の公営企業委員会でも、我が党の本橋たくみ議員からの質問に対して、利用者の乗降データの効率的な取得に向け、調査方法のデジタル化に向けて検討を進めているとのことでありました。
 デジタル技術を活用したバスの乗降データの取得について、現在の取組状況を伺います。

○和田バス事業経営改善担当部長 都営バスでは、スタートアップ・国際金融都市戦略室の現場対話型スタートアップ協働プロジェクトを活用しまして、令和六年十一月から令和七年一月にかけて、バス十両にAIカメラを取り付け、営業運行における乗降データを収集する実証実験を行っております。
 具体的には、停留所ごとの乗降人数やお客様の利用区間に関するデータを収集しまして、実際に車内で調査員が記録したデータとの比較を行うことで、AIカメラを活用したシステムの有効性などを検証した結果、取得データの精度に一部課題があることが判明しております。
 検証結果を踏まえ、引き続き、AIカメラを活用したシステムの導入を目指してまいります。

○東委員 今の答弁で、直ちに実用化できる状態にはないということが分かりましたが、今後も引き続き、着実に取り組んでほしいということを要望しておきたいと思います。
 次に、都営交通の利用者からの問合せや忘れ物の管理に関するシステムのリニューアルについて伺います。
 利用者からの様々な問合せに回答したり、忘れ物を管理し、持ち主に円滑に返却したりする業務は、多くの利用者がある都営交通において重要なものと認識をしております。社会的には、コールセンターなどの電話や窓口業務について、システムツールの開発やデジタル技術の活用が進展していると認識をしております。
 こうした状況を踏まえ、新たな技術を活用しながらシステムをリニューアルする視点が重要と考えますが、利用者からの問合せや忘れ物の管理に関するシステムのリニューアルによって、今後どのように改善されるのかを伺います。

○横山次長 交通局では、お客様からのお問合せや遺失物の管理などを行う、お客様の声ネットワークシステムを来年度リニューアルいたします。
 新たなシステムでは、お客様からの問合せ時の通話内容などを自動で文字起こしして登録する機能を加えることにより、オペレーターの負担軽減を図ります。また、お客様がSNSなどにより二十四時間いつでも遺失物の問合せをできるようにするほか、職員が遺失物の写真を撮影するだけで、AIが色や形状などの特徴を判別して自動でシステム登録される仕組みとすることで、登録作業の省力化を図ってまいります。
 こうした取組により、一層の業務効率化やお客様サービス向上に努めてまいります。

○東委員 忘れ物の問合せが二十四時間可能になるのは、サービス向上、評価ができます。システムを利用する職員側の負担も軽減されることが分かりました。リニューアルを着実に進めていってほしいということを要望したいと思います。
 最後に、デジタル技術を活用した事務処理の見直しについて伺います。
 交通局では、運転士、駅係員、保守職員だけでなく、駅やバス営業所などにおいて、多数の運輸系事務職員が在籍していると伺っております。このため、日夜活躍しているそれらの皆様が、便利なデジタルツールを使いこなし、一層効率的に仕事が進められるとしたら、多様な働き方を後押しするとともに、それにより生み出した時間を用いて新たな課題にも取り組む契機になると、様々な効果が見込まれると思います。
 そこで、職場も含めてデジタルの力を活用し、事務処理の方法を見直していくことが必要と考えますが、今後の取組について伺います。

○若井経営改革推進担当部長DX推進担当部長兼務 交通局では、DXの推進に取り組んでおりまして、今年度は、駅構内にある消火設備の図面を電子化した取組が都庁DXアワードで表彰されるなど、一定の成果が表れてきております。
 来年度からは、デジタルツールを用いたBPR、いわゆる業務プロセスの最適化を全ての課、事業所に拡大することで、内部管理事務の効率化を一層推進してまいります。
 このため、まず各職場において、BPR推進の中心的な役割を担うDXアンバサダー等を対象とした研修を充実し、リーダーシップや業務改善のマインドを醸成するとともに、実践的なデジタル活用、スキルの向上を図ってまいります。また、好事例の共有、表彰などを通じまして、各職場での自律的な取組を促すことで、局内にBPRの取組を浸透させてまいります。

○東委員 既に庁内でも表彰されるなど、成果も表れているとのことなので、その流れを確かなものにできるように、引き続き取り組んでほしいと思います。
 また、現場の職員の中には、デジタル分野に詳しい職員の方もいるのではないかと思います。そういった職員の活躍の場を広げることにもつながり、組織の活性化にも寄与することにもつながると思います。職員一人一人の力を存分に発揮できるよう、若手職員も巻き込んで、新たな発想で取組を進めてもらいたいという意見を申し述べまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。

○小松委員 昨年十二月の第四回定例会の我が党の代表質問において、都営バスの人材確保と自動運転の取組などについて質疑を行いました。本日も、このことに関連して、交通局の方に何点か伺いたいというふうに思います。
 全国的にトラックの運転手、またバスの乗務員など、大型の車を運転できる人たちが減少している、このことを背景に、物流や路線バスを支える担い手の確保というのが社会的な関心事となってまいりました。都営バスにおいても、急速に人材確保が困難になってきているというふうに伺っております。
 第四回の定例会では、将来の自動運転の活用も見据えて、今から積極的に取り組んでいくべきといった観点で質問させていただいたわけですが、一方で、この自動運転の実現には、技術の進展はもとより、法令の整備、また社会的受容性の醸成など、実現には相応の時間を要するものと、このことも見込まれているというふうに考えています。
 地域の貴重な移動手段である路線バスを維持していくために、その移行期間、バスの乗務員になりたいというような人を増やしていくとともに、まずは現役のバスの乗務員の方々に、より長く活躍できるような後押しをする、こうした観点から、地道な取組を進めることが重要というふうに認識をしています。
 都営バスにおいても、安定的かつ持続的に事業を運営していくために、こうした状況を踏まえた取組や対応が必要となると考えますが、バス乗務員の確保に向けて、労働環境の充実も必要だというふうに考えています。見解を伺います。

○櫻庭職員部長 都営バスでは、国の労働時間などの基準を踏まえ、勤務時間などについて適切に対応することはもとより、有給休暇の取得のほか、育児や介護などに関する休暇や勤務制度についても利用しやすいよう、職場の風土づくりを進めております。また、庁舎の大規模改修などの機会を捉えまして、女性職員向け施設などの整備を進めております。
 今後も、職員や都営バスを志望される方にとって魅力的な職場となるよう、働きやすい環境づくりに努めてまいります。

○小松委員 労働時間に関する基準の遵守はもとより、休暇などを利用しやすいように取り組まれているということが確認されました。また、女性向けの施設の整備等も進められているということでありました。
 乗務員を志望する人の裾野を女性にまで広げていくということは、重要な取組だと考えています。バスの営業所は、昼間は一見、大変広いヤードがあるように見えますが、夜はバスの車両で隙間がないというふうにも聞いています。古くなった庁舎の建て替えや改修を行うための工事を進める際にも様々な苦労があるというふうに伺っておりますが、こうした取組を着実に進めていただきたいというふうに思います。
 次に、バス乗務員の健康管理について伺います。
 路線バスは、道路渋滞もある中でダイヤどおりに安定運行する、このことは大変並々ならぬ努力が必要となることは想像に難くありません。加えて、多くの乗客を乗せて走っているということから、事故なく安全に運行するということが何よりも重要です。そのためには、バスのハンドルを握られている乗務員の方が、心身ともに健康な状態を保持されているということが前提になると思います。
 乗務員一人一人が、自覚を持って、日頃から健康管理を心がけてはいるというふうに思いますが、それに加えて、交通局としては、雇用者として、また交通事業者として、乗務員の健康増進や健康状態の維持をサポートする必要があると考えます。
 現在、バス乗務員の健康管理をどのように行われているのか伺います。

○櫻庭職員部長 バス乗務員の健康管理を適切に行うことは、都営バスの安全輸送を支える重要な柱でございます。このため、乗務の前後に行う対面の点呼で、酒気帯びのあるなしも含めて、運行管理者が体調を確認しております。
 また、労働安全衛生法に基づく健康診断におきまして、視力、聴力や血圧などを測定いたしますほか、三十歳以上の者には心電図検査を実施するなどによりまして、健康状態を把握しております。
 さらに、国のガイドラインなどに基づきまして、睡眠時無呼吸症候群の検診及び脳血管疾患の早期発見のための脳MRI検診を定期的に実施しておりまして、異常が認められた場合は、乗務禁止の措置を行いまして、症状の改善を確認した上で乗務に復帰させております。

○小松委員 通常の健康診断に加えて、睡眠時無呼吸症候群や脳のMRIの検診なども実施するなど、常日頃から健康状態の確認に力を注がれているということが分かりましたが、実際、国のガイドラインなどを見ると、三年から五年に一回程度ということでありますし、この病気の種類からいっても、早期発見、早期治療が重要なことから考えれば、もう少しきめ細かく健康管理、フォローを行っていくのが望ましいんだろうなというふうには思います。一足飛びに行くのは大変難しいのは分かっているので、今後どうやったら、もう少し、通常業務の負荷のことを考えつつも、実際にもう少しきめ細かく健康管理のフォローができるのかなどについて、また改めて意見交換を重ねさせていただければありがたいなというふうに思います。
 都内の混雑する道路環境で、意識を切らさず、また安全を守りつつ、利用者への対応もこなすハードな職務であることに加え、都営バスの乗務員も、五十歳以上の方が相当数在籍していると聞いています。実際、五十代、六十代のボリュームの方が若い方より多いというのが実情だというふうに伺いました。一方で、乗務員不足が切実な課題となっている中、より長く現役を継続してもらうということも、現実問題としては大変重要なことだと思います。このため、こうした健診や健康面でのフォローは、ますます重要になると考えています。
 そこで、最後に伺いますが、バス乗務員の健康を増進するために、どのように取り組んでいくのか伺います。

○櫻庭職員部長 円滑な事業運営と輸送の安全確保のためには、乗務員の心身の健康保持、増進を図ることが重要でございます。このため、生活習慣病対策として、定期健康診断結果に基づく保健師による保健指導や生活習慣病予防教室の回数を増やしますとともに、職場において、身体や運動能力の測定を行って、その結果に合わせて食生活や運動による生活改善を促す取組を新たに実施いたします。
 また、保健相談員を増員いたしまして、健康相談や職場巡回の体制を強化するなど、メンタルヘルス対策の充実を図ってまいります。
 引き続き、乗務員の健康増進に向けて、積極的に取り組んでまいります。

○小松委員 生活習慣病予防教室や相談員の体制強化によるメンタルヘルスケアの充実など、様々取り組まれているということが確認されました。ぜひ、もう既に取り組まれている部分もあると思うんですが、こちらも第四回定例会で我が党で質問させていただいたんですが、女性特有の健康課題などについても非常に大きな経済損失があるというふうに伺っておりまして、こうしたことも、先ほどの資料を見ても、女性の職員の方も継続的に増えてきている状況を考えますと、職場環境とともに女性の健康管理のところについても、ぜひ着目をしていただいて、これまで以上の取組を求めておきたいというふうに思います。
 社会的には、従業員一人一人が健康で生き生きと活躍できることを追求する健康経営を標榜する企業も増えてまいりました。また、このような社会的な変化を背景に、従業員のヘルスケアを支える様々な便利な民間サービスや、新しい技術を活用した検査方法なども発展してきているというふうに伺っておりますので、こうした変化を捉えて、より適切に局事業を支える多くの職員の方々の健康の維持に努め、引き続き、都営交通として安全で質の高い輸送サービス提供を求め、私の質問を終わりたいと思います。

○あぜ上委員長 ほかに発言がなければ、お諮りいたします。
 本案及び本件に対する質疑は、いずれもこれをもって終了いたしたいと思いますが、これにご異議ありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○あぜ上委員長 異議なしと認め、予算案及び報告事項に対する質疑は終了いたしました。
 以上で交通局関係を終わります。
 これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。
   午後四時三十五分散会